P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
23回国会衆議院1955/11/30

外務委員会 第1号

発言数
92
登壇者
9
会派数
3
開催日
1955/11/30

会議録

植原悦二郎自由民主党

○植原委員長 これより会議を開きます。  この際委員長より一言申し上げますが、今国会も前国会と同様、委員各位の御支援と御協力をお願いいたしたいと思います。  次にお諮りいたしたいことがあります。理事戸叶里子君が都合により理事の辞任を申し出ておられるので、この際これを許可したいと存じます。御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

植原悦二郎自由民主党

○植原委員長 御異議なければ、さように決定いたします。  なおただいまの戸叶君の辞任による理事の補欠選挙につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

植原悦二郎自由民主党

○植原委員長 御異議なければ、さように決定いたします。松本七郎君を理事に指名いたします。     ―――――――――――――

植原悦二郎自由民主党

○植原委員長 次に国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  本委員会といたしましては、本国会におきまして国際情勢に関する事項、国交回復に関する事項、国際経済に関する事項、賠償に関する事項の四項目について調査をいたしたいと思いますので、この旨を議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

植原悦二郎自由民主党

○植原委員長 御異議なければ、さように決定いたします。  この際森下外務政務次官より発言を求められております。これを許します。森下外務政務次官。

森下國雄自由民主党外務政務次官

○森下政府委員 私は衆議院議員森下國雄でございます。このたび外務政務次官に新任いたしました。まことに未熟なるものでございますが、皆様方の御指導と御協力によりまして仕事を一生懸命いたしたい、かように存じます。よろしくお願いいたします。(拍手)     ―――――――――――――

植原悦二郎自由民主党

○植原委員長 これより国際情勢に関する説明聴取に移ります。質疑を許します。須磨彌吉郎君。

須磨彌吉郎自由民主党

○須磨委員 国際情勢が非常に変って参ったような様子もございますが、それはともかくといたしまして、いよいよ政府におかれましては、党派が合同をいたし、大きな政党となったのでございます。その新党の政策は一般の政策、緊急政策等に分れてきめられておるようでございますが、その中に外交に関しましては、きわめてはっきりと出ておるように感ぜられるのであります。特に緊急対策におかれまして、対ソ交渉並びに対比賠償等について、きわめて的確なラインが示されておるのでございますが、私は最初におきまして、外務大臣におかれましては、この新しい第三次鳩山内閣の外交方針を推進されるに当りまして、かような自由民主党の新しい政策をどのように御実行なさる御計画でございますか、それを一番先に大体の御意向を承わりたいと思うのでございます。

重光葵自由民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 今須磨委員の御質問は、今回自由民主党が結成をされた、その結成に際して政策問題を掲げた、その政策問題のうちに、外交に関する政策をはっきり掲げておる。特に日ソ交渉や賠償交渉についてはっきりと政策を掲げておる。これをどういうふうに考えるかということに帰着するのではないか、こう考えます。私は自由民主党員でございます。従いまして、そこで党議で決定いたしておる政策については、私もこれによって仕事をするわけでございます。そこで党で決定しておることをよく検討をいたしてみたのでございます。その党で決定したことは、大体私どもが従来こういう問題について交渉して参った方針と何ら相違はございません。私は外交問題は内閣が変っても継続性を持たなければならぬということを絶えず申しており、またさように考えておるものでございます。国家の外交でございます。幸いこれらの問題についても、従来の方針を継続することが新しい党の方針の内容となっておるわけでございますから、それを推進していきたい、こう考えておるのでございます。

須磨彌吉郎自由民主党

○須磨委員 ただいまの御言明によって安心しておる次第でございますが、巷間よく鳩山内閣には二重外交をやる癖があるというようなことが書かれたり言われたりしましたが、ただいまの言明によって、自由民主党のきめました方針は、大臣においてこれを行なっていかれるということになりますならば、これを一掃することができると思うのであります。そのうちの一番大きな一つの当面の問題といたしまして日ソ交渉でございますが、ただいまいろいろな事情から、休会と申しますか、休んでおるわけでございますが、情報によりますと、マリク全権は八日かにロンドンに帰着するというような次第が伝えられておるのであります。そういたしますと、自然松本全権においてもこれに合せて帰られてその話が進められるようなことになるのでございますか、その点を伺いたいと思うのであります。

重光葵自由民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 二重外交ということについていろいろ非難があったということは、私もよく存じております。この委員会でもずいぶんそういう点について批評がございました。これはあってはならぬのであります。また私どもは従来ともそれはなかったと思っており、またそういうような御説明をし、事実なったのでございます。それはいろいろ問題については人によって言葉は違いましょうけれども、方針は政府の決定した通りにすべて動いてきたのであります。いわんや党議ではっきり政策がきまった以上は、党に属しておるものである以上は、たとい内閣に列しましても同じ考えでやっていくことは当然のことでございます。そこで今具体的のお話でございますが、われわれの考えは、日ソ交渉を始めて、一定の方針を立てて日本の立場をあくまで主張し、そしてその主張を実現をして、日ソ国交の正常化という目的を達しようということに、終始努力を続けておるわけでございます。不幸にして先方の全権委員が先方の都合で交渉地を離れたわけであります。そこでわが全権も一時帰朝しておるということは御承知の通りであります。これはその当時の双方から発表された声明書によっても明らかであるがごとく、交渉が決裂をしたのでも何でもない。交渉は今後に続いており、今日でも代理者の間で続いておるわけでございますが、実際責任ある全権がいないということになれば、実質上の問題について深く立ち入ることができなかったという状態にすぎません。従いまして、先方において交渉を継続するために準備が整う、すなわちマリク全権がロンドンに帰って交渉する、こういうことの態勢が整う場合においては、わが方において初めからの方針の通りに、直ちにこれに応じて交渉を継続する、こういう方針でありますから、その情勢がはっきりし次第、松本全権はロンドンに帰任するように取り計らいたい、今こう考えておるのでございます。

須磨彌吉郎自由民主党

○須磨委員 ただいまのお話によって、だんだんと日ソ交渉は私どもの期待の通り進められていく様子でございますが、今までの交渉経過から見ますと、党できめてあります対ソ交渉に対する基本的な考え方に至るには、まだほど遠いような感じもいたすのであります。私は外務大臣におかれましては、またこの政府におかれましては、あくまで所期の目的を貫徹するために、特に大きな目標といたしましては、日ソ間の国交を調整するという大目的のために、いろいろな障害がありましても、まずこれを切り抜けておやりになる覚悟は十分であろうと信ずるものでございますが、それをもう一ぺんおただしいたしたいのと、またあの政策にありまする対比賠償の問題でございますが、これは目下交渉中でございますから、その内容等については立も入って伺おうとはいたしません。けれどもやはりこれもあの党の緊急対策としてきめてありますような要点をもちまして、きわめてすみやかなるこの解決を遂げるために目下進捗中であろうかと思うのでございますが、この対ソ並びに対比の二つの問題につきまして、御決意のほどをここでお伺いをいたしたいと思うものでございます。

重光葵自由民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 対ソ交渉に関しましては今申し上げたことで尽きておるように思います。一般方策は党としてもきまっておる、政府も従来の方針にこれが合致しておる、こう考えております以上、この主張をもってあくまで進んでいく、これに今変りはございません。そうしてなるべくすみやかにそれを実現いたして国交調整の目的を達したい、こういうことに変りはございません。  それから日比賠償の問題でございます。日比賠償の問題につきましては、この委員会でも従来の経緯を大体申し上げておきました。それは日比賠償のことについては内交渉を進めておったのでございます。そうしてその内交渉の結果をもたらしてネリ・フィリピン代表が帰国して、そうして向うからその結果を頭に入れて提案をする順序になっておるというところまでお話をいたしておったと思います。その通りに相なりまして、向うの考え方がはっきりいたしました。いたしまして、それに基いて交渉を進めておるのでございます。これは大体においてもう内交渉のときに意見の交換はし尽しておるのでございますから、その意見に基いてこれが妥結を見るようになるだろうと思います。  それではその妥結する大体の方針はどうであるかというと、これまた今回自由民主党の政策として掲げられていることの筋に沿うてやることは当然でございます。またそうやり得ると思って進めております。いろいろ新聞報道等によって具体的なこともいわれております。おりますが、私はこれが一応結末を得るまでは交渉の内容について今詳しくこれを解明して説明を申し上げることは差し控えるべきだと思います。一段落ちつき次第に詳細なことは御説明をいたすわけでございますが、それまではしばらくお待ちを願いたい。ただしその方針は大体御決定の方針によって私どもも話を進めていっておるわけでございますから、自由民主党の方で少し本御心配はないと私は思います。  以上お答えいたします。

須磨彌吉郎自由民主党

○須磨委員 私の質問は終りました。

植原悦二郎自由民主党

○植原委員長 穗積七郎君。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 久しぶりの委員会でございますから、外務大臣にお尋ねしたいことはたくさんあるのですが、きょうは割り当てられた時間がはなはだ短こうございますから、私は簡潔に日ソ交渉に対してあなたのお考えを少しただしておきたいと思います。  第一にお伺いしたいのは、世間で伝えられるのみならず、われわれが少しく日ソ交渉の経緯を見ておりますと、総理とあなたの間にやや考えが開きがあるのではないかということが推測される節がたくさんあるわけです。総理はあくまでも早期解決をしたいという念願を持っておられるようであります。しかもその線は、戦犯問題については、戦争状態終結の妥結または講和条約、いずれにいたしましても、国交回復の段階になれば、即時全面釈放するというソビエト側の態度を了承する、それから領土につきましては、少くともロンドン会議においては歯舞、色丹の線で解決する、残余の問題については、国交回復後交渉を重ねていきたいというような方針を持っておられるように、われわれは推測できるのですが、それに対してあなたは非常に消極的な態度をおとりになる――消極的というよりは、むしろこの日ソ交渉の早期妥結の線に反対をされて、これを引き延ばす傾向を示しておられるように思われる節があるのですが、この際直接あなたから、早期妥結の総理の方針に対して、どういうお考えを持っておられるか、少し具体的に伺っておきたいと思うのです。

