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23回国会参議院1955/12/15

社会労働委員会 第5号

発言数
48
登壇者
8
会派数
4
開催日
1955/12/15

会議録

重盛壽治日本社会党

○委員長(重盛壽治君) それではただいまから社会労働委員会を開会いたします。  本日は労働情勢に関する調査を議題とします。  労働行政方針に関する労働大臣の意見につき、御質疑を願います。

相馬助治日本社会党

○相馬助治君 この際、労働大臣に一点承わっておきたいと思いますことは、失業対策の問題です。失業者が非常に増加しているということが社会悪、社会不安、そういうもろもろの今日社会上の悪徳といわれているものの根源であるというふうに私は考えます。この限られた、そしてまた非常に苦しい国家財政のワク内において、この失業問題をどういうふうに解決していくかということは、きわめて困難な問題だと思いますけれども、倉石労相においては、明年度の予算の編成とからんでこの問題を基本的にはどのようにお考えであるか、この際承わっておきたいと思います。

倉石忠雄自由民主党労働大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 御指摘のように、失業、雇用問題というのは今一番重大な問題だと思いまして、政府でも非常にその点に重点をおいて、来年度の予算を初め長期の計画を立てようということで、経済企画庁にいろいろ検討させまして、二十九年度を初年度とする経済六カ年計画、まあああいう答申があったわけであります。政府はこれからさらに検討して正式に決定をしたいと思いますが、大体六カ年計画の方針によって政策を進めていこうと思っておるわけであります。そこで御承知のように、あの六カ年計画によりますというと、初年度失業者が六十四万、三十二年度にこれを六十万に持っていく、そして最終年度においては四十五万人と、こういう計画でやっております。そこで御承知のように、人口の増加率を見ますと、最終年度の二十五年度においては、大体労働力人口というものは約四千五百万人となるわけでありますから、その四十五万人ということになると、ちょうど一先の完全失業者に食い止めたいとこういうことで、そこですでに六カ年計画についてはお読み下さったかもしれませんが、私どもはあの計画を遂行いたしていきますのに、相当工業生産などというものの上昇率を予定通り確保していくということは、なかなか私はむずかしいことであるし、それをするのには非常な努力を要すると思っておりますが、私どもとしては今の失業問題というものは、もう来年度の予算からは、むしろ失業問題というよりも、積極的に雇用量を増大するということに転換していくべきだ。そこで今までは御承知のように、政府は昭和二十九年度予算の編成以来、あの当時は自由党の内閣でありましたが、思い切ってデフレの経済をやった。そして物価を国際水準に引き下げる、そして輸出を増進することによって貿易のバランスを合わせようという考えで、徹底したデフレを御協力によってやってみましたが、ほぼ計画通りに物価の引き下げができてきました。さらに三十年度の予算においては、政府はかわりましたけれども、やはりその方針を継承していただいて、いわゆる経済地固め政策というものをやって参りました。その結果御承知のように、国際貿易ばまず今年度は大体一億数千万ドルの黒字になるのではないかというところまでこぎつけてきましたし、そこへもってきて、幸いに未曾有の豊作ということでやや日本の経済も安定してきて、私どもの考えた地固め政策というものがその効果を現わしてきた。そこで私どもは来年度予算の編成に当ってはもちろんこの均衡財政を貫くということにおいては変りはございませんけれども、それをむしろ積極的な拡大均衡の方向へ持っていって、そうして産業規模を拡大することによって雇用の増大をはかろう、こういうふうな方向でゆけということを今の政府の基礎になっておる自由民主党では申しておるわけであります。そこで私どももそういう方向に積極的に持ってゆくにあらざれば、雇用量の増大、また先に申しましたように、最終年度において四十五万人の失業者に食いとめるというふうなことはなかなか困難だと思うのであります。そこでそういう方向に持ってゆきたいと思っておるわけでありますが、そこでなおかっ出てくる失業者というものは何とか雇用しなくちゃならぬ。そこで失業対策事業は来年度の予算においてもやはりお願いするようにいたしておりますし、そういう場合には御協力をお願いしたいのでありますが、その失業対策に当りまして、当初御承知のように、あの当時の政府が失業対策事業というものを国会の御協賛できめましたあの当時の事情は、失業者に何か現金収入を与える道を作らなければいけまいということで、まあ生活保護的な気持で始めてみたのが失業対策の初めの起りであったことは御承知の通りでありますが、そのうちにだんだんこれが非能率的であるという、まあ都会地などにおいてはたまさかそういう攻撃を受けましたが、地方では市町村が主体になってやります失対事業ということはなかなかいいものをやっております。だんだんと地方では喜ばれるようになってきまして、そこでむしろ失業対策事業というものは経済効果のしるようなものにしてゆこう、こういうふうに地方でも考え、私どももだんだん考えるようになってきましたので、去年からはわずか三万人でありますけれども、特別失対というふうなことで公共事業の方面に、つまり経済効果の上る方に持って参りたい。今年は今私どもの考えております失業対策事業については、今申し上げました公共性のある、経済効果の上る方面にかえって重点を置いてゆこう、そうしてときどき非難をされましたようなのは、よく調べてみますというと非常にお年寄りであったり、それからまた老齢なばあさんで失対事業に参加しておられるというふうな方々が若い者と伍して同じような仕事をやっておるというようなこと、そういうのを見ると非常に非能率だというふうな非難もあるわけでありまして、従って今度はそういうようなものは、さらに違う特別な失対事業にやってゆこう、そういうふうに三つに分けて最も経済的な効果の上る公共事業の面に重点を置いて、そうして特別失業対策事業ということで、その方に失業者をおもに重点的に吸収してゆこう、こういう考えで来年度の予算を要求しようと思っておるわけであります。

相馬助治日本社会党

○相馬助治君 お考え方は非常にけっこうで、新聞等を通じて拝見していても、消極的な失業対策から雇用政策の方へ切りかえてゆく、こういう労相のなみなみならぬ決意を読みとって、その点については敬意を表しておりますが、問題は私二つあると思います。昨年度も労働省ではかなり大規模な失業対策のための予算というものを出したにもかかわらず、大蔵省において大幅にこれが削られておるということ、いわゆる総額の問題を本年度はどうするかということが一つ、もう一つは、今までのわずかな失業対策費用というもの、公共事業費というものがどういうふうに使われておるかということになりますと、今の労働大臣のお話では、地方は非常にうまくいっておると、こういうふうなお話ですが、事業の面からみるとかなりうまくいっておる面もありますが、実は失業者のために使わなくちゃならない国費が、農村の二男三男坊の冬場の小づかいかせぎの場に提供されておるような面がないでもないのです。もっともこういう人にも現金収入を与えなければならないのだという目からみれば、それも意味のないことじゃないかもしれないが、やはり特別失対事業を本年の予算においてふやすという建前をとってゆくかゆかないかということは、本年度の予算がどう使われたかということを教訓的に学びとって、そこから本年度の立案がなされてゆかなければならないと、こう思うわけです。  そこで第一点の、大蔵大臣とはこの問題について正式に閣議了解事項その他をとらなくとも、倉石労相としては個人的にもこういう抱負を大蔵大臣に伝えて、ある下話が進められておるのかどうか、このことはきわめて重大なことだと思うので、ざっくばらんに一つお聞かせを願いたいと思うのです。

