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23回国会衆議院1955/12/15

文教委員会 第6号

発言数
55
登壇者
12
会派数
2
開催日
1955/12/15

会議録

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤委員長 これより会議を開きます。  学校教育に関する件、教育制度に関する件及び文化財保護に関する件について、文部大臣並びに政府委員に質疑を行います。野原覺君。

野原覺日本社会党

○野原委員 文化財保護委員長にお尋ねをしたいと思いますが、保護委員長も御承知のように、正倉院の裏に有料の観光道路ができておるようであります。この料金を取る観光道路というものは、私どもの手元にいろいろ陳情書も参っておりますが、相当問題があるようでございます。私がこの委員会で問題にしたいのは、観光道路を設けた許可その他についてというよりも、むしろこの道路ができて、この道路をバスが走るようになったために、正倉院の宝物に影響がないかどうかということであります。これは文化財保護委員会としては一体どういうようにお考えでございましょうか、承わりたいのであります。

高橋誠一郎文化財保護委員長

○高橋説明員 この点は十分検討いたしておるのでございますが、御承知のごとく正倉院は宮内庁の所管でございますので、宮内庁が許さないという場合におきましては、むろん文化財保護委員会は不許可にいたすつもりでおったのでございまするが、宮内庁におきましては、これこれの条件を満たすならば道路を作ることもやむを得ないだろう、こういう回答をよこしましたのであります。それで舗装、植樹というようなことをいたしまするならば、まず塵埃その他正倉院に対しまして悪い影響を及ぼすものを防ぐことができるであろう、こういう考えに基きまして、ただいま申し上げたような回答を委員会に宮内庁はよこしたことと、こう考えるのであります。この条件をむろん満たさせなければならぬわけでありますが、しかしこれらのことを行わせる可能性があるかどうかということにつきましては、建設省並びに運輸省の意見を徴したのでありますが、可能性あり、こういうことでございました。しかしながらこの私鉄道開発会社、今度観光バスを経営いたしておりますものに、果してこれを行いますだけの誠意があるかどうか、実は私どもといたしましてははなはだ疑わしいのでありまして、これまで誓約書であるとかいうようなものを二回もよこしておりまして、十分文化財保護の点は尊重するということを申しておるのでありますが、言葉の上ではさよう申しておりますが、実行の上におきましてはなはだ遺憾なものがあるのでありまして、法律を知らないとか何とかいうようなことで、どんどんまだ許可も得ないうちから道をつけてしまうというようなことをやっておるのでありまして、かぐのごとき会社に許しまして、果してこれをよく行うことができるのであるかどうか疑問がはなはだ深いのでありますので、関係方面、ことに奈良県の公安委員会そのほかの意見を十分に徴しまして、その上でさらにこの問題をわれわれの方の専門審議会にかけまして、その答申を待って文化財保護委員会で善処したい、かよう考えておりまして、これまでこの会社のやりましたものの中で、原状変更の許可を得ないでやりましたものなどは原状に回復させるということ、すなわち建てました建物などを撤去させるというようなことはぜひやらなければならぬと考えられておるものもあるわけであります。むろんこの文化財の保護を第一と考えておるのでありますが、観光というような点も考え合せて委員会は決定を行いたい、こう考えておりまので、いましばらく関係各方面との協議を遂げました上におきまして、ただいま申しましたような手続を経て決定いたしたい、こう考えておるのでございます。

野原覺日本社会党

○野原委員 委員長としては善処しなければならぬと判断される、こういうようにも受け取るのでございますが、御承知のように正倉院は宮内庁の所管になっておりますけれども、しかし文化財保護委員会というのは、その目的にもございますように、たとい宮内庁の御物ということで宮内庁の所管でありましょうとも、文化財の保存あるいはその活用をはかるとか、国民の文化的向上に資するとか、世界文化の進歩に貢献しなければならないとか、そういう使命を持っておられるのが文化財保護委員会でございますから、この目的、使命から考えても、私は正倉院の裏の有料の観光道路、しかもここをバスが走ることによって、非常な塵埃が起るし、あるいはまたタイヤの粉末あるいはガソリンのしぶき、油煙、そういうものが飛散することは明らかであります。そうなりますと、あの正倉院の中にある天平時代の世界的な宝物というものは、一体化学的な変化を起すのか、起さぬのか、そういうことについても、文化財保護委員会としてはこれが御物で宮内庁の所管でありましょうとも、やはり私は法の目的に照らして、これは正当に判断をして、問題があるということであれば、宮内庁に具申をするなり、意見書を送るなりして、私はあの有料の観光道路をバスが走ることだけはぜひとも食いとめなければならないものではなかろうかと思うのであります。ところが残念ながら、非常な問題を起しつつ、しかもあそこに観光道路が開設をされて、今日バスが走っている。しかも私の質問に善処すると申されますけれども、今日までかなりの期間そういうふらちな行いが黙認されてきていることに問題があろうかと思います。この点について委員長としてはどのようなお考えを持っておられますか。簡潔に御答弁願いたいと思います。

高橋誠一郎文化財保護委員長

○高橋説明員 黙認いたしておるのでございませんで、ただいま申し上げましたように、私鉄道開発株式会社に対しましては厳重にその違反を責めておるのでございます。それから正倉院の御物に対します影響につきましては、御承知と存じますが、宮内庁の中に正倉院委員会ができておりまして、この方でも十分に検討しておるのでございまして、その答申を待ちまして、宮内庁の書陵部長の名前をもって先ほど申し上げましたように、これだけの施設をいたしますならば許すこともやむを得ないであろうという回答を得ておりますので、おそらく言われておりますほどの心配はないのではないか、十分に舗装その他を行いますれば……、こういう意見が相当われわれの耳に入っておるのでありますが、果してその心配がないかどうか、これは今申し上げますように、これを励行させる可能性と、これを行います誠意とに待たなければならぬのでありますが、そういう点を勘案いたしまして、専門審議会にかけまして、その答申を待って決定したい、かように考えておるのであります。

野原覺日本社会党

○野原委員 そういたしますと、道路の許可書はまだ出されていないわけですね。その有料観光道路を今日バスが走っておりませんかどうか。

高橋誠一郎文化財保護委員長

○高橋説明員 東側の道路はまだ許可をいたしておらないのであります。そして西側、北側でございますが、これは初めに許可いたしましたものと違ったところに道をつける、今までまっすぐに通すべきものでありましたのを、今度は弓なりに通すということになっておるのでありますが、この点は大した影響はないと考えるのでありまして、まっすぐに通しますよりは、考えようによりますと、あるいは弓なりの方がかえって安全ではないかというような考えもあるのでありまして、先ほど申し上げましたように、許可を得ないのに道をどんどんつけてバスを走らせる、こういうことをやっておるのでありますが、これをどういうふうに処分すべきであるか。御承知のように過料をかけましたところで、きわめてわずかなものしかかけることができないような状態にありますのでありまして、その点はなはだ苦慮いたしておる次第でございます。

野原覺日本社会党

○野原委員 影響があるとかないとかいう判断は、一体文化財保護委員会としてはどういう機関でどういう調査をされて判断されたか、私はやはり疑問があろうかと思います。御承知のように国立の文化財研究所というのがあるようでございますが、そういう研究所で、あの正倉院裏の道路を舗装してバスが走れば問題がない、科学的に御調査されてそういう御判断をなさっておられるかどうか。おそらく問題はないだろうでは、やはり国宝の保存に非常な汚点を残すことにもなりまするから、一体どういう機関で、どういう方法で問題があるかないかをあなた方は調べておられるのか承わりたいのであります。

岡田孝平文部事務官(文化財保護委員会事務局長)

○岡田政府委員 宮内庁の所管でありますので、まず第一に宮内庁の意見を聞きまして、結果は先ほど申し上げた通りであります。私らといたしましては、まず第一に所管の責任の官省である宮内庁の意見を聞きまして、これを十分尊重してその上で考えたいと思うのでありますが、ただいまの御質問の、しからば文化財委員会としてどういう調査をしたかということでありますと、もちろん科学的に私どもみずから道路の実情を究明するところまでは参っておりませんが、宮内庁の意見を参酌いたしまして、さらに必要がありますれば私ども十分研究いたしてみたい、かように考えております。従って先ほど申し上げました通りまだ最終的な結論を得ていないのであります。そういう点も先ほど委員長がおっしゃいました点とあわせまして十分研究考慮の上善処したい、かように考えております。

