予算委員会 第3号
- 発言数
- 226 件
- 登壇者
- 18 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1955/12/08
会議録
○委員長(西郷吉之助君) それではただいまより委員会を開会いたします。 本日より二日間にわたりまして、最初に総理大臣に対する総括質問を行います。
○菊川孝夫君 昭和三十年度の特別会計予算補正特第二号の審議に入るに当りまして、社会党を代表しまして鳩山総理に総括的な問題について二、三質問いたしたいと存じます。 私ども社会党は去る十月十三日に両派の統一を行いましたし、民主党と自由党は一ヵ月おくれまして十一月十五日に合同しまして、自由民主党を結成され、ここに二大政党の対立時代を迎えることになりました。戦前においても二大政党の対立時代がありましたけれども、それは一応基盤を同じうします保守党同士の対立であります。しかるに今日は社会主義政党と資本主義政党の対立でありまして、まさにわが国政治史上空前のことでありますが、両党の任務はこれによって非常に重いものがあると思います。従いましてその出発に当りまして、国政の運営につきまして、民主的ルールをはっきりと確立していく必要があると思うのであります。特に政権の授受に際しまして混乱を起さない訓練が必要だと思います。すなわち自民党が今両院で多数を占めて政権を担当しておられますけれども、永久に自民党の政権であるということはあり得ないことでありますし、常に反対党は社会主義政党であるということを考慮に入れて諸政策を実施されるべきであり、私どももまた反対党に資本主義政党の存在することを配慮して、その政策の立案に当るべきであろうと思います。政権交代のたびに反対党の行なってきた諸政策を根底からくつがえすというのであつては、政権交代によって大混乱を繰り返すことになり、日本を救うべからざる破局に陥れることになるのは明らかであります。かような意味におきまして、第三次鳩山内閣は、第一次あるいは第二次鳩山内閣に比べまして、よほどその存在の意義を異にするものであることを御認識さるる必要があると思います。 第一にお尋ねいたしたいのは、何らかの責任を負つて総辞職をされる場合、当然社会党に政権を渡すべきであつて、こそくなる手段によるところの保守政権のたらい回しは絶対に許されないものである。 第二に、諸政策を実施する場合に、常にこのことを考慮して実行に当られるべきである。 以上二点について総理の所信をお伺いいたしたいと思います。どうぞすわつたまま一問一答でお願いしたいと思います。
○国務大臣(鳩山一郎君) それでは菊川君の御配慮によりまして、すわつたまま答弁させていただきます。 二大政党になりましたので、政権が保守党から社会党に、社会党から保守党にくるというようなことは原則としては正しい見方だと思います。しかしながらたとえば私が病気で政務を継続することができない、そしてできました自由民主党の総裁がかわる、できるとかかわるとかいうような場合を考えますと、そういう場合には社会党に行かないで、保守党の政権が続くものと思います。ちょうどチャーチルがやめましてイーデンがなつたような場合は、やはり総選挙なしに政権の移動をしても一向差しつかえないだろうと思まいす。
○菊川孝夫君 もちろん病気であるというようなことをお尋ねしているのではなくて、内閣が責任を負つて、何らかの責任を負つて総辞職をされるという場合には、当然反対党は政権を担当すべきであるのは憲政の常道である、議会主義のルールである、こう考えるのでありますが、その点についてあなたの所信を伺いたい。
○国務大臣(鳩山一郎君) 私もさように考えます。
○菊川孝夫君 それでまずお尋ねしたいのは、諸政策を実施される場合に、常にそのことを配慮されながら実施に当られなければならぬと思うのであります。と申しますのは、今まず当面与党と野党の意見が最もするどく対立しておりまするものに、日本の再軍備の問題があると思います。自民党が政権を担当せられる間は、アメリカの要請もありますし、自衛力漸増という名のもとに、どしどしとこれを拡張されるようであります。私どもは再軍備に反対でありまするから、自民党政権下に増加されましたものを社会党が政権を担当するという場合には、当然漸減しつつ、やがてこれを全廃をする、このようにやらなければなりません。これではさいの河原の石積みになりまして、いたずらにこれは国費を乱費すること以外の何ものでもありません。従いまして、減少することをあなた方に求めるのは無理かもしれませんけれども、少くとも増加することを差し控えられるべきである。総理がこの点についていかがお考えになっておるか。またアメリカに対しましても、日本の新たな政治情勢をよく説明しまして、これ以上の増加要求を断念せしむべきである、かように考えまするが、総理の御見解を伺いたい。
○国務大臣(鳩山一郎君) 二つの政党の間の距離があまりに隔たつておるということは望ましいこととは思いません。お互いに、政権の移動があつてもあまりに変化がないようにしていきたいというような責任を持つということは当然であろうと考えます。
○菊川孝夫君 それで一方はどんどんと増加するんだとこう言うし、一方は、これは再軍備はしないんだと言っているのだから、隔たりはまことにはなはだしいのであります。従いまして自民党が今両院で多数を占めておられるところの余勢をかつて、むやみやたらにこれをふやさせる。特に漸減を求めることは私はそれは無理かもしらぬ、木によって魚を求めるようなものでありまするから無理かとも存じまするけれども、少くとも現行のままよりふやす。率直に申しまして来年度の予算編成に当つてさらに防衛費の増加を行い、あるいは人員の増加を行うというようなことは、新しい政治情勢下においては差し控えらるべきであろう、かように考えますが、その点を具体的にもう一度御答弁をお願いしたい。
○国務大臣(鳩山一郎君) 世界の情勢上、どうしても世界の平和を維持するのには兵力を持つことが必要だというような考え方であるならば、やはりこの漸増ということも考えなくてはならないと考えます。 政権の移動はどうしても選挙民――国民の多数によってきまるのでありまするから、漸増は必要だということを国民に認識せしめて、多数を取れるという確信のもとに政策の実行をやっていくわけでありまするから、別に差しつかえを生じないと思います。
○菊川孝夫君 それでは、世界の情勢の見方、見解の相違年生ずると思うのでありまするけれども、政府は内部において防衛六ヵ年計画があるとかないとか、あるいは発表する段階でないとか、あるいはまた現在そういう計画はできておらないといったようにして、今日まで再三衆議院におきましても参議院におきましても、予算委員会を通じまして予算編成のためにぜひ必要である防衛六ヵ年計画、従いまして審議のためにも、またぜひとも必要であるところの防衛六ヵ年計画というものがあるとするならば、これをすみやかに発表すべ毒ある、こういうことを野党側は要求しましても、いまだに政府の方では、ないという一点張りで逃げを張つておられるのでありますが、少くとも三十一年度の予算編成に当りましては、もうこれを国民の前に明らかにして納得をさせるというのでありまするから、それは発表さるべきである、かように考えまするが、総理はいかに考えられるか、御所見を承わりたい。
○国務大臣(鳩山一郎君) 政府の六ヵ年計画というものができましたならば、国民の了解を求めるために発表するのは当然の政府の責任と考えます。
○菊川孝夫君 それでは少し観点を変えまして、昨日の衆議院の予算委員会で、総理はわが党の水谷長三郎氏の質問に答えられまして、第三次鳩山内閣の成立は政権の移動ではないと言い切つておられます。ところが第一次鳩山内閣当時に自由党総裁であった緒方竹虎氏は総理に向つて、出たり入つたりまた出たりという名文句を使つて、総理の政治的節操を攻撃をされ、総理はまたこれに向つて、汚職疑獄で応酬をされる一方、三木武吉氏は本年二月の総選挙に際しまして、大野伴睦氏の選挙区に乗り込んで、大野の「タイギ」は、大臣の「タイ」、議長の「ギ」であると攻撃しておられます。従って国民としまして受け取るところは、自由党も民主党も保守党であるからというので投票したものではなくて、自由党の反対党としての民主党に投票したはずであります。このような民主党と自由党が合同して自由民主党を結成しても、それは決して真の意味の政党とは言えないと思います。これはすみやかに選挙の洗礼を経て、真にあなたがたの言われるところの清新にして強力な保守党となられるのが憲政の常道でもあるし、議会主義の常識であると思うのでありますが、総理のお考えを一つ承わつておきたいと思います。
○国務大臣(鳩山一郎君) 私も民主政治のルールとして、政権の移動の場合には選挙を伴うのが適当と考えております。しかしながらこのたびの鳩山第三次内閣が第二次内閣から続いてできたということは、政権の移動と見るわけにはいきません。ですから総選挙をしなかったわけであります。総辞職をして総選挙をしなかったわけであります。
○菊川孝夫君 そういたしますと、総理のお考えでは民主党が自由党を吸収合併された、こういうふうなお考えでおられるのかどうか。 それから第二点として、この不自然な、私どもから考えますと、どうしても不自然だと思いますが、この不自然な政界の分野でもって、少くとも今のお考えでは任期一ぱいがんばり抜こうとまで考えておられるのではないかと私は思います。やっぱりすみやかなる機会に一ぺん選挙の洗礼を経なければならぬ、常に総理は口癖のようにこのことは言っておられたはずであります。従いましてすみやかに選挙の洗礼を経なければならぬと考えておられるのは当然だと、私はこのように受け取つておるのでありますが、この点についてもう一ぺん伺つておきたいと思います。
○国務大臣(鳩山一郎君) 民主政治というのは、国民が主権者であるというように単純に言われておりますくらいに、国民は政治に対して主導力を持たなくてはならないのでありますから、政権の移動について国民が権限を持つということは当然だと思うのであります。そうして選挙ということをたびたびするということが民主政治の本旨にもかなうと思いますので、選挙はときどきやつた方がいいと思いますけれども、このたびのは、最近毎年ずっと選挙がありまして、国民も選挙の煩に耐えないであろう、大体の世論を察知しますと、選挙を望んでいないというのが空気であります。のみならず政権のり移動と私は考えないのでありますから、政権の移動がないときにむやみに選挙をするということも、諸君に迷惑をかけるのみと考えましたのでやらなかった次第であります。
○菊川孝夫君 今回の第三次鳩山内閣の成立に当つて選挙をおやりにならなかったということはわかりました。しかしこのままで長く第三次鳩山内閣を継続されるという御意思か、それともすみやかなる機会に総選挙を行なって、とにかく反対党同士で対立していったのが一つになつたというのでありますから、これは選挙の際には反対党であったのが一つの政党になつたというのでありますから、明らかに国民の審判をすみやかなる機会に受けらるべきであると思います。で、お伺いしたいのは、これは解散を回避するために、選挙を行わないために保守合同をやつたのではない、あくまでも最近の機会に選挙を行うというだけの御意思は総理としてはお持ちになっているかどうかということだけを伺いたいのでありまして、今回の鳩山内閣成立に対してはやらなかったけれども、すみやかに機会をみましておやりになるお考えを持っておるかどうか、この点を伺っておきたいと思います。
○国務大臣(鳩山一郎君) 現在そういう考えは持っておりません。
○菊川孝夫君 そうしますると、やはり今回の保守合同は俗に言われまするように総選挙を回避するため、解散を回避するためということも一つの大きな理由であったのかどうか、重ねてこの点だけを確認しておきたいと思います。
○国務大臣(鳩山一郎君) 私は解散を回避するという念慮は一つもないのです。解散ということはときどきやった方がいいとは思っておるのでありますけれども、このたびは必要がないと思ってしなかったのであります。
○菊川孝夫君 どうも必要はないとおっしゃりますけれども、これはあなた方だけの見方にすぎないのでありまして、世論もまた先ほど申し上げましたように過ぐる総選挙の際も、自由党と民主党が私が申し上げましたように反対党として相攻撃しあい、その政策につきましても攻撃しあって、国民の審判を仰いだ結果、鳩山民主党が第一党となられて政権を担当してこられたのであります。ところがこのままでいくと、反対党の勢力が社会党と自由党を加えますと両院において多数である、従って政権の維持が困難である、で解散かあるいは総辞職の道を選ばなければならぬ、そうなったときに、これは解散を回避したいという保守党の内部における空気あるいは財界方面の圧力、これなんかを参酌いたしまして、保守合同ができたものと国民の側では見ておるわけであります。従いましてそういう意思ではなしに保守合同がされたということ、すなわちあなたの考えでは民主党が自由党を吸収合併されたというのは、それでは一体どこに一番大きな理由、名分を見出されておるのであるか、この点を伺っておきたい。
○国務大臣(鳩山一郎君) 私はあなたと少し考えが違うのでありますが、私は国民が解散を希望しておったとは黒いません。政府としては百八十五名で政策の実行ということは非常に困難であります。とてもその百八十五名だけでもって、いわんや参議院においてはわずか二十数名の議員だけでもって、そうして政策を実行しようということは、これはできないのであります。それでありまするから、政権の争奪のためあるいは鳩山内閣維持のために保守合同をたくらむということは、これは非常にいけないということを常に私は演説をしておりました。政策の実行のために保守合同をするのだということを主張しておったのでありまして、あなたのお考えのように政権維持のために保守合同をしたわけでは断じてないのです。
○菊川孝夫君 その点が見解の相違で、いつまでやっても平行線でありすから、次の問題についてお伺いしたいと思います。日ソ交渉につきまして、総理と重光外相の間に意見の食い違いがあるように見られるのでありますが、もしもさようなことがあるとするならば、外交問題に関する限り超党派外交さえ主張する今日、まことに遺憾であると思います。本年の八月に重光外相は松本全権に政府の意向を伝えるために園田外務政務次官を派遣さもようとしたが、総理は園田では真に経理の腹を伝えることができないと考えられたか、腹心の河野農林大臣を派遣されました。自由党との合同によって、最近総理の心境にも変化をきたしたようにも見られまするけれども、とにかく日ソ交渉開始当時は、総理は日ソ国交回復のために、その政治生命をかけておられるような熱意が見受けられました。しかるに当面の責任者であるところの重光外相は、仕方がないからやってみようという態度のように思われます。第三次鳩山内閣の外交方針といたしまして、この日ソ交渉に関して最善の努力を傾注してすみやかに妥結する決意をお持ちになっているのかどうか、総理の所信をお伺いいたします。
○国務大臣(鳩山一郎君) 世界の平和政策ということは、私非常な必要な政策だと思っております。万一もしも戦争でも始まったならば大へんなことでありまするから、世界の平和政策ということは各国が最も重要な政策としてとるべきものだと思うのであります。その世界の平和政策の実行には、ソビエトと日本との関係を戦争状態終結未確定な状態に置くということは非常に危険なことでありますから、どうしてもソビエトとの戦争状態終結の事態を作り上げなければならない。これは政策として非常に重い問題だと思っておるのであります。その目的というものは、日ソ交渉の当初と今日と少しも変りがないのであります。
○菊川孝夫君 現在の日ソ交渉の進渉状態を眺めまして、私どもの胸に最も迫るものを覚えますのは、何と言っても、すでに十回目の冬をシベリアの酷寒の抑留所で迎えるところの同胞の身の上についてであります。万一平和条約の交渉がこれ以上おくれるような場合には、とりあえず、両国間の暫定協定でも締結しまして、そうして戦争状態の終結を宣言し、即時戦犯及び抑留者の帰国を実現するとともに、これと並行して外交使節の交換を行い、引き続いて平和条約の締結その他の懸案の解決をはかられたらいかがかと考えるのでありまするが、総理のお考えを承わりたいと思います。
○国務大臣(鳩山一郎君) その行き方も一つの方法だろうと思います。けれども、日ソ交渉を始めました最初の日において、マリクの方から平和条約を締結する案が出まして、そうして日本としても、ソビエトと日本との間に戦争がなかったような事態にまで持っていくということが理想でありますから、戦争のなかった事態というのは、つまり戦争によって抑留されておる未帰還の人たちの帰還、あるいは日本固有の領土の占領されているのを解いてもらって、日本に返してもらう、これは、戦争のなかった事態に持っていくのには当然に含まれる問題なんであります。ソ連から平和条約案が出た以上は、その機会をつかまえて、この二つの目的を同時に解決した方が日本とソビエトの国交を正常化するのに最もいい方法でありまするから、そういうようにいたした次第であります。
○菊川孝夫君 私どもも、総理の今言われる最もいい方法、最善の道を選ぶということについては、決して異議を言うのではなしに、けっこうなことだと思うのであります。ところが、眺めておりますと、なかなか簡単に総理の今お考えになっているような方向に進まない。相手ば、何と言いましても外交交渉についてはきわめてねばり強いスラブ民族であります。従いましてその民族性も考えて、こちらもやはり腰を落ちつけて折衝に当らなければならぬと思います。従ってまず次善の策を講じておいて、少くともこの人道問題、特に戦犯、抑留邦人の帰還につきましては、総理もやはりこれとは違ったような――もちろん全然比較にはなりませんけれども、敗戦という苦しみは特に痛切に感じられておるはずであります。戦後追放処分を受けられまして、音羽のお屋敷に立てこもっておられましただけでさえも、やはり焦慮のあまりに、われわれの見るところでは、健康を害された苦い経験をお持ちになっているはずであります。まして戦犯抑留邦人の諸君は、それと比べましたら、比べものにならない苦しみと焦慮の念に駆られておることはもう推察にかたくございません。より以上に、もう言葉では表わし得ない気の毒な立場にあると思います。また重光外務大臣も、自民党の幹事長の岸信介氏も、ともにやっぱり戦犯として巣鴨で苦しい経験をお持ちであって、これらのつながれておる諸君の身の上については、よくおわかりのはずであります。これらの抑留者の心境は十分わかっておられるはずでありまするから、このように航空機の発達によって、もう現在は大公使を派遣しての訓令外交時代は過ぎまして、巨頭外交の時代に移行しつつあると思います。この際思い切って、一つ御苦労でも、総理または重光外相、代行委員の一人ぐらいはっき添って行って、モスコーへ乗り込んで、ブルガーニンやフルシチョフとひざを交えて、暫定協定の話し合いをやってみるか、あるいは日ソ交渉の促進について話し合ってみる、こういうお考えはあるかどうか、一つ伺っておきたいと思います。
○国務大臣(鳩山一郎君) 最善の方法があれば、いかなる方法でもとらねばならないと考えております。
○菊川孝夫君 今のような日ソ交渉の進捗状態では、すみやかなる妥結を待っておりまする国民の側からしまするならば、まことに何をやっているかわからない。ソビエトの当局者さえも、まあお茶飲み話をやっているのだというような表現をしたと言われているのでありまするが、向うはそれでも堪え得るかもしれないけれども、こちらは、理屈のあるなしはとにかくとして、現実の問題として、戦犯だ、抑留だといって、気の毒な同胞がつながれておるのであります。こういうつながれておる同胞の身の上に思いをいたしまするときに、お茶飲み話をロンドンで行なってもらっておったのでは、待っておる国民が待ち切れないと思います。従いまして新しいいろいろの手を打って、一つ第三次鳩山内閣は、思い切って日ソ交渉の局面打開をはからるべきであろう、かように考えるのでありますが、その決意がおありかどうか、一つ伺っておきたい。
○国務大臣(鳩山一郎君) できるだけ早く日ソ交渉を片づけたいという熱意は十分に持っておるつもりでございます。
○菊川孝夫君 それでは次に、今緊迫いたしておりまする李承晩ラインの問題について、総理の所信をただしておきたいのでありますが、このライン、いわゆる無謀にこしらえましたラインを越えて出漁した漁船に対して撃沈するというような韓国側の声明は、われわれの断じて黙認し得ないところであることは申し上げるまでもありません。しかしながら、この際考えなければならないことは、暴に対して暴をもって報いるの挙に出てはならないということだと思います。万一、わが国が冷静を失して、自衛隊の出動を行なうがごときことがありましたならば、日韓両民族は、アメリカからもらった武器で、アジア人同志が殺戮をやろうという悲劇となりまして、ほんとうに東洋のバルカンとなり、諸外国の干渉を誘発することであろうことは明らかであります。従いまして、忍ぶべからざるところをも忍んで、あくまでも実力行使は避け、もっぱら外交折衝によって解決をはかるべきであると思いますけれども、総理のこの問題に対する基本方針というものを一つお伺いいたしたい。
○国務大臣(鳩山一郎君) 基本方針は菊川君と全く同一であります。話し合いにより、すなわち外交折衝によって李ラインの問題を解決じたいと考えております。
○菊川孝夫君 しかし、またその被害を受けているもの、犠牲になっている人々の立場からするならば、この当面の緊迫事態に対処するために、もっと政府の方で……ただ、外交交渉をやるんだ、話し合いによって解決するんだという御答弁だけではなかなか納得しがたいものがあると思います。従って重光外務大臣あるいは総理の信頼の厚い一つここで河野農林大臣を韓国に派遣して、やはりこれは李承晩大統領と話し合いを行わせるべきだと思います。またそれと並行しまして、国際的な世論に訴えるために、総理のこの問題に対する一つ大乗的な見地に立ったアジア民族百年の大計といったような角度からするところの談話を発表して、政府の本問題解決に対するところの所信、見解を明らかにすべきであろうと思います。一方国内的に大いにやはり世論を喚起いたしまして、国民外交の実をあげることも必要でありましょう。在留韓国民中の有識者に呼びかけまして、そうして両民族百年の大計のために、円満解決について彼らも協力してもらうように働きかける必要もあるだろう。また国際連合の安全保障理事会に提訴してその乗り出しを要請する必要もあると思います。要するに総理はかねてから吉田前総理の秘密独善外交を追及してこられたのでありますから、今こそ一つ思い切って大胆に国民に向ってこの問題解決のための政府の決意、所信を表明し、またその協力を求むべきである、かように考えまするが、この席上一つ総理の御所信を承わりたいと思います。
○国務大臣(鳩山一郎君) 対韓の問題につきまして、内閣に関係閣僚連絡会議というものをこしらえておりまして、その連絡会議において遺漏のないような手続をただいまとっておるわけであります。
○佐多忠隆君 関連して。連絡会議をもっておられるという事実報告は事実報告として、そういう事務的な報告でなくて、その連絡会議において総理大臣あるいは外務大臣はどういう方針で、どういう方策を提示しながら、その連絡会議の意向をまとめていこうとしておられるか、その大綱、方針をここでお示しを願いたい。
○国務大臣(鳩山一郎君) むろん話し合いによって李ラインの問題を解決したいと考えておりますが、同時にただいま菊川君のお話のように、引っぱられていった人たちの家族の手当、そういうような問題についても遺漏のないようにしたい。それも連絡会議においてとられておるわけであります。何しろ問題が非常に広範囲にわっておりまして、とにかく李ラインの問題がああいうように発展したのにはいろいろな原因もありますので、朝鮮との間の係争のいろいろな事件も片づけて、感情の融和もはからなければなりませんし、問題がずいぶん広いものですから、それらの問題を協議をしておるわけであります。
○菊川孝夫君 それではこの問題の政府のまことにすみやかなる、もうじんぜんと待つことを許さないものだと思いますので、すみやかなる有効適切な手を打たれることを強く要望いたしまして次の問題に入りたいと思います。フィリピンと賠償の問題を、これはすみやかに解決いたしまして、フィリピンの復興と経済開発に積極的に協力するとともに、同国との貿易を増進することは重要なことであることは申し上げるまでもありません。しかしながら対比賠償はあくまでも対日平和条約の精神にのっとりまして、役務を原則とし、支払い可能な適正額にとどめ、ビルマの賠償に準じて行うべきであると思います。本年八月のフィリピン政府が正式に提案した賠償額、すなわち純賠償額が五億五千万ドル、長期開発借款の二億五千万ドル、合計八億ドルは額においてもこれは少し多過ぎる、過大であると、支払内容及びその方式においても適当ではないと考えます。これは既定のどルマの賠償にはもちろんのこと、インドネシアのそれにも影響し、過大な負担はさらに累加して参ることを私どもおそれるのでありますが、第三次鳩山内閣のこの問題に対する基本方針がどう決定されましたか、またその後の折衝の経過は今日までどうなっておるか、明らかにされたいと思います。
○国務大臣(鳩山一郎君) 外務大臣から……。
○菊川孝夫君 外務大臣の答弁を……。
