社会労働委員会 第7号
- 発言数
- 148 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1955/12/14
会議録
○佐々木委員長 これより会議を開きます。 この際小委員会設置の件についてお諮りいたします。先刻理事各位と協議いたしました結果、小委員五名よりなる請願審査委員会を設置し、その審査に当ることとし、小委員及び小委員長の選任に関しましては委員長より指名するに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○佐々木委員長 御異議なしと認め、 植村 武一君 田中 正巳君 野澤 清人君 横錢 重吉君 山口シヅエ君 以上五名を小委員に、野澤清人君を小委員長に指名いたします。 —————————————
○佐々木委員長 食品衛生に関し、粉ミルク中毒事件について調査を進めます。本件に関しまして参考人の方々が出席されておりますので、意見を聴取することといたします。 この際委員会を代表いたしまして一言ごあいさつを申し上げます。参考人の方々には御多忙中御出席下さいましてまことにありがとうございます。本件は食料衛生上重要なる要件でありますので、何とぞ忌憚なき御意見をお述べ願います。以上簡単ながらごあいさつ申し上げる次第であります。 なお議事の進め方といたしましては、まず参考人の方々からその後の経過をお聞きいたしまして、後刻委員から質疑を行いたいと存じます。なお最初に説明される時間は議事の整理上一人十分以内にお願いいたしたいと存じます。それではまず三木千太郎君にお願いいたします。
○三木参考人 森永ミルク被災者同盟全国協議会委員長三木千太郎でございます。本日中毒事件に対しまして議員各位のまことに御多忙にもかかわりませず御検討下さいますことをありがたく感謝いたします。 中毒事件の発生は六月十三日ごろからでありました。それでその間なくなられた赤ちゃん方は肺炎とか腸炎とかいうので済んでしまったのであります。八月二十四日に新聞で初めて森永のミルク中毒被災ということに発表になりましたので、あらゆるところに混乱を来たし、皆さん病院にごやっかいになって、入院、通院ということでお世話になったのであります。二十八日に初めて森永さんの方で入院費は持たなければいけない、持つということを病院から指示があったように存じております。九月六日に初めて森永の七海常務取締が大阪に上阪されまして、われわれ被災者と大阪において初めて会見したのであります。そのときただ誠意をもって解決しますというお断わりのお話ばかりでありましたが、若き家庭の方で赤ちゃんを病院に連れて行かれ家庭が生活困難になったので初めて見舞金の話が出まして、またつき添い料もこうこうでいただきたいのですがという交渉を持ったのでありますが、つき添い料のことはあとで研究しましてお入り用なものならば差し上げましょうということで大体その日の会見を終ったのであります。それから十月三日に全国の被災者同盟の方が初めて東京に参りまして森永と団体交渉を持ったのであります。このときに入院の方は入院料を持つ、つき添い料を四百三十円出す、ということで話はきまっておりましたので、通院の方に対しては通院したその日一日電車賃、バス賃及び百五十円の日当を出すということで向うの申し出があったのであります。しかし同盟の方は百五十円はどうも承服ができないということで、全国の被災者とはかった上で御返事申し上げました。そのときに毒入りミルクを飲んだ方に対して三カンずつ返すという森永の申し出がありました。それで次回の団体交渉は十月二十三日大阪の清交舎において持つという協定が被災者と森永の間にできたのであります。それで全国から五十七名の代表者に大阪に二十二日にお寄り願ったのであります。二十三日午後一時に大阪の清交舎において森永と第二回団体交渉を持ったのであります。その劈頭森永さんのおっしゃるのには、厚生省に五人委員会を作ってもらった、それによって被災者の方々とお話をしても私の方はお話ができないというので、二十三日の団体交渉は断わられてしまった状態に陥ったのであります。それで二十四日に、五人委員会というのはどういうものでできたんだろう、それを厚生省にお尋ねに行こう。森永の書面を見ますと、森永本社の要請により厚生省が五人委員会を作ったという書類になっているものですから、二十五日に厚生省にお伺いしたのであります。そのとき楠本部長さんとお目にかかりました。それ以前に、大阪出発のときに厚生省に電報を打って、五人委員会の方には二十五日午後一時にお目にかかりたしという電報を打っておいたのでありますが、その電報が五人委員の方にどこも着いていない。それがために楠本部長さんとお目にかかりまして、五人委員会のあり方について簡単にお尋ねしたのです。そうすると森永の要請によって作った。私の方でも、十月三日、四日に厚生省べ参りまして、被災者が極端に困っているのだから厚生省にお願いいたしたいということをお願いに参っております。それにもかかわらず五人委員会を作られるならば、森永だけの要請ではなくて、被災者のわれわれの要請もいれられて御相談願って作られるのならばけっこうだが、われわれ被災者一万数千人の者に一言の相談もなく、二十二日に突如として厚生省では五人委員会を作った。それがために森永は被災者の方々ともうお話してもむだだと言う。われわれ極端に考えまして、五人委員会は森永のたてになったのではないかというような考えを起しました。翌日二十六日に四時から五時の間一時間、東京会館において山崎委員長初め五人の方とお目にかかったのです。あらゆる点をお尋ねもし何したが、あまりにもばく然として何もわからない。これは人類史上類のない中毒事件であってあまりにも人命軽視じゃないか。こういうことを洞爺丸とか桜木町事件を勘案して決定するということなんかは間違いじゃないかと思われる。もしも五人委員会の方々がそういう弔慰金なり補償費を御決定下さるにしても、やはり現地において相当苦労なさった方もおいでになっていただき、またわれわれ被災者の深刻なる願いも聞いていただくようなものならばとにかく、森永だけの要請でこしらえた五人委員会は認められないということで、引き揚げたのであります。その以後というものは、森永に何回交渉を申し込みいたしましても、五人委員会があるから何事もできない、というので、本月十一日まで何の交渉にも接していただけないのであります。十一日に私が東京に参りまして、初めて十六日の午後一時から交渉を大阪において持つという協定を結んだのであります。それで私はすぐに北海道へ参りまして函館に着きますと、電報が参ったものですからすぐ連絡船でけさ十時に引き返した。今大阪から事務局の人間が電報を持って参っておるのには、昨日十六日の団体交渉は十八日に延期したということで、こういうような状態が現在までの経過でございます。
○佐々木委員長 次に岡崎哲夫君にお願いいたします。
○岡崎参考人 副委員長の岡崎哲夫であります。三木委員長の説明にちょっと補足させていただきたいと存じます。 先般十一月九日の当社会労働委員会協議会の結果を各府県とも持ち帰りまして、家族大会において詳しく述べましところが、議会においてわれわれの苦しみというものを十分取り上げていただいておるということで皆感激しておりまして、その結果としまして、ともかくわれわれは五人委員会にまかせられない、そしてわれわれの気持はこういうところにあるのだというようないろいろな意見が出て参りました。それで十二月四日に全国協議会の代表者会議を大阪で持ちました。そのときの全国の家族の意見というものは、ともかく弔慰金、慰謝料というものをすみやかに決定して、今年中に払え、何でこんなにぐずぐずしておるかというようなことであります。第二は中毒を起した乳児が今非常に健康上不安にたえない、その健康管理をやってほしい。そのような一、二の結論が出ております。それからそれまでの間に、家族の意思を代表しまして、しばしば森永に対して交渉を持ちたいということを申しまして、先般もこの協議会において楠本衛生部長さんから、森永が被災者との会見を断わるようなことがあったら非常にけしからぬ、こうおっしゃっておったにかかわらず、森永としてはあくまで五人委員会の結論が出るまでは一切お話はいたしません、そういうことを言って断わって参りました。しかも十六日に会見する、そういうふうなきつい申し入れに対してようやく応諾したにもかかわらず五人委員会の結論が十三日に出ないということをいち早く察知しておる森永が、昨晩七時に電報を送りまして、十八日に延ばしてほしい、そういうふうなことを言っておりまして、一連の事情を見ると、どうも森永でほんとうに誠意を尽して自分の責任を感じて、私たち被災者のために何とかしてやろうという意思が一体あるのかないのか、私たちとしては非常に迷っておる次第であります。しかし顧みまして、現在自分の子供が十分な治療を受けられない、あるいは治療中止あるいは砒素中毒によってからだか弱っておるところに別な病気が発生しておる。しかしそれはお医者の方から言えば全然砒素中毒じゃない、ほかの病気であるというふうに申されまして、治療は一時打ち切りになっておる。しかし子供は依然として通わねばならない。こういうような非常に悲惨な例が続く限り、この事件を円満に解決するということはなかなか困難でないかと思うような次第であります。この点に関しまして議会におきまして何とぞ十分な御援助をいただきたいと切に切にお願いいたす次第でございます。
○佐々木委員長 一応参考人からの陳述はこの程度にいたします。参考人七海久君が見えることになっておりますが、まだ到着しておりませんので、後刻これを行います。 直ちに質疑に入りたいと存じます。八田貞義君。
○八田委員 まず参考人の方にお尋ねいたしたいのでございますが、十一月の九日だと思いましたが、そのときにおいでを願って、私は患者同盟の使命、性格、内容等についていろいろ御質問して、それについて正確な数字が得られませんでしたので、後刻御提出を願うようにお願いしておったのでございます。それについてまだ御報告に至っておりませんが、ただこの際私が質問すべくして保留した事項に次のようなことがある。というのは、本日もちょっと触れておられますが、厚生省の調査によるところの被災者の数と患者同盟の調査によるところの数とが違っておりました。しかも岡崎さんのお話によりますと、厚生省の患者数よりもっと上回る数字をあげられておったようであります。患者同盟の方えに、少くとも医学上の診断学というものは学んでおられないわけであります。どのような方法によって患者の確認をされましたか、その方法についてお答え願いたいのであります。
○三木参考人 現在までのところでは、死亡者は百九名ほどに確認をいたしております。患者は一万一千人ほどに確定はいたしております。しかしこれ以上の数字があるということは、八月二十四日以前になくなられた方で、砒素中毒というものが全然なかったのであります。それを現在砒素中毒であったというように確認しつつありますから、その点がふえてきたのであります。それから患者におきましても、その当時から継続していて二十四日に初めて砒素中毒であるという認定をもらった方と、それ以前から病気をしていて、それが砒素の入っているものを飲んだか飲まないかというような調査が十分でないために、その点の数字の食い違いは多少あるのでありますが、現在も死亡者におきましては、漸次ふえつつあります。患者数におきましても、森永さんの方でも確認をしておられますので、それよりか上回っております。大体本日までのところでは、砒素中毒によってなくなったというものは百九名、砒素中毒の患者というものは一千百名程度がはっきりいたしておるのであります。
○佐々木委員長 ちょっと八田君に申し上げますが、ただいま参考人七海久君が見えられましたので、七海久君からその後の経過について御発言をいただきたいと存じます。 七海参考人に申し上げますが、大体十分程度でお述べを願いたいと思います。七海久君。
○七海参考人 七海でございます。本日は、お呼び出しの社長は出張、技術担当の常務は病気で伺えませんことを深くおわびを申し上げます。ただいまお呼び出しをいただきましたので、補償関係のその後の私どもの取扱いについて御説明を申し上げます。 その後と申しましても、今までのお話を伺ってないものですから、かいつまんで前から申し上げますが、私どもは今回の不祥事を引き起しましてまことに申しわけないと存じまして、被災者の方々が直ちに御治療を受けちれるように、私ども社員を現地に派遣いたしまして、それぞれの地方庁並びに医療機関に御連絡等をお願いいたしまして、極力御治療の万全を尽されるように努めて参りました。もちろんそれらに要する直接治療費は私の方で負担することに当時からきめておりました。その後患者さんの方に同盟ができまして、たびたびお話し合いをいたしました結果、すでに御承知かと存じますけれども、入院の方には入院のこまかな雑費の引き当て等にもお引き当てを願いたいという意味で、お見舞金を一万円差し上げました。通院の方には、当時通院の患者さんはどこまでが実際の中毒の患者でいらっしゃるか、まことに不明確でありましたが、これを明確に区分いたしますのには非常に時間がかかりますので、それらを含めて現在通院しておられる方々に対しましては、とりあえず三千円のお見舞を申し上げました。その後さらにお話し合いを進めまして、通院の方には二千円追加いたしまして現在では、通院の方に五千円、入院の方は一万円、なお治療、入院費のほかには、入院の方には入院一日につき看護料として四百三十円、通院の方には通院一回について百五十円の通院の車馬賃の実費を通院諸費用のほかに差し上げて現在に至っております。 後遺症等につきましては、それぞれたびたび専門の先生方にも御相談申し上げ、あるいは厚生省にもお伺いいたしまして、できれば専門の医家の御診定によりまして、この中毒が原因で将来に障害が残るという方々には、私ども責任を持って善処さしていただく、こういうように申し上げております。なおその後同盟の方から弔慰金並びに—申し残しましたが、その前になくなられた方、これは同じような意味でお見舞金として十万円をお贈り申し上げました。もちろん当時はまだ原因が判明いたしませんでしたので、とりあえずお見舞金という名目でお贈り申し上げました。なお弔慰金あるいはその他の補償等につきましては後に善処さしていただきたい、こう申し上げておったのでありますが、その後同盟の全国協議会から御要求がございまして、死者に二百五十万円、重症者に百万円、中症者に七十万円、軽症者に三十万円の弔慰金並びに慰謝料を支払うようにという御希望を受けておりますが、私どもは必ずしもこの弔慰金の額が多いとは考えておりませんけれども、何分にも私どもの能力ではこれを負担いたしかねますので、非常に苦慮いたしました。私どもが今度弔慰金あるいは慰謝料等について患者同盟の方々と論争したり、それがために紛糾を起すことはまことに好ましくないことだと考えております。患者さんは森永のミルクを信じて御愛用願ったのでありますから、その方々に対してこれ以上の紛争を続けることはその当時も紛争はございませんでしたが、それがために紛争を起すようなことがあってはならないと非常に苦慮いたしましたが、この額を変な申し出をすれば必ず紛糾するものだ、そういう観測をいたしましたために、非常に坤吟いたしました結果、厚生省に何分の御指示をいただけるようにというお願いを申し上げましたところ、厚生省では、同盟の方からも陳情があることだし、それでは何とか考えてやろう。その方法としては、お聞き及びのような、最も中正な第三者の立場にあられる各界の権威の方々をもって委員会を作り、この委員会で最も中正妥当な結論を出していただくようにお願いするから、これを森永として誠実に実行する意思があるかどうか、こういうお話でございましたので、もちろん私どもはそういう方々の御裁定をいただければはなはだけっこうだと存じまして、お受けをいたした次第でございます。五人委員会の御裁定はまだありませんが、これは必ずや被災者の方々にも御納得がいただけるものと確信いたしておりますし、私どもも御納得がいただけるように極力御説明をし、お願いをして、円満に解決したい心組みでございます。 以上簡単でございますが、補償に関します私どもの取扱いにつきまして、御報告を申し上げた次第であります。
○八田委員 そうするともう一つお伺いしたいのですが、先ほど死亡者が百九名あるということだったのですが、それは厚生省の調査の方はとうなっておりますか。
○山口(正)政府委員 患者並びに死者につきまして、本日現在の数字を申し上げますと、私どもの手元に届いております、各県から報告が参りましたものを総計いたしまして、患者総数が一万一千八百八十九名、そのうち死亡者が百十三名、入院中の者が二百九十名、そういうふうな数字になっております。これは先般当委員会で厚生省から御報告申し上げました数字に比べまして、非常に大幅にふえてきております。これは先般も御報告申し上げましたように、診断基準につきまして、日本医師会を通じて、日本医学会小児科部会の方から、専門家の方々の御意見をいただきまして、それをまとめて先月の上旬に各府県に通達を出しました。もちろんその病歴その他が全部そろっていない面もありますけれども、できるだけその基準によって患者の確認をするようにというような通達を出したのでございますので、その後各府県の方から逐次数字が集まっておるわけでございます。それの本日現在の合計がただいま御報告申し上げたような数字でございます。
○八田委員 それはきょうまでですか、きのうまでの報告ですか。
○山口(正)政府委員 今朝までの報告でございます。
○八田委員 そうすると今患者同盟の方からは、百九名というような数字が出ておるのですが、これはいつごろまでの御調査ですか。
○三木参考人 それは本月の四日までであります。
○八田委員 そうしますと、私はここにまた一つ疑問が出てくるわけでございます。厚生省の方では診断基準をお作りになって、そうして患者がふえ、死亡者がはっきりしたわけなんですが、診断基準がはっきりして各地区に回されて、それから何名ふえておりましょうか。
○山口(正)政府委員 先般御報告申し上げた数字は、たしか死亡者六十二名というふうに御報告申しまして、その後現在のように数字がふえてきているわけでございますが、これはその後死亡した者も若干入っておりますが、それよりも、むしろ過去にさかのぼりまして、従来未確認でございましたものが、診断基準等を参考にして確認されたということでございますので、その死亡の年月日、それから確認の年月日、それを照合いたしますと、詳細な数字が出てくるのでございます。全体から申しまして、ただいま申し上げましたように、私現在ここで記憶いたしておりまする最後の死亡者の死亡年月日は、十一月三日に一人あったと思います。ただいま申し上げました増加した死亡者の大部分は、過去にさかのぼって確認されたものであります。
○八田委員 そうしますと、今の厚生省で各地区に回した診断指針は、患者同盟の三木さんの方には回っておりますか。