倉石忠雄自由民主党労働大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 経済六カ年計画の答申がありましたときに、さらにこれを閣議で検討するということが話がございまして、そのときに私は申したのですが、この六カ年計画の答申によっても、従来のような財政経済政策をそのまま継続してゆかれるということであっては雇用問題は解決しないのだ。そこで第三次鳩山内閣は自由民主党という合同した勢力の上に立てられた政党で、こういう割合に政治力を持ったときにこそ一番重要な雇用政策というものを最も重視すべきである。で御承知のように、六カ年計画の目的というところは、第一には経済自立、第二はそれによる雇用政策の確立ということ、完全雇用を目標とするということなんでありまして、私が労働大臣に任命されますときに、特に総理大臣からも今非常に難関とされておる労働問題、ことに雇用の問題について非常に政府としては重大なる関心を持っておるので、そういうつもりでやってもらいたいということでありました。今の政府もこの問題については最も重点をおいておりますことは、今申し上げた六カ年計画の目標をごらん下さってもあかることであります。ただしかし先ほど申し上げましたように、積極的な政策をとるべきであるとみなが主張いたしますけれども、財政の建前からなかなか困難があることは、これは私もよくわかっております。しかしただいま相馬さんの御指摘のような点については、予算閣議においては極力主張いたすつもりでありますが、予算が幸いにある程度盛り込まれるようになりましたら、一つぜひ御協力、御援助をお願いしたい。

相馬助治日本社会党

○相馬助治君 第三次鳩山内閣は自由党の勢力を含めておるのですから、第二次鳩山内閣とはやや異質的なものだと思いますが、私は第二次鳩山内閣に対して、日本の憲政史上いまだかかる悪質な内閣の存在した例を知らないという表現をとったのです。という理由は、非常に多くの公約を、しかも人の耳に甘い公約を掲げて、そうしてその選挙の結果生まれた第二次鳩山内閣だということを考えなければならないと思うのです。今日農地解放で土地を取り上げられた人たちが国家補償をしろというような運動を巻き起してくるということ自体が、その人たちの立場からそういう主張があるいは生まれてくるかもしらないけれども、政府は押していけば何でも言うことを聞くんだというふうな目で見られているということの一つのあれは証左だろうと思うのです。そこで私はやはりこの昨年の例にかんがみても、たしか昨年は四百億ぐらいを請求したのが百五十六億かになったと思うのですが、本年度やはり今の労相の構想によれば、どうしても五百億や六百億程度のものは要求しなければならなくなるでしょう。その場合において大蔵省とどういうふうな交渉をし、そしてそれをどれだけ成績をあげるかということはきわめて重要な問題だと思いますがゆえに、どうかそういう構想を堅持される政治的な責任という観点からも一つ閣内において考え方をコンクリートさせ、大蔵大臣を含めた了承の上にこういうふうな政策、施策を発表していただきたい、こういうふうに考えて私は先ほどから御質問しているわけです。  あと一点だけお聞きしますが、大体先ほどの構想によって本年度はどの程度の費用を御要求されますか。もしも予算折衝上そのととがここで速記に残して話すことについてはいかがかと思う場合には、また別途進行上の相談に応じてもいいのですが、一つこの際大体の腹案を発表しておいてほしいと思うのです。

倉石忠雄自由民主党労働大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 私どもの考えはもうすでに党の方にも申し入れてあることでありますから、別に秘密に属することでもございません。大体の数字的な要求を御報告して差しつかえないと思います。

相馬助治日本社会党

○相馬助治君 大ざっぱでいいです。

江下孝労働省職業安定局

○政府委員(江下孝君) 私ども今度の予算におきまして要求いたしておりまする失業対策関係の数字を申し上げます。  本年度は吸収人員が失業対策事業一般が十九万で特別が三方でございます。それを来年度におきましては特別失対事業に重点をおきまして特別十万、一般の関係は二十万といたしております。なお一般の失対事業につきましては婦女子または老齢者を対象としました簡易失対事業というのを特別の二十万のうちから三万程度実施したいと考えております。それに関連いたしまして、従来の補助率の単価の問題について若干改訂を加えたいと思います。まず特別失対の場合でございますが、従来資材費その他につきまして補助率が低いために地元負担が相当高いところがございます。来年度は労力費と資材費を相当引き上げたいと思っております。それから一般失対につきましても資材費が非常に少くて補助率が低いということでございますので、資材費の額を引き上げ、補助率もうんと引き上げる。なお一般失対、特別失対を通じまして、これはまあ地方財政をどうするかという根本問題に関連しておるわけでございますが、私どもは事務的にはこれは当然来年度は補助率引き上げを行わなければならぬということで、この方針で折衝しております。なお石炭関係の離職者あるいは駐留軍関係の離職者に対しまする対策として特に高率補助の失対を実施したいと思っております。これらを合せますと約四百六十八億ということに相なります。

山下義信日本社会党

○山下義信君 今の相馬君の質問に関連してでありますが、私どもも単なる失業救済政策から雇用増大政策といいますか、雇用政策という方へ質的に政策の内容を切りかえるということは大へんけっとうなことだと思うのです。できるだけこの政策の成功を御期待いたしますが、どういう意味か私によくわからないのですが、その雇用政策ということが……。それは今の御説明で、従来の失業対策が失業者の生活保護的ないわゆる救済的な対策であった。今度は雇用の増大をはかって、そうしてその経済的な、効率的なそういう就労のできるようなやり方をしていくのだ、こういう御指摘のようです。それを労働省としてどうおやりになるのでありますか、少しもわからぬ。一般の政府の経済政策からいたしまして、雇用量の増大という政策の結果を生み出して、そうしてこの失業者をその方面に吸収させよう、こういうのでありますれば、これは何も労働省に限ったことではなく、雇用量の増大政策ば政府の各産業関係の政策、ずっとそれから及んでくることであって、同時にそのことは政府の経済政策のみではなくして、民間の経済情勢の興隆にも関係のあることは言うまでもないことであります。労働省として雇用の増大をはかるという政策がどういう理由で行い得られるかということが私は納得しがたい。でありますから、労働省の労働政策として雇用政策に転換するのだ、雇用量の増大をはかるのだ、それに適合する労働力の提供ということに切りかえていくのだということを労働省自体がなさるということならば、労働者の就労状況の転換は、あなたの方の政策として、いわゆるニコヨン的な非能率的な労務者から恒常的な、永久的な労働者へと質的な転換あるいは指導、あるいはそういうことの万般のお手配はできると思うのでありますが、それを就労させる雇用量の増大という政策は、労働省としてはどういうふうにおとりになるのかということがわからぬ。それで労働省自体が今なさっておられまする公共事業の拡大をはかって、その事業の内容も変えて、種目も変えて、経済的に一つその事業も大いに盛んに起させるようにして、それを労働省の御所管の中で積極的にやるんだということでありますと、多少納得する節もあるんですが、それならばどういう事業を起そうとなさるのかという大体の御見当もおありになるんじゃないかと思うんですが、その点を承わりたいと思う。  それからなおいま一つは、江下局長から予算計画を聞きまして、あるいは賃金の改訂も、労賃の改訂も考えているということでありますが、労働省の持っておられます失業者の賃金その他の諸条件というものは賃金の額だけではないんで、どうしても今の政策に首尾一貫いたそうとするならば、就労日数というようなものも、二十一日や二十二日というような考え方では雇用政策とは言えぬ。二十一日、二十二日というような就労日数じゃこれはあくまでも失業救済、生活保護的なやっぱり要素と言わざるを得ぬ。やはり全日数が就労し得られるように、就労日数の上においてもこれは一つ画期的に改めていただかなければならぬと思いますが、今の、今後大いに改革なさろうとされまする雇用政策のお考え方を、ただいまのような諸点について伺いたいと思います。

