文教委員会 第3号
- 発言数
- 100 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1955/12/06
会議録
○佐藤委員長 これより文教委員会を開きます。 議事に入るに先だちまして、理事の補欠選挙を行います。理事竹尾弌君が去る一日委員を辞任されましたので、理事が一名欠員になつております。なお、本日理事伊東岩男君、並木芳雄君の両君より理事辞任の申し出がありました。これを許可するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○佐藤委員長 御異議なしと認めます。理事の選挙はその手続を省略し、先例によりまして委員長において指名するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○佐藤委員長 御異議なしと認めます。それでは私より 米田 吉盛君 加藤 精三君 町村 金五君 を理事に指名いたします。 —————————————
○佐藤委員長 次に学校教育に関する件、教育制度に関する件の両件を一括して調査を進めます。 先会に引き続き文部大臣並びに文部当局に質疑を行います。清瀬文部大臣より発言を求められております。清瀬文部大臣。
○清瀬国務大臣 前会も申し上げました通り、われわれは道義の確立と教育の改革、これがわが国においてほかの何事よりも大切なことと考えて、全力をあげてこのことに従事せんとしておるのであります。それは一つには、教育関係の法規などをずつと調べてみましても、国家、その最高機関は国会でありますが、この国が一体国民の教育にいかなる責任を負うか。責任を負う以上は監督の力がなければならぬわけで、監督ができないものについて責任を負えとは、これは無理な話です。こういう根本のことが明らかでありませんので、これを一つ、いかにあるべきかのあり方を検討しなければならぬ。世界各国がどうやつておるかというので、占領初期にできましたこの組織を再検討しよう、それがわかりますれば、学校の制度すなわち学制、教育の制度、教育行政、それらのこともおのずからわかると思います。そのためにはこれは軽々にやつてはいけませんので、日本人の持つておる最善の知識を集中して、広き視野において研究をしようというのが審議会でございます。前会に、内閣でも他の閣僚の同意を得まして、文部省ではなく、内閣内に審議会を置こうということを決したことは、申し上げた通りであります。その組織の方法、構成のメンバー、運営ということについては本日までにまだきまつておりませんから、そのことをあらかじめ申し上げておきたいと思います。これを作ることは間違いございません。 教育について、昨年以来教科書の問題が国民の注意を引いたのでございます。前任者はこれを中央教育審議会に諮問せられまして、ちようど昨日の午後その答申が参りました。そこへ配付したのがそれであります。ごらんの通りの成文でありますから一々は申し上げません。これは教科書の検定の方法と、採択の方法と、発行供給の方法、価格、これらに分けて適切なる答申をしておられるのであります。 第一の検定については、やはり検定制度を採用する。検定の責任は審議会にございます。しかしながら、その下調べをするために非常勤及び常勤の調査員を置くことに考案しておるのでございます。それから検定の結果には一定の期間をつけて、一ぺん検定してから八年、十年の長きにわたつて使うということは、日進月歩の今日適当ならずという考えを述べております。 採択のことにつきましては、これは一定の地域、たとえば郡市を単位とした地域で採択区のようなものをこしらえて、区内は比較的数の少い教科書を採択していこう。父兄が隣村あるいは隣町に移動した場合でも同様の教科書が使えるようにするという考えでございます。そこに採択協議会を設けてこの仕事をする、そのことはこれに書いてあります。それから採択に関する不正行為を厳重に処罰するということであります。これもあるいは他の本院の委員会で、前国会において熱心にお調べになりましたが、それらの弊害を繰り返さぬようにしたい。それから採択の基準案などを私にこしらえて、この基準を使えということを第三者の方から示すことはよくないということを書いております。行政監察委員会で調査されたものを参考としたものでございます。 それから発行については、発行者の欠格条項を設けて適当な発行者を登録しようという考えをしております。それから特約供給所は毎年関係発行者及び大取次店が協議してこれを選定するという考えをいたしておるのであります。価格のことについては、現行の教科書の価格算定基準を引き下げよう。それから鉄道運賃、郵便料金——これは他省の所管でありますが、軽減をばかるように他省に交渉しよう、こういうことであります。 おおむね適切な考案でありますから、われわればさらに検討を加えてこれに沿う方針で決定いたしたいとは存じております。 教科書のことについてもう一つわれわれの考えておることは、生活保護法を受けるまでには至つておりませんが、やはり父兄のうちで教科書を買うことに困難をしておる人があるのは現実の事実です。それでこれは大蔵省とも折衝を要しますけれども、これらボーダー・ラインにある人々、われわれはこれをかりに準要保護児童といつております。全国でこれを四%と見ますと、七十三万人くらいあるのです。これには一つ一年から中学三年に至るまで、教科書だけは無料でやろう、こういう考案をしております。もし日本の財政が許せば、この金が五億ほどかかりますが、今のわが国の財政ではちよつと大きな金でありますけれども、このくらいのことはぜひ認めてもらいたいと思つております。 これに似たようなことでありまするから、ついでにここで申し上げまするが、給食費もこの七十三万人には補助をしたい、こういう提案をして目下その成立に努力をしておりますが、皆様の御援助をお願いしたいと思つております。 次に以前からある育英事業であります。これは優秀な学徒であるけれども、経済上の理由で就学が困難な者、この育英事業も拡張するつもりであります。採用の人員もふやし、貸し与える金も少し基準を上げて、育英事業は拡大いたしたい考えであります。 前会も御質問を受けましたが、盲ろう者の就学、これはいわゆる特殊教育でありますが、特殊教育の振興はできるだけ完備したいというので、このことについても大蔵省に向つて要求をいたしておるのであります。 それから僻地教育についても前年以来その拡大をはかつております。 それから学生寮でありますが、学生はやはり都会地に集まりますが、都会地、すなわち東京、大阪といつたところが戦災でこの通り焼けておりますので、学生生活で宿舎を得るということが非常にむずかしいことであり、また非常に高い、はなはだしきは四畳半の間を五千円で借りているといつたような始末で、見るに忍びませんから、学生寮については今度は三千人くらい収容するものを来年度においては作つてみたいと思うております。これは県ごとに、どこの県の学生寮というように法人を作つて、それに政府から補助をするし、それから今の公営の建設省所管の公団から金を貸すというようなことでやつていきたいと思うております。 以上の問題は、これを総括するに、教育の機会均等という面から、経済上貧困な人や、僻地の人、それらの人に同じく機会を与えよう。それから特殊教育、盲ろう者、そういう点が教育行政において私の考えている一カ条でございます。 その次は科学の振興であります。これはたびたび論ぜらるる通り、今日の世の中では、やはり科学が勝つのであります。しかしこれは直ちに科学発明が起るものではなく、その基礎たる学校教育において科学教育を充実するということが根本でありますから、そこでやりたいと思うていることは、今まで私立大学がどうも文科系統の方が多かつたので、私立大学で理科系統の基礎研究をする場合に、やはりこれは従前の官公立大学と同様な施設をすることが必要であろうと思いまして、そういうことを一つ考えております。 それから御承知の通り、昨年以来田無に原子核の研究所、それから京都大学及び東京の工業大学にやはり原子炉の研究をやらそうと思つておるのであります。 もう一つ、今日の交通はやはり航空でありまするから、航空物理、航空の基礎研究を国立の大学でやらした方がいいじやないか、こういう考えを持つております。それからして地球電磁気の研究も始めていることは御承知の通りであります。 なお御承知の通り南極地域の観測、これはもう外国と一緒にやることで、日本も今日まで進みました以上は、これに参加して、南極の地域観測——観測年といいますが、それに参加してやりたいと着々本日も準備をしておるのであります。 医学の方では、ガンの研究に、京都でビールス、バイラスとも英語でいいます。それから放射線の医学的の基礎研究もやらせたい。 これらは数例でありますけれども、大体わが国の科学が振興するように、技術と発明が発達するように、学校教育においてもその基礎的の研究をやりたいということが、私の考えておりまする教育方針の第二でございます。 それから社会教育、社会教育として施設すべきことは非常に多いのです。あるいは日々朝から晩まで身をもつて社会教育をしておると見ていいのでありまするが、予算関係では青年の指導、成年学級の振興、社会教育施設の設備の補充、国民体育大会、教育施設の振興、それから御婦人の婦人学級大会というのをやらすつもりでおります。既設の公民館の活用助成はむろんのことであります。昨年は新生活運動の経費を文部省で預かりましたが、ことしはこれを内閣に移管いたしました。移管はいたしましたが、事新生活運動に関しては、私どもできるだけの力を添えたい、かように思つております。本日午後にも、その地域婦人大会で新生活として何を取り上げるべきかという会がございますから、私も出席いたしたいと思います。 もう一つ青年運動に類似して重要なのは開発青年隊であります。これも文部省の所轄にはせずに、建設省の所轄になりましたけれども、これは非常にいいことで、大へん国民の精神にも健康にもいいことでありまするから、これはもう昨年より非常に大きい規模でもつてやつてみたいと、かように考えております。以上が社会教育方面に力を尽したいということであります。 それから文芸、美術、音楽、それからして文化財の保存、この方面についても文部省は十分なる力を尽したいと、かように考えております。 それから青年が覚醒剤を使う、ヒロポンを使うなどということが行われて参つたことは、非常に残念なことでありまするが、厚生省、法務省とも連絡いたしまして、この弊風をどうか除いてやりたいと考えております。また不良の出版、興行は、何とか抑制の方法をとりたい、これらは私の属しておりまする党でもおきめになつたことでもありまするし、私就任以来どうかそれを促進いたしたいと、かように考えております。前会にも申し上げましたが、緊急事項として取り上げておるもので、緊急であつて重大なものが今の教育委員会の制度であります。これは前にも御質問を受けましたが、改廃するということはきめておりまするが、改廃の方法は急速に研究してここで御報告申し上げまするが、まだ本日いかに改廃するかの程度を申し上げることはできませんのは遺憾なことであります。 それから教育者の政治的中立の厳守であります。これはもう教育者自身の自発的な自制によらるることが第一であります。むやみに行政なり法律をもつて臨むべきものではありませんけれども、これらについてもなお文部省においても、あるいはまた私の属しておりまする政党においても、内部的に十分調査研究中でございます。これも本日はまだ具体的にこうしますということを申し上げる域に達しておりません。 以上をもつて当面われわれの考えておりまする文教政策の一端をお耳に入れた次第でございます。
