外務委員会 第8号
- 発言数
- 157 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1955/12/12
会議録
○前尾委員長 これより会議を開きます。 万国著作権条約の批准について承認を求めるの件外三件を議題といたします。質疑を許します。 質疑はありませんか。――御質疑がなければ、これより討論、採決に入ります。討論の通告がありますので、これを許します。 穗積七郎君。
○穗積委員 私は社会党を代表して、ただいま議題になりました万国著作権条約及びその条約の三附属議定書の批准に承認を与える問題について賛成の意を表したいと思いますが、その場合に次の点について特に政府当局の善処方を要望いたしまして、それが確約されることを条件として賛成をいたしたいと思います。 実はこの条約は、第一点は日本がベルヌ条約に一方入り、そして新たに今度また万国条約に入るわけですから、その問いささか錯綜する点が疑点としてあったわけでございますが、政府の今までの御説明によりますと、多少混乱する危険があるように見えるけれども、その実害はほとんどないということで御説明がありましたので、その説明をわれわれは信じておりますが、ただ問題になりますのは、この条約の解釈を統一するための国内法が整備されていないということ、本来から申しますならば、この国内法がちゃんと整備されて、著作者の権利が何らの疑点を残さずに確保されることが、私はこういう条約を締結する場合の前提条件であると考えておったわけです。そのことについては、本来からいきますというと、それがきまりましてから、その法律が制定されました後にこういうことを審議すべきでございますが、対外的に見ますと、今国会中にこれを通しませんと、来年四月のアメリカとの条約切れになって無条約状態になる危険があるという時間的な制約があること、それから国内におきましては、政府当局は責任を持って次の通常国会には必ずこの国内法を整備して、提出して、審議して法律の成立を期待するということでございます。従ってそのことは、すでに野党であるわれわれも内容によりまして当然のものであると信じますので、政府のその説明並びに確約を私は条件といたしましてこの協定を批准することに賛成をいたしたい、かように思います。
○前尾委員長 石坂繁君。
○石坂委員 私は自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題になっておる法案に対しまして賛成をいたします。
○前尾委員長 ほかに討論の通告がありませんので、討論はこれにて終りました。 次に採決いたします。万国著作権条約の批准について承認を求めるの件、万国著作権条約の条件附の批准、受諾又は加入に関する同条約の第三附属議定書の批准について承認を求めるの件、無国籍者及び亡命者の著作物に対する万国著作権条約の適用に関する同条約の第一附属議定書の批准について承認を求めるの件、ある種の国際機関の著作物に対する万国著作権条約の適用に関する同条約の第二附属議定書の批准について承認を求めるの件をそれぞれ承認すべきものと議決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○前尾委員長 御異議がなければ、さように決定いたします。 なお右各件の報告書作成については、これを委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○前尾委員長 それではさよう決定いたします。
○前尾委員長 次に原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。質疑を許します。 穗積七郎君。
○穗積委員 外務大臣にお尋ねいたします。 ただいま議題となりました原子炉建設に対して日米間で受け入れの協定を結んだわけでございますが、この問題は非常に重要な内容を含んでおると思いますし、また日本の原子力産業開発のための将来を考えますと、非常に慎重に審議しなければならぬとわれわれ考えております。各協定の逐条につきましては、あらためてまた関係事務当局の方に正確な御質問をして正確なお答えを得たいと思いますが、きょう大臣にお尋ねいたしたいと思いますのは、この協定につきまして、政治的な、一般的な御質問をいたしておきたいと思うのです。 まず第一にお尋ねいたしたいのは、二十二国会当時に、例の仮協定を結ばれる前後でございましたけれども、すでにアメリカが第三国と結んだ協定のやり方等をわれわれは参考にいたしまして、特に政府の関係当局に要請をし、確約を得ましたことは、本協定の細目協定まで明らかにして、しかる後に国会に御相談をいたしましょう、こういうことであったのでございます。ところが今度国会に提案されましたものは細目協定はついていない。伺いますと、細目協定につきましては、話し合いはしておられるようだが、まだ結んでおられない、そうしてそれを国会に対して相談をする、審議にかけるということを言われたのは一体どうなったのかといって、他の委員がお尋ねいたしましたら、予算措置を必要とするものについては、これはやがて近く結んだ後に御相談をいたしますというような御答弁があったようでございます。これは質問いたしましたその委員から私が間接に聞いたことでございますから、誤まりがあれば明らかにしてもらいたいと思うが、予算措置を必要とするもりだけをわれわれは問題にしているのではございません。特に御承知の通り、七条その他におきまして重要な秘密保持の問題がございます。これが一体どういうふうに、この協定が結ばれた後にアメリカに対して日本が義務を負うのか、そしてまた義務を負った日本政府が、日本の原子力の技術者あるいは学者あるいは関係業者等に対して、一体どういう措置をおとりになろうとするのか、そういう点で実はわれわれはこの細目協定を重視しておったのでず。ですから、そういたしますと、予算措置を要するものは、われわれが質問をしてお尋ねしなくたって、当然こんなことは言わずして国会にかけるべきことは自明の理でございまして、われわれが特にやかましく言いましたのは、先ほど言いました秘密保持に対する細目協定並びにその国内の取締りの措置についてでございました。ですからそういう点を一つの大きなポイントとして頭の中に入れておいていただいて、細目協定が前の国会で、この委員会で、高碕長官その他から約束をされながら、その約束を破ってこういう提出をなすったことに対して、どういうことであるのか、その間の事情とお考えを一つはっきりしておいていただきたいと思うのです。
○重光国務大臣 御質問の点は私はよく了解をいたしました。細目協定締結前になぜ出したか、御質問の要点の一つがそれであったと思います。この原子力協定は基本的なものでございます。そこでわが方においては原子炉を早く受け入れて、そして原子炉の建設をし、またそれに伴う国内的の施設を早くこしらえなければなりません。そこでそういうことを早くやらなければならぬという要請が、国会の内外から非常に起ってきたことはこれまた御承知の通りだろうと思います。そこでとりあえず原子力、原子炉に関する協力協定を早く、これは出立点になるのだから早く実行に移して、わが国の原子力の平和利用に関するすべての施策を一刻も早く進めていきたい、こういう考えで要請があって、その要請は単に政府側の考えだけでなくして、ほとんどこれは党派にかかわらずその希望を持っておる、与党も野党もそういう考えであるということをわれわれは伺ったので、それはどうしてそういうことになったかという一々のことは私は存じませんが、そういう要請が内外に起っておる。それならば早くこれは出した方がいいじゃないか、細目協定はおおむねどういうものであるかということは、もうすでにわかっておるのであるから、早く国会の承認を得ておいた方がほんとうじゃないかという考え方でこれを出したわけでございます。 そこで、原子力細目協定がないのが不都合である、その前に出したのが不都合であるというお話も、一応ごもっともではございますけれども、さような事情でこれは取り急いだ方が、すべての方面の要請に沿うことだ、こう考えまして国会の御承認を得るために提出いたしました。その点において御了解を得ることができますかどうか。 それから細目協定はどうしてもこしらえなければなりません。ところが細目協定をこしらえるためには、これはいろいろな炉に関する問題、荷作り費、形成費等の部分まで細目協定に入れなければなりませんので、原子炉に関するわが国の計画が確定すると同時に細目協定ができ上ってしまい得るのでございます。そこで、さようなことでまだ細目協定がでぎておりません。しかしその細目協定ができれば、これは形式いかんによっては、また批准を要請することになるかもしれませんが、しかし今は批准を要請するということはあるいは必要がないかと思いますけれども、私はこれはでき次第議会に出して御批判を仰ぐということは当然のことだと実は考えております。さようなわけで初めの予定とは少し前後はいたしましたが、その前後いたしました理由はさような理由でございますから、その点を御了承を得れば幸いと思います。
○穗積委員 せっかくの御答弁でございましたが、実はまだそれだけでは了解を得られないわけでございます。第一大臣は党派を超越し各界各層の諸君が、一日も早くこの協定を入れろということを言っておるとおっしゃいましたが、それは何を根拠にしてそういうことをおっしゃるか、もとより日本の原子力の研究自体については、一日も早くやるべきだということについては、それはみんな考えておるでしょう、おりますが、こういう形でいろいろな義務を負いました二国間の協定を、しかも細目協定も付さないでもいいから早く通してしまえというようなことで、野党の諸君もとおっしゃいますが、私は野党の一員でございますが、社会党の中のある個人はそういう希望を言っておったかしらぬが、社会党といたしましては、そういうことは一ぺんも言った覚えはございません。これは私個人の意見ではございません。社会党としては、あくまで細目協定は先ほど言ったような点に特に重点を置きまして、そうして明らかにすべきである。しかもそれは、あるいは政府の取扱いとしては、批准の承認を求めて国会の審議にかけるか、あるいはそういう手続はとらないで報告の方法にするか、それは二つの方法があろうと思う。そのとき、われわれはあくまで本協定同様、重要な国民の予算問題だけでなくて、権利義務に関する問題を含んでおるから国会に通すべきである、しかもそれは同時に審議すべきであるという態度を堅持して今日まで参っております。ですから、その点は外務大臣におかれて誤解でございますから、その誤解を取り消しておいていただきたいと思います。野党の諸君も細目協定なくても一日も早く日米協定を通すべきだという了解をしたとか、賛成をしたとか、促進したとかいうような事実はどこにもございませんから、それは私は党として申しておるのですから、その点は明らかにしておいていただきたいと思います。 それから、のみならず各界と言われますが、これが早く建設に手をつけたいと、政府から特別の権利を与えれらてやりたいと思っておられる財界の諸君は、政府のしりをたたくほど熱心に希望しておられるでしょう。しかし問題は党派を超越して全部一致しておると言われる。さらに民間においても各界各層というような、言葉は別ですが、そういう印象を与える言葉でしたが、各界におきましても細目協定ないしは国内の基本法等をちゃんとした軌道なしに、何でもいいからこれを早くやれなどということは、全部の人が言っておるわけではございません。その点も外務大臣の誤認でございますから、認識を改めていただきたいと思います。 そこでそれだけのことでございますから、従って今の御説明では、細目協定なしに本協定をお出しになって、前国会でわれわれに対する約束を破られた理由として、われわれは納得するわけには参りません。そこでお尋ねいたしますが、細目協定を出さなくてもあらかたわかっておるというようなことでございますが、それは一体どうなっておるのか。ですからここでもう一ぺんその問題についてお尋ねしたいのは、第一点は、一体この話し合いはどういうふうにどこまで進んでおるのか、それから第二点は、わかっておると言われるなら、そのわかっておる内容を正式な協定として国会に出される前でもけっこうですから、この際内容を説明していただきたい、その二点でございます。
