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22回国会参議院1955/06/06

外務委員会 第8号

発言数
71
登壇者
9
会派数
5
開催日
1955/06/06

会議録

石黒忠篤緑風会

○委員長(石黒忠篤君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  理事の辞任及び補欠互選を議題といたします。  去る四日、鶴見君から一身上の理由により理事を辞したい旨の申し出がありましたが、これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石黒忠篤緑風会

○委員長(石黒忠篤君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。  つきましては、直ちにその補欠互選をいたしたいと存じます。互選の方法は、成規の手続を省略いたし、慣例により、便宜その指名を委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石黒忠篤緑風会

○委員長(石黒忠篤君) 御異議ないと認めます。それでは私より苫米地義三君を理事に指名いたします。     —————————————

石黒忠篤緑風会

○委員長(石黒忠篤君) 次に、国際情勢等に関する調査を議題にいたします。  外務大臣御出席でございますから、御質問を願いたいと思います。

羽生三七日本社会党(第四控室・左)

○羽生三七君 最初に行政協定と関係のある問題をちょっとお尋ねしたいと思うのですが、それは先日大臣の御出席ない場合に、調達庁の総務部長の出席を求めて概要を聴取したのでありますが、その内容は一部新聞等にも伝えられておりますることと関係があることで、さきに東海道で米軍のトラックと日本の列車が衝突をして、多数の犠牲者を出したことは御承知の通りでありますが、これらの問題が米軍の解釈では、これは国鉄公社は政府機関であるから行政協定の関係から損害補償の責を負う必要はないということで、今、日本側と米軍側と紛争中であるように聞いておりますが、かかるケースの問題が昨年の夏ごろから非常に多数になってきて、今その件数では未解決の問題が約三十二件あるように聞いております。金額的にも非常に莫大なものに上っておるようでもあります。  そこで、この国鉄公社が政府機関か民間機関かという議論は、この外務委員会で、やる意思はありませんから、これは省略いたしますが、いずれにしても、それまではアメリカ側が、そういう損害の起った場合、日本側と協議をして、今までその補償をしてきたのでありますが、昨年の夏ごろからアメリカが前記のような解釈をして、その損害を補償しないような態度に変ってきて、しかもその件数が三十二件に及び、しかも調達庁の関係者が、もうわれわれのところで話しをしておってもだめだから、もっとトップ・レベルで独立国家にふさわしいような交渉をしてもらいたいということを言っておることが新聞記事にも出ておるわけであります。  そういうことで、私のお尋ねしたいことは、これはアメリカ側のそういう感度に問題があるかもしれませんが、具体的にいうと、やはり行政協定と深い関係があると思うのであります。そこで私きょう外務大臣に対してお尋ねいたしたいことは、今ここで日米行政協定の廃棄とか何とかいっても、これは政府の立場で、そんなことは当面の問題にならないだろうと思いますが、少くとも行政協定二十八条の規定に基いてわが方が積極的にイニシアチブをとって、アメリカ側に対して行政協定の各項目のうち、特にわが方として十分関心を持たなければならないような問題について、具体的に改訂を申し入れる意思があるかどうか、これをお尋ねいたしたいのであります。

重光葵日本民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) ただいま申されましたことは、具体問題としてはむろんこれは日米合同委員会でかような紛争は解決しなければならんものと思っておるわけであります。そして日米合同委員会で十分これは協議した上で、そして解決案を見出さなければならん、それに努めておるわけであります。さようなことでいい解決方法も見つからんというようなことがずいぶんたくさん積み重なります場合には、改訂のことも、変えてもらいたいということも申し入れるようになる時期もくるだろうと思います、しかし今はそういうことはないということを申し上げておきます。一つ、あくまでも日米合同委員会というものの組織があるのですから、それが一番いい解決方法ですから、そこであくまでも解決するようにさらに努力を尽してみる方針です。

羽生三七日本社会党(第四控室・左)

○羽生三七君 そればお話はよくわかるのですが、もう一度重ねて申し上げたいことは、去年の夏ごろまではかなりスムーズにきた問題が、独立後三年余を経過して、むしろアメリカが問題の解決には積極的にわが方に協力しなければならない時期が深まるにつれて、逆に去年の夏以来もう三十数件未解決の問題ができて、しかも今までは正当解釈をして支払っていたものを、今度はその解釈を曲げて、紛争の渦中にあるものが三十数件と、こういうことで、逆の方向に行っているわけです。その問題は、アメリカがいいとか悪いとかいうことでなしに、行政協定十八条そのものに矛盾があるのだから、むしろ積極的に、二十八条に、双方が発意すれば協定改訂はできることになっているのですから、わが方がすみやかに改訂を申し込んで、合理的な解決をした方が適当だと、その時期はきておると私は思っておるのです。時期でないとおっしゃるが、私はきておると思うのですが、重ねてお伺いいたします。

重光葵日本民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) 実はまださような検討を私自身するいとまがございません、一つ研究をしてみましよう。

羽生三七日本社会党(第四控室・左)

○羽生三七君 それではその問題は、外務大臣のこの問題を検討したいということを信じて、これで打ち切ります。  その次にもう一つお尋ねしたいことは、濃縮ウランの問題、原子力平和利用の問題に関連して簡単にお尋ねいたします。  その第一は、今国会に間に合うように、間に合う見込みで政府が協定を進めておるのかどうかということ、これが第一点であります。  それから第二点は、今問題になっておることと関連がありますが、協定と了解事項とが具体的に一体どう違うのかということであります。了解事項ということにすれば、あとはどうでもいいということなのか、外務省としてのこの協定上から見る正規の解釈というものを一つお示し願いたいと思います。  それから第三点は、純粋商業ベースでこの取引をやるという高碕長官の言明というものは、これは政府の一体の解釈であるのかどうか。  第四点は、日本学術会議の原子力問題委員会が、一昨日の委員会で、このウラン受け入れ問題を討議した際に、  この日本の原子力平和利用を進める国内態勢はまだしばらくかかるから、ここ一、二カ月急ぐ必要はない。ジュネーヴ会議後にゆだねた方が適当ではないかという申し入れを政府にするよう決定しておるようであります。また政府に申し入れてきたと思います。この場合政府としては、学術会議のこういう申し入れは承りおくということなのか、この学術会議の決定というものが、政府の本問題に関する方針の上にどういう影響を持つのか。承わりおくだけなのか、政府は、学術会議の申し入れを尊重して、その方針に従って今後処置をとろうとするのか、どうであるのか、この四件であります。逐次お答えを願います。

重光葵日本民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) 第一点は、急いで本国会の終了までに片づける見込みでやっておるかというお尋ねでございます。これはこちらの希望通りにできれば、それはなるべく早くまとめた方がけっこうだと思いますが、しかしこれは御承知のように非常に慎重を要する問題で、この取扱いについては遺憾なきを期さねばなりませんから、必ずしもそういうふうに期限を切っておるわけでも何でもございません。慎重にこれをやるということでございます。  第二の、協定と了解事項との差異、これはむしろ条約締結の技術上の問題になりますが、了解事項は、協定の解釈、実施上の細目等について、直接に協定する対象となっていない、またこれに関連する問題について、双方の主として解釈上の了解を遂げる、こういう第二段的の意義であるということは、これは一般的に申し上げられますけれども、その了解をしている以上は、さような意味において意義を持つのであって、それが全然意義のないことでもないし、協定の付属の了解として意義を持つことだと私は解釈をいたしております。  それから商業べースでやるという第三点の点は、それは高碕長官はそう言ったのですか……。それならそれで、その通りだと存じます。  それから学術会議の議をどうするか、御承知の通り学術会議の決議事項を閣議でそのまま了解して本件が始まったというように、学術会議——これは諮問機関だと思いますが、諮問機関であっても、その意向を政府は非常に尊重しておるのであって、現実のこれは事実でございます。今後もその意見を十分に尊重したいと、こう考えるのでございます。また私自身としては、かような科学的のことは特に専門家の意見を十分に尊重するということが必要だと、こう考えております。

羽生三七日本社会党(第四控室・左)

○羽生三七君 時間がありませんからもう一点だけお尋ねいたしますが、最後の学術会議の決定は、諮問委員会であるが、特に技術的の問題であるから尊重するという政府の方針はよいと思いますので、どうかこういうことで進んでいただきたいと思います。  それから重ねてお尋ねいたしたいことは、この協定と了解事項の問題でありますが、一体了解事項ということになれば、わが方を拘束しないのかどうか、これは技術的な問題ですから、必ずしも大臣でなくてもよろしいのですが、条約や協定の解釈上一つお答え願いたいと思います。

