議院運営委員会 第37号
- 発言数
- 77 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1955/07/09
会議録
○委員長(郡祐一君) ただいまから議院運営委員会を開会いたします。 前会に引き続き、山下義信君外三名発議の恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案の取扱いに関する件につき、御質疑のおありの方は御質疑願います。
○戸叶武君 山下案が事務局の方に回されたのが十七日で、しかも衆議院の方に配付されたのが二十五日で、この間非常に時間がとられているのですが、事務局の方で印刷の途中でもって、法制局から修正を申し込まれて、そうしてそれを削除したということがありまするけれども、日が非常に長くかかっておるのです。これに反して民、自両党が作り上げた案は、非常に短かく印刷されているという事実もあるのですが、いろいろな交渉があったからといっても、それにしても、あまりに事務がはかどらな過ぎると思うのですけれども、この責任は一体どこで負うつもりでございますか、それを事務局にお尋ねしたいと思います。
○参事(河野義克君) ただいまおっしゃいました法案は、六月十七日に提出されまして、二十四日の夜印刷を完了しまして、二十五日に衆議院に予備審査のため送付いたしております。その間の経緯は前回の本委員会の際に詳細に申し上げましたから、本日は略しますが、その経緯のいかんにかかわらず、実際非常に長時日を要しておるではないかというお感じをいだかれることはごもっともだと思います。で私どもは、この遅れたことにつきまして何ら政治的な意図をもって云々というようなことはごうもないことは御了解いただけるかと思いますが、その間の経緯は、前回いろいろ申し上げた通りでありますが、経緯のいかんにかかわらず、結果においてかように長い日数を要したことについては責任を感じておると前回も申し上げましたし、現在そういうふうに思っております。
○戸叶武君 もう一点関連して承わりたいのは、民、自両党の法案は、二十三日の夜議長が受取って、そうして翌日印刷されたという話を聞いておりますが、片方は非常に簡単に印刷が済み、片方は非常に長くかかったというのは、途中で故障があったからというのですが、非常にそこに差があり過ぎると思いますが、その点はどうして片方はそういうふうに迅速に行われることになり、片方はこういうふうに期間がかかることになったんですか。
○参事(河野義克君) 参議院に出されました法案が、どのようにどういうところまで進まれ、それがどうたったかということは、前回申し上げた通りでありますが、 民、自両党の提出にかかるものが、衆議院に出されましたその印刷の経緯につきましては、私どもの職掌ではございませんから正確にここで申し上げることは控えた方がいいかと思いますが、今お尋ねがございましたから、なおこれが問題になりましたし、後日私が印刷局、衆議院等で調べましたことを便宜この際申し上げます。 衆議院の民、自両党の案は、六月二十三日に衆議院に提出されまして、六月二十四日法案が仮印刷、仮刷りされたということでありますが、その原本があります関係でありましょう、六月二十五日土曜日に委員会に付託されております。しかしながら法案が正式に本刷りされましたのは六月の二十七日でありまして、これが配付されておるのは六月二十八日の模様でございます。それは衆議院の関係でありますが、印刷局等で私どもが聞いた結果がさようになっております。
○戸叶武君 これを見てわかりますように、衆議院と参議院じゃ事務能率が非常に違うような印象を与えておりますが、今までにおいても、そういうふうにできておったのでしょうか。
○参事(河野義克君) 事務能率が違うという仰せでありますが、印刷にかけましてから何日くらいで刷り上るということは、前回も申し上げました通り、そのとき印刷機械に、どのくらいの法案がかかっておるかというような状況で変ってくるわけでありまして、こちらの議案は、 この議事堂の地下室にあります印刷局の派出工場で行われておりますが、そこには機械が四台ございまして、そこでどういう法案がすでに機械にかかっているかというようなことに関連して違ってきているわけであります。参議院の案を印刷に付するときにおきましては、所得税法の一部改正法案、法人税法の 一部改正法案、租税特別措置法の一部改正法案、中小企業信用保険法の一部改正法案、たばこ専売法等の一部改正法案、日本専売公社法の一部改正法案、昭和三十年四月及び五月の凍霜害、水害等の被害農家に対する資金の融通に関する特別措置法案、銃砲刀剣類等所持取締令等の一部改正法案等八つの法案がかかっておりまして、そういう関係もこの印刷の速度の問題に関連してきて参っております。 参議院の印刷が遅れましたのは、御承知の通り二十一日に刷り直しをするということがきまったわけでありますが、その関係により、二十二日に刷り直しをする原稿を法制局から受領いたしまして、その刷り直しの校正刷りは二十二日夜できております。二十三日にその校正をいたしまして、その午後校了を刷りまして、二十四日の夜印刷完了をいたしております。 そういう経緯になっております。
○戸叶武君 恩給局長おいでになっておりますか。
○委員長(郡祐一君) 出席しております。
○戸叶武君 恩給局長にお尋ねする前に、法制局の責任者の人にお尋ねいたしますが、この恩給法が非常に難解な法律と言われている関係上、法制局の方で恩給局に協力かたをお願いをしたが、事実上の協力は得られなかったという点をもう一度法制局から、今までの発言においては、だいぶいろいろな発言がなされておりますが、少し整理されたものをお伺いしたい。
○法制局長(奧野健一君) その点につきましては、直接その衝に当りました杉山課長から詳細お話を申し上げます。
○法制局参事(杉山恵一郎君) 日にちの点まで詳細にお答えいたしますか……。 依頼を受けましてから、私の方では、関係者が提案者との連絡をいろいろやっておりますが、そういう点、それから局内での審査の状況等は一応省きまして、恩給局との関係だけについて申し上げますと、五月十四日に依頼を受けましてから六月三日ごろ、日にちの点は正確に申し上げかねますが、大体そのくらいに一応の案ができまして、これは担当者と私の間の話でできたわけでありますが、その案につきまして、いろいろ疑義がありましたので、その構成について問題がありましたので、内容まで立ち入ってはおりませんけれども、その案について一応恩給局の方の意見も聞きたいと、それは内容の点ではなくて法律問題、法律の構成の仕方についての問題でありましたが、意見を聞きたいということで、一応審議課長に御連絡をし、そうしてたしか七日だったと思いますが、その関係者の方に一日来ていただいてお話し合いをしております。その後その結果に基いて、第二次案を作りましたが、それについて恩給局の方に構成上の問題について、御意見を聞きたいということで御連絡をいたしましたが、向うの方でいろいろお忙しくて、遂に来られなかった。なおその他こまかい点について、 いろいろ電話で連絡をして教えを受けたというような点はございますが、法案全体について御意見を聞いたけれども、まあ向うの方でお忙しかったのかと思いますが、来られなかったので、これについての意見を聞き得られなかったというふうな事情でございます。
○戸叶武君 恩給局長にお尋ねします。 今法制局で言われましたように、この法案を作り上げるについても、いろいろな点で恩給局からお尋ねしたい点があるというので連絡をとって、若干の協力は得られたが、あまり協力は得られなかったというお話のようであります。また聞くところによると、民自両党の案を作る上において協力しておって、忙しかったのでこっちの方にまで手が回らなかったという話も漏れ承わっておりますが、その辺の点はどうなっておるのでしょうか。恩給局長にお伺いいたします。
○政府委員(三橋則雄君) お答えいたします。 私が、参議院の法制局から恩給局に話がありましたのを承わりましたのは、日にちははっきり覚えておりませんが、私の方の畠山審議課長から、実はこういう要綱を持ってこられ、この要綱についてどういう意見かということを聞かれたのですが、どういうふうにお答えしたらいいだろうかとの話がありました。私はそのときに、私、はっきり覚えておりますることは、すぐその日に私はお答えしました。それはどういう点についてかといいますと、おもなる点は二つであります。その二つは加算の点でございまして、加算をほとんど全面的につけるようなことになりまするということは、現在旧軍人に関しまする人事記録の整備の模様、それから国家財政の点から考えましても、実行上困難ではないだろうか、こういうような気がするということ。それからもう一つは、逆算の問題でございまして、文武官を無条件に通算をするということは、文武官の在職年を相互に無条件に逆算をするということは、今申し上げましたように旧軍人に関しまする軍人の履歴は、現在は十分整理されていない、そういうことからして、実際においてそういう法案を作った場合におきましては、実行上いろいろの困難か起きてくるのではなかろうか。また財政経済の面からも考えなければいけないというようなことを申しまして、そういう二つの点につきましては、私たちの意見を聞かれますならば、消極的な態度であるということを申し上げるほかない。こういうことをはっきり審議課長に言ったのであります。審議課長は、私はおそらくその通りのことを申し上げていることと思います。しかしながら、そのときの話は法案についての要綱でございますので、要綱についてどうだろうかというようなお話であったものでありますから、そういうことを申し上げたのでありますが、私がそのときに考えましたことは、政策にわたることを、あまり言うのはどうかと思いましたけれども、ほんとうの打ち明けた話として、実際の行政面において実際できないことをやるというような法律を作っても、かえって因ることになりはしないか。こういうようなふうな深い配慮に基いて、特に私の方にお問い合せがあったことと思いましたので、私ははっきりとそういうふうに答えたのであります。そして課長からその旨おそらく答えたと思っております。私に審議課長から、相当の課長から話がありましたのは、あとにも先にもそれだけでございますが、それからまた要綱として見ましたのも、それだけでございます、それからその後は、私は直接には法案を拝見さしていただいたことはございません。
○戸叶武君 法制局の杉山課長にお尋ねします。 第一に、 六月の三日ごろにでき上ったときに意見を聞いたというのが、それが六月七日ですか。それが要綱かと思いますが、法律案ができ上ってから、恩給局の方にその案を持って意見を聞きに行ったかどうか。その点を詳細に承わりたい。
○法制局参事(杉山恵一郎君) 私の方で恩給局にお尋ねしました点は、法案の内容についてではございませんで、法律技術的な点についてなんでございます。加算をどうするかとかあるいは通算をどうするかというようなことは、これは依頼者の方からこうやれということを申し来られておるのを、いささかおかしいというようなことを法制局で言うのはちょっと越権でございますから、そういうことを私の方では申し上げていることはございません。 先ほど申しました六月三日と申しますのは、要綱ではございませんが、法案にした第一次案でございます。十日というのも、おそらくその法案についての第一次案についての御審議、御意見を承わりたいと、こう言って申し上げたわけでございます。
○戸叶武君 恩給局長は、要綱についてしか話を承わらないと言うし、片方は要綱については話を承わっていなかったと言うので、そこにもう食い違いがありますが、恩給局長から……。
