農林水産委員会 第2号
- 発言数
- 230 件
- 登壇者
- 20 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1955/12/01
会議録
○安藤委員長代理 それではこれより会議を開きます。 本日はまず朝鮮半島周辺の公海における漁船の安全操業確保等に関する件について調査を進めます。韓国政府はいわゆる李ラインなるものを一方的に設定し、日本漁船の操業に不法なる圧迫を加えておりますが、最近韓国政府は従来より一層強硬な声明を発表し、李問題はきわめて差し迫った課題となっておりますので、まず順序といたしまして最近の漁業における日韓関係につきまして、特に今次の韓国側の声明を中心としてその経過並びにこれに対する政府の方針または現在韓国に抑留されている漁民、漁船の返還等につきましていかなる処置を講ぜられつつあるか等々、全般にわたって当局よりまずもって簡潔に御説明を願いたいと存じます。
○中川(融)政府委員 ただいま委員長から御提示のありました韓国との最近の交渉状況等につきまして御報告申し上げます。 韓国との問題につきまして最近最も顕著な問題は、ただいま委員長からもお話のありました十七日、韓国連合参謀本部が、日本漁船がいわゆる李ラインを今後も侵略を継続するならば、これに対して砲撃を辞せない、場合によればこれを撃沈することもあるということを声明したということでございます。この声明は日本に正式に通達されたものではございませんが、新聞電報を通じまして日本にも伝わり、これが日本の新聞にも大きく掲載されたのでございます。従来からも李ラインをめぐりましては、韓国側からいろいろ挑発的な声明そのたがなされているのでございますが、今回十七日になされました声明は、これをこのまま黙過することはとうていできない非常に強い内容のものでございます。日本の漁船が公海において操業いたします際に、たとい一方的な国内法に基くにもせよ、相手国である韓国がこれに攻撃を加えて、あまつさえ要すればこれを撃沈するということは、平時においては考え得ざるところでありますので、政府といたしましてもこれを重視いたしまして、さっそく——これは十八日の朝刊に出たのでありますが、十八日の午後、在京韓国代表部の金公使を外務省に招きまして、外務次官よりこの報道に言及し、この報道はきわめて重大なる意味を含んでいる。ついてはこれがほんとうに韓国政府の政策であるのかどうか、その点を確かめて返事をしてもらいたい。このような措置がもしほんとうであるとするならば、これは日韓関係に重大なる影響のあるものと心配せざるを得ないからということで注意を喚起するとともに正確なる情報の提供を求めたのであります。そのときに金公使は、自分のところには、実は今のところ一つも情報が入っていないので、本国に照会してさらに御返事いたしましょうということで帰ったのでありますが、その後約二週間になりますが、いまだ韓国側から返事が来ておりません。これは韓国側においても相当慎重にこの問題をさらに考えておるのではないかとわれわれは推測いたしまして、韓国側の態度を注視しておるというのが現況でございます。 李ラインの問題につきましては、すでに李ラインが設定されました当時より日本としては、このような公海に一方的に線を引きまして、そこに対していわば管轄権を主張するということは、絶対に承認できないという態度を強くとってきておるのであります。このことは口がすっぱくなるほど韓国にもこれを抗議し、形におきまして伝えますと同時に、いわゆる李ラインを侵犯したという名目のもとに日本の漁船が抑留され、拿捕され、日本の漁民の方々が抑留されております事実につきましては、そのつど事あるごとにそれに対して抗議をするとともに、即時返還方を要求してきていることは、累次政府が御説明しておる通りであります。政府といたしましては、この李ラインの問題は非常に強い態度で先方の不当なることを指摘いたしまして、これの解決をはかりたい、かような考えでおるわけであります。 なお抑留邦人、漁夫の方々の早期釈放の件につきましては、これも従来から御説明したところでございますが、これの早期釈放ということを強く要求しておるのであります。ことに先方の一方的な——国内法でありましても、すでにその国内法に基く刑期を終って、当然日本に帰国さすべきものを、何らの理由なく、抑留したまま帰さないという事態につきましては、日本側としてはこれに対して全く理解する何らの根拠をも発見し得ないのでありまして、これについては強く早期釈放を要求しておるのであります。 すでに御報告申し上げました通り、韓国側はこの問題と、目下大村に収容されております。戦前から日本に居住している韓国人で犯罪を犯した者の日本における釈放という問題を、実質においては何ら関係ない問題でありますが、これを関係づけまして、大村の収容所における韓国人を釈放することを要求してきております。しかしながらこの問題につきましては、政府は実質的な解決方法によりまして、その道理の問題はしばらくおきましても、とにかく漁夫の早期救出をはかるという趣旨から何らか実質的な解決をはかりたいと考えまして、この点について研究もいたし、また緯国側と内々その交渉もいたしております。この点につきましてはただいままだ御報告する段階に至っていないのははなはだ遺憾でありますが、何とか近い将来におきましてこの問題の解決をはかりまして、この寒い冬を越すことなく、釜山の外国人収容所に収容されております漁夫の方々の帰国を一日も早く実現するように努力したい、かように考えておる次第でございます。 簡単でありますが、現在までの漁業に関する日韓交渉の大要を申し上げて、御報告といたします。
○安藤委員長代理 それでは取扱い処置についての協議をいたしたいと思いますので、暫時休憩いたします。 午前十一時十三分休憩 ————◇————— 午前十一時二十八分開議
○安藤委員長代理 それでは休憩前に引き続き会議を開きます。 この際質問を求めておられますので、順次これを許します。田口長治郎君。
○田口委員 韓国の連合参謀本部が十一月の十七日に、日本漁船が李承晩ラインを侵犯するならば韓国はこれを砲撃し、必要あれば撃沈する、こういうような重大なる声明をしておるのでございますが、ただいまアジア局長のお話を承わりますと、同日直ちに外務省からその真疑について照会をされたがいまだにその回答がないという話をされたのでございますが、まことに奇怪千万と思うのであります。従来この日韓の問題につきましては、いろいろな申し入れあるいは照会というようなことを外務省ではたびたびやっておられるようでございますが、いつも聞き流しのような状態で、軽くあしらわれておるようなきらいがあるのでございます。この重大なる声明に対しましても、その選に漏れないで、やはり聞き流しというようなことに終ることははなはだ遺憾に存ずるのでございますが、今日まで回答がないことに対しまして、外務省は重ねて先方に申し入れをされましたかどうか、その点を一つお伺いいたしたいと思います。
○中川(融)政府委員 韓国側に十八日に申し入れましてから今日までの間に回答がないことは、ただいま申し上げました通りでございますが、これにつきましてもちろんあまりに回答が遷延するようであれば、政府といたしまして当然回答をさらに催促するという措置をとりたいと思うのでありますが、この点につきましては、結局このような激しい声明を韓国軍部で出したということにつきまして、果してこれが韓国政府の真意であるやいなやという点については、われ、われとしても慎重にこの点を確かめなければならない。そのことは同時に韓国内におきましても、やはりある意味におきましての調整措置と申しますか、あるいは端的に申せば相談とか、いろいろな措置が必要であるのではないか、かように考えて——これは推測でありますが、推測しておるのであります。もし韓国側においてあのような強い声明を出したけれども、あれについてはやはりもう少し慎重に考えなければならぬというような論が出てきておるやさきであるのならば、これをあまりにせっかちに追及する、早く返事をよこせというのは、全体の問題の収拾にかえってよくないのではないか、これは少しうがち過ぎた考え方であるかもしれませんが、さようなこともぜひ考えておく必要があろう、むしろ十分考慮する余裕を先方に与えて、そうしてはっきりした韓国側の態度を聞きたいと、いうのが目下のわれわれの考え方であります。従って目下のところまでは、これにつきましてさらにあらためて回答を催促するという措置はとっておりません。
○田口委員 ただいまアジア局長は、韓国内において、少し行き過ぎじゃないか、こういうような意見も台頭しておる、さようなお言葉でございますが、昨日の新聞電報によりますと、李承晩声明といたしまして、日本はけしからぬ、むしろ韓国から進んで国連に提訴しようと思っておる、こういうような記事が出ているのでございまして、今アジア局長が申されましたような、韓国がある程度反省しているというような点は、私どもから見ると全然見られないのでございますが、アジア局長のお考えになっておるさような空気が現実に起りつつあるという実際の例がありましたら、一つ承わりたいと思います。
○中川(融)政府委員 韓国が、十七日の声明が強過ぎるということでいろいろ反省を加えておる証左があるかというお尋ねでございますが、これは私先ほども申しました通り、われわれの一種のうがち過ぎた推測と申しましたが、その域を出ないのであります。しかしながら常識ある人であれば、これについてはある程度の考慮を加えるということが当然であろうと思うのでありまして、われわれはむしろこの常識的見地から、韓国側においてもこれについて慎重に考慮を加えておるべきである、かように考えておりますので、さような線に沿ってもう少し様子を見たいと考えております。いろいろ強い報道などもその後も二、三私どもも新聞などで見ておりますけれども、従来からの韓国側の方法は、いかにもひどい声明をよく出すというのが例でございまして、これを全然黙認するというような考えは何もとっておるわけではありませんが、この従来の韓国側の態度、方法等から考えまして、その後に出ました二、三の強い声明あるいは報道とか推測記事、そのようなものに必ずしもそうわずらわされることなく、もう少し事態を見守っていきたい、そうしてなお回答が遅れるということであれば、このときに回答を催促し、日本側の態度もはっきりきめることにしたい、かように考えておるのであります。
○田口委員 常識的の態度で今日まで約四年間しんぼうをして参りました。アジア局長の常識と李承晩大統領の常識が同じでございますとそれでけっこうでございますけれども、少くとも四カ年間の結果を見ますと、どうも常識では判断できないようなことばかりをやっておる。のみならずこの重大なる声明が、結局飛行機をもって哨戒をする、こういうような結果になり、そうしてこの哨戒と声明によりまして日本の漁船は事実上漁場に出られない、こういうような実情になっておるのでございます。かような状態を外務省だけの常識で静観しておられる、しかもすでにもう四年を経過した、このことは何といたしましても国民感情として許さない。この声明に対しまして何らかの方法で先方の回答をはっきりすみやかにとっていただきたい、こういうことを考えておるのでございますが、いかがですか。
○中川(融)政府委員 もとより外務省といたしましても、これを回答がないままにいつまでも放置しておくという考えではないのでありまして、ある常識的な期間が過ぎてもなお回答が来ないということであれば回答を催促する措置をとりたい、かように考えております。この点につきまして一つ前例と申しますか、こうい例があったことをお話いたしたいと思うのでありますが、去る八月でありましたか、日韓関係はすでにもう最悪の段階に達した、今後は韓国側は日本との貿易を一切禁止するということを、これは声明の形で向うの当局者が言ったことがあるのであります。このときもわれわれから見れば、むしろ日韓関係は徐々にではありますが、何とか打開していきたいという努力を相互に続けておるやさきに、このような爆弾的な声明文が出るということは実に不思議千万であったのでありまして、そのときも今回と同じような形で、先方にその報道がほんとうの韓国の態度であるかどうか、方針であるのかどうかということを問いただしたのであります。その質問に対しましては約一カ月ほど返事が参りませんでした。しかし一カ月ほどたったあとに韓国側からは、日本からこういうものを買いたい、相当分量の多い日本に対する注文が韓国から出て参りまして、そうしてその注文を持って参りました際に、先方に対してこの間の照会に対してはまだ返事がないがということを注意いたしましたところ、いやこういう多量の注文をするということからもってこの前の照会に対する事実上の回答と心得ていただきたいという話があったのでありまして、要するに韓国側のいろいろすることというものに対しましては、やはりそういう事例もあるということを念頭におきまして慎重に見てみたい、かように考えておるのであります。もとよりその今の貿易の場合と同じような形でいきますかどうか、これはもちろんわからないのでありますが、やはりある程度のゆとりを見ながら先方に対して催促という措置をとりたい。われわれは決して催促をしないという考えではございません、ある時期がくれば催促したい、かように考えております。ただいま御指摘のありました点あるいは御意見につきましては、われわれとしても十分考慮いたしまして措置したい、かように考えております。
○田口委員 ただいまの御回答、この上じんぜん日をかしますと国の権威に関する、かようなふうにも感ずるのでありますが、何らかの方法で一つ早く確かめていただきたい、こういうことを要請しておきます。 この日韓問題につきまして、さしあたっては、今釜山におります六百三十六人の漁夫を一日も早く帰還させる、こういうことが問題と思うのでございます。これに対しまして、私どもは、大村収容所におる密入国者及び犯人——この犯人はもちろん刑を終った者でございますが、かって刑事犯人であったこの者を釈放することによって、交換的に六百三十六人が帰還できる、こういうような話を従来から聞いておりますし、ただいまアジア局長の話でも、筋は少し違うけれども、この線で行くような感じがしたのでありますが、これが今日まで実現しない主たる理由はどこにあるのでございますか、その点をはっきり御説明願いたいと思います。
○中川(融)政府委員 この問題がいまだに実現しないのはどういうところに理由があるか、事情があるかということでございますが、先方の考え方、つまり韓国側の考え方はすでにわかっておるのでございまして、その韓国側の考え方に対して、日本側がどのような態度をとるかという点について、日本政府部内におきまして関係当局と打ち合せておるのでありますが、最終的な結論がまだ出ていない。従って、韓国側の意向はわかっておるものの、これに対して日本側が正式に折衝するという段階にまだ至っていないのであります。しかしながら、日本側の内部の意向も、何とか実際的な解決をはかりたいという考えに大体向っておりますので、遠からず何らかの形で解決できるのではないか。これはいろいろの形があろうかと思いまして、韓国側の申し出の通りということはわれわれも考えておりませんが、何らかの形において双方にとって事実上便宜となるような解決方法があるのではないかということで、せっかく研究中でございます。従って、できるだけこれの早期帰還を実現したいということで努力いたしております。
○田口委員 今どういう理由でおくれているかということについてアジア局長はぼかしておるようでありますが、私らの承知するところによりますと、大村収容所におる千四百三十八名のうち三百七十名は刑事犯人であるし、残りは密入国者である。この二つのグループに分けました場合におきまして、密入国者は韓国で引き受ける、あとの刑事犯人は韓国で引き受けるわけにいかないから日本で釈放しろ、こういうことを言っておられるそうでありますが、その点は事実でございましょうか。もしこの三百七十人を日本国内で放して、そうして密入国者全部を韓国に返せば釜山におる六百三十六人の日本人漁夫を返そう、こういう意向を日本に伝えておる、こういうふうに承知しておるのでありますが、この点はどうでありますか。
○中川(融)政府委員 韓国側の考え方というものは、大体ただいま御指摘のような考え方があると考えております。
○田口委員 さような考え方だといたしますと、なぜ思い切ってこの収容所の人を日本で釈放されないか、その理由を一つ承わりたい。
○中川(融)政府委員 韓国側の申し出を即刻日本側が承認し得ないおもな理由といたしましては、韓国側の日本漁夫抑留という措置は、われわれの知っている限りにおきましては、何ら法的根拠もないし、全く恣意的な先方の行為であります。これに反しまして、大村収容所に抑留されております韓国人は、日本の法規に基きまして、正規の手続きに基いてここに抑留されておる人間であります。これを韓国側が引き取らないために抑留が長引いておるのであります。日本の法的根拠に基いてやっておるいわば合法的措置でありまして、非合法措置と合法措置を関連せしめるということはそのこと自体承服できないものがある、これが一番大きな理由でございます。
○田口委員 理屈はいろいろつきましょうが、この六百三十六人の漁夫が釜山でいかなる生活をさせられておるか、また留守家族の人たちがどういうような気持で毎日を暮しておるか、こういうような点を考えれば、理屈は多少違う点がありましょうとも、この六百三十六人を理屈のために犠牲にする、さようなことは断じて許されない、こういうふうに考えるのでございます。また一部法務関係では、十犯、十一犯というようなものを国内に釈放されてはいかぬ、どういう問題が起るかもしれぬ、かようなお考えもあると思います。しかし十犯にいたしましても十一犯にいたしましても、もう刑は終ったものである。おそらく日本人にいたしましても十犯も十二犯もあると思いますが、やはり釈放されておる。かような点から考えまして、あまりにこの六百三十六人の漁夫がみじめな生活をし犠牲になっておるので、多少筋は通らなくとも、何とか早く手を打つべきものではないか、こう思うのでございます。そこで法務省に私お伺いいたしたいと思います。この何犯、あるいは犯を重ねておる連中を日本国内において釈放する、この問題についていまだに法務省といたしましては踏み切りがつかぬでおるのでございますかどうか、その点一つお伺いいたしたいと思います。
○下牧説明員 お尋ねの問題でございますが、法務省といたしましては、筋から申しますと、ただいまアジア局長が御答弁なさいましたように、釜山の漁民の釈放と大村収容所に収容中の朝鮮人の釈放を交換条件として関連せしめることは、本来筋が通らないと考えております。しかしながら、釜山の収容所に収容中の漁民の引き取りということも何とかして実現させなければならないことなんで、その間にわれわれ大村に収容中の朝鮮人を釈放いたしまして、国内治安に影響を及ぼさないというようなめどがつく場合においては、またその方法があれば一つ考えたいということで寄り寄り研究中でございます。基本的な考え方といたしましては、この際一時目をつぶってもという考え方もあろうかと存じますが、そもそも韓国側の言い分といたしましては、日本が、終戦前から居住する朝鮮人が犯罪を犯したのゆえをもって退去強制処分にすること自体がけしからぬ、そういうことが第一けしからぬからしてまず釈放しろ、釈放した後において漁民の問題はまた別途に考えるという建前のもとに、考え方としてはそれと切り離しながら、実際上は関連せしめて考えておる、こういう状況でございます。それをもしそのままいれることになりますれば、われわれが朝鮮人を出入国管理令という法律によって強制退去にいたしますこと自体を否認することになりますので、今回限りの措置として将来の措置に影響がないという見通しがつけばそこで何とか考えるだけの余裕は持ちたい、さような考えを今持っておるわけであります。その方法につきまして今ここで具体的に申し上げるわけにはいき、ませんけれども、基本的な考え方としてそういう考えのもとに善処いたしたい。外務省とも寄り寄り協議中でございます。また他の治安機関ともその点について協議をいたしておる次第でございます。 〔安藤委員長代理退席、委員長着席〕
○田口委員 ただいまのお話によりましてこの密入国者及び刑事犯の連中を、一方は韓国に帰し、一方は日本国内において釈放する。それと交換条件に日本の漁夫を帰還させる、こういうようなことについて一点まだ何だか割り切れないようなものがあるようでございます。一応とにかく釈放してみろその後に一つ日本の漁夫については考えよう、こういうような話でございますと、あの韓国のことでございますから、真正面に全面的に受け入れることはなかなかむずかしいと私らも常識的に考えるのでございます。この点について外務省は、この釈放及び送り返すことを条件にして日本の漁夫六百三十六名を必ず日本に帰す、こういうような折衝をもう一歩突っ込んでやる必要があるんじゃないか、こう考える次第でございますが、この点についてはたびたび交渉はしておられると思いますけれども、その交渉経過はどうなっておりますか、はっきりさせていただきたい。
○中川(融)政府委員 本問題につきましては、ただいま田口委員から御指摘のありましたように、韓国側とはしばしば話し合いをいたしております。これはまだ正式の話し合いという段階ではありませんが、先方の考え方というものを突きとめる意味におきましてしばしば話し合いをしております。先方の考え方も大体わかってきておる段階でございますので、何とかただいま申されましたようなことで今後も進めていきたい、事務当局としてはかように考えております。
○田口委員 それでは外務省と法務省ではとにかく六百三十六名を急いで返す方法を講じなければならぬ。そのためには韓国で言っておる刑事犯人は日本国内で釈放し、密入国者は向うに送り返す、この交還がはっきりできればそこまで腹をきめてもいい、こういうようなお気持でおられるのでございますかどうか、外務省及び法務省からお答え願いたいと思います。
○中川(融)政府委員 韓国側のただいままでの態度では、日本人漁夫の抑留されておる方全部とは言っていないのでありまして、刑を終えた人たち大体二百七、八十人はすでにおられると思いますが、この方々を即時返す、こういうことを言っておるのであります。もちろんこれが将来も継続されれば、ただいまの六百五十名の方も順次そういうことで日本に返されるわけでございますが、ただいま即刻実現し得るものは二百七十名程度の方であります。われわれの考え方としては、とにかく理屈は多少通らなくとも、何とか実際的な解決によって日本人漁夫の方の救出をはかっていきたい、はかるべきであるというのが外務省側の一貫した考え方であります。
○下牧説明員 法務省といたしましては、先ほどもちょっと御説明いたしましたように、朝鮮人に対するわれわれの退去強制処分、言いかえれば入国管理令の執行を全面的に将来否定するような形においてはこの問題は片づけたくない。将来入国管理令の執行が円満にできる状態のもとに、その見通しをつけた上でこの問題を考慮いたしたい、かように考えておるわけでございます。
○田口委員 この点は多少筋が通らぬでも、今の六百三十六人の現在の生活あるいは留守家族の気持、かような点からぜひ一つ早急に実現をしてもらわなければならないのでございますが、ただ本日は大臣もおいでになっておりませんから、この点について決定的の答弁を期待することは無理だと思いますから、私はこの問題はこの程度にしておきたいと思うのであります。 さらに韓国側から申しますと、日本の大村収容所は非常に韓国人を虐待しておるということを宣伝をしておりますし、また釜山に収容している日本人に対しましては優遇をしておる、こういうようなことを言っておりまして、そこにどうもちぐはぐのところがある、私らはある程度内情を知っておりますから、よくわかっておるのでありますけれども、どうも先方では日本と反対のことを言っておる、こういう場合に人道的にどちらが非難さるべきものであるかということを判断するものは、結局国際赤十字社か何かに立ち会ってもらう、こういうことが必要でないかと思うのでございますが、政府といたしまして国際赤十字社その他にわたりをつけて、すみやかに韓国の待遇と日本の待遇とを比較研究をさせる、こういうようなお考えはありませんか、お伺いをいたしたいと思います。
○森下政府委員 ただいまの御質問でありますが、まことにこれは容易ならざることであります。就任早々でございますが、政府として大村収容所の問題、これに関連する抑留されておりまする漁夫の人々の早期釈放については、急速に実際的な解決をはかりたい、かように確信いたしております。
○田口委員 この引き揚げの問題を解決いたしますれば、私どもは、いつも韓国とは交際をしない、つき合わない方がいい、こういうような気持で国民として考えるのでございますが、さような状態になりますと、結局今の日本の漁業者の生活をどうするか、また仕事の問題をどうするか、こういうようなことについて国内問題として考えなければならぬ実情にあると思うのであります。それにつきましては、いろいろ国費のかかる問題でもありますので、財源をどこに求めるかという問題でございますが、幸いにして今この莫大な韓国人に対しまして、日本としては三十四億円程度の金を使っておる。生活保護に十九億七千万円使っておりますし、また失業対策について三億六千万円、中小学校の教育費といたしまして八億三千万円使っておりますし、救らい費として五千万円程度使っておる。また収容所の経費といたしまして二億一千万円使っておる。合計三十四億二千万円の国費を使っておる。三十四億二千万円われわれの血税からこの連中に対して国費を出しておる。私らの考えからいたしますと、少くともこれの二割か三割でも何とか経費を節約いたしますれば、李承晩ラインによっていろいろ苦労をしておる漁業者の一部の救済になるんじゃないか、こういうふうに考えるのでございます。——外務省の数字と少しは違いますけれども。かような国内問題についていかに手を尽しても、国際的の問題として解決しないとすれば考えなければならぬと思います。幸い水産庁長官もここにおいででございますから、さようなお気持はありませんか、お伺いいたしたいと思います。
○塩見説明員 水産庁といたしましては、当委員会等の強い御要請に基きました各種の制度で現在運営しておるわけであります。御存じの通り漁船損害に対する漁船損害補償制度に伴いまして、また政府資金によるところの拿捕漁船に対する代船建造資金の融資、また漁船乗組員の給与保険というようなもの、あるいは差し入れ等に対して幾らかの経費の流用を認めていただいて努力する、こういうことをやっておりまするが、内容としては、これらのものが次々と確立されておるわけですけれども、その具体的な内容等について、より一層漁業者あるいは乗組員の人たちに有利な条件というふうなことを種々検討をして、できるだけの保護をやりたい、こう考えまするが、そういう点について他省の予算との関係については、水産庁としてはっきりしたお答えができる立場にはございませんが、今やっておる制度をより強化するということはできるだけ努めて参りたい、こう考えております。
