商工委員会 第6号
- 発言数
- 162 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1955/05/19
会議録
○委員長(吉野信次君) それではこれから委員会を開会いたします。 本委員会に中小企業信用保険法の一部を改正する法律案、これが本日付託されましたから、提案の理由だけを一つ政府の方から御説明を願いたいと思います。
○政府委員(島村一郎君) 中小企業信用保険法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申し上げます。 中小企業信用保険法は、中小企業者に対する事業資金の融通を円滑にするため、中小企業者に対する貸付及び中小企業者の債務の保証につき政府が保険を行いまして、中小企業者の信用力、担保力を補うことを目的とするものであります。昭和二十五年十二月にこの制度が発足して以来、今日に至るまで約四年半の間に、三回にわたって改正が行われ、また運用の面におきましても相当の実績を収め、発足以来の実績は、件数で十万一千三百七件、付保額六百二十三億九千万円となっておりまして、中小企業者に対する信用補完上大きな貢献をして参ったのでございます。しかしながら、最近の経済及び財政金剛情勢のもとにおいて、中小企業の金融難は依然として深刻なものがありますので、従来の経験にかんがみまして、さらに制度の改善と強化拡充を行い、中小企業金融の緩和に資せしめようとするものでございます。 次に、本法案の概要を御説明申し上げます。第一点は、中小企業者の定義を改正いたしまして、新たに酒類業組合等を加え、保険の最終受益者の範囲の拡張を図ったことであります。第二点は、融資保険について、金融機関が保険に付し得る貸付期間を現行の六ヵ月以上から三ヵ月以上に短縮いたしまして、保険に付し得る貸付の要件の緩和を図ったことであります。第三点は、融資保険について、新たに会社更生法による更生手続開始決定または商法による会社の整理開始の命令もしくは特別清算開始の命令のあったときにおける貸付金の回収未済を保険事故に加え、金融の実際に即した保険機能の拡大を図ったことであります。第四点は、信用保証協会を相手方とする保証保険について、中小企業者の中小企業金融公庫または国民金融公庫からの借入債務に対し、信用保証協会が保証を与えた場合に、この保証債務を保険に付し得るようにいたしまして、信州保証協会の保証機能を広げようとするものであります。第五点は、信用保証協会を相手方とする保証保険について、同協会が行ういわゆる根保証を保険の対象にできるようにいたしまして、中小企業振興上きわめて重要な保険目的を新たに加えたことであります。第六点は、信用保証協会を相手方とする普通保証保険及び金融機関を相手方とする保証保険について、保険の填補率を現行の六〇%から七〇%に引き上げて、信用保証協会の機能強化に資せしめたことであります。第七点は、信用保証協会を相手方とする保証保険について、保険金支払請求権を行使し得る時期を保険事故発生後三ヵ月から一ヵ月に短縮して、融資保険との調整を図ったことであります。 以上が本法案の概要であります。何とぞ慎重御審議の上、可決せられんことをお願いいたす次第でございます。
○委員長(吉野信次君) 何か御質問がございますか……。中小企業関係につきましては、御承知の通り金融金庫の改正法案も本院に付託されております。あるいは皆さんの御同意を得られれば、中小企業関係について、取りまとめまして日をあらためて詳しいお尋ねをした方が議事の整理上よくはないかと、こう思います。もしそうでしたら、そういうふうにいたしたいと思います。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(吉野信次君) それではそういうふうに取り運びます。 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(吉野信次君) それでは速記を始めて下さい。それでは次に計量法の一部を改正する法律案、これは先般一応の提案理由の説明だけを聞いたのでございますが、これの審議に入りたいと思います。何か政府の方からもう少し補足して詳しい説明でもありますか。
○政府委員(鈴木義雄君) 大体提案の理由で要点だけは申し上げたと思いますが、若干補足しまして申し上げたいと存じます。 この提案の中に申し上げました通り、第一は計量法の改正でございますが、第二は計量法施行法の改正でございます。計量法の改正の第一点は、第五条第十九号の改正でございますが、騒音の大きさを現示するホンの標準器は、現在日本電信電話公社が保管をいたしておりますが、これを通商産業省の電気試験所で保管することに改めようとするものでございます。これは従来日本電信電話公社が保管いたしておりましたが、何と申しましても計量の標準を維持することは国として重要な任務でございまして、これは国が保管するという建前をとるのが適当と存じますので、そのようにしたい、こういうわけでございます。 第二点は、製造事業の許可に関する規定を整理いたしまして、手続の簡素化をはかりましたので、改正案の第十六条、第十九条及び第二十六条中の改正がこれであります。これの要点は、現行法では製造事業の許可に関しまして製造設備中「主要な設備」をすべて別記いたしまして、その変更につきましては、その都度許可を要することにいたしておりますが、これを手続の簡素化をはかる意味から申しまして、事業許可に必要な設備を限定いたそうというふうな趣旨でございます。 第三は、第三十七条、第三十八条、第四十二条の改正でございますが、これは修理事業者の設備について、製造事業者と同様の趣旨でその範囲を通商産業省令で定めようとするものでございます。 第四番目は、第七十九条の改正でございますが、これは単に用語の表現の問題でございまして、特に御説明するまでもないと思いますが、御質問がございますればお答え申し上げますが、問題はないのではないかと存じます。 それからその次は、比較検査に関する規定の整備でございます。現在比較検査は検定対象器種の全部について行うように解釈できるのでありますが、この検査の性質上、高度の精密さを必要とする計量器についてのみこれを行えば足りるという考え方により、これを政令でその範囲を定め、事務能率の向上をはかろう、こういうためのものでございます。 その次の問題は、現在二百十六条の関係でございますが、これは現在政省令の制定もしくは改廃を行おうとしますときは公聴会を開かなければならないことになっておりますが、すでに計量法に基きます政省令の制定はほとんど終了いたしまして、今後は部分的から技術的な一部の改正が行われるにとどまると存ぜられますので、各界の有識者を構成員とする計量行政審議会への諮問をすることによりまして公正を期することができるものと考え、行政簡素化の趣旨からこれを改めようとするものでございます。 その次は第二百二十一条の改正でございますが、国が都道府県に貸与すべき検定用具に証印等を追加しようとするものでございまして、従来の規定によりますと、この点が明確でない点がございますので、これを明確ならしめようという趣旨のものでございます。 次が第二百二十二条でございますが、これは提案理由にもはっきり申し上げました通り、今度の改正の要点の一つの主なる点でございまして、検定等の手数料を地方公共団体に帰属せしめようとするものでございます。この点については、若干御説明申し上げますと、従来計量事務は国の事務としまして行なって参った。従いまして、国及び、一部は、相当部分は地方に委譲してこれを実施してきたのでございますが、その経費は全部国庫の全額負担によって昭和二十四年までやって参りました。ところが二十五年以降、これが地方平衡交付金制度に変りまして、さらに二十九年度におきましては地方交付税交付金制度にこれが変ったわけでございます。これが実はこういう制度になりますと、いわゆる俗にいいますと、ひもつきでないという関係上、地方交付税のベースにおいては、地方に度量衡としてある程度の経費がベースとしては計上されておりますけれども、ひもつきでないというために十分地方の計量に関する経費が確保されない、こういう問題が生じましたわけでございます。従いまして、この二、三年がた非常に地方の計量行政についてこうした点で問題が出てきた、こういうことでございまして、われわれといたしましては、でき得れば全額国庫負担というのが理想的な制度であるとは存じまするが、地方自治の建前あるいは財政の現状から見て困難がございますので、このたび次善の策といたしまして、現在検定等の手数料を国で取っておりますものを地方に帰属させまして、これによって地方の計量行政の円滑を期したいというのがこの改正の要点でございます。 その次は先ほど申しました計量法施行法の一部を改正する問題でございますが、これは計量法施行法によりまして、この九月から十一種類の計量器の検定を開始することになっておるのでありまするが、これがやはり財政経済の現状から、これらの検定を開始する準備が十分できませんため、これを三年間延期したい、こういうことの趣旨でございます。 大体そういった点から見てこの改正案を提出したわけでございます。
○委員長(吉野信次君) 御質問がございましたら……。ちょっと伺いますが、その計量法施行法のこれを改正しなければどうなるのですか、つまり五十七条を……。
○政府委員(鈴木義雄君) 五十七条を改正いたしませんと、十一種類の計量器につきましては、今年の九月から検定等を開始しなければならないということになるわけであります。法律によりまして検定等を開始しなければならない、こういうことになっております。
○委員長(吉野信次君) そうすると、この法律は八月までに何しないと困るというわけですね、八月まで議会はないけれども、何か急ぐという話をしておったが、急ぐというのはどういう方で……、税のほうですか、急ぐというのは……。
○政府委員(鈴木義雄君) この法律は九月からでございまして、それまでに改正できればいいわけでございますが、急ぐのは実は先ほど申し上げました手数料の委譲の問題でございまして、これはこの二、三年間が非常に地方のそういったふうな計量行政が円滑を期せないものですから、地方からは非常に早く委譲してくれというふうに申しておりまして、今年度も実は地方の予算の関係がございますので、なるべく早くこれをきめてほしいと言うために、一応これを六月一日からということに法律にうたってあるわけでございます。そういう意味からこれを急ぐというわけでございます。
○三輪貞治君 この第二百二十二条の関係ですが、手数料の総額は年間どれくらいになっていますか。
○政府委員(鈴木義雄君) 地方に委譲します検定手数料で、今、国で収納されておりますものは年にしまして約五千万円ほどでございます。
○三輪貞治君 地方自治団体でこの仕事の委託を受けてやる費用、これは一体どれくらいかかっているでしょう。
○政府委員(鈴木義雄君) 三億二千八百万円というふうな計算をいたしております。
○三輪貞治君 三億二千八百万円ですね、そうすると、手数料とこの差額は平衡交付金で大体まかなわれておるわけですか。
○政府委員(鈴木義雄君) さようでございます。
○委員長(吉野信次君) ほかにございませんか、この法案について……。さっきもちょっとお尋ねしましたけれども、この九月から延期するのは財政上の理由その他で延期をされるのだと思いますが、実害はないのですか。こういうものを無制限に徴収されたり何かしても、その実害というものは、延ばしても、三年間ほうっておいてもそれは一向かまわないのですか。
○政府委員(鈴木義雄君) 法律で規定しておりますので、これを延期することは若干支障があると思いますが、これが準備できないで、これを実施する弊害のほうが非常に大きいと思います。従いまして、これを延期して十分準備を整えた上で実施させていただきたい、こういうことでございます。
○委員長(吉野信次君) 準備期間を三年を要するというのは財政だけですか、技術的に三年もかからないと準備ができないということも含めておりますか。
