予算委員会 第27号
- 発言数
- 308 件
- 登壇者
- 26 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1955/06/18
会議録
○委員長(館哲二君) これより委員会を開きます。
○木村守江君 議事進行。私は先般農林大臣に対しまして、予約集荷制度による米を集荷せんがためには、原則的には作付前に米価を決定すべきではないかとの質問をいたしたのでありまするが、農林大臣は六月十五日には間に合わないが、六月中には決定せねばならんと答弁いたしております。ところがその後すぐに早いがいいとは思うが、いつでなければならぬということはないと答え、また参議院の米価審議委員の決定云々といい、または社会党の人が九月云々とまで発展いたしたかと思いますると、また米価は六月中には決定すると答えたのであります。一体いずれがほんとうなのか、私はまことに迷わざるを得ないのであります。一体このことにつきまして、はっきりした御答弁をお願い申し上げたいと同時に、農林大臣が六月中にきめたいと一言うのは、できないことを宣伝して、農民に対する一種のゼスチュアであり、まじめな農民を愚弄するもはなはだしいと言わなければならないと思うのであります。何となりますれば、予算米価とは、予算米価で決定いたしますれば、予算の面には問題がないかもしれませんが、農民の側からは非常な反対があり、また実際予算数量の買付も困難となると思うのであります。私はかような点から考えまして、六月中にほんとうにきめ得るかどうか、また一体幾らぐらいで六月中にきめるつもりか、その目標だけでもこの際明瞭にいたしてもらいたいと思うのであります。
○国務大臣(河野一郎君) お答えいたします。政府といたしましては、一日も早く米価の決定をいたしまして、予約集荷制度の実現に農民諸君の御協力を得たいと考えております。で、第二の幾らぐらいにきめるつもりかということにつきましては、せっかくただいま閣内において意見の調整中でございますから、それは早急にきめて御発表するまでお待ちを願いたいと思います。
○木村守江君 私は予算米価と新たに決定されます米価との差額が予算審議中に生じた場合に、この赤字をどうするかというようなこの前質問をいたしたのであります。これに対しては明瞭な答弁がありませんでしたので、この際、明瞭な御答弁をお願いいたしたいと考えております。なお、河野農林大臣は、私の質問に対しまして、常に予算米価とほんとうの米価の決定との間には関連はありません、でございますから、三十年度産米価の決定に当っても、この予算米価が九千七百三十何円であるということは全然考えの中におく必要がないと答弁せられておるのであります。私はその答弁を聞きまして、かように予算米価というものが権威のないものであるかどうか、少くとも農林省所管の特別会計予算の中の食糧買い入れ費の、国内食糧買入れ費は二千七百四十二億四千二百三十八万五千円という数字が出ておりまするが、これは予算米価を基礎として出した金額だろうと思うのであります。私は、かような点から、この予算を審議するに当りまして、まじめにこの数字に従って予算を審議しておりますが、もしもそんなに何らの全然関係のないというような、考慮に入れる必要のないもの、権威のないものであるならば、われわれが予算審議をまじめにやる必要はない。何ら予算審議をまじめにやっても意味をなさないということになるのでありますが、いかがでございますか、御答弁をお願いいたしたい。
○国務大臣(河野一郎君) お答えをいたします。今のお示しになりましたことにつきましては、多少言葉に足りない点がありますから補足させていただきたいと思います。この予算米価は御承知の通りに、予算を決定いたしまする際に従来の慣行によりまして、従来の米価を、前年度の米価を決定いたしましたる当時における事情を参酌してやっております。従って全然関係のないと申しましたことは私の少し言い過ぎでございますが、昭和二十九年度以前の米価を参酌して、その三十年度の予算をきめております、単価といたしましては。ところが三十年度の米価の決定に当りましては、御承知の通り、三十年度の米価を決定するに必要なる生産費もしくは物価の趨勢値というようなものでとりまするから、その予算をきめますときの基礎になるべき数字と、三十年度の米価を決定するときの数字との間には、数字にとるべき基礎に違いがあるということで、御了承願いたいと思うのでございます。
○木村守江君 赤字が生じた場合はどうしますか。
○国務大臣(河野一郎君) 赤字の生じました場合につきましては、米価を近日中に決定いたしますから、その際にお答えをいたさせていただきたいと思います。
○木村守江君 私はどうも承知できませんから、この問題は保留しておきます。
○小林孝平君 先日来の米価に関する質問を続けたいと思います。 最初にお伺いいたしたいのは、十六日の日に一萬田、廣川会談で、米価の決定は国会後ときまったと新聞紙は伝えているのでありますが、ところがきょうの新聞を見ますと、昨夜の閣僚懇談会で、予算審議中にも米価の決定を行うことに話がきまったと伝えられているのであります。一体農民はどちらがほんとうなのか、どうなんですかということをみんな心配しているのでありますから、これは一体米価の決定はどういうふうになったのか、それぞれお答えを願いたいと思います。
○国務大臣(一萬田尚登君) お答えしますが、この米価の決定はなるべく早く決定したい、こういう考えでおるのであります。
○小林孝平君 早くきめるということはわかったのであります。今私がお聞きしたのは、新聞紙では、十六日に一萬田・廣川会談で、繰り返して申し上げますが、米価の決定は国会後にするとこういうふうにきめたと出ておりまして、今朝の新聞では、国会の予算の審議中にきめると、こういうふうに出ておりますから、これはどちらがほんとうなのか、できるだけ早くとか、そういう抽象的なことでなく、二回にわたって新聞紙に大々的に伝えられたこの事実は食い違いがありますが、どういうふうになっておるのかということを具体的にお伺いいたします。
○国務大臣(一萬田尚登君) お答えします。十六日の私と廣川さんとの話のことは、新聞に出ておるようでありますが、国会後にという、そういうことはありませんとはっきり申し上げておきます。
○小林孝平君 そうしますと、昨日の閣僚懇談会にきまりました、米価の決定は予算の審議中に行うということが政府の正式の決定だと考えてよろしゅうございますか。
○国務大臣(一萬田尚登君) 私は、できるだけ早くやる、こういうふうに考えております。
○小林孝平君 そういう抽象的な、できるだけ早くというのは困るのです。それはわかりました。もうわかったことはお答え下さらなくてもよろしゅうございますから、米価の決定は参議院における予算の審議中にきめるとこういうふうに昨夜の閣僚懇談会できまった、こういうふうに出ておりましたが、これは事実かどうかということをお尋ねいたしたいのであります。
○国務大臣(河野一郎君) 昨夜の閣僚懇談会できめましたことは、予算の審議中というような具体的に言葉は使いませんけれども、むろん一日も早くということでございまして、その期日は、予算の審議が終る前にきめるということは、当然そう御了承いただいて差しつかえないのじゃなかろうかと私は思います。
○小林孝平君 結論は、要するに予算の審議中にきめるということでございまするか。くどいようでございますけれども……。
○国務大臣(河野一郎君) 今申し上げました通りに、予算の審議中ということになりますと日が確定されまするが、私たちの考えますのは予算の審議——一日も早くということでございますから、結論といたしましては、今申し上げます通りに、予算の審議中にきまるということは当然そうなると私は思っております。
○小林孝平君 私は、ただいまのお答えで、当然予算の審議中にきまる、こういうふうに了解していいものと思います。また、昨日米価は、十四日の日の私の質問に対しまして、総理大臣に私は米価はいつきまるかということをお尋ねいたしましたら、農林大臣は、六月末を待たないできめるとこうおっしゃいましたから、この米価はあらためて本日、政府は六月中にきめる、しかも予算の審議中にきめるということをお答えされたものと確認いたします。 この際、お尋ねいたしますが、新聞紙上に十六日に一萬田・廣川会談があった事実も、これはそういう事実はない、昨夜の閣僚懇談会につきましても、予算の審議中に決定するというような閣僚懇談会の結論が出たということも、そういう事実はないと、こういうふうに二つともこの重大な結果について否定的なお答えがあったのでありますけれども、あれでございますか、米価に関する限り、最近の新聞紙上に伝えられることは、ほとんどこれは信用ができないということでございますか。念のためお尋ねいたします。
○国務大臣(一萬田尚登君) 私に関する限り、ただいま御答弁申し上げた通りでございます。
○国務大臣(河野一郎君) 廣川さんと一萬田さんとお会いになった話は、私は存じません。昨晩の閣僚懇談会の新聞に出ておりますことは、今私が申し上げたことと大して違いはないと思います。
○小林孝平君 次にお尋ねいたしますが、予算の審議中に米価の決定があるということは、もうはっきりした事実だと思うのであります。ただいま農林大臣が確認されました。そこで予算米価に変更があれば予算を修正するかどうか問題は、先般私が質問をいたしておりましたけれども、途中で関連質問が入り、さらにこれが発展いたしまして、うやむやになっているのでありますが、そこでもう一度お尋ねいたしますが、予算の審議中にこの米価の改定があれば、予算を修正されるかどうかということをお尋ねいたします。
○国務大臣(河野一郎君) 先ほどお答え申し上げました通りに、予算を修正するかしないかということは、その決定の際に申し上げたいのでございますが、基本方針といたしましては、予算の修正をするということは、こういう問題についてはいたさぬという総理の御答弁があるのでございますから、それとあわせて御了承いただきたいと思います。
○小林孝平君 私は今農林大臣がおっしゃった、総理はこういう問題については予算の修正をしない、こうおっしゃったということは、私聞いておらぬのでありますが、総理大臣は、それは間違いございませんか。
○国務大臣(鳩山一郎君) 自由党と民主党との共同修正案というような形においての修正は、補正予算は提出はしないつもりだということは申したことがあります。
○小林孝平君 今申し上げたのは、話が違うのです。ただいまの予算審議中に、予算米価が変ったら、この予算の修正をされるかどうかということをお尋ねしたのです。これに対して農林大臣は、総理大臣はこういう修正はされないと言明されたと言ったけれども、私はそういうことを聞きませんので、総理大臣にお尋ねいたしたので、補正予算の問題ではなくて、現在審議中にこれがきまったら、この予算を修正されるかどうかということをお尋ねしている。
○国務大臣(鳩山一郎君) 私が発言いたしましたのは、ただいま小林君に答弁した通りのことを申したのであります。ほかのことは申しません。
○木村禧八郎君 関連して、ただいま小林君に対する総理の御答弁は、私が前に総理に対して、補正予算を組むか組まないか、こういう質問をした場合に、総理は、絶対に組まない、こういうことを言われた。そのあとにおいてその発言を修正されまして、天災が生じたような場合には別であるが、その他については組まない、こう言われました。ところがただいまの御答弁では、今回の自由党と民主党の修正のような形の補正は組まないが、その他の問題については補正を組むかもしれないということを言われました。これについては前に松澤氏が総理に、この補正の問題について確認されたときに、やはり総理は、自由党、民主党の修正のような形の補正は組まぬと言いましたが、そのときにまた私は重ねで関連質問しまして、そういう民主党、自由党の修正によるような補正以外の補正をも含めて、天災以外のものは全部組まないということであるかということを質問いたしましたら、総理は、その通りである、こういうことを御答弁なすっている。ですからもう少しはっきりしていただかなければならぬ。総理は天災以外のものについては補正は組まない、こういうことを言われたのですから自由党、民主党の修正はもちろんのこと、今度の米価の問題についても補正は組めないはずなんです、総理の御答弁からいえば。この点ははっきりともう一度。この前総理は訂正されまして、その訂正された御発言でも、自由党、民主党の修正による補正以外の、米価改定による補正も組めないはずなんでありますから、この点ははっきりと御答弁をわずらわしたいと思います。
○国務大臣(鳩山一郎君) 私は小林君に答えたときに申したように、自民共同修正のごとき意味における修正案の補正予算は組まないというのと同時に、今木村君がおっしゃいました、すなわち天災のような場合のときは、私が補正予算を組まないと言ったことのらちの中に入るものではないということも言いました、両方とも答えております。
○小林孝平君 ただいまの点につきましては、まだ不十分でございますので、またあらためて私その他の委員も質問をすると思いますが、その前に問題が、農林大臣は先ほどこの予算の審議中に改定があれば、あっても組まないというふうに総理大臣が答弁されたと言われましたけれども、今確かめてみたら総理大臣はそういう御答弁をなさっておらんのです。これは一体どういうことなんです。そういう決定はいつされたのですか。
○国務大臣(河野一郎君) 便宜大蔵大臣からお答え願って、はっきり確認いたしますから……。
○国務大臣(一萬田尚登君) お答えしますが、農林大臣が総理の御答弁から引用されましたのは、先ほどから木村さんが関連で御質問になったあのときの総理の御答弁を指してる、かように私は考えております。
○小林孝平君 それならば農林大臣は考え違いされたものと了解いたしまして、それはそれでよろしゅうございます。しからばあらためて大蔵大臣にお尋ねいたします。この米価の改定が予算の審議中に行われたならば、予算は当然これは修正しなければならないと思いますけれども、あなたはどうされるのですか。
○国務大臣(一萬田尚登君) 米価がどうきまるか、またきまった米価が、どういうものが予算米価とどういうふうな相違が出てくるか、これらによっても私はまた考え方は違いますが、私は予算を修正するという考えは持っておりません。
○小林孝平君 これはおかしいと思うのです。もうすでに六月中に予算の審議中に、米価をきめるというのはしばしば先ほどからおっしゃっておるのです。そこでもう米価は大体変るであろうということもまたこれは想定されるのです。こういう事態になってきても、まだ予算を修正するかしないかという態度がはっきりしないというのは、これはどうなんです。これはごまかしていられるのではないですか。かりに現在の予算米価が一万円米価にかりになったといたしますれば、七十億のそこに財源が必要なんです。こういう膨大な赤字が出ても予算の修正をする必要はないのですか、それほど予算というものはいいかげんなものなんですか、それをお尋ねいたします。
○国務大臣(一萬田尚登君) お答えしますが、かりに一万円とかあるいは一万何ぼというふうに初めからきめるから、そこで赤の問題とかいろいろ出るのであります。私どもはそうは考えておりませんので、これはきまらないのです。どういうふうにきめるか、これはいろいろの御意見も心要でありましょうし、またそれをきめるについて一定の期間をとらなくてはならんこともありましょう。それはどうきめるかということでありますが、私は今それについて赤が出ると、こういうふうに言わなくてもよろしいと思います。
○小林孝平君 それはこういうふうに事態が切迫しないときならば、そういう御答弁でいいのですが、すでに米価の決定の時期はきまっておる、しかもこの米価の改定を要求する声は非常に熾烈なんです。重大な政治問題になっている、こういう状態になって、まだ大蔵大臣はそういう現実の事態が迫らなければ答弁ができない、こういうことでは私は問題にならぬと思うのです。総理大臣に私はお尋ねいたしますが、予算をこういう場合に修正されるのかされないのか、鳩山内閣の御方針を承わりたいと思います。
○国務大臣(鳩山一郎君) 私は大蔵大臣の答弁の通りであります。
○小林孝平君 大蔵大臣は新聞紙上に伝えられるところによると、これはどうも大蔵大臣は米価に関する限り新聞紙の報道はあまりあてにならないというような御発言だったようでありまするけれども、この新聞紙上に伝えられるところによると、蔵相は、予算成立前にきめると野党は予算の修正を要求するから成立後にきめたがよいと言っておられるようであります。これはあなたは当然修正すべきであると認められておるから、こういう発言をされたんじゃないかとこう思うのです。
○国務大臣(一萬田尚登君) お答えします。そういう発言はありませんでございます。(笑声)
○小林孝平君 先ほどから私は申し上げておるように、新聞紙上の一萬田・廣川会談も、そういう事実はない、今度は、ちょっと今時間の関係でその新聞の名前を言うことができませんけれども、こういうこともはっきり大きく出ておる。これもそういう事実はない。そうすると、私は先ほどから申し上げておるように、この米価に関する限り、大蔵大臣は新聞紙上に伝えられることはほどんどこれはあまりあてにならないというふうにわれわれは考えて差しつかえないのですか。
○国務大臣(一萬田尚登君) お答えしますが、新聞の記事をどう考えていいか、こういうことを私は申すんじゃないのであります。ただそういう発言がなかったことだけを私は言い、もしもそういうことで他の閣僚にお聞きになってもよろしい。そういう発言は本当にないのです。
○小林孝平君 これは米価を改定すれば、当然予算の修正をしなければならんことは、何と言われてもこれは当然なんです。またそういうことをやるのが民主的な政府のやり方なんです。そういうことをやっても、これは予算の修正をやらなくてもいいんだ、まだそういうことは仮定の問題だからいいんだ、こういう態度は私は非常に問題であろうと思うのです。これはどうなんです。 もう一つお尋ねいたしますが、昨日の衆議院の農林水産委員会で大蔵大臣は、赤字が出たら食管特別会計の予備金でまかなうというような御発言をなさったように新聞紙上に伝えられておったようでございますが、これは事実でございますか。
○国務大臣(一萬田尚登君) そういう答弁をした記憶は全然ありません。
○小林孝平君 私は速記録を見ませんからわかりませんけれども、ともかく日本の大新聞、われわれがそれを信用しておる新聞がこれを伝えて、衆議院の農林水産委員会で、米価は自分が納得できれば予算米価以上に引き上げてもやぶさかではない。予算を修正しない方針で食管会計の操作で財源をまかないたい、こう言っておると新聞は伝えておりますが、先ほど私は予備金と申し上げましたが、それならばそれを取り消して、食管会計の操作で財源をまかないたい、こう申されたのは、これは事実でございますか。
○国務大臣(一萬田尚登君) お答えしますが、食管の操作というような言葉を使ったか私も記憶ありませんが、そういうふうに言わなかったと思います。御質問は九千七百三十九円の予算米価、これを一つも動いてはいけないのか、こういうような御質問であります。しかし買い入れ米価は今後慎重に検討せられた上にきまる。そうすると、私は予算米価は非常に適正なものと考えておるが、それと違ったものができるということも考えられる。そうすると、そこに一体、そういう場合にその米価をどう考えるかという御質問であった。そこで私はその米価が非常に客観主義的な妥当性を持っているということになれば、これは私も同意をせざるを得ないだろう。そんならば、それは一体どういうふうな予算の修正か。それは予算の修正なんかは私はとうていやらないわけであります。まあこういうふうな話である。そうして結局それならどういうふうになるのかというので、まあ食管の、私は食管に財源的ゆとりがあるとも思いませんが、しかし全然ないとも限りますまい。こういうふうな答弁であったのが、今のような報道になったのかと思います。
○小林孝平君 大蔵大臣は今も、食管会計に余裕が全然ないとも思わない、こういうふうに考えておられるものだから、この前の追加払いの問題も三十三億を一般会計から繰り入れないで、食管会計の中で操作をせいということで農林大臣に押しつけられた。その三十三億の財源の支出をどこから出すのだと農林大臣にお尋ねしたら、その資料もまだ出されないような状態である。そうしたら、その上にまだ余裕がある。それはどこから出すのだと言っても、またその資料も出てこない。こういうことで、われわれは予算の審議権を剥奪されたような状態になるんじゃないかと思う、あなたのような理論でいけば。一体これはどうなんです。われわれに予算の審議などをもうあまりやってもらいたくないというあなたのどうも態度のように思うのですが、どうなんです。
○国務大臣(一萬田尚登君) お答えします。そういうふうなわけではないのであります。全然しないかというような場合に、私はただお答えをしたので、予算を修正しないということを申し上げたので、私は大体御了解が願える、かように考えております。
○小林孝平君 そうすると、結局大蔵大臣は、米価を改定しても、予算の修正はされないと今おっしゃっておりましたが、そういうふうに理解してよろしゅうございますか。
○国務大臣(一萬田尚登君) 私は予算を修正しない、そのところで米価はきまるだろう、かように考えております。
○小林孝平君 それならば、その限度は幾らなんです。予算米価より幾ら上ったら、幾らまでなら予算の修正をやらなくていいのですか。
○国務大臣(一萬田尚登君) それは非常に米価の、そこに非常にむずかしさが私はあると思う。そこで各方面の意見も必要でありましょう。それから機関等の意見も、米価審議会ですか、ここの意見も聞き、そうしてきめなければならぬ、こういうふうに考えております。
○小林孝平君 それはちょっとおかしいので、米価を幾らにきめるかということはむずかしいけれども、予算を修正するかしないかの範囲は幾らまでならいいかということは、これは大蔵大臣があなたがおわかりになるでしょう。幾らまで上れば、この予算米価は九千七百三十九円でございますが、これが九千九百円までなら、これは修正しないでいい、一万円ならしなければならぬとか何とかいうことはおわかりになるから、そういうことをおっしゃったのだろうと思う。そのめどは一体どこにあるのですか。
○国務大臣(一萬田尚登君) 繰り返して申しますが、私は米価については、先刻から答弁した通りに、みんなの意見を聞かなければならない。その上できまると考えております。
○小林孝平君 私の質問と見当違いの御答弁をなさっても困るんです。米価のきめ方はそれは別です。それがきまったとき、予算の修正をやるに至る限度はどれくらいかと、こう聞いているのです。
○国務大臣(一萬田尚登君) 予算を修正しないのである、私は今のところ。これは米価をきめるわけではありません。きめるわけではありませんが、この予算米価の九千七百三十九円は非常に適正な合理性を持つ、かように考えておるわけであります。
○小林孝平君 そういうふうに私は——これはわれわれは時間の制限があってやっておるのですから、そういう見当違いの御答弁を願っても困るのです。私は米価を幾らにきめるかということをお尋ねいたしておるのではなくて、先ほど予算を修正しない範囲内で、米価がきまるのであろうと、こうおっしゃったから、その範囲内というのは幾らだと、こういうことを聞いておるのです。これは当然だろうと思うのです、この質問は……。
○国務大臣(一萬田尚登君) それでは私先ほどの答弁が非常に疑惑をお招きになったようですから、私答弁をこういうふうにいたします。私は米価がまずいろいろの御意見できまって、そうしてその米価がどういうふうになるかによって考えることが、予算の修正はいたさない、かように考えております。
○小林孝平君 大蔵大臣の御答弁はさっぱりわかりません。私らはよほど頭が悪いとみえて何べん聞いてもわかりません。あなたがそういうふうにして何とかして予算の修正をやらないようにしようと、こういう態度をとられておることが、どういうことになるかというと、河野農林大臣をだんだん窮地に追い込んでいく。河野農林大臣は六月中にきめると、こうおっしゃっているのです。われわれはなるべく早くきめてもらいたい。非常に農林大臣の御努力を感謝しているのです。ところがそれが実行できないのは、あなたがこういうことを言って、予算の修正をやれば、各党が、この米価を改定すれば、各党が予算の修正を要求するから、そんなに早くきめてはいかん、いかんと言って、農林大臣を側面からやられるものだから、だんだん河野さんが窮地に追い込まれて、そうしてとんだ失言をされるのです。私は河野さんに非常に同情しているのです、(笑声)農林大臣に。あなたはこの間からすましてそこにおられて、農林大臣は陳謝されておるけれども、あなたがそういう態度をとられるから、農林大臣が陳謝をしなければならないような状態に陥るのです。私はむしろあなたが積極的にこの際予算の修正は幾らまでになったらするかしないかということをはっきり言わなければ、これはすべて今後質問してもだめです。新聞に伝えられれば、そういう事実はないと、こういうことになって、これは新聞をわれわれは全部、これはどうも新聞は当てにならんと、こういうことになるのです。これは国民に重大な悪影響を及ぼします。また予算審議の上からいっても、あなたたちのそんなのらりくらりした答弁に、われわれがそうでございますかと納得していたら、参議院の予算委員会なんかこれはないも同じだということになりますから、私は承服できません。もっとはっきりした態度ができないものか。総理大臣にお尋ねいたしますが、あなたは先ほどからお聞きになって、こういうことでいいとお考えになりますかどうか。お尋ねいたします。「答弁しろ答弁を」「総理大臣答弁」と呼ぶ者あり、笑声)