○佐藤委員長 質疑は通告順に許します。河野正君。
○河野(正)委員 私は文教行政の基本的な方針につきまして若干大臣に御質問を行いたいと思います。ただいま大臣からいろいろけつこうなお題目がたくさん並べられましたが、そういつたことを早急に実現していただくこともまことにけつこうなことでございますけれども、しかしながら何と申し上げましても、教育の行政制度に関します基本的方針というものがきわめて重大であるということは論をまたない事実でございます。御承知のように、終戦後いろいろ制度が改革されまして、少くとも軍国主義的な教育から民主的な教育制度に切りかえられたという事実は決して否定することができない事実でございます。ところがただいま大臣の御説明を聞いて参りましても、私どもが非常に杞憂することがたくさんございます。たとえば文教行政あるいは文教制度の抜本的な改革を行うというような談話も最近発表されたのでございますが、こういった抜本的な改革を行うということは、先ほど私も申し上げましたように、少くとも終戦後日本のいろいろな教育制度というものが民主的な方向に進んで参りまして、今日その地固めがだんだんと行われるというような段階で抜本的な改革がなされるということは、再び軍国主義時代の教育の方向に逆行するところの危険性があるということを、私どもは非常に大きな心配とするものでございます。 そこで私がまず第一に大臣にお尋ね申し上げたいことは、ただいまも申し上げますようないろいろ杞憂がございますので、もう少し突き進んで具体的に一つ教育、文教行政あるいは制度に対しまする方針をお尋ね申し上げたいと存じます。
○清瀬国務大臣 私は教育を軍国主義的に導こうという考えは毛頭ございません。御安心を願いたい。ただ、今の教育基本法なり学校教育法を見ても、みないいことが書いてあるのです。しかしあれは世界人として、コスモポリタンとしていいのです。やはり私は日本人は郷土を愛し、同胞を愛する、それからまた日本のいい伝統は——悪いことはいけませんよ、しかしながら日本人は非常にいいところがあるので、人には親切で、勤勉で、それからまた勤勉なる結果として、勤勉の成果たる所有権は尊重する、こういういいところは保存して、その上に正しい民主主義を行おうというふうなことだけは申し上げなければなりません。これは軍国主義ではありませんよ。自分の親を大事にする。友だちに親切にする。日本の国を愛するということは、軍国主義じやないのです。やはりこれは民主主義であります。そういう次第でありまして、私の属する党派でも、教育の内容を改善して、祖国愛の涵養と、国民道義の確立と、よりよき伝統の尊重と、正しい民主主義の教育を徹底させる、これは党員全部が寄つた党大会でこしらえたことで、私はそれを実行する責任を持つておるわけなんです。
○河野(正)委員 ただいま大臣が御答弁されましたように、日本古来の醇風美俗、いい意味での醇風美俗でございますが、そういうものを助成されることにつきまして、私ども何ら異存はありません。しかしながら先ほどから大臣の御説明を承わつておりますと、たとえば一つの例でございますけれども、教育に関しましては、今後国の責任と監督の明確化を行いたいというふうな表現もあつたようでございます。こういった国の責任と監督の明確化というようなことは、単に日本古来のいい意味での醇風美俗を助成していくというようなことではなくて、むしろ一つの民主的な制度を圧迫していく、あるいは民主化を阻害していくというふうな危険性が生まれて参るということを、私どもは非常に心配しているのでありますが、今日までの方針に対する責任と監督権の明確化という問題につきまして、重ねて大臣の御方針を承わつておきたいと思います。
○清瀬国務大臣 河野さんも私の申すことを御了解下さつて、よき伝統を守るについては、御賛成と承わりまして、ほんとうに心から喜んでおります。 今の憲法では、二十六条に、国民は教育を受ける権利がある、国は国民に教育を与える義務がある、責任があるのです。これは私は当りまえと思うのです。国が義務と責任を持つて国民に教育を与えようとすれば、国の方でそれがうまくいつておるかおらぬかを調べる権利がなければだめだ。そうでなければ義務は尽されません。ところが教育を与える責任が国家にありながら、教育を監督する責任がないんじやないかと思われる規定がございます。これらは規定じやありませんが、実際において甘木の国費のうちで、一兆円の予算のうちで、一千二、三百億、来年は一千五百億になるでしよう。非常に大きな金を使つて、義務教育まで半額国庫負担、官立学校は全部国の経費で、国の事務として、こんな大きな仕事をしておいて、一向これの監督の限度がわからぬじや、せつかく大きな国費の——使い損じやありませんけれども、使いそこないが起り得るのです。ここのところを一つ明確にする時代じやないか。かように私は考えて、責任と監督と言つておるんです。そういう意味なんで、決して中央集権の、昔の詰め込み教育を復活しようなどとはちつとも考えておらない。明朗な教育を発達させて、民主主義的に日本国民を進めて、日本を文化国家として導こうということには、河野さんの御了承を得られた、私はかように思つておるのでございます。
○河野(正)委員 私ども触れておりますのは、ただいま大臣から御説明いただきましたように、一つの行政上の指導権、指導力というものを強化するという意味でございましたならば、了承することもやぶさかではございませんけれども、少くとも監督権の明確化というようなことがありますと、私はややもするとそういつたことが今日の民主的な教育制度に大きな障害をもたらす危険性がありはしないかということを非常に心配するものでございます。そういつた意味で申し上げたのでございますから、その点はさように御理解願いたいと思います。 なお一点、私どもが心配いたします点は、これまた大臣の談話にも発表されておるところでございますが、今日の教育というものを政治的勢力から守つていかなければならない、言葉をかえて申し上げますならば、教育の政治的な中立性ということでございます。そういつた意味で今後次の国会等におきましては、教育二法等の改正も考えなければならないというふうな談話も発表されておるようでございますが、しからば今日の教育というものがほんとうに政治的勢力に侵されておるというふうに大臣はお考えになつておるかどうか、その点一つお尋ね申し上げたいと思う。
○清瀬国務大臣 河野さんの前段に仰せられた国の監督が強きに過ぐる危険があろうという御注意は私も同感であります。監督を明確化せいということで非常に強力にしてしまつて、スパルタ教育になつてはいけませんから、河野さんの御注意はけんけん服膺したいと思います。また内閣で改革をしないで、審議会を設けようというのもその用意にほかならぬので、おそらくは審議会には教育界の長老諸君に御参加を願うことと思います。それが行き過ぎるようなことにはならないようにいたしたいと存ずるのであります。 それから教育の中立性でございますが、私は日本全国でどういうことが行われておるかは、いまだ十分に実態把握の時間はありませんけれども、前国会以来他の委員会でも現われたことが多少あるのであります。それゆえに教育の、あるいは教育者の中立的立場を十分に守つてもらおうということは、私は必要な国務の一つだと思つております。あまり露骨に申し上げてかえつてセンセーションを起してもいけませんけれども、ともかくもだれでもそれを訴えておるのです。この間も申しました通り、どの家庭でも子供を幼稚園か小学校か中学校か大学にやつておるのです。私どもの友人、友だちから聞くのもときどきは行き過ぎの話があるのです。あるが、多少誇張であるかもわかりません。けれども学校で先生が君が代なんか歌つてはならぬと言つたり、親に孝行するのは必要ないのだといつたような言辞を弄するというのです。これはいろいろと弁明もありましようけれども、日本人の常識としてはやはり国歌は尊重し、国旗は尊重するし、親には孝行という、これは漢学の言葉ですから古く聞えますけれども、親には親切にする、だんだん親は年がいく人であつて、子供のときには世話になつておるのですから、それらのことを教育者たるものが、教室ではない、冗談でも、あるいは宴会の席でも言うということは、国民思想に驚くべき影響を与えるのです。これらの教師諸君が今日文明の空気を伝えられ、いなかのすみずみに至るまで自由民主の風潮を推奨して下さつたことは、私ども非常に喜んでおるのです。現実に子供たちも、昔の子供のようにはにかんだりせずに、私が行くと、喜々としておじさんと言つてつき合つてくれる。非常にいいんです。いい反面、河野さん、そういう傾向が多少ありやしませんか。そこで私は、教育の中立ということを理屈を言わないで守つていきたい。守つていくのも必ずしも法律を強うして処罰することのみは考えておりません。やはり第一は教育者の自省によること、反省によることです。教育者には比較的若い人が多いですから、われわれの言うことをそのまま善意で受け取つて下さるかどうか知りませんけれども、ともかくもその勧説勧奨はしてみたい、かように思つております。
○河野(正)委員 教育者が教育の政治的な中立性を守らなければならぬということは、私ども全くその通りでございます。しかしながらただいま大臣のお話を承わりておりましても、誇張かもわからぬけれどもこれこれこういったような話もある、そういつたようなきわめて不明確な根拠に基きまして、ただいま申し上げるようなきわめて重大な教育二法を改悪されることにつきましては、私ども全く了承いかない点でございます。教育二法というものは教育者といたしましてきわめて重大な問題でございますから、これこれこういった確証があるので、これはどこまでも教育の中立性を守るためには必要であるというふうな明確な根拠に基きまして一つの改正を行われるということになるならば、私どもも了承するにやぶさかでございませんけれども、ただいま大臣の御答弁を聞いておりますと、これこれこういうふうな話があるらしい、あるいはそれは誇張かもわからぬというふうな根拠に基きまして、そういつた二法の改正が行われることにつきましては、私どもも全く反対せざるを得ないのでございます。そこで少くともそういつた二法の改正が行われるという段階に立ち至ります場合には、ただいま申し上げますような政治的な中立性が侵されておるかどうかという具体的な根拠に基いて、そういつた問題を処理されることを私ども強く要望してやまないのでございます。 それから、これは少し趣きを異にいたしますが、本質的な問題におきましては変りございませんので、さらに一、二御質問申し上げたいと思います。それは先ほども大臣の説明の中にあつたと思いますが、最近巷間伝えられておるところによりますと、今日の大学の中に航空学科の新設という問題が起つて参つております。もちろん学問でございますから、私どもといたしましても航空学科が新設され——飛行機というものが経済上あるいは社会上あるいは能率上及ぼす影響の非常に甚大である点は全く同感でございますので、そういつた航空学科が新設されることにつきましての基本的な考え方につきましては、全く了承するにやぶさかでないのでございますけれども、しかしながら学問というものはどこまでも平和というものを基本理念として行われなければならないものと私ども強く確信して疑いません。巷間伝わるところによりますと、いろいろな考え方も出ておるようでございますが、後ほどの問題にも関連いたしますので、私はまず第一に今後の航空学科新設に対します基本的な方針と申しますか、基本的な考え方と申しますか、そういつた点につきまして、大臣の御所感を承わつておきたいと思います。
