社会労働委員会 第11号
- 発言数
- 114 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1955/06/02
会議録
○理事(加藤武徳君) 開会いたします。 きょうは小林委員長はよんどころない用事がございまして、私がかわって委員長を勤めます。 議題に入ります前に、資料の提出について御報告いたしますが、五月十四日の当委員会において御要望になりました厚生省関係の資料は、提出がございましたのでお手元に配付いたしてありまするから、御了承願いたいと思います。 それでは社会保障制度に関する調査を議題といたしまして、厚生省関係昭和三十年度予算及び厚生行政方針に関する質疑を行います。 なお、川崎厚生大臣のほか、政府委員といたしましては、堀岡会計課長、曾田医務局長、安田社会局長、太宰児童局長、久下保険局長、説明員として楠本環境衛生部長、森本国立公園部長、なお田辺引揚援護局長も出席いたしております。 それでは御質疑をお願いいたします。
○山下義信君 厚生行政についてお尋ねしたいことは山ほどあるのでありますが、いろいろな機会に譲りまして、私は本日は一、二の問題についてごく簡単に伺いたいと思います。 第一点は、さしあたりましてつき添い婦の廃止の問題でありますが、これに対しまする大臣の御方針はどういう御方針を持っておいでになりますかということを承わりたいと思います。
○国務大臣(川崎秀二君) 御承知のようにつき添い婦の問題につきましては、国立療養所の今日までの運営に円滑を欠いた点が多々ありまして、でき得る限り完全看護の方向に向って、進めたいというふうに考えておる次第であります。今回国立療養所に二千三百名、正確に申して二千二百七十名の増員が認められましたので、これを中心にして整備をしていきたいという考えをいたしておるのであります。もとよりこれをもって完全看護とまでは申し切ることには相なりませんけれども、従来の看護に加えましてこの増員ができますれば、方向としては看護能力を高めるという方向へ行き得ると思いますので、こういう新制度をとるに至ったのであります。つき添い婦の問題につきましては、それがためにこの増員部分に吸収をされるということに第一の主眼を置きまして、しかしつき添い婦は全体として、厚生省の把握しておる数字によりますると、三千二百名、民間では四千名と称しておるものもございますけれども、オーソリティの立場としては三千二百名と把握をしておるのであります。これを二千三百名の増員に振りかえるという考え方を第一に持ちまして、しかしなおかつ足りない部分は、公的の医療機関にお世話をするという考えで今日は進んでおるのであります。これにつきまして、衆議院におきましても先般来種々御審議がありまして、方向としてはそのような方向に行くことは認めるけれども、つき添い看護婦を直ちに全面的に廃止をするということについては、十分に実情に即して考慮せよという御決議もありましたので、これらをも十分勘案をして進みたいと思っておるのが今日ただいまの政府の方針でございます。
○山下義信君 この問題につきましては、われわれといたしましては十分に検討をいたしまして、われわれの所見もまた適当な機会に表わしたいと思うのでありますが、ただいまの、大臣の御答弁の後段の点について、なお御所見を承わりたいと思うのでありますが、今大臣の仰せになりましたように、衆議院が過日決議をいたした、この決議の内容というものは、いろいろに解釈の仕方はあろうと思うが、要するところ、つき添い婦の廃止に反対していることは明らかなんであります。どういうふうにこの決議に対して大臣の所見を衆議院の方で表明せられたかは存じませんが、承わるところによりますと、決議の趣旨は尊重して善処するという意思表示をなさったかのように承わるのであります。ただいまの御答弁におきましても、衆議院の決議の趣旨もあるから、十分自分としては善処する考えである、こういう御答弁があったように思うのであります。この衆議院の決議の趣旨を、これを大臣に聞くのはあるいはお門違いか知らぬが、政府は衆議院の決議をどういうふうに解釈をして、そうしてこれに対してどう善処する考えであるかということについて、いま一度御所見を承わりたいと思います。
○国務大臣(川崎秀二君) 衆議院の決議はただいまお手元にはございませんけれども、つき添い看護婦の廃止を直ちに全面的に実施することについては、慎重に取扱えということでありまして、療養所管理というものを徹底さしていくということについては、大体委員会におきまする多数の方の御議論では、私どもが関知しました範囲におきましては、認めていただけると判断をいたしておるのでございます。 昭和三十年度において政府は国立療養所の看護要員の充実を計る意図であるが、これに伴って直ちに現行附添婦制度を全面的に廃止するが如きことは、実状にそわざるものと考えられる。よって、政府はこの実情を考慮の上、療養所管理の実態の改善のため、充分なる方途を講ずべきである。と、されておりまして、この文案だけでは、具体的にこれはやめよという御意思にはとれない点もあるのでありまして、決議案作成の過程におけるいろいろ御様子も承わってみますると、直ちに、この看護要員の充実をはかる予算案が通過すると同時に、つき添い制度をやめるということは行き過ぎである。療養所によっては、必要なつき添い婦をやめたことによって起るところの障害がはなはだしい療養所もあるし、でこぼこもあるから、従ってこれを調整しつつ進めという意思のように私は承わっておるのであります。
○山下義信君 つき添い婦廃止の可否の議論は、これは衆議院がどういうふうに見たかということは別として、要するところ、この決議の趣旨が、つき添い婦の廃止ということについては、早まってはならぬぞ、慎重な態度をとってやらなければならぬぞという、言いかえれば、早期に廃止してはならぬぞということを言っていることだけは事実です。それで私は承わりたいのは、政府のつき添い婦廃止の計画というのは、ついまでに廃止しようとするのであるか。言いかえるというと、政府が廃止しようとする計画は、この衆議院の決議によって変更する意思があるかないかということ、言いかえるというと、政府のつき添い婦廃止は、今月、来月やろうとするのじゃない、おそらく。おそらく数カ月の後か、あるいは本年度の末においてやろうとするのである。もしこれが今月、来月にやろうとするならば、直ちにやめるということはいけないということの衆議院の決議の趣旨に善処するというならば、年度末までに延ばすとか、いやどうするとかは言い得られるが、政府の方針はおそらく今月、来月やろうとするのじゃなくて、この三十年度以内にでもやろうとする若干の時日の余裕がある。そのことは衆議院もわかっている。わかっておって、つき添い婦の廃止を早くやってはならぬぞという決議をする以上には、われわれが額面通り解釈するならば、少くとも政府の計画しているような廃止のやり方は早過ぎるということを言うたものでなくちゃならぬ。もしそうでないのならば、衆議院はつき添い婦の廃止の政府の方針、時期等について十分に検討しないで何の決議をしたのか、意味をなさない。でありまするから、政府のつき添い婦廃止の方針、計画については、今なおこの衆議院の決議の趣旨を尊重されるならば、十分検討する時間の余裕を持つために、当分差し控えるという考えを持たれるのであるかどうであるか。かような決議があっても、依然として政府は従来の方針通りにやるのであるかどうか。御方針について若干の御変更があるかどうか。御変更なさらないのかどうかということを、いま一度承わっておきたいと思います。
○国務大臣(川崎秀二君) 率直にお答えいたします。政府としては、予算案が通過すると同時に、直ちにこれを実施するはずであったのであります。しかしながら衆議院の御決議がありまするから、従ってなるべく早く実施はいたしたいとは思いまするけれども、それによって大きな無理が生じないように漸進的に行いたいと考えております。
○山下義信君 そうすると政府がつき添い婦廃止に必要なる、言いかえればそれにかわるものかどうかよくわからぬが、これはあとで本院でも審議して聞いてみなければわからぬが、たとえば雑仕婦を置くとか、あるいは廃止に伴うところの必要なる経費というものは、予算案が通過すればすぐこれを実行するというような組み立て方になっておるのですか。
○国務大臣(川崎秀二君) 政府委員より詳細には答弁させますけれども、予算案が通過をいたしますれば、これを実施するような仕組みになっておるものと私は思います。予算というものはそうだと私は思っております。
○榊原亨君 関連質問。自由党の政調並びに参議院の自由党の国会対策においでになりまして、政府委員であるところの曾田医務局長が御説明になりました今の問題につきましては、予算が通って早急にやるのではない、これは非常に慎重考慮して順次これをやるという御説明を私承わっておるのでありますが、そういたしますると、今川崎厚生大臣のお話しになりましたのとは全然意味が違ってくるのでありますが、その点はいかがでございますか、承わりたい。
○政府委員(曾田長宗君) ただいまの御発言に対しまして、私直接関係いたしておりますので、ちょっと申し上げさしていただきたいのであります。私ども予算の形といたしましては、昭和三十年度の第四・四半期からただいまの二千二百七十名を採用する予算が組んであるわけでございます。しかしながら明年の一月一日からこつ然として切りかえるというわけにはいきますまいから、これを今度、予算の執行の問題でございますけれども、大蔵省の方とよく打合せをいたしまして、できるだけ円滑に切りかえができるように、もう少し前からこの一部分を使い得るようにいたしたいというふうに考えておるということを申上げたのであります。また大臣もそのことを御承知でございますので、予算の形としては第四・四半期三カ月分として組んでございますが、これを一部分のものはもう少し前の、たとえば六カ月とかいうようなころから始めまして、そういたしますると明年の一月一日になりましても、全員をそのかわりに入れはしないというようなことで、実施面としてはさように参りたいというようなことを考えておりました。
○榊原亨君 もう一回念を押しておきたいと思うのでありますが、今曾田医務局長のお話しになりました方針は、衆議院の付帯決議と申しますか、希望条件と申しますか、そういうものを御決議になる前の御発言であったと考えておりますが、さようでございますか。
○政府委員(曾田長宗君) さようでございます。
○山下義信君 それでですね、要するところ、大臣が先ほどおっしゃった予算が通ったらすぐ実行することになっておると、これはまあ予算通の大臣としては妙なことをおっしゃったのですが、今医務局長が答弁したように、これは三カ月分しか計上していない。だから予算が通ってすぐ実行するといったら、すぐ予算が足りなくなってしまう。ですから実施は、予算の立前からいえばずっと先であるはずなのです。その予算通りに廃止の時期、方法等はなさるのが当りまえなんだ。そうでなければ予算の方の説明がつかない。こっちの都合のいいような予算のやりくりをするといったのではこれは筋が立たないので、ともかくも政府の廃止の時期というものについて、衆議院のこの決議というものが若干の影響があるのかないのか。廃止の時期について御考慮になるのかならないのかということさえ承わったらばいいので、つまり政府の方針について、衆議院の決議は寸毫の影響もないかどうかということを私は承わりさえすればいいので、おそらく大臣はこの決議の趣旨を尊重して善処すると言われたということ、今もそれを確認されたのだ。しからば慎重に考慮するということは、何を慎重に考慮するのか。従来の政府の方針について、いま一度十分考えてみる、このことが慎重な考慮なんだ。従来の方針と何ら変更しないということならば、慎重な考慮は必要ないのでありますから、この廃止についてのその時期、方法等については、衆議院の決議について政府は再検討なさるのか、影響があるのかということについて、明確な一つ御見解を承わっておきたいと思うのであります。
○国務大臣(川崎秀二君) 先ほど榊原委員並びに山下委員から予算の内容につきまして御質問がありまして、私は大へん失念といいますよりは、十分に厚生予算の細部にわたりまする知識を持ちませんので大へん失礼をいたしました。私の予算の常識から原則論から申上げて、かえって政府委員から答弁すべきところを私から答弁をいたしたために手違いを起しまして申しわけないと思っております。ただいま御質問の点は、衆議院の決議について多少の変化でもあるのかということであります。もとよりつき添い制度に対する衆議院の決議案によりまして、政府が考えておりました当初の方針に対して、これに十分の考慮を加えなければならぬということだけは明らかでありますから、当初の方針に寸毫の変化もないということにはならないと思っております。
○竹中勝男君 時期の問題ですが、先ほど大臣の御答弁の中に、療養者の円滑な看護を実施する、完全看護を実施するのが目的だと言われておるわけですが、現在三千二百——われわれは四千人というふうに聞いておりましたが、三千二百人のつき添い婦がおりますが、それをまあ二千三百人の雑仕婦に切りかえるという。すなわち人員の面からいってもこれは千人ほど減員になるわけですが、それによって、すなわち完全看護という目的が達せられると大臣はお考えですか。あるいは現在は多過ぎるというふうに、完全看護をやり過ぎておるというふうにお考えなのですか、その点について伺いたい。
○国務大臣(川崎秀二君) 現在の国立療養所の看護が十分でないということをむしろ認めておりまするから、こういう増員制度が作られたと思うのであります。しこうして、これでも完全看護にはならぬのではないかというのが今日まで政府側の持っておりまする見解であります。ただこれで大体今日のところ充足はできるけれども、それでもこれを完全看護だとは言い切れないということは、医務局長も答弁をいたしておる通りでありまして、私の見解も同様であります。
