建設・大蔵委員会連合審査会 第2号
- 発言数
- 64 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1955/07/27
会議録
○委員長(石川榮一君) ただいまから建設、大蔵連合審査会を開会いたします。 建設業法の一部を改正する法律案を議題にいたします。 ただいま政府側から大蔵省正示主計局次長、村上法規課長、建設省石破官房長、宮内建設業課長、日本国有鉄道公社佐藤施設局長が出席しております。さらに森永主計局長、竹山建設大臣、自治庁の小林行政部長、長野行政課長、これらの諸君は衆議院の本会議または地方行政委員会等に出席中でありまして、衆議院の方の手のあき次第本委員会に出席することになっておりまするから、御了承願います。 質疑のおありの方は順次御発言を願います。
○小林政夫君 まず、質疑に移る前に、委員長にお願いしますが、あとから来る予定の人が出席したときは、よく顔と名前が一致しませんから、お教え願いたいと思います。 前回の質疑の続きといたしまして、まず簡単なことからお尋ね申し上げますが、国有鉄道公社の方において、工事その他の契約においてどういう方法を採用しておられるか、特に今ここで問題になっておるロアー・リミット制を採用しておられるかどうか。一応手元に刷りものとしていただいておりますが、念のために、あなたから御説明を願いたいと思います。
○説明員(佐藤輝雄君) 国有鉄道におきましては大体年間二百億以上の請負工事をやっておりまして、二十八年度の実績におきましても、大体六万五千件近い工事をしております。これは非常に小さい工事から大きな工事まで数多く入っておるのでございますが、これらの工事につきまして、この入札の方法あるいは契約の問題でございますが、日本国有鉄道法第四十九条によりまして、原則は一般競争入札の方法に準じ申し込みをさせ、その最低または最高のものと契約をしなければならない、こういうことになっております。ただ、ただし書きがついておりまして、「緊急な必要のある場合、一般競争入札の方法に準じてすることが不利である場合又は政令の定める場合においては、この限りでない。」こういうふうなただし書きがついております。これによりましての政令の二十五条にございます指名競争に付する場合、随意契約に付する場合が指定されております。これによりましてわれわれは請負工事を取り扱ってきております。
○小林政夫君 そうすると、結論的に申すと、ロアー・リミット制は採用しておらないのですか、原則として。
○説明員(佐藤輝雄君) さようでございます。ロアー・リミット制は採用しておりませんのでして、最低落札者と契約しております。
○小林政夫君 それから政府の方の態度を……。一昨日の委員会でしたから、昨朝はもうきまったはずなのでして、建設省の官房長は意見を保留されましたが、どういうふうな態度決定でありますか。本案に対する態度決定について伺いたい。
○政府委員(石破二朗君) 本法案につきましては、概略次に申し上げますような理由によりまして、反対すべきものというふうに大体の政府の方針がきまったものと、かように承わっております。 理由を簡単に概略申し上げますと、建設業法は一般に建設業界の秩序化をはかりますとか、建設業の健全な発達をはかることを本来の目的としておるものでありますが、国の取引をこの建設業法でもって規制することは法律の体系から申しまして適当ではなかろう、というのが一点でございます。 さらに、まあこの法案の趣旨といたしましては、われわれの了解いたしますところでは、趣旨の一部には、あまり安い入札に落札しまして、その結果工事が粗悪になりゃせぬか、あるいはまたその結果は結局国の損を来たすことになるのじゃないか、あるいはまたあまりに自由な競争に放任しておくということにしますれば、場合によれば出血受注の原因ともなり、これがひいては社会的または経済的混乱を惹起するおそれがあるというような点が一つのねらいになっておるのじゃないか、こう考えられるわけでございますが、その第一点の方の、安い工事は粗悪であり、結局国が損するという点でございますが、建設省の施行いたしました過去の実績を見てみますと、予定価格に比べて低い値段で工事を請け負った者必ずしも粗悪であるというような結論が出ない実績に相なっております。また本来工事の粗悪になりますことを防止する方法としては、指名競争に際して、業者の指名に当って、その指名を厳正にいたしますとか、工事の監督を厳正にするということによって防止すべきものである。さらに自由競争をさせる結果、非常にダンピングが行われて業界の混乱を起し、非常に業界が不健全になる点についてでありますが、これは本法案の方法も確かに一つの方法だとは考えますけれども、もっとほかの方法によることを検討すべきでなかろうか、かように考えまして、これらの理由からこの法律を作ることはあまり適当ではなかろうというのが第二の点でございます。 さらにもこの法案の趣旨を徹底さして参りますれば、国の発注しますものはひとり建設工事だけではございませんので、その他にも注文生産によって国が調達しておるものはいろいろあるわけでございますが、それらにもこれを広げるのがほんとうじゃなかろうか。建設業だけについてこういう措置をとることは、少くとも全体の国の調達という立場から申しますれば、不均衡じゃなかろうかというのが第三点でございます。 さらにこれを実際にやりました結果、実際の実施状況について考えてみますと、これは今後のことに属しますのであまりはっきりは申し上げかねると思いますが、結局ロアー・リミットというものを作るということは、これがいいか悪いかは別といたしまして、競争するに当って非常に有利になると考えます。そういたしますれば、ロアー・リミット、ひいては予定価格というものを何とかして知りたいという業者の出てくるのも、これも実際問題としてやむを得ない現象であろうと思います。そういうことが起りました際に、これも先のことでまた防ぐ方法もあるかとも思いますけれども、現在に比べますと、やはりその間にいろいろ問題を起す可能性が多くなるのじゃなかろうか、かように考えますのが第四点。 最後に、これも世界の全部を調べた次第ではございませんけれども、諸外国の立法例を見ましても、こういう制度をとっておるところはないように承知いたしておりますので、かりにこういう制度をしくといたしましても、もう少し慎重にやった方がいいのじゃなかろうか。 まあ大体そのような理由からいたしまして、遺憾ながらこの法案には賛成しがたいというふうに内閣の方で意見がまとまったように聞いております。
○小林政夫君 会計検査院は来ておりますか。
○委員長(石川榮一君) 要求しておりませんでしたが、急いで呼びましょう。
○小林政夫君 ちょっと検査院の方の意見も聞いておきたいと思います。自治庁はまだ来ておりませんか。
○委員長(石川榮一君) まだ来ません。今衆議院の地方行政委員会にくきづけになっておりますので……。
○小林政夫君 それでは、これらの人が来るまで、質疑を私は待ちます。
○石井桂君 関連して……。ただいま建設省の方から国の態度の御表明がありましたが、私は、前回も小林委員並びに木内委員から、建設業法の改正でロアー・リミットの規定を設けるのは筋違いじゃないかというような御発言があり、また大蔵省の課長からそれに対する、私に対する御答弁がありましたが、私は実は建設業法の第一条の目的とするところを見ますと、やはり「建設工事の請負契約の規正」というようなことも目的の一部になっております。従って、必ずしも筋違いではないと、私はこういうふうに考えておりますが、そういう条文の精神から考えて。しかも、官房長は建設業法の主管の責任者だと思いますので、それに対する御答弁をお願いいたします。
○政府委員(石破二朗君) 御指摘の通り、建設業法の第一条には、「建設工事の請負契約の規正」というのも確かに入っております。ただ、広く解釈いたしますれば、あるいはそういうことがこの法案のような趣旨まで進んでもいいのじゃないかとも考えますけれども、われわれ現在のところ、一応この主としてねらっております点は、従来の建設業の請負の契約の内容が必ずしも適正でないというような事例が相当ありますためで、そういう点に規制を加えて建設業界の健全な発達をはかろうというようなのが、この第一条に規定しております「建設工事の請負契約の規正」というのが直接ねらっておる点じゃなかろうか、かように了解いたしております。
