予算委員会 第1号
- 発言数
- 64 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 1955/12/06
会議録
○三浦委員長 これより会議を開きます。 この際お諮りいたします。委員の異動によりまして、理事三名が欠員となっておりますので、その補欠を選任いたしたいと存じますが、これは、先例によりまして委員長において指名するに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○三浦委員長 御異議なしと認めます。よって西村直己君、今澄勇君及び稻葉修君を理事に御指名いたします。 次に、理事中曽根康弘君より理事辞任の申し出がありますので、これを許可することとし、その補欠は委員長において指名するに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○三浦委員長 御異議ないようでございますから、川崎秀二君を理事に指名いたします。 —————————————
○三浦委員長 これより昭和三十年度特別会計予算補正(特第2号)を議題として、まず政府より提案理由の説明を聴取いたします。大蔵大臣一萬田尚登君。 —————————————
○一萬田国務大臣 昭和三十年度特別会計予算補正(特第2号)につき御審議をお願いいたすに当りまして、その概要を申し上げたいと存じます。 今回の特別会計予算の補正は、交付税及び譲与税配付金特別会計についての補正であります。地方財政につきましては、近年赤字の累積によりまことに憂慮すべき状態にありますが、その再建をはかるためには、弥縫的な方策で当面を糊塗することを許さず、この際、国、地方を通じて抜本的な対策を講ずることが必要であることは各界の一致した意見であります。来年度におきましては、国、地方を通ずる財政の健全化をはかる方針のもとに、国において諸制度の改革をはかることはもちろん、地方においても経費の節減、歳入の確保にさらに一層の努力を払い、自主的に財政の再建をはかることが必要であると考えております。しかしながら、当面地方財政の窮乏を放置することは困難な情勢にありますので、地方交付税の率の引き上げは行いませんが、本年度に限り臨時の措置として、交付税の率三%に相当する百八十八億円の財源手当をすることにいたしたのであります。その財源としては、国、地方を通ずる財政の健全性を堅持する建前のもとに、国における一般経費の節約額、賠償費、公共事業費などの不要額百六十億円、これに伴う地方負担の軽減額二十八億円を見込むことといたした次第であります。 当面の予算措置といたしましては、資金を早急に交付する必要もあり、とりあえず交付税及び譲与税配付金特別会計において、百六十億円の借り入れを行い、これを臨時地方財政特別交付金として地方に交付することとし、これに伴う特別会計予算の補正を行うことといたしたのであります。この借入金返済のためには、年度内しかるべき時期において一般会計予算の補正を行い、上記の財源をもって、同特別会計への繰り入れを行うことといたしております。 以上今回の補正予算につき概略御説明いたしましたが、何とぞ政府の方針を了とせられ すみやかに御審議の上、御賛同あらんことをお願いいたす次第でございます。
○三浦委員長 これにて政府の提案理由の説明は終りました。 これより質疑に入ります。北澤直吉君。
○北澤委員 私は自由民主党を代表いたしまして、主として外交問題につきまして鳩山総理大臣、重光外務大臣及び関係閣僚に質疑をいたしたいと存じます。 第三次鳩山内閣の外交方針につきましては、過般衆参両院の本会議におきまして、総理及び外務大臣から一応の御説明があったのでございますが、目下重大段階にありまする日韓関係の問題、日ソ交渉の問題、また日比賠償問題等の重要外交問題に対しまして、日本の保守勢力の大同団結の結果生まれました自由民主党を基盤とし、強力な政治力を持って組閣されました新内閣がいかなる方針をもってこれらの重大問題に当りますかは、日本内外のひとしく重大関心を持って見守っておるところであります。またこの問題は、二大政党対立下の新保守党の試金石と申しても過言ではないと存じますので、国会を通じまして、これらの外交問題に対しまする政府当局の方針を内外に明確にするという意味におきまして、率直かつ明快なる御答弁をお願いしたいのであります。 時間の関係もありますので、まず第一に日韓関係の調整の問題についてお尋ねしたいと思います。日韓関係は目下きわめて重大なる段階に入っておりまして、全国民が重大な関心を持っておる問題でございます。外務大臣は過般衆議院におきまする外交報告演説におきまして、すみやかに韓国との間の諸懸案を解決して、そうして両国永遠の和親関係を樹立したい所存であるということをお述べになっておるのでございますが、第一次鳩山内閣成立以来約一年になります。鳩山総理を初め政府当局者は、しばしばこの日韓関係の調整を唱えて参ったのでありますが、何らなすところなく今日に至りましたことはまことに遺憾であります。特に最近いわゆる李承晩ラインを越えました日本の漁船を撃沈するという韓国軍事当局の発表は、きわめて時局の重大性を思わせるものがあるのであります。韓国はすでに武力によって日本の漁船二百八十隻、乗組員二千八百十七名を不法に拿捕しておりまして、現在でもなお百九隻の漁船を抑留し、六百五十一名の乗組員及び漁民を抑留しておるわけでありまして、これは関係漁民に非常に大きな打撃を与えておりますことは御承知の通りでございます。韓国側が世界の法理でありまする公海自由の原則をば無視いたしまして、一方的にいわゆる李ラインなるものを設定し、これを越えたものは撃沈するというがごときことはまことに気違いざたでありまして、世界の世論も絶対にこういうことは支持しないものと確信するわけであります。またこういう事態を黙認しますと、いわゆる大陸だなの問題に関連しまして あるいはインドネシアあるいは豪州方面におきまする日本の漁業問題にも大きな影響があることは御承知の通りでございます。 そこでこの事態の重大性にかんがみまして、従来のようななまぬるい態度ではなく、責任をもって事に当って、場合によっては責任の地位にある外務大臣または農林大臣がみずから韓国に乗り込んでひざ詰め談判をするというくらいの心持をもって、責任をもって有効適切な措置を講じて、早期に事態を収拾することが絶対に必要であると思うのでありますが、まずこれにつきまして総理大臣と外務大臣の御意見を伺いたいと存じます。