○清瀬国務大臣 先刻申し上げました通り、科学技術の振興また国民を科学技術尊重に導こうというのが根本の考えでございますが、そのうちで航空力学それから航空工学、これなどを日本のような大きな国家として持たないということはどうも残念なことでございます。それで幸いに戦前研究した学者もまだ残つておるのであります。どこでやるかなどのことは今考慮中でありますけれども、従前名古屋にもありましたし、福岡にもありました。これが両方とも同時にできるか、どちらでやるかは、財政との関係も考慮しなければなりませんが、ともかくも日本のような大きな国で、しかも相当技術のある文明国では、やはり航空工学に関する大学を持ちたいと思うのです。これは大学を持つだけですから、それで戦争するという考えじやありませんよ。これはまた防衛庁の方でお考えのことであつて、平和的に航空力学を基礎とした航空の学科か学部を作りたい、こういうことでございまして、これがために軍国主義に傾くという御心配はどうぞなさらないようにお願いしたいのです。
○河野(正)委員 ただいま大臣もちよつと触れられたと思うのでございますが、どこに設けられるかにつきましては、名古屋、福岡という問題がいろいろと巷間では伝えられておるようでございます。もちろん財政上どちらも認められるということになりますれば、私は問題ないと思います。しかしながら大蔵省との折衝の過程の中で、どうしても一カ所にしぼられるというふうな事態が生まれました場合には、どういつた根拠で名古屋あるいは福岡というような御決定をなさる御所存でございますか、その点一つお尋ねしておきたいと思います。
○清瀬国務大臣 両方では少し航空研究の行き方も違つておるのですね。願わくば二つあるのが一番いいのです。しかしながらどうしても財政上一つということになりますると、諸般の条件を勘案して、急な方を先というより仕方ないかと思いますが、これもどの基準でどこへやるというまでは、まだ研究は遂げておりませんから、御了承をお願いしたいと思います。何も地方的の運動でやるのではなくして、やはり国のために一番急なもの、早く役に立つものというのでいきたいと思います。
○河野(正)委員 そこで重ねて御質問申し上げたいと思いますが、私どもが仄聞するところによりますと、九大ではもともとりつぱな施設もございましたし、教授陣と申しますか、スタッフと申しますか、そういつたスタッフ陣も今日まで十分整つておるわけでございます。たまたま終戦後そういつた航空学ということが問題になりまして、応用力学という一つの小さい学問の部門として今日まで残されて参つたわけでございます。いずれにいたしましても主体的には福岡の九大が何と申し上げましてもりつぱな整備を見ておると私は確信しております。しかしながらただいま大臣からも御答弁いただきましたように、名古屋においてもそういつた内容なり設備があるというようなお話も承わつたのでございますが、私どもの仄聞するところによりますと、主体的には福岡の九大が非常に整つておるけれども、客観的に申しまして、御承知のように名古屋地帯というものはかつて航空機を作つておりましたような企業がたくさんございますし、そういつた客観的な情勢に基きまして、ややもすると、名古屋の方が有望だという話も承わつておるのでありますが、もしそうだといたしますると、私は非常に大きな問題があると思います。と申しますのは、先ほどもちよつと冒頭に私が触れたのでございますが、こういった学問というものが、業者の圧力によつて左右されるというようなことは、——大臣もこういった航空学科というものは決して再軍備とつながるものではないというような明確な御答弁もあつたのでございますけれども、業者の圧力によつてそういつたものが決定され、あるいは学問が左右されるというようなことになりますと、私どもの心配しておりました——大臣は決して心配じやないとおつしやいましたが、私どもが心配しておりましたような事実が生まれてくるという杞憂を私ども強く感ずるのでございます。そういつた意味で、私どもはこの点をもう少し明確に大臣から御答弁をお願いしておきたいと思います。
○清瀬国務大臣 今の御注意はよく拝承いたしておきます。実際日本のためにどちらが一番先に必要であるかということを公平に考えて判断いたします。
○河野(正)委員 日本のために緩急の度合いということも必要でございますけれども、私は何と申しましてもやはりどこまでも正しい教育を伸ばしていくという立場でこういう問題は処理すべき問題であるというふうに確信いたしておりますので、単に緩急の度合い——もちろん緩急の度合いにつきましてもいろいろ解釈はあると思いますけれども、私はどこまでも教育は教育の正当性を守つていくという立場でこういった問題を処理していただくことを強く要望いたしてやみませんが、そういつた意味でもう一度一つ御答弁をお願いしたいと思います。
○清瀬国務大臣 それは二つは両方とも必要なんです。いいことなのです。よければ二つ同時にやりたいのですけれども、同時にやれぬというのはやはり財政だけの問題です。財政だけの問題だとやはり緩急で、急な方を先にするより仕方がないのではございますまいか、いずれしまいに二つできることになりましようけれども、今わが国は少し財政が持ち直したのですが、これでゆるめればまたあとへもどりますから、大蔵省がいろいろ配慮されることもこれまた一概に排斥するわけにもいきませんので、国家の必要上二つ要るけれども、どうしても、二つは同時にできぬといつたらやはり急な方を先にする、こういうふうに考えるより私は仕方がなかろうと思つております。
○河野(正)委員 急な方ということはわかるのでございますけれども、学問の立場から見て参りまして急な方なのか、あるいは企業の立場から見て急な方か、私ども急であるということについては異存ございませんけれども、どういう立場を前提としての急な場合をおとりになるのか、その点をお尋ね申し上げておきたいと思います。
○清瀬国務大臣 それば私の言葉に何かもつれがあつてもいけませんから申し上げますが、本来は科学技術の振興が重要なのだ、国家のためにそれをやらなければならぬ、どつちの方を先にやつたら国家目的に沿うのだろうかということだけなんです。何も私はどつちを先にやろうということを胸に描いて答えておるのではなくして、抽象的に国のためにどつちがよかろうかということをよく考えてきめるよりはかなかろうと思います。私はどつちも必要だと思うのです。
○佐藤委員長 加藤精三君。
○加藤(精)委員 文部大臣にお尋ねしたいのでございますが、文部大臣は教育の機会均等ということを新しい大臣の文政の中心にしたいという御結論のようでございます。昭和の初期から特にわが国の教育行政におきまして機会均等思想が逐次躍進して参りまして、しかも終戦後これが相当の部分まで実現されましたことについて、国家興隆のために非常に喜ばしいことだというふうに感じておるものでございますが、端的に申しますと、教育の機会均等の最も大きく実現せられておるものが義務教育ではないか。義務教育における機会均等が十分確保せられないで、そうしてそれよりも教育行政の恩恵の渡る率がまばらであるところの他の教育の部面において教育の機会均等を叫ばれるのは、もちろん諸般の点におきまして教育の機会均等が守られるということは、民主主義の公平の原則からいいましても当然でありますが、まず義務教育の面におきましての機会均等が最初に重要視さるべきではないか。高等学校教育、大学教育というようなものは世界の進運に伴つて必要なことでございますが、これが教育を受ける人は、特殊な国家的要請による必要ということは、ある限度はあるにしても大体その本人または父兄の人生観によつてその選択をきめるわけです。まず義務教育に重点を置くべきではないか、こういうことに考えておるのでございますが、わが国の教育行政においては、わが国の大多数の国民が貧困によつてその生活、家庭その他すべてを乏しくされておる現代において、まず義務教育を最重要視するということが当然ではないか。しかる後にその余力を用いて他の行政面の機会均等を考えるべきではないかというふうにただいま御説明を承わつて考えたのでございますが、はなはだ乱暴なことを言うようでありますが、私の考えについて大臣の御所見をまず承わつておきたいと思います。
○清瀬国務大臣 今仰せのことは私全く同感でございます。先刻申した通り義務教育を受ける者で親が本を買うことができない。これはほつておけませんから、これは一年生、二年生同じことです。本だけは一つ無償でやろうかというアンビシアスな考えをやつたのもこれがためです。まず試みに、七十三万人、四%にしたいのですが、成績がよければそれを少し伸ばしていつた方がいいと思います。 それから給食ですが、この間からも文部省に陳情が来ます。給食制度はよろしいけれども、金を持つて来ぬ子供があるのです。お前にはやれぬというわけにはいかぬという、これにも補助をすることにしております。これもよかつたらだんだん広げた方がいいのです。学校の校舎などもところによつていいのと悪いのと、それからまた二部教育、不正常教育、こういうのを解消して同じ教育を受けるようにしなければならない。私は僻地教育を注意しよう。僻地教育、遠いところから七つ、八つの者が五里も六里も歩くことはできません。疲労して勉強することができません。それにはスクール・バスをこしらえてやつたらどうか。これみな機会均等からきております。一番気の毒なのは盲の子供ですね。それに点字の教科書も安く得られるように、あれはできておりますが、非常に高いのです。これをどうかして点字の教科書も作りたい。こういうことであなたのおつしやつてくださることはその通り考えております。
○加藤(精)委員 ただいま大臣の御決心を承わりまして、私たも新しい大臣の文政に大いに期待申し上げておりますので、御健闘を祈りたいと思いますが、それにつきましてさしあたり直接の問題を二、三お尋ねしたいのでございます。 第一番目は、この学童の栄養の問題のために学校給食制度が始められたということにつきましては、私どもは社会党の方とともに、また社会主義は社会党の専売でないことにかんがみまして、ともに喜んでおります。しかしながらこれにつきまして私最近思い違いか聞き違いか知りませんが、脱脂乳の問題ですが、脱脂乳は永続しないという話があるのでございますけれども、これについて文部省の方でどういう情報を得ておられますか。現在アメリカから無料またはごく低廉な値段でもらつております脱脂乳は、将来どのくらいまで永続するか、学童の給食に関連することでございますのでちよつとお尋ねしたいと思います。
○小林説明員 現在全国の小学校で蛋白の補給源として使つております脱脂乳でございますが、これは大半をアメリカからの輸入品でまかなつておるわけでございます。これは現在アメリカの海岸渡しで一ポンド二セントという非常に安い向うの指示価格でわが国に輸入しているわけでございまして、向うの市場価格はやはり十六セントないし十七セントしておるものを二セントで受けておる。これはもちろんアメリカの農産物政策の一環として行われておる指示価格でございますが、現在直ちにこれを廃止するとかあるいは二セントの価格を上げるというようなことはまだ聞いておりません。従つてこれが将来直ちに高くなるというふうには、私どもはまだ考えておらないのでございます。