下田武三外務省条約局長

○政府委員(下田武三君) 了解事項は原則といたしまして、当事国間の法律上の権利義務を規定いたすというよりは、先ほど大臣が申し上げました通りに、協定に関連する解釈の問題でございますとか、あるいは実施の細目でございますとか、あるいは直接協定が取り上げておる問題自体ではないが、関連する問題についての了解、そういったものを掲げるのを常といたしております。

曾禰益日本社会党(第二控室・右)

○曾祢益君 ただいま羽生委員から御質問がありました原子力平和利用の問題について私からも若干御質問申し上げたいと思います。  第一に、今政府がやっておられる交渉は、これは濃縮ウランの受け入れといいますか、まあさらにもう少し正確に言うならば、実験炉を作ることと、それの中核をなすものはやはり濃縮ウランの受け入れのことだと思います。そのための交渉であって、その中には原子力発電の問題に関してまでこの際協定する意図ではないと解釈するのですが、その交渉の目的というものがそういうふうにはっきり限界があるのではないかと思うのです。その点を先ずはっきりしていただきたい。

重光葵日本民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) 大体そうだと私も思っております。発電のことはいずれ将来の問題に属しておると思います。

曾禰益日本社会党(第二控室・右)

○曾祢益君 日本とやはり同じひな形と認められるトルコその他の国とアメリカとの交渉も、大体そういうところで今やっていると思うわけであります。ところが、申すまでもなく、トルコとアメリカの協定の第九条に、実験炉及び濃縮ウラン受け入れ以上の、原子発電のことについてまでの、何といいますか、協力の要請、従って協議の予約というものができてきておるわけであります。そこでこの点が非常にアメリカのひもつきであるかないかということは、いろいろ解釈上の問題がありましょうが、もし交渉が濃縮ウラン及び実験炉に限られるならば、その問題にははっきり触れないという態度で行かれるのか、それともひな形が、第九条というものがあるので、それを新聞の伝うるところによれば、これを協定にしておくと何か義務づけられるおそれがあるから、形の上でこれを了解事項の方に回しておく、そうすると、ただいま羽生君の御質問になったことは、非常に私は法律上の要点だと思う。了解事項という形なら義務を生じないからというような中途半端な態度で政府が交渉されておるやに新聞は伝えておる。そのこと自身が、アメリカからある意味では日本の神経質なことに驚きを持たれ、アメリカから言うならば、いや、もうその発電の方の技術援助までやりたくないならやりたくないと、九条をはっきり落してきたらいいじゃないか。しかし何も自分らはひもつきをやるつもりではないのだから、ついでに発電のことまでお互いに協力しようと言ったって、一つもそのこと自身が日本と他との発電問題に関する協力を妨げるものではないのだから、もう少しはっきりした態度で、少くとも第九条はいけないけれども、了解事項ならいいというふうな、問題の出し方そのものに、日本政府の交渉の腹はどこにあるのかと疑わしめていると新聞は伝えている。一体どういうふうにその点をお考えであるか。果して了解事項という形で日本側からそういうものを提案されたのか、その点は新聞で大きく取り上げておりまするから、私は秘密でも何でもない。基本的な政府の考え方の一部だと思いますから、政府のお考えを知らしていただきたい。

重光葵日本民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) その点は条約局長から一つ御説明いたします。

下田武三外務省条約局長

○政府委員(下田武三君) トルコ協定の第九条は、先ほど羽生委員にお答えいたしました通り、協定が面接取り上ぐべき問題ではないところの関連事項に属すると思うのであります。協定の直接に取り上ぐべき事項は、仰せの通り濃縮ウラニウムと実験炉の問題でございます。将来の発電のための炉というのは、これは直接の対象事項ではございません。しかしトルコはアメリカとの協定の間に、第九条で協定の中の条文に掲げております。しかしこれは日本といたしましては、そこまで進むかどうかということは、これは慎重に考えられるべき事項でありましょう。しかし世上伝えられておりますように、これがひもつきであるというようには私どもは考えておりません。何となれば、もしアメリカとトルコの協定が、トルコは米国以外から発電用の炉の協力ないし援助を受けてはならない、トルコに対するオファーをアメリカが独占するのだという規定でありましたら、これは明確にひもつきでございます。しかしながら、何もそう言わないで、アメリカもこの援助を、供与としての一つのオファーを単になしておる。ソ連もやるかもしれない、イギリスもやるかも知れないけれども、それには何も触れていないのであります。ただワン・オブ・オファーズでありますから、これは私は何もひもにはならないと思うのであります。いわんや米ト協定の最後を見ますと、将来の可能性について協議するということに相なっておるのであります。直接その援助を受けるということをきめておるわけではございません。そのポシビリティーについて協議するということなんでありますから、協議して外国のものがよく、かつ安ければそっちに移って一向かまわない規定になっております。協定の内容及び形式の双方から見まして、私はひもつきだとは考えられないのであります。

曾禰益日本社会党(第二控室・右)

○曾祢益君 それは第九条の解釈はそういう解釈が成り立つか成り立たんか、これは一つの御見解だと思う。しかし私は、何も日本とアメリカとが濃縮ウラニウムの受け入れ及び実験炉の受け入れの話をするときに、先ほど外務大臣が言われたように、その本旨としては、何も原子力発電のことまでやる必要はない。従って独自の見解からやればいいのであって、トルコ・アメリカ協定の第九条の解釈云々をする前に、日本としては、あくまで話は実験炉に限る、従って濃縮ウラニウムの受け入れまでやる。こういうことで第九条を削除するという方針で行かれるのか、それとも第九条のことはちっとも差しつかえないことである。アメリカに独占権を与えたいというだけで、ひもつきということを解釈するならば、発電設備のことについても協力を約するのがいいのだということになれば、第九条を堂々と入れるべきか、どちらか、基本的態度というものがなければならん。それをもしこれがほんとうだとすれば、非常にあいまいな態度で、第九条の解釈からくればひもつきではないという解釈が立つにかかわらず、いわば一部世論をおそれてというか、それを了解事項の方に回すというもし態度をとっておるとすれば、これは非常におかしなことになるのじゃないか。一体政府の方針と、政府の案はどこにあるのかということを伺いたい。

下田武三外務省条約局長

○政府委員(下田武三君) その点はまさに仰せの通りだろうと思います。先ほど申し上げましたように、これは将来の可能性を協議するかしないかという問題でありますから、協定中に掲げられるのはこれはおかしいと思います。でありますから、そのこと自体は、外務省と申しますよりも、経済審議庁あたりの慎重協議の結果、御決定に相なる事柄でありますが、もし発電炉のことにまで言及いたしまする場合には、これは協定から落しまして、了解事項なりあるいは議事録なり、ついでに将来のことをさらに触れるという形で私は規定した方がいいと、条約の技術的見地から考えておるのであります。

曾禰益日本社会党(第二控室・右)

○曾祢益君 これは条約の技術の問題じゃない。だから政府が、これはもちろん外務省が少くとも政府を代表してアメリカと交渉されるのですから、政府がアメリカとの交渉の腹においては、発電の問題を含めて、日米の協力の話までするのか、それとも厳格にその問題は一般のジュネーヴ会議の模様等も見送って、この際差しつかえない限りは実験炉と濃縮ウランの受け入れだけの交渉にとどめるのか、その腹なしにずるずると入って、そうしてもし第九条的なことをアメリカから押しつけられるようなときには、その逃げ口上として、協定には入れなくて、議事録にとどめ、あるいは了解事項にしようというのは、態度としてはおかしいじゃないか。それは外務大臣からはっきりした方針を伺いたい。もう少し自信を持ってやってもらいたいのです、この問題は。

重光葵日本民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) この問題はます最初にこれらの、これもアメリカの濃縮ウランについて提携をやり、また技術の援助をするということを話し合おうということから始まっておるのであります。そこで一体どういうところを技術の援助をするのか、またどういうところまでそういう考えを持っておるのかということを今詳細に突き合せ中なのであります。問い合せ中なのであります。そこで日本側の考え方としては、今は濃縮ウラン、それと炉の問題です。それから発電の問題は、これは当面の問題としてでなく取り扱う方が適当でないかという考え方をもって進んでいるわけです。それらのことについて全般的にすべてのことを検討をいたしまして、そしてその材料をもって、日本側の最終的の意向を決定してもおそくはないと、こういう考え方で進んでおるわけでございます。