○政府委員(正示啓次郎君) ただいまの御質問に関連いたしまして、大蔵省からも二言つけ加えさしていただきたいのでありますが、建設業法第一条の解釈につきましては、ただいま石破官房長から大体お述べになった通りと考えております。なお、今回の法案が、先ほど毛政府の意見の中にもございましたように、建設業法だけに限らず、広く政府が発注をいたします工事あるいは製造物品の納入等に関連をいたしまする関係上、会計制度の当初から見ていまして、私どもはきわめて重大な問題になるのではないか、こういうふうに解釈をしておることをつけ加えておきたいと思います。 なお、御参考でございますが、昭和二十五年九月十三日に中央建設審議会が、建設工事の入札制度の合理化対策につきまして、答申が出ておりますが、その五の中に落札価格の制限ということをうたっておられます。しかしこの場合におきましても、「前記の趣旨の規定を「予算決算及び会計令臨時特例」中に設ける」ということを付言されておることを、この際一言御参考までに申し上げたいと存じます。
○石井桂君 私はさらに前の質問に関連しますが、お答えの中に、注文生産というのは建設業のほかにどっさりあるというお話でございます。で、いろいろの入札制度に付せられるものを考えますと、工場の生産とか、あるいは注文生産の中でもたとえば船のようにテストのできるものもあるだろうと思う。しかし、建設工事というものは、その現場にそのつどそのつどの設計で作られるものでありまして、たとえば家のようなものは、同じような形体の設計でも実際は地盤によって基礎が違うということがある。またトンネルを作ろうとすれば、そこの地盤を詳細に調べなければ非常にリスクがあるということで、船のようなものあるいは自動車のようなものであれば、同じ注文生産でもテストの方法があると思うのです。ところが、現場生産といいますか、それでなかなかそのテストができないというところに、私は建設業の危険性が非常にある。従って、会計法の関係を主管しておられるところで、広く大所高所から見るということも必要でございましょうけれども、しかし、とにかく大所高所から見るということはいいが、実際にはちっとも見ていないということで、特殊性をちっとも見ていないということになりがちだと思う。われわれは実際に何十年とたく建設業の経験がございます。ございますが、それですら、なかなかうまく工事がいかないという実情にあるわけなんです。そういうことを研究いたしますと、まあ会計法関係で、普通のたとえば自動車とか自転車とかそういうものの発注の態度と、それから建設業における現場生産の発注の場合の請負契約の規定の仕方は、違ってもいいのじゃないかと、こういうふうに深く信じておるわけで、ございまして、その点は会計法でやるか、建設業法でやるかということを度外視して、そういう必要があるかどうかということに対する御意見を、大蔵省並びに建設省から承わりたいと思います。
○政府委員(正示啓次郎君) ただいまの御質問でございますが、私先ほどお答えをいたしましたのは、実はまさにそのことを申し上げたのでありまして、かりにこれを、こういう御趣旨を具体化するという場合には、やはり会計法の系統においてしていただきたい、こういうことを申したわけでございます。 次に、しからばこれをやるべきかどうかという点につきましては、前回の連合審査会におきまして、私どもからもある程度意見を申し上げたのでありますが、本日政府の意見が大体まとまりまして、先ほど建設省の官房長からお述べをいただいたわけでございますが、われわれとしてはやはり大体そういうふうにただいまのところ考えておる次第であります。
○委員長(石川榮一君) 石破官房長、答弁ありませんか。今石井君から建設省並びに大蔵省の見解を問うたのです。
○政府委員(石破二朗君) 本法案の主たるねらいは、建設工事を適正にするということが一つと、さらに建設業界の健全な発達をはかるというような点が大きなねらいになっておるかと思うのでございますが、やはり私ども建設省全体としてまだ意見をまとめておるわけじゃございませんけれども、現在の会計制度、つまりどんなことがあっても最低のものにぴったりとやってしまうという制度につきましては、今後やはり慎重に再検討していく必要があるのじゃなかろうかと、かように考えております。と申しますのは、指名競争に付することができるわけでございまして、指名が間違わずにやれるというこれが確信がありますれば、これはまあそういう必要もないわけでございますけれども、やはり人間がやることでございますし、指名したあとで、またふたをあけたあとで、何か不測の原因を発見したというようなときに、現在の制度では手直しの方法が実はないわけでございまして、これらの点を救済するためには、こうした何らかの方法がいるのじゃなかろうかと考えておりますけれども、やはりやり方、それの実際の運用の仕方というものにつきましては、非常にめんどうな問題がございまして、実はこの問題につきましては、かねがねから、政府におきましては至急検討して結論を出したいとたびたび申し上げておきながら今日に至った原因も、実はそこにあるような次第でございます。
○石井桂君 比較的、石破官房長の御返事は、まことに正直な御発表だと私は存じます。実際に非常にむずかしいからなかなか政府の態度がきまらないというのが現状であって、法案の方が先走って出てしまったものだから、とりあえずこれは断わっておこうと、こういう態度のように私は了承するのでありまして、建設のことに関して少しでも知識のある方は、もうすでにロアー・リミット制度が悪いという考えはないわけです。ロアー・リミット制が非常に必要だということは常識になっております。そういうことが少しでも関係のあられる大蔵省関係で、ロアー・リミット制はまあ今とりあえずやらないということにおきまりになったけれども、それについて御研究をされたことがあるのですか、どうですか。その結果まだ固まらないからというのか、あるいは研究の結果固まってお断わりするというのか、はっきり御答弁を願います。
○政府委員(正示啓次郎君) お答えを申し上げます。ロアー・リミットの問題につきましては、かねがね国会におきましてもいろいろ御論議がございましたし、私どもも終戦後の建築業界、建設業界の状況等につきましても一応の考えは持っておりまして、かねがね大蔵省といたしましても、きわめて慎重に研究を進めて参った次第でございます。前回の連合審査会におきましても御議論がございましたように、国鉄の例と地方団体の例等が引かれたのでございますが、これらは私どもの研究の結果から申しまして、先ほど国鉄の当局からもお答えをいたしました通りに、われわれと大体同じような考え方をとっております。なおまた東京都におきまして最近再検討されておることも、御承知の通りでございます。諸外国の例等につきましても、先ほど建設省からもお話がございました。私どもはやはり、今日の日本経済が各方面におきまして、戦後の一つの動乱のまだ安定しない形になっておるということにつきまして、これらにつきましてはそれぞれ一つの経済の過渡的な形態に対する対策を講じていかなければならぬということを一般的に考えております。しかしながら、国家の会計制度というものは、これは恒久的制度でございますので、そのときそのときの経済状態に応じましてきわめて便宜的に動かしていくということは、これはまたよほど慎重に考えなければならないことではないかと存ずるのでございます。何しろ税金によってまかなわれております国家の会計の根本に関する問題でございますから、これはそのときどきの経済の病理的な現象に対応いたしまして、これに対してきわめて弾力的に適用していくということでは、納税者の方が御安心が相ならないのではないか。かような点も深く私どもとしては考えている次第でございまして、以上の点から、決して今まで研究をしていないのではございません。十分研究いたしまして、なお今日慎重にこれを続けるべきだと、かように考えている次第でございます。
○石井桂君 建設省のお答えでは、ロアー・リミットのことも研究し、まだ研究がまとまらないから……、こういう御答弁でありましたが、大蔵省の方では研究がまとまっての上でのあれでございますか、御意見でございますか。
○政府委員(正示啓次郎君) これは重ねて申し上げますが、研究はたえずやりまして、今後ずっと継続してやりたいと考えております。研究というものは終りになるということはないというふうに考えております。
