外務委員会 第12号
- 発言数
- 91 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1955/12/16
会議録
○前尾委員長 これより会議を開きます。 国際情勢等に関する件について質疑を許します。昨日の申し合せで一人十分以内でありますから、そのつもりでお願いいたします。 並木芳雄君。
○並木委員 それでは時間がありませんから簡単に質問いたします。 それは昨日に引き続いての国連加盟の問題でございますが、私どもは昨日十六カ国一括案に入ることができず、非常に悲憤の涙をのみました。残すところは、頼みの綱とする来年の総会には必ず日本を加盟せしむる、これの決議案が通るということでございましたが、この期待もはずれて、きょうの外電では否決をされてしまった。せっかくアメリカの方の、来年の総会には日本を加盟せしむるという決議案の提案は、残念ながらソ連の反対提案、すなわちモンゴールと一緒でなければいけないという提案に打ち消されてしまって相殺をされてしまったのであります。実に残念でございまして、私どもはこれではせっかくきのう大臣が、十八カ国一括案に日本を加えてくれたソ連には、その好意を感謝すと言われたその言葉すらソ連には通じないように思われ、遺憾千万であります。そこでもう一年たっても日本の加盟が雲をつかむような状態に置かれた今日、重光外務大臣としては、ソ連の意図がどこにあるのか、どうしてそれまでに日本の加盟を引き延ばさなければならないのであるかという点について、虚心たんかいの御所感を伺いたいのでございます。なぜかと申しますと、それが今後の日ソ交渉の日本の方針に重大な影響を持つものと思われますので、この際腹を割っての御答弁をお願いいたす次第でございます。
○重光国務大臣 今回の国際連合加盟問題に関する経過及びそれに対する判断を十分に、正確に下すのはまだ少し私は早いように存じます。お話の通りに今朝に至ってまだ残されておるのはイギリス代表ディクソンの提案でございます。日本が加盟の完全な有資格国であり、すみやかにその加盟が認められるよう希望を表明するという旨の決議案が今提出されておって、結局これは二十一日に審議をすることになっております。そういう報告を受けております、これか残っておるわけでございます。今日までの経過を早急に判断をするわけには、今申します通り、まだ時間の関係上早過ぎると思います。思いますけれども、今日までの経過から見て、ソ連が終始日本の国連加入ということに対して拒否権を使った、反対をしたということが、今回の結果を来たしたのであるということはもう大体はっきりいたしております。それがどういう魂胆——魂胆というか、政策の現われであるかということは、まだはっきりとつかむわけにはいかぬように思います。それはさしあたって人の論ずるところは、これは日ソ交渉に対する圧力を加えるのだ、日ソ交渉に対して早く交渉を妥結せしめていかなければ国際連合に入れないのだというゼスチュアをして、日本に対する圧力を加えておるのである。日ソ交渉に対する圧力であるかどうであるかはわかりません。そういうふうに議論する人があります。わかりませんが、日本に対する一つの大きな圧力であることは争われぬところであります。日本の主張に対してまっこうから拒否権を使ったのでありますから、これは日本に対する大きな圧力であるということは言うを待ちません。そのほかにこの問題についてまだソ連側と米英側と申しますか、そういうような共産陣営と自由民主陣営との、国際的の非常に大きなあつれきが深刻であるということは、これでもはっきりしてくるわけであります。今回の問題で見ましても、国際連合加入問題の経過に見ましても、この大きな国際的の流れがこの問題に集約されて、ここに火花を散らした、こういうことになります。さような大きな国際的の流れ、二つの陣営のあつれき、その火花が日本の問題を中心にして国際連合で散ったことになると思います。こういう点は、大体意見よりも観察、客観的の事実の説明として申し上げて差しつかえないように思います。これが将来どういう工合に影響を持ってくるかということは、これは観察になり、また政策の問題になりますが、それはゆっくり一つ考えてみたいと思っております。
○並木委員 時間がどんどんたちますので、項目別に申し上げますから、大臣の方で、それをメモにしながらお聞き取りを願いたいのであります。 ただいまお聞きいたしますと、大臣は、はっきり今回の日本の国連加盟が実現できなかったのはソ連の拒否権によるものであると申されました。確かに私はその通りだと思うのです。今度の日本加盟を一年後に保証するというせっかくのアメリカの提案に対して、それにイエスかノーかの答えを与えればいいわけだ。しかるにモンゴルーを持ち出すことは、一番の関係当事者である国府から言ってくるならまだ話はわかるし、国民政府がそういうことを言い出すのはまだ恕すべき点がありますが、事もあろうに、ソ連がモンゴールのことを言い出すということは、全く日本に対するいやがらせであり、何ら日本の加盟に対して誠意を持っておらない。言いかえれば、大臣も今ちょっと触れられたように、日ソ交渉において日本の圧力を加えようという意図があるといってそんたくしても返す言葉がないと思う。その点きょう社会党の方面から重光大臣の不信任案を出すと言っておりますが、全くピントはずれ、見当はずれだと思うのです。重光外務大臣の不信任案を出す前に、なぜソ連の不信任案を出さないか、私はそう言ってやりたい。日本の国民ならそう感ずる。 そこで国連加盟についてすみやかに日本を加盟せしむべしという決議案の採決が二十一日にまだ残されておりますので、この際大臣は、まことに御迷惑でも海を渡って国連に飛んで行ってもらいたい。そうしてせめて二十一日の決議だけでも可決されるように努力されることが一つの大きな日本の外交問題解決のかぎではないかと存じます。あまりとっぴな申し出で大臣もあるいは面くらわれたかもしれませんけれども、こういう重大な問題で日本が踏んだり、けったり、村八分にあったような形、ダシに使われたような形は、国民としてわれわれは忍ぶことはできないのでございますから、ぜひ一つ外務大臣に、まことに御苦労さまですけれども、私はこの際大臣に海を渡って頼みに行っていただきたいと思うのでございますが、その点いかがでございましょうか、それが第一でございます。 それからその次に、こういうソ連を相手の日ソ交渉の今後のかじのとりょうというものは、まことにつらいことであると私は感じます。しかしながら、この困難を克服して抑留者の引き揚げの促進をはかるとか、国連加盟の問題を有利に導く、そういう点におきましても、やはり日ソ交渉の開始そのものはおくらさない方がいいと存じます。そこで松本大使の派遣はいつになさいますか。今度の問題で大使を派遣することがおくれるようなことがないかどうか、それらの点についてお尋ねをいたしたいと思います。 それから、時間がありませんから最後にもう一点だけ。来年の総会を待たずに、四月でございますか、特別総会が開かれるやに外電が伝えておりますので、来年の十一月の総会を待たずに、できれば特別総会に日本の国連加盟の実現をはかるようにわれわれは念願してやまないのでございます。それを実現するために、大臣としては今後どういうふうに処置されていきますか、お尋ねをいたしまして、私の質問を終りたいと思います。
○重光国務大臣 第一点と最後の点は、国連加盟問題の将来に対する努力の問題に関係しますから、一括してお答えいたします。国連加入に対して特別総会が開かれるかどうかは、まだ私ははっきりしたことは……。(並木委員「四月に招集すると言っております」と呼ぶ)言っております。もし招集されれば、むろん従来と同じ熱意をもってこの問題に努力いたしたいと思っております。それで御了承を願いたいと思います。 それから今後の対ソ交渉をどうするかという問題でございます。今後の対ソ交渉は、従来の今まできめております方針に従って促進したいと思っております。松本全権は、先方の用意ができ次第帰任せしめることに相なっております。(並木委員「いつごろでございますか」と呼ぶ)それは向うの用意のでき次第です。こちらの何ではございません。向うの用意のでき次第に帰任させることになっています。(並木委員「大臣に国連に飛んでいっていただきたいということは」と呼ぶ)そういうことが役に立つならば、それはわけないことであります。それはしかし最善を尽すといううちに入っておると私はお答えしているのです。
