農林水産委員会 閉会後第6号
- 発言数
- 120 件
- 登壇者
- 19 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1955/09/16
会議録
○委員長(江田三郎君) それではただいまから農林水産委員会を開きます。 最初に藤原ダム工事による漁業被害の件を議題にいたします。本問題につきまして、前回の委員会において陳情がありましたが、この問題について秋山委員から発言を求められております。この際御発言を願います。
○秋山俊一郎君 本問題は前回の委員会において被害当事者から詳しい陳情があったのでありますが、当時は単に陳情だけにとどまっておったのでございまして、この問題は群馬県水上町の藤原地区に建設省が目下工事中のダム工事に伴いまして、建設用の砂利採取ということから、砂利だけでなく、砂利とともにいわゆる土砂を一緒にとる、あるいは採石をするということによってその流域の河水、河の水をひどく汚濁するのであります。それがためにこの利根川の藤原地区以下の流域におきましては長い間アユあるいはマスあるいはウグイ等の養殖をはかりまして採卵放流をする、あるいは稚魚の放流をするということによりまして、魚族を増殖し、これによってこの河川沿岸の業者が生活を営んで参ったのでありますが、この工事のために汚濁された水が非常に濃厚な濁りのために、これらの水産物が非常に減少して、あるいはまた発育が阻害されて、ちっともふとらない。あるいはまた他に逃避してしまうというようなことから、この流域におきます漁業関係者は非常な苦境に立っておるのであります。もうすでに当局に対しましては陳情書も出ておることでありますから、これらの漁業の数字的の問題は、御承知かと思いますが、上流地帯におきましては沼田市の利根漁業協同組合、あるいはまた中流では坂東漁業、下流では群馬漁業、東毛漁業等からそれぞれ陳情が出ておりますが、それによりますというと、その損害額は上流地域におきましては三千五百四十万円、中流地域におきましては三千八百二十六万六千円、あるいは下流地域におきましても三千五十万円といったような損害をこうむっております。従ってこれらの漁民の関係者の損害は莫大なものでありますので、かような陳情になっておるのでありますが、これに対しまして当局はどういう措置を講ぜられておるか。 元来、この河川あるいは沿岸が近時土木工事あるいは農薬等によって非常に被害をあちらこちらに受けておりまして、魚族の繁殖を阻害し、漁業者の損害を大ならしめておるのでありますが、この建設に当りまして建設省当局は、かような問題が起ります場合に、あらかじめその水産関係者の組合もあることでありますし、それらの者と事前に十分な連絡をとって、それらの被害に対しては措置を講ずべきものであったと、私どもは考えるのでありますが、この点は当局はどういうふうな措置を講じられて参ったのでありましょうか、その点をお伺いいたします。
○説明員(淺村廉君) お答え申し上げます。 私ども建設省で目下工事をいたしております藤原ダムのダムに用いますコンクリート用の土石を採取いたしますために、これを採取し、採石いたします結果、この水洗いの濁水が川に入りまして、下流の漁獲が減少するという問題でございますが、申すまでもなく、かような工作物を川に設けます場合には、当然私どもといたしましても慎重にいろいろ調査をいたしてかかるのであります。しかしながら、その補償の問題は、申し上げるまでもなく、非常にむずかしい問題でございまして、私どもが正直な話、ただいまダム建設に伴いまして、当面非常に困っておる一番大きな問題は補償の問題でございます。私どもといたしましては、慎重にこの問題を研究いたしまして、実際に生じました損害については当然これは補償しなければならないというふうに考えてやって参っておりますが、ただいま問題となっておりますこのダムの採石のために水が濁る、従って漁獲が減る、この問題は非常にまた特にむずかしい問題でございます。私どもといたしましては、ただいまかようなお話を承わっておりますので、慎重に調査を実施いたしております。決してぐずぐずやるというわけじゃございませんが、相当に問題が波及する面も大きい問題でございますし、決してこの場合そうだというわけではございませんが、このような補償の問題はとかく非常に大きくなって要求が出るという傾向もございます。これは決してこの場合こうだということではございませんが、さような問題もございますし、全般的にいろいろ影響もございますので、私どもとしては慎重に調査を今いたしております。できるだけ急ぎまして結論を出したいと考えております。 実際に生じました損害に対しましては、当然たとえ公共事業でありましてもこれを補償すべきものと考えてやっておる次第であります。
○秋山俊一郎君 もちろん損害に対する補償はお考えにならなければならぬと思うのでありますが、陸上におけるこのダムに関連しての水没地域であるとかあるいはその他の損害については、もちろん補償はされておることと思いますが、とかく漁業に対するかような問題がいつも不問に付されたり、あるいはごたごたしながら、やりようがなくて問題をうやむやにしてしまうというような場合が非常に多いのであります。この水域に対しましてアユの放流をやったりあるいはマスの放流をしたり、あるいは人工孵化放流をしたりというようなことをやっておるようでありますが、かような水面に対しましては、水産の法規の上から保護水域といったようなものが設けられている場合が多いのでありますが、この水面に対しましてはさような措置がなされておるかどうか、水産庁の関係の方にお伺いいたします。 と同時に、この問題は実は先般陳情がございましたときに、水産庁が調査しようというお話もあったのでありますが、水産庁はこの問題についてどの程度に関心を持ち、どういうふうに考えておられますか、水産庁の御意向を承わりたい。
○説明員(家治清一君) お答え申し上げます。第一点の保護水面の指定でございますが、これは現在まだ指定しておりません。 それから第二の点でございますが、実を申し上げますと、この問題は県を通じてくる前に、先に直接業界の方から参った次第でございますので、私どもの方といたしましては、まず県を呼びまして、県が公正な立場からこの問題に対する調査及びその対案を作っていただくように指導して、県の関係者を呼びまして、先般もそういう点重ねて指導し、また県の方ではそういうこちらの指示に従って調査をし、対案を考究中でございます。
○秋山俊一郎君 まあどちらも調査中ということでありますが、水産庁としては全然わかりませんか、どういう程度のものであるかということはおわかりになりませんか。
○説明員(家治清一君) 業者といいますか、組合側の陳情書によります被害その他の状況はわかりますが、実はこれはやはりある程度行政に携わっております県の調査でないと、そのままこちらでというわけにいきませんので、そういう意味ではまだその被害の模様その他について正確なところはわかっておりません。
○秋山俊一郎君 この問題は工事当事者である建設省ももちろん調査をしなければなりますまいが、かような産業の主管官庁である農林省、すなわち水産庁が十分技術的にも調査をすべきものだと私は考える。御承知のようにアユのごとき魚族は濁った川にはすまないのであります。そうしてその飼料として岩藻類等のコケをとっておるのでありますが、それらのものが泥でおおわれるというとえさも何もなくなってしまう。またマスにしましても濁った川に従来棲息はしないはずであります。さような点から考えまして、これが二年も三年もかような状態におかれるということになりますと、当然魚族の減少あるいは成育の不良ということが考えられるのであります。従って私は水産庁自体が、こういう問題が起ってきた場合に、県の調査を待つまでもなく、みずから所管の事務としてお取り上げになって御調査をすべきものじゃないかと考えますが、その点はどういうふうに考えておられますか。県が何かしなければ水産庁は何もしないんだということでは、私は水産庁の責務が果たされないんじゃないかと思いますが、その点はいかがでございますか。
○説明員(家治清一君) 御意見の点ごもっともでございます。私どもの方も、別に県の方からの回答がなければ、こちらから積極的に動かないという意味でおるのではございません。先ほど申し上げたのはそういう意味ではございませんで、ただ第一次的な行政指導をやり、かつ接触しておりますのは県でございますので、まず県の関係官を指導をして、そうしてこちらの重要な調査なり今資料を書いていただくということでやっておるのでございまするが、われわれとしましても県の方とよく連絡して、すぐ現地調査に来てほしいという場合はもちろん参ります。そういう意味で、決してこちらの方では非常に消極的な態度でいっていいということではございません。
○秋山俊一郎君 河水が汚濁ということはもちろん土砂が流れるということになるのでありますが、そういう事態が起ってきた場合に、建設省としてはこの濁りを薄めるとか、あるいはなくするとかといったような工事については何か考えたこともなかったのでございましょうか。聞くところによりますと、きわめて簡単な設備をしておるけれども、ほとんど役に立たないというような話でございますが、その点はどうでございましょうか。 それからもう一つ、私はこの工事というものはそう永久に続くものでございませんので、ダムの建設が終れば土砂を流すこともないので、濁り水もなくなると思います。そうした場合になおかつその調査が進まずに、うやむやであった場合に、水がきれいになってきたということになると、一そう被害の調査ということはむずかしくなる。現在において早急にやらないことには、それこそ業者はただ闘ってうちのめされただけで、あとはどうにもならんような格好になるおそれが多分にあると思う。従って至急に損害の、被害の調査をし、片一方においてはこれを除去する方法があるならば、それをなるべく早く講ずる、こういうことによって業者の損害を補償し、あるいは今後の損害をなくしてやるということにならなければ、単にダム工事によって業者だけが犠牲をこうむるということは許されないと思うのです。その汚水を、濁水を流さないようにするという工事の問題、それから調査を至急にやらなければならんが、今どういう調査をやっておられるか、果して早急にこの調査ができるものかどうか。もし水が澄んでしまってから調査しようとしてもなかなか調査はできないだろうと思う。その点を建設当局はどういうふうにお取り扱いになっておるか。
○委員長(江田三郎君) ちょっと私は関連してお尋ねをしておきますが、あえて言葉じりをつかまえるのではありませんが、先ほどの答弁の中に、公共事業だからといってゆるがせにしておるわけじゃないという答弁が出るのは、私意外に感ずるのですが、公共事業であれば、よけいこういう問題についてはよほどきりばりした態度をとらなければならないので、何だか公共事業だから放っておいてもいいというような印象を与える答弁でありました。言葉じりをつかまえるのではありませんが、そういう点ちょっと意外に思ったのですが。さらに今調査の問題について、あなたの先ほどの答弁では、影響するところは大きいから……、一体影響するところが大きいというのはどういうことなんですか、影響するところが大きかったら、これはいつまでも放っておかなければならないのか。この問題が起きたのは今年初めて起きたのではなしに、あなたの方にはもう相当前から関係者として陳情しておると思うのですが、これを今まで何も調査されずに放っておいたのですか。これは今までは影響するところが大きいからといってずっと漫然と机の上にすわっておるという考え方ですか。もしわれわれが言わなかったら、今後どういうことをやろうとしておったのか、それをはっきりして下さい。
○説明員(淺村廉君) 先ほど私が申しました言葉が非常に足りませんで、おしかりを受けましたのですが、私が申しましたのは、公共事業は一応補償しないのが建前だというような意味で申し上げたのではございませんで、実際に損害が発生いたしますれば、当然われわれは補償ということはいたさなければならんということを申したつもりでございます。このコンクリート工事の石をあの近傍の山からどうしてもとらなければならんような設計になっておりまして、従って砕石場を設けまして砕石をいたします結果、その洗った濁り水が出るというような関係でございますので、当然これらについてはその被害が、影響が最小限度にとどまるように絶えず注意はいたしております。遺憾ながら現在さような事態が発生しておるということでありますが、私どもといたしましては、もちろん工事のために御迷惑をかけるようなことがあってはなりませんので、常に現場においてできるだけ注意をいたすように指導いたしております。 この補償問題につきましては、あとで水がきれいになったからもう関心が薄くなるといったような性質のものでは決してないと考えております。先ほども申し上げましたように、極力早く結論を出すように、ただいま私どもといたしましては地方建設局のこの担当の局が中心になりまして、用地の補償を扱っております面が推進力になっておりまして、調査をいたしておるのでありまして、至急にこの結論を出すべく努力をいたしております。もちろんあまりあとになって結論がなお出ないというようなことがあっては困りますので、全力をあげて調査をいたしておるのであります。公平な正しい補償をいたしたいという気持でやっておる次第であります。
○秋山俊一郎君 くどいようでありますが、今の言葉に、全力をあげて調査をされておるというお話でありますけれども、果してどういう調査をされておるのか。これはなるほど損害の程度については目に見えてどうこうという状態でないので、実情を調査することは現地についてそれぞれ調べをしなければならんと思うのであります。まあ言葉のあやで、全力を尽してやっておられるということのようでありますけれども、私はたかだか川の漁業の問題でありますし、金額にいたしましても、全部の損害を合せまして、組合から出ております数字を集積いたしましても一億何がしのものであります。これらのものがこの流域においてそれぞれの機関を経、あるいはあなた方の方の職員によって調べをされるならば、そうむずかしいことはないが、しかしこういう問題は何円何十銭までというようなこまかいことがわかるのではありません。大体のところで話をつけて調べをつけなければ、そうこまかにそろばんをはじいてきっちり出そうといったら、これは何年たっても出ないと思います。そこで私が先ほどから申しますように早くしませんと、この水が濁らなくなってからはどっちも関心が薄くなってくる、ただあとにかすだけが残って、一向らちが明かないことが往々あるのであります。 そこで私は現在の水が濁っている場合において、どの程度の被害を与えておるかということをつかまなければ、そうしてそれをその期間に乗じていけば大体出る。これは損害があることはもう私どもは必ずあると思います。決して当事者がいいかげんなことを言っているものとは思いません。技術的に見ましても、かような状態に置かれれば必ず魚は繁殖はしないし、あるいは発育が悪くなる、あるいはそこに上ってくる魚が上らないというものでありますので、早急にこれを調査をして、基礎数字でも出しておきませんことには、濁る水がなくなりますというと、それこそどうにもならないだろうと私は思っておる。そこで私は早くその調査についての基礎数字でもお出しになって、そうしてその度合いによって損害をはかられた方がいいのじゃないか、こう考えるのであります。その点はどういうふうにお考えですか。まあ調査が済むまでいつまでも、水が濁ろうと濁るまいとだんだんにやっていくというおつもりでありますか。私が今申し上げましたようにこの工事の、工事と申しますか、砕石をしている間に結論が出るように調査を進めるつもりであるか、その点をお伺いいたします。