○加藤(精)委員 ただいまの御答弁をお聞きしまして非常に安心いたしましたが、脱脂乳は読んで字のごとく脂肪分が十分ないと思うのでございます。裕福な家庭の子供は脂肪分にこと欠かないと思うのでありますが、教育の機会均等の事始めに、成長盛りの児童の肉体を形成するということが教育建設の初めじやないかと思いますので、脂肪を十分にとらせるということは、ことに全国の農山村におきましては重要な問題だと思うのであります。しかも一方わが国におきましては最近年々二倍、三倍ずつの増加率をもつて乳牛が繁殖しておる。これらの家畜の乳が供給でき得る状態であるにもかかわらず、現在おとなの食料の米が一升百七円とか百八円であるのに比して、児童、乳幼児たちの主要食糧である牛乳は、四倍も五倍も高い値段でなければ供給できないということから考えまして、義務教育に関する限り牛乳の二重価格制度をしきまして、国家補償によつて、脱脂乳にない脂肪を含むところの牛乳を学童に供給することを御工夫になられる御意思ばないかをまずお尋ねしたい。
○小林説明員 お尋ねの中にございました通り、脱脂乳は脂肪の入つておらない乳でございまして、栄養的に申せばもちろん生乳の方が価値が高いわけでございます。文部省としては在来からたとえば酪農地帯等で比較的容易になま乳が入手できるところはそれを採用するようにという奨励はしておつたのでございます。ただお尋ねの中にございましたように、酪農地帯におきましてもなま乳の値段は脱脂乳に比べて非常に高いわけでございまして、脱脂乳は現在の学校給食で申しますと一回分が約一円程度に当つておるのでございますが、酪農地帯におきましても、一合の学校給食の値段にしますと八円ないし十円というように値段の開きがございますので、何らかの価格的な措置をしなければこれを全国的に奨励するというわけにはなかなかいかないのでございます。文部省といたしましては、前国会におきまして酪農地帯のなま乳の対策を研究してもらいたいという御決議もございましたので、農林省ともいろいろ相談をいたしまして、二重価格制と申しますか、何らか国の財政的な援助ができるならば、その援助によつてできるだけなま乳の値段を下げて学校給食の線に乗せたいということで、現在農林省といろいろ検討中でございます。
○加藤(精)委員 ただいまの問題は、私は単に思いつきを申し上げるのではなしに、長年そういうな構想を抱いているのですが、新しい文部大臣のこれに対する御意見を承わりたいと思います。
○清瀬国務大臣 牛乳のことは今政府委員からお答えした通りであります。あなたの御提案は一つのよき示唆と考えまして、十分に調査もいたしまして方針をきめたいと思います。
○加藤(精)委員 昭和三十一年の春に義務教育に就学します児童数の増加は大体どのくらいでありますか。
○小林説明員 小学校におきまして本年度に比べて約四十万人増加いたします。中学校におきましては大体十二万人程度増加する数字になつております。
○加藤(精)委員 合計五十二万人の児童数の増加というものは、これは日本が大東亜戦争に突入する前に、ある程度帝国主義的な意図によつて生めよふやせよといいまして、国民の人口増強をはかつたいわゆる国家的な指導の結果によるものが若干あると思うのでありますが、その出生年令から見まして文部当局はどういうふうにお考えになつておられますか。
○小林説明員 現在の就学児童の増加の原因でございますが、これが急増して参りましたのは、必ずしも戦時中のいわゆる生めよふやせよの人口政策の結果ばかりではございませんで、それよりも戦後の子供が多いのでございます。また外地からの引揚者、帰還者、そういつたものの関係、それから戦後の出産の増加ということが主たる原因ではなかろうかと考えます。
○加藤(精)委員 ただいまの御意見と私の見解とは若干違うのでございます。なお十分御研究していただきたいと思います。外地から復員したものが一時に非常にたくさん子供を生んだということでありますが、私としては国家の人口政策が就学児童数の激増の原因だと思つております。そういう関係から見まして、ただいまの管理局長の御説明は間違つておると思うのでございます。いずれも国家の責任だと思います。国家の責任であるならば、その児童に対しては従来の学童と同じような施設をもつてこれを迎えなければならぬ。それが国家の義務だと思うのであります。しかるにかかわらず、きょうの新聞にも出ておりましたが、東京都内におきましても非常に危険な校舎が多うございまして、教室の一部分の構造物が落ちて子供がけがをしたということが載つておるのであります。一方においては文部省が最もお得意とするモデル・スクールというようなものが、非常な金をかけて、地方の住民の資力をはたくようにしてりつぱなものができておる。どこに教育の機会均等があるかと私は言いたくなるのであります。しかも積雪が三メートルも四メートルもあるような地方に依然として危険校舎が多い。もしその積雪が多くてその下敷きになつて貴重なる学童が五人、十人と死亡したというようなことになりましては、これは全く国家の教育政策の責任だと私は思つております。そういう点から、少くとも二部教授だけはさしたくないのでありますが、現在の予算のままで参りますと、三十一年度の入学児童を全部収容して、義務教育就学児童の二部教授はどのぐらいになる見込みであるか、その推定をお聞かせいただきたいのであります。
○小林説明員 モデル・スクールの関係のお尋ねでございましたが、戦後やはりなるべく作るならばりつぱな施設をということで、モデル・スクールということで国から援助をして参つたのでありますが、ただいま御質問の中にございましたように、一般的には非常に二部授業その他がある際に、国から援助するというのは必ずしも妥当でないというようなことで、実は昨年から国からモデル・スクールに対して援助するということは現在やつておりません。ただそれぞれの地方におかれまして、できるだけ予算の許す範囲内でりつぱなものをということで自主的にやつておるのでございます。危険校舎につきましては、もちろんこれは文部省といたしましては、できるだけそういつた被害などの起らないうちに改築したいということでやつておりまして、最近は私ども地方に出ていろいろ調査しておりますが、件数から申しますとかなり件数が少くなつてきておるのではなかろうか。危険校舎の改築促進臨時措置法が通りました当時に比べますと、かなり安全度が高くなつておると思います。まだしかし不正常の関係になりますと、これはこの前の国会で初めて法案を御審議いただきまして、法案を作つていただいたのでございますが、御承知のように予算が十分でございませんので、本年度はまだ発足したばかりのような現状でございまして、本年度のこの予算坪数を建築いたしましても、なお教室数にして八千近くの教室が残る計算になつておるのでございます。
○加藤(精)委員 次に自治庁の政務次官にお尋ねしますが、そういうふうに教育の機会均等を破つて八千近くが二部教授をするということになるのについて、これをカバーすべき措置を、昭和二十九年の後半においてであつたと思いますが、行政措置によつてこの二部教授を出さない、都市その他の著しい学童数の増加に応じて緊急措置をとつて教室を作るということでありますが、何らかそういうことをお考えになつておられるか。文部省当局と御連絡して画策しておられるかどうか、その点についてお尋ねします。
○早川政府委員 自治庁といたしましては、国庫補助事業と合せて文部省と協議してやりたいと思つております。今直ちにそういうことは具体的にやつておりません。
○加藤(精)委員 昭和二十九年だと思つておりますが、この問題につきましては地方自治政策の上のきわめて重要問題でございまして、むしろ文部省よりも地方自治庁が力を入れまして、その措置をしたということに記憶しておるのです。そういう観点から見まして、まだ具体的な御立案がないということは非常に遺憾とするところでございます。 次にお尋ねしますが、今回の地方財政緊急処置に伴いまして、八十八億の公共事業費の不要額を予算から切り捨てるという問題が起つておるのであります。これによつてただいまの二部教授の八千の数がさらにふえてこないか、これにつきまして責任のある御答弁を文部当局及び地方自治庁御当局の両方の政府委員から御言明を願いたい。
○小林説明員 今回の地方財政の赤字対策といたしましてのその財源の一つといたしまして、八十八億の事業の節約をやるということでございますが、その中には公共事業の系統費といたしまして、公立文教関係の経費約五億四千八百万ばかりあるのでございます。この繰り延べと申しますか、節約繰り延べにつきましては、文部省としては公立文教施設関係の経費が他の公共事業とかなり性格が違うものでございますので、いろいろ大蔵省等とも折衝いたしたのでございますが、しかし赤字補填の対策上財源捻出の関係から、事情はいろいろあろうが協力してもらいたいという大蔵省の要請でございました。そういつた意味から、文部省もこれにやむを得ず協力するということになつたのでございます。ただこれを実際に事業費の削減をいたします場合に、数字から申せば当然これは、たとえば不正常授業の予算もその一環として削減するものでございますから、相当影響はあるわけでございますけれども、また一面、御承知のように年々ある程度の繰り越し予算もあるのでございます。二十八年にいたしましても、二十九年にいたしましても、それぞれ繰り越しの予算がございますので、数字の通りの深刻な影響が直ちに出るということにはならないかとも考えております。形式的に言えば、当然これは影響があるということになるわけでございます。
○清瀬国務大臣 私から一言補充をいたじます。あの金額は切り捨てたというのじや決してございません。本年度は年度の初めがあの通りおくれておりますから、実際の工事等がおくれて、年度内に使えないだろうというふうなものもできまするし、それからまた実際は節約のできるところは国家のために節約をしなければならぬが、実際の施設には障害のこないようなふうにして出た金を使おうということと了解しておるのです。それゆえに次の補正または通常予算には、今度のけたものは優先的に計上されるという了解でございます。それがために文政の施行には何ら妨げなしと考えます。一方赤字解消ということは国家的の重要事でありますから、その方に使う方がよかろうということで同意をいたしております。
○加藤(精)委員 大へん恐縮ですが、早川政務次官の前に発言させていただきます。問題を切り詰めて端的に限定してお話した方がよいと思いますが、この地方財政不要額の問題ですが、不要額の認定は地方団体がするのか政府がするのか、それだけを答えていただきたい。まず早川政務次官にお尋ねします。
○早川政府委員 国庫補助事業でありますから、地方団体がやらないで、文部省の方でやるのだろうと私思います。ただ先ほど清瀬大臣が言われましたように、ぶつた切るのじやございませんので、事実上は昨年度は公共事業費、文教費も含めまして実行予算ですでに百億円減らしておる。実行予算で百億円減らしながらもなおかつ六十億円繰り越してあるのです。しかも本年度は二カ月予算がおくれておりまするので、実際上ぶつた切るという言葉で表現できるような問題は私は起らないのではないか、かように思つております。