○三木参考人 回っておりません。
○八田委員 そうすると、今患者被災同盟から被災状況の調査票という、非常にこまかい調査票が出ております。これをちょっと拝見いたしましても、非常に精密にできております。ただこれについてだれが判断するかということについて、私心配になってくるのであります。というのは、厚生省の方に集まる死亡者の数と、あなた方のこういう票によって統計をとられて判断される数と、食い違いが起りはしないか。将来において当然そういった疑問ができ、問題を起すようなことにつきまして、私一つの心配を持つのであります。一体この調査票をお配りになって、だれが統計をし、そうして判断をするか、そういうことをお伺いしたいのでございます。
○三木参考人 その点は私ども各患者の家にそれをお送りしまして、医学的でないかもしれませんが、毎日六月十二、三日ごろから赤ちゃんを母親が介抱していたのだから、その状態を入れていただくようにというので、専門家はおりませんので、ただ兵庫県の同盟の方がこういうものを作ったらということで、全国協議会へ相談がありまして、それでは皆さんにお配り願いたいといって、全国協議会では承認をして渡しましたが、まだ全部が寄っておりません。ある一部分だけは寄せておりますが…。
○八田委員 調査方法がお互いに違っておりますと、あとで問題が起って参りますので、どうか厚生省の方におかれましても、被災者同盟の方に診断の指針、そういったものをお出しになるということが、この際大切じゃないかと思います。どうかその点厚生省の方におかれましても、患者同盟のこの調査方法について、誤まりのない調査がやられて、正確な数字がつかめるように大いに協力していただくことが、必要じゃないかと私は思う。この点を注文いたしまして、厚生省の方に質問したいと思います。 まず今度の森永ドライミルクによるところの中毒事件につきまして、厚生省は一体日ごろどのような監督態度をとっておったかということを、二、三点質問いたしたいと思うのであります。まず第一に、厚生省はこういった粉ミルク、粉乳製造に第二燐酸ソーダを使用することを法令でもって禁止していたかどうか、この点をはっきりとお答え願いたいと思います。
○楠本政府委員 第二燐酸ソーダの使用につきましては法令によりまして特に禁止はしてございません。
○八田委員 これが使用の際、第二燐酸ソーダの砒素の検査を注意してあったかどうか、または粉ミルクの検査の際、これら重金属の検査を規定してあったかどうか、その点についてはっきりとお答え願いだいと思います。
○楠本政府委員 従来はただいま御指摘のような品物につきましては特に規格をきめたり、あるいはその検査の基準をきめたりしておることはいたしておりません。しかしその後省令の一部を改正いたしまして、最近におきましては、使いますものについてはすべて、それぞれ厚生大臣の許可を受けるなり、あるいは局方を使うなりいたしておりますが、ただその以前におきましては、私どもとしてはできるだけ指導の面におきましてりっぱなものを使うように注意をいたしております。また森永におきましても、それらの注意を受けまして、本社といたしましては各工場に、使う前には必ず検査をして使えということを言ってやっておることは事実でありますが、かような点が徹底しなかったことにつきましてはまことに遺憾に存じておる次第でございまする
○八田委員 いろいろな注意を与えておったとおっじゃいますが、重金属に対して何ら検査をしろというような注意を与えておられなかったようであります。もしこのような大事件というものが業者の不注意によって起きるものとすれば、その原因が単に粉ミルクメーカーの不注意によるものであれば、当然このようなものの中止規定、禁止規定を作るか、もしくは注意を喚起しておくべきではないかと思うのであります。監督官庁すら注意し、予想もできなかったことに対し、民間会社がこれを予想し注意ができるわけはないと思いますが、それについて楠本部長のお考えはどうですか。
○楠本政府委員 まことにごもっともでございまして、私どもといたしましては単にばく然と注意をいたしただけでございまして、その間に規格等をきめたこともございませんでしたし、また従って検査方法というものも一々こまかに指示してございませんでしたので、かような点につきましてはまことに遺憾に存じております。おそまきながらその後におきまして、かような添加物その他のものにつきましてはすべて厳格な規制をいたしたわけでございまして、この点はまことに申しわけないと存じております。
○八田委員 薬務局長にお尋ねいたしますが、そういうことでありますれば、事件の責任というものはまずカナダから技術導入の結果、工場に今度の問題があったということで、毒物を使用せしめ、何ら危険予防措置をとらなかった通産省、厚生省は一体どういうことになりますか。直接責任はこの毒物の工場外流出に対して何ら措置を講じなかった厚生省にあると思いますが、その点いかがですか。
○森本政府委員 お答えいたします。いわゆる第二燐酸ソーダというのは検査の結果、砒酸ソーダという砒素化合物の、毒物のあるものというのでございます。従いましてこれを毒物及び劇物取締法で取り締るべきでなかったかという御意見を聞くのであります。ただいま御質問の趣旨もさような趣旨ではないかと思うのですが、その点につきまして私たちこの問題が起りましてからいろいろ検討いたしたわけでございます。ところが現行法の解釈といたしまして、毒物としてまた劇物として取締りの対象になるものは法律の別表におきまして規定をしてございます。すなわち本件について申しますれば、砒素、それから砒素化合物、あるいはそのいずれかを含有する製剤、この三つのうちのどれかに当てはまれば、これは取り締る必要があるわけでございます。それで現実に砒酸ソーダがあったわけでありますので、この別表に該当するかどうかということをいろいろ検討してみたわけでございます。 まず第一にその別表に掲げてあるところによりますと、三つの範疇がございまして、砒素そのものの場合が一つ、それから砒素化合物そのものの場合が一つ、それからもう一つはそのどれかを含有している製剤の場合が一つ、この三つがあるわけでございます。ところがいわゆる第二隣酸ソーダは砒素そのものではございません。それから砒素化合物そのものでもない。しからば第三の範疇に入りますところの砒素化合物、いわゆる燐酸ソーダという砒素化合物を含有した製剤ではないか、こういうことになりました。それでこれが該当するかどうかということを検討しましたところ、従来の解釈の実例、それから立法当初の考え方その他からいたしましてこのものが製剤であるということは言えない。むしろ第二燐酸ソーダというものに不純物として混入しておったという性質のものであった。従いましてこれを現行法の解釈として適用するということは困難であるという解釈であります。かような決定をいたしますにつきましては、実は取締りの対象にすべきではないかという見解も部内にありまして、いろいろ論議をいたしました。結局内閣の法制局あるいは法務省の刑事局というような関係政府部内とも意見の交換をいたしまして、いずれも現行法の解釈では困難である、無理である、かような一応の解釈になりました。従いましてこのような事件を起したことはまことに遺憾なことでございますが、現行法の解釈として取り締ることはできなかったという結論に至ったわけであります。 それで次の問題としましては、しからばこういう事実があった、しかも現行法の規定は今申したような規定では取り締れない、それでいいのか、そういう問題が一つ起って参ります。この点につきましては、ここ一年ほど前から別表の改正、すなわち毒物劇物の対象になるものの内容をどういうふうにするか、検討する必要があるのではないか、改正する必要があるのではないかというような気持で検討いたしております。大体において、この砒素に限らず毒物約九十種類、劇物五十種類ございますが、それらについて全面的に検討をいたしたいという気持でやっております。
○八田委員 問題の毒物は日本軽金属の工場から流出したボーキサイトの廃物でありまして、四から七%の砒素を含んでいるということが判明したのであります。これは明らかに毒物であります。日本薬局方では砒素含有率というものを〇・〇六%以上のものを毒物といたしているのであります。この廃物を取り締る法律がないからといって御答弁がありました。またあるいはせっかく検討いたしましてというような言葉がありましたけれども、この点につきまして、昭和二十五年十二月一日の第九回国会の衆議院厚生委員会におけるところの黒川国務大臣は、毒物及び劇物取締法案の提案説明の中に次のようなことを述べられているのであります。「工場、事業場から毒物、劇物の横流れが行われ、凶悪な犯罪の手段に用いられる危険が多く、保健衛生上安全を期しがたい」から、本法を制定したいと述べ、さらに該法第一条、法の目的におきまして、毒物及び劇物について必要な取締りを行うことを目的とするとうたつているのであります。 〔委員長退席、中川委員長代理着席] この趣旨から考えれば四から七%の大量の毒を含んだものは、いかなる形のものであろうとも典型的な取り締り対象物と思うが、一体どうか。砒素の致死量は大人で約百ミリグラム、子供では約十ミリグラムでありますから、この廃物を大人がニグラム、子供が〇・二グラムすなわち指先にちょっとつけまして、これをなめたら死亡することになります。実際にためしたわけではありませんが、少くとも計算上はこういうふうになってくるのであります。かような危険なものが取締りの対象にならない理由はないと思うがどうか。いかなる理由にせよ取締りの必要あるものと考えるが、この問題に関しまして静岡県の衛生部長は昭和二十九年十一月一日付でその取扱い方につき伺いをたててきております。これに対しまして一年以上も経過した今日、今年の十一月五日にようやく回答を出しております。しかも回答文の中では砒素化合物を含有する製剤に該当しないと答え、その取締りの不要である意味を述べておられます。十一月五日といえば中毒事件がすでに発生し、その原因が那辺にあるかについては直接関係者にははっきりしていたときであります。しかも私はすでに九月のときにおきましてこの砒酸ソーダの問題について質問し、さらに十一月の初めにおいて第三燐酸ソーダ、砒酸ソーダというようなことを申しているのであります。さらに中毒の原因が砒素であり、薬剤を通じて粉ミルク中に混じたことは万人公知の事実であります。このときに及んでかかる危険物の取締りを不要とする薬務局の態度はまことに不可解であります。おそらくは回答の間違いではないかと思いますが、一体どうですか。各委員の参考までに静岡県の衛生部長からどのような照会文があったか、それに対して薬務局からどのような回答をしたか。各委員の参考のために読み上げてほしいのであります。
○森本政府委員 ただいま御指摘のございました静岡県衛生部からの照会でございますが、これは昭和二十九年十一月一日に衛生部長から薬事課長あてに参っております。一応読み上げてみます。「毒物及び劇物取締法上の疑義について。管下日本軽金属株式会社清水工場に於てボーキサイトよりアルミニウムを製造した廃物を他の業者に譲渡し該業者がこれを利用して整罐剤を製造することになったがこの廃物を分析した処左記の通りで砒素化合物が含有されておりますのでこの廃物は毒物及び劇物取締法の毒物に該当するかどうか、貴方の御意見を伺います。なおこの廃物を利用して製造する整罐剤には砒素化合物を除去しますので含まれておりません。」今お話のようにボーキサイトからアルミを取った廃物を整カン剤に製造する目的をもって譲渡した。ところがこの残滓物には砒素化合物を含んでいる。それでこれは毒物劇物取締法の毒物に該当するかどうか。それからなおこの廃物を利用して作る整カン剤には砒素化合物を取り除くことになっております。こういう照会でございます。これに対しまして三十年十一月五日薬務課長から衛生部長あてに、昭和二十九年十一月一日総第一、三〇三号をもって照会のあった標記について左記のとおり回答する。記としまして「照会にかかる砒素化合物を含有する物は、毒物及び劇物取締法別表第一に掲げる砒素化合物を含有する製剤に該当しない。」照会のありました砒素化合物を含有しているものは法律の別表第一に掲げてあるところの砒素化合物を含有する製剤には該当しない、こういうような回答をしているわけでございます。それでただいまそれに関連して御指摘になりました点は二点ほどあると思うのでございますが、第一は非常に遅く回答が出ているじゃないかという点、この点につきましては照会がありましてから実はいろいろ内部でも検討いたしました。ちょっと考えますと、砒素化合物を含有する製剤として該当するのじゃないだろうかというのがだれしもが考えつく考え方でございます。ところが現行法の解釈適用としまして、しかも罰則その他を伴うところの法律の適用として果してそう言い切れるかどうかという解釈上の問題でございます。この点でいろいろ部内の議論をしたわけです。それからその間におきまして法制局なり刑事局等の意見も聞きまして、大体これならば間違いなかろう、少くとも現行法の解釈運用としてはかくあるべきであるという関係方面との意見が一致しましたのは、時期はおくれておりますが本年の五月ごろでございます。その結果今申しました回答の内容を、とりあえず口頭でもって回答いたしました。それからなおそれにつけ加えまして、法律の適用はできないけれども、さようなものであれば取扱いについて十分の注意をする必要があるということを念のために申しつけております。かような事情で回答が延引した次第でございます。 それから、こういう解釈をしたのはどうかという問題がもう一つ残っておるのでございますが、これは先ほど申しましたように、毒物劇物取締法の別表第一に掲げておりますところの毒物の規定は、明治四十五年に法律ができましてこの前の法律ございますが、それ以来約四十年間一つの解釈の仕方がきまっておりまして、それによりますと、一つの法律上の解釈の例としまして今申したような解釈になる。それから第二は、薬学と申しますか、化学上の常識としまして、製剤という以上はある目的をもちまして、砒素であれば砒素というものが入ってその効能を期待して作り上げたものであるという、製剤というそのものの意味があるわけでございます。たとえば殺鼠剤を作ります場合に砒素を加えておらなければ殺鼠剤の効果はない。すなわち砒素というものの効能を期待して、その効能を発揮させるために作為的に入れたものである、こういう製剤そのものの言葉の定義があるわけであります。そういう定義からいいますと、たまたま不純物として入っておる、それから自然物にも入っております、たとえば鉱石でありますとか、われわれがよく使っておりますたばこの中にもニコチンというような毒性がございます、こういうように自然物で入っておる、それから不純物で入っておる、こういうものはこの法律の別表でいいますところの毒物に該当しない、すなわち製剤でない、こういう一貫した考えがあるわけでございます。そういうような一つの解釈論その他運用の面もございますが、一応現行法の解釈としてはさようなことになっております。
○八田委員 今あなたの話を聞いておると、私はほんとうに文句を言いたくなった。あなたはこの事件の本質というものについてどういうふうなお考えを持っておられるのか。今口頭でもって九月に話した、その間いろいろ審議をした、その審議の大部分は法的解釈である—厚生省には研究機関があるのです。またあなたの役所の中にも薬剤師の方がたくさんおられる。そうした人の意見を十分に尊重されてそんなふうに長くかかったのですか。九月に口頭で言った、その口頭で言ったという事実がありますか、それさえも私ははなはば不審にたえません。さらに口頭から文書回答まで一体何ヵ月かかったか。さらにまたあなたはいろいろな自然物とか合成物について製剤という文字にとらわれて、いろいろな解釈を立てております。しかし製剤という言葉についていうならば、生物学的製剤もいろいろなものが入っておる。生物学的な製剤、ワクチンとかそういうものに対してどういうふうな解釈をするか、こういう問題もいろいろあるのです。法律というものが事実よりも自然よりもいつもおくれているというところに問題がある。またあなたが法的な解釈だけに終始しておるということがはなはだいかぬのです。私はその点についてあなた方の態度に対しまして納得できない。 さらに今読み上げていただきましたところの静岡県衛生部長の照会文の中で、うしろの方に、「なおこの廃物を利用して製造する整罐剤には砒素化合物を除去しますので含まれておりません。」と断わり書きがあります。これは果して事実こんなことがあり得ましょうか。もし事実上砒素化合物を除去してあれば、今回のごとき悲惨事は起きるはずはないのであります。現物には明らかに多量の毒物が含まれていたじゃありませんか。とすればこの断わり書きというものは、私をして言わしむれば、まっかなうそということになります。事件の責任は、これらのうその報告をした静岡県衛生部長と毒物を取り締らなかった薬務局にあると思いまするが、どうですか。また戦後アルミ製法の技術をカナダより入れ、日軽工場にその作業をさせ、それによって毒物が生じ、多数の乳児傷害致死の惨事を引き起したものとすれば、その管理の任にある通産省にも責任があると思いますが、一体どうですか。さらにまたこの問題の製品は国鉄に売りつけて、国鉄の方で、ボイラーの整罐剤にはならぬ、砒素がたくさん含まれているので危ない。すなわちボイラーの整罐剤として使うにしても、あるいは弁当を洗う場合がある。こんな危険なものは使えないということでキャンセルしておる事実があるのです。あなたはそれを知ってもなおこれは劇物、毒物の取締法の対象にはならぬとお考えになりますか。この点が問題になりますが、これはどうですか。
○野澤委員 関連して。八田君からるる申し述べられておるようでありますが、この第二燐酸ソーダ等の問題については、御趣旨はよくわかりますけれども、厚生当局としてもこれは非常にむずかしい問題だと思います。大体私はこの方の仕事を多年経験しておりますので、商習慣から見てどこに責任があるかという問題になってきますと、むしろこれを取り扱う業者の不注意だ。要は整カン剤等に使われます第三燐酸ソーダなり第二燐酸ソーダというものは、常識的に砒素の入っていることはわかり切っておることでありまして、しかも再結晶しさえすれば、相当量とれていくわけです。従ってこれを取り扱う業者がどういう業者が精製したかわかりませんが、少くもPHをあわせていきさえすれば一回の精製で十分の一くらい砒素はとれてくるわけです。しかもまたボーキサイトの製品は第三燐酸ソーダとしておそらく市販に出されていると思う。これを第二燐酸ソーダに直すためには、さらに燐酸を加えて直さなければならぬ。その加えます燐酸が精製された燐酸ならよろしいが、粗製の燐酸を加えますと、燐酸の中に最初から砒素が入っております。従って第二燐酸ソーダに直す際にさらに今度は砒素を加えてしまうという結果にもなります。要はこういうものを森永が工業用のものを食品の中に入れるために買ったという行為自体に根本から誤りがある。これらについては取扱い業者自体が良心的に考えていきさえすればこういう事態は起きなかったと思うのであります。政府の弁護をするわけじゃありませんが、これをもし毒物に指定するということになりますと、現在の市販されています試薬、それから工業薬品中毒物、劇物の範囲が非常に広範になって、もうおそらく日本の化学工業としてはそのために障害を起すのではないかという感じがいたします。八田君にお願いしたいのですが、これらの対役所の問題については明日にでも譲っていただいて、貴重な時間でありますから、できるだけ参考人と直接関係のある問題だけに集約していただきたい。そうして短時間に議事を進めていただきたいと思います。
