文教委員会 第2号
- 発言数
- 151 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1955/11/29
会議録
○佐藤委員長 これより文教委員会を開きます。 学校教育に関する件、教育制度に関する件、右両件について調査を進め、これに関する愛知県高等学校学区制の問題についてまず参考人の指名を行います。愛知県前教育委員長榊原孫太郎君、名古屋市教育委員長木村重正君の両君を、愛知県高等学校学区制の問題の参考人として指名するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○佐藤委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決定いたしました。 この際一言ごあいさつ申し上げます。参考人の方々には、御多忙中のところ、遠路わざわざ当委員会のために御出席下さいまして、ありがとうございました。委員会を代表して厚くお礼を申し上げます。 それではただいまから愛知県高等学校学区制の問題について御意見を聴取することにいたします。榊原孫太郎君。
○榊原参考人 私は愛知県の前教育委員長である榊原孫太郎であります。立法の最高権威の当所において発言の機会をお許し願いましたことをまことに光栄に存ずるものでございます。ただいま委員長からのお話がありましたので、大体愛知県の高等学校学区制の問題について申し述べてみたい、こう存ずるのでございます。 この問題は、大体昭和二十七年にサンフランシスコの講和条約がありまして、日本が独立日本となりましたので、私どもここでアメリカの教育を何らの検討、批判もなく日本へ入れた占領教育行政というものについて一応検討してみようではないか、こういうことで、昭和二十七年から総合制の問題、男女共学の問題、学区制の問題というものについて、県の教育委員会の権限においてやれることについて検討を加えることにいたしたのであります。 総合制の問題などにつきましても、中部日本は、例のジョンソンという教育部長がおりまして非常に厳格に教育行政をやりまして、日本全国でも一番厳格な教育行政が行われたところでございます。そこで愛知県あたりの総合制の問題も、農村といわず、都市といはず総合制をやりまして、私どもの研究の結果だと、山間僻地では総合制はいいけれども、名古屋市のごとき大都市、交通の便利なところでは、総合制よりもやはり単独制の方がいい、こういう結論を得まして、昭和二十七年からだんだんと総合制をはずいて参ったのでございます。それから学区制の問題につきましても、今まで小学区、いわゆる一校一学区という主義でやって参りましたが、大多数の県民が、ある程度学区を広くしてくれた方がいい、こういうような考えが多数あることを承知したのであります。資料として持って来ましてお手元に配付してありますが、ここに昭和二十七年の県の調査でいいますと、今までの学区は改善する必要があるというのが三八%、学区制はやめたいというのが二五%もあって、合計六三%からの、学区制をなぶってもらいたいという希望があったのであります。得た結果から申しますと、中学区制にしてくれというのが三一%、学区制をはずしてくれというのが四三%もあるというような結果になって参っているのでございます。また昭和二十八年におきましても、こういう問題についてアンケートを出して県民のあらゆる階級から回答を求めたのでありますが、やはり同じような回答を得まして、大体学区制をある程度なぶってもらいたいというのが県民の希望であるということがわかりました。そこで今まで総合制の問題で、実業科目の商業、工業、水産、農業というようなものも総合制になっているところが多かったのでありますが、これもだんだん独立制に改めまして、特に大都市のようなところは独立制がいいというので、昭和二十八年のときに商業、工業、水産、農業、これらのものは県下一円の大学区にはずいたのでございます。そのときに名古屋市の方にもお知らせをしたのですが、名古屋市の方ではそれは困る、そんなことをしてもらったら、例の名古屋市の市立の商業学校は、戦前は非常なよい学校でありましたので、そこに生徒が殺到してくるので困る、もし学区をはずすならば、県立でもっと商業を作ってくれという希望があったのであります。私どもは学区をはずしても大した影響はないということを名古屋市の教育委員に申したのですが、名古屋市からは、それに便乗して商業学校の独立校を一校増設せよというような気持でいわれたのであります。それはまずふたをあけてみてからの結果にしようということで、三月ふたをあけてみますと、大してふえていないのでございます。むろん二十八年は志願者の生徒が非常に多かったのでありますが、名古屋の例の市立商業においても七十七、八人ふえただけで、むしろ半田の商業とか、一宮商業の方が、少しよけいふえているようなことで、名古屋市だけがふえているという現象は一向になかったのでございまして、今までと大して変りはなかったのでございます。そのときに、だんだん学区をはずす傾向にあるということは、名古屋市の人は御承知だったと思うのです。それから二年家庭科と普通コースだけが残っておりますので、これをはずすことを私ども研究いたしておりました。ちょうど本年の九月、事務局から普通コースと家庭科の学区制をもうはずしてもよかろうというサゼスチョンがありまして、私ども教育委員としては真剣にこれらを調査し、検討したのであります。そうして九月十六、十七の二日間にわたって教育委員会を開いてこの問題を検討した結果、それではまあはずす線にいこう、こういうことで、教育委員会の本会議でない、協議会において学区を少し広くする——私ども大学区、中学区、小学区というような言葉はあまり使わないのですが、現在よりも広くせよということで、数個の学区ないし、二、三の学区に改める。ただし、一ところに集ったときには入学調整するという条件をつけて、まず協議会できめたことを発表しまして、そうして県民の世論を聞いてみようということで、いわゆるアドバルーンを上げたのです。そうしますと、それを実行してもらっては困るというような反対の声も相当ありましたし、また賛成の声もあったのであります。私の経験から申しますと、反対の方は電報なんかでどんどん来る。賛成の方はせいぜい手紙かはがきくらいで、それはいいことだからやれということで、熱は反対の方によけいあったように感じたのであります。しかし私の感じでは、賛成の方が多い、反対の方が割合少い、こういう情勢を見て、それから名古屋市と折衝いたしました。私は、県はまず協議会で基本線をきめてやりたいと思うが、名古屋市も賛成してくれないかということで相談に参ったのであります。名古屋市は相談して返事をするということで、相談した結果、それでは困る、こういう返事があった。私どもなるべく早く返事をいただきたいと思って返事を待っておったのですが、名古屋市はだんだん六大都市やいろいろな状況を調査してやる、僕の方はこの県の方針に反対でもない、賛成でもないから、まず一カ月調査期間を与えてくれ、こういうことでございました。私どもの方は、一カ月では長い、そんな調査くらいは早くできるのだから、できるだけ早く返事してもらいたい、名古屋市にこう申し込んだ。そうすると名古屋市から、二十一日かなにかに、もっと延ばいてくれ、こういう話もありましたが、そう延ばせぬのだから早く返事してもらいたい、いや、僕の方は賛成になるかもわからない、反対になるかもわからない、そこをよく調査して態度をきめたいからということで、ずるずる延ばいておったのでございます。その間に名古屋市内の中学校の三年の父兄会を開いたりなんかして、学校ごとにそれは困るという反対ののろしが上ってきて、さてはまた愛知県以外の各方面からも反対のいろいろな電報や何か来まして、これはこのまま放っておくと事態がだんだんと悪化してくると見きわめましたので、できるだけ早くきめたい、こう考えておったのです。たまたま二十八日に県会もありまして、大体県会のときくらいにきめたいというめどは持っておったのです。ところが名古屋市から待ってくれ、待ってくれというので待っておりましたら、二十八日の県会は済んでしまいました。済んでしまいまして、その晩にCBCの放送局が、名古屋市の委員長と県の委員長の考えを承わりたいということで、録音をとりに来たのです。私とここに見える木村君が一緒に録音を取ったら、そのとき木村君が初めて、名古屋市はこの問題に反対だ、県はけしからぬ、こういうことを録音に入れたのです。そこで私はそのとき、それはおかしいじゃないか、今まで名古屋市は反対ではない、研究しておるから時間を与えてくれと言ったので、僕の方は時間を与えていたのに、君が委員長として反対という言葉を言うなら、何も待っている必要はない。僕の方は何しろ早くきめなければならぬ事態に立ち至っているからということで、まだ教育委員もおりましたので、そこで教育委員に話をしたら、これ以上延ばしていると無用のトラブルが起るからもうきめた方がよかろうということで、二十八日の晩七時ごろでございましたが、この基本方針を実行することを本会議を開いて決定いたしたような次第でございます。しかしこれは基本線をきめただけでありまして、具体的にどういうふうにいくかというようなことはまだはっきりきまっておりませんので、数個ないし二、三の学区——この数個ということが問題になると思いますが、数個というのは二つから七つか八つくらいまでが普通常識だと思います。そこで、特に法令には数個とあるのだが、二、三ということもつけ加えて基本線を作ったわけでございます。由来反対のところもありましたが、反対のところには私の方へ来てもらったり、あるいは私の方から出向いてそれぞれ県の意思のあるところを申し述べまして、大体みな了承して下さいまして、それなら実際に実行する細目はどういうふうにしたがよいか皆さん方の意見を聞きたいということで、広く県下に意見を聞いてまとめたものがここにあるのでありますが、名古屋市を除きほとんどの町村が二つくらいにしてくれという希望であります。そこで、私どもの腹としては、あの地勢から言いますと、名古屋市、尾張、三河というような三つに分けてもよい、あるいは名古屋市、尾張、西三河、東三河という四つの分け方もあると思いますけれども、各方面の希望を取ったら二つというのが絶対に多いし、特に尾張の方は名古屋市と切り離した学区は成り立たない。地図で見ていただくとわかりますが、名古屋市は尾張のまん中にあるので、尾張が三つに切れてしまう。それでは意味がないということで、尾張区の中へ名古屋市を含めて学区を作ってもらいたいという希望でありましたから、やむを得ず尾張を三河の二学区、しかも尾張の中に名古屋市が入る、こういうことになる。名古屋市の関係のある市立学校は三つあるのです。県立の学校が名古屋市に九つある。みんなで十二ですが、十二のうち名古屋市立が三つあるから名古屋市の意見を徴しなければならぬ、こういうことで、具体案をきめる前に名古屋市と再三折衝したのであります。名古屋市からいろいろな条件が持ち出されて来ましたが、私ども協議した結果、どうも県の基本方針に触れたり工合の悪い点がありましたので、だんだんと名古屋市にも御迷惑をかけたけれども、もっとこれを要約する方法はないかということで、最後のどたんばに名古屋市が、それでは県の方針を大体認めるから今までの小学区から八〇%入れるようにして、大学区から二〇%入れるようにしてくれ、名古屋市だけの学区を特別に取扱うことはどうかと言ったら、そんなことは考えていないということで、それじゃということで、また私どもそのパーセンテージを協議したのですが、名古屋市のパーセンテージは結局聞き入れることはできない。そこで大学区から八〇%入れる。むろん大学区について今までの大学区域からもほとんど入るのです。そうしておいて今までの区域から二〇%入れる。ですから実際結果においては、今までの小学区から六〇%も四〇%も入るということになると思います。こういう率を当てはめる学校は名古屋市内のほんの一つか二つの学校で、大部分はこの率を当てはめぬでも済むと思う。郡部の方に行けばほとんど今までの学区から来て、二〇%もその区から入る人がないくらいのことになるかと思います。名古屋市が申し出たことを聞き入れて、そのパーセンテージが逆になった。逆になっただけで名古屋市の言い分を聞き入れました。ただパーセンテージが少し違うわけでございますが、そういうようにして今回ここに決定を見て、名古屋市に御協力を願いたい、こういうふうにしてきたわけであります。時間がないので、私の言葉の足らぬ点がありましたら、また御質問によってお答えさせていただきたいと思います。
○佐藤委員長 大体御説明ありましたが、質疑はまたあとにいたしまして、今度は名古屋市の教育委員長の木村重正君にお願いいたします。
○木村参考人 私はただいまお呼び出しになりました名古屋市教育委員会委員長の木村重正でございます。今回愛知県の高等学校の学区制の変更につきまして、この文教委員会の御高配をこうむるようになりましたことははなはだ感謝にたえません。 ただいま県の教育委員長よりるる経過の報告、主張等がありましたが、この件につきましては遺憾ながら愛知県の教育委員会と名古屋市の教育委員会とは初めより終りまで意思の一致を見なかったのであります。そこで県の教育委員会におかれましては——私の方より時々いろいろ陳情あるいは申し入れをいたしましたのでありますが、最後の腹は教育委員会法の五十四条に照らして、これは県の教育委員会が定むるものであるから、意見として一応聞くことは聞いてやる、とるととらぬとは県の教育委員会の勝手である、徹頭徹尾こういう態度であったのであります。むろん教育委員会法には、県の教育委員会においてきめよということが明らかになっておりまするから、それはごもっともでありまするけれども、しかしわが名古屋市におきましては、市内に八つの高等学校を設置しております。 ただいま三つと仰せになりましたが、あれは普通課程でありまして、ほかに実業課程あるいは定時制等を持ちまして八つの高等学校を設置いたしております。そういう関係上、この高等学校の通学区域を定むることにつきましては、これはどういたしましてもわが名古屋市の意見は相当に尊重をしてもらわなければならぬと信じておるのであります。むろん教育委員会法の五十四条に県が定むることになっておりまするが、その定むるまでの順序につきましては、名古屋市が八つの高等学校を持つ関係上、名古屋市と協議をして、その協議の整った上で御改正になるのが順当であろうと思います。これが教委法五十四条の精神であろうと思います。これは私一個の意見ではありません。文部省の調査普及局長の辻田力氏監修の五十四条の解釈にも、県、市において委員会あるいは協議会を作って案を立てて決定をするのが普通である、こう注釈が載っております。またやはり文部省の初中局の地方課長の北岡健二氏著わするところの説明書、なおそれには現在の文部次官、その当時の初中局長の田中義男氏の序文が載っておりまして、全部これを肯定していらっしゃる。それにも同様に県と市とは協議をしてきめるべきものである。一方的に県の権限であるといってきめるというようなことはよろしくないということが明らかに載っておるのであります。でありまするから私の方といたしましては、あくまで名古屋市の立場をもって時々意見を具申いたしましたが、遺憾ながら一回もその件についてはお取り上げがなかったのであります。今御説明がありました愛知県の通学区を数区ないし二、三の学区に分けるという大方針、大前提を発表せられましたときに、これは重大問題である。こんな大改正を行なって、全国に比を見ないところの大学区を作るということは、これは大改正であるから相当の調査期間を持ってもらいたい。何も今ここ三日や五日にこれをきめるべきものではなかろう、こういうことを申しまして、今もお話がありましたように、しばらく調査期間を与えてもらいたいということを申し入れました。私の方では初め一カ月の調査期間を与えてもらいたい。全国に文書を発し、あるいは必要なところへは人を派して状況を調査して、大学区の利害得失を十分に調べてお返事を申し上げたい。遺憾ながら現在においては県の方針に賛成しかねる、こういうように申し上げておきました。ところが県の方ではいわゆる今もアドバルーンと仰せになりましたが、アドバルーンをお上げになったところが、各方面より非常な反対の声が強くなって参りました。こんな無方針なことをしてもらっては困る。そんな大きな改正をしてもらっては困るという声が各方面より大きくなりました。あるいは愛知県下のPTAやあるいは市町村の教育委員の方々あるいは愛知県内の小中学校長あるいは教員組合、こういうような方面から今度のアドバルーンについて攻撃の矢が向けられたのであります。この大方針をおきめになったところの日は九月二十八日と記憶をしておりまするが、この日のごときも愛知県の教育委員会の玄関といわず、廊下といわず、室内といわず、数百人の陳情者が反対の声をもって集まっておったのであります。かくのごとき状況でありまして、今県の方からは反対の声もあったが、賛成の声もあったとおっしゃいましたが、私の耳には遺憾ながら賛成の声は聞かれませんでした。またここへ持って参りましたが、当時の各新聞社は口をそろえて反対ののろしを上げております。あるいは社説をもって、あるいは教育学者の説または父兄の声等をすべて集録いたしておきましたが、一つとして県のアドバルーンについて賛成の声はなかったのであります。そういうような状況で、反対の声が非常に強くなったと私は承知しておる。そこで九月二十七日の午後七時三十分と承知をいたしておりまするが、そのときに至って初めて県は突如緊急の本会議をお開きになりまして、この間数分間においてこの大事件を御決定になったのであります。ここに会議録を集録をしておりまするが、はなはだ奇怪なことは、県の教育委員会は御承知の通り公開であります。ところでその数区ないし二、三に分つという第一号議案の審議につきまして、委員長は教育長にその改正の理由を説明せよ、こういうお話である。ところが教育長はただいま別室において——これは秘密会でありますが、協議会で十分に説明をいたしましたから、省略をいたします。こう仰せになっておる。これについて何か質問はありませんかと委員長が仰せになったならば、質問なし、しからば異議なしとしてこれを決定いたします。といって数分間のうちに御決定になっておる。傍聴者はあっけにとられました。教育長からこの大学区について首肯し得る十分なる説明があるであろうと思っておったのであります。ところが秘密会で話しておいたから公開の席では省略をするというようなことはまことにこれはけしからぬところの会議だと思いまするが、そんなようなわけで、九月二十八日にこの大学区のアドバルーンを上げたのを御決定になったのであります。自来県といたしましては、県の主張したことについて賛成を求めるために各方面にいろいろな協議あるいは会合を持ちまして、この大学区賛成の声をお求めになったのであります。それからは、すなわちこの大方針が決定してからでありますから、中には、きまったことならばやむを得ない、これに賛成をいたしますという声もあったようであります。あるいは中には、県が適当なる権限によって決定をしたのであるから、これに反対をするのは遵法精神にそむくものであるというようなお声もあったように聞いております。かくのごとくいたしまして、いよいよ最後の決定は、十月の二十一日に至って、名古屋市を含めた尾張を一区、三河を一区という二つの区に分けるという具体方針が決定せられたのであります。そんなわけでありまして、この決定につきましては、終始私の方では、今申しましたように、何とか県のお顔も立つように、大学区ということを仰せになったのだから、そのお顔も立つように、しかし愛知県の高等学校あるいは義務教育を混乱せしめないようにということも考えまして、初めにはこういうことを申し上げました。まあそういうようにあなたの方が大方針を御決定になったならば、名古屋市だけを一学区としてもらいたい、そして試験は共同試験をいたす、むろん問題も同じ問題にする、そして今名古屋市には高等学校の定員が県市全部で四千五百名ありますが、志願者のうちから四千五百名を合格者と定め、その四千五百名は通学の便等をはかって適当に分配をいたして、もとの小学区の学校になるべくたくさん入れるようにしてはどうか、そうするとあなたの方の大学区ということもお顔が立つし、それに対する弊害も非常に少くて済む、そういうことを申し上げましたところが、これも一蹴されました。だんだんせんじ詰めまして、最後の最後に至りまして、私の方といたしましては、大学区になさるならば、それでは試験の結果八〇%は昔の小学区のうちから採る、そして郡部の方からの非常に優等な人で、どうかして名古屋の高等学校に入りたいという人があるかもしれないし、二〇%は全県区から採る、あるいは尾張全区から採る、こういうようにしたらどうか、そうすれば小学区の利益もあるし、あなたの方の大学区のお顔も立つし、こういうように申し上げましたところが、これもやはり一蹴をされまして、結局それを逆にして、二〇%だけは旧学区から採りましょう、しかも三十一年度に限る、こういうお話でありまして、まことに遺憾のうちにこの大学区制がきまったのであります。 そんなわけでありまして、私どもといたしましては、あくまで県の大学区制には賛成をいたしかねるのでありますから、声明書を発し、なおかつ私どもといたしましては、でき得る限り自分の主張を徹底いたしたいという考えから、これは考えるところ、法の趣旨といたしましては、教育委員会法五十四条は、県においてこれを決定せよとありますが、注釈を読みますれば、むろん県市よく協議をしてきめよということが法の精神であるから、その法の精神を尊重して、教育委員会法五十四条は改正をしてもらいたい。というのは、その県が定めるところの学区内に市町村の設立をいたしておる高等学校のある場合には、その市町村と協議をして同意を得た上で学区を定めるのだ、こういうただし書きなり第二項なりを五十四条に明らかにきめておいてもらいたいということを私どもの方は考えたのであります。とりあえずこれらのことを関係の官庁にも陳情をいたしておきました。 なお名古屋市といたしましては、県が五十四条によって名古屋市及びその周辺の尾張全体を一区となさったのでありますが、そのうちには今仰せのように名古屋市立の高等学校が、普通課程、職業課程をあわせて八校存在いたしております。この八校の入学につきましては、わが名古屋市としてはこう考えております。これは自治法の二百十一条に照らして、もし名古屋市以外の町村より名古屋市の市立の高等学校に入学をいたしたい、すなわち、名古屋市の営造物を名古屋市以外の市町村が使用いたしたいという場合には、二百十一条に照らして、名古屋市と他の町村が協議をして、おのおのの議会において決議をいたして、しかる後に名古屋市の営造物を他の町村の方がお使いになる、すなわち他の町村の子弟が入学する、こういうようにすべきものであると思います。しかしその点におきましては、教委法の五十四条で県がきめるべきものであるというから、自治法の二百十一条はそれによって消滅をいたしておるというような説をなす者もありますが、それは穏当ではないと存じます。すなわち、自治法の二百十一条には何らかかることのただし書きがありません。除外例もありません。でありまするから、二百十一条も生きておりますし、教委法の五十四条はむろん生きております。ゆえにこれは両立いたしております。両立いたしておりますから、もし名古屋市以外の町村より名古屋市の高等学校へ入学を希望する者は、二百十一条によって互いに協議をして決定すべきものだと承知をいたしております。このことにつきましては、県の教育委員会においてもむろん御承知のことと思いまするので、そういうような手当についてあるいはすでに御心配になっているかも存じませんけれども、御心配になっておらなかったならば、これは至急その手当をしていただかなければならぬと思います。なお、もしこの点につきまして異議がありまして、遺憾ながら県の教育委員会と名古屋市の教育委員会とが意見の一致を見ずして紛争を継続した場合におきましては、やむを得ず自治法の二百五十一条によって総理大臣の方へ申請をいたしまして、自治紛争調停委員会をお作りになって、この解決をお願いしたいと存じております。
