商工委員会 第6号
- 発言数
- 75 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1955/12/14
会議録
○神田委員長 これより会議を開きます。 繊維、アルミニウム及びミシン工業に関する諸問題について、調査を進めます。質疑の通告がありますから順次これを許します。片島君。
○片島委員 ミシン工業の問題について、若干お尋ねしたいと思うのであります。もうこれは昨年から本委員会において問題にされてきたのでありますが、日本のミシン工業が戦後非常に努力しまして、輸出産業といたしましても非常なる業績を上げておるのでありまするが、最近に至りまして、シンガーミシンがパインと提携いたしまして国内に進出を企て、また現に実行に移っておるのでありまするが、日本のミシン工業が今日のように非常に発達をいたしておりますのに、外国から大きな資本をもって日本の国内に進出をせられるということは、日本のミシン工業にとっては重大なる死活の問題であると思うのでありますが、今日こういう状態に至りました経過についてまずお伺いをしておきたいと思います。
○鈴木説明員 ただいまのお話がありました点でありますが、日本のミシン工業は非常に伸びております。輸出等も相当伸びております。お話のシンガー、パインの提携問題は、昨年の七月外資法による認可の申請があったわけであります。その後政府といたしましては外資審議会に諮りまして、この問題について目下検討中の次第でございます。しかしながら今年の九月になりまして、シンガーとしましては外資法の申請以外に輸入機械の無為替輸入の申請等もしておる状態でありまして、これらもあわせて目下政府としては検討中の次第であります。
○片島委員 昨年の七月といいますと、これはもう一年半も前のお話でありますが、そのようにいつまでも検討せられておる間に無為替の輸入の申請がまたきておるとおっしゃいますが、現にもうすでに進出をして入ってきてしまっております。既成事実がもう今日作られつつあるのでありまするが、それに対してはどういうふうなお考えを持っておられますか。
○鈴木説明員 ただいま申し上げました外資法の問題につきましては、外資委員会に諮りまして十分検討しております。大体その考え方としましては、この提携が果して産業の発達に寄与するかどうか、あるいは国際収支面でプラスになるかどうかというふうな点に問題があるわけであります。しかしながら同時に一方においてほかの反響、たとえば米国における世論の問題とか、あるいは日本製品の輸出に対する関税の引き上げ問題とか、あるいは輸入制限というふうな問題が最近起っておるような事情等も考えまして、その結論は延び延びになっておりますが、そういった事情で、最終的決定につきましては慎重な態度をとりたいということで延びておるわけであります。それからただいま御指摘の、事実上シンガーが進出しているという問題でございますが、これは日本におきますシンガーの支店がパインミシンに注文いたしまして、それによってパインミシンがメリットという製品を出しているという事実でございます。しかしこれは国内的の商業的な契約でございまして、これに対する取締り法規等はございませんので、これについては何ともいたし方がない、こういう事情でございます。
○片島委員 そういたしますと、パインに委託してメリットという名前によって進出してくるというこの事実上のシンガーミシンの日本国内への進出ということについては、何ら法規的に打つ手がない。御承知でもありましょうが、シンガーミシンは非常に長い間の業績を持ちまして、その大きな資本力にものをいわせまして、イギリスあるいはカナダ等におきましても、その国内のミシン工業というものを全部シンガーの独占下、支配下に置いてしまいまして、ほとんどシンガーの独占的な威力を誇っておるのは御承知の通りであります。特にまた日本におきましても、ミシン工業というのはきわめて中小企業でありまして、非常に低賃金で、ばらばらの状態で各企業がやっておるのでありまするから、これが団結ということもなかなかうまくいかないで業者としても非常に困っておる。私どもは業者からも申請を受けておりますが、同時にこのミシンの労働組合——今までほとんどの産業におきまして労働組合と経営者側というのは常に相対立するような態度を示してきましたのに、このミシン工業、特に国内におけるミシン工業を守れ、外国の手に渡すなという闘争は労使が全く協調いたしまして、同じ歩調によってやっている。しかも聞くところによりますと、ミシン関係の従業員の家族を含めると百万以上の人間がこれに従事しておるということである。取り締ることができないということになりますれば、事実上日本のミシン工業というのは、大きな資本力と——特にもう今日、今まで日本の国産ミシンが手を広げてようやく組織を確立しておりました日本の国内の販売網に委託販売をやらせまして、非常に寛大な販売条件をもちまして、すでにその販売も横取りをしてしまっておるという状態、これをほうっておきますれば、もう毎日々々だんだんと進出をいたしてきまして、それだけ日本のミシン工業は倒れていくという運命にあるのであります。それを慎重に考えなければいかぬ。アメリカの世論がどうだというようなことでは——これは何もアメリカよりもまず日本のミシン工業というものを重要視をしていただかなければ通産省としては相ならぬと思う。外務省におきましてはあるいは外交的ないろいろな問題はあるかもしれませんが、少くとも通産省といたしましては、日本の国内のミシン工業界を育成する立場において、一カ年間に八十億、百億というような大きな輸出額を持っております日本のミシン工業を、ほかの国に乗り取られるというような時代がきておりますのに、アメリカの世論等も考えて慎重に検討しておるということは、私たちはどうしてもこれは合点がいかないのでありますが、これを急速にどういうふうな結論を出そうとしておられるかを私はお伺いをしたいと思います。
○鈴木説明員 ただいまお話がございました点でございますが、われわれとしましても十分国内のミシン工業の育成発達とか、その輸出の伸張には努力をいたしたいと考えておる次第でございます。 それからこの問題は、どういうふうに外資提携の問題を処理するかというお話でございましたが、これにつきましては先ほど申し上げました通り、われわれとしては外資委員会に諮りましてその結論をつけたいというふうに考えております。そこで先ほど申し上げたことを繰り返すようなことになりますが、これは産業の発達に果して寄与するかどうか、あるいは国際収支面でプラスになるかならないかというふうなことにつきまして問題があるわけであります。しかしながらこれの最終的決定は、いろいろほかの反響等を考えて十分慎重にやりたいというふうに考えて今日に至っておるわけでございます。
○片島委員 そうではなくして、これはアメリカとのいわゆる外交的な通商条約の面において、どうしても日本としてはこれを振り切って押えて拒絶をするということができないというようなことを私は承わっておるのであります。そういういわゆる日本の輸出輸入、貿易関係にどういう影響があるかとか、あるいは日本の技術の振興にどういう利益があるか、あるいはマイナスがあるかということでなくして、もっと深い、日本政府としては何ともいたし方ないような外交的な弱みというようなものが考慮されておるのではないですか。
○鈴木説明員 今の外交上の問題は、これは私からお答えするのはどうかと思いますが、通産省として、ことにわれわれ重工業局としてミシンを担当しているものから見て、国内ミシン工業の育成あるいは輸出の振興という点に重点を置いて考えなければならないことでございますけれども、同時にまた日本の産業、通商一般の利害関係ということも考慮に置いて結論を出すべきだという点が一つ大いに考えられなければならない。そこで最終的結論につきまして十分慎重に考慮いたしたい、こういうことでございます。
○片島委員 そういうふうに非常に慎重なる態度をとらなければならぬといっているうちに、だんだんと事実上の進出が企てられておるのでありますが、そういたしますならば、非常に慎重なる結論を要するならば、その結論が出るまででも押えておく、不許可にしておく。そうして十分検討した末、進出を許してももうかまわないという結論が出た場合に初めてこれは許可をする、あるいは黙認をするという態度に出るべきであって、不許可にいたさないために、黙認の形で入っておるという事実が、これが危険千万なのであります。現に今年このメリット・ブランドのミシン五千台をパインに作らして、しかもシンガー・ブランドに近く切りかえると公然言明をしておる。また明年は一万台生産をするといっておるそうでありまするが、そういうふうにだんだん幾らでも作らせるということに対して、そして進出をするということに対して慎重なる態度というのは、これを黙認しようというのか、あるいはこういう事実があってもやむを得ないというのか、大体の見通しを立ててやっていかなければ、毎日々々蚕食されていく日本のミシン工業というものをそのまま見送るということは通産省としてはまことに怠慢の至りである、何か見通しを持っておられるかどうか、その点をお伺いしたい。