重光葵自由民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 この問題は実は今に始まったことでないので、国会でもその点は論議を尽したと考えておるのであります。総理と私との考え方は少しも変りませんことは先ほど申した通りであります。これは変りません。どういうことかというと、私もできることならば早期解決を希望いたします。これははっきり申し上げます。しかし何でもかんでもこちらの主張を譲歩して、早期解決をするということは私はできません。それは鳩山総理も同様であります。何となれば、政府ははっきりと方針をきめておるのであります。これは今きめたわけではございません。初めから一定の方針をもって――戦争によって生じたおもなことについては解決をして、平和条約をこしらえるということは、鳩山総理と私との間に意見の相違がないのみならず、ソ連との間にもこの点は意見の相違はない。ソ連は条約案を出して参りました。これも説明をいたしております。そうして平和条約をこしらえる。その平和条約の内容について合意がなければ平和条約はできません。その合意をしようとして今努力をいたしておるのでありますから、これはロンドン会議の交渉でありますから、ソ連との間にも何はございません。ただ意見の相違のあるのは、あるいはあなた方もそうであるか知りませんけれども、二つの考え方がある。そういう問題の解決は、たといいかに重要であってもしなくてもよろしい。今すぐ国交を回復して、そういうものはあと回しにしたがよかろう。それを直ちに西ドイツのアデナウァーの方式というのは言い過ぎるかもしれませんが、大体その方式でいったらいいではないかという考え方と、そうではない。われわれがロンドンでソ連と一緒になって今同じ考えのもとに交渉しておるように、おもな問題は解決した上で平和条約をこしらえて、一つ国交を回復しようじゃないか、この二つの考え方の差があると思います。われわれは今交渉いたしておる通りに、平和条約をこしらえ、重要な問題を解決して国交を回復しよう、こういうことにあらゆる努力をいたしておるのであります。私どもそういう重要な問題をこの際解決しておくのが、国交回復の前提である、当然のことである、これが常道であると考えておるのであります。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 せんだって私ども国会議員団各党の者がソビエト訪問をいたしました際に、九月二十二日にブルガーニン、フルシチョフと会談をいたしましたときに、日ソ交渉問題について向う側のいろいろ基本的な考え方が明らかになった点が多数ございます。今までのロンドン会議の模様は、お互いの申し合せもありいろいろいたしまして、国民に向う側の意見、こちら側の交渉の経過というものが発表になっていなかった。その中で一つ明らかになりましたのは、歯舞、色丹に対してはロンドン会議で即時考慮するという発表であったわけです。ところが日本国民に知らされたのは、あの会談の機会を通じて初めて知らされたのですが、あとわれわれがいろいろ調べてみますと、ソビエト側が歯舞、色丹についてロンドン会議で即時考慮するということは、すでにマリク全権から松本全権に対して意思の表示があったように私どもは聞いております。それを松本全権は直ちにあなたにあてて打電をして、総理にもそのことを伝えて、何らかの態度をきめるようにというような意味の連絡があったにもかかわらず、あなたはそれを総理に知らせるのに故意か無意識か知りませんが、非常に遅らしておられたようですが、そういう事実が実ははなはだいろいろな危惧を生じております中の大きな問題の一つであるので、そういった事実があったかどうか。もしあったとすればどういうおつもりであったか、このことをこの際伺っておきたいと思うのです。

重光葵自由民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 今お話の点は、日本の議員団がモスクワにおいてソ連の首脳者と会見した内容からのお話でございます。ロンドンで交渉を続けておって、ロンドンの交渉でこういうことがあったということを推測されてのお話でございます。私はロンドンの交渉について発表し得ると思ったことは、全部実は国会において説明をいたして参りました。しかし私の説明いたしたことが実は内容に触れ過ぎる、こう言ってソ連側からは激しい非難の宣伝がございまして、私はこれも交渉であるから一切を言わない、こういうことである以上はそういうことを言い得るのでありますから、私は交渉のことには触れるわけにはいかぬ、そういうことにその後考えまして、交渉の内容は、いやしくも誤解を相手方に与えるようなことを私が説明することは避けているのでございます。従いまして交渉の内容がどうであるかということは、私はここで詳しく申し上げる自由を持ちません。モスクワでお会いになったときにロンドンの交渉の内容について、日本が遷延しているというようなことは言いますけれども、何も内容については先方も一々のことは言っているようじゃない。ロンドンの交渉を否定しているような言説は少しもないようでございます。それはソ連で発表されたあなた方との質問応答の全文について私は検討した結果、そう見ているのであります。そこでどういうことを領土問題についてロンドンにおいて大体交渉があったかということについて、私は公けの席上で申し上げることはできません。しかしながら今お話の点、ロンドンの交渉の一部分を総理大臣に私が隠匿をしたということはどこから出るのか、そういうことは非常に心外にたえないのであります。さようなことは、それは裏面でいろいろ何というか、事情を知らない人があるいは中傷等のためにこそこそ話をするならば、それはそういうことはあり得ると思います。そういうことはここで持ち出されるのは心外で、全然そういうことはございません。一体日ソ交渉については、私よりも鳩山総理が非常に初めから熱を入れられておったということは周知の通りであります。私もそれに賛成をしてきている。そこで日ソ交渉の内容は細大漏らさず、しかもそのつど私自身で総理に連絡をして、そのことを報告もし、意見を聞いております。さようなわけで交渉のあったその翌日には、総理のところにみずから行って、電報の報告あり次第連絡をいたしておりますが、これが事実でございます。それから私はそういうことについてかれこれ細工をしようというような考え方は毛頭持っておりません。こういう重大な問題はできるだけ正確な材料を出して、広く国論によって国民の考え方、各方面の考え方を総合して、われわれの仕事の上にこれを反映すべきものである、こう考えてやっております。いわんや閣内において総理に細工をして見せないということは、私は非常に心外であります。そういうことば私は自分にそうとる気持もございませんし、そういうことはしたことはございませんから、それだけを申し上げておきます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 今の問題についてはきょうは時間がありませんから、これ以上追及しません。次の機会に私はもう少しお尋ねしたい材料がありますから、その機会にいたしたいと思います。  続けて外相のお考えをお尋ねいたしたいのは、領土の問題が今日の日ソ交渉の大体の焦点になっていることは、自他ともに認めるところであると思うのです。それに対して新聞発表によりますと、あなたは南千島の返還をロンドン会議で妥結をしたい、最終決定をしたい、こういうような御意見のようでございますが、それが真実であるかどうか、第一にお尋ねいたします。もしそれが真実であるならば、それはいかなる条約上の根拠によってそういう主張をされるのか。実は私どもに対するフルシチョフの発言というのは、そばにブルガーニンがおりまして、フルシチョフ君の発言は全部政府の意見であるとして聞いてもらいたいということでございますから、政府の発表としていいと思うのですが、これらの考えは、条約通りに参りましょう、これは繰り返し言っております。領土問題については、条約通りに参りましょうということです。従ってロンドン会議を促進しようとするならば、この領土問題に対する条約の解釈並びにそれに対する具体的な考え方がなければ、これ以上ロンドンに松本全権をお送りになっても、こちらの考えがはっきりきまっていなければ交渉はさっぱり進まない。向うの非難するごとく、一にかかって日本側の態度にあるという非難がそのまま当る結果になりますから、領土問題に対するあなたの具体的な考え方を知らしていただきたい。なお念のためちょっとお断わりしておきますが、ロンドン会議での話し合いは、お互いに発表しない約束になっているということをいっておりますが、これはマリクの口からは発表はございませんが、ブルガーニン、フルシチョフは、今領土問題に対するそれ以上の責任者でございまして、それが明瞭に、われわれに対してまたは世間に対して、プラウダを通じて発表しておるわけですから相手が発表しておることに対しては、こちら側もそれに対応するだけの意見は、発表して何ら差しつかえないと思いますから、この際隠蔽されることなしに、率直に一つ聞かしていただきたい。

重光葵自由民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 領土問題について、モスクワでわが議員団とお話がいろいろあった。領土問題は条約通りにやろうじゃないか、こういうことを向うが言われた。これは交渉の内容じゃないか、こう言われますが、これは理屈になるかもしれぬけれども、交渉の内容でも何でもない。第一議員団はどういう権限を持って交渉をされるわけであるか、交渉の権限はない。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 交渉したとは言いませんよ。向うの責任者が発表したのです。しかも歯舞、色丹と具体的に言っておりますよ。条約通りにやるということは基本的態度です。交渉したとは言いません。向うの発表した意見のことを言っておるのです。

重光葵自由民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 これは交渉じゃないけれども、こういうつもりだと政府の責任者なり党の責任者なりが言うことは、私は大いに参考になると思う。これはその通りだと思います。そこで内容になりますが、今あなたは千島のことを言われた。私はこれは……。(穗積委員「先方の態度はわかっているから、こちらの態度を聞いているのです。」と呼ぶ)僕の言うことを聞かないのですか。私はそのことだけについて議論をするならば、私もそれに賛成をします。条約通りやるのだ。それは少しも差しつかえないが、条約通りにやるということはどういうことであるかというと、日本はソビエトに対しては千島をどうするという条約は今までない。どんなにもない。それだから千島をどうするかということは、これから交渉してきめることが今日差し迫った問題であります。それをきめよう、こういうのが私どもの態度であります。   〔穗積委員「どうきめるつもりですか、これを聞いている。南千島に限ったのはどういうわけです。」と呼ぶ〕