野原覺日本社会党

○野原委員 答弁が私の質問に焦点が合わぬようでありますが、一つ言葉をかえてお尋ねしたいのは、奈良の博物館長の黒田さん、それから女子大学長の落合先生、小清水奈良県文化財専門審議会長、水谷川春日神宮宮司、平岡東大寺管長、こういう非常にごりっぱな方々が連名で、あの正倉院裏の道路というものに問題があるから新しく道路を設けることは許可しないようにという陳情書なり、お手紙なりが文化財保護委員長のもとに来ておるかどうか、もし来ておるとすれば、そういう専門家の御意見に対して、たとえばこれは宮内庁の所管であるから宮内庁がやるということであればやむを得ないということでなしに、やはり保護委員会として問題があるということで、宮内庁に積極的に——国に文化財研究所の機関もあるから、いろいろな科学的な調査をし、また予算も持っておることでございまするから、やはり宮内庁に意見を開陳すべきものではないかと思うのですが、あなたの方は宮内庁に対してはこれは宮内庁まかせで、宮内庁の御物であるからということで放任されておられるのかどうか、宮内庁に何らか意見の具申でもなさったことがございますかどうか、その点承わりたいのでございます。

高橋誠一郎文化財保護委員長

○高橋説明員 ただいまお話になりました黒田源次氏、落合太郎氏そのほかの方々の連名によりまして出されております文書は、われわれもとより早くこれを受け取りまして見ております。それからなお私奈良へ参りました際に黒田管長そのほかの方々とも会いまして、この問題につきまして十分意見を聞いておりまするし、ことにああいう文書の出まする原動力になったのではないかと思われまする人物に高沼という方がおりまして、この高沼君とは私二回会っておるように記憶いたします。一度は文化財保護委員会に参り、一度は私奈良で会ったのでありますが、非常に熱心な人でございまして、この意見も十分に聞きまして、そしてこの点を宮内庁の正倉院委員会の方にも通じておいたのでありますが、ただいま申しましたようにこれらの点を考えまして、われわれといたしましては専門審議会というものがございまするので、この専門審議会の諸君の研究に待つこと、もう今日におきましても非公式にはそれぞれの専門の学者の意見を聞いておるのでありまするが、やがてこの委員会を開きまして、この問題を付議いたしまして、その答申を待って委員会の態度を決したい、こう考えております。委員会は御承知と存じまするが、事務局と専門審議会がございまして、その上に委員会がつまり乗っておりますのでありまして、これらのものの考えを十分に聞きましてその態度を決したい、こう考えておるのでございます。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤委員長 野原君、簡単に願います。

野原覺日本社会党

○野原委員 これで私は質問を終りたいと思いますが、これは委員長も御承知のように、正倉院当局はあの世界的な宝物を保存するために空気の密度、空気の純粋度を大阪の気象台、奈良の測候所に依頼して調査をしているぐらい、実は神経をとがらせておるのであります。しかるに今私が尋ねておる問題は、ある一つの営利企業者が——私は悪質かどうかはここでは申し上げませんけれども、私の調査した範囲では確かに質はよくない、勝手にそういう世界的な宝物を保存してある正倉院からきわめて近いところの裏に有料の道路をこしらえて、そうして知事が反対をして許可もしないというものにバスを走らせる、こういう野蛮未開の状態にひとしいようなことが行われておることに対する文化財保護委員会のあなた方の処断の仕方というものは、はたから見ておってまことに歯がゆいものがあるのであります。  そこで私は、委員長からもいろいろ御答弁を聞きましたからこれ以上は申し上げませんけれども、これはやはり専門の審議会なり事務当局なりが十分一つ科学的な調査をやって、問題があるとすれば許可をしておっても取り消すべきだ、それから許可をしたこと自体も問題がある。これは建設委員会所管に属しますから私はやめますけれども、どうか一つ思い切った態度でこれらの宝物保存ということに当ってもらいたい、私はこのことを期待いたします。もしあなた方の今後の処断の仕方について手ぬるいものがあれば、私は次の通常国会で速急に質問をして、問題を大きく引き出したいと思いまするから、すみやかなる御処置のほどを御要望いたしまして質問を終っておきます。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤委員長 加藤精三君。

加藤精三自由民主党

○加藤(精)委員 本日は重要文化財保護委員長に対する御質問と、それから初等中等教育局長、管理局長、大学学術局長の御三人に対する質問を逐次簡略に申し上げたいと思います。よろしくお願いいたします。  第一に重要文化財保存についてでありますが、私たちは重要文化財の保存そのものが、現在及び将来の国民文化に非常に大きな貢献をすることを信じておるのでありますが、単なる回顧的な趣味に堕するような保存行政であってはいかぬように考えます。そういうような意味におきまして、私特に強く考えておりますのは、明治という時代がわが国の歴史及び世界史上におきましても非常に特殊な地位を持っている時代だと感じまするし、また国民精神形成上も、現実のわれわれの精神の開拓の上におきましても、非常な力を持っている時代だと思うのであります。そういう意味におきまして、明治文化の保存につきまして、重要文化財保護委員会におきましてはどういうふうなお考えで事務を処理しておられますか。事務という言葉は非常に行政的な言葉ではございますけれども、保存事業の運営をしておられますか。その指定の方針に明治時代のものをどれくらい取り入れておられるかということ、それから将来それをどういうふうに発展させていくかというような点について、まずお尋ねいたしたいと思うのであります。

高橋誠一郎文化財保護委員長

○高橋説明員 実は文化財保護行政もなかなか明治までは及ばなかったのでございまするが、ただいまお話のございましたように、明治文化の重要性を考えまして、次第に明治時代の文化財にも保護を及ぼすという態度をとって進んでおるのでございますが、調査がまだ十分に行き届いておりません。たとえば絵画のごときものでありますると、どこまでこれを保護の対象とするか、なかなかこれは議論があったのでございますが、狩野芳崖、橋本雅邦、この辺にしばらくとどめておこう、あるいは菱田春草にまで及ぼそうかということもあったのでございまするが、そこまでいくとさらにもっと多くならなければならぬというようなことで、さらに十分研究をいたすということになっておりまするし、そから建物などにおきましてもだんだん明治時代のものに及ぼしたいという態度をとってきておりまするので、明治の貴重な文化財は次第に保護の対象になって参ることと存じます。

加藤精三自由民主党

○加藤(精)委員 ただいままだわが国の重要文化財の行政の中に明治のものはちょっと足をかけ始めた程度のところであるということは、非常に私たちは不満なのでございますが、これらわが国の現実の文化が、国際的に世界各国の文化の中で最も崇高な民族文化の精髄を伸ばすという非常に火急な時期に際しまして、現実の日本文化の直接の生みの親であるところの明治文化について、少し軽く扱い過ぎていないかというような気持が非常にするのでございます。しかもラフカディオ・ハーンとか、そういうふうな外国人にして日本に帰化した者の残した文化や、そういうふうな遺跡的なものの保存については相当日本国民は関心を持っておるのでございます。たとえば明治文化を形成した、もっと現実的な影響を現在の文化に及ぼしているところの諸他の劇作家とか、あるいは小説家とか、あるいは建築家とか、そういうものの業績の保存等は、日本建築が木造であったり、あるいは材料がきわめてこわれやすいものでできておったりするような関係から、非常に加速度に崩壊していくものであると思うのであります。そういう面から見まして、もう少し具体的な努力をしていただけないものかどうかということを考えております。それにつきまして実務的に考えまして。府県の重要文化財の中には国の文化財の指定よりもずっと明治の年代に食い入って指定がされておるかどうか、その点は大体国の文化財指定の年次にとどめて、府県の重要文化財の指定の方も統制しておられるわけでありますか、その点を承わりたいと思います。

