本会議 第16号
- 発言数
- 50 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1955/05/27
会議録
○副議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。 —————・—————
○副議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。 日程第一、国務大臣の演説に関する件。 重光外務大臣から、日ソ国交問題に関し発言を求められております。この際、発言を許します。重光外務大臣。 〔国務大臣重光葵君登壇、拍手〕
○国務大臣(重光葵君) ソ連の対日宣戦以来、そのままになっておりました日ソの関係を正常化し、平和を回復するための交渉は、ようやく開かれる運びと相なりました。これまでの経緯は、すでに全部公表いたされましたところによって御承知の通りでありますが、その大要と、これに対処する政府の根本方針をあわせてここに明らかにいたしたいと思う次第でございます。 御承知のごとく、ソ連はサンフランシスコ平和条約の調印を拒否いたしまして以来、同じ態度をとり続けて参りましたのでありますが、国際情勢の文化に伴い、昨年半ばごろよりその態度を改めて、日本との平和正常の関係を回復するに異存のない意思表示をいたすに至りました。昨年十二月鳩山内閣成立直後、両国間の戦争状態をすみやかに終らしめ、平和の正常関係を回復したいという日本側の意向にこたえまして、ソ連側はこれに賛意を表するものであるとの趣旨を声明いたしました。越えて一月二十五日以来数次の往復を経て、二月十六日日ソ関係の正常化を目ざして、とり得べき措置について意見の交換をすることに双方の合意が成立いたしました。交渉の場所につきましても、四月二十六日にロンドンということが決定いたしました。ここにおいてわが方は、全権委員として国際関係の経験に富む衆議院議員松本俊一、前駐英大使を任命することに決定をいたしまして、これに関して国会の御承認を得た次第でございます。松本全権は不日出発いたしまして、六月初めに開かるべきロンドンにおける交渉に携わることになっております。 以上で明らかなように、今回の交渉の目的は、日ソ両国の関係を正常化することを目的としているものでありまして、両国が相互に受諾し得る条件を先見するために交渉を開始するわけでございます。すなわち、戦争状態を終結して、平和を回復するための平和条約を締結して、もって国交を樹立して外交使節を交換し得るようにすることか本交渉の目的でございます。平和を回復するためには、もちろん互いに他の立場を認めて、領土に対する主権を尊重し、内政に介入せず、紛争は平和的に解決するという精神を互いに確認することが必要と思うのであります。ソ連との間には、戦争の結果として、いろいろな問題が生じておりますが、今なお、ソ連に抑留されておる同胞の釈放帰還は、まっ先に解決をはからねばならぬ問題と信じます。さらに北海道所属の島々、千島、南樺太等のいわゆる領土問題、北洋漁業問題、通商貿易の問題、または日本の国連加入の問題等、全国民のひとしく大きな関心を持っておる問題が多々あるのでありまして、これらの問題につきましては、国民的要望に従い、極力その解決に努力する所存でございます。今回の対ソ交渉は、重大な外交交渉であるということは論を待ちません。かかる重大な外交交渉については、全国の力強き世論を背景とするにあらずんば、成し遂げ得るところではないと思います。この点につきましては、政府といたしましても、全力をあげて努力するつもりでございます。 そうでありますから、どうぞ以上の政府の所信を了とせられて、皆さん方の有力なる御支持を与えられんことをお願いする次第であります。(拍手)
○副議長(重宗雄三君) ただいまの国務大臣の発言に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。小滝彬君。 〔小滝彬君登壇、拍手〕
○小滝彬君 私は、すでにこれまでしばしば参議院自由党を代表いたしまして、日ソ間唐に関する政府の所見をただして参ったのでありますが、そのつど総理初め関係閣僚の答弁に失望と不安の念を禁じ得なかったのであります。しかしこの私の失望と不安とは決して私限りのものではなくして、現に政府与党の議員諸君の中にも、私と同じ感じをもって対ソ交渉の前途をいたく懸念している人の少くないことを、私はここではっきりと申し上げ得るのであります。(拍手)しかし政府は、近日中にいよいよ松本全権をロンドンに派遣して、対ソ交渉に乗り出そうとしておるのでありますから、私は政府閣僚及び松本全権が、この際、真に憂国の至情から発する私どもの警告を十二分に留意せられまして、一時的の政略のため百年の計を誤まるがごときことのなきよう、あくまできぜんたる態度で交渉に臨まれんことを衷心から念願するものであります。(拍手)一体自由党はソ連との国交回復の交渉について、政府が周到な用意と警戒とをもってこれに当り、十分その前提条件を満たした上で国交回復の挙に出ようとするものであれば、もちろんこれに何らの反対をするものではございません。 まず質問に先だって、今次交渉に臨む態度はいかがあるべきかということについて、私どもの所見を簡単に申し述べますならば、(「どこの所見だ」と呼ぶ者あり)黙って聞いて下さい。第一は、日本は英米その他自由諸国家との関係を基盤としない限り、日本の将来の安全も発展も十分これを期し得ないばかりでなく、これなくしては対ソ交渉そのものも、とうてい強力に推進し得ないと確信いたすものでありますがゆえに、この外交の基調は絶対にくずさない。いやしくもこの基調に反するかごとき相手国の主張は断固として排撃するということが最も肝要であります その次には、日本の国際的立場や国内の治安にかりそめにも禍根を残すような軽はずみな取りきめをなすがごときことのないように、決して功をあせることなく、最も慎重にかつ十分警戒的な態度をもって辛抱強く交渉に当ること、この態度をあくまで堅持いたしていただかなければならないのであります。 次に、およそ交渉事は、もちろん相手のあることであり、一方的にすべての条件をこちらからディクテートすることができないということは、私も十分承知いたしておりますが、しかし平和回復の前提条件たるべき重要懸案の解決を後日に譲って、取りあえず名義上の平和回復をもって第一歩を踏み出すというような態度は、あるいは国内の左翼系の諸君からは拍手かっさいを受けることができるかもしれない。(拍手)しかしこれは一体それ以外に何があるか、むしろ有害無益であります。(「勝手なことを言っているじゃないか」と呼ぶ者あり)もし鳩山総理再三の声明の通り、日ソ交渉を世界平和の達成に役立たしたいという考えであるならば、それは平和回復につながる諸懸案を、まずポツダム宣言の趣旨に従って、正義の見地から解決していくことにあるのでありまして、このような立場からいたしまして、私は次の諸点について関係閣僚の諸君に質問いたしたい。 まず総理は、去る五月十二日衆議院の予算委員会において、ソ連が日本に対して理由なく侵略してくるおそれはない、それは世界の常識である、こういうように述べておられる。(「その通り」と呼ぶ者あり)さらに五月十四日外務委員会において、外務大臣が国際関係の緊張の度が増したと言ったのはどういう観点からか私にはわかりません、(「われわれにもわからん」と呼ぶ者あり)このように言って、今国会劈頭の重光外相の外交演説をこきおろしておられるのであります。しかし現在ソ連が平和的態度に出ておるのは、西欧陣営があくまでパリ条約を成立せしめて西ドイツの再軍備に邁進した、この力の外交の結果であり、またソ連の困難な国内事情にもよるものでありまして、これは単にソ連がその戦術を一時的に変更したにすぎないと見るのが世界の常識であります。(「独断だ」「どこの世界だ」と呼ぶ者あり)従って英国のイーデン首相も、今次の選挙戦におきまして、平和はただこれを希望するだけでは達成できない、われわれは断固としてこれを勝ちとらなければならない、弱さは戦いを招き、または戦わざる屈服を招くに過ぎないというように喝破いたしておるのでありまするが、さらに米国のダレス長官は、去る火曜日、二十四日の定例記者会見において、また水曜日の二十五日の下院外交委員会の証言において、まだ世界に危険の去りやらぬ今日においては、依然として対ソ警戒をゆるめてはならないということを強調いたしておるのであります。これら二大強国の指導者に比して弱小日本の鳩山総理は、何という楽天家であることか、世界の人々は日本の総理大臣の頭脳が果してノーマルな状態にあるかどうかを疑わざるを得ないだろうと存じます。(拍手)思うに、国際情勢の判断如何は、今次交渉に対する政府の心がまえに重大な関係がありますので、この際、総理及び外務大臣から、あらためて国際情勢についての御所見を披瀝願いたいのであります。 次に、総理はこれまでしばしば超党派外交を云々せられ、最近では各党首領と個別的に懇談をするという考えで進んでおられるようでありますが、日本政界の現状は、英国や米国の二大政党対立とは全然その様相を異にいたしておるのであります。現在左翼系の諸君は、何とか人のいい鳩山総理をおだてて、懸案の解決などはあまりこだわらないで、速急に平和回復という形を作り上げたいという考えのようでありますが、われわれはこのようなやり方には非常な危険があると政府に警告するものであることは、先ほど申し上げた通りであります。この実情においては、鳩山総理がその性格を発揮せられて、八方美人的な態度に出られましたならば、それは結局現内閣の自殺行為であるばかりではなく、日本の国家を民主主義国家群における孤児となすおそれなきを保しがたいのであります。(拍手) 従いまして、私はこの際、鳩山総理が、外交上著しくその主義主張を異にする各政党から、それぞれ微温的な支持を得んと哀顧せられるよりも、むしろ日本の国際的地位を正しく認識せられて、きぜんたる態度で対ソ交渉に臨まれることこそ、真に日本国家に対する超党派的貢献であると信ずるものであります。(拍手)この点について総理の率直なる御所信をお伺いいたした さらに、今次交渉において私の最もおそれますことは、日本をできるだけ中立化しよう、できるだけ日米関係を冷却させようという魂胆から、ソ連側は日本の大衆にアピールするような、相当大幅な、予期以上の譲歩をなすかもしれない。(「結構じゃないか」と呼ぶ者あり)しかし、そのかわり他方では、日本の将来の安全と発展に大きな支障を来たすような反対要求を、巧みな装いをこらして、こっそりとこちらへ提示してくるというような場合において、政府は果してこれを断固退ける覚悟と勇気とを有するやいなや、この点であります。鳩山総理は、これまでしばしば衆参両院における答弁におきまして、日本外交の基調を忘却して、日米協力も対ソ協調も、いずれも同様重要であるといった趣旨を繰り返しておられるのであります。もし総理がこのような本末転倒したような考え方であれば、その間に日米離間を策する国内の親の分子の策動もこれに伴って参るのでありますから、これはむしろ双方の主張が完全に対立する場合よりもかえって危険であり、このような場合に処しての政府の対内的な措置や対外交渉の指導ぶりいかんは、日本の将来を左右する重大問題であります。従ってかかる場合に対処する総理及び外務大臣の基本的な考え方、またその覚悟のほどを、ここにあらためてお伺いいたしておきたい次第でございます。(「何もするなということじゃないか」と呼ぶ者あり)違う。もうすでに述べた通りだ。 さて、先ほどの外務大臣の演説について率直な感じを申しまするならば、これは従来の経緯と交渉の目的や、懸案事項をすこぶる平面的に陳述、羅列したに過ぎないものでありまして、何ら断固たる決意も所信をうかがうことができない。まことに心細い限りであります。ところで、この演説の中ではいろいろ平和回復のための必要条件を述べられましたあとで、懸案解決にも努力する旨つけ加えてありますが、これは総理が数日前も本院の外務委員会で、たしか佐多君の質問に答えて述べられたような、むつかしい懸案はあと回しにして、逐次解決しようとする考えがだんだんと外務大臣にも感染してきて、これを巧妙にベールをかぶせて表現しようと努力せられた結果ではなかろうかとも疑われるのであります。果してこのような安易な考え方を外務大臣までがお持ちになるようになったとすれば、これはまたきわめて重大問題と思いまするので、この点についての真意のほどを外務大臣から率直に御説明願いたいのであります。(「外務政務次官のときに秘密協定があるな」と呼ぶ者あり)黙って聞け。 最後に、大麻国務大臣にお伺いいたしたいのは、日ソ交渉と治安との関係であります。