農林水産委員会 閉会後第11号
- 発言数
- 113 件
- 登壇者
- 21 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1955/10/10
会議録
○委員長(江田三郎君) ただいまから農林水産委員会を開きます。 外務省の政府委員が参りましたら御懇談申しましたように、ラッコ、オットセイ条約に関する件を議題にいたしますが、まだ見えませんから前回に引き続きまして派遣委員の報告を議題にいたします。順次御報告を願います。
○白波瀬米吉君 それでは第二班の概要の報告を申し上げます。 第二班は清澤委員、菊田委員と私及び宮出調査員を加えて、中央卸売市場を中心として農畜産物の流通機構調査のために愛知、大阪に出張いたしました。すなわち九月の十八日東京を出発して、十九日愛知県庁で農林部長から県下の農畜産物及び水産物の生産流通状況について説明を聞きました。愛知県は濃美平野の大部分を占め、地味も肥沃で米麦等の主要食糧の生産額も昭和二十九年度において二十五億に達し、本年の大豊作ではおそらく三十億に達するものと見られております。しかし愛知県農業の特質は何といっても園芸作物と養鶏業にあり、特に蔬菜は一億貫を生産し、全国第二位、鶏卵は五億九千万個の年産で全国第一位という盛況にあります。しかもこれら農畜産物は東西日本の中央にあって全国に流通し、中京名古屋の需要を余して関東、近畿、北陸方面にも送られている状況であります。すなわち青果物の生産二億万貫中、一億四千万貫が販売され、畜産物の総販売額は八十一億、水産物の総販売額は十七億となっており、いずれも高い商品化率を示しております。今主要農畜産物の流通状況をみますと、蔬菜は総販売量七千五百万貫中、千八百万貫が県外に出荷され、五千七百万貫が県内市場で販売されるような状況で、そのうち二千八百万貫が名古屋市場に出荷され、二千百万貫が他の市場へ、残り七百六十万貫が加工に向けられておる状況であります。また鶏卵についてみますと、七百五十万貫のうち四百六十万貫が県外に、二百九十万貫が県内市場に出荷され、うち六十二万貫が米軍特需に回されております。県内の生産肉類総販売量二百万貫中ほとんど全部、牛乳十六万貫の全部、県内販売鮮魚四百万貫中の三百万貫というものが県内て販売されております。愛知県は県内に名古屋という一大消費地を持っていることが一つの特徴となっておるのでありまして、それだけに中央卸売市場を初め、農畜水産物の流通機構の問題は、生産者にとっても重大関心事であることが知られるのであります。従ってその出荷機構について見ますと、県下の生産者の出荷組織は一般に発達し、青果物でもその七〇%は生産者団体の共同出荷であり、イモ類、果実ともそれぞれ八八%、六三%を占め、水産物も鮮魚、海草類共に九〇%をこえ、畜産物も鶏卵六〇%、牛肉八〇%が生産者団体の共同出荷となっておるのであります。そのうち精肉のみは産地商人の出荷が九五%を占め、家畜商の支配にゆだねられている状況にあります。このように共同出荷が盛んでありますので、県、郡、市町村、部落段階を通じて結成された出荷団体の数もきわめて多く、農畜水産物を通じて二千五百団体をこえる出荷団体が組織されているようであります。このような県内外の生鮮食料品を取引する卸売市場は、中央卸売市場法によるもの三、というのは、本場一、分場二で、この卸売人は青果物が八人、水産物が四人となっておるのでありますが、その他にいわゆる卸売市場と名づけた民営市場が百三十六あり、取扱い数量も蔬菜三千万貫、果実八百二十万貫、鮮魚九百八十万貫、塩干魚類が三百五十万貫が取引きされておるのであります。そのうち中央卸売市場と同様に、生産者の委託を受けて荷引きをしている類似市場が問題となるわけであります。 次いでわれわれは県庁を出発して、市内の高畑町にある名古屋市営屠畜場を視察いたしました。この屠場は昭和六年九月から業務を開始し、家畜市場と隣接して建てられ、日産牛馬百頭、豚百五十頭の屠殺能力を持っており、また約二百五十頭分の収容力を持つ冷蔵庫を備えております。この屠殺場を通じて取引される牛馬は、この付近の生産農家から庭先で買い集められ、市を中心とする県下に販売される等、取引圏が比較的近いところに特徴があります。生産者からの集買の割合は直接庭先からの買い入れ二割、定期家畜市場による取引が二割、家畜商の買い取り屠殺、生産者、家畜商の歩どまりによる配分の行われるものそれぞれ二割程度、あとが指名屠殺で、生産農家は肉の屠殺による正量取引よりも庭先の現金取引を喜ぶ傾向があって、家畜取引の合理化の障害となっているといわれております。またこのようでありますので、東京市場と異なって、枝肉取引市場の必要性は少いとみられておりました。 次に、市内の東陽町で養鶏連の出荷状況を視察しました。日本一といわれている県養鶏連では、品種改良から鶏卵の出荷統制に重点を移し、団体の共同出荷を中心とし、進駐軍の特需はもちろん、直接輸出をも考えており、菓子、マヨネーズ等、これの加工も行なっているようであります。飼料高の卵安に対処するため、駄鶏淘汰に重点をおき、肉鶏処理場五カ所、直販所三カ所を持っており、冷蔵庫を設備し、カン詰輸出を考えているようであります。鶏卵の出荷は単協から直接中央卸売市場に出し、大量の販売、輸出、加工は直接連合会でやっており、昭和二十九年度二百五十万円の利益配当を行なっているようであります。軍納の卵を一個々々検査している現場などを視察しましたが、廃鶏取引の合理化のため、戦後行われなくなっている冷凍鶏肉の取引を復活したいと申しておったのであります。 次いで、年間五十億に達する蔬菜を出荷している中島郡稲沢町農協を視察しました。この町の蔬菜出荷は中島郡の六〇%を占めており、名古屋市場のみならず、大阪市場に共同出荷している点でも有名であります。この地方はホウレンソウ「次郎丸」の原産地でありますので、その次郎丸部落を訪れ、ホウレン草の作付並びに出荷状況を視察いたしました。この地方では当初名古屋市場を対象として栽培されていましたが、販路を関西、北陸市場に求めてから急速に発展し、栽培面積も百数十町歩に達する盛況であるといわれています。町内の一般畑地はホウレンソウ、ゴボウ、ウリ類の輪作が行われており、ビニール・ハウスによるトマト栽培も盛んなようですが、ちょうど夏作を終って一面ホウレンソウが発芽しており、その早いものは氷詰にして大阪市場に出荷されていました。九月二十日現在、貫三百五十円が相場であるといわれており、大変な高値であり、特産物の有利さを示しております。次いで、これまた有名な美濃早生大根の産地赤池部落を視察しましたが、これまた大阪市場で五本一束七十五円という相場で一本十五円というよい値段であります。多年連作の結果バイラスにやられて困っていました。 それから清洲に引き返して、西春日井郡の蔬菜栽培地帯を視察いたしました。大阪市場でマル西ものとして有名なホウレンソウ地帯で、夏のシマウリ収穫後、一面ホウレンソウがまきつけられておったのであります。極度の多肥栽培のために有機質が不足し、またホウレンソウも硼素欠乏のために老朽化しており、土質改善の必要のある畑地が多く、この点で県の清洲園芸試験場の技術指導に大きな期待がかけられておるのであります。従って一行はその園芸試験場を視察し、場長の案内で試験場を一巡し、硼素欠乏対策に対する技術的の指導方針などを聞いたのであります。試験場の会議室で中島郡、西春日井郡の出荷団体の方々と懇談会を開きました。その地方の蔬菜出荷は、部落団体で直接中央卸売市場に出荷したころは、出荷代金回収不能があったが、連合会で共同出荷をするようになってから、その心配がなくなった。しかしながら、中央卸売市場の機構についてはそれぞれ意見があり、荷受けの卸売人よりも、買落す仲買人の勢力が強く、大阪市場などでは仲買人の方が産地の出荷を統制し、出荷日などを割り当ててくるものもあり、仲買人の利潤が多過ぎるように思われるので、それを規制する方法はないかというような変った意見も出ました。従って卸売人については人数が少い方がよく、分場を設けて、本、分場各一社にすれば出荷者のサービスもよくなるし、仲買人に牛耳られることもなく、出荷団体の出荷統制と歩調を合わせるためにもいい。卸売人の許可は市場開設者に与えるべきであるという意見が多く出ました。また出荷組合員がせりに参加する特例は認められないか、野市や自由市場は分場として吸収すべきである等の主張があり、県条例で公認することに対して批判的な意見が多かったようであります。 かくて第一日の日程を終り、第二日目は朝三時半に起床、四時宿舎を出発、未明の中央卸売市場に到着、場長の案内で順次鮮魚、塩干魚、青果のせりを視察しました。この昭和二十四年四月から業務を開始しておる中央卸売市場は、面積が四万坪、建物延べ六千坪の広大な市場で、昭和二十九年水産物七十四億、青果物十二億の取引が行われており、昨年三月統合後、卸売人は青果三、水産関係四で業務を行なっております。この市場は開設後日の浅いことと、市財政の関係もあって設備が不十分で、今後整備の必要が痛感されています。たとえば貨車の操作も悪く、現在一日三本の貨車が入るが、翌朝のせり回るものもある。またホームがないので荷卸しに箱がいたみ、鮮魚売場に石畳がなく、屋根が少いので雨の日の取引に困る等について、その改善が要望されていました。さらに冷蔵庫や事務所の社屋等の設備が少く、電話交換台がなく、市電の停留所等、交通機関の配置もなお一段と工夫を要するものがあります。従って市場の使用料は東京二%、大阪二・五%、神戸三%に比し、名古屋は一・六%で最低であるが、なお相対的に高いとの声もありました。名古屋にはこの本場のほかに枇杷島、笠寺の二分場があり、鮮魚介は大体本場一本で取引されており、青果は分場で分散的に取引されておりますが、なお消費者の不便もあり、自然発生的な民営市場が存在している状態であります。従って熱田の民営市場、柳橋市場をも見学し、枇杷島分場に到着、青果の取引状況を視察しました。この分場は特に近在からの生産農家からの直接出荷が多く、大へんなにぎわいでありました。午後は県庁前のスポーツ会館で、市場問題について卸売人、仲買人、買出人と県市当局者を加え懇談会を開きました。まず卸売人の意見としては、卸売人の数は適限荷受数を考慮して最小複数、従って二社がよく、許可権は中央卸売市場開設者がよいという説と、農林大臣がよいという説があり、いずれにしても開設者の意見を聞いてもらうことが必要であるという意見が強く、県条例で認めている食品市場は分場等に吸収し、将来改正の場合は中央卸売市場の区域内の類似市場は禁止してもらいたいとの意見もありました。次に仲買人の意見としては、六大都市で一致して陳情しているよう、卸売人をできるだけ整理し、許可権は開設者に与えてほしい、施設の完備に国の補助金の増額を望むとの意見があり、小売人の意見としては、卸売人と同様、仲買人も整理する要があり、小売人の権利も法的に確立し、でき得れば青果と同様、鮮魚についてもせり参加を認めてほしい等の意見が述べられたのであります。また市当局としては、中央卸売市場法の全面的な改正の際、市場開設の場合に食品衛生法、建築基準法等による市場の規定も加えて、市場法一本で許可が下りるよう改正してもらいたい、特に名古屋市の中央卸売市場の諸施設はなお整備改善すべき点が多く、利用価値を低下して行く現状にあるので、農林省の市場施設整備拡充計画による補助金の交付、あるいは起債等に関して特別の考慮をわずらわしたい旨の申し出があったのであります。 二十日午後、名古屋を出発して大阪に向いました。大阪でもさっそく中央卸売市場の現場視察のために、翌朝再び三時半起床、四時過ぎ中央卸売市場に到着、安治川岸壁や冷蔵貨車で送られてきた鮮魚や水産物のせりを見学いたしました。本市場は昭和六年より開場、敷地約四万坪、建物延べ一万五千坪あり、年間の取扱高は二百八十三億に達しております。卸売人の数を二社に統合したことで問題を起しましたが、その後青果部の大果、大阪青果、大市が合併して大果大阪青果となり、七社、鮮魚二社、塩干淡水魚三社、乾物三、漬物二、鶏卵一となっており、一応安定しておるようであります。仲買人は千百九名あり、上屋、石畳等市場内の諸設備も整備されておることで知られておるようであります。従って全国から集まった水産物がきわめて活発にせられており、電灯に照し出された制帽の仲買人の姿もきわめて威勢のよいものでありました。蔬菜、果実は主として旅ものだけが取引されておったのであります。一昨日視察しました稲沢町の次郎丸ホウレンソウの箱詰も高く積み上げられておったのであります。卸売人の産地生産者招待で岡山から見学に来た婦人団体も事務所に案内されて歓迎されておる姿が見られたのであります。 午前中、府内の出荷団体と野市、すなわち類似卸売市場関係者との懇談会を開いて、農畜産物の流通機構及び中央卸売市場法の改正に関する意見を聞きました。大阪市では中央卸売市場の分場網が東京のように整備されていないので、市内二十三、市外四十九、計七十二の自由市場たる青果卸売市場があり、近在の蔬菜生産者は直接これに出荷して販売しており、年取引千五百万貫、果実を加えて一億に達する売上げを行なっております。従って府の農協の経済連でも、府内青果物の流通を促進するため、むしろ健全な野市の発達を望むという発言がありました。またこれら自由青果市場連合会の代表の方々も、生産者と消費者を直接つなぎ、卸売人みずから開設者となって設備を行い、小売人も出荷者もせりに参加させ、支払いはその日に行なって、手数料も八%から一割でサービスしておる、これら市場の実情を十分賢察され、中央卸売市場法の改正によって、これらの市場を圧迫するような規定を設けないようにしてほしいという意見が述べられました。 次に、牛乳の問題について、大阪市内一日八百五十石の牛乳が消費されておるが、府内の生産は三百石、府外から四百五十石が供給されておるが、あとの百石余りを酪農協同組合の出資による関西酪農協同組合株式会社で供給しておるとして、その実情と現在までの経過が報告されました。生産者の乳価維持を目的として、一般商業会社より一円高く、一合六円五十銭で農家から買い上げておるが、市乳を目的とした集約酪農地区が考えられてよいし、契約の文書化も強制力がなくてほとんど死文化しておるから、法律の改正を望むという発言がありました。また養鶏連では、毎日千箱の卵を大阪鶏卵会社に委託販売しておるが、卵価調節のための倉庫や集荷場の増設が必要であるとし、飼料価格安定対策をも要望されております。 水産物については、府漁連代表から、戦前二十億の水揚げが現在七億に激減して生活に困っておる漁民が多いが、湾内の汚水の問題を一日も早く解決することが必要であるとの陳情がありました。 次いで、席を改めて中央卸売市場法の改正に関する懇談会に移って、それぞれ卸売人、仲買人、小売人の意見を聞きました。まず卸売人の意見としては、大阪が問題の震源地であるだけに、公取や独禁法の除外例を認める改正に大賛成で、ぜひ今後の統合のためにも改正してほしい。しかし許可権を農林大臣に与えることには反対で、市場の事情に詳しい責任者たる開設者に与えるよう改正すべきであるとの意見が表明されました。また卸売人の単複制については結論を保留するが、可及的に少数の複数制がよく、統合による整備強化は営業自由の原則に立って、補償か、納得のある合意を原則とすべきだということでありました。また中央卸売市場は、現実的に府市や県の施設というよりは全国的な施設であるから、六大都市のものは農林省に中央市場課を置いて監督するがよく、類似市場に対し、府県の方針が異なり、条例で認可をしたりしなかったりしているのはよくないから、中央卸売市場法のうちに分場の規定を設けて規制してほしいとの発言もありました。仲買人代表も乱立を不可とし、少数複数制を可とする意見が多くありましたが、卸売人の許可権については、各都市とも事情が異っており、内情は開設者が一番よく知っているので、開設者に与うべきだとする意見が多く小売人の代表も大体同意見のようでありまして、自由市場を分場に統合する必要が力説されました。なお神戸、京都の中央卸売市場長も来席、卸売人は、分場は単数がよいから単数でも複数でも許可されるように、また許可権は卸売人倒産の場合、市で責任を持つよう開設者たる市長一本に与うる必要があると述べられまして、独禁法除外規定に関する改正には大賛成の意が表明されました。以上によって大体の空気をお察しいただきたいと存じます。 懇談会を終って、われわれは先述の毎日牛乳として全市の八分の一を供給している関西酪農の工場を視察、さらに旧市場が終戦後払い下げられ、卸売人によって類似市場として復活している木津市場を視察しました。府当局は、この市場を単なる公設市場のように見ていましたが、卸売人がいて、産地から水産物、青果とも荷引きをしており、座談会で問題となった類似自由市場であるということは疑いなく、分場問題とからんで将来問題となる市場と言えましょう。 次いで、大阪養鶏連の共同集卵場と、バータリーで一万羽の鶏を飼っている加美橘町の養鶏場を視察、さらに府下八尾市におもむき、青果物の野市である青果卸売市場を見学、午後第二回目の市に出荷された近在蔬菜のせりの状況を見て参りました。付近の農家が出品し、市内の八百屋さんが買い出しに来てせり落すという、きわめて単純な野菜市で、中央卸売市場とは別に、どこにも自然にできそうな市場で、そのなごやかなせり風景を見せてもらいました。こうして翌朝大阪府庁に集まって、府下の農畜産物の流通状況などの説明を承わり、資料をいただいて帰京した次第であります。 名古屋、大阪の両市場を視察し、各関係者の中央卸売市場法改正に関する意見を総合して結論を申しますと、第一に、卸売人の問題については単数説もありましたが、少数複数を適当とする意見が圧倒的に多く、従って整理統合はどうしても必要であるから、この際独禁法の例外規定を設ける一部改正はぜひやってもらいたいということであります。第二に、卸売人の許可権については、現状通り地方長官が行うと農林大臣にするとを問わず、一応開設者の意見を聞き、同意を求める必要があるという意見が圧倒的に多かったことであります。また第三には、野市、類次市場の問題についても、統一した方針で対処し、中央卸売市場との関連において、あるいは分場とするなり、また独自の存在として公認するなりして、府県で異なった方針がとられないよう統一してもらいたいという意見が多かったことであります。 以上一般に御報告申し上げ得る結論を申し添えて第二班の報告を終りといたします。
○委員長(江田三郎君) 御報告に御質問ございますか——それじゃ御質問ないようですから……。なお中央卸売市場の問題につきましては後刻議題に供します。 —————————————
○委員長(江田三郎君) それでは先ほどの話し合いによりまして、第三班の報告はあと回しにしまして、議題に追加してラッコ、オットセイの条約に関する件を議題にいたします。 この件につきましては、先ほど陳情をお聞き取り願ったのでありますが、千田委員から御発言を求められておりますから、千田委員にお願いします。
○千田正君 昭和二十五年以来日本において、占領治下に日本に生息しておらないところの動物に対して禁止法を施行されたのであります。戦争の犠牲者という面におきましては、あるいは戦地において戦死し、あるいは引き揚げてきた、あるいは国内においていろいろの戦災をこうむったという面もありますが、生産部門において影響を受けた犠牲者のうちの人々というもの、やはりこうした面もまた強くわれわれはこの問題を強調しなければならないと思うのであります。それはなぜかといいますると、御承知の通り、この問題はかつて樺太がわれわれの領地でありました場合においては、海豹島にやはりラッコ、オットセイの住む島があったのでありますけれども、敗戦の結果樺太はわれわれの領土ではなくなった、同時にここに住むところのラッコあるいはオットセイのような海におけるところの動物も、わが日本の領土には住む動物ではないのであります。にもかかわらず、占領軍治下におきまして、日本のこうした猟に従事しておるところの人たちにとっては、非常に致命的な法律であるところのラッコ、オットセイ捕獲禁止法案なる法律が通過しまして、この業に従事しておったところの人たちが一日にしてたちまち自分らの生業を奪われた、これが今日に至るまで約五年になっておるのであります。この間のことはすでに外務省並びに農林省、水産庁等におきましては十分に御承知のことと思いますが、この十一月の下旬に、こうしたラッコ、オットセイに対するところの保護条約がアメリカにおいて行われるであろうということが伝えられ、さらに日本からは政府代表としてこの会議に参席されると思いますが、この際特にわれわれが要望するのは、どうかして早くこれを日本の人たちに解禁してほしい、ということは、年々この海獣がふえて行く、現在称せられておるところは二百万頭以上である、これは三陸の沿岸から北海道の沖合いを通じて遠く北洋のかなたに回遊するのでありますが、かりに一頭一貫くらいの魚を食うとするならば、一日に二百万貫というものがこの三陸の沿岸及び北海道において食い尽くされる。一方日本の国内においては魚族資源保護法という法律ができておって、さなぎだに沿岸漁民が不漁にあえいでおるところのこの漁族の資源を保護しなければならないというので漁族資源保護法という法律が施行されております。そうして農林省、いわゆる水産庁当局は、特にこうした問題のために漁業の面における船の統合であるとか、整理であるとか、調整であるとかいうことに狂奔しておるにもかかわらず、一方においては日本の国に生息しないところの動物に対して、われわれは捕獲禁止法という法律を作られて生業にあえいでおる、苦しんでおる。さらに最近におきましては、どうしてもやり切れないからそういう海獣をとった、とったがために国内法に縛られて現在刑罰を受けておる、とても耐えられないことである。日本の国内に住んでおるところの動物を殺したがために自分らがいわゆる刑罰に付せられて、そうして罰金であるとか、あるいは懲役であるとか、こういう問題が起きておる。これは非常に矛盾した法律ではないだろうか。かりにこれは日本の国内に住む動物においての問題、あるいは日本の国内に住んでおるところの益獣というならばともかく外国の資源を保護するために国内においてこうしたものまでも捕獲を禁止しなければならない、これは言いかえれば日本におけるところの、戦争後におけるところの国辱法であるといってもあえて過言ではないと思うのであります。この十一月、アメリカにおいて開かれますところのこの国際会議において、日本の政府、特に外務省当局といたしましては、この際外交手腕を十分に振われて、一日も早く日本の受ける利益を獲得すると同時に、この解禁を要望してやまないのであります。この点につきまして外務省当局の御意見を一つここに開陳していただきたい。さらにそれによって私はまたあらためてお尋ねを申し上げます。
