法務委員会 第3号
- 発言数
- 176 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1955/12/15
会議録
○委員長(高田なほ子君) これより法務委員会を開会いたします。 ただいまより派遣委員の報告の件を議題に供します。閉会中に北海道と広島及び香川県に二班の委員派遣を行いましたので、その御報告をそれぞれお願いいたします。第二班一松委員の御報告をお願いいたします。
○一松定吉君 派遣せられたうちの私は第二班でございまして、私と吉田委員の二人が指宿、小島両参事を伴いまして広島、高松の高裁管内の調査に乗り出したのであります。時は本年の九月三十日に東京を立ちまして、こちらに帰りましたのが十月五日でありました。調査事項は御趣旨によりまして、第一は高等裁判所につきましては管内の裁判事務処理の概況、それと調査事項は第一は裁判所の機構等について、第二は審級制度について、第三は裁判官の任用制度等について、これだけの三項目に分れて調査をいたしたのであります。高等裁判所につきましては管内裁判の事務処理の状況と、それと先刻申しましたように、調査事項に対する意見を調査し、地方裁判所につきましては、裁判事務処理の状況と、裁判官会議運営の実情、刑法等の一部を改正する法律の実施状況及び逮捕状発付並びに交通事件即決裁判手続法の実施状況。それから家庭裁判所につきましては、裁判事務処理の概況、専任の所長を置き、または置かざること及び地方裁判所と庁舎を別にし、または別にせざることの利害得失。それから高等検察庁につきましては、管内検察事務処理の概況、警察制度改正の検察事務への影響。それから地方検察庁につきましては、検察事務処理の概況、警察制度改正の検察事務への影響、このほか仮監の施設並びに運営の実情、弁護士と被告人の接見室の設備等を詳細に調査いたしました。 そこで詳しいことの報告は、ここに一冊にまとめておりますが、これを詳細に読めば三日くらいかかるのですが、きょうはごく簡単に申し上げることにいたします。両高等裁判所管内におきまして、裁判官、検察官、その地方の弁護士会長、副会長等を一堂に集めてもらいまして、今申し上げました調査事項について、それぞれの意見の調査をいたしました。そうして一面には刑務所の仮監、接見所の設備等を細かに調査いたしたのであります。詳細のことは調査報告書にしたためておりますが、これは省略いたしたいと思いますので、お許しを願いたい。 要点は、裁判官、検察官、弁護士の諸君が熱心にこの調査事項について意見の開陳をいたしました。ずいぶん是正すべき点がいろいろ説明せられましたが、現行法通りでもよろしいというような意見もありましたが、特にこの裁判の遅延問題が取り上げられたのであります。それは手続が非常に複雑になっておる。あるいは刑事事件などは、起訴状一本主義で審理が始まったということのために、非常に証拠調べ等について手数が要る。あるいは刑事訴訟法のアメリカ式のやり方が、もとの刑事訴訟法に比べてみれば、いかにも簡略のようであるけれども、証拠調べ等について手数をかけて、それがために事件の遅延が非常に多い。こういう点については、何らか一つ大いに刑事訴訟法の悪いところを改めるという必要があるのではなかろうかというような問題も取り上げられました。あるいは黙否権の点、あるいは証拠調べの点、供述書の認否の点等が多く問題になったのであります。 それから一面には裁判官の素質の点でありまするが、どうも裁判官そのものについてはもととあまり変ったことはないが、たとえば簡易裁判所の裁判官の特別任用制度等については非常な問題がありました。そういう人が十分法律の運用に明るくないがために、いろいろな支障を来たして、民間に異論の起るようなこともあるから、こういう制度についての一つ考えをめぐらしてもらいたいという意見、あるいは裁判官の任用制度について、いわゆる法曹一元化という問題が取り上げられました。そこで法曹一元化を実現するについては、もう少し司法官の待遇をよくしなければならない。今のような待遇では、相当の抱負経倫等の持ち主である弁護士が裁判官になることをいやがる。裁判官になろうとするような弁護士はどうかというと、事件がなく事務所が寂寥であるというような人が、まあ一つ生活にも困るから裁判官になろうというような者が裁判官を希望する。そういうような人に限って、事実の判断はできるだろうけれども、実は判決も書けないというようなことが多く行われておる。そうすると、その判決の書けないということについては、いわゆる判決の書けるような修習でもさせなきゃならぬだろうかというような、いろいろな議論もありましたが、要するに、裁判官の待遇が今より向上すれば、優良な弁護士が裁判官を志願してなるが、今のようなありさまでは、よほどの勧誘を受けましても、なかなか優良な者はならない。どっちかというと優良でないような人が出ていくからして、裁判の心証ということに対して多くの貢献をあげることが少いというような議論がだいぶありました。 それから逮捕状の乱発ですが、逮捕状の乱発は近ごろだいぶ少い。検察官の同意を得なければならぬし、あまりに警察署に向って乱発しないようにというような方針をとっておるから、そういうことはだいぶ少いようであるが、しかしいなかに行くとやはりそういうようなことがあるから、これを大いに注意しなき心、ならぬというようなこともありました。 それから、所長が裁判官に向って、旧来の裁判所構成法の当時のように、いわゆる指揮命令権というようなものが、今の新法についてはあまり行われていないがために、裁判官会議というもので多く事件の運営をしておる。それがために、ときどき世論の批判を受けるようなこともないではないけれども、しかしそれはまれであって、もとの、所長が監督権を持って指揮命令するといったときよりもむしろ民主的に運営されておるというようなことが多く述べられましたが、しかしながら一部の者には、やはりもとのように裁判所長、あるいはもとの院長、すなわち高等裁判所長官などが指揮命令権を持った方がよろしいというような意見もありました。 それから仮監の問題ですが、これがどの裁判所にも付置せられておりまするが、どうも機構が完全でないがために、いろいろな問題が起るのでありますが、こういうものは結局予算の問題と牽連するので、なるべく一つ予算を取って、そうしてこういうことの悪い所を改良したいというような話もありました。 弁護士と被告人との接見所ですが、これはどうも接見する場所がほとんど区切られて、被疑者と弁護士とがただ二人限りで接見するというような設備が少い。大っぴらにあけっぱなしでやる、あるいはつい立一枚で区切ってやっている。お互の意見の交換は筒抜けであるというような場所もありまして、こういうことは結局予算の問題であり、法務省において考慮してもらいたいというような意見もありました。 その他いろいろこまかいこともありまするけれども、一つそれらの点は報告書によって御調査をお願いいたしたいのであります。なお、こういう点はどうであったか、ああいう点はどうであったかというような御質問がありますれば、お答え申し上げることにいたしまして、この程度で一つ御了承を願いたいのであります。今ここに報告書を持っておりますが、第三班の報告書は、これは主として高松の方が抜けておりますが、まだ資料が到着していないと思いますので、取りあえずこれだけ委員長の手元に提出しておきますから、どうか自由に御閲覧を願いたいと思います。
○委員長(高田なほ子君) ありがとうございました。
○亀田得治君 ちょっとお聞きしたいのですが、問題が少し違うかもしれませんが、裁判官弾劾制度ですね、こういうことについて何か意見でもありましたですか。
○一松定吉君 裁判官の弾劾制度については、これは制度としては決して非難すべきものではないが、しかしいやしくも人権擁護の立場にある裁判官でございますので、いわゆるみだりに弾劾裁判権を発動するというようなことについては、よほど御注意を賜わって、あまり世間の批判を受けないような方向に進んでもらいたいと、こういう意見でありました。それはもうもっともな話であると、今弾劾裁判一層はみな立派な方ばかりをもって組織しておるし、また訴追委員もそれぞれ専門家をもって任命しておって、慎重に審理しておるかち、今のところでは国会内においてはあまりそういう非難を受けないようである。ただし、弾劾裁判所の裁判官の中には、法律の知識も何も。ないような人が任命されておるということもなきにしもあらずであり、そういうようなことはやはり国会としては大いに慎重に人選をしてもらって誤りないことを期していただきたいものであるというような意見もありました。
○委員長(高田なほ子君) よろしゅうございますか……。それでは第一班の羽仁委員に御報費をお願いいたします。
○羽仁五郎君 第一班は、前法務委員長成瀬幡治君と私と二名が、調査室長西村高兄君及び調査主事菊島健二郎君のお二人に御一緒を願って、北海道の各地を調査したのでございます。時間の関係もございますので、私どもの報告はここに差し出します報告書を朗読したことにしていただいて、速記に載せていただきたいと思います。
○委員長(高田なほ子君) 承知いたしました。
○羽仁五郎君 ただ、その中で特に二、三の点だけを申し上げたいと思うのですが、ただいま第二班につきまして一松委員より御報告がございましたような各項目についての本委員会の調査の結果は、ただいまの第一班、策二班の調査をもって一応終了するのでございますが、その結論には、ただいま一松先生からも申し述べましたごとくに、緊急に是正を要すると認められる重要な結論が幾つかございます。これにつきましては、どうか一つ本委員会におきまして、委員長の御努力によりまして、できるだけ早く政府をして実現せしめあるいは国会としてこれの実現に当るというようにお願いをしたいのでございます。こういうことは申すべきではございませんけれども、調査の結果がやはり実現せられるということが調査の意義を重くするゆえんでございますので、全国の裁判所、検察庁あるいは刑務所その他この視察の対象となりましたそれぞれの機関において、大体において一致しておる意見あるいは一致しておるのみならず、本委員会においても妥当と考えられます点は、ぜひ最近の機会において実現せられることを切望いたしたいのでございます。 それからその要点は、この報告書によって御判断を願いたいと思うのでございますが、それらの中で、二、三特に私が本委員会の御注意を願いたいというふうに思いますのは、やはり調査全般を通じまして、人権擁護という点においてはまだ必ずしも十分でない。しかもそれにはいろいろな理由がございますけれども、その一つはただいま一松先生から御指摘がございましたように、政府が法律に基いて十分人権が擁護せられるような方法を実現するための予算の措置について誠意を欠いている点があると思います。特にただいま一松委員も御指摘になりましたこの疑いを受けた人が、弁護士と会う場所についての設備ははなはだ不十分であります。特に北海道においては昭和二十三年一月二十二日法務次官通牒第五百七十というものによって、疑いを受けた人と弁護士とが接見する場合に、その中間に金網を設けたりしているようですが、これは弁護士会の方からもそれについての強い御批判がございましたし、そういうものを設けなければならない必要がどういう点にあるのか、またそういうものを設けることによってどういうよい結果があがるのか、われわれも研究をいたして、その結果はこの報告書に述べてございますけれども、こういう点は人権尊重という点とは逆の行き方であるとして非難されなければならないのではないかと考えております。 それから第二点は、北海道は御承知のように刑務所関係において注目すべき点が多いのでございますが、やはりこれらを通じまして痛惑いたしますことは、新憲法以前の監獄法がそのまま続けられておられますために、刑務行政に当っておられる方が最大の努力を傾けておられるにもかかわらず、古い監獄法があるために新しい民主的な刑務行政の効果を上げる丘に多大の支障があるという点でございます。不必要にして、そして有害な制限が古い監獄法によって加えられているということも、やはりこれは強く非難せらるべきであると考えるのであります。その主たる責任は政府にあるのでありますが、本委員会におかれましても、この点に十分の力を捧げることを切望してやまないのであります。 それから第三番目は、やはり本調査を通じまして痛感いたしますことは、少年院の運営がきわめて不十分であるということでございます。少年法及び少年院法の趣旨が民主的な自標を掲げているにもかかわらず、その実効はほとんど上っていないといって差しつかえないのであります。これはやはり予算の面において、またその他の面において政府の努力が足りないと言わなければならない点が非常に多いのでございます。この点についても特に本委員会の御関心を切望する次第であります。 なお、特に北海道について緊急に解決を要せられる問題の一つとしては、釧路地方裁判所管内十勝池田簡易裁判所の設置の問題でございます。これは、すでに敷地はそこの自治体の市民の方々の御努力によって寄付せられているのでございますが、いまだにこの簡易裁判所の建物が建てられないために、多大の不便を国民に与えていると考えられますので、この問題の早急の解決を切望するものであります。 なお、北海道の刑務行政につきましては、現在の札幌矯正管区長赤塚孝君そのほか各刑務所長などの諸君が、われわれが調査いたしましたところでも、高い使命を感ぜられて、そしてこの刑務行政の民主化に努力せられているという点については、私としては深く敬意を表するのでありますが、それと同時に、北海道の、これは刑務ばかりに限りませんが、裁判においても、検察につきましても、北海道の特殊な事情、寒いあるいは物価が意外に商い、あるいは住宅事情がはなはだおくれている、それらのいろいろな悪い条件の中で、この裁判官、検察官あるいは刑務官その他の方々が非常に努力せられている点についてもやはり十分の御考慮をいただきたいと考えるのであります。で、かつては北海道に特別の手当というものがあったようでありますが、そのかつての制度がよかったかどうかということについては研究をせなければならないと思うのでありますけれども、何らかの考慮を願うべきだというふうに結論されたのでございます。 なお、北海道におきましても、ただいま第二班につきまして一松委員から御報告がございましたように、この裁判の遅延ということも指摘されるのでございますが、その一つの原因としては、やはり北海道における裁判官の不足ということがあるようであります。定員が充たされていない。北海道において裁判官や検察官や刑務官その他の方々に適任の方を得るのに特に困難を感ぜられているようであります。これもやはり何かの方法で早く解決されないと、かなり因った問題が起ってくるのじゃないかというふうに思っております。 それから、なお札幌刑務所内において、いわゆる共産思想を有するものという方々を特別の房に隔離的に置いておられるようでありますが、こういうことは果して本質的によいことであるのかどうであるか、問題がそこにあるように考えております。 大体、以上は、私が特に本報告書の中で本委員会において十分にお考えを願いたいと思う点でございますが、全般にわたりましては本調査報告書に従いまして御審査を願い、そのうち実現すべきものは必ずできるだけ早い機会に実現されることを切望いたしまして私の報告を終ります。
○委員長(高田なほ子君) ありがとうございました。 ちょっと速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(高田なほ子君) 速記を始めて下さい。 委員長に提出された報告書は、この中の資料を除いて本日の会議録に掲載することに決定して御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(高田なほ子君) 御異議ないと認めてさよう決定いたします。 なお、ただいまの羽仁委員の御報告の中には、委員長に対しても強い御要望がございましたが、政府並びに国会として是正すべき問題等が多々御意見として述べられておりますので、これは善処したいというふうにお答えを申し上げます。
○亀田得治君 ちょっと一つだけ。弁護人の被告人との接見所に鏡を置いてあったわけですね。その点もう少し詳しくどういう状況になっていたのか御説明を願いたいと思います。
○羽仁五郎君 ただいまお尋ねの点は、札幌の大通拘置支所という所において特に著しい。それは札幌弁護士会から御指摘がございまして、成瀬前委員長と私と現場に行ってそれを見たのでございますが、ここはいろんな意味で問題があると思いました。その第一は、先ほど一松委員も御指摘になりましたように、弁護士と疑われておる人との接見の場所が拘置所の職員の控室の一部に置かれております。そのためにすぐ後にはそういう職員がおられまして、弁護士と、それから接見される方とが静かに話をされるということは不可能であると思うのです。それから、そういうふうにしまして、その弁護士と接見される方との間に、あの何というのですか、網戸のように非常にこまかい金網が全面的に張ってある。それから光線の加減も、そういうふうですから職員のいる方の部屋からは光線がさしますが、接見される方の後からは光線がささないので、接見される方の顔は見えるけれども、弁護士さんの顔は接見される方からは見えないだろうと思うのです。ああいうことではせっかく接見を尊重される趣旨が全く、困却されている。現場でなぜこういうことをするのかというように尋ねてみました点につきましては、これは公式の返答ではないと思うのでありますが、弁護士に対する尊重の考え方が著しく欠けている返答でありまして、はなはだ遺憾な返答であったのであります。弁護士を信用しないというような考え方でそういう関係の職務をやっておられる方が多いということは、はなはだ遺憾なこと川でありまして、間々そういうふうなことが、あるいは絶無であったというふうに私は判断する根拠もないのでございますけれども、場合によってはあるいは誤解されるような事実があったことを口実にして、かえってその接見の権利とかというようなものを制限して、いるものと判断しなければならないのじゃないかというようにも考えられるのですが、全体の印象としては、要するに疑いを受けている人たちの人権を尊重するという考え方がまだ著しく欠けているからだというふうに私は判断いたしました。お尋ねの御趣旨は……。
○亀田得治君 鏡とかおっしゃいましたが、聞き違いですか。
○羽仁五郎君 金網です。
○亀田得治君 わかりました。
○一松定吉君 そのことについて一つ私は皆さんに御相談したいことは、これは弁護士と被告人もしくは被疑者との接見は、刑事訴訟法の規定によりまして、他人を交えずして二人だけで接見することのできることが規定されておる。ところがそういうことを実施するとどうかというと、捜査官の検事の方はそれが不利益だ、なぜかというと、被疑者、被告人と弁護人が二人で何を話し何を打ち合せ、どういう証拠をこしらえ、どういう証拠を隠滅するかわからぬというようなことの嫌疑があるんですね。だからりっぱな弁護士にはそういうことはないが、あまりよくない弁護士にはよくそういうことをやりかねない。いわゆる懲戒に付せられるような行動が弁護士のうちにもなきにしもあらずで、そういうようなものを取り締る方面からは、今のような二人の話を盗み聞きをするというような施設もあることは必要かも存じませんが、しかしそれは一部の弁護士、そういう悪徳弁護士のやることをもって全般を推して被告人の権利を擁護するための弁護権の発動に対して制肘を加えるというやり方はよくない。そういうことはほとんど刑務所のもしくは裁判所の仮監等の面会所等において完全に行われていない。ことにはなはだしきはここの警視庁なんかに行ってごらんなさい。面会所というものはありゃしません。係官の部屋の隣りの出入口の廊下のところに腰掛けて話をする。そうすると、あそこはいつも巡査がうろうろしておって、そうして弁護人とその相手方の話を聴取しておるという実情で、ほんとうの接見というものはできはしない。これは先刻言ったように、結局のところ費用の問題ですから、こういうことのないように、そういう設備をするということについては私は法務省の係をこの委員会に呼んでだね、そのことを厳重に警告をし、そうして実施のすみやかならんことを要望する必要が私はあると思うのです。実は御列席の中山委員、ほか一名の方が昨年松江の仮監を視察せられたことがある。そのことはこの法務委員会に報告せられておりましたが、実に不完全きわまる。そういうようなことが全国にまだたくさんある。その当時法務省の係官を呼んで調べたところが、実は明治十数年にこしらえたのがそのままになっておる。あるいは昭和の初めにしたのがそのままになっておるとかというようなことで、これはぜひ是正しなければならぬというようなことになって、だいぶ着手しておるが、まだ二十何カ所かそのままになっておるというような話をしておりました。ですからして、これは一刻もすみやかに予算の処置を講じて、適当にこれを改良する必要が私はあると思う。そういう点につきましては一つこの委員会で、もうあすのところですから、法務省の係官を呼んでそういうことを調査するというような時間もありますまいけれども、この次の通常国会のときには、こういうことを一つ十分に精密に調査して、その不完全を是正するという必要はあろうということだけを、私はこの委員会に発言をしておいて、記録にとどめておきたいと思います。
