本会議 第13号
- 発言数
- 85 件
- 登壇者
- 26 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1955/05/13
会議録
○議長(河井彌八君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。 —————・—————
○議長(河井彌八君) これより本日の会議を開きます。 日程第一、常任委員長辞任の件。 地方行政委員長中田吉雄君、法務委員長藤原道子君、農林水産委員長荒木正三郎君から、それぞれ常任委員長を辞任いたしたいとのお申し出がございました。いずれも許可することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。よっていずれも許可することに決しました。 —————・—————
○議長(河井彌八君) つきましては、この際、日程に追加して、常任委員長の選挙を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。
○矢嶋三義君 ただいまの選挙は、その手続を省略いたしまして、いずれも議長において指名せられんことの動議を提出いたします。
○天田勝正君 私は、矢嶋三義君の動議に賛成いたします。
○議長(河井彌八君) 矢嶋君の動議に御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。 よって議長は、地方行政委員長に小笠原二三男君、(拍手)法務委員長に成瀬幡治君、(拍手)農林水産委員長に江田三郎君を指名いたします。(拍手) —————・—————
○議長(河井彌八君) ただいま、成瀬幡治君は常任委員長に選任されましたので、国会法第三十一条第二項の規定により、国土総合開発審議会委員を解かれました。 つきましては、この際日程に追加して、同委員の補欠選挙を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。
○矢嶋三義君 ただいまの選挙は、その手続を省略いたしまして、議長において指名せられんことの動議を提出いたします。
○天田勝正君 私は、矢嶋三義君の動議に賛成いたします。
○議長(河井彌八君) 矢嶋君の動議に御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。 よって議長は、国土総合開発審議会委員に山本經勝君を指名いたします。(拍手) —————・—————
○議長(河井彌八君) この際、お諮りいたします。江田三郎君から、裁判官訴追委員を辞任いたしたいとの申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。よって許可することに決しました。 —————・—————
○議長(河井彌八君) つきましては、この際、日程に追加して、裁判官訴追委員の選挙を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。
○矢嶋三義君 ただいまの選挙は、その手続を省略いたしまして、議長において指名せられんことの動議を提出いたします。
○天田勝正君 私は、矢嶋君の動議に賛成いたします。
○議長(河井彌八君) 矢嶋君の動議に御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。 よって議長は、裁判官訴追委員に平林剛君を指名いたします。(拍手) —————・—————
○議長(河井彌八君) 三木運輸大臣から、宇高連絡船の遭難事故について発言を求められております。この際、発言を許します。三木運輸大臣。 〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕
○国務大臣(三木武夫君) 再び宇野・高松間の連絡船に不幸なる事件を勃発いたしまして、本院に報告をいたしますことは、私の最も遺憾に考える次第でございます。 去る五月十一日午前六時五十五分ごろ、国鉄宇野・高松連絡船航路におきまして、客貸船紫雲丸と貨車航送船第三宇高丸とが衝突し、紫雲丸が沈没をいたしました。 船員法によって平水航路には船客名簿をとっておりませんために、遭難者の正確な数字を把握することが非常に困難でございましたが、今日までいろいろ調査をいたしました結果、一般乗客中には中小学生の団体等を含めて、総数約九百七十名と推定をされるのでございます。今朝八時現在、遭難者の状態は次の通りでございます。死亡確認された者百四十七名、生存者が百七十五名、うち五十一名の負傷者を含んでおります、なお生死不明の者四十六名ということに相なっておるのでございます。 一昨日事故発生直後より、衝突した第三宇高丸を初めとする海上保安庁、海上自衛隊の所属船、現地の漁業組合、その他各方面よりの応援等により救助に全力を尽しております。なお海上保安庁のヘリコプターも大村より現地に急派いたしました。その他サルベージ船八隻が出動いたし、また香川県水産課の手配により底びき網船も出動いたしております。しかしながら、ただいままでのところ、まだ数十名という多数の不明な方々がございますので、極力捜査をいたしておる次第でございます。 国鉄は直ちに天坊副総裁を現地に急派いたしますとともに、国鉄本庁並びに高松に緊急対策本部を設けて、善後措置を講じております。 本件の原因につきましては調査中でございますが、大体両船の状態も判明いたしまして、濃霧中において操船を誤まったことは明らかと存じます。 運輸大臣といたしまして、昨年の洞爺丸事故に引き続いて、再びかような大きな連絡船の事故を引き起しましたことに対して、国民の各位に対して、まことに申しわけないと存じております。ことに今回は、多数のいたいけな小学生の犠牲者を出しましたことは、まことに忍びがたいものがございます。深く責任を感じておる次第でございます。この機会に、遺族の方々に心からなる弔意を表したいと存じます。差しあたり救助、遺体の収容、負傷者の医療に全力を注ぎますとともに、不幸、遭難をされた方々の御遺族に対しましては、できるだけの弔慰の方法をすみやかに講じさしたいと存じております。 なお、今回の事故は、洞爺丸事故の場合と異なり、国鉄の責任であることは明瞭でありますので、直ちに弔慰の手続をとらせることにいたしております。 運輸省といたしましては、とりあえず植田鉄道監督局長を現地に派遣いたしましたが、私も本日現地におもむき、弔慰を表したいと存じております。省内に緊急対策本部を設けまして、本事件の善後措置の万全を期するとともに、この種事故をなくするために最善を尽していきたいと考えます。ことに職員の再訓練につきましては、現在まで高級船員は海技専門学校、下級船員は職員養成所特設船員課等において訓練はいたしておりまするけれども、今回の事故等にかんがみ、不十分な点もございますので、再訓練を一そう強化いたしたいと考えております。また船舶の安全性の検討につきましては、造船技術審議会船舶安全部会等において、洞爺丸の事故以来、検討を加えて、結論も出て参っておりますので、今後の連絡船の新造に対しては、この結論を生かして参りたいと思っております。 次に、責任の問題でございますが、長崎国鉄総裁は、今回の事故に責任を感じて辞表を提出いたしました。本日の閣議にこれを受理し、発令をいたしたのであります。なお、総裁以外におきましても、現地、中央にわたり、すみやかに責任の所在を明確にするの処置をとり、この不幸なる事件を教訓として、一段と綱紀の高揚をはかるとともに、国民に対する責任を果したいと考えておる次第であることを申し述べて御報告といたします。 先ほどの御報告のうちに、生存者七百七十五名、もう一回申し上げますが、死亡を確認されたもの百四十七名、生存者七百七十五名、うち負傷者五十一名、生死不明四十六名でございましたので、繰り返し申し上げておきたいと思います。(拍手)
○議長(河井彌八君) ただいまの国務大臣の発言に対しまして、質疑の通告がございます。順次発言を許します。平井太郎君。 〔平井太郎君登壇、拍手〕
○平井太郎君 私は自由党を代表いたしまして、今や全国民を恐怖と不安に陥れている紫雲丸沈没事件に関し、鳩山総理並びに三木運輸、松村文部の各大臣に緊急質問をいたさんとするものであります。 去る十一日早朝、宇高連絡船紫雲丸は、第三宇高丸と衝突して沈没し、一瞬にして多数の犠牲者を出したことは、痛恨きわまりない事件でございます。私は遭難者各位に、衷心より哀悼の意を捧げるとともに、政府の責任を追及いたさなければならないと思うのでございます。 まず第一に、鳩山総理に対し、内閣としては本事件をどう考えておるか。単に遺憾の意を表すというがごとき形式的なことでなく、事はきわめて重大でございます。内閣全体としての事件収拾策について、総理のお考えをただしたいのでございます。 質問の第二は、国鉄首脳部の従業員に対する指導方針についてでございます。相次ぐ国鉄の災害に対し、国民がひとしく抱いている疑惑は、国鉄職員の職務に対する忠実さが、近来著しく減退したのではないかということでございます。(拍手)その原因はどこにあるか。私はその原因は、国鉄首脳部の部下職員に対する指導監督が、きわめて弱くなっておるというところにありと考えられるのであります。これは、ひとり国鉄当局のみでなく、官界全体にわたる現象で、昨日も死刑囚が小菅刑務所より脱獄している事実によっても、全般がうかがわれるのであります。かかる気風を生じた原因の主たるものは、現内閣の無責任なる、その日暮し的の場当り主義をあげなければならぬのであります。また国鉄職員の職務に対する忠実を欠いた態度、人命を預かるものとしての責任感の欠如、これらは、その由来するところ、はなはだ遠いのでございまして、従来のごとき国鉄首脳部の部下職員に対する指導方針は、この際、深刻な反省を要すると考えておるのでございます。鳩山総理は、この際、国鉄を初め、公務員の最近における士気弛緩が、信念なき鳩山内閣の右顧左眄的態度に胚胎しておることを深く反省をし、総理みずから本問題の解決に乗り出し、本事件の責任の帰趨を徹底的に明確にされたいと思うのであります。これに対する明快なるお答えを願いたい。 次に、当局の責任者である運輸大臣にお尋ねをいたします。 第一にお尋ねいたしたいことは、貴下は、このたびの事故が、たとえ濃霧のためとはいえ、国鉄に大きな責任があることには変りがないと一昨日の国会で答弁されておりますが、国鉄の船と船とが衝突して事故を起したのだから、国鉄並びにこれが監督官庁である運輸省が、この際、道義的責任をとることは当然のことでございます。問題は、事故を絶滅せしむるための原因の究明と、その責任の所在であります。もちろん最終的結論は海難審判の判定に待たねばならないが、私どもがどうしても納得し得ないことは、本事件は、台風荒れ狂う洞爺丸沈没当時とは気象条件がまるで異なっておる。たとえ多少の濃霧があったといたしましても、場所は沈静かなる瀬戸内海でございます。船は両船とも近代設備を備えております。しろうと目で見ても、士気の弛緩は明らかでございます。先ほど鳩山総理にもお尋ねしておきましたが、運輸大臣にはまた運輸大臣としてのお考えもあろうと思いまするので、この要因が、乗組員の士気弛緩にあったかどうか、重ねてお尋ねをいたします。 第二にお尋ねいたしたいことは、国鉄本部の業務責任の問題についてでございます。私は、本事件が起きた現場に最も近い、香川県の出身でございます。しばしば本航路を往復いたしております。第五管区海上保安本部でも指摘されている通り、連絡船の運航計画はきわめて不用意でございます。高松から宇野に向う船と、宇野から高松に向う船の出会う地点を、今回のごとく狭小なる海面でなく、自由な操船ができ得る、広大な海面に選定する配慮に欠けていたのではないかと考えられるのでございます。国鉄がこの点に十分な配慮を払わなかったことについて、監督官庁として、運輸大臣はいかなる所見を持っておられるか承わりたい。 第三に、乗船者数について、事件発生直後、国鉄の発表は七百数十名と言い、次いで八百数十名に増加し、さらに九百三十名前後ということであって、国鉄当局の乗船者数の把握はずさんきわまるものでございます。平水航路においては乗船名簿を作成しないことに規定はされておりますが、それはそれとして、少くとも乗船者数が何名であったかを正確に把握することは、人命を預かるものとして当然の義務であると考えるのでございます。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)今回の事件によって、この当然の義務がきわめて等閑に付せられていることが全く暴露されたのでございます。このような国鉄職員の職務怠慢について、運輸大臣はいかなるお考えを持たれるか、御所見を承わりたい。 第四にお尋ねいたしたいことは、瀬戸内海は御承知のごとく、波静かにして風光明媚、世界に誇る海の国立公園でございます。年々多数の観光客を集めておるのでございまするが、このたびの海難事件により、瀬戸内海の交通に対する信用は一ぺんに吹き飛んでしまったのであります。ことに四国の一般経済は、その大半を観光事業に依存しておる際、本事件によって観光客の激減が当然予想されるのでございます。四国経済に対する打撃は甚大でありますが、この観光収入並びに交通信用回復に関する対策について、運輸大臣はいかなる所見を持っておられるか、これは四国住民全部の重大なる関心事でございまするから、特に親切に御答弁を願いたい。 第五にお尋ねいたしたいことは、本州と四国とを結ぶ海底隧道についてでございます。すでに本州と九州を結ぶ隧道は開通いたしております。本州と北海道を結ぶ隧道は、洞爺丸事件に刺激され、すでに測量に着手し、残っておるのは本隧道のみでございます。事故の防止、産業の開発、観光客の利便、文化の交流などの見地から、一昨年八月、法律の改正によりまして明石、淡路島、鳴戸を結ぶ隧道が新線予定地に繰り入れられているのでございます。二年後の今日に至っても当局は全然手をつけていない。この機会に、当局としては早急に大英断をもってこの重要なる隧道の開さくに着手すべきであると思うが、さらにこの際、予定線を変更して、遭難地点である宇野、高松間に隧道を開さくする気はあるかどうか、もし当局にその決意ありとすれば、われわれはきん然協力を惜しまないものであります。