社会労働委員会 第3号
- 発言数
- 45 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1955/12/09
会議録
○委員長(重盛壽治君) それではただいまから社会労働委員会を開会いたします。 厚生行政方針に関しまして、小林厚生大臣の意見を聴取いたします。
○国務大臣(小林英三君) 私は、今回、第三次鳩山内閣の組閣に際しまして、はからずも厚生大臣の職を汚すこととなったのでございますが、何分浅学非才の身でございましてことに厚生行政の詳細につきましては、その知識に乏しく、先般の国会におきまして短期間ではございましたが、当院の社会労働委員長の任に当りました間、皆様方にいろいろ御指導を仰ぎ、多少知識を得た次第でありますが、幸いに厚生行政の分野につきまして御造詣の深い諸賢の御指導、御鞭撻を得まして、誠心誠意その任に当りたいと思う次第でございます。 国民の最低生活を確保いたし、さらに進んでその生活内容を向上させるために、社会福祉、公衆衛生、社会保険等の諸施策に期待されている毛のはきわめて多いと存ずるのでございますが、何と申しましても、私どもの当面しておりまする緊急の課題は、国民の医療保障制度を確立することであり、その第一着手といたしまして疾病保険財政の再建を完了することであると存ずるのでございます。従いまして、政府といたしましては、七人委員会、社会保険審議会等の意見を十分に考慮いたしまして、健康保険等に対する所要の財政措置を講ずるとともに、国民健康保険の普及をはかり、また健康保険一の適用範囲の拡大を検討いたしまして、できるだけすみやかに全国民を対象とした疾病保険制度を確立いたしたいと存じます。次には、医療機関の整備をはかりまして、諸種の疾病、特に結核の予防と治療について万全を期したいと考えております。ところで、このような医療保障制度を真に効果あらしめるためには、その基本的要件として、国民の衛生的な社公環境を整備することがどうしても必安となると考えまするので、私としては、この際、本問題に一そうの検討を加えて参りたいと考えております。 このように、衛生環境の整備が一段と要請されておりまする際に、先般の森永ドライミルク事件及び血清問題等、衛生思想の不徹底、取扱いの不注意等もその一因と考えられる社会問題を引き起したことは、私としても、はなはだ遺憾とするところでございまして、今後かかる問題の起きないよう最善の注意を払って参りたいと存じております。さらに、これらの医療保障の問題と並びまして、児童、老人、身体障害者等に対する各種社会福祉施設の整備、母子福祉対策の推進等、社会福祉の全分野にわたりまして、積極的な施策を着実に具現して参りたいと存じております。各位の御審議をわずらわし、御指導を仰がなければならない事項がたくさんあると存じますが、よろしくお願い申し上げます。簡単でございますが、就任のごあいさつといたす次第でございます。よろしくお願いいたします。
○山本經勝君 やや突っ込んだ御質問も実は伺いたかったのでございますか、時間の都合があるようでございますから、本日は簡単に一点だけ御要望を申し上げておきまし。と申しますのは、前国会の際に、つき添い婦廃止問題をめぐってこの委員会でいろいろ論議があったわけでございますが、最終的には付帯決議をもって、当時川崎厚生大臣のお話にもございました点について了解を遂げたわけであります。その中で、つき添い婦廃止の問題についての決議の内容を詳細に申し上げる必要はないと思いますが、今後補食その他看護に欠けるような実情のもとでつき添い婦廃止を強行してはならないという趣旨であったと記憶しております。さらに、このことは委員会におきましていろいろ論議の過程で、川崎厚生大臣も了解された趣旨と申します要点をかいつまんで申しますと、つき添い婦を廃止する段取りが進行する過程で、つき添い婦が不必要になってくるという状態と同時に、このつき添い婦を切りかえていく、こういう趣旨であったと記憶をいたしております。 ところが最近起っております事象は、私は福岡県でございますが、福岡県にあります五つの国立療食所についてそれぞれ状況を調査したわけでございますが、なかんずく赤坂療食所において、先々月一十月の下旬に問題を引き起しております。