(「関係ないよ」と呼ぶ者あり)非常に関係がある。巷間伝えるところによれば、当初鳩山総理とドムニツキーとをあっせんした人々や、その後日ソ関係に関して、総理を取り巻いている人々の中には、共産系の分子、ないしはその一派が重要な役割を演じておるということでありますが、大麻国務相は、単にこれは巷間の流言に過ぎないと、一笑に付せられるだけの十分な御自信がおありであるかどうか。またかりに現在の国内情勢のもとにおいて、ソ連と平和条約が結ばれたとすれば、その条約中にたとえ、先ほど重光外務大臣が申されましたように内政不干渉の原則がうたわれておるといたしましても、従来の国際的経験から考えまして、外交特権を持つ膨大な使節団が日本に入国して参りましたならば、その使節団の一部が謀略的な活動を行う危険が全然ないということは、とうてい断言し得ないと存じます。(拍手)大麻国務大臣は、かかる可能性に対する万全の準備と、これに対処する十分の自信とをお持ちであるかどうか。この点は国民の深く憂慮をいたしておるところでありまするから、どうか大麻国務大臣は、とぼけたふりをしないで、(拍手、笑声)一つ国民にわかるように、はっきりと御答弁をお願いいたします。 以上をもちまして私の質問を終りますが、要は、この日ソ交渉という国民的重大課題に直面する各関係大臣の心がまえいかんにあるのでありまするから、各大臣はこの国会を通じて、一般国民に対し懇切にその所信を披瀝せられんことを切望いたしてやまないのであります。(拍手) 〔国務大臣鳩山一郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(鳩山一郎君) 小瀧君の御質問に対して答弁をいたします。 外交の基本が、自由主義国家群と協力関係を推進していきたいということにあって、同時にソ連との国際関係を正常に戻したいという、二つの方面があるということは、たびたび申し上げた通りであります。それと同時に、ソ連とどういう態度でもって交渉をするのかという御質問もありましたが、ソ連とはいくさをいたしまして、いくさをした後の跡始末がついていないのでありますから、いくさした結果、(「一方的戦争だ」と呼ぶ者あり)いくさした結果生じたところの、領土が占領せられたり、ソ連に参りまして帰ってこない抑留者の人たちを帰してもらったり、戦争によって起きたところの、いろいろの事件を戦争終結後に片づけて、そうして国際関係を正常化することは当然な事柄だと思いますので、そういう態度でもってソ連との交渉をしたいと思っておるのであります。(拍手) 大体、それだけでもって、小瀧君の御質問のお答えになっておると思います。 〔国務大臣重光葵君登壇〕
○国務大臣(重光葵君) 総理の御説明で尽きているように考えますが、(笑声)私にも御質問がありましたから、私の考え方を簡単に申し上げます。 国際関係が非常に緊張をいたしておるということを私が申したことについて御批評がありました。私は緊張が続いておるとと思います。しかし、この緊張をできるだけ緩和したいという試みが至るところ、きわめて熱心に行われておるという事実も、もとより否定するわけではございません。それが行われておるということを認めます。それと同時に、日本といたしましても、少しでもこれに貢献をするようにしむけることが必要であろうと考えます。戦争状態をやめて平和を回復したいというこの日ソ交渉の趣旨は、私は日本としてとらなければならぬ方針であると思います。そしてそれについては今、御賛成を得たことを私は非常に感謝する次第であります。(「誰が賛成したか」と呼ぶ者あり、笑声) さて、懸案の解決、私は日ソ関係について、懸案を解決することについては、終始一貫同じことを申しております。これにつきましては、重要懸案はあくまで解決する方針をもって最善の努力をこの交渉について尽したい、こう考えておる次第でございます。 〔国務大臣大麻唯男君登壇〕
○国務大臣(大麻唯男君) お答えを申し上げます。(「とぼけていちゃだめだぞ。」「声が聞えない、もっと大きい声で」と呼ぶ者あり) ソ連の外交官がもし日本に参りましても、そのことによって直ちにわが国内の治安に大きな影響があるとは考えておりません。(「その通り」「はっきりしている」と呼ぶ者あり)はっきりしていますか。(「質問を忘れたのか」と呼ぶ者あり)しかし若干その外交官等にも、それによってわが国の、日本の民主主義的基盤が動揺するものとも考えておりません。万一国内法を無視して、わが国内の治安を害するような行動がありましたならば、それは断固として万全の処置を講ずるつもりでございますから、どうか御安心を願いたいと思います。はっきり申し上げておきます。(拍手)
○副議長(重宗雄三君) 梶原茂嘉君。 〔梶原茂嘉君登壇、拍手〕
○梶原茂嘉君 私は日ソ交渉に関しまする重光外務大臣の、わが方の方針に関するただいまの演説に対しまして、若干の質問をいたさんとするものであります。 終戦以来、すでに十年余を経過いたしました今日、日ソの関係が正常化せられ、平和を回復する方向へ向う交渉が近く開催せられますことは、そのこと自体は、私はまことに喜ぶべきことと思うのであります。明日の出発を控えまして、松本全権の健闘と成功に、私は深く期待をするものであります。しかしながら、事は相対峙いたしておりまする二つの陣営の相手方の共産国に関するものであり、対日宣戦前後から今日に及びまする経緯にかんがみましても、この交渉に十分なる成果を期待する上には、容易ならざる困難を伴うものであろうことは、これまた想像にかたくないのであります。言うまでもなく本交渉は、わが国の運命に関する重大な事柄であるのみならず、世界の平和にもひいて大きな影響を有するものでありまするがゆえに、わが国の正しい主張、これが貫徹され、わが国の正当な立場が確保されての正常な国交の回復でなければならないということは、これは言うまでもないところであります。たとえ国交が回復いたしましても、わが国の正当な主張とその立場が、また平和それ自体が、その後にわたって確保される前提のもとでなければ、かえってより大きな不幸をわが国民の将来に与え、かえってまた世界の平和への災いを残すおそれがあるものと言わなければならないと思うのであります、(拍手)それだけに日ソ交渉に当りましては、長きにわたっての強靱な態度と、きわめて慎重な態度を必要とするのであります。これは当然のことと思われるのでありますが、本交渉に取り組まれつつありまする鳩山総理の態度には、少からざる不安の念を抱かざるを得ないことを私はきわめて遺憾とするものであります。今後の交渉の実際に当って、いやしくもかかる不安の念が国民の間にないように、格段の御留意を願いたいと思うのであります。また、鳩山総理と外務大臣の見解の間には、これはしばしばの否定がされているにもかかわらず、いまだになお微妙な食い違いを残していることを私は見逃がし得ないのであります。(拍手) 質問の第一点は、来月より始められまするこの日ソ交渉の性格についてであります。外務大臣は今の演説の前段において「一月二十五日以来数次の往復を経て二月十六日日ソ関係の正常化を目ざし「とり得べき諸措置について意見の交換をする……」とあります。たしかドムニツキー氏の文書にもさようの表現があったことを私は記憶いたしているのであります。ところが演説の後段におきましては、「戦争状態を終結して平和を回復するための平和条約を締結し、もって国交を樹立し」云々とあるのであります。すなわちこの前段の、日ソ関係の正常化を目ざし「とり得るべき諸措置についての意見の交換」という表現と、「平和条約締結」云々の表現とは、非常な隔たりがあるわけであります。今回の交渉は、平和条約の締結ということを内容とするものであるのか、あるいは単にそれに至るまでの一つの前提として、種々の意見の交換をするという程度にとどまるものであるのか、松本全権に与えられておりまする全権としての権限の範囲いかん等を、念のために外務大臣より明確にされたいと思うのであります。 第二は、日ソ交渉に関連しての総理の平和に関する御見解をただしたい。総理は、しばしば平和についての発言をされておるのであります。平和の確保には、もちろん重大な責任が伴うものであると私は思うのであります。危険に目をおおって、安易に安全を期待するということは、時にイリュージョンに陥るおそれがあるのでありまして、かえって破局的な結末をもたらす危険さえあると思われるのであります。今日責任のある政治家の言う平和には、それぞれその内容に明確なる実体があり、明確なる理念が前提とされておるのであります。言うまでもなく、一つは集団的安全保障体制を基盤とする平和であります。一つは外務大臣の演説にありますように、互いに他の領土に対する主権を、尊重し、内政に対しては干渉せず、紛争は平和的に解決するという精神を基調とするものであります。これは最近ソ連なり中共においても唱道しておるところであります。外務大臣もその精神の確認をこの際に必要とするように説かれておるのであります。いわゆる自由、共産両陣営の安全保障体制に参加することなしに、平和共存、平和五原則の道に平和を求めんとするものであります。この二つがあるのでありますが、わが国はもちろん自由諸国の一員であって、日米安全保障条約を基盤としていることは、現実の問題として今さら言うを待たないのであります。もとより、この日米の関係が今後の日ソの国交の回復を妨げるものとは私は毛頭考えないのであります。しかしながら、日ソ交渉のあり方いかんによりましては、日米間の現在の状況に、程度の差はありましょうけれども、何らかの変化をもたらすものと私は思うのであります。全然変化なしというのではなくて、何らかの変化がそこに起ってくるものと私は考えるのであります。総理はかかる場合において、総理の言われる平和の実質的の裏づけというものをどこに見出されんとされるのでありますか、この点を伺いたい。過般の本会議において、総理は日米安全保障条約の改正の必要も提唱されたと記憶いたしております。日米間に何らかの変化を想定するのか、あるいは日米間の関係に何らの変化を生ぜしめないと考えられるのか、その点についての見解をお伺いしたいと思います。 次に、日ソ交渉と、中共とわが国との間の国交の正常化の関係であります。総理は日ソの国交正常化とともに、中共とわが国との間の国交回復につきましても、非常な熱意を示されておるのであります。私はその点に深く敬意を表するのであります。しかしながら、サンフランシスコ平和会議におきまして、ソ連はこれに中共が参加していないことについて遺憾の意を表し、きびしい非難を加えておりましたことは御承知の通りであります。こういう事実に照らしましても、また日ソ交渉の実体から考えましても、さらにソビエトと中共との特別の関係から見ましても、日ソ交渉に当ってわが国と中共との関係が、何らかの形において問題として現われてくるであろうことは、これは想像にかたくないのであります。総理は中国については、中共と台湾の二つの国家が存在すると考える見解を表明せられておるのであります。日ソ交渉に当りまして、中共とわが国との国交の正常化について、相当明確なる態度をとって臨むことを私は必要とするのではないかと思うのであります。この点についての総理の御見解を伺いたいと思います。 それから次に、日ソ交渉に当っての処理については、しばしば言われておりますように、二つの基本的な態度がある。一つはとにもかくにも戦争終結の宣言と申しますか、この際とりあえず国交回復の糸口を作ってしかる後に正常なる国交回復の実質を期待していくという考え方と、あくまで日ソ交渉に当っては、基本的な実質問題を解決してかかるという考え方があるのであります。前者の、単純に戦争終結の宣言を出して、それによって国交回復の端緒をつかむということ、このこと自体は、私はそれはそれなりに相当の意義と効果があると思うのであります。しかしながら、その場合においては、その後にくるものについての処理の見通し、また情勢の判断というものに誤まりがありまする場合は、結果において思わざる混乱を生じ、わが国のみが不当な立場に陥る危険があると思われるのであります。従ってかかる場合の処理につきましては、きわめて慎重なる態度で臨むことを肝要と考えるのであります。総理の所見を伺いたい。 最後に、日ソ交渉とサンフランシスコ平和条約との関係であります。従来吉田内閣におきましては、サンフランシスコ平和条約の線によって日ソ両国の国交を回復することについては、毛頭異議がない態度を表明して参ったのであります。今回の日ソ交渉に当りましては、サンフランシスコ平和条約の線とは多少わが方の方針が違うようであります。日ソ交渉とサンフランシスコ平和条約との関係を、その関連性をいかように考えておられるか、この点に関する御見解を伺いたいと思うのであります。 以上の五点について質問をいたしまして、私の質問を終ります。(拍手) 〔国務大臣鳩山一郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(鳩山一郎君) 梶原君の御質疑に対してお答えをいたします。 集団安全保障を基礎として平和外交を推進するその気持には、少しも変りはございません。中立的立場で平和に寄与せんとするのは、実際的ではないと思っております。 中共問題についても御質問がありましたが、中共に対しては、政府としては貿易の増進に協力をしていきたいと考えております。 平和の保障についてまた御質問がありましたが、これは日米関係の変化、協力の関係を変化するというようなことは、全く考えておりません。 それからソ連との国際関係を正常化するということを、ほかの言葉をもって言えば、戦争状態の終結未確定の事態を戦争状態終結確定の事態に持っていきたいというのであります。そういう気持でソ連との交渉をいたしたいと思います。ソ連と日本とがともに平和五原則を守って、文字通りになるということを望むことは当然の事柄であります。慎重な態度をとってくれというお話でありますが、もとより慎重な態度をとるのは当然でございます。(拍手) 〔国務大臣重光葵君登壇、拍手〕