運輸大臣の御所見を承わりたいのでございます。 第六にお尋ねいたしたいことは、遺族に対する弔慰金のことでございます。およそかかる事件が再び発生することのないよう、われわれは強く当局に要望するとともに、本事件の善後処置、ことに遺族に対する弔慰金の支払いなどについては万全の措置を講じていただきたいのでございます。往々かかる弔慰金の支払いは遅延を来たし、遺家族の感情にそぐわない事態が生ずるのでございます。かかることの絶対ないよう特に注意をして下さい。運輸大臣並びに国鉄当局は、遺族の弔慰措置についていかなる方法と、これに対する対策を考えておるか、お伺いいたしたい。 次に、文部大臣にお伺いをいたします。今回の事故によって、修学旅行途上にある小、中学校生徒多数が遭難死亡したことは、衷心より同情にたえません。文部当局が昭和二十八年五月以来、小、中学校及び高等学校の修学旅行について再三警告を発しておられることは存じております。通達の趣旨は、その後一向に守られておらない。昨年は相模湖遭難事件、今また紫雲丸沈没事件と、事故が相次いで起っている現状でございます。文部大臣は、これらについていかなる根本方針をお考えになっているか、御答弁願いたいのでございます。 最後に申し上げたいことは、今回の不祥事件は、責任が総理以下現内閣を初めとして、担当運輸大臣並びに国鉄首脳部にあることは当然のことでありまするが、さらに国鉄に従事する者全体の責任であると申したいのであります。(「根本は精神だよ」と呼ぶ者あり)乗船人員の明確なる数字すらもつかんでおらない、ずさんな国鉄の運営は、単に宇高連絡船についてのみでなく、今や日本全土にわたって行われているであろうと想像されるのでございます。この事態に処して、最高責任者たる国鉄総裁がその責任をとられたことはしごく当然のことでありまするが、しかしこれはひとり総裁のみの責任じゃない。これを機会に、とかく世間より批判を受けている、四十四万国鉄労働組合員の大反省を望むのであります。(「何を言ってるんだ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し) 以上にわたって関係各大臣の明確なる御答弁を承わりたいのであります。(拍手) 〔国務大臣鳩山一郎君登壇〕
○国務大臣(鳩山一郎君) 平井君の御質問に対してお答えをいたします。 このたびの紫雲丸の事件は、まことに哀悼にたえません。これら犠牲者に対し、並びにその家族に対する責任を痛感いたしまして、官紀の粛正と士気の高揚とに努めますことはもちろんでありますが、政府と国鉄との関係につきましても、十分検討をいたしまして、万全の策を講じたいと思っております。 〔国務大臣三木武夫君登壇〕
○国務大臣(三木武夫君) 平井議員の御質問にお答えをいたします。 第一点は、今回の事故が船員の注意力と申しますか、注意の足らなかったことによったのではないかということでございますが、いろいろそのときは濃霧等の条件はあったにいたしましても、いかにしても注意力の足りなかった点は、私もそれは認めざるを得ないと思うのでございます。従って今後船員に対しては、今までも訓練はいたしておりますけれども、これは徹底した再訓練を必要といたすと考えます。技能的にも、再訓練、再教育をいたしますとともに、いろいろな、先刻も御報告の中に申し上げましたような、今回の事故を教訓として、いろいろ改善を加えて、そうしてこういう事故の再び起らないように最善を尽したいと考えておるのでございます。 第二点の、船長の軽率でなかったかということでございますが、御承知のように連絡船は時間の制約を受けておるわけでございますので、ダイヤに従って船長は運航しなきゃならぬ。その運航が安全かどうかということは、船長の責任にまかされておるわけでございます。従ってそういう場合の判断というものは、船長の判断にまかされておるのでございますが、いろいろ事故が頻発することにつきまして、こういう点に、もう少し総合的な判断、いろいろな天候の非常に悪いような場合の出航に対して、総合的な判断をするようなことも考えなきゃならぬということを私は考えておる次第でございます。 次に、乗客名簿でございますが、何分にもあの間は、一時間くらいのところでございますので、一々乗客の名簿を書くということが乗客の人々に対しても非常に手数である。まあそういう点で平水航路は名簿が要らないことになっておると思いますが、今回の事故を通じて見まして、正確に遭難者の数などが把握できないということは、これは非常な不手ぎわなことになるわけでございますので、名簿は、もし名簿というものをああいうわずかな航路にも書くようにするかどうかということについては、検討を加えなければなりませんが、正確に乗船された人の人数は把握できるような処置は、これは直ちにとらすようにいたしたいと思っております。 次に、瀬戸内海でこういう不安な事件が起って、非常な観光都市としての一般の人たちに対する悪い印象がある、これに対してどうするかという意味の御質問でございましたが、お説の通りでありまして、瀬戸内海は国民自身も平和な地域として非常に観光の重要な意味を持っておるところでございます。こういうふうな事故を再び起さないように、あらゆる角度から、今回のこの事故を中心にして検討を加えていきたい。そうすることによっていわゆる航海の安全性と申しますか、そういう面について不安感をすみやかに一掃できるような処置をとりたいと考えておるのでございます。 次に四国と本州の連絡のために隧道をやることが必要ではないか。私も全く同感でございます。これは日本も島に分かれておるわけでございますので、その島々を隧道によって結ぶ。御承知のように、青函連絡もすでに調査費を出してこれは調査をしておるわけで、九州と本土は結べて、残っておるのは四国と本州だけでございます。昭和二十八年に予定線に編入されて、部分的な調査は工事部等でやっておりますが、これはぜひともこの本格的な調査をやれるようにしたいと私は思っておるのでございます。 最後に、弔慰金の点について御注意がありましたが、これはすでに手続を始めておりますので、御承知のように弔慰金を払いをするまでの間には、いろいろな計算等もございますが、できる限りすみやかに弔慰金を遺族の方々にお贈りいたしまして、せめてもの償いにしたいと、こう考えておる次第でございます。(「組合はどうした、組合は」「労働組合の責任ですか」と呼ぶ者あり) 労働組合についてのお話が最後にございましたが、これはやはり国鉄全体として、国鉄全体が非常な士気が弛緩しておるという一般論は、私はそうも思いません。いろいろ一生懸命に従業員がやっていただいておる人たちもあるわけです。しかし全体として、やはり国鉄の士気を高揚して、こういう不幸なる事件を一つの大きな教訓といたしまして、国鉄に対するいろいろな社会の批判もあるわけでございまして、こういう批判にこたえて、この機会に国鉄の空気を一新して、国鉄の機構に対しても再検討を加えまして、そうして国鉄に対する世間の御非難に対しましては、この際に刷新を加えていきたい。ひとり国鉄の労働組合というようなものだけではなくて、全体としてこの不幸な事件を機会に、国鉄の刷新をはかりたいと考えておる次第でございます。拍手) 〔国務大臣松村謙三君登壇〕
○国務大臣(松村謙三君) 今回の惨事につきまして、修学旅行の児童と学生に多大の損害が出ましたことはまことに遺憾に存じます。政府といたしましては、昨年の相模湖の惨事に顧みまして、今年の修学旅行の前に、修学旅行の心得について、全国の教育委員会に指示するところがございました。すなわち、この修学旅行についての注意を相当にいたしたのでございますが、それにかかわらずこのような事件が起りまして恐縮をいたしております。それでだんだん調べてみますと、大体どの府県の教育委員会におきましても、やはり基準をきめまして修学旅行を規律いたしておることは、どこの県でも同様でございまして、大体小学校あたりにおきましては、一泊二日の旅行を原則といたして、二泊三日ぐらいの予定をもってやっておるわけでございます。それにつきまして、十分今後のことにつきましては、さらに深く検討をいたしまして、このようなことのありませんように、修学旅行について十分注意もし、施策もいたしたいと存じております。 なおこの際に、ちょうど事件が発生いたしましたその時に京都へ旅行しておりました天城課長を現地へ直ちにやりましたが、それが帰って参りまして現地の事情も大体わかりましたから、そのうちの重要な点を申し上げて御報告申したいと思います。 ちょうど昨晩までの結果によりますと、旅行者の数は三百七十四名でございまして、そのうち死体を収容できました者が八十三名でございます。児童、生徒が七十六名、教師が四名、つき添いの者が三名、それから生存者が二百六十五名、そのうち負傷者が二十三名おります。行方がまだ不明の方は二十六名でございまして、そのうち児童、生徒は二十五名、教師が一名と、こういうことでございます。そうしてその犠牲者の中には、児童の方では男よりも女の死亡者が非常に多いのでございます。二十名に対して男は五名、女は十五名というような率になっておりまして、女子の被害が目立って多いことでございます。その衝突のときに当りまして、向うの船に飛び乗るようにその付近にいた先生方が叫びましたそうですが、宇高丸の方が舷が低い、それからこちらの船は高いために、男はだいぶ飛び移りましたけれども、女の生徒などは移ることができませんで、わずか三分間のことでございますから、海へみな飛び込み、もしくは船の中に多少残った人もあるということでございます。幸い、不幸中の幸いでございますが、その当時は潮の流れがほとんど停止しておるようなときでございましたので、それで救われた人が相当に多い、もしも潮が急でありましたならば、被害はこの程度ではとまらなかったろうということでございます。そうして統率をして行った先生方の手落ちがあるかないかということも調べてみましたが、そういう手落ちは、その危急の際に処する手落ちはございませんのみならず、木江小学校の教諭の井上という男の先生、中島教諭、これは婦人の先生でございますが、これらは一度助かりながら、子供を救うために再び水へ飛び込んで死んだ、こういうような事実もございます。それから香川県の教育委員会などは、救助のために万全の方策を講じてくれておりまして、指揮者側の手落ちというようなものは認めておりません。こういうような次第でございまして、教師の数は二十名のうち五名の犠牲者を出しております。ただいままでわかっております大体を御報告申し上げまして、今後の措置につきましては、十分の注意をいたすつもりでおります。 御報告を終ります。(拍手) —————————————
○議長(河井彌八君) 大倉精一君。 〔大倉精一君登壇、拍手〕
○大倉精一君 私は日本社会党第四控室を代表いたしまして、ただいまの運輸大臣の御報告に対し、総理大臣初め関係者大臣に若干の御質問を申し上げたいと存じます。 私はまずもって、今回の紫雲丸の痛々しい遭難犠牲者の方々、並びに御家族の方々に対しまして、つつしんで哀悼の意を表する次第でございます。 天災は忘れたころにやって来ると言いますが、わが国におきましては遺憾ながら忘れないうちに同じ災害を再々繰り返しておる事実は、私は国民諸君とともにはなはだ寒心にたえない次第でございます。さらに重大なることは、洞爺丸や相模湖の事件、あるいは今回の紫雲丸の事件は、いずれも集団的災害としましてニュース・バリューも大きく、国民的関心が集中されておることは当然と言わなければなりませんが、半面におきまして、その間いわゆる三面記事に小さく書かれたり、あるいは全然知らされていないような痛々しい個人の人為的災害が毎日繰り返されております。しかもこれが逐年累増いたしまして、あたかも洞爺丸や紫雲丸事件が毎日なしくずしに連続しているという痛ましい事実を私は見のがすわけには参りません。この事実に関し、この際一々実例を引用する時間を持っておりませんが、すでに大臣各位は十分御認識をお持ちになっていることと存じます。 私はこの際、鳩山総理大臣にお伺いいたしまするが、かかる事象はもはや単なる天災、人災として看過すべき事態ではなく、明らかに政治的怠慢の集積として厳粛なる反省がなされなければならぬと存じております。ことに吉田内閣以来、国鉄関係並びに陸運局の関係、あるいは気象業務関係、その他関係方面に対しまして、数次にわたり無理なる定員削減の結果によりまして、所要人員が大きく不足しておるという結果は、このことも大いにあずかって影響があると存じております。(拍手)この点に対しまして、鳩山総理並びに運輸大臣の御所見をお伺いしたいと思うものであります。 さらに、総理は十一日の衆議院予算委員会におきまして、紫雲丸の遭難に対し、「大へん残念なことで、国民はお互いに考えなければならぬ」と発言しておられますが、いやしくも国民ひとしく痛惜おくあたわざる本件に対しまして、総理のかかる言葉は、はなはだ不謹慎きわまるものであると存じております。あなたはかかる災害は国民の責任と考えておいでになりまするか、参考のために御所見を承わっておきたいと存じます。 次に、三木運輸大臣にお伺いいたしまするが、本日の新聞によりまして、長崎総裁の辞表提出を承知をしたしましたが、いわゆる鉄道会館問題以来、数回にわたって重大な責任問題を背負い込んでおられる長崎氏の総裁辞任によってすべてが帳消しになったとお考えになっておられまするか。さらにその他の国鉄幹部の責任についてはいかなる処置を考えておられるか、御所見を承わっておきたいと存じます。 昨日の衆議院本会議におきまして、運輸大臣の答弁によれば、洞爺丸事件のあと青函連絡船事故対策協議会を設けて、今後の事故防止を専門的に検討してきた結果、気象、船舶の救難など、改善を加えられたと述べられておりますが、果して運輸大臣、あなたは実際に効果的な良心的な改善が加えられたと言い切ることができますか。洞爺丸遭難当時におきまして、貨車の積みつけ状況が重大なる問題となっておりましたが、今回の紫雲丸の場合におきましても、再び同様の貨車の積みつけが問題にならんといたしております。十二日の朝日新聞夕刊によりますれば、海上保安本部関係の者が次の所見を述べております。