○田口委員 ただいま水産庁長官の御説明は、李承晩ラインの問題で初期の時代においてやるべきことを説明されたと思うのでありますが、今さような段階でございません。御承知の通り、五日には西日本の各県から二百八十名の陳情団が東京に押し寄せる。かようなことで、ほんとうに生活に困っておる連中が二百八十名も東京にやってこなければならぬというところまで追い込められておる状態からいたしまして、国としては国際問題ではどうしても長引く——これは一日も早く解決してもらわなければなりませんけれども、今の外務省の話その他から考えますと、相当長引く、こういう実情からしまして、この問題を国内的にある程度解決してもらう、このことが非常に今の段階においては重大なことと考えるのでございます。きょうは農林大臣もお見えになりませんから、この大きな予算についての要請をいたしましても徹底しないと思いますから、私はこれ以上突っ込んで話しませんが、水産長官におかれましては、この問題をある程度国内的に取り上げる段階に達したということを一つよく認識していただきたいと思うのであります。私といたしましては、いろいろな蛋白質の給源その他から考えまして、なるべく国内的には解決したくない問題でありますけれども、全く今の状態ではやむを得ませんから、この方面のことにつきまして政府でもぜひ一つ考えていただく、こういうことを要請をいたしまして、私の質問は、農林大臣、外務大臣、防衛庁長官その他おいでになりましたときになお継続するといたしまして、本日の質問はこの程度で終っておきます。
○綱島委員長 淡谷悠藏君。
○淡谷委員 昭和二十八年九月に李承晩ラインで四十七隻もの大量拿捕がございましたときに、時の防衛庁長官の木村さんは、この問題についてせっかく研究中であるという答弁をされました。李承晩の常識に訴えて、せっかちにかからないで気長にこの問題を解決するとおっしゃいました。ところが今日のアジア局長の答弁を聞きますと、依然としてせっかちにやってはならない、常識ある人であるならば李承晩も何とかするだろう、せっかく研究中であるということでありました。一体せっかちというのは何日間に解決しようというのがせっかちであろうか。気長にゆっくりやるというのは、十年も二十年も待てというのか。事 はもうそんななまぬるい事態ではない。本日大臣が出席しませんので、当委員会は非常に荒れておりますが、このような多くの漁民の生死に関する大問題を、せっかちにかからないでせっかく考慮中であるとか、そんな当座しのぎの答弁で乗り切れるというような態度自体はなはだ間違っていると思います。さっき当事者の陳情にもございました通り、漁民たちは、もっと端的に三つの要望を持って参っております。一体李承晩ライン内の漁業を放擲せよというのか、あるいはこれをもっと強行して、たとい現地でトラブルが起きても強行せよというのか、そういう強い国策の線の決定を要求している。それをじんぜんとしてここまで至ったというのは明らかに政府の怠慢であり、国民に対する愛情を欠いた措置であることははっきりしております。あえてアジア局長にこの問題に対する答弁を求めましても、あなたが御答弁のできないことははっきりしている。こういう基本的な線については、いずれ関係大臣が出席されましてからあらためて質疑はいたしますが、本日は海上保安庁の救難部長並びに防衛庁の壇原次長にはっきりお伺いしたいのであります。まず現在の李承晩ラインにおける日本漁船の危険状態というものは、海上保安庁の手でこれを十分守り得るものかどうか、もはや海上保安庁ではいかんともしがたい状態なのかどうか、ごまかしなく端的にお答えを願いたい。
○砂本説明員 先ほど来問題になっております最近の韓国の声明につきましては、非常に重大な内容を持っておりますので、私ども関心は十分持っておるのでございますが、たびたび本委員会でも御説明いたしましたように、巡視船はもちろん安全な操業を期しまして保護に当っております。しかし向うが実力をもって当ります場合に、それに対応する実力をもってこれを防止することは非常に困難でありますし、やっておりません。従って安全操業を巡視船の力でもって完全炉やれるかどうかという御質問に対しましては、われわれは完全にこれを保護しおおせるとは申し上げかねるのでございます。
○淡谷委員 海上保安庁では漁船の保護についてはもうお手上げの形になっておるようでありますが、新聞の伝えるところによりますと、もう漁民たちは政府のなまぬるい態度にあいそうをつかしまして、集団的に操業を敢行しようとしておる。漁民を放脚しましても、あるいは退いても、死ぬことは同じである。行ってもまた死ぬかもしれない。この悲壮な覚悟のもとに、大挙出漁しようということが報道されておりますが、この場合に、一体保安庁なりあるいは防衛庁なりはどのような手段に出られるつもりなのか、迫っておる問題でございますから、決意をはっきりお伺いしたい。
○砂本説明員 海上保安庁といたしましては、決して漁船の操業について手を上げておりません。完璧ではございませんが、最も妥当な方法と申しましょうか、より広い範囲で、より多くの漁船が、より安全な操業をするには、現在の状況においてどういう巡視船の行動と活動をしたらいいかということを日夜苦慮してやっております。決して手を上げておりませんが、重ねて申し上げますが、向うの現在の情勢に対応して完全に保護するということは、ここではっきり申し上げることはできません。今後も、すでに政府の決定されました方針によりまして、この方針に準拠して十分に活躍する覚悟でございます。
○淡谷委員 覚悟ははなはだ勇ましいのでございますが、十分に保護することができませんというのは、お手上げの状態ではありませんか。特に哨戒をしておって、韓国の軍艦なり飛行機が来た場合には、漁船を連れて逃げ出すのだというようなことが新聞にも見えておりますが、そんなことが一体できるものかどうか、この席ではっきり御答弁を願いたい。
○砂本説明員 そのときの事態によると思いますが、現在巡視船の持っております能力と乗組員の努力によって最善を尽したいと考えております。
○淡谷委員 なお先ほどの御答弁の中に、政府の方針に従ってと言っておりますが、政府の方針は、今アジア局長から聞きますと、常識ある人であるならば李承晩の反省を促す、あるいはせっかちにかからないのだ、せっかく研究中であるということでありますが、これがきまった方針でございますか。アジア局長に重ねてお伺いします。
○中川(融)政府委員 私が先ほど申しましたのは、政府の韓国に対する外交上の考え方、あるいは態度、方策、こういうものにつきまして申し上げたのでございますが、ただいま海上保安庁の方から御説明がありました中にある政府の方針というのは、むしろ李ラインの警備に関する方針であると私は考えております。
○砂本説明員 今のアジア局長の御答弁の通り、私が政府の方針と申しましたのは、二十七年でございますが、拿捕問題に対する対策として閣議決定がなされておりまして、この線に沿って巡視船の活動をやっている、その意味の政府決定でございます。
○淡谷委員 二十七年の拿捕問題に対する決定、それをもう一ぺん確認したいと思いまするが、部長さんから重ねて御説明を願います。
○砂本説明員 この閣議は、季ラインのみばかりでなくてソ連関係も入っておりますので、一応その内容をここで申し上げておきます。 昭和二十七年五月二十三日付で、総理大臣から運輸大臣への指令の形で出ておりますが、これは運輸大臣から閣議を請議いたしまして決定をいただいたわけでございます。その内容は、公海において操業する日本船舶の操業秩序を維持し、あわせてこれら漁船を保護する必要があるので、別紙拿捕事件対策案を添えて閣議を求めるとして、ほぼ原案通りが認められたわけでございますが、方針といたしまして、本対策立案に当っては特に左の諸点を考慮して、さしあたり関係国を不必要に刺激しないこと、巡視船は自己の生命に危難切迫した場合の正当防衛以外は、建前といたしまして実力の行使をしない建前とすることとなっております。それから今申しましたようにソ連関係もございますが、抜かしまして、韓国関係は、韓国方面の公海に出漁する日本漁船が韓国領海に入漁しないよう監視し、指導し、あわせてこれら漁船を保護するため、さしあたり左記により巡視警戒を行う。左記と申しまするのは、範囲と船の大体の数、船型、こういったものを指定しておるのでございます。なおそれにつけ加えましていろいろこまかい規定があるのでございますが、今申しましたように、向うが実力をもちまして強引に拿捕する場合におきましては、もちろん正当防衛は理論的には許されると思うのでございますけれども、その影響を考えますことと、相手の能力と自後に起るべき操業の安全とを顧慮して、十分なる慎重なる態度で保護するような指示が与えられているわけでございます。以上でございます。
○淡谷委員 事態は具体的になっておりまするので重ねてお伺いいたしまするが、今度関係漁民が大挙出漁するということはあなたの方では黙認するつもりでございますか。これを差しとめる、あるいは何か危険の警告を与えるというようなことがございますかどうか。これはあなたの方で黙認の形で出漁するものとみなしていいのでありますかどうか。
○砂本説明員 海上保安庁の立場といたしましては、出漁を禁止することもできません。それから安全を保障いたしまして出ていくことを強く要請することもできません。日本漁船が操業するために出ていきますときには、今申しました趣旨に沿いまして、必要だと思われる船艇を適当に行動させまして保護の任に当るわけでございます。 先ほどの集団出漁の件でございますが、一部新聞にも報道されておりまして、これに近い事実はもちろん私の方も知っておりますが、今さら集団をもって李ラインを突破して強硬出漁するという言葉は、私どもずっと長く実情を知っておる者は、その実体を必ずしもうまく表現しているものではないと考えるのであります。今さら李ライン突破をいうまでもなく、当然李ライン内は操業される区域と考えておりますし、あらためて突破していくという事態ではなくて、すでに拿捕の事実その他いろいろの事実、季ライン内には日本漁船は入っておるのであります。あらためて突破もないと思うのであります。それから集団出漁でございますが、別に私どもから申しますならば、そうことさら改まった形ではないと思います。ただ、今申しましたように、私ども非常に不十分でございますが、相当拿捕防止に役立っておるということをちょっと触れましたのは、やはり相手のあることでございますから、情報なり行動なりかなり詳細にわかる方法もございます。そういった海上におけるいろいろな双方の状況を知るということは、非常に拿捕の防止に役立つのでございます。漁船がすべて無線を持っておりますかどうですか、これは持っていないのがあると思います。無線のない船は一旦海上に出ますならば、そういった貴重な情報その他も得られません。それを得る方法といたしまして、一つのグループを作ることも考えられます。あるいはそういった意味の集団と申しましょうか、グループと申しましょうか、連絡機関、これは考えられます。私の承知いたします限り、特別な意味を持ちました集団強行というのは、ちょっとどうかと思います。
○淡谷委員 塩見長官にお願いいたしますが、海上保安部の大へんな御苦労にもかかわらず、二十八年以来拿捕船の数は必ずしも著しく減少はしておりません。今季ラインにあらためて出漁することはない。前から入っておるのだ、こういったような御答弁でございましたが、現在における李承晩ラインの出漁状況はどうなっておりますか、御答弁願いたいと思います。
○塩見説明員 大体漁期から申しまして、八、九月あたりに十隻前後のサバのまき網、それから十三隻くらいと思われますが、はね釣が出ておりましたが、これも大体漁期も終りに近づきまして、現在はほとんどなくなっておる、こういう状態でございます。これからの問題としましては、漁期から申しまして、以西の底びき及びトロールというふうなものがあの漁場に出る時期でございます。現在の状況におきまして、済州島の南西部の方に大体漁場がありますので、そこへ十組くらいが出ていると思われます。今後の漁場といたしましては、済州島の西北黒山島の西に当ると思いますが、その辺に出ていかなければならない。これは非常に大事な漁場であります。こういう状態になっております。水産庁といたしましては、ああいう声明がございましたので、私らの方は監視船の数も非常に少いわけでありますけれども、民間船を特別措置でチャーターいたしまして、それを今まであの海域には常時一隻入っておりましたのを二隻に増強いたしまして、現在指令済みで就航中でございます。
○淡谷委員 十一月の十七日に韓国の連合参謀本部が出しました武力行使の声明、それからさらにまた日本水産の漁船素水、麗光の両隻が李ラインを航行中拿捕したといったような事件が、漁民に大きな不安を与えておることは事実でございますが、もう事態はだんだん悪化するだけで、李承晩の常識のないことがはっきりしているようでございますが、これに対してこの声明通り出漁した漁船に対して韓国の艦隊が砲撃を加える、あるいはまた飛行機の上から何らかの危害を与えた場合に、一体海上保安部はどうなさるおつもりでございますか。
○砂本説明員 砲撃したときにどうするか、ちょっと考もここではっきりしたお答えはできかねます。ただ今までやっていましたようにやる以外にないのでございまして、ただ私どもの考えとして、そういうことが声明通りやれるのかどうかということは非常に疑問を持っております。今までの拿捕すらも当然認めることのできない拿捕、ライン内に入っているということでもって、いきなり砲撃、撃沈というのは、われわれの常識からいたしましては、もちろん法律上からも問題でございましょう。ないと思うのでございます。しかし声明しておりますから、そのことは十分関心をもって終始当っておりますけれども、あった場合にどうするかという御質問に対して、今私は申し上げられないのでございます。
○淡谷委員 李承晩の常識の問題になるのでございますが、すでにこの長い間のことで常識を失っておることは事実のようでございます。従って今度の声明が単なる声明として終るか、あるいはこれを取りかえるか、こんなことはさっきのアジア局長の御返事では、まだ何とも言ってこない、声明を出しっぱなしにして、日本の漁船が入ったならば、これはやはり、砲撃があるものと予期しなければならぬ。防衛庁の増原次長はこの事態に対してどのようなお考えを持っておられるか。日本の漁民の自衛のためには今でこそ防衛庁は立つべきときじゃないですか、どうですか。
○増原政府委員 ただいままで外務省及び海上保安庁から御答弁のありましたところに、私どものところの考え方も大体尽きるわけでございます。今のところわれわれ防衛庁事務当局といたしましても、砲撃されたらどうするかということを、ちょっとお答えをいたしかねる状態でございます。
○淡谷委員 事務当局としてはお答えができない。やはり日本政府の責任で閣議決定をみなければ、こういう事態になって、たとい漁民が正当なる権利を行使する上において受けた危難であっても、防衛庁は黙って見ているより仕方がないという御答弁とみてかまいませんか。
○増原政府委員 防衛庁は黙って見ておるのだと申し上げたのではございません。そういう事態に対して今どうこうするということをお答えをすることが困難であるということを申し上げたのでございます。法律を申し上げるまでもなく、海上における警備行動というものがありまして、特別の必要がある場合には、海上における人命、財産の保護のために、総理大臣の承認を経て防衛庁長官は海上自衛隊の警備行動をさせるという権限を持っておるわけであります。海上自衛隊を出す必要のある事態というものを諸般の事情から考えまして、これはもとより第一次的と申しますか、基本的には、海上保安庁が海上における生命、財産の保護に当るわけであります。特別の必要がある場合という事態を認定いたしまして、どうしても必要があるという場合には総理大臣の承認を経て防衛庁長官が海上自衛隊を出すということになるわけでございます。
○淡谷委員 私は誤解を避けるためにはっきり申し上げておきますが、李承晩ラインの問題は、防衛庁の実力行使によっては解決がつかぬと私は考えております。しかしながら地元の漁民たちの逼迫した空気では、この際防衛庁が出動して生命、財産の保護に当れという強い要望が巻き起っておるようでございますが、このような事態で防衛庁が出動した場合に、日本の憲法第九条との関係が一体どうなりますか。事務的にお答えを願いたいと思います。これならばお答えができるでしょう。
○増原政府委員 いわゆる季ラインにおきまする海上警備行動として海上自衛隊が出まする場合は、海上における生命、財産の保護という問題でありまして、憲法九条に抵触するというような問題は起らないものと考えます。
○淡谷委員 すでに起っているじゃありませんか。あなたは現在不当なる李承晩ラインの内部あるいは外部において韓国に拿捕されました隻数が百八隻、いまだ帰還せざる漁民が六百三十六人、死亡せる者が五名、これが国民が受けた財産、生命上の危難とお考えにならないのですか。しかも海上保安庁が幾らがんばりましても、拿捕隻数というものはそんなに減っていない。しかも今度は攻撃を加える。一体どの程度まで入れば国民が財産、生命の危険を感ずる状態とお考えですか。それとも今の防衛庁の形ではなかなかこういう問題には手が出せないんだ、こういうふうに考えられるのか、その点をはっきり言っていただきたいのです。今出漁しようとする漁民たちは、もうそんな問題じゃないのです。ほんとうにやろうとしているのです。その場合に防衛庁がこれを救い得るものや、守り得るものや、あるいは海上保安庁がはっきり責任をとって危険を避けてくれるものかどうか、非常に大きな関心事です。それをいたずらにごまかし的な、せっかく研究中といったようなのんびりした答弁ではとても満足できない。どの程度まで危険が迫ればあなた方の考えでは出動し得る状態とお考えですか、まずお答えを願いたい。
○増原政府委員 ただいまの御質問は九条とは関係がない御質問と思うのであります。政府として漁民の生命、財産の保護ということを考えていないということはもちろんないことは御了承のことでございます。海上保安庁が責任者としてこれに当っておるわけでございます。海上自衛隊が出まするのは特別の必要ありと認めた場合に出るわけでございます。ただいま御質問者も今自衛隊が出ても、そうして実力行使によって事態がうまく行くとは思わないというふうに御意見をお述べになりましたが、自衛隊を特別の必要ありとして出すことが適当であるかどうかという判定の問題になるのでございます。生命、財産の保護としては海上保安庁がその責任にただいままで当っておるということでございます。
○淡谷委員 少しだめを押すようですが、一体私たちは、今の防衛庁のようなやり方では日本の国は守れないという考え方を持っております。だからこの目の前に迫っておりますような危険しごくの状態において、あなた方はまだ自衛隊の出動ができないような形になっておる。そういたしますと、はっきり申し上げますが、漁民たちが外交上の行き詰まりを日本の武力をもって解決しようといったような考えを持つならば、これはとんでもない錯覚だと私は思うのでございますが、この事態がある程度進みますると、それにもかかわらず防衛庁としては自衛隊を出す御意思があるのかどうか。どの程度まで危険が大きくなりますと出す可能性が出てくるのか、その点を確かめておきたい。あるいは今のような李承晩ラインの状態では自衛隊を出す状態は来ないというのか、あるいはまたその危険が増大するに従ってその時期が来るというのか、その点を確かめておきたいと思います。
○増原政府委員 御質問は最初の御質問に返ったようでありまするけれども、ただいまどの程度になれば海上自衛隊を出すということになるかということを申し上げることはきわめて困難でございます。
○淡谷委員 確認しておきたいのですが、政府は事態の認識によっては出動することもできるし、あるいは出動しないこともできる、こういう御答弁でございますか。それ以上はお聞きしません。あなた方が自動的に出ないで、あくまでも政府が決定して政府の意思によって動くんだ、こうおっしゃるのでございますか。
○増原政府委員 法文上は総理大臣の承認を得て防衛庁長官が海上自衛隊を動かすということになっております。しかしこれは事柄の性質上からも当然いわゆる政府という形において事態を判断し、判定を下すということになるものと考えております。
○淡谷委員 外務省の政務次官にお聞きいたしますが、ただいまの御答弁でもはっきりしております通り、漁民が出漁いたしまして非常に大きな危険にさらされることは目の前に見えております。これに対して海上保安庁も十分な自信を持ち得ず、また防衛庁も今すぐ自衛隊を出動させるという状態にない。こういう差し迫った事態に立っておりますが、一体外務省の見通しとしましては、この問題はいつ解決されると思っておられますか。端的に申し上げますと、今年の漁期に間に合うのですか間に合わないのですか。
○森下政府委員 この問題は武力によって解決するということは、これはきわめて困難なことでございます。外交交渉によって解決すべきものと考えておりますし、できるだけよく話し合いを進めて急速にやりたい、かように考えております。
○淡谷委員 外交の方法によってこれを解決すると言っておりますが、解決ができない。一体李承晩をして今日のごとく非常識ならしめ、今日のごとく乱暴ならしめたのは李承晩独自の態度でございますか、それとも何らか他の国がこれを使嗾してこのような態度に出させておるのか、次官の見解はどうでございますか。
○森下政府委員 それはほかの国の指図をいろいろ受けてやるようなことは断じてないと思います。
○淡谷委員 李承晩が行使しようとしておる武力は一体どこで提供してくれておるのですか、韓国艦艇、韓国の飛行機、これは一体どこの国が出しておるのですか。
○中川(融)政府委員 韓国が持っておりますいろいろの兵力というものは、韓国が自分でもちろん持っておりますが、その源泉がどこであるかという点につきましては、韓国で作るものもございましょうし、外国から買う、あるいは外国から借りるというようなものもあると思います。その点につきましては、資料を持ち合せておりませんので、今詳細に御説明することはできません。遺憾でございます。
○淡谷委員 私は冗談や物好きで言っておるのではないのです。李承晩が日本の漁民に対しておどかしておるのは武器なんです。武力なんです。その武力を提供しておるのがアメリカであることはあなた方がお答えしなくてもはっきりわかっておる。そのアメリカに対して外務省はあっせん方を依頼しておるじゃありませんか。そのアメリカが一体どういう態度をとったのか、今までのアメリカにあっせんを依頼して以来の外交交渉のてんまつをお聞かせ願いたい。これは政務次官にお願いしたい。一局長の答弁では満足できません。あなたができないならはっきりできないと言っていただきたい。大臣に出てもらってから私は質問いたします。無理な御答弁は要求しません。
○森下政府委員 政府としてはアメリカ側と十分日本の立場を理解せしめるようにその連絡を今とっておりますから、どうぞ御了承願います。
○淡谷委員 連絡をとったのはいつの話ですか。アメリカはことによっては非常に敏速な命令を出します。ところがこの李承晩ラインにつきましては四年間じんぜんとして何らの措置も講じない。しかも李承晩を動かしているのはアメリカとはっきりしている。これが誠意を示さないということは、李承晩ラインに対してアメリカの背景がないということが断言できますか。その点もう一度お伺いします。
○森下政府委員 これはいろいろアメリカが必ずしも後で糸を引くとかそういうものじゃないのであって、話し合いは進めておりますけれども、アメリカとしてはずいぶんその点を心配して、いろいろと協力をしてくれていると信じております。
○淡谷委員 私はその点を心配してとかいろいろな手を尽しているというのでは満足できない。どのようにいろいろな手を尽しているのか、具体的にはどうなっているのか、その経過をお伺いしたいのですが、もうあなたには大体御答弁できないだろうと思う。新任早々だろうと思うのですが、誠意をもって、そういう言葉は使わないでやってもらいたい。
○森下政府委員 御承知のようにまだ二日、三日の新任早々で、せっかく勉強している最中でございます。どうぞその衝に当った局長に答弁させていただきたい。
○淡谷委員 新任早々だから私はお伺いしたのですが、今までの政府のやって参りました外交方針では、とうていこの問題の解決はつきません。少くとも政務次官として大抱負をもってお当りになっているあなたには必ず解決の大方針があるだろうと思ってお伺いしたのですが、ないようですから、いずれ大臣が出ましてから私の質問をいたします。
○綱島委員長 今澄勇君。
○今澄委員 いろいろ御質問があって答弁がございましたが、今あなたがお聞きのように、大変な役所の政務次官にあなたはおなりになったのです。今までは三年にわたってそういう答弁が続いてきたのです。だから大臣が出てこなければとてもこの問題などは質問することにならぬのです。けれども委員長のお話では、きょうの質問の結果大臣と交渉するというようなことでありますから、私政務次官にお伺いしたいのですが、防衛庁に対して政府からの指図も何もない。今防衛庁の増原さんから御答弁の通りです。海上保安庁も自信がない。けれどもしかし出ていくなとも防衛するとも言えないというのです。外務省もこれに対して内閣に閣議をきめるべき基本方針として外務省がきめた態度がない。だから政務次官はこの席上でそういった今の内閣の状態、そうした外務省の状態をどうお思いになるか。就任されましてあなたは国民に対して申し訳がないと思われるか。一体どういう御心境か。今の政務次官の御心境を一つお伺いしたいと思います。
○森下政府委員 よくこれから総合的に急速に検討いたしまして善処いたします。
○今澄委員 私は政務次官はここでやはり遺憾の意を表すべきだと思います。これは超党派的に、およそ全国民が期待しているわが日本の政治の中で、今の日本の政治的な問題をしぼると、この李承晩ラインは今日の日本の政治の根本に触れるのです。少くともまじめな政府の政務次官としては、国会の農林委員全体に対して遺憾の意を表し、国民に対しても遺憾の意を表して、これが態度を今後検討していくということが当然でなければいけません。あなたは遺憾の意を表しなさい。
○森下政府委員 こうした事態に対しまして十分善処いたします。
○今澄委員 私きょう農林委員とかわってきたわけですから臨時のことで、これ以上聞きませんが、私は外務省の人々はすべて国民に対して遺憾の意を表する基本的な謙虚な態度で、一切のこれらの問題をおやりになることが必要だということをまず申し上げるのです。何ですか、あなたのその思い上った態度。こういう重大な問題について大臣の出席もない。むしろ大臣の方から求めてこの機会を得て出席をして、そうして国民全体に対して及ばずながらもこういう態度に出ているんだ、こうしょうと思っているんだということを言うことが内閣の基本的な責任じゃありませんか。もってのほかです。社会党としては本会議の一般施政方針の質問にも、もとよりこの問題を中心とする韓国とのこの李承晩ラインの問題が出ることは当然であります。国家の重大な問題であります。予算委員会を開けばこれまた日本の国政の全体の問題として、この問題について徹底的な質問が出ることも当然であります。外務省はこの農林委員会にまず誠意を披瀝し、次々と起ってくるこれらの問題が臨時国会、通常国会を通じて内閣の存否をきめる重大な問題であるということを御認識を願わなくちゃならぬと思います。私は今のようなそういう不まじめな答弁を聞いていて、実際情ないと思いましたが、まああとあとまだいろいろな機関で聞くことにして、きょうは事務当局の方ですから、まず私は事務的に外務省にお聞きしますが、先般アメリカの韓国駐在大使が、何らのあいさつも韓国政府になさず引き揚げをいたしましたことは中川さん御承知の通りです。韓国駐在のアメリカ外交官がこういう外交的な非礼をして本国に帰りましたその背景並びにその理由、それに対するアジア局長の御見解はどうですか一つお伺いします。