○政府委員(三橋則雄君) 私は、手元にもらいましたのは要綱だけでございまして、法案はございません。
○戸叶武君 杉山課長にお尋ねします。 恩給局の方では、要綱だけしか聞いておらないというのですがその辺の食い違いは何から起きたのでしようか。
○法制局参事(杉山恵一郎君) よくわかりませんが、私の方に社会党の方から依頼がありましたのは、先日局長から申し上げましたように、一筆書きのものをいただいておるわけで、それについて法案を作ったわけですが、ほんとうの今委員会なんかに出しておりますような形の要綱に直しましたのは、法案ができ上ったあとで作っておりますので、それで要綱として印刷しましたのは、ずっとあとのことなんでございます。まあ私の方から申し上げましたのは、もちろん第二次案で薄い紙に印刷した法案の形にしたものを、これについて御意見をと、こう言って持っていきましたから、あるいは審議課長が、その法律の構成、法律上の運用その他についての意見をお聞きだと、意見を聞かれたと思わないで、あるいはこの要綱についてとお思いになったかもしれませんが、私の方からは、この法案について審議をいたしたいのでおいで下さって御意見を聞きたいと、こういうふうに申し上げておるのでございます。
○伊能繁次郎君 お話を伺っておりますと、法律案が国会に、参議院に提案された以前のお話ばかりをされておるようでありますが、それは当事者間において別途お話し合いを願って、本委員会においては法案が提出された後の問題について御審議を願うのが筋道じゃないか。
○戸叶武君 そのことを知るのには、今のようなことが明確にされなければ、やはり根底がはっきりせぬ。(「委員会外で、やればいい。委員会の問題じゃない。」「ヤジはやめましょう。」と呼ぶ者あり)事の真相をきわめようとする場合に、そういう形式論だけでやったのでは、ほんとうに私は十分な委員会の話し合いというものはできないのじゃないかと思います。 しかし、それでは恩給局長に承わりますが、その日や、あるいはその要綱が、どうだとかこうだとかいうのはいつまで話してみても手間がとれますから、その点はまた別な機会に必要があればお尋ねすることにいたしますが、国会において立法作業をやるときにおいても、法制局の現在の陣容というものは非常に充実したものとは思われないのです。事実上いろいろな立法作業をやりまする、法案に対する作業をやりまする際に、各官庁からデーターを求めたり、あるいは若干の資料をお願いしたり、あるいは意見を聞くというようこともあると思うのですが、その際に恩給局の方では、どういう限界でなければ協力できないというような見解を持たれるか、また政府並びに与党の方の、これは与党とまた別個でありますが、政府あるいは与党というものからの頼みの場合と、野党側が法制局を通じてお願いに上るという場合には差別を設けるかどうか、その点を承わりたい。
○政府委員(三橋則雄君) 与党、野党の党派の別によりまして、恩給局の私たちが差別的な態度をとるというようなことは、全然考えておりません。
○戸叶武君 これは聞いても、明快な答弁はしないだろうから、よせというようなことでありますが、(「明快だ。」「明快じゃない。」と呼ぶ者あり)とにかく民自両党の方の法律案を作るのに協力していって、その方に忙しいから今手が放せない、そういう場合もあり得ると思いますが、そういう形において、恩給局では協力できなかったという事態はなかったかどうか、局長から承わりたい。
○政府委員(三橋則雄君) 実は私、今いろいろお話を承わりますと、今法制局の課長のお話によりますと、要綱につきまして、一つ問題があるようでございますが、私が見せていただきました要網は、確かに社会党の右の方の案として出されたようなものでありました。もとの要網でございまして、今参議院に提出されておりますところの法案、その法案の要網とは全然違ったものでございます。もとのものであります。お話がありましたそのときに私が、すぐに、お急ぎであろうと思いましたので、前述の如く即答をいたしました。その即答をいたしたのは、実は先ほど申し上げましたような心持で私は申し上げたのでございまして、あるいは行き過ぎたようなことになったかもわかりませんが、先ほど申し上げたような心持ちであったのであります。 それから民、自両党の案に対しまして、いろいろのお話でございまするが、これについてはわれわれは特別に民、自両党の案に対しまして、どうするとか、あるいはこの社会党の案に対しては不利な坂扱いをするというような考えは、全然持っておりません。私はこの社会党から参議院に出されました案につきましては、参議院の法制局のどなたにも会って話をいたしておりません。私の方の課長のところにどなたか見えられて話があっただけであります。下の方に。それが私に取り次がれまして話を受けたのでございますが、それに対しましては答えをいたしております。 それから私は政府の立場にあるものといたしましていろいろな仕事をいたしております。私の下の諸君も、それぞれあるいは、私から命ぜられた仕事をいろいろ持ってやっております。その仕事をしている際に、あるいは参議院の法制局の方が来られまして、いろいろ尋ねられまして場合におきまして、忙しさの余り、待ってもらいたいとか、ちょっとあとにして下さいというようなことは言ったかもわかりません。私は、今社会党のこういう問題について振り返って考えてみまするというと、そういう大きなむづかしい問題でありましたならば、これは法制局には法制局の局長も部長もおられることでございまするから、十分お考えになれば、できなかったことじゃないだろうと思うのですができないことであれば、直接に局長からでも、私、局長に教えていただければ、私は、そう時間のかかるものでなければ、即座に、お答えできるものはどんどんお答えいたしまして、できる限りの協力をしたことであろうと思っております。これはあとの祭でございますから、大へん言いにくいことなのでございますが、そういう気持でおるところでございます。 私は決してどの党派の案に対しましては不利な取り扱いをする、どの党の案に対しては有利な取り扱いをする、そういう考えは全然ございませんから御了承を願います。
○戸叶武君 今の恩給局長の発言は非常にざっくばらんなので、確かに法制局の方でも、恩給局長に直接会っていろいろなお願いをすれば、もっと誠意をもって御協力が願えたのじゃないかと思うのです。 先ほどの恩給局の発言の中においても、行政面でできない法律を作っても困るという観点が重点になって見解を述べられておるようで、特に財政、経済面を考えてという、今の鳩山内閣におけるデフレ予算の骨子から、この問題を政治的に一つ考えているということは明らかで、そういう配慮の上に立って、右社の作っている案というものは、政府として受け入れがたいものであるから、政府がのめる案を、すなわち行政面でできる相談、すなわち今の一萬田財政の性格をくずさないような構想のもとにおける案というのを、恩給局でそういう見解のもとに、民、自の方の案として、そういう構想のもとに御協力した事実はございますか。
○政府委員(三橋則雄君) 民、自の案につきまして、協力をどうしたかということでございますが、この案は民主、自由両党の政策協定においてきまりました。その細目の協定に基いてきまりました。そのきまるまでにおきまして、政府の方の意見を聞かれたことはございます。従って政府の意見を聞かれた場合におきましては、それについて、私のわかる点については私の意見を申し上げたのであります。 それから今のお話の中に、いかにも私がざっくばらんに申しましたことが、お気にさわっておるようでございますが、私は行政の担当者といたしまして、事実困難であるということ、と、それから何と申しましても、国家の財政上非常な大きな金になりますということを御参考までに申し上げるということは、これは私のせっかくのお尋ねに対するお答えとして当然であろうと、こう思って申し上げたのでありまして、私が現内閣の政策を支持するとか、どうとか、そういうことからではございません。その点一つ御了承を願いたいと思います。
○戸叶武君 私としては、恩給局長にこれ以上お尋ねしてもだめだと思いますが、比較的正直に恩給局長がお話をしてくれたので了解する点もありましたが、問題はやはり参議院の法制局が、今の弱体の状態のもとにおいて萎縮している結果が、こういうことになったのだと思います。 とにかく官僚機構の重圧のもとに、行政府の圧力のもとに、立法府というものが、ほとんどその手足は半身不随になっている。そうして恩給局に行けば、下の方の属僚にぺこぺこ御きげんを使ってやらなければ、おそらく恩給局長まで目通りがかなわないというふうな事態が、ついにこういうことをしでかしたのであって、確かに行政官庁のこのころののさばり方というものは、内閣のもとにおける行政機関であるからという観点で、立法府とは異なる立場にあるからという形で、立法府関係からのいろいろな頼まれ事に対しては、他の委員会においてやはり資料提供を求めても、なかなか政府の方にいろいる影響が与えられると思うような資料の提出を半年以上も拒んだというようなこともあるので、非常に不愉快な出来事が多い。今の膨脹されておるところの行政機構のもとにおいて、それからの協力を得なければ、立法府におけるところのいろいろな基礎的な作業というものもなかなか困難である。そういうものに国家の司法、行政、立法の相互牽制において、おのおの分が分れておるといえども、国家の役人としてあらゆる機関に対して国家の公僕して奉仕するという謙虚なる態度が抜けてしまって、権力国家の隷属機関としての行き方を非常に持っておる。そういう点で私たちは非常に今の館僚機構の行き方をというものに不満だから、今の恩給局長にもお出ましを願っておる。話は非常にざっくばらんで、その実相もわかって、その点はありがたかったと思います。 それで私は、参議院の法制局長にもお尋ねしますが、こういうことができたのは、私たちは別に大げさに問題化そうというのではないのですが、今後こういうようなことでもってわれわれの立法府における動きというものがいろいろ拘束を受け、いろいろ難関にあうという形に置いては、非常に因ると思うのですが、法制局の今のあり方というものは、このような状態がいいかどうか。その見解を承わりたい。
○法制局長(奧野健一君) ただいまの法制局の機構としては、十分やっていけないのではないかというような御配慮をいただきましたのでありますが、少くともでき得る限りわれわれとしては全力を尽してやるつもりでございまして、各省との協力をしてもらう関係におきましても、熱心に事情をよく尽して、いろいろ話し合いを願えば、十分協力も得られることと思うのでありますから、今後はこういったようなことのないように、私の方として全力をあげて、注意してやっていきたいと思います。