○加藤(精)委員 もつと端的にお尋ねしたいのですが、これは地方自治庁御当局にお尋ねしたいのでありますが、府県市町村が地方財政計画に従つて三十年度の最終的な財政計画を立てるわけであります。これは一般交付金の交付額がきまつた際に立てることになるだろうと私は考えております。その場合に自治庁当局は、一般交付金はこれだけだ、大体税の認定はこれだけだ、その際にお前のところはこういうふうに公共事業費は不要額を出して予算を組むんだということを、たとえば府県に限定して申し上げますれば、府県に対してはそういう指導をされるかされないか。不要額は政府がきめるということでございましたら、これは地方財政の処理というものに政府の意図が入つてくるような気がするのでありますが、この点につきましてはまた詳しく別に論ずる機会を持ちたいと思います。とにかく一般交付金が決定いたしましたときに、府県に限定していえば、府県当局は公共事業をどの程度にするかということをきめるわけでありますが、その際に自治庁当局は各省と連絡をとつて、そして公共事業の不要額の認定に対して指導するかしないか、その点をまずお聞かせ願いたいのです。
○早川政府委員 事務当局がやつておりますので、事務当局から答弁させます。
○柴田説明員 お答えいたします。御質問の趣旨は、おそらくは国庫補助金の節約等によりまして仕越し工事が出るのじやないだろうかという御心配じやないだろうかと思います。お話のように交付金総額がきまりましたときに、特別交付金も含めまして、その際に最終予算を決定するのが従来の地方団体の例でありますが、今年度は百五十億円を新しく臨時地方財政特別交付金として交付税の例によつて配るわけでありますが、これを配りました暁において、そのような最終的な予算額を出すということが行われるだろうと思います。ただそれにつきましては、御質問のように公共事業費等の節約の問題がございます。従来は国庫補助事業がきまりますれば、それについて格別のさような指図をいたしておりません。地方財政はかように苦しい際でもありますし、また地方団体が安易な気持で事業を施工して仕越し工事ができても困るものでございますから、ことしは御趣旨に従いまして各省と連絡をとりまして、できる限りさような措置をとりまして、地方団体が不知といいますか、状況を知らずに赤字を出すというようなことのないように努めたいと思つております。
○加藤(精)委員 そうしますと、地方行政委員会で財政部長が説明されたと同じように、不要額の認定は地方団体がやる、地方団体が不要額の認定をして予算を切らなければ、八十八億は節約にならぬでもやむを得ないのだ、こういう御見解でございますか。
○柴田説明員 公共事業の認証をやりますのは国であります。従いましてその限りにおきまして国庫補助金を幾らにするかということは国が決定するわけであります。地方の実状がかりにその国庫補助事業の認証額を越えて行われなければならぬというような事情があれば、それは地方の実状の問題であるし、また国庫補助事業の認証の適否の問題になつてくると思います。その分につきましてはやむを得ないかと考えます。
○加藤(精)委員 公共事業の認証は政府でやることぐらいは私はわかつておりますが、問題はそんなことじやないのです。地方自治の本義からみて、その地帯におきましてどうしても必要だという事業は、単独事業であろうが国庫補助事業であろうが、この事業主体は地方団体なんです。立場を市町村長の立場になつて、あるいは府県知事の立場になりて自治庁御当局は考えて下さるのがいいのであつて、暫定予算で三十年度は予算の編成が非常におくれて、予算の組みようがない。そこで今度は公共事業がふえた、そこで今度はいろいろ計画した、そして今度は急にこれが減額になるという立場になるのであります。これには理事者、それから議会、事業施行団体等々、知事の立場としましても非常に問題なわけであります。地方団体の運営または地方行政の上におきまして必須な事業はやりたいという考えを持つておる、これは当然でありまして、予算を切るということはこれは繰り延べじやないのです。繰り延べであるならば事業繰り越しになる、事業繰り越しになればこれはその年度の予算であります。どこまでも三十年度の事業を繰り延べて使用するわけでありまして、三十一年度におきまして切り捨てただけの分量を優先的に復活するのだということになりましても、こういう場合はそれによつて優先してその事業を三十一年度の予算に基いて認証するだけの十分な予算を政府が提供することはまず見込みない。たとえば町村合併促進法でよくおわかりでございますが、政府当局は関係町村の事業を優先的に配付することによつて一般町村のそうした事業の財源を減らさないということを国会におきまして十分に確約しておりながら、何らそういう措置は講じておらないのであります。結局切り捨てた分だけは事業の縮小になる危険性が十分にあるのでございます。繰り延べとか切り捨てあるいは消化し切らぬという問題につきましてはこれは水かけ論になりますので、これを論ずることはできないのでありますが、問題は公共事業費の中の義務教育児童に機会均等を与えるべきための施設費の事業費をいやしくも切り捨てることになるであろうならば、各市町村の当局があるいは議員があるいは住民が、義務教育のために今年はこの学校は拡充しよう、この分教場は拡充しよう、あるいは危険を防止しよう、そうした熱意が結集して進行し七おりまするところのそうした施設事業の進行が急にストップさせられるわけになるのであります。これは大臣の大きな政策であるところの教育機会均等の上から見まして致命的な問題になる部分であります。これにつきましては私は義務教育の施設、文教施設の補助事業であるところの公共事業に対しては削減を断わられるのを適当と考えておるのでありますが、これについて文部大臣のもう一度の御答弁をお願いいたしたいのであります。
○清瀬国務大臣 お説はごもつともでございますが、さき申したように、実際の施設の進行において、結果において同様となるようにいたしたいと存じます。なるほど優先的に次に計上するといいますと、またそれだけの分がその次に移行されるおそれがありますから、それは十分に注意いたします。しかしながら学校の施設もそうでありますが、一方加藤さん御承知の通り、わが国の地方財政も非常に危険に瀕しておるのであります。これ以上わがままを言うのはいわゆるセクショナリズムになると思いまして、それだけ譲つたのでございます。御了承願いたいと思います。
○加藤(精)委員 ただ三百だけ申し上げますが、わが国の国家行政及び地方行政を通じまして、最も普遍的であり、最も基本的であり、国家国民の団結の基礎であるところの最小限度の精神的雰囲気を与えるところの義務教育を文部大臣はもう少し強く考えていただきたい。セクショナリズムというのは対等の条件のものが争う場合でありまして、国家権力の最根本であるところの教育についてはそういう言葉は当らないと思います。あえて私は文教施設費の三十年度における削減につきましては絶対に反対するものであることを申し上げまして、もう一回文部大臣の御答弁をお聞きしたいと思います。
○清瀬国務大臣 加藤さんの御発言は、われわれに対して有力なる鞭撻であり、またあと押しであると考えまして、その方針で進みたいと存じます。実際において学校の施設がおくれることはできるだけ避けたいと思います。
○佐藤委員長 野原覺君。
○野原委員 大臣にお伺いしたいと思いますが、この前の文教委員会で大臣から私ども承わつたのでございますが、清瀬新文部大臣の文教に対する考え方というものはそのまま党の方針がとられる、こういうことであつたと思うのであります。そこで私どもが最もここで重要視して考えておりますことは、自由党と民主党がこのたび保守合同をいたしまして自由民主党ということになつて、文教政策における緊急対策というものが打ち出されておる。その緊急対策の題目は、国民道義の確立と教育の刷新、こういうことになつておりまして、その中身は三つございます。これはこの前も指摘いたしましたように、大臣御承知のように教育委員会の改廃——明確に教育委員会の改廃とうたつておる。第二には教科書制度の改善、第三には教育者の政治的中立厳守の措置をとる、こういうことでございまするから、清瀬新文部大臣の方針は緊急的にはこの三つを出ない、私どもはこのように理解するわけであります。 そこでお尋ねいたしたいことは、同僚河野委員も質問いたしましたが、やはり緊急対策として出されておる以上は、この緊急対策についての具体的なる内容をお示しいただきたいということであります。今大臣の御説明を聞いておりますと、この前の答弁にもございましたように、この三つの事柄については目下その研究をしておるんだ、こういうことでございますが、いやしくも天下の公党でありまする自由民主党が緊急対策として打ち出されたこの三つが、単にお題目だけであつて、内容のないものであるとは私どもは考えないのであります。具体的に内容があればこそ教育委員会の改廃と明確に出したのじやないでしようか。教科書制度を改善するというのは、改善する内容なしに、ただ改善するんだという題目を出して、これから内容をきめるんだというような、そういう政策、方針というものは、いやしくも政党が出すべきものではないと私は思う。従つて、一体具体的内容があるのかないのか、これは内容なしにお題目だけきめたのでございますかどうか、大臣に重ねてお尋ねいたします。
○清瀬国務大臣 その点は前回野原君におおむね答えてあると存じます。あなたは党外であられるから、この組織のことを十分御了承願わないのはむろんでありますけれども、われわれの方は一般政策として八つのことをあげておるのであります。そのうちで三つのことを緊急対策としております。前の内閣で審議会を置くといつたこと、それから育英制度を拡充する、科学技術を振興する等は一般政策でございます。そのうちに教育委員会を改廃すること、教科書を改善すること、教育者の政治的中立を厳守する、この二つだけを緊急としております。この三つのことば多く法律をもつて改正しなければならぬことであります。もつとも教育者の中立ということは、必ずしも法律によらぬ間接的な指導というふうなことにも及びまするけれども、この三つは立法を要します。今期国会は、あなた方が召集を請求された趣旨によりましても、地方赤字財政の解消等が中心でありましたから、この国会にはこの三つの法律はともに出さないのであります。次の通常国会にはなるべく早く提案するのであります。そこで教育委員会をいかように改廃するかということは、今ほんとうに調べておるんですよ。昔の官僚の言つた目下研究中ではないのです。(笑声)ここにおられる委員の諸君も、党員として文教委員会を作つて、非常に急速に調べております。しかしながらその調べは、次の国会の男頭に間に会えばいいのでありまするから、急ぐは急ぐけれども十分に調べなければなりません。軽々にその場限りの答弁などすべきものじやないのです。 それから教科書の制度、これも文部省内の諮問機関に諮問して、できた結果を直ちに本日皆さんに報告しております。きのう午後できたのです。午後三時に答申ができて五時に私は受け取つたのです。それを重要なこととして本日配付して、内容の一部を御説明申し上げておるのです。 教育者の中立についても、あるいは通達あるいは勧告等もしなければなりませんけれども、あなたも御指摘の通り、前の法律を幾分いらうかもわかりません。これも次の国会の初めまでに練りに練つて、これで自信があるというものをお目にかけまするから、どうかそのときに十分に御批判なりあるいは御忠告なりお願いいたしたいと存じます。同じようなことを言いまするけれども、まあ前回申し上げた範囲を出ないのです。
