外務委員会 第22号
- 発言数
- 36 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1955/07/27
会議録
○委員長(石黒忠篤君) それではこれより外務委員会を開きます。 まず日本海外移住振興株式会社法案を議題といたします。本案に関する御質疑のある方は順次御発言を願います。
○鹿島守之助君 イタリアにおきましては、季節移民と申しますか、たとえばアルゼンチンの小麦の収穫のようなときには、大量にイタリアから向うへ行きまして、その収穫が終りますとまた帰ってくる、こういうような移民の方法がありまして、これは移民協定か何かで、ずっと昔から締結せられてありますが、日本もそろそろそういう季節移民と申しますか、そういうものを考える現実上の必要時がきておるの考、二つの点についてお考えを伺いたいと思います。 一つは、最近、日本のある土木建築会社が、アリューシャンにおきまして日本軍の残した鉄材、遺骨、そのほかそういうものを一定の価格で請け負いまして、私の聞いたところでは、ワシントン政府におきましては、外務省及び海軍省もそれを非常に好意的に促進してくれるようでありましたが、さて現実の問題としては、アラスカのアメリカの労働組合が強く反対いたしまして、結局相当な金を損失して、日本から船を仕立てて行きましたけれども、帰ってこざるを得なくなった。このダースを推測いたしますのに、アメリカ政府の方では、人手も足らぬし、また日本軍の遺骨やいろんな散らかした鉄くずだとかというものは、日本の手で持って帰るなら、それはけっこうじゃないかというような考えでありましたが、十分の打ち合せがないために、現地へ行って、帰ってこなければならぬというようなことで、まあこういうふうな移住協定を作りまして、一定の期間だけ、その鉄くずとか遺骨を上陸して持って帰るだけの期間だけ、何らかの協定を結んで、やった方が、日米相互の利益になるのじゃないか、こういう問題であります。 それから、今、日本のパルプ会社が、アラスカで相当なコンセッションを得まして、あそこでパルプを製造する、さしあたり四千万ドル見当の工場が建設されることになっておりますが、これなんかも、日本の技術者が、建設技術者、あるいは必要なら若干土木技術者も要るでしょう。そのほか日本の大工だとか、左官だとか、そういうものを、一定の期間だけ、その工場が建設される期間だけいることにいたしまして、済めば引揚げてくる、こういうふうな協定を結びましても、相当その建設のコストが引き下げられるし、日本の利益にもなりますし、またアメリカの方は、戦後は非常に労働不足の実情にありますので、こういう協定を結ぶべき時期に際会していると思うのでありますが、これに対しまして外務御当局の意見を伺いたいと思います。
○政府委員(園田直君) ただいまの季節移民は、お話の通りでございまして、米国の西海岸に対しても同様の話が起っております。なおアラスカのパルプ会社の設立も着々進行しておりまして、アラスカも同様の話があるのでございます。この話は、御承知の通り労働組合その他の反対もあったようなわけで、米国の政府としては、これを公式に、長期の計画的に一つの協定等を結んでやると、いろいろの問題が起るので、非公式に話を進めて逐次やりたい、こういうようなことで、すでに話は進行中でございまして、具体的にただいま話し合いを進めている段階でございます。アラスカにおきましても、同様話合いが進行中でございます。 なお同様の意味で、季節移民ではございませんが、今まで説明申し上げました移民というのは、長期にわたって向うに移住するという同化政策を重点にはしておりますものの、特に東南アジア等につきましては漁業、技術その他の面につきましては、長期にあらざる、まあ今のような期間を切っての移民とか、そういう話もぼつぼつ出ているような状態でございます。
○鹿島守之助君 もう一つそれに関連いたしまして、高碕経済審議庁長官が、また長官にならない前に、南米をまわられまして、ウルグァイに大きな水力発電工事があるから、手紙をよこされまして、まあ土木工業協会、電力建設協力会、こういうところで入札をするかどうかという問題で、一番のその険路は労働者の問題であります。どの労働者を使うかという問題であります。それで、将来そういうような建設移民というような、これも工事が済めば引き揚げてもいいのですが、農業建設という、そういう建設事業をやるような意味、こういう点を一つ念頭に置いて御考慮を願いたいと思います。
○政府委員(園田直君) そういう移民も考えてみたいと思っております。特に直接の移民ではございませんが、賠償実施等が始まりますると、そういう問題もたくさん出て参りますので、そういう点については具体的に研究をして、本会社としても一部の力をそういう点に使っていきたいと思います。
○羽生三七君 ちょっと承わりますが、昭和三十年の五千五百人の移民並びにそれに必要な六億数千万円の予算、こういうものを、算定する場合には、たとえば前年度あたりの実績とか、あるいは申請に基いて人員を想定され、予算々組むのか、あるいは外務省の一般的な判断でおやりになるのか、今後のこともあるので、ちょっと承わっておきたいと思います。