○竹中勝男君 それであれば衆議院の決議は、少くとも現在すでに不完全であるからして、このつき添い婦制度をそのまま当分、あるいは永久にでも、当分でも、とにかく現在これをやるのは早過ぎるという意味を含んだところの決議だと私どもは認めておるのですが、それに対して、しかし決議に沿って、予算の成立に沿ってそれをなるべく早く実施するというのが厚生省のお考えなんですか、それとも少くとも今年度においては、これを差し控える、現在のつき添い婦をそのままにしておくという衆議院の決議の中に含まれた要望を認められるわけなんですか、もう一度その点を、山下委員と……。
○国務大臣(川崎秀二君) ただいまの御質問に多少付加するようであります。御質問の趣旨に付加するようでありますが、今回療養所において新たなる増員二千三百名を予算措置としてとりまして、これによって完全看護の方向に向って前進をしたいという新制度を作りましたゆえんなるものは、決してつき添い制度の今日の実情が十分であるという考え方で作られたものでないことは明らかでありまして、ただいまの御質問に関連して私の所信を申し上げるならば、つき添い制度というものがプラス面もあるかわりには非常にマイナス面もあった、つまり療養所の運営について、療養所の指揮下にある職員であるならば、十分教育訓練を徹底して行うことができ、熟練された技術による看護が行われるという、いわゆる療養所の管理部面からする観点もございまするし、今日まで患者についておりましたつき添い婦は一人対一人の関係でついておった関係もありまして、他の重症患者に対して十分なるみとりをすることができなかったというような点もありまして、この際これを改めていった方がよかろうというので、先般予算の説明の際に述べましたような提案理由をもちまして、つき添い婦をこの際やめて、一方において完全看護の方向に向う正式の職員を養成いたしたいというような考え方に切りかわったわけであります。従いまして、ただいまの御質問ではありまするけれども、つき添い婦制度というものを残しておいた方がよいのだという考え方で衆議院も御決議を願ったのではなくして、つき添い制度を全面的に今日廃止することにするならば、ある療養所においては相当な欠陥ができてくる。従ってこの点を十分勘案をして、直ちにつき添い制度を全面的に廃止するがごときは当を失しておるという御決議ではないかと、こういうふうに思っておる次第なのでございます。
○竹中勝男君 またあとで。
○田村文吉君 二千二百七十名の人を採用することは、つき添い婦をやめるという条件のもとにこういうことをお考えになってあるわけなんですか。
○国務大臣(川崎秀二君) これは純粋に出発いたしましたのは、療養所の管理を徹底をするというのが一つと、完全看護の方向に向って歩み出したいという純粋の理念と考え方に基いて出発をしたものでありまして、それに伴って予算上あるいは経費の節減上というような問題が起って、つき添い制度の廃止ということが付随的に起ったものと考えております。
○田村文吉君 完全看護の意味で、専門の看護婦を置かれるという意味でなさること自体は私どもも異議はないのです。ないのですが、また一方から考えると、現在のつき添い婦というのは一体どういう人がつき添い婦をやっているかということを考えてみる場合に、今日の非常に就職困難な時代にそういうことをすることは、大きな政治の面からいってあまり感心したことじゃないのだということが、衆議院の決議になっているのじゃないかと私は思うのです。そこでそういう問題について、私どもは数が少しくらいふえたってもそれはしようがないが、この際失業者を出すようなことにならないで、しかも完全看護になるような方法を考えられないものだろうかということを考えたいのでありますが、大臣はそれについて、何かそういうような方向にいける考え方はありませんか。
○国務大臣(川崎秀二君) そこでただいま田村委員から御指摘の通りでありまして、衆議院の議論も大かたの議論がそういうただいま田村さんがおっしゃられたようなことに一番の懸念を持っておられるようであります。従って二千二百七十名の増員をいたしまする場合に、適格者であれば、優先的にこれに従来のつき添い婦を充てるということを私も答弁もいたしておりまするし、責任を持ってそういうふうな方向に向けたいと思っております。それでもなおかつ、九百名ほどの者が出るわけでありますが、病床の増加に伴いまする新しい要員が必要なのでありまして、これが大体四百名ほど見込まれると思うのであります。さすると二千六百七十名ほどはこれに吸収することもできるのではないか、もとより二千二百七十名全部がこのつき添い婦ということにはなりかねる情勢もありまするけれども、そのほかに四百名という、新たな増床に伴うところの計画もありまするし、さらに公的医療機関にお世話をするという方々も相当に見込まれるのでありまするから、従って三千二百名と押えておりまするつき添い婦のうちには、今回の措置がとられますれば、非常に少数ではありましょうが、自主的に職場を転換をされ得る見込みの方々もなきにしもあらずでありまして、いろいろなことを考えますると、終局的に失業的な状態でどこへもつけないというような人が出てくるケースは非常に少くなるのではないかという見通しを持っております。しかし、少数にしても、こういうつき添い婦のような方々は医療機関以外のところに職場を求めるということは非常に困難であり、ことに戦争未亡人その他の非常に生活の窮迫した方々でつき添い婦をやっておられた方々が多いわけでありますから、その点につきましては十分の配慮をいたしまして、私は最終的な問題につきましては、労働省にも連絡を直接とってはおりまするけれども、その以前において、失業者の出ないような措置を講じたいというふうに考えをいたしておる次第であります。
○田村文吉君 大体そう伺って安心したのでありまするが、今日のような時代には、少くとも一人もこれがために失業者を出さないで看護をもっと十分に手を尽してやると、こういう意味でお扱い下されば、十分にそれを生かして使う方法があるのじゃないか。それをどうも役所式に、余るからといってどんどんやられますと、結局不幸な人が出て気の毒な人が出る、こういうことがなされる。大臣が三千二百人の現在いる人、この人たちに失業させぬということをはっきり言っていただければ、少くとも、一年間ぐらいは失業者を出さないでいくということをはっきり言っていただければ、私大へん工合いいのじゃないかと思います。
○国務大臣(川崎秀二君) ただいま仰せのことは、だんだんに私も感得せられるものがあるのであります。従いましてそういうような気分で処置をいたし、失業者を出さない方向に向ってしていきたい、かように思っております。
○竹中勝男君 今つき添い婦が非常に不安に、全国的に不安に思っておる点はその点なんです。現在のつき添い婦の、これが一人も失業状態にならなく切りかえられるとしても、現在のつき添い婦の収入と今度の雑仕婦制度の収入とは、相当開きがあると思うのであります。こういう点について現在のつき添い婦は、それによって現在の所得によって生活をしておる人たちなのですが、これが配置転換、あるいは雑仕婦へと切りかえられる場合に、生活を脅かすという点については、失業ほど深刻でないにしても、相当深刻なものがあると思いますが、その点についてはどういうふうにお考えになっておりますか。
○国務大臣(川崎秀二君) 詳細は今医務局長から答弁をさせていただきますが、地域差なども考慮いたしまして、今度の職員の俸給のきめ方並びに地域給等についても十分考慮いたしますので、従来とっておられたつき添い婦の、おおむね一万円でありますが、今回の新職員もこれと比較してほぼ同様の措置をとるようなことになっております。なお詳細は医務局長から答弁させていただきます。
○政府委員(曾田長宗君) ただいまの点につきまして、従来の調査によりますと、全国的に見ますると一万一千円くらいに月なっておるというようにつかんでおるわけです。もちろん東京でありますとか、そのほかの大都市におきましては、相当一万三千あるいは中には有資格者の人でありますと一万五千に近いものをとっておる人たちもあるのです。全国的に見ますと今申し上げたような状況であります。それに対しまして、今般予算に組んでいただきましたのは五級の三号でございます。これはいろいろな手当等を入れますと、平均いたしまして、八千三百円でございますが、それくらいに大体当るわけでございます。これは本年の予算としましては、この三カ月で組んであるのでありますが、平年度に直しますと、期末手当等がこれに加わって参ります。こういうことにいたしますと、大体私は一万円を少し出るというふうに考えておるのでありまして、そのほかに今度共済組合の利用の道が開かれて参るというようなこともございますので、おおむね待遇といたしましては、私どもそれほど低下はいたさないというふうに考えます。
○山下義信君 この問題は、先ほど私が申し上げたように、別の機会で十分詳細に検討したいと思うので、大臣が、衆議院の決議についてはよく考慮すると、だから廃止の時期等についても、従来の方針を再検討をすると言っておるのですから、私は今日のその答弁でとどめておきます。その再検討はどういうふうにするかということは、今日すぐ言えといっても無理ですから、われわれはこの次審議する機会に、またどういうふうに再考慮するか、再検討するかということは承わることにしようと思う。ただ一言言うておきたいことは、このつき添い婦の廃止の理由、それは完全看護云々だというようなことを言っておる。しかし政府の腹は、別にこの廃止を断行しようとするのには大きな理由があるに相違ない。それはわれわれは他日の機会に聞くとすることにして、そういうこともまた政府は率直に医療制度全般について、あるいは社会保障制度全般について、相当いろいろな計画的な施策をするというような考えがあるならば、われわれは他日の機会に聞きたいと思う。つき添い婦の問題につきましての私の質疑はこの程度にとどめておきます。 次に、もう一点私は承わりたいと思うのは、健康保険のことについて、これも言うておればきりがないが、私は一つだけ聞きたい。保険料率の引き上げをやるのかやらないのか。やるならばいつやるのか。それでやぼなことを聞くようでありますが、大事なことだから、これは大臣から聞きたいのです。保険料率の引き上げをやるのか、それでいつやるのかということを承わっておきたい。
○理事(加藤武徳君) ちょっと速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
○理事(加藤武徳君) 速記を始めて下さい。
○国務大臣(川崎秀二君) 健康保険の問題につきましては、本年の予算の編成におきまする一種の政治的問題があったことは御承知の通りであります。従ってあのような措置をいたしたのでありますが、十分な対策だとは考えておりませんが、国会に臨むに当りまして、責任ある態度をとりたいという考え方から措置をいたしまして、いずれ健保の改正案を審議する際に、提案の理由その他につきましては詳細に申し述べることにいたしますが、山下委員はすでに諸般の事情を御承知でありますので、端的にお答えいたしますが、社会保障制度審議会並びに社会保険審議会から、それぞれ健保の料率引き上げ並びに標準報酬の引き上げ反対という結論が出まして、その審議の過程を十分に考えてみました結果、これの意見を一部尊重いたしまして出しましたのが衆議院に提出いたしました法案の内容でございます。 そこで健保の料率引き上げの方は、種々その後の各界の情勢を聞いてみますると、必ずしも総会に現れた考え方だけでもないのでありまして、政府としては赤字対策の今日の実情からいたしまして、健保の料率の引き上げを断行いたすつもりであります。これは変更の意思はございません。そしてその時期は七月からということになっておりますが、予算編成上のあれから六月にさかのぼるような措置をとることもあるかと思います。
○山下義信君 どうしてもおやりになる、これは大臣の権限でおやりになるということでありますから、やろうとおっしゃればやれるかもわからぬ。しかしやらせるかやらせぬかはまたこちらにも考えがあるのであります。私は別に懇意な川崎厚生相を穴の中に入れるつもりじゃないが、しかし保険料率の引き上げということは、保険制度の中で非常にこれは重大な問題だと思う。それでよく当面の緊急対策とか根本対策とかいうことを言うが、これは当面の施策で引き上げるのじゃなくして、保険料率というものの変更というものは非常に重大な私は問題だと思うのです。少くとも重大問題の一つであることは言うまでもない。ある意味においては緊急対策のために保険料率をしょっちゅう変更されるというようなそんなでたらめな保険行政はない、あってはならないのであります。だから料率を一つきめたら二年や三年の先を見通して、年々料率を上げたり下げたり、そんなことはあなた、これはよく御承知の大臣に申すまでもないことでありますが、そうするとこれだけの重大問題をやるというならば、最近あなたは、従来の審議会などはどうもまだるっこしくて間に合わぬからというので、何か五人とか、七人とかという人を集めて、法律によらないであなたの諮問機関か何か委員会を作って、これに根本対策を立案してもらって、もらってと言っては失礼ですが、お尋ねになって、そうして早くその根本対策をきめていく、こういうためにそういうものをお作りになったということなら、私はこういうものをお作りになると、従来の審議会や何かを無視したことになって、しかもことごとく変ったメンバーを集めるならいいが、そのメンバーの大半は審議会の委員であり、何とか会の委員である。要するところ、そういうものをお集めになっておられますが、その上での根本対策というのは、今もう、来月といってももう六月でありますが、保険の料率は七月から断行する。そういう重大な問題をおやりになるというなら、それまでに健康保険の根本的対策は、すでにもう確立されて、成案を得られてなさることであると思うが、そういう御用意の上になされるのであるか。保険の料率だけは切り離して、飛び離してこれはおやりになるというのか。一連の根本施策はそれだけに、御腹案はもうちゃんと作っていくんだというお考えでありますか。その点を念のために伺っておきます。