○説明員(園田直君) お答えをいたします。オットセイにつきましては、御指摘の通りに本年の十一月二十八日からワシントンで開催される予定でございまして、期間はまだわかっておりませんが、この条約は御承知の通りに、今、千田委員から御指摘されました通りに、戦後海豹島を失いまして陸上捕獲の不可能となった日本におきましては、海上捕獲というものを関係各国に要求をして許可されるようにしなければ、このオットセイをとるということが全然不可能になったわけでございます。従いまして、この会議におきましては水産庁ともしばしば検討を続けておりまするが、折衝前でございまするから具体的に御報告することができませんが、オットセイの資源の保護を考えると同時に、わが国の漁業者の要望が極力満たされることを考慮いたしまして、水産庁とよく協議の上、米国で開かれまする今度の会議におきましては、この日本の要求を満たしたいと考えております。
○千田正君 それで外務政務次官に特にお尋ねいたしますが、これはもうすでに先ほど申し上げました通り、五年間というものはこの海上捕獲ができないので苦しんでおるのであります。たまたま不幸にして網の中に入ったようなものを殺した、どうしても沿岸の漁が不漁のためにやむを得ずそういうものをとったという場合においては、国内法において、先ほど申し上げました通りの刑罰に付せられております。ただいま最高裁にさらに控訴しようとしておる現状でありますが、こういうことで国内の生業を営んでおるところの漁民が、外国の資源保護のために苦しんでいかなければならないということは、これはわれわれはどうしても了解ができない。そこでもちろん大局から一言いますれば、国際的な問題であるから、日本も国際条約の中に参加して、一日も早くこの問題を解決したいのは外務省当局もわれわれも同感なのであります。ただそれにはアメリカ側の主張しておるのは、いわゆる陸上の捕獲という問題について解放しようという空気が強いのであります。ところが今申しました通り、日本には陸上で捕獲するところの領土はないのでありまして、どうしてもこれは海上の捕獲を特に要求しなければならない。同時に資源保護という点におきましては、向うではいわゆる動物の資源保護かもしれませんが、日本にとってはさらに不漁に悩むところの沿岸漁民としましては、日本近海に回遊するところの魚族の資源保護をわれわれは強く要望しなければならない、これは特に要望していただきたい。そこでかりに解禁するとしましても、手放しの解禁はおそらく許されないと思います。当然ある一定の数量を限定して解禁してもらいたい、これは私は申し上げるまでもなく早くから要望して、何回となくこれは国際会議で要望しておるのでありまして、本年は幸いにして大体見通しがついたようにも考えられるのであります。なぜかというと、過去二年間にわたってアメリカあるいはカナダと日本と共同調査の上に、このラッコ、オットセイの生態なり、あるいはあらゆる面において科学的な調査が済んでおるはずでありますので、これはとにかく外務当局としては強く要望してもらいたい。言いかえれば、これを国内法で縛っていても食えなくなれば当然漁師の諸君はやむを得ずあるいはやるかもしれない、犯罪を重ねるかもしれない、そういうことはわれわれは政治の上からいたしても残念なことであります。しかし外国のために縛られて、国内において犯罪を犯して行かなければならない、これはわれわれ政治家として黙視することはできない、やむを得ない場合においてはわれわれはそういう条約に参加しなくてもいいじゃないか、ここまでわれわれは強く考えておるのでありまして、この点もし会議において紛糾を重ねて、さらに日本におけるところの利益が享受できない、こういうことになった場合においては外務当局としてはどうするお考えであるのか、あくまでやはり国内法で縛って、犯罪者が何人出ようとも、これは国際間の問題であるから我慢して行けと、こういうのであれば、何かこれに生業する裏打ちを国内的に考えなければならない、われわれはそう考えますが、外務当局としてはどういうふうにこの問題を推進して行くか、この点について御所信を承わっておきたいと思います。
○説明員(園田直君) 関係諸国が海上猟獲に反対をしておりまする理由は、オットセイの資源が絶滅をするということを一つの理由にいたしております。しかしながら、この問題はさらに検討する必要がございまして、海上捕獲をすれば雄と雌の区別がつかないとか、あるいは負傷をして捕獲未遂のオットセイが出てくるとか、こういう関係で絶滅するということを建前といたしております。従いまして、会議の折衝の方針といたしましては、オットセイの資源の保護にはもちろん日本は協力をする、協力をするが、海上猟獲をすると資源が絶滅するということは科学的にこれは不備な理論でございまして、さらにこれを科学的に調査をいたしまして、いろいろな資料を集めて、海上猟獲も相当量を許可されるようわれわれはあくまで向うに要望する所存でございます。なおいろいろな今度の会議の見通し等につきましては、今のところまだ申し上げる段階ではございませんが、相当困難な部面もあると考えまするが、米国、カナダ等におきまして、制限をしたある程度の陸上捕獲上の代価としての一部のことは相談に乗るのではなかろうか、こういうような見通しもつけておりまするので、あくまで資源の保護には協力をする、その建前において陸上捕獲のできない、しかも海上捕獲が資源が絶滅するという根拠は科学的に立証されていない、こういう立場からわれわれは強力に、今、千田委員の御意見、御主張等も十分参考に入れて折衝をする所存でございます。
○千田正君 園田政務次官のお答えまことにけっこうなことであって、私もそういうふうに持って行って早く解禁されることを望んでおりますが、私はもう一つ特に外務省当局に御理解を願っておかなければならぬ問題は、それはただいまの通り資源保護である、これはこのオットセイの種族が絶えるのじゃないかというアメリカ、カナダの杞憂であります。ということは、アメリカで国内におけるところのオットセイの皮はどういうふうにやっておるかということは、もう外務省御存じかもしれませんが、モノポライズされておる。いわゆる世界の皮の、ことにオットセイ及びラッコ等の皮は、アメリカの商人の二、三人の手によってこれが全部集められて、それをアメリカの政府がバックしておる。ちょうどダイヤモンドが兄弟のダイヤモンド商会が持っておって、世界のダイヤモンドの値段を崩さないように市場を確保するための一つの政策として行われておると同じようなことがアメリカの国内において行われておる。であるから、参加しておるところのカナダにしろ、イギリスにしろ、ソ連にしろ、かつまた日本にしろ、そういう動物を殺戮することを許しておらない。むしろアメリカ側におけるところのコマーシャリズムの商業取引の段階においてのみ保護されておるということに対して、われわれは不満を持っておるのでありまして、これはわれわれは何としましても沿岸数十万の漁民のために、こういう問題がかりに今後とも継続されるとするならば、われわれは国内法というものをこれは破棄しなければならない、そういう段階にありますので、特に今年はこの会議においては強くその解禁を要望してもらいたい。この場合においては、これはわれわれは議員立法の立場から、政府の提案の法律でありましたけれども、議員立法において改正しなければならないとさえもわれわれは考えておるのであります。強くこの点は今度は解禁する、海上猟獲を許せ、この問題を強調してもらいたい、その点を私から特に要望しておく次第であります。
○森崎隆君 二、三この問題について次官に御質問申し上げまするが、これまでもう会議も近づいたことでございましょうから、農林、特に水産庁とも緊密な連携をとりまして、大体基本的な態度というものはきまっているのじゃないかと思う。もし基本的なもの、こまかいことはどうでもいいですが、基本的にどの点、どの程度まではどうしてもがんばるというような基本的な結論でも出ておりますれば、お漏らし願いたいと思います。
○説明員(園田直君) 省議前のことでございまするから、数字もしくは具体的に御報告申し上げる段階ではございませんが、先ほどから申し上げました通りに、わが方の方針は四国間においてオットセイ資源の保護を考えると同時に、わが国としては相当量の海上猟獲を実現をしたい、しかもその実現したいという意思は、しばしば各委員から御意見等も承わっておりまするし、強力なる御意見等もございまするので、水産庁の方でも相当強い意見を有しておりまして、先ほどから申し上げました通りに、米国、カナダ等では、見通しでございまするから、はっきり申し上げるわけには行きませんが、米国、カナダの両国は、でき得ればやはり戦前の条約同様に海上猟獲を禁止をして、そして陸上捕獲場の対価の一部を、一割五分を今もらっておりますが、一部をわが国に与える、このような新条約を考えておるような模様ではございますが、その後内々にいろいろ折衝しておりまして、わが方の海上猟獲の意向が相当強いという意向にかんがみましても、米国、カナダ等ではある程度の妥協はあるのではないかと、このような見通しをつけております。海上猟獲を解禁する以外には日本のオットセイの猟獲の可能性は全然ございませんので、この一点に全力を集中をして折衝したいと考えております。
○森崎隆君 今も資源保護とか、種族保護というようなお話がございましたが、これには二種類あるわけです。たとえば一つは丹頂鶴とか、あるいは白サギのような完全に資源を保護して行く、資源といいますか、鳥族の保護でございまして、全然これは狩猟しない、益鳥であるし、全然これを猟獲しないという立場の保護というものは、これはよくわかるのですが、今度のこの海獣関係の問題につきましては、種族が絶えてしまっては困る、これを絶やさない程度でやはりある程度は人間がこれを殺して利用して行くという混合的な意味の資源保護になっておるわけです。しかも日本としましては、今、千田委員から申されましたように、日本には住んでいない、しかも日本の漁場は徹底的に荒らされているという問題、この問題は十分に考えていただかなければいけない。もう一つは、今、次官から御答弁をいただきまして、ある程度私も希望を持てたのでございますが、問題は日本の領海等に遊よくするという理由をもって、少しでも日本がそれによって利益を享受しようというような狭い了簡でわれわれはこの問題を考えておるわけではない。問題は、戦争前においても十分にわれわれは基本的な権利として日本の漁業者の一部がこれを猟獲して、それによって生活を確保してきたわけであります。ですからもし交渉の結果、日本がいろいろなアメリカからの圧力のもとに屈して、あるいは一五%の分け前金をドルでもらうとかいうようなことで折れてしまっては、根本的な意味が全然これは滅却されてしまう。問題は海上で猟獲でき得る道をこの機会にどうしても日本国政府が全力をあげて確保していただくということが、これは絶対条件であります。この点も一つお考えいただきたいと思う。これは一歩も譲れぬ点です。ただ業者の方では年間五万頭というような、これは相当ティミッドな数字を出しておりますが、たとえばこれは十万頭でも十五万頭でもオットセイ族が死滅するということは絶対にあり得ない。これはもうすでに科学的にデーターが出ておるわけです。自由な猟獲を禁止しまして、陸上で若干だけを捕獲するという結果は、現在もう四、五百万頭にふえておりまして、四、五百万頭ふえましてからは一向にふえない。言いかえましたならば、今から二十万頭、三十万頭、五十万頭ぐらいは、これを猟獲いたしましても、四、五百万頭という現在の持っているところの勢力は維持できるわけです。全然殺さないで、これを野放図に置いておきましても、四、五百万頭以上には出られないという一つの限界線があるわけです。その点を考えますと、日本の大きな漁業資源を犠牲としたその建前から考えましても、漁業者の保護ということを中心にしまして、日本近海において、あるきまった期間において、きまった頭数だけはこれは猟獲できる権利は日本としては基本的に持ち得るものだ。これが今度われわれがお願いする基本的な問題でありますので、どうか一つその点が根本だということを再確認を願いまして、そうしてとんでもない譲り方は絶対になさらないようにお願いいたしたい。これを特に要望しておきます。
○千田正君 追加いたしまして、今の森崎委員の要望にさらに私は関連してお尋ねしておきたいのは、何がゆえに日本の政府がそれほど弱い立場をとって行かなければならないのか。あるいは国際法の関係からいって、吉田・ダレス書簡というものが一つのこれに関連した問題として結果が生み出されてきているのかどうか、どういうわけでそういう弱い態度を日本がとって行かなければならないのか。単なる種族保護、資源保護という面において国際的に協力するというならば、今の森崎君のお話で尽きるはずであります。これはもちろん動物の種族も必要であるが、われわれの生活の対象とするところの魚族の保護も日本にとっては最も大切な問題である。これを両天びんにかけてもそんなことはわかるのですが、何がゆえに強く日本がそれを主張できないのか。たとえばその中には、かつての吉田・ダレス書簡というものが関連してあるから、何かそこに外交上に日本側が強く言うことができない、やれないという理由が何かあるのですか、その点何かあれば、この際私は承わっておきたいと思います。
○説明員(園田直君) お答えいたします。一九五一年二月の漁業に関する吉田、ダレス書簡及び日米間の覚え書に基きまして、新オットセイの条約締結までは自発的に猟獲を日本は禁止しておることは御承知の通りでございます。従いまして、そういう覚え書がございますれば、新しい条約を作れば今の吉田・ダレス書簡の日米間の覚え書は破棄されるわけであります。そういう意味でわれわれはいろいろな資料を集めて新条約を締結して覚え書を破棄する、こういうことでございますので、強く主張するためには、何らかの米国その他それぞれの関係の国々からいろいろな要請があるから、あるいは強く要求できないという関係は全然ありません。ただ向うの建前として言っておりますことは、オットセイというものが海上の乱獲によって絶滅すると言っております。言っておりますが、これは私も申し上げました通り、あるいは千田委員及び森崎委員から言われました通りに、これは科学的な根拠はございませず、オットセイに関しては共同調査はやっておりますが、まだ結論も出ていない状態でありまして、これにつきましては、水産庁の方でいろいろと資料を集めておりますから、われわれは新条約を締結するためには、そういう科学的な資料を集めて、海上猟獲といえどもある程度の制限をした猟獲ならば、決してオットセイの資源を絶滅するものではない、こういう意味において新条約を締結したいと考えております。かかる条約締結に当っては、相当量の海上猟獲の解禁を求めることは、水産庁、外務省一致した意見でございますし、なお委員の方々からしばしば意見を聞いておりますので、この点についてはあくまでわれわれは主張するつもりでございまして、最悪の場合、先ほど日本及びアメリカ、日米間の見通しについては申し上げましたが、これにはソ連もございます。ソ連の方では調査を拒否した関係上、あるいはこれには、海上猟獲には反対するものとも見通しはつけておりますが、いかような折衝になりましても、最悪の場合といえども、長期または決裂のおそれのあるような場合におきましても、われわれは海上猟獲は最終まで妥協しない所存でございます。
○小林孝平君 今会議で主張されるのに最も強い根拠は、海上で猟獲しても種族は絶滅しないというその資料を提供してやられるという話なんです。ところが今、政務次官の最後のお話しを聞いておると、そういう資料ははっきり認められたものがないのだ、こういうお話しで、一方では今後水産庁が資料を集めて、その会議に持ち込むと、こう言っておられるのですが、一体そういうみんなを納得させるような資料が大体あるのですか。
○説明員(園田直君) おのおの各国で調査はしておりますが、先ほどから申し上げます通りに、米国、カナダ等の言う海上猟獲を許可すれば、オットセイの資源が絶滅するという意見については、われわれは科学的に根拠がないと考えます。従いまして、水産庁の方で準備をしておりますいろいろな資料を根拠にして論議を論駁したい。共同調査で完全に結論がないと申しましたのは、いろいろな科学的な判断について各国に共通した最後の判決がないという意味でございます。
○小林孝平君 そこで水産庁で今集めているのは、そういう納得させる自信がおありなのかどうか、それからそういうものは純粋に科学的な問題だから、会議の前にでも十分広く世界に訴えて発表したらどうなんです。その会議にひそかに持ち込んでやるというようなことでは遅いのじゃないですか。そういう会議の交渉に成功するくらいの資料があるならば、今から広く世界に訴えたらどうですか。
○説明員(園田直君) 御指摘の通り、事前折衝並びに会議前の了解、啓蒙等については考慮いたしております。
○千田正君 水産庁から一つ聞いておきたいのですが。
○委員長(江田三郎君) まだあとにございますから簡単に……。
○千田正君 今のこの論議は、水産庁当局の次長も今日お見えになっておりますから聞いておられたと思いますが、これは早く外務省と協力してこの問題を解決せぬと、漁民の連中は、国内法でしばられておるけれども、食って行けない、やむを得ないから捕獲する場合においては犯罪がふえるばかりだ、これでは水産庁として、当該官庁の行政の立場からいって、このような状況に放置するということは私はできないと思う、そこでこうした問題がたび重なるというような問題に対しては、水産庁としてはどう考えられるか、すでに現地におきましては、外務省その他の人たちも、代表の人たちも、あれによって解放されるものだ、こういう意味で準備しております。もしこれができないということになると、非常な失望と同時に犯罪がさらに増加して行く、われわれとしましては、こんな国内法等は、先ほど申しました通り、アメリカ側の強制によって行なわれた屈辱と同じです。独立国の国民がこういう法律を甘受すべきではない、場合によっては議員立法にして、こういう法律を廃棄すべきだという極論さえ持っておるのでありますが、水産庁当局としては、こういう起ってくる問題についてどう善処するか、この点は簡単でよろしゅうございますから、当局の代表した意見だけを発表していただきたい。
○説明員(岡井正男君) ただいま千田委員の申された通りでございます。それで今まで園田政務次官からお答えがありましたように、われわれとしては外務省と緊密な連絡のもとに、そういう事態が起らないように、今回の会議を最善を尽していい結論を見つけたい、こういう意味であらゆる角度から懸命に研究を重ねておるわけです。資料といたしましても、できる限り今までの資料のうちで有利に交渉を持ち込める点を深くいたしまして最善の交渉を持ちたい、かように考えております。
○千田正君 最後に外務当局と水産当局に申し上げておきますが、外国に住んでおる動物のために日本の漁師が犯罪と称せられて、日本の国内法にしばられて懲役とか、罰金とかを食わなければならぬということは例にない、独立国の国民として外国の動物について犯罪として取り締られることは一つもない、この点だけは強く今度の会議でも要望していただきたい、この点だけ申し上げて私の質問を終ります。
○説明員(園田直君) ただいまの御意見よく了承いたしました。 —————————————
○委員長(江田三郎君) それではこの問題は以上にとどめまして、次に、ミツマタの需給に関する件を議題にいたします。 大蔵省内に百円紙幣を硬貨に改めようとする意見がありまして、これに伴いミツマタの需給について先般委員会の議題とし、政府の善処方を求めていたのでありますが、当日政府からの出席者は、いずれも事務局ばかりで議を尽すことができませんでしたから、本日は大蔵政務次官の御出席をわずらわし、この問題に関する大蔵省首脳部の御所見を伺うことにいたしたいと思います。 では最初に、政務次官の方から御所見を伺います。
○説明員(藤枝泉介君) 百円硬貨を発行するという問題にからみまして、ミツマタの生産費の問題あるいはその他のいろいろの問題につきまして、当委員会でも御論議がございましたことを私は承知いたしております。結論声を先に申しますと、いろいろ研究はいたしておりますけれども、いまだ結論に至っていないということでございます。研究をいたしておりますというのは、のちほど詳しくは局長の方から申し上げると思いますが、現在の百円紙幣の非常な消耗率その他を考えますときに、硬貨に変えていいじゃないかというようないろいろな議論がございますので、それらの点、あるいは資材の面、さらにはそれを作るために影響をいたします印刷局並びに造幣局の人員の問題等を総合的に現在研究をいたしておるという段階でございまして結論を得ておりません。なお、これは申し上げるまでもございませんが、もし硬貨を発行するということになりますならば、臨時通貨法の改正をいたさなければなりませんので、国会の御審議をいただかなければならないという段階でございます。そういう意味で現在のところ非常に慎重に研究をいたしておるということでございます。ことにミツマタの生産というものがその生産者の立場から考えまするときに、非常な特殊なものでございまして、他の作物に転換するとか、そうしたものもなかなか困難な状態にありますることも十分承知をいたしておる次第でございます。第一に、硬貨を発行することの利害得失、そのものの利害得失ということを考えなければなりませんと同時に、ただいま申しましたような生産地の問題、さらには印刷あるいは造幣の労務者の問題等も十分に考慮に入れなければならないものと考えておる次第でございます。ただ、これは一言申し上げておきたいのでありますが、もしも仮に硬貨を発行するというようなことになりましても、その速度あるいは転換の時期というようなものも十分考えなければなりませんと同時に、現在、実は御承知のように紙幣の発行元である日銀の発行の手持ちの準備率というようなものも非常に少くなっておりまして、戦前は約二倍以上の準備の札を持っておったわけでありますが、それが非常に少くなっております。そういうようなこともありまして、これがだんだんに戦前なみに近いところまで持って行くという、準備率を近いところまで持って行くというようなことも考え合せますときに、これはもうほんとうに仮定の問題でございますが、もしも硬貨を発行するというようなことになりましても、ここ少くとも十年やそこらの間は、ミツマタの需要量というものは、そう減らないという見込みはあります。ありますが、ただいま申しましたように、いろいろな影響もありますので、それらを十分に考慮をいたしまして慎重な研究の段階にあるというように申し上げた方がよろしいのではないかと思います。さらに具体的な問題につきましては、御質問にお答えする方が妥当かと思いますので、一応私どもの現在の段階を申し上げた次第でございます。
