予算委員会 第38号
- 発言数
- 387 件
- 登壇者
- 33 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1955/06/30
会議録
○委員長(館哲二君) それではこれより委員会を開きます。 本日より総括質疑に入ります。質疑を始めますに当りまして、委員長から政府にお尋ねいたしますが、さきに米価その他これに関する問題を論議してきたのでありますが、すでに予算審議も最終の段階に入りまして、本日から総括質問に入るわけであります。ところで、その後、米価につきましては、かねて月末までには決定する旨の言明もありましたのであります。そのほか予算米価に対する税金の問題、それから米価の引き上げに伴う財源などにつきましてこの際、総括質疑に入ります前に、その後の経過について御報告されんことを望みます。
○国務大臣(河野一郎君) 政府におきましては、さきに米価を米価審議会に諮問いたしますにつきましても、もっともこれは米価審議会との関係から内示ということになっておりますけれども、いずれにいたしましても諮問と同様の形式でいたしておりますので、その価格を一万六十円と一応決定いたしまして、御承知の通り目下米価審議会でこれについていろいろな角度から御検討中でございますので、私といたしましては、予算の御決議をいただきます前に、すなわち三十日前に政府の最終決定をして、本委員会にその経緯を御説明申し上げることを申し上げたのでございますが、米価審議会のほうがいろいろな角度から御検討中でございます。実は本日もまだ引き続き米価審議会で午前中から御検討でございますので、御承知の通り、食管法によりまして、この答申を待って米価を決定することになっておりますので、政府といたしましては、最終決定がおくれておるような次第でございます。この点まことに申しわけない次第でございますが、事情は右申し述べたような次第でございます。 なお、米価審議会に私も連日出席をして、委員諸君の御質疑にお答えをいたしておるのでありますが、予算奨励金と米に対する減税、これは両面から議論がございままして、一応政府といたしましては、予約奨励金という考え方をやめて、すべてを今申し上げました農家の平均手取価格を一万六十円にいたしまして、これをいろいろの意味に分割をして、たとえば早場地方におきまする限月をどういうふうにするか、ないしはまた格付けをどういうふうにするかというようなことにして、最終的に米価を決定いたしたいというふうに考えておることを申し上げて、予約奨励につきましては、主として前渡金と減税、その他の政府の努力をもってお願いいたしたいと考えておることを申し上げておるのですけれども、米価審議会としては、今回の予約制度を実行するに当りましては、予約奨励金を考えなければいけないという御意見が強いのでございます。従いまして、政府といたしましては、減税についても目下最終決定をいたす段階に至っておらないのでございまして、一にかかって米価審議会の御答申を受けましてから、諸般の情勢について考慮いたしまして、これを重要なる資料として考慮いたしまして最終決定をいたしたいと思っておる次第でございまして、この点だんだん最終決定が遅延いたしまして、いろいろ御迷惑をかけておることと考えておりますが、事情は右申し上げたような次第でございますので、御了承をいただきたと思うのでございます。(「議事進行」と呼ぶ者あり)
○委員長(館哲二君) ただいま農林大臣からお答えがありましたが、これに対してもいろいろの御質疑があろうかと思いますが、これは総括質疑を行いますうちにおいて明らかにせられんことを望みます。 なお申し上げますが、減収加算の問題につきましては、先般木村委員から御質疑がありまして、政府として総括についての御答弁があったのでございます。その内容の詳細につきましては、事柄の性格上外部への発表はおもしろくないと思います。委員長の手元まで詳細な数字を預かっておりますから、御必要の方は委員長までお申し出でを願ってごらんを願いたいと思います。
○木村禧八郎君 議事進行。ただいま委員長は、減収加算の問題について、これは前から懸案になっていたのですが、委員長の手元にあるにもかかわらず、われわれに何ら示されていない。外部に発表することについては、これは了承いたしますとして、総括質問に入るについて一応委員長からすでにわれわれにお示しにならなければならないはずである。ただいま突然言われまして、総括質問に入るについて、そういうことがわからなくて一体どうしてやりますか。それからもう一つ。ただいま河野農林大臣のお話がございましたが、政府は最終決定をやってから、われわれに示してから、この総括質問に入る。それは何回も約束されている。最終決定ということを何回も約束されている。(「そんなこと約束しない」と呼ぶ者あり)今、河野農林大臣が言われたじゃありませんか。予算審議の過程において、はっきり政府が最終決定をするということを言われたじゃありませんか。ただいま河野農林大臣が言われたばかりじゃありませんか。(「それは自分の質問でやりなさい」と呼ぶ者あり)質問じゃない。それは前提がはっきりしなければ質疑に入れないじゃありませんか。従って河野農林大臣にはっきり伺いたい。その見通しですね。いつごろこれが決定になるか。 それから大蔵大臣に一つ伺いたい。暫定予算をお組みになることは……。
○委員長(館哲二君) 木村委員に御注意いたします。議事進行で御質疑はやめていただきたい。前段の問題につきましては委員長からお答え申し上げます。委員長の手元にありますから、ごらんをいただきたいということを申し上げたのであります。質疑に入ることはやめていただきます。 〔木村禧八郎君「前に示さなければできないじゃありませんか」と述ぶ〕
○委員長(館哲二君) 御希望の方はお申し出を願ってごらんをいただきます。 〔湯山勇君「ほんとうの議事進行」と述ぶ、笑声〕
○湯山勇君 委員長は、今米価の問題については、そういう質問を農林大臣になさいまして一応の見解をただされましたが、非常に今重要な問題として地方道路税の問題がございます。この地方道路税の、現在まだ衆議院において審議されておりまして、各党各派三つどもえになっておりまして、いつどうなるかということが明らかでございません。この問題はこの予算全体に関係がありますので、これがもし修正されるようなことがあれば、今言われたごとく修正されれば、本予算はもちろん地方財政にも大きな影響を持っております。これがなければこの予算の審議はできないことになりますが、これについても委員長は政府の見解をただし、審議の終るまで明確にするということをお約束していただけるかどうか。と申しますのは、昨年の予算においては、これは皆さん御承知の通り、入場税の問題がきまらなかったために、本院におきましては、予算の討論、採決さえ行われない事態になったことは、皆さんも御記憶の通りでございます。そこで、この問題が明らかにならなければ、最終的に予算の審議はできないと思うのですが、これについて委員長はどのようにお考えになっておられるか。どう処置されるか、承わりたいと思います。
○委員長(館哲二君) 委員長が先ほど申し上げました通りに、総括質問の中において各委員から明らかにせられていただきたいと思います。 それから委員長は、昨日の理事会の申し合せによりまして、議事を進行していただきたいと思います。(「異議なし」「少し強引過ぎるぞ」と呼ぶ者あり)左藤義詮君。
○左藤義詮君 二大政党の対立が民主政治の常態であり、すみやかに保守合同をして政局を安定することが、国民多数の要望であることは、今さら申すまでもありませんが、鳩山総理が、昨日与党内のさまざまな困難を克服して、保守合同を目途とする自民両党の政策の協定に踏み切られましたことに、私どもは満腔の敬意を表するのでございますが、これに対する総理の所信、また今後政策協定に対するお見通しを、この機会に伺っておきたいと思います。
○国務大臣(鳩山一郎君) 左藤君の言われる通り、保守の合同は現在の日本において非常に必要だと考えております。そのために、わが党におきましても、一致いたしまして政策協定に入ることになりました。政策協定がいつごろ終るかは私は存じませんけれども、両方の委員が誠意をもってしてくれることは確かなことだろうと考えております。
○左藤義詮君 今後政策協定を進めていきます上に、まず伺っておきたいことは、昨年来非常に特需が激減をいたしまして、どうしても経済自立の見通しを立てなければならない。これはまた、わが国の必須の要件である。そのためには、産業の合理化、貿易の伸張ということでございますが、また一方には、そのために相当失業問題というようなことが、特に社会党の諸君からも非常に御心配になって、この委員会でも質疑が重ねられておるのでありまするが、昨日も、通産省の委嘱でやっておるというのですが、日本産業構造研究会といいますか、その研究の報告書が発表されております。それによりますると、戦後の日本が経済の正常な発展を期するためには、産業の重点を鉄鋼、機械、合成繊維、化学工業の育成に移し、輸出拡大、自給度向上に差し向けるべきだ、そのためには三兆三千億円の投資が必要だ。何年でやりまするか、そういう研究が発表されておりまするが、これによりますると、二十九年度に比べまして、第一次産業部門たる農林水産で二六%、第二次部門たる鉱工業で四七%、第三次部門たる電力、ガスでそれぞれ六〇%、四九%というふうに上昇していく。それで三部門を通じまして四百十五万人の雇用ができるが、一方においては完全失業者が百万をこえる。政府の経済六カ年計画とは大分食い違っておるのでありまするが、そうしますると、輸出が十億ドルを増加して、国際収支が輸出入それぞれ二十六億ドルになる。こういうように専門家が通産省の委嘱によって研究の報告を発表しておられるのでありまするが、いずれにいたしましても、雇用の増進ということと国際収支の均衡ということをどうして両立させるのですか。生産性の向上ということと失業対策をどうするか。いろいろ民間でも生産性向上本部を作ってやっておられますが、なかなか労使の協力が得られない。いろいろな摩擦が起りつつある。こういうような、わが国経済自立にはどうしても克服しなければならない基本的な経済政策に対して、政府は今後どういう御方針をおとりになっておりますか。まず総理から伺い、さらに大蔵、経済審議庁長官から詳細にお見通しを伺いたいと思います。
○国務大臣(鳩山一郎君) 保守党が進むべき経済政策というものは、なかなか重大であります。これらの政策については、わが党の主張も聞いておりますが、同時に自由党の主張も私は相当聞きました。どうかそういうような重要な問題に対して、これからの政策協定委員会において、よく審議をしてもらいたいと思っております。詳細な事柄については、ただいまの御質問に対し主管大臣からお答えをしてもらいます。
○国務大臣(一萬田尚登君) 今後におきますデフレといいますか、この緊縮予算の場合における失業者の問題を今御指摘のようでありますが、これに対しましては、できるだけこれを雇用のできるような機会を与え、あるいはこれを救済する、こういう施策をとっていただかなければならぬと思います。なお特需の減少については、御説のように、輸出を増大する、正常輸出にこれを求めなければならぬことは申すまでもない。そのために極力この合理化をはかりまして、そうして将来の経済基盤の拡大の基礎をもって、今後経審等におきましての六カ年計画等によりまして経済の拡大をはかってやって行こう、まあこういうふうな構想になろうと思っております。
○国務大臣(高碕達之助君) お説のごとく、日本の経済を自立せしむるためには、現在におきましては、食糧においては二〇%、諸材料において三〇%の輸入を仰がなければ、日本の経済は自立できません。つきましては、日本の経済を自立するためには輸出を振興しなければなりません。輸出を振興せんがためには産業合理化をせんければなりません。産業を合理化すればここに失業者が起る。これは必然的な問題でありまして、それに対抗するために、われわれは、ここに六カ年計画を立てて、そうして六年後におきましては、輸出は少くとも二十四億ドルをもって目標とし、失業者は大体の稼働人員の一%程度、四十三万人にとどめたい、こういう計画のもとにやっておるわけなのでありますが、何しろ産業合理化ということが今日は叫ばれておりますが、従前の産業合理化は常に首切りということが前提になっておりますが、これがどうしても今後の産業合理化には失業者対策ということをまず考えて、それから合理化していかなければならん。そういうふうな工合に政府は慎重な態度をとりまして、今回の石炭合理化のごときも、まずその失業者対策を講じましてから実行したい、そういう所存でございますので、非常に困難ではありますけれども、十分前途の計画を立てまして極力その計画に合致するように努力いたしたいと存じます。
○左藤義詮君 保守党が将来国民の信望をつなぐために、失業問題が、どうしても日本の必然的な産業の合理化をしながらも、しかも失業者を少くしていくということが最も大事なことでございますが、専門家が通産省に答申をしております案では百万、経済審議庁長官は、六年後の輸出入が均衡するときにわずか四十三万、それだけでも非常に食い違っておるのでありまして、どうも経済六カ年計画というものが詳細なものは前三年しかお出しになっておりませんが、はなはだ私はどうも根拠の薄いものである。これに対しまして、こういう方面の財政を担当なさる大蔵大臣も、私の質問をお聞きになっておらぬのか、あるいは、お聞きになっておっても、あまりこういうことに熱をお持ちになっていないのか、もう少し私はこの問題に真剣に取り組んでいただきたい。産業を合理化して日本の経済を自立していくが、しかも一方においてできるだけ失業者を少くしていく。また社会保障の問題にも、まあ失礼な言い分でありますが、社会党以上に私は熱意を持って努力していくということは非常に必要だと思うのでありまして、その点に対する政府の総合的な六カ年計画の中に見通しをはっきり私はお示しいただきたいと思うのでありますが、ただいまの御答弁では、はなはだ不十分だと思うのであります。いずれまた詳細伺うことにしまして、私どもがこうして、昭和三十年度の予算がすでに三カ月も暫定、しかも本日がいよいよ暫定予算の切れる最後になっているのでありますが、かように本予算が遅れましたことが、財界はもとより国民の各層に非常な迷惑を与えている。さかのぼって申しますれば、済んだことを言うても仕方がございませんが、鳩山第一次内閣が社会党の支持を得て組閣をせられ、私はそのときに、すぐに解散をして、一日も早く本予算を組むか、それとも解散を延ばして本予算だけ目鼻をつけるか、いずれかにせられるべきだったと思うのでありますが、社会党との約束といいますか、一月解散、二月選挙というような紐をつけられて、そのために二月の末にやっと選挙があり、しかも絶対多数でない、比較多数のはなはだ弱い力で組閣を強行せられ、そうして、この予算を、本予算を遅れて提出をせられたということが、私は今日の国民に非常に迷惑を与えておる、私どもも予算の審議で非常な苦労をいたしておるということになったと思うのでありますが、かようなことから考えましても、済んだことは仕方がございませんが、明年度の予算、私どもしろうとでございますが、従来政局が安定いたしておりますれば八月、九月には各省から要求を集め、大蔵省が折衝をせられて、十分な準備を進めて、十二月国会が開かれ、少くとも一月には予算を提出して、三月いっぱいに審議をするということでございますので、私は今後どうなりますか、保守の合同の見通しがつき、政局が安定するといたしますれば、すみやかに私は、この予算の審議が、この本予算が、三十年度予算が成立しますると同時に、三十一年度の編成方針をおきめになるべきだと思うのであります。そういう点から、私はここに三十年度予算と関連をいたしまして、明毎度予算、本年慶予算も非常な困難であります。一兆円のワクを守るためにずいぶん苦労をせられ、中には相当見せかけだけの一兆円というような批判もあるのでございますが、いろいろ衆議院で修正せられました。それが明年度に影響をする出費も多いのでございまするし、賠償の問題につきましても、フィリピンとどうなりますか、これも相当私は増加すると思うのです。防衛費につきましても減額されるような私ども見通しをもたないのでございますが、こういうようなものを一体どういう、ふうに大蔵大臣は、本年度は非常に不慣れでございましたが、明年度は大蔵大臣は確信をもって、十分な余裕をもって、どういう編成方針で臨まれるか。伝えられるところによりますると、まず各省大臣から根本の政策を一つ出してもらって、それを十分閣議等で検討をして、根本方針をはっきりきめて、そうして予算の編成に着手するというような抱負も承わっているのでありまするが、一体どういうように今編成方針をきめておられるのでありますか。どういうような確信を持っておられるのでありますか。本年度予算には、いわゆる八合目でミルクとかいうようなことをおっしゃったのですが、来年は七合目でもう少しおいしいコーヒーぐらいを出されるのか。それとも、もう明年度で頂上に登って一ぱい祝杯でも挙げられるのか。明年度もあるいは一兆円でとめるか。どの点まで一兆円を超えるか。公債ということには絶対に手をつけないつもりであるか。あるいは投融資等の問題についても、政府出資を減らして民間の蓄積によるような方針をとられるのか。明年度の、私は政局が安定をして、六年計画により、あるいは日本の先ほど申しましたような保守党としての腹をすえた経済政策の根本として、どういう財政方針をお持ちになっておるのであるか。その点、大蔵大臣からはっきり伺っておきたい。
○国務大臣(一萬田尚登君) 私の考えでは、ただいまのところ六カ年計画の三十一年度、この計画は、今後積み上げられまして具体的な形をとってくる、これに応じまして予算の編成をやるのが至当である、かように考えております。むろん各省大臣、国務大臣の御意向は、当然そのときに入り込んで参りましょうし、先ほど申しましたのは、三十年度予算編成の場合にそういうふうな方法をとりましたことを若干申し上げたわけです。三十一年度におきましては六カ年計画に具体性を与えていく、こういうふうに考えております。
○左藤義詮君 もう少し具体的に、一兆円をどの程度まで超えるのであるか、公債はどうするか、投融資はどうするか、あるいは各省の政策を持ち寄って方針をきめると言われるのか、どういうふうに、どういう構想でいかれるのであるか。もう少し具体的に、これはもう八月、九月は迫っておるのでありますが、私どもは、ことしの予算がいろいろな難点を含んでおる。しかしここまで来た以上やむを得ず、まだ結論は言えませんが、私ども賛成しなければならんじゃないか。それにつきましてもこれに関連して、明年度の予算ということに非常な私ども心配をしているのですが、これに対するはっきり……、来年のことを言うと鬼が笑うなんということを言われないで、一つ所信をこの際国民にお示しいただきたい。
○国務大臣(一萬田尚登君) 私の来年度の予算編成の基本は、やはり健全な財政を組むということでありまして、赤字の公債は、これは私は出さないのが基本であります。従いまして、なお計数整理等は今後になるのでありますので、来年度の見積りを今はっきりと申し上げられないのでありますが、そういうふうな規模も十分考えまして、従って歳出を相当私は節約をしていくという、同時にさらに重点的な歳出の使用、こういうことが当然考えられていく、かように考えております。健全財政を含む上から……。(左藤義詮君「一兆円は」と述ぶ)一兆円は私は超えるだろうと思いますが、 (左藤義詮君「どの程度」と述ぶ)どういう程度超えるか、そこの規模については今はっきりと申し上げられませんが、これはまあ、いろいろな具体的な事柄がはっきりいたしておりませんので、どうぞそういうふうに御了承願います。 なお、これは今後、私、申し落しましたが、自由党と今後政策の協定をやっていくように聞いておりますが、これらのものを見ました上で……。
○左藤義詮君 本年慶の予算を審議いたしまして、政府の一枚看板である経済六カ年計画というものと、どうもマッチしていない。マッチしているように見せておっても、本年度のいろいろな、あっちからも、こっちからも、要求に大蔵大臣は引っぱり回されて、かろうじて一兆円につじつまを合せた、その予算のほうにつられて、六カ年計画の数字をあとから合わしているというような印象が非常に強い。本委員会でも相当議論せられたのでありますが、明年度の予算につきましてはさようなことのないように私は心配して大蔵大臣のしっかりした方針、これに対する大蔵大臣の政治的な信念を打ち込んでの私は善処を要望したいと思ってお尋ねをしておるのでありまして、自由党との政策協定の上でというのは、政策協定をするについては、あなた方がもし明年の予算に取り組む自信を持っていらっしゃるのか、ここで自由党と政策協定をするために総辞職をして、あらためて保守合同の上で内閣を作るなら別でありますが、鳩山総理が政局を引き続いて担当せられ、明年度の予算に取り組む、もうすでに八月九月に来ているのだから……、といたしますならば、自由党と御相談の上でということは、はなはだ私は逃げ口上だと思うのでありまして、たとえば自由党と政策協定をせられるとして、現内閣として明年度の予算の編成方針、これに盛られる経済計画というものをはっきり私は打ち出されるべきじゃないか、はなはだ大蔵大臣の御答弁私ども不満でありますが、この経済六カ年計画を担当しておられる高碕長官、特にこれも私ども不十分だと思いますけれども、とにかく前三カ年間の経済指標というものをお示しいただいたのでありますが、これに示されております三十一年度のいろいろな主要経済指標というものから見まして、経済審議庁としてはどういうような予算規模、あるいは予算の構想を持っておられるのであるか、ことしのように予算に引きずられてあとから数字を合せるのでなしに、せっかくお出しになったこの現内閣の経済計画をやられるという現内閣の声明であります。来年はこの総合経済計画前期三カ年の第二年度であります。一番大事な第二年度である三十一年度のこの主要経済指標というものとの関連において、明年の予算規模、予算に対する構想をどういうふうにお考えになっておるか、それがまたあらゆる国民の経済生活に対する影響をどういうふうに御判断になっておるか、その点伺っておきたい。
○国務大臣(高碕達之助君) お答え申し上げます。大体この三十年度の経済計画と予算との関係につきましては、ただいまの御質問のごとく、三十年度は経済六カ年計画の第一年度でございまして、ちょうど予算の編成の時期とその細目をきめます時と相並行的になっておりますから、ただいまの御質問のごとき誤解がありましょうが、これは少くともある程度は六カ年計画の趣旨が入れられておるということだけは御了承願えると思いますが、三十一年度になりますれば、これはよほど政策を入れて行きたいと思っておりますが、三十一年度のしからば数字についてはどうかと、こういうことになりますと、これは大体の目標はついておりますけれども、現在における経済情勢、国際情勢等を判断して、それで目標に到着するようにきめたいと存じておりますが、国際情勢につきましては、これは現在の緊迫状態が逐次緩和するものと、こう見て立てたいと思っております。また特需はだんだん減少するものといたしまして、少くとも三十二年度において三億程度になるという程度に、順次減少する、三十五年には特需はなくなる、こういうふうな数字をもちまして、現状に即して特需は減少する、こういうふうに見ておるのであります。それから賠償の問題は大体三十年、三十一年度に解決するという前提のもとにやって行きたい、こう存じております。それから中ソとの国交関係は、逐次親善関係が増されるもの、こういうふうな前提で、そうしてこの三十一年度の経済計画を現状に即し、そうして過去の実績に即して立てまして、これが多分八、九月頃にでき上ると思いますから、大蔵省の予算は大体八、九月頃各省からの予算をとられますから、十月か十一月頃に大蔵省とよく検討いたしまして、経済六カ年計画に合致するように大蔵省に対して御努力を願いたい、こういう所存でございます。
○左藤義詮君 民主党がいろいろの公約を並べまして、それがなかなかさて実際予算に取り組んでみると実現できない、私は前の質問で補加金整理改正法案をお出しになって、せっかく約束しておった教科書の学童に対する無償配給が打ち切られる、これはまさに民主党の公約違反第一号だというような失礼なことを申し上げましたことを記憶しておりますが、これは先日も衆議院ではいたいけな学童を裏切ったんだから謝罪しろというようなことになりまして、がしかし謝罪するほどの罪じゃない、まあ非常に遺憾であるというような文部大臣からのお話があったようでございますが、この問題に対しまして政府はどういうふうにお考えになっておるか。伝え聞くところによりますると、数学、国語というものだけでなしに全部の教科書を特に家庭の貧困な学童には贈ろうというような新しい構想もお持ちのようでございますが、この問題に対する文部大臣の御所見をお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(松村謙三君) 教科書の取扱いにつきましては、御承知の通りいろいろ世間の批判もございまして、それで、これは一つ検討をいたして改めたいと思います。
○左藤義詮君 無償配付の関係。
○国務大臣(松村謙三君) 無償配付のことにつきましては、今年度の予算には御承知の通り計上することはできませんでしたけれども、これは緊縮財政の結果でございまして、明年度からぜひこれを復活いたしたいと心御まして努力をいたしておるところでございます。
○左藤義詮君 何か新しい構想をお持ちになっておるようですが……。
○国務大臣(松村謙三君) それを従前通り一年生に全部に配りますか、また困窮者に渡すだけにいたしますと、全学年の困窮者に大体同じ費用で渡し得ると思いますので、それがどちらがいいかということを今検討をいたしております。困窮者だけにやるということにいたしまして、たとえて申しまするならば、児童に及ぼす心理的影響というようなことも考えねばなりませんので、それを技術的に、たとえば父兄に配付するとか、何かそういう方法で子供の心理に影響を及ぼさないようにできるかどうかというような問題もありまするので、ただいま検討をいたしておるところでございまして、どちらをとるかをまだきめておるわけではございません。
○左藤義詮君 大した金額でもないものが本年度予算で削られまして、学童に非常に失望を与え、松村文相の閣内における偉大な政治力をもってしても、本年度予算を削られてしまった、しかし来年度はぜひやるとおっしゃったが、ただいま明年度予算についてお尋ねしております、大蔵大臣がこれに対してどういう御協力をなさるお考えであるかどうか、これは学童のために、全国の学童のためにこの機会に伺っておきたいと思います。
○国務大臣(一萬田尚登君) 教科書の無償配付については、今文部大臣からお話がありました。文部大臣もいろいろとこれについてはお考えになっておるようであります。よく御相談をいたしまして、私も財政の許す範囲においてある程度の御協力を申し上げたいと、かように考えております。
○左藤義詮君 今私の質問、勘違いしてお答えになりましたが、私もあとからお尋ねしたいと思っておったのですが、教科書の問題、これが非常な全国で問題になり、衆議院の行政監察委員会でも取り上げられた。現在この二十五日から全国一斉に会場で明年度からの分の展示会が開かれておるのですが、いろいろこの問題が重なって来まして、この際抜本塞源的に何とかこの教科書の問題を考え直さなければいけない。私が質問しないうちに文部大臣がお答えになるくらい、非常に私はこれは御心配になっておると思うのでありますが、直接予算の伴わないことのようではございますけれども、どうも文部省の古い役人が特別の会社に関係しているとか、いろいろな問題があるのであります。こういうような純真な学童に最も影響の多いこの教科書、しかも百近くの会社があって、非常なたくさんな種類の教科書があって、しかもそれが採択が学校ごとにまかせられておる。弟が兄のを使うことができない。転校すればたちまち買わなくちゃならないような、いろいろな問題があるのでありますが、これに対していろいろ考えておるというお話でありますが、もう私は考えておる時期でないと思うのであります。現在展示会をやって来年のことをやっておるのでありますから、もう次の教科書についてはこの際文部省としてははっきり踏み切られるべきだと思う。いつまでにこの問題を検討して、どういう今文部省で構想を持って、いつの国会にこの問題を提案されるおつもりであるか、国民の安心をするようにはっきりしたお見通しを伺いたいと思います。
○国務大臣(松村謙三君) お答えをいたしますが、これはお話の通り、きわめて重大な問題であり、かつ急ぐ問題でありますから、最近のうちに十分の方途を研究し、樹立いたしまして、次の議会に、通常議会にはぜひ成案を得て御賛同を得、実行をいたしたいと心得ております。
○左藤義詮君 この機会に文部大臣に。文部大臣は保守合同というものにどういうお考えをお持ちになっておるか。伝えられるところによりますると、文部大臣は従来保守の二大政党というものがあって、まだまだ革新政党に政権を渡さないで、保守の二大政党が互いに政権を担当すべきだと、こういう御意見をお持ちになっておるようでございますが、現在でもさような御所信であるのか。そういうお考えがこの保守の合同に対して、まあこれは伝えられるところでございますが、非常に積極的でなかったというようなことの理由になっておるのかどうか。現在民主党総裁が昨日のような保守合同を目途とする政策協定ということに踏み切られた以上は、これに全面的に御共鳴になり、御協力になるおつもりかどうか、伺っておきたいと思います。
○国務大臣(松村謙三君) こういうところで私の所見を申し上げることはいかがかと思いますが、お尋ねでございますから、ごく簡単に申し上げます。 私、従来とも保守二大政党の姿であらねばならぬと申したことはないのでございます。ただ申しますことは、政党というものは、永遠の生命を持つのが建前でございますから、やはり英国のように選挙によってその自然の消長を待って、保守が一つになると、英国の自由党がいつの間にか小さくなって、それが労働党にかわって、二大政党ができると、こういうのがほんとうの好ましい姿でございます。しかし日本においてはそういうことがなかなかできませんことでありましても、やはり政党というものは長い生命を持って行くという建前で行くべき次第のものであろうと考えまして、その離合集散にはよほど慎重こ考えませんと、直ちに保守合同して、それが政治力が非常に強い政治力を発揮いたしませんと、政局の安定にはなりません。数を合せただけで直ちに政局の安定になるというわけではございません。今、日本が強い政治力を得、政局の安定を得たいということは、これは日本の占領行政を一つ改めて、日本の姿を大きく変えなくちゃならぬと、こういうところにあるわけでございまして、すべてがそれを基調としてやらなくちゃならぬ。従って政策等もすっかりそれでやれて、その改革が行わるるという見通しがついたときに、初めて永遠の使命を持つ党も解く理由が出てくるであろうと考えますので、そういう意味に私どもは心得て行動をいたし、日本の民主政治のあり方を守って行きたいと考えておるわけでございます。
○左藤義詮君 ただいまの問題につきまして、三木運輸大臣の一つこの保守政党のあり方に対する御所信を承わりたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) お答えいたします。私は政党のあり方に対して相当な意見を持っておる一人でございます。しかし昨日わが党においては、総裁が党の方針について裁断を下したので、本席において申し上げることを適当でないと考えます。
○左藤義詮君 日本航空というものが非常に列国に立ちおくれて出発をいたしました、いろいろな困難な条件はございましょうが、年々赤字を出して、わずか国際線は二線しか持っておりませんが、国内では相当な私はもう乗客はあるように思うのでありますが、赤字を出して、本年も国の予算から相当の補助をしなければならない。また十億の融資もいたさなければならないというようなことは、非常に私ども遺憾なことでございますが、国がこれだけの補助なり融資なりをいたします以上は、今のままの組織にしておいていいものであるか。今のままにしておいて一体何年ぐらいこういうような国民の血税を注ぎ込まなければならぬのであるか、どういうお見通しを持っていらしゃるか。特に今乗員が外国人であることが非常な経費の増大の最も大きな原因の一つのようでございますが、国民感情の上から申しましても、早く私は日本人に切りかえるべきだと思う。どういう一体困難があるのか。まあいろいろ経験時間とかその他あるようでございますが、もう少し積極的に、実は分科会では三年ぐらいという政府委員の御答弁がございましたが、私は運輸大臣としてもっと積極的にこの問題は解決すべきだと、日本人の能力、技術、私は決してそんなにいつまでもいつまでも明治初年の汽船に、名前だけ外国人の船長を乗せておったようなこと、私はそういうことをやっているべき時期ではないと思いますが、これと関連いたしまして、航空の管制、これも米軍がやっておりまして、スラングの多い兵隊のアメリカ語でやっているための、どうも操縦士の方も日本人にもう一つ変えにくいというような事情があるのじゃないかと思うのでありますが、これも私外務大臣に伺っておきたいと思うのですが、一日も早く各飛行場の航空管制というものを日本の手に、それこそ独立の一つの条件としてですね、私は取り戻すべきであると思うのでありますが、これに対する運輸大臣並びに外務大臣の一つ御所見を伺っておきたい。
○国務大臣(三木武夫君) 日本航空は左藤さん御存じのように、今年度は約八億の赤字でございます。これがただいま御審議を願っております予算を通じて三億五千万円補助をするわけでありまして四億五千万円ほどの赤になる。来年は六億、再来年は四億、まあ昭和三十三年にはとんとんになる、こういう見通しでございます。 国内航空につきましては来年は六、七千万円の黒字になる予定であります。今年はまだ国内航空においても六千五百万円くらいの赤を予定しておりますが、来年度からは黒字になって行く、これはどうしても日本の航空事業というものが、戦争あるいは戦後の占領を通じて立ちおくれたわけでございますから、先進国においても航空事業には相当な補助をいたしているわけでございます。ところが今日まで補助はなかった、政府の出資によってやっておったわけで、直接の補助は今回初めてでありまして、過去において私はこれは相当な補助をすべきものであったと考えておるのであります。そうでないとこれだけ立ちおくれたものが、すぐに航空事業が、ペイするということは無理である、こういうことで補助をすることになったのでございますが、今後三年の後には補助をなくしても、この三十一年、三十二年、三十三年くらいの間はこれは続いて補助を願わなければならぬ、しかし三十三年くらいからは補助金なしに航空事業というものが収支のバランスが合うようにして行きたいと思うのです。 外国人の乗務員の問題はこれは立ちおくれたためにすぐに養成ができませんでして、またあまりに未熟な者を乗務員として使用することには、非常に安全性を要求される事業として好ましくございませんから、ただいま乗務員の養成に努力をして、国内航空においては、これは日本人がみなやるわけであります。国際航空においては次第に日本人のパイロットができてくるわけでございますが、まだ二、三年の間はやはり全然日本人ばかりというわけにも行かない、これはいろいろ非常な高度の安全性を要求される建前でございますから、われわれとしても日本人にすぐしたいのですけれども、それは相当な技術の訓練を必要とすると考えておるのでございます。お答えをいたします。
○左藤義詮君 外務大臣、飛行場の航空管制の問題、米軍が今やっているのですが、これが取り戻せないか。
○国務大臣(重光葵君) 航空事業は今三木運輸大臣の御説明の通りに、特に国際的の性質を帯びている場合において、早く一つ国際的の水準に日本の技術及び施設を発達せしめて、そして完備した施設のもとに国際競争におくれをとらぬようにいたしたいということで、私どもも対外的関係に処しているわけでございます。その技術上の方面についてはまだ相当、今お話の通りに外国の技術に、また国際的の標準によってやらなければならぬ関係もございます。そこで思う通りにすべて日本式に行くというわけにはまだ参らぬわけでありますが、これは日本の海運業の発達の歴史にかんがみても、大いに努力して進んで行けば非常にわが国のこういう方面における権益を増すことができると、こう考えてやっているわけでございます。