○中川委員長代理 八田君の今の質問に対する関連質問ということでありましたから私は野澤君に許可したのでございますが、八田君の御質問は、政府からの答弁を要求されておるようであります。それからただいまの野澤君からの御質問は、むしろ業者からの答弁のように私ちょっと伺ったのであります。従ってこの際森本政府委員から、先刻来るる述べられました八田君の質問に対する御答弁をお願いいたします。
○森本政府委員 ただいまいろいろお話がございましたが、一応まとめて申しますと、現行法の解釈上これを毒物に指定するのは困難である。ただしその扱いにつきましてこれでよろしいかということになりますと、今後砒素といわず、このものといわず、各種の毒物、劇物の取締りのやり方につきまして再検討をしなければならぬと思っております。その意味でただいま検討いたしております。 それからこの問題についてのいろいろ責任はどうだというお話がございましたが、これはいろいろなところにあろうと思うのでございます。ここだけでこうだということには参らぬじゃないかという感じもいたします。それぞれの段階におきまして、あるいは個々においてそれぞれの欠陥があったのじゃないかという気がいたしますが、私の関係いたすところにおきましては、現行法の解釈ではさようになりますが、規定の不備ではなかったかという意味におきまして、今後こういうものがまたその他予想されると申しますか、今後さような事態が起らぬように直していく、かようにいたしたいと考えております。
○中川委員長代理 野澤君の質問に対して、森永さんの方から何か御答弁はございませんか。
○七海参考人 私は総務担当をいたしておしまして技術者でございませんので、詳しい技術的なお答えがいたしかねますので、この問題につきましては技術関係の者をあらためてお呼び出しいただきたいと存じますけれども、私が今度の事件が起きましてから聞きました話では、この私どもの徳島工場で購入並びに使っておりました第二燐酸ソーダは、昭和二十八年から所定の薬店に食品用と指定いたして注文いたしておりました。しかも昭和二十八年から事件の起るまでは何の事故もございません。しかも事故のあった品物は、前と同じ価格で、同様の包装で受け取ったものでございます。私が伺っておるところによりますと、少くとも試薬一級品という第二燐酸ソーダは、これはしかも微量に使うものでありますので、人体に影響がないものと当事者は考えておったようでございます。以上であります。
○八田委員 もう少し時間をいただきましてやらせていただきます。 今いろいろの発言がありましたが、特に野澤委員はこの問題の委員会に入って来られたのはきょうが初めてなのであります。事件の本質について正確に調査されての発言とは考えられない。というのは、これははっきりしておかなければならぬ。厚生省の方でもはっきりしておいていただきたい。今燐酸ソーダの製法というものはこれはきまっております。いわゆるソーダ灰プラス燐酸のオーソドックスの製品なら砒酸ソーダが入るなどということは考えられない。すなわち中毒量に達するような砒素の含有量は考えられない。湿式法、乾式法の製法によりましても、砒素化合物が含まれておるとするならばそれは〇・〇〇五%以下であります。特に乾式法でやったならば〇・〇〇二%であります。この点については、すでに私が九月当初において、オーソドックスの製品ならば化学周期律表の第五族に属しておる砒素と燐とはよく似ておるから、砒素と燐酸と誤認して製造したのではないかと厚生省に質問してある。ところがその調査の結果非常に含有の点についても不審がある。しかも第二燐酸ソーダは非常に少くて、第三燐酸ソーダが多い。砒酸ソーダもある。しかもその問題のものの中には、さらに精細に分析していくと、バナジュームも含まれておる。燐、砒素、バナジュームにしても、みな第五族に入る。さらにまた簡単に精製するならば、PHだけ考えたならば簡単に精製できるという御発言があったようでありますけれども、ちょっとした化学の知識があるならば、この五族のものが非常に似ておって、なかなか離れがたいものであるということはわかっておる。幾ら精製してもこれは離れがたい。採算を無視してやるならばこれは精製できます。現在やっておる。やっておって採算に合わないからということで、この廃物がそのまま流れてきたというところに問題があるのです。ですから私は毒物、劇物取締法について、法の趣旨に反するような事件が起ったということで私は毒物、劇物取締法の改正を望んでおるのであります。今局長はせっかく検討いたしてやるというような話でありましたけれども、あなたがこの問題に一年以上も法的解釈だけに時日を重ねておるような態度で果してこの大事な問題を早急に解決できるような一体見込みがありますか。よく反省をして、そうして国立の研究機関の技術者と提携して、むしろ研究者の意見を尊重してあなた方はやるべきです。ただ法律的な研究だけして、そうして事件の問題については何らしっかり触れた答弁はなさらない、この点非常に遺憾に思うのであります。さらにまたあなたから毒物についてのいろいろの話がありました。この毒物の点についてもいろいろ問題があるのです。それについては私は自分の調査の点について話してみたいのです。いわゆる問題となったところの廃物というものは砒酸ソーダ、第三燐酸ソーダ、第二燐酸ソーダ、バナジウム、鉄、銅などの混合物であります。特定の化学名を付することができない。しかしその砒素含有率は〇・六から七%に達しておるのであります。薬局方の毒物の見解というものは、あの含有量は〇・〇六%であるということに対比してみますと、むしろ猛毒に類することになります。ですから、この毒物及び劇物取締法に記載してある別表の一でございますか、ここにある「砒素、その化合物及びこれらのいずれかを含有する製剤」の解釈いかんによりましては、今申し上げました猛毒物でも毒物に該当しないとの見解が成り立ち、今次中毒事件の根本原因である日軽工場の廃物は公然と売買されることになり、危険物の横行が公然と認められることになるのです。すなわち今回の毒物というのは混合物であって、化合物でも製剤でもないから法規には触れぬというのでありまして、法令に何ら特定の定義のないままに、法の精神を無視して特定の解釈をすれば、こういうあなたが言ったような状態になっております。先ほども申しましたように、昭和二十九年の十一月に伺いを立てた静岡県衛生部の照会に対して厚生省から公文書をもって法規に該当しない旨を、照会を受けた日から一年後の三十年の十一月、すなわち事件が起きたあとになってようやく回答を発しておるのであります。またその毒物を、森永工場に何の説明もなしに正規の第二燐酸ソーダとして販売した徳島の協和産業及び大阪の松野製薬は、現在刑事責任なしとはいわれないのであります。このことは、青酸カリのような毒物でも塩か砂を混じてさえおけば普通に販売しても違法ではないということになります。本法律の提案施行が何の意味もなさぬということになってくるのであります。以上、毒物の解釈によって毒も無毒になるというふうな現実の状態にあるということを強く薬務局長は認識してほしいのであります。 そこで私はさらに問題を展開していきたいと思うのでありまするが、日軽工場の廃物が森永の徳島工場に入るまでのルートを克明に調査されたものと思うが、これを第二燐酸ソーダとして正規のレッテルを張り、正規の製品として販売した大阪松野製薬会社は、その実体がどんなものであるか知らないはずはないと思うがどうですか。
○森本政府委員 最初の点でございますが、この別表を改正するならばすみやかにやる必要がある、やっているかどうか、こういうような御質問でございますが、先ほどちょっと申しましたように本年初頭からこの研究を進めております。できれば次の通常国会に間に合うではないだろうかというような意味で準備をいたしておりますが、なかなかこの種類が多うございましてあるいは困難かと思っておりますが、それは今お話のように専門の国立衛生試験所、それから局方の専門家あるいは大学の先生等の御意見等を聞きまして技術的に進めておりますから御了承願いたいと思います。
○八田委員 実際やっておりますか。
○森本政府委員 やっております。それから、あとの松野製薬、協和産業がそういうものを知っておったかどうかという点でございますが、この点は実は私たちの方の調べたところによりますと、もとの生駒製薬というのが作ったと私聞いておりますが、その方では、生駒から松野へ渡しますときには、これは砒素が入っているぞという注意をしたと言っております。ところが松野の方ではそれは聞いておらぬというような食い違いがございまして、その辺一応両者の話を聞く程度で、それ以上どうこう言うわけに参りませんが、生駒の方では入っておるという注意をしたと言い、それから松野の方ではそういう話は聞いておらぬと言う。それで松野、協和の関係はちょっと明らかでございません。ともかく関係者の間で、注意をしたと言うし、注意を聞いておらぬと言う、その辺の事実関係は両者の話を聞いた程度で、それ以上突っ込んでどうこうというわけに参りませんので、一応そういうような状態であります。
○八田委員 局長はかわったばかりでありまして非常に気の毒でありますけれども、しかし薬務局というものの実態についても私文句を言いたくなってしまうのです。これも高田局長が今までやっておった時分の仕事だ。これが保険局長に転任になって、あなたが国立公園部長から入ってこられて局長になられたわけですけれども、どうもあなたの方のこの事件についての認識が足りない。あなたは専門家でございませんから何ともいたし方がないのであって、同情しなければならぬのでありますけれども、しかし私は、今までずっと薬務局が一年間もほうっておいたということについて、あなたは新局長になられ、たのであるから、こういう事態が再び繰り返されぬように部下を督励してやってもらいたい。せっかくやります、せっかくやりますと言うけれども、せっかくやりますと言った薬務局の実態というものが、一体一カ年以上もこの重大な問題の回答を保留しておったということは重大問題です。あなたが今度新しくなられたんですから、そういうことは絶対に二度としない、そうして専門技術者の意見をよく聞いて、正しい判断をもって正しく出すということを肝に銘じて下さい。これを強く新局長に対して私は注文しておきます。また今のあとの方の松野製薬会社とか、あるいは協和産業などについての調査も非常に不十分である。この点についてもあなたは薬務局長として自分がほんとうに責任を持って、真心を持ってやらなければならぬという気持になってせっかく調査しなさい。それから私の調査によりますと、協和産業の社長は薬剤師であります。これが自己の取り扱った商品がレッテルと実体が違っておる、しかも猛毒であることを、知らなかったといたしましても、その責任が問われないはずはないと思うが、薬務局長のお考えは一体どうですか。
○森本政府委員 今の点につきましては、私はこういうことだと存じます。一応第二燐酸ソーダという表示をするならば、それは第二燐酸ソーダでなければならない。それからかりにそれ以外のもので、XのものであればXという表示をするという一つのことがあると思います。これは民法上あるいは商法上の契約事項といいますか、この問題が一つあると思います。 それからこの協和産業の担当者は薬剤師という技術者が扱っておったという場合、これは法律上薬剤師としてそれを一々点検せなければならぬ義務があるかどうかという点の御質問でございますが、これはそういう意味のものでなくてただ協和産業というところに使用人としてある程度の学識経験があろうというので雇用されたのであります。その者が十分自分の能力を発揮して調べるなら調べるという措置を講じなかったという点はあろうと思いますが、薬剤師としての業務に違反した、こういう意味のことはないと存じます。
○八田委員 どうもあなたのお話はおかしい。あなたは薬剤師の業務というものを正当に理解してないようです。もう少し勉強してほしい。この点をもっと突っつきたいのですが、あとにまだたくさん委員の方がおられますし、早くやめろというようなことでありますから、私はやむなくやめますけれども、この次にまたやりますから、薬務局長一つ大いに勉強して私に言い込められないように、しどろもどろの返事をしないように、正しい回答ができるように勉強してきて下さい。これを要望して一応私の質問を保留しておきます。
○中山(マ)委員 関連して。薬剤師が社長である、一々それをするということはできないというような話でございまするが、結局国の動きというものは、総理大臣に責任があるように、やはり会社の製品というものに対してはその局々において社長は責任をとらないのでしょうか。そういうものでなかろうかと私は思うのでありますが、下の人がそういう間違いをしたら、その下の人に対する統制力がないわけであって、もしレッテルが違ってあったというようなことになりますと、母親というものは、ミルクであろうが何であろうが、自分で検査して飲ませなければ、自分の愛児に母乳を与えることができない母親は恐怖状態に追い込まれると思うのでございます。私はあまりよくは知りませんけれども、法律上の言葉をかりれば、これは未必故意致死罪とかいうものになるのと違いますか。自分はあえて殺そうと思わなくても、そういう場合こういう言葉があるということも私は法律家の妻としてふだん聞いておるのでございますが、私はそういう言葉になるのじゃないかということをふと思うのでございます。これはただここに百何十人かの子供が死んだとか、あるいはどれだけの病人があるとか、ただこれだけのグループだけの問題じゃないと思うのであります。私も次男が乳児脚気になりまして、やはりミルクでもって育てた経験がございますから、自分の乳を与えられないときの親の恐怖というものは非常なものでございます。いろいろな手を下しましてそれを調べてやっていくのでございますが、私は今後母乳をもらうことができない不幸なる子供たちのためにも、薬務局は簡単に、そうではない、社長は責任がないとおっしゃいましたが、そうならば一体どこに責任があるか。私ども考えますのに、森永という名前で安心して母親たちは買うておったと思うのでございます。そういうふうに簡単にこの問題を考えないで、これは法律的にも厚生省はお考えになった方がいいのではないか。そしてほんとうに責任の所在をはっきりさせ、今後薬品に対してその製造業者が、戦々きょうきょうとまでは申し上げたくないのでありますが、とにかく外につけるものならよろしゅうございますよ、からだの中を通っていくものに対してこういうずさんなことでは、しかも厚生省薬務局から、そういうことではないでございましょうなんという御答弁をいただくということは、私は心外だと思うのでございます。法律的にももっと御研究下さいましてほんとうに世の母親たちが安心できるようにしていただきたい。これは今までの被害者だけでなく、これから生まれるであろう人たちに対してもでございます。 もう一つ森永さんにお尋ねしておきたいと思います。これは放送で聞いたのでございますが、このごろ森永さんは商業放送でもって、まことに思わざる事態が発生いたしました、そのおわびにと思って、何ですかこのごろ売り出していらっしゃるミルクに何か少し景品をつけていらっしゃるようでございますね。これをお認めになりますか。これはとんでもないことだと私は思う。二十円でしたか五十円でしたか、その辺ははっきりいたしませんけれども、そういうちょっぴりのお金をミルクのお客様に対するサービスとしてか、申しわけのためとか何とかおっしゃいまして、つけておるということを私は聞いておるんですが、そういうお金があれば、患者同盟にやってもらいたい。これは単なる商売の手かしれませんけれども、一般世間に対して二十円であろうが五十円であろうが、サービスのおつもりでなさるのでしたら、私は、被害を受けてない人につけないで、被害を受けた患者同盟の人に上げてほしいと思うのですが、こういう事実がおありですか。
○七海参考人 私この事件が起きましてから患者さんの治療対策にばかり専念しておりますので、営業方面がどうなっておりますか、詳しく存じませんが、ただいま御注意のありましたことをよく調べまして、そういう事実がありましたら、十分注意をさせていきた いと存じます。
○中山(マ)委員 先ほど技術のことでお尋ねすると、私は技術家でないから知りませんと言う。今度は私が商業放送のことをお尋ねすると、私は患者同盟の問題で奔走しているから知らぬとおっしゃるのでございますが、それでは何を聞いたら知っているのだろうかというような気がいたすのでございますが、私は確かに大阪で聞いた放送で、そのとき私は実にけしからぬと思ったのでございますが、こういう事実があるかどうか。私の耳がおかしくなっていない限り事実なんです。世間が騒いでいるから、そういう商売の手をお使いになっておるのではないかと実は思ったのでございますが、もしそういうことをやっておられるのでしたら、私は願わくはそういうことはやめて、そういうお金があれば、実際の被害者、しかも入院させようと思ってもさせられないというようなお話も、八月ですか九月ですかのときに私は伺ったのでございまするが、私も二人の子供を死なせております。子供を死なせた親の気持がどんなものだかということはよく承知しておるつもりでございます。どうかそういうお金がもしありとすれば、患者同盟の方まで回していただきたいということを、私は心からお願いするのでございます。