○前尾委員長 穗積七郎君。
○穗積委員 外務大臣は時間がありませんから、一、二の点だけお尋ねいたします。 まず第一は、先月三十日の最初の外務委員会で、私は、日ソ交渉に対する日本の領土権主張の条約上の根拠のことについてお尋ねいたしましたが、時間切れでそのままになっております。そこで続けてお尋ねいたしますが、まず第一に、今度は南千島を松本大使を通じて強く要請するということでありますが、その条約上の根拠はどこに妥当性をお求めになっておられるのか、それが一点。 それから北千島並びに南樺太は放棄して妥結するというお考えのようですが、それを放棄しなければならないと解釈される条約上の根拠はどこに求めておられるのか、その二点をまず最初にお尋ねいたします。
○重光国務大臣 南千島は今日までの歴史において日本の領土として争われたことのないわけでありますから、日本固有の領土として返還を要求するのが当然だろうと考えます。 それから北千島、南樺太等はサンフランシスコ条約にも関係いたしますので、これは関係国の合意をもって、ソ連も日本も含めて合意によってその帰属を決定するということが適当な処置だと考えております。
○穗積委員 あとの部分については私はその正当性を理解することができます。ただし、前の南千島につきましては、サンフランシスコ条約は御承知の通り千島列島となっておりまして、国際的常識からいきまして、北千島と南千島とは一括した千島列島であることは言うまでもない。そこで、ソビエト側が言っております、条約でもありましょうということは、言うまでもなく終戦当時の条約で、それの領土条項を簡単に申せば、日本は武力をもって取ったものは返す、それからその次に、北海道、本州、四国、九州並びにその付属の諸島が日本の領土権として認られる、その境界はだれがつけるかといえば、戦勝国がこれを決定するというのが原則だと私は理解しております。ここで次に問題になりますのはヤルタ協定のことでございますが、これは日本は知らなかったということでございますけれども、今、降伏文書に言う戦勝国の決定の中にヤルタ協定の合意は入るか入らないかということは、国際法上解釈のしようでいろいろ問題があろうと思う。そう解釈すればできないことはない。これも、戦勝国の決定の場合には日本が合議に参加する権利も留保してありませんし、また日本の合意を必要とするという条件もついておりません。ですから、そのこと、つまり南千島について一体どういうふうに解釈しておられるか、それが一つ。 それからサンフランシスコ条約におきまして、これは千島列島となっておって、実はアメリカ側もこれは千島列島全体、南北千島全部で、南千島を除外するものではないという意思を表明しているのであって、いささか条約上の根拠が不明確である。私の考えでは、南千島も含む千島列島全体並びに南樺太の問題につきましては、ロンドン会議においてソビエトだけを相手にして最終的決定をすることは不合理である、お門違いであるから、先ほど北千島並びに南樺太について大臣が言われたような方式を南千島についてもとって、それで今後進むことがこの二つの島に対します領土権主張を早く合理的に実現する方法であるとわれわれは信ずるのですが、その間に対する大臣の所見をもう少し具体的かつ詳細に発表していただきたいと思います。
○重光国務大臣 ポツダム宣言には、なるほど、日本本土並びに本土に付属する島は日本に帰属すべきである、その他の何については、戦勝国といいますか、連合国の指定する地域というような趣旨の——これは文句は私は今はっきり覚えておりませんが、そういう趣旨のことがございます。これを日本は承認をしたのであります。戦敗によって承認をいたしたのであります。その規定によって、そういうことによってサンフランシスコ条約ができておるのであります。ポツダム宣言は、領土の帰属の問題について法律的にはっきりした確定はいたしておりません。これは一つの方針の宣言でございます。それを確定したのがサンフランシスコ条約でございます。サンフランシスコ条約ははっきりして、日本はこれに判こをついておるのでありますから、これはサンフランシスコ条約が認めるところであります。そこでサンフランシスコ条約までさかのぼっていくベきであって、ポツダム宣言はサンフランシスコ条約によってその点は処理されておると見て差しつかえない。だからサンフランシスコ条約によって処理された通りに日本は考えて差しつかえないと思うのであります。そのうちにクーリールとあるのは南千島すなわちわれわれが言う日本の固有の領土、北海道直属のこれらの島々、いまだかつて争われたことのない島々がサンフランシスコ条約による千島であるかどうかということは、調印国の意向特にアメリカあたりの意向も確かめる必要がある。アメリカはクーリールの定義がどういう地理的のものであるかということは線を画してこれをやったわけではない。そこでソ連との関係においてはソ連との話し合いによってこの点はきまっても、自分らは異存がない、こういう大体の考え方であることははっきりしております。そこでクーリールの問題も、今度ソ連と平和条約を締結しようというのでありますから、ソ連と交渉しなければなりません。そこで千島の問題については日本はこういう考えを持っておるのだということを十分に主張することは妥当なことだと考えております。
○穗積委員 南千島は含むか含まぬかサンフランシスコ条約調印国全部に確かめてあるのですか。
○重光国務大臣 確かめてあります。
○穗積委員 どういうことですか。
○重光国務大臣 それはサンフランシスコ条約を締結するときに線を画してはっきりどこがどうだということは、そのときには合意によってきめておらぬ。そこで千島というのはどこまでいくかということは、今度ソ連との関係において平和条約によってこれを交渉して差しつかえない。またそういう趣旨であるということを承知したのであります。それですからこれは交渉によってソ連との関係できめて差しつかえない。それならばこれをどういうふうにやるかということは……。(穗積委員「千島列島は南千島も入るんだ、当りまえじゃないか」と呼ぶ)それはなかなかむずかしいのだ。そこでそれは話し合いによってきめるということは差しつかえないと思います。それだけ私は申し上げ得るのであります。それから先それはどうするかという意見は一つ差し控えたいと思います。
○穗積委員 これは遺憾ながら非常な私は驚くべき答弁だと思うのです。つまりサンフランシスコ条約でいう千島列島はあなたは南千島は含まないというふうに理解しておる。相手は、国際通念によれば千島列島という言葉は南千島、北千島一連の列島をいうことは明瞭であります。(「そんなことはない」と呼ぶ者あり)それをこっち側は含まないと解釈したとしても、サンフランシスコ条約の締約国——アメリカ初めすべての国がこの条約解釈については、南千島は含まないということをはっきりと何らかの条約と同等以上の確かさをもってこれを確約を得なければならない、その点ができておらぬことが一つ。それからもう一つ大臣にお尋ねいたしますが、それでは放棄いたしました南樺太と北千島はソビエトの領土に帰属したと解釈しておられるかどうなのか、不確定なものであるかどうか。ソビエトの領土として確認しておられると私は解釈する。そうでなければ北千島と南樺太の問題をソビエトと話し合いをするとか、またはその南千島が含まれないといたしましても、それをソビエトだけと交渉するということにはならないと思うので、南千島、北千島並びに南樺太はソビエトのものになったと確認しておられる論理になると思うがどういうことでございますか。南千島から三つに分けて正確に説明していただきたい。
○重光国務大臣 そういう論理には少しもなりません。
○穗積委員 まず確かめて交渉するということは……。
○重光国務大臣 確かめたから……。
○穗積委員 確かめたのですか。どういう形で返事がきておるのですか。
○重光国務大臣 そういうことは今すべて交渉の内容に入りますから、それを一々……。
○穗積委員 そんなことはアメリカと日本との話し合いではいいかもしれないが、ソビエトに対してそんなことは通用しません。
○重光国務大臣 だから今交渉しておるのです。ただその交渉の結果、それは内容になりますので……。