○中山福藏君 私もそれにちょっと付加しておきたいと思うのですが、このごろ仮監なんかだけではなくて、普通一般の警察官、刑事というものが、非常に戦前に逆戻りするような傾向を著しく帯びてきて、取調べ、面会等につきましては、何ら戦前と変らないような態度にすべてのことが行われておる、こういうふうな実情を私ども実際家として現場においてこれを経験しておるのでありますから、こういう点も一つ国家公安委員長ですか。大麻国務大臣なんかを一つお呼び出し下さって、同時に一つ一松委員の言われたことをやっぱり警告する必要が大いにあると思います。このごろばか扱いをしておりますよ。ばかという言葉を使いますね。こういうことですから、特に私は申し上げておきます。
○委員長(高田なほ子君) ただいまの御発言もございますので、善処いたしたいと存じます。ちょっと速記をやめて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(高田なほ子君) 速記をお願いいたします。 罹災都市借地借家臨時処理法第二十五条の二の災害及び同条の規定を適用する地区を定める法律案を議題に供します。提出者から提案理由の説明をお願いいたします。衆議院法務委員長高橋禎一さん。
○衆議院議員(高橋禎一君) ただいま議題となりました罹災都市借地借家臨時処理法第二十五条の二の災害及び同条の規定を適用する地区を定める法律案の提案理由を御説明申し上げます。 御承知のように、昭和二十一年九月十五日より施行の罹災都市借地借家臨時処理法は、あるいは罹災建物の旧借り主に優先的に借地権を取得させ、あるいは逆に、罹災地の借地権で今後存続させる意思がないと認められるものを消滅させるなどの道を開き、借地借家関係を調整して、罹災都市の急速な復興をはかることを目的として制定されたのでありますが、その後、同法の改正により、戦災の場合のみならず、別に法律で指定した火災、震災、風水害その他の災害の場合にも同法の規定を適用して、かかる災害地の復興の促進に資することをはかったのであります。これにより、既往の大火災に本法を適用して、それぞれ所期の効果をあげております。 今国会におきましても、去る十月一日新潟市の大火災に本法の適用を見ましたことは御記憶に新たなところと存じます。 さて、鹿児島県名瀬市におきましては、去る十月十四日と十二月三日の二回にわたって大火災が起ったのであります。 すなわち、十月十四日午前二時ごろ、名瀬市中央通りより出火いたしました火災は、木造平木ぶきの家屋が密集している上、水利の便が悪く、延焼二時間余りで、全半焼約九十戸、罹災人員四百三十名、罹災坪数八千坪、この損害約四億円に上り、焼失家屋の借家率は二〇%、焼失地域の借地率は一八%と相なっております。 次いで、十二月三日午前四時三十分、名瀬市入船町より発火し、折柄北西約五、六メートルの季節風にあおられ、たちまち繁華街を総なめにし、延焼四時間、千二百五十戸を全半焼し、罹災人員約六千名、罹災坪数六万坪、損害約十五億円、借地率二六%、借家率二一%に及ぶ大火災となったのであります。 以上二回にわたる被害合計は、焼失家屋千三百五十戸、地域七万坪、人員六千五百名、損害額二十億円に達するものと相なったわけであります。 重ねがさねの災害をこうむられました名瀬市市民各位に対しまして、深く御同情申し上げる次第であります。 かかる災害に対する国の措置といたしましては、災害救助、免税等の方途もありますが、必ずや借地借家の権利関係が問題となり、今後の住宅建設についての混乱、紛争が予想されますので、地元の市及び県当局も、本法の適用を強く要望いたしておるわけであります。 衆議院法務委員会におきましては、名瀬市における二回にわたる罹災地区の状況を調査いたしましたところ、右災害につき同地区に、罹災都市借地借家臨時処理法の規定を適用し、その借地借家関係を調整することが、同市の円滑、急速な復興の一助となるものと考えられますので、ここに本法案を提出した次第であります。 何とぞ慎重御審議の上、すみやかに本案を可決せられんことをお願いいたします。
○衆議院議員(伊東隆治君) 私は奄美大島特別区選出の者でございますが、ただいま衆議院の法務委員長からお話がありました通り、二回にわたりましてほとんど名瀬市の中枢部が全滅いたしましたので、今度罹災地におきまする借地借家の臨時処理法の適用をお願いいたしておる次第であります。その実情等につきましては、ただいま法務委員長からお話のありました通りでございまして、本会議も待っておることでございますので、ここに詳しく申し上げることを省きたいのでございますが、どうか八年間も本土から切り離されまして、塗炭の苦しみにある市民でございます、それに復興途上にある際に、こういうまた災害にあったのでございますから、どうか御了察いただきまして、御審議御可決願えれば幸いだと存じます。一言出身地代議士といたしまして、お願い申し上げる次第でございます。
○委員長(高田なほ子君) 本案について御質疑のおありの方は御発言を願います。
○亀田得治君 時間も急いでおるようですから、簡単にいたしますが、一点だけお聞きしたいと思います。 それは、もし法務省の方が来ておればそちらの方でもいいのですが、本件のような事態は非常に緊急を要するわけなんですね、ところがこの臨時処理法の規定によりますと、適用地区というものを法律で指定しなければならぬことになっております。従ってまあ国会が開会されませんと、具体的な措置にはならないということになるのですが、休会中にこういう問題が起きまして、今回の場合、割合国会が早く開かれたからまだいいと思うのですが、国会まで非常に長く期間がたまたまあるというふうな場合には、空白期間ができて、その間にいろいろな紛争が起きて来る、あとから法律でそれを訂正するにしても、すでに紛争が起きた後になるし、あとから出る法律はもちろんさかのぼってというわけには参りません、そういう点を考えますと、従来まあこの臨時処理法を適用しようといったような場合に、おそらく反対があったことはほとんどなかろうと思いまするし、従って私はこの本法そのものを検討されて、たとえば政令等でそういうものが指定できるようにして差しつかえないのではないか。これは前からも思っていたのですが、こういう点はどういうふうにお考えでしょうか、御見解をついでに承わっておきたい。
○衆議院議員(高橋禎一君) ただいま亀田委員からのお尋ねの点につきまして、衆議院法務委員会において審議いたしました際に、政府、ことに法務大臣から答弁のございましたこと等について、私から一応申し上げておきたいと思います。ただいま御質問の点につきましては、衆議院法務委員会におきましても委員の方から同じような趣旨の質疑が行われまして、そうしてそれに対しまして法務大臣は質問の趣旨は全く同感であって、やはり政府としてもこの災害が起った場合に政令等で直ちに適用できるような方法をとりたいものである、こういうふうな答弁があったわけであります。ところがそれではそれを早速やったらという問題につきましては、この基本法である罹災都市借地借家臨時処理法そのものをやはり検討してみる必要がある。すなわちこの法律はまあ戦災を受けた事態に対して臨時的に適用することにしたので、やはり今日に至ってしかもこの災害に適用するということになれば、いろいろまあ問題点もあるから、それらを根本的に検討して、そしてりっぱなものを作って、それから政令等で災害が起るつど、適当な標準に基いてこの法律を適用するようにしたら、大体こういう趣旨のお話がありまして、衆議院法務委員会におきましても、その点を了承し、委員会自体としてもそういう趣旨に向って十分研究し、問題を解決するようにしよう、こういうことに相なったことを申し上げておきます。
○亀田得治君 本案は、これは政府の方では提案されなかったわけですが、これは何か理由があったわけでしょうか。
○衆議院議員(高橋禎一君) これにつきましては、まあ沿革的に見まして、この法律を火災その他の災害の場合に、その災害及び地区を定めて参ったことは御存じの通りでありまして、まあその従来の例によって法務委員会で問題を取り上げ、法務委員会の提案としたわけでありまして、従来の、何と申しますか、やり来たったところをその、まま踏襲した、そういうわけでございますから、そのように御了承願います。
○亀田得治君 法務省の人おりますか。
○委員長(高田なほ子君) 法務省民事局の参事官が来ておられます。
○亀田得治君 法務省の見解、ちょっと今私の質問した点について聞いておきたいのですが……。
○説明員(平賀健太君) まず最初の、法律で一々指定をするというのを、政令でやったならばどうかという御意見でございますが、亀田委員仰せの通り法務省としてもそういう考えを持っているのでございまして、その事情はただいま高橋委員長からお述べになった通りでございます。 なお、ちょっとつけ加えておきたいのでございますが、その罹災都市の法律は、当初政府提案で提出した法律案でございますが、その当初の案では、政令となっておったのでございます。国会の修正によりまして、法律で一々指定するということになっておるいきさつがございますので、それを御了承願います。 それから前回の新潟、今回の名瀬の件、議員提案でこの法律が提出されたのでございます。これもただいま高橋委員長から御説明の通り、別段の理由はないのでございまして、ただ、今までの沿革を申し上げますと、昭和二十四年二月二十日に秋田県の能代市で火災が起りまして、このときまでは全部政府提案でやってきたわけでございます。その次が二十五年の四月でございます。熱海に大火が起りまして、この熱海のときは地元の議員の非常な御熱心によりまして、ぜひ議員提案でやりたいという御要望でてさいまして、政府としてももちろんこの法律案には賛成なんでございまして、その熱海のとき以来、大体議員提案でおやりになるというようなことになっておるのでございます。今回につきましても、政府としてももちろんこれは異存があるわけではございません。ただいま高橋委員長の御調明の通り従来の慣例に従ったということになっておると思うのでございます。
○一松定吉君 今亀田委員の御質問みたような問題は、幾らもこの法文にまだあるのです。この間私が質問しかけたのですけれども、急を要するというので、次の機会に譲るということで、次の機会までにはその欠陥等を一つ団らかにして、今、高橋委員長の言うように、完全なものに仕上げたい、こういうことで、この間私質問をやめて、即決したようなわけです。日本、あすのきょうですから、今亀田君の御質問みたようなのはたくさんありましょうが、それはやはり今申し上げたような趣旨に従って、後日を期して完全なものにするということで、今日この程度で一つやっていただきたい。
○委員長(高田なほ子君) 他に御発言はございませんか。……御発言がなければ質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(高田なほ子君) 御異議ないと認めます。それではこれより討論に入りたいと存じますが、別に御意見がなければ討論は省略して、直ちに採決に入りたいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(高田なほ子君) 御異議ないと認め、これより採決を行います。罹災都市借地借家臨時処理法第二十五条の二の災害及び同条の規定を適用する地区を定める法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(高田なほ子君) 全会一致でございます。よって本案は全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定 いたしました。 なお、本院規則第百四条による本会議における口頭報告の内容、第七十二条により議長に提出する報告書の作成、その他自後の手続につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(高田なほ子君) 御異議ないと認めます。よってさように決定いたしました。 それでは報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますから、本案を可とされた方は順次御署名願います。 多数意見者署名 市川 房枝 赤松 常子 大谷 贇雄 小林 亦治 一松 定吉 亀田 得治 中山 福藏 井上 清一 羽仁 五郎
○委員長(高田なほ子君) 速記をやめて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(高田なほ子君) 速記を始めて。 暫時休憩いたします。 午後零時一分休憩 ————・———— 午後零時十六分開会
○委員長(高田なほ子君) 休憩前に引き続き委員会を再会いたします。 検察及び裁判の運営等に関する件を議題に供します。御質疑のおありの方はご発言を願います。
○羽仁五郎君 牧野新法相に対して緊急に御所見をお伺いしたいことは四点ばかりございますので、お時間の御都合もおありのようですから、続けて簡単に要点だけを申さしていただきます。 第一は、新法相はもちろん法務省の最高の使命である人権の擁護に邁進せられることと拝察をするのでございますが、残念ながら、この民主主義の確立のために立っております日本の現在に、人権じゅうりんが絶えません。特に特別公務員などによる人権じゅうりんが絶えない、この点について結論的に私はやはり日本でも検察官が事件を立てます過程において、人権じゅうりんの非難があった場合には、公訴をみずから放棄するというだけの態度をとられることが根本的に必要ではないかというふうに最近感じております。御承知のように民主主義先進諸国においては、ことにイギリスなどにおいては、またアメリカにおいてもそうでありますが、取り調べの過程に人権じゅうりんがあったということで強い非難を受けた場合には、裁判所もそれを棄却なさいますし、検察官の方でもそれをみずから捨てるという態度をとられて、人権のじゅうりんがたとえ一つといえども起らさないというその態度は、私は民主主義の法の精神の確立の第一歩ではないか、それなくして法はないといっても差支えないのじゃないかと思われますが、この点について、新法相はどうお考えでございましょうか。不幸にしてずいぶん、事件の性質を申し上げるのではありませんけれども、たとえば北海道の白鳥警部殺害事件については非常に長い勾留が行われて目にあまるものがございます。そういうことが行われるというのは、多少人権じゅうりんがあっても事件は立てられるのだという考えがあったのではないか。人権じゅうりんがあったら事件が立たないという考えを徹底させるために御尽力が願えるでありましょうか、どうか。 なお、これに関連しまして、午前中の本委員会において、先般来の本委員会の全国の裁判、検察の運営等に関する調査の結論といたしましても、その一つとして、弁護士の接見について現在被疑者あるいは被告等の接見をむしろ妨げているいろいろな手段がとられている。その一つは、昭和二十三年一月二十七日の法務次官通牒第五百七十号というものなどによって、被告あるいは被疑者と弁護士と接見するその中間に金網を作ることなどをなさっておられますが、これは個々の弁護士に存在する問題とそれから弁護権そのものとの誤解に基く重大な弁護権の侵害だと非難されなければならないのじゃないか、これらも含めまして、最初に申し上げましたような点についての法相の御答弁も伺わしていただきたい。これが第一点。 それから第一点は、監獄法改正の問題でございますが、私は新しい法相をこの委員会にお迎えいたすごとに、このことを訴えているのでありますが、御承知のように現在の監獄法は日本国憲法成立以前のものでございます。で、そのために刑務行政の第一線に立っておられる方がせっかくなさりたいことも、古い監獄法があるためにできないで困っておられる。で、その結果は民主主義的に行刑の効果を上げようとしてもそれを上げることができない、よいことができない。そして別に悪いことを防ぐというほどのものでもない。で、監獄法の改正は、やはりこれは政府の責任だと思う。すでに敗戦後十年の今日まで一体政府は何をしておられるのか。いやしくも国民の人権を擁護せられるという責任を感ぜられるならば、こんな旧憲法時代の監獄法をいうものを今日まで平気で適用しておられるということに、私は良心の疑いさえも感ぜざるを得ないのです。いつも御研究中である、あるいは法制審議会の意見を待つというふうなことを、言っておられますが、私はもはやそういう段階でない。紙帳相はこの点について緊急に解決の御覚悟をお持ちであろうかというふうに拝察いたしますので、この点を伺いたいのです。 第三は、先日参議院本会議において伺いました、首相に対して伺いました指紋の問題でございます。入国管理法というものの適用に関してでありますが、首相にも申し上げましたように、法の適用はエラスティックでなければならないということが原則であります。で、日本にはまだ官吏の中に法を適用することが官吏の権利であるかのごとくに考えている、そしてできるだけ法をあらゆる場合に適用することをもって職務と感じているような人があるのではないかとさえ感ずるのです。法はできるだけ適用しない方がよろしい。いわんや適用しなければならない何の必要があるのか。もちろん現在の入国管理法は改正を要するかと思いますが、現在のままでありましても、政府外交官の場合にこのものは適用されないことは申すまでもありませんが、それに準ずべきものまでも本法を適用するというのはどういうわけであるか、しかもこの結果はきわめて有害であります。もしただいま問題となっておりますソビエト同盟なり中華人民共和国なりと日本が外交機関を相互に設置しておるならば、外交上の抗議のくる問題、場合によっては外交機関を引き揚げるかもしれないというような不快な感情まで与えている。そういう日本に、現在はソビエト大使館あるいは中華人民共和国の大使館はございませんから、そういう外交しの抗議というものはきませんけれども、実際はくるべきへもしそういうものがあるならくるべきなのです。それがないからといって平気で必要のない、そして何らの益のない場合にこの法律を機械的に適用して、あくまで指紋をとろうとされていることは、実際どういうことを意味するのか、私は外交官などに準ずべきような、いわゆる公けの場合、政府機関あるいはそれに準ずる公けの機関またはそれと同様にみなされるような機関によって入国される場合、あるいは日本の信頼すべき機関の招待によって入国されているような方、それに対して、あるいは商業者として入っていただいた方々を、い何とかいって指紋を無理やりとろうということは、私は全く法の精神というものを逸脱していると考えるのですが、この点について法相の御所見を伺いたい。かつまた最近日本の入国管理法の、おそらくは模範となったでありましょうアメリカの入国管理法についても、アメリカ自身において改正の世論が強く高まってきている。これは御承知のように当時の大統領トルーマンの拒否権をこえて成立した法律でございます。大統領トルーマンはこういうふうなことをやるべきでないと拒否をしたのですが、アメリカの上下両院が大統領の拒否権をオーバールールして成立した法律であって、多々問題があると思う。従って現在その改正が問題になっておる。またイギリスのマンチェスター・ガーディアンなんかも、このアメリカの入国管理法の改革が緊急の必要がある。