倉石忠雄自由民主党労働大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) お時間もございませんようですから、なるべく簡単に申し上げますが、最初の方のお話は、労働省ももちろんその中に入るわけでありますが、政府全体としての経済政策を、御指摘のように経済、財政政策の中で雇用をふやしていくにはどうするかということなんでありますから、これは鳩山内閣の総括的な国策として雇用量の増大ということでございます。そこでその完全雇用ということが大きなねらいでありますから、それにマッチするような積極的な経済政策をとるべきであるというのが、私どもの方の基礎になっておる党の政調会などの意見でもあり、政府もそういうふうに考えておりますと、こういうことでございます。そこで、なおかつ出てくる一定量の失業者についてどうするかということは、今度直接の労働省としての一つの大きな仕事でございます。そこでそういう面でその経済効果のあがるものと私ども申し上げましたのは、つまり御承知のように、昨年三万人でやりました三十億程度の予算でやりました特別失対事業というものは、労働省が予算をとりまして、それを建設省に移しかえをいたしまして、仕事は建設省がやるということでありましたが、その財源というのは例のガソリン税を財源といたしました。そういうことでありますから、地域が割合に限定されまして、大きな道路事業というふうなものが行われるところに重点があったわけであります。そういうことでは来年度の予算を考えますときに不十分でありますから、もっと大きな計画でやっていきたい。しかしこれは私ども労働省側としては労働省のねらいは、つまりそういう公共事業の面ば建設省が同じ政府部内で担当いたしますけれども、重点的に失業者を公共事業に使わせる、こういうことが前提になっておることが建設省や農林省でおやりになる公共事業とは性質が若干違っておる。労務を請負に出してだれでもいいから安いのをたたいて使うというのでなくて、失業者を救済するということのためにそういう公共事業をやりたい、こういう狙いでありますから、労働省が予算をとってやるのが失業対策の一つの仕事として当然なことである、こういうことで労働省予算の中で失業者を使うという前提のもとに、そういう事業をやらせる、こういうことであります。

山下義信日本社会党

○山下義信君 大へんけっこうなことです。時間がございませんから簡単にいたしますが、そういうお考え方は従来からもあるんですね。西田前労相のときからそうおっしゃっておる。おそらくこのたび倉石労相がさらに強調なさるのは、労働省が今年からそうしようという方向を持っておられたのを、もっと積極的に具体的にうんと成果のあがるようにやろう、うんとそういう目的の成果があがるようにするにはどうやるんです。ですから御趣旨はわかります。その今の失業労働者をそういう方へ、能率的に効率的に効果のあるように、そういうふうな労働力の提供というのはどういう施策でやってゆきますか。

倉石忠雄自由民主党労働大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) そこで、私どもは労働省が今度さらに去年より大きな予算を特別失対に要求をいたしました結果、この間までやっていましたような、特殊の地域に限られた道路事業だけでは不満でありますから、さらにこの仕事を拡大するようにしなければならぬ。従って私ども大蔵省に希望するところは、ガソリン税だけを財源とするようなことではだめなんだ。道路のみならず、港湾、河川そういうところに失業者を特別失対としてもっていく、そういうことであります。

山下義信日本社会党

○山下義信君 時間がきたようでありますから、私はこれは保留しますが、事業をふやすことは、事業の種類をふやして、事業の規模を拡大して金をふやすことはだれでもできます。そのふやしたことが必ずしも失業者そのものへの福祉にもならなければ、救済にもならなければ、失業者の質が変ったことにもならなければ、生活が変ったことにもならぬ。ですから資材はふやし、必要な事業費は膨大しても、それと同じように失業者の所得や生活が改善されるのかどうかということが非常に大きなそこに疑問もありますが、要するところ、失業者の就労諸条件、その生活状態、置かれておる立場というものが、その不安定な、ルンペン的な失業者の状態から、正常な労働者にどう移しかえるか、その中には、その事業に向くようないろいろな労働者の適性というか、そういうふうな施策も要るでしょうけれども、しかしながらその労働者の、今置かれている失業者のそういう立場から、労働省のせっかく理想とされる非常にいい目標であるそれを正常労働者に復帰させる、そういうところへもっていく、就労させていくというそのプロセスはどういうふうにおとりになっていくか、こういうことが私は大事だろうと思う。それが具体的に御施策の中にどういうふうに御検討なされるかということを私は承わりたいと思います。

相馬助治日本社会党

○相馬助治君 それと一緒に……。私先ほどから質問したのですが、今山下先生が指摘している点を聞きたいという前提としてお聞きしたのです。十二月十二日付の朝日を見ますと、失業対策から雇用政策に転向していくことは考え方としては非常に賛成なんです。しかし事新しく申すまでもなく、失業救済というのは生活保護法的な建前から生まれてきたと思うのです。ところが今度はその失業対策費を投じて、そこから経済効果を上げるということはこれは国家的な観点から言えばけっこうなことです。閣僚としてはそうあるべきでしょうが、失業救済の立場から見ればこれは実に妙な話であって、あなたが大蔵省に今後要求される予算が全部通ればけっこうですけれども、通らなかった場合にはえらいことになる。すなわち失業対策費の中の非常に多くの分量を特別失対費にとられてしまう。ところが特別失対費というものは、単なる失業者ならば働けるという筋のものではなくて、条件があることは大臣も御承知の通り、これはある程度の労働力を持っていなくちゃならぬ、賃金も高いかわりに。そういうものに大部分の金がとられるということは、ほんとうに哀れなニコヨンがもらう金というものは、労働省は失業対策費をたくさんとったにもかかわらず、ニコヨンはもらうものが非常に少くなってしまう、これは非常に大きな問題だと私は考えるわけなんです。そこで失業対策から雇用政策へという基本的な考え方はわかるけれども、大蔵大臣からどんと金をとる下相談でもしてあるならばいざしらず、そうでないならば、このとんでもない間違いをされないようにと思って私は聞いてるのです。私が聞きたいことは、これは山下さんが聞いたことなんです。一つそこを明瞭にお答え下さい、それで私は本会議に行きたいと思うから。