○穗積委員 領土権に関する条約上の問題というものは債権とは違います。私があなたに借金があって、私が委員長に貸金がある場合、借金はそのままにして、私は貸金だけを請求する権利はあります。しかし領土権というものは、すべての第三者に対抗しなければならぬものです。そこでアメリカと結んだ条約は、ソビエトその他の未締約国には関係がないといいましても、これは違います。主権といえば所有権のようなものだ。それでこの土地に対してそれが私のものであるか、ものでないかはっきりしないような登記をしておいて、そして他の第三者に向っては、これはおれのものだというのを確認した登記をしてもらいたい、そういうようなことは通る話ではありません。ですからこの条約の内容というものは、読んで字のごとくである。あなたがアメリカと秘密的に話をしたとかせぬとかいうことは、何ら国際諸国をオブライジするものではありません。だからあくまで条約は条約の文書によっていかなければならない。千島列島というのは、これは通念的にそうであるし、あなたがそう解釈されるなら、南千島は別だということを条約と同等の効力のある文書によって、アメリカその他の締約国から確認を求めなければならぬ。それもしないで、ソビエトに要求してソビエトにそういう論理が通るはずがありません。
○重光国務大臣 今の話を伺うと、まるでソビエトの代表の話を伺っているような気がいたします。 〔発言する者多し〕
○前尾委員長 静粛にやって下さい。
○重光国務大臣 話し合いをやっておるときにこちらが主張するということは当然じゃありませんか。ソビエトだけの主張をわれわれに聞かせろ、こういうことは無理じゃありませんか。第三者に対抗することができないから、ソビエトの話も聞いて、交渉をしよう、こういうのです。そして交渉しておるわけです。(穗積委員「できませんよ」と呼ぶ)それをできねというのはどういうことか知らぬが、それは私はできぬことはないと思う。
○前尾委員長 穗積君時間がありませんので、次の方に……。
○穗積委員 一点だけ……。それではこの問題については時間がありませんから、きょうはこの質問を打ち切っておきますが、今外務大臣の言われた、私の発言がソビエトの代表云々というような、そういう不謹慎な、でたらめな発言をされて、相手を誹謗し、そしてみずからの論理的な脆弱性をおおおうなんというような方法は、間違っておるし、私に対して侮辱ですよ、こんなことは。いつそんなことを言いました。論理を言っているのですよ。あなたはかつて日本の武力を背景にし、今日アメリカの威力をかさに着て、外交をやろうと思っておるが、日本の外交は論理によってやらなければなりません。 〔発言する者多し〕
○前尾委員長 静粛に。
○穗積委員 この日本の外交は論理によってやらなければなりません。論理を聞いておるのです、私は。千島列島は南千島を含むと解釈するのが通念であるが、それを含まないと解釈しておいて、第三者に対抗しようという論理は弱いということですよ。だからそうであるなら、アメリカからその了解を得たなら、条約と同様の効力のある文書をもって、この条約の第二条にいうところの千島列島の中には、南千島を含まないというはっきりした文書をとらなければ、すべての第三者に対抗し得る条約上の論理が構成できないと言っているのです。それがソビエトの代表とは何ですか。そんな不謹慎な発言でもって相手を誹謗し、みずからの論理の弱さをカバーしようということは、承服できない。委員長、きょうは私はこれ以上発言いたしません。ですから、次の機会にこれは留保いたしまして、きょうの質問を私は一応打ち切っておきます。
○重光国務大臣 私は、それに答えざるを得ません。私は今申し上げる通りに、南樺太、……。(「論理が立たぬじゃないか」と呼ぶ者あり)まあ、答弁を聞いて下さい。千島ということはある。南千島はアメリカとの関係において十分話し合いがついておるか、こういうお話でございます。話し合いがついておるのは、日本がそれを主張したってアメリカの千島の定義ははっきりしておらぬから、それは差しつかえないという意向であるということを申し上げた。しかし、アメリカがどう言おうが、あなたの言われる通り、アメリカが南千島は日本にやってもいいのだということを内々約束しても、サンフランシスコ条約に約束しても、それはソ連に対しては対抗はできません。いわんや約束はないのでありますから、それはソ連に対しては対抗はありません。しかしながら、ソ連と交渉する場合に、日本は南千島について自分の立場を主張してソ連と交渉することは、当然これは日本の権利としてできることであります。そこで交渉しておるのであります。あなたは、ソ連は承諾することができないじゃないか、こう言われる。それはソ連の言うことと一致するから、私は今申し上げた通りです。決して私はあなたを誹謗する意向なんぞ持っておらない。おらないけれども、ソ連はそういうことは何じゃないか、こう言っておるのだから、私はそう申し上げたので、決してそれは……。 〔発言する者あり〕
○前尾委員長 静粛に。
○重光国務大臣 これが私の理論です。
○前尾委員長 北澤直吉君。
○北澤委員 一点だけ関連質問したいと思います。日本の国際連合加盟の問題です。今回の国際連合加盟の問題につきましては、ソ連が、非共産圏諸国の国連加入については、日本だけには反対をして、ほかの国には賛成をしたというわけでありますが、これはどういう理由でありますか。察するところによりますと、日本とソ連との間にはまだ国交が回復されておらないから、ソ連は日本の国連加盟に賛成できない、こういう主張かとも思いますが、今度ソ連が賛成をして、国連に新しく加盟した国の中には、まだソ連と国交の回復されていない国がたくさんある。例をあげますと、ポルトガル、アイルランド、ヨルダン、セイロン、ネパール、リビア、カンボジァ、ラオス、スペイン、こういう国々はいまだにソ連との間に国交の回復がないのであります。にもかかわらず、ソ連はこういう国々の国連加盟には賛成しておりながら、日本だけは国連加盟に反対、どうも私にはその理由がわからないのであります。先ほど大臣のお話では、日ソ交渉に関連してこれを切り札に使う、こういうふうに思われるようなお話があったのでありますが、どうも私ども想像するにそれ以外に理由がない。今度の国連総会では反対だが、来年の国連総会には日本の国連加盟に賛成する、こういうふうに言われるのであります。しからばどうして今度の国連総会ではいけなくて、来年の国連総会ならば日本の加盟に賛成するのか、その間の事情が全然わからないのであります。先ほど申しましたように、日本との間に国交関係がないからやらないというならば、しからばどういうわけで先ほど申しましたようなこういう国に対しまして賛成をしたか、どうも私どもはソ連が日本の国連加盟に反対する理由が全然わからないのでありますが、こういう点について、もう一ぺん大臣のお考えを伺いたいと思います。
○重光国務大臣 それは、私も今日いろいろこうでもあろう、ああでもあろうということなら申し上げられますけれども、実際は、はっきりつかむところまでまだ自信を持っておりません。しかし先ほどのいろいろな有力な意見のうちに、日ソ交渉に圧力を加えるということもある。そういう点ならば、あなたの言われる通りに国交の調整していない国にも賛成したのだからという理論も立ちます。第二に申し上げた、両陣営の大きなあつれきがまだ深刻に続いておるのだ、そうしてその焦点がたまたまこの問題について国際連合に現われた、日本が俗に言うやり玉に上げられたと申しますか、そういうようなことになってきたのじゃないかという議論も相当有力だと考えざるを得ないのであります。
○北澤委員 もう一点、今の点につきまして新聞の伝えるところによりますと、最初は外蒙とスペインとをひっくるめて、日本は加盟を許す方に入れておった。ところがいつのまにか日本がスペインに取りかえられて、ソ連はスペインの国連加盟に賛成するが、日本は外蒙との関係において、外蒙と日本だけ除外する、こういうふうに最初はスペインであったものが途中で日本にかわったという新聞報道があるのでありますが、これは事実でありますか、これを伺って私の質問を終ります。
○重光国務大臣 その点は報道が正確に入っておりません。そういういきさつ、初め十八カ国案のときにスペインと日本が問題になったということは事実であります。そうしてだんだん進んでいって結局スペインは入っておりますから、そういうような経緯があったかもしれません。
○前尾委員長 岡田春夫君。五分だけ、きのうの残りですから……。
