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22回国会参議院1955/11/18

外務委員会 閉会後第4号

発言数
17
登壇者
8
会派数
3
開催日
1955/11/18

会議録

小滝彬自由民主党

○理事(小滝彬君) それでは外務委員会を開会いたします。  外務省側から、最近の国際情勢について説明いたしたいということでありまするから、説明員の発言を許します。

園田直自由民主党外務政務次官

○説明員(園田直君) 休会中いろんな起りました問題について、概略を御報告申し上げ、あと質問に応じてお答えいたしたいと考えます。  まず日ソの交渉につきましては、すでに御報告の通り、六月以来正式会談を行うこと十五回、マリク全権が九月十五日に国連総会へ出席をいたしまして、松木全権も会議の模様を報告をし、いろんな案を検討するために一時帰朝をいたしまして、十月末ごろマリクが帰えるのではなかろうかという情報もございましたが、今なお帰任しないという状態でございます。こういうわけで引き揚げ問題の人員等に関する事務上のいろんな打ち合せ等はやっておりまするが、一時休止されている状態でございます。マリク全権のロンドン帰任後、交渉は松本全権の帰任と相待って再開される予定でございます。  交渉で最も困難な問題は、引き揚げ問題と、領土の二問題での食い違いでございます。ソ連の主張は海峡通行、軍事同盟不参加、文化協定の締結等についても意見が合っていないところもございまするが、主として問題は、領土の問題及び引き揚げの問題等でございます。その細部につきましては、逐次御質問に応じてお答えをしたいと考えております。  次に賠償問題でございまするが、フィリピンとの賠償の問題は、八月十二日付をもってフィリピン側から賠償五億五千万ドル、民間借款二億五千万ドルの正式提案がございまして、この案に対しては日本拠からまだ正式に回答はいたしておりません。保守合同等も行われまして、政局も安定をいたしましたので、政府及び与党内の意見の調整を行なって、早急に解決をはかりたいと考えております。  日緬賠償は、賠償協定が四月十六日に発効いたしましたが、実施細目が変更したためにおくれております。十月十八日に公文を交換し、おぜん立てが完了したわけでございまして、賠償の内容についてもビルマ側から初年度分につき案の提示があり、日本側からその大部分について異存のないむねの回答を出しております。その額はおよそ五十五億円に上っております。今後はビルマ側が具体的に日本業者と話し合いを開始する段階でございます。  インドネシアとの賠償は、インドネシアとの賠償交渉は具体的な進展はいたしておりません。同国では九月の末に総選挙が行われましたが、本年末でなければその最終的結果が判明しませんので、その結果新内閣が成立をするでございましょう。従って具体的交渉はその後になるものと考えられております。  中共との問題では、去る七月以来ジュネーヴにおきまして中共政府との間に引揚げの問題についての会談を行なっておりましたが、政府が先方に要求をいたしましたことは、大体、一番目はいわゆる戦犯者と称せられておる者の釈放、帰国、二番目には一般市民として帰郷を阻止されておる者の帰国、三番目には約四万名に上る状況不明者の状況調査の諸点でございます。中共側は、戦犯者は中共側の国内事項で交渉の対象にはならぬ。二番目には、一般市民として滞在中の者は帰国を阻止されておらず、中国紅十字あて希望を申し出れば、通常のルートによって帰国をさせる。三番目には、四万名の状況不明云々は日本側の虚構である。かりに戦前及び戦時中中国に渡航した日本人で死亡または行方不明になった者があったとしても、それは日本軍国主義の責任であると述べて、結局中共側としては引揚げ問題はすでに解決済みである。今後日本と中共両政府間で話し合うべきことは、国交正常化の問題であり、そのため日本側から代表者を北京に派遣すべきむねを主張しております。  米中間には同じく七月以来、ジュネーヴにおいて大使級の会談が行われておりますが、その第一議題たる双方民間人の相互送還の問題は一応解決をしまして、第二議題である未解決の諸問題の米中双方が討議に合意する問題に入っております。第二議題として中共側は、禁輸の撤廃、緩和、及び両国の外相級の会談の問題を提起した模様でございますが、米側は前提として、台湾解放のために武力行為の放棄を要求しておる模様でございます。  なお本日の新聞によりますると、韓国の問題に関しまして、韓国の参謀本部より、場合によっては日本側の漁船及び密輸船及び海上警備の艦艇等が李ラインを侵犯する場合には砲撃も辞さないというような声明を出したと報ぜられておりますが、これはきわめて重大なものでございますので、韓国に対してはいろいろな問題がございましたが、御承知の通りわが政府といたしましてはしばしば誠意をもって、しかも韓国のいろいろな理の通らない、非常に無理なような行動に対しましても、円満に誠意をもって解決すべく努力をしてきたことは御承知の通りでございまして、その時期に突如としてこのような問題を出されたことは、那辺に理由があるかわかりませんが、理由のあれは別といたしまして、本日午後事務次官より、金公使を招致をして、これに対する問い合せ及び抗議の意味の問い合せの公文書を出す手はずをいたしております。前記のような声明書が出されましたが、これは事実であるかどうか。事実であるとするならば、これは国際平和を撹乱をし、世界の外交の慣例を破り、これに反する重大な問題であるが、果して事実であるかどうかというまず抗議を含めた問い合せの申し入れをするつもりでありまして、これの結果を待ちまして検討したいと考えております。  簡単でございまするが、以上大体の御報告を申し上げまして、あとはおのおのの項目に応じて質問にお答えしたいと考えております。