すなわち、「ひどい衝撃で貨車の止め金がはずれ、貨車が動き、このため船の重心が狂った」と指摘しております。宇高航路は平水路とはいいながら、潮流や濃霧の関係で過去数回の遭難事故を経験しております。にもかかわらず海難に重大なるなまなましい体験を有する貨車の積みつけについては、何ら改善されていないままに就航させておる事実に対しまして、果して大臣は何と考えておられまするか。船舶の救難など改善を加えたと良心的に言い切れますか。御所見を承わっておきたいと思います。また気象について改善が加えられたと言われておりますが、改善された点について明確にお示し願いたいと思います。一昨年及び昨年にわたって相次ぐ冷害、風水害のおびただしい被害によりまして、気象業務に対する国民的関心がようやく大きな盛り上りを見せ、ことに定点観測業務の再開については各方面より数十件に上る陳情、請願あるいは決議文が集中をされてきております。本院におきましても、運輸委員会、農林委員会並びに水産委員会におきまして、それぞれ全会一致をもって定点観測業務再開を含む気象関係業務の強化、充実に関する決議を行なっておりまするが、大臣はすでに御承知のはずであります。運輸省はこの趣旨に沿いまして、三十年度におきまして、北方定点観測用の船舶三隻の建造予算を計上しておりましたが、鳩山内閣になりまして、これが全部を削っておられます。これは一体どういう理由によるものか、とっくりと承わっておきたいと存じます。運輸大臣は四月三十日の本院本会議におきまして、本件に関する同僚小酒井議員の質問に対しまして、紋別に新しく測候所を設け、鳥島に高層観測を開始したから、北方定点観測を再開しなくても支障がないかのごとき答弁をしておられますが、大臣は果していかなる所信のもとにかかる発言をしておられるのか、お伺いしたいと存じます。私は失礼ながら定点観測の意義と効用に関する大臣の御認識を疑わざるを得ません。私はこの問題をきわめて重視しておりますので、別の機会に十分討議をする用意を持っておりまするが、大臣は北方定点観測用の船舶建造予算の削減に当って、中央気象台と専門的に事前にお話し合いになっておられますかどうか。聞くところによれば、気象台は何ら事前の相談も受けていないと言うが、これは事実でありまするか。果してこれが事実であるとするならば、前述の発言は全く独善的な、無責任きわまる放言と言わざるを得ません。この点について私は明確なる、責任ある御所見を承わりたいと存ずる次第であります。さらにこの問題は農林、水産関係に重大なる関連を有しまするがゆえに、農林大臣の本件に関する御所見もあわせて承わっておきたいと存じます。 さらにこの機会にお伺いしておきたいことは、明日いわゆる南方定点観測任務に従事するため、あつみ丸が出港することになっておりまするが、あつみ丸は終戦直前に建造された名うてのボロ船でありまして、これはすでに周知の事実であります。昨年においてもすでに台風時の任務に耐え得ないきわめて危険な状態にあったにもかかわらず、再びあえて出港せしめたごときは、果して大臣はこの実態を御承知の上でありましょうか。大臣はかかるボロ船に対しまして、台風時の重大なる観測任務を御期待になっておられますか。さらにあつみ丸に、この紫雲丸のように万が一の不祥事に対しまして、大臣はいかなる責任をとられるのか、この際お伺いしておきたいと存じます。 さらに運輸大臣は災害予防に関する重大問題として、定点観測業務の再開を含む気象業務の充実強化、及び機構運営の根本的改革を早急に実施せしめるお考えをお持ちになっておるかどうか。また大蔵大臣はかかる重要なる仕事に対しまして、全面的なる御協力をされる御意思がありや、この際承わっておきたいと存じます。 最後に、運輸大臣は今回の事故に対し、国鉄に責任ありと断じておられまするが、政府の責任について一言も触れておらず、単に国民に対して申しわけがない、善後措置に遺憾なきを期していると、例によっておきまりの作文文句を並べておられますが、かくのごときは私は、はなはだもって不可解千万と存する次第であります。今後の措置としてもっぱら職員の再訓練をうたっておりますが、これは事故の責任を職員に転嫁をしまして、政府の怠慢をカムフラージュするものとしか受け取れません。私はこの際、相つぐ重大なる災害事故に対し、政府は国民の前にその怠慢を率直にわびるとともに、みずからの政治責任を明らかにすべきであると存じまするが、運輸大臣の率直大胆なる御信念をお伺いいたしたいと存じます。 以上、関係各大臣の国民の納得のできる明確なる御答弁を期待を申し上げまして、私の質問を終ります。(拍手) 〔国務大臣鳩山一郎君登壇〕
○国務大臣(鳩山一郎君) 大倉君の御質問に対してお答えをいたします。 私はこのたびの悲惨な事件に対して、国民が責任を持つというような意味で発言をしたのではございません。私は自分たちが責任があるというような考え方でもって「国民は」と言ってしまったのであります。でありまするから、誤解のないようにしていただきたいと思います。(「私はの言い間違いだったのか」と呼ぶ者あり)そうです。言葉が足りませんでした。(「取り消した方がいいですねそれは」と呼ぶ者あり)大体、もう御了解を得たと思っております。とにかくああいうような悲惨な事件が、いつどういうような場合で起るかということ、つまりどこに憂いがひそんでいるかということは、常にわれわれが考えていなくてはならぬことで、そういうような注意のもとにやっていかないというようなことに対して、責任を痛感して、ああいう発言をしてしまったのであります。どうか御了承願いたいと思います。 〔国務大臣三木武夫君登壇〕
○国務大臣(三木武夫君) お答えをいたします。 第一には、人員の削減が事故の発生の原因ではないかというお話でありますが、そうは考えておりません。何分にも、人員はいろいろ多いにこしたことはない面もございましょうが、しかしながら国鉄はやはりできるかぎり、独立採算制と申しますか、そういう見地から申しましても、最少の人員で能率を上げていくということが、今日国鉄に要請されておることだと思います。そういう点で、人員と事故とを結びつけては考えておらないのであります。 次に、長崎総裁のことについてのお話でございましたが、御承知のように、責任を感じてその責任をとったのでありまするから、そうして辞表を出されたということは、責任をとった一つの形式であり、そういう形であるということで、私は内閣といたしましても、それを、そういう形において責任をとった長崎総裁に対してその辞表を受理した次第なのでございます。 次に、長崎総裁以外の責任に対しましては、調査の基礎に立ちまして今回の責任を明らかにいたしたいということは、最初私が申し上げた通りでございます。 次に、連絡船の安全性の問題についていろいろ御質問がございました。御承知のように、造船技術審議会の安全部会には、日本における最高の権威の方々をお集まり願って、洞爺丸等の遭難事件を中心として、今後どういう点に改良を加えていくかという検討をしていただいておるわけでございまして、大体結論も出て参る段階でございますので、それによって今後の連絡船に対しては、これをその結論に従って改善を加えて参りたいと考えておる次第でございます。貨車と客車とを、これを分離したらどうかということについては、必ずしも貨車と客車とを分離せなければ安全が保たれないという結論にはならないように、その審議会の意向を聞いておるのでございます。 次に、定点観測についてでございますが、私も北方定点観測が、これは日本の気象の精密度を向上いたしますために、北方定点観測というものの必要を私も認めておるのでございます。しかしながら何分にも、御承知のように、十九億円という予算を必要といたしますために、財政全般のにらみ合せもございまして、今回の予算には計上できなかったのでございますが、これはやはり実現をしなければならない問題の一つであります。従って、鳥島であるとか、あるいは紋別というものは、これが直ちに北方定点観測がこれによって補われるとは思いませんが、しかしながら、こういう北方定点観測がことし実現しなかったことに対して、気象業務を充実することに一応役立つということをはっきり申し上げたのでございまして、これが全くかわり得るとは私も考えていないのでございます。 次にあつみ丸の出航について、いろいろ御注意がございましたが、これは事前に十分船舶の検査の上出航することになっておりますので、航海の安全は期し得られると考えておるのでございます。 さらに洞爺丸事件以後、具体的に気象の上においてどういう改良を加えたかという点をお尋ねになりましたので、これを申し上げたいと存じます。函館の海洋気象台の予報分室及び青森の測候所には、それぞれ鉄道の直通電話を架設して、円滑な情報連絡ができるようになりました。また従来函館海洋気象台では一切の情報伝達を、加入電話によってやってきたのでありますが、事件後NHKの函館放送局との間に専用電話が架設され、迅速な情報伝達が可能になりました。また函館海洋気象台予報分室には気象専用電話がなかったために、観測資料が市外赤川村の海洋気象台の本台から電話で通報されていたが、今回軍用電話線を開設して、本台、各隣接測候所のほか、札幌管区気象台と直接連絡せしめて、観測資料等を迅速確実に入手せしめることにいたしたのでございます。もとより、こういう改革が万全なものだとは思いません。私も今回のこの不幸な事件が再び起ったことに対しては、今後思い切っていろいろな点で人命の安全に対して、ことに連絡船の事故が再び起ったということにつきましては、十分な検討を加えたいと考えておるのでございます。 最後に、運輸大臣に対しての責任に対して言及されましたが、私は深く責任を感じておる。ことにこの今回の事故が多数の人命を損じたということに対して、非常な責任を感じておるのでございます。どういうことで運輸大臣としての監督上の責任を果すかということは、私も自分の良心の点から心を痛めておるのであります。しかし今、私が責任をとる方法というのは、やはり今回の事件に対してのまず責任を明らかにすること、あるいは現在生存者あるいはまた行方、生死不明な方々もいるのでございますから、こういう善後の措置をすみやかにすること、あるいは弔慰の問題等も平井議員からいろいろお話がございましたが、これもできるだけ迅速にそういう方法を講ずること、あるいは今後こういう事故を繰り返さない。全くこういう事故が次々に起ることは、これは忍びがたいことでございますので、どのようにしてこういう事故をなくするために最善を尽すか。あるいは国鉄全体の機構についても検討を加えなければなりません。あるいは国鉄の士気の点について、これも士気を高揚して、こういう事件を契機として国鉄の空気の刷新をはかることも必要でございます。いろいろな角度から、今申しましたようなことに対して運輸大臣として責任を果すことが、国民に対しての運輸大臣の責任ではないか。私は現在こういう心境におるのでございまして、そういう見地から運輸大臣の責任を果したいと考えておるのでございます。 〔国務大臣河野一郎君登壇〕
○国務大臣(河野一郎君) お答えを申し上げます。 定点観測が農林水産漁業に重要なことは御指摘の通りでございます。なお特に農林水産関係におきましては、海流の関係につきまして定点観測をやっておるわけでございます。これにつきまする経費につきましては、前年度実施いたしました経緯にかんがみまして、前年度同様の事業の実施できまするような予算を、十分ではございませんが、ただいま計上いたしておるわけでございます。この点御了承願いたいと思います。 〔国務大臣一萬田尚登君登壇〕
○国務大臣(一萬田尚登君) 今回の不幸な出来事に遭難なされた方並びに御家族に対しまして、本当に心から哀悼と同情の意を表する次第でございます。 気象観測に関しての予算のお尋ねがありましたが、今回御指摘のこの北方定点観測は再開の運びに参らなかったのでありまするが、しかし財政上許す限り、気象の観測その他につきまして、あるいはこの災害の予防につきまして、私としては予算を計上したつもりでおるのでございます。なお今後につきましての協力はどうかということでありますが、私といたしましても、これは財政の許す限り、御協力と申しますか、予算に計上することに努める、こういうふうに考えておることを御報告いたしたいと思います。 —————————————
○議長(河井彌八君) 松浦清一君。 〔松浦清一君登壇、拍手〕