○説明員(淺村廉君) ごもっともでありまして、私どもといたしましてもすみやかに調査を完了して結論を出したいという気持は、全くおっしゃいます通りでございます。ただ非常に問題がむずかしい問題でありまするが、私どもといたしましては、能力がないと言われればいたし方ございませんけれども、地方建設局に補償関係の問題を扱います機構がございまして、それがこの出先の機構を督励いたしまして、この本格的な調査を私どものやり方でやっておるのでありまして、この結論をすみやかに出すようにあげて努力をいたしております。 私どもの希望といたしましては、工事が済む前に、当然工事が済む前に結論を出して、正当な補償問題の解決を行いたいと考えております。
○秋山俊一郎君 もちろんあなた方の方でも補償関係のそれぞれエキスパートもおられるでありましょうが、この水産問題については果してどういう専門家がおられるか、私存じませんが、この調査につきまして水産庁に協力を求めるという御意思はありませんか。
○説明員(淺村廉君) 私が今承知いたしております範囲では、水産庁の方にまだ御意見を伺う段階にはいっておりません。しかし事柄によりましては、もちろん御意見を伺う必要があろうかと思います。ただいまは私どもの調査機構を用いましてこの調査をいたしておるのであります。
○秋山俊一郎君 それだから私はなかなか調査が進まないと思います。やはり専門の官庁もあることでありますから、そういう問題はいち早く水産庁と協力をして、相談をして、そして水産庁の技術的調査を待つということが、私は成功を得る道じゃないかと思う。しろうとばかりが寄ってたかってわいわい言うておったって解決はつかぬと思う。そこでこの間私は陳情のありました際に、私は水産庁の調査部長に話したのであります。さっそく調査をしようということでありましたけれども、今日電話をかけて聞いてみますというと、県の方の面目もあるだろうからということで、水産庁は活動しておりません。これは建設省あるいは建設当局が一つこの損害調査について協力してくれといえば、水産庁はおそらく協力せぬとは言わぬと思う。水産庁長官いかがでございますか、その点。
○説明員(前谷重夫君) この問題につきましては、具体的な調査は群馬県当局をしていたさせております。事前にわれわれとしましては群馬県当局の係官、担当の者を呼びまして、調査の方式その他につきまして打ち合せまして、十分県当局と調査その他について打ち合せの上、実際の調査は現地でいたしておりますが、十分指導して手をつけておるわけであります。そこで、ただいまのお話にもございましたように、われわれとしては建設省の御調査をいたしていただくと同時に、われわれとしても県当局と協力いたしまして調査をして、その結果につきまして建設当局と協議いたしたい、かように考えております。
○秋山俊一郎君 それでは何度申しましても同じでありますが どうか至急にあらゆる道を講じまして、水産庁なりあるいは県当局、その他協同組合との連絡のもとに、至急にこの損害の調査をされまして、そうして適当な妥当な補償をするように、建設省としては一そうの努力をお願いしたいと思います。
○飯島連次郎君 私は重ねて質問する意図はございませんが、先ほどの御答弁を聞いておって、これは建設省が独自の調査をすみやかに全力をあげておやりになるということですから、それで答弁としては尽きておると思いますが、しかし、この問題が起って今日まで一体幾日になっておりますか。調査に着手しておるというなら、中間の報告でもできるべきものじゃないか。なお地方建設局に命じて云々ということでありますから、せっかくおやりになっておるなら、関東地方建設局長もここにお見えですから、あなたにお答えができないところを関東地建の方からお答え願いたい。 なお、この問題は秋山委員から再々おっしゃっておられるように、この被害を大きく分けると、ダム建設に伴う被害、汚濁水の流出に伴う被害、こういうふうに二つに大きく分けて提出されておるわけであります。汚濁水の流出に伴う被害というのは、日を経るに従って、その調査をしても判定の基礎が薄弱になってくることは、これは常識の示すところでありますから、これは一日を争ってやって、早く結論を出していただかないと、これは水掛論になってしまうことは、これは自明の理だと思います。それがやはり急がしておる理由なんであります。だから着手しておるなら、汚濁水に伴う被害というのは、少くとも先に調査を遂げておいでになることと思いますので、それの中間的なことでも地建の方でおわかりになっておるなら、せっかくお見えのようですから聞かしてもらいたい。いつまでに一体終るか、その二点をここではっきりしていただきたい。
○説明員(金子柾君) ただいままで河川局の次長からお話しを申し上げておりましたが、私から多少補足をいたしまして、なお今御質問もありましたのでお答え申し上げたいと思います。 私どもの方で実際に仕事を始めましたのは、砕石を作りまして、そうしてダムの工事にかかりましたのが昨年の暮で、その当時から仕事を始めておりました。最初私どもの考えましたのは、砕石を洗いましたあとに流れる砕石の粉末でありますが、これを含んだ水でございますが、この量は非常に少いわけで、最初それに対してはあまり関心を持っておらなかったわけでございます。その後になりまして漁業組合の方から、漁獲高が減るからというお話がございまして、調査に入りましたのがことしの夏になってからでございます。実際に私どもの方へ陳情書が出て参りましたのが七月の末ころだったかと思いますが、私どもの方でも、それでは調査をしようということで、漁業組合の方へもいろいろ御連絡をとりまして、実際の調査にかかったわけでございます。しかし、まだ現地の方から詳しく報告は受けておりませんから、実際の調査をどういう程度の、またどういう方法で調査をしておるかということは、ただいまお話し申し上げられないのは残念でございますが、そういう事情でございますので、お許しを願いたいと思います。 なお、今後早く補償問題を片づけろ、こういうお話でございます。これは私どもといたしましても、このダムの工事は来年には大体竣工いたしますので、全力をあげてその調査をいたしまして、漁業組合の方とも十分御連絡をとりまして、調査を早く進めて、補償の問題を解決したいと思っております。その点よろしくお願い申し上げたいと思います。
○飯島連次郎君 建設局長のお話はちょっと現地の話と食い違っておる。少くともわれわれに提出されておる陳情書では、漁業組合の人たちがことしの三月以来現地に十数度出張して、別紙添付の補償要請書を建設大臣あて提出しておる、こういうことですから、少くとも出先の人たちはこの問題について、もうことしの七月とか六月とかいうことでなしに、この春からこの問題についてはもうそれぞれの折衝があったことは事実なんです。ですから、こういう点について現地の人たちが非常にあせっておるのは、どうもじんぜんとして回答がない、一体これじゃどうなるのだ、川の流れも、工事も来年には済んでしまう、こういうことも承知しておられるわけなんですから、これらの点を明らかにして、誠意を実行に移していただかぬと始まらぬ。口先だけで全力をあげるとか、すみやかにと言ってみても、実行がこれに伴わなければこれは何らの誠意も認められないということですから、ここを明らかにしていただくことが、本日の委員会に取り上げられたポイントだと思います。
○説明員(金子柾君) 多少私の説明が不十分でございましたので、ただいまのようなお話が出ましたのはおわび申し上げます。実はお話の通りに、現地の方へはそういう組合の方から早くからお話があったようでございます。それに対して現場の方では、何とかしてこの濁りをとめたいということで、濁りをとめる方法をいろいろやっておった事実がございます。それでその方法はと申しますというと、出てくる濁った水を濾過をして、沈澱をして、そして上水を流せば、そうすれば実際問題として漁業に迷惑をかけないような程度になるのではないかというようなことで、濾過の装置をいろいろやって、実験をしておったようであります。その結果、やってみますと、ある程度濁りはとれますが、やはりあそこの土質が非常に赤い土質、流れるものがどうしても微粉が取れないために、やはり十分な効果が上らんと、そういうことで今まできておりました。実際の補償の調査を始めましたのは春からではございません、その後でございます。
○千田正君 建設当局に一応聞いておかなくちゃならないことでありますが、これは今度の藤原ダムばかりでなく、ダム、その他の建設省管轄の工事におけるこうした補償問題、そういうものを当初から計画の中に織り込んで一体建設計画をやっているのかどうか、いつでもこういう問題が工事の途中から起きてくる、せっかくあなた方としては建設計画を完遂しようとしても、住民の納得のいかない工事の進捗状況によって、それがネックになって、十分な完成の方向に行っていない、こういう点が過去において多々見受けられるのであります。現実にやっておるダム建設の中にすでにそういう問題が起りつつある、この現況に対しまして、あなた方が将来この建設計画をやるときに、そういう補償問題ということをはっきり真剣になって、その基準を考えてやっておるのかどうか、その点はどうですか。
○説明員(淺村廉君) 仰せの通り、この補償問題につきましては、私ども一番苦心をいたしておる問題でございます。そのような工事を起します場合に、当然起るべき補償の問題の処理を進めて、工事の進捗に支障をきたさないと同時に、一般の方々に御迷惑をかけないということをやっていかなければならないのでありますが、とかくこの補償問題が起りがちになりまして御迷惑をかけておることは、私ども率直にこれを認めなきゃならんと思っております。この問題の解決につきましでは、私どももどういうふうに持っていったらいいかということを常に反省もし、研究もいたしております。私どもにはいろいろまあ関係の法規もございますし、法規の運用ばかりじゃなく、実施の措置に関しましても、どのように持っていったらば円滑に参るかということは、常に省内におきましても検討いたしておりますが、なかなかこの問題がむずかしいために、快刀乱麻を断つような名案がなかなか浮んで参らないのであります。しかしこの補償問題が非常にかような事業を進める場合のキー・ポイントになる問題でもございますし、御迷惑をかけないように当然考えなければならん問題でもありますので、全般的に私どもといたしましては、常にこれをすみやかに処理するように努力を続けております。なお今後とも一そう努力をいたして参るつもりでおります。
○千田正君 先ほど同僚秋山委員からお話しがありましたが、そういう問題が起きてから、しからば技術的に水産庁その他とあるいは協議することもあるだろうというような程度の考え方でなく、最初からそういう問題が起るであろう、調査を十分にやって、そうして水産行政を担当しているところの水産庁なら水産庁の協力を得て、漁民なら漁民の納得するように、あるいは農地の問題であったらば農林当局と十分に協議を遂げて、そうして農民を納得させるようにして、あなた方の建設工事を完遂すべきが当然だと思う。ややもすればセクショナリズムによって、背後においてもたもたやってけんかばかりやっておる。これは現在の行政機構の上から見ると実に残念だ。しかも補償問題にはわれわれはたびたびタッチするのですが、そのときになっていやもうできてしまったから泣き寝入りだ、がまんしろ、これくらいのお見舞金で引っ込めと、こういうようなことが往々にしてある。そういうことではせっかくあなた方が日本の総合計画なり何なりというものの建設の途上において、そういう問題を起すということは、私どもとしてはまことに残念である。それで計画をなされる前に十分にそういう関係のある官庁同士が相談して、そういう問題の起らないような方法を今後考えるということはお考えになっておられませんのですか。それは今後ともそういう問題は起きると思います。これから起きるであろうと予想されるような問題については関係官庁と十分に協力して、その問題を解決しつつ進んでいってもらいたい。この点政府はどういうふうに考えておりますか。
○説明員(淺村廉君) ごもっともでございまして、私どもも決して自分の力だけでこれを簡単に割り切って、各省と全然相談をしないで結論を出すというような狭い量見は持っておりません。普通の場合は、県当局がいろいろ不満を持っておりまして、国の各省ともそれぞれつながっておりまして、県知事がいろいろな意見をまとめまして出して参りますのを私どもは大いに参考にしてやっておるような場合が多いのでございますが、それのみならず、国の他の行政機関と打ち合せをすべきものは当然これは打ち合せてやらなければならんと思っております。事柄によっていろいろ具体的な場合は分れると思いますけれども、御趣旨の点は、全然私の方には異存はございませんので、今後ともさような方針でやって参りたいと考えております。
○飯島連次郎君 それでは河川局次長に最後に伺いたいのですが、出先の地建の方のお話はわかったのですが、この問題は非常にむずかしいと思う。私もやさしい問題とは思わない。しかしこれは前例といいますか、いろいろな経験を建設省はお持ちになっておると思う、他の河川についての……。だからこれは誠意と努力があれば、そんなに長い時間を必要としないだろうということは、われわれ常識の判断するところなんですが、他の河川にこういう幾多の経験と事例をお持ちになっておるということはないのですか。
○説明員(淺村廉君) 工作物設置のために漁場が変更になりまして、従って漁業権の本体に非常に影響を来たしたという場合の漁業権補償の問題、つまりこのケースで申しますれば、ダム建設に伴う直接の漁業権の侵害というような問題は、もちろん私どもしばしば経験をさせられておるのでありますが、これも一つの、ただいま問題になっております砕石の水を流したために下流の漁獲高が減ってきたといったような性格の問題は、実は私どもは今まであまり扱った例がないのであります。それで私どもといたしましては、率直に申し上げて恐縮でございますが、非常に苦心をいたしておりまして、すみやかに公平なる結論を出したいということでもってただいませっかく努力をいたしておるのであります。