曾禰益日本社会党

○曾祢益君 私は実は本日は外務大臣がおいでになる、並びに総理大臣にも出席の要求が羽生委員から出されておりまして、そういうようなわけで日ソ交渉に関する経過の御説明、並びに今度いよいよ保守合同ができましたについて、いわゆる自由民主党の新政策というものがきめられたわけでありますので、その新政策に基く日ソ交渉の方針というものと、従来の鳩山内閣の方針等の食い違いがあるのかないのか。あるとするならばどういう理由であるか、これらの問題について総理、外務大臣の御所信を伺いたいと思っておったわけであります。少くともわれわれが新聞等を通じて得た印象からいえば、従来の鳩山内閣の日ソ国交調整に対する積極的な方針、これは完全にくずれ去ったと思うほかはないと思う。まあそれらのことを伺うとともに、あわせて交渉の経過も伺い、さらには今後の交渉に処する方針等について伺いたいと思ったのでありまするが、とうとう両大臣の御出席がないので、政務次官に対してはそれらの問題についてお伺いするよりも、機会を改めまして、総理、外務大臣に御質問申し上げるに当って必要と思われる交渉の内容のきわめて簡単な点だけについて質問をするにとどめたいと思うわけでございます。  それをきわめて集約いたしまして、私一点伺いたいのでありますが、いろいろな情報を総合いたしますると、大体ロンドンの交渉におきまして、八月の上旬にソ連、つまりマリク大使の方から領土問題について、かなり従来の交渉から見れば譲った線、つまり歯舞、色丹について特別にこれを考えよう、こういったような線が出てきたやに承知しておるのであります。またその後になりまして、政府は訓令によってこれを、おおむね八月の末ごろのことだと思うのですが、歯舞、色丹はもちろんであるけれども、南千島までは返還を要求する。その他の領土については日本を含めた連合国の国際会議、これできめるというような方針を現地に訓令として出されたように私は承知しておるのであります。  そこでこの点に関連して簡単な問題を伺いたいのですが、これはちょうどまあ外相がアメリカに行っておるころだと思うのです。そうするとこの訓令というものは一体だれが出したか、これは外務大臣を兼摂しておった鳩山総理が直接にこれを出された。当然そうだろうと思うのですが、一体そういう点について鳩山総理と重光外務大臣とがほんとうに息がぴったり合っておったのかどうか、こういう訓令を出したについての総理大臣と外務大臣との間の連絡いかん。だれが責任者としてこういう訓令を出したのか、責任者としてというと語弊がありまするが、どなたが外務大臣のときこういう具体的な訓令が出たのか、これははっきりした事実でありまするから、これを一点伺いたいわけです。  それから第二は、南千島返還の要求ということは、これはもとより南千島に限らず、南樺太まで要求する理由はそれぞれ程度の差こそあれ、日本では完全な領土として要求すべきものとは思いまするが、特に南千島だけを取り上げたことについては、もちろん歴史的にいまだかつて日本が南千島については主権を放棄したのはサンフランシスコ条約まではなかったわけですが、そういう理由はわかるとして、やはりしかし南千島と北千島あるいは南樺太を、サンフランシスコ条約の正面からいうならば一つもその地位は変っていない。それにもかかわらず特に南千房だけを北千島、南樺太からはずして主張するについては、何らかやはりサンフランシスコ会議とか、いわゆる日本の歴史的な関係だけではなくして、第二次世界大戦以後の国際的な条約、取りきめ等の関係から特に主張すべき根拠があったからされたのかどうか、この点がどうも私にはよくわからない。ことにわれわれがおかしく思うのは、その後に――その後にというのは八月末の訓令が出たあとで、われわれはいつそういう問い合せを外務省がされたのか知りませんが、少くとも問い合せの結果として、十月の末になって新聞等を通じて承知したことは、この南千島についてサンフランシスコ会議の際に日本側が何か、あるいは日本側とは言っていないかもしれないが、サンフランシスコ会議の際に南千島については特別な留保をしたかどうかという点をあらためてアメリカに聞いておられるように承知しておる。ところがこれもずいぶんおかしな話で、われわれは少くとも公けに発表された、日本政府から発表されたサンフランシスコの会議の議事録を見ても、吉田全権が言っておることは全く簡単なことだけであって、「日本開国の当時、千島南部の二島、択捉、国後両島が日本領であることについては帝政ロシアもなんら異議を挿さまなかったのであります。」等々書いてあるだけで、どう考えてもサンフランシスコ会議で日本側が得ておる通常の情報をもってすれば、特に南千島については日本が留保されたことはないにきまっておると思うのです。何ゆえにこの、ころになってアメリカにそういうことを開かれたのか。それからさらにアメリカに対する問い合せはこの点だけではなくして、ヤルタ会議の際に南千島は特別に取扱われていたかどうかというような点も聞かれておるように聞いておるわけであります。最後に国際司法裁判所に訴えた場合に云々ということを聞かれておるわけでございます。一体どういうつもりでこの時期になって南千島の問題についてこのような問い合せをアメリカにされたのか、どうもその動機といいますか理由というか、われわれにはわからない、全くわからない。  これは政治論になって恐縮ですが、もしアメリカの方と領土問題について交渉し、その交渉を日ソ交渉に有利な方に持っていこうというならば、もっと基本的な問題についての日米間の話し合いが当然になされなければならないと思う。つまりソ連に対してだけ北の領土の返還を言うことは理由が立たない。これはどうしても小笠原、沖繩等についてアメリカとの間に相当な交渉が進まれておったこととの対応においてソ連に対しても日本の完全な領土権を主張するということで、初めていわゆるつり合いの取れた正しい交渉になりはせぬかと思うのです。それは政治論だから別として、この時期に、今くどいようですが、こういったような内容のアメリカとの交渉をされ、またその結果、どうも新聞の伝えるところによれば、その結果あまり思わしい結果でなかった。そういうことになると、今度はみずからこの南千島を要求せよと訓令を出したはずの総理大臣みずからが、南千島は言ってみるが、だめらしいということを新聞にしゃべってしまった、これは全く交渉としてなっていないと思う。  これも政治論だからお答えいただかなくてもいいのですが、要は、繰り返して申し上げますが、こういう南千島を要求せよという訓令を出された責任者はだれか、その際総理大臣と外務大臣との間に十分な話し合いがあったかどうか、第二点は、アメリカに対して何ゆえにこの時期にこういうような問い合せをされたのか、この二点ついてだけお答をいただけばけっこうでございます。

