商工委員会 第6号
- 発言数
- 141 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1955/12/16
会議録
○委員長(三輪貞治君) ただいまより本日の委員会を開会いたします。 昨日の委員会で御決定いただきましたように、まず原子力基本法案についての参考人の意見を聴取いたしたいと思います。きのう御決定いただきました経団連会長の石川一郎君は、都合によって御出席できかねますので、御了承いただきたいと思います。 参考人の各位には、御多忙中、本委員会のために御出席をいただきまして、貴重な御意見を拝聴できますことを、まことにありがたく感謝いたしておる次第でございます。 御承知の通り、原子力の開発に関しましては、世界の主要国はいうまでもなく、その他の諸国におきましても、それぞれの努力を傾けておるところでございます。わが国民は人類史上初めての原爆の犠牲をこうむったために、原子力の問題に対して、強い恐怖と深い関心を持っておるところでございまするが、今後の原子力時代に備えまして、原子力の平和利用に関する国の基本構想を明らかにいたしまして、原子力の開発に関する一貫した体系をもった法律と機構を整えることが、緊急の事態に相なっておると存ずるのでございます。かような意味において、この原子力基本法案が提案をされておるのでございまするが、学界におきましては、早くからこの原子力問題に本格的に取り組んでこられたわけでありまして、基本法案につきましても、一年も前から研究をしておられまするし、日本の原子力体制についての基本的考え方、原子力研究所の構想なども一応の基本線を早くからお出しになっておったところであるようにわれわれは聞いておるわけでございます。この際、日本学術会議会長の茅誠司君並びに東京教育大学教授の藤岡由夫君の貴重な御意見を聞きますことは、まことに仕合せに存ずる次第でございます。どうぞ一つ忌憚ない御意見をお聞かせ願いたいと思います。 初めに日本学術会議会長茅誠司君より御公述を願いたいと思います。
○参考人(茅誠司君) 私はこの原子力基本法案の全面的な点につきまして意見を述べさしていただきたいと存じます。この原子力の研究、もっと正確に申しますと、核分裂物質の研究は、占領期間中は禁止されておりまして、ほとんどこの問題については学者は手をつけることができなかったのであります。ところが、占領期間が過ぎまして、この点について何か講和条約の中に制限が設けられるという点につきまして、非常に心配をしたのでありますが、幸いにして何ら制限が設けられなかったということは、大へんけっこうなことであったと存じます。それで占領期間が過ぎまして早々、日本学術会議におきましては、この原子力問題について、日本としても早急に態度をきめなければならないというような論戦が行われました。この原子力の研究は、御承知の通りに非常に多額の金を必要といたします。こういう際に、日本が将来の原子力の利用という立場からどのような態度をとるのが最もよかろうかということにつきましては、学者のみならず、あらゆる方面の知識を集めて論議すべきであるという考えに立って提案されたのでありますけれども、当時は御承知の通りに原子爆弾その他の問題がまだわれわれの頭に印象強くなっておりましたので、論議が非常に分れて、なかなかまとまらなかったのであります。しかし逐次この世界の情勢が原子力の平和利用の方向に向って参りましたので、学術会議の中におきましても、ことに藤岡教授が原子力委員会の委員長として非常に手腕を振われまして、学者の間の意見をまとめ、そうしてこの方面についていろいろの意見を打ち出して参ったのであります。原子力につきまして最も基本的なこととして学術会議で考えておりますのは、この基本法案の第二条にございますところの民主的な運営、自主的に行うということと、この成果を公開するという、この三つの事柄であります。これを通称学術会議の三原則と申しておりますが、この考え方が原子力研究の基礎的なものであるとわれわれは信じております。それがこの基本法案にそのままの形において取り入れられておるということは、私ども学術会議のものといたしましては、非常にありがたく思っておる次第であります。「その成果を公開し、」という点が学術会議におきましてもずいぶん論議された点でありますが、結局これが兵器として使われるということの心配は、その研究結果に秘密な点がある。そういう点におもな根拠があるということを考えて、平和的に利用される上においてはぜひ結果は公開をされなければならないという意味で、こういうことを申したのでありますが、この点については多くの疑義が差しはさまれております。 第一は、商業上の特許の問題、そういったような問題で、この原子力関係の技術に公開されないものが多々あるのではないかというような点もずいぶん論議されたのでありますが、そういう問題は、結局、目的は平和的に使う、兵器として原子力を利用しないというその目標をはっきりとすれば、おのずから限度はわかるわけでありますからして、その原則といたしましては、ここに現われておりますように、「その成果を公開し」ということでわかるということに落ちついておるのであります。 それから次に、この法律の用語の問題がございますが、この点は藤岡教授の方から詳しくこの用語についていろいろ御意見を申し上げるだろうと思いますが、これは原子力という定義におきましても、また核燃料物質、核原料物質その他の定義が相当広いものでありまして、このような広い定義になりますと、日常われわれの用いておるものにもいろいろな差しさわりが起ってくることもございますけれども、ここにございますように、「政令で定めるものをいう」という、その政令を適当にお定め下されば、そういう欠陥もなくなるものと存じております。 次に原子力委員会でございますが、この原子力委員会は、われわれ、つとにこの原子力委員会を設置すべきであるということを提唱しておったのでありますが、ここに、この原子力委員会という形で法案が出ましたことは、私どもも大いに賛成いたしたいのであります。ただ現在のこの原子力委員会というものは、アメリカにおきますようなコンミッションといいますよりは、幾分審議会的な意味を持った委員会であることは、いろいろ論議のあることを存じますが、しかし少くとも委員会という形においてこれが認められ、そして各界から有力な方が選ばれまして、その意見のもとに原子力利用が推進されるということは、非常にけっこうなことだと存じます。ただこの原子力委員会法を拝見いたしますと、ここに幾つかの点におきまして私ども不安を感ずる点がなきにしもあらずであります。 その第一は、この大学等におきますところの研究が、この原子力委員会の権限の中に含まれるということになりますと、相当問題が複雑になるのではないかと存じます。御承知の通り、大学の研究と申しますのは基礎的なものでございまして、これは研究者の自発的な意思によって行われる、それでこそ初めて成果をあげるものであります。そういうように、研究者が、自発的意思によって研究を行なっているその成果で、応用に益するというものだけが多額の金を与えられまして、そうして工業等に発展していくと、そういうものであります。大学におきましてはその工業的な研究はしておらん、基礎的な部面のみ担当しておるのでありますから、その研究はあくまでも自主的なものでなければならないと私は感じております。しかしこの原子力委員会法をそのまま拝見いたしますと、その点と予算の見積りその他の点におきまして、原子力方面の研究に対して原子力委員会からお指図等があることがあり得るんではないかという疑念を持つのであります。で、もちろんわれわれも、大学の研究者も、原子力の方面におきましてぜひ協力したいという意思は多分に持っておりまして、決して協力しないというのではございません。ただ協力の仕方が、アメリカ等におきますと同じようなやり方で協力していく、アメリカ等ではどういうふうに協力しているかと申しますと、原子力委員会から大学に研究を委託するのであります。原子力委員会でこういうような研究をやってほしいという問題がございますときには、その問題を提示いたしまして、たとえば東京大学等に持って参りまして、こういう研究をやってくれないか、そうしますというと、その大学はその研究題目を見まして、その研究設備を使って十分やれるし、研究者もおるという場合には、研究者が進んでそれを引き受けるという形で、コントラクト、委託という形式で研究を引き受ける、東京大学でできないときば京都大学の設備ではどうかというようにして、研究者とこの原子力委員会との間の契約によって仕事を進めていく、そうして決して大学等にこういう研究をすべきであるといって押しつけるというようなことがないようにしていただく方がいいんじゃないか。また大学等におきまして、この原子力関係の研究をやりたい、こういう研究をわれわれの設備を使ってやりたいと、しかもその経費が相当多額で、文部省等の経費ではとうていできないというような場合におきましては、文部省を通じてこの原子力委員会に予算を提出する。それをこの原子力委員会で査定いたしまして、だめな場合にはだめ、いい場合にはいいとおっしゃっていただく。そういうやり方で大学の基礎研究をしている者たちと連絡をとっていただくことになりますというと、大学の自主的な研究も決してそがれるものではないと私は考えます。 そういう意味におきましても、ぜひこの原子力委員会法の中で問題となっている点 たとえば第二条の第三号であると思うのでありますが、そういう点等から大学を除外していただきたい。衆議院におきましては付帯決議といたしまして、大学学部を除くということがされたのでありますけれども、大学の学部と申しますと、大学の研究所がその適用範囲の中に入ってしまいます。つまり大学の研究所は学部に附属しているものではございません。東大に原子核研究所というのがございますが、どの学部にも附属しておりませんから、衆議院の付帯決議だけで申しますれば、東大の原子核研究所というものは、この第二条第三の適用を受けるということになると思います。でございますから、ぜひその点の御審議をしていただきまして、学部という文字をとっていただければけっこうだと存じます。大学を除く……ただしくれぐれも申し上げますように、大学といたしましても、この原子力の研究には力を尽したい、協力したいのでありまして、そういう場合には大学の他の基礎的研究を妨げないように、その自主性を妨げないような形においていたしたい。そう存ずるのであります。その他の点につきましては、私はこの基本法につきまして、特にこういう点について注意すべき点があるというような、細かい点をまだ研究しておりませんが、藤岡教授がその細かい点につきまして、いろいろと意見を申し上げることと存じます。私はこの基本法におきまして、学術会議が今まで唱えて参りました三原則を織り込んでいただいた点、並びに運営の問題といたしましては、委員会を設置していただいたという点、そういう点につきまして、原則的にこの基本法に賛意を表するものであります。
○委員長(三輪貞治君) 次に東京教育大学教授藤岡由夫君の公述をお願いします。
○参考人(藤岡由夫君) 私、藤岡でございます。私は学術会議の第三期におきまして、第三期学術会議は昨年の正月から出発いたしまして、任期三年でございますが、原子力委員会の委員長に選ばれまして、原子力問題につきましていろいろ研究して参りました。そういう意味におきまして、この法案に対しまして非常な関心を持っております。本日意見を申します機会を与えられましたことを、大へん感謝いたしております。大局的にはただいま茅会長から申し上げました通りでございまして、この基本法が制定されますことは、私どもとしては大へん喜びに存じておる次第で、賛成をいたすものでございます。 この基本法はおそらく世界に類例のないものだと思うのであります。各国に原子力法というのがございますが、その多くは、原子兵器を作っております関係上、機密保持の問題でありますとか、その他そういう線に沿った政策に関することが多いのでありまして、平和的利用のみを目的としている国に、こういう基本法のようなものがあるという国は、ほかにないように思います。それにもかかわらず、私どもはやはり基本法を作っていただきたいということを、昨年から強く主張してきたのであります。と申しますのは、日本は不幸にして広島、長崎、ビキニというふうなことがございまして、そのために国民が原子力という名前に対して非常な恐怖を持って、近頃はよほどそうでなくなったと思いますけれども、原子力と言えばすぐに原子爆弾に関連して考えるというふうな状態でございまして、ただいま茅会長が述べましたように、三年ほど前に学術会議で原子力問題を論じましたときにも、非常な困難であったのであります。にもいろいろ賛否の意見がございまして、そういう場合に、日本はほんとうに平和的利用のみを目的として人類の福祉のため貢献するのであるということ、これの強い保証があるならば、安心してみんな研究に従事することもできるし、国民一般も安心してこれを支持することができる、そういう強い支持ということの一番適切な表現は、法律で規定することであります。そういう意味におきまして、基本法において、日本の原子力研究の目的というものをはっきりとまず明示していただくということができましたならば、その意味においてわれわれは強くそれを主張しておったのでございますが、その点そっくりいれられまして、この基本法の目的並びに基本方針に示されましたことは、大へん私どもとしても満足に存ずるのであります。で、その他この第二章以下は大体の方針でございまして、いずれ法律できめられる分が多いのであります。しかしその取り上げました事項も、まず大体において私どもがこれは必要だと思うことが盛られているように思います。第一章の第二条で、ただいま茅会長からいわゆる学術会議の三原則のことを述べられましたか、これは今御説明のありました通りでありまして、実は当然のことなんであります。何も原子力に関することだけではないので、一般の科学技術に関することとしても当然こうありたいことなのであります。そのためになぜそういうことを言うか、あるいはまたこれを非常にせまい意味に解釈しまして、三原則はいけないというふうな意見を述べられることもちょいちょい聞いたのでありますけれども、これはやはり書いていただいたことが大へんけっこうだと思うのであります。この秘密を排除するということ、これはまあ軍事機密ということが主でありまして、その他秘密がないということが実は科学の進歩発達には最もよろしいのでありまして、たとえば戦争中、陸軍と海軍とがお互いに秘密を保ったために、一方にはあったけれども一方にはできなかったというようなことで、秘密がないということは科学の健全な発達のために最も一望ましいことであります。それから自主的ということでありますが、これを非常に狭く解釈いたしまして、何でも日本で自給自足をするというのかという意味の御質問、そういうことはできないということ、これはまた国際協力という点と矛盾するのではないかというような御意見も伺うのでありますけれども、決してそういう意味ではないのであります。自主といいますのは、日本に原料のないものは外国から買わなければなりませんし、必要な技術の導入もしなければなりません。しかし日本のためにはどういうふうに考えればいいかということであります。外国の技術を導入する場合にも、将来の日本にはどうしてそういうことを発展させるか、また原料を使うのにいたしましても、日本の資源とにらみ合せまして、どういうような原料を使っていくのが一番よろしいか、すべて日本の科学技術の将来の発展、経済自立、そういう意味におきまして、自主的に考えながらやっていってほしいということでありまして、そういうことを頭の中に始終持っているかどうかということによって実際非常に違ってくると思うのであります。具体的にこれが自主的である、これが自主的でないということをきめるというようなことは、なかなかその場その場のことでございますけれども、要するにそういう考えを持っているということは、大へん違う。すでに原子力の研究が始まりました昨年以後におきましても、そういうことを考えておりますがゆえによかったと思います。例を申し上げることもできますが、まあ、あまりこまかくなりますので省略いたします。 それから民主的運営ということは、これは原子力の問題というのは、日本全体としての非常に大きな問題でありますので、各方面の意見を十分に入れて、そして運営をして行きたい。いろいろの方面で能力のある人を十分に働いてもらうようにしたい。能力のある人をいろいろ挙げますのに、ささいなことによってこれを捨てたり、あるいは思想上の傾向等を理由にいたしまして、非常に能力のある人を活用することができないということがあっては、日本全体の不幸であり、そういう意味におきまして、国民の世論、いろいろの方面の意見が十分にいれられますような、そういう民主的運営をしていただきたい。こういうことなのであります、それがここに入れられましたことは非常に結構なことでございまして、なお進んで国際協力に資するもの、これも当然のこと、ことに原子力に関しましては今国際機関ができるという機運になっております。国連にいろいろな動きがありますのは御承知の通りであります。そういう際に、これが盛り込まれるのは非常に結構だと思います。 