なかんずく旅行者の指紋をとるというようなことについては多大の問題があるということを、マンチェスター・ガーディアンの九月の十五日号も指摘しておりますが、私は日本の入国管理法も改正の必要があると判断いたしますが、法相はこの点についてどういうお考えですか。 最後に、第四に、この入国、出国管理の点について、いわゆる南朝鮮及びいわゆる北朝鮮、朝鮮は一つしかないのですが、普通にそう言われております。この両方の問題について、先ず第一に南鮮の問題については法務相のお考え方というものは、日本にはあたかも法務行政しかないようなお考え方を常にとっておられるのであります。日本には法務行政以外にも外交もあればその他そういう法律を越える人情というものもあろうと思われる。しかし常にとっておられる立場というのは、要するに入国あるいは出入国管理の法令を機械的に適用するというような措置をとっておられる。今日の読売新聞でしたかにも出ております問題で、中国から今度帰ってこられる方の中に、中国の方は夫であられる、そして帰ってくるというよりも日本に旅行せられる方の場合がある、それが問題になって、それに対する入国管理局長の新聞に載っている御意見では、幾らか従来の機械的なお考え方というものを脱却せられているのでありますが、この南朝鮮との関係においては、私は要点は二つあると思うのです。要は過去において日本が朝鮮の人に対して、非常につらい立場に朝鮮の方々を買いたということの歴史的ないろいろな事情があることは申すまでもないのでありますが、現在やはり大村収容所などに過大に、あるいは過度の長期に朝鮮の方々を拘禁しているということは、やはりできるだけ解決されなければならない、これが第一点。第二点は、この強制送還の場合に、いわゆる南朝鮮に帰ることが、その御本人にとって救うことのできないような不幸を招くことが明らかであるという場合にも、つまりほとんど死を意味するような場合においても、南朝鮮に強制送還をされるというような不安を与えておるので、私はこれは一掃される必要があるというふうに考える。 北鮮の場合には北鮮もすでに何回か申し入れがされております。で、あるいは北鮮と外交上でないにしても、赤十字社なりの交換によって、この双方の出入国というものを、もう少し円満に解決することができないだろうか、あるいは日本におられるいわゆる北鮮系の方々に対する援助というものも申し入れられている点もございます。これらについては、在日本朝鮮人総連合会中央委員会から国会に向ってもそれからまた政府に向っても要請書を出しておられると思う。最近のものは十二月十二日の要請書でございますが、これらの要請書というものに対して、私は日本の政府はフェアな態度をおとりになるべきではないかと思う。たびたび申して恐縮でございますが、何かあらぬ方に気を使われて、そしてこういう問題について顧みて他を言うというような態度を続けておられるべきではないと思う。もちろん正式の外交上の問題は別でありましょうけれども、そういう正式の問題、正式の形でなく解決できる問題があると思う。その点について法相が御尽力をいただくことができるかどうかということが問題であります。いわんやこの中国との関係におきましても、台湾に帰るということを希望されない人を台湾に帰そうというような不安を与えておることも一掃せられると思う。 最後に、なお旅券の点についてもやはり先ほど指紋の場合に申し上げましたように、国際的に、外国に旅行するということは私は個人の基本的権利に属する問題だと考えます。また国際的にもそう判断せざるを得ないのであります。最近のアメリカの裁判所の判例を見ましても、外国旅行というものは基本的人権に属する。従って行政権がこれを簡単に制限するということは違法である。妥当ではないというふうに判断されておりますが、法務省が外務省との関連において、この旅券の発行について、やはり海外旅行ということが基本的人権である、これを行政権で制限するということはできないという立場にお立ちになっておるのか。それともできるというお立場に立っておられるのか。現在の法律によって法務大臣がその旅券の発行についてそれに賛成をせられない場合といえども、その場合についてはやはり十分な法的な手続というものをお考えになるべきじゃないかと思うのであります。ただ法務大臣がこれは不適当であるから出さない。別にそれについていわゆる裁判の手続に似たような何かの審査の方法をおとりになっていませんが、これは全く行政権が直接に、そして何らの顧慮なく基本的人権を侵していると非難されなければならないと思いますが、この点についても法相の御所見を伺わせていただきたいと思います。 以上お伺いいたします。
○国務大臣(牧野良三君) ただいま人権に関する問題、監獄法改正に関する問題、最近中国から入国された諸君の指紋に関する問題、第四に対韓問題、第五に旅券に関する問題、私はこの一から五まで全部あなたと同感なんでございます。全部同じ心持を持っておる。人権に対しましては昨日あたかも人権擁護に長くお尽し下さった方々の表彰を申し上げましたとぎ、私は心から感謝をすると同時に、大体その人権擁護ということは人権を侵された人が出て来たときに何とかするというのじゃおそい。もうほんとうのところは罪を作らないように、人を検挙したいように、問題を起さないようにということが第一であります。その点においてはただいまの御指摘のように、検察官の態度と心がまえというものが狭かったのですね。もっと広い分野が私は憲法の十三条の仕事としてあるのだ。また憲法の二十五条に規定してあるこの明るい晴れ晴れとした愉快な仕事の方に力を入れる、そうして事件の起らないようにいたしたいと言いましたところが、ただいま局長からきのうの私の言ったことが大へんよかった、あれをもう一ぺん文字に書いて印刷に付したいからそうしてくれぬかと言われるほど、当局がその心持を持っておられるわけでありますから、今後はその方に行きたいと思いますから、ぜひ御協力をいただきたいと思います。 第二の監獄法の改正は、これは実に怠っております。おっしゃる通りでありますが、ただしもうすでに二十七年から手をつけておるようでございまして、調べましたら進んでおります。だから私の任にある間にぜひ改正法をお目にかけたい、そして可決していただきたい、かように思います。その内容はただいまおっしゃった通りのところへ幸いに当局者は目を付けておりますから、私は成案はやや御満足がいくものができるのじゃないかと期待いたしております。 第三の指紋の問題、これはあなたの関係の方の人たちも悪いのだ。何で事前にこういうことの話をされなかったか。日本人は偏狭ですね。お互いに言って、法律に妙なことがあるそうだけれども、特別に扱えと言えば、私は当局は扱ったのだと思うが、行政上の法律に……、今羽仁さんは法律を適用する権利のあるように思っているのじゃないかとおっしゃったが、そうじゃなくて、行政機関は義務を感じて、どうも怠慢だと言って責められることをこわがっているのです。どうもそういう念が深過ぎる。だからこれからは羽仁さん、あなたや私がこうやっておる以上は、そういうことは事前に打ち合せて、こういうことの起らないように、起ったあとはやはり手をとっていい政治的な善後策をとるということにしましょう。そういう例を私から聞いてみたいと思いますから、この点をどうか、御不満の点は御了承下さって、今後に御期待をされていいと思うのでございます。 第四の韓国に対する問題は、全くこれもおっしゃる通りでありますが、日本人は大体戦後こわがっているのですね。外国人を。ことに韓国……、韓国は一体無法ですよ。この無法というものを、そのままあるということに対する反感と、それとこわがるというこの二つから法律を盾にしなければならないという心持が大きくなるのでありますから、何といってもこれは羽仁さん政治的交渉、政治的な解決をするというところへ入って行かなければいかぬと思います。だからそれも今御説明下さいました心持で、必ずこれは解決するようにいたしたい。その結果が法律の適用、行政事務に悪い例を残すというようなことがないようには必ずできると思いますから、それをいたしたいと存じます。ことに大村の問題、強制送還の問題のごときは、私に一つのヒントを与えて下さいましたが、お考えのようなところへ心持を入れて、そうしてもう世間の知らないうちに解決するというようなところへ運ぶように、局長大変これを心配しておって、そういうようなふうに持って行こうとして努力しておられますから、どうぞこれも御協力を得なければなりません。 最後の旅券、これもやはりこわがるのですね。ところがだまってよそへ行く連中がいるのです、旅券法に反して。ああいうことをされるから意地になるのですね。お互いに意地をよしてですね、そうしてせめて私が今おりますようなときには、まああなたのいわゆるエラスティックな心持で、それでいいだろう、いいでしょう、何とか手続いたしましょう、こう言えばいいのです。だまってそうしてフランスへ行くのだといってドイツへ行く、ドイツへ行ったのがソビエトへ行ったりするものだから、ああいうのが世間から指弾されるのです。ああいうくせはこの機会にお互いに直すことにして、そうしてあなたの今おっしゃるエラスティックな法の適用、そうして政治的に物事をなごやかに解決するということに十分心がけますから、御了承を賜わりたいと存じます。
○羽仁五郎君 新法相が法の精神の上において極めて商い識見をお持ちであることはかねて承知しておりましたので、深く敬意を表しておりましたが、私のただいまの質問に対しましても、それぞれ期待にお沿いいただいたことを大変ありがたいと思いますが、同時にまれなる法相を持った現在、これらの懸案を解決しなければ、私はまた解決のチャンスを失ってしまうと思います。どうかビューロクラシイというものをこの際打破いたしまして、ただいまお示し下さいましたような高い方針を着々実現していただきたいと考えます。なかんずく検察官あるいはそれらの関係で人権じゅうりんの疑いがあったというふうに社会的の非難を受けた場合には、みずからその公訴を捨てる、あるいは裁判所もそういうものを御採用にならないという方向に御尽力いただきますように、差し出がましいお指図を申し上げるつもりは毛頭ございませんが、どうぞ一つ、私がまれなる法相をお迎えしたということについて持っております深い期待をお察し下さいまして、この際、解決の道を切り開いていただきたいと思うのでございます。 なお第二の監獄法はまた格別の御尽力を下さいまして、おそくも通常国会にはぜひ御提案をいただけるように御尽力願いたいと思います。これが万一議員提出の法律案で出るようなことがございますれば、私は政府は何のかんばせあって国会に面するお気持だろうというふうにも考えておりますが、私もずいぶん、長く待っておりますけれども、通常国会にもお出しにならぬということになれば、われわれとしても覚悟しなければならないのではないかというふうにも考えておりますので、繁文縟礼を一掃せられて、官僚主義を一掃せられて、改めるべきものは一日も早く改めて、いわんや人一人の命は地球よりも重いという最高裁判所の示されたところを適用して申すなら、一人一人の人権を一日でもじゅうりんしているということは、法務省自体にとっても重大な問題です。ですから研究中であるなら、できるだけ早い機会にお示しを願って、先ほどの御答弁に満足をいたすものでございますけれども、許されますならばただいま申し上げましたように、来たる通常国会には御提案になるべきものだというように考えておるということを申し上げさしていただきたいと思います。指紋の問題につきましては先ほど非常にエラスティックな御答弁をいただいて、私ども申し上げている点が徹底しているかどうかということもあると思いますが、お時間の御関係もおありであろうかと思いますので、なおこれは十分御研究いただきまして、最近のアメリカの入国管理法において指紋の問題が問題になっている点も御参考にしていただきまして、やはり必要にしてやむを得ない場合にのみこの指紋をとるという方向にいっていただきたいのであります。不必要にして有害である場合にはとるということはやはりやめるべきものであるというふうに、国際的にもこれは物笑いになっておりますし、朝日新聞その他の世論でも批判されておることで、招待したお客さんの指紋をとるということは個人のエチケットでもありませんし、いわんや国際的な礼儀でもないので、十分の御尽力を願いたいと思うのであります。その他の点につきましては、もう先ほどお示し下さいました根本的に商い御方針をぜひ御在任中に御実現いただきますことを切望いたす次第でございます。
○国務大臣(牧野良三君) おそれ入りました。
○委員長(高田なほ子君) 他に御質問はございませんか。
○中山福藏君 私は朗らかな法相がおいでになったので、一つざっくばらんな御答弁を期待いたしまして質問してみたいと思います。 今も羽仁委員が基本的人権を立脚点としていろいろに御質疑がございましたが、私は入国管理庁のことについて一つお伺いしておきたいと思います。大体元来は外務省の中に所管しておられた入国管理庁が法務省の管轄になった、今度の興安丸事件などを見ておりますというと、いかにも法律さえ適用すれば総合的に判断して国家の利害にどういうふうな結果がこようとも、それを断行するというふうに受けとれるのですね。ただしその中には強盗、窃盗、悪質犯罪人が多数あるということで裏付けをされておって、こういうものはまあ国外に放逐しなければならぬというような立場にあるという考え方から、そういう処置がとられると思いますが、しかし私は国民性というものをよく判断していろいろと外国人の、国々によってその人々を研究しておる者でありますが、中国人に対する考え方もやはり鮮人の人々に対すると同一の考え方を持っておられる。いわゆる民族史というものについて少しも研究がない、こういう一言で私は表現したいと思いますが、民族史というものを研究しておらなければ入国管理庁の仕事というものはできるものではないと私は考えておる。そうしないと共通性というものはわからないわけですね。そういうことも一応考えてみなければならぬと思いますが、まず第一にお伺いしたいのは、私はやはりこれは外務省の所管にあるのが国政運用の上からいけば非常に必要な事柄ではないかと考えておるわけですが、法務大臣はどうその点をお考えになっていらっしゃいましょうか。
○国務大臣(牧野良三君) どうもその点は性質が、外務的性質から法務省的性質に変ってきたらしいんですね。どこまでも罪人だという点が重要な点になってきたらしいんですね。だからエラスティックな取扱い、政治的な取扱いの余地が非常に困難だ。そこがどうもこの入国管理局の仕事が非難を受ける、窮屈だといわれるところで、私は大へん当局を気の毒に思っているのですが、御承知の通り国民性というものを見て、そしてもっと高い観点から解決した方がいいというお説には全然同感でありますから、そういう面から今後のこの面での行政を進めていくことにいたします。
○中山福藏君 内田局長に私はお尋ねしておきたいのです。これは羽仁さんが入国管理庁の問題を出されましたから関連してお伺いしておくんですが、大体退去というものを決定されるには、入国管理庁で審議会が開かれて月に何べんかいろいろと御協議になるはずだと思うんですが、そのときにはどういう方々がそれのメンバーとなってどういう材料を基本にして御協議になっておるか、それを一つお示しを願いたい。
○政府委員(内田藤雄君) ただいま中山委員の御質問になりましたのは、不正規のものを指しておられるかと考えますが、大体密入国のケース、あるいは一番多いのはその他の犯罪等によるものでありますが、地方事務所におきまして違反調査から違反審査という段階を経まして、さらにその決定に対しまして異議を申し立てましたものが、法務大臣に対する異議という形で中央に送られて参るわけであります。それは現地におきましてすでにその異議申し立てを放棄いたしましたものは参りません。しかし異議を申し立てますと、法務大臣の決裁を仰ぐという形で中央に参ります。そういたしますと、審判課という課においてその問題を取り扱っておるのでございますが、審判課におきまして向うから参りました書類などを整理いたしまして、大体審判課における一つの意見ができ上るわけでございますが、それをただその上司であります次長ないし私だけで決定いたすことも妥当ではないのです。と申しますのは、やはりいろいろ入国の際のいきさつが問題になることもありますし、またその延長が拒否された事由等が問題になることもございますし、さらに執行の面になりましての問題、あるいは収容所における状況その他のことも考慮いたさなければなりませんので、結局関係課長全部、それがただいま六名おりますが、それと次長と私とで協議会を開きまして、そして一応われわれの意見をまとめまして大臣の決裁を仰ぐ、こういう形をとっております。で、回数は普通の場合週に一回やっております。しかしその他特別の問題が起った場合に、あるいは件数が非常に多かった場合には臨時にやることもございますし、また年末のごとき場合に連日そういうことをいたす場合もございます。以上御答弁いたします。
○委員長(高田なほ子君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(高田なほ子君) 速記を始めて。
○中山福藏君 大臣に一点だけお尋ねしておきたいんですが、もし中共の人で、自分が日本人の引き揚げに際して衣食住を供給したという理由で、その家族が三名生き埋めにされた、その状況をまのあたりに見て、おそれおののいて、救いを求め得るのは日本以外にないと言って日本に来た場合においては、そういうものは結局避難民、あるいは思想的に相反する立場にあるというような気持で日本に来たというような場合に、その本人が日本に来ておって、かりのシナ料理店の料理人となっておっても、それは一応政治犯人、あるいは避難民として取扱うというのが人道上妥当じゃないか、あるいは法律の上から考えましてもそれは妥当な見解じゃないかと、かように私どもは考えておるのですが、そういう場合においても単なる一シナ料理屋の番頭あるいはその料理人ということで、一応こういう者は日本のためにならないから送還するのだというような気持で帰した方が法律の趣旨に沿うものかどうか。入国管理庁の令に沿うものかどうかということを一つたしかめておきたいと思うのですが、これは両天びんにかけていろいろ審査会で御研究になっておるようですから、一応大臣がそういう人々に対してはどういう見解を持っておられるか、これを一つおたしかめをしておいて後日の参考にしたいと私は考えております。
○国務大臣(牧野良三君) 今、中山さんの御質問は具体的問題でありますから私の答弁が判決になると困る。これは私はそこに立ち入ってはならないと思うから、中山さん、それはかんべんしていただきたい。というのは、今のおっしゃるような前提が事実であると、結論は中山さんの言われるようなもんに及ばざるを得ないと思う。これは国際刑法の上からいいましてもあなたのお説は正しいものだと思う。ただ、その前提がどうであるかということが私にはわからない。それで牧野の言ったことと違う決定じゃないかというような問題ができたときに困るから、これは一つかんべんして下さい。それはあとにまた懇談することにして、この点に対する答弁だけはお許しを願いたいと思います。委員の皆様もどうかさように御了承願います。
○中山福藏君 それではそれとそれた質問をしておきます。大臣にお尋ねいたしますが、一体あなたの手元に書類が回ってきて、まあ、あなた初めて今度法相になられたんだからこれはおわかりになるかもしれませんが、今までの法務大臣というのは書類を見てないのじゃないですか。下から回ってくる審査報告というものは見てないように私は考えます。ただめくら判を押して一ページだけ大臣あての書類を見て決済しておるのじゃないかと思う。
○国務大臣(牧野良三君) そういうことがあるかもしれませんね。