○石井桂君 その点は了承いたしまtたが、ただですね、私は外国にその例がないとおっしゃいましたが、日本の実情のようなものは外国にはないのですね。ひどい戦争に負けて、今復興しているというような例は、外国にはないのです。そういう経済状態のもとに必要だということを考えているんですから、日本と同じような国情の所をお探しになれば、あるかもしれないということで、そういうことで、私はその点では見解が違うと思います。 ことに、大蔵省は、国の税金をほんとうに節約して、適正に正しく使われることを念願していらっしゃることは、われわれの目標とするところと全く同じなんです。同じなんですが、あわせてやっぱり国会では、各階層のやっぱり産業の助長とか、それからできるものはほんとうに国の国費をかけたものですから、そのかけたお金と同じような値打のあるものを作って、できるだけ質の、建築でいえば建築の質の向上をはかりたい。そういう一心であるのでありまして、建設委員会におるから、これを機会として、建設業法の改正で、建設業法の改正の中にロアー・リミットを入れて、そうしてこれを押し通そうなんという、そんなしみったれた考えはわれわれにはないわけです。非常に日本の復興で大きな部分をになっております法案、年間五、六千億の産業なんですから……。皆様の目にはおとめにならぬと私は思います。 私はこの建設業法の、初めて国会で制定されるときに証人に呼ばれまして、国会で私は証言しておる。そのときには年間五、六千億をこなすところの産業が、各地方では一介のくず屋、バタヤと同じように取り扱われておる。そういうふうに、いきおい悪いことをするのだというような取扱いをされておる。それはいかぬとして、業界は決起し、建設業界にあるわれわれは決起し、建設業法というものを作ってもらって、そして大いに業界というものをりっぱなものにしようという精神からこの法律ができたものと記憶いたします。しかも、この法は当時議員立法ではなかったのじゃないかと思いますけれども、そういうふうに苦労して、とにかく盛り上げてきたものであります。われわれの態度は、建設委員会にあるから、自分の関係の方面だけかわいいということで、これを保護しようというような考えはちっともございません。 そこで、目的は、大蔵省の次長さんが言われる目的と、私の言う目的とは全く合っているわけなんです。なぜそれができないかということははなはだ私は残念に思うわけでありまして、私の方もそういうセクショナリズムの考えはないのですが、おたくの方でももうちっと高い目から、なるほど専門屋にやらせれば、自分たちの目よりももっと行き届いた規定ができるだろうというような広い考えはないもんでしょうかね。
○政府委員(正示啓次郎君) ただいまのるるお述べいただきました御意見につきましては、きわめて傾聴いたしたわけでございます。私どもも、決してセクショナリズムの考えから、この問題につきまして以上申し上げたようなことを考えておるわけではございませんので、やはり、ただいま石井委員御指摘のように、全般的な見地から考えまして、なお以上のように考えているような次第でございます。 お述べになりました中で、建設業界の今日の事態に照らしてこういう制度が必要なのであって、諸外国におきましてもこういう事態の例というのはちょっとないのではないかというようなお話でございますが、この点はやはり私は、同じ敗戦の国といたしまして、ドイツとかイタリアとか、多少類似の問題があるかとも存じまして、それらの事態につきましても、先般連合審査会におきまして各国の例等もそれぞれお話があった次第でございます。 なおまた、非常に困った事態であるという点につきまして、私どももきわめて心配をいたしまして、建設省の御当局から資料等をちょうだいいたしているのでありますが、先ほども石破官房長からお話しになりました通りに、比較的安く落札した工事が非常に問題が多いということでございますと、お説のような点につきまして私どもとしても非常に重大な問題としてなお考えなければならぬかと思うのでありますが、この点はデータによりましてやはりさようではないというふうなことも明らかでございますので、これらの点をあわせ考えまして、国家の会計の基本に関する問題でございますので、なお今後も慎重に研究を続けて参りたい、かように考えていることをつけ加えてお答え申し上げておきます。
○石井桂君 先ほど石破官房長の御答弁のうちに、建設省関係の工事では別に安いものが必ずしもまずいものを作らないという例をお話しをしておられました。で、このことは、私はたまたまある調査に当った一つの例であろうと思います。われわれ長い間地方庁に勤務した者ですが、やはり安い工事の作品はまことにまずいものができていることは確かなんです。ただ、何パーセントどういうものができたかという統計を出すということになると、そのつもりで統計を作っておりませんでしたから、出ないだけのことでありまして、私は石破さんの例だけでは了承しないものなんです。 それからなお、たまたま鉄道の方では、発議者が鉄道もロアー・リミットをやっているという御発言があって、今日出てきたところが、やっていないという。まずいことになったわけですが、都道府県関係ではほとんどやっていると私は思います。これは私が長い間勤めておったところではずっとやっておりましたが、ですから、都道府県でやれて国でやれないという理由が私にはよくわからない。都道府県の方には、やはり国の補助事業などがずいぶんあります。その半額以上は国から来ているやつでありますから、都道府県でできて、国でできないという理由は私はないように思います。むしろ慎重に態度を持するために、国の方がおくれて、都道府県の方で試験の結果を出して、国がならうという結果になりはしないかと、私も役人を長い間やっておりますから、役人は大過なく過ごすということがまことに肝要ですから、その気持はよくわかりますが、どうも比較的消極的になる、こういうことだと思いまして、その点は私はどうも了承できない。 しかし、こんなことを押し問答していてもいけませんから、私の質問をしましたことについて、熱烈なる発議者のきっと御意見があると思います。そこで、発議者のほんとうに熱のある御意見を聞かせていただきたいと思います。
○田中一君 どうも、石井君の高邁な御議論を伺ってよくわかります。わかりますが、あなたのおっしゃる通りの意思を持ってこれを出したんです。そこで、私が自分の発言をする機会がないので非常に残念なのでございますが、先ほど正示次長から御答弁があったように、なるほど中央建設業審議会では、このような趣旨を予算決算及び会計令臨時特例の中に設けてくれという希望は付して答申しております。しかしながら、この法案は何も国だけのものではございません。もし国だけのものを問題にするのならば、これは今のようなことも言えるでございましょうけれども、われわれはもう少しその範囲を広めまして、発展いたしまして、地方公共団体または公共企業体、またはあいまいな公団のようなもの、あるいは電電公社のようなものにまでも及ぼしたい。そうしてなおかつ、公共性ある事業でありながら、なおかつ建設工事と限定いたしております。そのうちの公共性ある工事のうちの建設工事と、こう規定しておるのでございますから、従いまして、予算決算会計令によらずしてこの建設業法に入れることは妥当であると、かたく信じております。もしこれが、この予決会計令に入れるとするならば、他のものに全部——電力開発会社にするのならば、一つ一つその会社の何らかの法的措置をもって、あるいは内規なり何なりをもってしなければなりません。このできますところの、何といいますか、愛知用水にいたしましても、これに対してはそういうことのなければならないような規制をしなければならないのです。これははなはだ予決会計令からいえば規制ができない。従いまして、建設業法の中の、建設大臣が指定しております土木建築業の中の建設工事というものだけを限定したのでございますから、これは当然建設業法に織り込むことが正しいものとかたく信じておる次第でございます。
○委員長(石川榮一君) ただいま説明員に、自治庁行政部行政課長長野士郎君が出席しております。間もなく会計検査院小峰第三局長も出席します。
○小林政夫君 発議者はだいぶ発言したくてうずうずしているようですが、あとから質問します。 自治庁の方が出席されたのでお尋ねをしますが、発議者田中一君は一昨日の委員会において、自治庁から地方公共団体に対して中央建設業審議会の答申ですか、建設工事の入札制度の合理化というような意味についての中央建設業審議会の答申成案の結果をもって、いわゆる簡単に申すとロアー・リミット制をとるようにというような指令といいますか、通牒をお出しになったことがあるのですか、ないのですか。まず……。