曾禰益日本社会党(第二控室・右)

○曾祢益君 アメリカの意向をはっきりサウンドするということはこれはいいことだと思うのです。必要なことだと思う、いいことのみならず。だからひな形のできておるトルコの第九条の真意を明らかにする、これも必要でしょう。またその他の条項においても、たとえば第二条を見ても、これはやはり法律上からいうと、いろいろ問題が起りゃしないかと思うのは、第二条のAですが、Aのところに、要するにこのウラニウムを貸与してもらいまして、そうしてまあ実験炉を作る。そういう場合に受け入れ国の政府は、アメリカの原子力委員会と協議の上この実験炉の操作をするのだ。結局実験炉そのものをどういうものを作るかということも、結局全部アメリカと協議しなくちゃいけない。協議ということは、これはまたひもつきでないというような議論が出るのかもしれないが、少くとも相談なしにはどういう実験炉を作るかということすら、まあ自主性がないというか、援助してもらわなければならぬということはわかります、これは。しかし協議を義務づけられるかどうかということは、これはかなり大きな問題なんです。ですから今大臣が言われたように、受け入れについて、その受け入れも発電の方は別だ、そうして実験炉と濃縮ウランを受け入れる、これにまず限る、それについてもいろいろひな形ができておる。条約上もまた広範な意味で日本の自主性を害さないようにという点からアメリカの真意を確かめる、条約文についても権利義務の関係を確かめる、この段階から始まるということは当然であって、私はそれを悪いと言っていない。私はあらゆる意味からいって、そういうようなひもつきでない以上は、ひもつきであるないと言っても、ある種の商業上も独占的なものはあるでしょう、商品の性質上。またこのことは、この商品が下手をすれば軍事的に利用されてはいけない、そういう意味の制約がある。そういうものをわれわれはひもつきというのではなくて、あくまでも実験炉を動かしていったり、今後も原子力平和利用の研究そのものに自主性を失わないような、そういう考慮を十分しながらその話し合いを続けていくことは私はいい。全部が全部、何でもかんでもジュネーヴ会議が済むまでオール・ストップにしろとは私は考えない。しかしサウンディングをやっていると思われる途中に、いかにも自信がないような、日本から、第九条を抜かして、それを了解事項の議事録にしたり、大体ひな形にまねして結んでいいのだと言わぬばかりの提案をしたとすると、それはどうも自主性のない、また自信のないやり方ではないか。もっとはっきりした政府の……、そういう態度をとっておらないというなら私はわかります。まだ向うの意向を確かめ中であるから、政府はそんな修正案を出してないのだというなら、それははっきりそう言っていただけばいい。一体どういう段階にあるのか、もう一ぺんはっきりおっしゃっていただきたい。

重光葵日本民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) 小申し上げます通り、この問題は協定の案文に入れるというよりも了解事項とした方が適当である、こう信じて、その提案をしたわけです。

曾禰益日本社会党(第二控室・右)

○曾祢益君 どうも僕らには……、これは意見になりますけれども、外務大臣は、外務大臣であるのみならず、これは原子力委員会のあなたは責任者でしょう。それがいきなり協定案の真意も確かめないうちから、協定案のある条項を協定から除くけれども、了解事項か議事録ならいいというのはずいぶんおかしな行き方じゃないでしょうか。

重光葵日本民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) おかしいでしょうか。

曾禰益日本社会党(第二控室・右)

○曾祢益君 おかしいですよ。日本の要求は何か、アメリカの一体要請はどこにあるか、権利義務はどうするかということを確かめて、日本の要請に従ってよけいなものを省いたものを作る努力をするのが最初じゃないですか。いきなり九条に……、九条の内容が、今条約局長の言う通り何らわれわれを拘束しない、日本を拘束しない、アメリカに発電に関する独占権を与えないということが明瞭ならば、アメリカと発電問題について話をすることは実際悪いとは思わない。まあそれなら九条を生かしたまま、もっと発展的な協力規定を考えたってちっともおかしくない。ところが政府のスタートは、それは実験は濃縮ウランの限度であって、発電の方までやらないということからいえば、第九条に入ること自身がおかしい。その解釈がひもつきでないというなら、何の必要があってそれを了解事項に落す、そんなやり方は、われわれには常識的にはわかりません。今のは意見になって恐縮ですが……。

重光葵日本民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) 今の御意見は十分拝聴しなければならぬと思うが、ひもつきでないということがわかっておっても、協定の本文よりも了解事項の方がプロパーであると判断することは何も差しつかえない。そうしてプロパーなところにこれを入れるということの提案をするということは、何もこれは自信がないとか、あるとかという問題に私は関係がないように思うが、その御意見のあるところはよく一つ検討してみます。

曾禰益日本社会党(第二控室・右)

○曾祢益君 これはまあ協定ができてからわれわれ意見を申し上げようと思いますから、どうも納得できないのですが、その程度にいたしまして……。

石黒忠篤緑風会

○委員長(石黒忠篤君) ちょっと委員長もこの点について質問をいたしたいのですが、この席で……。  新聞紙の伝うるところによりますというと、トルコの協約では、第九条はトルコの希望によって入れるということが伝えられておるのでありますが、事実はどうでありましょうか。

下田武三外務省条約局長

○政府委員(下田武三君) これはやはりトルコ側の方が入れることを希望して入ったというように私どもも聞いております。

石黒忠篤緑風会

○委員長(石黒忠篤君) そういたしますと、これは米国が希望しておる条項じゃなく、米国は何らこれについて原案として主張したものではなく、トルコの希望によって入れられた条項として、日本としても考えていいものなんでありましょうか。

下田武三外務省条約局長

○政府委員(下田武三君) まあトルコとの協定が一番先にできましたので、その過程においてアメリカのスタンダード・フォームというようなものもできましたので、あたかもアメリカの標準型が第九条まで入ったもののようになってしまいましたが、これは日本といたしましては独自の見地から、将来の発電炉のことにまで言及するか、しないかをきめていい問題だろうと思います。そこでもし有害無益なら、これは落すべきでございましょうが、ちっとも有害ではないのです。それで益は私あると思うのです。少くとも現在世界で供給し得る国は三つしかないわけですし、そのうちの二つが、今からそのポシビリティーについて、アメリカの方から言えぱむしろひもつきになるかもしれません、オファーする方から言えばひもつきになるかもしれません。そういうオファーを二つ——ごく軽い形式ではありますが、コミットをさせようということでございますから、むしろ有益無害だと、そういうふうにこれは考えられるのでございます。

石黒忠篤緑風会

○委員長(石黒忠篤君) 私の質疑はこれで……。

曾禰益日本社会党(第二控室・右)

○曾祢益君 それなら、有益無害ならば、協定に堂々とお入れになった方がいいじゃないか。ただし独占権がないというようなことこそ了解事項にお入れになればいい、だからそんな点は私にはわかりません。  非常に時間を取って恐縮ですから、ほかの問題を、もう一問だけ別の問題を伺いますが、新聞の伝えるところによりますと、われわれも非常に希望していますし、政府も非常に熱を入れておられる日ソ交渉がいよいよ始まったわけです。そこでこれはどれほどオーソリティーのある、権威のある情報かわかりませんが、ロンドンにおるソ連筋の官辺の意向として、この日ソ国交調整の一つのまあ型として、オーストリー型といいますか、まあこれは、これがいいということをサジェストしているということがあるわけであります。私はこの情報を、そう非常に大きく取り上げる必要があるかどうか、あるいは今後の世界の発展等によっては、ほうとうにソ連の意思も明らかになり、一たん、日ソ国交調整についてはサンフランシスコ条約あるいは日米条約というようなもののぶちこわしを前提としないというような、一月初めの態度から変っきて、日ソ国交の条件として、日本が条約によって、日本の安全保障の一つの形態を捨てる、つまり地域的集団保障の体形を捨てて、もちろん外国の軍事基地を置かないのみならず、はっきりと地域的な防衛協定を結ばない。そういう意味の、何といいますか、ニュートラライゼーション、はっきりした条約におけるところの中立が、その国の外交上の政策による自主中立の政策ということでなくて、条約による一つの主権行使の制限、防衛協定に関する制限、こういうことを果して条件にしてくるかどうか、これはもちろんわかりません。まあわれわれはそう軽々にはそういうことをすまいと思いますが、ただ交渉の発展に伴って、領土問題等にからんでそういったような一つのオファーするとか、何かそういうような動きが絶対にないともこれまた断言できない。