○左藤義詮君 先ほどの高碕経審長官の明年度予算の見通しのお話の中にも日ソ交渉がうまく行って、その方の貿易その他の関係もうまく行くと、相当の見込みがつくと、賠償問題も今年中には解決をしてそれも来年は織り込めるというような御答弁がございましたが、私どもの見るところでは、なかなか日ソ交渉はそう簡単には目鼻がつかぬのじゃないか。現に私ども同胞の引き揚げの問題につきましてはこれはもう私は交渉以前の問題である、当然私は十年間も——戦犯は別でこざいましょうが——まだ抑留者がいるということが、すでにこれは不思議なことなんでありまして、あり得べからざることなんでありまして、遺家族の身になってみましてもこの問題は非常に心痛をいたしているのでございますが、その数字がどうも、ソ連の方はまだ、戦犯を除いて一般抑留者は全部もう帰国さしたという従来からの考え方を、そのまま固守しておられるようであります。ちょうど五年ほど前でございますか、ソ連は戦犯者以外の送還は全部終ったと発表いたしました。捕虜となった日本軍将兵は五十九万四千人、うち送還済みは五十一万四百九人、戦地で釈放された者が四万八百八十人、戦犯以外の残留者が二千四百六十七名という数字でございましたが、この数字の中にもすでに一万余名の不足がございます。しかもそのくせこれは死亡者の数字がございません。一方でそのときまでに帰還した人数を外務省は四十七万一千名と発表しております。非常に食い違いがあると思うのでありますが、一体この数字の調節を——私はこの引き揚げの問題はこれはもう交渉以前の問題だと思うのでありますが——どういうふうに調節していらっしゃるのであるか。これはあまり当てにならぬかもしれませんが、ウイーンの二十八日のUPの特電でございますが、ソ連から釈放された一オーストリア人が五、六千名の日本人がソ連に抑留されているというようなことを発表しているのでありますが、言うまでもなく政府の資料では一万一千百七十四名でしたか、それから二十八年の十一月にソ連の赤十字社が発表したのは千四十七名しか残留していない、しかもこのうちで富永中将ら十六名が帰国しておりますから千三十一名になるはずであります。どうも勘定が合わない。本年四月に帰国した第三次のソ連からの帰国者の話ではハバロフスクに約千百名、タイセットに約百名、その他ウラジミール、アレキサンドロフスク、樺太、カンスク、リショーテイ、クラスノヤルスクなどに二千四、五百名、計三千六、七百名というような数字が伝えられているのでありますが、どうも私は数字が合わない。これを先ず何とか私は合わさせなければ納得できないと思うのでありますが、どうも抑留、引き揚げの問題はあと廻しにして、また領土問題に入ろうというのでは、悪く考えますればこれを人質にして何かほかの問題と取引されるような印象を国民に与えるのでありますが、これに対して外務大臣としてはどういう所信を持っておれますか。どういうふうに処置されるつもりでありますか。遺家族は非常にこれは心配しておる問題でありますから、もう少し数字を、基礎をはっきりしたわが方の態度をお示し願いたいと思います。
○国務大臣(重光葵君) ソ連における未帰還者の問題が、これはもうきわめて重要であることはお話の通りであります。単に国の利害関係ということだけじゃない、これは人道の問題から見てもきわめて大きな問題であるまするために、これは日ソ交渉以前から、もうこの問題については絶えず最大の努力を費してきた問題でございます。日ソ交渉がいよいよ始まりまして、まずこの問題はその劈頭に解決をしなければならぬ問題である、こう考えまして、現にロンドンにおける交渉に持ち出しておることは御存じの通りでございます。この問題について双方の数字が非常に食い違いがあるということを御指摘がございました。全く非常に食い違いがあるようでございます。そこでさような問題は十分に交渉の途上で明らかにしなければならない、また議論の中心となる問題でございまして、そこでわが方において持っておる材料はことごとくこれを精選して交渉の材料にいたしておるわけでございます。この問題について今日まですぐ返還の妥結は見ておりません。ソ連側は平和条約ができればこれは当然解決すべき問題であるというふうなあいさつでございまして、これに対してはソ連側としても十分に考慮を払っておることは事実のようでございます。しかし直ちに解決をするという段取りにはまだ参っておらないのでございます。まあさようなわけでありますので、しかして又この問題が遺族等にとっても何と申しますか、むしろ死活の問題と言ってもいいような問題であるのでありますから、これを詳細に周知せしめる、公表することが私は必要であると、こう考えまして、そうして状態をはっきりと理解をしてもらうことが必要であると、こう考えまして、去る六月十七日にこの問題を詳細に発表いたしました。その発表は政務次官から衆議院の引揚特別委員会に対する報告の形において詳細発表をいたしました。これはあるいは御存じでなかった、今お気づきでなかったのかも知れませんが、これに数字がすっかりあげてございます。また従来の先方の数字とこちらの数字が、それぞれ対照いたしましてすっかり発表をいたしておりますから、詳細なことはそれに譲りたいと思います。日本側の持っておる数字は一九五五年すなわち今年五月一日現在の数字がここにございますが、これを今繰り返して申し上げましょう。それはソ連におきましての氏名の判明した生存確認数。日本側の材料によって最も正確と思われる数字でございます。氏名の判明した数字が千三百六十三名、千島極太におけるものが八十九人、氏名は判明しておるが状況はすっかりわからぬものがある、これがソ連において九千五百、千島、樺太において千六百九十、こうなっております。それを総計いたしますとソ連においては一万八百六十三、千島樺太において千七百七十九と、こう相なっております。なお、先方の数字とこちらの数字とが食い違っている状況その他については、この発表によって御承知願いたいと考えます。ソ連からは今お話の通りに向うの通知を受けました数字は千四十七名、その後の帰還者を差し引きますというと、千三十一名になっていることは今御指摘の通りでございます。かようなわけでありますから、この未帰還者の問題はロンドンにおける日ソ交渉の話合いの結果を今待っているわけでございます。その交渉の内容は私は一々申し上げることを差し控えますが、大体においてさように相なっているわけでございます。この問題につきましては国会の御意思も十分に拝聴しているわけでございますので、全力を尽して交渉に当ろうと考えております。
○左藤義詮君 これは死刑囚に対する言葉ですが、一人の生命は地球より重いと。しかし私今伺いましても、この数字は、この間衆議院で発表になった政府の数字は、こちらは一万一千百七十四名であり、向うは千三十一名、一万以上の地球に値いするような生命が生きているのか死んでいるのか全然抹殺されてしまっていも、これは非常に重大な人道問題だと私は思うのでありますが、非常な御努力のことは今伺いましたが、私遺家族のいろいろな心情を、陳情なども聞いているのでありますが、とりあえずこの数字だけでも何か両方から専門委員でも出して、この問題を何とか納得の行くように、これだけ一万以上も食い違っては話にならないと思うのですが、まあ平和条約ができれば帰るのだと、こう言いますけれども、それまで一万以上の生命が宙に迷っている、これをたな上げしておいてすぐ領土問題としないで、これだけは私は少くとも生死をはっきりし、もし死亡しているならばどういう所でどういうふうに死んだかということが納得のできるように、私は日ソ交渉と併行して、専門委員でも両方から出して、これをはっきり確認する努力をする意思はないかどうか、領土、その他の問題も大切でございますが、この問題は私はもう少し真剣にお考え願いたいと思うのですが、何か方法はございませんか。
○国務大臣(重光葵君) 実は今お話のような問題は非常に検討はいたしているのでございますが、またいたしたのでございますが、何分にもそれらのことは交渉の内容に触れますから、これはちょっと差し控えますが、さようなお考えの問題につきましても、また御意見のあるところも詳細日本全権の頭に入れる手段は十分にとることを申し上げます。 それからちょっと先ほど補足することを忘れましたが、今申し上げますが、先ほどお話の二十八日のウイーンのUPの通信というものがございます。これは毎日新聞に出ております。これは私は非常に有力な材料であると思って非常にこの通信を喜んだ次第でございます。いずれにしましてもその状況は確認することはできません。それはオーストリア人のソ連から帰ってきた人の言うことでございますから、それがそのまま全部ほんとうとは思われませんけれども、しかし、なおわれわれの知らない生存者がソ連にあるんじゃないか、さようなことが感ぜられますので、私はこれは非常にいい材料と、こう感じまして、すぐ調査に着手をしておる次第でございます。
○左藤義詮君 日ソ交渉の内容についてはお話しになれない。しかしただいま私が遺族の心情を察してお願いいたしました専門委員等のことは、私案でございますが、今のUP電報等を参考にいたしまして、とにかく生死だけは、人数だけは確認したい、こういう努力に対して、全権に何か御訓電をお出しになって御努力下さるようでございますので、一つぜひともこの問題はもう交渉以前の問題として、ほかの問題との見返りにならないように、一つ十分の御努力をお願いしたいと思います。 日ソ交渉について、もう一つ伺っておきたいのでございますが、まあ日ソ交渉をして平和条約を締結すればあらゆる問題が片がつく、それをわれわれが望んでいることはもちろんでございますが、ここで日ソ両国が新たに国交を開きまして条約を結ぶとしますれば、もちろん両国はこの条約を尊重するということが当然のことでございまして、条約の尊重なくしては、国際信義というものがなければ平和ということは無意味になってしまうのでありますが、まあ過ぎ去ったことを申すのもどうかと思いますが、私どもは一九四一年に結ばれまして一九四五年に破られたあの日ソ中立条約というものについて、非常に苦い思い出を持つのでございますが、もちろんヤルタの密約はあったでございましようが、われわれ日本人はあずかり知るところではございません。とにかく私どもは一方的に中立を破られて、一九四五年八月の、実に泣いても泣ききれない体験をいたしたのでございます。今度私どもが日ソ国交を回復いたしまして条約を結びましても、これが十分尊重されるかどうか。もし他の国と密約をして、こういう約束があるからということでこれが破られるようなことがありましたら、初めから私どもはこういう条約を結ぶことは無意味になってしまう。もししからばソ連が、私どもが今度条約を結びますときに、この前の中立条約に対してわれわれがこれを破ったことは間違っておったと申しますか、やむを得なかったと申しますか、今後は絶対にさようなことはしないというような、私ははっきりした確認をとっておかなくちゃならない。もしソ連がさような確認をいたしますならば、領土の問題等につきましても、われわれは中立条約を破ったことなんだから、占領した南樺太、千島に対しても、領土問題について領有権を主張することはないはずだと思うのであります。この私どもの十年前のあの苦い悲しい思い出に対して、今度新しく日ソ交渉をし、条約を結ぼうとせられる外務大臣はどうお考えになっておるか、この点を伺っておきたい。(「そこだ、そこだ問題は」「だますのが平気だから相手は」と呼ぶものあり) 〔委員長退席、理事池田宇右衞門君着席〕
○国務大臣(重光葵君) 私どもも、かつて日ソ中立条約が一方的に破られたとそういうふうに思って、非常にこの点を残念に思っておりますが、これは今日その問題を持ち出して、その是非を交渉によって決するということが果して適当であるかどうかということは、私は疑うものでございます。日本は不幸にして、今日から考えてみれば、当時の日本の対外政策の運用を誤まったことは、これはもうどうしても日本としてこれを認めなければなりません。さようなことが累積いたしてソ連との間に戦争状態が起ったのでございます。ソ連としては御承知の通り、その行動について十分これを正当化するだけの理由はつけております。これはわが方としては承認できぬことは、これはもう日本人として当然のことでございます。しかしながら、ソ連としての理由は、これを十分に持っておるとソ連は主張しておるわけでございます。そうして戦争の結果、日本が敗北したこともこれは事実でございます。さような事実を度外視して、単に理論上の闘争をするということならば、これは日ソ交渉はむろん初めからやらぬ方がよろしうございます。しかしそうでなくして、この事実は事実としてこれを認めて、これを一体どうして収拾するかということに実際的な政策はとって参らなければならぬ、こうまあ思うのでございます。これはしかし日本に限ったことではない、どこの国でも同じような場面に向えばそう考えるより道はないと私は思います。そこで日ソ交渉によって国交の正常化をはかるということが日本のために利益である。それで世界の平和の一部分に貢献することができるとするならば、これは非常に有意義であるといって日ソ交渉を始めたわけでございます。しかしながら、その日ソ交渉の目的を達して国交の正常化をするためには、日本は将来に向ってはっきりした保障がなければなりません。それは戦争によって起ったいろいろな重要な問題の整理をしてかからなければなりません。その整理をするための交渉が今開かれておるわけでございます。従いまして、その交渉が妥結をすることに全力を尽して国交調整の目的を達成したい、こう思ってやっておることは、これは申すまでもございません。そこで、それでは交渉をした結果、日本が一方的に考えるがごとく、条約を無視されるものであるという前提をもってやるならば、これは無意味なことでございます。しかしながら、私は平和条約を結んで国交を正常化する目的を達するには、その条約は必ず相手方よりも十分尊重される、こういう前提によって平和条約の締結に努力をしておる、こういうことは、これはもう申すまでもございません。そこでそういう信用があるかないかという理論のつけ方、その他歴史の観察ぶり、こういうのは、私は今の現実の問題としては、これは過去の歴史をどう見るかということについて十分歴史家の批判に問うべきことだと、こう思います。しかし今日の現実の問題としては、今条約がりっぱに締結されれば、それは調印者によって十分に尊重されるべきものである。こちらも尊重する。こういう観点において交渉が進められなければならぬ。またそうでなければ、国交の調整などということを言うことは無意義に思われます。私はさようにしてこの交渉が成功することを希望してやまぬものでございます。
○左藤義詮君 いろいろ私意見もございますが、時間がございませんから、ただいまソ連からの引き揚げの問題について、専門委員その他何らかの方法によって、迅速にその人員を確かめるという御努力をお約束いただいたのでありますが、中共の問題につきましても、今まで民間団体が交渉いたしまして、政府が委嘱したから民間団体がこれを引き受けてやって成績を上げてこられたということは、国民皆感謝しているのでございますが、衆議院の方の委員会で、あなたの方の政務次官が、今度は政府が責任を持って残留者の引き揚げの交渉をする。数字の方は私いろいろ調べましたのでございますが、政府の方の御説明を伺った方がいいのですが、この相当数、四、五万名おられると思うのですが、そういう残留者について政府として積極的に交渉なさる御意思があるかどうか、それに対して、いつごろどういうような措置をなさるのであるか、伝えられるところによりますると、外務省の中には相当異論があって、国交未回復の中共と政府が交渉すると、これは中共の方を承認したことになる。それがまた自由主義国家、特に台湾あるいは朝鮮政府を刺激するというようなことでちゅうちょしておられるような議論もあるように伺うのでございます。どう調整されておるのですか、いつごろどういうような段取りをしておられるのでありますか、いろいろその他も一つ御説明を願って、先ほど申し上げましたと同じように、中共にも十年たってもまだ帰れない同胞のおります事実、これに対してどういう方針をお持ちになっておるのか。
○国務大臣(重光葵君) 中共地区におりまするわが同胞の状態は、ややソ連における同胞の状態とは違うものがあるようでございます。中共地区におります同胞の中で帰国いたしたい、こういう者に対しては、政府といたしましてはあらゆる便宜、努力をして、その帰国を実現したい、こう考えております。それがために、従来とも特に日本赤十字社を通じていろいろ努力したことはこれは御承知の通りでございます。そこで最近は赤十字社を通じてはいかぬのだ、政府が直接向うの政府に話かけをした方がいいという報道及び説かございます。それか果して効果的であるならば、これは私は当然さような手段をとって差しつかえないと考えるのであります。これは人道上の問題であって、そうして政治の問題ではないのでありますから、今お話の通りに承認とか、いろいろ国民政府との関係とかいうことは、それは考えなければなりません。考えなければなりませんけれども、さようなことが私は故障にはならぬと考えております。従いまして、最も有効適切な方法をとらなければなりません。しかしそれがためには、先方の意向が果してそういうことになれば効果的に動くのであるかどうかということも十分に検討もし、また調査もしなければなりません。またさような向うに呼びかけをする方法が、どういう適切な方法があるかということも、これは相当考究を要します。それで今はそういう方法をとることがいいとか悪いとかいう問題ではありません。どういう方法をとるのが一番有効であるかということを、先方の状況等をよく今情報を集めて検討しておるわけでございます。 それから中共における同胞の数その他につきましては、これは今私はここに数を持っておりませんが、これは一つ最近の数字を、ソ連在住者と同様な意味において、また適当に議会にも報告をいたしますし、同時に発表いたすことに取り計らう所存でございます。それによって御承知を願いたいと思います。
○左藤義詮君 数字につきましては、一日も早く御発表になり、あるいは当委員会へ資料を御提出願いたいと思いますが、衆議院の引揚特別委員会で、あなたの方の園田政務次官が、すぐにも中共と交渉を開始するようなお話だったのですが、今の御説明によりますると、まだ向うと打診をしておる程度だ、果して向うが応ずるか応じないか、そういうふうにしたのがいいのか悪いのか、まだ十分に、非常に早まった発表を、国民には今にも政府同士がやるような印衆を与えたのですが、その点大へん、今の大臣の実情を伺いますると、ああいうような発表は軽率なことと私は遺憾に思うのでありますが、これは私の意見……。
○国務大臣(重光葵君) 私は外務政務次官の御説明を全面的に承知をし、承認しておるものでございます。印象はさような印象を受けられたかも知りませんが、しかしきのうの内閣委員会で、そのことを十分に何したのでございますが、園田政務次官は、この問題が人道上の問題として特に取り上げられて、政府としても十分努力するつもりだということを力説して、そうしてその具体的方法については今検討をしておる、こういうことを言われたことが記録に残っております。そこで決してこれは行き過ぎた言葉じゃない。全くそう考えておるのでございますから、その点は御了承を得たいと思います。精神は少しも変りはございません。そうして園田政務次官の何は、わずか一両日前の言明でございます。今その検討中だということは、今も通じておることを申し上げて御了承を願います。
○左藤義詮君 鳩山内閣が、中共との貿易を開こうというような選挙の公約その他で非常に国民に希望を与えられたのですが、先日中共の代表がこられたときにも、いろいろ民間の折衝があって、これに対する決済の政府保証ということが問題になりましたときに、鳩山総理から、これに対して十分努力するというような声明をなすったのでございますが、さてやってみますると、たとえば二十九年度中の輸出入実績を見ますると、こちらからの輸出が二千二百万ドル、輸入は五千二百万ドル、三千万ドルの入超だ、バーター方式というものが全く空文化してしまっております。今問題になっております大豆、昨年の十一月に八百五十万ドルですか、輸入いたしましたが、この見返り輸出期限が八月末でございますけれども、その三分の一近くがいわゆる逆トーマスの残になろうとしておる。まあこういう点から、しかも中共は大豆だけでなしに、米、塩、滑石、アンチモニー、螢石、ナフタリン、にかわ等までもいわゆる英ポンド建の信用状による片道決済をして、その取引契約書の中に、六カ月ないし九ケ月以内に日本から見返り品を買いつけるということを約束するような、バーターでしようということを言ってきておるようでございます。これは事実上不可能なことだ。通産省としてはこれに対して、私も初めて聞いた言葉ですが、グローバル方式にしようということを、当然だと思うのです、まあ主張した。この事情で参りますと、なかなか中共貿易というものは、私どもが前から心配しましたように、絵にかいたもちになってしまう。この中共貿易というものに対してどういう総理はお見通しをお持ちになっておるか。これに対して総理が最初からの御決意のように何らかの政府が保証するとか、あるいはこうして非常に片貿易になってもこれは推進していくおつもりであるのか、これに対する通産省の、通産大臣の一つ御意見を伺いたいのでございます。
○国務大臣(石橋湛山君) 申すまでもなく最初から総理も希望されておりますし、われわれも中共の貿易をできれば促進いたしたいのでありまするが、御承知の通りのいろいろの障害がありまして、思うように参らないということははなはだ遺憾に存じております。最近の問題は大豆でありますが、実はその大豆は向うから日本の商社、七十幾つかの商社に引き合いがあったようでございます。その価格が実は非常に高いのであります。しかもソ連は西欧の方には相当安く売っておりますが、日本には高い値段で売っておるというようなことがありますし、また今のいわゆる逆トーマス方式と申しますか、そういう点に不安な点がありますので、大豆は少し急ぎたいものでありますから、とりあえず大豆だけはグローバル方式でいこう。これは中共の方が価格の点において相当の値段を出してコンペティティヴになれば、むろん喜んで中共の大豆も受け入れたい、かように考えておりますが、いかにもその点の差がありますので、そこで今一応グローバル方式にしようとこう申しておる次第であります。
○理事(池田宇右衞門君) 左藤さん持ち時間は一分か二分しかありませんから。
○左藤義詮君 中共貿易についていろいろと意見がございます。実績を見ましても、あまりにも政府の宣伝との差がひどいので、その点を明らかにしたいと思いますが、時間もございませんので、私米価問題についてお尋ねしたいと思いましたが、これは米価が正式に決定しないようでございますから、どのくらい持ち時間がございますか、米価決定後にこれを留保いたしまして、私の質問を終ります。
○田村文吉君 一番初めに文部大臣にお伺いいたしたいと思うのであります。最近にはあまり起りませんでしたようですが、昨年来、まあその前からもそうでありまするが、学校の火災ですね、火事が非常に多い。これはまあ国の税金で払われた学校が焼けてしまうと、ひとり児童が困るだけじゃない、その父兄、市町村、みな困る。それでなるべく一つ火災をなくするということが必要なことなのでありまするが、私は一つの案としてもう少し不寝番のようなものを学校に置く。それは相当経費がかかることになるけれども、一朝焼けたような場合を考えてみまするというと、非常に安い経費だ。いわんや昨今のように失業者が多い時代でございまして、いわゆる国立学校はむろんでありますが、市町村に対しても不寝番をつけて、火災の起らないようにする、こういうようなことをお考えになるかどうか、こういうことを一つ第一にお尋ねします。
○国務大臣(松村謙三君) お話しの通り学校の火災は実際損害が多いのでございます。何とかこれに対する方策を講ずることは必要だと思い、研究をいたしております。東京都などには宿直を廃しまして、そうしてお話しの通り不寝番のようなものを置いてやっているところがございますが、その成績はきわめていいように承わっております。従いまして、ずっと地方にも同様のことをいたす方がよくはないかということで、ただいま研究をいたしております。その方が結果といたしてもいいように考えております。
○田村文吉君 失業者の救済にもなることでございますから、即刻東京都の例を準用なされまして、これは全国になさったらどうか、こういうことを考えますので、私の希望意見を申し上げておきます。 あわせて、この問題はひとり文部省だけの管轄ではございませんので、これは大蔵大臣あたりもよく一つお考えおきいただきたいのですが、公共の建物、病院でありますとか、ああいうものに万一のことがありますと、実際非常に困るので、こういうものに対して、人間が余っていて困っている際だから、せいぜい一つそういう人を利用して不寝番のようなもので夜警を十分にする、こういうような予算を出してやるというふうになされたらどうだと、こう私は考えております。この機会についでに希望だけを申し上げておきます。御答弁を求めません。 それから文部大臣にお伺いしたいのですが、新生活運動の問題であります。新生活運動の根本的の理念は、どういう根本理念をお持ちになってこの新生活運動を始めたのか。また具体的には一体どういう題目を一つ持っておやりになっているのか。またこれが実行方法についてはどういうふうになさろうというお考えをお持ちになっているか。この三つの点につきまして、私は非常に趣旨はけっこうな趣旨だと思う。ぜひそういうことに移っていきたいのだが、もし見当はずれにいっても困りますので、一体新生活運動の根本理念はどうか。具体的にはどういうことか、それからどういうふうにやるのかというようなことを伺いたいのであります。
○国務大臣(松村謙三君) 御承知の通り戦後の国民生活はきわめて何と申しますか、多様複雑になっておりまして、ここに一つ生活の改善をいたすべき余地はきわめて多いと思うのでございます。そのためにすでにこれらの改善を目ざしていろいろの団体ができておりますことも御承知の通りであります。そこでまちまちではどうかと思いますので、これを総合して日本の一つの締め直しをやる。一つは生活の運動であり、その根底をなすものはやはり社会道義の高揚であり、相待って日本の新しい生活の規正をするということがこの新生活運動の目ざすところであると考えるのでございます。そこでそれらのものをどういうふうにしてどこから始めるかというお尋ねでございますが、これはしばしば申し上げます通りに、政府がやりますと、かつての翼賛体制のように上意下達というような形になりますと、ほんとうに国民の心からの運動にはなりませんので、それで民間からその総合的新生活の本部とか何とかそういうようなものを作りまして、それでやっていただきたいと思うのでございます。それにつきましては予算が通り次第、超党派的に全国にこの発起人と申しますかにお集まりを願って、政府といたしましては、総理大臣からこういうことを皆さんのお力でやっていただきたいという呼びかけだけをいたしまして、それでそれらの力の御相談で一つの新生活運動の団体を作り、それから府県にはその団体から呼びかけていただきまして、首尾一貫した国民運動となることを期待いたし、そうしてその一部に国が助成をしていく、こういう形をとりたいと思うのでございます。従いまして、どういうことをやるかということにつきましては、その団体の御相談できまりますことでありまして、政府としてはかれこれ申すことではございません。文部省といたしましては、その団体のお手伝いはいたしますけれども、それを指導するという立場はとらないつもりでおりますが、考えてみますと、そこにいろいろのことがございます。たとえば食生活改善、住居の改善、衣類の面、それから青少年の間のヒロポンなどの流行がひどい、こういうのを改めるというような点、一つ一つをとってみましても非常に数多うございますが、それを全面的にやりますか、あるいはそのうちの一部をとってまずやり、漸次ほかに及ぶということになりますかは、その団体でおきめを願ってやりたい。大体の構想はそのように考えておりまして、予算の成立後に直ちにあらゆる階級の方々に呼びかけたいと思うのでございます。
○田村文吉君 今までも政府がそういうことを指導することについていい悪いの問題があるために、大変政府の方でもそういう点については憶病になっていらっしゃると考えるのですが、しかし今例示されましたような、たとえばヒロポンを絶対なくするとか、あるいは衣食住の生活をどういうふうにするとか、あるいはまた今まであるわれわれの古来の日本の風俗と近ごろの外国の風俗というようなものをどういうふうにするとかというようなことは、むろん検討もされましょうが、やはり政府の、まあ文部省あたりが中核になって指導をなさることでないと私はいかぬと思います。さようの問題であれば、何もだれも反対する筋合いのものでないので、いかにしてそういうものを国民に徹底させるか、こういう問題であろうかと思うのであります。私はあまりに憶病に文部省がお引っ込みにならないことを、むしろ進んでおやりになった方がいいのじゃないか。大体今のお話の中にあった道徳運動にいたしましても、もう少ししっかりした一つ信念を、政府は総理大臣から初めお持ちになっているわけですが、そのりっぱなやはり道徳観念上いうものを右にならえでみんなが道徳は古今東西どこへ行っても、どこでも同じことなんですから、そういうことははっきりしておいでになる必要があるのじゃないか、こういうふうに考えております。 先般の施政方針の演説のときにも、私は文部大臣に、一体文部大臣はどういう骨格をもって日本の今後の教育に当られようとするかということを伺ったのでありますが、ちょっと私どもとしてはもの足りない感じを持ったのですが、もう少しくしっかりしたものを文部省自体がお持ちになっていただいて、お持ちになっているものをもう少し表現していただいていくことが必要ではないか。それで悪いものは悪いとして国民が皆これを批判する、また政党もこれを批判する、こういうことはあるだろう、そういう点についてもう少しく積極的にお出になるお気持がないかどうか、あわせてこの問題について一つ重ねてお伺いいたします。
○国務大臣(松村謙三君) ただいまの御注意でございますが、それは民間の運動と政府の方針と相待っていきますところに、完全な効果が上ることと思いまして、たとえば民間の団体できめられたことは政府もまた徹底してそれを行う、こういうようなことにいたして、相待って効果を上げたいことを期待しているわけでございます。それから教育のことにつきましても、十分御注意に従ったような方向で努力をいたしたいと思います。
○田村文吉君 文部大臣はお急ぎになっているようでありますから、私は文部大臣に対する質問はこれで打ち切りたいと思いますが私はくれぐれも文部大臣にお願いしたいことは、戦争中に大政翼賛会のようなものが国民をあやまった、こういうことのために、何と申しますか、あつものにこりてなますを吹くというようなことで、何でもそういうふうにいって、少しも指導的な考えでお進みにならない、教育は教育基本法によればいいのだ、これ以上のことは要らぬのだというような考えでなしにお進みになることを希望いたしまして、文部大臣に対する質問を終ります。 郵政大臣にちょっと伺いたいのでありますが、先刻の文部大臣に対する問題と関連しているのでありますが、たしか今年の予算には三十四億ですかの予算をお持ちになりまして、局舎の改造をなさるようであります。私もごもっともであると思うのでありますが、町に出まして銀行なんかが非常にりっぱな建物がたくさん建っている。ところが何千億という金を扱っている郵政省の貯金局とかいうものの各支所を見ると、大てい木造である。まことにお粗末千万なんであります。万一のことがありますと取り返しがつかない。のみならず郵便局自体にいたしましても、赤行のうというような貴重品をずい分扱っておるのでありますが、いなかに参りますと大部分木造である。こういうことでは私非常に安心ができない。国が経営なさるからには、やはり国民の安心の得られるような意味で、一つ局舎を改造なさるにはやはり不燃質の建物をお作りになるということでなければならない。また一つ今の不燃質の問題につきまして、これは地方の事情から申しますと、郵便局は大体町のまん中にある。そこで郵便局が不燃質であるがために類焼を免かれたという例が非常に多い。これは町のまん中に郵便局を必ず一つ絶対焼けないというものを作っていただきたい、こういうふうにお心がけをいただいたらどうか、こう考えておりますが、そういう御方針でお進みになっておるとは思いますけれども、予算に対してどういうふうに実行をおとりになるおつもりか、お伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(松田竹千代君) お答え申し上げます。お話のように、郵便局舎は木造のしかも古いものが多くございまして、私ども一番心配いたしておりますることは、万一火事になったらどうなるかということが一番日夜頭を悩ます点でございまして、何とかこれをもっと国民の安心のできるような建物にしたいということを考えまして、まあわずかではありますけれども、これからの建物は不燃性の建物にしていきたい。今年度建てる分も、中都市以上、大都市、中都市はことごとく鉄筋コンクリートにいたしていくことになっております。ただいなかの方に、地方へ参りまして、これを今度やる建物をことごとく不燃性のものにしていくということは、財政上の都合でいたしかねるのでございますが、まだその段階まできておりませんけれども、そこに心しまして、何とかしてこの防火並びに防犯ということに対しまして特別の配慮をいたしていかなければならぬ。何をさておいても、国民の大切なる金銭並びに貴重なる郵便物を取り扱っている所でございまするので、そこに格段の力をいたしていきたいものと考えております。また地方の方でも、特別の防火区域であるとか、あるいはまた非常な積雪区域などに対しましては、コンクリートの建物をもっていきたい、かように考えておる次第であります。
○田村文吉君 先刻同様に、この問題は大蔵大臣からもお考えいただきたいと思うのですが、郵政省の建物だけではございませんが、町の繁華街にある建物、こういうものは必ず鉄筋コンクリートをもって建てる、こういうような方針で予算を一つ取ってやっていただきたいと、こういうことをあわせて希望しておきます。これについて何か大蔵大臣のお考えがございますれば……。
○国務大臣(一萬田尚登君) 特に新規に建てるものにつきましては、お説のようにいたして参りたいと考えております。 〔理事池田宇右衞門君退席、委員長着席〕
○田村文吉君 外務大臣に日ソの交渉のお差し支えない限りの経過をお伺いいたしたいと考えましたのでありますが、先刻左藤委員に対してお答えになっておりまするので、重ねてお伺いするのもどうかと存じます。ただこれは、左藤委員が聞いたことは、私が聞かんとすることをそっくり言われたのでありまして、おそらく国民の全部がそういう感じ方でないかと思うのであります。つまり日ソの交渉もいいけれども、今未帰還になっている人、私は戦犯の人さえも言いたいのでありますが、そういう人さえ押えておいて、そうして日ソの交渉もないものだと、こういうような気分は国民の全部の間に横溢していると、こう私は申し上げてよろしいと思うのであります。この点については十分の御配慮があるということを先刻承わっておりましたから、これ以上重ねてお伺いする必要はありません。ありませんが、どうか左藤委員の言われたことは全部の国民の意見であると、こういうふうにお考えいただいて、日ソの交渉は、在留邦人の問題をまず解決してもらう、こういうことを第一に私は申し上げたい、かように考えるのであります。あえて御答弁をいただかないでもけっこうでございます。 それから第二の問題として、日ソの交渉の問題で、先刻の左藤委員に対する御答弁では、過去において条約が破られたからといって、これからの条約も破られるかもしれぬということで日ソの親善を今後作らぬということはいけないと、作るのが順序だと、こういうお話であります。私はそういう点はごもっともであると思いますが、ただし過去において中立条約を、いろいろの理屈をソ連ではつけているかもしれませんけれども、世界のあらゆる人が考えて、これはこの日ソの中立条約というものを一方的に破棄をして、満洲から樺太、千島と侵略をやったので、これは一つの侵略であると、かように考えられるのが常識なんであります。こういうことは、できた条約を破られたものは破られたで仕方がない、今度の条約はかっちりと守るということより前に、この破られた条約の始末はつけてもらわなければ困ると、こういうふうに考えるのが国民全部の感情だと思うのであります。国民は昭和二十年八月九日の日に、あの悲惨な報を耳にいたしましたときに、どんなショックを受けたかということは、よく御承知の通りであります。かようなことでは私どもは今後日ソ条約をお作りになるにしても、非常にめんどうな問題がそこに残っているのだと——ソ連は最近において世界に対して平和的なゼスチュアを盛んにやっておられます。それがほんとうであることを私はこいねがうのでありまするが、しかしよくその辺のところを立証していただかないと、すなわち過去のことは問うべきでないというような意見でなくて、私どもは八月九日の日に破られたあの行為に対して、ソ連の国民は日本の国に対してどういう感じを持っているか、こういうことが今後の日ソ交渉というもののできるかできないかの核心になるのじゃないか、かように考える。そういう点について御如才もなく全権は御折衝なすっていらっしゃると思うのでありますけれども、私は総理大臣にお伺いしたいのでありますが、日本の国民の感情としては、これは永遠になかなか今のままでは消えないと思う。さりとて日本の国民は、いくさを絶対にしないお誓いをしているのでありますから、復讐をするとか、さようなことを考えておる者は今日はありません。またしかあるべきものでもありません。ありませんが、そういうことがとにかく国民感情に永遠に残っていった場合に、今後の日ソの折衝というものは、親善関係というものはどうなっていくかこ、こういうことを考えてくるというと、私ども安んじているわけにいかない、かように考えますので、従って私はこの交渉が半年や一年、あるいは二年かかっても、あるいは五年かかっても、これはソ連のそういう点に対する反省が出てこないうちは、この条約というものはできない、こういうふうにまで私どもは考えているのでありますが、十分賢明なる御処置をなさるとは考えておりますけれども、そういう国民感情があることに対して、総理はこれを率直にお認めになっておりますかどうか。またそれに対する万全の措置をおとりになる御用意があるかどうか、ちょっとお伺いしておきたい。