次に第三条の定義でございますが、この定義につきましては、実は私、内閣の原子力利用準備調査会の総合部会を通じまして、私も意見をかなり述べておりますので、この中に取り入れられておる点も多々ございます。この第一に「すべての種類のエネルギーをいう。」ということは、原子力と今日申しますけれども、原子力の、平和的利用と申しますことは、大体二つに大別されまして、動力として利用するという方面と、それからいわゆるアイソトープの放射線を利用するという方面でございます、今後この問題になりますのは主としてその二つがあると思うのであります。ところが学者の中には非常にこの点を気にいたしまして、すべての種類のエネルギーと申しますと、原子核転化、たとえばサイクロトロン等で研究します学術上の研究もみなこれに含められるわけだというので、そういうことが一々細かい規定を受けるのではかなわないというような意見もあるように思います。しかしもちろん法律で規定いたしますことは、そういう純学術的なことまで一々規定しようというのではないのでありまして、実際上に利用開発できます問題を主として対象としておりますのであります。それが誤まることは万々ないと信じております、その他第二項第三項等はすべて政令で定めるということ、このウラントリウムというような名前を挙げまして、全体のことを掴むというのは、こればなかなかむずかしいのでございますが、政令で定めるということをいうのであります。 第四に「ただし、政令で定めるものを除く。」とありますのは、これは逆でございますが、原子炉というのにはいろいろの型がございますし、また今後動力用原子炉となりますと、さらにいろいろなものが出て来ることが予想されます。そういう場合に、大学等の研究におきましては、果してこれを原子炉というかどうか、つまりウランとそれから石墨とか、重水というようなものを使いましてクリティカル・アッセンブリと申します。研究をする、そこまでの研究をすることが大事でございます。作ったりこわしたり、いろいろな場合によりますと原子炉と言えないようなもので、しかもまた高い方によりますと原子炉と言えるようなものが出て来たりして、おそらく困るということが予想されるのであります。そこで、非常にそういうような場合には、むしろ政令で定めるものを除くということになっておる。それでいいと思います。 それから第五も、これは放射線の取締り規定、こればのちにございますので、それに関連するもので、これは何を放射線と言うかということ、これをちょっと一般的に定義することが非常にむずかしいので「空気を電離する能力をもつ」ということだけに止めまして、政令に譲ったわけであります、そういう意味で、これは多少意見を申し述べましたが、これで大へんけっこうだと考えております。 次に原子力委員会の問題でございますが、これにつきましては、ただいま茅会長からも言われまして、私ども学者の側といたしましては、最初からこの原子力委員会を希望いたしておりましたので、これがこういう形に置かれましたことを満足に存じます。ただ原子力委員会というのが実施機関まで持つかどうかということでございます。今回の規定は、これは、政策の立案、予算の総合調整、その他根本方針をきめるのでございまして、この委員会は実施はしないことになっております。実施は別に原子力局がただいまのところ総理府に置かれてすることになっております。私ども心配いたします点は、そういう実施の機関でないために、決定しましたことがあるいは実行されないのではないか。いわば浮き上った存在になるのではないかということの心配をしておるのでございますけれども、その点、この決定は、総理大臣も、これを尊重しなければならないということで、十分に尊重され得ると思うのであります。現在の日本におきましてこの実施機関まで持てば、いわゆる行政委員会になるのでございますが、純然たる行政委員会ではない。あるいは一つの新しい試みであるのではないか。委員長が国務大臣であるということも、非常にこれを強力にいたします点においてけっこうだと思うのであります。行政委員会につきましては、私その方面は全然しろうとでございますけれども、いろいろ批判もあるようでございまして、ただいまの日本の段階におきましては、こういうような規定をされましたことは、まず妥当な落ちつき先であったのかと考えます。問題は、これがよく活用されることを将来切望するのであります。諸外国には、どこの国でも、原子力に関しましては委員会がこれを統括しております。アメリカのように非常に強力な原子力委員会もございまして、ヨーロッパ各国では、名前は委員会でありますけれども、実際は諮問機関でありますような、それほど強力でないものもございますが、ただ私の聞きました範囲では、どこの国でも原子力委員会の言うことは相当によく通っているようであります。スェーデンでありますとか、フランスでありますとか、その委員会が決議し、要求しました予算はいつでも通るということであります。これは大へんうらやましいことに思うのでありますが、しかしこれは反面、その委員会が要求しますということは、非常に合理的に十分に検討した上で、これだけはどうしても必要だ。またその国力から見ても、これだけは実行し得るという見通しの上に要求されておると思うのであります。どうかこの委員会の今後運営の上におきまして、むやみに予算を引っかけて取ろうとするというようなことなどの絶対にないように、この委員会はよほど慎重に審議いたしまして、そしてこの委員会の言うことは必ず通る、そういう権威を持つように、ぜひ運用されることを切望するのであります。なおこの委員会の構成に当りましては、この委員会のくわしいことは設置法の中にあるわけでございますが、ぜひ国務大臣を含めて正名の委員は、原則としてはフル・タイムで、専心、原子力問題に打ちこんで働らける人を得られますことを切望するのであります。ただ、たとえば学者などの側におきますと、大学教授のような人がそうそう勝手にやめることもできないのが実情でございますので、万やむを得ない場合には、パート・タイムということもございましょうが、原則としてはフル・タイムでやっていただきたいと思います。それからその委員の選任に当りましては、各界の意向を十分御考慮下さることを切望するのであります。各界と申しますのは、学界、実業界、労働界等の名前を伺っておりますが、そういうときにもちろんすべての人の意見を聞くということはできないと思いますが、それの代表機関、たとえば学界の場合で申せば、学術会議というようなものが法難で定められました学者の意見を代表する機関としてございますので、そういう意向を適当な方法によりまして十分参酌せられるよう運用上希望するのでございます。これがまたいわゆる三原一則に挙げました民主的運営ということの一つだと考えます。 次に第三章「原子力の開発機関でございますが、この原子力研究所並びに燃料に関する公社が置かれることになっております。研究所の方は、これはここでは公社とは書いてございませんで、まあどういう形がいいか、おそらくこれから御研究があることと思うのでありますが、この研究所とほかの機関との関係ということを十分に連絡がよくいくように、ぜひ運営したいと思うのでございます。この研究所は、日本としては、いわゆる中央研究所でございまして、原子力の研究はこの原子力研究所を中心にしてやっていくのでございます。従ってその運営は、日本の立場ということをよく考え、いわゆる三原則ということをこの研究所の運営に当って十分に取り入れるようなふうにやっていただきたいと思います。その運営が民主的でなければならないのは当然でありますし、またこの人事等も一部の者に固まるというようなことのないように、日本中の能力のある人を十分に取り入れることができますように、従って人事の交流、他の研究所、他の省の研究所とかそういうふうなものとの人事の交流等も自由に十分にできるようにやっていただきたい。とかく何かある大学なら大学の研究所ということになりますと、そこの大学の卒業生ばかりで固められるとか、あるいは、ある省の研究所となりますと、そこの省の人たちばかりで固められるというふうな形なものになりがちなものでございます。この中央研究所は、非常にそういう点は自由に、ほんとうに日本の中心になる研究所であるという名に恥じないような運営をしていただきたいということを希望するのでございます。 なお開発公社、これもそのウランを日本で掘るということだけになりますと、まだほんとうにウランが日本にあるかないかわからないのでございまして、それだけで果して大きな仕事があるかどうかということも、ちょっと心配なのでございますが、これは燃料の精錬、それからいわゆる核燃料を精製して作りました、そういうところまでもやるということになっておりますので、まずこういうものの設置は適切であると考えます。ただしかし現在のところにおきましては、通産省の昨年からの補助金によりまして、ウランの精錬でありますとかいうことは、かなり方々に委託をいたしまして、方々の会社等で研究をいたしております。従って今後これができます場合には、民間会社、民間研究所、その他との関連をどのようにつけていくか、そういうことを十分に御配慮されることを期待するのであります。 それから第四章は「鉱物の開発取得」、第五章は「核燃料物質の管理」でございます。鉱物の開発取得は、このウランの、近ごろいわゆるウランラッシュでございますが、これを取り締るべき適当な法律、またその開発採鉱を助成する適当な方法、そういうものがないために、今日まで大へん実際上には困っておる面が多々あるようであります。従ってこの取締り規則が、取締りと同時に開発を促進しますような法律ができますことは、非常に望ましいことなんであります。こまかい点については第四章、第五章は申し上げませんが、各国とも、ウラン、トリウム、そういうふうなものにつきましての取扱いについては、相当に厳重な規定を設け、ことに国外への流出については、非常に厳重に取り締るというのが現実であります。将来もこのウランが全くフリー・マーケットに出るということが果していつあるか、ここ当分の間、国際連合がウランの取扱いをするというようなことになるものと予想されますので、各国ともそういうことに関する規定は非常に厳重でございます。そこで日本においてもどれに関する規定を設けることは、まことに当然のことであると思うのであります。 それから第六章、「原子炉の管理」、この問題は主として今、日米協定によりまして、アメリカからまず原子燃料が、すなわち濃縮ウランが貸与され、日本に原子炉ができるという場合においては、これはやはり相当の管理が必要だと思います。で、これものちに詳しいことは法律で規定されるのでありますが、そういうことで、こういう章を設けられましたことも適当であると存じます。 それから第七章の「特許発明等に対する措置」、これも原子力に関する特許というのは、各国ともやはり非常に問題にいたしておりますので、注意すベきことであると思うのであります。ただ特許に関しましては、国際法的な規約がございますので、そうそう日本だけが勝手なことをするわけにいかない。ここに書かれましたことも「公益上必要がある」というふうな一般的な言い現わし方で現わしておりますので、大へん妥当であると考えております。ただ全体の第七章の思想は、必要なものがあれば政府で収用するということ、それから日本の特許発明技術等が国外に流出することをおそれる、そういうことが主になっているのであります。これはつまり、原子力に関する非常にいい発明ができ、日本で出ましたときに、それが外国へ流出しないように、またこれが日本の国として実施しなければならない重要なものである場合にこれを収用する、そういうような非常によい特許発明が日本に出た場合のことがおもに考えられているように思うのであります。これは、まことにもっともなのでありますが、私どもから考えますと、そういうことが非常に日本で起ってくれると、まことにけっこうなんでありますが、実際特許の問題について私どもが心配いたしております点は、ちょっと逆のことなんであります。今、日本は原子力の研究につきまして非常に立ちおくれなのであります。外国ではどんどん研究が進んでおりまして、特許が皆それぞれ取られておる。もっとも個人所有でなく国家が管理するという形になっている国もございますけれども、そこで今、日本が原子力の研究を始めまして、外国人がどんどん特許を取ってしまいますというと、そうすると今度は日本の学者は手も足も出ない、がんじがらめに縛られてしまって、これをどうしたらいいかということに非常に日本で現在心配されているのであります。でありますけれども、これはいかぬといって外国人の特許を日本で許可しないというようなことは、これは国際法の建前からできませんし、またいかにしてそれを防ぐかということは、つまり日本の工業界を健全に発達させますためにどういうふうにすればいいかということは、まことにむずかしい問題なんでございます。これは今、それをこの法律に織り込むことができるかというと、ちょっとできないので、実際織り込めないので、私はそれを法律に織り込めということを言うのではないのであります。しかし、そういう問題が特許の問題についてはあるということをただ申し上げておくだけでございます。 それからその次が「放射線による障害の防止」、これはなかなか大問題でございまして、現在のところ、日本ではエックス線に関する障害の予防の規定がございます。ところが、このエックス線の障害予防に附する規定すらも、非常に国際的に見ますとおくれておるのであります。で、その法律がおくれておるばかりでなく、なかなか規定通り実施されない。そこでエックス線に関する技術者、医者等は、皆それぞれ何か、たとえば白血球が非常に減っておるとか、あるいは、やけどをしておる、そういうことを受けておる人が非常に多いというのが現状なんであります。そこのところへ持って参りまして、今日近ごろはアイソトープの利用ということか非常に盛んに始まっております。まだこれに対する取締り規定はないのであります。今後原子炉が始まりますと、原子炉のまわりの空気の汚染の問題でありますとか、その他いろいろの健康管理等に関します問題が起ってくるのであって、この取締り規定は非常に必要だと考えられるのであります。で、このアイソトープまでを含めました放射線の取締り規定を作ろうということが昨年から問題になりまして、科学技術行政協議会——俗にスタックと申しております、か、スタックの放射線部会——これは私が部会長をしておるのでございますが、ここに小委員会を設けまして、中泉博士を委員長にいたしまして、この案を練って参りましたけれども、なかなかそれが今までのところできなかった。これは大体の、どういうことが必要だというようなことはよくわかるのでありますけれども、放射線をどういう形で取り締るかということでございまして、アイソトープを取り扱います機械の問題として取り締るということになれば、これは通産省なんであります。それからこの放射線の障害を受けるという形で、病気という立場で取り締るならば、これは厚生省であります。それからそこに働く人の労働時間、労働基準はどうかというような問題になれば、これは労働省。それぞれの見方によって、つまりどういう見方をするかということにつきまして、各省の意見がまとまらない。私、非常に抽象的な言い現わしをいたしますが、御想像願えると思います。そういうわけで、ついになかなかそれが、大体の原案はできましたが、つまり主務省をどこに置くかということについて、どうしても意見がきまらなかったのであります。今度はもういよいよ原子力のことが始まりますし、それから科学技術に関しましては原子力委員会、また、この次の通常国会にはさらに科学技術庁の構想も出てくるように伺っております。そこで放射線の問題もこの際にはっきりと解決いたしまして、適切な規定が作られることを希望するのであります。 そういうわけで、大体につきまして意見を申し上げましたが、これはつまり今後基本法が実施され、そうして政令等で定められまして、実際に移ります場合に対する希望意見と問題のありかを申したのでございます。大体の基本法そのものといたしましては、私はまことにけっこうだと思います。そう考えるのであります。 なお先ほど茅議長の言われましたことの中で、大学の研究の自由に関する問題がございまして、これは全く私も同意見なんでございますが、同じことを重複いたしますので、申さなかったのであります。何ゆえに学者がそういうことにこだわるかというようなお考えもあるかと思うのでございますか、実際この原子炉をどこの大学に置くかというようなことは、これは今日米協定でもって貸与されるウランの量がきまっておりますので、全体としての総合計画を考えなければならないことは当然なんであります。でありますが、やはり学者が大学等の研究の自由を守るようにということを申しますのは、非常に神経費のよりにも見えますけれども、やはり学者は過去の戦争以来、学問思想についての自由を持ちたいということについて非常に敏感なんであります。もちろん現在この大学等の研究を統制しようとかいうようなお考えはどこにも、どなたもお持ちにならないということは、 これはもうわかり切ったことなんでございます。でございますけれども、その点は将来、後に残る法律のことでありますので、できるだけはっきりさせておいていただきたい。そういうことで学術会議並びに大学の関係者がそういう希望意見を出すわけであります。どうぞその点はごしんしゃく御考慮を十分に下さいますことを期待いたしているのでございます。はなはだ個々の問題については簡単な意見でございますけれども、一通り私の見解を申し述べ、なお重ねて先ほど茅議長の言われましたごとく、学者の主張して参りました三原則、それから平和的利用というようなことを基本法のまず最初にうたうというようないき方、全部その通り行われましたことに対し、私どもといたしましては大へん喜んでおるのでございます。その他、基本法全体といたしましてはけっこうだということを重ねて申し上げておきたいと思います。