○国務大臣(川崎秀二君) 健康保険の料率の引き上げは、非常に重大な問題であると私も認識をいたしております。しかしながら今回、昨年度におきまして四十一億の赤字を見、本年もまた六十一、二億と推定をされるところの赤字が予想されておる健康保険の財政の収支均衡について、何らの具体策を持たずして厚生大臣がこの国会に臨むことは、無責任もはなはだしいと考えておったのであります。もとより従来自由党内閣のとっておりました赤字はすべて国において融資の形で負担をするというのも一つのやり方とは思います。しかしこれは赤字が増大をしてきて、それを国家が最後には国庫負担の形でなしに、赤字をそのまま融資の形で始末していくということは、いつまでたっても健康保険に対する国民全般の認識、あるいは健康保険に加入をしておるものの、自分の対内におけるところの財政の措置ということについて、認識を喚起するゆえんでもなければ、これは健康保険を将来崩壊に導くものであるということに私は考えをいたしまして、できる限り今年中の赤字対策は、恒久対策とも関連はいたしまするけれども、一応の締めくくりはつけて、国会に臨むのでなければ、責任ある厚相の立場ではないと考えたのでありまするので、まず第一に行なったことは、一割の国庫負担を大蔵大臣に対し、終始要求をいたしたのであります。幸いにしまして、各党、各派を超越をいたしまして、非常な御支援も受けました結果、それでもなおかつ財政当局は編成の過程におきまして、国民の納税をもって、一部の健康保険の、千四百万とはいえ、一部の国民の、一部の階層の者のために国庫が負担をするということはあやまちであるという議論を持っておったのでありますが、これに対して終始粘りました結果、一応十億の定額国庫負担ということを実現をいたしたのであります。これと同時にほぼ一割の国庫負担に見合うところの、その他二十億の融資も、年度当初において決定をいたしたのでありまするから、国が赤字財政に対して、およそ半額の責任を持つということになりますれば、一方において保険の料率を引き上げて被保険者にも御負担を願うことが、この際他の国民に対するところの被保険者の責任ではないかと、私は今日考えをいたしておるのでありまして、この考え方には毛頭変更する意思はございません。その際に私のとりました態度といたしましては、でき得る限り患者の一部負担だけは避けたい。かりに将来どんな結論が社会保障制度審議会あるいは社会保険審議会または私が今回来年度の予算対策をもからめての恒久対策といたしまして作りました七人委員会の結論が出るにいたしましても、患者の一部負担をせよというような声にかりになりましても、それは多くの人々の議論を聞いた後に決定をいたすべきことでありまして、今日では社会保障の後退になる患者の一部負担だけは避けたいという考え方から、この二つの線を、国庫負担と料率の引き上げという二つの線を強く押して今日に至ったという過程を御了承を願いたいと思うのであります。この点につきましては、いろいろ御議論がありまして、御反対がことに労使双方においてある。中立の委員は大体これに対して賛成であるという、非常に奇妙な形が、社会保険審議会並びに社会保障制度審議会に出ましたけれども、その意味合いをもって今日全国民的視野からとった手段方法であると御了解を願いたいのであります。しかしこれはいろいろ御議論もありましょうから、私の所信だけを申し述べておいたわけでございますが、ただいま御質問のこういう料率の引き上げは、むしろ七人委員会等の結論をも得て出すべきではなかったかということでありましたが、そのような結論を待っておりますると、国会に対するところの責任も、また予算に対するところの責任も果し得ませんので、一応厚生省といたしましては、料率の引き上げを断行するという措置をとった次第であります。
○山下義信君 時間もありませんし、他の委員の御質疑がありますから、これでよしますが、私は厚生大臣がこの料率の引き上げを、健保に対するこの根本対策と関連なしで切り離してやろうとするその態度には、まことに遺憾の意を表します。それからこれは厚生大臣の権限でできることだが、勇ましくやるやるというが、健康保険法の改正法律が出た機会に、その中に定められてあるところの政府にまかせてある、この料率の幅の頭打ちを修正をして、六〇%ということに、もし多くの同僚議員が賛成したら、これはできぬ。だから厚生大臣の権限だからできるに限ったことではない。これをおいさめ申し上げる機会はわれわれの方にあるということを申し述べて、きょうの私の質問はこれだけにいたしておきます。
○竹中勝男君 関連質問。いずれ御質問したいと思いますけれども、大まかなことをいえば、厚生大臣が属しておられる民主党が社会保障の充実とか増強ということを国民に公約されたことと、今年度の予算における、たとえばただいまのつき添い婦の廃止の問題にしても、この健康保険の料率の引き上げ、その他標準報酬の引き上げ、あるいは療養給付の制限、こういうものはいずれも赤字に対するところの対策が基本的に出ておると私どもは考える。で、赤字に対する対策のために、むしろ社会保障は実質的には後退する結果を生むようになっておるのですが、これに対してですね、厚生大臣は現在の政府に向ってこの公約を守るための戦いといいますか、党内の戦いといいますか、政府部内におけるそういう国民の社会保障を擁護するという立場に、今大臣のお立場からの御所見はどうなのですか。これはどう公平に見てもですね、社会保障の増進あるいは躍進ではなくて、後退あるいは縮減になってくるというふうに、公平にこの全部の委員はそういうふうに感じると思います。この点についてお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(川崎秀二君) 今の竹中さんの御質問は、今度の予算とも関連をいたしておりますが、私の所信を尋ねるということでありましたから、それに重点を置いてお答えいたします。私はこの予算に満足はいたしておりません。それから率直に申しまして、社会保障の非常な前進をはかった予算だとは思っておりません。そこで本年の社会保障経費は、総額におきましては失業対策を含めて千六億という数字は出ておりますが、内容を御分析願うと、御質問または御意見を交えての御質問の通り、社会保障制度が前進をしたという実質的な効果は非常に少いように思います。思いますが、御承知の通り昨年以来健保は四十億の赤字を出し、また国民健康保険は、昨日も衆議院で質問があったのでありますが、これは市町村が主体を持っておりまするために、報告をしてくる県もあれば報告をしてこない県もあって、的確に数字をつかめないのでありますが、私どものつかんでおる数字では六十二億一千万円ぐらい赤字であろう。しかしこれは非常に黒字の市町村もあれば赤字の市町村もありまして、必ずしも一律的に論ずることはできませんけれども、とにかく国保も相当大きな赤字であるということは率直に認めなければならず、そういう危機がどこから起ってきたかということの認識は、それぞれ各委員あるいは私どもによりまして相違はいたしておりましょうけれども、従来の政府というものが社会保障に対して熱心でなかった、また第一次鳩山内閣以来の政府もわずか六カ月ほどではありまするけれども、この間におきまして十分な施策を推進するところの具体的なプランというものを提示をしておらなかったということは事実であります。そこで予算編成に当りましては、御承知のように第一次大蔵原案なるものが発表されました際には、今日の予算よりも総額におきまして七十億ほど、融資も含めてであります——融資も含めてでありますが、七十億ほど少く見積ってありまして、ことに健康保険の赤字というものに対しては何の考慮もされておらぬ。あるいは国民健康保険の一部が落ちておる、簡易水道、上下水道等々非常な補助金の削減でありまして、その間にありまして、衆参両議院の社会労働委員会の各位から非常な御激励を受け、党内におきましてもこれは公約違反であるというような声が巻き起りまして、その結果、今日の予算の修正におきまして、第二次修正におきましては、社会保障費が一番その修正の際には進出をしたことだけは何人も否定することができないのであります。従って私といたしましては、社会保障の後退せんとしたやつを食いとめたということは自信を持ってここで申し上げることはできますが、あなたが申されたように、非常な躍進をしておるということは、数字の上では一千六億になっても、実質的には赤字対策というものがあるのだから、従って後退をしておると御指摘になるという点もうなずけないものではありません。しかし私は後退をしておるというよりはむしろ前進をすることができなかった、後退をせんとしたのを防ぎとめたという感覚でおるのでございます。
○長谷部廣子君 お急ぎのところ、いいでしょうか、一分ばかりですが……。またつき添い婦の問題に戻るのですが、なぜつき添い婦制度をやめるかということは、政府の御意向を私大体わかったわけなんです。今度は個人的に大臣にお伺いするのですが、個人としての大臣にお伺いするのですが、あなたはつき添い婦につき添われて入院したことがおありでしょうか。
○国務大臣(川崎秀二君) 私はありません。
○長谷部廣子君 それでは私ほんとうのことはわからないのじゃないかと思うのです。看護ということが、政府のおっしゃるように二千二百七十人の増員をする、完全看護とまではいかないかもしれないけれども、大体それでできるのじゃないかというような予想を立てていらっしゃるわけなんです。しかし私は看護ということは、ただ机の上の計画であるとか、頭の中で考えているだけではいけないと思うのです。やはりほんとうに看護をされている病人のほんとうの気持を聞いてみなければわからないと思うのですが、病人にお聞きになったことがございましょうか。
○国務大臣(川崎秀二君) 私の兄嫁も長く療養所におりまして、私は入院した経験はございませんけれども、そのような実情は承知いたしておりまするし、また衆議院の各委員会におきまして御質問の方々、たとえば帆足君だとか、あるいは社会党左派の八木君等から切実なお話も聞き、また一般の療養者の方々からも陳情を受けると同時にお話を聞いたことは数十回ございます。
○長谷部廣子君 私はまた大臣がどういう陳情をお受けになったかしりませんが、私の聞きますところによりますと、非常に病人はこの制度が廃止されるということについて心配しておるわけなんです。それから事実私の知っておりますつき添い婦の方でも、寝食を忘れて看病しておいでになるほんとうに母親のようなあたたかいやさしい心でひたむきに看病をしておられる、そういう姿を見たときに、なぜこの人たちを廃止なさるような気持におなりになるかということか私は不審でならないわけなんです。ですからどうかこういう人たちを、先ほどどなたかの御発言にもありましたように再教育してもいいと思いますが、どうか失業させないように大臣もお考えをいただきたいということを、私くどいようですけれどもお願いするわけでございます。
○理事(加藤武徳君) 厚生大臣は退席されてよろしゅうございますか。
○高野一夫君 質問はしませんが、私は大臣に相当突っ込んだお尋ねをしたいと思いますが、午後一つぜひ。
○国務大臣(川崎秀二君) 午後はそうすると一時半に参ります。
○理事(加藤武徳君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○理事(加藤武徳君) 速記を始めて。 それでは暫時休憩いたします。 午後十一時四十七分休憩 ————・———— 午後一時四十五分開会
○理事(加藤武徳君) では再開いたします。
○山下義信君 議事進行について発言いたしたいと思います。 午前問題になりましたつき添い婦廃止の件につきましては、当委員会に議題として取り上げていただきますようにお願いしたいと思います。そしてその扱い方につきましては、理事会において一つおきめを願いたいと思います。動議として提出いたします。
○理事(加藤武徳君) ただいま山下議員からつき添い婦廃止の問題を議題として取り上げろ、かような動議が出ておりますが、委員の皆さんの御意見を承わりたいと思います。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○理事(加藤武徳君) それでは山下議員のただいまの動議を取り上げまして、本委員会の議題にすることにいたします。なお取扱いは御発言のように理事会で検討する、かようにしたいと思います。 —————————————
○理事(加藤武徳君) それでは午前に引き続き、厚生省関係昭和三十年度予算及び厚生行政方針について質疑を続行いたします。
○高野一夫君 私は厚生行政全般の問題について、相当の数の項目にわたって大臣にお尋ねしたいわけなのでありますが、最初私だけ時間をとってもほかの委員に御迷惑でありましょうから、今日はとりあえず七つか八つ、十くらいの項目について御所見を伺いたいと思います。こまかい点はいずれ後日政府委員から聞かしていただき、またお尋ねする機会もあると思いますので、根本の問題だけお尋ねしてお見解を伺っておきたい。 まず第一に、最近国民健康保険が相当昨年来全国市町村に普及したのではないかと考えているのでございますが、これはいずれ厚生省に資料の提出を要求したいと思いますけれども、大体のところどういうような普及の状況になっているものやら、今後の趨勢について、これは国の補助の問題にも関連して参りましょうけれども、どういうふうに川崎厚生大臣お考えになっているか、その辺のお見込みを伺いたいわけであります。これは健康保険、それから日雇い労務者には日雇い労務者の健康保険もありますし、生活保護関係には医療扶助がある。国民健康保険が今後普及するということになれば、社会保険の中核をなすべき社会保険医療については、私は非常に被保険者がふえて参って、あるいは全国民の九十数パーセントは何らかの社会保険を受けられるような状態になるのではないかと、かように考えるわけであります。そういたしますれば、ますます社会保険医療というものがきわめて重大な事柄になるから、あらゆる角度からあらためて検討を加える必要もありはしないかというようなことも考えるものでありまするから、現状と、今後の趨勢について大臣の御見解を伺いたい。