○国務大臣(重光葵君) お答えいたします。日比賠償の問題について今御意見の御開陳がございました。私どもも大体そういうふうに考えております。またそういうふうな考え方で従来前内閣時代から内交渉をやって参ったのでございます。その結果、フィリピン側から提案があったことも御承知の通りであります。これはもう公知のことでございます。そこでそれは内交渉の結果、そういうことに相なりましたのでございまして、相当その提案は従来の交渉の内容を含んだものでございます。これは十分考慮を払わなければなりません。そこまできたのでございます。そして今それを十分考慮を払ってなるべくすみやかにこの問題を解決したいと、こう思っております。しかしその考え方は大体今申されましたようなことを含んで進んでおります。その内容を一々申し上げるのは差し控えますけれども、全額は八億であるということも必ずしも正しくはございません。また今役務賠償のことがございました。サンフランシスコ条約には役務賠償ということがはっきり出ておりすす。ところが問題はそのサンフランシスコ条約で押し得ないところにあります。サンフランシスコ条約は、これはフィリピンが認めておるならば、もうこれはフィリピンとの間に平和関係は成り立っておるのでございます。しかしそれは、そうするためには、賠償を解決しなければならぬという状況で、賠償の問題が今引っかかっておるわけでございますから、私どもといたしましては、近隣の重要な国であるフィリピンとの間に一刻も早く平和関係を樹立したいのでございます。これはもう国民全般の念願でございます。それを実現したい。それがためには賠償を片づけなければならぬ。しかしサンフランシスコ条約はフィリピンには適用がないという関係で、それでサンフランシスコ条約の通りにやれということはできない今理屈になっております。しかしそれであるからといって、やはりそれはサンフランシスコ条約ということは、これは何と言っても賠償問題に対してはフィリピン側も大きな尺度であるということは、認めざるを得ませんから、そういうわけでありますから、条約の趣旨によってなるべくそれに近いようにもっていきたい。それから今お話しの通りのビルマの問題、その他の問題とよく考え合せて、これを進めていかなければならぬというのはその通りでございます。そこで、それじゃすべて役務でいけるかというと、そうは参りません。この間はやはり呼協を要します、片づけるためには。その妥協点をしきりに探しておるわけでございます。しかし実際としては私は日本側にとって不都合のないように、またフィリピン側にとっても希望をいれて妥協のできるように、そうしむけていきたいと、こう考えて努力をいたしているわけでございます。具体的数字にわたる御説明はまたできるだけすみやかにこれを申し上げることにいたしますけれども、今日はまだその時期でないと思っております。
○菊川孝夫君 それではもう一点この問題について伺っておきます。ガルシア副大統領と大野公使が四億ドル賠償案に調印をいたしております。で、レクトを中心とする反対派の主張に対しましても、当時ガルシア副大統領は、日本が四億ドル以上はどうしても払えないというから、日本の支払いの意思と能力の限度一ぱいで妥結することがフィリピンの利益と考えるから調印したのだ、こういう声明を当時発表したはずであります。ところがそれで、従って吉田前内閣当時は、四億ドルよりは払えませんといって言い切っておったはずであります。ところが内閣が変りまして鳩山内閣になると、四億ドルが四億一千万ドル、四億二千万ドルというふうになったというのならば話もわかる。ところが四億ドルが一挙に倍額の八億ドルになったというのでは、これは日本がうそを言っておった、これはもう一内閣の問題じゃない。日本の政府というものの対外信用の問題だと思うのですが、これが倍額の八億ドルになったというのでは、これは国際信用の問題だと思いますが、そこで金額については外相まだここで言明はできないと言っておるけれども、大体八億の線くらいまでで妥結せなければならぬというところに参っているのかどうか、この点を一つ伺っておきたいと思います。 次に平和条約の――なるほどフィリピンがこれに対しては納得していないことは私ども存じておりまするけれども、少くとも賠償につきましてはこの原則をくずし出しまするということになりますると、あとに控えているものも私どもは考えなければならぬと思う。特に中国との賠償問題が、まあこの点については重光外務大臣は中共を相手にしないというような基本的な態度をお持ちのようでありまするから別といたしましても、何といってもこの戦争で一番被害を与えたのは中華人民共和国だと思います。従ってこことの国交回復を願う場合におきましては、どうしてもこれは賠償問題ということについては私どもも相当な配慮をしなきゃならぬと思います。フィリピンに対しましても、四億だといって言い切っておったやつを、押せば八億になるというようなことになりますると、将来中国との間に国交の回復、賠償問題と取り組まなければならぬというようなときになった場合に、すでに五百億ドルということを向うの方では言っておる模様でありまするけれども、五百億ドルの賠償要求に対して、こちらがこれと折衝をしなければならぬということになりますと大へんだと思うのでありますが、従いまして、これやそれやを考えましたときに、四億ドルが八億ドルの線まで内閣の交代によってせり上っていったということは重大問題だと思いますが、ここで正確な金額について言明することができないとしましても、大体その程度の線が話し合いの中心になっておるのであるかどうか、全然四億ドルの線が中心になっておるものであるかどうか、この二つの点について、どちらが真相であるかどうかということだけを一つ外務大臣から伺っておきたいと思います。
○国務大臣(重光葵君) 大野、ガルシア協定のお話でございましたが、これは自由党内閣のときに大野、ガルシア協定というものができたのでございます。四億ドルを十年で払う、しかしその払う期限はどうしてもできなければ二十年にしよう、そうしたことで妥結しようと、こういうことなんです。そうしてフィリピンの手取りは、結局値打ちとしては十億ドルぐらいの値打ちにしようということの意思表示はあったのでございます。これは私は非常に何といいますか、巧妙な解決案だったと、こう思います。しかしながら、これはフィリピン側で破棄するところになりました。そこで新たな出発をしなければならぬことになりました。そこでいろいろ議論をして、内交渉することになりますが、やはりわれわれもその線が一番、その線と申しますか、それよりも四億ドルという点がいいと、また日本の支払い能力から見てそれを主張したのでございます。しかしそれは結局できませんでした。向うは認めるわけにはいかぬと、そうして向うは向うで日本の支払い能力を詳細に調べておりました。そこで日本側の意見とその点は非常に大きな食い違いがございました。そこでわれわれの努力としては、できるだけそれに近いようにしたいと、こういう努力を払って参ったのでございます。それで結局四億が八億になったと、こういうふうに言われるのは正確でございません。私どもの今の案は、むしろその前の案に接近している内容を持つものとしたい、こういう考え方を持っております。支払いの額は四億四億といいますが、これは支払い期限の問題等を計算に入れないと正確な負担はわかりません。 そこで私のここに申し上げるのは、はなはだまだこの数字について正確に申し上げるわけにいきませんから、御満足をかうことが非常に困難だと実は思います。思いますが、八億の賠償として四億を倍にしたのだと簡単になるわけじゃございません。その点はでき得るだけ日本側に少いような――つまり前の考え方に近いように持っていくことに努力しているわけでございます。 それから支払い方法等につきまして桑港条約のことについて――、これはむろん非常に参考にもなりますし、また将来のことにお話がございましたが、関係がございますので、桑港条約のことを、十分にその趣旨でやらなければならぬということも、これもその通りでございます。しかし今申し上げた通りに相手方はそれですべて拘束されているわけじゃないから、そこに若干のゆとりがなければならぬということには相なります。 それから次の中共の問題でございます。中共の問題は、対中共関係は今日まで国交の関係が調整されておらぬのでありますから、これは中共関係は整理されておりません、これはその通りであります。しかし中国と日本との関係は完全に賠償問題についても整理がついております。これは中国政府を認めましたときに、平和条約によってこれは解決をいたしております。ただその中国を認めた――解決したその条約が今後変化を来たせばこれは別でございますけれども、私は中国を認めたその条約は、今後中国との関係においてこの問題についてはもうすでに解決したものと、はっきりとこ回はそう申し上げていいと思います。
○菊川孝夫君 これはまあ外務大臣としてえらい重大な御発言になったと思うのだが、なるほど中国と言いましても、外相の言われるのは台湾の蒋介石政府を言われていると思いますが、もっと現実に目を開かなければ、一台湾の蒋介石政府をいつまでもこれを中国の正当政府だとして相手になるというような時代離れのした考え方で、それで賠償問題が解決しているんだと言うがごときは、私はもう時代感覚のまことにはなはだしいものだと言わなきゃならんと思う従いまして、あとはやはり何と申しましても大陸の中国、すなわち中共との国交回復というものが真剣に取り組まなきゃならぬ問題である。そうするとこれの国交回復を行う場合にはどうしても賠償問題――ビルマあるいはフィリピンに賠償を行なっておきながら、ここの賠償を全然われわれはせないというわけにはどうしても参らないと思う。従ってこれは当然今から覚悟だけはしておかなけりゃならない。できるだけ少い額で、あるいはできたならば免除をしてもらうのは好ましいけれども、全然払わないというわけには私はいかないと思いますが、時間がありませんので次の問題に入りたいと思います。
○国務大臣(重光葵君) 御質疑はございませんでしたが、私はその点は重大な御発言でございましたから私一言申しておきます。 私は、今シナ大陸に大きな勢力を持っておる中共政権との関係については、実際問題として非常にこれは考慮を払わなけりゃならぬということは、これは私もその方針では参っております。しかし今御発言がありました点につきましては、日本は中国の政府として国民政府を承認しておるので、この承認は国民の意思として国会においても決定をされたことでございます。これをそうではなかったということは、これは私は申すことはできません。その場合においてそれじゃまたそういうことをやり直すのだ、中共がそこにあるから中共をやり直すのだという今の御議論に対しては、私はそういうことはこれまでの何から見て国会の意思じゃないと、こう考えます。これは調整をするというのと、それをすべてやり直すということになれば、今まで日本として決定をしたことをすべてくつがえすということになりますから、私はそれはできぬことだと、こう考えておる点を申し上げます。
○菊川孝夫君 その点がもっとお聞きしたいのでありますが、時間がありませんから次に進みますけれども、台湾政府を認めて北京政府はあとで調整するんだというのは、これは逆だと思う。北京政府を認めて台湾政府をあとで調整するんだというのならわかるのだが……。従って事態がそう変ってきているんだから、新しい考え方から、これはもう国内問題なら法律問題としてそれで一応考えられると思いますが、一たん国会できまったといったって、この大きな事実を全然無視して押し切れるものではないということはよく考えなければならねと思いますが、これは議論になりますから次にお尋ねいたします。 最後に、鳩山内閣は新生活運動を非常に御熱心に提唱されております。まさにけっこうなことだと、その趣旨においては賛成でありまするけれども、ここでさらに一段のお踏み切りを願わなければならぬのは、明治、大正、昭和を通じまして日本の政治史というものをひもときますと、その裏面は、これはもう政商の盛衰記であったとも言えるくらい極端なものであったと言えると思うのであります。特に占領時代におきましては占領軍に迎合する、それから吉田内閣が多数を制しておりまするときには吉田内閣と結託する。いずれ自民党内閣が、先ほども総理の御意向の片りんを承わってみると、当分まあ多数党の上にあぐらをかいて政権を担当するという御決意の模様でありまするから、甘いところにアリが集まるように、政商も自由民主党を目ざしてこれから利権争奪のために殺到してくるだろうと思います。一例をあげて申し上げてみますと、国家財政資金でまかなわれております開発銀行の融資額と、当時の自由党に対する献金額というものは比例をしておるのであります。やがてこれは自由民主党に対する献金額とそれから開発銀行の融資額とは比例をしてくることになることをおそれるのでありますが、新生活運動を提唱されました鳩山内閣においてはそのようなことがないように一つされるものと私どもは期待をしておるわけでありますが、従ってここでお尋ねしたいのは、この利権をあさって、そしてその代償として政治献金を取るという、で、政治献金を行なって利権を獲得しようとする低商と、それから政治権力との関係を断ち切ると申しますか、あるいはこれをきれいなものにするということは、新生活運動のまず最も大事な点だと思うのでありますが、この点について一つ総理の御所信を承わっておきたいと思います。
○国務大臣(鳩山一郎君) 新生活運動、つまり現在の日本に憂うべき風潮がある、生活を一大刷新したらよかろうというようなのは、国民一般の議論だろうと思うのでございます。それでありまするから、新生活運動のやり方というものは、国民の自主的の運動に待とうというので、そういう方針で新生活運動をまあ間接的に政府は指導をしておるようなわけであります。あなたのおっしゃる通りに綱紀の粛正は最も厳正に注意をしなければならぬ問題であります。これは当然のことでありますが、この徹底をはかるのにはできるだけの努力をしたいと思っております。
○菊川孝夫君 もう一点この問題と関連いたしまして総理の心境を伺っておきたいと思うのでありますが、民主党が、まああなたの表現をもってすれば、自由党を吸収合併される場合に、また別の言葉をもってすれば、保守合同をされるに当りまして、自由党の元幹事長であった佐藤榮作氏が一人この保守合同に参加をせられなかったのであります。このことは、佐藤氏は申し上げるまでもなく造船疑獄がやかましかったときに指揮権発動の対象になった方であります。 ところが佐藤氏を指揮権を発動してまでも逮捕を一つさせないようにしなければならぬということになった原因は、当時の検察庁の発表によりますると、外航船舶利子補給並びに損失補償法の一部を改正する法律案の通過の代償として造船工業会から一千万円、それから船主協会から一千万円収受して、これを自由党の帳簿には載せておいたけれども、政治資金規正法による届出もしていなかった、それから使途が不明であった、その帳簿を検察当局に押収されて、これが佐藤氏の逮捕の一番大きな理由になっていると、こういうふうに検察当局も発表しているわけでありますが、そこで先に申しました第一次鳩山内閣成立当時に緒方当時の自由党総裁が質問に立ちまして、鳩山総理に向って、出たり入ったりまた出たりという名文句を便って演説を行なった際に、佐藤氏は議席においてあなたの答弁に……、あなたは、君の方で汚職をやったり、指揮権の発動をやるから、おれがおるにもおれないから出てきたのだと、こういう意味の答弁をされました。 そのときにわれわれ傍聴席から見ておりました。佐藤氏の顔色を一番注目をして眺めておったのでありますが、佐藤氏はこのあなたの答弁に対しまして、何をぬかすといって憤慨しておったのは、ありありと傍聴席からも見て取れたのであります。今回の保守合同に当っても佐藤氏がこれに参加をしないということは、もちろん大政党の幹部を務めたような男は、よもやこの金はどこへ渡したというようなことを言ってしまったら、これは保守政治家としてしまいでありまするから、それはなかなか彼も口を割らないでありましようけれども、巷間伝えられるところによると、あなたが鳩山自由党を率いて、いわゆる出たり入ったりの出ておられるときに、再び自由党に復帰されるに当って復帰身のしろ金が必要であった。たまたま外航船舶利子補給法が通って、そして予算も通過した。その代償として、一つあなたを初め当時の分自党諸君を自由党に迎え入れる受入金として金が必要であったから、無理をして造船工業会並びに船主協会から一千万円すつの献金を受けた。しかしまさか分自党吸収のためにこれを使ったと帳面につけておくわけにはいかないというところから、帳簿に使途が明らかにされてなかった。これが検察庁につかれる原因になっておる。その対象であった鳩山総理が総理大臣になって、汚職や疑獄はそちらのことでこちらは知らぬのだというがごときは、これは政治家としてともに語るわけにはいかない、こういう心境から佐藤氏が今回の保守合同に参加されなかったのであろうと想像するのは、国民の少し政界の裏面に通じている者はだれでもそう受け取るのでありますし、また佐藤榮作氏としても、当然そういう心境から、言うに言えない自分の意見を新党不参加というところでもって表明しておるものと私どもは受け取られるのでありますが、それについて鳩山総理、そういう金銭の授受というものはあったものかなかったものか、御存じになっておるものか、なられぬものか。もしもそういうことがあのわずかな吸収合併に際してさえもこれだけの金が流れ、しかもあれだけ世間を騒がした造船汚職、指揮権発動の嫌疑の中心になるようである。ましてや今回民主党が自由党も吸収合併されるに当りましては、莫大なるそういった裏面の工作費というものが動いておるのであろうということまで推察されるわけでありますが、そういった動きがあったかなかったか、この予算委員会を通じまして一つ総理からはっきりと御言明を願いたいと思います。
○国務大臣(鳩山一郎君) 佐藤君と私個人との間において、金銭の授受はございません。
○菊川孝夫君 それでは当時の鳩山自由党の一番その折衝に当られました参謀の三木武吉さんあたりとの間において行われたものであるかどうか。総理は御存じないかもしれぬが、総理は全然そういうことを聞いておられないのか、それとも総理直接はそういう取引がなかったけれども、やはり参謀からそういう相談を受けているものであるかどうか。そういうことは全然あなたは知らされずに、きれい事ばかり知らされて今日まできたのかどうか、この点を伺いたい。全然知らされていないものかどうか。
○国務大臣(鳩山一郎君) 私も自分の知る範囲内においては、三木君は少しも関与はしていませんと思います。
○菊川孝夫君 それでは時間が参りましたから……。
○委員長(西郷吉之助君) それでは時間が十二時近くなりましたので、渉外関係が十二時から総理にありますので、午前中はこれにて休憩いたします。 午後は一時に再開いたします。 午前十一時四十五分休憩 ―――――・――――― 午後一時十七分開会
○委員長(西郷吉之助君) それではただいまより委員会を再開いたしまして、総理大臣に対する総括質問を続行いたします。
○中山福藏君 臨時地方財政特別交付金百八十八億の審議をなすに当りまして、幸い総理がお見えでございまするから、総括質問をしたいと思うのであります。 私ども政治家であれ、一般人であれ、要するに敗戦後の日本国民全体の希求するところは国家の興隆であることは当然であります。この一点に国民の総力を結集する、しからずんば国家の復興というものは遅々としてなかなかうまくいかないであろうと私は常に考えております。この国民総力の結集さるべき目標が従来一向に政府の意見その他の行動中に発見することができないことはまことに遺憾にたえないところであります。 そこでなぜそういうきわめて緊要な事柄が具現せないかと申しますると、要するに憲法の精神を路み違へておるからではないか。試みに現在日本の思想家、政治家、評論家あるいは宗教家、その他の指導者の一部の方々の行動を見ると、ちょうどトカゲの体が寸断せられて、肉塊がおのおのばらばらダンスをやっておるように感じられる。国民全体の幸福というものにつながりを欠いておる。換言すればすべての点に遠心力と求心力とが遮断されておると私は見ておる。この観点からお尋ねするのでありますが、憲法第十二条に、いわゆる自由並びに権利の限度がきめられ、制限されておるのであります。すなわち基本的人権あるいは憲法の保障する自由並びに権利はこれを乱用してはいけない。またいかなる人も公共の福祉のためにその権利と自由を利用する責任を負うという一つの限度が示されておる。これはとりもなをさず、指導的な立場にある人々の反省すべき行動の制限と私は見ておる。ところが憲法第十一条に基本的人権を規定し、これは西欧流に天賦の人権であるかのごとく私ども国民一般に認識されておるのであります。いわゆるフランスの人権宣言とかあるいはアメリカの独立宣言の場合と同じく基本的人権は法律以上に尊重さるべきものであるという感じを持っておるのです。これが心理的に影響いたしまして、憲法第十九条の思想並びに良心の自由はこれを保障するということと、憲法第二十一条と関連さして、無制限に国家や国民にどう響ごうとおかまいなしに、自分の思想や自分の考え方を世間に発表して、国民の思想を混乱せしめておるこれが原動力となっておると私は見ておるのです。しかも一方においては昭和二十四年に御承知の通りに出版物や新聞等の取締り法規が廃棄されておるのでありまして、野放しにすべての思想表現がなされておる。しかも近時中央集権と地方分権とがほとんど何らの徹底した連絡がなく、中央と地方の遠心力、求心力の関係が、先ほど申しました通りに寸断せられておる。これは要するに憲法の各条章に対する思ひ違いから結果せらるる事柄に対し政府がある限度の制限を置かないことに基因すると私は信ずる。 そこで結論として首相にお尋ねしたいのは、日本憲法が人間の思想や良心の自由を保障しておるが、しかし国が飛んでしまっては国民も何もあったものじゃない。政府も要らないし政党も要らない。つまり国家あっての政党であり政治家であり、一般人であります。ところが無制限にどんなむちゃなことでも言いほうだいだということになりますれば、国家の前途というものは実に暗たんたるものである。だからこれに対する一つの限度を設けて、そうして最小限度の思想あるいは自由の制限というものをなす必要が当然あるのじゃないか、総理大臣のお考えいかがなものでございましょう。
○国務大臣(鳩山一郎君) 憲法第十九条のいわゆる思想及び良心の自由というものは、人の内心に関する限りその自由を尊ぶものだという趣旨だと考えております。
○中山福藏君 そこで憲法第二十一条により各人の内部に秘められた思想というものを発表することができ、その自由を保障しておる。内心に秘められておるということ、これを制限することはできない。憲法二十一条によって一切の表現の自由が許されておりまするから、私はこの点をお尋ねするのです。それに対し何らかの手を打たれる御所存はありませんか。すべての言論出版物を野放しにしておく現在の姿でよいのでしょうか、それをますお伺いしておきたい。
○国務大臣(鳩山一郎君) 内心にとどまる限りはこの自由は干渉できませんが、内心にとどまらない場合においてはその必要に応じてこれを制限するということは、国家存立の上から当然な可能なことだと思っております。
○中山福藏君 しからばその可能な取締りの方法を、簡単でけっこうでございますから、例をあげてお示しを願いたいと、こう要求いたします。
○国務大臣(鳩山一郎君) 治安の維持のできないような言論、あるいは公益を害するような言論は、これは国家によって制限すべきものだと思います。破壊思想のごときも同じであります。
○中山福藏君 破壊活動防止法は、これはできましてから団体等規正令なんかというものは廃止され、しかもただいま申し上げました出版物、新聞等に対する取締り法規は昭和二十四年になくなっているのです。だからこれを復活して一つの法的制限を加え、取締ることが肝要だと思うが、どうでしょうか何か御所存がありますか。単的に言って、法律によりこれを取締られるお考えはないでしょうか、その点を伺ってみたい。
○国務大臣(鳩山一郎君) 私もその必要を感じておりますが、必要に応じて破壊思想に対しての取締りは緊急を要すべき問題だと思っております。
○中山福藏君 私はソ連と中共の教育の方針を、ごく皮相な観察でありますが、いろいろと研究してみますと、大体中共などは三才ぐらい、幼稚園のときから規格人間の生産ということに専念して、社会主義社会を建立する指導者製造に熱中しておると承わっておる。これはソ連でも中共でも同じです。ところが今日は、たとえば前文相の松村さんでもこういう重要な問題を質問すると、どう答えるかというと、政府では一切その考え方を発表しない。新生活運動云々というような方法で国民の実際の声を聞いて、しかる後に善処するのだというような、まことにわけのわからない御答弁をしばしば繰り返されておるのであります。私は今日民主主義の世の中において政府が何でもかんでも先頭に立って国民を指導せよとは言いませんが、この統一せられたいわゆる規格人間の製造に従事しておるソ連あるいは中共に対抗するためには、少くとも国民総力結集の目標くらいは御発表になってもいいのじゃないかと思います。 百年も千年も内閣は持てません。松村さんはもうやめてしまった。あの新生活運動は何をするかと見ておりますと、門松を廃止する、年賀状を廃止する、こういうのです。これくらいのことは新生活運動の中に入らぬのです。五千万も金を国民の血税からしぼり出して、こういうなまぬるいことで国家の興隆はおぼつかないと確信する。ですから第三次鳩山内閣は少くともこの点に関して政府の意のあるところを率直に披瀝し、国家の興隆をはからねばならぬ。すなわち国民はこの方向に進むのがよかろうくらいのことはお示しになっていいのじゃないかと存じます。すでに敗戦後十年、政府はかかる最も重大な事柄を忘れておるのではないか、いかがでございますか。