倉石忠雄自由民主党労働大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) どうも今の相馬さんのお話し、私によく理解できないのですがね。

相馬助治日本社会党

○相馬助治君 ちょっと速記をとめて下さい。

重盛壽治日本社会党

○委員長(重盛壽治君) 速記をとめて。   〔速記中止〕

重盛壽治日本社会党

○委員長(重盛壽治君) 速記をつけて。

倉石忠雄自由民主党労働大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) それはこう一定数の失業者がありますと、今まで一般失業対策事業というものには若い者もお年寄もみんな一緒になってしかもはたからみていて、何をあいつらはやっているのだといったような非難を受けるものもあることはわれわれ認めます。そこでせっかく働く意欲があり、働く健全な身体をもっている人々に、失業対策事業というものはなるほどいいものだと、皆に理解してもらえるような仕事がたくさんあるのですから、その公共事業的な方面に出ていってもらって、その例の特別失対事業というものはそういうことでやります。量は動くわけではありません。その残りは失業者にするのだとおっしゃるが、その残りは一般失業対策で従来通り働いていただくし、しかもわれわれの思いやりはお年寄り、それから御婦人などで、若い者と一緒になってごちゃごちゃやっているときに、一番何をやっているのだと思われるような人たちは、簡易な失業対策を、やはりその数の中から三万人くらい選び出して、その方のお仕事で、失業対策事業ということで、金をとっていただくようにしたい、こういうのでありますから、失業者全般に対する施策のうち、一人でもはみ出すのがないというのでありますから、これは非常な親切気だと、こういうことなんです。

重盛壽治日本社会党

○委員長(重盛壽治君) いろいろ御質疑もあろうかと存じますが、一応休憩いた、します。    午前十一時四十六分休憩    ————・————    午後二時九分開会

重盛壽治日本社会党

○委員長(重盛壽治君) それでは午前に引き続きまして、委員会を開会いたします。  労働大臣に対する質疑を行います。お願いいたします。

田村文吉緑風会

○田村文吉君 御質問の順序を整頓しておりませんので、あるいはちぐはぐな御質問になるかもしれませんが、労働大臣は労働委員長をやったり、労働委員の長い御経験もお持ちになっておりますから、十分に御認識を持っていらっしゃることと思うのでありますが、現在のこの日本の失業者の状態、それから同じ勤労者にいたしましても、収入の高下というものが非常に多いわけなんです。こういうようなことが、やはり物平らならざれば、何といいますか、非常に社会不安を招く原因の一つとも相なっておるものと考えるのであります。これは私労働省全体としての御意見としてまず伺いたいのでありますが、在来まあ紛議が出ました場合に仲裁をする、あるいは調停をするというような場合に、その会社の内容がいい場合にはある程度よけい出してもいいじゃないか、まあ悪い場合にはもっと差し控えて出すというような考え方がずっと戦時中からつながってきて今日に及んでいるようなんであります。そこで問題はいつもそこから出るのでありまして、まあ事業によりましては、あるいは特に政府の恩恵を受けたような産業で非常にその収益があがる、そういうところでは従業員に対する給与も非常に多く出ているというようなことがあり、一方では、もうようやく食えるか食えないか、夫婦共かせぎで、子供まで働いてもようやれぬというような生活にあえいでいるような人も非常に多い。いわんや、昨今では学校を出てもなかなか就職にありつくというようなことは就易なことではない、こういうような人が相当に多いのでありますから、一方ではきわめて勤労者として恵まれた生活をしている人もあり、一方には職がなくて困っているというのが現状なんであります。そこで、それば仕方がないので、どうも相当利益のあるところ、もうかるところは相当に給与を出してもよろしいのだ、やむを得ない、それからもうからぬところではやむを得ないから給与は少くてがまんせざるを得ないのだと、こういうような考え方が今でも労働省全体としてお考えになっていらっしゃる問題か、こういう点についくまず根本的に私は労働大臣からどう考えたらいいものか、どうお考えになっていらっしゃるのだろうか。こういう分配の不公平といいますかね、こういう点について根本的にどういう理念をお持ちになっていらっしゃるか、まず伺ってみたいのであります。

倉石忠雄自由民主党労働大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) ただいまのお話は、賃金政策の根本に触れる問題だと思いますが、御指摘のような政府の援助を受けておる企業で、そのときに非常に利益があったというようなものは、私はやはりしばしばあると思います。それからまた政府の援助でなくても、たとえば公共企業体というようなものでも、これは全部が国家資本でできておりますが、同じ公共企業体でも、専売と国鉄とは経理内容が全く違う。そこでただいまお話のございました仲裁といったような制度の裁定をみましても、仲裁委員会で裁定されたものをそのつど拝見いたしますと、御承知のように、専売事業などというものは経理内容からみれば、労働組合側の要求が決して無理ではないということがしばしば考えられるのは当然だと思います。利益が出てきて、その利益を一定率国家に納めるというのが専売事業の目的でありますから、経理それ自体だけみていれば、労働者に幾ら出したって出せるわけであります。そういうふうなときに、仲裁裁定といったようなものが全然社会的影響を顧慮することなく、単にその企業体の経理内容だけで裁定を下すというふうなことがもしありとすれば、それは裁定制度の私は巧みならざる運営だと思います。従って、それは公共企業体の場合の従来あった例を一つ申し上げたことでありますが、私はこの一つの企業が、たとえばここに石炭鉱業というものがある。この石炭鉱業は御承知のように、国の施策としていろいろ援助しております。現在は石炭鉱業は非常に下り坂になっておりますが、これが景気のよかったときには従業員にも非常なボーナスなどをよけい出したり、配当率も非常によかったのであります。そういうときに、御指摘のように、それを何とかしてチェックする方法はないかというようなことの意見もだいぶ出ましたですが、私どもとしてはこの賃金統制といったようなものの考え方はなるべくしたくない。そこで今日のような段階で自由な経営のもとに放置した場合には、御指摘のように、やはり利潤率の高い産業が比較的多くの賃金を払うというふうなこともあり得るかと思いますが、これは田村先生よく御承知のように、やはり経済界というものの事情というものは、そのときには一応でこぼこはあるかもしれませんが、やがてそれは今までの過去の歴史によると大体平均化されてきております、賃金というものは。ことに賃金や配当に非常に多くの出費を会社がいたすということはそう長く続くものじゃありませんし、従って私どもは需要供給の関係で大体物価というものはきまる、それによるコストの一部を占めておるのが賃金と思いますから、特に政府は賃金に対してある種の制限を加えるといったようなことはなるべく避ける方がいいのではないか、こういうふうに私どもは思っております。