○国務大臣(川崎秀二君) お尋ねの国民健康保険は、健康保険と並んでわが国社会保険の二大支柱をなすものであることは御承知の通りであります。ことに将来の社会保障行政の中核体と申しまするか、社会保険の中において占めてくる比重の大きさから申しますると、むしろ健康保険よりも国民健康保険に将来性を託していかなくちゃならぬというふうに私は考えておるものであります。もとより健康保険は各会社、各事業所におきまして、それぞれ従来の歴史もあり、相当に充実を見せているのでありまするけれども、将来性ということになりますれば、立法の趣旨からいたしまして、国民一般を対象としたる国民健康保険を伸ばしていくことが、今日以後におけるところの社会保障政策の重点にならなくちゃならぬことは、しばしば衆議院本会議、参議院本会議等におきまして申し述べた通りでございます。そこで数字のことにつきましてお尋ねがありましたが、これは事務当局を待たずいたしましても、当然出る質問でございますから、私から御答弁を申し上げます。ことにこの昭和二十八年度から療養給付費に対する二割の国庫補助が助成交付金として交付されることになりまして以来、非常な伸び方を示しておりまして、保険者の数は昭和二十九年三月末現在で五千百三十九、(市町村の公営四千九百十五、普通組合八十六、特別組合三十三、社団法人百五)となっておりまするが、昭和二十八年——おととしの三月末現在に比しまして、昭和二十八年度中に事業開始した市町村は、合併による未実施区域に事業を実施することといたしました保険者を合すれば五百十に達しております。そこで現在被保険者の数は、昭和二十九年三月末現在で二千四百九十万六千人ありまして、二十八年三月末現在に比し二百十五万三千人の増加を見ております。昭和二十九年六月末には二千五百二十三万一千人に増加し、更に二十九年の九月末現在で二千六百三十三万四百九十九人という数字になりまして、普及率もまた昭和二十七年度末、すなわち二割国庫負担の実施をいたさなかったときの普及率が四九%九でありますものが、二十九年九月末現在では五九%三となっております。なお本年の予算の方は二千六百八十五万六千人という若干の伸びを見まして組んであるわけでございます。
○高野一夫君 健康保険のことについては御尽力願いたいと思います。なおこまかい点については、後日政府委員に伺いたいと思いますから、この問題についてはこれで打ち切りたいと思います。 次に、受胎調節の問題でちょっと伺いたいのですが、これは数年来自由党内閣でも受胎調節普及運動の閣議決定もいたしたのでありますが、残念ながらわが党の、自由党内閣でございましたけれども、どうもあまり成果を上げてないように思います。ところで今度あなたが大臣におなりになりまして、この普及運動に非常に力をお入れになるやに伺っておりますが、従来の経験からかんがみまして、ただ政府、厚生省だけが普及運動に乗り出すというのではどうも効果が上らない。厚生省の普及運動に対して協力せしめる意味において、外郭団体を結成したらばどうか。たとえば医師会であるとか薬剤師会であるとか、助産婦会であるとか、その他人口問題等いろいろな研究をする団体、そのほか一切の関係団体を集めて、それで一つの普及運動をやって外郭団体を作って政府の方針に協力させることにすれば、相当普及運動が強く浮び上って成果も上げられやすくなるのではないかと、こういうふうに考えるのでありますが、そういうような、政府のほかに打って一丸とした外郭団体でも作ろうかというお考えはお持ち合せないものかどうか、御意見を伺います。
○国務大臣(川崎秀二君) 結論の方から申し上げますると、ただいま仰せになりましたことは大賛成でありまして、民間団体としてそういう機運が盛り上ることを期待をいたしております。なお受胎調節の問題につきましては、自由党内閣の時代からも非常な御関心であり、すでに準備は進められておったのでありまして、今度の予算に露頭があらわれましたが、すでにそのことは前吉田内閣におきましても非常な関心を払われて準備をされておったことが今度現われたことでありまするから、従いまして、これはこの施策に関する限りは、非常に政府の考え方は進みつつあると見なければならぬのであります。ここに御披露申し上げて恐縮でありますが、他の問題は相当財政当局もチェックすることが多いのでありますけれども、受胎調節の問題では、今度は積極的に第一次の原案から載せてくれまして、従来の優生保護相談所のいわゆる二千六百万円の費用のほか、新たに三千二百万円という特別国庫補助金が計上されたわけであります。これによりまして、従来受胎調節が最も必要であると見られる貧困階級、あるいは鉱山地帯等のいわゆる多産の傾向のあるところに対して全然行われなかったことが、今度の新たな施策によりまして、避妊器具を配付する、あるいは半額公費をもって避妊器具を負担するとかいうような措置がとれることになりましたので、今回の施策を機に相当の充実を見せるものと思います。しかしお説の通り、政府がいかにかけ声をかけてみましても、笛吹けど人踊らずではこの問題は解決をいたしませんので、九月下旬には東京で開催される第一回の国際家族計画会議などの機会を中心に、民間に対して宣伝をいたすとともに、幸いにしまして、各放送局、新聞社等におきましては、非常にこの問題について御関心があり、民間自体で相当大きな動きが起ろうといたしておりますが、同時に医師会、薬剤師会あるいは助産婦等のいわゆるこれらの問題に深い関係を持たれる諸団体が打って一丸となった外郭機関を設けられることは、もとより賛成をいたしております。その際におきましては、厚生省と連絡を密にしてできるだけの便宜を供したいと考えておる次第でございます。
○高野一夫君 今の問題は非常に御賛成下さってわれわれもその線で進みたいと思います。今後ともよろしくお願いいたします。 次に、昨年参議院が主になりまして覚醒剤取締法の改正をやったのでありますが、その後の様子を伺いたいのでありますけれども、これは非常な長時間を要すると思いますので、これは他日の機会にあらためて理事会にお諮りいたしまして、質問いたしたいと思いますので、今日は留保いたしておきます。 そして、その問題はやめて、次に私医療費の問題について御見解を伺っておきたい。それはまずどういうことかと申しますれば、年々国民の負担する、あるいは国の負担する、公共団体の負担する総額にいたしまして、医療費が年々莫大な増額をしまして、そこでたとえば社会保険の被保険者がふえるから社会保険関係の医療費がふえるというようなお話でありますが、自費、社会保険合せての厚生省からの統計を出されておりますが、これを見ても、年々ふえる。そこで昨年厚生省から出た資料を見ましても、二十六年から二十七年にかけて病院、診療所に支払われる医療費が三百四十六億円ふえております。二十七年から二十八年にかけては同じ支払い額が四百七十七億ふえておる。ところで私どもがいつも不思議に思うのは、医学も医術も進歩して薬学も進歩する。新しい薬ができる。従って十日でなおる病気が五日でなおる、千円かかった医療費が八百円、七百円で済むようになっておる。学問技術の進歩と比例して治療期間の短縮、従って医療費の軽減というものが当然起るべきものじゃないか、こういうふうに一応考えるわけであります。ところが事実においては一年に四百ないし五百億に達する増加をみておる。ということは、まことに不可解なる現象だと私は考えておるわけでありますが、こういう点について、大臣はどういうふうにお考えをお持ちであるかどうか、こういうことはやむを得ない当然なことであるとお考えになるのでありますか。どうもそれはおかしい、どこかに欠陥があるからそういうことになるのではないかというふうにでもお考えになるのか。一応の御意見を伺っておきたいと思います。こまかいことはあとでまた……。
○国務大臣(川崎秀二君) 私は医薬の関係の専門家ではありませんから、十分にお答えになっておるかどうかはわかりませんが、政治家として考えておりますることは、医療費が年々四、五百億も多くなるということは、わが国の現状より——過去から見れば、大体まずやむを得ざる傾向ではないかというふうに考えるものであります。そのやむを得ざる傾向とは何かと申しますると、医療の機会というものが非常に多くなっておる。つまり従来病気をされた方々が直ちに入院をするとか、あるいは医療を受けられるということは、明治から大正にかけて非常にその機会を、早期に診断を受けられるとかというようなことは、従来戦前では今日のパーセントテージからすると非常に少かったのではないか、医療の機会を、みずから進んで受けて、なるべく健康を保ち、同時に長生きをするという思想が相当深く国民の中に浸透してきたればこそ、最近におけるところの国民の平均年齢というものもにわかにふえまして、ある意味では医療費の増大ということは、国家におけるところの負担、あるいは個人の負担が非常にふえたという点では、悲しむべき点もありましょうけれども、一方において平均年齢が非常にふえた、ことに日本人の平均年齢が最近において六、七歳もふえたということは、世界的に見ると非常に驚異的な事実ではないかと私は考えておるのでありまして、その意味からすれば、今日の日本の国民の民度、あるいは人間の生命尊重という立場から、医療機会というものが増大してきたことは、私は決して悲しむべき傾向ではないと、国家として当然の行き方だと思っております。これに伴う医療費の増大ということはやむを得ざることでありますが、御指摘の通り、医薬が進歩し、それから学問が進歩しておるにもかかわらず、医薬に関する費用が、医療機会の増大ということに比例して伸びてきたというよりは、そのもの自身も伸びておるということになりますれば、相当重大な問題ではないかというふうにも考えますので、これらは将来十分に考えをいたしていかなければならぬことだとは思っております。もっとも患者の側とは別にして、医薬関係におきましても、病気を早く治療するために相当高貴な薬を使うというような傾向もありまするし、そういうことが今日の医療費の増大になったかとも思いまするが、西ドイツ、あるいは同じ敗戦下におけるところのイタリーの数字などを見てみますると、日本の今日の医療費の増大は、国政全般の見地からすればやむを得ざる方向のように私は考えておるのであります。
○高野一夫君 この問題についての御見解を聞かしていただいたわけでありますが、私はたとえば人口の増加、平均寿命の延長とか、そのほかに医薬品が高いのができたとか、高価な医薬品を使うとか、あるいは医療の機会がふえてきたとかいうことが相当の原因をなしているとは思いまするけれども、ただそれだけでもってはどうも一カ年に四百億も五百億もふえておるということについてはなかなか納得ができないのでありまして、こういう点については、厚生省からまだ資料が出ておりませんので、これは他日また政府に御質問しますが、この増額する、これは一体どういう原因でこんなふうにふえておるかということについての内訳といいますか、分析といいますか、そういうことについての詳細なる資料を提出していただきたい。 次にこの問題と関連があるかないか存じませんが、前の国会において私は厚生省に資料の要求をいたしておったのであります。これは現大臣は御承知もないことであったわけなんでありますが、それはこの厚生委員会が前に社会保険小委員会を作って、そして社会保険のあり方について、いろいろな決議をいたしておる。ところがそれに関連をいたしまして、私は保険監査の実情についての資料を要求してある。それは今日保険医の全般ではありますまいけれども、きわめて部分的な保険医でありましょうけれども、きわめて部分的な保険医が水増しの請求をやる、不正の請求をやるということであっては、大部分の良識ある保険医が迷惑するから、できるだけそれを防がなければならぬ。それをいかにして監査して、いかにしてその処罰をしていくか。そしてまたその監査した結果、いかなる成果が上げられておるか、こういう点について、かつて私は資料を要求してある。それがまだ出ない。これは速急に資料をこの委員会に提出していただきたいのであります。そこで川崎大臣に伺いたいのは、保険医の監査の必要を特に私は痛感するわけでございますが、現在厚生省は保険医監査にどういうような努力を払っておられるか。もしもお払いになったといたしまするならば、その結果何らかの成果が多少なりとも見えたものでありましょうかどうか、その辺のことをちょっと伺っておきたい。
○国務大臣(川崎秀二君) 大体私から御答弁申し上げて……、せっかく資料の要求をされておったそうでありますから、資料が一部分出まして、全部御満足のいくような資料でありますかどうかわかりませんけれども、ここで発表申し上げまして、そうして私の見解を申し上げたいと思います。 保険監査の結果につきましては、監査の対象となった保険医の数は、昭和二十七年度におきまして一千四百九十七人であります。二十八年度においては四百八十七人であります。二十九年度はまたふえまして九百二十六人であります。よろしゅうございますか。それから監査後の処分、指定取り消しというものになりましたものが、昭和二十七年度は百十五人でございます。昭和二十八年度は三十八人でございます。二十九年度に百十八人。次は戒告、戒告では二十七年度が二百九十六人でございます。二十八年度は百四十九人。二十九年度は二百四十七人。注意は、二十七年度におきましては五百二十一人。二十八年度においては百七十四人。二十九年度におきまして百六十三人。これは私今手元にしました資料でありますが、これを見てみますると、二十七年度と二十九年度はほぼ同数のようでありまして、二十八年度においては、何か監査の対象となったものあるいは指定の取り消しというようなものが、やはり二十八年度は非常に少くなっているような数字になっていることを今認めました。このことにつきましては保険局長から答弁をしてもらいます。 なお、最近ことに赤字問題が勃発をいたしまして以来、保険医に対するところの監査というものに対しては十分なる監査をいたしておりまするし、参議院の決算委員会におきましてはしばしば御注意もありますので、一そう厳にいたしたい、実情に即して厳にいたしたいと思っておりますが、この結果、予算上どう響いたかということになりますると、私の気持では、二月に一億五千万ほど予定よりもこのための支払いが少くなっておるというようなことが現われておるということを合せて御報告を申し上げて、この数字の内容につきましては保険局長から答弁させていただきます。
