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23回国会衆議院1955/12/08

外務委員会 第5号

発言数
138
登壇者
11
会派数
3
開催日
1955/12/08

会議録

前尾繁三郎自由民主党

○前尾委員長 これより会議を開きます。  万国著作権条約の批准について承認を求めるの件外三件、及び原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件を一括議題といたします。  岡田春夫君。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 私は原子力の協定の問題について伺いたいのですが、外務大臣が三十分だそうですからごく簡単に基本的な問題だけについて伺いたいと思います。  委員長に念のために伺っておきますが、外務大臣は三十分でお出かけになるのでしょうが、高碕国務大臣はあとおいでになられるのですか。

前尾繁三郎自由民主党

○前尾委員長 やはり予算委員会に呼ばれておりますから……。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 それでは私は割当の十分では関係大臣に十分お伺いすることはできないので、十分の限度内でお伺いすることにして、その以降の分については質問を留保さしていただきます。  まず第一にお伺いしたいのは、この原子力協定は言うまでもなく平和的利用を目的として政府間において取りきめられたわけでありますが、ここで一番問題になりますのは、あくまでも平和的利用の限界を守っていく、軍事的な目的に使わないということですが、どどのような方法で軍事的目的に使わないかという点を、日本の国の立場としては当然考えておかなければならないと思います。そこで原子力を軍事的な目的に使わないということのために最も効果的な方法というものは、簡単に申し上げますと、いわゆる原水爆の生産、実験、使用をしない、少くとも当面において原水爆の生産をやらず、その実験をやらないということについて、国際間における何らかの取りきめが行われるとするならば、これが軍事的な利用をしないという最も効果的な目的を達し得るとわれわれは考えるわけです。ところで、御承知のように最近になりますとソ同盟においても原水爆の実験が行われる、来年はまた重ねてアメリカにおいて原水爆の実験を太平洋において行うといい、またイギリスにおいてもこれを行うというように伝えられているのでありますが、一週間ばかり前にイーデン首相が言明いたしておりますように、このままの状態でいくならば、米ソ間において原水爆の競争の状態が来るのではないか、この実験の問題についてもきわめてゆゆしい状態が来るのではないか、われわれとしては米ソ両国とこの問題について話し合う用意はある、このような旨をイーデン首相が発言をいたしておりますし、またソ同盟においても、もし米英両国がこの実験を中止するならば、いつでもソ同盟においてもこの実験を中止することに同意するであろう、このような旨をプラウダ紙を通じて正式に発表いたしております。こういう点から見まして、過去三回において原水爆の被害を受けた日本の政府としては、この実験を特にやらせないようにするために努力することは、日本の国民の要望であると同時に、原子力協定を今後平和的な利用の方向にあくまでも実施させていくという意味において、ぜひとも必要であると思うのでありますが、こういう点について日本政府として、積極的に何かこれについて具体的な対策をお考えになっておられるかどうか、米英ソ三国に対して具体的な方策をもしお持ちであるとするならば、この機会において御披瀝をいただきたいと思うのであります。これはむしろ外交上の問題が中心になっていると思いますので、重光外務大臣にお答えをいただきたいと思います。

重光葵自由民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 その点は私も御趣旨はきわめて御同感でございまして、今日までも国際的に機会のあるたびにその趣旨を日本側は述べております。それからまたその他非公式の見解としてもそれを述べておるのでございます。しかしながら御承知の通りこの問題は国際的に大きく取り扱わなければ解決すべき問題ではございません。国際連合においてもその問題は取り上げられておるわけでございますから、そういう大きな国際情勢を動かすことに努めることに専念すべきだと、こう考えております。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 今の問題も時間がありませんからあとでまた伺いますが、さしずめ当面の問題として来年太平洋において行われるというような動きもあるわけですし、またソ同盟においても実験をやっておるというような関係もあるわけですから、もっと具体的に来年の問題についてはどうするというようなお考えがもし政府にあるとするならば、こういう点についてもう一つお考えを伺いたいと思うのです。  それから時間がありませんから一緒に申し上げますが、第二の点として、原子力協定を結ぶとするならば、その基礎になっている日本の国内の体制を確立することが先決です。そうするとこの国内の基本的体制を確立するためには、原子力の基本法というものを早急に出して、やはり原子力協定と並行してこれを審議するということが、ぜひとも望ましいと思うのでありますが、今日のところ、その原子力基本法が出ておりません。こういう点について一体どのようにお考えになっておらるるか、そうしてもしお出しになるとすれば、いつお出しになるお考えであるか、こういう点についても伺っておきたいと思います。

重光葵自由民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 これもお話の通りだと思います。なるべくすみやかに国内体制をこの問題について固めなければなりません。そのために全力を注いでおります。ただそのためにも原子力に関する協定、これが国会の承認を得るということは、その促進の非常な原動力になるわけですから、これは並行してやるということも理論的には私はけっこうだと思います。そういう工合な心組みで今促進しておるのでございます。しかしながらそれよりもこの協定を成立せしめるという国会の意思がはっきりすれば、もうすぐそれに伴って準備をして基本的のしかけをしたい。こういうことで今進んでおるので、大体の御審議の状況によって引き続いてすぐ基本的のことについても、国内的処置についても御承認を得るように取り計らいたいと考えております。

高碕達之助自由民主党経済企画庁長官

○高碕国務大臣 今のお説はごもっともでございまして、まず濃縮ウランが入ってくるまでの間に一番先にきめるべき問題は、行政機構をいかにして強化するかという問題でありまして、これはできますればこの臨時国会にも提案したいと存じまして、一生懸命やっておるわけであります。同時に基本法というものはこれを動かしていく上において一番必要なルールでありますから、これも並行的にやりたい。これも今せっかく検討中でございますが、おそくとも今度の国会までには完成したい、こう存じているわけでございます。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 念のために伺っておきますが、今の高碕さんの御答弁を伺うとわれわれの伝え聞くところによるというと、原子力委員会設置法の関係は今国会、いわゆる臨時国会の間に出したい、こういうお考えである。しかし原子力の基本法の問題については、臨時国会に間に合わないから通常国会に出したい、こういうお考えと承わってよろしいですか、どうですか。

高碕達之助自由民主党経済企画庁長官

○高碕国務大臣 なるべく両方ともこの臨時国会に出したいと思って努力いたしておりますが、現在の見通しでは、そういうただいまのお話のような結果になるかと存じております。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 今の関係でもう少し伺いたいのですが、この前の国会で高碕さんがはっきり言明しておられるので、必要があれば速記録をお読み、いたしましてもけっこうですけれども、今度の原子力協定は、御承知の通りに仮調印を結んでから、そのあとで慎重を期するという意味で、正式調印と時期を別にしております。正式調印は十一月に結ばれておりますが、この仮調印と正式調印の時期をずらしたことについては、協定の内容について相当詳細に日本政府として検討する必要がある。この検討のためには、細目上の取りきめその他についてもいろいろ詳細な調査をする必要がある。従ってあなたの御答弁によりますと、細目協定を結んだあとで、正式調印を結ぶつもりでいる、そういうつもりで、国会の御承認を得たいということを、七月九日の外務委員会において正式に答弁をされております。この点については私はここではっきり念を押して間違いがありませんかということをあなたに重ねて伺ったところが、間違いがないという御答弁があった。ところが正式調印をする以前において細目上の取りきめ、具体的にいうと細目協定ということにもなりましょうが、この細目協定がいまだ結ばれておらないのに正式調印が行われたという事情については、いかなる事情があったのであるか。あなた御自身の御答弁と食い違いがあるのであるが、この点についてはかように扱っておられるのか、この点を伺いたいと思います。

高碕達之助自由民主党経済企画庁長官

○高碕国務大臣 私は当時そういう希望でおりましたわけなのであります。ところが実際問題といたしまして細目協定ということに相なりますと、いろいろ小さな問題もありますし、そこに根本方針といたしまして財政上の負担が伴うやいなやという大きな問題があります。もう一つは、われわれの希望しております三原則と申しますか、研究の自由を阻害されるというふうなことがあっては困る。これが一番おそれた問題であります。この二つの問題が解決されれば本協定を結んでも、細目協定があとになっても差しつかえないと私は信じたのであります。それで今日までの調査によりますと、大体におきまして一グラムの価格が二十五ドル、六キログラムを持ってきても十五万ドルをこえない、全部買ってもこえないというくらいの状態であることが、大体明らかになったのでありますから、この問題はそれで解決した。第二の秘密協定というふうな問題にこれがならないということがはっきりすればいいだろう。こういうことで、いろいろな情勢から考えまして本協定を十一月に結んだわけでありますが、細目協定は引き続いて審議に入りたい、こう存じております。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 審議に入りたいといって、現在審議に入っていると聞いてるのですが、入ったのだろうと思いますけれども、細目協定を結ばれる時期というのは、原子力協定を出した後において結ばれる、こういうふうに解釈していいのかどうか。それからもう一つは、今一グラム幾らという値段について明らかになった、これは細目協定を調べていると明らかになったというように実は私は解釈したいと思うのですが、そうすると、細目協定に予算上の措置を必要とするという意味で、細目協定自身は当然国会の承認を得なければならない。これは財政法上の規定がありますので、国会の承認を得なければならないと思うし、この点については高碕さんがやはり七月九日の答弁において、細目協定で予算上の措置を伴うならば、細目協定それ自体を国会の承認を受けなければならないと考えるという答弁も出ておるわけです。この点も間違いないか、この二点だけ伺っておきたい。

高碕達之助自由民主党経済企画庁長官

○高碕国務大臣 細目協定の問題につきましては、非常に法律上の問題が伴いますから、政府委員からお答え申し上げます。

重光葵自由民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 今の高碕国務大臣の御説明に補足をしておきます。この前御答弁を申し上げたのは高碕国務大臣の御答弁は私はその点気がつきませんでしたが、私はこういう工合に答弁しておきました。細目取りきめの要綱を明らかにした上で正式調印をする。そこで細目協定をすっかり条約的にきめてしまうということは、これは国内体制の関係もございますので、そのときには参りませんでした。しかしながら、細目取りきめの要綱はすっかり明らかにした上で正式取りきめをいたしました。その細目協定は、これはやらなければなりまん。なりませんが、それにつきましてはやはり国内体制、法規関係等いろいろこんがらかるものですから、それが具体化すると同時に、これはやらなければならない。しかしどういうことを細目協定にするかという要綱は、すっかり実は明らかにしてございます。私はその内容は御説明することはできませんけれども、内容はすっかり明らかにした上で調印してございますから、その時期が来ますれば、これはすぐできることになっております。それを議会の正式承認を得るかどうかということは、これはまたでき上った上の形式等も考えなければなりません。しかしこれは当然議会に提出して十分に内容について御検討を仰ぐということは、これは申し上げて差しつかえないと信じます。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 念のためにもう一度、今の点で外務大臣に伺っておきたいのは、細目協定は当然国会に出す、こういうお話ならば、私はこういうように解釈したいと思うのです。予算上の措置を伴うという点は、これは高碕国務大臣が今言われた通りで明らかになってきたわけです。そうすると、鳩山内閣はきわめて民主的におやりになるというお考えであるように再三声明も伺っておりますので、当然これは財政上の措置を伴うわけですから、財政法並びに憲法の措置に基いて、細目取りきめについての国会の承認は必要だというように、国会の御審議をわずらわしたいという重光外務大臣の意見と私は解釈したいと思いますが、この点は間違いないだろうかどうかという点を重ねて伺っておきたいと思います。  それから第二の点は、ただいま外務大臣は、細目協定の内容については明らかになっている、こういうお話であるならば、これは当然国会では原子力協定を承認するかどうかに関連しては、細目協定の詳細をわれわれは伺わなければ、この審議上いろいろな関係が出てくると思いますので、私はその詳細の主要点だけでもこの機会において、関係事務当局の方でもけっこうでありますから、この点は明らかにしておいていただきたいと思います。この二つの点だけを伺っておきたいと思います。