田村文吉緑風会

○田村文吉君 政府が最低賃金をきめるとか、あるいは画一賃金にするとかいうようなことは、これはもう不可能であろうと私は考えます。考えますが、在来ややもすると、政府委員の方々の答弁でも、それも地労委も中労委も、そういう場合においては、もうかる場合にはある程度多くしてもいいのじゃないか、それがボーナスとかというようなことで、労働者がある程度経営に参加して、そうして働いてくれたから成績がよかった、従って利益の分配を多くしたというような、ボーナスの問題でかげんされているうちはまだいいのです。ところがちょっといんしん産業になると、賃金はもうみな上ってしまうのです。たとえば現在でも割合に恵まれているのは銀行等です。で一方では平均が二万五千円とか三万円とかといっているかと思うと、中小企業の中には一万円くらいしかとっていない、こういうようなことであり、また失業者もどんどん出ている。で失業者はもともらった賃金の六割しかもらっていない。こういうようなことを放置しておいてこれはよろしいかどうか。政府がお考えになるまでもなく、私ども自体も日本の産業の前途を考えるときに非常に不安になる。一たん上げました賃金はなかなかよほどの重大なことでもない限り、あるいはその産業が破滅に瀕したというような場合でもない限り、下げるということはようできぬのですね。これがあらゆる物価というものを非常に上げていく要素になるし、不平のもとにもなってくると、こういうことでありますので、これは何とか、この賃金政策に対しては、今私は画一的の賃金支払いということは申し上げませんまでも、政府の考え方、一体同一労働、同一賃金というような考え方は、そういうような理論から来るならこれはみな納得できるのです。ただ股殷産業であると、たまたまいんしんになったからといって、賃金を上げてしまう、それで承知しなければストライキをやるというようなことで、争議を起して、そうして獲得する。そうすると世の中には、声のない勤労者の人は、陰にいて、あれだけの賃金をもらっていてまだボーナスが足りないといってストライキをやっている、けしからぬじゃないか、こういう隠れた怒りを持っている、こういう点があるんですね。そこで私は今の自由主義経済が続いていく限りにおいては、この問題については何か方法を打たなければならぬとこう考えていますので、労働行政にお携わりになる方として、この問題については何か御所信がないだろうかということをお伺いしたい。また過去において労政局長さんあたりも、こういう問題については一体どういうお考えをもって進むべきか、または進んでこられたのか、これも大臣の前でそういうことを申し上げてははなはだあれかもしれませんが、一つ御表明を願っておきたい、こう考えるわけです。

中西實労働省労政局長

○政府委員(中西實君) ただいまのお話でございますが、これは根本の考えは先ほど大臣がおっしゃいましたように、経済の建前からいたしまして賃金統制的なことというようなことは、そこだけをそういうふうにするということは非常にむずかしいのではないか、ただ私どもとしましても、やはりこの賃金格差の大きくなりますことは、社会不安はもとよりでありますが、直接労使の安定にとりましても好ましいことじゃございませんので、実はわれわれとしましても、格差の大きくならないことを望んでいるものでございます。ただ実際問題としまして、一応もうかっておるところにおきましては、どうしてもやはり組合も要求してくるでしょう。このことは実はもっと労働組合全体が社会連帯的な気持が強くなって参りますれば、あるいは相当自主的に是正されるのじゃなかろうかと思うのでありますが、残念ながら今の日本の組合の実態からしまするというと、そう他を考慮するということじゃなくて、やはり自分の企業のところがよければ、それだけ要求するということであります。でわれわれ機会あるごとに、やはり社会連帯的な点についての顧慮が払われるように実は要請してきております。  それから調停、仲裁あたりにおきましても、世間一般のレベルから相当抜け出たところに対しましては、やはりそれをなるべくその格差の拡大に向わないように配慮して物事を処理していただく。これは処理に当られる委員会の方々も、やはりそういう頭で実は処理されておると思っております。  なおまた業者間でもおのずからやはりほかの迷惑というようなことも考え、またほかからの非難もおそれまして、そうめちゃな飛び離れたことも、まあごく一、二の例を除きますればないのじゃなかろうか、これは今言いましたように、組合側にも問題がございまするし、経営陣にも問題がございます。  それからさらに政策といたしましては、われわれ労働教育の面から、一応今言いますようにで奉るだけ格差の拡大にならないように、労働教育を常に怠らないようにいたしたいと考えております。

田村文吉緑風会

○田村文吉君 大臣はこの問題についてはいかがですか。

倉石忠雄自由民主党労働大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 今までの労政当局の考え方は今申し上げた通りでございますが、私は今まで政府の立場に立たないで、国会議員として第三者の立場に立って見ておりまして、日本の労働組合のあるものが徹底的な闘争をすることによって、産業をつぶしてしまって、そういう機会に革命でも起そうという考えを持つものがあるとすれば、これは別でありますけれども、私は企業と経営、従業員、勤労者というものの利害は常に一致しておると思うのです。従ってその賃金がすべての生産品のコストの何%を占めるかということについて、組合側もはっきりした認識を持つようになれば、労政局長が言われましたように、そういう点にほんとうの理解を持つように指導していくことが労働運動を堅実ならしめることでもあると思いますし、そういうことに対して日本の企業家も、労働組合側もフランクな気持になって、経営の実態というものを相互によく理解し合うように努めれば、私は賃金というものはおのずから時計の振子のようにある程度で自然にとまるものだ、これはなるべく政府というものはそういうことに干渉しない方がいい、こういうふうな建前をとっていきたいと思っております。

田村文吉緑風会

○田村文吉君 そういうことを念願はしておいでになりますが、実際の行政面につい現わす手がないということなんでしょうが、私が過去において、もう戦争中からずっと今日まで見てきておりまする実態からいいますると、まあ利益のあるところならば相当これはやってもいいじゃないかというような考え方は、どうも労政当局にもおありなすったのじゃないか。世間でもまあそれくらいのことはいいじゃないか、もうかるならやってもいいじゃないか、こういうふうに容認したような形があったのです。その結果は今のように非常に格差が大きくなってきておるのでございますが、その格差は下げるに下げられないし、産業というものは今お話があったように盛衰がございますから、いつまでもいいというわけにいかない。悪いときも出てくる。そういうときになると、やむを得ないから解雇する、そこに闘争が起ってくる。こういうことになるので、私は今日日本の願いは、いかにして失業者の数を減らして完全就労に向っていくかということが、日本のほんとうのみんなの願いだろうと思うのですね。しかるに一方では、バスに乗った人は非常に気楽に目的地まで達成するが、一方バスに乗りおくれたというだけの理由で、もうとぼとぼとさびしい道を歩いていかなければならないということをただ容認しておいていいかどうか。こういうことになってくると、私は労働行政で、この問題をただそういうふうにだけ考えられてはいかぬのじゃないか。それじゃお前は何かそれに対して考えがあるかと私に言われると、私は年来の主張でございますけれども、すべての争議が起った場合には、まず一応みな考えて仲裁に持っていく。お互いがそれがために生活を失うことのないようにして仲裁で問題を片づけていく。その場合の中立委員の考え方は、もうかるところはよけいやってもいいのだ、少いところは少くてもいいのだというお考えをまずなげうって、社会通念としてこのくらいの賃金であるべきだという、こういうような裁定方法をしてすべてをいかれるというような方法を、慣習を作っていかないことには、今日の状況をいかに憂えておいでになっても、いかに御心配になっても直らぬ、こう考えますので、まあ紛議、争議が起ったような場合には、すべて一つ仲裁的な問題で片づけていく方法を、慣行を作っていく、こういうふうに私は考えるのですね。いわんや、三公社の場合において差別があるなどということは、これは私は政府の関係機関がやるような場合には、私は専売公社は利益があるということからいったら、千何百億の金があるのですから、こんなのは問題にならぬでしょう。それから鉄道も電電公社もみな同じ規律にいくべきものだ。そういうことが行われていかないというところに、私は自然々々とあやまちを犯しつつある、こう私は考えまするので、今日私は失業者の問題をこのくらいに痛切に悲痛に感じられるような時代は、私は特にそういう問題について、労働行政で新しい基準をお作りになる必要があるのじゃないか。それは今言ったすべての問題が、トラブルが起った場合には仲裁に持っていく。仲裁の裁定の人たちの頭の置きどころを根本的に作り変えていく。こういうふうに考えるのですが、そういうような方面の指導はできないものかどうか、こう考えます。