○岡本委員 七海さんにお伺いしたいのですが、この事件が起りました当時と現在とでは、原因がだんだんはっきりしてくるにつれて、森永の会社の方でも気持が変ってきているのじゃないかということが考えられるのです。と申しますのは、最初はとにかく森永のミルクのために中毒した。ところがそれが砒酸ソーダであるということになって、結局森永が求められた第二燐酸ソーダを売ったところの一商事会社の悪徳行為が、この事件を起してきたというふうなことがだんだんはっきりしてくると、何かしら森永の方で気持が軽くなってくるんじゃないかと思います。しかしながら患者の方は、森永を信用して、森永であれば大丈夫と思って買って飲んでいる。だからそういう森永を信用して買った人に非常に迷惑を与えた、非常な被害を与えたという点において、森永の購入者に対する責任というものは、のがれることができないと私は思います。道義上の責任という点においては、私は事件発生当時も今も変らないと思うのです。ただ刑事上の責任ということになってくると、これはどこにその原因があったかということで、またおのずから別になってくると思います。しかしながら道義上の責任は変らないと思います。もしもあなたの方で、そのことのために非常に大きな賠償を払わなければならぬので、大きな損害を受けたとするならば、その損害はまた業者に対してあなたの会社から請求されるべきであって、被災者とあなたの会社、森永乳業との間の関係というものは、事件発生当時も今も変らないと私は思うのです。だから事件発生当時の、これはどのようなことがあっても十分な補償をしなければならないというあなた方のお考えは、今も昔も変りはないと思うのですが、その辺についてのあなたのお考えを承わっておきたいと思います。
○七海参考人 ただいまお話を承わりました通り、私どもは当初事件の原因がわかりませんので、事件の原因がどうあろうとも、先ほど申し上げました通り、現実に私どもが製造して売ったものの中に毒があって、しかもそれを信用して飲んでいただいた方に非常な御被害を与えた、これは何とも申しわけない、こういう気持はただいまでも終始一貫変っておりません。その後順次真相が一部わかって参りましても、これはただいま裁判されておりますので、刑事上の責任がどうなりますか、ただいまでも当初と同じように未知数でございます。私どもは少くとも道義的には申しわけないという気持で、当初からただいままで一貫しております。私どもの態度が、責任をのがれているようにうかがわれれば、私ども不徳のいたすところでありますが、私どもの気持といたしましては、終始一貫変っておりません。何とか皆様の御満足をいただけるように、円満にすみやかに解決しなければならぬ。それから今後はこのようなことが再びないことはもちろんでございますが、いろいろな施設を加えまして、二度とこういう不祥事を起さないように決意をいたしておる次第でございます。
○岡本委員 しかくあるべきだと思うのでありますが、ところでけさの新聞を見ますと、森永の徳島工場が返還を受けて、新たに再びあなたの方で仕事を続けられるようになった、その徳島工場に今度は一億円の資本をつぎ込んで、オートメーションの設備をやって、大々的に来年はやるんだ、工場を再開するんだというふうなことが報道されております。そういうことになって参りますと、金がないから患者の補償はできない、とにかく十分なことはしたいと思うんだけれども、何しろ金がないのでどうにもなりません、こういうふうなことをあなたの方は言うておられながら、今度はその事件を起した工場に、新たに一億円金を入れるんだということになると、どうも話のつじつまが合わないのです。たしか読売か、朝日か、どちらかであったと思います。私はけさその新聞を見て、森永はひどいなあ、金がないからどうにもならないんだといって、被災者の方へ泣き入れておきながら、片一方ではそんな大きな金をつぎ込もうとしておるというところからも、あなた方の今のようなお考えが、形の上に全然現われてないということが感ぜられるのですが、それについてのお考えを承わりたいと思います。
○七海参考人 私もその新聞を見まして非常に遺憾に存じました。私の方は徳島工場をオートメーションの機械にかえるという計画は前々から持っておりまして、一部機械を輸入いたしまして工事中であったのでございます。この工事中のさなかにあのような事件が起きまして、この事件のためにこれは休止の状態にございます。一部買いましたものはいたし方ございませんけれども、工事を続ける時期はこの問題が解決して私どもに力ができたときでなければならないはずでございます。新聞の誤報だろうと存じます。私どもはそういうことを申し上げたことはございません。
○中川委員長代理 吉川兼光君。
○吉川(兼)委員 私は森永さんにまず聞いておきたいことは、実は今岡本君から関連質問で言われたことも私どもは考えていたことなんですが、はっきり申し上げますと、事件の起った当初から今日までの森永関係者の言動というものを私どもは存じ上げておる範囲で考えますと、お話しになっていることは同じことを言っておるようですけれども、内容においては開きが来ておるように感ぜざるを得ないのです。たとえばこの前のいつでしたか、十一月の初めに開かれましたこの委員会の協議会におきまして、今委員長代理をしております中川君から、あなたの方の代表取締役の大野さんでしたか、いろいろな資料の提出を要求したのでありますが、たとえば一、二等乳の買い入れの状況であるとか、あるいはべータにサッカリンが入っていないかとか、それはたしかいついつの日に作ったという日にちまで中川君は指摘しておったようでありますが、あるいはまた平塚工場を厚生省から見に行ったその日取りであるとか、そういうことをいろいろと要求しておったはずでありますが、その資料をお出しになったでしょうか、ちょっとお伺いしたい。
○七海参考人 私どもが伺いました資料は、お出ししたように聞いております。私も当時ここに出席させていただきましたが、私どもが伺いましたのは森永の一等乳、二等乳別の受入量並びに製品別の生産量、こういうふうに私は伺って戻りました。これは表にして提出したと存じております。その他のことは私は記憶がございませんけれども、厚生省に御質問があっただろう、こういうふうに私は記憶いたしております。
○中川委員長代理 ただいま七海常務からお話の点でございますが、その資料は私は受け取っております。しかし私はその際それと同時に、五十三年の十二月に製造しておるところのサッカリンを混入した数量並びにこれをどこの工場で作ったかという資料もあわせて要求いたしました。この御提出をまって一括して配付したいという建前から私がそこに持っておるわけであります。御了承願います。
○吉川(兼)委員 今の委員長の御説明で、この問題はそれ以上は触れない方がいいと思いますが、要するに、たとえば五人委員会のこともすでにこの前の協議会で十分過ぎるぐらい論議せられたので、時間の関係で取り上げませんが、それにいたしましてもこれを一つの防波堤のごとくに考えて、被災者同盟からの会見申し入れ、交渉の継続等に応じないということは私どもには了解がいかない。と申しますのは、五人委員会というものができました経過から考えましても、厚生省のこの委員会における言い分を聞いてみますと、第三者の妥当と思われる意見をそこで出してもらいたいというだけのことにとどまっておるのでありまして、なるほど森永といたしましては、五人委員会できまったものには誠意をもって実行に当りますという一札を厚生省に入れたかもしれぬが、それはあくまでも森永の一方的な行為でありまして、そのことは被災者方には何らの拘束力——拘束力どころじゃない、何らの影響力もないのであります。被災者の方は日々重病人をかかえて、だんだん悪化する者もある、よくなっていく者もあるようですが、中にはとうとう死んでしまった幼児すらあるのでありまして、年末を控えておりますし、家庭経済の関係などもあって、いろいろな意味であなたの方に従来からの交渉の継続を要求するのは当りまえだと思う。それを何ら被災者側に関係のない、関知しないような五人委員会の結論が出ないから、とははっきり言っておられませんが、そのように十分にとれる、また場合によってははっきり言ったこともあるようですが、交渉に応じないというのはどういう意味なんですか。その辺のことが、あなたは非常に誠意をもってこれに臨んでおるとおっしゃいますけれども、われわれがそうとは受け取りにくい一つの事実でありますから、それについてお答えを願いたいと思います。
○七海参考人 交渉なりお話し合いなりのお申し入れをいただきまして、理由なしにお断わりしたことは一回もございません。極力お話し合いの機会を持つことはお互いの気持が疎通することだ、こういうことを私たびたび申し上げております。従いましてお断わりした事実はございません。ただ、弔慰金あるいは慰謝料、そういうものを議題にして交渉をしようということにつきましては、そのことは五人委員会の御裁定を誠実に履行いたしますとお約束している手前もありますので、せっかくそれらの方々が御裁定に努めておりますさなかに、私どもが勝手な答えを申し上げることは徳義上よろしくない、こう考えまして、その問題についてはしばらくお待ちを願いたい、私どもも至急に御裁定をいただくようにお願いを申し上げておるので、その問題についてはしばらくお答えをお待ち願いたい、こういうふうに申し上げておるのでありまして、一般的な御交渉なりお話し合いなりの機会をお断わりした覚えはございません。
○吉川(兼)委員 あなたは私の質問の意味がよくおわかりになっていないようです。あなたは今五人委員会の御裁定々々々にとおっしゃいますが、どういう根拠に立つ御裁定かわかりませんが、その五人委員会が活動中であるから待ってくれということは、それは断わったことなんですよ。それを一つの理由にして、あなたの方は面会を遷延し、少くともこちらの指定した日の面会を断わっておることになると私は思うのです。それを何らの理由なしに断わったことはないというのはどういう意味ですか。第一五人委員会などというものは、被災者同盟は頭から認めていないということは、あらゆる機会にわれわれの委員会にも来られて口をそろえて言っておられる。しかもそれはただ単に代表委員だけの個人的な発言ではなく、被災者大会で決定して大会の決定としてもたらしてきておる。あなたの方でも十分過ぎるくらい、あなた自身も一緒に参考人席におられて、この前お聞きになったはずであります。それをあなたの方はいかにも普遍的な妥当性のある理由のように考えておりますけれども、それは理由にならなのいですよ。私のいいまするのは、そういう理由にならないことを理由にして、大事な交渉をなぜ打ち切るかということを聞いておるのです。その点を明らかにしてもらいたい。
○七海参考人 先ほど当初に申し上げましたように、私どもは十月の初旬でございましたか、東京で代表の方々とお目にかかりました。そのときは弔慰金の試案を十月の二十三日に出すようにお約束を申し上げたのであります。そこで私どももたびたび社内で協議をいたしまして、何とか御納得のいくような線が出ないものだろうかと考えておったのでありますが、私どもの出先の報告によりますと、先ほど申し上げました二百五十万円の線は一歩も引かない、二十三日はおそらく森永はそうは出ないだろうから、決裂するんだ、こういうように一部の方々がおっしゃっておる、こういうふうな報告を受けましたので、非常に苦慮いたしました結果、厚生省にお願いいたしまして、先ほど申し上げたような五人委員会の御意見を伺うということになったのでございます。私どもはせっかく厚生省で御心配いただきましたそういう中正な方々の御意見を私どもの答えとして提出いたしたい。大体私どもが一人思いの試案を申し上げることは、むしろこれはいろいろな問題が起きる。そこでそういうような機関で御意見をいただくということであれば、その御意見を、もって私どもの答えといたしたい。そこで二十三日にその御意見が伺えないものですから、しかもその御意見を作るために今日まで延びておるのであります。私どもは至急に御意見をいただくようにお願いを申し上げ、その御意見をもって私どものお答えとする、こういうように考えております。
○大橋(武)委員 関連して。今五人委員会のお話が出ましたが、私はこの際特に関連して、厚生当局は一体いかなる法律上の権限に基いて五人委員会の指名をなさったか、そうしてその委員会に対していかなる権限を与えられておるか、そうしてそれは国の法律のいかなる根拠に基いたか、あるいは議会のいかなる授権に基いてなされたものか、その点をはっきりお答えをいただきたいと思います。もしそれがお答えできないようならば、五人委員会の問題はもうむしろおやめになったがよろしい。この際森永にはっきりお断わりになった方がいいじゃないか、こう思うのですが、この点についてもあわせて一つ御答弁をいただきたい。
○楠本政府委員 先般もお答えを申し上げましたように、五人委員会は特に法律に根拠を置くとか、あるいは厚生省の機関であるとかいったような性格のものでは毛頭ございません。単なる事実上の組織にすぎないものであります。従いましてこれは社会通念上公正妥当な程度というものはどのくらいかという点を、ただ技術上の機関として結論づけることが任務だと存じております。しかしながらこれはもちろん拘束力その他別に何ら権限があるわけではございませんので、ただ自分たちで判断することがきわめて困難な点もございます。森永はもちろん自分のことは自分で判断できるでしょうが、このような意味で判断の材料という程度でございます。従いましてたびたび申し上げておりますように、私どもといたしましてはせっかく五人委員会において公正妥当な立場から結論をいただいたならば、なるべくそれで御納得いただくようにお願いをする以外には何ものもないだろう、かように考えておるわけであります。
○大橋(武)委員 いよいよおかしい点は、一体厚生省はこういうことを取り締って、こういうことが起らないように衛生上の監督をすることが仕事です。あなた方の任務です。しかしこれによって実際乳幼児の死亡という結果が起って、それに対して、その死亡者の親族が、加害者であるところの森永に対して、これは民事上の請求権です。この請求権については厚生省は何ら権限がないのです。一体その何ら権限のない厚生省が何のためにそういう技術上の機関をお作りになったのか、その法的根拠を伺いたい。これは技術上の機関で法律上の権根はないということはわかりましたよ。それならば一体そういう技術上の機関を厚生大臣はいかなる権限に基いてお作りになったかということです。大体国家の官庁は個人ではないのですから、いやしくも権限のないことをするということは絶対にあり得ないことなんです。だからいかなる法的根拠に基いてなされたのであるか、もし法的根拠がないとすればそれは厚生大臣の行為とは認められない、だからそういうものをあなた方厚生大臣の部下がまじめに考えておられるとすれば、これはとんでもない間違いだ、そういうものをこしらえたということは全く厚生省の間違いであって、以後取り消すということをはっきりするかどうかということを一つここでお答え願いたい。もしお答えできなければ大臣と相談でもなさって厚生省のこの委員会に対する態度を明確にしていただきたい。もし厚生省当局がこの五人委員会というものを引き続き存続されるとするならば、私はその法的根拠についてあくまでも追及するつもりです。
○楠本政府委員 御指摘のようにこの問題はあくまで当事者間同士の話し合いで、そうでなければ他のそれぞれの機関を通じて解決すべき問題であることはよく存じております。ただ厚生省といたしましてはこの問題に対しましていろいろな関係を持っております。従いまして、これは大臣も当委員会の協議会で御答弁を申し上げておりますように、大臣の当時の御意思ば何らかあっせんの労をとる必要があるのではないか、こういうことでありまして、従いまして私どももなるほど厚生省は世間を騒がした、かようなことではまことに申しわけないから、何らかあっせんの労がとれればと、かように念じておったわけであります。さてあっせんということになるとどういうことになるかと申しますと、これはなかなかあっせんもむずかしいのでありまして、それならばあっせんの一つの形といたしまして五人委員会のようなものにお願いをいたしてやることが一つのあっせんの形ではなかろうか、かように考えた次第でございまして、もとより法的根拠あるいは権限行為、さようなものは一切ございません。何ら他を拘束するものでないことは申すまでもないわけでございます。
○大橋(武)委員 ですからあっせんをなさる根拠を伺っておるのだ。およそ官庁のお仕事というものは法律に与えられた権限を行うのが官庁なんですから、これは皆さんよく御存じでしょう、御存じないのですか。それはどっちなんです。
○楠本政府委員 御指摘のようにあっせんということをしなければならぬというのが何も厚生省の任務ではございません、しなければしないでもよし。しかし私どもといたしましては、しておさまるものならばした方がいいとも考えられるわけであります。
○大橋(武)委員 つまりそれはしておさまるといったって、あっせんというのはどういうことかというと、甲乙両者の間に争いがある場合において、両者が協定をしてあっせんしてくれ、こう言われて乗り出すのが法律的なあっせん行為なんです。それでこの場合においては患者の代表と森永と両方が相談して、これは厚生大臣にごあっせんを願おうじゃないかということになった場合に厚生大臣が乗り出されるならば、これは確かに世間に言ういわゆるあっせんというものでございます。ですけれども、聞くところによるとこれは森永だけに頼まれてあなた方がやっておるらしい。そうすると厚生大臣なるものは森永に頼まれた頼まれ仕事をやっておる。われわれ国民は森永の頼まれ仕事をやるために厚生省の役人を雇っておるわけではない。これは森永の代理行為ではないですか。国家の官庁がこういう問題について当事者の一方だけの依頼を受けて、そうしてある種の影響のある行為をやる。これは官庁としての国家的な本質というものを全く無視したむちゃくちゃなことである、こう論ぜざるを得ない。この点についてどうお考えになりますか。
○楠本政府委員 森永の依頼によってできた、あるいはあっせんを始めたというものでは毛頭ございません。私ども森永にかような点をしてくれということを一切頼まれたわけではございません。ただこういう事実はあります。患者同盟の方々からも大臣に何とかしてくれというお話がございました。それから一方森永からもどうも金額があまり大き過ぎて何ともなりません。どういたしたらよろしゅうございますかということの伺いを立てていたことも事実でございます。そこで私どもといたしましては両者からそれぞれ主張がございましたので熟慮いたしました結果、これはやはりあっせんをしなければならぬじゃないか。しかも部内にはあっせんをもっと先に延ばしたらいいじゃないかという意見もありましたが、これはやるならば早くあっせんの労をとりたいと考えてやったのであります。従いまして五人委員会の考え方というものは、患者同盟の方にも御相談したわけでもなし、もちろん森永には相談したわけでもありません。もちろんこれは両方から何とかしてくれという御要望がございました一つのあっせんの現われであります。なおあっせんにつきましてはもちろん仲裁的なあっせんというような意味ではございません。単に両方から困ったという話がございましたので、ただ技術上の親切気と申しましょうか、さようなことで実施をいたしたわけであります。