○鈴木説明員 お答えいたします。外資委員会の結論を出してないということは黙認するという意味じゃございませんで、結局許可認可が与えられてないという今の現状でありますので、何も黙認しておるということではございません、結論が最終的に出ておらない、こういうことでございます。それからもう一つお話がありましたように、輸入の申請につきましてもまだ決定をいたしておりません。従ってこれについてもどうこうということはございません。それで今のメリットの生産は、国内のパインミシンに日本のほかの業者、あるいはほかの商社、あるいはほかの連中が注文するのと同じような形で注文されて出てきておるものでございまするので、この点については政府としては何とも法的に取り締る道がない、こういうことでございます。
○片島委員 それじゃ、そういうような事実上の問題については、これを法的に取り締ることができない、そういたしますと事実上何万台何十万台できて参りましても、こういう方法、早くいえばもぐりの方法によってミシンが国内に進出をしてくるということについてはやむを得ない、こういうお考えでございますか。
○鈴木説明員 ただいま申し上げました通り、政府としては現在の法的制度のもとにおいては、これについて取り締る道がないわけでございます。しかしながらできるだけわれわれとしましても日本のミシン工業の発達について最善の努力を尽したい、現在の日本のミシン工業も先ほど御指摘のありました通り年間百二十万台と、四、五千万ドルの輸出をしておる、そういうふうな実力を持っておるわけでありますので、国内的にも日本のミシン工業は相当の実力を持っておる、こういうことで、できるだけこの点は伸張していきたい、こういうふうに考えております。
○帆足委員 関連して。ただいまの片島さんの御質問は、今ミシン業界が当面している問題からいたしまして、行政当局として十分に緊急な対策を必要とする点だと思うのです。それは御承知のようにシンガーミシンは全世界に食指を伸ばし、非常に強い独占的地位を持っております。しかし日本のミシン工業は御承知のように、戦後における日本の花形の輸出工業であって、国際収支の面からいっても輸出産業として優先的に保護せねばならぬ立場の産業です。それでこれに対して外資導入の問題が起りましたときに、当時の愛知通産大臣もはっきりと御答弁をなさり、石橋さんも、いつかスレートの外資導入の問題についてはまだ多少研究の余地があるということでごたごたしましたけれども、ミシンの問題については論議の余地がないからということで、石橋通産大臣からも明瞭なお答えがあったわけです。そこで私どもはこれはもう解決済みの問題として安心しておりました。ところがシンガーミシンの持っておる数億の国内資金を動員いたしまして、そしていわば法の欠陥をくぐりまして、シンガーが日本国内に進出するということになっておって、今御答弁にありますようにミシン工業を輸出産業として保護せねばならぬ、しかし法律上の手当がないためにちょっとその点手がゆるんでおるというような御答弁でございますが、歴代の大臣が実質的にシンガーミシンの日本進出は国策上望ましくない、またアメリカほどの大きな国が、シンガーが、敗戦で困っておる日本に対して何も出てくる必要はないのであって、日本とアメリカとがお互いに親善的な関係にあるとするならば、一そうアメリカはこういう政策を自粛すべきであろうと思うのです。一体日本にたくさんの軍事基地を置いておいて、日本のお世話になりながら——日本も若干アメリカのお世話になっておるでしょうが、アメリカも日本のお世話になりながら、たくさんの労働組合や中小企業者が決起するような社会問題を日本に起すなんていうことは、アメリカの大使がこういうことはちょっと控えなさいというべきほどの性質の問題だと思うのであります。そこで法律上の欠陥に乗じてこういうことをなさるというならば、私どもは第一にこれを政府当局に明らかにしていただかなければならぬことは、実質的に日本のミシン工業の保護育成のためにシンガーミシンが出てくることが望ましいのか望ましくないのか、一体現在のところ政府はどう思っておるのか。 それから第二に、望ましくないとすればこれに対する行政的指導的措置を講じなければならぬ。そしてどういう指導的措置を講じようとされるのか、従来一体国内の問題については、法律上の基礎がないにかかわらず、政府が行政指導として相当力を及ぼしてにらみを聞かして、そして政策を民間に浸透しておるという例は非常に多いのです。私はむしろその点は行き過ぎじゃないか。正当な中小企業の商権を行政指導によって官庁がやることは不当でないかと思うことすら非常に多いわけです。しかしそれも大局の国策からとあれば時と場合によってはやむを得ないと思って黙認しておることも非常に多い。しかるに外国の力に対してはそれが非常に弱いということは、まことに遺憾なことであって、これをぎゅうぎゅうとっちめる方法は得意の行政指導である程度やれると私は思うのです。従いましてそれを第二に伺いたい。 第三には法律的措置ができないとするならば、こういう問題はほかの産業にも起ることでありますから、国会としては、それじゃお手伝いして、法律的の措置を次の国会に準備をいたさなければならぬ問題もあろうと思います。従いまして、今の二つの問題につきまして中小企業の皆さんによくわかるようなふうに一つ納得のいく御説明をお願いしたい。
○鈴木説明員 第一の問題でございますが、日本のミシンの技術も相当進んでおりまして、そしてこれは先ほどからお話し申し上げました通り、輸出にも相当伸びておるという企業でございますので、できるだけわれわれの国産の技術により国産の製品によってミシンを伸ばしたいというふうな考え方を持っております。従いまして行政指導の面からこういうふうなことを中心にしまして大いに伸ばしたい、そういうふうな考え方で常に考えておるわけであります。
○帆足委員 そういうお考えをお持ちならば、それが行動に現われなければならぬわけですが、しかるにシンガーが国内にある資本を利用して、法網をくぐってシンガー資本が国内で跳梁ばっこするという状況を今やまさに招かんとしておるときに対して、具体的措置にお困りになっておると考えますので、至急具体的措置を立てていただきたい。ただいま明確な対策がなければ一両日でも間を置いて、そしてこれに対する、具体的にこういう場合にはどういう措置をとるべきかということの御研究を願いたいと思います。それからせっかく次官が初登場されておりますので、大臣のお気持を受け継がれて、この問題についてもただいままでのこの討議で問題の所在はおわかりでございましょうから、次官として、政府の最高首脳部としてのお心組みのほどを明確に承わっておきたいと思います。
○川野政府委員 ただいま御質問になりました第二、第三の点についてでございますが、よく検討いたしまして善処いたしたいと考えておる次第であります。
○帆足委員 この問題は党派を離れての、日本の産業を保護する立場からの立論でありますし、その保護がアメリカに対しても決して無理でない——こういう中小企業のものまで、しかも法網をくぐってまで国内に跳梁ばっこしていただく必要はごうもないのですから、政府は確固たる態度で、立法上の欠陥があるとするならば、その欠陥を埋めるまでの期間は行政上の措置によってでも調整していただくようにお願いしたいと思いますから、重ねて一両日中に質問いたしますので、次官初め御当局では一つ正確な対策を御準備下さいますようお願いしまして、関連質問を終ります。
○神田委員長 次は小笠公韶君。
○小笠委員 私はただいま問題になっておりますシンガー・パインの問題に関連して一、二の点を政府側にただしたいと思うのであります。 私が申し上げるまでもなく、日本のこれからの経済自立の基本は、貿易の振興と雇用の増大であると思う。特に最近七十二万に上る完全失業者を出しておる今日であります。こういうふうな事態を考えますとき、この雇用の機会の増大をどこに求めていくかということになりますれば、何といっても中小企業面にその多くを求めていかなければならぬと私は思うのであります。この意味から、日本の中小企業対策というものが大きく、また新しい視野から考え直さるべき時期に到達したと考えるのであります。こういうふうな見地から見ますとき、非常に立ちおくれておる中小企業ならまた問題は別といたしましても、すでに世界水準に達しておるミシン工業に対して、シンガーミシンの外資導入あるいは設備の無為替輸入をするということにつきましては実に重大な問題だと私は考えるのであります。口に中小企業振興の意義をとなえながら、一方において刻下の要請である雇用の増大、輸出の伸張をはばんでいく措置をとらんとするといわざるを得ないのであります。この意味におきまして、この問題が単に一会社一会社の二つの間の取引のみの問題でないと私は考える。こういうような意味から、政府当局は日本の中小企業に対する外資導入あるいは設備の無為替輸入というこの問題に対して、原則的にどういう考え方をとっているか、またそういうふうな問題によって日本の中小企業対策というものをどういう角度からとっていくか、この原則的な御方針をまず承わりたいと思います。