この問題と申しますのは、六病棟あります中の二病棟に重症患者を集めた、つまり手術その他の重症患者を集めて、そうして施設の改善、その他の問題を含めて人員の配置がえをするという計画が発表されたわけでございますが、この際、十分にこれらの必要な施設が行われていないので、この重症患者を一病棟に集中するということについて患者側に強烈な反対が起りました。そこで現地に来いということですから、参りましていろいろ状況を見たのでありますが、ここの場合には、従来あります三十六名の看護婦、それに今回雑仕婦として六名を加えて四十二名になっております。ところが従来ありました実情から申しますというと、看護婦三十六名につき添い婦二十五名が配置されておったわけです。ところが若干雑仕婦の増員によりまして六名が加わりましても四十二名であります。こういう状況では、とうてい看護に十分の手が尽せないのだという不安のもとに、これらの患者が移動に反対したという事情なんであります。さらにここで申し上げておきたいのは、設備の改善あるいは連絡等のためにインターホーンの設備をするとか、ベルをつける、それから給湯の設備をする、さらに浴場それから洗たく機の配置あるいは調理場の改造、こういったものを含めまして、大体国立療養所といたしまして五百二十五万円の予算を実は請求しているはずでございます。ところが、これに対して厚生省の方ではわずかに六万円をこれに回した。従って改善された設備の状況といいますのは、インターホーンの十基、それから便器運搬車が一というだけにとどまって、人員の点も非常に不十分である、こういう実情であったわけでございます。これらにつきまして、規地において医務課長並びに庶務課長等と話し合いをいたしまして、そこで十分この状態でやれるべきものかと申しますと、これに自信は実はないのだ、しかしながら十一月中にこれを完成せよという指示を受けているのでやむを得ずやっている、これに協力してもらう以外にむいというような現地の話もあった。そこで医務出張所ともいろいろ話をしたが、医務出張所はこれを強行する考えはないのだと言われながらも、一応療養所としての看護婦としては、押しつけられた形でやらざるを得ないというような実情におかれていることが訴えられているのであります。でありますから、これは厚生省の方からこういう指示がなかったかどうかということは一応別問題といたしまして、こういう実情でありますが、このことは付帯決議に全く反することだと思います。そういう意味におきまして厚生大臣の方の御配慮をお願いしたいと思います。このことを御要望申し上げておきたいと思います。
○委員長(重盛壽治君) それじゃ厚生大臣の意見に対する本日の質疑は、大臣の都合上保留させていただきまして、次回に譲りたいと思います。御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(重盛壽治君) それじゃ御異議ないと認めます。
○委員長(重盛壽治君) 次に、労働行政に関しまして、労働行政の調査に関する問題を議題にいたします。まず労働行政方針について、倉石労働大臣の意見を聴取いたします。
○国務大臣(倉石忠雄君) 私はこのたび労働大臣に就任いたしました倉石でございます。何とぞよろしくお願い申し上げます。この機会に労働行政について私の考えを申し述べたいと存じます。このたび政局の安定の上に第三次鳩山内閣が発足いたしまして、統一ある国策の遂行を期し得ることとなったのでありますが、私はまず労働政策は、それだけが単独にその方向を決定づけられるべきものではなく、国民生活の安定と向上をはかる政治の基本的要請に基き、もろもろの国策との関連調和の上にその方向を見出すべきものと考えておるのでありまして、そのような広い視野と感覚とをもって労働行政の処理に当りたいと存ずるものであります。私は常に労使関係というものは、本来相対立する利害の上に存在するものではなく、むしろ大局的に見れば、共通の地盤の上に成り立っているものと考えております。従って、従来わが国の労働運動が、とかく労使の激しい敵対感情に根ざした紛争を中心に展開してきた感のありますことは、私の遺憾とするところであります。