○政府委員(鈴木義雄君) 実は三年で果していいかという問題もございますが、一応私どもとしましてはメートル法の完全実施が三十三年になっておりますので、それを考えまして、一応それと合わして三年ということにしたわけであります。この期間にできるだけ予算その他努力をいたしまして、間に合うようにしたいということで一応三年ということを選びました。
○委員長(吉野信次君) ただ、ちょっと考えると、ただ財政上の理由だけで今年の予算には間に合わなかったということなら、実害があるなら取り締らぬと工合が悪いというなら何も三年を要しないので、技術的に三年を待たなければならぬという理由がなければ、それはやはり早いほどいいのじゃないですか、メートル法の完全実施というものと観念が違うのだから、何もそれを同じように調子を合わせなければならぬというのは理屈にはならぬと思うのですが、それはどうですか。
○政府委員(鈴木義雄君) 実はわれわれこれを三年にきめて、早く行うほうがいいことはよろしいのですが、実はこれ以外のものについても十分計量行政の円滑を期するためにいろいろ必要とする措置がございますので、そちらの方にできるだけ重点をおきまして、そちらの方を固めまして、そしてこれをやりたい、こういうふうな気持から一応三年という期間を考えたので、早いにこしたことはないのでございますが、そういったふうな観点から一応延ばしたのであります。
○委員長(吉野信次君) これ以上は議論になりますけれども、そういうほかの方面との関係があるなら、最初からこういうものを立法するのがおかしいのですね。最初に整備した上で立法すべきなんです。一体こういうものを完全に進めるにはどれくらい金がかかるのですか。
○政府委員(鈴木義雄君) 大体この検定を実施するためには人員としまして四十人くらいの人員が必要でございまして、経費としましては一億数千万円の経費が要ることになっております。
○委員長(吉野信次君) 手数料は何ぼ取るのですか。
○政府委員(鈴木義雄君) まだ手数料はきめてございません。
○委員長(吉野信次君) これは皆さんもあれですが、どういうものでしょうか、ここに書いてあるだけではぴんとこないので、積算体積計、定体積詰込機とかいうものはどういうものですか、それがわからないとそれをほうっておいてもいいかどうかということはぴんとこないのだけれども、ただ法文だけ見ておるのでは、この十一種というものがわれわれの日常の計量取引上に、せっかく法律に書いたものを予算の関係だけで三年延ばすというのは意味をなさないので、必要ならば早くやることがいいと思うけれども、それを三年おいても弊害がないかどうかということは、われわれ日常の計量生活においてどういうものですか、一つごくわかりやすい例でもお示し願えれば、非常に専門的なものなら僕ら聞いてもしょうがないのですけれども……、局長さんがわからないならわれわれにはなおわからない、そういうものならいいんでしょう、日常の生活に大して関係ないなら三年延ばしても差しつかえないと思います。いいでしょう。ほかにございませんか。
○三輪貞治君 それからこれと関連してですが、昭和三十三年末には尺貫法が廃止されるわけですね、これはもう大体廃止されても差しつかえない程度にまでメートル法の普及は徹底していますか。
○政府委員(鈴木義雄君) ただいま御質問がございましたが、計量法はメートル法をもうわが国の統一的計量単位としておりまして、ちょうどお話の三十三年の十二月三十一日まで経過的に尺貫法とヤード、ポンド法の使用を認めておるわけでございます。このため従来からメートル法の実施について準備をして参りました。御承知の通り、教育もこのメートル法によってやるというふうに実施してきておるわけでございます。従いまして、現在の段階では相当実施の運びになっておりまして、各方面の実行状況を申しますと、学校方面の実行割合は一〇〇%、それから主な事業方面の実行割合は、医薬調剤業あるいは電気事業、ガス事業、電動機を用いる運輸事業は一〇〇%、化学工業、機械工業は約八割、それから食品製造業で六〇%、まあ全般的に見て八五%程度の実行状況が上っておるような状況でございます。そこで通産省といたしましても、この点を従来仄聞して参っておりますが、今年度からは計量思想の普及をその目的として設立されました社団法人の日本計量協会を中心として、広くメートル法専用化に関する運動を起しますとともに、関係各省並びに関係業界と連絡を保って、業種別にそれぞれ必要な調査を行うことになっております。かようにいたしまして、急激な混乱の生じないように必要な経過的措置を講じますとともに、強力にメートル法の専用化を実施したいという方向で準備を進めつつある次第でございます。
○委員長(吉野信次君) ほかにお尋ねございませんでしたら、本案に関する質疑はこの程度にいたします。 ―――――――――――――
○委員長(吉野信次君) 次に、ちょうど繊維局長が見えておりますから、上條君から質問をしたいというお申し出がございますので、この際御質問お願いいたしたいと思います。
○上條愛一君 私のお尋ねいたしたい問題は、今回の綿紡操短に関する問題でありまして、政府は五、六月に休日の増加と封緘の二本立てで操短を行なって、もし違反したものに対しては罰則として原綿の割当を停止するという処置をとられておるのでありますが、第一に私のお尋ねいたしたい問題は、御承知の通り、戦後昭和二十七年の三月から二十八年の六月まで、約一年三ヵ月にわたって綿紡績は二割の操短を行なったわけであります。このときも、戦後において増錘を経営者側が競争的にいたしまして、増錘に増錘を重ねた結果、ついに二割の操短を行わざるを得ないことになりまして、労働者側といたしましては、このために帰休を強制され、あるいは失業を招いたということでありまするが、この二十八年六月にこの二割操短を打ち切りましたにつきましては、どのような綿紡績の将来の見通しのもとに打ち切りを行なったかということ、その点についてまずお尋ねをいたします。
○政府委員(永山時雄君) ただいまお尋ねの操短の問題でございますが、操短、生産制限という問題は、私どもといたしましては、あくまで一時的な暫定的な便法ということに考えておるのでありまして、今回の場合もむろんそうでありますし、お話の二、三年前にやりました操短もむろんそうであったろうと思うのですが、それで従って一時的な暫定的な便法でありまする関係から、その当面の操短を必要とした事情が一応解消したということになりました場合にはむろん解除するわけで、当時におきましても、その操短を必要とした事情が解消したということで操短を取りやめたという事情になっております。
○上條愛一君 今、局長のお話によるというと、二十八年六月に生産制限を打ち切ったのは、もはや制限をした理由がなくなったと、こういう御認識のもとに打ち切られたと、こういうことでありまするが、もしそうだとすれば、その後において通産省としては再びこのような、一時的にしろ生産制限、操短を行うような必要のないような何か対策を講ぜられて来たかどうかということを承わりたい。
○政府委員(永山時雄君) 申し上げるまでもなく、経済はしょっちゅういろいろな内外の事情によりまして変動して参りますので、従って一つの原則、一つの主義で、それであくまでも単純に押して行くということはなかなかむずかしいことでありまして、そのときどきの情勢、そのときどきの変化に応じて、時に即した処置をとって行くということが当然必要であるわけでありまして、その意味におきまして、先ほど申し上げましたような生産制限というようなことは、恒久的な行き方としてはむろんわれわれとしては考えていないのでありますが、ときどきの現象、ときどきの状況に応じたやむを得ざる過渡的な措置という程度で措置をしたのでありまして、従ってその後事情が解消すれは当然取りやめますし、また経済の動き、変遷に応じて同じような状態が出てくれば、これまたそのときの程度、状況に応じて、それに相応した措置をとるということがまた出て参るということに考えております。
○上條愛一君 ただいまのお話によるというと、それでは繊維産業においては放任しておいて、そうしてそういう必要が出てくればその対策を立てる、また必要がなければそれをやめて行く、こういうお話であって、一つの計画性を持っておらんと考えるのですが、通産省としては繊維産業に対してはそのような無計画な無方針で今後もやられ、今日までやってきたのでありますか、その点を承わりたい。
○政府委員(永山時雄君) 当時の事情は、私も担当しておりませんでしたので、従って当時の事情につきまして的確な御説明を申し上げるというわけに行かないのでありますが、少くとも現在の操短の問題に対処いたしましては、私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、今の事態に即した一つの暫定的な便法ということに考えておるのでありますが、同時に恒久的な、計画的と申しますか、措置といたしましては、これは繊維産業につきましては、総じて、多少むろん例外はありますが、一般的に言いまするならば、設備の大体過剰傾向というものが一般的な傾向として確かにあるようにも思うのでございます。綿紡につきましても、やはり設備が大体過剰状況になっておるというような事情もございますので、従ってこの根本的な設備過剰の問題に対しましては、われわれとしてももう少し本質的な根本的な対策を講じたいということで、ただいませっかくその対策を考究中でございます。
○上條愛一君 私の承わりたいのは、すでに二十七年から二十八年にかけて、一ヵ年三ヵ月にわたって生産制限を実施した、そういう必要に迫られた条件というものを、二十八年の六月に打ち切った際に、その後においてこのような問題を再び繰り返さないような根本的の、永続的の方策をとられたかどうかということを承わりたいのです。無方針で今日までやってこられたかどうか。
○政府委員(永山時雄君) 先ほど申し上げましたように、当時の事情については、私も詳細は知らないのでございますが、操短を実施し、あるいは解除してからの措置といたしましては、御承知のような合成繊維の育成計画ということを、できるだけ繊維につきましても自給度を向上するというような方向に政策を向けて参っておりまして、綿紡の関係につきましては、逐次原綿の何と申しますか、輸入量を調整をし、加減をするということで、綿業に対する措置を基本として参ったということで、そこに一つの綿業に対する政策が出ているのであります。それが根幹になっているのであります。
○上條愛一君 私の承わりたいのは、二十八年の六月に打ち切って、その後また間もなく今日突如として操短を実施すると、こういうことになるというと、労働者側は常にその犠牲を受けなければならないと、こういうことになるのです。今、局長のおっしゃるように、日本の繊維産業について計画的なまた永続的な方針というものを立てておやりにならないというと、常にこういうことを繰り返すということになるのであるが、今承わりますというと、ほとんど二十八年の六月に生産制限を打ち切った後において、今後の対策について明確なる御方針がなかったと、私はまあ受け取れるのでありますが、それでは今日操短を実施するに至った、また実施しなければならなかったという原因、理由はどこにあるか、その点を承わりたい。