○岩武政府委員 私、僣越でありますが、かわりまして今までのやっておりまする方向をお答えいたしたいと思います。外資法ができまして、その際国の基礎産業の発展に貢献するもの、あるいは国際収支の改善に寄与するものについては積極的に外資を歓迎するというふうなことに相なりまして、自来この関係で各種の技術提携あるいは資本の導入が行われていることは御承知の通りであります。その後日米通商航海条約もできまして、やはりこの外資法の趣旨にのっとりまして、アメリカ国との関係が一応締結されて、特殊の地下資源の開発、公益事業あるいは金融機関といったもの以外は内国待遇を与えるということになっているのであります。 そこで御指摘のございました中小企業あるいは雇用の問題につきまして著しい悪影響のある場合に、一体どうするかということが一番の中心問題になると思います。この問題につきましては、実は御承知の通り先年来日米石綿の問題もございます。これは技術的にはある程度一日の長のある技術提携のケースでございましたが、関係の業界、ことに中小企業の多い業界でございますから、日本の経済関係から見まして、導入することによりましてその利益の反面、これが国内の関係の業界に与える不利益を比較考量いたしまして、相当長い間慎重に検討をいたしましたが、あまり歓迎するようなケースではないということで、自発的に先方が引き下ったというふうなことに相なっております。 シンガーミシンの場合も、御指摘のように、ある程度日本の技術としまして完成した業界のものでございます。また関係の中小企業の業界に与える影響も相当大きく、単に経済的な影響だけではございませんで、むしろ雇用の問題とも関係いたしておりますので、実は先ほど重工業局長が御答弁申し上げましたように、この問題につきましては、一方におきましては通商航海条約の建前もございますし、他方におきまして国内事情もございますので、御答弁申し上げましたように、慎重に対処しているのでございます。一応外資委員会としましては、あまり歓迎するようなケースではないというふうな結論に傾いているようでございますが、なお二、三問題を含めるところもありますので、最終的な結論を目下のところ下しておらないというのが実情のようであります。 これは私事務当局の立場としまして、今までの取り扱いの方針なり、あるいは経過なりを御報告したわけでございます。なお大臣が参りますれば、あるいはさらに明快な方針のお話があると思います。一応今までの考え方を申し上げた次第であります。
○小笠委員 ただいま御答弁を伺ったのでありますが、私の伺った質問に対する答えではないと思う。私は現下の日本の経済の状態から見て、中小企業対策と外資導入との関連についていかなる方針をもってこれから対処せんとするのか。その一つの現われとしてのシンガー・パイン問題である。ここにおいてシンガー・パイン問題の重要性は、基本政策の一環として見ているというところにあることを申し上げたのであります。この見地からのお話は何ら承わることを得ないことを遺憾とするのであります。これらの政治の対象が何といっても中小資本による企業への十分な配慮なしに行い得ないことは日本経済の持つ性格であります。この意味から本問題は通産行政の基本に関係する問題であると思うのであります。こういうふうな見地から見まするとき、通産行政の基本に関連して明確なる答弁ができないということはまことに遺憾といわざるを得ないのであります。責任大臣がおりませんから、私はこれ以上基本的な問題の追究はいたしません。だがしかし具体的な問題について一、二さらにお伺いをいたしたいと思うのであります。それは先ほどの政府委員の答弁を聞きまするとき、昨年の七月に外資導入の申請があり、本年九月に設備の無為替輸入の申請があったが、両方とも慎重考慮中だ、その考慮の標準として何をとっておるかというと、これが産業の発展になるかどうか、また国際収支の上にプラスになるかどうかという面を中心に判断をしたい、こう言っておる。さらにまたこういう面のほかにもう一つのものさしとして、この問題の措置いかんによる米国の反響いかんもまた考慮しなければいかんと言っている。私はこの答弁はごもっともでありまするが、しからば現実の日本のミシン業界をどう考えておるのか。産業の中で、戦後日本の軽工業、少くとも軽機械工業輸出におきますミシン工業の果してきた役割のいかに重大であり、日本の国の輸出の面における、また将来希望の持てる機械工業としてのミシン工業の認識が足らぬと思う。外国資本の導入によってさらにプラスできると考えるならば、それは間違いである。資本の移動は、あくまで高い利潤を追って動くことは御承知の通りであります。シンガーの資本が入ることは、より高き利潤を追って入ってくるのであります。そのことはすなわち日本の経済の産業の発達、国際収支の改善を考慮して資本が導入されるものではありません。資本が移動するものではありません。この見地から見まするとき、当然に結論は私は出てくると思う。当然に結論は出るはずのものを、形式的なるこういう標準によってさらに時日を遷延せんとするにすぎないものであるといわざるを得ないと思う。さらにまた一歩を譲って、米国の反響を心配する、関税の引き上げあるいはまた日本の輸出品に対する輸入の抑制等を心配をして、これらを彼此考量してどこにプラスが出るかということを考えなければならぬと言われるが、米国の反響は、この事実を万一拒否した場合に、どういう反響が出ると予想しておるのか、まずその反響の予想しておる事実を承わりたい。
○鈴木説明員 ミシン工業が非常に重要なる輸出産業であることはわれわれ十分知っておるはずでございます。ミシン工業ば大体年間、先ほど申しました通り、三、四千万ドル輸出いたしまして、機械の輸出の中では上から二、三番の地位にあるわけであります。そういうことでわれわれといたしましてはできるだけミシン工業の輸出振興を考えたい、こういうことでございます。 それから先ほど申し上げました標準の問題でありますが、外資法の申請は、建前が産業の発達に寄与するかしないか、国際収支面でプラスになるかどうかという点で検討されるわけでありますが、われわれもちろん、先ほどから御指摘の通り、日本のミシン工業に対する影響ということを十分考えて結論を出さなければいけないということはよく承知しておるつもりであります。 それからもう一つ、外国の反響はどういうふうに具体的なことを予想しておるかという点でございますが、これにつきましては、現在いろいろ新聞等で御承知の通り、日本品の輸出に対して関税の引き上げとか輸入制限の問題等いろいろありますが、これに対して具体的にどういうことがあるかということはわかりませんけれども、こういう決定がいかなる影響を持つかということは、われわれも最終的に結論を出す場合には、こういう点を十分考えた上で結論を出したいということで、慎重に検討を続けておる、こういう状況でございます。
○小笠委員 日本品のアメリカ輸出に関連して、あるいは陶磁器の例があり、あるいはマグロカン詰の例があり、最近は綿製品の例がある。これがアメリカの同種産業の脅威として問題が取り上げられ、関税の引き上げあるいは輸入の抑制となって現われてくることは今日に始まったことではございません。これは先方に競争的立場にある同種産業が多々あるからであります。このシンガーの問題は、単に強大なる資本家シンガー一社の問題でありまして、アメリカ多数の産業界との関係を持たないものであります。従って綿布の問題あるいはカン詰の問題と同様に論ずるというところに私は誤まりがあると思う。あるとすれば、 シンガーの強大なる政治力を利用して、政治的な圧力があるいは予想せられるかもしれない、だが産業的な見地から、数は別として、多数のアメリカ産業に大きなる影響を与える問題では断じてないのであります。この意味において私は本問題を考えるに当りまして、強き態度を持ち、自主的な態度を持って対処するならば、アメリカにおける反響というものをそれほど心配しなくともいいのではないか。特に先ほどの質疑の中にもありましたように、日本の小さな経済力の中で占める中小企業の問題であります。これがアメリカにおいて大きな問題になるとは私は常識的には考えられないのであります。この意味において、先ほどのお話の反響云々の言葉はもう少し分析して考えてほしいと私は考えるのであります。 さらに第三点として、現実に商行為によって日本のパインに委託加工をさしてメリットなる製品を出さしておる。これが一つの前哨戦的事実であると言い得るかもしれません。これに対して、現在の普通の商工為によって行なっておるので、取締りの手がないんだ、こういうお話であります。あるいは取締りの手がないかもしれません。ただ私は、そのメリットがもしも通常の状態よりも急速なる販路の拡張、生産の増加を来たすならば、必ずや日本の既存業種との間に不当競争の心配が起るのではないか。ここらの点についてお調べがあったかないか、これをまず伺います。
○鈴木説明員 実はメリットはごく最近に注文が発せられたばかりでありまして、その点の影響等についてはまだ確たる事実は出ておりません。
○小笠委員 ただいまの御答弁では、さしたる影響はまだ出ていないというお話でありますが、もしもこれが出てくるといたしますれば、明らかに何らかの不当なる競争力をもって進出するにあらずんば、新しい市場の開拓は困難であることは常識であります。この意味から私はぜひお願いいたしたいのは、そのときは独禁法による公正取引の阻害の問題が必ずあると思うのでありまして、公正取引委員会の政府委員におかれましては特に十分なる注意をもってその成り行きを監視してほしいと思う。これすなわち日本の在来のミシン工業界を維持するゆえんだと私は考えるのであります。 以上三点につきましてお話を伺ったのでありますが、最後に私の伺いたいのは、行政措置のやり方であります。昨年七月に外資委員会に対して外資導入の申請をして、今日なお結論を出さない、また九月に無為替輸入の申請をして、今慎重に検討中であるというが、最終的結論は、両説明員の答弁によりますと、なお慎重に検討して決するという言葉であります。慎重検討の上決定するとは、いつごろを予定いたしているのでありますか。今日行政組織における一番大きな問題は、事務の渋滞であります。一つの事案を決裁するのに一年余もかかるようではどうなることでありますか。私はこの事実から見て、こういう問題はすみやかに結論を出すことこそ、双方に親切なるゆえんであると考えるのであります。行政措置の上におきまして、可及的すみやかなる措置をとることが、日米両国ともに仕合せであるというふうにお考えになるかどうか伺いたい。