安定した労使関係を打ち立て、健全な労働運動の発達を期するためには、労使が相ともにそのよって立つ共通の利害をわきまえ、お互の立場を尊重し、理解して、すべて納得ずくの話し合いをもって事を処理する態度が何よりも必要なことであり、そのようなよき労働慣行を育成助長することが政府の責任であると信じているものであります。すなわち、労使双方はもとより、広く国民一般の人々が、国民経済の自立発展による繁栄こそが、雇用の拡大と労働条件の向上をもたらし得る唯一の道であることを理解し、民主的な労働運動の成果に信頼し、紛争の合理的解決のために、国民経済的視野に立脚して、互に権利の乱用を戒め、もって秩序ある労使関係のルールを確立することに努めることは、現下最も願わしきことであり、私はそのために、広い分野にわたっての労働教育の徹底に力を注ぎたいと考えるものであります。今次新内閣の発足に当りまして、世上往々労働法規改正の声を聞くのでありますが、この問題に関する私の見解を率直に申し上げますならば、まず基本的には、私は戦後十年の経験を経ましたわが国労働運動の成長にかんがみまして、労使関係の規制をすべて立法措置にゆだねようとする性急な考え方に賛成できないのであります。ことに世上に行われます労働法規改正意見の中には、ときに労使いずれか一方の立場にのみ偏し、いたずらに顧みて他をいうきらいのありますことは、私のとらざるところでありまして、労働関係諸法につきましては、特にこれが運用の実績に徴し、大所高所からのしかも具体的な研究を今後とも慎重に続けていくつもりであります。もっとも公共企業体等労働関係法のごとく、占領法規たる色彩がきわめて濃厚であり、かつまた関係者のだれもがその運営に困惑しているがごとき法規については、労使双方及び学識経験者の方々の意見を十分お聞きいたしました上で、必要であれば適当な機会に、これが是正の措置を講じますことは、法律の運用を預かる政府の当然なすべき義務であると考えておる次第でございます。 次に労働基準法につきましても種々改正の要望を聞くところでありますけれども、私は今日労働基準法の基本的精神について異議を有する人はあるまいと思っておりますし、また手続ないし運用の上での不都合もすでに相当是正を見たことでありますので、基本的には改正の必要を認めないのであります。 なお、今日わが国産業労働の実情に沿わないという意見もあるようでありますので、前内閣当時に始められました臨時労働基準法調査会の研究はこれを継続することとし、政府としてはその結果の答申を待って善処いたしたいと考えているものであります。きて雇用を拡大し、労働者の生活水準を向上きせるためには、国民経済の幅を広め、根を深めてゆかなければなりませんが政府におきましては、長期的かつ総合的な経済計画を策定いたしまして、わが国経済の自立達成と、雇用問題の解決をもって経済諸施策の基本的目標とする方針であります。私は労働政策の分野においては、特に労働福祉対策の強化と雇用対策の確立をもってこれに臨みたいと考えております。すなわち、まず企業における経常の改善、設備の更新等と並んで合理的な賃金制度の確立、労働環境の改善、勤労者の税負担の軽減等の措置を強力に打ち出すことによりまして労使一体の生産性の発揚を期待しまたはこれが成果をさらに労働者の生活状態の改善に反映ぜしめてゆきたいと思うのでありまして婦人少年問題の大半もまた、そのような方向においてのみ本来の解決を期し得るものと信ずるのであります。しかしながらわが国社会の現状に顧みますとき・働く婦人及び年少者の福祉を守り、一般婦人の地位の向上をはかるためにはなお一属の努力を要するものと考えますので、今後とも民間有識者の御意見を十分承わり、婦人少年行政の実効を期して参りたいと思うのであります。他方雇用問題につきましては、何分にも今日のわが国におきまして、人口と雇用との不均衡がきわめて憂慮すべき状態にあり、しかもここ数年のらちは年々増加する労働力人口の圧力のために、これが改善はきわめて困難な問題であることを承知いたしておりますが、近時わが国経済は、ようやく数年にわたる不況期を脱しつつあり、今後数年間計画的な経済の運行によりその拡大が期せられるならば、一般的な生活水準の向上と相待って相当な雇用の拡大を期することができると思うのであります。