○国務大臣(重光葵君) 私に対する御質問のおもな点は、私のただいまいたしました報告演説の中の部分であったと思います。相互に受諾し得る条件を見出すために交渉をするということは、この日ソ交渉の交渉自体のことを申し上げたのであります。その交渉によって平和を回復する、国交を正常化する目的を達したい、そうして平和条約を締結をしたいというのが、この交渉の目的でございます。私はその間に少しも矛盾はないと思います。そうして両国の間に存在しておる各種の懸案問題について、十分にわが方の主張を貫徹すべく努力するのがこの交渉の任務であると、こう考えております。それらのことに、いわゆるその任務を遂行するに当って、きわめてこれは慎重な態度をもって、国際関係も考慮し、また内外の情勢をも見て、十分に目的を達するようにしていくということについては、今お話の御趣旨には私はきわめて共鳴をするものでございます。慎重にやらなければならぬと思います。そうしてそれにはまず第一に、重要な懸案問題は、これは十分わが方の主張を貫徹するように努力するということが、一番の重要な点だと、こう考えております。(拍手)
○副議長(重宗雄三君) 岡田宗司君。 〔岡田宗司君登壇、拍手〕
○岡田宗司君 今回、政府が松本全権をロンドンに派遣いたしまして、日ソ国交回復のために交渉を開始しようという措置をとられたことに対しましては、かねがね日ソの国交回復が急務であることを主張して参りましたわが党といたしましては、これを心から歓迎するものであります。(拍手)それと同時に、日本政府が自主独立の立場からいたしまして、あるいは起るかもしれない第三国の干渉、圧迫等を排しまして、すみやかに交渉の円満妥結をはかり、もって両国の国交回復が世界の緊張を緩和し、自由、共産両陣営の共存に資し、ひいては世界平和の確立を促進することに大いなる貢献をなすことを期待しておるのであります。かかる見地からいたしまして、私は日ソ交渉に臨む政府の所信につきまして、鳩山総理並びに重光外務大臣に対しまして、若干の質問をいたす次第でございます。 第一は、最近の国際政局の動向と日ソの国交回復の関係について、首相はいかに考えられるかという点であります。昨年夏のジュネーブ会議でインドシナにおける休戦の成立を見てから、国際的緊張はやわらぐ方向に進んでおるように見えておるのでありますが、特に最近、米ソ英仏四国がウイーンで条約を締結し、オーストリアの独立を回復し中立を保障しましたことや、まだソ連のブルガーニン首相らがユーゴを訪問し、また七月には四大国巨頭会談が予定される等、かような動きを見て参りますというと、一そう国際緊張を緩和し、両陣営の共存、また世界平和確立に一歩ずつ進んでおるように見受けられるのであります。今、日ソ交渉はかかる国際政局の動向を背景といたしまして、いな、その一環として行われるのでありまして、米ソの対立の激化のために、また吉田内閣のアメリカ一辺倒政策のために、久しくほったらかされておりました日ソ両国の関係を、単に外交技術的に解決しようというだけのものではないのでありまして、われわれは日ソ交渉が、単に戦争によって断ち切られておりました日本とソ連との国交回復というだけのものではなくて、国際緊張の緩和と世界平和、アジアの平和の確立を促進する上において、重要な意義を有するものであることを理解しておるのでございますが、総理大臣は最近の国際政局の動向をいかに考えておられるか。また最近ソ連等によって行われておる諸方策を単に自由党の諸君の考えておられるように、宣伝であるとか、あるいは謀略であるとかいうだけで、これを排されえるものではないと思うのでございますが、これらの動きが、世界の平和の確立にとって重要であるかどうかということについての御見解を承わりたい。それと同時に、またこの国際動向と日ソ交渉との関係をどういうふうに考えられておるかを承わりたいのでございます。 第二に承わりたい点は、交渉に当りましての政府の基本的な方針であります。重光外相の演説を伺っておりますというと、この日ソの交渉に当りまして、いろいろなむずかしい問題があることを指摘されておるのでありますが、自由党の諸君は、これが解決されなければ、日ソ交渉を成立せしむべきでないというような意見をとっておられる。また、もしこれを自由党の諸君のいうように、すべての懸案が解決しなければ平和条約を結べないというのでありますならば、事実平和条約を締結するということは遠いかなたに押しやられてしまうことでありまして、今のような状態が、そのままいつまでも続くことになるのであります。私どもはそのような自由党の考え方は、まことに世界の情勢を見ざる短見であると思うのでございますが、政府はこの交渉に当りまして、まず戦争終結の宣言を発し、さらに平和条約を結んで、もちろん諸般の問題につきましての交渉を行いつつでありますが、すべてが解決しないでも、ある程度見通しがつき、あるいはその後において交渉によって諸般のむずかしい問題の解決がなされるというようなことでありますならば、できるだけ早く平和条約を結ぶというお考えであるかどうか、この点についていかなる基本的な方針で臨まれるかということをお伺いしたいのでございます。われわれはこの交渉は十分に弾力性を持って行いまして、すべての懸案の解決をした上でなければ国交回復をすべきではないというのではなくて、まず戦争終結の共同宣言によりまして、法的にはまだ両国間に存する戦争状態の解決をはかり、領土と主権の尊重、不侵略、内政不干渉、互恵平等、平和共存の諸原則、すなわち周恩来中国首相とネール・インド首相との間で了解されましたいわゆる平和五原則に基く簡単な条約を締結し、まず国交回復をはかり、これと並行し、あるいはこの後にむずかしい問題の解決をはかることが、早期に日ソの国交を軌道にのせる妥当な方針と信ずるのでありますが、政府のこの点に関する方針を承わりたいのであります。 第三にお伺いしたいのは、いわゆる平和三原則についてでございますが、ただいま首相は平和五原則を認められるような御発言がございました。昨年の夏、周恩来中国首相によりまして提議されましたいわゆる平和五原則、すなわち領土と主権の尊重、不侵略、内政不干渉、互恵平等、平和共存の諸原則は、ひとり中国の方針のみではなくて、ソ連をも含む共産主義諸国の外交方針とも見られるのであります。おそらく今回の日ソ交渉に当りましても、これらの諸問題について論議が行われるでありましょうが、われわれはどれをとって見ましても何ら反対すべきものではない。かかる原則に基いて、かつこれが実行の確約をされる平和条約の締結をこいねがうものであります。この平和五原則について首相はどうお考えになっておられるか、これをお伺いしたいのでございます。 第四にお伺いしたいのは日本の中立化という問題でございます。ただいま首相は、その立場はとらないように言われたのでありますが、ウイーン条約におきましてオーストリアの中立が四大国によって保障されることになりました。これは欧州における平和の確立に新しい局面を開いたものであります。日本の中立化の問題は、両陣営の接触線上にある日本の安全並びに東洋の平和問題につきまして、十分に考えなければならぬ問題でありますが、これを一がいに頭から原則的に否定するようなことではなくて、私は十分に日本の東洋における地位からいたしまして考えなければならぬと思うのでありますが、この点につきましての首相のお考えをさらに詳しくお尋ねしたいのでございます。 第五にお尋ねしたいことは、今回の日ソ国交回復の交渉の開始に先だちまして、首相は昨日、自由党、左右社会党の党首、参議院の緑風会の代表とこの問題について会談されたのでございます。これは各党の協力、国民の大多数の支持のもとに日ソ交渉を進めようとする首相の熱意もうかがわれるところでありまして、吉田首相の極端な秘密独善外交の方法に比べまして、われわれの大いに好感を持てる点でございますが、これは一ぺん限りのものであってはならないのであります。交渉は必ずしも何ら波乱もなく短時日のうちに終結するものとは私どもも考えておらないのであります。その間また、各党首と会見し、あるいは経過を報告し、意見を交換するおつもりであるかどうか。これは日本におきまして新しい政治的慣習を作る道を開いたものでありまして、われわれは政治上重要な意義を持つものと考えているのでありますが、この点につきまして今後どうするかということを首相にお伺いしたいのでございます。 最後にお伺いしたいのは、この内閣が日ソ国交回復にどの程度の熱意と決心を持っているかという点でございます。サンフランシスコ条約の効力が発生いたしまして、日本が占領を解除されました後においても、アメリカの大きな圧力が日本の対外政策に加えられまして、吉田内閣はこの方針に唯々諾々として従って参りまして、日ソの国交回復、これを放置しておったのでございます。今後日本が日ソの国交回復、中国との貿易促進等、共産圏諸国との交渉を持つことをアメリカは喜ぶはずはないのであります。陰に陽にこれに対しまして妨害を加えてくることが予想されるのでありますが、かかる妨害干渉を排除しまして、独立自主の立場から、この交渉を進めて行く決意を持っておられるかどうか、この点をお伺いしたいのであります。また、さきに三木武吉氏ら保守合同につきましての談話からいたしますと、鳩山首相の比較的早い時期における引退がほのめかされているのでありますが、これに対して鳩山氏は、さきに衆議院におきまして、日ソ交渉が成立するまでは自分はやめないのだということを言っておられたのでありますが、首相は、あなたを棚上げにするような舞台裏の取引にのせられることなく、この交渉をあなたの手でどんどんと進めて行って、国交回復をすみやかに成立させる決意をお持ちであるかどうか、その決意を念のためにお伺いしておきたいのでございます。(拍手) 以上をもちまして私の質疑を終りたいと思います。 〔国務大臣鳩山一郎君登壇〕
○国務大臣(鳩山一郎君) 岡田君の御質問にお答えをいたします。 岡田君から、世界の情勢が緊張緩和の方向に向っていると考えるかという御質問がありましたが、世界の情勢は緊張緩和の方向に向っているという観測については、岡田君と同様な考え方を持っております。(拍手) 対ソ交渉と諸懸案の解決、これは国交を正常化するというのには、戦争によって生じたところの諸懸案を解決するというのが当然だと考えております。諾懸案の解決をはかって、そうして国交を調整いたしたいと考えております。 ソ連との関係について、中立化を考えているかというお話でありましたが、日本は、今、安保条約を結んで日本の国を防衛しているわけでありまして、国による平和を全然無視するということは実際的ではございません。ですから、中立化ということを考えることは、実際的でないと私は考えております。 それから保守合同について最後にお話がありましたが、私は引退を理由として予算案の通過、あるいは内閣の延命策を考えるということは、全然不公明なことだと思いますので、そういうことはいたしません。 平和五原則は、これを文字通りに言えば、反対することは少しもないのでありますが、そういうことを言うよりも、日本は、国際連合規約の原則に従って行動したいと言う方が無難だと思っております。(笑声、拍手) 〔国務大臣重光葵君登壇〕