園田直自由民主党外務政務次官

○説明員(園田直君) 交渉でわが方が初め歯舞、色丹を要求をして、あとになって南千島を追加をしたということはございません。これは当初松本全権に通告せしめました訓令にはっきり書いてございますが、領土問題については最初から歯舞、色丹、千島列島、南樺太の帰属に関して隔意のない意見の交換をすることをソ連側に提案をしたわけでございます。そうしてこの折衝の中に、歯舞、色丹は北海道の一部である。国後、択捉両島はすでに日本の領土としてかつていささかの疑念もなかったこと、こういうこと等を述べて、千島列島及び南樺太の帰属は、日本の関係するいかなる国際文書によっても規定されていないことなどを指摘して、いろいろな意見の交換を行なったのでございますが、その後交渉が進みまして、若干の条件を付して、ソ連側は歯舞、色丹というものは返還してもよいというような点まで話が進んできたわけでございます。その際わが方では、サンフフンシスコの条約における領土権の放棄ということをもかんがみて、今まで全部主張し、意見の交換をしておったものを逐次狭めてきて、そうして国後、択捉、歯舞、色丹という線まできたのがほんとうの姿であって、決して歯舞、色丹を当初言い出して、あとになって南千島を追加したわけではございません。  なおそのほかヤルタ協定の問題その他の問題等についてアメリカの意見を聞いたということでございまするが、これは当然いろいろな領土の問題の意見を交換する際の参考として、いろいろな打診をしたり、向うの情報を集めたことはございますが、アメリカの意見を聞いて、この意見によってどうこうということはこれは考えておりません。米国自体も、ヤルタ協定というものはこれを肯定していないという実情でございます。  その他につきましては所管局長、寺岡参事官から御報告を申し上げます。