○国務大臣(一萬田尚登君) お答え申し上げますが、この米価がどうきまるかということに、やはり私は基本があるので、米価がどうきまるか、これが非常にむずかしいので、皆が今考えておる。もう初めから米価は当然非常に高いところにきまるべきものだと考えてしまえば、私はそれはまたいろいろな問題が出てくると思う。その米価をどうきめるかというのが非常に私は問題で、そこにむずかしいところがあると思う。それを解決した上でそれがきまる。それを私は考えて申しておるのです。決してわからんようには私は思わないのであります。(「答弁にならないよ」と呼ぶ者あり)
○小林孝平君 私はそういう御答弁を何べお聞きしてもわかりませんです。それで、こういう審議のやり方をやっていいのか、それを総理大臣にお尋ねしているのです。国会でこういうようなわけのわからない答弁をやって、そうして重大な予算審議をうやむやにやっていいかということを総理大臣にお尋ねいたしておるのです。御答弁を願います。(笑声)
○国務大臣(鳩山一郎君) 私は、この程度において議事の進行を望んでおります。
○永岡光治君 一萬田大蔵大臣の御答弁によりまして、結局補正予算を組まないで済む範囲内で米価を決定したい、こういうよりしか聞えないのですが、そのように解釈していいのかどうか。そうするとあなたは非常に高くなったら困るとか何とか言っておりますけれども、線がきまってしまいますよ。補正予算を組まずに済む程度できめてもらいたいということで、もう線がきまるのです。そうするとそこに大よその腹づもりが出てこなきゃならぬと思う。何十何円というところまできまらないかもしれませんけれども、おそらく今あなたのお考えになっておる米価というものは私はきまっておると思う。態度はきまっておると思う。どうでしょうか、その点。
○国務大臣(一萬田尚登君) まだきまっていないのでございます。今後みんなと検討してきめる、かように考えております。
○永岡光治君 だから今後きまるということになれば今後きまって、そのきまった金額に従うというのであれば、それが補正を組むということになったらどうするかということをしきりに聞いておるわけです。それについてはごうもお答えがない、明確に答弁をしていない。ですからこれを明確にすることと、これと関連して農林大臣に私はお尋ねするわけですが、あなたは食管会計でこれをまかなうということをきょうの新聞で談話を発表しておるように私は聞いておるわけです。一般の補正を組まずに食管会計の中で何とかなるような方法でしたい、こういうことになる。たとえばその中で廣川さんは三級酒を作るとか作らぬということで問題になったようですが、あなたのきょうのお話によれば、あれは二級酒、一級酒を増すかどうかしらぬけれども、いずれにしても食管会計の中でそういう酒の増税をはかって処置したいと、こういうことを考えているようですが、それはほんとうですか、それがほんとうとすれば、まずその点を確かめてから質問をいたしたいと思います。この二つの問題を明確にしてもらいたい。そうするとおのずから米価の問題は想像がつくと思います。政府の考えている米価の問題について。
○国務大臣(河野一郎君) お答えいたします。私はきのうは新聞記者諸君に談話を出しておりませんから、それは何か間違いだと思います。私は先ほどから申し上げますように、米価は早急に決定することにいたしておりますから、そういう点については一切決定をいたしました上でよく御説明を申し上げます。こう考えております。(「一萬田大蔵大臣の答弁々々」と呼ぶ者あり)
○国務大臣(一萬田尚登君) 繰り返すことばかりになりますが、私はこの予算がどうということは、やはり米価がきまった上で、また米価のきまり方いかんにもよることでありまして、まだ米価がきまらぬのに、こうきまったらこうするこうする、こういうふうなことはただいまできないと考えております。
○小林孝平君 こういう審議のやり方を私はやっておるのははなはだ残念でございまするけれども、総理大臣もこの事実を認められたものと思います。この程度でかんべんしてくれということは、私はおかしいと思うのだけれども、まあ時間の関係もありますから一応やめまして、米価の決定に重大な関係のある予約制度の問題についてお尋ねいたします。 十四日の当院の農林水産委員会で農林大臣は私の質問に答えまして、予約制度でもってこの予約をした数量は直ちに食管法の第三条でもってそれを義務づける、こういうふうにおっしゃったのでありますが、これは間違いありませんですね。失言じゃないですか。
○国務大臣(河野一郎君) お答えいたします。 その通りでございます。
○小林孝平君 同時に強権発動の政令をそのまま残す、こういうふうに御答弁をなさいましたが、この食糧緊急措置令も同時に残されるわけですか。
○国務大臣(河野一郎君) たびたび申し上げますように、今回の予約制度は、農民諸君の御協力によって所期の目的を達したい、また達することができると考えておるのでございまして、強権発動によってこれを取締り威圧するというようなことは考えておりません。しかしその法律は今ここでにわかにこれを廃止するというようなこともまだ考えておりません。
○小林孝平君 この強権発動の政令もそのまま残す、これは残しておけば、場合によればこれを発動して行い得ることは当然であります。それで結局農林大臣はこの予約制度をやると言っておるけれども、結局は予約したものを食管法の第三条でもって強制的な割当を義務づける、それから強権発動もそのまま置く、こういう重大な発言をされているのです。この点については、この予約制度に関連いたしまして全国の農民が、一体これはどういうふうになるのだろうというので今まで疑問に思っておったのです。おそらくこの食管法は当分そのまま置くと書いてあるけれども、これはおそらく置くだけで発動、適用しないのじゃないか、してもかりにこの二千三百五十万石という数字が、それだけ予約ができなかったような場合に、初めてあとから追っかけてこの規定を発動するのじゃないかというようなことを、非常にそういうふうに考えておった。しかしそれも政府の正式な声明が未だかつてないものであるから、おそらく政府はそういうことをやらぬだろう、食管法は置くけれども、そのまま非常に重い罰則のついている食管法が適用されることはないだろうと思っておったのです。ところが十四日農林大臣は初めてこの第三条でもって直ちに予約した数字が政府の強制的割当になり、さらに強権発動の規定もそのまま置く、こういう重大な発言をされたのです。これはきわめて重大でありまして、この予約制度というものは、これは意味をなさなくなったのです。現にあなたはどうお考えになるか知りませんけれども、私はこの農林大臣のお話を聞きまして、こういうことで農民は納得するかどうかということを非常に心配しまして、一昨日わざわざ新潟に帰りまして、農民の幹部諸君とお会いいたしまして、こういうふうに農林大臣が言っておるのだけれども、あなた方はどういうふうに考えるのだと聞いたら、そういうことではこれは全く予約制度なんというものは問題にならぬ、われわれはもう全面的に政府の今までの通牒その他によって準備をしておるけれども、取りやめなければいかぬ、こういうことを言っておるのです。あなたはどこの農家の意見を聞かれたのか知りませんけれども、日本の最大の供出県である新潟県においてこのように混乱を来たすということになれば、二千三百五十万石の予約はとうていできないのです。一体あなたはこれは自由販売を考えてこの予約制度をお考えになっておるのか、あるいはこの食管法、従来の通りをやろうとしておられるのか。その点を明確にしていただきたいと思うのです。これが明確にならなければ米価もきまらないのです。
○国務大臣(河野一郎君) お答えいたします。従来の制度は御承知の通り、割り当てまして、これを強制的に義務づけたのであります。今度は予約制度におきましては、合意の上で契約をして参るわけでございます。そこに農民諸君の御協力を得るという体制でいきたい、こういうことでございます。 で、今自由販売か、従来に戻る傾向かということでございますが、これは前にもお答え申し上げました通りに、従来の食糧管理制度は制度的に行き詰まりを来たしておりますので、これをいかように扱うかということは、前内閣来審議会、調査会がありまして、それで鳩山内閣におきましても、有力なる方々の御懇談の結果の御答申によりまして、この制度を採用することにいたしたわけでございます。その際に、将来の米の扱い方はどういくべきかということがその委員会においても十分御懇談になりまして、その御懇談の際にも、統制専売の方向を目途とするか、自由販売の方向を目途とするかということは、いろいろ御懇談がありましたが、その際にも大体この相反する二つの方向を選ぶ場合に、自由販売の方向を目途としてそうして制度をも考えていくべきだということが大体の御意見のようでございました。しかし自由販売にするにはいろいろのあれもありまするので、この予約集荷制度でやることが一番適当であろうというような御意見でございましたので、私もこの意見を採用するということにしたわけであります。
○小林孝平君 これは全く農林大臣は考え違いされておるか、あるいは故意にそういう御答弁をなすっておるのか知れませんけれども、今までの食管法の第三条というのは、非常に食糧が窮屈で、政府はどうしてもその数量を確保したい、こういうことで、それで強制的な割当をやっているのです。一方的な割当をやっているのです。こういう規定であるから、場合によれば強権発動もやらなければならぬというのがこの食管法の建前です。しかもこの第三条は、罰則規定がありまして、非常に厳重なこれに対する罰則規定があって、「三年以下ノ懲役又ハ三万円以下ノ罰金ニ処ス」とこういう重い罰則があるのです。ところが今度は予約というのは、今も農林大臣も言われたように、両者の完全なる合意によってその数字がきまるのです。そうすれば、そういう合意によってきまった数字にこういう強制的な割当を追い打ちをかけてやるという必要はどこにあるのです。これは予約じゃないじゃないですか、全くこれは考え方が支離滅裂ですよ。一種の、私はこれは誇張して言えば精神分裂症的な症状じゃないかと思うのです、こういうやり方は。非常にこれは今後大きい問題になりますから、この際農林大臣はこれは間違いであるとか何とかはっきり言明された方がいいのじゃないかと思うのです。
○国務大臣(河野一郎君) ただいまお答えを申し上げます通りに、これは前のは強制的に割当をやって参りました。今度は双方合意の上でやるのでございますから、そこに予約集荷制度の長所がある。あとからそれを三条で裏づけをいたしますことは、政府といたしましても配給の責任を持っておりますので、そういうふうに裏づけをして、もちろん理由があって減収になったとか、こういう事情でいけないとかいう場合にはむろんあとから訂正することは、双方合意の上十分訂正はできるのでありまして、これらにつきましては十分農民諸君と納得の上で円満に運用して参りたいと考えております。
○委員長(館哲二君) 小林君に申し上げますが、時間がきております。
○小林孝平君 最後です。
○委員長(館哲二君) ではもう一点だけ。
○小林孝平君 これは非常におかしいですよ。この予約制度で合意の上で契約したものであれば、それは民法上、私法上の問題として、違反があった場合は契約不履行ということで処理すべきが当然であります。それを予約という名前で農民をだましておいて、そうして食管法の第三条を適用しようというのは、これは全然問題になりませんよ。政府は配給の責任があるというなら、そういう責任を感ずるなら、敢然として義務供出をやらしたらいいじゃありませんか。そういうあいまいな、配給の責任があるにもかかわらず、これを予約などで農民をつろうと、そうしていかにも農民の思うようにさせるように考えさせておいて、実は食管法の第三条を適用するというようなことは、これは農政通をもって任ぜられる河野農林大臣のやり方としては非常に大きなあやまちであると思うのです。私は河野農政の最大の過誤であると思うのです。すみやかにあなたはこういう考え方を反省されて、誤りであったという声明をされることを私は望みまして、質問を終ります。
○国務大臣(河野一郎君) 御趣旨のほどは十分了承いたしましたが、そういう事態が起らぬように円滑に話し合って運用して参りたい、こう考えております。
○永井純一郎君 私は主として米価の問題について大蔵大臣にお尋ねをしてみたいと思います。今日まで本委員会におきまして米価の問題についていろいろと質疑応答を重て参りましたけれども、私が聞いておりますところによれば、鳩山内閣には一つの経済、財政の確固たる方針も、あるいはまた米価を中心としての農業政策の確固たる方針というものも何らないというふうに受け取らざるを得ないのであります。これは全体で二百十五億の規模を持った修正が行われたということのみならず、またそれ以前にすでに鳩山内閣には確固たる方針も何もなくて、支離滅裂であって、ふらふらしたような状態にあるというふうにこれは国民も感じたと思う。 そこでさらに大蔵大臣に質疑を重ねていって明らかにしたいと思うでございまするが、修正はされたけれども、大蔵大臣はあるいは総理大臣も、予算の性格というものは変えてはおらない、地固め経済ということを方針としておる、こう言われておる。そこで私は消費を節約し、物価を引き下げ、そして輸出を振興する、そして通貨価値の安定をはかっていく、こうでなければならぬと思う。またそういうことを大蔵大臣も言っておられる。この点からいきまして、大蔵大臣は米価というものは上げた方がいいと思っておられるのか、あるいは下げた方がいい、こういうふうに思っておられるのか、この方針の問題をまず私はお伺いしたいと思います。
○国務大臣(一萬田尚登君) お答えします。私の考えでは適正なものが一番いいと思います。(笑声)
○永井純一郎君 その適正が地固め経済からいって今日、上げる方がよろしいのか、下げた方が適正になるのか、こういうことなのです。
○国務大臣(一萬田尚登君) これは私は単に上げる下げるといっても、米価だけについてこれは言えないことだと思います。すべての経済全体にも関連します。また米価自体についても、米価が安くても農民がやっていける、こういうような状況なら、それでもよかろう、こういうふうに考えます。これはすべてのいろいろの条件と見合って考えなくちゃなりません。ただ安ければいい、高ければいいと私は言えないと思います。
○永井純一郎君 それではげ蔵大臣にお伺いをいたしまするが、今日世界の食糧価格は御承知の通り下落しつつある。しかも相当に下落の度合というものは今後大きくなっていくと思う。この世界の食糧価格の趨勢を知らないで地固め経済などと言うことは私は僭越だと思う。この食糧価格の世界的の下落傾向というものを考えた上で日本の地固め経済を期していこうというならば、日本の食糧価格はどうきめるか、財政経済の上からどうあるべきか、これをお伺いしたい。
○国務大臣(一萬田尚登君) お答えします。私は農業のやはり特殊性がありますから、単に世界の農産物が安いから当然日本の農産物も安くあるべきだ、こういうふうに簡単に解決すべきものではないと思うのでございます。特に日本の農業というものは、今日の日本において人口とも関連をいたしまして、いわゆる国内資源という面において最も私は重要な面がある。しかもこれは生活必需品であります。単に需給といいますか、国際的に常に需給が可能であるという前提だけでは、これはやはり考慮できないんじゃないか。たとえば具体的にいえば、かりに海が荒れるというような事態が国際的にあるとすれば、やはり私は国内の食糧の自給度をできるだけ高めておくということは、非常に国家的見地から必要ではないか、こういうような見地からいたしますと、そう簡単に国際物価だけからきめるわけにいかない、こう考えます。
○永井純一郎君 私は日本の食糧価格が安くてよろしいという議論をしておるのではない。あなたの、大蔵大臣が示した財政経済方針について伺っているわけです。 そこで私がさらにもう一つお伺いしたいのは、消費者価格というものは、絶対引き上げることはないというのが方針でありますが、これをお伺いしたい。
○国務大臣(一萬田尚登君) さように私は考えておりません。これはそのときの——今日において常に絶対という意味、絶対にいつのときに至っても引き上げるということはいけない、こういうふうには私は考えておりません。ただしかし、今日におきましては低物価政策をとっておりまして、全体の経済の状況からみまして、消費者価格は私は据え置くのが適当である、かような見解を今はとっております。
○永井純一郎君 これは三十年度予算の実施中には絶対に消費者価格というものは、今日以上上げるようなことはない、これが政府の方針である、こう今の答弁を私確認したいんですが、それでよろしゅうございますか。
○国務大臣(一萬田尚登君) 今のところ私さように考えております。
○永井純一郎君 今のところという大変——言葉を使いましたが、私は消費者価格は、ただいまの消費者が買っている価格を動かさない、こういう方針である、こういうふうに私とっておきます。 そこでもう一つは現在の配給量も、少くとも今日の配給量よりも減すというようなことはこれはないもの、これが政府の方針であると思いますがこの点も一つ明確に大蔵大臣の考えを伺いたいのでございます。
○国務大臣(一萬田尚登君) 私は現状のままと思っております。
○永井純一郎君 それで私、大蔵大臣にさらにお伺いしたいのですが、配給量を確保し、現在の消費者価格で配給を確保してゆく、これがはっきりした一つの政府の方針になっているわけであります。そういたしますると、私大蔵大臣にここでお伺いしたいのだが、それに一番いい価格というものは、この前もあなたに全国の農業団体の代表者が陳情をいたしておりましたが、農業団体は全農民大会を開いて、そこで一万二千四百円を最低必要とする、それでなければ協力できないと言っている。この一万二千四百円という価格に対する大蔵大臣の所見を私はお伺いしたい。
○国務大臣(一萬田尚登君) 米価につきましては、先ほどから私がたびたび申し上げましたように、よく関係者の意見も聞きまして、政府の関係とも相談の上で考えたい。今どういうふうなどうというお答えは私は控えておきます。
○永井純一郎君 これは先ほど私が一番初めに質問をいたしましたのですが、地固め経済ということで財政経済の方針というものを貫くのだというあなたの方針があるわけです。それはその方針からいって、一万二千四百円に対しては自分はこう思うという所見がないようでは、これは予算の審議にならぬ、またあなたが当然その所見を持たなければいかぬと思う。それは率直に蔵相は一つここで私の質問に対してお答え願わなければならぬ。
○国務大臣(一萬田尚登君) お答えします。今御指摘のような価格が具体的でありますれば、これはいろいろあれでありますが、私はさように考えておりません。そういうような説に対して批判を避けたい、かように考えております。
○永井純一郎君 どうも審議にあまりなってゆかないと思う、これでは。そこで、自分が作って出された予算米価の九千七百三十九円、これはやはり一番適切な価格、こう信じられておるのじゃないかと思うのです。またそうであるならば、なぜ九千七百三十九円が地固め経済の一番大切な基礎になる、この食糧の価格が一番これが地固め経済上適切だという御所見は、これは自分が作られたことです。一万二千四百円は農業団体があなたに適切だと言っている価格であります。予算米価は、あなたが地固め経済の基礎としてお作りになった数字であります。これに対する所見をはっきりと私は聞きたいのであります。
○国務大臣(一萬田尚登君) お答えします。私はすでに予算米価として組んでありますこれについて、適正、合理性をたびたび考えております。従いまして今お示しの一万二千四百円でありますが、これが高い安いかといえば、それは高いとも私は考えておるのであります。従いまして、そういう点について私は批判を控えた次第であります。
○永井純一郎君 それではこの一万二千四百円が地固め経済上一体なぜ高いのか、それからなぜ九千七百三十九円が一番あなたの自信のある数字なのか、それを伺いたいと思います。
○国務大臣(一萬田尚登君) 私の考えでは、米価もやはり歴史的な価格でありますから、そういった関係では特に米価というのは長い歴史的なものである。前年度々々々のその価格というものは、やはり尊重さるべき価格である。それに対して新たな要素を三十年度においていろいろまた考慮すべき事情がありましょう。これを参酌いたしまして、こういうような見地からいたしました場合に、私は私の妥当性を考えておるわけであります。
○永井純一郎君 これは数字的に一万二千四百円の場合に、それでは地固め経済ができないのだ、自分たちの持つ方針としてこういう所見があなたによって述べられないことは、私ははなはだ遺憾だと思う。それが述べられないということは、予算米価の九千七百三十九円にも根拠がないというふうに私が反問しても、蔵相は答えられないはずだ、そういう予算の組み方に私は納得できない。九千七百三十九円の地固め経済上の合理性、これが一番適正だということの説明を私伺いたいと思う。それはぜひとも伺わなきゃならぬ。
○国務大臣(一萬田尚登君) お答えします。これは昨年度の米価、これに基いて本年度の米価はきめなければなりません。さいぜんの九千七百三十九円、これはこの数字的根拠は昨年度の基準米価に誤り……(「よく聞えない」と呼ぶ者あり)まあ、政府委員から一つ詳しくは……(笑声)
○政府委員(森永貞一郎君) ちょっと事務的に補足いたします。予算米価九千七百三十九円の根拠でございますが、ただいま大蔵大臣からお答えがございましたように、昨年度の米価決定の際の水準によってこれを算定いたしております。すなわち基本価格は昨年の価格をそのまま採用し、超過供出奨励金につきましては、昨年の米価決定当時における義務供出、超過供出の割合を基礎にして、それを一本価格とする意味でこれを追加算入し、また早場米の超過供出奨励金の算入については、昨年度の米価決定の際の早場米の供出数量、所要予算額等を算定の基礎にいたしまして予算米価を決定いたしておるわけで、あります。従来通りの米価決定方式をとりまする限りにおきましては、パリティ指数も横ばいないしは若干下落の傾向にあることでありまするし、この米価が予算編成当時におきましては、私どもとしては適正な価格であるということでこの予算を編成をいたしておるわけであります。 一万二千四百円米価についてどう考えるか、これはもう私から申し上げるまでもなく、いわゆる生産費主義の、しかも一番低い、最高生産費と申しまするかを基準にいたしておるわけでございまして、今日日本の現状で統制価格としてそこまでいきなり採用することは、これはできないことはるる申し上げるまでもないわけでございまして、第一この生産費そのものの調査が非常にいろいろ資料もございますが、平均生産費的なものをりとますと、この予算米価でもカバーされておるというような実情でもございまするし、いきなり一万二千四百円というような生産条件の最も悪い生産費を米価としてきめなくちゃならぬということはない。歴史的な沿革も無視できないわけでございまして、私どもといたしましては、この一万二千四百円という米価には賛成いたしかねるわけでございます。
○永井純一郎君 森永君から大へんいい答弁をしてくれたと思う。その今の言計局長が説明してくれた内容は予算書に書いてあるので、私もよく承知している。ただ蔵相がそれを知らないというのは重大な問題だ。あなたが予算を作った人だとは思えない。その点知らないならば、認識をしておらないならば、私は今の主計局長からの答弁でようやくにして……。蔵相にお伺いしたいのは、前年度の米価を中心に考えて、そうして本年度の予算米価のきめ方は、前年の手取りよりも少くするということを方針に明らかにしておる、これが一つの動すべからざる方針なんです。それは地固め経済であるからその方針をとるんだと、こう私はあなたが説明するだろうと思うのです。またそう説明しなければならぬ。しかしそこに非常な問題がある。明らかに大蔵大臣の方針は今主計局長が答弁をしたように、前年度の価格を中心にいろいろ考えてそれよりも低くするということで、実際の手取り額よりも低くした米価を、米の代金を今年は払おうという、これが政府の基本方針であると思うのです。この点を私ははっきりと伺いたい。そう数字の上も今主計局長が説明したようになっております。
○国務大臣(一萬田尚登君) 私は米価が昨年よりも低いというような場合に、むろん地固めというようなことも全体として考えるべきことでもありましょうが、米価としては私はむしろなお直接的な要因の方が強い。これはたとえて申しますれば、昨年度は私はやはり作柄がよくなかった、そういう意味において今年は平年作を基礎にして、こういうふうなことが直接米価に大きく影響すると考えてよろしい、こういうふうに考えております。
○永井純一郎君 そうしますと、今の答弁は非常に疑義を生じますが、もし本年も水害、災害等で非常に作柄が悪くなった場合には、この六月中にきめまする米価を変動することがあり得るわけですか。今のあなたの方針ではそういうことになりますが、これを伺っておきたい。
○国務大臣(一萬田尚登君) もしも作柄が非常に悪いという場合には、これは私は考えなければならぬことであると思います。
○永井純一郎君 その場合には私は今の食管会計の赤字の内容から言って、明らかに補正予算を組まなければそのときこそ整理はつかないと思うのです。補正予算をそのときはお組みになることになるわけですね。
○国務大臣(一萬田尚登君) これは大きな災害でも起りますれば私はやむを得ない、そういうことも政府はいたさなければならぬと思います。
○永井純一郎君 この点災害に伴う米価の問題につきましての補正の態度ということも、これは明らかに今の大蔵大臣の答弁でなったと思います。そこで私は先ほどの質問に返るのですが、九千七百三十九円という予算米価についての、これがなぜ地固め経済上これでなければならぬかという説明を依然として大蔵大臣は私の質問にしないのでありますが、これは一面二千七百三十万石を最低確保しなければ政府の食糧の需給推算はくずれるわけなんです。で、そのためには少くとも私は供出農家の生産費を償うという価格でなかったならば、これは私は予約売り渡し制度をとる以上協力しないと思うのです。供出農家は、私は百姓でありますからよく知っておりますが、自分としても出せません。それでこの点どういうようにお考えになりますか。大蔵大臣にお伺いいたしたい。