○鈴木説明員 ただいまの結論はいつにするかという問題、これは非常にむずかしい問題でございまして、行政事務として普通の問題でございますればできるだけ——これは昨年七月に出たというのであれば、早く処置すべきでありましょうけれども、先ほどから申し上げておりますように、いろいろな事情を考えて決したいということでありますので、そういう点を一つ御了承いただきたいと思います。 それから先ほどちょっと私の説明に間違いがあったようにとられておるようでありますが、メリットは出ておりますが、影響については、まだないというのではない、まだ出てきたばかりですから、はっきりしてないということを申し上げたわけであります。
○小笠委員 次に川野政務次官にお尋ねいたしたいのであります。先ほど帆足委員からもお話があったのでありますが、本問題はすでに古い問題であります。この古い問題が、商工委員会及び昔の経済安定委員会で取り上げられることしばしばであります。その際に、私の記憶によりますれば、高碕企画庁長官、また元通商産業大臣愛知君、石橋大臣、ともに本問題につきましては明快なる答弁をいたしておるのであります。こういうシンガーとパインとの提携は、日本の中小企業維持の見地からして、適当ではないと、割り切った答弁を拝聴いたしておるのであります。この考え方は、内閣がかわりましてもなお同じように考えていいかどうか、政務次官は政治的道義の見地から、この問題をどうお考えになるか伺いたい。
○川野政府委員 この問題は国内産業の保護の立場によって解決をしたい、こういうふうに考えております。従いまして先ほど来問題になっておりますように、ミシン等の問題につきましても、外資委員会の結論を得て解決したい、こういうふうに考えておる次第であります。
○小笠委員 政務次官に重ねて失礼ですが伺いますが、産業政策上この提携を認めるのが適当かどうかということをきめるのは通産大臣であります。外資委員会が決定権力を持つものではありません。この見地からいたしまして、外資委員会の結論を待って善処するというのは私は話が逆になっているのではないかと思うのでありますが、どうでありますか。
○川野政府委員 先ほど他の説明員から御説明がございましたように、いろいろ影響するところの問題等もございますので、通産省だけで結論を出すこともいかがか、こういうわけでございまして、ただいま申しましたように外資委員会の決定を待って善処したい、こういうふうに考えておる次第であります。
○小笠委員 非常に事務的な話に移しますが、公正取引委員会の坂根さんにお伺いしたいのであります。坂根さんは独占禁止法の運用に当りまして不公正取引の発見に対して、これをふだんどう探査をいたしておるか、特にこういう表面にクローズ・アップされましたミシン問題について、これまでどういう調査を行なってきておるか、まず伺いたいと思います。
○坂根説明員 ただいま小笠先生から御指摘のございましたミシンの問題につきましては、私どもの方といたしましては正式にこの問題を委員会の問題として取り上げたことはございません。ただしそれはなぜかと申しますと、おそらくシンガーとパインが提携いたしますれば国際契約を結ぶでありましょう。その国際契約が出ましたときに、その内容を検討するというのが私どもの独占禁止法の建前でありますから、その協定ができますれば十分これを審査したい、こう考えております。なお先ほども御指摘がございましたが、最近の事情において市場獲得のために、不公正なる取引方法によってこれを行おうとするならば、これにつきましては十分私どもとしても調査し、対処していく所存でございます。
○小笠委員 大蔵省の外資課長に簡単に事務的にお伺いしたいと思います。昨年の七月に外資導入の申請が出て、本年もすでに師走の十四日であります。この長い間においてどういうふうな検討を続けられてきたか、経過なり現状等についてお話をいただくならば何より幸いだと存じます。
○小島説明員 本件につきましては申請が昨年の七月に出まして、それに対しまして昨年の秋のころであったと存じますが、そのころに外資審議会におきまして検討をいたしまして、その結果本件は不適当であるという考えを一応出したのでございます。その際の判断等よりいたしまして、本件が国内産業の面において多々問題があるというのみならず、国際収支の改善という面から見まして、本件は決して国際収支上有利な結果をもたらすものとは思えないという点から不適当ではないかという考えを割り出しました次第でございます。ところでその際も、これは審議会といたしましての一応の結論でございますが、しかしながらその当時といたしまして、諸般の情勢から見まして、その点を関係申請者に伝えまして、その申請を取り下げるように指導する、円満な取り下げに導くように指導することが適当ではないかという判断であったと思いますが、その方法によりまして取り下げ指導が行われた。それによりまして本件が円満に落着したものと思われておったのでありますが、しかる後におきまして本年の何月でございますか、春ごろでございますか、いや春ではなくしてもう少しあとであったと思いますが、そのころになりまして、前の申請の内容とは変りまして、ただ単純に機械の無為替輸入を行いたい、こういう筋での話が出て参った。従いまして新たに問題が出て参った、こういう形でございまして、この新たなる問題は外資法の関係ではないと存じております。機械の無為替輸入を認めるかどうか、それだけの問題が新たに出て参った、こういう関係だと了解しております。事務的な処理はそういう状況でございます。
○小笠委員 ただいま外資課長からまことに率直なる御答弁を得たわけであります。外資導入の見地から、外資導入の一つのものさしである産業の進展あるいは国際収支上のプラスというものにあまり貢献しないがゆえに、外資導入を認めるに適当でないという結論を下された。しかるに本年九月になりまして、機械の無為替輸入として再び化粧を直して申請してきたというのであります。もし果してしかりとするならば、通産当局は無為替輸入の許可権限を持っておる。通産当局が許可をするかいなかは——すでに産業の発展にも国際収支の面にも貢献しないという外資委員会の判定をどう考えるか、私はこの点を念のために伺っておきたい。
○鈴木説明員 先ほどの大蔵省の説明員のお話の中に——実は取り下げを勧告したのでありますが、まだ外資委員会の申請はそのままになっております。それを前提といたしまして、実は九月に出ました無為替輸入の方の問題は、その外資法の申請が前提となっておると申しますか、それのつなぎの間というふうな意味での輸入為替の申請でございます。従いまして先ほど申し上げました通り最終的結論を両者一緒にしまして出したい、こういうふうに考えておるわけであります。
○小笠委員 質問を打ち切ろうと思ったのでありますが、しからば無為替輸入による機械の輸入と外資の導入と、いずれが日本のミシン工業に対する影響が——外資導入なら根本的に問題たが、機械の無為替輸入ならばさほど影響ないと考えておられるのか。
○鈴木説明員 性質の違いは、外資導入の場合は資本提携ということかあれでございますが、その他の点については無為替輸入も外資導入も大体考え方は似ているようなことだと思います。
○神田委員長 それでは加藤清二君。
○加藤(清)委員 私はこの際ただいま問題に相なっておりまするミシン、それからまたこれと同じように国内に大きな波紋を描いておりまするアメリカ向けの繊維の問題につきまして、二、三お尋ねをしてみたいと存じます。 その前に第一に承わりたいことは、大臣は就任早々のあいさつで、拡大均衡ということを金科玉条にあげられたわけでございますが、拡大均衡を基本に日本の輸出、輸入の状況をながめてみますると、スターリング・エリアにおきましては、ほとんど日本側が黒字であるように見えます。従って先ほど行われましたところの日英会談におきましては、輸出と輸入のバランスがとれないために、国内で十分生産があり余るところの毛製品や自動車なども、これをあえて買わなければならないという建前で、あの日英会談が妥結されたように承わっているのでございます。ところがこういう観点からながめて参りました折に、日本側が一番赤字になっているのは何と申しましてもアメリカのようでございます。去年もおととしも大体買いが七億で売りが二億のようでございます。そうなりますというと、ここに完全に五情ドルの赤字があるわけでございますが、政府としては、これをそのまま放任してそのしわ寄せを他国にやろうとしていらっしゃるのか、ないしはアメリカとの貿易においてこの収支のバランスをとろうと努力なさっていらっしゃるのか、その点をまず承わります。
○川野政府委員 将来は収支のバランスを合せるようにやりたい、こういうように考えております。
○加藤(清)委員 石橋さんもさきの国会において私の質問に今の次官と同じようにお答えになりました。 それでは承わりますが、一体アメリカから買うことを控えようとなさるのか、つまり七億ドルを日本の売りの二億ドルに近づけようとなさるのか、それとも七億ドルの買いはそのままにして、日本の二億ドルをもっと伸ばそうとしておるのか承わります。 〔委員長退席、小平(久)委員長代理着席〕