しかしながらそのような改善を見るまでの間、過渡的に生じて参ります失業者に対しましては、政府において労働市場の合理化を進め就職効率の向上を期するとともに、公共事業及び失業対策事業の拡大により失業対策の万全を期して参る考えであります。 なお、従来より行なってきました失業対策事業につきましては、各方面からその非能率な運営が指摘されておりますので、これが生産的効果の増大をはかるためにすでに試みている特別失業対策事業の改善強化をはかる等、所要の措置を講じたいと考えております。 以上、私は労働行政につきまして現在の心境を率直に申し上げたつもりでございますが、今後とも各方面の御意見に十分耳を傾け、さらに具体的な労働対策を樹立推進いたして参る考えであります。何とぞよろしく御協力賜わらんことをお願い申し上げる次第であります。
○委員長(重盛壽治君) 次に、山下厚生政務次官のごあいさつを一つ……。
○政府委員(山下春江君) 私は今回厚生政務次官に就任いたしました山下でございます。 先ほど小林厚生大臣より、厚生省の今後行わんとする考えに対して所信を述べられました。そのことを完成いたしますために、全力を傾けて大臣のお手助けをいたしていきたいと思っておりますが、何分にも浅学非才、まことに不敏な者でございまして、その任にたえるかどうかわかりませんが、前々からお世話になったこともあるこの社会労働委員会の皆さん方に、前からごじっこんに願っておったよしみにすがりまして、御叱正、御鞭撻をいただきますと同時に、御協力賜わらんことを心からお願い申し上げまして、ごあいさつといたします。
○委員長(重盛壽治君) 菊田労働政務次官のごあいざつ。
○政府委員(菊田七平君) 私労働政務次官を仰せつかりました菊田七平でございます。よろしくお願いいたします。 私労働行政に関してはほんとうに未熟な者でございますから、一つ皆さんの指導と御鞭撻をいただきまして、一生懸命努めたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○委員長(重盛壽治君) ちょっと速記をやめて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(重盛壽治君) 速記を始めて。 —————————————
○山本經勝君 今倉石労働大臣からお話を承わったのでありますが、労働関係法についての改正の意図を持っておらないというお話でございますが、この基準法については調査会がすでに設置されて、そうして調査のいろいろな意見の集約もできつつあると聞いておりますが、この点についてはっきりしておいていただきたいのですが、これは調査報告書が一応集約されて、そこでいろいろな角度から検討されて、そのあとに改正することになるのであると、こういうふうに受け取ってよろしいですか。
○国務大臣(倉石忠雄君) 私は先ほどごあいさつに申し上げましたような基本的な考え方で、労働問題というのは特に人と人との関係を律するものでありますから、あまりむずかしい法律、規則で縛ろうとすることを考えるのはよろしくないというのが基本的な考え方であります。そこでこのいわゆる労働三法というものは、山本さん御承知のように終戦後私ども作った法律でありまして、中には英文で書いて来て、これを翻訳して、翻訳がうまいとかまずいとかいうようなことを議会で論議されたような歴史もあるのでありまして、私どもとしては非常にいいところはあるが、国情に沿わないと思われる点もあるということは、これはだれも認めておるところであろうと思いますが、基準法は、私さっき申したように、基本の精神について反対する者はおそらくないだろうと思うのです。ただいろいろ事務的に繁雑であるとか、監督がきびしいとか、ルーズだとか、いろいろそういうことで苦情は至るところで聞きます。そこで、前西田労働大臣のときにもそのことに意を用いられまして、御承知のような調査会を設けさせまして、あの答申は——あの委員会とうのは非常な専門家がそろっておられまして、おそらく傾聴に値する御意見が非常にたくさんあるだろうと思いまするので、私どもの方としてはこの答申を待って十分にざらに考えてみたいと、こういうふうに考えております。
○山本經勝君 続いて一点伺っておきたいのですが、今の基準法の運用面で考慮されるというようなふちにも受け取れるのですが、これは監督業務についての手心を加えるということなのですか、その他の問題がありますか。