○松浦清一君 私は紫雲丸の遭難に関する質問に先だちまして、日本社会党を代表して、この災厄のため犠牲となられた方々に対し、心からなる哀悼の意を表するものであります。 ただいま運輸大臣から、遭難の実情、その後の救助作業及び遭難者に対する慰問の方針等についての御説明を承わりましたが、さらに疑問とする点並びに今後の方針等についての運輸大臣の御所見を承わりたいと存じます。 まずその第一点は、その責任の所在であります。運輸大臣は昨日の衆議院における緊急質問に答えまして、この事件に関する責任は全く国鉄側にあるとの見解を表明され、先ほどの報告の際にも同様のことを申されました。また長崎国鉄総裁もその責任を痛感せられまして辞表を提出され、政府もこれを受理することに決定したとのことでありますが、この事件は、単に責任者がおやめになったから、その罪が許されるという性質のものではございません。ただしそのことは、遭難者に対して、責任者としてその責任をとるという意味においては、運輸大臣や、その他の幹部諸君がおやめになることは、一つの方法でもあり、かつ責任の所在を明らかにする点において、当然とられねばならない態度であります。さらにまた国鉄自体としての責任は、まずこの事件そのものの処置を第一といたしまして、ついで事故の起った原因を徹底的に究明をして、今後三たびこのようなことを繰り返さない方策を、すみやかに打ち立てるべきであります。この事件に関し、平面的にみた直接の責任は、紫雲丸並びに第三宇高丸の両船長の、濃霧中における航海技術が拙劣であったことが指摘され、また神戸海難審判理事所におけるただいままでの調べによりましても、大体このような見方をしているようでございます。今後の海難審判の結果を待つまでもなく、船長の責任は追及さるべきであり、また今後、船員に対する航海技術の訓練、職責の完遂等については、格段の配慮をなすべきは当然でありますが、さらに最も重視して考究されるべきは、国鉄における船舶部門の機構と業務に対する命令系統の問題であります。昨日衆議院における運輸大臣の言明では、国鉄できめられているダイヤに従って連絡船は運航され、万一航海に適しないときの出港の停止などは船長の権限に属しているとのことであります。先ほどもそのようにおっしゃいました。なるほど形式的に申しますとその通りでございます。しかしながら運輸大臣は、雇用者と被雇用者との微妙な心理的な関係についての御経験をお持ちになりませんから、そのようなことが簡単に言えるのであります。国鉄における船舶に対する業務命令系統は、御承知の通り本庁営業局の中に船舶課がありまして、それが四国鉄道管理局営業部の海務課につながっておるのであります。この本庁の船舶課から管理局の海務課につながる線は、連絡船の運航に関するダイヤを変更する権限を持っておりません。船舶や天候に関する知識を持たない管理局長にその権限があるのでありますから、管理局長から船長までの階級の隔たりが、船長をして無理な航海をせしめることにもなるのであります。さらにまた問題となるのは、国鉄が運航または管理をする船舶は、洞爺丸やこの紫雲丸を加えまして、連絡船が三十隻、その他の雑船舶が四十三隻、合計七十三隻、約七万トンの船を持っておりまして、船員数は四千五百人に達しております。日本の船舶を取り扱っている第一級の船会社よりもさらに大規模なものであります。しかるに船舶関係の陸上職員はわずかに百六十九名でありまして、さらに驚くべきことに、本庁二十名の職員の中に、船舶の技術者はわずかに二名しかいないということであります。従って船舶の安全に対する知識を持たない者が、航海技術者に命令をして、連絡船を運航させているということになるわけであります。同じような船舶を所有して、同じような平水沿岸を航海している民間の船会社を見ますると、関西汽船では四十二隻、三万五千トン千七百人の船員に対して、陸上職員は二百九十六人おります。その大半が航海技術者をもって占めております。また東海汽船におきましても、八隻の船、五千トン二百五十六人の船員に対しまして、百四十五人の陸上職員がおって、これまた三分の一は技術者をもって構成されておるのであります。洞爺丸事件以後今日に至るまで、このような機構や人事構成の上に大きな欠陥のあったことに対して、運輸大臣が知らなかったとすれば、これだけでもあなたは運輸大臣として十分反省善処なさるべきであります。このような私の所見がもし間違っていれば御指摘を願いたい。もし間違いでなければ、この機構や人事の上にどのような配慮を払ってこられたかを運輸大臣にお伺いをいたしたいと存じます。 第二に、総理大臣にお伺いいたしますが、昨日来一部の新聞報道によりますと、政府部内においても、この国鉄機構の欠陥に気づかれまして、国鉄の公社制度を再検討して、国営にするか、民営にするか研究を要するとの意見が相当強まっているということでございます。もし、この報道が真なりとすれば、実際にはどのようなことが考えられているのか、お伺いをいたしたいと存じます。その考えや意見が国鉄全体の機構にまで及ぶことは、さように簡単に処理されるべきではございません。しかしながら、特殊な技術を要する船舶部門にだけでも、これを切り離して、思い切って民営にするか、あるいはまた、専門的な運営と技術を持っている有力な民間会社に委託運航させるというような意思はないか、この点についての総理大臣の御所見をお伺いいたします。 さらに第三に不可解とするところは、現在に至るも、いまだに乗船者数を確実に把握しておらないことであります。先ほども御質問がございましたが、すなわち十一日の午後五時、四国鉄道管理局の発表によりますと、乗船者数が七百七十九名で、うち生存者数が六百九十二名、死者が五十名、行方不明三十七名となっておって、また十一日の午後八時、同じく四国鉄道管理局から乗船者数が七百七十九名、生存者が六百七十六名、死者が七十一名、行方不明者が三十二名となっておって、さらに午後十時になりますと、数の確定がますます混迷となって参りまして、生存者が六百八十五名、死者が七十六名とのみ発表されて、このとき、現在においては生存者と死体の引き揚げられたものだけは明確となりましたが、行方不明者の数は捕捉できない状態となっております。さらに、十二日午前二時、国鉄本庁の事故対策本部では、乗船者総数が八百三十四名、そのうち生存者が六百八十三名、死者が七十六名、行方不明七十五名となって、十一日の午後五時の第一回発表より、総数において五十五名の増加となっております。ただいまの運輸大臣の御報告では、総乗船人員が九百七十名と申された。この内訳は、生存者七百七十五名、死者が百四十七名、行方不明四十六名、この内訳の合計は九百六十八名になっているのに、総乗船人員は九百七十名と報告されております。この二名は一体どこにいるのかお知らせを願いたい。そのうち船員の数が六十六名と発表されておりますから、これが確かでありますと、一番最初発表された乗客七百七十九名が百二十五名の増加となっているので、この数の違いのはなはだしいのに実に驚いたのであります。この数は最後の確定数でありますか、もし確定数であるとすれば、何を根拠にしてこれを確定とされたのか、お伺いをいたします。しょせん、このように数の捕捉が困難であるということは、紫雲丸が出港に際しまして、先ほども御指摘がございましたように、船客名簿を整備しなかったことに原因することは論を待ちません。十一日の午後七時ごろ、この惨禍のために号泣する現地に飛んだ天坊副総裁は「連絡船は、事故の起ることを予測していないので、船客名簿は備えつけていなかった」と放言した由でありますが、もしそれが事実であるとすれば、その責任を軽視すること万死に値いすると思うのであります。もちろん、平水を航路定限とするこの船では、法的には船客名簿を備えつける必要はありません。しかし、この事件はいずれかの一方が法律を守り、他の一方が法律を無視したので起ったという性質のものではありません。遭難をした乗客は、船がどのようなときに、どのように航海すれば危険なのか、何も知らない乗客なのであります。年に一回の修学旅行を楽しんでいた小、中学校の生徒たちなのであります。 私は、昨年洞爺丸事件を起して、その罪を天下にわび、その責任を痛感されて、再びかかることを起さないよう最善の努力を払うことを国民に誓った国鉄の責任者であるがゆえにこそ、人命を尊重するということについて注意を怠った一つの重要な点として、これを責めるのであります。もし、先ほど運輸大臣がおっしゃいましたように、一時間半くらいの航海でありますから、船客名簿を備えつけることは不可能である、このようにおっしゃいましたが、もし技術的に運輸大臣の能力でできないのならば、私のところにおいでになれば、技術的にそれはできる方法をいつでも御伝授申し上げます。(拍手) このような事件に遭遇して、尊い人命を数で数えることさえ没義道に思えるのに、その数さえ的確に捕捉できないことは、まことに遺憾しごくと思うのでありますが、運輸大臣はどのように感じておられるか、また将来この点について具体的にどのように措置される御所存であるか、お伺いいたします。 次に、文部大臣にお伺いいたしますが、修学旅行中の小学校や中学校の生徒が、このような惨禍にあい、国民も父兄もともに大きな悲しみと憤りの中にあるとき、文部省としては、その慰問や救援等に対して、どのようなことをしておられまするか、お伺いをいたします。先ほど遭難の実情についての御報告はございましたが、文部省としての態度が明確でありませんので、この点について、もう少し具体的に御説明を願いたい。また、今度の海難事故によりまして、小学生の二泊三日という日程は考えてみる必要があるといたしましても、このことのために、海国日本の小学生に海をおそれさしたり、海を渡っての旅行を自粛させるような行き過ぎをやるべきではないと考えますが、文部大臣の御所見を全国の小学生に対して鮮明にせられたい。 以上私の質問といたします。(拍手) 〔国務大臣鳩山一郎君登壇〕
○国務大臣(鳩山一郎君) 松浦君の御質問にお答えをいたします。 松浦君は国鉄と政府との関係についてどういうように改善をするかという御質問でありましたが、国鉄と政府の関係についても検討しなくてはいけないという話し合いをいたしました。いかにこれを改正するかについてはまだ検討中でありまして、御報告いたしかねます。 〔国務大臣三木武夫君登壇〕
○国務大臣(三木武夫君) 松浦議員の御質問にお答えをいたします。 船舶の管理部門が弱体であるということはお説の通りだと私も思うのであります。現在国鉄の船は雑船も入れますと、七万トン程度の船を持っているのに比べて、船舶の管理部門というものは弱体であると思います。従ってこれは今後この管理強化について検討を加える必要があると考えておるのでございます。 さらに、総理大臣からもお答えがあったようでございますが、国鉄の機構につきましては、これは現在公共企業体という企業形体になっておるわけであります。この公共企業体としていろいろ改革を加える点があろうかと思いますので、政府の中にも公共企業体合理化審議会等もございますし、運輸省自体といたしましても、国鉄のあり方については検討を加えていきたい、しかし、それは民営などに国鉄をするというような考え方じやなくして、やはり公共企業体という形で検討を運輸省としては加えていきたいと考えておる次第でございます。ただ政府と国鉄との関係というものが御承知のようにこれは検討を要する点がございます。政府の国鉄に対する監督上の問題については、国有鉄道法も検討いたしておる次第でございます。 旅客の名簿については、私は不可能であると申したわけではないのであります。不可能ではございませんが、何分にも短距離の場合は、乗客の方々にも非常な手数がかかるわけでございますので、こういう法律ができたわけでしょうが、しかし、この点については検討を加えてみたいと思います。名簿がなくても確実にやはり乗客の人員はこれがわかっておらなければならぬ。今回の遭難事件を通じてみましても、乗客の実際の数が正確に把握できないということは全く遺憾に考える次第であります。少くともこういう点については船客名簿ということになると、法律の改正を伴うわけでありますが、しかし、連絡船に乗った人々の人数を正確に把握できるというような点については、直ちにさようにそういう処置をとるように別に申したいと思っております。 なお、私が申し上げた数字で二名違うじゃないかというお話でありましたが、今申し上げましたように、船客名簿等もないために数字の正確なものを把握することが困難であって、ただいま御報告申し上げた中にも約九百七十名と推定をされるという御報告を申し上げたわけでございまして、これは名簿がきちんとわかっておりますれば、何十何人ということで申上げられるんでありますが、今のような事情がありましたので、全体の乗客は約九百七十名と推定をされると申し上げたので、これが正確に何十何名ということでなしに、約という言葉で申し上げたので、御了承を願いたいと思うのであります。 以上、御質問のお答えとしたいと思います。 〔国務大臣松村謙三君登壇〕
○国務大臣(松村謙三君) お答えを申し上げます。 文部省といたしましては、応急の措置といたしましては先刻申し上げました通り、現地へ人を派して、救助、善後の措置に遺憾のないように努めておりますとともに、根本的にこのような惨害の起らないようなふうに、この上とも修学旅行について最善の措置をいたしたいと考えます。今お話し通りに、こういうことがあったといたしましても、将来児童が見聞を広くする機会を閉ざし、あるいはお話し通りに海をおそるるようなことがあってはなりませんから、(「そうだよ」と呼ぶ者あり)そういう退嬰的の考えをこの惨害から起すというようなことなくして、そうして将来このようなことを繰り返さないように最善の努力をいたす覚悟でございます。 なお、はなはだ恐縮でございますが、先刻申し上げました数字のうちに多少の間違いもございましたので、ちょっと訂正さしていただきたいと思います。きょうの午前一時三十分現在の調査によりますと、乗船者は三百七十四名でございます。そのうち生徒は三百四十九名、教員が二十名、父兄が五名でございます。そのうちの生存者は総計二百六十五名、生徒が二百四十八名、教員が十五名、父兄が二名でございます。死亡者と確認せられました者は八十三名、その八十三名の男女の区別は男が十二名、女が七十一名でございます。生徒はそのうち七十六名でございまして、男が九名、女が六十七名でございます。それから教師は男が一名、女が三名死亡いたしております。父兄は三名死亡いたしておりまして、男が二名、女が一名でございます。行方不明の者が二十六名でございまして、男の方が五名、女の方が二十一名、そのうち生徒は二十五名でございまして、男が五名、女が二十名、教員の方で行方不明の方は一名、これは女の方でございます。こういう結果でございまして、まことに遺憾にたえぬところでございます。
○議長(河井彌八君) これにて質疑の通告者の発言は全部終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。 —————・—————
○木村守江君 私はこの際、地下濫掘の被害対策に関する緊急質問の動議を提出いたします。
○三浦義男君 私は、ただいまの木村守江君の動議に賛成いたします。
○議長(河井彌八君) 木村君の動議に御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。これより発言を許します。木村守江君。 〔木村守江君登壇、拍手〕