○中川(融)政府委員 先般在韓国米国大使が本国に帰ったのであります。これはほかの職に転勤ということで帰ったのでございますが、その際韓国政府にあいさつしなかったかどうか、私実は不敏にして承知しておりませんが、この際の理由は同大使の健康上の理由であるということを聞いております。なおその前後あるいはその前に米韓双方の間におきまして、主として韓国におります米人に対する税を課する問題につきましていろいろ折衝があった、しかもそれがなかなか難航しておったという事実はわれわれも知っております。米韓関係は非常に緊密な間柄ではございますが、なおいろいろな難問題を存するという事実につきましては、われわれもこれを注目して見ているところでございます。
○今澄委員 このアメリカ大使の突如としての帰還は、韓国におけるアメリカと韓国との関係が必ずしもうまくいってない、非常な意見の対立があるということを物語るもので、このくらいのことはアジア局長も御存じであろうと思います。だから私はこの韓国とアメリカとの関係に関する日本の外務省の態度というものは、ただアメリカにすがってさえおれば行けるというものではない。基本的な日本と韓国との問題に関して、アメリカと韓国との現状を十分分析して、それに対する外務省の態度を決定せられることが現在のアジア局としては必要だと思います。だからあなたの方ではアメリカと韓国との関係を十分検討して、この上に立ってこの問題解決の基本的な事務当局原案というものをお作りにならなくちゃならぬのであるが、そういった基本的な方針がきまっているか。あるいはそれに対する御意向でもあれば、アウトラインでも一つお聞かせを願いたいと思います。
○中川(融)政府委員 日韓問題を解決をはかる上におきまして米国のいろいろ協力を求めるということは必要なことであると考えており、かつ従来ともこの方法を、できるだけ推進していっておるのでございます。しかしながらこの方法も、決して万能の効力を持つものではなく、ただいま今澄委員の御指摘になりましたように、米韓関係にもなかなか複雑な問題が存しておるという実情でございますので、必ずしも米国の意向を韓国がそのまま聞くという事態ではないのでございます。そのために日韓交渉もはかばかしく進まないわけでありますが、米韓を含みます国際情勢というものにつきましては、われわれとして一日もこれの注目をゆるがせにすることはできないと考えておりまして、情報を集めまして、常時研究をいたしております。日韓問題の妥結をはかるに当りましては、常にただいま御指摘のような心がまえでこれに当って、いろいろな企画もいたしております。
○今澄委員 そのいろいろの企画を聞きたいのですが、きょうは大臣もおらぬことで、あなたもなかなか答弁ができぬでしょう。 もう一つ私が聞きたいのは、谷顧問を代表として、政府は極秘裏に金公使との間で、日韓にわだかまるすべての問題を協議せられておったことは、すでに天下周知の事実であります。この谷顧問と金公使との会談で、一体どの程度まで話が行っていたのか、その会談には今回の撃沈声明等を予見するような向う側の申し入れはなかったのか、それらの点について、事務的な立場から、これまで妥結に至りましたいろいろの項目がおわかりならば、一つ報告を願いたいと思います。
○中川(融)政府委員 今年の初め、谷顧問と金韓国公使との間に、日韓会談再開に至るまでのある程度の準備的な話し合いが行われたことは事実でありますが、これは日韓会談を再開する運びに至らしめるための準備的な話し合いでありまして、従って具体的な問題にまで入るに至らなかったのであります。双方の空気はもちろん相当友好的、建設的であったのでありますが、遺憾ながらその後におきまして韓国側の態度が非常に硬化いたしました。これはいろいろの事情があると思います。日本及び韓国を含むアジアにおける国際情勢のいろいろの動きが左右したのではないかと思いますけれども、韓国側が日本に対していろいろの強い声明を出すというような事態になりまして、この予備的な話し合いは立ち消えになっておる状況でございます。
○今澄委員 その予備的な話し合いの最後の段階では、向うから貿易関係については、韓国米も買い入れるという、日本の国内的な立場から見れば、譲るべからざるような情報を出して、日本政府が条件を出しておるということも、向うからの情報でわれわれは知っておるが、その話し合いは、そういう貿易の問題等についての詳細な点までも行なったわけですね。
○中川(融)政府委員 谷、金両氏の間の会談に当りましては、具体的な問題には入らなかったのでありまして、貿易の問題等は全然触れておりません。
○今澄委員 そこで事務当局である中川さんにお伺いをしますが、その谷、金公使会談の経緯を私は情報を通じて詳細に調べているのです。だが、ここでは申しますまい。しかしその結果外務省としては、朝鮮との間の貿易もやらない、経済的な問題もいたさない、そういった李承晩ライン並びに撃沈声明等に関する経済断交等、いろいろな強硬措置があるが、その中の経済断交については、一体日本側にとって不利なのか、これをやれば外交上非常に困ることがあるのかどうかということについて、事務当局であるアジア局長さんの御見解を聞きたいと思います。
○中川(融)政府委員 外交を実施するに当りまして、あらかじめいろいろと、こういう問題についてはこう考えておるということを言うのは、おおむね結果的に見ますとよろしくないのでございまして、従って経済断交というような問題につきまして今私がどのような考えを持っているかということは、差し控えさせていただきたいと思います。
○今澄委員 私は少くとも今日の段階になって外務省が考える方法は三つあると思う。その第一番は経済断交、第二点は韓国公使の日本からの引き揚げ、いわゆる外交的な関係の断絶、第三番目は国連への提訴、こういう三つの方針が平和的な外交交渉の中で考えられる基本的な考え方だが、私はこういう問題についてこれまで何らの見解がなくて——もう一ぺん聞きますが、国連提訴というものは今国連に入っていない日本が行えるものかどうか、国連提訴の効力とそれが発効についてのあなたの事務的な見解、もう一つは経済断交を行なった際の——行おう、行わぬはあなたがきめるのではないが、行なった際の日本が受ける被害、韓国が受ける被害について、外務省は彼我の被害はいずれが大きいと認めるかというあなたの事務的な見解、公使を引き揚げて外交状態を断絶した際に、わが日本が受ける不便と不利は一体どういうものであるかという三つを——これはやるとかやらぬとかいうことを聞いておるのではない、あなたの事務的な立場に立っての御見解の説明を求めます。
○中川(融)政府委員 ただいま御質問の三点のうちの第一点でございますが、国際連合提訴ということは、日本、韓国両方がまだ国際連合の加盟国ではありませんが、しかし世界のいずれの地点におきましても、もし平和を害する事態が生じた、そのときその国は国連加盟国の一員でなくてもいいのでありますが、ある国が認めた際には、これを国際連合に訴えまして国際連合の審議を求めることができるのであります。従って季ラインの問題に関連をいたしまして、真に平和を害するおそれありという事件が起りますれば、これは国際連合に提訴することができるのであります。 第二点でございますが、韓国ともしかりに全面的に経済断交した、貿易その他全部ストップしたという場合どちらが害を受けるかということでありますが、どちらも害を受けることは間違いないのであります。しかしこれを貿易量から見れば、大体の形は日本から韓国への輸入が圧倒的に大きく、韓国側から日本への輸入の方がはるかに少いというのが通常の形であります。これは人為的な操作をいたしましてこれを細工することはもちろんできるわけでありますが、通常の形からいえば、日本から韓国に輸出するものの方が分量からいえば大きいのであります。その意味では絶対量からいえば日本の受ける打撃の方が大きいかと思います。しかしながら同時に日韓貿易が相互の国、おのおのの国の貿易の全体量の中で占めておる割合という点から見れば、これは日本との貿易が韓国の貿易総量に占めておる割合は圧倒的に大きいのでありまして、この意味では韓国側の打撃に非常に大きいのではないか、従って両方で見方があるわけでありますが、その韓国側も大きな打撃を受ける、かように考えます。 なお日本にあります韓国代表部を閉鎖する場合のことでありますが、これはどういう害があるかというお尋ねでありますので、害の点を申し上げますが、その害には日韓間に今残されている接触の道がこれでなくなるということでありまして、従って韓国側に申し入れる内容、あるいは韓国側と何らか話し合いをやろうという場合には、通常の道としてのルートがなくなるわけであります。従ってそういう場合にはあるいは声明で日本側の意思を通ずるとか、あるいは人を密に派してやるとか、第三国を通ずるとか、そういう道が残されるだけになるのであります。
○今澄委員 大体今の局長の説明で、これらの措置に対して日本が立つ利害の関係は明らかになりました。このいずれの措置をどうしようというか、いかにやるかということは内閣と大臣がきめることでありまして、きょうは外務大臣もお見えにならぬから、それらの今局長が説明になった措置をいかに活用するかという点については、私は外務大臣、農林大臣、防衛庁長官に聞きたいと思います。今の答弁からして、必然的に当農林委員会にこれらの大臣の皆さん方の出席を求めます。委員長は今私と局長との質疑応答を通じて、もう大臣が出てこなければ、それらの説明はできたけれども、それを一体どう活用するかという点については、政府として全然答弁のできないこの現状から、一つ直ちに大臣をお呼び願いたいと思います。 もう一つは防衛庁にお伺いしますが、先ほど来増原さんの説明を聞いて、まだ防衛庁に対して政府からこの李承晩ライン、日本漁業の問題で何らの指示がないということが明らかになりました。私そこでお聞きしたいのは、今われわれが間違っておるかもしれません、私の調査が違っていたならば一つ御訂正を兼ねてあなたの方から説明を承わりたいと思いますが、韓国と日本との航空兵力において大体五分五分、艦艇において日本側がフリゲートその他を入れて一割多いというふうな情報がワシントン関係から漏らされておるが、あなたの所管する防衛庁の持っておりまする航空自衛隊の力と韓国空軍のあなたが見た比較、日本の海上自衛隊と韓国の海軍とのあなたが見た比較について、具体的にトン数等があれば聞きたいのですが、これがわからなければ概括の現状の比較を一つ御報告を願いたいと思います。
○増原政府委員 海上艦艇の勢力と申しますると、今一応持っておりまする情報としては、韓国にありまする艦艇の主力のようなものはフリゲートが四隻と大体承知をしております。わが方にはこれに対するものは、フリゲートは十八隻、駆逐艦が二つ、最近また参りました駆逐艦がさらに二つというようなものが——主要なるものとしては向うは四隻と一応情報はありますが、十八隻のほかに駆逐艦が四隻あるという形であります。空の方は比較ということが海のようにちょっと参りかねますが、わが方には練習機はT34という練習機、T6という練習機合せますと今約二百くらいあります。その次にT33という練習機は現在約六十機ばかり、F86というよい戦闘機はまだわが方にはございません、近く参りまして年度末までには五十四機になる予定でございます。情報によりますと、韓国側にはF86が数機、六、七機、そのほかは51というプロペラ機が数十機、練習機も若干あります。これは数においてはわが方よりは非常に少いというような状況であります。
○今澄委員 海上保安庁の御出席の方に聞きますが、李承晩ラインにおいて韓国側が今出動させておる艦艇は、どういう種類のものがどの程度であるか、漁船に装備をしたものが大体何隻、向うの正式砲艦が何隻、向うの駆逐艦が何隻か、あなたの方の調査の結果おわかりの点について御報告を願いたい。 なおもう一つ、いわゆる朝鮮漁業海域において先般哨戒機が出たという話だが、その哨戒機の種類はどういう種類で一日に何回くらい哨戒をやっておるかということについて、海上保安庁は連日御苦労さまですが、調査の結果を御報告願いたいと思います。
○砂本説明員 平素の労をねぎらっていただきましてありがとうございました。私の方もこれは情報でございまして、よくわかりませんが、御承知のように当初は直接軍機関が出てきておったようでございますが、途中で若干模様をかえまして、現在性格から申しますと、ほぼ警察的な性格で、いわば私どもの海上保安庁に似通った性格を持つものと私は想像しておりますが、海洋警備隊というのが出ております。この海洋警備隊と申しますのは、商工部の下に海務庁がありまして、その海務庁の下部機関として海洋警備隊が構成されております。こういうふうに承知しております。その海洋警備隊の持っております船艇は、これはトン数もまちまちでございますが、一応の調査といたしましては、最大が排水トンで二百五十トン、次が二百トン、百九十トン、百五十トン、百トン、こういったものを合せまして十四隻持っておるようでございます。これが釜山、木浦、浦項、済州島の済州、仁川というところを基地として動いておるようでございます。そのほかに水産局の監視船といたしまして四隻持っておるようでございます。そのほか税関監視船もありますが、こういったものがちょこちょこ出てきていたずらをしておるようでございますが、その動き方についてはかなり詳細なものが情報として入っております。 それから航空機の件でございますが、今の御質問に対して、今申しましたこの情報ほど的確なものはないのでございまして、ここでお答えすることができないのははなはだ遺憾に思います。
○今澄委員 向うの偵察機が今回の声明発表後日本漁船の操業を上空から偵察したことは、漁船の報告に明らかでありますから、海上保安庁は少くともそういう情勢を的確につかんで、そして国会に報告してもらいたいと思います。私は当農林委員会に韓国側李承晩海域に出動しておる艦艇の詳細なるデータを一つ提出せられることを要求いたします。なお航空兵力もいかなる機種がどのような状態で偵察に出ておるかということを当農林委員会に報告することを要求いたします。そうしてそれらの韓国側が行なっております武力的な哨戒並びに日本漁船に対する武力的な威嚇、それらの状態を十分正確に国会は検討して、国会としても、李承晩ラインという漁場の問題から、遂にはわが日本の独立国としての権威に至るまでの重大な侮辱をあえてしておる韓国に対する態度をやはり考える必要があると思いますから、海上保安庁はそれらの情報を当農林委員会に御報告を願います。防衛庁から彼我のトン数等詳細なものを教えていただいてようやくわかりました。 そこで私いろいろ聞きたいことがありますが、最後に政務次官に申し上げておきますが、こういう防衛庁の現状とその方針、海上保安庁は航空機等の報告もできないようでは、これは怠慢であります。ところが私はそういった海上における向うの現勢、それから外務省がとるべきいろいろな外交的な方途、それから李承晩ラインの問題だけで解決が困難であれば、在外財産の請求権その他すべての問題とからんでやるかどうかということについて、外務大臣は特別に引揚者の問題とは引き離してやる、李承晩ラインの問題はほかのものと一緒でなければだめだという答弁がここ三年来あるけれども、それでじんぜんときを過ごされるのですが、そういう内閣所管の各行政府の総合的判断の上に立つ内閣の基本的な方針というものを、当農林委員会でやはりあした説明されるべきだと私は思う。だから、そういう下僚なり属僚なり、あるいは個々の皆さん方のいろいろの御配慮、御努力は認めるけれども、それが中心となるべき内閣に一括して基本方針が定まらないところに、皆さん方の御努力が何ら実を結んでない、じんぜん時を過ごしておる根本的理由がありますから、外務政務次官、あなたはあしたここへ外務大臣を連れてきますか。あなたはほかに答弁ができないのだから、せめてあした外務大臣を必ずここへ出しますというぐらいのことは、ここで約束していただきたいと思うが、どうですか。
○森下政府委員 それでは御希望に沿うように、そういう方向に努力をいたします。
○今澄委員 これで私質問を終りますが、何といっても水産庁の長官は直接行政の総元締にある責任者であります。あなたのきょうの答弁で水産庁長官としての責任ある態度を見ることができなかったことは遺憾千万であります。あなたはこの李承晩ラインの問題で、今後日本のまき網漁業あるいはその他の以西底びきに、従来通り李承晩ラインへの出漁を水産庁としてはお認めになりますか。 もう一つは、もしいろいろと問題が起った際は、水産庁としてはどういう態度をおとりになるのか。業者に対しては出漁をしばらく見合わすべし、水産庁はその出漁見合せからくる損害については、政府の責任において何カ月間あるいは何週間補償するから、その間において水産庁がこれに対する基本的な態度をとって皆さん方にお伝えするとかなんとか、およそ水産庁長官というものは、こういう際は漁業者に行政指令を発する義務があるのです。一体その義務をあなたは感じておられるのかどうか。ただ出たいものは出ていけ、拿捕せられたのは不運である、水産庁は無力であるというような水産庁長官なら、そういうことの決定をしない内閣に対して辞表を出されることが、良心的な水産庁長官のあり方なんです。水産庁長官があなたの責任だとお認めになったことをもう少ししっかりやっておれば、本問題はいま少しく進展を見せると思いますが、水産庁長官としての御決心なり、今後に対する業者への指導的信念なり、内閣に対するあなたの行政担当官としての決意なりを、一つこの際ここで述べておいてもらいたいと思います。
○塩見説明員 ただいま非常にきびしい御督励を受けましたが、私といたしましても、できるだけのことはやって参りたいと存じます。ただいまのところ、従来の方針を変えて出漁を見合わすというようなことは考えておりません。現在の制度としてできるだけのことはやって、それで従来の操業は継続してもらう、こういうふうな考え方でおります。もしそれに非常に障害のあるような情報その他の事態が起りますれば、漁業者の方と十分連絡をとって適切な措置をとります。またそれが間に合わないとか、情報なしで事件が起る等のことがございますれば、現在の制度でやれるだけのことはもちろんやりますが、これによって生起してくるような事態に対しましては、これは水産庁といたしましては、予備費等いろいろなものもあるわけでありますから、私独自の力だけで解決し得ないような部分も相当多いかと思いますが、極力漁業者の保護に当らなければならぬ、こう考えております。 それから先ほどからいろいろ御質問もございましたが、私の方でやり得るものは、今のところは、とにかく事件が起らないように予防する措置といたしましては、直属の船を持っておりませんので、臨機に民間船を雇い入れて、できるだけ漁業者の方に情報を提供するとともに、操業海域等についてできるだけ間違いのないような保護に当る、こういうふうなことをやっておりまして、これは事件が起ると同時に倍にしております。あとは事件が起りましてからの仕事でございますが、水産庁の所管、権限の範囲内において、特別措置として各省と折衝して予算をこっちの方へ認めてもらいたいというふうな話で、話のつくような部分は国会の御協力等も得まして、過去において、さっき申しましたように、乗組員の問題あるいは漁船保険の問題等、特別に入れてあるわけであります。 全般的にいろいろの事態を伺って参りますと、たとえば生活保護の問題であるとか、失業の問題であるとかいうふうな形になりますと、われわれの方の所管でやっておることでありますから、どうしても今の予算、権限という関係からいうと、保険という形に縛られております。そういう点で隔靴掻痒の感を免れないのでありますが、そういうことをより伸ばすとすれば、水産庁としては直接漁民の立場を徹底して守っていかなければならぬ立場にあるのですから、自分の権限の範囲においてはできるだけのことをやっておりますが、さらに進めるとすると、どうしても所管をもうちょっと逸脱しまして、あるいは他省所管の生活保護なり失業の救済の問題なりということをほかの省ももう一歩進めて、水産庁並みにそういう点で特別な措置を講じていただければ、より一歩進める。われわれの所管と予算の範囲についてある制約を受けておるものですから、善後措置といたしましてはどうしても足りない。拿捕問題について起った事件を解決するのに、われわれの程度に各省の方ももうちょっと特別措置を広げてもらいたいという部分の方がより多いのではないか、こう私は考えております。逃げるわけでもありません。私の方の所管でできるだけのことはいたします。ところがどうも大蔵省と各種折衝してみましても、どうしてもこっちの所管の範囲内じゃいまのやつを出にくいような部分が非常に多い、こういう事情にあります。そういう点については漁業者と十分連絡をいたしまして、他省の所管の問題であれ、これは資料の提供であるとか、各種の協力は、漁民のことでございますから、わしらはもちろん協力は惜しみませんし、できるだけ一緒になって解決に努力して参る、こう考えております。
○赤路委員 関連して。私はもう質問はしないつもりでおりましたが、ただ田口委員の質問の際の中川さんの答弁の中に少し重要な点があったので、あらためてお聞きしておきたいのですが、韓国側の意向はわかっておるという御答弁があったのですが、それはどういう意味ですか。
○中川(融)政府委員 いわゆる大村収容所の問題について韓国側から申し入れがあるわけであります。韓国側がどういう考えであるか、申し入れにもちろんその考えは現われておるわけでありますが、韓国側としてその申し入れの背後にいろいろの考え方があるわけでございまして、そういう考え方について数次の非公式な接触を続けました結果、ある程度の判断は私どもとしてもいたしておるのであります。この事実を申し上げたのであります。
○赤路委員 そうすると、大村収容所の問題だけなんですね。
○中川(融)政府委員 あの件だけのことであります。
○赤路委員 外務政務次官に一言だけ。この問題とは直接関連がございません。しかしただいま今澄委員から外務省の態度ということが問題になったのであります。新しく就任された、そうして何と申しましても国民の代表として出られ、国民の意思、気持、いろいろな面で十分お知りのお方であると思いますので、一言御注意を申し上げておきたいと思いますが、これは昨日ソ連抑留者の留守家族が外務省へ陳情に出かけました。その際にソ連に抑留されておる戦犯の留守家族の者であるが、できるだけ早くお帰し願うようこ御努力を願いたいという陳情なんです。これに対して名前をはっきり申し上げますが、寺岡参事官の答えは実に言語道断な答えです。どういうことを言っておるか。われわれはソ連に戦犯はないと思う。ソ連に抑留されておる者を戦犯だとみずから称するような人はわれわれと意見が違っておるのだ、そういう人の陳情は聞く必要はない——いいですか。そうして刑期が何十年あるかわからぬが、その刑期をそのまま向うで勤めておればいいじゃないか。君たちの陳情は聞く必要がないから帰れ、こういうような暴言を吐いておる。私はこれは重大な暴言だと思う。こういうような考え方を外務省の重要な地位にある諸君が持っておるということは、いろいろな面に非常に大きな影響を及ぼす。今までの委員会における、特に今澄君の質問の中にも外務省の態度というものが相当強く指摘されておる。今日のこの重大な問題を論議するのに外務大臣が出てきていない。すでに外務大臣自体はそういうような意向がある。それが下の方の人たちにまで反映しておる、こういうふうにわれわれは曲解したくなる。それでせっかくのことでありますから、十分外務次官の方におかれては、これらの点については戒告しておいていただきたい。これがこのままで済む問題ではありません。どうか御注意をお願いします。
○森下政府委員 ただいまのお話はまことに容易ならざることでございますから、十分に調査をいたしまして厳重に注意をし、かつさらに注意をいたします。
○川俣委員 時間がありませんので、関連して一点だけ政務次官にお尋ねしておきます。政務次官は先ほどの同僚委員の質問に対しまして、李ラインの解決は外交手段によらなければ困難だ、あげて外交手段によって解決すべきである、こういう御答弁なんです。この外交手段という中には、いわゆる外交交渉というような事務的なものだけを含めてお考えになっておるのか、あるいはもっと広範な政治力をも加えた意味の外交手段によらなければ解決つかない、こういうお考えで言われたのか。外交手段にもいろいろある。いわゆる外交交渉というような事務的交渉でなお解決つくというお考えでのものなのか、あるいはもっと広範な国民外交をも含めたようなものでなければ解決つかない、こういうふうに言われたのか、どっちの意味かとりにくかった。もう外務省ではすっかり手をあげて、国民全体の協力を得なければやれない、こういう意味で言われたのか、どちらだったか、それによってもう一つお聞きしたい。
○森下政府委員 御承知のようにこうした問題は単に事務的な交渉で解決すべきものではない。広い政治的な一つの交渉も入りますし、またただいま川俣さんから申されたように、やはり国民の大きな支持をいただくことがいかにも大切であります。そうして日本というものがこうした姿で進んでおるのだという話し合いを強力に進めていきたい、かように考えております。
○川俣委員 ほんとうにそうですか。
○森下政府委員 ほんとうにそうです。
○川俣委員 そうだとすれば、それは外務大臣みずから出てきて、この委員会の協力を求めるような態度に出るのでなければほんとうじゃない。あなたがほんとうだというならば、外務大臣が進んでここに出席されて、国民の支援を仰ぐような形をとられなければならぬはずなんです。いや休会中だから出てこないということであるならば、それは外務当局が事務的に解決されるならばそれでよろしい。国民的な協力を得られなければ解決つかないということであるならば、進ん出られなければならぬはずじゃないか。これが一点。国内的にはそれです。 もう一点は、これは相手を李承晩だけで問題を解決しないで——日韓会談というようなことを言っておられますが。韓国というのはおそらく南鮮だけをさしておられると思う。しかしながら朝鮮民族全体を相手にしてこの問題を解決していかなければいけないのじゃないかと思うのです。そうなると南鮮だけが朝鮮民族だというわけにはいかない。やはり北鮮の方とも交渉を持つような、いわゆる朝鮮民族全体の意見を把握して、それを盛り上げて問題を解決するということにならなければ、ほんとうの国民外交というか、政治外交にはならない。ところが今までは外交というと、外務省の役人がやれば外交だというふうになっているところに、三年も四年春解決しない問題が存在しておる。みずからやれないのにやれるような顔つきをしているところに今日解決がおくれているゆえんがあると思う。大臣みずからがそうです。第一出てこない。また相手にしておるのは李承晩だというふうなことだけで問題を解決しようとするところに問題ある。むしろもっと広範な朝鮮民族全体を相手にしてこの問題を解決つけようというところまで進まなければ問題は解決つかないと思う。それをただ南鮮だけに、しかも南鮮のロボットみたいな者だけにたよって問題を解決しようというところに日本の外交の貧弱さがある。やれないものをあたかもやれるようなふうにうぬぼれているところに今の外務省の失態があるのだと私は思う。その点を解決していくということにならなければ、新しい政務次官になっても何にもならぬ。第一にあなたがやるべき任務は外務大臣をここに連れてくること、国民外交に盛り上げること、それからやはり民族との外交を進めるというふうに外務省を指導していかなければならぬ、この三つの点だと思うのだが、どうですか。
