農林水産委員会 第6号
- 発言数
- 46 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1955/12/09
会議録
○村松委員長 これより会議を開きます。 前会に引き続いて、朝鮮半島周辺の公海における漁船の安全操業確保等に関する件を議題として調査を進めます。この際前会に引き続いて質疑を継続いたします。田口長治郎君。
○田口委員 農林大臣は非常に御多忙のようでございますし、私はいろいろな問題について御質問いたしたいのでございますけれども、大臣に関する問題だけを申し上げまして、あとの問題はほかの政府当局にあとで質問したい、こう考えておるのでございます。 私どもの認識によりますと、今、日本の国難といたしましてこの李承晩ラインの問題ほど重大な問題はない、かように考えておるのでございます。ところが一般では、どうも日本の漁業者は火事になっているのにそこにわざわざ飛び込んでいく、飛び込んでいかなくてもよさそうなものだ、こういうような認識程度でございますし、またあるいは韓国におきましては、多少圧迫をすれば日本は手を引くのじゃないか、かような気持でおるかもしれないと思うのであります。農林大臣も御承知の通り、あの海域には、西日本一帯にわたりまして約二千五百そうの船が出漁しておる。従業員は約四万でございますから、家族を合せますと、少くとも二十万程度の人があの海域で生活をしなければならぬ。のみならずこの漁場では、われわれは約二十二、三万トン、金額にしまして百三十億程度の漁獲をあげております。そうして二十万の人がこれで生活をしている、かような問題でございますし、さらに関連産業という点に至ります、非常に広範なものになる。こく末端に行きますと、地方自治団体なんかにいたしましても、この漁場がどうしても使用されないということになりますと、もう自治体の運営もできない。二十八年、あの一時に拿捕されましたときに、下関市がほとんど火が消えたような状態になってしまった。かような点から申しましても、この漁場は非常に重要なるものでございますし、また国民食糧の点から考えましても、今の日本といたしましては、何としてもわれわれの保健食糧として必要でありますところの蛋白質の八〇程度は、魚からとらなければならぬ。その魚を、われわれは南氷洋から北氷洋、インド洋あるいはハワイ近海、こういうところまで行ってとっておりますが、その全体の数量の約一〇%をこの海であげておる。しかも西日本の、大阪あるいは神戸等、都市の魚の消費量を考えてみますと、月によりましてはこの海からあがる魚が五〇%使用されておる。しかもここであがる魚ば大部分大衆魚である。かような点から申しまして、また、われわれがこの海で一歩退きますと、中共でもまたかような制限をやって参りましょうし、フィリピンでも考えないとも限らない、豪州でもやっぱり同様なことを考える。海に生きなければならぬ使命を持っておる日本としては、何としてもこの漁場だけは放棄できない、かように私どもは考えておるのでございますが、内外のこの海に対する認識と現状からいたしまして、この点について農林大臣はどうお考えになっておられますか。私は別に、この漁場はどうしても確保しなければならぬ、かような言明のもとに漁業者が出たために、政府として責任を負う、かような意味で申し上げておるのではござおません。韓国に対しては、われわれはこの漁場をどうしても放棄するわけにいかないということ・国民に対してもかように重要なる漁場である、かような意味におきまして農林大臣の御所見をお伺いいたしたいと思うのであります。