重光葵日本民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) そうです。

曾禰益日本社会党(第二控室・右)

○曾祢益君 そこでこの問題は大きく、日本の国民に大きな課題を与えていると思うのです。日本の今後の行き方についての基本的な問題に触れる問題であるから、従って私も先般本会議の質問に際して、一体日ソ国交調整、そのものについては、まあ一部の非常な過度の警戒論は別として、このアブノーマルな状態をやめて、戦争状態を終結して、平和関係を回復するということについては、またこれに伴って諸懸案を解決してほしいということについては、やはり国交調整の条件というものがきわめて重大なものであるが、たとえばその一つの点として、外務大臣ははっきりお示しになっておらない。サンフランシスコ態勢というか、サンフランシスコ条約の態勢の一つの基本というものは、この前のアジア・アフリカ・バンドン会議でもはっきりしているように、必ずしも条約上のニュートラライゼーションなんてこういうものじゃなくて、やはり個別的、集団的な安全保障の権利ははっきり認めておるのが、これがサンフランシスコ態勢の一つの特徴でしょう。そのことを何も日ソ国交条約の条件にする必要はない。しかしそれに完全に反するような、特定な条約によって主権の行使を制限するような、条約によるニュートラライゼーションというようなことを出してくるならば、そういうものはわれわれとしては受け入れるべきでないと、私は考える。それらの点について政府の御見解ははっきりされておらない。  これは話をする過程において無理からぬ点もあります。しかしこの基本的な国交調整の条件については、一体どういうことを考えているか。安全保障に関連して、これはやはり国民にはっきりと示さなきゃならない私は基本問題だと思う。それでこの間ははっきりしたお答えを得られませんでしたが、新聞の伝うるところによれば、外務大臣は民主党の一部の国会議員の諸君との会合においては、相当はっきり意見を述べられておるようでありますが、してみればこの際外務大臣がこの点に関するソ連の動向の見通し、日本のこれに対処すべき基本的な態度について明解なる政府の態度をお示しになっていただきたいと思う。たとえばこの間のこの参議院本会議のこの問題の質疑応答において鳩山総理は、たしか梶原議員の御質問に対して、いや、中立化方式はとらない、集団安全保障形式をとるんだと言っておられながら、また同じ答弁の中で、日ソ国交調整の交渉に当っては平和五原則で行くんだと言って、あとで岡田君からさっそく確認を求められたときには、これはおそらく外務大臣の指示よろしきを得た結果と思いますが、(笑声)そうじゃないのだ、国連方式によるのだ……。実際われわれこの重大な交渉をやってもらう当の最高責任者であるこの総理大臣が、とにかく平和五原則というものが、いろいろな文句はあっても、現実のねらいというものは、地域的集団保障反対だという、政治的意味があるのだということくらいは知っていてやってもらはなければ困るので、そのいい悪いは、これは各党各派が判断するところだけれども、ごちゃごちゃにして、一方においては集団保障態勢に賛成しており、他方においては平和五原則に賛成だ、そんなふらふらな態度でやられちゃ国民が迷惑だ。だから外務大臣はっきり御答弁を願いたい。

重光葵日本民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) 相当意地の悪い……。(笑声)

曾禰益日本社会党(第二控室・右)

○曾祢益君 いや、ほんとうですよ。

重光葵日本民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) 質問かもしれませんけれども、私は私の思うことを率直にお答えいたします。  第一は、ソ連が一体どういう手を使うか、俗な言葉で言えば使うかということに対する見通しの問題があるようでございます。私は厳格に申し上げますれば、これは交渉が今少し進まなければわからぬと申し上げるより実は方法がないのであります。私は外務大臣として責任を持って言えばそう申し上げる。しかしながら、今こういうこともやはり認めなければいかぬ。それは今海外の有力なる評論家の観察意見というものが参考になる。その観察意見の重要なる部分は、やはりソ連はオーストリアに対するような、あの何というか、ひな形でパタンにしていきたい、こう言っておる意味は、非常にこれは深遠な意味を持っておるのだという観測、つまり中立地帯をソ連の周囲に作ることがソ連の非常に今利益であると、こう考えておると見て、その政策はオーストリアに始まり、またユーゴスラビアとの関係にも波及し、さらに次には、西においてはドイツ、東においては日本に対する交渉にこれが及ぶというふうに観測しておることもこれは事実です。これは参考に供しなければいかぬ。しかしここにはっきり私は日本の態度をいたしておくべきだと思っておるのは、それからまたそのつもりでもうこの点ははっきりさしたつもりであります。今お話しの点によると、政府の方針がはっきりしないと言われるけれども、この点ははっきりお答えをいたしておるつもりであります。私は日本の地位はオーストリアの国家条約締結のときの地位とは地位が違う、立場が違うということも、これはもう何度くらい議会の答弁に申し上げたかわからぬ。これはしかし総理のおる前で、総理と一緒の席において言ったことであるから、そういう複雑な手続は議会にはないと思う。(笑声)そこでその点は、実は今朝も衆議院の予算委員会でやってきたところですが、それは私は私の頭でこう思う。オーストリアというのはソ連と交渉をして独立を回復したことになっている。国家条約というのはそれなんだ。日本は独立しておるんだ。しておる独立国が対等な立場をもって、これは戦勝国と戦敗国の何はありましょうけれども、対等な立場をもって戦争をやめて平和に行こうとする、正常化という交渉を始めるわけだ。だからこれは全然私は立場が違う、こう申しておるわけであります。私はそれにおそらく御異存はなかろうと思う。またそれはどう考えてみてもそうなるようです。そこで私はかような問題については、国交の回復と正常化というような問題については、やはり対等な立場がこれは認められなければいかぬ。そこで私は議会に対する日ソ交渉の報告の中にもはっきりとそれを申し上げておる。これは世界に向ってはっきりしておる。それは互いに相互の立場を認めて、領土の主権を尊重し、そうして紛争は平和的に解決する、こういうようなことが交渉の前提である。これが認められなければ、交渉に行ったって、何もどんな協約ができても、すぐそれが破られるようなことでは意味をなさぬというような心がまえで申し上げたことは、これは十分に御記憶のうちにあると思うが、それが方針でなければならぬと思う。  日本の立場を、相互の立場……、何もソ連がどことどう結んでおる、中共とどう結んでおる、これは日本がそういうやつとは国交正常化をしないのだと、こういうことも私は行き過ぎであるように思う。まあソ連はソ連のちゃんとした立場がある。また国の成り立ちもある。共産国と何もものを言わぬというようなことを言ってみたって意味をなさぬ話だ。向うは向うで日本の立場を認めることは私は当然のことだと思う。日本の置かれた立場というものはそれは何でしょう。サンフランシスコ体制といわれるが、これはこちらからみれば日本の置かれた立場であって、これは当時おれは反対したと、こう言ってみたって、日本はちゃんとこれを認めてその立場に置かれている。これから出発するよりほかに、私はほかに方法がない。向うもそれを認めてやらなければいかぬ。こっちも向うの何はいろいろありましょうが、そこで交渉がいくべきものと、こう思うのです。これだけ私は申し上げれば、きわめて明快であると思うのですが、一つ御了承を願いたいと思います。そして今のお話しのいろいろの御観測は御観測として、非常に私は傾聴をいたします。

曾禰益日本社会党(第二控室・右)