○国務大臣(一萬田尚登君) 私は十分事態の御了解を願って御協力をお願いしたいと、かように考えております。
○永井純一郎君 そこで、予約制度であるから私は問題になると思う。予約制度がこれは鳩山内閣の食糧管理の基本方針にことしからなったのです。その予約制度そのものに非常な欠陥があるので、これはあとで農林大臣に伺いまするけれども、一応、政府はこの予約制度を食糧管理の方針として決定しておる、閣議で。そして、通達を各府県、各農業団体にいたしておる。それを協力せしめるということ、合意の上でこれは供出をしてもらうのでありまするから、いやだと言ったらそれっ切りなんです。それを一番協力してやすいように、また進んで農家が協力するようにするには、これは少くとも供出農家の生産費が償うのであるということでなければ、供出農家の生産費も償わないように価格を示して、そして供出協力してくれと言っても、それは協力いたしません。どのようにして一体協力せしめられると思っておられるのですか。重ねて明らかに聞かしていただきたいと思います。
○国務大臣(一萬田尚登君) お答えしますが、従来、二十九年度、二十八年度とずっと供出をやはり願っておるわけであります。これが今回予約制度と変るのであります。特にそのために農家の負担が多くなるわけでもございませんし、制度が変ったということで、生産費が上るということでもないと私は思います。従いまして、この制度をよく御理解を願えれば、私は御協力が得られると、こう思います。
○永井純一郎君 その制度を理解すれば協力できなくなってしまうのですね。これはそういう欠点をこの予約制度がもっておりまするので、ただ積極的に協力をしてもらうためには、やはり、生産費を十分に償う米価を示すよりほかにないのです。それよりほかに方法がない。ところが、これについては大蔵大臣は予算米価というものを固執しておられると思うのです。それはもう明らかにわかるのです。政府の食糧政策というものが非常な矛盾を内蔵しておる。予約制度というものを政府の方針としながら、米価ではこれを安く押えて、集荷が困難になるような米価をきめよう、従って、農業団体は一切協力しないと言っておる。先ほど小林君からも申し上げた通り、その矛盾を一体どうされますかということについての答弁を、これはやはり明らかにしていただかなくちゃいかぬと私は思う。お願いします。
○国務大臣(一萬田尚登君) 私の考えでは、強制なら強制力で出してもらう、今日の情勢で予約買い入れで、予約で売り渡しをするような制度にする、これは情勢の変化も考えなければなりませんが、そういうふうな自由的な制度にもっていくという、こういう考え方に私は情勢の変化を考慮に入れなくちゃならぬと思いますから、そういうふうな事態からいたしまして、十分御了解を得れば御協力願えると、かように考えております。
○永井純一郎君 私は率直に申し上げて、大蔵大臣はどうすれば米の供出ができ、配給量が確保され、そして、そのことによってどのように国民の食生活を安定させるかということに対する考えが全然私はないと思う、先ほどの答弁で。ただ一つの数字を予算に作ったので、それを固執していけば、それが大蔵大臣の立場であるかのような、物事をそういうふうに私考えられておるのじゃないかと思う。はなはだ遺憾だと思う、そういう態度はですね、そうとしかとれない。あなたの答弁に少しも的確な答弁、あるいはものが納得せしむるものが全然ない。そこで、私はこれは農林大臣からでもけっこうですが、一体、予約が制度をとったのは、先ほど来も質問があったと思いまするが、今のような大蔵大臣が言うような方針で、低米価で押しつけていく。しかし、一方緊急措置令があって強権はもっておって、これでおどすようなことはするけれども、しかし集まることは非常に困難である。安い米価では困難だ。が、しかしながら、予約制度というものは、統制をはずす方向にもっていく一つの段階だと河野さんは考えておられるのじゃないかと思うのです。それで、予定の数字が集まらなかった場合には、そのまま集まらないでも行こう。そして強権は発動しない。従って先ほど蔵相が言った配給量は確保いたしますと、政府の方針として言われましたけれども、配給量の確保はこれはくずれることがあり、それだけ低くしてもいいのだ、そして順々にそういうふうにいって自由にする一つの前提として考えるのだ、これが方針であるのか、あるいはそうでないのか。この点を一つはっきり私は政府の方針として伺いたい。
○国務大臣(河野一郎君) お答えいたします。投げやりにして、集まらなければ集まらんでほっておくという、順次自由販売に移行するというようなことは考えておりません。
○永井純一郎君 それでは思わしい米価がきまらないで、農業者が納得するような米価がきまらないで、予約した数量を割り当てるときからすでに非常な混乱が起り、困難が起ると思うのですが、そういうような場合には、むりにでも予約割当数量をきめて、そして、それがどうしても集まらなければやはり強権の発動をいたしますと、こういう態度でいかれるわけでございまするか。この点も一つお伺いしたい。
○国務大臣(河野一郎君) 私はそういうふうには考えませんで、従来の供出割当制度は非常に押しつけがましいということでよろしくありませんから、そこで農民の協同組合精神に依存いたしまして、そして共同販売の理想を達成するように御協力を願い、政府におきましても、この農民諸君の御協力にこたえて、ともどもこの制度の運用によって所期の目的を達するようにしていきたい。つけ加えて申し上げまするが、低米価政策であるとか高米価政策であるとかいうことは、考えておりません。あくまでも米価は適正なところに決定するというふうに考えております。
○永井純一郎君 米価の適正ということは、そういうことで言っておるのでないことは、だれでも農業関係の人なら知っているのです。あなたがそういうことで適正であるとかないとかいうことを言われることは私は非常におかしい、しろうとくさい議論です。大蔵大臣が言われるなら話がわかるが、おかしいと思う。そこで私は、ただ精神的に協力を求めて、とにかく確保して、配給も従来通りの確保をしていくのだ、しかし強権の発動はしないのだ、そういうことはしない、これが方針ならば、私はこの国会になぜあの強権発動関係の政令をやめるようにされないか。これはやめていただきたい。それが私は農民に対するほんとうの協力を求める第一段階です。私ども気持がよくない。そういうことは自分で百姓ですからよくわかる。そういうようなものをうしろに持っておって、協力を求めるんだ協力を求めるんだということは、これは事務当局がそういう答弁をするならよくわかります。あなたは政治家であります。農民の気持を十分つかんで農業の政策というものを遂行しなければならぬのが政治家である。私これには納得できない。それを今国会中にやめるようにしていただくならば、私は相当ないい気持で、かりに米価に相当な困難があっても、私は協力する気持を持つ農家は非常に多いだろうと思う。この点を一つ農林大臣からお答え願いたい。
○国務大臣(河野一郎君) 私も全く同意見でございまして、あくまでも農民諸君の御協力を得、それにこたえてわれわれといたしましても最善の努力を払って、本法の運用を完璧を期していきたい。しからばなぜこれをやめないかということでございますが、私はこれは、こういうものを使ってやるというようなことは全然考えておりませんので、これについてはまた別途、そういう場合のあるということは全く想像いたしませんけれども、従来の例も御承知の通りのことでございますので、それらについても十分御勘案願えばおわかりいただけるのではないかと思うのであります。
○永井純一郎君 もう一つ。従来通りでないのです。この際は予約制度という新しい制度を作って、食糧管理方式の根本方針にそれをされたのでありまするから、従来通りと違いまするから、この機会に河野さんの手によって私はこれを、あなたが予約制度を始めたのですから、この強権発動の政令を廃止されるべきですよ。ぜひこの国会中に廃止されなければ、予約制度というものはまるっきり従来と何ら変らないと農民が全部これを批判しておるわけです。その誠意を政治家としての農林大臣は私は農家に示さなければならない、その誠意があるかどうか、こういうことを私は今質問しておるわけです。お答え願いたい。
○国務大臣(河野一郎君) ただいまお答え申し上げました通り、従来といえどもほとんどこれを発動し、これを実行したことはないのでございます。しかし、従来のこの運用の実例を全国の農民諸君は十分了承しておられると私は思うのであります。この点は意見が多少食い違うかもしれませんが、私は農民諸君は協同組合精神によって、従来の供出割当よりも予約制度でいこうと、そうしてお互いに協力していこうということが、今日の全部の農民諸君と私はあえて申し上げますが、御協力が得られると思っておるのでございますが、これは今申し上げますように、従来の本法の運用の過程を十分御検討いただきますれば、おわかりいただけると思うのであります。
○永井純一郎君 これで終ります。答弁は求めませんが、一言農林大臣に申し上げます。私はあなたの今の答弁は答弁になっていないと思うのです、政治家としての河野さんの答弁に。やはりあなたがこの際やるべきことは、予約制度をやめるか、あるいはこの強権発動の政令をやめるか、どちらかだと私は思います。それでなければ、方針というものはなくて無方針だと思います。私はこのことをあなたに申し上げておいて、時間がだいぶ経過していてありませんので、終りたいと思います。
○千田正君 特に私は今国際問題として、日本の国民が最も関心を持っておりますところの日ソ外交問題と日比賠償に関する問題について首相並びに外務大臣にお尋ねしたいと思いますが、外務大臣がお見えになっておらないようでありますが、どういうふうになっておりますか、その点を承わりたいと思います。
○委員長(館哲二君) 外務大臣は衆議院の他の委員会に今出ておりますので、こちらへ回っていただくように今督促をしておりますので、もしも御質問の中で他の問題を先に願えましたらと思います。
○千田正君 それでは鳩山総理大臣に、特にこのたびの日ソ外交問題についての重点としての点をお尋ねしておきたいと思います。それは今最も問題となっておりますのが、松本全権とマリク代表との間に取りかわされておるところの交渉のまあ最初の段階としましては、日本側が引き揚げ問題、戦犯並びにその他の引き揚げ問題について申し入れたところが、ソ連側はそれに対して何らの反応を示しておらない。しかしながら、この問題は日ソ交渉の段階においては最大重点として日本国民が関心を持っている問題であると私は思うのであります。先般も松本全権が鹿島立ちに先だちまして、日比谷街頭における全国の留守家族の代表が鳩山首相並びに全権に向って要請したことはすでに御承知の通りで、今度の日ソ会談の最初の段階においてこの問題を提議してほしいという要請に対して、政府側を代表しておそらく鳩山総理大臣も、外務大臣も、また松本全権も、この問題を冒頭に掲げて日ソ交渉の段階に入るということを明言されたと私は思っておりますが、昨晩の夕刊並びに今朝の朝刊等における各新聞紙の報道によるというと、この問題はどうやらネックにぶつかったようだ、どうもうまくいきそうもないと、こういうような報道がなされております。しかしながら、これは日本国民の長年の悲願である。終戦と同時に、御承知の通りポツダム宣言におきましては、戦勝国は当時の捕虜はその祖国に返して平和ないわゆる産業に従事せしむべきであるということを宣言した。各国はほとんど全部捕虜を返して、辛うじて戦犯だけが今残っておる、こういう状況にあるにかかわらず、なお幾多の行方不明者、なお幾多の残留者が残っておるということは、これは世界人道上許すべからざるところの問題であり、この問題を究明せずして日本の独立自主の外交はあり得ないと私は考えまするが、総理大臣はいかがに考えておられますか。その点をお答え願いたいと同時に、この問題を最初に解決しませんならば、日ソ交渉の次の段階に入らないという所信のもとにこのたびの日ソ交渉をやられておられるかどうか。この所信を承わっておきたいと思います。
○国務大臣(鳩山一郎君) ただいまあなたがおっしゃいました、この問題を解決しなければ次の段階に入らないということは、同じ言葉を松本君は使っておるものと私は信じております。ソ連は抑留者並びに戦犯を日本に返すということを拒んでいないと私は思っておるのであります。ソ連は表面においてはむろん拒んでいないことは事実だと思います。ソ連は今日の新聞を見ましても、この問題は平和条約の締結後には当然に返すというようなことを言っておるようでありますが、松本君に対しても、そういうようには言っていないと思いますが、この問題はむしろ逆に平和条約締結前にも返したいというような意思をほのめかしておるものと私は考えております。
○千田正君 これはまことに重大な問題でありまして、鳩山総理大臣がお考えになっておるように、ソ連側はそれほど寛容に、日本側の出方に対してはとにかくとして、この問題がほかの外交交渉に移さなくても、ソ連に残留しておる者がおれば日本に返したいと、こういうようにソ連側が考えておられるように首相は考えておられるようですが、それほど実際楽観をしてもよい問題であるかどうか。おそらく私は、過去十年という間この参議院におきましても、衆議院におきましても、この問題につきましては特別委員会を設けて、幾多の悲劇を繰り返しながら今まで日本国民の悲願として全世界に訴えてきておっただけに、この問題は私は簡単に解決はつかないと思いまするが、なお今でも首相がお考えになるように、ほかの問題に先だってこういう問題が善意に、ほんとうに良心的にソ連側がこの問題の解決を先になされるというふうに考えておられるとするならば、私はこれは非常に楽観的な考え方ではないかと思いますが、重ねてこの点は御自信のある程度を御発表願いたいと思います。
○国務大臣(鳩山一郎君) あなたの御質問に対しましては、外務大臣の方が適当だと思いますが、私は自分の観測では、先刻申したように、抑留者、戦犯帰還の問題については、ソ連は反対の立場に立ってはこないというような観測をしております。
○千田正君 それではまあ外務大臣にその点もお伺いします。 総理大臣にさらに重ねてお尋ね申し上げたいのは、先般新聞に発表しておりまするから、それはどうかわかりませんけれども、あなたの方のいわゆる民主党の池田副幹事長がどこかで説明された中に、一体現在の鳩山内閣は外交的な立場においては、アメリカ側のひもつき、あるいはソ連との善意に満ちた交渉、こういう問題については中立を堅持していくのだということを池田副幹事長は述べたところが、あなた方の政党の中の方々から、そういうことはない、われわれはあくまでもいわゆる自由国家群との間のひもつきでいくべきが当然である、こういうことの論争が繰り返されて池田君も唖然としたということが新聞に載っておりまするが、鳩山内閣のほんとうの自主外交としては、一体中立を堅持して行なっていくつもりでありまするか、あるいはかっての吉田内閣のように、一つの自由国家群としてアメリカ側との提携、ひもつきと称せられるほどの緊密なる政策のもとに、今後ともこの外交を押し進めてゆかれるという御方針でありますか。その点をはっきりお答えを願いたいと思います。
○国務大臣(鳩山一郎君) たびたび私は申しますが、現在の世界の平和というものは、やはり武力のバランスというか、つまり防衛力のバランスというものの必要があると思うのです。防衛力のバランスによって、世界の平和は維持ができているものと思うのでありますが、日本は自衛力を一つも持っておりませんから、アメリカと安全保障条約を結び、行政協定を結んで、日本の安全をただいま防衛しておるわけでありまするから、この方針を捨てるというわけにはゆきますまい。すなわち言いかえてみれば、国連の方針の集団安全保障の精神によって、世界の平和を保っておると思うのであります。しかしながら同時に、ソ連や中共等共産主義を奉ずる国と国交を調整をして正常化するということが、また世界の平和を維持するために非常に必要であると考えておりますので、ソ連や中共との国際関係を正常化いたしたいと思って努力いたしておるわけであります。
○千田正君 今のお答えによりますると、まことにけっこうなことでありまするが、それならば現在の世界機構の中で、国際間の紛争を平和裏に解決するために持たされておるところの調整機関といいまするか、世界の平和を目標とした機関といいますか、それがとりもなおさず国際連合の機関であります。残念ながら日本は一九五三年以降幾多の国々から、日本側をこの国際連合に参加すべく推薦を受けておるにもかかわらず、どうにもそれは参加できなかった。しかも昨年の十一月、第九回国連総会におきましては、ついに日本はアメリカ側の推薦によって、国際連合に参加を推薦されたのにもかかわらず、それができなかった。その内容を検討してみるというと、インドの代表メノン氏あたりは、日本はまだソ連との間に戦争終結の段階に入っていない。そういう段階に入っていないがゆえに、国際連合に参加させるということは、ソ連側においては難点があるだろう。こういう反対意見があり、かつまた、ソ連側からは方式において日本を国連に参加させるということはまだ早い、方式上の差があるという点において異論を唱えられて、ついに国連に参加されなかった。幸いこのたび日ソ国交が回復するとするならば、これは重大なる一つの問題として、この国連参加という問題は少くとも自由国家群はあげて日本の参加を慫慂しておりまするが、共産圏はこれに反対しておった。この際この問題を最重点に考えて、この日ソ国交の問題の中にこれを織り入れるべきじゃないか。こう思いますが、国連問題に関しましては、このたびの松本全権に対して相当強く要請する方法をとっておられまするかどうか。この点はいかがでございますか。
○国務大臣(鳩山一郎君) 国連加入の問題は松本全権はよく承知をしておりまして、すでにソ連に対してこの申し込みをいたしました。
○千田正君 それではこの外の問題は、一応外務大臣が見えておりませんから、次に回しまして、国内の問題で一つ総理大臣に特にお考えおき願いたいと思うのは、最近防衛庁がだんだん増強されるに従いまして、いろいろな問題が起きておる。同時にまた防衛庁のみならず、基地の問題につきましても、いろいろな問題が起きております。たとえば先般農林水産委員会から、われわれは千葉県の要請によって調査に参りましたが、ところがそこに米軍の航空基地があった。この拡張の問題について木更津の市民が全部反対しておる。そのほかにはあるいは立川、あるいは横田、そのほか五基地と称せられる基地がこの拡張に対して反対しておる。ところがなかなか話し合いができない。それで法律によって強制立ち入りを実行しよう、立ち入り調査を実行しよう。特に立川、横田等の基地に対しましてはすでに通告を発しておる。ところがこの通告に、そのうちの現地の市長なり町長なりが反対をした場合には、市長や町長を罷免するということが法律の中にあるようでありますが、こういうふうになると、日米間に対するところの問題、すなわち米国の駐留軍の基地の演習に対して、日本側が協力しない、あるいは非常に反抗的な気分になっておる。強制立ち入りを実行するとなれば、ますますこれは米国に対する国民感情はあまりよくなくなってくる。むしろこれはアメリカに対する感情が逆に反対の方に激発するおそれがありますが、この点はどういうふうにして一体緩和してゆくお考えがあるかどうか、この点が一つ。 もう一つは、防衛隊の拡張に従って、いろいろな問題が起きております。このときに、先ほど申し上げました千葉県の木更津におきましては、防衛隊のうちの海上防衛隊が訓練をした際に油を流した。その油が千葉県の沿岸の漁民の生活のいわゆる重点でありますところのノリに付着したために、ノリの収穫が壊滅である。この補償をしてくれということを国会並びに政府に対して陳情しておりますが、これに対しましては防衛庁側は、いやわが方の油ではない、それはどこかの油であろう……、ところが海上保安庁あるいは水産庁、あらゆる面から調査しましても、それはその当時その近海において訓練しておったところの海上防衛隊の艦艇以外には、そういう油を流した状況はない。こういうことになるというと、全然防衛隊の方では知らぬ存ぜぬと言うし、それから漁民や市民からは、それは防衛隊だと言うし、それの確証をあげる方法がない。言いかえればこれは政府の責任において、こういう問題は解決すべき問題ではないだろうか、少くとも防衛隊の拡張を理想としておるところの現内閣の政府としましては、当然国民の協力なくしてとうてい防衛隊の増強なんということはあり得ない。少くとも日本の国民というものが、あなた方の方針に対して賛意を表するか、協力をするのでなければ、完全なるところの防衛体制などはできるものではないと思いますが、単なる廃油の問題、流した油の問題でさえも国民から反撃を加えられるようなことであっては私はならないと思います。そこでこの問題は各省のセクショナリズムでけんかしておるよりも、総理大臣から、そういうことは政府が責任を持つから、安心して生業にたずさわって協力しろというような方針でなかったならば、おそらくあなた方が企図しておるところの防衛隊の増強なんということは、砂上の楼閣に私は過ぎないと思います。そういう点につきましては総理大臣はどういうふうに今後こういう問題について処理されていかれるか。政府の方針を聞きたいと思います。
○国務大臣(鳩山一郎君) ただいまあなたの仰せられるがごとく、木更津のノリの問題はずいぶん深刻な問題になっております。この問題については特に関係機関において、すなわち農林省と海上保安隊に対しましてあの問題の調査を命じました。千葉県庁とも緊密な提携をとって適切な措置をとるように、政府からも申し述べておるようなわけであります。 どうも飛行場の拡張問題については、アメリカの側においても非常に心配をしておりまして、飛行場の拡張において日米間の意思の疎隔をきたすようなことは非常に困るから、そういうようなことについて私に率直な注意をしてもらいたいというようなことも言われておりますので、この飛行場の拡張問題については、十分の注意をいたしまして、こういうような問題の頻発しないようにいたしたいと思っております。
○千田正君 もう一点、これは外国の問題ですが、日本とフィリピンの問題、いわゆる日比賠償問題については、フィリピン側は八億米ドルを日本側が賠償に応ずる、受諾するだけの気持があるようだという意味で、八億米ドルの賠償をフィリピン側はオーケーであるという通告を日本側の政府に向って出したというようなことが新聞に出ておりますが、果して日本側は八億米ドルの額におけるところのフィリピンに対する賠償を御承諾になっておられのですか、どうですか。その点でありますが、それに対しては大蔵大臣に、一体この賠償問題に対しましてそれだけの準備がされておるのかどうか。また初年度においては幾ら一体払うつもりであるのか。こういう問題についてのことは大蔵大臣に伺いたいと思いますが、総理としましてはこのフィリピン側の八億米ドル日本側が受諾するであろうというこの問題に対してはどういうふうに考えておられますか。
○国務大臣(鳩山一郎君) フィリピン側に対して八億米ドルの支払いを約束したということはありません。
○国務大臣(一萬田尚登君) フィリピンとの賠償につきましては、先般来いろいろとディスカッションの過程にあるのであります。
○千田正君 それでは全然日本側が八億米ドル支払うなんという御意思がない。御意思がないのを向う側は八億米ドルくらいならば払えるだろうという推定、観測のもとに、ああいう発表をされたものと私は今の総理大臣のお答えによると観測せざるを得ないのでありますが、果してそうなのでありますか。あるいは多少それに近い額でも払ってもいいというようなことを示唆したから、そういうふうに向うは考えておられるというのじゃありませんか。その点はどうなんでありますか。
○国務大臣(鳩山一郎君) フィリピンとの賠償交渉は経審長官が政府を代表して交渉をしております。経審長官とフィリピンの代表者との間は、日本が主張した条件はやはり四億ドルということを固執しておったのであります。しかしその間にいろいろの案を両者において検討をしておったと思うのであります。結局話し合いができないで代表者は帰るということになったのであります。帰るときに、とにかくフィリピンの最低の案をこしらえてきて、ここまではゆくということがわからなければ、日本としては承諾し得ることは言い得ない。前の例に従ってせっかくできたほうの大野・ガルシア案もああいうふうになってしまったのであるから、君の方で最終案をとにかく作って来いというような話し合いで、その間において向うがこの程度くらいまでは日本で承諾するだろうというようなことを感知したのかもしれませんけれども、八億ドルを支払うというようなことは、最初から最後までそういう話にはゆかなかったと思います。
○千田正君 それでは最後に外務大臣に対する質問を二、三分残しておきたいと思いますが、ただ一分だけ厚生大臣に数字だけただしておきたいと思います。厚生大臣にお尋ねいたしますが、引揚問題が非常に重大な段階に入って、ソ連との交渉も今関頭に立っておるわけであります。そこで先般政府側の発表しておりますところの一万一千九百七十名ですか、これが外地から、ソ連地区から引き揚げて来た帰還者その他の調査によりまして、姓名がわかっており、そうして生存しておるものと、それから姓名がわかっておるが行方不明のものと大体合しまして一万一千九百七十名と私は承知しておりますが、その数字に間違いがないかということと、終戦当時ソ連側から北鮮及び満洲に逆送した相当の人数があるはずであります。その点が数字がはっきりわかっておるのかどうか。そういう点の所在をある程度確認しておらんというと、今度の日ソ交渉におけるところの真剣な交渉ができないと思いますので、厚生省側からはっきりした数字の御発表を願いたいと思います。