○川野政府委員 わが国の輸出貿易を漸次拡大いたしまして、バランスを合せたいというように考えております。
○加藤(清)委員 その通りです。それでは一体アメリカ向けに対しては、何品目を今後増加させようとお考えになっていらっしゃいますか。——この答弁は大臣でなければできないとか経済企画庁長官でなければできないとかいうことでありますれば、ただいまといっても無理ですから、後ほど呼んでいただきたいと思います。
○小平(久)委員長代理 通商局長はまだ見えておりません。今呼んでいるそうですから、その問題は来てからやって下さい。
○加藤(清)委員 それでは、何品目という答えは、聞くまでもなく、日本がアメリカに対して輸出する場合に何が適当だかぐらいのことは、政府側よりも業界の方がよく知っております。ところがこういうやさきに、アメリカに対する輸出を伸ばすに最も適当であると考え、それを過去において実行し、政府のおっしゃる通り拡大均衡に努力してきたところの品物を、政府はみずからの手によってこれを抑制し、縮め、一そう減退させようとしていらっしゃることがあったとするならば、一体国民や業界はどのように受け取ったらよろしゅうございますか。その点を担当官であるミシンにおける重工業局長、繊維における繊維局長の責任ある答弁を承わります。
○小室説明員 数日前繊維局長に就任しました小室でございます。どうぞよろしく。 ただいまのお尋ねでございますが、最近綿製品はアメリカに対する重要な輸出品になってきております。内容も、従来東南アジア地域その他に出ておるものと違って、相当高級というか、いいものが出ております。こういう種類のものは今後ともアメリカ市場に対して輸出を継続し、さらに輸出を拡大していきたいという希望でありますけれども、しかしながら最近の綿製品の輸出状況というものは非常に急テンポに増大を示しておりまして、ただいまミシンについて非常な国内問題が起っておるのと同様に、アメリカにおいても日本の綿製品の輸入に対する非常な反響が国内的に巻き起っております。このため来年一月以降に再開されますアメリカの国会でもって、有力議員が六十二名も署名した法案が出て、それによって輸入制限をやろうというような形勢になっておりますので、一方では将来の輸出の拡大を念願しながら、とりあえずは最悪の事態を防止するために、輸出増加のテンポを一時押えるという措置はやむを得ない。これは経済の拡大均衡、輸出の振興という線からも、どうしてもそういう措置をとらざるを得ないと考えておる次第でございます。
○鈴木説明員 ミシンの輸出の問題でございますが、ミシンにつきましては昨年非常に安売りするという問題がアメリカで起りました。これが非常な問題となって、向うでダンピング税の問題とかいろいろそういうふうなことが起りましたので、これはまずいというのでミシンの輸出調整ということが考えられてきたわけでございます。しかしながらこういった考え方は、長い間にわたって輸出を伸ばすという考え方でございまして、幾ら一時的にふえても将来長続きしないというふうなことであると問題でございますので、そういうようなわけでミシンの輸出調整ということを考えたわけでございます。
○加藤(清)委員 ミシンに関しましては、ただいまは輸出調整である程度事が足りるかもしれませんが、もしここにパインとシンガーの協定が成り立ちまして、姿を変えたメリットという名前でこれが売り出されるということになって参りますと、御承知の通り会社と会社の契約内容に、販売権はシンガーが一手に握ることになっているようでございます。そうなった場合に、大きな資本力を擁し、しにせのマークとによって徹底的に宣伝をすると同時に、宣伝員のコミッションを日本の業界ではとても手の届かないような程度に行われた場合において、果して日本のミシンが両三年来のような好結果を生むことができるかできないか、こんなことは火を見るよりも明らかな事実でございます。さればこそ先ほど重工業局長は、メリットに対してはそれほど影響はないかのごときことをおっしゃいましたが、なるほど、ただいまは市場にはそれほど影響はないようでございます。しかし業界としてはそれを見通しておればこそ、ここに働く労働者としても先があまりにも見え過ぎればこそ、今ころばぬ先のつえをしようということを考えておるわけでございます。終戦後努力に努力を重ねてようやくシンガー以上に技術水準も上り、これが世界各国の歓迎を受けるところとなり、外貨の獲得においては指折りの中に入っておるわけで、重工業局長よく御存じのはずなんです。それをこの際押えると同時に——押えるだけでまだ足りなくて、それにとってかわるようなものをここで入れようとなさることはあまりにも苛酷ではないか。いわばミシン業者は戦争の犠牲者なんです。なぜかなれば、戦争中の飛行機工場がみんなこちらに転換してきておる。その技術を生かしたのが今ミシンという姿になって現われてきておる。そこらにも今在外資産を何とかしてくれという陳情がきておりますが、あれ本戦争の犠牲者なら、これも戦争の犠牲者なんです。むしろほめてやってしかるべきである。政府は援助の手を伸ばしてしかるべきである。苦しい、乏しいを分ち合いながら一生懸命になって政府の方針である拡大均衡、輸出振興に協力をしてきた。いわば通産省からほうびを与えてしかるべきである。それに何がゆえにこのような態度をとられなければならないか。第三者が聞いておってもなおかつしかりと思います。いわんや当事者になってくれば、これは死ぬか生きるかの問題である。この点について重工業局長のみならず、政府当局は観点を大きく持って、これに対する努力をしてもらいたい。なぜかならば、今繊維局長がいみじくも申されましたように、日本の繊維がちらちらとアメリカへ伸びていった。アメリカは何をやったか。日本は、あなたが先ほどおっしゃった通り、そういう法律がない。アメリカにもないのです。一ドル・ブラウスを押えるところの法律は何もありません。チェック・プライスもフロア・プライスも何もありません。日本にもないのです。アメリカ側はこれを押えるために何をやろうとしておるかといえば、来年の一月から始まる国会において、日本の綿製品輸入制限法を上げようとしておる。また日本の政府は政府で、おもしろいですね、向うからくるやつはオーケーで受けておきながら、今度こちらから出ていくものに対して何をやるかというと、法律の改正をやろうとしておるのです。現にやるのでしょう。十九品目に管理令を当てはめるのでしょう。その管理令の改正もできないうちから、もうそのときはやりますと言っておる。一体これはどういうことです。向うから受けるものが七と五の違いならいいけれども、七と二の違いで、五こっちが行き過ぎですよ。その相手に向うから入ってくるものはオーケー、オーケー、法律がないから何でもよろしいと言い、向うにいくものに対しては、それの法律がなかったら追い討ちして法律を作ってでもこれをとめましょう、そんなばかげた政策がどこにあります。それでもって祖国愛があるとか日本経済を考えておるとかいうことがどうして言えますか。この点に対してはっきりしれ答弁を承わりたい。
○小室説明員 アメリカとの貿易が非常に入超になっておりまして、しかも非常に広大な市場でありますから、できるだけ今後アメリカ向けの輸出振興をやっていかなければならぬということは、私ども全く同感でございますし、また綿製品についても、繰り返して申すようでありますけれども、私どもの希望といたしましては、これをできるだけ伸ばしていきたいのであります。ただきわめて現実的な立場もまたとらなければならないのでありまして、放任しておきますと、私どもが自粛して出そうと考えている数量よりもはるかに下の数量に押えられるような結果すら想像されるわけなんであります。大局論はごもっともでありますが、さしあたりの措置といたしましては、自粛措置をとることが結果において輸出振興に即し、また愛国心も満足させることができると確信いたします。
○加藤(清)委員 それでは、一ドル・ブラウスの過去の実績をながめてみますと、概算でございますが、一九五三年において三千ダース、同四年において二十一万四千ダースと伸びて参りまして、今年の一−八では百七十五万二千ダース、なるほど飛躍的な伸び方でございます。来年の一−三が船積み契約分だけで二百八十万ダースほどもすでに認承高があるようでございますので、なるほど飛躍的でございます。ところが、この飛躍的なのをいけないとおっしゃるならば、一体あなたの妥当であるとお考えの分は何ほどでありましようか。
○小室説明員 私どもの立場といたしましては、飛躍的に増大することは、それ自体はけっこうなのであります。繰り返して申し上げますように、このまま放置しておきますと、向うが相当思い切った措置に出るだろうということで、こちらが自粛した経緯は御承知の通りであります。そこでその数字でありますが、どの程度がいいか、これはなかなかむずかしい問題でございます。まあ常識的に申せば、輸出を自粛する。数量を押えるということになりますと、ある程度過去の実績が一つの参考になると思います。そういう点もむろん考慮には入れますが、同時にまた当該業界においてもその業に携わっているものとしていろいろな考え方がある、そういう現実的な判断、考え方というものも、私どもの方としては十分尊重して参りたい、そういうような見地、また既約定が相当ございますが、既約定の中には多少問題になるような既約定もありましょう、いろいろ既約定あるいは将来のマーケットを見込み、アメリカ側の自粛措置に対する反響の予想というようなものをいろいろ考慮に入れまして、現に年間二百五十万ダース程度のところを基準にして輸出管理令の運用をやって参りたいというところでございます。