高橋誠一郎文化財保護委員長

○高橋説明員 むろんわれわれ明治を軽視しておるのではありませんで、ただいま申し上げましたように、ただその研究がはかどらないためにおくれておるのでありまして、まことに遺憾に存ずる次第でございます。それから各府県における文化財保護の点は、国で指定するものよりも重要性が少いとでも申しますか、そういうようなものにまでずっと及んでおるのでありまして、各府県と中央の文化財保護委員会とは緊密な連絡をとってやっております。先ほど一例としてお引きになりましたラフカディオ・ハーンのものにつきましても、島根県と富山県と両方で、ハーンの残しましたものを持っております。これで全部とは申せないのでありますが、おもなるものは大ていあると存じます。そこで十分よく保存されていることと存じますが、さらに調査をしてみます。そのほかハーンの持っておりましたもの、あるいは書きましたものなどが時折市場に現われるのでありますが、それらの中にも必ずしも重要なものがないとは言えないのでありますが、これらのものも篤志家の手に入り、あるいは学校そのほかの施設の所有に帰しまして相当よく保存されておるのではないかと存じます。ただいま具体的な内容を申し上げることはできないのでありますが、明治文学方面は割合よく保存されておるのではないかと考えますが、この点におきましても遺漏のないようにはからいたいとば考えております。

加藤精三自由民主党

○加藤(精)委員 私の申しました重点はそういう点ではなくて、ラフカディオ・ハーンとか、そういうような外国人が日本にきてなされた業績については、文部省の力を待たぬでも国民が相当力を入れて保存されているけれども、最も身近かな日本人自身の女化に貢献した樋口一葉とか、夏目漱石とか、有島武郎とか、正岡子規とかいうような人の業績について博物館的に保存するような気風を国民としてはなかなか持ちかねるので、重要文化財保護委員会でもう少し力を入れていただいたらどうかということを私たちは希望するのであります。私の郷里のことを申し上げるのは、こういう席上では大へんいけないことかもしれないが、高山樗牛なんていう文学者は、それ自体の文学的な点等については大へん批判があろうと思いますが、明治の文化の濫觴期にこれを推進したという意味においては非常に大きな功績を持っておると思うのでありますが、これらの保存につきましても、どうしても世論がまさにあるべき姿の保存施設の程度ほどに燃焼してこない。それから私の郷里では明治十二、三年ごろの建築がございまして、そうしてこれらはみな官庁になっているのでありますが、これの改築を県の方が施工しようといたしまして地域の市町村長等に協議する際におきましては、それらを失うことは大きな明治文化の遺物を失うことになるのでありますので、一せいに反対するのでございますが、しからばその保存法ということになりますと、財政関係その他で制肘をされまして十分に参らぬのであります。最近は県が重要文化財であるところの公共建築物、これは警察署になっているのでありますが、それを警察制度の改廃に伴いまして、不用物として処理するために重要文化財から解除しております。県の指定を解除しております。こういう建築物は明治の初年にその建築物ができましたときに、西洋建築の様式を取り入れてくぎを一つも使わないで作ったと言われている四層楼の建物でございます。これは実は特殊な明治建築の様式を持っている、しかもこれができましたときには、付近の十数里の外からも一週間ばかり毎日この建築物を観覧に弁当持ちで来たわけです。三島通庸の設計になると言われておるのであります。そうしたものがむざむざと破壊をされまして、そうして明治の文化の遺跡を失うことを非常に残念に思っておるのでございます。具体的に種々の問題がございますが、そういう問題につきまして十分な御関心を持っていただきたいと考えるものでございます。重要文化財保護委員長さんに対する御質問は以上でもって終りますが、御答弁があればけっこうですが、なければそれでもけっこうでございます。  次に初等中等教育局長さんにお尋ねしたいのでありますが、最近占領行政の是正ということを叫ばれておるのでございますが、私は教育内容についての問題は専門でもございませんし遠慮するのがしかるべきだと思いますが、この日本の教育制度、教育施設の外形的面につきまして二、三お尋ねしたいと思うのであります。と申しますのは、占領当時各府県の軍政部、または何といいましたかあとで名前が変ったと思いますが、そういうところの中に教育の指導官みたいな方がおりまして、そうしてその方たちの——多分それは大部分の府県におきまして米軍将校だと思うのですが、その指導によりまして、学校の配置や規模の問題、それから男女共学等の問題、それから学区制の設定等の問題につきまして、種々全国的に不均衡なる指導が行われたように聞いておるのでございますが、将来独立国となりまして日本独得の教育行政を実施して参ります上におきまして、そういうことは非常に基礎条件になり、出発点になるものだと考えておりますので、そういう指導の実態について、突然の質問でございますから計数的なことは私は要求いたしませんが、大体方針において、関東とか関西とか、あるいは米軍占領地域とか、英軍占領地域とか、そういう方面にわたりまして大体の概観をお聞かせいただきたいと思っております。

岡田孝平文部事務官(文化財保護委員会事務局長)

○岡田政府委員 先ほど各府県の文化財保護条例で明治明代のものを指定し、かつ保護させるように指導しているかというお話しでありましたが、府県でもって条例を作りまして文化財保護をいたしておりますのは、もちろん明治時代のものも相当に各府県にあると思います。従って私どもも時代の新しいものは国でただいま指定して保護するまでに至っておりませんので、取りあえず府県でやっていただきたいという指導方針でございます。なおお話しの明治時代の各文化財につきましては、私どももちろん十分な関心を持っておりまして、漸次具体的な措置を進めて参りたいと思っておりますが、今のところは、やはりどうしても国が直接に手を下してこうしなければ滅びるというもの、すなわち古いものからまず取り上げまして、漸次お話しのようにしていきたいと考えております。

緒方信一文部事務官(初等中等教育局長)

○緒方政府委員 ただいまの御質問でございますが、占領下において当時の軍政部の指導によりまして、全国的にその指導が区々になったために違った条件があるんじゃないか、こういう御質問でございますが、私ここで的確に申し上げる資料も用意しておりませんので、十分お答えはできないと思いますが、私ども承知いたしておりますところでは、特に高等学校の問題等につきましてそういう点があったように存じております。たとえば、総合制、単独制の問題がございます。これらにつきましても、地方によって、その指導によって総合制をとった地方と単独制で進んで来た地方があり得るのであります。なおまた学区制等につきましても同じような傾向があるように存じております。概括的に申しますと、日本の西の方に総合制、京都とか宮崎とかいったようなところに総合制の高等学校が多く指導されて、現在もそれが行われておるというように存じます。学区制も、西の方が概して小さい学区制が多いのでございまして、東、北の方が割合に大きい学区制がある、かような状況が当時あったやに存じますし、その基礎がございますので、その上に今日の学校の運営が築かれて来た、こういう状況であろうと思うのであります。十分なお答えができませんが、高等学校の面につきましてはそういうふうなことがあることを申し上げておきたいと思います。

加藤精三自由民主党

○加藤(精)委員 ただ一つ。総合制をなるべくとるように指導の多かったところには、男女共学をできるだけやるようにというような半強制的な指導が行われておったものであるか、そうしてそれが現在にも影響してそういう実態が残っておるか、その点ちょっと一つ。

緒方信一文部事務官(初等中等教育局長)

○緒方政府委員 男女共学につきましては、全国的に新しい教育として取り扱う方針がとられておりますので、大体どの府県も男女共学の線に進んでおりますけれども、特に今申しましたような地方におきましては、やはり総合制等の問題に関連いたしまして強く指導せられて進んだようである、こういうことは関連してあったと思います。

加藤精三自由民主党

○加藤(精)委員 非常にしつこいようですけれども、その考えを展開するキー・ポイントになりますのでお尋ねしたいのですが、関西地方に総合制を非常に強力に取り上げて高等学校行政をやったところがあるということ、それが現在もまだそのまま残っておるような話でございますけれども、現在も残っておりますような地帯におきましては、特に男女共学が強く行われておりますのかどうか、それだけお聞きしたいのであります。