○木村守江君 政府は組閣以来、あるいは施政方針の演説において、またその他の機会において、民生の安定を期することが政治の要諦であり、急務中の急務であるとして、あるいは住宅の建設に、厚生施設の充実に、あらゆる努力をいたすことを約束されているのでありますが、ここに政府の行政監督の怠慢より、人間生活に最も重大なる関係ある飲料水に対し、きわめて危険なる状態下に放置されつつあるのでありまして、これは民生の安定を唱える鳩山内閣といたしまして、まことに言語道断なる行為と難ぜざるを得ないのであります。 〔議長退席、副議長着席〕 もちろん資源に乏しいわが国といたしましては、あらゆる地下資源をも開発いたしまして、自立経済達成の一助ともいたさねばならないことは論を待たないところでありまするが、鉱業法の禁止区域までも濫掘いたしまして、地上生活者に不安と損害とを引き起すというようなことになりましたならば、これは断じて許すべからざることであると思うのであります。今やわが国三大炭田の一に数えられておりまする常磐地方には、地下濫掘により、住民に対し不安と憂慮の念を惹起いたしておる幾多の事例があるのでありまして、とうてい看過でき得ない問題であります。 一例を取り上げて申しますならば、内郷市並びに常磐市に通ずる上水道の問題でありまするが、御承知のごとく、この両市はいわゆる常磐炭田の中心地にあり、その市街地をなすところの炭坑街は、シティといたしましては、ふさわしからざる煤煙に汚染されたる住宅、店舗の密集するところでありまして、すべての河川は炭坑独得の洗炭等による泥水のため汚染され、きわめて不衛生的なる状態にあるのであります。従って井戸水並びに流水も全く使用に耐えざるものであるのであります。かかる状態下にあるところのこの二つの市民の飲料水といたしまして、また家庭用水といたしまして、唯一の頼みとする上水道が、今や地盤沈下によりコンクリート水路が沈下し、無数の亀裂を生じ、漏水はなはだしく、きわめて危険なる状態にさらされているのであります。あまつさえ一時は地盤沈下のために水路側壁倒壊し、毎分百五十立方尺の奔流となり、全く飲料水に枯渇し、地元民に対し非常なる不安を引き起したる事例があり、憂慮に堪えざるところであります。特に火災等の不慮の災害を考うるとき、実に思い半ばに過ぎるものがあるのであります。かかる事由によりまして、当問題につきましては、再三通産省当局並びに地方出先機関に対しまして、水路保護のため、鉱業法並びに鉱山保安法の規定によりまして善処方を要望いたしておったのでありまするが、じんぜん日を送り、いまだ適切なる処置を見ないことはまことに遺憾至極と言わなければならないのであります。 この問題は、実に内郷、常磐両市民約十万の生命に関係のある由々しき問題でありまするので、放置することを得ず、国事多端なる折柄にもかかわらず、関係各大臣に対しまして緊急質問をするに至った次第であります。従って、これらの問題に対する不安を一掃せんがために、次の諸点に対し、詳細、明快なる答弁をお願いしたいと存ずる次第であります。 まず、通産大臣にお尋ねいたします。大臣は内郷、常磐両市の上水道が地下採掘により沈下破壊し、目下社会問題化しつつあることを知っておられますか、どうか。第二番目に、被害が市民生活上必需の飲料水たる上水道であるにもかかわらず、一般田畑の沈下のように軽視し、鉱害の未然防止に対する行政監督上に遺憾の点がなかったかどうか、今日までの経過上遺憾の点があると思われるが、これに対しまして国家賠償を考えているか、どうか。第三に、加害炭鉱は何炭鉱であるか、通産大臣は詳細を御存じないかも知れませんが、あなたの部下である事務当局はその炭鉱にろうらくされているように思うが、どうであるか。第四番目に、将来両市の水道を保全確保する保証をなし得られるか、今後の防止対策はどうする考えか。第五番目に、現在もなお水道に影響のあると思わるる区域を採掘していると聞いているが、これは事実であるか、これをどうする考えであるか。第六番目に、水道に影響を及ぼさずに採掘せしむるところの方法があるか、どうか、今日までの当局のとった経過上から考えて、採掘制限だけで将来を保証することができるか。第七番目に、現在の沈下漏水の復旧をどうさせる考えか、鉱業法五十三条に照らすときに、採掘跡の充填はもちろん、採掘禁止もこの際やむを得ぬと思うが、政府にはこの決意があるか、どうか。大臣はこの問題につきまして、あるいはそれほど急迫していないというような考えを持っておられるかも知れませんが、私は今回の紫雲丸事件と同じように、ああいうような問題を惹起してしまってからではだめであって、今のうちに手を打つことが最も大事だと考えますので、大臣の誠意ある御答弁をお願いいたしたいと思うのであります。 次に、労働大臣に対しまして、採掘制限または採掘禁止に伴いまして失業者が出ると思われるが、それはどの程度であるか、不当採掘により、十四号台風の浸水のために廃坑となって失業したる者と比較したる場合に、それはどの程度であるか。第二番目に、炭鉱従業員の安全のためにも保安炭壁の採掘は厳に禁止すべきであると思うが、どう考えておられるか。 最後に、川崎厚生大臣にお尋ねいたします。大臣は水道行政の元締めであるはずでありますが、今日までひたすら通産省のみに依存いたしておって、何らの対策も講じておられないというのは一体どういうわけであるか、それで厚生大臣としての職責を全うしておったと言えるかどうか。また鉱業法の見地からいたしましても、今日まで対策を講ずべきであったと思うが、大臣は本問題は保健衛生上害があり、公共の用に供する施設に支障があると思わなかったか、どうか。 以上の点につきまして各大臣の御答弁をお願いいたしまして、私の緊急質問を終ります。(拍手) 〔国務大臣石橋湛山君登壇、拍手〕
○国務大臣(石橋湛山君) ただいまのお尋ねに対してお答え申し上げます。 常磐市及び内郷市に、石炭採掘の関係から水道に故障を起しつつあるということはかねて報告を受けて承知しておりますが、ただいままでの調査では、この採掘をいたしておりますのは戸部鉱業株式会社というものでございますが、これに対して厳重に戒告その他の方法を講じております次第であります。水道は確かに沈下をいたしておりますが、現在のところでは、これは補修ができる程度であるという判断をいたしておりますから、補修改善工事を鉱業権者に行わせるということで、ただいま戸部鉱業株式会社に対して厳重に申し渡しをしておる次第であります。しかし、もしもその戒告によって適当な工事をいたしません場合には、これはやむを得ませんから、採掘制限をも行う決意でただいまおります。国家補償はただいまのところでは法律上できないようでありますし、またいたす計画を持っておりません。 以上簡単でありますが、お答え申し上げます。 〔国務大臣西田隆男君登壇〕
○国務大臣(西田隆男君) 木村さんにお答えいたします。おっしゃったように、上水道を保護するために常磐水道保護区域に対しましては、本年の三月に採掘の中止を勧告いたしました。この勧告は、戸部炭鉱に対する全面的な採炭の中止ではございません。今後常磐水道の改善補強工事を行いますことによって、一部分の採掘制限をして、水道の保護に必要な処置を講じたのでございます。このために失業者として生じたものはございませんが、採掘区域の制限によって十名程度のものが職場転換をする必要があって、現在戸部炭鉱において職場転換をはかっております。従ってこの問題に関して特に失業対策は考えておりません。 それから第二の問題につきましては、昨年の九月の台風によりまして、宮川の河床が陥落いたしました結果、炭坑に水が入りまして、そのために一部は復旧未了のものもありますけれども、大部分のものは復旧完了いたしております。そうして、その炭坑の未復旧のものにつきましては職場転換をはかっておりまして、特に浸水のために失業者ができたとは考えておりませんが、石炭状況は御承知のように非常に不況でありますので、そのために多少の失業者が出ております。これに対しましては、直ちに失業対策を講じまして、特に河川その他の関係で失業者をただいま吸収いたしております。今後もし不況のための失業者の増加に対しましては、その情勢に応じまして、逐次吸収していきたいと、かように考えております。 〔国務大臣川崎秀二君登壇〕
○国務大臣(川崎秀二君) 木村議員にお答えいたします。 内郷、常磐市に突発した問題につきましては、ただいま通産大臣からも御答弁がありましたように、ことに厚生省といたしましては、市民給水の重大な使命を有する上水道の施設が鉱害によって給水機能を喪失いたしまして、円滑な給水ができない現状は、市民の生活上まことに遺憾なことであると考えております。これが対策につきましては、厚生省としては、さしあたり通産省に対しまして、施設の復旧について、すみやかなる措置を講ずるよう申し入れを行なったのであります。それとともに、今後はかかる鉱害の発生しないよう、合理的な採掘方法その他について、通産省が鉱山保安法等に基き厳重に監督するよう要望する考えであります。もとより保健行政に重大な影響のあることは御指摘の通りでありまして、私は明後日、人口問題に関係いたしまして常磐炭鉱に参りますので、その際におきまして、時間がありますれば十分に現地において調査をいたし、さらに通産大臣に対して適切な措置を講ずるよう、現地の調査をも含めて申し入れをいたしたい、かように考えております。
○成瀬幡治君 私はこの際、富士山演習地問題などに関する緊急質問の動議を提出いたします。
○天田勝正君 私は、ただいまの成瀬君の動議に賛成いたします。
○副議長(重宗雄三君) 成瀬君の動議に御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。よってこれより発言を許します。成瀬幡治君。 〔成瀬幡治君登壇、拍手〕
○成瀬幡治君 私は日本社会党を代表いたしまして、最近特に問題化してきました軍事基地関係について若干の質問をいたすものであります。 軍事基地は、講和条約締結以後今日まで一路拡張の方向をたどり、このまま進めば基地の中に日本があるという姿となります。土地などの接収に当る出先機関は、関係住民に対して、アメリカとの関係でやむを得ない、どこかに置かなくてはならないからと説得に努め、あたかも安保条約、行政協定が基地の拡張、新設を義務づけており、基地化に反対することはできない、あきらめろと、こういう態度であります。 そこで鳩山総理並びに重光外相にお尋ねいたしますが、基地の新設並びに拡張は、安保条約、行政協定に基いてアメリカより要求のあった場合、絶対に拒否することはできないのかどうか。または要求に対して最小限度はどうしても承認をせなければならない積極的規定で、義務づけられていると解釈しているのか。また米国からの申し入れを政府が拒否し、しかも米国も要求を撤回しない場合は、行政協定第二十六条三項の規定で「適当な経路を通じて、その問題をそれぞれの政府に更に考慮されるように移す」とありますが、いかなる処置によって具体的に問題を解決することになっておるのか、あわせて明瞭なる御答弁を承わりたい。 第二点は、安保条約、行政協定に義務づけておらなくて、日米双方の納得の上に拡張、新設が決定されるとするならば、政府は国内の基地拡張並びに新設について、それぞれの理由と根拠があるはずであります。その基準をどこに置いておるのか。すなわち第三次世界大戦または局地戦争を想定したとき、日本には関係がなく、ただアメリカが関連したのみで、現在のごとく軍事基地化が積極的に進められて参りますならば、日本は自動的に戦争に巻き込まれる結果となります。戦争はごめんというのが国民感情であります。基地の減少、撤回の一日も速かならんことを願っておるのが国民感情であります。国民感情を無視したところの政治はあり得ないのであります。日本政府の納得の上で決定するとするならば、基地拡張、新設の必要理由を、いかなるところにその根拠を求めておるのか。御答弁をお願いいたします。 第三点は、具体的に伺いますが、何故に富士山ろくで百五十五ミリの曲射砲の実弾射撃を行わなければならないのか。富士山は日本の象徴であり、世界的名山であります。しかも北富士演習場は天然記念物の原始林、樹海あり、風穴、氷穴など多数あって、科学上からも貴重な地点であります。基地化のため世界の名山、日本の象徴がじゅうりんされ、汚されては、大へんであるというよりもむしろ悲しむべきことであります。私も昨日現地調査をしたのでありますが、精進口登山道は立ち入り禁止、船津口登山道のバス禁止などの処置がとられ、反対を叫び、富士山を守ろうとする地元住民約二百名と警官三百名が対峙し、その中で富士山頂よりも高く、十五キロメートルのかなたに実弾が飛ぶ射撃演習が何ゆえに必要であるのか、また、さきに施設特別委員会で一応決定せられた小牧、松崎、木更津、立川、横田の飛行場の拡張は何ゆえに必要であるか、具体的に一つ一つ、それぞれの必要理由の説明を承わりたいのであります。 質問の第四点は、さきに述べました五つの飛行場拡張は、鳩山総理からハル司令官に送った書簡で、防衛分担金を削減して下さい、そのかわり飛行場の拡張は認めますと約束したことによることは、日米共同声明などからして明瞭であります。ここでハル司令官へ送った書簡の大要が承わりたい。防衛分担金を削減し、これを民生安定関係費に回すことは、鳩山内閣の公約でありました。この公約ができそうもないというので、あせってかかる取引をせられては、国民はたまったものではないのであります。飛行場拡張の責任を明瞭にしていただきたいのであります。 第五点は、重光外相並びに福島調達庁長官にお尋ねいたしますが、北富士演習の実弾射撃の紛争は、協定の一般事項、第四項の解釈にあります。四項に、「富士吉田、富士御殿場口及び須走口の登山道を越える実弾射撃を原則として禁止することに同意する。ただし七月、八月及び九月を除いては現地において調整の上、上述の射撃を行うことができる」とあります。原則はあくまでも射撃を行わないことであります。万が一行うような場合は、現地において十分調整の上実施されるものであります。少くとも住民の納得と賛成を得て、しかも県知事、県会なども射撃に同意してこそ、初めて行われるのが当然であると解釈され、今回の射撃開始は米軍の一方的協定違反であり、即刻中止すべきものであると解釈するが、政府の解釈はどうなっておるのか。また、伝えられるところによると、調整は、原文でコオーディネイションとなっており、アプルーヴァルでないので、通告をすればよいというのが米軍の解釈であるというのでありますが、国際慣行上、またはかかる約束を秘密裡にしておるのか、あわせて承わりたいのであります。(拍手)なお、この際ついでに福島長官に特に数字でお示し願いたいのでございますが、現在の飛行場並びに演習場の総面積と、講和条約締結以後増加したところの面積をあわせて示していただきたいと思います。