植原悦二郎自由民主党

○植原委員長 穂積さん、外務大臣の意向を聞いてあとで質問願います。

重光葵自由民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 どうきめるということは、交渉の方針によってきめます。そして党においてはこういう考え方を持っている、そこで私は与党の考え方には賛成だ、こういうのです。(穗積委員「それはどういうことですか。」と呼ぶ)南千島は日本の国有の領土として主張する、こう言っている。条約通りといっても、条約は日本とソ連との間に何もない。これからきめるのです。

植原悦二郎自由民主党

○植原委員長 穂積君、あなたの時間は切れておりますから、今の続きだけ……。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 全千島列島並びに南樺太に対するお考えを伺っておきたい。あなたは南千島だけ言っておられるが、北千島並びに南樺太に対するあなたのお考えを伺いたいのです。

重光葵自由民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 それは条約によって決定する、私もそれには賛成だと今申し上げました。(穗積委員「だから条約との関連で説明して下さい。」と呼ぶ)そこでその条約というのは、日本に関する限りは、これらの領土についてはサンフランシスコ条約のあることは御承知の通りであります。そこで日本は、この領土についてはサンフランシスコ条約の規定に従わなければならぬ。しかしそれはサンフランシスコ条約に関係のない国には関係はございません。すなわち、日ソの間には条約関係はございません。だからこれをきめなければならぬ。きめる場合において、日本の立場として、このサンフランシスコ条約に関係のある地域については、関係国全体の合意によってこれをきめるということは、これは当然の主張でございまして、大体そういうふうなラインでいかなければならぬと私は考えており、またそういうふうな主張をいたしているわけでございます。

植原悦二郎自由民主党

○植原委員長 穂積君、あなたの時間は切れております。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 私の質問に対して答えていただきたいのです。つまり千島列島全体と南樺太に対しての考え方を具体的に伺っているのです。

重光葵自由民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 具体的に答えているじゃありませんか。はっきり具体的に答えている。

植原悦二郎自由民主党

○植原委員長 菊池義郎君。

菊池義郎自由民主党

○菊池委員 重ねて領土問題で伺いますが、松本全権が日本にお帰りになって、某新聞の座談会において発表した話を見ますと、最初歯舞、色丹だけの交渉を自分に指図をしていて、あとで南千島の交渉もくっつけられた、それでは交渉がやりにくくて困るということを言っております。それで世間もこのことについて騒いでおります。私は与党としてこういうことを言いたくないのでありますが、クレムリンにおいてフルシチョフに会ったとき、フルシチョフはわれわれに向って、この領土問題について、一言も南千島のことは言わないで、ただ歯舞、色丹だけを日本が望んでいるようなことを言っておりましたが、もし日本が、これまで歯舞、色丹だけを要求するように折衝したとなりますと、同じ松本全権が二枚舌を使って、さらに今度は南千島を加えて交渉するということは、交渉の上に非常に困難を生ずると思う。そういう点について大臣の御意見を伺いたい。

重光葵自由民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 さような、政府の考え方として主張を変えたという事実はございません。むろん領土問題について、御指摘の歯舞、色丹ということは、これはいち早く出る問題でございます。これは当然のことであります。その他の南千島、樺太の問題というものは順次に出てくるのであります。それで松本君がどういう説明をしたか、内輪の非難をしたとするならば、それは何らかの考え違いであろうかと思います。さようなことはございません。そこで私は先ほども申し上げました通り、領土問題としてははっきりした態度で進むべきであり、これからも進まなくちゃならぬ、こう思っております。

菊池義郎自由民主党

○菊池委員 それからフルシチョフが言っておりましたことに、ドイツは真剣に、熱意を持って交渉に当ったから、わずか五日でもってとにかく国交の樹立ができて戦犯も帰す、それから大使も交換するということもとりきめた、日本には熱意がない、四カ月の間君らの全権は何をやっておったか。茶飲み話、世間話だけであったではないか、熱意がないからだめなんだというようなことを言っております。ドイツのように少くとも徹底的に議論をやって、議論によって決定すべきであると私は思う。ただ一片の社交的な、儀礼的な折衝ではいつまでたってもこれは片づかないと私は思う。そうしてその議論の結果は、理屈はむろん日本にあって向うにはほとんど理屈はないのでありますから、議論は日本が勝つにきまっております。それでありますからして、その議論の結果をどしどし公表するように、お互いに日ソ両国の間において申し合せたらどうか、こういうふうに、私は考えます。

重光葵自由民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 モスクワに行かれて、モスクワの首脳者の言われたことをそのまま御披露になりまして、茶飲み話でロンドン会議が四カ月も何もすることがなかった。これはそういうことをまじめに受け入れて帰られたんでございましょうか。(笑声)私はそういうことについては非常に心外に思います。しかしやむを得ない。議員の方々が行っていろいろ話をされることは大へん有益であると思いますから、向うの言うことを十分味わわれるということもけっこうでございます。しかしそれにはおのずから一つかみ分けて味わっていただきたい。四カ月の間、もう非常な火花を散らすような交渉を二十回近くもやっております。茶も飲んだでございましょう。(笑声)茶も飲んだでございましょうが、しかしだれが四カ月後に交渉ができないようにしましたか。私はそういうことははっきりと今議論を公けの席ですることは、交渉に決していい影響はないと思いますからしません。しませんが、日本が、松本全権がロンドンを引き揚げたのじゃない。しかし私はあなた方がソ連に行ってフルシチョフといろいろなことを話された。それは向うは向うでいろいろな立場で言うことは当然なことであります。しかし日本には日本人としての当然の立場がなければならぬと思います。これは私どもは交渉を通じて日本の立場を十分に主張することが日本国としての立場だ、こう考えております。  そこでモスクワでいろいろやられたことを総合的に見ますと、私はこういう結論を持っております。あなた方が向うの首脳部と話されて、こっちは権限が何もない。向うは政府の首脳部だからそういうことを言うのは当然なことであります。しかしそれを見ると、一体ロンドンの交渉は手ぬるいじゃないか。いま少し日本はどんどんはきはきやってもらいたい、こう言っております。繰り返し繰り返し非難して言っております。しかしその裏面を見ると、交渉は今後もすみやかにこれを促進してやりたいという意向がソ連側にあると私は思います。これは私は非常に大きな点だと見て実は喜んでおります。ソ連が、ロンドンの交渉というものは一体今までは何もできない。これは破いてしまおう、これは不必要なことである。そこで国交を回復して、懸案なんぞはあとでいいのだということを新たに提案して、もし正式にやってくるならば、これは方針をすべて変えたのでありますから、私はそれは実は非常に困る。困るというのはなぜ困るかというと、日ソ交渉というものはやはりあの双方の政府の代表が交渉しているのだということをはっきり認めて、これを促進するということに双方が考えが一致してやるところによって交渉も進むのだと思う。そこでロンドンの交渉は、これを全然ほごにしようという考えを持っておらぬことがはっきりしております。あなた方はどうこれを見て帰られたか私はわかりませんけれども、私はそう思う。ロンドンの交渉をなるべく早く一つ促進しようじゃないか、あなた方も帰ったら政府を鞭撻してそういう工合にやらしてもらいたい、こういうことに尽きるのじゃないかと、こう思っております。私はその精神は共鳴します。やらなければいけない。そこでそういう方針によって今後この交渉を続けてやる、こういう用意のあることをソ連も考えておるのでありますから、私どももその考えに共鳴をして、続けてやりたい、こう思っておるのでございます。

菊池義郎自由民主党

○菊池委員 どうも交渉に当っては日本の方が何だか位負けしているような感じを非常に受けるのであります。たとえば松本全権が日本に帰りまして、抑留者の留守家族の団体のところへ行って演説したのを聞いてみても、この交渉が妥結しない以上は、抑留者を帰すことはできない、そういうことを言って、いかにも留守家族を扇動するようなことを言っておる。こういうことはまことに遺憾であると私は思う。それから鳩山先生はああいうあけっぱなしな人ですから、やはり同じようなことを言っておるが、それではだめです。こちらの手の内が向うにつつ抜けに抜けてしまう。それではだめだと思う。私はこの抑留問題についても、向うは戦犯々々と言っておる。われわれは君らに勝ったのだ、日本は負けたのだ、そういうことを繰り返し繰り返しフルシチョフが言っておる。私ははっきり言いました。ここにも聞いておられる方が二人、三人おられますが、われわれは米英に敗れたことは知っておるけれども、ソ連に敗れたとは毛頭考えておらぬ。わずか一週間前にソ連は参戦したにすぎない。しかも日ソ両国の間に厳然として存在する不可侵条約、すなわち中立条約を一方的に破棄して、突如として満州、樺太に侵入して略奪したのはソ連じゃないか。戦犯がもしあるならばソ連にこそあれ、わが国に戦犯なんというものは一人もあるはずはない。これが日本国民全体の考え方であるから、あえて反省を促す次第であると、はっきり申しました。それを北村徳太郎君がこわがって、そばにおった通訳を押えて通訳させない。そうするとフルシチョフがかえってそれを聞きたがって通訳から聞きました。すると見る見る顔色が変って、しばらくの間沈黙を守っておったが、とうとう返事ができないで、話題を他に転じた一幕もあった。外務省からくだらぬ、クレムリン会談の内容というて方々にまいておりますが、あれはわれわれ三十八名の議員を侮辱するもはなはだしい。ああいうものをまいたら、われわれはクレムリンの茶坊主みたいになっておって、一方的な説教ばかり聞いておった、唯々諾々としてこれを承認したというようにしか世間は思わない。ソ連は御承知のごとく鉄のカーテンである。彼らに利益なことは報道するが、不利益なことは全部報道しない、そういう国であるということも外務省は百も二百も御存じでしょう。それにもかかわらずああいうものを配布するということはわれわれの面目を非常に失墜します。そういうことも一つどうか頭に置いていただきたいと思うのでございます。  さらにフィリピンの賠償問題でございますが、資本財がばかに多過ぎて、サンフランシスコ条約でもってきめたところの役務賠償は、わずかに三千万ドル程度になっております。これらはまことに本末転倒もはなはだしいと思うのでありますが、こういう点について一体どういう考えを持っておられますか。さらに総額の八億ドル、大体こういう考えでもってこれをとりきめなさるおつもりでありますか。われわれは最初自由党時代に四億ドル以上にしてはならぬというようなことを主張して参ったのでありますが、どういうお考えでありますか、この点ちょっとお伺いしたい。