○重光国務大臣 私は野党がどういう約束をされたとか、どういうふうにやられたとかいうことを、法律的にと申しますか、そういうふうな意味一で申し上げることはできません。しかし私が今申し上げた趣旨は、それは各界と申し上げたかもしれませんが、日本の原子力の平和利用に対する研究を一日も早く進めたいということについては、私は日本の国中異論はないと思うのです。だから私はその意味で申し上げたので、それではどういう約束をするかというと、その約束はこういう約束であると私は前に申し上げたのであります。つまり細目取りきめの要綱を明らかにした上で調印する、こう言ってその内容の要綱を明らかにしておるわけでございます。その点は私は、細目協定を調印して、調印したものを出す、こう言って約束をしたことにはなっていないそうでございます。それだから細目協定について申し上げないというわけでは決してございません。しかし細目協定を調印して、それを出して後に協定をする約束をしたじゃないみ、約束を破ったのはどうか、こう問い詰められるならば、私は細目取りきめの要綱を明らかにした上で調印する、こういうことを繰り返し前回申し上げたのでございます。それは今調査の上でそう申しますから、これはこのくらいの程度にしていただいたらどうかと思います。 それからその約束を申し上げた細目取りきめの要綱を十分に御説明をいたします。それは少しも差しつかえございません。要綱は御説明を申し上げます。もし説明をしたのならば、それを補足なり何なり、いかようともそれは御説明を申し上げます。
○穗積委員 そこで、局長が言われたのかどうか知らぬが、細目協定は国会におけるということを言明しておられるのですよ。それはあとになるならあとでけっこうですよ。それが出るまで本協定の審議をやっておりますから……。細目協定なくしては、特に第七条その他の秘密保持に対する――予算の問題だけでなくて、さっき申しました通り、秘密保持の義務に対して国内の取扱いがどうなるのか、同時に細目協定の義務をこまかい点について負うのか、その義務によって政府が日本の国民に対して、その基本的人権を制限するような措置が出てくる危険があるか、そういうことが心配だから特に細目協定についてはぜひ国会に相談してもらいたいし、そうでなければこの内容はわれわれは賛成とも反対とも明らかにするわけにいかぬという態度で質問したのに対して、それはどういう形式になるかわかりませんが、取り結びましたらさっそくかける、あなた方の心配されるのはごもっともだし、そういうような心配のないようなものをアメリカと結んで、しかる後に国会に御審議をお願いいたします。こう言っているのです。だから、同時でなくては出してはいかぬとは言わない、わかっているところは審議はいたしますが、最終的にはそれが出てこないと内容がわからないのですよ。そうすると実質的にはそれは秘密協定と同様の内容を持ってくることになるから、秘密協定でなかったらこの際明らかにしてもらいたい、こういうことですから、その点をはっきりしておいていただきたい。
○重光国務大臣 細目協定ができました上は、その内容によりまして必要な形において議会に出す、私はこう申しました。本協定と同じような意味において議会の承認を得るという形において出すということは、私はお約束したことはございませんが、とにかくこういう問題は、秘密協定も何もないのですから、議会に出して十分御審議を願う、そういうふうに申し上げました。それじゃ細目協定はどんなものかといえば、それは国民のための権利義務をこれによって定めるものがあるのだというふうにきめてかかることは、私ははなはだ行き過ぎだと思います。細目協定の要綱は何であるかということは詳しく申し上げます。その申し上げることによって御審議を願うことは少しも約束違反でもなければ、議会のご審議を欠くことでも何でもございません。細目取りきめはウランの賃借の条件を定めるものであって、国民自身の権利義務を定めるなんということは全然考えておりません。 それから細目協定をなぜやらないかといいますが、本協定をアメリカと結んでおる国はたくさんございますが、細目協定の締結はいろいろ国内事情もあって、各国とも非常におくれている。アメリカと協定を結んでいる国はもう二十数カ国できておりますが、細目協定をほんとうにこしらえ上げているのはアメリカとスイスだけができているわけです。しかしそれはどういうものであるかということはわかっておるのです。それだからその要綱については材料をそろえて十分に御説明をいたす、こういうのでございます。それでありますから、この審議は進めていただいて、そして細目協定はどういうことをするのだという説明も十分一つやらせていただきたい、こう考えるのでございます。
○穗積委員 それでは、細目協定の大体の話し合いは進んで、まだ正式の文書にはなっておらぬが、要綱は大体相互に間違いのない了解をつけたものがあるということならば、それを文書で委員会に出していただきます。それを一つ確約しておいていただきたい。
○重光国務大臣 そういうことは、資料で出します。
○岡田委員 ちょっと関連して。この間私の質問に対して、外務大臣並びに高碕国務大臣が正式に答弁をされたことですから、非常に重大な問題だし、憲法上の関係がありますので、これをぜひ伺っておきたいので、関連して伺うわけです。 先ほど穂積君の御質問された国民の権利義務の問題については、私は今ここでは伺いません。しかし、その前段の問題です。と申しますことは、外務大臣並びに高碕国務大臣に、私の質問に対して、予算上の措置を伴う場合においては、国会の承認を得ますという答弁をしておられます。これは、この前の国会のこの委員会での答弁であります。これは速記録にも当然残っております。下田さんは、そのときおられませんでした。その意味において、予算上の措置を伴う場合においては、国会の承認を得るということは、当然これは国会の立法権の行使のもとにおいて、その国会の承認を求めるものという理解を私はとったわけです。これは当然だと思う。そこで、あなたは先ほど、条約の批准を要しないけれども、国会において、承認とも言われたし、また国会の了解とも言われたようなところもありますが、こういう意味については非常に重要な問題だと思います。憲法の七十三条の三項で、批准条項の規定が出ているわけです。ところが批准を要しない場合として、あなたが国会に了解を求むるという意味のことを言われたことは、一体これはどういう措置をおとりになるのか。内閣が持つ一般行政事務としての、国会への了解を求めるという意味なのか、立法権に対する正式の措置を求めるという意味なのか。この点はぜひとも明らかにしてもらわなければならぬ。そこで、もしあなたが行政事務の一般の了解を求めるものとするならば、財政法に規定された予算上の措置を必要とするものについては、国会の承認を求むるというこの財政法の関係を一体どうされるか。(「予算案でやる」と呼ぶ者あり)これは予算案ではないのです。今、予算案で求めるという私語があったけれども、そうすれば、大蔵委員会にかけられている一般の税法上の法律その他は、当然何パーセントにするかといって、国会の承認を求めなければならない。予算案だけで税率の上下をきめるとするならば、ことさらに別途な税法上の改正を国会に提出する必要はないわけです。従って、予算上の措置を伴うものとするならば、税法上の改正を大蔵委員会に国会の承認を求める案件として提出すると同時に、予算上の具体的な数字については、予算案としてそれを提出する二つの義務関係があるわけです。一つだけの予算案でいいという私語は許されないことは、賢明なる並木君は十分おわかりのはずだから、私語だと思って私は聞き流しますけれども、この点だけははっきりしておいていただきたいと思います。
○重光国務大臣 私は、条約関係を申し上げたのであります。条約の問題で批准を要する問題は、議会に提出して、正式に承認を得なければならぬということは当然で、だれもわかっております。しかしながら、重要な問題については国会に出すということは、批准を要求する必要のないものを、批准を要求して議会の承認を得るために出す必要はないと私は思う。だから、参考としてこれは出して、やっておる意味を議会に十分に理解をしてもらうということは、私はいいことだと考えておるのです。それで出したい。しかしそれが予算を伴えば、これは予算の法規に伴う予算を請求しなければならぬし、議会の承認なくして予算は成立しないのだから、そっちの方で予算措置をすることは必要だ。私はそういうふうに解釈しておりますが、これが何か問題がありますか。
○岡田委員 それは問題がある。先ほど言われた批准を得ざる道として国会の了解を求める、簡単に言えば報告事項ですね。報告事項の内容の中に財政法上の規定を持っている内容を持っている条約であるとするならは、――賃貸に関する、たとえば濃縮ウランの値段は幾らという内容を持っている条約であるとするならば、これは単なる国会の報告事項じゃありません。国会の承認事項です。その条約自体が承認事項です。(「行政協定だってそうだ」と呼ぶ者あり)いや行政協定の問題ではない。行政協定というのは、基本法というものがあって、これの承認を求めておって、それに対するアグリーメントとしてあるのであって、今度の問題については……。(「原子力が基本条約だ」と呼ぶ者あり)そうじやない。おれの言っているのはこういう点なんだ。その予算の額について、細目協定という、協定という内容のものがここに規定されているなら、当然国会の承認を得べきものですよ。報告事項ではありませんよ。もし報告事項としてこれをやられるならば、外務大臣は残念ながら憲法違反を犯すことになりますよ。この点が一点。 それからつけ加えて申し上げます。下田さんの今言おうとしているのは、これはアグリーメントであるからと言おうとしているんだけれども、アグリーメントという点では、この原子力協定もアグリーメント・ふぉー・コーオポレーションだから、アグリーメントです。初めあなた方はこれを国会の承認を求めないつもりでおったのです。ところが鳩山総理大臣、重光外務大臣が、穂積君、松本君、私の攻撃によって国会にかけると言ったんじゃないか。アグリーメントであるからこれは別だと言うけれども、これは答弁の理由にならない。アグリーメントは予算上の措置を伴うから、これは当然報告事項ではなくて、国会の承認を求める案件として議題にかける行政府は義務があるということを明らかにしてもらいたい。そういうことなんでず。
○重光国務大臣 憲法上そういうことになるとは私は解釈しておりません。それから第一に、アグリーメントという字を使っておるから、全部議会の承認なしでやれるという考え方は持っていない。アグリーメントはその実質によって議会の承認を得なければならぬものがたくさんあります。それだからやっておる。しかしながら、議会の承認を御なくて行政的に約束をしたことが予算措置を伴う場合には、予算によって議会の承認を求めれば、それでいいのです。予算措置を伴うから、全部の問題を議会の承認を求めなければならぬ。こういう議論は、私は憲法上出てこないと思っております。
○穗積委員 細目協定の問題は、細目協定の内容と取扱いの手続については、二つの点で非常に重要でございます。ですから私もその問題についてはまだ質問がございますが、細目協定の大体の要綱を文書をもってお示しになるということであるから、そのときにその質問は譲りたいと思っております。ですから、これは済んだとお思いにならないで、この質問は留保ですから、誤解のないようにしていただきたい。 その次にお尋ねいたしますが、この協定に関して井口駐米大使と国務次官補ロバートソンとの間における交換文書がございます。これは十一月十四日にワシントンで調印いたした場合には、井口大使と向うのシーボルトとシュトラウスになっているわけですが、この協定に関する交換文書では、こちら側は調印者は井口大使になり向うはロバートソンになって変っておりますが、その間これは何か多少の意味を持っておりますか。どういう事情によるものか、一つ伺いたいと思います。