(「ふえておるよ」と呼ぶ者あり) 第六点は、土地建物などを収用するときの基本方針であります。私有権を尊重し、所有者の納得と了解をあくまで得るように努力して問題を解決する方針なのか、強制的に法律をたてにとって問題を解決しようとするのか、いずれに重点を置いて収用を進めるのか、すなわち憲法で保障されておる私有財産を尊重する態度、方針であるのかどうか、明らかにしてもらいたい。 次に損失補償でありますが、土地収用法の第六十八条から第七十五条によりつつ、電源開発などの補償を参考にして、社会通念で、常識で解決していく方針であるか、この際明確にしていただきたい。 質問の第七点は、飛行場拡張は、結果的に原水爆基地になるのではないか、原水爆基地にならない保障ができるかできないのか、お伺いをいたします。小牧などは現にジェット戦闘機が爆弾を積んで離着陸をしております。最近も飛行場附近に爆弾が落ちましたが、幸いに不発であったために、被害は最小限度に終っております。一体何の必要理由から拡張をしようとするのか。小牧などの今回拡張計画の飛行場が原水爆基地にならない保障は、政府はどうやってしようとするのか、ただ希望的言辞のみでは住民は納得も安心もできません。原水爆基地にならない保障を完全に行うことができるかどうか、米国と協定を結ぶようなことができるかどうか、鳩山総理から御答弁を願いたい。 第八点は、安保条約、行政協定の破棄並びに修正についてであります。軍事基地化が日本国内で積極的に推し進められますれば、戦争へ巻き込まれる危険があり、また基地の拡張、新設で土地を取り上げられ、生活を失い、また風紀上、教育上青少年の勤労意欲などに重大な悪影響を及ぼしておることは今さら申し述べる必要がないことでありますが、基地を中心として絶えず紛争が起りますが、元をただせば講和条約、安保条約、行政協定の不備と不平等に問題点があります。これは吉田秘密独善外交の結果によるとは申しますが、イギリスとかフィリピンなどは、基地の個所は条約の中に明文化されておるのであります。鳩山総理は、かつて本議場においてその施政方針演説で、日本の独立達成への願望を述べられました。独立完成への道は、当然安保条約、行政協定の破棄、修正がなされなければならないと考えられますが、総理はいかなる考えを持っておられるのか。条約、協定の改廃は簡単にできるものではございません。国民の世論を背景としつつ進められる国民外交によって初めてなされるものと信ずるのでありますが、総理の御答弁を伺いまして、一応私の質問を終ります。(拍手) 〔国務大臣鳩山一郎君登壇〕
○国務大臣(鳩山一郎君) お答えをいたします。 米軍が使用のために必要な施設及び区域の使用を認めることが、日本の義務になるのかどうかというような御質問でありましたが、日本の義務であると私は思います。ただこの義務履行のためには合同委員会を通ずる等、種々の手続が必要なのでございます。行政協定第二十六条第三項は、合同委員会で意見がまとまらなかった場合は、政府間の外交交渉によって合意に達する方法について規定しているのであります。 飛行場拡張のことについては、外務大臣から答弁いたします。 原爆基地について御質問がありましたが、私は日本に原爆を貯蔵するというような事柄については、アメリカが日本に相談をしないでそれをやることはないと思います。相談をする場合においては、私はそういうことが起らないように極力いたしたいと考えております。 〔副議長退席、議長着席〕 独立の完成について、安保条約、行政協定の改廃についてどういう考えを持っておるか。独立の完成ということは、一言にしていえば、占領時代にでき上ったところの諸法令を改正するということが第一の目的であると思いますので、独立の完成のために安保条約、行政協定等も改正は必要であると思っております。(拍手) 〔国務大臣重光葵君登壇〕
○国務大臣(重光葵君) 今の御質問にお答えいたします。 大要は総理大臣のお答えによって尽きておるようにも考えます。この安保条約及び行政協定、これは戦争の結果起りました日米共同防衛の義務を規定しておる条約でありまして、その結果、米軍使用のために必要な施設及び区域の使用をこの条約によって認めておるわけでございます。そこでこの義務の履行はいたさなければならぬと考えます。その義務の履行につきましては、行政協定によりまして合同委員会が設けられて、その義務の履行の細目について詳細に決定、協議することに相なっております。その協議の決定した結果によりまして、今回の富士山ろくの演習地の問題も起ってきておるのでございます。そこでこの行政協定、安保条約というものには直接の関係がない、つまり合同委員会で協議決定したところのことについて、疑義が生じて、いろいろ紛争が起ったということに相なります。これはまことに遺憾なことでございまして、しかしこのことについては、十分に現地の当局の間において交渉をして解決をする見込みに相なっております。またその合同委員会で協議決定をする場合におきまして、富士山ろくの演習地につきまして、我が方の希望、たとえば天然記念物の保存とか何とか、そういうような我が方の希望は詳細にわたって協議の議題に相なっておると承知をいたしております。さようなわけでありますから、この問題からすぐ行政協定、保安条約の改訂ということが結論にはならないと思います。しかしながら、私はそれだからといって、日米全体の共同防衛からくるこの問題をそのまま長く放置しておいていいということは決して申し上げません。これは戦争の結果、敗戦の結果、できてきた状態であることは争うことができませんから、さようなことについては十分検討をいたしまして、世界情勢ともにらみ合して適当な時期にこういう問題については十分改訂の考慮をめぐらす必要があると思いますが、今日はその時期が来ておると私は考えておらない次第でございます。 なお飛行場の問題につきましても、これは日米共同防衛の責任からくることでございますから、飛行場の拡張、すなわち滑走路の延長ということが防衛のために必要であるということになれば、これは協力すべきことであろう、こう考えております。ただし、それにつきましては、あくまで合意に基いて十分に協議をして、そうして交渉の上適当に決定すべきことであろう、こう考えております。この問題は、そうでありますから防衛分担金の交渉の問題とは全然別個の問題であるのでございます。 なお富士山ろくの演習の問題、現地の交渉の模様は主管者によって御説明申し上げる方が便宜かと思います。 私のお答えを終ります。 〔政府委員福島愼太郎君登壇〕
○政府委員(福島愼太郎君) お答えを申し上げます。 御指摘のございました富士山ろく演習場使用条件の中にございます調整という語句に関してでございますが、これは日英両文で作ってございますので、調整という語句をコオーディネイト、御指摘の通りでございますが、コオーディネイトと訳したのでございまして、調整ということ以外に別訳があるわけではございません。調整という言葉は、条約の用語の慣例から申しますれば、厳密に相手方の承諾を要件とするという字句ではございません。当事者双方の話し合いという程度の意味でございます。しかしながら当事者の一方的通告をもって足りるものではございません。事前に双方が十分話し合いを行いまして、時期、方法等につきまして措置を講ずる必要はあるものと解すべきであると考えております。ただし、今回のごとく協定上認められておる射撃実施に関するアメリカ側の具体的申し入れに対しまして、山梨県が文書をもって回答したのでございますが、将来にわたりかかる射撃を絶対に拒否するという回答を発しましたことは、調整という内容以外のものについて回答を発したことになりますので、アメリカ側の理屈で申しますと、県側は調整の権利をみずから放棄したものと解されるという解釈になりまして、ここに紛争の事態が発生した次第でございます。以来、鋭意交渉に努めておりまして、大体県側の満足する妥結に達し得るものと考えております。 なお飛行場その他に関連いたしまして講和条約発効以来、日本における施設、区域、特に演習場、飛行場等がどういうふうに増加したかというお尋ねがございましたのでお答えを申し上げますが、講和条約発効時以来、今日、昭和三十年四月一日でございますが、それまでに変りました数といたしましては、いわゆる施設区域は講和条約発効時におきまして七百三十一でございました。今日は六百五十七になっております。従いまして数といたしましては減少しておるわけでございます。そのうち演習場は、講和条約発効時に七十四カ所でございました。今日におきましては八十二カ所になっておりまして、演習場の関係はふえております。飛行場は講和条約発効時におきまして三十九でございまして、今日におきましては四十カ所になっておりますので、ふえております。その他一般の関係が相当に、百件近く減少しておるということでございます。なお、その面積につきましては、講和発効時におきましては、坪数で申し上げますと、七百三十一カ所、三億五千一百万坪でございまして、今日におきましては、件数は申し上げました通り減っておるのでございますが、面積は四億一千万坪となっております。従いまして、それの細分を申し上げますと、特に御指摘のございました飛行場の関係で申し上げますと、飛行場の関係は、講和発効時におきまして四千四百万坪、今日におきましては四千三百万坪、多少減っております。演習場の関係におきましては、講和発効時に二億四千七百万坪が、今日三億一千一百万坪となっております。 なお、続いて御指摘のございました土地を提供する場合に、土地の提供を受ける場合に、法に基いて強制的にやるのか、所有権を尊重するのかという点でございますが、政府といたしましては、アメリカ駐留軍の施設区域の提供に当りましては、極力地元の納得と協力によって、円満に処理する方針でございます。 なお、さらに御指摘のございました、相当な価格をもって補償しなければならないという問題でございますが、これはもちろん収用法にございます点でございますが、相当な価格とは、客観的にも社会的にも、その評価における価格でありまして、社会通念並びに経済常識上、通常支払う義務があると考えられる価格をさすものと考えております。 〔成瀬幡治君発言の許可を求む〕
○議長(河井彌八君) 成瀬幡治君。 〔成瀬幡治君登壇、拍手〕
○成瀬幡治君 鳩山総理並びに重光外相にお尋ねいたしますが、安保、行政協定で基地拡張が義務づけられておる、こういうことになるとするならば、アメリカの要求があれば日本中が全部基地になってしまうのだ。そういうことが義務づけられておると解釈されるのか。一応こちらの政治的な、あるいは経済的ないろいろな内容は話をして、ある程度それを最小限度に食いとめることができないかどうか、ノー・ズロース的に行くのかどうかという点を、私は明確にしてもらいたいということでございます。しかも行政協定の第二十六条の三項で、合同委員会で結論が出なかった場合には、さらに政府が考慮すると、こう書いてあるということは、ある程度こちらも断われるということを規定しておるものだと思っておる。それに対して、ただ単に義務づけられておるのだと、要求されれば全部やるのだと、こういう解釈では、私はこれこそ安保、行政協定が隷属的な、このくらい不平等な条約はないと思う。だから、そこの点をいま少し私は明瞭にしてもらわなければならぬと思う。だから、私は、鳩山総理大臣が言うように、改訂するというのは当り前だと思う。改廃するというのは当り前だと思う。重光さんはそれに対して何と言った、今、必要がないと言った。どうして必要がないのだ。私はこの答弁の食い違いについて、いま少し明瞭にしてもらいたいと思います。 それから第二点として、原爆を貯蔵するような場合にはアメリカはおそらく相談してくるだろうと、こうあなたはおっしゃる。相談してこなかったらどういうことになるか。あなたは少しその点は人が好過ぎると私は思う。もう少し積極的な私たちは態度をとるべきだと思うのです。あなたはそういうことについては、少し私は一国の総理大臣として、八千万の国民の生命をになう政治家としての決意として、少し甘過ぎるのじゃないかと、こう思う。 次に福島さんにお尋ねしますが、第四条の前段は、射撃をやらないというのが原則なんです。後段で、やる場合は調整すると、こういうのです。それに対して、あなたはアメリカの立場ばかりおっしゃる、米軍の。山梨県の県知事の方がやらないという通達を送ってきた、通告をしてきたと、それだから、調整の権限を放棄したから、アメリカは一方的にやったのだと、こういうふうに、あなたは一体日本人かどこの代弁者かわけのわからないようなことをおっしゃっている。第四条の前段は「禁止することに同意する」とある。やるとする場合は調整であるというようなことは、あなたが言うように日本が納得する場合である。だから、それはアメリカの一方的な協定違反であると私は信ずるのだが、あなたはどう解釈しているかということを明瞭にしてもらわなければ困ると思う。(拍手) 〔国務大臣重光葵君登壇、拍手〕
○国務大臣(重光葵君) お答えいたします。 私が先ほど申しましたのは、安保条約、行政協定によって、日本が基地を提供する義務があるということを申し上げたのであります。しかしこれは決して、条約を見ても、私は無条件に向うの言うままに、すべて基地を、どこでもここでも提供しなければならないということではないと解釈いたしております。それはそのときに十分に協議をして、そうして合意に達することが必要であると考えます。(「達しなかったら」と呼ぶ者あり)しかし合意に達し得ない場合においては、これは国家間の交渉になることは当然のことでございます。それからまたさようなことは、私は結局は先ほど申し上げた通りに、敗戦の結果起ったことであることは当然であります。でありますから、これは時期が来たらば、これを匡正するということも当然なことだと考えております。 〔国務大臣鳩山一郎君登壇〕