○政府委員(久下勝次君) 大臣が申し上げましたのを若干補足して申し上げたいと思います。保険医の監査につきましては、あわせて指導を行うことにいたしまして、昨年の暮に全国に通牒を出しまして、強く実施をいたしておるところでございます。そのためにとりあえず、昭和二十九年度の中から臨時職員といたしまして、医療関係技官を各県一名ずつ採用するような予算上の措置を講じたのであります。昭和三十年度におきましては、これを定員化いたしまして、本省に四名、各都道府県に一名ずつの医療技官を増員いたしまして、指導監査の徹底を期するという予算が、現在国会に提出せられておるような状態であります。これに伴いまして、定員法の改正等も当然行われるわけでございます。以上のようなことでございまして、二十八年度に監査の成績が上っておりませんでしたのは、実は当時監査要綱等に対して、関係者からいろいろな疑義が出まして、監査の実施に非常に支障になったのでございます。しかしながら、その後関係方面との話し合いにつとめまして、先ほど大臣から数字を申し上げましたように、昨年中ごろから監査の成績は漸次上るようになりました。さらに暮には、関係団体の了解と協力を得まして、保険医の個々の指導につきましても、全面的に力を入れてやるような体制になったような次第でございます。その結果、二十九年度におきましては、先ほど大臣からも御報告がございましたように、監査人員も非常にふえて参っております。このほかに、こういう結果に現われません指導につきましても、全国的に現在力を入れてやっておりますような次第でございます。昭和三十年度におきましても、この方針はさらに一そう強く実施をいたすように全国に指示をいたしておる実情でございます。
○理事(加藤武徳君) 高野委員に申し上げますが、資料の要求は委員会を通じてやる、こういうような立前になっておるかと思うのですが、ただいま医療費についての資料要求は、説明でよろしゅうございますか。それともあらためて……。
○高野一夫君 あらためて要求します。
○理事(加藤武徳君) 高野委員から医療費についての資料の要求がございまするが、委員会といたしまして資料の要求をいたす手はずにいたしましょうか、いかがでございましょうか。
○榊原亨君 ただいま高野委員から御要求になりました資料を御提出下さいますときに、あわせて次のことをお願いいたしたいと思うのです。一つは、医療費の増大ということにつきましては、外来の一件当りの点数の各年度別における推移、並びにその入院における各年度別の入院医療費の推移、並びにその中に含まるる結核の入院に対する額というものも、あわせて一つお願いいたしたいと思います。 もう一つお願いいたしますのは、監査の問題の資料でございますが、その資料の中におきましては、大学、公立病院、済生会病院、社会保険病院、厚生年金病院等におきますところの監査の事実、並びにその場合の不正等がございました場合の処分の事実をあわせて、その場合に資料の中にお願いいたしたいと思います。
○理事(加藤武徳君) そうしますと、すでに要求いたしておりまする社会保険医監査についての資料と、新しい高野委員の御要求の医療費についての資料要求、この二つについて、他に御発言はございませんか。——それではすでに要求をいたしておりまする資料も、またただいま新しい要求の資料も、早急に御提出をお願いいたします。
○高野一夫君 久下保険局長にお伺いいたしますが、今、大臣のお話では、二月に監査した結果、一億二千万円の軽減がはかられた、こういうことであります。これを十二倍にいたしますれば、一年に十八億、非常に大きな数になるわけであります。これは二月だけでございますか。一月と二月に。最近調査になった結果は、局長の手元にありませんか。
○政府委員(久下勝次君) 政府管掌健康保険の医療費の支払いは、十二月までは昨年初めからずっと、前年度に比較いたしまして増加を示しておったのでございます。一月以来、各種の行政措置の総合的な結果としてだろうと思いまするが、一月に約一億五千万円ほど、私どもが予想しておりましたよりも支払い額が減ったのでございます。それから二月には一億二千万円ほど減っております。ところが三月になりますると、実は予想よりも若干上回って三十一億円ほどの支払い額になっておるわけでございます。この経過はもう少したちませんと、確実な先の見通しを立てるわけには参らないと思うのでありまするけれども、昭和三十年度の予算の編成に当りましては、私どもとしては、そうした一連の行政措置によりまして、これは単に保険医の指導監査のみでなく、被保険者の不正受診の排除、あるいは事業主の正確な報酬等の届出でございますとか、そういうようなものに力を入れておりますので、そうした一連の行政措置の効果を見込みまして、放置しておきますれば、昭和三十年度には九十億以上の赤字が出るのでございますが、そういうような行政措置を講ずることによりまして、昭和三十年度におきましては、この赤字を六十一億程度に圧縮をするというように考えておる次第でございます。
○高野一夫君 今の久下局長のお話では、三月は三十一億ですか。三億一千万円じゃないのですか。三十一億ですか。
○政府委員(久下勝次君) 政府管掌健康保険の支払い総額……。
○高野一夫君 私の言うのは、監査された結果、先ほど一億二千万円軽減がはかられた、こういう大臣の御答弁であったから、それが先ほどは二月というお話がございましたが、一月、二月、三月おやりになった結果は、どういう数字であるか。監査の結果、事業主あるいは被保険者の方の不正行為でもけっこうですが、すべて包括して、監査の結果どれくらいの軽減がはかられたか、節約がはかられたか。
○政府委員(久下勝次君) 大体監査の結果、先ほど大臣から御報告しました数字に伴いまして、監査の結果、不正または不当に診療担当者に医療費が支払われております場合には、返納を命じております。この額とは別でございます。これは実はただいま手元に持ってきておりません。調べてございますから、後ほど御報告申し上げます。大臣が申し上げましたのは、私が補足して申し上げました通り、単に監査をやっておるから支払いの見込みが減ったという意味ではございませんで、各種の行政措置を総合した結果として、こういう結果が現われております。一月に一億五千万円ほど見込みよりも減り、二月に一億二千万円ほど見込みよりも減る。しかしながら三月におきましては、見込みより若干上回った支払いになったということを申し上げたのでございます。
○高野一夫君 それじゃこの点は、先ほど要求してある資料において、詳しく数字的に御説明願いたいと思います。
○榊原亨君 先ほどの川崎厚生大臣の御発言は、私の聞き間違いかもしれないのでありますが、何か監査をされました結果、一億五千万円だけ医療費が減ったというような、こういうふうにとれるように私は承わったのでありますが、あとからだんだん聞いてみますと、これはいろいろな行政措置を合計した総合的なものの結果、一億五千万円減ったのではないだろうかという御想像ではないかと思うのであります。これをはっきり、確かにそういう行政措置で減ったということでございますならば、罹病率あるいは季節的の病気の変動というものを詳細に分析しなければ、簡単に不正の保険医を監査したから、それで一億五千万円減ったという、簡単なことでは、そういう結論が出ないのじゃないかと思いますが、おそらくこれは、そういう行政措置を通じて、その他の御努力の結果、そういうことになったのではないだろうかという、一つの御想像の御判断ではないかと思いますが、さようでございますか。確かに一億五千万円行政措置によって減ったというように御断言できますか。その点、参考のために伺っておきます。
○国務大臣(川崎秀二君) 今、高野委員と久下局長との間に二回質疑応答がかわされたわけでありまして、これが政府としての見解であることは間違いございません。私ももとより細部にわたってこういう問題については措置をしなければならぬ立場でありますが、たしか衆議院におきましてやはり質問がありました際に、保険医の不正医療行為に対する監査その他収納率に対するところの社会保険の末端機構におけるところの努力等が累積をして、一月には一億五千万、あるいは二月には一億二千万という数字が出たということを記憶いたしたのでありまして、そういう答弁をいたしたわけであります。
○高野一夫君 引き続いてお尋ねしますが、昨年の第十九国会で、厚生省に医薬分業関係の医薬関係審議会設置法案が通りまして、その後審議会が発足を始めたはずであります。当時草葉厚生大臣は衆議院、参議院両院の厚生委員会に出られて、この審議会の結論は去年の八月中に結論を見出して、九月早々国会に報告する、こういうお話があったのでありますが、自来八月になっても九月になっても今日になっても、いまだ何らの結論が出ていないように承知しております。その後再開されたようでありますが、どういうようなふうの状況にあるものやら、一向様子がわからぬのでありますけれども、いつごろまでにこの審議会の医薬分業実施に関する具体的の問題、あるいは除外例、そういうことについての結論をお出しになるお見込みであるかという点が一点。 それから昨年来問題になっております新医療費体系につきましては、その後さらに調査を重ね、修正すべきは修正を加えられつつあるものと好意的にお察ししてそう考えております。ところで、しからばその新医療費体系に基いてこれを社会保険に適用する場合に点数に換算しなければならない。そのためには中央社会保険医療協議会におかけにならなければならぬのでありますが、いつごろその案ができて、中央社会保険医療協議会におかけになって、その結論がいつごろ出せる見込みであるかどうか、これが第二点。 次に第三点は、どうも医薬分業に関する第十九回国会のあの簡単な法律が非常に誤り宣伝されておる。私もしばしば経験を持っているのでありますが、地方におきましては、県医師会あるいはブロック医師会の名前において印刷物が公刊され、そしてたとえば特に希望する場合はどちらからもらってもいいとなっているにもかかわらず、分業を実施すれば医師は絶対に調剤をすることはできない。山間僻地では三里も五里も歩かなければ、緊急治療の場合でも調剤してもらえないというような、全く法律の本旨を歪曲した荒唐無稽な宣伝が行われておる。そこでこういう点については、私は地方の医師会長に、あなたは法律をよく承知しておるのか、あるいは承知しておってわざとやるのか、あるいは知らないのか、ということを聞くわけでありますが、さようにこの法律が誤り伝えられておるということはまことに遺憾である。そこでこれについては、私は所管省である厚生省が主になって、この法律の実態、内容を詳しく民衆に説明して普及徹底して、そういう広報活動を急いでやっていただかなければならぬものだと考えるのでございますが、どうも従来は、大臣が厚生省にお入りになるまでのことでございますけれども、従来はそういうような広報活動があったのやらなかったのやら、きわめてまああったとしても低かったと見ておる。そこで今度は千三百万円のいろんなこの関係の予算もとってあるようでありますが、速急にこの法律の正しい解釈、これを政府の広報活動としてやっていただきたいと思うのであります。こう思うのでございますけれども、この辺についてどうお考えになっておるかということが第三点。この三つについて、一つまとめてお答えを願いたいと思います。
○国務大臣(川崎秀二君) 第一に、医薬関係審議会を昨年来設けておるけれども、これに対して開催をしておってもその結論がなかなか出ないではないかという御質問のようでございます。現在医薬関係審議会は開催されておりまして、審議中でありますが、自後におけるいろいろな準備もありますので、なるべく早く結論を出してもらいたいということを要望をいたしておるわけでございます。型通りの答弁で済ます問題ではございませんので、率直に申し上げれば、私はただいま国会におきまして、予算案の審議あるいは法律案の審議等も非常に山積をいたしておりますので、個人的に十分に力を入れる余裕がないことを残念に思っておりまするが、国会の予算審議が相当に進みました暁におきましては、事務当局のみの力に頼らずに、率先して医薬関係審議会の審議を促進していただくことには努力を払いたいと思っておる次第でございます。 それからそれと関連しまして、新医療費体系に対する点数はいつごろきまるか。これも非常に複雑なかつ重大な問題でありまして、この問題については、各種の御議論がありまして、なかなか早急に結論がつかない点もあるとは存じまするけれども、しかしおそくとも秋にはこの問題に対して一応の締めくくりをしていただいて、中央社会保険医療協議会の方におかけ願うという予定で当局としては進んでおるのであります。 なお第三点といたしまして、医薬分業法案に対する御質問がありましたが、これは厚生省としては、昨年参議院並びに衆議院……参議院の方から御決議を願って衆議院に回され、満場一致をもって一年間法律を延期するということの御決定がありました。その際における参議院の委員会の御質疑あるいは討論などは承わっており、かつ最後に満場一致で可決をされました委員会の速記録なども十分に私はその跡を実は研さんをいたしまして種々考えておる点があるのでありますけれども、とにもかくにも最大公約数は厚生省の医薬分業に対するところの準備が不足をしておるということが、いずれにしても医薬分業を将来さらに延期をしようという論者の方々の、あるいは一年間に限って今度は医薬分業を推進しようという方々の御議論も、最大公約数は厚生省の事務当局の準備不足だということが相当強く論難されておるもののようにも見られますので、とにもかくにも、厚生省としては来年四月から実施をするということについて、十分の体制をしきたいということで今日進んでおるわけであります。従いまして今御指摘のようないろいろな風評については、私どもはそういう風評があるということは承知をしておりますけれども、しかしそのことによって一年間延期という、来年四月から実施をするということの方向には、今日狂いのないことであると思って準備を進めておる次第であるということも、この際明瞭にいたしておきたいと思います。