○天田勝正君 先日来、本委員会並びに理事会等でいろいろお話し合いがございまして、大体のところは意見は出尽されたと、こう思います。 ただ私他会派の諸君に御理解を賜わりたいことは、大かたこの問題の推移からいたしまして、提出された後のことを論議すればよかろうではないかというお考えが一般であろうと思います。しかし被害者である当該会派のわが党といたしますならば、政治的意図があるかないかは別問題といたしまして、何らかのそこに意図があってかくおくれたのではないか、そのおくれ方が提出後においておくれる形と、提出前においておくれる形と二つあろうと思いますので、その政治的意図いかんは別問題として、何かそこにあったのではないかということで、今まで戸叶君から質疑があり、お聞きの通りでありますが、決してただ乱暴に時間を延ばしておったのではないということを御理解願いたいと思います。 そこですでにここに至りますれば、先に申しましたように、およそ質疑も終局したと私は判断いたします。それで、ただ最後のけじめをいかにするかということになれば、それぞれの部分をとらえて議論をいたしますと、みなつじつまが合うような答弁をすることは、これはその立場に立った人としては、当然であり、今までもさようであります。しかし現実には、提出後といえども、とにかく九日間というものをわが党案というものが宙に迷って、他院に送られなかった。この総計算をした場合の事実は事実なので、これは全体とすれば、何としてもつじつまが合わない。部分をとらえてみましても、たとえば衆議院の方は私も調べておりますが、ガリ刷りといえども、二十三日の夜出されております。その夜出されたものが、二十四日の朝には、すでに配付をされる準備になっていた。数日経って本印刷されましたけれども、いずれにしても一晩でできておる。私どもの方の案は、仮に今の答弁をすなおに受け取ったといたしましても、二十二日の朝には印刷に回っておったはずなんです。それが二十五日になって他院に送られる、 こういう事態を私どもは、結果においてはすなおに受け取るわけにはいかない。こういうことになるのであります。 一番重要なことは、山下君外三名の提案でございますが、当時山下君も毎日登院されており、その他の三名の諸君もほとんど登院されておった。それらの人に何らの相談もなくして、それがある時期においては発議者の知らざるうちに書きかえられ、またある時期においては、自分の思っておったものでないものが本院にも衆議院にも送られた。このことは事実なんであって、いずれかに責任がなければならない、こういう結果に私はなろうと思う。それで他会派の自由発言の中にも、何だといったようなそぶりもなきにしもあらずでありますから、それは私は、必ずしもわが党がこの責任は何人かが負い、何人かが背負わなければならないと強く主張するものではございませんけれども、私どもとしては、全体を通ずるならば何としても納得いたしがたい点が残る、このことについての処置を一つ、適当に私は御協議賜わりたい。こう思います。
○加賀山之雄君 議事進行について。 私は、先ほどの恩給局長の御答弁によって非常に明快であり、戸叶君が非常に行政府の役人のことを言われましたが、確かに役人の中には、そういう人もいないとは限らないのですけれども、恩給局長の今の謙遜な明快な御答弁に対して言われたことは当らない、明快であるので。恩給局長にはこの委員会から帰っていただいた方がいいのではないか、この点を一つ、皆さんにお諮り願いたい。 それからこの問題は、やはりこれは最初から考えていた通り、私は社会党側の問題としてわれわれここに集ってきているわけではないので、問題はやはり議員の立法のあり方、それに対する法制局のあり方ないしその手続き、そういうものをどうするかという今後の問題をわれわれは議するために集っておる。そういう問題ですから、特に恩給局長にいていただく必要はないと思いますのでお諮り願いたい。
○委員長(郡祐一君) ただいまの加賀山君の御意見のように恩給局長に特別の……。
○戸叶武君 恩給局長の答弁は明快ですが、この恩給局に関しては、きわめて不明朗な印象が依然として残っております。やはり今後において恩給関係の仕事は、非常に難解な数字関係もありますので、局長にはそれだけの親切さがあるけれども、必ずしも下部に徹底しているとは思われないので、ですからそういう意味では、恩給局長に責任はあると思うのです。どうぞ恩給局長の態度の明快さというものを恩給局長だけの頭だけの明快ではなくて、この機構全体に浸透させるように御尽力願いたい、その点をはっきり承わりたいと私は思います。
○委員長(郡祐一君) ただいまの戸叶君のは質疑でございますか。
○松岡平市君 不必要だ、議運にそういう権限はない。行政府の役人を引っ張ってきて、そういうものをここでこれに関連してやることはないじゃないか。
○委員長(郡祐一君) いかがでございますか、戸叶君の言われた趣旨は、すでに先般からの御質疑で恩給局長は聞いておりますから、十分わかっていると思います。ただいまの加賀山君の御発言のように、すでに恩給局長に対する質疑は終っていると思いますから、恩給局長を退席さしてよろしゅうございますか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(郡祐一君) 御異議ないようでありますから、恩給局長は退席いたさせます。 それではこの際、本件の取扱い方について御相談いたしたいと思いますが、速記をつけたままで御相談いたしますか、それとも速記をとめて御相談をいたしますか。
○松岡平市君 一応どうするかということを懇談した方が私はいいと思います。速記をとめられて、そうして隔意のない話をして、この問題の処理、解決ですか、その点をどうするかということをよく話し合った上で速記に残すようにしていただきたい。これだけでけっこうです。 〔矢嶋三義君発言の許可を求む〕
○松岡平市君 速記はとまっているのですか。
○委員長(郡祐一君) まだ速記をとめることはおはかりいたしておりませんが、速記をとめてよろしゅうございますか、矢嶋君の発言は。
○矢嶋三義君 そういうことにはならない、ただ私は発言を求めているのだから。 議事進行についてですが、質疑が一応終ったから、この問題をいかようにして終結するかということを協議するというわけですが、これは本委員会でも先般来質疑がなされたし、また理事会においてもなされたことでありますが、最終的にいかようにこの問題を終結させるかということについて、今松岡委員が言われたように、この議運の委員会を懇談会に移して、ここでやるのも一つの方法でしょう、また理事会に移して、そこで質疑の終局した後における処理方針について協議して、そして本委員会であらためて、それを確認するというのも一つの方法だと思います。当該会派が……、当該会派の問題だけではもちろんないわけでありますが、その御意向も聞いて、そうしてきめたらいかがかと思います。
○戸叶武君 関連して。 今だいぶ松岡君の激語があったようですが、私は別に感情は交えません。少くとも委員会において私の言ったことが言い過ぎてたなら言い過ぎたで、もう少し紳士らしい言葉を出していただきたい。われわれがまじめに問題を取り扱う場合に、何かそういう多少の言い過ぎも、あるいはいろいろな点もある。しかしそれはあってもお互いに静かに話し合ってできることじゃないかと思うのであります、この結末をつけるのに恩給局長が悪ければ、私は政府機関の問題であるから、官房長官か何かにお願いして、事実上において、われわれが立法府において働く場合において、われわれがその問題に関するところの資料の追及なり、あるいはわれわれが立法作業上におけるところの行政機関との協力の問題なり、そういう問題をわれわれが委員会で、やはりあるところまで一つのけじめをつけていくということは、われわれとして多少言葉や表現が技術の上においてこれは行き過ぎや何かがあったとしても、それほど怒号を交えて威嚇的な言辞を弄するほどのものじゃないと思うのであります。そうすればこの委員会の運営というものは、今後において非常に不愉快な私は空気に、ある一種の人が、威圧的な激語や怒号をもって、そうして制圧するという習慣になってしまえば、この委員会というものは、いつでもそういう不明朗な険悪な空気において行われなくちゃならないと思うのであります。これは、この言葉の出しようがあると思うのです。
○委員長(郡祐一君) 本委員会は、きわめて明朗に進行していると私は信じておりますが、それで、ただいま松岡君から取扱いについて発言があり、矢嶋君からも発言がありましたが、第二控室の方はいかがいたしましょうか。ここで速記をやめて御懇談に一応移りますか、あるいは理事会というような御意見も今承りましたが。
○天田勝正君 私は結論的に言えば、ここで一つ速記をとめて御懇談を願いたいと思います。というのは、さっきもちょっと触れましたが、会派の諸君のうちで誤解があるやに、何かそういう空気を私は感じました、だから全体とすれば、加賀山さんの仰せのように、これは院全体の問題で、次々こういうことが起きたらたまらぬ。こういうことを結局防ぐということで御相談申し上げたいつもりでおりますので、さようお計らいいただければ幸いと思います。
○委員長(郡祐一君) 速記をとめて。 午前十一時十一分速記中止 ————・———— 午前十二時速記開始
○委員長(郡祐一君) 速記を始めて。 恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案の取り扱いに関する件について、事務局、法制局、政府側に対して各委員から御質疑を願いましたが、御質疑は大体終了したものと認めてよろしゅうございますか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(郡祐一君) 御異議ないものと認めて、本件に関する質疑は終了いたしました。
○矢嶋三義君 ただいま委員長の宣告がありましたように、本件に対する質疑は終了し、なお長時間にわたって全員懇談会も行われたことでございますので、本件の結末をいかにつけるかという点については、これを理事会に移し、理事会で協議の上、あらためて本委員会に諮られるよう提案いたします。
○委員長(郡祐一君) ただいま矢嶋君から、理事会において取り扱いについては協議すべしという御意向がございましたが、その通り取り扱いまして御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(郡祐一君) 御異議ないものと認めて、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(郡祐一君) 公正取引委員会委員任命につき本院の同点を求めるの件。 藤野弘君任命につき政府から要求がありますので、田中官房副長官の説明を求めます。
○政府委員(田中榮一君) 公正取引委員会委員蘆野弘君は、本月二十日任期満了となりますので再任いたしたく、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第二十九条第二項の規定により、両議院の同意を求めるため本件を提出いたしました。 公正取引委員会委員は、年令が三十五年以上で、法律または経済に関する学識経験のある君のうちから、内閣総理大臣が両議院の同意を得て任命することになっております。 お手元の履歴書で御承知のように、蘆野君は大学卒業後外務省に入り、領事館補を経て領事、公使館二等書記官、大使館二等書記官等を歴任、この間、広東、 ニューヨーク、 ドイツ、ポーランド、香港、中華民国に在勤後、本省の各課長を経て、昭和十四年十月総領事に任ぜられシカゴに在勤、翌十一五年十月退官後は、財団法人世界経済調査会常務理事及び弁護士の各職にありましたが、同二十二年七月任期二年の公正取引委員会委員に任命され、さらに同二十五年七月任期五年の同委員会委員に再任、現在に至っている者であります。 右に申し述べましたように、同人はその経歴から見まして、経済及び法律に関する学識経験はきわめて深く、同委員会委員として最も適任者であると存じます。 何とぞ慎重御審議の上、すみやかに同意されるようお願いいたします。
○矢嶋三義君 蘆野君を公正取引委員会委員に任命することについて、本院に同意を求められておる本件については、本日格別な質疑がなければ、この審議は後日なすことにし、なお理事会で一応話が出ましたように、格別の異議がなければ、先般来本委員会で審議しました公正取引委員会委員に塚越君を任命することに本院の同点を求めるの件をお諮り願いたいと思います。