倉石忠雄自由民主党労働大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) これは今のお説は非常に参考になるりっぱな御意見だと存じます。ただ仲裁の制度は、どこまでも政府が特に干渉すべきものでないことはすでに御承知の通りでありますが、御趣意の存するところ十分検討いたしてみたいと思います。

田村文吉緑風会

○田村文吉君 事労働問題に関すること、及び文教に関することになると、とかく大臣はどの大臣もみんな憶病になられる。しかしみんなが国民全部の幸福ということを考えてくるときには、もう少し強い線を打ち出されていいのではないか。私はむやみに労働組合を弾圧しなさいとか、こういうことについて賛成しませんよ。しませんが、そういうようなことで平和裏に、しかも公平に、できるだけ多くの人を失業させないようにしていくという点を考えてくるときには、何か手をお打ちにならぬと、これは失業問題なんて解決の道はありませんね。それを考えるときには、一方で収入三万五千円も四万も取っておるかと思うと、一方では職がなくて困っている。なぜ三万も取っている人が、その職のない人に分けてやるような方法ができないのかという点ですね。お互いが所得の多い人も自分を値しみ、やっていってくれれば、世の中は平和になります。また物価というものが上らない。お互いの生活が楽になる。こういうことになるのですから、私は先にお話があった勤労者の所得税の問題も、これは私はきょう昼間、予算委員会で大蔵大臣にも特にお話ししました。半分に減らしなさい、その性格を骨子としてなさるべきだということを申し上げたので、私は労働委員会でもそれをちょっと申し上げたかったのですが、さっきお言葉もございましたから、ぜひ一つこれに対しても御尽力願いたい、御尽力願いたいが、根本の今のそういうようなふうにしてみんなが生きていかれるような方法をするには、今のところでは、そうかといって各企業に立ち入って、お前のところは賃金が高過ぎるからどうしろということは言えない。言えないから、何か争議が起る場合はすべて仲裁へ持ってくる。仲裁をやる人の頭、観念を根本的に、今までのように利益があればいいのだというような考え方を直さにゃいかぬ。こういうことを私は申し上げたいのであります。

倉石忠雄自由民主党労働大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) よくわかりました。田村さんの御意見を私ども尊重して一つなおそういう点について研究をいたしたいと思いますが、私はけさほどもこの委員会で他の方に申し上げたのでありますが、日本の経済が大体安定をして、これからこれを土台にして積極的に拡大均衡に向っていってもいい段階にきていると私どもは思っておりますから、こういうときこそ労働運動というもののあり方については、私は非常にみんなが反省をして、そうしていかにして協力して日本の産業復興をさらに拡大強化いたしていくかということについて、これは労働組合側にも私は十分にそのことを考えてもらいたいと思っております。西ドイツの戦後やりましたようなああいう、私どもから見れば相当思い切った手段をとりまして、賃金政策にしてもストップをかけました。私どもは現在の段階において、今日の政治情勢で、今の労働運動をどういうふうに指導していくべきかといったようなことについては、これはなお十分な検討を要すると存じますので、ただいまのお話を十分私どもは参考にいたしまして、さらに研究をいたしたいと思っております。

田村文吉緑風会

○田村文吉君 一日も早く、この問題は日本国民の今当面した一番大きな問題なのです。いかにして失業者をなくするかということの重大な問題であります。幸いに賃金というものを不当に上げなければ、今まで弱くて足並みをそろえていけなかった人も、新規に仕事を始めようというようなこともできる。就業の機会をふやす、そういうような点がございますので、それが私は労働行政の今一番問題になるところだと思います。むろん労働三法の不備な点もございますから、そういう点についての改正というようなこともむろんありましょう。ありましょうが、まあ一番早く仲裁にすべて持っていって、仲裁というものが——戦争前というものは大工さんは幾ら、左官は幾ら、何工が幾らと大ていきまっておったものだ。そうもうかるからといって特別に多く払うということは、まあボーナスでかげんするくらいのものであったのです。この考え方を何とか実施にお移しになる以外に、今のところはなかなか統制にお入りになれぬし、できないのではないか。その点を御提案申し上げて、御考慮いただくどいうことでございますから、できるだけ早くこの問題の実現をみまするような若干の法規の改正が必要だ。そういう点についての御検討をお願いいたしたい、かように考えます。

重盛壽治日本社会党

○委員長(重盛壽治君) ほかに御質問ございませんか。——私から一つだけ、午前中にあなたの言われた失業対策の問題に特に関連するのだが、いわゆる完全雇用とまでいかなくても、雇用量の増大をはかることによってということを言われたのだが、私はこの方針は非常にいいと思うのだが、今の田村君の言われたことにも関連を持っておるのだが、これを完遂していくためには相当労働大臣として、日本の経済状態あるいは組まれるであろう予算等から考えます場合には、午前中の議論のように、空文になる危険性が多分にあると思う。そとでこれを確保するために、通常国会前に予算の大綱ができると思うので、そういう点に対して労働大臣として相当な努力をしてもらいたい。言いかえれば、やはり第一義が予算になるのじゃないか。そしてその予算をただぶんどってこいというような考え方は私ども持っておりませんが、どうすればこのことができるかということになると、やはりそこに集約して考えられますので、この点一つ労働大臣は、せっかく出された新大臣の方針がほごにならないように努力していただきたい。委員会としても、あなたとしても御異議がないことでありますから、一つ要請しておきたいと思うのです。従ってもしこのことができませんということになりますると、労働大臣ばかりでなく、委員会全体としてもさらに一年間苦境の立場に追い込まれるということで、この点特に御努力をしていただきたい。これに対して、大臣の意向があればお聞きしておきたいと思います。