○国務大臣(鳩山一郎君) お答えいたします。 むろん、その基地を提供する義務があるということは、抽象的に申したものでありまして、基地の拡張についての同意がなければ拡張はできないのでありますから、基地の新設についてはもとより、日本政府また土地の所有者、これらの同意がなければ絶対にできません。それですから、日本中の大部分が、あるいは重要なるところが基地になるということは、私はないと思っております。 それから原爆の貯蔵の問題ですが、原爆というものは非常な災害を人類に及ぼすものでありまするから、これを貯蔵するということは重大な問題だと思っている。そういうような重大な問題について、アメリカが日本に相談なしに持ってくるということは、私はないと思っているのであります。あった場合には、私は断固としてこれに同意しないつもりでおります。 〔政府委員福島愼太郎君登壇〕
○政府委員(福島愼太郎君) 御指摘のような使用条件のうち、一般事項の第四条に「登山道を越える実弾射撃は原則として禁止することに同意する」とあるのでございます。従って例外として射撃することがあるわけでございます。その場合に現地において調整を行うということになるわけであります。今回五月の十日から十三日、本日まででありますが、四日間射撃をしたいということを言って参りましたのは、過去八年の間初めてでございますので、八年の間に四日間、初めてということは、例外と考えております。従いまして調整をした上で、これを承認すべきものと考えております。調整と申しますのは、調整の字句は、承諾と書いてないのでございますので、十日から四日間やりたいということを言って参れば、それではその日は都合が悪いとか、その場所は都合が悪いとかいう返事をいたすべきものでございまして、未来永劫にさせないという返事は調整という意にそわないものと考えております。 —————・—————
○平林太一君 私はこの際、富士山ろくの米軍演習地問題に関する緊急質問の動議を提出いたします。
○森田義衞君 私は、ただいまの平林君の動議に賛成いたします。
○議長(河井彌八君) 平林君の動議に御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。よって、これより発言を許します。平林太一君。 〔平林太一君登壇、拍手〕
○平林太一君 北富士演習場米軍実弾射撃問題に対し、この際、内閣総理大臣鳩山一郎君、外務大臣重光葵君に対し、その所信をただし、且つこれが責任に対し、これを明確にせられることを望むものであります。 質疑に先だちまして、現地の事情を申し上げるのでありまするが、ことに実弾射撃開始以来、現地住民の多くの人々はこんぱい、恐怖、苦悩の状態に置かれて、正常なるその職務につくあたわざるの事態に今日立ち至っておる次第であります。由来、わが身をつねって人の痛さを知れという言葉は、全人類に共通する不滅の名言であると承知いたしております。かりに仮定いたしまして、ホワイト・ハウスの上空を連日連旬にわたって演習射撃の砲弾が飛来いたした場合に、ハウスの主人は当然その執務は渋滞し、感情、精神は高ぶり、こんぱい、苦悩に陥るということは、この機会において私が予言してはばからざるところであります。また、音羽の山の周辺に砲座が置かれて、この砲座から弾丸が山の空高く、あるいは低く飛来するということになりますれば、(笑声)この山の持主であり、住人でありまするそれらの関係者は、これまた容易ならざる毎日、愉快ならざる日常を過ごさなければならない。ことによると、国家の政務も相当にこれは支障をきたすような精神状態になるということが想像されるのであります。それでありまするがゆえに、私はこの機会に特に米国政府に対しまして、私の所懐を申し述べたいのであります。(「質問だろう」と呼ぶ者あり)いわゆるかような事態にかんがみるところあり、わが駐日米国大使たるアリソン君は、この際、いわゆる米軍の富士山ろくにおける実弾射撃の行為に対しまして、とりあえず静思熱意を求めたいのであります。米国駐日大使アリソン君その人は、私の知れる範囲におきましては、極めて善良なる政治家である。ステーツマンである。その米軍がいわゆる富士山ろくにおいて不善の行為をなしておるという、この行為に対して、善良に立ち返らしむるの措置は、私は米国大使としての同君がこの際いたしてしかるべきやに承知いたすものであります。 これより質疑に入りますが、(笑声)本事件の実体は、申すまでもなく、わが国民精神の象徴、シンボルともいうべき富士山を焦点として、今日国民的世論の対象となり、国民感情の激発をきたさしめております。これを放置してしかるべきか、しからざるべきか、極めて常識的な御判断ができ得ることと思います。しからば、これを放置いたさない措置をいたし、現在のごとき事態をすみやかにこれを平静にいたすことは、当然政府の責任であり、とるべき処置であると信じます。これに対する所信、所懐を承わるのであります。 第二は、すでに終戦後十年に相なります。講和条約締結後を換算いたしましても四年以上を経過いたしておりまする今日、依然として隷属的協定ともいうべき行政協定に対しては、事あるごとにこれが検討を怠ってはならないことであります。このたびの事件にかんがみるところあり、政府は災いを転じて福となすの挙に出でられ、本協定に対する改訂を痛感せられ、これに対する具体的の措置をお進めに相なることが政府の責任なりと信ずるのであります。今日まで、公式、非公式にかかわらず、米国政府との間に、あるいは出先機関たる米国駐日大使との間に話し合いをせられた経緯がおありになるか、あればそれを御説明願いたい。もし、ないということでありますれば、はなはだ御職務の怠慢であるということを指摘する次第でございます。今日以後におきまして、これに対するお取り運びをいたすかどうか。アリソン駐日大使と話し合いをされる御用意があるかどうか。とりあえずの問題としては、この米軍実弾射撃問題に対して、この話し合いの上に、懇談の上に、それが早急なる処置をいたされることを望むものでありますが、この御用意があるかどうか。 最後に申し上げたいと思いますことは、日米外交の緊密なる推進をはかり、いわゆる二元外交を確立することは、今日の国際情勢下において、私といたしましては、きわめて緊急の事柄と存じているものであります。しかるに、本問題が発生することは、結果的に見まして、またこのまま放置いたしますことは、その結果といたしまして、この外交方向を阻害し、当面といたしましては日米両国民の感情に障害を来たすものであります。故に、これを処理するに対しましては、このたびの富士山麓米軍実弾射撃問題は、一地方問題として、これを軽視すべき事柄でないことに深く御留意を願いたいと思います。これに対する見解を求めるものであります。 以上をもちまして私の緊急質疑を終るものであります。
○議長(河井彌八君) 鳩山内閣総理大臣。——間違えました。重光外務大臣。
○国務大臣(鳩山一郎君) どうでも、私は、おっしゃる通りになります。
○議長(河井彌八君) 鳩山内閣総理大臣の登壇を求めます。 〔国務大臣鳩山一郎君登壇〕
○国務大臣(鳩山一郎君) 平林さんの御質問に対してお答えいたします。 このたびの富士山麓の実弾射撃事件は、まことに残念な事件だと思います。こんなことからどうしてこんな問題が起きたかと思っておりました。話し合いをすればわからないはずはない問題なのに、こういう遺憾な問題が起きたことは、まことに残念であります。アリソン氏と相談するまでもなく、極東軍司令官と調達庁長官と話し合ってもすぐわかるべきはずだと思っておったのでありますが、やはり私の予期通り、二人が話し合えば直ちに了解ができたようであります。とにかく登山道路を越えて実弾が飛ぶというような、少し非常識がかったことが起きたということはまことに残念で、これが話し合いで、できないはずはないと思っておったのでありますが、やはり話し合えばわかる問題であります。将来こういうようなことが起きないようにあらかじめの措置をとることが必要だと考えております。 〔国務大臣重光葵君登壇、拍手〕
○国務大臣(重光葵君) お答えを申し上げます。 日米関係の円滑化をはからなければならんという御趣旨のいまの御質問に対しましては、むろん私もその通りに考えております。そこで、今回の演習地の問題がたとえ現地の話し合いでまとまりましても、その他の幾多の問題についてアメリカ側とよく意思の疏通をいたし、また常に話し合いをすべきであるということは、その通りに考えまして、御趣旨に沿うように努力をいたしたい所存でございます。 —————・—————
○藤原道子君 私はこの際、頻発する人身売買事件に関し緊急質問の動議を提出いたします。
○横山フク君 私は、ただいまの藤原道子君の動議に賛成いたします。
○議長(河井彌八君) 藤原君の動議に御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。よってこれより発言を許します。藤原道子君。 〔藤原道子君登壇、拍手〕
○藤原道子君 私は日本社会党を代表いたしまして、最近頻発する人身売買事件等に対して、政府に対し御質問を申し上げたいと存じます。そしてまた、その責任ある御答弁を伺いたいのでございます。 私は昨年二月、本議場におきまして、同じく軍事基地周辺における米軍の暴行事件に関連いたしまして、この人身売買あるいはまた売春問題についての御質問を展開いたしました。ところが同じような問題を取り上げなければならないというこの日本の実情に対して、深い悲しみを抱いているものでございます。 まず第一に総理にお伺いいたしたいと存じますことは、私は、鳩山内閣が成立いたしましたときに、鳩山さんはその当時の国民に対する公約の中に、鳩山内閣は綱紀をまず粛正をする。道義の高揚をはかり、明朗な社会を建設するために努力をするということを主張されました。そして、その当時におかれまして、まずマージャンを禁止し、公邸の廃止等が約束されたのでございます。当時は汚職や疑獄等の続出に対して、国民の怒りは心頭に発しておりました。そしてまた鳩山さんその方が、有名な婦人運動の指導者であられる鳩山春子女史を母として、そして春子女史はその家庭も非常に潔癖であり、清潔であったと聞いておりますが、国民の多くはこの清潔なる家庭において育てられた鳩山総理が、しかもクリスチャンであられるから、あらゆる道義の頽廃に対しては相当突っ込んだ対策をとられるものと期待していたことはいなむことのできないところでございます。ところが、この公約もいつの間にやら、だんだん薄れて参りました。ことに最近人身売買等々は枚挙にいとまないほど発表されております。最近の新聞には、大田区における芸者置屋の問題、あるいは鹿児島における松元事件、あるいはまた特飲街におけるあらゆる社会悪が次から次へと報道されまして、週刊誌等によれば、載っていない日がないくらいにこの問題が取り上げられておりますにもかかわらず、これに対しての対策はほとんどとられていない。吉田内閣当時、犬養法務大臣は、売春問題はすでに限界点に達しておる、これはとうてい打ち捨ててはおかれないというようなことを発言され、売春処罰法の国会提出を約束されました。それをただちに実行に移されて、売春問題協議会が内閣に設置されて、そして民間から男女おのおの四名の学識経験者を選任され、関係各省からも次官が参画されました。この売春問題に対しては相当熱心に協議が進められていたのでございます。ところが、これが鳩山内閣になりますと、いまだに一回もこの協議会が開かれていないというのはいかがなものでございましょう。私はこの点鳩山さんの道義的な考え方に対して疑問を持たざるを得ない。あまりにも旗じるしと相違しておる現状に対して、あるいは対策を持っておいでになるのか、今期国会に売春処罰法が提出されるのかどうか、これに対して総理の明確なる御答弁とその所信を私は伺いたいと存ずるのでございます。 そこで、最近の新聞紙上の報ずるところ等を中心といたしまして、私は関係各大臣にお伺いをいたしたいと存じます。人身売買はもとより許されておるべきものではございません。ところが、従来人身売買と言えば、東北地方における単作農家、貧農の家庭から身売りがなされておった。ところが、最近はこの様相が変って参りまして、結局基地周辺における農漁村の貧困、炭坑地帯における失業者の家庭から、あるいは都市の片隅の家内工業に従事する家庭、こうした貧困家庭、失業者の家庭から、いとけない娘が悪質業者の手を経て歓楽街に身売りをされております。そしてその身売りの実相を見ますると、労働省の発表したところによりましても、特飲街に身売りされる婦女子がだんだん多くなって来ておる。だんだんにふえて来ております。女子の年少者に対する中間搾取等、司法事件に現われた職業別を見ましても、昭和二十八年には特飲街へ落ちたものが、売られたものが二百十五人、ところが、昭和二十九年になりますると、身売りされましたものが四百八十一名であって、そのうちの四百五十三名までが特飲街に落ちております。売春問題のやかましく叫ばれておりまする今日、売春を業とすると目されるこれら特飲街に落ちて行くものが四百八十一名のうち四百五十三名というようなことは、これはとうてい許すことはできないと思う。ことに問題点は、集団売春、集団売買が行われておる。人妻の身売りが行われておる。そうしてまた集団売買の場合には、年少女子が多く含まれておるというようなことは大きな社会問題だと存じますが、これに対して、政府は今日までいかなる対策を立て、いかなる指導をなされてこられたか、これを伺いたい。時あたかも青少年保護育成週間としての看板がれいれいしく各警察に掲げられておる。児童福祉法が口にされておるときに、全くこれに反した方向へ世相が移りつつあるということに対して、その責任の所在を私はこの際明確にしていただきたいと存じます。 そこで、時間もございませんので、あらゆる面の御質問ができませんけれども、新聞に現われました二つの問題、二つの事件について私は具体的な御答弁を求めたいと思うのでございます。 一つは、東京大田区における芸者置屋へ売られた児童福祉法の対象になる十七歳の少女が、その虐待、売淫の強要、これに堪えかねて逃げ出して救いを求めた事件でございます。ところが、この際に私はますます不可解に思いますることは、前借金という制度は認められていない、ところが、ここに明らかに五万円という借用証書を入れて金が貸されておるということ、そうしてこの事件になりましたあと、業者からの談話によりますると、だましたわけではない、商売の内容は知っていたはずだ、承知の上でやったものだ、客をとるのがいやならば借金は返してもらおう、そういうことを言っておる。