○国務大臣(川崎秀二君) 六月十七日外務省が発表いたしました抑留邦人約一万二千、すなわち生存確実者、ソ連地域におきまして昭和二十七年から三十年引き続き生存資料あるもの、生存確実者であります。ソ連地域で一千三百六十三名、千島樺太地区八十九名、合計一千四百五十二名、それから状況不明は、二十六年以前に生存の資料があるもの、また同時に不確実な死亡資料のあるものも含めて状況不明者は、ソ連地域で九千五百名、千島樺太地域が一千六百九十名、合計しまして一万二千六百四十二名、すなわち先ほどお話しの数と少し違いますけれども、抑留邦人一万二千と大体発表されました先般の外務省の数字は、厚生省の方から今回の日ソ交渉に当りまして事前に外務省へ差し出しました数字であります。従いまして厚生省と外務省の間には全然食い違いないことはもとよりであります。しかして従来の外務省が発表しておりました数字といささか違っておりますのは、今日に至りましてきわめて正確な数字が出たことで御了承を願っておきたいと思うのでございます。
○千田正君 もう一点、一番問題になるのは、終戦時のどさくさのときどれだけの数がソ連側から北鮮や満洲あるいは外蒙に向って送り返されたか、その点はいつでも不明なんです。追求していっても、この調査の確実性はわれわれははなはだ疑うのでありますが、これをはっきりソ連側も発表しておらない、中共側も幾人受け取ったということを言っておらない。日本側としては一応の段階しかついておらないのでありますが、一体どれだけあるのか、この点はある程度はっきりしておかなければいかぬと思いますので、この点を発表願いたいと思います。
○国務大臣(川崎秀二君) ただいまお尋ねの逆送された人数に対しましては状況がはっきりいたしましたものについては、この数字からは除外をいたしております。なお、昭和二十八年でありまするが、ソ連側においては昭和二十五年すでに中共に九百六十九名引き渡したという言明はいたしておりまして、これ自身は正確な数字ではありますが、なおそれ以外にソ連側より逆送した者の数がわかりませんので、それらについてはなお的確なる数字を出したいと考えております。
○委員長(館哲二君) 千田君の外務大臣への御質問はあと留保していただきます。 午後一時半まで休憩いたします。 午後零時五十一分休憩 ————・———— 午後二時十一分開会
○委員長(館哲二君) 休憩前に引き続いて開会いたします。
○高橋進太郎君 鳩山総理大臣が連日熱心に御出席いただいて、われわれの質問にもお答えいただくことについては深甚なる敬意を表するものであります。私はこれから鳩山内閣の施策の基本的な問題について二、三御質問申し上げたいと存じます。その基本の点については総理みずからお答えをいただきたいと思います。なお、それに関連する各省大臣のお話につきましても、十分総理大臣にお聞き取りを願って、そうして基本的な問題については総理御自身のお話をお伺いしたいと存ずるものであります。 第一に、鳩山内閣の政局担当の構想上の問題についてお伺いしてみたいと思うのであります。鳩山内閣は、いわゆる選挙管理内閣といたしまして政局を担当し、次いで総選挙の結果第一党といたしまして、あらためて政局を担当して参られたのでございますが、議会において多数を制し得ない実情においては、組閣に当って謙譲なる心がまえを持つ、まず第一にこの点に留意せなければならなかったものと考えるのであります。しかるに政局安定方策につきましては、何ら考慮するところなく、漫然と政局を担当し来たったところに鳩山内閣の致命的な弱さがあると思うのであります。公約の実施に当りましても、あるいは予算の編成に当りましても、どことなく微弱な感じを国民に与えていることはいなめない事実であると存ずるのであります。従って本予算審議に当りましても、この点に対する鳩山総理大臣の考え方の基本をすなおにお話いただくことが、予算審議の前提要件であると考えられるものであります。世上あるいは三木構想となり、岸幹事長談話となり、保守結集をめぐって合同といい、あるいは連立といい、種々取りざたされて参っておるのでありますが、先般の鳩山、緒方両党首の会談となって、ようやく保守結集も軌道に乗ってきたかのごとく見えるのでございますが、一方、民主党内の支持の動き、抵抗等もないでもないようでございます。総理は、しばしば自分は人の意見を聞き過ぎることが弱点であると、みずからおっしゃっておるようでありますが、保守結集こそは政局安定の鍵であり、あらゆる施策の基本でございまして、これは人の意見を聞き過ぎて解決する問題ではなく、総理御自身の不動の信念と決意とによらなければできない問題であると考え、かつまた国民焦眉の問題であるとも考えられるのであります。本日の新聞紙の報ずるところによりますると、外務委員会におきまして、わが党の小瀧君の質問に答えて、総理は、この問題に対しては自由党の線に沿うて善処すると言っておられるようでありますが、この際、あらためて本委員会におきまして、総理のこの問題に対する御信念のほどをお伺いいたしたいと存ずるものであります。
○国務大臣(鳩山一郎君) 私は高稿君のお話の通りに、政局を担当する当初におきましては、謙虚な気持でやって行きさえすれば、さほどの困難には遭遇しないというような考えでもってやっていたのでありますけれども、どうしても過半数の応援がなければ政治というものはうまく運営できませんので、そこで保守党を結集して行くということは、政局を安定させる上において必要欠くべからざるものと考えるようになりました。保守政党の結集ができるということは、どうしても政策の協定から始まることがいいと思いまして、自由党との政策協定に努めたい気持でおります。そうして自由党の意思を尊重して政策の協定をして、そうして政党の、保守党の結集にまで進みたいという気持でおります。
○高橋進太郎君 重ねて総理大臣にお尋ねいたしますが、総理大臣のお話でありますと、政策を中心にして何か協定するように考えられますが、私はしばしば両党ともこの問題については率直に国民の要望にこたえるために、すみやかなる保守結集ということが文字通り叫ばれておるのでございますが、これは文字通り進められると、こう解釈してよろしいのかどうか、いろいろな条件とか何とかいうようなことになりますると、これまた問題であり、むしろ国民の要望の線に沿うて行くということが最も正しいと考えられますが、総理大臣に重ねて御答弁をわずらわしたいと思います。
○国務大臣(鳩山一郎君) 私も保守勢力の結集はいたしたいと思いまして、自由党の有力な人たちに意見を求めたのであります。そうすると、その人の中の多数の人は、早く政策の大要をきめて、自由党の政策の協定から入るのが一番いいということを多数の人が言っておりますので、それならばさっそく政策の協定から進みたいということを申したのでございます。
○高橋進太郎君 次に私は、鳩山内閣の経済施策の根本についてお伺いしてみたいと思うのであります。私の友人でフジ製糖の社長をしておりました高橋正三君という人がヨーロッパを回って参りまして、特に西ドイツが祖国再建にきわめて熱心なるところの態度を示しているのに非常に驚嘆して参りました。日本と異なり、外車のはんらんもなければ、不急ビルの建設もなく、国民が経済復興にまことに真摯なる態度であります。これは西ドイツだけではなく、高橋君が砂糖屋さんだけあって、イタリアに参りましたときにも、あのようにイタリアは日本よりも温いところで、従来ポーランドか、ドイツあたりでしか栽培ができなかったと思われていたビート等の栽培によりまして、りっぱに砂糖の自給自足をやっているありさまには、ほとほと感心して参ったのであります。そうして自分も外国から安易に黒砂糖を輸入いたしまして、これを白くしてもうけさしていただいたのでは国民にまことに申しわけないから、今までのもうけを投げ出して、東北地方なり、関東地区くらいまではビートがやれると思うから、何とい砂糖の国内自給をはかるとともに、ビートが可能となれば、酪農が導入され、日本の食糧の自給度の向上にも役立つというので試作に乗り出したりであります。惜しいことには、高矯正三君は洞爺丸でなくなりまして、その志が途中でなくなりましたけれども、これは砂糖についての一つの話でございまするが、私は日本経済も工夫をいたしますれば、もっともっと明るい面が出てくるものと考えるのであります。しかるに日本経済の終戦後の歩み方を見ますと、しみじみと、これでよいのかという感じをさせられるのであります。町に出ますれば外車のはんらん、高層ビルのはんらん、料亭のはんらん、料亭の前のおびただしい車のはんらん、パチンコのはんらん、反面住宅の深刻な不足へそれに伴う殺人的なラッシュアワー、失業者の群、身売りの話等々、数えあげますればいろいろと問題があるのでございます。しかし国民がほんとうに知りたいのは、一体いつになったら生活がもう少し楽になれるかということであろうと思うのであります。これにはどうしても目標が必要であり、かつ目標達成の方法、手段が明確でなければならぬと思うのであります。今はだれもがアダム・スミス流の自由経済をそのまま経済施策の基調であるとは考えないと思いますが、しかし、自由経済という名の下に、ともすれば自由放任主義をもって経済施策の基調のごとく誤解されがちでございます。このような西ヨーロッパ経済の復興をまのあたりにいたしまして、立ち遅れのはなはだしい日本が無為無策に日を送ることは許されないと思うのであります。従ってこの際鳩山総理大臣より、内閣の経済施策の基本的な考え方と、その達成の方途について御所見をお伺いしたいと存ずるものであります。
○国務大臣(鳩山一郎君) 高橋君の言わるるがごとくに、経済政策に計画性を持たなくてはならないということには賛成であります。そこで政府も六カ年計画という総合経済計画を立てまして、それにのっとって経済政策を施行して行きたいと思っておるのであります。ただいま経審長官が見当りませんけれども、くわしいことは経審長官から聞いていただきたいと思います。経審長官が参りましてから、その点についての御答弁をいたします。
○高橋進太郎君 ただいまのお話をお聞きいたしましても、鳩山内閣は経済六カ年計画を実施いたしまして、かつ日本経済の現段階においては生産の集中的かつ重点的な施策がその根本であるように承わるのでございますが、この問題を解決するためには、私はどうしてもその中核となるべきものが必要であって、それのみが国策の総合性を持ち得る唯一の道であると考えざるを得ません。しかるに私は戦前戦後を通じて、日本の行政には各省あって国家なしとの感を深くするものであります。各省大臣の閣議における権限がせばめられました今日といえども、依然として各省あって、これを総合した政府の存在を疑わしめられるものがあるのでございます。これは行政が依然として各省ごとに固いからの中にあることを意味するものと存ずるのであります。この弊を打破いたしまして、真に国策の総合性をかち得るためには、現在の経審を根本的に改編し、せっかく高碕長官のごとき、最も適当なる企画マンを迎えられたのでございますから、この際予算の編成権であるとか、あるいは外貨の割当権等のごとき、国策策定の基本的な権限を内閣に集中いたしまして、強力かつ重点的に経済施策の実施を行なって、国民に明日の目標と希望と、そして勇気を与えられることが適当であると思うのでございますが、この点に対する総理、並びに経審長官でございますが、おられないから、石橋前長官にお伺いいたしたいと存ずるものであります。
○国務大臣(鳩山一郎君) 日本の弊風がセクショナリズムにあることは、あなたのおっしゃる通りでございます。どうかそういうような弊害がなくなりまして、統一せる政策が十分に行われるように心がけたいと思っております。
○国務大臣(石橋湛山君) ごもっともな御意見でありまして、今、総理大臣が答えましたが、政府としても、現在の経審をもっと強化して行こうという方向で経審の機構も変えるようにいたしておる次第でございます。ただ、いま外貨の割当などは、むろん経審を中心にいたしまして、これは各省に関係がありますから、われわれ通産省も参画いたしますが、経審が中心になって外貨の割当等はやっているわけであります。予算の問題はかねがねいろいろ議論はありますが、いまだ経審に移すとか、あるいは内閣に移すとかということは計画には上っておりません。
○高橋進太郎君 大蔵大臣にも一つお願いいたします。
○国務大臣(一萬田尚登君) 各省がそれぞれのいわゆるセクショリズムに立つことの悪いことは申すまでもありません。それぞれの立場もありますが、同時にそれが総合されて、国政が総合的に運営されることが望ましいことは申すまでもありません。なお具体的なお示しの項につきましては、十分検討を加えて行きたい、かように考えております。
○高橋進太郎君 今の問題で私ちょっと二、三お聞きしたいと思うのですが、経審長官がこられましてからお伺いすることにして保留したいと思います。 次に、金融の問題について私は大蔵大臣にお伺いしてみたいと思うのであります。元来、金融は国民産業の補助的な使命を果すべきものであると私は考えるものでございます。しかるに、戦後日本経済の混乱、特に預金の封鎖であるとか、財産税の実施であるとか、あるいは新円の発行等を通じまして、金融は今や日本経済の王座につくに至ったものと思われるのであります。日本銀行総裁は法王と呼ばれ、町の目ぼしいビルは大部分銀行の所有であり、行員の給料は他業を圧して高く、税の長者番付は銀行が筆頭である等、あらゆる産業は銀行の鼻息をうかがい、その人事は銀行に握られる等、日本経済は金融業に隷属しておるかのごとき観を呈しておるのであります。一方銀行は、貸し出しに当りましては、歩積みと称して、貸出金の何割かは強制預金を強制せられ、今金利の値下げなどと叫ばれておりまするけれども、金利は問題にならないほどこの貸付については種々のサービスが要求せられておる実情であります。特にデフレ下の中小企業の資金調達は全く血のにじみ出るような問題を含んでおるのでございます。大蔵大臣は、こうした金融業の実態をよく把握しておるかどうか。そうしてこのまま推移するならば、わが国経済は全く金融業の隷属下的存在となりまして、企業は衰微するのではなかろうかと考えられるのであります。金利の引き下げも大切でございまするけれども、この金融の実態をよく把握いたしまして、金にはひもも区別もつけられないということだけでは済まされないものがあると思うのでございまするが、この金融の実態をどう大蔵大臣はお考えになり、またこれに対してはいかなる政策をもって臨まれるのか、その辺のところをお伺いいたしたいと思うのであります。
○国務大臣(一萬田尚登君) ただいま、金融と申すよりも、むしろ金融機関等に対していろいろと御注意があったのでありまするが、こういうただいまのようなことのよってくるところは、かいつまんで申せば二つくらいあると思うのであります。それ以上もありますが、一つは、資本の蓄積が非常に戦後はむつかしかったということ、従いまして、市場が常に貸し手の市場、金を借りるのに非常に苦しむ、他面でおいて、経済の計画性と申しますか、経済について計画性がない、金融の面において間接的な統制が自然に行われる、こういうふうなところが自然に金融家に対してあるいは銀行家に対して、金を借りる方の人が力の関係が生じまして、今言われたような弊害が若干生じてくる、かように私は考えておるのであります。従いまして、今後におきましては資本の蓄積が非常に増大してくる、今日まあ非常に苦心した結果、徐々にそういう情勢が馴致されまして、今お話のように金利も若干下る、今後さらにこれが推移する、こういう状況になれば、今度は借り手からむしろ貸し手の方向に行く、こういうふうな情勢になってくれば、これは十分私が今申したような弊害は除去される、他面経済が一つの計画性を持つ、特に現内閣で推進しております六カ年計画等によりまして、日本の産業構造なり、あるいはまた企業の重点化等の方策が樹立されて、どういうふうに資金が流れればいいかということが確認されれば、この面からも金融というものが本来の姿に帰ってくる、かように考えるわけであります。
○委員長(館哲二君) 高橋君にちょっと申し上げますが、大蔵大臣にまだ質問を継続されますか。
○高橋進太郎君 大蔵大臣にちょっと……。
○委員長(館哲二君) 農林大臣にもしもできるのなら早く済ましていただきたいと思います。
○高橋進太郎君 それでは大蔵大臣にお聞きしたいことはあとにいたしまして、それに関連して、よく本会議などで通産大臣が出られますると、石橋大蔵大臣などというヤジが出るのでございますが、これはひっきょうするに、産業が金融に対して優位性を保持すべきであるという声援にほかならないと思うのであります。どうもわれわれからみますると、産業が金融に隷属しているような感があるのでございますが、先ほどの問題に対しまして、石橋通産大臣の率直なる、特に中小企業の金融上における血のにじみ出るようなあの資金調達についてのお考え、そうしてもう少し産業のよき侶伴者となる、あるいは補助的な使命を金融が尽すべきであると思うのでございますが、その辺に対する通産大臣の御所見などを伺っておきたいと思います。
○国務大臣(石橋湛山君) お尋ねの点については、ただいま大蔵大臣からのお答えで大体尽きていると思います。これは戦後の変態でありまして、非常に戦災をこうむった日本の産業界が急激に立ち直るためには、どうしても国民の貯蓄だけで貨幣面の資金をまかなうということがむずかしかったものですから、自然金融をこれは普通銀行等の融資に頼って、そうして実質的な設備、実質的な資本の蓄積が行われたわけであります。そこで金融が貸手市場と申しますか、大蔵大臣の言葉で言いますと、貸手市場になりまして、金融が一種の権威を持ったということであります。これはこのままで行っていいとはむろん言えないのであります。しかしこれはやはり産業界が自分で資本を、もっと自己資本がふえ、そして今のように一から十まで金融機関に頼らなければならぬというような経済的な状況が改まりませんと、お話のように産業自体が金融に対して威力を持つということにならないと思います。私どもはつとめて産業界自身が自分の自己資本をもっと持ち得るような状況にできるだけ早く押し進めて行きたい、かように考えているわけであります。
○高橋進太郎君 私は通産大臣にもう一度お伺いしたいと思うのでありますが、先ほど大蔵大臣のお話にも、日本の経済が底が浅いので、当初においては、いわゆる借り手が多い、資本の需要が多い。これは資本主義の未発達あるいは経済の構造上の浅いところでは、いわゆる高利貸資本なり、金融業なんというものがばっこすることは通例であると思いますが、しかし日本の現状から見ますと、そこにああした封鎖預金であるとか、あるいは新円の発行とか、あるいはインフレとかいう非分に異常な事態が起っているのでありまして、このまま推移するならば、私はいわゆる金副業が自主酌に貸出す、正常なる貸出しがなし得るというようなときには、産業はいつの間にかその人事権なり、経営権なりは金融業者のワクの中に入ってどうにも動きが取れない、そうして産業界はその創意を失ってしまうのじゃなかろうかということを心配しているのであります。日本の明治の初年におきましても、同じような問題があったと思うのでありまするが、明治初年においては、その弊害を救うために、あるいは官業であるとか、あるいは補助金政策であるとか、公債の政策であるとか、種々なる側面援護において、私はやはり金融のそうした産業に対する使命というものを是正し、また誘導して行ったと思うのであります。今のように金融を野放しにしておいて、ふたをあけて、金融が本当に自主的な形においてやれるというようなときには、もはや産業自体がもう金融業の中に入って、その頤使に甘んずるというときでなかろうか、その点がありまするならば、私は日本の産業のためにきわめて憂慮すべき問題であると思うのであります。従って私はそれを是正するために、あるいは若干の公債の発行も必要であり、その他そうした産業の助成について力を尽すということでなければ、現状のままで金融にまかしておったという形では、これは取り返しのつかぬ形になるのじゃないかと思う。通産大臣の重ねての御答弁をお願いいたします。
○国務大臣(石橋湛山君) ただいま行なっておりまするいわゆる財政投融資というようなものは、御趣旨のようなところから出たかと思います。けれども、これは今のままでいいとは思っておりませんから、いろいろの方法を講じて、先ほど申しましたように、産業自体が自分の資本をもっと持ち得るように、金融機関の世話にもう少しならないようにするという必要は痛切に感じております。
○高橋進太郎君 それでは農林大臣にお伺いをいたしてみたいと思います。 河野農林大臣は自他ともに許すわが国の農政通であり、われわれも画期的なわが国農政の立ち直りを行うものと期待しているのでございまするが、そこで第一にお伺いいたしたいと思いまするのは、わが国の農政の基本並びに食糧自給対策についてでございます。連日の各委員との米価問答につきましても、種々お話がございました適正なる米価を早期に定めることは最も必要なることと存じます。しかし日本農民の七割近くは一町歩以下の零細農でございまして、自家用の飯米を除きますれば、ほとんど販売米も少いという実情でございます。ただこの際河野大臣に曲解しないでいただきたいのは、私がこう申し上げたからといって米価を安くきめるとか、あるいは遅くきめるとかいう意味ではないのでございまして、そういう実情でございまするから、従って日本の農民の多数を含むところの零細農を対象といたしまして、もっと立体的に総合的に農業経済の建て直しを考え、あるいは徹底的な土地改良を断行するとか、あるいは酪農を導入して、あわせて米食偏重のわが国食生活を改めるとか、新たに食糧自給並びに農家経済の窮乏化を防ぐ総合的な施策が必要と考えられるものでございまするが、この点に関する農相の御所見を承わりたいと存じます。
○国務大臣(河野一郎君) お答えをいたします。御指摘の通りでございまして、多数の農民諸君の生活の安定、経済の向上をはかりますには、この際農業の多角経営に重点をおいて行く必要があるというふうに考えまして、不十分ではございますけれども、今回の予算の中にもこれらに相応する予算を多少計上したわけであります。特に力を入れて考えたいと思いますことは、農産物価の安定であり、流通の改善であるというところに考えをおいて行く必要があろうという点につきましても、私はしかるべき施策を講じたい、取引業法の、市場の改良というようなことについても今後十分力を入れて行く必要があろうと、こういうふうに考えております。
○高橋進太郎君 なおこの際農林大臣にお伺いしたいのは、米の問題についてでございますが、いろいろ米の問題については、米価の問題を中心にして御論議がございましたが、一体今度の予約販売制というものは自由販売への前提となるかどうか、その点をお伺いしたいと思うのであります。戦前と異なりまして、かつ多年あなたが戦ってきたところの朝鮮米や台湾米の圧迫のない今日、十分輸入食糧の管理調節によって米価や数量の調節ができるものとも考えられるものでございまするが、何ゆえに自由販売制に移行せず、こうした予約制度によって今年の集荷に当られたのか、同時に今回の予約制は米穀の自由販売への過渡的な手段、方法であるかどうか、その点についての御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(河野一郎君) お答え申し上げます。私は今御指摘になりましたように、わが国現下の食糧事情からいたしますれば、朝鮮米、台湾米その他今準内地米と呼んでおりますが、これらを自由に買い入れることのできまする順次傾向にありまする今日、私は自由販売に準備さえできれば移行してよろしいのではないかと考えております。しかし食糧問題は非常に重大でございまして、私一個の考えがそうであるからと申して、軽々にこれをそうすることはよろしくないという考えのもとに、各方面の権威者にもお集まりをいただきまして、そうして御意見を拝聴いたしました。ところが予約売り渡し制度でやることが妥当であるということの御答申を得たわけでございます。これは大体わが国の現在食糧問題についての権威ある方々の御意見でありますので、私はこの制度を採用して行くわけでありまして、ただこれが自由販売への前提かということでございますが、これは決して前提ではございません。ただし自由販売は今申し上げますように、これを実行いたしますにはいろいろな準備がございます。国民各位の御納得、御協力が一段と必要でございます。食糧事情について国民各位の御協力、御納得がなければやるべきものでないと考えますので、だんだん現在の段階におきまして、終戦後のわが国の食糧事情、世界の食糧事情、これらに対して国民諸君のいろいろ御認識が変って参ると思います。そういたしますれば国民諸君の御認識、御要望が自由販売でよろしいということになったときにやるべきであって、これが前提であるということではないということに御了承をいただきたいと思います。
○高橋進太郎君 私、通産大臣はよろしうございますから、どうぞ、もし御用があれば……。
○委員長(館哲二君) いや農林大臣が……。
○高橋進太郎君 それでは農林大臣に最後にもう一点だけお伺いいたします。最後に林政についてお伺いいたしたいと思うのでございますが、現在林地につきましては第三次農地開放として、林野の国有化が叫けばれておる向きがございますが、林業は長年にわたって子供を育てるような愛情を持って植え、かつ育てて初めて成果が上るものであると考えるものでございます。従って今直ちに国有化には賛成しかねるものでございまするが、しかし林業の永年性と公共性にかんがみまして、もっと林業に対しては公的な制約を加えるとともに、他面税法上、たとえば相続税なり、取引税なり、あるいは所得税法上におきましても思い切って特別の取扱いを行いまして、林業の公共性を認識せしむるとともに、林野の開放は行わないということを明確にして、安心して林業の保育に当らしめる必要があると考えられるのでございますが、これらについての農林大臣の御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(河野一郎君) お答え申し上げます。現在の経済事情からいたしまして、金利計算その他から現在の林業が非常に利回りがよろしくない関係から、あまり有利なことでございませんので、よほどこれに対して考慮を払いませんと、所期の林業政策を遂行することは困難である。その他林業の永続性等から考えまして、御指摘の点は十分私も考慮しなければならぬと考えるのでございますが、他面食糧増産でありまするとか、一般農業政策の点から考えまして、どこまでも私は適地適作であり、またいたずらに利用性の非常に薄い、生産性の薄いところに入植をいたしましたりするようなことは、これは厳に戒めて行かなければならぬというような観点から、これらについては十分検討をして善処する必要があるだろうと、こういうふうに考えておるのでございます。不徹底な答弁でございますけれども、全国画一に割り切った答弁をすることはなかなか困難でございます。それらの事情は一つお許しをいただきたいと思います。