○田中啓一君 非常に何と申しますか、正直な御答弁をいただきまして、やや安心でございますが、しかし実は大蔵省はまだそれほどでもないと思いますけれども、財界、ことに銀行方面のやり方では、これは必ず農業に理解のないことをやる、というのは、簡単に、農民というものは、これまでミツマタを作っておったものはほかのものを作ればいいのじゃないかというような、大体製造工業における商品がそういうふうになるだけのものでありますから、それと同じように農業をお考えになる。そこを私は非常に心配するわけです。でありますから、ここで私大蔵当局に要望かたがた御意見を伺っておきたいと思いますことは、あれだけ戦後、農林省だけではなく、大蔵省も、ことに印刷局は金を出して御奨励になったものであります。それからまたこれはおそらく私が岐阜県におってそうでありましたから、その他の高知県を初めとしてミツマタをやりましたところは、どこも同じと思いますが、県もまた相当金を出してやったわけであります。それからまたこれをやるには、すぐ今植えて菜っぱを植えたようにミツマタはできるわけじゃありませんから、何年かかかって、百姓はその間は犠牲的にやって、そうして長いことやって、ようやくミツマタがあれだけ盛大になった、こういうときなんですね。ああいう特殊作物でありますから、農林省は長いこと奨励をしてきて、実はなかなかはかばかしく行かないで、そこへ印刷局の奨励があって画期的にできたというわけです。こういうような行き方で発達したものを、もしこれを国がほっぽり出してしまいますと、百姓というのは非常に国のいろいろな農業計画に対して不信用を起してしまうのです。政務次官も群馬県の出身で、その辺の事情は私はよく御存じだと思うのであります。でありますから、どうしてもこれは一つ大蔵省だけじゃない、大蔵省は先に立って一つ財界の理解を得て、もし硬貨だというような結論が出ますれば、その硬貨に移って行くスピードというようなものも一つのやり方で、緩和の方向でありましょうけれども、それだけじゃない、やはり何らかの方法でミツマタというものの利用を考えなければいかぬと思うのですね。そうでないと、これは気が変れば何でもほっぽり出してしまうということになりますと、実はこれは今後の農業の発展して行く方法としては、いろいろなものを取り込んで行かなければならぬ。きょうも新聞を見ますと、御承知のように綿もやれるようにならなければならぬというような話も出てきまして、これもいいということなら取り込むべきだと思うのでありますが、信用しないのですね、いつほっぽり出すかしれないというようなことでは……。実際せっかく農業というものが多角的に今後発展をさして行くべきものであり、いろいろいいものは取り込んで行かなければならぬと思うのでありますが、それがどうしても私は精神的に大きな支障を受けるようになってしまう。でありますから、国というものが徹底的にめんどうをみる、これがもう私は農業振興の一番の眼目で、信頼のないところには結局何にもできないことになると思うのです。でありますから、そこらを一つ十分お考えを願いたい、そうしてまたその計画をお作り願いたい、こう思うのでありますから、その用意のございますかどうか、こういうことを一つお伺いをしておきたいと思うのであります。
○説明員(藤枝泉介君) ただいま田中さんのおっしゃる通りでございまして、ミツマタの栽培等については、農林省ばかりでなくて印刷局と申しますか、大蔵省と申しますかも相当な奨励はいたしましたことは事実でございます。従いまして、これを急に何か国のほかの要請からいたしまして、全然それが今後見込みがなくなるということを、急激に変化をすべきでないことは、これは農業政策上も国全体の政策としてもまずいことであろうと考えております。従って先ほど申しましたように、これはもちろん硬貨を出すことそのものについてもいろいろ御論議はありましょう。御論議はありましょうが、あるいはその硬貨を出すということだけを考えますると、その力がベターだというような結論になるかもしれませんけれども、それでもやはりただいまも申されましたような点も十分考慮しなければならぬのじゃないかというふうに私どもは考えまして、この問題を慎重に取り扱っておるわけでありまして、先ほども申しましたように、仮定の問題で、かりに硬貨を出すということになりましても、今までのミツマタの生産者に対しましての影響をなくするような方策を考えていかなければならぬ。しかもそれは発行元の準備率を高めるという要請を実行して行きますならば、相当にその点でミツマタ生産者に対する手当も考えられるのじゃないかということもありますが、それはただいま申しましたように、どこまでも仮定の問題でございまして、硬貨を出すということになりましても、そういうことであるというふうにお考えをいただきたいのでありまして、硬貨を出す出さないについては、ただいまのお話しのような点を十分に考慮をいたしまして研究をいたしたいと考えておる次第でございます。
○池田宇右衞門君 関連。ただいま同僚田中議員からも質問したのですが、いやしくも大蔵省が硬貨を出す出さないにしても、こういう問題をして、農家のみでも三万余戸、十五万人口の方々ですが、その他印刷局もあんたの関連で少くとも四千八百有余、五千に近い公務員に動揺を与える、国中に問題を起すというようなことは政治のやるべきことではない。ただいまの答弁によりますれば、硬貨を出すとしてもミツマタ生産者に対しては何ら不安を感ずるようなことのないような手を打つというように私は承知しておるのでございますが、六億に近いこれだけの生産というものは、他に代替するところの何ものかをそこに、ミツマタを廃止すればこういう農業上におけるところの代替物を作らして、そうしてこの収入減を補うのだというようなことがあって初めて的確だ、かように思うのであります。しかるに大蔵当局のこの問題を打ち出して以来、生産業者と言わず、印刷関係の公務員と言わず、非常な動揺を来たしておるということは大蔵当局が知っている通りである。そこで今硬貨をかりに出す場合においても、生産業者に対しましては不安を感じないような方法は必ず講じたいと思うという御答弁がございましたが、農林関係とこの不安を取り除くということについてどんな打ち合せをしてあるか、また印刷関係の方に対しましても、紙幣を硬貨に変えるときに、印刷業はこれこれの方法をもって決して転換など、あるいは職業の廃止などの原因としないというはっきりした見通しを御答弁できるかどうか。さらに農業は、田中委員からも申した通り、一年や二年であれだけに生育するものではございません。むしろ取り扱いに便利であり、また国民大衆の間でも紙幣として相当活用し、あらゆることにおきまして、国民が親しく重宝で使用上利便を感ずるというものを、直ちに一つの政策だから、これを変えてしまうということは非常なそこに矛盾を生ずる。これらの点を十分に研究してあるやいなや。この点と、将来もし変えるとしても日をかすという、こういうような先ごろの答弁もございましたが、現段階ではさほど硬貨に変えなければならない特別な事情が生じておるかどうか、もし特別の事情が生じておったら、その事情をこの際明らかにしてもらいたい。この三点についてまず質問したいと思います。
○委員長(江田三郎君) ちょっと今のに関連しまして、この百円硬貨の問題が出てからミツマタの産地では相当値段が下ったようでありますが、そういうことに対して今まで大蔵省なり、農林省として何らかの手を打たれたかどうかということもついでにお答え願いたいと思います。
○説明員(藤枝泉介君) 第一に申し上げたいのは、ミツマタの生産に対しまして、今現在御承知のように約百万貫の生産に対して三十万貫程度紙幣のために買っております。それが多いか少いかという御議論はあろうと思います。しかしその三十万貫程度の買い入れを今後続けるということにつきましては、かりに硬貨を出しましても、その程度のものは、先ほども申しましたような発行元の準備率を高めるとか何とかいうような問題がございますので、その程度の購入はここ当分と申しますか、当分というのは二、三年というような意味でなく、十年、十数年という見通しを立てましても、十分買って行けるであろうというふうに考えております。それは硬貨を出すということを前提にいたしてのことでございますが、その硬貨を出すか出さぬかについてのいろいろなさらに御議論のありますることは申し上げるまでもございません。そういう意味で私どもはこの問題を取り扱って参りたいというふうに考えておりますので、御了承いただきたいと思うのであります。従って硬貨を出せばすぐにミツマタの需要、少くとも政府の需要が減りましてミツマタの生産者に混乱を来たすというようなことはないということを前提にいたしておることを御了承いただきたいと思うのでございます。なお、値段の点等につきましては、他の政府委員からお答えさせた方がよろしいと思いますので、私からは申し上げません。いずれにいたしましても、だんだんお話のありましたように、せっかく生産を奨励いたしましてここまでなりました業界であり、しかも転換しろといってもなかなかむずかしい所に作っておられるのでございますから、そういう事情を十分考慮いたしまして、われわれはこの硬貨の問題に対処いたしたい。さらに印刷局の従業員につきましても同様でございまして、これらに動揺を与えないような手段を考えなければならないという点を考えまして、単に硬貨を出すということ自体の抽象論の是非だけでなくて、そういう全般的な考慮のもとにこの問題に善処いたしたいと考えておる次第でございます。
○説明員(大坪藤市君) ミツマタの価格が昭和二十七、八年を境にいたしまして順次下落の傾向にあるのであります。もちろんこれにつきましては、いわゆる終戦後の一時的な混乱のために、ミツマタを原料にいたしました和紙の輸出が完全に停滞をいたしたということと、もう一つは印刷局関係の買い入れ数量が順次低下をいたしたというような点があろうかと存ぜられるのでありまするが、今回百円札の紙幣切りかえの問題につきましては、私どもといたしましては、先ほどいろいろ御意見がありました通り、ミツマタの生産は急には回復しないと申しまするが、永年作物である関係上、非常な熱意をもって奨励をいたしました関係上、この生産をストップさせる、あるいは非常な価格の下落の傾向に導くということは非常に重大な問題でありますので、ぜひ一つこの際百円札の切りかえの問題につきましては、大蔵当局に慎重に御検討を願いたいと、かように考えたのであります。なお、百円札につきましても、いわゆる現在二割ほどの混合率をぜひこの際混合工合を上げていただきたい、かようなお願いをいたしておるのでございます。今後値下りにつきましては、私どもといたしましては、いろいろ関係者を網羅いたしました委員会等を設けまして、この価格対策につきましては慎重に考慮いたしまして善処して行きたいと、かように考えておるわけであります。
○池田宇右衞門君 ただいま改良局長並びに委員長の質疑によって、非常にミツマタの価格が低下した。大蔵当局にお尋ねしたいことは、硬貨を作るというような見通しのためにかような値段が下ったという、その値段の低下に対して直接生産者が損害を生じている、この損害に対して責任がありと私は思うのだが、その損害を補償する考えがあるかどうか、あるいは継続させる考えがあるかどうか。それから今十年くらいは三十万貫必ず買い上げると、こういうことを申しましたが、ここが事務的に見たのと、それから実際的に見たのと物の道理が違うということ、たとえば五年、七年、十年後には、これはだんだん買い上げないのだ、こういうことになって来ますと、生産意欲は欠けてくる、従ってその生産に対するあらゆる経営も適切を欠いてくる、粗製品が自然にできるような傾向になって、農業改良局長のお話によれば、この問題については何ら考えていないが、農林当局としても順次五年、七年、十年後には見込みのないものだと言えば、これらの土地にこれにかわるところの何物かを生産させなければならぬ、十分に研究して今後考え直すというような御答弁がありましたから、私はこれ以上改良局長には追求をしないが、少なくとも農業政策は政府すら五年あるいは十年の計画を立てて、そうして準じ農業計画の向上をなして行かなければならぬという際において、かような五年、十年の後には見込みのないということに相なりますならば、私の申し上げる通り、これらの三万有余の農家は他の代替作物を生産しなければならないが、それに対してさらに大蔵、農林が今後十分に話し合い、研究し合う。また改良局長に一つお尋ねしたいことは、この地方に、これにかわる何か農業生産に対する適当なものがあるかどうか、この点を一つお尋ねしておきたいと思う。さらに大蔵当局には十分にこれらの事情を参酌いたしまして、塵埃が決してそこにそのまま生産したって、空気中にその塵埃が溶けるものでもないから、今後かような問題を軽々しく発表して、国民に迷惑をかけたり、生産を減退させたり、問題を惹起しないように慎重の上にも慎重なる態度をもって臨むよう、特に要求いたします。
○説明員(大坪藤市君) ただいまのミツマタの代作の問題でありまするが、御承知の通り、ミツマタは中国、四国地方が主産地でありまするが、山間地、しかも傾斜地あるいは畦畔等に永年作物として栽培されておるものでございまして、従いまして、そういうような意味からいたしましては、代作物というものを見出すことがきわめて困難なのであります。従いまして、代作物という適当なものがないような地帯に主として生産されるのがミツマタの大体の性格でありまして、従って山村等におきましては、農家経営上非常に重要な作物の一つになっておるわけでありまして、これが非常に需要が減る、あるいはそれに伴いまして価格が下落して参るということは、山村における小農家といたしましては非常に重大な問題でありますので、私どもといたしましては、ぜひ現在程度の生産を一応維持し、また価格につきましても、これが値下りのしないように一つやって参りたいと、かように考えておるのであります。もちろん私どもといたしましては、今後そういう地方におきまして、これにかわるべき作物を作る場合につきましては、これを検討し、なおこれを奨励いたしたいと、かように考えておるのであります。差し当りの問題といたしましては、なかなかそういうような転換がそうやすやすと行われない関係にありますので、この際といたしましては、現在以上の値下りを来さないように、従いまして、紙幣切りかえの問題等につきましても、特に一つ慎重に大蔵当局の方で考えていただきたい、かように考えておるわけであります。
○寺尾豊君 先ほど藤枝政務次官の至れり尽せりの、政治的なあるいは御答弁かもしれませんが、いまだに結論に至らない、こういうことであれば、それをむきになって突っ込んだ質疑や応答は私は好みません。しかし大蔵当局、特に事務当局はこれを必ずやろうという意思があるやに私は御推察申し上げる。この点が政務次官の御答弁と少し違うのではないか。結論に至っていないから政務次官がいまだに結論に至らずと正直にはおっしゃっておるが、必ず百円を硬貨にする、こういう一つの強い方針を堅持されておるということは私の想像するところ間違いないところではないか、私はそう見ておりますがね。従って私は百円硬貨そのものに反対であります。一言ちょっと、申し上げる時期でないかもしれませんが、申し上げたい。われわれがアメリカあるいは西ヨーロッパ、こういうところを視察をして見ますと、日本の物価と彼の地の物価と比較をしてみますると、すべてとは申しませんけれども、特に雑貨、日用品あるいははなはだしきはおもちゃなどは日本の数倍しておる、たとえば日本で百円くらいでデパートで売っておるおもちゃが六、七百円もしておる、そういうものを見ると私などは悲しい。どういう悲しさを感じるかというと、三百六十円というこのレートが如何にもくやしい。ひどい目にあっているのだという感じ、われわれは戦前は一ドルに対して堂々二円、もう実に堂々たる日本の貨幣価値というものを世界に示しておったことは御同様非常に誇りとしておる。それが負けたということにおいてなるほど領土も失った。国力も弱くはなりましたけれども、これが三百六十円、戦前の実に百八十分の一のレートに下げられたということを非常に悲しんでおる。しかしそれが現実における日本の貨幣の価値であればこれは仕方がない。しかしアメリカへ行ってニューヨークのタイムズ・スクエアでいろいろと物価を見ると、日本のものよりもずっと高い。私はそのときにいろいろものによって研究をいたしてみました。その結果において私は日本のレートはまず二百円がちょうどじゃあるまいか、実際二百円くらいのこれの価値があるのだ。三百六十円というものははなはだこれはひどい取りきめをされたものだ、まあこう思っておるわけであります。従ってこの間も何か大蔵当局のお話の断片のようなものが出ておるのに、今の日本の百円の価値は戦前の二十銭か三十銭だから、戦前は五十銭が銀貨としてコインが造られておったのだから当然百円は硬貨にすべきだと、こういうことを何か大蔵当局、事務当局ですかの方が談話か何かのようなことを話されたように私は新聞紙上ちょっと見たのですが、こういうことが日本人みずからが三百六十円というレートを何とか一つもっと上げて、二百円なり二百五十円なりに日本の貨幣の価値を高からしむるということをしなければならぬのに、百円が二十銭か三十銭だと言うことは、貨幣の価値を軽からしむると同じに、国民の貨幣に対する信頼を薄からしむる、この百円硬貨において……。私は今は日本人われわれは百円の札びらを切っておる、女中に、ボーイに……。地方へ私など帰っても、百円一枚、二枚やれば、いわゆる百円札の札びらを切っておる。これがコインになる。銀貨とはいえ、これは小さい銀貨でしょう、それは……。そんなものをポケットから、おいねえさんと言ってチップでやれますか、(笑声)どうですか。今度五百円も出さんというと、女中はいい顔をせぬようになる。(笑声)こういうことから言っても、これは卑近な例ではありますが、非常に貨幣価値を国民に軽からしめるという思想を押しつける。(「その通り」と呼ぶ者あり)そうでしょう。千田さんが同調せられているからこれは間違いないんで、実際そういうことから言って、日本はむしろ百円の札びらをさらに価値あらしむるものにして、そうして将来このレートをも一つ日本に有利な改正をせしむると、こういうことから言っても、ちいちゃい、目の中に入れても痛くないような銀貨をこしらえて、そこいらで、これがちいちゃい三つか五つの子供が百円銀貨でそこいらのあめ玉を買いに行くと、こういう姿にするということは、やってごらんなさい、いろいろ大蔵当局には理窟もありましょう。いわゆるデーターもとっているだろうし、計算もして、これが経済的にとか、あるいは数字的に有利だという結論が出ておりましょうが、私はこの硬貨にすることによって、国民一般が貨幣に対する価値を非常に軽視する、軽からしめる、こういうことになると思うので、これは反対、けれどもこれは、今日はですね、あなた方が結論を出すとかいうところに行っていないから簡単に打ち切ります。私は硬貨にするということは、日本の貨幣価値を軽からしむるということにおいて非常な大きなマイナスになるのだということを申し上げる。同時にこのミツマタ、私は高知県高岡郡の須崎という、まるで小さな漁師町で生まれたのでありますが、このミツマタを生産しております高知県は、私の生まれた須崎からまだ二十里ほど奥へ入ったところであります。水田ももちろんありません。麦畑もございません。ただ峨々たる山に包まれております。その傾斜地に昭和二十二、三年でありますか、これを登録制にしたり、あるいは奨励金を出していただいて、そしてミツマタを植えさせた。彼らは孜々としてこれを植えた。これは七年たたないとこの生産はできないそうであります。私もその方はしろうとでありますが、そういうことでやっと最近、去年から生産ができるようになった。そこへ持ってきて硬貨でと、こういうことになったので、おそらくそれが影響して、今、委員長がおっしゃったように値下りになった。そして私はたくさんの陳情を受けますが、今度のミツマタの陳情ほど切々たる彼らのほんとうの真剣、悲壮なものはない。この数日前に私はちょっと帰っておりましたが、もう全く大蔵当局や事務当局ではミツマタによる収入は一〇%そこそこだと言うておる。現地を調べるととんでもございません、半分以上である。実際現金収入として彼らがもうこれによってかてを得ておる、生命である。こういうものが全国二十万近くある。高知県のごときは一万二千戸、五万のこういう零細農民、あの日本で一番貧乏な高知県が五万のミツマタの生産をしている零細な農民をだいている、こういうものを大蔵当局が十分現地の御調査もいただけないで、収入は一割だから、これをやめたって一割の収入減というふうに考えられたともしするならば、私はもう議員はぶちやめて国に帰った方がいい、真剣な私の気持である、しかし藤枝さんもいろいろあなたが温情のある御答弁でありますから、まあこの硬貨にするか、しないかもまだきまらないのだ、こうおっしゃることにおいて私も多くを御質問申しませんが、あなたが考えられているこの予備をたくさん持つ、二倍ないし二倍半、戦前持っておったほど持つというようなことにして、たとえ硬貨にするとしても、十年や十数年は影響がないと、こうおっしゃる、これに私は若干の疑問を持っている、おそらく五、六年すれば半分になりはしないか、現実にどういう御計算か知らぬけれども、しかしその御計算を今日は聞きますまい。そういうことで、いよいよ硬貨にするということになり、そのことが精神的に大きな影響、彼らがそれは五年なり七年なりもってもその先をどうする、あなたのお言葉にもあったように、これを他に転換するということはあの僻地ではできません。まあそういう事情でありますので、私は硬貨にするという結論が出ていないならば幸いでありますから、この硬貨にするということをやめていただきたい。藤枝さんに一つそういう方針を取り上げていただいて、当局がしきりにやろう、やろうというその方針を、あなたの政治力においてやめていただきたい、しからざれば国会では臨時通貨法の改正というものに御同意は私どもはできない、こういうその悲壮な現地における事情であり、また私どもの考え方もこのもっと効果が上るお仕事があると思います。百円札の硬貨については私はお取りやめを願いたい、そういう御検討をされていることにおいても、結論においては硬貨にしないという結論を出していただきたい、こういうことをまあ特に藤枝さんにお願いを申し上げて、同時に私の藤枝さんに申し上げたいろいろのお願いや御希望に対しての藤枝さんの御見解と申しますかを承わってみたいと思います。