○高野一夫君 私まだ二、三あるのでありますが、あまり時間がかかってもどうかと思いますので、ほかの問題は他日の機会に譲りまして、最後に一点だけ承わっておきたいと思います。それは、ただいまの医薬関係審議会の結論は、点数の問題、広報活動、そうしてまた誤まれる法律の解釈が堂々と公然と行なわれておる、こういう事態と関連して参るのでございますが、最近国会の内部で、ともするといろいろなデマが飛んでおります。各政党においてもそうであろうと思います。それはいかなるものであるかというと、この医薬分業をこれは破棄する、破棄するために、ここに議員立法を提出して、衆議院か参議院かしりませんが、提出して、そうして再延長とか、その間に準備を進めるとかどうとかということでなくして、すでにこの際一気呵成に医薬分業を破棄すべきである、かような強い意見が外部においても内部においても行われて、そうして、これはうわさでありますから、私は真偽のほどは保証はいたしません。それで、今期国会に議員立法として提出をしたい、こういうようなことがもっぱら、これはほとんど知らぬ者もないと思います。おそらくそういうようなうわさを聞いたのは、私なんかが、つんぼさじきにおって一番おそかったぐらいのものであろうと思いますが、もっぱらそういう取りざたがされておるのであります。このことはきわめて重大なことでございまして、御承知の通りに、川崎厚生大臣は、当時第十国会で、この三法律の改正があったときに、衆議院において御関係があったものと考えまするけれども、あのときは、関係団体の代表が集まりまして、そうして政府原案を非常な修正をして、まず骨抜きと言われるぐらいに修正をして、各団体が一応これで協調の線を打ち出した、いわゆる妥協をした。そうしてその妥協に応ずるということを衆参両院に、各団体の代表が証人として宣誓をした上で証言をして、あの妥協案が出たわけであります。そこで、あの法律を正しく解釈するならば、きわめてなまぬるい法律で、決して医者の人たちが心配されるようなものでも何でもないと思いますけれども、この法律をまたいじるというようなことになるとしますると、実施されない法律が軽々に、厚生省の準備が不十分であったかもしれませんが、軽々に延長された。軽々でなかったかもしれません、延長されて、今後またそれが根本的にいじられるというようなことになるならば、われわれはもちろんのこと、国民全体も、法律というものに対して、ほとんど信頼がおけなくなるのじゃないか。実施されないのに、ああでもない、こうでもないというので、いじり回しておって、何で一体国会は法律を作るのだろう、こういうようなことになりはしないか。法律に対する国民の信頼感を失う。国会議員の行動は、あるいは国会というものに対する権威をみずからわれわれが失わせることになるのじゃないかと思って、そういううわさを聞くたんびに私は実は心寒うしているわけです。願わくは、これは単なる風説であって、そういうようなことが事実において、衆議院か参議院かにおいて、議員立法としてでも提出されるようなことがないということを私は期待をし希望しております。しかしながら、万一、世の中のことでありまして、人がいることでありますから、どういう事態が……起らぬと思いますが、万一さようなる、芳ばしからざる、私としては芳ばしくないと思いますが、さようなことが起った場合に、この問題で準備を急速に進め、そうして熱意を持って進められつつある厚生省として、その所管大臣として、川崎厚生大臣は、どういうふうにこれについてお考えになっているか。この問題について、まだ風説をとらえて抽象論で大臣の御見解を伺ってもどうかと思いまするけれども、これはほとんど皆知らぬ人もないような風説でございますので、お差しつかえない限り、あなたのお考えを一つ伺いたいと思います。
○国務大臣(川崎秀二君) 医薬分業法案成立後、さらに準備不足であるという最大公約数に大きな原因をおいて延期になった今日の過程からいたしまして、私どもといたしましては、鋭意来年四月から実施をするための準備体制を進めるべきであると考えているだけでございます。もとより、御意見にもありましたように、さような動きがあるやにも聞いておりまするけれども、今日は御承知のごとき政党政治の時代でありまして、政党の内部におきまして権威ある政調会等におきまして議決されるというような事態に立ち至りますれば、われわれとしても十分なる考慮を払わなければならぬとは思いますが、今日までのところ、各政党の、有力なる政党の政調会等におきまして、そのような廃案をするというようなことに対する議決をなしたことも聞いておりませんし、またそういうような大きな動きになっているようにも聞いておらぬのでありますから、私どもといたしましては、法律の命ずるところに従いまして、鋭意準備を進めるつもりでございます。
○高野一夫君 あまりくどくど申し上げませんが、大体今のお話で私も了承できるわけでございますが、これは党がきめればそれに従わなければならぬ場合もございましょうけれども、従来の、今準備を進められつつある立前からいきましても、参議院においてかたく申し合せをして、再延長せずにその間十分の準備を進めていって、そうして円滑に実施されるように、こういうことを条件にして参議院で多数決をもって通過いたしたわけでございます。この点も十分一つ新たに厚生省にお入りになった川崎大臣においては御了承おき願いまして、われわれもともにこういうようなことが単なる風説にすぎないということを期待するわけでございますから、十分一つ御勘考おきを願いたいと思います。
○理事(加藤武徳君) 高野君、御質問いいですか。
○高野一夫君 いいです。まだありますけれども、ほかの委員の方に一応譲ります。
○谷口弥三郎君 ただいま医薬分業並びに社会保険問題のお話がございましたが、その点について私も一、二お伺いしたいこともございますけれども、きょうはそれを差し控えまして、先刻川崎大臣がおっしゃられました受胎調節の問題についてお伺いしたいと思います。受胎調節に対しまして、この前の川崎大臣のお話によりましても、家族計画などの思想を普及させるし、なおその上に生活困窮者、貧困者に対して今回は三千二百万円ばかりの金を出して、そうしていわゆる避妊用の器具または薬品を無料あるいは低額でこれを貧困者に渡す。従ってそれによってかなりの人口増加を防ぐことができるだろうというようなお話であったと存じますが、私どもは実は自由党におきまして以前から人口問題についていろいろと研究しておりまするところから考えますというと、今のような三千二百万円ぐらいの金をもって薬をやる、あるいは器具を渡す程度では、これは到底目的を達することはできぬのじゃないか。ことに今の現状から申しまして、受胎調節をある方面の人のみがやっておるような現状であったら、これは民族の逆淘汰も起るおそれもありますし、しかも生活保護法とか、あるいは比較的子供の発育、子供の教育などに無関心である者のみが子供をどんどん持つという状況になるのでありますからして、これはもう少しお考えを願って、特に生活保護法の適用者、あるいは生活保護法の適用者のうちにも妊孕年齢になっているところの有夫の人が約十二万五千ぐらいおります。その上にボーダー・ラインの者でも同じような有配偶者が七十五万ぐらいおるのでございますから、これらの者に対して特に手をお打ちいただいたら、必ず出生率がずっと減るであろうと考えているのでございます。ただいまおかげをもちまして、日本の出生率も今年度は一九・一というように下って参っておりますが、どうしてもこれは一三・四まで下げなければならぬ。それには生活保護適用者に大いに力を入れていただかなければならぬと思っておったのでございます。実は先日いただきました資料によりましても、厚生省としては初めかなり強力に七千三百万余りの金を出して、この方面に使おうとしたけれども、大蔵省の査定によって三千二百万円ぐらいになったというのでありまするが、これは熱意のきわめて盛んな厚生大臣がこのくらいの金をとれなかったという工合に私は絶対に思わぬのでありまして、いま少し手をお打ちになってこの方面に力を入れていただけば、日本の過剰人口問題などにも非常な効力があると思いますが、大臣はいかにお考えになっておるのか、一つお伺いしておきたいと思います。
○国務大臣(川崎秀二君) 大へん受胎調節の問題につきまして御熱心な質問でありまして、また御意見も交えての御質問であって、私はもう全くただいま谷口委員の言われる通りだと思っております。そこで本年度に新たに計上いたしましたこの三千二百万円は、数字としては非常に物足りないように感ぜられますかもしれませんが、御指摘のありましたこの生活保護法の被保護者について特に実施をするということで器具、薬品費を、大体労働力を有する世帯のうち半数九万人につきまして、まず器具、薬品費を三百円、指導料百十円の全額を負担をいたしまして、またボダー・ライン階層の三〇%、約二十三万について指導料全額、器具、薬品費の半額を国費で負担する、こういう方針をきめたわけであります。従来受胎調節、避妊ということにつきましては、大体まあ知識階級、インテリの方に相当な普及率を示しておりまして、最も必要とするところの貧困階級、あるいは被生活保護者というような部面が実施をしておらぬ部面が非常に多かったものでありますから、その意味で特に力を入れたいと思っておるわけでございます。最近私は機会がありまして、炭鉱労働者で三年間にわたってモデル地区として行なっておりまする常磐炭鉱などの実情を調査いたし、また激励もいたしたのでありますが、非常に常磐炭鉱などの労働者の主婦たちは自覚が進んでおりまして、この三年間に、昭和二十七年で四九%であったものが、その翌年には二六%になり、昨年の統計は実に一四・一%になったそうであります。この程度に下って参りまするならば、わが国の人口について非常に大きな啓発を労働者の層から起すことができて、それが全国的に広がっていくならば、わが国の人口問題は今日非常に憂えられているような傾向を払拭することができるのではないかというようなことで一縷の光明を発見したような気がするのであります。しかし常磐炭鉱だけがそういうふうになりましても、全国的にそういう風潮にならなければなりませんので、これは厚生大臣も一つ率先してこういう運動を起さなきゃいかぬということを考えておる次第であります。そこでひとり政府だけではいけませんので、最近日本放送、NHKというような放送関係がこのことに非常に熱意を入れてくれまして、今月の半ばあたりからこれらの放送局なども全国的な放送計画を作って進めてくれるようでありまするから、両々相待ちまして、相当に本年は受胎調節の思想というものが普及してくると思うのであります。ただこういう公開の席上で申しにくいこともありますけれども、この間私が得ました体験では、こういう問題は相当きわどいところまでお互いに話をしないと徹底をしないことでありまして、そういう問題になりますと笑い声が起ったり何かいたしますけれども、この間炭鉱労働者のおかみさんたちは、避妊器具の使い方について実際的なことまでも、また、将来の自分の設計について最近受胎調節をした結果、とにかく自分の家庭が楽になった、それからレクリエーションの機会も多くなった、映画を見に行く機会も多くなったと申しまして、非常に将来の生活設計と関連して相当ずけずけと申しておりまして、こういう思想に全般になって参りまするならば、必ず実績は上るものと思いますので、これを一つの拠点にいたしまして、大いに受胎調節の問題については努力をいたしてみたい、かように存じておる次第でございます。
○谷口弥三郎君 ただいまのお話によりますと、この三千二百万円というのは、器具、薬品代の低額または金額無料であるということだろうと思いましたら、同時に指導料もこの中に入っておるというお話でございましたが、私どもの聞いておったのは、この中には指導料は入っておらぬ、しかも御承知のように今現在におきまして、受胎調節実地指導員といって講習を受けた者が三万六千くらいおります。その上にまたすでに知事の指定をもらった者が二万八千ほどおるのでございますから、これを組織的にお使いになって、指導料をお出しいただくのであったならば、ほんとうに個人指導ができると思って非常に喜んでおったのでございますが、ただいまのお話によると、わずか三千二百万円の中に指導料まで入っておると、私聞きそこないかもしれませんが、どうぞもう一度……。
○国務大臣(川崎秀二君) これは率直に訂正をいたしておきます。これは事務当局からただいままで聞いておりましたことを私申し上げたのでありますが、これが指導料の問題は、従来優生保護相談事業として今でもやっておりました二千六百万円の中の方だそうでありまして、これは従来まであるいは事務当局もそういう説明をしておったかもしれませんが、間違いでありますから、この際はっきり訂正いたしておきます。 それから三千二百万円が少な過ぎるということでございますが、予算折衝の過程におきまして、財政当局も非常にこの趣旨をよく理解をしてくれまして、まあこれは内輪のことでこういう席上で申すことは妥当であるかどうか存じませんけれども、第一次要求に対しまして、ことに新規要求でありますから、それに対して半額の査定をするということは、従来としては大体ないことであったのでありまして、つまり七千万円要求をいたしまして三千二百万円でありますが、新規事業であるということの趣旨を十分認めてくれた意味では、本年の一兆円の予算の中ではやむを得ざる措置ではなかろうかと私どもは考えておるのであります。もっともこの程度のことをもって足れりとはいたしませず、本年の実績いかんによりましては、明年以降の予算については受胎調節の費用は相当飛躍的にとり得ることもできるのではないか、かように考えておる次第でございます。