○河野国務大臣 だんだんの御説明でございますが、政府も全く同意見でございまして、現在のわが国の国情に照らしまして、領土も非常に狭くなり、しかも漁業を一そう盛んにいたしまして、国民の職場としても、世界のあらゆる水域に出て参って漁獲に専念しなければならないということは、国策の上から参りましても非常に重要なことと考えておるわけでございます。なおかつ現在われわれといたしましては、国民体位の保持の上から参りまして、蛋白資源を非常に必要といたしまする関係から、それを水害に依存する面が非常に強いのでございまして、今お話しの通り、この海域において漁獲されまするものがそれを非常に強く補っておりますることも全く同感でございます。しこうして、今回李承晩氏の主張されまするいわゆる李承晩ラインなるものは、世界のいずれの域におきましてもこういう例はありません。ただひとりこの日韓の間において、こういう線を設けて、この海域に対して独占的な主張をされるということは、私は世界各国の了承しないところだと思うのであります。従ってわれわれといたしまして、この李承晩ラインを認めるとか、尊重するとかこの水域に入って漁獲をすることはわれわれが不当をあえてしておるのだというようなことを認めることは絶対できないないのみならず、将来にわたりまして、こういうことが、ただいまお話しのように各地で出張されるようなりますれば、それこそわが国の水産の問題として非常に重大なことでありまして、これにつきましては、政府としては特に深甚な考慮を払いまして、いやしくも今後日韓の外交のあらゆる取りきめをいたしま場合においても、この線を認めるというような態度に出ることは、私は絶対にとるべき道でないというふうに考えておりまして、ただいま田口さんのお述べになりました点には全然同感でございます。
○田口委員 ただいま農林大臣は、国際法上正当に日本国民が仕事をしておるこの漁場であるし、日本の立場から何としても放棄のできない漁場であるから、いかなることがあっても、われわれは正義に基いてこの漁場を確保するのだ、かような言明でございまして、私はその点すこぶる満足する次第でございますが、さように重要なる漁場でございますから、これは何といたしましても一日も早く安全な操業ができますような処置をしなければならないと考えておるのでございます。それにつきましては、強力なる外交の展開も必要でございましょうし、あるいは警備方法ということも考えなければならない。またわれわれが国内的に考えておる保険制度のような——今一そうの船に満期保険と普通保険と特殊保険とこの三つの保険をかけなければならない、そうして保険料が非常に高いために、今回の問題につきましても、どうしても保険に加入ができないというような船もありますから、保険料の問題もまた考慮をしなければならないと思います。私は、この基本問題につきましては後日われわれは真剣に研究しなければならないと思いますが、きょうは農林大臣もお急ぎのようでございますから、さしあたり処置をすべき問題につきまして、一つ農林大臣の御意見をお伺いいたしたいと思うのであります。 私は、前々の委員会におきまして、抑留船員をすみやかに救い出さなければいかぬ、こういうことを法務大臣に対して強く要望をいたしました。昨日の日韓関係閣僚懇談会におきましてこの問題を強く取り上げておられることにつきましては、すこぶる満足をしておる次第でございますが、いま一つどうしても速急に措置してもらわなければならない問題は、この留守家族及び遺族の生活をささえていただく問題であります。それはこの海域における漁業が四年間も李ラインによりまして圧迫を受けましたために、漁業者にいたしましても漁夫にいたしましても、蓄積が何もないのでありまして、赤字で生活をしておるというような状態であります。このときに一家の支柱でありますところの夫なり子供なりを韓国にとられてしまいまして、あとに残ったものは女と子供である。かようなことで今日までやって参ったのでございますが、いよいよ生活ができなくなりまして、一昨日こちらへ参考人として呼びましたあの遺族あるいは留守家族の人の話によりますと、もうちり紙も買えなくなったから何とか助けて下さいというようなことを言っておられる次第でございます。これは私どもが日本におる韓国人に対しまして、生活保護費だとか中小学校の教育費だとか、あるいは結核療養費だとか収容所の経費だとかいうことで三十四億円もわれわれの血税から出しておる。この状態と比べて見ました場合におきまして、日本国民としてどうしても割り切れないものがあるのでございます。政府はこの飯の食えない留守家族あるいは遺族の人々に対しまして、年末になってまさに正月を迎えんとしてなお生活にあえいでおるこの方々に対しまして、今どういうような処置をとろうとしておられるのでございますか。新聞なんかにはちょろちょろ出ておりますが、あるいは政府でいろいろ研究しておられるものが漏れて新聞なんかに出ておると思いますが、私はこの席で漁業者の親方であるところの農林大臣が、責任をもってこの問題についてはっきりされることが、これらの人を安心させ、またわれわれ国民として当然措置をしなければならぬ重大問題だと思いますから、どうかこの席でこの点につきまして農林大臣の御答弁をわずらわしたいと思うのであります。