○森下政府委員 御注意まことにありがとうございます。今の外務大臣がここにきょう出てこないということは、避けて出てこないの、ではなく、昨日の外務委員会におきましても本日の事情をよく申し述べてその了解を得ておりますし、また大臣はこちらへもきょうは進んで出ることを希望しております。しかし先日来きょうはどうしてもやむを得ない関係のことで出られないということでありましたので、この点は一つ御了承いただきます。むろん外務大臣は努めて皆様の前に出てこれを明らかにし、国民にこれを知らしめて、国民の協力のもとに仕事を進めなければならぬと私は考えております。 それからただいま韓国の問題を、単に李承晩だけにたよって解決していくということはほんとうの国民外交じゃないじゃないか、こういう仰せでございます。むろんこれはそういうことではありますけれども、現在の段階といたしまして、韓国の問題を解決するために北鮮の問題をこのままに入って参りましたのでは、これはどうしても解決ができない。従って韓国の問題を解決しながら、この北鮮の問題もわれわれは一つの大きな外交として考えていかなければならない、かように考えております。
○川俣委員 最後の点については見解の相違がありますが、時間がありませんから、政務次官に教ゆべきことは別の機会に譲りまして、本日はこれで質疑を打ち切ります。
○綱島委員長 午前中はこれにて終りまして、午後三時より再開をいたします。 午後一時三十分休憩 ————◇————— 午後三時十五分開議
○安藤委員長代理 休憩前に引続き会議を開きます。 この機会にお諮りいたします。先ほどの理事会におきまして申し合せいたしたところでありますが、午前に調査を進めておりました、いわゆる李承晩ライン周辺における漁船の操業の安全確保の問題につきましては、さらに来たる十二月七日午前十時より継続いたすことにいたしました。つきましては、その際成規の手続によりまして、外務大臣、農林大臣、法務大臣、大蔵大臣、防衛庁長官の出席を求めたいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○安藤委員長代理 御異議ないものと認めます。よってさよう決定いたしました。 続いて北洋漁業に関する件について調査を進めます。まず政府より説明を求めます。塩見水産庁長官。
○塩見説明員 北洋漁業の許可の方針等につきましては、現在まだ方針が最後的な決定を見ておりません。大臣も来週早々にはきめるぐらいな腹組みで準備を進めておるようであり、また私の方もそのような準備で進めておるような状態であります。こまかい点等はかなりございます。そういう点がきまっておりませんので、今までに大体申し上げられる範囲で申し上げます。 第一が母船式のサケ、マス漁業でございますが、操業規模は本年度における操業の実態と、カン詰その他の製品の販売状態等を考慮いたしまして、アリューシャンの海域すなわち東側でございますが、これにつきましては新規の船団は増加しない、こういう方針を固めております。それからオホーツク海海域につきましては、若干の船団の増加は可能である、こういうふうに考えられます。その数につきましては大体四船団ないし五船団というふうなことでまだきちっと隻数、船団数等は確定いたしておりません。 それから第二は適格船の選定でございますが、母船は従来通り経験技術その他能力を考慮いたしまして、それで十分適格性のあるものの中から選定する、こういう方針でございます。独航船も、大体従来と同じように、東の海域におきましては五十トンから八十五トン、オホーツク海海域においては船の装備も、今のところ幾らか海の方も平穏でございますから、四十トンから八十五トンというところでもって、操業上安全を保ち得るだけの設備を有するものの中から道府県の知事に選考してもらって、その中から審査決定する、こういう方針で参りたい。ただし独航船につきましては、やはりあの海域はかなり荒れることがございまして、やはり遭難の事故も絶えないということから、年々そういう点について安全に航海できるような設備を要求しておりますが、本年度は、昨年度の経験にかんがみまして、今までやっておりますことを一応申し上げますと、先ほどのトン数とディーゼル機関であるとか、無線電信機を備えること、方向探知機を備えること、それから搭乗作業員の災害予防装置を設備すること、速力が大体七ノット以上ということ、そういうふうなやり方できておりますが、昨年の経験にかんがみまして、超短波の電話機を装置する方がいいという結論に達しております。それと漁夫たちの飲料水の関係もございますし、海難等の危険もございますので、五トン以上の水槽を甲板下に設置してはどうかということ、それから常時使用するとろこの漁網の置き場を甲板下に設置するというふうなこと、それから先ほど申しましたところのオホーツク海に出漁する漁船につきましては、測深儀を装置してもらうということが安全性を保つ上からいいのではないかと思いまして、そういうふうな点の条件をつけて参ろうか、これはもちろん関係者の意見も徴しました上で決定して参りたい、こう考えておるところでございます。 それからもう一つ、やはり漁獲の上である程度むやみな競争が起るという問題もございまするし、操業の安全ということもございまするので、一船当りの使用網数を制限して参ったらどうか、専門家の方からこういうふうな意見が強く出ております。私らの方としては、大体の見当として、これは大臣と最後的な決定に至っておりませんが、アリューシャン海域におきましては大体最低四面反、オホーツク海におきましては最高三百反、こういうところが適当じゃないかと考えております。昨年の場合幾らか若齢魚をとったというふうな地帯もございます。これらは資源保護の関係もだんだんと考慮して参らなければならないわけでございますが、その点につきましては、テクニカルにいろいろむずかしい問題もございます。網目も下手に制限いたしますとマスが入らないので、網の目と鮭鱒の時期とをきちっと考えて、網目を鮭鱒の場合には制限して参ることも考えられないことはないわけでございます。それからある程度若齢魚をとるというような、ことに紅ザケの問題でございますが、そういうふうな時期が非常にはっきりとしますれば、その時期にその海区は操業しないというようなテクニカルな方法もあるかと思います。これはほかの魚種はそれほど心配はないかと思いますが、現在やはり紅ザケにつきましては、これから先もでありますけれども、国際的にも資源保護というふうな点で、われわれも注意していったらいいんじゃないかと思いますが、テクニカルにむずかしい点がございますので、まだ検討中でございます。うまい方法がありますれば、できるだけ若齢魚の捕獲が行われないような方法を講じて参りたい、こう考えておるわけであります。 それから次は母船式のカニ漁業でありますが、べーリング海の東部海域、今までやっておりますところでございますが、これは一船団を適当とする、これは当初からそうであります。箱数は当初予想したよりも幾らか多くとっておりますが、しかしながら魚族の減少したという傾向は認められません。それはある程度、意見によりますれば、沿岸近くの方で向うのトロールが引いたためにその漁場が荒れまして、産卵場がむしろ沖に寄ったのではないか、沖に寄ったためにかえって魚族の繁殖上プラスが出てくるのじゃないかという意見もございます。そこらの点ははっきりとはわかりませんが、大体今までの規模で継続してかまわない。ここ数年の経過から見ますと、増加する方にはもちろん行かないというふうなところで、一船団を適当とすると大体考えております。 それからオホーツクの海域、すなわちカムチャッカの大体西岸でございますが、これは昨年二船団でやっております。それでやはり当初予想した通りに、従来とっておりませんから非常に資源は豊富になっております。しかしながら漁場はこちらは従前と違いまして非常に制限されておる、こういう関係は継続いたします。資源の点よりもむしろ操業できる漁場の広さとそれから資源の移動、カニの移動というふうな点、いろいろ検討いたしまして、事務当局としましては四船団がこの海域では適当ではないかと考えております。とにかく一部の意見では、十船団近く行ったってとり得るというふうなことを言う人がありますが、これはもちろん過去の三海里までとっていた状態のもとでの前提でございまして、現在そういうふうなことは国際関係から見ますとまだ無理でございますし、出漁早々でございますから、とにかく四船団ということが現在の操業海域から見ますれば適当ではないか、これは現実に出漁するような各社の方も、大体においてそういう主張が支配して強い、そういうふうに見られます。われわれもいろいろ検討してみまして、大体四船団くらいが適当であろうかと考えております。 もう一つとしましては、べーリングの西部の方の海域でございますが、オリウトルスクから東のかなり北に寄りました海域でございます。これは昔日本が操業したこともございますし、その当時にはかなり無統制で多数の船団が入り込んだために、数年でもって漁場を枯らした、そういうところでございますが、一船団くらいは十分やれるのではないかというふうに考えられます。このところにつきましては、日本としてはやはり非常に経済的に採算のとれる漁業種類、漁場というものが足りないわけで、漁民としてはますます出ていきたいという気持が強いわけでございますから、こういうところは試験操業としてでもやることが望ましいのではないか。外国としても、そういうところまで出ていって日本がやるというふうなことについては、いかに日本の漁業が苦しい状態にあるかということがよくわかるかと思います。そこに一船団くらいを試験操業としてやるところがあればやらしてみたい、こういうふうに考えております。こういう状態でございます。ここらはまだ最後的にはもちろん確定に至っておりません。 大体は、大ざっぱに申しまして現在のところはその程度の進捗状態でございます。
○安藤委員長代理 これより質問に入ります。通告順によってこれを許します。赤路友藏君。
○赤路委員 ただいま水産長官の方から三十一年度の北洋母船式漁業に対する大まかな構想の説明を承わったのですが、まだ最後的な決定線に至っていない、こういうことなんですが、少くとも今までの過程においてほとんど最終的な線ができておるのではないかと思うのです。今の御説明の中にカムチャッカ東の方は現況のままで船団は置いておきたい。それから西カムの方は四船団もしくは五船団、鮭鱒の方ではふやしていく。こういうような御構想のようでありますが、資源関係はどういうふうにお考えになっておるのか。東カムは現在十二船団ですか出ておりますが、それはそのままとしておいて、西カムの方は四船団もしくは五船団ふやすということになるが、資源の関係を十分考慮に入れた上の構想であるのかどうか、その点を承わっておきたい。
○塩見説明員 ただいまお話の通り、東は従来通りということは、十二船団でございます。これは大体資源的に見ますれば、先ほどもちょっと触れましたように、問題になりますのは紅ザケでございます。紅ザケの実績から申しますと、戦前の大体九四%程度までいっております。そういう関係からしましても、紅ザケにつきましては特殊な若齢魚をとるような時期、漁場等がはっきりしますれば、そういうところはなるべくやめるようなうまい具体的な方法があればまだまだ大丈夫なんですけれども、そろそろ抑えていった方がいいのではないかという感じを持つのであります。その他の魚種等につきましてはまだまだというところで、紅ザケも含めまして全部の魚種につきましても、戦前に比べますれば六一%にしかまだ達していない、こういう状態でございます。それで外国等から出ます意見も、大体問題としましては紅ザケ以外はまだ出ておりませんし、オホーツクの方もマス及び、時期がかわりますが、白、一部銀の漁場が発見されましたが、そういう状態でございまして、これらの魚種については資源的にはまだまだ問題がある。過去の実績に比べましてもまだまだそこまで達してない、こういう状態でございますので、大体危険は少い、こう思っております。
○赤路委員 今の御説明の通り、外国の方で問題にいたしておりますのは、現在の段階では確かに紅ザケだけでありまして、その他のものには触れてないようであります。先般のローマ会議におきます会議録を見てみましても、紅サケにのみ何か限定されて外国の方は言っておるようです。特に強く言われておるのは、紅ザケが乱獲によって非常に枯渇を来たしつつあるということ。今の御説明でいきますと、戦前における漁獲高を基準にして、そうして現在なお九四%であり、あるいは六〇%だと、戦前漁獲高の基準の上に立ってなお資源は大丈夫である、こういうふうな御説明のように承わるのですが、そういうことなのかどうか。
○塩見説明員 大体現在ありまするデータとしましては、戦前の漁獲は漁獲率として適切であったかどうかというふうな点については、十分それを数字的に立証する資料はございませんが、しかしながら大観して見まして、あの程度のものであれば、そう減少しないで維持されております。とにかく私も数年前に技術者を集めて、どのくらいの漁獲率であったかということをいろいろ推定してもらったことがありますが、根拠がはっきりしませんので、当時の漁獲率ははっきりなかなか出ません。ある技術者は二割くらいだろうとかなり高いような漁獲率を言う人もありますし、逆に少い人もありますし、当時の資料では、漁獲率まではみんなが納得できる算定はむずかしい、こういう状態でございます。現在もやはり日本だけでとっておるもので、そういう資源についてはやはり算定はしにくいという状態にあろうかと思うわけであります。資源の調査等につきましても、やはり同じ魚種をとっております各国等の資料とにらみ合せまして研究しませんと、科学的なことは言い得ない。現在の段階としましては、大観してみてそういうふうなところからそう申し上げるほかない、こういうところでございます。国際会議の方も、私は就任早々で、まだ詳細に議事録を見ておりませんが、あるいは太平洋のいわゆる東部百七十度以東の線、条約で確保しておりますそこの線において、日本が乱獲したためにそこの紅が減った、こういうふうなことを言う人もおるようでございますが、これはもう実に不当な話で、今までの資料としましては、向うに行く魚族を今日本が追っている海域でとっているということは、この点は当然立証し得ないと私は確信して起ります。現在そう東には行っておりません。条約で確保した線一ぱいまでは行っていないのです。そこの方には漁場は大したものは発見されません。漁種によってはことしになって少しこっちへ寄りまして百七十度ないし百七十五度くらいのところをずっと北上して、それからずっと西の方のカムチャッカの方へ向って移動しておるというデータはきっちりありますが、こっちへ行くというデータはありません。あれば当然漁場はこっちへ移るわけです。ですからアメリカ、カナダ等においてそういうことを言うとすれば、少くとも現在におけるデータでは、これは不当な発言だと私には見られる。
○赤路委員 今のアメリカなりカナダなりが言っている紅ザケの乱獲は、百七十五度よりもカナダ、アメリカ側の方で操業していないということは事実であって、またサケの回遊径路というものは、在来のデータからいった場合、塩見長官の言うことはもっともだと思います。ただ問題は、操業方法が、戦前における操業のやり方と戦後試験操業をやってきたときとは、少し形態が違ってきている。今までのように待機して遡上をするサケをとるというのでなく、魚群を時期的に追いながらとっていくという操業形態になっておるということ。従って過去相当船団も出ておったろうし、独航船数も現在と比較してずっと多い。多いにもかかわらず今日過去の船団状況から見れば、非常に少い船団でもって戦前に近い漁獲を上げておるということは、操業形態が大きく変化してきた結果だと思う。 その点はさておいて、東の方はいいといたしまして、西カムの方は、まだ明確でないんですが、私の心配するのは、ことしの操業は確かに非常な豊漁であった。確かにそういうことは言えると思う。特に西カムは非常によかった。そういうことで今度船団が大きく三倍近くまでなろうとするわけなんですが、もしも本年のことを基準にして来年のことを目するとすれば、来年の操業状況というものは、大体本年度の操業の結果から割り出したことではあろうが、万一来年の操業が非常に不漁であった、海流の関係その他いろいろありましょうが、不漁であった場合、やたらに船団をふやしてやった結果が非常に困った結果になりはせぬか。それで船団を健全にしなければならぬというようなときにはまた困る問題が出てくるのじゃないか。そういうことをも十分資源とからみ合せて考慮の中へ入れておかないと、希望するからというようなことでむやみにふやしていくということは、実際行政庁の立場としてはとるべき態度ではないのじゃないか。もちろん、先ほど長官の方からも言われておりますように、資源調査ということがまだ十分でない。ただ古いデータ、そして現在までの試験操業を通じて現在までの何年かの操業の結果から見て、客観的にこの程度は大体大丈夫だろうというような形では、この正確なものは握れていないということは事実なんです。これは将来の大きな問題ですから、資源の調査ということを怠って操業をするということは本来成り立たぬと思う。特に国際的な漁場においてはなおさらそういう点が強く感じられると思う。 これはあとにいたしまして、さて四船団もしくは五船団ふやして、あるいは六船団とも言われておる、気の早いところでは、すでに号外まで出して、もうきまったがごとく言っておるようなところがある。こういうようなことで業者の立場からいきましても、あるいはこれに関連を持つ働く人たちの立場からいっても、それぞれできるだけ早く正鵠な線を出してもらうということが希望じゃないかと思う。この四船団もしくは五船団ふやして、なおそれで十分な自信があるかどうか。西カムにおいて来年度あとで変な問題が起るようなことがないかどうか、その点自信をお持ちになっておるかどうか、ちょっとお聞きしたいと思います。
○塩見説明員 西カムにつきましては、昨年非常に豊漁であったということは御存じの通りでございますが、西カムでの問題は、私の方の数字等を検討した結果につきましては十分自信がございます。マスにつきましては、先ほど御注意もございましたが、一年置きに漁不漁があるというのが過去の統計で出ておりまするし、数十年の統計で来年はむしろ悪い方に当るというふうな点からの御心配もあります。もちろんわれわれの方としても、そういう点は十分考慮しておりまするが、現在までの数字は、最近におきましては一年一年の二年魚でございますから、振れ得るわけでございますけれども、この振れの幅が非常に狭まってきている。一説ではあれは一年置きに漁不漁があるというのは少し危ないじゃないか。これは先ほどお話のありましたように、漁獲方法が非常に進歩してきましたから、長い期間沖で追うということが可能になってきましたから、その変化と毛対応して資源の増減というのは見なければならないとも思いますが、しかし最近のあれでは、一年置きに漁不漁があり得るということは考えられますが、この幅が少くも昔に比べましたら非常に狭まっておるということだけは、独立後操業した成績等が示しておるわけでございます。あの海区での問題は、むしろ二船団ではとり過ぎた、問題はとることではなくて、それをいかに処理するかというふうな方が主体の問題でございました。うまく処理したところは非常に黒字をあげましたし、処理がまずいと経営が苦しかった、こういう実情でございまして、漁獲及び資源の問題の方は、昨年は全然なかったということでございまするが、本年といえども差はつづまっておりまするし、現在程度考えております船団数ならばこれは問題はない。むしろ問題は魚の品質をいためないように、それをいかにうまく処理するかというところに問題の焦点があろうか、こういうふうに考えられる状態でございます。
○赤路委員 大体それで鮭鱒の方は了解いたしますが、私特にお願いしておきたいことは、塩見長官は古巣へ帰られたという形なんで、特に何と申しますか、ある面においては非常にがんこでもあるが、ある面においては絶対に所信をまげないという正しい立場に立っておやりになる方であるので、御希望申し上げたい点は、長官も御承知だと思いますが、本年度の母船漁業の許可にからんで、河野農林大臣が告訴されたという事実があるわけです。もちろんこれはどの程度の問題になるのか、あるいはどういうようなケースのものであるのか私もあまりつまびらかにいたしませんが、どちらにいたしましても、母船漁業の許可に当って、そういうような責任のある農林大臣が告訴をされるというような不明朗なことがあってはならないと思う。それで三十一年度の操業許可に当っても、巷間いろいろなことが伝えられておる。私はこういうような不明朗なことを再び繰り返さしめないように、長官としては十分腹をきめて、大臣との折衝に当っていただきたい、こういうふうに思うわけなんです。これの起った原因というものは、やはり何といっても非常に適正を欠いたということが一つの問題点であったかと思うのでありますが、およそこれらの事情は、再度長官として御就任になってから十分御調査済みのことであると私は考える。強くこの点を長官にお願いしておきます。 それからカニ漁業の方ですが、カニ漁業の方の現在までやっておりました二船団を四船団にふやすということ、これは長官のおっしゃる通り相当な漁はある。むしろ漁場の狭隘ということが問題点になるので、資源よりも漁場が問題だというお話でありました。この点私も現在の条件においては同感でございますが、これにいたしましても何かもやもやした空気が、率直に申し上げてあるようです。私は長官が四船団が妥当であると言われることには相当な根拠があろうと思うわけです。単に政治的な操作とか政治的な考慮等によって事が運ばれますと、私は将来やはり大へんな傷を残すと思う。これは長官にいうことは無理かもしれません。無理かもしれませんが、これは十分お含み置きを願いたい。農林水産委員会でこの点を強く御要望申し上げるので、かりにも適正を欠いた政治的な考慮に基くような許可による母船操業の増加というようなことは、今度こそほんとうにやめてもらいたい、この点を強く御要望申し上げておきます。以上私はもうほかに大してありませんから、それだけで質問は打ち切ります。
○塩見説明員 昨年の許可につきましては、私は当時の当事者でなかったもので、その詳細なことは知っておりません。現在やっておりまするような処理の仕方につきましては、できるだけ御趣旨のような形で−もちろんこれは大臣許可でございまするから、われわれとしましては大臣の補佐の責任者としまして、できるだけ公正な、文句のないような形で処理をする責任があるとこう感じております。ただこれは就任当初にも私申し上げたのですけれども、業界の方の個々の立場にしますと、どうしても一五〇%を吹っかけてくる。多く吹っかけた方が得だ、こういうので、あるいはもう全部の人たちがみんな不満だというふうな結論に落ちつくかわかりませんが、それは公平な不満であればそれでおさまってもらいたい、こういうふうな形になるかとも思います。この船団数の問題につきましては、これはざっくばらんに申し上げますると、大臣は海外市場その他の方をお考えになられて、鮭鱒についてはむしろかなり消極的な感じを持っておられたようですが、これはむしろ私らの方の計算からしまして、数はふえてくる、そうか、それならば売る方、処理の方がうまくできればそこまでいこう、こういうふうなお話でございます。カニにつきましては、逆に幾らか多目に——昔の資源等の関係もございましたし、資源的に見れば余裕はあると思うのですが、操業漁場等のことがこまかくはまだ当り切っておらぬのですから、幾らか余裕をもって見ておられるようですが、われわれとしては、資源というよりは操業漁場の関係からいいまして、これは当然国際的にロシヤ側も六船団出して操業しております。戦前と違いまして、向うの船団もカムラン湾で領海内を操業するだけではなくて、出ガニを追いましてやはり公海に出てきて、なるべく長い期間操業する、こういう形になっておりますから、漁場において、どうしてもお互いに漁業者としての常識でもって、操業上問題を起さないような形で入り会わなければなりません。そういう点等も考慮しまして、どうしても漁場の範囲等から計算しまして、四船団がいいところだと考えますので、大臣もそういうふうにかたく計算されて、それもよかろう、こういう形で船団数につきましては、今までのところ大臣としましてもわれわれの意見を十分徴されて考えておられます。これはもう国際的な問題ですから、個々の業者の利害得失という問題ではなくて、日本の漁業が国際的にやり方が適正かどうか、資源の点を考慮しているかどうか、漁業の操業度の点も考慮してやってくれているかどうかというふうな点に対する信用の問題でございます。ですからそういう点ではわれわれの方としては、今後の漁業の発展上も非常に重要な事項でございますので、十分検討しながら大臣にお伝えして、大臣も十分その点を考慮しながら考えていただく、こういう状態でございます。
○赤路委員 今の問題ですが、鮭鱒についての意見は大臣よりも事務当局の方が拡大についてはより強い意見が出ている。カニ漁業はそれとは逆な方向にあるというふうに承わるわけでありますが、カニ漁業については本年度の場合、確かに漁獲全体としては非常によかったと思います。しかしながらサイズが相当小さかったのではないかと思います。この点当初サイズがあまりにも小さいためにいろいろと問題になった点もあったかと思います。今さら言うまでもなくあそこのカニの操業は、産卵に接岸するものと産卵後下降するものとをそれぞれとるというのが大体の現在までのあれだと思います。しかし下降するものも上昇するものも、産卵に行くものもサイズが小さいということをやはり一応参考として御検討願って、その上でこれらに対する対処をしていただかなければ困るのじゃないかと思います。結局昨年の操業はよかったとはいいますが、きめられた規定期限内における操業全体は必ずしもよかったとは手放しでは言えないのではないか。あと延期したというところに一つのややよかったという線が出ているのではないかと私は思うのです。もしもあれの延期がなかったならば、必ずしも手放しでよかったのだとは言えないと私は思います。そういう資源、とったカニの生態等をも十分考慮の中に入れて、この点は御勘案願いたい、願わなければならぬ。これについては今おっしゃるように、業者の諸君からは強いいろいろな要望があろうと思う。それは百パーセント聞いてあげることなほんとうに業者の人たちは喜ぶだろうが、そのことはいずれまた再び業者にとばっちりがはね返ってくるということを考えた場合、この際やはり適正な増加でとどめていくということが私は最も正しいやり方ではないか、こういうふうに思うわけです。なお念のためにそういう形態であったことを申し上げて、それらの点に対しても十分なる御考慮を願っておきたい。
○塩見説明員 カニの魚体の問題はブリストル湾の方は海峡の関係、えさの関係等もありましょう、あれに比べると小そうございます。しかし戦前に比べて小さくなっているという事実はございませんし、漁獲の状態からいいますと資源は十分回復した、こう見られます。過去の漁獲量等からも算定いたしまして、まだロシヤの側においてはかなり控え目なとり方をしておりまして、戦前に比べるとずいぶん少い。ですからその点は問題は大体ないと考えると、さっきおっしゃったように漁場の狭隘という問題が主になると思います。本年度出漁しましたものはやはり接岸するカニのほかに一部夏場において滞留しているカニをとっているのです。その時期においては雌の方は全部とらさないことにしておりますので、とにかく産卵上の問題についてはそれはもちろん保護できるのでないか。昨年は実際初年で、制限された海域での初めての漁業であるにもかかわらず、割合に予定の期日よりは早目に計画量を確保できたわけです。やはりいい漁場に入った方が非常に早かった。ちょっと漁場の方の間違った方は二十日間近く遅れましたが、予定よりは、計算をいたしますと、早目に切り上ってくるという形でございまして、余裕は今よりも十分ある。ことに二年目でございますから、幾らか制限された漁場の内容については見当はついておりますから、四船団というところはかたいところですね。そう危険性が起るとは思っておりません。