重光葵自由民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 予算処置を伴うようなことがあれば、むろんこれは国会の御承認を得なければできませんから、そういたします。  それから細目協定の大綱について御説明することは少しも異存はございません。それは御説明いたしますが、きょうはいいでしょう。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 それではあとの時間において詳しいことを説明して下さい。これで終ります。

前尾繁三郎自由民主党

○前尾委員長 松本七郎君。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 その前にちょっと議事進行について——きのうの理事会においては、この原子力協定の問題で大臣の出席をお願いすると同時に、一般情勢についても極力大臣に出席をお願いして質疑をするという申し合せになっていたはずです。聞くところによると、さっき委員長のお話では、きょうは原子力協定問題だけで、一般情勢についての質問はしないということを言われたそうですが、大臣も忙しいところ出席していただいたことは多としますけれども、この原子力に関することは質問者もきょうは少いですから、なるべく早くやって、あと一般情勢も少しはやっていただくように取り計らっていただきたい。

前尾繁三郎自由民主党

○前尾委員長 これは先ほどいろいろ御相談したのですけれども、三十分しかおっていただけぬものだから、そこで野党の方三人くらいで十分ずつ質問する、そうなると原子力に限定して質問するよりしようがないじゃないか、こういうことで進行したのです。だから大体そういう意味で御了承願いたいと思うのです。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 その問題はまたあとで申し上げます。  この原子力問題は、きのうの理事会でも委員長からお話があったのですが、非常に審議を急ぐと言われるのです。しゃにむに臨時国会にでも通してしまいたいというようなことまで言われて、私どもはきのう、この審議を慎重にする上から、どうしてそんなに急がなければならぬのか、特に理由があれば、われわれも納得がいきさえすれば、毎日でも委員会を開いて早く審議を終るようにしたい、そういうことを聞いたのですが、その理由がはっきりわからないので、これは政府に聞いてくれということでございましたが、一体何か特別にこれを急ぐ理由があるかどうか、その点を大臣にお伺いしたい。

重光葵自由民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 私は今原子力の平和利用ということは、これは最優先的に着手しなければならぬ、こう考えております。こう申し上げれば、だれも御御異存はないことだと思います。従いましてせっかく協力協定ができて、そしてこれをやろうということについて大体の御意見は一致しておると私は聞いておるものですから、これは一つ早くやって、そして国内体制もそろえて日本がこの問題について一日もおくれぬように早くやらなければならぬ、それで私も非常に重要な問題として急ぎたい、こう考えておるのでございます。なおいろいろ手順等について特に急ぐ必要もございましょう。そういうことについては他の閣僚からも御説明ができると思いますが、そういうことでございます。これが何か策略的に急ぐのであるとかなんとかいうことは少しも考えておりません。これはほんとうに必要なことでせっかくできているので、各方面においても大局については御異存がないと聞いておりますから、これは急いでやって仕事を先に進めたい、こういうことでございます。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 こういう問題はなるべく早くしたいという一般的な気持はわかるのですが、通常国会に継続審議でも困る、しゃにむに臨時国会でというような、時期的に非常に限られたような発言がきのうあったものですから、何か特別に時期的に何日までどうしてもというような理由があれば、そこを明らかにしていただきたい。

重光葵自由民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 その点は、非常にこれを促進したいという気持を申し上げたものと思います。これはむろん十分に御審議をいただかなければならぬので、特にあすまでにこれはやらなければならぬというような時期的の何はございませんから、十分御審議をいただきたいと思います。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 それから平和利用をこれから非常に進めていかなければならぬわけですが、平和利用と、非平和利用というか、平和的でないものとの限界というのは非常にむずかしい問題になる。特に原子力のようにあらゆる科学工業を総合的にあれしなければならぬというものにおいては、特に平和と、平和でないものの限界というものはむずかしいと思うのです。その限界を一体どういうところに置いて今のところ考えたらいいのか、お伺いします。

重光葵自由民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 その点についても、私に関する限り普通の常識をもってお答えするよりほかにございません。しかしながら、すべての文明の利器は、科学の進歩によって平和的にも非平和的にも使い得ることは、今日までの何ではっきりしております。しかしながら、それは非平和的に使うことを避けなければならぬ。従来の科学の問題でも同様だと思います。そこで国際的にもそれは避ける方法を講じなければならぬ。また国内手続、法規の上においても、そういうことを避けるように措置しなければならぬ。さような考え方で進むよりほかに方法はないと私は考えております。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 この前濃縮ウランのときにもこれは大臣にお伺いしたのですが、まだはっきりした御答弁はなかったようですが、平和利用を積極的にやる以上は、やはり今日のような情勢においては非平和的なものに使わないような努力も一方においてしなければならないと思う。特に日本の国際連合加盟もそう遠くない希望が持てるようになってきたのですが、御承知のように国際連合においても原爆の禁止問題とか、あるいは原子力の国際的な管理の問題だとか、いろいろ懸案として今日まで長い間続いているわけです。ですから、特に原爆の被害国である日本が国際連合に加盟した暁には、この世界的な原子力の国際管理のような問題にも、日本は相当大きな発言力を持つことができるし、また持つべきだ。それには入ってから、さあ、こういう問題に取り組もうではおそいので、やはり今からすでに日本自身が平和的利用に乗り出そうという以上は、一方においては国際的な原子力の管理のような問題についても、もっと真剣に取り組んで、独自の日本の、案くらいはひっさげて国際連合に乗り込むくらいでなければならぬと私は思う。そういう点についてのお考え方は少しは進展いたしておるでしょうか、どうですか。

重光葵自由民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 国際的に、原子力を非平和的に使ってならぬという考え方は、日本だけでなくして、これは国際連合を中心にして非常に強く存在しておることは御存じの通りであります。それは強力にそっちの方をやらなければならぬ。今日は日本はまだ加入はいたしておりません。加入した後には、一層力を持つことになりますが、その前から、こういう問題については日本は相当な発言をいたしておるわけでございます。いろいろな機会において平和利用ということに進んでおることは、これまた御承知の通りであります。その努力を一そう続けていくことは言うまでもございません。そういう工合にしていきたいと考えております。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 私の聞きたいのは、そういう努力を続けられる過程において、外務省なら外務省で特に原子力の国際管理の具体的な案を、いわゆるアメリカの出したバルーク以来のいろいろな案、その変遷、それからソビエトの案、そういうものに対して、日本はどういう案を是と考えるか。そういう具体的な案を検討されたことがあるかということです。

重光葵自由民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 むろん各国の案について検討はいたしました。しかしながら、日本として、また日本の外務省として、これに対して具体的の提案は持っておる次第ではございません。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 それから、少しこの協定の内容にわたるのですが、いわゆる第九条の問題たと思います。実験炉だけに限らず、将来の発展にまで及ぶという問題については、トルコのような場合は、何でもかでもすべてをアメリカに依存しなければならぬというような状態だから、ああいう協定ができたのだろうと思いますが、日本の場合は、そういう必要はない。実験炉だけでたくさんだというようなことから、アメリカ側としてはこの第九条は要らないだろうということを言ったにもかかわらず、日本側で何とか覚書程度のもので残してくれということで、日本の意向として残されたということが伝わっておりますが、その真相を明らかにしていただきたいと思います。もし日本側からそれを残したとすれば、どういう理由でこれを残したか。

重光葵自由民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 将来の協力を得ることについては、余地を残した方がいいと考えました。これはこの前も説明を申し上げたと思いますけれども、その余地を残しておくことが日本側の利益と考えました。どちらから提案ということは、ちょっと記憶にございませんが、日本はそれを希望いたしました。将来、こういう方面の協力をふさぐわけではございませんが、また協力するときに新たに問題を申し込むということは、それだけ手数がかかるわけでございます。不利益でございます。だから、余地を残して、協力は何どきでもし得るように、またしてもらい得るようにしておくことが有利であると考えましてそのように取り計らいました。これは日本とアメリカとの関係でございます。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 この問題の一般的な質問は、この程度にしておきたいと思いますが、さっき委員長に申し上げたように、しばらく大臣にいてもらって、一般情勢の質問を続けていただきたい。

前尾繁三郎自由民主党

○前尾委員長 予算委員会の方の関係がありますから、なるべく簡単にお願いいたします。     —————————————

前尾繁三郎自由民主党

○前尾委員長 それでは国際情勢に関する件について質疑を許すことにいたします。  戸叶里子君。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 私は重光外務大臣に質問を申し上げたいと思います。先ごろ重光さんがアメリカへおいでになりまして、重光・ダレス会談に関する日米共同声明を発表せられました。これを読んでみますと、いろいろと問題がございますけれども、当面関係のある二点について私は御質問を申し上げたいと思います。  その一点は、日本の対外外交政策についての発表といたしまして、「ソ連邦及び中国におけるみずからの経験に徴し、自国の政策を解明した。」ということが書いてあり、そのあとから「この外交政策の礎石として、米国及び自由世界との協力を維持する決意を表明した。」こういうふうに書いてございます。このことだけでは別に大した問題はないかもしれませんけれども、その当時、新聞によりますと、重光さんがナショナル・プレス・クラブにおきまして、これに関連しての演説の中に、ソ連と国交は回復するけれども、これは技術的な戦争の終了で、今後何ら親交を結ぶ意図がないということを言われたということが、新聞の発表にございました。そのことは、当時日ソの交渉が開始せられておりますときに、あまりにも不誠意を示すように感じられたのでございますけれども、この点は一体どういう意図をもってそういう発表をせられたかをまずお伺いしたいと思います。

重光葵自由民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 その点は参議院の委員会でしたか、ずいぶんそのお話がありました。私は明らかにいたしておきます。私はその共同声明にある通りに、その趣旨で話をいたしました。それは私がナショナル・プレス・クラブで言った演説には何にも関係はないのでございます。私がナショナル・プレス・クラブでした演説の問題の点を申し上げます。今あなたの言われたことは違います。私はこう言ったのであります。われわれは平和外交の推進のために、日ソの間の戦争を終結せしめるがために、今交渉しておるのだ、しかしそれは国交を正常化するために今やっておるのだ、共産主義とフラテルナィズするためにやっておるのじゃないのだ、こう言っておるのであります。フラテルナイズということはあなたが御存じの通りであります。これは男と女が抱き合って接吻をするということだ、兄弟の契りをするのじゃない、私はその通りに考えております。そういうことを言ったのであります。それが親交を結ぶという意味じゃありません。われわれがソ連に今提案をしておる平和回復の文面の中にも、将来ソ連との国交を回復して友好関係を回復すると書いて提案をいたしております。友好関係は回復するのであります。しかしコミュニストとフラテルナイズするということはわれわれの方針でない、こういうことを申したのでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 そうしますとソ連との間の国交を調整して、そうして友好関係は結ぶけれども、兄弟的な関係はしない、こういう意味でおっしゃったのでありますね。それではアメリカとの関係はどういうふうにお考えでございますか。今おっしゃったような兄弟関係にはしないというふうにおっしゃったんですか。