○中山福藏君 それは事務的なことしか現われてない。その結果においてたとえばこういうことがある。事実です。区長が二カ年間の在留証明書を与えた。そうすると、密入国だというような場合には、その二カ年の在留証明書を勝手に取り上げる、まだ期限のこないのに。それを責めていきますと任意に提供したと、そういうことはあり得ないのですよ。二カ年間の在留証明書をもらっておった者は、二カ月ぐらいで任意に密入国しましたからと言ってそれを提供する者はない。しかし、未登録というような問題につきましては、裁判所の判決を受けておる場合に、その在留証明というものは、これはもう宝なんですね、その本人にとっては。それを密入国だというような疑いを受けておって勝手に取り上げる。そうすると、この行政事務を取り扱う、区長は。一方は入国管理庁の役人さんも行政官吏なんです。一方も行政事務を取り扱っておる区長さんなんですね。そうすると、いつでもその委任事務については入国管理庁なんかは勝手に出した書類なんかを処理することができるという悪例になっておる。そういうことを現にやっておる。それを突き詰めていきますと、任意の提供だとこう言う。そういうことが全部書類に報告されておるはずなんです。そうするとめくら判をついておるから、下級官吏の決定通りにめくら判で送還されてしまう。こういうような弊害があるのですから、どうか一つそういう点を御注意下さいまして、十分書類は一つ御検討願いたい。今までの法務大臣は、それは職務怠慢だと私は考えております。どうか一つ。
○国務大臣(牧野良三君) 承知しました。もうその点は今後深く省みまして、過去におけるような誤りがないようにいたします。
○中山福藏君 どうぞ一つお願いをいたします。
○小林亦治君 司法試験に関して、ごくこまかいことなんですが、お聞きしたい。実は試験委員長、それから現在の委員の方においで願った方が適当かと思ったのですが、むしろ人事課長の方が具体的に詳しいというようなお話で御足労願ったのであります。お聞きしたい趣旨は、昔は高等文官任用試験、あの判検事登用試験、それが高等試験と相なって、外交、行政、司法こういうふうに三科に分れて、ごく最近までこの試験が続いたことは御承知の通りでございます。ただいまいわゆる高文試験というものとしては、司法試験がただ一つ残っておる。しかも最近になってからこの科目の内容が変ったことが、また最近には受験者間に動揺を来しておる事項の一つとして、科目がまた変るのじゃないかというようなことを憂えておる。そういうことがあるかどうかということ、一体現在の司法試験制度そのもの全般について、どういうふうにお考えになっておられるか。これではいかんとか、あるいはどうとかいったような改正の御意見があるならば、つけ加えて御説明を願いたい。 それから年々約三百人前後が合格されるのですが、一体一科目平均何点と、平均点何点に達すれば合格の線になるのか。あるいはまたその年度の差し繰りによって、今年は五十五点までやったと、去年は五十三点を合格としたということがあるように聞いておる。そういう事実があるものかどうか。 それから第三には、大体翌年度の司法修習生の採用の予定人員というものがございまして、それで予定人員の数とにらみ合せて合格者の数を決定することがあるかどうか。そういうものを課長から一つ伺っておきたい。
○説明員(布施健君) ただいま御質問の点についてお答え申し上げます。司法試験、前の高等文官の司法科の試験、今は司法試験法に基く司法試験に変っておりますが、司法試験法になりましてからも、試験科目に変更がございましたことは御指摘の通りでございます。商法が加わったのがそれでございます。今後また変更するのではないかという御質問でございますが、この点につきましては昨年あるいは一昨年あたりから、各方面に試験制度を改正すべきではないかという意見も出ております。それらの御意見を伺ってみますると、そういう改正の意見が出て参りました主な事情は大体大きい点として二つあると思います。その一つは最近第二次試験において大学に在学中に合格する者の数が顕著に減少してきたという点でございます。これは学制の改革による新制の大学における学修課程の変更にその原因が存するのではないか。つまり新制の大学の在学生が受験いたしてから在学中の受験者の数が減ってきたというふうに見受けられておる点でございます。従いまして新制大学の学修課程に即応して、あるいは試験の科目を変更することを考慮すべきではないかというふうな事情がその理由になっておるようでございます。 いま一つは受験者の数は年々増加の一途をたどっております。この増加の傾向は今後にわかに衰えるというふうには見受けられないのでございます。こういう状況のもとで従来の方式をそのまま続けていくということになりますと非常にむずかしいことになるのであります。この際大量の受験者の中から合格者を適正に判定するための何らかのよりよい方法はないだろうかというふうな点が第二の理由になっておるようでございます。 これらの点からあるいは現在の試験科目を変更する、あるいは変更しないまでも一部のものについてはその範囲を限定すべきではないかといったような意見が出ておるわけでございます。司法試験管理委員会といたしましては問題が問題でありますだけに非常に慎重に検討を要すると考えまして、最近改正の必要があるとすればどういうふうにすればよいかということで法制審議会の審議をわずらわしておる次第でございます。その結論はまだ出ておりません。今後これが変更されるかどうかということにつきましてはただいまちょっと申し上げかねる次第でございますので御了承願いたいと思います。 次の司法試験制度全体についての改正、この点もただいま申し上げましたような衷情から多数の受験者の中から、いかにして合格者を適正に判定していけばよいかというような観点から、もっと別な試験方法を考えるべきではないかというような意見が出されております。しかしこれも目下のところ結論には到達していない状況でございますので御了承賜わりたいと思います。昨年二十九年度と昭和三十年度、本年度と比較いたしますと、実数において千名以上増加しておるのでございます。かように多数の受験者を従来の方式のままでやるといたしますと、これは大体毎年十月中旬からは民間の就職採用試験が始まるわけでございます。一般の公務員につきましてもさようでございますが、司法試験につきましても大体それを目標として答案の審査をいたすということになりますと非常にこれは無理がいくわけです。無理がいく結果もしもその採点に不公平が生じては相ならぬのではないかといったような心配もされておるわけです。さような観点からもございまして何らかよい方法はないであろうかということが各方面から意見が出ておるところでございます。ただいま申し上げましたようにまだ審議中でございまして結論に至っておりませんことを御了承願いたいと思います。 それから合格点の問題でございますが、これはただいまのやり方と申しますか、必修科目等につきましては、大体四問題出ましてその一問ずつについて一人の考査委員の方が採点される。それを合計して四等分したものがその科目の平均というふうな採点の方法でございます。委員の方が合議でその採点を決定されるわけではございません。年によりましてあるいは多少今年は少しつらかったとか、あるいは少し甘かったかなというふうな感じを起される場合もあるように拝聴いたしておるのでございまして、さような観点で大体合格点は六十点以上というふうに一応の基準はございますが、ただいま申し上げましたような事情からその年々によりまして、多少の相違がそこにあるわけであります。しかし六十点以上合格ということでだんだんそれに近づいて行くという傾向はうかがえるのでございます。何分これは管理委員会とは別な考査委員が合議で合格、不合格を決定される次第でございますので、それ以上のことは私からちょっと申し上げかねるような事情でございます。 それから次の年の修習生の採用可能数、これを予定して合格者をきめておるのではないかという御質問でございますが、この点につきましてもこれはもう採点を整理いたしてみますると、同じ点数になる者がかなりあるわけでございます。それでまあ今年はここの線で切るということで合格がきめられておりますけれども、その線の切り方が先ほども申し上げましたように大体六十点を合格点という基準に照らして、まあ採点の多少の感じ、これを加味してきめられておられるようでございますので、採用の予定数、これが合格者の数を決定する要因にはなっていないというふうに私どもは存じております。
○小林亦治君 商法が新たに加わった、つまり元に戻ったわけなんですね。ところが商法の内容が訴訟法とかあるいは破産法に比較して膨大なんだ、これを二つに分けて何しようじゃないかというような御議論もあなたの方の部内の方から伺ったことがちょっとあるのです、これは座談ですが。そういうふうなことが今ございますかどうか。これは確かにあの商法一科目が、たとえば必修が七科目あるといたしまして、他の六科目に匹敵するというような受験生が一番悩んでいる科目なんです。そういう意見も固まったものがないにいたしましても、今起きつつあるところのいろいろな意見の中にそういうものがありますかどうか、また有力であるかどうか。
○説明員(布施健君) 商法が新たに加わりましたために、これはまあ受験生の負担がかなりふえたことは事実でございまして、先ほども申し上げましたように、新制の大学に在学中の者が受験する場合等を考えますと、商法全部はまだ学習が終っていない過程でございます。そこでただいままで寄せられております意見によりますと、法律の基本原理、これがわかっておれば、その人は将来自分で勉強してもやっていけるんじゃないか。そういう基本原理の試験といったようなことに重点をおいて考えますならば、たとえば商法についてはその範囲を制限してもいいのではないかという意見でございます。その制限の範囲は、たとえば保険、海商、これを除くといったようなことになれば、基本的原理、これは十分試験もでき、しかも受験者の負担も軽くなるというふうな観点からの御意見のように承わっております。これもまだ結論が出ているわけではございませんのでそのように御了解を願います。
○小林亦治君 ついでですから私どもの考えも一つ申し上げて御参考にしたいと思うのです。今課長がおっしゃるように在学中の学生の合格率を高めてやりたいという御親切な気持はわかります。もろもろの国家試験の中でこれはいわば最高の試験であり、しかも唯一のいわゆる高文試験なんだ。私はそういう考えは賛成じゃないのであります。学生を中心としない、せめて今程度のやり方でけっこうじゃないか。科目制度にしたらどうだ。三年間に七つか九つとればいいじゃないかといったような議論も、課長の方の部内にもあるやに聞いておりますが、これをも反対なんです。やはり最高の試験であり、司法官を作る試験なんでありますから、むしろ今よりむずかしくすることは、これは考えられますが、安きに流れていく、受験者の便宜を考えるというようなことにはなってもらいたくないと思います。科目の範囲を広げるという御議論もありますが、それはやはり実務の修習に入った過程において人間的教育を立ててやるということは必要ですが、少くとも試験そのものについて丘、あまりどうも安きに流れる制度に展開していってもらいたくはない。より厳重にやってもらいたいということを希望しておるわけです。 それから採点のことは考査委員会の機密にもなっているかもしれませんので、そう詳しく伺おうとは思いませんが、一科目六十点で平均が六十点にならなければだめなのか。一科目がたまたま五十点しかない、しかるに平均が六十点あったという場合には考慮されるのか、その辺いかがでしょうか。
○説明員(布施健君) 在学中に受験し得るように、今の程度を下げるのには反対だという御意見に対しましては、これはもし程度を下げるということになりますれば、それを補う何らかの方法をあわせて考えなければならないだろうというふうに存じますが、その問題と関連して結論が出る問題ではないかと思いますので、ただいま伺いました御意見は貴重な御意見といたしまして、拝承いたしたいと存じます。 第二点の合格点の問題でありますが、これは各科目の点数を出しまして、それを必須科目六科目と選択科目一科目、合計七科目について、合計して七で割って総平均を出します。別に必須だけの平均も出して参考に供しております。総平均は、先ほど申し上げましたのは少し言葉が足りませんで恐縮でございましたが、合格の基準が大体六十点と申しますのはその総平均のことでございます。従いまして、ある一科目で六十点に足りないものがありましても、平均しまして六十点ということであれば合格ということになっておるわけでございます。ただそのうちで非常に悪い科目があるといったような場合に、個別にまたこれを合格とすべきか不合格とすべきかということが協議されておる次第でございます。
○小林亦治君 年々ふえるとおっしゃるんですが、まあ大体私どもの予想なんですが、試験を受けようという気がまえで勉強しておる者は一万人前後、結局受験期になって受ける者は五、六千と、こういうふうに踏んでおるんです。その五、六千の受験者を調べるのは何人の委員がおられてどのくらいの期間かかるか。
○説明員(布施健君) この委員の数は、司法試験法によりまして一科目につき四人以内という制限があるわけでございます。従いましてある科目を取り上げますれば、四人をこえる委員はお願いできないわけでございます。必須科目、それから選択科目の受験者の多い科目等につきましては、先ほども申し上げましたように、四問主義で、一人の委員の方が一問を、受験番号一番から、たとえば六千番号全部を見るというふうな審査の方法をとっておられるわけでございます。なお、受験者の少い科目につきましては、たとえば国際私法等につきましては問題は二問で、そうして二人の委員の方が交互にどの問題も全部審査されるといった方法になっておるわけであります。 それから審査の期間でございますが、今まで大体これは多少一週間程度の、あるいは十日程度の差はございますが、二次試験の筆記は七月の中旬に施行しております。本年の例で申しますと、十一日から三日間でございます。それで受験場所は全国六カ所ございますので、その答案を集めて参りまして、途中で棄権した者、最初から欠席した者、こういう者の答案は除きまして整理をいたしまして、考査委員に見ていただきます場合は、受験番号と別な番号を付してお配りするわけでございますが、さような答案の整理をいたしまして、これを委員にお届けいたしますのが七月の末になるのでございます。それで半数だけ最初お届けします。その半数が終るころにあとの半数をお届けするといった方法でやっております。十月の一日、二日、三日、十月初旬が筆記試験の及落決定、そうしてその合格の発表ということに大体なっております。そういたしますと、その採点の整理にやはり十日以上要しますので、九月十七、八日ごろまでに採点の結果を事務の方へお知らせ願うようにいたしておるのでございます。従いまして審査の期間は八月一ぽいと九月の二十日前ごろまでという結果になっております。
○小林亦治君 最後にもう一点ですが、在学中試験に合格する者がかなりまあ今も前もあったわけであります。そういういわゆる秀才型の合格者が実務家になった場合、弁護士の方はおわかりにならないかもしれませんが、判事、検事になった場合にどういう成績なのか。逆に、五、六回受けてやっと通ったというような者もこれはかなりあります。二十回受けてやっと通ったというのもありますが何かそういうようなデータでもありませんか。
○説明員(布施健君) 在学中に合格いたしました者と卒業後相当年数経験して合格した者と、どちらが成績がいいかという御質問でございますが、これは大へんむずかしい問題でございまして、はっきりしたことを実は申し上げかねるのでございますが、まあ年令にもある程度よりまして、たとえば裁判官のことはいざおきまして検察官等について見ますと、非常に年配になってから第一線の検察官におなりになるといたしますと、これはある程度体力も必要なわけでございまして、いろいろな経験を積んでおられるという点で、事件を処理される場合無理がないということは、これはまあけっこうなことだと存じておりますが、事件の数も相当ございますし、そういう事務の能率と申しますか、これは能率と申し上げると語弊がございまして、人を調べますのに能率を上げることだけを念頭におくということはいかがかと思いますが、その他の事務もございますし、そういう点から見ますとどうしても無理があるわけでございまして、その点は、在学中に通って参りました人の方が、非常に何と申しますか執務能率、能力こういうものは上である場合もございますし、なおそういう人がだんだん経験を積んで参りますと、やはり伸びると申しますか、そういう点で多少いい面もあるのではないかということを考え、そういうふうに見受けられるのでございますが、データはございませんのではっきりしたことを申し上げられません。
○小林亦治君 制度に関する意見は、もう昔からいろいろな考え方のお方もあり意見もあるでしょうが、いずれにしても、来年度中にこの司法試験の科目とかあるいは制度そのものの内容が変るというようなことはありませんね。今のところは大体そう考えていいでしょうね。
○説明員(布施健君) 法律の改正ということになりまして、それが非常な受験者にも影響を及ぼすといったようなことでございますれば、その年から直ちにそれを施行するといったようなことも無理ではないかというふうにただいまのところ考えております。しかしあまり迷惑がかからないで、しかも法律を改正しないで何とかいい方法があるといったような場合には、あるいはやり得る場合もあるのではないかと……。科目が変るというようなことは、来年度はこれはおそらくないというふうに考えております。
○小林亦治君 もう一点だけ。在学中年若くして通ったのが、まあ最初は実務にはなれないが、訓練を加えれば将来伸びると、ごもっともなんですが、私どもの見てきたところによると、どうもそれを秀才扱いにしたがるのですね、司法部というものは。いわゆる任地でも何でも、第一線のいい所にやる。それから比較的年をとって合格した者を第二線にやる。任地にすれば東北回りをやられるというようなことになっておって、最初からこの扱い、育て方が大体偏見を持っておるのです、司法部というのは。これが非常に悪影響をしておるんじゃないかと私は思うのです。この点も私は相当考えてもらわなければならん。場合によりますと、秀才といっても秀才ばかもおりまして、かえって無常識で、いろいろ議論を言わせればかれこれ言っても人間的にはできていない、きざないやみのある秀才型が非常に多いのです。そういうのをかわいがってどんどんいい所にやり、昇進の手も考えてやるといったような、これはきわめて司法部ぐらいおよそ官界に偏狭な所はないように私どもは考えておるのです。そういう声もあるということを、私もまああなたと同じように司法部内の人間なんですから、そういう世論もあるということを一つ念頭においていただいて、秀才ばかにしないように人事の上に特にお考えを願いたい。 それから、これはまあ新たなる若い者の採用ということだけでなく、現在の司法官もそうなんです。東北へ来たらもう出られないと、言っておるのですよ、判事でも検事でも。そんなばかなことがあるかと言いますが、実際はそうなんです。こういうこともこれはまあ重要な司法行政の一つだ。どんどん交流しなければならんので、地方にもどんどんりっぱな秀才でしかも第一線級の人を配置してもらわにゃならん。どうもこいつはあまりぱっとしないというような者でもそういうのこそ中央に引っぱってきて、たたき直してもらわなければならん。はつらつたるいい空気に浸してたたき直して、さらにすみずみまで配置するというふうにしなければならん。今は昔ほど閥というものはないでしょうが、十五年前くらいまでのことしか私は知りませんが、昔妙な閥がありましてね。特に検事畑はひどかったのです。裁判所部内にもあった。すばらしく俊秀な高官の子分にでもなっていなければいい所には行かれなかった。今はさほどでもないと思いますが、この人事の交流の面については特にお考えを願いたい。私どももこれは衆参両法務委員とも司法部出身の者が多いので、司法部の地位の向上と待遇改善ということに全力を注いで戦っておるのです。だから今のような偏狭を脱し切れない部内空気ではそういうことを私どもが唱えても受け入れられないということもございますので、もっとおおらかになってもらいたい。そういうことを、そうでありますなどというお答えをいただこうとは思っておりませんが、お答えはいただかんでもいいんです。そういうことが実情なんですから。これは特にお考えを願って、一つ私の申し上げたような理想に近い線に持っていってもらいたい。秀才をかわいがらないこと、おだてないこと、偏狭なものにしないこと。むしろ鈍才がいい判決ができる場合もあり、人間の納得いく判断を出す場合もあるのでありますから、秀鈍合わしていい方を出すような方法に持っていったらなお私はいいと思うのでありますが、そういう点で一つ特に御考慮を願いたい。