○下田政府委員 この交換公文は六月二十一日にいたしましたので、当時の担当者であるロバートソンあてに井口大使から出したわけで、返事もロバートソンから来たわけです。正式調印のときはロバートソンがたまたま不在でございましたので、その代理者としてのシーボルトが署名に当ったわけであります。
○穗積委員 それではこの問題は本来ならばロバートソンが調印すべきものをシーボルトがかわって調印をしたと理解いたします。 次にお尋ねしたいのは、例の日本より先に結びました、たとえばトルコ協定等におきましては、発電に関しまする協定を予想した文章は本協定の条文の中へ入れたのを、今度はずして外にした。この間のことは実はこちら側が多少なりとも将来発電用の原子力を受け入れる義務を負っているかのごとき印象を与えてはならないという配慮のようであったのでありますが、それがこの交換文書によって明らかになった。そうなりますとこの交換文書の中ではやはり「原子力からの動力の生産に関する協力のためさらに協定する可能性について」云々と、こういうふうになっておりまして、これは何ら変りはないと思っているのだが、本協定の条文の中へ入れたのを一体どういうふうに理解しておられるのか。本協定の結ばれた後に初めての審議でございますから、そこをもう一ぺん明らかにしておいていただきたいと思います。
○下田政府委員 日本が協定を結びます前に御承知のアメリカとトルコの協定ができておりましたので、これを参考にしておったのであります。この米土協定の第九条というところに、協定自体は実験用原子炉並びにその実験用原子炉に入れるウランの賃貸に関する協定であるにもかかわらず、突如として第九条に至って動力用の原子炉の問題が入ってくる。これはどうもわれわれの観念からいいますと、形式上あまり適当でない。つまり異質の問題をある一行だけにぽんと飛び入りさせておる点で少しおもしろくないと思いまして、日本とアメリカの協定の場合には、異なった性質の問題は異なった文書に盛るという条約作成の原則を主張いたしまして、向うももっともだと思いまして、それなら別個の交換公文でやろうということに相なりました。それだけの話であります。
○穗積委員 両国間の約束の効力についてどういう解釈をしておられるか。
○下田政府委員 協定はこれは国家間の正式の条約でございますが、この交換公文は実は条約ではございません。ただその可能性について将来協議するという政府間の了解をしたためたものにすぎないわけでありまして、この交換公文自体からは何らの権利義務は発生してこないわけであります。従いまして条約ではございません。
○穗積委員 そうすると全く法律上のオブリゲーションはないという解釈、それははっきりしておいていただきたい。実際の問題としては、たとえば日本が原子力による動力生産に着手しないから、こういう話し合いはしておいたけれども、その必要がないということでこれを実行しない。そのときに向うから何ら文句を言われる理由はない、今おっしゃる通りだと思う。ところが、第三国から動力用の原子炉を受け入れる場合にも、この交換文書によりましてそれをアメリカから阻止される、アメリカからの受け入れを優先しなければならないというオブライジはされないという解釈だと思う。今その点を聞いたのですが、それは法律上のオブリゲーションはないということだと思うのだが、しかしこのことによってやはり政治的な義務は生ずるだろうと思うのです。アメリカをとめておいて他の第三国から実験用の濃縮ウランを入れた、しかし将来発電用のものはアメリカからも入れ、他の国からも入れるというならばまだいいのでしょうが、アメリカからは全然入れないで他の国のものを入れるということになると、その場合におけるアメリカの日本に対する政治的の発言権はこれが相当裏づけになると思うのです。その点はどういうふうにお考えになっておられるか。
○下田政府委員 実はその御懸念すらなくすための用意をいたしておるのであります。ただ動力の生産に関する協力のための協定の可能性について協議するということだけになりますと、なるほど法律上の義務はなくても、こういうことを日米間で公文をかわしておりながら、将来第三国から動力用の原子炉を受け入れるということになりました場合に、モラルあるいはポリティカルなオブリゲーションは生ずるかもしれませんが、しかしここで明確に、もし日本政府が希望する場合というまくら言葉を入れたのであります。ですから日本政府が希望しなければこの条件は起らないのでありまして、実はその御懸念をなくすためにやったのであります。 〔発言する者あり〕
○前尾委員長 私語を禁じます。
○穗積委員 下田条約局長にちょっと申し上げますが、その言葉の使い分けで政治的またはモラルなオブリゲーションはないのだという説明ではちょっとおかしい。これは日本側が欲するならばということは、原子力による動力生産をしようと思う、その意思をうたっている言葉だと私は思うのです。そういうふうに解釈する可能性が向うにある。その点はちゃんと日本の外務省の方でそういうふうに勝手に解釈されても、向うは今私が申し上げましたように解釈しておるというと、そのときになっては力ずくの問題になってきます。その点はちゃんと確認してありますか。
○下田政府委員 日本語ですと離れておりますが、原文ですと「イフ・イット・ソー・デザイアーズ・コンサルト」となっております。つまり相談するということにかかっておりますから、日本が希望しないなら何も相談しなくてもいいわけです。それからまた第三国との間に話し合いする自由は何ら拘束されるものでないということは、先般松井課長が渡米いたしまして原子力委員会の担当者に会いましたときに、明確に向うでそう言っております。
○穗積委員 逆を言いますと、このままやるのがナンセンスだということになる。これはこれで何らかの意味を持つのです。従って日本が原子力発電をやる場合には道義的または政治的にアメリカからの受け入れを優先すべき義務がある、当然そういう言いがかりをつけられても、この文章では文句は言えないと思うのです。日本が欲するならばというのは、日本がつまり原子力発電をやりたいということを欲するならば、そうしてアメリカに申し入れるならばというのですから、申し入れるならばだけをあなた方は言われるのだが、そういう意思を持ったときになれば当然こっちにすべきだということなんだ。そういうことだと思うのですが、その点を確かめてありますかと私は聞いておるのです。その事実を聞いているのだから、余分な解釈を言わぬでもいい。日本政府の解釈はわかったのだから、確かめてあるのかどうかということを聞ているのです。
○重光国務大臣 それは私がもう一度お答えいたしましょう。これは外交文書でありますから、外交文書として書いてある通りにお読み下さることをまず私は希望いたします。日本政府が希望するならばこういうことを相談しよう、こう言ってあるわけだ。この英文がもとになるが、日本文だってこれは疑いがない。それを今そう解釈しないというふうにねじ向けられるのは、私はどうしてもわからない。のみならず、今確かめてあるかといえば、それは十分確かめてある。御心配ないです。それだから書いてある通りに解釈するよりほかにしょうがないので、それを書いてないように解釈しろと言っても、そういうわけにはいかない。
○穗積委員 書いてある通りで、そんなことがわからないのは頭が悪いのだというようなお言葉ですが、そうじやない。外交文書というのは、明敏なる条約局長が立ち会って作ってみても、そういう解釈の違いというものはあるのです。今まで幾らでも出ておるじゃないの。幾らでも出ていますよ。のこまかい手続法についても解釈が違って、裁判所の判決というものは、同じ法律のもとにおいても違った解釈が出てくるのだから、弁護士と検事と裁判官の間で違っているのだから、読んで字のごとしなんというわけにはいかぬ。国際文書でこういうあいまいな、何ともつくようなつかぬような取扱いというものは、いわく言いがたい含みがある。含みが残されておるから、その点については確かめてあるかないかということを聞いておるのですよ。政府の解釈はわかったのだ。
○重光国務大臣 含みも何もございません。今説明した通りのものであるということは十分確かめてあることをさらにつけ加えます。どうぞこれで……。
○穗積委員 次にちょっとお尋ねいたしますが、この協定を結びました後においても、第三国、たとえばイギリス、ソビエト等が日本に提供する意思があり、日本でも条件によっては入れてもいいというときに、この協定に何らオブライジされないものであるという点は、この前高碕長官からは明言していただいたことを記憶しておりますが、あのときは予備的な質問にすぎない、きょうばいよいよ本式な質問でございますが、同様な解釈でございましょうかどうか、間違いないでしょうね。
○重光国務大臣 その点は同様であります。
○穗積委員 条約の解釈はある程度わかりましたが、続いて外務大臣にお尋ねいたします。原子力につきましては、この半年の問に日進月歩といいますか、だんだん情勢が変ってきておりまして、この協定の問題が始まった一月当時とは情勢が変ってきているのです。だから私は今のことを再確認して質問するのです。ということは、さらにこれを発展せしめれば、国際的に見れば、もうすでに秘密というものがだんだん少くなってきているのです。しかも原子力問題については、世界中の国の間で利用したがって、ほんの二、三ヵ国だけの独占のものではなくなってきている。この二つの事実は明瞭だと思う。従って国連の原子力委員会等におきましても、原子力武器の管理の問題だけではなくて、原子力の平和利用についても国際的に管理して、万国の人民にその利益を与えるような措置をやったらどうだということが提案されるような段階にすでに来ている。そうなってみますと、実はこの二国間のややこしい内容を持った協定なんというものは、もうちょっと時代おくれになってきていると私は思うのだ、秘密条項、秘密保持の義務につきましてもいろいろ書いてあるようなことになる。細目協定を見ないとわからぬが、そういうことになろうと思う。そしてこれを受け入れた以上は、また国内法においてもそれを実行するための法律的な措置が必要になってくると思うが、そういう段階は過ぎたという印象でございます。今の御答弁はアメリカのみならず、他国からも入れていく可能性があるということであるが、世界ではすでに二国間の協定じゃなくて、三ヵ国から同時に入れて差しつかえないどころか、国際的に一つに管理して、万国に向ってこれをやろうとするような段階になってきているが、そういうことになると、こういう協定は無意味というかナンセンスというか、時代おくれになりつつあると思うが、それに対する外務大臣のお見通しと所感を伺っておきたい。
○重光国務大臣 私はそういう情勢であるから早くこれをやりたいのです。また早くこれをやらなければならぬと思います。日本で十分基礎ができて、原子力の平和利用に関する施策が非常に進んでおりまして、そしてアメリカあたりの研究に対する援助を必要としないことになればそれは一番けっこうだと思います。ところが日本の今日の状況は、早く世界の水準に追いつくために急がなければならぬ、その急ぐためには一日も早くかような協定をこしらえて進んでいく必要がある、こう私は考えておるわけであります。今世界の原子力が日進月歩の状態にあるということは、これは肯定しなければなりません。それであるからこれは急いでやらなければならぬということは当然の帰結だ、こう考えております。
○穗積委員 私の質問の仕方が悪かったか、あなたが聞き違えたのか知らぬが、私が言っているのはそういうことでないのです。先ほど私が言うた通り、原子力問題については日進月歩で、時代おくれにならないように早くしなければならないということはわかっている、異議のないことです。そのことを御答弁いただこうと思ったのでないのです。原子力の開発についての取扱いについて、二国間の協定から国連を中心とする万国の協定、公開という段階に来ているのです。独占の段階でなくて公開の段階に来ている。そういう情勢に対して外務大臣はどういう感想を持たれるか。こういう二国間の協定と、国連を中心とする万国公開の取扱い方、この二つを対比してみて外務大臣は一体どういう所感を持たれるか。国連中心の万国公開の動きに対して、どういう判断をして、どういう意見を持っておられるかを聞いているのです。