○委員長(三輪貞治君) これより御両君の公述に対し質疑を行います。御質疑のある方は御発言を願います。
○小野義夫君 両先生の御意見を承わりたいのでありまするが、私はこの第二条の「平和の目的に限り、民主的な運営の下に、自主的にこれを行うものとし、」という、この三つの言葉は、私は原子力の立法の上からは、ない方がいいであろうという考えであります。と申しますのは、原子力のすべての学問が国際的でなければならぬし、また原子力の学者諸君は国際的でなくてはならないのでありまして、その国の世論もしくはその国の政策等に左右せられ、もしくは迎合するごとき態度であってはならない。あくまでも学問のためにその一身を捧げられるという、私は非常に崇高な理想のもとに立たなければならぬと思うのであります。従いまして、それが自主的であるとか、あるいは国際的であるとか、あるいはまた、それはどういう人生観に立っておりましても、それらのものがたまたま国家の利益と反することがありましても、こういうことは学者としてこれを問題とすべきではなかろう。ときの法律に触れましても、安んじてその法律の制裁を受けても、自己の学問に忠実であらねばならぬと考えるのであります。もしこの法律が翻訳せられまして、日本の原子力法、それは世界で珍しい立法だと発案者がおっしゃる通りな法律だと、私どもそう考えております。これは大体立案者の意思はさらに私どもが予算の上で検討しようと思うのでありますが、あまりにも日本の現状が原子力の研究調査に費用を投じない、国費を傾倒しないというところに、着眼して、先見の明ある、いわゆる議員諸君が超党的に本問題を提案したのでありまして、これはまことに時宜を待ておりますし、非常に遅れておると思うのでありますが、この研究の方途、方針等につきましては、これは国が出す以上、その国の政策に左右されることはこれはやむを得ないです。けれどもこの原子力研究に、これが憲法的な基本になるということでありますならば、そういう目的、この民主的であらねばならぬなどということは、これはひとり原子力に関したことではなくて、諸般の研究でもすべてのものが日本の今日は民主的でなくてよいというものは一つもないと思うのであります。そこでまた「平和の目的」と言いますが、私はたとえばスイスがほとんど中立で戦争をしない。あるいはまたスエーデンがほとんど戦争をしない。この原爆を日本が保持することにも国民は非常に敏感である。がしかし、いかなる水爆を持ち原爆を持っても、これを利用するか利用しないかということは、これは国民の良識であり、国家が決定する最高の問題であります。従いまして、学問は、必ずしも今日の憲法を無視しろというのじゃないけれども、憲法にも拘束せらるる必要もないのであります。でありますから、日本がかりに兵器を研究する原爆者が出たといっても、これを刑罰に問うという法はないのであります。でありまするから、かようにまた今日水爆をもって戦争するなどというようなことは、これは日本人が考えてもそれは空想にひとしいものでありまして、そういう考えはでき得ないことは良識をもってわかっておるのでありまするから、私は、兵器の研究をする学者があって、これを諸外国に売って非常に金になるならば、私はそれには議論はあると思いますが、現に一流国家が、ソ連にしてもイギリスにしてもアメリカにしても、水爆を作っておる。けれども国家の必要性とあれば、さような危険なものをも、人類々滅ぼすようなものも作っているのであります。私は日本の学者諸君が水爆に皆没頭しろというようなことを要望するものではないけれども、学者としては、法律としてはあるいはこういうことん考えなければいかんかもわからぬが、これも無用なことだと思うのであります。 原子力の第一条にすでに目的としてうたわれている以上、この一条のしまいに、「その成果を公開し、進んで国際協力に資するものとする。」というのをくっつければ、これで完全無欠であって、いわゆる学者の三原則というものは、もう少し学者諸君はいろいろな日本の現状の思想混迷にわざわいせられて、やむなくかようの三原則を樹立せられたものかと私は考えておるのであります。しかし本当の学問をするものは、かような原則を打ち立てる必要がどこにあるかということを、まあ両先生から一つ私は承わりたいのです。
○参考人(藤岡由夫君) ただいまの御意見に関しまして私見を申し上げさせていただきます。この学問の研究ということだけならば、お話のように、昔から言われます威武も屈する能わずという信念気魄を学者が持つのは当然だと思うのであります。ところがこの原子力の場合は学問の研究としてだけ取り扱っておるのではないのであります。「原子力の研究、開発及び利要」、その学問の研究が、その結果が開発されまして、利用されまして、そしてこの目的に掲げられましたような「人類社会の福祉と国民生活の水準向上」それを目的といたしております。でございますから、これは純然たる研究の問題ではない。そういう場合に、もちろん国際協力ということは非常に大卒なことでございますけれども、今日の日本の現状を見ますと、日本の経済界をよくする、工業技術の水準を上げる、ひいては国民の生活の水準を上げるということ、これは考えていかなければならないのです。私はその「自主的」ということについての実例を一つ申し上げますと、今日放射性物質を取り扱いますのにマニピュレーターと申します、こちらで手を動かしますと、向うの方でもって同じようにものをつかむ機械がございます。これがないと、放射性物質を自分の手で取り扱いますと非常に危険で、つまり遠隔操作でやらなければならない。これが日本では今までに、放射線を、アイソトープを取り扱っておりますところにないものでございますから、非常にほんとうの文字通り生命の危険を冒しているわけであります。で、どうしてもこれは作らねばならないということが昨年から問題になりました。ところで大阪大学のサイクロトロンのところにその機械が一つ輸入されてあるのであります。この日本でもう一つ、これはどうしても東京でアイソトープを取り扱っているところでも必要だと言いましたときに、それではアメリカから買おうということになった。日本にはできないのであるから、アメリカから買おうということになったのであります。そのときに、ちょっと待ってくれ、現に一台アメリカから買ったのがありますので、その買ったものがありまして、その程度のものなら日本でもできないかどうか。むろんパテント等があってはこれはなんでありますけれども、そういうものでないことはわかっておる。そこで日本でも作ろうじゃないか。それで日本ではできないということは、今まで日本で作らなかったからできないので、最初のものは日本にないのはさまっているのでありますが、幸いにして日本のある会社がアメリカから輸入しましたものの値段よりも安い値段で一つ試作をするということになりまして、作ったのであります。そうしましたところが、実際できたのでございますけれども、たとえばジュラルミンの非常に薄い管を使わなければならないのでありますけれども、日本にそれだけの薄い管がないということがわかったために、どうしても少し重い。それからアメリカのものは鋼鉄のリボンを使っておりますけれども、それは日本にないので、そこで日本では針金を使いまして、どうしてもリボンの方がよろしい。つまりそういった問題のありかもわかり、とにかく日本ではそういうものが完全にできました。そこで今後そういう点を改善するというようなこと、これは私は日本の工業改善に非常に資するものと思うのであります。これを最初から、これはどうせ国際的なものだから、アメリカから買えばよろしいということできめてかかっておったのでは、日本の工業の水準か上らないと思うのであります。むろん、これはものによりましてでありまして、たった一つのものに非常に高い金をかけて日本で作るとか、また資材がないというものを無理に日本で作るということも愚な場合があります。しかし果してそれが日本でできないか、そういうことを将来日本でやる必要がないか、そこをよく検討いたしまして、日本でできるものなら日本でそういう工業が発達する、日本の技術水準が上ることは非常に望ましいことであります。そういうようなわけで、純粋の研究という面だけを見ますならば日本も外国もございません。それはお説の通りでございます。でございますけれども、日本の工業水準を上げ、国民生活を上げるということは、やはり日本はどういうふうに考えたらいいか。原子炉等を作ります場合にも、燃料をことごとく外国から輸入しなければならないものがいいか、あるいは日本である程度燃料が自給できるものがあれば、その工業を進めて、日本で自給自足できるようになればなお望ましい。そういうふうな純粋の研究だけでなく、開発、利用ということを併せて考えますと、やはりそういうようなことを始終考えているということがいいのではないか、そういうことなんです。 それから民主的な運営がこれは当然であるということは、お説の通りこれも当然のことで、あらゆる面がそうでなければならない。ただ原子力の問題は非常に大きな問題でございまして、不幸にして外国におきまして、原子力の学者に関するいろいろの問題があったのであります。御承知と思いますが、たとえばオッペンハイマーの事件でありますとか……、そこで原子力の問題ということになりますと、やはりこれは非常に心配だという点があるので、そういう意見もあったのであります。要するにここに掲げられましたことは、お説の通り非常に当然なことなんです。当然なことでございますが、原子力のことは非常に市大な問題であり、ことにまだまだ未知の問題が多うございまして、これからあとに非常に将来大きな発展性が約束はされておりますけれども、まだ実際はこれから作っていく、そういう問題が多うございますので、当然な問題でございますが、そういうことをぜひ謳っておきたい。同じような考え方は、つまり原子力委員会でありましても——この原寸力委員会というものは、通常の日本の行政機構とは違っております。ではなぜ普通の、全く普通のものにならないかというと、一つは原子力の問題が非常に大きいということと、まだまだ将来、今後発展していくという面が非常に多いので、できるだけ学者その他の意見を十分に反映するがよろしいというので、こういう委員会の制度が考えられているのであろうと思うのであります。 要するにお説の通り、この研究という面について限るならば、もう国境もなければ何もないのは当然のことでございます。ただその開発、利用ということまで考えるので、こういうことを言ったのであります。当然なことでありますが、非常に原子力は重大な問題でありますので、こういうことをやっていただくことは大へんけっこうだと、そういうふうに考えるのでございます。
○小野義夫君 茅先生の御意見も伺いたいと思います。
○参考人(茅誠司君) 私は、例を引いて申し上げますと、たとえば「平和の目的に限り、」ということをなぜ謳わなければならないかという点につきまして申しますと、この原子炉の中で原子燃料を燃やして参りますと、中に原子爆弾のためになりますプルトニウムというものができて参ります。アメリカ等の工業におきましては、このプルトニウムを爆弾の、材料として政府に売る、そういうことによってつまり原子炉というものが成り立ってきたのでありまして、こういうような点、そういうつまり爆弾の原料になるようなものを、われわれの研究及び開発、利用等の点では、そういうことを目的としてはやらないということを明示するということは、やはり必要なんではないか。特にこの原子力は——科学はいずれどんなものでもそういう傾向は持っているのでありますが、特に原子力の場合におきましてはそれが顕著でありますから、その点はっきりわかっているじゃないかとおっしゃっても、明確にしておく方がなおよろしい。はっきりしていることであっても、ここに書いて置く方が、そういう場合においてはいいのじゃないかという意味において、これを明示したのでございまして、普通のことを書く必要がないとおっしゃればそうも思えますが、しかし実際の場合には普通のことが守られてこなかったという、そういうことから考えまして、特に原子力の場合にはこういうことをはっきり調う方がよろしい。この「自主的」という問題も、これは日本が自主的に原子力の研究というものをやっていかなければならないということは、誰にもわかっているのでありますけれども、今年はこういうジュネーブの国際会議以来、原子力の問題の秘密がすっかりなくなっております。今は原子炉の売り込み競争の時代なんです。それからウラニウム等もカナダあたりでは、来年あたりから数十トンを国際場裏に商品として出す可能性が出て参りました。そういうときに、外国の資本というものが日本に入り込みまして、日本の原子力工業というようなものをがんじがらめに縛ってしまうというようなことになりますと、将来日本の動力源として非常に心配な点がありますので、それも、やはり、ここでうたっておく方がはっきりする。当然のことではありますけれども、そういう危険性のあるものだけに、ここに書いておくということがなおよろしい、そういう意味で私たちは書くことに賛成したのであります。
○小野義夫君 参考意見ですから、これ以上私が申し上げることは議論になりますが、ただ一点、両先生に申し上げたいのは、どうも、先般ウランを輸入する際におきましても、日本の学界では非常にいろいろな議論があったように拝聴いたしておりますし、その後、技術院長と私ども国会においてこの原子力研究に関して、数次の論議を重ねたのでありますが、これらの過程からみまして、はなはだ遺憾ながら、私は根本的に非難申し上げるのではありませんが、学問の自由ということと、それから学者の自由ということは、もちろん、これは尊前するのでありまするが、かように、みずから定義を下して、これを原子力の三原則だなどとおっしゃればですよ、これは学問の自由と学者の神聖をみずから制限することに相ならぬか。また、論議の社会に現われるところは、常に政治とかその時の思想によく迎合して学者が動く。学生が動く。その禍根は、日本にはほんとうの学問の独立、学問の自由ということを真に実行している学生、または学者が少いのではないか、世の中と一緒に……。それは国民でありますから、憲法も守っていただかなければならぬし、法律も守っていかなければならぬが、かような思想が、学界なり、大学にあることを非常に悲しむがゆえに、非常に幅広く無制限に、そのまま国際的な立法として、こういう立法の文章を入れたら、これは恥かしいことです。これは立法にはなりませんよ。それば、学界の申し合せならよろしいかもしれません。けれども、立法例として、かような民主的であるとか入れることは、そうすると、日本の法律というものは非民主的、だということになる。何と申しますか、国によっていろいろ違います。違いますから「自主的」であってもいい。法律が自主的であるということは申すまでもない。また、戦争目的というようなことでいろいろやるということは憲法が許さないことでありまして、日本の建て方は全部平和で行くことが基礎になっている。でありますから、立法例にかようの法律……これは、いろいろのものが混合してカクテルとなった。法文の体をなさざるところがたくさんある。でありますから、特に学者が非常に言われたというので、これを織り込んだと思いますけれども、この原則は学者の一時的原則で、時が去れば、学者はかようの原則を……たとえば、自主的というのは国際的に、英語やフランス語ではどういうことになるのですか。(岡三郎君議事進行について発言の許可を求む)いや、私の質問は、もうこれでおしまいですから……。
○岡三郎君 それは、質問ではなく、意見にわたっていると思うな。
○小野義夫君 お考えを聞くのですから……。
○岡三郎君 今、小野委員の言っていることは、一応質問らしゅうございますが、やはり、先ほど両参考人の意見が一応述べられて、それに対して、こういうふうに自分は思う、と言われておると私は思うわけです。だから、先ほど小野さんの質問に対して、両講師が答えられない場合は、これは答えてもらいたいと思うのですが、その繰り返しだと失礼だが私は思うわけです。だから、その点は提案者の方に対して十分御検討をお願いして、進行してもらっていいじゃないか、そういうふうに考えます。
○委員長(三輪貞治君) 御発言ございませんか。
○湯山勇君 両先生にお尋ねいたしますが、両先生とも大学の研究所が本法による規制を受けるということにつきましては、それぞれ再検討の余地ありという御意見をお述べになったと思います。提案者の方から承わりますと、大学の学部は、これは別としても、研究所については、研究の重複を避けるために、あるいはまた研究の効率を高めるためにも、大学の研究所はぜひ規制したいという提案者の力は意見を持っておるようでございます。そこで、大学の研究所における研究がこの委員会の規制を受けるということになれば、どういう不都合な点ができるか、そういう点についてもう少し、これは議論の分れておるところでございますから、詳細に御説明を承わりたいと思います。