○国務大臣(重光葵君) お答えいたします。 これまでの御説明で尽きておるとは思いますが、しかし、主として御質問の点は、交渉によってどういう程度の案件の解決で満足するかという点が、私に対する御質問のおもなるものであったと思います。私は、この点においても先ほど御説明をいたしました通りに、戦争状態をやめて平和を回復しようというのでありますから、戦争によって生じた重大ないろいろの問題を解決しなければ、平和は回復することはできぬと思います。しかし、それだからといって、戦争に関係ないような案件があれば、これはむろんこの交渉のいかんにかかわらず、これは別途にやらなければならぬと思います。たとえば前回の日ソ交渉におきましても、御承知の通りに北京の基本協定におきまして通商協定をやるという主義上の問題を解決をいたしまして、通商協定の交渉は、あとに延ばしました。しかし、その交渉は、ついに結実せずして国交断絶に至ったわけでございますが、必ずしもそういうことがないとは申されませんけれども、しかし今日は、交渉に臨む今場合でございます。従いまして、交渉に臨むに当りましては、両方の国に、双方の間に横たわっている案件は、わが方の主張を十分にいたしまして、それによって満足を得て解決をするように全力をあげるという方針をもって臨むのほかはございません。その一途で参るつもりでございます。 中立の問題についてもお話がございました。これは、今、総理大臣からの説明で尽きているとは思いますが、オーストリヤの中立の問題について、今盛んに国際間に議論がある、また、観測が行われているということも御承知の通りでございます。これはソ連の中立政策、ソ連は中立政策をもってその本来の目的を達しようとしているとまで評論家は言って、非常にこれを重く見ております。その中立政策が、東洋、アジア方面にも及ぼされるものではないかといって、非常にまあ、みんなそれについて注目をいたしております。私もまたこれは慎重に検討し、相手の出方を見なければならぬと思います。思いますが、日本といたしましては、むろんかような基本的の問題については、今日すでに解決を見ている点が多い、解決を見ているのであります。これは今、総理大臣が言われた通り、この立場を十分に守って、そしてわが方の主張を十分にいたし、貫徹をするということに努めたいと思います。オーストリヤの国情及び国際関係と、日本の置かれている環境とは全然違うことは、私があらためて申すまでもないことでございます。以上。(拍手) 〔岡田宗司君登壇〕
○岡田宗司君 首相に一つお伺いしたいのでございますが、昨日行われました各党首との会談について、今後もさようなことを行うかどうか。これは政治慣習に新しい道を開くものであると思うのでありますが、今後もそれをおやりになるかどうかをお答え願いたいと存じます。
○国務大臣(鳩山一郎君) はなはだ失礼でありますが、お許しを得まして、ここで答弁させていただきます。 昨日も諸君とお約束をいたしたのでありますが、これからソ連との交渉については、時々こういうような会合をして、そういう諸君の注意を承わりたい。よく皆さんから、重要案件の解決と、平和の取りきめとの関係について質問がずいぶん多いのであります。そういうような点については、御相談をした方が非常に有益だと思いますので、そういうような手続をとって参りたいと思っておるのであります。私の方からそうしたいことを申しまして、諸君の御協力を得たいと思います。(拍手)
○副議長(重宗雄三君) 曾祢益君。 〔曾祢益君登壇、拍手〕
○曾祢益君 私は、社会党第二控室を代表いたしまして、ただいまの重光外務大臣の御説明に対して、若干の御質問を申し上げたいと思います。 〔副議長退席、議長着席〕 まずわが党のこの日ソ国交調整問題に関する基本的な立場を申し上げたいのでございまするが、鳩山内閣成立以来、われわれは完全野党の立場に立って、公約の履行を監視するという立場にあるわけであります。公約のうちで正しいものはわれわれはこれを督励する、こういう視点に立っておるのであります。日ソ国交の調整は、まさしくこの正しい方向の一つだと信じます。(拍手)ことに日ソ国交調整問題は、いわばサンフランシスコ講和に比すべき国家的、国民的重大な問題であります。従いまして与党といわず、野党といわず、なし得る限り党利党略的見地にとらわれない、なし得るならばいわゆる挙国的体制を整えることが望ましいと考えるのであります。(拍手)われわれはかような意味から、昨日もわが党の委員長並びに左派社会党鈴木委員長が同道いたしまして、こちらから進んで総理大臣にお目にかかり、そうしてかような気持から、昨日申し上げましたように三項目にわたる基本的な考え方をお示し申し上げ、この考え方において御努力願うならば、われわれはこれを激励し、われわれは支援を惜しまないという態度に立ったものでございます。従いまして私は以下その観点に立ちながら若干の点について御質問をいたしますので、どうか鳩山総理並びに外務大臣から詳細懇篤な御回答を願いたいと存じます。 まず第一は、これは同僚岡田議員からも指摘された点でありますが、この国交調整の目的でございます。外相の御説明によると、この交渉の目的というものが両国関係の正常化、さらにこれをはっきり言うならば、平和条約の締結による国交回復と外交使節の交換であると、きわめて明確に述べられておるのであります。これは私たちも全く賛成でございます。同時に外相は第二項において、日ソ間には戦争の結果生じた諸懸案、すなわち戦犯を含む抑留者の帰還の問題、公海漁業の問題、通商の正常化の問題、日本の国連参加の問題、領土問題等があって、いやしくも国交を回復するという以上は、これらの諸懸案の解決に最大の努力をしなければならない、かように言っておられること、これまたわれわれ同感でございます。しかし、そこにおきまして重要な点は、主目的が国交の回復である、平和条約の締結である、こういうことをはっきり打ち出されて、しかしてこの主目的と諸懸案の解決との関係をいかにあんばいするかという、この点については、明確なる御説明がないのであります。従来政府の態度も、この点についてはきわめてそのつど主義で明確を欠いて参りました。私はただいま申し上げたように、外相の言われる主目的が国交回復、すなわち平和条約の締結にある。しからば、すべての懸案が解決しない限りは国交回復をやってはならないという、いわゆる吉田内閣のとって参りましたときのあの方式ははっきり反対である、基本的な考えにおいて反対である、この点をこの際明確になさるお考えはないか。たとえば外相が通商航海条約はおくれるであろう、そういうことは当然でございましょう。すべての懸案か解決しなければ平和条約は結ばない、国交調整はしない、この考え方でいくならば壁に突き当ることは明々白々ではないか、そういう吉田方式を排撃する意味をはっきり伺いたいのでございまするが、御意向はいかがでございますか。 第二の問題は、平和条約の骨子がどういうものであるかという点であります。この点についても、同僚梶原議員からきわめて適切なる御質問があったと思うのでありまするが、外相の言われるように、この平和条約の根本というものが戦争状態の終結を確認し、平和国交を回復するということにあることは、これはもうむろん当然のことでございまするが、さらに外相が言われるように、いやしくも平和を回復するという以上は、互いに領土権を尊重する、内政に干渉しない、紛争は平和的に処理する、これらの趣旨もただその精神のみならず、基本条約には条文等において明らかにする必要がございましょう。ただ残念なことは、外相の御説明中に故意にぼかされておるのではないかと思われる点で、これは梶原議員が指摘された。一体この平和条約とサンフランシスコ条約との関係はどうか、これはきわめて基本的な問題だと考えるのであります。われわれ日本社会党が、このソ連との国交調整は平和条約の形において踏み切って積極的にやれとわれわれが申し上げる一つの理由は、一般的には国際緊張緩和の方向もありますが、具体的にはソ連がサンフランシスコ会議以来の態度を修正いたしまして、サンフランシスコ条約体系というものをこわすというような、あるいは日米条約関係をやめろというような前提条件を設けないという趣旨を最近に至って明らかにしたからでございます。この点はきわめて重要であろうと思うのであります。従いまして日ソ平和条約というものは、サンフランシスコ条約ではない。そのままではない。しかし同時にこれと根本的に抵触対立するというような内容ではない。たとえばサンフランシスコ条約会議のときにソ連が主張したようなものであってはならない。言いかえるならば、日本とインド、あるいは日本とビルマとの間にできましたような平和条約の型を考えるべきではないか。これはきわめて基本的な問題であって、単なる条約のテクニックではございませんので、総理大臣から明確な御意見を伺いたいのであります。 さらに、この点を説明するならば、岡田議員から指摘された問題、他の同僚議員から指摘された問題に関連する。一体日本の安全保障について、たとえば中立化というような、条約によって安全保障の一つの体系を制限し、条件づけるというようなことはこの条約において受けるべきでない。さらに申すまでもなく賠償義務等の規定があるべきではないと思いますが、これらの点についての明確なる御説明を願いたいと思います。(拍手) 第三点は、平和条約という以上は、当然に外相が言われるように戦争のいろいろな跡始末、これが平和条約との関連にいおて考えられなければなりません。ことに戦争の跡始末の場合に最大の問題は、いやしくも国家主格と直接不可分の関係にある領土問題でございます。平和条約は作るが、領土問題には触れないというようなことは、平和条約の趣旨においてあり得ないと信じます。また、その部分的解決はするが、全面的解決はしない、一部はあとに解決を残すというような平和条約は、いやしくも平和関係を克復し、永久に平和関係を作るという平和条約の趣旨からいって、断然あり得ないと存ずるのであります。(拍手)外相の御説明によりますれば、政府としても、諸懸案、ことに領土問題、すなわち、歯舞、色丹、千島、南樺太、これらにつきましては、国民的要望に沿い、極力その解決に努力する所存である、こう述べられております。まことにその通りであります。この際、交渉に当って、政府がこまかいことについて、この条件でなきゃいかん、こう言われがたいことは私たちも了といたしまするが、この外相の言っておられる趣旨は、すべての領土問題は平和条約と同時に、ということは、もっとはっきり言うならば、平和条約内において解決する、このために極力努力するという御意向と解してよろしいかどうか。また、その解決とは、申し上げるまでもなく、国民の要望に沿うように、わが国の主権のもとに返還さるべきもの、その方向に対する努力と解してよろしいかどうかを明確に伺いたいのであります。総理はしばしばの議会の答弁等におきまして、あたかも歯舞、色丹のみを解決し、他の領土については解決がおくれて懸案になっていてもいいというような印象を与えるような言葉を吐かれたこともございます。われわれはさようなことがないことを期待いたしまして、明確なる態度の御表明を願いたいのでございます。さらにサンフランシスコ条約においては、南樺太、千島を放棄しているから、その返還を請求する根拠がないという説がございまするが、サンフランシスコ条約において無主物であるから、これらの領土の最終的の帰属につきましては、日ソ交渉の結果、あらためて国際的な取りきめ、たとえばサンフランシスコ条約に附属する議定書等によって日本に返還をすることが法律的に可能であると考えるが、この点は外務大臣から伺いたいのであります。また南樺太、千島の返還の場合、日米安保条約、行政協定の関係から、当然にアメリカの軍事基地がこれら領土に及ぶという解釈をなしておる向きもあるようでございまするが、主権国日本の立場からいって、また安保条約、行政協定の法律的解釈からいって、さようなことはあり得ない。すなわち、返還の条件等については、完全に日本に自主性があると思うが、この点いかにお考えであるか、お示しを願いたいのであります。それで、平和条約の交渉が万一おくれるようなことをこの際想定するのは、あまり好ましいことではないかとも思いまするが、しかしこれは梶原議員も指摘されたような、この国交調整の基本的な考え方に非常な関係のある問題でありまするから伺いたいのでありまするが、もし万一不幸にして平和条約の交渉が、ただいま申し上げたような領土問題の難点等々があって遅滞するようなことが起った場合、同僚岡田議員も質問されましたが、一体鳩山総理は、現在の弱体内閣として結局保守連繋を試みられる結果、自由党の圧力に屈して日ソ交渉を断念してしまう。ちょうどこの平和条約交渉の行き詰りということを口実にとられて政策転換を内政的の見地からやられるのではないか。かようなわれわれは危惧を持つのでございまするが、総理は、さような考えはない、あくまでも政治的生命をかけて国交調整をやり遂げる、かようなお考えであるかどうか。明確にその勇気を示していただきたいのであります。私は今度の外務大臣の御説明を伺っておりますると、かねて総理かこれらの点を顧慮されて、戦争状態終結宣言を出すという、平和条約で国交調整をやるのが本当であるけれども、そういうことが困難な場合には、とにかく、もっとなしくずし的であるかもしれませんが、国交調整の一歩として、戦争状態終結宣言を出すという考え方でいっていられたのが、今度の外務大臣の御説明から抜けておるのであります。これは私は一方においては、平和条約締結による正式国交の調整に今努力しようという立場からそこまで解れなかったというならば、これはそのお考えはわからぬではございません。しかし平和条約交渉が、かりにデッド・ロックになって、そうしたら国交調整はやめる、そういうような圧力に屈する意味であるならば、これは鳩山総理の真意ではないと思うし、その点を明確に、そういう場合があっても、両国があらかじめ内容を協議の上、共同の宣言を発して、戦争状態終結を確認する措置をとり、直ちに代表部を交換して、そうして国交回復の正式の交渉その他の諸懸案の解決の交渉を続けてやるというお考えがおありであろうと思うが、一つの仮定に立って打開の途をさようにお考えであるかないかを明らかにしていただきたいのであります。 私は以上の点を御質問申し上げまして、どうか鳩山内閣が、明日松本全権の門出に当って、あくまで自主的な外交の見地から、言うまでもなく、第三国の圧力や干渉に屈するようなことがあってはならないと同時に、また相手国ソ連との関係においても、きぜんたる自主性をもってこの難交渉に前進されんことを希望いたしまして、私の質問を終る次第であります。(拍手) 〔国務大臣鳩山一郎君登壇〕