○重光国務大臣 私は国際連合を中心としてこういう問題がどんどん取り上げられて、これが国際的に協定なり何なりの方向に進むことがいいと思っております。そういう場合に日本もこれに参加して、今日はできるのでありますから、十分それを進めた方がいいと思います。それを何らこの協定は妨げないと思います。むしろそれを助成するものだ、こう考えます。
○穗積委員 この前高碕長官と、これは契約期間が五ヵ年となっているがこれは少し長過ぎる、こんな長い期限にする必要がないじゃないかということで、その認識について実は話し合ったことがありました。われわれは専門外でございますが、直観的に判断をいたしまして、五年後の原子力の科学並びに開発というものは、おそらく今日高碕長官や重光外務大臣が頭の中で想像されるよりずっと情勢が進むというか、変化をする、従って五年先までをこの協定の期間とするのはおかしいじゃないか。もしゃるなら一年一年区切っしまったらどうだ。われわれは実は内容の第七条を中心とする取扱い等について多くの疑義を残しておりますから、こういう秘密条項なんというものはよしなさい。それでそれがなくなってけっこうだということになっても、五年間というものは一応いろいろな点で拘束される事情が出てきますから、今大臣も国際的に日進月歩の実情をお認めになり、数国独占の段階から万国公開の段階になってきておるとき、この五年間というものをどういうふうにお感じになりますか。
○重光国務大臣 期限の問題は、これは専門的の知識をその判断に要すると思いますから、私が五年で長過ぎはしないか、もしくは五年で短か過ぎはしないが、こういうことについてはっきりしたことを申し上げることは適当でないと思いますが、実はさような御意見を参酌して、それから日本としてはあくまでこの問題は急速の進歩を遂げたいという意気込みをも加味して、実はほかの国とアメリカとの協定はいずれも十年になっておりますが、私ども日本は五年にした方がいいというので五年にしたわけでございます。それが適当である、こういうふうに考えたのでございます。
○穗積委員 今の他の国全部十年というのは、私の記憶ではちょっと違うと思うのですが、そういう言葉じりをつかまえて、五年、十年の議論をしようとは思わない。この協定もちゃんと更新をすることができるという申し合せになっております。ですから、日進月歩でございますから一年間で区切ってやって、直にアメリカがこの前文に書いてあるように、ほんとうに独占支配の考えでなくて、万国公開の民主的な考え方を持っておるなら、そうして日本が欲するならば、一年ごとにこの協定を改訂していけばいいのであって、日本側としては改訂という条項を入れておけば、一年とやっても、五年だろうが十年だろうがそれは使える。それから日進月歩の状態から見て、こういう二国間の特殊な義務を負った協定を長く結ぶということが不利な状況が予想するよりずっと早く出てくれば、それをそのときすぐとめればいいのですから、少くともそういうふうにすべきだとわれわれは考えるわけなのです。そういうことについて質問しておるわけです。五年と切らないで一年と切れば、一年でだめになるのじゃなくて、真にアメリカが日本に対してそういう考えを持っておるなら、五年だろうが十年だろうが継続できるわけですから、だから五年と動きのとれぬように固定する必要はないと思うのです。
○重光国務大臣 それは日本が一方的に解釈するわけに参りません。一年にすれば向うも一年で切ることができるのであります。五年で切った方が日本のためにいいのじゃないか、向うもそれで承諾する以上はそのくらいにした方がいい、こう考えた結果でございます。
○穗積委員 だからさっき私が前もってお尋ねしておいたのです。国連を中心とする万国公開の傾向というものは、私は急速に実現する可能性があると思うのです。国際的世論から見ましても、原子力の秘密がなくなってきているという実情から見ても、そう思いますから、そういう情勢判断について外務大臣が賛成されるならば、その情勢をおながめになって、結んだときは五年でいいと思ったが、なおかつ五年でいいと思っておられるわけですか、そのことをあらためて伺っておるわけです。
○重光国務大臣 そうです。
○穗積委員 その点は私とちょっと意見が違いますから、もう少し技術的な問題、期間の問題について事務当局の方とお話したいと思います。 そこで条約局長にちょっと念を押しておきますが、五年以内に今言ったような国連を中心とする万国公開の素地ができた場合に、この条約との関係はどう解釈しておられるか、それを明らかにしておいてもらいたいと思います。
○下田政府委員 五年以内に国連を中心とする国際的な平和利用の機構というものが発足いたしましても、これと併存させればよいと思っております。 なお先ほどの五年の問題でありますが、この濃縮ウランというような高いものを、高い費用をかけて借り入れる場合に、一年であるいはどっちかの当事者から意思を通告すればやめになるというような不安定の形にするのは適当でないと思います。もう一つは、国連を中心とするいろいろな機構ができておりますが、御承知のようになかなか理想的に早く発足して幼き出すものではございません。でありますから五年以内に国連の方からいろいろなものがもらえるというふうに早くなればむろんけっこうであります。その場合には両建にするだけであります。国連の方もやはり五年くらいたたなければフリーな活動は始めないと見通した方がむしろ安全ではないかと思っております。
○穗積委員 私の聞いたのはそういうことではなくて、両建になる、つまりこれを廃棄することができないという義務は、五年間は持っておりますね。
○下田政府委員 むろん一方的に廃棄することはできません。もし廃棄するとすれば、両当事国の合憲の上でやるならば別問題であります。
○穗積委員 それからもう一つ、ちょっと外務大臣に一般的な基本的な問題について事前にお尋ねしておきたいのであります。いつでございましたか、アメリカが例のコロンボ計画の参加国に対して原子力センターを置いてもよいということをホリスターという局長が言明したのが始まりで、今アジアでどこに置くかということが、各国からの競願のような格好になっておるよう七ありますが、この原子力センターの問題については、今まで政府とアメリカの原子力委員会との間において何らか話し合いをされたかどうか。 第二にお尋ねしたいのは、原子力センターのアメリカ側の構想、それを受け入れる場合の権利、義務なども含んで、その内容がおわかりになっておるならばはっきりしていただきたいと思います。 それから、日本政府はこの問題に対して今までアメリカに対して何らかの意思表示をなすったかどうか。この三点についてお尋ねいたします。
○重光国務大臣 原子力センターを設けたいということをアメリカの代表がコロンボ会議で発言をしたということは、報道せられておる通りでございます。原子力センターをこしらえて技術者の養成を主眼としてやりたい、こういうような考え方であるようでございます。しかしその内容がどういうものであるかという提案はまだ受けておりません。それから日本として原子力センターを日本に置きたいのだという意思表示はアメリカ側にいたしました。いたしましたが、しかしこれはずいぶん多数の国がその意思表示をしておるようでございます。
○穗積委員 これは内容はまだわからないということですか。
○重光国務大臣 まだわかりません。
○穗積委員 内容をお問い合せにならないで置くことを意思表示をされたわけですか。
○重光国務大臣 今申しました通り、技術者養成を主眼とする原子力センターをアジアに置きたいということでございますから、そういうことならば日本もその希望を持っておるという希望だけは表示しておきました。
○穗積委員 そういう意思表示をされたとなると、それがもし向うで受け入れられた場合においては、当然原子力センター設置に関する協定ができるわけでしょうね。
○重光国務大臣 もし受け入れられれば、そういうことになるだろうと思います。
○穗積委員 そうすると、その内容を見た上で、日本は態度をきめるということですか。
○重光国務大臣 むろんそうです。
○穗積委員 それからその場合においては、当然その協定は国会の承認を求むべきものだとわれわれは思うが、どういうふうにお考えになっておるわけですか。
○重光国務大臣 それは内容いかんによってきまる問題だと思います。
○穗積委員 内容いかんというと、どういうことですか。それじゃかける場合とかけない場合とあるということですか。
○重光国務大臣 そうです。
○穗積委員 それじゃどういう場合にかけて、どういう場合にかけないという原則があったら、はっきりしておいてもらいたい。それは今議題になっております原子力協定と、何ら性質上変らないと思うのです。いろいろな権利義務を生ずるにきまっております。
○重光国務大臣 ですから、そういう権利義務が生じて、国会にかけるべき憲法上の解釈になれば、当然かけます。それから私はそうでなくても、そういう問題は国会に報告したいと思っておることを申し上げます。
○穗積委員 この問題は、最近の報道機関の報ずるところによると、今大臣のおっしゃった通り、各国ともこれを競願のような格好になっておるようですが、その場合に、取る取らぬの態度を決定するために、向う側から内容をやはり明らかにしてもらうべきだと思うのです。そういうことに対して急速にそういう質問状を発するなり、そういう内容を明らかにしてもらうことを要請するなり、措置を外務省としてとって、その内容を明らかにした上で、国民の意見も聞いて、私は受け入れるか受け入れないかの態度をきめるべきだと思う。これは至急にやるべきだと思うが、そういう御用意があるかないか、念のために伺っておきます。
○重光国務大臣 そういうように現在取り計らっておるわけでございます。ただしアメリカの方では、まだ成案も何もないようでございますから、そういう内容については、まだ何ら報告を入手しておりません。
○穗積委員 その次に、一般的にお尋ねしておきたいのは、今問題になっております原子力基本法の問題でございます。これは国内の原子力研究並びに開発等に関しまする国内の基本的な考え方や方針がきまってから、外国からの買い取りまたは借り受けを決定するというのが、私はものの順序であろうと思うのです。幸いにいたしまして、今与野党とも話し合いをいたしまして、原子力基本法並びにその付属の二つ三つの法律案が今上程されようとしており、またはされつつあるわけです。そこで外務大臣にお尋ねいたしておきたいのは、こういう法難が幸いにしてもうできる段階に来ておりますから、それをアメリカから受ける受けぬを考える前に、原子力というものはどうしても早く研究し開発しなければいかぬというすべての国民の一致しておる考えですから、そのためには日本は一体どういう方針で、どういう方法によってやっていくかということを、先に自主的にきめていくのが、私はものの順序だと思うが、その点に関する外務大臣のお考え方を伺ってみたいと思います。
○重光国務大臣 今原子力の平和利用の研究ということはお話の通り日進月歩、一日もゆるがせにできぬというお話、その通りだろうと思います。それから今基本法の問題についても各党協議をしてすみやかに成立させたいということになりつつあるのだと思います。この点については私は最近のことはまだ報告を得ておりませんが、今お話の通りだろうと思います。これを希望いたします。そういうわけでありますから、この協定もすみやかに審議を進められていったらば、その各党の態度に合致するものだ、こう思います。どっちが先とかあととかいうことにあまりこだわらずして、こういういいものはすみやかに御審議を進めていただきたい、こう私は希望するわけであります。
○穗積委員 私の言ったのはちょっと違うのであって、原子力を早く研究し開発しなければならぬということについては、おっしゃる通りなのです。ただ問題は、それをいかなる方法においてやっていくかということが問題ですから、そのいかにやっていくかという国の基本的な考え方や方針というものをきめて出発する、その上で外国からのものをその基本方針に照らして受けるがいいか受けぬがいいかということをきめるべきだ、それがものの考え方として順序だと思う。原子力開発に対するものの考え方について大臣の御構想を伺っておるわけです。