重光葵自由民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 私もアメリカとの間にフラテルナイズするということは申しませんでした。アメリカとの協力関係を強化する、こう申しております。おそらくそれは今日までの日本人の考え方を率直に述べたのだと思います。今の御趣旨も日ソ交渉に妨げになりはせぬかというような意味の御質問でありましたが、私はあなた方もコミュニストとフラテルナイズするということは考えておられぬと思います。しかし国際法上に言う友好関係は回復する、回交を正常化してこれはこちらが提案している文面にそう書いてある、それは当然のことと私は考えております。これは日本国民の意思であろう、こう考えております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 私どもが問題にしたのは外務大臣のお話を直接伺ったからではなくて、アメリカでなされた演説が報道された、そのことに関係して問題にしたわけでございまして、今大臣のおっしゃるようでありますならば、友好関係を結ばないとは言わなかった、こういうふうに了承いたしますが、それでは今区別をおつけになりましたように、ソ連との関係は友好関係で、アメリカとの関係は友好さらに協力という形の外交を押し進めるのだ、こういうふうに了解してよろしいわけですか。

重光葵自由民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 その点については私は毎次の国会で私の政策をはっきり申し上げておる通りでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 時間の関係でこの問題はこの程度に打ち切りまして、次に防衛分担金の問題でございますが、防衛分担金の交渉は大体どんなふうになっておられるか、これが、第一点。第二点はこの交渉に当たって漸減方式をとっているのか、つまり防衛軍を、日本における自衛隊をだんだんふやして、それの数によって防衛分担金を減らすという方法をとっているのか、それとも毎年々々交渉に行って、そうしてこの分担金を減らしてもらうというような方法をとるのか、この点をどういうふうなお話し合いをされてきたかを伺います。

重光葵自由民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 防衛分担金の交渉は予算とも関係がございますので、これまたなるべく早くやらなければいかぬ、これに間に合うようにやらなければいかぬ、今のところでは必ず間に合うようにやりたいと思って一生懸命にやっております。そのやり方については、これは実は行政協定二十五条ですかにある通り、毎年交渉するということがその趣旨になっております。だから今回の交渉は来年度のことについて交渉をする、こういうわけでございます。しかし話をしてそうしてこの問題が将来に向っても日本に有利だまた双方の満足するように解決ができれば、それはそういう方式が見つかればそれはそれに越したことはございません。そういうことも頭に入れて非常に今督促をしたりして交渉を促進しておるわけでございます。しかしこの交渉ということも、何も正式に机を並べて交渉するというふうに私はやっておりません。その下ごしらえをするために、今私の手でいろいろ妥結を早く見るように今努めております。そこでこれは来年のことをやるのでございます。しかし今申す通りに将来のことに向ってもちゃんと有利にできるような方法が発見されるならば、それも一緒に考えてやろうというので極力促進方を今やっておるわけでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 それは現段階においては差し迫って来年の交渉をして、あとはその次からはどうなるかわからない、こういうふうに了承いたしましたが、それでは来年の交渉に当りまして削減方を依頼するときに、どういうふうなことを基準にして削減方を頼むわけでございましょうか、その点をお伺いいたします。

重光葵自由民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 それは来年になって考えてみます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 今交渉しておるのが来年の問題だと思うのですが、その来年度の削減をどういうことを基礎にして幾ら幾ら削減してもらいたい、こういうことを交渉していらっしゃいますか。

重光葵自由民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 今の交渉は来年度のことでございます。来年の交渉は再来年のことになります。今の交渉の基準は——基準と申しますのはなるたけたくさん一つ削減してもらいたい、こういう基準でやっております。

前尾繁三郎自由民主党

○前尾委員長 並木君。

並木芳雄自由民主党

○並木委員 簡単に大臣に御質問いたします。実はきょう外電が入っております。日韓問題でございますが、これをちょっと見たのですが、事態がやや平和的解決の方へ向いているように受け取れますので、特に大臣に御質問いたしたいと思います。その外電はロバートソン米国務次官補は七日国務省において梁韓国大使と会見一時間余にわたって日韓両国の関係について懇談した、席上同次官補は米国政府としても日韓両国の緊張関係をこのまま放置できず、両国間の親善友好関係確立のため、何か手を打たなければならぬと感じている旨を力説した、梁大使は以上米国政府の見解を本国に伝達する旨を約束した、と伝えております。ただ約束したが、特に日本代表と会談を始めるのには、その前提として日本政府が財産請求権を放棄すること、久保田代表の発言を取り消すことが絶対必要である旨を述べたと伝えられる、こういう外電でありまして、今まで韓国が日韓漁業問題、李ライン問題の解決には一切アメリカが手を引いてもらいたい、アメリカのあっせんはお断わりだと言っていた態度から見ると軟化をして参りまして、日本にとっては一歩有利に前進したと、こういうふうに受け取れるわけでございます。  そこでお伺いするわけでございますが、当然ここに至るまでには大臣としても苦心をされて、まず正式に米国のあっせんを依頼されたと思いますが、それはその通りだと思いますが、いかがでございましょうか。それから本日閣僚懇談会も行われる予定だと聞いておりますが、重光外務大臣といたしましては、こういう外電も来ている折柄、今後の方針についてはどういう方針で今までの平和約解決の方法を一貫して臨まれるつもりであるか、また場合によっては強硬なる手段にも訴えるというおつもりもありますかどうか。特に梁大使が本国へ伝えると言っている中の、従来の財産請求権を放棄すること、久保田代表の発言を取り消すことという二つの条件は、日韓会談再開に際してしばしばいわれておった言葉でございます。そうするとこの漁業問題は切り離して討議できないで、また一般の日韓問題との関連において交渉が始められるようになってくるのかどうか。大臣としては切り離してやりたいおつもりだろうと思います。またわれわれとしてもそれを要望しておるのでございますが、その辺のところを今後どういうふうに前進されますか、この際はっきり御所見を表明しておいていただきたいと思います。

重光葵自由民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 日韓の関係が非常に緊張する状態になっておる今日の事態は、私は非常に遺憾なことだと思います。これは国会方面はむろんのことでありますが、日本人みんなが同感のことであります。この日韓の関係をぜひとも調整して、そして平和的の解決を見るようにしなければならぬ、つまりよって平和手段に緊張緩和をはからなければならぬということは、これは初めから一貫した政府の方針でございます。それでありますから、場合によってはいかにも手ぬるいと思われる方々もたくさんありましょう。しかし日本の方針としては、いわば兄弟分の韓国との関係を常軌に復する、こういう点に関しては、私はあらゆる努力、忍耐をしてかからなければならぬと思います。そこでがまんがし切れないところをがまんする必要もございましょう。しかしながら私は、必ずこの精神は一衣帯水の韓国の人々の共鳴するところになると確信して疑いません。そこで私はその方針を堅持しておるわけでございます。しかしそうかといって日本の正当な権益は十分に擁護しなければなりません。そのための政府であります。そこでいかにしてそれを調和して、これを双方とも実現するかということに苦心が存するわけでございます。なお日韓の関係がこういうことになります前から、米国が日韓の関係について非常な大きな利害関係を持っておるということも、もとより御承知の通りであります。従いまして私は、絶えず日本の意向及び事態の推移は、米国側と密接な連絡をとってきております。米国側に誤解はないと思います。日本の意向を米国側ははっきりと承知をしておると思います。そこで米国側が有する利害関係にかんがみて、今万一日本と韓国との間に不祥事でも起ったときには、米国は非常な重大な関心をこれに払わなくてはならぬ、これを避けようと思って米国はあらゆる努力をしておると私は承知をいたしております。御承知の通り、韓国には米国は非常に強力な軍隊も持っておるのであります。そういうようなわけで、米国は公正な立場からこの問題を取り上げて、そうして平和的解決に援助をしてくれる、こういうことは私の非常に希望しておるところでございます。その公正な態度でやることについては、韓国側も十分これに耳を傾けていかれるだろうと思います。ただ米国側と密接な関係を持っておるだけではまだいきません。私は韓国の代表部とは直接連絡をして、今日本の意向のあるところ、韓国の意向のあるところを意見の交換をやっております。私の最近得ておる韓国側の意向は、韓国側もこれを平和的に処理することに異存のないように私は印象を受けております。従いまして日本側の平和的解決ということは、遠からず実を結ぶのじゃないかと考えます。ただし今お話になりました日韓関係の全面的解決ということは、これはまだ容易なことではございません。当座の目的は緊張を緩和して、万が一にも不祥事の起らぬようにすることが大事でございます。そうして事態が平静になった後に、両国の関係をすべての問題にわたって考慮するということは、これはいたさなければなりません。それは従来の交渉を続けるという意味でございます。その従来の交渉を続けてやります。それにつきましても相当具体的の案を考えておるわけでございます。     —————————————

重光葵自由民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 日韓の関係が非常に緊張する状態になっておる今日の事態は、私は非常に遺憾なことだと思います。これは国会方面はむろんのことでありますが、日本人みんなが同感のことであります。この日韓の関係をぜひとも調整して、そして平和的の解決を見るようにしなければならぬ、つまりよって平和手段に緊張緩和をはからなければならぬということは、これは初めから一貫した政府の方針でございます。それでありますから、場合によってはいかにも手ぬるいと思われる方々もたくさんありましょう。しかし日本の方針としては、いわば兄弟分の韓国との関係を常軌に復する、こういう点に関しては、私はあらゆる努力、忍耐をしてかからなければならぬと思います。そこでがまんがし切れないところをがまんする必要もございましょう。しかしながら私は、必ずこの精神は一衣帯水の韓国の人々の共鳴するところになると確信して疑いません。そこで私はその方針を堅持しておるわけでございます。しかしそうかといって日本の正当な権益は十分に擁護しなければなりません。そのための政府であります。そこでいかにしてそれを調和して、これを双方とも実現するかということに苦心が存するわけでございます。なお日韓の関係がこういうことになります前から、米国が日韓の関係について非常な大きな利害関係を持っておるということも、もとより御承知の通りであります。従いまして私は、絶えず日本の意向及び事態の推移は、米国側と密接な連絡をとってきております。米国側に誤解はないと思います。日本の意向を米国側ははっきりと承知をしておると思います。そこで米国側が有する利害関係にかんがみて、今万一日本と韓国との間に不祥事でも起ったときには、米国は非常な重大な関心をこれに払わなくてはならぬ、これを避けようと思って米国はあらゆる努力をしておると私は承知をいたしております。御承知の通り、韓国には米国は非常に強力な軍隊も持っておるのであります。そういうようなわけで、米国は公正な立場からこの問題を取り上げて、そうして平和的解決に援助をしてくれる、こういうことは私の非常に希望しておるところでございます。その公正な態度でやることについては、韓国側も十分これに耳を傾けていかれるだろうと思います。ただ米国側と密接な関係を持っておるだけではまだいきません。私は韓国の代表部とは直接連絡をして、今日本の意向のあるところ、韓国の意向のあるところを意見の交換をやっております。私の最近得ておる韓国側の意向は、韓国側もこれを平和的に処理することに異存のないように私は印象を受けております。従いまして日本側の平和的解決ということは、遠からず実を結ぶのじゃないかと考えます。ただし今お話になりました日韓関係の全面的解決ということは、これはまだ容易なことではございません。当座の目的は緊張を緩和して、万が一にも不祥事の起らぬようにすることが大事でございます。そうして事態が平静になった後に、両国の関係をすべての問題にわたって考慮するということは、これはいたさなければなりません。それは従来の交渉を続けるという意味でございます。その従来の交渉を続けてやります。それにつきましても相当具体的の案を考えておるわけでございます。