○飯島連次郎君 それでは大体の見通しとしてはいつごろまでには調査というものができそうですか。
○説明員(淺村廉君) 実はいつごろまでにというはっきりした時限を切ってお約束できないのをはなはだ残念に思うわけでございます。むろん建設省といたしましては、一刻も早く結論を出したいということで努力をいたしております。この点御了承を願いたいと思います。
○委員長(江田三郎君) よろしいですか……。 それではこの問題につきましては一つ建設省の方も関係方面と連絡をとって、急速にやっていただくようにお願いいたします。 なお、これにちょっとつけ加えておきますが、先ほど関東地方建設局長の答弁を聞いておりましても、現地の工事をやっておる所では三月ごろからやかましく言っておっても、それが地建へ出てくるのは夏にならぬと問題が出てこぬと、こういうことでしてね。やはり何と言ってもあなた方の方で漁業問題とか、それから農民の問題なんというのはあまり重要視をしておられぬということだけは間違いがないのでして、これは今までも、たとえばダムを作る場合の水温低下の問題がありましたが、あれなんかも二、三年前まではほとんど問題にされなかった。われわれが言っても相手にしなかった。今ではそうじゃございませんが……。もっと公共事業をやっているのだからという誇りを持つ以上は、ほんとうに、妙な私設会社のようなでたらめをしないで、誇りを持って、どこまでも最後まで誇りを持てるように、補償問題についてもきっぱりやっていただくことを初めからちゃんと気をつけてやっていただきたいと思います。
○清澤俊英君 ちょっとつけ加えて一つ。 水産長官ね、ことしこういう現象はないのですか。非常に水が減りましたために、寡小な汚濁水というものが今般起っておるような漁業問題について障害をきたしておる、そこで紛争を起しておることはないのですか。そういうことはお聞きになりませんか。まあわしらのところでも二、三カ所あります。あなたのところまで持って出ないで……。だから建設省の方で言われるように、この分はわずかの汚濁水があった、こう思われるのが、今年のような渇水時において思わざる障害を下流に与えているのです、事実においては。その点を十分参考にしていただきたいと思うのです。あなたの方でそういうのはあまり例はありませんか。
○説明員(前谷重夫君) まあ河川の水量の問題で、河川の漁獲がどう変化するか、これはまあ非常にむずかしい問題でございますが、今のところについては、漁獲の状況を見ますと、所によって多少違っておりますが、本年特に漁獲量が減少したというふうな傾向にはございません。ただいろいろ具体的にはこの問題その他は、汚濁水の問題で影響があるというふうなことも耳にいたすわけでございますが、具体的な問題として、特にこういうふうに漁獲が減少したとか、あるいは水量が減ったために、その水質汚濁の原因、状況が濃厚に現われたということはまだはっきりいたしておりません。漁獲減退の点につきましては、そう減ってはおらないと思います。
○清澤俊英君 いや、ちょっと違っているところがあるのです。これは現に昭電の鹿の瀬のダムです。今までの平年時のずっと例でいきますれば、同じものが流れておりますから差しつかえないのですよ。今年問題を起しています。そういう場合に、建設省ではこの汚濁水は、これくらいのものならば大丈夫だという見さかいをつけておっても、こういう平水以上に減った場合には、それが思わざる障害を起しているかもしれないと、こういうことを言うのですよ。現にあるのです。わしらのところに二カ所もそういう問題が起ってきている。ですからそう大きい問題ではない。ですからあなたのところには入ってこない。そういうことから考えれば、今年あたりは思わざる障害を下流に与えているのじゃないかと私は考える。だからあなた方に、ただこういうふうに減ったのだから、これである程度済んだという前提でものを処理してもらったら大きな間違いだ、こういうことを私は申し上げるのです。 —————————————
○委員長(江田三郎君) それでは次に漁船の耐用年数に関する件を議題にいたします。 固定資産の耐用年数等に関する省令の附則第五項によって、漁船の耐用年数につきましては特例が設けられていたのでありますが、それが本年三月末日を以て廃止になっております。漁船の耐用年数の決定いかんは水産業に及ぼす影響が大きく、この特例の廃止後における政府の措置について秋山委員から発言を求められておりますので、御発言を願います。
○秋山俊一郎君 ただいま委員長から簡単に御説明がありましたように、漁船の固定資産、すなわち漁業用に供するところの船舶の耐用年数につきまして、昭和二十六年の省令によって、鋼船十五年のものが十二年に、また木船の九年が六年に短縮されている。従ってこれに対する償却も三年間、短い間に償却するということになっておったのです。御承知のように漁業は非常に豊凶が定まらない産業でありますとともに、一面また終戦後の造船というものは、非常に粗悪な材料をもって建造されたというようなことから、四、五年たつうちにこれを改良しなければもてないような結果になって参りました。そういうことからいたしまして、二十六年の省令によりまして、この耐用年数を縮める規則が制定されて、それによってやって参りましたが、本年の三月、法人においては本年三月、個人としては昨年末ということでこの三年間の期間が切れてしまったのであります。従いまして本年からは今まで六年だったものが九年に償却する、十二年のものは十五年の間に償却するということになりまして、それがために税の負担が非常に大きくなってきたのであります。で今日漁業が相当沖合いに向って進展してくる、沿岸が非常に行き詰って沿岸から沖合へ、沖合いから遠洋へという政策のもとに、船は漸次大型化せられてきております。これらに対するこの固定資産に対する税金の負担はかなり大きいものがあるのでありますが、これが本年からこの特例と申しますか、そういったものがなくなったために、業者は非常に苦しんでおりまして、資本蓄積どころではないのであります。ことに二十六年にできたものは七、八、九と三年間この恩典に浴したのでありますけれども、二十七、二十八年にできた船は一年あるいは二年しか恩典に浴していなかったというようなことでございます。業者としては一年ほど前からぜひこれが延長をお願いしたいということで当局にもおすがりをしておったのでありますが、ついにそれっ切りになりましてそのままになっておるのであります。これに対して水産庁といたしましても御尽力はいただいておるということでありますが、水産庁としてはどういうふうないきさつになっておりますか。またこれに対しまして大蔵当局はいかようなお考えを持っておられますか。この漁業の実態から見まして、これをさらに三年なら三年延長といいましても、もう切れてしまっておりますから、漁船だけに適用するような措置を講じていただけるか。元来この一般船舶と一緒にこの問題は扱われておりましたが、一般船舶といたしましては、海運界の不況等によりまして、ほとんどこの恩典を利用することは今日までなかったわけです。ひとり漁業者のみが非常にこれによって助かってきたわけでありますから、かような意味におきまして、さらにこれはもう三年くらい延長していただいて、延長と申しますか、延長の形をとっていただいて、漁業者の要望にこたえていただくような御意見がないのかどうか、その点を一つお伺いしたいのであります。
○説明員(前谷重夫君) ただいま秋山委員のお話のような、二十七年から今年の三月三十一日まで、本来の耐用年数が、鋼船につきましては十五年が十二年、木船につきましては九年が六年ということで臨時の措置が本年三月までとられておったわけであります。この問題につきましては、お話しのように一般船舶と漁船と同一の形でとっておったわけでありまするが、その後の利用状況が、海運界の不況のために少いというような事情のもとに、いろいろ折衝いたしましたが、意見の一致を見ず、その期間が切れたわけでございます。それに対しまして、水産庁といたしましてもいろいろ検討いたしまして、この臨時的な年限を限った方向でいくよりも、大体別に租税特別措置法によりまして、三百トン以上のものにつきましては五割の特別償却が認められております。従ってそれで同じ効果をあげ得るのじゃなかろうか。また臨時立法よりも、この法律は当分の間となっておりまして、はっきり期間も明記いたしておりませんので、そういう方法によって持っていくことが妥当であろう、かように考えまして、大蔵当局ともいろいろ折衝いたしておるわけでございます。この考え方につきましては、大蔵当局も、現在この措置が三百トン以上の船舶に適用されておりまするが、三百トン以上の船舶ということになりますと漁船にはほとんど適用がないということになります。その事情を御了解いただきまして、漁船にも適用する方向で一つ研究をする、これを下げて漁船にも適用できるような方向で検討するというようなことで、今具体的にわれわれといたしましては業界とも連絡をとって、いろいろ検討いたしておりまするし、大蔵当局といたしましても、その考え方のもとにいろいろ他との関係もございますので、御検討願っておるということで、大体大きな考え方といたしましてこれでいこうじゃないかということは、両省の間に意見が一致しておるというふうに私は考えております。ただその具体的措置につきまして、どの程度に適用するかという技術的な面がございますので、私といたしましては、この水産におきましては、特別税につきましてのいろいろ委員会がございますから、そちらの方と連絡をとって、水産庁としての具体的な案を作る。また大蔵当局におきましては、他の観点からして別個の考えもあろうかと思いますから、具体的な案をお考え願って、両者で持ち寄りまして具体的意思をどうするか、こういう形で進めていきたいと思います。
○説明員(市丸吉左衞門君) 水産庁長官からお話しがありましたように、私の方といたしましても、水産庁からは実は二十トンぐらい以上の船舶についてそういう特別償却の制度を認めていただきたいという要望がございますが、まあ大体におきましてそういうところでいいのじゃないかというふうにも考えておりますけれども、ほかとのバランスもございますので、今慎重に検討いたしておるところでございます。
○秋山俊一郎君 水産、大蔵両当局より非常に同情のあるお答えをいただきまして、私非常に喜んでおるわけであります。よく事情は、もう私が申し上げるまでもなくおわかりのようでありますから、どうか一つそういう線でできるだけ下げていけば、漁業者は非常に助かるわけでありますので、さような措置が確立されるならば大へん助かるようになると思いますので、私は深く申し上げません。どうかそういう線でぜひ進めて早く打ち出していただきたい、かようなことをお願いいたしまして質問を終ります。 —————————————
○委員長(江田三郎君) それでは次に、林野庁の定員外職員の退職金制度に関する件を議題といたします。 林野庁定員外職員の退職金制度についてはかねて当局と労組との団交によって決定したところによって運営されておりましたが、過般大蔵省からその改正が申し入れられ、自来林野庁と大蔵省との交渉がととのわないため、去る四月一日以降支払いが留保のまま今日に至り、関係者からこれがすみやかな解決が要望されておりますので、この問題の経過及び今後の見通しについて林野庁長官の説明を聞き、善処を求めることにいたしたいと思います。 まず林野庁長官の説明を求めます。
○説明員(柴田榮君) この問題に対しましては御指摘の通り、ただいま従来実行いたして参りましたことに対しまして、新らしい法律との関係からいたしまして、大蔵省から多少議論が出ておりまして、実情を説明いたしまして了解を得るような努力をいたしておる次第でございます。 問題点となっておりまするところは、従来林野の仕事におきましては、相当継続して労務につきまする職員が各現場に相当数あるわけでございますが、この林野の事業の実態からいたしまして、非常に場所的に事業の量が変化して参りまするのと、農業その他の、他の産業との労務配分等の関係からいたしまして完全な専業ということにならない。しかしながら、かなり事業の続きます限り継続して就業していただくというような特性、あるいは仕事の性質からいたしまして、能率給、すなわち出来高払い等の制度によりまして行う仕事が相当多いという関係からいたしまして、かなり長期に拘束的な仕事はいたしておりましても、完全な常勤職員とは多少性格の異なる形において就業していただく人たちが相当多いのであります。これはまことに林業、林野の事業の特性であるというふうに考えまして、従来ともこれらの職員に対しましては、休暇の取り扱いを実態に合せて実行いたして参ったのでありますが、一般の他の産業と比較いたしまするとやや特異な形でありますために、非常に特例的になりまして、大蔵省といたしましても、これを全面的に了解をいただきまして決定するというところに至っておらなかったのがまあ主たる問題点であろうと思うのであります。しかしその実情を御了解いただきまして、法律規則改正前におきましてはいわゆる黙認をしていただいておった、こういう次第でございます。私どもはこれに対しましては、実態的に妥当であるという考え方のもとに進めて参ったのでございますが、先に就業規則を制定いたしまする際にもこの問題を明確にいたしまして、大蔵省の承認を得たいということで協議を進めて参ったのでございまするが、ついに明確な御承認をいただけないままに時期が経過いたしまして、一応就業規則を決定いたして現在実行いたしておる。これによりまして従来通りの休暇の取り扱いをいたしておるのでございますが、ここに一面におきましては人事院規則によりまして、従来の非常勤職員の休暇の取り扱いが明確に相なりまして、これと合せまして退職手当法の適用等に関しまして大蔵省といたされましては、これらの法規を適用するに当りまして、全般を通じて統一的に進めて参りたいというお考えは、私どももよくわかるのでございまするが、私どももこの線に沿って当然考えるといたしましても、先刻申し上げましたように非常に特殊な実態にありまするものは、これに相応するような取扱いをいたさなければならないという観点から、ぜひともこの実態を御了解を願いたいということで、今もなお大蔵御当局と折衝を続けておるという段階でございまして、まあその点に関しましてまだ完全な了解点には達していない。従って中間的な措置をとっておるというのが実情でございます。