○三浦委員長 北澤さんにお諮りしますが、総理大臣は着席のままで御答弁願うことにいたします。
○鳩山国務大臣 それでは着席のままで答弁させていただきます。 北澤君の言わるるがごとくに、日韓の関係問題は非常に重要な問題であります。できるだけ早く解決を迫られておりますこの問題を、われわれは関係閣僚の連絡会議も開きまして、最善の措置を最もすみやかにとりたいと思っております。
○重光国務大臣 今、鳩山総理の言われた通りに私も考えております。この問題はぜひ解決しなければならぬ問題でございます。あらゆる努力をいたしましてその解決に尽したいと考えております。
○北澤委員 政府におかれましても、重大な決意をもってこの問題の解決に当られるというお話でありますが、まず当面の事態を収拾する策としましては、政府の言われます平和外交の立場からして、できるだけこの両国において実力を行使しないで、平和的の手段によってこの問題を解決することが望ましいわけであります。 その方法としましてはいろいろあるでありましょう。たとえて申しますと、一つは、国際連合に提訴をしてこの問題の解決をはかるということ。もう一つは、この問題に重大な関心を示しております米国のあっせんを求めるということが考えられると思うのであります。国際連合憲章の第三十五条二項によると、非加盟国であっても国際連合に紛争の処理の提訴ができることになっておりますからして、この国際連合憲章の規定に従って、国際連合の安全保障理事会または総会に提訴をして、世界の公論に訴えてこの問題の解決をはかるという方法が一つあると思います。それからまた、先ほど申しましたように米国でございますが、アメリカは、日米安保条約によりまして日本と共同防衛の関係にあるわけであります。またアメリカ方面におきましても、この問題をきわめて重大視をしまして、あっせんに乗り出すような意向を示しております。またきのうの韓国の京城放送によりますと、韓国側におきましても、米国のあっせんを歓迎するというような報道もありますので、この問題について米国のあっせんを求めて解決をはかるという方法も考えられるわけであります。先ほど申しましたように、どこまでも平和的手段によってこの問題の解決をするには、今申し上げましたような二つの方法、その他いろんな方法があろうかと思うのでございますが、これについて外務大臣のお考えをお尋ねしたいと思います。
○重光国務大臣 お話の通りに、日韓関係の平和的処理、平和的解決の方法はいろいろあると思うのでございます。国際司法裁判所に提訴するということは、前提として韓国側の承諾を得なければなりませんので、相当時間がかかると思います。私はそれよりも、できるだけ時間をかけない方法をとりたいと考えております。それは直接の交渉は言うを待たず、また今お示しになったような第三国のあっせんを請うということも一つの方法ではないか、こう考えておりますが、これらは今いろいろとそういう方面の地ならしをしておるところでございますから、そういうことができ次第に発展をさせていきたい、こう考えておるのでございます。
○北澤委員 外務大臣は私の質問を少し誤解されておるようでありますが、私は国際司法裁判所に提訴すると申し上げたのじゃないのであります。連合憲章の第三十五条によりますと、こう書いてあります。「国際連合の加盟国でない国は、自国が当事国であるいかなる紛争についても、この憲章に規定された平和的解決の義務をあらかじめ受諾すれば、右の紛争について安全保障理事会又は総会の注意を促すことができる。」これは日本がやればいいのでありまして、韓国の同意は必要ないのであります。国際司法裁判所に提訴する場合は要りますが、国際連合の安全保障理事会または総会に対しまして、憲章の三十五条の規定によって注意を喚起する場合には、韓国の同意は必要ないのであります。もちろん非常に急ぐことはお話の通りでありますけれども、こういうふうな国際的な紛争の平和的な解決機関として国際連合がある。しかも国際連合におきましては、非加盟国であっても、それが提訴する紛争につきましてはこれを取り上げることになっておりますので、この点一つ御研究の上お答え願いたい。先ほど申し上げましたように、国際司法裁判所ではないのであります。これは韓国の同意がなくても、日本は国際連合の総会または安全保障理事会に提訴ができるわけであります。どうぞ大臣のお考えを承わりとうございます。
○重光国務大臣 平和を乱すおそれのあるものとして安全保障理事会に提訴するということは、私もできると思います。それも一つの方法として考究しなければならないと思います。考究中でございますが、まだその方法によるということには決定はいたしておりません。いずれ考究して、なるべくすみやかに解決の方法を探すということには間違いはございません。
○北澤委員 政府の方におかれても、非常にこの問題の解決を急いでおらるるわけでありますが、この問題は非常に重大な問題でありまして、国民の生活にも非常に直結をしている問題でございますので、方法はいろいろあろうかと存じますが、一つぜひこの問題をすみやかに解決し得るように、なるべく平和的手段によって解決願いたいと思います。 さらに進んでお伺いいたしたいが、どうしても韓国側が平和的の処理に応じてこない場合でありますが、そういう場合におきましては、今の日本の国内の強硬な世論の動向もあるのでございますから、そういう場合には、あるいは経済断交その他の強硬措置をとって先方の反省を促すことが必要ではないかとも思うのであります。それについて政府はどういうお考えを持っておりますか、伺いたいと思います。