倉石忠雄自由民主党労働大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 私どもの考え方を、ことに来年度予算に対して全面的に御支持をいただいて、私どもは非常に力強く存じます。ぜひ私が午前中に申し上げましたような方針並びに失業対策について、予算面において実行できるように微力を尽して努力はいたすつもりでございますが、当委員会におかれても御援助のほどを一つお願いいたします。

田村文吉緑風会

○田村文吉君 もう一つ、これはデリケートな問題になるのですが、民間の争議において、年末になるとはち巻締めてすわり込みを始めるのは、これをどうこう言うのではないが、せめて役所の人たちだけでも、ああいうようなぶざまなことは、外国の使臣が来られても、観光客が来られても日本だけじゃないかと思うのです。何か実益を一つ組合員に与える考え方を考えてもらいたい。もらいたいが、ああいうことは国の一つの誇りとしてもあまり感心しないことなので、どうかこういうことを、もうやむを得ないのだとただ言っていないで、官庁あたりではもう少しきれいにしてもらう手はありませんか。

倉石忠雄自由民主党労働大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) この官公労の争議形態といいますか、争議はできないことに法律上はなっているのでありますが、ここ数年来、ある官庁によっては御指摘のように、ピケラインを張ったり、すわり込みをやったりいたしておりました。私は結局これは労働運動というものに対して勝つか負けるかということは、最後には国民大衆の判断の正しいものが下るということだと思うのです。国民の世論を無視したすべての行動というものは、私は暴力革命か何かなら別でありますけれども、民主主義国においては、国民の世論をバックにしない行動というものは必ず敗れると思うのです。そこで私どもまだ入閣いたします前にも、この問題については政府にも要望したのでありますが、とにかく非常に醜態を演じまして、ことにこれは御指摘のように、世界中のおもな国で公けに奉仕すべき義務を持っている官吏が違法な行為をして、ああいうことをやるという例はあまりないようであります。そこでこの間の年末闘争の場合にも、私どもはああいうふうにすわり込みなどをおやりになったために政府がそれにおびえるとか、めんどうくさいとかいうことで〇・二五を出すという態度は絶対にいけない。しかしながら今回出された〇・二五を支給したほうがよかろうという人事院の勧告はきわめてこれは常識的なものである。従って政府はあの人事院勧告というものはぜひ尊重すべきだ。一方において、今御指摘のような非合法的な官公吏の行動は厳に警告をして、きかない者はやむを得ないから断固たる処置をとる、こういうことに決定をいたしたわけであります。ああいうぶざまなことを国民大衆の前に見せるということは、私は政治に対する不信をかうことだと思いますので、将来とも私どもは非合法的行為についてはゆるがせにしない、こういう方針を持っております。  ただ一つ、私は非常に誤解があるのではないかと思うのでありますが、労働運動というものは、結局力関係だということがいわれます。民間のストライキなどを見ましても、ストライキをやる、これは日本の憲法上労働組合の持っておる権利の行使でありますから、ストライキそのものについては何らとがめることはないのでありますが、さてその力ということを誤解して——力関係というのはつまりストライキをやられればその企業が非常な打撃を受ける。その打撃を受けることによってもう一ぺん企業家に反省を求めるのだという、そういう正々堂々たる態度が力関係になるのであって、それを団体交渉などに出て来て二、三の重役を取り巻いて大声をあげて威嚇をするといったようなことを力だと思っておるものがあるようでありますが、それは非常な誤解であって、そんなことは結局労働組合の権威を増すゆえんではないのであって、私は日本の労働運動というものは、さっき申し上げましたように、終局において利害が一致しているんだからして、自分たちの主張をあくまでも相手方にわかってもらうように努力をする。なおかつきかれない場合に、罷業権を法律は許しておるのでありますから、ただ罷業をするということだけで相手方は威圧を感ずるのであって、その上になおかつ非合法的なことまでやるということは、私は日本の労働運動がまだ成長しないのではないか、こういうふうにみております。従って官公労の方々でも一般の労組の争議などでも、これはまだわが国に民主主義がしかれてそう長い経験を持たないのでありますから、これを十分に体得せよということが無理かもしれませんが、やはり労働教育というものは長い目で、一つ親心を持って教育をしていく。私は国会議員などでもそうだと思います。お互いに国会議員として、理想的な憲法を持ち、理想的な国会法を持っていながら、国会自体が民主主義のルールを踏みはずす行為をしばしばやります。これはやはり私はひとり労働運動だけ責めるのではなくて、日本人全体がもう少ししんぼう強く一つ忍耐力を持ってお互いが民主主義を身につけるようにやろうじゃないか、こういうことだと思うのでありまして、私は特に労働運動にはそういう考えで臨もうと思っております。

田村文吉緑風会

○田村文吉君 労働組合の自覚またこれの指導等についてのお考えは、一応私はけっこうだと思うのですけれども、ただ世間ではやはりああいう運動をやったから〇・二五ふえたのだ、何でもやればふえるのだとこういうような誤解を非常に招きやすい。そういう点は、よほどその緩厳よろしきを得てもらわなければならぬことは、一体官庁官庁と言っておるけれども、官庁は、雇っているのは国民で国民が代表なんだ、国民と労働組合の争いなのだ、そういうような、問題の場合に正当な主張をされるのはよいが、どうもすわり込みをやったり、ピケを張ったりそういうことまでして国民に挑戦をするという形になることは、これは労働組合自体が私は非常に不利益なことだと考えます。考えますけれども、現在はそういうことをやる、それをまた政府が、国民の代表である政府が言うことを聞くのだとこういうふうに世間で誤解するのですね、そういうことのないように、私は今後特に労働大臣としては御留意をお願いしたい。  それからもう一つはなはだ不明朗なのは、役所によってはプラス・アルファというものがある、ああいうことは私は非常におもしろくない、一・五なら一・五でよろしいものをプラス・アルファとは一体何ですか。これは私も郵政省にいました時分、同じようか問題が始終あったのです。こういうことは役所によっちゃ、お互いの役所の間で現業官庁だから、現業官庁には現業官庁らしい給与の方法がある。プラス・アルファというのは何か、こういう問題がある。こういう点ももう少しく一つだんだん秩序ができてさましたら、やはりみんな平等にやれるようにして、わけのわからないプラス・アルファというようなものは一つやめられる方がいいのじゃないか、こう思うのですが、いずれ閣議等でお話も出ることだろうと思いますが、そういう点についてもう一つ要望しておきます。