○参考人(茅誠司君) お答え申し上げます。大学学部の研究と、大学に付属しております研究所の研究がどのように違うかという点でありますが、本質的には私は違わないと思いますが、ただ、大学学部の研究と申しますのは、そこで教授を行なっておるという点が特に追加されております。つまり、学生がおりまして、その学生の授業なり研究ということに使われる装置はたくさんございまして、それを用いてまた研究しておるのであります。ところが、研究所の方は、大学院の学生は持っておりますけれども、学部の学生は持っておりません。それで研究しておるのであります。しかし、それ以外の点におきまして、研究という態度において、題目においては、ほとんと違いはありません。ただ、特定の研究所におきましては、たとえば千葉にあります生産技術研究所というようなところは多少違った目的を持っておりますけれども、その他の研究所においては、大学の学部における研究とほとんど異ならない研究をやっております。大学学部における研究が、これからこの委員会の適用を受けないということになり、研究所の方が受けるということになると、どういう点に矛盾が起るかと申しますと、まず、手っとり早く申しますと、東京大学の理学部にありますサイクロトロンとか、そういうものは少しも適用を受けない。しかし、同じ大学の中にあります原子核研究所の方はそれを受ける。大阪大学にありますのは、研究所でないためにあの大きなサイクロトロンも適用を受けない。しかし、どこかの研究所にあります小さなサイクロトロン、たとえば、東北大学の科学計測研究所という小さな研究所があります。そこにある小さなサイクロトロンは適用を受ける。そういったようなことになると、まことに私は混乱が起きると思います。その内容におきましてはそこに差違がない。ただ、授業をするかしないかというだけの違いである。その目的とするところは、いずれも大学の教授が自主的に考えました基礎的の研究に限っております。いわば、つまり種をまいて、いろいろのアイデアを育てる、その温床であります。それから出てきたものは、大学以外の研究所においてされるわけでありますから、それに対しては委員会の適用を受けるということが私は当然であると思います。大学におきましては、その種をまく段階でありますから、学部といい、研究所といい同じように取り扱っていきたい、そう考えるのであります。
○参考人(藤岡由夫君) ただいまの茅教授の御説明を少しだけ補足させていただきますが、大学では学部も研究所も同じに考えております。しからばなぜそういう違いができるかと申しますと、学部の方は今学生を持つという話がございましたが、全体としての学問の各分野についてのバランスということを考えております。でございますから理学部という中に物理化学、動物、植物と、皆適当のバランスに置かれておるのであります。ところがある特殊の学問をぜひ深くさらに研究しなければならない、たとえば原子核の問題もその例でございます。基礎物理学研究所というのが京都にございます。金属材料研究所というのが東北大学にございます。そういうようなときに、金属材料だけのことを学部で深く広く研究するということは、全体のバランスがどうしてもとれない。そういうような場合に、そういうものの特殊の研究をするために研究所という形で置かれているものと思います。従ってそういう金属材料研究所というようなものたけについて見ますと、もしもほかの省に、別のところに材料研究所というふうなものがまあ今後かりにできたといたしますと、表面から見ますと、これはいかにも重複のように見えるのであります。ただ実際各省の業務を目的とするための研究所、何かある目的を持ってやる研究というのと、大学における研究とはやはり態度が違うのでございまして、考え方が、つまり学問的な自由という点、独創ということはやはり自由に生れるのでございまして、そういう態度で大学が研究しておる、それは尊重していただきたいので、ただ表面上これは同じことを取り扱っているから、こちらの方はやめてもよろしいということになりますと、これはやはり違って参ります。しかし大学はそういう自由な研究をしておるとは申しますものの、その結果はむろん利用されるべきものは大いに利用しなければならないのでございますので、そういう点について決して一般のものの方面の協力を惜しむものではないのは当然でございます。 この点は先ほど茅会長が初めに言われました他とのコントラクトというような形でもってやるのが一番よかろうというのはその通りでございます。決して協力を惜しむものではないのでございますけれども、ただいま申しましたような意味で、やはり大学というものは別にお考え下すった方がより適切である、そう考えます。
○湯山勇君 次にお尋ねいたしたいのは、現在原子力研究所初め、本法に示されたような各種の研究機関なり公社なり、そういうものが発足いたしますと、非常に今の状態では、日本では研究所が少い状態でありますから、当然そういう部面で引き抜かれることによって、これは大学から出られる方が多いと思いますから、そうすると現在の基礎的な、あるいは将来のために備えておる大学の研究にしわ寄せさせられる、そういった懸念はございませんでしょうか、これはどちらの先生からでもけっこうでございます。
○参考人(藤岡由夫君) ただいまの問題でございますが、現在におきましては、それほどと思わないのでございます。今日の原子力研究所がすでに発足いたしておりますが、これは職員等四十六名でございます。この中で所要研究員としてふえますところの数はそう多くはない。それで原子力研究所で取り扱う問題は非常に広いのでございまして、物理学の問題、電気の問題、化学の問題、まあそれぞれの方面に人が必要でございますが、これは現在までのところ原子炉に関するいろいろの技術を研究している人が日本にはないのでございますが、しかし研究者としての経験、能力を十分に持った人ならば、それをやれば十分できる、そしてそれをとられましても、ある一つのブランチからだけ非常にたくさんの人を供給されますとそれは困るが、かなり広い方面にわたりますので、それほどのことはない。そのうちには新らしく養成する人も出て参ります。その人の不足という点においては私はそれほど心配していないのでございます。
○参考人(茅誠司君) ただいまの藤岡教授のお話で大体尽きておりますが、私ちょっと補足いたしますが、原子力利用準備調査会の中に総合部会というのがございます。その中に基本計画委員会という部会ができております。その部会の中で原子力の年次計画と、それから原子力技術者の訓練計画を立てております。それで大学関係、それから外国へやる留学生の関係その他今考えておりまして、それによって大体心配ないようにしたいと、そういう計画中であります。まあ御心配は重々おありと思うのでありますが、そういう計画を早く実行に移すことによってその心配がなくなるのではないかと私は思います。
○湯山勇君 茅先生に今の点についてお尋ねいたしたいのでございますが、ただいまの年次計画というのは、大体何年ころまでの年次計画で、そしてそれが完成するといいますか、一応目標に達成するには何年くらいになる御予定でございますか。
○参考人(茅誠司君) 私は五カ年計画だったと存じております。と申しますのは、原子力の計画が大体五カ年計画を立てております。それに必要なる技術者の訓練ということであります。ただ民間でいろいろと計画が始まる場合にどの程度必要かということについては算定の基準がございませんので、その点はまだ考えておりません。
○湯山勇君 次にお尋ねいたしたいのは、これも提案者の方の補足説明の中の公社とその研究に当る人の待遇でございますが、これはうんとよくしよう、最高の待遇を持っていって、研究費とか何とかの名目でもってさらにまあその優遇措置を考えていこうというようなお考えがあるようでございます。こういうことば他の国でもそういう措置がとられておるのでございますけれども、しかし原子力に限ってそういう措置をとられるということは、これはこの研究に当っておる先生方の立場として適当だとお考えになられますか、そういうことはしないほうがいいのであって、研究に当っておるものは、それが公社で研究していようが、大学で研究していようが同じようにやはり研究を尊重するという立場をとってもらいたいというふうにお考えになられますか、この点についてはいかがでございましょうか。
○参考人(茅誠司君) お答え申します。私個人の意見でございますが、私は研究者全部同じ待遇であるべきことを主張いたします。
○湯山勇君 もう一点、これは少し先生方にお伺いするのもいかがかと思うのでございますけれども、原子燃料公社は原料を精練するところまでと、それからその灰を処理する、こういう過程をすることになっております。そして実際に原子炉によって動力を出すというような仕事は、これは民間がやることになるのか、政府がやることになるのか明確にされておりませんが、その中間過程だけがこの案からは抜けております。で、先ほどのお話にもありました通りこれについては放射線障害の除去、その他各般にわたる困難な問題がありますし、今日レントゲン障害についても十分な対策がとられていない。そこで精製の過程とか灰の処理とかを公社というような政府の、何といいますか、関係の深い機関でやるということは、これは了解できると思うのですけれども、その中間過程だけをこれからはずすということについては、これは先生方はどうお考えになられるでしょうか。つまり原子炉を使って実際にエネルギーを取り出すということも当然公社でやっていいのじゃないかというようなお考えでしょうか、それともこの過程はやはり民間でやりたいという人があればやらすというようなお考えでしょうか、これを御参考までに一つ……。
○参考人(藤岡由夫君) ただいまの問題でございますが、率直に申しますと、現在計画いたしました、先ほど茅会長の日われた原子力利用準備調査会の総合部会での研究でございますが、この計画は一応五カ年計画と申しますのは、いわゆる実験的段階でございまして、実験炉の購入、建設、それから動力用をやるにいたしましてもまだ実験的研究という程度を出ない、そういう予想であります。でそのあとにいよいよ発電等が実際に行われる場合にどういう態勢でやるかということは、少くともまだ四年か五年か、そのくらいの問題だと見て、その点については触れていないと私ども考えております。一方におきまして燃料の精製、またウランの精錬、それから探鉱、そういう問題はやはり技術的に見ましてももう一刻も早く始めておらないと、いざというときに間に合わないという意味でこういうのが始められるのでございまして、ちょうどお説の通り、いよいよ原子力発電をやりますというときにどういう態勢でやるかということは、その段階が考慮の外に抜けているということはお説の通りだと思います。しかしこれはちょっとあとの問題だということで今考えられていないのだと思います。
○参考人(茅誠司君) 今の点ちょっと少し補足いたしますと、原子力利用準備調査会の総合部会の中の年次計画小委員会で得ました年次計画は、原子力研究所で五カ年くらいの後に動力用の試験原子炉を作る。でこの原子力研究所の目的はどういう原子炉が動力用として最も適当かということにありまして、みずからその原子炉を使って発電さすということはいたさない。それでしかし、少くともこれを使えば採算がとれた発電ができるであろうというところまでの方式はこの原子力研究所が中心問題として取り上げます。しかしその原子力発電に至る最も基礎となることは大学等が協力してやるということとわれわれは考えております。 それで年次計画を立てたのでありますが、御承知のように原子力に関する国際情勢、進歩の状況は逐次変って参りまして、ことしの初め考えたことと今考えていることとはだいぶ変って参りました。こういうことでありますから、この立てた年次計画も情勢の変化によって逐次変更するものとすると、そういうただし書きをつけているのでありまして、今からそういうことは考えておらないと申しますよりは、考えても変更せざるを得ないだろうという考えで、あまり具体的な案を立てておらないだけでございます。
○委員長(三輪貞治君) ほかに御意見はございませんか。
○岡三郎君 これは話は違いますが、この条章の中に発明の流失をいろいろと考えられておって、特許ですか、特許の流れていくことを戒めておりますが、特許の事例じゃなくして、人間の流失ですね、人の移動といいますか、研究がだんだん進んでくると、まあこれは制限できないと思うのですが、たとえばアメリカあるいはソビエト等で直接人を向うへ何とか拉致するというと失礼ですが、合法、非合法的なあらゆる手段でそういうような方向に現在いきつつある点もうかがわれると思うのであります。そういうふうな点でこれは将来日本としても人的、古い言葉でいうと資源の確保と言うと怒られますが。(笑声)こういうふうな点で、やはり相当検討をしていかないと、やはりそういう面から隷属された研究というふうな形になっていく心配があるのではないかと私は思っているわけです。これを防ぐ方法はないとしても、そういうふうな点についてば何かお考えがございましょうか。
○参考人(藤岡由夫君) 非常にむずかしい、また真相をついた御質問、御意見だと思うのでございますが、現実のところ、日本の理論物理学が非常に栄え、また数学が非常に栄えまして、この二つの方面につきましては現在外国に、非常に合法的な方法によって外国へ行っている方が多いのでございます。これはよく学界でも問題になりまして、あるいは日本のためには困るのではないかという意見がございます。ございますが、考え方によりますというと、日本がそれほど優秀な人材をたくさん得まして、外国でぜひ来てもらいたいということは、日本の科学技術の水準の高まったことの証拠でもあり、非常に高級な移民でもあり、私個人といたしましてはそういう方に外国で会いましても、外国で働いて下さることが非常にけっこうなのだと言っているので、ただ残念に思いますことは、外国に行きますことが、学問的な研究の便宜のためにぜひ外国に行きたいということ、これはもちろんわかるのでございますけれども、日本における研究者の待遇がよくないために、外国へ行った方がよりよいというような意味で外国に引かれるという点もなきにしもあらずだと思います。でございますから、日本での研究の便宜、待遇の改善というふうなことを十分お考え願いまして、日本で研究する方がいいのだというふうにぜひなることを希望いたします。これをちょっと制限することは事実上むずかしいし、また制限すべきかどうかということも若干疑問に考えている次第でございます。
○上林忠次君 先般の原子力会議で話がどういう工合に、将来原子力の世界的な利用に対してあの会議がどういうふうな委員会を作りますか、まだわからぬ現在の状況でありますが、公開、非公開なんということはこれは個人の自由で、国はこれを秘密を守れとかいう必要なしに公開したかったら公開したらいい。秘密を守りたかったら守ったらいいじゃないか。大体科学技術者は、また研究者は、自分のまあオリジナリティのある研究をしたいために公けに公開研究なんというのはやりたくない。やはり自分がこっそり人に盗まれないように、特に外国に盗まれないようにやりたいというような研究者の気持があるのであります。そういうような点からいきますと、この研究項目にしましても、戦力に関係ないものを研究しろとか、あるいはこの方向にやれとかいうようなことがなくても自由に学者は研究する。もちろん学者は全世界にこれを公開して、私は今こういうふうな研究をしている、まねたい人はまねなさい。また今までの段階を利用して利用したかったら利用して研究しろというような度量と申しますか、そういうような気持もない。何とかして自分の大きな功績にしたいという気持がありますが、さような観点からいきますと、研究を日本以外に発表するなとか、あるいは国内におきましても公開しろ、そういうようなことを言うことは必要ないじゃないか、自由にさしたらいいじゃないか。もしも外国に漏れるなら漏れてもいいし、問題にしましても、自由に自分の自主的な目標を立ててやらしたらいいのじゃないかという気がするのですが、もうすでにそういうような話が先ほど出ているかもしれませんが、出ていましたらお答え要りませんが、私は学問の研究なんというものは、そういうような自由な立場でやらす。これは国外に公開するかどうかということなどは考えなくてもいいじゃないか。自由に公開したかったら公開していい、本人の自由意思にまかせる。公開したかったら公開させる。項目にしましてもそうであります。その点はどういうふうにお考えになりますか。
○参考人(茅誠司君) この解釈は非常に個人的になると思いますが、私は現在の段階の原子力の研究といったような研究は、全く一人の個人だけである研究を完成することはできない段階にきておる。少くともチーム・ワークですよ。そういうわけで、相当広い範囲の研究者がお互いに相寄って研究して、将来は学位論文は私はチームに学位をくれるようにすべきであるとさえ思っておる。そういう範囲におきまして、これからの研究はもうなるべく早い機会にどんどん発表していく。ことにこういう原子力のごときはどんどん全部に利用されるように、場合によってはその研究をある人が聞いて、それじゃおれの方もやろうといって、そちらの方が早かったために負ける場合があるが、それもいたし方がない。どんどんと発表することがこれからの研究者の態度であると考えております。