○説明員(長野士郎君) ただいまのお話は、私どもの方では、まあ中央でいろんな審議会や協議会の新しい御意見等についてまとまったものができたりなどいたしました場合には、参考のために地方に通知するというようなことをやっておりますが、私の記憶では、今のお話の建設審議会でございますか、その答申を地方に流して、そのときにその答申の中に盛られております最低価格制度でございますか、それをとるようにというような指導をしたようには記憶もございませんし、そういうことはなかったと思います。 ただ、今話がございまして、ちょっと余談になりまして失礼でございますが、思い出しますのは、道路法が新しくできましたときに、建設次官の名前で、道路に関する請負とか工事のやり方につきまして、建設省が都道府県知事にあてて通牒をお流しになった。その場合に、私の方に、これでいいだろうかという合議を受けたことがございます。建設業といいますか、そういう建設工事の契約につきまして、他の省からの御関係で合議を受けましたのは、そういうところではなかったかと思います。
○小林政夫君 本日配付された資料によると、先ほど石井委員がおっしゃったように、かなりの地方自治団体、都道府県において最低価格制度を採用しておるように思うのですが、こういう点について自治庁としてはどのように現在お考えになっておるか。たとえば最近の東京都の汚職問題等に関連いたしまして、東京都においてはロアー・リミット制を再検討すると、あるいは撤廃をする、こういうようなことも報ぜられておるわけであります。過去にはそういう指導をしたことはないということでありますが、現在はどのようにお考えになっておるか。あるいはそういう点についてはそう真剣に考えておらないのか。おらないことがいいとか悪いとかいう意味ではありません。この場合で思いつきを言わぬように、はっきり言ってもらえばけっこうです。
○説明員(長野士郎君) これは、まずお答えをいたします前に、ちょっと御説明を申し上げますが、現在の地方自治法の規定によりますと、地方自治法の中に二百四十三案という規定がございますが、その規定によりますと、地方公共団体の工事の請負その他につきましては、競争入札に付するということが原則でございます。この競争入札という字句の内容なり、取扱いの解釈につきましては、これは国の場合と同じでございます。ただ、地方団体の場合には、ただし書というか、クッションがございまして、国の場合にもあると思いますが、得失相償わないときでありますとか、そういうような場合にはそういう原則によらないでよろしいという規定がございます。その中に、議会の同意を得た場合もよろしいというのがございます。これでまあ議会の同意を得ました場合には、これは具体的な契約になると思いますが、特殊事情がありますれば、この場合には一般競争入札によらないで他の方法によってやることができるということになっておりますので、その場合にそういう最低価格制度を用いるということになれば、これはまあやってやれぬことはない、こういうふうに考えておりますが、ただ原則としては、そういう特殊な手続を経ない契約につきましては、これは国の場合と同じように考えておりますし、それ以外の方法はとり得ないというふうに考えております。
○小林政夫君 そうすると、きょう配付してもらったこの建設省の二十九年十月四日付ですか、「都道府県における建設工事の「落札人の決定」の方法について」こういうのをもらっておりますが、北海道、茨城、神奈川、滋賀、京都、福岡を除いては、おおむね今の説明と違うような、最低価格制といいますか、他の都道府県はそれをとっておるような資料ですが、その点は建設省の方は間違いないでしょうか。
○政府委員(石破二朗君) ただいまお尋ねのは、参考といたしまして当委員会にお配りいたしました二十九年十月四日調製の資料かと思いますが、あるいはその後動いた点があるかもしれません。必ずしも正確だとは申せないかもしれませんけれども、私どもは当時におきましてはこの通りやっておるものと、かように承知いたしております。
○小林政夫君 その今の、自治庁へちょっと見せて下さい。検討してもらって、自治庁の方はこういう状態なのだが、今述べられた自治法の解釈等で考えて、現行通りでいいのですか。
○説明員(長野士郎君) これはまあ私どもの申しておりますのは、建前といたしましてただいま申し上げた通りでありますが、工事の内容によりまして、その議会の同意を得てやるという場合に、地方団体としては、これは多少の疑問はございますが、今地方の議会ではそれを一般的な条例にいたしまして、条例でこういう場合にはやるというようなものをこしらえておる団体が、これは正直に申してございます。しかし、これは法律の性質上から考えますと、個々の事件議決で、個々の契約についてそれぞれについて議会の同意を得るべき性質のものだろうと思いますけれども、これの一番飛躍しておりますのは、条例の形で一般的なものとしてやっておるのが一つございます。それからそこまで至りません場合にでも、事件議決でなしに、一般に議決の形にはしておりますけれども、こういう工事、こういう工事、こういう工事については一般競争入札の原則によらないでよろしいのだという議会の同意を求めるということにいたしまして、そういう議案を出して、議会の同意をあらかじめ得てしまっておるという場合がございます。そういう場合には競争入札の原則によらないで、そうして今の随意契約によりますとかあるいは最低価格制度によるという形をとっておるのだろうと思います。そういう場合が今お手元にある例の中で出てきておるのじゃないかしらぬと思います。しかし、これは地方自治法の原則からいいますと、そういうただし書の適用という非常に弾力性のある規定でございますから、それを適用しておると考えられます限りは、それはできぬことはない。一般競争入札が原則ですが、地方の制度におきましては、そういう弾力性のある規定がございますから、それを用いておる。ただその場合に、それを相当一般化して用いておるという傾向がありはしないかという点でありますが、その点は多少あるように聞いております。
○委員長(石川榮一君) ただいま会計検査院検査第三局長小峰君が出席されております。
○小林政夫君 そうすると、自治庁は、具体的な個々の案件によって、そういう例外措置をとるべきものが、条例等によって一般化しておる、普遍化しておるという傾向については、どういたしましては、やはり法律をなるべく正しく適用してもらいたいということを地方団体に、かねてから、ずっと伝えておるわけでありますが、そこでそういう一般的な条例で作るというやり方は、これは例外的な取扱いを一般化することになるおそれがあるから、それはどうも正規のやり方じゃないというような指導をいたしております。
○小林政夫君 会計検査院の方から出席されたので……。ただいま提案されておる建設業法の一部を改正して国等の建設請負工事に対するロアー・リミット制をしこう、こういう考えについては、検査院はどういうふうにお考えになりますか。
○説明員(小峰保榮君) お答えいたします。ロアー・リミット制の契約の入札と申しますのは、従来もときどき行われておったのであります。古くは明治時代、この前御引用がございました。それから最近でも、終戦後昭和二十一年、二十四年、二十六年、相当なことが行われまして、会計検査院といたしましてはそのつど批難をしているというものでございます。批難の趣旨は結局、会計法規の趣旨に反する、競争の実をあげていない、こういう点で、終始同じ態度で批難を繰り返しておる案件であります。従来会計検査院が会計法規の趣旨に反し、競争の実をあげない、こういって批難するものが、そっくりそのまま建設業法に入る、こういう次第なのでございます。 しかも最低制限は十分の八。従来は地方などではしばしば、お話に出ております道路執行例でしたかの関係で、三分の二くらいのロアー・リミットは相当行われたのでありますが、十分の八というのは、私どもが今まで扱いましたものの中でも、比較的高い方であります。終戦処理費などもっと高い例がございますが、十分の八といいますと相当高い制限なのでありますが、これを一般化しよう、十分の八以上にしよう、こういうのが今度の建設業法の改正というふうに承知いたしておるのであります。 会計検査院といたしましては、結論から申し上げますと、従来、会計法規の趣旨に反する、それから競争の実をあげていない、こういう点で終始批難しておりました立場から申しましても、この種のものを立法するというのには実は賛成いたしかねる、こういうふうに院議として態度をきめてございます。 