○国務大臣(鳩山一郎君) とにかく政府は時には国民を指導する義務を持っておるものとは思います。常に国民の自発的の考え方にのみ政府は従っていくというものではいけないと思っております。政府はある場合においては国民を指導する責任を持っておることは、私も中山君と同じように思います。けれども政府が指導するというと、どうしても目的が達成できないのです。国民の自発的のものによって政府はこれを補助しつつやっていくのだという形をとりますと効果が上ると思うので、松村君は国民の自由意思を基本として新生活運動を呼称した、言ったものと思うのです。(「それはその通り、そうでなければ困る」と呼ぶ者あり)
○中山福藏君 私は松村君の話ではなくて、首相みずから統轄しておられる内閣においてはもう少しその点を鮮明にしていただきたいと念願いたします。 第二の点に移りますが、私はふだんから政党というものは国民のための政党でなくちゃならぬと考えておる。この場合自民党と社会党の対立という姿が現われてきましたが、もしその政党が、たとえば資本家だけを基盤にして立っているのだとか、あるいは労働者農民だけを基盤にして立っているとか、一方に偏した、階級闘争式の行動をなす場合は相当規制しても差しつかえはないのじゃないか、これは私個人の考えであります。それはなぜか。 憲法第十五条第二項には、選挙によって選ばれた公務員というものは全体の奉仕者であって一部の奉仕者ではないと明示しておる。だからもし国民の一部の代表者であるということになりますれば、憲法第十五条の精神に反対する。そういう次第でありまするから、もし二大政党の対立で、近ごろよく申しております公共の広場――これは河野密君が使っておりましたが、この公共の広場という、いわゆる国民の福祉という一つの、何と申しますか、中道政治の広場を打ち立てるということに二大政党が目ざめてこなければだめで、今日までのように闘争だけで二大政党が対立するということになりますれば、もう国民はまっ二つに割れてしまう。国民の福祉というものは飛んでしまう。私はこういうふうな考え方を基礎として首相にお伺いするのでありまするが、もし憲法第十五条第二項の精神に反するような行動をとる政治家あるいは政党がある場合においては、これに対する相当の規制をなす法律が必要であると考えるが、いかがでございましょうか。
○国務大臣(鳩山一郎君) 私は国民全体の利益を政党ははかるべきものであるということは当然なことであると思っておるのであります。一部の利益だけをはかっているという政党は現在の日本ではほとんどないと私は思っております。
○中山福藏君 それでは第三の質問をいたします。今度は首相並びに外務大臣共通の質問でありますから、お聞きを願いたい。私は第二十二議会において南極の問題を外務大臣にお尋ねした。なぜ尋ねたかと申しますると、南極探検というものは必ず行われるということを私は知っておったのであります。そこで白瀬中尉の白瀬探検隊の事柄を持ち出しまして、南極に対して一つの基地を設けておく、設置するということに対する努力が肝要である、こういうことを考えておったのであります。果せるかな、今日世界各国は先を競ってあらゆる南極探検の行動を開始しました。しかもアメリカのごときは五つの基地をここに建設せんとしておるのであります。アムンゼンその他のたくさんの探検家が、生命を賭して人類のため、国家のために行動したその結果というものが、今ようやく現れんとしておる。そこに旗を立てた国は、自分の国民が旗を立てたということに基いて相当の権利を主張すると思料する。であるがゆえに、私は先の議会においてこのことを申し上げましたけれども、おざなりの御答弁しか拝聴することができなかった私ははなはだ遺憾に考えております。 すべて外交というものは洞察能力と感応力というものの持ち合せがなくちゃできないと考えております。いくら言葉が堪能でも、いくら握手の上手な人でも、それだけでは外交はだめだと思う。先を見通す洞察力と感応力がなくちゃほんとうの外交はできるものではない。それが今度の結果に現われてきた。今からでもおそくはない。首相並びに外相は、あの白瀬中尉の打ち立てた大和雪原の日の丸の旗を基礎に、将来世界に対して日本は永久にこの所を日本の基地として使用するのだというような手を打つお覚悟がございませんか、御所見を伺っておきます。
○国務大臣(重光葵君) 南極の学術的探検の問題でございますが、この南極の探検は、本年九月ブラッセルで開かれました国際地球観測年特別委員会第三回会議の要請によって、わが国も国際地球観測年における南極地域の観測に参加することになったのでございます。 そこでこの国際的学術探検の仕事の重要なことであるということは十分に認識しなければならぬと思います。わが国といたしましては、学術交流及び国際協力の立場から積極的にこれに参加して、十分成績を上げたいと考えておる次第でございます。 これはあくまで国際的の学術協力として進めていくことが正当な道だと考えております。南極に日本の領土を拡張するというような意味ではあまり効果を上げ得ないのじゃないか、あくまでこれは学術的に国際協力をやって進めていく、これには日本として十分な参加をしまた成績を上げていきたいと、こういう考え方をもって進んでおるのでございます。
○中山福藏君 ただいま言われた学術的な研究ということは、申すまでもなく世界人類の福利に奉仕する事柄でありますから、それは双手をあげて賛成するのであります。私が尋ねている点はそれじゃないのです。もし、アメリカやスエーデンというような国々が、自分の国の国民が旗を立てた所であるから、おれの国の基地はここに設けることを得るのだというようなことが発生した場合に、日本も同様な立場をとるのが、白瀬中尉の英霊にことうるゆえんじゃないかとお尋ねしているわけであります。
○国務大臣(重光葵君) その御精神は私も非常に賛成でございます。白瀬中尉のことがございましたが、白瀬中尉の活動によって得た事跡については、平和条約の第二条で、それについては遺憾ながら放棄しておる条項がございます。 そこで白瀬中尉の跡がどうであるかということを今言うわけにはこれは国際上参りかねるのでございます。しかしあくまでさような精神でもって、そうしてこの学術探検に積極的に進んでいったらよかろう、こういう御趣旨についてはむろん異存のあるわけはございません。その方針でもって進んで参加しておるわけでございます。
○中山福藏君 それもサンフランシスコ条約を読んでちゃんと心得ております。日本が南極に対し権利を放棄しているということは。実はまずいことをやつたものです。しかしそれはそれとして、やはり努力することは絶対に必要じゃないか。この無人大陸の南極に各国の人に先んじて旗を立てた者が、先例によれば相当の権利を主張し得るということは歴史が証明しておる。それで第二次世界戦争に何ら関係のない南極を、サンフランシスコ条約に持ち出して前段の既得権益を放棄したことはほんとうに遺憾のきわみであることだけを申し上げて、質問は次に移ります。 第三にお伺いしたいのは、ソ連、中共にたくさんの議員さんが行かれた。参議院規則の第百八十条によりますと、議会の開会中は参議院の決議を経る。閉会中は議長の許可によって外務省と連絡をとって向うに参る。あるいは向うさんから招待状が来た場合には議長さんが推薦するということになっている。約百五十人ぐらいの人が行っておられるのです。先方に行かれた議員さんの方の言動をいろいろ調べてみて私は思う。議員の行動というのはやはり国民全体の代表者であるという建前から、先方も相当の注意を払っておる。ところが先般ソ連から帰った人の報告を読んでみますと、ある一人の議員が、日本は歯舞、色丹だけでけっこうだと、フルシチョフに訴えたということを知った。そういう行動をとった場合、いまだ締結していない条約を交渉するわが国に非常な影響があると考える。そういうふうなことは重大な政治道徳上非難さるべきものではないか、かかる場合政治道徳上の責任というのは一体だれが負うか。そういう場合はビザを与えた外務省の責任か、あるいはまた向うに派遣することを決定した議会に責任があるのか、あるいは議員個人に背徳不信の責任があるのか、あるいはこれらのものが連帯的に非難さるべきであるか。ただやりっぱなしでおれは何も拘束されるべき理由はないのだと、うそぶいておる者もある。かかる被派遣者の勝手な行動から取り返しのつかぬ問題が起ってくるんじゃないか。ですから向うに派遣と申しますか、行かれる議員さん方に対しては、最初に行動を規律するということはできますまい。しかしながら、大体外務省が国交回復に影響するようなことを言われては困るというぐらいの御注意はあってしかるべきじゃないかと考えている。私はあの報告を見て驚いた。色丹、歯舞だけいただけばけっこうだとフルシチョフに感謝している。フルシチョフはそんな政党があるということは実に頼もしいと言っておる。こういうことでいいのでしょうか、この際外務大臣のはっきりした御言明を承わっておきたい。
○国務大臣(重光葵君) 議会の議員並びに民間の人々がソ連その他共産国に旅行しておる数は、相当たくさんに上っておるということは承知をいたしております。数もよくわかっております。それからこれらの人々の旅行先において、またその後においての重要なる言説は、これまたわれわれも承知をいたしております。国会議員の旅行については議長の推薦があります。それで国会は国家の最高権威の場所でございます。その議員が外国に行かれるということについて議長の推薦がある以上は、これは外務省としては当然これを尊重して旅券は出さなければなりません。旅券を出してからその後において全部外務省が責任を負うというわけには参りません。最高の権威を持っておる国会の代表としてまた行かれる以上は、これはそれだけの私は当然の責任を負うて、その責任を重んぜられることが私は当然だと考えております。これらの人々に対して外務省がこうしてくれ、ああしてくれというのは、実はいかがかと思って、できるだけ差し控えております。しかし旅行先のことに対する便宜、もしくは資料等は十分に差し上げておるのであります。 そこでこの点については外務省としては、私はできるだけ介入を――差し出がましいことば言わない方がいいという方針をとっております。ただその結果がどうであるかということについてはいろいろこれは見方があろう。今お話のよのな御意見を持たれる見方もございましょう。しかしこれは各自においてその結果については十分責任をとってもちわにやならぬように私は考えます。 そこでこれは国家のために非常に損害があるとかないとかいう問題になります。言いかえれば、そういうことがたとえば日ソ交渉にどういう影響を持つかということを考えます。私はそういう問題になると相当考えさせられることがございます。日本の国会の代表者――公けの代表でなくても、国会の人々が向うに団体を組んで行って話をするということは、向うも相当重ぎを置くところでありますから、その言説は重要視しなければなりません。しかしそれは交渉ではないのでございます。交渉は別のところで政府の代表がやっておるのでございますから、それに影響を持つような場合においては、これは必ずしもいい影響ばかりではないと思います。それらのことについてはやはりそれだけの私は青柱を感ぜられて行動されることが、外交方面から見ては強く希望されるわけでござります。
○中山福藏君 結論として外相の仰せられることは、自制して行動せよという一点に帰着する。ところが国会は風権の最高機関だという立場から、議長が推薦したらそれに対して旅行券を交付するのは当然だという御議論でありますが、そうすると、議長の責任というものは大へん重くなるわけです、そういうふうな場合については……。 もう一つこれはお尋ねしておきますが、そういう人を推薦した議長というものは、やはり政治的な責任がある思われますか、いかがでございますか、その点だけを一つ承わっておきたいと思います。(「外務大臣に聞くのは無理だよ」「的がはずれている」と呼ぶ者あり)
○国務大臣(重光葵君) それは私はちょっと答えられません。答えられませんが、私は議長の御推薦がある以上は、その御推薦を尊重するということは当然だと思って処置をとっております。
○中山福藏君 いろいろヤジが飛びましたけれども、それは痛いはずなんです、私はその記事を読んで御質問申し上げておるのですから。十分将来そういう点もお考えを願いたいと思います。 その次にお尋ねしたいのは、日本というのは国民政府を承認しておるのです。これは先ほど私は、菊川氏が質問されて非常に苦しい御答弁のように拝聴したのですが、ごもっともなんですね。中共というものは、これは主権を認めなければ、これは手も足も日本としては出ないわけです。ところが国民政府というものを日本が承認しておる以上は、これと反対の立場にある中共政府を承認するということはなかなかむずかしい問題が起きてくるであろうと考えております。これは御答弁が苦しいのはもうごもっともだ。ところがそこで一つ伺っておきたいのは、自由陣営であるアメリカを中心として、この国民政府の承認あるいは中共政府をいかにするかという問題が結局起ってくるわけでありますが、この台湾政府並びに中共政府に対する日本の立場、ことに中共というものはお隣ですからいろいろ影響があるわけです。そこでアメリカがこれに平和的な手段――手を打って解決するまでは船は帆まかせという立場に日本は立っていくつもりでございましょうか、あるいは日本は自主的な国として特別の手を打って、何らかそこに打開の方法を考えられる御所存があるのでありますか、どうでしょう。
○国務大臣(重光葵君) その点は極めて簡単なことだと思います。日本はむろん自分の立場を持ってすべてのことを考えていかなぎやなりません。しかしさような問題について他の国、特に自由民主諸国、アメリカ等が重大な関係を持っておるということも、これまた明らかなことでございます。そうでありますから、日本が東アにおける地位、自分の地位から当然判断しなきゃなりませんけれども、そういう大きな問題は東アだけの問題ではございません。世界の問題になりますから、世界の動きによってこれは判断しなければならぬのでございます。従いましてそういう問題については友好国と十分な関係を持って、意見の交換をしつつ、世界の情勢をにらみ合せて日本の行くべき道をきめていきたいと、こういうふうに考えて進んでおるわけでございます。
○中山福藏君 最後にもう一点お尋ねしておきます。一九四三年のカイロ宣言、あるいは一九四五年のヤルタ協定ですね、この二つの協定というもののうちには、ずいぶん激越であり、また同時に日本を強盗扱いにしておる文字が使われておる。しかもこれを、日本というものが自主独立した今日、何らこれに対して手を触れていない。たとえばそのうちの二項目を読んで見ますと、日本が奪取した、あるいは盗取した。どろぼうして取ったんだと、これはカイロ宣言に書いてある。それからヤルタ協定には背信的の攻撃で取ってしまったと、こう書いてある。こういう事柄は後世の歴史に残る問題である。日本は現在黙認しておるというような形になっております。でございまするから、私は日本としては面目上、たとえばポーツマス条約によってセオドーア・ルーズベルトが仲裁に立って日露戦争の結末をつけた。あるいはまたダレスの母方のおじいさんが馬関条約の仲裁をして日清戦争の実を結んだ。こういうことは、これはアメリカが最もよく知っておるわけなんです。しかもそのアメリカの大統領がヤルタ協定あるいはカイロ宣言の協議に加わって、でき上っておるのです。極東軍事裁判所パール判事の判決草案にある最後の文句に、時の経過が偏見と熱狂を取り去った暁には、あるいは理性というものが虚偽からの仮面をはぎ取った暁には、平和の女神はかりの平衡を保ちつつ、過去の多くの賞罰にそのところをかえることを要求するであろうと、はっきりと書いてある。その通りに、今日の日本の立場というものは時の流れとともに相当に変ってくると断言してはばからない。従ってこういう文言については、国家の立場上から外務大臣として、あるいは鳩山内閣として、その誤まれるゆえんを指摘して、そうして世界に宣明する必要があると信ずる。何も国内だけの問題を取り扱って得意になっておる必要はない。すべからく世界に対して堂々と声明すべきである。最後に、それだけ承わっておきたい。
○国務大臣(重光葵君) 今御引用になりましたパール博士の判決の最後の文面、これは私はその通りだと思います。戦争中に非常に熱した頭で、敵味方の頭で書かれた文書は、将来歴史がこれを公平にいかなる価値を持っているかということは判断すると思います。それからまた、日本の立場から見れば、戦争中にいろいろな日本に対しての不当な言論が行われた。それが歴史の判定によって嘘であったと、そういうものではなかったというような方向に世界が理解するように、あらゆる努力をするということは当然のことであります。やらなければなりません。しかし今カイロ宣言を変えてくれとか、何とかいうことを申し出すということであるとするならば、それ自身も非常に私は何だかかえって卑屈な態度のように思うのであります。誤まりをしたことは、堂々と歴史によって誤まりであったということを証明させるように、大いに将来努力をして、政策を立てて行くことが早道であると、こう考えている次第であります。
○中山福藏君 私はこれを改廃せよというのは、これはもうすでに役に立たぬ協約、あるいは宣言でありますから、それを取り消せとかと言っているのではございません。日本の立場を明らかにしておくということは必要であると考えます。 それから、まだ時間がありますから、もう一点お尋ねします。本月五日のAP通信によりますと、李ラインというものを中心に平和を日韓の間に招来するためにアメリカは第七艦隊を派遣してもいいということを言っておるとのことでありますが、こういうことは事実ですか、またそういうことの報告を受けられましだか、あるいはブリッカー陸軍長官が日本にきて、仲裁に入るとか、何とかというようなことについてのお話し合いはあったか、なかったか、それも合せてお尋ねしておきたいと考えます。
○国務大臣(重光葵君) 日韓の問題が今日のように緊張して参りましたことは非常に遺憾でございます。政府といたしましては、あらゆる努力をいたしまして、平和的に緊張を緩和したいと、こういう方策をもって進んでおります。この日韓の関係の緊張について、アメリカ側は非常な関心をもっているということも、これは想像にかたからぬのでございます。私どもは絶えず米国側、東京におきましては大使並びに軍当局という方面と密接な連絡を、この問題についても取っております。アメリカとしては日韓の関係をでき得るだけ緩和したいという方針であることは、これはもとよりでありまして、その点は日本政府の考え方と少しも変りはございません。昨今東京の極東軍の司令官レムニッツア将軍は朝鮮に行っております。そうしてさような考え方をもって朝鮮に行っておることも私は承知をいたしております。プラッカー陸軍長官が東京に参りまして、私も会談の機会がございました。意見の交換をいたしております。そうして朝鮮に行って李承晩大統領にも出会っていることが新聞情報で今日きております。プラッカー陸軍長官も、日韓の関係を緩和する方向にあらゆる力を添えたいと、こういうふうなことを言って朝鮮に行ったのでございますから、そういうふうにやっていることと思います。この問題は、日本の立場は米国側もよく了解をしてもらっているわけでありますから、何も日本が特にむずかしいことを言うわけじゃございません。平和的に交渉をして、解決をしたいと、こういうことを言っているのでありますから、米国側の理解も十分得られているのであります。そういう力でもってこれが解決をすることを、衷心から希望するものでございます。韓国においても、私は終局のところ、そういうことに異存はなかろうと、こう見通しをつけておるわけでございます。
○中山福藏君 日韓関係は早くおやりにならぬと、とんでもないことが起るのじゃないかと思う。この李ラインが果して国際法上正当なものかどうかということは、これは後日にならなければわからぬ。今これについての正確な判断を与える人がない。しかし私は李ラインは不法不当のものと信ずる。日本の議員のうちには、国連あるいは国際司法裁判所に提訴するという議論もありますが、それじゃ間に合わぬ、そんな裁判を待っておれぬ。ゆえに外務省は最も正しいと思うところへ邁進してほしい。御存じの通り船舶が二百七隻拿捕されて、百八隻残っておるとか、船員が二千六百余名捕えられて、そのうちの六百五十一名まだ返ってこない。その結果、百三十億という日本人が莫大な損害をこうむったとか、こういうことについてはどういうふうな処置をとられるつもりか、しこうしてこの李ラインが正しいかどうかということが結末がついて、しかるのちに、もし百三十億のこの損害を当然取るべき権利があるということを外務省で認められたならば、被害者の人々にかわって外務省は相手国に対して交渉をなさる御所存でございますかどうですか、お尋ねしておきます。
○国務大臣(重光葵君) 李ラインの問題の解決は、なかなか手間取るだろうというお話でございます。私もそういうことをおそれます。おそれますが、この問題は直接今紛争の問題になっておりますから、この問題もできるだけすみやかに解決するように、一ついろいろな方面に渡りをつけて努力をいたしておるわけでございます。しかし、それよりも何よりも今抑留されておる漁夫の救出ということが、これはもう焦眉の急務でございます。これは大村収容所の朝鮮人の釈放の問題と関連をいたしております。関連をして十分に一つ、らちのあくように政治的にも考慮して、そして早く漁夫の救出を実現したい、こういう方針をもって今一生懸命やっておるわけでございます。さような方向に進んでおって、急を要するものからどんどんと進めていきたい、こう考えております。 先ほどの御質問で、アメリカが第七艦隊を動かすということを知っておるかということがございました。これは私は存じません。すべてレムニッツアー将軍の麾下として動いておるのでございますから、レムニッツアー将軍は先ほど申した通り、これをでき得るだけすみやかに平穏のうちに緊張を緩和したいという考え方を持って進んでおるのでありますから、その方針によってやっておることと存じます。以上でございます。
○青木一男君 先般社会党の統一ができ、また自由民主党の結成によって、政界の分野がはっきりして、国会の運営も比較的単純化されたことは、私は議会政治の運営のために喜ぶべき現象だと思っております。第三次鳩山内閣は衆議院に絶対過半を擁する強力なる政治力の基盤に立っておるのでございまして、従いまして、今までできなかったようなむずかしい問題も、思い切って強力に実行できるわけでございます。しかしながらその政治の内容といたしましては、あくまでも国民の要望を基礎として筋の通った合理的政治でなくてはならぬと思います。多数を頼んで横暴する、そういうことでは結局国民の信を失うのでございます。私どもは与党としてこの政府の使命を達成するために、極力鞭撻し協力するつもりでございます。しかしながら、いかに与党といえども、その威力を頼んで政府に間違ったことを強要したり、あるいは政府が間違った方向に政治を持っていこうとする場合に、これをかばったり、そういうことは私どもはすべきでないと思う。われわれは共同の責任の観念から、そういう場合には、国会の内外において、十分政府に話して、その間違った行き方を正しくするというのが、われわれの任務であると考えております。そういう意味におきまして、私は内閣総理大臣に対して二、三の質疑を行います。 第一に憲法改正の根拠と目標についてお伺いいたします。鳩山首相がいち早く憲法改正の必要を唱道されたその御見識に対して私は敬意を表するものであります。今や憲法調査会を作って、この問題が実現の第一歩を踏み出すことになりましたのは、まことに喜びにたえません。そこで国民にその理由を私ははっきりさせる必要があると思うのでございます。現行憲法が占領軍司令官の命令示唆に基いてできたものであるということは、これは今日ではすでに公知の事実でございます。私ども自由党において憲法調査会を作って、当時の沿革を調べておった当時に、当時の憲法担任の国務大臣だった松本博士が来られまして、詳細に当時のいきさつを述べられたのでございまして、それまで隠されておったところの資料も提供されたのでございます。それ以来、この問題が国民の前に明瞭となってきたのでございます。私どもは、憲法というものは国民の自由なる意思に基いて制定さるべきものであって、決して他の力、占領軍の方針や指示に基いて作るということは憲法の本質に反するものである、こう信ずるものでございます。このことは、西ドイツにおいて同じような問題が起きたときに、ドイツの政治家や学者や国民はあげて、われわれは今国家の独立も、意思の自由もない、永久憲法を作るということは及びもつかないことである、考えもできない、しかし占領軍の命令に服することは、これは戦敗国民としてやむを得ないからして、占領期間中だけ効力のあるところの暫定憲法を作る、こういうことでできたのが当時の基本法でございます。この基本法は、ドイツ国が独立を回復して自由なる意思に基いて永久憲法を制定したときにおいて効力を失うということが明記されておるのでございます。私はそうなくちゃならぬものだと思っております。しかるに、わが国においては、不幸にしてそういう経過規定がないのみならず、改正の手続が世界に類例のないようなむずかしさをもって規定されておることは、まことに不幸であったのでございます。私はこの西ドイツとの比較から考えましても、わが国の憲法というものは、独立を回復した今日においては再検討して、ほんとうに国民の自由意思に基くところの自己の憲法を持つということは国民の要望であると考えるのでございますが、総理大臣の御所見を伺います。
○国務大臣(鳩山一郎君) ただいま青木君が言われました通りに、西ドイツの憲法はお話の通りに、占領時代の憲法は、占領が解けて独立国になれば効力を失うように規定されておるのであります。国民の自由意思を土台としてその国民の憲法ができるということは当然の事柄でありまして、占領時代に作られた現在の憲法は、当然に国民の自由意思によって、自主独立国に相応する憲法に変えなければならないと信ずる次第でございます。