○国務大臣(倉石忠雄君) 御承知のように、基準法が非常に規則がやかましゅうございまして、その規則についての苦情が至るところにありましたので、たしか小坂労働大臣の時代だったと思いますが、規則を相当改正しまして、あの点で繁雑だという非難に対しては相当こたえられたと思うのでありますが、この基準法は現在日本の産業状態との間にマッチしない点があるのではないかという意見をしばしば私どもも承わっておるのでありますが、そういう意見、またそれからその小さな中小企業などについては基準法がほとんど守られないではないかといったような反対の非難もある。そういうことについて実態をよく調査いたしまして、そうしてこの西田大臣のときに作られました調査会は、そういういろんな意見が世の中にあるが、改正するところがあるのかないのか。改正するために調査してくれということではなかったようでありまして、改正すべき必要ありやいなやということについて、学識経験者の意見を徴するというような趣旨のようでありまして、私も非常にけっこうな趣旨だと思います。従ってそういう全般的な検討を加えたものの答申を待って、政府としてはもう一ぺんさらに考慮してみたいと、こういうふうに考えております。
○山本經勝君 調査会のメンバーに相当問題があることを私ども聞いたのですが、これは少くとも労働関係の諸問題について相当な権威者があるわけです。これはいわゆる権威者と言われる人々が今度はオミットされて、そうして何といいますか、主として労働関係法の改正を企図しておる人たちのメンバーのように聞いているのですが、これらのメンバー等について再検討されるお考えはございませんか。
○国務大臣(倉石忠雄君) 今のところはそういうことは考えておりません。
○山本經勝君 これは話が違うのでありますが、一昨昨日ですか、本会議の際に御質問申し上げました石炭鉱山における保安問題、これは質問の趣旨が徹底しなかったかと考えますが、保安規則によりますと——保安法によりますと、労働大臣が鉱山保安に関する必要な具体的な措置を通商産業大臣に勧告をすることができるということに明文で規定がございますが、これについて大臣の御答弁は、警告を発したと言われたのであります。その警告ということになりますと、たとえば注意をせよということも警告でしょうし、非常に大ざっぱなもので焦点がないように思う。でこの法がきめております勧告、は、内容を持った私は勧告だと解釈するのですが、つまりどういう内容で勧告をされたか、その点を一つ明らかにしていただきたいと思います。
○国務大臣(倉石忠雄君) 私最近就任しましたばかりで事務報告を基準局長から聞きました。そのとき、今のお尋ねのように、どういう方法でどういう内容で警告したかといち内容の具体的なものまでは聞いておりませんが、労働省の方では、この鉱山災害に対しては、しばしば基準局の立場から通商産業省にそういう事態の発生せないようにということで警告を出しておりますと、こういうことでございました。内容が御入り用とあればこの次までにどういうふうな形で出しておるかよく調べまして御報告いたします。 それから鉱山経営業者に対しては、たしか文書をもって労働省の名前で強い勧告を出しております。
○山本經勝君 それで今の勧告と警告というのは、内容が若干違うように感ずるのです。少くとも警告ということであれば、非常に注意したければいかぬという簡単なものでもやはり警告になる。あるいは災害頻発に伴って保安監督を厳重にせよということもするでしょうし、ところが勧告ということになりますと、こういうふうにしたらどうかという内容がなくちゃならぬ。法は明確に勧告ということを規定している。で私はむしろ倉石大臣に今御無理なお願いをしようとは考えませんが、むしろこういう点について今後年々歳々起る災害でありますから、私どもも炭鉱の経験を持っておりますし、その他たくさん専門家もおるのですから、十分私どもの意見を取り入れて、通商産業大臣に対する内容のある勧告をすることをお考え願えるかどちか。