○参考人(藤岡由夫君) 御説の通り研究の成果をどうするかということは、学者自身、研究者自身の意思を尊重するのが当然でございます。ただ一つの機関といたしますと、そのいろいろの規定がありまして、その機関で働いている人に対しては何かいろいろ規定があるのが現実の問題であると思うのでありまして、たとえば会社であるとすれば、その会社において行われました発明は、その人個人の所有になるかならぬか、あるいは会社の所有になって、その人に対して報償金を出すとか、いろいろなことがありますが、これが国家機関でありますと、大学であるとか研究所であるとか、その他研究所でございますと、特許等は国家の所有になる、いろいろ規定があると思います。その機関としての規定というものは、それぞれ個人の意思を尊重するにもかかわらず、いろいろございますので、これはわが国における原子力の建前というものを、つまり大きく申しておるのでございまして、たとえばこの法律によって原子力研究所、燃料公社というふうなものができるといたしますと、少くともそういうものにおいては秘密は絶対にないというか、やはりそういう今後できます機関に対する大きな道筋を示しているものだと思うのであります。初めにお話もございましたように、これは工業上の特許とかそういうことを言っているのではないのでありまして、主として軍事機密をおもに頭の上に置きましたような、——日本には軍はないのてございますから、そういうことはありようがないのでありますけれども、要するにそういうことを頭の上に置きましたような機密というものは日本では原子力についてはないのだということをうたっている、そういうふうに考えております。
○上林忠次君 評判だけで私は内容は知りませんが、最近科学技術庁ですか、あるいは省というようなものができて、そういうようなものを作りたい。そして日本の科学技術の大きな進歩をはかりたいというような話がちょいちょい出ておりますが、それとこれとの関係をどういう工合にやるのか。この法律の案を見ますと、それと別に離れた大きな強力な力を持った機関としてこの委員会を作るということになっておりますが、先ほども話がありますように、あらゆる今のこういうような物理学界の総力を結集しないと研究はできないのだという点からいきますと、また工業力の現在の最高水準も使わなくちゃ研究ができない、そういうふうな大きなミット・アルバイトでいくということになりますと、原子力委員会、かようなものをぽつんと離すよりは、もし科学技術庁というようなものができますならば、横の連絡の関係から申しましても、これと直結して、この中に含んだ委員会として、あるいは局としてやった方がいいのではないか。どうもこれだけを特殊扱いにするということは研究の上にも差しつかえがある。人材の点あるいは予算の点で差しつかえがあるのじゃないか。この際技術庁の審議と一緒にして早く技術庁を作る、あるいは技術省を作るというところとくっつけた問題として審議しなくちゃならぬじゃないかと考えるのですが、こういうような点につきましてはどういう工合にお考えになりますか。
○参考人(茅誠司君) この点、科学技術庁という問題は、学術会議におきましては古くから検討して参りましたが、なかなか結論に達しないのでありますが、ただ原子力の問題は科学技術庁から切り離した方がいいというのが学術会議の考え方であります。なぜ原子力の問題を科学技術庁から切り離した方がいいかと申しますと、科学技術庁というのは自然科学の方面に限った問題を所轄するわけでございます。ところが原子力の問題は国際公法的な問題とか、その他経済の問題、つまり原子力という動力が現われたために産業形態に非常な変化を及ぼす、それが経済的にどういうふうな問題を起すかというような社会的なインパクトの問題が非常に大きい問題となると思います。そういう問題も取り扱わなくちゃいけないということを考えますと、どうもこれは原子力委員会という範囲は科学技術庁をさらにこえている、そういう考え方から学術会議ではむしろこれは切り離した方がよろしい、そういう結論であります。 いろいろの議論はあると思いますが、また学術会議の中でもそれに反対の意見の人も実はありますが、大体私の今申したような議論で参っております。しかしこの科学技術庁の案がこの次の通常国会に出るそうでありますが、この原子力委員会と科学技術庁の関係につきましては、ずいぶん紆余曲折があったそうでありまして、これもこの立案者等の間においても非常な討論があったと思いますが、学術会議の考え方だけちょっと簡単に申し上げておきます。
○上林忠次君 世界の各国が現在どういう工合にオープンにやっているか、そういうような国があるならどこの国がやっているのか。また秘密を尊重する国におきましても、局限した秘密を守っているのか、その他のことは全部オープンにやるということになっておりますか、現在の状況ですね。将来の見込みも、先般の原子力会議ですか、あのときの動勢からうかがえるならそういうふうな御意見もお伺いしたい。これもどういう工合になっているか。
○参考人(藤岡由夫君) 私どもの見ました範囲で非常にオープンにやっておりますのは、ノルウェーとオランダのジョイント・エスタブリッシュメントというのがあります。オスロの近所にチェイラーというのがありまして、これは全くオープンでありまして、何をしてもよろしい。そのほか、たとえば研究所等は人に見せるにいたしましても、イギリスでありますとかフランスでありますとか、皆研究所に行きますときに一々身分証明とか、非常にやかましく申しまして、たとえば写真を写してはいけないとか、いろいろな、昔の日本の軍の建物に行ったときのような、あるいはそれより以上の何かやかましい規定があるように見受けられます。しかしこの夏のジュネーヴ会議以来よほどその空気が変りまして、あのジュネーヴ会議のあとにフランスやイギリスの研究所を参観した者は、写真機も持っていってもよかったということを言っております。そういう点、なかなかやかましいのですが、大体の趨勢はだんだんと秘密のないようなふうに向っていくのではないかと思います。 アメリカでは研究している題目におきましてもクラシファイとアン・クラシファイドということの区別を非常にして、これは原子力委員会がきめているようでございますが、この夏ジュネーヴ会議の前には非常に多くの項目がディシークレシーされた、秘密が解除されたということがありますので、だんだんと研究が公開されるようになると思うのでございますが、しかし兵器の研究をしておりますところに向ってすべてのことの秘密の解除を希望することは、これは当然できないことだと考えております。
○阿具根登君 失礼な御質問になるかもわかりませんけれども、二、三日前の新聞に四人のさむらい、いわゆる政治家の四人のさむらい、そのさむらい大将ここにおられるようですが、この四人のさむらいがあばれ回って、そして学者がそれに引きずられたと、こういうようなことがついておったと思いますが、ただいま御意見をお伺いいたしまして、まあ三原則が入っておるから賛成だというような御意見を拝聴したと思うのですが、政治的な問題をお聞きして非常に失礼になるかもわかりませんが、そういうことがあったかどうか。まだ先生方にここで、不安な点はあるのだけれども言っておらないところがおありになるかどうか。そういう点、できましたらお聞かせ願いたいと思います。
○参考人(茅誠司君) 四人のさむらいの件は私も新聞で見まして非常におもしろく読んだのでございます。われわれはそれに引き回されたかどうか、精神的のことでありまして、実際の関連はなかったのでありますから引き回されたのかどうか存じませんが、とにかく第二条にこのように明確にうたってあるということは、われわれとしてはどこでどういうふうに審議されたとしましても賛成なのであります。 それからこういう基本法が必要であるということは、学術会議がもう昔から言っておったことでありまして、その線に沿うて非常に早くこういうものができたということも私はけっこうなことと思います。ただその審議の過程におきまして十分——学者との間の討論等は一回か二回あったと思いますけれども、あまり十分にする機会がなかったことは、私は残念に思いますけれども、しかしこれもいろいろの事情のもとにおきましてはいたし方なかったのじゃないかと思います。私どもは新聞で引き回された——大へんおもしろい記事になっておりましたが、そういう事実はございませんけれども、また形式のしにおいて引き回されたというような批評が当っておるかどうか、私は存じませんけれども、こういう基本法である範囲においては、そういうこととは無関係において賛成でございます。
○参考人(藤岡由夫君) ただいま言われたことに尽きておりますので、どういう形式であろうと、よいものができればけっこうなのでございますが、その四人のさむらい大将と茅会長はあまり討論の機会はなかったというお話でございましたが、私個人で申しますと、ジュネーヴに、今年の夏国連の会議に参っておりますときに、四人の方がお見えになりまして、大へんたびたび接触をする機会を得まして、そして別に引き回されも引き回しもしなかったつもりでございますけれども、いろいろとお話をする機会がありましたことは、私は日本におりますと、なかなかそういう方々とお目にかかる機会はないのでございますが、食事をともにしたりしていろいろお話しする機会があったことは大へんけっこうだったと思うのでございます。私だけでなく、そのジュネーヴで会議に出席しました十五人ばかりの学者がみなお話をする機会があり、こういうことは、とかく学界なら学界の者と、政界の方々とお話する機会が少いときに、そういう機会がありましたことは非常にけっこうである。これは引き回しも引き回されもいたしませんけれども、意思の疎通という点においては非常によかったのではないかと思うのでございます。 それからさらに各国の事情をその四人の方が御視察になり、それぞれの私どもとはまた違った見地で各国の事情もよくお調べになって取り入れられ、ことに原子力の問題が超党派という形で現われましたことは、私どもは大へん喜んでおります。それはやはりそういう御一緒に外国を視察されたという機会が非常によかったのだろうと、これは私の想像でございますけれども、はなはだ失礼な言い分かもしれませんが、引き回しも引き回されもいたしませんけれども、意思の疎通をはかる機会は、私はそういう意味であったことを喜ぶものであり、また今後もできるだけ学界、実業界、政界というような方に意見が疎通される機会があることを希望するのでございます。
○上林忠次君 ゼネバの会議に学術会議あるいは政治家がだいぶ行かれまして、あれから、これは世界人類の福祉の増進のために急いでわれわれも研究しなくちゃならんというような風潮が高くなったのでありますけれども、そういうようなことは、いろいろなリポートなんか見まして各国の研究状況はすでにわかっているはずだ。案外、悪口になりますけれども、日本の原子力関係の学者も怠慢じゃないか、のんびりしていたのじゃないか、また国民全般がこれに対する熱意を持たぬのじゃないか。夏のあの会議以来にわかに熱が出てきた。こういうようなことはどうですか、学者の皆さんもいろいろな報告なり研究成果を常に見ておられるのでありますから、もっと早く平和利用の研究をわれわれやらなければいかぬというところに気づかれなくちゃいかぬのじゃないか。夏になってようやく気づいて、これは急いで、急速に発展させなければならぬというようなことになったのはどういうような——皆さんのお気持はどうであったのか、責めるようになりますけれども、この点お気持をお伺いしたい。
○参考人(茅誠司君) だいぶ主観的な答弁になりますが、まあ三年ほど前にこういう問題が起ったときには、学界こぞって反対であるかのごとき感じを新聞も社会も一般に受けられたのではないかと私は思います。でありますが、私の知っている範囲におきまして、黙っている学者は大体賛成であった。そういうようなことは世の中では普通のことと思うのでありますが、反対の人だけはどんどん反対意見を発表して、賛成の人が黙っていたのは、まことに私は不がいないことと存じます。ところが御承知の通りに、このジュネーヴのつまり七月の四巨頭会談、あれを契機といたしまして、ジュネーヴ精神的な空気が全世界を取り巻くようになり、逐次国際間の緊張が弛緩してくる。それで原子力兵器というものは実際に使われないという考え方が逐次濃厚になってきたために、そちらの方向を心配する必要はないのじゃないか。むしろこれを直接に、生活水準を上げるために用いる方がいいという考え方の人が非常に多くなってきた、そういうことであると思います。それにかてて加えて、世界始って以来の学問的な会議が国連主催のもとに行われて、そうして秘密がほとんどなくなってしまったというので、もう安心してこれをやれるという感じが与えられた。それは私は学者としては当然ではないかと思うのであります。しかし、日本の学者が、日本が原子力の波に乗りおくれないようにもっと真剣であるべきであったという御非難に対しては、私は甘んじて受けるものであります。
○岡三郎君 大体質問もいいところへきたと思うので、これ以上やっても無理だろうと思うのです。それで一応この場はこれで終って、次の段階に移られたい、これだけ提案します。
○委員長(三輪貞治君) 岡君の提案いかがですか。 〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
○委員長(三輪貞治君) 皆さん御賛成のようですから、これをもって参考人よりの意見を聴取する件は終了いたしたいと思います。 冒頭に申し上げましたように、最も原子力問題に御熱心であり、しかもつとに日本の原子力体制についての基本的考え方、原子力研究所の構想などの基本線を打ち出して参られました学界の、しかも代表的な存在であられる御両氏から、真摯にして率直なる御意見の聴取を得ましたことは、本委員会としてまことに幸甚に存ずる次第でございます。提案者も意図されているところでございますが、皆さん方学界の方々の心からなる御協力、特に国民一般大衆の全般的な協力を得られることを重く考慮に入れまして、慎重に審議をいたして参りたいと存じます。 本委員会を代表いたしまして深甚なる謝意を表する次第でございます。
○海野三朗君 本日この原子力基本法案の最後の日に当りまして、鳩山総理大臣、一萬田大蔵大臣、正力国務大臣の出席を要求いたします。
○委員長(三輪貞治君) 委員長においてさよう取り計らいます。 なお、午後は一時三十分より、公報によって御通知いたしました建設委員会との砂利採取法案に関する連合委員会を開催し、自後本法案についての質問を続行いたしたいと思います。 これをもって暫時休憩いたします。 午後零時十二分休憩 ————・———— 午後三時十四分開会
○委員長(三輪貞治君) 休憩前に引き続き委員会を再開いたします。 質疑を続行いたします。質疑のある方は御発言願います。
○小野義夫君 私は二点について御質問申し上げたいのですが、主として中曽根委員から御答弁を願いたいと思います。 その一つは、この法文をいろいろ見てきますと、非常に各種の国内における学界、実業界あるいは政界等におきましての諸般の議論をまとめるということに、非常に御苦心の跡がこの法文の上に歴然と現われておりますけれども、そのことについては非常に多とするものではありまするが、かような意味から、法文としての字句その他に非常に不備の点がある。これは国際的にも国内的にもその感があると思うのです。なかんずく第二条に関しては各句について相当国際的にも国内的にも検討を要し、法文的にも立法技術の上からも相当の問題が存すると思います。しかしながら、今焦眉の急に迫られておる本問題でございまするから、他日これはもちろんでありましょうけれども、そういうことを発見し、もしくは皆様が承認した場合には、適当な時期において修正、補正等を行う意思があるかどうかを一応お答え願いたい。
○衆議院議員(中曽根康弘君) 御趣旨に御賛成をいただきまして、また御激励いただきまして、まことにありがとうございます。 われわれが一生懸命作ったものでございますが、内容は不備な点も多々あるかと思います。しかし今日の状況は一日も早く日本の原子力行政を促進するという状況でございますので、大体においていいとお認め下さいますならば、御通過させていただければ非常にありがたいと存じます。ただそういう字句や何かの点で、基本精神はそのままにしておいて、字句や何かにまずいところがありましたならば、将来皆様方の御協議の上しかるべく検討いたしたいと思います。