理由は、もう前回以来しばしば方々からいろいろな御批判が出ておりますので、特に詳しく申し上げる必要はないと思います。要するに、国、公共団体、あるいは政府関係機関、こういうものの契約というのは、公正さを保つということと、経済的に契約する、その二点が根本になるかと思うのであります。現在の会計法規で競争契約を原則とするというのは、いうまでもなく、この公正さを保つための趣旨に基いておるものであります。それから現在の競争契約というものは、価格について、同一条件のもとに価格の競争をさせるというのが競争入札の建前になっております。品質の競争ということは入らないのであります。それでこれらの点から考えまして、いろいろな不当な競争が行われないように、これも前回にも御紹介がありましたが、いろいろな制限が設けられておるのでありまして、要は法令上設けられましたその制限をいかに巧妙に運用していくかという点にあると思うのであります。それで機械的に、しかもその予定価格というものはこれは人間が作ったものであります。神様が作ったものではないのでありまして、担当職員がなるべく落ちやすいように、これは担当者として当然に、そう落ちないような予定価格、これはできませんから、なるべく落ちやすいような、しかもだれでも入札しやすいような建前で予定価格というものは作られるのは、これは当然でありますから、そういうふうに八割とかあるいは八割二分というふうな線を引きまして、それを百円でも、極端にいえば一円でも下の入札をしたものは、これはことごとく自動的に無効にしてしまうというのは、そこにあまり妥当性を見出すことができないのではないだろうか、こういうふうに考えております。従来私どもが批難しました例を見ましても、線より上に首を出しました人よりも、公平な第三者として見ると、線の下にもぐってしまってわずかの差で落ちてしまった、こういう人の方が履行能力はさらに一そういいのではないか、いわゆる一流の業者なのです。こういうような例が相当に多いのでありまして、これは八割はもちろんのこと、それ以下の価格でも、機械的に線を引いて、その下に頭がもぐってしまったものはことごどく無効にする、こういうような制度は、どうも私どもとして、従来の検査の経験から申しましても、妥当性を認めがたい、こういうふうに考えておるのであります。 それから、これはただいまほかの関係省からもお話があったのでありますが、いわゆる法体系を乱す。これは会計法規の重大な制限特別規定であります。これを会計法規とは関係のないほかの目的によって作られました建設業法の中に一条ぽんと入れてしまって、そして会計法規の制度の大きなる例外をここに設けるという点は、これもまことにおもしろくないのであります。それから国の行います契約は、決して請負土木工事だけではないのであります。これはさらに一そう大きな面に、物品の購買とかその他の役務の請負、こういうことに相当契約がございます。そういうものは一切現状のままでおきまして、工事の請負だけにロアー・リミットを設けるという点では実はいかがかと、こう考えておる次第であります。
○小林政夫君 大体各方面の意向がはっきりして参ったので、ございますが、そこで発議者に伺いますが一昨日発議者からお話のあった国鉄がロアー・リミット制を採用しておるということは、先ほどお聞きの通り、採用しておらない。それから地方自治庁の方で、地方に対してこの中央建設審議会の答申の中に、答申というか、入札制度の合理化についてはいろいろ研究した結果が現われておるのであります。その中に特にロアー・リミット制というような問題が取り上げられておる。それをこうだからこうしろというような指令は、自治庁としては出しておらない。むしろ、今の自治庁の見解では、そういう条例でロアー・リミット制というようなものを普遍化する、一般化するというのはよろしくない。自治法の定めるところによって適正にやるというような気持でおるということも、お聞き取りの通りであります。また先ほど来石井委員の質問に答えて、これは建設工事に限ることなんだから、この建設業法の改正でやって差しつかえないと、会計法の原則というか、建設業だけに限っての例外措置だと、こういう意味において建設業法の中に取り入れて差しつかえないというような見解についても、今も会計検査院から述べられたような見解があり、また大蔵当局、あるいは建設当局の御見解がありますが、そういうような意見をお聞きになって、自分が発議したのだから、何でもこれを通さなければならぬというようなお気持もあるかもしれませんが、一つ冷静にお考えになって、一つあなたのただいまの心境を承わらしていただけば幸いであります。
○田中一君 地方に中央建設業審議会の答申案を流したということは、私は今の自治庁あるいはその他の者が流したかどうか知りません。きのうの答弁でもそれを申し上げたはずであります。ただ、昭和二十六年の一二月二十日に印刷した「建設工事入札合理化対策及び標準請負契約約款について。建設省管理局建設業課編著」というものが出ております。これは、この内容を見ますと、また序文並びに前書きを見ますと、これは大体地方公共団体に対しまして、建設業の合理性あるいは健全な繁栄をはかろうがための著書であると考えられます。私は今前書きを読んでみます。これは政府の発行した著述でございます。 まえがき 建設業は土木と言い、建築と謂い、社会公共の福祉に至大なる関係があり、あらゆる産業の基礎産業と称せられるに拘らず、近代資本主義諸産業の間にあって、甚だ封建的、後進的な段階に留まっている。即ち、請負契約の片務性、入札制度の不合理性、経営における「どんぶり勘定」等企業の内外に幾多の矛盾を包蔵しているのである。 戦後、災害の復旧、戦災の復興の問題が焦点となり、業者の数も激増するに及び、建設業の重要性が益々強調せられ、その民主的な健全な発展が愈々切望されるに至った。 昭和二十四年八月建設業法が施行されたことは、この意味において、将に劃期的な意義をもつものである。而してこの法律に基き、中央ならびに各都道府県に建設業審議会が設置されたのであるが、法律の目的達成は、この審議会の適切な運用にまつこと大なるものありと言はねばならない。 中央建設業審議会は、昨年末、建設業法第三十四条の規定に基き、請負契約に関する標準約款を作成し、その実施を勧告したのである。この標準約款は、工事の性質に応じ官公庁等の約款、下請負約款及び民間約款の三約款に分けて作成された。 又、建設大臣の諮問に対して「入札制度の合理化対策」を決定、答申したのである。 建設省においては、この約款の趣旨徹底と入札合理化対策の実現に向って、鋭意、努力中であるが、この度、この約款と入札合理化対策についての解説書を作成し、関係各位の参考に供することとした。この解説書が些かなりとも、審議会の活動状況の認識と、建設業の健全な発展に資するところがあれば、望外の喜びとするところである。 この前書きは、これは建設省の意思でございます。建設省の意思が表明されたものでございます。この今の前書きをごらんになって、建設省がこの三つの約款並びに入札制度の合理化に対しましては、「近代資本主韓語産業の間にあって、甚だ封建的、後悔的な段階に留まっている。」と、建設業というものをどの方向に持っていこうとしたかということがはっきり現われていると思うのであります。 これは小林さんに申し上げます。自治庁並びにその他の所から強い意思というものをもってやるよりも、このように建設省の意思をもって、このような前書きをもって、勧奨しておるところのこの内容というものは、これは通牒で出すというもの以上にわれわれの胸を打つものがあり、全国何十万かの建設業に従事する者の強い要望並びに希望が蔵せられておるということは、小林さんもよくおわかりになると存じます。このような著述が現われて全国にも慫慂されておるのでございます。 それから次に、先ほど各役所の方々が申し上げておるのは、もうたった一本予決会計令に、これによってすべての関係業務というものを営むのだということにとどまっております。そして、今の小峰君の議論にもいろいろございましたけれども、旧道路工事執行令制定の経過というものを申し上げますと、これは、道路工事執行令は、大正九年十一月八日、内務省令第三十六号をもって公布されたものです。当時は次のような規定になっておりました。「入札人中予定価格以内ニシテ予定価格ノ三分ノ二ノ範囲内ニ於テ道路管理者ノ定ムル制限価格ヲ下ラサル最低価格ノ入札ヲ為シタル者ヲ以テ落札人トス但シ設計附入札ニ在リテハ設計及入札金額ニ依リ落札人ヲ定ム」こうなっております。