借金を返すまでは荷物は渡さない、こういうことが言われておりまするが、この借金というものは、もう認められていないはずでございますが、こういうことがなされ、しかも保護を求められた警察あたりが、かえって、保護されるべき少女の側には立たないで、あべこべに業者の側に立って、借金取り立てに協力しておるという事例が幾多あるのでございますが、これらについて当局はどういう指導をされ、どういう考え方を持っておられるか。それから置屋制度に対しては、従来有料職業斡旋所として労働大臣の認可のもとに認められていたのでございますが、これは昭和二十八年度において取り消されております、取り消されたけれども、置屋は明らかに存在しておるのでございまして、その取り消された後に、明らかに人身売買を伴い、売春を伴うそれらのことがなされておるということは事実でございますが、これに対して、その後置屋がどういう態度をとっておるか、どういうことが行われておるかについて御調査に相なったことがあるかどうか、これらについて私は具体的な例を伺いたいと思います。 いま一つは、松元事件、鹿児島におきまする松元事件の問題でございます。これなどは全く奇々怪々と申せましょう。私は昨年九月に鹿児島へ参りまして、その一端を調査してきたのでございますが、これはおそらく大きな社会問題になると期待しておりましたところが、その後あらゆる方面からの圧力で、この問題がもみ消されてあまり世論を喚起していない。しかもこの松元事件の真相につきましては、私はぜひともお考えを願わなければならない問題点が多々あるのでございます。結局制服の高等学校の生徒が白昼公然と電話でアルバイトの仕事がかかって、そうしてこの子供は制服のままで土建業者の事務所へ行く、ところが土建業者が仕事をとる話、それから権力者に取り入るために、これらを招待する宴席へ制服の処女をはべらし、しかもこれが、そのアルバイトの制服の女性を抱かせる代償として仕事をとる、仕事が与えられる。しかもそれに関係したものが、これは鹿児島評論でございますが、この中を見ましたら、非常に土地の名士がずらっと顔を並べている、あるいは権力者もこれに列席している。そしてその中には十五歳の少女が二人おり、十七歳の少女がいる。これら制服の女性をこういう野獣のごとき男性に、その肉体をいけにえにして提供をして、そのかわりに仕事をとる。金力が人権の前に先行する、こういうことが果して許されてよろしいでございましょうか。こうして公々然と売春が行われ、しかもその落ちていった女性の告白がここに載っておりますけれども、いいことがあるから来いと言って、入った部屋にはベッドがある、逃げ出そうとしたら、すでにかぎがかかっていた。相手は五十くらいの人口いやしからざる紳士である、逃げようとしたところが、かぎがかかって逃げ出せない、悲鳴をあげて泣き出したところが、その紳士がそばへ来て何もこわがることはないよと肩をたたいて慰めた。ところがその女性はその瞬間に、おそろしくて、お母さんと学校の先生の願が走馬燈のごとく頭に浮んできた、お母さんと助けを呼んだ。こういう女性を抱いて、しかもそれをじゅうりんする男性が、紳士のつらをかぶっているかと思うと、私ども女性にとっては耐えがたい問題です。おそらくそういう紳士にはその子供と同年配の娘があると思うけれども、そういうことを忘れて獣欲のえじきに、こうしていとけない女性が供され、しかもそれが土建事業の指名を受ける代償にされていたというようなことがなされて、それが権力の手によってもみ消されていくというようなことが、今日文明国日本において許されてよろしいとお考えでございましょうか。こういう事件に対して政府当局はどういう対策をお持ちであるかという点について私は根本的にお伺いをしたい。置屋制度の問題、それからこうした人身売買がよって来たる原因、失業の問題、あるいは女性に対する職場が確保されていない、女性は働らいても食っていくだけの賃金が与えられない、こういうことが結局こうした幾多の悲劇を生む原因に相なっていると存じまするが、これに対して関係当局はどのようなお考えであるか。あるいはまた警察がこうした業者の側に立ち、あるいは公安委員の中に、各種機関の中に業者の代表がばっこしている、こうした事態に対して私は十分反省し、そうしてその対策が立てられるべきはずと存じますが、政府はどのようにお考えでございますか。 いま一つは、売春処罰法が今期国会に提案されますることを、そうしてこれが通過いたしますることを、私どもはほんとうに衷心より求めてやまないものでございますが、政府は、前吉田内閣においてすらこの決議された問題に対して、鳩山内閣は、この全国の過半数を占める女性が心から願ってやまない売春処罰法を、今期国会に御提案になる御意思がありや否やを私はお伺いいたしたいと存じます。(拍手) 〔国務大臣鳩山一郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(鳩山一郎君) 藤原さんの御質問に対してお答えをいたします。 婦人の人権保護、善良な風俗の維持等の見地から見まして、あなたのおっしゃることはまことに看過し得ない重大な問題だと思います。その総合的、根本的の対策を立てることはもとより必要だと考えております。昨年の九月に前内閣は根本方針を決定いたしました。これを踏襲して具体化することが最も適当だと考えまして、関係官庁間で対策要綱の完成をただいまは急いでいるような事態であります。前内閣が設置したところの協議会の線を推進して行くことが最もよろしいと思いまして、その協議会の線を進めて参りたいと思っております。 具体的の問題につきましては関係閣僚からお答えをいたします。(藤原道子君「今期国会に出ますか」と述ぶ)関係各省間でただいま急いでおりますが、できるかできないか、私は知りません。関係閣僚からお答えをいたします。(藤原道子君「そうした法案が必要であるということはお認めでございますかどうか」と述ぶ)認めます。 〔国務大臣花村四郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(花村四郎君) ただいまの御質疑に対してお答えを申し上げます。 人身売買、売春問題につきましては、人権問題としても、はたまた文教上の問題としても黙過しがたい問題でありまするのにもかかわりませず、一方災害発生地等におきましては、いわゆる特飲街への身売りが頻発するような情勢もありまするので、職業安定法、労働基準法、児童福祉法、婦女に売淫をさせた者等の処罰に関する勅令等、既存の法令による売春取締りをさらに強化いたしまして、婦女の人権擁護と風紀の維持とに一段の努力を重ねて参った次第でございます。 しかしながらこの種の問題は、申すまでもなく単なる刑罰の威嚇のみをもってしては、とうてい解決することのできない複雑、困難な問題でございます。刑罰と相待って総合的な諸種の社会政策的措置の強化が必要でありますることは、申し上ぐるまでもないのでございます。この意味におきまして前内閣当時設置いたされました売春問題対策協議会を引き続き存続させて、すみやかな答申を期待いたしておりまする次第でございます。同協議会は昨年二月の第一回総会以来すでに十数回にわたって総会、小委員会及び幹事会を開いて、売春禁止の問題を中心にきわめて熱心なる討議が行われて参ったのでございます。同問題に対する関係機関は労働、厚生両省を初め、各方面にわたっておりまするので、細部の点に関する調査の問題等、予期しなかった幾多の問題がありますので、目下関係各省の事務担当官において協議会を持ち、密接な関係を保ちつつ、鋭意成案の作成に努力をいたしておる次第でございます。私といたしましては、右の協議会の答申に基き、その意見を十分に尊重して、そうしてすみやかにこれが実現をはかるようにいたしたいと考えております。 それから次にお尋ねの鹿児島県における人身売買の問題でありまするが、これは御承知のように、旅館松元をめぐる淫行勧誘並びに児童福祉法違反に関する事件でございますが、これについては検察当局の方で捜査を進めまして、すでに起訴処分に付しております。しかしながら、これに牽連をいたしております涜職問題については、今捜査を進めております関係もありますので、従ってここで明言し得ざることをまことに遺憾に存じます。 なお、この大田区のやはり人身売買に関する問題に対しましては、今なお調査中でありまするから、機会を見てまた答弁をいたすことにいたします。 〔国務大臣川崎秀二君登壇〕
○国務大臣(川崎秀二君) 売春禁止、人身売買の防衛等につきまして、常に研さんを積まれておる藤原議員から多くの示唆を受けたわけであります。鹿児島県のこの松元事件につきましては、ただいま法務大臣から答弁いたしましたように、一部はすでに判決もつき、片づいたようであります。しかしながら、こういうような事件が発生しておることはまことに遺憾にたえませんし、また、厚生省としての立場からいたしますならば、児童保護ということが一番重要な大きな問題でありますから、各都道府県の児童相談所、あるいは児童福祉司、民生児童委員等を督励しまして、かような事件が従来発生していた地域、並びにただいま御演説で指摘をされましたような新しい様相を帯びております地域につきまして、関係各機関との緊密な連絡のもとに、第一にこの児童の人権尊重の思想の普及、第二に貧困家庭に対する援護、第三に転落婦人の更生指導等の措置を講じまして、事件を未然に防止するように今後は十分の対策を講じたいと、かように考えておるのであります。 なお御承知でもありましょうが、この婦人の更生保護、すでに転落した者に対する更生保護につきましては、本年度予算におきまして各補助費がずいぶん軒並みに削られたわけであります。その際に、私どもは大蔵当局の認識を喚起をいたしまして、とにもかくにも二千五百万円の予算を残しておりますことを、この際つけ加えて申し上げておきます。 〔国務大臣西田隆男君登壇〕
○国務大臣(西田隆男君) お答えをいたします。 鹿児島県と大田区の問題につきましては、法務大臣が答えた通りでございますが、労働省といたしましては、労働基準法に違反いたしましたる場合は、仮借なくこういう問題は特に摘発したいと考えております。 それから失業対策の問題でございますが、炭鉱の失業者に対しましては特段の措置を考えておりまして、特にこの住宅の附近に失業対策事業をやって吸収したいという考え方で、遠賀川の改修等には特に力を入れて失業の救済をいたしておりますけれども、何しろ本人が働く意思を持つ者だけが集ってくる現在の情勢でございまして、完全に吸収しきれておらないことはまことに遺憾に考えております。 それからいろいろ生活の困窮のために、ただいまお話のありましたような売春行為等も行われるということも考えておりますので、本年度は若干でありますが、予算に計上いたしまして、内職の補導所を大都市には置きたいと考えております。そうしてここで技術的な問題は指導いたします。かつまた、中間の搾取のないように、内職の料金の問題までも触れて、何とかいささかでも家計の収入の補助をいたしたいと、かように考えております。 〔国務大臣松村謙三君登壇〕
○国務大臣(松村謙三君) お答えをいたしますが、鹿児島の松元事件につきましては、私のほうでも調査をいたしておりますが、全くただいま藤原さんのお話の通り、また新聞で伝えております通り、認めざるを得ませんことはまことに遺憾に存じます。それはここで調べたことを申し上げることさえも口の汚れと思うようなこともございまして、これはただいまも鹿児島の教育委員会からどなたかに来ていただいて、省でもすっかり話をいたして、指導をいたしたいと考えております。これにつきましては、その責任は、文部省では制度の上でどうにもならない、地方の教育委員会の何だというような、そういうけちくさいことを今申すのじゃございませんで、全く文部省の責任であると考えまして、これをぜひ一つ是正し、生徒の品性の上から、人格の養成の上からして、これを根本的に改めていくことが本筋であると思いまして、これに対して全幅の努力をいたしたいと思います。 これについては二通りに考えておるのでございますが、その一つは、今申す学校教育の上からと、もう一つは社会教育の上からと、両面で行かなくてはならんと心得まして、今度の予算にも社会教育の上において予算をとりまして、これに力を注いで、そのようなことのないように努力をいたしたいと心得ているわけでございまして、さよう御了承を願います。 〔国務大臣大麻唯男君登壇〕
○国務大臣(大麻唯男君) 藤原さんに申し上げます。 警察に関することだけ申し上げますが、人身売買というような問題につきまして、藤原さんが非常に御心配に相なって、御意見も承わりました。全く御同感でございまして、私どもその憂いを同じうするものでございます。警察におきましても、この問題に関しましては特に厳重な態度をもって臨んでおるのでございます。従来はお話のうちにありましたような、ややもすると業者側に味方をして、かよわい女の方に不利なような態度をとる傾向があったやに聞いておりますけれども、今日はそういうことは全く、今おあげになりました例のごときは、よく注意して調べたのでございますが、そんなことはございませんから、どうぞ……。(「冗談でしょう」と呼ぶ者あり)今後はしかしなお一そう……(「本会議場だよ」と呼ぶ者あり)そうですよ、それだから申し上げております。決してそんなことはございません。警察官としては、今日は決してそんなことはありません。(「あったらどうするか」と呼ぶ者あり)人身売買の……あったら厳重に処罰いたします。そういうことでございますから、まあよく御意見等も承わりまして、今後は一そう注意をいたしますから。これだけのことを申し上げておきます。
○議長(河井彌八君) 次会の議事日程は、決定次第公報をもって御通知いたします。 本日は、これにて散会いたします。 午後二時三十一分散会 —————・————— ○本日の会議に付した案件 一、日程第一 常任委員長辞任の件 一、常任委員長の選挙 一、国土総合開発審議会委員の選挙 一、裁判官訴追委員の選挙 一、宇高連絡船の遭難事故に関する運輸大臣の報告 一、地下濫掘の被害対策に関する緊急質問 一、富士山演習地問題などに関する緊急質問 一、富士山ろくの米軍演習地問題に関する緊急質問 一、頻発する人身売買事件に関する緊急質問