○佐藤委員長 愛知県のことでいろいろ委員会をわずらわしたわけですが、この問題は愛知県に限らず、岡山県、岐阜県、鹿児島県等にも問題がありまして、実は一番早く愛知県からこういう問題が起きましたので取り上げたわけでございます。そこで、榊原参考人に委員長から二、三点お伺いしまして、あとにいろいろ質疑者がございますから、あとでまた質問があると思います。私らの郷里でございますのでいろいろ意見があったりいろいろ議論があるわけですが、どうも名古屋市あるいは周辺の都市との了解がつかず、突如ことしおやりになった。一年か二年置いて考えてやるというようなこともできたのではないかと思うのですが、そういう点について、何かそうしなければならなかった特別な条件があったのか。榊原参考人にちょっとその点だけ簡単に御説明願いたいと思うのでございます。
○榊原参考人 ただいまお尋ねのことでありますが、ほかから別に何も条件はありません。前に申しましたように、実業コースを二年前にはずしまして、それから家庭コース、普通コースをはずすことを二カ年間研究して参りまして、大体その時期が来たのではないか。またこの学区を少し大きくするということは全国的な風潮であると存ずるのでございます。この私どもの調べにありますが、おしまいの方に各府県の調べがありますが、だんだん学区を大きく持っていくということは全国的な風潮である。愛知県でもその気運が満ちてきておったので、ここら辺ではずすのがよかろう、こういうことでございまして、ほかに何も他意はございません。
○佐藤委員長 もう一点本村参考人にお伺いいたしますが、実は、名古屋市立の高等学校があるために、もしも県の教育委員会が言うことを聞かなければ、郡部の学生を入れぬというようなことが新聞に伝えられておりますが、その点についてどういうお考えかということを簡単に御説明願いたいと思います。
○木村参考人 これは教育のことでありまするによって、むろん公共の事業になるのでありまして、なるべく一視同仁にいたすのがいいと思いまするが、名古屋市の営造物は、道路とか、電車とか、バスとかいうものと学校とは一律に論ずることはできないと思います。名古屋の市道であり、名古屋市のバスであればだれでも乗ってよろしゅうございますが、名古屋の営造物は学校の以外にあるいはガス、水道、病院、幼稚園等がありまするが、これらは市民の子弟、あるいは市民のために作っておる学校でありまするから、どういたしましてもまずもって市民に便利を与え、しかる後に市外の者に便利を与えるというのがほんとうではなかろうかと思います。ただしこれは双方の協議によるものでありますから、それぞれの決議機関におきましてそういうことはよろしくない、一視同仁にいたすべきであるということでありますれば、それでも差しつかえないと思いまするが、名古屋市教育委員会の意見といたしましては、市民の子弟には優先せしむる義務があると思います。
○佐藤委員長 ただいまの参考人の御意見に対して質疑があればこれを許します。横山利秋君。
○横山委員 まずもって私は榊原参考人並びに木村先生に遠路わざわざおいでいただきましたことを厚くお礼申し上げます。 日ごろ御存じよりのお二人の先生でありまするし、私の先輩でもあります。しかし本日私がこれから質問をいたしますことは、広く愛知県のみならず全国にも関連をいたします。また考え方によりましては六・三制の根本にも問題が影響するところでありまするから、いささか御迷惑になるきらいがあるかと存ずる次第でありまするが、しばらく一つよろしくお願いいたします。 問題の焦点を明らかにしたいと思うのでありまするが、文部省の緒方局長にまずお伺いをいたしたい。現在小学区制、中学区制、大学区制と一般的にいわれておりますところの定義というものがございましょう。それについて全国の普通課程を中心に議論をいたします。普通課程で小学区制を採用しておるところ、中学区制ないしは小学区制、中学区制を併用しておるところ、大学区制、それぞれの実情をお聞かせ願いたいと思います。
○緒方説明員 いわゆる小学区制と申しますのは一学校一学区程度のところでございまするが、これに該当いたしまする県の数を申し上げますと、十一県あるかと存じます。そのほかはいわゆる小学区と中学区と両方併用いたしている——ある学校につきましては小学区でありまするけれども、ある学校につきましてはそれを相当まとめて一つの学区を作る、こういう県があるのでございますが、その数をちょっと今記憶しておりません。
○横山委員 それじゃもう一ぺん整理して正確に適当なときにお聞かせ願いたいと思います。 実はあなたの方の数字と私の方で調べました数字が合うか合わぬかも議論が分れるかと思いますが、私の方に入りました文部省の資料によりますと、小学区制が二十二、小学区制、中学区制併用が十一、中学区制が十四となっておりますが、それが最近違っておるかどうかということもあわせてあとで時間があったらお聞かせ願いたいと思います。 それで一番最初にお伺いをしたいのは、先ほど御両者から実情について御説明がございました。ただ榊原先生からは割合と事の経過のみに重点が置かれて、大学区制になぜしたかという根本の点についてはお触れになるところが少いようであります。愛知県教育委員会から出しました「公立高等学校の通学区域の改正について」の中に少しその点が触れられておるようであります。これによりますと、「小学区制のもとに、進学を一校に限定するよりも、志願者各自の特性と好みにより、高等学校を選択し、進学する自由を与え、勉学の熱意と意欲を満たさせ、互に切瑳琢磨し、個性の伸長に役立つよう多数の高等学校をふくむ広い学区を設定し、広地域的に入学の難易を調整する方が、より機会を均等にするものであり、また民主主義の精神にも合致するものと考える。」こう書いてあります。簡単に一つ御答弁願いたいのでありますが、これが大学区制にされた趣旨でありますか。
○榊原参考人 大体それが主でありますが、なおそのほかに付随した問題も二、三あると思います。それはもぐり入学というものが今まででも相当あったし、それからもう一つは、これは私今までほかで言ったことはないのですが、申し上げますと、小学区制でありますために、そこの学校へ志願者がよけい来ればその学級増加をしてやらなければならぬというので、それでこれは悪いことでありますが、その小学区制の範囲のPTAの人が全部入れたいために入学志願者の水増しをする。PTAで受験料を持っているから、ほんとうは高等学校へ行きたがらぬ人でも行けるようにしてやるといって願書だけ出す。そうすると中学校の校長はあれは行かぬと思っておるが、高等学校へ行きますから進学の手続をして下さいというので内申書を書いてやらなければならぬ。そうすると私の方へこんなにたくさん志願者があるから学級増加をやってくれ、たとえていうと、百二十人くらい志願者があって二学級入れて百人はいる。そうすると二十人くらいははいれないで落第を食うというのでありますから、そこに三十人か四十人サクラを作っておるわけであります。そうすると百五十人か百六十人志願者があるから、これはどうしても一学級ふやしてやらなければならぬといってふやしてやる。そうするとあにはからんやサクラであって、志願者がみんな入ってもまだ志願者が足らぬくらい、小学区の一つきりの学校であるとそれができる。それが中なり大なりの学区になりますと、調整してやれば一学校だけの学級増加を考えてやらなくてもいい、こういうような関係もあります。以前にそういうことをやった学校があって、それをPTAが知ってだんだん普及していくとか、あるいは私の方ではほんとうに入学志願者があると思ってもどうもおかしいと思うときには、一時試験前に入学志願者幾人ということをきめないで若干名募集ということで、ほんとうに試験を受けたはいれる人を調査してみて学級をきめてやったこともあるので、そうすると高等学校の校長さんは非常に困ることになる。幾人入れるかわからぬで試験をやる、そうなると今度ははいれぬ人まで受験料はPTAで持って受けさせてやっておるからさっぱりわからない。大学区制になるとそういう点は調整してやれますから、片一方に百人はいるところを八十人しか願書がないところも調整できます。だから学級増加を一学校で考えなくても少し広い範囲で考えてやれる、こういう便利があると考えております。
○横山委員 参考人の方にお願いしたいのでありますが、時間がございませんから、要点を簡単に一つお願いいたします。 そういたしますと、ただいまのお話ではこの文章にございます趣旨のほかに、もぐり入学とか学級増加の関係がある、こういうことでございますね。わかりました。そういたしますと、先ほど木村参考人からもお話がありましたが、過ぐる期に、教育委員会法の逐条解説として文部省の初等中等教育局地方課長北岡健二さんが書いて出されました五十四条の解説の中に、あなたと同じようなことが書いてあるわけであります。御存じだと思いますが、「このような関係から父兄たちは、世人のいわゆるよい高等学校に子弟を入学させようとするので、勢い入学競争を生じたり、通学上の無理な負担を生徒に負わせて、生徒の就学に無理や困難を生ぜしめる結果となるとともに、各都道府県内の各高等学校が平均的に向上することの妨げともなっている。」こういうことが書いてあります。このことは今あなたがおっしゃいましたことと全くよく合うのでございますが、どうでございましょうか。
○榊原参考人 これはちょっと的はずれになるかもわかりませんけれども、やはりそれは第一線の先生方、教育者の自覚と教育的識見によって、ある程度防いでいかなければならぬ、こう思うわけでございます。入学試験が激烈になる、こう言いますが、これは昔のことを考えるとすぐ頭にそういうことが出てきます。昔は御承知の算術と国語の二科目だけで試験をやったのであります。ですから算術と国語だけの準備教育をやる、こういうことになるわけです。今私の方は県下六十四の高等学校全部、名古屋の市立の高等学校の問題も私の方で作っておりますが、全部試験問題を作って、そうして愛知県でない隣県のある刑務所でそれを印刷して県へ持ってきて、それを絶対秘密にして前日に校長さんに渡して、それから金庫へしまって、当日職員立ち会いの上でその封を切って試験をやる。しかもその試験は全部の科目をやるのです。昔のように算数と国語をやるだけじゃないので、現在の義務教育の科目のすべてをやる。ただ今やっていないのは、外国語だけがこれは選択科目になっていますのでこれだけはやっていませんが、昭和三十一年度からこの外国語も入れて、とにかく小学校、中学校にある科目のすべてをやって、義務教育が徹底したか徹底せぬかということを見て高等学校へ入れる、こういうことになりますので、義務教育をはばむとか義務教育が狭められるとかいうことのないように、これは実際の業務にあずかっておる先生と教育委員の方、両方が気をつけて防がなければならぬことだと思っております。
○横山委員 そういたしますと、おっしゃいますようにいささか的はずれになります。しかしその的はずれになりました御答弁というものは、ここに北岡さんが書いたことと同じ前提の上に立って、これを防止するためには先生なり教育関係者の自覚と識見によることが必要である、こういうことがあなたの御答弁のようでありますが、お間違いはございませんでしょうか。
○榊原参考人 はい。
○横山委員 そこが問題の分れ目になってくると思うのでございます。これは北岡さんの個人的著書ということに一応限界はなりますが、当時現職の、教育委員会法の制定に当った直接の責任者がその普及のために書かれた解説というものは、やはりある程度文部省の考え方が貫かれておると私は思うのですが、その前提に立って北岡さんはこう言っておるのです。榊原参考人は、それを防ぐためには教育者の自覚と識見だ、こう言っておられる。しかしここでいわれておるのは、「以上述べた事情にかんがみ、高等学校の教育の普及及び機会均等を企図して通学区制を採用することとしたのである。公立高等学校には都道府県立高等学校、市町村立高等学校及び組合高等学校があるが、従来の経緯からして高等学校の大部分は都道府県立のものであること、高等学校はその性格として、単に一市町村の地域のものと考えられないこと及び高等学校の通学区域を設定するに当っては」云々、こういうような問題を克服するために通学制が考えられる、ここに問題の分れ目がある。榊原参考人のおっしゃることもゆえなしとはしませんけれども、もしそういう事情で教育者にその責任と自覚を求めるということであるならば、入学試験が非常にえらいことになる。その場合には準備教育もやらぬでよろしい。父兄が試験がえらいので準備教育をやらなければならぬという問題に対して、先生方はやらぬでもよろしいということを、あなたはやれ、こういうことになるわけですか。そこの点について、五十四条設定の趣旨について文部省側の意見と、それから榊原参考人が今おっしゃったこの五十四条の解釈の食い違いについてどうお考えになるかということについて、それぞれお伺いしたい。
○緒方説明員 五十四条の設定の趣旨は、この法律にございますように、高等学校の教育の普及並びに教育の機会均等ということは間違いのないところでございまして、そのために学区制を採用いたしましてこの趣旨を徹底する、こういうことであろうと考えております。
○榊原参考人 機会均等と教育の普及でございますが、機会均等ということは、希望する者はできるだけたくさん希望を達成させてやるようにすること、それから行きたい学校に行けるようにしてやること、この二つから考えていかなければならぬと私は思っておるのです。そうしますと、行きたい学校に行けるということになれば大学区制にした方が行きたい学校に行ける。今までは行きたくても行けないけれども、少く広くしてやれば比較的行きたいところに行ける。こういうことなんです。それで私どもしろうとの人に説明するには、一人嫁さんをもらうのにこの嫁さんよりほかもらっちゃいかぬぞというより、五人か六人候補者があって、どれでもいい人をもらう。その人に選択の自由を与えればその人の人権を認めてやったということになる。ですから私は大学区にした方がいい、こういうふうにしろうとの人には説明をしてやりますし、それからもう一つはできるだけ学校へ入れてやるということにするには、これは学校を増設していく。今後私どもは学区を広くしてもこれ以上学校を作らぬというのじゃない。時代の要求と県民の向学意識がふえて生徒がふえれば、学校はどんどん増設してやらなければならぬと思う。そういうふうにして教育の機会均等と普及に努力していきたいと思う。なおまたこの五十四条には必ずしも小学区制でなければならぬということは書いてないので、ただ教育の普及のために教育委員会が数個の学区に分ける、こういうことでございますので、今の小学区よりも少し大きくした方が教育の普及、機会均等の線に沿うのではないか、こう考えた次第でございます。
○横山委員 その行きたい学校へ行けるということが機会均等であるという点については大いに議論のあるところであろうと存じます。愛知県は今までは四十五でしたね。(榊原参考人「四十三です」と呼ぶ)四十三の学区をこのたび二つに分けられたのですね。それはまさに大きな変革であります。そこでお伺いをしたいのは、四十三が二つになってい行きたい学校へ全部が志願をいたしますれば、かりにその一番いい学校ということになりますと、そこはおびただしい競争率ということになります。それに対して父兄あるいは教育の関係者がその子をその行きたい学校に行かせるために全力をふるうということがどういう結果になるだろうか。逆に行きたい学校へ行けない結果になるのではなかろうか。またそれによっていろいろな問題が生ずるのではなかろうか。たとえば子供に対する入学試験の激甚な競争が行われる、準備教育が非常に行われる、あるいはようやく入った遠い学校へ毎日々々通う通学の苦しみがここに生まれるのではなかろうか。そうしてあなたのおっしゃる行きたい学校に一体何%の人が入るのであろうかと思いますと、それは機会均等という言葉と非常な矛盾が生ずる気がいたします。この点について、形の上の、行きたい学校に行くということと、実質的にその生徒の全人教育をはかるという点についての大きな食い違いがあると思うのですが、中等学校のこれからの教育なり今までの教育というものが、その生徒の全人的な教育というものに中心が置かれるのと、上の高等学校へ入る準備教育に中心が置かれるようになっていくという、この二つに一つの境目に立つと思うのです。この点について四十三の学区を二つにする結果、私の今の意見についてそれぞれ文部省あるいは県、市側から一つお答えを願いたい。
○緒方説明員 教育の機会均等をはかるためにいろいろな努力が必要だと考えるのでありますけれども、この学区制の設定されたゆえんもその一つであろうと考えます。ただこれをいかようにきめていくかということにつきましては、これは法律の条文の規定から申しましても、県の教育委員会の権限になっておるわけでございます。それからさらに学区をきめて、その間の調整もはかることができるようになっておるわけでありまして、学区をきめ、さらに各種の調整をはかって機会均等の趣旨を実現することが法の精神だろうと考えます。 そこで具体的の問題といたしまして、今度の愛知県の学区制の変更につきまして、私ども中央といたしましては、これはやはり各地方々々の実情に応じてきめられなければならなぬと考えるのでございまして、権限といたしましても教育委員会の権限でございますので、その点につきまして、これが適当であるかどうかということにつきましては、一律に申し上げることは非常に困難であります。そういうふうに御了承願います。