○国務大臣(鳩山一郎君) 曾祢君の御質問に対して、私からもお答えをいたしますが、大体外務大臣から答弁をしてもらいたいと思います。 諸懸案の解決と平和条約の前後の関係というものは、なかなか答弁がむずかしいのでありますけれども、とにかく目的は平和条約の締結にあるのは当然なことでありますが、平和条約を締結するのには、当然戦争によって起ったところの諸懸案の解決も必要だと思いますので、諸懸案の解決をして、平和条約を結びたいというふうにお答えする以外にはございません。平和条約と桑港条約との関係については、私は何も矛盾するところはないと思うのであります。日本は独立自主の立場から、主張すべき領土については主張しなくてはならないと考えております。歯舞、色丹と千島全島、あるいは樺太南部との関係は、法律的には違ってはおりますけれども、日本の領土として主張するという点では、少しも差しつかえはないと思っております。外交の転換は考えておりません。平和条約の締結には、全力をあげて尽瘁いたしたいと考えております。(「総理の決心について」と呼ぶ者あり)全力をあげて解決いたしたいと考えております。これが決心でございます。(笑声、拍手) 〔国務大臣重光葵君登壇、拍手〕
○国務大臣(重光葵君) ただいま曾祢君の御趣旨は、るる拝聴をいたしました。その御質問の諸点は、ほとんど私の先ほどの報告説明によって、すベて申し上げた通りであるわけでありますが、ここに少しくそれを敷衍して申し上げます。 懸案の解決はどうしてもやらなければならぬという御趣旨のように伺いましたが、これは当然そう考えておりますのみならず、平和条約においては平和条約の骨子が必要である、このことにつきまして、いろいろ大きなサンフランシスコ条約改正ということまでもお話がございました。今総理大臣の御説明の通りに、サンフランシスコ条約と何ら矛盾したことを考えておるわけではございません。そうして私も報告に申し上げました通りに、交渉を円満に妥結するためには、双方の立場は十分に尊重してやらなければならぬということは、これは当然のことであろうと考えております。 それから平和条約の方式として、ビルマ方式を採用したらばよかろう、こういうこともございましたが、ビルマは御承知の通りに賠償問題が主でございました。ソ連との関係に、私は賠償問題があることを予期いたしておりません。しかし、ビルマとは違って、ソ連との間には戦争によって生じた重要な他の多くの問題がありますから、ビルマ方式は、これは採用し得ないのではないかと、こう考えております。 それから領土問題につきましては、十分の主張をし得る地位に日本があるということは御同感であります。これはサンフランシスコ条約をソ連は調印を拒否しておるのでありますから、それはソ連との間には関係はございません。しかし、将来この問題が日本の主張の通りに解決するような場合に、今安保条約の問題を御指摘になりましたが、さようなことにおいて何かそこに故障がありますならば、これは十分にそのときにおいて故障を排除するように考えなければならぬように考えます。交渉はあくまでもわが方の主張を貫徹し得るように、最善の努力を尽す決心であることは申し上げるまでもございません。(拍手)
○議長(河井彌八君) 須藤五郎君。 〔須藤五郎君豊壇〕
○須藤五郎君 昨年七月、インドシナ停戦協定を主題とするジュネーブにおける国際平和会議は、中ソ両国代表の努力により偉大な成果をおさめ、成功裡に終りました。この会議の成果により、アメリカの戦争政策の結果大きく空をおおっておった黒雲の一端が破れ、そこから平和に対するきざしがさして参りました。六月二十八日には、インドのデリーにおいて中国、インド両国総理の共同声明、すなわちアジアの安全保障に関する三原則が発表され、アジアの諸民族はこの声明こそアジアを救い、アジアに完全独立と平和を招来するものとして喜び迎えたのであります。続いて十月十二日には、北京において中ソ両国政府の日本との関係についての共同宣言が発せられ、中ソ両国政府が日本との関係を正常化させる措置をとることを望んでいることが表明され、また十二月十二日、日ソ国交の正常化に関してモロトフ外務大臣の声明が発表されました。 これら一連の日本国民に対する中ソの呼びかけは、アメリカの占領政策のもとに苦難な生活を続けている日本国民に対し、大きな共感を巻き起したのであります。その結果、鳩山総理も組閣に当り、その公約としてソドエトとの国交回復を掲げ、この国民の要望にこたえざるを得なかったのであります。 鳩山総理は日ソ国交回復は、世界の緊張緩和に役立ち、世界平和に貢献するものであると言明しております。もし総理が真情よりこの言葉をなすものとするならば、今後この交渉過程に予側されるアメリカの干渉、またそれにつながる国内反動勢力の妨害をけり、あくまでもその実現に努力することを強く要望すると同時に、われわれもまた声援を惜しまぬものであります。 今回松本全権出発を前にし、総理並びに外務大臣に対し、交渉に臨むその心がまえに関し、以下数点を質問したいと思います。 今日、日本とアメリカとの間には、諸君の手により、日米安全保障条約というものが締結されております。そもそも安保条約なるものは、中ソ両国を敵視し、その侵略を目的として締結されたものであります。総理は衆議院において、しばしば中ソは侵略勢力とは思わぬと答えております。安保条約の精神と総理の考え方との間には大きな相違があると思いますが、あなたは今回の国交回復の交渉に際し、どちらの態度をとろうとするものでありますか。日本は安保条約、行政協定により、今や対ソビエト、対中国の原爆基地となっております。それは最近の飛行場拡張要求に照らしても明らかなことと思います。国交回復をし、親善関係を結ぼうという国に対して、片方原爆攻撃を準備しているということは、はなはだ矛盾していることではないですか。総理の本心は、一体緊張を緩和しようとするのか、それとも緊張をさらに押し進めようとするのでありますか。以上、今回の交渉に当る基本的な心がまえの問題でありますから、明快な答弁をしていただきたいと思います。 さらに私は、以下数点について具体的な質問をいたしますから、答えも具体的に答えていただきたいと思います。たとえば漁業問題でありますが、伝え聞くところによりますと、交渉に関する五つの基本要綱によりますと、政府はソビエトに対し、国際慣例と称し、領海三海里説を強く主張するということであります。主張することはともかくとして、さきに日米加漁業協定の成立当時、諸君は領海三海里説を主張したことがあったでありましょうか。今後も交渉する意思があるのでありましょうか。現にこの協定によって、北太平洋からは全く締め出しをくい、また南洋諸島水域においては、無警告のうちに水爆の灰を浴びせられ、また一方黄海、日本海においては、一方的な李承晩ラインによって出漁船の拿捕をされておるような現状であります。政府はこの不合理をそのままにしながら、なおソビエトに対してのみ三海里説を押しつけようとするのでありますか。かくのごとき態度に対して、国民は国交回復を故意に不成立に終らせる手段ではないかと心配しています。 また、領土問題に関しても同じことが言えます。政府は今回の国交回復の前提条件として、千島、南樺太の返還を要求するということでありますが、沖繩、小笠原諸島をそのままにし、サンフランシスコ条約においてすらその領土権を放棄した千島、南樺太に対し、ことさら今回の国交回復の前提条件として迫ることはおかしいではありませんか。政府はかつてアメリカに対し、沖繩の返還を要求したことがあるか、また今後要求する意思を持っておるのか。それのみではない、沖縄は米台条約の適用範囲に入れられておるではありませんか。一体日本政府はアメリカから相談を受けたことがあるのか。またそれに対しどういう確認を与えたのであるか。今や沖繩は日本領土とは名のみにして、同胞の人権は極度にじゅうりんされ、世界的な問題となっているではありませんか。領土問題を国交回復の前提条件とすることは、これまた故意に国交回復を阻害するための手段ではないかと、国民の憂うるところであります。 政府は内政干渉の問題として、ソビエト政府が日本共産党を援助しないことという一札を取ろうとしているということであります。われわれも内政不干渉には賛成でありますが、政府の意図するところは、ことさら事実を曲げて、日本共産党を弾圧せんとする意図から出た問題ではありませんか。内政干渉をしているのはむしろ日本政府ではないか。アメリカの一九五一年相互安全保障法第百一条にうたってある共産主義国に対するスパイ活動に対し、MSA協定は協力を義務づけておる。現に日本において教育されたアメリカのスパイが中国において捕縛されている事実があります。これこそ中ソに体する内政干渉と言わざるを得ないのであります。政府は内政不干渉を交渉しようとしているが、このMSA協定を持つ以上、逆に中ソに対し内政干渉をしなくてはならないことになっていると思う。総理及び外務大臣の見解を伺いたいと思います。 聞くところによりますと、ソビエト代表部ドムニツキー氏より外務省あてに、遭難漁船第三金栄丸乗組員の四死体の引き取りの通報を受けながら、ソビエト代表部が正式代表部ではないということを理由に、直接引き取りを拒否し、日赤にまかしている事実があります。これはソビエトの友好精神を踏みにじるものであり、国交回復交渉を前にして、はなはだ遺憾な態度であると言わざるを得ません。また、通商条約を結ぼうとしているやさき、目下滞在中のソ同盟通商使節クルーピン、モクレツオフ両氏の在日期間延長の申請を拒否する通達を出すがごとき非友好的態度で、果して政府は今回の国交回復交渉に対し、誠意をもって当ると言えるかどうか、かかる態度はすみやかに反省すべきであります。 今日、アメリカヘの従属政策の張本人自由党は、鳩山総理の国交回復政策に水をかけ、その足を引っぱろうとしておる。アメリカまた種々なる放送をして、日本に対する干渉を意図している。鳩山総理がたびたび国会において答弁しておるごとく、世界の緊張緩和のために、また世界の平和のために、万難を排し、あらゆる干渉妨害をけり、日ソ国交回復はもちろん、次に起るところの日中国交回復に対しても、誠心誠意その成立に努力されんことを強く要望し、私の質問を終ります。(拍手) 〔国務大臣鳩山一郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(鳩山一郎君) お答えをいたします。 私は安全保障条約を侵略のための条約とは考えておりません。日本は自衛力を持っていませんから、そこで安全保障条約によって日本の自衛の目的を達成せんとするのでありますから、全く考え方が根本的に違っております。私はとにかく今日の平和は力の平衡による平和だと思いますので、全く自衛力を持たないということは、平和に寄与するゆえんにはならぬと思っております。 漁業問題、あるいは内政不干渉の問題、あるいは遭難民の問題については、外務大臣から答弁をしてもらいます。 〔国務大臣重光葵君登壇〕