○曾祢益君 外務大臣はきわめて巧みに遠回しな言い方で言われたのですが、決してこの前の、お互いに領土を尊重し、主権を尊重する、内政不干渉というようなこととは別問題なことも事実なんですね。要するに平等な立場であっても、やはり安全保障はどうするかということは大きな問題になり得るわけです。ことに領土の問題に関連して、そういうオファーをしてくる場合がある。しかし大体言わんとする御趣旨はばくぜんとわかったような気がします。ただ問題は、この前実は御質問申し上げようと思って時間がなかったのですが、今の西における動きは、ソ連の中立ベルトを作るという一つの方針もあるし、いま一つは、中立ベルトだけでなくて、やはり大きな安全保障の形態として、西のNATOに対する赤いNATOの対立だけでなく、今度はそれに代るような、いわゆる全欧州安全保障体系といったような、これまたソ連の一つのねらいでもある、中立ベルトのほかにですね。そこで今、日本の強制的中立化はお話にならないということは、これは私も同感ですが、同時に今後の四巨頭会談等の発展いかんによっては、必ずしも中立ベルトだけが動くのでなくて、いま一つ、すでに地平線に出て、しかもこのことは必ずしもソ連だけの見方でなくて、かつてはチャーチルもそれをヒントし、アデナウアーもはっきり西欧連合の中に入ってから、またしかしソ連との間にも、ソ連圏の力とも相互に安全保障を約し合うような、いま一つ大きなワクの両陣営が入ったような集団安全保障体系ということをアデナウアーも言っている。従って日ソ交渉の発展いかんによっては、日本の安全保障あるいはソ連の安全保障、中共の安全保障の条約は一応そのままにしてやるけれども、しかし新たに両陣営が加わったような安全保障体系を作っていって、もしそういうことが国際緊張の緩和によって、地域的集団保障というようなものが将来要らなくなるようなことになってくれば、そういうものははずしていく、より大きな安全保障体系が両陣営をかぶせてできる。それが最終的には国連の普遍的な世界的な安全保障の体系の中に納まっていく、こういったような一つの構想が考えられるわけです。そういう点は外務大臣はどう考えておられるか。日本もそれらの点については相当な弾力性を持って、およそ日ソ交渉をやり、日中交渉を今後ともやるとすれば、そういう点に関してもやはり考え方をめぐらしておく必要があるのじゃないか。必ずしも今日の現実の問題でなくても、一つの方向として、ただ世人は中立化とか、中立ということが一つのパタンであると考えているが、存外別のパタンがあるということについて外務大臣のお考えを伺っておきたい。

重光葵日本民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) それはそういう、何と申しますか、外交の基本的の施策、研究の問題になるわけですが、一つ私の考え方を申し上げましょう。  それは今お話しの通りに、両陣営の一つの争いが非常に複雑になってきて、そうして政策的に、外交的に、いわばは両方とも非常な、何というか、秘策をめぐらし、かつ手段を尽しておるという事態に今なっておる。そういうことですから、この中立政策という表現によって、今日新たなソ連の出方が、オーストリア問題に対して以後の出方が中立政策として現われておる。これは実際中立政策として検討をしなければならぬと思います。しかしそれが唯一の何でないということも、これはお話しの通りだろうと思います。今言われるのは、いわゆるロカルノ方式と称せられておったものであり、最近では、これは新ロカルノ方式で一つ行こうじゃないかという思想が、これはソ連だけでなしに、これはソ連はそれを、何というか、一つの方法として考えるでしょう。しかしヨーロッパ、アメリカでも、その考え方がずいぶんあるが、これは方法論だけでなくして、これが本当の何だとして、この新ロカルノ方式というものを考えておる。これが東西両陣営を融和せしむる最も大きな政策であると、こう考えておる人がたくさんあることは事実のようでございます。しかしその方式で、たとえばヨーロッパならヨーロッパをその方式でまとめるということは一応失敗したのですが、これは御承知の通りに、チャーチル、イーデンあたりがちょっと言い出してまた引っ込めざるを得なくなった。そうしてこれは力の政策となってパリ条約の批准となり、西ヨーロッパの西欧連合、NATOに承認されるということになってきた。その結果が、ロカルノ方式はちょっとたな上げされて、そうして新たに出てきたこの何が、ソ連の中立政策というものが、これがソ連の政策の遂行の方法として出てきたわけなんで、ロカルノ方式とは違うのであります。そこで私は、このロカルノ方式というのは、結局は大きな意味を持つこれは大政策だ。世界各国ともこれを慎重に考慮しなければならぬときが必ず来ると思う。結局の目的は、私は世界国家というような思想にたっていき、それが結ばれた、思想の実現したのが国際連合という、これが本当に国際連合の規約の通りに動いていけば、これは世界国家に向う一つの階段であり、非常にこれは平和のために有益であることは、これは論を待たない。しかし国際連合は御承知の通りに、侵略者に対する制裁の問題等から、実はそういう本当の平和機関としては今ワークしていない。そこで、それまでに至る方式としてはロカルノ方式というものが考えられてしかるべしだと思う。それはしかし私は急にはいかぬと思う。これから先は実際論になりますが、急にはいかぬと思う。そういう大きな世界の思想問題といいますか、空気を作っていくことが必要であると思う。私はバンドン会議のごときもその一つの流れであると思っております。そうしてこれが日本の主張によって平和宣言といいますか、国際紛争は、あくまで武力によらずして、平和的手段でもってやるという主張を日本は強硬に主張して、それも台湾海峡の波をにらみつつそれを主張したので、それは決して空論ではなかった。それが結局バンドン会議の宣言としてこれが結実した。これは大へん私はこれに貢献したわけであって、そうしてまあ周恩来の態度等にも相当私は何がありはしなかったかとも……間接的にいろいろ考えさせられたことだろうと思う。さようなことで、これも一つのやはり世界平和方式の、平和の階段と言うのは適切でないかもしれませんが、しかしさようなことは有益であった、いい方向に向いておったと思う。かようなことを積み上げて私は行くべきである。これが実際的な方法である。またその考えからいって、戦争の状態というものは、これは正常化しなければならぬという、きょうの最初のお話のスタートである日ソ交渉にしても、これは私どもが力の及ぶ限り平和に貢献するという一点であるということは、これは争われぬことである。さようなことで、だんだん積み上げていって、大きな目的、世界平和を実現するという大きな目的、国際連合なり、世界国家なり、またその前の新ロカルノ構想なりという思想は、私ほ大いに、何というか、奨励していくべきだと、こう思うのでございますが、今それをすぐ、それじゃ、どこで言い出す、日本を中心としたこの地域で言い出すのか、そこまではまだ行かぬと見ておる。これが今の大要のお答えです。

小滝彬自由党

○小滝彬君 関連質問です。今、大臣のお話を聞きますと、新ロカルノ方式というものも、結局今の段階であれば、東洋においては中共の支配下にいろいろなものが取り運ばれるということになるという点を警戒しておられるものと私は了承したわけです。現にヨーロッパでも結局これは成り立たなかった。だがしかし、その前の、大臣がおっしゃった、結局ソ連がどういうことを、考えておるか、今後の進行ぶりを見なければわからないというお話しです。これは大臣として当りまえのことだと思いますが、しかし実際最近の日ソ交渉に対するソ連の態度から見ますと、結局国交の正常化というようなことはあっても、直接的に何がソ連側に利益になるかということを考えると、もちろん日本に対する間接的ないろいろな攻勢を展開する足場を得るということもあるでしょうが、しかし何としても中立化的なことを考えるのは、これは当然のことだと思う。でありまするから、その点はもう当然そうした魂胆が、ちょうどオーストリア式と言うのは言いすぎかもしれませんが、そういう方向に持っていこうという魂胆が十分あると言えると思う。ところで、関連質問で御質問申し上げますのは、最近、これは新聞が間違っておるかもしれませんが、オーストリアにおった大野公使がロンドンに行って、中立化ということはあまり心配すべきことでないということを言ったような、ロンドンからの電報が来ておる。こういう情報は、おそらくは、そういうふうな話が大使館から出たのじゃないかと思う。もちろんそれにはいろいろ修飾の辞が用いてあって、日本とオーストリアは事情が違うのだというようなことを書いてあったように思いますけれども、こういう考え方が、かりに日本の松本全権団に入っておるということになると、よほど警戒を要するものもありはしないか。大臣がおっしゃった通り、非常に事情が違うので、そういう考え方は間違っておるという点は、これは一体はっきりしておるかどうか、外務省にそういう情報が来ておるかどうかと思いましたので、今曽祢君の質問に関連してお伺いするわけです。

重光葵日本民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) 御心配の点はよく了承します。ただ、その大野公使の談話は、何も公式には来ないでしょう、おそらく。新聞情報も実は、はっきりした情報を持っていないことを申し上げます。何かの何じゃないかな。

小滝彬自由党

○小滝彬君 おそらくそういうことだと思います。そういうことであってほしいと考えます。情報が今出るということは非常に危険なことになる。ところで、これも新聞情報ですが、今度いよいよ交渉が本日から開始されて、まず引揚者の問題が取り上げられる、これは当然そうあるべきだろうと思うのであります。ただ、私は過日の外務委員会において外務省の政府委員にも申しましたが、引き揚げ問題というものは日本の大衆のセンチメントをとらえる非常に大きな問題である、また事実われわれは重大関心を持っている。このような問題というものは、実は、かりに私が外務大臣だったら、私は、交渉を開始する前提として、成否はいずれとしても、まず正式国交回復の話もいいが、これの話をつけないというと、日本の国民感情としては承知しないというような点は、相当現在のソ連の対日政策の動向から考えますと言っても、それがためにやめるということはない、当然やるべきことだったろうと思うわけです。ところで、今度それが第一に取り上げられたことについて、私、非常に喜びを感じますが、これは実は交渉の内容と今度の国交回復の内容というよりも、その開始する前提条件としてもとるべきものだと思うのです。あの問題を一体、大臣は、結局今度の諸懸案の一つには違いないのですが、諸懸案と同列でお考えになっているかどうか、その点をお伺いいたしたいと思います。