○国務大臣(鳩山一郎君) ただいまソ連とは現に交渉中でございますから、先ほどの外務大臣の答弁によって御了解を願いたいと思います。
○田村文吉君 外務大臣にちょっと伺いたいのですが、いかがですか。
○国務大臣(重光葵君) 私はそれでは少し先ほどの説明に補足して申し上げましょう。私は過去の問題をすべて無視してやるべきだというつもりで先ほど申し上げたのではございません。過去も私は十分に検討いたさなければなりません。しかし過去の事態を、この交渉の場合にそれにこだわってやるということになれば先に進みません。そこで過去のことは、中立条約の問題にしても、また平和攻勢の問題にしても、いろいろ観察の仕方がございます。十分に頭に置いて交渉は進めなければならぬと思いますけれども、それらの問題にあまりこだわるというと交渉は無意味なことになると、こう申し上げたのでございます。御趣旨はよくわかりました。御趣旨のあるところを十分に私は拝聴し、また参考にいたすことにいたします。
○田村文吉君 巣鴨におられます戦犯の釈放については、先般外務大臣から御答弁がございました。十分に努力して好結果を得るように努力しておる、こういうお話でございましたが、その後の模様も私は伺いたいのでございまするが、まず一番親善の関係にあるアメリカの戦犯をまず全部釈放してもらう。そうすれば、従って英国その他の諸国もこれにならい、ソ連もさような問題についての態度がはっきりしてくるというようになるかと思うのであります。御努力は願っておると思いまするが、もっと近いうちに、全部釈放されるような見込みはついておりませんですかどうですか。
○国務大臣(重光葵君) 今日、日米間にわれわれは密接な協力関係を進めたいと思って、そのことに努力いたしておるわけでございます。さようなわけでありますから、日米の間に、なお今日戦争の創痍が残っておるということは、まことに残念なことでございます。かようなことは、一日もすみやかに戦争の創痍をなくさなければならぬ、こう思ってこの問題に対処しておるわけでございます。この問題に対処しておるわけでありますが、どういうことをそれじゃやっておるのか、こういう御質問のようでございます。むろん、これはワシントンにおいても、東京においても、両国政府の代表者の間で絶えず話を出して、この問題を解決することに努力をいたしておるわけであります。しかし、それだけじゃこの問題は解決がよくいきません。というのは、これはもう向うは向うとして裁判をして、戦犯というような名前をつけて判決をしておるのでありますから、手続上でもなかなか容易なことではございません。そこで、さような政府間の交渉以外に、この戦犯のことを扱っておる専門家をアメリカにやって、事情を詳しく説明をして、専門的にこれを処理する方法も講じなければならぬので、そういう方法も講じさしたのでございます。今後もやるつもりでございます。しかし今日まで、先ほど申したような状況で、なかなかこの問題は手続がむずかしゅうございます。しかし、政府との間の交渉は手続の問題に限らず、これは両国の全般的な国交の問題から大きな問題として坂り上げて話をいたしておるわけでございます。そこで、政府間の代表者以外にあらゆる機会、たとえば米国の有力な人々が日本を訪問して来ます。これらの人々に十分注意を喚起する、また米国内においても同様な手段をとり、また世論をもそれに向けたい、こういうことで努力をいたしておるわけでございます。一々折衝した人の名前その他をここで申し上げることはお許し願いたいと思いますが、これについては私もほんとうに早く解決をいたさなければならぬ、こう思って実は一生懸命にやっておるわけでございます。今日まで思う通りの成績は上りません。しかしながら、これは決して思い切るべきものではございません。最近におきましても、アメリカは釈放手続の簡易化をやりまして、そうして数回にわたって釈放をいたしてくれました。これも私はその結果だろうと思ってひそかに喜んでおるわけでございます。今後もさらに速度を早くして、全面的の解決をみるようにあらゆる努力をしなければならぬ、またしていきたい、こう考えておる次第でございます。
○田村文吉君 重光外務大臣は、十分その辺の事情について御了解になっていらっしゃる、一番よくおわかりになっている方でいらっしゃると思うのであります。どうぞ今後とも——。日本なら特赦とか何とかいうような方法もあるのであります。まず一番親善の関係にあるアメリカから特別にここで解除してもらうということになりませんことには、なかなか問題は困難だと思います。その辺のところは十分にお考えになっておるとは思いまするが、この上とも最善の御努力を要望いたします。 次に、総理大臣及び外務大臣になお一つお伺いいたしたいのでございまするが、この間本院におきまして御承認申し上げました農産物に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定、いわゆる余剰農産物の受け入れに関する協定であります。これは先般参議院で承認を申し上げたのであります。今年は、すでに政府の当局におきましても、いろいろの事情もあって、あの協定ができた、政府がやられたのであるので、しかも日米間の親善の関係を少しでも傷つけないというふうな努力はお互いにしていかなければならぬわけでありまするから、その意味におきまして私どもも御承認申し上げた次第でありまするが、ただ、来年度もああいうものが一体なされるかどうか、またなされていいのかどうか、こういう点について少し検討を要する問題があるのであります。それは、その内容につきまして、御承知のように一億ドルの物資の中で千五百万ドルは日本国における学校児童の福祉関係を拡大するため米国の農産物の贈与が望ましい云々という名前のことになっておるのであります。日本が占領治下にありました際ならば、これはそれでよろしいのでありまするが、今日すでに独立を遂げました日本の国におきまして、ゆえなくして、理屈がなくて他国の援助を受けるというようなことはどうも望ましいことでない、かように私どもは考えるのであります。世界のあるところに災害が起って、世界の国々の人がこれを救済するために物資を送ってやるとか、あるいは特に災難を受けた人のために、富んだ人がこれを救って上げるというようなことは私どもはあり得ることだと考えてよろしいのでありまするけれども、日本の学童がアメリカの食糧品のお世話になるというような感じを受けるということは、決して独立した日本の国民としてとるべき道じゃないと、かように考えておるのであります。それも日本の富の程度で買えないような貧乏な状態であるならばそれは別でありますけれども、何も千五百万ドルの物資を買えないという日本の身分ではない。ただ私のおそれるのは、こんなことをやりますと、かえってアメリカが好意でやったことが反対に逆用されると、こういうようなことを私はおそれますので、かようなことはもう今年はこれでよろしいのでありますが、来年以降はこういう学童に対する援助物資というような問題は、一つ日本の国民の誇りのためにも、また日米間の親善関係を維持する上からいっても、もうおやめになっていただいた方がよろしいと、こういうふうに私は考えるのでございますが、これは文部大臣はお帰りになりましたから——でありますが、総理としてはこれに対してどういうふうにお考えいただけるでしょうか。外務大臣にもあわせて一つお伺いしたいと、かように考えます。
○国務大臣(鳩山一郎君) 私は国境を越えての人類愛というものはやはり尊いものだと思いますので、これがために悪影響があってはまことに遺憾なことだと思います。悪影響の起きないように十分の注意をすべきものであって、国境を越えての人類愛というものをあえて、退けるということだけを目途とすることは、あまりにも狭量ではないかと思います。よく考慮すべき問題だと考えております。
○田村文吉君 まことにその点については私総理と見解を別にいたしておりまして、はなはだ残念なんでありますが、人類愛とかいうようなことは私も先刻申し上げたように、世界に不幸が起った場合に、ある所に不幸が起った場合にこれをお互いが助けて上げるということはよろしいのであります。日本の国の富の程度が千五百万ドルの金が払えないような一体日本の状態か、占領治下にあるならばよろしいのです。占領治下にあるならば占領軍としては当然さようなことについて意を配らなければならないし、さような援助をするのが当然である場合もある、かように考えられるのですが、独立いたしました日本の国民としては、しかも将来の日本をこれから建ててゆこうという時代の青少年に対して、ある国の特別のお情けの食糧をいただくというようなことは、これはもう最も独立自主をおっしゃる鳩山さんにもお似合いにならない。私どもは米国に対して非常に感謝もするし、またお互いにこれを尊敬し合ってゆくけれども、お互いに侵さざる一点がある、その一点を総理としてお考えいただかなければならない、かように考えるのでありまするので、どうもそういう人類愛のような問題で、日本で千五百万ドルの金が払えないならば、それは人類愛もいいけれども、決して払えぬとは言えない、どんなことがあっても払います。そういう問題をそういうふうなお考えで処理されるということが、非常に根本的に私どもの考え方とちょっと合わないような私は気がするのでありますが、もう一度……。
○国務大臣(鳩山一郎君) 人類愛というのは、まあ言わなくてもよかったことかもしれませんが、とにかく児童にしても、もらったものだからということを示すということは悪いと思う。それはあなたのおっしゃる通りに子供に悪影響を及したら大へんなことになります。よく慎重に審議をして悪影響の起きないようにすべく万全の策を講じなくてはならないと考えます。
○田村文吉君 すでに起ったことにつきましては、できるだけ万全の策をおとり下さるということはけっこうでありますが、私は来年もそういうようなことが起ることをおそれるから、さようなことのないように一つはっきりとしていただきたい。先般もあなたが施政方針の中に、自己の尊いということを認識すると同時に、他人お互い同士がまた尊び合ってゆくという、いわゆる独尊互尊であるという精神は私どもよくわかる、わかるが、さようなことをするために、かえって米国に対する反感を招くようなものを作ったりするようなことは、つつしまなければならないことでありますし、私どもはそういうことに利用されることを、一番逆用されることを心配する。そういう意味におきまして、来年またこの同じような問題があるならば、どうか一億ドルを八千五百万ドルで、麦が余るのだから安く買ってくれというのならばこれはわかる。そうしてもらったらばいい。それを千五百万ドルを児童の福祉増進のために使ってくれと、これはよけいなことだということになるのでありまするから、私は両国の親善関係をなお傷つけないためにもかような処置はとらないことがいい、こういうふうに私は考える。はなはだ卑近な例を言って悪いのですが、この間もアメリカの兵隊さんが子供に金をまいた、非常に侮辱を受けたというので村民が大いに憤慨したということが新聞にも出ておった。これは私は当然のことだ、お互いのエチケットとしてもさようなことはなすべきことでない。同様に国自体の間にもエチケットがあるので、このようなことはもし一億ドルを八千五百万ドルに下げてもらえるならば、安くして売って下さったらよろしい、こういうふうに私は申し上げたいのでございまして、すでに今年受け入れることになりましたものは善処して、児童にそういうことについての悪影響のないように一つやっていただく、今後のものについては十分に一つ政府でお考えいただかなければならないのではないか、こういう意味であります。御了解がいただけたらけっこうですが、御了解いただけなければ、私はこの問題は日本国民の誇りとして、私は鳩山総理にあくまでも一つ申し上げておきたいと思う。
○国務大臣(鳩山一郎君) 私は最初からあなたの御意見に反対をしているのではございません。もとよりあなたの御意見は正しいと考えております。
○田村文吉君 最後に私は総理大臣に伺いたいのでありまするが、日本の人口問題がだんだん押し迫って参りまして、経済六カ年計画というようなものもできておりまして、昭和三十二年ですか、九千五百万に近い人口になりますと、こういうようなことで人口問題の解決が非常に困難なことになる。従いまして先般、前年から北海道の開発について開発庁ができたりいたしておりまするが、東北及び北陸信の十一県におきましては非常に気候に恵まれておりませんのと、あらゆる条件からいって過去において非常に生活損耗が多い、生活が困難だ。かような状況下にございますので、何か東北、北陸に対してこれが開発を特におはかりになる計画をお立てになる必要があるのじゃなかろうか、かようなことを考えますと同時に、東北、北陸のようなさようなつまり生活損耗の非常に多い所に対しては、きまった減税の措置をとるような必要があるのじゃなかろうか。それをするにはまず第一に一つ総合調査の研究所のようなものを一つお作りになって、それによって今人口の稀薄である東北及び北陸にもっと人がよけい住めるような方法を考えてやるということが、大きな国土計画の上からいって必要なんじゃないか。かように考えますのですが、どういうふうに総理はお考えになりますか。
○国務大臣(鳩山一郎君) 総合開発計画の樹立、並びにその推進の必要なることはおっしゃる通りであります。現在においても総合開発計画の樹立と推進は、規模は小さいかもしれませんが、とにかくやってはいるのでありまするから、政府としてはこういう計画の推進をもっとしていきますように努力をしたいと考えております。
○田村文吉君 総合開発は特に今の積雪寒冷地帯のような恵まれない所で、そうして人間の少い所、こういう所の産業を開発するとかいうようなことを特に考えていかなければならぬ。こういうわけで特殊にさようなものの総合開発をお考えになっていく必要があるじゃないか、たとえば、はなはだ卑近な例を申しますけれども、東京附近の人で一年に二十四万円の収入のある、月二万円で家族三人で暮している人たちの市民税は一年に四千八百円でございますとすると、東北地方のところでは大体八千円から一万円払っている、市民税で。実に矛盾きわまる話なんでありますけれども、そうしなければ地方の財政が維持できないということで、そういうふうに今日はなっておるのであります。実に矛盾もきわまった話なんでありまするが、そういうことになっておる。それからこれは、年をとると私もちっと血圧が高い方ですから、血圧のことはいつも心配するのでありまするが、おもしろい統計が出ております。東北、北陸というものの平均血圧は、一番日本で低い四国それから関西、関東等に比べまするというと、六十才以上の人が、六十才以上六十五才までですか、平均にいたしまして八つくらいずつ高いのですね。これはある保険の医者が丁寧に調査したのであります。こういうような生活上にも非常に苦しいような生活をしなけりゃならぬ所でございますので、こういうものに対しては、特にこれは一つ根本的に掘り下げて研究をする、調査をする、その調査によって東北、北陸にはまだどのくらいの人口を入れる余地がある、どういう産業を開発する余地がある、かようなことを研究していかれる必要があるのじゃないか、こう考えますので、特に申し上げた次第でありまするが、総合開発は単なるあれだけでなしに、全国的のものというよりは部分的に分けて東北、北陸の積寒地帯に対しては特別の調査機関を設けていただくというようなことに願ったらどうかと、こう考えております。
○国務大臣(鳩山一郎君) 先刻も申しましたけれども、東北、北陸地方の総合開発といたしましては、御承知のように北上、只見、飛越、能登等、六特定地区及び北奥羽と言うのですか、姫川、九頭龍等の七調査地域を設定いたしまして、総合開発計画の樹立並びに推進を現在計画いたしておるのであります。なおこのほか、東北地方においては、新潟県の一地方を加えまして、地方計画を樹立するために、目下この方はできているのがありません。検討中でございます。
○田村文吉君 時間がありませんから、最後に申し上げておきますが、今の河川の総合開発、これは多目的のダムを作るということは非常にけっこうなことでございまするが、一言総理の一つ関心をお願いしておきたい問題は、今まで猪苗代電力であろうが、北陸の黒部川の電力であろうが、新潟の信濃川の電力であろうが、開発されても全部電気が関東から関西に行っている。地方には十分なる電力がなかったというようなことで、料金もあまり中央と地方の料金というのの差が原価に比べましても、安くないのです。こういうようなはことでせっかく雪と寒さに悩まされている国々が持っている水力さえも実はみんなこの関東へ持ってこられる、お聞きになっているでしょうけれども、大阪までは電化をされるけれども、東北の電化は、まだ当分いつになったらできるのかわからぬ、ところが電気を持っているのは東北なんです。電気を持っているのは北陸なんですが、電気はみな暖い方の国々に利用されている。こういうことなんでありますから、こういう点では寒冷地帯の、積寒地帯の開発というものはできない、こう考えますので、これを総理にさらに要望いたしまして、私の質問はこれで終ります。
○委員長(館哲二君) これにて二時まで休憩いたします。 午後一時五分休憩 ————・———— 午後二時二十四分開会
○委員長(館哲二君) 休憩前に引き続いて委員会を開きます。
○佐多忠隆君 世界における緊張緩和の問題についてお尋ねをしたいのでありますが、サンフランシスコの国連十周年記念の各国代表の演説、あるいは四カ国外相会議のいろいろな話し合い、そういうものをめぐり、さらには近く行われる四カ国巨頭会談、そういうものをめぐって、世界における緊張が今後どういうふうになってゆくというふうにお見通しになるか、まずその点を鳩山総理大臣にお尋ねをしたいと思います。
○国務大臣(鳩山一郎君) 私はこのごろの世界の形勢を見ますると、世界の緊張は緩和せられてゆく方に方向を向けておるものと考えます。
○佐多忠隆君 鳩山総理大臣は世界における緊張は次第に緩和する、従って平和への方向が非常に大きな歩みを歩んでゆくだろうというようなお見通しを述べられたのでありますが、重光外務大臣はこの点をどういうふうにお考えになりますか。
○国務大臣(重光葵君) 総理大臣の御意見によって御承知を願いたいと思います。
○佐多忠隆君 日本の総理大臣並びに外務大臣異口同音に世界における緊張緩和の傾向が非常に強まったことを今お述べになったのでありますが、これは私から申し上げるまでもなく、たとえば世界的ないろいろな人々がこういう観測をしておると思うのであります。アイゼンハワー・アメリカ大統領は、ソ連が世界革命のマルクス主義原則を捨て去ったとはたれも予想しないけれども、最近のソ連政策の変化は、国際緊張の緩和への道を地ならしする上に役立ち得るものであるというようなことを言っております。あるいはまたピネー・フランス外務大臣は、サンフランシスコで関係者と会ったことはきわめて効果があり、ジュネーブ巨頭会談を有利に導く鍵を作り出すことができた、ジュネーブ会議ではさまざまな考え方が探求されるであろうが、私はモロトフ・ソ連外相が意見の一致点を見出そうとほんとうに希望しておることがわかった、こういうふうな見解を述べて、とにかく世界の緊張が緩和されるだろうし、しかもソ連がそういう方向にほんとうに希望をし、そういう方向を強く歩み出しておるという意見を述べておると思うのであります。ところが重光外相はこの国会の開会の劈頭、外交演説をおやりになったときに、最近の国際情勢は依然として緩和されない、いわゆる共産勢力の平和攻勢は様相を変え、ために国際関係は緊張の度を増して参りましたと、こういうふうな見通しをつい二カ月前におやりになった。われわれはこれを聞いて、これは大きな見通しの誤まりであり、こういう見通しをもって外交交渉その他をおやりになれば、非常なあやまちを来たすであろうということを口をすっぱくして申しましたが、決してこの見通しが誤まっていないということを、当時は陳弁これ努められた。しかるに二カ月後の今日において、見通しは全く違った見通しを立てておられるようですが、それらの関連を外務大臣はどういうふうにお考えになりますか。
○国務大臣(重光葵君) 世界情勢の判断、見通しは実際非常に困難なことであります。困難なことでありますから、私がそれについて見通しが非常に正確であったということをあえて申し上げることは私はいたしません。しかしながら、二カ月前に私が判断したときには、私はその通りだったと思う。今日、今先ほど言われたことは、緊張緩和の方向に向って動いておるようであるかどうかというお話でありました。鳩山総理もこれを是認されたようであります。私は数カ月前に、ソ連の政策の変化ということは、これは御承知の通りにはっきり出てきたのであります。その結論として、形勢のきわめて重大であり、緊張しておったことは、これまた私は事実と申し上げて差しつかえないと思います。しかしそれではいかない、それではいかないという考え方でもって、世界の指導各国が非常な努力をいたしまして、ここに力の平和から、東西両陣営の緩和の方向にどうしても向けなければいかぬという非常な努力をいたしまして、その努力の今最中であると私は思うのであります。国際連合十周年、御指摘の十周年のことはありますが、これはまあ非常な画期的のことではなかったと私は思います。しかしながらおそらく四巨頭会談が開かれれば、これは画期的なことになると私は思われます。これらのことが続いて今努力が払われておるのでありますから、それを総合してみて緊張緩和の方向に向っておると御判断になることは、私はあえて異存はございません。しかし今それだからすべて緊張は緩和したんだと判断されるならば、これは私は行き過ぎておると思う。この緊張緩和の努力が非常に実を結ぶことを期待します。その努力の一翼を日本はになっておるとわれわれは思って、その努力をいたしておるわけでありますから、さような努力が実を結ぶことを期待しますが、その時期まではあらゆる努力をしてその方向に向けるように進んでいかなければならぬ、こう思っておるのであります。私はさように判断をしておるのであります。それでもし数カ月前に私の申したことが誤まりであるという御批評があるならば、これは御批評は私は少しもこれに対して反駁はいたしません、その御批評は……。しかし私はそう考えております。
○佐多忠隆君 二カ月前に見通しを誤ったと言われれば、ある意味においてはやむを得ないというようなお話でありましたが、私は当時からそういう見通しはきっと誤まるだろうということを口をすっぱくしてこの国会を通じて申し上げたことは御記憶の通りだと思います。これはしかし重光外相が、あるいは日本の外務省が見通しを誤まっただけでなくして、アメリカでも私は誤まった見方をしていたと思うのです。というのは、アイゼンハワーがやっぱり、ついきのうでしたかおとといでしたか、来月の巨頭会談で世界の緊張を緩和し得る見込みは、二カ月前に私が考えていたよりもはるかによくなっているというふうなことを言っておるのでもはっきりしているように、アメリカもある意味では外務大臣のおっしゃったような見通しの誤まりをしていたと思う。たった問題は、アメリカのことを別にすれば、日本の重光外務大臣が、あるいはさらには日本の外務省がいつも国際情勢を見るときに、もっぱらアメリカの見解に追随しておると、アメリカの縮小版をいつも出しておるというような態度をとっておられるのじゃないか。それが私はこういう見通しの誤まりをもってきたのじゃないか。あの当時でも、少くともアジア、アフリカのいろいろな動きをもっと冷静に考え、あるいはまたヨーロッパの、特にイギリスやフランスの動き方、さらにはソ連、中共の動き方をもっと冷静に考えれば、アメリカがどう希望し、どう判断しようと、あるいはどう警戒しようと、もっと冷静に考えれば、今見通されているような見通しがすでに二カ月前にできていたはずだし、われわれしろうとですら、そういう見通しを立てていたのだから、もっと冷厳にそれらの諸見解を検討されたならば、おのずから出てきたのだし、従ってそれに相応するもっと間違いのない外交政策がさらに積極的に推進せられたと思うのですが、どうも日本の外務省なり外務大臣は、そういう点において非常に欠くるところがあるのじゃないか。そういう今申し上げたようなことが原因になって大きな見通しの誤まりをしておられるのじゃないか、私はこう思うのでありますが、外務大臣はそれをどうお考えになるか。今後さらにそういう態度、見方をもっと改めて、もっと冷厳に国際情勢その他を判断する努力をされる用意があるかどうか、お聞きをしたい。
○国務大臣(重光葵君) 外交政策の根本に対する御非難のようでございます。今申された第一点、アメリカの考え方が日本に反映したのではないか、こういうお話でございます。アメリカにおいては御承知の通りに、国際問題の研究家の大部分は、国際関係の緩和ということは考えておりませんでした。判断はしておりませんでした。アイゼンハワーもそうでありました。しかしそれはアメリカだけじゃございません。イギリスもそうであります。イギリスはチャーチルが世界に向かって原子爆弾の戦争が始まるかもしれないといって警告を発したのはちょうどそのときでございました。議会におけるチャーチルの最後の大演説がそれであります。それは御承知の通りであります。それのみではございません。モスコーにおいてモロトフが——マレンコフ政変のあった直後に、モロトフが最高会議で演説をした演説は、きわめて態度のきつい、つまり世界情勢が平和の方向に向くとは見ておりません。非常に強い演説であったことは、これは御承知の通りであります。かような情勢のもとに、世界情勢の緩和をはからなければならぬというふうな努力が非常に台頭してきたものだと私は判断をいたしております。またさようにしなければどうなるかわからぬ、いよいよ原子爆弾の戦争が始まるかわからぬから、これをあくまで防がなければならぬという努力が持ち上ったことは、これは事実であります。これはアメリカもそうであります。イギリスもそうであります。またソ連もそうでありましょう。そうでありますから、ソ連はその以前から一つの政策の実行のためにも、いわゆる平和攻勢というもので平和風を世界に吹かしております。その平和攻勢によって影響を受けた人々は、もうずいぶん前から、世界は平和である平和であると、こういうことを言っておりました。つまり世界は平和の傾向にあるのだと、こういうことをすでに言っておったのであります。それはしかしソ連の平和攻勢に影響を受けた思想が多分にありまして、それは日本だけじゃございません。しかしそれは私は世界情勢の真相ではないと思います。世界情勢の真相はさような表面的なものじゃなかった、しかし今日といえども、果して世界情勢が真に平和の傾向に根底からあるということを断言し得る人はまだそうたくさんはない。宣伝的に言うならば、これは別であります。しかしいかにこのソ連の政策が実態が変らぬと、こう言ってみても、またソ連の政策の変化はこれは戦術的変化であると、こういうことにみても、私どもはこれを実際的に見て、ソ連が緊張緩和のためにいろいろな政策を出し、最近は中立政策を出し、さらにそれから安全保障思想を出してきた。そして四巨頭会談までこれはいこうというのでありますから、この政策は私は実際にいい方向におるとしてこれは歓迎して差しつかえないのじゃないか。その真意がどこにあるとかいうことは、あまりにこれを哲学的に掘り下げる必要もないかと、こう思うのであります。そのために日ソ交渉のごときものも、向うがこれに応じてくれるということになれば、これ喜んで応ずべきだと、こう考えて私は乗り出しておるわけであります。従いまして私が世界情勢の判断によって日本の平和政策を進める、その進め方において、私は少しも私の判断が逆行しておるとか、悪影響を持っておるとかいうことはないのであります。私はいずれの場合においても、日本の対外平和政策は、平和外交はあくまで進めていかなければならぬと、これは最初からその方針でやっておるわけでありまして、それが私は間違いであるとは考えておらないのでございます。
○佐多忠隆君 私といえども、重光外務大臣が平和政策を遂行し、平和的な方向へ、日本はもちろんアジア、世界の態勢をもっていこうと努力されることが間違っているとは毛頭申しませんし、むしろそういう方向を推し進めらるべきだと思いますし、その限りにおいては私たちも鳩山内閣を支援することにやぶさかではないのでありますけれども、ただ問題は、先ほど申しましたような見通しの誤りのために、その平和政策がもっと積極果敢に、適時に展開をされないといううらみがある、そこに問題があると思うのであります。いろいろ御説明がありましたけれども、アメリカやあるいはソ連の当事者たちの動きだけを見ていれば、あるいはその一定の短かい段階においては非常な緊張緩和があり、これが長い見通しの一こまになるようなふうに考えられるかもしれませんが、もっとその底を流れる国民大衆あるいは人民大衆の平和への願い、その他をもっと掘り下げて考え、それに大きな信頼を寄せるならば、たとい政策当事者たち、権力者たちは、その方向をある意味においては好まないにかかわらず、国民大衆の、人民大衆のそういう平和への願いによって、その方向をとらざるを得なくなり、それが今結実をしつつあるんだし、そういう方向としてそういう方向を長い目で見たら、あのときでも見方を誤まっていなかったはずだと思うのであります。しかしこれは意見の相違になりますからこれ以上議論をいたそうとは思いませんが、ただ望むらくは、世界情勢の判断においてはそういう精神を持たないで、冷厳に世界的な情勢を分析をし、判断をしていただいて、せっかく進めようとしておられる平和政策に誤まりなく積極果敢に進められることを特に希望をするわけであります。 次に、軍縮の問題をどういうふうにお考えになるか、世界的な軍縮の問題、その方向がどういう方向に進むとお考えになるか、まず鳩山総理大臣の御答弁を承わりたい。
○国務大臣(鳩山一郎君) 私は日本の軍備は、すべての独立国が持っておる軍備の最小限度の程度までは日本も軍備をしていく必要があると思います。世界的の軍縮ということは、私はもっと進んでいくような気がいたしております。国連のいろいろな相談によりまして、世界的の軍縮の傾向はもう少し強化されるのではないかというような気分がありますけれども、日本の軍備は、一般の独立国が持っておる軍備に比しては非常に少いのでありまするから、他の諸国が持っておる軍備の程度まではとても持つことはできませんが、世界の独立国の持つ最小限度の軍備ぐらいは日本も持たねばならぬ、これがやはり世界平和を強くする一つの原因になると考えております。
○佐多忠隆君 同じく軍縮の問題について外務大臣はどういうふうにお考えになりますか。
○国務大臣(重光葵君) 総理の御答弁によって御了承を願います。
○佐多忠隆君 世界的の軍縮はさらに進むであろう、これから相当進んでくるであろうというようなのが総理大臣並びに外務大臣の御所見であったと思いますが、日本の軍備の問題は後ほど触れることといいたしまして、世界的な軍縮の問題は、今総理も外相もお答えの通りに相当大幅に進むと見ていいんじゃないかと思います。特にダレス・アメリカ国務長官も、二十八日でありましたか、巨頭会談においては軍縮討議は究極において大西洋同盟諸国とソ連ブロック間の軍備を削減をし、均衡化する方向へ発展することになる可能性が非常に強くなったと思うと、こういうふうに言っております。あるいはまたイギリスのイーデン総理大臣も、これは二十八日のイギリス下院において言っておりますが、全般的な軍縮協定締結の見通しは好転しておると、こういうふうに言って、そして今度の巨頭会談における軍縮問題の発展を非常に期待をし、あるいは希望をしておるという状態であると思います。世界的な情勢はこういう方向に非常に大きく進んで参ったと見るべきであると思いますが、これらの世界的な情勢に関連をして、極東における緊張緩和の問題はどういうふうになるとお考えになるか。鳩山総理大臣にまず御答弁を願いたいと思います。
○国務大臣(鳩山一郎君) 私は東洋において、あるいは東南アジア等において、今緊張した空気はないと思っております。
○佐多忠隆君 外務大臣に、特にアジアにおける諸国の動きと関連して、今の極東における情勢をどういうふうにお考えになるか。
○国務大臣(重光葵君) 極東における情勢は、世界の情勢の反映として各関係国は緊張を緩和せんと非常に努力をしておると私は見ております。
○佐多忠隆君 東南アジア諸国の首相その他はしきりと中共あるいはソ連を訪問をし、逆にソ連、中共からもまた東南アジ了諸国への訪問を約束をしている。同時にアジアの諸国の首脳部もまたアメリカあるいはイギリスの方に回って、同じように平和の探求を非常に積極的にやっている。特に中共をめぐってそういう動きが——中共の問題、特に台湾の問題をめぐって、そういう動きが非常に強くなって参ったと思うのでありますが、たとえばインドのメノンの動きにしましても、あるいはビルマのウー・ヌーの動きにしましても、その他いろいろな活発な動きが行われている。そこで台湾問題に最も利害関係があり、最も直接の関係を持っておるわが国は、これらの動きに対してどういうように処すべきだとお考えになるか、総理大臣並びに外務大臣の御所見を承わりたい。
○国務大臣(重光葵君) 私はアジア方面における諸国が、お話の通りに今平和の探求のために東奔西走して努力をいたしておるということは、今非常なこれは大きな現象であると考えます。実は佐多先生の御出席になったバンドン会議そのものが、これはいい見本であります。バンドン会議において、アジア、アフリカの諸国が集まり、またバンドン会議終了後に、あるいは中共を訪問し、またそのうちの最も有力な人人が日本にも来られた。さようにして少しでも形勢の緩和、緊張の緩和ということに努力をするということは、私は非常な有意義なことだと思います。台湾海峡の問題は、非常にこれは東亜における緊張の中心でありました。しかしこの問題についても、日本としても私は若干の貢献をし得たことを非常に喜ぶものでございます。この緊張緩和に日本がバンドン会議を通じて相当の貢献をし得たことは、非常に喜ぶべきことであると私は考えております。さようにして、もし中共と米国の関係がこれによってだんだん話し合いの時期に推し進められて、そうして妥協を見つけ出すことができるならば、これはもう非常に大きなことだと考えます。 そこで台湾の問題は日本にとっては歴史的に直接の関係を持っております。そこで台湾の問題について、日本は最も大きな関心を払うことは当然でございます。従いましてこの緊張——台湾を中心とする極東の形勢の緩和について、日本はできるだけの努力を尽さなければならぬと思います。そこで絶えずこの問題については関係国の意向を探って、特に米国との連絡によって、情報及び意向を明らかにして、そうして日本側の東亜の平和及び安定を希望するその要請を絶えずかような方面に伝えておるわけであります。これはアメリカ、それから台湾の国民政府の関係になります。中共とは直接の関係はございませんけれども、しかし日本側がこの問題に重大な関心を持っておるということは、むろんいろいろ言論機関を通じても、これは中共はわかっておることでございます。そこでこの台湾問題を中心とする緊張緩和の方向にぜひ形勢を作り出していきたい、こういうふうに考えて努力をいたしておるわけでございます。