○榊原参考人 ただいまの御質問で、そういうふうに今準備教育を盛んにするとか、そういう御心配の点は私は多少あると思うのです。多少あると思いますが、それは県の教育委員会と、先ほど言いましたところの実際教育に当る先生方の注意によって、そういう弊害に陥らないようにやっていかなければならぬ。また私ども県の教育委員会としては、このたくさんの高等学校を平均化していかなければならぬ、先生の力の配置、それから学校の施設設備というものもできるだけ平均化するように今後——今までも気をつけております。横山さんも知っておるように、学校の名前を申し上げてはいかぬが、愛知県のいい学校といわれるようなAB、そこには前には七十人くらい先生がおられたが、そのうちの赴任早々の二、三人の先生を除いて、あと六十人くらいの先生を全部ほかの学校へかえて、先生の平均化をしたことがあるのです。ところが依然いい学校はいい学校と言われるのは、どこがそれだか私どもよくわからぬが、考えてみると、結局昔の伝統ですね。私のおやじはあそこの学校を卒業した、だからむすこもそこへ行きたいということで、私ども考えると、決して内容がいい、先生の教授力がいいというのではないけれども、昔の伝統でいくようなふうになっております。であるから、こういう伝統というものは何ともしようがないのですが、やはり各学校々々にそれぞれの長所もあるということも一つのいいことではないか、こう考えておるわけでございます。横山さんの今御心配になるような事柄はありますが、そういうことはやはり委員会と現職の先生とでできるだけその弊害を少くするように気をつけていかなければならぬ、こう思っております。
○木村参考人 この大学区制のためにいろいろな弊害が起きるということでありますが、そのうちの一つといたしまして入学競争が激化をいたしまして、入学準備あるいは家庭における塾等が盛んになりまして、心身発育の最も盛んである時代の青少年に対してその心身をそこなうことは非常に大きいと存じます。ある人は、それは昔の小学校六年生のころならば、あるいは小さい子供であるから心身をそこなうかもしれぬが、もう中学三年になれば、よほどからだもできているから心身をそこなわぬだろうという人もありますが、私はそうは見ません。この思春期におけるところの心もからだも非常な発育をいたす時代におきまして、これを苦しめて試験勉強させ、無理な競争をさせることは、非常に身体、なかんずく精神に影響するところが大きいのでありまして、この改正につきましては、はなはだ私は将来憂慮をいたしております。
○横山委員 緒方局長に少しお伺いをしたいのですが、先ほどからのあなたの答弁を聞いておりますと、何だか両者の折衷をして、その渦中に入らないようにというような感じが見える、このことは大いに間違っておる。私はあなたの発言の結果が渦中に入らないようにという気持はわかる。しかし四十三の学区を二つにするということが、文部省が今日まで堅持をしてみえた六三制にどういう影響をもたらすかということを、あなたは腹の中でお考えにならないはずはないと思う。いわんや先ほど例示をいたしました教育委員会法の解説なり、あるいはそのほか文部省でお作りになりました調査書を数個見ましても、この学区制をなぜ採用したかということは、ゆめゆめ大学区制を夢見てやったのではなくして、学区を分けてそうしてこれを実現しよう、この趣旨に立ったものであるということについては、どうも私は疑いを入れないところであろうと思いますが、この点はいかがでしょうか。
○緒方説明員 この学区をきめるということは、もちろんお話のようにいわゆる大学区制——これは学区がないときでございますから、そういうことを考えておるわけではありません。ただこれは制度制定の初めから、いわゆる小学区制がいいか、あるいは中学区制がいいか、これにつきましては文部省としてもはっきりした見解を表示しているわけではございません。これはやはりその土地の事情々々によってきめらるべきものであろうと考えます。教育委員会が公選制によって成立しておりまするし、住民の意思を代表して教育委員会がきめられる、これが現在の制度でございまして、これは教育における地方分権の制度でございますから、その建前に立って教育委員会がきめるということが法の精神でございます。従いまして趣旨は先ほどから申し上げますように、やはり入学試験の激化等は十分警戒しなければなりませんので、かような関係からいたしまして学区制がしかれたことは当然のことで、その具体的な問題につきましては先ほど説明いたした通りであります。
○横山委員 そういたしますと、あなたは例示をいたしましたこの五十四条の解説について、その後考え方に変りはない、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
○緒方説明員 解説は、先ほどあなたもお話がございましたけれども、解説書でございまして、文部省が出した正式の見解ではないのであります。しかしながらその当時の考え方として、こういう考え方が文部省の担当者によって述べられたわけでございまして、この趣旨につきましては、教育の機会均等ということと、それから高等学校の教育の普及ということで、この点につきましては、学区制の趣旨としてはその通りだと存じます。
○横山委員 重ねてお伺いいたします。そういたしますと、今あなたの御答弁の中で、当時においても小学区制がいいか中学区制がいいかという議論はあったということであります。それは裏を返していうならば、またこの解説の趣旨に変りないとするならば、大学区制がいいという議論ではない、こういう意見になりますが、よろしゅうございますか。
○緒方説明員 大、中、小という定義は、一番最初にもお話がございましたけれども、普通に小学区と言っているのは一学校一学区ということになっておるのでございまして、あと中、大というのをどういうふうに定義いたしますか、これは何もきまっておるわけじゃありませんが、通俗にそう言っております。これは制度の初めから小学区制をとっている県もありましたし、それから数校を一括して学区制をとっておるという、両方の学校が初めからあったわけであります。
○横山委員 もう少しはっきりとものの考え方をきめていただきたいと思います。これは愛知県が例になるから、あなたのそばに二人いらっしゃるので、少し答弁に弱るかもしれませんが、法律の解釈として、制定当時のものの考え方を私は伺っておるのですから、その点をだれにも気がねすることなく明確に言ってもらってよろしいのです。この五十四条なりその解説をずっと見ますれば、全県を一つにするないしは二つにするという議論は出てくるはずがないじゃありませんか。入学競争を緩和するとか、あるいは生徒の修学に無理や困難を生ぜしめる結果にならないようにとか、通学上の無理な負担を生徒にしょわせないようにするとか、こういうような例示のもとに学区制が定められたといたしますならば、それは大きい方をねらっておるのか、小さい方をねらっておるのか、子供でもわかる答えではありませんか。その点いかがです。
○緒方説明員 これは愛知県の問題でございますけれども、各県の実情といたしましても、二つというのは現在ない。三つ、四つというような学区制をしいておるところはほかの県にもあるわけでございまして、それが二つがいいか、三つがいいか、あるいは十がいいかという点については、私はやはり教育委員会が定むべき問題である。権限の上から言ってもそうでございますし、それから地方の実情によってきめるというのが本旨であろうと考えるのであります。さようなことを申し上げているわけでございまして、最初からどうしても小学区でなくてはならぬということを私ども文部省としては申したことはないように存じております。率直に申しまして、これは当時の軍政部の指導によってある地方では割合大きな学区制がとられたようでございますし、ある地方では小学区制がとられた、これが実情のように思います。
○横山委員 繰り返して申し上げますけれども、この学区制がとられたという趣旨が、あなたも重ね重ねお話になったように、その機会均等の中に含まれる入学試験の競争率を低下させる、そして父兄や生徒に無理な負担を受けさせないようにする、こういう趣旨にあなたとしてもしばしば言われておるわけです。そういたしますならば、これがどんどん大学区制になっていきますならば、どうしてもいわゆるいい学校、最優秀といわれる学校にはほんとうの優秀な子供が一人か二人しか入れないということに相なってくることは、火を見るよりも明らかであります。あるいはまたこういう結果によって、いわゆるいい学校というものがどんどんよくなっていく、いわゆる悪い学校というものはどんどん悪い学校になっていくということも、おのずからわかってくることだと思うわけです。かかることによって、いい悪いは別として、父兄はあるいは生徒は、あるいは先生は、自分の子供をそのいい学校なるものに入れるために全力をあげて準備教育をするでありましょう。これまた火を見るよりも明らかなことであります。しかりといたしますならば、私も経験がございますが、私は貧乏なるがゆえに中等学校へ行けませんでした。当時学校の教室でやっている授業を見ますと、ここからこっちは進学する生徒だ、ここからこっちは就職する生徒だというわけです。授業が終りますと、もうここからこっちは一生懸命に準備教育をする、私の方は学校の掃除をいたします。そういう準備教育と就職教育とにどうしても分れていくことをあなたはお認めになりませんか。またこういう状況によって今度はせっかくいい学校なるものに入った子はどうか。いなかから都市へ、あるいはまたずいぶん距離の違ったところへ、この交通難のところを一生懸命通うというようなことが出てくるでありましょう。そうしていい学校はいい学校にするためによけいな負担をやはり父兄にかけるということも、われわれはかってわれわれの若い時代に体験したところではありませんか。そういうようなことを考えてみますと、こういうふうに間口を広げて大学区制にすることによって、なるほど榊原参考人の言われるように、生徒諸君のいい学校へ行きたいという気持を刺激することはできるかもしれません。しかし結果としてはそれは行けないのです。なぜならば激甚な競争率がそこに生れるからであります。結局それは形の上でいい学校に行けるということにとどまるではありませんか。そういう点を文部省は、ものの根本を、成り行きの結果を見てお話なさらぬと、全国がみんなこういうふうになってごらんなさい、どこに六三制の全人教育が残りますか。みんな中等学校受験の結果いい成績をとらんがために、それだけの偏重教育になるということをあなたは認めないのですか。この六三制というものがこういうところからくずれていって、そうして父兄には金の非常な負担を、生徒には心身の消耗を、そうして先生方は一生懸命に準備教育に走らざるを得ない。それは榊原参考人のおっしゃるように、そんなことをしないで父兄、先生の自覚に待つのだということを言っても、私はそれで実態として済むものとは思わないのです。先生にそれのしわを寄せて、あとは一切先生はがんばって準備教育もやるな、生徒は一生懸命遊んでからだをよくすることが小学校におけるお前たちの役割だ、こういったところでそれで生徒が納得しますか。生徒よりもお母さんやお父さんが、先生、それでいいですかと言ってくるのを先生に何と言って答えさせるつもりですか。その根本について生徒にどうするのか。これでやっていくつもりか。なるほど県の教育委員会の権限だということは間違いのないところです。間違いのないところだけれども、その権限が全く六三制の趣旨を侵し、そうして六三制を崩壊させる危険があるのを、あなたは県の教育委員会の権限ですと言ってそれで放置してよろしいものか、こういうことを聞いているのです。その根本についてあなたの腹蔵のない意見を一つゆっくり聞かせていただきたい。
○緒方説明員 ただいまお述べになりました入学試験の結果、あるいは通学上の問題、こういうことが教育の上に決して好ましいものではない、これは私どもも十分御同感でございます。ただこれは繰り返して申し上げましてはなはだ恐縮でありますけれども、そういう趣旨の一つを実現するために学区制がしかれておることは、まさにその通りだと思います。そこで今お話のありました通り、教育委員会がその権限を持っておりますから、その権限に基きまして、そうして地方の実情を判断してきめるべきものだと考えておるのであります。それで四十幾つを二つということも非常な変革であることは、私もよくわかりますけれども、それが果して直接に、具体的にどういうふうになってくるかということは、地方の機関において御判断になり、おきめになるべきであるということを考えておるわけであります。学区制とそれに関連いたしまして、学校のみならず関係の教育委員会におきまして、中学校の入学試験のそういうようなことの防止をはかっていかれる努力をしていただかなければならぬと考えておるわけであります。はなはだ同じことを申しまして恐縮でありますが……。
○横山委員 はなはだ不誠意な答弁です。私はあえて前提を置いて、これは県の教育委員会の権限であるということについては私も認めようというわけです。認めようけれども、それにはおのずから基本の教育委員会も自重をされるところが必要であるということは、私は県の榊原参考人にも申したい。けれども、文部省としてこういう傾向について、今日の法律上の問題でないにしても、行政上の問題にしても、あるいは勧告にしろ注意にしても、話し合う方法は幾らでもあろうかと私は思うのです。あなたは今言外にようやくこの今回の県のあり方というものについては県の権限だからしようがないにしてもといって、にしてもという語尾を少し残されました。そういう気持があるならば、この教育委員会法の本来の趣旨についてあなたの方としてもう少し懇切な話し合いの方法があろうかと私は思うのです。この点はいかがですか。
○緒方説明員 問題の趣旨は、これはこの法律の明文にもございます通りでございます。その点につきましては私も御説の通りに考えているわけであります。従いまして、県、市の教育委員会等にもいろいろと御相談をしていくということにつきましては私どもも十分努力していかなければならぬと考えるわけでございますけれども、現在の実情としては、今度の改正につきまして先ほどもいろいろと両参考人からお話がございましたが、両方の御意見は十分私どもも承わったわけでございますけれども、なお私どもとしまして、それが具体的にいいとか悪いとかいうことをここで表明いたしますまでに結論としては到達しておらぬような状態でございます。ただ趣旨につきましては、先ほどから申し上げます通りに、入学試験の激化そのほかの弊害が発生しないことを念願をしなければならぬと思いまするし、そういう努力は関係者全部で続けなければならぬと思っております。
○佐藤委員長 関連して野原覺君。
○野原委員 ただいま社会党の横山委員から学区制の問題で初中局長に質問をいたしておるわけでございますが、私は関連してただいまの点についてお尋ねをいたしたいことがあります。それはかって国会が休会中でありましたときに文教委員協議会を開いて、文教委員長から初中局長に対して、愛知県の学区制のことが今日重大問題になっておる、このことを一体あなたは知っておるか、こういう注意的な質問がございました。これに対して当時初中局長は、私は関知していない、知らないという意味の答弁があったように思います。従って私は少くとも今日の文部省は学区制に対して一つの見解を持っておられると思う。その見解とは、大学区制の承認をするということじゃないはずだ。これはやはり教育委員会法の第五十四条でありまするか、あの趣旨に従って教育の機会均等という立場で学区制というものを考えていかなければならぬという立場に立った文部省の見解であるはずであります。従って休会中に佐藤文教委員長から初中局長に対して、愛知県の学区制についてあなたは一つ関心を持ってもらいたい、こういうことに対してその後初中局長として一体どういう調査をなされたのか。愛知県教育委員会なり、名古屋市の教育委員会、愛知県の特殊事情ということをあなたはるる御答弁になっておりますけれども、愛知県の特殊事情等についてもどういう御調査をされたのか承わりたいのであります。
○緒方説明員 お話の通りこの前休会中の協議会のときには私十分この内容につきまして存じておりませんでしたのでああいうお話をいたしたわけであります。ただその後市の教育委員会からもあるいは県の教育委員会からも実情の御報告と申しますか、あるいはまた意見の開陳と申しますか、そういうものは従来も受けておるわけでございます。従いまして、その内容につきましては、この前お話しいただきましたよりも今日のお話の方がその間の微妙ないきさつにつきましては詳しくおっしゃったのでありますので、一応の内容につきましては十分承知をいたしておるわけでございます。御質問はそれだけかと存じますけれども、ただこれにつきましての見解としましてはまだ文部省としまして具体的に申し上げかねる、こういうことを先ほどから申し上げておるわけでございまして、これはやはり地方の問題でございまして、中央から指図をしたりするような問題ではない、かようなことを申し上げておるわけであります。
○野原委員 学区制についてこの文教委員会が自然休会中にわざわざ委員会を開いたということについては、愛知県の学区制の問題が重大であるし、愛知県の学区制の問題は単に愛知県だけにとどまらないで、愛知県がこれを実施することによって大きく広がるおそれがある、このことが大へんだというので開いたのであります。従って文部省としてその見解の表示をすることは困るというようなことは私どもは了解できない。これは衆議院の文教委員会でございますから、一体文部省の方は学区制に対してはどういう考え方を持っておるのか。私の知っている範囲の考え方であるのかないのか。これもあなたがここで今意思表示をなさらないので私も把握しにくいのでございますけれども、一体どういうお考えですか。学区制について大学区制を承認する、県一学区を承認するというようなべらぼうな考え方をなさっていますか、いかがですか。
○緒方説明員 これは承認するとか承認しないとかいう問題ではないと思います。ただ学区制のあり方としましていかようなものが適当であるか、こういうことであろうと思いますけれども、これにつきまして、これは先ほど申し上げましたことを繰り返しますが、一学校一学区でなければならぬ、あるいはまたそうじゃなくて、数学校をまとめたものを一学区としなければならぬ、そういうふうな見解は従来もないわけでありまして、学区制を撤廃してしまうということは全然考えておりません。と申しますのは、委員会法を改正して五十四条を廃止してしまうということは現在文部省としては考えておりません。ただしかしこれは幾つの学区に分けるかということはあくまでも地方の問題である、地方の実情に即し、地方の住民の意向に沿ってきめるべきである、かような考えであるわけであります。
○野原委員 地方の問題ということはわかるのです。教育委員会法の五十四条というもので、これは教育委員会の権限であるということはあなたが申されなくてもわれわれそういうことは知っておる。しかしながら文部省設置法の第八条第一項、これは御承知だろうと思う。「初等中等教育局においては、左の事務をつかさどる。」として、文部省設置法の第八条第一項には「地方教育行政の組織及び一般的運営に関し、指導、助言及び勧告を与えること。」とあるのです。だから文部省の方は学区制に対してどういう見解を持っておられるのか。愛知県の県教育委員会がとられた学区制というものを文部省として容認することができるのかどうか。容認するという言葉が当らないならば、あなた方が考えている学区制というものと、今度県の教育委員会がとられた学区制の改廃の点とがどうも得心がいかないという場合には、初等中等教育局長は文部省設置法第八条第一項によって左の事務をつかさどって、これは指導、助言及び勧告をしなければならぬはずですが、どういう御指導をなさいましたか。これは地方教育委員会の権限であるから愛知県の教育委員会に対して何にもする必要はないのだといってほったらかしにされるのですか。何らかの御指導をなされたはずだと思うが、どういう御指導をされたか、どういう助言、勧告をされたか、この点を明確に承わりたいのであります。
○緒方説明員 教育委員会法の規定は「数箇の通学区域に分ける。」というのでありますので、高等学校の通学区域としましては県の教育委員会が学区制を分けなければならぬ、これは法律の規定で明らかであります。しかしこれはたびたび繰り返してはなはだ恐縮でございますけれども、法律の規定としまして、いわゆる小学区とか大学区と申しますか、大学区というのはこれは県一学区ということであるかもしれませんけれども、これはちょっと普通の場合には当てはまらないことだと思います。しかしそれを一校一学区にしなければならぬということは法律に何も規定はございません。これは教育委員会の権限であるということは、たびたび申し上げました通りに、地方の実情に即し、地方の住民の意向に沿って、独立の教育行政機関たる教育委員会がきめるべき問題である、こういう趣旨であろうと考えるわけであります。それからなおそういう関係でございまして、文部省が指導、助言をする、あるいは勧告をするという権限はそれはございます。勧告することができるという規定である。従いまして、必要によってはそういうことをやるのでございますけれども、今日までこの問題につきましては、これはいろいろとお話を聞いたり、こっちがその場で意見を申し上げたりすることはありましたが、しかし正式に指導、助言、勧告ということはいたしておりません。