○加藤(清)委員 その数量の算出された基礎等々については新任早々の局長さんに対して失礼に当るといけないから、いずれ繊維産業安定対策が行われます場合に詳細にわたって質問を試みたいと存じますが、しかしさしあたっての問題といたしまして、繊維局長がアメリカの国内の反響を非常に憂慮していらっしゃる点については私もわかる気がいたします。お客さんに感じを悪くされたら商売ができないくらいのことは機場の小僧もよく存じておる次第でございます。しかしその反響がどのように行われていたかということを、過去の歴史を尋ねるまでもなく、今日この問題についてどんな反響があったかを、政府当局及び局長としてはどのように把握をいたしておられますか、その点を伺いたい。
○小室説明員 本来日本は、アメリカの最重要な輸出品である綿の最大の買手でありまして、本来申せば綿製品の輸入制限というような問題については綿の売手である有力な勢力が反対して、こういうことをやれば日本に対する綿の輸出の方にも影響があるという立場をとるべきものではないかというふうにも考えておるのでありますが、遺憾ながら綿花の栽培業者、売手を含めまして、全綿業界、またもう少し広い範囲でアメリカの世論がこれに対して強く反駁しておるということは、遺憾ながら各種の情報を総合して認めざるを得ないのでございます。
○加藤(清)委員 私もこの影響というか反響についてはいろいろ調査を進めております。またわが党の政調会といたしましてもいろいろの材料を取り寄せまして調査を進めておりますが、必ずしも一ドル・ブラウスが憎たらしいという反響だけではないようでございます。この点をよくお考えいただきたいのでございます。かつて可燃性繊維法がアメリカの国会で決議されて、いよいよ実施されます場合に、再三再四この席上で私がそれを述べましたところ、当初は反響がなかった。しかしだんだん反響が出まして、ついに本委員会満場一致をもって決議されました。それは、やがてアメリカ国が受け入れるところとなって、可燃性繊維問題は円満解決をし、その後この問題は日米友好通商の上に好結果をもたらしたことを私はまだ新しい記憶として持っておるものでございますが、アメリカ国といたしましては、その原料が日本でできます絹でさえもなおかつしかりでございます。いわんや安いという一ドル・ブラウスの原料は一体何かといえば、アメリカででき過ぎた余剰農産物でございます。それを買うて、低賃金で糸を引き、織った、それに安い性能のいいミシンで加工したものが一ドル・ブラウスでございます。これを、アメリカ国のみならずどこでも輸出した場合におきましては、品質の優秀なものが低コストでもらえるということになれば、消費者は大喜びのはずでございます。金があり余ったアメリカ国といえども、十ドルのブラウスよりも、少くとも品質が同じ程度のものであるならば、一ドルの方を喜んで買うのはこれ当然の成り行きでございます。陶器におけるバンプ・チャイナまたしかりでございます。それにもかかわらず、また一ドルブラウスを扱うがゆえになりわいを立てているアメリカの業界もあるわけでございます。この方方は、やはりこれを扱いたいというておられる。アメリカの綿の耕作者であるところのファーマーたちは、これをやはり日本に売りたいといっておられる。無理に余剰農産物買付契約という特別契約を結んででも、なお日本に綿を売ろうとしている。河野農林大臣がアメリカに渡られたら、とたんに向うで、ぜひどうぞこの余剰農産物買ってちょうだいいうて買わされてきた。そのことはよく御存じなんです。さてそこでこういう状況にありますので、私はつい最近におけるアメリカ国のある関係要路の方の言葉をここに引用してみたいと存じまするが、何というておるかというと、日本が自主的統制を行うのを妨げるような差別ないし障害を、今日本品に対して加えてはならないという賢明なことを述べている人もおられまするが、それと同時に、日本が対米輸出を減らされれば、日本は米国からの輸入も減らさざるを得ない。貿易は一方交通でなく、買わざれば売り得ずだ、こういうことを述べているようでございます。また日本の業者が、米業者より安価に品物を生産できるなら、米国の消費者はその恩恵に浴すべきである。そのために米国に失業者が生じたら、その人たちは他の産業活動に吸収されるのが当然である、こう述べておる。これは御承知の遮り日本のその筋へは全部行き渡っている言葉でございます。あなたの御調査はどのように行われたかは知りませんが、今の御発表でいきますと、輸出を押えよう押えようという方の発表だけをしていらっしゃるようでございまするが、つまり一ドル・ブラウスをもっと買うべきである。それが友好通商の上に効果的であるという考え方を持っている業者も、あるいは賢明な方々もアメリカ国にはいらっしゃる。それはちょうど可燃性繊維のときと同じであるということを念頭に置いて、二百万ダースなり何なりを決定していただかなければならぬと思いまするが、これに対して、向うでさえもそんな考え方を持っている。いわんや日本のこの業界は御承知の通りなんです。あなたが繊維局長になられぬ間から、綿業界は疲弊のどん底なんです。頽廃の一途なんです。やがてあなたの手によって、あまり設備が多過ぎるからこれを削りましょうということをやろうとしているそのやさきに、なおそれに拍車をかけなければならないような生産制限、輸出制限をなぜやらなければならないか。輸出制限はやがて生産制限になり、生産制限はやがて設備制限に追い打ちをかけることは、火を見るよりも明らかなことだ。繊維産業安定対策とは一体何であるか。縮小々々で、相手の商売がたきの言う通り聞くことが日本の繊維産業安定対策ということができるか、その点をはっきり承わりたい。
○小室説明員 アメリカの政府当局あるいはその他の関係者の中に、日本側に対して同情的な見解を発表しておる方があるということは私も十分承知しております。また御承知だと思いますが、十二月一日付でダレス国務長官がスミス議員に対して出した手紙、これは私どもからアメリカ側に言いたいこと、アメリカ側で考えてもらいたいこと、これを網羅しております。これはかなりよく網羅しております。そうして行政府としては綿製品の輸入制限の法案をやりたくないのだという気持がそこに十分出ております。また消費者が安いものを買って喜ぶということは自明の理でございます。それらの友好的な考え方をして下さる方々に、将来ともあらゆる角度から、あらゆるルートから近づいて、この綿製品の問題を、長い目で見て、日本の輸出振興の線に沿うように解決していきたい、しかし当面いわばお蔵に火がついている状態なのでありまして、来年の一−三月に、向うで有力な議員が多数で提案される法案が通るか通らぬか、あるいはそれが最終的に成立するか成立しないか、そういう問題が差し迫っておりますこの際の措置といたしましては一輸出を制限することはやむを得ないと思います。また輸出を制限し、生産を制限し、それが結局過剰設備の問題になるという点も、確かに原則的な考え方としては御質問の通りかと思います。
○加藤(清)委員 この問題は一日や二日に解決できる問題ではございませんので、それでは結論の出ないままに、私ももうあと一点で、あとの質問は他日に譲りたいと存じまするが、こういう状況に対しまして、日本としては、つまり拡大均衡からいって、アメリカから買うところの綿花に対してどのようなお考えを持っていらっしゃるでございましょうか。他国の場合でございますると、最初にも申し上げましたように、日本の輸出を伸ばしたいために買いたくない毛製品も去年よりは多く買わなければならぬ結果になった。しかし私は、今そこにいらっしゃいまするが、通商局長の日英会談における努力を多とするものでございます。これはやむを得ない。今アメリカの賢明な、さる方が言われましたように、買わざれば売り得ずだ、いえば貿易は吸う息と吐く息なんだ、吸うから吐くんだ、やむを得ない、こういう状況のもとに、他国においてはほとんどが吸う息と吐く息をバランスをとるような方式が無理にもとられておるのでございます。ときには出血輸出をし、ときには高い高いとは知りつつも、他のことで補うということにおいて買わされておる品物がたくさんあるわけなんです。その影響を繊維業界も、同じアメリカにおいてずいぶんこうむっておるわけでございます。そういうやさきに当って、アメリカの余剰綿花の買付の一番大得意さんは日本でございます。九十七万俵買って、まだその上に十七・五万俵もまた買って上げましょうかと、こういう一番いいお得意さんだ。これは唯々諾々として買って、それを業界に押しつけようとお考えに相なっていらっしゃるでございましょうか。もしそれ吸う息だけどんどん入れて、吐く息の方をとめられたら、一体業界はどうなるでございましょうか。しかも設備の制限はやがて行うという、材料だけはどんどん買うという、設備の制限もする、輸出の制限をする、一体買った材料はどこで加工してどこへ売るつもりであるか。一兆億予算のワクをどっと広げて国内の消費を高めるつもりであるか、もしそれ国内の消費を高めるつもりであるならば、どうです、この年末に国民にぐっと綿製品を買えるだけの年末賞与を与える勇気がありますか。全然これもない。それでもって一体どこへ吐く息を出させようとしているのか。この見通しなくして何のために繊維産業安定対策ぞと言いたい。すべて政府の行われる政策は、硫黄にしても、アルミニウムにしても、唐突に行われるからいろいろな問題が起きてくるわけです。きのう、きょう、おととい行われているのは皆そうなんです。繊維産業安定対策は、繊維産業の手を切り、足を切り、片足まで切ってしまおうとしていらっしゃるならば、その切る前に切らなくて済む方法をまず考えるべきだと思うがいかに。輸出振興をして消費地をふやすことが、これが繊維産業安定対策の根本でなければならない。それを制限しようとするあなたの気持はよほど苦しいでしょう、なったばっかりでこんなことをやらなければならぬのだから。しかしそれを受けなければならない業界や、その影響をこうむる国民はもっと苦しいはずです。だから結論的に言う、アメリカから買い入れるところの原綿に対してどのような態度に出られようとなさいますか。アメリカから購入する原綿の上昇率と正比例してアメリカへ売るところの一ドル・ブラウスでもコールテンもベッチンもふえていったわけであります。それが今度十九品目で全部どんぴしゃりとやろうとしていらっしゃる。一体どうなるのです。業界をどう考えていただきますか。輸出経済の重大な地位を占めている繊維の輸出に対してどう考えていらっしゃるのです。