○野原委員 次の国会ですみやかに出したいから、その次の国会に出てくるまで君らは黙つておれ、早くいえばそういうようにもとれるんです。私が尋ねておりますのは、次の国会に法文の形で出てくることは、これは当然私どもも了解いたしますが、やはりこういうような項目を打ち出して、緊急対策として方針として出される以上は、具体的な内容が今日ただいまあるのではないか。教育委員会の改廃という場合には、地方教育委員会制度を一体どうするのか、それから公選制を任命制にするのか、これは知事がその府県会議に相談をして任命をするという旧民主党の特別委員会が出しておつたような方向を考えておるのかどうか。これは最終的に自由民主党が固まつていなければ固まつていないでもよろしゆうございますが、自由民主党の方針が文部大臣の方針である、こういうことになれば、一体文部大臣は今日ただいま教育委員会制度の改廃についてはどういうお考えを持つておられるのか、これはお示し願いたいのであります。あなたは決して自由民主党の文部大臣じやない、国の文部大臣でございます。国民全体ばあの題目を出されたために、やはり非常な物議をかもしておることは御承知の通りです。だから文部大臣としては教育委員会の改廃についてどういう考えを持つていらつしやるのか、この点について御答弁いただきたいと思います。
○清瀬国務大臣 話は少し範囲が広くなりますが、今野原君のお説のところはわが国の政治体制にも関係することであります。お前は国の文部大臣じやから、党がどう考えてもお前の心をここにぶちまけいとおつしやる、それでいいのでしょうか。今世間で待望しておる二大政党組織は、与党が党議できめたことを内閣に打ち出して国の政治にするという公明正大な方法なんです。あなた方が内閣を組織されてもそれと同様になろうと思います。私も幾らか研究しておるものもありまするけれども、これは私個人の意見だといつたようなことを早期に世間に発表して、実際、党の党議として提案する場合に、それと違つたといつたことでは国民を惑わすです。政党内閣の大臣としては党議の熟するを待つて発表するのが当然であります。それ以前に急ぐことはありません。党議がきまつたその通りにやります。
○野原委員 そういたしますと、大臣こういうことでございますか。党議がまとまつていない、教育委員会の改廃ということは実は党議がまとまつておらぬのだ、今のところは具体的内容がないのだ、このように受け取つてよろしいのですか。
○清瀬国務大臣 この前も申し上げました通り、現在の教育委員会の制度には欠陥があることは事実なんです。その一つとして前回例に引いたのは名古屋の学区制度です。教育委員会制度が明白でないからして市の教育委員会と県の地方教育委員会とがあの通り問題を起したではありませんか。あれを見てもいけないのです。しかしいけないということがわかつた瞬間に、これがいいのだということを早急にきめるのじやなくて、事は次の国会できめたらいいものでありまするから、それだけの時間を最善に利用して最善なる案を立てるのです。これをお聞きわけにならないでそうおつしやることはいかがなものでございましよう。
○野原委員 どうも文部大臣からまことに私が聞きわけのない男のような、やんちや坊主の質問であるかのような御答弁でございますけれども、私はやはりこの教育委員会の改廃と自由民主党が出されたこれは、天下の公党でございますから、教育委員会は改廃する点があれば改廃するのだというようなそういう希望的な観測のもとに出された政策では万々ないと信じておるから申し上げておるのです。やはり改廃するのだという以上は、改廃する内容を持つていらつしやるだろうと思う。しかしどうしても今のところはそれが言えないということであります。言えないということは、党議が熟していない、こういうお答えがございました。従つて、今日自由民主党はあの方針を出しておるけれども、実は党議は十分に熟していない、改廃する点があれば改廃するのであつて、これから慎重に調査研究するのである、このように私どもは理解いたします。これが違つておれば大臣から一つ是正していただきたいと思うのであります。 そこで次に、時間もございませんから急いで質問をいたしますが、ただいま加藤精三議員から校舎施設の問題でいろいろ質問がなされたのであります。従来私の知る限りでは、自由党の文教政策方針、民主党の文教政策方針に必ず校舎施設の問題ということが大きく取り上げられておつたのであります。しかるにこのたび発表せられました自由民主党の文教政策方針は、一般的なものの中にもそれから緊急対策の中にもこれを見ることができない。しかも本日勢頭に文部大臣から、私はこういう考えで文教政策を進めていきたい、あなたが努力したいというそのお言葉の中にも出ていないのであります。これは一体どういうことであるのか。校舎施設の問題、危険校舎の問題も、二部授業の問題も、児童の自然増加の問題もすでに一切解決されたというお考えで臨んでおるのか、それともこの問題は二の次だというお考えで臨んでいらしやるのか、私どもはまことに疑懼にたえぬのでございます。これはどういうことでございますか。重点を置かれないわけについて御答弁を願いたいと思います。
○清瀬国務大臣 これは非常に重要なことでありまして、たれから見ても、義務教育として学校を建てる以上は校舎の施設は当然です。これはあなた方の方でもそうだろうと思います。地方もそうだろうと思います。当りまえのことは特殊の政策として打ち出す必要ばない。これはむろん当然です。 〔「名答弁」と呼ぶ者あり〕
○野原委員 あまりにも当然であるからこれは特に政策に掲げなかつたのだ——これは大臣としてまことに名答弁である。しかしそのめいは有名の名でもあるし、迷いの迷でもあると私は思う。いやしくも重点を置くべき方針、重点を置かなければならない問題こそ政党は方針として掲げるのであつて、校舎の問題が今日非常にやかましく大きく取り上げられておる限りは、これは当然であるから掲げなかつたのだということはいささか詭弁ではなかろうかと思うのであります。たとえばあなたが教育方針としてあげられた給食の問題、育英事業の問題、当然じやありませんか。育英事業なんか当然なんだ。社会主義政策を理解していないのじやないという発言も先ほど自由民主党の方々からなさる。当然でしよう。あなたは当然のことをさつき述べられた。そして私から指摘されますと、これは当然でございますからあげなかつたのだと言われる。私は失礼でございますけれども、いささか文部大臣としての御見識を、そういう御答弁をなさる限り疑わずにおれぬのであります。しかしこのことは自由民主党としても考える、文部大臣としても考えていくというならば、これはやはり党でも、大臣も大きく取り上げて私どもに説明をし、それから天下にも示していただきたいということを御要請申し上げたいと思うのであります。 次に私は第三点として、自治庁の方がいらつしやいますから、自治庁の政務次官と係官の方にこの機会にお尋ねをいたします。その内容は二つございます。 一つは町村合併に伴う学校施設の問題でございます。町村合併ということは国の方針ということになつておるのでございまして、これが今日すでに八、九〇%は進捗しておる。しかるに、そういうことを国の方針として町村に要求しておりながら、学校の統合ということに対する予算措置がはなはだ不十分であると私どもは考えまするが、一体自治庁はこの点をどのように御理解なさつておるのか。まず政務次官なり係官からこれに対するお考え方を承わりたいと思います。
○早川政府委員 町村合併はすでに八五%完成しておりますが、自治庁といたしましては、主として起債のワク内において学校の施設あるいは教育関係費用に最優先的な措置をとつておりまして、実際の公共事業費としての学校施設を作るということになりますと、これは文部当局と相談をしてやる、こういうことになろうかと思います。また通常国会には、現在計画しておりますのは、合併市町村の育成法案を提案したいと思つております。ただいま御指摘の教育施設充実等に関しまして一層考慮を払いたい、かように考えております。
○野原委員 時間もありませんから急ぎますが、こまかい点は、これから文教委員会もたびたびあるわけですから、本日の答弁をもとにして私はもつと突つ込んで自治庁の方にもおいでいただいて御質問を申し上げたいと思いますから、大綱にとどめます。 第四点は、地方財政が御承知のように非常な赤字に苦しんでおる。そういうときに、地方の市町村が一番困りますのは校舎の新築増築の問題であります。これは小さな市町村ほど実は頭痛の種である。しかるに、これは自治庁の責任であろうと思いますが、法令上当然国は当りまえの補助金の予算を支出しなければならないにもかかわらず、実際の補助金というものは校舎建設に要する半額ぐらいしか出されていない、たとえば補助単価の問題にしても、それから坪数の問題もそうであります。こういうことがなされる限り、地方財政がますます逼迫してくることは当然でございますが、一体この点についてはそのような事実がないと自治庁は仰せられるかどうか承わりたいのであります。
○早川政府委員 校舎の補助単価が二万円もするのを一万円とか、非常に中央で国家財政の逼迫の結果、単価が低いことは事実であります。それが地方財政の赤字の一半の理由になつております。このたび百八十八億財源捻出をお願いいたしました点はそういう点にございます。仰せの通り自治庁はむろん適当な補助単価というものの主張は強力にいたしますが、しかしこれは大蔵当局その他総合的な国家予算全般の問題でございますので、三十一年度の根本的地方財政の建て直しには、われわれといたしましてはその問題を一つの重要な項目として取り上げ、単価の適正な算定ということに努力いたしたいと目下計画をいたしておる次第でございます。
○野原委員 努力いたしたいというようなその場のがれの御答弁であつてははなはだ困るのでありまして、私は清瀬文部大臣にお尋ねをいたしますが、大臣も御承知のように、地方財政法の第二条を見ますと、国は法令において保証したものについては当然責任をもつてこれを遂行しなければならないもので、国の負担を地方に転嫁することは許されない、これは明確に示しておるのであります。ところが法令において保証したものについて当然責任を国が持たなければならぬにかかわらず、責任を持つていない。自治庁政務次官の御答弁を聞いてもこれははつきりしておるのでございますが、新文部大臣としてはやはり文教における最高の責任者として、このような不合理を是正するために関係法令の内容について再検討を加えられ、同時に予算措置は法令にふさわしいものにすることについて御決意があるかどうか、自治庁は必ず削減をしてくる、大蔵省は金を締めてくる。それに対して新文部大臣として法令通りの補助金を交付せよと、強硬に、やはりこれは決意をもつて当つてもらわなければならぬのでありますが、その御決意があるかどうか、承わりたいのであります。
○清瀬国務大臣 これはひとり文部省と限ることではございませんので、さようなることをも一つ審議をして、現にわが内閣では場合によれば予算は別のところで一つきめようじやないかという意見さえ出ておるのであります。野原君と同様、法律が出た以上はそれを実行するための予算はとるように、私は重大なる決意を持つております。