○野原委員 これは指導、助言、勧告はいたしていないのでございますね。全く愛知県の今回の学区制については、文部省としては、その後あなたは調査はしたけれども何も指導はしておらない、助言、勧告もしていないということが明確になったわけであります。私はこのことは重大であると思う。あなたは指導、助言、勧告ができる、こういうように言っていますけれども、これは「指導、助言及び勧告を与えること。」これは一体どういう解釈になるのでしょう。従ってあなたが与えることとある指導も助言も勧告も与えていない、しかも愛知県ではこれが相当問題になっている。市の教育委員会と県の教育委員会は対立したような立場に立っておるし、愛知県内においては単に教育関係者だけでなしに、県民全体が、自分たちの子供の就学の問題、これは教育の重大な問題でありますからして、非常に騒いでおる。このことに対して「指導、助言及び勧告を与えること。」と、与えなければならぬ、こう文部省設置法が示しておるにもかかわらず、何もしていないということは、これは全く怠慢であると私どもは解釈してよろしいのかどうか、これは文部省がほったらかしにしておいて、全くなおざりにしておる。怠慢に過ぎたものである。このように解釈してよいのかどうか、この点について御見解を承わりたいのであります。
○緒方説明員 その指導、助言、勧告をしなければならぬじゃないか、こういうお話しでございますが、これは文部省の権限といたしまして、指導、助言、勧告をすることができるということでございます。指導、助言することということは、権限としてこういうことができる、こういう規定でございますから、権限としてできる、こういうふうに法律の解釈としてはなる。お話しのように県の教育委員会あるいは市の教育委員会が対立状態になっておるということは、きわめて遺憾でございまして、私どもその点につきましては、何とかして両者の意見が合致いたしまして、そうして教育の推進が円滑に参りますことを衷心より念願をいたしております。そういう意味におきましては、これは先ほど申しましたように、正式な指導助言じゃございませんけれども、今お話しのあったような場合にはそういうことを申し上げておるわけであります。 それからなお先ほど横山委員からもお話しがございました全国の数でございますが、これはちょっとお断わりいたしておきますけれども、小学区、中学区というきめ方が、必ずしもはっきりしておりませんので、一応一学校一学区ということをとっておる県は十三あるわけであります。先ほど十二と申しましたが、十三あるわけであります。それから小学区と中学区が——中学区と申しますのは数個の学校を一学区にまとめてやっておる、これが二十二、それから中学区のみのところが十、一件だけいずれに属するかこの資料で不明でございます。それからなお最初にお断わりいたしましたように、十七校あって十五の学区を作っておる、これは小、中併用、そっちの方に入れてありますように、数え方によって数が変ってくると思います。その点を御了承願いたいと思います。
○野原委員 もう一点で私はやめようと思いますが、あなたは権限行使だという立場から——これは権限行使しようとしまいと勝手だ、文部省はこういう見解をとっておるようでありますが、しかし県の教育委員会と市の教育委員会は今対立をしておる。県と市が対立をしておる。こういうときにこそ文部省が出て指導もし助言もし勧告もしてくれなければならぬじゃないか、どういう場合にこの権限行使をあなたはやるのです。県と市が対立しておるのは、これは重要なことなんです。愛知県の名古屋市にとっては。そのときにこそこの権限行使をやるべきなんだ、そういうことを予想してこの八条の第一項というものはできておる、なぜやらない、どういう場合に一体あなたは権限行使をやるのか、あなた方の立場をよくするときにのみ、あなた方の考え方を教育行政の上へ押し通そうとするときにのみ、文部省設置法だ、教育委員会法だと勝手の意味に解釈をされておるように私には思われてしかたがない。私はこの権限行使というものは、こういう場合にこそ、県と市の教育委員会が対立しておればこそ、指導、助言の必要があると解釈する。それでもあなたはその必要がないと御主張なさいますかどうか。
○緒方説明員 私先ほどから申し上げておりますのは、この問題につきまして指導、助言の必要が全然ないということを申し上げたわけではございません。現在まで私どもといたしましてそういうことはいたしておらぬということを申し上げたわけであります。なお一般論をいたしますならば、現在の制度は地方分権の建前でございますので、中央からあれこれと指導助言をしますと指図になりますので、そのことは具体的な問題につきましては少くともなるべくやらぬということで今までやってきております。全般的の問題につきましては通達を出す場合もございますけれども、中学区の問題等につきましては、通達を出しますことは地方に対しまする指導、助言でございます。しかし具体的な問題につきましては、従来もなるべくそういう地方の問題は地方で解決する、それが地方分権の建前であろうと存じまして、その運用の心がまえといたしましてはさように考えております。
○横山委員 今のお話しでございます。県と市でそれぞれの表明にもなりますけれども、また対立をして、市の木村さんの方は、自治法を援用してやろうとおっしゃる、まさに来年の入学に関する重大な問題が愛知県内にでき上っておるわけです。ここで住民の意思ということが多少問題になろうかと思う。住民の意思についても双方に見解の相違があるようであります。榊原さんの方は、前に資料をとった、世論調査をしたということを言うておられるのです。ところが市から出ておりますこの印刷物を拝見をいたしますと、決定をする直前及び直後に数々の声明書が出、そこに先ほど新聞の切り抜きなんかをもって賛成の意見は一つもないと主張をしておられる。私が今拝見をいたしておりますものに、十月二十七日の声明書がありますが、それによりますと、愛知県地方教育委員会連絡協議会長、愛知県小中学校P・T・A連絡協議会長、名古屋市小中学校P・T・A協議会長、愛知県小中学校長会長、愛知県教員組合執行委員長、教育の関係者が全部連名でこういうことを言っておるのです。「本日ここに県教委の暴挙決定後最初の会合を開き、われわれの今日までの主張を再検討し、併せてこの無謀な決定に如何に処していくべきかを討議したが、遂に今回の県教委のとった改変に何らの妥当性を認め得ず、あくまで小学区制を堅持することが民主教育を守ることであることを再確認した。」と言っておるのであります。さするならば、ここに住民の意思それ自体についても大きな双方の観点の相違がございます。でここであなたが文部省内において意見を聞きました、調査をしましたというたところで、この二つの相違については、あなたがここでこちらも間違いございませんというふうには、必ずしも言い切れないものがあるだろうと思う。論理としては、私が先ほどくどく申しましたような点についてあなたは相当耳を傾けられ、この際いま一歩具体的に現地にでも行って実情調査して、そうしてほんとうの住民の意見も聞き、そうして今ここに持ち上っておる双方のごたごたについて文部省としても処置すべきところがなければならぬ、私はこう考えるわけであります。 こういう問題についてのもう一つの議論としては、文部省内の教育法令研究会ですか、調査普及局長の辻田さんが監修した書物、あるいは先ほどの北岡さんの中にも一様に言っておりますことは、県の教育委員会はこういう学区制をきめることについて、「各高等学校は勿論市町村の教育関係当局ともできれば一種の連絡協議会を設けて十分連絡協議し、区域の設定はもとより、たえず教育の発展の速度と実情に即した計画の合理化と進歩を図ることが望ましい。」と言い、また一方は、「都道府県委員会は関係の高等学校、市町村学校組合等の関係者と十分連絡協議するとともに、関係住民の意見を聴くことが必要であろう。」と言っております。この点についてはあなたとしても御異存のないところであろうと思う。ところが御異存のないところが、それがまた両者の間に食い違いがあるわけです。先ほどの御説明によれば、片一方は、大学区制という根本方針をくずさない限りにおいて意見を聞くという立場でやられたようであります。片一方は、その根本原則について反対をするという立場でやられたようであります。いずれにしても、双方の連絡調整は全くなっておらないのであります。こういうことがかりにここでモデルとして行われ、これがそのままいいのだということになれば全国に影響を及ぼし、また各所でこういう問題が発生することをわれわれは憂慮せざるを得ないのです。そういう立場においてこのモデルがどういう影響をもたらすか、これがよろしいのかという点について、あなたの方としても十分研究をしなければなりません。同時に、今回全国市町村の教育委員会が言っています。五十四条についてこういう摩擦を防ぐためにも、県の教育委員会は市町村と協議をして学区制をきめるというふうにすることも、また一つの方法であろうかと存ずるのです。この点については、私どもの仕事ではございますけれども、あなたの方としても、その点について十分勘案するところがなければならぬ。こういうことを言いまして、その点について最後にあなたの所見を伺いたい。
○緒方説明員 県市の教育委員会の間に十分な連絡調整ができませんで、今日のような状態になっておることにつきましては、御説の通り、私どももまことに遺憾に思います。従いまして、今お述べになりましたこれらのいろいろの問題につきましては、私どもといたしましても今後十分に研究をいたしていきたいと存じております。
○高村委員 緒方局長にちょっとお尋ねしたいのですが、先ほど木村参考人の御説明の中に、自治法の二百十一条と教育委員会法の五十四条との関係について御発言があったわけでありますが、自治法の二百十一条によりますと、公共団体が他の公共団体の営造物を使う場合には協議をしなければならぬということになっておる。もしそうであるとすれば、学区が数カ町村等にわたった場合にやはり協議をしなければならぬ。その協議をする場合には関係団体が議会の議決を経なければならぬということになっておりますが、また一説には、五十四条が制定された後においては、この自治法の二百十一条の規定は排除されるのだ、こういう意見もあるように聞いたのです。この解釈は文部省としてはどういうふうにお考えになっておりますか、一つこれをお聞きしたいと思います。
○緒方説明員 自治法二百十一条と教育委員会法の五十四条の関係でございますが、この問題につきまして、実はこのたびの問題で自治庁に対して県の方から御照会が行っておるように聞いております。従いましてこれは自治法の解釈の点になりますから、主管は自治庁でありますので、ここで私が最終的に申し上げることはいかがかと思いますけれども、ただ従来文部省といたしましての教育委員会法五十四条の規定に対する解釈の問題としましては、現に岐阜県の方から照会がありまして、それに対して答えたいわゆる行政実例があるのであります。これによりますと、教育委員会法五十四条が設置された趣旨からいって、自治法二百十一条の特例を五十四条の方できめたものである、かように答えておるわけでありまして、文部省としてはそのように解釈いたしております。
○高村委員 私も、そういうふうに解釈しないと、五十四条の規定は運営が非常に困難だろうと思う。そこで実際問題として、先生ほどお話を承わりますと小学区、中学区の併用をしておるところが十二もある、また中学区を採用しておるところが十五もあるということでございますが、そういうところの実際の運用と申しますかで、自治法の二百十一条の第二項によって市町村議会で議決をしておるということが実際ございますが、その点どうでございますか。
○緒方説明員 実は各事例につきまして具体的につまびらかにいたしておりませんけれども、自治法の二百十一条で正式に協議をしてやったということはないと存じております。
○佐藤委員長 委員長からちょっと斎藤総務課長にお尋ねするのですが、先ほど緒方局長は、文部省の意見がはっきりしていないようなことでございますが、実は北岡解説書というのは斎藤課長も一緒にやられたのでございまして、斎藤課長もこの北岡解説書と同じような趣旨でやっておられますので、一応そのときの気持、趣旨を斎藤課長からお聞かせ願いたいと思います。
○斎藤説明員 実は北岡解説は、北岡課長時代に私も課員におり、現在の地方課長も課員におりまして、協同して作ったものでございます。原案のどの部分をだれが書いたかということについて実ははっきりいたしませんが、その序文にもお断わりしてありますように、これはあくまで著書であります。各条の行政解釈を下すという場合にも、もちろん上司の決裁を経てその通達等をいたすわけでありますので、ここに書かれましたことは私たちが考えたことであって、公的な解釈ではないということを注意しておるわけであります。五十四条の高等学校の通学区の問題につきましては、これは規定の成立の経緯につきましてもいろいろ意見があったようでございます。それからなおそもそもの制度論といたしまして、高等学校の通学区域がいかにあるべきかということにつきましては、教育的な理念あるいは教育行政上の判断、いろいろの方から各種の意見が述べられておることは御承知の通りであります。そこで五十四条の解説を書きましたときには、この条文の中で数個の通学区域に分けるということを規定してございますが、この数個の通学区域が、今議論になっておりますように、いわゆる小学区制がいいのだとか、中学区制が悪いのだとかという価値判断をこの法律自体はしていないことは明らかでありますので、私たちが書きました場合にも、その点には何も触れていないことは、お読みになっていただけばわかろうかと思います。ただこの規定は、あくまでも高等学校の教育の普及及びその機会均等をはかるためということがございますので、その趣旨に従って都道府県の教育委員会は通学区域を分けるのだということをかみ砕いて書いたものでございます。なおその場合に、市町村立の高等学校あるいは組合立の高等学校等いろいろございますから、できるだけ連絡協議することがよかろうという点を、これは解釈問題ではございませんけれども、つけ加えたわけでございます。
○佐藤委員長 小牧次生君。
○小牧委員 まず初めに榊原参考人にお伺いしたいのでありますが、この高等学校の学区制の問題につきましては、それぞれの県によりましていろいろ事情が違いますので、私愛知県の問題につきまして実情を詳しく存じませんが、ただいま横山委員その他の方々からいろいろ御質問がありまして、一応の事情がわかったような気がするのであります。六・三制という新しい学区制がしかれましてから数年経過いたしておるわけでありますが、今ここでにわかにこの制度の問題に結論を下すことはむずかしいと思います。しかしながらいろいろ再検討をさるべき段階にあるということは一応言えると思うのであります。その中で高等学校の教育行政、なかんずく通学区の問題につきましては、先ほど来いろいろお話があります通り、全国それぞれの県におきましてここ二、三年来非常な問題になっておりますことは御承知の通りであります。しかしながらただ単に学区制の問題だけを切り離して学区制の問題を論ずるということは間違いであって、要するに高等学校教育、いわゆる完成教育と申しますか、こういったことを基礎といたしまして、それぞれの県の実情に応じた高等学校教育行政はいかにあるべきか、特に学校の適正規模、これもそれぞれの県によって違うと思いますが、しかしながらやはり一応の適正規模というものは考えられなければならない。また高等学校の配置、これに関しまして適正配置はいかにあるべきか、この問題と学区制の問題は不可分の関係にあると私は考えるのであります。こういったそれぞれの要素を総合的に検討し、特に県の実情に応じてこれを検討して、慎重に結論が下さるべきであると私は考えるのでありますが、もとよりいただきました資料を見ますと、いろいろな協議会その他が行われまして、今回の結論が出されたということはよくわかるのであります。しかしながら先ほど木村参考人の方方ら、お話がありました通り、ぜひ一つ何らかの調査機関を置いてもらって、慎重にこの問題を検討するようにしてもらいたい、まことにごもっともな御意見でありまして、こういう問題を結論を下すためには、あらゆる階層から適当な方を選んだ一つの審議機関とでも申しましょうか、委員会を設置して、そうして十分各方面の御意見を聞いて結論を下すべきであったろうと考えるのでありますが、なぜそういった協議会なりあるいは審議機関を設けておやりにならなかったのか、まず第一にこれをお伺い申し上げたいのであります。
○榊原参考人 ただいまお話の通りでございまして、この六・三制の問題というものにつきましても、私個人としてはある程度の意見を持っておりますが、今日の法令においては六・三制をやるということになっておりますので、これは、教育のシステムにつきましては文部省の方でよく御研究を願いたいと思うのであります。 私は、昭和六年のときに、文部省の嘱託となりまして、欧米各国の実業陶冶に関する教育の制度を調査をしてこいというので、ヨーロッパ十二カ国、アメリカ、カナダを入れて欧米十四カ国の教育制度を調査して参りまして、文部省へ報告をいたしまして、その当時文部省からも各国の教育のあれが出ておると思いますが、各国の教育制度の長短ということにつきましては、私個人としては相当考えを持っております。けれども、今ここでそれを論ずる時間もありませんから申し上げませんが、この六・三制という教育システムについても、これは県の教育委員会の権限ではありません、国の権限でありますので、国の方で十分研究してもらいたいという考えは、私は持っておるのであります。しかし私どもの県教育委員会としては、現在の六・三制をいかにして工合よく育てていくかという権限が与えられておりますので、いわゆる総合性の問題、男女共学の問題、学区制の問題、こういうことで一番初めちょっと申し上げましたが、この方面の研究をしました。今あなたのおっしゃる通り、やはり適正な学校の配置というようなことも当然考えていかなければならぬ。またその人口の程度、それからその学校の収容力というものも考え、特に今回の大学区制というものにつきましては、交通関係というものが非常な大きな条件になってくるのでございますので、こういう方面も勘案をいたしましてきめたのでありますが、大学区制にしましても、小学区制にしましても、おのずからそこに長短がある。大学区制が全部いいとは言い切れない、また小学区制が全部いいとも言い切れない、いい反面必ず欠陥がついて回っておるのでございます。でありますから、今あなたのおっしゃるように、これはできるだけ弊害を少くして、いわゆる短所のないようにできるだけ最小限度に食いとめるだけの努力はしなければならぬ、こう思っております。そういう意味からいって、今あなたのおっしゃるように、この方面の何か相談機関でも作ってやったらどうかというまことにありがたいお話でございますが、まだ来年の三月までは相当時期もありますので、私どももあなたのおっしゃるようにできるだけ弊害がなくて、今愛知県のやっておる制度を振興したいと思いますので、先ほど私は教育委員会と現職の先生とが気をつければある程度防げると申し上げましたが、それ以上に衆知を集めて、そうしてできるだけ弊害のないように努力いたしたいと思いますので、帰ってからよく相談をいたしまして、しかるべき方法を講じたいと思います。ありがとうございました。
○小牧委員 重ねて少しお伺いをいたしますが、実は私もこの問題につきまして経験があるわけでありまして、私鹿児島県の出身でありますが、一年半ぐらい前に鹿児島県といたしましても学区制の問題が非常に問題となって、県教育委員会がただいま申し上げたように適正配置、適正規模、それから学区制、こういったテーマをひっさげまして、先ほど私が申し上げたような機関を設けましてこれを諮問いたしたのであります。その際に不肖私その審議会の委員長に選出されたのでありますが、この学区制の問題につきまして、非常に激しい論戦が展開されまして、約半歳にわたって各県の実情を調査し、衆知を集めて慎重な態度で結論を下したのでありますが、今おっしゃる通り学区制を一挙に全廃して全県一区にすべきである、あるいはまた今愛知県の方でおとりになったように二つくらいに分けて大学区制に近いものにした方がよろしいというような意見も相当あったのであります。しかしながらこれに対しましてはいろいろな反対の意見もあり、先ほど横山委員等からお話がございました通り、なるほど教育の機会均等、あるいはまたその望むところに本人を入学さしてその希望を生かしてやるべきである、これがほんとうの民主主義である、こういうことを続けていく場合においては、往年のあの試験地獄をここに再び現わして参る、従ってほんとうの教育の機会均等は失われるというようないろいろ意見がありましたが、この学区制をどう取り扱うかということは、大学区制にするかあるいは中学区あるいは小中、あるいは小学区制、この取り扱い方いかんによっては高等学校教育の根本に大きな影響を及ぼして、一歩間違うならば将来取り返しのつかない重大な事態が発生するおそれがあるという意見の方が相当多かったのであります。鹿児島県といたしましては、こういった観点から大学区制の意見を押えて——ここに資料に中学区制となっておりますが、必ずしも中学区制というようなものではなくて、近接したところに普通課程の学校がある場合に、これを考慮して小学区制と中学区制の中間という形のものをわれわれは結論として打ち出したつもりであります。先ほどお話の中に学校の伝統とかあるいは設備とかあるいは教員の質の問題とかいろいろお話がございまして、そういったところには父兄はもとより生徒自身も競って入学したいという希望を持っておる、これはやむを得ざる傾向であるというようなお話がございましたが、一応私も納得はいたします。しかしながら伝統といい、あるいは設備といい、あるいは教員組織といい、その他いろいろな問題を考えますときに、これは反面新しい教育制度に応じまして県ないし県教育委員会その他がそういったものを作り上げるように努力していかなければならない、教員組織の不十分なところ、あるいは設備の不十分なところ、こういうところには大いに努力をして、これを高めて、そして新しい伝統を打ち立てるという方向にこそ私は努力さるべきであろうと考えるのでありまして、こういったものを手放しにしておきますと、先ほど横山委員が言われます通りにほんとうに再びここに試験地獄が起りまして、大学予備校と化してしまう、決してそういうふうにはならないということを私は断言し得ない、かように思うのであります。高等学校教育が完成教育を目ざしております以上は、ここでもう一度ほんとうに教育の機会均等というものがどういうものであるかということを考え直していただきまして、先ほどもう一度よく考えてみたいというようなお話がございましたので、これ以上こまかく申し上げませんが、何らかの適当な機関を設けていただきまして、そして非常に大きな危険を冒すということがなくて、ほんとうに愛知県の実情に応じた各階層の御意見をまとめた方向に進んでいただきますようにお願いを申し上げたいのであります。