○河野国務大臣 抑留者の遺家族の諸君に対して先般来お目にかかりましたときに、いろいろ御難渋のことも拝聴いたしました。またこの席にもお見えになりまして、いろいろお話になったということも承わりました。政府といたしましては関係機関と打ち合せをいたしまして、以下申し上げまする線を決定いたした次第でございます。この点御報告申し上げます。 一、抑留漁夫の留守家族に対しましては差し入れ品購入費の補助費として、抑留漁夫一人につき一万五千円を一律に交付いたしたいと存じます。 御承知の通り、このことは昭和二十八年十月一日の措置に比べまして相当に努力をいたしたつもりでございます。 二、抑留漁夫にあって、漁船乗組員の給与保険に加入しておらない者に対しましては、最高を六カ月とし、抑留期間に応じて一人につき一万円を見舞金として交付したいと考えております。 三、抑留漁夫にあって、漁船乗組員給与保険に低額で加入している者に対しましては、最高を六カ月とし、抑留期間に応じて一人につき一万五千円と保険受領額との三分の二を見舞金として交付いたしたいと存じておるわけであります。 これらにつきましてはもちろん十分な処置とは考えておりませんけれども、財務当局ともいろいろ打ち合せをいたしまして、大体ただいま申し上げました程度に一応とりきめをいたしました。その他の点につきましてもいろいろ御要望のありますことも承わっておりますが、残余のものにつきましてはなお今後十分検討を加えまして、順次考えて参りたいと思いますが、さしあたり今申し上げました点について御報告申し上げる次第であります。
○田口委員 ただいま農林大臣は六百五十一名の抑留者に対しまして、均一に差し入れ品購入費として一万五千円ずつ、抑留者のうちで保険に加わっていない人に対しましては六カ月を最高限度として月に一万円ずつ、抑留者のうちで保険に加わっておるが低額加入のために生活のささえができないという者に対しては、最高を一万五千円に押えて加入保険金との間の差額の三分の二を保険金に加えて支給する、かような御説明でございます。 きわめてはっきりしておるのでございます。これはおそらく関係留守家族あるいは遺族の人が聞きましたら、ほんとうに涙をもって喜ぶことと存ずるのでございますが、私はこの際いま一つ、この死亡者に対しまして何とか政府でも将来考えていただきたいと思います。
○河野国務大臣 ただいま御指摘になりました死亡者の点につきましては、なおいろいろ検討を加える必要もございますし、協議もまだ残っておる点がありまして、ここに一括して御報告する段階になっておりません。しかしこれにはいろいろの角度から検討を要する複雑な点がありますので、これはなお結論を得た上で申し上げることにいたします。
○田口委員 なお李ラインに関しまして、保険に加わらないで拿捕された漁船が五そうばかりあるのでございます。この船主及び乗組員は実際に困っておるのでありますから、この問題に対しまして農林漁業金融公庫を通じまして金融についてある程度優先的に考えていただきたい、この点をお願いしたいと思います。
○河野国務大臣 お話ごもっともと考えますから、これは別途金融公庫等において考慮して、でさるだけ御期待に沿うように努力したいと思います。
○村松委員長 赤路友藏君。
○赤路委員 だだいま田口委員の質問に対して大臣から、政府の補償に対する決定事項が発表されたのでありますが、その言葉の中に、これはさしあたりの措置であってなお今後検討するということでございますので、御検討を願わなければならぬと思いますが、一点だけお聞きいたします。未加入者に対して最高六カ月と押えた理由はどういうことでしょうか、その点をお尋ねしたいと思います。