重光葵自由民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 モスクワにおける議員団との会談のことについてこういう主張を自分はしたのだといって、日ソ開戦当時のソ連側のやり方の不都合であることを力説をした、こう今るる述べられました。私は不幸にしてそれを知りません。私の今材料として、モスクワでどういう会談があったかという材料は、ソ連が発表いたしました、これは一々の議事録的にプラウダに発表をいたしました、その全文についてでございます。そのことについて菊池先生からこういう今の通りの話があったのだという記録は少しもございません。なおまた通訳がどうであったか、また北村君との間にその場合にどういういきさつがあったかということは、少しも記録には出てきておりません。またそのことについて今日まで報告に接しておりませんから申し上げることはできません。  さらに日比賠償の問題でございます。日比賠償の問題について、これはいろいろ御議論がございましょう。賠償額のごときはこれを小さくと申しますか、そのもの自身を考えてみれば、これは額の少い方がいいことにきまり切っております。日本の財政能力も限定されておるのでありますから、これは少い方がいいにきまっておりますが、自由党時代にこうであったから四億ドル以上はいかぬ、こう言われた。それは言われたでしょう。これはそういうことを言うべきだと思う。私どもも実はそう言っておる。内交渉のときにはそうだ。これは自由党のときは大野・ガルシア協定というものがある。しかし正確に言うと大野・ガルシア協定は四億ということにしてあるけれども、手取りは十億にするということになっておる。これはそういうこともいろいろ向うとの了解をするためにやらなければならぬことはあります。けれども、それではそれだけで済むかということになると、なかなかそうは参りません。少いほどよろしい。しかしこの賠償の問題は、私は額も非常に考えなければならぬけれども、何とかして早くこれを解決するというところに、大きな値打ちを見出さなければならぬように思う。日本が今日戦争後十年、大いに国の力、またプレスティージも上っておるということは、私は事実であると思う。でありますからこそ、国際連合においても日本が加入するということは当然のことだと言って、友邦はしきりに今御尽力をしてくれているような状況であります。しかるに日本のアジア方面における状態というものはどうであるか。フィリピンと言えば隣国であります。との隣国との平和関係も成立していない。なぜ成立していないのかというと、賠償問題が片づかぬからです。これは私は少しでも早く片づけて、そうして正常関係を開いて、ただ感情とか政治的だけでなくて、経済上の発展、貿易の発展ということも一日を失えば一日の損になる。そういうことも勘定の中に入れてやるべき問題であって、過去において自分はこう考えておるからこうでなければならぬと、こう一方的に、かつまた個人的に主張されてこれを実現するということは、これは容易なことではないと考えます。私はすべてそういうようなことは、今申します通りに、全体としてできるだけ少い額で一つなるべく早くこれを解決したい、こういう考え方をもって進んでおることを申し上げます。  それから今具体的な問題で何でもサービスが少い、サンフランシスコ条約にこうある。こうサービスでもって払うということになっておるにもかかわらず、その点が非常に不満足である、こういうお話でございます。これもごもっともな御意見でございます。自由民主党結成前の自由党の非難もそういうことでございました。しかし私は今その内容について、ただいま折衝中でありますから入ることを避けますけれども、サンフランシスコ条約をたてにしてこれで押し通すことができるならば、これは賠償問題もその点に関しては、私はそう困難はないと思う。一体  フィリピンはサンフランシスコ条約にどう関係がありましょうか。賠償問題が片づかなければサンフランシスコ条約に批准をしないと言ってがんばっておる国であります。それにサンフランシスコ条約がフィリピンに対して効力がある、こう思って対抗する議論ならこれは議論が的をはずれておるのじゃないか。フィリピンをしてサンフランシスコ条約に加盟すると同じことに批准をしてもらって、日本との平和条約を有効ならしめていきたいという考え方で賠償問題を今交渉しておるのであります。ですからサンフランシスコ条約にこうあるからといって、これはフィリピンを不信呼ばわりするというわけには参りません。それは妥協になります。妥協しなければなりません。しかしサンフランシスコ条約にこういう精神がある。これが日本が平和を回復した基礎になっておるのだから、それも十分に考慮に入れて、一つお互いに妥協しようじゃないかということは、十分言い分が立ちます。さような言い分をもって今日交渉を進めておるわけでございまして、そういうことについては向うにも相当な理解をもってこれが妥結を見ることだろう、こう考えますけれども、これはフィリピンの考え方はフィリピンの考え方でありまして、十分先方の考え方も考慮に入れて、そうして妥協に導きたい、こう考えておるのでございます。

植原悦二郎自由民主党

○植原委員長 菊池君、時間ですが……。

菊池義郎自由民主党

○菊池委員 須磨さんの時間を十分間もらいましたから……。

植原悦二郎自由民主党

○植原委員長 時間がありませんから……。

菊池義郎自由民主党

○菊池委員 それでは小笠原島民の引き揚げの見通しについて一言伺いたいと思います。

重光葵自由民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 その問題については陳情もございまして、アメリカには十分意思表示をし、交渉をいたしております。私もその問題については、見通しとしてはそう暗くない見通しを持っております。

植原悦二郎自由民主党

○植原委員長 松本七郎君。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 これまで私どもは鳩山内閣の日ソ交渉についてもいろいろ問題を追及したいことがたくさんあったのでございますが、鳩山首相の早期妥結という言葉によって政府が極力努力されておりますので、私どももできるだけこの早期妥結が成功するように、場合によってはできるだけの御援助もしたいというような気持で今日まで来たのでございます。けれども、文字通りどうも早期妥結にならないような空気が最近強くなって参りまして、ましてや自由党と民主党が一緒になって、相当外交政策についてもいろいろ変更がある傾向が出てきた。ただいまはこの日ソ交渉問題も非常に重大な段階に達しておると私は思いますので、この際少し外務大臣の考え方あるいは内閣全体の考え方を掘り下げて、私は国民の前に明らかにしていただく時期だと思います。わずか十五分くらいではこれが十分できないかもわかりません。一応重点的に御質問を申し上げて、さらに残ったものは、次の例会あるいは臨時に委員会を開いていただいて、外務大臣の御出席を求めて明らかにしていきたいと考えるのでございます。  先ほど穗積委員の質問にも外務大臣はお答えになりましたが、今まで総理との間に意見の相違は少しもなかった、これをしきりに言われるわけです。ところが国民の印象は、そこに内容的にもずいぶん相違があるように印象を受けておったのです。ただここで一つ申し上げたいのは、外務大臣はしきりに政府の方針は最初からきまっておるのだ、これは少しも変えないであくまで押し通す、こういうことを言われますが、交渉ですから私は必要があればどんどん変えられていいと思う。相手がどういう主張をするのか、相手がどういう立場に立ってものを言っておるのか、一応こっちの最初にきめた方針で臨んでみても、それでは早期妥結ができないということになる場合には、これは交渉ですから次々に変えていって、そしてあくまでも日本の今後の発展のためになるような方向を求めていくということでなければならぬと思うのでございます。そういう観点からお伺いしたいのは、先ほど外相は早期妥結ということの説明の中で、領土問題からすべての懸案を解決したところの完全な平和条約の形式で妥結することをもってこの日ソ交渉の妥結、こう考えておられるのであって、戦争終結、外交官の交換、そういう程度で国交だけ回復するということでは、幾ら早くこれができても早期妥結とは言わないのだ、こういうような印象を受けたのでございますが、そこに間違いないでございましょうか。