○高橋進太郎君 私は農林大臣にお聞きしたいのは、この間の新聞等にございます社会党左派の発表によりますれば、第三次農地開放をやるというような発表もございましたが、それらについての農林大臣のお考え、意向を伺いたいと思います。
○国務大臣(河野一郎君) その点につきましては、その政策がどういうものかまだ私十分検討いたしておりません。いずれよく研究いたしましてお答え申し上げます。
○委員長(館哲二君) 農林大臣は。
○高橋進太郎君 よろしうございます。 それじゃ経審長官がお見えになりましたから……。実は鳩山内閣の経済政策の基本問題について総理にお伺いしたのでありまするが、実は経審長官にぜひお伺いしたいと思いましたのは、これは繰り返すようになるのでございまするが、総理の御答弁によれば、自由経済と、こう言っても手放しの自由経済ではない。しょせん日本の経済の現段階におきましては、生産の集中的かつ重点的な施策がその根本となって、これが施策の基調であるというふうに承わったのであります。そこで私はどうしてもこうした考え方、言いかえるならば、経済六カ年計画を中心にしたこうした問題を推進するためには、どうしても中核体が必要であると思うのであります。その中核体があって初めて国策の総合性を保ち得る唯一の道であると考えられるのでございますが、われわれどうも長い間役人をした経験から申しますと、どうも各省あって国家なしという極端な表現さえ言い得るほど、現在の各省のセクショナリズムと申しますか、各省別の権限というものが非常に固いからの中にあると思うのであります。どうしてもこれを打開いたしまして、国策の総合性を立てるためには、現在の経審を根本的に改革いたしまして、せっかく高碕長官のような企画マンを迎えられたのでございまするから、この際予算の編成権であるとか、あるいは外貨の割当権であるとか、要するに国策策定の基本的な権限というものを、内閣に集中かつ移譲いたしまして、強力に、かつ重点的にこの経済施策を実施して初めて国民が、現在どうも町を見れば外車がはんらんしたり、パチンコがはんらんしたり、何かその日その日の暮しに追われているようなこの目標のない経済施策の中から、本当に何年たてばわれわれは楽になるのだという、国民のバック・ボーンというものを打ち立てることができるのではないかと考えられるのであります。私は戦後日本の経済なり、あるいは精神上の問題にいたしましても、やはりバック・ボーンがないということが、国民の一番の私は気持の上での何かうつろな一つの真空的なものであると思うのであります。そういう意味合からも、この際そうした基本的な施策、あるいは目標、そうしてそれがほんとうに国民の生活なり、経済なりを通じての支柱となると思われるのでありますが、その点についての長官のお考えを承わりたいと思うのであります。
○国務大臣(高碕達之助君) お答え申し上げます。まさにその通りでございますが、この今回私どもの考えております六カ年計画は、この六年後の日本の増加する人口に対しまして、これにできるだけ完全雇用に近いものを与える、そうして日本の経済を自立せしめるということの一つの目標を立てまして、その目標に向って全体の経済に計画性を盛って行こうじゃないか、その計画を立てる、一つの目標を作ります上におきましても、これはひとり政府の当局者が作るのでなくて、できるだけ各方面の意見、大きく言えば、大衆、民衆の意見を聞いてこれをきめたい、こう思うわけであります。またこれを実行いたす上におきましても、一部分の人たちの意見だけできめるのでなくて、国民全体の総意のもとに立つような方法を実行いたしたい、それはどこまでも、先ほど総理がお答えいたしたと存じますが、自由経済というものの基調に立って、そうしてできるだけ必要のない統制というものは加えないで、必要なものだけはある程度規制をする、そういうふうなことに向って、民意をよく尊重しつつ、そうして全体の総合的の計画を立てる、それには先ほど御指摘のごとく、各省の意見の乱立するというふうなことがあっては相なりませんから、その間の総合調整をする、そういう意味におきまして、差し当り経済審議庁は、この勧告権と、それから報告を提出するということの法規を変更いたしていただいたわけなんでありますが、これをもちまして一応これでやってみたい、現在の私の所感を申しますれば、これで相当やって行けるだろう、こう思っております。それであるいは予算権だとか、何とかいうふうな問題は、これはほかの行政機構の改革になりまするから、差し当り私どもはこれを考えておりませんが、一応これをもって実行いたしたいと、こう存じますが、しからばバック・ボーンは何になるかと、こういうお話でございますが、バック・ボーンは国民の総意だと、国民の総意をよく政府がくむかどうか、これがバック・ボーンになって行かなければならぬ、私はこう存じております。
○高橋進太郎君 この問題はなかなか議論をいたしましても尽きない問題でございまするから、時間の関係上、私はこの際次の地方財政の問題について若干お尋ねいたしてみたいと思うのです。現在地方財政の危機が叫ばれておりまするが、これはもちろん地方自治側にもこの運営上の欠陥があると存ずるのであります。しかしながら、現在のように国の行政が中央集権的であって、わずかの補助金でも、あるいは行政行為でも、中央各省の許可や、認可がなければできないような現在の運営のあり力、あるいは税金の目ぼしいものはすべて中央で取り上げて、地方団体はその残滓を拾うというような税制上の欠陥、国の予算が一兆億円のワクに縛られて、そのしわ寄せがすべて地方団体が負担しておるような現状等等が今日の危機を招来した大きな原因であると存ずるのであります。たとえば国の公務員に年末手当が出た際に、地方は出すのも出さないのも別だという観点で財政的に何らの考慮をいたしません。しかしながら、地方は国が出せば出さざるを得ない実情、国の施設に対する各種補助が不十分でありますので、地方では若干の補正補助の支出が必要でございます。たとえば簡易水道であるとか、あるいは国保の診療所の建設等の補助にいたしましても、その他各種の法令の制定に伴うところの費用の計上等については、何ら財政的な裏づけがないのであります。特にひどいのは国の施設に対する寄付でございます。たとえば検察庁や裁判所の設置が、予算が不十分なために、その敷地の寄付や官舎の寄付などは枚挙にいとまがないほどでありまして、おそらく一町村百万以上はこえるでございましょう。従ってこうした抜本的な病因を改めることがなければ、今日の地方財政の根本的な解決はあり得ないと思うのでございます。これにはどうしても私はやはり現在のような中央集権的なあり方、しかもいつも弱い立場に立つところの地方団体では、どうしてもこの問題の解決が至難だと思うのであります。これにはどうしても地方行政省のような一省をやはり各省並みに設けまして、専任の大臣を置いて、本当に国民の第一線行政を担当するところの地方団体を育成指導するところの必要があると思うのであります。こうした機構上の問題を解決せずして、単にいたずらに地方制度を思いつきに改めたり、あるいは場当りの財政的な施策を行なっても、とうてい現在の各種の問題を解決できないと存ずるのでございますが、これらの点についての自治庁長官の御所見を伺いたいと思うのであります。
○国務大臣(川島正次郎君) 地方財政が非常な窮境に立っていることはお説の通りであります。現在政府が考えておりますことは、現在敵方がしょっておる赤字は一応これを棚上げの形で低利長期に切りかえます。もう一方におきまして、今後赤字の出ないような方策を講じておるのでありまするが、それにはお説の通り、根本的に行政機構の改革を要する点が多々あります。今国会においては、とりあえず自治法の一部改正をいたしたいと考えて、提案して御審議を願うことになっておるんですが、決してそれだけでは足りないのであります。何としましても数年にわたる赤字財政でありますので、三十年度の予算措置、施策だけではとうてい解決はできませんので、政府といたしましては三十年度と三十一年度、両年度にわたりまして根本的に地方財政の合理、健全化をはかりたい、こういう考えでやっておるのでありまして、決してこれを等閑に付しているのではないのでありまして、機構の改革につきましても十分考究をいたしております。
○高橋進太郎君 最後に、総理並びに竹山建設大臣と経審長官にお伺いしたいと思いますのは、東北地方の開発の問題についてこの際御所見を承わりたいと思うのであります。よく世俗に、白河以北は一山百文と言われまして、とかくその開発がおくれがちであったことは御承知の通りであります。これは明治初年は一足飛びに北海道の開発が実施せられ、次いで各外地の獲得のために外地開発が急がれましたという、この歴史的な過程によりまして、東北の後進性は今なお何ら改められておらないのであります。そうして冷害や相次ぐ災害等の場合だけ、思い出されたように局所的な施策が実施せられておるに過ぎないのであります。これではいつまでも東北の後進性は解決しないと思うのであります。これはどうしても根本的に、自然的な、歴史的な、かつ社会的、経済的な後進性を開発するためには、総合的から抜本的な施策が必要であると思うのであります。現在のごとく産業的にも農業一本で、しかも単作地帯であり、零細農で何ら産業に見るべきもののない現状にもかかわらず、他の地域並みに税金、特に酒、たばこ税のごとき人頭税とも言うべき税金はとられ、たとえば宮城県の例をとりまするならば、一切の国家の補助、投資等の助成に対して、国への納付ははるかに四十ないし五十億も余分に納めておるという実情であり、資金も中央へ流るる方がはるかに多いという現状では、いつまでたってもこの東北の後進性を改善することは不可能であると存ずるのであります。現在開店休業状態の東北興業がございまするが、これも何らの活動をいたしておりません。かえって北海道の方が大きく開発においてはクローズ・アップされ、補助率も、たとえば道路にいたしましても、北海道は別ワクで道路費の全体の二割以上計上せられておりまするが、東北はわずかに三%にも足りないという実情でございます。身売りの話や北洋その他への悲惨な出かせぎの話など、また雪に閉ざされました東北はいつも暗いじめじめしたところの状態を続けておるのでございます。私は終戦によって外堀を捨てざるを得なくなった今日こそ、この東北をあらためて見直して、根本的にこれが開発をはかり、その後進性を回復し、そうしてほんとうに抜本的に考えていただくべきであると考えるものでございまするが、この点に対する総理大臣の御熱意、あるいはお考え、総理大臣も長い政治生活をおやりになって、この東北の開発あるいは東北の復興についてはしばしば議会等においても問題にせられたことと思いますので、あらためて思いを起していただきまして、この問題について四つに組んで、これは内閣の重要なる施策の一つとして考えていただきたいと思うのであります。なお建設大臣には、東北興業を所管しておらるるところから、この東北興業、この開店休業のような東北興業では、もはやこれによってはなかなか東北の開発というものの使命は達成せられないと思うのでございまするが、これらについての考え方を承わり、最後に経審長官から、この東北の開発についての経審の考え方をお伺いいたしたいと存ずるものであります。
○国務大臣(鳩山一郎君) 高橋君のお話はごもっともと思いますが、詳細のことは関係閣僚から答弁いたさせます。
○国務大臣(竹山祐太郎君) お答えを申し上げます。まことに東北の問題は北海道と同様にわれわれは重視をいたさなければならぬと考えておりますが、制度だけを新しく作ること等はいかがかと考えまして、今回の予算におきましては、今御指摘をいただきました東北興業は、振興を目的に作りましたこの会社に政府の資金も注入をいたしまして、また民間資金をこれに集中をすることによりまして、これだけでは十分とは思いませんけれども、これを一つ手初めとして、今後東北の振興のために私の所管に関する限りにおいて努力をし、また各省ももちろん連絡はとっておりますが、この機構を生かして参りたいと、現在の段階においては考えておるわけでございます。
○国務大臣(高碕達之助君) お答え申し上げます。東北の振興ということは、やはり日本全体の振興に非常な密接な関係がございまして、将来長期計画を立てます上において、人口の配分等の上におきまして、東北においてはまた地下資源というものについてはまだまだ開拓すべきものがたくさんある。特に電力資源のごときはいずれの土地よりも豊富である。こういう意味からもって参って、電力の開発をし、そうしてこれによって豊富なるエネルギー資源を出す。それによって逐次工業を興す、工業を興すということになれば、これはやはり地下資源ということになり、現在持っている東北の資源というものの開発ということに重点を置いて、そうして都市にややともすれば集中せんとするこの工業政策を逐次東北のような方に持って行きたいと私は考えております。
○高橋進太郎君 最後に厚生大臣に一言だけお伺いいたしたいと思います。それはあらゆる社会保障の基本となるべきこの国民健康保険の制度の問題であります。私からるる申し上げるまでもなく、町村財政の現状等から、この国民健康保険制度が今危機にさらされているのでございまするが、どうしてもこれは社会保障の建前から申しましても、あるいはまた社会諸情勢の問題からいたしましても、どうしても強化こそすれ、今のままで放置はできないと思うのであります。今度の予算措置等についても若干お考えのようでございするが、この国民健康保険に対する政府の御所見、言いかえるならば、今後どうした形にこれを持って行き、また現在のようなあの状態から、もう少し全国的な形においてこの制度を再検討する必要があると思うのでありますが、その点についての厚生大臣の御所見を承わりたい。
○国務大臣(川崎秀二君) 国民健康保険が医療保険の中心と申すか、一大支柱であることは、私どもかねて来この方針を支持しておりまして、野党時代から医療費の二割国庫負担などというようなことにつきましても、率先してこれらに当っておったのでありまして、しかしながら、昭和二十九年、すなわち昨年のデフレ予算から実際には二割国庫負担というものが実施されておらないのではないか、実際の数字から言うと、一割七、八分に当るのではないかというような諸説が各方面に現われまして、実際にわれわれは二割国庫負担を目標にいたしまして実施はいたしておりまするけれども、なお不備な点は多々あると思うのであります。今回冒頭の予算では十分なることができませんでしたが、先般自由党におかれましても、非常に国民健康保険の将来を思われて、若干の直営診療所の問題であるとか、医療費の給付に対しての増額が行われまして、衆議院を通過することと相なったのでありまして、私といたしましては、でき得る限り国民健康保険は充実さして、これを今後の医療保険の真の支柱にいたしたい。もとより健康保険も重大でありますが、健康保険よりも国民健康保険が将来医療保険の支柱になるようにいたしたいと思うであります。現在衆議院の社会労働委員会の方に、自由党から国民健康保険法改正案が出ておりますが、その趣旨には私も賛成をいたしております。
○高橋進太郎君 もう一つ厚生大臣にお伺いしたいのは、身売りの問題であります。新聞紙上等で最近の経済的な諸情勢から、きわめて身売りが多くなり、私も東北でありますが、東北地方がこの身売りの根源になるほど、きわめてこの問題が大きくあるのでございます。もう少し厚生省か何かは、われわれその身売りの過程を見ましても、もう少しあたたかい気持で、これらの諸問題を処するならば、この身売りのいわゆるボスともなるべきこれらの者について、もう少し法の厳重なる処罰を加えるとか、あるいは人権擁護局と連絡するとか、あるいは適当な、かりに上野駅であるとかその他そういう中心になるところにつきましては、厚生省といたしまして、何かあたたかいこれらの身売り防止についてのお考えがあると思うのでございますが、これらの施策についてどう考えておられるか。その点についてお伺いしたいと思います。
○国務大臣(川崎秀二君) これは高橋委員の御指摘がごもっともであり、また御見解に対して私は全国的に賛成の意を表するものでございますが、さきに昭和二十七年の二月十四日に次官会議の決定に基きまして、厚生省としては、児童相談所あるいは児童福祉司、児童委員、社会福祉主事等の機関を動員をいたしまして、積極的にこういうことのないように努力はいたしてきておるのであります。しかしながら、不幸にしてすでに身売りをされた児童を発見いたしましたときには、早急に親元復帰をさせる、あるいは児童福祉施設に対しまして入所させる、あるいは児童委員、児童福祉司等による保護指導の強化というようなことをやりまして、保護者に対しても訓戒を行なってきておるわけであります。これらにつきましては、今後一そう文部当局とも連携をいたしまして、御趣旨に沿って善処をいたしたいと思っております。
○田村文吉君 関連。ただいまの高橋君の質問に対して、自治庁長官の御答弁が少し的をはずれておったかと思うのであります。高橋君の聞かれた問題は、今のように各省がセクショナリズムで地方の各種の問題をそれぞれ取り上げてやってきている結果は、地方を非常にこんぱいさせている結果になっているのじゃないか。すなわち中央集権をもっと地方に返したらどうか、こういうような御質問であったと思います。私もその問題について伺ってみたいと考えております。いろいろ地方行政の改革問題について意見がございまするが、私はきょうの高橋君の意見は非常に傾聴すべき意見であったかと思いますし、この点に思いをいたしませんと、どんな改革をなされましても、地方の財政は窮乏し、地方の振興というものはなし得ない、こういうふうにまで実は考えておりますので、今のように各省にみな地方が陳情をして、そうしてお情を少しずつちょうだいしては仕事をしているような状況ではいかぬので、もっと地方というものが独立して仕事ができるようにしてやっていく、そういう意味から地方分権を考えられた質問であったと思います。ただそれについては、考えているというだけではなくて、そういう点についてどういうお考えをお持ちになっているか、これが一つ私関連して伺いたい点であります。もう一つ、私は関連した問題として大蔵大臣にお伺いいたしたいのでありますが、国で公債を発行するということは非常にきらっておられるのでありますが、地方債が今日のように発行されているということと、国の公債が発行されていくということと大体区別があるのかないのか。おそらく国の方で公債の発行を幾ら制御しておりましても、地方でどんどん地方債を発行しなければならぬような情勢下にあるのでは、国及び国民の負担の点からいえば同じであります。こういうように私は考えるのであります。この点について、大蔵大臣はどうお考えになっているかしれませんが、ついでに伺いたいと思います。
○国務大臣(川島正次郎君) 現在のやり方といたしましては、地方の公共事業などに対しましては、国が補助金を与えましてあとは地方で負担をして仕事をやっていく、そのやり方が悪いのであって、全部これは地方に適当な財源を与えて地方の仕事にしたらよかろう、こういう御趣旨の御質問だと私は拝聴いたしたのでありまするが、全くその通りでありまして、国と地方の仕事の配分をどう合理化するかということについては、従来もいろいろ議論もされておりますし、研究もされておるのでありまして、かつて神戸博士が、神戸試案などというものを出されまして議論されたこともあるのでありまして、そういう点につきましては、今後ぜひとも適当な措置をするということは私どもは考えておりまするけれども、しからばいかなる仕事を地方に移譲し、いかなるものを国でやるかということについては、まだ的確なる案を持っていないという段階であります、御承知の通り、必要は認めておりますが、まだ成案が得られない、こういう段階にあることを御了承願いたいと思います。
○国務大臣(一萬田尚登君) お答えいたします。地方におきましても、私はこの地方債でもっていろいろな財源をまかなっていくというのは好ましくないと思っております。これは従来、国の、中央の財政が苦しかったという関係もあります。この財政から来る財源が乏しい結果、自然地方債に重圧が加わっておる。同時にまた地方の行政費等が非常に膨脹傾向をたどっておる。こういうようないろいろな理由からやむなくそうなっている点も少くないと思います。私の考えといたしましては、従いまして、今後におきまして地方債に依存する度合をなるべく減していくという傾向が望ましい。これにおいてはまた地方の仕事についていろいろ考えなくてはなりませんし、言いかえれば、支出面における十分な検討を加えますとともに、地方に格好なる財源を持つようにしていく。かようにしていきたい、こういう考えであります。
○委員長(館哲二君) ちょっと中山君に申し上げます。高碕国務大臣に対する御質疑をなるべく早くお願いいたします。
○中山福藏君 それじゃ高碕長官がお忙しいようでありますから、順序を変更いたしまして高碕長官にあらかじめ御質問申し上げます。 私が同僚委員の質疑を承わり、同時に政府の答弁を聞いておりますというと、どうもふに落ちない点が三点ある。その第一は、経審長官のお出しになった経済六カ年計画、これはただいまもおっしゃった通りに、国民の総意というものがバック・ボーンになっておる、こういうことをおっしゃいますがね、もし国民の総意がなければ、国民に責任が転嫁されるということになってしまう。あなたの御意見から申しまするというと、しかもせんだっての質疑応答の中に、昭和三十年度、初年度の計画というものは責任を持って私は御答弁ができる。他の年次に至っては、これはどうもそのときの調子あるいはこれから一週間かかって数字というものをちゃんと明らかにしてお示しするというような御答弁で、まことにあいまいもこたるものであると私は考えております。私はある一種の売薬の広告みたいな計画性のないものであると考えております。まことに失礼な申し上げようかもしれませんけれども、こういうことは一種の宣伝材料にはなりまするけれども、国民のためには非常に迷惑だと私は考えております。なぜもう少しはっきりした計数に基いた、あるいは環境の変動によっていかなる結果が生ずるかということの、一応仮定をもって御計算なされた数字というものから打ち出した結果というものを国民にお示しにならないか。これではせっかくの御計画も私はただ単に一種のアドバルーンにすぎぬのではないかという感じを持っております。たとえば大蔵大臣がここにおられますが、今度の予算の組み方でも、自主性がないと言われておる。それはいわゆる八百六十八億円という防衛庁の経費は百六十八億というものを削ったものが肩がわりしているのだ。あるいは予算外契約によるところの百五十四億、これも突然これは現われた問題なんです。だから昨年のあの防衛庁の経費に比較するというと百二億円これは増しておると言われる。そんなような約束がこれは偶然に起ってくるのですね。アリソンだとかあるいはスタッセンだとか、いろいろ御交渉なさって、やっと七十八億万減らしたという、こういう問題も実は偶然のできごとなんです。こういうあんばいで、一方ではまた諸般のいろいろ至難な問題が財政面に影響を及ぼしてくるということが考えられる。またあるいは余剰農産物の購買の問題についてもそうです。一億万ドルの買付をした、七千五百万ドルというものは借款になった。これが民間にどういうふうに消化されるか。これは正常輸入計画のワク外でございますからね、これはなかなか民間に消化ということは私は非常にむずかしいのじゃないかと思うのです。これが財政上の負担に将来なるということも考えられます。こういうことから押し出して考えてみますると、こういうふうなアドバルーンを上げるということそれ自体が、国民に対してはまことに厄介至極な問題じゃないかと実は私は考えております。しかも初年度においては責任が持てる、そうしてこの計画はうまく運営できるかどうかということは国民の総意によると、こういう答弁があるでしょうか。これはどうか一つ責任ある経審長官の御答弁をわずらわしたいと、かように考えております。
○国務大臣(高碕達之助君) お答え申し上げます。経済六カ年計画は、六年後における日本の経済の目標を定めたわけであります。その目標に向ってゆくためには、やはり全体の国民の総意をもっていかなければこれはなりません。一人の人、二人の人がこれをきめてそれによって引っぱってゆくべきものじゃないと私は存じておりますが、政府といたしましては、これに対して一つの目標を定めますが、初年度の、明年度は経済六カ年計画の第一年度でございますが、これに対しては現在及び過去の実績をもってそれに適応する数字を出しております。ところがただいま中山さんのおっしゃったごとく、世の中の情勢は刻々に変っているわけであります。刻々に変るわけであります。それでわれわれは現在考えておりますことは、世界の経済、世界の情勢、たとえば軍備の問題にいたしましても、世界の情勢は現状を持続するものだということの前提のもとにやっておりますが、いつ風雲をもって変化するかわからぬ、そのときにはそれに応じたようにそれを変えなければならない。つきましては、明年度あるいは再来年度というものにつきましては、できるだけ現実性を持っていきたい。それには現状に即した、現在の数字というものを基礎にして積み立て式にこれをやっていかなければならない。六カ年先のものにつきましては、一つの計数をもって目標を定めておりますが、これはいわば一つの計数でありまして、いろいろな総合から割り出したる一つの目標であります。ところが実行に移します上におきましては、ただいま申し上げました通りに積み立て式でやっていかなければならない。積み立てと目標とが合致するようにやっていく、これが経済六ヵ年計画の立て方と存ずるわけなんでありますが、その意味におきまして、私はこれは決してアドバルーンでもなければ、宣伝でもない、真剣にここへ持っていきたい、こういう所存でこれと取っ組んで一生懸命にやっていきたい、こういう所存でございます。