○岡田委員 先ほどの穗積君の質問いたしました問題について、もう一度伺いたいと思います。サンフランシスコの条約の第二条のCには、穗積君の言われましたような「千島列島並びに」そのあとまくら言葉みたいなのがずっとあって、「樺太の一部」という意味で、この地域に対する「権利、権原及び請求権を放棄する。」こういうように明文化されております。そこで国際交渉というものは何といいましても、私が申し上げるのはしゃかに説法かもしれないが、国際法上の通念を基礎にして、社会通念として通る常識的な基礎の上に立って交渉しなければ、いかに強いことを言っても、いろいろなことを言っても、単にはったりになってしまって、これは国際交渉としては話は成立ができないものだと私は思うのです。そこで考えて参りますことは、千島列島という言葉の概念の中に、南千島を除くという通念が出てくるかどうか、この点が非常に問題になるわけなのですが、私は北海道に生まれ北海道に育った、ですから千島と北海道あるいは歯舞、色丹の場合の関連を、われわれとして一番近接しているだけに感じます。その感じた通念からいうならば、歯舞、色丹というのはこれは北海道に付属する諸島と見るべきだと思う。しかし南千島といわれる国後、択捉島というのは、私は行ったこともあるけれども、これは北海道に結びついた島と理解すべきものでなくて、これはやはり千島列島として理解すべきものである、こういうように理解をするのが社会上の通念として当然だと思う。とするならば、この中で千島列島という明文上の規定があるとするならば、そして南千島というものを別に何らか交渉の対象にするとするならば、これは何らか日本の政府としての論拠がなければならぬと私は思う。ところが遺憾ながらこの条文上に明記されている限りにおいて——この下にたとえばカッコでもして、南千島を除くと書いてあれば、これはまた別ですけれども、その条文上の規定のない限りにおいて、千島列島の中には当然南千島というものが入ってくると理解すべきであると私は考える。ですから、交渉するのは自由だというお話であります。それは自由かもしれません、自由かもしれませんが、しかし社会通念として通った筋に立って——穗積君のさっき言ったのはその筋に立って、相手の納得し得るような理論的な根拠の上に立って交渉すべきではないか、とするならば南千島というものを除くという法理的な国際法上の、あるいは社会通念上の論拠というのは成り立たないことになってくるのではないか、こういうように私は考えるわけです。そこでことさらに南千島というものに対して、何らか法理的な根拠というものがあるならばこの点をお示し願いたいということを穗積君が伺ったのだろうと思うし、たとえばソビエトが今の交渉よりも一歩下げて、それではサンフランシスコ条約の通りにいたしましょう、こういうように向うから申し入れて参りました場合において、日本側としてサンフランシスコ条約では困りますという論拠は成り立たないわけです。なぜならばサンフランシスコ条約をわれわれは締結しているからです。そういう点からいっても、やはり今後の問題になるわけですから——私は今後の交渉の内容について伺おうとはいたしません。むしろその法理的な根拠なり、そういう客観的な根拠があるかどうかという点について、もう一度私は冷静な気持で伺っておきたいと思います。
○重光国務大臣 今るる述べられましたそのお考えについて、私も全然そう考えております。そうでなければならぬと思います。そこでもし穗積先生の御質問がそうであったならば、それは私は、この考え方は全然その通りに考えます。これは国際通念でやらなければ、ただこちらの一方的にきめたことを相手に持ち出していったからといって、それは通るものではありません。そこに国際交渉の非常に重要な心がけがなければならぬとこう思う、それは全然その通りである。ただ問題は、今言われた通りに、サンフランシスコ条約は守らなければならぬ、それはその通りです。であるから、利害関係国の間に意見の一致を見るようにすることが適当であるといって、こちらがソ連に交渉するわけです。ただ問題は、南千島が一体千島列島に入っているか入っていないかという問題なのです。そこでサンフランシスコ条約には、千島のことを英語でクーリールというのですが、そのクーリールのことが書いてあるかどうかということが問題なのです。ところがそのクーリールのことについて果してどこからどこまでがそうなのか、むろん歯舞、色丹はそれに入っていないとみなが了解すれば、そのうちでどこから国後、択捉が入っておるかどうかということは、そのときにははっきり検討していなかった。だから、これはその交渉の題目に供することには異存がない。しかしそういうことをやるのはサンフランシスコ条約の関係だということで、そういうことを幾ら言ってみても——よしんばサンフランシスコ条約では国後、択捉は日本の領土だということになったのだ、こういう解釈をサンフランシスコ条約の調印国、ことにアメリカから得たと仮定すると、得たと仮定したってそれもソ連の交渉においてそれだから当然日本のものじゃないかというわけにはいかない。なぜいかないかというと、サンフランシスコ条約にはソ連は調印をしていないからそういうわけにいかない。日本の有力な交渉の根拠にはなるけれども、それだから、ソ連が当然これを認めるというわけにはいかない。だから、ソ連がサンフランシスコ条約の通りでよろしい、こういうならそのときば別である。そこにまたソ連との一つの交渉があるわけだが、そこで日本が主張する根拠いかんということになるわけである。その根拠は、私の言葉でいえばこの二つの島は、これはあなたは北海道生まれとして北海道の直属の島でないから、主張しない方がいいとこう言われるわけでありますが、私どもの観念ではやはり北海道直属の島だ、こう見ておる。この点はあなたがあそこに生まれてそう言われるのだとすると、またこれは私の方の根拠が薄くなるわけだが、(笑声)しかし私の方はそう考えている。のみならずこれはなぜわれわれがそう考えるかというと、一体千島と樺太というものは、これはいわゆるロシヤとの間に千島、樺太交換条約というものを一八七五年に結んでいる。そのときにはもう初めから国後、択捉というものは日本の領土になっていたので、交換の対象になったものは国後、択捉の島ではなくして、その以北の島になる。ロシヤとの関係にはそういう歴史的ななにがはっきりあるわけです。それではこれをソ連がそれはそうだといって認めるかどうかということは、これは交渉の結果に待たなければいかぬ。しかし日本としてはそれは根拠がある、正当な根拠がそこにあるのだ、こういうことを主張する場合にはそれは非常に有力になるわけです。 〔「だからアメリカからやりなさい。アメリカからその交渉をやるべきなのだ」と呼ぶ者あり〕
○前尾委員長 静粛に願います。
○重光国務大臣 それでは岡田君のさっきの説明とは違うわけだ。そこでそういう根拠に基いてこれを交渉するということは、これは正当づけられるわけで、その交渉はやっておるわけです。それだから、それに対してソ連がどう出るかということは、これはまた私の答えるべきものではない、今後の交渉を十分に見なければならぬ、こう思います。
○岡田委員 今のお話は一応ごもっともに聞えるような節もあるけれども、私はあまり。ごもっともだとは思わない。(「それは頭が悪いからだ」と呼ぶ者あり)頭の悪いのは並木君の方だ。それは、千島の主権の問題について歴史的に帝政ロシヤ時代との交渉の経過があった、それが根拠であるということならば、これは一応考えられる筋があるかもしれない。しかしながら地域的にこれが北海道の一部であるという理解の仕方は、社会通念として通りません。なぜならば千島列島のあの島全体をごらんなさい。北の一番端はパラモシリ島です。あの千島列島の全体を見ると、主要な部分は国後、択捉です。この国後、択捉というものが入って初めて千島列島としての構成があるわけです。ですから、社会通念として出てくるのは、千島列島というものの中には南千島、すなわち国後、択捉が入るというのが社会通念です。そういう点から交渉をするのがやはり常識であって、それ以外の何らの論拠もなしに話をするということになれば——あなたの御説明の、特に前段のお話を伺っていると、率直に言って失礼だが、むしろへ理屈という感じしか受け取れません。ああいう論拠によって日本政府が交渉するとすれば、おそらく交渉としてはお話にならないでしょう。私は日本政府の交渉のためにもそのような態度を惜しむものであるから、むしろ重ねて発言を求めたわけです。時間も許されていないので、この点についてもっと申し上げたいのですがよします。 もう一点だけ、岡崎・ラスク交換公文の海軍基地の問題です。この海軍基地の問題について前の岡崎外務大臣当時未決定になっておる問題について、大臣はどういうふうにお考えになっておりますか。