○佐多忠隆君 台湾問題の平和的な解決、特に中共とアメリカとの折衝の問題等に非常な関心を持たれて、これが平和的に解決することに非常な関心を持ち努力をしておるとおっしゃる、その方向は私たちも賛成であります。ただしかし、それが少しも積極的になされていないのじゃないか、むしろその問題について、日本が立ちおくれをしているのじゃないかという危惧を私は持つのであります。今外務大臣もバンドン会議をお出しになりましたが、バンドン会議のあのときに周恩来は、私昨年九月に中国に参りまして、そのときから知り合っておりますので、バンドンでも始終いろんな連絡をしてくれましたが、周恩来は、バンドンに自分は来て、各国の首席代表とひざを交えてゆっくり懇談をして、いろんな問題を論議をいたし、特に台湾問題についていろいろ話し合いをしたいのだ、従って日本の代表ともゆっくり一つこの問題で話をしたいのだという希望を申し述べておった。しかもたびたび周恩来から言われる連絡その他で察するところは、台湾問題について、中国はアメリカと平和的な話し合いに入る用意があるのだが、この問題はこれまでインドが仲介をし、イギリスあるいはソ連からいろいろすすめられていた。しかし今まで実は色よい返事をしていなかったのだ、しかしたまたまバンドンに来て、バンドンにアジア、アフリカの諸国の人たちが集まってきているので、このアジア、 アフリカの諸国の人たちがあっせんをして、そのため自分はアメリカと平和的な交渉に入る決意をしたのだという態勢を作りたいのだ、それが、アジア問題はアジア人自身の手で、あるいはアジア問題はまずアジア人の手で解決をするという態勢を作る一歩なんだということをいろいろ言外にほのめかして——だから日本の首席代表ともよくひざを交えて会いたいのだがということをたびたび言っております。従って私は高碕全権にもそのことをしばしば申し上げて、ゆっくり一つお会いになったらどうかというお勧めをいたしましたが、どうもそれがいれられずに、あまりゆっくりお話しにならなかったようです。バンドン会議の終りの最後のころになりますと、インドネシアあるいはビルマ、インド、そういうところだけでなく、フィリピンのロムロも、タイのワイタヤコーンもこの問題の中に入って、何かあっせんをしようというふうに動いてきておる、そういう形勢であれば、日本もやっぱり積極的に入ってこの問題に一役を買い、あるいは日本が中心になってこの問題を展開することが、日本のアジアにおける地位を高め、そしてまたアメリカもそれをある意味では非常に望んでいたあのときの状態です。あのころは、御承知の通り金門、馬祖両島の問題で非常に困って、何とか打開の道を探していたときだから、そのときに日本がイニシアチブをとってそういうあっせんをし、そういう打開をすることが、日本のアジアにおける地位を高めるのみならず、アメリカに対する発言力を非常に増すゆえんであると思ったから、私は口をきわめてそういう役割をされたらどうだということを申し上げたが、ついに御採択にならなかった。日本の代表は詳しい会談をされないままに最後の日に、周恩来はあの有名な、アメリカと平和的な話し合いに入る用意ありという宣言をいたして、それが世界各国に非常な影響を及ぼし、現在極東の緊張緩和のかぎとしてそれがだんだん発展をしつつある。私はこういう問題にこそ日本が積極的なイニシアチブをとって入って、大きな役割を果すべきだと思うのだが、残念ながら日本の首席代表はそういう役割を果されなかったのです。これは首席代表の罪ではなくして、察するに日本の外務大臣が、あるいは外務省がこれをやらせなかったんじゃないかと、こう判断をいたすのでありますが、そういう態度でなくて、今からでもおそくないと思いますが、台湾問題の解決については、今言われたような、ただアメリカの意見も、情勢もいろいろ聞きながら、何とか進めていくというようなやり方でなくて、もっとイニシアチブをもった積極的な働き方をして、極東の緊張緩和のために努力をされてしかるべきだと思うのですが、その点を総理大臣と外務大臣、どういうふうにお考えになりましょうか。
○国務大臣(鳩山一郎君) 私は極東の平和というものは、お互いがつき合いをして、貿易を増進する、あるいは未開地の開発とか、とにかく経済を緊密にして、平和の方がお互いに利益があるのだという基礎の増大によって、平和に持っていきたいという考えを持っておりますので、機会があればフィリピンでも、あるいはビルマでも、あるいはヴェトナム——とにかく緊密なる関係を持って、中共とも……、そのためにも貿易を増進して、そしてお互いに平和の方が利益だということを認識するのが一番平和を持ち来たすゆえんだと考えます。そういう方に日本は働くべきものだというようなことを根本的に考えておるのであります。外務大臣からあなたの御質問に対してもまともな答弁をさしていただきます。(笑声)
○国務大臣(重光葵君) 私も総理大臣の御意向通りに考えております。しかし今のお話は、台湾問題のごときについて、日本はさらにイニシアチブをとって、そしてアメリカと台湾もしくは中共、これらの三角関係を処理して、そして東洋の平和を進めていったらよかろう、こういう根本の大きな政策についてお話があったわけであります。私はその御趣旨についてむろん異存はございません。しかしながら外交の現状を進めてゆく場合において、たとえいいことであるといっても、飛躍的に、現実と離れて飛躍的に考えを進めていって、ただイニシアチブをとって国威を発揚すると、こう言ってみたところで、国威の発揚はできません。現実に足を地につけて、現実の状況、日本が今日置かれた、世界における日本の地位をよく検討して、現実に進めてゆかなければ、私は国威は上らぬと思う。そこで台湾問題のごときも、これを日本がもし調停をするというようなところまでやれというお話でありますが、調停をするような場合には、はっきりした案を持ってゆかなければいかぬ。台湾をどうするか、たとえば馬祖、金門の島々をどういう工合に処理するか、はっきりした案を持たなければいかぬ。今はそういうことでもございませんが、これを昔の、戦前の時代でいえば、もしそういう調停案について異存があれば、実力をもってもこれを遂行するくらいな力を持っていかなければ、ほんとうの調停というものはできないです。私は今の日本がこれらの問題について非常に重大な関心を持っておる。特に東亜の平和、安定について日本はほんとうに真剣に考えておるということを常に関係国によく了解せしめて、それと同時に日本の公正なる考え方をこれらの国々に採用をしてもらって、周恩来氏の言うように、アメリカとの直接談判も開く形勢を作ってゆく、そして互いに話をして妥協し得るように助成することが、今の一番これが日本のやり得べきことであり、最も現実な方法であると私はこう考えております。そこで私は結論的に申し上げれば、むろん気持は今の佐多委員のお気持に合するわけでありますが、私、実際的な手段としては、私は飛躍的に考えることはやらないで、現実に日本の地位を一歩々々と進めてゆくという現実なやり方をもって進めてゆかなければ、日本の位置として決してそれは安全でないと私はそう考えておるわけであります。
○佐多忠隆君 堅実に誠実にやりたいという点は、私も全く同感です。しかしいよいよの場合は、実力をもってでもこれをやらせるくらいの力がなければ、問題はだめなんだというような、そういうお考えであるから、問題が一向に進まない。(国務大臣重光葵君「そんなこと言やしません」と述ぶ)日本の、日本よりかもっと遠隔にあるインドにしても、インドネシアにしても、ビルマにしても、台湾の問題について、一つの解決案その他をちゃんと検討をし、持っていろいろ機運を作り上げてゆきつつあるので、これらの国ですら——こういっては失礼ですが、これらの国ですら、あれだけ進んでいるとするならば、日本はもっと、利害関係からいっても、国力からいってももっと積極果敢に動けるはずだし、そういう動きがわれわれは期待をするし、しなければならないのじゃないかと、こういうふうに考える次第であります。で、周恩来は、日本の使節代表と数回にわたって長時間話し合いたいということをたびたび私に言っておりましたが、ついにその機会がなかったために最後の日に、私たちがあそこを出発する最後の日に、首席全権とゆっくりお話ができなかったのは非常に残念である。従って顧問団の皆様方ともぜひお会いをしたいというので、出発の日に朝八時から十時半まで二時間半にわたっていろいろ会談をいたしました。この会談の内容は、そのときに一緒に行かれました槇原悦二郎さんがちゃんと聞かれて、最後に別れるときに植原氏に、この私が今日申し上げたことをぜひ与党の植原先生、あなたは総理大臣、外務大臣にもとくとお伝えを願いたいということを口をきわめて、最後に結びとしても言っておりましたから、すでにお聞きになったと思うのでありますが、中国と日本との問題は、たとえば貿易の問題にしても、通商代表部を設置するというような問題なり、あるいは輸送の問題についても、港湾をあけるとかあけないとかいうような問題になって、あるいは決済の問題についても、中央銀行あるいは特殊為替銀行がこの中にどういうふうな介入をするというような問題になっておる。あるいはさらには在留邦人の問題、戦犯の問題にしても、今や、たとえば戦犯の問題にしても、この執行猶予をどうするかとか、仮出獄をどうするとかというような問題になっておる。これらのすべての問題が、今や政府と政府の間の話し合いをやらなければ一歩も進まない段階に来ておると思いますと、従ってぜひこれらの問題の折衝するために、政府と政府との間の折衝に移るようにしたいということを中国側は切望をしておるのでありますが、どうかそういうふうに事態が進展をするように国会議員の方々はおはかりを願いたいし、特に与党の植原先生にそれを総理大臣、外務大臣によくお伝えを願いたいと、こう言って別れたのでありますが、日中国交回復の問題がすでにその段階に来ておるし、それをやることによってさらに極東の緊張が緩和される方向に大きく進むと思うのでありますが、それらの点をどういうふうにお考えになるか。
○国務大臣(重光葵君) それらのバンドン会議における周恩来・中共総理とバンドン会議に出席された顧問の方々との会見状況は、非常に私どもの政策運用について参考に相なっておるわけでございます。しかし、他国の総理が会議に出席された人々と会議の席上で、つまり交渉でなくして、政府と政府との交渉のやりとりでなくして、その他の機会において多数の方々に会って話をしたことが、一々それをそのまま受け坂って、これを日本の政府はそれによって態度を決しなければならぬということであったならば、これは先方の策略とは言うわけじゃありません。先方はまじめにこの意思表示をしたと承知をしておりますから、それはそれで非常に参考になりますけれども、そのままに受け取って、こっちが政府としてこれを行動に移さなければならぬということになれば、それは非常に手違いが起るのでございます。私はバンドン会議に出席された議員の方々のかようなお働きを非常に多とするものであります。そうしてそれは非常に参考に相なりました。しかしそれは交渉ではございません。周恩来がこう言った、こう言ったからこうしろということであったならば、これは非常に考えなければなりません。参考にしてそうしていろいろこれに対処する処置を考えていきたいと、こう考えておるのであります。またそうやっておるわけでございます。決してさようなお働きは無にするわけではございません。それからまたわが代表、全権もさようなことは十分に頭に置かれて、そうして周恩来首席との接触には直接、間接努められたわけでございます。その内情も私も十分報告に接しておるのでありまして、それに対しては、非常に中共その他のことに対するわれわれの施策を考える上に重要な資料となっておるわけでございますから、その点もあわせてつけ加えておきます。
○佐多忠隆君 特に戦犯の問題、在留邦人の問題については、まず手初めにこれくらいは政府間の折衝としてぜひ問題を打開するようにしたらどうですかということをしきりと言っておりました。ことに、さっき申しましたように戦犯の問題なんかも、すでに仮出獄とか釈放であるとか、そういう問題を解決しなければならない段階に来ておるので、ぜひ直接に政府のしかるべき機関との折衝に移したいということを切望していたのでありますが、先ほどの外務大臣の御答弁によりますと、すでにその問題については、何らか政府が直接の折衝にお移りになるように聞きましたから、これはあなた方が言われる、すべての国交回復その他の問題に先がけた人道上の問題であると言われるのであれば言われるほど、この問題は直接に早速政府間の交渉として問題を解決をしていただきたい。たとえば同じ国交関係のないアメリカでも、たとえばスイスの出先の在外公館をして直接に捕虜の釈放の問題その他についての折衝をいたしておるようでありますから、日本でも、従来の内閣のように国交関係がないのだから、そういうものは正式な話ができないというようなことを言わないで、そしてできないとあの当時は言っておきながら、今になって人道問題だからまず何よりも先に片づけるといったような失態を再び繰り返すことのないように、早急にこの問題は進めていただきたいのでありますが、外務大臣どういう御所見でしょうか。
○国務大臣(重光葵君) この件については、先ほど御答弁したことによって御承知を願いたい。あの通りであります。その趣旨でもってやることにいたします。
○佐多忠隆君 方針をそういうふうに決定されただけでなく、その問題を早急に一つ実施に移していただいて、早い機会において、それがどの程度実を結びつつあるかということまで、すみやかな御報告のできることを切望してやみません。 次に、経済計画の問題に移りますが、経済計画はこれまでの予算の審議でいろいろ論議をいたしてはっきりなったことは、現在の六カ年計画あるいは三カ年計画は、政府の、あるいは経済審議庁の計画というよりも、むしろ一つの希望図であるというようなことがはっきりなったようでありますが、問題は、この希望図を今後いかに本来の計画に組みかえていくかということであろうと思うのであります。そこでます。その問題を大臣にお聞きします前に、日本には、すでに政府の各省、各機関には数年前からいろんな長期計画が立てられておる。しかもそれがばらばらに立てられておって、それぞれに一部実行をされ執行をされていながら、相互のいろんな食い違いができてきて、いろんなふつり合いが出て参って困難をしておるというのが現在の実情ではないかと思うのですが、各省、各機関において作られておる長期計画——非常にたくさんなものがあると思いますが、それを一つずつ、一つ件名だけでけっこうでありますが、まずあげてみていただきたいと思います。これは大臣をわずらわすまでもなく、政府委員から御答弁を願いたいと思います。
○国務大臣(高碕達之助君) お説のごとく、六カ年計画を遂行いたします計画を立まする上において、各省との連絡を密接にいたしたいと存じておりまするが、各省の方では、通産省の方では——項目だけ申しますが、石炭合理化計画、電力五カ年計画、貿易長期計画、合成繊維増産計画、鉄鋼合理化計画、石油開発計画等がありますが、それから建設省におきましては、道路整備計画、住宅建設計画、治山治水対策等がございます。それから農林省におきましては、食糧増産五カ年計画というのがあります。それから運輸省におきましては、海運増強計画、それから厚生省には家族計画というのがありまして、今回新たに厚生省の方で、厚生計画と申しますか、そういうふうなものを一項目加えることになっております。内容のことにつきましては、もしなんでしたら政府委員から答弁いたさせます。
○佐多忠隆君 時間がありませんので、内容の一つ一つについての御説明は今ここで求めませんが、一つ、それらの計画を全部資料にして、後ほど各委員に御提出を願いたい。 総理大臣にお聞きしますが、今非常にたくさんの計画が述べられましたように、各部門、各方面にわたっていろいろな長期計画が立てられております。しかるに、前の吉田内閣の時代は個々の部門においてはこういう長期計画が行われておるにかかわらず、日本の経済の計画化を考えることは赤だから、そういうものを取りまとめた経済計画化というようなことはやるべきでないというようなことの吉田総理大臣の意見によって、あるいは好みによって、あるいはもっといえば悪趣味によって、これらの計画がみんな日の目を見ることなく陰でこそこそと一つ一つ実施に移されていたという実情であったと思うのです。しかるに鳩山内閣は、これらの問題を取り上げて総合経済計画を立て、それに基いて日本の経済を総合的に計画的に運営をするんだということを強く宣明をされて、大きな政綱の一つに掲げられたのでありますから、鳩山内閣としては、経済六カ年計画を単なる希望図としてお作りになるだけでなく、これら各部門にある個別の長期計画をよく総合的に組み合せて、一つの総合的な長期経済計画を打ち立てられることが、この際ぜひ必要だ、これは今年度から直ちにおやりになる必要があると思うのです。同時に、しかしこれは各省のなわ張り争いその他でいろいろな障害があって、これを総合化し、統一化することは非常に困難な問題でもあります。各省のセクト主義に妨げられて、非常に困難な問題でもあり、これまで総合企画官庁が最もその点は苦心をし、今までに作り上げられなかった点でもあると思うのです。鳩山総理は幸いにして総合経済計画を立てるということを打ち出されておられるのだから、それらのあらゆる各省のセクト主義を排除して、強力に総合経済計画設定の活動をお命じになる決意があるかどうか、その点をお聞きしたい。
○国務大臣(鳩山一郎君) お答えをいたします。総合経済の計画を立てる必要があると思いますから、さっそくにそういう企てに手を伸ばして参りたいと考えております。
○佐多忠隆君 その各省の長期計画をどういうふうに総合化し、ほんとうに下からの積み上げの計画として、六カ年計画なりなんなりを仕上げられる用意がどういうふうにおありになるか、どういう方針で積み上げようとしておられるか、高碕大臣にお尋ねしたい。
○国務大臣(高碕達之助君) お答え申します。各省の長期経済計画を十分検討いたしまして、これを審議庁において一括いたしまして、各省と一々連絡をとりつつ、その間の調整をして、総合的に考えた結果、あるいはそこに計画上縮小しなければならぬものもありましょうし、また増強しなければならぬ点もあると思いますから、その点をよく調整いたしまして、そうして現在の実情と過去の実績に照らして、できるだけ正確な数字をもって積み立て式に逐次計画を立てていきたいと存ずる次第でございます。
○佐多忠隆君 いつごろまでにできますか。
○国務大臣(高碕達之助君) 大体各省から十月ごろまでに出していただいて、十月末ごろまでにそれをまとめたいと存じております。
○佐多忠隆君 その時期では来年度予算の編成その他に間に合わない、もっと先を急がれなければならぬかと思いますが、その予算との照合の問題はもう少しあとでお尋ねをすることといたしまして、その前に、その総合計画を立てられる場合に、日本の産業構造をどうするかということが非常に大きな問題になると思うのであります。ところがそれにつきましては、御承知の通り昨年の秋に、世界銀行の農業調査団が日本の農業について検討した報告書を発表いたしました。その報告書によると、日本は食糧を輸入するために、工業生産を拡大していくということはばかげたことであって、むしろ食糧増産のための投資をより多くした方がいいのだという報告書であったと思うのです。愛知用水の計画その他各方面の農業開発の計画が、このたび相当大幅に取り入れられたようでありますが、これはおそらくこの報告書のアドヴァイスによられたのだと思うのであります。しかるに、同時に日本は過去、終戦後十年間にわたって非常に膨大な資金を食糧増産のために投下したにかかわらず、ほとんどその経済効果が現われていない、量的に当初見込まれたような増産がほとんど成果を上げておらないのみならず、経営の方面からも、農産物の価格方面からも、ほとんど農産物の価格切り下げ、コスト切り下げというようなことが行われないで、世界に例を見ないような高い食糧増産になっているのだ、そういう意味で日本はむしろ食糧増産に力を注ぐよりももっと鉱工業生産に全力を注いで、むしろ食糧を輸入するような体制をとった方がいいんだと、この際そういうふうに少し思い切って方策を変えたらどうかというような意向が一方にはあると思います。大蔵大臣が米価の高騰を非常に押えられる背後のお気持にも、私はそういうものが相当強くあるのじゃないかと思う。そういう意味で日本の産業構造を、経済構造をどうすべきかということは、今度新しい計画を立てられるときに、根本的に再検討をしてみなければならない段階に到達をしておると思うのですが、この点を高碕大臣はどういうふうにお考えになっており、どういうふうに処理されようとしているか、御答弁を願います。
○国務大臣(高碕達之助君) お答え申し上げます。この経済六カ年計画の最終の目的は、自立経済を達成せしめて完全雇用を目的といたしておりますが、その点から考えてみますというと、どうしても輸出を増進し、同時に輸入を防遏する、この方針をとらなければならぬと存じておりますが、食糧増産の方は輸入防遏という上からいきまして、現在におきましてはどうしても二割の食糧を輸入せなければならぬ、これをどうして自給できるか、こういう点から経済面からも一方考えていかなければなりませんのみならず、この現在の日本の農業の状態は、佐多委員のおっしゃったごとく、経済的に考えますというと、広漠なる土地を持って機械的の農業であるこの方面と競争いたしますというと、なかなかこれは競争がしこくいりであります。しかしながら農業というものは単に経済的に考えるべきものでなくて、この人口の問題また国民の精神、国民の将来性、いろいろな点から考えまして、農村に対しては社会的の考え方をもって考えてこの政策を講じなけばならぬ、こういう意味から申しますというと、ある程度の食糧は輸入いたしますけれども、輸入をだんだんやってしまってそろばんが合わぬから日本の農業は捨てておくという、こういう考えは大間違いだと思います。といって、全然世界の相場にかけ離れたる高いものをもって日本の農産物を国民のほかのものが負担するということも、これまた困るわけでありますから、どうしても農業というものは多角的経営にして、農村の収入をどうして増すかと、この方面に農村のあり方を持っていきたい、こういう考えであります。また国民の自立経済を達成します上におきましては、輸出を増進せなければならぬという方面でございますが、これは第一にコストを切り下げなければならぬ、コストを切り下げるということになると、すぐに失業問題というものが起るわけでありますから、失業対策というふうなことから考えまして、治山治水あるいは国土開発あるいは道路とか、そういう方面に失業者を持っていくということを一面考えますると同時に、輸出産業を増進する上におきましては、どうして輸出をふやすという点にあるわけでありますから、これはコストを下げるというだけではなくて、経済外交というものを十分発揮していかなければならぬ。同時に日本の将来におきましては、海外投資というものを相当大きなファクターとして持っていきたいと存ずるわけなんでございます。過去におきまして、日本民族が台湾、朝鮮、満州、中国等に投資をしておりました金額というものは、私どもの概算でありまするけれども、約五十カ年間に、米金に直しまして百五十億ドルという大きな——これは概算であります、推算であります、推定でありますが、百五十億ドルという大きな投資をいたしたしたのであります。五十カ年に百五十億ドルということは、一年に三億ドル、米金の三億ドルずつを日本の莫大な軍備に耐えつつあれだけの投資をする力を持っておった国民でありますから、私は日本の将来を考えましたときに、輸出増進と同時に資本の輸出をする、輸出に対しまして海外投資をするという方面にも考えていきたい、こういうものを計画に織り込んでいきたいと、こう存ずるわけであります。
○佐多忠隆君 どうも、食糧増産と重化学工業と経済構造の問題をどういうふうに語調せしめていくかという点について、はっきりした満足な答弁がないのであれですが、時間がありませんから、この点はもう少し根本的に今度の計画作成のときに御検討を願うことを強く要望して次の問題に移りますが、こういうふうに長期の経済計画をやるということになれば、必ず長期にわたっての財政計画、大きな見通し、財政の見通し、その他ができなければならない。これまで長期計画を作る場合に一番障害になったのは、いろいろな部面における長期計画があちらこちらに作られておるにかかわらず、財政だけはがんとしてこれは一年度の財政だけを作って、長期財政計画を作られない。そうして一年々々その財政だけが王座のごとくすわってしまって、それにすべてのものを隷属をさせるというようなやり方でやってこられたのでありますが、今後はそういうことであってはならないので、あくまでも総合経済計画の一環として長期財政計画が打ち立てられなければならないと思うのでありますが、この点について大蔵大臣はどういう御意見であり、どういうふうに対処していこうとされるか。
○国務大臣(一萬田尚登君) 今度六カ年経済総合計画をやるに当りまして、これをつないでいく具体的な計画につきまして、財政当局も十分これに参画をいたしまして見積りをいたします。同時に、この総合的経済計画に対応して、財政についても長期の見通しを持つ計画を樹立していく考えをいたしております。
○佐多忠隆君 非常に重要な言明でありまして、これまで吉田自由党内閣のどの大臣も、財政計画の長期財政計画を立てようということはがんとして峻拒してこられた点でありましたが、今大蔵大臣は明瞭に、長期財政計画を長期経済計画に照応しながら立てるということを御言明になったのでありますから、この言明は裏切ることなしに正確にお立てを願いたい。誠実にお立てを願いたい。この次には必ず政治的な責任としてわれわれはこれを追及をしたいと思いますから、その点はしかと一つ覚悟をしておいていただきたいと思います。 同時に長期防衛計画でありますが、これも鳩山総理にお聞きをしたいのですが、鳩山総理大臣は今国会の施政方針演説のときに、経済六カ年計画に見合う長期防衛計画を作成するつもりであるということを明瞭に言明をされ宣言をされた。従って今度の予項編成については、その背景をなすこの長期防衛計画があるものと思って、われわれは執拗に追及をしたのでありますが、ついに今日に至るまで出して参りません。しかし、総理はこういうふうに言明されておるのであるから、よもやこの言明を裏切られることはないと思いますが、この長期防衛計画を作成するつもりは、今も依然としてお持ちになっており、すみやかな機会に作るように督励をされるおつもりであるのかどうか。それから、なぜ今に至るまでこれができないで提示をされないか、その障害になっておるものは何なのか。その点を御説明を願いたい。
○国務大臣(鳩山一郎君) 経済六カ年計画に沿わない防衛計画は用をなさないもんだと思いますので、経済計画に沿うような防衛計画を立てたいと今なお思っておるのでございます。 そこで、経済計画に沿うところの六カ年の長期防衛計画ができているかというと、全くできていないのだそうであります。防衛長官は、自分が長官となって以来、もうたびたび変更になって、まだ確定したものがないという報告でありますので、長期防衛計画を発表する時期にはなっていないのであります。
○佐多忠隆君 しかし、総理はすでに国会再開の劈頭においてこれを宣言をされたのでありますから、ないです、まだできていないですじゃ、政治的な責任上済まされないと思います。この点は十分政治的な責任として対処していただきたい。 すでに持時間がなくなりましたので、もうこれ以上やれませんが、最後にただ一つお聞きをしておきたいと思いますのは、来年度の予算編成についてであります。けさほどちょっと質問が出ましたが、そのときにはっきりいたしませんので、あらためてお尋ねをいたしますが、今度の予算の作成、さらに予算の修正によって政策に基かないで、必然に技術的に今度の予算を来年度に延ばしていけば増加する、歳出増となるものが、どういう項目でどれくらい金額があるのか、これを政府委員にお尋ねをしたい。さらに反面において、今度の政府の原案による減税あるいは修正による減税によって、これが平年度化し、来年度はどれだけの減税になるというお見通しであるか。これも政府委員にお聞きをしたい。その両方の数字を明瞭にお示し下されば、必ずそこに来年度は、さっき大蔵大臣が言われた、一兆円のワクを越すというようなことになるということが明瞭に出て参ると思いますが、従って、来年度予算ではもう一兆円のワクは簡単に破られてしまうということが既定の事実になってしまう。それにもかかわらず、大蔵大臣は赤字公債は発行いたしませんと言っておられますが、歳出増加は相当のものになり、歳入は相当減になるということからすれば、もし減税を取りやめるか、あるいはさらには増税をやるかしない限り、赤字を出さないで済むということは言えないはずになる状態になっておると思うのでありますが、この点を最後に大蔵大臣に、数次の報告があった上に、それを基礎にして明瞭に御答弁願いたいと思います。
○政府委員(森永貞一郎君) もっぱら事務的に検討いたしまして、いわゆる当然増的な要因がどんなものがあるかということを申し上げたいと思います。 まず軍人恩給でございますが、今回の予算につきましての衆議院での修正によりまして、軍人恩給を文官並みのベースに上げて、本年はその五割程度にとどめ、次年度以降できるだけ財政負担がなだらかに参るというようなことで私どもお願いもいたしておりましたのですが、今回自民両党から御提案になりました法律案によりますと、来年の七月からこのベースを実施すると いうことでございまして、そういたしますと、来年それに伴って負担が増加いたします金額が約百億円ございます。もっとも、他面、これは今度の修正には関係ございませんが、いわゆる一時金で減少いたします金額が約四十億ぐらいは見込まれるのでございまして、そういたしますと、そこで六十億円ぐらいの増加ということに相なります。
○木村禧八郎君 平年度化すると、どれくらいになりますか。
○政府委員(森永貞一郎君) 平年度化しますと、さらにその金額より五、六十億増加するということになろうかと思います。 それから、第二の項目といたしましては、今国会に政府が提案いたしておりまする法律の規定によりまして、例の揮発油税の収入を道路費に充てておるのでございますが、今回の提案によりまして、ガソリン税収入が予算を上回りました場合には、翌々年度におきまして上回りました金額に相当するものを道路費等に計上することになります。二十九年度におきましては、揮発油税の予算と実績との差は約五十五億でございまして、これの三分の二が道路費に計上され、三分の一が昨年度は地方に譲与されておりましたので、地方にその三分の一は参ります。いずれにいたしましても、五十五億見当のものが当然増加するということに相なる次第でございます。 もう一つは、やはり地方財政の関係における予算と実績との問題でございますが、地方交付税、これは所得税、法人税、酒税の三税につきまして、昨年度予算で見積りました額の査定の率を地方に交付しておりましたが、これも予算より収入が上回りました場合には、これを翌々年度で調整をするということになっております。昨年度の予算と実績との差は約六十億でございまして、その約二割、十二億見当のものが当然増として加わって参るわけでございます。 まあそのほかに、人口の増加に伴う自然増的な要因、これは毎年度何がしかずつあったわけでございます。たとえば、義務教育の関係での生徒数の増加に伴うもの、あるいは社会保障、生活保護の関係等による人口増加に伴うもの、そういった要因がございます。これは目下のところ、まだ的確に予測はつかないのでございますが、従いまして、今あまりはっきりいたしました数字を申し上げられないのでございますが、以上の要因をごく大まかに見通しをつけますと、百五、六十億くらいのものがただいま申し上げましたことによる当然増の要因として予測せられるのではないかと、さように考える次第でございます。 このほかに、これはいろいろ政策の問題がございまして、私から申し上げる筋合いのものでもございませんが、賠償関係、これは御承知のように、本年度は前年度の繰り越しが相当多額にございましたので、本年度の計上額は百億程度にとどまっておりまするが、今後の賠償交渉の成り行きいかんにもよることでございますが、この項目でやはり相当の増加を必要とするのではないかというふうに考えられます。 以上、もっぱら事務的な観点から申し上げました増加の要因につきまして、未確定な数字ではございますが、大体の見当をつけて申し上げた次第であります。
○政府委員(渡邊喜久造君) 歳入のうちで、私の担当しております税の関係について御説明申し上げます。 減税額は、初年度の減税額、これは政府原案で三百三十七億、修正による増加が六十七億、合せまして三百九十四億という数字であります。この分の平年度化した数字は、政府原案で五百十四億、修正分による増加百四十一億、合せまして六百五十五億。従いまして、明年度において減税の平年度化による減収は二百六十一億であります。この平年度化した後において明年度の税収が一体どれくらいになるか、この点につきましては、まだ現在のところ材料がなかなか十分整っておりませんので、的確な見通しはちょっと困難かと思います。 昨日でしたか、提出されました審議庁の推定によりますと、明年度国民所得が四・六%程度ふえる、こういう数字が出ております。税収は、これはどの階層で所持がふえるかということでいろいろ国民所得の増加だけにはなかなかよりませんが、今年度の一応減税後の数字が七千七百四十八億、四・六%ふえるということを前提としますと、減税が平年度化した後において最低限本年度見積りました税収入は確保できるのじゃないか。ただ、それ以上にどの程度税収入が見積り得るかということにつきましては、ちょっと現在のところまだ材料を持ち合せない。まあわれわれの一応申し上げられますことは、大体明年度におきまして、平年度化した減収額というものを加味しましても、最小限本年度予算に見積ったくらいの税収は確保できるのじゃないか。それにプラス・アルファどれくらいになるかということにつきましては、もう少し時間をかしていただきたいと思います。
○国務大臣(一萬田尚登君) 来年度の予算編成につきまして、御指摘のように非常に私も、歳出が相当ふえますので、この編成は非常に苦心を要すると考えております。しかしながら、私はあくまで明年度において赤字公債を出すことは、これはやらないつもりであるし、従いまして、どうしても歳出を一そう重点的にやる。また同時に、税制についての再検討も十分加えまして、むだなくして税収をふやす方途を考慮いたしたい、さように考えておる次第であります。
○委員長(館哲二君) 佐多君、もう時間がありませんから。
○佐多忠隆君 もう最後の……。今のお話によりますと、税収をふやすことを考えておられる。これは増税を暗に意味しておられると思いますが、事態はそういう方向になっております。従って、総理大臣によくお聞きを願いたいのは、歳出は増加する、歳入はそれほどふえない、むしろ減ってくる傾向にある。従って、これをカバーしようと思えば、収支を償おうと思えば、増税をしなければならないというような方向になっております。こういう事態でありますから、来年こそは日本のいわゆる防衛力漸増方針という方針を再検討をされて、世界情勢との関連においてさっき申し上げた軍縮との関連において、あるいは日本の経済力との関連において、大きくなる方針を切りかえて、防衛関係費を削減することによって生活安定の方向をはっきり打ち出さなければならない、そういう重大な決意をしなければならない年である、こう思いますので、答弁は求めませんが総理、しかと一つお考えおきの上に、そういう方向に進められることを切に希望をしておきます。
○国務大臣(鳩山一郎君) 十分検討いたします。
○永井純一郎君 本予算委員会におきまする締めくくりといたしまして、予算の構成の中核あるいは基本をなした米価問題を、総括質問において締めくくりをしたい、こう思っておったのでございましたが、いまだに要求した資料、たとえば百六億に余る財源の事項別金額、すなわち輸入食糧の値下りからどのくらい、あるいは食管特別会計の中の節約によるものが幾ら、あるいは酒造米によってそれを何石よけいに払い下げて幾ら値上げをするのかというような資料が、いまだに提出が行われないのであります。また予約米に対する免税の具体的な措置についてもその内容が提出されないままに、私ここに総括質問に入るということはまことに遺憾に存ずるのであります。ほんとうは審議ができないような状態に私はあると思うのでございまするが、しかしこの問題については、後ほど農林大臣、大蔵大臣等にお伺いをいたしたいと思います。 その前に、一つ総理大臣にお尋ねをいたしておきたいのは、今朝の新聞で保守合同について鳩山談話というものが発表されたのをお伺いをいたしたのでございます。その談話の中に、保守合同を目途として民主自由両党間に政策の話し合いをなすために適当数の委員をあげて折衝することにしたい、こういうふうにうたっておられるのでございまするが、私がこの前この保守合同問題について、予算委員会が始まりまする当初の総括質問においてお伺いいたしましたときに、合同をして新しい党ができるときには、解散によって、国民の選挙を経ることによって合同はすべきものである、こういうお答えをいただいておるのであります。私はここでその点を確かめるという点が一つと、もう一点は、これはまあ自由党にはお気の毒でありまするが、この前の選挙で民主党が汚職疑獄を粛正するのである、綱紀を粛正するのだということを一番大きな公約として掲げて、民主党は当選をしてきておられる、政権をとられたと思うのでございます。そこで、総理にお伺いしたいのは、保守合同を目途とされておるが、それは、汚職疑獄で国民の選挙によって批判を受けた自由党のこの汚職疑獄に対する責任はもうないのである、そういう疑獄関係の自由党と保守合同をするのではないのだ。しかし、国民は汚職疑獄から信任を得なかった自由党と民主党が、そのまま野合の形で合同することを、私は許さないと思います。 〔委員長退席、理事池田宇右衞門君着席〕 この点は、総理大臣は一体どういう所見をお持ちになっておるか、この点を私聞きただしておきたい、こう思うのでございます。