○政府委員(園田直君) 移民の計画は、御承知の通りに、ほとんど相手国の状況が主になりますので、そういう数とにらみ合せてやるのでございますが、今日の段階では、相手の数を基準にするよりも、むしろ予算面の金の面を基準にする程度のことでございまして、予算面の措置さえつけば、まだどんどん出せるという状態であります。従いまして、今年度の数字は当初一万と予定いたしました。一万と予定する基礎は、渡航費、それから二万になりますると、船腹を増大する必要がございますので一ぱい十六億、二はい三十二億の造船の資金と、こういうふうな資金を大蔵省と折衝したわけでございます。遺憾ながら現在のところではただいまのような人員になりましたわけで、実は先般委員長からも御注意をいただきました通りに、アメリカの借款というものを有効に使えば、もっと人員がふえるのではないかということもあるのでございますが、これは非常に理論にはずれたことでございますが、借款を渡航費に流用しようとすると、その関係で、国家支出のものが借款を使うから国家が出さなくてもいいのではないかというので逆に削られるおそれがあるので、国家資金を一つのワクとして折衝しているわけであります。将来は、いろいろな金の面の準備ができれば、日本国内の移民計画、あるいは相手国の受入態勢に応じて計画を立てなければならぬと考えております。
○羽生三七君 今承わって事情がわかったのですが、もっとそういう問題を最初から積極的に打ち出せば非常に事情は変ると思うのだが、予算があれば幾らでもということらしいので、まあ予算獲得と言いますか、それに御奮闘願います。
○委員長(石黒忠篤君) それに連関して私から伺っておきたい。先般移住局の設置が法律をもって決定され、そして内閣に審議会ができて、移住政策についての大きな見地からしての大方針をきめていく、本会社の事業に関しましても、本委員会において会社当局との質疑応答で、きわめて大ざっぱなことがきめてあって、肝要な点は移住審議会において議するという御答弁がしばしばあったのであります。私は事実そうだろうと思っておりますが、その審議会に、私は大蔵大臣が必ず審議会の委員になることを信じているんでありますが、政府はどういう考えでありますか。
○政府委員(園田直君) 委員に指定してあるのは、大蔵、外務、農林、それから通産、労働、以上でございます。及び各省から推薦する学識経験者、こういうことになっております。
○委員長(石黒忠篤君) この審議会の組織に、ほかはとにかくといたしまして、大蔵、農林両大臣は必ず入れておかなければいかぬのだと私は思う、そうして代理官の出席でないように、必ず大蔵大臣自体が出るように外務省では御努力になることが、大蔵省に海外移住政策に対しまする重要さを理解させる上において非常に大事だと思う。先般、外務省の移住懇談会において、審議会が設けられることについての会議がありました際に、私も出て、早くほかへ行かなければならぬことがあったので早退したのですが、その際における外務省としては、むしろ外海省内にある懇談会を有力化していく方がいいといったような御見解もあったようでありまするし、懇談会の委員の中には内閣で設置することについて絶対に反対だという御発言をした人もあるのであります。私は、もし長くおれば、内閣に置くことが絶対に必要だということを主張しようと思ったので、その点は、大蔵大臣を必ず委員に入れて、そして移住というものが、人口問題の上においても、それから国内の青年の思想の上においても、また農業の発展の上においても、非常に必要だということを知らせる機会を確実に獲得するということが非常に大事なことだ、こう思うのです。で、ただいまの政務次官の御発言によりますと、受け入れる方は相当に多いけれども、予算に縛られている。そうして半減したのだ、しかもそれを外資を持ってきて、見方によっては必ずしも外資でなく円でいくべきところの渡航費にもこれを補充して使うということを考えている際に、それをやるというと、既定の国費をもって当然出すべき渡航費をそれと引きかえに減らすだろうといったような考えを持っているような大蔵省が控えているのでありますから、その点は私は非常に大事だと思いますから、外務省としては大きな考えで移住問題に対処せられんことを私は希望したい。こう思っております。 他に御発言もないようでございますから、質疑は尽きたものと認めてよろしゅうございましょうか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(石黒忠篤君) 御異議ないと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