前尾繁三郎自由民主党

○前尾委員長 それでは正力国務大臣と島村原子力室長が見えておりますから、原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件について、質疑を許したいと思います。  松本七郎君。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 大臣にお伺いしたいのは、この協力協定ができて、それから細目協定などに進んで行くだろうと思うのですが、今後の原子力産業一般についての計画はもう相当おありだろうと思うのです。たとえば実験過程がどのくらい続いて、そしてさらに次の段階にいつごろから進めるか、発電という段階はいつごろ予定しておるか、それから今度それを進めるについては、官庁の機構だとかあるいは今度日本における天然ウランの調査、それから開発、それをどういう機構でやっていくのか、国が直接やるかあるいは公社でやるか、あるいは掘り出すことは民間でやらせるのか、そういういろいろなことを総合的に、これはある程度計画をして今後の問題に取り組まなければならぬ、非常に大事な問題だと思います。まず担当大臣として今後どういう態度でこれに臨まれようとしておるか、これがある程度できておりましたら、ここで詳細にお話していただきたいと思います。

正力松太郎自由民主党北海道開発庁長官

○正力国務大臣 今御質問がございましたが、実は私担当になったけれども、まだ事務の引き継ぎもよくやっておらぬので、詳しいことはまだよく知りませんが、そのことについて高碕君は相当案はあったようであります。事務当局も来ておりますから、ある程度は事務当局の方で御返事させてよろしかろうと思います。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 引き継ぎをやっておらないといわれますけれども、今まではだれが大臣として担当しておりましたか。

正力松太郎自由民主党北海道開発庁長官

○正力国務大臣 高碕経済企画庁長官であります。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 そうすると事務当局はどこが今度は担当するわけですか。大臣はあなたが引き継がれる、事務当局はどこでやられるわけですか。

正力松太郎自由民主党北海道開発庁長官

○正力国務大臣 今度原子力委員会ができますので、そこでやるつもりでおりますが、委員会についてもまだはっきりしないのであります。今党といろいろ折衝中でありますから、委員会の構成そのものは多分二、三日中にきまると思います。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 外務大臣もしきりにこういうことは急くのだといわれるし、審議もこの協定ばかりはばかに急ぎながら、そっちの方の準備がちっともできておらない、大臣の引き継ぎもやっておらないでは話にならない、こういうことはどういうふうにお考えでありますか。

正力松太郎自由民主党北海道開発庁長官

○正力国務大臣 実は何としても、根本は委員会を作らなければいかぬと思っておりますので、その上で事務はちゃんと事務でやっております。企画庁でやっておりますし、それからそのほかに通産省でやっておることもあります。それがまだ一つにまとまっていないのです。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 それじゃ作ろうとする委員会の構想、そういうものはどうですか。

正力松太郎自由民主党北海道開発庁長官

○正力国務大臣 それを今党の方と案を折衝中であります。おそらくは二、三日中にできます。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 それは政府側はだれが折衝しておりますか。

正力松太郎自由民主党北海道開発庁長官

○正力国務大臣 高碕経済企画庁長官であります。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 そうすると責任大臣は今度あなたになって、そしてなお折衝は高碕大臣がやっておるということですか。

正力松太郎自由民主党北海道開発庁長官

○正力国務大臣 いや、それは私もむろんやっております。

前尾繁三郎自由民主党

○前尾委員長 松井国際協力局第四課長が原子力関係をやっておられるそうであります。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 それでは大臣にかわって交渉の経過について、広範囲に説明していただきたい。

松井佐七郎外務事務官(国際協力局第四課長)

○松井説明員 御命令でございますから、僭越でございますが御報告申し上げます。  ことしの一月十一日に、在京米国大使館から日本政府に対しまして、もしも日本政府が希望するならば、原子力平和利用に関し、一定量濃縮ウランと、それに伴う技術援助をしてよろしい、こういう申し出がありました。この問題につきましては、政府といたしましては、わが国における原子力平和利用の基本問題に触れるので、経済企画庁が中心になりまして、総合部会、原子力平和利用準備調査会、各般の専門家が寄りまして、いろいろ御検討下さいました。外務省といたしましてもアメリカ政府の意図、それに関するいろいろな条件を鋭意在外機関を動員いたしまして調査した結果、いわゆる日本政府の自主権をそこなうがごとき、ひもつきと称するものはないという確信を得ましたので、政府は総合部会、原子力平和利用準備調査会の御決定を経まして、さらに閣議了解をいたしまして、本年の六月下旬、在米井口大使に訓令をいたし、適当な条件のもとに、濃縮ウラン受け入れに関する米国政府との交渉を開始いたさせました。交渉は若干の曲折がありましたが、一応六月の二十日ごろ交渉案文につきまして合意が達成いたしましたので、六月二十一日に仮調印を行いました。  御承知の通りアメリカの原子力法百二十三条によりままと、交渉をしました、いわゆる協定、プロポーズド・アグリーメントなるものは、アメリカの国会のジョイント・コミッテイに三十日間提示しておけば、自動的に大統領が発効させるという一つの規定になっております。しかしながら日本の方は、たとい内容が立法事項を含まなくても、あるいは濃縮ウランのようなものにつきましては、別途予算をもって国会の御承認を得ることといたしましても、なお問題の政治的重要性にかんがみまして、国会の御承認を得るという必要がありましたので、そういうふうに米国政府の提案を修正いたしました。  さらに協定案文の訳文その他につきましても、専門家の御意見を仰ぎまして、慎重文書を練りました上で、かつ外務臣が国会において御答弁なさった通り、本協定の実施細目に伴う要綱、特に濃縮ウランの受け入れに関する条件、賃貸料の計算方法、支払い方法、こういうものに関する米国政府の案というものの要綱を十分確認した上で、今般去る十一月の十四日、ワシントンにおきまして井口大使と国務省のシーボルト国務次官補代理、シュトラウス原子力委員長の署名のもとに正式調印いたした次第であります。当日外務省は情報の発表の過程におきまして、案文を正式に日本語の正文もともに発表いたしました。簡単でございますが、これが私たちの事務当局といたしましての執務経過の報告でございます。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 松井さん、今度細目協定の問題にだいぶ触れておられますから、あなたはアメリカに細目協定で行ってこられたのだし、堀さんは残っておられたし、川崎さんはちょうどおらないから、先ほど細目協定の主要点については、政府委員から報告させますという大臣の話があったので、この機会に細目協定の内容について今ちょっと二、三点触れたようですから、もう少し詳しく触れていただきたいと思います。

松井佐七郎外務事務官(国際協力局第四課長)

○松井説明員 御殿吉申し上げます。細目取りきめの内容は、御承知の通り本協定の第三条のD項において要綱が明示されてあります。その要件は二つあります。それは濃縮ウランの貸与に関する条件、すなわちレンタルに関する条件、どこで引き受けるか、どういう方法で輸送するかという受け入れに関する技術的な細目でございます。第二項は本協定の七条と八条に協定した国家の責任をどういうふうに実施するかという二つの方針を明示してあります。一方アメリカ政府から今般内示されました賃貸取りきめの内容は、大体その原則に従っております。  まず主要点は一番重視されておるところの賃貸料の算定方式に関しまして規定しております。それは、大体四項目から成っております。一つはいわゆるユーズ・チャージ、使用料というものであります。それは濃度が二〇%の濃縮ウラン一グラム当り二十五ドルの単価で、年何%、これはまだここだけにしていただきたいのでございますが、スイスの場合は四%という発表でございましたが、私らの予測では四%を下回るのではないかというふうに考えております。従って政府は四%という文句は発表いたしておりません。  それから第二は消耗料でございます。コンサンプション・チャージと申しておりますが、これは御承知の通り濃縮ウランを研究用実験の中に燃やします。その結果ウランの二三五が若干なくなります。そのなくなった実績に関しまして一グラム当り二十五ドルの単価で何グラムなくなったということを認定した上で、その数字をかけたものがコンサンプション・チャージでございます。御承知の通り日本は協定の第二条のC項によりまして、いわゆる照射されたところの物質、簡単に言えば灰の処理が日本においては許されておらないのであります。何グラム濃縮ウラン二三五がなくなったということは、アメリカで化学実験の結果判明いたしました。従ってその分はあとの段階で精算しなければならぬと思います。  それから第三項におきましては、いわゆる形成費と称するものであります。フアブリヶーション・コストと申しまして、御承知の通り同位原素を空気散布法によりまして、ウランの二三五とウラン二三八を分離いたします濃縮ウランの考えであります。その研究用実験炉のうちで燃やすまでの所要経費、これがフアブリケーション・コストであります。これはもちろん御専門であられる皆さん方におきまして御承知の通り、日本の建造を予定している湯わかし型炉で使う濃縮ウランは液体燃料であるのに、フアブリケーション・コストを支払うのはおかしいではないかという御質問があるかもしれませんが、先方の原子力委員会の説明で、今申し上げたような説明をしております。個体燃料になりますとロッドになりまして、アルミニウムまたはジルコニウムの薄板の中にはめ込まれています。日本の場合はステンレス・スチールの容器に入れてあります。その他のリカヴアリー・コストと称しまして、照射された燃料要素の回復に要する経費、すなわち未照射のU二三五を回復することなどに要する経費であります。ほかに雑費と称しましょうか、その容器の梱包料のごときものであります。  次に受け取りの条項は、米国政府の提示した案によると、米国政府の指定する米国内の地点において、日本政府が受け取る、そのときには証明書を出すとかいろいろなことがありますが、引き取り後、日本側が引き取ったときから、その輸送その他の責任は日本政府の負担に帰する次第です。アメリカ政府に対しましては輸送の場所、引き取りの場所、時間については日本政府と十分協議してきめることに申し入れましたところ、向うは了承しております。それが引き取りの条件でございます。大体おもな条項は以上のようでございます。簡単でございますが……。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 大臣にちょっとお伺いしておきたいのですが、正力大臣は原子力産業に非常に関心を持って今度また担当大臣になられたのですが、将来の原子力産業にとっては、その出発点が将来ともいろいろたことに影響してくるだろうと思う。その意味で私は大臣として当然今後の原子力産業のあり方について、大まかなりとも何らかの構想をお持ちになるのが当然であろうし、また関心の深い大臣ですからある程度の構想があるだろうと思う。それははっきりした政府としての具体的の案は、まだまだこれから委員会を作ったりいろいろでコンクリートされてくるだろうと思いますが、それは大臣個人の構想でけっこうでございますが、大まかに言って原子力産業のように非常に資本もかかるし、あらゆる科学技術を総合した産業は、当然私は公けの性質を持った機関が中心になってやらなければやっていけないだろうと思う。御承知のようにアメリカにおいてさえも、数個の独占資本というか相当大資本が協力しながらこれはやっていくことになりつつあるわけです。ですから日本のような場合に、将来こういう産業がだんだん発展するときには、やはり私は国営というか、こういう産業は国が行なって中心になってやらなければならないだろう。そういう点どのようにお考えになるか。それからさらにこまかくいってくると中心のものは公社的のものがある。あるいは今度は当分は濃縮ウランをやって、将来おそらく天然ウラン、純粋なものに移行していかなければならなくなるだろうし、またなるだろうと思いますが、そういう場合に天然ウランの採鉱を民間の手でやらせて、これをみな公社に納めるとかいろいろ考えられると思う。そういう点について大まかに言ってどういう方向に進むがよかろうかということについてのお考えがありましたら、この際お知らせ願いたいと思います。