重光葵日本民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) 私も大体今御趣旨の通りに考えております。これはもう御承知の通りに、従来ともこの問題はぜひ解決したいと思って、ずっと交渉を進めてきておったわけでございます。そこで今度の交渉に入るわけでありますが、それはむろんまっ先に取り上げる方針をもって進んでおります。しかしこれは私はどうしても解決しなければならぬ問題だろうと思います。今度の何は、戦争を平和にするという、戦争状態をやめて平和の正常国交を回復するということでありますから、戦争によって生じたことは、これは全部解決しなければならぬのであります。そこで、この問題のごときは、戦争によって始まった、非常にこれは見本的なものであることは争われぬことでありますから、これは当然解決してもらわなければならぬと思います。第一に取り上げます。そういう方針になっておりますから……。

小滝彬自由党

○小滝彬君 そのお気持はわかるのですが、これが前もって解決をして、そこで初めてクリーン・ハンドで交渉するということになれば、重光外務大臣の立場は強いのですが、これがほかのものと同列に取り扱われるときには、先ほどから曽祢君の言っておったような中立化の問題、あるいは先方のかけ引きの具に供せられると、交渉の過程において、いろいろ国民から大臣のところへも涙をこぼして申し出てくる——どうぞ譲歩して下さい、私の親を帰して下さいという、涙ぐましい情景が出るだろうと思うのです。私はそういうことなしにやってもらいたい。私自身としても外交政策について考えてみたのですが、そういう気持で、きていたわけなんです。そこでこの問題を別個に取り扱うということは、しかし戦争状態によってできたものだから、むずかしいのじゃないかということを大臣はおっしゃるかもしれない。が、しかしポツダム条約を見ましても、私は条約の専門家じゃございませんけれども、いろいろ書いてある。たとえば、普通の私どもの考え方から言えば、これは少くとも歯舞、色丹の問題と引揚者の問題は前もって片づけて、その上でなら乗ろうということをやっても、ソ連はそれだからといって逃げていく余裕のあるソ連じゃない。やってくるだろうと思いますが、しかしこの領土の問題は、たしかポツダム宣言の第八項にあるのです。これは北海道とかいろいろぼうばくとした規定で、あるいは向うの方で領土の解釈を違えたというようなことで論争になるので、これをあらかじめ解決することはむずかしかったかもしれない。しかし少くとも、この人間の問題につきましては、第十項それから第九項にありますが、兵隊も武装解除して帰すということは、これは平和条約ができなければ帰さないのだという条項としては、どうしても私も、しろうととして考えられない。少くとも日本が降伏したならば、結局日本の軍隊は完全に武装解除して、そうして帰してやって、平和的、生産的な生活を営むということになっているのですから、もうとっくの昔に帰さるべきであったし、いわんや普通の平和的なシビリアンというものは帰されるのが当然だ。それを帰してないということは、向うの宣言無視と申しますか、これに違反したやり方でありまするし、その次に戦犯の問題が出ておりますけれども、日本は戦争が始まってから、これに書いてあるような俘虜を虐待したというような問題もないし、戦時国際法でいういわゆる戦犯というものもなかったわけであります。でありますから、これは厳粛に処罰するということは書いてあるが、これもとっくの昔に帰さるべきものだったと思います。だから、たとえ歯舞、色丹の問題というものが解決されなくても、この人道問題だけは、あらかじめ解決してスタートされても決しておそくなかった。国内的に鳩山総理はいろいろな考えをお持ちだったろうけれども、少くとも重光外務大臣はそういうお考えではないはずであります。しかりとすれば、これだけはまず解決してかからなければならなかったと思うので、今この質問をしているわけです。今になって質問するのはおそいとお考えになるかもしれませんが、これは決して会議の取り計らいぶりについて、松本全権が一生懸命にやっているのに対して、とやかく言おうというのじゃなくて、これは国民感情の表現であって、これはやらなければならぬという気持を十分ロンドンへ伝えていただくということは決しておそくないと、こうした意味においてこの問題を解決してもらいたいのですが、その点はいかがでしょうか。

重光葵日本民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) 全然御同感であります。そうやっております。そうやっておりますが、今一々どういうふうに往復しているかというふうなことはお聞きじゃないと思いますから、それは申し上げません。しかし御趣旨のあるところは、私はほとんどこれは、何というか、党派の問題でも何でもない、国民的な問題として、国民的な感情を言い表わされたことと私は承知をいたしまして、その趣旨でやります。

梶原茂嘉緑風会

○梶原茂嘉君 先ほどの曽祢委員の御質問に関連するんですけれども、一点お伺いしたいと思います。それは、今度の日ソ交渉の過程の中で、ある時期には中ソ友好条約の問題が、何らかの形で出るのじゃなかろうかと思われる。もちろん日米関係、安保条約の関係、それと中ソ友好条約は、相対峙してと申しますか、そういうふうに認められますけれども、内容においては、中ソ友好条約は明らかに日本というものを対象にしてでき上っているもので、私は両条約の立場というものは、日本から見れば違っているように思われる。また日本と平和条約を結ぶということも、中ソ友好条約の中には、条項としては出ているわけであります。かたがた、先ほどお話しの中立地帯の問題なり、新ロカルノ方式の考え方、これは現実の問題としてすぐどうこうというのではないでしょうけれども、それらの方向と一連的に考えて行けば、中ソ友好条約に対しても何らかの形でこちらから発問するというような場合があるのじゃなかろうか、こう私は思えるのでありますが、中ソ友好条約に関して外務大臣はどういうような態度とお考えを持って対処されるか、この機会に伺いたい。

重光葵日本民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) 私もこれは交渉の際に話の上に上ると思います。なぜ上るかと言いますと、私の申すように、互いに他の立場を尊重する、認めるという場合に、他の立場というのは一体何であるかということに、相当に私はいろいろの説明が要ると思うのです。だから向うからは、いろいろ先ほどお話しのサンフランシスコ体制と申しますか、言葉は知りませんけれども、そういうことについても質問があるから、こっちはまたこっちで、またそういうようなことについて十分に明らかにしていかなければいかんと思いますが、それは当然に上ると思います。そうして向うからは、これに対するはっきりした説明があるだろうと思います。

梶原茂嘉緑風会

○梶原茂嘉君 一応向うの態度がそれに関連して、はっきりして、しかるのち、こちらの考えをそれに対して打ち出すということですか。あらかじめ中ソ友好条約に対してのこちらの考え方というものを持ってかかるわけじゃないのでしょうか。

重光葵日本民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) それは中ソ同盟条約ですね、あのことについては、締結されて以来いろいろななにがありましたが、もし、あのとき一時言われておったように、日本と共産国、ソ連、中共との間は、おそらく敵味方の関係であるんだというようなその考え方が、今日なお続いておるならば、これは国交の正常化なんて初めからできることではないと思いますが、しかし、一瞬そういうことが言われても、今日のこの同盟関係はどういうものであるかということは、はっきり先方の全権から説明を受けるということは、それが正式の説明になるわけですから、それを私は受けて差しつかえないように思う。けれども、これもその場合になってみないと、どういう説明になるか、しばらく私は待ちたいと思いますが、いかがでしょうか。待って、そういうことを十分に検討をしてみた上で、そのことについて態度を決定しても遅くはないように思いますね。

岡田宗司日本社会党(第四控室・左)

○岡田宗司君 私は、フィリピンとの賠償交渉の問題について伺いたいと思います。この間、ネリ大使が向うに帰りましてから、例の八億ドルの賠償案を鳩山氏から提示されたというようなことが伝えられておりますが、その後あれについて否定的な言明がこちらでも行われたし、向うでもマグサイサイ大統領から、そういうことはない……しかし一方ああいうものが、相当具体的な案がああいうふうに流布されている。そこで、まずお伺いしたいのは、どうしてああいうものが発表されるに至ったのか、あのいきさつをまずお伺いしたいと思います。