○政府委員(永山時雄君) 綿業の最近の状況は、ここ約一年半から二年近くの間、かなり不況状況でございまして、昨年の初めあたりからのいろいろな統計について見ますると、まず綿布でございますが、これが相当に低い値段、むろん海外の価格に比べましても非常に安い値段で、海外からは日本の綿製品につきましては非常な安売りだというような意味で、いろいろな形で批判と非難を浴びせられて参ったことは御承知の通りであります。同時にこれをコストの面から見ましても、いわゆる適正コストと申しますか、適正生産費というものからかなり離れております。従ってその結果だんだんと品質を落していくというようなことで、あまり好ましからざる形態に現象を呈して来ておるということは言い得ると思うのであります。で、それに対しまして、この綿業の日本経済全体におきまする地位というものから考えますと、こうした変態的な状態をいつまでも放任しておくということが、全般の意味からいって適当でないというように考えましたので、まず昨年の末に中小企業安定法の発動をいたしまして、設備制限、これ以上機の設備がふえるということを防止する措置をとったのであります。これを基礎にして合理化をやって行こうということでこの措置を講じたのでございます。なおそれに追っかけて、本年の二月から綿機の関係の組合が自発的に、自主的に生産制限というようなものを講じたのでございます。それはただし政府が認可をいたしまして、政府の協力のもとにやるということで、二月一日から綿機の操短というものを実施をして参ったのでございます。その措置によりまして、多少この綿布の市況というものは改善を、ちょっとした立ち直りを見せたのでございますが、やがてまたほとんどもとの状態にぶり返ってしまったというような状況でありまして、従ってどうも従来の措置だけでは綿業、特に綿機の関係を適正な形態に戻すということがむずかしくなって参りましたので、別個の措置をとらざるを得ない、別個の措置の的確な方法は何かというと、先ず考えますと、綿糸の操短ということしか実はあまり有効な方法はないのであります。ただ綿糸につきましては、綿糸自体の価格は綿布の場合に比較して、それほど悪化をしていなかったというような状況もありましたので、その辺に対しまして政府としてはできるだけ慎重な態度で検討を続けて参ったのでございますが、ちょうど四月後半ごろから綿糸につきましても相当な値くずれが出て参りまして、綿糸自体の価格もかなりコストを割ってきているというような現象も出て参りました。で、そういうような事情で綿布あるいは綿糸布の価格が非常に安値の現象を呈して参りました。これは国内の経済の面から申しましても、先ほど申し上げましたように、どうも健全な形でないということと、それから輸出の面から見ましても、いろいろ海外から日本のダンピングの問題として批判をされて、これまた国際的に言ってはなはだおもしろくないということ。それから第三点の問題としましては、原綿が不況であるにかかわらず、いわゆる自転車操業と申しますか、というような状況に追われて、基準消費量以上に消費をされてきている、いわゆる原綿の過剰消費の問題があります。これは国の立場から申しましても、外貨の過剰消費というようなことに通ずるのでございまして、従ってこれまた放任をしておくことは適当でないというような、いろいろな事情が加わって、私どもといたしましても綿紡の生産制限をやることが必要であるし、又やってもまず弊害は比較的少いというように考えましたので、五月から御承知のような形で綿紡の生産制限に移ったということでございます。
○上條愛一君 私はその原因について、いろいろこれは後ほど質問申し上げたいと思いますが、まず最初にお尋ねいたしたい問題は、一体今度の操短は休日を三日ふやして七日にする、それから錘を封緘して操短を行うということを実施いたします場合に、当然労働者といたしましては賃金収入が減る、また封緘の実情によりましては失業者も出す、こういうことになりまするが、通産省としてはこういう問題について考慮は払われておるかどうか、その点を承わっておきたいと思います。
○政府委員(永山時雄君) 生産制限が労働者、工員に与える影響につきましても十分考慮いたしました。この生産制限の事情につきましては、只今も申し上げたような事情でございますが、これをやった結果失業者を大量に出すというようなことになりますことは、これまたむろん本意でないのでありまして、従って現在の操短率と言いますか、操短する程度、方法というものを決定をいたします際にもその辺の事情をとくと考慮いたしまして、経営者に対しましては、今回の操短によって失業者を出すことのないように考えてくれという意味の注文を出しておいたのでございます。同時に経営者の方からも今回の措置によって失業者を出すことはないということでございます。なお減収の問題でございますが、これは先ほど申し上げたような事情で、いわば綿業界の一つの、少し大げさに言えば危機でございまして、従って綿業自体が安定をするということは、むろん経営者としての利益でもありまするが、同時に労務者にとってもこれまた必要なことでもありまして、従って綿業安定のために今回とった措置というものは、労使ともに積極、消極の利益を私は与えておる、かように考えておるのであります。従って今回の措置によりまして、経営者の方もむろんこの操短によってある程度の犠牲は受けるでしょうし、労働者の方につきましても当然ある程度の影響は出て参ると思いますが、これは両方ともに犠牲を少くして耐えて行くという性質のものであろうと、かように考えております。
○上條愛一君 今、局長のお話しによるというと、失業者を経営者に対して出すなという申し入れをした。それから賃金の減額の問題については、これは労使とも犠牲を払うのは当然だ、こういう建前でございますね。そうすると、ほとんど経営者に対して、ただ失業者を出さんようにという申し入れをしたというだけでは、これは現在までの経験に徴しても、経営者は錘数が減ってこれを封緘するということになれば、当然それだけの人員も何らかの形において整理するということは行われて来るのでありますが、そういう点について、国家の政策としてそういうことを行いまする場合においては、当然これは労働省の所管になる問題で、失業問題あるいは低賃金の問題等は関連を持つのでありまするが、あらかじめ事前においてこれだけの処置をとられる場合に、労働省とのお打ち合せをいたされたかどうかということを承わっておきたいと思います。
○政府委員(永山時雄君) 労働省とは打ち合せをいたしておりません。
○上條愛一君 いたしておらない。それからもう一つお伺いしたいのは、一体こういう生産制限なり、操短を行う場合に、経営者のみとお打ち合せをすればそれで十分であるとお考えになっておられるかどうか。事前に経営者の御意見を承わると同様に、労働者側の意見なり、協議なり、打ち合わせをいたしたかどうかという点を承わりたい。
○政府委員(永山時雄君) 経営者からも個々的には意見を聞いたこともございますが、あらためてこの断を決定するに当って、たとえば経営者の団体とか、あるいは経営者の代表者とかいうものを呼んで意見を聞いたことはないのであります。これは日ごろから繊維行政をやっていれば当然経営者との往復もあります。従ってまた今回の措置は相当、先ほど申し上げたようないろいろな事情が重なって、かなり長い期間また検討をして参ったことでありまして、その間経営者の方々から意見の申し出なり、あるいはこちらからこうした問題はどうだろうかというようなことで、個々的に伺ったことはございますが、まとめてあらためて伺ったことはないのであります。また労働者諸君の方からはやはり面会の申し入れがございまして、その際には十分意見を聞きましたし、むしろ私どもが今回の措置を決議をする直前におきましては、労働組合の方に申し出て、幹部に会いたいということを申し出たのでございますが、不幸にして東京に幹部が不在でありましたために会えなかったというようなことで、私どもとしてはできるだけ、むしろ労働者方面からも意見なり、希望なりを聞きたいという措置はとったのであります。
○上條愛一君 労働組合に申し込んだけれども、そのとき幹部が東京におらなかったと言いますが、それはそのときだけの話であって、本当に労働者側の意見を徴すということになれば、労働者側の都合のいいときに会って意見を徴することは不可能ではないと考えるのですが、私のこれを申し上げたい問題は、通産省の大体やり方を見ておりますると、通産省の設置法の第二十五条にいろいろ附属機関を設けているけれども、これらの附属機関に対して、これは大臣に承わらなければわかりませんかもしれませんが、労働者側の委員を加えておるかどうかということを、だれか係りの方がおりましたら承わりたいと思います。
○政府委員(永山時雄君) これは直接私の関係でございませんので、調べて、しかるべき方面からお答えをいたすようにしたいと思います。
○上條愛一君 私の知る範囲においては、ほとんど労働者側の委員をこれらの機関に加えておらないと思います。これなどは今日依然として通産省の方針というものが経営者を目標にしておって、産業の重大な責務を担うておる労働者側の意見というものを尊重しないという一つの表われではないかと考えられます。今回の問題にいたしましても、十分直接の脅威をこうむるし、犠牲を払う労働者側の立場というものを十分考えた上で処置しなければならない。従って政府としては、直接のこれに関係を持っておる労働省とも何らの打ち合わせをされないというようなことは、はなはだ遺憾な処置だと私どもは考えざるを得ません。それからいま一つ労働者側の立場に立って承わりたいのは、今回のような処置をとられるならば、今日の繊維産業の婦人の労働者諸君は、夜間労働は基準法の規定によりますと十時までになっておりまするが、これを三十分間は許可によって延長されておるのでありまするが、この十時半まで三十分の延長を許可されておる、これを延長しないことに処置するというようなお考えがないかどうか、これによって相当な生産制限が加えられるのではないかと思いまするが、この点を承わりたい。
○政府委員(永山時雄君) 十時以降の夜間の作業の問題でございますが、これは現在の作業時間が拘束と言いますか、拘束八時間四十五分、それから実際に働いておりますのが八時間でございまして、これは朝から働いておる場合におきましても、あるいは午後から勤務するという場合におきましても同じようでありまして、特別に三十分なり一時間なり時間を延長して、居残りをさせておるという性格のものではないのでございます。要するに八時間労働を二交代の形でやっているということでございますので、従って特に現在指定時間以上に居残りをさせて勤務をさせておるという性質のものではございませんので、これは各個の工場がそれぞれの都合、事情によって勤務時間をきめるということは、別に現在においては不都合ではないと、かように考えております。
○上條愛一君 私は不都合があるということをお尋ねしておるのではない。このような操短を実施せられるならば、まず第一にこのような十時という、基準法においては一応の原則がきまっておるのを、三十分延長せられておるから、これをやめろというような勧告をするのが妥当であると考えるのであるが、そういうお考えがあるかどうかということを聞いておるのでありますが、それをなぜ聞くかと申しますると、今日の御承知の通りアメリカの通商法によりましても、あるいはイギリスのガットに加わらない問題にいたしましても、日本のやはり労働条件の問題があって、ダンピング問題が付随しておる。そこで私がお尋ねしたいのは、アメリカやイギリスあるいは西独その他の繊維産業国における労働時間がどうなっているかということを、おわかりになっておったらばお示しを願いたい。
○政府委員(永山時雄君) ただいま資料を持ち合せておりませんのであらためて御答弁申し上げます。
○上條愛一君 それでは私の知る範囲のことを申し上げますれば、これはイギリス、アメリカその他においては、すでに繊維産業は労働時間が七時間あるいは六時間半に短縮されておる現状であります。従って八時間労働は、これは国際的に見れば繊維産業としては長過ぎるのであります。従ってこの操短を行うというような必要がありますならば、国際的に見て長過ぎておるところの、この十時以降の深夜業を三十分延長しておるというようなこれを削って、七時間半に短縮して、その点で生産の一つの制限を実施する、実現するというような方法が、第一にとるべき、きわめて妥当な策だと考えるのでありますが、繊維局長としてはそのようなお考えがあるかどうかということを承りたい。
○政府委員(永山時雄君) 実情の点はよく調査をいたしまして、考究いたしたいと思いますが、先ほど申し上げましたように、今回の措置によって失業者は出さないように、また出しませんということでやっておるのでございまして、従ってその範囲内におきまして労働法のきめる範囲内において、労使双方協議してやるということが一番実情に即したやり方ではないかと、かように考えておる次第であります。