○重光国務大臣 私は韓国政府においても交渉に応じてくれるという見込みをもってやっております。どうしてもいかないというときにどうするかという、経済断交というようなことの御意見がございましたが、私はまだそこまでは考えておりません。あくまで韓国側を説得して交渉に導いていきたい、こう思っております。
○北澤委員 それでは先に進みまして、この問題に関連していろいろな問題があるのでありますが、一つは韓国に抑留されております船員の送還の問題、第二はそういう抑留船員の留守家族に対する応急の救済の問題、そういう問題があるわけでありますが、これについてお尋ね申し上げたいと思うのであります。現在韓国に抑留されております日本の漁夫は、きのう現在で六百五十一名ということでありますが、この抑留者は、話によりますと想像以上の非常に悪い待遇を受けまして、栄養失調になっておる者もその中には相当あるというような話でありまして、これは一刻もすみやかに日本に帰還せしむることが絶対に必要だろうと思うのであります。これに関連しましては、現に九州の大村の収容所に収容されております韓国人の釈放の問題とからんで、現に日韓双方の間に話が進んでおるように聞いておるのであります。その趣旨は、大村に収容されております韓国人の中で、すでに刑期を満了してなおかつ収容されておる者が約三百七十名あるということでありまして、これを本邦内において釈放するということでありますれば、韓国に抑留されております日本漁夫の帰還問題も何とか解決の方法もあるだろうというような話を聞いておるわけでありますが、この抑留漁夫の帰還問題について外務省はどういうふうな交渉をしておられるか、この点伺ってみたいと思います。
○重光国務大臣 抑留漁夫の帰還問題でございますが、抑留漁夫の状況がまことにお気の毒な状況であるということは、いろいろな方法によってずいぶん情報を持っております。そうしてこれに対する差し入れ物等の救済方法も実行はいたしておるのでありまするが、何と申しましてもすみやかにこれを送還してもらわなければなりません。一日も早く救出したいというのが、今政府のやっておる交渉の目的であることは言うまでもありません。そこでその引きかえと言っては何でございますが、先方は大村収容所の韓国人の釈放ということを言っておるのであります。これは理屈はともかく、さようなことも十分に考慮に入れて目的を達するようにした方がいいと私は考えます。そこで大村収容所を所管する司法当局、法務大臣とは十分に打ち合せをして、そういう方面に今交渉をいたしております。交渉はいたしておるのでございますが、この交渉はまだ終結はいたしておりませんが、私はこれはある程度の妥結を見ることだ、実はこう思って今一生懸命やっているところでございます。
○北澤委員 たびたび申し上げますが、この抑留漁夫の帰還問題は非常に重要な問題でありまして、一刻を争う問題でありますからして、どうぞ抑留者の帰還問題につきましては、この上とも政府等におかれては努力をせられて、一日も早く帰還できますように努力を要望いたします。 次に留守家族の問題でございますが、留守家族につきましては、船員給与保険というものがありまして、これに入っておりますものは、給料の七割見当が留守家族に渡されるということになっておるのでありますが、この保険に入っていない留守家族もある、また貧しいためにこの保険に入れないものもある。そういうわけで、この窮状見るに忍びないような留守家族も多いのであります。これから寒さに向うわけでありますので、政府におきましては、応急にこういう困った留守家族に対しまして、何らか救済の措置を講ずることが絶対に必要と思うのでありますが、これについて大蔵大臣及び農林大臣の御答弁を伺いたいと存じます。
○一萬田国務大臣 抑留漁船の乗組員の家族に対しましては、ほんとうに同情の念にたえません。この保険夫加入の方に対しましては、さっそく検討いたしまして、至急に適切な処置をとりたい、かように考えております。
○河野国務大臣 留守家族に対する援護処置につきましては、次のような処置を講じたいと考えております。漁船乗組員給与保険の未加入者の留守家族に対しましては、保険加入者の一人当り平均契約金を基準として、二十八年度において交付したと同様の方法をもって至急交付できるよう関係省と協議いたしております。また給与保険への低額加入者に対しては、同保険未加入者への処置を勘案して適切な処置を講じたいと存じてあります。これらは早急に大蔵当局と事務折衝をいたしまして、結論を出して処置することにいたす所存でございます。
○北澤委員 ただいま大蔵大臣及び農林大臣から、留守家族に対しましては至急応急の措置をとるというふうな御答弁があったのでありますが、この問題はぜひ至急に処置を実行するように要望いたします。 次に抑留漁船の問題でございますが、抑留漁船につきましては、漁船に対する特殊保険がありまして、この保険に入っておりますものに対しましては、政府が九割再保険するところの保険によりまして保険金を与え、そして新しく造船ができるようになっておるわけでありますが、この漁船に対する特殊保険と、それから先ほど申しました船員の給料に関する保険も、いずれも漁業者が納めます保険料が高いためになかなか入りにくい、また入らないものも多いというわけでありまして、この二つの保険の目的を達するためには、どうしてももっと保険料を安くして、保険料を低減することがぜひ必要と思うのでありますが、この点について農林大臣、大蔵大臣いかにお考えでありますか、お伺いしたいと存じます。
○河野国務大臣 お答えいたします。漁業者に対する援護処置として、漁船の特殊保険への加入を容易にするために、その料率を軽減することについては、いろいろな点がございましてなかなかむずかしいのでございますけれども、これを十分検討いたしまして、何らかの処置のとれるように努力するつもりでございますが、御承知の通り、保険の料率の改訂は非常に困難な問題でございます。従ってこれを検討を加えました結果、どういう結果が出ますか、御趣旨に沿うように何とかしたいつもりでおりますけれども、もし万一この料率の変更が不可能であるというような場合には、また別途処置も講じなければなるまい、せっかくこの問題に関して検討中でございます。