大臣にもこの間、最初にお見えになったときに、それに似たような注文を申し上げて御善処を願ってある。 それからもう一つですが、この前大臣に聞いたときには朗らかな春風飴蕩たる御答弁をいただいて私も毒気を抜かれてしまったのですが、(笑声)従って質問した事項に全部をお答えをいただかないで笑って引き下っちゃったのですが、何としても副検事というものはこれはやめてもらいたい。こういうものを、この弊害はもう申し上げないでも、課長もすでにいくらも耳に入っていることと思う。大体法廷の仕組みからして判事、弁護士、検事、これらはいずれも高等試験を通ってしかるべくふるいにかけられて、きちんとした過去を持っておる御連中なんです。そこへこの論告する原告官であるところの検事、副検事、中にはもう台湾の警部上りなんというのもおりますよ。これらのやることは警察官の頭を一歩も出でない無常識な事務を平気でやってのけておる。副検事制度がなくちゃならぬというなら、これはもうあくまでも検索のそばにおって補佐をする。法廷に立合う場合でもそばにおってビジネスを助けるということならいいですよ。論告に至ってはさたの限りなんです。人権がだんだん尊重せられて、いやしくも人権に影響あるような事柄が導き出されるところの仕組みというものについては、より丁重になり、慎重になり、むずかしくなっておる今日において、副検事とかあるいは特任判事というばかなことはない。これは私も弾劾裁判長をやり、弾劾裁判員として三年間、弁護士として十何年間、従ってこの司法部内というものは全部知っております。広義の司法部であります。これは衆参法務委員もより狭義の司法部に当る。われわれ日本弁護士連合会、どこに行ってもこの非難のない場所はないのであります。てんとして改めようとしないのはあなたたちの方だけなんです。最近もある法務府の高官にこの話をしたところが、もっともだ、まああれは終戦後論功行賞のような形で古い者に副検事を与えたのですが、あれはあやまちだった。そこでそれらの者はだんだんやめつつあるので、その代りに学校出の若い者を副検事に任用して弊害のないようにしているのだといったようなお答えだったのです。これもやはりそういうふうに切りかえられることはベターではありますが、より一歩いいかもしれませんが、とにかく法廷に立ち会って原告官として論告するものなんですから、対立する相手は弁護士であり判事であり、いずれも全部司法試験の過去を持ったしかるべき相手なんです。それに配するにただ副検事を入れて検事にとって代らしむるということは、たとえ簡易裁判所にせよこれはもう時代逆行なんであります。無常識な一つのつり合いのとれない仕組みじゃないかと思うのであります。これは強く一つ注文しておきたいのです。今日のような状態になると、これはもう衆参法務委員はむろんのことなんであります、各司法関係者の世論というものははなはだしいものになるのじゃないかと思うので、一つそういったような面の会議なり何かのチャンスがございましたら、課長にも御努力を願って副検事の廃止の方に進んでいただきたい。最高裁に対しては同様に、特任判事制度つまり簡判制度の撤廃というものを私どもは持って参って、その実現に努力したいと思っております。これもお答えけっこうでありますから、どうか一つ聞きのがしにせず御留意願いたいと思います。 以上で私の方はけっこうです。
○委員長(高田なほ子君) ちょっと速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(高田なほ子君) 速記をちょっとつけて下さい。それでは委員会を暫時休憩いたしまして二時半から再開をいたします。 午後一時三十六分休憩 ————・———— 午後二時四十七分開会
○委員長(高田なほ子君) 休憩前に引き続き委員会を再開いたします。 検察及び裁判の運営等に関する調査の件を議題に供します。御質疑のおありの方は御発言願います。
○亀田得治君 人権擁護の問題について若干質問をしたいと思います。 最初に人権侵犯事件の中で人権擁護局が、あるいは本部並びに地方の組織が、取り扱った件数ですね。そういう点、昨年度と比較をして概略でいいですから、こまかい点はまた文書で資料を追っていただきたいと思いますから、御説明を願いたいと思います。
○政府委員(戸田正直君) お答えいたします。 国民の基本的人権を擁護する唯一の機関として人権擁護局は昭和二十三年に発足いたしました。自来毎年人権侵犯事件の受理件数は急増いたして参りまして、昨年度取り扱いました件数は四万二千二百八十七件であります。今年に入りまして一月から十月までの総件数を申し上げますと三万五百一件であります。従来の毎年の例から見ますと、十二月に事件が非常に多くなりますので、それは人権週間として世界人権宣言の記念をいたしますと、その啓蒙活動が非常に一般に影響しますというような関係だと思いますが、非常に事件が多くなっております。そういう関係で今年も受理件数は昨年に劣らないものと考えております。 そこで事件の内訳を御参考までに申し上げておきますが、昨年の事件を受けました中で重立った事件を申し上げますと、まず人件擁護局としましては、公務員による侵犯事件と私人——一般人による侵犯事件とに大別いたしております。そのうち公務員による侵犯事件の内訳を申し上げますと、警察官等によるものが六百七十三件、次に教育職員によるものが百六十二件、警務職員によるものが三十二件、税務職員によるものが五十八件、その他の公務員によるものが三百二十三件、合計千二百四十八件ということに相なっております。 それから私人による侵犯事件を大別いたしまして、人身売買事件が二百二十五件、村八分事件が百十九件、差別待遇が五百十五件、それから私刑、いわゆる私の刑、リンチでありますが、これが二百十七件、酷使虐待が四百二十七件、労働権侵害が五百三十九件、強制圧迫が千七百四十八件、まあその他ということに相なっております。さらにことしの一月から十月までのただいま申しました三万五百一件の内訳を申し上げますと、公務員による侵犯事件は九百四十九件に上っております。そのうち警察官符等によるものが五百四十六件、教育職員によるものが百二十五件、警務職員によるものが十九件、税務職員によるものが三十八件、その他の公務員によるもの二百二十一件ということに相なっております。さらに私人による侵犯事件につきましては、人身売買事件が百九十七件、村八分が百三十六件、差別待遇一音十三件、私刑いわゆる私の刑が百五十一件、酷使虐待が三百九十九件、労働権の侵害が五百五十七件、強制圧迫が千九百八十三件、その他ということに相なっておりまして、三十年度の十月までの大体比率は以上のようになっておりまして、昨年とことしを比較いたしまして、公務員あるいは私人による侵犯事件が著しくふえたということには統計上なっておりませんが、やはり漸増の形が現われておる、かように考えております。
○亀田得治君 特にこの公務員関係の人権侵害事件ですが、まあ数の上においては幾らかふえる傾向は見えまするが、あまり大きくは出ておらぬようです、数の上では。ただこの地域的な状況ですね。特にどういう地方に多いとか、そういったような点が見られるかどうか、そういう点はどうでしょうか。
○政府委員(戸田正直君) この点につきましては、実は都会と農村等において、その事件がどういうふうに現われておるかというような御質問の趣旨のように考えられますが、特にこれは現われておりませんので、はっきりしたことは申し上げられませんが、たとえば都会において例をとりますと、東京というような場合をとりますと、やはり都会では割合に警察官等による事件が少くなったんではなかろうかという感じがいたしますが、やはり地方においてこうして公務員による侵犯事件が多いのではなかろうかというふうに、大まかに申し上げて、そういう感じがいたしたのであります。
○亀田得治君 今警察官の侵犯事件について都会と地方を比較されたわけですが、今局長から答弁されたような一般的傾向があろうかと思うのですが、そこで地方についても特にどういう地方に多いとかいう傾向があるのか、あるいは全般的にともかくこの六百七十三件というものは散らばっておるのか、そういう点はどうでしょう。
○政府委員(戸田正直君) その点も実は資料を得ておりませんので、はっきり申し上げられませんが、これはもうごく感じでありますが、たとえば地方をとりますと、北海道というような面が事件を受けます上に非常に多くなっておるような感じがしております。やはり北海道、九州というような面が他の地方よりは多いのではなかろうかというような感じがいたしております。
○亀田得治君 それは局長の方としてはそういう点についてどういうふうに受け取っておられますか、その理由等について。
○政府委員(戸田正直君) その理由はつまびらかになっておりませんが、やはり従来泣き寝入りするというような傾向が強かったのでございますが、人権侵害に対する啓蒙活動と申しますか、一般的な啓蒙活動が普及されてきて、そのために泣き寝入りをする者がなくなった、かように考え、事件の多くなりましたのはそういう面が影響しているというふうに考えるのでありますが、北海道のような場合には、御承知の気候その他の特殊事情で啓蒙活動が十分に行き渡っておらないのでありますが、そういう地方で多くなっているというようなことが、これは啓蒙活動の結果多くなったとだけは言えない、他の理由があろうかと思いますが、この点に対するまだ十分な調査が行き届いておりませんが、それらについても今後いろいろ総合的に研究いたしたいと、かように考えております。
○亀田得治君 大体直接あなたの方で取り扱われた事件についての説明はいただいたわけですが、そういう人権擁護局の直接お扱いにならないで起きている問題、これは調査そのものは、はなはだむずかしい問題ですが、あなたの方としてはどの程度実際の人権問題というものは日本に一年間にあるか、こういうことをお考えですか。そういうことは調べたことがないかもしれませんが、まあいろいろ考えておられると思いますから、お聞きします。
○政府委員(戸田正直君) 先ほど申し上げました統計は、私の方へ申告になったもの、あるいは新聞その他の情報によって得た事件を先ほど申し上げたのでありまして、その他に侵犯事件が隠されたものがもっとあるのではなかろうか、こういうお話でありますが、それはもちろん現われたものはこの程度でありまして、もっと隠れたと申しますか、自分たちの侵された人権を持ち出さない、持ってきておらない面がかなりあるのではなかろうかと考えておりますが、これがどの程度の件数になるかということは、ちょっと今の人権擁護局ではとても調査もできませんし、ちょっとどの程度ということを申し上げることはできないのであります。
○亀田得治君 次に予算の問題ですが、現在までに、たとえば昭和三十年度の場合でもいいんですが、一つの人権侵犯事件が起ると、それに対する調査なりあるいは善後措置等を講じられるわけですが、それに対してどの程度の費用、一件についてこれが予算上処置できる金額ですか。
○政府委員(戸田正直君) これも事件の大小によりますし、また複雑性等によりまして、一、二回の調査で済む場合もございますし、五、六回ないしは十回も調査しなければならない、また調べます対象人員も五、六人で終る場合もありますし、さらに数十人についてしなければならぬというような事件もございますが、一件当りどのくらいの予算がかかるかというようなことを実際に調べるということは困難でありますが、按分といいますか、何件についてどのくらいの事件をやったかという面から考えまして、一件当り三百二十円というようなことでいたしております。これも先申しましたように、各事件により違いますので、これだけで十分だというわけではございませんので、逆算しまして、事件の取り扱い件数、かかった予算から按分しまして、今のような数字が出た次第であります。
○亀田得治君 一件当り三百二十円というのは、三万五百一件ですが、これを三百二十円にかければ全体の費用になる、そういう意味でしょうか。
○政府委員(戸田正直君) 先ほど申しました昨年度の四万二千二百八十七件、また今年度に入りましての三万件以上のこの事件のこれは申告がありまして、取り扱った事件数でありまして、これがすべて侵犯事件として調査、いわゆる費用を要して調査をするという事件だけではございませんので、調査をどうしてもして、費用を要するというような事件は、このうち大体六千二百件、従って先ほど申しました一件当り三百二十円といいますのは、大体六千二百件を調べるために要した費用と、さようお考え願いたいわけです。
○亀田得治君 この三百二十円というのは人件費と……、ちょっと内訳を言って下さい、何と何の費用ですか。
○政府委員(戸田正直君) これは人件費等は入っておりません。このただいま申しました六千二百件が費用を要して調査しなければならない事件、そしてこれに要します予算として認められております金額は二百二十二万二千円、約二百二十二万円でございますが、これを割りまして出しました金額が三百二十円、実際にはかような三百二十円で一件の事件が処理されるというようなことはとうていできないと思うのですが、ただ按分しまして先ほど申し上げましたような金額がでたのであります。ただいま申しました三百二十円は、これは旅費だけの予算でございます。調査に要する旅費でございます。
○亀田得治君 非常にこまかいことを聞くようですが、こまかく聞きませんとわかりませんのでお聞きしますが、旅費というのは何人くらいの人が一体六千二百件の調査のために旅行をしたわけですか、旅費を使ったわけですか。
○政府委員(戸田正直君) それでは一応御参考までに人権擁護局と法務局の予算全体について一応申し上げ、さらに人権擁護局と法務局の職員数と、人権擁護委員の数等を最初に御参考までに申し上げます。人権擁護局の三十年度の総予算は百八十三万五千円でございます。このうち一般行政費が九十七万二千円、人権擁護委員制度の運営費というのが十三万九千円、それから人権侵犯事件の処理に必要な経費が七十二万四千円であります。それから法務局の総予算が九百八十三万七千円、その内訳は人権擁護委員制度の運営に関するものが百八十万九千円、人権侵犯事件に必要な経費が八百二万八千円、これが全部の総予算でして、それから人権擁護局の人員でありますが、これは局長を入れまして十三名、この中に一課、二課、三課とありまして、一課が一般的な事務等をいたしておりまして、二課が大ざっぱに申し上げて人権侵犯事件の調査、処理、三課が人権思想の普及活動をいたすところでありまして、この職員が一課で六名、二課で四名、三課で二名、合計十三名ということになっております。 それから法務局、中央法務局八法務局と四十一地方法務局の職員数は大体二百二名、それから人権擁護委員の実人員が五千二百名、大体その程度であります。 そこで先ほど申しました予算のうち、ちょっとおわかりにくい点がございますので、もう少し説明をこまかく申し上げておきますが……。
○亀田得治君 概略でいいのですがね、こまかいやつは書類でもらいますから。
○政府委員(戸田正直君) ではこの程度で一つ御承知おきを願います。
○亀田得治君 たとえば北海道等が今年は相当ふえたというふうな先ほどお話でしたが、北海道等には、その人権侵犯事件の調査に相当行かれたわけでしょうか。
○政府委員(戸田正直君) 人権擁護局の侵犯事件の調査のやり方といいますか、方法が、各法務局、地方法務局に事件の調査をいたさしておりまして、人権擁護局としては大体全体の全国的な事件について、いろいろ調査を指示したりするような仕事をいたしておりますので、本省から出る予算も非常に少うございますので、やはり第一線の各法務局に事件の調査をさせるというようなことが大部分でございます。従って本省から出て調査をするという事件は、旅費等の関係がありましてごくわずかになっております。
○亀田得治君 結局実績に基くと、六千二百件のものについて一件当り三百二十円の旅費を使ったと、それは実績の報告であるが、私の実際聞きましたのは、非常にむずかしい事件であれば、これは相当手間をかけて本省のものが出て行って十分調べるというようなことを一件でもやりますと、遠隔の地においてはこれは相当の金になってしまうわけです。そういうことを一件でもやりますと、この予算でありますと、数十件の分をそれで食ってしまうわけですね。だからそういう面の制約をどの程度お感じになっておるのか、予算面で。実際はこれだけ事件があると、あちらこちら行きたい、行くべきだという考えはあるのだが、行けないのだ。行かないのじゃなしに、行けないのだ、予算上。そういうふうな点を聞きたいのです。
○政府委員(戸田正直君) ただいままでの私の方の予算等の面からにらみ合せまして、本省から調査に出るという事件は、特殊な大きな事件、たとえば先般ございました近江絹糸の事件というような事件は別としまして、大体国会から要請されたような事件を考えておりますが、国会から要求されました事件でも、全部出るというまでの予算がございませんので、でき得る限り、現地の法務局に調査を依頼してさせるというような方法でいたしております。
○亀田得治君 直接本劣等に持ち込まれた事件を、そういうやり方の調査でこれは十分でしょうかね。
○政府委員(戸田正直君) 決してこれで十分だということは毛頭考えておりませんが、予算等の制約がございますので、やむを得ず、また職員等も非常に少うございますので、今までの予算、機構等からは不十分ではございますが、でき得る限りしぼって、事件の調査をいたしておるというようなことで、大へん国民の人権を守るという面からは不十分で申しわけないと思っておりますが、いろいろの面の制約がございますので、予算の範囲内においてできるだけの努力をいたしております。
○亀田得治君 先ほどの六千二百件の中で、実際に旅行をしてお調べになったのは何件くらいあるわけでしょうか。
○政府委員(戸田正直君) 実際に出てどの程度調べたかという、どの程度まで出たかの範囲がいろいろ問題だと思うのでありますが、たとえば東京に例をとりますと、東京の法務局でいろいろ事件を調べて、大体六千二百件の調査事件については、遠い近いもいろいろございますが、呼んで済む場合と、それからどうしても出かけて行かなければならない場合とございますので、何回くらい出て調べたかという、こまかい点が明瞭になっておりませんが、できる限り旅費等の関係もございますので、法務局に来ていただいて調べるというふうな方法をとっておりまして、それ以外どうしても出て調べねばならぬ、現地に行って十分な調べをしなければならぬというものだけに限って現地に出張して事件を調査しておるような次第でありまして、どの程度何回くらい出てあれしているかということは、ちょっとまだ明らかに調査できておりません。
○亀田得治君 その点一つ資料として出してもらいたいことを要求しておきます。そうしませんと、たとえば先ほど一件あたり三百二十円の旅費ということですが、六千二百件について全部三百二十円ずつ出していたのでは、とてもそんなものは中途半端で、何に使われたのかわからないと思います。結局そういう予算上の制約があるので、調べも直接行くべきものを、呼ぶということにもなるだろうし、そこに非常なやはり問題があろうと思うのです。そういう点の実態をよく私ども知りたいと思いますので、一つできるだけ詳しいものにしてお出し願いたいことを要求しておきます。 それから次は、たとえば協議会とか連合会などの費用ですね、こういうものはなかなか本省から運営費等が出ておらないわけです、十分。それでこれを調査されておるかどうかわかりませんが、実際の協議会あるいは連合会などの費用の中で、本省がそのうちの何%ぐらい持っておるのか。運営費のうち本省が出しているのは何%ぐらいになっておるのか。あとは地方の自治体なり、あるいはそのほかの方法で何か調達しなければならぬわけでしょうが、そういう点の大まかな一つ内訳をお聞きしたいと思うのです。