○谷口弥三郎君 いろいろと御心配をいただいておることに対してはまことにありがたく思いますが、御承知のように生活保護法適用者でありまして、毎年分娩をいたしますと、それには出産手当が出ておりますし、出産手当を見ましても、一年で一千万円余りの出産手当料が出ておりますし、なおそれらの方々にはあるいは生れた子供に対する扶助料が出ますし、あるいは死ねば葬祭料が出る、これが昭和二十六年ごろからだんだんとふえてきて、三十年ごろは多分五、六億円くらいは、その生活保護法のそういうものにだんだんと大きくなるだろうと存じますが、これはいわゆる救貧事業でありますので、私どもは防貧事業としてそういうふうの金をこちらの方にお使いいただいたならば、もっと徹底的に早く大臣のお話のような出産率の低下、過剰人口の問題とかいうものを一日も早く解決することができるんじゃなかろうかと思いますが、生活保護適用者にやる金をこちらに使うということは、項目が違うので非常に困難とも思いますが、そういうことを大臣はお考えになったり、またはやってやろうというようなおぼしめしがございましょうか。それらのことに対して御所見を伺いたい。
○国務大臣(川崎秀二君) 詳しくは政府委員から答弁をしていただきますけれども、予算上はそういうことはできないかと思いますけれども、趣旨としては、生活保護者にこういうものを適用したということは、ただいま御意見のようなことも十分勘案いたしまして行なったことだと思っております。
○政府委員(堀岡吉次君) お話の点、予算折衝の過程におきましても実はそういうお話が出ました。従いまして、わが方からは逆に、そういうものがあるから主として中心は生活保護の被保護者あるいはボーダー・ライン、子供が生まれますことによって生活保護を受ける者に転落するというおそれがあるから、こういう方面に重点をおいてやっていったらばどうだろうかということで進んだわけであります。将来だんだんこの方面の受胎調節が普及いたしますれば、ただいまお説のような点が事実上実現するのじゃないかと、こういうふうに存じております。そういうような意見は十分内部にもあったということだけ申し上げておきます。
○谷口弥三郎君 ただいまのは予算関係もありますので、この辺でおきたいと思いますが、もう一つお伺いしたいことは、学徒勤労動員に出ました者に対しまして、最近だんだんと軍人軍属などに対する恩給も、十分とは申されませんけれども、ある程度だんだんとよくなってきておるのでございますが、ひとり学徒勤労動員によって死亡した者あるいは手足をなくした者などに対する援護あるいは恩給などの問題が、今度の大臣の御説明の中に一つもなかったように存じます。むろん学徒動員をざれた方でも、死んだ場合にはわずか三万円ぐらいでございますけれども、そのくらいの援護料は出たことがございますが、とにかく今現に手足をなくして動くことのできぬ者、そういう者には何らの恩賞がありませんので、義肢を一つ買うにしても全額自分で負担しなければならぬような気の毒な状況であります。これは赤紙で召集された軍人よりか、あるいは志望して出た軍属よりこの方面の者にこそ十分援護の手を打つべきものではないかと存じておりますが、その点についての大臣の御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(川崎秀二君) ただいま戦争中に勤労動員で、動員された学徒が不幸にして手足を失ったり、傷ついた者に対して何らの保障がないじゃないかと、これは毎年遺族会あるいは軍人恩給会等におきまして、熾烈な要望のあることでございます。またその問題については、十分にその趣旨からいたしまして、手厚い給付をいたすべきが政府としての当然の道とは思います。思いますが、御承知のごとき一兆円のワクというものに縛られておる関係もあり、かつ軍人恩給会並びに遺族会等におきまする陳情や要望などを見ましても、まず文官恩給とのべースを直してくれ、あるいは次には公務死の範囲を拡大してくれ、さらに応召将兵に対するところの加算、通算制をも認めてくれと言いまして、順次切実な要望の序列がついておるようにも思っております。これらを勘案いたしまして政府としては乏しい財源の中から順次にこれを実施いたそうといたしておるのでありまして、軍人恩給並びに遺族保障は国家補償の立前から当然手厚いことを行なってゆかなければなりませんが、何分にも今日軍人恩給、文官恩給を入れまして八百二十一億という多額な経費に上り、将来はこれが一千億以上の経費に上るというようなことも予想されておりますので、これらは他の階層との要求というものともにらみ合せて決定せねばならず、今日のところ非常に戦時中における勤労学徒に対してはまことにお気の毒ではありますが、今直ちにこれを実施するという予算上の措置ができないことをはなはだ遺憾としております。しかし将来に向いましては、このような人々に対しても当然保障をなすべきものと検討いたしておる次第でございます。
○谷口弥三郎君 学徒の動員によりまして実際に死亡した者、あるいは手足をなくしておるという者はきわめてわずかでございますので、その者には少しぐらいの援助をしましても十分いくのではなかろうかと、そう一兆円のワクばかりをお思いにならぬでも容易にこの方は人数が少うございますから、できるのではないかと存ずるのでありますが、大臣はその学徒動員の方でどのくらい要るというようなことをお考えいただいて、やろうというお気持になられたことがあるのでございましょうか、ぜひどうぞ一つ。
○国務大臣(川崎秀二君) 私はそういう気持を持っております。持っておりますが、御承知の通り自由党の政務調査会などにおきましても、それらの問題は非常に論ぜられておりますが、今日軍人恩給を増額する順番としてはまだ日程に上っておらないようにも拝聴しておりますので、それら各党の要望ないしは各界の要望ともにらみ合せて進みたいと考えておる次第でございます。
○山下義信君 ちょっと関連して質問さしていただきたいと思いますが、援護法の話が出ましたから、私もこの機会に承わっておきたいと思います。直接援護法といいますか、まあ援護法に関係がある政府の方は、留守家族の実態調査をやっておるか、やる考えがあるかということが一点。それは今の留守家族の手当法などを見るというと、対象人員の数が前の通りになっておって、私の聞くところでは、場合によっては何というか、戦没者の扱いというか、生死の不明のままでいつまでも留守家族の扱いを受けているよりは、戦没者の扱いに切りかえてもらうという方が、実際において生存の見込みがないというならば、そういうことにしてもらった方がいいという世帯もあるわけなんです。そういうことについて、政府の方では実態調査というか、整理をしていくという考えがあるかどうかということと、それでいわゆる未復員関係は、これはもう議論なしに戦没者遺族としての扱いができるのであるが、問題は一般邦人として抑留されている間に死亡した者について、これをどういうふうにその処置を切りかえていくかということですね、それについて政府に何か研究しておることがあるか。いわゆるこの特別未帰還者と従来言われておった一般邦人については、これはどうもしようがないのであるということにしてゆくのか、あるいは援護法の第三十四条を適用して、これも一つできるだけの処置を講じていこうという考え方を持っておるか。この点は引き揚げ関係者が非常に関心を注いでおるので、政府におけるこの問題に対しての考え方をこの際承わっておきたいと思うのです。大臣の御所見はいかがでございましょうか。
○国務大臣(川崎秀二君) 山下委員から未帰還者の留守家族は非常に今日気の毒な状況にあり、これがいつまでも留守家族として取り扱われておるよりは戦没者として取り扱うようなことも考えての特別の考えがないかということでありましたが、今日のところは、御承知のごとく日ソ交渉が始まったばかりでありまして、今度の日ソ交渉における重要な課題というよりは、優先的折衝題目は、抑留同胞の引き揚げ並びに行方不明者の調査並びに究明、しこうして最終的にはこれらの問題を日ソ交渉の期間中に結末をつけたいというのが政府の考え方でありますから、その際におきましては、まずソ連に抑留をされておる同胞の数並びに行方不明となって戦没と認められるものが、まあ悲劇ではありまするけれども、決定をいたす日が近いのではないか、かように考えるのであります。それに伴いまして所要の法律的な手続をとらなければならないと思うのが第一の点であります。 それから第二の問題につきましては、留守家族と戦没遺家族との待遇といいますか、給付待遇というものを同じようにしたらどうかという意味の御質問かとも思いまするが、これは御承知のごとく戦没者遺家族法は国家補償の立前で旧軍人恩給と同様にきめられており、留守家族の方もその当時援護という名前をつけた当時の委員会における討論並びに本会議の討論等におきまする趣旨からいたしまして、一般的な生活保護法とは違いまして、広い意味での国家補償の考え方を持っておると私は考えております。しかしこれを戦没者遺家族のごとき完全に死亡が確定して、そうしてそのことの国家の償いをする意味で待遇をされておる方々と留守家族とを同一の観点に立って行うということは、今日厚生省としては考えてはおらないのであります。 以上が大体今日厚生省の考えております。政府の考えておりまする方針であるということを明確にいたしまして、いずれにいたしましても日ソ交渉の進展によりまして留守家族の数というものが、行方不明者の数というものが確定することに相なると思いますので、これに伴って中共方面のものも一層従来よりは正確な数字が出てくる、そのときにおいては国家はそれに伴っての措置をいたすべきである、こう考えておる次第でございます。
○山下義信君 今の一般邦人の抑留中の死亡ということがはっきりわかって、今までは、今日では留守家族としての手当をもらっておるが、その一般邦人が抑留中に死亡しておるもの、それに対するところの政府の所遇がされるということになったらば、この生死が判明するというか、もうそれの、いつまでも留守家族でなしに死没ということに死亡ということに扱い方を切りかえてもらってもいいという希望の世帯もあるわけなんです。またそうする時期が今大臣のお話のように来るので、それでそういう場合に対するところの用意というものも、これは当局においては研究して、だんだんとしておかなければならぬはずで、いつまでも留守家族留守家族ではいけないわけなんです。しかし今これを切りかえると言ってみたところで、それの所遇の道がなくて、そうして留守家族の手当は離れたでは、死亡者としての処置をしてもらったけれども、何らの所遇を受けぬということでは困るので、従って実際は死亡しておっても留守家族という形で未整理で今進んでおるものが相当実情はあるわけなんです。それがどこかで整理をしなければならぬ、それで引き揚げ問題が大詰めに近づけば近づくほど、政府においてはそれの御準備があるはずなんです。そういうことに対する準備や方針を考えておられるかということの質問をしたのです。留守家族と戦死者遺家族との手当や所遇のレベルを同じようにしろということを言ったのじゃなかったのです。その点、大臣の御答弁がお取り違いがあるのです。そういう場合に引き揚げ関係の諸君が関心を持っているのは、あるいはシベリアの地区であるとか、あるいは中共の地区であるとか、どこのところで抑留中に死んだものには処遇がされる、どこの地区では同じように抑留中死んでも、それには何ら国家が顧みないというような差別をつけるのか、どうするのかということについては、今から御準備をなさらなければ間に合わないことになるが、どうせやらなければならないことであるから、何らかの御方針が立っておりますかということを聞いたわけです。
○国務大臣(川崎秀二君) この問題につきましては、今度の予算編成のときに、党の方からも種々意見が出まして、また引揚援護局長にこの問題について十分に検討を始めてくれということを申しておりますので、幸いちょうど御質問の最中に援護局長が参りましたので、援護局長の方から答弁をいたします。