○一萬田国務大臣 この特殊保険は御承知のように累年赤字を出しておりまして、今日累計一般会計から約五億三千万円繰り入れもしているような状況でありますので、お説の点十分考え、検討を加えることにいたしたいと思います。
○北澤委員 以上はまず当面の事態の収拾策につきましてお尋ねをしたのでありますが、さらに一歩進んで、日韓両国の間の諸懸案を解決をして、根本的にこの両国の国交を調整することが必要でありますことは、申すまでもないのでありますが、その具体策につきまして外務大臣はどういうお考えを持っておられますか。もしこの根本的な両国の懸案の解決なくして国交調整ができなければ、ただいま申しましたような事件が今後も起るわけであります。どうしても根本的に両国の関係の調整をはかって、国交を回復するということが最も必要であろうと思うのでありますが、そのために政府においてはどういう具体策を考えておられますか、外務大臣にお尋ねしたいと思います。
○重光国務大臣 根本の問題といたしましては、一般的の問題もあるし、かつまた具体的な問題についても考えなければならぬと思います。一般の問題は、私は日韓の間に平和親善の空気を作るということを目的とする方策が必要だと思います。領土の不侵略のようなことはむろんのことであります。わが方としては、韓国の領土に対して少しも意図を持っておりません。これは相互的でなければならぬ。そういうようなことによって十分に平和親善の空気を作る。安全保障の問題もそういうことになります。しかし日韓の関係について特に議論をされている問題は、たとえば両国の中に他の国民の持っている財産権の問題、これが一番大きな具体的な問題でございます。これをどうするかということは根本的に考えなければなりません。おそらくこれは戦時中の国民の戦時被害ということに関連をする問題だと思われます。その問題については議会の意思表示もあったと記憶いたしておりますが、そういうことについて十分検討して、全部の問題としてこれは一応考える必要がございます。そういうことでございますから、今韓国の問題について、すぐこの財産権の問題をどういうふうに処理するかという具体案はまだ定まっておりません。しかしながらこれは早急に考えて、また早急に考究をして交渉の基礎を作らなければならぬ、こういうふうに考えております。特にまた具体的の問題としては李ラインの問題もございます。漁業の問題等に関連してこれが解決をはからなければならぬと考えております。さようなことを一括していろいろと連絡をとり、内交渉は従来ともずっと進めておりますが、しかし最近の空気の悪化のために、それが今中絶しているような遺憾な状況でございます。何どきでも内交渉は始めて、さような具体的な問題等について特に解決方法を双方から講ずるように仕向けていきたい、こう考えております。
○北澤委員 私どもの見るところによりましても、この日韓関係の調整が非常にむずかしい、今までできなかった最も大きな理由は、結局今外務大臣が述べられました財産請求権の問題、この財産請求権の問題が解決すれば、日韓の関係はそう困難なく調整できるものと私は思うのでありますが、この財産権の問題は、結局サンフランシスコ平和条約第四条(b)項の解釈の問題に関係してくる。それによって朝鮮にあった日本の財産は、一体韓国に帰属するのかあるいは日本に帰属するのか、この問題があるのでありまして、結局問題は、平和条約の解釈の問題であろうかと思うのであります。この問題につきまして、なるべく早く結論を出して、そうしてこの日韓の全般の関係の調整をはかるということが、今日最も必要ではないかと思うのでありますが、この財産権の問題に関する結論をお出しになる見込みはどうなんですか、相当長い日がかかるわけでありますか、その点を続いて伺いたいと思います。
○重光国務大臣 この問題は今申し上げました通りに、日本の国内的の問題でもございます。しかしながら、国際問題として交渉の一つの題目になっておるわけでございます。従いまして、その内容、その状況は、ちょっと今申し上げることを差し控えますが、しかしこの問題も解決をしなければならぬ問題でありますから、解決不可能なこととしてこれを片づけるわけには参りません。ただ見込みがどうかということでございますが、この見込みは、私はなおこれを決定するには時間が相当かかると思います。少しはかかっても、十分にこの問題とは取り組まなければならぬ問題だ、こういうふうに考えてせっかく努力いたしております。
○北澤委員 日韓関係につきましては、当面の問題、また根本的に両国の全般の関係につきましてお尋ねしたのでありますが、この関係はきわめて重大な関係でありまして、関係するところも外務省、農林省、大蔵省、防衛庁、こういうふうに各省に関係を持っている事項であります。従いまして、これらの問題の解決につきましては、これは総合的に研究をして、これが解決策を見出さなければならないと思うのでありますが、そのためには至急関係閣僚の懇談会とか、あるいは関係閣僚の連絡会とか、こういうものをお作りになって、そこで抜本的な総合対策を御研究願うことが目下の急務である、こう考えるのでありますが、これについて総理のお考えをもう一ぺん伺いたいと思います。
○鳩山国務大臣 先刻申しました通りに、関係閣僚の協議を開きまして、至急に善処をしたいと思っております。