○国務大臣(倉石忠雄君) 実は数年前のことでありまして、この鉱山保安のことで、私衆議院の労働委員長をしておるときでありましたが、通商産業省と行政的な分担についていろんな論議が行われまして、私が中へ入りましてまあああいう形になったのでありますが、そのときに私ども労働関係を受け持っておる方の側から特に希望したいことは、この鉱山保安というのは非常に重要な問題であるからして、私どもの方の言うことを尊重してやってもらうようにということも、当時通産省の管轄に決定するときにそういうことも言っておいた次第でございますから、私はただいま山本ざんのお話しのように、その勧告のやり方、そういうことについて今までやっておったことをよく調査いたしまして、なおそういう災害をできる限り未然に防ぐように努力をいたすことにしていきたいと思います。
○山本經勝君 御質問申し上げていることは、今の直接坑内の実情を長い間にわたって現場で知っておるそうした専門家もたくさんおるわけなんです。それからさらに私どもみずからも経験者です。ですからそういう点で大臣を中心にしてそうした話し合いをいた七まして、こういう勧告があったら実効があるのではないかという内容を持った勧告の仕方をお考え願えるかどうかということを伺っているわけです。
○国務大臣(倉石忠雄君) 一ぺんよく御趣意を体して研究いたします。
○山下義信君 きょうは労働大臣のごあいさつでもありまするし、具体的な質問はまた次の機会に勉強させていただくことにいたしたいと思いますか、先ほど山本君の質問に御答弁にな。ましたのでちょっと私が受け取りかねたのでありますが、ただいまのごあいさつでは、労働基準法を改正する考えはないというごあいさつでありました。新聞では衆議院の社労委員会の方でもそういう御言明があったということが報道されておりました。これは非常な言うまでもない重大な問題であります。しからば労働基準法は改正しないが、労働基準行政の運営の上において新大臣は何か手心というか、運営上、に新たなる考え方で行くのかという質問をされたようでありますが、それに対してのお答えでは、いや、何も運営の手心というのじゃないのだ、いろいろ検討してみて、必要があれば改正もまたしなくちゃならぬかもしれぬと、こういう御答弁であったように思うのですが、私の聞きそこねであったかわかりませんが、その辺をいま一度はっきりと一つお答えを願っておきたいと思います。
○国務大臣(倉石忠雄君) 私が申し上げておりますことは、法律の運用を手心をせよなんということを命ずるつもりは少しもありません。ただ現在の法律について社会でいろいろな御議論がありますから、その趣旨で西田前大臣が調査会を設けられた。まあその調査会をせっかく設けておるのでありますから、そういう学識経験者の答申があればそれをよく拝見して政府としても考えてみたい、ただいまのところはそういうところでございます。
○山下義信君 じゃやはり労働三法の改正には手をつけるというお考えですね。正反対だ。
○国務大臣(倉石忠雄君) 私はただいまのところ、そういう法律に手をつけるとかつけないとかということを申し上げる段階ではない。今調査会がせっかく検討しておることですから、政府の委嘱によるその答申を待ってどういう態度をとるかということを考えてみたいと、こういうことでございます。
○山下義信君 そうですか。じゃこのごあいさつは大へん失礼でありますが、私は大臣がずっと労働大臣をお続けになる御在任中のあなたの御方針かと思って伺っておったのでありますが、まあ当面の、今日のところのごあいさつをあそばしたので、まだ先に行ってみたらどういうお考えになるかわからぬ、こういうことになりますね。まあそういうことですね。これは重大問題ですから……。
○国務大臣(倉石忠雄君) そうです。非常にこれは重大な問題であると思います。(山下義信君「そうなんです」と述ぶ)そこで私が非常に慎重であるのは、労働大臣としては軽々にそういうことを発言すべきではありませんし、また私も社会に与える影響も大きいことでございますから、十分にその学識経験者の答申等を待って、もう一ぺん考え直してみたいと、こういうことであります。理窟のようでございますが、社会事象というものは生きものでございますから、私は今の法律の立法に当りました終戦後の国会で労働委員をやっておりまして、いわゆる労働三法について、私は非常に精神はりっぱであるが、こういうところはまずいところがあるのではないかということを、私ばかりではない、大ぜいの人が気がついておることがたくさんあると思います。しかしなかなかそういうものをどういうふうに動かすかということになると大きな問題でありますから、なるべくならそういうことをしないで、さっき申し上げましたようによい労働慣行を作っていって、そして生産を上げていただくことができればそれが何よりだ、こういう考えでありますから、どうか一つ誤解のないようにお願いをいたします。