○湯山勇君 今長官から御説明のあった点につきましてお尋ねいたしたいと思います。それば聞きますところによりますと、四月以来の退職金がまだ払われていないということでございますが、事実でございましょうか。
○説明員(柴田榮君) 全然払われていないというわけではございませんが、ひとまず大蔵省の見解に基いて支払えるものは支払っておる、疑義のあるものに関しては折衝を続けておる、こういう状況でございます。
○湯山勇君 それで今の御説明についてさらに幾つか疑問の点がありますので、大蔵省の見解によりますと、人事院規則を適用したいという話だそうでございますけれども、御承知の通り林野庁の職員につきましては公労法の適用であって、人事院規則はすでに昭和二十七年末以降適用されていないはずでございますから、林野庁の公労洪適用の職員は人事院規則の拘束は受けないはずでございます。そこで今の大蔵省の説明は当を得ていないと思うのでございますが、この点はいかがでございましょうか。
○説明員(柴田榮君) お説の通り、私どもの関係の職員は公企労法の適用職員でございまして、一般公務員法の適用外でございまするので、人事院規則の適用は受けておりません。従いまして大蔵省の御見解によりますると、一般公務員について非常勤職員がこういう取扱いをすることに決定したからそれに準じてという御意見が非常に強いわけでございまするが、まあそれに従わなければならぬというふうには私ども考えておりません。ただ就業規則を適用いたしまする場合に、やはりその後の給与その他の関係からいたしまして、大蔵省の完全な了解を得るということは、今後運営上ぜひとも必要なことである。ただ先刻申し上げました通り、非常に複雑な内容を持っておりますることを具体的に説明を申し上げまして御了解を得るという問題がまだ残っておりまするので、それによりましてぜひとも私どもは従来行なって参りましたことは妥当な取扱いであるというふうに考えておりまするので、了解をいただく最大の努力をいたすという段階にあることは御了承願いたいと思います。
○湯山勇君 長官の大体のお心がまえはよくわかりましたけれども、しかしながらこの臨時職員つまり定員外の職員を一律に扱おうという大蔵省の考え方には大きな誤謬があると思います。と申しますのは、そういうことをしないためにわざわざ公労法の適用を受けておるのでございますから、他の一般公務員と統一的に取り扱うということは逆に不合理であるということが言えますのと、それから就業規則にいたしましても、あるいは身分、労働条件、こういうものは明らかにこれは労働協約、団体交渉によって結ばれるべき性質のものでございまして、これも先ほど長官おっしゃいましたように、すでに決定している。そうなりますと、大蔵省の申しているのは単に希望的な意見であって、こうしてもらいたいという希望であって、これを実施するしないは、長官の決意いかんにかかっていると思うのでございます。そこで最終的には、私はあえて摩擦を好むものではありませんから、あくまでも大蔵省との折衝には努力を願うことは決して異議を差しはさむものではありませんけれども、もしそれが不成立の場合には、長官の判断をもって、ただいまの御答弁のように、当然法的にもやれる立場にあるのですから、実施して下さるものと思いますが、その点明確に一つ御言明いただきたいと思います。
○説明員(柴田榮君) 従来、先ほども申し上げました通り、私どものとって参りました措置、従いましてそれを入れまして、ただいま決定を見ておりまする就業規則の適用に関しましては、あくまでも実態に即しまして、正しいと確信いたしておりますので、ぜひとも大蔵省の御了解を得るように最大の努力をいたすつもりでおります。 ただここで、公労法の完全な適用実施に関しましては、当然私どもが責任があるわけでございます。これに関連いたしまして、退職手当の暫定措置法の適用に関しましては、やはり大蔵省の所管でございまして、ここに規制を受けるということは免れないのでございまするから、あくまでも了解を得て、これらをスムーズに行うということのために最大の努力をいたさなければならぬ、こういうふうに考えております。
○湯山勇君 ただいまおっしゃいました退職金の特例法の適用につきましてはおっしゃる通りだと思います。ただ就労日数の計算が、どれを就労日数とするか、一般職員が有給休暇にされているものを就労日数に見るか見ないかというような問題につきましては、一応大蔵省の言う原則は原則で認めても、長官の裁量によってこれをしんしゃくする余地はあると思います。その辺を十分お考え下さったならば、私はまだ今おっしゃったよりももっと前進した余地があると思うのですが、そういう点も御了解いただけるでしょうか。
○説明員(柴田榮君) 私といたしましては、繰り返して申し上げまする通り、従来とって参っておりますることが、少くも最小限度妥当であるというふうに考えておりますので、御了解いただきたいと思います。
○三浦辰雄君 それに関連しましてさらに一言だほお聞きしたいのですが、今長官の公労法によって運用されている林野における職員に対する心がまえははっきりしたのです。しかしまあなるべく大蔵省を理解させて、これで現にとっていたあなたの言う、いわゆる最小限度の当然な就業規則できまっている線は堅持したいという気持、それもけっこうなんですが、ぜひ私どもそういうふうにやってもらいたい。まあそれについては、おそらくああいった作業の実態というものに対して大蔵省の諸君というものの認識というものがまだ不足であるということから出てきているのだろうと思うので、この点をさらに一そう御努力を願って、近い間に今確信をもってお述べになられたような線が実現してもらいたいということをお願いするのでありますが、しかし四月一日以来もらうべきものがもらえないということを、その全体の問題が了解いくまでそのままほうっておくということも、これまたなかなか当事者にとっては大へんな問題なんですね。じゃしからばどうするかという問題になりますると、私はそれだけ言われるような確信があり、現に公労法を適用されて、厳然たる就業規則によってやっているんだから、まだこれから出そうという、この政令第八条に基く大蔵省令というものが出ていないのだから、当然今までの取扱いによって出していいんじゃないか。一体大蔵政令というものがかりに出てくる場合、遡及して出すのか、おそらくそんなことはないのだろうと思うのですが、いろいろ交渉されているようですが、その辺はどうなんですか。
○説明員(柴田榮君) その問題を留保しておるということでございまして、出さないつもりで押えているわけではないわけであります。当事者にとってみますると、大へんおくれていることはまことに申しわけない次第でございますが、大蔵当局との折衝の円滑化を期するためにも、この際その分は勝手にやっちゃったということでは折衝が必ずしもスムーズにいかない原因になるということをおもんぱかって実はされている次第でございますが、あまり長くなるようならば相当の決意もいたさなければならないかと存じますが、今しばらおく折衝過程におまかせをいただけないかという次第でございます。
○三浦辰雄君 そういう時期の問題、大蔵省との折衝のからみ合いにおいて留保されているという気持は私はわからないでもないのですが、時期をいつまでも便々としているというのも、相手がいわば労務者のことでございますから、ぜひその点は十分にお考え願いたい。ところでいろいろな交渉には相当広範にまでわたって交渉しているのだろうと思う。だいぶ就業規則で定められておられる線と違った、非常に人事院規則関係の一般公務員と同じような線にまで追い込んだ、しぼった形において公企労法を適用されている林野の職員に適用していきたいというところに一番問題があるのですが、いろいろ苦心をされて折衝されている点はわかるのですけれども、これをいろいろ考えてみますと、結局はこの政令に基いて大蔵省令が出る、これからも努力を願うわけでありますから、出るときに、残念ながら今までの就業規則をそのままに認められた取扱いというものが、かりに不幸にして、皆さんの非常な努力にかかわらずできなくてあっても、政令が出れば、大蔵省令が出るまでの間というものは、私は当然従来の就業規則に基く計算の方法において出す義務があると思うのですが、その点はどうなりますか。
○説明員(柴田榮君) その点に関しましては、現在において実施してしまうということを、当初から従来通りの適用によってやるということを進めるという手もあったわけでございまして、従って私どもの責任としまして、もし今後においてさようなはっきりとした、しかしながら暫定的な決定が出るといたしましても、これまでの経過に関しましては相当責任をもって処理いたさなければならないと、かように考えております。しかし全般を通じまして、ぜひとも私どもの主張を了解していただきたいということを大前提として進めて、しかも従来経過いたして参っておりますものにつきましては責任を負いたいというふうに考えております。
○三浦辰雄君 大蔵省関係は来ておられないのですか。
○委員長(江田三郎君) 今日は大蔵省呼んでおりません。まずこの問題については、われわれとして、まだ大蔵省のことまで触れるのはどうかと思いまして、本日は林野庁の方の心がまえだけを聞かしてもらおう、こういうことでございます。
○三浦辰雄君 今心がまえとしては、非常に多年労務者と起居を共にされた、風雨の中でお仕事をされてきた長官も、心から労務者諸君の事情を了解されて、その実現に万全を期すということで、林政部長もこの点非常に大蔵当局と譲らないで交渉をしているということを聞いて、私も陰ながら公労法に基く林野の現業諸君のために、私は敬意と尊敬を深くしておるわけですが、願わくば、おそらく大蔵省といえば何となく予算というようなものがからみ、どこかのところで妙にかたきをとられちゃ困るというような遠慮も場合によっては起きるのです。うっかりとした線で妥協をされるということは厳に慎しんでもらわなければいけないと思います。国有林野の体系自身の内容についても、北海道の風害木等の機会に、なかなか思うようにそういうものは期待されないということは知っておりますが、しかし今まで団体交渉によって、就業規則によってやってきたその実情から見て、どうもわからないものに巻かれてしまうという形だけはぜひ、われわれも及ばずながら現状の認識については、機会があれば大蔵省方面にも説明して、何がゆえに一体公労法というものが適用にならないか、しかもその五現業の中でこういつた複雑な団体協約をやっておるところはあなたの方だけなんです。ほかの方はない。不幸にして、もしあればもっと林野の方もやりいいと思うのですが、お気の毒な形であることは私どもよくわかりますが、一体公労法における現業、林野というものの実情に沿わない形においてやったのなら、将来あの広い山野で、しかもわれわれ監督の行き届かないあの野原で危険な作業に携わっておる従業員の心からなる熱意を失ってしまう。一面においては出さなくても済むというような気持において、言葉をかえて言えば、もうけたような気持がかりにあったとしても、それは結果においては大損なのであって、そろばんからいっても大損、私は一体機構の上からいって、ぜひ従来の就業規則に基くものを貫いていただきたいことをお願いし、一そうの御奮闘を祈って、私は質問を終ります。
○委員長(江田三郎君) この問題につきましては、今三浦委員の方から大蔵省の方の出席を求めていないのかという御質問がございましたが、私どもの方としましては、大体林野当局と大蔵省の方の交渉で話がつくのではなかろうか、もし大蔵省の方で不幸にいたしましてそういう実情を了解するに至らぬというようなことになりますれば、適当な機会に大蔵省当局の方も当委員会の方へ出席を求めてやっていただきたい、こう考えております。 なお、この問題につきましては、今三浦委員から、四月一日以降の分を払ったらどうかというお話がありましたが、そういうことが払っていないというようなことから、せっかく長官としてはこの就業規則の線を踏んでいこうと、こう考えられておるのが、外からはそうでなくて、妙なところで大蔵省と妥協するのじゃないか、こういう誤解があると思いますので、今後とも、先ほど御言明がありましたように、あるいは湯山、三浦両委員から御要望がありましたような線で妥結していただきたいと思います。
○説明員(柴田榮君) 善処いたすつもりであります。 —————————————
○委員長(江田三郎君) それでは次にちょっとお諮りいたしますが、先般戸叶委員が委員を辞任され、理事が一名欠けておりますので、補欠互選を行いたいと思います。 互選の方法は成規の手続を省略して、便宜その指名を委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(江田三郎君) 御異議ないと認めます。それでは私から戸叶武君を理事に指名いたします。 —————————————
○委員長(江田三郎君) それから次に森永粉乳中毒事件の件を議題に供します。 過般、森永乳業株式会社徳島工場の製造にかかる粉乳によって、まことに空前の不祥事が起きまして、はなはだ遺憾とされております。被災者に対しましては、この際心からの弔意並びにお気の毒に存ずる意思を表明いたします。 また、一方かような事件が直接には現地の、ひいてはせっかく勃興期にあるわが国酪農業に及ぼす影響が憂慮されるのでありまして、飯島委員及び清澤委員からの御要求もあり、本日は本事件の経緯及びわが国酪農業に及ぼす影響並びにその対策等について、厚生、農林両当局の所見をただしたいと存じます。