○北澤委員 時間の関係がありますので、日韓の問題は以上にいたしまして、次の問題に移りますが、第二の問題は現在の国際情勢の見方についてであります。鳩山総理は従来いろいろな機会におきまして、ソ連は今日におきましては、世界の平和という方に向ってきておる、世界の緊張は緩和せられる方向に向ってきておる、こういうふうな趣旨のことを表明せられておるのでありますが、去る二日の衆議院本会議におきまする外交報告演説におきまして、重光外務大臣は、この十月の四大国外相会議では、ソ連側と米英仏側との間に何一つ意見の一致を見るものがなかった。のみならず根本的な対立が一そう明白になって、その調和はなかなか困難である。こういうような趣旨を述べられておるのでありまして、世界の緊張はむしろ激化する方向にあるように外務大臣はお述べになったのであります。ソ連側がドイツの統一に対しまして反対の意思を明らかにしたこと、さらに進んで、またエジプトに対する武器の売り込みの申し入れ、あるいはインドのネール首相、ビルマのウー・ヌー首相等をモスクワに招請し、これに対しまして現在ブルガーニン、フルシチョフのソ連の首脳が数週間の長い期間にわたってインド、ビルマ、アフガニスタン等を訪問中でありまして、こういうような情勢に見られるように、自由、共産両陣営の間のいわゆるキー・ポイントと申しますか、非常に重要な地方であり、また昔から、帝政ロシヤ時代からロシヤの帝国主義の対象の地であった中近東あるいは東南アジア方面へのソ連の軍事的、経済的、政治的な進出が明瞭になって現われてきたのでありまして、これは結局ソ連が自由陣営の防衛線の中央突破を企図しているものと考えられるのであります。また一方におきまして、ソ連は原水爆の禁止を提唱しておりながら、一方においては原水爆の実験を行なって、力には力をもって対抗するという方針を明らかにしているのでありまして、これに対しまして英米仏等におきましては、従来の方針を再検討する必要に迫られているようでありまして、従来アメリカの強硬な態度をむしろ牽制しておったイギリスにおきましても、いよいよいわゆるゼネヴァ方式という平和方式には見切りをつけて、ソ連の力の政策には力をもって対抗するというような方針に変ってきたような新聞報道もあるわけでありまして、こういう情勢から考えますと、四大国外相会議以来の今日の状況におきましては、世界の緊張は決して緩和の方向には向いておらないというふうに私どもは判断せざるを得ないのであります。これにつきましては、日本の内外の政策を考えるにつきましては、どうしてもこの世界の大きな動きに焦点を合せて考えなければならないわけでありますので、その根本になります国際情勢の見方について、総理、外務大臣から伺いたいと思います。
○鳩山国務大臣 北澤君の御質疑に対するお答えをいたします。重光外務大臣が議会で冒頭において演説いたしました通りに、ゼネヴァの精神というものは幾分雲がかかったように思われます。すなわち世界の平和について非常に希望が持てるような空気が幾分か傷つけられたような感じがあります。これはとにかく四巨頭会談の際の空気と外相会議との間に、幾らかの違いがあることはいなむことはできません。けれどもその幾らか違ったということは、あまり神経質にならないでも私はいいと思う。アラブとイスラエルとの争いのために、武器をソ連はアラブに売り、アメリカはイスラエルに売って、非常にここに危険な空気が醸成せられたというようなことが非常に大きく取扱われますけれども、スイスのごとき中立国ですら、両方に武器を売っているわけです。つまりもうけることについてはなかなか敏捷ですので、戦争を防遏するように働かないで、金もうけをするために両方に武器を売るという国もずいぶんあるのであります。とにかく両方に武器を売りたいというので、ソ連の方もあそこに行って、ずいぶん商売をしているようであります。こういうことはあまり猜疑心を強くすると、かえってくだらないところにまた障害が生ずるかと思いますから、静かにこの成り行きをもう少し見ている方がいいと私は思っております。外務大臣が演説した通りに、ゼネヴァのスピリットというものが、雲がかかってきたということはいなむことはできませんけれども、雲がかかってきたということを土台として、あまり神経質にならぬ方がいい、あまり猜疑心を強くしない方がいい、こういうように考えております。
○重光国務大臣 私の国際情勢に対する見方は、本会議で申し上げた通りでございます。そうしてまたこのことについては冷静に判断をし対処していって、あまり神経質にならぬ方がいいという総理の御意図は、私も全然そう考えております。
○北澤委員 国際情勢の見方は非常にむずかしい問題であろうと思います。それからまた今総理の述べられましたように、神経質になることも、これは禁物だと思います。しかしながら国際情勢というものは客観的に動いてくるものでありまして、結局これが日本の内外政策を立てる上にも非常に大きな関係を持つと思いますので、この国際情勢の分析あるいは見方につきましては、今後とも十分御研究を願いたいと思うのであります。 これに関連して外務大臣に伺いたいのでありますが、きょうの新聞の報道によりますと、イギリスのイーデン首相もいよいよ明春一月にはアメリカを訪問して、アイゼンハワー大統領といろいろ相談をするという公式の発表があったのでありますが、このイーデン首相のアメリカ訪問につきまして、どういうふうな目的であるのか、もし外務省の方におきましてそういう情報がありましたら、一つ伺っておきたいと思います。
○重光国務大臣 イーデン英国首相のアメリカ訪問そのものにつきまして、その意図がどこにあるかということにつきましては情報を持っておりません。たださような形勢に導いたイギリスの空気その他は情報に接しております。それは先ほど北澤委員の言われた通りの点でございます。外相会議以後の世界の情勢については、イギリスは特に中近東とアジア方面等に最も具体的の利害関係を持っておる国柄として、非常に神経質になっておるということはいなめないのであります。それはイギリス方面の新聞、雑誌等の論調を見てもよくわかります。それからイギリスのそういう世論——これに対する対抗策を何とかして講ぜなければならぬというふうな世論のあることもこれは明らかに看取されます。さような背景のもとに、イーデン首相がアメリカを訪問して大統領と世界情勢について話をする、こういうようなことが報道されておる。おそらく政府の意向として発表されたものと思います。さような状況でイーデン首相はアメリカに行くのだと私も大体判断をいたしておる次第でございます。
○三浦委員長 暫時休憩いたします。 午後三時三十四分休憩 ————◇————— 午後四時五十三分開議
○三浦委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を継続いたします。北澤直吉君。