正力松太郎自由民主党北海道開発庁長官

○正力国務大臣 今お話の通りに、原子力の仕事というものは、非常な範囲の広い非常に重要なものでありまして、なお非常な研究する余地もありますから、私はこれはやはり公けの機関で主としてやる、しかし将来行く行くは民間にもむろんやらせなければならない。とにかく公けの機関が中心でやりたいと思っております。いずれにしても私はこの原子力というものはおそるべきものでありますから、どうしても研究は十分にしなくちゃならぬ。また技術を公開するということは、運営を民主的にやる、この大原則でやるということを尊重して、そのもとにやりたいと思っております。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 それから松井さんにちょっとお伺いしておきたいのですが、今まで政府の御意向によっても、将来アメリカ以外の国から受け入れるというようなことができるような場合にはどうかというような質問がこの間うちから出ていたのですから、政府ももちろんそうい場合には受け入れますといっている、現在濃縮ウランを作っている国の名前と最近における濃縮ウランをかりに買うとすれば、価格はどのくらいの違いがあるかということ。それから今度の協定によって、もしも将来日本がいろいろ実験しながら新しい技術なり何なりを発見した、そういう場合にこれをアメリカに通告する義務があるのか、その点を一つ承わりたい。

松井佐七郎外務事務官(国際協力局第四課長)

○松井説明員 御説明申し上げます。日米原子力協定の条文は、皆さんのお手元に差し上げてある通り、日米間の原子力に関する技術協力の協定でございますが、その中には、何ら日本が第三国と協定していってはならないという規定はないことは御承知の通りであります。現在濃縮ウランを作っているのは、情報によりますと、まずアメリカ、イギリスそれからソ連でございます。その価格に関しては、いずれも発表しておりません。アメリカは今度の八月のジュネーヴ会議のときに、一応一グラム当りの値打というものは二十五ドルということを公表いたしております。イギリス並びにソ連の価格については、一切公表されておりません。それから第三には、日本において原子力の平和利用をやった結果、技術上の何か発見があった場合は、アメリカ政府に通告する義務があるかという御質問でございますが、それは本協定の第二条において規定がございまして、原則として通報する義務があると思います。しかしながら日本の国内法の関係、たとえば特許法その他について、特許の出願中これは公開できないものだという性質の場合においては、向うに通報する義務はございません。これは向うの原子力委員会の担当局長の言明ではっきりしております。すなわち情報の交換というものは、何ら義務的なもしくは強制的なものじゃないということを言明しております。もしも今松本先生のおっしゃるところの発明が、日本の特許法の関係によって、審査中公表できない性質のものであるとするならば、そういうものはその範囲において公表する。米国政府に通告する義務はございません。

前尾繁三郎自由民主党

○前尾委員長 並木芳雄君。

並木芳雄自由民主党

○並木委員 大臣にお尋ねいたします。大臣はお年の割に非常に初物食いであって、(笑声)マイクロ・ウエーヴでしたか、あれもいち早く輸入されて、NTVの開設式に私も招かれていった一人ですが、そういう意味で今度の濃縮ウランに対しても、非常に初恋のような気持を示しているのじゃないかと思う。(笑声)ですから、その気持でまずこれをどんなふうに利用していくか、政治家であるとともに大臣は実業家でもありますから、それをどんなふうに利用していくか、すでに大臣には一、二構想があると思うのです。その大きな構想、将来これをどういうふうに日本の平和的利用に生かしていくかということを示していただきたい。

正力松太郎自由民主党北海道開発庁長官

○正力国務大臣 ただいまの御質問にありました初物食いというのは、ほめられたのかひやかされたものか知りませんが、いずれにしても私は、日本がこういうふうに国が狭く人口が多い。今までのやり方じゃどうしてもいけない。ところがたまたま外国でこういう原子力という大きな力を発見してくれましたから、これを用いるということは、一日も早くやらなくちゃならぬ。それについては、さっきも申し上げた通りに危険なものであるから、どうしても技術は公開し、運営も民主的にやらなくちゃならず、それからどこまでも研究を非常にしなくちゃならぬと考えております。私は原子力のあの大きな力を利用してあれから副産物のアイソトープをとる。これは農業あるいは医学において重大な革命をもたらす、こう思っております。たとえていいますならば、今まで米は一毛作であったのが二毛作になる。現にアメリカのごときは、麦などは実験では二毛作になっておるそうです。だからもし日本が二毛作になったら、大へんな農業の革命になると思います。それからまたこの農産物のごとき生のまま保存できる。魚も生のまま保存できる。魚が半年も生のまま保存できたり、それから農産物も半年も一年もそのままで保存できるということになってきますと、大へん産業に大きな影響を来たすと思っておりますから、私はアイソトープの点を非常に重視しております。それからまた電力のごとき、現在日本は水力については非常に費用がかかって困っている。ことに火力でやればなお費用がかかるというわけでありまして、どうしてもこの原子力を使わなくちゃならぬと思う。私は先ほど原子力で直接大きくくる影響は、農産物と医学だと言いましたが、この電力にも非常な影響がくると思っております。この電力というものは安くて豊富でなくちゃ産業は興りません。だから私は何よりもこの電力に力を入れていきたいと思っております。だから私はアイソトープも重視しておりますけれども、一日も早くやりたいのは電力であります。先ほども申しましたように、日本のような狭い国、しかも人口の多い国においては、これよりほかに生きていく道はありません。これはあえて初物食いじゃありません。私は真剣です。どうぞよろしく……。

並木芳雄自由民主党

○並木委員 大体昭和何年ごろに、その実施に入りたい希望を持っておられますか。

正力松太郎自由民主党北海道開発庁長官

○正力国務大臣 電力は、みな非常に将来のことのように思われているが、私はそう思っておりません。電力の安いアメリカでも、大体原子力を利用しても値段がそう変らぬそうです。ことに日本のような電力の高いところにそれを持ってきたら、私は五年以内にいくと思っております。(「ほんとうかな、それはちょっとおかしいぞ。アメリカでさえ十年かかると言ってたのに……。」と呼ぶ者あり)私は五年でやれる見込みです。(「正力さんの威力でやるかな。」と呼ぶ者あり、笑声)

並木芳雄自由民主党

○並木委員 今のお話のように、電力に非常に力を注がれていくことになりますと、電力革命というか、動力革命が行われます。そうすると勢い発電用の炉でございますか、これも研究用の炉とともに併置しなければならないと思いますが、この発電用の炉については、アメリカとどういうふうな話し合いをしておられますか。

正力松太郎自由民主党北海道開発庁長官

○正力国務大臣 ただいまのアメリカとどういう話し合いということは、まだアメリカとはそこまで話しておりませんが、私はどうしてもこの発電用のものを実験炉は実験炉として、発電用の炉を一つ早く入れたいと思っております。そして先ほども申しましたように五年以内には、夢でなく実際に発電をやりたい、こう思っておりますし、また私はできると思っております。

並木芳雄自由民主党

○並木委員 炉についてはアメリカの方でも、特に経費を節約する意味で補助してくれるということが伝えられておったのですが、その点について何か具体的に今まで話を進めてこられましたかどうか。

正力松太郎自由民主党北海道開発庁長官

○正力国務大臣 ただいまの話は目下アメリカに対して照会中であります。実はこの席で言うことでないかもしれませんけれども、原子力のアジア・センター、それをセイロンへ持っていくとか、また新聞によると、マニラにいってしまいそうとかいうておりますので、実は私は非常に遺憾に思っております。これはむしろ政府の手おくれじゃないか、なぜもっと早く東洋のセンターを日本に持ってくる努力をしなかったか、私は遺憾に思っております。

並木芳雄自由民主党

○並木委員 そのアジア・センターについての努力は、政府に対して、正力大臣が遺憾に思ったその気持を今後どういうふうにそれじゃ反省していきますか。みずからアメリカに出向いていって交渉してきますか。あるいは外務大臣に行ってもらうとか、何か具体的な案をお持ちですか。

正力松太郎自由民主党北海道開発庁長官

○正力国務大臣 それは実は新聞で見ると、もう一両日にきまるようなことを言っておるわけであります。私は実は外務省にも督促して言っておりますが、何しろ急にきまるようにも伝えられております。しかし私はもしも急にきまらなかったり、また時間があるなら、一つできるだけの手を打ちます。そのつもりでおります。ただ少しおくれはしなかったかということを残念に思うております。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 ちょっと関連して伺いますが、五年以内に必ず実現できる、こういう点を非常に力説されておられますが、その具体的な根拠を伺いたい。と申しますことは、あとで実際の発電用の原子炉をアメリカに交渉しようという考えである、こういうあなたのお話を伺っていると、まあきょうは初答弁のようなものですからあまり追及はいたしませんが、重光外務大臣の先ほどの答弁によりますと、発電用の原子炉については今後の問題として期待するということで、これは協定上からはずしてあるわけです。そしてこれについては、そのときの状況になってから、一つ実際にアメリカからもらうのが有利であるならば、そういう点について話をしようという考え方に基いて、従来九条にありましたものをはずして、交換公文にかえてあるわけです。ところがあなたの御意見を伺っていると、もうそれどころじゃなくてアメリカからもらいたい、こういう考え方でアメリカに話をしようという考え方だ。こういう点から言うと、外務大臣の御意見とちょっと違う点が出て参っております。それから第二の点は、こういうように違ってきているというところに一つ問題があるわけです。あなたは五年以内に必ず実現してみせるというお話ですが、これはアメリカにそれを期待するとするなら、これは絶対にできないと考える。どうしてかというと、アメリカの現在のいわゆる発電用の原子炉の生産については、残念ながらといいますか、何といいますか、ともかくもっと進んでいる国があるわけです。イギリスの方が進んでいる。イギリスの方は一両年の間に大体発電の計画が樹立されて運転されるという段階に入っている。ソ同盟の方はまだ進んでいる。ソ同盟はもうすでに発電用の原子炉を実行に移しているわけです。こういうように進んでいる国のいろいろな施設や原子炉を借りることについてあなたが努力をされるならば、五年以内に可能性があるかもしれない。しかしこの点については一番おくれているアメリカの発電用の原子炉を借りて——おそらく一般の学説から言うならば、アメリカの発電用の原子炉は、五年以内において運転することは困難であろうとまでいわれておる。その五年以内において運転の困難であるその原子炉を使って、正力さんの才能と正力さんの頭脳においてどのようないい頭脳がおありか私は知らぬけれども、しかし日本の国がアメリカのひもつきでないにしてもその原子炉をもらって、そうしてアメリカよりも先にできるというような非常に張り切った御答弁をされているとするならば、一体どういうところに具体的な根拠があるかということをむしろ私は伺いたい。こういう点で、あなたのは単に張り切るだけで初物食いということに終らないようにするためにも、私ははっきりと根拠があるという点を伺っておきたいのです。

正力松太郎自由民主党北海道開発庁長官

○正力国務大臣 ただいまの岡田さんの御質問に対してお答えいたしますが、私は絶対に五年以内にできると言ったつもりではないのです。五年以内にいくようにしたいというのでありますから、それは私のつもりであります。ことに先刻申し上げた通りに私はまだ事務引き継ぎも完了しておらぬわけですから、政府ではどこまでやっておるかも知らないわけです。また私は今アメリカと言いましたが、それは一例であります。必ずしもアメリカだけではない。もしもいいものが安く手に入るならば、どこでもいいと思います。