○小室説明員 ただいまのお尋ねでございますが、私は繊維品の輸出振興を考えます場合、非常に大事なことは、数量を伸ばすことも大切でありますけれども、価格を安定させて、できるだけ手取りの多い輸出をやってもらうことが肝心ではなかろうか。これは繊維品に限らず日本の輸出品はこの売りくずし競争というものが通弊でございます。しかし場合によっては安値でたたき売って、それでもって市場ができるということもあるわけです。そういう商品にとってはそういうことも必ずしも悪いとばかりは結果的に言えないかもしれませんが、事繊維に関しましては、世界市場が大体限定されている。非常に数量がたくさん出て参りますと、これは必ず締め出されるような問題が出てくる。これは戦前から最も国際的反響の敏感な商品でございます。でありますから、今申し上げたように繊維の輸出振興ということを、単に数量でもって出す、安売りで出すということでなく、安定した輸出の市場を確保して、数量は漸進的に伸ばす、価格の手取りはできるだけ多くしていく、こういう方向でありますと、繊維業界は安定して参ると思うのであります。私繊維局長になりまして繊維業界がそのために不況になるような対策は絶対にとりません。必ず安定した秩序で輸出もでき、生産もできる、そういう態勢に持っていこうということでございます。
○加藤(清)委員 これで終ります。繊維局長の御答弁、しごくごもっともで、そのお考えは額面通り受け取りますが、しかしそのことはあまりにも実際とかけ離れておる。学者の言論であればけっこうでございますが、日本の繊維産業は、日本のあり余る人口をかかえていかなければならない。その点をよくお考えいただかないと、もしそういうことになって、制限々々でいった方がよろしい、品質を向上させて数量を減らした方がよろしいというお考えになりますと、もう化学繊維の設備をこれ以上やらなくてもよろしいという結果が生じてきてしまう。ただ問題はその数量をどこにとどめるかというだけのことで、結論はそう向いていくのです。こんなことはいずれもっと時間のたくさんあるときにやればけっこうでございますので何ですが、ただいまの答弁は私の質問に対する答弁ではない。アメリカの輸入原綿をどうするかというのが私の質問の要点でございます。これは繊維局長が答えるのは無理かもしれぬ。私はこの問題からして、アメリカの買付綿花の問題、これから生じてくるインドネシアの三角貿易のその後の結果と、パキスタン、ビルマの委託加工の問題等々承わりたいことがたくさんございます。これがすなわち繊維産業安定対策を行う以前の問題です。哲学以前の問題でございます。それをしっかり行なってから、土台を築いてから、その上に安定対策を考えられないと、根本的に間違いが生じ、きょう制限しておいて来年はまたふやせ、こういう行き当りばったりのことに相なるのございます。その見通しがございますか。だからこそ硫黄もしかり、燃料もしかり、油もしかり、もうすべてがそうなんです。そうなっては、政府はそれでいいかもしれない、繊維局長は短かい命だからそれでよいかもしれない、よそへ行ってしまえばあとはどうでもよいかもしれませんが、そのしわ寄せをこうむる業界、それから生ずるところの商品を買わせられる国民はたまったものじゃない。そうなれば日本経済もますます混乱する。こういうことになりますので、一つ慎重に研究調査を進められて、手を施されますようお願いを申し上げまして、私の質問を終ります。
○小平(久)委員長代理 次に鈴木周次郎君。
○鈴木(周)委員 繊維局長にお尋ねをいたします。ただいま前議員から可燃性繊維の問題についてちょっとお話がありましたが、大体日本全体の問題として、軽目羽二重などの輸出が非常に困難になっておるようであります。また、可燃性羽二重の問題が最近また米国で騒ぎが起っておって、一両日中に横浜で大会をやるというようなことになっております。これに対しまして、アメリカに対しどんな手を打っておるか、ちょっとそれをお聞きしたい。
○小室説明員 可燃性織物につきましては、先ほどの御質問にもありましたように、米国の国会でもって関係法案が出た際に、マフラーとかスカーフだとかいうものを除外してもらいたいということで、ほとんどそれができかかったところで、最後の瞬間にたしか審議未了になったかと思います。そういうことにからんで業界の方で非常に強い御要望があるということは聞いております。またこれは年来の問題でございますので、米国の当局の関係者に対して、初志の貫徹と申しますか、日本側の輸出がこれによって阻害されないように、いろいろなルートから運動は続けております。あすの大会にもできれば出席いたしたいと考えておる次第でございます。
○鈴木(周)委員 手を打っておるというが、ただいまの御答弁でははっきりしないのですが、どういうような方法において今手を打っておるか、通産当局がだれかを派遣してその運動をしておるか、あるいは弁護人にでも頼んで世論を喚起しておるのか、またその他の手段方法が明示されるならばこの際承わっておきたい。
○小室説明員 まことに申しわけありませんが、三日前に繊維局長になりまして、その詳細なる経緯等はまだ不勉強でございますので、本日だけはちょっと答弁を留保させていただいて、詳細なお話を別の機会に申し上げたいと思います。
○鈴木(周)委員 それではこの次に御答弁願うことにして、私の質問はこれで留保しておきます。
○小平(久)委員長代理 阿左美廣治君。
○阿左美委員 私は繊維局長に対してお尋ねをいたしますが、現在の繊維産業はわが国の中小企業として最も不振に陥っておるのでございまして、国民の衣料計画と比較いたしまして、現在のこの生産設備が過剰しておるということは事実でございます。大体におきまして登録台数が二十余万台ございます。これを総合して計算をいたしてみますと、大体におきまして五万台以上は過剰しておる。この過剰設備をいかにするかということが現在の業界の悩みでございます。これに対しまして現在繊維局では何かお考えになっておるように聞いておりますが、お差しつかえがなかったらばその内容をちょっとお聞かせを願いたいと思います。
○小室説明員 ただいまの御質問の数字は、絹織物の織機の問題かと存じますが、絹織物の織布部門に限らず、繊維産業全般に設備が過剰であるという傾向が看取されます一方、輸出の方もいろいろな問題がありますし、また国内の需給関係にも問題がございます。そういういろいろな問題を総合的に検討いたしまして、これが対策を早急に確立いたしたいということで、八月上旬に閣議決定で繊維産業総合対策審議会というものを設けまして、いろいろな部会、専門委員会、小委員会等で数十回の会合を重ねまして、十二月七日にごく中間的な報告があったのでございます。これは設備過剰の著しい繊維品について、これらの過剰設備を封緘しあるいは格納しあるいはこれをスクラップ化する、あるいは他の業種に転換する、そうして一方ではこれが新増設を許可制にしたらどうか、ほかにもいろいろございますが、そういう点についての審議会の一応まとまった意見が報告されたわけであります。その際に、絹織物についてはお示しのように二十万台ある織機、これに対して五万台くらいが過剰ではないかという計算も、これは中間報告にはそういう具体的な数字は出ておりませんが、審議の過程には各委員の意見が出されておるわけであります。ただ御承知の通り、絹織物は比較的そういう関係もないかもしれませんが、綿とスフ、毛とスフ、絹と人絹、いろいろな繊維が紡機の関係でも織機の関係でも入り乱れて使用されておるというような関係もありまして、どれか一つの業種だけの問題として片づけるわけにいかない、そういうことで今の中間報告の趣旨を尊重しながら、具体的に円満に過剰設備を処理できるような一つの法案を、早急に取りまとめたいと思って現在検討中でありますが、まだ政府側としてどう考えるかということは申し上げる段階まできておりません。簡単でありますが、お答え申し上げます。