○北澤委員 質問の第三点は、日ソの交渉の問題でございます。自由民主党の結成に際しまして、新党の緊急政策として発表されましたものの中に、日ソ交渉についてわが方が堅持すべき主張を掲げました。特にこの重要な抑留者引き揚げ問題及び領土問題につきましては、抑留邦人を即時完全に帰還せしむること、歯舞、色丹、南千島を無条件に返還せしむること、その他の領土の帰属は、関係国間において国際的に決定することを明記しております。この点は、保守合同を実現するための旧民主、自由両党の間のいわば条約ともいうべきものでありますからして、政府におきましては、これを十分に尊重されまして、一つ不退転の決意をもってあくまでこの主張を貫徹するまで交渉を継続すべきものと思うのでありますが、一つ念のために鳩山総理及び外務大臣の御所見を伺っておきたいと思います。
○重光国務大臣 政府は、交渉に当りましては、むろん政府の方針で参るわけでございます。しかしその政府の方針は、今言われました党の発表の政策もそれに含まれる、こう考えまして、すなわちその趣旨は少しも異存がない、それによってやることにいたしております。それに向っては、主張すべきはあくまで主張して進んでいきたい、こう考えております。
○北澤委員 このうち特に抑留者の問題でございますが、これにつきましては、ソ連が一方的に日ソ中立条約を無視して日本に宣戦をした経緯もありまして、日ソ関係においては、戦争犯罪人というものはあり得ない、こういうふうに私どもは考えているわけであります。政府も日ソ交渉に臨むに当りましては、抑留者帰還の問題はほかの懸案事項と違って、まずもってこれを処理すべきものだということをたびたび国会においても説明されているわけでありますが、ところがロンドン交渉が進むにつれましてこの方針に動揺を来たしまして、平和条約の調印を条件とするソ連側の主張に同意をするような態度になってきたわけでありまして、この点は私ども遺憾に考えておるわけであります。でありますからして一つ政府におかれましては、当初の方針通りに平和条約の調印と切り離して、この抑留者の全部の即時帰還を実現するように御努力願いたいと思うのでありますが、この点について外務大臣のお考えを承わりたいと思います。
○重光国務大臣 抑留者帰還の問題は、これは人道問題でありますから、あくまでこれは早く、一刻もすみやかにこれを実現したいという方針のもとに交渉を進めております。他の日ソ全般の交渉問題とはとれを別に、それとは離れてこの問題だけでも早く交渉の妥結に至るように努力いたしておるのでございます。しかしながら先方といたしましては、条約ができた後でなければ抑留者を帰さない、こういう意向を表示しておることは事実でございます。それにもかかわらずわが方は、この問題は交渉と関係なく、交渉前にはできませんでしたが、交渉中でもなるたけ早く解決してもらいたいということを強く主張しておるわけでございます。今後もその方針で参るのでございます。
○北澤委員 日本の国際連合加入につきましては、ソ連も最初は平和条約調印と同時に日本の国際連合加入を支持する、こういうふうになっておったのでありますが、その後情勢が変りまして、御承知のように十八カ国一括加盟案というものに対しましてソ連が同意した。すなわち日ソ平和条約の締結と切り離して日本の国際連合加入に関してソ連が同意を表した、そういうように大へん変ったのであります。一つこの抑留邦人の問題につきましても、ぜひ平和条約調印というような条件をつけないで、ただいま外務大臣のお答えになりましたように、なるべく早い機会にこの問題を解決するように、この上とも政府の御努力を要望いたします。 次に伺いたいのは、日ソ交渉についての問題でありますが、新党結成の際に発表されました緊急政策の中には、平和条約の締結を目途として日ソ交渉をする、こういうふうにはっきり書いてあるわけでありますが、巷間論議されておりますところによりますと、いわゆる暫定協定案、すなわちソ連と西独との国交回復の方式にならって、平和条約の締結はしないで、まずもって両国の間の戦争状態の終結をして、抑留者の帰還を実現して、国交を回復して、そのあとで領土その他の懸案事項を解決しよう、こういうふうな方式をとるべしという主張もあるのでありますが、私どもの考えでは、これは緊急政策に明記されております通りに、どこまでも平和条約の締結ということを目標にして日ソ交渉を推進すべきである、こう思いますが、この点についても、念のために政府の考えを伺っておきたいと思います。
○重光国務大臣 日ソ交渉の全般の問題に関係するわけでございますが、それについてはたびたび私は御説明を申す機会があったと思います。戦争によっていろいろ引き起された重要な両国間の問題の解決を見た上で、平和条約を締結することによって国交を回復する、こういう考え方を持って進んで参っております。しかしてその交渉の過程において、ソ連側も同様な考え方を持っておるということがはっきりいたしまして、ソ連側も平和条約案というものを出して交渉を続けておるということも報告を申し上げたと思います。さようなわけでありますから、その双方の合致したやり方を進めていく、そして重要な問題の解決を見て、平和条約をこしらえて国交を回復したい、こういうふうに進んでおるわけであります。
○北澤委員 日ソ交渉の進め方についての外務大臣のお考えはわかったのでありますが、鳩山総理ももちろんこの外務大臣の御意見には御同意と思いますが、念のために伺っておきたいのであります。
○鳩山国務大臣 その通りであります。