○国務大臣(鳩山一郎君) 今日の日本の現状は、保守政党が結集しまして強い政策を樹立して、それを実行することが必要だと思っておるのであります。それがゆえに、わが党も、保守の結集ということは、すでに早くそういう議をまとめておったのでありますけれども、解党をして新党をこしらえるという保守合同の、いわゆる保守合同の形式は、これはやはりどいうい形式において新党をこしらえるかということは、保守合同の機運が熟しまして、その際にきめねばならないと考えております。保守合同の形式はただいままだきまったわけではないのであります。保守合同の形式としては、その前に解散が必要であるかどうかということは、そのときにきめるべき問題だと考えております。
○永井純一郎君 この前の私の質問に対しては、解党をして新しい党ができたというときには、これは当然選挙を通じてそのことが行われるべきものである、こういう答弁をいただいておるのでございまするが、この点は変ってきたのでございますか。私は当然そうしなければ、単なる野合になると思います。それからもう一つ、先ほどお尋ねした汚職疑獄で批判を受けた自由党とそのまま合同をされるということをどういうふうに思われるかという点、この二点をもう少し明らかにしていただきたい。
○国務大臣(鳩山一郎君) 一つの党が解党しまして新しい一つの党を作るときには、国民の意思を聞いてみるということが、純理の上からは必要なことと考えております。 それから汚職事件といいましても、これは選挙によってできた後の議会は、その前の汚職につき、疑獄につき、とやかく言うことはやめた方がいいと思っております。
○永井純一郎君 どうも判然といたしませんが、私持ち時間が少いので、次に移りたいと思います。 農林大臣あるいは大蔵大臣等にお尋ねをいたしたいのでございまするが、この委員会で米価問題を中心といたしまして、食糧政策あるいは食糧管理方式等について論議を重ねてきたのでございますが、これは論議を重ねますに従いまして、政府の基本的な一体食糧対策というものがますます非常に不明確になってきたと思うのです。これは政府の基本的な方針がこうであるということを、特に農民は知っておらないと……。自分の農業経営あるいは農業生産のやり方というものを考えなければならぬわけです。ところが、その点が非常にだんだんとぼやけてきて、私も非常にわからなくなってきたと思うのでございます。締めくくりにおきまして、この点を明確に私しておきたい、こう思うのでございます。それは、当初は本参議院における一月の本会議で、先輩松永さんが質問をしたときに、河野農林大臣は米の統制撤廃、自由にしていくんだという方針を明らかに答弁をされておったので、私はその方針で行かれるものだと、こう思っておったのでございまするが、米価を中心にいろいろ論議をいたしておりまするうちに、非常にぼやけたようになってきてしまっておるのであります。時間がないから要約した点を私読み上げますと、「米の統制撤廃について、思いつきにこういうことを言うてはいかぬと、こういうお話でございましたが、この点は松永さんに特に御了解願いたいと思うのであります。お互いに十数年の長きにわたって議員生活を勤め、特に農村問題に真剣に取っ組んで参りましたお互いが、ただ思いつきでこういうことを申すか申さぬかということについては、特に御了解を得たいと思うのであります。私も松永さん同様、立場こそ違いますが、二十年の長きにわたって農村問題を専門に研究して参ったものであります。特にこの際、御了解得たいと思いますことは、現総理と私とは終戦直後、日本自由党を結成いたしましたときに、供出後の米の自由販売という政策をもって全国の農民に臨んだのは私たちであります。従いまして、今回この地位になりまして直ちに米の統制をはずす、はずさぬということを、思いつきで申すことは断じていたしません。十分なる研究と、十分なる良心的信念をもって申しておることでございまして、」こういうふうに言われまして、そうして「従いまして今日の供出制慶は、根本的に変えなければいけないと申し上げましたことは総理の施政方針にあります通りであります。これについて根本的な施策は目下検討中であります。この統制撤廃について十分検討しております。その暫定的な経過措置として予約買付制度をとっていきたい、こういうことでありますから、これらの点については御了解願いたいと思うのであります。」こういうふうに河野農林大臣は政府を代表いたされまして、米の統制撤廃をするという方向をとっておるのだ、そして予約買付制度はその経過的な暫定的な措置である、こういうことをまあはっきりと言われておるのでございまして、その後、米価問題を中心にここでいろいろと私ども聞きただしましたのに対しましては、その点がだんだんとぼやけてきておるのでございます。鳩山内閣の食糧管理の基本的な一体方向、方針というものは、統制をはずすということであるか、そして今日とりましたところの予約買付制度はその暫定措置としてこれをやっておる、これに間違いがないのかどうか、はっきりとお答えをいただきたいと思うのであります。
○国務大臣(河野一郎君) ただいま御朗読になりました通りに、私たちは、米の制度につきまして基本的には、米穀懇談会の際におきましても、その目標をどこにおくかということを、専売にするか、自由販売にするかということについて、いろいろお話し合いがありまして、その際に、自由販売を目途としてそうして研究をしようということで、第一段階で、その懇談会の際にも皆さんの御意見が大体一致したのであります。一、二反対の人もありましたが、大体はそうでございました。私もそう考えておるのでございます。 ところが、たびたび申し上げるように、その処置をとるにいたしましても、いろいろ準備と用意がたくさん入用でございます。でありますから、一足飛びにそこに行くわけには、だれが考えても行きかねる。ことに、一方の供出制度というものはこのままにしておくわけにはいかないという事実と、二つの問題をあわせて考えまするときに、ここに一つの制度をとらなければいけない。とるのが予約買付制度でありまして、そこでときどきに、お前は予約買付制度を失敗して、失敗に、むしろこれに骨を折らないで、自由販売に持っていくつもりだろうというような御疑問がたびたび出るようでございますから、そういうことは考えておりません、政府が一たん予約買付制度でやるときめました以上は、これはいたずらに混乱を起すようなまた疑問を生ずる、そういうようになることは絶対に避けなければならないのでございますから、われわれは予約買付制度で参るということをきめた以上は、この予約買付制度に対して忠実にこの運用を期していかなければなりません、ということに申し上げておるのでございます。その間に少しも私は矛盾もなければ、撞着もないと考えておるでございます。 大局から見れば、将来の食糧政策としてはわれわれは自由販売の方向をとりつつ行くんだということは、これは一方にまた逆な意見もありますけれども、これは一つの方向としてはその方向に行くようになると思うのでございます。しかしくどいようでございますが、当面しからばどうするかといえば、そこに行くまでにどうしても予約集荷制度なり——他の手段方法もあるかもしれませんが、われわれわが内閣といたしましては、予約集荷制度をもって参ります、予約集荷制度は自由販売の準備ができればすぐにやめるのか、準備を今するつもりかということになりますると、これはおのずから別でございますというふうに御了承いただきたいと思うのであります。
○永井純一郎君 どうも判然といたさないわけでございまするが、この点は特に農民の方から、河野さんがよく御承知の通り、農民の方からいたしますと、はっきりしない場合非常に困るわけです。これはよくその気持はおわかりだろうと思います。たとえば、予約制度をやるのだ、こういえば、直ちに農民の方ではやみ値と今の公定価格とを考えて、やみ値の方に近づくものだと一応考えるのです。当然、高くなってゆくと。ところが、一方ではパリテイ方式を中心にして、なるべくおさえようとされる。一体予約制度というものは、統制をはずすという暫定措置としての予約制度というものは、一体どういうことなのかということが、従って農民はやっぱり今の御説明ではわからないと思う。ですから、私は統制をはずす暫定措置としての予約制度というものは、一体どういうふうにお考えになっておるのか。これを一段階とするわけですから、この段階が終ることによってどのように統制撤廃に近づくのか。もう少しその辺の考え方を農民並びに消費者にわかるように、これは政府の方針として国会を通して明らかにしていただきたい、こう思うのであります。
○国務大臣(河野一郎君) 自由販売にいたすにいたしましても、いろいろ条件がございます。その条件は、ただ一年でこれができるとか、二年でできるとかいうものではないと思うのであります。たとえて申しますれば、ある程度の持越米でありますとか、ある程度の政府の操作米が入用であります。この操作米はどうしたらできるか。第一は、豊作であってわが国の国内の米の事情が非常によくなるということも、一つの方法でございましょう。非常に国際貿易が順調であって、為替が楽であって、十分そういうものを買うことが可能である、これも一つの条件でございましょう。そういうふうなことでございますが、豊作を予想して政策を立てるわけにも参らぬでございましょうし、またあとから申しましたように、為替が順調になるということもなかなかこれはむずかしいことでございまして、それが可能であるということもなかなか考えられないことだと私は思うのであります。しかし、いずれにしても、この二つの申し上げるようなことは、どちらかがなければ、国民諸君の安心するところの米の国内に保有量がなければいかぬということは、これは絶対だと私は思うのであります。そういうことがなければいかぬのでありまして、この一つのことをもっていたしましても、なかなか自由販売、理想の方法としては自由販売がいいという議論を幾ら立てましても、これらの条件が整わなければいかぬことだと私は思うのであります。米の保有量なしに、操作米なしに、ただ自由販売がおれが好きだからやるというわけにはいかぬだろう、こう思うのであります。また協同組合の諸君におかれても、私はそう思います。協同組合の育成、強化ということが完全にできなければ、出来秋におけるところの米のプールができないということになれば、やっぱりだめだと私は思うのであります。それらの条件が整うということが必要であって、これらはただ一朝一夕にやることはできないと思います。たとえ政府が幾ら金を出して再建整備をやるにいたしましても、協同組合の人的な構成がどういうことになるか、国民諸君の信頼感が必要だと思うのであります。そういう点においてみなで気をそろえてその方向に行くところの準備と用意をしなければいかぬだろうということでございますから、これを一朝一夕にしてはなかなか困難であるというふうに私は考えるのであります。 じゃ、経過的な処置かというと、先般もある機会に私は申したのでございまするが、米の制度というものは、一つの制度を絶対おれはこれでやるんだときめても、なかなかその制度でもってそう長く続く制度はない。これは客観条件の変化によって変ってくるものだ。生産の条件と人口の条件との配合がどういうことになるか、国際の商品としての食糧がどういうことになるかというようなことの影響があって、そのたびに私は政策も変ってゆくものだと思うのであります。そういうこと等等を勘案いたしますと、基本的には自由販売を目途として自由販売の方向で行くべきでありましょうけれども、その自由販売といたしましても、間接統制をやる場合もあるでございましょうし、完全な自由販売ということを考えることもあるかもしれません。というようなことでございますから、いろいろそのときそのときによって政策が違ってくることは私はあり得ると思うのであります。そこで、今さしあたり今日のわが国の現状において考えられる一番いい方法は何だといえば、今までの供出制度が行き詰まって、従来の方法ではなかなか、よほどの国家権力をもって圧力でも加えればともかくといたしまして、なかなかこれは集まらぬものであるということは、昨年を例にとりましてもよくおわかりいただけると思うのであります。すでに数県においては割当に対して全くこれがほとんど困難な状態に立ち至ったこともあるわけでございます。そういうことでございますから、あのままの去年の制度をことしまた続けて参るということになれば、より一そうめんどうだろうということは、どなたも御想像できることでございますから、これにかわるべき何らかの措置をとらなければいけないというので考えて、各方面の御意見を承わった結果、予約買付制度がよかろうということで、私もそれがよかろう、内閣におきましても十分検討いたしました結果それで行こうということにきめたのでございますから、従って、私が今申し上げます通り、先のことを言って、その暫定措置かということにおとりいただくのは、少し早いのじゃないかというふうに思うのであります。 お前は政治家として考える食糧政策は何だということでお尋ねいただけば、私はこういうことが私の理想でございます、そういうふうに行きたいとは思っております、ということを申し上げることと、その間に矛盾はないのじゃなかろうか、こう思うのであります。
○永井純一郎君 今農林大臣が言われることも、別にわからないわけではない。しかし、あなたがはっきりと、総理の施政方針演説にもそう書いてある。それは暫定措置としての予約買付制度をやるんだということをはっきり言われておったのでございますが、予算委員会でわれわれと審議をされているうちに、あるいはそれよりももっと河野さんがみずから農林大臣になられて、そうして実際にやってみて、自分が責任者としてやってみて、やはり米の統制撤廃ということは日本ではできないんだということを考えられたのじゃないかということを、私はむしろ聞きたいために、今質問しているわけです。 それはあなたが今おっしゃるように、非常な豊作が日本に来た場合ということが統制を撤廃する一つの要件になってくる。それからまた、おっしゃるように、国際収支の関係が非常に順調になるということも一つでありましょう。もう一つ非常に技術的に大きな問題として、米の取引制度がやはり新しく確立されるというようなことが必要になってくるでありましょうし、またそれに伴う莫大な資金が要るというようなことも整わなければできないのじゃないかと、私もよくわかりませんが、思う。しかし非常な豊作が来るとか、あるいは非常に経済の浅い、特に国土が荒廃し、同時に施設、機械というものが古いままになっておって、一番大切なコストの切り下げということがなかなか当分できそうもない日本において、私はそう国際収支がよくなるということも考えない。豊作も、絶対の大豊作がいきなり来るということもない。また、相当な豊作が来たからといって、それがすぐ統制を撤廃する条件の域まで達した豊作というものは、私はなかなか来ぬと思う。そういうふうに考えて、実際に当ってみたところが、やはり統制撤廃ということは、米の場合非常に絶対量が不足するのでありまするから、やはりそれは困難なんだ、考えてはみたけれども、実際やろうとすれば、絶対量の不足する米について自由にしてしまうということは困難なことだ、できないことだ、こういうふうにむしろ私は農林大臣が考えられるに至ったのじゃないか、こう思うのですが、どうでしょうか、その点。
○国務大臣(河野一郎君) お答えいたします。私はそうは考えないのであります。今もお話し申し上げました通り、現に一昨年のような凶作があれば、これはそのときに非常に窮屈になりますけれども、昨年、またことし、ことしは先般来持ち越しが多いじゃないかということで、そんなに買わぬでもいいじゃないかというようなお話がだいぶんありましたけれども、私は、これは決してこの程度の数量で自由販売ができるとは申しません。考えませんけれども、しかし食糧に対する国民諸君の安全感、安全度というものを増していくということには大いに役立つと思うんでありまして、それが平常の早食いをするというようなことのないようにいくように、順次蓄積をしていくということも、一つの条件がととのうものだと考えております。
○永井純一郎君 やはり一定の条件ができてくれば統制を撤廃するんだ、こういうふうに言われるんだと思いまするが、そこで私はさらに、先ほどの米の統制撤廃についてあなたが述べられた前に、こういうこと、これがまた非常に誤解を受けやすい表現で、あるいはそうでないおつもりであったのかもしれませんけれども、これは先ほど佐多君から御質問いたしましたことと、日本の産業構造の問題と関連してくる重要な問題だと思うんですが、今までは、国際的に食糧が非常に不足しておったときには、無条件で食糧の増産をいたさなければならなかったと思うのであります。しかし今日国際的に食糧資源が十分になりまして、しかもなおかつ相当低廉なる食糧を入手することができるようになって参りました今日の情勢におきましては、わが国における食糧の増産につきましても、特に経済的価値を十分に考えなければならなくなってきた云々ということを盛んに述べられておるのでございまするが、この統制を撤廃するという考え方と、それから今国際的に非常に食糧が潤沢になってきてですね、またその価格もどんどん下落の方向をたどる、私も下落の方向をたどると思うんですが、たどるんだから、ただ単に食糧増産ということでなしに、経済的価値を考えて、食糧政策、食糧管理というものを考えていくんだと、従って、それは当然自由に統制をはずしていけばいいんだと、こういうことが基本的なもし考えであるとすれば、私は農民は十分考えなきゃならぬと思う。で、これはやはり、そういう一連の考え方において、米の統制をはずしていっても日本はいいんだと、こういうふうにお考えになるのでありましょうかどうか。私は念を押したい。
○国務大臣(河野一郎君) 答弁をいたします場合に、時間に制約を受けますので、誤解を受ける場合があると思いますから、あらためてお答えを申し上げたいと思います。私は(「制限していません」「答弁の時間は自由ですよ」と呼ぶ者あり)いや失礼いたしました。どうも失礼いたしました。
○理事(池田宇右衞門君) 私から注意をいたしますから……。(「あまり長くなったらやめたらいいんだよ」「それでなければゆっくりやったらいいんだよ」と呼ぶ者あり)それは大臣の常識に待ちます。
○国務大臣(河野一郎君) 今の問題は、こういうふうに基本的に考えるのであります。農家の犠牲もしくは農家の負担において食糧増産を要請されるということは、私は正しい考え方ではないと思います。ただし、それが世界的にいかに食糧を求めようとしても困難なこきには、これは国家的要請の結果としてやむを得ないのである。これは戦時中もしくは戦後のある時代に、そういうことがあったんだと私は思うんであります。そこで、社会党の皆さんの政策にありますように、二重価格政策でありまする場合には、これは私は、その農家の方から一方において買う値段と、消費者に売り渡す値段とをはっきり分けて、そしてその間に国家負担でこれを補っていくということであれば、私の考えは成り立ちません。しかし、私は二重価格制度をとりませんから、そこで農家から買い上げまする値段と、農家の売ります値段と、消費者のこれを買いまする値段との間に、あまり懸隔があることは許されないというふうに考えますると、そこで、米価が高くなれば、国民大衆の食糧費か上ってくる。食糧費か高騰いたしますることは、わが国の産業構成の上において非常にこれはよくないというふうに考えますので、そこで国際的な食糧価格と日本の食糧価格との間には、あまりに変化があってはいけないということを第一に考えたいのでございます。でございますから、そういうふうな制約を受けまするときに、農村の負担において米の増産をしいられることを農家のためになりませんと思いますので、そこで、経済的に成り立つ限界において食糧の増産を、農家の生産費を償う限界において食糧増産は推進すべきものであって、もしそれが補うことが困難である場合、たとえば開墾にいたしましてもその他にいたしましても、相当の数量が収穫できるとか、生産費がある程度のものであってひどく高くつかないとかいうようなものでありませんければ、無理に米がとれさへすればよろしいということであまりやるということはどうだろうか、という考え方で申しているのでございまして、ただ外国の米が下ったらば日本の米はこれにつれて下げるべきものだ、自由販売で、値段は国際的な、日本の価格をほうっておいてもよろしいのだということは、私は米の自由販売をとなえます場合においても、いわゆる間接統制、価格統制はしていくべきだということを述べておりますこととあわせお考えいただければ、御了解いただけると思います。
○永岡光治君 どうも、農林大臣の御答弁を聞いておりますと、あまりはっきりしないわけですが、自由販売を信念としては持っている、自由販売よろしいのだ、しかし準備が要るから今のところできないのだ、こういうふうに聞えるわけです。その準備というものの大部分の要素を占めるものは、これはやはり保有米だと思います。保有米を確保するということは、今日は外国からの輸入でできるのですから、私はそう困難ではないと思います。私は農林大臣に伺いたいことは、信念としてどうしても自由販売でなくてはならぬから、その方向に、自由販売を実現するように今後あらゆる努力を傾けていくんだという、こういうお考えでいるのか、それとも、自由販売という制度で米をふやす、そうして非常に流通がたくさん出る、そういうことがあれば非常に望ましい、そういう意味で、望ましいという点で自由販売を賛成しているか、この二つでだいぶ考え方が違うと思います。そこで、あなたがもし自由販売をほんとうに信念として正しいものであるし、そうなくてはならぬ、強行すべきであるという考えで、もしそれを理想として考えているとするならば、しばしばあなたが答弁をしておりますように、準備をするというのでありますから、それは何も予約制度と並行してでなく、これと切り離してでもけっこうですから、予約制度を失敗するかしないかを見てそのことを考えるのでなしに、もし自由販売が正しいものである、信念として実現すべきものであるとするならば、これは今日からでも、明日からでも、その準備を進めるべきだと思いますが、あなたが正しいとするならば、今日準備が始められているでしょう。もし始められているとすれば、どういう点をあなたは準備を始められておられるのか、お伺いいたしたい。
○国務大臣(河野一郎君) お答えいたします。私は自由販売を実施しますには、今申されましたよりに、政府の操作米と申しますか、国内の保有量と申しますか、それだけではいかがかと思います。むしろそれよりも、国民全体の食糧に対する安全感というものが一番必要だ。心配はないのだという安心感を国民諸君が持っていただきませんと、仮需要が起りましていわゆる買いだめ等が起りましたならば、幾らあっても足りないのじゃなかろうか。これに対する一般国民諸君の御納得がなければいかぬと思います。この点が一番大事だと思います。第二には、先ほど申し上げましたように、農業協同組合等の育成強化によりまして、出来秋において農家から一時に米が出る、この点をどこで押えるかということも必要であります。そういうふうな点におきまして、ただ政府が今——政府と申しますか、私の今準備をして、強行をするとかいっても、これは決してそういうことはすべきじゃない、こう考えております。
○永井純一郎君 今農林大臣は非常に重要な答弁をされたと思うんです。それは、日本の食糧生産において、それが経済的に、経済的価値のあるようなその限界において生産をすればよろしいのだということを基本的な考え方だとされているということは、これは非常に私は重大なお答えであると思うんであります。そういうことで日本の農業が成り立つわけでもないことは、もう明らかなんです。それは私は逆であって、今の供出農家でも、生産費を十分に償ってしかも再生産の意欲が出るような農家というものは、非常に少い。それはあなた御承知の通りであります。しかし、これはむしろ多数の人口が、先ほど来佐多君から申されましたように、ここに多数の人口がおるわけです。農業というものを生業としてここで生活をしておるのです。しかも、不足する米をこの人たちが非常な無理をしながら生産をしておるわけでありますから、それをあなたが言われるように、償う限界において生産をする農家だけが生産をしていくのだということではなしに、今の米を作っておる農家の大部分が生産が償うようなためにいかに農業経営と農業生産を合理化していくかということこそ、政府の基本的方針にしてやっていくということが、基本的方針になっていけば、食糧管理の政策をどうするかということも私はおのずから出てくるし、そこで非常に違ってくる。で、河野農林大臣が言われる、限界において生産していけばいい。それはなぜかというと、外国の食糧が非常に余ってしかも安価になってくるということを考え合せまして、そういうことが言えるのだということであれば、これは根本的に私は農政なりあるいは食糧政策が違うと思うのです。非常に重大な答弁をされたと思うのですが、一体それはどうなんでしょう。私はそれには賛成できない。
○国務大臣(河野一郎君) お答えいたします。私がただいま申し上げましたのは、米の問題だけで申し上げましたが、農家経営はたとえばいろいろな多角経営にいたします。さらに一番大事なことは、生産費の引き下げに重点を置いてわれわれは、政府としては十分この点に意を用いまして、そうしてあらゆる角度から生産費の引き下げをする。もちろん、土地の改良ということもその一番大きな問題であります。反当収穫をふやすということは一番大きな問題であります。その他、肥料その他の点において、生産資材の引き下げをする。そうしてこの面から生産費の限界というものをなるべくマッチしていくように持っていく必要がある。こう一方においては考えまして、そこで国内の食糧増産というものをその点において合すようにして増産の確保を進めていくというふうに、御了解いただきたいと思うのであります。
○佐多忠隆君 ちょっと関連して。今農林大臣が米の生産費を下げるためにはあらゆる努力をしたいということを言われた。この点は、米の値段をなるべく上げないようにと努力しておられる大蔵大臣も、しきりと、問題は米の値段を上げることではなくて米の生産費を下げることなんだということを強調しておられるのでありますが、その限りにおいては正しいと思いますが、問題は、責任のある大臣がそういうふうな言明をされるのだから、一体それらのコスト要因を下げる具体的な方策はどういうものをお持ち合せになっておるのか、その点を詳しく御説明願いたい。これは両大臣から一つ……。
○国務大臣(河野一郎君) お答えいたします。資材の点で一番大きなものは肥料だと考えます。肥料は五円下げたといってすぐおしかりを受けますけれども、私は肥料業界をいろいろ督励もいたしまするし、お願いもいたしまして、大体十五日から二十日の間に肥料審議会をお開きいただくことになっておりますが、その際におきましては、少くとも二十円以上今度は下げても、肥料全体のにらみ合せから、いいんじゃなかろうかというふうに考えております。そういうことで、なお肥料につきましては増産のためにあらゆる角度から、資金の応援でありますとかというようなことを、政府は惜しまない。で、また飼料につきましても、これは現物はまだ多少下りがおそいのでありますけれども、一番問題になっておりまするふすまのごときは、もう先物六百円台になっておるようなわけでございまして、これらにつきましても相当の効果を上げることができるように実はなっておるわけであります。こういう点について引き続き努力を続けていくことによって、私は農家の資材の点においては行けるだろう。あとは、米について今お尋ねがあるかもしれませんが、減税その他の点において大蔵当局に格別の御協力をいただくことによって、私は効果を上げることができるようになるのじゃないか、そう思っております。
○国務大臣(一萬田尚登君) 私もやはり、この農産物の生産費を下げる方向で米価等も安定させるのがいいという考えを持っておるわけであります。それには、やはり米を作るのに一体どういうものが要るのかという、そういうものの農家に対する供給量をふやし、かつ値段を下げるという方向をとるべきだと思います。で、そのうちでは、私はやはり肥料だと思っておりまして、この肥料については、前から幾らかの関連におきまして下げることに努力しておるわけであります。
○永井純一郎君 時間がないので少し先を急ぎますが、大蔵大臣にそこでお伺いをいたしたいと思いまするが、自立経済を達成するというのでありまするから、これはまあ当然に通貨価値を安定さして物価を引き下げる、そうして輸出の振興をはかっていくわけでございます。しかし、そういうことがある程度達せられておるのでありまするが、一番問題は、生産費の引き下げというところが窮極の目標でありまするが、それがちっともうまく行っておらない。これはあらゆる工業、農業についてそうなんです。そこでこの問題と関係して、ただいまの農林大臣の話ではどうもはっきり食糧政策というものはいたしませんけれども、とにかく当分統制をはずすことはなさそうなような答弁ですが、この点と関連して、食糧価格対策というものの根本的な考え方を、今後の根本的な考え方を大蔵大臣から伺っておきたい、こう思うのです。
○国務大臣(一萬田尚登君) 私はこの米の値段につきましては、高いか安いかという意味では思っておりません。やはり適正な値段である、こういうふうな考え方で、それをどういうふうにしてきめるかというのが非常な問題であると思います。
○永井純一郎君 そういう答弁を求めておるのではないのですけれども、まあ仕方がありません。 そこでさらにもう一点は、これは農林大臣にお伺いしたいのですが、きょうの米価審議会では一体どういうことになったのか。われわれは米価の最終価格を得ないまま、最終の価格を確認しないまま、この予算の審議が終るということは、まことにこれは遺憾である。予算の審議にならないと思うのですが、一体どういうふうな結果が今まで出ておるのか、お答えを願いたいと思います。
○国務大臣(河野一郎君) 審議会は目下の進行状態は、生産費計算の点について各委員から熱心に御検討中であるというのが、たったいままでの進行状態であります。
○永井純一郎君 もし答申が出まして、一万六十円以上の答申があった場合の政府の対策を、念のために伺っておきたいと思います。
○国務大臣(河野一郎君) お答えいたします。米価審議会の御答申に対しましては、十分重要な資料として、この御答申をわれわれは閣議で御検討願うつもりであります。
○吉田法晴君 議事進行……。 農林大臣みずから、米価は予算審議の終るまでに明示をすると、こういうお話でございます。委員会の予算の審議が終りますまでに、米価及び米価に関連をいたします食管特別会計の赤字の穴埋めの方途について明らかにせられたいという委員会の総意を代表して、理事会から申し入れをしたのでありますが、それに対して、朝来責任のある答弁がなされない。責任のある答弁態度ではございません。そこでここで明らかに米価はどういう工合にするのか。それから米価に関連をいたしまして予算米価より上った米価できまる点は明らかになっている。それからこれの赤字の補てんの方法についても新聞はある程度報道をいたしております。で米価問題について総理と農相との話がきまった後に質問をしても明らかにせられなかったけれども、新聞で報じました通りのものをあとでここで御答弁になる。一万六十円というものを明らかにせられるという態度、こういう態度では、きわめてこれは政府の責任ある態度とは考えられません。この際この点について関係大臣から明確に一つ明らかにせられんことを要望をいたし、そしてこれについての答弁を求めます。
○国務大臣(河野一郎君) 御承知の通り、米価の決定につきましては、米価審議会の御答申によりまして、これを重要な資料として、政府は決定することによっておるわけでございます。従いまして、ただいまの申し上げました通りに、米価審議会の進行状態が今御報告申し上げたような次第でございまして、政府といたしましてはこの御答申を得まして、早急にこの問題を閣議において御討議願って決定する段取りになるわけでございますが、実は私は先般の当委員会のお尋ねに対しまして、米価の決定をなるべく早くきめるという意味で、(「なるべく早くじゃないぞ」と呼ぶ者あり)それは決して予算の決定を待ってきめるというようなことを考えておりませぬという意味でわれわれは誠心誠意米価の決定は米価の決定で急いで取り運ぶつもりでおりますということを申し上げる意味で申し上げたのでありまして、その点は御了解をいただきたいと思います。 〔吉田法晴君「議事進行、議事進行」と述ぶ〕
○理事(池田宇右衞門君) 質問は許しません。 〔吉田法晴君「議事進行です。」と述ぶ〕
○理事(池田宇右衞門君) あなたは議事進行じゃないじゃないですか。 〔「質問じゃないか」と呼ぶ者あり〕
○理事(池田宇右衞門君) 永井純一郎君に発言を許します。
○永井純一郎君 さらにもう一点大蔵省にお伺いいたしまするが、財源の一つの中に、これみな質問があったように、財源の事項別金額を示さないからこういうことになってくるわけですが、財源の一つの中に酒造米の措置があるわけです。これは当然酒造米がふえることによって税収が自然にふえてくると思うのです。かりに十万石ならば、八十億以上の金がふえてくるはずであります。一体それをどういうふうに使うつもりで大蔵省はいるのか、私は当然米価関係、あるいは米価に伴う農業関係に何らかの措置でこれを使うことが当然だと思うのでありますが、この点についてお伺いしたい。
○政府委員(渡邊喜久造君) 酒造米をどういうふうにするかという具体的な内容につきましては、目下農林当局といろいろ御相談申し上げている点でありますが、かりに酒造米が相当数ふえましても、これは御承知のように、本年の産米を割り当てられまして酒を作ります。大体今年の十二月から来年の一月、二月ころに作ります。従いましてそれが蔵出しになりますのは、やはりそれから以後でございますので、それによって相当の税収が予定されたとしましても、三十年度の予算にはこれはちょっと期待できないのじゃないか、三十一年度の予算に計上さるべき歳入だと、かように思います。
○小林孝平君 関連。私は今の酒税の増徴に伴うその使途につきましては、主税局長からの答弁では不満足だ。大蔵大臣からの御答弁をお伺いいたします。単に事務的に、これは三十一年度の収入になるから今年は使えない、だから仕方がないという答弁では困る。本質的に、今この奨励金をさらに出さなければならないという議論も多分米価審議会で強硬に主張されておると思うのです。その財源がないということでおそらくこの値上げを政府は拒否されておるだろうと思う。そこで現実にこういう膨大な酒税の増徴があるのですから、これを使うという方法は単に事務的にこれは数カ月おくれるから使えないという答弁では困ると思います。大蔵大臣の明確なる、この増徴分を使うか使わないか、これを聞かせてもらわなければ、これは結局財源がないから米の値段は上げられないということで終ってしまう。はっきり御答弁をお願いします。
○国務大臣(一萬田尚登君) ただいま主税局長の御答弁の通りでございますが、来年度に入りましたその金をどういうふうに使うか、これは来年度の財政の場合について考えるよりほかないと思います。(「答弁になっていない」と呼ぶ者あり) 〔理事池田宇右衞門君退席、委員長着席〕
○永井純一郎君 ですから大蔵大臣がもう少し考慮をされなければいかぬと思うのですが、農民の方はせっかく予約にもなってない制度で強制的に出させられて、それを食管会計の中でちょっと操作したらその金が全部よそにいってしまう。それであるので農民の側からいえばそれだけかりに来年になっても農民の方にこれだけの八十億か、百億の金を戻してもらいたい。自分たちの米を政府がとって、ちょっとした操作でよそにいってしまうのですから、その辺を考えて答弁されなければ私はいかぬと思う。ですから、そういう意味で大蔵大臣は答弁されたい。
○国務大臣(一萬田尚登君) いろいろな関係から税が出てきますが、これは歳入一般として考えまして、これをどういうふうに財政上運用するか、こういうことになると思います。
○吉田法晴君 昨日来の理事会の申し合せもございますし、委員長において米価を予算審議の終りまでに明らかにしないのか、あるいはいつするのか、それから米価問題に関連する食管会計の赤字をいつ予算委員会に明らかにするのか、その点を委員長から一つ政府に明確に答弁を一つ求めていただきたい。
○委員長(館哲二君) 河野農林大臣にお伝えいたしますが、ただいま吉田法晴君から発言のありましたことに対しましてできるだけ明瞭に御答弁を願いたいと思います。
○国務大臣(河野一郎君) 米価の決定は御承知の通り、私といたしましても予約集荷をいたさなければならぬ立場からいたしまして、一日も早くこれを決定いたしたいと考えております。ところがただいま申し上げました通り、目下米価審議会の御審議中でありまして、今日にもその御答申を頂戴いたしたいと思っておるのでございますが、何分これは審議会のことでございますので、私お急ぎ願うようにお願いをいたしておるのでございます。私といたしましてはこの答申が参りますれば直ちに政府部内において先ほど申し上げましたように、閣議において最終決定をいたしたいと思っておるのであります。そこでこれに見合う食管会計の内部における財源関係でございますが、これにつきましてはただいままでも申し上げたる通り最終決定をいたしまして、決して財源の点から米価の決定がなさるべきものではないのでございますから、その最終決定が出ました上で財源については考える必要があるだろうと思います。もちろん大体の点は見当をつけております。しかし先般もお答え申し上げました通り、今大蔵省との間に大体の項目の内容について打合中でございます。最終のものはまだ出る段階に至っておりません。そういうことでせっかくのお尋ねでございますが、その程度で御了承いただきたいと思います。