○重光国務大臣 千島の問題については、実はあまり議論をしたくないのでございます。しかし社会党の有力な方方が公然といやそんなことは無理だ、日本の方が無理だ、こう言われるわけですが、これは非常に大きな影響を交渉に与えるわけでございます。(「そんな非常識なことがあるか」と呼ぶ者あり)だから、これは非常識とかなんとかいうことは別問題としてよそうじゃないか、非常識なんかよそうじゃないか、そういうようにいろいろやはり意見の差があるわけです。まあそういうことです。 それから岡崎・ラスクの問題は、これは別の機会にいたしましょう。
○山本(利)委員 私はただいまの問題について、穗積君や岡田君のような理論的に優秀な方からああいう発言があった。それについてまた外相から、先ほどのような発言がありました。このことは今の外交問題において、私は日本国民としても非常に重大なことであると思うから、あえてこの問題に触れたいと思うのでありますが、北海道に属しておるとかおらないとかいうことではなしに、私どもが考えるのは、そもそも大西洋憲章によって、連合国は今回の戦争によっては少しの領土も欲しないということを言っておるのであります。しかもカイロ宣言においては、日本が暴力によってよその国から取ったものは返さなければならぬということを言っております。だからこの後になって日本がああいう悲境に立った場合において、押しつけがましいことを言って無理に日本の領土を取るということに、われわれは不合理を感ずるのです。その意味において南千島というものをわれわれは民族として絶対よそから取った覚えはないのである。ちょっと先ほど外務大臣も言われたけれども……。 〔「それじゃなぜサンフランシスコ条約で放棄したんだ」と呼び、その他発言する者あり〕
○前尾委員長 静粛に願います。
○山本(利)委員 われわれはその点において、サンフランシスコ条約において言ったことを……。(「なぜ放棄した」と呼ぶ者あり)南千島をわれわれは放棄していない。その点について今外務大臣及びわれわれがあげて要請して、でき得るならばこの南千島を日本に返してほしいと言っておるのであります。その点について努力をすることが日本のためにもなるのじゃないか。日本民族がすべてが一生懸命になって、その方向に向って国をあげて努力して、もしもこれがかなえられれば、われわれも非常に仕合せであると思う。その努力の最中において、国民の中からこれをじゃまするようなことをあえて発言するということは、悲しむベきことである、このことを言うのである。 〔「しかしそれは論理的根拠にならぬ」と呼ぶ者あり〕
○前尾委員長 私語を禁じます。山本君、簡単に願います。
○山本(利)委員 われわれは一つの強力なる論理的根拠になると思う。今日は時間がないから、あえて大西洋憲章やカイロ宣言等についての詳しいことは言わないけれども、これはりっぱに重光外相が努力されることについて、理論的にも感情的にも根拠があると思う。とにかくわれわれは国会として残念なことだと思うから申し上げたのであります。 もう一つ、外務大臣にお尋ねいたしたいことは、今日本におる朝鮮人、ことに北鮮系の人たちが国へ帰りたいと言っておるのである。これをなぜ帰さないのであるか。今国際連合加盟の問題が非常にやかましいときであるから、とかくみんなの神経がそこへいくけれども、わが国の外交としては、この間幸いにカンボジア問題は解決いたしましたけれども、フィリピンの賠償の問題であるとか、あるいは韓国との日韓漁業関係を中心とするたくさんの問題、さらに北鮮、中共等の問題、それらのいずれもわが国としては重大な問題であるから、われわれ外交を論ずる者、あるいは責任のある者はこれを忘れてはならぬ。ことに李承晩の態度というものはわれわれは納得できない。しかしいつまでも理論的に戦わない李承晩に遠慮をして、北鮮との関係というものをわれわれはないがしろにしてはならぬ。たくさんの北鮮人が今帰りたいという。ある時代においては南鮮の神経を刺激するからどうも帰せない。南鮮側から言えば、今日本におる朝鮮人が北鮮に行ったならば、これは労働力を提供することであるといったような意見もあった。その後帰りたい者は自由だというようなところまでは、この前の外務委員会等において答弁があったと思いますけれども、しかし日本は戦争中は、日本人であるから今回の戦争に協力せよといって、朝鮮人を日本人扱いにしておった。終戦後においては彼らの行動にいかがわしい点もありましたけれども、この人たちは今生活に困っておる。北鮮では帰って来たならば職を与えると言っておる。だから帰りたいと言う。ちょっと帰って、こちらへまた帰るということは別個の問題です。われわれが許す許さぬは別個の問題である。とりあえず帰りたいという、しかも北鮮政府は迎えてやろうという際において、われわれは帰さなければならぬ。その帰すときに困っておる者には場合によっては何万円という金が要るかもしれぬ。勝手に帰れと言っても生活の保障のない朝鮮人が、自分で船賃の払えるわけがない。だからかつて日本人であると言ったわれわれでありますから、朝鮮人に職を与え、その生活を保障してやるか、そうでなければ、それのできない現状であるならば、とかく彼らはわれわれの社会生活を脅かすようないろいろな問題を起しやすいのでありますから、この際は今度の三十一年度の予算、できるならばその前に、予備金を使ってもいいから、何とか船の都合をつけて、帰りたいという人は、南鮮であろうが北鮮であろうが、どんどん帰すことが、日本の人口問題を解決するところの一つの問題でもあるし一また国交を円満に解決するところの問題であると考える。この点について十分の努力をされる意思があるかどうか、あるいは私の質問に間違ったところがあるかどうか、外務大臣の御答弁を承わりたい。
○重光国務大臣 私も御趣旨には賛成でございますが、今日では朝鮮人も外国人でございます。これは出国は随意に自由にやらしております。ただ元日本人として扱ったから、その生活の保障まで考えたらいいじゃないか。私も私情としては実際そういうところまでやりたいと考えております。しかしそれぞれなかなか容易な問題ではございません。生活の保障までもし、船賃まで出してやろう。——ただこういうことはできます。できるだけ便宜を与えていこう。私はそれでやっておるつもりでございます。そこでこれらの外国人が自分の行きたいところに日本から出国する、これは自由にいたしておりますことを申し上げます。
○前尾委員長 細迫兼光君。
○細迫委員 外交の根本問題に触れたいと思います。すなわち問題はいかに神経の鈍い人でも、今やわが国の外交方針に一大転換をせしめなければならぬということに気がつく時期ではないかと考えるのであります。すなわち従来の日本の外交方針は、いわゆる自由陣営に属してということでありまして、アメリカとかたく手をつないでという方針でありました。アメリカの東洋における、というよりも世界における最も忠実な番犬的な関係にある者は、李承晩、蒋介石、これにかつての吉田・岡崎、この三者がアメリカの三羽ガラスでありました。この三羽ガラスは最も仲がよくなければならぬはずである。ところが日本で今一番緊張しておる問題は何ですか。李承晩との間の問題じゃありませんか。まさに火花を散らせという国論も起っておる。あるいはまた台湾にいたしましても、現に硫安なんかでも、中国が買おうというよりも安い値段で売っております。あるいは砂糖なんかでも、国際価格よりも高い値段で買っております。そんなばからしい商売を台湾との間にしなければならぬような状況になっております。しかも今度の国連加盟が阻害されたほんとうの原因は、蒋介石が拒否権を行使したことに端を発しておることも、これまたいなむべからざることであります。かくのごとくアメリカの最も忠実な三羽ガラスと言われた、最も親密でなければならぬ蒋介石、李承晩から最も熱い煮え湯を飲まされた状態である。わが国の根本的な外交方針として、相変らずのアメリカの三羽ガラス的な地位、三羽ガラス的な方針をとっておって、一体日本の利益になるかどうか。われわれはすでにこれに深い疑問を持ってきつつあったのでありますが、今やこれはまぎれもなく考え直さなければならぬ時期に到達している。いかなる神経の鈍い人でも考えざるを得ない時期ではないか。この、今や外交方針の根本的な転換時期に立っているのではないかという点についての外務大臣の御認識、御意見を一つ承わりたいと思うのであります。