○大橋(武)委員 あっせんをされるのはよけいなことだけれども、当事者双方が聞いてくれれば解決の一助になるだろう、こういう親切心に基いてやったものと一応受け取っておきますが、しかし今のように五人委員会なるものの結論がいつまでたっても出てこない。それがために森永の方では、五人委員会の結論が出ないから弔慰金等の相談には応じられない、こういうことになるとこれは引き延ばしになってしまう。その点が今日実際上非常な問題になっておるわけなんですが、あなた方があっせんをせっかくやるというのは、患者の同盟に対してもこれが親切になるだろうと思われたので、それが妨害になるというようなことはむろん当初のお考えには反する結果だろうと思うのですが、少くとも五人委員会に対しては行きがかり上どこまでもこれを推進するということならば、いつまでに必ず結果を出せというような督促をされるなり、あるいははっきり期限を指定されるなり、そういうことも必要になると思いますが、いかがでしょう。
○楠本政府委員 まことにごもっともでございまして、私どもといたしましては、五人委員会の方々には、どうきまるかは別として、年内に必ず現金が皆さんに支給できるように何としてもおやり下さい、こういうことを目標にしてお願いいたしております。従って、必ず年内に金が渡るように私どもは期待しております。
○吉川(兼)委員 どうも関連質問でいいところを持っていかれて、それだけこちらの手間が省けていいわけですが、実は今の楠本さんの話を聞いておっても、年内に金をなどとあなたはきわめて簡単に言いますけれども、五人委員会の答えが出たからといって、被災者同盟がすぐそれを承諾して年内に金になって渡るようなことになると簡単に考えておられますが、私はそれがいかぬと思うのです。 〔中川委員長代理退席、委員長着席〕 私がこういうことを言いますのは、被災者同盟の代表と申しましても一万何千という人から選ばれた人であって、それぞれ二十数府県にわたってこの被災者同盟の団体があり、全国組織があって、それぞれの機関を通じて交渉をしておるのですから、そう簡単には片がつかぬと思うのです。五人委員会がどういう結論を出すかはしばらく別として五人委員会そのものについては今大橋委員が言った通りでございまして、これは実は厚生省の非常な行き過ぎでありますけれども、しかしながら私どもはそれがこの両者の間を幾らかでも推進する足しになるならばというので、しばらく時間をかしてこれを見ていたのでありますが、結果におきましては、森永はそれに籍口して相談にも一向応じない。むしろこれを停頓させ、妨害する役割しかいたしておりません。しかも森永の認識といいますのは、ただいまあなた方がお聞きのように裁定々々という言葉を使っておる。申し上げるまでもなく、国会の委員会等において裁定という言葉を使われます場合には、ちゃんと法的根拠が背後にあるものを意味する場合が多いのです。われわれがこの間から伺っておるところによりますと、山口局長などのお話にも明瞭に現われておりますように、五人委員会というのはただ単に第三者の妥当な意見を出してもらいたいというだけにとどまっておるのであって、裁定でも何でもない。ところが森永は鬼の首でも取ったように、裁定ということを現にただいまの参考人の方も言われておる。これはあなた方の責任が非常に重くなる。しかも楠本さんは簡単に、その答えさえ出れば年内に金が被災者に渡るかのごときことをはっきり言われておる。そう簡単に考えられておるところに私はこの問題の片づかない理由があると思う。そう簡単には片づかないとお考えになっておくべきじゃないかと思います。 そこで、時間の関係もありますからまちまちに聞きますが、被災者代表の方に伺いますけれども、今三木さんですか、手をあげられておって、だいぶん言い分があるようですが、その言い分を伺っておると長くなりますし、伺わなくてもあなた方の態度はわかっております。今の厚生省の答弁をわれわれはそのままに受け入れておるわけではありませんから、その問題は時間の関係上次の機会に譲りますが、伺いたいのは治療の打ち切りが行われているやの情報が一部に流れておりますが、そういう事実がありゃいなやお答えを願いたい。
○三木参考人 その点はたくさんであります。十一月で打ち切るとか、もうあなたは来なくしもよろしいと言われて、三日ぐらいたって四十度も熱が出て今度行ったときは砒素ではない、砒素はなおっておる、ほかの病気だという例は各県にたくさんあります。
○吉川(兼)委員 そこで私は森永に伺いたいのでありますが、この間の山口公衆衛生局長の御答弁の中にも、森永は後遺症を含めて治療に対しては全責任を持つということを言って、その態度を森永は非常に早く打ち出したので、政府としてはそのことを九月の上旬に各府県に通達済みであるという答弁をなされたことを私は覚えております。後遺症についてはいろいろ議論があるようで、われわれしろうとにはなかなかわかりにくいのでありますが、今三木参考人のお話を承わっておりましても、ここまでは砒素であってこれから先は砒素を原因としていないが、やはり医者にはかからなければならないというようなことがあり得るのかどうか、これは専門家でないあなたは、医学的にはお答えはできないでしょうが、われわれと同じような一般的な常識論であなたの意見を聞く以外にはないのです。きのうまでは砒素が理由で医者にかかっておった、もう砒素の方はなおったのだ、しかしこういうことがあるのだ、こういうことであとに残った症状がいわゆる後遺症に入るのだと思うのですが、あなたの方では後遺症を含めて全責任を持つと言いながら、こういう事実が起っておるということを御存じであるか。また御存じでなくても、ただいま三木参考人からこういうお話があったのでありますが、そういう事実があるとすれば、これに対して森永はどういうふうな態度をもってお臨みになるかということをお伺いしたい。
○七海参考人 現在治療を受けられておる方が私どもの調査によると二千数百人あるそうであります。その方々の治療打ち切りなどということは、私どもは全く考えてもおりませんし、またそういうことはやる筋のものでもないと考えております。赤ちゃんのことですから、いろいろ砒素以外の病気のある方も多いように伺っておりますが、私ども後遺症というのは、医学的にどういうことを言うのかよくわかりませんが、将来障害が残るというのが後遺症であろうかと考えております。それ以外に合併症とか併発症とかいうのがあるわけでございまして、これも今度の砒素中毒が影響してそういう病気になったのは現在治療を受けていただいておりますし、これらまでとめようとは考えておりません。どの辺までが全く砒素中毒に関係のない病気であるのか、少くとも砒素中毒が影響してこういう病気になったのか、この辺の判断はそれぞれ主治医の方にお願いを申し上げておりまして、私どもしろうとがかれこれ申し上げる筋ではないと思うのであります。
○吉川(兼)委員 その点は全くごもっともでありまして、それではもっと露骨に伺いますが、あなたの方では主治医にお願い申し上げておるとおっしゃられましたが、そのお願いの中に、砒素と砒素でない併発症といいますか、そういうものの分類を明確にしてくれとか、あるいはそれによる治療費の支払いをやる限界はこうであるとか、そういうような御連絡をしたことがございましょうか。
○七海参考人 今の御質問の要点に合わないかもしれませんが、主治医の先生方に打ち切りをしてくれとか、その他の病気があっても、私どもは先ほど申し上げたように、中毒が影響してその他の病気がなおらない、こういうものは現に取り扱っておるようにお願いをしておるはずでありましてその反対のような連絡なり交渉なりはした覚えはございません。
○岡本委員 その限界は大へんむずかしいと思います。あなたの方で主治医の方にあるいは一般の医師に、砒素による影響を十分考え、砒素によるものでないと思う場合には、支払いを拒否するというような通知をお出しになったことがあるかないか。そういうことをされると、主治医の側では、一旦砒素中毒としてはなおった。しかしながらこれは肝臓を非常に障害する病気ですから、抵抗力が非常に弱くなる。抵抗力が弱くなった患者はかぜを引きやすい、あるいは余病を起しやすい。そういうようなことが起った場合に、それはやはり砒素による影響を受けている。砒素による影響を受けているけれども、砒素中毒ではない、全然別な病気ですね。そういうような場合に、あなたの方が心よくその治療の支払いに応じられるか応じられないかということは、それを取り扱う医師にとっては非常に問題だと思う。うっかり砒素中毒による影響を受けたものとして普通の気管支炎であるとか、肺炎であるとか、へんとう腺であるとか、あるいは胃腸病であるとかいうようなものを、そういう病名でもって請求してきたときに、一方的に拒否されたのでは困るでしょう。そこでで主治医の方でも、一旦これはなおっているのだ、だからこれは別だから、あなたの方で支払いをしてもらいたい、こういうふうな意見も出てくるおそれがある。だからそういう治療の拒否というふうな、今三木さんが言われたような問題は、私の解釈によりますと、一つ砒素中毒によるところの区分をはっきりしてもらいたい、そしてその区分によって砒素中毒でないと認められるものについてはよう支払いをいたしません、こういうふうな御通知をお出しになったのではないか、こういうことを私は伺うのですが、そういう事実はございませんか。
○七海参考人 ございません。
○吉川(兼)委員 実は五人委員会の調査ですが、五人委員会の調査は、森永さんの方に何か五人委員会が出かけられたことがありますか。あなたの方の関係者と話をして、いろいろな調査をするという事実があるでしょうか。
○七海参考人 五人委員会からお呼び出しを受けたことはございます。
○吉川(兼)委員 いつですか。
○七海参考人 ちょっと記憶しておりません。
○吉川(兼)委員 行った人でいいです。それはだれだれが行きましたか。
○七海参考人 私が一回参りました。それから荻原と申す者が参りました。それ以外に、私今までの患者同盟と私どもとの間の御交渉のてんまつ、こういう御要求があって、われわれはここまでしかやっていなかった、現にこういう点がまだ食い違いがあるというようなことは、書類でもって五人委員会に提出いたしました。
○吉川(兼)委員 きょうは非常に委員会の審議が時間を食っておるようでありますから、私はきわめて短かくやりますが、ただきょうの開会がおくれたり、きょうの委員会が午後のほかの審議に食い込んでおります責任は、森永さんの方にも一部あるのではないかということをこの機会に申し上げて、今後の委員会の御審議に御協力をしてもらいたいと思うのです。といいますのは、最初参考人にお願いしておきましたところの、森永社長と荻原技師長ですか、一人は旅行に、一人は病気だそうです。病気といったところで、別に診断書もなければ、ただ御病気と言われるだけで、これは参考人ですから、診断書を提出なさる法的根拠はありませんが、誠意の面からいいましても、はなはだ誠意が欠けておる。そこでこの次には今理事会で話し合いをしておりますのは、証人としておいでをいただこう。証人になりますと、理由なくお断わりしてもらうことはできない。また理由があれば、その理由を証明する文書を出してもらわなければならぬということになると思います。そのために、たとえばこの問題に非常に熱心な中川君のごときも、質問を全然控えておるような状況であります。いずれ近いうちに証人としておいでをいただく委員会が開かれるであろうと私は予想いたしますので、これは森永にとりましては重大問題でありますし、われわれこの問題の究明に当っておりまする、国会の審議をやります立場といたしましても、これはもとより森永にも片寄らず、被災者同盟にも片寄らない、きわめて公平な立場において、この問題を取り上げておるのでありますから、そういう点からいいましても大へんに審議に差しつかえますので、ぜひこの次には御協力をお願いいたしたいということをあなたに申し上げておきたいと思います。といいますのは、被災者の諸君はこの委員会からの電報一本で、たとえば北海道に旅行する人が函館から引き返して出てきたり、あるいは岡山から出てきておるような状況でありますから、どういう緊要な御旅行か知りませんが、相当人の多いあなたのところで、荻原技師長にかわる人が旅行に行けないはずはないというふうにも解釈できますから、その辺は一つ私の申し上げた通りに、お帰りになりましたならば、関係者にお伝えおきを願いたいと思います。 そこで私は政府に対する質問はまた次の機会にいたしますが、被災者代表の方にもう一つお願いしておきたいことは、その後、五人委員会に反対の署名のようなもの、委任状ですか、ああいうものをおまとめになっておるということを、この前おいでのときにおっしゃっておりましたが、そういうものはある程度そろったのでございますか、それを伺いたい。
○三木参考人 委任状は全国を通じて八割五分ほど寄せてはおりますが、この前の協議会に出席した直後、滋賀県の代表があとへ残りまして、何か森永さんと話した直後に、五人委員会は認める、同盟は脱退するという一件がありました。
○吉川(兼)委員 それは法律的に申しますると、そういう自由な行動あるいは森永と勝手な取引きをする者が出てくることは、これは何ともやむを得ない面であって、八割五分からの承諾書を集めておりますることは、あなたの運動が被災者の多数の利益を代表するものであることには間違いがない。どうか一つそういうふうな脱落者をできるだけ出さないように、森永なんかからかりに面会を求めてきても、大勢で面会をして、大勢で批判をするというような労を惜しまないようにして、そうして一つ全体の利益のために立ち上るべきであるということを御勧告申し上げます。ただ繰り返すようでありますけれども、今日日本では戦後において、文化国家として立ち上るということを憲法を初めあらゆる法律においてうたっておりますが、一番大事なことは人命の尊重ということです。御記憶でもありましょうが、アメリカにおきましては戦争前に、たしかカリフォルニアであったと思いますが、油か何かとった古井戸の中に一人の十か八つかその辺の少女が落ち込んだために、カリフォルニア政府は当時の金を数千ドルも使って、そして各報道機関がいなかにあります古井戸のあたりに自動車を備えつけて、そして毒が発生しておりますから、いろいろな毒を押えるものを放射するし、また救い出しの人たちは防毒マスクのいでたちでその中へ入っていく、そういう状況が刻々と全国の新聞に報道されるという大事件があったことがあります。これは御記憶の方もありましょう。私はこれがいわゆる文化政治であろうと思うのでありまして、今厚生省の報告を伺いましても、いたいけな乳児がすでに百十三名も命を落しておる。死んだ乳児は神様のような気持でうらみも何も残さぬでいっておりましょうけれども、しかしながらそれを奪われましたところの遺族の悲しみというものは大へんなものでなければならないと思うのでありまして、われわれは国会議員の特に社会労働委員という委員としての職責から、この問題の究明は日本の国全体の文化の水準を上げるものであるという立場から、森永の消長などという一企業会社のことは念頭にありません。従って私ごときところへも森永から面会に来た者がありますが、私はそれをお断わりして、どうしても会いたいというならばというので、堂々と私の会館に社長を呼んで一定の時間お目にかかりまして、私は委員としてのあるいは国会議員としての私の立場を釈明いたしまして、あくまでも私は委員会で追及するということを申し上げております。これは私一人だけではないのでありまして、その他の委員の方もそういう意気込みで戦っておるのでありまするから、どうかこれが国全体の文化の水準を高めるために役立つような面に一つ皆様の御協力をお求めいたしまして、また次の機会に私の質問を続けたいと思います。
○中川委員 公衆衛生局長、この前の協議会のときでしたか、五人委員会の結論は十一月一ぱいに出すという御言明があったわけなのですが、いろいろなことでおくれておるのだろうと思いますが、しかしこれはおくれるといろいろ問題が複雑になってくると思います。また大橋さんの言っておるようなああいうことがもし起るとすれば、厚生省としても非常に困るだろうと思いますから、できるだけ早く結論をお出し願って、そして森永の方も、それから被災者同盟の方も、この問題を無限に拡大していく、いうようなことのないように、私はこの問題で責任の所在だけを明らかにしなければかいぬと思うのです。それが明らかになった以上は一つできるだけスピーディにこの問題を解決するように、せっかく厚生省が乗り出されたのですから、まあ法律的に先ほど大橋君の言うような点もあるだろうと思いますが、乗り出された以上は厚生省の面目問題だと思うのです。まだ結論は出ていないのでしょうけれども、ことに年を越してからの金と年内の金というものは、金の価値においても非常に違うと思います。それらの点は十分おわかりだろうと思いますから、できるだけスピーディに解決されるように、特に私の希望を申し述べておきます。
○佐々木委員長 参考人の方々には長時間御出席下さいまして御苦労さんでございました。 午前中はこの程度にとどめまして、午後二時半まで休憩いたします。 午後一時四十四分休憩 ————————————— 午後四時九分開議
○佐々木委員長 休憩前に引き続きまして会議を再開いたします。 食品衛生に関し、粉ミルク中毒事件について調査を進めます。まず中原健次君。
○中原委員 まず最初に政府の御答弁をお願いしたいと思います。 本来前回に引き続きました協議会で、いろいろ質疑応答を通してこの障害の真相がだいぶ究明されているわけであります。しかし先ほどの御答弁の中で実は関連質問の形でお尋ねしたいと思いましたけれども、私の質問の時間があとに控えておったので、その場合は遠慮したわけです。 それは五人委員会のことに属するのですが、先ほどの政府側の部長の答弁によると、いわば両者の申し出によって五人委員会のような事実上の組織を作った、こういうお言葉があったわけであります。そこで私は果してほんとうに両者のそれぞれからそういう解決のための便宜な方策を講じてもらいたいという申し入れがあったかどうか、これをまず最初に承わりたい。
○楠本政府委員 お答えを申し上げます。この事件の当初、まず患者同盟の方が、結成されました当初におきまして、大臣に直接総理官邸か何かでお会いをいたしまして、大臣はいろいろ御陳情を承わりました。ぜひ早急な解決が必要だろうということになりました。大臣は患者同盟の方々と会談したあと直ちに私どもに、これはもっともだから何とか一つあっせんの労をとる必要がなかろうかというお指図がございました。直接事務当局が患者同盟の方々に前もって御陳情というようなものは承わっておりませんが、大臣がゆつくりお話をしたということでございます。そのときの趣旨は何とか国においても一つやってくれという趣旨の御陳情だったと聞いております。一方森永の方におきましては、それからだいぶおくれまして、これはむしろ陳情というよりも、あまりにも要望の額も大きいことであって、どうしたらよろしゅうございましょうというようなことで、やはりたびたびこれまた意見を求めて参っておりました。私どもはもちろんそれらに対しては別に返答はいたしておりません。ただ両者からさようなそれぞれの立場のお話もありましたので、厚生省といたしましては機会あるごとに時期をみてあっせんの労をとりたいということを表明をいたしたわけであります。その一つの現われとしてできたものが五人委員会と私どもは考えております。従いまして直接どちらからもさような具体的な五人委員会のような組織を作ってくれというお話はございませんでしたけれども、両者から御陳情を承わったことは事実でございます。