○上條愛一君 先ほど来、局長は失業者は出さないということを明言されておりますが、今後それでは失業者を出した場合の責任はどうせられるのですか。今一つは、休日を増加することによって労働者側の収入が減ずる、こういうことは考慮を払われておらないわけですね。これは当然労使とも操短によって犠牲を払うのが当然だというお考えですか。その二つのことを承りたい。
○政府委員(永山時雄君) 失業の問題は今後さらに操短の内容を変更するというような場合には、あるいは出て参るかも知れません。ただ、しかしこれは失業問題を出すということは、一つの大きな社会問題を発生させることになりますので、従ってそうした事態を招くような操短の内容という問題については、その変更に際しては慎重に対処して参りたいと、かように考えております。 それから賃金の減収の問題は、私どのも方といたしましては、失業問題というものはこれは確かに社会的に見て大事な問題でございますので、従ってそれを出さないようにということで、そのワクの中においては、先ほど申し上げましたように、操短によって犠牲を受けるのもあるいは利益を受けるのも、労使ともに受けるわけでございますので、従って失業者を出さぬというような範囲内におきまして、労使双方で協議をする、その善後措置を講ずるということが一番妥当であると、かように考えております。
○上條愛一君 それではもう一つ承わりたいのですが、現在のこの封緘によって現在の御処置としてどのくらいの錘数が封緘せられることになるお見通しでありますか、それを承わりたい。
○政府委員(永山時雄君) 五月の一日から操短を実施いたしたのでございますが、この決定が大体四月の下旬に決定をいたしましたので、また私どもの方の、何といいますか、操短の勧告におきましても休日制を原則とするということで、五月については大体休日制が主でございまして、封緘はごく例外の例外ということで、きわめて少数であるのであります。六月につきましては、大体これは今後の見通しにもよることでございますが、おそらくは七月につきましても同じような措置を継続をせざるを得まいというような感じが、見通しがされますので、従って六月におきましては、必ずしも休日制が原則ではございませんが、五月のようなきつい原則ではございません。実情によりましてある程度七月も同じような措置が続くということを前提にいたしまして、封緘制が工場の操業上望ましい、必要だというような所は封緘制を認めていくということで、現在各会社、工場の方で六月はその計画を立てておるのでございますが、まだわれわれの方に六月分の計画が出されておりませんので、的確にこれだけのものが封緘だということをお答え申し上げる段階に立ち至っておらないのであります。
○上條愛一君 それでは五月、六月という大体御指示のようでありますが、今局長のおっしゃる言葉によれば、七月も続くということですが、一体局長としてはこの操短がどこまで続くという見通しでありますか。その点を明確に願いたい。
○政府委員(永山時雄君) これは先ほど申し上げたような事情で発動をいたしましたもので、常識的に申し上げますると、その理由が解消をするとか或いは新しい事態が出てきて、する必要がないというようなことでなければ、まず五月、六月の措置を七月あるいは八月あたりに実施をせざるを得まいと、かように考えているのでございます。しからばいつまで続くかという問題でございますが、これはまあ経済界の先の見通しになりますので、繊維業界だけ特別に不況、特別に好況であるということはまずあり得ませんので、経済界一般あるいはまた国際、海外の景気いかんというような問題に関連をいたしまするので、ただいまいついつまでということは申し上げかねるのでございます。ただわれわれといたしましては、今回の措置はあくまでも暫定的な弁法であるという観念は変りませんので、繊維産業そのものについての根本的な、恒久的な安定施策というものは、できるだけ早く別途に対策を作り上げて、その措置を講じて参りたいということで、鋭意その方面の考究をいたしております。
○上條愛一君 政府の操短処置についての御指示によりまするというと、デフレが続いて内需が減少した、その上に輸出が思わしくなくなった、こういうことでありまして、内需の見通しがこれ以上好転するということはなかなかできないと思います。そこで問題は輸出の促進の問題でありますが、政府としては、一体繊維産業としては輸出の六割を占めておるこの輸出に、今後どのような輸出の促進方法をもってこの不況を切り抜けようというお考えですか。もしそれがなければ今日の操短は相当長期間に亙って永続して、また強化せられると考えざるを得ないのです。この輸出に対する一体通産省としてどのような方策と見通しを持っておられるか承わりたい。
○政府委員(永山時雄君) 輸出振興という問題は、これは現在始まった問題ではなく、従来から通産省としても最も力を入れてきた問題でありまして、特に御指摘のように繊維産業というものは輸出産業的性格が非常に強い産業でございまするので、従って輸出振興措置というものは、従来からいろいろな形、いろいろな智恵をしぼって、いろいろな面で措置を講ぜられて参ったのでございます。従ってごく概括的に申し上げますならば、大体現在とられておるような措置というもので輸出振興の措置は大体講ぜられておる。ただ問題は今後これをできるだけ普遍化し、強化するということであると思うのですが、その意味での努力を続けて参わたい、かように考えております。
○上條愛一君 私は、はなはだ局長の御答弁に心もとないのであります。輸出の問題にしても通商条約が結ばれておる国というものは十数ヵ国に過ぎない現状でありますから、関税問題にしてもだんだん不利に追い込まれている現状であります。そのような現状において、局長の言うような従来とられたことで満足しているようなことで、日本の繊維産業の輸出の好転はあり得ないとわれわれは考えている。そのような考えでおって、そうして今後は失業者を出さない、繊維産業はこれ以上悪化しないというような楽観的のお考えでは、これは日本の繊維産業としてはゆゆしい問題じゃないかと考えます。私は、はなはだその点で局長が繊維の労働者の今後の失業問題に対して、あるいは休日の強化による収入減の問題についても、これを労使の協議に任しておいて、この問題について何らの対策もなしにこういうことが実施せられたという点は、はなはだ遺憾だ、これはいずれまた別の機会に譲りたいと存じます。 次にもう一つお伺いしたい問題は、今日操短が行われない場合、違反した場合には罰則として原綿の配給な停止するというお話しでありますが、これは罰則々適用する上においては何らか法的根拠によってこれが行われたと見なければなりませんが、どのような法的根拠によってこの御処置がとられたか、この点を承わりたいと思います。
○政府委員(永山時雄君) 私の言葉が足りませんためにお叱りを受けたので恐縮いたしておりますが、私が輸出振興について申し上げましたのは、ただいま御指摘のような通商航海条約あるいは関税問題ないしはその他の合理化促進の問題というような問題が、むろん今後努力すべき問題でありますが、ただ題目、テーマとしては、従来から出ている、その意味において、それらの措置をさらに強力に実現をしていく努力を重ねるのだという意味で申し上げたのでございまして、御了承願いたいと思います。 それから原綿の問題でございますが、今回のこの操短の措置は、行政指導、行政上の措置としていわゆる勧告ということで行われておるのでございます。従って法律上の理由も何もないものでございます。で、今回の措置の一つの理由は、先ほども申し上げましたように、原綿の過剰消費ということに問題がございまして、従ってこの勧告に従わずして、操業をフルにしたというようなものがたとえば出て参るという場合におきましては、原綿の割当の面から言って適当でない。過剰消費を押えようというただいまの面からいたしまして適当でないということになりますので、その意味で原綿の割当基準、この割当基準というものは、これは通産省の何といいますか、一つの権限と申しますか、裁量で割当基準を作り得るのでございますが、その割当基準として、ただいまのような生産縮小あるいは原綿の適正消費というような措置に従わないものは原綿の割当の面でかげんをするということは、割当基準の運用の問題として措置を進めるということでございます。
○上條愛一君 私は原綿の割当には一定の基準があって、これはこの基準に基いて原綿の割当をしておるものと考えます。しかるに今回の罰則として、実行しなかった、違反したものは、罰則として原綿を停止するということであれば、これは一つの特異なる処置でありまするから、これはこのような罰則を適用するためには、何らか法的根拠が存在しなければできぬものだと考えます。そのようなことは差しつかえないと確信されるのでありますか。
○政府委員(永山時雄君) ただいまお話のようにこの割当基準で原綿の割当をして参る。むろん今回の場合も割当基準に今回の処置をとり入れて配分しておるというようになるわけであります。
○上條愛一君 私の質問が徹底しておらないようですが、割当基準というのは、輸出量とかそれぞれの基準に基いて割当をされるものであって、今回の罰則というものは、そういう基準を無視して、罰則の意味で、基準には当然配給すべきものであるのを減らそうということでありますから、罰則としての処置としてとられるならば、それぞれ法的根拠がなければならないと思いますが、なおお調べ願いたいと考えます。 それから次にお尋ねしたいのは、今岡の御処置によりますというと、原綿の配給を一定期間中止するようでありますが、このような処置は、原綿を保有しておらない綿紡績の中でも中小企業がまず一番犠牲になって倒れると考えますが、これについての御処置は何かお考えになっておられるかどうか。
○政府委員(永山時雄君) この割当の停止といいますか、一時的な延期の処置は、御承知のように原綿の現在の海外の価格というものが非常な下降傾向をたどっておる、従って業界といたしましても、現在原綿の買い出しといいますか、買うことにつきましては、非常に手控えておるというような状況でございます。また、国の立場からいたしましても、現在の情勢からいたしますと、今原綿を買って、将来にわたって相当値下りした場合の影響を考えると、特に中小紡あたりが非常に経済的な大きな打撃をこうむるということにもなりますので、従って今回の処置によりまして紡績全体がさしたる不便も感じない、それからまた今後の問題を考えますと、多少国の処置で原綿の購入を現在押えるということが適当ではないかという判断でいたしたようなわけであります。
○上條愛一君 すでに繊維産業においては、中小企業は破綻しつつあることは局長も御存じだと思う。それに加えて今回のような処置をとられることは、これは明らかに中小企業が持たぬ。それで中小企業が破綻すれば、そこに失業者が続出して参ることは自明の理であると考える。それで局長は、どの程度今回これが続くか、それによって、失業者が出るか出ないかということがわかるわけでありまして、このような処置によって中小企業が破綻することは明白であります。これが破綻してくるということになれば、これは労働者側も整理せられ、失業者が続出することは明白でありますが、これについても見通しなり対策というものがあられて、今回の処置をとられておるかどうか、この点を明白にお知らせ願います。
○政府委員(永山時雄君) この原綿の割当の停止あるいは一時的な延期という問題は、先ほど申し上げたような業界自体におきましても、この際買い付けをできるだけ控えたいという一般的な希望、それから国の立場からいっても今の傾向を見ますると、今買い付けをして将来にわたって悔いを残すというようなことになりますことが、結局紡績業界のためにならないというような判断のもとにとった措置でございますが、特に御指摘のような原綿の非常に手持ちが少い、そうして操業に差しつかえるというような紡績につきましては、その具体的な事情に応じて適当な措置をとるという弾力性を持って考えているのであります。
○上條愛一君 その弾力性のある措置というのは、原綿の特別にここに不足しているところの中小企業に対しては、政府としては原綿を配給するというような対策があられるのですか。どういう意味での対策を持っておられるか。