緒方信一文部事務官(初等中等教育局長)

○緒方政府委員 男女共学につきましては、先ほども申し上げましたように各地におきまして行われております。ただそのときの指導として、それらの地方では特に強力な指導があったろう、こういうことであろうと思います。男女共学がくずれておるという地方はあまりないのじゃないか。ただしかし当時の中学校、女学校の所在、同じ学校の中に中学校と女学校とあって、そして生徒の希望によりまして現在高等学校になりまして、生徒の希望によって入学いたしますので、自然女学校が変った高等学校の方には女生徒が多く、中学校の方には男生徒が多い。こういうような傾向のある地方は別にあるようでごいますが、男女共学制といたしましては、大体全国的に同じ歩調で進んできている、かように考えます。

加藤精三自由民主党

○加藤(精)委員 なお、いろいろお尋ねしたいことがありますが、先を急ぎますのでこの程度にいたしまして、今度管理局長にお尋ねしたいのでありますが、実は町村合併促進法という法律ができましたときに、その法律の中におきまして、新町村建設計画というものを町村合併をいたします前に樹立しまして決定することになっておるのであります。その新町村建設計画の中におきまして学校配置の合理化とか、学校統合というものをもくろんでいるはずであるが、それは生徒数、学級数にすればどれくらいの部分が統合になるというような、そういう変化の概観をお知らせいただきたいのであります。なお時間を急ぎますので、便宜新町村建設計画におきまして、全国の市町村が学校統合をいたしますとすれば、これに対して従来の公立文教施設の二分の一助成をいたしますと、どれくらいの経費がかかるか。またその経費をかけた結果、教員の編成の合理化、学校配置の合理化、児童編成の合理化等によりまして、年々経常的にどれくらいの経費の節約ができまして、よって政府が公立文教施設の例にならない二分の一を助成しましても、何年間で助成した原資の埋め合せがつくというような大体の問題について、明年度予算編成も近いことでございますから、私たちは町村合併促進と教育行政の正常化を企図する上からお聞きしたい。どういたしましても、一学級、二学級の学校はとにかくとして、四学級、五学級の学校になりますと、たとえば芸能科方面の先生とかその他優秀な先生がその学校に一人いるということは、教育の水準を非常に高めることだと思うのでありまして、五、六学級平均の中学校よりも十二、三学級の中学校の方が、生徒児童の学力を涵養する上において、また身体上、精神上の諸般の要素を伸ばす上におきまして有効であるのではないか。同時に地方財政の上におきましても、相当の合理化ができるのではないか、そういうふうに考えますので、そういう観点から大体の概観をお知らせいただきたいのであります。

小林行雄文部事務官(管理局長)

○小林説明員 お尋ねの町村合併に伴う小学校あるいは中学校の統合関係のことでございますが、現在までにいわゆる新町村計画に載せられておる学校統合の計画数は大体一千百十五校ということになっております。この一千百十五校に統合される前の学校数は、大体二千十六校ということでありますので、約九百程度の学校の数がそれで減るというような一応の数字になっております。これを学級数で申しますと、一万二千百という学級の数が一万八百くらいに減るという数字でございまして、これはこまかに一々計算をしていかなければなりませんが、先生において約四千人程度減る。ただし事務職員につきましては約百五、六十人ふえるというような計算になっております。この計算から申しますと、大体昭和三十一年度以降約三十五万坪程度のものを建てる必要が起ってくる計算になるのでありまして、その金は約六十億円というように予想いたしております。私どもの方の推測によりますと、これがもし完成することになりますれば、年々約十億程度の金が給与の面で減ってくることになりはしないか。ただしそれには、ただいま申しましたように、年々七、八億の研究費予算を支出していただかなければならぬ、そういう促進方法を講じなければ、これはできないというような計算でございます。文部省といたしましてはただいまお尋ねの中にございましたように、この学校統合ということによりましてできるだけ教育の効果も上げ、また経費の節約もはかるという意味から、明年度の予算には、町村合併に伴う学校統合の援助の経費を国の予算に計上したいということで、大蔵省と折衝いたしておるような次第でございます。

加藤精三自由民主党

○加藤(精)委員 時間が経過しておりますので、大学学術局長に対する質問は打ち切りまして、他の委員さんにお譲りいたしたいと思います。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤委員長 小牧次生君。

小牧次生日本社会党

○小牧委員 前回の文教委員会のときに、高等学校の教育課程につきまして、大臣並びに緒方局長に質問いたしましたが、時間の関係で途中で質問をやめましたので、引き続きまして質問をいたしたいと思います。  今回の文部省がとられました高等学校の教育課程の改訂という問題は非常に重要な問題でございまして、その改訂の内容も非常な批判を呼んでおることは御承知の通りでございます。しかしきょうは時間がございませんので、そういった改訂を行う権限の所在の問題について質問をいたしたいと思うのであります。  第一点は、前回の委員会の際にも申し上げたのでありますが、教育課程の実施の権限が果して文部省にありやいなや、こういう点であります。今日まで文部省の方でとってこられました態度は、文部省の側にあるという前提のもとにやってこられたものと私は考えるのでございますが、同時にそういう態度については、異論を差しはさむことを許さないかのような態度にも見えるのであります。教育委員会がこれに文句を言っても結局はやらなければならない。法的に疑問はないからそのつもりで実施の準備をされたいというような、きわめて一方的な強硬な態度でもって臨んでおられるように見受けられるのでございますが、しかしながら先般申し上げました通り、学校教育法の上に現われました監督庁としての文部省の権限というものは、教育課程の基準の設定権でございまして、その実施については、教育委員会を拘束する根拠は私はないのではないか、こういうふうに考えておるのであります。教育委員会法第四十九条は、同じ法の第四条に定めておりまするところの権限を行使するための規定である。さらに四十九条の第三号こそは問題の中心点であろうと私は考えるのでございますが、戦前のような教育内容の国家統制、こういった傾向を防止しようとするためのきわめて重要な権限を明らかに示したもので、これは教育委員会の生命ともいうべきものであろうと私は信じておるのでございます。従って文部大臣の指揮権というものが、これに及ばないということは、これまたきわめて明らかであろうと私は考えるのでございます。それをやはり大臣であるからあるいは文部省であるからといって、指揮権がそこまで及ぶというふうに考えまするのは、これはとりもなおさず、やはり戦前の古い考え方が依然として頭にこびりついて離れない、こういう証拠であると私は考えるのでございます。しかも今私が申し上げますようなことは、過去におきまして、文部省の方自身がこのような解釈を下してこられたのでございまして、文部省組織令も教育課程の実施に関しましては、指導と助言を与えることであるといたしまして、文部省の権限の限界というものを明らかに規定をいたしておるのであります。従って学校教育法の第四十三条は、前の質問に触れたと思いますが、あくまでも基準の設定権である、そしてその編成権、実施権というものでは決してない、こういうふうに私は信じておるのであります。そこで文部省として示し得るのはあくまでも単なる基準である。教育課程そのものでは決してないと考えております。教育委員会はこの基準を受けまして、そうして独立した行政機関として、教科内容とその取扱いに関することを実施するように法律が構成されておりますことは明らかであります。文部省の画一的な指導が指揮、監督に堕することのないように、地方のそれぞれの実情に応じまして、教育委員会が実施することになっておると解釈すべきであると私は考えております。そこで時間がございませんので簡単にお伺いいたしますが、今回高等学校の教育課程の改訂の実施に当って、文部省自身がおとりになるそのような態度の権限の根拠を一体どういうところに求めてこられたのか、お伺い申し上げたいのであります。

緒方信一文部事務官(初等中等教育局長)