寺岡洪平外務省参事官

○説明員(寺岡洪平君) 特にもしも御質問がございますれば、具体的に申し上げてもけっこうでございますが、ただいまの政務次官のお答えで私十分であると思います。

曾禰益日本社会党

○曾祢益君 同じ点についてもう一回だけ伺いたいのです。それはおっしゃる通り、私たちもそう第一点について、何もこのときになって初めて南千島を出したということを私言っているわけではございません。これは政務次官も言われたように、当然に日本の主張としては、南樺太までそれぞれ根拠があって主張されたことは知っております。しかし交渉が、相当両方の言い分が出尽したあとで、さてということになって、向うが歯舞、色丹は、これは小千島くらいに言ってがんばっておったのを、とにかく返すことを考慮しようということになった。こちらもやはりしぼったわけです。しぼって歯舞、色丹と南千島だけはこの際平和条約の中で返してもらう、他の領土については国際会議できめるということで、解決をあとに残した形の平和条約を作れという訓令を出されたものだと思うのです。だから主張したことが悪いというのではないのですが、これはやはり一つの重大なモメントになって、今まではただ主張を主張として述べていた。今度は日本側の一つの、向うのプロポーズに対する、提案に対するカウンター・プロポーズとして、具体的に平和条約の内容における、いわばこれは最終的であるかどうかということは言うべきでないと思いますが、具体的な日本の提案の形において南千島まではがんばれと、こういうものを出したということが、これがポイントだ。従ってその点については当然にこれは歯舞、色丹だけじゃなくて、平和条約を作る意味は南千島まではがんばるんだと、こういう主張を出した意味は、これは重大なる一つのモメントがあるんだから、これはやはり鳩山兼摂外務大臣の時代のことであったと思うが、その点についての外務大臣と総理大臣との間の話し合いはほんとにうまくいっていたのかどうか。われわれはそうでないというような、むしろ鳩山さんの説の、それを発言はしていないにせよ、口裏を通じて感じられるが、その点現在ほんとうにうまくいっているのかどうか、この点を第一点として伺っているわけです。  それから第二点については、これも今の御答弁では完全にその要点に触れていないのであって、何ゆえにこの時期になって南千島についての問題をアメリカに問い合したのか。当然にもっともっと前にこのくらいのことは問い合せたり、あるいはさらにアメリカ関係の領土についても当然御交渉があって、その上に立ってソ連に対しても領土権を主張すると、これで初めていわゆる自主独立の外交だと思う。従ってなぜこの時期に南千島についてのこういうようなあれをされたかどうか、そのはっきりしたソ連との交渉の時期に関連して、なぜこういうときにこういう交渉をされたかということについて御説明は全然承わっていない。

寺岡洪平外務省参事官

○説明員(寺岡洪平君) 事務当局の方から……。当時私が事務当局におりましたので、いささか当時の事情につきまして御説明しておきますが、第一に政務次官から、当初日本側が南樺太、千島、歯舞、色丹全部を要求したと言われましたが、実は正確に申しますと、占領軍の撤退ということを申しておりましたが、それは要するに、これはまだ日本領であるという建前で、同時にこれはサンフランシスコ条約の当事国でございませんから、ソ連がサンフランシスコ条約の当事国でございませんから、その意味で日本側の主張をそういうような言い方にしておったのでございます。しかるに、その場合の言いました動機は、要するに歯舞、色丹とかあるいは千島とか分けましても、これはいたずらにサンフランシスコ条約によって得ましたところの日本の権利義務ということにこだわる向きがございましたので、全体の地域についてソ連側の撤退を求めるというふうにしたわけでございます。しかるに歯舞、色丹につきましてソ連側が譲歩をしてきたという段階になって参りますと、歯舞、色丹と南千島、あるいは北千島、南樺太というものと分ける必要がございませんので、それは同時にサンフランシスコ条約の対象になった地域につきまして、日本側で特に留保した歯舞、色丹を除きましたので、そこでもっと具体的にいたしまして、ソ連側には具体的な要求をしたというのが経緯でございまして、これにつきましては外務大臣と総理大臣との間には全然意見の相違はなかったと私申し上げて差しつかえないと思っております。  それからアメリカ側に連絡した云々の件でございますが、これは新聞情報が実は誤まり伝えておりましたので、その意味は、実は新聞情報を基礎にしてお考えのように私は考えるのでございますが、この交渉は事務的にずっと前からしておりましたことでございまして、これは事務的に行なっておって、何も急にそのときに出てきたことでもないので、その点は御了承願っておきます。