○説明員(楠本正康君) ただいまから簡単に今回の森永粉乳中毒事件の経過を御報告申し上げます。 まず現地におきましては、主として岡山市を中心といたしまして、七月の半ば以降、岡山地方に人工栄養児の特異な病気があるということがぼつぼつ承知をされておりましたが、しかしながら、それらが何に原因するかは一向不明でありました。そのうちに逐次患者が増してくる、入院患者が多くなるというようなところから、いろいろ検索をいたしました結果、これが砒素中毒であることを断じたのであります。なおこれと並行いたしまして、これらの患者が主として森永の徳島工場のミルクを使用している患者に多い、対象に多いことが逐次明らかになって参りましたので、これらの分析試験をいたしましたところ、そのミルクの中にも砒素がかなりの量が混入していることが確認されたのであります。この確認が終りましたのが七月二十三日と思っておりますが、私の方といたしましては、これらの事態が明らかになりますとともに、全国に手配をいたしまして、緊急に森永徳島工場の製品の販売停止と同時に、この回収の措置を全国的に講じまして、一方、患者の健康診断、あるいはその他早期発見の処置を講じまして、できるだけ手厚い療養がとりあえず行き届くように指令をいたしました。その後社会不安を除く意味で、一日もすみやかにこれらの原因を追及いたした次第でありますが、これはややおくれまして、この牛乳中に中和剤として使われた第二燐酸ソーダにかなりの量の砒素が混入していることを突きとめました。それらの原因を明らかにいたした次第であります。 なお、原因が明らかになりますとともに、私どもといたしましては、徳島工場長を行政的に食品衛生法違反の処置といたしまして告発をいたすと同時に、一方、食品衛生法に基きまして、徳島工場の三カ月の営業停止の措置を講じました。 なお、現在までに出ております患者は総計八千四十二名、そのうち死亡者は五十六名に達しております。なお八千余人の患者のうち、現在重症と思われる者が約七百人でございます。しかしながら、幸いにもこれら重症者も逐次快方に向いつつある現情であります。一方現在まで私どもが回収いたしましたミルクは合計約五十万カンに達しております。これらのうち、現在その期間中生産されましたものは約八十万カンでありますので、在庫品等を差し引きまして、約二十万カンが現在までに消費されております。しかしながら、これらの数字はすでに私どもが全国的に指令をいたしました前までの数字でございまして、その後はすべて回収措置によりまして、消費をされておらぬことは当然でございます。なおこれらの現在回収いたしてあります約五十万カンにつきましては、目下その処分を検討中でございますが、当然廃棄処分に付する方針で進んでおります。 それから一方患者のその後の措置につきましては、とりあえず健康診断、あるいは患者の医療というようなものはすべて森永乳業がその負担に応ずることと相なっております。 なお引き続きまして、私どもの方といたしましては、これに関連いたしまして、たとえば省令の改正をすでに行い、さらにこれらの事態にかんがみまして、目下法律改正その他の処置も研究をいたしている次第でございます。
○説明員(原田傳君) 中毒事件の経過につきましては、ただいま厚生省から御報告申し上げた通りでございます。で、この事件が酪農関係にどういう影響があるか、またそれに対する対策はどうであったかという点につきまして、私から御説明を申し上げます。 まず第一に、中毒事件の種を作りました徳島工場の問題でございますが、ただいま御説明がありましたように、九月十五日から三カ月間営業停止の処分が行われたわけでございますが、そのままにいたしまして工場が閉鎖されるようなことになりますと、その工場に従来生乳を供給いたしておりました——これが約数量百二十石程度でございますが、その牛乳の処理というものがきわめて困難になり、従いましてこれを生産しております酪農民に与えます影響が甚大でありますので、これに対する措置といたしまして、この営業停止期間中は、酪農民の全国的な団体でありまする全国酪農業協同組合連合会がこの工場を使いまして、牛乳の処理加工を行うという措置をとることにいたした次第でございまして、そのために必要な運転資金につきましても、すでに農林中金の了解を得ておりまして、実は昨十五日から、さようないき方によりまして、工場は一日も休むことなしに継続運転をいたしている、こういう状態でございます。さような措置によりまして、徳島工場に結びつきました酪農民は、一応従来と同様に牛乳の始末がついているという状態になっているわけでございます。 次に全国的な問題といたしまして、あるいは乳製品の消費者に対する面、あるいは乳業者に対する面、あるいは牛乳の生産者に対する面につきましても、あらかじめいろいろな措置を講じておく必要があるというふうにも考えたのでございまして、そのうちまず消費者の関係といたしましては、ただいま厚生省から御報告がありましたように、約五十万個ばかりの残品を無事に回収済みでございます。次に、一般的にこの消費者が乳製品というものに対しまして非常に不安にかられておりますので、この点につきまして国なりあるいは都道府県の機関をわずらわしまして、乳製品の品質の検査を行なっていただきまして、その結果を公表するというような措置を、これは厚生省にお願いしておるわけでございますが、さような措置をとりまして、危険がないということをはっきりすることによりまして、消費者側の不安をできるだけ除去いたしたい、かような措置をとっておるわけでございます。 次に、乳業者の関係でございますが、当の森永乳業にはもちろんのこと、一般に、かような事故が起きました際でございますので、乳製品の製造に当りまして、今後とも一そう細心の注意を払うように勧告をいたしますと同時に、それぞれのメーカーにおきまして製品の検査を一そう厳重にいたしまして、今後再びかような事故が万が一にも発生するようなことのないようにという趣旨の通牒を出した次第でございます。 次にこれは厚生省からただいま御報告があった点でございますが、牛乳、乳製品の成分規格に関しまする省令の改正が行われたのでございまして、この点につきましても乳業者に対する衛生上の監督が強化されるわけでございます。またこの事件が発生いたしましたために、森永につきましては、申し上げましたように、徳島工場におきまする乳幼児用の製品の製造はとまりましたわけでございまして、従いましてさような乳幼児用の製品が一時的には不足をいたすという現象も起きたわけでございまして、また反面さような関係から、申し上げましたような方法によりまして、全酪連が徳島工場を運転します場合におきましても、製菓原料になりますような乳製品を作るように方向転換をいたしましたり、また森永全体としましても売れゆがき悪くなって参っておりますので、製菓原料の方に製造の品目を切りかえるという傾向もございますために、一方においては不足の現象が起き、他方におきましては製品の過剰の傾向が現れて参る、こういうことが予想されますので、そのために乳製品の流通なりあるいは消費者に対しまして迷惑がかかるというようなおそれもございまして、これを放置いたしますと、乳価に対しまして悪い影響を及ぼすおそれもありますので、こういう点につきまして、乳児用の製品の確保を図りますとともに、製菓原料、製品のダブつきが起きないように、その販路のあっせん等を行う必要があるというふうに考えまして、乳製品協会及び全酪連に対しまして、その点について適切な処置を講ずるように通牒をいたした次第でございます。 次に、牛乳生産者の関係でございますが、今度の事件の経過並びに善後措置につきまして、かような経過であり、かような措置をとっておるという事態を、牛乳生産者側にも十分に周知徹底せしめまして、いたずらに次々と工場が閉鎖されたりして、どうかなるのではないかというような不安の念を持たしめることがないように、さような周知徹底方をはかりますとともに、今後の牛乳、乳製品に対しまする信用を確保いたしますために、生乳の取扱いにつきまして特段の注意を喚起するように、関係各都道府県に対しまして、その点につきましても指導に遺憾のないように通牒をいたした次第でございます。 さような状態で、一応考えられまする酪農方面への影響につきまして、できる限りこれを防止いたしたいという考えで、申し上げたような措置を講じている次第でございます。
○奥むめお君 質問してよろしゅうございますか。
○委員長(江田三郎君) どうぞ。
○奥むめお君 ただいま厚生省の環境衛生局長から簡単な御報告でありましたが、省令の改正には、今急いでいるというふうなお話で、そこの詳しい内容を聞くことができなかったのでありますが、省令の改正ということになりますと、この事件は厚生省の責任も、一般に厚生省の監督官庁としての責任を非常に追及されているわけですが、そういう点で、どういうことを認めなさったのであろうかということを具体的にお伺いしたい。 それからあの事件は単なる過失でないと思います。また作り方が間違ったというふうな意味でなしに、当然にあり得る成り行きで、ああいうふうな悲惨な事件が起ったと私は新聞で見ておりますけれども、森永の責任とそれから監督官庁としての厚生省の責任と、これをあなたの責任ある立場で、どういうふうに分けてお考えになって、そして省令の改正というのはどこに重点を噴いていらっしゃるのか、もっと具体的に聞かしていただきたい。
○説明員(楠本正康君) お答え申し上げます。まず、厚生省といたしましては、かような事件が起きましたことにつきましては、まことに責任を感じている次第でございます。なお、ただいま御指摘のように、一部省令等にも不備がありましたために、かような結果が起きたとも思われます。と申しますのは、内容につきましては、従来牛乳製造、乳製品の製造過程等に使いますものは、もちろん厚生大臣の許可を受けて使うということに相なっております。しかしながらそれらのものが必ずしも日本薬局方による純度の高いものを使わなければならないという規定は実はなかったわけでございます。従いまして、第一点といたしましては、今後乳製品に添加するあるいはその製造過程等において使いますものは、すべて日本薬局方に規定された薬品を使う、さらにまたどうしてもそれらの薬局方の指定の薬品でないものを使う場合には、特に厚生大臣の許可を得たものだけを使うというふうに改めましたのが第一点でありまして、それから第二点といたしましては、従来の法令におきましては、特に牛乳あるいは乳製品等に添加するものについては厳重なる規制がしてございますが、それらの製造工程の過程において、工程の一つの過程として使いますものにつきましては、必ずしも十分な規定がなかったわけでございます。従いましてこれらの点を前段に申し上げました規制に従って、これを使うことといたした次第でございます。以上がおおむね改正の要点でございますが、まことにこれらの点につきましては厚生省といたしましては十分責任を感じております。 次にその問題と関連をいたしまして、ただいま御指摘の第二の問題でございますが、これが単なる過失か否かという問題でございます。現在すでに刑事的な問題として検察当局がこれらの点を十分に検討いたしておりますので、今さら私どもが憶測すベき限りではございませんが、刑事問題としては私どもが憶測すべき問題ではございませんが、しかしながら従来の考え方からいたしますと、第二燐酸ソーダを使うことが一体許されておったか否かという点に尽きると存じます。第一点はそれでございますが、しかしこれらは目的その他から考えまして、私どもとしては使うことがもちろん現在の法令に違反するとは考えませんが、しかしながらこれら中和剤を使うことは当然つつしまなければならぬことだと私どもは考えております。従いまして、そこに厳格に言えば法令違反でないとは言うものの、かようなものを使うことはどうかというところに大きな疑問が残るわけであります。次に、これをかりに使うといたしましても、常識的に判断いたしましても、これらは純度の高い燐酸ソーダを使うべきでありまして、工業用薬品をこれらに使うということはまことに論外の話でございまして、これらの点につきましては十分な責任があろうかと存じますが、しかしいかなる経過において工業用薬品が使われたか、そこの責任が流通過程においてどこにあるかというようなことは、目下検察当局がこれを探究をいたしておる次第でございます。従いまして、結論的に申し上げますと、私どもといたしましては、結果といたしまして工業用薬品を使って、それによって事故を起した森永工場の責任は当然負うべきものと考えておりまして、従いまして私どもはまずこれに対して告発の手続を取るとともに、一方では営業停止の処分をいたしたわけでございます。
○奥むめお君 これは非常に不幸なできごとで、またはっきりわかったから対策も講じられやすいと思いますけれども、市販の食べものにはすべてあぶなくて食べられないものが多いと、厚生省の衛生局みずから言われて、非常な馬力をかけてやっていらっしゃるのですが、さらし粉の薬とか、お菓子の色づけとか、たくわんとか、梅ぼし、いろいろなものがありますが、そういうものもあわせて御考慮になっているか、対策をとっているか、またそれはその次の問題になってくるのでございますか。
○説明員(楠本正康君) 御指摘の通りでございまして、現在牛乳、乳製品以外にも食品の色素、防腐剤等といたしまして、いろいろな薬品が使われております。従いましてこれらの使用薬品につきましても、十分なる規制を行わなければなりませんので、目下早急に法的の整備をいたすべく準備を整えております。しかしおそらくそんなことを今やることはまるで泥棒を見て縄をなうたぐいではないかというお叱りを受けると存じますが、何分にも最近、きわめて最近になりまして、きわめて食べもの、牛乳、乳製品あるいは菓子等の種類のものが非常に複雑になって参っております。従いまして、きわめて最近の事態としてかようなことが現われて参りました。以前は牛乳にこのようなものを使うということはなかったのでございますが、他の菓子類等につきましてもさようなことがなかったのでありますが、最近かような風潮が一般に出て参っております。といって、私ども決してこれを責任逃れをするというような意味で申し上げているわけではございません。ただ、今後は、できるだけかような製造工程並びにこれに使用いたします医薬品等にもさかのぼって、十分なる規制をいたしたい。かように考えまして準備を進めているわけでございます。
○飯島連次郎君 ただいまのお話で大体のアウトラインがわかったのですが、第一に、私は衛生局環境衛生部長にお伺いしたいことは、中和剤に第二燐酸ソーダを使ったことは、必ずしも法令違反ではない、しかし工業用の薬品を使ったことがいけないと、これが法令に違反したとおっしゃるのですか。
○説明員(楠本正康君) 第二燐酸ソーダを使用いたしますことは、必ずしも法令違反とは言えないわけでございます。なお、それが使うとなったら、工業用を使うか、何を使うかということも実は法令には規定してございませんので、まあ理屈を申しますれば、たとい工業用薬品を使ったとしても、必ずしも違法ではない、こう考えなければなりません。ただしこの結果として、有毒なものを販売したということにつきましては、当然これは法令の違反でございまして、それによりまして、私どもといたしましては、告発あるいは営業停止等の処分をいたしたわけでございます。
○飯島連次郎君 そこで私は、この問題については、世上ではこれを製造した森永が一番大きな罪人であるように言われているけれども、これはつきつめてみると、厚生省の一番大きな欠陥がこういう事態を引き起したのではないかと思う。なぜかと言えば、先ほどの畜産局長のお話では、こういう事態が起ってからあわてて乳製品の検査を一斉にやって、その結果を公表して消費者を安心せしめる方途をとった、こう言っておられるけれども、食品衛生法の規定の中に、かりにこういつた第二燐酸ソーダを使うことの可否等は、もちろん法律にはうたってありませんが、しかし少くともこういった乳幼児の大事な栄養品を一般に市販している場合に、この八十万カンにも達する徳島工場の製品を製品としての検査をなすったことはなかったのですか。八十万カンの製品に対して製品検査をおやりになったことがなかったかどうか。