○北澤委員 それでは日ソ交渉の問題は以上にとどめまして、次に質問の第四に移りますが、質問の第四点は、日比賠償その他東南アジアに関係する問題についてであります。先刻も申しましたように、ソ連の中近東、東南アジア方面への軍事的、経済的、政治的の進出は現実の問題になっておるわけでありまして、同地方に対する中共の進出と相待ちまして、中近東、東南アジア地方におきます自由、共産両陣営の勢力のバランスの関係に相当大きな影響を与えつつあることは必至のことであります。もし万一東南アジアなり中近東地方が共産主義勢力の支配下に入るというようなことがありますと、これは自由陣営にとりましてもきわめて重大な結果を来たすばかりでなく、特にわが国にとりましてもゆゆしき事態になる、こういうふうに心配するわけであります。従ってすみやかに中近東、東南アジアの反共体制がさらに強化されるということが、現在の情勢にかんがみて必要であると思いますが、そのためにわが日本としてなし得ることは、これら地方の自由諸国と善隣友好関係を強化しますとともに、世界の自由諸国と提携、協力して、これら地方の経済開発ということに日本の能力の範囲内でできるだけ貢献をすることがぜひ必要だと思うのであります。ところが日本が東南アジア等の経済開発に協力する問題につきまして、それに対して最も大きな障害となっておりますものは、御承知のように賠償問題が未解決の状態になっておるということであるのであります。どうしてもそういうふうな現在の国際情勢から考えて、フィリピンその他の賠償問題というものをなるべくすみやかに解決をして、そうして日本が東南アジアの経済開発に強力に貢献できるというふうにすることが、先ほど申しました東南アジアの反共体制強化に役立つものと思うのであります。その賠償問題につきましても、まず当面の問題は、御承知のように日本とフィリピンとの間の賠償問題をどう解決するかという問題だろうと思います。そこでそれに対する具体的な考えを伺っていきたいのでありますが、外務大臣の外交報告演説によりますと、政府はフィリピン側のいわゆる八億ドル提案に対して目下慎重検討中であるというふうに言われているのでありますが、しからば、いつ日本側としましてはフィリピン側に先方の提案に対して正式の回答を出すのであるか。またその内容はどういうものであるか。もちろん政府が出される回答の内容も、先ほど申しました新党の緊急政策に述べられておりますラインに従ってなされるものと思うのでありますが、この回答をいつごろ出すか、またその内容はどういうものであるか、ここで発表し得る範囲でけっこうでありますから、お答え願いたいと思います。
○重光国務大臣 日比賠償問題の解決を促進しなければならぬ、この点につきましては、私はお話の通りに考えております。なるべく早くこれを解決したいということで進んでおります。そして先方からの提案に対しまして——その提案は今八億ドル、こう言われておりますが、それらのことが正確であるとは申し上げかねるのであります。先方の提案について慎重に検討をいたしまして、なるべくすみやかに返事をいたしたいと思って、今一生懸命にやっております。ただしその内容の詳細にわたってこれを御報告することは、まだその時期でないように思います。しばらく御猶予を願いたいと思います。もっとも交渉の妥結もしくは差しつかえない時期が来たら、私は遅滞なく御報告をいたしたいと思います。しかしこれは、なるべくすみやかに妥結に導きたいという趣旨で努力を続けるということははっきり申し上げておきます。
○北澤委員 その日本側の回答の内容につきましては、まだ発表の段階でないというお話でありまして、その点は了解するわけでありますが、ここで念のために伺っておきたいのであります。この政府の回答の内容は、先ほど申しましたように、新党結成の際に発表されたあの緊急政策の趣旨で発表される、こういうふうに了解して間違いないのでありましょうか、お伺いいたします。
○重光国務大臣 間違いございません。
○北澤委員 このフィリピンに対する賠償問題に関係しまして、この賠償総額をどうするかということが大きな問題になっているのでありますが、もしこのフィリピン側の提案通りの額を日本側において認めるということになりますと、ビルマの賠償額、さらにはインドネシアの賠償額に必ず影響があるというふうに私どもは考えているのでありますが、政府におかれては、このフィリピンの賠償総額の決定によりまして、すでにきまったビルマの賠償額あるいは将来きまるべきインドネシアの賠償額というものに影響がないというようなお考えでございましょうか、この点も伺っておきたいと思います。
○重光国務大臣 それは最終決定によってきまることでございますが、その最終決定をするのに当っては、そういうようなことをも十分に検討して進んでいかなければならぬ、こう思っておるわけでございます。
○北澤委員 この賠償の額の問題でございますが、フィリピン側の提案によりますと、純賠償額五億五千万ドル、借款が二億五千万ドルということになっておるのでございます。この借款は純然たる民間の借款であるとしましても、やはり日本の全般の財政金融状況というものに非常な影響があるわけでありますので、この点について大蔵大臣にお尋ねしたいのでございますが、向うの提案による純賠償額五億五千万ドル、それから民間借款二億五千万ドル、こういうものを日本が払うという場合におきまして、大蔵大臣としましてはこれでよろしい、こういうふうなお考えでありますかどうか、大蔵大臣としてのお考えを承わっておきたいと思います。
○一萬田国務大臣 純民間の借款であります二億五千万ドル、これは私はよろしいと思います。純民間である限りにおきまして、これは東南アジアとの経済関係を一そう親密ならしめる上からもけっこうである。それから賠償につきましては、これは私といたしましては、東南アジア諸国との政治上、経済上すみやかに親交関係を確立していくべきである、なるべく早くそういうことが到来するのがよろしいという立場をとっておりますし、また他面、わが国の財政上の負担能力というものも十分に考慮しなければならぬ、こういうふうな観点に立ちましてただいま検討を加えておる、こういうところであります。
○北澤委員 この賠償に関連して民間借款二億五千万ドルという案があるのでありますが、民間借款はどこまでもフィリピンと日本との経済協力というものが基礎になるということになっておるわけでありますが、この経済協力というものの内容いかんが、やはり賠償交渉の妥結に重大な関係があると思うのであります。そこで経済協力というものの内容、もちろん日本側としまして、経済協力の内容がなるべく日本に有利になることを希望するわけでありますが、この経済協力の内容について何かお考えがありますか、高碕長官に伺いたいと思います。