○緒方政府委員 ただいまお述べになりました点は、大体私も同じ意見でございます。私どもが申しております趣旨を申し上げますと、高等学校の教科に関する事項を定める権限は文部大臣にある、こういう規定が学校教育法第四十三条にございます。国といたしましてその学校教育の水準を一定の水準に維持するということは、これはどこの国でも必要と存ずるのでありますが、日本の学校教育の方におきましても、高等学校の教科に関する事項について文部大臣が定める権限が規定されております。その権限に基きまして、今お話の通り文部省といたしましては、教育課程の基準を定めるのであります。その基準は施行規則二十五条によりまして、学習指導要領でこれをきめまして、その指導要領によって基準が定まるわけであります。このことを私どもは申しておるわけでございまして、その権限によりまして、文部省は従来の教育課程を改めまして、そして来年の四月から新しい改訂した教育課程を基準としてこれをきめる、こういうことであります。従いまして今お話のようにその範囲におきまして、各府県あるいは学校におきまする教育課程、教育計画をいかように組織し、記画していくかということが、まさに教育委員会の権限であり、学校のやるべきことでございます。そのことは私どもは何も申しておるわけではございません。その点は今の御趣旨と全然同意見でございます。ただしかしそれを教育委員会がその府県におきまする教育課程を具体的にきめます場合に、法律の規定に基いてやらなければならぬことは当然でありまして、今の学校教育法の規定のもとにおいて文部省が定めましたその基準の範囲内においてこれを行わなければならぬ、こういうことを申しているわけであります。従いましてもしその基準に違反をする、それに沿わない教育課程をきめるということは、これは違法である。かように申しておる次第でございまして、文部省が各県の教育課程を具体的にきめていくというようなことは、一つも言っておるわけでございません。

小牧次生日本社会党

○小牧委員 時間がございませんので詳しくお伺いすることができないことを非常に遺憾に存じますが、要するに今おっしゃったことは、学校教育法の四十三条に基いて今回のような態度をとった、こういうことでございますが、同じようにこの第四十三条の解釈につきまして非常に見解が大きく分れて参るのであります。これはおそらく局長も御存じだろうと思いますが、各都道府県の教育委員会なりあるいはその他の大多数の関係者の間におきましても、まず第一にその権限の根拠について今日までいろいろ研究がなされ検討がなされまして、先ほど私が申しましたように、なるほど文部省はこの法に基いていろいろ措置をされますが、それはあくまでも基準の設定権である。しかしながらこの基準を受けて、それぞれの地方の実情に応じてこれを編成していく、実施するというのは、それぞれの教育委員会にある、こういう考え方である。そういう考え方に立って私どもが今回の態度を見ますときに、それはあくまでも都道府県教育委員会の方においてこれを受けなければ、そういったことを実施することは許されない。それをまだ十分研究をなされておらない今日の段階におきまして、あなた方の方でそういったことを一方的に実施すべきであるということを通達なり御指示をなさいましても、これは非常に無理があろうと私は考えておるのである。  またこれに関連して今答弁をなさいました学習指導要領の問題でもございますが、これにも非常にいろいろ異論があるのである。この学習指導要領の解釈につきましてはいろいろあろうかと思いますが、今日までとってこられた態度をながめてみますと、非常にこれを拡張して解釈してこられておる。それは法律で委任された省令に基いて作られたものであるから法的な拘束力を持っておる。そうして教育課程の基準である、こういうふうに指導要領を法的に意味づけていこうとしておられるようである。しかしながら文部省の権限といたしましては、そのまま実施される基準では決してないと私は考えております。もしこれを肯定いたしますとするならば、従来たくさんのものが文部省の方から発行されておりますが、そういった指導書はすべて法的な拘束力を持つということにならざるを得ないのではないか、こういうふうに私は考えるのでありますが、指導要領が学校教育法施行規則第二十五条に基くものでもありませんし、また文部省の組織令第九条第一号のロにいうところの教育課程の基準でもないということは、私は明らかであろうと考えておるのである。文部省が教育課程につきまして直接の権限を持っておらない。これを拡張して解釈いたしまして、そうして拘束力を強めまして、教育内容の支配をはかっていこうとされるかのような態度に見受けられまするのは、先般私が質問の目頭に申し上げましたように、こういったことを通じて戦前の態勢に逆行するというような批判を免れないのではないか、こういうことを申し上げたいのであります。私はもうそうであるとするならば、今日そのようなことは断じて許されるべきものではない、かように考えておるのでございますが、これに対する御見解を承わりたいのであります。

緒方信一文部事務官(初等中等教育局長)

○緒方政府委員 ただいまの法律の問題でありまするけれども、これは先ほど私がお答えしたところで尽きるのじゃないかと思いますが、文部省といたしましては教育課程の基準をきめる、これは御説と同じであります。それを具体的に県で、いかにその県の実情に即する教育課程を具体的にきめるかは、県の教育委員会のいろいろなきめ方がございましょう。あるいは教育長に専決させる、あるいは学校に委任するとか、いろいろな規定があろうかと思いますが、それは県の教育委員会できめることは当然だろうと思います。ただそれをきめる場合に、地方公共団体の行政機関としての教育委員会が仕事をいたします場合に、法律の規定に基いてやることは、これはまた当然でございまして、それはあたかも教育委員会に人事権があって、その人事権を行使する場合に、公務員法の規定に基いてやらなければならないということと同じだと思うのであります。そういう意味におきまして学校教育法四十三条によって文部省がきめました教育課程の基準によってこれを行わなければならぬということは当然だろうと思います。ただその基準と申しましても、これは教育課程の問題でございますので、示しました基準の中におのずから厳格に守ってもらわなければならぬ基準と、裁量の余地の広い基準とあると思います。従いましてその弾力性の範囲内におきまして、各学校あるいは各県におきまして具体的な教育課程をきめていく、こういうふうに相なると存じます。二十五条に示す学習指導要領の性格がはっきりしてないということでありますけれども、私どもは四十三条の規定によってできておりますその省令の学習指導要領の基準に基くことでありますので、文部省のきめる学習指導要領が解釈の基準になっております。かような解釈をとっております。

小牧次生日本社会党

○小牧委員 時間がございませんので、これで質問はやめますが、ただいまの四十三条の解釈の問題あるいは基準の設定権、あるいはまた教科内容とその取扱い、これに関する解釈の問題等私どもといろいろ見解が違うのであります。これ以上申し上げませんが、同時にもしかりにあなたのおっしゃるようなものであるといたしまして、これを肯定するといたしましても、全国各都道府県の間におきましては私どもと同じような、またこれに近いような考え方を持っておられるところも非常にたくさんあり、重要な問題であるので、もうしばらく十分研究の期間を与えてもらいたい。教科書も不足いたしておりますし、また教職員の編成、配置の問題など広範に影響のある問題であるので、これを来年度から短兵急に実施するという強硬的な態度をやめて、もう一年十分研究の期間を与えてもらいたいというような意見が非常に圧倒的に多いのである。こういう点も文部当局におかれまして十分お考え願い、御反省を願いたいのでありますが、時間がございませんので、これでやめまして、いずれ通常国会におきましてさらに時間を与えていただきまして、この問題について文部省の御見解を詳しく承わりたいと存じまして、私の質問はこれで終ります。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤委員長 辻原弘市君。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 大臣がお見えになりましたので、大臣に二、三の問題について御所見を承わりたいと思います。先般大臣が就任されまして発表になりました教育政策の中に、従来と違った問題を一つ大きく取り上げております。それは文部省のそれぞれ義務教育に対する権限、こういったものを強化したいというそういう一項があったように記憶しておるのでありますが、文部省のいわゆる権限強化という問題、この点がその言葉だけを受け取りますと、これは非常に問題を含んでおりまして、少くとも分権制度の今日において中央官庁の権限を強化するなどということは、これは世論もなかなかその問題に対してはきびしいと思います。しかしながら就任早々、しかもまたこれは清瀬大臣一個人だけのお考えにとどまらず、大臣の属していらっしゃる自民党においてもこの考えを非常に強く打ち出されておるように私は承わっておるのでありますが、そういたしますと、それにはそれだけの理由がなくてはならぬと思うが、特に大臣が文部省の権限が現在の法規の範囲内において非常に不都合であるというようなことにお気づきなさったのか、一つ具体的に例証をあげて私に納得のいく御説明を賜わりたいと思います。どういう点に不備があるのか、法律上どういう点に欠陥があるのか、また実際の行政を執行していく上にこういうような矛盾、こういうような教育上のマイナスを来たしたという点がおありにならなければ、この問題を提起なさらないと思いますので、一つ具体的に簡潔にお教えを願いたいと思います。