○木村守江君 関連質問。ただいま経審長官の六カ年計画に対するいろいろな御答弁がありましたが、私は国民の総力を期待するより前に、まず政府がいかなる方針で、いかなる財政的な裏づけをもって六カ年計画をやるかというような確固たる方針を示さなければならないと思うのであります。民主党内閣が成立いたしまして、しかも鬼の首をとったように経済六カ年計画というものを掲げて参りましたけれども、しかもその六カ年計画は予算の編成前に作ったものでありまして、そういう点から申しますと、ほんとうにやる気持がありますれば本年度の予算にもこれを計上しなければならなかったと思うのであります。ところが何ら、本年度の予算に計上しないというようなことを見ましたときに、一体政府にどのくらいの予算の裏づけによって、どのくらいの財政的な裏づけによってこれを実施するところの腹があるかどうか、まことに疑わしい次第であって、この六カ年計画というものは、あなた方の考えた六カ年計画は、あるいはアドバルーンをあげたと言われても差つかえない。あるいは絵にかいたぼた餅と言われても、とても当てにならない。食い物にならない。攻撃されても何ら私は答弁の道がないと言っても差しつかえないと思うのであります。そういう点から考えまして、一体六カ年計画によるところの財政投融資の総計は幾らになっているような計算になっているか。またそれぞれの産業別の投資はどのようになっておるか。計数をもってお示しを願いたい。しかる上に国民全体の総意を待望すべきであると私は思うのであります。
○委員長(館哲二君) ただいま木村守江君の要求されました資料は、後ほど御提出を願います。
○国務大臣(高碕達之助君) ただいまの御質問に答えまして、数字は後日数字をもってお答えいたしますから……。大体明年度の予算の編成について、六カ年計画の何ら片りんを見せていない、こういうことにつきましては、これをお答え申し上げたいと思いますが、今年度の計画につきましては、これは一そう輸出を増進すると、順次日本の経済は特需はなくなってしまう、それがためにはどうしても輸出を増進しなければならない、これは産業の合理化という方面に力を注ぐのでありまして、主幹産業に全力を注いでこの生産原価を下げるということに予算を集中いたしましたことと、もう一つは、輸出のために輸出入銀行に対する資金を裏づけした、こういうようなことがうたわれているわけでございますが、しからば今後どういうふうな工合に財政投融資をするかということにつきましては、後日数字を、お手元に材料を差上げたいと存じます。
○委員長(館哲二君) なるべく早くお出し願います。
○木村守江君 もう一点、ただいまのお答弁ですが、私はこの掲げたアドバルーンが非常に大きいものにもかかわらず、その実施せんとするところのものはまことに小さなものであって、もうほんとうに顕微鏡で見なければならないというような状態であったと言わなければならないのであります。私は六カ年計画に対して、一つの例を引いてお尋ねいたしまするが、あなた方は、六カ年計画で農林水産物の生産指数というものを、三十一年度においては、前年度に比して三%の増加をする見込みであると言われておりまするが、一体農林水産業に対するどれだけの投資をいたしまして——しかも御承知のように本年度の農林関係の予算というものは百十五億も減少いたしております。こういうような状態で一体三十年度、前年度よりも明年度は三%を一体どうして増加することができるのか。こういうようなことはまことにどうも手品師でなければできないと私は思います。高崎長官はどういうような名策を持ってこの実施ができまするか、御答弁を願いたい。
○国務大臣(高碕達之助君) お答えいたします。お説のごとく、昨年に比較いたしまして農林の予算が減っていると、それで果して増産ができるか、こういうお話でございますが、それは同じ農林予算におきましても、適切に増産の見込みのつく方面におきまして重点を置いているのでございまして、将来の増産計画につきましては、初めての地ならしをするという程度の投資にすぎないわけでございます。一方におきましては、輸出産業におきましては、ここに二百億円という大きな予算をとりまして、それを輸出振興のために輸出入銀行の資金を回しておるわけであります。
○中山福藏君 これは私は希望とか観測とかという意味で拝聴いたしておきますが、私はほんとうは御撤回なさる方がこれは鳩山内閣のためにいいのじゃないかと実は考えております。これがやはり鳩山内閣の崩壊の一因となるのじゃないかということすらも私は考えておる。ただ簡単にお考えになって、終審庁というものがあるから、これくらいの計画は出さなければいかぬだろうというような簡単なことでお出しになっては、八千万国民はたまったものじゃないということを痛感しておりますが、これ以上申し上げません。 それでは第二の点でございますが、これは他の同瞭議員からもお尋ねがありましたが、鳩山総理大臣にお尋ねをいたします。先日われわれ同僚議員から二百十五億というものを限度として修正に応じた、なぜ応じたかという質問に対しまして、保守結集のためにこれはある意味において応じたのだというお答えがあったように記憶しております。そこで保守結集というものは、これは関連してお尋ねしておきますが、私は時流に逆行するような考え方でありまするけれども、日本においては四大政党の存在が一番いいという考えを持っております。私は二大政党論というものは、国民性、人類学、あるいは人文地理というものを研究して、その国にいかなる政党というものが適合しておるかということを一応検討してみなければいけないということをふだんから考えておるものであります。たとえば非常に英国でベヴァンというものが左傾しておると言われておりまするけれども、英国のすべての共産党の票数というものはわずかに三万数千だといっております。また日本の二月選挙を見ますと、共産党が七十三万票入っておる。これは公安調査庁の調べであります。そこでそういうふうに付和雷同性を帯びたところの日本の政界において、簡単に二大政党の対立論というものをやられては、これは総理大臣がおっしゃるということになりまするから、非常な影響があると思うのです。私はこれは時流に逆行しておるような議論でありまするけれども、お尋ねしておきます。私は四大政党があって、政党政派を超越して政策に共鳴するところまで各議員が進んでいかなければうそだと考えております。私は鳩山内閣の政策が私どもふに落ちれば直ちに私は賛成いたすものであります。どうでございましょうか。これ以上のことは時間がございませんから申し上げませんが、どういうお考えでございましょう。
○国務大臣(鳩山一郎君) 中山君のような論も成立し得る論とは思いますけれども、実際上におきましては、民主政治において政局の安定をはかるというにはどうしても二大政党がいいと思います。なぜいいかというと、政局安定というものは一方の政党がマジョリティを持っていなければ政局の安定はできないのです。二大政党の場合においては一方がマジョリティを持てば片方は必ずミノリティにきまっておる。それでありまするから、四年間の間政局を安定する可能性があるのであります。それですから、二大政党にして、そうして小選挙区になるようなことになれば、第三政党第四政党というものはその間に存立しなくなりますから、私は二大政党、小選挙区制というものは現在の日本においては最も適合しておる政治情勢だと考えております。
○中山福藏君 私はこれ以上見解の相違でありますから申し上げませんが、この結集という問題は、一年から一年半くらいには政局の安定のためにけっこうでしなう。それ以上は国家のためにいかがなものであるかということを実は考えておりまするから、国家の運命と政党の運命はかえられぬという意味から私はお尋ねしたわけであります。その点だけ申し上げて、次の質問に移ります。 先日吉田法晴民から提案権の問題についていろいろと質疑応答がかわされましたが、いわゆる内閣法の第五条とかあるいは憲法の七十二条によって、提案権というものがいろいろ論ぜられて、内閣にも憲法改正の提案権があるというお答えがあったのでありますが、この点については学者の説が非常に分かれておりまして、いろいろと論ぜられているのでありまするが、私は憲法の改正だけは内閣にはないのじゃないか、これも見解の相違でしょう。しかし一つ鳩山総理にお尋ねいたしたいのは、大体憲法学者の間におきましては、日本というものは形式上は君主国だといわれている。実質的には共和国だといわれている。このいわゆる外面が君主国で内容が共和国である国家は、かつてのベルギーあるいはフランスにおいて行われた混合国家だといわれているのです。そこで民主的な立場からいきますというと、主権者の統治形態の成文化されたものがいわゆる憲法であると私は考えております。しかしてこの意味において憲法の規定するところの基本的な立場にあるものは主権者であると私は考えております。しかして憲法第四十一条で国会というものが国権の最高機関であると同時に立法機関であるということがきめられたのです。この立法機関の立場において、すべての法律、一般の法律は制定されるのであると私は見ております。しかして国権の最高機関として憲法というものだけは制定しなければならぬ。これが私は論理的にまことに筋の通った考え方ではないかと思うのであります。この意味において私は吉田法晴氏の言われたように、やはり国会だけが憲法の改正に関しては提案権があるのじゃないか、これも見解の相違で片づけられては仕方がありませんけれども、私はこの点は非常に将来に影響のある大きな問題であると考えまして、実は鳩山総理にもう一回御所信のほどを伺っておきたいと、かように考えているわけであります。
○国務大臣(鳩山一郎君) 憲法第九十六条に「この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案」するという文字がありますから、国会が憲法改正の提案権があることはあなたのおっしゃる通り明瞭な話だと思います。けれども国会が提案権——ここに書いてある九十六条は、国民に提案するということとつながっている文字だと私は思っております。それですから、国民に発議する場合においては、国会のしかも三分の二以上の賛成においてやらなければならないということは疑いのないことだと思います。されば、政府に改正案の提案権がそれではないのかといいますと、これは私は理論的に考えてみて当然あると思っているのであります。とにかく今日の政府というものはいわゆる政党内閣でありまして、政党を基礎として成立している内閣のみでありますから、昔のような超然内閣時代の場合とは違うのであります。政党を代表して政府ができているのでありますから、政府が当然に提案権があると思うのであります。昔といっては言葉が悪いかもしれませんけれども、かつては学者の間においても政府は法律案の提案権がないと言っていた学者もたくさんあるのです。しかしながら法律案の提案権があるという事実はもうすでに議会において証拠立てられてしまったようなわけであります。法律案の提案権があるならば、やはり憲法についても同じように提案権があると私は解釈をしております。
○中山福藏君 憲法があって、いわゆる三権分立という問題が子供として生まれている。憲法というものは母親です。この憲法が生み落したものが立法権であり、司法権であり、同時に行政権なんです。しかしてこの憲法の下に三権が分立しているのです。その母親というものは憲法でございます。その母親の生んだ立法権に基いたいわゆる統治関係にあるところの一般の法律は、これは総理の言われる通り疑問をもたない。しかし三権分立の母親であるところのこの憲法は、これは国民の制定以外には私はこれを改廃するということはできぬと思うのです。そういたしますというと、この三権分立の母であるところの憲法というものは、国民の意思以外には私はこれを提案し得るものはない。この理論からいって、やはり私は憲法第四十一条のいわゆる立法権、あるいは六十五条の行政権ですね。あるいは七十六条の司法権というものは、これは憲法の下にあるのです。これは子供です、三人とも。そうしてお互いに相牽制し合って侵すことのできない立場にある。憲法というものはその上にあるのです。その上にあるのは国民の意思以外にはないのでありますから、内閣にこの提案権があるというのは私は理論上成り立たぬのではないか。林さんからも、あなたは法律家ですから、この点について答弁をして下さい。
○政府委員(林修三君) 憲法九十六条の改正手続は、今総理からお答えいたしました通りに、国会が三分の二以上の賛成をもって……。
○中山福藏君 それは発議権です。
○政府委員(林修三君) いわゆる国会が国民の投票に対して発議するという意味でございまして、従いまして、国会におけるこの憲法改正のその発議に至るまでの審議の問題でございます。これにつきましては、結局国会議員にその議案の提案があります。これはもちろん申すまでもないことでありますが、政府にないという根拠は、今総理大臣からも申されました通りに、現在の憲法の建前は、これはもちろん議院内閣制でございます。国会の多数党が内閣を組織しておるのでありまして、特にその点を昔のように区別して考える必要もないと思うわけです。 それからまた憲法の七十二条は、内閣総理大臣は、内閣を代表して議案を国会に出すということを認めております。この議案の中には法律案も入る。これはまた一般にも承認されていいと思いますが、憲法改正だけは排除するという趣旨は出てこないのではないか。今四十一条の問題をお取り上げになりましたが、国会は、国権の最高機関で、立法機関であることと、その原案たる案をだれが出すかということは、これは直接には関連いたさぬと、かように考えます。政府が出しましても、議員が御提出になりましても、国会におきましてもちろん憲法改正を御審議になる。それを国民に向って発議する。これに変りはないわけでありまして、その過程におきまして内閣が出す、あるいは議員から御提出になる、これは今おっしゃいました四十一条と直接に関連がない。むしろ七十二条等から考えて、それを排除する理論的根拠はないと考えます。
○中山福藏君 それは林長官、法律家という立場でのお考え方は、そんなことは間違いだと思う。それで私は、よくうちに帰って一つ考えていただきたいと思うのです。そういうことをおっしゃると、この憲法の提案自体が違憲問題が起きてくる。せっかく憲法が改正されても、あなたのおっしゃることが間違っておったら、その憲法はめちゃくちゃです。だから私はそれを考えてお尋ねしているわけですから、これ以上追及することは、私は時間を空費するばかりだと思いますから申し上げませんが、もう少し林さんは御研究になって、この母親である憲法の改正と、立法権に基くところの一般法律案の提案と非常な径庭があるということを頭に入れて御研究にならなければ、ただいまのようなごちゃまぜで、憲法改正と一般法律の改正をごちゃまぜした議論が出る。どうか一つ、これは法制局長官という肩書のある以上は、十分一つ考えてやっていただかないと大へんな問題になる。
○国務大臣(鳩山一郎君) 憲法改正案を発議するのは遠い先のことであります。その発議する前に当って初めて改正案を審議するわけでありますから、今日これを決定する必要はないのであります。それまでに十分検討いたしまして、改正案を提案するときまでには十分研究を遂げ、間違いのないようにいたしたいと思います。
○中山福藏君 まあその程度で了承して、私は質問を続けたいと思うのです。 その次にお尋ねしたいと思いますが、これは総理大臣も御承知の通り、今日西独、あるいはタイ、あるいはリヒテンシュタインという所にはすでに憲法裁判所が設けられておるわけですね。ホンジュラスとか、ボリビアという所には最高裁判所で違憲問題の一部をすでに取り扱っている。そこで先般、前の議会でお尋ねしましたときに、具体的の事項について訴訟が起った場合は、同時にそれに適応するところの法律の違憲問題というものを裁判所において審議する、こういう御答弁であったのです。それはそれでいいんです。そこでその法律を適用する場合に、その事業というものが違憲であるという、いわゆる法律が憲法に違反しているという裁定を下したときには、その法律は当然廃止になるのですか、効力を失うのでしょうか。そこを一つこれはお尋ねしておきたいと思います。
○政府委員(林修三君) 最高裁判所がある事件の審査にあたって、その後ある法律が違憲であるというような裁定をいたしましたときには、裁判所が国会に対してその判決を送付して、そうして国会に知らすわけでありまするから、国会はそれに基いて、その法律の違憲であるか違憲でないかについて、私は審議を始むべき義務があると思っております。
○中山福藏君 これはある国では当然廃止されるということになっているんですね。ところが日本の議会は、その最高裁判所の報告を受けて、もう一ぺんそれじゃ審議をし直すということになるのですか、日本では……。
○国務大臣(鳩山一郎君) 私はそういうふうに解釈しておりますが、ただいま法制局長官から答弁させます。
○政府委員(林修三君) これは結局憲法八十一条の最高裁判所における違憲法律の審査権は、内閣総理大臣がお答えしているように、司法権の作用として行われていると解釈しております。従いまして、この最高裁判所が具体的の事件の訴訟におきまして、裁判を通じましてそういう判決をした場合には、これは司法裁判の性質として当然その事件のみについてのこれは判断でございます。従いまして、その事件について、その法律は違憲であるかどうかということを判断して、その結果を裁判に付するわけであります。従いまして、それをもって直ちに違憲の法律が当然に無効になるものとは考えられません。従いまして、ただその後におきましては、同一の法律を問題とするような案件が次々に起りました際には、おそらく最高裁判所は同様な判決をいたすことになりましょう。従いまして、これは国会におかれまして、あるいは内閣の方でそういう違憲と判断せられた法律について、まあその判決が正しいものと考えれば、当然にその法律の改廃手続をとるべきものであろう、かように考えるわけであります。最高裁判所の事務処理規則にもその意味をもちまして、最高裁判所がある法律が違憲であるということを前提として裁判をした場合には、その旨を内閣及び国会に通知する、これがそういう趣旨から入っている規則だと考えるわけであります。
○中山福藏君 それでは総理にお伺いしますが、簡単な問題なんです。裁判所法の第二条に、日本の裁判所の階級がきまっております。最高裁判所、高等裁判所、地方裁判所、簡易裁判所となっていますね。この簡易という字はいかにも何と申しますか、粗略な感じを受ける。これはたくさんの判事の意見でございますが、どうも簡易という文字があるためにいいかげんの裁判をするのじゃないかという批判を受けて困るのだと、だからこれは裁判所法を改正して、この簡易というものを普通裁判所とか何とかいう特殊な名前にお変えになった方がいいんじゃないかと思うのですがね。それについて総理はどういうふうにお考えになっているでしょうか。これは相当に簡易というのは、われわれのやっている事件は簡易裁判所だというのはあまりに、非常に不愉快に感じている人間もあるのです。これは一つ名前の変更でございますが。
○国務大臣(鳩山一郎君) 研究いたします。
○中山福藏君 それからもう一つお尋ねいたしますが、憲法第十三条には、生命権の尊重ということが書いてあるわけなんです。そこでただいま自衛隊というのは、生命につながっている仕事をしているわけですね。ある場合においては暴動が起きたり、いろいろなことが、事変があった場合には、挺身して自分の命をささげる、こういうことになるわけであります。そうすると、生命に関する事項というものは大体憲法が最も尊重しているところなんです。そこで、こういういわゆる自衛隊の編成権というものは、全部の国が憲法のうちにこれを規定している。日本だけが行政行為の一部として、自衛隊法にこれは志願制度をとって、月給をくれて、そうして退職金もやるというふうにきまっておるわけですが、これはやはり将来、自衛隊の編成権とか指揮権というものは、憲法のうちに定めらるべきものじゃないかと思うのでございますが、いかがなものでございましょうか。
○国務大臣(鳩山一郎君) 憲法改正のときに論議せらるべきものと思います。
○中山福藏君 それからもう一つお尋ねしておきますが、ただいま日ソ交渉がロンドンで行われておりまして、だいぶん首相もお心を痛めておられると私考えるのでございますが、これは先ほど千田君の御質疑もございましたが、日本の政府というものが松本さんだけにいろいろな条項をお示しになって、この線に基いて一つ交渉して来いということになっておるのではないかと実は考えております。ことに、民主党におられます芦田均君なんかは、自由党を攻撃されるときには自由党というのは秘密外交だからいかぬ、これは一つの題目になっておりました。私も演説を聞きに行きましたが、そういう題目で秘密外交を非常に攻撃しているのです。これは秘密のすべてを明らかにするということもほどほどのものであろうと考えてありまするが、まあ政府のかけ引きもあるでございましょうが、大体国民がこういう希望をしておるのだという線だけは、たとえば領土回復の問題、あるいは漁業権の問題あるいは未帰還者の送還の問題、一応こういうことを国民全体が希望するんだということを私は国民に示して、その声援を得るということが、外交の折衝の上に非常に私は効果的なものじゃないかと実は考えておるのでございますが、今のような、ちびりちびりと新聞報道によって、ソ連はこういっておる、この問題はこうだというようなふうに説明をするよりも、政府が堂々と一つの線を出されて、国民の声援を受けられるという方がいいのじゃないかと実は思うのでございますが、どんなものでございましょうか。それが、国民が今日だまって見ておりますと、一向わからぬのです。
○国務大臣(鳩山一郎君) 私は、議会の質問並びに答弁によりまして、大体国民が承知しておると思います
○中山福藏君 まあそうおっしゃられればそれで仕方がありませんが、どうもしかし、あのロンドンの報告を見ておりますと、前後いろいろと変ってくるわけですね。それで非常に国民も心配しておるわけなんです。それで、こういう点もいろいろと私ども国民として、議員として、いろいろ考えさせられる問題ですが、万一あの交渉がうまく行かぬときは、鳩山総理みずからロンドンに乗り込んでブルガーニンと直接ぶつかるというような御決心でもおありでしょうか、その点一つ聞いておきたいと思います。
○国務大臣(鳩山一郎君) 私は労は少しもいとうわけではございませんけれども、私が行ったためにできるというような自信を持っていないのでありますから、とにかく最善の方法を尽して、国民の要望しておる諸条件の貫徹をはかりたいと思います。
○中山福藏君 まあ一つ、十分御決心をしてやっていただきませんと、これが一つまごつくというと、とんでもないことになって、国民の失望というものはほんとうに見ておれぬような姿になるんじゃないかと考えておりますから、十分一つ御決意の上で、御交渉願いたい。 そこで一つ総理にお伺いしたいんですが、一九四五年八月十四日にソ中友好同盟条約というものができておりますね。これは外務大臣がおいでになったら一つ聞いておきたいと思いますが、これは常識的な問題でありますから総理でいいだろうと思います。そこで、その前文並びに第一条を読んでみますというと、これは日本並びに日本の同盟国というものを仮想敵国にしておるんです。
○国務大臣(鳩山一郎君) そうです。
○中山福藏君 そうすると、向うから自本を見たら、いわゆる日米安保条約とかMSA協定で、向うはこっちを向うの方の仮想敵国として考えておると思います。そこで、こういう相対的な立場に条約上私どもは立っておるわけでございますから、この点についてはやはり相当触れられるつもりで松本氏に指令が行っておるんですか。先ほど聞いておりますというと、この仮想敵国の問題についても触れるんだというようなことの御答弁があったように思うんですが、そこはどうなっておるんでしょうか。
○国務大臣(鳩山一郎君) ソ連と中共との友好同盟の際は、日本を仮想敵国と考えておることは、あなたのおっしゃる通りであります。その当時においては、日本をやはり侵略国家と考えていたと思います。それがゆえに、仮想敵国としたと思います。今日においては、日本を侵略国家と私はソ連は考えていまいと思います。
○中山福藏君 そこでお尋ねいたしておきますが、鳩山総理御存じの通り、大体カイロ宣言というものを引用してポツダム宣言が日本の降伏を求めておったということは、御存じの通りであります。ポツダム宣言の引用いたしておりますカイロ宣言というものは、世界第一次大戦後のいわゆる領土問題について日本が無謀な略奪をしたということになれば、これをもとの姿に原状回復させる、こういうことになっておるわけですね。ところで、この千島、樺太というような所は、第一次大戦前ということになると思うんです。明治八年の千島、樺太の交換条件として、あるいは明治三十八年のポーツマンス条約によるところのいわゆる南樺太の割譲、こういう問題はヤルタ協定に包含されておる問題であって、カイロ宣言に全然包含されていないわけです。これは当然私は日本としては要求し得るものだと考えておりますが、これはあくまでも徹底的に日本というものは後退せずに主張されるという決意があるのでございましょうか、一つその点をお確めしておきたいと思います。