○政府委員(永山時雄君) その必要の程度、実情に応じまして、ある程度先渡しというような措置も一つの措置であろうかと考えております。
○上條愛一君 それを実行するお考えですか。
○政府委員(永山時雄君) 事情によって実行して参りたいと考えております。
○上條愛一君 そうして中小企業のこの原綿の不足による破綻は、政府としては食いとめていくというお考えですか。
○政府委員(永山時雄君) 原綿がないために破綻をするということはさせないつもりであります。
○上條愛一君 それから最後にもう一つだけ。時間がないようでありますから端折って伺いたいと思いますが、この操短の処置は、今回は綿紡だけに及んでおりますが、綿紡以外にも今後延長するお考えであるかどうか、その点をお伺いいたします。
○政府委員(永山時雄君) ただいま綿紡以外についてどういうような措置をとるかというようなことは、やるともやらんとも申し上げかねますが、御承知のように繊維業界ははなはだ不況の状態でありますので、これの対策は何らかの措置が必要ではあるまいかということから、いろいろな角度から慎重に考究いたしているわけであります。
○上條愛一君 それでは局長のお考えは、今後の繊維産業の情勢によっては綿紡以外にも操短が及ぶ、及ばないということは言明できないということでありますから、及ぶかも知れないというふうに解釈してよろしいのですか。
○政府委員(永山時雄君) 及ぶとも及ばぬともただいま申し上げかねる実情であります。
○上條愛一君 私は少くとも繊維局長として、日本の繊維産業の責任を負っておられるのに、現状においては綿以外に及ぶか及ばないかくらいのことは、私はお見通しを持っていなければならないのじゃないかと思う。局長の今までの御答弁を承ると、全然これは経済上の変動に任すべきものである、これに対する一定の計画なり方針を持って政府は対処しようというお考えは、ほとんどないものと私は解せざるを得ないのであります。このような繊維産業、国際的関係と国民の生活に重大なる関係を持っている繊維産業に対して、政府として何らこの経済上の変動に任しておってこれに対する明確なる措置、方針、計画というものがないということは、これははなはだ遺憾だと私は考えるものでありまして、局長のおっしゃるようなことならば、われわれは今後の情勢を見た上でまた御質問をするよりほか道がないと思うのであります。できるだけ今後政府としては、労働者の生活にも、国民の生活にも、日本の輸出にも重大な関係を持っている繊維産業の将来に対しましては、もっと計画的な、明確なる方針を立てていただきたいということを希望いたしまして、まだ質問がありまするけれども、時間の都合上ここで打ち切っておきます。
○小松正雄君 局長に二、三関連してお尋ねしたいのですが、ただいま繊維産業に従事しております従業員というのは、どのくらいおりますか。
○政府委員(永山時雄君) 綿業関係で十二万だと思います。
○小松正雄君 全体ではどのくらいおりますか。
○政府委員(永山時雄君) 後ほど調べて御報告いたします。
○小松正雄君 そんなことで局長の責任というものが果していかれるかということを私は非常に憂えるものであります、さっき先輩の御質問の中にあることでありますが、失業の面に対してどうするかということについての御答弁の中に、それは経営者と、あるいは従業員ですべての生産が過剰になってきているから、過剰にならないためにとめる。とめるためには失業者が出るじゃないかということをお尋ねしたのに対して、局長は出てこないように通達してあると、こういうことでありますが、全くそういうことであるか、もう一ぺんお伺いしたい。
○政府委員(永山時雄君) 先ほど御答弁いたした通りであります。
○小松正雄君 よくわかりません。もう一ぺん。
○政府委員(永山時雄君) 先ほど御答弁申し上げましたように、今回の操短によりまして、失業者は出さないということを期待しております。
○小松正雄君 その失業者を出さないという根拠としては、事業主とそれからそれに従事しておる者とが、どちらも双方に犠牲をになっていくべきことによって失業者は出ないのだと、こういうふうに言われたように思いますが、そう受け取っていいんですか。
○政府委員(永山時雄君) 操短という問題は、先ほど申し上げたようないろいろな事情から出さざるを得ない。出すことが適当だという観点のもとに出したのでございますが、ただこれにからんで失業者が出るということになりますと、それも一つの重要なファクター、少くとも操短というものを軽々にやるべきでないという意味のファクターとして、十分考慮しなければならんということになるわけでございますが、そこで、この操短は、一方は経済界の事情からすると、やむを得ない事情にありますので、従って失業者を出さないような方法と、あるいは程度において、これを実施をするということで今回の措置を決定をいたしたのでございます。
○小松正雄君 そこでお尋ねいたしますることは、もし、そうといたしまするときに、これは経営者として生産を過剰になすことができない。一応現状のままでやっていけるというよりも、もう少しさかのぼって減少するような生産を、こういう局長の指令によって、業者があえて従業員を、生産は過剰しないのに現状のままでその従業員をかかえていくということはおそらくないと思う。自然に何かの形でその従業員というものは淘汰させられる、かように私どもは考える。ということは、経営者が一つの仕事をするのについて、たとえば十人使っておって幾らの生産をやるのだ。これが中途にして八に減ぜられた場合に、二というものは経営者にとって欠損になる。欠損になる形の上に立って二人をかかえて時期を待つということはおそらくないと思う。そういう意味からいたしますと必ず何かの形で従業員を整理するというか、整理をする形が出なかったら、何かの形で圧迫をするかどうかして、従業員というものを淘汰するようなことに、自然淘汰するようなことに差し向けるというようになる。その点を局長はどういうようにお考えになりますか。
○政府委員(永山時雄君) 現在の紡績の状態からいたしますと、月に約二%から三%、在職者の二%から三%毎月退職者があるのでございます。それでおそらく現在の程度の操短、生産制限でありまするならば、その自然減耗と申しますか、という形で大体調節がとれて行くのではなかろうか。新しく採用することを控えることによって大体調節がとれて行くのではないかと考えております。
○小松正雄君 それを私どもは憂えるものであって、時期がくるまでかかえて待とうというのではなくて、今局長のお話を聞けば、毎月二%から三%自然に従業員が離れていく、こういうことなんですが、離れていく、やめていく従業員に対する特別な何か退職金というか、どうかした処置を講ずるように経営者に対して通達されているかどうか。
○政府委員(永山時雄君) 自然退職は別段今回の操短によって出て参る新しい現象ではございませんで、従来から出ているものがそのまま継続をするというわけでありますので、従って今回の措置に関連して特別にこれに対して何らかの処置をするということは考えておりません。
○小松正雄君 こう進んで参りますと、特に私たちが心配をすることは、この繊維に従事しているという従業員の中では、婦人が相当多いと私は考える。婦人というものは非常に信念が弱い。なお極端に申しますならば、家に帰れば家のほうでは何かの仕事がある、こういうふうなものもあり、また実際問題として、田舎で、仕事はないのに、ただその業に携わるために契約をして、何年間その事業に従事して、皆にもその仕事についていると言いながらにも、そこにおって仕事をすることができないということになるのにつれて、係員か何かを通じて、あるいはそういうものからして夜間作業の延長だとかあるいは正式なことでなくても、それに従事している使わんとする職員から、いろいろな圧迫を受けて、弱いために、自然にその職を離れて黙って帰って行くというふうなことが相当あり得ると思いますが、そういう点についての御見解はどうなんでしょうか。
○政府委員(永山時雄君) 御注意のような点につきましては、われわれの方で十分注意をし、また経営者に対しても戒告をして参りたいと思います。
○河野謙三君 ちょっと議事進行について。 はなはだこれは私個人の問題にもなりますけれども、ようやく定数かすかすでありますし、実は私自身恐縮でございますが用務があるのですが、委員会の開会前に懇談の席で委員長からお話になりましたもし採決の問題がありますならば、この問題を一時質問を留保していただいて、採決の方を先にやっていただいて、そしてなお質問を続行していただきたい、こういう措置をとっていただければはなはだ仕合せであると思いますが、お諮り願います。
○小松正雄君 それでよろしうございます。
○委員長(吉野信次君) それじゃ小松さんの同意を得ましたからそういうふうにいたします。 ―――――――――――――
○委員長(吉野信次君) それではこの際ニッケル製錬事業助成臨時措置法を廃止する法律案、これを議題にいたしまして前回に引き続いて質問を継続していただきたいと思います。
○政府委員(島村一郎君) 実は去る五月の十八日の本委員会におきまして、高橋委員からの御質問にお答えいたしました点に私の言葉の足りなかったところもございましたし、考えの違いましたところもありましたので、ここで訂正をして御了解をお願いいたしたいと存じます。 御質問の御要旨は、ニッケル貨幣の鋳造計画についての御質問であったと思いますが、大蔵省と何か折衝があったかということで、私寡聞にしてまだ承わっておりませんと申し上げましたことは、実は両省同士でもう話がまとまっておりまして、そうして今年度において大体五百トンのニッケルを入手したいということに相なっております。大蔵省といたしましては大体百トンだけは手持ちがある。それじゃ不足分の四百トンだけをここで入手いたしまして、そうして五百トンだけを鋳造いたそうということで話がまとまっておるそうでありますのでこの際御了承をいただきたいと存じます。大体五十円のニッケル貨幣を九千万枚製造しようということに決定をいたしておりますそうで、どうぞこの点を御了承いただきたいと存じます。従ってこのニッケル貨幣を製造するニッケルの所要量は、ただいま申しましたように三十年度においては五百トンとなります。内容はただいま申し上げましたように、手持ちが百トン、民間から調達いたします分が四百トンということに相なっております。この民間から調達いたします面は、生産業者といたしましては住友金属工業及び志村化工、この二社から買い上げようというのがただいまの決定の事項だそうであります。どうぞこれをお含みいただきたいと存じます。
○苫米地義三君 この法案につきましては質疑及び討論を省略いたしまして、直ちに採決することの動議を提出いたします。
○上原正吉君 ただいまの苫米地君の動議に賛成いたします。
○委員長(吉野信次君) お聞きの通り苫米地委員から本案につきましては質疑を打ち切って、それから討論を省略して直ちに採決したいという動議がございまして、賛成がございましたからその通りに決定してよろしゅうございますか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(吉野信次君) それではこれより採決に入ります。このニッケル製錬事業助成臨時措置法を廃止する法律案、これを問題に供します。本案を原案通り可決することに御賛成の方の御挙手をお願いいたします。 〔賛成者挙手〕
○委員長(吉野信次君) 全会一致と認めます。それでは全会一致これを可決すべきものといたします。 なお、慣例によりまして、本案の議長への報告書でございますとか、あるいは本会議における報告書の内容等ここで委員長におまかせを願いたいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(吉野信次君) それではそういうふうに取り計らいをいたします。 それから報告書に皆さんの署名をお願いすることになっておりますからこれもあわせてお願いをいたします。 多数意見者署名 古池 信三 山川 良一 三輪 貞治 上原 正吉 小野 義夫 河野 謙三 上條 愛一 小松 正雄 苫米地義三 ―――――――――――――