○説明員(藤枝泉介君) 先ほどこうした非常に方々に重大な影響のあるようなものを軽々に発表しちゃならぬというお叱りをいただきまして、まさにその通りなんでございまして、私ども別に事務当局といたしましても、この問題を発表いたしたり、何もいたしたわけではございません。非常に影響も重大でありますので慎重に取り扱っておったのでございますが、たまたまそういうことが流布されまして、実は皆さんにも御迷惑をかけましたことは重重お詫びをいたす次第でございます。ただ、こういう問題が取り上げられまして、各方面に言われました以上、これに対するわれわれの考え方を十分申し上げなければならないと思いまして、先ほど来お話を申し上げておったのでありまして、ただいま寺尾先生のお話のこの硬貨論、そのものについては御披露なさらぬと申しますから私も申し上げません、いろいろ賛否両論のありますることは当然でございます。ただ、ただいま申しましたように、一応この問題が世間で取り上げられまして、また国会でもお取り上げになりました以上は、十分その辺の事情を申し上げた方がよろしいと思いまして、先ほどお答え申し上げましたように、かりに硬貨を発行するようなことになりましても、ミツマタの買い上げについてはそう影響のあるものではないということを申し上げたのでありまして、ということは、硬貨を発行するということで、もう来年からでもミツマタの買い上げはほとんどとまってしまって非常な大打撃を生産者に与えるのじゃないかというような、非常な極端なと申しますか、御議論があるようでございますので、先ほど来申し上げましたように、たとえ、かりにこの硬貨を発行するようなことがありましても、そういう影響はここ十年、十数年というものはないのだということを申し上げたのでありますが、ただいまもお話がありましたように、硬貨の発行そのものについてはいろいろ御議論がございます。で、この硬貨発行論そのものについても、いろいろと今後も私どもは研究をいたさなければならないと思っております上に、そういう、あるいはミツマタの生産者に対しまして、あるいは印刷局の従業員に対しましての影響等もございますので、これらを十分考慮をいたしまして妥当な結論を出したいというふうに考えておる次第でございます。
○三橋八次郎君 政務次官はよくミツマタの生産地の状況も知っておられるようでございますが、今、寺尾委員からもお話しのように、あの地帯というものは水田も一つもございません。従ってふだんでも米食はしておらぬような状態でございますが、今回のミツマタの値下りにつきましては、ほんとうにトウモロコシの飯も食えない、こういう状態が実情でございます。従いまして、愛媛県の久万地方などにおけるミツマタ栽培者の経営上の苦難というものは想像に余りあるものがあるのでございます。ことにこの百円硬貨を発行するという話が広まりまして、その後また非常に値下りをして困っておるような状態でございます。当初植え付けましたときの予想よりは値段が下ったということによっても非常に打撃を受けておりますのに、かてて加えて、その値下りにさらにプラスをしまして百円硬貨の問題が起っておるような状態でございます。従いまして、まだ検討中で決定をしておらぬというようなことでありますから、これは十分一つミツマタ生産者の保護という意味も含めまして、硬貨の発行ということは見合わしていただくような結論になるようにお願いしたいと思うのでございます。なおまた、引続き購入をしていただくとしましても、おそらく現在のミツマタの値段では、経営上とうてい引き合って行かないと思うのでございます。量の問題、値段の問題二つあるのでございますが、この二つに対しまして何らか打つ手を打っておるか、それともまた、今後の対策はどういうようなところでお考えになっておるか、その問題をお答え願いたいと思います。
○説明員(藤枝泉介君) 第一に、先ほども申し上げましたように、この硬貨を発行するかしないかというような問題が、非常に私どもの不行き届きでございますが、一般に知れまして、そのために非常な値下りをしたじゃないかというお話でございまして、この点はまことに遺憾でございますが、実はそういうこともありますので、別に決定はいたしませんですが、先ほど来申しましたように、今後のミツマタの買い上げというものは少くとも現状程度のものは十分考えて行けるということを繰り返し申し上げておるような次第でございます。なお、その約百万貫の生産のうちの三十万貫を買い上げておる、これをもっと政府で買い上げるようにしないかという問題につきましては、なお十分これは紙幣の需給等も考えまして考慮しなければならない問題であろうと思います。私のお願い申し上げたいことは、百円硬貨が出るのだということで、極端に言えば、すぐにもうミツマタの少くとも政府需要がなくなってしまうのだというようなふうにとられまして、非常な動揺がありましたことは残念でありまして、実はそういうものでないということを、これはもう少し研究の段階が進みますれば、はっきり数字的にもお示しをいたして申し上げられると思うのでありますが、そういうものでないということは、十分生産業者等につきましても、御理解をいただきたいというふうに考えておる次第でございます。
○委員長(江田三郎君) ちょっと待って下さい。まだいろいろ御質問があると思いますが、大体本委員会の皆さんの意見は、大体私は同じような御意見だと思いますので、先ほど来いろいろ各委員から御意見がありました点を、十分政府当局において考慮されてやっていただくということにしまして、もう一つ、実は午前中に大蔵省当局が見えているときに、このついでにスギタマバエの問題を片づけたいと思いますから……。
○三橋八次郎君 ミツマタの問題について一つ改良局にお伺いしたいのでございますが、このミツマタの今の値下りをしておるということに対する何らか適当な方法をお考えになっておりますか。
○説明員(大坪藤市君) 最近特にこの数カ月を中心として考えますると、順次毎月多少ずつ値下りの傾向にあるようであります。その問題につきましては、実は改良局といたしましても、何とかしてこの価格下落の傾向につきまして維持する方策をとらなければならない、かように考えておるのでございまするが、先ほど申し上げましたように、まず第一点といたしましては、大蔵省の方に本問題につきまして慎重な御検討をお願いするということを申した点が一つ。もう一つといたしましては、ミツマタの需給調整ということにつきまして、今後関係者等に集まっていただきまして、いわゆるミツマタの需要振興の方策、特に海外等に輸出する方面が、これは戦前は相当の輸出があったのでありますが、最近ほとんどこれが外国に行っていないというような事情にございますので、さような問題を検討して参りたいというわけで、近く関係者に集まっていただきまして、この問題につきまして検討いたしたい、かように考えておる次第でございます。
○三橋八次郎君 今の方策もぜひやっていただかなければなりませんが、現地の者の考えました一つの方法といたしまして、やはり農家が非常に零細であります関係から、投げ売りする傾向も一つございます。従いまして、協同組合などで相当の資金を持っておりますれば、農家が直接投げ売りをするのを防止いたしまして、一時組合でストックして、値段の調整をはかるという方法もあるのでございますが、それらの協同組合に対して融資の道などをお考えになっておりますかどうか、お伺いしたいと思います。
○説明員(大坪藤市君) それらの点につきましては、農業協同組合連合会等で世話をしているという関係もあるのであります。従いまして、さらにこれが値下りをするということになりますれば、ただいま御意見がありましたように、中金等に話をいたしまして、ある程度ストックさせる、協同組合連合会等を中心といたしまして、そこに資金融通といたしまして、そうして価格の値下りを防ぐということはぜひ緊急対策として御意見の通り必要なことではないかと思うのでありますが、その点をすみやかに一つ対策を樹立したいと考えております。
○戸叶武君 大蔵当局の見解の中に硬貨を発行してもミツマタの買い上げについては今後十年間は変化はない、政府需要は変化はないということを強調されましたが、その内容がやはりはっきりしないので納得が行かない点があると思います。その内容は今の百円紙幣のようにミツマタを一割ぐらい入れてあとパルプでやっているような粗末な紙幣を紙質を改善して、千円紙幣が百パーセントミツマタを使っているように、ミツマタを他の紙幣に、五百円紙幣なり、百円紙幣なりにたんと使って紙質をよくする、そういうことによってミツマタの買い上げのこの需要に変化がないということを裏づけようとしているのですか、その点をやはり明らかにしないと非常に不安……、その内容の裏づけはわからないと思いますから、その点を明確にしていただきたいと思います。
○説明員(藤枝泉介君) 私の言葉が足りませんで申しわけございませんでした。先ほど申しましたように、今の発行先の準備率を高めて行く、それについては大体千円札を中心にして考えておるのでございまして、従って百円紙幣の紙質をよくしようという考え方ではございませんので、準備率の、準備をいたしますものを千円紙幣を中心にして準備率を高めて参りたい、従って千円紙幣にミツマタはご承知のように百円紙幣に比べましては四倍以上の量を使っておりますが、そういうことによりましてミツマタの需要を維持して行くという考え方でございます。
○小林孝平君 今の関連しまして……、この十年間需要が減退しないとおっしゃいますけれども、すでに改良局長が今言われたように、だんだん逐年大蔵省の買い上げ数量が減っているというような事情があるのです。そこで今、戸叶君が質問されたのにやはり関連して、私は疑問なのはこの紙幣の中に入れるミツマタの量なんです。これは私が言わなくても、釈迦に説法ですけれども、紙幣の贋造を防ぐ方法には印刷技術を高度にするやつと、ミツマタを入れて紙質をよくして贋造を防ぐのとあるわけです。それで今後日本の紙幣を作る技術というものは、印刷技術をもっと高度化してもうミツマタをそう入れなくても贋造を防げるというような方向に進みつつあるのですか、そういう努力はしないのか、そういう点もはっきりしないと怪しいのじゃないのですか。たとえばポンド紙幣のようなああいう簡単な印刷で絶対贋造ができないような印刷技術を持っている国もあるわけです。そういう努力を今後するのかしないのか、それがわからないと今後ミツマタの需要がどうなるかということは、あなたが十年間大丈夫なんていってもだれも信用しませんです。
○説明員(井上義海君) 印刷技術の点につきましては最近は非常に技術も高度化して参りましたので、その面で偽造のおそれは非常に薄らいで参っており、現に最近では偽造で問題になるような事件はほとんどなくなりました。それでミツマタ、これはやはり明治時代からお札には御承知のように使っておりまして、この卵黄色という特有の色もありますし、お札の製紙原料としては今後もこれは使って行かなければならないものだと思っております。先ほど来お話がございましたように、百円紙幣は少し紙質が悪い、粗雑であるという意見、声も相当高まって参りましたので、これにはいろいろ原因がございまして、終戦後一番多くミツマタを混入いたしましたときは六割の混入をしております。それがミツマタの集荷が非常に困難になって参りまして、必要なる量の集荷ができなくなって参りましたので、逐次これをミツマタ混入量を下げて参りました。四割さらに現在では二割、こういうことになっております。従いましてこの耐用年数も非常に悪くなっておりまするし、また使うと御案内のように非常に分厚くなって参って来るのでありまして、最近ではこの紙質改善を何とかしてやらなければならないということと、もう一つは昨年来ミツマタの数量還元ということが非常に要望されておりまするので、これにもこたえる必要があるというようなことから目下紙質改善のためにミツマタの混入率を一割上げまして三割にしてやっておりまして試験刷りもできておりますが、非常にいいものができております。目下日銀と交渉して、できれば率を一割上げまして三割混入にしていい紙質の百円紙幣ができるように目下交渉中でございます。
○小林孝平君 そうすると今まで私は長い間、大蔵省の説明ではこの偽造を防ぐためにミツマタを入れる、これは札を数えるためにすぐ触感でわかるから、そういう説明を長い間されたように思うのです。ところが今お話では、もう印刷技術が高度になって偽造はできない、あとはその耐用年数とか、あるいは厚ぼったくなるとかそういうことのためにミツマタを使うという御説明ですが、だいぶ従来と変ったんですが、そういうことなんですか。
○説明員(井上義海君) いや偽造の点からもミツマタを使った方がいいということは、これは国際的に見まして、外国の紙幣は、ミツマタ、これは日本だけの特有の産物でありますので使っておりません。そういう意味から国際的な偽造については非常に効果があるのでありまして、印刷局といたしましては、今お話の通り偽造の観点から、国際的偽造の観点からミツマタは使っていきたい。それから紙幣の特有の色、日本人の好むような特有なああいう色を出す点からいたしましても紙質の点から申しましてもミツマタを使っていきたい。偽造の点ももちろん無視できない、その点も従来のミツマタを使っていきたい。ミツマタを使う点については偽造の点からいっても紙質の点からいっても印刷局としてはこれは今後も使っていきたいと考えるのであります。
○委員長(江田三郎君) 先ほど申し上げましたように、午前中にスギタマバエの問題を議題といたしますから、本問題につきましてはなお各委員の御意見があると思いますが、ただいま述べられました意見を十分慎重に大蔵省当局も取り上げていただきたいと思います。 なお先ほど私ちょっと申しましたが、百円硬貨という声が出てからミツマタの暴落に拍車をかけたような状況がございます。この点は私は政府当局としても重大な責任があると思いますから、これが救済策につきまして、あるいは今後の市価の維持につきましてはこれは農林省の方でも大蔵省の方でも特別な御配慮をわずらわしたいと思います。 —————————————
○委員長(江田三郎君) それでは順序を変更いたしましてスギタマバエの被害の件を議題といたします。この件につきましては後刻派遣議員の御報告を伺うことにいたしておりましたが、政府当局の都合がありますのでここで議題として、政府に対して御質疑の向きは御発言を願います。
○三橋八次郎君 スギタマバエの被害状況を視察に行って参れというような命令を受けまして行って参ったのでありますが、照本、鹿児島、宮崎の杉山の被害を見まして実に話よりも以上だということを見て参ったのでございますが、しかしこれはまだ今申し上げましたような県だけで、私愛媛県に帰りまして山をかなり歩いてみましたけれども、愛媛県の山にはまだ発生はしてないようでございます。そうなって参りますと、この被害を及ぼします害虫を今にして、あの三県に発生している今の間にこれを撲滅しなかったならばおそらく日本の杉山全部がこの害虫のために成育を停止するというような、こういう現状になると思うのでございます。なお、また新植をしようとしてさし木をしようといたしましても、この害虫のついているものは絶対さし木に用いられぬというような状況がありますし、ここにもいろいろ標本の写真を持ってきておりますが、こういう実情で、一日も早く、ことに今年におきましてはこの秋の防除期間を目前に控えておりますので、ぜひともこの防除の徹底を期さなければならぬと思うのでございます。特にこの特殊病害などは小範囲の間に強力に統制をとって完全に防除するというような、こういうような意気込みでやらなければ効果が上らんのは当然のことでございます。薬代をやるから防除をせよというようなことではこの特殊な害虫の防除には万全を期しがたいと思うのでございます。こういう意味におきましてどうしてもこれは法の指定をもちまして統制ある防除によって完全にこの強力な防除法を進めることが非常に必要だと思うのでございます。大蔵省におきましては予算の面では工面をしていただいたと聞いておりますけれども、これを法で指定をするというようなことには異論があるというようなことでございますが、どういう点にこれは異論があって法律に指定することができないのか、その御意見を伺いたいと思います。
○説明員(村上孝太郎君) スギタマバエの問題、われわれもその蔓延の状態等から見まして非常に重要な問題だと考えております。この十月末に、要するに幼虫はサナギになりまして地下にもぐるわけでございますが、そのときに防除の適期といたしまして駆除をいたす。それに補助金がついております。なぜ政令に指定しないかという問題でございますが、この問題につきましては前からわれわれも非常に研究をいたしております。森林病害虫等防除法という精神からこれを指定すべきかどうかというふうな研究をいたしておったわけでございますが、この十月の防除につきましてはとりあえず防除命令の二十日前に公表いたさなければなりません。そういう点から申しますというと、今度のこの防除につきましては農林省当局も防除命令を出さずに補助金でもって駆除の効果を上げたい、こういうふうにお考えになっているようでございます。ただ防除命令によって駆除をするということだけのために政令に指定するということでもないかもしれません。ただいまおっしゃいましたように法令に指定されたということだけで非常に現地の方が意気込みが上るというふうな無形の効果もあろうかと思うのでございます。われわれの方としましてはこれに指定すべきかどうかという問題についてのこまかい議論もございますけれども、二千二百万円ばかりの補助金を有効にするためにもし政令に指定しなければ駆除の効果が実際には上らない、まあ非常にそうしたやむを得ぬような事情がある場合には農林省当局と御相談をしまして、政令に指定しても差しつかえないということの相談をいたしております。
○三橋八次郎君 農林当局の御意見を伺います。
○説明員(藤村重任君) スギタマバエにつきましては元来この対象が杉であるというふうな、日本の森林資源の大宗である杉資源を対象にいたしておりますので、その蔓延が将来非常な広範囲に及ぶということをおそれまして、南九州に特に最近蔓延いたしましたこの害虫について非常に重大な関心と不安を抱いて参りまして、昨年来これに対する防除の予算の要求を大蔵省にお願いしてきたわけでございますが、幸いにして国会等の非常な御認識もいただきまして、先般さしあたり二千二百万円程度を出していただくことになりましたので、この秋の防除はこれによってできるだけの努力をして効果を上げたいというような準備を進めております。 ただいま法規課長からお話しのございました通り、この害虫は春と秋と防除期間がございまして、特に最も効果のあるのは春の駆除時期でございます。秋十月終り、あるいは十一月にかけまして幼虫が地下に落ちまして翌年成虫になってまた地上に飛立びつ、そうして若い新芽に卵を生みつけるわけでございますが、その地上に出ますサナギ期間を押えるわけでございますが、最も効果のあるのは春でございますので、できれば来年の春の駆除時期を十分捕捉して一挙にこれを駆除したい、かようなつもりでおりますが、この害虫は先ほど申し上げました通り非常な重要な日本の森林資源の杉を対象にいたしておりますので、できればこれを法定害虫に指定して、そうしてこれの蔓延を予測し、できるだけ事前に防除したい、こういうような気持から大蔵当局と先般来いろいろ御相談を重ねてきておるわけでございますが、この法律の趣旨からいたしまして、日本の森林資源に重要な被害を及ぼしてそうして蔓延するおそれのある場合にはこれをその対象にしていこう、こういうような趣旨であるのでございます。ただこの駆除の効果が現在までの経過から見ますと非常に効果的であって、この春やりましたのも、その駆除をやりましたところと駆除を行いませんところとは歴然たる差を示しておりますので、この方法によってできるだけ全国にこれが広がらないように早期に手を打ちたい、こういうことでございますが、この対象が先ほど申し上げました通り非常に広範囲に植栽分布しております杉資源でございますので、これを駆除の命令をいたしましてある程度強制的にする場合が発生することを予測しつつ交渉を進めておる次第でございます。ただいまは約七万七千町歩にわたる杉資源がこの被害の対象になっておりますが、私どもはその激害地を中心にしまして早期に半分くらいは一挙に駆除したいという計画を立てましたが、財政等の関係もございまして現在はさしあたりその蔓延の進行しております先端地区を特に重点的に駆除することによってさしあたりその目的を達成したいということで対策を進めておる次第でございます。私たちの希望といたしましては、できるだけこれを法定害虫に指定していただいて、そうして予算等の措置による補助、財政援助による駆除の方法等をある程度制度的に法制的に裏づけて効果をさらに上げたいという希望をもって今後もいろいろ御相談を進めていきたい、かように存じておるのでございます。