曾禰益日本社会党

○曾祢益君 私はまあこれ以上御質問申し上げませんが、ただ誤解を避ける意味において申し上げたいと思うのですが、私は決して、特に旧自由党の諸君のように、領土問題等に非常な厳重な条件をつけることによってこの国交調整そのものを事実上引き延ばすとか、あるいはデッド・ロックにぶっつけるという、いささかも挫折させるつもりではない。ただ、その交渉のやり方について納得し得ないものがあるので申し上げ、伺ったのであって、私たちの立場から言うならば、やはり日ソ国交調整というものも日本の平和安全のために、さらには日本のより自主独立の外交の立場を築く上に大局的見地からこれを推し進めて、そうしてなるべくすみやかにこれを妥結しなければならぬ、こういう基本的な考えに立っております。でございまするけれども、また同時に領土問題について日本国民の希望ということを考え、その主張の正当性を考えるならば、またある意味では領土問題について、いわゆる返らざる領土というものについて、完全に未来永劫に発言の機会を失うような、そういう形と内容における平和条約というものも、これは非常に考えものじゃないか。従ってそういう行き詰まりがもし今後予想されるならば、むしろ暫定的な平和取りきめといいますか、要するに戦争状態の終結を確認して、国交を回復し、そうして大使を交換して、国交調整は取りあえず、やむを得ず平和条約によらずして国交調整はすみやかにやるように、切りかえるように、われわれとしては統一社会党の前から両派社会党は主張している。いつ切りかえろということは申しませんが、そういう展望のもとに主張すべきものは主張する。しかし大局を見失わないようにすべきだと、こういう見地から、しかしどうも南千島が出てきた状況に必ずしも納得し得ないものがある。ことに総理と外務大臣との意見の食い違いが、総理みずからのしばしばなる発言によってあまりにも明らかである。さらに最近の自由民主党の新しい政策というものは、どう考えてもいわゆる国交調整の大局を失うような、きわめて世論を領土問題等であおって、そうしてむずかしい条件、たとえば引き揚げの問題は必ず平和条約の前にやるのだ、あるいは南千島についてはこの領土要求が貫徹しなければ平和条約はいつまでも結ばないというようなことを、これはもう新党の政調会長が党々と新聞紙を通じて言っておるのです。  〔理事小滝彬君退席、委員長着席〕 こういう事実を前にすると、この領土問題の取扱い方というものは非常に重要な、そして機微な、しかも政府は、少くとも鳩山さんの、本質的にはわれわれが正しいと思う方向がすでに後退しておるのではないか、こういう心配を持っておる。そういう意味において、きょうはそういう点についての大臣に対する御質問の時間がありませんから次にいたしまするが、そういう意味において一つの何といいますか、資料的な意味において南千島の問題について集中的に伺ったのですから、その点は一つ誤解のないようにしていただきたい。

小滝彬自由民主党

○小滝彬君 ジュネーヴの外相会議が終ったようでありますが、それについては外務当局は今まで重大な関心を持ってこの問題を検討しておったんだろうと思います。そこで今度のような結果になることは一応予想もされておったのですから、これまで外務省としてどういうふうな見方をしておりますか。これが日本の外交にはどういうように影響すると考えておったか。ジュネーヴ会議に関係した説明を外務省の関係局長からでもけっこうですから、ぜひわれわれにお話し願いたいと思います。