○永井純一郎君 米価問題について、実は私は政府の態度が非常に遺憾に思うので、審議が終るまでにそういう資料を提出いたしますということで今日まで来ているにもかかわりませず、故意と思われるような態度で重要な資料の提出がないということはまことに遺憾に思うわけです。しかし、時間がありませんからもう一点お尋ねしたい。これは大蔵大臣にお尋ねいたしますが、今までの同じく農業関係で災害復旧関係を三十年度予算では建設省の公共土木関係が修正でふえて百五十二億、農林省関係が百二十七億組んでおります。ところが仕越工事はこれは公共土木事業が百五十二億の予算に対して百五十億、それから農地、農業公共用施設で百二十七億の予算に対して仕越工事が百五億三千万円ほどある。従いまして仕越しした工事を本年度の予算に組まなければ、仕越工事に払ったならばもうすでに三十年度新しく災害復旧事業を進めることができないような予算の査定を大蔵大臣がしたということは、私は農漁民の生活の基本になる問題である。これは重大な政治的責任があると思う。これはこういう予算の査定の仕方というものは仕越工事があるならばその分は少くとも済んでいる工事でありますからそれは当然予算化されなければならぬ。その上に三十年度の新しい災害復旧事業の工事が進むようにならなければこれは食糧増産もできませんしするわけでございますから、こういう状態になっているこの仕越工事に対する措置というものを一体どういうふうにされるつもりであるか、これを私は伺いたい。
○国務大臣(一萬田尚登君) 災害復旧費が乏しいという点についての御質問でございますが、これは三十年度予算を組みます場合に二十九年度の災害費、それから二十八年度以前の災害について各省の関係の人々と実地調査をして、そうして二十八年度の災害が実際は相当少い、当初よりもよほど少いということがはっきりいたしました。そういうことを、同時に物価も下っておる、こういうことを勘案しまして災害復旧費を組んだわけであります。むろんこれは御質問のような、私十分ではないと思うのであります。これは予算全体の規模からいたしましてやむを得なかったのありますが、極力これを大事な所に使うようにいたしまして、そうしてこの災害予防の実をあげるべきである、さような考えでいるわけであります。
○小林孝平君 関連。先ほどの私の質問に対しまして御答弁が不備でございますから重ねてお尋ねいたします。この米価の値上げの決定に関連いたしまして、その財源を特に酒造米の払い下げの量を多くいたしまして、そうしてその財源を出すということに大体なっているらしいのです。こういうふうに特にこの食管特別会計の中の操作によって出すというような操作をやられる以上は、特にこの酒税の一部を米価の値上げに使うということは特別考えてもいいのじゃないか、私はこの目的税的なものについてはいろいろ意見もあります。しかしながら現実にガソリン税の一部を道路の整備に使っているのです。特に今回のような場合は特別に考慮を払われてもいいのじゃないかということをお尋ねしている。それを単に事務的に来年になってとれるのだからそれは来年のことだということでは納得できないので、はっきりと今回のように相当無理をした場合は特別に考えてもいいのじゃないか、それを考えられる余地があるのかどうかお尋ねいたします。
○国務大臣(一萬田尚登君) こういうものからこういう税が出るから、その税はこういうものに使ったらどうだ、これは目的税の考え方と思うのでありますが、これは私はなかなか財政当局としては困難なところであります。特にガソリン税の場合は特別に法律でああいうふうになっているのでありますから、一般的にそういう考えは持っておりません。(「財源はどうするのだ」と呼ぶ者あり)
○小林孝平君 もう一点、それは目的税の問題についてはいろいろ議論もありますけれども、現実にそういうものがあるのです。そこで次回のように相当無理をして、当然一般会計から入れなければならないのをそれをやめて、食管特別会計の中でやりくりするためにそういう無理をして、酒造米の増石、増配というようなことをやるのですから特別考えられてはどうか、そういうことをお尋ねしているのです。原則的なことはもうわかっているのです。
○国務大臣(一萬田尚登君) 御意見は十分拝聴いたしますが、私にはその意思がありません。
○永井純一郎君 私は先ほど仕越工事のことをお聞きしたのですが、これは二十数府県にわたる重大問題で、私は大蔵大臣にわざわざ質問の通告までしてあるのだから勉強が足りない、その仕越工事という言葉そのものもわからないのじゃないかと思うのでありますが、今年の予算はもらっても今まで仕事をよけいやっているのでその支払分に今もらったものを払ってしまうと、三十年度実際に大切な農地その他の河川、その他の災害復旧が全然新しくできない状態にあるのです。こういう予算の組み方をしたことは、そういう査定をしたことはこれは大蔵大臣の重大な農山漁村民の生活の問題からいえば、そういう査定の仕方は私は重大な大蔵大臣の政治的責任だと言うのであります。だから現実に三十年度に新しく災害復旧事業ができるような方策をどういうふうにするか。これは建設大臣、農林大臣は当然それに努力をいたしますが、結局大蔵大臣が協力しなければいけない。大蔵大臣はこれを具体的にどう措置をされるか、その方策を私は聞いている。これをはっきりと答えていただきたいと思います。
○国務大臣(竹山祐太郎君) 私の名前も出ましたから建設関係につきまして、お話の通り二十八年度に非常に大きな災害か出ましたために仕越がありますことは御指摘の通りであります。これは正常な形ではないと思いますが、これを一挙に解決するということは現在の財政状態から困難でありますので、できるだけすみやかに資金処置と予算処置とによって解消をして参りたいと努力をいたして、三十年度予算におきましても、今回の予算で天体前年度よりは進歩率を高める限度を目標にして予算を編成いたしておりますが、しかしこれだけでは御指摘の問題のすべての解決にはならぬと思いますので、一方今後の予算の処置、資金の処置によってすみやかにこの善後措置をとる一面、明日の閣議で決定をして提案いたすつもりでありますが、今回公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の改正等をいたしまして、今後の問題等もあわせて、かようなことのすみやかな善後処置を進めたいと考えておる次第であります。
○永井純一郎君 それでその具体的な、一体措置をどう……、これはもう現実の問題なんです。あるいは預金部の起債によって実際上仕事を進めるとか何かなければ、これは片づかない問題です。これは大蔵大臣からも、建設大臣からもけっこうですが大蔵大臣も答えてほしいのです。そうでなければ実際上多数の災害地帯がこのために困窮をきわめておる重夫な問題です。
○国務大臣(竹山祐太郎君) お話の通り現実の事態といたしましては、今年度の起債の処置と、今年度の予算の実行を両方を相待って事態の収拾をいたしたいと考えております。
○委員長(館哲二君) 大蔵大臣お答えになりますか……。
○国務大臣(一萬田尚登君) ごもっともなことであるのでありますが、全部そういうような場合にこれを予算化するということもなかなか困難であるのでございます。各地方の具体的実情をよく検討してみたいと思います。
○永井純一郎君 どうも大蔵大臣は答弁にならない答弁をちょいちょいされるのではなはだ困るのでございますが、たとえば今この仕越分をどのようにして処理しておるかというと、大体短期の融資によるものと、それから地方銀行あるいは県信連なんかから借入れておるのと、それから支払いを全然払ってない、こういう三つで処理しておる金が建設省関係で百億あります。農林省関係で百五億以上ある。そこでわずかに予算は、百億もある仕越に対して予算が百億、百五十億足らずしかこないのですから、その分に未支払金と借入金の返済等しましたならば、災害復旧は進まない。問題はすぐに予算化するということは困難かもしれません。しかし融資の方法なりは、これは考えられるはずでありますから、もう少し具体的に大蔵大臣はここで言明をしておいていただかないと、二十数県にわたる重大な問題です。これは兵隊を作ったり軍隊を作ったりすることの費用よりも、この災害の二千万に及ぶ農出漁村民の被害はよほどこの方を要求しておるわけなんです。もっと具体的に答弁してもらいたい。
○政府委員(森永貞一郎君) 仕越工事の問題でございますが、原則としてはやはり政府は予算の範囲内で補助し、また工事を実施することを期待いたしておるわけでございます。ただ二十八年災害が非常に大きかったわけでありますが、その場合に初年度において二割しか復旧できなかった。そこで特に復旧の緊要なるものについて資金的措置を講じまして防災上遺憾なきを期するというような御要請がございまして、たしか昭和二十八年度並びに二十九年度にそれを引き継いでおりますが、三十億円ぐらいの短期融資をもちまして仕越工事の分についての資金的措置を講じたような事態もございましたわけでございます。本年度の実情として、さらにこれを同じような措置を講ずる必要があるかどうか、これはやはり各地における仕越工事の実情並びに災害復旧の緊要性にもよることでございまして、それらの点につきましてはとくと実情を検討いたしました上で、もし措置すべきものがございますれば措置すべく努力をする、そういうことではないかと存ずるわけでございまして、直ちに予算問題とこれを結びつけて、予算措置を講ずるということは、ちょっと現状では困難だと存じまするので、その点を申し上げた次第でございます。
○永井純一郎君 時間がないそうでありまするから、一応これで質問を終ります。
○木村禧八郎君 最初に大蔵大臣に一つだけ伺っておきたいのです。これまでの予算審議におきまして、大蔵大臣は社会党の松澤委員及び自由党の左藤義詮君の質問に対して、大体来年度の予算、これは一兆円をこえるであろうと、こういうような御答弁があったわけです。これははっきりと大蔵大臣は言われたわけです。そこでこれまでわれわれ予算規模、あるいは財政規模を見る場合に、どうもただ一般会計に現われた数字だけではほんとうのこのいわゆる財政規模といいますか、予算規模がわからないわけです。非常にこのごろはめんどうになりまして、たとえば二十八年度において一般会計に計上したものが特別会計に移されたり、そうなっておりまして、どのくらいに実際に財政規模がふくらんだのか、そういうことはよくわからぬわけです。そこでこの際最後の締めくくりでありますので、お伺いしておきたいことは、昭和二十八年度予算においてこの一般会計に計上した経費のうち、昭和二十九年及び今度の三十年度において特別会計またはその他の資金に移したものの項目及びその額、また新しく特別会計あるいは資金というものを設けたものの項目及び額、そういうものを伺いたいのであります。そうしてそういうものを入れると二十九年度のいわゆる一兆円予算と言っておりますが、そのトータルは一体幾らになるか、それから三十年度のトータルは幾らになるのか、この点計数的にまずお伺いいたしたいのであります。
○政府委員(森永貞一郎君) 計数にわたる問題でございますから私からまずお答え申し上げます。昭和二十八年度におきまして一般会計に計上しておったが二十九年度にはそれが一般会計でなくて他の資金なり特別会計なりに計上されたものがどれだけあるかという御質問だと存じます。まず一般会計に計上いたしておりました租税払い戻し金でございます、これは二十八年度五十六億円でございますが、これが二十九年度には国税収納金整理資金法という法律ができまして、租税収入に入れます前に、過誤のものはまずふるいにかけてその払い戻したあとの純粋な租税収入を政府の収入とする一般会計に繰り入れると、その間はこれを資金として整理する、それによって過誤納金の整理を進捗させると、そういう法律が立法化されたわけでございます。それによりましてはこの五十六億円が一般会計から消えまして、別に資金として整理されますこの金額が二十九年度におきましては九十億円ございました。それから郵便貯金特別会計の赤字補てんでございますが、二十八年度においては四十三億——約四十四億一般会計に計上いたしておりまして、これは実は資金運用部特別会計から一般会計に利益金を納付して、これを一般会計から郵便貯金特別会計に繰り入れるという回りくどいやり方をいたしておりましたが、この補てん金の性質上すなわち実質上金利に属するものであると、そういうような考え方からいたしまして、これは会計制度の簡素化という観点からこれを資金運用部特別会計から郵便貯金特別会計に繰り入れるということにいたしたのでございます。その金額が四十億円でございます。従いまして、御指摘になりましたような方法で計算いたしますと、百三十億円が二十八年度には一般会計に計上されておったけれども、二十九年度はほかの方に移されたということになるわけでございます。 それから三十年度についてただいまの数字を申し上げますと、租税払い戻し金は約百十億程度と見込まれます。それから郵便貯金特別会計赤字補てんの金額は四十四億円でございます。そのほかに二十九年度の新たな問題といたしまして、開拓者資金融通特別会計資金を二十九年度までは一般会計から繰り入れていたのでございますが、この繰り入れ、或いはこの特別会計における原資は、もともと特別会計法上におきまして、公債または借入金に求めるというのが従来のならわしでございまして、それを二十四年度から一般会計からの出資に変更いたして参ったのでございますが、最近この会計におきまして、だんだん回収の実もあがって参りますし、いわゆるペイイング・べースに乗って参りましたので、三十年度におきましてはかかる実情を考慮いたしまして、この回収金も貸付の原資に充て得るということにいたしますと同時に、資金運用部からの貸付金に原資を依存すると、さような取扱いに変更いたしました次第でございます。その金額は十億円でございまして、結局、三十年度におきましては、二十八年度にあったもので、三十年度にないものは約五十四億という計算になります。お示しの通りの計算をいたしますれば、大体このような結果に相なります。
○木村禧八郎君 まだこのほかにこれはまたいろんな議論になりますと思うのですが、入れるべきか入れるべきでないかと思いますが、とにかくこれによって一兆円、いわゆる一兆円を実際にはこえていることは明らかなんです。今後来年度において大蔵大臣が一兆円をこえるとかこえないとか、そういう意味は、財政規模としてどういうふうにお考えになっているのですか。今までのように、これは一般会計に入れるべきものを特別会計に入れてしまえば、これはまた財政規模というものは小さくも一般会計だけについては、そう見えるのです。しかし、今後、まあ非常に私は乱用されてきていると思うのです。財政規模というものを判断する場合に、やはり、わかりやすくそういうようにしませぬと、非常にいろんな分析、判断する場合に困難になってくるのです。その点について、どう来年度以降について……。
○国務大臣(一萬田尚登君) 決して一兆円という無理に数学的にするために異例の処置をとったわけではないのでありまして、それぞれ先ほど主計局長から話しましたように、一応の理由をもちましてきたわけでございます。なお、しかし、今お話のように財政というものをきわめて明確にというお考え方にはもちろん異議はございません。できるだけ今後さようにいたしたいと考えております。 なお、来年度の財政規模、これはまあ私は先般一兆円という、そういうことに来年度においては、これはもう六カ年計画から見ましてもこだわることもないという意味で申したのでありまするが、どういう程度の規模になるか、これはもう少し検討を加えた上でないと責任あることは申し上げにくいと思います。
○木村禧八郎君 これは大蔵当局に希望しておきますが、いつもわれわれがこういうふうに質問したり要求しないと、なかなかそういう答弁がないのですが、今後は何かそういう場合には、資料としてわかるような資料を今後作って、提出していただきたい。これは希望であります。 次に、総理大臣にまず伺っておきたいのですが、これまでMSA協定を結びまして、それで、これまでに、日本にとってどういうプラスがありましたか、具体的にそういうプラス面について伺いたいのです。
○国務大臣(鳩山一郎君) MSA協定によって多額の装備品の供与を受けました。日本の防衛力がこれによって増強したことは御承知の通りと思います。そういう利益があったと思います。
○木村禧八郎君 それじゃ、それだけでございますか。
○国務大臣(鳩山一郎君) 外務大臣から答弁をしてもらいます。
○国務大臣(重光葵君) 御質問の御趣旨が十分のみ込めませぬけれども、MSA協定が、日本にもたらした利益というのは、私は大体防衛力の増強の点、それと、日本の経済方面に貢献したと、こういうことになりやせぬかと思っております。まあ、それだと思っております。それは、一つは、日本の防衛力の増強について、今、総理のお話の通り、いろいろ援助を受けたその結果であります。MSA協定は、御承知の通りに、これは防衛上の援助が主であります。しかし、MSA協定によって得た農産物の借款の問題があるのでございます。これは、その結果日本の経済方面に非常に利益を得たと、こう考えております。大要さようなふうに考えております。
○木村禧八郎君 これは事務当局でいいのですが、数字について御説明願いたいのです。武器としてどのくらい援助され、あるいはまた農産物の問題がありましたが、経済的にどのくらい金額としてプラスになったのか。
○国務大臣(重光葵君) 数字が御入り用のようでございますが、大要はここに調べて参っておりますけれども、実は、これは防衛庁関係のものであることは御承知の通りでございます。はっきりした、詳しいことを、防衛庁の人に調べさして、後ほど御答弁することにいたした方がよかろうと思いますが。
○木村禧八郎君 実は後ほどと言っても今日で、これで質問は実は終りなんです。後ほどでけっこうです。なるべく、おくれてもいいですから、正確なものをお出し願いたいと思います。兵器だけでなく、さっき言ったその他の援助についてもです。 次にお伺いしたいのは、MSA協定によってマイナス面ですね、マイナス面はどういうものがあったか、これをお伺いしたいのです。
○国務大臣(重光葵君) さしあたりマイナス面をもっておらないように承知しております。
○木村禧八郎君 MSA協定という、こんな重大な協定を結んで、そのプラス面なりマイナス面がはっきりわからない、しかも、日本の経済には重大な影響を与えているのです。外務省の情報文化局が、MSA協定を結ぶ前に、MSAとは何かと、こういうパンフレットを出しております。その中で一体どう書いておりますか。この協定を結びますと、アメリカから域外買付というものが参りまして、MSA援助資金によるわが国からの城外買付は今の朝鮮特需よりは長続きするもので、関係企業に対して安定感を与えると予想される、この安定感が企業経営の上に与える好影響は、発注の金額そのものよりも大きなものがあると思われる、こういうことを書いております。また、かりにわが国が軍事援助のようなMSA援助を直接受けることになった場合は、諸外国がMSA援助資金の域外買付といった形で利益を受けておるが、わが国もその利益はさらに多くなる、またMSA協定を結ぶと、わが国に対する直接の軍事援助が、単に米国製の武器、弾薬などの完成兵器をわが国に渡すだけでなく、むしろこれらのものをわが国の産業にできるだけ発注することはもちろん、一般的にMSA援助計画の運営に当っても、たとえばアジア諸国に対するMSA援助資金でわが国から援助に必要な物資の買付、つまり域外買付が行われる可能性もあるわけで、これによってわが国ドル収入に好影響があるだろう、こういう経済的効果をねらって、そうしてMSA協定を結べばわが国に有利であるということを宣伝しまして、外務省の情報文化局であります。そうして国民にMSA協定を結べばこれが経済的に有利であると宣伝してこれを結んだわけであります。ところが外務大臣も御承知の通り、この間私はロス言明を伺いましたけれども、全然これは知らぬなどと言っておるのです。アメリカの国防次官補代理のロスという人が日本に来て、そうしてアメリカ域外買付、兵器の買付は一千万ドルしか買付ができないと、そうしてその場合アメリカの兵器発注はアメリカの予算節約方針によってできないから、日本の政府の軍事予算をふやして、防衛庁の予算をふやして、日本政府が日本の軍需会社に発注すべきである、それでも足りない分は日本の軍需産業を国有化すべきであるという、そういうことを文書をもって申し入れたということが、四月の八日の朝日新聞にはっきり出ておる。しかも私が前に質問したときは、重光外務大臣は全然そういうことは知らぬと言う。こんな重大な問題を全然知らぬと言い、直接調べてみたところがちゃんと会議をやっております。その会議にどういう人が出席したかも私は知っております。で、もし外務大臣がそれは誤まりであったらそのことは御訂正なすってけっこうですし、もしそれがあとで調べてわかりましたならば、その内容について御説明願いたいと思う。
○国務大臣(重光葵君) MSA協定につきまして、外務省は広くこれを一般に知らしたいと思いまして、またこれを知らせる義務があると思いまして、かようなパンフレットを出したことは事実であります。これに委細あります。今お話の点はその通りでありますから、これで十分御承知を願いたいと思います。しかし実はこれは私の就任前のことでありますから、その当時の内容はよくは知りません。しかしこの通りであると私も思っております。そこでMSA協定のプラス面については、先ほど大要は申し上げましたが、詳細のことはこれにあるわけであります。(木村禧八郎君「それは現実は逆じゃないですか」と呼ぶ)それからロスの話でありますが、これはこの前もお話がありまして、私はそれはそういう意見を政府において申し入れられたことがないということを申し上げておきました。その後に調査をしました。あなたはどこからそれを得られたか知りませんが、そういう書面も何もないことは事実です。調べております。それは何かの何じゃございませんか。そういうことは朝日新聞にあることも承知しておりますが、それは事実に反しております。ただこういうことは調べた結果出てきました。ロスがいろいろな人に意見を述べたことはあります。おそらく朝日新聞もそういう方面から取ったものと思います。そこでその特需の問題が、日本の防衛努力に応じて、また防衛努力の減少のために特需が少くなるということは、これはロスだけじゃございません、アメリカ側からしょっちう聞いておる意見でございます。それに従いまして、できるだけ日本も防衛努力にこれだけ努力をしておるのだというようなことは向うに説明をして、特需の減らぬように努めてはおります。おりますけれども、ロス氏の問題を持ち出されれば、さようなことでございます。それで事情はおわかりのことと思いますから、私はこれで……。
○木村禧八郎君 それは事情は私はわかりません。私も調べてそれが間違いでないことを確信を持っております。幾日にどういう会議をして、これは外務省だけではありません、ほかの各省からも列席しておるはずであります。そういうようないい加減なことを言われますと、非常に私は困るのであります。しかし時間がありませんから次に移りますが、今、外務大臣が言われたMSAとは何ぞやと、こういうものを国民に広く知らせるために出したということは事実である。しかしこの結果は、日本の軍需産業は非常な増設をやりまして、域外買付を当てにしまして今大体アメリカの発注を一億ドルくらいの注文を受けるくらいの設備を増設したのですよ。ところがアメリカからの発注がとまってきたのです。富士自動車の問題がそれであります。それが一つであります。そういうように重大な打撃を与えているのですよ。外務大臣はそれを御存じないかもしれませんが、そういう形で非常にこっちでは域外買付があると思ってどんどん設備を拡張した。これが当てがはずれて深刻な今問題が起ってきているのです。これは決してプラスではありません。それはもっと広く経済的に、重光外務大臣に伺ってもこれは無理かもしれませんが、そういう点は非常に当てがはずれておるのです。非常に大きなマイナス面であります。そういう点をわからないで、そうしてこんな重大な協定を結んで、プラス面、マイナス面がよくわからぬ、これでは実に情ない話であると思うのです。もう時間がありませんから、次に簡単に伺いますが、MSA協定の中で義務がありますが、この義務は幾つあるのか。最初われわれが聞いたところでは、これにも書いてありますが、六つの義務があるといわれているのです。ところが最近アメリカではこの法律を修正しまして、義務は十一にふえております。十一にふえておるのです。そういう場合、その関係は一体どうなるのであるか。MSA協定のこの条文を見ますと、アメリカのMSA協定の法律並びにその修正も含めておるのです。それでアメリカの国内でどんどんこれを修正した場合に、それも含めて日本では義務を負うわけです。そうなると、アメリカの国会でそれを修正して、日本の方においては義務がふえてくるということになると、一体今後どうなりますか。この協定ではそういうふうになっているのです。修正をも含めて義務を負うことになっておりますが、その関係はどうなるのですか。私は非常に重大だと思うのです。大蔵大臣官房調査課で出しております昨年十一月二十五日発行の調査月報、この二ページにはっきりと載っておりますから、これは十分あとでお調べの上で、これに対して善処されませんと、重大問題が起ってくると思うのです。これによりますれば、援助の受領資格条件がその後の改正で非常に強化された。軍事義務は明瞭化されまして、従来援助受領の六つの条件に五つが追加されて、十一があげられておる。これは今度の新法律の百四十二条にあります。その点はこれはわれわれが知らないうちにアメリカの法律がどんどん改正されまして、義務がどんどん追加されてくる。われわれは六つと思っていたが、この調査月報を見ると十一にふえている。この関係は一体どうなるのか、この点明瞭に御答弁願いたい。
○国務大臣(重光葵君) その点は条約関係でございますから、はっきりしたことを条約局長に説明をしてもらいましょう。しかしその義務条項は実はまとめてあるので、ふえてはおらぬということを御承知を願いたい。
○木村禧八郎君 ここにちゃんと載っているのですよ、資料に……。
○政府委員(下田武三君) 補足して御説明申し上げますが、御指摘の点は、MSA協定第一条に、米国の法律を引用いたしまして、この法律の改正法も将来やはり適用されてくるという条項がございますので、その点からそういう場合にはどうなるのかという問題を提起なされたのだと思います。これはアメリカの実は国内事情からくるのでございまして、米国はこの協定は行政協定といたしまして、米国の議会に承認を求めるために提出をいたしておらないのでございます。そこで米国の議会に対しましても、法律に書いてあること以外のことはこの協定でやりませんということをいう必要があるために、この法律を引用したわけでございます。そこで仰せのように、法律は毎年幾らかの修正を経ております。そこでアメリカのその立場は当然でございますが、日本といたしましては、法律が変ったためにこの協定以外の新たな義務を負うことになりましたならば、これは日本としては黙っておられないわけであります。その場合には、その義務がもしこの協定のワク外に出るものでございましたならば、当然この協定の修正なり、またある場合にはこの協定の廃棄も考えなければならないわけでございます。そこでただいま仰せの、昨年の例の第八条にあります六項目、それが新法では十一項目にふえておるではないかと仰せられますが、これは点検いたましすと、旧法の各所にばらばらに出ておりましたものを、全部一まとめにいたしまして、わかりやすくいたしただけのことでございまして、その内容は、この協定が締結されましたときに日本政府がよく承知いたして、そうして受諾しても差しつかえないと認めておったものでございますので、今回のその点の修正につきましては、別に問題は起らないと考えております。
○委員長(館哲二君) 木村君、時間が超過しておりますからこれ一回。
○木村禧八郎君 それは大蔵省で出している調査月報をあとで見ていただきたいのです。はっきりと援助の受領資格条件が強化されている、軍事的義務が明瞭に定められてきておるのです。それからこの協定文ですね。日米相互防衛援助協定の一番初めにこう書いてあるのです。「アメリカ合衆国政府がこの協定に従って使用に供する援助は、千九百四十九年の相互防衛援助法、千九百五十一年の相互安全保障法、この二法律を修正し又は補足する法律及びこれらの法律に基く歳出予算法の当該援助に関する規定並びに当該援助の条件及び終了に関する規定に従って供与するものとする」と書いてある。そこで私は今申し上げたような質問をしたわけでありまして、そこでまた実際にみますと、それがアメリカの国内法の改正によって追加されておるのです。それで日本に対する実害が大したことでないというのなら差しつかえないのでありますが、もし今後重大な修正が行われ、そうしてこの前文にあるようなことになると、われわれ知らないうちに非常に大きな義務が課せられてきているということになるので質問をしたのであります。で、もう私は質問する機会がないのであります。最後にその点御答弁いただきたい。私もこういう条約についてはしろうとでありますが、しかしもしこういうことであると、今後非常に重大なことになるのじゃないか、それからまた大蔵省の調査月報にもそう書いてありましたので、この点伺ったわけです。 それからなお、もう時間がありませんから簡単に大蔵当局に、これは技術的なことであります。非常にこまかいつまらぬことのようですけれども、これでもう予算委員会は終りますので、この際簡単な技術的なことですけれども、一つ伺っておきたいことは、東北興業株式会社に対する政府出資一億円、これが予算書においては財政投融資の扱いとなっていないわけです。実際には財政投融資なのでありますが、これが財政投融資に入っていないということ。それから第二は、国鉄予算は収支バランスがとれているのに、われわれに配付された損益計算書には、五十億円の損失となって、バランスがとれていません。この二点について御答弁をいただきたいと思います。これで私の質問を終ります。
○政府委員(下田武三君) 御質問の第一点はごもっともに拝聴いたしました。アメリカの一方的の法律の改正で、とんでもない義務を引き受けることになったら大へんなことでございます。幸いに先ほど御指摘の点につきましては、日本には問題はなかったのでありますが、将来先方の法律の改正で、日本にとりまして問題となる点がありましたならば、これは協定の改正なり、何なり講じなければならないと思っております。現に日本につきましては例がございませんが、外国ではやはり同じ問題が起きております。日本のMSA協定は外国のMSA協定よりもおそくできたわけでございますが、この第八条の元になりました昨年のMSA法の五百十一条の六義務でございます。その六項目は英仏その他の国が協定を結びましたあとにできたわけでございます。そこで協定の予見しない義務を負うことになりましたので、アメリカとそれら各国は新たに交換公文をいたしまして、そうして協定の追加といういとをいたしたわけであります。でございまするから同様の事態が日本に起りましたら、日本もやはりそういう手続をしまして、それにつきましてあらためて国会の御承認を仰ぐということが必要と相なってくることと存じます。
○木村禧八郎君 さっきの二点、簡単でよろしうございますから……。
○国務大臣(一萬田尚登君) あれは私学振興会などと同じように、大蔵省の方の出資にしてありまするから、財政投融資には入れてないわけです。
○木村禧八郎君 財政投融資なんですよ、実際は……。
○国務大臣(一萬田尚登君) 入れてありません。ちょっと性質が違う、私学振興会などと同じような意味合いで、大蔵省の出資には相なっておりますが、財政投融資からはずしてある。
○木村禧八郎君 それはどうしてだということと、国鉄の方はどうなっておるのですか、事務当局の方でけっこうです。
○国務大臣(一萬田尚登君) 今、政府委員がちょっと……、あとでよく調べまして御答弁申し上げます。
○木村禧八郎君 委員長もうこれでおしまいですよ。
○委員長(館哲二君) だから後刻質問に対して答弁をすることにいたします。
○木村禧八郎君 それでは質問を終ります。
○八木幸吉君 まず総理にお伺いいたします。憲法第九条第二項後段の「国の交戦権は、これを認めない。」という意味をいかようにお考えになりますか。
○国務大臣(鳩山一郎君) 交戦権というものは国家が交戦国として国際法上有する権利であると思います。しかして憲法は戦争の放棄に伴ってこのような権利を否認することとしたわけであります。
○八木幸吉君 そういたしますと、憲法第九条第二項の前段とは関係がないとお考えになりますか。
○国務大臣(鳩山一郎君) 法制局長官からお答えいたさせます。
○政府委員(林修三君) 御承知のように九条全体の趣旨として、もちろん一つの行為として理解すべきものと思いますけれども、時期から言えば御承知のように九条の二項の前段と後段は分れておりまして、その意味では続いてはおらないと思います。
○八木幸吉君 先般の総理の御答弁では、九条第一項も、第二項前段も自衛戦争は否定しておらない、こういう御答弁でありましたが、今の法制局長官の御答弁によりますと、すべての戦闘行為を中止するというのであれば、自衛戦争もこれを禁止するのが後段の建前である。憲法前文の戦争放棄とすべてマッチしている、こう考えるので、従って自衛隊は憲法違反である、こう私は思うのですが、いかがですか。
○国務大臣(鳩山一郎君) 私は主権があれば自衛をする権利は当然にあると思うのであります。それですから自衛権だけは別に考えなくてはいけないと思います。自衛としては、自衛権のためには兵力を持ってもいいと考えております。
○八木幸吉君 今の総理の御答弁でありますと、法制局長官の答弁と違って、憲法第九条第二項の前段と後段とは連絡がある。自衛戦争のみに交戦権はかかる、こういうような解釈のように思いますが、これ以上入るのはいかがかと思いますけれども、念のために……。
○政府委員(林修三君) お答えいたします。私はそういう意味で申し上げたつもりではございませんでして、交戦権とは、先ほど総理大臣からお答えいたしました通り、これはいろいろ説がございますが、政府といたしましては、国が国際法上交戦国として持っているいろいろの権利、こういうことに理解しているわけでございます。で、これを否認したということと、しかし別の意味において国が自衛権を持っている、従ってその自衛のために行動する権利を持っているということとはこれは私は別問題だと思います。交戦権はすべての戦闘行為をしてはいけないということではないのでありまして、国際法上の交戦国としての権利という問題でありますので、戦闘行為そのものを否認してはいないと思います。従いまして、不法な侵略を受けた場合に自衛のために行う行為を否認したものではないと思います。
○八木幸吉君 時間の関係で次に移ります。現在最高裁判所では、裁判所法第七条の規定により、具体的訴訟事件のみを審査しておりますが、この法律を改正して違憲訴訟の手続の法律を制定すれば、憲法第八十一条によって最高裁判所は違憲裁判をなし得ると考えますが、いかがでありますか。
○国務大臣(鳩山一郎君) 憲法第八十一条は最高裁判所に法令審査権を与えておりますけれども、裁判所が憲法上与えられているのは第七十六条を見れば明らかとなりまして、司法権を行う権限だと思います。そうして最高裁判所の判例は、法令審査権も司法権の発動を通じて、つまり具体的な訴訟事件において行われるものとしておるのでありまして、私としてはこれと見解を異にする理由はないように思います。つまり具体的の事件、司法裁判所としての事件でありまして、抽象的にある一つの法律を無効であるというような裁判はできないものと思うのであります。
○八木幸吉君 その障害になっておるのは裁制所法第七条でありますから、これを改正して違憲訴訟の手続法を制定すれば差しつかえないと思うのですがいかがですか。
○国務大臣(鳩山一郎君) それはやはり憲法改正です。憲法改正によってできるものと思います。憲法改正なくしては私はできないと考えます。
○八木幸吉君 法制局長官は……。
○政府委員(林修三君) ただいま総理大臣からお答えいたしました通りでございまして、結局憲法八十一条はこれは大多数の学者及び最高裁判所の見解がそうだと思いますが、司法権の作用として認められているものと考えております。いわゆる西独等で認められております違憲裁判所の観念は司法権の観念とは離れたものと思います。そういう意味におきまして、あらゆる意味の違憲裁判所、あらゆる法律を最高裁判所において有効無効を判定するという権能は、これはやはり憲法で明らかにその点を認めなければできないのではないか。普通の司法権の作用からは逸脱しているのではないかと、さように考えております。