○山下義信君 私は大臣の御答弁を正解しようと努めておりましていろいろ伺ったんでありますが、なおよくわかりませんが、次回にいたしましょう。何といたしましても労働基準行政は言うまでもなく、あなたの方の労働行政の中心でありまして、しかも今日の労働基準行政の現状がどうなっているかということになりますと、私どもしろらとでありますが、およそ宙ぶらりんといいますか、何といいますか、非常に不明瞭な点がありまして、当局の方針がはっきりすることを待っておるという状態といいますか、いわゆる労働基準法の励行というようなことを、何といいますか、あなた方の根本方針のきまるのを待っておるという状態、改正するなら改正する、しないならしない、改正することに対する賛否は別として、こういう問題をよいかげんにその日暮しでやっているということは、これは百害あって一利なしです。改正するということの弊害よりも、改正しないということの有利よりも、どっちともつかずに宙ぶらりんで、この大切な労働基準行政をあいまいだるままにやっている、足踏みしているという状態は、私はこの方が弊害があると思うのです。ですから新大臣は多年御造詣の深いうんちくを傾けられ、こういう方針に対しても賛否は別として、ずばりと十分御研究の上早く方針を決定せられ、労働行政の方向をはっきりざれたらいいと私は思うのですが、いかがでございましょうか。
○国務大臣(倉石忠雄君) ただいまのお話の中で、基準監督行政が宙ぶらりんというふうに拝承いたしたのでありますが、現行法が現存している以上は、労働省としてはその法律を曲げていろいろやっていることはないはずでございまして、現行の法律に準拠しての監督業務を私どもはやっておるわけであります。ただ現行法が現在の日本の産業界の実情に合うか合わないかということについては、それぞれ賛否両論があることであり一まずから、こういうような基準関係、特に私はいろいろなものを見ますというと、労働基準法が実施されまして以来、日本の年少者の働く人々の体格が非常によくなってきたということはいろいろな資料に明らかにされている。私は労働基準法というものは確かにいい法律であると思っておりますが、これに対していろいろ御意見が出ておりますから、らかつにそういうものに手をつけるということをせずに、やはり現行法がある限りは、現行法によっての監督は十分いたさせますが、それと並行していろいろな意見をもとにして研究を行なっておる、こういうことでありますから、十分研究された学識経験者の答申を待って考えるということが一番いいのではないか、こういうふうに考えます。
○山下義信君 きょうは時間がありませんから、また他日重ねて伺うことにいたしましょう。労働基準の監督行政が今どうなっておるかという現状の認識のことにつきましては、私も最近現場を多少見まして感ずるところがあって申し上げているのでありますが、これはまた別の機会にいたしましょう。 私はこの機会にいま一つだけ大臣に伺っておきたいのは、最近政府の一部におかれまして、あるいは一部ではなく、ほとんど公式に行政機構の改革が非常に大きく取り上げられて、第三次鳩山内閣の三大政策の一つになっている。それで新聞等の報道を見ますと、労働省と厚生省とを一緒にして社会福祉省にしたらどうか、これはまあ一案でしょう。あるいは行政管理庁長官の一案でしょう。一案でありますが、こういうことは非常に大きな影響があるんですね。ことに、かりに合併されるとすると、両省にとっては関係者といわず何といわず、これは非常に大きか関心を持っていることなんです。もしそういうことであるとするならば、労働大臣はこの合併のこういう案に賛成されますか、どうされますか。あるいは労働省というのは、これはそういう社会福祉省の中に入るべきものじゃない、あくまでも一省としてあるべきものであるという御見解でありますかどうか。これは非常に重要なことであると私は考えますので、この際一つ御所信を承わっておきたいと思います。