○委員長(郡祐一君) 本件の扱いについて、御意見のおありの方はお述べを願います。別に御意見ございませんか。 御意見ございませんければ、ただいま説明を聴取いたしました蘆野弘君については次会後に審議をいたすことといたし、先般来保留中の塚越虎男君任命の件については、同意を与えることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(郡祐一君) 御異議ないと認めて、決定いたします。 なお本日は、国立国会図書館の経過報告に関する件の質疑を行うことにいたしておりますが、午後一時まで休憩いたしまして、一時から図書館の関係に移りたいと思います。 暫時、休憩いたします。 午後零時五分休憩 ————・———— 午後一時十九分開会
○委員長(郡祐一君) 休憩前に引き続き、委員会を開会いたします。 国立国会図書館の経過報告に関する件。 本件に関しては、さきに金森国会図書館長より経過報告を聴取いたしましたが、本件に関し質疑のおありの方から、御質疑を願います。
○矢嶋三義君 ただいま事務局から資料を数冊いただきましたが、かくのごとき資料は、少くとも前日程度に提出されなければ、ほとんど意味をなさないと思う。で、まず事務局に伺いますが、この資料を図書館から受け取ったのはいつか、お答え願いたいと思います。
○事務総長(芥川治君) 資料を受け取りましたのは、昨日の午後二時ごろであります。
○矢嶋三義君 本日、本件を本委員会で扱うということはきまっているのでありますから、資料というものは、委員会の審議のために配付されるのですから、できるだけ今後図書館側においては早く出していただくと同時に、事務当局で入手されたならば、できるだけ早く委員各位へ配付して、審議前に通読するところの機会があるように、図書館側においても、事務当局側においても配慮いただきたいことをまず要請いたしておきます。 館長に伺いますが、館長は、国会開会中でございますが、特に海外出張なされたと承わっております、そこでごく簡単でもよろしゅうございますから、図書館長として、このたびの海外出張において、いかような御所見を持ってお帰りになったか、簡単にお答えを願いたいと思います。
○国立国会図書館長(金森徳次郎君) 私がパリのユネスコの図書館の会議に行きましたのは、 ユネスコの計画を実行する一つの段階としてであります。その問題はユネスコというものが、御承知のように世界の文化を高めていく中において、カルチュアと申しますか、図書館の事業を世界に発達させていくと、こういうねらいを持っておるわけであります。年々その計画を立てて翌年の事業をやっていくのでありまするが、その計画の立て方は、結局ユネスコ自身がきめるのではありまするけれども、その前に世界の若干の図書館経験者を集めて委員会を開いて、そしてその答申を得て、その答申を参考にして実行していくというのであります。私が参りましたのは今度初めてでございまして、今まで東洋が全然そういうところに、東洋というと少し言葉が広うでございますが、日本及び日本の周辺というものが非常に軽視されておったきらいがございましたので、今度初めて日本から、日本の図書館の経験者を招請しよう、かつまた、ソ連から一人招請しようということで、今度二人だけ行くということになっておったわけであります、しかし、ソ連の方は何らの態度をとらなかったのでありまするので、結局私がアジア全体からは一人だけ出たのであります。 大体行って参りました気持というものは、日本で見ておりましたと違いまして、かなり熱心に、後進国とでも申しますか、アジア及びエジプト、それからトルコにあるような後進地域に文化的な発展をさせようということで、施設若干をユネスコから送る、そのはか、いろいろな諸国について、今後中央図書館の設立を援助して、そうして、その中央図書館をして国内にしばしば図書館人の修練みたいなもの、研究会を開かせようということでありまして、それに対してはユネスコから多少の援助をするというふうの着想でございまして、答申も大体その面において答えておるのであります。 それからまた、ユネスコで世界の諸国の図書館の資料と申しますか、どんなふうに、われわれの専門語では、ビブリオグラフィーと申しておりますが、図書を利用する上に必要な調査あるいは研究というものを主題にしておりまするが、いろいろそれを中心といたしまして細かい問題、たとえばビブリオグラフィーを作るときに、どういう言葉で作るか、国々皆違っておりますときに、ヨーロッパの国々は、およそ型がありまするから大した問題はございません。しかしアジアの国というものは、人の名前を探すにしても、字の書き方によってはひどく違うものでありまして、そういうようなことについては、できるだけ方針を統一をするように研究しようというようなこともございました。これはユネスコの方の関係を申し上げました。 それからユネスコを離れまして、私は、 日本の国立国会図書館というものが、いわば中央図書館、制度上の中央図書館とはいえませんけれども、実際のねらいは中央図書館の意味を持っておりますが、今まで大体アメリカ風の図書館ということに着想をして、これは成立の沿革もございますが、そういうところを今度離れまして、ヨーロッパ大陸のいわば国立図書館というものが、どんな姿をもってやっておるものだろうかということを念頭におきまして、時間の都合もございますから、結局パリにありまするフランスの国立図書館と、ロンドンにありますブリティッシュ・ミュージアム、この二つを特に注目して参りましたが、見ますると、はるかにこれは長い沿革を持っておりまして、ことに世界において実際りっぱな二つの図書館でありまするから、われわれは残念ながら、あらゆる面において及びもつかぬ。何とかしてそのいい点を習いたいものだという着想を持ちましたが、しかし、だんだん考えてみまするとき、この二つの図書館は、いわば貴族的図書館とでもいうべきものでありまして、国民に直接に響くものではなくて、学問とか芸術とかいう面を深くきわめる上に非常に努力をしておるというのでありまするし、日本のは、あまりそこまで手の回る余地がございませんで、もっぱら日本国の全体の指導力に響きを打たせていくようにしなければならぬと考えまするとき、あのぜいたくな美術館でもあり、骨董館でもあるような、このフランスとイギリスから学ぶべきものは多いけれども、われわれは多少行く道が違っていいのじゃないか。こんな感想を持ちました。 それからいま一つ、小さい着想ではございまするが、この世界の国々がおたがいに知り合わないでいくという欠陥がございました。従って図書館の方では、世界の国と日本との間に、おもな書物の交換がしたい。ことに、まあ一般の書物はこれはお買いになればいいのでありますが、そうでなくして政府の出版物をおたがいに交換をいたしますると、これは政治に関係のある統計表とか、あるいは現実の行政活動というものが表われておりますので、おたがいに早く公けの出版物として、国の発行物を交換いたしますれば、まあいろいろ誤解を防ぐこともでき、都合もいいのではないかという気がしておりますが、ただ遺憾ながらこのヨーロッパの人たちは、日本の本を読むことができません。従って日本の書物を軽視するというきらいもございましたが、そういうところの誤解等考慮する余地も持っておりましたが、まあいろいろ、これも着想から言えば、たとえばユネスコのごときは、日本の書物はもらっても読めないから、まああまり送らないでくれ、こういうような気持も持っており、それは私ども残念な気持を持ちました。 それからフランスの国立図書館は相当われわれの方から、少くとも図書館の出版物を送っておりますが、これは保存されておるが、利用価値はおそらく、こちららは確信を、持っておりません。ブリティッシュ・ミュージアムの方は、これはさすがに私は反省いたしましたが、こちらから見ておりましたのは、向うは何か日本の公けの文書、図書館の出版物をあまり歓迎していないような感じがしていましたが、行って見ましたら、そうではございませんで、やはり漢字の書ける、もちろんイギリス人でありますが、まあまねをした風で、こつこつと漢字を書いて、そして日本の文献を整理して、いわば台帳と言うべき帳簿に書いておる。そこで話し込みましたら、われわれは日本の出版物を非常に待ち求めておる。待ち求めておるけれども、交換ということはかわりのものを出す、そのかわりのものを図書館に持ち合せないので遺憾であるが、細かく言えば、日本の図書館で発行しておる、印刷カードと申しまして、あらゆる日本の発行物についてカードを一枚ずつこしらえておりますが、ああいうものを何とかしてくれないかというようなことを言っておりましたが、帰ってよく考えると、こう言って参りました。 はなはだ一局部のことだけを申しましたが、要するに私どもはわれわれがこの日本において描いておるよりも、文化の面におきまして図書館の働きが今、現に相当進んでおる。しかもそれは学生に対するものではなくして、一般国民に、相当年令のいった専門家が図書館で楽しげに本を読んでおるというのはフランスとイギリスとでよく見かけました。 それからついでに、もう一つ、ちょっとつけ加えさしていただきたいと思うのでありますが、私はフランスの下院とイギリスの下院にちょっと傍聴に行きました。ほんの一時間ばかりでございましたが、そのときにイギリスの議会図書館、つまり議会所属の図書館というものをちょっと見たいと思って参りました。上院の方はその日休みであって見ることができません。下院の方はその図書館長に案内せられまして、かなり詳しいところまで見せてもらいましたが、これは何と言うか、私また批評するだけの考えを持っておりませんけれども、しかしあの数百年にわたる記録がりっぱに製本せられまして、廊下や書庫に狭しとばかりに、秩序整然と並んでおることには、当然のことではあるけれども感心をいたしました。まあ使い途がそんなにひんぱんであろうとは思いませんが、千八百何十何年というようなふうに公文書、その他議事録というものが、もうりっぱな本箱に、いわゆるりっぱな製本のもとに、廊下狭しと順序よく並んでおりました。 それから各議員さん方が非常に図書館を使っておる姿が見たいと、こう申しましたから、ちょうどこの部屋ぐらいの部屋が三つか四つ、多分四つだろうと思っております。縦につながっておるところに案内をして行ってくれました。壁のところにずいぶん書物がぎっしり詰っておりました。中にはまるいテーブル、四角いテーブルが三々五々に置かれておりました。で、議員さんはその中に腰かけて、かなりくつろいだ形で本を読んでおられる。場合によっては、少しは雑談もできるようなふうになっておるのではなかろうか。そして四つばかり通り抜けて見ますと、おのおの部屋にある書物は違っておるのでございましょう。地図とか統計表というような部屋もございましょうが、それ相応に詰っておりました。この議場で見た議員さんの数と、図書館で見た議員さんの数、これは同じ瞬間じゃございませんので、ちょっとそこから他方に行くという時間のズレはございますけれども、大体同じぐらいおられたように見ました。まあ図書館というものが、イギリスでは図書館のやり方がいいのだろうと、ずっと愉快な形で議会内の図書館が運営せられておる、いわゆる談話室に近いような形で……。これはなかなか反省する、私どもの立場からですね。何か一工夫しなければならぬというような気もしておりました。 大略を申し上げますと、こんなことでございます。