○政府委員(田辺繁雄君) 未帰還問題の解決に当って、状況不明者の生死を明らかにするということでありますが、数から申しますれば非常に多いのでございます。これは非常に重要性を持っておりますので、厚生省といたしましては、状況不明者の調査究明の責任を持っております関係上、このことについては、従来ともあらゆる努力をして参ったのでありますが、相当の経費も計上されまして、国内における調査究明をいろいろやって参りましたけれども、何分にも終戦後すでに十年近くを経過しております今日でございますから、帰還者の証言によって、全未帰還者の生死を明らかにするということは、ある程度は進展いたしましょうが、全部を明らかにすることは相当困難だと思います。従って生死の状態について一番よく知っているはずのところは当該国でございます。当該国からでき得るだけの詳しい資料をとって参りたい、もちろん当該国におきまして、未帰還者全員についての、ことに死亡者についての資料を持っているとは限りませんので、ことに終戦直後における混乱の場合におきましては、向うでもわからないものが相当あると思いますが、しかしわかっている限りの資料を一応とって参りたい、その上でなおかつ状況不明の未整理者があった場合におきましては、その個人々々についての私の方の詳細な資料を当該国と打合せをいたしまして、できる限りの手を尽して消息を明らかにしたい、それだけの手を尽した上でもなおかつ状況がわからない場合におきましては、最終的な処置として、特別の措置を講ずる必要があるだろう、こう考えております。またそれだけの手を講じなければ、今日この留守家族はどうしても御納得いただけないのではないか、こう考えるわけでございます。それでこれはだんだんと、相手のある話でございますので、私の方だけでございませんので、外務省を通じてそういう交渉を進めて参りますけれども、いろいろのそういう準備は進めて参りますけれども、早急に参らない状態でございますが、いずれそこに目標を置いて進めなければならないと思っております。その結果、死亡が判明した場合におきます処遇につきましては、現在では軍人軍属につきましては恩給法、または未帰還者留守家族等援護法によって年金、弔慰金が支給される道が開かれております。一般邦人につきましては、端的に申しますというと、特別未帰還者に該当する方以外は埋葬料が支給されるにすぎないのであります。この点につきましては、理論的に申しまするならば、それでも差しつかえないのではないかというふうに思われますけれども、しかし現実に留守家族手当をもらっている方がそれを打ち切られるということになりますれば、急激な経済的な打撃を受けることも考えなければならないのであります。この点につきましては、現行法の運用上にもその点は留意いたしております。また将来一斉に最後的措置を講ずるというような場合におきましては、一般邦人に対しても、特別な場合として何らかの処遇をするということは、実際上また理論的に申しましても、ある程度考慮しなければならない問題ではないかと考えまして、この点につきましては、内々いろいろと考えをめぐらしておりますが、まだ具体的な結論は出ておりません。いずれにいたしましても、留守家族手当を遺族年金と同じような形に切りかえて、末長く支給するという点については、相当困難ではないか、この点はなかなか実現はむずかしいのではないか。しかしこれにかわるべき何らかの方途があるかどうか、あるいは一時金とか弔慰金とかいう形において何らか処遇をすることが適当であるかどうかということにつきましては、慎重に考慮をいたさなければならないと存じますので、目下検討を進めておるのでございます。
○山下義信君 はっきりしておきたいことは、今政府の答弁では、いわゆる死亡確認がいろいろはっきりわかったらば、何とか考えなければならぬと思っている、こういうことですね。それもいいです。それもそうであるかもわからぬ。しかし抑留中の死亡者、すなわち、未帰還者の死亡ということがわかった時分にはこういう処遇をするのだということを先に立てておいても少しも不都合がない。先にそういう方途をちゃんと立てておけば、これはもうちゃんと死亡と思われるものは申し出もするだろうし、わかった時分にはすぐそれは処理ができるのであって、これも一つの大きな留守家族に対する朗報なんです。だから事態がわかったあとでするということも一つの順序のようではあるが、しかしながら数が確実に把握できなくても、そういう事態があるということだけは明白なんです。しかも一部分でなくして、今日の留守家族の大部分は、今大臣の言われるがごとく、実に遺憾である、悲劇であるが、これはたぐってみるというと、ほとんど死亡確実と言わざるを得ない状態が来る。それが生きている形で留守家族手当を出しておる。それがもし死亡ときまった時分には、すぐ何らかの処遇をしてあげる道を開いておかなければならぬということは、事前にしたって一つも差しつかえない。私が言っていることは、今の留守家族の手当も、その金額を遺族扶助料と同じようにしろというのじゃない。また留守家族手当法の中でやれというのじゃない。これはあなた方が研究をして下さるかということは、これは軍属並みに扱うように研究ができるかどうか、その御用意があるかどうかということであるから、手当法の中を変えるのじゃなしに、援護法の中に入れさえすれば、抑留中外地において死亡したるものはこれに準ずるという、それを入れさえしたら、これはすぐ扱いができるのであるから、地域的には考える必要があるのじゃなかろうか、こういうことなんです。そういう研究の考えがあるかどうかということなんです。これは重大な問題なんです。数万の対象者に影響を与える問題なんです。
○政府委員(田辺繁雄君) 御心配になっているお気持は私も十分わかります。留守家族援護法を制定して、一般邦人にこの手当を差し上げるようになったいきさつにおきまして、留守家族団体の方におきましては、一般邦人と軍人との場合におきましていろいろの相違があることは十分御了知になっておられるのでありますが、それにもかかわらず、こういう手当を支給することにいたし、また留守家族の要望いたしましたのは、待っている間の生活の強化をしていただきたい、死亡が確定した場合におきましては、精神的にいろいろはっきりする面がある。少くとも生死がわからないで、しかも待っている間における精神的及び物質的な生活の状態の特殊性に着眼してほしい、留意してほしい、こういう御議論であったのであります。 しかし現実に手当が出ますというと、死亡が確定した場合においても遺族年金のようなものをもらいたいという気持になることは、これはよくわかるのでありますが、しかし一般の戦争犠牲者との均衡ということも十分考えなければなりませんので、その点は直ちに遺族年金を支給すべきであるという結論にはなかなかならないのでございまして、もっともこの現実に手当をもらっている場合におきまして、死亡が判明したら直ちに手当を打ち切るということになると、急激に経済的打撃を与えるので、そういうことについては十分考慮しなければならぬと思いますが、遺族年金を一般の戦死者の遺族と同じように支給すべきであるかどうかということについては、慎重にこれは研究しなければならぬと思っております。
○山下義信君 この問題は事務当局から御答弁を承わるということは無理なんです。政策の問題なんです。つまり戦没者の遺族の処遇を軍人だけに限るか、これを軍属に及ぼすか、準軍属に広げるかということと同じことで、初めは軍人だけであって、今田辺局長の答弁は、未帰還者の手当というもの、特別未帰還者の手当は気の毒だというのでスタートした、その手当をもらったら、今度は戦死者と同じように扱えということは、これは隴を得て蜀を望むもので、負うといえば抱かれるというように言わんばかりの答弁をしたけれども、そもそもこのスタートというものは、占領政策の時代には容易に許さぬのであって、戦没者の遺族の処遇でも軍人だけに限ると固執したのを軍属に及ぼし、だんだんと時代の動きを判断して、これを一般の国民にも及ぼすべきだということになれば、ここに戦死者の範囲を拡大するのは言うまでもない。戦病死者もその事情によっては違ってくるということは当然なんであります。でありますから、未帰還者がシベリア抑留中に死んだ、中共に抑留中にこういう事情で死んだということになってくれば、これは本人の自由意思によらずして、戦争の影響によるところのやむを得ざる境遇の上にこういうふうに外地において死亡したんだということになれば、この扱い方というものをどうするかということは、これはおのずと考えなければならぬことであって、これは政策の問題でありますから、今日ここで御方針が立っていなければ、厚生大臣としては十分御検討になって、やがてこれは処理しなくちゃならぬのである。数万の留守家族に今生きているものとして手当を出している、これが死亡ということになれば、どこかで整理をしなければならぬ。しかもその時期が近づいているのであるから、これは政府としても早くに検討をされまして、その方針を確立しておられるのがよかろうというので御質疑をしたのであります。政策の問題でありますから、政府において十分一つ御検討おきを願って、御方針が立ちましたらお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(川崎秀二君) 答弁を無理に御要求になっておられぬようでありますが、私は自分の考え方をきっぱりと申し上げておきます。それはただいま御承知のごとき予算の修正折衝を民主党と自由党との間に、最後的に成立するかいなかというきわどい情勢に立ち至っておりますが、一昨夜私は大蔵大臣と、歳出増の問題につきまして話をいたしました際に、軍人恩給の要求が自由党から出ております。ごもっともの点が多々ありまして、あるいは歳出増を実施をいたしますると決定をいたしますれば、その際において国民健康保険、軍人恩給というものはトップにもってきて実施をされるものと私は想像いたしておりますが、その際に大蔵大臣と私との間に出ました問答の中に、来年になればソ連地区におけるところの在留同胞のうち、戦死と確定をするものが軍人軍属並びに一般の同胞の間にあるので、その際においては、その数によるところの財政給付も相当なものに上ると考えられるので、この際文官恩給の大幅引き上げということは相当に考えをしておかないと、私どもの精神といたしましては、戦死をしたり、あるいは戦病死をしたりする者が外地に出た際において、上級軍人であると下級軍人であるとを問わず、なるべく犠牲者に対して広範に、まんべんなく給付をいたしたいというのが私どもの所存でありますから、従って今回の予算修正の過程においても、その精神を常に堅持をして進みたいものであるということを言いまして、すでに大蔵大臣に、来年度予算の構想について注意を喚起をいたしておる次第であります。従いましてこれに対して何らかの給付をいたしたいと私は考えておるわけであります。その際は、かりに職業軍人の上級の人々に文官恩給とスライドしろという要求がありましても、財政上一定のワクがきめられた際においては、これを犠牲にしても、今のソ連地区におけるところの在留同胞の犠牲者に対して何らかの給付をいたしたいというのが私どもの考え方でございます。
○山下義信君 大へん力強い御所信を承わりまして、了承しました。どうか一つ御期待しておりますから、十分御検討願いたいと思います。
○理事(加藤武徳君) 本日の質疑の通告は大体終ったように思いまするが、この程度で散会いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
○高野一夫君 私は一つ動議を提出したいのですが。
○竹中勝男君 動議の前に関連の質問を……。ただいま留守家族の問題、引き揚げの問題が出ましたので、これに関連いたしまして、この委員会について、かつて小委員会として慰霊実行委員会、すなわち中国人の内地において死にました者の遺骨を中国に送り返すことに関する委員会がありました。今後中国及びソ連との引き揚げの問題に関しましても、中国においては、ただ一つ日本が中国人の遺骨を中国に返送しましたことに対して非常に感謝をしておる。李徳全女史が来たときも、またこちらから向うに行ったときも、ただ一つこのことについては非常な感謝を向うが持っておる。これは引き揚げのこと、留守家族のことに関連して非常に重要なる意味を持っておるものと思います。最近慰霊実行委員会から参議院の社会労働委員長あてに、あるいは衆参両院議長あてにも、あるいはおそらく大臣にも出ておるのじゃないかと思いますが、日赤の社長あてにも申し入れが、要請が出ております。それはまだ何千という、何万という遺骨が全国に散在して風雨にさらされておるのを、慰霊実行委員会の手で掘り出して送るということよりも、国が一定の財政的な支出をして、これを日赤において処置をさしてほしい。そうしてすみやかにこういう散在しておる遺骨を収集して、これを本国に送還できるようにしてほしいということを申し入れてきておるのであります。私はこの委員としても、社会労働委員として、これは非常に大事な問題であって、留守家族、引き揚げ、そういう問題に関連して、非常に重要な問題であると考えております。また中ソ、日ソあるいは中国と日本との国交の調整においても、非常に重要な意味を持っておると考えておりますが、これに対して大臣の御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(川崎秀二君) ただいま御指摘のありました問題は、人類愛の見地からいたしまして、厚生省としても遺骨収集並びにこれが返還については努力をすべき立場とは思いまするが、何分にもこの主管は外務省の管轄でありまして、従来まで外交的な関係のゆえをもって、外務省側におきまして処理をいたしておりますので、ただいま御要望の点は、それぞれごもっともの点がありまするから、私どもといたしましても、十分その意を体しまして、外務省側と折衝をし、この問題の解決に当りたいと思っております。
○高野一夫君 覚醒剤取締りに関する問題でございますが、昨年当委員会において案を作って覚醒剤取締法の改正が行われたわけでありまするが、その後政府においても対策本部を結成されて、人員整備をされているやに聞いております。われわれもこの問題については重大なる関心を持っておりますので、そこで覚醒剤取締りに関する調査を当委員会の議題として取り上げていただいて、その方法等については、理事会において協議していただく、こういうことの動議を提出いたします。
○山下義信君 ただいまの高野君の動議に賛成いたします。
○理事(加藤武徳君) ただいま高野君から覚醒剤取締りに関する調査を当委員会で議題とせよと、かような動議でございまして、山下委員から賛成の意思表示がございましたが、皆様御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○理事(加藤武徳君) それではさように決定いたします。 ちょっと速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
○理事(加藤武徳君) 速記を始めて下さい。 本問題に関する本日の質疑はこの程度にいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○理事(加藤武徳君) 御異議ないと認めます。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時二十六分散会 ————・————