○三橋八次郎君 できれば指定してもらいたいというようなことではこれはいかんと思うのでございまして、ぜひ一つ指定をしていただきまして今のうちに強力防除をやっておきませぬとそれこそ全国の杉山というものはみじめな状態になることは今までの分布経過でよくわかっております。この特殊病害虫というものは、これは農作物の場合でもそうでありますが、小面積の間に徹底的にやっておきませぬと、金ばかりかかりまして完全な防除ができないと、こういうようなことになりますことはもう幾多の例でこれははっきりしておる問題でございます。防除法も確立し、効果も顕著であるということがはっきりしておるのでございますので、これはぜひとも今のうちに指定害虫の中に入れていただきまして徹底的な防除をすることがこれが目下の急務であると私は思うのでございます。 なお防除の方法を今指導部長からお話がありましたが、先端地区を防除をすると、こう言っておりますけれども、これはまあ家屋の火事ならば効果があるかもしれません、しかし羽がはえて飛ぶ虫でございますので、火元は消さずにおきまして、そうして燃える先だけに薬を散布してもこれは最もこそくな防除法の一つだと思うのでございます。そういうような意味から考えますると、秋の防除と春の防除とを比較いたしますれば春の防除よりも秋の防除の方が薬がよけいかかるわけでございまして、濃度の高い薬をやらなければなりませんから、薬代は高いのでございます。しかしその予算を見ましても二千何百万というようなきわめて少い金で防除をしていく、こういうことでありますると、結局この今の財政の苦しい今日におきまして金を——まあ防除的にこれを見ました場合におきましては金をただ捨てるような、こういう感じがいたします。おそらくこういう予算でいきますると十年も十五年も予算を組まなければならない、こういうことになるでしょう。しかし今広がりつつあるあの火元全部を消しとめるというようなことで十カ年分の予算を今一挙に投入してしまうということによってあとの予算は心配がなくなるのでございます。こういうような立場におきましても、この経費の面におきましても、また大蔵省の方面でも十分考慮していただかなければなりませんのと、またそういうような重要な害虫であります以上、一挙に防除をしなければならぬという意味をも含めまして財政、それから現在ある法律に基いて防除をする、この二つの方面から徹底的にやらなければこれは十分効果が上らぬ問題だと思うのでございますが、その点は今いろいろ説明がございましたが、どういう今防除の方針で進もうとしておるのか、はっきりここをお聞きいたしたいと思います。
○委員長(江田三郎君) ちょっと関連してお聞きしますが、今、三橋委員から農林省が政令に指定して防除命令を出してもらいたいというようなことではだめなんじゃないか、こういう御意見がありましたが、私ちょっとそばで聞いておりましてもおそらく農林省としてはこれは政令に指定して防除命令を出してもらいたいが、あまり強く言うとまた金を出す面で大蔵省にそっぽを向かれちゃ困ると、こういうことで言いたいことを言わずにおるのだろうと思うのでして、この点はまあだれが見ても金をかけてやる以上は防除命令を出してやった方がいいにきまっておるので、そこでまあ大体私はおかしいと思うのでして、こういうものを政令に指定するかどうかということは専門の方の農林省の方で必要があると思えばそれで自動的に入ればいいので、あまり大蔵省の方で権威を出されぬ方がいいのじゃないかと思うのですが、その点一つまあ、どういういきさつかしりませんけれども、先ほどの法規課長さんの御説明の中にも農林省の方でどうしても命令でいくというのならそうしてもいいということでしたが、そうあっさりやられたらどうですか。それをちょっとつけ加えておきます。
○説明員(村上孝太郎君) 指導部長の方から説明なさった方がいいかと思いますが、できれば防除命令を出していただきたいとおっしゃっていますが、これは来年の二月の話を言っているわけでして、本年の十月末の防除適期の問題につきましてはいろいろの手続、二十日間という期間というようなことから農林省は防除命令を出さずに補助金で適切な防除をやっていくというふうな御決心で進めておるようであります。ただ先ほど申し上げましたように政令に指定するということはまあ根本的な目的は防除命令を出す根拠を得るということだろうと思うのであります。防除命令は今度の適期には出せなないが、しかしその他いろいろな精神的な点その他でやっているうちに非常に政令によってした方がいいんだというような情勢になれば、私はこの秋の適期につきましてもその点について御相談に応ずることにやぶさかでないと、こういう意味でございます。
○説明員(藤村重任君) 今の第一点でございますが、これはお話の通りでございまして、私たちも全くさように存じております。この蔓延地区の先端部分をやるということは、これはやむを得ないさしあたりのことでございまして、私たちの駆除計画はもともとその根本的に最も激甚で影響が最も大きいというところを特に重点的に施行する、しかも蔓延を防除するために前進しつつある先端はもちろんこれを同時に駆除して行く、こういうことによって蔓延も防ぎ、かつ激甚地の被害の軽減をはかって、そうして、特に杉のさし穂の採取に遺憾なからしめるということをもともと計画をして進めてきておるわけでございまして、来年度の予算要求につきましてもさような方針のもとに計画を実施し、所定の新規計画を進めて行くことにいたしております。 なおその次の法定害虫の指定の問題でございますが、これは先般来いろいろ……そういうものの指定をするかしないかによる効果の差はそれは歴然たるものがございますので、こういうふうに非常に重要な資源を食い荒す害虫が発生しつつある、かつ蔓延のおそれを私たちは認識しておりますので、これは早期に指定していただいて、そうして駆除の当初の効果をできるだけ上げ、かつ資源を確保したい、こういうようなことで従前来交渉をいたして現在に至っておるのでございますが、今年の秋やらないということではもちろんございませんで、大蔵省で即刻これを御処理をしてやっていただくならば直ちに準備を進め、可能な限度において直ちにでもそれによって効果を上げたい、かように存じております。
○池田宇右衞門君 指導部長並びに大蔵当局に、この際私は九月鹿児島、宮崎の現地を見てきたのです。ちょっと政務次官耳を掘って聞いてもらいたい。現地を見て行ったところが現地の諸君から非常な陳情を受けた、よくものに一文惜しみの百知らずというが、昨年からやって防除に努めているが広がる一方で、それ以上九州全体に広がってきて内地の方までくれば防ぎようがない。幸い聞けば二千二百万円を出して防除に努めた、これは僕は大蔵当局としてもけっこうなことをやってくれたと賞賛に値しますが、しかし現地の者の言うには三橋委員のごとく十月の冬季に対して成虫が土ごもりをするこの際こそ、もしこれが一匹助かって春になれば百匹になるか二百匹になるか、三百匹になるかわからないほどの被害の大きな害虫の範囲が広がってくる、だからぜひ金をかけてもこの十月防除に努めてもらわなければ困る、こういう熱烈なる陳情があったのです。ところが指導部長の話にも幸いやれば予算をとって十月ごろやる。私はこの前の委員会から、農林当局としては委員会の非常な熱意でやっておるが、すでに十月はもう中ば以上、防除に着手してやっているだろうとかように……、私どもが向うに行ったのが、五、六、七、八、十日まででしたから、必ず十月に委員会でも農林また大蔵当局も相当これに協力しておるから防除に努めて下さるだろうという答弁をして帰って来た。ところが今まだ着手しているかいないか、指導部長の言葉を借りれば着手しているかいないか半ばのようにお伺いできるのですが、これは病膏肓に入ったら名医も何とかというですが、やりようがないというしことでほうっておけないものです、あなた方知っている通り、防除に努めるということは被害の小範囲のうちに防除に努めてしまえば害を少くして済む。来年のことを言うと鬼が笑うということだが、今年はあの気候の温暖な地方だからまだ十月、十一月の初めごろまでは役に立つだろう。やはり大蔵当局でも、こういう場合こそ効果が上るのだから予算を割愛して、そうして防除に努めていただきたい。 なお来年度の春の予算には、この問題は農林当局、大蔵当局でも次官その他の方々が相当考えておられることでありますが、現地を見た私どもから言えば防除に努めておりますが、被害の範囲が拡大されることは、もう日を追って広がっていくということでございますから、これらの現地の様子を予算委員会に報告するのが当然でありますけれども、私はこの際実情を具申いたしまして、大蔵当局並びに農林当局の指導部長など手ぬるいことを言わんで、直ちに防除に努め、それで年越をする被害地の害虫を一匹でも殺してしまうという方針をとってもらいたい。またそういう方針をおとりになるかどうか、農林当局も大蔵当局も来年度予算にさらに実情調査の結果予算の増額を御決意下さるかどうか、この一つについてお打ち合せを願いたい。
○戸叶武君 この防除費が地元の要請から見るならば三分の一程度しか出されていない。これは結局金がないから、その程度しか出せないものかと思いますけれども、今言われましたように、このスギタマバエの病虫害を三分の一地域退治して、あとの二分の二の地域をほおっておくという形では、これは蔓延するだけなんです。それで直ちにスギタマバエの退治に当っては、秋よりも確かに春の方が効果のあるのは事実です。秋はこの程度の三分の一しか費用が出せない、まあやらないよりかいいから、この程度のものは、地元の要請を全部無視することはできないから出しておいて、来春に対しては地元の要請を全面的に受け入れて、そのスギタマバエの蔓延を根絶させるために予算を十分にやるというそういう心がまえでやっているのかどうか、少くとも大蔵省の権限が非常に強くなって何でも、瀕死の病人に対しても金がないからと言って頓服の薬しかやらない、手術が必要なのに指圧療法くらいでがまんしてくれというやり方で、非常に政治が非科学的になっているのです。この病虫害の問題なんか三分の一だけやっておいて、三分の二はほおっておけというのは気休め政策というのであって、そういうやり方では一つも効果は上らない。農政というものが大蔵省の圧力の前に屈していても、その緊急にして重要な問題に対する施策というものを十分やり得ないようなやり方では農民にばかこされる、農林省もそういう点でもって、農林省は大蔵省との折衝の過程において今回は三分の一程度で泣き寝入りをするが、来春は全面的にこの問題を根絶させるための予算措置を大蔵省の方でもやってもらえるような了解を得たと思うわけですが、それが農林省は非常に弱腰だから、その点を明確にしていないのです。病人はいつまでも長い間病気でいた方がいいという結果になってしまって、無責任もはなはだしくなるから、その点を明確に大蔵省と農林当局からお聞きしたい。
○説明員(村上孝太郎君) 大蔵省はちっとも強いことはないのでして、農林政策のためになけなしの財布を裸にしているような状態でありますが、ただいま申されました七万町歩の、このいわば被害地、被害面積に対して、なぜその三分の一程度の駆除をやるのだというお話でございますが、この点につきましては、私は予備金を査定しました担当者ではございませんので、私が申しますことが正鵠を得ていないかもしれませんが、その場合には訂正させていただきますが、森林病害虫の防除法の精神と申しますのは、森林につく虫を駆除することは森林所有者の当然の利益である。しかしながら、それが非常に急速に蔓延するような場合には、そうした自分の財産は自分で守るという自衛的措置のほかに、国全体としてもその蔓延を防止するということが終局的に国民の福利に関係があるのじゃないかというような点から、国民の一般の税金をもちまして、個人の所有しておる杉林に対する薬を補助する、こういうような理論構成になっておるのじゃないかと存ずるのであります。そういう意味から申しますと、現在の鹿児島、宮崎の両県において、このスギタマバエが発生いたしまして、これが九州を北上する態勢にあるわけでございまして、その先端が今宮崎と大分県の県境あるいは鹿児島と熊本県の県境という点に達しているわけでございます。この点から申しますというと、国の杉資源というものを保護するためには、いわばその先端がさらに北上することを防止する点にあるのでありまして、そういう意味からいわゆる先端地区と申します一万二千町歩に対して国民の税金で、個人の杉林の所有者に農薬の補助をするという妥当性が出てくるのではなかろうかと私は思っております。こういう意味におきましてこの七万町歩の三分の一において国の補助をするというふうなことにきめたのではなかろうかと私は推察をするわけでございますが、聞くところによりますとこの駆除に要しますBHCその他の経費というものは大体一町歩当り二千円ないし三千円ということだそうでございます。杉の林からとれますところの石数で割ってみますというと一石当り一円か二円ということになるだろうと思いますが、この森林病害虫の防除法の中にも十条に駆除によって非常に効果が上った場合にその蔓延が防げたために助かった利益というものについては分担金でもって吸収できるような格好になっておりますが、この分担金の計算というものが非常にむずかしくて現在適用されてないようでございます。しかしながらただこの法律の精神と申しますのは、個人の杉林に対して国民全体の金を使うという、いわば私益と公益この調和点を今申しましたような国全体の森林資源というものの保全と申しますか、そういう点に求めている以上この一万二千町歩の先端地区に対して補助するということはけっこうこの法律の精神に合っているのではなかろうかと思うのでありまして、そういう意味から来年の春のときにたくさん予算を出しますとか、こういうふうな問題になりますというと、あるいはこの法の精神その他に立ち返って考えなければならぬ問題になるだろうと、こう思っております。もっとも先ほど申しましたように、私は予備金の査定をいたしました当局者ではございませんので、その点についての正確な御答弁はしかねますが、法律を解釈しますとそういうことになるのではなかろうか、こういうふうに思っております。
○戸叶武君 まあその先端地区に対する処置という御議論は冷たい法律的解釈で、手の先に病気があるからそこの手の先だけを防いでおくといっても病気はからだ全体に回るので、鹿児島、熊本に病菌が入ったからそれから北上しないところだけは防ぐといっただけの形ではスギタマバエはまだ鹿児島にも熊本にも拡大する地域はあるのですからほかへ広がっていくのは、そういうことはかまわないといった、そんな議論というのは議論にはならない、全く法理上における形式論理であってそういう形でもって施策をやられるのでは全く迷惑だと思います。そういう考え方はやはりこれは捨ててもらいたい。しかしそれだけではなく確かに個人の所有の杉資源なら杉資源に対して国だけで補助をするということはどうかといった御議論は一応ごもっともだと思います。しからばそれに対して農林省なり何なりが、地元の森林所有者が、山林所有者がすぐこれに対して対策するだけの金がない、それに対して金を何とか貸してやる、どういうふうにしてそれを返してもらうとか、何か対策がなければ防除対策なんというものは積極的にやはり指導しなければできないものです。そういうものに対して先端地区だけの防除……火事が出たら北の方だけを防いでいてほかの方へ広がるのは、南の方は勝手だなんという議論はそういう議論はないのですが、そういう議論に農林省の方でも応じているのかどうか、そういう通念が農林省の方へも入っているのかどうか、それともまた個人所有の杉資源の災害に対して国でやれないならば、どういう方法でその防除対策を講ずるか、そういう具体的な対策なり何なりを持っているか、それを農林省から説明してもらいたい。
○説明員(藤村重任君) このたび二千二百三十九万九千円でございますが、これを九月二十八日、大蔵省から一応こういう金を出すという内示を受けたのであります。従いまして、現地に対しましては、直ちに私の方から電話をもって連絡いたしまして、すでにいろいろ秋の駆除に対する準備態勢を進めつつございましたので、その実施に直ちに着手して、現在は秋の駆除時期を、チャンスを十分捕捉して効果を上げるように実行中でございますので、先ほど池田委員のおっしゃいましたことにつきましては、実行しているか、あるいは実行していないかわからぬということは絶対ございませんから、御安心を願いたいと思います。 なお、ただいまの御質問は、私たちといたしましては、このスギタマバエのようなこういう害虫は、対象が先ほど申し上げました通り、杉資源として日本のほとんど全土に分布しておる状態でございまして、しかもその害虫は、あたかも人間社会における伝染病のごとき内容をもって蔓延していくという性格を持っておるのであります。一つは、一般の自然環境の悪化——必ずしもこれは杉だけではございませんが、その中にある杉資源を対象にして、自然環境の悪化に基いて蔓延しているという形態もございまして、これは全く伝染病的な現象と私たちは考えまして、これは森林所有者——私の森林所有者の個人的な投資によっては絶対に大きな広域にわたる国民経済的な影響を及ぼす防除の実施は不可能であるという見解をとっております。従いまして、この駆除事業につきましては、国が五割、県が二割五分、そうして当事者があとの二割五分を負担いたしまして、そうしてこれによって経営して、これによって駆除を実行するという配分にいたしておるのでございます。なお、この実行は、自分の所有地、あるいは自分の持っておる森林だけを対象にしてやっても、これは周囲が共同態勢によって効果を上げなければなりませんので、どうしても地域的、あるいは地形的に一つの共同作業的な組織をもって共同的な態勢をもって実施しなければ効果がございませんので、そのような内容を方法といたしまして実行を進めて効果を遺憾なからしめたい、かようなことで駆除企画を実行に移しておるのでございます。
○委員長(江田三郎君) どうですか。この問題についてはいろいろ御意見があると思いますし、また先ほどの法規課長のお答えには、池田委員あたりぜひ発言をしなければならぬというて待ちかまえておられますが、大体委員会の意のあるところは大蔵省でも、農林省の方でもおわかりになったと思うのでありまして、法規課長の御答弁は、大蔵省らしい、はなはだ頭脳の明晰な答弁ではありますけれども、しかし一文惜しみの百失いということもあり、すでにマツクイムシのごときは、そういうようなことをやっておる間に全国に広がっちまったんですから、頭の多少にぶい点もあっていいじゃないかと思いますから、そういう点をよくお考えになって、来年度の予算において、一つ適切なる措置をとっていただきたいと思います。 これでしばらく休憩いたします。午後は二時半から開会いたします。 午後一時十六分休憩 —————・————— 午後二時四十八分開会
○委員長(江田三郎君) それではただいまより農林水産委員会を開きます。 先刻に引き続きまして派遣委員の報告を議題にいたします。第三班の御報告を願います。