○矢嶋三義君 館長の海外出張によって得られた所見の一端は、ただいまで概要をつかめた感がいたします。そこで、まあそれについてただしたい点もありますけれども、あとで時間が許されるならばただすことにして、次の質問に入りたいと思います。 そこで、ただいまの館長の答弁の中に、一部まあ盛られておったわけでございますが、あらためて私は伺います。それは国立国会図書館法の二条に、「国会議員の職務遂行に資するとともに、行政及び司法の各部門に対し、更に日本国民に対し」て「図書館奉仕を提供する」ということがうたわれておるわけでございますが、館長として国立国会図書館を今まで運営して参りました実績からして、いかような現在において反省と、今後将来に対して新しい構想を持たれているか、概要を承わりたい。
○国立国会図書館長(金森徳次郎君) 私が図書館長の任務を受けまして、そしてまあとにかくこれを創設するというときには、実は何もございませんで、まあこの国会内に集められた明治の二十何年かからの書物は一かたまりございまするけれども、そのほかはほとんど図書館の技術もなく、材料もなく、方針もなく、職員もなく、まあこういうような形で、いかにして日本の国立国会図書館を作るかということも相当考えたのでありまするけれども、なかなか空想的に描くわけにいきませんので、人間の技術その他を漸次発達させるよりほかしようがないというのでやって、ちょうどこれで七年になるのでありまするが、今にして顧みますと、まことに物足りぬわびしさを感じております。どうして責任が果せるであろうかということは、まあほんとうに日夜心を痛めておるわけです。心を痛めても結果が出ませんので、まことにお恥かしい次第でございまするが、そのうちにおきまして、まあ大きなサービスは、今もちょっとおっしゃいましたように、三つ四つに分れるわけであります。 一つは国会に対するサービス、一つは各官庁、裁判所に対するサービス、それから国民に対するサービス、なおそれを横にとりまして、世界の図書館その他文化施設に対するサービスというようなふうに、大づかみの点は四つぐらいに分れると思っております。 それをだんだん詰めますと、国会に対するサービス、これは世間に非常な誤解がございまして、国会議員が図書館の本を読みにくるか、読みにこないじゃないか、こう言ってときどきお叱りを受けておりますが、これは無理な話でありまして、この忙しい人が書物を読むということは、二つのものは一致いたしません。みだりに書物を読めば、政治の方の手が抜けてしまうことは当然でございます。従ってそれを補うための図書館の任務であるといたしますと、図書館としては手となり足となって国会の議員の便宜になり得ますように、かゆいところに手が届くような、しかも正確な調査を、資料を供給する、これは一大眼目であります。これが設立当初は思うようにまかせないのでございました。 ところが一九五一年ごろでございましたか、そのときに議会の方にも、いろいろの御希望も御援助もございまして、国会に対しまする調査の職員を一躍して約倍にしたわけであります。五十人の職員を百人にするというような段階になりました。それだけ倍になりましても、項目は多いし、事柄はむずかしいし、そして材料はあまりない。こういうようなことでございますから、まことに苦労いたしましたが、しかし妙なもので、石の上にも三年おればというようなわけで、初めは職員の技術等も、はなはだ不十分であってお恥かしくてしょうのない面もございましたが、だんだん大きな調査をする人、小さな調査をする人、それぞれ各専門にわたりまして、今日の調査、印刷物に、その目ぼしいものを出してはおりますが、客観的に見ますと、まああるいは批判もあるかもしれませんけれども、それぞれ世間に対して遜色のないものでありました。ただ材料が、はなはだ不十分であり、かつ何となく要点に到達しないぼけたものがあるという欠点は私も承知しておりまするが、外国の事情もわかりませんし、ただ常に文献についてやっていくのでありますから、大事なところだけをとっていく。それでもしょうがない。それで私どもは、資料の正確なものをできるだけ早く手に入れる。この方法ができますればいい調査もできましょうし、また議員各位の直接に、もとの資料を御利用になる御便宜もあると思います。この方面に主力を注ぎたいと、そこばかり主力を注ぐと言いますと、ちょっと語弊がありますが、とにかく調査の機関を充実していくとともに、人をたくさん入れまして、これはもう羊の皮とキツネの皮と、悪いたとえでございますが、手がなくては調査ができません。やはりいい人を育成して早く調査をしたいと思っております。 そのうち、調査資料というものを、今まで実は彌縫的な程度のものしか得られておりません。それに資料は外国から買うものが大部分であります。その予算等も、この一画年いろいろ大蔵省に要求して、ほそぼそながらもまず根気よく調査していけば、ある程度までまとまるという気がいたしております。ことにこういう国会図書館が調べまするものは、外国政府の所管する出版物の一番新らしくて正確な材料も得られます。そういう資料を買うというわけにはいきませんので、こちらの資料と交換でとった方がいいという気持を持っておりまするが、アメリカの本は、だいぶ着いて、いい本を持っておりますけれども、今のところは十分でございません。しかし近ごろは、カナダとの間に少しばかり話があり、それからオーストラリア——豪州との間にも、少し話がつきまして、今申したような希望は非常に熱心であります。ただ向うは交換に出すのがないので、向うはその辺も、日本のように交換させる資料を図書館が作ることができないらしいのでありまして、まあ何とか作りたいと思ってやっておるようであります。たとえば私ちょっとユネスコに行っておるときに、ベルジウムの人が来て、ベルジウムは日本と政府刊行物の交換をしたい気持を持っておるが、なかなか話がらちがあかない、こう言っておりました。しかしこれは条約かなんかの形になりませんと、正式にはいかぬものでありますから、どうなるかわかりませんが、その希望はなかなか熱心なものでありました。 そうしてまた、それに関連をいたしまして、この問題はわれわれ数国の問題ではなくて、世界の諸国がそういう手をとらんと、政治であれ、学問であれ、思うようにいかないというので、今後国際条約のような形で基本的なものを作って、あとその条約をもとにして国々の間でもって協定をするというような方法で資料交換をしてやってゆく、これは今ユネスコにおいて起っておる問題で、遠からず問題が取上げられると思います。そんなことになれば、この図書館というものがなめらかに国会に対するサービスができると思います。 そこでもう一つ考えておりますのは、今調査をして差し出せということでございましたが、この調査というものはかゆい所に手が届くようなものではございませんで、みずから議員の方々が本をお読みになる場合、ほかの閲覧者と一緒でない、自分一人で気持よく読める部屋を作らなければならぬというので、今度の新築計画の中にも、わずかながらも百ぐらいの個人図書室を要求してございます。これができましたならば、何かの足しになると思います。ドイツの新聞を読んでみましたら、議員の方々が図書館に来て、まず図書室に入って必要な資料を見ると、その日の議事に利益が得られるということが書いてありました。日本だって、そういうようになったら害のないことは勿論でありますが、利益の面も多分にあるのじゃないかと思います。 それから次に、各裁判所とか行政官庁などに支部図書館を作りまして、それを統括するという、こういう意気込みであります。この支部図書館を二十幾つも作るということは、法律でできておりますが、やったところで官庁内部の常套手段で、大して目鼻もつかないのじゃないかと思います。まず一年間ばかりは初めは考慮して、その実現の時期も遅れたのでありますが、だんだんやってみますると、これは案外有効なものでありまして、日本の行政官庁は、多年の隔離的やり方とでも申しますか、独立しておりますので、その自分の分野では、非常に貴重な政治的資料を持っております。何十年前の日本の統計というようなものもある官庁にある、あるいは何十年前の産業統計というようなものもある官庁にはあるというようなことでありまして、しかしそれをただ集めると言っても、権力で集められるものではございません。それをただ、名目的に集めて統轄するというので、本当に名目だけでございます。けれども、実質的にその管理の方々に集まってもらいまして、そうして技術を研究したり、方針の話をしたり、それからその連絡といたしまして、一つの官庁でほしいときは、すぐ他の官庁の図書館から必要な書物を得られる、そうした連絡総合をやりまして、そして共同して大蔵省に予算の増加を求めるといったところで思うようには参りませんけれども、しかしやって参りました。たとえば行政整理によって近ごろ各支部の図書館が予算を少しずつ天引的に抜かれました。わずかではございますが、一割五分ぐらい経費節約ということで削られながらも、図書館だけは平均約三割ぐらい増加してもらいまして、結局一割五分だけ積極的にふえたというようなことでございますから、これはある得度までは支部図書館というものの制度は、いやみを伴わないで自立的に伸びていくようにしていきたいと思います。 それから国民に対するサービス、これも日本に今まであったと言いたいのですけれども、ごく形だけしかございませんでした。これをやりますには、それは大変な経費が要り、設備が要ることでございまして、今のところはまだ思うようには参りません。ただ上野の図書館だけこの種の活動の一部をやっております。そのほか三つ四つの特殊な図書館を包容してこれもやっておりますが、しかし本当に中央の図書館が国民のためにサービスしておるかということになりますと、まあ一口に言えばやっておる、あらゆる項目をやってはおると、こういうことは言えるのであります。それば図書館らしい活動を標題に掲げますれば、全部をやっておると、たとえば写真をとりたいと言えばすぐ写真をマイクロ・フィルムでとるというようなことをやっておる。こういうことを調査してもらいたいと言えば、かなり精密に何年何月の雑誌にこういう論文を出して、それが載っておるということを返事するというような図書館目録——図書館人の仕事の目録に出てくるようなことは、大体残りくまなく書きましたが、それは題目のことであって、実質的に本当にかゆい所に手が届いておるかと申しますと、実際は閲覧者の座席も一日に四百人ぐらいしか本館にはございません。それを少し重複して使いましてもせいぜい、五百人、何でも書物があるかといえば、その書物はないものはないといっても、まことに情ないことでありまするが、一番大切なのは外国の書物がほとんど買えませんので、今日一年に三百数十万円だけは外国の図書を買っております。せいぜい勉強いたしましても三千冊しか買えないのであります。そのほかに一万冊くらいのものはいわば交換でとっております。交換の図書というのはおのずから特色がございまするが、まあ官庁、たとえばアメリカで山を切り開いて、耕地にするということの調査というようなふうの、官庁事務に接近したような書物というものが一万点くらいきております。それからユネスコのもの、国際連合のもの、こういうものはきております。けれども一般人の読もうとするのは金額にして三百何十万円、書物にして三十冊くらいでございます。これは皮肉に見ますると、地方の近ごろできております国立大学の中くらいのものと匹敵するんじゃないかという情なさを持っております。これは何とかしたい。 世界では一年にどれくらい本が出ますか、三十何方、三十万以上新しい書物が出ると思いますが、その中で三千冊買っておるということはあまり言えることじゃありません。