○曾祢益君 私は、本法案に対しましては、希望条件を付して賛成の意を表明いたしたいと思います。 その希望条件と申しますのは、本案の審議に際しまして、同僚各委員からも、大体同様の御趣旨の御質問等がありましたので、それに尽きていると思いますが、私は、この際、本法案を通過いたしまするといたしまするならば、同時に本案に対しまして付帯決議が通過することが望ましいと考える。従いまして、私の希望条件は、すなわち、形においては、もし同僚各委員の御賛同を賜わるならば、本委員会の付帯決議という形となると思いますが、私はこの付帯決議案の内容を読み上げまして、そうして私の希望意見の表明といたしたいと存じます。 日本海外移住振興株式会社法案に関する附帯決議 本法案について、政府は左記諸点を慎重注意の上実施すべきである。 一、移民の受入及び定着を個人のコンセツションのみにゆだねることなく、機をみてすみやかに関係国との間に移民協定を締結する等、移民の保護と外交の円滑化に遺憾なきを期すること。 二、わが国移民事業の特質並びに現状に本会社はその主目的が多数農業移民の送り出しと、その定着のための営農資金の貸付とにあることに充分留意して経営すること。 三、本会社の業務の運営に対する指揮監督については当面農業移民が最も重要な割合を占ることに顧み、外務省は特に農林省と充分連絡を行うこと。 四、移民の募集、送り出しの世話、その他移民問題に関する国内啓発等は公共性濃き事業なるにかんがみ、之を民間法人に委託する場合には、法令に依る監督度制を明確にするは勿論、その構成運営等についても充分指揮監督を行い、改善の実を挙げること。 右決議する この決議案の各項目については、もう御説明の要がなく、大体御了解願えると思いますので、以上の希望条件を付しまして、本案に対して賛成するものであります。
○羽生三七君 私もこの法案の通過に賛成はいたしますが、しかし審議の過程において明かなように、これはすこぶる問題のある法案であります。第一に、日本の移民政策が必ずしも明確でないこと、また本法案の内容がきわめて不備であること、第三点は、本法案に基く事業計画がきわめてあいまいであること、しかもこれらの点は審議過程で十分明らかにされましたから、私は多くを申し上げませんが、とにかくきわめて問題の多い法案でありますので、本来ならばもっと審議を尽して問題を明確にしなければならぬと考えるのであります。しかし、ひるがえって考えれば、わが国の過剰なる人口、この問題を処理することの緊急性等を考える場合に、やはり適切な補強政策が講ぜられるならば、本案の通過は必ずしも好ましくないとは言えませんので、ただいま曽弥委員から出された付帯決議案に問題点並びに希望の多くは盛られておりますので、これらの点について政府が十分配意することを条件として本案に賛成するものであります。
○梶原茂嘉君 私も本案に賛成をするものであります。また同時に曽弥委員から御提案のこの付帯決議につきましても賛意を表するものであります。いろいろ問題をこの会社は包蔵しておると思いますけれども、ともかくにも、中南米方面に対するわが国の移民政策の一つの進展であるということには疑いないと思うのであります。従って、この会社の運営については、この付帯決議案にあります通りに、十分慎重な方針で臨んでいただきたい。特に会社の性格にもとることがないように、ともすれば営利に走るというようなことのないように、格段の配意をお願いしたいと思うのであります。なお、この会社は、もっぱら中南米方面に対する移民政策の一つの具体案でありますが、別途東南アジア方面におきましても、現在及び近い将来の状況から見て、新しい観点の施策が必要ではなかろうかと思うのであります。移民局もできたことでもありますし、そういう方面に対する、従来ともちろん性格は違いましょうけれども、新しい意味合いのわが国の青年諸君の移住について、具体的に一つ検討をされるようにこれは希望をするわけであります。 以上であります。
○鹿島守之助君 自由党といたしましては、理想的立場からいえば、なおこの法案に相当な論議があると思いますけれども、この法案を成立せしめます緊急の必要があると認めますので、本法案に賛成いたします。なお、曽祢委員から提出された付帯決議は、本法案の欠陥を補うものといたしまして、特に各関係国との間に移民協定を作りまして、具体的に移民問題を解決する。また日本の移民は、やはり質のいい、これは日本の国民の全体の能力なり品位なりを評価される一つの要素となりますので、十分監督を厳にされまして、いい移民を出していただくように特に希望いたしまして、本案並びに付帯決議案に賛成いたします。
○委員長(石黒忠篤君) 他に御意見ございませんか。討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(石黒忠篤君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。 日本海外移住振興株式会社法案庁問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手々願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(石黒忠篤君) 全会一致でございます。よって本案は全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。 次に、討論中に述べられました曽祢君提出の付帯決議案についてお諮りをいたします。曽祢君提出の付帯決議案を本委員会の付帯決議とすることに賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(石黒忠篤君) 全会一致と認めます。よって曽祢君提出の付帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 なお、本会議における口頭報告の内容及び議長に提出すべき報告書の作成その他日後の手続につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(石黒忠篤君) 御異議ないと認め、さように決定いたしました。 それから、報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますから、本案を可とせられた方は、順次御署名を願います。