○国務大臣(重光葵君) 私はただいまの非常な反米と申しますか、そしてまた親ソと申しますか、その御演説の趣旨には、私は御賛同を申し上げるわけに参りません。具体的の問題、領海の問題がありましたが、日本は終始領海は三海里説を固持しているのでございます。これが世界の通念となっていることも、国際法上大体そういうふうに認められております。ただしこれが確定した定説であると申し上げるわけではありません。それから内政不干渉の問題はむろんのことでございます。さらにまた難破船について、外務省としては通報を受け次第、遅滞なく、これは人命に関係することでありますから処置をとっております。 具体的の問題については以上の通りでございます。
○須藤五郎君 再質問いたします。
○議長(河井彌八君) よろしゅうございます。 〔須藤五郎君登壇〕
○須藤五郎君 ただいまの総理の答弁を聞いていますと、安保条約と総理の言っているソビエト、中国が侵略しないという考え方の間に何ら相違がないというお説であります。しかし安保条約というものは、もともと中国、ソビエトを侵略勢力として、中国、ソビエトが日本に侵略してくるから日本が防衛力を持たなくちゃならん、しかし今日、日本に防衛力がないからアメリカに守ってもらうのだというようなことが安保条約の表看板になっております。しかし真相はそうでなくして、安保条約というものは、アメリカ帝国主義の侵略戦争の政策の一つの現われとしてソビエト、中国に対して侵略戦争の前進基地として日本を使用するために、日本に基地を作るために、またその手先として日本の青年たちを戦争に繰り出すために準備された条約である。この安保条約の精神は全く日本の領土も、日本の国民も巻き込んで、アメリカの中ソに対する侵略戦争の基地として日本を使用するために、アメリカが日本に押しつけた条約であります。ですから、この安保条約の精神というものは、全く侵略の精神に満ちたものである。しかるに今日総理はたびたびソビエトも中国も日本にはもう侵略してくる国でないということをあなたは言っている。またこれは世界の世論になっている。英国のアトリー、べヴァンすらもそのことをはっきり報告している。ソビエトや中国共産主義勢力というものは決して侵略勢力でないということははっきり、もちろんもうわかっておる。しかるに今日なおソビエト、中国を侵略勢力と仮定して、それに向って侵略をしようとするところの内容を持つた安保条約をわれわれが持っているということは、矛盾もはなはだしいものではないかということを私は申し上げたい。ですから、あなたの物の考え方の方が正しいのです。あなたの、ソビエトや中国は侵略しないという考え方は正しいと思うのです。そのあなたの正しい考えと、今日日本がアメリカから押しつけられておるところの安保条約の精神というものとは、非常に相違のあるものではないか。だからあなたはどちらの精神に立つのかということを私はお尋ねしておる。これが総理に対する再質問です。 それから外務大臣に対して領海の問題でありますが、外務大臣は領海三海里説は国際法の通念だといっておりますが、これは何ら国際法に規定されたものではありません。しかもその通念たるや実に古い、古めかしい通念であって、今日の国際的通念には通用しない通念だ。この領海をきめるのは国と国とが平和のうちに話し合ってきめるのが原則であって、三海里というものを決定するのは、これは原則ではありません。相談の後三海里になるか十海里になるか、それが今日のやり方であります。それを日本が三海里として押しつけていこうというところに非常に無理があると私は思う。それと同時に、なぜそれではアメリカに対しては、北太平洋において六百海里もの領海をあなたたちは認めておるのか。そこに非常に矛盾があるのではないかということを私は質問しておるのです。あなたはその点をはっきりここで答弁する必要があるのです。
○議長(河井彌八君) 内閣総理大臣、自席において答弁せられてよろしゅうございます。
○国務大臣(鳩山一郎君) お許しを得まして、はなはだ失礼ですが、自席から答弁いたします。 私もソ連が日本を侵略する意図は持っていないと思っております。けれども仮装な敵国がなくても、一国をかす以上は、相当の自衛力を持っていなくてはならぬと思います。それがゆえに、世界の国で軍隊を持っていない国はないと思っております。万が一のことをはかって軍隊を持つ必要がある。その軍隊を持っていない限りには、安保条約は認めざるを得ないと考えておる次第でございます。(拍手) 〔国務大臣重光葵君登壇、拍手〕
○国務大臣(重光葵君) 私に対する御質問は領海の問題だったと思います。先ほど申し上げた通りでございます。
○議長(河井彌八君) これにて質疑の通告者の発言は全部終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。 議事の都合により、これにて午後一時まで休憩いたします。 午後零時十七分休憩 —————・————— 午後一時三十分開議
○議長(河井彌八君) 休憩前に引き続き、これより会議を開きます。
○佐多忠隆君 私は、この際、米軍の沖繩農地買い上げに関する緊急質問の動議を提出いたします。
○戸叶武君 私は、ただいまの佐多君の動議に賛成いたします。
○議長(河井彌八君) 佐多君の動議に御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。よってこれより発言を許します。佐多忠隆君。 〔佐多忠隆君登壇、拍手〕
○佐多忠隆君 日本社会党を代表しまして、私は沖繩における農地買い上げその他をめぐる人権じゅうりんに関して質問いたします。 沖繩は、わが党が反対いたしましたサンフランシスコ平和条約の第三条によって、アメリカ合衆国が行政、立法、司法上の権力を行使することとなり、従って仮装はされておりますが、事実上は割譲されたも同然な姿であります。アメリカは那覇市近郊の嘉手納基地を中心に近代的な軍事施設を構築いたしました。沖繩は今や太平洋のいしずえ、東洋のジブラルタルと言われております。アメリカ合衆国のハワイやカルフォルニアのどこかに行ったような錯覚を覚える地域になりつつあります。沖繩におけるこの大規模なアメリカ化、軍事基地化の半面には、沖繩住民の土地が強制的に収用され、その住民は正当な生活の保障も得られないままに、生活はきわめて困難になっており、その他の基本的人権の数々が侵されておると伝えられております。沖繩の住民にとって最も重大な問題であるところの土地問題の現状は一体どうなっておるのか。最近、非常に騒がれており、世界的な視聴を集めた問題になっております、一体どうなっておるのか。沖繩では日本内地よりもさらに貴重な意味を持っております農耕地や山林が大規模に強制的に借り上げられ、住民の立ちのきが強行されております。那覇市郊外の小禄航空隊附属施設の土地整理作業では、これに反対をいたしました一千人をこえる住民に対して、武装をしたアメリカ兵が装甲トラックで出勤して参って、銃でなぐり泥靴でける等の暴行を働いて住民を農耕地外へ迫っ払ってしまいました。立ちのき期間を過ぎると、ブルトーザーが出動して参りまして、どしどしと容赦なく家を壊してしまったそうであります。真和志市の銘刈や宜野湾村や伊江島の真謝部落、西崎部落などが次々と同じような運命に陥っております。ことに宜野湾村寺の水田を取り除くという指令は、そこの水田から生れる蚊がアメリカ軍人や家族の衛生上危険だからとの理由によるものであります。昔、どこかの植民地で行われた文明国の蛮行、文明国の野蛮な行いを思わせるものがあります。しかもこれらの接収された土地の借り上げ料は驚くほど少額で、損害を補償するにはほど遠いものだと言われております。これらの実情を政府はどう見ておられるのか。これについて政府は沖繩住民の生活を保障すべき交渉をアメリカとやったのかどうか、はっきりお答えを願いたいのであります。またスティーヴンス陸軍長官が五月十七日のアメリカ上院委員会で証書をいたしたところによりますと、アメリカは沖繩に恒久基地化計画を押し進めて基地買い上げのために三千万ドルを用意いたしております。しかも沖縄での支出の一部に日本の見返し資金を利用する計画すら進めつつあります。アメリカ国防省の意向はさらに土地の買い上げよりも、むしろ九十九年間租借をねらっているとも伝えられております。これらの事態の真相は一体どうなっておるのか。日本政府がこれらにどう対処しようとしておられるのか、これについて詳細な御答弁を求めます。 土地の強制収用によりまして、村を離れた農村出身の男女はアメリカ軍作業の労働者となっております。それだからこの住民の生活は保障されたことになる、こうアメリカ極東軍は声明を発表いたしております。しかし、これらの労働者は労働基準法の適用もなく、団体交渉権も認められず、近代的労働者として取り扱われておりません。その賃金は非常に低く、とうていその家族を養うには足りないありさまであります。またアメリカ人と比較してはもちろん、フィリピン人や日本本土人と比べてさえ、はなはだしい賃金差をつけられて人種的差別待遇を受けております。日本人であり、わが同胞である琉球の諸君に対するこのような極端な低賃金、団体交渉権の否認、人種的差別待遇は、われわれ日本人が何としても耐え得ないところであります。(拍手)その他沖縄における言論、出版、集会、結社の自由は、なるほど形式上は認められることになっておりますが、実際にはアメリカ軍によって著しく制限をされております。現地のアメリカ軍政府の施策に対する批判は全く禁止をされ、外部への通信も自由にならず、沖縄への渡航も厳重に制限をされております。沖縄の現地の人たちは、沖縄は今や格子なき牢獄であると称しております。アメリカ軍のジープにはね飛ばされ、あるいは軍の守衛にかわった軍用犬にかみつかれて傷を受けて、そのままに放ったからしにされている事件のごときは枚挙にいとまがありません。このような政治のやり方は、国連加盟国としてのアメリカ合衆国には絶対に許さるべからざることと思います。国連憲章の非自治地域に関する宣言には、国連加盟国はこの地域の住民の利益が至上のものであるとの原則を承認し、その地域の住民の福祉を増進する義務を負って次のことを守らなければならない、すなわち住民の文化を十分に尊重し、この人民の政治的、経済的、社会的及び教育的進歩、公正な待遇、虐待からの保護を確保すること、者地域とその人民の特殊事情や人民の進歩の異なる段階に応じて自治を発展させ、人民の政治的願いに妥当な考慮を払い、人民の自由な政治制度の漸進的発展について人民を援助すること、これが必要であると宣言は述べております。アメリカ合衆国の政治のやり方は、この国連憲章にも違反すると思われるのでありますが、政府はとういうふうにお考えになっておるか。かかる実情について、アメリカ政府とどんな外交交渉をやられたのか、重光外務大臣に詳しく御答弁を要求いたします。 さきにバンドンで開かれましたアジア、アフリカ会議で、各国代表が異口同音に大国による征服、支配、搾取によって作り出された罪悪についてこもごも述べ、これが文明の基本的価値と人類の尊重をも否定するものであり、国連憲章違反であると抗議をいたしました。その席に出席された高碕首席代表は、これらの基本的人権の擁護、植民主義反対の討議を、あるいはよそごとであり、人ごとであると聞かれたかも知れません。しかしこの事実は、われわれ自身の日本国で、われわれの同胞に対してなされておるのでありますが、高碕国務大臣はこの実情をどうお考えになるのか。またアジア・アフリカ会議は、このような人民の自由と独立の事業を支持することをお互いに宣言をし、関係諸国に対して、このような人民に自由と独立を与えるよう要求をいたしました。これはアジア・アフリカ会議の最終の共同コミュニケに明記されて、世界に声明されたことは、高碕代表よく御存じの通りであります。この声明に正式に加わられた高碕代表は、責任を持ってこの声明を忠実に実践する決意があるのかどうか。その決意のほどを、そしてどのように実践されるかを、はっきりと御答弁を願いたいと思います。 アイゼンハワー大統領は今年の初め、琉球諸島の軍事基地は自由世界の安全保障上きわめて重要であるから、米国はその占領を無期限に継続すると声明をいたし、永久占領の意図を露骨に表明をしました。沖縄の軍事基地化が着々と進んでおると思われるのでありますが、政府はこの実情をどう認織をしておられるのか、それを甘んじて許すつもりであるのかどうか。台湾問題の平和的解決をはかる上からも、東西両陣営の緊張緩和をもたらす上からも、むしろ沖縄の軍事基地の撤収、駐留軍の撤退こそ必要であると思うのでありますが、どうお考えになるか。台湾問題の平和的解決の話し合いがアメリカと中共との間に取り上げられようとしておる、東西両陣営の緊張緩和が、米英仏ソ四カ国の巨頭会談で話し合われようとしておるこの今こそ、日本が沖縄問題を基本的に取り上げる絶好のチャンスであると思うのでありますが、政府にその決意ができないのもどうか。沖縄の八十万島民は祖国復帰の一日も早からんことを願って東の空を伏し拝んでおるのでありますが、政府はこの願いを全く無視いたしております。それで果して一体日本人の政府であると言えるのであるかどうか、総理大臣鳩山さん、その辺の決意のほどを、しっかりと御答弁を願いたいと思います。(拍手) 〔国務大臣重光葵君登壇、拍手〕