○委員長(吉野信次君) それじゃ質疑を……。
○小松正雄君 重ねてお尋ねいたしますが、私はさきに申しましたようにこの繊維産業の重大性ということはもう申すまでもございませんが、これらに従事する人の失業という問題についてわれわれの方としても非常に心配をしておるわけでありまして、その内容等についてお伺いいたしましたところによれば、局長は失業は出さないということであるが、私としては出るということを考えるので、この際私特に局長にお尋ねしておきたいことは、全国的にこれらの産業に従事しておる人について、聞くところによりますと繊維産業に従事しているものは百幾十万ということを聞いておるわけでありまして、そういたしますとこれらの大産業に関して、ただいま問題になっておりますような諸般の問題の起り得ることについて、繊維局としては何か独断的にどうだこうだということを言われずに、諮問機関というようなものがあるかないか、それをまずお尋ねしたい。
○政府委員(永山時雄君) お尋ねの趣旨が何かわれわれの方で措置をする場合に、失業者の問題を……(「中心にして」と呼ぶ者あり)考慮が入るように何か諮問機関というものがあるかどうかというお尋ねのようでございますが、今別段特定の諮問機関というものはございません。ございませんが、先ほど申し上げましたように、今回のような労働者、従業員の立場に直接影響のあるような問題につきましては、この案を作る際に十分われわれの方としてもそれの関係者の意見を聞き、そうしてできるだけ影響のないようにということの配慮をいたしておるのでございます。なお今後経済界の現在の状況からいたしますると、御指摘のような心配がだんだんと出て参ると思います。従って今後のやり方につきましては、極力御意見を体しまして処置をいたしたい、かように考えております。
○小松正雄君 ただいまの御答弁で大体に了承し得ると思いますが、そこで私重ねてこれはお願いと申しますか、繊維産業の将来に関して、その運営に対して、ただいまのような支障を来たさないために、諮問機関として繊維運営審議会とかいうようなものを今後設けるということにされたらどうかという考えでありますが、局長の考え方はどうですか。
○政府委員(永山時雄君) よく上司と相談をいたしまして善処して参りたいと思っております。
○小松正雄君 その場合には少くとも労働者の代表を入れての委員会というものを設立されんことを特にお願い申し上げます。
○委員長(吉野信次君) 官房長から何か発言の申し出でがありましたから、この際お許しいたします。
○上條愛一君 ちょっと繊維局長に一言だけお伺いしておきたい。それは休日は局長のお話によりますと勧告であって、どのようにするかということは、これは経営者の責任においてなすべきものであると、こう解釈してよろしゅうございますか。
○政府委員(永山時雄君) 私どもの方といたしましては、休日制原則ということで勧告をいたしておりますが、先ほど申し上げましたように経営者のそれぞれの事情がございますので、その辺は経営者の事情を十分考慮いたしまして、必要なものは休暇を認めるという措置でございます。
○上條愛一君 なぜこれを私が質問するかと申しますれば、これは労基法の第二十六条の休業補償はこれは使用者の責に帰すべき場合におきましては休業補償をすべきである、こう明記されておりまするので、もしこの休日の増加の問題が、これは政府としては単に勧告であって、この休日にするかしないかということは経営者の責任でやるべき問題である、こういうことになれば当然労基法の第二十六条が問題になって来ると思いますが、経営者の方はこれは自分の責任ではない、政府の勧告に基いて政府の方針によるものであるからこれは経営者の責任でないというふうな返答をされるだろうと思うのですが、この点を一つ明らかにしておいていただきたい、かように考えるのでありますが、それでよろしゅうございますか。
○政府委員(永山時雄君) 六月の問題につきましては、私どもは先ほどから申し上げておりますように、休日制ということを特に固執をいたしていないのでありまして、それぞれ経営者の事情、労使双方の協議ということによりまして封緘制を採用して行きたいということでけっこうだと思います。
○政府委員(岩武照彦君) 前回におきまして私国産原油の価格につきまして御説明を申し上げました。その際に数字が若干私の錯誤で間違っておりましたので、この際訂正させていただきたいと考えております。現在国産原油の価格の問題でございますが、一応山元の原価といたしましては七千六百円見当でございます。採油の原価はキロリッター当り七千六百円見当でございますが、これにその際御質問がございましたが、探鉱費あるいは試掘費等の償却分と申しまするか、これを加算いたしますると八千五百円程度になります。これに対しまして本社費あるいは採掘面での償却費あるいは金利等かけまして、現在精製会社には九千三百五十円程度で販売しております。それでこの五ヵ年計画の終了後国産原油の生産が百万キロリッターあたりまでに相なりますると、一応の目算といたしましては売り値といたしまして七千五百円程度まで、約千八百円程度下るのではないか、こういうふうに考えております。 それから輸入原油の価格でございますが、これはいろいろ船運賃の関係等で上ったり下ったりいたしまするが、昨年の一月から十二月までの実績の平均で申し上げますると、六千五百五十円でございます。これはちょうど五ヵ年計画完遂後百万キロリッター程度採油をいたしますればその際のコスト、これは探鉱費、試掘費等の償還分を含めましたコストでございますが、これは一応六千七、八百円見当かと思いますので、大体輸入原油の現在の価格に何とか合う程度までやって行けるのではないか、こういうふうに考えております。一応この前大分違った数字を申し上げましたので訂正させていただきます。なおその際現在の予算案に盛られておりまする試掘助成費等につきまして、あるいは言葉が足りなかったかと思いますので追加させていただきますが、あの予算は一応補助費と相なっております。従いまして石油の試掘等を特殊の会社等で行いますためにはその予算を出資の方に修正する必要があるのじゃないか、こういうふうに考えております。一応この点を補足いたします。
○委員長(吉野信次君) 通商局次長が見えておりますが……。
○三輪貞治君 私は通産大臣を要求しておいたのですが、まだお見えにならないので、事務的な点についてお伺いしておきます。 アメリカの国会におきまして御承知のクーパー法が上程されまして、下院でこれが通過をいたしましたが、その後上院におきまして二、三の修正がなされたようでございます。いわゆるジョージ修正案並びにミリキン、バード両議員の共同提案にかかわる修正であります。これは日本の輸出貿易にとりまして非常に重大な関係を持つものであると思考されまするし、現在下院においてさらに検討され、あるいはまた両院協議会も持たれるというような段階でございますから、この際この問題について若干の質問をいたしておきたいと思うのでございます。 初めにアメリカの関税制度の一つの推移の問題でございますが、これは過去において民主党、共和党の根本的な政策の上における違いがあったようでありまして、共和党は大体において保護貿易主義に立脚した考え方を持ち、民主党は互恵的な自由貿易の政策であったようであります。ところが最近だんだんとその様相が変って参りまして、共和党においてもかなり互恵的な自由貿易をとらざるを得なくなったというようなことで、われわれは非常な関心を持っておったわけであります。ところが先も申しますように、クーパー法を修正をされたその修正点というものを考えてみますと、これは明らかに日本を目的として修正をされておるのでありまして、いろいろな産業に具体的に多くの影響を与えてくると思うのでございます。 そこでまず初めにこのクーパー法並びに修正案が下院を通過し、上院において修正をされ、さらに下院において再び審議をされ、両院協議会が持たれつつあるというような、その間の事情について概括的に御説明を願いたいと思います。
○説明員(大堀弘君) ただいま御質問にございましたクーパー法案の問題でございますが、アメリカの現在あります互恵通商協定法は、一九三四年に制定されまして、それから逐次延長せられて参っておるわけでありますが、現在は一九四五年一月一日現在のアメリカの関税法をもとといたしまして、五〇%を限度として、相手国と関税の交流をして五〇%までは関税を引き下げ得るという権限を政府に与えておるわけでございます。この法律がこの六月十三日で期限が切れるわけでございますが、この延長法案がクーパー法案と言われまして提案されたわけでございます。その延長法案の一番ただいま御質問の問題点になります点は、今後三ヵ年延長して、一年に五%ずつ三年間に一五%以内で関税の引き下げをやれるという限度を設定しておりますが、その基準になる日にちは、この七月一日を現在にして一五%関税を引き下げる権限を与える、これがクーパー法案で、当初下院に提案されました原案でございます。これが下院を通過いたしまして上院に回りました際に、上院の財政委員会におきまして、七月一日をベースにして一五%引き下げるという原案が修正されまして、ジョージ民主党議員が修正案を出して、その修正案が可決されたわけでございますが、修正案の内容は七月一日を限度として五%というふうに修正されておるわけでございます。現在お話のように両院協議会にかかっておるわけでございますが、この日本に与える効果、影響と申します点はどういう点かと申しますと、七月一日現在の当初のクーパー法案によりますれば、ただいまガットで関税交渉を日本は各国とやっておるわけでございますが、特にアメリカとの関税交渉におきまして、このガットできまりました関税引き下げ、日本側は多数の品目を要望いたしておりまするが、引き下げられました新しい関税をベースとして、さらに今後三年間に一五%引き下げ得るというのが本来のクーパー法案でありましたのが、今度の関税交渉によりまして、すでに一五%以上日本が譲許を得たものにおきましては、今後この新しい互恵通商協定によります恩典は受けられない、すでにもう一五%以上ガットで下げてしまいました場合は、今後は引き下げの交渉ができなくなる、こういう影響が出て参るわけであります。この点が今回の法案の一番の問題点かと存じます。
○三輪貞治君 米国議会におけるこれの最終的な通過の見通し、それらについて政府で入手されておる情報をお知らせ願いたいと思います。
○説明員(大堀弘君) まだ最終的な報告は受けておりませんですが、諸般の情勢を伺いますと、修正案が両院協議会で成立するのではないかというふうに推測される状況でございます。
○三輪貞治君 その場合に特別に影響を受ける日本の輸出品目、産業等についてその受ける受け方ですね、そういうものも含めて御説明願いたいと思います。
○説明員(大堀弘君) ただいまの御質問でございますが、クーパー法案によりましては、現存のアメリカの関税を今後引き下げる権限を政府に与える法案でございまして、現在の関税がこれ以上引き上げられるということはちょっと当面ございませんわけでございます。ことに、幸いにしてガット協定が成立できますといたしますれば、日本としては各国のガット関税率に均霑いたします。また新しく獲得しました関税率の適用を受けますので、その点につきましては、今後日本の対米輸出につきましては相当好結果を得られると考えておりますが、法案の修正そのものによりまして、直接関税が引き上げられる、現在の輸出に影響を与えるという関係はないかと思います。
○三輪貞治君 ジョージ修正案についてはそうですが、と同時に修正をされましたバード並びにミリキン両議員共同提出の修正案によりますと、国家の安全保障を理由に輸入抑制の権限を大統領に与えるということで現在あるようであります。これは昨年時計のようなものさえも、国家の安全上という理由で関税の引き上げ勧告を食った例等もありますから、この点からいえば、やはりそういう適用いかんではおそろしい武器にもなりかねないと思うのですが、この点については政府はどういうふうにお考えになっておりますか。