並木芳雄自由民主党

○並木委員 この炉を置く場所、あるいは研究する場所、これはいろいろ候補地も出ておるようでございますが、今日まで大臣としても大体どの地点に置くことが適切であるかというようなお考えが出てきておるのではないかと存じます。先般原子核の研究所が東京京都の田無という町に設けられましたが、学術方面からいいますと、あそこに今度の研究場所を併置することが非常に便利ではないか。また文部省方面では今度のも含めて文部省の管轄にしてもらう方がいいというような声も聞いておるのであります。大体場所はどこになる予定でございましょうか。

正力松太郎自由民主党北海道開発庁長官

○正力国務大臣 ただいまの御質問に対してお答えいたします。実は原子炉を置く場所は、これは非常に重大に考えなければならぬと思っております。ただいままだ引き継ぎをしておりませんから、どこが予定されておるか詳しく知りません。知りませんけれども置く場所、ことに最初に置く場所なんかもよく考えなければならぬ。これはそれこそよく完全に引き継ぎを受けまして、その場所を調べまして慎重にやります。くれぐれも申します。私はそう軽率にはやりません。慎重にやります。ことにこれは重大な問題です。原子力は日本全国民の注視の的です。これは一つあやまっては大へんですから、ごく慎重にやります。そして先ほど申したようにどうしても原子力を五年以内に実現したいと努力いたします。それは私は約束をするわけではございません。努力するのですからどうぞ……。

並木芳雄自由民主党

○並木委員 候補地としてあげられておるところがどことどこかということは今ここでは答弁できませんか、もしわかったら…——。

正力松太郎自由民主党北海道開発庁長官

○正力国務大臣 まだほんとうに詳しく聞いておらないのです。

並木芳雄自由民主党

○並木委員 実は大臣、これは私腹を割っての質問があるのですけれども、ひもつき、ひもつきとよく言われておりますけれども、私は別の意味でひもがついてくるのじゃないかということを考えております。と申しますのは、今度の濃縮ウランは平和的に利用するものであって、軍事的に使ってはいけない、こういう条項がございます。そうするとわれわれは原子力を作ろうという意味もなければ軍事的に使うという気持なんかは毛頭ありませんから、今でこそ当然のように思い、これがひもでないというように感じるのですけれども、もし堂々たるソ連やアメリカや英国のような独立国であったとしたらどうであろうかということを私は考えてみたのです。現在世界の大国が原子爆弾を持っておるのですから、もし日本が一等国であって、そういう原子爆弾を作りもし、たくわえてもおるような国であったとして、こういうひもがついたらどうだろうということを考えてみたのですが、大臣はお考えになったことはありますか。私むしろ先ほど松本さんからもその点ちょっと質問が出たのですけれども、平和的と非平和的との区別をどこにするかということで、思わぬところからひもがつくのじゃないか。それからまた日本の国としても将来原子力兵器を作らないということをきめてしまうことは早計ではないか。これは私の発言を非常に奇異にお感じになるかもしれませんけれども、十年前に憲法九条を作るときに、二度と再び軍隊などはと思っていたのですけれども、十年後の今日はその軍隊も作れるようになった。われわれの感じでは作れるようになったわけです。そうすると世界の各国で全部原子力兵器というものを作ることを禁止し、使用することを禁止する段階にくれば日本も必要はありませんけれども、だんだん成長していきますと、十年後において日本で原子兵器を作る必要があるということを、空想でなく現実の問題として取り上げられる場面が来ないとも限らない。そういう場合を考えますと、かえって軍事的目的に使ってはいけない、平和的利用だけだということが、今では奇異に感じなくても、今後禍根を残すようなことにならないかどうか。それから日本の政府としては、将来絶対に原子力兵器というようなものは作らないのだということに方針をきめておるのかどうか。その二つの点についてお答えを願いたい。

正力松太郎自由民主党北海道開発庁長官

○正力国務大臣 原子力については先ほども申し上げた通り、どこまでも自主的でなくちゃいけません。よくひもつきといいますが、私はひもつきなんということは想像したこともありません。アメリカのひもなどつけてもらってどうしますか。断じてそんなことはありまん。先ほど申した通りに、われわれはこの原子力をやるについても、自主的にやるということを真剣に考えています。それから研究の公開ということも先ほど申した通りです。これを秘密にやるからひもがつくのです。ひもがついたら日本の国家はどうしますか。アメリカと交渉するときにそんなことをしてどうしますか。だから先ほどから説明しておるように、岡田さんももっと安くなるのではないかと言われたが、私は条件がよければどこからでも買います。何もアメリカから買う義務はございません。私はいいもので安いものならばどこからでも買います。将来といえどもそんなことはありませんよ。これはどうしても、それを自分の方で信ずるのみならず、国民にそれをほんとうに信用せしめなければならない。みんな不安にかられていますよ。先ほど岡田さんから、正力には一つ博覧会べ寄付をさせろというような冗談がありましたが、原子博覧会というものは新聞社でやったことは例がないのです。アメリカはみんな政府もしくは都市でやっておるのです。私は原子力をほんとうに国民に知らせなくちゃならぬ、平和のものだということを知らせなければならぬということで、私の方から申し込んだのです。新聞社で申し込むということはないですよ。それで私の方が申し込んだから、それじゃついでにみなやろうということになったわけなんです。どこまでも国民にも原子力は不安なものではないのだ、アイソトープがいかに効果が大きいものかということを知らせなければならない。ほんとうに私は医学界の革命だと思っています。どうかその点御安心を願います。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 大臣にちょっとお伺いしておきたいのですが、今ひもつきの話で、ひもなんかつけないのだ、自主的だという気持は大いにわれわれも多とするのです。けれどもひもというものは目に見えないひもでありまして、特に大臣は事業をなされるからよくおわかりだと思うのです。アメリカの今のいろいろな経済的な動きその他を見ておりましても、将来において大いに発展する原子産業というものを、やはり自分の力でしっかり握っておきたいというような気持を持っておるかどうか別として、実際にはそういうふうな動きになってくると思う。特に資本の力の偉大さは大臣もお認めになるだろうと思うのです。そういうところから、この協定をきっかけに将来の日本の原子力による電力産業というものもだんだん機械に結ばれ、機械を通じて資本的にアメリカにひもがついてくるおそれを十分持っておるわけなのです。その点についての大臣の考え方。  それからもう一つは、先ほどからの並木さんの質問で、五年間のうちに絶対にできるとは言わぬが、何とかしてしたい、その熱意も非常にわれわれは多とするのですが、岡田さんも言うように、御承知のように小さいながらソビエトではすでに発電をやっておるわけです。ですから一つこの際大臣はソビエトに出かけて行って、見学をしてこられる気持はないか、御答弁を願います。