重光葵日本民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) あの問題のいきさつという、よりも、賠償の交渉のあらましのことを申し上げるほうがいいと思います。これはほかの機会においても説明を申し上げたわけでありますが、さらに繰返しになるかもしれません。そこで、賠償が久しく停頓しておった。マグサイサイと鳩山総理との間で気持が合った往復文書で……それから向うで専門委員をよこして、そして賠償の具体的な、どういうものを買うとか、どういうサービスをどうするとかいうようなことの専門的検討を始めたということは、これは御説明もしましたし、御承知の通りであります。そこで、この専門委員会の、向うの専門団と、日本の専門団とで、非常に検討をして、仕事が進んでいったわけです。その仕事がどこまで進んでいったか見当をつけるために、また結末をつけるために、向うは賠償問題の主任をやっておったネリ大使が東京に出かけて来たという、こういうことになります。そこで、出かけて来て、専門委員会の双方のなにとつぶさに検討して、非常な有益なここに仕事が進んでいるということを認めて、そうしていろいろなことについて合意も専門的にはできたんでございます。それは一々発表はまだされてはおらんと思いますが、交渉の途中でありますから……。併しいろんな問題がありました。たとえば沈船引き揚げをどうするとかいう、いろんなことについて大よその合意のできた問題もあるようです。そこで、その機会にネリ大使は日本側の当局に向って、いろいろな全局の案を、考え方を持ち出して、そして討議をしたわけです。まあ討議したいというので、こっちもその討議に応じたと、こういうわけです。そこで、たとえばこの賠償額の総額についても、一つなんとか日本側の意見をも言ってもらいたい、フィリピンは十億あたりから出していることは御承知の通りであります。それからまた日本側は御承知の通りに大野・ガルシア協定では四億から出している、これは認めざるを得ないけれども、併しそこにくぎづけにされているとするならば、これは到底話にならんわけです。そこで、いろいろだ、こうもしたらよかろう、ああもしたらよかろうという案は、事実、討議に上ったわけであります。そしてネリ大使としては、自分はこのくらい勉強するから日本も少し勉強してもらいたいというような何が出たことは、これは事実でございます。そうして最後には、ネリ大使は鳩山総理にも面会をされて、意見を述べて行ったこともあるのです。そこで帰って、その大体の印象は、私どもからみても、ネリ大使は非常に勉強をされ、かつまた努力もされたと、こう印象づけられた。それから向うも、日本側のこの最高当局者の意向は、きわめてこの問題の解決に熱心であって、そしてこれが妥協のできんものじゃないというような印象を持って帰ったことも事実でございます。しかし交渉はまだ結末に立ち至っていないという状態、今後交渉を続行して、今まで検討した有力な材料を持って今後一つできるだけこれを妥結に導きたいという、双方の気持を持って交渉を進めていこう、こういうことに相なっているのが現在の段階でございます。そこでネリ大使がそれを持って帰って、その東京における話を、いろんな何を頭に入れて帰ってですな、ところが昨今ネリ大使の発表であるとして取扱われた問題が、今八億の問題八億というのは、これは何です。比島側としては十億から八億にするから、一つ八億を、何とか八の数字を一つ考慮してくれというのが事実であったのであります。しかし、それは一つの案であって、それでまとまったというところまでいったわけじゃないのでございます。それからまた、その後にフィリピンからくる新聞情報でもごらんの通り、ネリは一切そういうことを言った覚えがない、何か想像の記事だと、こういうことを言うっておるわけであります。大統領もそう言っております。そこで大体全貌は御承知の通りのようなわけで、そういう案について向うもまだ最後的な決定をするには立ち至らん、いろいろ検討をしておるというのが、新聞情報によっても現われておるわけであります。それがわれわれとしては、日本側の受け入れやすいような結論に向うのほうで達してもらうことを熱心に希望しておるわけです。そうしてもらわんと、まずこの前も大野・ガルシア協定というものがあって、これではいかんということで、これは、はっきりといろいろな案について、どこまで比島側が勉強ができるのだということを大よそ突きとめることが、こちらの態度を最後的にきめる有力な材料になるわけです。そこのところは、こういうふうにお話して差しつかえない。だから私は、割合に何というかこのことについては楽観的な見通しをもって進んでおるということを、前回も御報告したようなわけであります。

岡田宗司日本社会党(第四控室・左)

○岡田宗司君 例の案ですが、かなり具体的な内容が示されたわけですが、今のお話ですと八億ドルという数字が示されておる。そうすると、あそこに示されたような、結局、現物、役務賠償、借款、それから若干あれには現金賠償が含まれておると思うのですが、ああいうような案は向うから示された一つの案だったのですか。あの新聞に出ていたことは……。

重光葵日本民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) いや、それは関係のない、新聞の何というか、ネリ大使に言わせれば、それは想像記事だと、こういうふうに申し上げるよりほかにしようがないと思います。しかしまあどこで妥協するかということは、やっぱりどっちも初めの、当初の案をすっかり固執されれば妥協はできん。しかし妥協したいと、こういう意思があると、こういうことでありました。こちらの初めの案と向うの案の中間で妥協するよりほかに私はしようがないと実は思うのです。そこで私の考えることは、決して賠償額とか何とかいうことを軽んずる意味じゃ少しもございません。しかしながら、将来日本が貿易をアジア地域に増進し、またそれよりも何よりも、アジア地域において友人を求めて、そうして国際関係を円滑に進めてゆくということのためには、あらゆる努力をして、これは一つ妥結をしてみたい、また、そうすることがいいと、こういう頭をもって進んでおるわけです。それですから、何もかも向うの言う通りにできるかというと、それはそうではございません。しかしやはり大きな考えを持ってゆくべきじゃないかと、こういうふうに大まかに考えておるわけなんで

岡田宗司日本社会党(第四控室・左)

○岡田宗司君 私ども賠償の問題が早く解決されることを望むわけですが、もちろん御努力はよく私どもわかります。そうしてまた向うの主張とこちらの今までの主張とが、どこかで折り合わなければ、どこかの中間の点に解決点を見出さなければならないことは、これは交渉上当然のことで、よくわかるのであります。ただ問題は、前の内閣の際に大野・ガルシア協定の四億ドルという金、そうして、あのときには、岡崎外相のお話ですと、とにかくフィリピンとの賠償について四億ドルの線、ああいうような線を、日本の経済力、賠償支払い能力というものから判定するというと、ぎりぎりのようなことを言っておられる。これはもちろんかけ引きの上からそう言われるのは当りまえだと思うのですが、まあ向うが八億ドルのところまで折れてきたとしても、八億ドルという線は向うが固執して、そうして向うが今まで、それまでそれを動かせないものとしてきたのか、あるいは八億ドルはさらに動かせるという見通しでおられるのかどうか。その点はいかがでしょうか。

重光葵日本民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) それを申し上げるというと、まあ交渉の内部のことが全部要求されるわけですが、それは少し御無理の注文であるように思いますが、けれども、向うはなかなか強いのです。それからまた、こちらも大野・ガルシア協定というのは、せいぜいあすこまできたのだという立場は、あくまでとってきたのであります。きたのでありますけれども、さて、そういうふうに分れて、半分ですからね、倍額、これでもって分れたのでは、いつまでもそれで妥協の機会を失すると申しますか、それにむとんちゃくに過ごすということは、これは私はあまりに残念に思うのですね、日本の今日の全体の政治上からみても、経済上からみてもですな。だから、それで予算折衝みたいに、その間、ぽんと打ち割って半分々々というくらいな考え方も大まかにやってもいいのじゃないか、これは私自身の考えですけれどもね。しかしそうは今なっておるわけじゃございません。あくまで立場をとって交渉は続けておるわけです。

岡田宗司日本社会党(第四控室・左)

○岡田宗司君 いつごろ再開されます、その賠償交渉は。

重光葵日本民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) これはもう誰をやって、誰と誰とが交渉するというふうになりますというと、なかなかその話がけわしくなって、またそこにはやはり新聞の情報の、何というか、決してこれがどうというわけじゃございませんが、外部のまぜっ返しも入りますから、普通の外交交渉期間で、きわめて——そうむずかしいことじゃございませんから、おだやかに、静かに交渉を進めていくということで……、それで継続中と申し上げたわけで、それは東京においてもやりましょうし、また向うにおいてもやりましょう。それが成り立たせる一番いい方法だと思って、そういうふうに進めております。

岡田宗司日本社会党(第四控室・左)