○重光国務大臣 私は、今回の国連加盟の問題について現われた国際間の情勢というのは、つぶさに検討を要する問題だと思います。今の御議論もそういう方向に向いておると思いますが、私は、それはそうだと思います。国際連合を中心とする情勢がどういう影響を日本にも与えるか、また日本は将来どういう対応策をとらなければならぬかということについては、私は十分検討の値打があると考えます。それは大局上から考えてみても、またある意味の小局の点から考えてみてもそう言えます。それだから今まだ国際連合をやっておるときに、日本の立場を急激に変更しなければいかぬ、——アメリカとの連係はやめて、どこと連係をするのか知りませんけれども、非常な誤解を与えるような政策の転換をすぐ責任者が議論する、こういうことは早まったことだと私は考えております。その点に対して、昨日あたりから伺っておる社会党の御議論には非常に傾聴すべき点が多々あるので、これは私も傾聴いたしております。しかしそれだからといって、この問題の検討をきわめて冷静に客観的にするだけの手続を経ずして、早急に従来の方針の変更を必要とするということに私は賛成するわけには参りません。従来の通りにいって、そうして検討をした上で必要な対策を講ずる、こういうことを総理も答えておられますし、私もそれが常識であるように考えます。
○前尾委員長 細迫君、できるだけ簡単にして下さい。さっきから何回も大臣は参議院から呼ばれておりますので……。
○細迫委員 しっかり御勉強を願います。実際この間の原爆禁止の大会なんかにもソ連とポーランドとの代表、あるいは中国の代表なんかは結局入国を許可したにかかわらず、北鮮の代表はとうとう拒否したというような、李承晩に対してはれものにさわるような態度、あるいは中国とあまり貿易をやったら蒋介石が怒るだろうという、これもはれものにさわるような態度、こういうことはやめて、きぜんとして日本の利益本位のわが道を進むべきだと思うので、一つしっかり御勉強を願いたいと思います。 では問題をかえまして、もう一点だけお聞きしますが、中国との間に、御承知のように民間の貿易協定がまたできました。あれにつきまして、聞くところによりますと、アリソンから抗議的な横やりが入って、日本政府は中国との民間同士の貿易協定をのほほんと見ておる状態、黙認しておる状態であると言ってきておる。これに対して重光外務大臣はその談話におきまして、民間協定なんかは認めないんだというようなことを言っておられる。これは今私が申し上げた外交の基本方針に反し、また重光外務大臣が検討しようと言われる問題にまさに触れてくるのでありますが、一体重光外務大臣としましては、あの中国との民間貿易協定は、前には促進に援助するというようなことを言っておられましたが、またちょっと風向きが変ってきたのではないかと私は憂えるのでありますが、民間協定に対する御態度を一つ鮮明していただきたいと思うのであります。
○重光国務大臣 その問題は、国際情勢一般の問題に対処する方針と直接の連係はないと私は考えております。民間でやったことに政府は責任がないということは、これは当然のことでありますが、しかし政府が話し合いを直接することができない立場におる場合において、必要なことを民間でやるということも、これはやむを得ないことだと考えます。従いまして、たとえば貿易の問題ではなくして、抑留者の返還の問題のごときは、赤十字が活動したということも過去の歴史にある。これは今日は政府が直接出ております。貿易の問題は、政府としては国際義務に反しない限りこれはやろう、こういう方針を終始一貫、今回の問題の始まる前からとっております。そこでその範囲内において民間の取りきめ、契約がいろいろあり得るわけであります。今回の民間の通商取りきめの問題は、私はその範囲内においてけっこうなことだと思います。ところがその中には国際的な義務、いわゆるココムの禁止品目などがたくさんある、こう承知をいたしております。さようなことであるならば、これは調整を要します。調整をすればいい話であります。さようなわけでありますから、私は方針はきわめて明瞭にとっておるつもりでございます。
○前尾委員長 これで大臣は参議院の方へ行ってもらいます。事務当局に対して御質疑がありましたら……。
○並木委員 条約局長に確かめておきたいのですが、駐留米軍で外国の軍隊を訓練するという問題でございます。この前たしか条約局長は現在の行政協定では外国の軍隊は駐留米軍の中に入って訓練を受けることはできないから、これは日米合同委員会の議にかけて行政協定を改正する必要があるという答弁をしておったと思います。その後これはどういうふうに交渉が進んでいるか、それについて伺いたいと思います。
○下田政府委員 米軍の施設内で東南アジア諸国の軍人の訓練をするということは行政協定上できないとは私は申し上げたことはございません。この行政協定締結のときにはそういう事態を予想していなかったということを申し上げたのでございます。そこで現行の条約または法令の範囲内において、そういう便宜を供与できるならこれは何にもしないで許すことができるわけでありまして、つぶさに関係省で検討いたしましたところでは、現行条約及び法令の範囲内で向う側の要求を百パーセントかなえることができるかどうかという点につきましてはなお疑問の点がございます。そこで現行協定及び法令の範囲内でなし得る便宜に満足するなら直ちにもでき得るわけでありますが、向うの要求を百パーセント満足させるためには、何らかの措置を必要とするということに相なるかもしれません。ただいま関係省でどの線まで便宜を与えるかということの検討をいたしまして、そうしてその結論を先方に提示いたしまして、それで先方が満足するならば便宜を供与するということに相なりまして、その際はいずれ取りきめを締結しなければならないと思っております。その取りきめを国会に提出してその承認を求める必要があるものになるかどうかということは、その内容いかんにあるのでありまして、これは今後の問題であります。
○並木委員 そうすると、当然今まで訓練を受けていた人はストップしてこれを本国に帰すとかなんとか処置されたと思うのですが、現状はどうでしょうか。
○下田政府委員 これは日本政府の検討期間中はただいま受け入れを停止いたしております。
○岡田委員 先ほどの条約局長の御答弁でわからない点があるのですが、もっと明確にしてもらいたいと思います。行政協定で外国の軍隊が——アメリカ以外の外国の軍隊が駐留することはできないということはないという意味です。そう言われましたね。そうすればその解釈というのは、できるということを意味しておるのですか。それはどの規定においてやられているのか。ということは、われわれの理解と正反対だと思うのです。行政協定の基本条約というのは御承知のように日米安全保障条約です。日米安全保障条約の概念は集団安全保障の体制のその前段としての——賛成、反対はともかく別として、概念としていわゆる個別的な取りきめ、暫定取りきめとしての個別的な取りきめの性格を持っております。そうすると、日本とアメリカ二国間における安全保障の体制はこれによってできるけれども、それ以外の第三国から日本の国にこれを受け入れて、そのための訓練がなし得るという条文上の規定というものは私はないと思う。あなたのできないのではないという意味の表現については、これはできるという意味もあるし、それ以外の不明確な意味もありましょうが、できないものではないという論拠があるならば、具体的にどの条文上の論拠に立ってその点を御説明になるのか、できるというのならばどの点に条約上の条文の論拠があるのか、この点をもう少し具体的にお示しを願いたいと思います。