○政府委員(戸田正直君) 先ほど申しました人権擁護局の人権擁護委員制度運営に関する費用が十二万九千ございますが、この十三万九千というのは、人権擁護委員を委嘱、解嘱するに要する費用だけでございます。それ以外は本省にはございません。従って人権擁護委員の費用といたしましては、委員の関係する予算を一応大まかに全部申し上げたいのでありますが、人権擁護委員の関係予算としては全部で五百四十四万二千であります。これはこのうちの大部分は実費弁償金の四百八十八万三千円でありまして、これは先ほど申しました五千二百人の人権擁護委員に要するいわゆる人権擁護の啓蒙活動であるとか、あるいは調査等をいたします場合に要しました費用を先に立てかえておいていただきまして、あとからこれを弁償するという、いわゆる実費弁償金であります。これが今申し上げた四百八十八万三千円、大体一人年間千円という割で認められておりまして、四千八百八十三人分の実費弁償金であります。それから委員の旅費でありますが、これは委員が協議会あるいは連合会等に出席するために要する予算が五十五万九千であります。それから啓蒙活動の予算といたしましては、世界人権宣言の記念講演会に要する費用が僅か認められております。これは御承知の十二月四日から十日までの世界人権宣言に当っていろいろ啓蒙活動一をする予算でございまして、これは講師への謝金が十万七千円、それから講演会の会場を借りるとかフィルムを借りるとかいう予算が十四万五千円、これで四十九法務局管内の人権擁護委員が活動される総予算であります。そこでこの協議会、連合会の数も御参考までに申しませんと、この予算のいろいろ割り振りがはっきりいたしませんので、協議会、連合会の数を申し上げたいと存じますが、協議会は二百九十七カ所ございます。連合会が四十九カ所、全国連合会が一カ所、この各二百九十七の協議会と四十九の連合会、それから一カ所の全国連合会、この協議会、連合会の集まる予算が先ほど申しました五十五万九千でございまして、私たちの従来の例から一例を申し上げますと、全国連合会を東京に一回開くというような場合に要します旅費は、大体六十万円、そうしますと全国連合会を一回開くことがやっとできるかどうかという予算しかございませんので、従って予算上からは二百九十七の協議会、四十九の連合会を開くために集まる旅費というものは、もし全国連合会を一回やりますと、もう数字上からはできないというような結果に相なるのでございます。そこで、この協議会、連合会等を開きますのに予算がございませんので、地方の自治団体、市町村等から御負担を願っておりまして、これによってこういう面をまかなって今までやってきたというのが実情でございます。
○亀田得治君 それは全体のそういう協議会、連合会、全国連合会の運営費、これはどれくらい実際にかかっているかの詳しいことはわからぬでしょうが、国の予算上負担しておるものは何割くらいになるのですか、おおよその見当を。
○政府委員(戸田正直君) 今申し上げました五十五万九千しかございません。
○亀田得治君 いや、それが何割くらいになりますか。
○政府委員(戸田正直君) 今の地方の負担金を申し上げませんと割合が出ませんので、地方からいろいろ補助を受けております負担金を概算申し上げますと、大体全国で二千四百万円くらいの負担金をいただいておるようでございます。これは連合会、協議会としていただきまして、法務省、法務局としては直接タッチしておりませんので、詳細ではございませんが、大体二千四百万くらいを協議会、連合会が市町村から負担していただいてこの会合を開いて、また啓蒙活動等の費用をまかなっておるというような実情でございます。
○亀田得治君 それで二千四百万という数字は大体わかりましたが、これに法務省の予算プラス……、それで全部の費用がまかなわれているわけでしょうか。あるいは極端に言えば、その委員の個人の負担にも相当なったというような実情にあるのじゃないかと思うのですが、もしあるとすればそれはどの程度のものでしょうか。
○政府委員(戸田正直君) このほかに人権擁護委員が自弁され、負担されておられるのじゃないかというような御質問でございますが、これも金額の調査ができませんのでわかりませんが、人権擁護委員が相当自弁されている、またいろいろの啓蒙活動等をいたす場合、あるいは協議会、連合会等を開く場合に、いろいろ負担されているというようなことは聞いておりますが、これがどの程度の金額になるかというようなことは、ちょっと調査ができませんので明らかになっておりません。
○亀田得治君 実情はだいぶこまかくわかりましたが、そこでちょうど政務次官来られたからお聞きしたいと思うのでありますが、こういう非常に大事な仕事について予算が非常に少いわけですね。ところが今度はいろいろな事情で予算が補正される、まだ正確には補正されておりませんが、来年になってから正確な補正が行われるというふうに政府は予算委員会等でも言っているわけです。ただそういう場合に、この経費の節約といったような問題が形式的にやられますと、こういう非常に窮屈な予算でやっている所にとっては、非常に大きく響いてくるわけですね。こういう点についての一つ考え方を次官から直接お聞きしておきたいと思うのであります。
○政府委員(松原一彦君) 私まだ就任日が浅くして、詳しいことはわかりませんが、この短い間に予算関係のものを当ってみましただけでも、私ども議員として今までこの方面に対して非常に不明であったことを恥じる者であります。 ただいまお話のありましたように、人権擁護という重大な問題を担当している中央の局の定員が十三人であります。一局として十三人の定員をもってこの重大事件を扱っているのでありまして、その費用に至ってはまことに微々たるものであります。その微々たるものすらもなおかついつでも比例的に予算を削減せられるといったようなことがありますので、見るに耐えかねているような次第でございます。従って本年度はもちろん日も浅うございますからやむを得ませんが、明年度におきましては少くとも相当額の予算を要求して、これが成立を皆様方にもお願いしたいと思うのでございます。予算の補正が増額補正ならよろしいですが減額補正というようなことになりますと、こういう人件費を六一%持っている行政庁でございます。ただいまの法務省は全体を通じて人件費の所要経費が全省費用の六一%。かつて数年前には三九%の人件費であとは他の所要経費に回されておった時代もありますけれども、今日は急激なる事務量の増加にもかかわらず、人員の増加はなく、むしろ低減しておって、人件費に対するその割合が非常に高く上っているという実情でございますので、何とかこれは皆様方の御理解のもとに適切なる予算をとっていただきたいということを熱望いたしているような次第でありまして、今、局長が申した苦心惨たんしてやっております人権擁護の仕事にいたしましても、もちろん地方の名望家であって、昨日も表彰式があって、十四人の方々が表彰されましたが、ほとんど全部持ち出し、旅費の支給などはないというのが実情で、一人の年間の実費弁償が一千円というような、今日では考えられないような微少額でございます。これで日本の八千万の人権を擁護するというふうなことは、まことにお恥かしいという次第だと私は考えております。明年度の要求などは今くだくだしくは申し上げませんけれどもが、たとえば貧困者の訴訟援助に必要な経費というものは、今日はゼロでありまして、これをあちらの弁護士に頼み、人権擁護委員の弁護士に頼みして、無料で引き受けてもらうとか、あるいはその他の団体から補助してもらうとかいたしているのでありまして、特に私どもが一番危険を感じますのは、地方の自治団体の赤字にかんがみましても、今後地方の公共団体からは寄付はもらわないということを宣言いたしております。そうすると、ここで全くこういう運動は手足を断たれてしまい、寄付がこなくなり、その二千何百万円というのは寄付でありますから、それは出さないと言えばそれっきりであります。そういう点についての補助を国がしない限りにおいてこの機関は運用ができません。まことに困ったものだと考えております。どうか一つ御援助をいただきたい。
○亀田得治君 次官から非常に積極的な御答弁がありましたから、私ども非常に意を強うするのでありますが、おそらくその点では法務大臣も同じ意見であろうと私はまあ想像するのです。そういう立場から一つ、たとえば来年の一月になっておそらく今年の百八十八億ですか、あれの補正というものが具体化される場合に、こういう人権費用なんかに手をつけないように、すでにきまっておるわずかなものにすら手をつけるというふうなことのないように、一つお願いしたいと同時に、来年度の予算の編成については、十分やはりこの点を考慮してもらって、少くとも前年度よりはこれだけ増していっているんだというふうにやはりやってもらいたいと思う。で、非常に重要な点は、今次官からもおっしゃったのだが、この地方から出ている補助金ですね、これはもう各市町村が削る傾向にあるわけです。本来これは国がやるべきことなんですから、削られても文句は言えないわけですが、そういうわけですから、十分一つ、これはわれわれもまあできることはしたいと思いますが、御努力をお願いしておきます。 そこで局長にもう一点最後に聞いておきますが、今年のこの予算要求ですね。それはどういうふうに大蔵省に出され、そして現在この人権擁護関係の折衝といいますか、それがどういう状態になっているか、概略お聞きしておきたいと思います。
○政府委員(戸田正直君) 先ほど申し上げましたように、三十年度の微々たる予算では十分な人権擁護の仕事はできませんので、三十一年度の予算要求に対しては、できるだけの予算増額に努力いたしたいと思いまして、ただいま努力をいたしておりますが、その概算要求といたしましては、人権擁護局の予算を三千百八十二万、それから法務局の要求が五千八百五万七千円を要求いたしております。今までの大蔵省との折衝は、大体事務官同士の話し合いでありましたが、今年は私は特に最初から出まして大蔵省の事務当局とも折衝を重ねておりまして、先ほどお話に出てきましたように、人権擁護委員の予算が非常に僅少でありまして、せっかくできました人権擁護委員制度の運営ということが、この予算では、はかられないのじゃないかという危険がございまするので、協議会連合会を開催するに要する予算と、それから啓蒙活動、これはほとんど認められておりませんので、これに関する予算等を十分にとりたいと思います。先ほどお話の出ました、市町村から負担してもらっておりまする二千四百万のこの負掛金は、地方財政の赤字等の関係がございますし、それから地方財政再建促進特別措置法ですか、ああいう法律もできたりいたしまして、とうてい市町村の負担を仰ぐということはもうできないものであると、かように考えておりまするので、これらをまかなう予算の獲得をぜひいたしたいと、かように存じておりまして、ただいま大蔵省とも折衝中でございます。
○政府委員(松原一彦君) ただいまの局長から申し上げました通りの実情でございまして、人権擁護などは、起ってからそれを処理するのでなくして、もっと早く先手を打って啓蒙せねばならぬ。その啓蒙活動こそ法務省の積極行政だと思うのです。啓蒙活動というものが今日まで行われておらぬのは、全然その方面の費用がない、辛うじて人権擁護週間にあの映画を一つやるといった程度のものであってはならぬと思う。今の法務大臣も、憲法十二条の人権を擁護し、国民の福利を増進するということが法務省の積極的の任務でなければならぬということで、今年はぜひ人権思想の啓蒙、宣伝等に力を入れたいと思っておるわけでございます。事後の処理ではない、事前にこれを持っていかなくてはならない。売春問題にしましても牢屋に女をたたき込むというのではなくして、婦人の人権を擁護する点から、一つ啓蒙宣伝をいたしたい。そこで五百二十八万六千円というものを要求いたしておるのでありますが、果してこういう方面に、寄付金等もこの中に含めてでございますが、了解が得られますかどうか、非常に苦労をいたしておりますような次第でございます。なお、法務省の手足となっておって、こういうことをば積極的にやってくれるたとえば保護司のごときも、これは一人の担当量が、ただいま一年二百四十人ということでございまして、そしてこれに対する費用はまことに微々たるもので、ようやく月額二千円に満たない実費を払っておる。一日平均七十円といったような手当を払っておるので、七十円では今日弁当も食えぬし、電車賃になるかどうかという程度で、法務省の仕事が積極的に出ようとしても出られないような状態になっております。こういう点につきましては、もう少し、ただ法律を励行するというのでなくして、進んで啓蒙し、進んで指導し、教育する面に力こぶを入れたいと私どもは考えております。どうぞ御協力を願います。
○羽仁五郎君 今の問題に関連して政府に伺っておきたいのですが、これは御承知のようにずいぶん長い間の問題で、前には木村法務総裁なんかの当時には、人権擁護局の廃止なんというとんでもないような考え方さえあっていたんですけれども、今の政務次官のお答えは非常にありがたいことであります。けれどもやはり責任は政府に、ことに公務員なり特別公務員なりの人擁侵害が非常に多いのですから、それらについての処理は、政府みずからが責任をとらなければならぬ問題でございまして、自分のところの公務員が国民の人権を侵害していて、それをろくすっぽ調べることもできない、いわんやそれを適当に措置することができないというような政府では、何のための政府で何のために税金を取っているか、われわれの協力を求められる以前に、政府みずからその責任を果されることが必要だと思う。私は長い間この人権擁護局の問題について考えておりますが、結論的にはこの人権擁護局を外局にされるよりほかに方法はないんじゃないかと思うのですが、政府は、特に新法相もそういう点については特別の認識を持っておられると思いますが、法務省の内局であるために人権擁護局の権限なり、地位なり、権威なりというものが不十分であるのじゃないか、だからすべからく政府は今お話のような点において漸進的といいますか、だんだんに改善していくような段階じゃないかと思う。国民の人権を公務員なり特別公務員なり、特に法務省の管轄下にある公務員がじゅうりんするのを根絶しなければならぬのじゃないか。その意味から、私はこの人権擁護局を外局として独立させて、そしてその高い地位と十分の権能と、そして十分の予算というものを取られるその時期に到達しているんじゃないかというように思いますが、その点について御研究下すっているのかどうか、もしお答えいただければ早い機会にお答えをいただきたいと思います。
○政府委員(松原一彦君) 任官日浅く、かつ法務行政については私は未経験でございますので、この辺に対するどういう経過をとっておるかは存じませんが、確かにりっぱな御見識だと思います。よく研究してみたいと思います。
○中山福藏君 これは政務次官、文教出身の方ですからあらゆる予算、法規等の関係については、もうしばらく御遠慮申し上げたい。で、あなたに当然御答弁ができると確信する点からお伺いします。大体これは世界人権宣言というものの宣伝費用ということになっておるわけですが、この世界人権宣誓のしぼられたものは憲法第十一条の基本的人権、まあこういうことになっておるのですね。これを拡大していくと、世界人権宣言になる。そこでお尋ねしたいのですが、人権というものは正義、人道というものを自分が身につけておる場合に、人から侵される、その正義、人道に固まった自分というもの、各人の人格というものを擁護するということに、端的な言葉で言うと、なってくると思うのです。ところがこの正義、人道というものは、国々によって違うのですね。それが世界人権宣言という一言に表現されておるわけですが、たとえば日本では道義上、共産主義というものは非常に悪い、大多数の人がそう考えておる。ところがソ連ではこれは一番最高の道徳なんですね。そうすると、国々によってその人権というものがそこに違った感覚が現われてくる。それがしかし世界人権宣言というのはここで一九四八年の十二月の十日に国連総会を通過したということになっておるわけです。この書き方がすでに私はおかしいと思う。これはたとえばインドでは白い象というものを拝む、日本なんかではそんなものを拝みやしませんね。これはだからたとえばそういうごく卑近な例をあげても、正義感というものが国によって相当違う、それが一括して世界人権宣言に現われておる。で、アメリカの独立宣言とかフランスの人権宣言、おのおのその考え方が違う。それを日本に持ってきて、その基本的人格というものの内容をなしておるそれらのものを擁護する、これは私はその擁護の対象というものが各国によって違うと思うので、すね。それで、これを宣伝する、単に世界人権宣言に基く基本的人権を擁護するために宣伝を行うという場合には、おのずからそこに私は宣伝の方法が変ってこなければならぬと、こう考えておるのです。松原政務次官はそういう点についてどういう御見識を持っておられるでしょうか。一つお伺いしておきたい。
○政府委員(松原一彦君) 私はそういう重大なる専門の御質問に対しての御答弁を申し上げる用意はございませんけれども、憲法の第十二条には、国民が保障せられるところの自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならないので、まずみずから保持するということが大切であり、さらに「又、国民は、これを濫刑してはならない」とあります。そうして「常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負う。」とありますので、公共の福祉を増進する上における責任のもとに、個人としての自覚と権利の享有ができると思いますし、また公共の福祉の増進のためにあらゆる立法もありますから、そういう一つの制約のもとに行われるものと信じておりますので、政府はもちろん常識的に判断もいたしまするが、法律等の制約の上に、人権を擁護するものと信じております。
○中山福藏君 それは私の申し上げることを誤解しておられると思うのです。いわゆる擁護の対象はいかなる正義であり、いかなる人権であるかということを規定してかからなければ擁護の対象がなくなる、こういう質問をしているのです。たとえばこの宣言の中にはこう書いてある。一般人というものの自由、正義及び平和の基礎をつくるために人権というものを擁護しなければならぬ、こういうことを書いてあるのです。その自由とか正義というものが擁護されるわけです、結局は。それが人格の中に宿てっいるわけですね、基本的人権というのは。だからその人格の内容をなしている対象というものがはっきりしなければ、国々によって擁護の対象というものがおのずから違ってこなければならぬが、いわゆる正義とか自由とかいうのはこれはおのおのの歴史的な結論から押し出して考え方が違うのです、各国によって。だから単に世界に共通したいわゆる人権というものを擁護するのか、あるいは世界の人権宣言から生み出した憲法第十一条に規定された日本流の基本的人権を擁護するのか。単に予算をとって経費をかけて宣伝してみたところが、何が何やらわからぬ宣伝をしては困る。そういうふうな論理的な立場を日本の政府というものはよく欠いているのじゃないか。だからそういう点から一応明確にして、こういう線を打ち出してこういう考え方を国民が持って、それこそは基本的人権であるから擁護していかなければならぬ、こういうふうに結論づけられてくるのか私は論理的な考え方であるべきだ、こう考えるのです。だからその点を一つお聞きしているわけです。これは私の質問しようが悪いかもしれませんが、法律の問題でなくして、これは文教の衝におられる松原次官は、当然そういう点については御研究をなすっていると、こう考えましたから常識的なことをお伺いしているわけです。
○政府委員(松原一彦君) 私は基本的な人権は世界共通のものと考えます。人間というものの権利、これは世界共通のものであって、その共通普遍な人権の上に立って、その国々の制約があると心得ます。日本には日本の憲法のもとに制約されている、憲法によってできたところの法律その他の制約を受けております。もちろん道徳的制約もあると信じます。その国の伝統、歴史に伴う道徳的な制約もあることと信じます。そういう制約の上に基本的人権を守るべきであって、ただ単なる概念的な基本的人権というものを無差別平等に擁護するというものではないと信じます。それより以上のことは私には御答弁ができませんから、お許しを願いとうございます。
○中山福藏君 まだありますけれども、この辺でこれ以上どうかと思って御遠慮申し上げます。