正力松太郎自由民主党北海道開発庁長官

○正力国務大臣 私は先ほども申し上げた通りに、ひもというものはつけない。つけないけれどもつくだろうというのですが、これは杞憂だと思います。第一に私は皆さんに言いたいのは、資本というものをおそれ過ぎています。私はいつも資本を利用しておる。そんなものをちっともおそれませんよ。資本を利用すればいいのです。私はほんとうにそう思っております。(「資本家だから利用できるのだろう」と呼ぶ者あり)私は資本家じゃありませんよ。ほんとうに資本家になろうと思えば、莫大な資本家になるのだが、ぼくはなりたくないのです。ぼくは資本家になろうとは思わない。資本は利用します。ほんとうにそのつもりです。そのつもりでありますから、アメリカのひもなどつけませんよ。おそれることはない。くれぐれも資本なんかおそれるものじゃない。資本を利用すればいい。私は資本を利用するだけです。どうぞ御安心下さい。  それからソビエトについては、かりにソビエトがいいと思えばソビエトに行きます。アメリカがいいと思えばアメリカに行きます。イギリスがいいと思えばイギリスに行きます。どれが日本の国家にためになるかという前提に立ってやっておりますから、御安心下さい。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 これはひもであるかないかについて正力さんに具体的にあとで伺いたいと思います。きょうはやりません。というのは、担当大臣でも、まだ引き継ぎを受けていないそうですから…。  そこであまり長くならないようにというお話でしたから、下田さんに二、三伺いたいと思うのですが、これはこの前の国会のときにもだいぶ問題になったのですけれども、仮調印のイニシアルをしたときのテキストは何を使ったか、この点をまず第一に伺いたい。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 仮調印のテキストは、交渉自体が英語でやっておりましたから、その交渉の結果、一応の案文の妥結を見ました際にそれを確認する意味で、英語のテキストだけでございます。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 英文をテキストに使われたというのですが、そこでいろいろあとで伺いたいのですけれども、このイニシアルをする上に当って、イニシアルをされた現地の大使と日本の外務省、いわゆる日本政府としての関係において、意見の統一なり、これはイニシアルすべきであるかどうかということについて、大使は了解を求められた上においてこのイニシアルをしたものであるかどうか。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 イニシアルをする場合に二つございます。つまり交渉当事者限りにおきまして、自分としては満足な結果だと思うからこれで一応まとめたという証拠にイニシアルをやる、これが最終的に国家を拘束する条約になるかどうかということは、交渉当事者から政府に報告いたしまして、その決断をあげて政府に求める場合、第二の場合はイニシアルする前に随時政府が連絡をとりまして、内容を政府が通暁いたしまして、それでよいということを政府が言いまして、そしてイニシアルさせるという場合がございます。原子力協定は後者の場合でございまして、日本の政府は前もってイニシアルすべき本文についての内容を知っておった次第でございます。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 おそらく当然そうであろうと思うのです。というのは、イニシアルした者が米国の原子力法の百二十三条に基いて、米国の国内においては法的な手続を済ませなければならないという関係もあるだけに、現地の大使だけによってこれが決裁をされるとか、イニシアルをされるというべき性質のものではないと私は考えます。そこで日本政府との間において観念の統一が行われるとするならば、その観念の統一は英語の正文によって観念の統一が行われたものであるか、あるいは——観念の統一ですよ、これは文章ではありません。あるいは日本語を通じて井口大使とあなた方の間において観念の統一が行われたものであるか、この点を伺いたい。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 井口大使からの電報ないし公信によりまして英語によって日本政府は考えたものです。しかし出先の本省の日本人のことでありますから、英語を読みましても、観念としてはやはり日本語に翻訳して頭に入れるということは日本人である以上いたし方ございません。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 そこで伺いたいのですが、私もそうだろうと思います。日本語として理解しているだろうと思います。そこで日本語として理解する場合において、この前の国会でも問題になりましたように、テクニカル・ワードとしていろいろ重要な問題がありました。こういうテクニカル・ワードについてあなたの方は日本語として扱う場合にどういうふうな扱いをされたか、この点について伺いたい。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 日本語として観念するのでありますけれども、まだテクニカル・ワードについては日本語として確定していないテクニカル・タームがあるわけでございます。そこで前に問題になりました誤訳問題も生じたわけであります。その後外務省といたしましては、学者の御参加、関係官庁の専門家の御参加も得まして、実はある意味ではテクニカル・タームを決定する決定版をこの際打ち出すというくらいの意気込みで慎重検討いたしまして、日本語としての観念の表示方法を決定いたしたわけでございます。でございますが、先ほど御指摘のイニシアル当時においていかに日本語として観念したかと申されますと、実はある部分を日本語としていかに表現すべきかという正確な観念が、決定していなかったというのがほんとうの実情でございます。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 今のお話だけ聞けばわかるので——まあわかったようなわからないような問題になるわけでありますが、テクニカル・タームでも日本語として観念する場合には、この前いわゆる仮調印の仮訳文というものが外務省から出されましたが、あの仮訳文が日本語の観念として一応暫定的なテクニカル・タームの訳文として、そういう訳文に基いた観念としてお取り上げになったのではないかと私は思うのですが、その点はいかがでございますか。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 それは実はそうでございませんで、イニシアルしまして、どうせワシントンから英文でもって日本の新聞社に電報が入って参ります。そうしますと、各社でいろいろな勝手な日本語に訳して、どの新聞に出ているのもみんな違ったように日本語で表われておるということになりますと、これは収拾がつかなくなります。そこで先ほど正直に申し上げましたように、まだ日本語での表示方法が確定いたしておらないのでありますけれども、それを承知の上で新聞等に混乱を起さないように発表用の仮訳を作ったのでございます。それでいろいろなああいう誤訳問題が起ったのでございますが、これはただ新聞等に発表するという目的だけのためで応急処置としてやりましたことであります。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 ですから私の伺いたいのは、さっきの質問が不十分だったかもしれませんけれども、新聞発表用として一応このテクニカル・タームはこういう考え方だという意味のことを含んだ発表の言葉であったと思うのです。その言葉はその当時においては英文のテクニカル・タームに相応したものという考え方に基いて発表されたものと考えなければならないと私は思う。それが不十分であったかどうかは別として、その英文の観念と日本文の仮訳をした観念とは同じものという観念に基いておったものと私は考えるのだが、その点はそうじゃないのかどうかということを伺っておるわけなのです。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 先ほど申したように、確定文を作りますときにやりましたような学者、専門家の参加を得るいとまなくして、私どもしろうとが、英語で言っていることは日本語ではこういう観念であろうと思って、しろうとの判断で実は応急の訳を作ったのでございまして、そこで核分裂物質とか照射を受けたとかいうところにつきまして、実はしろうととしてのあやまちを犯した次第でございます。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 そこで、そういうしろうととしてのあやまちの観念によってその英文を理解されて、それに対してイニシアルをされたというふうにわれわれは解釈せざるを得ないと思うのですが、その点はどうですか。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 これはしかし英文の時代においてワシントンにも向坊という専門家がおりますし、それから一部の学者、むろん関係官庁の専門家は英語で理解しておったわけであります。ですから誤解はしていなかったわけであります。今まで英語でいろいろな本を読んで、学者や何かの頭に入っていることでありますから、当然こういうことはこういうことであろうという理解はしておったのでありますが、肝心の発表用の訳を作った人がしろうとであったために、いろいろな誤まりを犯したということであります。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 この点については、単に訳上の問題その他事務的な問題だけではなくて、実はイニシアルの責任問題ですから、あとで政治問題としても外務大臣に伺いたいと私は考えております。と申しますことは、外務省としてはこれは事務的問題として、いわばごまかしてしまおうという考え方があるようであるが、しかしこの物事の本質に入ってみると、これは単なる誤訳では済まない問題になってきている。そういう点をお考えいただきたいのです。と申しますことは、この前の国会においては、たとえば核分裂物質の問題あるいは先ほどあなたのお話になったイレイディエートの問題ですか、こういうような問題もありました。これは私も指摘しました。これは重大な問題です。たとえば前段の核分裂物質の場合には水爆も入るという規定があるわけであります。ところが今度の正訳によると、核分裂物質の分裂という言葉を除いて、特殊核物質という言葉を使っておる。これは当然原文を見ればわかる。スペシァル・ニュークリアー・マテリアルズというようになっておりますから分裂物質ではないわけです。こういう点ではもう本質的に違う。誤訳という言葉の程度では済まされない事柄なのです。しかもこれだけではなくて、私昨日時間がないので、あまりゆっくり調べられなかったのだが、重大な誤訳と言われない、誤訳と解すべきでない点についての仮調印の文章と本調印の文章において重大な誤まりが大体八点ないし九点ある。こういう点については一体どういう政治責任をお負いになるのかという点も私は伺いたいと思う。例をあげて申し上げましょう。一条のCの三行目に「中性子その他の放射線を発生させることを目的として設計された」云々こうあります。この「放射線を発生させることを目的として」というのは仮調印では全然違っております。これはどういうように言っておるかというと、放射性物質を生産するための原子炉という意味に使っております。これは全然違うわけであります。しかも原文を見るとラディエーションという言葉を使っております。「フォー・ザ・プロダクション・オブ・二ユートロンズ・アンド・アザー・ラディエーショーンズ」ということになっております。こういう点でも非常に違って出てきておる点が一点であります。  それから第三条のBのうしろから五行目のところに「取り出された燃料要素の放射能」と書いてあります。これは原文によるとリプレイスド、こうなっております。ところが仮調印の文章、によるとこれは取りかえられた燃料物質になっております。これはこうなると全然燃料物質の物体そのものが違うことになるのです。正文によると、取り出された燃料要素というのですから、消耗された燃料物質のことをいうのです。ところが仮調印の場合には取りかえられたというのだから、その次の品物、今のものを使ってしまって、あとの燃料物質という点になるので、こういう点では全然誤訳という言葉では済まされないものです、本質的に違うのです。先ほどお話のイレィディエート程度の問題もあります。それからもっと初歩的な、これは多分に外務省の意識的な問題であると考えておるのがあります。  四条のうしろから二行目に「を適当と認める機関を通じて」という機関、これなんかは正式調印された英文を対比されると、これは外務省の一つの意図に基いて直されたのではないかと考えられる点がある。それはどういうように書いておるかというと、原文によると「スルー・サッチ・ミーンズ・アズ・イット・ディームズ・アプロプリェート」、こうなっておる。ミーンズということを機関と訳しております。仮調印の場合においては手段と訳しております。これは手段と訳すのが適当であって、ミーンズという意味から機関というような具体的な物的な状態を出すということは、いかにも無理であると私は考える。少くともこれは仮調印の問題と本調印の問題とにおいては本質上の問題があるし、このミーンズには外務省の政治的な意図が入っておると私は考える。  こういうような例をあげて参りますと、まだまだありますけれども、きょうはこの程度にします。こういう点では単に誤訳ということでは済まされない問題です。これは言葉の内容、文章の本質が変ってしまっておる。こういう場合にこういう政治的な責任をどのようにおとりになるか、この点を伺っておきたい。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 政治的責任は、いよいよこれをもって日本国を拘束するという条約の正文を作成した上で、それに誤まりがあった場合に初めて政治的責任の問題を生ずるのであります。しかしながら仮調印の場合は、実は私ども条約局の当局としてはそんなしろうとで訳すのは大反対だったのです。しかしそんなら新聞社がワシントンから英文によって勝手な訳を考えたら、国民はそれを見てますます困惑を来たすじゃないかという情報発表関係の意見、これもまたもっともな次第でありまして、私どもはまことに不本意ながら、これはただ新聞社のお手伝いをするのだ、そういう情報発表関係への親切気の必要ということももっともと思いまして、もとよりこれは新聞社のお手伝いをするのであって、この日本語の訳について条約としての責任をとるという意味は毛頭なかったわけであります。そこで全くしろうとが急場に間に合せるために新聞社のお手伝いをしたわけでありまして、その報道用の便のために作りましたものについて政府の責任ということは、私はそれは全然ないとは申しませんけれども、問題はやはり最後にこれによって日本を拘束するという日本語の本文、この日本語の本文は、むろん日本だけできめるのではなくて、この日本語の本文を米国政府に渡しまして、米国政府の専門家が英文の原文と対照いたしまして、この日本文でいいのだという相手国側の同意を得ました本文を確定したのであります。そこで御指摘のように、いろいろの前に御指摘にならなかった点につきましても、新しい本文では改善をいたしました。この改善をいたすに当りましては、関係官庁の専門家はもとより、学者の御参加も得まして、実はこれで決定版を打ち出すという意気込みで作りましたのでありまして、今度の正文に誤まりがありましたならばもちろん責任をとりますけれども、例の新聞社のお手伝いの意味で差し上げました仮訳文、それについて私ども責任は痛感しておりますけれども、その点はどうぞ二つの目的があったということを御了承願いたいと思います。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 これはあなたの今の御意見をそのまま伺ったとしても、新聞社が無責任なるいろいろな形の翻訳を出す場合があるので、それを少くとも見解を統一しておかなければならないという考え方に基いていわゆる仮訳文なるものを出した。その仮訳文を出すということ、そのこと自体は少くとも不正確なるものを出そうということを考えたものではなかったと思う。たとえば一歩譲って言葉の配り方においてやや違っておっても、その文意全体、条約内容全体をそこなうようなものであろうとは考えなかったと思う。それにもかかわらず、その幾らかでも正確なる統一された解釈をしようとしたその外務省の解釈というもの、それ自体が今度間違っておったのだということになってきた。しかもその間違い方が単なる誤訳ではなくて、文章それ自体を完全に違うように解釈せざるを得ないような解釈をしてきたとするならば、これは当然政治的な責任を負わなければならないと私は解釈する。なぜならば、そういう解釈で、あなた方がその当時の外務省においてイニシアルをされた、仮調印の文章を理解されたからです。仮調印を理解されたことに基いてイニシアルをして、それによってアメリカの国内法の法規に基いて、その間違っている観念に基いた原文がアメリカの国内法の手続をとったからです。こういうふうにここに政治的な責任ができると私は考える。それは違うとお話になっても、アメリカの方はそれでいいと思っているかもしれないが、交渉相手の日本の方は、全然感違いの横の方を向いて、ああこれだなと思ってこれにイニシアルした、日本の政府として責任がありますよ。ないとは私は言わせない。こういう点について政治的な責任があるではないかと私は言っておる。しかもそれはなぜ私がこのように言っておるかというと、これは単なる誤訳程度のことで、しかしながらというのをしかるにと書いたという程度ならまだわかりますけれども、内容が全然違ってしまうようになるから、仮調印それ自体についてのいわゆる法的な有効性に問題があると思う。その点を私は伺いたいと言っておる。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 岡田さんのおっしゃることは、つまりイニシアル当時誤まれる日本語のテキストによって日本政府は理解しておったのだから、つまり当事者国間に意思の一致がなかったということだと思います。しかしながらあのイニシアルは、英語の文章だけについての意思の一致しかなかったわけなのです。アメリカの議会にイニシアルしたものを三十日間さらすという国内法上の必要は、この英語の原文だけによって満たされておったわけです。日本側といたしましては、日本文の確定版を作りまして、その確定版を国会に提出いたしまして、国会の御承認を得まして初めてこれを承認して、そうして日本の国家を確定版によって縛るということでございます。でございますから発表用のテキスト、これは決して正確なものだということは当時誇示いたしておりません。新聞社が作るのは非常に不正確である。新聞社の作るよりも不正確さの程度が弱いということでわずかに良心の目をつぶりまして、いやいやながらこれを発表することに同意したのでありまして、決して正確なりという字句は毛頭なかったのであります。新聞社で作るよりは不正確さが少いだろうというくらいのところで、実はもうアメリカで英文を発表しますとすぐそれが打電されて東京に参りますから、遷延を許さないというので徹夜で、かけ足でずさんな訳を作った。その点は私もまことに遺憾な状態だったと思います。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 この程度で終りますけれども、これは大臣に聞かなければならないのですが、結局先ほどから私の言っておるのは大体あなたにはおわかりいただけたと思う。たとえば黒というのを白くない、そういう意味で訳したのだ、黒のブラックというのを白くはない、こういうように訳したというなら、まだある意味での許し得る誤訳であるかもしれない。しかしブラックというのを白と訳したとするならば、これは許し得ざる誤まりである。そこであなたはそういうように、英文において観念の統一があったと言われる。日本とアメリカとにおいて英文において観念の統一があったかもしれない。しかしその英文の理解について、日本とアメリカとの理解について観念の統一がなかったということは事実なのです。なぜならば文章の中に、日本の外務省でその当時最もいいと考えて訳したその文章それ自体に、日本文の翻訳の中に、全然それとは正反対のことが書かれているとするならば、英文というものを通じて観念を統一しようとしたのだが、これは日本とアメリカとの間において観念の統一が行われなかったという結果を導いておると思う。だから問題があるのです。英文が基準になっておるということは私はわかります。あなたのお話の通りです。英文の基準の問題なのではなくて、その英文をどのように理解するかが問題である。ですから政治的な問題として出てくるのではないかと申し上げておるわけです。しかしこういう点はこれ以上あまり言わないで、外務大臣が来たらこのイニシアルの責任問題について十分伺いたいと考えております。     —————————————