○佐藤委員長 加藤清二君。
○加藤(清)委員 この際私は私の立場から二、三お尋ねをしてみたいと存じます。 その前に、私がお尋ねをしなければならないところの理由を最初に申し上げておきます。私はここ一、二年の間に、県と市との対立のおかげで、私自身の家庭の非劇まで起しておるのでございます。さきに町村合併が行われたのでございますが、その折には私の二人の兄が、一人は反対派、一人は賛成派につきまして、ずいぶん争いました。この争いは平和な村に、町に、乱闘事件を起しまして、私の家庭は悲劇のるつぼになりました。賛成派と反対派が私の家の狭い座敷をごった返しました。このたびそれに引き続きまして、町村合併のあの結果がまだ十分いえない今日、またこの問題で私の地元はごった返しております。従いまして真相については私はいささか心得ておりますので、ここで皆さんから言いにくいお答えを求めようとはいたしません。ただ問題は、こういうことが繰り返されます限りは、おそれながら村の教育、町の教育は円満に行われません。その結果は、皆様が子供のためにと思うていらっしゃる教育は、やがて子供に悲劇を与える結果を招来してくるのでございます。時間がございませんので、私は具体的の事例を申し上げかねるのでございますが、もし時間も許されるならば、それを具体的に文部省にも訴えて、いいかげんな上すべりな答弁ではとうていこの問題は解決し得ないということをはっきりと申し上げてみたいと思うのでございます。 ところがこの学区制の問題については、さきの争いは兄弟が争いましたけれども、このたびの争いは私の最も尊敬している大先輩が両方に分れて争わなければならない、これもまた一つの悲劇であります。愛知県にとっていえばお二人とも教育の功労者なんです。その人が、あと何年教育に従事されるかは知りませんけれども、この折に至ってこのようなことをなされなければならないということを、私後輩としても非常に遺憾に存じております。この声はあに加藤清二一人のみの声ではございません。でき得べくんばこの際両者がよく協調していただきまして、歩み寄りをしていただきまして、目的を子供のため、父兄のためにというところにしぼっていただきまして、ぜひ打開策を講じていただきたいのでございます。私の質問の要点はここにあるのでございます。原因がどこにあるかという問題でございますが、あえて榊原先輩に聞くまでもなく、これは県会のサゼスチョンということにはっきりしておるのです。県会のサゼスチョンの内容はといえば、これは教育費の削減なんです。県教育費がこれ以上ふえることはたまらないから、ここらあたりで防ごうというその手段の一つなんです。これを言葉をかえて言えば、地方財政の赤字のしわ寄せがこの問題を惹起し、この問題はやがて来年三月入学しなければならない若い子供の上にも精神的な動揺を与えているということなんです。まことに悲しい赤字のしわ寄せと言わざるを得ないのでございます。そこで私がお尋ねしたい要点は、一体県としては言い出したことをどうでもこうでもここで通さなければならぬとおっしゃるのか、それを背負って立った市としてはどうでもこうでも初一念を通さなければいけないとおっしゃるのか、要は歩み寄りの余地があるのかないのか。この問題について私は早くから一言申し上げたいと思っておったけれども、何せ指導、強化、育成の最高責任にある文部省がどのような態度に出られるかを私は心待ちに待っていた。しかも指導、助言、勧告の権限を持ち、責任にある人のきょうの答弁を聞いてみると、とても期待できないということがはっきりわかってきたのです。だからこの際は文部省にたよるよりも、おのれみずからの手によって愛知県の教育のために、愛知県の子供のためにあなたたち当事者の手によって何とか解決する方策を見つけないことにはこれはとうてい解決できません。私は町村合併のあの悲劇がいまだに地方住民に及ぼしている悪影響にかんがみまして、このようなことを二人の大先輩にやらしたくないのです。そこでお二人のお方にお尋ねしたい——お二人のお方というよりも、県と市を代表していらっしゃるあなたたちに、そういう余地が残されているのかいないのか、この点をまず榊原さんからお尋ねいたします。
○榊原参考人 加藤清二君の御心配はまことにごもっともだと思います。町村合併のときに非常な波乱を起し、また今度この学区制の問題でも加藤清二君の本拠が最も混乱しておることは事実であります。この間も桜台の高等学校のPTAの役員会か何かあったときに、名古屋市のある有力な人が来て、貴様は町村合併に反対したから貴様は入れてやりやせぬ、お前とお前は賛成したから入れてやるといったようなことを言ったそうで、そこの父兄が私のところに押し寄せてきて、町村合併に賛成した人はみんな入れてもらえるが、反対した人は入れてもらえぬのかというようなことで、これが加藤清二君の本拠でございまして、従ってそこへ非常なしわ寄せがいきまして、御迷惑をかけておるということは重々承知しておるのでございます。先ほど加藤君が言われたように、元来木村君と私は同じ学校を卒業し、木村君が同窓会の会長であり、私が同窓会の理事で一緒にやってきた。そして木村君は名古屋市でなく郡部でずっと校長をやられましたが、私は名古屋市で校長や先生をずっとやってきた、そういう関係で木村君とはちっともどうということはない。今度の問題が起きたときに、木村君に、おいこの問題は町村合併の二の舞をしないように教育的に君と僕でうまくやろうじゃないかということで、一緒に飯も食い酒も飲み、車にも乗ってやっておるのですが、こういう事態になってまことに申しわけないと思っておるわけであります。加藤清二君はまだ若いからほんとうのことはわかっておらないのでしょうけれども、淵源するところはもっと大きいのです。古いのです。前には木村君は名古屋の市会議員をやっておりました。私も市会議員をやっておりました。加藤清二君は御承知でしょうが、昔は議員を二つ盛りやることはよかったのです。それでこの間国務大臣をやられた加藤鐐五郎君や塚本三君とか服部崎市君とかは市会議員を兼ねて国会議員をやった。私は市会議員と県会議員を兼ね、木村君は市会議員だけで国会も県会も出たことはありませんが、しかし市会議員としては相当の重鎮で市会副議長までやられた。この議員ということから考えてみると、大体だれが格づけしたか知りませんが、一流議員は国会議員を兼ねている人、県会を兼ねている人が二流議員、市会だけの人が三流議員ということで、だれが格づけされたかと問われるとちょっと私も困るわけですが、そういうわけで木村君とは同じ学校を卒業し、仲よくやってきた。ところが今度は木村君が市の教育委員長であり、私が県の教育委員長である。それで教育のことだけは、ほんとうはほかの者が何と言おうともやっていくのが本筋ですけれども、名古屋市あたりでは名古屋の市会議員が力んでおり、私も力んでおった経験がある。それはどうかというと、名古屋市は過去において富山県と石川県の二県分の人口を持ち、二県分の財政力を持っておったし、昔国が二十億ぐらいの予算をもってやっているときに、愛知県は二千五百万円か何か、ところが名古屋市は四千万円ぐらい、これは電気や水道を持っておりますから県よりも大きい。県会議員の待遇よりも市会議員の待遇の方がはるかに上なんです。また役人はどうかというと、名古屋市の市長に来る人は各県の知事を歴任したような人物が来る。(「要点を願います」と呼ぶ者あり)そうですか。それではそういうことにいたします。名古屋市では県の方は何を言っているかという態度です。ところが県の方では内務省から来た知事でも何でも位階勲等は低いけれどもおれは権力を持っている。そうするとそんなものは何だ。名古屋市の役人は、おれが内務省の課長のときに筆ねぶりのこっぱがやってきたのだ、そういう気持でやってくる。そういうことで名古屋市と県との争いをだんだんしてきた。これは私も体験者です。ですから県と市の争いには間に入って何べんも仲直りをさせておった。ところが終戦後は二つ盛りはいかぬということになった。だから市会議員は市会議員、県会議員は県会議員ということになって、このトラブルの間に入る人がなくなってしまった。だから私は終戦後は特にトラブルが大きいと思います。御承知の通り名古屋の市警察を県に移管するという問題や、町村合併の問題でも、中央まで御厄介をかけて、これは私もまことに申しわけなく思っております。ところが教育問題だけは私と木村さんだけで話し合って工合よく解決しようと思っていたのですが、いつの間にかこういう中央まで持ってくるくせがついて、その前例を踏んだわけでございますが、これは木村さんとは今でも、きょうここへ来るのも一緒に、おい行こうじゃないかといって玄関へ一緒にやってきて、これから帰りも一緒に帰りますけれども、別にけんかしたわけでもなんでもない。今加藤清二君、非常に心配していらっしゃる。また県民あるいは郡部の人が迷惑をこうむっておることは事実でございます。これはできるだけ最小限に食いとめたいと思いますので、何かこの妥協あるいは話し合いのつく方法があるならば、決して背中合せで言い合うわけでも何でもないのでありますから、今後ともよく話し合って最大公約数を一つ見つけたい、こう思うのでございます。加藤清二君も地元で被害甚大な議員でありますから、あなたも一つ今後とも御尽力賜わりたいと思います。
○木村参考人 ただいま加藤代議士よりお話がありまして、愛知県の教育についてはなはだ憂うべき現象である、何とか県市において話し合いをしてきめちゃどうか、こういうお話でありましたが、しごくごもっともなお話でありまして、わが名古屋市といたしましては、初めより決して県にむげにたてついて県を困らせよう、県の反対をしようという意思は毛頭ないのであります。と申しますのは、大体県の教育委員会が数個に分けるという大体の方針を協議せられた場合にも、しばらく待ってもらいたい、よく調査をして何とか応待をするから、今では遺憾ながら賛成はできぬが、何とかいい便法もあろうからしばらくお待ち願いたい、こう申しましても、待たずにおきめになったのであります。おきめになりましたら、やむを得ぬからその範囲内においてできるだけの方法を考えて、先刻申し上げましたように名古屋市を一区として一斉の試験をして、一斉の問題でもってテストをいたして志願者の合格をきめて、これを適当に通学区域等を勘案し、あるいは志願者の数等もそこで調べて、適当に名古屋市内の高等学校へ入学を許す、こうすれば県の方のお顔も立つし、また小学区のいいところもとれるから、そういうふうになさってはどうだと申しましたら、それはいけない、それは自分の方の主張に反する、こう仰せになって一蹴をあそばしたのであります。 そこでまたやむを得ず、今度は最後の案といたしまして、大学区なら大学区でもやむを得ぬから、その結果は八割は地元の者を入れて二割は県下全般から入学を許す、こうなさってはいかがでありましょうかと、自分の方は県の方へ申し入れいたしました。しかるところそれには御返事がなくして、直ちに本会議において御決定になって、そしてそれを反対して二割だけお前の顔を立ててやる、八割は全部県下からとる、こういうふうにきめたからこれに賛成をせよ、こういうのでありまして、終始県の教育委員会は五十四条を金科玉条といたして、この決定権は県にあるから、言うことがあったら聞いてはやるけれども、それを聞くか聞かぬかはおれの方の権限だぞ、こういう態度であったのが私は遺憾だと思うのでございます。その証拠には、この八割、二割の案をきめようといたしまして、しばらく時間を与えてもらいたい、自分の名古屋市の役所の方に帰ってよく相談をするから、こう申しましたら、相談するのはいいが早く返事を持ってこぬときめちゃうぞ、こういうようなお答えでありまして、徹頭徹尾名古屋市の意見を尊重しようというお気持がなかったことを、県の教育委員会の態度といたしまして遺憾といたすものであります。でありますから、ただいま加藤代議士の仰せのように、県と市とがよく打ち合して、あるいは協議会等を作って何とか善後策を講じちゃどうだというようなお話は、県教育委員会にこの誠意あらば、何どきたりとも名古屋市教育委員会はこれに応ずる用意があります。
○加藤(清)委員 両者の御意見を承わりまして私は喜ばしいことだと存じます。また当然そうあるべきだと思います。二人の先輩の命は短かいのです。人の命は短かいけれども教育は長いのです。吉田内閣が長い長いといっておったけれどもわずかに六年。教育の命は国家とともに永続するのです。今、あなたたちはその一里塚を築こうとしておられる。さればこそ今のようなお答えが出たことと存じまするが、いつでも相談があればその相談に応ずる用意があるという市の見解でございます。県の方もまた無理押しにこのままで押す気持はない、こういうお話でございます。まことにけっこうなんです。当然そうあるべきであります。 さてそこで私は一つここでお尋ねしなければなりませんが、この問題は今日てんやわんやの争いとなり、あちらにもこちらにもそれから生ずるあまたの連鎖反応を起しておるのでございますが、これを解消するにはどうしたらいいかといえば、まずこの問題の実施期間を来年三月ということにせずに、ここ一、二年研究期間を置いて、実施するにしても先に延ばすということが最も穏当な方法だと心得ます。それは先ほど来県の御発表の中にもありました通り、いろいろのいきさつはあったでございましょうが、火急を要したというお話なんです。市の方ではこれを受けて、それだけでは研究が足りなかった、時間的に無理だったというお話である。時間的に無理なことは、国会で決議されました法律でも、なお実施までに期間的な余裕があるはずでございます。まして隣同士で話し合いのできることでございまするから、長い余裕期間でなくして、せめて一、二年の余裕期間がありさえすれば、両者の争いというものがここで解消するところのきっかけ、よい結果というものがおのずからそこに発見されると存じまするが、この点については一体いかがなものでございましょうか。 それについて文部省にお尋ねしなければなりませんが、文部省としては、先ほどのお答えでは過去においてこの指導、助言、勧告はあまりしてない、将来はそれをやる用意があるという意味のお答えであったようでございます。もしその勧告をするとするならば、一体時期はいつで、いかなる内容を持ったことが行われましょうか。もし私の提案よりももっともっと優秀な、地元のためにどんぴしゃりといういい案があったらこの際承わりたいのでございます。
○緒方説明員 先ほど横山委員の御質問に対して私お答えいたしましたように、今後十分この問題につきましても研究をいたして参りたい、かようなことを申し上げたわけでございます。県の委員会と市の委員会と見解が対立しまして、それがために高等学校教育の円滑な推進がはばまれるということでありますならば、これはまことに遺憾であると存じますので、さらによく研究をさせていただきたい、かように申し上げたわけでございますけれども、ただいまここで、それじゃいかなる見解あるいは具体的な解決案があるかということは、これは先ほど来申しますように現在何もございません。ただ十分研究をして行きたい、かように申し上げるほかはただいまとしてはございませんので、御了承願いたいと思います。
○加藤(清)委員 それでは県と市にお伺いいたしますが、文部省は研究をしてその後にというお言葉でございましたが、これはいつのことやらわかりません。それに知らぬ知らぬとお答えになっていらっしゃるようでございますが、緒方さんはよう知り抜いておるのです。知らぬ知らぬ、こうお答えですが、県と市が争っていることについては百も御承知のはずなんです。調査不十分じゃない。ただ発表することは不可能ではないけれども、それをするといろいろな問題が自分の身にも及んでくることをおそれていらっしゃるだけのことなんです。そこでこれは百年待っても解決の道はない。町村合併のように裁判をしてもらえるような機関があれば、それを待つという手もございますけれども、それもこの問題についてはちょっと不可能である。そこで今私の提案いたしました問題について、県としては一体どのようにお考えでございますか、これが一番いいことだと私は思っておるのでございます。県の教育の功労者であらせられる御両所が、このことによって県の教育界に汚点を残すようなことがあっては、私としてはまことに忍びないのでございます。ましてそれが全国の判例となって、これが全国に押し及ぼされ、その結果全国の父兄、全国の学徒が未来いつまでも入学試験地獄で苦しまなければならないということを考えますと、私は御両所の良識をもってすれば、私の提案をのむぐらいのことはいと安易なことではないか、こう思うわけでございますが、県の態度としてはいかがなものでございましょうか、それをしも、おれの言い出したことは通さなければならないというのが、愛知県の県としての御意見でございましょうか。
○榊原参考人 ただいまの加藤君の申し出は、はなはだ遺憾でありますが、御希望に沿うことはできない。と申しますのは、二、三年延ばせというのですが、これはすでに名古屋市の方からもう一年延ばしてくれ、こういう申し込みがあったときに、私どもは委員会を開いて相談したところが、一年も延ばす必要はないのだという結論で名古屋市の方に返答しておるのであります。一年も延ばせないというのに、今加藤君は二、三年延ばしたらどうだということでありますが、これを私が申し上げることは教育委員会に違反するかもしれません。教育委員会というものは合議制でありますから、一存で御返事することはできないと思いますが、想像してみて、教育委員会にかけてもそれは無理だということで通りそうもないということを申し上げておきます。 なおまた加藤君は地元の人でありますので、地元にも始終来るのですから、この問題については名古屋市なり県なりへ来て、この場で解決せよという気短かでなく、もう少し気長に地元で解決しようじゃありませんか。
○佐藤委員長 加藤君、簡単に願います。
○加藤(清)委員 この問題は重要でございますので、委員長のお言葉でございますが、私はいましばらくの時間を要望するものでございます。なるほど県の申し分としては、今までの経過から言って無理からぬことと存じます。またここでどうこうしようなどということを決定しようとも思っておりませんし、そういう機関でもないということをよく心得ての発言でございますので、落ちついて一つ御答弁をお願いしたいのでございます。それではお尋ねいたしますが、歩み寄りをするとか、相談をするということは、何ぼ相談しても自分の意思通り当初の初一念を通す、こういうことでございますか。
○榊原参考人 よりよき方法があれば、やぶさかではありません。
○加藤(清)委員 よりよき方法ということは、県の今お考えになっていらっしゃるその点にプラスすることであればけっこうでございますか。
○榊原参考人 それと、なおそのほかのすべての社会情勢など、そういうものも勘案の中に入れて参りたい。
○加藤(清)委員 社会情勢の勘案と仰せられました。まことにけっこうでございます。私も大賛成でございます。ところがこの問題を決定なさるに当っての過去の状況は、遺憾ながら今のお言葉にぴたりと合っておらないように私は見ておるのでございます。そこで将来は確実にそのことが行われるでありましょうか、その点念を押すようでおそれ多いことでございますが、お尋ねする次第でございます。
○榊原参考人 確実に行われる場合もありましょうし、場合によれば行われないときもあるかと思います。