○政府委員(園田直君) 日本海外移住振興株式会社法案の審議を願いましたるところ、移民に関する重大性を認識せられまして、熱意ある御審議を願いまして、感謝をいたします。同時に、ただいま全会一致をもって決議せられました付帯決議及び本案審議中に御指摘を賜わりました諸点につきましては、政府といたしましては十分検討して、これを順奉して、移民を推進したいと考えます。この際一言ごあいさつ申し上げます。 —————————————
○委員長(石黒忠篤君) 次に、特別円問題の解決に関する日本国とタイとの間の協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。 本件についてなお御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
○梶原茂嘉君 ちょっと一つだけ。特別円の発行の総額はどれほどあったのですか。
○説明員(高橋覺君) お答え申し上げます。勘定残高総額十五億円余でございます。
○委員長(石黒忠篤君) 他に御発言もないようでございますから、質疑は尽きたものと認めて御異議げごいませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(石黒忠篤君) 御異議ないと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(石黒忠篤君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。特別円問題の解決に関する日本国とタイとの間の協定の締結について承認を求めるの件を問題に供します。 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(石黒忠篤君) 全会一致でございます。よって本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。 なお、本会議における口頭報告の内容及び議長に提出すべき報告書の作成その他自後の手続につきましては、慣例によりこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(石黒忠篤君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。それから報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますから、本件を承認することを可とされた方は、順次御署を願います。
○委員長(石黒忠篤君) 次に、関税及び貿易に関する一般協定への日本国の加入条件に関する議定書への署名について承認を求めるの件を議題といたします。 本件について御質疑のおありの方は御発言を願います。御発言もないようでございますから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(石黒忠篤君) 御異議ないと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。別に御発言もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(石黒忠篤君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。 関税及び貿易に関する一般協定への日本国の加入条件に関する議定書への署名について承認を求めるの件を問題に供します。 本件を承認することに賛成の方の御挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(石黒忠篤君) 全会一致でございます。よって本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。 なお、本会議における口頭報告の内容及び議長に提出すべき報告書の作成その他自後の手続につきましては、慣例によりこれを委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(石黒忠篤君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。それから報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますから、本件承認を可とされた方は順次御署名を願います。
○委員長(石黒忠篤君) それでは、これをもたて本日の外務委員会は散会いたします。 午前十一時七分散会 ————・————