○河野国務大臣 これは二十八年に六カ月ということになっておるのですから、その例をとって六カ月ということで財政当局と結論を得たわけでございます。私といたしましては、この機会に率直に申し上げますが、日韓の外交上の妥結をひとりこの李ラインの問題だけで解決することは困難であります。従って政府は、この際全面的に日韓関係を調整をすることに努力をいたしまして、結論を急ぎたいと考えておりますでございますから、今申し上げました点が、六カ月であることが非常に適当でないというような御意見もあるかもしれませんけれども、これは今申し上げました線等を勘案していただきまして、そして要はなるべく問題を根本的に解決することが必要でございます。その方面に全力をあげていきたいと考えておりますから、御了承願います。
○赤路委員 今の大臣の基本的な考え方には私も賛同いたします。それから二十八年のときの特例の当時における行政措置の例をおとりになったことは、これも一応ごもっともだと思うのであります。しかしなお今後とも検討をしていた。たくということですから、大して多額なものにならないと思います。一年有余すでにやられておる者があるので、この六カ月と前年二十八年度のときに規定いたしましたのは、これは当時の状況においては大体六カ月以内に帰ってきております。今回の場合は特に大村収容所との関連において長くなっておるという事実がありますから、この事実の上に立って将来とも御検討をお願い申したいのであります。 この点を御要望申し上げて、いま一点、ただいま田口委員から死亡者に対しての問題が出ました。この点について検討を加える必要があるから、十分検討を加えてやりたいというお話でございます。これらに対しましては当然何らかの措置はとっていただけると思います。これは韓国軍艦との接触による沈没でありますので、別途の問題だといえばそうかもしれません。しかし一応外交上の問題として扱わなければならぬので、業者なり遺家族なりが直接韓国側と交渉すべき筋合いのものではないと私は思う。当然政府の手においてこれらのことは話し合いされなければならぬ、その当然話し合いされなければならぬことが、今日そのままなお話し合いの段階に至っていないというのが私は実情だと思うのです。今の韓国との外交関係においては無理がないと思います。無理がないと思いますから、今直ちにこれの解決をつけようということは私は申し上げない、申し上げないが、少くともビキニの水爆の当時において補償問題が解決つかなかった際、政府の方ではこれに代替という意味が立てかえという意味で支出をしておる前例がある。従って韓国との交渉が妥結するまでの間、これは政府の方で何ほどかでもいいから、当然立てかえて、この遺族の諸君に支払わるべきではないか、こういうふうに思うが、それに対する御見解を伺いたいと思います。
○河野国務大臣 死亡者の問題につきましては、多少誤解があるようでございます。これは私といたしましては、大蔵当局との間に持ち出しておるのであります。持ち出しておるのでありますけれども、御承知の通り、原因でありますとか他の水域の関係でございますとかいうようなことで、明確にこれが李ラインの中での人だけに限るとか原因がどうであるかというようなことで、なかなか判定がつきにくいというようなことで、結論に達しないということでございます。これは今後も引き続き努力はするということでございますので、初めから持ち出していないということではないのでございますから、その点は誤解がないように願いたいと思うのであります。 なおただいま申し上げました日韓の関係でございますが、私といたしましては、最初に田口委員のお尋ねにお答えいたしました通りに、この問題は他の日韓の間に起っておりまする外交上の問題と切り離して解決すべきがわれわれの立場でございますけれども、何分相手のあることでございまして、朝鮮側におきましては、この問題と他の戦争の跡始末の問題と切り離して解決をするということは、なかなか困難のようにも私は考えられます。従って全部を一緒に解決することが私の希望ではないのでございまして、私といたしましてはこの水域の問題は水域の問題として、よって起る各種の問題は各種の問題として、なるべく早く切り離してでも解決いたしたいということを、私は強く要望もいたし念願をいたしております。たとえば大村の問題と向うに抑留されておられる人との切りかえで済むようなことは、どんどんこれはやらなければいかぬというようなことも強く主張いたしております。でありますからその点を誤解なく、一括して全部解決するということがわれわれの立場だということにおとりをいただきませんように御了解を願いたいと思います。