○加藤(清)委員 だから私はお尋ねしなければなりません。愛知県の責任者が、議会のこの委員会におきまして過去において確約なさったことがございます。記録にも残っております。そのことが約束通り、ここで発言なさった通り行われていないことがあるのでございます。それを私のみならず愛知県の方々は非常に遺憾に存じておられます。一例を申し上げますならば、町村合併に反対するならば地域給は周辺の十八町村の方々に名古屋並みにつけてあげますという副知事の言葉について、それの真偽のほどをただしましたところ、確実に間違いないのだ、いやそれのみならず他の方にも押し及ぼすのだというお言葉でございましたが、予算をながめてみますとそれが編成されていない。そこでいつの予算に組まれるのですかとお尋ねしましたところ、そのお答えには、五月の追加予算に組むとはっきりと仰せられたのでございます。五月はすでに過ぎました。それから半年もたっております。しかし周辺十八町村は、名古屋並みはおろか、その他の土地もまだそのことが実施されておらないのでございます。あのときの五月予算に組むということは昭和三十一年ではなかったはずでございます。こういうことが行われる事実にかんがみまして、せめて本委員会の権威にもかんがみ、ここで御発言なさったことはぜひ一つ実行に移していただくことが、これが県のおっしゃいますいわゆる順法精神の道に通ずるものと心得るのでございます。相談をする、歩み寄りでございますから、これは一歩も譲れないということとは少し違うようでございます。そのように解釈をいたします。 そこで最後に両者にお尋ねしたいことは、市としても虚心たんかいに過去の一切を忘れて、この当面の問題にぶつかる用意ありやいなや。もう過去のことは言わなくてもけっこうです。ただ目的は愛知県の子供のため、ひいては全国の子供のためという点で、名古屋市としても譲歩はでき得るやいなや。県としてもこの問題にあたたかい心をもって迎える用意ありやいなや。この点について御両所の御意見を伺いたい。
○榊原参考人 あたたかい心は持ちますが、一応あなたの意見として承わっておきます。
○木村参考人 ただいま加藤代議士より虚心たんかいに本問題について県、市が話し合う誠意があるかどうだというお尋ねでございましたが、わが名古屋市教育委員会といたしましては、前言にも申し上げましたように、名古屋市の教育のためにも、また大きくは愛知県の教育のためにも、まことにかかることが起ることは残念であると存じております。また父兄も現に非常に不安心であると思います。ことに名古屋市の周辺にあるところの町村をもしも名古屋市が締め出しをするというようなことになりましたならば、この方々のためにも非常に忍ぶべからざるものがあると存ずるのであります。従ってわが名古屋市教育委員会といたしましては十分に県と話し合いをいたしまして、忍ぶべからざることをも忍んで、互いに協調をいたしますことにやぶさかではありません。
○佐藤委員長 緒方局長にちょっとお尋ねいたしますが、御承知のようにこれは愛知県の問題でございますけれども、これは全国的な問題になるわけなんで、いろいろ答弁を聞きますというと、非常に投げやりで、地方に起きたことだから仕方がないということでございます。けれども、これは文部省当局の責任問題もあるわけなんで、地方のことにくちばしを入れるということはどうかと思うのですけれども、御承知のように愛知県とともに今名古屋市というのは大きな都市でございまして、そこにこういうような紛争があるわけであります。この点について緒方局長は初中局長として責任者ですが、こういう問題についてもっと調査をしたり、また何とかいい解決をするような御意思があるかどうか、この点だけ一つ伺っておきたいと思います。
○緒方説明員 先ほども申し上げましたが、愛知県及び名古屋市の高等学校の教育の推進がうまくいかぬということでありますことは、これはまことに遺憾でございます。これは文部省として真剣にそう考えます。従いましてこの問題につきましても今後さらに両者から十分お話を伺って、私どもの力の及ぶことは一つ十分いたしたいと存ずるわけでございますが、今日いろいろお話を伺いましても、相当両者の御見解には開きがあるようであります。そこのところを具体的にどうかという先ほどのお話でございましたけれども、これは私どももちょっと何とも申し上げかねるわけでございますが、気持としては、今申し上げましたように、これはきわめて遺憾なことでございますので、一日もすみやかにこの見解の相違が歩み寄りまして、その問題が解決しますように念願をいたし、また文部省としても研究をいたしたいと考えます。
○佐藤委員長 きょう横山委員を初め各委員から有力な質問がございましたが、愛知県は大きな県でございますし、ほかに影響するところが大きいので、ぜひ一つ文部省も腰を入れて解決するように努力をお願いしたいと思います。 なお参考人の方々には長時間にわたりまして御出席をいただき、貴重なる御意見を述べていただきましていろいろ参考になりまして、どうもありがとうございました。 ここで暫時休憩し、午後二時より再開いたします。 午後一時三十九分休憩 ————◇————— 午後二時十分開議
○佐藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 清瀬文部大臣に対する質疑を行います。野原覺君。
○野原委員 大臣に対しましてお尋ねをいたしたいと思うのであります。大臣も御承知のように、戦後今までにない絶対多数の保守新党ができまして、その基盤の上に鳩山第三次内閣が誕生したわけでございますが、私どもは鳩山第三次内閣という、強力かどうかは別といたしましても、絶対多数の保守党内閣の大物を文部大臣としてここにお迎えいたしたわけでございますが、この強力なと申しましょうか、鳩山第三次内閣が、あるいは清瀬文部大臣が、今日の日本の文教政策として何をなさんとするのかということは、単に教育関係者だけでなく、国民全体が非常に大きな関心を持っておるわけであります。従って本日は大臣就任以来初めてのといってもよい文教委員会でございますから、私どもの質問に対して、率直に大臣の教育に対する御信念、御所信をお述べ願いたいと思うのであります。 そこで私はまず第一にお尋ねいたしたいことは、今日の日本の文教政策はどうなければならぬと大臣はお考えでございましょうか。今日の日本の文教政策はいかにあるべきであるか、どういう方向を目ざすべきであるか、その基本的な方針と申しましょうか、御所信をまずお尋ねいたしたいと思うのであります。
○清瀬国務大臣 野原さんより御丁重な言葉をもって重大なる問題につきお尋ね下さいました。私も野原さんと同様に日本のただいまの問題で一番大切なことは文教であると思います。御承知の通り今日の文政は——敗戦の年の昭和二十年の十月十日に成立しました幣原内閣は、就任の即日マッカーサー元帥に会いまして、五つのことを告げられております。あるいは婦人参政、労働組合、財閥の解体など、そのときに五つのうちの一つとしてマッカーサー元帥が求めたことは、教育を多数国民に解放するということでありました。引き続いて占領の初期には、日本の学校では修身を教うべからずと命じた。それから歴史、地理は教うべからず、それからして世間で言う六・三制は司令部の背後の勢力によって成り立ったのであります。この間むろんわが国の国会がこれに参与して、この通りの教育基本法もでき、学校教育法もでき、議員諸君、また文政当局がいろいろ勤勉せられ、また民間ではこれを援助するためのいろいろな団体もできて今日に至っておるのでございます。 その後昭和二十七年わが国が独立いたしてからは占領中の諸制度を再検討すべしということが各方面に起りまして、今や各種の行政について日本独自の検討をいたしておることは野原君御承知の通りであります。文政改革もこの占領時代にできたものを再検討するという型に属する一つの事柄であります。私の属しておりまする自由民主党はそれゆえに党の一般政策といたしまして、教育のことを第一に掲げております。あるいは刷りものはお手元に回っておるかとも思いますが、当時新聞でも発表いたしております。制度についてはかように申しておるのであります。非常に大きなことであります。教育制度を国情に即応せしめるために、教育に関する国の責任と監督を明確化しなければならぬ、それから学制、ことに大学制度を一つ再検討しよう、それから教育行政組織の改革をはかる、これは三つとも非常に大きなことであります。そこでこの三大改革をするためにはとても一大臣、一省で発案すべきことではありませんから、内閣に調査審議の機関を設ける、こういうふうであります。いずれ政治家の有力の方々も教育界の耆宿も実業界の人々も寄ってこの日本の教育制度をどうするかという大調査機関を作ろうという構想を持っております。教育内容につきましては、党は祖国愛の涵養と国民道義の確立、よき伝統の尊重、正しい民主主義を徹底せしめる、こういうふうに教育内容は進めたい、かように考えております。
○野原委員 就任せられました大臣が、教育制度に対しましても、教育内容に対しましても、日本の国情に即応せしめなければならないという基本的な考え方の上にお立ちになられて、非常な御決意をもって対処されようとされておる、その御決意に対しては私は心から敬意を表するにやぶさかではございません。 そこでお尋ねいたしたいのでございますが、ただいまの御答弁にありました保守新党の教育に対する考え方、つまり内閣は政党内閣でございまするから、かつて新聞記者との会談の際にも大臣は述べられたと新聞に報道されておったのでございまするが、党の決定を尊重していこうという考え方——ただいまも申されました、たとえば教育制度におきましては、国の責任と監督を明確化させなければならないとか、大学制度の再検討とか、教育行政の再検討、こういうことは、実は今日の与党でございます自由民主党の教育政策として述べられておるように私は承知いたしておるのでございます。従ってこれは駄問に終るかもわかりませんが、確かめておかねばならぬと思うので私はお尋ねをいたしますが、保守新党の教育における緊急政策というものが、新大臣の文教方針そのままの文教方針であると私ども考えてよろしゅうございますか、率直にお答えいただきたいのであります。
○清瀬国務大臣 お答えいたします。私は党が教育に関する一般政策並びに緊急政策として規定いたしたるものは忠実にそのまま実行いたしたいと存じます。 それから前にちょっと私は言葉が足りなかったと思いまするから、前のお答えを補足いたします。先に私の言った言い方は、占領中のものを何もかもかえるというふうのコンノテーションがあってはいけませんから。そうではないので、占領時代の教育にも非常に捨てがたいいいことが確かにあります。通俗の例をとっていえば、昔の詰め込み教育、お互いが学校に行った時分の暗誦教育はやまって、自主的、創造的の新教育に変りました。これは私はいいことだと思うのです。それを捨てようという考え方はございません。言葉のニュアンスで誤解があるといけませんから、それをつけ加えておきます。
○野原委員 日本の教育制度だけでなく、今日のあらゆる政治、経済の面で是正をしなければならぬものがあること自体は、これは私もよくわかるのであります。これは当然であろうと思います。しかしながら、占領政策の行き過ぎ是正という名のもとに、一体どのようなものが改正されるかという中身になって参ります。これは大臣も申されましたように、実は是正でなく悪い方向に持っていかれるようなおそれもないとは言えないのであります。そこで問題は、今日の教育は御承知のように民主主義教育ということになっております。教育の制度、教育の内容、教育の方法において民主教育ということになっておるわけでございまするが、その民主教育の方向をうっかりすると踏みはずして、是正という名前のもとにそのレールからはずれるようなおそれもないとは言えなかろうと思うわけであります。従って私は次に具体的にお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、ただいまの大臣の御答弁の教育行政の再検討という点につきまして、保守新党の文教緊急政策の第三項を見ますと、その第一に——これは私は新聞で拝見いたしたわけでございまするから、間違っておりましたら是正をしていただきたいと思いますが、私の承知するところでは、教育委員会を改廃するとあります。第二に教科書制度を改善するとございます。第三には教育者の政治的中立厳守の措置をとるとうたわれておるように思うのであります。そこでこの三つのことは、これは今日の教育上における非常に大きな問題点であろうと思いますのでお尋ねをいたしますが、教育委員会の改廃とは一体具体的にはどういうことを指しておるのでございましょうか、率直にお答えいただきたいのであります。
○清瀬国務大臣 今野原さんが前段に御注意下さいました行き過ぎ是正がまた道を誤ってはならぬという御注意は、まことに貴重な御注意で、つつしんで拝受いたします。それゆえにこの大改革には、党だけで直ちに結論を出さないようにしておる。前段に申し上げました通り、今は内閣に文部大臣の諮問機関が一つありまするけれども、そうではなく、内閣に大調査委員会といったようなものを作りまして、野原さんのような立場におられる、つまり野党の代議士諸君も、それから民間教育界の耆宿、元老も、実業界の方々もよく御相談下さった上に最後の断を下そう、かように思っております。それゆえに、事将来に属しまするから、どうやるんだということを今明らかに申すことは、かえって害があろうと思いますけれども、教育委員会の制度がうまく行っておらぬということは、けさ以来、中京地区で県の教育委員会と市の教育委員会と意見が違って、にっちもさっちもならぬようになっているのですね。これはどこかに欠陥があるに相違ない。これをよく見ることは今日必要なことだと思います。今は忠告とか勧告とかあいさつできまりましょうけれども、制度がこれだけであったら至るところにまた起ります。そこで教育委員会制度を改廃したい。それから教科書のことは、幸いに今までありまする中央教育審議会は、まだ答申はしておらないのです。この五日にできるのですけれども、内容は新聞に出て私も承知しております。適切な研究をしてくれております。これをやはり議会の委員会その他で練りに練れば、相当の結果は出はせぬかと思っております。教職員の中立性のこと、教職員というより教育自身の中立性のこと、これもわれわれ再検討の時期に達しておる、かように思っておりますので、内容はそういうふうにさらに審議を経て、そのときに申し上げることにしたい。緊急政策で急ぐ政策でありまするけれども、今先ばしって内容まで申し上げない方が世間の誤解を招かないでいい、かように思っております。
○野原委員 その点はいささか大臣と見解を異にするのであります。教育の問題は、私は世間に相当物議をかもしていいと思うのです。国民全体に問題を投げかけて国民全体の意見を聞くということが、日本の教育政策を立てる上にきわめて重要ではなかろうかと思う。抜き打ちに大臣なり政府がこの法案を出して、絶対多数の力で押しまくろうというような考え方は、長い間立憲政治家として今日までお尽しになられた清瀬大臣としてはいかがなものであろうか、まことに失礼でございますが、私はこう考えるわけであります。 そこで、あなたはただいま党の方針を私の方針としたいのだということでございました。教育委員会制度についての党の方針は、改廃と明確に打ち出しております。この改廃とは具体的な内容を持っておるものだと私どもは考えます。いやしくも自由民主党という天下の公党が、具体的な内容を持たずして、こういう重要な問題について国民に政策を示す筋合いのものでもなかろうと思いまするから、私はこの点についてもう少し突っ込んでお尋ねをいたしたいのでございますが、改とは一体どういうことでございましょう。また廃とは一体何をさしておるのでございましょうか。先ほど申しましたように、この問題は単に教育委員会の諸君とか、改廃に賛成しておる市長村長の諸君にだけ示すのではなく、教育は国民全体が関心を持って要ることでございまするから、改とは教育委員の公選制をやめて任命制にすることである、廃とは市町長教育委員会などの地方教育委員会を廃止することなんだ、こういう内容を持ったものが自由民主党の教育緊急政策であるから、党の方針をあなた自身の方針としようということをむしろ本日この場で率直にお述べになるべきではなかろうかと思うのでございまするが、そのように受け取ってよろしいものでありましょうか、お尋ねいたします。
○清瀬国務大臣 私も野原さんと同じ考えなんです。抜き打ちにこの場でさあやれ、そんなことをしてはいかぬ、ゆっくり世間に納得させてやれとおっしゃるでしょう。私もそう考えておるのです。この間からたびたび言うことですが、今日わが国の家庭で子供を学校へやっておらぬところはほとんどないのです。幼稚園へやっておるか、中学や大学へやっておるか、お互いみんな子供を学校へやっておる人です。非常に多数の人が関係しますから、新国会文教委員会第一日にぽかんと、おれはこうやるんだというようなことは世間を驚かすだけで益はないので、もっとよく改廃しなければならぬことはわかっておる。けさから証明されてしまいました。教育委員会がどこか悪いのですよ。けれどもどう改廃するかはもう少し研究を積んで、うれたくだものをここへ持ってくることにいたしたいのです。むろんこれをきめるについては党内の先輩、同僚の御意見が大事でございまするけれども、あなた方野党の立場に立っておられる方々の意見もむろん御尊重申し上げ、世の中も、この問題が起ってから新聞、雑誌その他の陳情等でだいぶ意見が固まりつつありますから、もう少し待って下さい。その上で明白に内容を申し上げます。
○野原委員 私は改廃の内容についてお尋ねをしておるわけです。自由民主党が改廃と打ち出しておりますから、国民は、一体何を改するんだろう、何を廃するんだろうと非常に妙な考え方をしているわけです。だから改廃とはこういうことだ、しかしながら具体的にこれをどう改めるか、どう廃止するかは、これは自分でももっと検討をし、党の諸君とも相談をして野党に聞いてやるんだ。これはわかります。そうなければならぬことだと思いますけれども、教育委員会の改廃というふうにあなたの政党が打ち出しておるわけでございますから、その改とはこうだ、廃とはこうだ、具体的にはこういうことを党は言っておるんだということを大臣からお聞きいたしたいのであります。
○清瀬国務大臣 言葉のことを申し上げて失礼かと思いますが、改と廃と二つじゃなくして、通常の熟語では改廃で、これを変更するという意味にどうかおとり願いたいのです。たとえば県だけは改で町村だけは廃だというふうに二つに分けて用いたのではないのです。どちらも改廃で、適当に一つ変更していく、こういうことですから……。
○野原委員 それでは御答弁になっていないのです。その改廃でけっこうです。改と廃に分けなくて、改廃の内容、これは大臣こういうことなんです。党はこういうことを考えているのだ、これは私はお述べになるべきではないかと思う。衆議院の文教委員会でございますから、失礼ですがこれは単に教育に関心を持った者があなたに面会を求めてお尋ねしておるのではないのでありまして、私どもは国民の代表としてこの委員会でお聞きしておるのでございますから、これは改廃とはこういうことを考えて党は打ち出しておるのである、このことは御答弁できないはずはなかろうと思います。議会政治を尊重される大臣は当然そうあるべきだと思うので、御答弁いただきたいのであります。
○清瀬国務大臣 先刻以来申し上げておりまする通り、党内の意見、院内の意見、及び院外各種の意見を総合いたしまして、近く適当なる成案を得て発表いたしたいと思います。それが熟せぬうちに発表いたしますと、このごろの言葉で言う放言ということにもなるから、もうちょっと待って下さい。いずれ次の国会には法律案として出るようなことになりましょうから、そのときに正確に申し上げた方がいいと思います。いろいろ揣摩憶測を生ずるだけでも非常に多数の人に迷惑をかけまするから……。しかしながら今の教育委員会法が悪いということがわかれば、これは改廃しなければならぬ。もうけさからわかっておる。きょうの参考人の話などを聞いてみても、参考人が悪いのではない。これは法が悪いのです。どうかしばらく御猶予をお願いいたします。
○野原委員 どうしても御答弁にならぬようであります。 教育の問題は国民全体の意見を聞くことが当然だ、このことをお認めになられながら、今私がここで答弁をすると放言になると仰せられますけれども、私はこれはだれだれさんの放言とは違うと思うのです。すでにあなたの党が改廃と打ち出されておるわけです。そうしてその改廃については、これは具体的な内容を持たない、そういう改廃というようなことはなかろうと思う。それを私はお尋ねしておりますけれども、どうしてもお述べにならない。これはいつになればこの改廃の具体的な内容をお述べになるお考えでございますか。次の国会とか今ちょっと申されたようでありますが、次の通常国会の劈頭でございますか、いつでございましょう。
○清瀬国務大臣 わが党はこれを緊急政策の一つに取り上げておるのであります。それゆえに長く引っぱる考えはございません。ただ今期国会は臨時国会でございまして、あなたの党の国会要求書にもあります通り、地方の赤字財政とか、あるいは外交とかいうことが主でありましょうから、どうしてもその次になるのほかはなかろうかと思います。劈頭かまん中か末かとおっしゃっても、国会の運営はあなたも御承知の通り刻々違いますから、これをもって御答弁とお受け取り願いたいと思います。