○国務大臣(倉石忠雄君) お尋ねの問題については、政府部内で河野農林大臣が行政管理庁長官を兼ねて行政機構の改革の素案を作っておることは事実でございますが、この素案というのはまだそこまで行っておりません。で新聞で、ただいま山下さんのお話のようなことを承わりましたけれども、何らそういったような具体的な問題には触れておりません。私はただいま仮定の一ことでございますが、かりに新聞に伝えられておるようなことが出たといたしますと、今までそういう話が出たとしても、それは河野担当大臣から直接に出たものではないと存じております。いろいろな雑音であろうと思っております。従来もしばしば行政整理というときには、厚生、労働両省の合併のようなことが論ぜられたことがありますが、そういうものが具体的に担当閣僚から出てくるようになれば、私は十分それに対しては私の意見を申すつもりでおりますし、今の政府は、特に労働行政については特段の力を入れてもらいたいということを鳩山総理も言っておられるわけでありまして、私は新聞に伝えられておるようなことが具体化することはあるまいと思いますし、具体的に日程に上ってくれば、私もあらためて努力するつもりであります。
○山下義信君 せっかくけっこうな話を聞きかけて最後がちょっと不明瞭なんですが、労働省を他省に合併することは、反対か賛成か労働大臣の御信念を承わりたい。そこが落ちましたので……。
○国務大臣(倉石忠雄君) それは不可能なことであります。
○山下義信君 それでは、あくまで大臣は労働省の存続には御努力なさる、そういう御趣旨ですね。
○山本經勝君 さっき御質問いたしましたが、実は頭が悪いので受け取り方が悪かったかもわかりませんが、保安法第五十四条には明確に、労働大臣が通商産業大臣に対して必要な措置の勧告を行う、あるいは局長も同様である。でその勧告をたさる考えがあるかどうかということと、それから勧告をなさるために、労働省には鉱山関係の技術者はおられないと思う。で少くとも多数の専門家がおりますので、あるいは私どもも経験者でありますから、それらの意見を徴して、御勧告の内容をまとめていただくことができるのかどらなのか、この二つの点を明白にしていただきたいと思います。
○国務大臣(倉石忠雄君) その問題について、具体的なことを私まだよく存じておりませんから、調べまして後日御報告いたしたいと思いますが、労働省の立場としては、従来も、さっき申しました警告を出しているのでありますから、その後ああいう事件がたびたび起きている次第でございますから、法に基くあなたのおっしゃった勧告は十分にこれからやるつもりでありますし、ただ、今までどういう手続をやったかということはよく存じておりませんから、今までのことは後日御報告いたします。
○委員長(重盛壽治君) いろいろ御質問もあろうかと存じまするが、冒頭申しましたように、きょらは大臣の都合もあるようでございますから、本日の質疑はこの程度にいたしまして、残ったものは次回以降に譲りたいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕委員長(重盛壽治君) 御異議ないと存じます。
○委員長(重盛壽治君) この際ちょっとお諮りいたしたいと存じますが、理事の常岡一郎君から都合によって理事を辞任いたしたい旨のお申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(重盛壽治君) 御異議ないと認めますので、辞任を許可することに決定いたしました。 つきましては補欠互選を行いたいと存じますが、その方法は、成規の手続を省略いたしまして、委員長の方から指名さしていただきたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(重盛壽治君) 御異議ないと認めます。それでは森田義衛君を理事に指名いたします。 一応きょうはこれで散会をいたすことに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(重盛壽治君) それではきょうはこれで散会いたします。 午後二時四十二分散会 —————・—————