○赤路委員 大臣のおっしゃることよくわかるのです。私の申し上げたことに大臣も誤解があるのじゃないかと思いますから言っておきますが、このあけぼの丸の事件は直接李承晩ライン云々とは関係のない事件なのです。それは私も承知しておるのですが、この点はっきりお考えおき願いたい。ただたまたま起ったのかあの近海であり、相手が韓国であったということ、しかも韓国との間においては、今李ラインその他の問題で交渉が停滞しておるということ、そのことのために、当然正常な国交状態にあるなれば、直ちに補償その他等の要求のできるところができない状態にある。だからといってこれはほっておくわけにはいかないだろうから、それらの問題が解決つくまでの間に何とか、全額とはいわぬが、してやってもらえないか、その程度の親心はお出し願いたい、こういう意味でございます。その点おわかり願いたいと思います。
○河野国務大臣 御趣旨よく了承いたしました。御趣旨の点を十分考慮いたしまして、善処することに努力いたします。
○赤路委員 これは大臣への質問ではございませんが、今のあけぼの丸の点につきましてなお非常に疑義があります。それで後刻理事会にお諮り願って、労働大臣と厚生大臣の出席を求めていただきたい、この点を委員長にお願いいたします。
○村松委員長 ではそれはあと回しに願っておきます。有馬輝武君。
○有馬(輝)委員 先ほど大臣からお話がありました、保険未加入者並びに加入者に対する補償の期間でございますが、赤路委員からも触れられたのでありますけれども、最高六カ月、二十八年の慣例に従ったということでございましたけれども、現在相当長期にわたっておりまするので、この点について状況を勘案して、この期間を長くするというようなことも考慮されておるかどうか、この点についてまず第一にお伺いいたしたいと思います。
○河野国務大臣 事情は私もよく了承いたしておりますので、なお今後引き続きこれらの問題については善後処置を講ずる必要があると考えます。 さしあたり今早急に急いで取りきめをして、年内に必要な処置を講ずる必要があるということで、部内の取りまとめをいたしたわけでございますから、御趣旨の点十分了承いたしまして、今後引き続きそれらの点については考慮することにいたしますということを申し上げておきます。
○有馬(輝)委員 次に、先ほど田口委員からも触れられた問題でありまするが、融資の問題についてであります。代船建造の融資分に対する元利償還の延期、そういった点についても何か腹案を持っておられるかどうか、この点についてお伺いいたしたいと思います。
○河野国務大臣 先ほどお答え申し上げましたように、それらにつきましては個々のケースを十分検討いたしまして、融資の延期ないしはまた新たに建造される人につきましては、新たなる農林漁業金融公庫の融資であるとかいうようなことについて十分親切に御相談に乗る、ごあっせんを申し上げるというようなことを考えていきたい、こう考えております。
○有馬(輝)委員 その点については、やはり代船建造の点に関しましても、また漁具、漁網、その他の面に関しましても、今御答弁いただきましたような措置を早急にとっていただきたいと思います。これだけを申し上げまして私の質問を終ります。
○赤路委員 関連して。今大臣はまことに要領のいい答弁をされております。個々の問題を検討して、親切に相談に乗ってやるということなんです。大臣はそういうお心がまえだと思う。その通りだと思います。ところが末端にいきますと、必ずしもそうではないのです。これは大臣も長年政治家として立っておられるのでおわかりだと思いますが、国会で話されたことを直ちに金融機関はうのみにしないのです。金融機関は、大臣はそう言ったってということをともすると言うのが実情なんです。それから事実個々の問題として金融機関へ行けば、おそらくこの連中は金融機関の対象にはならぬと思う。これはもう大臣もおわかりだと思います。そこでお願いしたいことは、やはり二十八年度にとったような措置をお考え願いたい。これを融資の特別措置法としてお考え願いますなれば、これは法律ですから、金融機関としては当然従わなければならぬ、こういうことになると思います。そういう御意思があるかどうか、一つお聞きしたい。