○重光国務大臣 私はこういうものについて、一国としては、その一国の施策をまずきめるということはけっこうなことだと思います。しかしその一国の施策をきめる上において他国との約束が少しでも役に立てば、これは現にその方向に進んでおるわけでありますから、これはそれにこだわらず同時にどんどん進めていったらよかろう。また進めていくべからずという考え方には私は同調できない、こう申しておるわけであります。
○穗積委員 いや私の言うのは、お答えを非常にあいまいにされますが、私は国の方針というものは、この際は基本的に、自主的にきめて、そしてどの国からどういうふうな形で受け入れるかということをやっていくことが、日本の原子力の研究並びに開発の自士性を失わぬで、百年の大計を誤まることのないためにはその方がいいと思うが、そういうことにあなたは賛成ですか、反対ですか。イエス、ノーをもって答えてもらいたいと思います。
○重光国務大臣 私は先ほど申した通りに、それを待つまでもなく、今お話の通りに全国民がこれを早くやれ、こう言っておる、その趣旨に従って、この問題はこの問題でどんどん進めて、いっていただきたい、こう申し上げておるわけであります。
○穗積委員 お答えが非常にあいまいで、言葉のやりとりになりますが、私どもはあくまで国内の基本的な考え方や方針をはっきりさして、朝野を問わず、与野党を問わず、または財界あるいは学界等もすべて納得をして、そしてその方針ならよろしいという国の方針がきまって、しかる後に外国からの受け入れの内容などもそれに照らしてみてやっていくべきだという考え方を――これは多数党が言うから、少数党が言うからという問題ではなくて、理の通った話だと思うのです。ですから、これには一つぜひ大臣も率直に耳を傾けておいていただきたいと思います。 次にお尋ねしておきたいのは、この協定を結んだ後におきましては、いろいろな国内における取締りの、あるいは管理のための法律を作らなければなるまいと思っておるが、それについてはもうすでに政府当局では、そういう基本的なものについての御用意があるのかどうか、またそういうものはどういう状況になっておるか、その点をちょっと明らかにしておいていただきたいと思います。
○河崎政府委員 この協定が発効しまして実施の段階になりましても、この協定によって管理とか、新しい法律を設ける必要は今のところ予定いたしておりません。
○穗積委員 そうすると秘密を保持したり、原形を保持したりいろいろして、他からのスパイまたは妨害を防止する措置はとらなければならぬでしょう。その場合に特に報道関係とかあるいは直接の研究者等に対して、相当の研究、言論の自由を束縛するような場合も考えられる、約束する場合もある。そういうものについては、法律でなくて何でお取締りになるつもりですか、その点ちょっとはっきりさせていただきたいと思います。
○河崎政府委員 今度の協定、ことに細目協定については秘密条項は全然ありません。先ほども穂積先生から、この原子力についてはもう最近だいぶ秘密はなくなってきているのだ、他に公開していいデータがふえているというお話もございましたが、まさにその通りでございまして、原子力につきましては、特に平和的利用の研究用の炉の営につきましては、ほとんど秘密はないという状況でございます。従ってそういう必要はないと思います。
○穗積委員 それはちょっと誤解ではございませんでしょうか。それならいろいろ原形を保持するための義務を負うとか、あるいは軍事的に利用してはいけないとか、外国に出ることを阻止しなければいけないとか、それから特に原子力灰の中にありますプルトニウムといいますか、原子兵器の生産に関係のあるものの秘密を保持しなければならぬとかあるわけでしょう。そういうものは一体どういう方法で取り締られるのですか。
○河崎政府委員 ただいまおっしゃいました灰の処理、灰の中にあるプルトニウムの利用につきましても、これは今のところアメリカ側と十分に連絡して秘密を守るということになっておりますが、しかしだんだんこれも研究が進みますと、先ほどの穂積先生のお話のように日進月歩でございます。あと一年くらいのうちには秘密がなくなる可能性が非常にあるのであります。従いまして灰の処理につきましても、日米係官の間でお互いに十分に相談すればいいという程度になるものと予想しております。
○穗積委員 軍事力利用とか、外国に出るとか、そういうのは一体どういうことですか。その取締りは何でやるのですか。
○河崎政府委員 大体米側は、その秘密のあるものは日本側には供与しないということをかねがね言っておるのでありまして、実験用の炉の中から灰が出てその中にプルトニウムが何がしかありましても、これにつきましてもお互いの研究が非常に進んで参ります。日本側としてもだんだんと自主的に、アメリカ側と協議して処理し得るということになるものと考えております。
○岡田委員 関連して。今のお話ですが、話はだいぶ違うので、あなたの言おうとする点はこういうことじゃないかと思います。秘密がないということは、秘密資料を提供しないという第五条ですか、第六条ですか、これにあるからないのだ、こういうことを言われようとしておるのだと思う。ところがないからないのだというのはそうではない。たとえばないという仮定で私が話してみた場合に、細目協定の中の前段には貸与条件が書いてある、後段の場合においては、いわゆる政府側の保証の問題が書いてある。この保証の問題というのは、結局輸送中におけるその物件、ウラン燃料、これは物体――固体であるか液体であるかは別として、その物体の輸送上の保証という点を明確にしてあるわけです。この保証上の問題が明確になってくるとするならば、この保証をなぜ設けるかというとこれは商品価値としての保証ではないのです。あなたもおわかりのように、このウラン燃料それ自体に秘密のものが入っているから、このこと自体に対するいわゆる秘密の保持ということが必要になってくる。そこで今穂積君の聞かれたのは、この秘密の保持についてばいろいろの情報が出た場合において、日本の国内法でどのような秘密情報についての取締りをするのか、こういう点を聞いているわけだ。私たちはこの政府側との問題を単なる保証とは理解しておらない。これはさっき軍事的な使用の問題、いろいろな点を通じても秘密条項だとわれわれは考えておるのだが、この法的論拠もあるのだけれども、この点は私、関連質問だから言いません。いわゆる米国の原子力法百二十三条による関係なのですが、その関係は私は今は言いません。しかしたとえばあなたが今言おうとしているもの、政府側の保証の問題として一応取り上げてみたとしても、今申し上げた秘密の内容を持っているウラン燃料体のその秘密を、何らかの人が情報をかぎつけようとした場合、あるいはその品物に対して輸送中何らかの措置を講じられた場合に、日本の国内法によってどのようなこれに対する対策があるか、こういう問題だと思う。
○河崎政府委員 協定並びに細目取りきめの中には、お説のように政府側に関する規定は一応ございますが、これも政府側について規定を設けておるだけで、アメリカとしては、非常に重大な秘密を含むものはこちらによこすわけもないのでございます。従いまして日本側で秘密の方法その他でカバーしなければならぬ問題は起らないと思います。
○岡田委員 私の言うのはそうじやないのですよ。私の言っておるのはウラン燃料体それ自体に秘密があるのではないか。御承知のようにウォーター・ボイラー型、スイミング・プール型などいろいろな形によって液体の燃料体をもらえる場合もある、固体の燃料体をもらえる場合もある、どちらにしてもその内容、成分についてはこの協定によっては触れられないことになっておる。この協定によって内容については触れられない。他の人がその触れられない内容について何らかの情報を得た場合において、これは破防法は適用できないのですよ。破防法とは違います。何によってこれをするのか。刑法にだって今そういう法律はないですよ、そういう条項は削ってあります。いわゆる情報活動、スパイ、そういうものはないのです。何によってこれをやるのかということを聞いておるのです。破防法なんかは適用できない。
○河崎政府委員 このウラン燃料につきまして、これはしろうとが簡単に秘密というかもしれませんが、そんな問題は全然起らないと思います。
○前尾委員長 ちょっと御相談しますけれども、きょう午後一時定刻から本会議を開会するので、本会議で予算審議中は委員会を休憩してくれと議長から言ってきたのですよ。あとは外務大臣の渉外事項があって出られませんから、これから一時間の間に外務大臣に対する質問だけとにかく終了してもらいたいと思うのです。
○穗積委員 議事進行。私は外務大臣がせっかく御出席で、この問題だけでなくて重要な国際情勢一般について質問が残っておるのです。だからきょうはどういうふうにしますか。きょうは大臣に対しては原子力に関する質問だけですか。
○前尾委員長 ええ、議題はそれになっているので……。
○穗積委員 一般の国際情勢に関することは次会に一つぜひ許して下さい。
○前尾委員長 ええ。それで原子力に関する限りにおいて外務大臣に対する質疑を大体きようで終ってもらって、事務当局にいろいろ聞いてもらいたい。
○岡田委員 われわれはっきり了解できればきようでもやめますよ。
○前尾委員長 しかしそれはあとの質問もありますからこれで打ち切るというのではないけれども、大体そのつもりでできるだけやってもらいたい。穂積君いいですか。――並木芳雄君。
○並木委員 簡単に大臣にお尋ね申し上げます。実は私学者の反対が出てきたので驚いておりますが、原子力委員会設置法その他ああいうものについて、もっぱら私は国内的の措置に対しての反対のように受け取っておるのでございますが、今までのところ大臣にはどういうふうに反映されておりますでしょうか。私がお聞きしたいのは、この条約に賛成をしてしまって批准をした暁、この条約から学者の研究を縛るようなことが出てこないかどうか。出てこないと思うのでありますけれども、もし今の学者の反対の意向が、条約そのもののどこかに反対しておるということであれば、われわれ慎重に考慮しなければならないのでありますが、この点いかがでしょう。
○重光国務大臣 私はこの協定からそういう学者の研究を縛るようなことは出てこないし、またきょうがない、こう考えております。
○並木委員 私もそう思っております。ただ心配なのはむしろ逆の場合なんです。大臣、私はこういうことをこのごろ考えているのです。今まで日本で原子兵器などを作るということは夢にも思っていませんから、この委員会なんかでも発言されていないのですけれども、この前の委員会に大臣がお見えにならなかったときに私は発言したのてす。ということは、この原子力の協定に縛られて日本が将来必要の場合に原子力兵器を研究する、私は一等国になればそういう時代が来るべきだと思う。各国が水素爆弾なり原子爆弾なりを実験しておるときに、全部禁止してくれればいいが、禁止しないような情勢で、今後五年たち、十年たったときに、原子爆弾を持たないような日本が一等国になり得るか、相変らず四等国でばかにされる。今は私の発言がとっぴのように思われるかもしれませんが、ちょうど憲法第九条の軍備を持つべからずということが、今日現実の問題として持つようになってきたと同じように、必ず私は十年先になれば問題が起ってくると思う。そのときにこの条約で逆に縛られやしないか。この研究は非軍事的の目的のために使われるものであって、軍事的の目的のために使ってはいけないということが言われておりますけれども、私はむしろ軍事的の研究のために使われてもしかるべきものではないだろうかと、極端な意見かしれないけれども、ほんとうに日本の国の将来を思うと感じておるのです。そこでこの条約から、もしそういう研究の必要が起ったときに縛られるような必配が起ってこないでしょうかどうか。