○小野義夫君 第二点でございますが、中曽根委員は非常に国際的の知識を持っておられ、また非常にこの問題について御熱心であられるのですが、その劈頭における御説明におきまして、三十代の学徒を大いに奨励してやらせるのだというようなお言葉があって、一応けっこうと思っておりますが、私は物理化学等につきまするところの日本の学校のあり方が非常にまずいので、この際において根本的にそういうことについての考えを考慮する必要があるのじゃないか。三十代とおっしゃいますが、三十代ではあまりにおそすぎる、私の感覚はそうであります。と申しますのは、こういう特殊な、根本において数学が非常に基礎的なものであります。また高級な物理化学の知識が要るのであります。それが大学を卒業し、もしくは大学生の時代に初めて物理化学に接近するというようなこと、並びに卒業してからさらにやるというようなことでは、私はその目的を達しないであろう。 と申しますのは、ともかくこれは特殊の技術で、かりに一例を碁、将棋にとっては、はなはだ通俗的でありまするけれども、碁や将棋のように数理を基礎として研究、調査する学者は、十代の人から養成しなければ大成しないのであります。三十代といえば大へん若返らせるような御意見でありまするけれども、私はそれはあまりおそすぎると思う。また語学の観点から見ましても十代からやらなければ語学は完全じゃありません。七、八つからやって初めて語学というものは堪能になるべきものであろうと思う。ゆえにこれを要約するというと、日本には物理化学を基礎として、それでもって飯を食うような人を作る学校がないのであります。現存するかもしれませんが、昔は日本に唯一の物理学校というようなものがありまして、主としてこれは数学でありまするけれども、化学も物理も同時にやって、その道の相当の大家を出しております。ところで私が申すまでもなく、この原子科学の発見者の中には婦人も一られる、キューリー夫人のごときはその先駆者である。かように婦人の非常に敏感なる感受性、推理性というようなものも伺わなければならぬのに、三十代の大学の卒業生、もしくは大学——絶無とは申しませんけれども、日本の科学の進歩が、あるいはこれに必要なる数学、語学、あらゆる面を私はもっと小学校、中学校のところで私は専用的な教育をなさなきゃならぬであろうと考えるのであります。 つきましては、私はかつての自分の経験から見て、これは今より三、四十四年も前のことであります。ドイツの学者が私の工場へ来て、ここに化学者は何人おるか、と妙なことを申すのですが、電線工業であるのですが、ここにはあまり化学の必要がなかったから、針金を作るのに化学とか物理はあまり必要ないから、分析に数名おるだけだと言ったら、それでお前は仕事ができるかと言われると同時に、じゃドイツではどうやっていますと言うと、ドイツでは今より三、四十年も前に、三百の物理の専門学校があると答えられたのですが、今日おそらく西ドイツ等のこの物理、化学の教育というものは非常に進んでおるのじゃないかということを私は想像するのですが、日本の学校教育で、発案者が要望するような、三十才にして大家をなすというような、その学問の基礎ができるとお考えでありますか。もしできないとするならば、今度の七十五億の中には少くとも相当の金を使って、そういう幼少な人あるいは婦人等を養成して、将来の大学生にするという計画はないのか、あるのか、またなければそれを入れることをお考えなさいますかどうか、一つ伺いたい。
○衆議院議員(中曽根康弘君) 小野先生のお考えに全く同感であります。けさほど実は私も清瀬文相のお宅に参りまして、小中学校、高等学校に和げる理科教育というものを画期的に振興しなくてはいけない、そういう御意見を申し上げに参りました。と申しますのは、わが国におきまする理科とか技術とか、化学というものの水準はあの年ごろから上げなければ上げるわけにはいかない。いろいろ状況を聞きまして、非常に必要な問題があるということに私は気がついて参りまして、自分の自由民主党においては、来年度の予算もこの点について画期的な措置を講ずるつもりでおります。文相の方もそれに相呼応していろいろ万策を練ってもらいたい、そういうことを申し上げに参りましたら、清瀬文机は、全くその通りに考えておる。今度自分が文部大臣に就任したから三つのことをやろうと思っている。 まず第一は教育の機会均等を確保すること、そこで要保護児童に教科書を無償配給すること、ろうあ児童に対しても点字教科書その他は無償に配給する、そういうことをまずやりたい。第二番目に理科教育の振興で、この点について思い切った措置を予算的にもやりたい。第三番目は社会教育だと言っておられました。私も非常に喜びまして、私の方の政調会におきましてもこの具体策を練るように同僚といろいろ相談したところであります。その辺からやはり画期的な措置を講じませんと、いい芽は誕生しないと思います。全く同感でございます。 ただ、私がこの問申し上げましたのは、海外へ留学せしめたり、それから特に研究を助成せしめる層について申し上げたのですが、この原子の学問は新らしい学問でございますから、四十、五十の老大家も、若い二十五あるいは二十、三十クラスの人も同じ距離で大体スタートをしております。従って若い人は読書力が旺盛ですし、時間もあります。年を取られた先生方はいろいろ社会とかアドミニストレーションとかに時間を取られてどうしても時間がない。そういう点から見ますと、学問の進歩というものは若い者の方がどんどん伸びる状況にあるのであります。 そこでフランスのサクレーという研究所へ行って見ますと、平均年令は幾つかと聞いて見ましたら、三十二才だと言っておりました。それからイギリスのハウェルというところへ行ってみましたら、大体係長クラスの研究員は二十七、八から三十二、三ぐらい、これがみんなジュネーヴ会議に出た老大家を引率して、各要所々々の説明をしておりました。 それからカナダに参りまして、チョークリバーの研究所に行って、これまた聞いてみましたら三十一、二才である。その層が今研究のスタッフの中心になっておるわけです。 わが国におきましても二十八から三十二、三ぐらいまでの者が科学のイマジネーションも発達しているし、力のできるころであります。この層の研究助成のためには大いにしてやらなければならない。老大家をやるのもいいけれども、むしろ新らしい芽を育てるということを研究助成の点においてはやりたい。従いまして外国に留学せしめますのも、むしろ年寄りの方よりも大学院の学生、二十五、六ぐらいから三十一、二才ぐらいの者を多数やって、語学の関係もありますから、二年ぐらいおいて、そして日本に帰ってきてからリードしてもらう、そういうふうに考えるのであります。従って理科教育、小、中学校、高等学校等を、これは文部省の系統として、まず今度の議会に予算その他の措置もやって、改革してもらうと同時に、原子力の問題につきましては研究の助成や研究の重点という点については、今の層も軽視しないようにいたしたいと思っております。 それから一般の啓蒙につきましても非常に重要なことでありまして、この点は提案のときにも申し上げましたが、日本人は原子力というものは猛獣だと思っておる。しかし外国に行けば家畜になっておる。そういうことを国民に知らせて、みんなが原子力になじむようにしなくてはならない。それが日本の原子力のスタートなんだ。外国はもうすでに助力源の問題として取り上げておるのに、日本は広島、長崎の悲劇としてしか経験していない。それからまず改める。外国の国際的な雰囲気と日本国内における雰囲気は非常に違うのですから、それを改めるということからスタートしなければなりませんので、来年度予算におきましてもそういう啓豪等の費用も相当に坂って、国民に親しむようにいたしたいと思っております。 なお念のために、これは蛇足でございますが、小野先生に申し上げたいと思うのでございますが、実は昨年ジュネーヴ会議がありまして、各国が相当の秘密を発表いたしました。その研究資料が逐次国連から出てきておるのでございますが、来年の一月ごろにほとんど全部出尽します。これは膨大なる資料であります。今まで隠しておったのがかなり出てきているのです。ところが日本にはまだこの消化能力がないのです。そこで来年度のわれわれの仕事の一番大きな点は、学界の各スタッフのチームを作りまして、各部門としての研究資料を完全に消化してもらって、それを有機的に全部総合統一して、日本の水準を一日も外国並みに上げる、これが大事業だと思うのであります。そのチームを編成してどういうふうにこれを有機的に結合していくかということは、非常に大きな問題でありまするが、来年度は予算的にもそういう経費を特に計上して、日本の力を一日も早く外国に追いつくようにいたしたいと思っております。
○湯山勇君 私はまず、小さい問題から先にお尋ねしておきたいと思います。それは本法を見ますと奨励金という条が二つございます。それは核原料物賢の開発に寄与した岩に対する奨励金、賞金と、それからあとの分は特許出願にかかる発明、そういうものであって、対象は違っておりますけれども、こういう一つの法律の中に賞金とか奨励金とかいうのが二つの条を占めておるというのはあまり例を見ないことだと思います。そうしてこういう基本法にこういう出し方をするということは、かえって法律全体の品位という——言葉は悪いかもしれませんけれども、品位をそこなうものであるし、あまりよくないことではないか。これは一つに将来においては整理する必要があるのではないかと思いますが、提案者はどうお考えでしょうか。
○衆議院議員(中曽根康弘君) 奨励措置を特に条項に挿入いたしましたのは、国民の皆様方がこれをお読みになりましたときに、なるほど政府は国民を対象に積極的な力を示しておる。そういう心がまえを見ていただきたいと思って特に記入したのであります。外国におきましては、フランスでもどこでも探鉱の奨励については非常な力をいたしておりまして、原子力法に載っております。アメリカの場合も載っております。日本の場合も、法律の体裁からすればややいかがとも思いましたけれども、外国の原子力法にも準じてわが国の田代の皆様方にこれを認識していただくために載しておこうと、こういう意味で実はやったのであります。 しかし湯山先生のお話は、法律の体裁からしますと、なるほどいかがかと思われる点もあります。この点は日本の開発等が進むにつれまして将来検討してみたいと思います。
○湯山勇君 私はこの奨励、報奨の制度が悪いというのでもなく、この法律の条文にそういうものが出ておるのが悪いとも言っていないので、その奨励金ということが二つあります、御存じの通り。その二つあるということが問題だから、これは奨励の必要があることは認めますから、一つに将来した方が体裁もいいし、法律としての価値も高揚されるのではないかということを申し上げておるので、これは御異議ないと思いますが、いかがでしょうか。
○衆議院議員(中曽根康弘君) その点はその奨励の対象が違うのであります。
○湯山勇君 それはさっき申し上げた……。
○衆議院議員(中曽根康弘君) 御存じのように片っ方は鉱物ですし、片っ方は特許権でございまして、そうしますと、終りの方の付則かあるいはどこかに特に奨励という章でも作ってまとめるということになります。あるいはそういうことも将来検討していいかと思います。
○湯山勇君 それからこれはけさもお聞きしたのですが、この前に志村議員に対する質問を保留しておりました。それは燃料公社においては燃料物費の製造のところまでをやりまして、それからさらに最後の灰の処理も公社でやる。中間の原子炉を使うという過程がこれには抜けております。そこで、その中間の燃料物質を使って灰ができるまでの過程、つまり動力源として使うそういう過程は一体どこにやらせるお考えなのか。私の考えでは、その部分もやはり公社とかそういった政府の関係した機関がやるのが妥当ではないか。それは危険防止の点から考えましても、その他いろいろむずかしい管理規定がありますけれども、そういう管理規定が厳格に守られるという意味から考えましても、そういう形態か将来において望ましいのではないかと思いますが、これは志村議員はどうお考えでございましょうか。
○衆議院議員(志村茂治君) ただいまわれわれがこの核燃料を使うところは原子力研究所ということだけしか考えておりませんので、そう書いたわけです。……原子力を利用する場合の経営形態はどこに置くかという問題だろうと思いますが、その場合におきましては、私の考えとしましては、大企業、特に大資本を要するこういうものについては国営の姿でいくべきであろう。そうしてそれほどの資本を要さない小さい利用部面においてはこれは一般に利用させる、こういう形でいくというふうに考えております。その場合には核燃料の管理の部面等について将来特に必要があった場合には、その条項はやっぱり加えていかなければならぬ、こう考えております。
○衆議院議員(中曽根康弘君) その点につきましては、志村さんの方と私の方とは若干見解を異にしておりまして、これは将来の原子発電用原子力の産業というものがどういう様相になるかという将来の見通しにもよります。しかしわれわれの方の政党では、原則としてこれは私有を中心にして社会的国家的規制を加うべきである。しかしこの原子力産業というものは非常に危険性も伴いますし、大資本も要しますので、これがいかに発展するかという発展度合によってまたおのずから考え方も違うわけであります。あるいは公社形態になるかもしれませんし、あるいは特別会社方式になるかもしれませんし、あるいは純然たる民間経営でいくかもしれません。これは原子力発電等の将来の発展の様相に応じてそのとききめられるべきものだと思っております。しかし、われわれの方の政党としましては、原則としては私有を中心として、それに対して社会的規制を加えていく、こういう建前を持っております。これは将来の問題でありますから、業務として行うときの問題でありますから、これは将来両党で話し合うということといたしまして、現在の実験、研究、開発等の段階においては一致いたしておるわけであります。
○湯山勇君 中曽根さんに重ねてお尋ねいたします。そういう基本方針にお立ちになれば、現在法案に規定しておるところの原子燃料公社についても適当な段階においては民営にする、こういうようなお考えでございますか。
○衆議院議員(中曽根康弘君) 原子燃料公社については、これは公社組織でずっと将来もいく予定でございます。と申しますのは、この仕事が非常に危険性を持って、特に精練という事業は民間に渡すべきようなものではない。管理という事業も国家的性格を帯びているのでありまして、一民間会社にやらすべきものではないと考えております。
○湯山勇君 次に、その問題はそれで了解できましたから、お尋ねしたいのは、原子力委員会の権限とか、それからそれと政府との関係ですけれども、これについては何か政府との間に打ち合せをなさいましたでしょうか。
○衆議院議員(中曽根康弘君) この原子力委員会法、内閣委員会で御審議を賜わっておりますその法律の条文に出ていること以外に、私は別に特に協定とか何とかということをいたしておりません。
○湯山勇君 この委員会というのは、これはまあ諮問機関でもなければ執行機関でもない。まあ決定機関というような格好になっておりますが、その決定が、委員会法では尊重されるというような規定になっておりますけれども、立案者の方では、原子力委員会の決定と政府の方針決定が違う場合を予想しておられますか、いかがですか。
○衆議院議員(中曽根康弘君) おそらく食い違う場合はないだろうと思います。現在、原子力……、初めは利用準備調査会というのが内閣にございまして、それに総合部会等がいろいろ企画立案しておりますが、政府はその方針通り動いているわけであります。あの準備調査会の方は、現在のこの原子力委員会よりもはるかに性格の弱い諮問機関になっております。それでも政府はその決定通り動いているわけであります。いわんやここにできます原子力委員会はもっと強力な、半独立的性格すら——ここにありますように審議決定するというのでありますから強いわけであります。従って現在のものよりはるかに政府は尊重されるであろうし、現在その通りやっているのでありますから、これ以上政府が自分の意思を通したり何かするということはないだろうと思っております。
○湯山勇君 たとえば、予算とかそういったものについても、やはり今と同じような見通しを持っておられますか。
○衆議院議員(中曽根康弘君) 予算の点は、今まで日本にまだそういう実績がございませんから、今までそうした問題があったことはありません。なぜなれば、そういう態勢がなかったから要求がなかったわけであります。今年度初めて原子力委員会ができ、原子力局ができ、それに対する予算措置というものが出てくるわけであります。そこで来年度予算の編成に当りましては、一日も早くこの原子力委員会を作りまして、正式に金額をきめて、政府に、大蔵省に要求するという措置をとりたいと思っているのであります。その際、政府が全面的にこれを尊重するかどうかは、政府の内部の問題でありますからわかりませんが、おそらく有力なる国務大臣が委員長になると思いますので、相当思い切った措置をとれるのではないかと思います。
○湯山勇君 多くの場合委員八会とか、——あるいは人事院もその一つの例ですけれども、そういう機関に独立の権限、半独立性を与えた場合には、従来の例から申しますと、その機関が浮き上ってくるという実例もありますし、懸念もありますけれども、それについては何か特別な施策なり方法をお持ちでしょうか。
○衆議院議員(中曽根康弘君) これはやはり原子力委員会法にありまする内閣総理大臣はその決定を尊重しなければならない、その条項を誠実に政府に履行させる以外にないと思います。その点はわれわれは国会におきまして慎重に監督いたしたいと思います。