○河野国務大臣 はなはだどうも信用のない御質問でおそれ入りますが、私ここで答弁を申し上げた以上は、最終的に責任を持って善処いたしますから、どうか一つおまかせおき願いたいと思います。少くとも二十八年度の処置よりも今度は河野が大臣だからうまくいかぬというような非難だけは受けないように一つ努力したいと思います。
○村松委員長 淡谷悠藏君。
○淡谷委員 大臣にごく具体的な点二、三お尋ねいたしますが、さっきの大臣のお話にございました通り、この問題は単なる漁業権の問題として経済的の考慮だけでは片づかない問題だと考えております。外務大臣とはこの問題の解決について十分打ち合せが済んでおると思いますが、この二、三日の韓国の動きにつきまして新しい情報なり、あるいはこっちとしての態度の変更なりございましたならば、その点外務大臣との打ち合せの範囲内でお答え願います。
○河野国務大臣 打ち合せはいたしておりますが、私が今ここで外務大臣から伺っておりますことを申し上げるのはちょっと差し控えさせていただきたいと思います。そういう外交上のことは外務大臣の判断において、——この程度は今交渉を進める上においてお答え申し上げる方が妥当である、あるいはしばらく御猶予を願いだいとかいう判断は外務大臣に願いませんと、私がここで皆さんに申し上げたために、河野がしゃべったので、それがすぐ朝鮮を刺激して、電報が行ってからだめになったということでは困ります。国内問題であれば私も判断いたしますが、国際問題の判断はどうもつきかねますから、これは後刻外務大臣に出席願って、外務大臣からお聞き取りを願いたいと思います。
○淡谷委員 事は安全操業に関する問題でございますので、非常に時期的にも切迫して参っております。それで現地では大ぜいで強行出漁さえ辞せないという態度をはっきりして参っております。これに対して重光外務大臣が新聞に発表しただけでも、韓国側が日本が監視船をつけないで出漁するならばあえて攻撃はしないということを言ったという声明が新聞発表になっておりますが、新聞に発表した程度の説明でもできないものでしょうか。
○河野国務大臣 ただいまお話のありましたこの間のいきさつは私も昨日のこの問題に対する閣僚懇談会で外務大臣から詳細に承わりましたが、ただいま申し上げますように、外務大臣がこの席に出席してお話を申し上げるということに願いとうございます。これは私責任を持って、私にかわって外務大臣に出ていただいてお話をするようにいたしたいと思います。私は聞いております、聞いてはおりますけれども、事外交に関する部分でございますから、外務大臣から申した方が適当である、こう思いますから、しばらくの間御猶余を願います。
○淡谷委員 大臣御承知の通り、この問題は前自由党内閣のころからの懸案でございまして、われわれとしてはしびれが切れるくらいの長い間でありますが、ちっとも前進しておりません。先ほどの大臣の御答弁によりましても、もう十分なるお覚悟と決意を持って当られることはわかっておりますが、この間の参考人の陳述によりますと、監視船が出ておっても、出ておりませんでも、日本の船を拿捕する態度には変りはない、こう言っております。そうしますと、今監視船をつけなければ攻撃をしないという向うの言い分もこれは非常に疑わしい、のみならず攻撃はしないが、監視船がないところでどんどん日本の船を拿捕する、こういう態度に出られましたのでは、とうてい現地漁民も、われわれ国民としても納得がいかないと思います。李承晩大統領に対する農林大臣の非常にはっきりした態度は、われわれも同様に考えてはおりますが、いかにせん所管大臣であるあなたにも今までは出席されなかった。いろいろ聞いていましたが、大臣の政治的手腕にまたなければ解決も答弁もできないような問題がたくさんございます。外務大臣のことにつきましても、農林大臣からは伺えないことがはっきりいたしましたので、ぜひとも大臣が責任を持って外務大臣をここに出席させて下さるようにお引き受けできるかできないか、はっきりお約束願いたいと思います。