○三橋八次郎君 お許しを得ましてただいまから第三班、すなわち九州班の現地調査の大要を御報告いたします。 私どもの班は有明海における漁業の被害状況について佐賀県、スギタマバエの被害状況について鹿児島県に出向いたしたのでありまして、一行は当初秋山俊一郎委員、戸叶委員及び私の三人の予定でありましたが、出発まぎわに秋山委員が健康を害され、出張を取りやめられましたので、戸叶委員と私の二人に安楽城専門員を帯同し、さらに雪江調査主事を加え、総員四名であったのであります。 次に旅程を申し上げますと、第一日の九月十八日東京を出発いたしまして、翌十九日博多に到着、まず有明海における漁業の被害状況に関する調査を行うこととし、直ちに福岡県柳川市に向い、ここでこの問題につきまして、調査研究を行なっております九州大学農学部水産学科、福岡、熊本、佐賀及び長崎各県水産試験場、農林省九州農業試験場、福岡県農業試験場等の試験研究担当者並びに水産庁有明海漁業調整事務局、福岡、熊本、佐賀及び長崎各県庁の主務者から実情を聴取し、その後柳川市にある福岡県水産試験場有明分場を視察し、ここで被害漁業者の陳情を聞いた後、柳川市を出発し、途中佐賀県佐賀郡川副町早津江漁業協同組合に立ち寄り、被害漁業者の陳情を聞き、佐賀市に至り、佐賀県庁で佐賀県当局及び佐賀、福岡、熊本及び長崎の漁業代表者と懇談を行なって第二日を終りました。 第三日の九月二十日早朝佐賀市を出発いたしまして、途中農林省九州農業試験場及び水産庁有明海漁業調整事務局で有明海の漁業被害に関する調査を一まず終りました。ここで御了解を得ておきたいのは、委員派遣承認要求に予定されていなかった福岡県に立ち寄って、数時間を費したことでありまして、これは有明海における漁業の被害状況に関する試験研究は九州大学農学部水産学科及び農林省九州農業試験場を中心とし、関係各県の水産試験場及び福岡県農業試験場が共同して行なっておりましたからであります。これらの機関はいずれも福岡県にありますので、予定地である佐賀県における調査を行うためにはあらかじめこれらの機関について調査しておくことが便利かつ必要であると考えたからであります。 第四日以後はスギタマバエの被害状況の調査を行うことにいたしまして、第四日の九月二十一日は午前中鹿児島県庁において農林省熊本営林局、同じく鹿児島営林署、農林省林業試験場熊本支場、鹿児島県庁及び民間代表、この中には熊本県の関係者も同席しておりまして、これらの人々から被害の状況及び対策等について説明及び意見を聞き、午後鹿児島県姶良郡蒲生町及び横川町等に出向いて、被害の実情を視察したのであります。 第五日の九月二十二日は、早朝鹿児島県を出発して、宮崎県に向うこととし、途中宮崎県北諸県郡、山田町並びに東諸県郡高岡町に立ち寄って被害状況の調査を行い、宮崎市におもむき、宮崎県庁において鹿児島県庁におけると同様関係者の説明及び意見を聞いて一応スギタマバエの被害状況の調査を終ったのであります。ここでも一言御了解を得ておかなければならないのでありまして、それは委員派遣承認要求にはスギタマバエの被害状況については鹿児島県のみが予定されておったのでありますが、スギタマバエの被害が初めて発見されたのは鹿児島県高山町となっておりますが、今やその被害は宮崎県においてもその大半に蔓延し、すでに熊本県の一部に侵入し、日ならずして大分県にも及ぶであろうといわれておりまして、鹿児島県とともに少くとも宮崎県については調査を行うことが適当と思われると考えましたので、宮崎県にも立ち寄ることといたしました次第でございます。かくして一まず予定の調査を終って去る九月二十四日帰京をいたしました。 次にすでに御承知のことと存じますが、今回の調査の趣旨をかいつまんで申し上げたいと存じます。 最初に有明海における漁業の被害状況について申し上げます。この問題は去る七月七日付をもって当委員会に対して長崎、佐賀、福岡、熊本、四県農薬被害対策委員会会長田中善内君外百三十一名から、長崎、佐賀、福岡、熊本の有明海、大村湾及び橘湾関係四県下における農薬による水産業の被害は年額九億円をこす惨状を呈し、すでに九州大学を初め、各関係試験研究機関において調査研究が進められ、干潟面における水産動物の棲息を不可能ならしめるという事実が判明し、被害の特異性としては、沿岸零細漁民のこうむる被害がきわめて大きい点にあって、近時沿岸漁業の不振によって困窮その極に達している零細漁民にとってこの災害は死命を制するものであるとして、国において農薬被害に対する損害補償、農薬被害対策の強化、新農薬の考案及び農薬使用の制限等の措置を講ずるよう陳情がありました。そこで委員会におきましては、七月十二日議題として、農林省当局の善処が求められ、その後七月二十一日並びに八月十七日、重ねて議題としてこれがすみやかなる解決が期待されておったのであります。農業の発展に伴って、農薬の使用がますます増加することは、当然かつ必至の趨勢でありまして、かような情勢において農薬の使用を抑制するようなことは、ただに困難なるばかりでなく、当を得たこととは考えられないのでありまして、むしろ農薬の合理的な使用の普及がはからるべきではないかと思われるのであります。しかしその結果、これが水産業に、いわれているような被害を与えるということになりますと、これまた看過することのできない問題でありまして、これは農業と水産業との、しかも両者の間の相剋関係にあるきわめて困難な問題でありまして、ひとり有明海にとどまらず、わが国産業経済上の重大な問題であるわけであります。そこでこの間の事情を解明して、その措置に誤まりなきを期することが焦眉の要務でありますと考えられ、この今回の調査も、当面する有明海の問題に対処するとともに、さらに進んで以上のような事情に即応するため行われることとなったものと考えられるのであります。 次にスギタマバエの被害について申し上げます。スギタマバエの被害につきましては、昭和二十六年鹿児島県鹿屋地方の高山町に初めて発見されたと聞いておりましたが、しかし現地においてはすでに昭和二十三年に発見されていたともいわれております。しかしてその後漸次蔓延して鹿児島県及び宮崎県の大半及び熊本県の一部に拡大し、さらに大分県にも侵入しているであろうと伝えられております。被害面積は国有林約七千町歩、民有林約七万町歩に達し、今にしてその対策を怠りますと、杉の植林地に重大な被害をもたらすことになり、杉はわが国の最も重要なる針葉樹であり、その植栽が全国に及んでおりますので、その損害の及ぶところはなはだ容易ならぬものがありまして、まことにゆゆしい問題であるわけであります。しかしてこの害虫の秋季防除の適期を目前に控え、すみやかにこれが防除の徹底を期する必要を認め、委員会におきましては、七月二十八日及び九月十七日二回にわたって議題として政府の善処が求められていたのでありますが、さらにその対策のすみやかな確立に資すため、この調査が行われることになったものと考えております。 次に調査の経過及び結果についてその大要を申し上げます。 最初有明海における漁業の被害状況について申し上げます。まず被害の状況でありますが、現地において提出されました資料によりますと、昭和二十九年十二月現在における福岡、熊本、佐賀、長崎四県の農薬被害として取りまとめられたところによりますと、被害は直接及び間接とをあわせて、漁業の種類はもじ網、手押網、あんこう網その他五十一種にわたり、魚類の種類はアミ、アカエビ、シラエビその他五十四種類に及び、漁業者数、専業二万三千八百三十六戸、第一種兼業一万一千六百三十五戸、第二種兼業一万三千百五戸、計四万八千五百七十六戸、漁業統数五万三千三百八十九統、被害高一カ年、数量において約八百三十四万四千貫余、金額において約十三億八千万円余と見積られております。もっともこれらの被害は先に述べました昭和三十年七月七日付をもって長崎、佐賀、福岡、熊本四県農薬被害対策委員会会長田中善内君等から提出された農薬による水産関係被害救済の陳情書に添付の資料による昭和二十九年十二月末現在の被害は、被害業者数一万九千五百二十八戸、漁業統数二万四千六百四十九統、被害高、数量において約三百五十八万貫、金額において、現在価格に見積って約九億六千万円に比べますと、両者の間に相当な相違があり、また被害水産物の種類等について関係各県間に相違が見受けられるのであります。しかしいずれにいたしましても、昭和二十五、二十六、二十七年平均のいわゆる平年漁獲高に比べて最近、すなわち昭和二十八、二十九年平均漁獲高は相当な減少を来たしておることは事実のようであります。かくして、かような凶漁に当面して被害漁業者の困窮は、けだし推量するにかたくないものがありまして、その日の食糧にさえ事欠くものが少くないと言われております。ここにおいて問題は、かような減獲の原因についてであります。この原因について陳情者は、被害の現状にかんがみ、すでに九州大学はじめ各関係試験研究機関においていち早く調査研究が進められ、このおそるべき毒薬は干潟面に累積し、浮泥中に浸透し、干潟面における水産動物の棲息を不可能ならしめたという事実が判明しております云々と述べて、その原因をもっぱら農薬に帰しておるようであります。 そこでここに述べられております九州大学における調査研究でありますが、これは九州大学農学部水産化学室富山教授及び石尾助教授を調査担当者として行われているものでありまして、その発表によりますと、ホリドールの二十四時間接触致死濃度は、シラエビ成体に対し、水温摂氏二十六度前後において一リットル中五・三ガンマー、シラエビ稚仔二十八度前後において二・五ガンマー、シバエビ十一度前後において〇・一一ガンマー、アミ二十一度前後において〇・〇三三ガンマーと求められた、そして各河川の河口付近では最高一〇・五ガンマー、最低二・〇ガンマー、平均五・二七ガンマーを示した。従ってホリドールはエビ類に対して相当な被害を与えたものと推定した云々と述べられ、またホリドールをまいてから五日間で河口付近のホリドールの濃度が高くなり、旱天で流水のないときは、ホリドールは検出されないが、雨が降ると検出されるようになると説明されております。かような九州大学の報告に対して、農林省九州農業試験場及び福岡県農業試験場は、水産関係で行われた有明海の漁業被害に関する調査研究においては、パラチオン剤の致死濃度をパラチオン剤と魚類とが二十四時間接触していたという条件において試験しており、かつ実験室における試験の濃度と河口、海面及び泥土で得られた分析値とを直結して有明海の漁業の被害は農薬から起っているように推定されているが、かような推定は対象水産生物の生態及び習性、海水の動きと、それによる農薬の稀釈度、分析値の中にはパラチオン剤以外に毒性のない物質、あるいは全く不明な物質が混入しているであろうことが明らかであるが、これらをすべてパラチオンであると認定している点、パラチオンとして検出した海水についての毒性試験が皆無である点等から考えて、有明海の漁業被害は農薬によって起っていると断定する理論的根拠は必ずしも明らかではないとの趣旨のことを述べているのであります。 以上両者の説くところを要約いたしますと、パラチオン剤はその致死濃度はいまだ判然としておりませんが、相当稀薄な濃度でもアミ等には相当有毒であって、これを斃死させることは明らかなようであるが、しかし有明海の海水及び浮泥等について行われた分析の分析値は、パラチオン剤であるか、または他のものによるものであるか、またパラチオン剤がどの程度含まれているか、かりにある量のパラチオン剤が含まれているとしても、それがアミ等を斃死させる毒作用を与える程度のものであるか判然しない。従って有明海の漁業被害が直ちにパラチオン剤に、よるものであると断定することは早計であるというにあるようであります。有明海漁業被害の応急的及び恒久的対策を確立するためには、まずもってその被害のよって来たるその原因を究明することが先決であります。また今後の農薬対策を確立するためにもこれは先決さるべきものであると考えられるのであります。この際関係各研究機関が緊密に連絡し、その総力をあげてすみやかにその原因を究明し、その成績に即応して適切なる措置が実施されることを希望するものであります。しかしその原因がどこにあるといたしましても、前に述べましたように、減獲によって、被害漁家の困窮はその極に達していることは事実のようでありまして、これがすみやかなる救済が要望されるところまことに切実なるものがあります。しかして、これが救済策として、被害に対する国の補償、生活の救護、転換または転業の助成、農薬防毒対策の確立、干拓の早期完成と、被害漁民の優先入植及び増反等が要求されているのであります。佐賀県においては困難なその財政にかかわらず、前年度は利子補給及び損失補償による融資を行い、さらに生活保護法の適用を考慮していると述べられておりました。事態は焦眉の急を要するものと考えられております。なお、右の対策はいずれもすべてきわめて熱心に要望されているところでありますが、現地において漁業者による干拓地の優先的入植増反が非常に強く要望されておりますことに注目して参ったわけでございます。すなわち零細漁民は干拓工事のため漁場は狭められる悲運に遭遇しながらも、国策に沿う気持で精神的に物質的に協力を惜しまなかったのであります。干拓起工当時、工事完成の上は優先的に入植増反を約束されたので、われわれはそれを楽しみにわずかな補償に甘んじたものであります。しかし仄聞するところによると、県外から相当の入植計画があり、増反についても四反以上の耕作者に限るとかのことであって、われわれ漁民のほとんどが除外されていることを懸念し、焦心にたえないのであります。漁民といえども干拓耕作の尊い体験者であることは明らかであります。干拓によるわれわれの大切な漁場は奪われ、農薬の被害によって漁業は不振を来たし、塗炭の苦しみが続き、これを打開救済する道は干拓の入植増反に限るものと確信します。有明海の漁業は半農半漁が宿命的であります。と述べて、干拓地における漁民の優先的入植増反及び漁民による干拓の早期造成に対する全額国庫補助等が要望されているのであります。 次に、スギタマバエの被害状況について申し上げます。これが被害状況は先に申し上げましたようでありまして、調査に出かけますまでは、その被害は鹿児島県及び宮崎県の大部分及び熊本県の一部に広がっていると聞かされておりましたが、現地に出向いてみますると、すでに大分県にも侵入しているようであると言われておりましたが、果してそうであるといたしますると、油断のならぬことであるということをまず申し上げておかなければならないと存じます。この害虫は年一回の発生でありまして、伸長を開始した杉の若芽に産卵し、孵化した幼虫は芽の中に食い込んでこれを食し、被害芽には五月上旬から虫えいが作られ、約一寸内外で伸長を停止して十月ごろには褐色に変じて枯死し、杉の生長は著しく阻害されてとみに低下し、健全なものに比べて五分の一程度に劣り、ときには樹勢が衰え枯死するものさえあると言われております。特に現地においては杉の造林の多くはさし木によって行われているのでありますが、被害地方は健全なさし穂の採取に障害を来たし、一は杉の木の生長を阻害することによって、一はさし穂の供給に困難を来たして植林を不可能にすることによって二重の被害をこうむっているのでありまして、被害地の難状は察するに余りあるものがあると思われるのであります。 この害虫の生活史並びに経過習性及び防除法についてはすでに御承知の通りでありまして、その防除方法は秋季、すなわち十月から十一月のころ幼虫落下の時期にBHCのガンマー含有量三%の粉剤を一町歩当り六Cないし七〇キロを地表面に散布して幼虫態で駆除し、続いて春季、すなわち三−四月のころ成虫発生の直前にBHCガンマー含有量一%の粉剤を一町歩当り六〇ないし七〇キロを地表面に散布して土中から発生する成虫を駆除することになっておりまして、その効果は九五%にも達すると言われております。しかして薬剤散布の効果を十分ならしめ長期にわたって再発生を防ぐためには散布する薬剤の質及び分量が十分であり、かつ均一でなければならないのはもちろん、また団地ごとに全面に一齊防除を行い、防除未済地あるいは重複散布等があってはならないとされております。従って今や秋季駆除の適期を控えてこの時期々逸しますことは、いたずらに手をこまぬいて害虫の暴威をほしいままにすることになるのでありまして、防除対策の確立が要望されるや切なるものがありますのは当然のことであります。 かような事態に当面して、すみやかに国有林及び民有林一体となって防除態勢を確立して、その実施に努める必要があるのでありまして、民有林について現地におきましては、このままで推移すると全国的に蔓延し森林資源の確保と国土保全に重大な危機を招来することは必至であり、早急に徹底した対策を講ずる必要が痛感されます。しかしこれが駆除には多額の経費を要し、零細な森林所有者の経済力では自力で駆除することはとうてい不可能であり、また極度に窮迫している県財政の現状では県単独で助成することもまた至難であります。なお本害虫の駆除は同一歩調で被害区域を一齊に共同駆除しなければその効果は期待できない実情であります。よってすみやかにスギタマバエを森林病害虫等防除法に基く法定害虫に指定するとともに早期に本害虫を撲滅できるよう大幅な国庫助成を行われたい、と要望されております。特殊病害虫は法をもって指定し、統制ある防除によって完全に強力に防除を進めることは経費的にもまた効果的にもきわめて重要なことと思うのであります。 以上今回の現地調査の大要を御報告申し上げたのでありまするが、現地調査に参って、各方面から陳情あるいは要望されておりますところは、すべてきわめて妥当かつ重要な事柄であると考えられますので、どうか委員会におきましてもお取り上げを願い、政府をしてすみやかに適当なる措置を確立実施せしめられますよう、格段の御配慮を賜わらんことをお願い申し上げます。 なお、これら対策につきましては、地方財政が極度に困窮し、地方において経費を負担することがきわめて困難な現状であることを御確認の上、御措置願いたいと存じます。 最後に、今回の調査の対象となりました問題は、当面するきわめて重要な問題であり、しかも有明海の漁業被害の問題に至ってはきわめて複雑困難な問題でありますが、きわめて短期間の間に一応の調査を行うことができましたことは、関係各方面の格別の御協力によるものでありまして、感謝にたえない次第であります。 なお、現地において受けました、調査事項以外の事項に関する陳情は、別紙に一覧表としてお目にかけておきましたが、これらの事項につきましても、委員会において適当に御措置いただきますようにお願いいたして報告を終ります。
○委員長(江田三郎君) ただいまの報告に御質問ございますか。……ないようでございますから次に移ります。 —————————————
○委員長(江田三郎君) 中央卸売市場法の一部を改正する法律案を議題にいたします。 この件につきまして、先ほど派遣委員の御報告を伺ったのでありますが、右の報告に関連して政府に対して御質疑の向きは御発言を願います。……私からちょっとお尋ねいたしますが、政府の方では、前々から中央市場の審議会を開かれるということになっておったわけですが、その後どういう経過をたどっておりますか、その点だけお伺いいたします。
○説明員(安田善一郎君) 前大坪経済局長からの実は事務引き継ぎを受けましたばかりでございますが、まだ今までには開いておりませんが、仰せのありました審議会は、大体この月末を目途として委員にお願いするようなお方の案を立てましたり、また、現行中央卸売市場法の改正を要すべき事項というようなことが田中委員その他の委員から御提案になりました新法律案を十分尊重しながら、その内容で学識経験者の御意見はいかがであろうかなどの見当を立てまして手続を進めて、ぜひいい御意見をいただこうと思って取り進めることにいたしておる次第でございます。
○委員長(江田三郎君) これはわれわれの法案審議と、そちらの審議会の方の進行とは非常に密接な関係があるわけでして、美はもうわれわれは前の約束からいくととうにその審議会というものは発足していなければならぬと思っていたのですが、少し政府側の方でも急いで取りかかっていただきたいと思います。 ほかにはございませんか、この問題について。……それではそういうことだけを政府に要望しておきまして、政府の審議会の進行とにらみ合せまして、この委員会として市場法改正の審議を今後進めていきたいと思います。
○委員長(江田三郎君) では次に、有明海における漁業被害の件を議題にいたします。 この件につきまして、先ほど派遣委員より報告を承わりましたが、右の報告に関連して、政府に対して御質疑の向きは御発言を願います。
○戸叶武君 有明海の沿岸における漁民の人たちの中で、一番大きな打撃を受けているのは、何といっても沿岸漁業の中でもアミをやっている人たちであります。ほとんどこの人たちは最近アミがとれなくなった。その原因に対しては、九州大学の方の研究の結果と、農林省関係の研究機関の結論とはだいぶ食い違いがあるので、激しい論争がなされて、結局九州大学の側では、農薬の影響だと大体見ております。それから農林省関係の研究機関の方では、農薬だけではないと、ほかのいろいろな原因だというようなことでありますが、とにかくこの結論を待っておったのでは、沿岸漁民の救済にはならないので、それはそれとして、沿岸漁民、特にアミを主として働いていた漁民たちに対する対策は、すぐ講じられなければならないと思うのですが、その中で一番現地の漁民たちが要望しているのは、自分たちの周辺において干拓がなされている、それでその干拓事業が進んでいっているにもかかわらず、それに土地を持たない自分たちが分け前にありつくことができない、相当の反別を持った農村の次男、三男坊でないとそこへ入植を許されないが、それでは自分たちは困る、せめてやはり自分たちの最小限度の飯米でも獲得できるような半農半漁的性格によって自分たちの生活の計画を持たなければならないが、このことを早急に何とかしてくれ、というのが一番痛切な願いのようでありますが、これに対して農林省側では何か一つ対策を持っておりますか。それからいろいろな制約が入植にはあるということでありますが、そういう制約をあるところまで緩和して、この沿岸漁民の悲願を、希望を入れていただくことはできるか、その点をまず第一にお聞きしたい。
○説明員(岡井正男君) お答えします。私の方へまでの従来の陳情の経過の中には、干拓事業に織り込んで入植関係での救済を対策にしろという御要望は、今まで私は聞いておりません。先生の方が早耳でございまして、そういう問題がそういう方面から出るということに相なりますれば、農林省内部の他の関係の局長あたりとよく相談してみたいと思います。今の段階では、私の方からその問題についてはっきりと、できるとかできぬとかいうことをお答えする段階には至っておりません。
○委員長(江田三郎君) これは、農地局長、見えておりませんが、ほかにお答えできる方おりませんか。
○戸叶武君 それは私は意外で、現地を視察する限りにおいては、どこの沿岸漁民も口をそろえてそのことを、福岡といわず、佐賀といわず、熊本といわず、長崎市といわず一齊に訴えておるのに、それでは出先機関なりなんなりが下意上達を怠っているものとみなければならないので、農林省当局は当然それを私は今までにこれを知らないということは不思議なんで、常識をもってしてもそれはほかからの報告書がなくても問題が起きればそういうことが起りそうなものだということは責任をもってそれを担当していないものであっても私は頭へ浮ぶことで、それほどうかつな官庁運営がなされているというのはまことに驚くのですが、それはうそでしょうかね。私はそのようなことは農林省に伝わっていないというのは、そんな雲のような機関だとすると農林省はこれはもう少し考え直さなくちゃいかぬと思います。
○説明員(安田善一郎君) 私が申し上げますのは恐縮でございますが、官房長欠席いたしておりますので御了承を願います。ただいま水産庁次長がお答えになりましたが、本件は参議院の農林水産委員会のみならず、関係の地方、地元県庁の方からもよくお話がございまして、農林省としましてもそれがパラチオンの被害であるかどうか、またそれ以外でも一般的にこの問題をどうすべきかと、霞ヶ浦、九十九里浜等におきます同種の被害について、他方には被害があり、一方には被害が割合にないということなどいろいろ研究いたしまして、ともかく結果として、原因が明確でなくても被害があるということにつきましては明瞭のようでございますので、前谷前水産庁長官のもとにおいて水産庁また農業改良局、試験場等におきまして、相当に研究を進め、また対策等を委員会の御意見を伺って研究しておることは事実でございます。次長たまたまもって国際捕鯨会議に日本の代表の一人として御出席でございまして、何かの御記憶違いが現在きょうのところはあっただけだと思います。そのように御了承お願いしたいと思います。