従って、もしも予決会計令というもののほんとうの精神を生かし貫く意思があるならば、大正九年において、もはや小峰君が言っているような予決会計令といったような自由競争入札制度というものはこわれているのでございます。よろしゅうございますか、こわれているのでございます。 次に、われわれが、戦後のたくさんあるところの業態の中においてダンピングがたくさん行われた。それでこの問題がいろいろ建設委員会で論議されて参りました。そしてその後昭和二十四年建設省令第十三号をもつてこのようなものが出たのでございますが、さらに同令の改正は、昭和二十六年十二月建設省令第三十六号をもって公布せられ、すなわちこのような改正になっているのです。私は昭和二十六年十月当時と思いますが、建設大臣並びに当時の中田事務次官に対しましてこの問題を追及いたしました。そうして政府の責任において、これは省令でございますから、政府がいつでもその非をさとるならば、改正ができるではないか。今さっそく速記録をもって御説明申し上げますが、私の追及に対しましてこのように改正されました。昭和二十六年十二月、建設省令第三十六号をもって公布せられた、すなわち「入札人中予定価格以内ニシテ予定価格ノ十分ノ八ヨリ三分ノ二ノ範囲内ニ於テ道路管理者ノ定ムル制限価格ヲ下ラサル最低価格ノ入札ヲ為シタル者ヲ以テ落札人トス但シ設計附入札ニ在リテハ設計及入札金額ニ依リ落札人ヲ定ム」このようになっているのです。会計検査院並びにそのほかの官庁が、ときの政府の強大な政治力によって、当然反対すべきであったところのかかるものを黙過し、現在追い詰められておるところの土建業者、建設業者の中にあって切実なる希望というものが、今さら過去においては認められておるところのこの事実をじゃまにして、どけて、再びここで反対の意思を表明する。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━このように予決会計令というものの精神を無視して、このような省令を出しておりながら、こういうような反対の意思を表明するなんということは、あり得ることでございません。 従って、次にまたもう一つ申し上げるのは、たとえば、この建設業法によってこのようなロアー・リミット制を持つことが不適格であるということに対しましては、小峰君はさきほどいらっしゃいませんからもう一ぺん申し上げますが、国の公共工事のみを対象としたものならば、おっしゃる通り、この中央審議会の答申通り、予決会計令を修正するのがよろしゅうございましょう。しかしながら、われわれの意図はそうではないのでございます。国並びに公共企業体または今回通過いたしましたところの住宅公団、あるいは成立するかどうかわかりませんが、愛知用水等のごときものも、あるいは電発会社、あのようなものも含めて、閣議決定によって、政令によってこれを指定しようと考えております。従いまして、予決会計令のみを訂正するならば、国だけはよろしゅうございます。しかしながら、他のものにはことごとく、何らかの法律をもってそれを規制しなければならない。従いまして、建設業法に建設大臣がこれを認めておりますところの公共事業のうち、土木建築工事のうちの建設大臣が指定しますところの建設工事だけを限っておるのでございます。従いまして、どこまでも建設業法においてこれを挿入することが正しいものという見解に立っておるのであります。 それからたとえば、企業合理化促進法を見ますと、これには第四条に「試験研究用機械設備等に対する所得税又は法人税の課税の特例」というようなものも織り込んでございます。これは法体系から申しますと、税法に挿入さるべきものでございます。ところがそれが企業合理化促准法という法律によって、法体系を乱しております。また食糧管理決、これは昭和二十七年改正の分を見ましても、この四条の二、これには麦の政府買入れ、この点につきましては「政府ヘ命令ノ定ムル所ニ依リ麦ヲ其ノ生産者又ハ其ノ生産者ヨリ委託ヲ受ケタル者ノ売渡ノ申込ニ応ジテ無制限ニ買入ルルコトヲ要ス」ときめております。同時にまたその三項においては「政府ハ其ノ買入レタル麦ヲ随意契約ニ依リ売渡スモノトシ」とこう規定してございます。これは今小峰君その他の行政官庁の諸君が御答弁しているように、少くとも自由競争主義というものを放棄して、特定なるものと特定なる契約を結ぶということを規定しておるものでございます。私はまだ全部の法律をつまびらかに調べておりません。おりませんが、気がついたところを取り上げてみましても、このように法体系を乱しておる事実というものは数々ございます。これに対して私は賛成するものではございません。官僚が一本調子で、一つの予決会計令なるものをもってすべてを支配しようというこの独善性を指摘したいのでございます。従って、われわれが作った法律の中にも、このように法体系を乱しておる事実がたくさんあるということを御指摘申しまして、提案者の趣旨並びに考え方を御了解願いたいと存じます。
○小林政夫君 まあ発議者と討論をしても仕方がないので、あなたのこの発議に対する御熱意のほどは拝承いたしましたが、どうも私も、御指摘の、たとえば企業合理化促進法等において税法をやるということについては、そのときもかなり反対をいたしました。そういう行き方はよろしくない。ことごとく最近どうも擬装法案が多くて、おおむね大蔵委員会にかかりそうな法案について、ある実体法の付則とかその他でやられるというような傾向が多い。またその実、完全に税法あるいは国有財産の払い下げ等についての特例であるにかかわらず、それぞれの主管事業省といいますか、その方の実体法であるかのごとき装いをして出される傾向があるので、これは非常ににがにがしく感じておることなんです。その点については、田中委員もいいことではないとおっしゃっておられるのでありますから、どうかそういう意味において、われわれの方にもそういう、ほんとうに国税及び立法を正常化するという意味において、特段の御協力というか、一緒に大いに手を携えて立法の正常化に努力をしたいと思うわけでございます。 それからいろいろ申されたことについて、一々私の考えを述べれば、あなたと結局討論するようなことになりますから、それは今まで政府委員あるいはあなたに対する質疑によって、私どもの考えは御推察願って、あとは皆さんの御判断になることですから、これ以上質疑を重ねるということはいたしません。
○田中一君 これは小林さんに申し上げますが、政府がロアー・リミット制を法律に——いや、その行政官の腹一つでやった事例があるのでございます。これは御承知と存じますが、藤原ダムの建設工事でございます。これは建設委員会におきましても取り上げまして、だいぶ強く追及いたしました。私は詳しくは知りませんが、事実は知っております。数件か十数件かの指名請負人をきめまして、これに準備工事と申しますか、仮設工事の入札をしたのでございます。このときに、ダンピングをした者に対しては次回は指名に入れないというような、口頭でいわゆるロアー・リミット制をしきまして、入札をした事例がございます。ところが、間組という組が半分に近い値段で取ってしまった。なぜ取ったかと申しますと、まあ自分が先取得権と申しますか、仮設工事を取って、たといその分で損をしても、あとの本工事をもらえばこれはいけるのじゃないか。これは大体今日の建設業者はそういうような考えを持っているらしいのでございます。そこでその工事を請け負って、仕事を完全にし遂げたのです。ところが、本工事が出た。間組が何とか指名していただきたい……。お前と約束があるじゃないか。ある一定の線を下回ったから、これはお前の方にやるけれども、あとはやらないという約束をしたじゃないか。こういって、あらゆる猛運動——これには自由党の各先生方も運動したそうです。これは聞いております。ところが、どうしても末松君という今清水建設の土木の常務をしておる人が、頑として応じない。自分であらゆる、本工事ももらえるものとして、本工事もするように仮設もどんどんした。そうして機械も持ち込んだ。にかかわらず、間組というものを除外しまして、そうして指名競争入札をやり、そうして間組以外のものがその落札をしまして、その工事にかかった。このような事実があるのでございます。これははっきり事実でございます。この点は河川局長もそのことに、そういう事実があることを認めております。これはやはりダンピングをすれば工事が粗雑になる、よくない、かような見地から末松君が、法律じゃそれをきめられませんから、そのようなことを口頭で示してやったということ、いわゆるロアー・リミットを口頭で示したということにほかならないのです。その下回ったという証拠には、次の本工事には指名をしなかったという事実から見ても、このようなこともやはりこうしたロアー・リミット制の制定というものの必要があるのじゃなかろうかというような一つの事例でございます。ちょっと思い出しましたから、申し上げておきます。