○青木一男君 憲法擁護論者の中には、制定の手続は憲法の本質に反することがあっても、内容がよいから改正すべきでないという説をなす者がございます。私は内容においても、現行憲法は改正の必要ありと信ずるものでございます。わが国情にもとり、占領軍の軍事当局が原案を作ったものでございますから、わが国情に適しないものがあることは、これは当然でございます。ことに当時の極東委員会及び占領軍の対日基本方針は、日本国の弱体化にあったということは、これは明瞭な事実でございます。従って各般の制度、思想、経済こういう方面において極力日本が国家として再び強大をなし得ないようにはかったものであり、憲法といえども同じようなねらいのもとに、あるいは防衛力の剥奪、あるいは国権の不当なる分断弱化、あるいは国民の権利義務を定める場合に、権利のみいたずらに多く列挙して、そして義務についてはほとんどこれを掲げないというような、どこの国の憲法にもないような変体的な憲法ができ上っておるのでございます。しかし国家の興隆繁栄なくして、国民の生活の安定も幸福もあり得ないということは論ずるまでもないところでございます。私どもは憲法をこの考えに基いて、全面的に再検討する必要があると思いますが、総理の御所見を伺います。
○国務大臣(鳩山一郎君) 青木君と全く意見を同じくいたします。
○青木一男君 平和憲法擁護論者は、平和という言葉の魔術で国民を引っぱろうとしております。また今日まで引っぱってきております、しかし世界各国がみな軍備を持っておるのに、わが国だけが無防備、まるで裸であれば、それがわが国の安全平和であるということはどうしても常識では考えることはできません。また、われわれの主張する軍備は、自衛のための国力の許す限度の軍備でありまして、外国を侵略するなどということは、今日考えている国民は私は一人もないことを確信するものであります。また貧弱なわが国の国力に応ずる軍備というものは、客観的に見てさような能力などあり得ないこともこれは万人の認めるところでございます。この平和という言葉の魔術にかかっておる国民の迷いをさまし、ほんとうに公平、冷静なる批判を求めることが、今後憲法を改正するためには第一番に必要なことと思いますが、総理大臣の御所見を伺います。
○国務大臣(鳩山一郎君) 戦争放棄ということは、ちょっと考えますと世界の平和を来たす原因になるように考えられますけれども、現在の世界の平和というものは、私は戦争放棄というような事柄で容易に得られるものとは考えません。事実において現在の世界の平和は、力による平和によって持ちきたされるものと思います。それでありますから、戦争放棄によって、直ちに世界の平和が持ちきたし得るものと考えない以上は、戦争の放棄ということは、いわゆる降伏主義である。そういうようなことによって平和を持ちきたすことができない。日本はやはり兵力を相当の程度において持つことが、世界の平和を持ちきたすゆえんになると思っております。そこに私は憲法改正の必要を認めております。
○青木一男君 要するに憲法改正の目標は、世界の国が普通に持っておるような憲法を、われわれも自分の手で作りたいということにあると思います。その際には現行憲法の長所であるところの民主主義、自由主義、人権主義あるいは男女同権の主義というようなことは、あくまでもこれは維持尊重すべきものと考えております。この点において、反対論者は、われわれも考え得ないような改悪をするなどということを予断して、そうして国民に宣伝する傾向があります。この点はわれわれはすみやかにこの方向を示して、そういう誤解を解かなくちやならぬと考えます。総理の御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(鳩山一郎君) 私も現在の憲法に長所があるということはむろん認めます。民主主義につき、あるいは人格の尊重につき、男女平等等につきまして、現在の憲法は長所を持っているということも、私も認めます。しかしながら、日本の自主独立に適応するように改めなくてはならない個所も多多あるのでありますから、憲法改正をする必要はあると思います。
○青木一男君 次に、教育問題についてお伺いいたします。現代の青少年の思想上の一つの欠陥は、国家観念がきわめて薄くなり、愛国心が欠除しているということであると思います。文部省がかつて著わした「民主主義」という本を読んで見ますると、愛国心とか国家などということを深く考えるのは、民主主義に反するというようなことを教えているのでございます。こういう教育のもとに育った青少年の層というものは想像に余りあるのであります。これは私は先ほど申し上げました初期の占領政策、すなわち日本の弱化を目途としたる占領政策の教育上の影響であると考えておるものでございまして、そういうような教育をしている国は世界にございません。単に自由主義諸国においてないのみならず、最近では多くの人々が中共に行って、毛沢東、周恩来等の首脳部に会いますが、われわれが異口同音に、中共をこれまで持ってきたものは愛国心の発露であるということを言っておるのでございます。それだのに、日本だけが依然として占領下の思想のままに、この国家観念あるいは愛国心というものを軽視し、あるいはこれを欠除するというような教育を一体いつまで続けておってよろしいと思うのでございましょうか。私は学校教育において、すみやかにこの弊風を直さなければならぬと思いますが、総理の御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(鳩山一郎君) 日本人が日本人としての自覚を失いましたり、郷土、国家に対する愛情心を日本人が失ったならば、日本は存立することはできません。でありまするから、教育において日本人としての自覚をうながし、郷土、国家に対する愛情心を燃やすようにはかっていくことは、当然な事柄と思っております。
○委員長(西郷吉之助君) 青木さんにちょっとお断りしておきますが、外務大臣は衆議院の方から十五分ほどちょっと来てくれようということでございますから、その間ちょっと退出いたしますが、文部大臣並びに調達庁関係の長官も来ておりますし、労働大臣もまもなく参りますから、その間ちょっと外務大臣を衆議院の方にやりますから、御了承願います。
○青木一男君 共産主義勢力のわが国内における浸透工作は、最近表面では目立たなくなりましたけれども、裏面においてますます巧妙活発に行われつつあるように思います。これはわが国が国際共産勢力の世界制圧政策の重点的目標となっておる結果であると考えます。共産主義は申し上げるまでもなく、人道を無視し一切の自由、人権あるいは人命までも軽視し、国民の世論を押えて専制政治を行うというような政治形態になるのでございまして、かくのごときことは民主主義の全く敵であり、われわれはそういう政治形態を一日も承認するということはできません。そういう意味において国家の安全をはかるためには、この共産勢力の浸透に対して十分の対策がなければならぬと思うのでございます。ことに私の憂うのは、わが青少年に対するこの思想の伝播力でございます。私はつい先ごろ、ある大学に行って話をいたしたのでございますが、そのときの経験からみて、学生の間に共産主義の同調者と目されるような者が相当あることを発見して、実に憂慮しておるのでございます。学校で学ぶような若い人たちが、この共産主義の何ものであるかを判断し得る能力が十分あるはずがございません。しかし父兄はこういう状態を知ったならいかに悲しむでございましょう。また国家としてもこれほど憂慮すべきことはございません。もちろん私はこの傾向が単に学校教育だけの責任であるとは思いません。また対策も教育制度そのものだけで解決するとは思いません。しかしながら、少くも国家が莫大な経費をかけ、また父兄が乏しきをなげうって子供を教育しておるこの青年学徒が、在学中に赤化思想の洗礼を受けるなどということは、実にこれは悲しむべきことでございます。これは教育制度の改革、ことに大学教育等の改革に当っては、これは十分に考慮されなくちゃならぬことだと思いますが、政府の御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(鳩山一郎君) 青年は自由を最も尊ぶべき階級というか、人間としては時代だと思うのでございます。共産主義は自由主義に全く正反対の主義だということはわかりきったことでありますから、これはもう少し何というか、学校教育とかあるいは知識が広まってくれば、共産主義に対する青年の愛慕心というものは私はなくなるだろうと思います。ただ、学校は政治的に言えば、中立地帯に置かなくてはならないのでありますから、学校教育において政党政治がいい、革新勢力がどうだ、保守勢力がどうだということを主題にして教育をすることは参らないと思います。学校教育はやはり政治的には中立地帯に置かなくちゃならないものだと思いますので、学校教育において政党意識を熾烈にするということは避けなければならないことだと思います。ただ、知識が普及してくれば、共産主義というものは自然に消滅していくものです。太陽の陽に当って雪が解けていくようなことと同じことです。ですから私はさほどに心配しなくても、共産主義というものは知識が深まれば深まるほど、自由に対する愛慕心というものが沸いてきて、奴隷主義であり、あるいは専制主義である共産主義に向う者は、自然となくなると私は思っております。
○青木一男君 ただいまの鳩山総理の御意見は、たとえば米国、あるいは英国等においては、私は大体にその御所見は直ちに当てはまると思います。ただ私が憂慮いたしますのは、日本の現状においては必ずしもそういうふうに楽観できないのでございまして、自然のままに放置して、国民の知識の普及、向上によってこれは自然に直る、その間に何ら憂慮する事態は起らないというお考えは、これは少し楽観過ぎるのではないかと私はおそれるのであります。これはしかし根本的に重大問題でございますから、具体的の対策をお伺いする必要はございません。ただこれに対する心得として文部大臣の御所見も伺っておきたいと思います。
○国務大臣(清瀬一郎君) 今の総理の御答弁の通りでありまするけれども、しかし文教の責任を持った者としては十分に考えなければなりません。ただ不思議なことは、国民教育に対して国は責任を持てという規則があることであります。責任を持つ国が監督ができない。監督してこれをためる権限を与えてもらわなければ責任を持てませんです。それゆえに政府におきましては、過日の自由民主党の御決定に従って、今回は内閣に文教政策の改革のための審議会でも作ってもらって、教育の根本の組み立てを一つ直してもらいたい、かように考えておるのでございます。
○青木一男君 文部大臣の御見解に私も賛成でございますから、その線で一段の御努力をお願いいだリます。 外務大臣がおいでにならないから、しばらく外務大臣に関係なきことをね尋ねいたします。内閣は、この国家の栄典褒章の制度について委員会を作って新しい計画をお立てになる方針のようでありますから、この際私の希望を申し上げて政府の所見を伺いたいと思います。先般政府が褒章条例を改正して各種の褒章を多数の人に授与された、まあこれについては世間でも批判もございますが、私はその結果から見てこれはよかったと思っております。しかしながら、何と申しましてもあの褒者条令に基くものは数が多いのでございますから、これはその価値において文化勲章などとは比較ができないことはこれは言うを待ちません。そこで文花勲章は今日ではわが国の最も高い勲音とされて、それだけの尊敬を受けておるのでございますが、私はこの文化勲音の授与の方針についてはさらに一段の御配慮が必要であると思います。やはりこれがむやみにふえればその価値は減るのでございます。ことに最近の傾向を見ておるというと、ややもするとこれが昔の定期叙勲的になって、形式的にだれの順番の次にはだれだというふうなことをうわさされるようなふうになってきておりますからして、これは昔の定期叙勲のようなものになってくるのではないかということを私はねそれるのでありますから、そういうとのないように抜群の功績のある人限って授与するという方針に改めていただきたいと思います。 それから文化勲章に匹敵する産業勧章とでもいうべきものを始めるお考えはないかということをお伺いいたします。この文化勲章は文化国家建設のめに功労のあった人に授与するのでございますから、もちろん異議のあるはずはございません。また国民はこれに対して尊敬を払うのは当然でございます。しかしながら憲法に規定してある文化国家の理想を実現させるためには、日本の国情としてはまずもってこの九千万人に職を与える、その生活の安定をはかるということが国政としては何よりも大事なことでございます。それには産業、経済の力が充実しなければ、文化をさておき、その日の生活も容易でないのが日本の現状でございます。そういう国家の要請から考えてみまするというと、日本の国の経済を富まし、生産力を上げ、あるいは偉大なる発明をしたというような功労者は、私は文化勲章と同等、あるいはそれ以上の褒章の価値があるのじゃないかと思います。一例を申し上げますれば、昨年亡くなられた御木本真珠翁のことを考えてみましても、あの人一人の力によって日本の国際収支が過去においていかに莫大なる貢献をなされたかは言うを待たないのでございまして、この御木本翁の功績というものは、りっぱな小説を書き、あるいは芝居をし、画をかいたという人の功績に少しも劣らないと私は信ずるものでございます。こういう人に対しては生きている間に、今はいわゆる勲何等というものは死んでからやられるようでありますが、生きている間に文化勲章に劣らないようなりっぱな勲章を、これは数を厳選して授与されることが私は望ましいと思いますが、これに対する総理の御意見を承わりたいと思います。
○国務大臣(鳩山一郎君) 文化勲章については特定の分野に偏しないように配慮しなければならないという御意見についてはもとより賛成でございます。広く各分野にわたりまして、真に授賞に値する人物を選考するように努力をしておる次第でございます。 それから産業勲章についての御意見でありましたが、これはごもっともな御意見でありまして、政府としてもこれを取り上げることを検討いたしておる次第でございます。
○青木一男君 日米行政協定の運用についてお尋ねをいたします。安保条約及び行政協定に基いて必要なる施設及び区域を米軍に提供する義務のあるということはこれは当然でございます。しかしながら、このことが憲法上保障されたる国民の権利を侵害する場合になりまするならば、最も慎重にしてその濫用を避けねばならぬことはこれまた言うを待ちません。近時政治の運行において、集団的示威運動がややもすれば政治を支配するというようなことが見受けられるのでございますが、これは民主主義、議会政治をモットーとするわれわれのとらざるところでございます。行政協定に基く施設または区域の提供に当りましても、実力を伴う民衆の集団運動で反抗するときには、これに聴従し、かかる力のない国民の声が無視されるということであっては、これは政治ではないと信ずるものでございますが、首相のお考えを伺いたいのでございます。
○国務大臣(鳩山一郎君) 御同様に考えます。
○青木一男君 それでは具体的問題について今の原則を適用してお尋ねいたします。外客を誘致し、外貨を獲得するということは、資源の乏しきわが国としては重要なる国策であります。しかるにその実行上の最大の難点はホテルの不足でございます。これは主として建設費が非常に高いということに起因しておるのでございまして、このことは本年春の国際商業会議所の総会あるいは国際見本市の会議等の行われました場合に、東京においてほんとうに痛切に感じた現象でございます。そこで国際商業会議所、東京商工会議所、日本ホテル協会というような民間団体を初め、東京都、運輸省、観光事業審議会等、第一ホテル、すなわちわが国最大のホテルであるところの第一ホテルの接収解除を強く要望し、また昨年東京都の議会はその代表者をワシントンに派遣して、第一ホテルの解除を米国政府に直接陳情したのでございます。私も本年一月三十一日朝日新聞にホテルの接収解除は、観光日本にとって焦眉の急務であるという論文を寄稿して当局の善処を要望しておきました。参議院におきましても、昨年第十九国会において前田久吉議員よりこの問題について質問があり、当時政府委員は第一ホテルは大体二十九年末、おそくも三十年三月末までには返還するという答弁があったにもかかわらず、今もって返還されておらないのでございます。それのみならず本年三月末をもって賃貸借契約の期限の切れたのを機会として、政府は行政協定の実施に伴う土地等の使用に関する特別措置法を発動し、鳩山総理大臣は本年四月二十八日をもって第一ホテルの使用認定をなしたのでございます。この措置法というのは土地収用法と同じ性質の法律でございまして、憲法上保障されたる所有権を侵害するものでございますから これが運用については最も慎重を期すべきことは言を待ちません。あるいは鳩山総理はこういう事件は御記憶がないかもしれませんが、しかし総理大臣の名においてこの強権が発動されておるのでございますから、どうしても総理の責任となるのでございます。 そこで、この二、三の点についてお伺いしたい。まず第一点ですが、米軍に対して宿舎を提供する義務あることばこれは当然でございます。しかしながら、米軍はわが国の防衛に当っておられる、まことに御苦労な任務でございますが、しかし軍人でございます。お客さんではございません。従って軍人の宿舎というものは兵舎あるいは代用宿舎であるべきものと思います。それがどうしてこれだけ日本がホテルの欠乏に困っておる今日、平和回復後何年たっても、依然としてわが首都の一流のホテルを占領しておらなければならないのであるか。このホテルを提供することが条約の義務であるのか。米国に対しても事情を訴えてほかの宿舎にかわってもらうということは、これは当然の要求でなくちゃならないのでございまして、米国に対しても主張すべきことは、主張しなさいというのはこういうことを言うのでございます。どうしてあの一流のホテルを軍人さんが占領しなければわが国の防衛の任務が果せないと言われるのか。その点の御見解をどなたからでもよろしいから伺いたいと思います。
○政府委員(福島愼太郎君) お答えを申し上げます。軍隊でございますので一流のホテル、特に首都の中央にあります一流のホテルが軍隊の性質上どうしても必要であるという点につきましては疑問の余地はある問題でございます。しかしながら、米国軍も日本に相当の規模をもって駐留いたしておりますので、陸海空を通じて十数万に上る規模をもって駐留いたしております。その大部分が兵舎に住い、上級の将校はアパートを作り生活をしておるわけでありますが、米国との往来その他の関係で短期、一時的の出張者も多数往来をしておるわけで、兵舎に恒久的に住まわせるという人間以外にいわゆるホテル式の、一日、二日、三日、一時的の出張者その他の設備というものも必要になって参りますので、いわゆる兵舎施設のほかにホテル式の施設を持つものが、全般を通じてごく数はわずかでありますが、必要であるということは考えられることであると思います。占領直後兵舎を初め一般の宿舎を東京都内に求めましたので、御承知の通り東京都内にはいまだに二十幾ヵ所の大きな建物が米軍によって使用されているわけであります。その中に今申し上げましたような理由によって一時宿泊設備としての第一ホテルも使われているわけでございます。これらの東京都内の設備につきましては、これを郊外に移転させるという方針が二、三年前に確立いたしまして、その工事を急いでおるわけであります。大体完了の運びになりつつありますので、これらに本年の終りころから続々と東京都内の建物に現在おりますものは移って参る。従いまして、来年早々から東京都内の建物がだんだんにあいて参るということになっております。第一ホテルの分につきましても、大体施設の完了に伴いまして、来年の半ばごろこはこれが引き渡しを受けるようになるであろうと考えておる次第でございまして、ホテルそのものが、軍の目的のために最小の必要量はあると考えておりますので、要らないということは申し得ないと思いますけれども、東京のまん中でごく一流のホテルでやらなければならないという必要は、これは私もないと考えておりますが、占領以来そういう形で始まりましたものを都心以外に移すための時期的な必要もございまして、おくれおくれになっておるということは御指摘の通りでございます。来年中には問題が解決する運びになっておると考えております。
○青木一男君 ただいまの政府委員の答弁で納得いたしませんけれども、これはあらためてまた別の機会にお尋ねすることにいたします。先ほど申した通り、本年四月特別措置法に基く強権が発動されておるのでございます。しかるにその後、この事件が司法事件となって、法廷における法務大臣の指定代理人の主張によりますれば、第一ホテルは表面上契約期限は切れても、契約の本質に基いて米軍のおる問は使用権があるのだという主張を継続されております。これは私は法務大臣の指定代理者でございますから、やはり国家の行政権に基く発言と考えております。しからば使用権があるのにどうして使用権設定を目的とする特別措置法に基く強権を発動されたのでありますか。これは行政権を乱用をしたということになるのでありますが、まさか国家は行政権を乱用したとは思いませんが、これはいかに説明されるのであるかを伺います。
○政府委員(福島愼太郎君) 君一ホテルの使用につきまして、本年の四月に使用認定の決定をいたしましたことは事実でございます。本年の三月末日をもって第一ホテルとの間に年々更新して参りました契約の期限が参りましたので、それ以後の、一年契約でございますので、本年度に関する契約という問題があるわけでございます。契約によりますると、更新を認めない場合には半年以前に通告することになっておるわけであります。その契約の期間内には第一ホテルの方から次の年度の契約を承認しないという通達には接しなかった次第であります。一月になりましてから四月以降の契約をしたくないというお話はありましたけれども、契約に定めた期間の余裕をもって通知に接したわけではございませんでしたので、政府といたしましては、あと一年分の契約更新については権限を持っておるという考え方て出発いたしたわけでございます。しかしながら、同時にまたそれ以後の年数の問題、時日の問題もございますし、また米軍の接収解除という見通しから申しましても、さらに三十年度以降にたとえ数ヵ月でもわたる予定になっております。所有者の方でそれ以降の契約についても、おそらく契約をしないということは明らかになっております次第でありますので、一年につきましては契約を更新する権限を持っておると考えておりましたけれども、使用権についての将来にわたっての立場を明らかにいたしておくために使用認定をいたしたわけでございます。使用認定が、不必要な使用認定をみだりに行なったということにはならないと考えております。
○青木一男君 それではこの使用権の設定を目的とする強権は、使用権がある間に発動してもよろしいという政府の考えであるかどうか、もう一ぺん念のために伺います。
○福島愼太郎君 申し上げましたように、二十九年度の契約に引き続きまして、三十年度の契約は更新する権利があると考えておりますので、それによって更新の処置をいたすわけであります。所有君はこれに応じないということでありますので、使用認定によりましてこれを将来にわたって使用の権限を固定さして、一年だけの使用という見通しでございません次第でありますから、その必要があると考えたわけでございます。
○青木一男君 はなはだこれは法律の解釈を誤まっております。使用権がある間に強権を発動するなんということは、法律観念として私はあり得ないと思うのです。これはいずれまた日を改めて質問いたします。 さらに、調達庁は四月二十八日総理大臣の認定を受けたにもかかわらず、その後収用委員会に付議するような手続を怠って半年以上もほうっておるのでございます。どうしてこういう非常権を発動した場合に、この怠慢なる処画をやっておるのでございますか。もし必要だと思ったならば、急いで委員去の審議にかけなければならないことほ、私は当然の責任だと思うのでございますが、そういうやり方をしておるりも、やはり非常権の乱用、軽く見ておる証拠ではないかと思いますが、その点に対する政府委員の御所見を伺います。