○下田政府委員 行政協定のもとにおいて米軍に提供した施設、演習場とか宿舎とか、そういうものを米軍に貸すのをやめて、タイあるいはインドネシアの軍人に使わせるというように、目的をがらりと変えてしまうことはできません。これはもう明らかです。ただ世の中では規則というものは国内社会でも国際社会でも規則一点張りでは生きていけないものでございます。議員食堂はほんとうは議員だけしか入れないのでありますが、私どももときどき入れさしていただいて御飯を食べさしてもらっております。つまりそういう融通ということがあるのでございます。でございますから米軍の施設へアメリカの政府の役人が来ますと、実はこれはシビリアン・コンポーネントでもなんでもないですが、やはりこれはお客分として見せてやる、あるいはオネスト・ジョンを見に、日本の国会議員も新聞記者も行かれます。そうしてPX内で紅茶の一ぱいもごちそうになるということもあるのです。これは規則では正面からは認められないことですけれども、例外的に認められるということによって、国内社会でも国際社会でもゆとりを生じているというのが実情でございます。でありますから行政協定締結当時この問題は予想されておりませんでした。ですから白紙に生じた問題であります。その白紙を、これが目的をがらりとかえてしまうというようなことはできませんけれども、米軍のお客分として宿舎に泊るのでも、宿舎が百あるときに、その一部屋か二部屋にお客さんを泊めてやる、あるいは訓練といいましても何も部隊訓練をするわけではありません。飛行機のオーバー・ホールを見るとか、あるいはパイロットの養成方法を米軍がどうしておるかということをわきから見学するというのが、今度の訓練の実態なのでございます。そうしますとこれは全く米軍のゲストでございます。ゲストですが、ただそのゲストが膨大な計画で定期的に永続的に行われるということだったら新事態になって参ります。そこでまあごくわずかでしたら、米軍を信用して、何もしなくても国際間では普通に行われておることであります。アメリカ側ではやはりアメリカの対外援助計画に基く一環としてやろうということになって参りましたので、それならばやはり国家としてただ目をつむって認めるというわけには参りません。そこで何らかの取りきめを必要とする事態に相なっております。ただその取りきめが現行の条約に手を触れるあるいは現行の法令に手を触れるということになりますと、これは大事になります。あるいはそういうことになるかもしれません。それは先方が百パーセント便宜の供与を主張する場合には、どうもそうなら、ざるを得ませんが、向うもそうまでは主張しないということになりますと、これは融通をきかせるということの趣旨で、私はケリがつくのではないかと思っております。 〔委員長退席、山本(利)委員長代理着席〕
○岡田委員 今の論拠は食堂議論です。食堂議論ではあなたの法理的な論拠にはならぬ。あなたはアメリカへ行って食堂論議をするわけにはいかぬだろうから、それは食堂議論というのはいわゆる議会答弁であって、私はそれで納得しますとは言えないのです。それはゲストという場合もあるでしょう。例外の規定もあるでしょう。しかし例外という場合は大体において一回限りですよ。しかしゲストということになったらこれは性格が違います。たとえばゲストでアメリカのものを見たいというならば、何も日本に連れてくる必要はないじゃありませんか。向うさんがゲストで見に行きたいなら、アメリカ本国に見に行ったらいいじゃありませんか。日本が何のために協力する必要がありますか。そういう点だって論拠として成り立たない。だからそのゲストとしての取りきめをしたいというのですが、あなたのお話を聞いていますとこの点は確かです。アメリカの軍事政策の一環としてこれら第三国におけるいろいろの訓練上の問題について、アメリカの訓練を見せるためのゲストということになってきますと、それは明らかにもはや日米安全保障条約の範囲外のものである。もしそういう取りきめをおきめになるならば、これは当然新たなるトリーテイとしてお扱い願いたい。行政協定の中の一部として扱うべきではないと思う、これは当然国会の承認を得べきものであると考えるのだが、いかように御解釈になるのか、先ほどの御答弁を聞いておると、何か行政協定の一部の変更として例外的なものとしての取りきめであるから、これは単なるアグリーメントの程度で、行政措置として行い得るのだというような意味のことを言われたように私は理解できるのだが、この点は関連質問ですからあまり言いませんけれども、あとでもしそういうお考えであるとすれば、日を改めて私もう少しあなたの御見解を伺いたいと思います。
○下田政府委員 法律的根拠は例外として認めるということに相なります。その例外が、日本にも、アメリカにも、東南アジア諸国にも、三者に有利であるということならば、その例外を認めることは一向差しつかえない。これは現は国際間でもしばしば行われておることでございます。ヨーロッパでは、NATOの本部はフランスにございまして、そこへヨーロッパ各国の人がたくさん行っております。私も国際会議で、占領時代にパリへ参りましたときに、日本はNATOの当事国でも何でもないのですが、米軍の宿舎で飯を食わしてもらったりしたこともございます。つまりそういうことは、フランスのごとき、軍人でも何でも、ツーリストがそれだけ大ぜい来れば、フランスへ金を落すのだから大歓迎だということで、ちっとも区別なくやっております。日本に来ようというその一番大口では、タイの陸海空の中堅将校三百人の要請があった。これをとめておりますが、これなんかも実は米軍の視察に名をかりて日本に来たい、そしてついでに日本の工場を見せてもらって、日本でできるのなら、なるべく日本に注文を出したいというようなことでおいでになる。ですから、そうなれば日本は何もゲストに便宜を与えることを目にかど立てて拒むよりも、それが日本のためになるのなら、そういう例外を融通をきかしてやるということは、国際上しばしば行われておることで、ちっとも私は差しつかえないと思います。 なお最後の、その取りきめが協定ないし法令に影響を及ぼすものでありましたならば、これは当然国会に提出いたさなければならないと思っております。
○並木委員 それから行政協定の問題ですが、オネスト・ジョン——これは私どういう兵器を持ってきても、現在の行政協定違反という問題は起らないように思っておったのですけれども、重光外務大臣は、オネスト・ジョンは攻撃的武器でない、防御的武器だからいいのだというような答弁をしているので疑問を持ち出したのです。そういう区別をすることが、かえって将来に禍根を残すのじゃないでしょうか。どういう精鋭な武器を持ってきても、あるいは早い話が原子爆弾を持ってきても、現在の行政協定で差しつかえないのだという建前——ただその使用が問題だ、日本の自衛のために、安保条約の限度内で使うか、それ以外で使うかという使用の方法が問題であって、兵器そのものの区別で問題を片づけようとすると無理がいくのじゃないか。ボロボロのセコハンの役に立たないような兵器ばかりもらって、MSAのおこぼれをありがたがっていれば、野党の方は御満足だ。そういうことになる。ああいう区別でいくと私は問題になるのですが、その点はっきりしておいていただきたいのです。現在の行政協定で、かりに原子爆弾を日本に持ってきたとしても、それで違反にならないのだ、問題にならないのだ、こういかないとうそじゃないでしょうか。
○下田政府委員 法律論といたしましては、行政協定には米軍が持ち込み得る兵器について何ら制限がございません。そこで問題は、法律論ではなくて、政治論でございます。政治論から申しますと、行政協定の目的というものは、そもそも安保条約に基いて日本に来る米軍の配備を規律する条件を定めたものでございます。そこで安保条約の目的は、これは極東の平和と安全の維持とにある、日本の安全の維持ということでございます。そこでその大目的に照らしますと、たとえばアメリカが日本を原子爆弾の貯蔵基地にして、ここを中心にするとか、あるいは原爆の製造工場を作って、大センターにするとかいうようなことになりますと、これは政治論といたしましてちょっと安保条約の目的を逸脱するではないか、そういうことまで日本は応諾する必要はごうもないわけであります。それから重光外務大臣がしばしば申されるように、行政協定の締結当時は、原子兵器持ち込みというようなことは予想していなかった時代であります。ですから、法律論としてでなく、政治論として、予想しなかった事態をここに現出しようという場合には、当然日本側の承認を求めてからやるべきだということを言っておられるわけであります。それは私は政治論として正しいと思います。
○並木委員 最後に中川アジア局長に日韓問題について伺いたい。これは国連問題で日韓問題のその後の決着というものが影を薄くしておりますが、どうなっておりますか。日韓問題の李ライン交渉については、久保田発言を取り消すべし、財産権の請求権を放棄すべし、大村収容所の韓国人を釈放すべし、この三つの条件を出しておりますが、これに対する政府の態度ははっきりきまったのですか、どうですか。