○宮澤喜一君 先刻の田中委員の御発言の中に、おそらく非常に御熱意のあまり、ちょっと口がおすべりになったかと思う点が、あまり穏当でない点がございましたから、これは御発言の取り消しをなさるなり、あるいはしかるべきお取り計らいをお願いいたしたいと思います。
○田中一君 どうもいい調子でやったものですから、大へん失礼なことを申したかもわかりません。その部分は委員長において適当にお取り消し願うようにお取り計らい願いたいと思います。
○委員長(石川榮一君) その点は、石破官房長に対する人身攻撃の点もあったように思いますから、あまり熱意を発揮されてほとばしった言葉と思いますが、この点は取り消したいと存じますから、御了承願いたいと思います。
○政府委員(石破二朗君) 先ほど来本法案につきまして、政府の案というものを申し上げた次第でございますが、あるいは建設省、われわれの意のあるところが十分委員の各位に御了解願えなかったかと存じますので、ちょっと補足さしていただきたいと存じます。 私どもは適正な建設工事をやるという責任と同時に、建設業界の健全な発達をはかるという両方の責任を負わされておるものでございます。建設工事の適正な執行をはかるという点につきましては、これはひとり建設省だけではございませんが、建設業界の健全な発達をはかるというのは、まさに建設省の責任と考えております。この点につきましては、実はわれわれといたしましては、力は至りませんけれども、あらゆる努力を払っておるつもりでございます。御承知のごとく、最近の建設業界は、あるいは言い過ぎになるかもしれませんけれども、業者の数の割合からいいまして工事の量が少いといいましょうか、そういうところに原因があるかと思いますが、概してうまくいっていないというのが現在の実情だと考えます。特に本年度は国の予算の成立がおくれました関係もあり、さらに最近は各地方公共団体の財政状況というものもうまくいっておらぬような状況でございまして、先年制定していただきました公共工事の前払制度というような非常にりっぱな制度がありますにもかかわりませず、地方にお案ましては法律に許されておる前払いもしてやっていただけないというような実情にあります。従いまして、われわれはこの建設業界の健全な発達をはかるという面からいたしまして、あらゆる研究はいたしております。また今後も業界の健全な発達をはかるというためには、具体案を立てましてまた御審議をいただく機会もあろうかと思いますが、ただその建設業界の健全な発達をはかるという目的にまあこの本法案のごときロアー・リミットを作る、しかもこれを建設業法の中に入れていただくということについては、遺憾ながら賛成いたしかねるという次第でございますので、その点を一つ御了解願いたいと存じます。
○小林政夫君 私も最後に申し上げておきますが、非常に発議者の熱意のほどはくみ取るのでありますが、どうも遺憾ながら、発議者のこの法案には賛成いたしかねる。しかしながら、建設業界がすこやかに発展されることは念願するものの一人であって、その方法についてはまた別途御相談をいただきたい、これでは賛成いたしかねる、こういう趣旨でありますから、御了解願いたいと思います。
○石井桂君 念のために伺っておきたいと思うのですが、会計法関係はよく存じませんものですから、それだの、あるいは地方自治法関係で建設工事の入札は公入札が原則になっているのじゃないでしょうか、その点ちょっと両方から……。大蔵省とそれから自治庁の方いらっしゃいますか。
○委員長(石川榮一君) おりません。
○石井桂君 いなければ、大蔵省だけでもけっこうです。
○政府委員(正示啓次郎君) 私から国及び地方を通じましての会計制度の建前を申し上げますが、これは会計法並びに地方自治法にはっきり書いてあります通りに、一般競争入札を原則にいたしておるわけでございます。 なお、先ほど来この予算決算及びいわゆる予決会計令というように発議の田中先生はおっしゃいましたが、これは大体国の会計制度におきまして定めますものが、国及び政府関係機関並びに地方公共団体が大体これに準拠いたしておりますので、この点につきましては、もとより事務の簡素化の見地から田中先生のようなお考えもあるかと存じますが、私どもといたしましては、やはり考え方といたしましては、国の会計制度で建前を明示いたしまして、これに従いまして地方公共団体並びに政府関係機関というふうに、大体同じ建前のもとに具していくのが、ただいままでの建前になっておる、かように了解をいたしております。
○石井桂君 そういたしますと、競争入札を原則としていますが、地方庁でロアー・リミットを実際やっているという事実は、これはあなたの方と、それから会計検査院の小峰局長もうまくないというようなお話なんです。しかし世の中がだんだん変っていっているのに対処して、法律も進歩しなければならないと思うのですが、相変らず昔の道徳がいいとも限らないし、たとえばみんなが守れないような法律がいいといって、金科玉条として、法律の番人を、もって任ぜられていても困るのじゃないか。食糧難のために、やみの米の持ち込みを一升から五合くらいまでもふんづかまえていた人もあったように聞いておったのですが、そういうことでなく、やっぱり進む時勢に合せて法律もやっていくという精神が私は必要じゃないかと思うのです。そしてこういう法律が考えられたわけなんで、会計法一たびきまればそれはいいので、あとはだれも寄せつけないという態度は、どうも私どもにぴんとこない。それに対して、これを大蔵省と会計検査院の両方から返事をして下さい。
○政府委員(正示啓次郎君) 私の尊敬する石井先輩からこういうお言葉をちょうだいいたしまして恐縮なんですが、私どもはむしろ、この制度というものがかっちりありまして、そうして経済界は、御承知のように、非常に戦後の混乱時代でございますが、だんだん安定して参りまして、建設業界もまたその例外ではないと考えております。そこで経済の非常に大きく動く姿に国の会計制度が合ってゆくのが——国の会計制度というのは一つの恒久的な制度でございますから、これはかっちりした仕組みにしておきまして、経済の正常な、建設業界の正常化というものが進められまして、正しい姿になってゆくというのが正しい。そのところの考え方が、どうもちょっと、私と先輩とは食い違っておるだろうと思います。私どもはその建前をどこまでも貫いてゆきまして、それがそのときどきに起っております異常現象に対しては、異常現象を救う別途の方法、たとえば中小企業については中小企業安定法があり、建設業につきましては建設業法があるのです。その建設業法に定められた建設業界の安定施策はけっこうだと思います。しかし国の会計制度、これは国家の生命は永久でございますから、そういう永久の制度を震憾させるような問題は、きわめて慎重でなければならぬのであります。こういう趣旨で申し上げておるのでありまして、私はやはり、先ほど先輩が仰せられましたが、われわれと期するところは同じであろうと思いますが、ただ表現なり言い方が多少違っておるだけでございまして、建設業界の健全な発達を祈念する点においては何ら変りはない、かように考えております。
○説明員(小峰保榮君) お答えいたします。私どもとしては、法律が時代とともに変ってゆくということは、これは当然のことと思うのです。会計法等は比較的変らない。今大蔵省側から意見のございましたように、一つの太いしんばりを入れたような法律でありますが、それでも時代とともに幾分ずつ変ってゆくということは、これはあり得ると思います。現在は、しかしながら、必ずしも会計法の、たとえば日本式の非常に固定的な入札制度を変えていいというほどの時代ではないと思います。これはやはり一本のしんばり棒をすなおにおきまして、そして予決令の臨時令なり何なりで現在に合う臨時的な規定をおくということが、今後の行き方としては正しいのではないか。この点は私ども大蔵省と同感であります。 ただ問題の、このロアー・リミットは、一体今の時代でも、またいつの時代でもありますが、ここまで言うとあるいは行き過ぎかもしれませんが、現在建設業者のいろいろなピンチを救う方法に一体なるだろうか。先ほど申し上げましたが、八割なら八割の線を引いて、その下に入った者はことごとく無効、その上は有効だ。実際問題としますと、千万円くらいの工事で、従来の例でゆくと、七、八万円の差で、上の者は取っておるのであります。千万円くらいに対しまして七、八万円安いものは、履行が不確実である、高いものは履行が確実なんだと、こういうようなことの結果となる法律が、果して一体客観的に妥当性があるかどうか。この点が問題だと思うのであります。私どもも今のような固定的な入札制度、これが万古不易なものだとは決して思っておりません。現在御承知のように、公入札の旗じるしをかかげていながら、公入札は実際にあまり行われておらぬ。自由契約、大部分が指名競争、こういうような時代で、臨時特例で何らかのダンピングと思われる、明らかにダンピング、六割とか五割くらいの入札で満足に行われるとは、これは思えないのでありまして、こういうものに対して何らかの制限を設けるというのでしたら、私どもとしては双手をあげて賛成したいのであります。しかしながら、機械的に線を引く、これについて大いに疑問を会計検査院としては持っておるわけであります。