○政府委員(福島愼太郎君) 収用認定を四月に行なったにかかわらず、十二月まで収用委員会に対する審査の申請をしない、それは処置を怠っておるのである、必要のない使用認定をするから十二月まで何らの処置をしないことになるのである、こういうお示しであると考えますが、私どもは怠っているのではないのでございまして、できるだけ時間をかけて、収用の本式の手続というものは、かりに使用認定がございましてもできるだけやりたくないというのが方針でございまして、使用認定をいたしました後、使用認定をいたしたからといって機械的自動的に収用委員会に申請して収用の手続を本式に始めるというのが本旨ではないのでございます。収用法自体におきましても、使用認定をいたしたあと、なお所有主との間に納得のいくものであるならば、なお交渉上の努力をして収用の手続に及ばないような手配をとれということが、収用法それ自体も要求しているところでございます。でございますから、使用認定――一般の場合で申し上げますれば、その後もほかの関係におきまして収用認定というような事態もございましたけれども、かりに使用認定をいたしましても、なお一般と話し合いをして、話し合いによって片づく道はないかということを最後の最後まで努力いたしまして、万策尽きました場合に収用委員会に書類を提出するというふうにすることが、私どもは政府の方針として最も正しくもあるし、収用法それ自体もこれを要求しておるのであろうと考えておりますので、第一ホテルの件につきましても、四月に使用認定はいただいたのでありますけれども、それ以後アメリカ側に対しても解除を促進するまうに交渉いたし、また所有主側に対してもアメリカ側との交渉の結果を示しまして、大体こういうふうな様子でまあ必ずしもみごとに促進されているとは申されませんけれども、三十一年の半ばごろになれば何とか目鼻がつく問題であろう。従ってそういうことであれば、収用委員会の審査手続というようなことを促進したくもないというようなことで、繰り返し繰り返しお話をいたしました次第でありまして、そういう関係で、四月に使用認定はいたしたものの、現実に収用委員会に対する審査の手続は十二月に入りましてようやくとるに至りました次第であります。それは三月三十一日になれば、来年の四月一日からは本式の収用手続でないと所有者側の御同意が得られぬ次第でありますので、まあ十二月になればこれはぜひやらなければならないというふうに考身て、これ以上は待てないからということで、ようやく十二月に手続をとりました次第であります。それも本来ならばやりたくないのでありまして、六月、七月のころになれば、われわれも財産を返還することができると考えており、所有者側からは四月一日までに返せという、その間の日数というものは、二、三ヵ月のギャップがあいているだけでありますので、これを収用委員会の手続きによって埋めるということは、いかにも不器用な話でありますので、何とかこれは話し合いで埋まらないかというような考え方も持っております。収用認定もしくは使用認定をいたしましたならば、使用、収用の審査手続を機械的に始めなかったということをもって怠っておったというふうには考えておりません。でき得る限り納得のいく線で片づける努力を、できましたにいたしましても、できないにいたしましても、最善を尽すべきものであると考えております。
○青木一男君 政府も代替建造物を作る方針のときに、政府の施設はあと回しにしても、民間のものは先に返すという方針をきめられたはずでございます。そうして日米合同委員会において、その代替物の建造計画を初め相談したときに、アメリカは第一ホテルは一時的だから代用建造物の必要はないということを決定されておる。それだから今日までおくれておるのです。そういう方針の変更によって国会はそういう予算は認めておるのですから、当然作るべきものに、怠慢のためにそういう民間に迷惑をかけ、また各方面からホテル充実の必要の要請を無視して、こういう不合理なことを継続しておるのであります。そこで私は先ほど総理にも抽象的にはお伺いしましたが、そういう国民の迷惑もかまわずに、今のような状態を三年も四年も懸案をなお継続しておるということは、一体どういう――私は対米関係につきましても、別に偏見を持っておるものではございません。のみならず、後ほど申し上げますように、私は日米提携論者でございます。しかしながら、思想上の偏見でなしに、ほんとうに日米関係を憂慮する人は、アメリカが無理なことをされては困るのであります。そうすると、どうしても反米思想というものはふえてくるのでございます。そういう意味において、どうして私はこういう筋の通らない、そうして先ほど申した通り、集団運動で発言権もないような人の要請を、なぜ早く聞いてやらないかということを深く遺憾とするものでございます。もう一ぺんこの点の総理大臣の御所見を伺って、私はこの問題の質疑を終ります。
○国務大臣(鳩山一郎君) できるだけすみやかにそういうようないきさつのとけますように努力いたしたいと考えております。
○青木一男君 外務大臣まだですか。
○委員長(西郷吉之助君) 今盛んに要求しておりますが、ちょっとまだおくれておりますから、ちょっと保留しておいて下さい。もう少しかかりますから。
○青木一男君 それじゃ暫時保留いたします。
○千田正君 外交問題についてお尋ねしたいと思いましたけれども、外務大臣がまだお見えにならぬようですから、青木委員のお尋ねのあと私も外務大臣に質疑をしたいと思いますから、その点を保留しておきます。 最初、鳩山総理大臣にお伺いいたします。日韓問題は、ほかの委員もお尋ねしておると思いますし、総理大臣としましても非常なこの問題に対しては決意を固めてもらわなくちゃならない段階に入ってきておると思います。それで特に私が伺いたいのは、一体日本の自衛権をどういうふうに考えておられるのか。国際公法から申しますれば、公海におけるところの自由操業は当然独立国家であるところのわれわれとしましては、堂々とこれはやって差しつかえない、ところが一方においては無謀な勝手な宣言をしてそうしてあらゆる暴挙をあえてしておる。これに対して日本側としては何ら手の施しようがない。このままに看過すべき問題ではないと思いますがこれにつきましては、現在拿捕されておるところの船は百十隻、本日の調査によりまするというと、抑留されておるところの漁夫が六百五十一名という多数に上っております。こうした留守家族やあるいは漁業に従事しておるその他の漁船に対する方法というような問題について何なら国内的処置が講ぜられておらない。このまま放置していったんでは、とうていわれわれはこれを黙っておるわけにはいきませんので、この点について鳩山総理大臣としましてはどういうふうに一体この問題を処置していかれるのか。あるいは外交問題ということをよく外務大臣からも申されまするが、なかなか外交問題が行き詰って進んでおらない。こうなってきて、しからば海上自衛隊が活動できるかといえば、これもできない。あるいは海上保安庁も漁民の生業を助けるために行ってといっても、これも役に立たない。こういうふうになってきた場合において、一体こうした漁民の生活をどういうふうな方向によって保護していくか、この問題について鳩山総理大臣としましてはどういうふうにお考えになっておられますか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(鳩山一郎君) 抑留せられる漁夫の返還につきましては、だんだんと交渉ができるものと思っております。在留の朝鮮人の問題と関連をしておりますので、だんだんとその点は進行できるようになりつつあると思っております。 それから抑留せられたる漁夫の家族に対しても、政府にも特別の機関を関係閣僚の協議会をこしらえまして、その抑留せられたる漁夫の家族に対して相当の手続をとりたいと思っております。 それから全体としては、李承晩がああいうような乱暴なことを言ったというのは、誤りらしゅうございます。李承晩の知らない間に軍の人がああいうようなことを言ったらしいのであります。ちょっと誤解があったようでありますが、とにかく自衛隊の自衛力というものはどの程度まで行くかというような問題は、人によって議論が違うと思いますが、そういうようなとにかく武力に訴えるという意思は現在政府においてはありませんので、その点はかたく申し上げないほうがかえっていいだろうと思います。誤解が起きると、非常に朝鮮においても刺激をせられまして、交渉がかえってめんどうになりますから。朝鮮で日本に対してつむじを曲げてきたのは、朝鮮と日本との間にいろいろの問題の解決がおくれていますので、それに対して朝鮮人における感情を害した点があろうと思う。それらの問題に対して、つまり在韓の財産の賠償の問題につきまして極力解決を急きまして、そうして朝鮮との問題のすみやかに全部が解決するように努力中であります。
○千田正君 十二月の三日だと思いまするが、これも韓国側の宣言でありますが、たとえ日本の公船――公けの船であります、といえども、たとえば海上保安庁の船、あるいは海上自衛隊の船であっても、李承晩ラインに侵入して来た場合には直ちにこれを拿捕する、あるいは撃沈しても差しつかえない、こういうことを宣言しておりますが、もしもそういう不幸な事態、たとえば漁船というような問題じゃなく日本の国が所有しておるところの、国家の機関であるところの海上自衛隊の艦船もしくは海上保安隊の艦船にさような不幸な事態が生じた場合においても、日本は今の総理の大きな意味における隠忍自重な立場をとるというふうにやはり考えておられるのでありますか、どうですかその点。
○国務大臣(鳩山一郎君) 今日韓関係におきましては非常に感情が熾烈にたり、変りつつあるのでありまして、そういう問題について日本が武力を行使する権利があるとかないとかいうこをここで明言することは避けた方がいいと思うのであります。御質問に対しては別の機会においてお答えをしたいと思います。
○千田正君 もう一つ、さっき多分お触れになったような感じでありますが、はっきりお答えがなかったのでふりますが、たとえば韓国側が大村の収容所において収容されておる韓国人の中に、日本の国内において日本の国法に触れた犯罪人を強制送還しようと思っても向うは受け付けない。やむを得ず大村の収容所にこれを抑留しておりますが、こういう者に対する釈放ということを韓国側が盛んに宣伝しておるようであります。しかしこれは顧みるというと、独立国家であるところの日本の国内に住んでおったその人たちが、日本の国法を犯したいわゆる犯罪人である、これは日本の漁夫が正常な立場でしかも国際公法上何ら差しつがえない所で漁業をしてつかまったのとは、おのずからその根本の原因が違うと思うのでありますが、こういう問題についてはどういうふうに考えておりますか。
○国務大臣(鳩山一郎君) それらの点につきましては、法務大臣から答弁してもらいたいと思います。今来ておりませんが……。
○委員長(西郷吉之助君) ちょっと申し上げますが、法務大臣は今衆議院の予算につかまっております。再三要求しておりますがまだ出席できませんから留保願います。
○千田正君 それではこれも総理に伺っておきたいと思いますが、従来韓国との貿易は片貿易になっておって、現在は大体四千万ドル程度韓国側に貸しがあるのでありますが、どうもこの外交折衝がうまくいかない。国内における問題も遅々として進まない、こういうような状況におって、なおかっこの片貿易を続けていかなければならないのかどうかということと、大体これのバランスをとるために韓国の貿易としましては鮮魚を輸入したりあるいはノリを輸入するのであります。こういうノリや鮮魚はとりあえず国内における漁民の生産をある程度圧迫するのでありまして、一方においては漁民が非常な迷惑をこうむり、さらにまた経済的な貿易上のバランスのために、やむを得ず韓国からノリとかあるいは鮮魚を輸入して韓国の貸しのバランスをとろうとするこの貿易政策というものが非常に矛盾しておるのじゃないか、しかもそのしわ寄せがほとんど日本の漁民にかかってくるということを考えますときに、この貿易上の問題も私はこの際はっきり手を打ってもらわなければいかぬのじゃないか、こう思いますが、この点については相変らず今後といえどもこの片貿易を存続していくのかどうかという点をお伺いしておきたいと思います。
○国務大臣(鳩山一郎君) この問題につきましても、通産大臣が答弁した方が適当だと思います。
○千田正君 どうも当面の大臣がおりませんからやむを得ませんので、それでは次の問題、日比賠償問題について総理大臣にお伺いしたいと思います。これは御承知の通り自由党内閣当時、前のガルシア賠償案といいますか、この案でやや四億ドル程度で話がまとまりかけておった。この問題についてフィリピンの国内におきましても、フィリピンの上院議員が強く反対して非常にフィリピンの当事者も困っておりまして、当時の副大統領であるところのガルシア氏が日本は四億ドル以上とうてい出せない、四億ドル以上支払う能力がないという日本に対して支払いの意思と能力のある限度において賠償を取り立てる、その方がフィリピンの利益であると信じて、四億ドル程度の賠償案に調印することにしたということをゼネバの国際会議の席上で全国に声明したのでありますが、この四億ドルをめぐってこの前の二十二国会のこの席上で私が鳩山総理にこの点をお尋ねしました際に、鳩山総理からのお答えとしましては四億ドル以上を出すということは現在の日本の財政上とうていむずかしい、もちろん出す意思はないのだ、こういうお答えをいただいております。ところがその後至るところにこの問題が八億ドルまで出してもいいじゃないか、あるいは鳩山総理はそのくらの考えを持っおるのだというふうに伝えられまして、現実においてはむしろ四億ドルじゃなくて八億ドルを支払うのだという説の方が非常に強く出てきておる。これは今度のいわゆる保守党としまして自由党と民主党が合同した今日において、自由党もこの問題に対しては当初非常に反対でありましたが、自由党と民主党が合同した今日においてもやはり四億ドルという問題に対してはあなた方の党内においては決して賛成であるとは思いませんが、八億ドルというものを支払うという御意思でこの問題が進められておるのですかどうですか、その点を承わっておきたいと思います。
○国務大臣(鳩山一郎君) 私からは大体のことを申し上げておきます。四億ドルではフィリピン側がどうしても同意をいたしません。それでだんだんと話が進みまして、いろいろな計算の仕方をやっていって結局五億ドルではどうだというような話がありまして、その五億ドルでもどうしてもフィリピン側が承知をしませんで、五億五千万ドルということならば自分の方ではまとまるかもしれないというような話であったのです。とにかく決裂をしてしまうということは非常に残念なことでありましたので、五億五千万ドルでいいということをまずきめなさい。そうしたならば日本でも考えることにいたしましょう、できるだけ考えるようにいたしますが、正式の申し込みがなくては考える対象にはならないというようなことであるのであります。それでまあ賠償金額五億五千万ドルならばということを正式に向うから申し込んできたわけであります。自由党との関係においてその中に三千万ドルの現金がある、それは不都合だ、やはり物資によってやるというのはどうだというような話があって、そういうような交渉がただいま進行中だと思うのであります。大体においては賠償金額は五億五千万ドル、二億五千万ドルは民間の物のやりとりによって解決をするというような事柄になるのではないかと想像をしておるのでありまして、詳しいことは高碕長官か外務大臣からお話をした方が正確だと思います。
○委員長(西郷吉之助君) 千田さんにちょっと申し上げますが、今外務大臣が参りましたのではなはだ恐縮でございますが、ちょっと留保していただいて、残っております青木委員の外務大臣に対する質問をいたしましてから続けていただきます。青木一男君。(「それはおかしいな」「やっておる途中で打ち切るのはおかしいな」と呼ぶ者あり)外務大臣に対する質問を青木君のときには不在でできぬものですから留保いたしまして、今千田君の質問も外務大臣のがございますので、その外務大臣に対する質問だけは、ちょっと戻りますけれども、最初のは留保してありますから……。
○千田正君 ちょっと総理大臣に一点だけありますから、質問はちょっとお待ち願いたいと思います。その次に春木さんからやってもらって……。
○相馬助治君 議事進行。
○委員長(西郷吉之助君) 相馬君。今千田君が総理大臣に対する質疑が一点残っておるそうでありますから、それをやりたいというのですが、いかがですか。
○相馬助治君 議事進行。先ほど外務大臣が衆議院の都合で退席された、これはやむを得ない上思います。そのときに青木さんは自発的な意思をもって、外務大臣がいらっしゃらないからと言って質問を保留して、席に戻られて千田君が登壇をしておるわけであります。千田君もまた外務大臣が来られたならば質問をするということになって、今質疑を継続中であります。いかに小会派といえども、この千田君の発言がここで打ち切られるということは、これは私は両方が小刻みに切りさいなまれておかしいと思う。私は委員長の良識をもって千田君の質疑の終結を見てから、これは黄泉君に発言を許すべきだと思うので、特に議事進行上の発言を私はいたしております。
○池田宇右衞門君 議事進行に関して。ただいま相馬さんから進行上の順序の御発言がございましたが、委員長から、外務大臣が一時衆議院の予算委員会に行く関係から退席をするから青木さんに御了解を願いたい、もしこちらに出席した場合は継続いたしますと言っておるというふうに承知をしております。また千田委員も、外交問題については春木さんの次に私が質問すると、こういう言明もしてあることを承知しております。従って今総理に千田委員が質疑中であるならば、これは総理との質疑応答中であるから、続行するのが当を得たことであろうと思いますが、外務大臣の出席に対しては、委員長は先に両委員に了解を求めた既定方針が公平適当であろうとかように思うのでございまして、この点は相馬君にも御了解を得たいと思います。
○相馬助治君 だんだんお話を承わると、委員長が、外務大臣が欠席する旨皆さんに諮って、しこうして青木君の了解を受けたというお話ですが、なるほどそのようです。従いまして私は強制するものではございません。従って今の御発言のように、内閣総理大臣に対する質疑は千田君にやらして、それが終った後に青木君にかわるということならば、本委員も了解をいたします。
○委員長(西郷吉之助君) それでは、千田さんの質問が一点残っておるそうそうですから、青木先生、ちょっとそのあとにして下さい。
○千田正君 最後の一点としまして、私は特に総理大臣の意向をただしておきたいと思うのでありますが、これは衆議院におきまして本年の六月、参議院におきましては六月二十九日でありますが、在外財産処理促進に関する決議がなされまして、それに対しまして、政府からは財政上、法律上の処置を十分すると、こういうことを声明しております。ところがさらにその声明を実行するような風がちっとも見えておらない。これはやはりこの決議を尊重して、当然鳩山内閣としましては、衆参両議院において決議されましたこの在外財産処理の問題については答えを出していただかなくちゃならないと思いますが、それに対してどういうふうに考えておられますか、この点特にお伺いします。それは私有財産の不可侵の原則は御承知の通り厳として存在しておるのでありまするから、対ソ関係におきましても、あるいは日韓関係におきましても、はたまた今までの戦争の後におけるこうした在外資産に対するところの一つのメドというものはすでに十一年を経過した今日立てておらなくちゃならない、こう思うのであります。本年の六月衆参両院から出されました決議に対しまして、十分にこれに対しては財政上、法律上の処置をすると明言されたことに対しては、いかなる方針に向って進んでおられますか、その点を承わっておきたいと思います。
○国務大臣(鳩山一郎君) 在外財産問題は複雑多岐にわたる問題でありますので、政府としては、学識経験者の意見を徴しまして方針を立案することを適当と考えまして、在外財産問題審議会を設置いたしました。同審議会は私からの在外財産問題の処理方針如何という諮問に基きまして、鋭意ただいま進行を行なっております。さきの第二十二国会における在外財産処理促進に関する衆参両院の決議につきましては、政府はその趣旨を直ちに同審議会に連絡しておりまして、同審議会は従来に引き続き、本問題の処理方針を活発に審議中であります。本問題の重要さと複雑さとから考えて、同審議会の答申がなされるまでには、なおある程度の時日を要すると思われますが、政府としては、可及的すみやかにこの問題の解決を期待している次第でございます。
○千田正君 非常にけっこうなお答えでありますが、実際はこの問題に対して審議会ではあまり進捗をしておらないのじゃないかというふうにわれわれは考えるのでありまして、今総理のお答えになっているようにひんぱんにこれを開いて、そうして政府に対する答申を明らかにするということであれば、これは何をか言わんやでありますが、むしろ政府としましては、大方針を立てられてこの方針にのっとって、審議会がここにいう複雑であるところの問題を鮮明して早く答えを出して、この問題に対して困っている人たちに対して、一日も早くその実施の方向に向われることをわれわれは要望するのであります。特にこれはお伺いしておきますが、間もなく通常国会も開かれると思いますが、三十一年度の予算に少くともその曙光か何かを具体的に出せる――出していくべきであるとわれわれは思うのでありますが、そういう点についてはいかに考えられておりますか。
○国務大臣(鳩山一郎君) ただいま慎重に考慮中でございますので、その程度まで進行するかどうか、ただいまのところでは明言はできません。
○千田正君 重ねてこれは要望しておきますが、もうすでに終戦後十一年、まさにこのために苦難の道を歩んでいるところの犠牲者が非常に多いのでありまして、この立場を十分に了承して、一日も早くこの問題の解決に当られることを強く要望しておきます。
○国務大臣(鳩山一郎君) 承知いたしました。
○青木一男君 次に私は外交について政府の御所見を伺います。 先ず外交の基調についてでございます。国力の弱いわが国が国際共産主義陣営のえじきになることを免れるには、どうしても自由主義陣営との共同防衛体制の力を借らなければならないことは明瞭でございます。しかしこれだけではない、わが国の経済事情を見ますると、この狭い領土において九千万の人間が生活していくためには、どうしても不足食糧と原料とを米国を初めその他の自由主義国から輸入して来て、そうしてこれを製品として輸出するという貿易政策に依存するのほかはないことはわが国の宿命でございます。従ってこういういいお得意さん、大事なお得意さんとの外交関係を緊密にして、その進展、提携をはかることがわが国の外交の基調であるということは当然であると思いますが、総理の御所見を伺います。
○国務大臣(鳩山一郎君) お説の通りと考えております。
○青木一男君 しかし対米外交も決して追随外交であってはならないと思います。主張すべきものは遠慮なく主張すべきであると思います。わが国はすでに独立を回復したのでございますから、今までのように、単なる援助を当てにすることは不可であると思います。しかしながら先ほど申しました通り、貿易の拡大はわが国の生きる唯一の道でございますからして、この点については、米国初め関係諸国に十分理解と同情を受けるように努力をされたいと思います。最近わが国の綿製品の輸出について米国の国内で問題になっているようでございますが、これはアメリカとしては私は実に小さな問題であると思うのでございます。しかしながら、わが国としてはこれは生命線の問題であるのでございます。こういう事情をよく先方に説明して、貿易だけは故障なく伸ばし得るような経済外交を進めていただきたいと思いますが、この点の政府の御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(重光葵君) 私からお答えいたします。 米国に対する綿製品の輸出が非常に長足の増加を――進歩と申しますか、増加を示しておることはその通りでざいます。従いましてそのために米国側において、同じような品物をこしらえておる方面からいろいろ論議が起っておるのもまた自然の勢いでございます。そこで非常に困って、米国側もこの勢いをもって、もしコングレスあたりにまた日本品の制限的法規の提出でもあったらこれは困るというので、今国務省あたりで非常に心配しておるのでございます。日本側も同様な心配をもちまして、それに対して米国側を安心せしめるようにいろいろな措置をとるとともに、日本の状況、また貿易に対する日本の誠意等を十分に説明をして、最近はダレス長官から議会に、コングレスに対してさような法案の提出のないように一つしてもらいたいというような意思表示をした模様でございます。さようなことでこの問題が十分に都合よく解決と申しますか、故障なく進んでいくように一つ努力をしておる次第でございます。
○青木一男君 次に日韓交渉についてお伺いします。いわゆる李承晩ラインなるもののこの合法性については先ほど中山さんから何か疑問があるようにお述べになりましたが、私はこれは国際法違反であることは問題ない、こういうふうに思うのであります。ことに最近これを越えたわが漁船を撃沈するというような声明に至っては、これは実に国際法及び国際慣例を無視した暴言であると思うのでございまして、わが国において関係業者はもとより、国民がひとしく切歯扼腕しておるのはこれは当然でございます。かくのごとく、わが国として今後伸びなくてはならない海洋方面に働くことができないような制限を方々に加えられるならば、どうしてこの多くの人口を養つていくことができるでございましょうか。これは実にわが国の生存権に関係ある問題でございます。これが対策については、先ほど来政府も十分考慮されておるようでございますが、わが党においても対策特別委員会を設けて考慮中でございます。さしあたりこの抑留されている漁民の送還あるいは家族の保護その他の施策を考えなくてはなりませんが、根本的にはどうしても韓国側のそういう不法行為の根絶を目標としなければなりません。世間では実力を行使すべきであるというような議論もございますが、しかしながら政府がそういう方法を避けてあくまでも冷静に外交交渉で解決しようという方針、これは私どもも賛成でございます。しかしながらそういうこちらが下手に出れば何をやるかわからん。図に乗って幾らでも難題を持ちかけるというようなことがあっては実に大へんでございますから、その点についてはあらかじめお考えを願いたいと思います。 それで先ほど他の委員より自衛権の問題について御質問があった。政府としてはその点は交渉の影響その他から見て言明を避けられておりますけれども、私はそういう海洋における不法行為のあった場合に、わが漁船を保護するということは、当然自衛権の範囲内であるという考えを持っておりますし、わが国民も政府と同じように冷静賢明になりましたからして、むやみに事を悪化させるというようなことは、これはとらない考えでございましょうが、しかしそれは国際法上できないからではなく、わが国の賢明なる態度、冷静なる態度がしからしめておるのであるということを私はここにはっきり申し上げておきたいと思うのでございます。韓国側の反省を促すには、私はどうしても世界の世論を喚起しなければいかんと思います。日本にいる朝鮮人の団体もあれは不都合だと、こういうような決議をしておるようでございますからして、韓国における国民の大部分も、日本との関係をこれ以上悪化させるということは、私は好まないのじゃないかと思います。従って韓国民を含めた世界の世論を喚起するために、私は政府は適当の手段を講ずべきものであると考えます。従来この日韓交渉については、実はわれわれもほんとうの正確な知識を持っておらない。だからして世論と申しましても、公平な判断をするほんとうの資料がないのではないかということをおそれるものでございますが、適当な時期にそういう客観的資料を公表される考えがあるかどうかということを伺っておきたい。