前尾繁三郎自由民主党

○前尾委員長 一般国際情勢について質疑の通告がありますのでこれを許します。  菊池義郎君。

菊池義郎自由民主党

○菊池委員 条約局長にお伺いしますが、外務当局から昨日の予算委員会でありましたか、李ラインに日本の漁船が入っても砲撃をしないだろうという見通しがついておるというようなことを表明せられておるのでありますが、それは米国の方の打診、向うの方でも打診せられた結果ですか。その見通しの根拠は何によるのでございますか、それをお伺いしたいと思います。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 これは私直接タッチいたしておりませんが、私の理解するところでは、米国のあれもむろんございますけれども、もっと肝心の当事者方面からのあれがあるのじゃないかというように想像いたしております。

菊池義郎自由民主党

○菊池委員 同じ外務省でありますから、その辺のことはおわかりになっておると思われるのでございますが、今まであれほど暴虐の数々を重ねております韓国のやり方について、今まで国連に何も提訴しなかった。これはわれわれどうも外務当局に対して不満を抱いておるものですが、今まで漁船が二百七隻、捕虜の漁民が三千九名、そのうち未帰還の漁船が百八隻、未帰還の漁民が九百三十六名になっておる。撃沈された、見失われたというようなきのうの証人の証言もありましたが、そういう状態を今まで拱手傍観して、アメリカにばかりすがり、国連にも何も提訴しなかったということは、はなはだ怠慢に思われますが、どうして今まで国連にこれを提訴しなかったのでしょうか、われわれ日本としては、あの朝鮮動乱などで大へんに国連軍に協力しておるという事実もあります。こういうことをそろばんの中に入れて、どしどし提訴すべきであったと私は思うのです。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 国連の提訴ということは国連憲章の三十五条によって国連の非加盟国でも可能でございますが、しかし安保理事会等に提訴いたしますについては、これが国際の平和及び安全に影響するという案件でなければならないわけであります。最近非常に問題が緊迫いたしまして、しかしながらまだ国際の平和、安全に害ある行為だと直ちに断定することは、はなはだ疑問があると思いますけれども、今までのところでは全般的の国際平和安全の問題として提訴するというには、まだ多少距離があったという考慮もございますし、もう一つは、元来兄弟国であるべき日韓両国が、国連という世界のヒノキ舞台で兄弟げんかの醜をさらすよりは、もう少し直接交渉なり、あるいは第三国経由の手段によりまして解決した方がまだましではないか、そういう考慮もあったと存じます。

菊池義郎自由民主党

○菊池委員 今までアメリカに何回も頼んで、アメリカがほとんどこれを拱手傍観しておったというのは、どうも米国と朝鮮との間に何か話し合いの関係があったのじゃないか。アメリカは見て見ないふりをしておったのじゃないか、そういうような疑いが多分に生ずるのでありますが、外務当局はこれをどういうふうに見通しておられたのでありますか。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 米国は決して拱手傍観といいますか、回避的態度ではなかったのでありまして、重大な関心をもって日韓間の関係を考慮して参りました。もとより韓国側も常に連絡しておったでありましょうけれども、日本側はまた非常によく連絡しておったわけであります。しかしアメリカとしての立場から申しますと、過早に二つの独立国との間の問題に調停がましく出しゃばるということにつきましては、非常にちゅうちょを感じておったようでございます。しかし最近の緊迫しました空気になりましてからは、ほんとうに人ごとでないと思って、非常に積極的に乗り出してきておることは事実でございます。

菊池義郎自由民主党

○菊池委員 ヤルタ協定は日本の関せざるところでありますけれども、このヤルタ協定の対象について、外務省当局は米国にただしたということがちょっと新聞に出ておりましたけれども、そのときにこの南千島、歯舞、色丹はこのヤルタ協定の中に入っていたのでしょうか、どうでしょうか、その点…………。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 ヤルタ協定は、御承知のようにクーリールはソ連に引き渡さるべしとありまして、クーリールというだけでありまして、北千島、南千島、中千島と区別はしていないはもとより、本来の日本の領土であります歯舞、色丹については何らの言及をいたしておりません。

菊池義郎自由民主党

○菊池委員 賠償問題でございますが、過日外務大臣は、賠償の額はまだきまっていないということを言われた。またあるときは賠償の組みかえはできないということも云われたのでありますが、外務当局は、まだきまっていないならば今後組みかえることもできると思うのでありますが、この組みかえは絶対にできぬという方針にきまっておるのでございましょうかどうでしょうか。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 組みかえと仰せになりますのは、内容の役務が少な過ぎるじゃないか、桑港条約は役務賠償を原則としているにかかわらず、それを多くしろという御論議と思いますが、実は役務の点で非常に誤解があったのでございますが、役務が少くても、日本側から提供いたしますたとえば船をとってみますと、船にする鉄鋼、電線その他のものはすべては役務なのであります。設計から始まって最後の完成に至るまでが役務なので、むしろ大部分が役務費だといってもいいわけです。そこで先般の話し合いの方式は、船なら船というものは完成品の中に入っております。でございますから、それがすべて完成品として仕訳には入っておりますけれども、その中を砕いてみますと、完成品たる船の大部分は実は役務だった、でございますから役務が少いと申しましても、純粋に役務だけにしようと思いますと、フィリピンが自分で素材の資料をととのえましてそうして日本の技師なり労務者が行って汗を流し、また設計図をかいてやる、それだけで賠償いたすというようなことになったら、これは大へんなことでございます。何十年何百年かかるかわかりません。それよりも中身の大部分は役務であるところの船なら船の完成品をどっとやることによりまして、むしろ賠償も早く終るなら終った方がいいのでありまして、桑港条約の役務という観念にあまりに徹底いたしますと、かえって日本側が困るということに相なるのであります。

菊池義郎自由民主党

○菊池委員 賠償については、ポーレーからストライク、ドレーパ—と三転してだんだん変ってきておりますが、南方の賠償については、アメリカが大へんに苦心して骨折って日本に百パーセントの好意を寄せて、その結果練り上げてくれたものでございますが、役務賠償の原則をくずすということになりますと、アメリカの好意に報いるゆえんでないと思うのでありまして、この資本財を五億ドル、それから現金賠償、そういったようなことを想定する前にアメリカと何か向うの了解を得るために話し合いでもされたのですかどうですか、その点をお伺いしたい。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 対日平和条約の締結前に日本政府は米国を使って、といいますと語弊がありますけれども、米国に日本側の立場の代弁者になってもらうのが最も有効と考えまして、日本側としてあらゆる資料を米国側に提供いたしまして、米国は実によく日本側の主張や立場をわきまえて、そうしてイギリス、フランスその他の国にダレスが回りまして、実は完全に日本の代弁を勤めて条約を作ってくれたようなわけでありますので、賠償問題につきましても、占領当時からあらゆる資料を持っておりまして、日本の財政経済状態につきましては、日本人と同じようにアメリカ人は心配しておりました。日本に賠償の負担が何とかしてかからないように平和条約の賠償条項を作ろうというかたい決心のもとに、アメリカは各国に立ち向ったのであります。そこで実は仰せのように役務賠償でありますとか、あるいは日本に対外通貨の負担をかけないとか、いろいろ日本のためを思っての規定をやってくれたわけであります。そこで役務が少な過ぎるというような問題が生じたのでありますが、その点は、やはり今必ずしも平和条約の額面にこだわらず、最も実際的見地で、日本にも都合のいいような実際的な解決をはかるという見地から、考えていく必要があるのではないかと存じております。

菊池義郎自由民主党

○菊池委員 この構想をまとめる前にアメリカと了解を得るために相談せられたか、そのことをお伺いするのであります。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 平和条約発効後、各国との賠償交渉につきましては、何もアメリカの了解は得る必要はないのであります。もちろんアメリカが知りたい場合には、質問があれば通報はしておりますけれども、これはあくまで通報にとどまっておりまして、アメリカの了解を得るということではないのであります。

菊池義郎自由民主党

○菊池委員 理屈はそうでございましょうけれども、この役務賠償の原則をきめてくれたのはアメリカの骨折りです。その好意に対して、こっちでもって勝手に構想をまとめるということは、これは外交上工合が悪いと思うのです。その点はアメリカには何らの相談もなく、この構想をまとめたのですか、どうですか。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 今度のフィリピン賠償の役務、完成品の仕訳につきましては、アメリカの事前の了解は全然求めておりまふせん。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 さっきの岡田さんの質問に関して、仮調印の政治的責任の問題なのですが、ちょっとしり切りトンボになって、政治的責任をわれわれが判断する場合に、その基礎になる事実とそれから法律解釈問題をもう少し明らかにしておいてもらわないと、われわれ判断のしょうがないと思うのです。そこでさっき岡田さんの質問された仮調印時代の一つの英文の文句に対する理解の相違ですね。そういうものがあるということはお認めになるのかどうか、それを一つお伺いしたい。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 英文の理解、実はこの仮訳文を作成しました人間と、ほんとうにその英文によって理解しておった専門家とは別人であります。英語をよく読んで、自分は知識もあり、専門家であるという自負を持っておる人はこの英語を読んで、これでいいのだと思っておりました。しかしそういう専門家に見せて、ゆっくり日本文を作るひまがなかった。ですからほんとうに理解しておる専門家以外のしろうとが大急ぎで新聞発表用に作ったというところから誤解が出たのが真相でございます。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 そうすると、それを作った人と理解した人とは違うのだから、その理解した人が正しい理解をしておったかどうかという、それについての証拠はないわけですね。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 これは実は英語では、原子力関係の非常な権威であられるところの藤岡博士あるいは朝永博士にも英文を見ていただいておったのであります。でございますから、私どもが安心してまかし得る方は、英語でこれでいいのだということを御理解になっていたわけなのです。でございますから、その点で英語の本文についての日米間の理解の不一致ということは実はないのでありまして、ただ中間に入ったしろうとが大急ぎで作った日本文がはなはだ不正確であった。また不正確にならざるを得ざる発表関係の要請があったということでございます。

前尾繁三郎自由民主党

○前尾委員長 次会は明九日午後一時より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時四分散会

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