○湯山勇君 次に、最後にお尋ねいたしたいと思いますのは、この放射線による障害の防止措置、これについてでございます。で、本日も参考人からも御指摘がありましたが、 レントゲン障害さえ今日十分な処置がとられていない、そういう段階で、果して原子力の平和利用によって生ずる放射線障害、これに対する対策が十分とられるかどうか、またこの対策が十分とられるとするならば、それに伴って今日のレントゲン使用者等に対する措置も変ってくると思いますか、それらの点については、どの程度の御検討をしておられるか、これを承わりたいと思います。
○衆議院議員(志村茂治君) 放射線障害の防止につきましては、別に放射線障害防止法を制定いたしております。それと同時に施設方面におきまして、放射線医学総合研究所を作りまして、ここで、一方においては基礎的研究をすると同時に、実際の障害者の治療をやるという方法をとっております。おそらく次の国会にはこの放射線障害防止法を実際に皆様に御審議願うことと存じております。その場合には、この法律案の立案者は東大医学部の中泉さんでありまして、放射線医学の担当者でございますが、その人が担当され、内容としましては現在のX光線に対する障害者につきましても世界の水準まで持っていくという方法を考えております。
○湯山勇君 それに伴って当然労働基準法等も改正されなければならないと思いますが、それらの内容の具体的なものについては、現在のところは何もお持ちになっていらっしゃらないのでしょうか。
○衆議院議員(中曽根康弘君) 現在の労働基準法の内容において、すでに放射線関係の規定はかなり厳重に行われております、規定は。ただそれが順守されているか、どうかは別であります。で、この点は、ジュネーヴ会議におきましても、きょう証書なすった藤岡さんが、会議の冒頭の日において、日本における放射線障害の措置のことをレポートで演説いたしまして、詳細に述べておりました。そういう点については、労働基準法の上における放射線障害の取扱いにおいては、日本は世界的スタンダードにある、世界以上のスタンダードにあるようであります。これは労働基準法が世界的スタンダードにあるからだろうと思います。そういう点についてはあまり心配ないと思いますが、ただその実施が、主として病院その他において非常に安易に考えられておりまして、取り扱っている医師や技術者にそういう障害者が多いのは、日本がまた世界一ぐらいのものだそうであります。これは結局レントゲンというものを軽視している思想からきているのだろうと思います。そこで世界の国々の情勢を見てみますと、原子炉のそばにおったために血球が悪くなったとか、原子病的気配が出たとか、放射能をよけい受けたという例はないのです。これは外国を回って見ましても、原子炉のそばに従事している人には危険手当がどこもついていない。それから保険料は、どうかということを聞いてみますと、これは普通の人と同じ率で取っております。ですから全く普通の工場労働者と同じ危険度しかないのであります。なるほど行って見ると、いろいろな点でそういう管理を厳正にやっております。あれだけやっておれば危険はない。わが国も初めてやるのでありますから、炉の設置やその他については、外国以上の管理を、放射線障害防止法案の内容に規定してありまして、これを実行するならば、外国以上に安全性を持つ、だろうと思います。その実施に相応じまして、現在レントゲン等が病院等で乱用されておるのは、それに並行して厳重に監督されるようにならなければならぬと思います。今までその、取締り法規がなかったものですから乱用されぎみであったのです。今度は炉と一緒にして、レントゲンも厳重に取り締るようになろうと思います。
○湯山勇君 今の御説明を聞いて取締法がなかったということから、今日の状態ができておる、このことはよくわかります。そうだと思います。私はこういうことを聞いておりますから、御参考までに申し上げてみたいと思うのですが、それは粒子力学をやっておる学者です。その学者が、自分の子供が今度筒校を出ます。その人に私は、あなたの子供に一つ原子力をやらしてはどうかということを申しましたところが、いや今の日本のああいう労働基準法や、それからその他の安全法では、自分の子供をとうてい原子力研究者にする意思はない、こういうことを粒子力学をやっておる学者が言っております。このことは、今中曽根さんのおっしゃったことは、藤岡博士の発言と軌を一にするものだと思いますので、そういう点に対する政府の措置に対する監視、あるいは今日労働基準監督署が十分機能を果していないのは、これは労働基準監督署の人が少いのです。管下の工場を一年に一州行くだけの人数もありません。そういった状態で、幾ら法を整備しても、取締り規定を設けても、実際はこれは有名無実になる心配がございます。そこで先の質問と関連しますけれども、当然あなたのお考えになっている今回の原子力関係の予算その他の中には、労働基準監督署の人員の増とか、そういったものも含まれておると私は解釈し、またそうでなければならないと思いますが、その点についてはいかがでございますか。
○衆議院議員(中曽根康弘君) 厚生省から提出されました予算をそこまで深く検討いたしておりませんから、まことに申しわけありませんが、なんぼ入っているということは存じません。ただこの放射線障害防止法という法律を作るには約三年ばかりかかりまして、昭和二十七年から中泉さんが中心になって、厚生省も参画してやっておったのです。内容は厚生省もよく知っているはずです。従ってこれを来年度実施するということになると、それに相応する予算も当然とっていると思います。私大へん失礼でございますが、そこまでこまかく調べてありませんので、いずれあとで調べて御報告いたします。
○岡三郎君 時間がありませんので簡単に御質疑申し上げたいと思うのであります。 第一点に、先ほど参考人からちょっと聞いたわけですが、大学の研究施設にしても、非常に貧弱で予算が足りない。単に理学教育を振興するといっても、これは相当年月を要するということになれば、当面第一線の学者をある程度まで多角的に動員しなければならぬ、こういうことになると思うのです。そういった場合に、現在の大学における待遇ですね、こういったものが非常に大きな問題になってくるのではないかと考えるのです。特に原子力の研究というものは画期的なものであるという角度からいって、やはり国内的にこれを充実させるという面から考えて、相当重視してかからなければならんのではないかと考えるのです。ところが他の自然科学なり、社会科学というものを半面に軽視するというわけにも行かぬしという角度で、いろいろ考えているわけですが、こういった面についての待遇処置、こういったものをどの程度考えられておるか、その点ちょっと聞きたいと思うのです。
○衆議院議員(志村茂治君) 実はわれわれが予算を組みます当初におきましてはそのようなこともかなり考えて参ったのでございますが、学者側の方からの意見によりますというと、そういうことを通じて研究の自由を妨げられるようなことがあってはならない。あくまでも学校の、少くとも大学の講座なり直接の研究室の経費は、従来通り文部省の管轄に置いてくれ。これはもちろん学問の研究の自由という建前からおっしゃられると思いますが、そういうような関係から原子力の中からは学校の研究費等についての項目は除いております。しかしわれわれとしましては、日本の学問、特に自然科学の研究についてはどこまでも助力したい、助力してあげたいという希望は持っております。
○岡三郎君 現在民間においても相当この方面における研究が出発しようとしておるし、従来の原子力の基礎になる理論物理学等においても、いろいろの基金が設けられておりますね、ぼつぼつと……。湯川基金とかいろいろな基金が設けられておりますが、そういった面において将来政府が理由に研究するという面を、主張していくために、そういう基金に対する補助、そういった府についてのお考えはどうなのですか、助成というような面で……。 〔委員長退席、理事小松正雄君着席〕
○衆議院議員(中曽根康弘君) その点におきましては、われわれの方で考えましたことは、官立大学についてはわれわれは政府機関でございますからいろいろめんどうを見られるわけでございます。しかし私立大学については原子力研究というものは官立と比べて政府の恩恵を受けることが少いのであります。そこで今度は予算の土に一億円ばかり組みまして、私立大学のいろいろな原子力研究促進のための交付金という項を設けました。現在の各大学の動きから見ますと、原子力工学科を置こうという所が一つか二つくらいでありまして、一億円くらいあれば相当有効に来年度使えるのではないかと思うのであります。 それからもう一つは留学生でありまして、われわれの予算におきましても、留学生は官立大学のみならず、私立大学の学生もたしか十人か二十人ことしは特に派遣する、政府の基金で派遣する、こういう措置を講じてあります。
○岡三郎君 それからこれはちょっと変ってきますが、防衛大学ですね、この防衛大学等においても当然こういう問題が俎上に上ってくると私は考えるのでありますが、防衛大学における原子力の研究、こうなるというと、まことにむずかしく考えれば考えられるのですが、こういった点についてどのように中曽根議員はお考えですか。
○衆議院議員(中曽根康弘君) その点は第二条の平和利用の点で昨日申し上げたのでございますが、防御大学ないしは防衛庁におきまして年半利用のために研究することは厳禁する、こういうことで一貫しております。
○岡三郎君 かりにそういうふうな意味に、そういうふうに御弁明になったことをそのままとれば、防衛庁、防衛大学院においては直接、原子力の研究というものが障害になるようなことになるのですが、その点はどうですか。
○衆議院議員(中曽根康弘君) 原子力の軍事的利用というのはわれわれの解釈では、原子燃料を使ってこれを人を殺傷するために使う、そういう兵器、武器である。こういう概念を立てております。従ってたとえば原子力研究所におきまして原子炉を使って、中性子を使って新しい鋼鉄を発見するとか、そういうことが日本の科学や材質の向上、水準を上げて、それが関連的に機関銃の材質がよくなることは、そういうことはこれはあり得ることであると思うのであります。しかし原子燃料を使って直接人間を殺傷するための武器を作ろうとしたりなんかすることは許されない。こういうように考えておるわけであります。従ってアイソトープを使っていろいろな材質をよくするということはあるいはあり得るのではないかと思うのであります。あるいは患者をなおすとかあるいはガンをなおすとかいう研究も、衛生方面では行われることもあり得ると思います。
○岡三郎君 私もこの間防衛大学を直接見に行って来たわけですけれども、当然防衛大学としてはやはりこの原子力の研究というものがなされると私は考えておるわけです。これは一つのやはり大学として研究せられる、それが防衛庁としてやはり防衛という立場によってそれを利用するというふうな考え方が当然出て来ると思う。その場合における境目というものが非常にむずかしくなるのではないかというふうに考えてみたわけなんです。今のお答えで言うと、原子燃料を使う方向の研究というものはしてはいけないというふうにとってよろしゅうございますか。
○衆議院議員(中曽根康弘君) 原子燃料を使って人を殺傷する武器を作ることはいけない、従ってアイソトープを使って患者をなおすとか、あるいはアイソトープを使って材質の研究をやる、戦車のキャタピラの研究をやるとか、そういうことはあると思うのであります。ただあの原子燃料を爆発的にその他の方途によって人を殺傷する武器を作るということはいけないということでございます。
○阿具根登君 ちょっと関連して。中曽根さんは今そういうふうにお答えになりましたが、前国務大臣の砂田さんは原子兵器ということは考えていないが、原子力というものがある以上、これは研究しなければできないし、そういう考えを持っておるということをはっきり言っておられます。それはどういうふうにお考えですか。
○衆議院議員(中曽根康弘君) その砂田さんのお考えは、武器を作るとか武器を、研究するという意味ではなくて、原子力というものがある以上、この理論的解明を行うとか、物理的、数学的解明を行うとか、あるいはさらに今申し上げた平和的利用にいろいろ防衛庁の病院で研究するとか、あるいは防衛庁の技術研究所において材質の改革について研究するとか、そういうことはあり得ると思うのであります。一切原子力からノー・タッチということはあり得ないと思います。それは原子力というものが、広範なる科学全般に影響を及ぼし、その基礎に今やなりつつあるのでございますから、全然ノー・タッチということはあり得ないと思います。
○阿具根登君 砂田前国務大臣とそういう点について中曽根さんは十分話し合われたことですか、どうですか。
○衆議院議員(中曽根康弘君) 直接話したことはありませんが、わが党は原子力の平和利用という党議を規定しておるのでありますから、有力なる党員である砂田さんは党議に従った発言をなしておると私は思うのであります。
○阿具根登君 有力なあなたの党の党員であり、国務大臣であった砂田さんは、現在は研究の過程であるから兵器に使おうと考えておらないけれども、こういう原子力がある以上は防衛庁でも研究をいたします、こういうことも言っておられるし、さらにわが党の藤町君の質問については、将来原子力をわが国で作るようなことになった場合には、当然兵器にも使用することがあるかもわかりません、こういうような答弁をされておりますが、それは重要な地位にある力の言われた言葉と、私たちは速記で見ておりますが、どうですかその点……。
○衆議院議員(中曽根康弘君) 砂田さんがどういう御言明をなすったか、私は砂田さんに聞いてみないとわかりませんが、私は兵器に使うというようなことは言ったことはないと思います。
○岡三郎君 その境目が非常にむずかしいと思うのです。たとえばキャタピラの改善をするというので中性子の利用を考える、それからできたものが、いわゆるまあ戦車というものですね、実際は。仮に憲法が改正されたような場合においては、その原子核の研究ではなくて、一路日本からオネスト・ジョンの頭につけるぐらいのものは、自身でやれというふうなことになる心配があるので一応聞いたわけですが、しかしこれは今の御言明で必要以上にひねって御質疑する必要は私はないと思うので、すなおにその意を了承して、一つやって行ってもらいたいと思うわけです。 それからこの点はまた他に質疑があられる方があったらやってもらってけっこうだと思うのですが、設置法と同時に原子力局ですね、この局を将来科学技術庁に入れるか入れないかいろいろ論議があるそうですが、入れるとするというと、これは午前中の参考人の意見は、科学技術庁から原子力関係は切り離した方がよいというふうな御意見があったと思うのです。これらの点について一つお考えを聞きたいと思うのです。
○衆議院議員(中曽根康弘君) 原子力委員会の事務の執行部局をどこにするかということは一つの研究課題でありまして、学術会議の方は岡先生御承知の切り離して一貫してやれという議論であった。世界中の例を見ますというと、アメリカはそういうことをやっております。イギリスも大体そういう系統です。大体切り離してやっているところが多いようです。しかしほかの国々と憲法的構造を異にし、また憲法的内容を日本は異にしておりますから、いろいろ考えましてやはりこれは執行権との調整をはからなければならない。 〔理事小松正雄君退席、委員長着席〕 そこでもう一つはほかの科学技術全般とのバランスをとらなくてはならない。原子力ばかり膨大にふくれて、ほかの科学技術が進まないということであれば、これまた原子力自体があとでだめになることになります。原子力と申しましても、科学技術の全般的な広範なバック・グラウンドがなければ伸びるものではないし、また原子力が伸びてバック・グラウンドが伸びるという相関関係にあるのでありまして、このバランスをとるということは非常に重要なことでありまして、これはわれわれが考えました点は、科学技術庁の中に原子力局をおいて、執行力を持たせれば、ほかの部局とのバランスがとれる、従って執行部局は科学技術庁に入れた方がいいだろう、こういう考えで予算の点においても、人間の点においても、いろいろな情報交換の点においても、調整の点においてもいいだろう、こういう考えで科学技術庁に入れることをわれわれは適当と考えました。
○岡三郎君 その点は実際にやってみて、やはりこれは一貫してやった方がいいというふうに将来なった場合にすなおにそのように修正なさいますか。
○衆議院議員(中曽根康弘君) その点は実際やってみまして運転状況をみまして、まずいところがあれば修正した方がいいと思います。
○岡三郎君 私はこれは最後に中曽根さんの方にお聞きしたいと思うのですが、これは将来の一つの危惧として、憲法改正が一応俎上に上ってきておるわけです。それであの憲法を制定する当時の、これは失礼ですが、芦田さんは名演説を打たれて、また最近においては変えられる、これはやむを得ないと思います。少くとも本法案は、外国の示唆によってできたものでもなし、純粋な議員立法として提案されておるので、将来ともにこの基本法というものが簡単に修正されていくということにはなはだしい危惧の念を持っているわけです。そういう点で将来こういう事態にかりになった場合に、率先して原子力を兵器に使うべきだというような御言動にならんように、一つこれはお願いを申しておきたいと思うのです。一つの考え方として。そこでついでに中曽根、志村議員、正力国務大臣でもけっこうと思うのですが、この原子力委員会が設置された場合に、年内に人選をし一月一日から発足したいというように伺っておるわけですが、その点は正力国務大臣はどうですか。