○阿左美委員 業界といたしますと過剰設備を換算いたしてみますと、これも広幅織機に換算いたしまして、大体格納するものとまたこれをスクラップするものと分けまして、大体絹織機といたしまして三万九千台、約四万台はスクラップする。これは買い上げ、そうして手機織機はこれを除外する。そういたしまして格納するものは一万六千余台を格納する。こういうことにいたしますと、大体広幅織機一台の価格を四万五千円に換算いたしまして、約十七億くらいになるようであります。これを政府において買い上げてもらいたいというような希望が業界においてはあるのでありますが、果してこういうことができ得ますかどうか。
○小室説明員 過剰設備を処理いたしますやり方はいろいろあるかと存じます。その一つはかりに買い上げを行います場合にも、これをいわば業界の自主的な協力でやっていくか、おそらく一部の紡績などについてはそういうことも十分可能だろうと思いますが、それともまた金融の面でお世話をしていくか、また買い上げの資金をまるごと政府が出すか、これはいろいろな考え方もございます。また一兆円のワクをくずすとかくずさないとかいう問題もありますが、そう多く負担を財政だけにかけるということも非常に困難な事情がございます。それらの点を含めまして、私どもの方で現在具体的な考え方を急速にまとめようといたしておる次第でございます。
○阿左美委員 これは当然政府において負担すべきものである、私はこう信ずるのでございますが、御承知の通り繊維業者、いわゆる中小機業というものは戦争中に設備を国の要請によりまして全部供出をいたしたのでございます。そうしてその特殊預金は五万円で一応打ち切られたのであります。でありますから戦後中小機業といたしましては何も設備は持っておらぬ、新たに自己の犠牲においてその設備をした、それが過剰しておるというようなときに、これは戦争中に一応設備を五万円で打ち切っておるのでありますから、この過剰設備は当然国が買い上げるということが最も適当である。また政府としてもそういう責任はあると考えますので、これは今後いろいろ問題になると思いますが、あるいはこれを法制化する上におきましてもいろいろな準備をする上におきまして、どうか国において買い上げるような法案を一つお作りを願いたい、こういうふうに希望いたします。 それから先ほどからも輸出の問題でいろいろの御意見がありましたが、今後繊維の過剰というような問題も、輸出振興によって解決するのではないか、こういうふうに考えておりますので、たとえば現在絹織機において過剰しておるとは申しますけれども、戦後輸出に非常に重点を置きまして、広幅織機を国の要請において、業者は無理な計画のもとに苦しい資金において設備をいたしたのであります。それが戦後輸出に向きませんで、現在の各産地は広幅の輸出織機において国内の製品を生産しておる。それがやはり現在繊維製品の過剰になるおそれがあるのでございます。こういうような問題は、単に現在の織機が過剰しておるということはなかなか簡単には計算も出ない。かりに輸出製品が振興するならば、この織機が過剰どころではない、結局フル運転をしても、なおかつ生産能力に不足を来たすというようなことになると私は思います。これは設備過剰という問題を解決すると同時に、輸出に対して大いに政府は力を入れていただく必要があると信ずるのでございます。そこで何と申しましても、現在のわが国の輸出産業というものは、力のない輸出業者の数が多過ぎると思います。それで数字からいいますと、輸出が振興した、黒字になったと申しますけれども、これは量においての数字でございまして、収入においての結果ではないと思います。決して多量に輸出をするのが目的ではございませんで、結局は収入が目的でございますので、こういうような問題に対しましても、輸出の上におきまして、今後大いに抜本的の改良をあらゆる方面にしなければならぬと思うのであります。前国会におきましても、輸出入取引法が審議されておりますが、こういうようなことに対しましても、政府は輸出に対しましては大いに今後力を入れていただきたいということを要望いたしたいのでございます。何と申しましても、現在の中小機業に対する問題は金融の問題でございます。御承知の通り中小機業というものは、戦争中にそういうような関係で、国の要請のもとに全財産を供出してしまった。そして戦後はやはり非常に苦しい状態を継続して参ったのでございますので、何ら資産も力もないのであります。こういうものに対して金融面から大いに援助しなければなりませんが、現在中小機業に対するところの金融は、何らの施策もないのであります。御承知の通り、中小機業に対するところの金融は非常にむずかしいのであります。何らの力のないもの、資力のないもの、回収のでき得ないものに金融をするということになりますから、これはある程度の社会的問題までも考えなかったならば、中小機業に対する金融はでき得ないのであります。現在の中小機業に対する金融は、商工中金、中小企業金融公庫の資金をもって融資を受けておるのでありますが、これは現在といたしましてはほとんど問題にならぬ。むしろ市中銀行の方が、これらの金融機関よりも中小機業に対する協力をしておるというようなことが言い得られると思います。現在の商工中金、中小企業金融公庫の利率が非常に高い、また貸し出し条件も強いというようなことから、このまま継続して参りますと、この商工中金、中小企業金融公庫に対しましては、相当の回収力を持つような業者はついてこない。いわゆる恒久的施策をもってやる、払えなくもやむを得ないというような状態の取引は継続されますが、確実に支払うというような中小業者は、もはや商工中金とか中小企業金融公庫には借り入れを申し込まぬ。なぜならば、現在の市中銀行におきましては、手形割引をいたしましても、現在百万円以上の手形に対しましては、二銭二厘、二銭三厘で割引をしています。商工中金はやはり三銭でございます。こういうようなことでありますれば、今後中金に対しましての融資というものには中小機業はもう乗りません。こういうようなことに対しましては、何らか中金に対しても、一般市中銀行と同じもしくはもっと低利において、中小機業に貸し出しのできるような状態において金融をしない以上は、中小機業に対する何らの施策も対策もないことになると思いますが、こういうことに対しましてどうお考えになっておりますか。
○小室説明員 必ずしも私がお答えするのが適当であるかどうかわかりませんが、確かに御指摘の通り、金融は最近全般的にはゆるんでおりまして、市中銀行、特に地方銀行等は季節的な関係もあって、相当貸し出し先を求めておるような傾向もございます。それで二銭三厘、二銭二厘というようなお話もその通りかと思いますが、一方商工中金が大へん高いということも私ども承知しております。ただ金融債が最近若干利下げになっておりますから、その面では商工中金も幾らかコストを下げることができると思いますが、おっしゃるようなバランスの関係というものは、急速にはどうも変えにくいのじゃないかという感じを私見としては持っております。これはむろんできるだけ内容を合理化いたしまして、商工中金本来の中小企業金融が喜んで受け入れられるようにしなければならぬというふうに、私どもも考えておる次第でございます。私の所管でございませんので、少し……。
○阿左美委員 これはどうも繊維局長にお尋ねするということは、いささか無理だと考えます。しかしながら繊維関係に対する金融に対しましては、繊維局といたしましてもお考えを願う必要があると思います。どうもすべて過剰織機の整理というようなことに対しましても、これはなかなかむずかしいのでございます。果してこれが過剰ということがどこに限界があるかというようなことは、これは総合的に考えますと、きわめてむずかしい問題でありまして、むしろ繊維業というものは、より以上今後発展すべき可能性のある産業であるということになりますれば、過剰どころではない、それをスクラップにするなどということはとんでもないというような意見もあると思います。ところが現在の状態から見ますと、現在の業者は価格が下る、売れ行きが悪くなると、生産を増大しなければならぬ、こういう不自然なることが生れるのでございます。それはどういうわけであるか。物が下ったり、利益がなくったりしたならば、それは生産を調節したり、また生産が減るのが当然じゃないか、これは常識でございます。しかしながらかりに一カ月に一千万の手形が振り出してあるということになりますれば、その一千万の手形を処理しなければならぬ、一千万以上の売り上げを求めなければならぬ、価格が下りまして売れ行きが悪くなりますと、一千万の売り上げが求め得られないのであります。そこで生産を増大いたしまして、数をふやして一千万の売り上げにマッチするというような運営を現在しておるというのが中小企業の繊維業者の実態でございます。こういうような点を考えますときに、ただ過剰であるとか、ただこれを処理するにはこうであるとかいうことだけでは物足りないのでございまして、その原因はいろいろあるのでございますから、大体において金融面からそういうようなことも大いに研究をいたしませんと、現在の中小機業というものに対しては何らの結果も得られないのでございますから、こういうような点を総合的に御研究をいただく必要があると思います。 私はまだいろいろ御質問を申し上げたいことがありますが、大臣に対しての質問が多いのでございまして、どうも繊維局長に対してこれ以上の質問をいたすことは無理と考えますから、これで質問を終ることにいたします。
○小平(久)委員長代理 本日はこの程度にとどめまして、次会は明十五日午前十時より会議を開くことといたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時四十二分散会