○河野国務大臣 外務大臣をここに出席していただくように私はっきりお引き受けいたします。
○淡谷委員 これで私の質問を終ります。
○村松委員長 大野市郎君。
○大野(市)委員 被災を受けました漁民の方々に対して、また抑留者その他の当面の救護措置の御発表はいただきましたが、その中で私はこの問題は西日本の漁業界の漁獲高そのものの問題を飛び越しまして、わが国の国力の根本の心がまえに関する問題になっているので、その外交的な問題はなるほど外務大臣の所管かも存じませんけれども、根本的に担当大臣であられます河野農林大臣としましては、李ラインの範囲がどうであるから、その他の地域でも同様事故も起きているので、その線の引き方にいろいろ問題があるというお説でございました。私は戦争中のできごとは、これは線を引くことができましても、戦後の平和回復後に行われて、わが国の国民が生命と財産の危険を受くる場合に、わが国の政府がこれに対して保護を与うるのは当然でございます。それがただいまの幾つかの事例のごとき形で事故が起きておるのでありますから、地域のいかんを問わず、日本国政府は日本国民に対しまして保護に任ずべき根本的な義務があるはずでございます。そういたしますと、それに対して特に死亡などをいたしました場合におきましては、個々の例はもちろん考慮するにしましても、戦後のそういう事例に対しては、根本的にはあくまでも国が補償をする。それが対外的の関係であるので、外国に損害賠償の請求をいたす外交手続が残っているといたしましても、その間のめんどうを見るのは日本国民の義務である、そう信念でわれはこの線を見ておりますが、これに対する農林大臣の御信念を伺いたい。
○河野国務大臣 ただいまのお尋ねでありますが、私の先ほど来申し上げましたことにもし誤解があったらお許しを願いたいと思います。 第一に、李ラインというものは認めておるのではありません。こういうことをするということは、国際法から申しましても、国際慣行から申しましても、私は正しいことでないという立場をとっております。従って線の引き方のよしあしではないということを御了解いただきたいと思います。 第二は、韓国船と接触をして、それによってあけぼの丸が沈んだ、その賠償を今朝鮮から取ることはできないから、その一部の何がしかを日本の方で補償しておけ、この御意見はごもっともと私は考えます。しかしこれについては、むろんいろいろ調査をいたしまして、その調査が済んだ上で適当に考えることがいいんじゃないかと思うのでありますが、死なれた人はそれだけではないので、ほかにもあるのでございますから、ほかの場合のも考慮して、これらの問題は全部まとめてせっかく検討中だというふうにお答えしたのでございますから、その点も御了承いただきたいと思います。
○村松委員長 大野君に申し上げますが、農林大臣は予算委員会からしきりに出席要求がありますので、一つ簡単にお願いいたします。
○大野(市)委員 もう一点だけ。それで昨日は経済関係閣僚懇談会があったそうでありまして、一つの方策が政府においても立っておるはずでありますが、先ほどの質問に対する御答弁で、それらの担当関係がおもであるから外務大臣に譲るというお話でありますから、これは私も保留いたします。 ただ当面の問題として、その危険にさらされるところの李ラインを越えて漁獲をするために、漁船が出ざるを得ないのでありますが、担当大臣としては、今まで通りほったらかしで、捕えられたら捕えられたまま見放したような形で、漁船の出漁を奨励せられるものであるか、それとも何かその点に対して保護の方法をおつけになるのでありますか、それに対する大臣のお考えを承わりたい。
○河野国務大臣 御承知のような現状でございますので、この現状に対してどういう出漁の方法をとるかということを、ここで私が明確に申し上げることは、かえって問題解決の上にも支障が起ってくるかもしれませんし、さればと申して、これをこういう方法でやっておりますということは、さらに将来に一つの問題を残すこともあると私は思うのであります。従って従来出漁しておりましたその出漁の方法を慣行として、適当に現地において勘案してやってもらいたい。なお監視船その他につきましては、政府としては十分に最善の努力をするということにしていただきたい、そういうことで当分の間していただくより仕方がない。はなはだ要領を得ないことでございますが、これを割り切るということは、かえってわが方のために得策でないということに御了承いただきたいと思います。