清瀬一郎自由民主党文部大臣

○清瀬国務大臣 私は文部大臣の権限強化とは申さなかったと思うのであります。党では国の責任と監督の明確化といっておるのです。国は日本人にすべて機会均等の教育を与える責任を持っておるのです。それゆえに、国費の大方十分の一ぐらいの金を使っております。一兆の予算で一千数百億の予算を使っておりますこの重大な責任を持つ以上は、これがどういうふうに運行されるかということをやはり監督、監視しないと、監督も監視もできないことについて責任を持つということは無理な話でございます。もっとも教育の法規をずっと調べてみると、何もしてはならないとは書いてございませんけれども、責任の限度、監督の限度が実に不明確でございますから、それを明らかにしようと思ったのです。この席で先日申し上げたかしりませんが、これは新聞に出ましたけれども、この間東京の高千穂高等学校で上級生が不級生をビンタと書いてあるが、頭をなぐることでしょう。それが行いが悪いから愛の仕事だといって若い者を導くならばそれでもいいのですよ、しかし映画の切符を買えとか、銭をくれとかいうことをやるのですね。これは刑法上の犯罪ですよ。それが非常に行われて、ついに下級生は学校に行かなければお母さんにしかられるし、行けばなぐられるし、仕方がないから井の頭公園で半日暮らして帰る、こういうふうな記事が出たのです。私も子供を持っておりますので、非常に心痛して、文部大臣として私も責任を持たなければならぬと思いましたけれども、しからば一体これを文部省でどう処理するかということを調べてみても、ちょっと手がつかないのです。そういうことについて、もう少しそういうことの明確化ということにいかなければならぬと私は思う、こういう心持ちなんです。言葉は足りませんかもしれませんが、御了承を願います。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 結局直接法規を見てみますと、設置法の中には適当な指導と助言を与えることができるとあります。これが私は現在の大臣並びに中央官庁に法律上与えられた権限だと思う。もちろん立法に特別の定めがある場合は、その限りではないでありましょうけれども、しかし少くとも教育に対する大臣のお立場というものはそうだろう。そういたしますと、言葉のあやはともかくとして、その監督ないしは権限を明確化しようということは、とりもなおさず直接教育全般に対して指揮監督権というものを強化されよう、こういうふうに解釈されるわけです。それ以外に明確にされる道がありますか。あるいはおありになるとすれば、少くとも打ち出される以上、相当な構想がなければならぬ思うので、かかる権限ははっきり地方、こういう権限ははっきり文部大臣、こういうふうに分割されるのか、その辺のところがお言葉だけではきわめてあいまいでありますので、これは教育行政に対する重要な問題でありますから、もうちょっとお答えを願いたい。指導と助言という現在の法規で不十分である、従ってそれを一般的に広げようとなさるのか、それらの点についてお答えを願いたい。

清瀬一郎自由民主党文部大臣

○清瀬国務大臣 責任とつり合ったように監督を明確化するつもりでございますが、具体的な方法は、過日も申しました通り、有力なる審議会を内閣におきめ願って、各方面の意見を取り入れ、万遺漏なきものを作りたい、かように思っております。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 大臣は今までしばしば委員会に出られましたが、まことに慎重な態度でありまして、重要な部分はすべて審議会にと逃げ込んでしまう。しかし私はこの間申し上げましたように、やはり大臣にはそれ相応のお考えがあってしかるべきだ。ここは文教委員会でありますから、大臣がこうお考えになっておられると赤裸々にやはり国民に話され、さらに大臣のお考えも赤裸々に審議会に話されて、その意見をまとめられるのが、やはり至当ではなかろうか。そういう点はなはだ私は大臣の教育に対するお考えが、あいまいもことしてわかりません。少くともこういう点を私も感じておるというような反省があってしかるべきだと思いますが、それがないことははなはだ遺憾であります。大臣は今非常に不明確である、こうおっしゃられました。私は不明確ではなしに、現在の分権制度の建前がそうなっておるのだ、こう解釈しますけれども、しかし時折いわゆる明確に分れておる権限を、不明確に行使しようという例証があります。これを一例あげてみると、今同僚小牧君が問題を提起いたしました今回の高等学校の教科課程に対する文部省の法的見解、これも私はきわめて独断的な行政解釈を下しておるものと判断せざるを得ない。そうして助言と監督という域にしか出ない。しかも教育委員会に本来与えられた、教育に対する権限を行使する事務内容が、法律上区分されておるわけであります。それを都合のいいときにはその事務内容は、これは文部省の定めに従ってただ取り上げただけの規定であるという一方的な解釈を下しておる。しかし私はここで事務当局と法律論争をしようとは考えておりません。しかししばしばそういった違った解釈が文部省の行政解釈として出ておるということを、少くとも御記憶なさってよろしかろうと思います。たとえば例をあげてみると、かって山口県に問題が起りました当時、これは大運文相の当時であったと思いますが、その当時の委員会の権限として、いわゆる教育委員会法に定められている四十九条の事務というものは、これは教育に対する全責任を持つ教育委員会の権限に属する事務である、従ってその行使はいかようになさろうとも御自由であるという解釈をされて通達を発せられたはずであります。しかるに今回は教育委員会の教科に対する取扱い、執行というものは、これは学校教育法四十三条に定めるその基準に順応しなければならぬと書いてある。さっきの緒方局長の説明によれば、その定めた基準の範囲内においてこれを実施する責任を持つものだ。私は常識的に言うならば、あなたの解釈はわかります。しかしここで小牧君の尋ねたのは法律の解釈であります。法律解釈をあいまいとして、基準があるから当然それに順応すべきだという解釈は通らない。一体それを否定できるのかどうかという厳密な解釈を要求しておる。そうすれば四十三条で基準が定められておるが、しかしながらその教科の内容を設定し、執行させるものは教育委員会であるとするならば、教育委員会が少くとも本来の教育の趣旨からはずれない限り、その教科内容を設定してしかるべきであるという法律解釈論は、当然行われて私は間違いではないと思う。しかしそういうことは今あなたにはお尋ねをいたしません。大臣にお伺いをいたしたいのは、そういう解釈論がいろいろ行われておる。これは私が申し上げるまでもなく、法律学者の中にも、あるいは教育学界の中においても、文部省の解釈と対立すべき解釈が行われている。これを称して大臣が不明確といえば一つ不明確になる。しかしそういう事態の中で起っている問題は現実の問題であります。そこで十一月二十九日だったかと思いますが、全国教育委員会の会合において、実施が非常に困難であって、再検討をわずらわしたい、そういう決定をもって文部省に参られたことは、大臣も御承知だろうと思います。その内容を一瞥してみますと、なかなか今回のこの改訂をそのままに実施することは非常な困難が伴う、従来の高等学校教育の根本にも触れてくるような問題が伴うので、若干その施行を延期してもらいたい、そうしてなお地方教育委員会の要望もいれて、いま少し検討してもらいたいという、まことにこれは私は妥当な御意見だろうと思う。しかもいろいろ教科内容を検討した結果、すでに実施不可能であるという結論に至った教育委員会も存在している。名前はあげませんけれども、私は聞き及んでおります。また東京の教育委員会においてもいろいろ論議されておる、これまたきわめて慎重な態度であって、そのまま来年の四月にスムーズな切りかえが行われるとは今の論議の状況から見て考えられない。しかし私どもが今までこの問題について尋ねてきた文部省の態度は、そういうような混乱が起らない、またこの教科内容が金科玉条のものである、こういう態度できた。その後に起ってきた世論というものに耳をかさないという頑迷固陋な態度であります。私は国、地方を通ずる教育が、かかる現状においてスムーズにいくことは万々あり得ないと考える。そこで政治家であらせられる、しかもまたリベラリストであらせられる清瀬文相が、こういう事態についてそれでけっこうという頑迷固陋の態度をおとりなさろうとは私は考えない。何か政治的に達見を持ってこの事態に対処されることを私は予想しておるのでありますが、一体どういうふうにお考えなさろうとするのか。教育委員会の中に実施できないようなものがあるにかかわらず押し切ろうとするか、それともあらためて、私が大臣になったのだからもう一度一つ教科課程審議会でも構成して、もう少しその他の意見も取り入れてスムースな切りかえをやろう、こういう大英断を振われるか、私は非常に興味のある問題だと思って、清瀬大臣の高邁な御識見に期待している一人であります。いかがでございますか。