○国務大臣(重光葵君) 日韓関係の円満なる解決を期するために、世界の世論を十分啓発しておかなければならぬ。また世論の日本に対する同情を受けるようにしておかなければならぬ。こういう御趣旨はその通りでございます。世界の世論を日本に有利に展開させるためには、日本があくまでも合理的な態度、そしてまた忍耐強い態度をとることが必要だと考えますし、私はそのためにこの緊張を緩和する交渉については、あくまでも平和的交渉によってこれは解決したいという方針を立てて今日まで参っておる次第でございます。政府もその方針によって進むわけでございます。日韓交渉のことについては、これまでいわば内交渉の状態でございましたから発表はいたしておりません。おりませんが、それではどういうことが一番大きな問題になっておるかと申しますれば、さしあたっての問題は、日本の漁夫の抑留されておりますその釈放の問題でございます。これは一日も早く解決を見なけれぱならぬと考えて、これが大村における朝鮮人収容所の問題と関連しておることも事実でございます。関連してこれはなるべくすみやかに解決をしようという方針でずっと参っておりますが、今日までまだ解決を見ないことを遺憾としております。しかしこれも急ぎます。しかしこれとはまた別に、日韓全般の関係を正常化するために、これまた根本的に交渉を進めなければなりません。その問題について最も重要な問題は、この先ほどからお話のある李承晩ライン、李ラインの問題でございます。これを解決することが一つの大きな問題でございます。 それからその次の、さらに具体的にいえば重要な問題となるのでございますが、それは韓国における日本の個人の財産の問題、この処理の問題、日本における韓国人の財産、こういう財産処理の問題が大きな問題になります。そういうことが主として大きな問題で、その他の問題はいろいろまだございますが、これはそれに比較してみて困難さが少し違うのじゃないかと考えております。まあ大体さようなことで進んでおるのでございますが、この問題については、よほど重要ないろいろな処置をとらなければならぬ関係上、すぐ解決するという見通しは今日持っておるわけでないことを申し上げるのを遺憾とします。しかしこれも十分に考慮して、たとえばアメリカ関係あたりも十分に一つ連絡をして、そしてこの問題の解決をするようにしむけていきたいと、目下努力をいたしておることを申し上げる次第でございます。
○青木一男君 先ほど外務大臣は、他の委員の質問に対して、米国がこの問題に非常な関心を持って解決に努力されておるという報告がありましたから、私もその点満足します。一体韓国政府がわが国をおどかすために使っている武器というものは、これは言うまでもなく米国から供与されているものでございます。しかしそれは共産主義陣営からの攻撃に対して自衛するために与えてある武器であることはこれまた明白であります。日本をおどかすために与えた武器でないことは明瞭でございますからして、そういう筋違いの使い方については、米国は十分な発言権があるはずでございます。それでございますから、この問題を解決する力を持っておるものは、私は米国が一番であると思いますからして、その米国の理解と協力によって、この問題が一日も早く解決するようにこの上とも政府の努力を要望しておきます。 次に対ソ交渉についてお伺いします。自由民主党の緊急政策中に示されておるところの対ソ交渉の根本方針は、大体において第二次鳩山内閣が交渉方針としてとられたものを踏襲しておるのでございます。また国論を代表しておるものと思うのでございます。政府はこの強い国論を背景としてこの上とも極力その実現をはかっていただきたいと思いますが、首相の御決意のほどを伺います。
○国務大臣(鳩山一郎君) ソ連との国交の正常化ということは、世界に平和を持ちきたす上において非常な必要な問題でありますので、できるだけ力を費しまして、その達成をこいねがっている次第でございます。
○青木一男君 ソ連は今もってわが邦人を戦犯の名において抑留しておるのでございます。しかし方々で述べられておるように、ソ連は日本との不可侵条約を侵してわが国に宣戦を布告し、満州を占領し、無抵抗のわが邦人を虐殺し、凌辱し、拉致したものでありまして、日本人に関する限り、戦犯などあり得ないことは当然でございます。この点において、ソ連の当局が日本人をドイツ人と同じように扱うことは根本的に誤まりであると考えるものでございます。同胞は幾世紀も昔に行われたような人質政策の犠牲となって、対日交渉の道具に使われておるのでありまして、人道上許すべからざるところであります。わが国と国交を回復するという好意があるならば、まずもってかかる非を正して、国際信義の上で、同じ土俵の上に立ってもらう必要があると思いますからして、どうしてもこの抑留者は最優先に返していただきたいことを念願するものでございますが、首相のお考えを伺います。
○国務大臣(重光葵君) 私からお答えいたします。 私も抑留者の問題を日ソ交渉の問題に、何というか、引っかけるというか、条件とするということには、どうも私はふに落らません。これはあくまで人道問題として解決をしていくことが、一番国交を回復し、正常化する上においてもいいことだと考えます。これは日本のためにいいことは言うまでもございません。しかし国交を回復しようという考えから言えば、ソ連側もこれは実現しても差しつかえないように私は思います。しかしそうなっていないことを遺憾としますけれども、これはあくまで早く解決をしてもらうように努力をしなければならぬと考えてやっておるわけでございます。
○青木一男君 領土の非併合ということは、国連憲章の根本精神でございます。またポツダム宣言に引用してあるカイロ宣言を見ましても、領土拡張の意思なきことが明記してございます。ヤルタ協定のごときはわが国としては終始関知せざるところでございます。南千島のごとく、当初から一貫した固有領土を回復するということは、国際法上当然の要求であり、またわが国民一致の要望であるのでございます。一部には国交を回復した後にあらためて領土問題を交渉せよという説もあるようでございますが、かくのごとき手続はソ連の不法占領の現状を是認したことになるのでございまして、領土の回復は全く不可能に帰することは明瞭でございます。従ってかかる説は結局領土権を放棄せよということにひとしいと思うのでございますが、政府の見解はいかがでございますか。
○国務大臣(重光葵君) 領土の返還を要求する要求を持ち出しておる根拠につきましては、今お話しの点のような事柄をわれわれはやっぱり考えております。さようなわけで、日本の正当な領土として要求すべきものは要求しておるわけでございます。 そこでこの国交回復等のことについて実現するために、暫定協定をして、領土問題等はあとに残した方がいいじゃないかという御議論が昨日衆議院の予算委員会の方でございました。一つのお考え方だろうと考えます。しかしながらこの戦争によって起った大きな問題、特に日ソの間における主要な案件は解決をして、そうして平和条約を作って国交の回復をしようという段取りに今、日ソ交渉は進んでおるのでございます。それは日本だけではない相手方のソ連もそういう考え方で今交渉を進めておるのでございますから、私はあくまでその方針の筋によって主張すべきは主張し、わが正当な主張の実現をはかるために、全力を尽して交渉に当るべきだと、こう考えて進んでおるわけでございます。
○青木一男君 対ソ国交の回復を早期に妥結したいというのは、もしできるならばそれに越したことはございません。しかしながら早期妥結にとらわれるがために、国民の要望を裏切り、悔いを千載に残すようなことがあってはならないのでございます。先ほど首相は日ソの国交回復によって世界の平和に貢献したいという熱意をまたあらためて披瀝されました。私はこれは実に崇高な大悲願であって、尊いものであると思うのでございます。しかし最近の四国外相会議の結果等から見ましても、世界緊張の原因は両陣営の根本的対立にあるのでございまして、わが国とソ連が国交未回復であるというようなことは、そう大した原因にはなっておらないことはこれは明瞭でございます。従いまして、いたずらにわが国の犠牲によってこの不満足なる国交を再開し、世界平和を確立したいという悲願もなかなか達成できないのではないかと心配するものでございます。われわれは過去の歴史の教えるところに征って、根気よく一つ対ソ交渉の妥当なる解決に一そうの努力を傾注されんことを希望いたしまして、この問題の質問を終ります。 次にフィリピン賠償のすみやかなる解決は、これは国民のひとしく要望するところであります。自由民主党の緊急政策において、わが国の支払い能力、平和条約の精神、ビルマその他の国に対する影響、そういうことを勘案して妥結すべき旨を決議いたしましたのは、これはわが国の経済自立計画が賠償問題のために蹉跌してはならないということ、また一たん約束したものは必ず実行するのでなくちゃならないという、そういう精神から出ておるのでございますから、政府はこの線に沿ってやはり交渉上の努力を希望いたします。第二次大戦という不幸なる事件が起きた一つの原因は、第一次大戦の解決に当って、ベルサイユ条約においてドイツに過当なる賠償義務を課し、それがためドイツ国民をあげて自暴自棄に陥らしめたということが非常なる大きな原因になったのでございます。そういう点からみましてもこの賠償問題については、私どもは一たん約束したら必ず実行するという決意とその能力のもとにこれを約束しなくてはなりません。先ほど菊川委員が賠償の支払い能力の問題について質問されまして、これに対して外務大臣の答弁がありましたが、私はどうもまだはっきりしない点がありますから、重ねてお伺いします。私どもはわが国の賠償能ヵを算定する場合に、中共に対する賠償ということは考えておりません。どうも菊川委員はそれも考えに入れなきゃだめじゃないかと言われましたが、私どもはその点の見解を異にするものでございます。中華民国の正統政府としてわれわれは蒋介石政府を承認し、これと平和条約を結んで賠償問題も解決しておるのでございます。これは国会の決議によってわが国の意思ははっきりしております。単にわが国の意思がはっきりしておるだけではなく、当時から今日まで蒋介石政府というものは、中華民国の正当なる代表政府として、国連においてあの常任理事国の地位を維持しておるのでございます。従いまして、これは国際的に見ても中華民国の正統政府は蒋介石政府であるということが認められておるわけでございます。もちろん中共政府の事実上の力というものはわれわれも否認することはできません。しかしながら法律上から申しますれば、今日までとにかく蒋介石政府というものがその正統政府でございますから、将来中共と何らかの取りきめをし、条約を結ぶことがありましても、私はその中華民国の代表者として二度講和条約をするということはあり得ないと思う。他のことはいろいろな約束はできましても、そういうことは一ぺん済んだ中華民国との講和条約をもう一ぺんやるということは私は想像することができませんが、従って中共に対して賠償金のまた約束をするということは想像いたしませんが、その点の外務大臣の所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(重光葵君) 今るる申されたことを伺ってみますというと、せんじつめれば先ほど私がお答えしたことになるようでございます。私は御説明の一々について、一々これに対して賛意を表するというわけには参らぬかとも思いますけれども、大体の考え方はさように考えております。
○委員長(西郷吉之助君) 千田君。なお千田君に申し上げますが、通産、農林からはそれぞれ政務次官が来ておりますからどうぞ。
○千田正君 外務大臣にお伺いしておきますが、特にお伺いしたいのは、この日比賠償問題につきまして先ほどから総理からもお答えがあったのであります。総理からのお答えは主として四億ドルを超過する方向に向ってきておるが、八億ドルというような問題ではない、こういうのでありますが、外交折衝の過程におきまして、平和条約の原則からいって先ほども青木委員が言っておりましたが、第二次世界大戦、第一次世界大戦の結果から戦勝国が戦敗国に対しての賠償に対しまして金銭的な賠償を強要しない、むしろこの平和条約におきましてはいわゆる技術賠償いわゆる役務賠償に進むべきであるという原則に立って平和条約が結ばれたようにわれわれは考えております。ところが今度の日比賠償がこういうふうになってくるというと四億ドルをオーバーしてくる、オーバーしてきたもののその内容においては役務賠償ばかりではなく、これは金銭賠償に進んでいくんじゃないか、あるいは物資賠償にまでいっておるんじゃないか、この点をわれわれは懸念するのでありますが、これはどういうふうにいっておるのか、この点を伺いたい。と同時に、スペインがフィリピンの賠償に対しまして、フィリピンの国内におけるところのフィリピンの財産権の侵害に対して日本側に賠償を要求する権利があるのだというような強い主張をしたやに聞いておりますが、スペインから日本政府に対して、フィリピン国内にあったところのスペインの財産に対する賠償を要求されておるかどうか、この点をどういうふうに考えておりますか。
○国務大臣(重光葵君) 日比賠償の交渉の内容を申し上げるのを差し控えなければならぬことを遺憾とします。できるだけすみやかに話したいと思います。 今のお話の御疑問の点でございますが、これは十分に注意しなければならぬと思っておりますが、サンフランシスコ条約をそのまま向うにその通りにやれというわけに参らないことは、先ほど私が申した通りでございます。向うがその条約をまだ批准をいたしておりませんからやむを得ません。そこでやっぱり賠償の問題については、向うの考え方とこちらの考え方――その希望との間に相当の妥協の線を見つけ出すよりほかに解決の方法はございません。それをできるだけわが方の希望に沿うように解決をしたいと思って努力をいたしておるわけでございます。むろんすべてを金銭賠償にしょうなんという考えは毛頭ございません。しかし全部役務賠償で済むかということも今お約束することもできません。若干の妥協の線が出てくるだろうとこう考えます。しかしそれでも、できるだけ早く解決をしたいという大方針のもとに話を進めておるわけでございます。 それからスペインからは若干の賠償要求がきております。賠償と申しますか、クレームの形において参っております、これは外交交渉によって妥結をみるよりほかに方法はございません。それを今後開始しようと考えておる次第でございます。
○千田正君 正確な面はお答えを差し控えられたようでありますから、それ以上追求はしませんけれども、今度のこの日比賠償は将来の東南アジア及びアジアを含むいろいろな経済計画に非常に重要な役割をすると私は思うのであります。そこでこれは高碕国務大臣もおられますが、高碕さんのお考えが率直に表明されたかどうか知りませんが、巷間伝うるところによると、フィリピンの賠償はある程度オーバーしても、まあ八億まではいいませんけれども、四億ドルをオーバーしても将来の東南アジアの市場を確保するために、フィリピンとの親善を増す意味においても、フィリピンの市場を日本が確保する意味からいっても、将来の何十億という利益が生まれてくるとするならば、ある程度この際四億ドルをオーバーしてあるいは八億ドルに上るとしましても、フィリピンの交渉に応ずべきではないかというようなことを、財界方面においてお話になったようにわれわれは伝え聞いているのですが、そういうふうな観点に立って高碕国務大臣は現在でもこのフィリピン賠償の問題を進めておられますかどうですか、その点はどうなんですか。
○国務大臣(高碕達之助君) お答え申し上げます。経済の自立を達成するためにはどうしても輸出貿易を振興しなければならぬ、そういうふうな意味から考えまして賠償の問題は一日も早く解決せなきゃならぬ。この考えで進んでおるわけなのでございますが、四億ドルは高いとかあるいはそれをオーバーするとかいったふうな問題につきましては、支払期限の問題もありますし、一にかかって日本経済がこれに対して年々負担ができるかいなやということが一番重要な問題だと思います。同時にそれによってお話のごとくほかの賠償関係に影響することがあっては出る、こういうふうな点から考慮いたしまして慎重に折衝中でございます。
○千田正君 再び外務大臣にお尋ねいたします。先ほど外務大臣がここにお見えにならない前に総理大臣にお伺いしたのでありますが、この六月、前国会におきまして衆議院と参議院、両院におきまして在外財産に対する処理の促進に対する決議案が上げられまして、その当時政府からも財政上及び法律上十分に考えて善処するというお答えがあったように私は記憶しております。てれで総理大臣はそういう意味において、内閣に審議会を置いて、そうして各省のエキスパートが理事になって一主懸命研究しているのだと、しかし非常に複雑であってすぐ答えが出ないとこういうお話がありましたが、実際この審議会の中心になるものは、おそらく大部分が外務省及び大蔵省の方々であります。もうすでに終戦後十一年たって今日なおこの問題が解決されない。これは非常に私は日本の将来の大きないわゆるガンになると思う。今のうちにこういう問題は早く処理して一日もすみやかに解決すべきである。私は三十一年度の予算のうちにも、一応めどをつけた一つの方針を立てて、多少なりとも予算化する考えを持っていただきたい。この点については外務大臣としてどういうふうにお考えになっておりますか。
○国務大臣(重光葵君) 私もこれはたるべく早く着手した方がいいと考えます。この前の国会の決議のときに政府を代表して答えたのは私でございす。さような関係もありましてなるべく早く手をつけた方がいいと思いますが、しかしこれまた御承知の通り非常な大きな問題でございますから、これは各国の例もやはり調べてみたり、いろいろなことをして妥当な答案を審議会から出してくるだろうとこう考えます。それを持って十分慎重に検討をしていくべきだと私も考えております。それについて方針としてはなるべく早くこういう問題は案を立つ欠きだと、こういうことについては全然私は同感でございます。
○千田正君 この問題はすみやかにぜひやっていただきたい。今日特に要請しておきます。今日は大蔵大臣が見えておりませんのでこれは保留しておきますが、この問題は単に今までの戦争の跡始末ばかりでなく、これからいろいろな交渉にも影響してくると思いますので、すみやかにそのめどを立てていただきたい、これを強く要望いたします。 先ほど春木委員のお尋ねの際のお答えの中に、日ソ交渉の問題の特に重点となるところのいわゆる抑留されておる戦犯の帰還という問題が、なかなかむずかしい状況になっておるようでありますが、前国会におきましては総理大臣及び外務大臣からは、あくまでも戦犯の釈放を第一義としてこの日ソ交渉に乗り出すのだというお答えであったのであります。その後今日になってもこの問題は打開しておらない。今後も相変らずそれを第一義としてやっていかれるのかどうなのですか。それとも並行してやっていくのか、あるいはこれはあと回しになるのか。これは日本の国民にとりましては非常に大きな問題でありますので、この際やはり相変らずこれは従来の方針通り戦犯を第一義に釈放することを、いわゆる国際信義上から、人道上からもこれを日本の外交の第一義として要求するのだ、この看板になんら偽わりはないし、これをもって進んでいくのだというような大外交の方針を相変らずきめて今後も折衝されるのかどうか、この点を一つ承わっておきます。
○国務大臣(重光葵君) この点は先ほども申し上げたかと思いますが、これはむろんこれを人道上の問題として第一義的に考えて進んでおる問題でございます。これを一日もすみやかに解決したい、こう考えていろいろソ連にも問い合せをしております。その問い合せに対してはソ連側も快くこれに応じて返答をして来ておることも御存じの通りであります。これはすぐ発表いたしております。さようなことで少しでもこれは先に進むようにと思って努力しておるわけでございます。
○千田正君 もう一つ大きな問題で、最近特に日本として心配しておる問題は、アメリカ側が最近の発表によりますとエニウェトク環礁において原水爆の実験をまた明年やるのだ、こういうことを発表しております。さらに二、三日前にイギリスは濠州あるいはニュージイランドで実験ができないので、アメリカ側に申し入れてこれまた太平洋の海域においてイギリスの原水爆の実験をやりたいのだということをアメリカ側に申し入れておる。一方においては御承知の通りソ連においてこれまた原水爆の実験をして、日本に一万カウントか二万カウントかの放射能が降っておる。まさに日本は置き忘れられた谷間の立場において苦しいところに追い込められておるのですが、この前のビキニの原水爆の被害に対しても日本の要求は十分に入れられなかった。いわゆる三十億というものに対してアメリカ側は七億二千万円、二百万ドルという慰謝料という名前のもとに日本の被害者に与えたのでありますが、今後不幸にしても再びこういうことが繰り返えされることがあってはこれは大へんなのでありまして、この問題につきましては事前にアメリカ側ともちろん折衝はされておるとは思いますが、明春ももう間もないことですから、この問題についてはどういうふうにお考えになっておりますか。
○国務大臣(重光葵君) 最近原水爆の実験がソ連において行われたという報道がございました。この報道は打ち消されておりませんから事実でありましょう。米国は太平洋において実験を再びするということは新聞に報道としてございました。これはまだ確報は得ておりません。これはその報道は正しい報道であると申し上げる材料がございません。何にも通報を受けておりません。それから英国がまた同様実験をやるということも確報を得ておりません。まあしかしさような工合で、原水爆の実験をあっちもこっちもやるというような気分がそこに出てきておるようでございますことは、これは最近のジュネーブ会議以来の国際情勢の変化を何らか物語るような感じがしてまことにこれは遺憾な傾向だと思っております。原水爆の実験につきましては、米国側に対してはビキニ問題のとき以来非常に交渉しまして、ああいうことの再現しないように、実験は行われても無害な措置をこれはとらなければならぬ、予防措置をとらなければならぬと言って、その点においてはアメリカも最大の努力をすることを約しております。そこでそれは実行してくれることと思います。たとえ実験があっても。そこで実験そのものをとめたらよかろうという運動が今国際連合を中心にしてあることも御承知の通りであります。そういうことは主義として日本政府としては賛成でございます。しかしそれをその通り実現するということは、日本はまだ自分の力でどうなるというわけではございませんので、これは国際連合あたりでさような空気を醸成して、そうして同じ意見を持っておる国々と連絡をして、そうして目的を達するように措置しなければならぬ、こういうふうに考えて進んでおるわけでございます。実験の無害になるようにというような措置を講ずることは、これはずっと前にビキニ問題以来アメリカには十分に申上込んであるわけでございます。今日までの実験のことにつきましては、大体さように報告を申し上げます。
○千田正君 この前のビキニの跡始末のとき、非公式に外務大臣から向う側に事前に通報をしてほしいと申し込んだはずであります。そのときのアメリカ側の答えというものは、これは機密な問題であるから事前には通報はできないのだ。こういうふうにわれわれは受け取っておるのですが、いわゆる機密の兵器の実験だから事前にはほかの国には知らせないのだ、まあ損害が生じたならばそれに対してあるいは慰謝料なり賠償ということはやろうと、こういう程度だろうと思うのです。これでは安全な立場においていわゆる太平洋なら太平洋において漁民が操業もできなければ、あるいは船舶の航行もできない。こういうふうにわれわれは考えるのですが、事前に非公式であってもこの点において何か察知する方法なり、あるいは事前の連絡なりを受け取るような方向にこの話を外交上持っていけないかどうか、この点はどうなんですか。
○国務大臣(重光葵君) 私もそう考えております。そうしてこれは日米のごく緊密な協力関係から見て、それは不可能なことではないと考えております。そういうことはまた予防措置の重大なものでありますから非常にいいことだと考えております。
○千田正君 ビキニの問題に対しては私は非常にあとから不快な念を持っておるのは、当時の二百万ドル、いわゆる七億二千万のうち漁業の被害に対して五億数千万出したのでありますが、それに対して日本政府の大蔵省がこの慰謝料に対して税金をかける。こういうようなことを言うているということは、まことに私は残念なことだと思う。それで私は鳩山総理大臣にお尋ねいたします。が、そういうような日本の無事の民が外国の原子爆弾の実験等によって被害をこうむって、それが賠償の形式じゃない、慰謝料として受け取った金に対しまして、日本の政府はそれに対してこれは慰謝料といえども金銭の取得であるから税金をかける。こういうようなことは私はまことに日本の政治があまりに法的に縛られて真の生きた政治じゃないと思うのですが、こういう問題に対しては総理大臣はどういうふうにお考えになっておりますか。