○野原委員 まことに私は遺憾に思うのです。これはすみやかに緊急政策として、しかも天下の政党である自由民主党が出された限り、この具体的なものはこうであると示すべきだ。単に緊急政策として改廃というようなことで、そうして私どもがその与党から出されておりまする内閣の文部大臣にお尋ねしても、これは法案を出すときでなければ言えないんだ、こういうような突っぱね方は、私はいささか清瀬さんとしては教育に対して冷淡な考え方ではなかろうかと思う。けれども御答弁にならなければやむを得ません。そういうような考え方であなた方が今後教育の問題を取り上げていくというならば、これは私ども社会党が批判するのでなく、国民全体が批判するであろうということを申し上げておきます。 そこで次にお尋ねをいたしたいことは、これもまたあるいはほおかぶりなさるかもわかりませんが、教科書の問題であります。教科書の検定制度に対する考え方は、前の文部大臣松村さんの所見は私どもしょっちゅう伺って参ったのでございますが、清瀬文部大臣としては検定制度に対してどういうお考えを持っておられますか。これはきわめて概念的な考え方でもけっこうでありまするからお尋ねいたします。
○清瀬国務大臣 このことにつきましては前文部大臣より中央教育審議会に諮問されております。その答申は来たる五日に出るはずなんです。人に答えを諮問しておいて、答申が出ない先におれはこうだと言い切ってしまっては諮問機関にちょっと工合が悪いのでありまするけれども、しかしながらその特別委員会できめたことを、私きのうは傍聴もいたしましたし、昨晩新聞でも見ておりまして、天下公知のことでありますから申し上げます。検定制度をやめて国定にするつもりはございません。それは申し上げておきます。
○野原委員 問題は検定制度をやめるということになると、御承知のように反撃が非常に強いわけです。これは占領政策と大臣は簡単にお述べになるかもしれませんけれども、教科書の検定というものは——教育の内容を一つの政党、一つの政府というものが自由にすることがあってはならない。教育の制度についてもしかりです。教育の制度とか内容とかいうものは、一党一政府の支配下に置かれないような、そういう状態に持っていくべきだという考え方からいたしましても、検定制度を持続しなければならぬ。これが実は廃止されるということになりますと、日本の民主化というものは根本から脅かされることになる。これは単に学者だけでなく、ほとんどの国民の一致した見解であろうかと思う。ところがいろいろ今日の検定制度には行き過ぎがある。値段が高い、学校を変るときにその都度かえなければならぬから不便だ、こういうような行き過ぎを是正するために技術的な改正と申しまするか、新聞で拝見しましたが、中教審も答申を決定したようでございますが、うっかりいたしますると、技術的な改正が検定制度の趣旨全体を殺すようなことになることを、私どもは実は懸念しなければならぬかと思うのであります。そこでお伺いいたしますが、各都道府県一本に、たとえば小学校の一年の国語の本でございますと東京都はこれ、大阪府はこれ、北海道はこれと、各府県一本に種類を限定するやにもお伺いするのでございまするが、そういう考えを持っておられるでありましょうか、お尋ねします。
○清瀬国務大臣 この教科書については検定をどうするかということと、検定された各種のもののうちでどれを採択するか、二つに分けて考えておるのでございます。前段の検定制度を廃止しないということについては、野原さんも御賛成下さったように拝聴してまことに愉快に存じます。採択のことについては、これは多少まだ問題が残っておるのです。正式に受け取ってはおりませんが、中教審の主査の報告によると、採択地区をきめるということがあるのです。一府県一本にしないで郡市——これは単数か複数か知りませんが、郡市の区域で採択区域をこしらえておく。衆議院の中選挙区みたいなことなんです。その採択区域にもさらに大、中、小ができるでありましょう。どの辺がいいかはなお私においてもよく考え、党の御意見も聞き、また皆さんの御意見も直接間接に拝聴いたしてきめたい、こういうふうに思っておるのであります。
○野原委員 そこで大臣としては最終的な御方針がまだきまっていないようでありまするから申し上げておきますが、各県一本に種類を限定すると、新聞に報道されるような方向をとりますることは、これは種類が一本に限定されるということになりまして大きな会社、大資本会社のみが経営するということになる。そういうところからだんだんしぼられて参りまして、やはり国定化という方向と実質上変らない方向に持っていかれるおそれがあるわけであります。検定制度を承認するのだと口では言いながら、実質上は国定化の方向をとる、こういうようなことにならないように今後大臣としては御留意を願いたいのであります。 そこでお尋ねをいたしますが、先ほど内閣に調査審議の機関を設ける、文教制度はどうなければならぬか、その機関として内閣に調査審議の機関を置くということでございましたが、これは大臣の私案でございますか、それともこれは閣議の決定としてすでにできたものでありましょうか、お尋ねします。
○清瀬国務大臣 それは閣議以上で、党の総会できめた大方針であります。さらに閣議もこれをやることに了承を受けております。
○佐藤委員長 ちょっと野原君に申し上げますが、文部大臣との約束で正四時までには必ず帰すという条件がありますので、あとの質問者もありますし、もう時間が間もなく参りますからその点御承知おきを願います。
○野原委員 委員長の御注意に従って、他の同志の諸君の質問もございますから、私はなお次の機会に質問いたしたいと思いますが、もう一問お尋ねをいたします。大臣は先ほど文部大臣としての方針は党の方針を尊重しておる、党の方針が政党内閣の清瀬文相としての方針であるということでございましたが、そうなりますとあなたの諮問機関として中央教育審議会というのがございます。この中央教育審議会は教育界における日本の権威者を網羅した機関であろうかと思いまするが、これが文部大臣の諮問にいろいろ答申をする。その答申した事柄が党の文教政策の方針と相違をいたしておるという場合には、大臣はこれをどういうように調整されるか、あなたは政党内閣の文部大臣だから中教審なんかどうでもいい、こういうような考え方でお進みになるのでございましょうか、お尋ねします。
○清瀬国務大臣 理屈にわたりますけれども、中教審は文部大臣の諮問機関であります。その構成員は文教に練達したりっぱな人なんであります。それゆえに文部大臣としては中教審の答申は尊重いたします。きのうも会に出てこの御意見は尊重する旨を公衆の前で明言しておるのであります。しかしながら私は自由民主党の党員であります。これを尊重して、心に入れて党議決定には参加しますけれども、党議が大臣の意見しかるべからずということで非常に相反したら私は責任をとらざるを得ない。しかしながらその限度において党議に拘束さるべきものだと考えましたら党議に従います。
○佐藤委員長 小牧次生君。
○小牧委員 清瀬文部大臣にお伺いいたします。ただいま同僚野原委員から新しい大臣としての文教政策の最も根本的な点についていろいろ御質問がございましたが、就任早々であり、私どもの満足するような御答弁をいただかなかったのはきわめて遺憾に存ずるのであります。そこで重複を避けまして私は主として教育財政の問題につきまして簡単にお伺いをいたしたいのであります。 大臣も前に党の政務調査会長という重要な仕事をしておられましたので、今日まで相当教育財政等につきましても御研究があったものと考えるのでありますが、まず第一には危険校舎その他校舎の改築あるいは増築に関する問題であります。現在の文部省の予算がそれぞれの各地方の要求に比べましてはなはだしく少い。三十年度におきましても予算と希望とは四倍という非常に大きな差を示しておるようであります。これに対して私ども委員会におきましては、たびたび前の松村文部大臣その他の方々に質問をいたし、また強い要望も申し上げ、なおまた本院におきましてもあるいは参議院におきましても同様趣旨の附帯決議をたびたびいたして参っておるのであります。しかもこのような状態に置かれておりますので、地方公共団体の側における負担も相当多くなって参りまして、今日いわゆる地方財政の窮乏化の問題が大きな問題として当面解決を迫られておるその一つの理由ともなっておる実情であります。従いましてこのような当面せる教育財政の問題につきまして、清瀬文部大臣はどのようにお考えになっておるのか、まず初めにお伺いいたしたいのであります。
○清瀬国務大臣 危険校舎の復旧なり、また先年の戦災によって害をこうむった諸学校の復旧は非常に重要なことでございます。これがために昭和二十七年に一定の金額を予定して年々復旧をはかっておることは小牧さん御承知の通りであります。私もできるだけの力をもって文部当局と折衝し、すみやかに戦災の学校を復旧し、危険校舎を改築いたしたい、かように存じておるのでございます。
○小牧委員 ただいま御答弁があったが、できるだけ早くそういった問題を解決したい、これは当然なことでございますが、今すでに昭和三十一年度の予算の編成期にも入っておりますので、従来文部省の要求がいろいろ大蔵省に対してなされましても十分その成果を上げておらない。このことから先ほど申し上げたように、地方からの要望と非常に大きな差を示しておる。また危険校舎は現在まだ二百万坪毛残されておるというような教育上非常に重大な問題でありますので、前の松村文部大臣も党内におかれて非常に有力なる方であり、今また清瀬文部大臣も同様に非常に有力な方であられますので、こういった問題を、就任早々ではあられますが、たとえば来年度の予算の要求についてはどういうふうにして進む、あるいは今年度の予算に比べて来年度はこの程度までは持っていきたい、それについては大蔵省との折衝に際して責任をもってこの程度は必ず実現させたいとか、何か一つそこに具体的な御答弁をいただきたい、かように存ずるのであります。
○清瀬国務大臣 今小牧さん御指摘のことは非常に重要なことでございます。昨年の経過は御承知でありましょうが、文部省が持ってきたのを民主党の政務調査会で増加した、そうして二十億になっております。今折衝中のことをあけすけに申すもいかがかと思いますけれども、今の状態はそれを増して三十五億ぐらいもらいたいという要求をしておるのです。私が微力で目的を達しなかったら、どうか議会側からの御援助をお願いしたいと思います。
○小牧委員 交渉の一端をお述べになりましたが、先ほど来申し上げます通り、地方側の要求に対して非常に少い。もちろんこれを一挙に解決するようにしてもらいたいとは申しておりませんが、先般第二十二特別国会におきましては、事務当局におかれて年次計画を作って、たとえば五カ年計画というような計画を作ってこれを実施して参りたいという計画の内容のお話があったのでありまして、おそらく新大臣におかれましても、何らかそういったものを踏襲されるなり、あるいはまた独自のお考えを持って、そこに計画を持って、来年度はここまてなければならない。その次にはここまでなければならない。こういうものをもって進まれない限りは、年々そういった危険校舎がふえていく一方でありまして、果してこのような状態でわが日本の教育あるいは教育施設はどうなるであろうかということがきわめて憂慮されておる段階でありますので、ただいま三十五億云々のお話がございましたが、そういった計画をお持ちであるのかないのか、年次的な計画を持って進むというお考えがあるのかないのか、そういうことを検討されたことがあるのかないのか、お伺いいたします。
○清瀬国務大臣 前々任時代よりして一定の計画で進んでおると了承しております。
○小牧委員 管理局長にお伺いいたします。先月でございましたか文教委員会の協議会がございました際に、二十二号台風の災害またそれに続く台風の災害で教育施設が相当被害をこうむった、その点についてすみやかに措置をされるようにいろいろ御質問申し上げ、御要望も申し上げたのでありますが、その後の状態ほどのようになっておりますか、お伺いいたします。
○小林説明員 台風二十二号、二十三号から六号までの災害復旧でございますが、しかしそれ以前にもいろいろ本年の四月以後の豪雨その他の災害の復旧事業がございまして、これらを取りまとめてその被害状況の大きい府県に大蔵省と共同して現地の調査をいたしました。三十年度の公立学校の建物の災害復旧について、関係府県から申請の出ておりますのが合計いたしますと大体八億二千程度でございまして、これを現地で調査し、査定いたしました結果が、大体六億二千程度の数字でございます。これにつきまして、この公立学校施設費国庫負担法の命ずる国庫負担金を計算いたしますと、大体四億二千万程度になりますので、この国庫負担金について現在大蔵省と折衝中でございまして、これについては十二月の上旬、おそくとも中旬程度にはこの予備金要求の額の決定があろうかというふうに考えております。
○小牧委員 もう一つお伺いいたしますが、その際に災害復旧についてはできるだけ鉄筋ないしは鉄骨で復旧をはかっていただきたい、これについては御承知の通り非常に強い要望がこちらからなされておるわけでございまして、前の協議会等におきましての御答弁では、できるだけそういう方向に進めたいという話であったように記憶いたしておりますが、この点についてお伺いをいたしたいのであります。
○小林説明員 これは災害復旧の場合だけに限られるわけではございませんが、災害学校を新築いたします場合に、できるだけ鉄筋化したいという要求が非常に強いのでございます。文部省といたしましては、この建物の構造比率の関係で鉄筋の比率をできるだけ引き上げたいということで従来も努力をいたして参っておりますが、本年度の災害地域の範囲は、私どもの言っております台風の常襲地帯というようなものが非常に多い関係もございますので、今年度のこの災害復旧の国庫負担金の要求につきましては、鉄筋及び鉄骨の比率を従来に増して高めております。従来は御承知かとも思いますが大体二〇%が鉄筋ということであるわけでございますが、本年度の災害復旧については一二五%程度まではぜひ鉄筋あるいは鉄骨でもらいたいということで、大蔵省の方へ現在折衝中でございます。
○小牧委員 その見込みがありますか。
○小林説明員 従来の事情を申しますと、従来はただいま申しましたように二〇%が鉄筋であり、八〇%が木造ということで予算をもらったのでございますが、しかしこれが実際に工事を施行いたします際になりますと、地元負担等の関係から、申請は初め鉄筋でありながら現実に工事をする場合には木造というような事例が相当ありまして、従って災害復旧の予算が残を残すということが相当あったのでございます。しかし本年度につきましては、ほんとうに災害の頻度の高い台風の常習地帯が先ほど申しましたように多い関係もございますので、おそらくそういったことはなかろうと考えまして、強くこの点を大蔵省に要求しております。私ども手放しでその点は楽観しておるわけではございませんが、できるだけこうした高い比率を獲得したいというふうに考えております。
○小牧委員 今の問題につきましては、今後ともさらに努力していただくようにお願いを申し上げまして、最後にもう一度大臣にお伺いをいたします。これは同じように教育財政の問題でありますが、今度は給与に関係のある財政の問題であります。詳しく申し上げますと非常に時間が長くなりますし、またこまかい点まで申し上げるのはどうかと思いますので大づかみにお伺いをいたしますが、私どもの考えるところによりますと、今日高等学校及び義務制の学校におきまして交付税の単位費用が実情に即しておらない、結局まだ低いということを確認いたしておるのであります。従いまして現在の基準によって教育関係の交付税が配付されますので、地方公共団体の側におきましてはこの不足を他のいわゆる県費をもって補って参らなければならない、これがために府県におきましては非常に地方財政に大きな支障を及ぼしておるということを、おそらく大臣ももとより御承知のことであろうと考えます。従いましてこの問題が児童生徒の教育に非常にいろいろな面において影響を及ぼして参っておる、こういう点から私どもはかねがね委員会におきましてこれを実情に即するように交付税の単位費用を引き上げてもらいたいということをたびたび要望いたして参っておりますが、この点について清瀬文部大臣はどのようなお考えを持っておられますか、お伺いをいたします。
○清瀬国務大臣 そのことについては従前の来歴をよく調べて、さらに適当なる施策を講じたいと思っておりますが、今お問いの問題について、今までのことは事務当局より一応お答えいたさせます。
○緒方説明員 御指摘になりました給与費の問題につきまして、交付税の配分の算定の基礎になります単位費用の問題でございますが、義務教育の分につきましては比較的単位費用が高い。しかしながら高等学校の分につきましては御指摘の通り相当低くなっております。従いまして、特に高等学校の関係につきまして実態調査等もいたしまして、そうして今自治庁と実は折衝いたしておるわけでございます。この点につきましては、私ども今後十分力を尽していきたいと存じております。御了承願います。
○佐藤委員長 辻原弘市君。
○辻原委員 これは最後に大臣にお話しを申し上げた方がいいかもわかりませんが、時間の関係もございますので、最初に大臣に一つお願いを申し上げておきたいと思います。同時に委員長にもその点をお考えいただきたいと思います。というのは、先ほどから私ども非常な期待を持って、大臣御就任初の委員会において、大臣のお持ちになっていらっしゃる御抱負についてわれわれ相当拝聴することができ、かつまた委員会を通じ、国会を通じて国民も明日の新聞で少くともそれらの点を明らかに知ることができると考えておったのでありますが、ほとんどただ党の政策の若干を述べられたにすぎないで、今日委員会も何ら意義をなさなかったのであります。しかしそれでははなはだもってわれわれ委員といたしましても不満でございます。これは党の立場もおありになるし、大臣のお考えもあるだろうと思います。しかし当委員会といたしましては——私は従来から何代かの大臣のいろいろ御所見も承わって参りましたけれども、少くともやはりそれぞれ党の方針、これはいずれの党にいたしましてもはっきりしたものがあるのであります。しかしながらその中におのずと大臣が取捨選択された重点的な問題、具体的なそれらの方針の展開、こういうことについては語られたはずであります。そういう点から学識経験きわめて豊富でいらっしゃる清瀬大臣に、少くともそうした個人的な御方針、御抱負というものがないなどとは国民のだれしも思いよらぬところでございます。慎重はまことにけっこうでございます。しかしながらすでに就任から相当日時も経過いたしておりますし、また大臣になられるに当っては、現下非常に重要だと先ほども言われましたこの教育行政を抱負なくしてあえてお引き受けになるということもあるまいと思います。従って、国のためにも、同時にまた清瀬大臣としてのお立場からも、この委員会において大臣御就任の教育行政に対する重点的な所信のほどをぜひとも一つお聞かせ願いたい。法案提出の次の通常国会の時期、これは国会の構成が変るのであります。従ってただいまは休会でありまするが、少くとも再開せられました国会における委員会には、冒頭にはっきり一つ所信のほどを表明せられることが大臣としての重大なる責任でもあるかと私は存じますので、これについてお聞かせ願えるか、拒否されるか、いずれか御返答を承わり、同時にまたおそらく私は他の委員の方々も御異存のないことだと考えておりますので、委員長の立場におきましてもこの点の御配慮を願いたい、この点を最初にお願い申し上げます。
○清瀬国務大臣 ただいま私が微力短才で御満足のいく発表をしなかったことをおとがめ下さいましたが、他山の石としてありがたくお受けいたします。ただしかし少し事情が違ったことは、従前前任者が担当しておった時代と今の時代と違ってきたのですね。今は二大政党がかっきりと対立するようになりまして、内閣の立場は、党の政策を実行するという立場になったのです。そうして党の政策は、ほんの一カ月以前まで政策委員会で練って練って練り上げて、しかもその政策委員会には私自身参加しております。それゆえに文政についての主張を述べろとおっしゃれば、党できめた政策を述べるのでございます。(「内容がない」と呼ぶ者あり)先刻野原君のお問いに対して、緊急政策として教科書、教育委員会、教育の中立性という三つのものを重要なりとしてあげたのも党であり、清瀬であるのであります。それからしてこれを実行するために大きな内閣直属の機関を作るということもそこできめたのでございます。それからまた教育には祖国愛の涵養、国民道義の確立、よき伝統の尊重、正しい民主主義の教育を徹底するということもそこできめたのでございます。育英制度を拡充することもきめております。科学技術教育を振興することもきめております。文芸、美術、音楽等に関して国の助成策を確立することもきめております。これらは礼儀上御堂にも持参いたしておると思いますが、党できめ、また私もこれに参与してきめたのでございまして、過日の国民道徳確立と教育の改革という第一項ないし第八項が同時に今から行われなければならぬ義務を持っている施策でございます。一々の問題について内容がないとおっしゃるが、内容のあるものもないものもあります。しかしまだこまかなことは、政治は生きもので時々刻々変ってきますから、それらについてはそのときどきで私及ぶだけの発表をいたしたいと思っております。政党がこういう態勢になった以上は、私も知らぬ存ぜぬで逃げ回るというそんな醜態は演じないつもりであります。私が責任をもって発表し得る限度はこれであります。