清瀬一郎自由民主党文部大臣

○清瀬国務大臣 高邁な識見を持たないのではなはだ恥じておりますが、今の御発言の前段のこと、すなわち学校の教科内容が学校教育法四十三条等でできるのかできぬのかということも、はやこれは不明確ですわね。教育専門の立法者であられるあなた方はそれはできないとおっしゃるし、文部省はえ抜きの緒方局長はこれはできるのだという、やはり不明確ですから、明確化の要求があるのですね。それから高等学校の教科のことです。私しろうとでありましたが就任即日から書類を取り寄せてよく調べてみました。やはり改正の方が今よりよろしいです。良心的に私は改正がいいと思うのです。そこで世間はどうかというと、世間ではやはりいいということを認めておるが、一部実施を延期せよという議論もあるということも聞きまして、それも一つ尊重し、また善は急げといって、いいからはやくやってくれいという議論もあるのです。どっちか裁断せなければなりませんから、私はことしからやる方に賛成して決済したのでございます。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤委員長 時間がありませんから一つ最後に願います。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 時間に縛られているようでありますが、しばらくお許しを願いたいと思いますが、今大臣が漠として言われましたが、私の非常に敬意を表することは、その内容に十分御検討をされて御見解を述べられたことであります。今度の内容の改訂で、私は中身について申し上げる時間はありませんけれども、一番の問題は、一般の普通過程の中に五つの、いわゆる進学コースなるものとしからざるものを区別して、一つの学校にそういう区別をつけておるというこのものの考え方、これが一番問題ではないか、こういうふうに考える。そういうように合理的に、しかもこの高等学校の教育といわず中学校の教育、こういうものがスムーズに行われるという確信をお持ちなさればよろしゅうございますけれども、直ちに中学校に及ぼす、ひいては大学の入学試験その他にもこれは影響してくる問題で、そういうことになるなれば、単にこれは高等学校の教科という問題だけにわれわれは考えることはできない。そこで五つに区わけしたこの進学コースとしからざるコースとが、今日の教育行政の関係上、教育の上にこういうような貢献をするのだという点を御説明いただかぬとわれわれは納得がいかぬ。むしろ大臣が言われるように、いい結果でなくして今までやって来た教育の上においていろいろな不便を生ずる、学区制にしても男女共学の問題にしても、あるいは定時制振興の上においても、いろいろな障害が起ってくることは当然であります。だからこういう点がいいのだ、こういうことを一つ明確にお答えを願いたい。

清瀬一郎自由民主党文部大臣

○清瀬国務大臣 今の御発言のうち、私どもに混乱の起らぬように注意しろということについては、非常に敬意を払いその通りいたします。コースのわけ方、は今までのような、子供でも親でもどれを組み合せていいか、実はばらばらなんですから、適当な組み合せをしたということは私はいいと思っております。もう一つは、社会科の方に今度は幾らか道徳的要素も濃厚になっております。地理、歴史の方も濃厚になっております。この二つの点は、私はしろうとが考えても大へんいいことと思います。詳細は局長より答弁いたさせます。

緒方信一文部事務官(初等中等教育局長)

○緒方政府委員 先ほどお話しの普通課程の中に進学コースとそうじゃないコースを明らかにわける、こういうお話しでございましたが、文部省が示しております五つの事例というのは、単なる事例でございまして、その地域地域、学校々々の事情に即して適当な類型が設けられることを期待しておるのであります。御承知のように高等学校卒業者で、進学をしないでそのまま就職する、あるいは家事に従事する者が七〇%くらいはございます。それがややもいたしますと、現状では自由選択制の欠陥からいたしまして、進学のために便利な科目を多く履修する、また学校もそういうふうに計画を立てる、こういう弊害がございますので、進学者だけの便利じゃなくて、今申しますような、高等学校でやめて就職したり家事の手伝いをするような子供たちのために、その教育を計画的にりっぱにできるように、そういうための類型を作る、学校でそういう配慮を十分盛った計画を教科課程に盛らせる、こういうことが趣旨でございまして、その点が今度の改訂の一つの趣旨であろうと存じます。従来自由選択制の欠点がいろいろ言われておりましたが、それを是正することが一つの趣旨でございます。  なおまた先ほど山口県の問題につきまして、文部省の見解と今度の態度が違うというお話しがございましたが、これはそうじゃないのでございまして、先般の山口県の問題につきまして出しました文部省の見解というのは、学校教育法の三十一条でございますか、学校においては有益適切な教材を使うことができる、こういう規定がございますけれども、もしこれが有益でなく、適切でなく、有害なものであれば、これは教育委員会が適当な措置をとることは当然教育委員会の権限としてあるはずであります。それにつきまして別段の法律の規定はございません。しかしながら今度の問題は、それと違うわけでございまして、教育委員会が事務をとる場合に、法律に別段の規定があれば、それに基いて事務を執行しなければならぬということは当然でございまして、今度の問題につきましては、学校教育法四十三条に基いて教育委員会が処置をしなければならぬ、こういうことを申しておるわけでございます。前後矛盾はございません。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 その問題は中途半端になりましたが、これは単に五分、十分の問題じゃなしに、非常に大きな問題を含んでおりますので、いずれ見解を十分申し上げ、ただしたい点がありますが、これは次会に譲りたいと思います。  一点ここで申し上げておきたいのは、先般来からずっと問題になっておりました久留米の九州分校のその後の取扱いであります。これは当委員会においても非常に取り上げられたのでありますが、十一月に移転されましてからそのまま放置されておるようでありますが、この移転後の措置を文部省はどういうふうに考えておるか、どういう取扱いをしておるのか、一つ所管局長の御見解を承わっておきたい。

稲田清助文部事務官(大学学術局長)

○稲田説明員 移転後の措置と申しますのは、明年度新学年を迎えて十分なる施設を整備する点に重点があると思います。その点につきましては施設部及び学校の施設課協力いたしまして、目下着々建築を進行中でございます。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤委員長 町村金五君。

町村金五自由民主党

○町村委員 時間がありませんから一言だけお尋ねしておきたいのですが、実は最近北海道におきまして高等学校の入学者の選抜問題につきまして、道の教育委員会と高等学校側との間に非常に激しい意見の対立を来たしております。私から申し上げますまでもなく、この選抜方法につきましてはすでに文部省から再々通達が出ておりまして、その通達の方法によりますれば、中学校側の報告と高等学校側の選抜試験と両様を併用するというような御通達が出ておるようでありますが、従来北海道の教育委員会におきましては、中等学校側の報告書のみで選抜をするという方針をずっと堅持いたして参りました。これがために実は高等学校側と常に激しい対立をいたしておったわけなのであります。昨年も非常に問題になりましたので、本年は文部省の通達に基いて試験方法を改めるであろうということが一般に予想されておりましたにもかかわりませず、最近道の教育委員会は再び前年同様の方針をきめてしまったのであります。それがために高等学校側といたしましては非常に憤慨をいたしまして、この道の教育委員会の方針がこのまま堅持されるのであるならば、高等学校側は一切の選抜方法に対しましては協力ができないというような強硬な態度をもってこれに臨まざるを得ないというような状態に実は相なっておるのであります。従いまして父兄あるいは来年試験を受けなければならない可憐な中学校の学生たちは実は非常に不安に陥っておるのでありまして、年々歳々北海道におきましてかような問題が繰り返されるということは、私ははなはだ遺憾千万に考えておるのでありますが、まずこの問題についての文部省の御見解、これに対する対策を伺っておきたいと思います。