○重光国務大臣 私は原子力は平和的に利用すべきものであり、平和的の利用ということに限って発達さすべきものであるというふうに考えております。この協定も、むろんそういう趣旨にできております。将来日本がこれを軍事的に使うことがあるかどうか、そういう事態に迫られるのじゃないかという御議論は、これはまた別の御議論だと私は考えております。私は今日原子力はあくまで平和的の利用に限らるべきものである、こういう考えを持って進んでおるわけでございます。それは世の中が変ってどうなるかわかりません。しかしそれは全然別の問題であることを私は申し上げておきます。
○並木委員 確かに別の問題でございます。その別の問題が起ったときに、私は、とても各国が禁止せざる限りにおいては、日本も研究し、原子爆弾でも――オネスト・ジョンのごときものは問題にならぬ、もろとすごい兵器を持って、もっと優位に立たなければならぬと考えております。確かに別の問題なのです。そのときに研究の自由というものが保障されておるかどうか、この条約で牽制を受けないであろうと思いますけれども、いかがでしょう。これが質問なのです。その自由さえ確保しておけばいいのです。
○重光国務大臣 今申し上げるように、それとこれとは別の問題だというふうに考えております。私はあくまでこれは平和利用の目的のために使わるべきであると考えております。
○並木委員 ですから私の質問しているのは、将来そういうことを研究することが何らこれに抵触せず、自由に、関係なしにできるか、こういう疑問が起るから今重大発言しているのです。将来必ずこの問題が起ると思うのです。私は持ってきた濃縮ウランを軍事的にさえ使わなければ、日本が原子兵器を作るために研究を開始しようが何しようが、それは独立国としての日本の自由だ、こういうように考えておりますが、どうですか。野党の諸君はそれに疑問を持つのですから、はっきりさせておいていただきたい。
○重光国務大臣 今申しました通りに、原子力の利用は、日本といたしましては、平和利用に限るという方針でもって国際的にも進んでいるわけであります。その方針が違うようにならなければならぬ事態が将来こないとは私は予言はできません。しかしこの問題は、あくまで平和的利用のために研究を進めていきたいという考え方で進んでいっているわけであります。この協定もその趣旨に出ているわけであることを申し上げたいと思います。
○並木委員 大臣としての職務上非常に慎重な御答弁でございますが、私はその言外から大臣の顔つきで大体そんたくいたします。私の考え方は大臣には了解してもらえると思う。ただはっきりそれを御答弁できない立場にあると思います。私の発言だけを速記録にとどめてくれれば、将来になってこういうことが問題になったのだということは必ず起ると思う。そういう意味でございます。 次にお尋ねいたしたいのは、日本政府は原子力を平和的に利用する方針で進んでいるのだから、アメリカにもソ連にもまた英国に対しても、水爆の実験などというものは禁止してほしいという発言力は当然日本政府にあるわけです。しかるに最近はエニウエトク島ですか、英国もアメリカから借りて実験したいという意向が伝えられておりますが、これなどはとんでもないことだと思う。ソ連も水爆の実験をしているが、これに対しても、日本としては、遠慮してもらいたいという申し入れをする資格があり、アメリカに対しても当然あるのですが、最近それらの申し入れに対しては、民間の方面から強い要望が起っております。かつて四千何百万人の署名をヘルシンキにまで持って行ったにもかかわらず、日本の切なる願いはまだ聞き入れられておらない。こういうときにこそ日本が弱くなって残念だと思います。日本が強い実力、水爆でも持っておりますれば、そういう切なる願いが軽々しく諸大国から受け入れられぬはずはなく、必ず聞いてくれるだろうと思って悲憤の涙にくれたのですが、そういう見地から、私は将来原子爆弾は持つべきだという見解を持っておりますけれども、さしあたりは持たないで、被害を受けた日本といたしましては、民間のみならず政府としても当然申し入れをすべきであるし、その資格を持っていると存じます。大臣のとられました処置あるいは今後の御方針について明言していただきたいと思います。
○重光国務大臣 原水爆の実験はない方がいいと思っております。これは日本の直接被害を受ける地域でなされるといなとを問わず、人類のために非常に大きな影響を持つのでありますから、これはしない方がいいと思います。いわんや日本の直接利害関係を持っている地域において、そういうことをしてもらいたくないのでございます。その問題は、ただその希望を表示するということだけでは実効が十分に伴わぬわけでございます。ソ連は、ゴビ砂漠とか、北極に近いところでやるということでございましよう。今これをとめるという希望は十分表明できます。しかしそういうことを実際にとめることは、この原子力の問題が今国際的に大きく取り上げられておるのでありますから、それは国際的に解決しなければならぬ問題だと思います。国際的にこれらの問題を解決する場合に、日本の、主張する正当なる主張が実を結ぶように、あらゆる努力をいたさなければならぬと思います。そうでありますから、日本といたしましては関係国にはその意向を表示しておりますが、それだけでは安心ができません。これは国際連合に加入し、また加入しなくても、国際的この問題を取り上げるようにあらゆる機会を利用しなければならぬ、こう思っておるのでございます。そういう方針で進んでおる次第でございます。
○並木委員 ただいま国際連合に加盟するという御答弁がございましたが、ほんとうにその通りだと思うのです。それについて日本の国連加盟の問題が当面の重大課題でございますが、政府としては国民政府に拒否権を使わないようにという申し入れを最近されましたでしょうか。
○重光国務大臣 国連加入は国会の強い要請でもあるのであります。つまり日本の国民的要請でございますので、それを実現するために外交機関をあげて長い間努力を続けてきておるのであります。最近は特に最後の場面に来ておりますから、非常に努力をいたしておるわけでございます。台湾政府つまり国民政府に対しては、日本側の考え方、要請を強く、かつまた詳細に申し入れておる次第でございます。
○並木委員 それではもう一つだけにいたしておきます。先ほど穗積委員からも質問がありました原子力センターの問題ですが、アメリカはメディカル・センターとか、ヘルス・セン一夕ーとか、原子力センターとか、よくセンターというものを好む国で、これは確かに私はいいと思うのです。やはりできれば日本に誘致をしたいと思っております。これはアジア原子力センターというのですけれども、何かマニラにきまったとかいう話がありますけれども、それは確認されておりますか。
○重光国務大臣 まだそこまでには参っておりません。しかし数ヵ国からその希望が表示されておることは報告を受けております。日本といたしましても、その内容いかんによっては日本に誘致したいという希望は持っております。私もそれがいいと思います。そこでその希望は表示しておるのでございますが、先ほど申しました通りに、その内容等すべてを検討した上でなければ、最後の決定はできないことを申し上げておきます。
○前尾委員長 岡田春夫君。
○岡田委員 大臣もだいぶお急ぎのようですから、簡単に伺いたいと思いますけれども、だいぶあるので、大臣がもし一時に帰られるものとすれば、何もあしたぜひ来てくれとは言いません。適当なときに残りの問題を伺ってもけっこうだと思います。ただし納得ができない限りは、おいやでしょうが、私もあくまでも伺わしていただきますから、この点は御了解を願いたいと思います。 先ほど問題になっておった点ですが、一つは国民の権利義務に関する条項がアグリーメントなりあるいは条約なり、どちらにしてもあるとするならば、これは当然国会の批准を要すべきものと私は考えますが、この点はいかがですか。
○重光国務大臣 私も大体そう考えております。
○岡田委員 大体という言い方はおかしい。大体というのはどういう意味ですか。そういう言い方をしたら私もしつこくなります。大体なんて言われると私も納得できない。大体という意味は、国民の権利義務に関するものはほとんど、特殊な例外を除いてという意味に私は解釈すべきものと考えますが、この点はどうですか。
○重光国務大臣 大体そうです。
○岡田委員 それでは予算上の措置を伴うものは当然国民の権利義務を伴うものと私は解釈すべきだと思いますが、この点はいかがですか。
○重光国務大臣 予算についてはそうだと思います。だからその予算については国会の承認を得る必要があることは言うまでもございません。
○岡田委員 予算についてはというお話ですが、その予算の措置を生ずべき基礎になっている条約それ自体にも当然義務があると思いますが、この点はいかがですか。
○重光国務大臣 私はそれはそうは考えておりません。予算を伴うところはこれは予算として処置を講じなければならぬ、そういう必要のある条文なり何なり、その中にあるから全部を国会にかけなければならぬ、こういうふうには解釈をいたしておりません。そういうことがあり得るかもしれません。
○岡田委員 しかし全部という表現もきわめて抽象的な表現で、条約の全部をかけるのではなくて、一部予算に関する部分をかけるという意味に理解してもいいのか。そういう意味じゃなくて、そういう条約の中で予算上の措置を伴うけれども国会の承認を得る必要はない、こういうふうに解釈すべきものもある、こういうふうに理解すべきものか、その全部という意味をもっと明確にしていただきたいと思います。
○重光国務大臣 それは条約局長に答えてもらいます。
○下田政府委員 岡田先生の提起されました問題と、さっき穂積先生の提起されました問題とは同じ問題に関連すると思いますので、私から申し上げさせていただきたいと思います。かえってその方が時間が節約になると思います。 御指摘の問題は、原子力本協定のうち、将来できるべき細目取りきめにつきましても、その細目取りきめの実施に当っては予算を必要とするでありましょうし、場合によっては立法も必要とするかもしれない、そうであるなら、そういう予算的義務あるいは立法の義務を生むような細目取りきめ自体も、国会にかけるべきだという御見解から出ておると思います。ところがこの条約の体系といたしましては、いかなる細目まで一つの条約に盛ることができませんために、御承知のように細目取りきめあるいはさらに議事録というところまで段階を分けてきております。その場合にどういたしますかというと、本協定に委任条項がありまして、その委任条項に基いてできたものは国会にかけないでいいという関係に、相なっております。本協定に、ウランの賃貸をいたします場合に、その使用料であるとか輸送、引き渡しの条件等は両国政府間の合意に委任しておるわけでございます。でございますから、国会にこの第七条なり第六条なりをお見せしまして、その御承認を得ました以上は、本元について御承認を得た以上は政府はその委任に基きまして必要な細目取りきめを結ぶということになっております。でございますから、その料金が幾らであるとかなんとかいうことは当然予算の関係を必要といたします。しかし一たん御委任を得ました以上は、その委任に基いてこまかいことをどんどんきめて参りました結果、予算を必要といたしますならば、あらためて予算として計上して国会の御承認を得るということによりまして、国会の御承認を得るわけでありまして、この細目取りきめ、またその付属取りきめというところまで一々国会の御承認を経ておりましたならば、この協定の円滑なる運用ということはできませんので、条約におきましては、ある本元で一括国会の御承認を得ればあとは政府がやっていく。ただしやっていく過程において立法を必要とし、あるいは予算を必要とする場合には予算あるいは法律として国会の御承認を得る、そういうことに相なっておるわけであります。