○亀田得治君 関連して、これはしかし中山委員のおっしゃった点は、見方によって非常に重大な問題だと思うのです。そこでこれは法務大臣にむしろ質問すべきことかもしれませんが、政務次官は今就任したばかりだとおっしゃるから局長に一つ確かめておきたいのですが、あなたの方で人権週間等で啓蒙宣伝をやる、予算は不十分でしょうが許された範囲においてやる、そういう場合の方針ですね、その基本的な問題を今中山委員が言われたわけです。だから今までの実績だけを言ってもらえばいいわけです、事務的に。私の考えではそれは日本の現在の憲法ですね、ここに基本的人権のそのなにが具体的にですね、明確になっていると思うのです。おそらく私はまあそれを普及宣伝するという立場で、従来法務省ではやっておられると思うのですが、もしそれが違うのであればどう違うか、そういうような立場から一つちょっと聞いておきたい。
○中山福藏君 ちょっとその点について亀田さんこの説明書をごらん下さると……きょういただいたのです、参議院の法務委員会質問資料というのを……。これには世界人権宣言記念講演会と書いて、世界人権宣言記念講演会講師謝礼金とか……。結局世界人権宣言というものを講演して回っていられるのじゃないですか。
○亀田得治君 これはここにお書きになったことは意図はわかりませんが、先ほど政務次官が言われたように、日本の憲法で人権の基礎が明確になっていると言っても、もちろんこれは世界的な人権につながっているものだと、そういう関係があるから、おそらく法務省の方ではたまにはこういう講演会も必要なんじゃないかということで、おやりになったものだろうと私はこれを見て解釈しているのです。そこで、一体先ほど私ちょっとお尋ねしたのですが、実際どういうふうにおやりになっているのか、その点を一つざっくばらんに。
○政府委員(戸田正直君) 日本における人権擁護が入っておりますのは憲法の第三章国民の権利義務、あれに詳細に規定されておりまして、それから先ほど中山先生の覆われました、私の方から出ました資料の中に、世界人権宣言の予算が入っておりますが、これだけをやっているのじゃないかという御質問のようですが、それは御承知のまだ日本が国連に加盟はしておりませんが、平和条約の前文の中にも、日本は世界人権宣言の目的実現に努力するというふうな、条約として、日本の政府、の一つの義務になっておりますので、日本も世界の各国と足並みを揃えて、世界人権宣言の十二月十日の人権デーを記念して、世界人権宣言の記念の行事をいたすことになりまして、毎年いたしておるのでありますが、この予算が従来ございませんでしたので、特に十二月のこれは当然目に見えてかかる費用であるからということで、特にお願いしてやっとわずか二十五万円ばかりのものがやっと取れまして、これを全国の各法務局と、全国の協議会であるとか、連合会であるとか、人権擁護委員の方々の協力を得て、この予算の範囲内でいたしてきたというだけでありまして、決して世界人権宣言だけの啓蒙活動をいたすのでありませんので、常時人権に関する啓蒙活動というものはいたさなければならぬのでありますが、ただ予算上それは取られておられなかったというだけでありまして、そのために先ほど申し上げました各市町村から二千四百万円ばかりの負担金を補助していただきまして、この費用で人権擁護委員の方々がいろいろ活動される費用を負担していただいておるのですが、そのうちの最も大きいのが今問題になっております人権思想の普及活動に要する費用がその二千四百万円の中の大部分であります。そこで、昨年度いたしました啓蒙活動の大体のあらましを申し上げますと、昨年度いたしました普及活動のおもなるものを申しますと、一般の人を対象とした講演会が五百九十二回、それから学校を対象としました学校講演会が八百八回それから講演会に映画をつけまして、人権に関する映画の会をいたしましたのが五百四十二回、討論会が五十二回、それから映画だけの映画会をやりましたのが四百八十一回、座談会が千七十回、人権相談所を各地に開設しましたのが二千百二十九回、その他ラジオ放送が千三十七回、ポスター発行三百八十二回、リーフレット発行百十八回、チラシ四百七十五回、その他県市町村広報紙に載せていただきましたのが千六百二十八回その他資料展示会であるとか、懸垂幕あるいは立看板の掲示であるとか、ニュース・カーとかたくさんございますが、これだけの行事、これはもう全部合わせますと七、八千回あるいはもっとこえるかと思いますが、これは人権擁護局の予算なしでいたした活動状況でありました。 そこで、人権という問題でございますが、これはもう先生方も十分御承知の方ばかりでございますので、かえって釈迦に説法のようでございますので、簡単に申し上げておきますが、これはもう人間として基本的に持ったものでありまして、世界人権宣言であるとかあるいは何ということに関係なく、人間が人間らしい幸福な生活をするための基本的な権利というふうに私たちは考えておりまして、従ってその詳細に規定されましたのは、先ほど申しました憲法の第三章の十条以下でございましたか、三十条までに詳細に規定されておりまして、私どもはその範囲で人権擁護のいろいろ仕事をいたしている次第でございます。
○中山福藏君 これは日本国憲法の由来から考えましても、それは世界人権宣言の内容と一致させる、これが基本的人権。なるほど今戸田さんの言われた通りであると私も考えておりますが、私が要求するのは、そういう点を明確にして御宣伝なさらないと、非常な誤解を生むという立場から質問しているのであって、羽仁委員の言われたことは、私は非常にあの考え方は、日本に適していると思うのであります。まだ日本の官吏は人権擁護を叫ぶだけの資格はないというくらいに私は考えているのですよ、ほんとうは。だからすべからくこれは官庁に関係のないところにおいて、宣伝なさるということによって、そうして官吏の人権侵犯というものを防禦するという立場に、現在は日本は立たなければいけない。一番人権侵害をやっているのは警察官だとか、そういうところにあると私は見ているのです。現在あるいは親分、子分というような立場、親分というようなごろつきみたいな人がたくさんおって、相当にやっているのですよ。これは行政管理の援助を仰がなければならぬと思いますけれども、ふだん宣伝するとか何とかいうことは、これは私はやはり羽仁委員なんかのお考え方が、日本には当分、あと五、六年は適しているのじゃないか、それから先はただいまのような制度になすってもいいけれども、よほどこれは考えなければならぬ点じゃないかと思いますね。日本では大分違いますよ、社会組織が。七百年以来の武家政治以後の日本人の考え方は、もう精神的に参っているのです。一般市民はなかなかこの人権を尊重して、自分の意見を出すということが、日本人にはむずかしいのです。だからその訓練ということには、やはりいろいろな方法もございましょうが、一つそういう点でお考えおき願いたいと思うのです。これはお願いするわけです。
○政府委員(松原一彦君) 私、最近聞きましたところによりますと、きのうの功労者の表彰式でも聞いたのですが、雑談で。最近警察の方から進んで人権擁護に関する講演を聞きたい、話を聞きたいということを、警察が進んで言って来て、もの珍しく反省を示しているということを聞いたのです。私は実はけっこうなことだと考えました。さらに最近における暴力の排除をわれわれは努めて言っておりますが、暴力の行われるところに学校があるのであります。学校における子供に対する体罰等が非常に多く新聞に現われており、われわれは心を寒くするのであります。警察、学校、その他公務員等の面にもそういう反省が非常に必要でありますが、それを警察が進んで話をしてくれということを言ってきたところに一つの進歩があると思いまして、力こぶを入れたいと、きのうも話したわけであります。
○一松定吉君 もういろいろなことを聞かないですが、ただほんの二、三……。講演会を何回もやって啓蒙宣伝活動の実績というようなことでここに表が示されておりますが、講演会も講演会の講演をする人の人格いかんによって、相手方に対して効果百パーセントのこともあれば、あるいはゼロであるとかあるいはかえって悪結果を生ずる場合もある。どういうような人がこういうように全国を回って、五百九十何回とか六百八回とかやるのですか。この講演をやる人の種類、人格等を、ちょっと大体どういう人がやっておるのですか。
○政府委員(戸田正直君) 講演会、学校講演会等の講演をいたしますものの大部分は人擁護言だとか、それから法務局の局長、人権擁護課長、あるいは本省におきましては主として私どもがいたしております。その他一般の方から、まあお名前を申し上げますとあれですが、おもに金森徳次郎先生、海野晋吉先生、それから安部能成先生、南原先生とか、大体そういう人権に関する見識の高い先生たちにお願いして講演会をいたしております。
○委員長(高田なほ子君) ちょっと速記をやめて。 〔速記中止〕
○委員長(高田なほ子君) 速記を始めて。
○一松定吉君 今あなたがあげたような人は必ずしも私は悪いとは言いませんよ。そのあげたうちの人で世間から非難を受けた人が二、三おりますわ。そのうちにも思想問題だとかいうような問題で……。とにかく私どもの言うのは、もって人の範たるべき人だね、ほんとうに人権擁護ということに対してあの人の言うことは正しい、あの人ならばというようなふうに、聞く人がその人の口から出る言葉によって襟を正すようなふうの人を一つ選ばなければならぬ。今あげたような人に対して私はだれや彼やと名前をあげませんよ、あげませんが私をして言わしむれば、世間で非難を受けておる人がありますね。だからほんとうにそういうりっぱな人を選んで、人権擁護について効果百パーセントあるような人を選んでおやりになることが必要だと、これを申し上げておきます。
○政府委員(松原一彦君) これは私昨日表彰された十四人の方をまあよく念を入れて見たのでありますが、この中には弁護士さんが八人ほどございます。それから大学の女の先生、田辺繁子さんのような方もあります。それから東北大学教授の木村亀二先生、あるいは目の全く見えない富山県の泉田利宗という方は目が見えない、手を引かれて来られたが、まことに円満な、仏様のような顔をしておられるりっぱな方で、聞いてみるというと、多分この人の信仰から出たものと思われますが、調停等は百パーセント効果が上っておるということを聞いております。さすがに地方における名望家であります。あるいは僧侶の方もおいででございまして、しみじみとこういう方々の私費をもって一年中努めておいでになる姿に敬意を表したのであります。むずかしい、人権とは何ぞやといったことよりも、むしろこういった方々がしみじみと啓蒙して下さるところの、暴力はいけませんぞという、すべては話し合いの上において争いは処理しなければならぬというところにしみじみとした納得がいくのじゃないかと思うのです。むしろおそろしく理屈を言う人の方にわからないものがある。人権とは人造絹糸かというようなことすらも言う。人権とは何かわからないという人がやはり今までたくさんあるのであります。だから私どももあいさつするのにも人権擁護と言わないで、何とか砕いて言いたいということを今考えております。人権擁護、人権擁護と言うがなかなかわからないのでございます。だからそれは相互の人格を尊重して、暴力をもって人に臨んではいかぬというようなところから始めなければならぬのじゃないかとしみじみきのうも感じた次第でございます。
○羽仁五郎君 先ほど中山委員が私を引用せられましたので、その点について一言政務次官に申し上げておきたいのですが、人権擁護の現在政府が責任をもってなすべきことは、公務員なかんずく特別公務員の人権じゅうりんを根絶することです。それから先にいろいろお話を伺いたいと思うのです。それで、それを根絶する方法というものは、私はおもな方法は二つしかないと思います。 それは人権擁護局長という人が、そういう特別公務員の人権じゅうりんをやった場合に、やめろと言ってその手を押えることのできる権限を持つか持たないかということです。外局になすべしという意見はそこからきているのです。現在各地におけるその法務局の中の人権擁護をやっている人は、警察の署長に向って発言ができますか、できやしませんよ。従ってそれはまず中央における人権擁護局長の地位が、少くとも外局として政府の特別公務員の人権じゅうりんなどに対してりっぱに発言できるだけの権限というものを与えなければ、特別公務員の人権じゅうりんを根絶することはできないのです。ですからまずそれをやられることが私は必要だと思う。 第二には、午前中に法相に伺って、法相の御同意を得たのですが、検察官が取調べの過程において人権じゅうりんがあったという公けの非難があった場合には、直ちにその公訴を捨てるというだけの覚悟がなければだめだということです。それに関連しては、裁判所におかれても、裁判所がその人権じゅうりんの非難のあったようなものを、自由なる自白によるものだというようなお認めをなさるということは、私は実に苦々しいことだと思うけれども、これは法務省の方の問題じゃないからさておきますが、今申し上げた二点、つまり人権擁護、なかんずく政府部内のしかも特別公務員の人権じゅうりんは目に余るものがある、これは法務委員会の調査の場合に、出席した警察官の一人が、人権擁護もくそもあるかという失言をしたことがあります。そういう警察官の中には、人権擁護と言っていた日には取調べができないという考えが支配的なんですから、それに対して人権擁護局がそれを防ぐ、その腕をとめるというまでにするには、やはり人権擁護局にそれだけの権限がなければだめです。現在の状態ではその権限がないのです。ことに地方においては警察の特長よりもはるかに低い権限しかお持ちにならない、皆びくびくしながら言おうか言うまいかと思って、結局言わないのですから、ですからまずその中央の外局に高めて、従って全国の第一線において活動している人権擁護の任務を持った人が特別公務員の人権じゅうりんに対して、その場で、時を移さず直ちにそれをやめさせるということができなければだめだ。第二には検察官が人権じゅうりんの非難があった場合には、その訴えを放棄する、そうして初めて日本国民の検察並びに裁判に対する信頼というものが高まるし、また警察官なども人権擁護は、こしらえたような証拠では裁判ができないのだということがわかるんで、この二点は全くすでにとっくにやっておいでになるべきことですけれども、今からでもおそくないですから、現在のような法相、現在のような政務次官を得た現在の法務省は、ぜひこれを実行に移していただきたい。人権擁護局を外局にすべしという意見は前に政務次官に申し上げたのですが、検察官がその取調べの過程において、人権じゅうりんの非難があった場合には棄却すべきだ。これは外国におきましては一般に行われている例です。裁判所においてもそういうものが破棄せられている。ごく最近はアメリカで、日本の捕虜となってアメリカのことをスパイして活動したということで反逆罪として捕えられていた人でも、その取調べの過程においては、その人の人権擁護の上に不利益な取扱いがあった。これは単に政府の方で、そういう問題が有罪になりそうな地区の裁判所にその裁判をかけたというだけで巡回裁判所はこれを棄却しているのです。こういう態度をとらなければ特例公務員や公務員の人権じゅうりんを根絶することはできない。そういうことがおわかりになるのは、現在の牧野法相なりあるいは松原政務次官は御了解いただけるのではないかと思うのです。ですからこの際その二点をやっていただきたい。検察官がその取調べの過程において人権じゅうりんの告訴があった場合には、その公訴をいさぎよく捨てるということについては法相も同意を表せられました。それと並んで人権擁護局を外局として、その権限を高められるということもぜひ一つ松原政務次官御尽力下さって、法相とお二人で今の二点を実現をしてほしい。そうすれば人権擁護はその日から直ちにできると思います。
○政府委員(松原一彦君) 御高見承わりましてよく検討いたします。
○委員長(高田なほ子君) それではこの際お諮りいたします。木調査につきましては、まだ調査を完了するに至っておりませんので、未了報告書を議長に提出することとし、報告書の内容及びその手続等は委員長に御一任願いたいと存じますが御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(高田なほ子君) 御異議ないと認めます。さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(高田なほ子君) 次にお諮りいたしますが、幼児誘拐等処罰法案及び接収不動産に関する借地借家臨時処理法案につきましては、先国会から継続審査して参りましたが、今会期中に審査を終了することは困難でありますので、本院規則第五十三条によりまして継続審査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(高田なほ子君) 御異議ないと認めさように決定いたします。なお要求書の内容及びその手続等は委員長に御一任願いたいと存じますが御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(高田なほ子君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたします。 —————————————
○委員長(高田なほ子君) 次に請願の審査を行いたいと存じます。請願第百二十三号及び百三十五号について調査室長から一応御説明願いたいと存じます。
○専門員(西村高兄君) 人権擁護に関します請願二件をまず一括して御説明申し上げます。 百二十三号は人権擁護事業予算増額に関する請願でございまして、請願者は東北人権擁護委員会連合会の木村亀二さんの名義になっております。御紹介は高橋進太郎議員でございます。それから百一十五号の方はやはり同じような内容でございまして、請願者は山口市大字今道の小池正秀という方で、紹介議員は中川以良先生でございます。結局この内容はただいまいろいろ人権擁護局の予算につきまして御質問がございましたのですが、結局こういう人権擁護事業の活動につきまして、国の予算が十分でないためにその活動が十分でないから、十分国でその予算をとるようにという請願の趣旨でございます。いろいろ今までの、請願ではございませんけれども法務省からの御説明が、十分いい御参考になったと思うのでございますけれども、そういうような点を御参考いただきまして、本請願二件とも御採択の上政府に御送付しかるべきものと存じます。
○委員長(高田なほ子君) 請願第百二十二号、第百三十五号は採択して、議院の会議に付するを要するもので、さらに内閣に送付するを要するものと決定して御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(高田なほ子君) 御異議ないと認めさよう決定いたします。次は百二十四号を室上長に御説明願います。
○専門員(西村高兄君) 百二十四号は戦犯者の釈放に関しまする請願でございまして、これは新潟県議会議長の小笠原九一さんからのものでございます。紹介議員は西川先生でございます。 大体この内容を申し上げますと、終戦後相当に時間がたっておりますし、それから日本が独立いたしましてもう三年有余たっておりますのに、なお相当にたくさんの戦犯者がいるということは、はなはだ人道上からも国民感情の上からも適当でないところであるので、これをなるべく早く釈放するように、十分政府に努力をしてほしいという趣旨でございますが、ただいままで参議院法務委員会としては、常にこういう趣旨の請願を御採択になっているようでございますから、その前例を踏襲いたしまして御採択の上、政府に御送付しかるべきものと存じます。
○委員長(高田なほ子君) 御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(高田なほ子君) 御異議ないと認め採択いたします。 次は百六十二号について説明をしていただきます。
○専門員(西村高兄君) 請願百六十二号は鹿児島県与論島茶花港に入国管理事務所を設置してもらいたいという請願でございまして、請願者は鹿児島県議会議長田中茂穂さんでございまして、紹介議員は西郷先生であります。与論島は鹿児島県の一番南の端でございまして、略図がついておりますがその先は沖繩島になるわけでございます。それでこの与論島は鹿児島入国管理事務所の名瀬出張所の管轄区域内にございまして、この茶花港は出入国港として指定されておりません。それでいろいろ物は与論島にたくさん入ってくるのでございますけれども、人の出入国はそれから五十海里ばかり沖の方にあります沖永良部島の方へ行かなければならない状態でございます。非常に人の出入に不利であり物の出入との不調和がございますので、ぜひここへ入国管理事務所の出張所を作ってもらいたい。こういう希望でございますが、法務省の方の御意見もございましょうからこれをお聞きの上、こちらの方の調査といたしましては、これを御採択しかるべきものと存じておる次第でございます。