○八木幸吉君 米価引き上げの問題について総理に伺います。日本経済再建のために低物価政策を基調として輸出の増進をはからんとする政府が、ことに本年度物価の低落二%を目途としている現内閣が、いろいろ批判のある食管会計のやり繰りをして、結局全国民の負担において予算米価以上に米価を引き上げて改訂せねばならぬ根本的な、政治的でない、理論的な理由を伺いたいと思います。
○国務大臣(鳩山一郎君) 米価の政府の原案は食管法の改訂並びに予約集荷制度の円滑な運営という観点から十分理論的に検討をして定めたもので、妥当であると考えております。
○八木幸吉君 次に医薬分業について伺いますが、私は治療とは、診察と処方と調剤と投薬と、これが統一的になされて初めて全きを得るので、調剤だけが分れるということは治療として完全でない。従って強制分業をすべきでないと思う。私は体験から深く確信をいたすのでありますが、長きにわたる理想的な闘病生活を体験をされました総理が、患者として、一般大衆としてこれをどうお考えになりますか、率直な意見を私は伺ってみたいと思います。
○国務大臣(鳩山一郎君) 第二十臨時国会におきまして、医薬分業の実施が明年四月まで延期されたことになったおもな理由としては、政府の準備の不足があげられているように存じますので、政府といたしましては、明年四月一日からの実施に遺憾のないように目下鋭意準備をしておるところでございます。私自身の経験からというお話ですが、私自身の経験からといえば、医者が薬を盛ってくれるのが便利だと考えております。(笑声)
○八木幸吉君 最後に官庁の建造物の問題について伺いますが、従来とかく役所の建物がりっぱになる傾向がございます。裁判所でもずいぶん金を使っておりますが、国民生活が安定しなければ犯罪は減りません。また国会の経費なども近来著しく膨張いたしておりまして、帝国議会当時は年間三百二十万円のものが、本年は三十三億三千万円になっております。かって「民衆生活と帝国議会」と題して、国会のかたわらに非常に見すぼらしい民家を画いて文展に出した油絵が、警視庁から撤去を命ぜられたということがあります。現在国会で約三億の予算で地下一階地上五階の事務関係の工事が始まっております。理由はとにかく、私は現在の国力、民衆生活の実情から考えて、この工事はすみやかに取りやめるべきだと、こう私はかたく思うのであります。そこで国費の節約、綱紀の粛正をすることは、まずみずから率先垂範すべきだと思うと、総理の御答弁にもありましたが、国会のことでありますから、第一党の総裁として、この工事はぜひやめてもらいたいと、こう私は希望するのであります。 それから最後にもう一点、一昨年議員の滞在費値上げの問題がありましたときに、総理はこれを反対されまして御辞退れさたのでありますが、その後仄聞するところによりますと、民主党結成ののちにお取りやめになった、こういうことを伺います。この事実を国民が知れば、一体どうしたのだろうといぶかしく思うに違いないと思いますが、なぜお取りやめになったのか、その心境の変化についても承わりたい、かように存ずるのであります。
○政府委員(森永貞一郎君) まず事実関係を私からお答えいたします。ただいま衆参両院で御着工になっておりまする工事の予算は、実は前年度からの引き継ぎでありまして、前年度予算にあげました資金が繰越しになりまして、本年度といたしましては、たしか衆議院四千万円、参議院四千万円ぐらいかと思いますが、そのくらいのものが新たに入っております。工事全体が完成するということでなくて、前年度来着工いたしておりますので、それをどこかきりのいいところでとめる、それまでの継続に必要な資金を計上しておるというのが現状でございます。
○八木幸吉君 結局二億九千万円で地下一階地上五階、使用の方法は事務関係、これは私は非常に不必要な乱費だと、こう考えておりますが、総理の常識的な御見解を承わりたいのであります。
○国務大臣(鳩山一郎君) 官庁の建物のぜいたく等は極力避くべきものであると考えております。建設省所管にかかる官庁営繕の実施方針も、本年度は老朽官庁の建物の耐用年数の延長をはかることに主眼をおいておるわけでありますから、ぜいたくな建設は極力抑制しなくてはいけないと考えております。
○八木幸吉君 まず千倍近くに費用がふえておる国会みずからが自粛することが一番率先垂範をすることである、かように考えますので、まず手近なあの工事をやめていただきたいということをお願いいたします。それから具体的な例になりますと、たとえば福井で四億六千万円で裁判所を建てておる、まだしかし工事が完成しておらない、その近所には学校が、台風がくれば倒れそうな学校がある、国の金の使い方として非常にアンバランスである、こう私は考えておる。それから先ほどの点でございますが、滞在費の問題は総理は御承知ありませんかどうか知りませんが、これはどうも国民はおかしいと思うと思うのですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(一萬田尚登君) 官庁の建築につきましては最近極力押えるようにいたしておりまして、真にやむを得ないものをやっております。お説非常にごもっともなんでありまして、今後一そう注意をいたしたいと思っております。
○八木幸吉君 国会の工事のおやめを与党内でおまとめになるわけにいきませんか。千倍も費用がふえていてしかも国会は非常にぜいたくだ、いわゆる民衆と帝国議会の油絵が撤回されたのが如実にここに現われているので、その金でたとえアパートの一棟でも二棟でもお建てになるというのが住宅政策を強調される現内閣として当然のことじゃないか。何もここに建物が五階のものが建たなくても……、総理はあの日比谷の議会のことを知っていらっしゃる、われわれもよく存じておりますが、あれで十分国事は議せられたわけでありますから、そのくらいの勇断は一つふるっていただきたい、かように私は考えるので、第一党の総裁である鳩山氏に特にこのことを実はお願いをいたします。
○伊能芳雄君 鳩山内閣は組閣後非常にたくさんな公約をされて、今回のこの当初予算が初めてこの公約を果すべき使命を盛ってくれた予算であります。従って各公約について非常に気を配られたあとは私は認むるところでありますが、それだけにややもすれば非常に弱いぼけた感じを受けるのであります。ことにこの予算の一番弱いところは、何と申しましても多年叫ばれてきました、そして行き詰ってしまった地方財政の問題であると思うのであります。地方は一方には再建促進特別措置法案を出し、また地方自治法の改正法案を出しておられますが、総理が施政演説に述べられた中央、地方を通じての財政の健全化という点におきまして、一体この措置ぐらいで地方財政が健全化されたというふうにお考えであるかどうか、まず自治庁長官に伺いたいと思います。
○国務大臣(川島正次郎君) 地方財政は三十年慶の予算に盛られましたのを基礎にして財政計画を立てたのでありまするが、三十年度におきましては、国費におきまして二十九年度に比べて交付税で百三十億、たばこ益金で四十四億、入場剰余税で約二十五億ほどふえておるのであります。それだけで決して足れりとはしていないのでありますが、一応各公共団体の事業の圧縮、経費の節約等によりまして、現在ややともすると膨脹し過ぎていると言われておる地方財政を少し引き締めまして、これに対応いたしまして、三十一年度予算編成の際に地方財政の健全化の点について十分考慮いたそう、何といたしましても長い間の赤字の蓄積でありまして、これを一挙に三十年度の予算編成で解消することはできないのでありまして、機械の改革その他いろいろありますので、三十年度、三十一年度、両年度にまたがって根本的の改革をしよう、この点につきましては、大蔵大臣その他とよく意見の一致しておる点でございます。
○伊能芳雄君 大へん苦しい操作をされまして、最終的には九千八百二十九億という地方財政計画を出されましたが、これが一体実行性がおありであるかどうか。そして三十年度には赤字を出さずに済むとお考えであるか伺いたいと思います。
○国務大臣(川島正次郎君) 三十年度の地方財政計画は、二十九年度の地方財政計画を基礎にいたしまして、三十年度で当然減少し得べきもの、また当然ふやさなければならぬものを計算して歳出といたしましたし、また歳入の方も、地方の基礎の税金、国の支出金その他いろいろ計算して作ったのであります。私どもは、この財政計画通り絶対に赤字が出ないとは、これは言いきれないのでありますけれども、先般来、知事会議その他でしばしば私は協議をいたしまして、どうかして、いわば非常事態でありまするからして、地方財政の運営の仕方を切りかえて、事業の縮小その他をいろいろやってもらって、赤字が出ないようにしてもらいたいということを要求しております。私どもといたしましては、三十年度は赤字が出ないようにしてもらいたいということを希望して今日やっておるわけでございます。しかしながら、すでに二十九年度の財政計画において赤字の要素がありまするからして、絶対に出ないか、こう言われますと、これは出なとは言いきれないのでありまして、今後三十年度の各公共団体の運営のいかんによりますと、こう申し上げるより以外には道がないのでございます。
○伊能芳雄君 国の財政は、ともかくも、一兆予算で曲りなりにもおさまって今年九千九百十四億、そして総理大臣はしばしば補正予算は組まないというこを言明しておられるから、一応いわば健全財政といえるかもしれませんが、地方の側の九千八百二十九億ですか、この財政計画というものは、今、自治庁長官も非常に苦しい答弁をしておられますが、もう必然的に赤字の出る財政計画である。二十八年度におきましても一千億もこの財政計画よりも多かった。二十九年度もはるかに多いので、おそらく一兆を相当に突破している決算が出てくるであろうと私どもは想像しているのでありますが、三十年度が、どんなに苦しく節約いたしましても、一兆を突破すること、これまた客観的の情勢であると私は考えておるのであります。国の財政は、こうして九千九百何億、このうちから千三百七十四億の交付税を出し、義務教育や、公共事業、あるいは失業対策の補助金、そういうものをあわせて二千七百億円余が出る。国の九千九百億から、あわせて四千百億以上のものが地方財政の方にそのまま移っている。でありますから、国の財政は、一兆といっても、実際は直接使う金は六千億足らずであります、一般会計だけみますと……。ところが地方財政の方は九千八二百十九億というワクを、ワクをいっちゃ少し語弊がありますが、推定をいたしましても、計画をしてみても、これは必然的に、もっともっと大きくなるという要素を持っている財政であります。しかもそれが直接使ってしまう金であります。そうしますと、国の財政だけは、かりに健全になっても、地方財政がこうであってみれば、これは地方財政において少くとも三十年度において健全化されるというよりは、むしろ不健全な形をそのまま踏襲したと私は思わざるを得ないのでありますが、大蔵大臣、いかがお考えでございますか。
○国務大臣(一萬田尚登君) 財政が中央地方を通じまして健全でなくてはならぬことは申すまでもありません。御指摘のように、今日地方財政が、非常に不健全というよりも、むしろ非常に憂慮すべき状況にあるとすら申していいのじゃないかと思うのであります。そこで、今回従来の赤字なるものを、とりあえず、たな上げするような措置をとりまして、そしてこの三十年度におきまして赤字ができるだけ出ないような可及的最善の方途を尽したわけであります。むろん、先ほど自治庁長官のお話にもありましたように、これで大丈夫というのではありません。まあ私は、とりあえずここに、中央、地方財政を通じてやり得べき最善を尽したと申し上げる以外にないと思います。明年慶におきまして、この健全化をさらに一歩進めて完璧を期したい、かように考えます。
○伊能芳雄君 給与の実態調査を今やっておるので、九月ごろにはでき上るから、でき上ったら、できるだけのことをしたいということを、大蔵大臣はすでに言明しておられると思いますが、今の推計でも、自治庁の推算によれば三百億の既定規模の是正を要するものがあるといっておる。おそらく給与の実態を調べた上の結果はそれに近いものが出るであろうと私は思うのであります。総理大臣は補正予算は組まない、給与の実態調査ができたところが大へんな不足である、こういう場合に大蔵大臣としてはどういうふうにこれを処理されますか。
○国務大臣(一萬田尚登君) この地方財政の健全化につきましては、中央も御承知のように財政がなかなか苦しいのでありまして、地方で赤字が出、出費が多いからといって、すぐに中央でもこれをどうするという余地は非常に少いのであります。ですから、今日地方の財政が何故にかように赤字になるか、その原因を十分探求をする必要がある。まあ、これらの原因についてはいろいろありますが、特に一般にいわれておる給与費等につきましては、今調査中でありますが、こういうふうな成果を見まして、ほんとうに原因を確かめまして、これを除去する道を講じ、その上で中央もよく考える。こういうような形で健全化をはかっていきたいと思います。私はそういう意味から、まず地方の実態が、地方公共団体がどういうふうな仕事、どういうふうな財政規模にあるべきかと、こういうようなところを先に十分探求したい、こういうふうに考えます。
○伊能芳雄君 ただいま大蔵大臣は、まあ何とかするようなしないような御返事ですが、給与の実態調査をすれば、もうそこに非常な差が出てくることは明らかなことで、今まででも部分的にずいぶんお調べになってきておるめで、ただそういうものが全国的に集計がはっきり出てくるというだけなんで、もう出ることは、はっきりしておるのですが、そうすると、本年度は給与の実態調査の資料を使ってどうするという具体的なお考えは持っておられない、こういふうに考えてよろしうございますか。
○国務大臣(一萬田尚登君) まあ地方の財源につきましては、給与等の、これの調整もむろん加えなければならぬ。なお市町村、府県の、こういう関係の財源の配分とか、こういう点についても今後調整を加えたい、かような考え方を持っております。
○伊能芳雄君 赤字の原因はいろいろ大蔵省でも検討され、自治庁でも検討され、それについていろいろな案もそれによって出されたかと思いますが、すでに出てきた赤字、そしてまた、客観的には、これはもうどうしても出なければならぬ赤字というものがはっきりあるのでありますが、この赤字というのは、簡単に赤字々々といいますけれども、これは結局、広義の公債だ、地方債である、こう解釈してよろしうございますか。
○国務大臣(川島正次郎君) 二十八年度の決算で四百六十二億の赤字が出ておるのでありますが、二十九年度の決算はまだ集計中で判然といたしませんが、百二十億前後ではないかという推定でありますが、いわゆるそれらの赤字は、短期に繰り返し繰り返し借りかえては処理をしておる、こういう現況のようであります。それは政府資金もありますし、また一般市中銀行から借りておるのもあります。
○伊能芳雄君 事業繰り延べは、まあ一応その年度においては切れたものだ、こう考えてよろしいでしょうが、繰り上げ充用ということをやっている。繰り上げ充用というのは、結局、出納閉鎖期間が五月まであるのを幸いに、二十九年度に支払うべき金を四月あるいは五月になって、三十年度の金で払っておる。そうしてつじつまを合せておる。結局ほんとうは、ですから二十九年度の赤字になっている。そうして、だんだん押していくのが、実情の赤字の大部分だと私は思う。これは公認されない、非公認の赤字だと思う。非公認の公債と同じだと思う。つまり地方団体の債務なんだから、やはりこれは公債なんだ、こういうものをどんどんふやしていって、しかも非常に高い利子の公債が出ておる、地方債が出ておる。大蔵大臣は、公債発行ということについては、非常に厳格に御解釈になり、公債発行はインフレの要素になる、公債政策はやらないと言っておりながら、地方債はどしどし出ておる。毎年ここのところ、百億以上のものが赤字にプラスされてきたということが現状なんです。でありますから、公けの地方債のほかに、地方庁では、地方債ともいうべき赤字が、年々百億以上のものが積み重ねられてきた。これが実情だと私は思う。こういう非公認のような公債よりも、もう少しはっきりしたもので処理していく、そうして片づけていく。もちろん私は、地方債が今のような状態にあることについては、非常な不安を持つものでありますけれども、かといって、非公認のような赤字が、いつまでも、こうやって累積されるということについては、もう一そう不健全な財政と言わなければならない、私はこう考えるのでございます。この赤字の処理について、もっと思い切った措置に出られることを私は切に望むものでございます。 そこで公債、地方債の処理の問題ですが、毎年一千億近い公債を、地方債を今まで発行してきております。本年もやはり結局は大体一千億近いものになってきております。これが累績して、ただいま多分残高四千億ぐらいになっていると思う。本年度の公債費は五百十億、これが毎年公債費の増加、百億以上のものがふえております。三十五年ごろになりますと、一千億円ぐらいの公債費が要ります。ちょうど今と同じような公債、地方債を認めるとしましても、毎年借りる金と返す金と同じで、何のために公債をするのか、地方債を認めるのか、わけがわからないものになる。この公債政策、地方債政策に対して、大蔵大臣は今後いかに処理されようとしておられますか、伺いたい。
○国務大臣(一萬田尚登君) 従来、地方公共団体の財政がまあ不健全に進んできた結果、自然これが大体において、私の知っておる限りでは、地方銀行等のまず借入金になる。借入金がこれが赤の形で固定して、さらにこれが地方債に振りかわる、こういう形で累増、累加してきたと考えております。こういうような状態を持続してはいけないことは言うまでもありません。今日において何とかこれを始末しなくてはならぬということも、ほとんど皆の一致しておるような状態ですが、それで今回、地方公共団体のやはりこれが債務でありますから、一応地方債ということに棚上げいたしておるのでありますが、これを今後出さないようにし、特に赤字になるような地方債を累加しないようにするために、私はどうしてもこの辺で、地方公共団体のあり方といいますか、行政機構も考えなくてはならぬかもしれません。むろん考えるべきでありましようが、同時にまた、できるだけ、大体において金の使い方が、何といいますか、出費が多いのであります。あるいはまた仕事のやり過ぎも実はあると思います。むろん、また中央でも考えなくてはならぬ点も多々あると私は思う。これらをすべて今回除去いたしまして、そうして健全な姿に地方公共団体をいたしまして、今後において従来の赤字も徐々に解消していく、こういうような形をとる以外に方法がなかろうかと思うのであります。
○伊能芳雄君 もうこれらの赤字が累積してきたものを、いわゆる既定規模の修正をしなければ、一方には始末がつかないとともに、再建整備促進によりまして、赤字を一応棚上げする、そうして地方自治法の改正によって、幾分機構の改革合理化による節約もする、そうしてもなお相当のものが残ることは、これは必然であります。これはどうしても交付税をふやしてやるよりほかに、私はどうもいい道がないように思うのですが、ただ三十年度はどうしても補正予算はおやりにならぬということですから、三十年度に起るべき赤字に対してはどうするか。その一つとして、私は五百十億に上るところの公債費を何とか繰り延べでもして、どうしても払えない団体は繰り延べを認めるというようなことはできないものでしょうか。
○国務大臣(一萬田尚登君) これは今申しましたように、私はすぐに援助の手を差し伸べるという行き方は、どうも注意を要すると思う。そういうような施策は、地方の公共団体の財政が健全になるその方途を講じて、そういうときに総合的に考えてみてもいいのじゃないか、かように考えます。
○伊能芳雄君 公共事業費による圧迫は相当多いのであります。公共事業費の地方団体負担分を、ことしに限り、非常措置として、公共事業費、国からいくその補助の限度で認めるというような非常措置は行えないものでしょうか。これは大蔵大臣よりは、一番公共事業費を多く持たれる建設大臣にあわせて伺いたいと思います。
○政府委員(森永貞一郎君) 目下御審議をいただいております地方財政再建整備法の中に、実は一つ条文がございまして、再建整備計画を立てまして財政再建に邁進する地方団体につきましては、国が実施する事業の分担金であるとか、あるいは補助事業の補助率につきまして、事業を圧縮するというような場合には、ある程度補助率を上げるとか、負担金を軽減するとか、そういうことができるような道が開かれておるわけでございまして、この法律の規定の運用によりまして、ただいまおっしゃいましたようなことが、ある程度実現し得るのではないかと、さように考えております。
○伊能芳雄君 まあ、ことし赤字を出すという県あるいは市町村は、おそらく今までも赤字が出たので、再建整備の問題にひっかかるだろうということをあなたは想像して、そういうことを言うのですが、ことしだけ赤字を出すという所には、それは当てはまらない。また、その法律がかりに制定されても、なかなかそれを一々やっていたのじゃ、やれないものだから、おそらく非常に厳格な査定をしていくだろうと私は想像するのでありますが、いやしくもそういうものが出た以上は、相当同情をもって見てやらなければならないと、私はこう思うのであります。 時間の関係もありまするので先に進みますが、そうしますと、ここで赤字が出た地方団体、本年また赤字が出た地方団体、過去の年度にも赤字があるからして、再建促進法ができた上は、その促進法によって、三十年度からもら赤字の始末の処理に入らなければならない。ところが今年度はこういうような状況でありますから、おそらくそういう県あるいは市町村は、再建整備どころじゃなくて、前の赤字を消すどころじゃなくて、ことしの赤字をどうしようかという段階だろうと思います。三十年度は補正予算はやらないという総理大臣の非常にはっきりした御意見でありますので、本年は赤字は出るまい、こういうふうに理解しなければならないと私は思うのでありますが、もしそうでないとするならば、大蔵大臣なり、どなたかからお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(一萬田尚登君) 先ほど自治庁長官からも御答弁があったかと思いますが、三十年度におきましては赤字が出ないようにあらゆる努力を払っていく、こういう建前であります。
○伊能芳雄君 この問題は、幾ら押し問答しても、結局いい御答弁になりそうにありませんので、この辺で私はこの問題を打ち切りますが、本年度も必然的に地方団体は相当赤字を出す、非常な努力にもかかわらず出す、もう客観的の事情にあるということだけは、ぜひ大蔵大臣はよく御認識を願っておきたいと思う。 次に私は共産党問題について総理大臣に少しくお伺いしたいと思うのですが、鳩山総理はしばしば反共を力強く叫ばれる。わが国情及び国民性から考えて、私はまことに適切であり、総理大臣の御勇気に対して心から敬意を表するものでありまするが、現下の共産党に対する御認識並びに対策につきまして、総理大臣のお考えを伺いたいと思います。
○国務大臣(鳩山一郎君) 現在の共産党は、かつてよりは直接の暴力革命に対して熱意を欠いていると思います。一時はずいぶん暴力革命について熱意があったのでありますけれども、最近は少し下火になっておるような感じであります。しかしながら共産主義の蔓延を防ぐのには、どうしても民主主義の真髄を理解せしめなくちゃなりませんから、民主主義の真髄を理解せしめるように努力することを怠ってはいけないと考えております。同時に経済政策もしっかりしたものをこしらえて、完全雇用によって若い人たちが壮産主義にかぶれないようにすることにも留意しなくてはならないと思っております。
○伊能芳雄君 まあ結局いい政治を行なっていくということがお考えのようでありまして、このお考え方については別に異存はございませんが、重光外相もしばしば言われるように、現在国際情勢の緩和、緊張緩和は力の平和であるということをお認めになっておりますが、これは結局ただいま総理もおっしゃいましたように、暴力革命というようなことについては、現在の国際情勢の見通し、判断から、共産党の戦略といいましょうか、考え方が変って来た、やり方が変って来たのだというふうに理解しなければならないと思うのでありますが、しかしその根本にある世界革命という考え方については絶対にまだ引っ込んでいないのだ、こういうふうに私は考えておるのでありますが、重光外相はどういうお考えでございますか。
○国務大臣(重光葵君) 私は共産党の文献から見てそうであろうと思います。しかし私は、実際の外交運用に当っては、さような問題よりも、実際的に日本の国交関係を処理しょうと思って努力しておるわけでございます。
○伊能芳雄君 今まででも、しばしば北鮮系の鮮人が侵入しておるといった、そうしたいろいろな問題が警察の手につかまっておりますが、これは共産党のスパイ、後方撹乱、あるいは内部撹乱の一つの現われである、そうしてしかもそれは氷山の一角だと私どもは考えざるを得ないのであります。こういう場合に処して、しかも今これから日ソ国交を正常化するという御熱心な交渉を続けておられるのでありますが、こういう場合に、共産党が一そう内部的に活動を活発化しやしないか、また、ことに正常化した上は、正常化の陰に隠れてそうしたスパイ行動による内部撹乱の工作が激しく行われやしないか、こういうふうに私は考えますが、この点、外務大臣いかがお考えですか。
○国務大臣(重光葵君) 私も共産党の国内撹乱の活動は、十分にこれはあくまでこれを防がなければならぬ、取り締らなければならぬと、こう考えております。従いまして、日ソの関係においても、こういう点は国内問題として処理するように努めなければならぬと考えております。
○伊能芳雄君 こうして表面の緊張は緩和されて、共産党の活動はだんだん陰険に、地下に陰険な活動を続けている、しかも日ソの国交が正常化される、こういうことを考えたときに、われわれは共産党の活動をまことに無視できないものがある。背後には世界革命という大きな目標に動いておるのでありまするから、まことに寒心にたえないことがあると私は思うのでありますが、総理大臣は、この際、共産党を非合法化するお考えはありませんか。
○国務大臣(鳩山一郎君) 共産党がどういう計画を持ち、どういう行動をするかということは、世の中の上に出した方がいいと思っております。それですから、非合法化してこれを地下にもぐらしてしまうということは、かえって危険を招きはしないかというふうなことを考えております。
○伊能芳雄君 そのお考えも、もっともではございますが、今の実際の諜報機関では、おそらく共産党のこうした合法化時代においてさえも、なかなかこの諜報はとれないというのが現状で はないかと私は思うのであります。こういう日ソ国交を正常化する機会に、そうしてまた国際情勢が緊張緩和をしておるということが、むしろ共産党の戦術の変化であるというふうに判断して、この諜報を十分取るということがむしろ一そう必要ではないかと思うのでありますが、この点にいきますというと、警察は昨年大きく行政整理をしました、行政整理というよりは機構の改革をやりまして、その後こういう点については何ら出発していない。あまり積極的にはやっていない。公安調査庁の方も昨年の行政整理でだいぶ減らして、本年はようやく三十人ふやしておるという程度である。大体昔の特高警察というものが、私は特高警察自体に誤まりがあったのじゃなくて、この特高警察を利用した軍閥、そうしてまた利用された方も悪いのでありますが、こういう特高警察という名前はなるほどそれに利用された、ちょうどある意味では日の丸の旗さえも一時は非常な変な目で見られたことがあるのでありますが、治安の維持とか、あるいは外敵に対して自衛をするというふうな考え方からいたしまして、大体相手の方の状況がわからずに、表面に出て来たそれを取って押えよう、警察や自衛隊の力で押えよう、こういう非能率な、そうしてばかなやり方は実際ないのでありまして、国家の存立の基本に及ぶところのいろいろなそうした不逞な活動については十分諜報をとって、それが表面に現われる前に、これを小さいうちに鎮圧するというのが、治安維持の要諦であると私は思うのであります。現在の状態では、共産党がこれほど相当な活動を続けてきておるにもかかわらず、まだ一部的に地方警察の公安課がぽつりぽつりつかまえて、氷山の一角の一人をつかまえて、そうして糾明したところで、なかなかこういうものの実態がつかめない。もっと量質ともにこういうものを、共産党を非合法化しない限りにおきましては、今後のこうした活動に備えて、こうした諜報機関をもっと拡充強化すべきである、かように考えるのでありますが、この点についての総理大臣の御意見を伺いたいと思います。
○国務大臣(鳩山一郎君) 諜報機関を拡充強化するというあなたの御意見には賛成であります。共産党が彌漫しないように細心の注意をもって対抗していかなくちゃならないと考えております。
○伊能芳雄君 公安委員長は、いつか本会議の席上で、国交が回復し、日ソの国交が正常化した場合に、いろいろなものが入ってくる。そういう場合に対処して、今の警察力で十分やれるというような力強い御答弁がありましたが、現在もこれについて、現在の警察力で、しかもほとんど諜報機関らしいものを持たない制服隊ばかりの警察で、それがやっていかれるというふうな確信を持っておられますか。公安委員長の御意見を伺いたい。
○国務大臣(大麻唯男君) お答え申し上げます。先刻来の伊能さんの御意見つつしんで拝聴して、非常に味わっておる次第でございます。私といたしましては現在で十分やっていける自信を持っておる次第でございます。しかしながら、これはただ私がそう思っただけで、ひょっと間違いでも起ったら大変ですからして、御意見等もございますので、よく承わりまして、今後も研究を続けて、あやまちのないようにしていきたいと考えておる次第でございます。
○伊能芳雄君 そこで外務大臣に、日ソ国交の交渉の段階において一言希望を申し上げ、また御意見を伺いたいのでありますが、それは日ソ国交の、今の条約を結ぶかどうかという段階におきまして、漁業権の問題であるとか、あるいは抑留者の引き渡しであるとか、あるいは領土の問題であるとか、いろい懸案、いわゆる懸案事項があります。しかしながら私は、そうしたものにも劣らない大切な問題は、日ソ両国がお互いにその政治組織を十分尊重し合って、内政に干渉しない。共産党を日本にしいるようなことがあってはいけないし、われわれもまた民主主義でなければならないというので、ソ連に押しつけない。お互いに日ソがそういう点において内政干渉しない。しかも、ややもすれば、ソ連は、政府がやるのじゃなくして、共産党がやるのだということで逃げやすいのでありますが、そうした間接の場合にも、直接、間接にお互いが相手を尊重して、相手の政治組織を尊重して、内政に干渉しないという約束はぜひ私はしなければならないと思うのですが、この点について外務大臣のしっかりしたお気持を伺いたいのであります。
○国務大臣(重光葵君) その点はすでに私が本会議の席上御報告申し上げました通りに、全然今お話しの点に御同感でございます。その趣旨で交渉に臨んでおる次第でございます。
○永岡光治君 まず鳩山総理大臣にお尋ねいたしたいわけですが、すでに御承知の通りに、人事院から政府及び国会に対して勧告されておりまする地域給の改訂の問題であるとか、あるいはまた退職年金の制度の改正の問題であるとか、こういう問題についてしばしば政府の所見を質したのでございますが、今までの私の得ました答弁によりまする限りは、尊重はするとは申しまするけれども、一向にこれが現実として尊重されておりませんし、目下公務員制度調査会等でこれを検討しておるから、その検討を待って政府の態度をきめたいと、こういう答弁のようであります。そこで私は総理大臣にお尋ねしたいということは、一体、人事院をこういう程度のなま殺しの状態に置いておくということは、好ましい事態ではない、こういうように考えておりますが、おそらく政府は人事院をなくすという考えを持っておるのではないかと思うのでありますが、人事院というこの制度についてどのように考えておるのでしょうか。まずこの点をお尋ねいたします。
○国務大臣(鳩山一郎君) ただいま人事院を直ちに廃止するというような考えは持っておりません。やはり今あなたも言われましたけれども、国家公務員制度全般にわたって公務員制度調査会で慎重審議しておるのでありまするから、人事院制度についてもその結論を待って、そうして検討していきたいと思っております。
○永岡光治君 そういたしますと、公務員制度調査会で検討しておるということは、勧告されたその内容について再び検討しておるということなんですか。それとも、それを実行するについては予算がどの程度要るから、刻下の情勢としてどうだということで検討しておるのでしょうか。どちらの方向なんでしょうか、勧告されておる内容をもう一度検討し直そうとしておるのでしょうか。
○国務大臣(鳩山一郎君) 全般にわたって検討したいと思います。
○永岡光治君 内容にわたって検討しているという答弁でありまするので、そうしますと、どういうことなんですか、その公務員制度調査会の結論は、もし人事院の勧告の内容と違った結論が出たら、大臣はどちらを採用されるのですか。
○国務大臣(鳩山一郎君) とにかく調査会の答申を待って検討をしていきたいと思います。
○永岡光治君 ですから、調査会の結論を待ってということでありますから、もし調査会の結論が、人事院の勧告の内容について、これはいけないという問題が出た際に、あなたはどちらをとるかということになるわけですよ。
○国務大臣(鳩山一郎君) 諮問機関でありまするから、参考にして検討します。
○永岡光治君 そういたしますと、単なる諮問機関であるから、人事院の勧告というものが優先すると、こう解釈してよろしうございますか。
○国務大臣(鳩山一郎君) 結論を得た後に検討すると言ったのでありまして、人事院の決議に従うと言ったわけではございません。
○永岡光治君 それでは一体、あなたが人事院制度を廃止しないで認めるというのはどういうことなんでしょうか。人事院にあなたは何を期待されているのでしょうか。人事院制度をおいて、あなたは何を期待されようとしておるのですか。
○国務大臣(鳩山一郎君) 意見は尊重をして検討をしたいと考えております。
○永岡光治君 この意見は尊重して検討したいと、その意見というのは公務員制度調査会の意見ですか、人事院の意見ですか。
○国務大臣(鳩山一郎君) 調査会の意見です。
○永岡光治君 調査会の意見をあなたは聞かれて、そうして人事院の勧告を尊重するというのでありますが、一体、私は、もう結論だけ、イエスかノーかでいいのですが、違った意見が出た場合に、あなたはどちらをとるかということなんです。どちらを優先するかということです。
○国務大臣(鳩山一郎君) 両方とも尊重して検討いたします。(笑声)
○永岡光治君 ですから、そうなれば一体、諮問機関と、国家公務員法によって設置された人事院制度というものは一体おかしいではありませんか。法律によって制定をされて勧告をする、その勧告は尊重しなければならない、そのために公務員に対しては従来あった争議権を奪って生活の保障をこの制度によって確保していこうと、こういうことになっているのですから、人事院の勧告とかあるいは人事院が公務員の保護の立場に立っていろいろな施策を行うのでありますが、その問題については尊重するということにならんではありませんか。
○国務大臣(大久保留次郎君) 総理からお話のありましたように、人事院は公務員の利益を保護する機関である、この機関の政府に向っての勧告はこれは相当に……。
○永岡光治君 相当にですか、法律によるものですか。
○国務大臣(大久保留次郎君) 尊重しなければならぬ、これはもう当然であります。ところが一方は政府の諮問機関であります。これを尊重することは尊重しますけれども、尊重する程度が違うと思います。けれどもまた諮問機関であっても、その答申が適当であると認めればこれをとるのは当然でございます。
○湯山勇君 それは分っている。どちらが優先するかを聞いているのですよ。
○永岡光治君 私の質問の要旨を間違えんようにしていただきたい。人事院の勧告が出て、それを今公務員制度調査会に諮問しておると言っておる、その諮問の意見と違う場合に、どちらを優先させるか、と言っておるのですよ。
○国務大臣(大久保留次郎君) それは一がいにきめられないと思うのです。それは人事院の勧告でありましても、財政的に見てすぐ実行のできる場合もあり、実行のできない場合もありますから、すぐ一がいにそういう断定は困難であります。
○松澤兼人君 今の大久保国務大臣のお考えは全然間違っていると思います。永岡君が質問しているのは、人事院が勧告を出した、これを尊重しなければならないということは、これは鳩山総理も大久保国務大臣もよく御存じであるし、尊重すると言っていらっしゃる。ただしかし問題は、公務員制度調査会において、地域給の問題について、地域給をつける必要がないといったような答申があった場合に、片方は人事院の法律による勧告を出している、片方は公務員制度調査会という政府の諮問機関で地域給をつける必要はないというような御結論を出した場合には、どうするかという問題であります。これは全然答弁になっていない。 そこで問題は公務員制度調査会において、地域給というものは廃止すべしという結論が出れば、政府がそれでいくということであれば、人事院のいわゆる国家公務員法というものを改正すれば、それでよろしい、そこでそうすることがいいか悪いか、現在の段階において、あなた方は何か聞かれると、公務員制度調査会に、とこう言っておる。しかし片方は、人事院の法律によるところの勧告はすでに出ているのだから、答申とは別個にこれを尊重しなければならんであろうということが永岡君の主張でもありますし、われわれもまた聞きたいところであります。