これは予算が今の購入費のおそらく二倍くらいないというと、図書館らしい形ができないと思います。これも次第に太っていくという段階でございますので、がまんをしてあらゆる知恵を出して運用しております。 まあこんなことで、それから、ことに新聞紙、雑誌というもの、これがほんとうに来なければ、調査はできません。また日本人の蒙を開き得ないということで、たとえば飛行便でとるというようなことは相当金がかかって、今のところは代表的にアメリカとかイギリスとかいうところから代表的なものをとっておる程度でございます。 それからまだいろいろ申し上げたいことはございまするけれども、一応そのくらいに一通り打ち切りまして、そうして次に考えまするのは、外国との図書館資料の交換、あるいはいろいろな調査の報告をするわけであります。図書館人の仲間に一種の連絡がございまして、こういうことを知りたいが、ちょっと調べてくれないか、こういうようなことがございますと、それに対して図書館の範囲内のことで返答をしたりなんかしておりますが、これは案外重宝でありまして、私どもの方もある資料が欲しいということで、どんな資料がいいか、それを外国に照会いたしますと、ある程度のことは調べてくれる。つまり仲よく世界の図書館へ交通する、こういう段階にすでにあります。そこで大体の今のいく道は説明いたしましたけれども、図書館全体として眺めて、どういう理想を持っているかというところに私ども割り切れない点がある。しかし一生懸命にもだえておる問題がございます。というのは、一体国立国会図書館というのはほんとうにその働きをするのならば、国民の希望するあらゆる分野の書物を置かなければならぬわけであります。その数は一体どれくらいであるか、これはわかりません。けれども、アメリカのコングレス・ライブラリーの報告を見ておりますと、去年やっと一千万冊をこえた、こういった誇りを持って言っております。一千万冊というものはわけはないようでありますが、実際に日本の図書館は一年に三万五千種くらいふやしておりますから、これはえらいことであります。それから一千万冊の書物でございまして、書物のほかに地図とか写真とか、そのほか書物よりもっと貴重なレコードとかいうようなものがあるわけでございます。こういうものを合せると二千五百万、三千万もあるように聞いております。そういうことはちょっと私どもできません。だから日本の現在の状況においてどこに重点を置いて図書館を発展させていったらいいかという問題でございます。今度フランスとイギリスの図書館を見ましたときに、私どもつくづく考えましたが、たとえばある図書館で、それは具体的に申しますとローマのバチカンの図書館でございましたが、今から何百年になりまするか、つまり印刷せられた書物が初めてできたというのは、ヨーロッパでは一四五〇年と聞いております。その一四五〇年から一五〇〇年までの間おおよそ五十年の間で、古い活字で印刷されたもの、インキュナビラ、インキュナビラと申しますか、そういう尊い書物として言われております、まあ日本には二、三冊は私どもの図書館にもございますけれども、まあそういうものが、バチカンの書庫をのぞいてみますと、そうした書物が入っております。どのくらいあるかと言ったら五千部ある、一体その五千部の中にはインキュナビラばかりあるのかと言って質問したくらいでありますが、そういうふうに古い図書館は立派なものを持っております。私どもの方は、そういうことをやろうといってもできもせず、今さら骨董いじりをするということは、国の一般情勢から見ると、そう重点を置きたくないのでありまして、私の今の着想では、日本の図書館として一番欠けておるところはどこであるかというと、日本の図書館は学校の図書館、あるいは公共図書館として発達いたしまして、本当の図書館の性能を持っておりません。たとえば外国の法律状態、政治状態、経済状態というようなものをすぐ知るということができるかというと、そういうことは非常に手薄であります。ことに法律状態を知ろうといたしましても、とても知れるものではございません。そういうところにまず立ち上った国会図書館は重点を置くべきではなかろうかと考えまして、名前はおかしいのですが、政治法律図書館という題目の図書館の一部分をこの議会に近いところに持っておりまして、そこでは書物の選択の数に合わせるようにだんだん完備さしていきたい。今のところはそれはまあ知れたものだということでございまするが、年々今のところ約二百数十万円の本を買おうということにしておりまするから、それがたまっていきますれば、だんだん実際政治の役に立っていくのではなかろうかと、こういう気持を持っております、それが一つの着想であります。 いま一つの着想は、これは全く私ども油断をしておりまして、私どもと言っては悪うございますが、私自身は油断をしておりました。終戦のあとにおきましてやっと国の安定が得られたといってぼんやりしておりますうちに、世界の諸国は経済的にぐんぐんと歩みを進めておったわけでございます。そのうち図書館に関して知り得ましたことは、この間の戦争の結果、勝った国は敗けた国から発明、研究の成果をほとんど全部根こそぎに持っていったわけであります。ソ連も持っていった、イギリスも持っていった、アメリカも持っていった、それは文書であることもあり書物であることもあり、機械それ自身であることもございましょうが、持っていったらしい、そのうちアメリカが持っていった数は本当のことはわかりませんが、約十五万と言われております。その十五万は全部役立つ発明、研究とは思われませんが、しかし学者に言わせますと、それが相当貴重なものであり、日本に持って来たら日本の学問は少くとも十年あるいは二十年急に進歩するであろうと、こういうふうに聞きました。それで何とかしてこれらの資料を手に入れたいという気持を持っております。一つ一つが高いわけじゃございませんけれども、何しろ本屋に売っておるものではないのでございまして、しかも数が十万をこすというのでございましたので、いろいろ苦心をいたしましたが、皆様の同情を得ましてやっと買う手配ができ、その大部分はアメリカの国会図書館に頼んで全部フイルムにとってもらいまして、今、日本に十万以上来ておるわけであります。これを、学術的に貴重なものは、ただいま大阪に写しを一つ持っていっておりまして、それから福岡と名古屋に小さい写しを持っております。しかし福岡や名古屋ばかりが学術産業の中心点ではないというので、仙台からやかましい希望があり、北海道からもやかましい希望がございまして、経済の許す限りこれはもう大げさにいきませんが、二、三百万円金ができたところで持っていくわけでございますが、その写しをこしらえてそれを持っていって学者や事業家の参考に資するということでやっております。そのほか日本の学術が非常におくれておる、戦後の大きなギャップのあったときに日本は学術がおくれておって必要な資料が来ておりませんので、それが科学の面でございまして、科学の面はどっちかというと、私どもの図書館があまり手がけるのに適しておるとは思えませんけれども、こちらでやらないとすると中心点はこしらえなければならないというので、今そういう科学の方に一つの重点を置きまして、そうしてその科学雑誌のある程度のもの、古いものまでも集めて、いろいろの方の便宜をはかっておるのであります。こういうもの集めておりますると、私どもの図書館は非常に都合がいいことには、写真の施設がかなり完備しておりまするので、順当にさえいけば、たちまちフィルムに撮影してお渡しすることができる、まあ金がなければできませんが、順当にさえいけばできるという施設を持っておりますので、あわせてこしらえますと、日本の学術及び産業の上に役に立つ、こんなふうに考えまして、その結果の埋め合せというわけではございませんが 骨董的な書物はよく日本の図書館の、図書館人に、おれのところにはこんな古い書物がある、こんなめずらしい書物があると言って、虫の食った書物をいじっておりますが、これは実際図書館としてはあるべきものではございまするが、まあお金のやりくりの関係で、そういうものは一切目つぶりまして、ただで下さるならいただきますけれども、お金を出しては買わない、こういう趣旨でやっております。これからある年次を経ましたならば、それはそういうところに余裕を持ち、よその国にも負けないようになると思いますが、ちょっと今のところでは見当がつきませんが、それで、こういうふうに思っておりますが、何にいたしましても、図書館というものは設備がなければできません。場所がなければできることではございません。 どこへ行っても本当に広々とした所をもってやっておりますが、私どもはいわばなり上がり世帯で、ペンキ塗りのバラックに住むというような形で、立ち上って七年たちましたけれども、まるで場所的設備というものは何もできていないのでございます。まあ彌縫的なものではありますけれども、要するに図書館の体形をなしておりません。そうして金がなければないように努力をいしまして、図書館の建物の建築をしなければならない。どこだって建築が本当に備わらなければ、図書館の活動はできないのだということで、ここらに一番努力を続けて参りましたけれども、かなり難局に立って、だんだん道がついて参りましたけれども、今言ったようなことになっております。幸いいろいろと順序がある程度整いまして、敷地も一応各方面の御了解によってきまりましたけれども、また、建てるという方針、各方面の御理解も得られておるのであります。じゃどんなものを作ったらいいかというところへいって、懸賞募集もいたしました。いろいろ識者の意見も聞いて参りましたし、その辺まで参りまして、一応懸賞募集の結果はまとまりましたけれども、具体的に建築をするという段階になりまして、今日いろいろと障害が起りまして、これはまあ国のあらゆるものが伸びていくときには、やむを得ない障害かとも思っておりますけれども、図書館としてはかなり困った障害が起っておりまして、今もその障害を取り除くことに努力しております。 まあ、私どものただいまの一番大きな希望というものは、役に立つ図書館、ぜいたくな建物は要りません。とにかく日本で、諸国にひけとらない、ひけをとってもかまわないけれども、諸国に対してある程度の体面を主張し得るような中央の図書館施設というものを、有形的と言うか、形の上で建物及び材料の上で早く持ちたいものだと思っておりました。今後ともその点は非常な御援助を得なければできそうもございませんので、そういうことを念じておりますが、一応この辺にしておきます。
○矢嶋三義君 館長の図書館運営に対する所見の概要は承わっておきます。 次に質問に入りますが、今ちょうど出ましたが、具体的な問題から取り上げてお尋ねしたいと思いますが、それは国立国会図書館の建築については、新営予算として、二十九年度は予算書を見ると、四千三百六十九万円という予算が計上されております。三十年度は一千万円になっております。これは予算審議のときに一応説明があったことと思うのでありますが、館長がただいま申されました重大なる障害にぶつかっているということは、このこともその一部ではないかと思いますが、今工事している、あれは大体当初の計画の何割程度のところが進行しているのか、それを一緒に、あわせてお答え願いたいと思います。