○国務大臣(重光葵君) お答えいたします。 平和条約の第三条によりまして沖繩の行政、立法、司法等の権力の実施が祖国日本に属しておらないことに相なりました。そして沖繩の同胞がいろいろなことについて不満を持っておる状態であることはまことに残念なことでございます。しかしその状態は、今日平和条約によってそうきめられておるのでございますから、そこにわれわれの希望も十分に達成し得ないところのあることはやむを得ないところでございます。沖繩が今日国際情勢の必要からさような状態になりまして、そしてわが権力の及ばない、もっとも潜在主権は認められておりますけれども、権力の及ばないことになっておりますので、今沖繩における米国軍のやり方に対して、ここに公けにこれを批判するということは、私は差し控えたいと思います。しかしながら、いろいろな情報によって沖繩人民の不満が伝えられております。この同胞の不満は、日本政府としても十分に同情をして、これにその不満のないようにすることに援助をしなければならぬと考えております。その援助は、今申し述べます通りの平和条約によりまする結果として、非常に制限をされております。制限をされておりますが、その不満は十分にわれわれの友邦であるアメリカ政府にも率直にこれを通じて、そしてその善処方を要望するということは、これは当然の処置であろうと思います。そこで、そのことは、さような情報を入手しますごとに、実はそれをやっておるのでございます。相当その調書も詳しいものができております。特に土地の問題が最近やかましくなっておりますことは今お話の通りであります。そしてどういうふうなやり方でやっておるかということを概括的に申し上げます。 それはワシントンにおいて、在米日本大使館を通ずるのが主としたやり方でございます。それから東京において主として、米国軍に関係しておる人々が東京におります。そしてまた米国からも東京にさような責任者の往復が相当あります。たとえばスティブンスというような人が昨年も参りました。これらと折衝をいたしまして、その琉球、沖繩島民の不満を伝えて、そして善処してもらいたいということを向うに要望するのでございます。その一々について今申し上げることは避けますが、最近の不満は、土地に関係するものが一番大きなものでございます。その土地につきましては、今お話の通りに、アメリカは相当長期の土地の借り上げをやって、そしてそこに施設をするという立場をとっておる。そして一時払いで金を渡して、長期の借地をしようという方針をとっておるのでございますが、沖繩住民は、それを毎期のものにして、毎年借地料を払ってもらいたいという希望が非常に強いのでございます。そういうことを向うにも、そうしたらばよいじゃないかということを伝えて要望しておいたのでございます。米国側はこれに対して調査員を派遣して、そして土地については住民の希望をも考慮して、いろいろ施策をしようということになっておるようでございます。そして短期、及び毎年支払うというそのほかに、土地の収用はあくまで琉球政府を通じてやるようにということが第三の希望でございます。そういうことも十分米国側に伝えて、善処するように要請いたしておいた次第でございます。 さような次第でございますが、軍事上の理由もございましょうし、日本として実際上の権力の行使のできない土地になっておりますので、われわれの希望するような結果をおさめていないことを非常に遺憾とします。しかしこれは、今お話の御趣旨は、われわれもこれは大いに同感でありまして、この沖繩の同胞の理由ある不満については十分にアメリカ側に取り次いで、善処するようにこれからも大いに努めたいと、また努めるつもりの方針を持っておるわけでございます。 沖繩の問題については以上をもってお答え申し上げます。(拍手) 〔国務大臣高碕達之助君登壇、拍手〕
○国務大臣(高碕達之助君) ただいまの御質問にお答えいたします。 バンドンにおけるアジア・アフリカ会議に出席いたしまして、その決議に参加いたしましたわれわれといたしましては、あの決議で基本的人権を尊重するということが決議されて、これに率先してその決議に参加いたしましたわれわれといたしましては、もとよりこれを厳格に守りたいという所存でございます。つきましてはただいまのお話のごとく、もしも沖繩においてわが同胞が、現地在住の諸君が基本的の人権が侵害されているというふうな事実がありとすれば、これはバンドン会議に出席いたしました私といたしまして、十分外務省と協力いたしまして、これの是正に極力努力いたしたいと存じます。 〔国務大臣鳩山一郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(鳩山一郎君) 佐多君の御質問にお答えをいたしますが、私の答えは、外務大臣に聞いた話だものですから、それですから外務大臣から先に答弁をしてもらいました。 沖繩の実態の調査は、最近沖繩人のいろいろな熱望のある際であるものですから、外務省においては実情調査をやっておる、実情を調査をしておるというように聞いております。沖繩の返還を米国に要求したかということにつきましては、機会あるごとに申し入れをして、先方も十分このことは承知をしておるということでありました。沖繩人が、領土権が日本にあるならば、もう少し沖繩人は日本政府の保護を受けなくてはならない筋合いでありまするから、できるだけ日本政府としては、沖繩人の熱望にこたえるようにいたしたいと考えております。 ─────・─────
○森崎隆君 私はこの際、濃縮ウラン受入問題に関する緊急質問の動議を提出いたします。
○戸叶武君 私は、ただいまの森崎君の動議に賛成いたします。
○議長(河井彌八君) 森崎君の動議に御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。よってこれより発言を許します。森崎隆君。 〔森崎隆君登壇、拍手〕
○森崎隆君 ただいまから、日本社会党を代表いたしまして、暫時時間をいただきたいと思います。 私たちは過去においておそるべき原子兵器の洗礼を受けて数十万人のとうとい犠牲者を出した、世界でただ一つの国民でございます。従いまして、原子力が一日も早く平和的に利用せられて万国民の幸福の基礎条件となることを心から念じておるものであり、それゆえに米国大統領の平和への熱意には最大の尊敬を払うと同時に、また八月よりジュネーブで開かれまする第一回原子力平和利用国際会議には大いなる期待をもって注目するものでございます。一昨年十二月第八回国連総会で、アイゼンハワー米国大統領は、米国の原子力平和利用に関する諸外国への技術援助を提案されました。また昨年の十一月の第九回同総会におきましては、原子炉建設のために必要な核分裂物質を提供すると声明いたしまして、世界各国に大きな反響を起したことは、周知の事実でございます。これに関連いたしまして、去る一月末、井口大使を通じまして、原子炉用の濃縮ウラニウムの配分方を日本政府あてに申し入れておることが、このほど判明いたしたのでございます。しかも、この配分を受けるためには、アメリカの原子力法に基く日米双務協定を結ばなければなりませず、原子力問題で国内意見が十分にまとまらない現状において、政府当局は同覚書の内容をこれまで厳秘に付しておりましたのですが、最近がぜん急速に仮協定へと驀進しつつある現在、国家百年の大計樹立のためにも、ここに政府の所信をただしたいと思う次第でございます。 まず、総理並びに外務大臣にお尋ね申し上げまするが、覚書取得後数カ月間秘密を保持しながら、今申しました通り最近、にわかに交渉を進めまして仮協定を急がれますというこの不可解な態度につき、今日までのこの不明朗な経過並びに政府の方針を一応御説明願いたいのでございます。今回の原子力平和利用の問題は、あくまで平和的理想主義的進路をたどるべきものと信ずるのでありますが、アメリカ大統領の平和主義的提案にもかかわりませず、実際は平和主義的要素を欠除しておるし、国連を通じて行うのが変更せられまして、特定の国との今申しましたような双務協定を結ぶことに変っておるのであります。また原子力法第百二十三条は諸外国との協力の項で、第五十四条等による、外国または地域防衛機構との協力は次の条件を満たすまではこれを実施してはならないとして、たとえば協力協定において定められた機密保全とその基準とが維持される旨の加盟国の保証とか、あるいは譲渡物質も原子兵器あるいはその研究等の軍事的目的に使用されない旨の加盟国の保証等、四カ条にわたりまして、明らかに政治的軍事的要素が含まれておるのであります。また米国側は核分裂物質の対日供給に当りましてアメリカは数カ月前にきわめて一般的な申し入れをしたに過ぎない、これらの計画を実施するに当ってアメリカが援助を希望する技術やあるいは貸与を申し入れる物質については、いずれも世界の学界において周知のものばかりで、何らその中に秘密は盛られていないと述べておりますが、私たちに安心感を与えんとするアメリカ側のこの言葉そのものにも、一応の検討を加えなければならないのでございます。また、平和利用は重要であるがゆえに、ますます慎重に取り扱うべきものとも言えましょう。終戦以来の援助物資や防衛分担金等に示されましたアメリカのわれわれには好ましからざるあの熱意が、何ゆえこの問題だけでは、押し売りともとられるところの親切が見られるのか、この態度を保持しておるその真相を解明しなければならないと私たちは信ずるのでございます。特に来たる八月にはジュネーブ会議があり、ここでは世界各国のエネルギー不足とこれを解明するための原子力平和利用策並びに国際的協力体制の観点からこの問題が討議されんとしているとき、わが国としましては、この重要な国際会議の終了後まで待機いたしまして、慎重にその態度を決して、決しておそくはないのであると思いまするが、何ゆえに焦燥にも似た急ぎ方をしているのか。あるいはまた米国から強要でも受けているのかどうか。いわゆる追随外交でありまするならば、事の重大さにかんがみまして、これを早急に改めてほしいと思うのがわれわれの念願でございます。また協定に必要なアメリカ国会の承認もすでに間に合いそうにもない現在でございまするし、急ぐことなく、何ゆえにアメリカが親切をわれわれに示すかの基礎的な客観情勢を分析検討すべきであると思いまするが、総理、外相はいかがに考えておられるか、お聞きいたしたいのであります。 第二に、先に日本学術会議におきましては、兵器の研究にわたらないこと、第二には、健全なる研究のために秘密を払拭して全国民周知のもとに進行すること、第三には、自主的に研究が行われることのいわゆる三原則なるものを打ち出されたのでございまするが、これはまことに日本科学の健全なる発展の基礎方針としてうなずけるものでございまするが、政府はこの方針をどのように解していられるか。伝えられるごとく、無条件的に濃縮ウラニウムが受け入れられた場合、当然この三原則をじゅうりんすることとなり、それなくしては不可能なる科学陣の協力も求められなくなると思いまするが、政府の考えの御披瀝を願いたいのであります。要は一日も早く国内体制確立が急務であるから、この三原則なるものを適用でき得る体制が、意見とか、いわゆる善意とかだけではなくて、法律的にも確立さるべきであると信じまするが、何らこれらの準備をなさず、協定のみを取り急ぐことは、はなはだ非常識なことと考える次第でございます。右三原則に対する所見並びに濃縮ウラニウム受け入れとの関連において御説明を願いたいのでございます。 また、この三つの原則は非常に重要な意義を持つものであると思います。これを法律的に確立すれば、これを三本の柱といたしまして、将来国家の熱源の主軸となりまするところの原子力の平和利用に関する憲章なるものが、必然的にここから生れてくることになりまするが、要するに濃縮ウラニウム受け入れにつき急を要する問題は、国内体制の確立であると信ずるのでございます。国家の基本的な態度を那辺に置くか。