重光葵自由民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 お答えします。私は外交交渉をやるのに一定の立場、方針を立てていって交渉をしておる、またそうすべきでありますが、その交渉をしておる最中に、先方の意見が出たからどんどん変えていったらいい、私はそれは交渉じゃないと思うのです。こちらの正当な立場はあくまでも主張してそれを貫くようにして、果して貫き得るかいなかということを突きとめた上でまた変えるべきところがあるなら変える、こういう御意見なら私はその通りだと思う。しかし領土問題についても十分に主張すべきはまた主張する、この会合は何も行き詰まって今中絶されておる会合じゃない、偶然に全権の不在というところから始まっておるわけで、交渉中にこういうことになっておるわけですから、交渉を続けていく上で当初の考え方をもって主張するということは当然のことだと思う。それが交渉だと思う。しかし交渉について全部一から十まで向うが条約案を出して、こちらもそれに対応する主張を各項目にわたって出しておる、そして全部同じことを初めからしまいまで言っておってこれが妥結を見るかということになればそれはそうじゃない、交渉でありましたら互譲妥結はしなければならぬ。しかし今日まで合意のあった部分がずいぶんあるのであります。その最も大きな部分は、平和条約をこしらえて国交を回復する、こういうことについてははっきりした合意があって、向うはこれによって平和を回復すると書いてある条約文を出しておる、こちらもそれに賛成をして今日に至っておる。だからその合意をしておる点について、これをこちらから取り消す必要も何にもないと思います。これで話を進めていって、円満に妥結するように努力をする、その努力は私は非常に一生懸命にやらなければならぬと思っております。そしてできるだけ早く解決をしたいということは、当初の方針の通りやって差しつかえないと思います。そこで私はその方針で参ることを先ほども申し上げたのであります。  次に平和条約が成立をしなければ妥結しないのか、こういう点でございますが、これも今お答えしたと思いますけれども、交渉の今日の状況においては平和条約をこしらえて国交を正常化しよう、こういうことに意思は一致しておるのでありますから、これは何も変える必要はない、その通りに進んでいっていいと私は思います。またこれはあなたの御意見かもしれませんが、領土でも何でも、何もかもほったらかしておいて国交を回復すればいいじゃないか、それはフルシチョフ氏及びソ連のドイツに対するやり方等を見れば、ソ連はそういうふうに考えておるかもしれぬ、そういうふうに導けばいいと思っておるかもしれませんが、今日までのロンドン交渉はそうでもないし、またわれわれはそう考えておりません。日ソの関係は従来の歴史もありますし、国民的な感情もありますから、この際に領土問題のごときむずかしい問題は一応解決しておかなければ、せっかく国交を回復してもほんとうの国交回復にはなりかねます。ただ国交を回復して、そして政治的にいろいろ双方とも往復をし、活動をするということだけならば、私は非常に値打は少いと思う。ほんとうにソ連との間は、第一領土の不可侵という考え方でも、一体どの領土をどう侵さないのかということは、領土がはっきりきまらなければ理屈上できません。さようなわけで、せっかく大きな点については話し合いが今できておる、合意した点がずいぶん多いのでありますから、この機会にこのまま進めていって交渉を妥結に導くということに専念することが今の日本の行くべき道だ、こう私は考えておるのであります。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 平和条約を作ってから妥結をするということには両者が一致しておると、こう言われますが、私どもの見通しでは、おそらく今後このロンドンの交渉が再開された暁には、ソビエト側は、こう長くなるならば平和条約というきちんとした形は無理だから、一つ戦争状態の終結と外交官の交換というところで一応国交を回復して、そしていわゆる向うさんのいう戦犯を帰す、あとの問題は将来に延ばそうというような、これは社会党でこの前鈴木委員長の談話として、暫定協定でそういう内容のものを一応きめて、正式な平和条約は先に延ばして国交だけ回復しようという線なんですが、こういう線がおそらく私はソビエト側から出てくるだろうと思います。そういう見通しは政府は全然持っておられないのでしょうか。

重光葵自由民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 私自身としては今のお話はやや心外に感じます。日ソ交渉に臨んだ日本の立場、主張は、私は本委員会においても十分に説明申し上げておるわけでございます。そしてそれについて日本の立場は、公けに主張しておることはこうであるということは、もうおわかり尽しておるわけであります。しかるにモスクワにおいてそういう議論が起った際に、私は、これは個人の感情よりも国際間にそう出ていらっしゃる以上は、国家の主張がどうであるかということを、少くも一応は十分に向うに披瀝して主張していただきたかったのでございます。ソ連はそういうふうにあるいは考え方を変えようとしておるのか知りません。それはわかりませんが、私は先ほど申す通りに、モスクワにおけるあなた方の会談でも、ロンドン交渉を変えようというような考え方は毛頭ない、これを促進しようと先方は希望しておる、こう思っております。そうして促進しておる。ロンドン交渉ではどうなっておるかというと、互いに条約案を出して、それで交渉をしておるわけでありますから、その立場を何ゆえに日本側で変えることを、交渉がそこまでいかぬのに先にそういうことを言わなければならぬか、そういうふうに変える意思表示をしたければならぬか、私はそういうことはできぬと思います。見通しはどう出るかということは将来のことでございます。しかし今日までのところでは、さような考え方は持っておりません。この平和条約を成立せしめてあくまで交渉を成立させていきたい、こういう考えを持っております。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 外務大臣は、かりに国会議員が外国に出ていった場合には、やはりその政府の立場というものをよく理解して、その主張をしてもらわなければ困ると言わぬばかりのことを言われたのですが、その政府の考え方なり方針が、日本の将来の発展のためにはならないという考えに立っておる人は、どこに出てもこの政府の代弁をするわけにはいきません。そこに実は問題がある。ですから今もしきりに日ソ交渉において平和条約方式といいますか、そういうことを固執したようなお口ぶりでしたが、これは日本はいろいろな平和条約できちっと解決したい。それは相手さんももちろんそうでしょう。できるならば、自分の希望する通りのことをはっきりした平和条約で全部解決できれば、向うだっていいにきまっているのですから、平和条約でやるということが一致するのは当りまえのことですけれども、日本側から内容としていろいろ持ち出して、それを向うが見て、これは自分の方は困る、自分の方はこうなければならぬというので意見が相違して、だんだん話し合いをするのですから、意見が相違すれば、平和条約をきちんとすることは無理じゃないかということになってくれば、そこで初めて暫定協定のやり方だとか、いろいろそれに準じたやり方というものがその次の方法として出てくるわけであります。そういう可能性が、私は国際情勢全体からしてだんだん政府も考えなければならなくなってくると思うのですが、その見通しをお伺いしておるわけです。

重光葵自由民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 私は個人としてあなた方が意見を発表するということに異論は少しもございません。そういう点は私は何するものではありません。しかしこの交渉は、今日現に日本がいわば国運をかけて進めておるわけであります。それは日本の全権が言っておることを、一応これは日本の国家の主張として、国民としてこれを認めていくべきだと私は思います。もっともその政府の方針を作る場合において、政府は国民全体の考え方をよく察知して作らなければならぬということも当然のことであります。しかしながら一応作られた以上は、私はこれに対して国民的の支持がなければならないように考えます。しかしそれはそれでもいい、必要はないという御意見もありましょう。私はしいてそれを争う気持はございません。そこで今領土問題は――御承知の通りに領土問題で日本が非常に不利益な地位に立っておるというのは、日本は向うの占領しておるところをこちらの主張によってしいて占領を解いてもらいたいということに結論は尽きます。断定協定でいつまでも占領することを事実上認めるということも私はどうかと思います。だからやはりこの際はっきりさせていくということが、日本の利益だと思います。またそうすべきだと思います。そこで平和条約をこしらえるということについては、主義上向うは異存はない。異存がある以上は平和条約案を出すわけはありません。そこでこちらもそれを出しておる。すなわち意思が合致しておるわけでありますから、そのラインに沿うてあくまで成立せしむるべく努力するというのが、今残されている道だと考えております。

植原悦二郎自由民主党

○植原委員長 松本君、もう時間です。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 時間が参りましたから、またの機会にもう少しお伺いしたいと思います。最後に外務大臣は領土問題はこの際解決しておいた方がいいし、また利益だと考えておられるわけですが、かりに利益であって幾ら解決したいと思っても、果して解決できる可能性があるかどうかということをいろいろな面から考えてみなければならないと思う。ただこれが何ら国際的にいろいろな問題なしに、一国と一国との間の場合ならば、それは昔のように相当国力があって、ことに軍事力を背景にしておれの言うことな聞けといってがんばって通った時代と、今日のようにいろいろな複雑な条件が重なっておるときとでは、考え方はまたおのずから違わなければならないと思う。特に領土問題については、わが国はポツダム宣言を受諾して今日にきておる。との新しい出発点をよほど大きく考えなければ、日本の今後のほんとうの発展の方向を誤まると思うのであります。そういう意味で、これはただソビエト対日本の問題ではない。連合国との問題にも関係してくるし、国際問題全体に影響を及ぼす問題でありますから、私はもっともっと外務大臣とじっくり深く、広く、検討する段階にきたと思うのでございます。そういう意味で、先ほどから鳩山首相とは決して意見不一致はないと言われますけれども、これは委員長にも特に申し上げたいのですが、鳩山総理が今までこの委員会で発言されたこと、あるいは予算委員会で発言されたこと――外務大臣も御承知のように一ころは戦争終結宣言でやろうというようなことを言われたことさえあった。そういういうな状態である。しかもこの前の総裁選のときには、日中、日ソの国交回復、貿易の拡大ということを大きなスローガンとして選挙に臨まれておる。そういうことからいいましても、今いった早期妥結という内容について、外務大臣はあくまでも平和条約をきちんとしたことで全部懸案の解決を早くやるということを早期妥結と解されておる。しかし鳩山総理大臣は必ずしもそうではないと思う。ですからぜひ早い機会に鳩山総理大臣自身の委員会の御出席をお願いいたしまして、この問題はもっと徹底的に論議をしなければならないと思います。  最後に外務大臣に二、三まとめて御答弁をお願いしたいのは、そういう状態でありますから、政府の考え方自体も、まだまだわれわれ十分話し合っておる機会が少うございますから、ふに落ちない点がたくさんある。それから私どもの主張、特に党全体の考え方等についても、十分御理解しておられない点もあると思う。ましてや自由民主党は最近合同したばかりですから、旧自由党の考え方等についても、まだ十分理解されておらないところがあるのではないかと思います。こういう大事な段階になった今日におきまして、一つ自由民主党の政務担当責任者、鳩山総理大臣あるいは外務大臣、それから党務関係の緒方その他の代行委員、そういった関係者と社会党側のそのような関係者、そういうものを含めてじっくりこの問題についての意見交換をする機会を、この際持ったらいかがかと私は考えるのでございますが、外務大臣としてはそういうことはもう一切必要なしというようなお気持でしょうか、あるいはそういうことについては一考してもいいという気持があるかどうか、この点を一つお伺いしておきたいと思います。  さらに、こういう問題の解決が、私は台湾の問題なり、あるいは李承晩ラインの問題なり、すべての問題についての解決の糸口になってくると思うのですが、そういうことは議論しておると切りがありませんから、これはあとに延ばしますが、最近李承晩ラインの問題で韓国政府が強硬な声明を出したということで非常な恐慌を来たしておるのですが、あれは正式な意思表示として政府機関になされたものであるかどうか、もしそうだとすれば、政府としてはどのような方針でこれに臨まれるのか、この点と、それから軍事基地に対する問題について外務大臣としての今後の方針、その一般的な問題を少し御報告願いたいと思います。