○国立国会図書館長(金森徳次郎君) まことに私どもにとって、ありがたい質問でございますが、実はこの図書館を初めからあずかるときに、ほどなく建物を作らなければならない、とりあえず赤坂御所の半分を借りて使ってやっておりますけれども、何しろ違った場所でやるのでありまするから、絶対にこれでは図書館の役をいたしませんので、まあ自分の建物を持ちたいという願いを持っておったわけであります。それでそのうちだんだん研究を進めましたが、第一には場所がない。やっと見きわめたところは、旧ドイツ大使館の跡でございました。これは国際関係上、何やらそこにひっかかりがあるのであります。法律的にひっかかりはないかもしれませんけどれも、ひっかかりがあるというので、それをひっかかりをなくし、ちゃんと自由に気持よく使えるというふうにする。これも相当努力をいたしました。あの場所は大体図書館工事の見地から言うと、まず一番好ましい土地のような気がいたします。 そこで今度は、どのくらいの図書館を作るかというときに、私どもの希望というものは、第一希望は、実は四万五十坪の、延ばして四万五千坪の図書館を作りたいというまあ希望を持っておりました。これは空に出た数字ではございませんので、どのくらいの研究者を置き、どのくらいの書物を置いて、どのくらいの活動をする、こういうふうなまあ計算をいたしますると、まず見渡したところと申しますか、 ここ、二、三十年を見渡すと、どうしても四万五千坪ほしいように思います。けれども、実情はなかならそうは行きませんので、大蔵省方面と話した結果、及び当時におきまして、今から三、四年前の議会に関係する方々と御相談をいたしました結果、まず一万五千坪くらい、つまり三分の一になりますけれども、一万五千坪くらいの計画をもっていったらいいではなかろうかということであります。しかし一万五千坪計画でも、それは大き過ぎる。今の日本の実情ではできっこはない。だからしてそれは大体半分に減したらよかろう、こういう形で話がつきまして、そこで大蔵省当局と相談をし、かつまたその当局が議会において、委員会である程度承認をいたしましたのが八千坪の図書館だということでございました。で、八千坪の図書館をこしらえるという点におきましては、予算の表ではないけれども、実質的には各方面から承認せられておったわけであります。 この八千坪の図書館というものは、作りましてもそのとたんに狭くなることは、私一点も疑いないと思っております。今私どもの方の図書館が、まことに縁の下にもぐったり、廊下に事務室を置いたりして、きゅうきゅう言って、しかもぐるぐるとものを廻していかなければ仕事ができないという場所が、これですらも四千坪近く、つまり廊下や、縁の下を使って四千坪近くを持っておりまして、いかに合理的に部屋の持ち方をあんばいいたしましても、八千坪というものは、そんなに長くもつものではございません。しかし結局いたし方がございません。ことに私どもの願望の中心は、立派な書庫を持つ、焼けない、腐らない、そういう書庫を持つということでございますから、まずその書庫を中心にいたして、八千坪の建築がほしいという希望を持っておりました。まあこの計画は、近ごろは継続予算というものは普通では認められませんので、そこは認められないので、まあそのつどそのつどの予算の都合によって金をもらうということでございまして、やっと一昨年に至りまして、一億の予算を計上せられまして、それから昨年は、五千万の金額を計上せられまして、今年はいろいろと努力いたしましたけれども、時節が時節だから、一千万円でがまんしろということで、一千万をもらいまして、それらの金を、当時のいろいろな行政整理等によりまして、ある程度天引きされておりますから、その金全部を使ったわけじゃございません。 そこで、それだけまあ集積された経費によりまして、だんだんと進行させておりまするが、先ほどの一体実際計画の何分の一くらいができたかと申しますると、目に見える意味におきましては、何もできておりません。土地を選定し、いろいろと図書館員の、建築に必要な研究の部署、つまり研究を進めて、そうして今あすこのあの建築敷地におきまして、相当地盤を深く削りとっておるというような方向にしか、まだ向いておりませんが、その割合、計算は、今後のことにおいても釣り合いを、なかなかこの物指しではかれませんけれども、今の実情は、大体この建築の設計の方向と言いますか、骨組みとでも申しまするか、そういうものは、あらかた見当はついておりまするが、それに合せまして、あの土地を削ったわけであります。あそこの土地は初めは堅固ないい土地だ、こう一応思っておりましたが、それはしろうと考えでございまして、専門家によく検討してもらいますると、逆にまた弱点もあるように思います。第一にあそこは一応傾斜地になっておりまするが、傾斜地にそのまま上に大きなものを作るというわけにはいきません、それは絶対にいくかいかんか私は存じませんが、建築の普通の常識から言えば、土地を水平にしておいてそこに建物を作らないというと、あとで地盤がゆるんでしょうがない。あのところは低いほうを標準にしておる。大体水平に削るという方針によってやる。高いほうから言いますると、相当削ったような形になっております。それからあそこに堅固な建物を作ったときに、あとでがたがたしないか、土質検査というものを一応今しかるべきところ、つまり建設省のまあ外郭団体というようなところに頼んでやってみましたが、初めはあれはもう大したことはなくて、その上に作ればいい、あそこで大いに経費が節約できるというような着想でありました。案外やってみますと、固いところと柔いところとありまして、谷のほうは砂が非常に多いということでありまして、不安心であるというので、深い井戸のようなものを掘りまして、相当に中にある土質を研究し、また研究は、正確には今月一ぱいでわかるようなことでございます。それがわかりますると、どういう工事方法をやっていいかということもわかるそうでございます。そこでそれによって基礎工事をやっていこうという段取りになるでありましょうが、現在の段取りでは、その基礎工事の一部分ができるということであろうと思います。 そこで今後その上にでき上るところの建築物がどういうことになるか。これは一つはなはだ御迷惑な話とは思いますけれども、今私どもが難局に陥っているところの一端を申し上げまして、すぐにどうということではございませんけれども、御参考にあげて多少の援助を、まことにむしのいい話でありますが、できればこれの援助を得たいと思っておりますが、これが法律制度と実際の技術というものとの間に起る一つの破綻がございまして、日本の法律では、普通の意味で言いますと、官庁の建築物は建設省でこれをやるということになっております。初めこの図書館を作ることの計画を立てましたときでも、これは国会で作るべきものではなかろうか、こんな空気もございました。しかし当時の各部局、たとえば大蔵省とかあるいは建設省等の御意向では、これは建設省がやるべきものであるというふうであり、従って注文者は国会側であるけれども、実行者は建設省であって、こういうような方針をもちまして、建築協議会といいますか、委員会をこしらえまして、皆さんの御同意を得て進行したのであります。ところがやっていきますうちに、大きないわば日本ではめずらしい仕事である建築物を作ることについて、一人の知恵ではいけない。衆知を集めて、国民の現在の建築能力の結晶を元にした面からみるべきではなかろうか。そこで懸賞募集に付そうということになりまして、そこでまあ懸賞募集いたしました。そうしたら思いのほかたくさんの人がその懸賞に応募せられまして、百以上のたしか応募があり、そのうちから選ばれて入選いたしましたものは、技術家の意見を伺いますると、かなりいいものであります。日本の誇りとなし得るというふうに言われております。私どもには、実際それはわかりませんけれども、外国のいろいろな設計図なんかと比較いたしてみますと、相当いいものではないだろうかと私も思っております。そのうちの一等、二等、三等というものができまして、それをできるならば世間が認めるような、世間と申しましても主に建築の専門家だけでありますが、認める一等を中心にして、これに図書館の必要をかみ合せて建築を進めたいと思っておったわけであります。 ところがちょうどこの現代の社会の情勢と申しまするか、建築家の間に、建築というものに相当の値打ちを認める、つまり著作権とか、あるいはこれに、類似するような建築家の権威を認めるという向きが起っておりまして、この懸賞募集を求めましたときにも相当のいざこざが起りまして、つまりほんとうのことはよくわかりませんが、妥協してしまいましたから、ほんとうのところは私どもにはよくわかっておりませんが、建築の設計というものは一つの著作権的なもので、それはいたずらに切りきざんでみだりに変更すべきではない。こういうところに着想があるのであります。それは理論としてはまことにしかるべきだと思っております。実際は使う人のものでありまして、その意見も聞いてもらわなければならぬということで、話は比較的よくわかりまして、そうして皆さんが懸賞に応じて下すったわけであります。そこで一般のふれ出しを、いわば話をまとめるためのふれ出しに、当選をしてこれを採用しようという場合には、なるべく、でき得る限りその設計者の意見を聞くことにする。設計者の意見を尊重するようにするという、ぼんやりした了解をしておったわけであります。 さて、だんだん話がまとまって参りまして、これを実行に移そうという段階になりますと、そこに設計者がどのくらいまで関与すべきかという問題が起りました。私ども当初から関係官庁で作るべきものだから、官庁が中心になる。官庁というのは役所のことであります。図書館ではございません。大体建設部局をさしておりますが、それがみずから責任をもって作るべきものである。しかし設計をした人の意見を聞かなければ、妙なものにしてしまうおそれがあるから、できるだけ設計者の意見を取り入れるという気持で、私どものほうの解釈は、その気持で進んでいる。ある時期までは、ひとりは私どもばかりじゃない、関係部局もその気持でおったように存じました。さて実際これを実行に移そうとするときに、設計者側のほうは強く設計に関与せしめ、懸賞募集というものは、大きな意匠にすぎないので、これを現実にするときには、かなり強く書きかえなければならぬ。それについて設計者の研究を中心とすべきであるという議論が起りまして、露骨に言えば、設計者が設計に対して、相当高い報酬を払えということであります。そこでそれも一理あると思います。実際あると思いますけれども、しかし世の中が移り変っているときであり、なかなかそうすぐに採用するわけにいきませんので、建設省が中心になって、建設省がその設計者を始終参考に呼んで、その意見を聞きつつ物を進められても、これが日本の今までの建築のいき方にかなうであろう。こんな気持をもっておりました。だんだんそこでいろいろ妥協点を求めよう思っておりましたが、ずいぶん長くかかりましたが、ちょうど一月ぐらい前に至りまして、向うも妥協の点がない。もっと露骨な数字を申しますと、設計者側は千二百万円、基本的な設計、主たる部分を図面に現わすために、要求したいというような気持があったと思います。金額は向うとわれわれとの間の内輪のことであって、言っていいかどうか疑問がございますけれども、私はあえて論点でございますから、言っていいと思うのであります。しかし今の政府側におきましては、大蔵省側は、そういう費用を出すことは、非常に難色があるというのであります。まあそこの板ばさみというと語弊がございますけれども、何とかして妥協点を得たいと思っておりましたが、妥協点は得られなかったのであります。そこで私どもの考えといたしましては、元来建設省が依頼を受けて作るべきものである。設計その他につきましては、建設省にあれだけの腕が揃っているので、大体の歴史はある、こういう形とかというような、いろいろな人の知恵はあるのでありますから、主たる材料について建設省に一つ取り運んでもらえないかという気持をもって、建設省に交渉いたしました。ところが建設省はその点につきましていろいろ考慮されましたけれども、なかなかこれも技術的にむずかしい点があるような気がいたします。たとえた言葉で申しますと、人の書きかけた小説を途中から別の人が書けるというわけはない。ちゃんと隅から隅までその人の着想がしみ込んでいるのだから、特殊なものならば建設省が引き受けてもいいけれども、こういうサインのついているものはそう手軽にはやれない。こういう気持があるのではないかと想像いたしております。これは私が旅行いたしまする前のころに、いろいろ委員会を開いてお願いしたのでありまするが、帰りまして今日に至りましても、まだ確たる返事は、建設省でお引き受け下さるという確答は得ておりません。いろいろ問題がそこに伏在しているような気がいたします。 それが現在の実情でございまして、私どもは、もう何とか早く実行に付したいという熱情はやまやまであり、おおよその設計については、このくらいならば大体よかろうという気持もございます。けれども、今のように設計者の要求する金額、また国の財政からいたす予算の額、それに国の建築の大体の方針、どこでやるかという大体の方針というものが、こういうものが錯綜いたしまして、今のところまだ行き詰っておりまして、何とか私どもは、これをいかに打開するかということが問題でございまするけれども、ともかくも打開しないと、この建築がここで立ちどまってしまりというような傾向になっておりまして、今後私どもとしては、一生懸命にその方針を確立したいと思っております。またその場合におきましては、どうぞ皆様方の格別な御援助によりまして、何とぞなめらかに行わしていただきたいと思っております。