寺岡洪平外務省参事官

○説明員(寺岡洪平君) ジュネーヴ会議の経過につきましては、もう新聞等に出ておりますように、要するに根本的な問題の中心はドイツ問題の解決にございまして、結局ドイツ問題の解決につきまして双方から出ました案は、ゼネバの四頭首会談で出ました案とほとんど変っておりませんが、そのことにつきましては、実は外務省が各方面から得ました情報によりましても、大体予想されておったところでございまして、結局ゼネバの四頭首会談というものであるいは可能な解決策が発見されるのではないかというふうに希望が出たのでございましたが、結局具体的な問題になりますと、やはりその間に根本的な差異があるということが発見せられました結果、非常な失望に終ったということが経過だろうと考えておりますが、その結果、果してヨーロッパにどういうふうな事態が起るであろうかということにつきましては、いろいろ悲観論、楽観論ございますが、要するに具体的には当分の間何らの進展がないだろうということが、今までわれわれの得ました情報の結論でございます。  これが日本にどういうふうな影響を与えるかということにつきましては、これもいろいろの考え方があるのでございまして、要するにソビエトが今後とも平和攻勢を進める上については、ヨーロッパにおいては少くともある程度のデット・ロックに逢着する。しかしながらアジア方面における平和攻勢というのは今後とも続けられるであろうというふうな考え方からいたしますと、むしろそこにアジア方面に対する積極性が増すのではないかという意味で楽観論がございます。しかしながら、同時にいわゆる冷戦ということがヨーロッパで復活されるであろうというふうな観点から見まして、その雰囲気が極東方面に及ぶだろうという意味から申しますと、悲観的な結論が出てくるわけでございますが、これにつきましてはなお事態の進展を待ちたいと考えております。  ただ最近伝えられますように、ソビエトが日本の国連加盟について支持するだろう、十八カ国のブロック加盟ということについて支持するだろうというような情報は、これはむしろいい方に取って、一応楽観的な材料の一つに考えてもいいんじゃなかろうかというふうに今のところは考えております。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 さっきの御報告の中になかったのですが、ガリオア、イロアの対米債務問題はその後どうなっておりますか。これはそのつど承わっておるのですが、要領を得ないのですから、少し正確に最近の情勢をお聞きしたいのです。

千葉皓外務省欧米局長

○説明員(千葉皓君) ガリオアの問題につきましては、臨時国会開会中に参議院の予算委員会で御質問があったと記憶いたしておりますが、その後何ら進展いたしておりません。

小滝彬自由民主党

○小滝彬君 この前の委員会で例の大村収容所の問題を質問したのですが、きわめて――最近の新聞で見ると、金公使が法務大臣の花村さんに会った。しかもその会ったときの会談の内容について双方に行き違いがあったような記事が新路に出ているわけです。あれは一体真相はどういうところにあるのか。外務省との関係においてはどういうことでああいう会見なるものが行われているのか。またこの前アジア局長の方では、外務省と法務省との間で今事務的に検討しているが、話がつく見込みだというふうな御説明もあったのですが、これに関連した実情をお話し願いたいと思います。

中川融外務省アジア局長

○説明員(中川融君) 大村収容所の問題でございますが、ただいま御質問のありましたように、一昨日の午後金公使が花村法務大臣を訪問いたしまして、この問題について話があった模様でございます。その話の模様はその後に私どもは法務省から聞きました。その内容は新聞にも出ておりましたように、大村収容所の問題につきまして金公使の方から、これを何とか促進してもらいたい――先方から一つの案が出ておるわけですが、それを促進してもらいたいという話がありまして、それに対して花村法相の方から、その点については今研究中であるが、さらに研究してみようということで話が終ったということでございます。これが真相であると、こう考えております。  なお外務省と法務省との間に事務的に本問題の解決につきまして話し合いは現在まだ進行中でございます。何とかこの問題については実際的な解決をはかりたいという方針で事務的に目下せっかく検討中でございます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 どうです、もうこの辺で。     ―――――――――――――

石黒忠篤緑風会

○委員長(石黒忠篤君) 別に御質問ございませんか。――そのほかに御質問なければこれで終ることにいたしますが、委員の方にお諮りをいたしますが、本委員会は国際情勢に関する調査を閉会中も続けて参りましたが、国内政治のいろいろな状況で、国際情勢には大きな変化があったようにも思うのでありますが、それらに関しまして十分に調査を完了することもできずにおります。もっとも国際情勢の調査の性質上そういうことにもなろうかと思いますが、ただ本院規則第七十二条の三によりまして、閉会中調査未了の旨の報告書を議長に提出することにいたしたいと思います。その報告書の内容及び手続につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、いかがでございますか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石黒忠篤緑風会

○委員長(石黒忠篤君) 御異議がないと認めます。さように決定いたしました。  これをもって委員会を閉じたいと思います。    午後二時九分散会

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