重光葵自由民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 お答えします。第一の点は、一体前には戦争終結宣言をして、それでもって問題を片づけるというようなことをいろいろ言ったじゃないか、鳩山総理はそう言っておる。問題を解決するということはあと回しでいいというふうな印象を与えておる、今の話と違うじゃないかということを言われますが、これは私は非常に事実を曲げておると思う。しかも私が戦争終結をして国交回復をやろうということを言った、こう言われますが、そういうことは私は言ったことがないのみならず、そういうことは初めから注意して発言をしておるつもりでございますから、そういうことのなかったことをあるように言われては、非常に迷惑であるということをはっきり申し上げておきます。それからまた、一般問題を解決してやろう、こういうのは実は鳩山総理が戦争によって起ったようなことは、これは平和を回復するのだから、当然解決してかからなければならぬという考え方を強く言われたわけでありまして、それは私の考え方と同じであります。そこでこれはいろいろお立場お立場はございましょう。そこで政府に対する非難をされるということは、私は少しも異議を差しはさむわけじゃございません。しかし私は、事実そういう考え方を変えたことは少しもございませんことをはっきり申し上げておきます。  その次に、自由民主党の中にもいろいろある、これは自由党、民主党との間にも必ずしも意見が一致しなかったような印象を与えておる、事実そういう印象を与えております。そこで私は結党前においても話をして意見を聞いてみました。結局だんだん話をしてみましたところが、意見の差のない、少くとも集約することができるということで結党もでき、その結党によってとの問題に対する政策も発表されたわけでございます。しかしお話の通りに、この問題のごときは特に感情問題も含まって非常に意見の差があり得ることでございます。これはあらゆる努力をしてその一致に努めることをやりたいと思います。事実この席に出る前にも、昨日も与党の首脳部と話をしていろいろこの問題について協議をいたしたのであります。それは意見の調整というよりも、調整された意見をどういう工合に出すかということで話をしておるような次第でございます。  さらにまた社会党との話をしたらどうか、これは私は賛成であります。外交問題は一口に申せば、どうしても国家的に考えなければならぬと私は思っております。この考え方は、従来からたびたび私がその点を申し上げておると思いますが、これは野党であろうが、少数党であろうが、そんなことではない、日本を代表すべき人々とよく話し合いをし、また国論をも見きわめて進めていかなければならないと思っております。ただ私はその努力の足りないことをみずからおそれておる気持でございます。でありますから、そういう機会が与えられるならば、私は喜んで御相談申し上げたいと思います。それらのことは党との関係もございますから、これは党の首脳部ともよく打ち合せをしなければ、私が今ここでどうするというようなことを結論的に申し上げるのはいかがかと思います。しかし外務大臣として、外務省として、それではどう考えておるかということならば、私はそう考えております。それからまた外務大臣としては、御賛成下さるならばそういう機会をいつでも作ってお話をいたしたい、こう考えております。  それから韓国の問題について、この間から問題になっております韓国の軍事当局が非常に強いことを言っている、これは私は非常に遺憾に存じます。行き過ぎた声明のように私は考えます。しかしそれをそのままほったらかしておくわけには参りません。いやしくも軍事最高首脳部が言ったことでありますから、それが果してどういう意味であるか、韓国政府はどう考えているかということを今照会中であります。そういうことについて、すぐそれでは向うがそう考えているならばこっちはこうだというようなことで、売り言葉に買い言葉というふうなことはよろしくないと思って、向うの真意をよく照会中であります。その上において処置しようと考えておりますが、さような状況に相なっております。  それから軍事基地の問題でありますが、これは全般的に申し上げれば、軍事基地は数はどんどん滅っております。漸次返還を受けつつあるというのが現状でございます。ただ安保条約の履行のために、条約上の義務を果すために必要なものは、これを存続し、また使用も許す、こういうことになっております。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 先ほど総理との意見の食い違いについて触れたのですが、これは一つの例として申し上げただけであって、全般的に意見の食い違いがないと、こう了承することはまだできないので、委員長としてもこの点は特にお含みおきを願って、なるべく早い機会に総理大臣の出席を委員長から強く要望していただいて、委員会を開くようにお願いいたします。

植原悦二郎自由民主党

○植原委員長 いずれさような機会は必ずあるだろうと思っております。委員長もできるだけ努力いたします。  岡田春夫君。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 私もきょうはいろいろな点で御質問したいのですが、たとえば日ソ交渉ばかりでなく、だいぶ問題になりましたあなたがアメリカにおいでになった問題についてもお伺いいたしたい点があるわけであります。しかし時間が制限されておりますので、当面の問題だけ二つだけお伺いをいたしたいと思いますが、そういう関係ですから、簡単に御答弁を願いたいと思います。その第一点は、最近問題になっております興安丸の事件、第二の問題は、オネスト・ジョンの問題です。  まず第一の興安丸の問題ですが、二、三日前に政府の白書なるものを発表されたのを私ただいま拝見をいたしました。これは副総理としての重光外務大臣も共同の責任を負っていただかなければならない問題でありますが、この問題の中で一番問題になりますのは、例の洪進山という人の帰国問題に関連してでございます。この白書を見ると、洪進山という人は、台湾の警察の留学生であって、そのために日本に留学したのだ、こういうような点が書かれてございます。ところがこれはあらためて申し上げるまでもないと思うのですが、外からの留学生であっても、日本の田に来た限りにおいては、日本の国内の法律に基いてあらゆることをやっていかなければならない。そうすると、日本の国内の法律に基いてやっていくとするならば、出入国管理令に基いた法律によって扱っていかなければならない。この点は言うまでもない点だろうと思う。出入国管理令に基いて扱うとするならば、この洪進山という人は、留学生の扱いとして入っておらない。これはここに局の次長もきておりますし、私もこの間入管で話をしたのですが、はっきりしていると思うのですけれども、出入国管理令の四条の一項の十六、その他の事項によって扱われているのです。留学生として扱っているのではありません。この点において白書自身に誤まりがある。この点が第一点。そうして、国内において留学生として扱っておらないとするならば、一般のシビリアンとして扱わなければならない。そうすると、一般のシビリアンを帰す場合において、自費の出国を求めて正式の手続をとったとするならば、当然これは出入国管理令の法律の精神に基いて、その人の希望するところに帰すのが当りまえです。それにもかかわらず、今度は政府が台湾における警察官吏であるからといって出国させることを拒否している。こういう点を見ると、どうも最近の新聞を見ると、この点についてぜひ外務大臣に伺いたいのですが、どうも台湾から牽制をされて、外務省では洪進山という人を今度は帰さないでおいて、いずれほとぼりがさめてしまってから台湾に帰すという考えで今度は帰さないようなことを考えているのじゃないか。どうもこういう点が考えられてしようがないのです。国内の出入国管理令という法律を日本の外務省それ自身がじゅうりんして、台湾の内政干渉を受けて、そうしてほとぼりがさめてしまってから台湾に帰すというような、全く自主性のない外交をやろうとしているのではないかと思うので、この点についてはぜひとも外務大臣に御意見を伺っておきたいと思います。

重光葵自由民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 洪進山氏の出入国の問題について、それに関連して外務大臣の外交政策が自主性がない、こう結論をいたして御批判がございました。これは法規の命ずるところによって取り扱いをいたしておるのでございますから、その法規の命ずるところによって取り扱っておる状況は、これは関係の政府委員から御説明をすることが一番適当であると考えます。台湾から警察の留学生として来たのだということは、これは事実なんでありまして、そういう紹介で来ておるのであります。(岡田委員「法律上扱っていない」と呼ぶ)そこでそれがどの法律にどのように扱っておるかということは、今申す通り係官から説明をいたします。いたしますが、それだから台湾に帰すことがいかぬのだ、それが自主性がない外交だ、これは私は少しおかしいだろうと思う。これはよく調べてみて、あなたの言われるのはおそらく思想上、政治上、いろいろ今複雑しておるのであるから、そういう人権に関するような問題については、本人の意向を十分に尊重してやった方がいいじゃないかということに帰着するようでありますが、私はそれは同感です。しかし今の興安丸事件がいかに政治的にいろいろ取り扱われて、特に中共方面において取り扱われてえるか、これは御存じの通りであります。かような場合においては、しばらくこの問題を右左とも、今すぐ帰すとか帰さないとかいうことをやめて、しばらくほとぼりをさまして、一つこれは常識によってやろうじゃありませんか。それが大きな問題をあまりすぐやる、こういうのはかえって妙なところに油を注ぐようなわけでありますから……。その御趣旨はよくわかりました。また必要があるならば係官から十分に御説明申し上げます。白書というのはおそらく入国管理庁の局長のあれだろうと思います。(岡田委員「時間がないから簡単にやって下さい。」と呼ぶ)簡単にやっておりますが、簡単には尽せないからやっております。  〔岡田委員「焦点がはずれておるから……。」と呼ぶ〕

植原悦二郎自由民主党

○植原委員長 私語を禁じます。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 私が言ったのは、前段だけお伺いすればいいのです。前段の方に問題があるのです。というのは先ほどから申し上げておるように、あなたもはっきり賛成をされたように、本人の意見に基いてできるだけその方向に帰したいと考えておる、この点は同感だ、こういう話をされた点を私は伺いたかった。そういうように出入国管理令という日本の国内の法律ができている。それにもかかわらずこの法律の精神をじゅうりんして台湾に帰さなければならないかもしれないからといって、その点その措置をとらせないでいるということが台湾から干渉されている、こう言っておるのです。ですから前段の点の外務大臣の御意思についてそれを実行されるならば、これは外国の干渉を受けないで自主的な外交を行なったということになると私は思うので、その点を伺いたかった。その点が第一点。