○国務大臣(鳩山一郎君) 中山君の言わるるがごとくに、その条約の範疇には入っておりません。それですから、ソ連との交渉において、樺太、千島については日本の領土であるということの主張はいたしております。
○中山福藏君 どうかその点も一つ強硬に御主張願いたいと思います。 次にお尋ねしたいのは、これは千田君がお尋ねしましたから、くどいことは申し上げませんが、フィリピンのネリ大使の言葉を見ておりまするというと、八億ドルというものは、どうも高碕経審長官が、それでもよかろうというようなふうにおっしゃったように私どもは推測することができるわけです。それで先ほど承わっておりまするというと、その金額についてはまだ折衝の過程にあって、まだ確定したという線は出ていないんだと、こういう首相のおぼしめしで、ようやく私どもは安心したのでございまするが、ただフィリピンあるいはインドネシアの問題でありますが、もしフィリピンというものとの間に、ごく拙劣な賠償交渉ということで終りを告げるということになりますれば、ビルマ、というものは、あの講和条約のところにちゃんとただし書がついておるのでありますから、もう一回自分の方もフィリピン並みに取り扱ってくれというようなことを言ってくるかもしれないと思います。これはフィリピンと日本との賠償金額次第でございましょうが、その賠償金額がいくばくの線に落ちつくかは別問題といたしまして、やはり四億ドル以上のものであると私は見ておるわけです。そうするというと、ビルマがまたそれにちなんで、おれも同様の取扱いをしてくれというようなふうに言ってこないとも限らぬと思います。そのときにはどういうふうな態度をおとりになるんでしょうか、その点を一つお尋ねいたしておきます。
○国務大臣(鳩山一郎君) これに対する答弁は、外務大臣からにしていただきたいと思います。
○中山福藏君 それでは、防衛庁長官に一つお尋ねいたします。あなたは六月十日に新聞記者団に、昭和三十五年までに大体米軍は撤退するんじゃないかという意見を漏らされたように新聞は報じておりますが、どうですか。その点は間違いないですか。
○国務大臣(杉原荒太君) お答え申し上げます。私、ある特定の年度、時期をさして、米軍が一般的に撤退するということは、実は私の口からは申しておりません。また申し得る段階ではございません。しかし、一般的にはアメリカ側で、ことに地上軍等につきましては、私が接触して受け取る印象からいたしますれば、撤退するように、日本側の態勢ができ次第なるべくすみやかに撤退したいという希望は持っているように、私はそう解釈いたしております。そうしてまた現に、約五千名の兵隊が近く撤退いたすものと私承知いたしております。
○中山福藏君 その近く撤退するということも一緒に報ぜられておったのですが、あなたが今おっしゃったのが……。その新聞記事がまんざらうそとは考えられぬのですが、まあ新聞記事は責任は持たぬとおっしゃれば、それまでのことです。 そこで、私お尋ねしておきたいんですが、将来自衛隊というものは現在と同じく志願制度を採用していかれるおつもりですか、あるいはある時期に到達したら義務制度というものをやってみようというお考えでございましょうか。
○国務大臣(杉原荒太君) お答え申し上げます。政府といたしましては、義務制ということは今考えておりません。
○中山福藏君 そこでお尋ねいたしておきますが、大体アメリカ軍の撤退はいつごろになるだろうという見通しは持っておられますか。その点はいかがですか。
○国務大臣(杉原荒太君) お答え申し上げますが、先ほど申し上げました以上のことは、私申し上げることはちょっとできかねます。
○中山福藏君 これは経済六カ年計画に非常に影響してくると私は見ているのです、早いかおそいかということで。それでお尋ねしているわけなんです。そこで、言うことができない。これは答弁の義務があるんですがね、ほんとうは。しかしまあ答弁できぬとおっしゃれば、それだけにいたしておきましょう。 それから最後に一つお尋ねしておきますが、この間国防会議設置に関する法律が出るということで、だいぶ衆議院でやっているようですが、そこで民間から出ます議員ですね、その種別と申しますか、その推薦の基準はどこに置かれる予定でございましょうか、それを一つお聞きしておきたいと思います。
○国務大臣(杉原荒太君) お答え申し上げます。法律案におきまして、識見の高い練達の者のうちから政府が国会の、両院の同意を得て任命するという建前になっていることは、御承知の通りでございます。そのいわゆる「識見の高い練達の者」と申しますのは、この国防会議そのものの任務という点からやはり考えていかなければならぬことだと思います。この国防会議の任務は、単に一部門の専門的知識を持っているというところにあるんではないだろうと思います。いわゆる政治優先の原則といいますか、そういうところからして、いわゆる広く大所高所から総合的な判断を下して国防の問題を見ていく、そこに私は国防会議そのもの、その議員の重要な責務があるものと思います。そういう点からして、これに照して考えなければならぬと思いますので、今申しますように、ある特定の部門の専門家というようなところじゃなく、またさらにこれが、たとえば国防のそれが非常に営利的な色彩の強いような事業に携っているような人もまたそういうのに適当でない、またそういう誤解を受けるような人は適当でない、と考えております。
○中山福藏君 私はまだ時間が余っておりますけれども、これくらいできりあげさしていただきます。あとは一般質問に譲りまして、これで私は質問を打ち切ります。 〔委員長退席、理事池田宇右衞門君着席〕
○湯山勇君 総理にお尋ねいたします。総理は本予算案が提案されました四月二十五日の本会議の施政方針演説におきまして、いろいろ根本政策、基本態度をお述べになったのち、「教育こそすべての大本であることは申すまでもございません。政府はそのため必要な文教の充実と刷新の諸政策を講ずるとともに、国民の間から盛り上る新生活運動を助長して参りたいと考えております」こう述べておられるのでございます。しかしながら、出されました法案で見ましても、あるいは予算で見ましても、それらしいものは新生活運動の一億二千万という以外には見当らないのでございまして、この際、総理の言われる文教の充実の諸政策とはどういうものであるか、文教刷新の諸政策とはいかなるものか、さらにまた盛り上る新生活運動とはどういうものか、具体的にこの三点について御答弁をいただきたいと存じます。
○国務大臣(鳩山一郎君) 文教の刷新は、現下のわが国にとりまして緊要な問題であります。それを具体化するに当りましては、慎重な考慮と検討を要しますので、すでに予算に表われたものもありますが、まだ目下研究中のものもございます。すなわち科学の振興、私学の振興、青少年教育の拡充並びに新生活運動の展開、教育施設の整備充実、特に不正常授業の解消、老朽危険校舎の整備、育英費の充実等が、すでに予算面に具体化した点であります。その他、現行教育行政制度及び教育内容等につきましては、目下検討中のものもございます。またすでに具体化しつつあるものもあります。かくのごとくして、総合的に文教の各方面について刷新の実を上げたいと思っておします。 それから新生活運動の話は文部大臣からお話を願いたいと思います。
○湯山勇君 私が総理にお伺いしておるのは、今のように書いたものを読み上げた羅列的なものをお聞きしておるのではございません。総理も文部大臣をしておられた方だし、すべての政治の基本は教育だということを言っておられるので、総理としての基本的なお考えを承わりたい。どう刷新しなくちゃならないか、どう充実しなければならないか、そういう基本的なものを総理から伺いたいと思います。
○国務大臣(鳩山一郎君) 私は基本的なものといえば、民主主義に適応する国民を作ることが基本的なものと考えております。
○湯山勇君 そのためにはどこをどう刷新し、どこをどう充実するかということについての基本的なものを伺いたい。
○国務大臣(鳩山一郎君) その点につきましては私学の振興、普通教育の改善等によってその目的を通したいと思います。
○湯山勇君 総理は内容を御存じないでそういうことをお読みになりますが、実は私学振興もよくできておりませんし、それから教育の充実と申しましても、教員の割合などは昨年よりはずっと減っております。ですから総理自身もう少し御検討いただいて、新生活運動について文部大臣が御説明になられるそうでございますから、その具体的な構想をお述べいただきたいと思うのでございます。と申しますのは、今回の予算に社会教育特別助成に必要な経費として一億二千万円計上されておりますが、その説明がきわめてふるっております。「明るい平和な」、これは予算書にある通り読みますが、「明るい平和な住みよい社会の建設のため、友愛と正義を基調とする新生活運動を強力に展開するとともに青少年の健全な社会活動を活溌化する等社会教育を特別に助成するため必要な経費である。」、総理の施政方針そのままの説明が端折って書いてあります。こういう説明だと、一体誰がこの説明をお書きになったのか、まずお聞きしたいのと、それから、こういうことで本当に盛り上る新生活運動ができるのかできないのか、もしこれが看板倒れになるようなことであれば、むしろこれは一億二千万出してこういう題目を掲げたことが新生活運動に反することになります。そこで、そういうことにならないかどうか、官製のものになるのかならないのか、こういう点についてまずお述べいただきたいと思います。
○国務大臣(松村謙三君) 大綱は総理大臣からお話のあった通りでございますが……。
○湯山勇君 新生活運動についてはないのです。
○国務大臣(松村謙三君) 私、新生活運動のその費目につきまして、その趣旨を御了解を得たいと思います。その一億二千万円のうち、新生活運動には五千万円ほど充てておるわけでございます。残りの七千万円は、これは主として文部省がやります社会教育の面へ充てたいと考えております。新生活運動は、これはかつても申し述べましたが、これは文部省の仕事としてと申しますよりも、民間の一つの盛り上る団体として、そうして新らしい生活運動を国民的に展開をしていただきたい、その呼びかけは総理大臣なり政府なりがいたしますが、それを運びますのはすべて民間の意思によってどういうことをやるかということをきめ、そうしてそれに対してその助成をいたす、こういう考え方でやりまして、翼賛体制のような上から下へいくような形はできるだけ避けたいと考えて、これは予算が通りますならば直ちにそれに着手いたしたいと考えておるわけでございます。 また社会教育の面につきましては、大体こういう構想を持っているのでございます。青少年の訓育というか、社会教育は、一日もゆるがせにすることはできないことでございまして、ドイツあたりが今日やっておりますところを見ましても、これはぜひやりたいものだと考えます。しかしながらそれをやりますのにはただ固苦しいことばかりをやってもいけませぬから、大体の考え方はスポーツを中心といたしまして、それから沸き立つ明朗なスポーツ精神と申しますか、健康な肉体、こういう結果を予期いたしまして、青少年の訓練をいたす考えでございます。それに対するやり方といたしましては多端でございますが、さしあたりこの夏あたりからキャンプ生活のようなものを各府県でやりまして、団体的の訓練、スポーツを中心とした団体的の訓練をやり、また市長会議などの要望もございまして、青少年の人たちが見聞を広めるために、たとえば中国に一カ所、四国に一カ所というようなふうに、青少年が安く見学の旅行などをするところの宿泊もしくはそこで会合の拠点を作るというようなこと、それにはもちろんそういう意味の指導者の養成等も考えなくちゃなりません。こういうようなことをやりますと同時に、近来映画を正しく取り入れる、音楽を取り入れるというようなことが非常に大切でございますが、これはよほど注意をいたしませぬと、映画なども悪書の駆逐と同じもしくはそれ以上の弊害も起りまするししますので、これをやりたいと思います。それと適当な通信教育その他いろいろのことをやりまして、そうして青少年の訓育をやり、まじめなそして明朗な結果を得たいものと期待をいたしてやるわけでございます。
○湯山勇君 いろいろお聞きしなければならないことがたくさん出て参ったのですけれども、総括的にお尋ねするにとどめたいと思いますが、ただこの新生活運動でございますね、これにつきましては一体対象はどこになるのか、何を対象に助成するのか。それからまた対象となるものがそこまでくる費用は、一体どこが持つのか。これについては立法措置、そういうものも考えておられるか。この点だけまず伺いたいと存じます。
○国務大臣(松村謙三君) それにつきましては先刻も申しました通りに、民間の団体ができて、その団体の意思によっていろいろの施設が行われておることでございますから、何をやるということを今ここで申しかねますが、しかし、今日の民間において、生活を改める団体というものは相当数あるのでございます。たとえば食生活の改善とか、着物の改善とか、いろいろの意味のそういう団体があるわけでございます。これを統制をして、必ずしも一本にするという考えは持っておりませんが、これらのものがやはり新生活運動の中へ入って働く。そうして効果を上げてもらえるということは期待いたしております。しからばそういう団体に直接国が助成をするかどうかということは、ただいままだ方針をきめておりませんが、でき得るならば、新しい総合的の、いわゆる新生活運動本部とかいうようなものができましたならば、それへ助成をして、そしてそれでその目標とする運動の効果を上げるようにやっていただきたい、こういうような、ただいま構想を持っておるわけでございます。 〔理事池田宇右衞門君退席、委員長着席〕
○湯山勇君 大蔵大臣にお尋ねいたします。ただいまお聞きのように、何に出すのか、どういう所へ出すのか、一向新生活運動の金というのはわからないのです。こういうのを一体予算に計上して、こういう説明をつけられたのはどういう理由によるのでありますか。
○国務大臣(一萬田尚登君) これは、私の考えでは、新生活運動という意味において、中央から一律的にやるよりも、現在すでにいろいろと新生活、いわゆる新生活運動が行われておるのであります。そして実績を上げておる団体がずいぶんあると思います。これらの成績のよくて、今後大いに発展をするというようなのを一応政府から援助して行く、こういうふうにしてやったらよかろうかと考えております。
○湯山勇君 これは全く文部省も大蔵省もどちらもわけがわかっておりませんから、一般質問のときにまたお尋ねすることにいたします。そこで、総理にお尋ねいたしたいと思いますが、今の新生活運動にいたしましても、特に青少年の団体訓練、通信訓練、こういうことが出ましたので、私はぜひこの際お尋ねしたいと思いますが、これらのことは、すべて教育基本法に基いてなされるものかどうか、これをお尋ねいたしたいと思います。
○国務大臣(鳩山一郎君) もちろんそれによってやるのであります。
○湯山勇君 これらが教育基本法によってなされるという御確認をいただきましたので、教育基本法には世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意と、その理想の実現は、根本において教育の力に待つのだ、こういう理想の実現が、この教育の基本的態度であるということが明記されておりますが、これは総理も御異議ございませんでしょうか。
○国務大臣(鳩山一郎君) もちろん異議はございません。
○湯山勇君 そこでさらにお尋ねしたいのは、総理はしばしば二つの中国ということもおっしゃるし、それから平和についても二つの平和という意味のことを言っておられます。それは一つは話し合いによる平和、軍備を持たない平和、これは理想である。そうして今は力の平和もやむを得ないということをしばしば言っておられますし、本日も千田委員に対しては、防衛力のバランスによる今日は平和であるということを言っておられ、もっと具体的に例を申し上げますと、六月十三日に、木村守江委員の質問に対して、総理はちゃんと力の平和は永続するものでないということを明瞭に御答弁になっておるのでございます。そこで、教育基本法は、今、総理が御確認になったように、平和の理想の実現ということである、そういうことになりますと、教育基本法によって平和のために努力する、貢献するということは、総理が今まで述べられた理想の平和、すなわち話し合いによる平和、軍備を持たない平和の実現に努力する。こういうことに必然的になると思いますが、そう把握してよろしゅうございますか。
○国務大臣(鳩山一郎君) 私は真の平和というものは民主主義の実行にあると思うのであります。民主主義というのは自分のことばかしを考えていては民主主義は実行できるものではないのであります。他人のことを考えなければ、他人の自由を考え、他人の立場を考えなければ、民主主義というものは実行できるものではないのであります。だからして民主主義に適応する国民の養成といううちには、当然に世界の平和を期待する基礎ができるものと私は思っております。
○湯山勇君 答弁が少しずれておるように思いますので……。 教育は理想の実現に努力するのだと、平和も総理が言われたようにいたし方ない、やむを得ない、今日の段階ではやむを得ないのだというそういう力の平和と、そして総理が常々おっしゃる永続する平和、永続しない平和でなくて、力の平和は永続しないとおっしゃっておるのですから、そうではなくして、永続する平和そして話し合いによる平和、力によらない、武力を持たない平和、これが総理のいわゆる理想の平和でございますから、その理想の平和を教育によって実現するために努力しなければならないと、今までの総理の答弁から当然結論づけられるのでございますが、そう把握してよろしうございますか。端的に御答弁いただきたいと存じます。
○国務大臣(鳩山一郎君) 力の平和というのはお互いに武力の競争になるわけであります。武力の競争をお互いにすれば、戦争に導く危険性があると思います。それですから武力によってのみ平和を維持しようというものは、少し無理があります。それですから根本的にすべての国がほんとうに民主主義、自由主義を理解しまして、そうして互いに友愛の精神に立脚してくれば、私は初めて永続性のあり、確実性のある平和ができるものと考えております。
○湯山勇君 そこで、教育は永続性のある平和、そして今の話し合いによる、力によらない平和、そういう理想の実現のために社会教育も学校教育も教育者も子供たちも努力しなくちゃならない。こういうふうに私は総理の今までの御答弁から当然帰結されると思いますので、この点、御確認いただけるかどうか簡明に一つ御答弁いただきたいと存じます。
○国務大臣(鳩山一郎君) それは世界の平和というのは一国だけがそうなったのでは世界の平和にならぬのです。すべて世界の平和というものは世界の国民が皆そのような気持になって初めて世界の平和はでき上るのでありますから、やはり日本はそういう意味によって世界の平和を希求し、ソ連も中共もアメリカもイギリスもみなそういう気持になれば、そこに初めて世界の平和が、永続性あり確実性のある平和が確立されるものと私は確信をしております。
○湯山勇君 総理の確信がよくわかりました。しかしそれをお尋ねしておるのではないのです、ただいまは。総理はそういう確信を持っておられるので、教育は基本法にあります通りそういう理想を実現するということが教育の目的でございます。それに努力することが教育の目的でございますから、そこで今日やむを得ず起っておる力の平和、あるいは永続性のない、総理の言葉をかりて言えば永続性のない平和ではなくて、やはり恒久の平和を教育は直接目ざして行われなければならない、こういうことになると思いますが、その通りでございますか、こういう質問でございます。そうだとか、そうでないとか、こういう御答弁をいただけばけっこうです。
○国務大臣(鳩山一郎君) 教育ということは普遍的の知識をやはり教えて行かなくちゃならないのであります。それですから力によらざる平和、つまり心がまえの平和は必要であるということはもちろん教えなくちゃなりませんが、同時に何が故に力の平和が今日必要なのか。力による平和が現在の世の中にあるのかというようなことも教えなくては、子供の教育ははんぱになりますから、子供にもやはり一般的の普通の知識を与えなくちゃなりませんから、やはり力による平和は不都合であるということだけを教えるわけにも行きません。
○委員長(館哲二君) 湯山君、持ち時間がきておりますが。
○湯山勇君 ですが、どうも答弁が合いませんので……。
○委員長(館哲二君) 一つだけですか、一つだけにして下さい。
○湯山勇君 今おっしゃったように、力の平和ということがどうこうというのではなくて、かりにそういうことが認められるとしても、今日はこうであるにしても、こうでなくてはならないということは子供たちによく教えなくちゃならないと思う。そこで今日吉田内閣当時から力の平和、軍備による平和とか、そういうことが言われてきましたために教育はだいぶ混乱して参っておると思います。と申しますのは、この間も最高裁判所の長官に憲法記念日に子供が質問をいたしました。どうして一体日本は軍隊を持つのか。最高裁判所の長官は、それは最高裁判所で裁判しなければわからない、あなた方には言ってもわからない。こういうお答えをしております。総理のお孫さんたちが総理にそういう質問をなさるかもしれない。なさるのが当然だと思います。最高裁判所の長官さえ今子供たちの前でその答えができない。そこで学校教育におきましても、こういう平和の問題を、力の平和は何とかして理想の平和に持って行かなくちゃならないということさえも、だんだんしぶりがちで、そうすると、子供たちは今のような疑問を持って参ります。そこでこの際総理は、理想の平和はこうだ、やむを得ない力の平和とか、あるいは長続きしない平和、こういうものは世界の人々が協力して、長続きのする永遠の平和、理想の平和に持って行かなくちゃならない。そういう努力を教育はしなければならないということを、この際ここで明確にしていただければ、私は最高裁判所長官が困ったりするようなこともないと思いますので、この点を最後に一つ、簡明に、明確にしていただきたいと思います。それをしていただけば私は質問を終ることにいたします。
○国務大臣(松村謙三君) 許されますならば私もちょっと一言、誤解があっちゃなりませんから……。
○湯山勇君 これは総理だけから……。
○国務大臣(松村謙三君) ちょっと私に関することだけを申し上げておきます。御質問に対する一つの何であるから申し上げますが、教育に関しまして、こういう事態が起ることもあるわけです。教育者が防衛に関する志願をしちゃいけないというようなことを言うた場合があるといたしますれば、これは平和を守るための何だということであれば、それは私は非常な間違いであろうと思いまして、厳重に注意をしておるわけでございます。平和の何をもたせること、これは当然のことでありますが、そのためにこういうことをやっちゃいかぬというようなことがありますと、これは教育の偏向になると思いますので、これだけちょっと、そういう実例もありますから申し上げておきます。
○国務大臣(鳩山一郎君) 大てい私の考え方は湯山君も了承して下さっておると思います。現在の世の中が力による平和によって維持せられておるという現在の時勢であることはあなたも御了承下さると思います。そういう世の中に、力による平和を維持することは罪悪だという教育はできるはずはありません。平和が力のために維持せられておる現代において、力による平和のために働くことは罪悪だというような教育のできようはずがないのであります。力による平和だけを頼ってはだめだという教育はできます。
○委員長(館哲二君) あとの質疑者が時間の関係でお持ちかねになっておりますから、ごく簡単にお願いします。
○湯山勇君 これで終ります。力による平和が罪悪だと私は申しておるのではありません。そういうものはすみやかに、なるべくそういうのでなくて、理想の平和に持って行くように努力しなければならない、ということをやらなければならないのじゃないかということを申し上げておるのです。
○国務大臣(鳩山一郎君) そうですか、それはけっこうな話です。
○湯山勇君 それじゃこれで終ります。
○曾祢益君 ちょっと大臣の出席状況を……。
○委員長(館哲二君) 外務大臣は間もなく、今廊下を歩いておられるところです。通産大臣は、実は衆議院の委員会で今質疑応答中であります。ぜひこちらへ来ていただくように要求しています。
○曾祢益君 私、大臣が出て来られないとちょっとこっちの時間の都合もあるので、ぜひすぐに一つ……。 まず最初に総理に伺いたいのでありますが、去る六月十日に、富士自動車の従業員の代表が総理にお目にかかりまして、彼らの上に押しかかってきた急激な大量解雇の事情につきまして陳情したのでございます。総理はその際、非常にその状態について深い関心を持たれたことと思います。このことはただ一企業の、特定の企業の労働者の問題だけでなく、いわゆる特需産業といわれる特殊の産業に働く労働者のはなはだ気の毒な、とうてい放っておけないような状態の一つの現われに過ぎないのでございます。特需産業並びにこれに働く労働者のこの非常な苦境に対しまする認識を深められたことと思うのであります。 またそのときに、浅沼わが党の書記長と私も立会っておりましたので、このことは別に信義の原則に反しないと思いまするから申し上げますが、総理に対しましても、この問題はただ業者と労働組合の、普通の労働争議のように考えられる問題ではなくて、会社の背後に実権力を持っておるのがアメリカ軍当局である。この実態、特殊性にかんがみまして、政府においてはどうかアメリカに対して、どこまでもこの法律一遍の考え方をやめさして、この大量解雇についてその反省を求め、なし得る限りこれをなだらかな漸減方式をとるように、総理みずからもお考え願うと同時に、場合によっては、総理みずから知っておられるアメリカ極東軍の司令官レムニッツアーなり、あるいはアメリカ大使なりにも直接一つ交渉していただきたい。こういうことを私が申し上げたのであります。総理はその点は趣旨として御同感であったやに考えておるのでありまするが、そのことと、さらに官房長官に対する陳情がありまして、この特需産業労働者の置かれておるこの地位というものは、一つには、法律的には、現在彼らが会社の雇い人に過ぎない。従ってアメリカは、自分の都合によって特需産業が減れば、それは会社対労働者の問題で、自分の関知したことでない。こういう逃げ口上の余地を残しておる点がはなはだ不当でございまするので、その点を根本的に直すこともあわせて一つアメリカとの交渉の題目にしてくれということを申し上げたのであります。これも官房長官から御報告があったことと思います。従いまして、その後今日まですでに一週間を径過しております。一方におきましては、いわゆる争議の日切れと申しては変でありまするけれども、解雇の問題は、いよいよ六月末をもって解雇されるかしないかというせとぎわになっておるわけであります。経営者としては相変らず不当なる考えで労働組合をどんどん圧迫して、わゆるい条件闘争が非常に労働組合に不利になっておる。アメリカ関係は一向に進展してないというのが現状でございます。従いまして、その後今日までいかなる措置を政府としてとられたか総理としては、労働者の代表に示されたさの温かい気持で、現実に、しかも急速にこれを現実化していただく必要があると思うので、総理のお考えと措置について、まず総理大臣に伺います。