○政府委員(松原一彦君) 与論島茶花港の重要性は十分承知いたしております。近く同港を出入国管理令上の出入国指定港に指定し、職員一名を駐在させる措置をとりたいと考え、目下準備中でございますから、御採択なさいましてけっこうでございます。
○中山福藏君 これは今政務次官のお言葉で一名ということになっておりますが、一名でどうでしょうか、手が伸びますか。
○政府委員(内田藤雄君) これはもちろんできれば二名か三名置きたいのでありますが、いろいろ人繰りの都合、予算などで……、できましたらば、それはその方がようございます。
○委員長(高田なほ子君) それでは請願、百六十二号の採択に御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(高田なほ子君) 御異議ないものと認めて採択することに決定いたします。続いて請願百六十七号の御説明を願います。
○専門員(西村高兄君) 百六十七号は、新潟市の火災による借地借家関係紛争防止の請願でございまして、請願者は新潟県議会議長の小笠原さん、紹介議員は西川先生でございますけれども、これは先般法務委員会ですでに御審議を済ませまして、罹災地借地借家臨時措置法が新潟市に適用されることになっておりますので、この請願はもうその願意が達成されておる。その意味でこのままこれは保留していただいてけっこうなものと存じます。
○委員長(高田なほ子君) 請願百六十七号について、留保することに御異議ございませんか。
○亀田得治君 こういう場合は採択はできないのですか。すでにこちらの願いが通っておるということであれば……。従来はどういう扱いになっておりますか。
○委員長(高田なほ子君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中上〕
○委員長(高田なほ子君) 速記をつけて。請願百六十七号はすでに法律としてこの目的が達成されておりますので採択を要さないと認めますが、皆さん御異議はございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(高田なほ子君) 御異議ないと認め、さよう取扱います。続いて請願第二百二十二号、二百五十三号、三百三十五号を一括して議題に供します。御説明をお願いいたします。
○専門員(西村高兄君) 二百二十二号は鹿児島県の大隅町の簡易裁判所の庁舎新築に関する請願でございまして、鹿児島県の囎唹郡大隅町長黒木さん外十五名。紹介議員は西郷先生。それから二百五十三号、北海道中頓別の簡易裁判所の庁舎新築に関する請願でございまして、同町の町長野邑さん外一名の請願で、木下先生の御紹介であります。それから三百三十五号は、鹿児島県の地方裁判所加治木支部庁舎建設に関する請願で、これは鹿児島県国分市長石塚さん外十四名の請願、紹介議員は佐多先生でございます。これはいろいろ事情がございますが、それぞれ庁舎が狭くあるいは腐朽しておるような状態でございます。で、裁判を行いますにも非常に不便な事情にあるようでございまして、ただ庁舎の建築に関しましては裁判所でそれぞれの計画をお持ちのようではございますけれども、それを促進いたしまして地方の民意に沿うことも適当であることでございますので、一応裁判所側の御意向をお聞き下さることはけっこうでございますが、なるべくこれを達成するように御採択をいただきたいと存じます。(「賛成」と呼ぶ者あり)
○委員長(高田なほ子君) ただいまの三案については、最高裁判所津上経理局長から発言の要求がございますので、簡単に御発言を許可いたします。
○説明員(岸上康夫君) ただいまの点は、裁判所といたしましてもぜひ庁舎の整備をしたいと存じております。ただ加治木の支部の点と大隅の簡易裁判所の方は、三十一年度に予算要求いたしております。よろしくお願いいたします。加治木は戦災を受けました戦災後のバラック庁舎で、非常に狭くて庁舎が裁判所として適当じゃないということでございます。大隅と中頓別は簡易裁判所ができましたのちに、庁舎の整備がまだできていませんで、いずれも他の場所を借りておる、こういう現状でございます。(「採択賛成」と呼ぶ者あり)
○委員長(高田なほ子君) 請願二百二十二号、二百五十三号、三百三一五号を一括採択することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(高田なほ子君) 御異議なしと認め、さよう決定いたします。続いて請願第三百三十六号を議題に供します。
○専門員(西村高兄君) 三百三十六号は、接収不動産に関する借地借家臨時処理法案そのものに反対する請願でございまして、請願者は日本ビルジング協会連合会の宮田会長からで、紹介議員は小松先生でございますが、この法案は先ほど継続審査にするように、ここで御決定をいただいたものでございます。この請願は当然この法案の審査と軌を一にするものでございますので、御留保をお願いいたしたいものと思います。(「賛成」と呼ぶ者あり)
○委員長(高田なほ子君) 請願三百三十六号を留保することに決定して御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(高田なほ子君) 御異議なしと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(高田なほ子君) それでは羽仁委員から、入国管理局長に対して御質問の要求がございますので、この際失礼でありますが簡単にお願いをいたしまして、羽仁さんの御発言をお願いいたします。
○羽仁五郎君 時間がおそくなりましたので要点だけ質問しておきたいと思いますが、この二つの問題がありますが、第一は指紋の問題でございますが、この指紋の問題に関する法律が本一委員会で討議をせられましたときには、その主たる理由は旅券が偽造されるというおそれが出て、またそういう事実があり、またそのおそれがあるということであったように記憶しているのであります。旅券に写真が載っており、その他いろいろな書類が具備しているのですけれども、指紋を押すというようなことの必要はないのじゃないかというふうにわれわれは質疑をしたのですけれども、その際に写真はあるいはははりかえて、あるいは 〔委員長退席、理事宮城タマヨ君着席〕 その他の書類というものも偽造される場合がある、指紋だけが偽造されがたい、そういう点から旅券の偽造などを防ぐということが主たる理由となって提案された。そうして私はそれにも反対したのでありますが、多数の御意見で御決定になったというふうに思うのです。ところが事実、外人登録法というものができてきますと、別にそういうことは表面に現れないで、あらゆる場合にその指紋を取るということになっておるのじゃないかと思うのですが、やはりこの指紋をとるということは、国際的にも非常に問題になっていることでもありますし、またそういう指紋をとるというような立法をやっているアメリカ自身でも、最近非常に問題になっていることでありますから、二点政府に伺っておきたいのですが、第一点は、かりに現行法というものを前提にして考えます上に、現行法で外交官あるいは政府機関の方とか、そういう方には、現行法にその明記はないのですけれども、指紋を取るということをなさらないでおいでになりますが、それに準ずるような場合は、やはり一般的に指紋を取ることをおやめになるということがおできにならないでしょうかということです。それに準ずるような場合というのは、もちろん非常に範囲を拡大するということを要求しているのじゃないので、まだ日本とその国との間に外交機関が交換されていないような所の間には、正式の外交官あるいは正式の国家機関としての機関が相互に交換されておりません。ですからそれに代るような、あるいは赤十字であるとか学術の団体であるとかその他の人道的な団体であるとか、そういう団体が正式な外交機関に準ずるような仕事をされている場合があろうと思います。また正式な通商代表機関というものがない場合には、やはり貿易促進議員連盟であるとか、その他のそういう団体がそれに準ずる活動をされていると思うのです。つまり現行法で外交官そのほか政府の機関というものについては指紋をとっておいでにならない。それを同じ趣旨でもって今申し上げましたような場合においては、取り扱うことがおできにならないであろうかどうだろうかという点が第一。 それから第二には、もしそういうことがおできにならないとするならば、やはり法律改正をすることの必要があるのじゃないかと考えるのが第二点。これは指紋について至急にやはり伺っておいた方がいいと思うのでお答えいただきたいと思うのであります。
○政府委員(内田藤雄君) ただいま羽仁委員も仰せられましたように、外国人登録法において、なにゆえに指紋をとるということになっているかという理由につきましては、私の了承いたしておりますところでも、外人登録証が非常に偽造あるいは第三者に不正な形で譲渡される。その行使が本来の所有者であるべき以外の人によって行使されるということを防止するのが主たる目的であるというふうに了解いたしております。ただ法文の上で申しますと、実は外国人登録法のどの条文にもこの場合は国籍により除外するというような規定はないのでありまして、ただわれわれ一つの国際慣行と申しますか、国際儀礼と申しますか。そういう角度から出入国管理令の第四条におきまして、いろいろ在留資格を列挙しておりますが、その第一項の第一号「外交官若しくは領事館又はこれらの者の随員」及び第二号の「日本国政府の承認した外国政府又は国際機関の公務を帯ぶる者」この二つの在留資格をもちまして日本に入国をしております者につきましては、実際上この外国人の登録法の適用を除外しておるのでございます。ただいま羽仁委員の御説はこれに準ずるような者を除外することができないかという御趣旨かと存じますが、これにつきまして実は私どもといたしましても、決して不当にこの拡大して誰でもこれでひっかけてやろうという考えは毛頭持っておらぬのでありますが、しかしその範囲をどこにとるかということにつきましては、なかなか困難な問題だと思っております。それで実はただいまの羽仁委員のお考えのような考えを私は頭からいけないというようなことを申すつもりは毛頭ございませんですが、われわれのレベルと申しますか、直接この法律を執行しておる者のレベルで、そういう融通をきかすようなことをやるのが果して妥当なのかどうかということに相当疑問を持っておるのでございまして、もし結論の上におきまして、どうしてもやはり指紋をとるようなことをやるべきでないということでございましたなら、もう少し高い所においてそういうふうに御決定をいただきましたならば、そういたすよりほかないと思っておりますが、それがないときに私どものレベルで勝手にそういう融通をきかすということは、果していかなるものかと思っておる次第でございます。それでこれはたしかに入管令にいたしま人しても、外国人登録法の場合にいたしましても、通常の国際関係ということを前提にしてできておる法律であるということは、私ども感じております。そこに現在の中共ないしはソ連と日本との関係のように、外交上きわめて不明確な場合におきまして、これらの法令の施行のやり方ということは実はわれわれ自身相当苦慮しておるところでございます。しかしこの法文には明らかに日本国政府の承認した外国政府または国際機関の公務を帯ぶる者というふうに書いてございますのが一つの理由。また現在、当面問題になっております見本市で入国しております人々をこの政府の公務を帯びた者と考えるべきであるかどうかということにも問題を感じておるのでございます。それてこの点は決してわれわれ独断でやっておるわけでもないのでございまして、実は先般中共のこちらの議員連盟とか、貿易促進協議会の方々が協定をお作りになりましたあの実施の問題につきまして、政府の快足がなされましたときに、見本市等で入国する者は通常の商業入国者として扱うということが決定されておるのでございます。それで私どもといたしましては、ただいま申し上げましたようにいろいろ問題点も感じてはおりますが、そういった決定もあることでございますので、それに基きましてやはり見本市で入国されたお方は今の通常商業入国者として適用除外を受けるべきカテゴリーにはいるものではないという、こう考えざるを得ないと思っておるのが現在のわれわれの考え方でございます。
○羽仁五郎君 時間を要しちゃ恐縮ですから簡単にしますが、指紋をとるということの必要が今お答えにもありましたように、旅券の偽造などを防ぐということにあるということは明らかだと思うんです。ですから法文の機械的な適用ということに考えを集中しておられるのはどうかと思うんです。立法の精神というものは、一体この指紋をとることによってどういう利益を得ようとしているのか。またどういう危険を防ごうとしているのかということになれば、今お話のように旅券が偽造されてそれでいろいろな害が起るそういう危険を防ごうということにある。目的はやはり具体的な目的だと思います。今お話のように法律にそういうふうに書いてある以上は、局長としても、その法律をそのまま適用するよりほかないというならば、局長は要らないんじゃないかと思う。局長という高い地位におられるわけですから、やはりこの立法の精神、当時の衆参両院における討論なんかも御参考下すって、何のために指紋をとるか。そのことには私ども絶対に反対した。国会の中には反対の意見もある。それに対して政府は多数の力の御賛同を得られた。その目的は、つまり今のような旅券が偽造される場合などを防ぐということでは仕方がないだろうということでお認めがあったんだと思います。しかし法律によればそういうことは別に書いてないということは申すまでもない。それが第一点。 それから第二点は、今大体お認めになったようですが、正常なる国交が回復されていない場合に、正常なる国交が存在する場合と同じような解釈をするということにやはりむりがあろう、これが第二点。 それから第三点にこれらの問題は、やはりかなり現在において、先ほどソビエト同盟から貿易の代表でお入りになった方、しかも日本側から御招待をしてお入りになった方の指紋をとろうとなされ、そのために検事局が召喚をされようとしたようなこともある。それから今度の中国の貿易代表の方の指紋をぜひとろうとなさろうとすることも、これは国際外交的には非常にやっかいな問題です。外交機関がもしあればこれは外交上の抗議がくる問題じゃないか。外務大臣に向ってソビエトなり中国なりの外務大臣から外交上のプロテストがくる問題です。今そういう相互に大公使が派遣されておらず、外務大臣相互の外交関係がないからそのプロテストが来ていないだけの話で、私どもがこれをわきから拝見していても冷汗が出るような問題である。両国の正常なる国交の回復には非常に害がある。これは局長も御了解いただけると思います。けれども長い時間議論を申し上げておってもいけませんから、結論だけ申し上げますが、今のような点をもう少し御研究をいただきたいと思うんです。それで実は先日、今御説明の御趣旨のように、高いレベルで解決していただきたいと思って総理大臣に質問をいたしますと、そうすると、おそらくはあなた方の方でお書きになったメモで総理大臣が係長レベルの御答弁をなさる。商業者として入ってもらった人だからやはり指紋をとるという。ですからもっと高いレベルで解決してくれというふうにわれわれ努力をしますれば、低いレベルの方からメモが来る。それから低いレベルの方にお伺いをすれば高いレベルの方で解決するというのは男らしくないですよ。それで私は結論的に申しますが、それをしなければ日本の国に非常に損害があるというなら別ですが、そういうことをするために日本の国に損害があるようなことを、法律に書いてあるからといってなさるのはいわゆる三百代言というか、法が何のために存在するのかということをお考えにならない御態度じゃないか。あなたのただいまの御答弁もどうも局長の御答弁とは伺えない。まあ係長というか窓口の御答弁のように伺える。何のためにわれわれは局長だとか法務大臣とか総理大臣とかいうようなものを持っているのか疑わしいと思うので、どうか高いレベルのところで一つこの点御協議を願いたい。そうしてできるだけ早くいい解決案を出していただきたい。アメリカの場合にもイギリスのマンチェスター・ガーディアンなんかはナスティ・プロブレムというように言っております。日本の現在の状況はナスティです。そのナスティの状況を続けておられるというのはどうかと思うので御反省を願いたい。 それから続いて旅券の問題ですけれども、旅券の発給あるいは旅行先の変更などに対して、法務大臣あるいは外務大臣がそれを差しとめるという権限をお持ちのことは私もよく承知しているけれども、それに対して異議があった場合の異議者の申し立て、そうしてその異議の申し立てに理由があるという場合には、政府はその旅券を発給しなければならぬ。また旅行先の追加をしなければならぬということになっておりますが、そういうふうな異議の申し立てという規定が、法律上、旅券法第十四条及び十五条にあることの理由をもう少し尊重していただきたいと思うんです。で、旅券を発給するというのは、やはり時期を失しては意味をなさないわけですから、すみやかに発給されなければならない。しかるにそれが今の法律で保障されているような異議の申し立てや、その異議の申し立てに理由があったとして発給される場合に、時期を失してしまう場合があると思うから現行法でも問題がある。それで一点だけ伺っておきたいと思うんですが、政府は旅行というものがわれわれ国民の基本的人権に属するものであるというようにお考えになっているのか、そうでないのか。もしそれが基本的人権に属するものであるとするならば、それを制限するということはむろん重大な問題である。それを制限し得る場合はきわめて限られた場合である。で、適当なる法、あるいは裁判上の手続というもので保障されていなければ、そうした基本的人権を制限するということはできないんですから、現在まで政府がおやりになっているのは、どうもそれほどの問題とお考えになっていないんじゃないかと思う。もしそれほどの問題とお考えになっていない場合には、これも一つ御研究を願って、現在の世界の各国において、まあ中にもアメリカの最近の判例なども御研究下すって、この海外旅行というものが基本的人権に属する、従ってそれを制限をするという場合には、裁判の手続によらなければ制限できないというような点をもお考え下すって、今までおとりになっているような方法に検討を加えられたいというふうにお願いをして私の質問を終ります。
○政府委員(内田藤雄君) 私も旅券法の問題は、正直に申し上げますと、あれは主管が外務省の方にあるのでございまして、ある場合に私ども法務省の方が旅券の発給について協議を受けておるという事実は確かにございますが、今の憲法問題等につきましての見解をお答え申し上げる地位にあるのは、むしろ外務当局ではないかと存ずるのであります。私どもといたしましては、旅券法が憲法違反であるとは考えておりませんので、旅券法の規定に従いまして、われわれの与えられた任務を尽しておるというつもりでやっておる次第でございます。
○羽仁五郎君 時間がありませんからきょうはこの程度にいたしまして、重ねて今の指紋問題、旅券法の二つの問題については質問の機会を得たいと思っておりますので、先ほどお願いいたしましたように、いろいろな関係せられる部面、機関、あるいは高いレベルの方に十分一つ御協議をしておいていただきたいと思うんです。それで旅券法の問題は主として外務省の問題のようにおっしゃいましたけれども、事実上においては絶えず法務省の方へ御相談があるようであります。その場合にも、おそらく管理局長は十分意見をお出しになることになるんじゃないかというふうに想像いたしますが、いずれにいたしましても今の二つの問題をあなたのところで十分御研究願いまして、次の機会にまた所見を申し上げ、質疑さしていただきたいと思います。
○理事(宮城タマヨ君) 他に御発言がなければ、委員会はこれをもって散会いたします。 午後四時四十九分散会 ————・————