重光葵自由民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 本人の意思を尊重するようにしばらく何して、ほとぼりをさまして考えようじゃないかと私申し上げました。その通りであります。しかしそれは前段でなくして後段の結論でそう申し上げた。これは台湾の方から干渉を受けたとかそういうことを言われるのは、私は少し行き過ぎたように思う。そんなことはどこで……。そういうことは何もありはしません。それはむしろ宣伝的の言葉じゃありませんか。

植原悦二郎自由民主党

○植原委員長 御議論をやめて一問一答の委員会のやり方でやって下さい。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 よろしい。今度はオネスト・ジョンでやりましょう。今の問題はまだあとありますけれども……

植原悦二郎自由民主党

○植原委員長 委員長の意向をお聞き下さい。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 オネスト・ジョンの問題は、この前の国会では終りかけに、外務大臣も大分しっぽが出そうになった問題だが、ほとぼりがさめてみな忘れてしまったかと思っておるだろうがみな忘れておらない。忘れておらないのは最近オネスト・ジョンの演習を盛んに各地でやっておるからだ。どうも政府の意見にまちまちな点がある。オネスト・ジョンとは一体何だ。われわれの考えておるのでは、何というかロケットを撃つ機械ですな。ロケット放射機というのか何かしらないが、ロケット射撃の機械だと考えておるが、外務大臣は一体オネスト・ジョンをどういうように考えておるか。私は速記録をいろいろ調べてみたが、この前の国会の速記録を見ると、あなたは広義の原子兵器であると言っております。これははっきり申し上げます。七月三十日の参議院内閣委員会において堀眞琴委員の質問に答えて重光外務大臣は、「それを広義の原子兵器であると定義されるならば、そうなるのじゃないかと思います。」こう言っておる。これは明らかに原子兵器、原子爆弾という弾頭を頭につける限りにおいて、一つの原子爆弾を使い得るところの兵器である。この点だけは明らかだと思う。この点が第一点。  第二点としては、この兵器は、われわれは新兵器だと思う。これはあなたもアメリカの関係の人からお聞きになっているはずだ。三月の二十五日にハル国連軍司令官がテイラー国連軍司令官にかわったときに、重光外務大臣と一萬田大蔵大臣が一緒に会見して、そのときに二人の大将から、今度は日本に近いうちに新兵器を送ってきますよ、こう言われて、あなたは了承して帰ってきていられるという話を、ある新聞か何か、ニュース・ソースは言いませんが、こういうことを私は聞いている。そういう点から見て、オネスト・ジョンというのは、一体どういうものなんだ、この点について、まず伺っておきたいと思うのです。これは一体大砲なのか何なのか。原子爆弾と関係があるのかないのか。もう一つは、これは新兵器なのか、普遍兵器なのか。この点について伺いたい。

重光葵自由民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 オネスト・ジョンの性質については、私は前に説明をいたしました。今お話の通りに、弾頭をつけるときには原子力を使うことができる。そういう意味で広義の原子兵力だということを、その場合に否定はいたしませんでした。しかしながら、その後にはずいぶんこの問題について議論がありました。そしてはっきりと、これは専門家の研究の結果、こうであるということを申し上げております。それは議事録を詳細にお調べになれば、わかると思います。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 どういうものですか。

重光葵自由民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 オネスト・ジョンというのは、新兵器ではあるけれども、普通の兵器であって原子兵器ではない、こういうことを申し上げております。原子力を使うことができるのなら、何でもかでも原子兵器かというと、それは広義でございましょう。しかし、そういうものではない。専門家は、これは新兵器であるが普通兵器であって、原子兵器ではないということをはっきり説明をいたして参りました。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 今政府の見解を伺ったわけです。政府の見解としては、原子兵器ではないが、新兵器である。こういう点を明らかにされたと思うのです。そこで問題になるのは、これが新兵器であるとするならば、昭和二十七年の三月に結ばれた行政協定のころには、この新兵器はなかったということだけは明らかなのです。少くとも日本の政府においてこの点は知っておらなかったことも事実です。そうすると、行政協定が作られた当時においては、こういう新兵器を使うということは、行政協定の使用条件の概念として入っておらなかった。そうすれば、日米合同委員会の決定に基く現在のアメリカの軍事基地において、オネスト・ジョンを使うことは、明らかに行政協定の違反ですよ。今までの使用条件というのをもっと詳しく申し上げますと、昭和二十七年以降において幾つかの各軍事基地ごとに使用条件というものが作られている。その中には、大砲とか無反動砲とか、あるいは戦車砲とか、こういうものはちゃんと具体的に列記されている。列記されておらない新兵器オネスト・ジョンをここで使うとするならば、明らかにこれは行政協定違反であるということを認めなければならない。この点はどうですか。

重光葵自由民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 私はその解釈に同意することはできないと思います。行政協定は、何も普通の兵器を禁止しておるということはございません。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 答弁をそらされては困りますよ。私は、新兵器を使っているから行政協定に違反するのだ、こう言っているのです。行政協定にきめられた当時の兵器の種類には該当しないものであると言っている。ですから、行政協定に基く軍事基地においては、この使用基準は入っておらなかったのじゃないかと言っている。だから、きのう使われた千歳におけるオネスト・ジョンの発射も、先月やった富士演習、練習か演習か知らぬが、このエクササイズも、あるいはまた来月の初めに行われようとしている演習も、これは全部行政協定違反をやっているのであって、日本の政府は、アメリカがこの行政協定違反をしているのに対して、こういう解釈に対しては反対でございますと言って、知らぬ半兵衛をやっているのは、われわれは納得はできないと言っているのです。

重光葵自由民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 非常に一人ぎめの御議論は私には通用しない。新兵器であろうが、普通兵器を持ち込むのに少しもなにはございません。とにかく行政協定の当時にそういうものがあったかなかったかということは今日わかりません。わかりませんが、さような考え方はむろん当時にあったかもしれません。そこで普通の兵器である以上はこれはやむを得ないことだと考えます。

植原悦二郎自由民主党

○植原委員 長岡田君、時間ですから……。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 この一点で終ります。どうもあなた自身も独断によって勝手なことを言っているのです。私が言っているのならまだいいですよ。あなたの場合、あなたの言っているのが独断で言っているとすれば、国の政治を左右するのだから外交政策全体を左右してしまうのです。だから私はあなたの独断は許されないと思う。この点についてばもっともっと質問しなければならないのですが、時間がないから話を進めます。  その次の点は、少くともこの点は御存じだろうと思うのですが、日本の国内においてはオネスト・ジョンを使ってもらっては困るという国民の要求が非常に強く出ているわけです。これは御存じの通りです。このオネスト・ジョンを使ってもらっては困るという国民の強い要求に対して、日本の国民を代表する日本政府というものは、この国民の要求を代表してアメリカ当局に交渉したことがあるのかどうか。今までオネスト・ジョンをやめてもらいたいという交渉をしたことがあるのかどうか。この点を伺いたいのが第一点。  それからもう一つは、千歳の例で申し上げますと、演習地の場所の変更が行われました。これが今月の二十四日です。ところが行政協定に基いてもしこの通達がそのまま実行されるとしても、二十四日に行われた通達はその一週間以降において実施されなければならない。ところが二十四日から一週間計算してごらんなさい。一週間ならば三十日でしょう。ところが三十日というのはきょうなんですよ。きょうなのに、それ以前のきのうのうちにロケット発射をやっているじゃありませんか。これは明らかに行政協定の違反じゃありませんか。これを日本の外務省はほうっておくのですか。こういう点は一体どうしたのかということを伺いたい。  それから第三点は、北海道でロケット射撃の演習をやるということは、これは明らかに日ソ交渉を妨害する魂胆なんだ。先ほどあなたが言われたように、南千島その他を返すように交渉するといっているのだが、これは日本政府の公式な見解だそうであるけれども、これについてはまた意見があるのだが、しかし根室でロケット射撃砲のオネスト・ジョンを撃ってごらんなさい。射程は三十キロあるんだから千島の択捉、国後は全部届くのですよ。そうすればこれは日ソ交渉を妨害するというアメリカの魂胆によって行われておるということをわれわれは見抜かなければならないと思う。ところが先ほどからいろいろな質疑に対して答弁されているように、日ソ交渉をもしほんとうにすみやかに日本の希望通りに解決することを希望されるならば、なぜ北海道でこういう演習をやることに対して黙ってほうっておくのですか。日ソ交渉の迅速、円満な解決のためにも、この点について、あなた自身はこういうものを北海道では少くともやってもらいたくないという交渉を、日本の外交当局としてやるのが当りまえじゃないかと私は思うのだが、この点についてはいかにお考えになるか。以上三点について伺っておきます。

重光葵自由民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 私は条約の解釈の問題について大きな責任を持っておることは認めます。しかし正当な解釈は責任者として十分にいたさなければならぬ、こう思っております。従いまして、これは条約上の問題としては問題にならぬ。また各地で国民の間にこのオネスト・ジョンの発射についていろいろ異論があるということも私は知っております。これは十分その異論のあるところを突きとめた上で対処することにいたします。この異論がどういう性質のものであるかということも、よく検討をしなければなりません。従いまして日ソ交渉に今直接関係がない――それを非常に妨害するのだ、こういうふうに判断されるのは非常な烱眼かもしれません。しかし私はそういうふうには考えません。またそういうことはアメリカ側には決してない、またないように処置するように努力をいたします。日ソ交渉は先ほど申し上げた通りでございます。