○辻原委員 お伺いをいたしましたのは、そういう機会を持っていただけるかどうかということであったのでありますが、御答弁にはなっていないようであります。と申しますのは、今までどの大臣を見ましても、政党に所属される大臣は、別に党を離れて存在しておったわけでないことは明らかであります。何も二大政党になったから党と密接になって、党が三つになってだんだんその濃度が薄くなるというような論理は別に私はあり得ないと思います。ましてや法律専門家でいらっしゃる論理のマジックをもって終始されております清瀬大臣がさようなことをおっしゃるとは私は思っていないのであります。ただ多少のニュアンスの相違はあるかもわかりません。しかしそれは党の政策即一字一句も違わずに大臣の政策であっても、もちろんそれは何らかまわないと思うのであります。より忠実であるかもわかりません。しかしまたさらにその上に大臣としての個人的なそれを強化する一つの方針もつけ加えられるということもあり得るわけであります。だからそれはいずれでもよろしい。ともかく私の考え即党の考えである。しかし先ほどから承わると、党の考えというものはただ項目を羅列したにとどまっております。しかしその項目を決定されるときに問題があり、かくかくの方向でなければこれは困るという一つの経過があって、決定せられたものである。少くとも天下の大政党が決定される場合には、何ら中味をつけないで、ただ命題だけを決定するというようなことは、これはあり得ないのです。具体的な法律上の処理をどうするかとか、行政上の措置をどうするかということは、これは別問題であります。しかしさようなことを大臣にお伺いしても無理だろうと思います。そうじゃありませんか。そういうことは事務当局に聞くのであります。そうじゃなしに方針をお伺いしておる。政策大綱は政調会がきめられたものであってもかまわない。しかし方針を堂々とやはり大臣として披瀝される場所は、これは国会であり、この文教委員会である。そういう意味において、そのお持ちなさっていらっしゃる政策大綱というものを、発表願えるかどうかということを、私はお尋ね申し上げておるのであります。そういう機会を持つことに御賛同下さるか、あるいはさようなことは私は党内の意のままに動く大臣でありますので、不必要でありますとおっしゃって拒否されるかどうか、この辺のところを伺っておきたいと思います。
○清瀬国務大臣 わかりました。その意味を少し取り違えたと思います。これから文教について国会の御同意を得べき法律も施策も、また文部省によって地方に向って行うべき行政も詳しくこの委員会へ持ってきて、私自身または下僚より腹蔵なく説明をいたし、御批判を受けたいと思っております。
○辻原委員 こういう論議を繰り返してもつまりませんが、法律を詳細に説明される、これは大臣の当然の職務であろうかと思います。そうじゃなしに一つあなたが持っていらっしゃる、こうやりたい、ああやりたい、党の政策の性格がこうであるから、こういうふうにより強力に展開したいという大臣の御方針がおありになるはずだから、それについてこの委員会で一つ具体的に御説明を願いたいということであります。教育委員会の制度の改廃、どういうところに欠陥があり、どういう方向に立て直していきたいと私は考える、党のこの政策に順応して私はかくかく考えます。こういうような披瀝がなければ、法律専門家でいらっしゃる新大臣清瀬先生が、どういうような政策を具体的にこなしていこうとされるのか、さっぱりわれわれにも、国民にもわからない。ということは、私は率直に申しまして、先ほどもちょっと触れられておりましたけれども、よく年代の相違と申しますか、占領政策の是正ということ、その言葉の表現はいろいろありましょうから、美しく飾られることはできますけれども、どうもその中に過去の教育に対する、また社会制度万般からいえば、過去の社会体制に対する、何か御老人の郷愁みたいなものが、その根底に横たわっているのではないか。そういうものからいわゆる占領政策の是正政策というものが打ち出されるならば、これはとんでもないことだ。言葉では否定はできます。しかしなかなか人間持って生まれた性質と、長い間の習性というものと、長い間の社会から受けた影響というものは、これは一朝一夕にぬぐい去ることはできない。俗にいわゆる墓の中に入らなければ直らないという言葉がありますけれども、そういうようなことがもしかりにあったとするならば、これはとんでもないことであって、私どもは清瀬大臣のような新味を持っていらっしゃる方は万般そういうことはないと考える。しかし国民の中には、どうも清瀬先生に、若い時分には実に張り切っておられたけれども、だんだんお年をめしていらっしゃって、あるいはそういうことを暮夜ひそかに考えていらっしゃるのではなかろうか、こういう危惧を持っておる人がなきにしもあらずであります。私は率直に申し上げます。そういたしますと、これはやはり今まで一生懸命に新教育だ、教育基本法だ、新憲法だ、こうやってきた多数の教育者、多数の識者、またその教育を受けておい立とうとしておる子供たちに、一瞬でも戸惑いを与えるようなことがあっては天下の一大事。従ってそれらの点についてはっきりと述べられた方向もありますし、またその郷愁の中にきわめていい——この政策の中にもありますが、どういう内容かわかりませんが、よき伝統を尊重する、これは人によってとり方がいろいろあります。元の家族制度をもってこれは醇風美俗だとする、これはよき伝統だと考える人もあるでしょう。その家族制度の中に苦しんできた人たちは、かようなものをもってよき制度とは申しますまい。従ってそれは個人々々によってとり方がいろいろあるのであります。そのよき伝統とは、大臣がかく考えるのだというようなことを国民に知らさなければ、これは他の行政とは異なって、私が申し上げるまでもなく、いわゆる通産行政をどうやるか、あるいは財政政策をどうやるか、これらはきわめて明瞭に、具体的に現われてくるのでありますけれども、教育行政は申し上げるまでもなく、人間の心の中に潜在し、沈潜するものであります。折に触れて、それか放射能じゃありませんけれども、何年後、何十年後、何百年後にはその効果が現われるかもしれません。そういう点からも、私はこれらの基本方針の内容というものを、少くともものの考え方を、明確にする人があると思うのであります。そういう意味においてえらい駄弁になりましたけれども、大臣のお考えをお話していただく機会は、ぜひともわれわれは持ちたい。これは私一人の希望ではございません。いかがでございましょう。
○清瀬国務大臣 私もその機会を持とうと思っておるのです。私はこういう信念を持っておるのです。保守主義というものは、これは実は進歩主義のことなんです。よき伝統を守って進歩する。そうするとよき伝統は何だということを世間にもあなた方にも御了解得なければなりません。すぐ邪推して、教科書の問題といったら、それは国定をやるんだとか、憲法改正といったら、そら徴兵制度だというように、先へ先へなきことを考えられて、私どもが反動政策をやるかのごとき印象を持たれることは、私非常に苦しく思っておるのです。日本人は今は二言目にはわが国を卑下しますけれども、なかなかいい人種なんです。親切で勤勉で、礼儀正しく非常にいいところがあるのです。これらの日本人の美点を守って、さらにこれの進歩をはかるといったような限界について、世の中に一。へんはっきり御了解を願いたい。時間があれば本でも一つ書いてみようかと思っておるのです。そしてあなた方とひざをつき合せ、場合によっては弁当の一つも食って、よく腹心を開いて話しますというと、今革新派とおっしゃられる方々と私どもと、本質においてはちっとも違わず、ただ表現において違うようなことじゃないかとも考えておるのであります。あとの方で今御提案くださったことは大へんいいことで、ありがたいことと思います。どうかそういう機会を委員長持つようにいたしたいと思います。
○佐藤委員長 委員長から大臣にちょっとお願いしたいのですが、ただいま辻原君から委員長に求められたのは、自民党の文教政策のことについては、だれでもわかっておられる。しかしその中にあって、清瀬文政というものがあるわけです。清瀬文政というものを一体就任早々、きょう、あしたというわけにはいかぬけれども、少くとも十日か一週間たったならば、一つ示してもらいたいという意思だと思うのでございますが、その機会を、いつ発表していただけるかということを委員長から一つ清瀬文部大臣にお願いしておくわけであります。いかがでございますか。
○清瀬国務大臣 この文教政策として実行するものの大体は、たびたび繰り返しました通り、党できめた通りでありまして、党できめたものは私も参与しておるのです。しかしながらこの内容の一そう詳しい説明といったようなことは、時間を与えて下さるならば、数日以後の適当なるときに喜んで御説明申そうと思っております。しかしながら目新しい世間のびっくりするようなことを言うつもりじゃありません。ただ私が自由民主党、その前に属しておりました日本民主党以来研究してきておりますることは、腹蔵なく申し上げたいと思います。
○佐藤委員長 それでは一週間ぐらい後の機会に文部大臣から一つ御説明願いたいと思います。
○辻原委員 委員長のお取り計らいで、大臣も心よく御承諾をいただきまして、これは国民になりかわって感謝いたします。臨時国会中にぜひともその機会を持っていただきたい。
○清瀬国務大臣 承知いたしました。
○辻原委員 でありますので、本日私がお伺い申し上げたかった数々の基本問題、これにつきましてはその機会にあらためてお伺いすることにいたしたいと思います。 ただ自民党の政策が緊急であると同様にただいま一つの緊急問題は、これは党においても十分お考えをいただいておることだろうと思いますが、毎年の例によって公務員の年末手当の問題がきわめて重要な問題であります。私はこまかい点をお伺いしようとするものではありません。ただ、今こうして大臣にお伺いしておりますと、思い出されるのはちょうど去年の今どきでありましたが、たまたま就任早々この問題にぶつかったのがすでにおなくなりになりました前々の文部大臣でございました。その際に、これは故人のことを申し上げてはいかがかと思いますけれども、十分そういうような問題に精通せられないままに、当時老躯をひっさげられて非常な御奮闘をなさった。何とかこの年の瀬に若干でもあたたかい親心を、特に所管大臣として教職員に与えたいというお骨折りをなさったことを今想起して、一年後の今日やはり清瀬新大臣も就任早々この問題に努力をされておるわけでありますから、事の内容を深くお知りになる、ならないは別といたしまして、非常に御考慮、御苦心をなさっていらっしゃることだろうと思いますので、一つこの点についてお考えをお伺いし、さらにまだ閣議等におきましてもいろいろ決定に行き悩んでいらっしゃるようでありますので、御努力いただけるか。公務員の側の要求としましては、現在施行されている一・二五カ月分にさらに〇・七五を加えた二カ月分を何とかこの際年末手当としてもらいたい、こういうことであるようでありますけれども、それらの線に近づけるためにどういうようなお考えを持っていらっしゃるか、この辺の大臣の御所見と御努力いただけるかどうかという点について、この機会に承わっておきたいと思います。
○清瀬国務大臣 この問題は就任当日より努力いたしておるのであります。数日後に結論も出ようかと思いますが、本日閣議にも上った問題であります。交渉最中のことをきょうはここまで行ったというふうに御報告申し上げることは適当でないと思います。本日も骨を折っております。公務員諸君、あるいはまた教職員諸君のためにできるだけの骨は折りたいと思っております。
○辻原委員 その場合にきのうは六団体の会合があり、きょうは全国の町村長の会合があったようでありますが、地方財政は御承知のような非常な苦境に立っておりますので、機械的にただ金額をきめられただけではとうてい地方の職員に手渡らないのじゃないかという感が、これは去年よりもことしはなおそういう不安感が深まっておるのであります。この点はもう例年われわれも強く政府に要望するところでありますが、さらにそういう危険性が深まっておるということを御認識いただき、かりそめにも、これは僣越でありますけれども、閣議等の席上において、国家公務員と地方公務員との間に多少差があってもいいじゃないかなどというような論議が起らないように、私の受けておる印象では今年の方向としてはそういうような考え方があるのじゃないかということを心配しておるわけであります。そういった点について、特に教職員の場合には地方公務員が大多数であります。その大多数の地方公務員に大きな失望落胆を与えないような、必ず地方側で支出でき得るような措置を——これはほかの大臣が努力をなすってもおそらく通り一ぺんであろうと思います。やはり何といっても文部大臣であられる清瀬大臣お一人が最後には苦労辛酸を重ねていただかないと解決のしない問題だと思いますので、その点どういうふうにお取り運びされようとなさっていらっしゃるのか、ここらあたりもちょっぴりお伺いしておきたいと思います。
○清瀬国務大臣 御意見のほどを体して十分に努力したいと思っております。
○辻原委員 もう詳しいことは申し上げません。今の緊急問題である年末手当だけは、大臣がまた十分検討してからというのでは年の瀬は越せません。ただいまお話のありましたように御努力下さっておるということを私どももそのままお伺いをいたして感謝を申し上げたいと思うのでありますが、なおこれは容易ならざる財政措置、行政措置の問題が含まれておりますから、さらに御努力をお願いいたしておきたいと思います。 質問を終ります。
○佐藤委員長 なお、関連して野原覺君から質問の申し出がありますからこれを許します。野原覺君。
○野原委員 関連してということですが、実は年末手当の問題ではなく、先ほど同僚の辻原委員がお尋ねいたしました教育委員会制度の問題でございます。私ここでお尋ねしておきたいことは、先月の十二日に、まだ民主党が解党していないときでございます。大臣は民主党の政務調査会長をなさっておられたと記憶いたします。そのあなたが調査会長しておりました民主党の文教制度調査特別委員会というのがあったはずであります。その文教制度調査特別委員会の委員長は大村清一氏がなされておったと思いますが、その大村清一さんがこれは談話であったか発表しておる。それによりますと、市町村教育委員会を廃し、その権限は都道府県教育委員会及び市町村に移し、都道府県教育委員会は公選制をやめ、知事が議会の同意を得て任免する。これは民主党の党議決定として当時新聞は報道いたしまして、このことが実は導火線となって教育委員会だけでなしに、教育に関心を寄せておるすべての人に非常なショックを与えておるのですが、この大村委員長の談話というものは今日の自由民主党の中で、つまり民主党の文教制度調査特別委員会の決定というものは今日の自由民主党の中では完全に生きておるのでありますか生きていないのでありますか、これはどういうことになるのでございますかお尋ねいたします。
○清瀬国務大臣 お答えいたします。それは日本民主党の特別委員会の結論でございます。御承知下さっておりまするか、日本民主党では政務調査会というものがありまして、私がその会長であります。この会長の下に十八ほどの特別委員会があるのです。その特別委員会の一つが、ここにありまする十一月十二日の教育問題に関する委員会であります。お指摘のことは、十二日に確かに政務調査会まで提出されました。政務調査会は通常ならば政務調査会の総会を開いてこれをかけるのであります。そこで承認すべきは承認し、訂正すべきは訂正し、それを、私の方じゃ総務会といっておりまして、あなたの方では中央執行委員会といっておりますが、その総務会にかけまして、それで通常党議といっておるのです。総務会にかけるまでに党が解消したのです。ですから、これは党議となるべき運命を持ったものと見越して大村君がそういうふうに考えたかわかりませんが、間一髪で党議にならなかったのです。その次にできました党派は自由民主党で、自由民主党ではさっき御指摘のように、適当に改廃するということになっておるのです。改廃の内容は、これと同じようになるかならぬかは、今新しい党派に先の党派の特別調査会に相当する委員会を作ってもらうつもりでおります。有力なる人を委員長にしまして、別に今度は自由党からお越しになった者とわれわれ民主党の者が寄りまして、教育問題審議のための委員会を今日にも作るだろうと思います。そこでこの問題は新たにきめて初めて党議になるので、十二日のは現在拘束力はありません。
○野原委員 先ほど私の質問に対して、内閣に教育問題についての調査審議会を設ける、この設ける趣旨は、占領政策の教育の面における行き過ぎ是正と申しまするか、とにかく今後の日本教育のあり方というものについて検討するんだ、こういうことでありましたが、そうなりますと、この自由民主党の政策、緊急対策ですね、教育委員会、教科書、それから教育者の政治的中立確保の厳守というこの三つの緊急対策も、これはやはり今後の教育のあり方の最も骨格をなすものですから、当然内閣に設けられるであろう調査審議会で検討して結論を出した上で、これは何らかの法制的措置をとるべきものは議会に提案する、こういういき方をとらなければ、あなたが内閣に調査審議会を設けるという趣旨はどうも私は生かされないように思う。緊急政策についても調査議審議会で一応検討して結論を得た上でやるのだ、こう受け取ってよろしゅうございますか。
○清瀬国務大臣 少し持っていき方が違うのです。この三つのことは緊急政策で、一日も捨ておけぬ、こういう性質のものなんです。
○野原委員 そんなことはないですよ。だから今内容を言えと言ったが、あなたは言わない。
○清瀬国務大臣 ちょっと待って下さい。こちらの言うことを聞いてからおっしゃって下さい。いずれ私の方の党の刷りものをお届けしますからね。大きく国情に即応して、国の教育に対する責任を明確にするということは、憲法すれすれの大きな問題です。それからまた学制、ことに大学制度の再検討、四百九十といえば世界の大学並みです。これも非常に大きな問題、それから教育行政の改革、けさから言ったようなこと、ああいう根本的の、占領政治以来の大きなものを、一つ単に教育のエキスパートというだけではなくして、国家的見地でもって改革するようなものを作ろうというのが審議会です。ところが教科書のこととか——もはや来年の教科書は、四月から使わすんですよ。教員の中立性とかいったような緊急性のあるものを二つ書いてあるのです。あの三つのことは緊急政策であって、私の言うのは一般政策です。この書いたものをお届けします。そういう組み立てになっておるのです。
○佐藤委員長 平田ヒデ君。
○平田委員 教育行政に対する総論的な質問の中に各論の一つもあってよいのではないかと思って立ち上ったわけでありますが、特殊教育の問題につきましてお伺いいたしたいのでございます。あまり今までは差別的であり、片手落ちであったと思うのでございますが、その点私清瀬文部大臣に対して、基本的人権の尊重については最も深き御理解と実行力とをお持ちになっていらっしゃるということをかたく信じまして、非常な期待を持っておるわけであります。だいぶ党議に縛られていらっしゃるようなお答えが多かったのでございますけれども、文部大臣としてのお考え、それからまたその中に人間清瀬先生としてのあたたかいお心持をお入れ下すった御意見を承わりたいと思う次第でございます。
○清瀬国務大臣 特殊教育につきましては党においてもこれは重要なことだと思っております。それから文部省においても前任者以来これを大切に考えまして、現に今回の予算においては点字の教科書その他の作成に相当の予算を要求いたしております。これをゆるがせにする考えは毛頭ございません。大切にいたしたいと思っております。
○平田委員 どうぞ必ず実行していただきたいと思います。いつも御答弁に終るような形があるようでございますけれども、予算化にぜひとも努力して下さいますようにお願いいたします。
○清瀬国務大臣 確かに承わりました。できるだけ努力いたします。
○佐藤委員長 なお委員長からお願いしておきますが、先ほど辻原委員からの年末手当の問題について大臣から非常に好意ある答弁をいただきました。ところが地方財政の問題になりますと非常に困難な事情もありまして、特に教員の方は地方公務員が非常に多いので、ぜひ中央と均等に年末手当がいただけるように大臣の御尽力を願いたいと思います。いろいろ京都とか佐賀とかいうような地方財政困難なところがありますので、ぜひ一つ教育者の立場を十分に御理解願いまして、有力な大臣でございますから、閣議におきましてもぜひ御尽力願いたいことを一言申します。 本日はこれにて散会し、次会は公報をもってお知らせいたします。 午後三時四十九分散会