○岡田委員 実は私はその解釈は反対なのです。どうしてかといいますと、あなたの言われたことは、きっと言われるだろうと思っていたのです。というのは第四条に「売却又は賃貸借は、合意される条件による。」この規定に基いて細目協定の中に貸借条件ができるのだ、こういうことをきっと言われるであろうと私は想像しておった。これは必ずしも包括的な予算措置を規定したものであるとわれわれは考えてはおりません。なぜならば、この合意された条件がゼロであった場合には貸借条件がゼロである。予算措置がゼロであった場合には予算措置を伴わないから、従って財政上の措置を伴うという場合においては、いわゆる細目協定において初めて財政上の措置を伴うかどうかという問題が出てくるのであって、この包括規定それ自体には財政上の予算措置の保証というものは規定されているべきであると何ら解釈すべきではない。われわれはこれは常識として、社会通念として解釈すべきだと思う、この点が第一点です。 それからもう一つは、外務省の今までの方針は、大体いつもそうなのですが、日米行政協定の場合においてもそうですが、本条約があって、行政協定はそれの具体的の細目上の取りきめなのだ、であるから、本条約のアグリーメントなりそういうものができておれば、細目上の取りきめはきめなくてもいいのだというような解釈をしておるのであるが、実は日米行政協定の場合においても、これが細目上の取りきめであるか、あるいはアグリーメントとして批准を要すべきものであるかどうか、こういう点においてはいろいろ疑問があるのです。疑問のある理由として、二、三日前の委員会で穂積君の質問にもあったような群馬県の事件も起っているわけです。こういう点で実は疑問がある。もう一つ一般的に言うならば、この細目協定というものは、単なる細目上の取りきめ、言葉の上で細目協定と云っているから、言葉の上での細目取りきめの内容を持っているかというと必ずしもそうではない。私たちはそのように解釈すべきだ。なぜならば、この細目協定と言われている言葉自体がいけないと思うのです。正確に言うと売却または貸与の協定というのが正確だと思います。売却または貸与の協定の内容においては、この売却または貸与によって生ずる国民の権利義務、それから第二の問題としては、この貸与によって生ずる輸送その他のセーフガードの問題、これによって生ずる国民の権利義務、これが拘束されるという状態になってくるから、従ってこの貸与並びに売却の協定、あなたの言われた細目協定というものは、当然国会の承認を得べきものである。いわゆる国民の権利義務を拘束するものである限りにおいて、国会の承認を得べきものであると解釈すべきである。私はその二つの点において、あなたの御解釈は妥当ではないと思うのだが、この点についてはいかにお考えですか。
○下田政府委員 原則は先ほども申し上げました通りでございますが、先ほど例として御引用になりました日米行政協定の場合、安保条約では実質的な規定は一条と二条ぐらいなのですが、そんな簡単な条約だけを国会に出して、それで行政協定において刑事裁判権の問題もあります。分担金の問題もあります。施設の供与の問題もあります。それは本協定にはちっとも頭を出していない、ただ配備を規律する条件は行政協定によるといって、具体的なことは全部行政協定に譲ったそのやり方はけしからぬということは、政治論としては立ち得ると思うのです。ところで今度の場合は、三条でも四条でも何を政府間の合憲に御委任されるか、御委任を下さるのかということははっきりしておるのであります。三条のD項によりますと、相互間で合意する料金とか輸送、引き渡しに関する条件でありますとか、これこれのことは政府間の合意にお譲り下さいということを、事項を明らかにして包括的委任を求めておるわけです。四条については、原子炉用資材の売却、賃貸借、それらの点は合意される条件による。四条には売却の条件、賃貸の条件は書いてございません。しかしそれは政府間で合意するところによるのであります。という事項を出しまして、それで細目取りきめ締結の包括的の御委任を受けておる。従いまして安保条約で配備を規律する条件は行政協定によるといっておるその中に刑事裁判権の問題も出てくる、いろいろな問題が出てくるということはけしからぬという御批判は政治論としては成り立つと思いますが、この場合の問題とは多少私は違うだろう、そういうように存じておるのであります。
○岡田委員 これは大臣の方へ戻らなければならぬけれども、私の質問に対する答弁がまだないのでその点重ねて伺いたいと思いますが、さっきから申し上げておるように、協力協定によっては予算上の措置を伴うという包括的の規定がないのだということを言っておる。そうして予算上の措置を伴うということは、いわゆる細目協定の中に出てくるのである。だから財政法上の立論が出るのじゃないかという点。もう一つは、さっきも申し上げたように、細目協定によって作られる中に、今の予算上の問題も含めて国民の権利義務の関係を拘束するような規定が出てくる。だからこれ自身は国会の承認を求めるべきではないかという点が新たな問題としてあるのじゃないか。この二つを、いわゆる細目協定の承認を得べき論拠として単なる事務的な細目上の取りきめの問題として理解すべきではない、こういうことを私は申し上げておるので、日米行政協定と比較して、日米行政協定はこうだったから今度はこうせいということだけで言っておるのじゃないのです。その点二つの点で国民の権利義務を拘束する問題については、当然国会の承認を得べきではないか、こう言っておるわけなのです。
○下田政府委員 仰せのように日米行政協定の例は非常に違います。しかしおよそ条約で財政的な負担を伴わないものはほとんどないといっても差しつかえないくらいでありまして、たとえば文化協定を締結いたしまして学生や教授の交換ということをいたします。そうしますと、教授を派遣するには当然予算が必要なのでございます。しかし文化協定について国会の承認を得ておるから、勝手に財政支出をして教授を派遣していいとは申していないのであります。それは外務省所管の文化活動費なり教授派遣費なりで要求いたしまして、予算として国会の承認を経ておるわけでありまして、一たん協定に書いてあるからどうとも勝手にやるとは決して申しておらないのでありまして、この原子力協定につきましては、どういうことについては政府間の合意にまかせて下さいという事項を明らかにいたしまして、そしてその細目取りきめの実施の段階に予算を必要といたします場合には、そこであるいは原子力委員会にっきますか、あるいはどこにつきますか将来の問題でございますが、予算としてやはり国会の御承認を得るわけでありまして、私はむしろこれは当然のことではないかと思って、おるのであります。 それからもう一つ、法律上の国民の権利義務に関する問題は、細目取りきめの中にはおそらく出てこないことになると思います。
○岡田委員 条約局長の問題はあとでやりましょう。というのは、文化協定の中で予算上の措置を伴うという問題についても、これはあなたの御説明では私納得できかねる。ということは、あらゆる条約なり協定は、間接的において予算上の措置を伴うでしょう。しかしこの協定の場合においては、直接的に予算上の措置を伴うような賃貸価格というようなものが出ておる。ここに問題があるということ。それから国民の権利義務を拘束すべきようなものではないでしょうとお話になっておられるが、これはそうじやない。セーフガードの問題についても当然国民の権利義務を拘束すべきような問題点があるわけです。これはあとでやりましょう。そこで大臣もだいぶんお急ぎのようですから大臣にお伺いをしたいのですが、協力協定、いわゆる原子力協定ですね。省略して申しますが、この原子力協定というのは、日米間において対等の立場に立つところの条約であるかどうか、この点をまず伺いたい。
○重光国務大臣 むろん対等の立場においての条約でございます。(笑声)
○岡田委員 いかなる根拠において対等の立場に立つとお考えになりますか。というのは、並木君は今笑っておりますが、並木君はまだこの文章を読んでいないからであります。なぜかというと、並木君よく聞いておいて下さいよ、それは前文において、「日本国政府は、原子力の平和的及び人道的利用の実現をめざす研究及び開発の計画を遂行すること並びにこの計画に関しアメリカ合衆国政府から援助を受けることを希望する」とあって、またその次には「合衆国原子力委員会によって代表されるアメリカ合衆国政府は、前記の計画について日本国政府を援助することを希望する」、すなわちアメリカは援助する立場にあり、日本の国は援助される立場にあるといった、そういう内容を持つた条約である。表面においては確かに協力する協定であるという言葉を使っておりますが、しかしこの協定の内容を構成するものは、援助国と被援助国の関係を規定しておるものである。ちょうどあなたがアメリカに行かれて、日米安全保障条約というものは一方的なものであった、従ってこれを対等の条約に直してもらいたいというようなことを要求されたと聞いておりますけれども、それと同じ性格を持っている。すなわちこの原子力の協定を通じて、アメリカが日本の国に援助し、日本の国が援助を受ける、対等の内容を持ったものではないとわれわれは解釈すべきものであると考えるのだが、対等のものであるとお考えになるのならば、一体どの点において対等のものであるか、その理由を伺いたい。
○重光国務大臣 私の対等というのは援助を受けたい、また援助をしたい、こういう立場に立って対等な取りきめをいたしたということでございます。
○岡田委員 それでは、私はそういうような答弁をされるだろうと思っていたから、まだ予定しているのですが、この条約を見ると、トルコ協定と同じ文章のものが実は第八条にあるわけです。ところがこの第八条がトルコ協定と違う点は一点だけ、トルコ協定の場合においては何条と書いて、その下の見出しに一九五四年アメリカ原子力法の規定云々という言葉が入っておるわけです。ところが内容は全く同じなわけです。なぜこの点をお取りになっておるのか。内容は全く同じであるのに、見出しだけ取ったから内容が変ったと解釈すべきものだというふうに私は考えないのだが、この点はいかがですか。
○下田政府委員 これは御指摘のように、トルコ協定にはアメリカの国内法のタイトルをそのままつけておるのでありますが、これは私どもから言わせるとみっともないことだと実は思ったのであります。定義なんかを規定します場合に、長ったらしい定義を繰り返す煩を避けて、本協定にもございますように、国内法を引用する場合もございますけれども、国内法の条章のタイトルまで協定の中に持ち込む必要はごうもないので、これは実はおかしいと思いまして、日本の協定の場合にはこれが削除方を要求いたしましたところ、向うももっともだといってこれを削除することに同意した次第であります。
○岡田委員 その削除されたことはけっこうだと思います。しかし内容は全く同じである。特に第七条、第八条はアメリカの原子力法の百二十三条の規定を受けているのであるとわれわれは解釈すべきだと思うが、この点はいかがですか。
○下田政府委員 仰せの通りでございます。
○岡田委員 百二十三条の中には、あなたも御存じのように秘、密保持その他の関係がありますが、この点ば六条と関係しない事項に関する秘密保持だと解釈すべきだと私は思いますが、この点いかがになりますか。
○下田政府委員 第六条の問題とは関係ございません。
○岡田委員 そこで伺っておきたいのですが、先ほどから大臣に再三伺いたいと言っておったのもこの点で、秘密はない、秘密はないと言っておるが、百二十三条に基く秘密はあるのです。これだけは明らかにしておかなければいけません。これは第六条の秘密資料というものとは違うものです。これが第一点です。 もう一つは、この協定それ自体はアメリカの原子力法の制限を受けて作られておる協定である。ところが日本においてはどうか。日本においては、先ほどあなたの言われたように、日本に原子力基本法というものも何もないところでこの協定が結ばれている。少くともこの協定が結ばれたときには法文上の体系としての何ら日本の国内体制というものはできておりません。そうすると片一方においては一つの法律を持って、そうしてその法律で制限を認めて日本側に交渉し、日本においては法律上の基本的な立場その他を持たないでこの条約に応じたとすれば、原子力の具体的な研究についてはこの協定からいって、援助、被援助の関係が現われてくることは明白ではないかと私は言いたい。この点についてどのようにお考えになりますか。これらの点は重要ですから、大臣からも御見解をぜひ伺いたいと思います。