○赤路委員 今ちょっとブリストル湾のことが出たのですが、ここのカニ操業は来年はどうします。
○塩見説明員 先ほども申し上げましたように、資源的に見ると減ってない。どうも繁殖場が変ったのじゃないかという意見があって、かえってそれが好影響を与えているのです。一つもとれ方についても変化が起りませんから、むしろ楽な状態でございますから。まあそういうような状態から見ましてそういう意見も出ている。しかしながらこれはもちろん二船団をやるというようなそういう漁場だとは考えられません。過去においても二船団二回操業してがたっと落ちた実例もございますし、当初この方針をきめますときにも、そういう計算のもとで一船団ということをかたくとっていたほどでございますから、本年ももちろん一船団出すほかございません。
○芳賀委員 ただいまの赤路委員の質問に関連して長官にお尋ねしますが、ただいまの御答弁によると、およそ四船団を新規に今度は編成して出漁させるというような構想のようでありますが、一番大事な点は、船団の割当等をやる場合における基本的な考え方をどこに置くかということが、説明されていない。さらに最近の情報によりますと、北洋漁業に対しては資本の系列化を行なって、たとえば日水、大洋、日魯、この大企業漁業の支配のもとに系列化を行うというようなことも非常に伝わっているわけでありますが、この系列化の問題と四船団を新たに増加するというその考え方の関連というものは当然あろうと思う。ですからその基本的な考え方はどこにあるのだということを、もう少し明確に御説明願いたいと思う。
○塩見説明員 カニは四船団で、カムチャッカ西岸のものは過去二船団ずつ共同でやっております。ですから四社が二船団出したという形になっております。それを分割するのだ、個々にみな独立してやれるようにするというのが、大臣の発表されている——これは今度私が就任する前に発表されている方針でございますが、大体そういう線にいくのじゃないかと考えております。 それから系列化の問題は、これは私も大臣から承わった範囲で、あるいは誤まりがないとは言えないかもわかりませんが、大体私の承知しております範囲では、系列化という問題を考えたのは、大臣としましては、今後の魚価の点等につきまして、大体今カニにつきましても、国際市場に乗っておって、おそらく……。
○安藤委員長代理 ちょっと速記を中止して下さい。 〔速記中止〕
○安藤委員長代理 速記を始めて下さい。
○塩見説明員 そういうふうな点等から考えまして、弱いところで、経営採算が成り立たないようなところですと、そういう時期にどうしても適正な価格が維持できなくて、安売りしてしまいやしないかというふうな点は、お互いのあれとしては危険性がありますし、日本の漁業の発展上に障害があるわけですから、そういう点について十分コストを下げて生産ができ、いざというときにある程度踏みこたえがきくというふうな力がある——だからある程度政府やその他の方の金融でいろいろやりくりができればなおのことでございますが、ほかの各種の輸出物資もございましょうし、やはりそういうときは、その業者の中で力のあるものはある程度持ちこたえがきくし、そうでないと金融というのは、幾ら政府がじたばたしても、なかなかつけにくい。こういう事情でございますから、そういうような点も考慮いたしますれば、なるべく国際的に競争力を持ち、伸びるものは伸ばす。それから現在日本の漁民の中で、出ていって有利なところで働きたいという数が多い。ですから、国力の許す範囲でできるだけ北洋漁業で就業の機会を与えるということがいい。それには非常に安いところをやれば、漁家の方の払いも悪くなる。それから競争力がないから、それだけの増産がそういうふうな安い価格ではとてもできぬという形になりまして、どうしても発展性がとまりやすいというふうな意味から、総合的な観点から見まして、コストが安く生産でき、いざというときにできるだけ踏みこたえがきくようなものが出た方が、漁業の発展上はいい。大体こういうふうな観点から考えられておる問題と私は承知しております。ここに何会社、何会社と例はあげたけれども、それにこだわっておられるような状態ではないと私は伺っておるわけであります。
○芳賀委員 先ほどの長官の御答弁によると、カニ漁業だけに限定されたような御答弁でありましたが、私のお尋ねしたのは、船団割当の場合に、たとえば西岸の鮭鱒漁業等についても、四船団ふやすということなんでしょう。そういう場合の基本構想をどこに置いて指定等を行うかということも、まだ明確にされておらないわけです。ですから、その点を具体的にお述べになる必要があると同時に、もう一つ、系列化の問題も、大臣自身でないのですからやむを得ませんが、今抽象的にお述べになっておるわけです。たとえば日本の漁業構造の上からいっても、一つの漁業転換を行わななければならぬという時期に到達しておるわけです。そういうときだけに、ただ単に大きな資本漁業を三つなら三つに限定して、その系列の中に入れてしまうということになると、やはり私的独占の傾向がどうしてもそこに生ずると思うわけです。国際競争の中において、資本力に耐え得るということも、一つは必要であるけれども、今後のわが国の漁業構造というものを、そういう私的独占の限定された系列に入れなければならぬという理由は、どうしても了承できないわけです。その点に対して水産当局としての長官の考え方をもあわせてお尋ねしておきたい。
○塩見説明員 鮭鱒の方につきましても大体先ほど申し上げたような考え方で考えておられると私は存じております。母船につきましては従来通り大体経験、技術、それから先ほど申し上げましたような能力というふうなものを十分検討して許可していくのが妥当であろうと思います。ただし私的独占の問題につきましては、それに問題になるほどの集中を起す、公共の福祉というものがじゅうりんされるような形で起すというふうなことになるとは私は感じておりません。そんな程度に行くような——これは程度の問題でございますけれども、そういうふうな措置をとられることは大臣は考えておられぬと私は存じております。
○芳賀委員 もう一点お尋ねしますが、その場合私企業によるところのそういう漁業資本、もう一つはそれと異なった、たとえば共同化されたような資本構成によるところの漁業というものは大きな期待を持たなければならぬわけです。ですからそういう資本構成が異なった今後の漁業の発展というようなことは当然取り上げていかないと、今日の漁民層の困窮の度合いというものを打開するためには、そういうところに発展の道を求めなければならぬと思うわけです。そういう場合においても、先ほど申した通り三つなら三つの系列の中に、それらの資本系統も全部入れなければならぬという考え方というものはどうしても了承できないわけなんですが、長官はそれに対して妥当であるというように考えておりますか。
○塩見説明員 共同化されましたものが母船経営を営むというふうなこと、それがもし実際問題としまして経営能力もあり、実際やった場合に漁民への支払いもできるし、競争力も持てるし、それによって国際競争場裏において、あの地帯を開発していく力があるというふうなことが立証されれば、もちろん経営形態として考えられると存じます。しかしながらその問題は私も過去において漁業法当時ずいぶん検討はいたしましたが、非常に巨大な資本を擁しまして経営的に組織的なものについて、そういう共同化された機構が適当であるかどうかということは、これには実行してみました場合にいろいろな問題もございますので、要は独航船が——私らのとりました方針としては、漁船側が独占的な力を持つことによって独航船の地位が戦前は非常に押えられて不利であった。それをとにかく共同の出願という形で対等の地位におきまして、独航船も十分発動できるという形で独航船の地位は確保する。それから独航船の経営者と乗組員との関係は、各種の労働法規に基きまして適正な賃金でやってもらうというような形でいくようなやり方でも、十分国際競争力を増しながらそういうふうなむずかしい漁場について相当な就労の機会を漁民に与え得るような形にはできる、こう考えております。おっしゃる方の方向というのは考えられますわけですけれども、それを全然排除するというようなことは考えておりませんが、現実問題としてなかなかそういう経営というものについてうまくいくかどうかということについては問題もございますから、あとのようなやり方をきっちり固めながらいくというやり方でも、漁民なり乗組員なりの地位は十分確保されると私は信じております。
○芳賀委員 関連質問ですからこれでとどめておきますが、今の長官のお話によりますと、共同化された資本の現段階においては、力が微弱であるということは是認しますけれども、これを育成するというところに行政上、政治上の道があるわけなんです。そういう努力を全くしないで、今の段階ではだめなんだから将来もだめだ。そういうことになると、発展というものは全然ないと思うのです。今後の沿岸漁業の大きな転換というものをどうするかという一つのコースをたどってものを考えた結果は、結局今後共同化された漁業あるいはそれらの資本を基礎にしたところの漁業形態への転換というものを無視してものを考えることはできないのじゃないですか。大臣がおりませんから、これらの基本問題はいずれ大臣の出席を待ってもう少しただしたいと思いますけれども、この点に対して塩見さんはわれわれが信頼に足る程度の見識を持っておられると思っておるので、こういう質問をしておるわけです。長官自身の見解をもう少し明らかにしていただきたい。
○塩見説明員 漁民の共同化できる部分としまして、やはり生産組合式な行き方で相当成果をあげ得るものもあります。私も前やっておりましたときに、法規にもそれをうたいましたし、生産組合に対する政府の濃厚な援助ということも考えまして、——もちろんその場合には組合員の資格を持つ者、それは漁業に行っている三分の二なら三分の二は従事者でなければならぬというふうに制限を加えております。株だけ持って漁業に従事しないような人間が過半であれば、そういうものは生産組合と認めておりません。それからまた従事する人間の三分の二以上なら三分の二以上が組合員である、こういうような形でなければ生産組合と認めない。形を生産組合に借りて、政府の保護があるからといって一部の人間が利用するような形態は防ぎまして、そういう制限をつけたもので生産組合というものを助成していくということは考えます。そういうふうな点に最も妥当するような漁業と、それには妥当しないというふうな漁業とございまして、そういうふうな関係から申しますれば、こういう母船式経営というようなものは、少くとも現在の段階では、そううまく行くようなところまで訓練はされていない、こう考えております。これは一つの理想ではありましょうが、現在の段階ではかなり困難だと私は考えております。率直に申しますけれども、それをそういうふうに育成するということは大事なことではございましょうが、とにかく同じだけの金があるなら、現在漁民自体も非常に金融に苦しんでおるというふうな場合に、ほかの漁業の面へその金融をつけてくれた方がありがたいという漁民も相当数おりますし、そういうふうな点等も勘案しまして考えていかなければならぬ、こう考えております。母船式の漁業というようなものは、もし考えられるとしてもずっと先の将来、それだけの訓練を踏んでからあとでなければ、共同化というものは最も困難な形態ではないかと私は感じております。
○安藤委員長代理 川村善八郎君。
○川村(善)委員 私は水産庁長官の御説明の中に疑義の点がありますから、大体五、六点についてお伺いいたしたいと存じます。 まず第一点の大臣の腹がまだきまっておらないという点でありますが、もちろんそうだとも思いますけれども、われわれの観察からいくと、大臣の腹はきまっておるというふうに考えておるのであります。しかし本年の北洋の出漁の際に、私の質問に対しては大臣がこう答えております。多分三月二十八日と思いますが、昨年度は、すなわち二十九年度は七船団であったものを十四船団に増加した。一体その理由はどこにあるか。それからさらにそれは一体大臣の政治的な含みで大幅な拡大をしたのかどうかという質問に対しては、大臣は決して政治的な含みは何もない、いわゆる水産庁当局の事務案というものを尊重して、それを基礎にして決定をしたのだ、こういうお答えでございます。従って昨年大臣が御答弁されたことからいいますと、どこまでも水産庁の事務案程度のものが基礎にならねばならないし、またなることが妥当であると私は考えておりますが、この点について水産庁長官と大臣との食い違いがどこにあるかということと、水産庁長官は水産庁の事務案というものを強行する意思でこれからおやりになるかどうかという点が一点。 それから第二点は、東岸の船団は十二船団、現状維持であるということでありますが、昨年実は十一船団であったものが一船団あとでふえております。そこで独航船の数は必ずしも船団の数に適当でないということを私は認めておりますが、独航船もやはり現状維持でいくかどうかというのが第二 点。 それから第三点は、西岸に二船団出ておりますが、大体四船団ないし五船団を増加したいと思うという御発言でございますが、この点については資金的に私も長官の言われるように何も心配しておりません。さらに長官はカン詰の売れ行き等があまり芳ばしくないので、それらも見合って大体その程度の母船をふやしたいということでありますが、私は四船団や五船団増加しましても資金的には心配もしておりませんし、ひとりカン詰のみに重点を置かなくてもいいのじゃないか、ということは本年例が出ております。盛漁期になるほど安くなりましたけれども、国内消費が大幅に広がりまして、すなわち安定した額までに落ちついたので、これのはけ口が相当広がりまして、現在は手持ちがございません。しかもあの盛漁期には一番安かったときには四百五、六十円から五百円台であったものが現在八百円台に価格が上っております。でありますから国内消費を拡大すると五船団というものを出しても何ら心配がない。ただ私もあの地方にかって若かりしころに独航船に乗っていた体験からいたしましても、そのように考えるのでありますが。その船団の数はそれでいいといたしましても、これに対しての付属独航船の隻数をどの程度に見ておるか、まずこの三点だけをお伺いする次第であります。
○塩見説明員 大臣と事務当局との案が違っているような前提での御質問が第一にございましたが、先ほどあるいは私の御説明がまずかったのかもわかりませんが、そういうことはございません。大臣はきめておりませんし、非常に幅をとりながら考えておられる。ただ大臣が言っておられた感じは、サケの方は当初持っておられた感じとして比較的増しにくいのじゃないか、いくらか国際市場等の点を考えられて言っておられた点はそういうふうな点でございますから、われわれの方も漁獲その他の点から考えまして、それは大臣の感ぜられているよりはふやせるのじゃわないかという感じでございましたし、カニの方は過去の資源その他いろいろな専門家の意見によりますと、かなりあれですからとれるという意見が多かったのですが、私の方としましては、両者の船団長に来てもらいまして、一日にわたりましてこまかく漁場の状態その他を検討しました結果、資源は多いけれども、漁場の状態その他から考えまして、やはり相当慎重な態度をとった方がいいだろうと思いまして、そういう点の感じは、私の方はカニの方は少し低めに考えられる、こういうふうな点で大臣には申し上げたわけであります。大臣としては幅を広くとっておられるわけですから、十分その幅の中で考えられるわけで、大体その点についてはわれわれの意見も聞いてやるのが適当だ、こう判断をされておられるようです。そういうふうな点については、大臣案と事務当局案とが食い違っていて、そこでもみ合っているというふうな感じでおとりになったら間違いで、そこは十分連絡よくやっておるつもりでございます。ただまだ細部的なところに至っておらぬ、確定的なところに至っておらぬ、そういうところを帰りましてからも急速に数字的には当っております。そういう関係でございます。 それから太平洋の東部海域の方の船団数はふやさないけれども、独航船の数はふやすかというお話しでございますが、これは現在のところはわれわれとしてはある程度ふやした方がいい。ことに先ほども申し上げましたように、魚種によりましては国内市場にも広げなければならないし、それから国際市場においてもできるだけコストを安くして競争力を増していくという必要もございます。そういう関係から見ますると、昨年の実績等から考えまして、もうちょっとつけた方がコストが下ってくるというふうな船団もある数認められますので、そういうふうな意味から、どうしてもやはり将来はコストの点を考えなければならない、こういう点がございます。そういう点が川村委員の御質問の焦点だったと思いますが、そういう点については、数は適正な範囲で十分ふやしていっていいじゃないかという判断でございます。 それからもう一つオホーツク海の問題につきましては、あるいはカン詰とおとりになったかもわかりませんが、先ほどはマスは大体カン詰、それから白は大体冷凍、とにかく処理方法がうまくないとこの海域ではうまくいかないので、とる方よりは処理方法の方がむずかしいのではないかということを申し上げたわけで、カン詰だけを考えているわけではございません。カン詰にしましても、戦前サケカン——サケカンといってもマスのカン詰ですけれども、あれだけ親しまれたし、昨年の増産によりまして冷凍の方もずいぶん農村の方に行っておりますし、サケカン、マスのカン詰も相当伸びておりますが、戦前の実績に比較しますとなおまだ半分くらいにしか日本の内地では需要されておりません。そういうふうな点からいって、カン詰はもちろん、なじんでおるところの冷凍あるいは塩というふうなものは、国内の消化力はまだまだ十分あると存じます。この海域のものについては海外市場をねらうと同時に安いもの、ことに農村に親しまれたものをより伸ばしていくというふうなことも十分考えなければならない。そういう観点から申しますと、コストの安いものということは生産者にとっても消費者にとっても望ましいわけでございますから、独航船の数等については東部太平洋海域のものと同じように、できるだけ国際競争ができ、コストが下げられるという数において大体許可して参るのが適当であろう、その数字については、当初に申し上げましたように、まだ大臣の詰めたところまでの数字の検討はできておりませんのでまだ発表の段階に至っておらぬ、こういう状態でございます。
○川村(善)委員 新母船の四船団ないし五船団の許可方針についてはまだ固まっておらないようでありますが、これらについてはもう立案はしておるでございましょうが、おのおの適正なところに当然許可すべきであると私は思う。長官が本日答弁された数については私は賛意を表するのであります。ただ現在の東十二船団、西二船団、この既得権と申しますか、こうしたような会社にははっきり許可するという方針をとられた方が、言いかえるならば、東の十二船団の中には共同のものもございますが、分れましても会社は一つ残るであろうと思います。ですから、この東十二船団、西の二船団というものは既存の帰属しておる独航船とさらに実績母船会社に対してはこれを許可するという方針をおとりになるかどうかということが一点と、それから調査船の問題でありますが、大臣はよく三社が非常に成績がよい、もちろん実務においても施設においても資本においても、弱小会社よりは非常にすぐれておるから、当然成績の上るということはわれわれも認めざるを得ないのでありますけれども、操業いたして参りました母船の側から見ますと、二船団ないし三船団出ておりまする母船は調査船が非常に多うございます。いわゆる三船団も出ておる方におきましては大体十四隻か十五隻出ております。それが全部網を張って調査しますから、これは当然いい漁場を見つけるのが早いし、またそれによって誘導されるために成績のいいのは当然でございます。しかし一船団より出しておらぬ母船は四隻より調査船が配船されておりません。この四隻のうちの一隻にまた事故が起きますと、三隻ないし二隻で調査するということになりますから、当然いい漁場を見つけることがおそいじゃないかということを私は考えておるのでございますが、二船団ないし三船団持っておる母船と、その同じ漁場に行っておって一船団より出ておらない母船に対しての調査船の配船の隻数についてお考えがあれば承わっておきたいと思います。
○塩見説明員 既存の許可船の処理につきましては、大臣もそういうふうな形では述べられておりませんが、とにかく東の方の十二の許可は動かさないということと、それから今までやっておるものは分けるとかどうとかいういろいろな話をされておりますが、これはおっしゃる通りで、既存の許可を持ったところはそのまま許可されるというふうな大体形になるじゃないか。これはもちろん一船団、二船団持っておるようなものは最後的に確定しておりませんけれども、そういうふうに私は大体察しております。 それからもう一つの点で、調査船の方は全くおっしゃる通りだと存じます。やはり調査船をよけい持つということは有利でございますし、ある程度昨年の方針でいきましたところで、少く持ったところはやはりその点で不利はおっしゃる通りもちろんあったと思います。その点は昨年の経験にかんがみまして、今御指摘の通りと思いますので、来年の方針としましては、そういうふうに調査船によって有利不利が起るというふうなことがないような形で、少いところでも十分調査ができるだけの調査船の隻数は持つべきじゃないか、そういうふうなところには増加するのが適当であるというふうに考えておりまして、その点は御指摘の通りでございますので、前年の経験にかんがみまして、少な過ぎる調査船は幾らかふやすという方針でいくのが適当と考えております。大臣にもそう申し上げております。
○川村(善)委員 西の方は二船団出ておりますが、これも既存の会社に許可しますか。
○塩見説明員 西の方も同様でございます。
○川村(善)委員 それから本年母船式漁業と四十八度線漁業との間に何かわだかまりがあるようでございます。規則から見ますと、母船式漁業は四十六度まで下られるという規則になっておりますが、現実は四十八度三十分以北になっております。おそらく三十一年度にはこれが非常に問題になるかとも思いますが、現在のこの母船式漁業と四十八度線漁業との間の問題は、現状通りでいくのか、あるいは改訂する意思があるのか、その点承わりたいと思います。
○塩見説明員 その問題につきましては ただいま検討中でございまして、現状維持でいくともはっきり改訂するとも、大臣と御相談の上でないと、方針としてはお返事できない問題であります。
○川村(善)委員 最後に系列についてお伺いいたしますが、去る十一月二十六日、われわれ会社の代表者が農林省の分室に呼ばれまして、言い渡されたような格好になっております。もちろんそれには全部が全部賛成したのではございません。相談をしてぜひ大臣の意思に沿うようにやってもらいたい、こういう強い発言があったのでございます。そこで私は系列ということには、内容的にはいろいろございましょうけれども、とにかく資本とか技術とか、あるいは輸送、あるいは保管、さらに価格の安定、こうしたような点を、すなわち育成をするという建前でいくならば、われわれは双手をあげて賛成をいたします。ただ新許可にからんで、何か政治的な含みがあって系列化をはかるということについては、われわれはどうも納得がいかないのでございます。おそらく先ほど赤路君の御質問も、そういう点を考慮しての御質問だと思います。そこで長官は、私がただいま述べました育成強化をしていくというお考えで、大臣と話し合って、そのような方法で系列化を作るという御意思であるかどうか、こういう点をお伺いしたいと思います。
○塩見説明員 系列化の問題は先ほど申し上げました通りで、今またお話のありましたように、その個々の具体的な一つ一つの関係と申しますと、いろいろな関係が現実にもあるし、今後もいろいろ考えられる。そこのところは非常に弾力性を持って考えるべきじゃないか。大臣も大体そういうふうな考え方をされておるようですが、いろいろな意見が非常に端的に表現されるので、理解がいろいろ区々になるようですけれども、それはそう考えられておると、私は大体感じております。 それから先ほど赤路委員からも、芳賀委員からも御質問のありました点ですが、そういうような点について、やはり共同化してやっていくというふうな形で発足したものは、これはざっくばらんに申し上げますと、私は当初、御存じの通りに今はその段階ではない、まだそこまで伸びてない、だからもっと先の問題じゃないかというような意見を持っておりました。しかしながらとにかくそういう形で発足したものは、私としてはできるだけ目的に従っていい運営ができるように、私のできるだけの援助はやりたい、こう感じております。
○川村(善)委員 各母船会社も社会心注目していることは、この系列化のあり方と新規母船の許可に当って、非常に強く注目をしているのであります。長官の御性格もわかっておりますし、これまでおやりになってきた事実もわれわれはよく承知しております。従いまして、どうか長官にお願いいたしますることは、大臣がいろいろな面で政治的含みを持っておやりになるような、あるいは長官に圧力をかけるといったようなこともないではないような世間の見方でごいざます。でありますけれども、とにかく私は公平な行政をやってもらいたいという一語で尽きておりますので、どうか新しい許可におきましても、さらにまた今後起るでありましょうところの諸問題についても、一つ十分御留意願いまして、いやしくも長官は疑われるようなことのないように御要望申し上げまして、私の質問を終ります。
○安藤委員長代理 鈴木善幸君。
○鈴木(善)委員 北洋漁業の問題につきまして、赤路君、川村君等からだいぶ御質問がありましたから、私は簡単に二、三の問題をお伺いしたいと思うのであります。 この北洋のサケ、マス流し網漁業にいたしましても、カニ漁業にいたしましても、今後の北洋漁業の安定をはかります一番焦点になる点は、資源の問題とそれから漁獲物及び製品の販売対策、この二つが一番中心になる、こう考えております。資源の問題につきましては、ローマの会議におきましても、また先般の北太平洋漁業会議におきましても、相当論議をされておりますが、私はきわめて近い将来に、この北洋における鮭鱒あるいはカニの資源の問題は、関係国の重大な問題になるのじゃないか。私どもはこういう点をよく見通しをつけまして、十分な資源に対するところのわが国としての対策、あるいは誤まった関係国の主張を是正するための十分なる調査資料を整える必要がある、こう考えております。政府も今日までいろいろ北太平洋漁業条約に基きまして、関係国と調査をやっているのでありますけれども、日本政府独自におきましても、この北洋の重要魚種の徹底的な資源調査を推進する必要がある。そのためには、調査船等につきましても十分な予算を確保いたしまして、遺憾のないような措置を講ぜられたい、これを私は長官に強く期待いたすのであります。これらにつきまして資源調査なりあるいは国際的なこういう資源問題に対拠するために、今どういう御準備を進めていられるか、この点をまずお伺いしたいと思うのであります。