○中原委員 ただいまお聞き及びのような政府側の答弁でありますが、森永さん並びに患者同盟の代表者の方々の方からもその問題について御見解あるいはその間の事情をお聞かせ願いたいと思います。
○三木参考人 十月の四日に被災者同盟から初めて厚生省にお伺いしたのであります。八月二十四日砒素中毒であるという発表がありましたが、そのときはどの県におきましても患者に対する厚生省の処置は何もなかったのであります。それがためにわれわれ被災者は病院に入院したくても入院ができない。特別に頼んで廊下へ置いてもらうというような、施設に不備もありましたので、何か赤ちゃんのために厚生省としましても善処方をお願いするという陳情には参ったのでありますが、その当時まだ森永とは第一回の交渉を三日、四日、五日とやっただけであって、この補償金とか弔慰金とかいうものの問題には入っていなかったのであります。それがためにそういうものを厚生省にごやっかいになるという趣旨は全然違っておるので、赤ちゃんをよく守ってもらいたい、治療の万全を期すために、陳情に参った次第であります。
○七海参考人 ただいま楠本先生からお話のように、私どもは弔慰金の試案を出さなければならない。これは十月の初めでございました。そのとき、先ほど申し上げましたように、私どもが直接にお会いをしては非常な紛糾を招くということをおそれましたので、私自身は厚生省に伺いませんでしたが、私どもの方の代表取締役であります大野がたびたび厚生省にお伺いいたしまして、どのような処置をとったらいいか、何分の御指示を仰ぎたいということを申し上げたはずでございます。
○中原委員 部長も直接そこにおいでになっておりますが、両者のこの問題処理のために政府当局の善処方を願いたいというねらいが、それぞれ違うような感じがするんですが、患者同盟の方からすれば、患者の入院もいろいろ困難な事情もあるようであるし、その他治療上いろいろ不便も来たすから、政府として何かこれに善処協力するようにという申し入れをした、こういうふうに言われたと思うのです。森永の方のお話は、まさに政府の考えておいでになるのと同じような申し入れであった、こういうのですが、これはいかがですか。
○楠本政府委員 この点につきましては、実は私どもたびたび機会を見てあっせんの労をとりたいという態度を表明いたしておりましたものの、具体的に五人委員会というようなものを考えるに至りましたのは、はるか時間がたってからでございます。 ところが私どもといたしましては、当初来まず補償問題よりも、出ている患者の治療に万全を期さなければいけないということで、これははっきり日取りのことは覚えておりませんが、八月中であることは間違いございませんが、八月中にすでに各県とも連絡し、医療機関とも連絡いたしまして森永との了解もつけまして、医療費の全額無条件負担ということをいち早く決定いたしまして、地方に指示をいたしております。 これからしばらくしてから患者同盟というあの組織ができ上ったように私は考えております。従いましてこれは私直接お目にかかりませなんだので、確たることを申し上げることはできませんが、つまり私どもがそのとき大臣のお話から受けました感じは、もちろん医療のことも含み、万事円満に解決し、被災者の方々に御迷惑のいかないような処置を至急とれという意味に実は解釈いたしました。それからだいぶ時間がたちましてから、森永の補償問題を具体的に、さあ困ったというのは、よほどあとだったと思っておりますが、あるいはその辺に時間的なずれが多いために、多少気持の面、具体的な面についてお互いの陳情の趣旨というようなものに開きのあったことは、これは私今になってなるほどと思う感じもいたします。
○中原委員 そこで私が非常に大切だと思いますのは、関係当事者が、いろいろな形で、いろいろな機会に、いろいろな申し入れをしたであろう、これはわかりますが、その場合に何かしかるべきそういう組織といいますか、機関といいますか、そういった暫定的なものを設けて、そこに問題を移して解決の結論を出してほしい、こういうふうに政府自身の頭では判断されて、一応こういう組織を作った方がよかろうというわけで、善意の御発案だったことはもちろんわかるわけです。ところが、にもかかわらず、先ほどからもたびたび御答弁もあったし、御質問もあったわけでありますが、患者同盟自身と森永さんとの折衝の場合に、その五人委員会がまん中にはさまっていわゆるついたてになってしまって、そういうことでついたてがじゃま物になって、その後の円満な折衝が実際は進んでおらない、こういうことになっておると思うのです。これはどうやらきょうまでかなり時間がたっておりますだけに、十一月一ぱいには大体結論が出るのじゃなかろうかとわれわれは聞かされておりましたけれども、五人委員会もそこまで運ばれておらないということも事実の上にあって、結局としては答えがなかなか出ない。しかも出ないばかりじゃなくて、森永と患者同盟の方との折衝が、そのためにどうも阻害されて、うまくいかないという事実が厳然としてあるわけです。そうなって参りますと、せっかくよき意図が一応お作りになられた五人委員会というものは、事まことに目的、志と異なったことに実際にはなっておるのじゃないか、こういうふうに思うのですが、このことについて今実際の動きは最初志向されたようになっておるかどうか、この点について一つ……。
○楠本政府委員 ただいま御質疑の点に関しましては、確かに多少そのきらいもないではないと考えております。従いまして先般も私お答え申し上げましたように、もし森永といたしまして、かりにもこれを防波堤のように考えて、安易な道をたどろうとするならば、それは間違いであるのだ、従来通り親切に誠意をもって患者代表の方々の意見を聞けということを、たびたび繰返して私は森永に強く言い渡しもいたしておるわけでございます。しかし結果からいたしますと若干ついたてになった感じありとすれば、これはまことにわれわれの趣旨から遠いものである、かように考えております。
○中原委員 直接これを障害になったものと経験されておいでになると想像される同盟側の参考人の方、この問題についてどういうふうに今お感じになっておいでになるか、御意見を承わりたいと思います。
○三木参考人 同盟としましては、十月二十三日に森永さんの方から試案を出すから、それによってお互に協議しましょう、交渉を持ちましょう、というのが、十月五日の協定で確約されていたのであります。それが二十三日の会談において、五人委員会ができたから何事も話し合いすることができない、大体それに対しては話し合ってはいけないというようにとめられたから話ができないということになりまして、現在まで再三申入れをいたしましても、五人委員会の結論が出ないからどうもならないのだというので、十月二十三日から現在まで一回も交渉に応じてもらっておりませんし、持ったことは一回もありませんのです。
○中原委員 そこでちょっと私が疑問に感じますのは、七海さんの、つまり森永側としてのお話の中に、補償金の問題に関すること以外のことについては、決して話し合いを避けることはしていない、こういうふうにおっしゃったと思うのですが、同盟側の方からの話は、御相談に上りましたときは終始その補償金の問題だけであったのか、それともそれ以外のこともあったのか、このことについて、ちょっと話がその間に通じていないような気がしますが、お尋ねしておきたい。
○七海参考人 お話し合いをお断りしたことはないはずでございます。先ほど申し上げましたように、弔慰金の金額については、先ほどお話がありましたが、五人委員会から、森永として回答してはならぬということを申されたこともございませんし、私どももまたそういうことを患者同盟の方に申し上げたこともございません。ただ五人委員会の結論を誠実に履行するということを一札厚生省に入れてあるのでございます。そこでその結論が出るまでは、自分の考えをもって交渉するようなことはないだろうな、こういうお話がございましたので、そういうことは徳義上できないと存じましたのでございませんと、こう申し上げましたので、弔慰金等につきましては、もっと早く御結論が出るものだと考えておりましたので、もうしばらくお待ちを願いたい、こう申し上げておったのでありまして、その他のことについては、御交渉のお申し越しがあれば、これに応ずる態勢を持っておりましたし、またその後一回これは月日を記憶しておりませんが、お話し合いをしたこともございます。
○中原委員 三木さんにお尋ねしたいのですが、先ほどのお話の中で、話をとめられておるから、その申し入れ、つまり話し合いに応じられないと、こういうふうに森永さんの方で答えられた、従って十月二十三日以降今日まで一度もそういうふうな会談、会見、話し合いをしたことがない、こういうふうにおっしゃったのです。そこで、話をとめられたからということの意味が、今七海さんのお話とちょっと違ってくるわけなんですね。それはどういうふうに御解釈になっていらっしゃるか。
○三木参考人 十月二十三日以後、一度も会談を持ったことはありません。先月九日にこの協議会へ呼ばれたとき、楠本部長さんのおっしゃるのにも、五人委員会は五人委員会であっても、森永と直接交渉することはとめてないのだから、して、もよろしいというので、十日の日に二時間ほどお会いしたのですが、そのことに対しては何も答弁もできないし、五人委員会ができるまではお話し合いしても何も結論的に出ないからというので、その日はそれで二時間ぐらいの会談で終りました。それでこの十二月四日に全国大会を開きまして、いつまでも逡巡されては困るじゃないか、この寒空に、お正月も来るのに何をしているのだという厳重な全国協議会の決議がありましたので、五日に書面をもちまして十二月十日までの貴社の御都合のいい日に早急に交渉を持ちたいという申し入れをしたのであります。しかるに七日に書面をもちまして、五人委員会がきまるから、それまでは持ってもむだだから持てないという返答がありました。それがためにいまだにわれわれは持てない状態でいることに相違ありません。
○中原委員 七海さんいかがですか今の御答弁。先ほどからのいろいろなお話から想像すれば、あなたの方であらん限りの誠実を尽して問題の解決に当りたい、当っているというようなお話であったのですが、十二月四日の全国大会でそういうことが決定されて、その決定に基いてさらに話し合いを促進することについて申し入れがあった。それに対して五人委員会のかねがねのあの話し合いから、それを拒否されたということに受け取れるわけですが、これはいかがなものでしょう。
○七海参考人 私どもはお話し合いを拒否する意思は、たびたび申し上げるように毛頭ございません。何日かにお申し越しがあったのは私よく記憶しておりませんけれども、私どもが大阪に参りますのにいろいろな事情がございまして、お申し出の日に必ずしも行かれない日もございますので、私の方の事情で日を延ばしていただく場合もございます。それでお話の内容が、たびたび申し上げますように弔慰金の問題であれば直ちにお話し合いの機会を持ってもお返事ができないのだから、それは御了承いただきたい、その他のことについてお話し合いがあるならば承わりましょう、こういうことで十日に交渉というしかつめらしいものではございませんでしたが、代表の方皆さんおいでいただきましてお話し合いをいたしました。その他の問題についても座談的にお話をいたしましたし、またこういう正式な団体交渉というもの以外に、全国同盟の事務局長その他の方々からお話し合いのお申し越しを承わりまして、そういう機会にはいつもお会いをしてお話を申し上げているわけであります。
○中原委員 その問題についてせんさくがましい質問はいたしませんが、大体それらのお話の中から想像されることは、結局五人委員会が障害になっている。五人委員会が適当な何か解決の案を出してくれるであろうという期待があるので、この会見を同盟側の気持にこたえるような運びに持っていくことができない、こういうことになるのじゃないかと思うのです。そこで五人委員会はせっかく政府がお作りになられた組織ということになるのですけれども、それがそのようにして特に被害者側の要請をだんだんこわしていく。あるいはその要請を、場合によれば逆なこともあり得るでしょうが、とにかくそれに阻害を与えていくという事情になることは、同盟者側のためにこの五人委員会が正当な判断で問題の解決を急ごうとする、そういう考え方を持つべき要素がないんじゃないか。ややこしい表現ですけれしども、五人委員会を構成する人たちの頭の中に、そういう立場からでなしに何とか森永さんの方に有利にというか、やはりこれは補償、従ってそろばんという話になりますから、従って何とか森永の方に有利に、森永の期待にこたえるように努力する、こういう腹がまえがあるというように見られても仕方がないような様相を呈しているのじゃないか。どうですか、その点は。
○楠本政府委員 私も五人委員会からいろいろな実情調査等のためにたびたび出席を求められておりますが、私の承知いたします範囲ではこれはむしろ森永には酷と思われるような発言をしばしば聞かされております。従って私どもは当初中正な立場ということを念願した趣旨が達せられてほっとしたような気持を実は持っております。一方委員会は当初主力を実情の調査ということに置いたようでございます。各府県のいろいろな関係者また患者の代表の方々にもお目にかかって、主力を実情の調査に向けて結論を導こうとしているようでありまして、ただいま御指摘の点は私としては少くとも毛頭感ぜられないわけであります。
○中原委員 この五人委員会の決定といいますか推薦の経緯の中に大きな手落ちがあったということが出てくるのじゃないかと思うのです。というのは、森永さんの方の意思はある程度までたたいておいでになるのです。この厚生省の印刷物を見ても、森永さんの方は大体納得している。従って意思も通じているというふうに考えられる。同盟の側ではどうも納得していない。従って意思が通じてないという感じがこの文章に出ているわけです。この文章を見ましてもきわめて一方的にきめたということがまざまざと出てくるわけです。そのことと今の動きが今部長は期待されるような動きが出てほっとしたとおっしゃったけれども、現われた面だけを考えますと必ずしもそうじゃない。やはりどうもこの五人委員会は、実態はそうでないと思いますけれども、そういうふうにわれわれが疑惑を持たざるを得ないようなこととなってきているのじゃないか、そう思えるのです。同盟の方に意思を通じて、言いかえれば同盟の方の意思を聞いて御決定になる運びをせられなかったのはどういうことだったんですか。その意味合いを……。
○楠本政府委員 同盟側の意思を人選の面に反映しなかったという意味でございましょうか。
○中原委員 人選もそうですし、それを作るということ自体も。
○楠本政府委員 これは全く一方的に厚生省がどこにも相談をせずにこれらの人が最も公正妥当な線から適当であろうという考え方からいたしました。従いまして人選につきましては厚生省がやった仕事でございます。はっきりこれは申し上げておきたいと存じます。しかし私どもといたしましてはこれは若干自画自讃になるかもしれませんが、この程度の人選ならば公正な判断ができるのじゃなかろうかというふうに考えている次第でございます。
○中原委員 御答弁が一つ落ちております。つまり五人委員会を作るということ、そのような組織を設けてこの組織にそのことをあっせんさせるということを同盟側になぜ了解を得られなかったかということです。
○楠本政府委員 失礼いたしました。この点はあらかじめ同盟側には何ら相談をいたしませんで、全く一方的に厚生省が五人を人選いたしました。またその点を示唆いたしました。しかしながら先般もお答え申し上げたわけでございますが、この点につきましては、森永にもむろん相談せずに、患者の方の側にも相談せずに作りました。たまたまこれが発表されると、直ちに私のところへ患者同盟の方々が十二名おいで下さいましたので、私自身その代表十二名の方々といろいろ懇談を申し上げました。そのときに私はそこに至った経緯をよく御説明申し上げまして、一応御納得をいただいたものと実は了解をいたしております。そういうわけで私どもは、これでよかった、これでようやくこの交渉も軌道に乗るのではなかろうかという感じがいたしました。ところがその後に、何やらまた少し患者同盟側の方々の態度が変ってきたように思われまして、私もこれは困ったものだと心配をいたしておった次第でございます。
○中原委員 私どもそこがどうしてもうなずけないのです。というのは、そういう第三の機関をお作りになる場合に、どのような紛争の場合でもそうですが、それが調停、あっせんあるいはいろいろな解決のための努力をするということになりましても、両当事者が、よかろう、ではそこにまかせましょう、あるいはそこに期待しましょうということにならなければ、作っても意味がないというのが常道だと思うのです。作ったあとにおいて同盟がそれを耳にした、だからあわてて十数名がはせつけた。そこでかりに条件を得るために努力されたとしても、それは手落ちじゃないか。あらかじめ両者が、ではそういう措置をしてもらおう、案を出してもらおう、できるだけ善意に解決するようにみんなが努力しよう、こういうことになっておれば、今の五人委員会が恥をかかなくても済むわけです。とにかくこんなことを議論すること自体が、五人委員会のメンバーにあげられた方たちにお気の毒に思うのですけれども、そのことの可否は別問題にしまして、どうもその手続の中に非常に了解しがたいものがある。その了解しがたいことが、今さなきだにいろいろなデマゴギーとして流れているわけです。率直に申しますと、現在われわれも、委員会の中にも、何か変な動きがあるんじゃないかということを、しばしば外で聞きます。私ども耳にします。どうも森永さんの方が何か手を打ったんじゃないか、これは率直に言えばそうなんですよ。森永さんがそんなことをなさろうとは思わぬけれども、そういう声が流れています。どうも委員の中で、少々は何かしたのがおるんじゃないか、現実にそういう声が流れているのです。私どもそういうことを耳にしてびっくりしてしまったんです。もはや三日ほど前から、そのことについていろいろな方面から聞かされるのです。実はびっくりしているのです。まさかそんなばかなことはないだろう、そんな不見識なことをする委員は一人もない、私はそう答えましたけれども、そういう声が流れておるくらいに、こういう場合には疑惑が流れやすいのです。ですからそれだけに、機関という言葉は不適当かもしれませんけれども、そういう組織を設けて考える場合には、よほど手を尽して、なるほど公明になさったということが自他ともに認められる形をおとりになるようなことでないといけないんじゃないか。どう考えても、私はそう思うのです。 これは実は別かもしれませんけれども、大橋委員は先ほど非常にやかましく言われた。そんな法的根拠がないものだったらやめろとおっしゃったが、これは至言だと思うのです。私も大橋委員の意見に大体賛成します。やはりそうだと思うのです。いい組織ができてありがたい。今数千人の方々が悩んでおる問題と関連して、国民の皆さん方が心配しておる問題について、なるほどこれならば非常にいい、期待を持てるということならば非常にいいのですけれども、かえって志と違う方に動きつつあるということは、否定すべからざる事実になっておると思うのですが、いかがなものでありましょう。