○国務大臣(鳩山一郎君) よく検討をいたします。
○千田正君 外務大臣に最後に一点だけお伺いします。 今国連への日本の加入はほかの議員もお尋ねしたと思いますが、十八ヶ国の一括加入の問題が起きておりますが、国府の反対か賛成かという問題が非常に世界の視聴を集めておるのでありますが、これが一括加盟という問題になってきましたときに、台湾におけるところの中国国民政府がモンゴールの参加に対して反対であるという意味から結局理事国としての拒否権を発動した場合においては日本は参加できない。まことにこれは悲しいことなんですが、この問題に対しましてたとえばもちろん手落ちはないと思いますけれでも、この一括上提という問題に対して個々審議というような問題を取り上げて、この国連の当事国に対し十分なる外交折衝をしておられるかどうか。それからたとえば今の拒否権を発動しようとするところの蒋介石政権である国民政府に対して、この問題に対してどういうふうに取り扱うかという日本の有利な方向に向うところの特別な外交折衝をしておられるかどうか、この点はいかがでございますか。
○国務大臣(重光葵君) 国際連合に加入するという問題は、これは日本としての大きな要請でございまして、国会の決議もはっきりしておるわけでございますから、それに向って外交機関は全力をあげて参りました。そこでこの問題を詳細に御報告をいたす材料は十分ございます。ございますが、ただ今文書がございませんから、私は大体のことを申し上げます。 第一の点はカナダ政府が十八カ国の一括加入の形式を持ち出した、この点でございます。その点の日本との関係は、日本もこれを持ち出してもらうようにカナダにおける日本の大使館が主となりまして、これが第一段でございます。そうして十八カ国の一括加入ということに日本も入れてもらう。なかなかスペインまでは入れるけれども日本を入れることは困難であったのです。それを入れてもらうことになった。これが第一段の成功と申しますか、階段でございました。 そうしてそれをソ連に認めてもらうということが非常に大きなことでございます。これはアメリカのピァソン外務大臣がモスクワに旅行をいたしました、それは何ヵ月揃でございます。その時からもピアソンばそれを頭に持ってソ連にこれを承諾してもらうことに全力を尽くしました。そこで大体下地ができました。ソ連は日本とまだ平和条約を結んではならないのでございますから、ソ連としては日本の国際連合加入について従来は拒否権を発動して異存を唱えておったのであります。しかし十八ヵ国の一括加入という形式のもとにソ連はその態度を日本のために有利に変えてくれたのでございます。これは私は非常にその点は日本としてこのソ連の好意ある態度をアプリシエイトして、感謝していいと思うのでございます。 そういう階段になりまして、それから一番大きなことはアメリカの態度でございます。アメリカの態度が十八ヵ国一括加入の案に賛成をするかどうかということがこれは大きな問題でございます。一括加入ということに対してはもうこれはアメリカは終始一貫反対をして、すごく反対を表しておったのでございます。国際連合の規約から見ると、これはもうどの国が国際連合に加入し得る資格を持っておるかということは、国別に個々にこれを調査をしなければいけない、個々に検討をしなきゃならんという主義で固くこれを維持して来ておったのでございます。そうでありますから、従来のソ連の一括加入の方式には絶対に反対であったのでございます。そこでアメリカの態度を変えてもらうことが非常に困難であり、また重要になって参ります。これに対しては日本の外交機関東京でもそうでございますし、またワシントンにおける大使、これは密接にアメリカ側に連絡をとって、その態度を緩和してもらうために努力をいたしたのでございます。そうしてアメリカは相当早く態度を緩和してくれまして、十八カ国の一括加入ということについて賛成をする態度になりました。これは単に政府との連絡の結果であるのみならず、アメリカの世論に働きかけたことが、これはニューヨークにおける国際連合に駐在しておるわが大使、ワシントンの日本の大使館等の何で世論に働きかけまして、そこでアメリカの大新聞がみんなこれを支持いたしました。これは今国際連合を強化すべき時期であるという大上段の意見で、そういうことになったわけでございます。 そこでアメリカの態度を有利に向けていくということは容易になったと私は観察いたしております。イギリスはカナダの意見に最初から賛成でございました。それから大きな故障はフランスでございまして、フランスは多数の新しい加入国があるというと、またモロッコ問題等に対してフランスに反対の立場をとるものが多くなる、そうなれば非常に不利益であるという立場をもって最初反対をいたしておりました。しかしモロッコ問題、アルジェリア問題も無事に解決をしてフランスは国際連合に復帰いたしました。総会に復帰いたしました。そういう問題が解決をいたしました結果でもありますが、日本側もフランス側の態度を変えてもらうことに努力をいたしましてこれも変って参りました。その他日本の加入ということは異存は誰もございません。例外なく全部日本の加入を歓迎しております。しかしほかの理由で一括加入の形式に反対しておる国がなお数ヵ国ございました。従来の主張で行きがかりでこれに異議を申し立てておったトルコとか、ベルギーとかいう国々も次第にその従来の態度を変えて、この加入については賛成をするようになりまして、そうして特に日本の加入を支持してくれるということに全部約束をしてくれました。 問題はお話の通りに国民政府の問題でございました。国民政府が外蒙古の加入に対して異議を唱えるということは、私はその気分はほんとうによくわかります。日本もこれは了解していいと思います。しかしながらそのことと日本の加入ということを引きかえにするようなことがあつては、これは単に国際連合の強化ということに反するというだけではございません。何といっても東亜の全局に対する平和、安全という方面から見る大局論からしましても、日本の加入ということは台湾の国民政府としては歓迎すべきことでなければならんと、私はこう考えました。そこで台湾政府に対しましては、一度ならず日本はその意見を表示して、そうしてその障害にならんような態度をとることを強く勧めました。それのみでなくしてアメリカは大統領から蒋主席に対して三回の勧誘をいたしております。つまり拒否権を使ったりすることのないように、そうして十八ヵ国の加入が円満に認められるように、アメリカは蒋主席に三回の勧誘をやっております。その結果はいまだにわかりません。どうなるかこれはわかりません。わかりませんけれども私は国民政府が大局の上に立って日本の加入ということも歓迎してくれる結果になることを強く今期待しておるわけでございます。 さようなわけでございまして、この国際連合の、今その方面の委員会は九日に一括加入のことを審議する委員会が終りまして、それを理事会にまたかけなければなりません。理事会にかけて、理事会の推薦によって総会でこれを決議して最終決定になるわけです。その総会は今のところでは十五日に予定されております。それによりまして、これは無事に進めて参れますように非常に希望をいたしておるわけでございますが、情報によりますと、これに反対する分子は、時間切れにするように持っていこうというような策動もあるということが報ぜられておりますけれども、わが機関、特に二ューヨークにおけるわが機関を全力をあげてこれが間に合うように、実現されるように方々を説得して努力をいたしておるような状況でございます。まあ大体さような段階に相なっております。
○千田正君 ぜひ一日もすみやかに加入するように、あらゆる機関を鞭撻して達成に進まれんことを要望いたします。 私、持ち時間もあまりありませんから、倉石労働大臣、それから高碕経済企画庁長官、それから河野農林大臣のかわりに政務次官が出ておりますようですから、一括して私は重点だけお尋ねしますからお願いいたします。 倉石労働大臣にお伺いしますのは、最近のいわゆる失業者の対策のうち、行政機構の改革が将来なされるということをたびたびこの政府で発表されておりますが、ことに今度はそれが強い立場で打ち出されておるようでありますが、失業者を出さないということを言明しておるようでもあるけれども、実際われわれは出るものと推定しております。そういうことを推定するんですが、そういう問題が出て来た場合を想定して何か考えておられるかどうか。もう一つ潜在失業者がだんだんふえて来ておるこの対策はどうであるかということと、外地から引き揚げて来ました引揚者が、その後十分に就職なり就農なりしておるかどうか。もう一つは最近の大学の卒業生あるいは高等学校の卒業生は非常に就職が困難である。こういう問題に対してどういう方法を今後とっていかれるか、この点をお伺いいたします。 それから高碕企画庁長官にお尋ねしますのは、コロンボ・プランに対しまして日本側はどの程度の一体力を注いでいくのか。現実において金銭的かあるいは技術的にはもちろんでありましょうが、技術的にどれだけの一体力をかしていくのか。またそのバツクとしましての一体資金面はどの程度の予算を見積っておるのか。あるいは三十一年度にこれを本格的にやるとするならば、どの程度のことを考えておられるか、この点をお伺いいたします。 農林大臣の方は、米の統制撤廃の前にいろいろな問題がありますが、率直にお尋ねするのは二十日の配給を復元するのかどうか。本年は非常に豊作である。豊作であるのだが実際に内地米はちっとも配給になっておらない。これは生産者は、すべて豊作のときであるから消費者にもこの内地米を食べさせてやりたいという希望を持って生産をしておるのでありますから、この配給の復元ということに対してどういう考えでおるか。 それと、日韓問題に対しましてどういう公海について処置をやるのか。この漁民が今や食えなくなっておる、留守家族が非常に困窮しておる。それに対してどういう処置をとっているか。 あとの一点は、大豆の値下りによって、外から入ってくるところの大豆その他の影響を受けて生産農家は非常に困っておる。ことに開拓農民のその八〇%というものは大豆に依存しておる。この十二月二十日に政府から借り受けた資金を返さなければならない償還期にきておるのにかかわらず、それを返すべきいわゆる元であるところの大豆が非常に値下りしたために、とうてい返し得ない状況にある。これに対して農林行政としてはどういう考えでおるか。この点を順次御発言をお願いいたします。
○国務大臣(倉石忠雄君) 最初のお尋ねは、行政機構の改革について失業者を予定しておるかというお話でございますが、どういう案が出るか私まだ存じませんので、その点についてはお答えを申し上げかねると存じます。 それから潜在失業者のお話でございましたが、潜在失業者というものが果してどのくらいあるかということは御承知のように非常に不明確でございますけれども、まあ大体御承知のように、どこの国でも総人口の三%くらいの失業者については、これを失業者と言っておらないような状態でありますが、私どものような経済の底の浅い日本経済では、やっぱり失業すればすぐに困るわけでございますので、私どもはそういう点を考慮いたしまして先年から失対事業をやっておりますが、この失対事業に対しての世間の非難は非常に能率が悪いとか不経済な仕事をしておるとかいうことでございますので、昨年来特別失対事業というものをやりまして、建設省、農林省とこの建設的な方面に使うということになって参ったことは御承知の通りであります。そこで政府は、来年度の予算には、今年は三万人でありましたが、さらにこれを十万人にふやす。それから全国各地の、国会議員の方々からの御要望でありますように、労務費も資材費も不足であります。これを上げろという御要望が非常に多いのでございまして、これも引き上げることにいたしております。従って予算額から見れば、今考えておりますものは相当額のようてありますか、経済効果をねらうという意味で、それから同時にこの失対事業を効果的にやらせるという考え方で、そういう予算を出そうと考えております。まあそういう場合にはぜひ御協力をお願いいたしたいと思います。 それからただいまのお話のソ連からの引き揚げの問題でございますが、これは昭和二十八年三月以降現在までに中共地域から十一次、ソ連地域から四次にわたる引き揚げが行われております。それで大体三万名の帰国をみた次第でございますが、これら帰国者の就職援護につきましては、御承知のように到着地点である舞鶴に臨時職業相談所を開設いたしまして職業相談を実施する一方、求職状況に即応した求人開拓を直ちに実施するために、職業あっせんについては、特に労働省の職業安定所でございますが、特に引揚者に対し重点的にやるような業務を強力に進めておる次第でございます。そういう結果で本年十月末までには引揚者のうちの求職者約一万二千名のうち、約六千八百名を就職せしめたような次第でございまして、その就職率は五四・六%となっておるわけでございまして、一般求職者の方は三九・〇%でありますが、それを上回るといった良好な成果を現在のところはおさめておるわけでございます。その他の者については大多数は御承知のような自分で商売をなさる方、または縁故によって就職いたしましたが、なお若干の未就職者がございますので政府は特にこの点に力を入れて万遺憾なきを期しておる次第でございます。 それからお尋ねの大学卒業生でございますが、これは実に私どもも頭を悩ましておるところでございますが、この新規学校卒業者は、毎年労働力市場」現われる一番大きなものでございま3が、これらの適正な配置をはかるここは、単に卒業生個々にとってばかりでなく、国家的にきわめて重要な問題でございますので、労働省は御承知のように、地方と相談をいたしまして、例年職業安定行政の重点業務の一つとして努力を重ねておりますのは、地方の自治体と相談をいたしまして、特にこれの新規卒業生の対策本部というふりなものを設けて、これが非常に地方から喜ばれておりますが、明年三月中亭及び高等学校の卒業予定者は、中学校は約百八十六万人でございます。高等学校は約七十三万人でございまして、昨年の同期に比べますと、それぞれ二十万人、一二・何%になりますか、それから高等学校が四万人の増加ということでございます。これに伴う就職希望者も、中学校が約五十二万七十人でございまして、高等学校が約三十六万九千人となります。昨年に比べますと、これもそれぞれ八万九千人と二万三千人の増加となっておるわけでございまして、目下職業安定機関をあげて、この雇用主に対する協力要請と積極的な求人開拓を行なっておるところでございますが、御承知のように中手校、高等学校の卒業生は、比較的就職率はいいのでありますが、大学になりますとなかなか思うようにいきません。そこで公共職業安定所において実際に把握しております現在の求人は、十月末現在で中学校が十八万六千人、高等学校が六万八千人でありまして、年年の同期に比べると中学校においては三八%、高等学校においても四七%の増加になっております。去年より就職率はよろしいわけでございまして、現在においてはそういう良好な足取りを示しておりますが、大学卒業生については、今申し上げましたように、本年十月末現在で医学部、教員養成学部等を除きますと、一般就職問題の対象となる学部の在籍者は約十四万一千人でありまして、そのうち就職希望者は昨年同期に比べますと四万一千人ふえております、十一万七千人でございます。すでに就職の決定いたしました者はそのうち一万八千人という低率であります。労働省においてはこういう情勢に対処いたしまして、昨年度と同様、さっき申しました学生就職対策本部を設置いたしまして、文部省、それから都道府県、大学、各経営者団体等を一丸とした態勢のもとに、来年度の大学卒業生に対する就職を今非常に努力いたしておる、こういう状態でございます。
○国務大臣(高碕達之助君) お答えいたします。コロンボ会議に対する日本の援助につきましては、原則といたしまして技術的援助ということにいたしたいと存じます。資本的な援助をする余裕はありませんが、しかし技術的援助をするために場合によればプラント輸出というふうなことの形式におきまして、ある程度の投資あるいはある程度の労務提供ということを、経済力の許す範囲においてやつていきたいと思っております。
○政府委員(大石武一君) 農林大臣にかわりましてお答えいたします。二十日の配給の復元をいたしたいという御質問でございますが、全くわれわれもそのようにいたしたいと考えております。それには何といたしましても米を集めることが第一の問題でございますので、目下集荷に一生懸命努力いたしましてその需給の状態を十分に慎重に検討いたして、なるべくそのような方向に持って参りたいと努力いたしております。 次に李ラインから締め出されました西部沿岸地区漁民の問題でございます。これはわれわれといたしましても、この地区の漁場というものを確保いたしたいと考えておりますのでございますが、これから締め出されました漁業者に対しましては、一応応急の対策といたしましてはカツオ、マグロその他に転業をするようにということを奨励いたしまして、そういうような方針をとつておる次第でございます。ことに向うに拿捕されております漁民の留守家族遺家族に対しましては、何としてもできるだけの手当をいたしたいと考えておりまして、いろいろ考えておる次第でございますが、第一番に漁船乗組員給与保険というものを特に二十八年度より設けまして、これにつき保険に加入して、その保険金によってその生活をささえるようにいたしております。さらにこの保険の未加入者の留守家族に対しましては、保険加入者の一人当り保険金の契約金額を基準といたしまして、二十八年度において交付いたしました、それ以上の生活の資金が参るようにと、目下一生懸命に協議努力いたしておる次第でございます。さらに給与保険に入っておりますので低額加入者がございますが、これに対しましても生活が立ち得るようにその足りない分を補給してやりたいと努力いたしております。その他各関係官庁とよく連絡いたしましてさらによい対策を立てて参りたいと思う次第でございます。 次に漁業者に対する援護措置といたしましては、漁業特殊保険の加入を容易にするため、その料率の軽減について十分検討し、十分にこれらの保険を利用いたしまして万一の場合に備えたいと考えておる次第でございます。 次に大豆の値下りによりまして大豆生産者にいろいろと迷惑を与えておる次第でございますが、ことにこの大豆の生産に当つておる開拓民に対しては非常に打撃を与えておることは仰せの通りでございます。私ども何とかして農家がこれによって壊滅しないように、十分に立ち直れるようにと一生懸命考えておる次第でございますが、その応急の対策といたしましては、大豆の収入に頼つておる開拓民に対しましては、安い値段のときに売り急ぎをしなくてもよいように、十分相場が回復してから売ることができますようにということで、つなぎ資金の貸し出しに懸命に努力いたしております。ことに償還期の期限の来ております融資に充てるために、また営農資金に充てるために農林中央金庫と折衝いたしまして、これらのつなぎ資金を中金から貸すように決定いたしております。そして一部中金から開拓民に対しまして数千万円の金額を貸し出しておる次第でございます。 以上がお答えであります。
○千田正君 たくさん質問ありますけれども、あとは各委員会を通じて私は質問をいたします。
○八木幸吉君 六月十日のこの予算委員会で、総理は、自民両党が解党して新党を作る場合には、国民の意見を聞く方が民主的であり、正しい行き方である、こう言明せられたのでありますが、この言明に反して解散をされなかったのはどういうわけでありましょう。
○国務大臣(鳩山一郎君) 政権の移動がないということを予測いたしまして、解散をしませんでした。
○八木幸吉君 六月の御言明は、新党ができたら国民の意見を聞くのが立憲的である、こう言われたので、政権の移動があるかないかということはそのときのお話では関係がなかったわけでありまして、私はそのときの御心境と今回の所信とは異なっているのだ。こう思うのですが、そこのところの御説明をもう少し突つ込んで承わりたいと思います。
○国務大臣(鳩山一郎君) 政権の担当者も変らず、それから政策の移動もないということが予測せられましたから、そこで解散の必要なしと考えました。
○八木幸吉君 新党ができたことに対して国民は一体どう考えるか。今までと同じようにやはりこの新しい党を過半数以上で支持するというかどうかということが解散の主たる目的であつて、政権の移動が行われないという予想であれば、何も総辞職をなさる必要は私はなかったと思うのです。すなわち与党の基盤に変化を生じたことは解散の理由にはなるが、総辞職の理由にはならない。私は、まだ引責辞職の段階ではなくて、内閣改造の段階であったのにもかかわらず進んで総辞職をされたという、どうも積極的の意味がないと思うのですが、いかがでございましょう。
○国務大臣(鳩山一郎君) 政権を支持する与党の基盤が変ったものですからして、与党の基盤が変つたときには一応辞職をして、さらに指名をする方が適当と考えたのであります。
○八木幸吉君 申したことを繰り返すようですが、与党の基盤が変ればこれは国民にどうしたらいいかということをお聞きになるのが正しい道であつて、総辞職で国会にもう一ぺん指名しろということは、指名の結果というものはこれは予想されているのですから余計な手数であつて、もっときつい言葉を使えば国会の指名権を乱用した結果になる。しかもこの六月におっしゃった正しい筋道であるという解散の方は抜きにされた。六月の御声明は、まことに筋の通った御意見だと私は拝聴いたしておったのですが、それと今回の御所論とは違っておる。その点がどうも納得がいかないのでございますが、いかがでございましょう。
○国務大臣(鳩山一郎君) 八木君の議論は首肯ができます。とにかくときどき国民の意見を聞いて政治をやるということは非常に必要なことだと思います。それですから解散ということも考えないわけではありませんでしたが、その当時において国民の大体のことは紙上でわかつておりましたし、多数は保守合同に賛成だというのが、大体全国各地の状況によりまして保守合同を非常に歓迎しておったものですから、それに対してその可否を問う必要がないと私は思ったのであります。同時に解散に対しては非常に不満足な人もたくさんあったものでありますから解散の道をとりませんでした。
○八木幸吉君 現在保守側を支持する国民は大体全国民の三分の二と見てよかろうと私は思うのですが、そこでこの保守が二つの党派であって、あるいは閣外協力なり、あるいは連立内閣なりで政局を担当するということは、私は現在の国情から照らして一向差しつかえないことだと、こう考えるのですが、それにもかかわらず非常な無理をして、総裁をきめるのに大へんに手数がかかってまだきまらぬといったような内部の派閥の醜いありさまを外に出してまで保守合同をしなければならなかったかどうか、ほんとうに保守合同する必要の真の意義はどこにあったかということを一に率直に伺ってみたいと思います。
○国務大臣(鳩山一郎君) (第二次鳩山内閣を支持する政党はわずかに百八十五名でありまして、とてもこれでは政策の実行はできませんでした。ちょうど保守合同の話が新聞紙等に出てくるようになりまして、その従来の感情を一擲して、政策実行のために合同するということは歴史的にはほとんどないことなんでありまして、連立内閣をした後において保守合同なら、自由党と保守党がイギリスにおいて合同したという事例もありますけれども、連立内閣をしない前に保守合同ができたという前例はほとんどないのであります。それですから私はできないだろうというような観測をしておりましたところ、それを保守党員の諸君が従来の感情を一擲しまして、政策は従来の政策を実行するというような範疇の中に合同できたということは、全く私は驚異的な事件だと思います。それで各所の演説会等において保守合同は圧倒的に盛会であったものですから、特に国民の意思を問わなくても保守合同には賛成してくれるものと思ったのであります。それで、しいて解散をいたしませんでした。
○八木幸吉君 そこで進んで伺いたいのですが、現在の保守党の内閣が政策上の行き詰まりでなくて、何らかのアクシデントで倒れるという場合が、これは従来もしばしばあった例でありますが、そういう事態が起ったときに、今の社会党の掲げる政策と保守党の掲げる政策とには相当大きな開きが御承知の通りございます。そこで保守党が倒れて社会党の内閣ができる、そうして掲げられたところの政策を忠実に勇敢に実行される、そういう場合に国民経済なり社会全般に対して非常に大きな変革が、あるいは混乱が起るという憂いはないかどうか。二大政党になって、政権が保守党から社会党に行く、しかも現状のままでこの政権の交代ということがスムーズに、国民生活に混乱を起さずに行われるという御確信があるかどうか、その見通しいかんということを承わっておきたいと思います。
○国務大臣(鳩山一郎君) 私は八木君が御心配なさるような同じ心配を持っております。ただいま保守政権から間もなく社会党の政権に移動するということは、日本としては喜ばしくない事態だと思います。それ故に保守党の人はよほど考えまして直ちに社会党の政権が成立しないように慎重に考慮をして行動すべきものと思っております。
○八木幸吉君 この二大政党の対立の関係からいたしまして、参議院がどうしても政党化されるという姿を今日より以上に呈すると思うのですが、私は参議院の政党化ということは、これは好ましくない事態だ、これを何か阻止する御名案はないかどうか伺ってみたいのです。
○国務大臣(鳩山一郎君) 私はそういう名案を持っておりません。政党化するのはやむを得ない趨勢だろうと思いますけれども、参議院の中には、参議院に厳正中立なる政党があることを非常に必要だと考えておられる方もずいぶんあるようでありますから、今のところ急に参議院が二分して二大政党の形態になるとは考えておりません。