○塩見説明員 まだ予算の細目についての決定は見ておりませんので、御説明できないのははなはだ遺憾でございますが、大体条約の問題になっております西径百七十五度以西がこっちの漁業区域でございますけれども、その地帯におきましては、大体三隻の調査船を設けて調査する、こっちの分担する区域はがっちり固める、こういうことを考えております。それから各種の操業母船、そういうところからもデータをとりたい、こういうふうなところで考えておるわけでございますが、東太平洋の鮭鱒についての漁獲はかなり減少の傾向にあり、長期にわたってすれすれまでとっておるという状態にございまして、これはこっちの調査の範囲ではございまするが、ただいま御指摘のありましたように、そういう傾向から見ましても、鮭鱒の資源の問題は、今までわれわれが感じておりましたよりは問題になってくる可能性が確かに多いと思います。今調査部長はわれわれの問題で向うに行っておりまして、私この問題は十分な打ち合せができておりません。この点は、あるいは今までわれわれの感じていたよりも向う側の漁獲減という点からいって、問題はもうちょっとこっちも一歩進めて考える必要があるかもわからないという感じは持っております。その点は、もし必要がございますれば、詳細に検討しまして、追加の要求をするならするとか、そういう点について遺漏のないような形をとって参りたい、こう考えております。
○鈴木(善)委員 この資源の問題につきましてアメリカ、カナダ等が非常な重大な関心を払ってきております原因にはいろいろあると思いますが、特に今年におけるカナダのサケの非常な不漁、これがこの資源問題について関心を寄せておる一番大きな原因であろうと思うのであります。こういう不漁が明年も続くというような事態になりますれば、北太平洋におけるサケの資源問題というものは非常に深刻な問題になり、重大な国際問題として論議されることは必至と私は見ておるわけであります。この際に日本政府が万全の対策を今から進めていただくということが、北洋漁業安定の見地からいたしましても、北洋のわが漁業権益を守る観点からいたしましても、非常に重要なことである、こう考えますので、この点につきましては、長官の御努力を特に強くお願いをしておきたい、こう思うのであります。 それからもう一つ私が申し上げたいのは、カナダにいたしましてもアメリカにいたしましても、この資源の保護増殖ということにつきましては異常な熱意と努力を払っております。カナダ等におきましては、予算の三分の一以上を孵化放流事業に充てておるというような努力を払っておるのでありますから、この資源問題が起って参りますれば、日本においてこのサケの繁殖保護に対してどれだけの努力を日本が払っておるか、どれだけの積極的な対策を進めておるかということが必ず問題になると思うのであります。日本では、現在北海道におきましては孵化場の国営を実施いたしておりますが、内地におきましては、遺憾ながら民間の組合等の団体にまかしておるというような状態で、きわめて不徹底であるわけです。私は、こういう北洋のサケ資源の問題が国際的な大きな関心事になっております際でありますから、それに対処いたしますためにも、東北においても、北海道と同じようにサケの孵化放流事業は国営をもってこれをやるという熱意を示す必要があると思うのであります。北海道と内地はサケの遡河事情が似ておるのでありますから、北海道同様の措置を予算上講ぜられる御意思があるかどうか。私どもは、三十年度の予算の修正で増額をされましたところの増殖費の中から、一部内地の鮭鱒の孵化放流事業にも助成をするように強く政府に要請をいたしたのでありますが、三十一年度予算の編成に当りましては、この点もっと積極的な水産庁の熱意を必要とするのではないか、こう考えておりますが、これについて長官はどうお考えになっておりますか。
○塩見説明員 ただいまの御注文の、ただ資源調査だけでなくて、積極的に増殖に日本も努力をし、国際的な資源の増加に努力するというふうなことは、御指摘の通り必要なことだと思います。私は前にやっておりましたときに、北海道の方をああいう形で処理した当事者でございますから、その点はますますそういうふうな問題が問題化する可能性があるわけでありまして、さらに一歩進める必要があると思います。現在私は帰ってきましてからまだ細目についての検討をしておりませんけれども、その問題は担当の課長からも聞いておりますが、従来のやり方としましては、やはりどうしても国営となりますと定員問題にもからんでくる。調査船その他船関係で、午前中にも警備の問題等がございましたが、今自分の船を持っていないというふうな状態でございます。それらのことも定員の問題がいろいろからんできますので、今のところは補助で行くような形態で、北海道と同じ形をとらないで予算を組んでおるのでありますが、その形はやはり予算としてはあるいは弱いかもわかりません。もう少しはっきりした責任ある形態でやるという形でないと、なかなか今の状態では大蔵省等ものみにくいのかもわかりません。そこらの点は、過去数年における予算折衝の実態と大蔵省等の意見を十分聞きまして、あるいは格好を変えるとかどうとかということも、十分その間に考えまして、そしてできるだけ御要求の線は強めて参りたい、こう考えます。
○鈴木(善)委員 内地の鮭鱒の孵化放流事業に対する助成の方法にもいろいろあると思います。たとえばしぼりました卵等を国の県に対する補助によって買い上げをして、そして放流させるというような方法もあろうかと思いますが、長官も今お話しになりましたように、国の責任においてこの大事な資源の保護増殖に当っておるのだということが、将来必ず起るであろうところの国際間のこの資源問題に対処しまして、非常に強い発言権を有することになると私は考えますので、同じ金を出すにいたしましても、そういう場合に、日本として堂々とその資源問題について自信を持って主張できるような態勢を確立する必要がある、こう考えるわけであります。この点も予算編成に当りまして一つ特段の御努力をお願いいたしたい、こう思うわけであります。 次に販売の問題が将来の北洋漁業の安定確保の上から非常に大切な問題であると思うのであります。特にカン詰の輸出ということが、魚価の維持に決定的な影響を持つわけでありますから、この販売対策に十全を期することが必要であると考えます。大体今日までの水産政策を見ておりますと、どの内閣でもそうでありますが、増産という面の行政の方には非常に力を入れて参りましたが、販売の問題、価格対策につきましては、他の農産物の場合その他に比較しまして非常に手薄である。むしろ水産庁は販売の面につきましてはほとんど何らやっていない、無為無策である、こう言っても過言ではないと思うであります。特にこの北洋の鮭鱒なりあるいはカニのカン詰の販売というものは、非常に国際的な商品でございまして、生糸の販売に当って政府がアメリカ等に事務所を設けて、非常な宣伝と販路の開拓に努力をされる以上の大きな努力を払わなければ、この問題は解決しないのじゃないか。大臣はみずからロンドンまで飛ばれたりして努力をされたようでありますけれども、今後は重要な輸出品でありますところのこれらの商品の販売対策を、もっと組織的に確立する必要がある、こう考えます。この点につきましてどういう対策を持っておられますか。また今年度産のサケ、マス、カニのカン詰の販売の模様、どの程度のものが在庫として残ったのであるか、また来年予想されるところの新規許可も含めて、生産されるカン詰等について確実な処理の見通し、価格の安定の見通しがあられるかどうか、そういう点を一つお伺いしたいと思うのであります。
○塩見説明員 ことしの資料等につきましては、おそらくいろいろなもので御存じかと思いますが、紅は全体として大体六十二万箱生産されまして、うち大体四十万箱が英国、その他アイルランド、豪州、北米その他等を加えまして、大体全部が処理される、こういう形になっております。国内売りはございません。銀ザケにつきましては十七万三千箱、これはイギリス二万、アイルランド二万、その他が一万、計五万ぐらいになっておりまして、現在在庫しておるものは十二万箱であります。マスにつきましては六十七万四千箱見当の生産でございまして、北米が大体三十万箱、欧州が二十五万箱、大体六十万箱が海外にさばけまして、国内が七万箱というところであります。これは繰り越しはございません。繰り越しは銀だけでございます。それから白が大体二十八万三千箱というところでございまして、これは国内売りが二十万箱、欧州であるとか北米であるとか、その他ぱらぱらと大体において八万箱、出ている市場は大体国内である、こういう形でございます。全体としては総計百七十七万八千箱、大体百八十万箱見当が生産され、大半がさばけておる、こういう状態でございます。 来年度の見当は、意見によっていろいろ違っておりまして、今のところまだ確たる数字は申し上げられないような状鮮でございます。船団数、生産の見込み、及びマスは大体カンで持ってくるでしょうけれども、銀をどっちで持ってくるかということで意見がかなり分れておりまして、出漁される方でもまだおそらくきめてない方もあるのじゃないか、このところの分れで数字がかなり狂ってくるわけでありますが、大体のところは二百万箱から二百五十万箱の間と、荒っぽいところは算出されるわけでございます。これについては先ほど申し上げましたように、国内では現在二十七万箱見当しかさばいておりませんけれども、これはだんだん技術も進んでおりますし、コストの低下は現在の技術進歩からいえば当然考えられると思います。ことにオホーツク海において考えられますから、そういうような点からいえば、国内市場は戦前まで戻れば——五十万箱までは戦前行っていたわけですから、人口増加も考えますれば、まだまだということは当然考えられます。国際市場においても、やはり方向としては一般的には人口増加に伴います消費増は、日本の安い魚でまかなっていくという傾向は一応あるわけです。ただ来年の問題になりますと、先ほどお話のありましたように、米加等のサケがことしのような不漁であるか、あれが続くようなものであるのか、それとも回復するのかということ等によって幾らか違ってきまして、そういう事態においては相当しっかりした組織でこちらも持ちこたえるだけの力を持つ必要がある事態も起り得るかとも考えられます。それらについては今後とも十分検討して参りたい。こう考えられるわけであります。
○安藤委員長代理 鈴木さん、大へん重要な基本問題の御質問のようでありますが、このあとまだ農産物価格並びに需給推移の問題についても審議いたしたいと思っておりますし、だいぶ質問者もありますから、喫緊の問題についてお進め願いたいと思います。
○鈴木(善)委員 この販売の問題につきまして、海外への販売の問題をお尋ねしたのでありますが、なお国内の販売体制を確立するということが、先ほど来問題になっておりますところの系列化の問題以上に、北洋の安定の上から必要じゃないか、こう考えておるのであります。弱小な漁業会社、母船会社が資金繰りのために持ちこたえ得ないで、投げ売りをするというようなことが、魚価の暴落の要因になるというようなことから、系列化を打ち出すという前に、輸出水産物振興法に基きまして、輸出水産組合の設立も可能だと思います。またその裏づけとしての共販会社の設置も当然考えられるべきである、こういうような制度組織を活用されまして、そうして政府が価格安定のために資金の手当を応援してやるというようなことになりますれば、計画的な輸出価格の安定ということは、十分これによってはかられ得るものであると思います。そういうことをなさずに、直ちに三社を中心とした系列化というような方向へ向うことは、やるべきことをやっていないで、そういう方向をとるということが、いろいろ世間の誤解を招く点ではないか、こう考えるわけであります。マグロやその他の共販体制の整備と同じように、北洋のサケ、マス製品の販売体制の確立につきまして、どういうような御方針をとっておられるか、この点は大事な点でありますから、お尋ねしておきたい。
○塩見説明員 私もそちらの方を時間をかけて詳細まだ検討しておりませんけれども、あの法律を利用しまして、共販会社はずっと設立されております。ただその運営等においてもっとまだ進める部分が相当あるかとも考えております。この問題は御指摘の通りに来年度の問題としては、もし市場が明るければ問題は少いけれども、そうでない場合には相当な問題であろう。ことし大臣が回られても、やはり当初ずいぶん欲ばったねらいで行ったと思いますが、ねらっただけのものはとり切れなかったが、大体はさばけた、こういう状態でございますが、来年はやはりその問題はなおむずかしくなるかもわからないと存じますので、その体制の強化はあの法律を利用しまして、一段と強化して参る必要があろうかと思います。ただ私も先般アメリカ市場等を幾らか見て参りましたが、そういうような点につきましては、やはり生糸のごとく、国家的な機構その他をいろいろ強化されておっても、当業者の資力が十分でないと、やはりもたない、どうしても落ちます。幾ら共販体制を作り、あるいは国がいろいろやっても、やはり最低市価に近いところまで最近落ちておりますけれども、その原因はやはり会社や国家だけでなくて、生産する方面においてもある程度の持ちこたえる力をあわせて持たないと、どうしてもくずれる、こういう状態でございますので、そういう点も考えてのことだと思いまするから、そういうような意味では、もちろんほかの方の制度も十分検討して、国の方でやるべきことはできるだけ進めるという点も並行しながらいく必要がある、こう考えております。
○鈴木(善)委員 北洋の母船式漁業につきまして、政府が終戦後とりました母船と独航船と対等の立場において共同出願をさせるというこの制度は、私は非常に時代に即する民主的な方針でありまして、これは水産庁がとった行政のうちで非常に賞賛すべき制度だ、こう私は今でも考えておるわけでありますが、しかしその際におきまして、当然母船と独航船の間に魚価の協定という問題が起って参ります。この魚価協定をめぐりまして、母船側と独航側がほんとうに対等の立場で、妥当なる魚価を協定し得るような経済的な立場を独航船に与えてやるということでなければ、許可面だけがそういう民主的な方法がとられましても、経済的に従属関係に立つ、たとえば網にしてもあるいは漁船の代船建造にしても、エンジン入れかえにしても、すべて母船会社から前渡金を借りて仕込みを受ける、こういうような経済的隷属関係に立ちましては、水産庁が許可面で対等な立場に置いても、これは目的を達成することができない、こう私は考えるわけであります。そういう意味合いからいたしまして、魚価の協定と合せて独航船は協同組合組織によって、そして協同組合の力でこの仕込み資金、着業資金等を全部まかなってやる、網の共同購買の事業もやる、油の共同購買の事業もやる、こういうような独航船の漁業者に力をつける方法を講じますと同時に、協同組合の団体交渉権によって母船会社と強く適正な魚価を協定する、こういうことが経済的に併行してとられなければ、許可面だけが対等に置かれましても、それは十分ないい結果をおさめ得ない、私はこう考えておるわけであります。そういう意味合いからいたしまして、今まで行われておりますところの魚価協定に当って、母船の方は母船協議会というものを作り、独航船の方は、北海道は協同組合になっておりますが、内地の大部分のものが任意組合組織になって、その代表によって魚価協定がなされておるという、このことは独禁法なりそういう面からいたしましても法に触れるおそれがあると私は見ておるのであります。どうしてもこれは協同組合に組織をしまして、そうして団体交渉権によって母船と協定をする、内地の一部の業者が協同組合を作って母船側に団体交渉を申し入れをしたのでありますが、これを母船側は少数勢力として、大部分の独航船の任意団体がこれに応じないというようなことで拒否し続けてきたような事態もあるわけであります。私はこれは協同組合法による団体交渉権を否定する行為でありますと同時に、従来やってきておる任意組合の魚価の団体交渉というものは独禁法に抵触するものである、こういう見解をとっております。そういうようなことから今後協同組合に全部これを組織するように、そうしてこの協同組合による団体交渉を尊重させるように、政府は強い指導を加えていかれる必要がある、こう考えます。この点についての長官の御意向はどうでありますか、御意見を伺いたい。
○塩見説明員 この問題は、出発の当初の年度におきましてやはりいろいろな問題がありまして、最後には私がかなり強力なあっせんをしなければまとまらなかったような経緯もございまして、なかなかむずかしい問題だと思います。おっしゃる通りに、あの当時は独航船の船主もまだ確定を見ていないくらいなときから始めなければならないというので、非常に不安定な状態でしたから、政府がある程度あっせんの労などとったのでありますけれども、本来の方向は、御指摘の通りやはり団体交渉という形で行くのが最も明朗で正しい方法ではないかと思います。おそらく今までの経過から考えますと、独航船の方も数がふえたり、船主が変ったりして、まだ母体が十分固まりきれないというような動いた形にあったために、なかなかそういう点がうまく固まりにくかった等のこともございましょう。大体において沿革が安定して参りますれば、いずれかの時期には政府としてもそういう方向へ指導をして、そうしてできるだけ明朗な協定ができるのが望ましいと考えますが、これは政府だけでやることでもございませんので、方向は御指摘の通りでございます。政府ももちろんできるだけのことはすると思いますが、民間の方においても、十分そういう点について理解をして、自主的に動き出すように私の方としても考えて参る、こう存じます。
○鈴木(善)委員 端的にこの点はもう一ぺんお伺いしたいのでありますが、私が申し上げるように、今のような姿の団体交渉、魚価の協定は独禁法に触れると私は見ておるのであります。だからこれをこのままに放置することは行政庁として託されないのではないか、そこで来年度の魚価の協定に当りましては、もっと筋の通った、すっきりした形の魚価協定がなされるように、ああいう任意組織でなくて協同組合組織でやるとか、そういう方向に政府として独禁法違反等のことのないように御指導なさる強い態度を示していただきたいと思うのでありますが、これについての長官のお考えはどうでありますか。
○塩見説明員 在職後まだ時間がたっておりませんので、独禁法抵触の問題は確定的なことはもちろん申し上げられません。これはその手続であるとか書類であるとかやった内容であるとか、しさいに見通しませんと簡単には結論は出せないと思いますが、とにかく最も間違いのない方法としましては、今御指摘のやり方ならば間違いないということだけは申し上げられると思いますが、そういう点は法規的にも十分検討しまして、それでできるだけいい方向へ進めて参りたい。
○鈴木(善)委員 もう一点だけお尋ねして質問をやめたいと思います。それは許可のことでありますが、これは試験操業時代を入れましてもうすでに数年を経過いたしておるわけであります。そこでこの辺でそろそろこういう許可の場合は三年とか五年とかいうような長期の許可にすることが、業者自体としても独航船業者にしても、二千万円以上の資本を投下するというような仕事でありますから、もう少し長期の許可をすべきである。現在は一年々々の許可という形になっておりますが、これを安定したもう少し長期の許可になさる御意思がありますかどうか、この点だけを一つお伺いいたします。
○塩見説明員 その点は御指摘の通りだんだん安定しておりますし、先ほど川村委員からも御指摘がございましたが、東については大体今までやっておるのは許可しろというお話があったのでありますが、これは大臣ももちろんそう考えておられると思います。そうなって参りますれば、東の方は年限をある程度延ばすという形をとってもいいのではないか。また不安定な漁場につきましては、あるいは試験操業であるとかあるいは短年でちょっと続けるというような、そろそろ安定したところについては御指摘のやり方が適当であると私ども考えております。大臣にもそういうような話をするつもりでおります。
○安藤委員長代理 川俣君。
○川俣委員 関連して二点だけお尋ねしておきます。一点は北洋漁業の操業に対する許可、指導監督の基本をお尋ねしたいのです。二点は予算上のことですが、行政官がやっていることを公平であるか、あるいは妥当であるかという判断をする必要がありますので一点お聞きしておきます。それは川村委員からあるいは芳賀委員からもるる指摘せられましたが、北洋漁業の操業の目的を、漁民の生活安定というところにウエイトを置いて指導監督をされておるのか。または国際収支を重点に置いてやっておられるのか。あるいは国内の蛋白資源を確保するためにやっておられるのか、これはやはりいずれもそうだと思います。そのうちでどこを一体重点にしてやっておられるのか。その基準をどこに置いておるのか。この基準を先に示されなければ、私どもはあなた方の行政を監督することができない。そこでこの三つのうちでどれを一体ウエイトを高めておるのか。このウエイトの標準を一つ示してもらいたい。おそらくある会社に商売をやらせようというようなことで行政官が動いているわけはない。国費を使い、あるいは国の監督を受けるのでありまするから、一業者がもうかるようになるということにウエイトを置いて操業されるわけは毛頭ないと思います。あれば大へんでありますが、これは毛頭ないと思います。しからば前の三つのうちでどれを一体重点を置いて許可、指導、監督をされるつもりでありますか。この点をお伺いします。
○塩見説明員 なかなかむずかしい問題でございまするが、大体考え方といたしましては、やはり日本の漁民は、全体としましては沿岸の資源が枯渇しておりまして、非常に苦しい状態でございます。できるだけその漁民は、資源の幾らか余裕がある、しかしながら経済的に採算の立つような漁場において就労の機会を与えて、沿岸まで影響を及ぼしてくるように水産政策は持っていくべきだ、北洋の漁業も当然そういうふうな考え方のもとでやっていいんじゃないか、こう考えておるわけであります。それで当初の形としましても、まず独航船がほとんど乗組員のうちの大半を占めますから、そういうふうな関係からいいましても、なずんだ漁場の地帯を選びますことと同時に、やはり沿岸の方でも資源が最も枯渇して、沿岸漁民が最も苦しんでおりましたのが底びき漁業であります。それで底びき漁船をやめてそれでいけば、沿岸の漁民の方も、資源の保護の点からいっても、隻数がずっと減って参りまして、釣その他の業種も相当楽にそこで働けるようになりますから、そこで底びき船を廃業したものでなければ北洋の許可を与えない、こういう形で底びきの整理と関連をしまして、そうして一方そういうようなところで働いておる漁民にも遠洋漁業へ就労の機会を与えるというふうな形で、この許可の基準は当初持っていったわけでありまます。大体それを遂行しつつあるわけですけれども、まだ一〇〇%までに至っておりませんが、来年度の許可がきまればかなりの程度までいくのじゃないか、ころ思っております。まあそういう形で沿岸資源も救いながら、それで間接に出ない沿岸漁民にも操業上楽になるような形をとらせながら就労の機会を増していく。就労の機会を増すためにはどうしてもこれは経営採算的に成り立つということが大事です。しかしできるだけ経営採算的に成り立って、競争力が強ければそれだけたくさんの漁民がそこでもって就労の機会が与えられるのですから、できるだけ経営は合理化して競争力のある形をとらしたいというのが、当初われわれが考えた方針でございます。まあ比重がどれかということは言えませんけれども、総括的に考えての感じはそういう考え方で御了解を願いたい、こう思います。
○川俣委員 この比重の動かし方で公平、不公平が出てくるのです。はっきりした基準がありますならば、それから逸脱すれば不公平なことであったということになる。あるいは間違った許可をやったという判断が出てくるわけであります。ところが基準を示さなければ一体私どもは批判するのに——あるいは間違ってのことであるならば間違わないように、行政措置が行き過ぎである場合には、立法措置をとらなければならない。どうも独禁法に触れるようなことを往々やりがちだと思いますれば、これを強化してもらわなければならない、あらた方を制約していかなければならぬ。一体何を基準でやっておるのかということをお示しにならないと公平、不公平という判断がしにくいから私お尋ねしたのですが、あまり時間がないからこれ以上追及いたしません。しかしそこに重点があるのだということを説明した限りにおいては、あとで別なところに重点を置いたから許可をしたのだということは許されないということだけを御記憶を願いたい、こう思います。 第二の点は、これは予算上のことですが、今度予算削減、公共事業費の節約をやるそうでございます。一体一ぺん国会できめたものを勝手に節約するというのはおかしいのです。事業量を縮小するなんということは、これはほんとうは越権行為だと思いますが、そういうことば別にいたしまして、漁港等の公共施設の削減がどれくらいに及んでおりますか。削減されてもなおよろしいと考えておるのかどうか。この点を一つお尋ねしたい。水産関係の公共事業費の削減についてです。
○塩見説明員 今のところ、まだ事務的に水産関係の公共事業としては漁港でございますが、どの漁港に幾らという形で具体的にはまだ聞いておりませんので、おそらく川俣さんの方があるいは深く知っておられて、私らの方がまだ知らないくらいの経過でございますので、御了承を願います。
○川俣委員 せっかく組んだ予算を削減されてもよろしいと考えられておりますか。非常にお困りになると考えておられるかどうか。それによってわれわれはやはり国会の態度をきめなければならぬので、一つお尋ねしたい。
○塩見説明員 まあこの点は、はなはだ恐縮でございますが、まだ帰ってきて半月なんで、一つ一つの予算についてほんとうのところをまだ詳しく聞いておらないのです。あるいはとにかく期間的な関係とか、現実に準備が進まなかったとかいって、どうせ使えないというような予算がもし残っておるとすれば、これは切られてもいいかもわからないですけれども、計画に沿っておるし、現地の方も当然とにかくやるつもりで進めておる。こういうようなものがほとんど大半だと思いますが、そういうようなものについてまでわれわれは削減されることはもちろん望みませんし、そういう部門に対してはできるだけがんばりたい、こう考えておりますが、詳細に個々にまだそういう点を具体的に聞いておらないので、ここでははっきりと具体的なお答えはできないわけであります。
○川俣委員 おそらく水産庁は今年度やれない予算を要求したとは思わない。天災等によって行えないというのは、これは別ですが、通常の災害がない、将来特別の災害が起きないという場合におきましては、遂行できるだけの能力を持った範囲をおそらく要求されたと思うのです。しかもその要求も余裕があるにかかわらず相当削減されて不満足ながら組まれた予算だ、こう理解しておる。従って不要な部分があるなんというお考え方というのは、これは私どもには理解ができないのです。おそらく三月までにやり得るだけの最小限度のものが要求されて、国会はこれを承認したと思っておる。何か今あなたの説明によると、まだ遂行できない部分がありそうだというようなことになると、これは大へんなことですが、どうです。
○塩見説明員 いや、ごく例外的なことを申し上げたので、おそらく全体の方向としてはおっしゃるような方向だと思います。大体できないようなものは要求していない。もしありとすれば、ごく例外的に天災とがその他の条件でなったもの、こう考えられます。まあそういうものであればいたし方がない場合もあります。ただ当初から予定し、地元においてもそのつもりで今動いておるというものについては、これは漁民のことを考えましても、やはりどうしても確保していった方がいい。われわれとしてはそういう考え方で努力する、こう考えております。
○川俣委員 水産関係におきましての公共事業費は、特別なものでない限りにおきましては、どうも予算削減には承服できない気持で行政を行なっておる、こういうふうに理解してよろしゅうございますが。
○塩見説明員 水産庁の長官としては、もちろんそういうふうに御了承を願ってけっこうであります。