○楠本政府委員 はなはだお言葉を返すようでございますが、私どもはこの五人委員会を別に両者の中間に立ってこれを仲裁する、解決するという組織とは考えておりません。単にどの程度の補償というようなものを実行したらいいだろうかいうとこになりますと、当事者の判断でもいけませんし、おのずからそこに公正妥当な線というものが何かの形で示されることが一番便利だと存じます。また一番合理的だと存じます。さような観点から一応中正な立場でこの問題をよく調べていただいて、どうしたらいいかということを率直に結論を出していただく、こういうような組織がきわめてこの場合解決方法としては合理的ではなかろうか、こういうふうに考えただけでございまして、別にこれは両者の間を仲裁するというような機関とは実は考えておらぬわけでございます。
○中原委員 ただいまの御説明の結論としては、その五人委員会とは政府の一種の諮問的な仕事を期待する機関、こういうことになるわけですか、仲裁機関でも何でもない、両者に関係はない、とにかく政府が妥当な判断と思われる判断を求める機関であったということになるのですか、どうでございましょうか。
○楠本政府委員 この補償問題は厚生省が実施すべき問題ではございません。この補償の責任というものはあくまで森永にあり、この話し合いは当事者間同士において行わるべき性質のものだと考えております。きわめて冷たく言えば厚生省は関係がないとも言えます。そこで厚生省の仕事でございませんので、従って厚生省の判断を公正ならしめるために諮問するというような意味ではなくして、先ほどもお答え申し上げましたように、厚生省がどうもこう長引いたり、あるいはお互いにごたごたしては同盟側にもまことにお気の毒でもある、そんなことから何とか早く公正妥当な線が出ないかという念願のあまり、親切といえば親切、そういった気持からこういう事実上の機関で何らか合理的な線が出してもらえれば大へんいいじゃなかろうか、こういった一つの気持にほかなりません。従って法律的な基礎もございませんし、諮問機関でもなければまたそれが他を拘束するというようなものでもございません。従いまして私どもといたしましてはこれができても森永並びに患者側の方々の交渉というような関係はやはり今まで通り続けられていくものと、かように理解をいたしておるわけでございます。
○中原委員 冷たい言葉というのがちょっと私はうなずけぬのですが、冷たい言葉で言えば政府は全く無関係なことだけれども、ただ親切心でこのような取り計らいをしたまでのものである、お言葉がこういうふうに理解できるのです。そうすると食料衛生行政機関として、あるいは監督官庁としてどのように冷たい立場で考えても責任のない立場におれるということにはならぬと思う。やはり行政上の、あるいは監督官庁としての責任は感じられていいんじゃないかと思う。この中毒事件は政府は無関係である、幾ら冷たく言おうとしてもそれは出るのじゃないですか、そういうふうに純粋理論的に言えますか。
○楠本政府委員 ただいま補償の問題でございまして、補償問題につきましてはやはり当事者同士の話し合いに待つべきものと存じます。これははなはだ冷たい言葉かもしれませんが、しかしどうしてもそれの話がつかない場合には、別個の機関によって処理解決せらるべきものと思っております。しかしながら、こう申し上げましても、私どもが、今回惹起いたしましたこの事件につきまして、食品衛生上あるいは食品衛生を担当しております役所として何ら責任を感じないとか、そういう意味じゃ毛頭ございません。やはり重々その責任は感ずる次第でございます。
○中原委員 もう一人質問の方がおられるそうで、だいぶ時間も過ぎましたので簡単に伺いますが、私はこれはどうしても納得いかないのです。なお補償問題に関連しては、なるほどたしかこれは民事上の問題になるでございましょう。けれどもこういう大きな悲劇が起ったためには、やはり厚生行政の面に負うべきものがあるということは間違いないと思います。どのように純粋に理屈だけを整理してみましても、理論を整理してみましても、やはり結論は経済的な物質的な補償になる。だからこれを全然別個のものと考えるのはあまりに純法理的といいますか、そういう解釈になると思います。その議論はいいといたしまして、とにかく五人委員会はこのようなわけで、とにかく患者同盟を構成する一万何千人の人自身がこれで迷惑しごくだ、こんなものを作ってかえってわれわれの政府に要請した事柄とは全く逆なことが出たというふうに理解されておるように今見受けられるわけです。おそらく代表の方の御意見を聞かなくても、私はそう受け取っております。ただ問題はこれでいささかではあろうがとにかくほっとしたような頼みができたような気持になっていらっしゃるのは、いわゆる森永なんです。森永の方ではなるほど確かにこれができれば何とかなるだろうという期待を持っておいでになるかと思いますけれども、そういうことでは、せっかくそういう親切心でお作りになりました五人委員会が、かえってあだになるというふうにさえ思うわけです。従ってこれは法的な根拠がなければやめたらどうかという御意見もありましたけれども、やはりもう一度考えてみたらどうかということを一番初めに考えるわけであります。 第二番目には、なるほどさすがにいい結論を出された、みんなが理論の上では得心できなくても、その横車を押して政府がされたら、なおよかったという結論を出すような委員会の動きがもう出てもいいのではないか。これはどういうことになるかというと、もうきょうあたりは臨時国会も終りに近いのですから、問題になるに違いないということはわかっているわけです。国会の動きは知っているはずです。であってみれば、これまでに何とか国会の委員会の連中がいろいろむずかしいことを言うけれども、やはり作っただけの効果があったのではないかということをきょうあたり示されてもよかったのではないか。そうすればその経過にかりに問題があったところで、結果から見てまあまあよかったということになれば、あるいは終りで済むかもしれない。けれどもどういうわけかそれがきょうまだ依然としてその動きが見えない、一向まだ見当がつかないということは、むしろ悪い方の想像を残念ながらしなければならぬという結果になっておる。その意味で私は五人委員会の問題は、今後の動きに期待するといいたいのですけれども、期待するということでなくて、これは政府のもう一つ判断を要する必要がある事柄ではないかというふうに思うのであります。きょうは時間がありませんから一応これでお預けにしますけれども、また次の機会にもう少しお尋ねするかもしれない。 なおあとにまだたくさんありますけれども、委員長の何もありますから、委員長のお言葉に従いまして、もう一点だけお尋ねしてみたいと思います。それは実は私岡山の出身であるために、被害者が非常に多いわけです。私どもの、なんといいますか、きびすを接する者の中にすでにあるわけです。従っていろいろの実情を知っておるわけです。岡山大学の浜本教授にももちろん幾たびかお会いしております。そして浜本先生も詳しい説明をして下さっておるわけです。私はしろうとですから医学的なことはわかりませんけれども、いろいろな話も聞いております。その話を聞いておる中に、私が勝手に解釈するのですけれども、どうもこれは大へんだという事柄が実はたくさん出ておるわけです。おそらく五人委員会の人たちも、岡山大学の浜本教授あたりの意見は聞いておられるだろうと思いますし、また聞かなければならぬと思いますが、そのときに私の思うことの一つは、たとえば目です。視神経の中毒症状ですが、確かにへんなことになるようでございます。浜本教授自身が手がけた患者中の三〇%は目をやられているという話です。ところがその子供さんが、何しろ赤ちゃんですから果してこの子供の視神経がどの程度にいかれているかということがいまだにはっきりしないというように聞かされました。これはおそらくしろうとが考えてもなるほど子供のことですから、視力の程度はわかりません、答えが出てきません。大体科学的実験の中から想像して判断されるだろうと思うのでありますが、そうなってだんだん治療して、まあまあこれならどうにか取り戻せるかもしれないというような経過になっているものもあるけれども、いまだ依然としてはっきりせないというような実情もあるかのように思います。これは学者が言った言葉をそのままに申し上げてかえって浜本教授を毒してはいけませんから私が勝手に判断して申し上げます。そうなりますとどうもこれは将来に、単なる目に見える後遺症としての何だけでなく、視神経などにそういうものが残ってきますと、それも後遺症ということになるのかもしれませんが、やはり大へんなことじゃないかと思う。なおったと思っておったけれども、これだけのものが残ったということが将来に立証される必要があるわけです。 もう一点は肝臓硬変という言葉を使われたのでありますが、これもかなり心配の症状のようです。最初診断した当時には硬変しているように思わなかった、なくなってから解剖してみると硬変している。そのくらいの時間的ズレ、ギャップがどうも大へんなことだ。一体どうしてこんなふうに変るのだろうかというような問題もあるように聞きました。そうしますとやはりそこに、これはただごとではないということはどうしても言えるわけです。なお直接これは砒素中毒患者であるとか、先ほど岡本先生がたしか言われたと思うのでありますが、やはり専門家ならばあれだけ話ができると私もいろいろ聞いている中にそう思いました。直接症状そのものが砒素中毒症状であるという判定はできなくも砒素に影響されてこういう症状が起ってきたということはかなりたくさんあるようです。そうなってきますと、その間のお医者さんとしての取扱い上にはかなり困難がある、診断書を書けば砒素中毒なりという診断書を書けない場合もずいぶんある。実際は砒素に影響されてた、災いされた病気ということになるのだそうですが、そういうようなさまざまなな具体的実例を聞かせていただきましたが、聞いてみればみるほど心配になる、これは大へんなことじゃないか、後遺症はやがてなくなるであろうけれども、しかしこれは大へんだ。しかし最初医者がいろいろと、少くとも最高の学者、医学者が見ても、しかも臨床医学者が見てこうだと思って、死んでみれば違った症状が出ているというようなことさえ経験上はあったようです。 それから心臓の肥大などの話も聞きましたが、そういうのを一々専門家から聞かされますとわれわれははっと思うが、これは大へんだ、一万数千の患者が一応出ている、あるいはもっといるのかもしれない、いずれにしてもその子供さんたちに百十三名の不幸な人を出したが、全部がかりに一応なおるとしても、ほんとうになおったのかどうかという立証はなかなかむずかしいじゃないか、こういうこともあとにかかってくるわけであります。従って掘り下げでいけばいくほどこの被害の事実は、よほど真剣に取り組まなければならぬ問題になってくるんじゃないか。厚生委員会のメンバーの中の方にはお医者さんがたくさんおいでになるわけですから、その方がおいでになれば私たちみたいなしろうとが話すよりもはっきりすると思うのですが、いずれにしてもこれは並大ていなことではない。私聞くのに、この経験が今から五十五年前にあった。これは日本じゃなくてイギリスのロンドンにあったのですね。これはビールの中に何かあった。そういうふうなことを聞きましたが、イギリスのロンドンの近くのマンチェスターであったというのがそれであってみれば、そのときにも相当いろいろなことが研究されたんじゃないかと思うのですが、残念ながらそれが一回あっただけできょうまでなかった。日本でまたこんなことが不幸にして飛び出してきたというわけで、お医者さんとしてはこの問題に対して非常に力を入れて御研究になっていらっしゃるようでございます。そういうことですから、私は心臓だとか脾臓だとかあるいは視力だとかいろんなことを聞かされれば聞かされるほど、これはちょっと普通なことじゃない、そこであわせて思うことは、単に森永さんを責めるだけで事は済まない。やはりこれからの化学食料というか、そういう食料品などの製造の過程の中にいろんな操作があるのでしょうが、これはよほど政府当局が本腰を入れて、今後、そういう監督官庁としての仕事をする上から、もっと打ち込んでいただかなければならぬじゃないか。必要ならば専門の学者を政府のそういう一つの機関に取り入れて、これは少々金が要ろうとかまわないと思うのです。予算が要ってもそれは与党の方が力を入れてくれると思うのです。やらなければならぬのだ。本格的に、言葉だけでなしに、実質上再びこの悲劇を繰り返すことなき状態を作るために万全を尽さなければならないと私は思います。なおそういう大きな問題と取っ組んでいる森永さんですから、森永さんもこの問題をきょう起っている少くとも被害者に対して、これはわれわれの干渉する問題じゃないと思いますけれども、実際極端な物の言い方をすれば、森永一家全部が破産をしても決してわれわれは悔いない、われわれはそのことをちっとも心配しない、すべてを投げ出して、裸になるというくらいの物腰になって対処していただかなくちゃ、国民がやはり納得しないんじゃないか。だからといって、人間には一つの良識というものがあります。だれでも良識は持っております。だから非常に極端な表現でかりに問題を扱おうとする言葉があったとしても、そのことは人を殺すことにつながるわけじゃない。ただ問題はそういう大きな英断が要るんじゃないか、大決意が要るんじゃないかということを思うわけです。患者同盟の代表の諸君におかれても、おそらく一万数千の人の被害を背負っているわけですから、非常に立場がつらいと思うのです。そのつらい立場をなおかつ代表者諸君の良識によってとにかく処理しようとして、自分自身の利害から言えばあるいはばからしいかもしれません。自分の被害どころじゃない、大きな実損を受けていると思うのです。にもかかわらずこういうふうにしてがんばって、問題のよき解決を求めておいでになるわけでございますから、その間のいろいろな関連を誠実に組み上げていくことができれば、問題の解決点は非常に簡単だ、私はそう思っておるのです。そういう意味でちょっと私の意見を申し上げたようになりましたけれども、委員長からのお言葉がありますので私の質疑の時間をこれで打ち切る方がよさそうでありますから、きょうの場合は打ち切ります。いずれ次の機会に開くそうでありますから、その機会に譲ることにいたしまして、とりあえず意見をまじえまして関係三者の政府並びに森永、被害者の代表の方たちの、この問題についての何か御見解があれば承わりまして、私の質問は一応きょうは終ります。
○佐々木委員長 横錢重吉君。
○横錢委員 最初に森永さんにお伺いいたしますが、今度の問題の責任は、何といいましても直接にMFのカンにあった。従ってこれによって発生したところの事故者、これらに対する治療に万全を期すということに対しては、森永さんが全力をあげてやらなければならないところのものであろう。補償という問題も当然出てくるが、補償という問題よりも第一に治療に万全を尽すということがまずなされなければならぬ、こういうようにえ考ておるのでありまするが、そういう観点から若干伺います。まず第一に、問題の起ったMFのカンは全面的に回収が終ったかどうか、この点を一つお聞きいたします。
○七海参考人 問題が起きましたときに、私どもは八月の二十三日に、岡山に出ておりました私の方の出先の者からその晩に電話をもって知ったわけであります。直ちに工場にその製造を中止させ、当時は私岡山だけかと思っておりましたから、岡山の出先の販売店にも直ちに回収をするように指示をいたしました。正式には厚生省の方から、それとほとんど前後して全国に御指示がいったように承わっております。私どもの出先も、全国の出先がこれに御協力という言葉はおかしいのでありますが、全力をあげて回収に努めまして、その後たしか数日間にほとんど全部を回収したはずでございます。
○横錢委員 この点当局はいかがですか。
○楠本政府委員 ただいま森永の方のお話しがございましたように、私どももすべて回収が終っておるものと確信をいたしております。
○横錢委員 患者の数は、先ほど一万二千数百名が報告されたわけでありまするが、この前の報告から新たな患者の発生というものを見ておるかどうか、この点一つ。
○山口政府委員 先般御報告申し上げました患者の数は、九千、それも私はっきりした数字を今記憶いたしておりませんが、死者が六十二名。それに対しまして、けさほど御報告申し上げました数字が、患者の数で一万一千八百八十九、死者が百十三名、死者につきましての御説明は、けさほど八田委員の御質問に対しましてお答え申し上げたのでございますが、患者につきましても同様でございまして、先月の上旬に学界の意見を伺って診断の基準を各府県に出しまして、そうして過去にさかのぼっても記録等を参照しまして診断を確認してもらいましたために、その後に起った者もございます。それから大部分は過去にさかのぼっての確認された者、未確認だった者が確認されてきた、そういうふうにお考えいただきたいと存じます。
○横錢委員 森永さんの方で患者に対する治療に対しては万全を尽しておるかどうか、特に治療の問題をめぐって被災者の方々と紛争等起しているかいないか、こういう点について伺いたい。
○七海参考人 治療につきましては、私ども当初から万全を尽すべく努力をいたしております。何分非常に広範囲でございまして、被災者の方も非常に多数でありまして、私どもの方のできる限りの人数を現地に派遣しておりますが、中にはお伺い漏れも多数ありましたり、あるいは名簿が完全に把握できません。一々保健所にもおたずねいたしまして、これを取り合せて、患者である限りはどなたも一様に治療をしていただくようにお願いを申し上げておりますし、また何か治療上の御不満等がありますれば、出先の者が伺ったり、あるいは病院に伺って御希望に沿うように御手配をお願いしております。
○横錢委員 各病院等に対する支払い金額は、おくれていないかどうか。またこの金額がおくれたりすると、治療上のいろいろな欠陥も出るのではないか。こういうふうに考えられるのですが、支払い金額がおくれているようなことはないかどうか、この点伺います。