○野原委員 そこで、私はあと二、三の点でございますから、しばらく同僚委員の皆さんにもお許しをいただきたいと思いますが、まず大臣にお尋ねしたい点は、実は私は、本日は大臣から、教育政策についての方針なり信念を十分伺えるものと期待して参つたのでございますが、お示しになられたものは具体的な項目の羅列であつて、教育に対する基本的なものの考え方が示されていないことははなはだ残念に思います。そこでお尋ねをいたします。先ほど申しました自由民主党の緊急対策、国民道義の確立と教育の改革とございましたが、一体国民道義の根本はどこに置かれなければならぬと大臣は考えていらつしやるか。もつと具体的に申し上げますと、近代日本の教育改革というものは、大臣も御承知のように三つあつたと私は思うのです。明治五年に学制が頒布されたときに、太政官布告として学事奨励に関する仰せ出され書が出て、そうして今日の就学義務、いわゆる国民教育の基礎というものが完全にできておる。つまり学問はすべての国民が義務としてなされなければならぬという明治天皇の方針もあつて、この太政官布告が出されました。これは第一の教育における近代革命であつたと思うのであります。第二の革命と申すべきものは、明治二十三年十月三十日に出されました教育に関する勅語でございましよう。つまり日本の教育というものは日本の実情と伝統に従つて行われなければならぬという基本的な考え方であの勅語は当時出されたように私どもは考えておるのであります。しかるにその後ずつとやつて参りまして、あの教育に関する勅語ということが、国の大きな方針で国家主義ということに発展し、間違つて軍国主義に持つていかれて敗戦というどん底に日本がたたき込まれて、そうして新憲法ができ、教育基本法が生まれておるのであります。この教育基本法の考え方というものは、人間の尊重、人格の完成となつておる。このように私どもが近代日本における教育の三つの革命を考えた場合に、自由民主党が出されました国民道義の確立というのは、今日の教育基本法の上に立つた人間の完成、人格の完成、こういうようなものであろうとは思いまするけれども、大臣のお話しを聞くと、伝統々々、それから特殊事情だ。こういうことをお伺いいたしますと、いささか物の考え方に私どもは一脈の不安を禁じ得ないのでありまするから、お尋ねをいたしますが、国民道義の根底をどこにあなたは置いて考えるべきだとお考えでございますか。
○清瀬国務大臣 だいぶ時間がたちましたが、お聞きくださるならば少し時間をちようだいして申し上げたいと思います。 今わが国の教育の沿革等までお示しくださいましたが、一番最後の言葉は、国民道義の根底をどこに置くかと伺つたのです。私は現代の国民道義の根底は人格の尊厳から来るんだと思います。過去において、ある場合は、道義といえばすなわち服従と考えておつた。あるいは国に対する服従、親に対する服従、天皇に対する服従、これが明治憲法の行き方です。支那でいえば朱子学の流れをくんでおるのであります。しかしそれは真の現代の道義ではなく、現代の道義は個人の尊厳から出発するものと思います。人間は冒すべからざる良心を持つておる。良心の発露で自発的に行いが規正されて初めて価値ある道徳的行いになるのであります。人に教えられ、人にしいられて善をなしても真の善じやありません。先輩はこれをセルフレスペクト、個人の尊敬、福沢先生が独立自尊と言われました、あの自尊はえらがるという意味じやない。セルフをレスヘクトせよ、自分の人格、個人を尊厳する以上は、他人の人格もこれは認めなければならぬ、相手方の人格も認めなきやならぬ。ここに初めて私は現代の道徳のごくしまいのしまいの根底があろうと思います。最後の根底ば主観であります。比較するとかえつてものが間違いまするけれども、たとえば仏法でいえば、阿彌陀さんを拝む、これに従うという方と、仏は心にあるのだという説き方があります。すなわち後の説き方、善の根本は、外観の服従ではなく、真の個人から発生するものだ、良心の発露である、これが私は道徳の根源だと思つておるのです。しかし世間で道徳といううちには、やはり道徳から出てきて、実際に行う現実の動作というものも関係いたします。何ぼ善意であつても、粗暴なことをしてはこれはやはりよくありません。そこに国の伝統というものがおのずから出てくるのです。外国人も、日本人は礼儀正しいいい国民だということを、明治初年勝海舟がアメリカに行つた時分も、三條さんが行かれた時分も言つております。それが戦後幾らかくずれはせぬか。何かこのころの青少年は快活でいいところはあるが、しかし、この伝統が幾分くずれはせぬかという疑いを私ども持つておるのであります。われわれの信じておる保守というものは、初めから革命じや、改革じやなんという大げさなことを言うのではない、このりつぱな伝統はこれを保持して、しかしながら、悪いと見たら大胆にこれを改める、こういう態度をとつておるのがわれわれの態度であります。従いまして、日本国民の道徳の基礎と、道徳を応用したる平生の所行、所作、これを国民にうまく教え込んで、明治以来世界から尊敬を受けておる日本人をこのままに、世界の文明国の一員として育て上げたいということでございまして、決して私は、昔に戻つて詰め込み教育、服従教育をするのでなく、あるいはその反対に阿諛迎合のインフェリオリティ・コンプレックス、下等民族のようなびくびくする人民でなく、堂々と大地を濶歩する日本の子弟を育て上げたい、こういうふうな心持でございます。軍国主義の復活などはこうも考えておりません。ただしかしながら、日本の国の防衛はしなければならぬとは考えておるのです。
○野原委員 結局大臣としては、教育の基本と申しますか、国民道義の根本というものは、個人の人格の尊厳、真理と平和を愛好する人間を育成する、こういう言葉で教育基本法にうたつておりまするが、この今日の教育基本法にあるのだ、このように私は理解をいたします。これは、今日の大臣として当りまえのことで、ございましよう。ここで大臣の教育に対する考え方を私どもは的確につかむことができたような気もいたすのでありまするが、なお私は、失礼でございますけれども、大臣のお考え方に幾らか心配があるのです。その心配を解消するために一、二質問をいたしますが、今日学校の教員が、日本憲法を守らなければならない、こういう考えで子供に教育をしておる。今日の教科書をあなたがごんになればわかりますが、今日の社会科の教科書というものは、ことごとく憲法擁護の立場に立つておるのです。これは当然でありましよう。不磨の大典でございますからね。そうなつたときに、教員が憲法擁護の教育をやる、憲法擁護の運動をやる——政党でいいますと、憲法擁護をうたつておるのは社会党、憲法改正は、昨日、一昨日も鳩山首相がはつきり示しておりまするから、自由民主党は今日はそういう憲法擁護の立場を必ずしもとつていらつしやらない。そこで、教員が憲法擁護だ、こういうふうに出たときに、この教員は特定の政党に反対をした教員、特定の政党を支持した教員ということになりますと——先ほど教職員の政治活動は申立厳守の措置をとるというあなたの党の緊急対策から考えますと、そういうふうになつてくるというとこれは大へんです。憲法擁護の運動について一体大臣はどのようにお考えですか、関連しておりますから、承わりたいのであります。
○清瀬国務大臣 これはよく似たことですから、冷静にお考えを願いたい。今政治運動として憲法擁護の運動というのがあり、また憲法改正運動というのがある。これは一つの政治運動でございます。しかしながら、現存の憲法、法律に従うということは、これが民主主義でございまして、ゆえに民主主義の教育は現存の憲法に従わなければならぬ。このごろ基地問題に関して現行の法律、行政で行うべきことを妨害するところがあるのです。これは憲法擁護じやありませんよ。これは合法主義じやないのです。現行の憲法が改まるまでは、不平でもこれに従わねばならぬのです。私ども今の憲法に従つて、この通り国会に出ております。あれを廃するまでは現行の憲法に従う。学校の教育もそうするのです。けれども、政治運動としてその従うべき憲法を改正しようという運動と、擁護しようという運動とある最中に、その一方を行くということは、これはやつぱり政治運動だと思います。私も現行憲法には反対ですよ、反対だけれども、これに従つておる。ある憲法だから。(拍手)
○野原委員 ただいまの答弁は非常に重要であります。失礼でございますが、大臣は法学博士だ。日本の憲法の条文くらいは御承知のはずだ。失礼ですけれども、憲法第九十九条を読んで下さい。何と書いてありますか。
○清瀬国務大臣 私が言つたことが憲法九十九条に反しておりましようか。私は、現在の憲法には従う。私も従い、先生にも従うてもらいたいのです。けれども、政治問題として憲法擁護運動と憲法改正運動が渦巻をしておる最中にその一方を鼓吹するということは、これは私はいかがかと思うのです。
○野原委員 そういたしますと、憲法擁護運動をやつた教員は、特定の内閣、鳩山内閣、特定の政党、自由民主党に反対をした教員であると、大臣は烙印を押すわけですね、はつきり承わりたい。
○清瀬国務大臣 それは、具体的にその事実によつて判断しなければならぬのです。
○野原委員 よく聞いて下さい。第九十九条「天皇又は摂政及び国務大臣、」、あなたは国務大臣です、「国会議員、」われわれ国会議員、「裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」とありますが、この解釈はどういうことになるのでございますか。——もう少し続けます。私はもう少し続ける。これは、大臣の日本憲法に対する考え方として重大です。失礼ですけれども、この前の国会でも、今日の日本憲法はマッカーサー憲法だということを指摘されて、当時の自由党も含めてこれは相当問題になつた。坂田君なんかも自由党におつたわけなんですが、これに対して問題にしたわけです。「国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」とある。一体学校の教員は教育基本法に立つて教育をするのです。教育基本法というものは、先ほど国民道義の問題で申しましたように、日本憲法に立つておる。一体第九十九条があるにかかわらず、憲法擁護をやつた教員に対して、これはそのときの具体的事情を見なければわからぬというようなそういう態度であなたは学校の教員に対処されるのかどうか。この九十九条はどう解釈すべきであるか、承わりたいのであります。
○清瀬国務大臣 この憲法には必要ある場合には改正を許しておるのです。改正ができることも憲法の精神の一つなのです。それに従つて憲法改正の論が起ることはやはり憲法を冒涜するものじやございません。憲法の規定に従つて改正運動することを憲法擁護にあらずと言つて非難されることはないのであります。それは論理の間違いであります。人をどう処置するか、これは具体的に考えなければなりません。私どもそういう問題にも四十年間従事しております。同じような事件でもケース、ケースによつて違うのです。人の面の異なるごとくです。それを言わないでこうした先生を処罰するか、そんなことを言われたつて危険千万なことです。