○国務大臣(正力松太郎君) なるべく年内に人選したいと思って極力今考えております。
○岡三郎君 そうすると、その場合において大体七人委員会、五人委員会の構想があったけれども、一応五人委員会に落ちついたというふうにして、その内訳についてあらためてここで聞く必要はないと思いますが、その人選の方法ですね、特に労働組合関係から一名入れるということになるならば、それをどのようにして御選定になるか、これは一つ正力大臣の方にお聞きしたいと思う。
○国務大臣(正力松太郎君) 今各界からということで、どの界というふうにきめませんが、できるだけ全国民が承認するようなりっぱな人を選びたいと思っております。
○岡三郎君 これは中曽根さんの方にお聞きしますが、具体的にこの人選の進め方ですね、そういった点についての党の政調会の有力なる発言は相当影響力があると思うので、中曽根議員の方に一つ構想があればお伺いしたい、こう思うわけです。
○衆議院議員(中曽根康弘君) 私は衆議院議員でありまして政府でないので、そういう執行権は握っておりませんので正力先生の御言明の通りやることになると思います。ただ私は与党の一員でございますから、その執行権の行使が誤らないようにいろいろ私の気がついたことは申し上げたいと思います。その際に、やはりこの原子力の推進というものが国際的な問題でもありまして、たとえば外国の原子力委員会を見ましても、イギリスあたりはドクター・コッククロフトというような世界的な学者、あるいは一般の実業関係の出身にしても一応の有数の能力者がおるわけです。アメリカにおいても同様であります。従いまして日本から原子力委員を選定する場合には、外国の原子力委員に比べて恥かしくないクラスの人を出す必要がある。日本的な国内的な視野だけにとどまってはいけない、国際場裏に出しても恥かしくないような人格識見のある実力者を出す必要がある。原子力問題に対する実力者を出す必要がある、そういうことを私は非常に感じまして、そういう人たちが国民の納得のゆくような形で選出されればいいと思います。
○岡三郎君 そのような人選の場合に、基本法が超党派でなされているという観点から、当然野党の社会党にも一応そういうふうな御相談があるべきだ、こう思うわけですが、その点はいかがでしょうか。
○衆議院議員(志村茂治君) 原子力委員会法には委員についてはただ学識経験者ということが悪いてあります。ただわれわれとしては、学界、財界あるいは労働界、こういうふうな網羅した日本の各階層からそれらの委員が選出されなければならないということで、先日の衆議院の科学技術特別委員会におきまして、私が正力国務大臣に質し、労働界から一人入れるという確言を得ております。そうしてこれは党内のことでございますが、ごく短い時間のうちに私のところまで党の幹部が委員の候補者を推薦するということになっております。一人出すことになっております。
○岡三郎君 最後に時間がございませんから、先ほども中曽根議員に対して一応要望を申し上げたんですが、一つそれに対する中曽根議員のお考えを一言お聞き申したいと、こう思うんです。
○衆議院議員(中曽根康弘君) 原子力の発見というものは人類の歴史に革命的な影響を与えるものだろうと思います。それは衆議院におきまして、員が申されましたが、物質的な革命だけでなくて精神的な革命まで引き起すであろう。唯物論というものはこれによって粉砕される、こういうことすら岡さんは申されました。私もそのように思います。こういう偉大なる力を発見したのでありますから、これは兵器とか、人間の不幸になる材料に使われるべきものではなくして、人間の幸福のために、また世界の発展のために善意をもって使われるべきものだろうと思います。そういうふうに私は心がけております。
○海野三朗君 私は国務大臣正力さんにお伺いしたいんですが、この原子力基本法のみならず、この原子力に関する法案がたくさん出されておるのでありますが、本案だけ通ってみたところで、予算の面、つまり政府がそれだけの熱意がなければ仏作って魂入れずというような結果になってしまう、私はそれをおそれるのでありますが、国務大臣はどれくらいの御決意を持っていらっしゃるのであるか、それを私はまず正力国務大臣にお伺いいたします。
○国務大臣(正力松太郎君) まことにごもっともな御質問と思います。予算につきましては、実はわが国の原子力の利用に対する研究は非常に世界の水準におくれております。それですから、この際日本の財政の許す限り、できるだけたくさんの予算をとりたいと思っておるわけであります。
○海野三朗君 そういたしますと、ただいま予算が、各省から出ておる予算に対しましては、約何パーセントくらい追加するお見込みでございますか。
○国務大臣(正力松太郎君) まだどの見込みと言われても困りますけれども、とにかく各省の出ておる予算よりはできたら倍くらいほしいと考えておるわけであります。
○海野三朗君 はいわかりました。
○岡三郎君 時間がだいぶたちましたが、正力さんちょっと聞きたいのです。大臣の力によって、相当予算がとれることを聞いて安心したわけです。いわゆる四人委員会と申しますが、私はさむらいという言葉はやめますけれど、四人の人々の推進力によってできたわけですが、相当程度これは実質的な研究所、またはこの研究所を改正するために莫大なる費用をかけなければ将来発展しないと思うのです。そういうふうな点で、一つ国務大臣は文部大臣と十分検討をされまして、この点について総合的な予算の獲得に遺憾のないように私はしてもらいたい、こう思うわけです。
○国務大臣(正力松太郎君) 今の御注意まことにありがたく思います。できるだけ文部大臣とも協力してたくさんの予算をとるように骨折りたいと思います。
○岡三郎君 それで、先般参議院の本会議において、鳩山総理は原子力基本法は通常国会において出したい、こう言明せられたわけです。それに対して、正力国務大臣は、現在議員提案を調整中であるというところで、ちょっと立ち往生されたわけですが、政府としてどのようなお考えを持っておったわけですか。
○国務大臣(正力松太郎君) 政府としては、臨時国会に間に合わないかもしれない、そうするとぜひ通常国会には出さなければならない。問に合えば臨時国会に出したいと思ったのです。そこを幸いにして、議員の方でありましたから、それはけっこうだと思ったわけであります。臨時国会に出したいというのは、私どもの主張でしたけれども、どうしてもなかなか間に合いそうもないということで、それではおそくとも一通常国会の劈頭にやらなければならないと思いました。ところが、幸いわれわれの考え以上に、臨時議会に出たことは非常に私どもは喜んでおる次第であります。
○海野三朗君 大蔵大臣に私はただしたいと思うことがあります。大蔵大臣はなぜ出席されないのでありますか。
○委員長(三輪貞治君) 先ほどから督促しておりますが、どうも院内におられないようなんです。
○海野三朗君 ただいま正力国務大臣の御熱意はわかりましたが、結局予算の問題になって来るのでありまして、この法案だけ通ったからといっても、ない袖は振れないからというようなことで、半分あるいは三分の一、あるいは四分の一に削られたひには、もう目もあてられない惨状だと思います。それでありますから、午後は大蔵大臣がどの程度まで原子力ということを見ておるか、それを私はただしたいと思っておるのでありますが、正力国務大臣としては必らずこの予算にそれを組ませるだけの御自信がおありになりますか。
○国務大臣(正力松太郎君) 自信と言われますと甚だ困りますけれども、できるだけ骨を折るつもりでおります。
○委員長(三輪貞治君) 速記を止めて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(三輪貞治君) 速記をつけて下さい。 他に御発言もないようですから質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(三輪貞治君) 御異議ないと認めます。 速記を止めて。 〔速記中止〕
○委員長(三輪貞治君) 速記つけて下さい。 これより討論にはいります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
○湯山勇君 私は本案に対して次の附帯決議の動議を提出いたします。案文を読み上げます。 本法の改廃及附属法、関係法の制定、運用に当っては、本法の趣旨並に提案の経過に鑑み、あくまで超党派性を堅持し、国民的協力態勢を確立すべきである。 右決議する。 趣旨を説明いたします。 この法律は原子力平和利用の基本を示すものでございまして、本法に関連した各種の法案あるいは施策は本法の精神がつらぬかれねばなるまいと思います。従って許されるならば、他の法律の例がありますように、この基本法の改廃は三分の二の賛成を必要とするといったようなことも考えられるのでございますけれども、今日までの進められて来た過程等から見まして、そこまでの必要はないとも考えられます。しかしながら国民の不安を除去し、安心感、信頼感を維持して行くということになりますれば、やはり本法は国民的基盤に立って超党派的に進められて行かなければならないかと思います。そのことは今朝参考人に本委員会が喚びました茅、藤岡両氏も参考意見の中で明確にそのことを述べておられます。つまり関係法もたくさんありますし、政令事項も大へん多くて、その内容については若干不安の点がないでもないけれども、本法が超党派的に提案されたそのことから、われわれは本法を信頼するということを述べておられるのでございまして、それらの点考え合わせました場合、さらにまた両提案者の御答弁の中に、今後の推移を見て決定して行かなければならない点がたくさんある。たとえば原子力研究所の問題にいたしましても、燃料公社が今後どういう形体をとるかということにいたしましても、これはやはり両者あるいは今後十分協議をしなければならないというような御答弁がありましたが、それらの点も、この原子力の平和利用が重要であればあるほど、その信頼の根底に立っておる超党派性というものは守り続けて行かなければならないものと思いますので、以上の提案を申し上げる次第でございます。
○古池信三君 私は自由民主党を代表いたしまして、原子力基本法案に対して賛成の意を表するものであります。 最近における世界の原子力の研究利用等は非常に飛躍的な進歩をとげて来ておるのでありますが、わが国におきましては、純粋の学問の面においての問題は別といたしまして、戦後の特殊な条件下におかれたという関係もあったのでありましょうが、現在においては、その水準、特に原子力の実際的な研究開発利用の面においての水準は、世界に比べて非常に劣っておるということは、先般来提案者からもそういうような御説明があり、われわれもさように考えておる次第であります。今や世界はあげて、いわゆる原子力の時代にはいろうとしておる。ことにその平和的な利用の面におきましては、各国とも異常な熱意をもってその推進に努力をしておる状況であります。従ってわが国におきましても、すみやかに原子力に対する態勢を整備いたしまして、一日も早く国際的水準に追いつくとともに、わが国の学術あるいは産業の振興をはかり、またわが国民の福祉の増進を期するということは、この際絶対に必要な事柄であろうと固く信ずるものであります。今回いわゆる超党派的に各派共同提案として本法案を提議されましたゆえんも実にそこにあると存じます。 私は将来のわが国の原子力の開発利用等、これのいわゆる基本的な原則というものがこの法案によってでき上ると、かように考え、またこの法律の施行に基いて、さらに幾多の関連する法律が順次施行さるべきものと考える次第であります。 原子力基本法の内容を検討いたしますれば、わが国の現状にかんがみましては、大むね妥当なものありと考えるものであります。 この際本法を実施するに当りましてはその法の目的を適正に、かつすみやかに達成するために政府は必要にして十分な予算をこのために考慮するということを要望いたしまして、わが党はこれに賛意を表するものであります。
○海野三朗君 この法案について細目にわたって審議するに、次から次へと疑問が起るのでありまするが、今日の参考人の発言を聞いて、まず大体においてこの法案の疑義は幾分軽減せられたように考えるのであります。しかし疑義はまだ次から次へと起るのでありまするけれども、今日世界の態勢より考えると、わが国はすでにはるかにおくれておるのである。日本の学者の頭脳というものの点から申しますれば、他国の学者に決して劣っておる頭脳の持主ではないことは過去の数々の事実に照らして明らかであります。今一刻も早くおくれを取り戻し、世界の真の文化国家として追いつき、おくれざらんことをこいねがうものであります。この意味で、この法案の通過と実践とは緊急事と考えまするので、ここに超党派の根拠に立脚したこの法案には、今後ともこの態度、すなわち超党派の見地に立っていくという、この態度を堅持して、この法案の実践に邁進せられんことを要望いたしまして、この法案には、わが社会党は賛意を表する次第であります。
○委員長(三輪貞治君) 速記とめて。 〔速記中止〕
○委員長(三輪貞治君) 速記つけて下さい。 他に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(三輪貞治君) それではこれより採決に入ります。原子力基本法案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(三輪貞治君) 全会一致でございます。よって本案は全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。 次に、討論中に述べられました湯山勇君提出の付帯決議案を議題といたします。湯山勇君提出の付帯決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方の御挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(三輪貞治君) 全会一致と認めます。よって湯山勇君の提出の付帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 なお、本会議における口頭報告の内容及び議長に提出する報告書の作成その他自後の手続等につきましては、慣例によりこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(三輪貞治君) 御異議ないと認めます。よってさように決定いたしました。 なお、報告書には多数意見署名を付することになっておりまするから、本法案を可とされた方は順次御署名を願います。 多数意見者署名 古池 信三 高橋 衛 河野 謙三 小野 義夫 上原 正吉 小松 正雄 深水 六郎 中川 以良 西川彌平治 白川 一雄 上林 忠次 阿具根 登 海野 三朗 岡 三郎 湯山 勇 —————————————
○委員長(三輪貞治君) なお、経済自立方策に関する調査についてお諮りいたします。 本件につきましては、調査を完了しておりませんので、未了報告書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(三輪貞治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 なお、報告書の内容及びその手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(三輪貞治君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたしました。ちょっと速記とめて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(三輪貞治君) 速記つけて下さい。 暫時休憩いたします。 午後四時二十七分休憩 ————・———— 午後五時十九分開会
○委員長(三輪貞治君) 休憩前に引き続き委員会を開会いたします。 砂利採取法案についてお諮りいたします。 本件に関しては、会期中は審査を完了することは困難でありますので、本院規則第五十三条によりまして、継続審査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(三輪貞治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 なお、要求書の内容及びその手続等は委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(三輪貞治君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。 速記とめて。 午後五時二十分速記中止 ————・———— 午後五時三十五分速記開始
○委員長(三輪貞治君) 速記を始めて。本日はこれにて散会いたします。 午後五時三十六分散会