○矢嶋三義君 今の問題に関連いたしまして、私は朝な夕な、あそこを通るときに、あれほど土を取らなければならぬのかと、しろうと考えで、どうも土を持っていったり、持ってきたり、ままごとをやっているのじゃないかと、こんなにしなくても建てられるのではないかというしろうと考えでおったのですが、今あなたの説明を聞いて、わかったような、わからないような気がするのですが、それは専門家の研究にまかしておくとして、関連してお伺いしたい点は、設計の懸賞当選者に対しては、その賞金はすでに出しておるものと思いますが、その点と、それからいよいよ建築にかかるに当って懸賞当選者が要求する経費というものを、もう一回念のために承わりたいと思います。 それから、図書館長としては、一年も早く完成を念願することでございましょうが、しかしわが国の全般的な諸情勢から勘案して、最終的には国会において予算を審議決定いたしますが、図書館長としては、たとえば大蔵事務当局等に事務折衝するに当って、一体今の情勢で、これは何ヵ年計画ぐらいで完成さすべく腹を持って事務折衝に当られるお考えであるか、当事者としての御所見を参考に開きたいと思います。
○国立国会図書館長(金森徳次郎君) あのときの懸賞金は、一等百万円ということでございまして、百万円はちゃんと払っております。 ところがここに、しろうとと専門家というか、建築界の専門家との間に多少根本に考えの差があるかも知れませんが、まあ私どもは、懸賞で当選をいたしましたら、懸賞のときの条件に従いまして、われわれはその著作を適当な限度で図書館建築に利用することができる、この利用に対しては、特別に権利を新らしく付する必要はない、従来の懸賞の設計の例であると思いますが、そういうふうで、法律的に申しますると、設計が得られる、だからして、これの全部をとろうと、一部をとろうと、これはこちらの自由であるというふうに理解しておったのであります。法律的には今もそうであると思いまするし、設計者もそれに対しては格別異存も言っていないのであります。ところが、懸賞設計というものは、いわばそういうデザインを示しただけであって、現実の設計になりますると、それはいろいろの条件が出てきますので、また新らしく設計をしなければならないのです。その懸賞のデザインと、それから実質の基本設計というものは、一脈のつながりはございまするけれども、それは別のものであるものらしいのでございます。そこで、その現実のものを作るというときに、今度ほかのものが作るということは、ちょっとむずかしいのであります。そのつながっている関係から、もとの設計者の意見を相当取り入れるという必要があると思います。それで、先ほど申しましたところの、つながりでありますが、だからそれは設計者に大部分の基本的な図面を書かせろというのが設計者の希望でございまして、事実向うの方が腕もあり、手もそろっているということでありまして、ところでそれをやってもらうとなると、大体六ヵ月かかるであろうという計算がございまして、人件費その他が月に二百万円以上かかるのではないか、だから千二百万円ぐらい出してもらわなければ食っていけない。こういうふうな一つの向うの要求でございます。また別な計算方法から申しますると、そういう設計料をどういうふうに割り出すかという、いろいろな基準がございまして、それに合せると、もっとたくさんな額になるのでございますが、いろいろな事情があって、大体向うの申し出、私直接に聞いておりません。向うの申し出というのは、間接に聞きましたが千二百万円から千三百万円の間のところで一応の計数が出ておるということになります。ところが今われわれの側は大蔵省等のいろいろな考え方もございまして、せいぜいどうしても表向きは二百万円ぐらいしか出せない。あといろいろと工夫するにしても、とても千二百万円は出せぬ。こういうことになり、金額の差があまりにも大きくて、話がとだえたのであります。 そのときに建設省が本当に引き受けて、なに自分たちの努力によって、意思を尊重しながらも、適当な設計を作って建築してやる、こうおっしゃって下されば、私はその方にまかして一向懸念するところはないと思っております。肝心の技術中心である建設省が難色がある、今もってその結論が出てないとろをみますると、相当これもむずかしい。著作者の考えと、それを受けてやる人との間に、気持の密接な連絡を作ることがむずかしいためでございましょうか、今のところは結論が出ておりません。そこになにかがあるわけであります。 そこで図書館を建築するときに、何年ぐらいでやるか。今までの考えは、最初の八千坪は着手してから三年間で作りたいという希望でございます。それが完成いたしますと、最初の八千坪というものは、でき上った結果は非常におかしい形のものであります。本来あるべき図書館の一部でございまするから、五体そろったものじゃございません。手が一本しかない、足が左がなくなったとか、こういう畸形児ができてくるわけであります。この設計が完備いたしますれば、非常に形としても世間に誇り得る、建築界の模範に供され得るものでございまするけれども、その八千坪作りましたときには、縦切りにするわけにもいかぬ、横切りにするわけにもいかぬ、いろいろ苦心惨たんした折衷体ができるわけであります。そこでそれができて、それが一応完成したら、その次の三年間、に事情の許す限りあとの七千坪をそれにつけ足しまして、六年経つというと、本当の図書館になる、こういう計画でわれわれのほうとしては進行をしており、また今までは議会に対する関係におきましては、そういうふうの着想を申し上げておったわけであります。 ただ大蔵省は今まで八千坪だけしか同意になっておりませんので、あとの七千坪は何らの事実上の了解も大蔵省には表向きには得ていないという形でございます。
○矢嶋三義君 先ほど理事会で、一応二時半を目途に本委員会を運営しょうという話し合いでございました。私五分ぐらいしか発言してないのですが、館長の答弁、非常に懇切丁寧で非常に傾聴に値いすることを御説明いただきまして、拝聴しているわけでございますが、理事会で一応申し合せがございましたので、委員長に伺いますが、理事会の申し合せ通り、委員長のお考えで、他日許されれば異議ございませんし、なお他の委員の了承を得て、なお質問してよろしいということであれば、業務方法書の運営の内容について伺いたいと思いますが、理事会の申し合せもございましたので、一応委員長の御所見を承わります。
○委員長(郡祐一君) 他の機会に図書館の運営に関しまして質疑をする機会を持つこともろよしいと思いまするけれども、先般館長の洋行前に出されました図書館の経過報告に関しましては、本会議へ報告もいたすべきでありますし、そのようなことで経過報告に関する質疑は、本日尽していただきたいと思います。従いまして、これはお諮りいたしますが、確かに理事会では二時半ということにいたしましたが、他に御質疑の方もいらっしゃると思いまするし、大体もう三十分ぐらいは延長をいたし、そして経過報告に対する質疑を一応終ることにいたしたいと思いますが、いかがでございましょうか。
○矢嶋三義君 他に質疑の方もあると思いますが、私の質問だけでも三十分では、答弁自体にもよりますが、三十分ではちょっと無理でございますね。
○委員長(郡祐一君) 速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(郡祐一君) 速記を始めて。 国立国会図書館の計画報告に関しまする質疑は、なお各委員からおありだと思いまするけれども、一応理事会で御相談いたしました時刻にもなっておりますので、他の適当な機会に質疑を続行することにいたしまして、図書館に関する質疑は、本日はこの程度をもって終りといたします。 —————————————
○委員長(郡祐一君) 次に、本日午前御質疑を願いました山下義信君外三名発議の、恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案の取り扱いにつきましては、理事会において御相談をいたしましたが、その際、事務総長並びに法制局長から発言を許されたい旨の申し出がございました。この際その発言を許したいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(郡祐一君) 御異議ないと認めます。
○事務総長(芥川治君) 本件の経緯にかんがみまして、この際、事務総長として一言おわびを申し上げます。 今回は、発議者から議案を受領したのちにおきまして、発議者の了解を得ることなく再印刷に付しましたことは、慣例によることとはいえ、正しい処理とは申されません。まことに遺憾に存ずる次第でございます。かような事情から議案の送付が遅れましたことは、まことに申しわけない、この機会につつしんでおわびを申し上げます。今後はかようなことの起らないように、議案を受理しましたのちは、印刷に回すのほかは厳に事務局に保持し、正確、慎重に処理するよう最善の努力をいたす所存でございます。
○法制局長(奧野健一君) 今回の事件に関しましては、法制局の注意が十分でなかったため各方面に御迷惑をおかけいたしましたことにつきましては、まことに遺憾に存じます。深くおわび申し上げます。 今回のように法案の提出後訂正等の必要が生じた場合には、事前に発議者の了承を得て、その指示に従って処理するようにいたします。 なお立案の依頼を受けました案件につきましては、提案者の承諾なく、その内容をもらすというようなことがないようにいたすことはもちろんでございます。今後十分注意いたしまして、今回のようなことの起らないように努力をいたしたいと思います。
○委員長(郡祐一君) ただいま事務総長並びに法制局長からお聞き及びの通りの発言がございました。右によりまして了承することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(郡祐一君) 御異議ないものと認めて、さよう取り扱います。 本日は、これをもって散会いたします。 午後二時三十九分散会