○下田政府委員 御指摘の米国の原子力法百二十三条の「(2)協力協定で定める秘密保持の措置及び基準を維持する旨の協力当事者による保証、」は、日本の場合には全然省かれておるのでございます。これは御承知のようにイギリスのような国では、つまり軍事目的を持った原子力に関する協力協定の場合には、この(2)に対応する保証条約を協定で定めなければいけないのですが、日米間の協定の第八条の事項は(2)を除きまして(3)と(4)が根拠になっているわけでありまして、初めからイギリス等に要請される条件は日本の場合には適用しないことに相なっております。
○岡田委員 それは全然さかさまですよ。あなたは(3)のことを言っておるのですよ。(3)は適用しないと言っておるが、それはイギリスの場合ですよ。これは原子力法の中に「(3)その協定に従って移転されるいかなる物資も、原子兵器、原子兵器の研究若しくは開発又は他の軍事目的のために使用しない旨の」云々、この規定を言うのでしょう。
○下田政府委員 この百二十三条は、日本のように平和的利用だけをやる国もカバーはむろんいたします。しかし同時にイギリスのように軍事的利用も入ってやる国も一緒にカバーしておるのでございます。でありますから、百二十三条の(3)の「原子兵器、原子兵器の研究」云々の規定は日本の場合は該当しません。該当するのは(3)のうちの「軍事目的のために使用しない旨の保証」ということが日本に該当しております。それから(4)でも同じでございまして、この「秘密資料」云々ということも日本には該当しません。ただ日本に該当いたしますのは、「協力当事者の管轄の外に移転しない」云々という、そういう保証だけが該当してくるわけでございます。従いまして百二十三条の軍事的の面は人工部本協定には導入されておらないわけであります。
○岡田委員 うそですよ。さっきあなたの言われたのを速記録をごらん下さい、全然違っております。あなたさっき言われたのは(2)は適用しないと言われたのです。それは違うのです。(2)は適用を受けるのです。(2)の適用を受けるとすれば、(2)の中に「秘密保持の措置」というのがあるのですよ。これの適用を受けないとあなたはお話になるのか。aの(2)ですよ。aの(2)の規定の協力協定で定める秘密保持の措置、基準、これは当然入るのです。
○下田政府委員 この第六条で秘密資料自体、それから秘密資料自体ではございませんが、秘密資料の通報をインヴォルヴスする場合も、この協定の対象から除かれております。従いまして百二十三条の(2)というものは本協定には該当しなくなってくる。それで(2)は全部ドロップされてくる、そう私は解釈しております。
○岡田委員 この問題はまだ条約局長どしなければならないから、大臣のあれにはちょっと差し控えましょう。しかしこれは重大な問題ですから大臣、覚えておいて下さいよ。これはさっきの六条の秘密資料とは違うのですから、だからそこの点をはっきりしておいて、ただもっとももっともと言われたら困るのです。先ほどの大臣から御答弁のなかった、援助国としてのアメリカにおいてはいろいろな制限を設けている。ところが日本においては制限をすべき日本の国内法がない、その基礎の上に立って作られた協定であるということになれば、当然この協定はアメリカの一方的な意思というものが多分に入ったものとして結ばれているというように解釈すべきじゃないか。なぜならば、日本の国内に原子力体制なんかないからだ、だからそういうことになるじゃないかということを伺いたいのですが、この点はいかがお考えになりますか。
○重光国務大臣 私はそういうことで対等な取りきめでないというふうなことは結論に出てこないと思います。協定をしたのは対等の立場において協定をしたのでありますから、これはそれで私は十分だ、こう考えております。
○岡田委員 この点も私もう少し具体的な問題であとで大臣に伺います。きょうはやめましょう。ほかの問題があるからきょうはよすのです。 この交換公文によって、先ほど第三国との交渉を今後においてすることを妨げるものではない。そういう意味のことを穂積君に答弁されておったようであります。そういう解釈もできると思います。しかし一つ伺いたいのですが、こ〇交換公文並びに協定が結ばれたことによって、五年以内の問は日本とアメリカとの協定を守っていかなければなりませんね。この五年以内の間には、アメリカ以外の国と日本の国が協定を結んだり、あるいは原子力問題について何らかの交渉を行い得る道があるのかどうか、それを制限している協定上の条件があるのではないか、この点について伺いたいと思うのでございます。
○重光国務大臣 そういう条件はないということを申し上げておるのであります。
○岡田委員 そうすれば五年以内においてもアメリカ以外の国と日本と、必要があるならば協定を結ぶことが、この協定によってはできると解釈してよろしゅうございますか。
○重光国務大臣 それを拘束しておるのではないということを、繰り返し繰り返し申し上げておるのであります。
○岡田委員 それでは伺います。そういうようにお話になるなら伺いますが、これは原子力法の第二章の定義をごらんいただけばおわかりになるのですが、この日米協力協定の内容というものは、第十一条のbによって規定された内容を持っている。すなわち原子力法の五十四条、五十七条、六十四一条、八十二条、百三条、百四条、または百四十四条によって授権され、または許可され、かつ、百二十三条に基いて締結される他の国または地域的防衛機構との協定をいうと書いてあります。こういう内容なり条件をもって授権をされ、許可をされた協定ということになっておるわけであります。そうするとこの五十四条とか五十七条という各条章の中には、軍事上の必要、アメリカの防衛上の必要に基いては、情報あるいは資材を無条件には、貸せないという幾つかの条件が出されております。これはお話の通りです。そういうような条件のもとにおいて日本が原子力の研究をしなければならないわけです。そうすると、そこで日本が同様に他の国との、たとえば原子力問題についで情報の交換をするということになってくると、日本で、この協定に基いて研究された成果というものか、そのまま無条件に外国に出すということが許されなくなってくると思う。なってくるでしょう。それならばもう貸さないと書いてある。各条章をごらん下さい、貸さないと書いてあるのです。そうすれば結果的には、たとえば日本がイギリスなり、ソビエトなりと、そのような情報の交換をやる、もっと進んで協定を結ぶということに対しましては、当然この原子力法に基いて日米原子力協定というものを通じて、他の国との交渉を制限する結果になってくると思うのだがお考えになりますか。
○重光国務大臣 私はそういう点はきわめて明らかだと思います。(「明らかじゃない」と呼ぶ者あり)明らかです。アメリカの原子力法のいろいろな――そういうふべに解釈すべき問題だとすら思っておりませんけれども、日本が約束したのはこの協定で約束したのです。協定、で約束した以外のことを、アメリカの国内法がどうである、こうであるとかいって、それでもって日本で拘束を受ける、そんなことは協定外のことです。そんなことはありません。
○岡田委員 それはおかしい。日本の国は、この協定を通じてのみ行い得るというのは大臣の言う通りですよ。しかしアメリカ自身がこの協定に対してとっている態度というのは、アメリカの原子力法によってやるでしょう、それもその通りでしょう。
○重光国務大臣 アメリカが日本と約束したのはこの協定で約束しておるのです。協定によってやるのです。
○岡田委員 私の言うことはそうじやないのだ。アメリカの原子力法というものかあって、この原子力法の中に他国に対する援助という規定があって、この規定に基いてアメリカはやっておるのですよ。それに基いて日本とアメリカとは協定を結んでおるのですよ。だから従ってアメリカはアメリカの原子力法によってやっているのですよ。そうじやないということをあなた言えますか。しかも日本の国が教えられる立場にあるわけでしょう。
○重光国務大臣 それは非常なひがみというものですよ。そんなにひがまなくてもよろしい。アメリカとの契約は契約の部門によって契約しているのであって、その契約をどう解釈するかということについて、アメリカが国内法やいろいろなことを持ち出すでしょう、しかしそのときに日本はこう解釈するのだ、こうはっきりさせる方法があります。それをアメリカの国内法のさまつなところまで探し出して、そうしてそれがこうである、ああであるとひがむ必要は少しもないので、まっすぐ解釈していいと思う。たとえば外国と取りきめをする、その取りきめをする国は、国の憲法により、国の法律によりすべてそれをもととして協定をしておると思うのです。しかしその国と一国との間では何がものを言うかというと、協定がものを言うのであります。そのほかのことはものを言わない。それによっていくのが普通の常識であります。
○岡田委員 それではあなたの御意見の通りとしておきましょう。そうだとすれば――国内において、いろいろなひもがついておるとか、これは危険なものだとかいういろいろな問題があるわけです。今まであったわけですね。世間でもすいぶん問題になったわけでしょう。あなたも参考人の意見をお聞きになったじゃないですか。そういうような意見があったときに、それを心配されているから日本の政府はこれについてひもがつかないとか、これについてはどうだということをアメリカと交渉したわけでしょう。そういう心配が国内にあるとすれば、またそういうことは絶対にないとおっしゃるなら、この条約を結んでおる五年の間においても、日本は他国と交渉することができるということを明文化したらいいじゃないか。それは交換公文だってやれるのだから、そうしたらいい。
○重光国務大臣 そういうことはわかり切っておることです。わかり切ったことを何もきめる必要はない。たとえば日本とソ連と約束をする。向うは共産国であるからいろいろなことがある。それがすべて日本が約束によってその国内の問題について拘束されるというような解釈は、これはとるべき筋合いのものではむろんない。それは約束がものを言うのであって、その約束を正面からその通り解釈していけばいい。しかもその約束は日本がほかの国といろいろこの問題について話し合いをしたり、交渉することを少しも妨げるものではないという了解のもとにできているのだから、その通り解釈して差しつかえないと思うのであります。
○岡田委員 その点はそうじゃないのだが、きょうはよします。 最後に先ほど大臣が間違っておられる点だけを指摘しておきます。協定の期間ぱほとんどが十年だと言ったのは、大臣、間違いです。これは河崎さんなんかきっと何か言いたいのだろうと思いますが、アメリカと六月までに結んでいる二十三ヵ国の中でベルギーとイギリスとカナダとトルコの四つは大体十年らしいのです。らしいと言った意味は、イギリスは十年です。トルコは十年です。ベルギー、カナダは私は明確に存じません。それではなぜベルギー、カナダ、イギリスというものが十年になっているかというと、これはNATO関係の国との条約であるから別途な意味を持っておる。いわゆるトルコ協定に準じたグループは二十ヵ国あるわけでず。トルコ協定に準じた二十ヵ国の中ご十年の期限を持ったものはトルコだけで、残りの十九ヵ国は全部五年です。この点は間違いないようにしておいていただきたいと思います。ですから一般に協定は十年という傾向を持っておるのではなくて、アメリカとの協定はほとんど大半が五年間の協定を結んでいると解釈すべきものである。この点は外務大臣の御見解はちょっと間違っておりますから御訂正を願っておきたいと思います。
○重光国務大臣 そういうことは事実が証明するので、間違いがあれば幾らでも喜んで間違いを訂正します。私が五年と言ったのは、トルコのように十年というのではなくて、むしろ短かくして五年にしたのがいいから五年にした、今の事実が間違っておりましたら訂正することにいたします。しかしほかが全部十年で、日本だけが五年だと申し上げたわけではございません。
○前尾委員長 暫時休憩いたします。 午後一時九分休憩 ――――◇――――― 〔休憩後は開会に至らなかった〕