○高碕国務大臣 お答え申し上げます。従前の交渉経過からしまして、二億五千万ドルというあの経済協力の問題につきましては、これは純粋なる商業ベースでやることでございまして、現在においては、もうすでに実行されておるものがあるのであります。そのベースを基礎といたしまして、今後純民間において、両国の商社間において取りきめをするということに相なっておるわけなんでございまして、従いまして政府といたしましては、これに対し経済上の責任はないわけであります。といって、全然責任がないか、こういえば道義的の責任は当然あるわけでありますから、この道義的の責任の範囲をいかにすればいいかということは、今後の折衝に待ちたい、こう存じております。
○北澤委員 経済協力のために日本から純然たる民間借款一億五千万ドルを提供するわけでありますが、この二億五千万ドルの借款を生かして使うためには、やはり運転資金と申しますか、そういう資金が相当必要になろうと思うのでありますが、こういう一億五千万ドルの経済協力借款を生かすための運転資金について、米国方面からでもフィリピンに対して資金の提供があるものでありますかどうか。これは日本側から申しましても、これだけの経済協力借款をやる以上は、東南アジア経済開発に対する米国側の態度にもかんがみて、一つ米国の方からもぜひこういう運転資金を出してもらって、この二億五千万ドルをなるべく有効に生かして使われるということが、日本としましては望ましいのでありますが、そういう点につきまして、日本と米国の間にこれまで交渉があったかどうか、その点を高碕長官なりあるいは大蔵大臣に伺っておきたいと思います。
○高碕国務大臣 お答えいたします。過去におきましては、アメリカの商社から日本がフィリピンにおいて投資をする場合にいろいろ共同の申し入れがあったわけでありますが、まだこれは実行いたしておりません。けれども、今後は当然そういうふうなことが考えられることだと存じております。
○北澤委員 フィリピンとの賠償を考えるにつきましては、わが国の総支払い能力を考慮しなければならぬということになっておるわけでありまして、その点から考えますと、たとえばガリオア援助資金をどう整理するかという問題、あるいは日本側の負担する防衛分担金をどういうふうに減額するかというふうな問題、あるいは米国が東南アジアの開発のためにどの程度の資金を提供するか、こういう問題について、日本と米国との間の関係においても、いろいろ研究を要する問題があろうかと思うのであります。先般外務大臣がアメリカ訪問の際、日米会談の際にも、ガリオア援助資金の整理につきましては緊急に妥結をはかる、それからまた分担金の減額につきましても、大筋におきましては大体意見の一致を見たように承知しておるのでありますが、ガリオア援助資金の整理方法、あるいは防衛分担金の減額の方法、あるいは東南アジアの経済開発のための米国の資金提供、こういう問題について日本と米国との間にどういう話が行われ、また今後行われんとするか、この点について外務大臣、大蔵大臣にお尋ねしたいと思います。
○高碕国務大臣 経済の問題に関係いたしますから、ちょっと私からお答えいたします。 賠償の支払い、ガリオアの支払い、その他の対外債務の支払いは、一に日本の経済力によってきめなければならぬわけでありまして、ただいまのところいろいろ苦労いたしまして、どの程度に負担力があるかということによって決定いたしたい、こう存ずる次第であります。つきましては、この賠償を支払いました結果において、それが有効適切に使用されるということは、われわれ賠償を支払う方面からいたしまして最も必要欠くべからざるものと存じまして、従前におきましても、その場合にはアメリカといわず世界各国の方から資金の援助が得られるということになれば両国のためにいいじゃないか、こういうふうなことにつきましては、逐次いろいろ折衝いたしておるわけであります。
○三浦委員長 北澤さんにちょっと申し上げますが、五時半ごろから総理大臣並びに外務大臣が渉外的な会合がありますそうですから、その事情をおくみ取りの上に適宜御質問を続けていただきたいと思います。
○北澤委員 東南アジアの問題につきましてもう一点伺いたいのでありますが、明年の六月に、三笠宮殿下が仏教の関係でセイロンの招待に応じましてセイロン国を訪問する、その途次イラン国に回られて古墳の発掘を視察される、こういうことでありまして、これはこういう国との間の親善増進のためにまことに意義深いものがある、こういうふうに思うのであります。日本からも、中近東なりあるいは東南アジア方面諸国との親善関係を増進するために、第一流の政治家が東南アジアもしくは中近東方面に旅行され、いわゆるアンタントと申しますか、親善関係の増進に努力されたらどうかと思うのであります。現に東南アジアからは、過般タイのピブン総理、ビルマのウー・ヌー首相が来訪され、また今回カンボジアのノロドム・シアヌーク総理の日本訪問があったのでありますが、日本からも第一流の政治家が行かれ、また向うからもこういう人たちを招待しまして、日本と東南アジアや中近東との関係がますます親善するということをお考えになったらどうかと思うのであります。これについて外務大臣のお考えを承わりたい。
○重光国務大臣 最近日本を訪問せられる外国の賓客が非常に多いのでございます。それらの成績にかんがみましても、今お話の意見は私は賛成でございます。そういうよき機会があったらばそういう工合に取り計らいたいと思っております。
○北澤委員 時間の関係もありますので、大体私のお尋ねしたいという点は終ったのでありますが、今日はこの程度にとどめまして、また将来機会がありましたならば、他の点について御質問したい、こういうふうに考えております。今日はこれをもって私の質問を終ります。(拍手)
○三浦委員長 本日はこの程度にいたしまして、次会は明七日午前十時より開会いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時二十一分散会