○久保田(豊)委員 ちょっと関連してお伺いいたしますが、昨年度の北洋漁業についても、特に調査船については相当大きい災害が出て、大ぜいの人が犠牲になっているようです。これはいろいろ今川俣委員からもお話がありましたが、特にこういう大資本によりますある意味においては非常に独占的な性格を持ち、しかもその取ったものの相当部分は輸出に回さなければならぬというふうな場合におきましては、母船並びに独航船等において働く漁師なりあるいは労働者に対してどういう方針をとるかということが相当重大問題だと思う。もちろんこれについて船員法その他の規定が適用されておることは大体承知しておりますけれども、それだけでは私は不十分だと思う。私のお伺いいたしたいのは、第一に昨年度非常なしけその他によって大ぜいの被害が出ておる。そういう災害の程度がどの程度か、そうしてそれに対します補償その他の措置がどう行われておるかというようなこと、さらに特に農林省、水産庁として独航船並びに母船についての労務管理ないしは労賃等についてどのような方針を持っておるか、こういう点を一つ御説明をいただきたい、こう思うのです。
○塩見説明員 調査船と独航船を含めまして潜没船は七隻となっております。これらはもちろん漁船保険とかあるいは船員保険とかそういう今ある法規でできるだけのことはやっておりますほかに、おそらく船主等につきましては見舞等をやっておる、こう存じます。これらの保護につきましては、当初申し上げましたように独航船についての装備はより強化して、来年はそういう危険性がないように持っていきたいということと、調査船につきましては今までトン数だけで押えておりましたが、やはり割合に危険な時期に危険な海区に入るチャンスが多いので、トン数も三倍以上にしておりますが、あるいはそれだけでは昨年の経験で不十分だと見られますので、それらに対する装備条件その他はより強化して参りたい、こう考えております。これは具体的にテクニカルな点で無電その他いろいろな設備について検討して参りたい、こう考えております。
○久保田(豊)委員 きょうは時間がないようですから私はあと質問を保留しておきますが、北洋漁業についての全体の漁師の待遇あるいは魚価をきめる場合にどの程度にやっておるか、普通の一般の沿岸漁業の場合のようなああいういいかげんな——いいかげんというと語弊がありますが、そういう計算みたいなことではいかぬと思う。こういう点について、特に水産庁としては、ああいう大企業、しかも国際的な影響を持つもの、こういうものについてははっきりしたものがなければいかぬと思うのであります。従って待遇とか勤務時間その他いろいろな点についての現状、そういう点と、今後これらについての改善策があるならば、あとでもっと資料をいただきたいと思う。その上で私もまた一つ意見を申し上げたいと思いますので、この点お願いいたしまして、あまり時間もないようですから、この程度にして、それだけ保留しておきます。
○塩見説明員 承知いたしました。
○安藤委員長代理 北洋漁業に関する件の調査につきましては、本日はこの程度にとどめます。 —————————————
○安藤委員長代理 引き続きまして、これより大豆、アズキ・カンショ等の農産物の需給並びに価格問題について調査を進めたいと思います。 まず最近の需給状況及び価格の推移について、政府より簡潔な御説明を願いたいと思います。大坪農業改良局長。
○大坪説明員 本年は御承知の通りに米を初めといたしましてほとんどすべての農作物が非常な豊作であったのであります。大豆につきましてもその例に漏れませんで、大体本年度の実収高は三百八十三万石見当と推定をされております。 値段につきましては、実はこれは御承知のように主産地が北海道でありますが、北海道が秋になりまして天候が変調でありましたので、出荷が順調に参らないでおったところに、外国から相当の数量の大豆が入って参りました。両方がぶつかりまして相当の値下りを見せまして、現在は大体一俵当り二千八百円見当に値下りをいたしておるのであります。農民といたしましては一応豊作でこれはうれしいことでありますが、反面価格が値下りをいたしますことにつきましては、いわゆる豊作飢餓というようなことに相なりますので、私どもといたしましてもいろいろと関係各局集まりまして相談をいたしておるのであります。 まず第一の問題といたしましては、外国から輸入いたします大豆の保留分四万六千トンを一応たな上げいたしまして、これはこの際輸入公表をいたさないという措置をとりたい、かように考えておるのであります。次に北海道の農業協同組合連合会または開拓者の連合会とは、融資あるいは営農資金の延期と申しますか、そういうような問題について個々に折衝をして参りまして、農家がいわゆる豊作飢餓によって被害をこうむるようなことのないように措置をいたしたい、かように考えるわけであります。
○安藤委員長代理 これより質問に入ります。通告順に従って順次これを許します。鈴木善幸君。
○鈴木(善)委員 ただいま大坪改良局長から大豆の値下りの原因とその対策についての御説明がございましたが、この大豆の価格が最近非常に暴落をいたしておりまして、大体四千円から三千八百円程度のものが二千八百円程度に急落をしておる。価格がそのように暴落をしておりますのみならず、ほとんど取引は停止状態になった、こういうような窮迫した事態でございまして、非常に貧農の多い畑作地帯、特に開拓農民の諸君が唯一の換金作物としております大豆がこのような暴落をいたしておりますために、二十八年、二十九年の冷害のために融資を受けた資金の返済もできない、また春肥購入の資金対策もできない、こういうような困窮した事態に現在置かれておるわけであります。このことにつきまして、いろいろ関係当局間で鋭意対策をお進めになっておるというお話でございましたが、その対策のうちで、現在外国から入ってきて保有しておりますものの四万六千トンをたな上げするという御説明がありました。しかし単なるたな上げだけでなくて、先般十一月の一日に下期の外貨割当をいたしております。約三十三万五千トンばかりの外貨の割当を発表いたしておるのでありまして、その第一回分といたしまして二十八万トン余りの外貨をすでに割当しております。これが現在、北海道及び関東北生産のものの出回り期の初っぱなにこういう発表があり、外貨の割当がなされたということが暴落に拍車をかけた大きな要因になっておるわけであります。私どもは、絶対量が少いのでありますから、このような輸入のための外貨割当がなされるということにつきましては異存がないのでありますけれども、外貨の割当をいたします時期、輸入の時期等につきましては、国内産の大豆を圧迫しないような十分な配慮をなさる必要がある。この点について従来農林省と通産省との間に緊密な御連絡が欠けておったように思うのでありますが、今回のこの下期の割当をいたしました外貨による輸入について、このような暴落した事態に対処いたしまして、輸入の際にどういうような調整の配慮、具体的な手当をなさる御方針でありますか、この点をお伺いしたいと思います。
○安田(善)政府委員 従来通産省と農林省におきまして、輸入したものの用途別でありますとか、輸入に関する外貨割当をどの程度、だれにするかというようなことなどにつきましていろいろ争いもあり、連絡の悪いところもあったようであります。ごく最近私関係の局長を仰せつかりまして以来、逐一通産局長とそれらを考え十分の打ち合せをいたしますとともに、上期、下期として外貨の割当をいたしますもののうちの割り当てた外貨につきましても、月別に国別に一部AAの自動承認性のものもありますが、輸入数量のシッピングと申しますか、輸送のことにつきましても打ち合せをいたしてやっておるような次第でございます。今後国内事情、特に出回り期の価格につきましては、なお一そう努力をしてやりたいと考えております。
○鈴木(善)委員 ただいま経済局長からお話がございましたが、用途別の割当が往々にしてその割当外に横流れしているというか、当初の用途別の割当の方針、数量に反するような方向に動いていくというようなことも、一つの価格低落の要因になっているように思うのでありますが、これを十分厳重に適正にそれが行われるように御指導をなさっておりますかどうか、この点をお尋ねしたいと思います。
○安田(善)政府委員 まだこの仕事にタッチいたしましてから日が浅いせいでありますか、その具体的な実例について私は存じておりませんけれども、お話のような話がありますことは間々一般的に聞くのであります。もしそのようなことがありましたら、ただいまお述べになりました趣旨に応じまして、断固として外割の権限を貿易管理令の条件としましても行使いたします。
○鈴木(善)委員 それからもう一つ問題になりますのは、国際的にも非常な豊作でありまして、農産物は国際価格も下ってきております。大豆につきましても、満州大豆は二千二百円程度で入ってくる。こういうような安い外国の農産物が入ってくるわけであります。これに対しまして現在輸入関税を免除いたしておるのでありますが、事態がこういう工合になって参りましたから、この際政府としては国内の農産物を保護いたします観点から、この免税の恩典をなくして、そうしてこの事態に対処するというようなことも考える必要があると思うのでありますが、この点はどういう工合にお考えになっておりますか、お伺いしたい。
○大坪説明員 これは実は私の方の所管でありますか、経済局長の方の所管でありますか、一緒に相談をいたしておりますので、私農林省を代表いたしましてお答えをいたしたいと思います。この点につきましては、ただいま御意見の通り、来年の四月一日から一〇%の関税をかけるように措置をいたしたい、かように考えております。
○安田(善)政府委員 大坪局長の言われた通りであります。しかしその間に目下の価格、特に取引所あたりの価格、それを前提にして関税問題を考えていいかどうか、もっと国内的にも措置を講じて安定せしめながら、そうして来年の関税を考えるというときに、いかなる外国から来る値段がどう見通されるか、国産との間をどう考えるかということをよくにらみ合せて、農業改良局長の言われるようにやるべきものだと思っております。
○鈴木(善)委員 先ほど融資の問題あるいは営農資金の問題につきまして改良局長からお話がございましたが、その際主として北海道のことをお話になったようであります。ところが東北、関東におきましても、現在非常に値下りを来たし、また滞貨を出しておるのでありまして、北海道をも含めまして現在の滞貨は十七万八千五百俵というような厖大なものになっております。これを政府が開拓連なり、あるいは経済連なり、そういうようなものに集荷をさせまして、その八〇%程度を単価三千八百円ベースでもって、これに対して融資をするということにいたしますれば、五億四千万円程度の資金がいると思います。こういうような五億程度の資金を現在急速にいたしませんと、春肥の手当もできない、こういうような事情にあるのでありますが、北海道だけでなく、関東北に対しても同様の御措置をとられる御方針でありますが。この点をお尋ねしたいと思います。
○安田(善)政府委員 結論を先に申し上げますと、時期を失しないようによく考えて、ただいま御意見がありましたように、少くとも経済局長は努力すべきだと思う。ただ三千八百円ベースでいいかどうかが、相当長時間をかけて、農林省各局におきまして研究をまとめつつありますが、まだ成案を得ませんので、大豆の問題は、農産物安定法の指定物資ではありませんけれども、およそ農林省が国産大豆の生産を将励し、また事務を担当して、輸入に関しても重要なる関与をいたしておる。こういう立場から見ますと、あたかも農産物安定法の適用物資であるかのごとき考えで、そこに一つの行政上の基準、目安を持つべきである。その目安をもっていかなる融資をすべきであるか、こういうことを考えたいと思って研究をいたしておるのであります。さらに北海道その他の高冷地、開拓地等の単作地帯の場合、単に関東の大豆がどのくらいの生産があり滞貨がある。特に共同集荷、販売体制にある場合に、何俵であるかということと、営農資金をどういうふうにやるか、災害資金の償還問題をどうするかということは、かなり共通的に考えるべきこともありますれば、わけて考えるべきことも走る。おのおのその融資対象が違う場合もございますので、そこのところは、その地方の他の作物の作柄状況、農家の経済状況、その農家が営農、生活の資金としてどういうものがいるかなどを考えまして、努力したいと思っておる次第であります。
○鈴木(善)委員 この内地の大豆の暴落に対する対策としての資金面の手当につきましては、私は少くともこの単作地帯で畑作を中心にやっておりますところの地帯におきましては、これは北海道と同様に措置すべきものであり、特に開拓農民のように、これが唯一の換金作物になっておりますもの、こういう面につきましては、やはり北海道と同じような対策を政府が立ててやるべきものである、こう考えるわけであります。 なお三千八百円ベースにつきましては、実は開拓組合等が融資を受けます際に、その償還財源としてこれを考えておるわけでありますがその当時大体三千八百円ベースでもって、すべてそういう資金対策を立てておる、こういう事情もあるわけでありますから、三千八百円ベースでもってその八掛の三千円程度のものをぜひ見てやるのでなければ、今後の資金計画は大きくくずれてくることになりますから、十分この点も御勘案を願いたいと思うわけであります。 それから次に価格安定法の問題が出たのでありますが、私は恒久対策としては、やはりカンショ、バレイショと同じように大豆も安定法の適用物資にすべきである、こういう考え方を持っておるのでありますが、この点についての政府のお考えを伺いたいと思うのであります。
○大坪説明員 ただいまの御指摘の点でありますが、安定法の物資に大豆を入れるかどうかという問題につきましては、実は農林省といたしましても、これはいろいろの方面から検討を要するのではなかろうかと思っておるのであります。もちろんこれは法律で指定をすることになっておりますので、本委員会におきまして御審議を願うべき筋合であると思いますが、議案を出すという場合になりますと、大豆は米、麦に次いで農家といたしましては非常に重要な農産物でありますので、私、改良局といたしましては御審議を願いたい、かように考えるのでありますが、さて広く農産物全体という点から見まするならば、大豆までこれを広げるという問題につきましては、いろいろ政府部内におきましても御論議があろうかと思うのであります。この点につきましては各般の事情を慎重に審議いたしまして決定いたしたいと考えております。
○鈴木(善)委員 私は最後に、いろいろ政府にこれに対する対策なり腹がまえをお伺いいたしましたが、今、申し上げたような事情でございますから、私から御要望申し上げた点も十分御勘案をいただきまして、要は非常に緊急を要する事態に相なっておりますから、早急に適切な資金対策なり、価格安定の具体的な、強力な対策を立てていただくことを要望いたしまして私の質問を終ります。
○芳賀委員 大豆の出回り直前における価格の暴落は、政府当局もよく認識されたようでありますが、問題はことしの統計調査部の発表を見ましても、全国の作付反別は三十九万五千町歩、生産が約三百八十三万石でありますが、これは決して国内の需要を満たす数量でないのであります。毎年四十万トンないし五十万トンの輸入大豆が入ってくることによってようやく国内の需要を満たしておるということになりますと、輸入大豆が全体の六割で国内産が四割程度ということになっておるのであります。ですから、たといことしが例年に比べて若干作柄がいいといたしましても、この豊作を理由として価格が暴落するということにはならないと考えるわけであります。このことは先般決定されましたカンショ並びにバレイショ澱粉の価格決定のその値下り要因とは、全く趣きを異にしておるわけであります。結局これは政府の無定見な外国大豆の輸入計画あるいはその輸入の具体的方法というものが、国内の大豆を暴落せしめた重大なる原因を作っておるということは、これは両局長も認めておられると思うのであります。先ほど与党の鈴木委員は、現在十七万何千トンの大豆が滞貨しておると言われましたが、これは滞貨ではなくて、収穫がやっと終って、これからそれを販売して換金して今後の——たとえば大豆の場合には東北あるいは北海道等においても大豆を経済作物として耕作しておる人たちは、おおむね開拓者であります。ですから、こういう重大な時期に当面して、換金しなければならないという時期にこういう暴落をした。これに対してただ単に開拓融資あるいは災害資金等の返還期を延ばすというようなそういう安易な考え方では、ただ出血をあとに延ばしていくということにしかならぬわけであります。ですから、これは当然緊急に、具体的にどういうふうな対策を講じた場合においては価格の維持ができるかということを、ここに明らかにしていただかなければならぬわけでありますが、その点に対しましてもまだ具体的なお話がなかったようでありますので、当面した緊急な大きな問題でありますから、これこれの具体策を講じてやった場合においては、現在二千八百円ぐらいに暴落しておる価格がどの程度に維持できるかというような点を一つお示し願いたいと思うわけであります。この御答弁によってまた質問いたしたいと思います。
○大坪説明員 大豆の値下りいたしておりますものをどういうふうな対策によって幾らぐらいに引き上げるか、これは非常に困難な御意見でありますが、大体私どもの方として考えておりますのは四万六千トンという一応の輸入すべき見込みのあるものをこの際たな上げをする、で、これを輸入計画から一応はずして考えていく、かようなことを第一段階として考えておるのであります。第二段階といたしましては、もちろんただいまお話がありましたように、具体的に北海道連合会なりあるいは各県におきます開拓者の団体なりと御相談申し上げまして、できるだけ大豆の市場におきます出回りと申しますか、いわゆる圧迫材料になるようなことのないような措置を講ずる、と申しますのは、ただいまお話がありましたように資金面としての援助、あるいは現に借りておる営農資金の支払い延期、こういうような具体的な措置を個々の団体と相談をいたしまして、できるだけ大豆が市場に出回りするのをたな上げすると申しますか、少くやって参りまして、大豆がいわゆる非常な供給過剰になりまして、値段が下ることのないように措置をいたしたい、かように一応考えておるわけであります。
○芳賀委員 局長は大豆が供給過剰になるような弊害を除くと言われておるけれども、これは供給過剰ではないのですよ。ただ十一月の当初に三十三万五千トンの下期の輸入計画を立てて、そのうち二十八万九千トンというものを輸入するということをきめたのです。しかもそれが出回り期なんですね。ですからこれは一つの思惑としても、二千二百円ぐらいの中共大一豆が入ってくるのだ、しかも国内においては昨年は約二百九十一万石の生産でありますが、今年は先ほど言われたように三百八十三万石です。そうすると国内においてすでに九十二万石の生産が上っておるわけです。それにもかかわらず、今年の輸入総体の計画というものは昨年より多い、ここに問題があるわけです。ですから、これは何のためにわざわざ出回り期に、国内産の大豆の暴落をさせるような意図のもとにこの下期の輸入計画を立てたかという、その点を正直に説明してもらいたいのです。
○安田(善)政府委員 実は私詳しくはありませんけれども、下期外貨予算のきまりました当時、食糧庁で油、煮豆、とうふ、大豆かす等の需要の方を見て、これだけは要るだろうということを考えたのだろうと思います。また先ほど改良局長が下期の輸入計画のうち四万六千トンをたな上げするとおっしゃったのは、多少数字上の言葉を使われたので誤解があるかと思いますが、まだ目下のところは輸入計画の中に入れておって外貨予算を変更するものではないという立場で今日はおります。しかし外割を具体的にしたり、船積み、あるいは到着の時期を想定して輸入業者などに輸入をさせるという措置はとらない、そういう段階でございます。従いまして、一口に申し上げますと、芳賀先生のおっしゃった点は、農林省全体としてまた関係省とともにきちんとこうやるのだということをまだ申し上げかねる段階であることをまことに遺憾といたしますが、あわせまして下期の外貨予算を組み、三月まで別々の割当をして、既契約が海外との間についているものでありましても、多過ぎるというものについては事情の許す限り国内の価格対策が明確になる一環として、あるいはその対策が明確になることに従いさせまして、農林省としては変更しようと思っておりますが、その見地は、目下のところは過剰でどうこうということではないという建前でおるのであります。 それから中共大豆を含めましてその他の輸入ものについて見ますと、中共大豆の方が非常に高かったのですが、中共貿易等との関係もあって数量もふえると同時に値も下げてきた。向うは輸出価格についても、トン数についても政府ないしはこれに代行する機関がタッチするせいもあるようですが、しかし目下想定しておるところにおいては、中共大豆の方が依然として米国大豆よりも高く、そうして数量も三分一ないしそれに近い割で少いので、影響はむしろ中共大豆では一部ではありましょうが、必ずしもない、こういうふうに思っております。
○芳賀委員 具体的に指摘しますが、たとえばちょうど下期の割当が行われたことによって、東京の穀物商品取引所の大豆の価格の推移を申し上げると、十一月の五日には現物の相場は、六十キロ一俵が四千二百円であった、それが十一月の十六日には三千三百五十円になって、さらに十八日には岩手ものは二千八百円ということになっておるわけです。ですから、外貨割当をやるような場合においても、やはり国内の出回りとか生産というものを十分考慮に入れて、それを前提にして国内需要を満すためにはどの程度の下期の割当をしなければならぬかという慎重なる配慮というものは当然必要です。しかも今年三百八十三万石とれるという統計調査部の調査、これは十月一日現在がこういうことになっておるわけです。単に大豆の輸入だけではない。河野農林大臣が就任されて以来の外国農産物の輸入経路というものを見ると、その影響というものはことごとく国内の農産物価格を圧迫するという形がはっきり出ておるわけです。余剰農産物の場合にいたしましても、あるいはえさの輸入の問題にいたしましても、豆類の輸入の問題にしても、今の政府の農政というものは、国内における農業を保護育成するというところに重点を置かないで、流通過程における安定政策、いわゆる河野農政なるものがこれをしからしめておるわけなんです。ですからこの問題を根本的に解明するためには、今の農産物輸入方式というものを根本的に改めてもらわなければならぬと考えるわけなんです。ですから一応の計画は立てても、必ずしもそれを実行に移すのでないという御答弁がありましたが、一つこの計画というものを改訂する必要があると思う。それで早急にこれを発表する必要があると思うのです。そういうことにおいて、私は市場に与える影響というものは好転してくるというふうに考えるわけです。 第二点は、現在行われておる農産物の価格安定法の対象品目にすべきであるというようなお話でありますが、これは昭和二十八年の特別国会におきまして議員立法で成立したわけなんです。その当時私どもは、大豆は全国的にも生産が普遍化しておるので、これはどうしても対象にすべきであるということを申し上げたわけでありますが、その当時は輸入が今よりはもう少し慎重に行われておったせいもありまして、大体四千円台を中心として価格が安定線をたどっておったような状態であります。それから国内の生産の絶対量があくまでも少いのだから、今の段階では安定法の対象にしなくても、大豆の価格というものは十分安定性を持っておるのではないかという一部の意見もありまして、これは附帯決議にはなっておりましたけれども、対象品目にはなっておらなかったわけです。幸いにして与党を代表して鈴木善幸君から、これは今の段階になれば当然農産物の価格安定法の対象品目にすべきである、そういう強硬な意見が出たので、われわれは非常に力強く考えておるわけでありますが、もし政府自身が改正法案を御提案になる御意思がないとするならば、しかも局長は期待するということをを言われておりましたので、そういうことであれば、これな与党と言わず、われわれはもちろん一貫して主張してきたのでありますから、当臨時国会中に緊急にその法案を提出して、これを価格安定法の対象にすべきであるというふうに考えておるわけでありますが、さらにこれは、政府当局としては、みずから提案の意思はないけれども、そういう提案がなされることを期待しておられるかどうか、その点をもう一度確認しておきたいと思います。
○安田(善)政府委員 大坪局長もその点について芳賀委員のおっしゃるのに近く発言されましたが、私は特に現在を中心にした時期において申し上げたのでありますが、安定法がなくても安定法があるような精神で大豆に関する農業政策も輸入政策も行うようにして行政をやるのがいい、またそういうつもり一で農林省はおります。こういうふうに申し上げたのです。本日は両局長とも局長として参っておりますので、法律案を提案するかというようなことを政府側としてお答えはできないと思います。それから私は、取引所の値段が四千二百円から三千円を通過して二千八百円になるこういうような取引機構についても相当疑問を持っておりますが、とにかく今まではそういうことになっております。他面、十分ではございませんが、農林省におきまして、また日銀等におきまして、農家の販売価格、あるいは卸売価格を、時間の余裕もございませんでしたので月別にしてこれを見てみましたところ、取引所の価格の変動が多いので、むしろ大数取引はそういうふうにはいっておらない。高い方よりは低くて低い方よりは高い。しかし全体の大きい傾向は、取引所に大きい波動が起きて、その傾向の方にいっておるように私は認識しておりますが、これについては将来考えるべき事項もあろうかと存じます。しかしそれとあわせまして取引所の価格そのものが農家の経済、大豆の販売価格に影響することもございますが、直接そのままであるというふうには私は見ておりません。また芳賀委員は河野農政の批判を一般的にされましたが、目下のところ農林省事務当局もそのようには考えておりません。輸入と国産との関係をもっとよく考えてやらなければいけないのじゃないか、こういうようなことについてはその通りであると思います。また大豆問題は消費者価格までマル公をつけるがごとく的確にこれを押えておるわけではございませんけれども、おのずから今の経済態勢でありましても、消費者のことも一応考えてみる要がある。そこで国内供給と輸入、輸入価格と輸入の仕方、消費者価格、そういうようなもの等を総合的に考えまして、事務当局といたしましても各局協力して暫定的な手でも早く打ち、やむを得ざるものはあとにしても、極力総合対策を講じたいと思います。