○国務大臣(大久保留次郎君) 法律的に見まして人事院の勧告をまず尊重すべきであると思います。
○永岡光治君 まずも何もないのですよ。そこで私はもう少しこれは追及して見なければ明確にならんと思うのですが、御承知の通り人事官はこれは認証官です。あなた方の公務員制度調査会というのは単なる政府の諮問機関にすぎない。これについて人事院が勧告したことについてまず尊重するけれども、それと違った公務員制度調査会の意見が出た際には、あなた方はまたその公務員制度調査会の意見を捨てて、そうして人事院の勧告に従うという、そういう考えにはなっていないのであろうと思います。なっていないとするならば、あなた方は一体人事院という制度に何を期待しょうとしているのかということです。あなたの方の意見からは明かに人事院は要らない、(「給与担当の大臣などは要らないよ、人事院さえあればいい」と呼ぶ者あり)そういうお考えでおるのではないでしょうか。
○国務大臣(大久保留次郎君) 先ほど申しました通りに人事院は公務員の利益を擁護する機関であります。政府の立場を離れて第三者として公務員の立場を擁護するのが人事院の任務でありますからして、その勧告、その決定は十分に尊重いたします。
○委員長(館哲二君) 永岡君、時間が……。
○永岡光治君 時間が非常に少いのでこれをさらに追及することができないのは残念でありますが、尊重するというのであるから、文字通り尊重して実施していただきたいと思います。 すでに御承知の通り退職年金制度について、これは退転後における生活の保障という問題については、公務員としては非常に大切な問題であります。従って私はこの点を特に追及しておるのでありますが、退職年金制度の改正の問題について人事院から政府に対して勧告されたのがすでに一昨年です。一昨年の十一月にすでに勧告しておるのですが、依然としてどういうふうになっておるか、とんと結果もわかりません。五月三十一日に一応の委員会の結論が出たけれども、そのまま取りまとめ中で報告に至っていないという、この前の答弁であります。これでは明らかに人事院の勧告を尊重するということになっていないじゃありませんか。 そこでお尋ねするわけですが、公務員制度調査会でいろいろ分科会を設けられて、政府のいろいろな考え方について諮問をしておるそうでありますが、今日まで明確になった一つの公務員制度調査会としての意見はどういうことになっておるか、その中間報告を一つ発表していただきたいと思います。
○国務大臣(大久保留次郎君) 公務員制度調査会の調査の内容につきましては、この前に大体申し上げたと思います。今お尋ねの特に年金制度、恩給制度についてのことでありますが、この問題も総会において論議されたのであります。それを小委員会に移して、小委員会において論議されたのを調節して今検討しつつありますが、御参考までにどういう問題が論議の種になったかということを一つお話しておきたいと存じます。 まず一つは、恩給の問題で論議の種になりましたのは、恩給制度の理論であります。どういう理論の上に恩給は立つべきかという根拠であります。これについての論議が一つあります。それから一般公務員と……。
○永岡光治君 その理論は何ですか。
○国務大臣(大久保留次郎君) 結論はありません。そういう問題があったというのです。(「それは何です」と呼ぶ者あり)一般公務員と、たとえば代議士とか大臣とか政務次官とかいう——一般公務員と政務官とを同一に扱っていいかどうかということ、こういう論議。それから名称も、現在は恩給という名称をとっておりますが恩給という名称がいいか、あるいは年金という名前がいいか、こういう問題も問題になっております。もう一つは、文官の恩給と軍人の恩給とを同一に扱っていいかどうかという論議であります。もう一つは、現在文官の年限は十七年となっておりますが、これをもう少し延長すべきかどうかというような問題も起っております。こういう点について論議があったのでありますが、まだ小委員会でまとめておる段階でありまして、小委員会でまとまりましたならば、総会にかけて大筋の決定だけはいたしたいと思っております。
○永岡光治君 非常に細かい委員会としての一応の結論が出ておるのですから、その内容を知りたかったのですけれども、出ておりませんので、具体的にお伺いいたします。まず年限の計算の問題ですが、在職年限を全部通算すべしという御意見が出ておりますが、この点はどういうふうに考えておりますか。
○国務大臣(大久保留次郎君) 今問題となっておりますのは、雇用人としての在職年数と公務員になってからの在職年数を通算すべきかどうかということが問題になっておりますが、まだ決定になっておりません。
○永岡光治君 あなたの意見は……。
○国務大臣(大久保留次郎君) まだ決定しておりません。
○永岡光治君 大臣は意見を持っていなければならない。
○国務大臣(大久保留次郎君) とにかく論議の種になっております。私は大体通算すべきものではないかという考えを持っております。
○委員長(館哲二君) 永岡君、持ち時間が切れておりますから御注意を願います。
○永岡光治君 これは将来の問題として私非常に大きな問題だと思うのですが、御承知の通り、いわゆる従来の判任官、今日は三級官以上になっておりますが、事務官になっておりますが、恩給を支給される方々についての資金の運用、これはまあ国庫から出るわけです。一部は国庫負担納金として俸給の百分の二・五であるとか、あるいは二とかいうことで納付をしているわけですが、一方そういった恩給の対象にならない雇用人の立場で退職をして、共済組合という制度によって退職後における生活の保障を、退職年金、共済年金ということで保障されておるわけであります。もちろんこの金額は微々たるものでありまするが、私がお尋ねしたいのは、この共済組合制度の場合にはその職員がある程度の金を積み立て、また政府がそれに応じてある一定の資金を積み立てて、その運用によって支給をされておるわけです。ところが恩給を支給されるこの公務員の立場に立つときには、単なる国庫納金だけで、あとは全然これがどういうふうに運用されておるかということはないのでありまして、単に恩給として国庫から支給されるだけであります。従ってこれは私はあり方としてはやはり共済年金を支給される立場と同じように、政府はある一定の資金を負担して、それが運用されてしかるべきだと思う。ということは、これは御承知の通りにその資金をもって関係するところの公務員の福祉施設を増進することもできますし、またこれを他に運用することもできるわけでして、それが最も望ましいと思うのでありまするが、そういう方向に改正をするという考えがないかどうか、それが一点と、もう一つはこの前軍人恩給の法律が改正になるに伴いまして、民主党の一部の中に、これでは文官の一部となお調整がとれなくなってきた、ということは、文官の一部には軍人恩給よりは不遇な立場に立つ者が出てきた。そういう文官の恩給の内容を調整をして改正をしなければ、ならないではないか、こういう意見が出て、民主党内の政務調査会に委員会が、委員会といいますか、研究会といいますか、審議会といいますか、とにもかくにもそういう小委員会ができたやに承わっておりますが、それはどういうことを指しておるのでしょうか。どういう調整をしようという考えで、そういう委員会を持たれておるのか、この二つについてお尋ねします。
○委員長(館哲二君) 永岡君に申し上げますが、時間が二分ほど超過しておりますから、御注意願います。
○永岡光治君 これで終ります。
○国務大臣(大久保留次郎君) 文官の恩給の問題でありますが、今回の軍人恩給の増額に伴いまして、文官の恩給もベースが一万二千円になったあと改正してないのであります。やはり依然として一万二千円ベースを基礎としての恩給が支給されておりまするので、新しく退職した人には恩給が多く、前の人には少いというようなきらいがありまするので、このでこぼこを直したらどうかという問題も起っておるのであります。で、今年は財政的に見ましてそこまで手がとどきません。まず軍人恩給だけの増額だけを認めるようになった次第でありまして、なお、組合員の……。
○永岡光治君 いや、その調査会、小委員会を作ったのはそういう調査をしようということで小委員会を作っているのですか。
○国務大臣(大久保留次郎君) まだ民主党の調査会についての結論は聞いておりません。
○永岡光治君 いや、結論というのじゃなくて、そういう方向のために作ったのかどうかということです。
○国務大臣(大久保留次郎君) いや、それだけではないと思います。全部としての問題だと思います。
○永岡光治君 まだまだ答弁が残っておる。共済制度、それから文官の……。
○国務大臣(大久保留次郎君) 共済制度は、恩給制度と共済制度を一本にしてはどうかという人事院の勧告があります。これもあなたが口癖のように言われる通り、目下公務員制度でやっておるのですが、この拠出金はわずかの俸給の中から金をさいて、とにかく百分の一でも、百分の二でも出されるということは、これはなかなかむずかしい問題だ、なるべくならばふやしたくない。ふやさせずに適当な方法を考えるのが至当じゃないかと、こう考えております。
○湯山勇君 ただいまの御答弁をいろいろ聞いておりますと、ずいぶん問題点が多いのですけれども、こまかい問題をお尋ねすることはこの際遠慮いたしまして、一点だけお尋ねいたしたいと思います。特にこれは総理にお尋ねいたしたいと思います。それは先般来本委員会の質疑において明らかになりましたように、昨年人事院は一〇%程度の公務員給与引き上げの必要を認めておりながら、昨年の政府の政策、それは間違っておったのですけれども、将来物価は下るという見通しにひかされまして、ついに一〇%以上のベース・アップを保留したわけであります。この間にありまして、私どもがいろいろ聞いたところによりますと、第三者である、政府の干渉を受けない独立機関である人事院に対して、政府からいろいろ、たとえば人事院を廃止するだとか、そういう法律も出ておりましたが、そういう手をもってしたり、いろいろな手段、方法をもって干渉と申しますか、牽制をしたということが伝えられております。しかも本年はもう七月十九日には、人事院は何らかの結論を公務員給与に対しては出さなければならない、こういうときになっておりますが、鳩山内閣は人事院の独立性を認めて、これに対しては一切干渉しない、こういうことの御確約をいただけるかどうか、これは総理から明確に御答弁いただきたいと存じます。
○国務大臣(鳩山一郎君) 政府としては人事院に干渉する意思は持っておりません。
○千田正君 きわめて持ち時間が少いのでありますから、私からのお尋ねは簡単でありますが、重大な問題だけを選んでお尋ねいたします。昨日参議院におきましては、在外資産処理に関する具体的な方針を立てるように、促進の決議を通過しまして、要求したのでありますが鳩山総理大臣は、先般もこの在外資産をめぐって引揚者団体その他から強い要請があったはずであります。私はちょうちょう申し上げるまでもなく、終戦後十年たってなおかつ苦しみつつあるこうした戦争の犠牲者に対して、この問題を即急に処理するだけの御意思があるかどうか、この点を一点まずお尋ねいたしたいと思うのであります。
○国務大臣(鳩山一郎君) ただいまの御質問の在外財産問題はきわめて複雑困難な問題でございます。目下在外財産問題審議会において、この問題の処理方針について調査審議をお願いしております。
○千田正君 この点につきまして、さらに外務大臣並びに大蔵大臣にお尋ねするのでありますが、昨日も外務大臣から、本院の席上におきまして、この在外資産処理に関する決議に対しては善処する、こういうお答えを伺っておるのであります。御承知の通り長い間の懸案でありましたが、昨年の七月一日、これは内閣にこの在外資産に関する処理の審議会が設けられて以来、一回もこの問題は討議されておりません。それでこの問題は一日も早く何らかの方針を立てなければならないところに追い込まれていると思うのでありますが、これに対しまして、今までの準備委員だけではとうていできないのではないか。むしろこれは資産を要求しておる団体からも、人格あるいは経験の豊かな人を選んで、そうして具体的方針を立てるべきである、こういうふうに考えまするが、そういうようなお考えは持っておらないかどうか、この点を一点お尋ねしておきます。
○国務大臣(重光葵君) 私は昨日本会議において、また内閣委員会において、政府を代表して、本件は国会の御決議の趣旨を尊重いたしまして慎重に検討いたしますということを御返事を申し上げました。その通りにやるつもりでございます。関係の各省各僚とも相談をいたしまして、その通りに実現をいたしたいと、こう考えております。今被害者の代表者の意見も十分聞くようにしたらよかろうということは、それは私は当然のことであろうと思います。それをどういうような資格において、この審議会に関係を持たせるかというようなことも、あわせて慎重にこれは検討すべき問題だと考えております。
○千田正君 この問題について、この団体の会長であるところの大野龍太氏と一萬田蔵相がお会いになったことはありませんか。この会長からの伝言によるというと、一萬田蔵相としては、何らか暫定的な方針を立てたい、こういうようなことのお答えがあったように、これは伝え聞いておるのであります。その点は何もそういうことはありませんでしたかどうか、一応承わっておきます。
○国務大臣(一萬田尚登君) この件について大野氏と会ったことはありません。ただこの機会に私どもの方も関係が深いので申し上げますが、引揚者の意見は何らかの形で十分聞かなければならないと思っております。また委員の関係などもこれは十分検討してみたい、かように考えております。
○千田正君 最後に一つだけお伺いしますが、これは総理大臣並びに大蔵大臣——農林大臣はお見えになっておりませんから、次官で結構であります。建設大臣にお伺いするのであります。 御承知の通りただいま東北において水害が起きております。相当の被害が報ぜられておるのでありますが、鳩山総理大臣にお伺いするのは、今日本でよく再軍備の問題が起きておるが、それは一つの仮想敵国を想像して、あるいは敵国は限定しておらないとしても、将来あるいは侵略されるかもしれない、そういう場合における防御としての再軍備、こういうふうに考えられておる向きが相当多いのであります。これは兵器を持った敵に対するところの防御である。ところが大自然に対するところの防衛、いわゆる大自然の災害は年々年々この日本に襲いかかっております。風害といわず、水害といわず、あるいは地震といわず、津浪といわず、あらゆる大自然の災害は常に日本を襲っておるのでありますが、この大自然の敵に対するところの防御態勢、言いかえれば建設、こういう面におけるところの確立した防衛対策をさらに強化するという御方針をお立てになるかどうか。現在の予算のほんとうの力を注ぐのは、敗戦後の日本は、経済の確立と同時に、こうした見えないところの、大自然の脅威が年々襲ってくることに対するところのものに対して、完聖なるところの防御をはっきりしなかったならば、日本の経済の確立なんかはできない。私はこういう観点に立っておるのでありますが、総理大臣はどいうようにこの点をお考えになっておられますか、この点を承わっておきたいと思います。
○国務大臣(鳩山一郎君) つまりあなたのおっしゃるのは治山治水の恒久的な防御の施策をすべきはずであるという御意見でございます。もとより私もその御意見に賛成でありまして、できるだけ治山治水の恒久的の防備をする必要があると痛感しております。
○千田正君 そこでただいま鳩山首相からは、治山治水の根本的な確立をしたい、これは歴代の総理大臣はそうおっしゃっておりますが、実際はそういう面ははなはだ残念ながら遅々として進まないのであります。昨年も九州の水害、本年は東北の水害、これに対するところの一体どういうふうな方法をもってこうした大自然の侵害に対して、脅威に対して防御するか、これは建設大臣からはっきりした御所信を承わっておきたいと同時に、このたびの東北の水害の、建設省の管轄における大体の被害はどれくらいか。おそらく調査中とは思いまするが、現在までに集まっている情報によるところの損害概数を、このたびの水害に対しての概数だけでもここでお述べを願いたい。そして御所信を承わりたい。同様に総理大臣にもこの点をお伺いいたします。 最後に、一萬田大蔵大臣にお願いいたしますが、それに対してどういうような、農林あるいは建設両相から、おそらく大蔵省に対しての要求があると思いますが、それに対してどういう準備をされておられるか。的確なる数字がかりに出てこなくても、すでにもう災害は起きておるのでありますから、これに対するところのどういう一体対策を立てられるのか、この点だけをお伺いして、私の質問を終りたいと思います。
○国務大臣(竹山祐太郎君) 治山治水の根本対策につきましては、前内閣が立てました十カ年計画というものがありまして、われわれは内閣はかわりましたけれども、こういう問題は引き続いてこれを守っていくことが必要と考えまして、この線に沿って進んでおる次第であります。 なお、災害対策につきましては、お説の通りいろいろ問題がありまして、先般水防法の改正をお願いをいたしましたのも、これに対する予防の一つであり、明日閣議で決定を願いまして、提案をいたすつもりの公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の改正も、お説のこの災害に対する当面の処置を一段と進めようとする問題であります。東北の今回の水害は、梅雨前線が非常に北上した結果起りました、東北としては異例の豪雨でありまして、三百ミリ以上に達しましたために、非常に東北は例にない水害のために、非常に周章ろうばいをいたして、まことにお気の毒な状態でありますが、建設関係といたしましては、県としては秋田、山形、岩手、青森それに新潟、宮城の一部でありますが、今日までの中間の報告をとりまとめましたところによりますと、道路の被害が三百六十五個所、橋梁の流失が二百八十個所、堤防の決壊が四百二十五個所というようなことで、なお非常に交通不便なところもありまするから、この後状況は追加をされると当然予想いたしておりますが、今日までの被害のこれらの関係のものにつきましては、金額として約十六億円だと言われております。建設省としては、即時に二人の専門の係官を派遣をいたしまして、目下各地を調査をさせて、連絡をいたしておりまして、県と市町村とよく連携をとりまして、事態の応急対策をいたしておりますが、いずれこれらはとりまとめて、資金的にはつなぎ融資によりまして、応急対策を立て、引き続いて必要なものは予備金の支出等によりまして、この復旧をはかることに万全の用意をいたしておるような次第であります。
○政府委員(吉川久衛君) 千田委員にお答え申し上げます。東北地方の水害につきましては、農林省といたしましては、去る二十八日に調査班を、専門技官、事務官を三名送って、ただいま調査中でございます。統計調査事務所とも連絡をとりまして調査をいたしておりますので、はっきりした数字は今ところわかりませんが、大体七月の四日にはその数字が明らかになると思います。ただいままでに青森、岩手、秋田、山形、新潟の各県からの報告によりますと、農地といたしまして二千三百三十七町歩、被害金額が四億九千四百七十九万三千円、農業用の施設につきましては千九百十七箇所、被害金額が十億四千九百十八万七千円、合計被害金額が十五億四千四百万円、こういう数字が報告をされております。この水害につきましては、ただいま農林省の調査団の報告があり次第、詳細に判明し次第、具体的な対策について今後検討を要すると思いますが、大体四月五月の凍霜害、水害等の特別措置を講じましたそれと同じような措置を講ずる考えでございます。予算につきましては既定経費によりまして措置しがたい場合は、予備費の支出等も考慮されることと考えております。
○国務大臣(一萬田尚登君) 今回の東北の水害罹災者に深甚の御同情を申し上げます。 この水害の詳しい報告に接し次第、また関係各省にも御相談を申し上げまして、大蔵省としても迅速なる措置をとるつもりを持っております。
○千田正君 終了したつもりでおりましたが、一点だけ今の一萬田蔵相に特にお願いします。
○委員長(館哲二君) 特に一点だけ許します。
○千田正君 それは御承知の通り東北地方は地方財政が非常に困窮しております。かてて加えて、今度のような水害等になりますというと、中央からの助成あるいは補助というものをいただきましても、財政そのものにもすでに窮迫を告げているのですから、十分に地方財政の窮状をよく御理解のうちに、この問題を解決していただきたい、この点を要望しておきます。
○委員長(館哲二君) 先ほど木村禧八郎君の最後の質問に対する大蔵省の答弁を求めます。
○政府委員(森永貞一郎君) 御質問の点は二点ございまして、第一は東北興業に対する出資一億円、これはやはり財政投融資の計画の中に入れべきではないかという点でございますが、仰せのごとくこれもやはり財政投資でございまして、厳密な意味ではこの表の中に入れるべきであったかと存ずるのでございますが、金額も比較的少額でございますし、他にもこの種の投資がございましたので、どこで線を引くかということで迷いまして、結局当初のこの表の中からは落してあったわけでございます。しかしやはりこういう投資があるということを明瞭にすべきであると考えましたので、衆議院における修正に際し、委任会社に対して一億円の出資が追加計上せられまして、財政投融資の表につきましても、この表がどうなったかということをお目にかけました機会に、備考欄にその旨を、東北興業の分も合せて掲記いたしたような次第でございます。今後におきましては、この種の投資につきましてもすべて一覧できまするように何とか工夫をいたしたいと思います。 第二点の国鉄の収支、損益勘定と、それから損益計算書の問題でございますが、損益勘定は、御承知のように現金の収支を取り扱っておりますので、これは収入こ支出のつじつまが合っているわけでございます。ただこの損益勘定における支出の資本勘定への繰り入れ、すなわち固定資産の取りかえであるとか原価償却、この金額が二百九十一億円ということで計上してございますが、これは実は国鉄の経理の現状にかんがみまして第一次資産評価のベースで償却を要する金額三百四十五億三千七百万円に比べますと、五十三億円ぐらい実は償却不足ということに相なるわけでございます。収支勘定ではそういうことは面に出ませんでしたが、その実態を明らかにする意味で損益勘定の場合には、やはりこの償却不足を表面上に明らかにいたしまして、経理の実態を御把握いただくということが必要なわけでございまして、損益勘定の方には収支が合っておりますが、損益計算書の方では、その分が損失として計上されており、償却不足が損益計算書の方には出て参っている、さように御了承いただきたいと思います。
○松澤兼人君 簡単に御質問申し上げます。第一に総理にお伺いいたしたいのでありますが、予算は明日か明後日に本会議上程、成立することになっております。しかし関係法案が、まだ審議が十分尽くされておらないのであります。そこで保守合同の線がだんだんと強く出て参りまして、法案審議につきましても、今後相当に進捗するのではないかと考えますが、現在衆議院及び参議院に提案されております多数の法案審議について、総理としてどのようにして、この促進成立をおはかりになる御見解でございますか、まず第一にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(鳩山一郎君) 予算に関係ある諸法規は、御協力を得てぜひ通過をさしていただきたいと考えております。
○松澤兼人君 現実の問題といたしまして、昨年の繊維消費税の場合と同じように、予算に関連のある重大な法律案が、審議未了あるいは否決になりかねないような情勢も私は聞いておるのであります。その一つとして地方道路税というものが、各方面非常に不評判でございまして、これを否決しようという空気が相当に濃厚のようであります。法律案が否決されますと、たちまち国の財政におきましても、あるいは地方の財政におきましても、相当大きな穴があくことになるのでありますが、この点につきまして総理は、どういうふうに対処されるお考えでございますか。
○国務大臣(鳩山一郎君) 地方道路税法案が不成立の場合には、地方財政に及ぼす影響がなかなか大きいのであります。ぜひこの法案は通していただきたいと希望しておきます。
○松澤兼人君 それでは大蔵大臣にお伺いいたしますが、この法律案がもし成立しないという場合には、七十二億七千五百万円というものが、国の特別会計において穴があきます。これが従って地方の財政におきましても穴があくということになるわけであります。もしも昨年の繊維消費税といったような関係と同じような結果になりますというと、これは大へんな問題だと思う。これに対して大蔵大臣は、どのように考えておいでになりますか。
○国務大臣(一萬田尚登君) ぜひとも通過いたしますようお願いも申し上げ、かつ期待をいたしておるものであります。
○松澤兼人君 昨年の繊維消費税の場合は、これは国の財政の中に穴があいたわけでありまして、これを処理することはさして困難でもなかったろうと思うのであります。しかし今度の場合は、国の財政の面におきましても、地方財政におきましてはこれは重大な欠陥となるのであります。そこで川島自治庁長官にお伺いいたしたいのでありますが、この法律が成立しない場合に地方財政にどれだけの歳入不足が生ずるか、この点についてお伺いいたしたい。
○国務大臣(川島正次郎君) 地方道路税法が成立しませんと今年度の予算で七十二億不足をいたすことになっております。しかし前年度の譲与税が一キロ二千円ずつ地方に譲与されたのでありまして、かりに今度の法律が成立しませんで、修正されまして、前年通りの金額で道路税法というものが成立しますと、今年度は二十五億程度の不足で済むと思います。
○松澤兼人君 かりにもし二千円が四千円にならなかった場合、七十二億七千五百万円という地方団体の歳入不足が生ずるわけであります。その不足の補てんをするという場合にどういう方法をおとりになりますか。
○国務大臣(川島正次郎君) 補てんの道は全然ございません。
○松澤兼人君 補てんの道がないということは、地方財政計画そのものを変更しなければならないということでございますか。
○国務大臣(川島正次郎君) 二十九年度で大体土木費単独事業二百三十億使っております。今年度幾らになりますか……。その二百三十億と、もう一つは道路五カ年計画におきまして三十年度では地方の負担が約百二十八億だと思っておりますが、そのいずれかに響いてくるわけであります。従いまして、地方の道路の改修等はある程度できないと、こういう結果になるわけであります。
○松澤兼人君 最後に建設大臣にお伺いいたしますが、この法律が成立いたしますと、道路整備五カ年計画というものは相当進捗すると考えられます。しかしこれが万一成立しないという場合には、やはり道路整備ということは相当大きな影響を受けると思うのであります。これをこのまま放置してよろしいか、あるいはこれにかわるべき何らかの財源的な措置をして、一定の計画通りの事業を進捗させるお考えでございますか、この点を承わりたい。
○国務大臣(竹山祐太郎君) 今年度は道路の重要性にかんがみまして、政府の予算の方におきましても、約六十億地方の負担金を減額をして、政府の分担金を多くして、地方財政の現状に即応して道路の整備を進めようといたしておるわけでありまして、それとこの地方道路税とが重なり合いまして、五カ年計画をようよう予定通り進行いたそうというのでありますから、これがもし変更がありますと、五カ年計画には相当の影響があるということはいたし方ありませんので、何とぞ一つこれはぜひ成立をいたすようにわれわれは要望いたすわけであります。
○松澤兼人君 最後に、私どもは参議院におきまして予算審議には相当熱心にやって参りましたけれども、総理もお聞きの通り、万一こういう重要な法律案が成立しないという場合に、直ちに国の財政及び地方の財政にとって大きな影響を及ぼすという事態になるのであります。この点今後のこともあるのでございまして、法案の提出及びその審議の促進については政府も十分に意を用いて、一日も早くこういった法律案の成立ということに努力なさるようにお願いいたしたいと思います。
○国務大臣(鳩山一郎君) できるだけ努力をいたします。
○湯山勇君 この委員会の最後の質問でこういう質問をしなければならないことを大へん遺憾に存じますが、今、松澤委員から御質問の通り、地方道路税法はまだ通過いたしておりません。これについて総理は何とか通してもらいたい、そういう期待を持っているということでございますが、現在まだ衆議院にございます。そこで予算関係の法律通過について政府はどのような努力をなさったか、まず承わりたいと存じます。
○国務大臣(鳩山一郎君) 予算を伴う法律案について逐次御可決を得ております。本日もだいぶ通過をいたしました。延長会期内には残りのこれら法律案が成立することを期待いたしておるのであります。ぜひ予算を伴うところの法律案は通過をすべくできるだけの努力をいたしたいと思っております。
○湯山勇君 今日までも努力なさいましたでしょうか。
○国務大臣(鳩山一郎君) できるだけの努力をいたしたつもりでございます。
○湯山勇君 それでは大蔵大臣にお尋ねいたします。そういうふうに総理以下予算通過に努力をされたにもかかわらず、他の法案は大体見通しがついております。ところが地方道路税法だけがなぜ残ったか、これについて大蔵大臣の御所見を伺いたい。
○国務大臣(一萬田尚登君) 私どもといたしましては、できるだけ御説明を申し上げ、お願いを申し上げて、御審議の早いのをお願いをいたしておるわけであります。
○湯山勇君 大蔵大臣、御答弁が違います。政府は全力を尽してやったにもかかわらず、そしてほかの法律は、大体予算関係のは通りました。あるいは見通しがつきましたが、これだけが残っている。その理由は、努力したにもかかわらず、これだけ残った理由をお尋ねしておるのでございます。
○国務大臣(一萬田尚登君) いろいろ御意見があることと思います。私どもとしてはぜひとも通過させて下さるようにお願いを申し上げておる次第でございます。
○湯山勇君 委員長、お聞きのように一向答弁が要領を得ないんですが、一つ答弁を促していただきたいと思います。
○国務大臣(鳩山一郎君) 私は努力します、できるだけ。
○政府委員(渡邊喜久造君) 衆議院の大蔵委員会で目下審議中でございまして、だいぶ御審議は願っておりますが、まあ一面においてはガソリンに対する負担が上る、これを上げることについていいか悪いかという問題が一つございます。それからそれが上ることを前提としまして地方財源を確保するという面がございまして、地方財源の確保に重きを置く方々は、ある程度の負担増もやむを得ないんじゃないか、こういうような御意見もございますし、同時に一万一千円と四千円となっていますが、それではそれを一万円と三千円にしたらどうかというような御意見もございますが、各党派必ずしもまだ意見の一致を見ないようでございまして、われわれとしましては、あらゆる努力をして今まで参ったんでございますが、現在までのところまだ結論を得ない。従いましてまだ通過に至らないということは非常に遺憾に思っております。
○湯山勇君 事情はそれでよくわかちました。しかし、今の御答弁で大へんに違うところは、あらゆる努力をして審議をしてもらっているとおっしゃるけれども、私はけさ実は委員長に議事進行を申し上げたのは、この委員会だけじゃなくて、大きい意味で申し上げたが、衆議院の大蔵委員会はきょう午後開かれましたか。
○政府委員(渡邊喜久造君) 私ずっとこちらにおりましたので、はっきり知りませんが、午後はたしか開かれなかったと思っております。
○湯山勇君 私はけさああいうふうに申し上げたから、衆議院の進行状況を見て、そうしていろいろ申し上げたいと思っておって参りましたら、もう散会しております。この法律は一体いつから施行する予定でございますか、政府は。
○政府委員(渡邊喜久造君) 政府原案では七月一日から施行していただくようにお願いしてあります。
○湯山勇君 七月一日までは何時間ありますか。(笑声)笑い事じゃないですよ。私はほんとうにこういうことがよくわからなければ、予算に対する態度がきまりません。これは昨年もそういう事態がございました。で、もし政府がほんとうにこの法律を通そうという熱意がおありになるのであれば、衆議院では民主党は第一党です。そして予算に関係した法律の通過には自由党も協力するとおっしゃったと、総理もおっしゃっておられる。委員長は社会党ですけれども、委員長の意向も聞きましたところが、早くあげたい、委員長としては。けれども与党と自由党の意見がどうしてもまとまらないのであげることができない、こう言っております。これで果して政府がこの法律の通過に努力したということが言えるかどうか。またこういう事態を放置しておいて、参議院の予算委員会を促進するというが、この委員会の議事を進めるためには、委員長もずいぶん御苦労なさった、これは総理がよく御存じの通りです。委員各位もずいぶん日曜も休まずおそくまで努力しましたけれども、最後の、いよいよあすからこの法律を実施しようというただいまになって、そして今日午後は、衆議院大蔵委員会は散会して何もしておりません。これで果して誠心誠意予算の通過に努力したと言えるかどうか、総理はどうお考えになりますか。
○国務大臣(鳩山一郎君) 御推察におまかせいたします。(笑声)
○湯山勇君 どうもこれは御推察と言われましても……、それじゃ推察いたしまして、一体この法律はいつ通るというお見込みを大蔵大臣は持っておられますか。
○国務大臣(一萬田尚登君) 経緯につきましては、ただいま主税局長から詳しく御説明申し上げましたが、私は間もなく意見が一致して通過することを念願をいたしているわけであります。
○湯山勇君 間もなくとかなるべく早くとかいうことは、他の場合には言えることですけれども、あすから実施になる法律が一日おくれれば、大体先ほどの御答弁から計算してみますと一千数百万円、一千五、六百万円の歳入減になります。それをいっそうなるかわからない、まあなるべく早くじゃ工合が悪いと思うのですが、大体何日ごろには通過するというお見通しはございませんか。
○国務大臣(一萬田尚登君) 今一生懸命御審議を急いでいただくことに全力をあげているわけであります。
○湯山勇君 やはり全力をあげていらっしゃらないことは、先ほど指摘した通りです。そしてこれが通過しなければ、今のように地方財政には大きな穴があいてくる。しかしながら、今の情勢では、局長が御答弁になったように二つの意見があって、どうなるかわからないという情勢でございます。私どもはやはり予算を審議するに当っては、こういう問題は明確にして、なるほど予算と法律と違う場合もありますが、今日この段階では、予算は予算、法律は法律ということは許されないと思います。そこでまずこれが一日おくれても、地方の道路には一千数百万円の影響があるわけですから、どんなにしてでもいつまでに通す、原案通り通る見込みがあるかないか、それくらいのことはこの委員会で明確にしていただかないと、賛否の態度の決定さえできないのではないか、こう考えますので、もう少し大蔵大臣の推察しなくてもいいような御答弁を願いたいと思います。
○国務大臣(一萬田尚登君) いつと申すわけにも参りませんが、できるだけ早く原案を通していただけると私は信じております。
○湯山勇君 それではそういうことが不明確なままで審議する場合には、私どもが態度を決定するのは、政府が出された予算についてではなくて、そういう不明確な点を含んだ予算についての態度の決定をしなければならないと思いますが、大蔵大臣はそれを御確認になられますか。
○国務大臣(一萬田尚登君) 私といたしましては、原案の通りに通過することを期待いたしているわけであります。
○湯山勇君 これはもう大体内容は皆さんおわかりいただいたと思いますから、私は多くを申し上げませんけれども、せっかく今日ここまで審議をしてきた最後に、こういう不明確なものを残しておるということについては、十分政府も御反省を願わなければならないし、われわれ自身としてもこの予算に対する態度の決定に当ってはその点十分考えなければならないと思います。これで終ります。
○委員長(館哲二君) 以上をもって質疑通告者の発言は全部終了いたしました。(「自由党残っているじゃないか」と呼ぶ者あり) これにて昭和三十年度予算三案に対する質疑は終局いたします。 各会派における御協議の時間などをも考慮しまして、本日はこれで散会をいたしますが、明日は午前十時に開会いたしまして、討論採決を行うことといたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後七時三十八分散会