○説明員(大堀弘君) ただいまの御質問ごもっともな点かと考えますが、現在一番問題になっておりますのは、いわゆるエスクロ・クローズによりまして日本の商品がダンピングをしているということを理由にして、相当現在問題になっておりますものは、マグロの関税でありますとか、合板でありますとかその他木ネジ、婦人手袋等につきまして、相当業界の方から関税委員会の方へ異議の申し立てがありまして、関税委員会が審判をして、その結果を政府に答申しまして、大統領の裁断によってきまることでございますが、今日まで相当件数そういうケースが出ておるわけでございまして、これらの点につきましては、今後ともいろいろとそういった問題が起る可能性があるかと考えまして、私どもといたしましても出先の大使館をして常時関係方面に接触をして、関税引き上げの予防に努めておるわけでございます。幸いにして今日までは日本の輸血の中心になりますものについては、今日までの段階では関税委員会で取り上げるケースもきわめてまれでございますが、関税委員会で取り上げて政府へ答申いたしましたものでも、政府ではこれを却下いたしておりまして、現在までのところは幸いにして影響もなかったわけであります。常に問題はおっしゃる通り伏在しておりますが、これらについてはできるだけあなたの方の要望に沿いたいと思っております。
○三輪貞治君 大臣も見えましたから大臣にお伺いしますが、将来においてこれらの修正点が日本の輸出貿易の障害にならないように、出先の大使館を通じて申し出なり、また折衝をされるということはよくわかりますが、一体政府は今までにこういったような法律が出され、しかも日本にとって、日本だけを目標にした非常な不利な修正がなされておるような状況に対して、一体どのような手を打って来られたかということ、これは前にクーパー法が通りまして、その後上院の財政委員会において修正がされるというような状況を察知いたしまして、経団連においてはすでに四月十二日の常任理事会で関税引き下げを強く要望いたしまして、日本の公正なる輸出努力に対する米国の一そうの支援を懇請する書簡というようなものを送ることにきめ、しかもその後これを送っておるようであります。政府はこれを裏づける合理的な通商原理を打ち出すべきであり、また米国政府に対しても適当な処置の手を打たるべきであるとわれわれは考えるのですが、もちろんそれはされたと思うのですが、この法律が通過して修正に至るまでの間に、通産省として、政府として、米国の政府に直接、あるいは在日公館を通じて打たれた手はどういうものであったか、この際明らかにされたいと思います。
○国務大臣(石橋湛山君) 具体的にいついつか何をしたということは一々記憶しておりません。またすべて大使館を通じてやっておりますから、そういう手続については、むしろ外務省の方が詳しいかと思います。しかしずいぶん強力にやって来たことは事実であります。またアメリカの政府が日本の政府の申し出に対して、相当よく協力をしてくれたと考えております。
○三輪貞治君 ジュネーヴにおけるガット協定の経緯等を見てみますと、アメリカはかなり日本を加入させるため先頭に立って努力をしておるようであります。反対をしておる国に対しては、自分の国の関税を下げてもいいから、そのかわり日本の加入に賛成してくれと協力ぶりを示しておる。ところが事実においては、最も日本の輸出の障害、壁を作るような措置にこの修正案の通過によってなろうとしておるわけであります。こういうふうにちょっとわれわれ考えますと、アメリカの政府の中における一つの不統一ぶりというものが見れるように考えるのですが、こういうふうに非常にアメリカのやり方というものが変って来た一つの政治的な背景と申しますか、そういうものがあるのですか、どうですか。どういうふうにお考えになっておるのですか。
○国務大臣(石橋湛山君) 別に政治的な背景があるとは思いません。これもやはり国内の産業界と政府との考えが違うということがおもなる理由であると、かように考えます。
○三輪貞治君 この際日本の石油関税の復活等の問題は、関連はございませんか。
○国務大臣(石橋湛山君) それはないと思います。
○三輪貞治君 たまたまこういうふうなことがアメリカで行われておるとき、英国はガット協定に、もちろん日本を入れることには一番反対をしておる、仮加入のときにも反対をしましたし、また現在においても反対を強くしておるのですが、最近においては何かガット協定の三十五条を発動して、幾ら日本が加入しても、それによる協定の特典を与えないということも通告したように聞いておるのです。あるいはまた、今度は英国の総選挙が始まりまして、保守党内閣は繊維産業の中心地でありますランカシャー地方の選挙を有利にするためですか、とにかく繊維消費税の撤廃等もあるいは初めは半減、五〇%削減というようなことからして、さらに最近はこれを撤廃してしまおうというような態度にまで出ておるようであります。こう考えてみますと、非常に大きなウェートを占めておったアメリカの貿易においても非常に憂慮すべき事態で、しかも英国においてそういうような態度に出られ、しかも英国の同じコロンボ圏内である国々においてそれに同調するような動きもなきにしもあらずというふうにわれわれは承知しておるわけですが、そうなりますと日本の貿易というものは非常に大きな壁に将来ぶつかるのではないか。そうなれば今政府のお考えになっており、また選挙のときに公約された中ソ貿易というようなものがなお一そう必然的な要求として出て来るのではないかと、こういうふうにわれわれその間の事情から考えるわけですが、大臣の御所見をお伺いしたいと思うのです。
○国務大臣(石橋湛山君) お話のようにこの英国やアメリカでももし自由主義諸国との間の日本の貿易を妨害すれば、どうしても日本は共産圏の方へ片寄るということは、一番政府当局もしくは識者の方では非常に心配しておりますから、できるだけ日本の貿易を援助してそういう日本人が共産圏に傾くことを防止しようという考えをかなり強く持っておるということは、これはいろいろの、たとえば英国にしましても、先般商務大臣でありましたか、演説をみましてもわかるように、そういう考えを持っております。しかし、どこの国でも産業界はまた一つの大いなる力を持っておる。特にランカシャーのごときは日本の綿布輸出に対して非常な脅威を、日本の実力以上に脅威を感じておるのでありまして、そういうような圧迫によって政府にはやはり選挙等がありますと、どうしても政府もしくは識者の考え通りに実際のことが運ばんというようなことで、いろいろの事態が起るわけであります。今のガットの問題なども三十五条発動云々は、やはり商務大臣が発表しておりますように、産業界の心配を除去するためにそういうことを言われており、また実際するとすれば、産業界の心配を除去するための措置だと考えております。これはまあ政府から日本としてもこれからアメリカあるいは英国等に対して単に政府と政府の交渉というようなことばかりでなく、こういうような民間外交と申しますか、何と申しますか、民間のアメリカの世論あるいは英国の世論を大いに啓発して、日本の事情を一般の人たちに了解してもらって、彼らが政府と一緒に国民あるいは産業界が日本に対して好感を持つような処置を講じなければならん、かように考えております。
○三輪貞治君 アメリカの政府がそういうようなことで考えておることについては、十分私たちも承知しておるわけであります。特にこのランドール委員会の勧告に基きまして、アイゼンハワー大統領が昨年の三月並びに本年の一月議会に対して送った教書並びにその場合におけるダレス氏の演説内容等を見ますと、その間の事情がよくわかるのであります。また日本の選挙後におきまして、三月の上旬でしたか、アメリカの対外活動本部長のスタッセン氏が見えて、たしか大臣等も会われたと思うのですが、選挙後の日本の貿易の動向について相当深い憂慮をして突っ込んだ御相談もされていたように思うわけであります。もちろん本会議においてはそういったようなことについては何ら話はなかったような御答弁が重光さんからされましたけれども、その後バンコックにおけるSEATOの会議においてダレス氏の演説された原稿等を海外の通信によって見ますというと、スタッセン氏をして日本に対してそういう強い申し入れと申しますか、話し合いをしたというようなことがバンコックの演説ではしなくも出ておるわけであります。ですから努めて日本の貿易を保護して行くというような立場に立っておることは確かにそうであろうと思いますが、しかし事実上大臣も言われましたように産業界が日本のそういったような進出について強い反対を示しておる。しかも先ほど申しました大統領に対して、国の安全上の理由で関税引き上げをなさしめる権限を附与するような修正等もございますから、政府のそういう意向にかかわらず、日本の望まない方向に関税政策が向いて行って日本の対米貿易がかなりな圧迫を受けるということは、これは非常に懸念されるところであるわけであります。そこで過去においてもいろいろな方法で折衝されて来たことは先ほどもお話がありまして承知いたしましたが、将来において何か強い要望をアメリカの政府に対してされる用意がありますかどうか、その点を一つお伺いしたいと思います。
○国務大臣(石橋湛山君) ただいまのところすぐに何か外交的の処置を講じてアメリカに何かの強い話し合いをしようという計画を持っておりません。だが、一般的にさっき申しましたように、たとえば日本商品についての理解をアメリカ側が深める、あるいは英国に対しても同じように必ずしも意匠の問題でいろいろ議論がありましたが、こちらからもミッションが参りましたが、先般向うからミッションが来てお互いに話し合うというようなことで、そういった手段で日米ないし日英間の貿易の円滑な運転をはかって行く、こういう計画はただいましております。が、特に外交的にどうということは今のところ考えておりません。
○三輪貞治君 それからもう一つこの問題に関連して憂慮することはアメリカの出方を日和見的に観察しておって、それによって自国の貿易政策、関税政策を考えようという国がほかになきにしもあらずと思うのであります。たとえば南ア連邦等なんかのごときは、日本の商品をかなり輸入しておる国が同じような挙に出られるということはまた非常に大きな障害になるわけでありまして、通産省において今得られておる、アメリカなり、イギリスはさっき申しました通りであります、その他の国々において同じような措置がされそうであるというような情報はございませんか。
○説明員(大堀弘君) 先ほど申し上げましたようにアメリカの場合は相当常に各所の段階について問題があるわけでありますが、現在問題になっておりますのは、南ア連邦の毛織物と綿織物について関税引き上げの動きがあるわけでございます。これらにつきましては、それぞれ出先をしてこれの阻止に努力をいたしておるような次第であります。なおインドにおきましても、国内産業保護の見地から、国内で新しい産業を興す場合に関税引き上げ措置を個々にやっておるケースがございます。逆にまたこれは自分の必要とする原材料、あるいは中間製品等につきましては逆に関税の引き下げ等もやっておりますが、関税引き上げ措置もやっております。当面見ております大きなものはそういったものであります。
○三輪貞治君 それから私は常々今まで考えておったのですが、日本の外交政策特に在外公館等の働きの中に経済外交について欠けておったのじゃないかということをばつくづく感ずるいろいろな事例があるわけであります。外務省も戦争中、あるいは戦後の空白時代を埋めるためにかわり番こに少し外国語を勉強させるというようなことで六ヵ月なり一年なりもっと短かい期間に更迭をしておるというような状況でほとんど慣れないうちにぐるぐるかわる、しかも行っておるものは日本から来る商売人の人なり、あるいはその他の団体、政府、国会議員等の御案内をしてみたり、あるいはパスポートの何か事務的なことばかりやっておって、ほんとうに板についた経済外交というものがされておらぬのじゃないか。もっとはっきり申しますと、私は商務官の配置というものをもっと積極的に十分になす必要があるのではないか。ある筋でこういう話も聞いたのですが、二月に日本が銅の投げ売りをした。これは世界の経済通から見れば、パリ協定なりロンドン協定で西ドイツが正式に再軍備を始めてくれば、そういうものが値上りをするということはこれはもう常識である。にもかかわらず、そういうような処置をしたというようなことも聞いたことがございまするし、何かそういう経済外交の面で抜けておるところがあるのではないかというふうに私は率直に申し上げて感ずるわけであります。これは一つ、そういうことがもしあるとするならば、日本の将来の通商伸張の上から非常に憂慮すべきことでございますから、ぜひそういう点を是正してもらわなければならぬと思うのですが、大臣のその点に対するお考え方並びに将来の御所見をこの際結論的にお伺いしておきたいと思います。