○国務大臣(鳩山一郎君) 富士モーター会社の人員整理につきましては、確かにあなた方から伺いまして、非常な気の毒なる事件だと考えておりがす。アメリカが承知をしてくれればもとより楽なのでありますけれども、アメリカはなかなかわが方の要求には、ただいまのところ応じません。直接労働者とアメリカとが関係がないような見解を持して、なかなか直ちには同意しないのでありますが、この点に対してはもう少し交渉しなければならないと考えております。その他の点につきましては、アメリカ以外の取扱い方につきましては、各省と協議をいたしまして、適当の指示をいたしました。詳細なことは労働大臣からお答えをしてもらいます。
○曾祢益君 労働大臣からお答えいただく前に、これはアメリカの方に対しても、総理みずから考えるとおっしゃったように、もう少し交渉しなければならぬ。ところが、しなければならないでは日切れになるのでございます。もしこれが非常に泥沼的な争議にでもなったならば、私これは社会問題から非常に大きな政治不安の問題にすらなりかねない性質のものでございます。従いまして、アメリカともう少し交渉するという点は、これは一つ現実にタイム・テーブルにのせてぜひやっていただきたい。一昨日も私の党の河上丈郎から、あらためて要請書で具体的に申し上げましたが、これは一つ、外務省を通じての日米合同委員会の議題に上せてまたやっていただくと思うのでありますが、同時にその段階ではなくて、もうぜひとも極東軍司令官、あるいはアメリカ大使を通じて、アメリカのワシントン最高当局までこの問題を持ち出していただきたい。ただし先ほど申し上げましたように、富士産業の問題だけに限ってということでいは、ろいろ政府の考え方もおありでしょうから、さえて私が申し上げますのは、特需産業全体の問題として、契約方式の変更のことも含めたアメリカとの最高レベルにおける交渉を、ほんとうに時間に間に合うようにやっていただきたい、こういうことなのでございます。よろしゅうございますか、やっていただけますか。
○国務大臣(鳩山一郎君) ただいま外務大臣に聞きましたらば、向うに交渉しておるのだが、今のところよき返事を得ておらない、こういうわけであります。
○国務大臣(西田隆男君) お答えいたします。富士自動車の問題で、一挙に大量解雇の事態が発生しましたことは、まことに遺憾と考えております。が、しかし、これは曽祢さんも御承知のように、現在の契約が会社対米駐留軍の契約になっておりますので、契約当時におきまして政府としましては、契約に際して注意すべき点、あるいは条件等に対しましては、一応日米合同委員会を通じて詳細に勧告を行なっております。従って米駐留軍側にも極東軍司令官の方から通告が行きますし、会社の方にも通告が行っておりますが、二十九年度に契約されました契約の内容は、必ずしも勧告がいったような内容に基いて契約がされていない。言いかえますならば、会社側にある程度不利な契約になっておったという事実は、契約書を調べましてわかりました。従って今後そういうことのないように努力することは、これは当り前であります。 河上委員長から参りました要請書に対しまして、個別的にお答えをいたします。 第一の大量解雇をしないように、漸減的にやっていくように政府は努力せよ、こういう第一項に対しましては、これは曽祢さんも御承知のように、五月の十八日以降、米駐留軍側の通告を会社が十一日に受け取ったのでございますが、それ以後、会社側とも数回会合いたしますし、リンド代表、その他米駐留軍側の当局とも数回会合いたしました。昨日も日米合同委員会に、特調長官を通じてこの問題について議題を提供いたしました。協議いたしました結果として、アメリカ側の意向としましては、年間の契約に基いた内容をアメリカ側で実行しただけであって、現地軍としてはいかんともこれはしがたいこういうふうな大体意向のようでございます。従って日本政府側として今後残されましたことは、ワシントン政府との間に富士自動車の大量解雇の問題、これに関連する他の産業にもしこういうことが起った場合の問題、将来の三十年度の契約の内容にこういうことのないような規定を入れるか入れないかというような問題等につきまして、国内でできることは国内でもちろん、日米合同委員会等を通じてやりますが、できないことは外務省を通じてワシントン政府と交渉しなければならぬ、かように私は考えております。 それから第二の問題は、特需工業全般にわたって云々ということがありますが、この問題に対しましては、二十九年度の契約の内容を見てみましても、契約内容の中に中途において契約の大量減少等がある場合の特別な規定は設けております。が、しかしながら契約年度が更改される場合の問題については何ら規定がされておりません。従って日本側としましては、日米合同委員会等におきましても、これは中途における相当大量の契約の減少ということと同じ現象形態ではないか、従って日本側としてはこれに対してこの程度の考慮は払うべしという主張をいたしてみましたけれども、結局契約の内容、実態そのものがそのようになっておりませんので、この問題に対して米側の回答は日本側の満足するような状態でなかったことはまことに遺憾でございます。 それから将来の特需の契約形態の問題でございますが、これは関係閣僚ともよく協議いたしました結果、現在のようなままでもし満足すべき契約が三十年度においてなされますならば、変更する必要はないとも考えますけれども、それがもし日本側の欲するような労働組合側の権利を擁護できないような形でしか契約ができないということになりますならば、これは直接受注から間接受注に変更しなければならんであろうという一応の結論を今見ております。 それからこれは国内問題としてでございますが、人員の、整理されました人員に対しましては労働行政の面において対策本部を作って、そうして東京、千葉、埼玉、等々関連産業の多い地区に対しまして、技術を持つ技能者は直ちに配置転換のできるように準備を完了いたしております。その他の一般の技術を持たない失業者に対しましては、労働省で考えております失業対策事業に収容するとか、あるいは職業補導所に収容して、そうして配置転換の便宜をはかるように準備を完了いたしております。 それからその次の、政府において至急に特需受注機関を設罪することという御要望に対しましては、さっき御答弁しましたように間接受注にするという方針が決定いたしました場合においては、直ちに応急の措置をとるつもりでございます。 その次の退職者に対しましては直接雇用並みの退職金、解雇手当を支給することという問題につきましては、曽祢さんも御承知のように、現在の直接雇用の労務者には実は解雇手当は出しておりません。これはアメリカ側で事前一カ月に通知が参りますので、そのまま解雇をしておるというのが実状でございます。しかしながら今回の富士モータースの問題に対しましては、五月十一日に通告を受けまして、五月中に解雇予告をすることによって解雇手当をやらないという態度を会社側は一応とっておったのであります。しかしながら政府側がこれに対しましてはあっせんもしましたし、かつ解雇予告することが時間的に非常におくれました関係上、解雇手当は一カ月分出すという回答を組合側に対して会社側がいたしております。それから退職金の問題につきましては、これは団体協約に基いて退職金の規定がきまっておりますので、とりあえず会社側として団体交渉によってきまっております額を支給するということも組合側に対して回答いたしております。それから夏季手当の問題も、これは七月初旬に夏季手当を支給する、かような回答を会社側としても労働組合側に対してやっております。 従って残りますのは、段差をつけましに普通退職手当そのままでよろしいのか、要望がありましたように駐留軍労務者並みの、直接雇用になっております労務者並みの退職手当金を出さなければならないかという問題が条件として懸案になっておりますが、政府側としては、本日も会社の責任者と会いまして、できるだけ組合側の要求に基いた退職金を給与するようにとあっせんをいたしております。
○曾祢益君 外務大臣にお伺いいたしますが、今総理との質疑応答並びに労働大臣からのお話もありましたように、日米合同委員会でやっていただいておるのは、これはけっこうなのでありまするが、もはや段階は現地軍の問題ではない。いかにこの問題についてワシントン最高当局でいわゆる政治的な考慮を払うかということになっておると思うのであります。従いまして私は外務省を通じて交渉するということを労働大臣が言われましたが、これは通産大臣にもこの前私がお願いしております。また河上委員長からも各関係大臣に要請しておりまするように、関係大臣みずからが、もちろん外務大臣の了解を得てのことだと思いまするが、少くともレムニッツァー極東軍司令官、あるいはアリソン大使との間にももうやっていただかなければ、交渉をやっていただかなければならない、日切れにならんとしているのでありまするから、そういう外交交渉を、日米合同委員会だけでなくて、外交交渉をやっていただくことができるかどうか、この点を外務大臣に伺います。
○国務大臣(重光葵君) 他の関係閣僚とよく相談をして、それに着手してみようと思います。しかし日切れの点はどうもお受け合いすることはこの席ではできません。
○曾祢益君 日切れの点については六月末が日切れでございまして、それから、労働大臣も十分御承知のいわゆる条件闘争ということを考えるならば、おおむね二十五日くらいまでに外交交渉のめどをつけていただかなければならないというのは、これは労働問題の常識です。ぜひその点をお考えになって、総理も一つ内閣の方針として、関係大臣の交渉をぜひその点を、タイム・テーブルを考えてやっていただきたい。よろしゅうございますか。
○国務大臣(重光葵君) はぁ。
○曾祢益君 労働大臣がただいま言われました将来の契約については、今までも合同委員会を通じて、不当に日本側を圧迫しないようにという勧告があったにもかかわらず、現実には非常に不当に、すなわち会社を通じてすべてのしわ寄せは労務者にくるわけです。現にこういうことが行われておる。従いましてここに問題として、今度の争議以来、アメリカに対する反省の資料ともなり、政府も今まで以上の事件の重要性をお考えになったと思いますけれども、何分にも特需という産業の弱い点、日本でいわゆる出血受注みたいなことをやってまで業者は取り合いするという実情から見まして、いかに個個の契約について勧告を発しても私は無理だと思う。どうしても直接駐留軍に働く労働者と同様に日米行政協定の需品役務についてはアメリカに直接これを調達する権利があることを直して、これは行政協定の改訂は要らないといたしましても、やはり労働大臣が言われた間接受注といいますか、一定の形定に切りかえていただきたい。これについては官房長官もこれに賛成しておられるようです。これもやはり日切れの問題があるわけです。少くとも日本政府が腹をきめないでアメリカにこの問題を持っていくわけにいかないと思う。でありますからすみやかにこの問題について政府がほんとうに腹をきめて、特需需品及び特需の役務については間接方式をとり、政府が責任を負う、この方式にはっきりと切りかえていただきたいと思うのですが、これはまだ閣議にもかかっていないのです。これは労働大臣でも官房長官でもけっこうですから、一つどういうふうにしてこの間接方式を、調達方式をとるか、すみやかにとっていただきたいと思うので、それに対する明確なる御答弁を得たいと思います。
○国務大臣(西田隆男君) お答えいたします。曽祢さんも御承知のように、もとは間接受注でございます。私いつから直接契約に変ったか、よく承知しておりませんが、そのまた理由も承知いたしておりません。しかし以前間接受注であって、行政協定ができたために直接受注になったとは考えておりません。従ってアメリカ側の考えております様式は、現在のような会社直接の契約によって発注をする方法と、それからそれも個々の業者を指定するという方法と、共同入札と申しますか、公募入札と申しますか、入札によって発注するということ、それから今言いました間接受注によって発注するという、この三つの形態が大体契約で考えられておるようでございます。 従って勧告をしてもだめじゃないかと今曽祢さん言われましたけれども、これは勧告して、双方が勧告を守ってくれればいいのですが、しわ寄せを労務者にするつもりで会社側が契約の内容を決定したのではないと思いますが、結局はやはり力関係と申しますか、仕事をしたいという観点からいえば、要するに勧告の内容よりは非常に弱い契約をしておったということは事実でございます。従って今後の特需がふえていく段階にあるときは、受注する方でも強いことが言えますけれども、だんだん特需が減少していくという実情から考えますというと、現在の契約よりもよい契約を今のままほうっておいてできるとは考えておりません。 閣議にまだかかっていないではないかというお話でございますが、通産大臣ともよく連絡をとりまして、間接受注にしなければなるまいという一応の意見は調整ができております。従って結論が生まれまして、外務大臣なり通産大臣ともう一回話しまして、そして閣議でも決定するように運びたいと考えます。
○曾祢益君 通産大臣もこの点について御意見を伺いたいのですが、これはもう産業労働者のことは第二の問題と一応しまして、特需産業の性質からいって、やはりこれは間接方式でないともう出血受注が、——ますます今後非常な競争ができて、結局において特需産業そのものがたたかれる、だから間接受注の方がいいというふうにお考えになりませんか、御意見を伺いたいと思います。
○国務大臣(石橋湛山君) ただいま西田労働大臣から答えられましたように、私もできれば一つ間接の方がやはりよかろうと思います。
○曾祢益君 どうもできればというのはおかしいのであって、あなたの実際責任あるこの特需産業の問題なんですから、そちらの方がよければ、ぜひ一つ腹をくくって間接受注にしていただきたい。それから日切れの点を十分にお考え下すつて、早く政府の腹をきめてアメリカと交渉していただきたいと思います。 それからこれは労働大臣からお答えがなかったのですが、いま一つの問題は、この前当委員会におけるあなたとの質疑応答の中であなたがおっしゃったように、ある種の砲弾の製品については、いわゆる公有財産であるから、政府がその事業を接収するといいますか、国家管理でございますか、とにかく私契約、私企業でない、政府がこれをやっていくという形において考えておるという話がありました。たまたまこの富士産業あるいは相模工業というような大きな、特需産業の中の軍輌工業の大きな部分はこれは全部政府の財産でございます。従いましてこれらの産業の、今後の特需の減少に対応する方法としては、とても私企業にまかしておったのでは困難であろうと思いますので、これら富士等の政府財産である特需産業については、政府においてこれを企業として続けていくという方式をお考えになってはいかがですか。これは要請書の中にも書いてございますので、大臣のお考えを伺いたい。
○国務大臣(西田隆男君) お答えいたします。落しまして恐縮に存じます。 私がこの前当委員会で申し上げましたのは、富士産業は建物、土地等は日本の国有財産を使っておることはおっしゃる通りであります。しかしながら中にしてあります設備が、富士産業自身のものであるのか、あるいは米駐留軍から貸与を受けたものであるのか、あるいは日本自体の、政府——国のものであるのかということがはっきりわかりませんでしたので、アメリカ側の言う設備がそれが全部日本のものであるとするならば、これは当然米駐留軍の発注以外のものを受注してもやっていけるはずであるから、アメリカ側の了解が求められればそういうような方向に向って持っていくような努力をいたしたい、かように申したわけでありますが、調べたところ、土地、建物は日本政府、中の設備は一切アメリカから貸与を受けておる。従ってアメリカ駐留軍側の軍需に必要な物以外の物をその工場で作ることは非常に困難であろうということでございます。そうでありましたけれども、なおそうであっても、かりに現在の設備を使うことによって、大量解雇ができないで済むということになれば幸いと考えまして、いろいろ通産省と連絡をとりまして、今の設備を使っての仕事が国内として何とかして都合してやれるかというような問題もずいぶん検討して具体的に話を進めてみましたが、これもいろいろ差しつかえがありまして、とうとう今の工場を今の現実の首切りの問題とからみ合せて、すぐに仕事を持っていくということにはならない段階でございますので、今後もその点については考慮、あっせんをしたいと考えておりますが、早急の間には合いかねます。
○曾祢益君 これはちょっと労働大臣のあれは誤解だと思うのですが、この前の通産大臣の言われた砲弾のことに関重して、通産大臣が企業の立場から、そういう政府の財産であるならば、政府においてこれを経営していくというこの方式をいかにお考えになるか向いたいのであります。
○国務大臣(石橋湛山君) この前申し上げましたのは、政府がその事業を経営するとまでは申し上げなかったつもりであります。それは砲弾の受注が非常に減りまして、それであれをほうっておけば全部つぶれてしまう。しかしながら、その設備を全部なくしてしまうということは、日本自体にとっても好ましくないのでありますから、そこで設備の一部分を、主要なるものについていわゆる系列ごとに一部分を国家が、これを私有のものなら買い上げるとか、あるいは国有のものならばそのまた返還させまして、そうしてそれにしかるべき保管費を出してそうして保管をさして、必要なときにはこれが運転できるようにしよう、こういうような大体の考えで計画を立てておるわけであります。しかしむろん仕事があればあるだけの仕事はいたしますが、今のところでは、今富士モータースの話もそうでありますが、日本の国内においてそれだけの仕事をする、ちょっと見込みがつかないものでありますから、そうかといってこれをつぶすわけにはいかないから、設備について国家が手を加えてこれを保管するようにしよう、こういうことであります。
○曾祢益君 石橋通産大臣の御答弁は、私としてははなはだ納得できない。特需産業の転換ということは、これは一つの大きな問題であって、これはあなたが御就任になる前からの懸案であったと思いますが、これは全部日本の現在の産業の水準、状態からいって全部それを続けていくわけにはいかない。それでは特需産業は全部つぶしてもよいのか、こういう問題になりますと、必ずしも財産そのものが、今労働大臣が言われたように土地と建物は政府のものである、そうして機械はかりにアメリカのものであろうと、作業を何とかして続けていく、これが特需産業対策であろうと思う。でありますから特需産業、富士自動車の場合に必ず政府が直営の工場でやるということはあるいは困難であるとしても、今の御答弁では、特需産業は成り行きまかせだということになる。そういうとで、これははなはだ職務に忠実でない。どういうふうにしてこの特需産業があいていく場合に、アメリカから注文がなくなった場合どうしてこれを生かしていくのか。これは真剣なる御研究と対策が当然なればならない。少くとも火のついた問題に対しては、そういうようななまぬるい御答弁ということは許されない。 たとえば、これは労働大臣に伺いたいのですが、アメリカから六割注文が減った。そうすれば少くとも工場の規模というものは六割分だけあくわけであります。しかしそれを基地として全部自分が使っておって、転換を許さない。これは追浜工場の場合はまさしくそうです。鶴見工場のように会社の持っておる私有財産の場合には、これは日本の転換の問題だけであります。いわゆる基地の中にある日本の設備、財産については、アメリカから発注が四割しかないときに六割はあくわけであります。六割あした場合には基地を返してもらって、そうして日本の方で積極的にこれを利用するように、あるいは転換するように、これは考えていただかなければならぬと思うのです。もう一ぺん通産大臣と労働大臣から明確なお答えをいただきたい。
○国務大臣(西田隆男君) お答えいたします。私は決してやらないとは申した覚えはありません。やるべくいろいろ今奔走いたしておりますが、今の富士自動車の問題の解決に当って、それに間に合うような結論が得られないと申したのでございまして、これは通産大臣からお答えがあろうと思いますが、現在の富士自動車でやっておりました事業そのものは、日本の国内で使うジープとかトラックというような、そういう数量をはるかに超越した大きな数量を、言いかえますならば、戦略的と申しますか、全世界のものを持ってきて、富士自動車でやっておったのであります。これをそのままの工程でかえるということばこれは不可能かと考えます。しかしながら漸次自衛力を増強していくということを条約上の義務といたしておりまする日本といたしましては、防衛庁そのものの、アメリカ駐留軍の撤退に伴いまする人員の増加に伴っていろいろな資材が必要であろうと考えております。そういうものが計画的にその工場で運営されるという見通しがつきますならば、それはそういうものはアメリカ軍のものであっても、日本政府側が借り受けることによって、そういう方面に労働力を吸収するということは、これは当然のことでございます。法律的にできるできないという問題は第二の問題といたしまして、政府といたしまして、そういう方面に活用するようにしたいと、かように考えております。
○曾祢益君 労働大臣、最後に退職金の問題については慣用に比べると非常に悪い。その点は御承知の通りでありまするから、団体交渉によって直接いわゆるLSO並みの退職金をもらえるように政府もあっせん願えますか、この点明確にお答え願いたい。
○国務大臣(西田隆男君) 労働大臣としましては、改正案に対して側面的にさようなふうに実行するように慫慂いたしております。
○曾祢益君 労働大臣にもう一つ伺いますが、いわゆる過剰人員の配置転換等について先ほどお示しがあったのですが、これはほんとうに責任を持って、希望退職者に対しましても十分に、技術者については配置転換の準備ができている、それから技術を持っていない者に対してもその他の失対事業等についての準備が完了している、こういうお話でしたが、この前の衆議院の社会労働委員会のときの御答弁によりますと、何だか神奈川県知事のもとに本部ができて、それにまかせてあるやの御答弁であったと思うのです。そういうことでなくて、労働省本省においてこの点を十分に責任を持っておやりになる、こういう御答弁であるかどうか、もう一ぺん確認していただきたいと思います。
○国務大臣(西田隆男君) お答えいたします。ただいま曽祢さんのお話では、準備が完了しておるというふうにお話しになりましたが、まだどういう技能を持った人が何人どうなるかということははっきりいたしておりません。しかもその土地にそのままいついている人であるのか、あるいは通勤者であるのか、他に帰る人であるのかということもまだわかっておりません。従って対策本部を確立する準備は完了しておりまして、そういうことになりまするならば、当然六カ月間は退職手当金がもらえるわけで、退職手当金がもらえている間にすべてのものを解決つける、こういう観点に立って労働省では準備をやっております。対策本部長には神奈川県知事がやるのではいけない、労働省が責任を持てということですが、こういうことは神奈川県自体にも重大な関係がありまして、こういう問題はただ労働省だけでやればいいという筋合いのものではない。従って協力を求められる人はだれでも協力を求めて、労働者が失業という悲惨な目にあわないように万般の対策を立つべきだ。今までは神奈川県知事を本部長として、関係官庁は全郎寄って、そうして工場の各経営者は対策本部の委員になっていただきまして、そうして官界、民間、それから自治体側という三者協力態勢のもとに、できるだけ雇用をさせたい、こういうふうに考えております。従って仕事を持たない人たちに対しましては職を、特別な技能を持たない人は直ちに失業対策事業に従事してくれればいいのですが、それができなくて他の方面を望まれる人は職業補導所に入所願って、そこである程度の技術を覚えていただいて、職につくための便宜を計らって、その上で就職のあっせんをいたしたい、こういうふうに考えております。
○曾祢益君 私時間がございませんので、最後に総理にも外面大臣にももう一ぺん念押しをしておきたいと思うのですが、ぜひともアメリカとの交渉を至急にやっていただきたい、これが円満な解決の前提でございますから、ぜひ至急に発動していただきたい、交渉をやっていただきたい、この点を申し上げまして、私時間がありませんから……。
○国務大臣(鳩山一郎君) 承知しました。
○委員長(館哲二君) 本日はこれにて散会いたします。 午後五時十七分散会