○野原委員 これで終りたいと思いますが、この問題は憲法擁護という九十九条に対する的確なる御解釈ではないし、まことにあやふやな御態度で、実は教員の政治的中立厳守の措置をとるという緊急対策の第三項が解釈されるおそれなしともしない、私どもはそれは問題にいたしたいと思います。本日は私はかり時間をとつては何ですからこれで私はやめますが、最後に私は委員長に要望する。大臣の教育に対する努力点、御方針を承わつたのでございますが、これは今のところは単なる羅列された項目に終つておるのであります。そこで私どもの聞くところによれば、文部省はすでに昭和三十一年度の教育予算を編成されて、大蔵事務当局との間に折衝を重ねられておるというのでございますが、先ほど申されました清瀬文部大臣のこの教育予算に対する考え方、一体どういうようなことをどううたい込んで実現しようとなさつておるのか、委員長ばすみやかなる機会に当文部委員会にその予算編成の方針、内容を大臣から御提出いただくようなお取り計らいをお願いいたしまして質問を終ります。
○佐藤委員長 野原委員の申し出につきましては委員長として文部大臣にお願いいたします。
○清瀬国務大臣 了承いたしました。
○佐藤委員長 なお最後に森本靖君。簡単に願います。
○森本委員 ちよつと簡単にお聞きしますが、先ほど河野君の方から質問をしておつたときに、大臣の方から答弁がありましたが、ちよつと関連して聞いておきたいと思います。教員の中立性の問題の答弁の中で、教員の中では親孝行をしてはいけない、そういうようなことを言つておる者もあるというふうな答弁だつたのですが、それは事実ですか。
○清瀬国務大臣 それは事実なんですよ。ちよつと待つて下さい、いけないというのじやなく、せぬでもいいという、私の子供が聞いてきたのです。お父さん孝行はせぬでもいい、こう言うのです。それで私はびつくりしたのです。
○森本委員 それはあなたの子供が聞いた先生だけであつて、それ以外にそういう例があるのですか、具体的に。
○清瀬国務大臣 私は親としては、私の子の親だけで、ほかの家庭のことは知りませんけれども、先生がそうおつしやるといつて証拠に本を持つてくるのです。孝行無用論という本があるのです。そのときはガリ版だつたけれども、印刷になつて売つておるのです。
○森本委員 現在学校の先生は全国で何人おるのですか。
○緒方政府委員 公立学校がおよそ六十万でございます。
○森本委員 そこで私は特に大臣に要望しておきたいのは、六十万人もおる中であなたのむすこさんがたまたまそういうことを聞かれたかもわからないが、全国的にそういうような格好であるという、そういう印象を与えるような答弁をするというのは、私は非常に大臣として軽率な答弁ではないかと思う。すべ一の学校の教師がそういう格好の教育をしておるという印象を一般に与えるような答弁をされることはきわめて遺憾だと思う。だからあなたが自分のむすこさんに聞いた以外に、全国的に相当数の資料を持つて、現実に的確な資料を持つてそういうような答弁をするというなら別です。しかし六十万人もおる中でたまたまあなたのむすこさんがそういうことを聞いたことで、それがすべての教育の状態だという印象を与えるような答弁をするということは、私は遺憾だと思う。その点についてはつきり答弁を承わりたいと思います。
○清瀬国務大臣 これはあなたが例があるかとお問いになつたから例があると言つたのですよ。しかしながらそれは本になつておりますのと、私の子供の行つた学校は一級五十人ほどです。そのときだけでも少くとも五十人ば聞いております。それは本になつておるのですよ。そうして孝という字は今の学校の本にあるのですか。常用漢字にはあるけれども……。
○森本委員 私はそういうことを言つておるのじやないのです。あなたほそのむすこさんのことをたまたまここで発表されても、あなたの先ほどの答弁では全国の教員がそういうことを全国的に言つておるんだという印象を与えるような答弁をせられた。あなたがそういうふうな印象を与えるような答弁をするなら——全国的にそういうような例があるという的確な資料をあなたがつかんでおつて、そういうことを言われるのならよろしい。しかし全国的にそういうことはまれに見る、六十万人のうちでわずかに数人のことをさも全体の問題であるというような格好の答弁をするということは、大臣としてきわめて遺憾であるということを私は言つておるわけです。あなたにその他の雑問を聞いておるわけじやない。要点だけをはつきり答弁を願いたい。
○清瀬国務大臣 あなたのお問いが、日本でそういうことを教えておるかというお問いでございましたら、事務当局なり専任者にも聞いて全体の答えをいたしますけれども、あなたのお問いが、そんな例があるかとおつしやるから、間違いないように私の経験した例を言つたのです。お問いの性質が全国的のお問いじやなかつたのです。
○森本委員 全国的な問いではないにしても、あなたの先ほどの答弁が全国的にあるというような印象を与えるような答弁をされたわけです。だからあなたがそういうような答弁をせられるならば、全国的にこういうような資料が的確にあるということで、資料をはつきりつかんでおつてからそういう答弁をせられるなら別だけれども、先ほどの答弁は、——私のむすこがこうこうであるという答弁をすればよろしい、ところが全国的に先生がそういうことをやつておるのだという印象を与えるような答弁をされたから私は問題にしておる。だからその点をはつきりしてもらいたいということを言つておる。あなたの方がそういう全国的な資料というものは的確につかんでおらないということならそれでよろしい。
○清瀬国務大臣 委員長、答える必要ばないと思います。あまり重複しておつても……。
○森本委員 重複していない。先ほどあなたが学校の先生の教育の問題について、親孝行をする必要はないと言つたのは、あなたのむすこさんがたまたま聞いたのである。全国的にそういうことについては、私は資料を持つておらない、こういうふうに答弁をし直してもらいたい。こういうことですよ。
○清瀬国務大臣 し直すというか……。補充します。先刻は森本君より親孝行の必要なしという事例があるかとおつしやつたから一番的確な事例として答えましたが、全国的にこれが普及されておるという答えはいたしません。またそのことについては別に調べてお答えいたします。
○森本委員 それからこれは私の方のちよつと簡単な問題ですが、高知県の高知大学の付属幼稚園というのがこの七月から今度公立の幼稚園になつたわけであります。ところが私立の時代の教員が二名、公立になつて適格でないという理由によつて免職になりまして、それで地元の労働組合あるいは教員組合あるいはまたPTAというものが——この二名の復職について非常に世論が沸いておるというような状況であります。この問題については何か文部省に報告が来ておりますか、簡単にお聞きします。
○村山説明員 高知大学の付属幼稚園の人事問題につきまして簡単に経過を御説明いたします。高知大学の教育学部に付属幼稚園を作りますことは、昭和三十年度予算におきまして所要の経費が計上されまして、一クラスの二年保育の幼稚園として七月から発足したわけでございますが、本年度といたしましては一クラス分の生徒経費と教官定員が一名計上せられたわけでございます。しかしこの幼稚園は新設ではございますが、それより以前に私立の幼稚園が大学の施設を借りまして運営されておつたものを母体といたしたわけでございます。国立の付属幼稚園が設立されまして、その専任の教官を選考する順序になつたわけでございますが、大学当局といたしましては、付属の幼稚園でありますので、単に教員免許状を持つておるだけでなく、付属幼稚園の教諭として相当指導力のある者を採用したいということで選考の結果、現在付属の小学校の教諭を配置がえすることになりまして、その任命の上申が十月の末に文部省に参つたわけでございます。それに対しましてPTAの一部の方から、私立時代からおつた二人の女の先生でございますが、この人を付属の幼稚園の教諭としても採用してほしい、その間の事情を取り調べてくれというような陳情がございましたので、文部省といたしましては、これは国立の付属幼稚園の人事の問題でございますので、教育公務員特例法によりまして適法に上申されたものであればすみやかに発令するのが順でありますけれども、PTAの方からさような陳情がございましたので、なお慎重を期する意味合いにおきまして、大学に対しまして、この二名の先生を付属の幼稚園の教諭として採用する可能性があるかどうかということを問い合せましたところが、大学といたしましては、前に申しましたような付属の幼稚園の教員としては適当でないというようなことで、重ねて原案通り小学校の教諭の配置がえによる発令を促進してほしいということでございます。そうなりますと、この問題は付属幼稚園の教諭一名をどう選考するかという問題と、一つはその付属幼稚園の母体となりました私立の幼稚園の善後措置の問題とに切り離されてくるわけでございます。文部省といたしましては、付属幼稚園の教官の人事ということは、大学の上申によつて現在すみやかにいたさなければならないという段階になつておりまして、一方私立の幼稚園の廃止に伴う善後措置につきましては、形式的には幼稚園の設置者、園長であるところの一これは高知大学の桜井教育学部長が兼ねておりますが、桜井教育学部長個人と教員との間の問題ということになるわけでございますけれども、文部省といたしましては、事実上付属幼稚園の母体となつた私立幼稚園の善後措置でありますから、その先生方の身の振り方に困るようなことがあつてはと存じまして、この点につきましても大学側に善処を要望いたしましたところ、付属の幼稚園には採用できないけれども、身の振り方のつくようには善処するというようなことでございますので、そういつた線で私立幼稚園の善後措置も済むのではないかと考えております。 なおつけ加えて申し上げますと、先ほど申しましたように、付属の幼稚園は本年度の予算では二年保育の一年分だけが発足いたしたような次第で、私立の幼稚園は実質的には現在まだ残つておる格好になつております。従いまして御質問のように私立の幼稚園の先生の首切りという問題は当面は起らないのでございまして、ただ付属の幼稚園には採用できないということがきまつたわけで、この私立の幼稚園が存続する間は、その力で経費の負担をさえなさりますれば、私立の幼稚園の先生としてとどまることは可能だということになつております。簡単に経過を御説明申し上げました。
○森本委員 時間がないのできわめて簡単にやりますが、こういうふうに過去一カ年も私立の幼稚園に勤めておつた者を公立になつたのを機会に首をすげかえるという。ところがその資格の非常にある者、しかもPTAその他地元の者からも好かれておるという者をわざわざ交代さす必要もないように考えます。それから地元の幼稚園としても二名の者にぜひともやつてもらいたいという要望が非常に強い。さらに私立から公立になつた関係で、備品その他一切も私立から公立に移さなければならぬということになつておる。文部当局においてはこの発令等についてはあくまで大学に自主性があるということをいつておるけれども、形式上はともかくとして、実質的には一応その発令に文部省がやるということになつておるわけだから、この問題について地方で非常に紛争が起きるということはあまり好ましくないので、極力この問題は早期に文部当局としても向うさんの要望をいれて自主的に解決がつくように下部に指示をして、早急に善処願いたいということを要望としてつけ加えて、一応私の質問を打り切ります。
○佐藤委員長 この際各位にお願いいたします。他の各委員会がただいま多く開催されておりますので、文部省関係以外の政府委員の出席を求める場合は、当委員会開会前日までに委員長まで必ず御連絡していただくようお願いいたします。 本日はこれにて散会し、次会は公報をもつてお知らせいたします。 午後一時十七分散会