○中川(融)政府委員 日韓問題の早期解決につきましては、先般国会の決議もございまして、あの趣旨に基きまして、政府としてはできるだけ早くこれの解決をはかりたいということで、目下いろいろ苦心してやっております。これにつきましては、韓国と直接交渉することはもちろんでありますが、なお双方にとりましていわば共通の友邦であるアメリカにも、強力にこれの協力を要請いたしまして、いろいろな方法をもちましてこれの解決をはかりたいということで努力いたしております。大村収容所の問題は、これらの根本的な問題とは切り離しまして、ぜひ早期に解決し、これによって韓国に不法抑留されておる日本人漁夫の早期帰国をはかりたい。これも努力いたしております。いずれもまだ具体的結果を見る段階には至りませんが、そのうち早期解決を要するような人道上の問題につきましては、とにかくできるだけ早く実現したいということで進んでおります。
○岡田委員 これはあまり下田さんとやり合うのも好かぬのだけれども、下田さんは国際協力局長ではないからそういう点詳しく御存じないと思うのですが、法律論としてはあるのです。あなたの御意見は私は間違いだと思います。というのは、日本に受け入れる兵器の種類というのは、行政協定に基いて、日米合同委員会の合意に基いてそれぞれの軍事基地をきめる、この軍事基地をきめるときに、細目上の軍事基地の中にはどういう大砲を入れ、どういうものを入れるという列挙主義で大砲の種類が書いてあるわけです。すなわち、臼砲を入れるとか、たとえば千歳においては、臼砲、戦車砲その他を入れる、あるいはこちらの方には何砲を入れる、無反動砲を入れるというようなことを法律の明文上に明記するわけです。ですから、法律上の論拠としては論理的にあるわけです。政治論だけで何を入れてもいいということにはならないわけです。この点は、あなたは条約局長で、国際協力関係とは御関係がないから、私は御訂正を願っておいた方がいいと思いますので、この点だけを申し上げておきます。
○下田政府委員 それは仰せの通りでございます。私の申し上げたのは、行政協定上は兵器の制限がないということを申し上げたのですけれども、行政協定に基いて、現実に合同委員会を経まして、あるいは地方の知事等の当局と個々の施設についてどういうものを使うかということについて制限的な取りきめをするということは一向差しつかえないと思っております。また原子兵器は受け入れないという協定をしても差しつかえない。それは協定では白紙になっておりますから、その白紙の中でまたこまかい取りきめをすることは一向差しつかえないと思います。
○岡田委員 私の言うのは、そういうこと自体が法的基礎を持っておるというのです。ですから、勝手に何を持ってきてもいいということにはならないということを言うのです。その点を明らかにしておいていただきたい。
○下田政府委員 個々の施設については仰せの通りでございます。
○菊池委員 外務省に入りました情報をちょっと聞かしていただきたいのでありますが、ソ連の方は日本の国連加盟は次の機会に支持しようというような言明をしておりますが、その後台湾の方を打診せられたでしょうか、あるいは米国を通じて台湾の意向を打診せられたことはありませんか。
○中川(融)政府委員 国民政府は日本の加盟については終始一貫協力しておるのでありまして、賛成であります。従って国民政府に関する限り日本の加盟について異存はないと思います。
○菊池委員 外蒙はどうです。
○中川(融)政府委員 外蒙の点につきましては国民政府は終始一貫反対であります。従って日本と組み合せというような場合においてもなお反対であるという態度が続いておるわけであります。
○菊池委員 これまでの日ソ交渉は民主党内閣の交渉でやってきたわけでありますが、新たに新党ができた場合においては、やはりこの新党としての外交方針を打ち出すべきであろうし、またそれは当然のことであろうと思うのでありますが、今後もやはり日ソ交渉につきましては民主党内閣以来の外交方針を堅持して変えないつもりでありますかどうですか。
○下田政府委員 事務当局からお答えする問題ではないかと思いますが、重光大臣はこういうお気持であられると思います。つまり国内的には保守合同という大きな形勢が実現いたしまして、そして保守新党、自由民主党は一つの日ソ交渉に対する基本線を出しておられるのですが、その基本線は政府の従来の方針に含まれておる。であるからそういうものを含んでおる政府の既定方針で交渉を推進していきたいというのが、大臣の考え方であろうと存じます。
○菊池委員 そうしますと、今までのようにやはり懸案を先に解決して、条約の締結はあとというような方針でございますか。
○下田政府委員 これは平和条約を締結することによって国交を正常化しようという基本点につきましては、日ソ間に完全なる意見の合致がございます。ですからその問題は平和条約に盛るべき内容についての話し合いになっております。でございますから、その内容についての話し合いをここに円満な解決に持っていこうというのが、ただいまの政府の交渉の努力に相なっております。
○菊池委員 今までは歯舞、色丹だけの要求を出しておいて、南千島はあとからくっつけたようでありますが、今後の外交折衝方針としては、歯舞、色丹も南千島も一括して要求するつもりでありますかどうですか。
○下田政府委員 これも政府の方針は当初以来一貫しております。つまり今仰せになりましたように、歯舞、色丹にあとから追加して南千島をくっつけたのではございません。日本の当初のラインは南樺太、北千島、南千島、歯舞・色丹という四つの段階のすべてを日本に返してもらいたいという主張であったのであります。それで去年の八月にちょうど半分のところまで日本は譲歩したのであります。つまり南樺太、北千島は桑港条約の関係もあって日ソ間だけではきめられないのだから、これは国際的解決へ将来問題をポストポーンしよう、そして本来日本の領土である南千島、色丹、歯舞は返してもらいたいというところに昨夏日本に譲歩したというのが実情であります。
○菊池委員 そうしますと、松本全権が日本に帰ってきて新聞の座談会で発表しましたのはうそでございますか。最初は歯舞、色丹を要求しておいて、あとから有千島をくっつけられたのでやりにくいと言っておりますが……。
○下田政府委員 松本全権がそう言われたかどうか私どもは聞いておりませんので、あるいは報道機関でそういうふうにとられたのかもしれないと思いますが、とにかく明らかなことは、先ほど申し上げました領土問題につきましては四段階がありますが、日本は現在は半分の二段階のところへおりているというところでございます。
○菊池委員 日韓合併条約であるとか、あるいは日韓保護条約というものがまだあるのでありますが、これは韓国の独立当時抹消さるべきものであったわけであります。これには何か事情がございますか。まだ存続しておりますか。
○下田政府委員 条約がなくなります場合に、当然その条約を真正面から否定するような事実が発生した場合には、当事国間で何らの意思表示をしなくても終了する場合がございます。御指摘の日韓合併条約及びその前提となりました日韓保護条約というものは、桑港条約で日本は韓国の独立を認めるという規定を受諾しておりますので、これは合併、保護両条約は完全に終了しているものと認めるべきであると思います。
○戸叶委員 これは条約局長に伺うべき問題かどうかわかりませんけれども、先ごろ議員の方がヨーロッパへ回りましたときに、コペンハーゲンをたまたま訪れましたところが、そこにおられます日本の商社の方々の要望だったそうでございますけれども、コペンハーゲンの付近と日本とは貿易なんかも一億四、五千万円ぐらい年々やっているし、そこに日本の領事館なり何なりがないということは非常に不便だから、何とか考えてほしいというような強い要望があったそうでございます。この点は日本政府として、外務省としてはどういうふうなお考えでいられるのか、近いうちに設けられるようなお考えがあるかどうかを伺いたいと思います。
○下田政府委員 デンマークは日本の独立回復当初から日本に公使館を一方的に置きまして、早くから相互に公使を交換したいということを申しておりました。来年度予算では外務省は公使館設置の要求をいたしておりますので、何とぞ御支援を願いたいと思います。
○山本(利)委員長代理 暫時休憩いたします。 午後零時七分休憩 ————◇————— 〔休憩後は開会に至らなかった〕