○八木幸吉君 次は行政改革の問題で伺いたいのですが、行政機構改革の目的はどこに置いておられますか。
○国務大臣(鳩山一郎君) かつて私が首相をしておりました当時に占領中の諸制度は是正する方がいいという一般的の考えを持っておりました。そういう趣旨からこのたびの行政改革は国民に便宜を与えるということを主眼としていろいろの行政機構の改正を考えたらよかろうと思っております。
○八木幸吉君 今の総理のお話は国情に沿うように行政機構を改革する、こういうように私は承わるのですが、行政機構の改革にはもう一つ大きな私は要素があると思います。それは国力に相応したやはり行政機構でなくてはならぬ。御承知の通り敗戦の結果は国土国富が非常に減っておる、機構と公務員は複雑化し、増加しておる、国民の負担も非常にふえておるのでありますから、国力と国情に相応するように、この敗戦の結果の日本に合うような機構にして、そうして国民の負担を軽減すると、こういうところにウエートはやはり置かなければならぬと思うのですが、いかがでございましょうか。
○国務大臣(鳩山一郎君) 八木君のおっしゃる通りに考えます。アメリカは日本に行政機構の改革を求めましたときに多くは自分の国でやつておるその形を日本に強要したのであります。最も適切なる例は、日本の県を自分のステートと同じような工合にしまして、非常に日本全体を持つような大きなステートの、金持ちのまねを日本の貧困なる県に強要したということが非常な誤まりの初めでありました。そういうわけでありますから、ただいま八木君の言われるごとくにそれもまた行政機構改革の最大の原因になると私は思います。
○八木幸吉君 行政機構改革には基本方針をはっきりおきめになって、その基準でこれはどうするかというよほどしっかりしたものをおこしらえになっておきませぬと龍頭蛇尾なるおそれが多分にある。そこで基本方針としては国は一体何をやったらいいか、中央は何をやつて、地方の機関の業務の範囲はどうだということをまずお考えになるとよいと思います。そこで私は具体的の問題でありますが、まず機構の合理的簡素化の面から申しましても、総理府は総理大臣が各省を指揮監督するという総合的の仕事と、国策の企画立案をやる。そのために強力簡素な組織にするという観点でおやりになるのが必要だと思いますが、その意味から予算編成権を総理府に移すための予算局の総理府内設置が唱えられておりますが、私は賛成でありますが、ぜひこれはおやりになりますか。
○国務大臣(鳩山一郎君) これから検討するわけであります。十分それらの点を考慮いたしまして満足な成案を得たいと思っております。
○八木幸吉君 内閣の外局である人事院も廃止せられ、総理府の内局に人事局を置く、人事行政をここで統轄する、こういうお考えはありますか。
○国務大臣(鳩山一郎君) そういうような点も検討すべき一つの眼目であろうと思っております。
○八木幸吉君 各省の整理統合は行政の目的でやるがいいと思うのですが、自治庁と建設省を合せて内政省を作る、労働省と厚生省を合せて社会省を作る、この考えも私は非常にけっこうだと思うのですが、これもやはり相当熱意をもっておやりになるようなお考えでいらっしゃいますか。
○国務大臣(鳩山一郎君) それらの点については河野行政管理庁長官のもとにおいて検討することと思います。
○八木幸吉君 具体的の問題になりますとまだ総理はそこまでお考えになっておらぬように思うのでありますが、私の希望だけを申しておきまして、頭に入れておいていただきたいと思うのですが、外局もやはりこれは大臣の責任を明確にするために内局に入れるがよい。たとえば農林省では林野庁とか食糧庁とか水産庁、あるいは大蔵省には国税庁といったようなものがありますが、これらは内局で大臣の指導監督を強化するような方向にお進みをいただきたいと思うのであります。 それから行政委員会は総理の先ほど言われました、国情に沿わない占領押しつけ機構の最もはなはだしいものですが、準司法的のものは別といたしまして、たとえば首都建設委員会のようなものは廃止した方がいいのだ、こう私は思うのですが、いかがでございましょうか。
○国務大臣(鳩山一郎君) よく検討をいたします。ただいま私としては考えておりません。
○八木幸吉君 それでは最後に私一言申し上げて私の質問を終りたいと思うのでありますが、余剰人員がいずれ出るのでありましょうが、これらの人は直ちに民間に失業者として出さなくとも、本給だけをこれに給与をいたされましても相当行政費の節約になるわけであります。公務員一人が大体二十五万円くらいの国の費用が要ると思うのですが、そのうちで十万円見当は旅費その他の雑費でありますから、本給を永久に支給いたしましてもなおかつ十万円内外の国費節約になるわけであります。その金を一部国費の節約として、一部を残った公務員の給与増額にお充てになるというふうな考え方も総理としては特に頭に入れておいていただきたいと思うのであります。要は大なる政治力をもってこの問題を実行に移すということが一番必要なことでありますから、こまかい点はいずれ担当国務大臣の方で御立案になるでしょうし、ことに実行力の強いと言われる河野氏がこの担当でありますから非常な希望を持っておるわけでありますから、この問題に対して強い決意を持っているということをこの機会になお総理から一言御表明いただけば私としましても非常に喜ばしい、かように考えるものであります。
○国務大臣(鳩山一郎君) 全力をあげまして目的の達成に努力をしたいと思っております。
○八木幸吉君 ありがとうございました。
○池田宇右衞門君 今回社会党の統一と保守合同の実現によりまして国会は二大政党の対立時代に入りました。わが自由民主党が憲政史上まれに見る大保守政党といたしまして政権を担当することになりましたことは、わが国議会政治発展のために深く喜びとするところであります。総理は先般の本会議におきまして所信表明の演説においてその責任の重大性を痛感されまして、第一着手として憲法の改正、行政機構の改革、税制改正の三大目標を掲げられまして、国民の期待と信頼に応ずるため、全力を振りしぼって国政に当るというその決意を表明しておられるのでありまして、われらの意を強くいたすところであります。 私はここに補正予算の審議に当りまして当面の重要問題につきまして若干の質疑を申し上げてみたいと存ずるものであります。 まず第一にお伺い申し上げたいことは地方財政に関する問題であります。国民生活に最も関係が深く、また国民の意思と直結した政治形態が地方自治体でありまして、この自治体が明治以来中央集権的な機構から幾多の変遷を経まして、ようやく今日のごとき民主的地方自治制度へと発展して参りましたことは総理及び長官もよく御存知の通りであります。最近地方財政の赤字問題に関連いたしまして、ややともいたしますると中央の監督権を強化するような傾向が現われつつありまして、ようやくにしてでき上った民主的地方制度を元に戻すような動きがないでもないのであります。総理及び長官は今後もこの地方制度の民主化という方針を堅持していくというお考えでありますかどうか、あるいはまた今日のごとき地方財政の現状で中央集権的な傾向に行くのもまたやむを得ないとのお考えでありますかどうか、この点につきましてまずもってお尋ね申したいと思います。
○国務大臣(鳩山一郎君) 池田さんにお答えをいたします。今の御質問の地方の民主化を、せっかくここまで発展してきた地方の民主化を縮小いたしまして中央集権的にするというような考えは今のところ絶対に持っておりません。
○国務大臣(太田正孝君) ただいま総理からお話しになりました通りでございまして、何としても新憲法下における自治制というものは民主政治の基盤であり、また国の仕事を流して行く上においても大切な役割を占めております。従って今総理の言われました通り、せっかくここまで進んできた自治制を専制的な非民主的なものに持っていこうと、権力を非常に活用しようとか、そういう考えは持っておりません。
○池田宇右衞門君 地方財政の再建方策でありますが、地方財政は御承知の通り連年赤字を続けておりまして、この間自治庁から発表されました数字によりましても、二十九年末で実質的赤字が六百四十八億、三十年度も地方財政審議会の意見書によりますと五百億円と言われております。これを合計いたしますと一千億を超えると思われるのであります。しこういたしまして、その責任を国と地方とでなすり合いをいたしておるというのが現状であります。さりとて、これをこのまま放置いたしますならば、地方財政は破綻を生じ、民主政治の基盤でありますところの地方自治というものがくずれてしまいます。何と言っても再建策を講じなければならない段階であります。総理及び長官はどういうふうにして地方財政を再建しようというお考えでありますか、この点をお尋ねいたします。
○国務大臣(鳩山一郎君) 池田さんにお伺いいたしますが、自治庁長官から答弁させてもよろしゅうございますか。
○池田宇右衞門君 けっこうです。
○国務大臣(太田正孝君) 池田君のお話の通り、地方財政というものは非常に窮迫したところへ参っております。問題をどう解決するかということになりますると、結局財源に沿わないような行政の実態になっているところに問題がありますので、財源相応な行政に持っていかなければならないと考えております。今いろいろ数字までおあげになりましたが、結局今までたまってきた赤字をどうするか、現在の三十年度の赤字をどうするか、しかも将来に、非常な借金があるとかいろいろな不安があるが、これをどうするか、この過去と現在と将来の三つに分けられるかと思います。この過去の赤字が大へんたまったのに対しまして、昭和二十九年度の実績を見まして、赤字を棚上げしていこうと、こういう意味で本院に再建の特別措置法案でございますかを出しておりますので、これで一応過去のたまった問題を片づける措置をいたし、現年度である三十年度につきましては、今ここて大へん時期も迫って参りましたので、根本的な解決はできません。従って、うっちゃっておけばその赤字がどんどん増してくるようになりますので、本年度の措置といたしましては、赤字を防止する意味におきまして、御審議を願い、百八十八億円、すなわち交付税の三%に相当するものをもってこれに当っていきたい。しかし、問題はもう基本的に措置しなければならぬ問題になっております。幸いに、地方制度調査会におきましても御答申をなされましたので、この線を強く尊重いたしましてやっていきたい。結局のところは、予算で申しますれば、歳入の方で財源をどういうふうに取ってくるか、また歳出の方をどの辺に押えていくかと、こういう問題になるかと思います。歳出につきましての大きな問題は、地方財政の中心問題とも言っていい給与をどう合理化していくか、これは大へん大きな問題でございます。また、公債費が非常に多くなっておるけれども、これをどうするのか、地方債のたまったのをどういうふうに処置していっていいか、また、よく言われます補助金問題をどう合理化していっていいか、さらに、中央地方に通じたところの行政の組織が合理化されなければならぬ、この四点に歳出としては問題があるかと思います。なお、五点といたしましては、この地方財政における財源をもっと弾力性を持ったものにしなければならぬ、こういうように考えております。せっかく御答申案を得ましたので、政府といたしましては、強くこれを尊重いたしまして、将来の策を、少くとも三十一年度からは実行するようにいたしたいと考えております。
○池田宇右衞門君 地方の一部には極端な意見もあるのでありまして、現在地方財政に赤字が出るのは、責任区分がはっきりしていない、国の事務が多すぎる、これは、いっそのこと国の補助というような形をやめて、国できめたことは国が全部責任を持って、地方団体がきめたことは地方団体が全部責任を持ってやるというふうにいたして、おのおのその責任の区分を明確にすれば赤字は出ないのだと、こういうような極端な意見も間々耳にするのであります。私は、このような言論は非常に危険な考えであると思います。なるほど、こういうふうにいたしますれば、地方財政というものの規模は縮小し、赤字は出なくなるでありましょう。しかしながら、地方自治行政というものの範囲はそれだけ狭められまして、反対に国の行う行政の範囲というものは拡大いたし、国の負担が多くなって、地方制度の民主化というものは逆行いたしていくこととなります。私はこの意見には反対であります。現行の地方税制は都市中心の税制でありまして、農業県と商工県との間に差があります。その足りない部分を貧弱団体は交付税で見てもらっているわけでありますが、それさえ予算の関係から常に不足勝ちであります。地方におきましてはいわゆる超過団体が多過ぎて、それらがむしろ放漫財政に流れていく傾向があるのでございます。この超過部分を何とか吸い上げる必要があるのではないかと思います。しこういたしまして、交付税による財政調整をさらに徹底する方法が一番穏当でよい方法だと思うのでありますが、総理及び長官はいかにお考えになておりますか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(太田正孝君) お言葉の通り、今日の赤字をなした原因にさかのぼってみますると、地方における、放漫……という言葉は行き過ぎかもしれませんが、非難すべき点もあったかと思います。同時に、国の方でも、もう少し親切心を出してやったらと思われる点がございます。しかし、放漫になったからといって国が不親切になってはいかず、国が見てくれないからといって放漫になってはいかず、そうすると放漫と不親切のぐるぐる回りになりますので、これは、ともに悪い点は直していかなければならぬと思います。例におあげになりました補助金問題につきましては、非常にこまかいものまで、非常な小さな補助金まで出ている問題でございますとか、地方に押しつけたような問題もございます。また、地方で、補助金ほしさに、無理に国の方へ頼んできたような問題もございます。これは合理化していかなければならぬと思います。 第二点の交付税の問題につきましては、これを配分いたしまするについての基礎になります財政計画等に今まで不十分な点がございましたので、交付税の趣意に沿うように改めていく必要があると存じ上げております。
○池田宇右衞門君 次は税制改正に関する問題であります。これは総理の所信表明の中の三大目標の一つとして取り上げられておりますが、日本の税制が世界の先進諸国の税制に比較いたしまして、実質的に非常に重いということは、総理はもちろん、大蔵大臣も、自治庁長官も御承知のことであろうと思います。これを何とかしてもう少しゆとりのあるように改正いたしませんと、総理の言わるる明るい政治というものが行われないと思うのであります。ところが、最近自治庁におきましては、地方制度調査会の答申を取り上げまして、農業事業税の復活を考えておるというようにも聞いております。その理由といたしまするところは、商工業者が事業税を負担しているのに、農業者だけが負担しないということはないというような説まであると聞いております。農業というものの立場を知らない議論であるならばけっこうだと思いますが、御承知の通り、戦後一時農業や林業にまで事業税がかかりましたが、シャウプ氏の税制改正によりまして、主食の生産者であることと、供出という統制がしかれておるという理由から、除外されております。今日におきましても、これを復活すべき理由は乏しいのであります。農村におきましては、固定資産税の過重にたえかねております。さらに減税の要こそあれ、新税の創設のごときはもってのほかのことと思いますが、総理並びに地方長官はいかようにお考えになるか、この点をお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(太田正孝君) 総理のお言葉も入れまして、お答え申し上げます。税制が筆を入れなければならぬ点が多々あることは、御指摘の通りでございます。今特に問題になされました農業事業税につきましては、すでに地方制度調査会の案の中には入っております。私の聞く限りにおいて、つい近く臨時税制調査会の御意見も出るやに聞いておりますが、世上におきましても、農業事業税論があります。これは御指摘のような、農業の重大性ということもあります。税そのものといたしましては、公平の原則によってどう収入を得るか、こういうことになります。地方制度調査会では、たしか八十何億円を見込んだ案を立てておるようでございますが、申し上げるまでもなく、問題は非常に重要なものでございまして、かつその影響するところも多く、またわれわれ自由民主党の建前からいえば、党員の考えも十分くまなければなりませんので、租税の原則を考えつつ、農民の事情をよく考えつつ処理したいと思っております。今のところにおいてこれを行うということを明言するようなところへは参っておりません。以上お答え申し上げます。
○池田宇右衞門君 三十年度の赤字措置の財源についてでありますが、交付税会計を通じて地方に配分する財源を、その半分以上を第四四半期の公共事業費を削減して充てるということでありますが、これはしかも災害関係と、道路関係を除くということでありまして、その上補助事業分だけでありますので、その削減の比率は非常に高いものであると思います。地方におきましては、すでに工事に着手しておりますし、また住民に対する約束もしておりますから、その混乱は想像以上だと思います。従って実際には中止できない結果、やむなく一般財源や、他の借入金によらざるを得なくなります。それがまた年度末になって赤字となって現われるというおそれがあります。年度の中途においてこういう無理をしないで、八十八億くらいの金額は、前年度の剰余金を使用してもよしまた自然増収も今年度は百億くらいあるであろうと思います。これをもって措置しても支障ないのではないか、この点について総理及び長官の御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(太田正孝君) お答え申し上げます。今度の措置のうちで、公共事業費八十八億円という問題が御質問の中心でございましたが、これはあるいは大蔵大臣のお返事なされる部分かと思いますが、私も関係者として申し上げます。毎年御案内の通り公共事業というものが順調に進んでおりませんのです。大部分年度末には大へん残るものもあります。今回の措置というものは打ち切るのではございません。繰り延べになるのでございますが、年年、昨年よりかたしか五十億ぐらい繰り延べられたものがあるという、本年は予算がおそくできました関係などもございまして、さらに多いものがあるのではないか。従って今度繰り延べいたしまするのは、国民の非常に心配なさるような事業そのものに影響を来たさない限度におきましてやるのでございますから、しかもこれは打ち切りではございません。延ばすのでございます。今年不用になって来年度必らずやっていく問題でございまするから、その御心配をお解き願うようにいたしたいと存じ上げます。
○池田宇右衞門君 ただいまのお言葉を本会議においても長官は答弁になりましたが、今回の公共事業費の節約は削減でなく、繰り延べであると申されましたが、繰り延べとは財政法上どういうことを意味するのでありますか。今年度は削減するが、来年度はその分の追加を三十一年度予算において認めるという意味でありますか。あるいはまた来年度への繰り越しを意味するのか。もし財政法上に言う繰り越しでありまするならば、国の公共事業費の繰り越しと同時に、地方もそれに対応する財源を別に用意して置かねばなりませんので、地方負担分の軽減にはなっておりません。この点を長官からいま一度お伺いしたいと思います。
○国務大臣(太田正孝君) これも大蔵大臣からお答え申すのが正しいかと思いますが、本年度におきましては、これは不用に立てておりまして、それを繰り延べていくのでありますが、財政法上言う繰り越しとはやや意味が違うかと思いますが、繰り越しとなりますと財源をつけて持っていくのでございますが、今回の措置はそういう意味ではございません。
○池田宇右衞門君 最後にお伺いしたいと思いますことは、百六十億の配分方法についてであります。このたび措置された財源の配分方法について、大蔵省は赤字団体にだけ配分すべきものと言い、自治庁は交付税方式によるべきものだと言い、意見が分れていたようでありますが、私は三十年度の赤字は、国家財政がきびしい緊縮政策をとったために、当初から地方財政計画に無理があり、そのために出た赤字でありますから、交付税方式による配分が当然だと思いますが、総理はどう考えておりますか、この点をお伺いしたいと思います。 また来年度におきまして、地方制度につき改正を行う方針が計画がされておると聞いておりますが、地方におきましての人員配置の活用ということをどのようにお取り扱いになりますか。御承知の通り、各県におきましては、部課長が七、八年の長きにわたって同一のいすにおるということは、新人の登用を妨げるのみならず各人の持つ特質を生かして働くということができないのであります。現在この人的交流は行われておりません。改正に当り国全体に及びどの程度までこれらを織り込んで一大改革をするお考えがあるかどうか。総理並びに所管大臣にお尋ねいたす次第でございます。
○国務大臣(太田正孝君) お答え申し上げます。 第一の赤字団体にはやらないということはございませんので、大蔵省もそう申しておりません。お話の通り交付税方式によって両方いくわけでございます。 第二の地方行政機構の改革及び運営につきましては、御趣意の点をよく心得まして、改革に当りたいと、こう思っております。
○池田宇右衞門君 申し上げるまでもなく、民主政治の基盤が地方自治の堅実なる育成及び基盤にあるというような結果から見まするならば、すでに土台とも言われる地方財政に赤字を続々と生じ、病膏肓に入れば名医もなおしがたしという段階に入りつつあるのであります。総理及び政府として、また自治庁長官としては、非常決意をいたしまして赤字を克服し、地方に健全財政の立て直し方針を立てさせねばなりません。これに対する総理の最後の決意をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(鳩山一郎君) 毎回議会において申し述べましたように、非常に有力なる基盤の上に立つ内閣となりましたから非常な決意によって諸政の刷新に努力いたしたいと思っております。
○矢嶋三義君 ただいま自治庁長官ここにお見えになっておりますから、地方財政と関係がある年末手当の問題について、もし委員長のお許しが得られるならば、一、二分間関連質問をしたいと思いますが、お許しいただけますか。
○委員長(西郷吉之助君) 関連質問で……質問してないからどうもちょっと工合が悪いのじゃないでしょうか。池田君の質問にあればですけれども……(「地方財政に関連があるじゃないですか」と呼ぶ者あり〕一問ぐらいにとめておいてくれませんか。
○矢嶋三義君 関連質問だから一問だけいたします。自治庁長官お聞き取りを願いたいと思います。それは、まず自治庁長官としてこのたび年末給与に当って、国家公務員と地方公務員に差等がつかないように支給されることを期待し、また努力されているかどうかということと、一問だからここで答弁求めるわけにはいかないのですが、その点と、それからこのたび給与法の改正によって国家公務員に一・五の支給がなされることになったわけでございますが、これはいわば鳩山内閣の給与政策でございます。従ってこのたび新たに地方公務員に一・五を支給する場合に生ずるところの必要な財源は、予算五十八億円というものは鳩山内閣のこのたびの給与政策から生じたところの需要費でございます。このたびの国会で百六十億の措置がなされたわけでございますが、この百六十億の数字が出る場合には、五十八億という数字は存在しなかったわけでございますね、その後における鳩山内閣における給与政策の結果として、五十八億というものが必要になってきたわけでございますから、これに関する限りは私は鳩山内閣の手によって、新たに財源措置がされるべきが、筋が通ってしかるべきだ、かように考えるわけでございますが、それに対する所見と、所管大臣としていかように努力され、今後また努力されるというお考えを、きょうは関連質問でございますから、これだけ同っておきます。
○国務大臣(太田正孝君) 年末手当の問題について矢嶋さんにお答え申し上げます。地方公務員は、もう私が申し上げるまでもなく、国家公務員に右へならえと申しますか、準じて措置すべき問題でございます。従って各自治体におきまして、その方向に進むことを期待してやみません。これをどうやってやっていくかということについて、これまた国家公務員が、各会計の範囲におきまして始末をすると申しますか、やりくりをとすると思しますか、財源を見出してやっていこう。こういうので、これまた右へならつていきます。しかしながら、今日の地方財政はずいぶん赤字がたまつて、これを処理しようという今日でございますので、ずいぶんむずかしいところも出ようかと思います。その際におきましては、これを短期融資によって処置していきたい。それにしても、結局財源の措置をしなければならないことになりますが、ただいま御指摘の通り百六十億円出します金と、今回の手当の金とはむろん関係ございません。違っております。従ってその問題を処理することが、今後に残された問題でございます。私としては今日、衆議院の方でも本会議において申し上げましたる通り、三十年度の補正という問題が、当然今後に残された問題でございますから、そのときにおいて十分入るように努力する、もしできない場合においては、三十一年度の措置として財源の問題を解決いたしたい、そのために努力したい、こういう考え方でございます。
○委員長(西郷吉之助君) それでは、本日はこれにて散会いたします。 午後五時二十六分散会