○石井桂君 最後にお聞きしておきたいと思いますが、その地方庁ですね、実際にそのロアー・リミットを採用しているのです、たとえば各県庁で。それが一体いいと思われますか、どうですか。われわれは非常にいいと思っているのだけれども、大蔵省、会計検査院、建設省、御関係のところで……。
○政府委員(正示啓次郎君) これは先ほど自治庁の行政課長がお答えを申し上げました通りでございまして、地方自治法の規定から申しますと、きわめて例外的な規定となっております。それが一般化されておりますのでありまして、これは好ましいことではないというふうに先ほども申しております。私どもも一応同様に考えております。のみならず、今日地方財政の問題は御承知のように非常に重大な問題でございまするので、これらの点はやはりよほどよく考えて参らなければならぬというふうに考えております。ただ、こういう現象はこれは一つの事実でございまして、今日の建設業界の一つの問題と地方の財政のあり方とが、たまたまそういう面において一つの何といいますか、異常な事実として現われておるのだろうと存じますが、私は先ほど申しましたように、地方財政も健全になり、建設業界また健全なる発達を遂げられるならば、こういう現象はやはりだんだんと解消いたしまして、私どもも申し上げておるように、正常な形態に進んでいくということをむしろ期待をいたしておるような次第でございます。
○湯山勇君 会計検査院にお尋ねいたします。今八割という線を引くということに問題があるというようなお話でございましたが、私は法律というものは大体そういう性格のものだと思うのです。これは所得税等の免税点にいたしましても、その免税点より一円こえたらいけないとか、一円足りなければどうとかいうようなことは、やはり議論の対象にはならないと思うのです、法の上では。そこで、あなたがお考えになっていました、ダンピングを防ぐ必要があるということを今おっしゃったわけですが、それだとすれば、大体どの程度のところで線を引けばいいか。それは今おっしゃったように、一円低ければどうとか、百円低ければどうとかいうことじゃなくて、どういうところへ基準を求めれば妥当か、あなたの御意見を伺いたいと思います。
○説明員(小峰保榮君) 先ほどの石井委員の御質問とあわせてお答えいたします。このロアー・リミットは地方で、大正九年でしたか、以来行われていたということは、これは事実であります。ただ、私どもといたしましては、当時は御承知のように、国庫補助工事というものは比較的現在ほど多くはなかったのであります。それであまり問題にならなかったわけでありますが、御承知のように、地方自治法が改正になりまして、競争契約という原則が自治法にはっきりうたわれたのであります。私どもといたしましては、この地方自治法ができまして競争契約という規定ができましてから、むしろこの地方の条例で、府県の条例できめておりました、ロアー・リミットは逐次なくなっていくことをむしろ期待したのであります。しかしながら、依然として残っていることは現状であります。そして大正九年以来の制度ではございますが、この制度がありますからといって、決して地方の工事が、私ども検査の結果から申しますと、うまくいっているとは思えないのであります。国の工事に比べまして、一そうどうも工事の手抜きがあったり、世の中で不正、不正と言われておりますが、不正ということは少しひどいといたしましても、あまりできがいいとは思えないのであります。そういう点からいたしましても、ロアー・リミットが実際上行われている府県の工事が必ずしも公正妥当にいっているとは思えないのであります。今これを国へさらに移入しようという考え方に対しては、どうしても、どうもこれを入れたからといって、国の工事が果してよくなるか、あるいは請負人の利益を擁護することになるかという点になりますと、大正九年以来の地方の工事の実施がそれを裏づけているとはちょっと思えないのであります。その辺で一つ……。 それから第二の御質問でございますが、何割だったらいいのか。八割だったらうなずけるか、何割だったらいいのか、こういうふうに伺ったのでありますが、私どもとしては、機械的に線を引くのは何割でも悪い、こう考えておるのであります。少し強い考え方かもしれませんが、従来のように三分の二という線でやっておりました地方の実績を見ましても、必ずしもいいとは思えな、九割五分なんという線を引いた例もあります。終戦処理費の工事では九割五分という線を引きまして、九割台の入札がみんな落ちてしまったという実例も、これは昭和二十一年度でありますがありまして、会計検査院としてはこれは批難しておるのであります。そういうような高い例もないわけではございません。それから六割五分あるいは七割五分というふうなのもございます。国の工事につきましては、私どもとしては何割でも一応そういう制度はおもしろくない、やり方はおもしろくない、こういうので検査報告に載せておるわけであります。しからば、地方についてはなぜ批難しないか、こういう御疑問が出ると思います。これは今の地方自治法ができるまで長い間慣行でやっておりましたので、当時補助工事が少いとはいいながら、とにかく補助工事はこれでやっておったのであります。地方自治法ができたからといって、いきなり国の工事と同じようにするのはどうだろうか。実は院内でもしばしば問題になっております。この補助工事については、私どもの方からたとえば局長名の照会などが出た例は相当ございます。最後の検査報告に載せて批難して国会に御報告するというところまでは、従来の慣行もあるし、この際しばらく、むしろこの条例が地方自治法の競争契約の規定に合うように改正されるのを待った方がいいのじゃないか、こういうことで見送っておるというのが現状でございます。
○湯山勇君 私がお尋ねしたのとちょっと御答弁が違うと思いますので、重ねてお尋ねします。それは、先ほどの御答弁では、ダンピングは防ぎたい、こういう前提があったと思うわけです。ところが、現在のやり方ではダンピングを防止する方法が本質的にないと思うのです。そこで法の建前からいえば、こういう何か値を示さなければダンピング防止にならないのではないかという懸念がありますので、もしその点があればお伺いしたいと。では、もしそういう線を引くことがどうしてもできないというのであれば、私は今の建前で行く以上は、ダンピングはとめたいと思うけれども、とめる方法はない、こういう結論になるのではないかと思いますので、その点についての御説明をいただきたい。
○説明員(小峰保榮君) 機械的に線を引くという点では、私どもはどうしても承服しかねるのであります。今の制度でも、何かそこに、これは当局に御研究願わなければいけないと思いますが、何かそこに、たとえば不当な入札というものを判定する特別な機関というものの考え方もあると思いますが、そう現在のように幾ら安くても必ず国としてそれを受け入れなければいけないという考え方に、一応の何か修正を加えるという方法は必ずしもなきにしもあらずじゃないだろうか、こういう考え方を持っておるのであります。
○委員長(石川榮一君) この際ちょっとお諮りいたします。本連合審査会は連日にわたりまして質疑応答を重ねました。ほとんど質疑は尽きたように存じますが、そう考えますれば、この際本連合審査会はこれをもって終了いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(石川榮一君) 御異議ないと認めます。 本日の建設大蔵連合審査会は、これをもって散会いたします。 午後三時三十九分散会