○説明員(楠本正康君) これは、私どもは、もちろんその都度、ときたま抜き取り検査によりまして製品検査をいたしております。ただ抜き取り検査の間隔がきわめて長いために、その間隙にかような事故を引き起したわけでございまして、これらの点に関しましては、私どもといたしましてはまことに責任を感じている次第でございます。
○飯島連次郎君 この検査をおやりになったという大体のお答えのようですが、私は、その間隔が幾ら長いといっても、これは確かに砒素が混入しておったということであれば、検査をすればその直待において明らかに砒素の発見はできたと思う。何もこういう大量な五十六人という死亡者を出し、しかもなお生死の巷を彷徨しておる重症患者が七百人もおる。われわれの聞くところによると、この七百人の砒素中毒患者のきわめて的確な治療方法がないということなんです。専門家の人たちに聞いてみると、責任をもった治療方法がないという。そういった状態にある砒素の中毒症状なんというものを引き起すに至らしめるような製品が、私は二十万カンや三十万カンでなかったかと思ったのですが、驚くなかれ八十万カンにも達しておる。しかもその過程における乳製品が検査がしっかりやられておらなかったということは、これは何と言っても、言い逃れはできない。検査をしておらなかったと言っても、私は差しつかえないのじゃないか。一体やったというなら何回くらいどういう方法でやったのですか、検査を。
○説明員(楠本正康君) お答えを申し上げます。この間申し上げましたのは、つまりいろいろな角度からの化学的な製品検査、化学試験をも含めた製品検査といいますものは、私どもは従来指導をいたして参っておりますが、そのつどやる実は項目に入っておらなかったのであります。もっぱら従来は牛乳というものは脂肪数、細菌数さようなものを基準にいたしましては、これは必ずそのつど検査をいたしておりますが、この化学的な分析試験になりますと、ここには先ほど率直に申し上げたように、まことに毎回これを行うというようなことになっておりません。要は今までの検査の基準というものが細菌あるいは脂肪、栄養素、かようなものにむしろ重点がありましたところに欠陥があったのではなかろうか、かように考えております。
○飯島連次郎君 明らかにそうするとこの点には法令なりあるいは省令に欠陥があって、その欠陥を今度省令の改正によって是正をなす、こういうことはわかりました。その次にこれはひとり乳製品だけでなしに、生乳の場合でも私どもが常に懸念をしておる点でありますが、この中和剤というか、緩衝剤といいますか、こういうものを添加したり、あるいはいろいろな、われわれからすれば、安全という角度からすれば必要以外と思われる操作をしばしば加工業者はやっておいでになる。乳製品についても御承知の通り今度の徳島工場の場合には、あれはビタミン入のつまり粉乳である、そのほかに森永ではベーダーとか称する、そういう粉乳も作っておる。明治ではあるいはビタミン入の粉乳、いろいろな名前を冠して、そうして必要以上に価格のつり上げをやっているようにわれわれには思われる。ところが世上には栄養が高い、ビタミンが加わわっているからそれだけこれは優良な品物であると称するけれども、反面観察をすると非常に危険が内在しておるように思われる。そういう点を考えてみますと、今度の徳島工場における場合は、ビタミン入りの粉乳に関してはこういう有毒な砒素の中和剤が使われておったけれども、同じ森永の他の工場におけるベーター粉乳に関しては、こういう砒素剤が混入しておらなかったやに聞いておるわけであります。一体なぜ徳島工場だけにこれが使われておったか、この点を私は厚生省ではすでにもう調査済のことと思いますから、その点を一つお聞きしたいということと、それから徳島工場になぜ砒素を含むような、つまりよもや森永当局の技術者関係では砒素が含まれておるということは御承知で使ったとは思えませんが、それにしても工業用の第二燐酸ソーダを使うということの指令なり、技術的なつまり決定はおそらく中央においてなされることと思う。森永ではこういった技術の最高会議は本社で行い、一徳島工場長の権限においてこれだけの大きなことをなされることはないと思う。しかも工場長は、徳島工場長は転任して、着任をされてまだそう日の長くない人である。従って私は少くとも工業用の第二燐酸ソーダを使った責任に関しては、森永の技術の最高陣にあると考えるわけであります。それらの点については、厚生省のお調べではどういうふうになっておりますか、その点を一つ明らかにしていただきたい。
○説明員(楠本正康君) 最初にお話のございました、なぜ徳島工場だけがかような薬品を使ったかということでございますが、現在森永工場として調製粉乳というようなものを、いろいろなものをまぜた粉乳を作っておりますのは、徳島のほかに、松本、茅ケ崎及び福島の工場がございます。そのうち機械の性能の関係で茅ケ崎と松本とは第二燐酸ソーダを使っておりません。これらの点につきましては、私どもは十分現地を調べてみましたが、従来とも便っておらないことが明らかになりました。なお、徳島工場と同様に福島工場におきましては、やはり中和剤として第二燐酸ソーダを使っておりました。しかしながら、この場合には純度の高い試薬用または局方第二燐酸ソーダを使っておりました関係で、全然砒素というようなものは混入しなかったわけでございます。ただ徳島工場におきましては、四月以降、何回かの入荷をいたして第二燐酸ソーダの買付けをいたしておりますが、そのうち二回を除いてはいずれも工業用を買いましてこれを使っております。ところか工業用燐酸ソーダは、純度の高い医薬品的な燐酸ソーダとは一見して見分けがつきます。従いましてこれらの点から考えますと、徳島工場が工業用を多く使った点につきましては十分なる責任があるように存じます。 なお、中央の森永本社におきましては、これまた御指摘のようにいろいろ技術の研究もいたしております。そのうち四月の初めに、第二燐酸ソーダを使うと工合がよろしいということを各工場に本社から通知をいたしております。しかしながらその中にはもちろん工業用を使えなどは書いてございませんが、ただ局方を使えということは必ずしも指令してございません。しかしながらその文書の最後に、これらは必ず製品検査をして、それによって安全性を期して出荷するようにという注意書が書いてございます。さような点から考えまして、中和剤を使うよしあしが議論になりますれば、これは当然森永本社にも重大な責任が出て参りますが、しかしながらその場合いいものを使う、悪いものを使うというような判断になりますと、これは一応徳島工場自体が責任を背負わなければならん、かようなことになると考えております。
○飯島連次郎君 そうすると、福島工場は局方の第二燐酸ソーダを使ったということですが、それは製品は何ですか。
○説明員(楠本正康君) これは徳島工場同様調製粉乳、つまりいろいろの砂糖その他をまぜました赤ん坊用の粉乳であります。
○飯島連次郎君 そうすると、やはりトレイド・マークは同じビタミン入りの調製粉乳ということになりますか。
○説明員(楠本正康君) 御指摘の通らでございます。
○飯島連次郎君 そうすると、同じような機械を備え、そうして同じ製品を作る徳島工場が、偶然かあるいは故意か存じませんが、一方が工業用の第二燐酸ソーダを用い、一方が局方の第二燐酸ソーダを用いたというのは、これはどういうことなんですか。
○説明員(楠本正康君) ただいまもお答を申し上げましたように、燐酸ソーダのごとき中和剤を使うことのよしあしということになれば、これは別な問題になりますが、使う以上、当然これは局方のごとき安全なものを使うのが常識でありまして、工業用をかようなものに使うというようなことは、まことに思いもよらないことでございます。のみならず、局方と工業用とは一見きわめて明確に、包装の上から申しましても、その形の上から申しましても区別がございますので、これらを使うことにつきましては、使ったことにつきましては、徳島工場の責任は重大だと私どもは考えておるのでございます。
○森崎隆君 価格の点ですね。第二燐酸ソーダの局方の場合と、工業用の場合と価格は相当違うのですか。
○説明員(楠本正康君) これは非常な著しい相違がございます。ただし一応森永の言い分は、同じ価格を払っておったから品物は同じだろう、こうまあ言っておりますが、これらの問題は、厚生省というよりもむしろ検察当局の手にわたっておりますので、私としてはこれはお答えの限りではございません。
○飯島連次郎君 いや、別にここは法廷じゃないんですから……。第二燐酸ソーダの局方のものと、工業用のものとは一体それぞれ単価は幾らするのですか。
○説明員(楠本正康君) 約五倍の差がある。
○清澤俊英君 単価は幾ら。
○説明員(楠本正康君) 工業用が約九十円ですが、医薬品のほうは約五百円です。
○清澤俊英君 ポンドあたりですか。
○説明員(楠本正康君) そうです。
○飯島連次郎君 それで徳島工場は、同じ四月初めに本社からそういう通牒が出てから、この問題を起した七月の半ばごろまでに製品はどのくらい数量で出しておりますか、福島のほうは。調製粉乳は……。
○説明員(楠本正康君) 一ポンド入り約八十万カンでございます。
○飯島連次郎君 徳島でなくて福島工場では。
○説明員(楠本正康君) 福島工場のほうは十分調べてございませんが、大体同程度の製品があったことと存じます。
○飯島連次郎君 これは想像では困るので、あとでけっこうですから、福島工場の四月のこの本社通牒が出て以後、大体徳島工場が操業停止を命ぜられたとき、同じ時限の製造数量を、できたらあとでけっこうですから出していただきたい。 その次に私は、この問題がたまたま新聞に初めて出た当初、森永の責任のある軍役の言葉として、これはあるいは農家でこのごろは農薬というものを非常に使う。そういう猛毒を持っている農薬に基いた飼料の混入が、飼料のつまり使用がこういうようなことを引き起したのではないか、あるいはもしかすると、ためにする他からの何かの中傷ではないか、言葉は若干違うかもしれませんが、そういうようなことを述べられたように私は聞いております。こういうようなことは取り締り当局の厚生省や畜産局の方々にもよく一つ聞いておいていただきたい。原因が明らかにならないうちに、いかにも農民が悪いことをしたかのごとき言辞を弄するということは不謹慎もはなはだしいと思う。私はこういうことについては明らかに森永の当事者を徹底的に追及しようと思う。ついに燐酸ソーダ分析の結果、発見されてかぶとを脱いだという、こういう態度というものは、農民というか、日本農業に対する非常な冒演だと思う。はっきりもしないうちに、最高責任をもっている人がこういうことを軽々に言うべきでない。これはこれとして、こういった人命に関するような重大な社会的な問題を引き起した場合に、私はそういう点について十分取り締りの当局でも、すみやかにやはり原因を探求する措置を講ぜられることが必要であると同時に、こういう今回の事象を一つのいい契機として、機会があったら、こういうことについても取り締り当局からも警告なり注意を喚起しておいていただきたい。 その次に私は伺いたいことは、この現在治療中の、つまり特に重症患者の七百人、これは先ほどの衛生部長のお話では、手厚い医療をするようにという指示を森永に向って発しておられるようでありますが、これが治療については、これは何とか手厚い治療によって人命が取り止められるために、もう最善最高の処置は講じて然るべきだと思うので、との点については何か臨床例と言いますか、お医者の世界でも、これに対するいい薬品等の使用例について十分自信のもてるような何か経験と臨床例がないやに聞いておりますが、こういう点については、やはり厚生省はあげて万全の措置を講じていただいて、七百の重症患者についてはすみやかに回復ができるように講じていただきたいということが一点。それからもう一つは、私ども農林委員会としては、あるいは言いすぎかも存じませんが、亡くなられた五十六名のお気の毒な事例に対しては、これは他にあるいは洞爺丸なりあるいは他のこういった国家機関の起した事例もあるわけですが、特に今回の場合には全く相手が乳児であって、本人はみずからは何らの関知するところのない尊い生命を大量にしかも過失致死せしめたということでありましょうから、この点については、私はもうほんとうに心からの弔意、そうして社会の全般の人が納得のできるような措置を、これは講じていただくことを強く要望しておきますし、なお、ややともすると、どういうものか新聞も筆を一切止めて、最近はもう記事を書かないというよりも、われわれの目にふれなくなってしまった。これはこの小さい乳児をもつ全国の母親なり、そういった主婦が非常に大きな関心をもっている問題であるだけに、やはり一日もすみやかにそういった不安を解消せしめるように、これはひとり国民衛生というだけでなしに、及ぼすところが日本の畜産、酪農界、農業全体に、これは間接に大きなマイナスの影響を与えておることだけは、これはおおうことのできない事実でありますから、それらのことも考えて、やはり厚生省なり、農林省とされては、これらの経過措置等についても、逐次安心できるような、そういった方法についても意を用いられることが必要じゃないかと私は思うのでありまして、こういう点についても一つ大体おわかりなら、こういう席でおっしゃっていただける範囲のことをお述べ下されば、けっこうだと思います。
○説明員(楠本正康君) 最初の御意見の医療につきましては、私どもの方といたしましても、関係の学者、その他にさっそくお願いをいたしまして、いろいろ調べておる、ところがバルという一種の薬がございますが、これが意外に特効的な効果があることがわかっております。従いましてこれを今回特に重症者を重点にいろいろ実施をしていただきまして、逐次快方に向っているという状況であります。なお、できるだけ入院その他の措置がとれて、できるだけ万全な医療ができるよう指導をいたしております。幸いにも今までのところでは、経過は誠に順調に進んでおりまして、その後死亡者の増加も……、最近は死亡者が出ておらぬことを不幸中の幸いと思っておる次第であります。なお、これらの健康診断あるいは医療の経費は、あげて森永が何らかの方法によって、これを支出いたすことに話がついております。それから一方死者に対する措置等につきましては、今のところは一応私ども現在医療に中心をおいて進んでおります関係もありまして、いまだ的確な具体的な結論にまで到達をいたしておりませんが、当然患者をも含めた補償措置は何らかの形において講じらるべきものと、かように考えております。この点につきましては、今たとえば患者の中にもいろいろな種類がまじっております。かようなものを十分技術的に整理をいたしまして、その後におきまして、これらの措置のあっせん等をしなければならないものと考えております。それから一方私どもといたしましては、できるだけ時期を見まして、患者の症状、あるいは先ほど農林省からもお話のございましたように、その後の私どもの検査をいたしております状況を逐次発表いたしまして、できるだけ世間の不安を除きたいと、かように努力をいたしておる次第でございます。なお、それに関連いたしまして、今回岡山大学等を中心といたしまして、この原因の追及に、特に努力された学者に対しましては、本日表彰の儀を行いました。一方進んで愛児の死体を研究のために提供していただいた御遺族の方々に対しましても、本日は厚生大臣から感謝の微意を捧げまして、御心痛に対処したわけでございまして、これらの点につきましては、ただいま御指摘のように、今後も十分なる意を用いて進んで参りたいと考えております。