○芳賀委員 安田さんは博学ですから商品取引所の機構にも触れられたのでありますが、これは今の資本主義の経済の中においては、これを完全に抹殺することはできないかもしれませんが、とにかくこの機構というものは、農民を収奪する一つの商業資本の意図がここにあるということは、安田さんといえども否定することはできないと私は考えております。もう一つは、輸入食糧等によって原料が安く入るということであっても、それが直ちに一般の消費者に対して製品が安くなっておらないというところに非常に問題がある。それがどこに行っておるかということなんです。それで最後にお尋ねしたい点は、これは当面当然やれるというお話でありますが、この価格の自主調整は当然資金措置をしてやらなければならぬわけでありますが、これをどういうふうにしてやるかということがただいま問題であります。一例に北海道にあげますと、北海道の経済連においては、今年は雑穀澱粉等を中心といたしまして、いわゆる共同計算方式によって平均販買をやるということの態勢が非常に強く進んでいっておるわけであります。これをやりますのにも、生産者に対しまして満足に近い資金融通を行なって共同販売がやれるようなところまで持っていかなければいけないわけでありますが、大豆の場合には流れを二つにいたしまして、一つは開拓者関係の組織を通じての価格維持をやってあげなければ、当面した借入金の返済に対しても困窮するわけでありますから、これは全国的に見ればやはり全販連等を頂点といたしまして、地方に対して融資の態勢を十分確立して——出回り期は、市場に一度に大量のものが出回ってくれば暴落するのは当然でありますから、これはどうしても自主調整をやらせる必要は出てくると思いますが、これも速急にどういう形で、どういう資金ルートで、いかなる方法をもって価格維持をやってもらうかということです。その点を明らかにされる必要があると思いますし、それから最終的には、農産物の価格安定法あるいはこれに類似した措置を講ずるという場合には、やはり当然政府が一部買い上げをやるということにならなければ目的が達せられないわけでありますが、そこまでいかないと、この価格低下によって生ずる最悪の場合には、出血が出てくるときもありますので、この損失補償等をどうするかということも、当然問題になってくると思うわけであります。そういう点に対して具体的な腹案があればここでお示し願いたい。
○安田(善)政府委員 芳賀委員のおっしゃるようなことを早急に検討中でございまして、ただ芳賀委員のお考えを突き詰めますと、最後に食糧庁の買い上げ問題、こういうことが出てくると思うわけであります。まだその態度がはっきりしていないので、その一歩前で措置しなくてはならぬのが現在の状況であります。遺憾ながら、私は芳賀委員と同じ心配をして研究いたしておりますが、農業団体からは、開拓農家ないしは開拓連盟から御意見を聞いており、向うからの意見を積極的にいただいておりますが、全販連、北海道の北通、こういうところからは実は聞いておりません。おのずから、特に全販連等はかなりの赤字をかかえておる等の実情でありまして、いささか勇気が出ないのかもしれぬと思っておりますが、ここいらを、大豆の生産と出荷と価格、開拓農家の経済状況、農業の再生産と生活の確保というような見地から、一方は農協の相互組織を考え、一方は農家別の問題を考える要があると思います。最近必ずしも無条件委託といいましても、単協の方方ら上位団体に向いまして、ほんとうの無条件委託ではないようなことがあって、上位団体が少し怯懦と申しますか、勇気が出ない。または地方的な問題など持っておるようでありますので、特にそこを打ち合せまして、足らざるところを私どもも気をつけまして、ちょうどおっしゃいますような融資なり価格維持政策について協同組合とともにやりたい、こういうように思っております。
○芳賀委員 今安田局長は、この問題に対して開拓関係の各機関からは要請があるけれども、そのほかからない、その通りなんですよ。開拓者の諸君が一番これは切実に考えておる。たとえば岩手県等にしても、開拓者の耕作の品種別の検討をすると、大体作付の三割程度が大豆なんですね。ですからこれが中心になって経営が持続されておるわけです。そこに非常に問題があるのですね。開拓者の諸君がなぜ今この問題を取り上げておるかということは、それだけ既存農家より切実な問題なんです。そこに非常に問題の重要性があるというふうに考えるわけです。当然次の段階ではこの全販とか一般農協の系統からも声は出てくると思いますけれども、そういう諸般の要素というものを十分取り上げられて、少くともこの次の農林水産委員会においては、政府の責任において具体的な方策を示していただきたいと思いますが、これは来週の火曜日ですけれども、間に合いますか。
○安田(善)政府委員 心がけて最大限度やりますが、間に合うかどうか、そのときに一つ御批判をお願いしたいと思います。
○安藤委員長代理 川俣清音君。
○川俣委員 時間も大変おそくなりましたから、なるべく簡潔にお尋ねいたしますが、しかも人間が作っておる大豆のことでございますからあまりむずかしく聞かないで、できるだけわかりやすい言葉でお聞きいたしますから、簡潔に要領よく御答弁願いたいと思います。 大豆が突如値下りをいたしまして、一年間の期待いたしました収入が上らないということで、特に開拓農民、これを収入の唯一の農作物といたしまして作っておる開拓農民のごときは、一番大きな打撃を受けておるようでありますが、これは非常に困ったことだというふうにお考えになりまするかどうか。これは何とかしてやらなければならないというふうにお考えにならないのかどうか。この点まずお尋ねいたします。
○大坪説明員 ただいま御意見の通り、私どもといたしましては何とかいたしたい、かように考えております。
○川俣委員 そうすると、何とかしなければならないとほんとうに考えておるといたしますれば、農林省は最近できた官庁じゃなくて、しかも膨大な機構を持っておるのでありまするし、しかも昔から作っておる大豆でありますから、どういう場合に値下りして、どういう場合には農民にどんな影響を与えるかなんということは十分わかっていなければならぬことだと思うのです。今さら研究しなければならないなんという問題ではないと思う。従って事務当局では、こうすればよかろう、ああすればよかろうということが当然考えられておるはずだと私は思うのです。ただそれには、財政的にこれは事務当局ではいかんともしがたい、あるいは法律的な裏づけがないといかんともしがたいというようなことはあるかもしれないけれども、こうやればいいんだというだけの考え方、そのくらいの知識を農林省が持っていないなんという貧弱な日本の農林省ではないと私は思うのです。持っているけれどもこれを実行に移すにはいろんな障害があるとか、裏づけが足りないとかいうようなことだと思うのですが、そうじゃないのですか。まだ考えができないのですか。方策ができない、こういう意味なのですか。すでにできておるけれども、まだ諸般の準備が整わない、こういう意味じゃないのですか、どっちですか。
○安田(善)政府委員 川俣委員のおっしゃる通りでありまして、法律のないことはすぐできないですから、法律なくしてできることの、余分の、すでに割当てた以外の輸入差しとめをする。開拓民に対しましては、それを中心にしまして滞貨融資をする態度を私は持っておって、なるべく早くこれを実施したいと事務当局としては考えておる。但し安定法を引っぱり出しましたが、その基準となるべき価格は、省内いろいろな角度から考えなくちゃいけないので、結論を持っておらぬ——たとえば先ほどおっしゃいました三千八百円べース、融資三千円べースでありまして、基準とすべき価格がいろんな角度から見まして、かりに今程度の値段と間違ってなりましたら、間違いでなくてもその通り適正としてなりましたならば、せっかく融資をしましても償還はいただかなくちゃいけませんので、融資の場合では金利分だけ開拓農家に借金させるだけではいけないから、その意味でまだ慎重を要すると考えておる次第でございます。
○川俣委員 だいぶ大きい声で言われたから、もっといい案が出るのかと思ったら、滞貨融資で問題は処理できるというのは少し貧弱だと私は思う。というのは一体日本の大豆の需給計画というものはあるはずなのです。食糧としてどのくらい、みそ、しょうゆにはどのくらいあるいは飼料としてどのくらい、一年間の予想消費量あるいは現実の実績、こういうものはみな持っておられるはずなのです。相当印刷費を使っておられます。調査費用も使っておられますから、これはできているはずです。私どもはまだ今ここで時間がないから説明をしませんが、できているのです。それとこれとを見ますと、供給過剰だなんというようなことは出て参りません。また単にえさあるいは有機質の肥料としてどれだけの購買力を農民が持っておるかというようなことも想定できないわけではございません。そういうことを勘案してきますると、案がないなんということを、いやここで滞貨融資をするなんということだけでできるなんということでありますならば、別に安田さんを使わないでもこれは事務官でもできるのです。従ってただ一本でこういう価格対策なんというものはできるものじゃない、応急の処置として滞貨融資のことも必要でありましょうし、これは食糧の方にだけ需給を向けるよりは、あるいはえさとするかあるいは肥料とする、そちらの方へ向ける、あるいは先ほど言われたように中国からあるいはアメリカからの買い入れ金額にいたしましても、一体時期がいつがいいのだか、われわれは日本の農作物になるべく影響を与えないように、需要者にはなるべく満足のいくようにそのバランスをとって輸入するということが行政官として当然やらなければならぬことです。これだけの予算があるからいつ入れてもいいというものではありませんよ。どういう時期にどのような用途で入れるかということが必要なことなんです。食糧が足りない場合においては、これは蛋白質として食糧の方に回す、あるいは食糧が過剰であればこれはえさの方に回す、えさが過剰になるならばこれは有機質の肥料として向けていく、あるいは油としての需要の方に回していく、あるいはこれは菜種と競合するから油の方はどうするということで、総合的にやるということがあなた方が今まで一番説明することではないですか。あまりできもしないことを説明だけは実に今までうまく説明されておる。なぜこの問題だけ説明がそう下手なんです。いつもはなかなかやれないようなことを、私が今説明したようなことをるる総合計画はこうだと、先ほどとうとうと実によく説明するが、なぜきょうだけはうまく返事ができないのですか。その点はどういうわけなんですか。
○安田(善)政府委員 非常に詳しく長く総合的に御意見をいただきました。ただいまの結論は大坪局長が代表になりまして今日の総合的のものを申し上げたので、端的に研究でなしにやるというのはどう持っておるかというのを私がお答え申し上げたのであります。川俣先生のおっしゃったのはよくわかります。計画資料のあるものはちゃんとあります。その他のことも考えましてそれらを研究しておるのであります。
○川俣委員 もう実は研究の段階ではないのですよ。実行するにはこれだけの予算が要る、あるいはこういうところまで思い切っていくには法律上の操作が要る、こういうことになると思うのです。そこでどうしても私はあなた方の方に強要するとすれば——そうしたくしはないと思うのだけれども、安田さんにお尋ねしますが、農産物価格安定法に入れる方が非常に便利だと思いますか、あるいは入れないでもやり得る、行政官としては最大の努力をすれば入れたと同じような効果を上げることができるとお考えになっておりますか、どうも法律上の裏づけがないとやりにくい点があるというふうにお考えになっておりますか、なくても行政官としてはそれくらいな気持でやり得るんだ、こういうのか、その点もう一度お尋ねします。
○安田(善)政府委員 個人としては考えを持っておりますけれども、経済局長としてはきょうは差し控えたいと思います。
○川俣委員 これは農林省として重要な問題であります。価格安定法の指定農産物でないにいたしましても、それに準ずるような農産物でありますことは、これは私の説明を待たないところであります。特に開拓農民といたしましてもこれに非常な大きな、——きょうにきまるか、あすにきまるかということで、これまた非常に価格に影響するところです。安心いたしまして少し押えますと、これは価格のつり上ることも可能になってくる。価格形成というものは微妙なものでありまして、仮需要を起して参りますならばすぐ上って参ります。また需要拒否がちょっと起りますとすぐ価格が下ってくるのです。そういうデリケートなものでありますだけに価格をどの程度に維持するかというようなことも考えますならば、ちょっと政府が声明するだけで幾分でも値上りできるのです。今はいたずらに値下りするような、輸入計画もないのに発表するというようなことで、わざわざ下げるようなことをしているじゃありませんか。今入れるのでありますならば下るような結果になりますが、まだ入れるか入れないか、現物がいつ入るかわからないようなものを、ただ発表しただけで大きな打撃を与えておるではありませんか。これは全くいたずらなる打撃を与えておる。無能の上にさらにしんにゅうをかけたような結果を来たしておるのであります。従いまして今ここで最善の努力を払って、輸入についてはこうだというようなことをあなたがこの委員会で説明されたら理解できるでしょうし、同時に農林省の記者クラブ等にもこれを発表いたしまして、これ以上下らないようなことを考えていかなければならないと思う。また需要の面から行きましてもとうふなどは別に値下りをいたしておりません。あるいはみそなども値下りをいたしておりません。しょうゆなども値下りをいたしておりません。だからこれは需要からきた価格の低落ではないのです。需給拒否、むしろ今の取引所が非常な大きな弊害を与えておるのです。ほんとうの需給上からくるところの価格の変動ではないのです。思惑なんです。一つの思惑相場、ばくちなんです。取引所にばくちをやらしておくようなことでありますならば、これは大へんなことであります。農林省でも前に農林省の役人であった者をわざわざそこに入れて、自分の監督がきくようにしている、またわざわざ監督官も出しておられる、何のために監督官を出しておいたり、農林省をやめた役人を置いておかれるのか、何ら農林省の威力が示されないような、しかも農林省に砂をかけるようなことをやられておいて、黙って見ているというようなことでは、農林省はなめられているではありませんか、大坪局長どうですか。
○大坪説明員 ただいま大へんなおしかりを受けまして、まことに恐縮に存じます。取引所の問題につきましては、私どもといたしましても従来より監督を怠ってないつもりなのであります。ただ取引所の機能と申しますか、それは大勢の売り方、買い方の作用によりまして、価格を安定させるという機能を持っておりまするが、反面ただいまお説のような、何と申しますか投機的な点があるということにつきましては、これは反面の作用として認めざるを得ないと思うのであります。私どもといたしましては、できるだけそういうことのないように、証拠金を引き上げますとか、あるいは売買数量を制限するとか、そういうような処置をとって参りたい、かように考えておりまして、取引所の機能自体としては、先生御承知の通り、これは長期的な価格安定作用を維持させるためにどうしても必要ではないか、しかしながら、反面ただいま先生御指摘のような弊害がございますので、これにつきましてはできるだけそういうことのないような処置をとって参りたい、かように考えております。
○川俣委員 取引所の問題につきましては、もう少し具体的にいろんな例をあげて一つあなたの責任をいずれ追究する機会を別に得たいと思いますから、きょうはそれはこれでやめておきます。ただしこれはほんとうの需要から起ってくる価格ではないという点です。小売の値段はこれほど下ってはいないのです。これは豆屋さんに行って聞いてごらんなさい。私はきょう豆屋に行って聞いてきたのです。とうふ屋さんに行って聞いてきた。それほど下っていない。もちろん下ってはいます。なぜ一体小さな取引の値段はそう下らないでおるか。みな幾分買い控えをしておる。みなもう少し下るだろう、下るだろうということで買い控えをしておるだけです。だからほんとうの需要からきておるところの価格ではないのです。だから、大量に売ろうということになりますと、ここに値段の暴落が出てくる、たたかれが出てくるのです。普通の価格構成ではないのです。これが一つの問題なんです。それと、全体からいって、アメリカのものが入り中共のものが入りましても、一年の需要から見て適切にこの需要を分けて参りまするならば、必ずしも過剰なものではないのです。しかも蛋白質という有力な日本の食糧資源でありますものを、一体なぜこんなに必要以上に価格をたたいて売らせなければならないか。ほんとうに需要家が、消費者が満足するように価格が下っているのならまだいいですよ。一体相場を張らしておいて、いたずらに農村を混乱させなければならない理由がどこにあるのですか。消費者が満足するような状態であれば別ですよ。とうふが大きくなったとか、値段が安くなったというのなら別ですよ。何にも消費者には恩恵のない、ただいたずらに生産農民だけを苦しめなければならないようなことを農林省がやるわけはないでしょう。だれがやらしているかということをよく検討されなければならぬ。あなた方は努力するというけれども、努力を無にするようなことをやっておるものがあるとすれば、これはあなた方十分考えていかなければならぬと思う。だから案がないわけではない。あなた方十分案を持っているはずです。ことに安田君のごときは断固としてやりますと言うのだから、案がないわけじゃない。断固として、案はこれとこれとこれだというふうに来週の火曜日にここへ持ってきて下さい。その上でなお足りない点があれば、われわれはこういう点を追加してやるべきだということを指示すると同時に、もしやる方がよければ大いにそれを弁護いたしますから持ってきて下さい。これで質問を終ります。
○安藤委員長代理 淡谷悠藏君。
○淡谷委員 先ほどから同僚委員の質疑に対する御答弁を聞いておりますと、やはり局長級ではなかなか断言できないような微妙な問題があるようでございまして、私も大体この次の農林委員会まで保留いたしたいと思いますが、ただ先ほど安田局長から、消費者の需要と見合って、消費者価格との関連において農産物価格も考えたいという一音がございましたから、関連いたしまして、農産物の値下りに対する農民の苦悩は大豆だけではなくて、先般来しばしば当委員会で問題になっております。これがやがて米あるいは麦等の問題にまで波及いたしますならば、この際農産物の価格問題が大きく取り上げられる必要があると思います。特に長い間の自給態勢から交換経済に立脚した農産物政策の必要が痛感されております今日、国際価格と国内価格との開きというものをやはり考えなければならない。従って消費者価格を考えられるならば、生産者の要求する価格と消費者の要求する価格とが矛盾を来たさないような方法がないのか。ただ物を生産すればよろしいというのではなくて、流通過程に関するさまざまな改良をすることがやはり農林省の大きな任務となって参ったのでございます。つまり国際的な農業に劣らないような農業まで日本農業を持っていくことが、ほんとうの意味での価格構成の要因ではないか。こういう点について私、次の委員会まで御準備願いたいと思います。真に長い価格構成を考えての施策を行うのならば、農業の構成に対して基本的に徹底せる補助政策をとる御意思が一体あるのか、ないのか。その点について準備の期間を残しまして、私はきょうの質問はこれだけで打ち切っておきます。
○安藤委員長代理 田口長治郎君。
○田口委員 私はカンショ切りぼしの価格につきまして、農林当局にお伺いいたしたいと思うのでございます。この問題につきまして十月十九日の午後、各党代表と食糧庁長官その他と秘密協議会を開きまして、われわれは検討をいたしたのでございますが、そのときにいろいろ意見を交換してみますと、本年ある程度カンショが豊作であるために、非常に値段が安くなった、こういうようなことでございます。結局なまカンショが二十三円ないし二十四円程度ではないか、こういうような話でございます。ところが農産物価格安定法によりまして出されましたなまカンショが二十六円ということになりまして、この二十六円のなまカンショから計算をいたしまして切りぼしは一貫目について九十七円、こういう数字を出しておられるようでございます。そのときに食糧庁長官は、支持価格としてはこの程度であるけれども、ほかにいま一本の準備をしておる、その準備をしておることはどういうことであるかということを聞いてみますと、酒の製造業者の団体と全敗連との間の協定によって、一貫目百八円ということで三千万貫を引き取らせるということにきまっておる、こういうような話でございました。このことは非常に重大問題でありますから、私からさらにそれはもう協定が成立したのでございますかと聞いてみましたところが、協定が成立した、こういうような話であったのでございます。従ってこの話に基きまして、各イモ作地帯におきましては、なまカンショの値が下った場合におきましては切りぼしにどんどん切りなさい、こういうことで今日まで指導をして参りました。ところが今度東京に参りまして各方面の話を聞いてみますと、どうも食糧長官の話は少し行き過ぎておりまして、まだ何にも協定はしていない、百八円で折衝中だ、こういうようなことに各方面から私らは聞いておるのでございますが、もし果してそうだといたしますと、これは非常に重大問題でございます。しかし食糧長官の責任問題は私ここで申しませんが、この折衝の実態がどうなっておりますか、その点を一つ詳細に御説明願いたいと思います。
○新沢説明員 ただいまのなま、切りぼしの価格の問題でございますが、過般食糧庁長官が申しました通り、食糧庁と国税庁との間におきまして、ただいまお述べになりましたような百八円で引き取りをするということにつきまして、基本的な話し合いをしたわけであります。国税庁といたしましては、食糧庁の申し出を了承いたしております。ただ実際の買い受け人は酒造業者でございますので、また供給者は全販でございますので、実際の引き取りに関しまして全販と酒造業者との間で、その原則に基きます話し合いをその後いたしておるわけでございます。現在のところ最終的にきまったというところまでには若干まだ時日がございますが、原則的にはその話はお互いに了承の線に到達して、申し上げた通りの線で実現するという段階まで到達しておりまして、日ならずして成立するものというふうに考えておるのでありまして、協定の成立といいますのは実際の協定というのじゃございませんで、食糧庁、国税庁間の了解がまず成立したということで、具体的な全販と酒屋との交渉がその後ありまして、それも日ならずして成立するところまで参っておる、こういうことでございます。
○田口委員 食糧庁長官の言明は十月十九日の午後でございました。その話が、今になっても協定も何もできていない。そうして現実にイモは大部分掘ってしまっている。こういうような実情でございます。食糧庁のものを国税庁が引き受けるというのでなしに、これは結局全販連と酒造業者の組合との話し合いでございます。この条件でどうか、現在の話はこの程度の段階で、酒造組合の方では役員会あるいは総会を開いてこの価格をのむかどうか、その点を一つ研究してみます。こういうような段階にあるということを私承知しておるのでございますが、今の御答弁によりますると、何だかもう一歩でできる、こういう話のようにも受け取れますけれども、私らの聞いておるところでは、なかなかまだそこまでいかない。言いかえますと、いろいろな受け渡しの条件なんかもその間にはさまりまして、話がスムーズにいくかいかないかということを非常に疑問に思っているような状態でございます。一体どういうような条件で百八円で折衝をさしておられるのか、百八円の中にいろいろな諸経費が加わっておるのか、あるいは百八円は生産費の手取りか、あるいはどれだけ受け渡して百八円という数字が出るのか、この折衝内容並びに条件というものについてもう少し詳しく御説明願いたいと思います。
○新沢説明員 ただいま一まとめにして百八円と申し上げましたが、実はただいま全販と酒造業者との間で話をいたしておりますのは、引き渡しの県、産地によりまして若干の幅がございます。一番高いところは百九円、安いところは百四円ということになっております。価格は生産地もより港あるいは駅におきます貨車載せあるいは船載せ渡しの価格でありまして、その価格が今申し上げました百四円ないし百九円でございます。従いまして引き取りをします場合にはそこから着駅までの諸経費を加算したもので酒造業者は引き取る、こういうことになるわけでございます。そしてその価格は一−三等込みであります。等級別の価格がございませんで、一−三等込みて今申し上げた価格ということになっております。さらに県別を申し上げますと、百九円で引き取りますところは、愛媛、高知、長崎の三県でございます。それから生産地におきます発地渡しが百八円になります県は、愛知、三重、島根、岡山、広島、山口、香川、徳島、佐賀、大分、鹿児島、宮崎、熊本、和歌山、鳥取でございます。それから群馬、埼玉、東京、神奈川、静岡が百六円、茨城、栃木、岐阜その他各県産につきましては百四円ということになっております。
○田口委員 引き渡し場所の問題でございますが、巷間伝うるところによりますと、需要者の指定する場所へ、こういうようなことが引っかかりになっておるというような話を聞いておりますが、そういうようなことはありませんか。
○新沢説明員 価格の建値はただいま申し上げましたように、発地の建値になっております。ただ一応荷物は業者の指定するところまで送るわけでございますが、その業者の指定する着港、着駅までの費用はただいま申しました価格に加算して酒造業者の方が支払う、こういうことになるわけであります。
○田口委員 時間がありませんから簡単に申し上げます。 私どもはこの農産物の価格安定ということにつきましては、農産物価格安定法で支持価格を出す、これも一つの方法でございますが、ほんとうに徹底してやりますためにはやはり供給する団体と需要する団体とが契約によってきめなければならぬ。かような意味におきまして今年この酒の組合と全板違とが団体契約をして価格と数量を決定して取引をする。これは非常によいことだ、将来この道をできるだけ拡充強化する、こういう取引で全部やるようにしなければならぬ、こういうような意味で今年農林省でやられたことは非常にけっこうな施策である、こう考えておるのでありますが、ただ今年の百八円の価格につきましてはもう少し折衝の余地があるのではないか、こういうような感じがいたします。と言いますのは、酒は酒税の率はきまっておりますし、そうしてできた酒が今年は安くできたから少し安く飲ませよう、こういうような意味のものでなしに、定価で売っておりますから、原料をたたいて、酒造者が膨大な利益を取っておる。こういうようなことは社会常識上絶対に許されない。従って適正な価格、適正な利潤までは認めるとしても、それ以上のものはどうしても原料の生産者である農民に返してもらわなければならぬ、かように考えておるのでありまして、かかる点から考えまして今年の百八円というものは必ずしも私らは満足しない価格であると思うのであります。さような価格でございますけれども、農林省、国税庁で仲介されて折衝されておる現段階におきましては、これをいかんともすることができないと思いますから、ただ一つ十月十九日にとにかくきまった、こういうことで農民を指導しておるのでございますから、そうして現在イモはほとんど掘ってしまっておる。こういう実情にあるのでありますから、この協定を一つ農林省としては一日も早く決定する、そういう努力を一つこの上ともしていただき、そうして大体イモ作地帯の農民が考えておるそういう方式で三千万貫なら三千万貫が安心して取引できる、こういうようなことを現実に現わしてもらいたい。どうもこの問題がぐずぐすしておりましては、せっかくの名案ですけれども、実際の役に立たない。こういうような結果になると思います。今日までも相当努力しておられると思います。ことに非常に急でございますから、あすからでも一つこの問題をすみやかに決定していただく、こういうことに一段の御努力を要請する次第でございます。
○安田(善)政府委員 私の局にも関係はございまして、業者とのあっせんあるいはその方式を生み出してごあっせん申し上げたのは私でございますが、ただいまお説のように国税庁、食糧庁とともに同じように努力するつもりであります。
○安藤委員長代理 本日はこれにて散会いたします。 午後六時四十九分散会