○七海参考人 治療費は、この前の委員会でも御報告申し上げましたように、直接被災者の方々から医療機関が御徴収されることのないように、大きな病院ではこれが中毒患者である場合は、その費用を森永に直接御請求を願う、これは地方によりまして月二回ないし月一回御請求をいただいております。それから町村の病院あるいは開業の先生方の分は、医師会にお取りまとめいただきまして、医師会から御請求をいただくように、御請求がありました場合は、直ちに御送金を申し上げておるはずでございます。
○横錢委員 現在までに支払ったところの治療代、こういう金額は一体どの程度になっておるか。なお入院中、通院中の者があるようだが、これらの見通し等を合せると、大体どの程度の金額になりますか。
○七海参考人 私どもの出先の報告がおくれておりますので、はっきりした金額を申し上げかねますけれども、治療費は二億五千万ないし三億円程度かと考えております。なお現在私どもが報告を受けております治療中の方々は、通院者が二千数百名、入院者が百四、五十名、こう承わっておりますので、この方々がいつまで治療を受けられるかわかりかねますので、今後のことはちょっと予想がつきかねます。
○横錢委員 先ほどから論議されておりますが、病状が重かったために、後に後遺症として患者が出るのではないか。こういうふうな後遺症の憂いのある患者に対しては、証明書等のようなものを発行しておいて、後日の用意といいますか、後日再発等の起った場合に対する対策というようなことを、何らか考えておられますか。
○七海参考人 後遺症があるかもしれないということは、当初から伺っておりましたので、これは私どもの方も全力をあげて善処しなければならぬ、こう考えております。具体的な治療方法等につきましては、私どもしろうとでわかりかねますが、ある期間をかけて監視していなければならない赤ちゃん、これらは専門の医療機関でおわかりになると存じますので、これらの方々は引き続き診断を受けられ、そうして治療を要する者は治療をしていただくようにお願いを申し上げております。
○横錢委員 それでは次に同盟の方にちょっとお伺いいたします。先ほどの三木委員長でしたかの御発言の中に、洞爺丸、桜木町事件と同一視するのがおかしいというような意味の御発言があったようでありますが、この点は一体どういうふうな意味でございますか。
○三木参考人 その点につきましては、被災者の代表が十一日に森永さんに行ってお話したことがあるのですが、洞爺丸とか桜木町事件というものは、二度と試験をしてみようというてもできないはずだ。しかしこの中毒事件は幾らでも試験ができるのだ。動物にでも犬にでも何にでもやればすぐ試験ができる。この苦しみを耐えてきた若いお母さん方の気持もわからずに、洞爺丸、桜木町事件を勘案してやるということは、根本的に人命軽視であるという説を、同盟はみな持っているのであります。その点につきまして十一日の新聞に、五人委員会は、患者は、多府県にわたって大勢あり、貧富の差も多いから、平等の線で発表するということが出ておりました。こういうことが、根本的に被災者のために作った五人委員会でないということを私たちが思うのでございます。十日間病院に通った方も、三ヵ月、四ヵ月入院されて、きょう死ぬかあす死ぬかという苦しみをもって、一家族の者が看病にかかってきたその苦しみの度合もわからずに、現在の五人委員会の十一日のあの発表を見ますと、貧富の差が激しい、多府県にわたってあまりにも多過ぎるから、平等でやるという線を十一日の新聞に発表しております。こういう点から、われわれは初めから五人委員会を否認する重大な原因を持っておったのであります。事実において厚生省が被災者一万数千人のためを思って、こういう五人委員会を作られるのであれば、二十三日に森永の方から試案を出すという協定を結んでいるのだから、その試案を出されて、われわれ被災者同盟とその点を談合し合いそれで納得がいかない、決裂もしくは岸壁に突き当った場合に、初めてこういうものを厚生省で作られてもおそくはないじゃないかという結論を得るのであります。初めから気持よく—第一回の交渉しかいたしておらぬのであります。それは十月三日、四日、五日と交渉して、第二回目が二十三日、そのときに森永の方では試案を提出するという、そこまでお互いが話し合っているにもかかわらず、十一日に突然やったということが私たちに納得がいかず、一万数千人の病気の赤ちゃんをかかえているお母さんたちが、不安を抱く原因がここにあったのであります。
○横錢委員 今のお話では洞爺丸、桜木町事件とは違うということですが、中毒で赤ちゃんがなくなられたことも、これは人命の上からいくときわめて大切なことであるし、それから桜木町、洞爺丸という突発の事故で、あのたくさんの人間がなくなったということも、これもまたきわめて大切な問題であって、これは同一視するのが当然ではないか。要するにこういうことに対しては治療に対しての万全の策、治療の段階が過ぎたならば、今度は不幸な人々に対する森永さんの誠意、あるいはまたそれらに対するところの補償の具体的な額の実施、こういうふうなことになって現われてくるので、従って私が質問する範囲よりも、あるいは食い違いと、事実のやり取り等があるのではないか、こういうふうに考えるのだが、われわれが今日の段階になって問題を考える場合には、冷静に、大体どういうふうなことが行われたならばよいかというような観点から、あるいはまた皆さん方が被災者の代表としてこれを要求するのに対してどういうふうにわれわれが公正な判断を下していったらいいか、こういうふうな観点からものを考えるのであります。従ってそういう場合には、人命に対する補償あるいは人命のとうといというゆえんについては大体同じように考えていってよいのではないか、こういうふうに考えたので、この点御質問したわけですが、これにはいろいろ御事情もあろうと思うので、今のような御意見のようでありますからしてこの程度にとどめます。 次に、当局に対して五人委を作ったという動機を聞いてみますと、なるほど森永の方の依頼を受けて五人委を作った、そして被災者同盟の方には全然話をしなかった、こういうふうな発生の過程、これが非常な不信を招いたということが今日までの経過でよくわかってきた。そこでまた、森永さんの方が当局に対して依頼をしたのだからして、その人が出したものは全面的にのまなければしょうがない、こういうふうな態度をとっておられる。このことは、森永さんがおそらく政治的にも全然知らない、あるいはまた非常に不用意である、こういうふうなところから、五人委が出したものならばのみますというふうなことを当局に言ったのではないかと思う。そういうふうな経過が、かえって被災者同盟の方から見ると、五入委というものは御用機関だ、従って森永の隠れみのだからしてあんなものは信頼することができぬ、こういうふうな過程になってきたのである。こういうふうなものの作り方に対しては、当局はよほど反省してもらわなければいかぬと私は思う。問題を解決する場合に、一番激突するところの労働問題であっても、直接ぶつかってどうしても解決がつかない場合には、公正な第三者の判断にゆだねて、その結果を参考として問題を解決づけるというのが、今日通常行われている方法なのです。従ってこういう五人委を作った当局の気持、あるいはまたこれで問題を解決づけようということについてはわかるが、経過が非常にしろうとのやり方だったということを遺憾とするのであります。ただ問題は、ここまで問題が来ておって、しかも年末にもなり、何となくあわただしい感じを持っておる、またわれわれの方に対しても、被災者の人々の方からは、何とか早く解決点を出してもらえないのか、こういうふうないろいろな意見等も耳に入ってきておる。従って、こういうような情勢になったならば、五人委というものを作った過程からして、早く何らかの結論を出して、そのもとにおいてこれを問題として討議をして、森永がのめるのか、被災者同盟がこれについて承知をできるのか、そういうようなものの判断の、資料というものをさっそくやらせるべきではないか。五人委を作りました、作りましたと言って、今日までの報告の過程では、どういうふうな審議をしたのかさっぱりわからない。この五人委の中に名を連ねた人々はおそらく相当著名の人物であろうと思うのであります。もしこの人々が被災者同盟の人々から、これは実にくだらぬような判定をいたしたというふうなことを言われたならば、その人々の社会的な地位というものもおそらく抹殺される結果になるのであるからして、そういうふうな変な解決論あるいはあっせん案というふうなものを出すことはないだろう、こういうふうに考えておるわけですが、どうも当局がこれを作りっぱなしで活躍さしていない、こういうふうなうらみがあるのですが、この点に関して、今申し上げたような点で、当局は、作ったからには撤回ということはあり得ないから、これをもっとうんと急がせて両方の相談の糸口となるようなことをさせるべきではないか、こう考えるのだが、この点どうでしょうか。
○楠本政府委員 私どもも当初お願いをいたします場合に、できるだけすみやかに妥当な結論を出していただくようにお願いをいたしておったのでありますが、何分にも調査に手間がとれまして、そのために意外に時間がかかっております。しかし今まですでに十回余り審議をし、各回とも多いときは午後から始めて夜おそくまでかかるというような状況でございます。しかし私どもの承知しております範囲におきましては、すでに基本方針等もすっかり固まりまして、あと間もなく結論が出されるように聞いております。従いましてこの点は私ども一そう一つ急ぎまして、早く妥当な結論を出していただくように重ねてお願いいたしたいと存じます。なお当初お話のございました点につきまして、若干弁解がましくなるかもしれませんが、述べさしていただきたい点は、先ほどお話の中に、五人委員会は森永の要請によって作ったということでございますが、これは決してそうではございませんので、森永は、どうしたらよろしゅうございますか、患者の方は、何とかして下さい、こういうようなばく然たる陳情であったわけであります。その陳情によりまして私どもはいろいろ考えた結果、全く独自の判断で五人委員会を作ったわけでございます。なお五人委員会の結論を尊重するという点につきましては、私どもの方が一方的に森永に押しつけをいたしております。出たら必ず誠実に履行せよということを一方的に実は押しつけているわけでございます。その点も一つ御了承願いたいと思います。
○横錢委員 次に被災者同盟の方に伺います。この前、死者に対する要求額が二百五十万円というふうに承わっておったのですが、この金額が私はあえて高いと申し上げるのではないのですが、社会の通念からいきますと少しく金額が高いのではないか。これは人命尊重という点から行きまして、赤ちゃんであろうと成年の活動者であろうと、やはり同様に人命尊重の見解に立たなければならないと思うのですが、今日までいろいろと事故が起った場合に補償されている現実の事例を見ると、今度十二月一日から実施された自動車の損害賠償では、最高三十万円までの金額が事故の場合に支払われる。これが十才以下の幼児の場合には大体十万円程度である。あるいはまた洞爺丸、桜木町事件等の場合においては最高が五十万円というような金額でやられている。あるいはまた日航機の木星号が衝突した場合には大体百万円ないし亘二十万円の金額が補償された、こういうふうに聞いておるのであります。従ってそういうふうに社会的に行われ、かつまた今日まで解決してきている金額から見ると、人命というものは何ものにもかえがたいものであるけれども、事故が起った後の誠意の出し方あるいは損害の補償の仕方というものには一つの通例があるのではないか、こういうふうに考えるのですが、これらの点等について、この前の御報告を聞いたままなのか、あるいはまたその後において何らかの変更あるいは審議等がされておるのかどうか、こういうふうな点についてお伺いをいたします。
○三木参考人 それはここにおります岡崎君が初め全協の委員長をやっております。そのときにホフマン方式で算出した金額がそれになっております。私が全国の委員長に全県から選挙されたのが十月二十二日、しかし二十三日に森永さんと団交にかかるその当日に私はお受けしたのであります。それで森永さんの言われるのには、全高が大きいから混乱を来たすだろう、それで五人委員会におまかせしたからお話ができないのだということになりまして、私は金で争うことはいやだという根本義において委員長を引き受けた。それで大阪といたしましては白紙還元ということを決議したのであります。それで全国にそれを諮ったのでありますが、全国協議会におきましては、目がつぶれて因っておっても百万円じゃいやだというのがあるのだから、それは白紙還元をしないという説もたしかあったのですが、だけれども森永さんの方において五人委員会の陰に隠れて出てこない。その原因は、慰謝金が大きかったからだ、混乱を来たすからだということが眼目で、厚生省べお願いしたという点になりますと、とにかく被害者加害者が腹を打ち割って相談するべきがほんとうだという根本の私の意見を発露しまして、それでは五人委員会ができているのは厚生省でおやり下さったのだから、森永と被災者の方は直接あすからでも交渉を持つのがほんとうではないか。森永さんがわれわれ被災者と直接交渉を持って誠意をもって交渉に当ってもらえるなら白紙還元してもいいじゃないかということで、十一月四日の大会に諮りまして、われわれ被災者同盟と直接交渉を持つ場合は白紙還元の用意ありということを声明したのであります。
○横錢委員 今の御説明で状況がわかったのでございますが、大体この金額が、具体的に森永との直接交渉の場合においても、あるいはまた五人委員会の裁定が出てその裁定を土台として話し合うという場合においても、これはあまりに離れ過ぎておったのではなかなか困難なのではないか、こういうふうな観点からお聞きしたのですが、今そういうふうな会の状況であるならば、何とか年末までに解決点が出るのではないか、こういうふうな印象を与えられるわけであります。特にこの問題が力をもって解決づける、こういうふうなあり方よりも、社会の公正な判断に待つというような解決点を出した方がよいのではないか、こういうふうな印象を受けておるわけでございます。これは今厚生省の経過が非常に不手ぎわであって、五人委員会をこういうふうな格好で作って、そのために非常な疑惑をあなた方に与えた。そのためにこの交渉もおくれ、かつまたこの年末になってもまだ解決のめども出ていない。こういうふうなことを私ども非常に遺憾に思うわけでありますが、一応五人委員会に選ばれた人も社会的な地位を持っておる人たちでありまして、そうめったやたらなめちゃくちゃな案を出してくるというふうには、私どもの立場から見ても考えられないところだ。従って一応解決点としては、社会の公正な判断に待つという立場から、こういうふうな一応の結論を出すのを待たれて、その上でこの審議を早く進めていくということがよいのではないか。五人委というものをただ忌避するよりも、御当局の方としても何らか早く皆さんの要望を達成したい、こういうふうな心配からこれを作って、その作ったのが過程が下手だったために迷惑をかけたという印象のようでありますが、こういうふうな点については五人委を何とか認めて、その判断の上にこれらの損害の最終的な結論を出し合うというふうなことが一番解決の近道じゃないかと考えるのですが、こういうような点について被災者同盟の方としてはどうでありますか。
○三木参考人 それは十一月四日の全国の大会におきまして、森永さんが直接交渉を持っていくのなれば、現在まで要求しておる慰謝料なんかを白紙還元するということを私の方も決議をしまして、十一月四日、十三日、二十一日、十二月の五日と四回申し込みをしたのだが、一回も団交に応じてくれないのであります。五人委員会の方がりっぱな方で森永さんよりか上等な案が出るかもわかりません。しかしながらわれわれ被災者としましては、森永さんとひざ突き合せて、財はこれだけだ、これだけでどうだろうという真実味のある交渉なればいいのだということを再三申し入れてあるのであります。五人委員会のできた経過から考えまして、一万数千人の者があの不安な状態政府がやるのだから間違いないというように宣伝をされてやられた五人委員会よりか、森永と直接交渉して、これだけでこうだからといって交渉して何する方が、被災者としては満足するという点は再三森永にも申し入れてあります。それが現在まで四回の申し入れが、五人委員会五人委員会ということで一回も団体交渉が持てなかったのであります。それがために、なるべくなれば私たちは森永さんとひざ突き合せて団交を持ちたいのであります。
○横錢委員 時間がなくなってもう切れるようでございますから、最後に委員長に一つ希望を申し上げておきたいのでありますが、このミルク事件の審議のあり方は、直接起った問題の処理、真相の究明とかあるいは被災者に対する適当な補償の実施とか、こういうふうな問題とともに、今後の法律改正、どういうふうにしてこういうふうな食品中毒の防止をすることができるか、これに対する法律改正を急がせるのだ、それで今度の事件の中から幾多の教訓を学び取ろうということにあるのではないか、こう考えるわけでございますが、今日までのこの審議を見ておると、単に両者の言い分を聞いておるというような、何かあっせん役のような格好になっておるのではないか。この点は明確に分離をして、やはり法律改正の点に焦点を一つしぼるのと、それから問題の適当なる補償に対するところの議会あるいは当局としての公明な態度の表明というようなことに分けて進めた方がよいのではないか。こういうような点を感じておりますので、申し上げまして私の質問を終ります。
○佐々木委員長 せっかくの横錢委員の御発言でありますからお答え申し上げておきます。委員長といたしましても、この問題は私就任早々でございますので、その真相は十分把握しておりませんが、本日の委員各位の質疑等を考えまして、この問題は重大な問題でありますし、また国会で取り上げておるということも、単に仲裁をするという意味でなく、将来こういうことが再び国内に発生してはいかぬという根本的な問題から解決していかなければならないと思います。ことに私の所属しておる政党は今与党でありますので、与党といたしましても、政調会あるいはその他の機関にかけまして、将来それが対策のための法案もぜひ出さなくちゃならないのじゃないか、こういうように考えております。またただいまの両者の言い分につきましても、われわれがただ簡単にどちらに軍配を上げるということでなく、お互いが納得する線にこの委員会を通じてもしでき得るならば、そんなけっこうなことはないと存じます。ただきょうは御承知の通りこの問題一つで長時間かかりましたが、これだけでこの委員会の審議を終るということではございません。また機会を見まして理事諸君とお諮りいたしまして十分検討して、禍根を残さないような取扱いをいたしたいと思います。御了承願いたいと存じます。 参考人の方々には御多忙中長時間にわたりまして、まことにありがとうございました。 次会は明十五日午前十時より開会することといたしまして、本日はこれにて散会いたします。 午後五時四十一分散会