○大野(市)委員 ただいまの御答弁ではまことに不満であります。せっかくこれだけの問題になっておるのでありますから、この席上においてもっと明確な、せめて漁民の安心のできるような方法、あるいは漁船に対して全部無線の設備を完備して、万一レーダーで南鮮からの接近がわかったときには至急に退去せしめる、そういう方法とか、いわゆる韓国を刺激せずしてわが国限りにおいてもそういう設備の改良によって救われる道もまだあるはずでありますので、そういう点はぜひともそういう意味の熱意をさらにお持ち願うよう、これは一つ大臣に御勧告を申し上げて、これ以上承わっても時間の都合もおありのそうでありますから、一応質問を取りやめます。
○村松委員長 中村君簡単に願います。中村時雄君。
○中村(時)委員 一言だけ。河野農林大臣は実にずるい考え方を持っていると私は思う。なぜならば、今言ったように李ラインというものは認めない、こうおっしゃっておる。しかし相手は現実にこれを認めておる。そこに問題があると思う。向うは李ラインというものを認めておるとすれば、こちらは河野農林大臣は認めないとおっしゃっても、国内的な操作はできるかもしれませんが、対外的な問題としては大きな問題だと思う。そこで問題として認めないという発言の上に立って、一体あなたは今後における操業に対して、認めないならばそれではどういう責任を持ってこの操業の問題の解決をはかろうとしておるのか、その点をはっきりお答えしていただきたいと思う。
○河野国務大臣 中村さんからだんだんのお話でございますが、ただいま大野さんにお答えいたしました通りに、国際関係もありますし、国際慣行もございますので、私先ほど申し上げた程度で御了承を願うより仕方がない、こう思うのであります。
○中村(時)委員 季ラインを認めないということは向うにとっては国際法上、国際関係から言ったら最も大きな問題です。それを明確にあなたははっきりと打ち出さなければならぬ。その根本的な打ち出す方法がはっきりしないのだというのだったら、なおおかしいのではありませんか。
○河野国務大臣 御承知の通り韓国側は李ラインを設定して、これより中に入って魚をとることはいかぬ、困ると言うておられます。しかしこれは御承知の通り国際法から考えましても、国際慣行から申しましても、水域に一定の線をしいてこれから中に外国の漁船が入ってはいかぬということは各国にはないと思うのであります。そういうないものを私がここでそれはけっこうな線でございます、その線は認めております、日本としては認めますという答弁をここでせよといっても私はできぬと思うのであります。そういうことはすべきものではないと思うのであります。しかしそこは国際慣行も主張し、国際法も主張して、日韓の間に十分外交交渉をするのでありますから、一にかかって結論は外交交渉の結果によって決定されるものでありますから、現在ただいまの立場ばどうかと申せば、李ラインを私は認めておりますということをここで言う立場をとるわけには参らぬということは御了承をいただけるのではないかと思うのであります。認めないならば日本の漁船をそこにやってどんどん魚をとったらいいじゃないかといっても、そこにはいろいろ現地の事情がございますから、それ以上のことをここで私が申し上げることは、国家のためにも現地漁民諸君のためにも不適当であると考えますから、私は申し上げるわけには参りません、こう申しておるのであります。それ以上追及して下さっても私はこれ以上答弁をするわけには参りません、こう申し上げておるわけであります。
○村松委員長 本問題についての農林大臣に対する質疑はこれで終了いたしました。この際暫時休憩して議事進行に関して理事会を開きたいと思います。 休憩いたします。 午後零時九分休憩 ————◇————— 〔休憩後は開会に至らなかった〕