長谷部廣子無所属クラブ

○長谷部廣子君 ちょっと大臣に伺ってみたいのですがね、このごろ新聞を見ましても交通事故というものが非常に多いわけなのです。私が先だってちょうど桜田門の前と警視庁の間でしたね、交通安全塔というのが出ております。そこに前日の死亡者と傷害を受けた者の数とそういうものが数字的に出ているわけなのですが、非常に事故が多いでございますね。私もその大きい車に乗るというよりも六十円とか、七十円とか、八十円とかいうようなそういうものに多く乗る機会があるのですが、大臣はそういったような車にお乗りになったことはないだろうと思うのですがね、そうしますと、そのスピードがとっても大へんなんです。それで私ときどき運ちゃんにどうしてこんなにスピードを出すのかと聞きますと、水増しということをしいられていると言うのです。やはり賃金だけでは工合が悪いので、水増しをどうしてもしなければならないために、これだけのスピードを出すということを言われているわけなのです。で私はやはり自動車の運転手が悪いのでなくて、やはりそういったような会社側が悪いと思っていると同時に、それをやはり取り締らなければならないということもよく考えているのですけれども、大臣どういうふうにお思いになりますか。

倉石忠雄自由民主党労働大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 今のお話は会社などに雇われて営業している運転手のことだろうと思いますが、この運転手を非常に時間外に働かしたりなどしていることで、基準法を特に緩和してもらいたいといったような要望も出ておるようであります。こういった問題についてはただいま臨時労働基準調査会でありますか、そういうものに前内閣のときに委嘱をいたしまして検討を続けてもらっておりますから、その答申を待っていたしたいと思います。具体的な問題は私もその七十円の円タクにしょっちゅう乗りますけれども、これはやはり自分の歩合をよけいもちたいということで運転手が特別な働きをするのだろうと思いますが、そういうこともやはりそれぞれの取り締り当局に要望しまして、そういう事故を未然に防ぐようにいたしたいと思います。

長谷部廣子無所属クラブ

○長谷部廣子君 それから事故を起す車というのはどれが一番多いかと申しますと、やはりルノーというのとワーゲン、ああいう一番小型のものだそうでございます。運転手仲間に言わせますと、あれはちょうちんとか特攻隊とかいうような名前がついているのだそうですよ。ほんとうにああいったような車を動かしておくというこのことが、やはりそういう事故を起すもとになると思うのですがね。こういったようなものはやはり取り締ることができないのですか。ああいう車を町に流すことをさせないようにするということはできないのですか。(笑声)

倉石忠雄自由民主党労働大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) そういうお話もございまして、運輸省の方で今検討中だそうでございます。

長谷部廣子無所属クラブ

○長谷部廣子君 とにかく大事な命を大切にするというようなことにどうぞ御協力をいただきたいと思います。

重盛壽治日本社会党

○委員長(重盛壽治君) 時間がないものですから……、先ほど田村さんの出された問題、また労働大臣が答弁された今の労働組合側の年中行事のようなストライキのあり方についてどうかという問題、その姿は私もやはりよくないと考えている。しかし必らずしも田村さんの意見に同意するわけでもないし、労働大臣の意見に同意するわけでもない。これは非常に重要な問題で、戦後十年たった今日となれば、少くとも年中行事のような姿で、ああいう姿をしなければ出す方も出さない、戦う方もあれでなければならぬというような、こういう姿を一擲しなければならぬという段階に来ているということは明確だ。そこに若干労働省の政策も変ってきたであろうし、労働省を設置した時代、当時から労働組合の行き方も若干変ってきたということは言えると思うのです。私ども一番先労働省を設置するときにどういう形で行くかという相談を受けた一人でありますが、これは戦後の労働組合を民主主義のルールに乗って育成助長していくということを中心にして労働省ができてだんだん育ってきて、少し乱暴をするようになったから、少し押えつけていくというようなことがちょいちょい見えてきた。これを今日の段階までくればどういう形に持っていくか、お互いにおとなになって、労働者も資本家も政府も一緒になって日本を再建しなければならないところにきたから一ぺん反省しなければならないのではないか。その反省をするのを、やらせるだけやらしておいて、それを押えつけるということを今ちらっと聞いた。それではいけないのであって、労働大臣が就任のときにあいさつされたような気持で、今一度労働組合とひざつき合せて一つ話し合いをしていくという感覚に立つならば、話し合いもできる段階である。前労働大臣が、今度の労働大臣は言われたかどうかよく知らないが、就任早々総評にも全労にもあいさつに行ったということを聞いておるが、あなたが行かれたかどうかそれは知らぬが、それくらいにして労働大臣と提携してやっていくということでなければ、法律で引っぱっていくから問題になると思うのです。で、この問題に非常に似たような話があるのだが、実は昨晩私がたまたま東京都庁に行ったらば、都庁は例によって期末手当の引き上げの闘争をして最終段階にきて、あしたから二割減車ということになった、そこで私は十年一日のように同じようなことをやらぬでもいいじゃないかと、都の理事者と労働組合の幹部の団交の席へ行って今と同じようなことを言って、ここらで一つお互いが転換して東京都の再建のために総力を尽すという形で行ったらどうか、そのためにはここまできてあした二割減車をして、そうして安井知事が出なければきまりがつかないということでは——これはあるいは私が残した戦術であるかもしれませんが、こういうものが十年も続く必要はないのであって、これは労働行政全般にも責任があると思うし、ここらで一つ転換をしてもらいたい、転換をする場合に一方的ではだめであって、これは両方快く聞いてもらって、けさから電車も滅らさずにゆうべのうちに解決がついている次第ですけれども、国全体の問題についてもこれに準じていくべきだろうと思う。それで話し合っていけるところまで労働組合も成長してきておるから、何か労働組合もやらなければいけないのだというあの感覚ももちろん考えなければならぬが、片方はやはりやってくれなくちゃ出しにくいのだというような格好、早くやってくれなければ工合が悪いというような格好も困る、ことしなどはその点からいくと〇・二五でも早く認めたということは、私は逆に言えば非常によかりたのじゃないか。この考え方をさらに強化して協力態勢を打ち立てていくというようなことで、一つ労働大臣は先頭に立って指導していくということにお願いしたいと思うのですが、これはいろいろ重要な問題がありますから、またあとで一つ議論を徹底的にやりますが、きょうはこれに対する意見があったら一つお聞きして……。

倉石忠雄自由民主党労働大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 私の労政に対する考え方は、この前ごあいさつに申し上げました通りでありまして、十分話し合って解決していくべきだ、法律や規則であまり人を拘束するようなことはすべきでないというのが建前でありまして、今委員長のおっしゃった通りであります。どうか一つそういうことで長い目で労働教育をしていく、こういうことに御協力をお願いしたいと思います。

重盛壽治日本社会党

○委員長(重盛壽治君) 労働行政全般に対しましては、当然多くの質疑があろうと存じまするが、本日は時間の関係上、質疑をこの程度において打ち切りまして次に移りたいと思いますが、いかがですか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

重盛壽治日本社会党

○委員長(重盛壽治君) 御異議ないと認めます。  ちょっと速記をとめて下さい。    午後三時五分速記中止    ————・————    午後三時十四分速記開始

重盛壽治日本社会党

○委員長(重盛壽治君) 本日はこれにて散会いたします。    午後三時十五分散会

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