植原悦二郎自由民主党

○植原委員長 戸叶里子君。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 日ソ交渉の問題は非常に重要な問題で、私もいろいろ伺いたいと思いますが、きょうは時間がありませんので、二、三点だけ伺って、もう一つの問題として、米軍の基地で第三国の兵隊の訓練をしたというあの問題について質問してみたいと思います。  まず引き揚げの問題でございますが、私どもハバロフスクを訪れまして、目のあたりに多くの同胞がいる姿を見まして、これはどうしても早く解決しなければならないということを前以上に強く感じたのでございます。そこで今日本の引き揚げ問題にみんなが熱心になっておりまして、一日も早く人道上の問題として帰してほしい、こういう要望をしておりますのは、これは当然なことであり、私どももそれを考えるものでございます。しかしこの引き揚げ問題に対して熱心に働いております人の中には、政府で発表しておりますところの一万二千六百四十二名という数字と、向うが提示しております数字との間に非常な食い違いがある。その数字つまり日本側が提示しております数字とが全部一致しなければ引き揚げ問題は解決しない、こういうふうなことを言っている人たちもございます。そこで私どもとしましては、当然このとうとい日本の人たちが一人でも行方不明になるということは問題でありますから、どこでどういうふうな形で行方不明になったか、なくなられたかということは問題ではございますけれども、現実に生きている人たちが一日も早く帰れるような方法をとって、そのあとで正常な国交を回復するなり、あるいは外交官の交換なりということによって、このわからない人たちもよく調べてわかるようにしていく、こういう二段の構えにすべきだと思いますが、この点は外務大臣いかがお考えになりますか。

重光葵自由民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 今戸叶さんの申されたことは、私は全くそう考えております。外務省もそう考えて今やっております。そこでこの点ロンドンで話の出たことは、これは今さら私は申しませんが御存じの通りであります。そこでどうしても生きておる人を早く帰してもらう、これが第一点。それから一体不明の者がどれだけあるか、その不明の者を明確にするということが第二になります。それからなくなっておるということが確定すれば、遺骨をもらってくるとか、いろいろの跡始末が第三点になります。これは詳細に日本側においては調べて、できるだけの調査をして、人数なども調べております。それは手紙が来たとか来ないとかというようなことからだんだん調べるのでありますが、それを数字をあげて一々明細書をもって向うに照会しております。この照会に対しては、私は今日までロンドンにおいてソ連側――これは松本全権がいない間にもやっておるのでございますが、そういうことはどんどんやっておるのであります。ソ連側では日本側のそういう、要求に対しては、できるだけの努力をしてくれると申しておりますし、かつまたしてくれておるように私自身は感じます。そうして最近もこちらの問い合せに対してまた返事をよこしてくれております。さようなことはごく最近のこともございますので、今はっきりと数字についてお答えをすることはちょっと材料がございませんが、これはいずれお答えしても差しつかえございません。そういうことになっておりますので、できるだけのことをやらなければならぬという考え方をもって進んでおります。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 一部の人の中には日ソ交渉の早期妥結を口では望むと言いながら、あまり望まないような人たちがおりまして、この生存者だけでなくして、死亡者もはっきりしなければ引き揚げ問題は解決しないのだというようなことを言っている人もございますけれども、今の外務大臣のお話で、はっきり、生存者を先に返して、あとの交渉でなくなった方たちの問題をよく調べさせるというふうなお答えで私も安心をしたんですけれども、そこで問題になって参りますのは、何といっても日ソ交渉の早期妥結ということになると思うんです。そこで先ほどの重光外務大臣の御答弁を伺っておりますと、あくまでもすべての問題の解決を含めた平和条約でいくというようなお話でございましたが、もしもソ連側からの話で、ドイツの方式のようにいわゆる交換公文なり何なりを取りかわして、そこで引き揚げ問題だけ解決して、あといろいろ領土問題の解決をするようにするというような場合が出て参りましても、あくまでもこれに応じないで、どこまでも平和条約一本でいくというその線を守ってがんばっていかれるのかどうか、この点をもう一度確かめたいと思います。

重光葵自由民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 抑留者を返還してもらいたいということは、われわれは初めから国交問題とは離れて、これは人道問題として一日も早くやってもらいたいという立場をもって交渉に臨んでおります。この立場は今日も変更はございません。こういう問題は人道問題としてどんどん解決していけば、間接にこれは交渉にも非常にいい影響を持つのでございます。今日までソ連側で引き揚げ問題について、いろいろとこちらの注文も開いてくれている、こういうふうに思って、この点からだけでも、私は非常に全体の問題についても希望が持てるわけなのでございます。しかしこの問題は、あくまで条約ができなければ帰さぬのだということを一応ソ連側も言っておるし、帰さぬのだということがソ連側の言い前でございます。私はこれは非常に遺憾なことだと思います。人道問題を、つまり抑留者が人質と言ってはおかしいですが、そういうような格好になるのはまことに残念なことで、そうしてもらいたくないのであります。あくまでそうしてもらわず、少しでも早く解決してもらいたい、こういうふうに進んでおり、またこちらの言い前はそう言っておるのでございます。そこで、それならば、帰してもらいたいから、条約を今ソ連の言う通りにすべての問題を聞くのだということも、これはどうかと思います。そういう問題はすべて国家的の見地からも考えなければなりません。そこでいろいろひっかかるわけでございますが、あくまで私は人道問題として抑留者は、たまたま同じ人間がやっておりますけれども、国交正常化の交渉とは離れて解決をしたい、こういう考え方をもって進んでおるわけでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 私どももこれは人道上の問題としてぜひとも早く帰してほしい――帰してほしいというよりも、帰すべきだというような考え方を持っております。けれども、現実の問題といたしまして、なかなかソ連の方がそういうことに応じられなかったような場合、つまり日本との間に、私どもにはいろいろな言いたいことはあるにいたしましても、一応戦争状態にあるのだから、戦争終結をして、一応の国交回復をした上でというような意見が出されましても、なおこの国交回復だけには応じられない、あくまでも平和条約を締結しなければならないというふうなお考えで今後ずっと重光外務大臣がお臨みになるのかどうか、この点をもう一度伺いたいと思います。

重光葵自由民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 私はたびたび申し上げる通りに、なるべく早く抑留者の返還をやってもらいたい、人道問題でありますから、一般交渉とは別問題だと思いますけれども、向うが一瞬交渉をやらなければ帰さぬのだ、こう言う以上は、一般交渉も少しでも促進してやっていきたい、こう考えておるのでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 一般交渉を促進させるということになりますと、やはりそこに基本的な問題が出てくると思うのです。重光大臣がおっしゃるのは、やはり領主の問題から、すべてを含んだ平和条約の線で推し進めていかなければソ連との国交は調整しない、こういうふうに外務大臣はお考えになっていると了承していいわけでございましょうか。しつこいようですが、もう一度伺いたい。

重光葵自由民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 今私は何でもかんでもソ連が受け入れるように日本が譲歩して国交を回復すべきだという考え方は持っておりません。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 私の質問と大臣の答弁とはちょっと食い違いがあるように思いますが、この点はいずれ次の機会に伺いたいと思います。  次に伺いたいことは、九月の初めの新聞に出ていたことでございますが、在日米軍が宮城県の基地の中で国府軍の将校を一カ月以上も軍事訓練をしていたという記事が出ておりましたが、これはどういう根拠に基いてなされていたのかを伺いたいと思います。

重光葵自由民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 少数の軍人が来て見学をしておったということはあるようでございます。しかしそういうことが長く続いたり、また人数が多くなったりすると、これは非常に疑問があるから、そういうことはやめてもらいたいというので、やめております。そしてそのことについては、向うがどういう希望であるかということを十分詳細に具体案を提出する場合においては、それをよく研究して、どういうことになるかということについて、これはいろいろ法規上複雑な問題がございますから、それを検討して、そして結論をきめたいと思っております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 それでは日本にある米軍に国府軍が来たときには、見学だけで、訓練を受けていなかったというふうにおっしゃるのでしょうか。それからそのときに日本の政府に対してどういう申し入れをしていたのでしょうか、この点を伺いたい。

重光葵自由民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 これは訓練といって、軍隊訓練というような大げさなものでなかったことは事実でございます。また見学でございまして、見学等は、日本とこれらの諸国との関係、また米国との共同防衛の精神にかんがみてこれは差しつかえない、こう思っておりました。いつ、どこでどういうふうな接触があったか知りませんが、そういうことで来ておったのでございますけれども、これは今申し上げる通りに中止をしました。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 今後申し入れを受けたときは、これに応じないと了承してよろしいでしょうか。それからそういうふうな申し入れをアメリカからされても、これに応ずるべき義務は何らない。見学だけにとどまるならいいのですけれども、それがもし日本で訓練をされるとかなんとかいうことになりますと、これは米国と軍事同盟を結んでいる第三国人の演習基地というようなことになるような可能性も私どもは心配するものでございますから、そういうことは絶対にない、そういうことには日本の政府としては応じない、こういうふうに了承してもよろしゅうございましょうか。

重光葵自由民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 今申し述べました通りに、その具体案が出ました場合においては、どういう規模のものであるか、どういう運用を持つものであるかということをよく検討いたしましてこれを決定いたします。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 十一月三日の新聞だと思いますけれども、国民政府とかタイとか、あるいはそのほかの国の八百人くらいの人たちの訓練方を日本に申し入れをするというようなことが出ておりましたけれども、それじゃこれは全然事実無根であるというふうに了承してよろしゅうございましょうか。

重光葵自由民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 私はその新聞記事を存じませんでした。いろいろ向うからそういうことについて申し込みがありました場合においては、今の通りの方針で進んで参ります。

植原悦二郎自由民主党

○植原委員長 次会は公報をもってお知らせいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十八分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