○岡田宗司君 もう一点。

石黒忠篤緑風会

○委員長(石黒忠篤君) どうぞ簡単に一つ願います。

岡田宗司日本社会党(第四控室・左)

○岡田宗司君 ビルマとの賠償ですが、これはすでに実施の段階に入っておるわけですが、今までのところ、これの実施細目ができていない。停頓しておる状態ですが、とにかく年間平均二千万ドル、十年間というのは、初年度の支払いについての問題があると聞いております。ビルマの賠償のその後の状況、それから、どういう方針でもってこれを実施するおつもりであるのか。これは内閣もかわっておりますし、幾らか方針も違っておると思います。その点についてお伺いしたい。

重光葵日本民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) ビルマとの賠償をこれから実行するのに、いろいろ、どうやって実行するかという方法を、今双方で、いわゆる実施細目というやつです。これはずいぶん日にちもかけ、議論もして進んできております。きておりますが、大綱はきまっておる。そこで現物賠償と言ってみても、一々どういう品物をどういうふうに向うに送り込むかということについて、一々これは打ち合せをしなければならぬ。それが細目になります。これは非常に進んでおります。最終的にはまだきまっておりませんが、これはこちらだけが悪いというふうにもいきません。ビルマ側でもずいぶん、何と申しますか、案が出てこなかったりして、それでもまあ、ビルマ側としては無理はないのです。これはなかなか、そういう多額の現物物資をどう受け入れようかということについては、ビルマとしては、国家経済の企画から見て、非常にいろいろ考慮しなければならぬこともありましょう。そこで容易に案が出てこなかったという事情もございますが、しかし最近に至りまして大体そういう話し合いが完了しつつあることを申し上げて少しも差しつかえございません。そこで、それが完了いたしますれば、それに従ってそれが実施されるわけであります。遠からずそういう手はずになるだろう考えております。

岡田宗司日本社会党(第四控室・左)

○岡田宗司君 もう一つ、今の問題ですが、前に岡崎外相は、賠償の年平均二千万ドルの問題について、日本の経済の力から見て、初年度は二千万ドルというのではなくて、まあ初年度は幾らか少い、たとえば千二百万ドルとか、千五百万ドルとか、そうしてだんだんにそれをふやしていく、そして十年間でもって平均年二千万ドル、こういうふうにするのだということを言われておった。それで実際細目協定が遅れておりますので、実際の開始の時期も遅れると思うのですが、本年度は政府としてはどのくらい払うということをお考えになっておりますか。そしてまたビルマ側ではおそらく最初から年二千万ドルを要求するでしょうが、ここいらのところは、どういう折り合いになるのか。これらのやり方というものが、今後またいろいろフィリピン側、あるいはインドネシアとの賠償の支払いの状況にも応じてくるし、国内の予算との関係もありましょうし、またビルマの方は、本年度少いが、来年、再来年になって二千万ドル払うというときに、またフィリピンや、何かの賠償が起ってきた場合に、年に日本の負担額が非常に大きいということにもなりかねない。本年度はどういうふうになされるおつもりか、そこをお伺いしたい。

重光葵日本民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) あれも、御承知の通り賠償協定は、御承知の通り毎年二千万ドルということになっております。その協定に、細目に到達する階段において、最初はその額に達しなくてもいいのだというような発言が、ビルマ側からあったことは事実のようであります。そうして今、岡崎前外相の話というのは、それのことだと思います。ところが結論は二千万ドル払うということに書いてあるのでありますが、そこに……。だからこれは二千万ドル払わなければならぬ。そのことについては内部でも、大蔵大臣も……、そういうことになっていると、こういうことなんです。ところが今お話しの通りに、本年度はそれじゃ現実に幾ら払うかという問題になります。それで私が確かめたところによると、それは当然払うことになっている。しかしこの細目協定というものが、今それをどうして払うか、それは払うと言っても、現物でやるのですから、やはり細目をきめたのちでなければいけませんから、今年はまあ大分日にちも経っていることですから、そこに適当な額について、細目について話し合いがきまると思います。そういうふうな状態でありますから、そのきまった額を払い出すということに相なります。おそらく今年は、条約面の額よりも、実際の額は少いんじゃないかと思いますけれども、これは原則として条約の規定通りにやるという覚悟は持っております。まあそういうような状態でございます。

石黒忠篤緑風会

○委員長(石黒忠篤君) 今、本会議の鈴が鳴っておりますが、冒頭に総理の釈明があって、本日出席が遅れたために延引したことについて了解が得られたならば、釈明を了解することができたならば、会議を続行することになっております。定足数が足りないそうでありますから……。  そこで、それに入ります前に、政務次官から、ガット加入のことについて事前報告を簡単に御説明願います。

園田直日本民主党外務政務次官

○政府委員(園田直君) 関税及び貿易に関する一般協定、すなわち、いわゆるガットへのわが国の正式加入に関する議定書の署名が数日中に実現の運びとなりましたので、この際ここに今日までの経緯を御報告申し上げたいと存じます。  さきに本院において、わが国のガットへの仮加入に関する宣言、ついでこの宣言を延長する議定書の御審議をわずらわしましたが、その際に御説明申し上げたとおり、政府といたしましては、もとよりガットへの仮加入に満足するものではなく、わが国際貿易伸長の見地から、一日も早く正式加入を実現すべく努力を続けて参りましたところ、昨年十月の第九回締約国団会議の決定に基き、本年二月二十一日からジュネーヴにおきまして、わが国の正式加入実現の前提となる関税交渉を関係国十七九国との間に開始いたしたのであります。この交渉は、会議参加諸国との間の多角的な交渉であり、かつ国々により利害関係の複雑な関税の相互譲許を内容とするものでありますだけに、困難かつ長時日の折衝を必要といたしましたが、この程ようやく妥結の見通しがつくに至りました。  すなわち、ただいまお手元に配布いたしました「関税及び貿易に関する一般協定への日本国の加入条件に関する議定書案」と、これに附属いたします関税譲許表とが、本月初旬中に最終的に確定し作成された上、直ちに関係国による署名のため開放されることと相なる予定でございます。  本来ならば国会開会中のことでございますから、関係文書を取りそろえて事前に御審議をわずらわした後、署名を行うべきでございますが、議定書附属の関税譲許表が最後の瞬間まで確定いたしませんので、署名開始期日の前に国会に提出して御審議をわずらわしますことは、技術的にも全く不可能でございます。  さりとて本議定書は、わが国待望のガットへの正式加入を実現せしめることを目的とし、かつわが国が率先して署名することを当然の前提として作成されたものである事実にかんがみまして、わが国の署名を遅らせますことは、はなはだしく不適当かつ不得策なことでございます。また米国のごとく、わが国が署名したならその直後に署名しようと待ちかまえておる国も現にあるような状態でありまして、会議に参加しました各国の代表がそれぞれ本国に帰ります前に、会議地においてできるだけ多くの国の署名を獲得することを得策とするのであります。これがためにも、これらの文書が署名のため開かれると同時に、わが国が直ちにこれに署名することが絶対に必要と相なる次第でございます。  よって附属書がそろいませんため、いまだ正式には国会提出の手続がとり得ないのでございますが、関係文書中の主体たる議定書をここにお目にかけましてあらかじめ御検討おきを願い、できる限りすみやかに関係文書全部を取りそろえまして、正式に御審議をわずらわすことといたしたいのでございます。本件に関する緊切な国家的利益を全ういたしますためにはこれ以外の方法がございませんので、ここに最近の経緯を御報告申し上げるとともに、かような措置をとりますことについてあらかじめ御了承を仰ぐ次第でございます。     —————————————

石黒忠篤緑風会

○委員長(石黒忠篤君) お諮りをいたしますが、先ほど問題になりました濃縮ウランの件に関しまして、学術会議の藤岡委員長から参考のために私まで、政府に提出した意見書の送付が今日あったのであります。藤岡委員長を参考人として当委員会に招致いたして、いろいろ尋ねることが適当かと存じますが、御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石黒忠篤緑風会

○委員長(石黒忠篤君) 御異議がなければ正式の手続をとりまして、適当な機会に来てもらうことにいたします。     —————————————

石黒忠篤緑風会

○委員長(石黒忠篤君) 次に、明日は定例日でありまするけれども、今週はこれでもって開かないことにいたしまして、来週の定例日にお集まりを願うことにいたしたいと思います。御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石黒忠篤緑風会

○委員長(石黒忠篤君) 御了承を願います。  それでは本日はこれにて散会いたします。    午後三時十二分散会      —————・—————

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