緒方信一文部事務官(初等中等教育局長)

○緒方政府委員 北海道におきます高等学校の入学試験の選抜方法につきまして問題がありますことは私どもも承知をいたしておるのでございまして、ただいまお話のように昨年も相当トラブルがあったのでございますが、それがさらにことしもそういうふうな状況になるにつきましてはまことに遺憾に存ずる次第でございます。  お話がありましたように、文部省といたしましては従来高等学校の入学者の選抜方法につきまして、特にこれは昨年でございますけれども、慎重を期するために研究協議会を設けまして、高等学校あるいは中学校の校長さんの代表的な方々、あるいはまた教育委員会の人たち、あるいはPTAの方も入っていただいたと思うのでございますが、そういう関係者の方々で協議会を作りまして、慎重に審議いたしたわけであります。その結論に基きまして、昨年の八月の初めでございましたが、都道府県の教育委員会に通達を出しました。そしてよるべき基準を示したわけでございます。この内容はいろいろございますけれども、志願者が募集人員を超過した場合、選抜のために学力検査の必要がある場合は学力検査を行うことができる、こういう原則をきめたわけでございます。従来は必ずしもその点がはっきりしておりませんでしたが、それをはっきりいたしまして、そしてその選抜のために学力検査を実施した場合には報告書と学力検査の成績とを資料として、大体これを同等に見て取り扱うというような骨子のものを出したわけでございます。この点、ただいまお話のように北海道におきましては報告書だけでやるということでありますと、この通達の趣旨にははずれる点があるわけであります。ただこの問題は何と申しましても、教育委員会におきまして、高等学校の立場と、またこれは入学試験が中学校の教育に及ぼす関係もございますので、中学校の意見を十分に勘案されて、そしてこの文部省の通達の線によってきめていただくことを私どもは期待をいたしておるわけでございますけれども、ことしもその点がうまく参りませんで、今日なお紛争が続いておるような状況でありますことは、冒頭に申しましたようにまことに遺憾に思う次第でございます。私どもといたしましてはこの通達の線によってその方法がきめられることを今もなお強く期待いたしておるわけでございます。ただ試験の時期まで切迫いたしておりますので、この点につきまして非常に憂慮いたしておるわけでございますけれども、文部省の現在の権限から申しまして、これを指示いたしていくという権限がございませんので、その点でそれ以上の意思表示は非常にむずかしいと思います。

町村金五自由民主党

○町村委員 どうも従来こういう問題につきまして文部省のおとりになっておった見解が、ただいま局長が言われた通りに指導助言ということだけで、相手が聞いてくれない場合にはそれを実行させる方法がないということで、文部省は今日まであきらめのような態度をとっておられるように思うのです。先ほど他の委員からの御質問に対しまして、高等学校の教科課程の問題については基準を定めれば、これが実施されるだけの強制力があるかのような御答弁に私はちょっと伺ったのでありますが、たとえて申しますれば、こういった入学試験の方法に関する通達と、ただいまの高等学校の教科課程におきます基準をお示しになりました通達というものとの間には、何か法律上の根拠においての相違があるのでありましょうか、片方は強制力がなく、片方は強制力があるかのような御答弁だと、その点私は相当に違った法的の根拠がなければそういう御見解は出ないのじゃないかと思うのでありますが、その点を一つお示しをいただきた

緒方信一文部事務官(初等中等教育局長)

○緒方政府委員 高等学校の入学に関しましては、学校教育法の四十九条に規定があるのでございまして「高等学校に関する入学、退学、転学その他必要な事項は、監督庁が、これを定める。」という規定になっております。従いまして入学に関する事項については、この監督庁はもちろん文部大臣でございますので、文部省にその権限はあるわけであります。それでこの規定に基きまして、施行規則といたしまして五十九条がございまして「高等学校の入学は、校長が、これを許可する。」こうあります。なおまた第二項には「入学志願者数が、入学定員を超過した場合には、入学者の選抜を行うことができる。」こういう規定がありまして、これは第一項との関係で選抜を行う主体は明らかに高等学校の校長であろうと解釈しております。ただ入学につきまして文部大臣がきめております事項は、今の学校教育施行規則の五十九条だけでございます。そこで昨年出しました、基準としてもらいたい通牒でございますが、私どもは従来指導助言と考えておったわけでございます。と申しますのは、文部大臣が明らかに施行規則できめておりません部分につきましては、これはやはり学校を設置し、これを維持し管理していく責任と権限もございます教育委員会が、その他の部分につきましてはいろいろとこれに対しまして指導をし、あるいは原則的なことをきめていく責任と権限がある、かように解釈をしておるわけでございます。ただこの点につきましては法律上やはり相当検討すべき点があるかと存じます。なお私どもこの点につきましては検討いたしますけれども、その学校設置者の一般的な管理の権限と申しますか、それに基いて選抜を行う学校長に対しまして、その選抜の一般的な方法というものをきめていく権限というものが教育委員会にあるのじゃないか、かように考えておりまして、その教育委員会の一般的な権限に対して文部省は指導助言を従来もしてきた、かように今まで解釈しておるわけでございます。ただ先ほどの学校教育法の四十三条との関係と若干その点は違うと考えます。四十三条は施行規則の二十五条によりまして、教育課程は学習指導要領の基準による、かように明確に規定しておりますので、その学習指導要領の改訂によって教育課程を改訂していく、これは四十三条によって委任されました二十五条に基く法律的な改訂である、この点は今の両者の間には法律的に差異がある、かように解釈をいたしております。

町村金五自由民主党

○町村委員 私は今の法律上のこまかい解釈については、十分に理解しかねる点がありますから、この点はさらに研究をしてみたいと思うのでありますが、しかしいずれにいたしましても、今日次代を背負う青年の重大な教科課程の問題、あるいは入学試験に関する選抜方法の問題というような重大な問題について、常にいろいろな紛争が起って参るということは、これは国家として非常に大きな損失だと思うのであります。従いましてかような重大な問題については、少くとも文部省とそれから地方の教育委員会との間に、何らの意見の対立というものが絶対に出ないということにならなければならないと私は思うのです。先ほどもお話しがありました通り、教育の地方分権という重大な問題が、戦後の日本の教育の一つの大方針に相なっておるわけなのでありまするが、考えてみまするのに、この教育の地方分権ということは、おそらく地方の当局と文部省との間に、教育上の見解の相違があまり出ないであろうということを、いわば根底にいたしまして、今日の教育の分権制度、あるいは他の分権というものも行われておると思うのであります。おそらく国家の考えておることと地方の考えておることが常に相背馳して収拾することができないということでは、これは統一国家としての機能を発揮することができないということは、あえてこれは教育ばかりの問題じゃないだろうと思うのであります。従いましてそういうような見解に立って、おそらく文部大臣もいろいろ御苦慮になっておると思うのであります。この問題はたまたま起って参りました一つの現象的な問題にすぎないのでありまするが、いずれにいたしましてもかような点に一つ大臣としても特に御考慮を願いたいと私は存じまするし、たまたま北海道に起っておる今日のこの問題につきましても、先ほどの初中局長の御答弁では、これ以上ちょっと手がつけられないというようなことである、あるいは今日の法的解釈から見れば、それでやむを得ないかもしれませんけれども、これでは実は北海道の父兄や青年というものはたまらぬと思うのであります。その点においてもう少し北海道の教育、委員会当局をあなたの方で招致せられて、これらの問題について子供らの心配をすみやかに一つ除いていただくことについて、格段の御努力を特にお願いしておきたいと思うのです。

清瀬一郎自由民主党文部大臣

○清瀬国務大臣 今の町村さんの御意見きわめて適切なことでありまして、全般的の国の責任、監督を明確化したいというのも、実はその辺も大いにあるのであります。全般的にも改革し、また具体的なこの問題についても努力いたします。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤委員長 先ほどの理事会の申し合せに従いまして、本日はこの程度にとどめ、残余の質疑は明日午前十一時より行うこととし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十八分散会

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