○飯島連次郎君 次に、畜産局長にお尋ねいたします。この問題が起って以後の調製粉乳の売れ行き、消毒の状況については、何か著しい変化はありませんか。
○説明員(原田傳君) 詳細の数字的な基礎まではまだつかんでおりませんのでございますが、大体の傾向といたしましては、まず第一に森永のマークのものは全国的にボイコットされているという状態でございます。 次に、全体的に一時調製粉乳というものに対する消費者側の不安の念がありましたために、森永以外の製品につきましても一時的に購入の勢いは衰えるという傾向が見受けられたのでございますが、その後原因がはっきりいたしますにつれまして、だんだんとそれが回復をいたしまして、先ほども申し上げましたように、地域的には調整粉乳の不足の傾向さえ現われるというような状態も現われて参りまして、これに対しまして、森永以外のメーカーが、そういう不足の分を補うという動きをとって参りまして、従来に比べまして相当調製粉乳の増産が行われ、またこれが地方に出回りまして順調に引き取られている。ややもしますと、地域的に品がすれの状態にある、こういうような状態にただいまのところはなっております。
○飯島連次郎君 私どもは今回の問題を契機にして、将来の酪農界に何とかして与えようとするよろしくない打撃を最小限度に食いとめるというか、できればこれを積極的に禍を福に転ずるようなそういった積極活動がないと、このことによって私は日本の酪農界がかなりの打撃を受けるのではないか。その一つとしてはこれは今後森永自身がどういう態度をとるかわかりませんが、もしこのことにこりて調製粉乳をある程度製造制限をされて、大カンの練乳等に転換をされると、そのことがこれはかなり中小乳製品の加工業者にも影響を及ぼして参りますし、同時にそれらの中には協同組合組織を通じてやっております農民の組織もありますから、それらにも立ちどころに響いて参ります。と同時にそういうことで調製粉乳が少くなるということでは、だいいち先ほどの畜産局長のお話の乳幼児用の製品が一時不足を来たした、こういうことでありましたが、これは逐次回復をしておるということで、どうやら現状の需要には事欠かないというお話でございましたけれども、一方今年はくだものが非常に豊作を伝えられておりますので、菓子の売れ行きがこれに押えられて非常に消費減の傾向をたどっておる。これは今度は逆に乳製品にはね返って参りまして、大きい大カンの練乳等の売れ行きにもマイナスな影響をもってくるのではないかということをそれぞれ懸念しております。 そんな観点からいたしまして、私は何とかしてこういった問題で乳製品に対する不安の念を除くということは、当面第一の措置であると同時に、やはり乳製品全体に対してややもすればこういった菓子の消費減から、あるいはその他のさっきの直接間接の不安あるいは杞憂等からする消費減という傾向に対しては、よほど畜産当局とされては積極的な手を打っておいでにならないと、これは現状を維持することもむずかしいんではないかということが考えられますので、これらに対して今とられようとする方法をもう少し具体的にお伺いをしたいと思うのです。特に先ほどのお話で、販路のあっせん等をやろうとか、あるいは通牒を出しておられるというのでありますが、そういった具体的な方途があったらこの際伺っておきたいと思います。
○説明員(原田傳君) 酪農界に対しまする影響の点につきましては、御指摘の通りの心配はあると私どもも考えてはおりました。 まず第一に、森永自身が森永の調製粉乳の売れ行き不振という問題の対策として、御指摘のように大力ン加糖練乳のような原料乳製品に回ってくる。それが中小メーカーも含めました同種類の製造業者に対して圧迫を加えることになりはしないかという点でございますが、この点につきましては、現実にすでに徳島におきましては、経営主体がかわりましても、できます品物は大力ン加糖練乳になるわけでございますので、そういう点を十分に、野放しにいたしませんように措置をいたしたいという考えから、少くとも森永側におきまして従来製菓用に引き取っておりました中小企業の製品をボイコットするようなことがないようにという具体的な注意を与えております。森永側におきましても、今度の事故の責任というものを痛感いたしまして、さような措置をとらないように最後まで努力をするということを表明いたしております。 次に、全体といたしましての対策といたしましては、先ほど申し上げましたように、調製粉乳が一方において増産され、他方において原料乳製品がさらにまた増産されるというような関係になりますので、この間の調整を一々のメーカーに対して指示しますよりも、むしろ日本乳製品協会なり金融連というような関係の団体が協力いたしまして、その間の事情に関する情報を十分に交換し合うと同時に、全体的に、たとえば大カン加糖練乳がだぶつくおそわがあるというような場合は、メーカーが協力いたしまして、その販路のあっせんなり、また場合によりましては、一時的なたな上げというようなことも共同して行うように考えておいたらどうかと、こういうふうに思いまして、目下さような問題につきまして具体的に団体が情報の収集等につとめておると、こういう状態でございます。
○千田正君 楠本さん、ちょっと伺いますが、さっきあなた飯島さんの御質問の中にお答えがありましたが、局方と工業用の差額が九十円と五百円、あなたのお話の中に、森永としましては、局方も工業薬品も価格は同じだから同じ効果をなすだろうというので使っておった、こういうことでした。そうすると、この結論からいきますというと、森永は儲けようとしてやったのか、この工業用薬品を売ったのが暴利をむさぼるために売ったのかということになってくるのですが、これは検察当局でなければわからぬと思いますから、あなたの方ではどういうふうに考えておられるかということが一点と、先ほどこの問題が起きてから、厚生省としては善処をすべく今省令の改正を考えておる、こういうお話ですが、これもいつ出すのか知りませんが、これを出すまでの間、森永ばかりじゃなく、同じような、こういうのを製品として出している会社が相当あるわけです。そういうものに対してはどういう措置をとっておられるのか、この二点だけ伺っておきたいと思います。
○説明員(楠本正康君) 第一点の点につきましては、一応先ほどお答え申し上げましたのは、著しい価格の相違があるにもかかわらず、森永の弁解といたしましては、同じ金を支払っておった、こういうことを言っておるだけでございます。なお、私どもといたしましては、さっそくこれらの書類を調べたいと存じましたが、すでに検察当局に書類は全部押収されております関係で現在に至っておるわけでございますが、ただ私どもといたしましては、これだけ大きな価格差のあるものを、そのまま同じ価格で購入したものとは考えられないのでありまして、おそらくこの間には多少価格差があったものと考えております。一方これを納入いたしました側におきましても、今までよりもより多く利潤を見込んで高く売りつけておるものと考えておりまして、大体これは両方とも同じような責任を負うべきものではないかと、こんなようなふうにその点は考えております。しかし、これらはもちろん私の想像でございまして、今後検察当局の取調べによって明らかになることと存じます。 なお、省令につきましては、先ほど来いろいろ御指摘のありましたように、すでにさっそく省令を改正いたしまして、牛乳、乳製品等に使う薬品は、すべて局方によらなければならない、局方にないものは、そのつど厚生大臣の承認を受けるように改めたわけでございまして、それらの点はすべての工場製品に適用いたされますからして、今後はさような観点から、単に森永に限らず、すべての製品につきまして、その趣旨によって現在取締りを行なっておる次第でございます。
○千田正君 それは事後の処置はそうでありますが、今まで市販されておる森永以外の会社の製品に対しまして、もちろん調査されておると思いますが、その点はどういうふうになりますか。
○説明員(楠本正康君) これらの点につきましては、先ほど農林省からも御指摘がございましたように、粉乳、乳製品等に対しまして国民の不安がございますので、まず森永製品のうち徳島工場以外の製品につきましても、すべて抜き取り検査をいたしております。また一方、その他の会社の製品につきましても抜き取り検査を実施をいたしております。なお、現在までのこれらの成績を総合いたしますと、不適格品というものは見当らない現状でございます。
○清澤俊英君 これはこういうことは考えられませんですか。と申しますことは、ごく資本の小さい、設備等の弱い工場等は別として、少くとも森永級のものでありますならば、法令をもって、当人が必ずその日の製品を検査して、検査票をはって出すというような責任を負わせるということはできないものですか、食品を販売する場合において……。それで相当効果が上るのじゃないかと思います。ただあなた方が取締るだけではこれは問題だろうと思いますけれども、ごく小さい工場になりますと、それはきかぬかもしれませんが、相当の顔の売れたところになれば、そこに自分の商標をはって毎日検査する、そこに間違いがあった場合には問題はない、こういうように省令なり法令を変える御意思はないですか。
○説明員(楠本正康君) まことに御指摘の通りでございまして、私どももさように考えまして、目下法律改正を急いでおりますが、そのうちには自発的に検査をして、ただいま御指摘の点を明らかにする点を考えております。 それから一方現在いろいろなものが食用に添加されております。色素でありますとか、防腐剤であるとか、いろいろなものが食用に添加されておりますが、これらのものにつきましては、もちろん今後先ほど申し上げましたように局方薬品に準拠することは申し上げるまでもございませんが、さらに念のために食品用という表示を明確にさせまして、色素その他をもそれによって明らかにして参りたい、かように考えております。
○田中啓一君 今後の厚生省としてのこういったものに対する行政の仕方の問題でありますが、従って、今ここでいろいろお話が出ておったような大体関係のことでありますが、その自己検査というのも、むろんそれはけっこうなことだろうと思うのです。みずからギャランティをするということはいいことだろうと思いますが、それからまた局方なり、あるいはさらに進んで食用というような規格のものを作って、そういうものしかまぜてはいかんのだというのも、ごもっともだと私は思うのですが、私はあの現在の調製粉乳というものを大へんいいものだと自分では思っておる。母乳にまさるとも劣らんような効果を、これまでのものも持っておると私実は思っておるのでありますから、ますます使ってもらうようにしなければならないのでありますが、そこでどうも食品でありますけれども、いろいろなものをまぜますと、やや薬みたいな感じになりまして、薬の能書きみたいなことをカンには書いてある。だからほんとうかしらんというようなことにもなるわけであります。でありますから、その有効な成分という表示につきましては、厚生省で一定の規格をお作りになって、誇大な広告にならないようにされるような点と、それからもう一つは、森永でも明治でも雪印でも、その他のメーカーにしましても、いろいろな製品を作るでありましょうが、その製品を作るのに、もとは牛乳で、それにいろいろなものを添加するわけでありましょうが、何を添加しておるのだ、その製造工程はどういう工程でやるのだという、こういうことをある程度オーソライズしない方法でやってはいけないのだ、と、つまり今の第二燐酸ソーダでありますが、これは新たに作ったものらしいですね、会社が指示をしているわけでありますから、本社から……。で、厚生省はそういうものを森永のドライ・ミルクに使っておるということは、ご存じなかったわけなんです。で、これを検査なさるについても、第二燐酸ソーダを使う、そうするとまあ局方と工業用と比べて、工業用がはるかに安いから、まあよかろうというようなことで、工業用を使うというようなことはあり得ることでありますけれども、抜き取り検査をやったが、そういったあらゆる成分を分析しては見ておらないということになるわけであります。これは実際食品検査をみずからやるにしましても、厚生省がやるにしましても、あらゆる成分のものを全部出してみるという検査は、私は大へんだろうと思うのです。あまりそういう知識はないのですが、しかし常識的に漠然とそう思うのです。でありますから、これは添加さるものと製造工程いかんによっては、まぜ方によっては——私ども子供の時に火薬をもてあそんで下手に調合するから、火を出してやけどをするということをやっておるわけです。そういうことがあるかどうか知りませんが、薬品というものはそういうこともあり得るものと思います。でありますから、添加するものとその製造工程というものはオーソライズした以外にはやれないのだ。やるならば新しい方法としてこれはやるのだということから厚生省は十分に研究をして、そうしてオーソライズされてからやれと、こういったような取締規則が非常に実質的だろうと、こう実は思うのであります。そこで食品でありますから、あまり検査々々で検査手数料がばかにかかるようなものでやるのも困るわけですね、安い方がいいのですから。でありますから、何かそういった今私が申したようなことをお考えではあろうと思いますけれども、一つ何と言いますか、規格とそれからまあ規格品の作り方ということについて、もうここまでくれば一定の型を作った方がいいだろう、こういうような気がするのですが、御所見を伺いたい。