○国務大臣(石橋湛山君) お説はごもっとも、その通りで、私も遺憾ながら今まで日本の経済外交が十分に行われていたとは思いません。ことに外交官のお話のように、非常に外国へ行っている期間が短かくてぐるぐるかわるというようなことは、非常に困ったことだとかねがね思っておりますが、これはまあ戦後の特殊の事情である程度やむを得なかったのでありましょうが、これからは一つ長く外務省の外交官も任地におってそれぞれの土地に十分に習熟してやられるようにしてほしいと願っておりまして、これは外務大臣にも申しておった次第でございます。それから通産省としては、今までやはり在外公館へ十七名の者を出しておりまして、今年さらにこれを六名ほどふやしてそれぞれの土地へ配置いたすつもりであります。また、そのほかに例の重機相談室でありますとか、あるいはそのほかの旅商的にぐるぐる回されるミッションを送るとか、あるいは日本見本市を作るとかいうことで、努めて日本商品の宣伝と同時に経済外交の推進をしていきたいと思って、本年度の予算にも相当この貿易に関する予算の金額はふやしてもらったわけでございます。
○三輪貞治君 これは次長に言うのですが、その十七人ですか、出ておられる人の活動状況ですね、これと地域を一つ、概括的でいいですが……。
○説明員(大堀弘君) 現在、全部は覚えておりませんが、ワシントン、ロンドンの大使館に参事官を派遣しておりますが、それ以外派遣しております所は、アメリカではニューヨーク、サンフランシスコ、南米ではリオデジャネイロに派遣しております。それから東南アジアにおきましては、台湾、香港、タイ、インド、カラチ、ジャワでありまして、それ以外ヨーロッパにパリ、ドイツ、こういった地域に大使館ないし公使館の書記官または領事としまして、現在商務事務、経済関係を担当いたしまして相当活発に活躍しておられるようであります。
○三輪貞治君 いや、活発というだけじゃちょっとわからないのですが、もっとそこをば、どういうふうに活発にやっているか一つ……。活発にやっていないと私は思うのですよ、ほんとうは。何か非常に緊急な、たとえば、アメリカのこんなものを手こまぬいてやらせようなんということもこれはあまり活発でなかった証拠なんですよ。だから、どういうふうな働きをし、本省との間の連絡をされておるか、その点を伺いたいのです。
○説明員(大堀弘君) 現在はそれぞれ大使館、公使館、領事館の職員としてやっておりますので、調査その他につきましても、またその国との交渉のことにつきましても、むろん大使館のルートを通じて、外務省のルートを通じて私どもの方に連絡を受けております。私どもにおいても外務省を通じてやっておるわけであります。しかしながら、ここにちょっと説明が困難でございますが、私どもの方から派遣されております人は、相当経済事務に堪能な方てございますから、現実的には各地で相当効果をあげて活躍しており、非常に成績がいいということを一般に伺っておるわけでございます。具体的にも、たとえばブラジルでございますとか、台湾それぞれ協定がございまして、協定の内容等につきましては、ほとんどこれらの人が運用してやっておるわけであります。また、ニューヨーク等におきましては、輸出の振興のために、そこのあっせん所を中心とした宣伝活動及び最近は雑貨輸出のためにメーシー百貨店を招いて、中小企業の意匠の改善、品質の改善、これのアメリカへの売り込みの宣伝等につきまして、ニューヨークの担当領事が非常に活躍しておるようであります。
○委員長(吉野信次君) ほかに……。
○上條愛一君 関連質問ですが、大臣に一点だけ。大臣御承知の通り、昭和八年を中心にして世界から繊維産業がチープ・レーバー、ソーシャル・ダンピングで攻撃を受けて、当時関税障壁を作られたことは御承知の通りであります。むろん、今、三輪委員からも御指摘のように、関税障壁の問題について、日本としては原料を外国から輸入して、生産して輸出しなければならん。関税障壁の問題は重大な問題だと思います。それについてはやはり国内の労働条件なり、待遇という問題を公正に国際水準に高めていくということの努力が払われることが必要だと思います。今回の、綿紡の操短処置の姿を見ましても、政府の発表した文書の中にも、原綿代にもひとしい価格の輸出すら行われるに至った、こう書かれております。このような日本の経営者なりが、原綿代と同じくらいの輸出をするというようなことでは、やはりイギリスのランカシャーを中心とした関税障壁の問題を撤去させるためには、こういう事実があっては強硬な交渉ができないというので、やはり外交的に強硬な交渉をすると同時に、国内のこういうダンピング的の傾向というものを抑制しなければならぬと思う。この点についての御所見はいかがですか。
○国務大臣(石橋湛山君) いや、ごもっともでありまして、繊維局からそういうものが出ておることは、実は、私もよく知りませんが、ただ少し書き方が行き過ぎであったろうと思います。御承知のようにあの紡績の操短問題は、その起りは綿布でありまして、これは中小というよりはむしろ零細企業者が非常に多いものでありますから、この競争が激しいために、今のように、極端に申せば原綿代にも足りないというような言葉も用いたくなるような安売りが始まって、それから起りました。それからこれは、私どもとしてもできるだけできればそういう不当競争がないように、どうしてもその点がありますと、お話のような労働条件をよくするということが困難でありますから、まず、そういう点に、あまり気持のいいやり方ではありませんが、安定活動をして、統制をするというようなこともただいま始めておるわけであります。何とかそういう状況を変えたいというつもりで努力をいたしております。
○上條愛一君 もう一点だけ伺っておきます。これは先ほど私は繊維局長にお尋ねした問題ですが、十分な納得のいく御回答でなかったのですが、今回の綿紡の操短の問題ですね。大臣も御承知の通り今休日をふやして、それでいけない場合には錘の閉鎖をしていこう、こういう方法なんですね。それでまあ大体五、六月と、こう一たんあれを切っておるわけであります。今繊維局長に聞くと七月も継続しなければならない、こういうことなんですね。それで労働者の立場からいえば、休日がふやされればむろん賃金が減ると、それから錘の閉鎖をすればこれは失業問題も起ってくる、こう考えられますが、これがいつまで一体続くのかということは非常に不安の状態におかれておりまするし、又綿だけでとまるのか、あるいはスフやその他にも及ぶものか。このような点はこれは業者のみならず従業員の非常な関心の的だと思うのですが、この点について大臣の見通し、お考えはどうですか。
○国務大臣(石橋湛山君) なかなかその見通しはむずかしいのでありますが、まあ繊維局がとにかく五、六月の二ヵ月くらいに切ったのは、そのくらいやったら何とかその間に立ち直るというまでにいかなくてもやや安定のめどがつくんじゃないか。それにはなるべく短かい期間にとどめたいという、こういう欲から短期間に切ったわけですが、現状では繊維局長が先ほど申しました通り、なかなかそのめどがちょっとつかないものでございますからやむを得ずそれを延ばさなければならんのじゃないか、かように考えております。これは世界全体の市況も影響することでありますし、それから日本の中のいろいろ不当、過当な競争が何とかおさまらなければなかなかこれはむずかしいことと思っております。
○上條愛一君 もう一点だけ。それは綿紡績の操短の問題は二十七年の三月から二十八年の六月まで二割操短をやったわけです。それもこれは戦後増錘に増錘をして、競争的に労働者の賃金も押えて経営者としては増錘の一途を辿った。その結果二割操短をやらざるを得ない。こういうことになって、労働者としては利益の配当も受けず労働条件も押えられておる、その結果二割操短、こういうことになったので当時も非常な不満が強かったわけです。そこであれを打ち切った後において政府としてはやはり繊維産業に対する計画、方策というものを立てなければならなかった。それを原綿の問題にしても無方針に、無方針といえば語弊があるかもしらんが入れて参った、また生産は過剰になり内需はデフレの結果減り、そうして輸出もまた減ってきた。こういうことなんですね。それでこういうことを繰り返されるというと一体日本の繊維産業というものは、輸出の王座を占めている繊維産業というものが一定の計画というか、方針というものがなしに波のまにまに浮かされておるというようなことでは非常な不安だと思うのですね。こういう点について大臣としては将来やはり計画的に永続的の方針を立ててやっていただきたい。輸出にしてもどういうふうにして輸出を増加して、そうしてどの点くらいまでは将来輸出が行われるものか、国内の内需はどのくらいの一体需要があるものかというような大体の計画見込みを立てて、方針を立てていただかんというと、労働者にすればときどき増産を競争的にやられて、そうしてまた突然操短というようなことで賃金は減るわ、首は切られるわということでは、これは安んじて生産に従事できないというふうに考えますが、一つ大臣としては今後繊維産業については計画性と永続的の大体の見通しをつけてやっていただきたいと、これはまあ希望ですが、お願いですが、一つ……。
○国務大臣(石橋湛山君) ごもっともでありまして、これは綿紡関係だけでなく、先ほどお話がありましたスフその他の繊維もどうしても総合的に、一つ日本の繊維総合対策と申しますか、総合的な対策を立てなければならぬと考えまして事務当局にはさような案を一つ考えるように命じておる次第でございます。
○上條愛一君 それからついでにもう一点だけお願いしたいのは、まあ労働省などはいろいろな機関に対しては公正に経営者、労働者、学識経験者を委員として加えております。ところが通産省だけは設置法の二十六条によるいろいろな機関がありましても、これは労働者をオミットしておるのですね。これはほんとうの日本の産業の健全なる発展のためには、やはりそれに働いておる従業員の意見というものを十分これは反映せしめていくということが産業経済の重要なポイントではないかと思うのですが、今後は通産省としては従来のような経営者だけを相手にすればいいというようなお考えをあらためて、やはり労働者の意見も十分反映せしめるという方途を講じていただきたい。この点を一つこの際お願いしておきます。
○国務大臣(石橋湛山君) 非常にごもっともで、従来はどうしても経営者本位になりがちでありましたからそうなっておったのでありますが、御説の通りでありますからしかるべくやりたいと思います。
○委員長(吉野信次君) それではほかに御発言がなければ……。
○三輪貞治君 これは委員長にですがね。さっき私が質問しましたクーパー法並びにこの修正案ですね。これが将来日本の輸出貿易に及ぼす影響等も考えて、政府もそれぞれ意思表示されておると思いますが、国会は何らこれに対して意思表示しないということも多少軽率のそしりを免れないのではないかというふうに考えますから、こんな少い出席でどうもなりませんが、次の機会にでも何らかの方法で大使館を通じて申し入れるなりすることを一つ皆さんにお諮り願いたいと思います。
○委員長(吉野信次君) 承知しました。
○三輪貞治君 その案については一つ専門員の方でお作りになってけっこうだと思いますが……。
○委員長(吉野信次君) それじゃきょうはこの程度で散会をいたします。 午後四時十八分散会 ――――・――――