○戸叶武君 この沿岸漁民の当面の要請というものをやはりすぐに入れてやるだけのことをしないと漁民の生活というのは非常に窮乏しているので、私は不祥事件が起きると思うのです。これはほんとうに現地を見てどの一角からでも希望をもたせて、生活のやはり最小限度の希望を持たせるということが大切じゃないかと思うので、私は農林省の担当の人たちが少くともあの現地を踏んでいなくちゃならないので、下僚にだけまかして報告書だけ見ているというような形でなくて、これが政治問題化するような場合においては、当然私はその沿岸漁民のいろいろな要請というものをすぐやはりくみ取ってすることが必要だと思うのです。それに関連して私は今度行って痛切に感じたのは、農薬というものが非常な勢いで使われ出してきておるのにもかかわらず、これに対する農薬検査所の機構なり、研究機関なりというものがまことに貧困で、この時代の要請に対して私は対応していないと思うのです。今日は私だけが時間をとってはいけないから簡単にその点だけを御質問します。この二十七年度からのパラチオン剤の出現以来農薬というものが非常に急激に使われておるんです。費用にしても大へんな費用で、二十九年度には約百三十五億ですか、そういうふうに使われているのに対して、これのいろいろな被害ということも出ているのですが、農薬の点においては非常にルーズで、たとえば販売の問題に対しても農協や何かが農薬会社とのいろいろなスキャンダルが、実際これが一番問題があるのです。そういうだけじゃなくて生命に害を与えるようなことに対してこれを防衛しなければならないところの農薬検査所の機構なり、それから研究機関なりというものが非常に貧弱です。九州大学と農林省の研究機関との論争を見ていても両方非常にまじめだが、私らから見ると非常に噴飯ものです。何か農林省関係は農薬の被害がないということを意識的に防衛するにきゅうきゅうとしておるんじゃないかというような印象すらも非常に強いんで、これは純科学的な立場からだといいますけれども、この九州大学と試験場の論争というものの今後の成り行きを見なくちゃなりませんが、有明海にだけあって霞ケ浦にないからというようなことだけでなくて、しっかりしたこの問題に対して、これだけ問題が起きたなら積極的にやはり費用も出して研究調査というものをやらなくちゃならないと思うのですが、そういう検査所なり、そういう研究機構の拡充というようなことはどういうふうに考えておりますか。
○説明員(安田善一郎君) 河野農林大臣の御指示にもございまして農業資材対策を農業経営費の合理化に資することが一つ、もう一つ直接物量その他の統制があるなしにかかわらず非常に重要な行政事項でありますから、肥料、農機具、農薬については従来の考えにさらに歩を進めて対策を考えよということがございまして、肥料行政に力をいたしますとともに、またその一つとして飼料行政も同様でございますが、草地改良等についても草資源の利用等につきましても力をいたしますとともに、農薬については新たな立法措置も農林省内部としては予算措置とあわせまして考究中でございます。また御指摘にありましたように、従来終戦後の食糧増産に特に重点を、絶対増産にも力を入れてきましたのでありますが、その際に農薬の進歩が、ことに外国から非常に優秀なものも、薬効のあるものも入って参りまして、これの使用利用等においてまず第一に飛びついて、効果はございますので、半面の薬害等におろそかな点も合せ考えまして、たとえてみますると、改良局に植物防疫課というものが植物防疫という見地で農薬を扱うばかりでなしに、農薬そのものを農薬の化学工業、農薬の正否、その貯蔵、流通価格、こういうことについても考える。同時に御指摘のありましたような点については早急に案を立てるべく研究中でございます。これはちょうど戸叶委員が御指摘になりましたことは、当時高碕代理大臣でございましたが、高碕大臣は農薬のみならず、特に水産の方においては御堪能な方であらせられましたのでそれを早く力を入れて研究して施策を具体化するようにということでございました。そのように目下研究中であるわけであります。
○戸叶武君 この農薬検査所での農薬の検査なんかはだいぶやられていると言われますが、その実験費に使われる額が一カ地区分がわずかに八万三千円、これを十二人で使うから一カ月一人当り七千円、こんな貧弱な費用でもっていろいろな研究調査とか、特に実験なんというものが成果が上りっこはないのだが、しかも農薬検査所の費用というものも、経費というものも昭和二十二年に八十九万、今やっと二十九年に一千方程度であって、これではこの農薬の取り締りはもちろんとして今後農薬を日本でもって自主的に作っていくというような方向に向っていくのにも非常に何ら役立たないんじゃないかと思いますが、これに対しては具体的な対策を持っておりますか。
○説明員(安田善一郎君) 本日官房長及びまた予算課長が参っておりませんが、六日の当委員会で私が御指導をいただきまして、別に申し入れも受けました試験研究の予算の来年度予算につきまする農林省の取扱い態度及びその規模について結論だけ申し上げましたが、こまかい内訳等をまだ政府部内の第一次試案の事務当局案がほぼ大臣の承認を得たものとしての扱いでございますので申し上げませんでした。そのとき試験研究予算、こう申し上げましたのは言葉足らずでございまして、試験研究及びそれらの肥料、農薬等の検定機関を含めた話でございまして、昨年三十九億円を五十五億円で相当強く要求する。しかもそれも水産試験場その他一部においてさらに改定増額して、機構をも考えて要求することにいたしましたと申し上げました。また人件費と事業費と申しますか、事業費のうちの共通費及び特に研究費につきましては七、三また六、四というようなことなどにつきまして総体平均しましては事業費の方を五・五、しかも機関別には、仕事別には三、七もあり、四、六もございますと申し上げましたが、それらの中で、御要望に沿うように大蔵省ともすでに第一回の説明を了しておるわけでございます。なお引き続きましたことは、さらにその申しました取扱いに従いまして増額要求をするということを特に念を押しまして大蔵省に説明をいたしておるわけでございます。
○戸叶武君 この問題に対してはあらためて詳細に数字をあげて別な機会に質問することにしますが、大体人件費の俸給が四割以上占めて、これはどこの役所もそうですが、十分の研究調査というものの機能が果されていないのが事実のようでありますが、問題はこの農薬の輸入が二十九年度においてはたしか七三%という状態で、しかもアメリカ側のいろいろな特許や何かを買い取って、そうして農薬の製造に当ってもその特許を買った費用や何かというものは相当高いものになっておって、その負担というものは非常に大きく加わっていると思うのです。ことに農薬が日本に非常に使われているという段階に、日本においてやはり農薬をもっとこういう外国に御厄介にならないでこれらの農薬を作り上げるということが大切なので、原子力の問題すら問題になっているときに、農薬一つが日本で自主的にできないというようなのは、一つはこの問題に取っ組んでいるところの農林省の熱意というものがないからそういう結果になるのだと思うので、原子力の問題だけが重要視されているけれども、農業生産に一番結びついているこの農薬の問題に対してもっと積極的な創意工夫というものが作られなくちゃならないと思いますが、そに対して農林省はどういう手を打っておりますか。
○説明員(安田善一郎君) 非常に専門的なことに属しますので、専門事項に関しましてはいささか本日私から便宜官房長の代理として申し上げるのは適当でないと思いますから、特にお話しのありました農薬につきましては、今までパラチオン剤を輸入にばかり待っておりましたものを今では国産で自給できますように相当育成をいたしたつもりであります。もちろんこれは民間業界の努力のたまものと思っております。その他試験場等につきまして過般もアメリカと多少の話をいたしましたが、原子力平和的利用を農業においていかに扱うかにつきまして経済審議庁、工業技術院その他の方々、また専門家等につきまして、農研の盛永所長を中心にしまして、盛永先生もその問題については実は官房長程度のしろうとにすぎないというふうに非常に謙遜しておられますが、農林省は早く西垣君その他の専門家を進んだ国に派遣をしましてある種の研修をしまして帰って来たところであります。引き続いて米政府と河野農相とが話し合いまして、いきなり日本でこれを、大統領基金を使ってもらうことにしてこっちで研究するより、まず第一段は日本の有能な人を向うへ送って、それから日本がいかにやるべきかを立案すべきであるという段階であるということでほぼ結論に達しましたので、不日、来年といわず本年度その優秀なる研修生を、現在おる農林省の技術者に限らず選びまして、まず第一段この措置をとろうということに内定いたしておる次第でございます。
○戸叶武君 まあこの農薬の問題は、農林省がもっと四つに組んで、取っ組んでいかなければならない問題をおろそかにしているから今後これだけでなくいろいろな派生的な問題が起きると思いますが、特に有明海の沿岸における漁民に対して、あの人たちが沿岸漁業がだめならば外海に出て漁獲をやりたいという場合においてもそれに必要な船もなかなか造れない。またカキの養殖なり、あるいはノリ栽培をやりたいといってもそれに対する資金が足りない。それらに対して沿岸漁民のこの数年来の困っていることを知っている農林省としては具体的には何か手を打っておりますか。また将来どういうふうにしてあの漁民の生活の困窮を救ってやるというふうに考えておられますか。このことを承わっておきます。
○説明員(安田善一郎君) 御質問がありまして、また御意見もありまして、それに対しましてまことに失礼でございますが、水産庁長官が参りましたならばそのお答えを申し上げ得ると存じております。
○委員長(江田三郎君) ちょっと政府に申し上げておきますが、これは前から問題になって、そこで根本的に被害がどういう原因であるかということも農林省としても調査をするが、同時にどういうような救済措置を立てたらよいか、それについては関係各県からそれぞれ意見を求めておるので、それが出そろったならば急速に政府としての対策を確立すると、こういう約束になって、自来二カ月半たっているわけでして、もうそろそろ答えが出なきゃならぬことになっているのですが、まだその段取りには至らぬわけですか。
○説明員(安田善一郎君) 最終的なことを申し上げる段階までには至っていないと思いますが、そのうちにも現行制度を活用し得るものと、新たなる対策を立てなくちゃならぬこととございまして、試験研究結果についてはかなりむずかしいことなどもありまして、先ほど申し上げましたようであることを私は個人も農林省の省議としても報告を受けておりまして、その旨を代理大臣である高碕さんに御上申申し上げておったわけでございますので、その両者につきましては合せて、先ほど申し上げましたように被害結果があるという現実においては間違いはございませんので、これについてはたまたまもって事務の分担がございまして、水産庁の次長御担当になておりませんでしたのでありますが、水産庁の長官がこの次の機会に参りましたならば御趣旨に沿いまして、まあおそまきながら努力いたしましたことは御報告申し上げ得ることになっておりますと思います。
○委員長(江田三郎君) 戸叶君、ほかの議題がありますから、この問題は一つこの次までに水産庁として対策をはっきり確定して当委員会へ報告してもらうということにして運んだらいかがでしょう。
○戸叶武君 よろしゅうございます。
○委員長(江田三郎君) ではさようにいたします。 —————————————
○委員長(江田三郎君) それでは次に苧麻の需給に関する件を議題といたします。 本件につきまして戸叶委員並びに三橋委員から発言が求められておりますのでこの際御発言を願います。
○戸叶武君 このラミーの問題は今非常に麻界における大きな問題として麻産業に従事している業者、それからその会社の労働組合の人たち、それから苧麻を生産している生産農民の人たちから非常に重視されているのです。このことはちょうど農林省といたしましてラミーの栽培を非常に奨励してきたのでありますから、農林省としても責任を持たなければならないのですが、昭和三十年度にはすでにこの百十万貫の生産見込みが立っているというふうになってきております。今まで海外から輸入を仰がなければならなかったのが、国内自給で間に合うようになってきたのです。それなのにこの段階に入ってこのラミーを一番多く作っておったところの東洋繊維がこの春以来経営が不振となって現在は会社更生法によって再建の手続中なのでありまして、この打撃によってこのラミーを作っている宮崎県、鹿児島県、熊本県というようなこの南九州地域の人たちが非常に打撃を受けて迷っているのです。現に現在一番刈り、二番刈り、三番刈り、とありますが、一番刈りの五十七万貫のこの処理の問題にいたしましても、東洋繊維で引き受けることができないので日本繊維、東洋麻糸及び帝国製麻等にこれを買ってもらうことにして、農林省としてはいろいろな手を打っているようでありますが、第一に私が質問したい点は、昨年度この十貫目に対して七千二百円したものが、現在価格協定を行なって二割八分まで値下げして四千三百円で、そうしてこの会社側に買わせようとしておりますけれども、こういうような急激なラミーの価格を三割近くも引き下げて、そうして農民の生産費が償うものかどうか、この一点を一つ聞きたい。 それから第二点といたしましては、農林当局はラミー生産者に対して農林中金から営農資金の融資の処置を講じたということでありますが、生産農民に対してどういう程度の融資を行なったか、それを私たちは詳細に知りたい。 それから第三点といたしましては、この日本繊維及び東洋麻糸両者に一番刈り五十二万貫を購入してもらうに当って、購入資金として農林中金の余裕金から三億一千万円融資してもらったということであるが、この両者に対する融資額はどんな工合になっているか、それからあと五万貫帝国製麻に買ってもらうという交渉をしておられるということでありますが、その融資の問題はどうなっているか。 それから第四に、昨年はフィリピン、台湾等から三十四万二千貫輸入しておるが、これに対して中止措置を行うか、中止をする場合に今までのバーター加工の結果はどうなるか、そういうことを知りたい。そうしてこれについてまだ二番刈り、三番刈りから約五十三万貫生産されるので農林省は私は比較的特産課なんかで非常に責任をもって努力されたことに対しては現地の農民は感謝しておりますが、次の二番刈り、三番刈りをどういうふうに消化してもらえるかという点で現地の農民は不安を持っておりまするが、そういう点に対してはどういう対策を講じておるか、その点についてお答えを願いたいと思います。
○説明員(大坪藤市君) ラミーの問題でありまするが、実は前局長から引き継ぎましたばかりでございまして、御質問の点につきまして正確な、しかも私どものやっておりますることにつきまして意を尽しました御答弁ができないかと思いますが、その点あらかじめ御了承願っておきたいと思います。 まず第一点の、昨年よりも二割八分ほど値段を引き下げました点でありまするが、これにつきましては御承知の通りに東洋繊維が六月ごろから急速に業績が悪化いたしまして、七月に至りましてからはついに会社更生法の適用を申請する、従って工場というものを全面的にストップせざるを得なくなったというような事情によりまして、内地におきますラミーの需給の面に相当の変動が起きて参りますのと、諸外国におきまするラミーの売れ行き自体が当初考えておりましたような、いわゆる好転的な利用者がなかったというようないろいろな事情を参酌いたしまして、これにつきましては値段の点をどうするかという点が一つの問題であったのでありますが、生産地における生産業者の代表者並びにいわゆる需要者でありまする日本繊維並びに東京麻糸等と寄り寄り協議を願いまして、まあこの辺でということで二割八分引き下げた価格でケリをつけているような次第であるのでございます。この点につきましては、もちろん生産費等も一応考慮の対象にいたしたと考えられるのでありますが、その点につきましては、何せ事業状態が非常に何と言いますか不振の状態にありましたので、一応二割八分ほどの引き下げた価格において決定をいたしたのであります。で、御承知のように東洋繊維の約百十万貫という年間生産量、そのうち年間を通じまして五割ほどの買収をいたしておったのでありますが、それが全然引き取りが不可能になりましたので、第一回の生産数量であります五十五万貫程度のうちに、約ただいまお話にありましたように五万貫ほど残しまして日本繊維と東京麻糸との両者に引き取ってもらったのであります。五万貫の残っておりますものにつきましては、一応生産者の団体であります九州三県の協同組合の連合会の方で一時これを持っておるというような状況に相なっておるのであります。で、この価格を、東洋繊維が非常に業績が悪化いたしまして買い取りが不能になりますという見込みが確実に相なりましたので、農林省といたしましては、生産各府県の農業協同組合連合会並びに中金等であっせんいたしまして、まずいわゆる集買資金、これに伴うあっせんをいたしたのでありますが、それと同時に、日本繊維並びに東京麻糸の方に総計三億一千万円の集買資金をいわゆる中金の余裕金から特別融資をいたしておるような次第であるのでございます。で、残っております五万貫の問題につきましては、これは帝国製麻の方に現に引き取り方をいろいろ折衝いたしておるのであります。さらに第二期作並びに第三期作を含めまして約これも五十万貫ほどの生産があるのでありますが、この問題につきましても残りました五万貫を含めましてできるだけ一つ日本繊維並びに東京麻糸の両者の方で引き取ってもらうべく努力をいたしておるのであります。ただ日本繊維等におきましては、第一期のラミーを約二十万貫ほど引き取りました関係上、第二期並びに第三期のものについての引き取りは目下やや困難な事情にあるようでありまして、この点につきましては、私どもの方といたしましては、できるだけ一つ融資についてはいろいろ努力をいたすつもりでありますので、なるべく引き取ってもらいたいという折衝を続けているのであります。なおどうしてもいけない場合におきましてはこれはやむを得ない措置といたしまして、農家に持たせるわけには参りませんので、中金からいわゆる協同組合連合会の方に融資をいたしまして、連合会自体でこれを持ってもらうというこれはもういわゆる最後の手段でありまするが、最後の手段といたしましては連合会に一時これをストックする、そういうことによりまして生産者が生産いたしましたラミーがどこにも持って行き場がないようになるようなことにはいたさないような考えで進んでいるのであります。なおこの点はまだ未決定でありまするが、東洋繊維の方は目下会社更生法の関係で証人を申請いたしておるのでありまするが、近くこれにつきましては関係当局より認定があるはずであります。会社のいわゆる更生計画によりますれば相当の数量を月々生産を再開する、一応計画といたしましては月間三十五万ポンドと思いまするが、それだけを一つ再開をする更生計画を関係当局に提出いたしておるようでありまして、これにつきましては銀行団その他の意見ももちろんこれは判断の材料になると思いまするが、そういうようなことになりますれば、よほどラミーにつきましての処理はたやすくなるのではなかろうか。ただいま申し上げましたような東洋繊維の更生計画ができない場合におきましては、これは非常にむずかしい問題になるのでありまして、東京麻糸並びに日本繊維におきましても相当できるだけたくさんとってもらいましても、ある数量のものが残るというようなことになりまするが、その場合におきましてはただいま申し上げましたような、連合会によって一時これを買い上げまして、ストックする以外にはなかろうかと、ただいま申し上げましたような東洋繊維の方が事業を再開いたしました場合にはその間相当のゆとりができまして、連合会等で冬を越すというような点もあるいはなかろうかと、かように考えているわけでございます。 次に東洋繊維の例のマニラ麻のいわゆる加工貿易と申しまするか、その点につきましては従来いわゆる何と申しまするか、手数料に、加工賃に該当するものを製品でとっておったようでありまするが、今回新しい協定によりまして加工賃に該当するものはいわゆる外貨でとりまして、物自体は全部フィリピンの方に返すというような格好に相なったようであります。従いましてこれは会社の業績から見ますれば相当なプラスになる、これが一つの会社更生法で認定をされるまあ有力な材料にもなるかと、かように考えられるのであります。いずれにいたしましてもラミーの生産につきましては熊本県、鹿児島県、宮崎県では相当の生産量もあり、農民といたしましては現金収入の相当の部分を占めておりまするので、たまたま東洋繊維が今日のような事態になりましたことは遺憾でありまするが、これにつきましては先ほど申し上げましたようにいろいろの対策を講じまして、生産者がせっかく生産いたしましたラミーがどこにも持って行き場がなくて困るというような事態を発生せしめないように、今後とも十分注意をいたし、また努力をいたすつもりでございます。
○戸叶武君 繊維局からも来ておられますからこの際にお尋ねいたします。この東洋繊維がつぶれたということは、東洋繊維の経営難だけじゃなく、今日本の、この麻産業全体に対して私は大きな衝撃を与えているのではないかと思うのです。そのことは一つにはこの麻を中心とした産業というものが新興の化学繊維を中心とした独占資本の棒頭に非常に押されてきている。特に、市場の関係、品質の改善がおくれている関係、それから融資の問題、そういう点でもって、古い経営形態の麻を中心とした産業部門における各会社というものが、私は非常な経営難に陥っていると思うのです。しかも一面に、たとえば防衛庁なんかの使う製品というものが、まあ品質の点からも来るでしょうが、品質というよりは、この独占資本の攻勢を受けて、結局国産品の麻よりも同じ化学繊維が擡頭するときには輸出の方に振り向けるということを言うておったが、そういうこの化学繊維がどんどん国内市場を荒らしている。そういう関係で食われていると思うのです。この東洋繊維のつぶれるときも、御承知のように、この三月における価格協定のときには、相当東洋繊維で新株を募って増資をやっておる際であったからみえがあったのでしょうが、もっと価格を引き下げてもらうことを頼めば、生産農民もあるいはそのあっせんに当った農林省も、できたであろうとまで言われているのに、そういうことをしないで、そして結局は銀行に借金がうんとたまってしまって、百六十四億ともその当時言われておりますが、今でも六十億からの借金があって、大和や興銀、その他の銀行によって管理されているような状態だと思うのです。こういう点から言って、私は東洋繊維ほど痛手を受けていないかとも思うのですが、麻産業部門が皆あえいで経営難に陥っているこのときに、東洋繊維のことだけを考えていると、第二、第三の東洋繊維的なものが麻業界に生まれて来たときには大へんなことになると思うのですが、そういう点で、どうやって麻部門を担当しているところのこの産業を防衛するか、また、その会社において生産に従事している労働組合の人に不安を与えないようにするか、またその会社に原料を送り出すところの農民に——南九州の人たちは苧麻で打撃を受けたのですが、北海道には亜麻がある。決して南九州だけの出来事ではなくて、そういう問題が次々に起らないとも限らないのですが、この繊維の広い対策としてどういうふうに考えているか、これを繊維局の方から承わりたいと思います。