○説明員(楠本正康君) 第一点の御質疑に対しましては私どもも全く同感に存じております。つまり現在たとえば働かなビタミンを入れたりカルシウムを入れたりして、何やら牛乳というものにして販売いたしておりますのは、大部分これは私どもは商業目的によってやっておるものと考えております。従って今後はかようなものをできるだけ整理いたしまして、あまり複雑にならないようにその点は考えないと思っております。従いましてこういう変なものを入れて誇大広告をするようなことのないように留意をいたして参りたいと思っております。 第二点にお話のございました現在の栄養素として言われますものについては、それぞれ厚生大臣の承認を得て、それを使うことになっております。しかも入れました場合には、これを調製粉乳の場合には、そこに表示をさせております。従いましてあれにはビタミンをどのくらいあるいは窒素をどのくらい入れたとかいうことが明記してございます。従いましてこの点は現在も御指摘の通りに実施をいたしておるわけでありますが、ただ困ります問題は、その他の添加物と申しましょうか、燐酸ソーダのごときものでございます。私どもは燐酸ソーダを使うこと自体が果していいことかどうかということは今研究を進めております。従いましてあるいはかような中和剤を今後使ってはならないということになるかもしれませんが、これらの点は日本農業の現状並びに原料乳に支配されることでありまして、つまりこれを今たとえば燐酸ソーダのほかの中和剤として適当と認めますものは重曹あるいは炭酸カルシウム等が使われております。なお、御案内かと存じますが、農家においてもつまり酸度を防ぐ意味でかようなものを使っておるのも私どもは大いに指導はいたしておりますが跡を断たない現状であります。 そこでこれらのものを今一切中止いたしたとすれば、一等乳であるものが二等乳になる。また当然——当然と申しますか、意外に廃棄される牛乳が多くなるのじゃないか、廃棄される関係になりますので、これは目下関係各社の御意見も聞いて、実際家の御意見等も聞いて十分検討いたしておりますが、要するに先ほど農林省からもお話がございましたように、こうしたものを使わなければならないことは、つまり原料乳が優秀でないから、一つそういうことがあるからであります。従いましてそこに根本的の問題があるのじゃなかろうかと、かように考えます。なお、一読にはこれらのものは牛の品種によりましても、きわめて酸度の高いもの等もある。また酸度を増し易い品種もある。つまりショート——短角型の牛は酸度が多いと聞いております。これらの点も十分総合的に検討いたしまして、かようなものを使うことをさらに検討を加えたいと存じます。しかし現在のところは私どもは今後はかようなものを使わずにできるだけ単純な姿で食用化することが望ましいのではないかというふうに今のところ考えております。従ってこれらの点につきましても、単純化するという意味におきましては、御指摘の御意見に全く同感でございます。
○田中啓一君 私の申したのは、添加物をしちゃいけないということを言うておるのではないのです。それはやはり一挙になかなか原料牛乳をよくするということは、私はおそらく困難だと思う。何分にもその集乳距離の遠いということは、これは今日本の免かるべからざる欠点なんです。これは非常に今後急速に発達しつつある乳牛頭数が増しまして、集団になりますれば、よほどよくなりますかと思いますけれども、まだここ五年なり、十年なりというものは、私はこれは免れぬと思います。まあとんでもないところから、わずかずつ集めてくるわけなんです。そこで添加物はやむを得ませんが、だから積極的に使うならこれを使えと、これ以外はいけないのだ、こういうのを親切に出していただく方がいいのだ。そうして使ったなら使って明らかにした方がよろしいわけで、それでメーカーの方でも、食乳業者、あるいは製品のメーカーの方でも、それは使ってもよろしいと思いますけれども、それは必ずこれを使え、そうやってオーソライズされるもの以外は一切やっちゃいけない、こういうやり方の方が今のところ適切じゃないかと私は思う。それを今のところ、こういうものを使っちゃいけないという規則はあるわけですよ。ところがこれ以外のものは使っちゃいけないという規則になっていない。それを一つ、これ以外のものはいけないというものを出して下さい。それが一番私の言いたかった主眼なんです。いかがでしょうか。
○説明員(楠本正康君) これは若干私見を混えてお答えを申し上げますが、私といたしましては、ただいま御指摘の通りに考えております。今は栄養剤は現在もうすでに許可を得たものだけでなければ使わないことになっておりますが、今申しましたような栄養剤ともつかない、つまり製造工程において添加いたします燐酸ソーダのごときものも、これも日本の乳業の現状を考えまして、できるだけ安全で、しかも効果の多いものを選び出しまして、それに限って使うような指導をというようなことにいたしたいというのが、私の気持でございますが、しかしながらこれらにつきましては、学界にもいろいろな意見もございますので、なお、慎重に検討を加えたいと、こう存じております。
○清澤俊英君 ちょっとこの問題と外れますがね。乳製品の価格の決定ですね、決定に対しては、今これを畜産局等でどう押えるというわけにはいきませんですが、今だいぶ問題になっている、いかがわしい調合をやって、商品価値的な価格つり上げをやっておる場合があったり、あるいは聞きますと、最近だいぶはやって参っておりますが、ヨーグルトなんていうものは、殆んど本当の価格というものは非常に安い価格でできる。三円程度で製造できるそうですが、それが、非常に牛乳分が高いというようなものでないものに対して価格の取締りをやるということに対して、何かお考えはあるのですか、どうですか。これは非常に酪農家との関連において、消費者との関連において、非常に重大な問題だと思いますので、一応御意見を承わっておきたいと思います。
○説明員(原田傳君) 御指摘の点につきましては、極端な事例があります場合に、それを放置しておくのもよくないじゃないかというふうに私ども考えますが、現在の制度といたしましては、農林省としまして、直接価格の制限等を行う根拠はございません。で、そういう傾向に対しまして、これを是正するために、どういう措置を取ったらよいかということにつきましては、あるいはその競争的の意味におきまして、同じヨーグルトならヨーグルトを、過分の利潤を含まない価格で売り出す者が別に現われるというような方向を取りまして、抑制することが考えられるわけでございますが、現在各種の乳製品に対して具体的にどれをどうするという結論まではまだ得ておらない次第でございます。今後ともそういう点につきまして研究をいたしたいと考えております。
○飯島連次郎君 私は今回のこの問題についての最後的の要望としては、この生乳の処理、あるいは操作上の欠陥なり、取締りの不行届が起したこういう事態のために、徒らに繁文褥礼の号令をかけて、そして日本の牛乳生産を非常に圧迫するというか、衰微させるというようなことは、これはもう畜産当局はもちろん、厚生省でも十分この点にも一つ慎重な考慮を払われてほしい。特に私はことしの夏の日本の乳の特異性として、これはまあこまかな問題になりますけれども、低酸度二等乳というものが非常にふえた。この原因については、どうも突きとめられない。聞くところによると、北海道大学のその教室でだけ若干の研究をやっておいでになるということなんですが、つまりプルコール・テストをすると、明らかにこれは反応が出るけれども、酸度は決して高くない。酸度はきわめて低い。それをいろいろ私も個々の事例について調べたり、調査してみましたけれども、これは比較的しぼりたての乳で、搾乳後時間を経過しておらない乳に大体今多いのです。ですからまあ乳牛の個体の特異性ということにも関係があるかもしれませんけれども、私どもの大体想像するところでは、やはり飼料等にも、飼育管理に原因の大部分があるのではないかと思うのですけれども、しかし明らかにこれは人体にはおそらく害はないことは、酸度が低いのですから、アルコール・テストをすれば確かにこれは小率の反応は現われたのでございますけれども、別に人体には何らの有害、あるいはそういった生理上の差しつかえはないと思われますので、たとえばこういう問題についても、これは畜産局で一つ、これはぜひ一局部の問題でなしに、少くとも私の知る限り、関東地方ではことしの夏、酪農が非常に苦しんでおる問題ですし、と同時に、このために二等乳という極印を押されて、例年の二倍半乃至三倍くらい二等乳がことしはふえてしまった。そのために農家も一挙に一等乳に比べれば、御承知のように四割五分も、五割も落ちてしまうわけですから、そういう低酸度二等乳というものが非常に量を増したことによって、酪農家は非常に致令的な打撃をこうむってしまうのです。そのためにこの製造、乳の加工者との間に若干のトラブルを起しておることもありますので、これらのことも一つ参考にしていただきたい。どうかこの酪農がようやく伸びかけてきておる現在の段階でありますから、こういったこの不祥事のために何とかして酪農が挫折をしたり、頓坐をきたすことがないように、これは厚生省、農林両御当局で、この点には十分一つ周到な注意のもとに、必要最小限度の衛生取締りというものが、検査というか、諸規定に作られて、こういう禍根を繰返さないようにしていただきたいことを、これは要望ですが、申し上げます。
○東隆君 私は先ほどから飯島君がお話になりましたのに関連して、酪農の発達をさせるために当面考えなければならない問題があると思うのです。それは、一種の酪農ブームというようなものが続いたと思うのであります。そのあとに非常に低調になって、価格の問題などもありまして、飼料は決して安くない。こういうようなことでしわ寄せは大部分酪農家に及んでいく、こういう形でありまして、私先日田中啓一氏と共に北海道の主要なところに寄って、農政懇談会を開催したのに出席をいたしました。その節に各会場で出た問題は、牛乳の価格を維持してもらいたい。牛乳の価格がある程度維持されなければ酪農というものは、これは発達しないのである。こういうことを言っておるわけであります。それはもちろん乳製品その他が安くなることは消費者にとっても都合のいいことでありますが、しかし安くなったそのしわ寄せはほとんど全部酪農家にいっております。そういうような形がはっきり出ておりますので、この際、私は牛乳の価格維持ということを、価格指示ということは、これはできぬだろうと思います。そこで乳製品その他について政府は一定の価格を指示して、そしてそれ以下の場合には買い上げる、こういうような政策を、これは当然講ずべき段階に私は到達をしておると思うのです。そして政府がある程度手持を持っておる、こういうような態勢になったときに、私は初めて外国から輸入されるところの酪農製品を排除することもできると思う。そういうような政策を一つもやらないで、そして非常に無計画に余剰農産物の中に乳製品を入れてみたり、あるいは濠州その他の方面からバターを輸入してみたりして、非常に大きく酪農の発達に対しての障害を起しております。こういうようなことは、一方に、政府はなけなしの金を出していろいろな高度集約酪農地帯を作ったりなんかいだしましても、私はそういう方面の障害の方がかえって酪農を発達させないと思う。酪農を発達させるためには、乳を加工して、そうしてこれを処理する機関が十分にできて、まずふんずまりをしないようにすることが、これが第一に肝要なんです。その次には牛に必要なところのえさを、どれだけ安いえさを供給するかということなんです。これができれば上の方の口と下の方の口がちゃんとあいておりまするならば、私は酪農というものはどんどん発達をすると思います。そういうような意味で最後にできたところの乳製品が、これが不当な価格、そういうようなものになっては、これがしわ寄せが酪農家に参りまするから、政府が価格指示をして、そうしてあまり大きな変化なしないように注意をする。こういうことをとるべきである。同時にえさなどの問題について、大きく考えていくならば、私は日本の酪農というものはますます発達をしていく情勢にあると、こう考えるのであります。従ってこういうような問題について、私は今酪農ブームから非常に低調になっているときに、森永の問題等が起きて、ますます悪影響を及ぼしております。だから私はこの際価格指示政策、あの中に、乳製品を政府は中に加えて、それに対して確固たるやり方をとる、こういうことが必要だと考えますが、その点についていかようにお考えになりますか、お伺いいたします。
○説明員(原田傳君) 日本の酪農をのばして参るために乳製品の価格の安定でありますとか、あるいはえさの価格を低く安定させるというような措置が必要であるという御指摘はその通りだと私どもも考えております。で、さような乳製品価格の安定の具体的な方法といたしましては、御指摘のように、政府が直接買い入れるという方法も考えられるわけでございますが、乳製品の独特の事情がいろいろございますので、そういう方法をとる場合も考えられますし、また現在三十年度予算に組んでございますように、乳製品のある種のもの、つまり脱脂粉乳を学校給食用に回すために学校給食会が買い入れまして、これに対して政府は補助をいたして参るというような行き方もございますし、また金融面におきまする工夫によりまして実際問題として価格を安定させる方法もございますので、それらのいろいろな考え方につきまして、ただいま研究を進めておる次第でございます。えさの問題につきましても、同様の趣旨をもちましてえさの価格の安定ならびに自給飼料の対策の研究を進めておる次第でございます。
○田中啓一君 今の価格安定策そのものをここで大いにやるのは今日の目的ではないのでありますから、それはもうやりませんが、それじゃ、その前提としまして、ちょうど今厚生省がおいでになりますから申し上げるのですが、まあ、やればおそらく、この問題になっている粉乳と、それから練乳だろうと思うのです。これは価格安定ということは、要するに下り過ぎたらば一定期間貯蔵して市場へ出さぬということなんです。誰がやってもそういうことなんですね。でありますから、それには一体粉乳ならびに練乳というものは、どういう貯蔵方法をいたしたらどれくらいもつだろうかというようなことについて、これはあらかじめ厚生省で、また永い間置いて品質が変化して食えぬものができたりなんかすると、まことに困るわけでありますから、そういった問題は農林省よりも、むしろ厚生省の方で何かこう衛生的見地からお考えおきを願わなければならぬと思うのでありますが、今のところあれは相当貯蔵がきくもののように思っていらっしゃいますかどうですか、それだけまずごく常識的に伺っておきたいのであります。
○説明員(楠本正康君) この包装の種類によって大分違いますが、大体カン詰の系統のものはかなりの貯蔵期間がきくと存じます。特に粉乳などは多少変敗の……、かなり長期にわたりますと変敗いたします。加糖練乳等につきましては、その包装のいかんによってはかなりの貯蔵がきくものと存じます。従いまして、御指摘のように牛乳の需給を調整する上に今後もかような方法によって調整することはきわめて必要なことであるとかように考えております。
○委員長(江田三郎君) それではこの程度で、次回の委員会は明日午前十時から開会いたします。 本日はこれをもって散会いたします。 午後五時二十分散会