イギリスが、たとえば、すでに十年先までの見通しと計画を樹立して着々と建設に邁進をしておるごとく、日本は独自に将来の年次計画を立てて、一貫した方針を確立しておくべきであると思います。現在政府の態度は、今も申しました通り、無能に近い無方針でございます。国家予算にいたしましても、専門家の要求するところと、はるかに隔りのあるものに引下げられておりますし、受け入れるなら受け入れるように、少くとも年間十億程度の、それ以上の予算を当然充当すべきであるものと信ずるのでございまするが、こういう措置もされていない。これらの点、経審長官の御所見をお聞かせいただけたならば仕合せかと存ずる次第でございます。 次に、濃縮ウラニウム提供のことは、米国だけの問題ではなく、英国にも、またソ連にも同じ意思があり、提供の態勢があると伝えられておるのであります。思うに、アメリカにおける原子兵器生産はすでに飽和状態に達しておると見られるのでありまして、すなわちこの限界に達した兵器生産方式を、どうしても平和産業に切りかえなければならない。その中心が原子発電にあることは言うまでもないのであります。しかるに「世界市場の逆説」とも言われまするごとく、原子による熱源を豊富に持っておるアメリカ自身は、電力もまた一キロワット時〇・四—〇・七セントで保証せられ、必要なだけの石油、石炭、すなわち熱源は豊富に持っておるのであります。すなわち原子発電が現在電力と経済的に競争できない今日、アメリカは原子による熱源を諸外国に与えて、その提供の紐帯としての協定を実質的にかちとって、政治的軍事的勢力圏を作り、あるいはウラン鉱の確保のごとく、直接資源との交換をかちとる等の意図が明白なるものがあると私どもは感ずるのであります。さらに一言すれば、今やアメリカで過剰生産になりました濃縮ウラニウムに技術をつけて諸外国へ売りつけ、これら受け入れ側の諸国のボイラーをがっちりと握って、もって防衛態勢確立の一助ともしたいのがアメリカの目標であるかともわれわれは察するのでございますが、要するにこういう観点から見ますれば、明らかに、濃縮ウラニウムのことにつきましては、これを取引商品としての見解に立たなければならない強い観点が出てくるのでございます。取引商品として見るならば、第一に、提供申出を親切とは解しませず、その意図を察知して、選択の余裕を保持することが第一でございます。第二は、そのためには受け入れの期間を引き延ばしまして、世界各国中でわれわれにとって有利な提供国を見出すことでございます。第三には、これと並行して受け入れ態勢を確立すること、最後には、最後まで受け入れの意思決定を留保しまして、受け入れの好条件を得ること、価格の低廉を得るという有利な条件をかちとるように努力をすることであろうと思います。アメリカはジュネーブ会議に臨みまする実績を日本においてかちとろうとしておることは明らかでありますが、政府はかかる観点に立ってこの問題を考えられたことがあるかどうか、御意見を承わりたいのでございます。 次に、核分裂物質の対日供給について米政府が先般明らかにいたしたところによりますと、来たるべき日米原子力平和利用交渉において、日本の実験用原子炉建設用にアメリカが提供を希望するもののうちの燃料としての核分裂物質、いわゆる濃縮ウラニウムは貸与の形式をとり、緩速剤、モデレーターとして使用されるところの重水などは売却の形で行われるといわれておりますが、これに伴って、日米双務協定がどのような形のものになるか、あるいはまた提供されるウランの濃縮度、重水の売却値段、またこれを受け入れる日本側の科学陣による原子炉構造方式並びに研究目標に関係して、その意見を聴取したかどうか、あるいはまたこの問題の交渉に当っては、専門家も含めて日本側の態度を固めておく必要があるのではないか、そのためにも今早急に交渉を進めることは軽率だと存ずるのでございます。また受け入れに際しては技術と資材が全部くっついてくるともいわれておるような話もございまするし、保管の方式、秘密の保持、健康防衛の方法等、細部の検討を自主的にしておかなければ、押し売りを無条件で受け入れて、日本国の自主的研究を阻害するおそれもあるのでございます。果してこれらの準備態勢を整えてから交渉に乗り出しておられるのかどうか、明快なる御答弁を願いたいのでございます。 時間がないので後は省略いたしまするが、最後に対トルコ協定につきましての御意見を一応承わりたいと思います。 その最後に一つつけ加えてお尋ねいたしたいのは、いずれこれを受け入れることにいたしまして双務協定を結んだ場合、これは当然国会の承認を得べきものと私たちは期待いたすのでございます。これには二つの問題がございます。一つは何かと申しますと、アメリカにおきましてもやはり一カ月以前にこれを提出して国会の承認を求めることになっておる。それほど重大なものでございます。また、かつての行政協定は安保条約から導き出されたものでございまするから、これはやむを得ないといたしましても、今度の問題は発展過程の、将来何年か後の段階は非常に大きなものとなる関係上、国民の重大関心を持っておる事柄でありまする関係上、どうしても国会の承認を得ていただきたいということは、われわれが強く期待するものでございまするが、果して政府はこの双務協定は当然国会にかけるべきものであると信ずるかいなか、その点の説明を願いたいと思います。 時間が参りましたので、以上質問をいたしますので、御答弁を願いたいと思います。(拍手) 〔国務大臣重光葵君登壇、拍手〕
○国務大臣(重光葵君) 御答弁を申し上げます。 今日までの本問題に関しまする経過は、今日まで資料は一切もう差し上げておるわけでございます。今回のアメリカ側の提案につきましては、条件等に関してできるだけ情報を集めまして、原子力利用準備調査会におきまして十分協議の上に、去る二十日の閣議に了解を得て交渉に入ることになった次第は、発表いたしておいた通りでございます。 そこで、この発表文は、もう相当長くもありまするし、またあらためて読みません。読みませんが、初めは本年の一月十一日からそういう問題が起ってきたのでございまして、それから調査とか、調査団を欧米に派遣するというようなことまで、手段を尽したのでございまして、その間内地におきましても、今の原子力利用準備調査会等において十分検討を続けてきたのでございます。さようなわけで、ようやく去る二十日に、これは交渉した方がよかろうというところに来たわけでございます。それで、米国側の圧力によってこれはそこまで来たということは少しもございません。相当時間をかけまして、そうして日本側独自の見地から日本の科学進歩に貢献したい、こういう唯一の希望を持ってここまで参ったのでございます。その経過の全部は、去る二十日に詳しく発表をいたしておりますのに譲ります。 そうしてその政府の決定はかようなことであったことも、そのときに発表をいたしておるのであります。わが国における今後の原子力開発の一環として、適当な条件のもとに濃縮ウラン並びにこれに伴う所要の技術等の援助の提供を受けるものとすること、それから、なお本件受け入れと並行して、わが国の原子力開発に必要なる態勢をすみやかに整備するということをも決定をいたしておるのであります。これは先ほど申し上げました原子力準備調査会の決定も、そういう工合になっておるのでございます。さようなわけで、十分にこの態勢を整えるということもやろうと、こう考えておるわけでございます。 そしてこれがどういうふうに交渉が、交渉はむろん、これはお話の通り、慎重にやらなければなりません。そしてすべて日本の科学進歩に貢献するというその唯一の目的のために、自主的に進めていかなければならぬということも、もとよりその通りでございます。 そこでいよいよ受け入れの交渉を、今それに着手をして、ワシントンで先方の意向等を確かめたり、また意見の交換をやっております。その結果どうなりますか、またどういうふうなものができますか、そのでき工合によってこれは私はこういうものはできた上は、議会に当然提出して御承認を得ることがいいと思います。しかし、今はっきり申し上げることは、そのでき工合によって、どんなものができるか、全然議会の関係のないようなものができる場合が万一ありとすれば、それは今お約束はできぬと思いますが、かようなものはなるべく御承認を得るような考え方でやることがいいと、こういうふうに考えております。 なお、詳細いろいろむずかしい専門的なこともございますから、それはまた経審長官にお頼みして御説明申し上げることにいたします。(拍手) 〔国務大臣高碕達之助君登壇、拍手〕
○国務大臣(高碕達之助君) お答え申し上げます。 ただいま外務大臣から、大体の根本の成り行きは御説明申し上げた通りでございますが、第一のお尋ねの秘密にしておって、今急に、なぜそんなに急ぐかということでございますが、これは外務大臣がお話しいたしましたごとく、一月十一日に初めて口頭で申し入れがあったのであります。その前十二月に、あの学術調査員が外国へ参りまして研究しておったのであります。その研究の結果を待っておりました。ところがその研究の結果が五月の六日に報告が出たのであります。その報告を基礎といたしまして、ただいま外務大臣がお話しいたしました原子力利用準備調査会とこれの総合部会におきまして検討いたしました結果、五月二十日とにかく交渉に入ろうじゃないかということになって入ったわけでございまして、その間に何ら秘密はなかったということだけは、はっきり申し上げておきます。 それから第二のお尋ねの、学術会議の決議した三原則をどうするか。これは将来の問題でありまして、この三原則は十分私は尊重していくべきものだ、こう存じております。ただ、原子力憲章というある一つの法律を作ったらどうか。これもまことにごもっともだと存じまして、そういうことにつきましては、先ほど申しました利用準備調査会、そのほかの機関に諮りまして、十分検討した上でこれを決したいと存じております。 第三の御質問の、濃縮ウランを売るということは、向うが生産過剰になっておるので、それを売ってそして将来の資源を確保すると、こういうことをやっておるのだろう、こういう御心配でございますが、これはそういうひもつきであれば、これは全然交渉に応じないつもりでございます。で、私はこの際に、わが国の方針としてはっきり申し上げておきたいと思いますことは、原子力が人類の殺戮用に使われたときは、これは人類の破滅であり、同様にこれが産業用に使われたときは、産業の革命である。非常に大事なものである。こういう意味から、わが国の態度といたしましては、二つの原則を持っておきたい。一つは、この原料のウラン鉱というものは、ウラニウム鉱というものは、どうしてもこれは独占されては困る、独占を防止するということが一つの原則でなければならぬ、その方針で進みたい。第二は、技術の公開、技術が秘密になっているところに非常に欠陥がありますから、これを公開する、この方針で今後日本の交渉を進めていきたい、こういうふうな方針でございます。 それから交渉等について、学者を含めて交渉させたらどうか。これはまことにごもっともでございまして、私はしごく同感でございます。その意味におきまして、先ほど申しました原子力利用準備調査会を利用することはもちろん、通産省において今度原子力利用準備打合会という会を作りまして、各方面の権威の意見を聞いてやっておりますから、この二つの機関を通じて、できるだけ科学者、学者諸君の御意見を聞いて、この交渉に当ってみたいと、こう存じておる次第であります。 第五のトルコとの協定問題、これは秘密にしておるということで、だいぶ心配しておったのですが、これは発表したそうであります。これはこちらにおいても十分検討いたしております。中には、多少疑問の点がございますものですから、そういう点を指摘いたしまして、先ほど外務大臣から御答弁いたしました通りに、米国の井口大使を通じて、こちらの意向は、先ほど申し上げました学者の意見を尊重いたしまして、万遺憾なきように交渉の準備を進めて、着々交渉しておるような次第であります。 それから先ほど外務大臣がお答え申し上げました通りに、これはなるべくこういう原子力の利用なんというものは、できるだけ公開すべきものである。いろいろな点につきまして、これは秘密にするというところに、いろいろ欠陥があると存じますから、これは協定が成立するということになれば、なるべく国会の御承認を得るということに進みたいと存じておる次第であります。(拍手)
○議長(河井彌八君) 次会の議事日程は、決定次第公報をもって御通知いたします。 本日は、これにて散会いたします。 午後二時二十七分散会 —————・————— ○本日の会議に付した案件 一、日程第一 国務大臣の演説に関する件 一、米軍の沖繩農地買い上げに関する緊急質問 一、濃縮ウラン受入れ問題に関する緊急質問