○説明員(谷敷寛君) 麻関係の事業を所管しております麻毛課長でございますが、ただいまの問題につきましては、全くお話の通り、麻業界というものは、一般的に最近化繊事業に相当押されてきておることは否定のできないところでございます。そこで、化学繊維、あるいは合成繊維の進出があまりございませぬ場合でも、麻業界の国内だけの需要という点から見ますならば、やはりそういう事情がなくても相半楽観できない事情にあるわけでございますが、化繊関係の進出で事情はさらに困難になってきたということは私どもも十分認めておるわけでございます。それで、これの対策といたしましては、結局最も有効な対策は、海外の市場を開拓いたしまして輸出を促進するということが最も大切だろうと考えられます。そのためには、現在われわれの方で協会の代表者と研究をしておるのでございますが、最近の輸出状況は、年に約百万ドル程度しかまあ輸出ができないわけでございまして、これをもっと増大させるためには、結局値段の問題でございまして、現在の価格よりも約二〇%程度の価格を引き下げますならば相当に輸出は促進されるだろう、こういう予想でございます。従いまして、私どもとしましては、コストを切り下げまして、輸出を促進するためにあらゆる努力をいたす覚悟でおりますが、それにつきまして、最も重要な問題は、結局ラミーの原料の値段をある程度下げるということと、企業の内部の合理化によりましてコストの減少をはかるということになるわけでありまして、この両方の努力によりますならば、二〇%の価格を引き下げるということも必ずしも不可能ではないというような大体見通しでおるわけであります。さような関係でございますので、農林省の方とも協力をお願いいたしまして、亜麻、苧麻の原料の値段につきましては、農業経営の成り立ちますような、最少のところまでなるべく下げていただく、そのかわり、麻会社の方におきましても、ぎりぎりのところまで企業の合理化を促進してもらおうということで今研究をいたしておりますので、遠からずその効果が上ってくるというように私どもは期待しておるわけでございます。
○戸叶武君 今、課長が言われた、実はコストの引き下げ、企業の合理化のうわさにおびえて各麻工場における労働組合の人たちが非常に動揺しているのです。日本では、コストの引き下げ、企業の合理化というと、すぐに無能な業者は労働者の首切りだけを考えるんです。これはばかの一つ覚えだからなかなか直らないのですが、この前に東洋繊維の倒れた原因なんかを究明しても、簡単に言えば、高利の金を借りて銀行に食われているのです。こういうだらしのない産業資本家の経営形態というものが非常に金融機関としてえげつないやり方に食われて、満身創痍のもとに倒れていくんです。私たちは、こういうおくれている産業に対して、いかほどの利子で金を借りているかどどうかというようなことも相当やはり検討していく必要があるし、それから生産農民にも直接影響のある問題で、会社がそういう形でぶっ倒れると、いきなり今度は二八%も買い上げ値段を引き下げて、農民にがまんしろと押しつけられたときに、農民はいやだと言えば買ってもらえないから泣き寝入りをしなければならぬ。労働者や農民にしわ寄せをやって、今のおくれているところの業者の頭というのは切りかえられていない。そういう点を私はもう少し関係当局は監視してもらいたい。それからもう一つは値段さえ下げれば売れると言いますか、やはり品質の改善や何かというものを積極的にやらなければならないので、そういう点に対して新規開拓、新市場開拓、あるいは輸出を振興させるというのには政府は相当な援助をしても化学繊維に対抗し、あるいは化学繊維以上の製品を市場に送り出させるようにしていかなければならないと思うのですが、そういう点に対して何か繊維局では考えておられますか。
○説明員(谷敷寛君) ただいまお話の品質の問題でございますが、これは東洋繊維につきましても、会社の技術なり製品の品質というものは相当にすぐれておるのでございまして、品質改良の点につきましては今後とも努力をするようにいたして参りますけれども、むしろ輸出の一番の問題は、品質の問題よりも価格問題にあるということを御承知願いたいと思います。従いまして、輸出の振興ということに対する政府の援助でございますが、これは現在のところ麻だけの輸出について特別の方策というものを政府はとっておらないのでございます。一般に輸出振興のために海外の主要な所にも政府の出先機関を置くというようなことをいたしまして努力はいたしておりますが、特に麻だけの輸出についていろいろな方策を講ずるということになれば、結局は特別の予算措置を講じなければならぬという問題にもなりますので、この点は、現在まではまだそういうことはやっておりませんけれども、明年度の予算等におきましてそういうことができますように、実は今研究はしておるところでございます。
○戸叶武君 最後に私は締めくくりに質問いたしますが、輸出輸出とあなたは言っておりますが、すぐにはなかなか間に合わないと思います。あなたはその点を価格の点だということで割り切っておりますが、輸出の場合と国内消費の場合を考えてみても、なぜそれならば防衛庁あたりで化学繊維を多く使うようになったのですか。それは値段の問題だけでしょうか。私はやはり値段と同時に品質の問題もあると思う。あるいは強大な独占資本からの工作もあるかもしれませんが、いずれにしても輸出は明日の問題でしょう。今日の急場を救うのに、化学繊維はすでに世界で一流の成績を日本は上げているので、輸出としての実績はおさめておるわけです。その方を海外の方に振り向けて、国内の方ではまだ輸出が伸び切らないところの麻を使って、国内産業を守っていかなければならないということを私は繊維を扱う人たちは考えていかなければならぬと思う。たとえば、毛織物にいたしましても、イギリスが高級品の高い値段のものは海外に売って、国内の人たちはもっと粗末なものでがまんしているというように輸出振興をはかっているのから見ると、非常にその点が冷淡だと思います。今後防衛庁なり何なり、大量消費をやるところに向って、国内の麻産業を守るためにこの方を多く使ってもらいたいというような要請なり、手を打つことはできないかどうか、その点を質問いたします。
○説明員(谷敷寛君) 私は輸出のことばかり申し上げたようになりましたけれども、実は管理の点につきましては、防衛庁のみならず、運輸、郵政各省には機会あるごとに、麻製品は国産の原料を使用しているから使ってほしいということは絶えず申し入れをしておるわけでございます。ただ、国内の需要と言いますものは、比較的数量が多額にはならぬという点がございますので、麻産業というものを飛躍的に発展させるというためには、どうしても輸出の方になるということを申し上げましたので、内需の点につきましては絶えず機会あるごとにそういう努力はいたしておるということを申し上げておきます。
○委員長(江田三郎君) この問題については、なお御意見があると思いますが、時間の関係上、政府の善処を求めましてこの程度にしたいと思います。 —————————————
○委員長(江田三郎君) 次に、はなはだ急いで恐縮ですが、時間がございませんので、台風第二十二号及び第二十三号及び北海道水害による農林水産関係の被害の件を議題にいたします。 速記をやめて。 〔速記中止〕
○委員長(江田三郎君) 速記をつけて。 それでは先ほど申しました台風二十二号等の被害の件を議題にいたします。これにつきまして政府当局から被害の状況並びにこれが救済策について当面お考えになっている点の御説明を願います。
○説明員(谷垣專一君) 議題になっております二十三号台風は九月の末に鹿児島に上陸いたしまして、そしてこれが北九州の方へ抜けて参ったのでありますが、当初予定されておりましたような雨台風よりも、雨を非常に多量に含みますのをおそれておりましたけれども、雨台風というよりむしろ風のかなりきつい風台風というような格好になったようであります。従いまして当時憂慮いたしておりましたような洪水による非常に大きな害というものは割合比較的少かったように考えられます。被害地域は九州、四国、中国及び北陸、東北の一部にまで及んでおりますが、今手元に集まりました被害状況、ごく最近の被害状況で農林水産関係の施設被害額を申しますと、総計約四十三億程度に上っております。これは治山林道関係、それから漁港関係、農地、農業用施設等を含んででございますが、大体その程度に上っております。なお内訳を申しますと、治山林道関係が約九億一千万円程度、漁港が七億二千万円程度、農地農業用施設の被害が二十一億程度に上っております。なお警察庁の報告によりますところの十月二日現在におきまする報告によりますと、水田の流失埋没冠水したものが二万四千五百町歩、流失埋没八百三十二町歩、冠水が二万三千七百町歩程度になっております。畑地の流水埋没陥没いたしましたものが五千六百四十町歩程度という報告を受けております。 この地区の稲作の被害の問題でありますが、特に水稲の出穂期との関係がかなり関係の深いことに被害状況を見るとなると思うのでありますが、この被害を受けました九州、四国、中国におきましての出穂の時期等を考えてみますと、九月十日以降に出穂いたしますものが九州で二七%、四国で二五%、中国の七%というような比率に二十九年度の状況から考えまして考えられるのでありますが、この九月十日以降の晩稲のものがやはりかなり被害が多かろうと考えられます。もちろんこのほかに風害によりまするところの脱粒でありますとか、あるいはもみずれでありますとかというような倒伏等の状況によりまして被害がかなりあろうと考えられます。これらは晩稲であろうと、わせであろうと、皆そういう被害を受けると思うのでありまするが、これらに関しましては目下統計調査部の方で集計調査中であります。 大体今度の台風は、二十五年の九月に来襲いたしましたいわゆるキジヤと称せられる台風と経路がかなりよく似ているわけでありますが、今申しましたような状況を大体示しておりますし、農作物の被害の状況の詳しいことは現在調査をいたしておりますので、それを待ちまして御連絡をいたさなければならないと考えております。農林省の方ではこの二十二号台風に対しましてさっそくに調査員を現地に派遣いたしました。農地、農業改良関係、それから水産関係、それぞれ係官を九州、四国、中国の各県に派遣いたしまして様子を調査さして参ったのであります。これらの対策といたしましては、農林水産関係の施設物の災害復旧でございますが、これは現地査定をすみやかに実施いたしまして予備費支出によりますところの国庫補助金の交付をいたしたい。できるだけこの措置を急ぎたいと考えております。また地元負担分の経費につきましては農林漁業資金の融資をいたしたいと考えまして必要な措置を講じたいと考えておるわけであります。また緊急施行を必要とする施設があろうと思いますが、これは関係の大蔵当局等と協議いたしまして補助金の見返りにつなぎ融資を考えましてこれは政府資金あるいはまた農林中金であるとか地方銀行の資金等の融資について努力いたしたいと考えております。また一方農作物に対しましてはこの台風あとの病虫害防除につきまして万全を期すると同時に、農薬等の資材の供給確保でありますとか、あるいは家畜防疫等に遺憾のないようにいたしますと同時に、被害状況の実情に即した金融措置、財政措置を講じなければならないと考えております。なお資金の融通でございますが、必要な、被害を受けました農林漁家の再生産を確保するために必要な経営資金の融資につきましては、利子補給あるいは損失補償等の措置を検討いたしたい。また必要が生じまするならば従来借り入れましたところのこれらの経営資金あるいは農林漁業資金等の償還の猶予を考えたいと思っております。漁船の損害がかなり多いようでありますが、これらにつきましても農林漁業資金の融通につき考えたい。それから非常に被害が甚大でありまして各戸の農家でいわゆる自作農の維持が困難であると認められますようなものは自作農維持資金の融通を実施したい。それから保険金あるいは共済金の支払いの問題でありますが、これらの実情、農作物あるいは漁船等につきましてこれらの被害の実情をすみやかにいたしましてこの支払いについて措置を講ずる必要があると考えております。なお不足飯米の農家に対しましての措置でございますが、米の特配を行うとともに、立法を要しますけれども被害農家の実情によりましては米麦の安売り等の問題も考えなければならないかと思いますし、また代金延納等の問題をも講じなければならないと考えております。まあ大体このようなことを現在それぞれ検討をいたしておりまして、現地の被害状況の資料その他の処理をいたしておる現状でございます。
○委員長(江田三郎君) 御質問ございましたらどうぞ……。よろしいですか。
○森崎隆君 この問題は視察をしまして、帰ってまたあらためて詳しく質疑いたしたいと思います。
○委員長(江田三郎君) じゃ一応本日はただいまの官房長の説明を聞くだけにいたしておきまして、現地の調査を終えましてあらためて問題にするということでよろしゅうございますか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(江田三郎君) じゃさよういたします。
○東隆君 台風災害の方に加えてお聞きをいたしておきますが、北海道の八月、九月の災害に関係して急速に対策をあるいはしていただきたい、こう考えるわけでありますが、八月までの災害については九月の末日までに資料をおそろえになって、そうしてこの対策を練ると、こういうお話でございましたが、もうすでにでき上っておるものと、こう考えております。そこで九月にも災害がございましたので、私ども要望いたしております点を申し上げますが、それは農業経営資金及び農業協同組合資金の融通並びに農業災害資金の償還猶予の関係であります。この問題については特にいろいろ申し上げておりますが、二十八年、二十九年度に冷害その他の災害を受けております、今度の水害で三度ひどい目にあっておりますので一つ金利の三分五厘の資金を何としてもいただきたい、こういうことを考えておりますので、これを一つお考え願いたいと思うわけであります。 それから農業用施設復旧資金の融通並びに国庫補助について、これは個人施設、共同施設その他もうすでに私どもの方も要望の内容を報告いたしておりますし、御調査も申し上げておるのじゃないかと思いますが、この数字もお聞きいたしたいと思うわけであります。 それから昭和二十九年の冷害に伴う米麦売り渡し代金の納入期限延長について、これは実のところを申しますと、十月でもって期限が切れるわけです。そこで先ほども申し上げましたように三度もひどい目にあっているところがございますので、そこで一つ延長を願いたい、こういう非常に強い要望がございますので、これは法律の改正が必要になるのではないかと思います、その点をお考え願いたい。 それからもう一つは政府手持食糧の払い下げ並びに代金納入期限の延長について、これも同様な意味であります。 それから農業生産資材及び家畜防疫資材に対する財政措置について。これは私どもの方で種子あるいは肥料、それから病虫害の防除費、それから家畜の防疫費に対する補助、このようなものを要望いたしておりますが、これに対する御決定をお聞きしたい、こう思うわけであります。 それから北海道としては家畜購入資金の融通をこれはぜひお願いを申し上げたいのであります。経営が大きゅうございまして、そこで動物がなくなったりいたしておるのがございます、そこでこの方面の資金をいただきたい、こう考えておるわけであります。 それからこれは大へんこの前むずかしいことでやりずらいと、こういうお話でございましたけれども、臨時救農施設事業を一つ実施してもらいたい、こういう要望なんであります。これは適当なところに仕事がないと、こういうようなお話もございましたが、私どもとすれば雪の少い所、それから雪が降ったときにも十分にやれるような仕事を計画をちゃんといたしておりまして、十分仕事がやっていけると、こう考えます。そういうような地帯がありまして、しかもそこは三たびも災害をこうむっております。こういうような所もございますので、そういう点をお考えを願いたい、こういうわけであります。そういう点についておきまりになっておる点と、それからこれからどういうふうにおきめになるか、そういう点についてお漏らしを願いたいと思います。
○説明員(谷垣專一君) 今ちょっと北海道に関しましてだけの内訳数字をここに持っておりませんので失礼をいたしますが、この農地及び農業用施設等の災害復旧の分につきましては、本年八月までの被害分につきましては予備費十一億の要求をこの数日前に大蔵省にいたしました。御指摘の北海道の八月までの被害分もその中に入っております。 それから営農資金の点についての御質問でございますが、これは天災融資法の政令を出すように関係省とも協議が成立いたしておるのでありますが、その資金の数字につきまして、実は北海道庁からの数時と、農林省の方での調べました数字とが非常に数字が食い違っております。十倍も実は違った数字が出ておりますので目下それを調整をいたしておる状況でございます。 それから公庫資金の問題についてでございますが、これは七月、八月の北海道水害につきまして公庫から三千万円の融資を出させることにいたしまして、貸付の措置を現在進行いたしております。 それから飯米の問題が出ましたが、これは現在のところまだ具体的に飯米を配給してくれという要求が数字的に出てない模様のようであります。 それから累年被害を受けましたための飯米のいわゆる代金支払いの延納の問題につきましては、これは関係庁の方とも相談いたしましていわゆる延滞金の免除をする、そのままずっと支払いを猶予するという結果になっておりますので、そういう措置をとりたいと考えまして、目下関係方面からの資料の提出を求めておるような状況であります。あと少し聞き漏らした点がございまして失礼かもしれませんが、大体そんなところであります。
○東隆君 今お話のございました例の北海道の災害と、それから農林省の調査の開きがあるというのは、私は農林省の方の、たとえば統計でありますが、これは米を中心にしての統計は非常に詳しくって、そうしてその点においてある程度の立ち直りその他はこれは十分認めるのです。しかし畑作の方面になってくると統計が私はほとんどないと思う。従ってそっちの方面の被害というものはこれは水稲は非常に水害に丈夫なものですけれども、畑作物の被害というのはこれは非常に大きいのです。ことにジャガイモのごときは水を一日か二日かぶっておればもう完全に腐ってしまう。そんなような関係で実はよう観察し得ないところに大きな数字の開きが出てきておる。決してこの機会に政府からたくさんの金を融通を受けたいとか、あるいは補助をたくさんせしめようという、そういう考え方では絶対にない、そういう点で御理解を願いたいということと、これは農林省が畑作農業というものについて理解の度合いがあるかないかということを示すことにもなろうかと、こう思うのですが、そういう強いことは言いませんけれども、そういう点がございます。それでこれはまだおきめになっておらないと思いますけれども、例の臨時救農施設、これは大へんむずかしいことだと、こういうふうにお考えになっておると思いますけれども、一つ御相談を道庁と十分にして、そうしてできるだけ仕事を興していただきたい。これは全国を通じて豊作の形になっておりまして、そういうような関係で一般は非常にいいのですけれども、やられたところはこれはもう実にむざんなもので、しかも三年続いておる、こんなような形になっておりますので、そこに対して手を打っていただかなければこれはなかなかいろいろな問題がここから起きてくると思う。そういう意味でこれはお考えを願いたい、こういうわけなんでありますから、もう少し研究を進めていただきたい。
○説明員(谷垣專一君) 数字が非常に食い違っている点につきましては、農林省の方としても農林省の主張が絶対正しいというわけではございませんので、何分地面の下にもぐっておるイモ等の被害はなかなか数字が両方ともにむずかしかろうと思いますが、十分にこれは道庁の方とも相談をいたしまして、実情に近いものを出して調節をいたす必要があろうと考えております。 それから臨時救農的な事業を興すという問題でありますが、これは関係庁の方とも実は相談をいたしたのでありますが、そういう地帯におきましては現在おそらく災害復旧事業がずっと行われておる現状であろうかと思います。そういうような状況でそれにつけ加えて救農事業をどういう形のものがいいだろうかということについて実は今のところまだ実は名案が浮ばないような実情でございます。これは現在のいろいろな災害復旧の事業が済みましてあとなおいろいろとそこにむずかしい事情が生じますような場合を考えなければならぬと思っておりますが、現在のところそういうことで行き悩んでおる状況でございますから御了承を願います。
○東隆君 それから八月までの分についてはいろいろ手を打たれましたけれども、九月の災害でございます。その意味で一つお考えを願いたいと思います。
○委員長(江田三郎君) 本問題につきましては、派遣委員の調査を終えた暁に次回の委員会においてなお詳しく検討いたしたいと思います。なお草資源の改良造成及び利用増進に関する件と、漁業用燃油の件が残っておりまするが、これも次の委員会の議題にいたしたいと思います。次回の委員会は十一月の九、十、十一日の三日間開くことにいたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時一分散会