運輸委員会 閉会後第1号
- 発言数
- 84 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1955/11/21
会議録
○委員長(片岡文重君) これより運輸委員会を開会いたします。 会議に入ります前に一言ごあいさつをさしていただきます。 前委員長加藤シヅエ女史のあとを受けまして、はなはだ不敏不才ではございますが、かつ会議の進行等についてはきわめて不なれでございますけれども、皆様の御意見が率直にかつ十分に尽されるよう一生懸命努力をいたしまして、国民の信頼を強めるために努力をいたすつもりでございまするので、どうか不敏の点を御容赦下さいまして、御協力下さることをお願い申し上げます。 —————————————
○委員長(片岡文重君) 最初に、理事の補欠互選に関してお諮りをいたします。 木島委員が運輸委員を辞任されまして、再び委員に復帰されましたが、理事一名欠員となっております。よって委員長からこの理事の補欠として木島君を再び指名いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(片岡文重君) 御異議ないと認めます。よってさように決定いたしました。 —————————————
○委員長(片岡文重君) 次に、派遣委員の報告を議題といたします。 まず、中国班の報告をお願いいたします。
○内村清次君 ただいま議題となりました中国班の派遣委員の報告を申し上げます。 閉会中の九月十一日から同十六日の六日間にわたり、仁田、内村、平林の三委員は山陽、山陰の海陸輸送状況並びに各関係機関の業務等の調査のため、島根、鳥取、広島の各県に派遣せられたのでありまするが、ここにその概要について報告いたします。 まず鉄道関係でありますが、鉄道の延長は米子鉄道管理局管内七百十四・六キロ、広島管理局管内八百四十・九キロであり、両管内は山陽、山陰に分れ、地理的には縦走する中国山脈に制約せられ、密接不可分の地方であるにもかかわらず、第一に両者の交通機関の発達が非常にアンバランスであること、第二に、鉄道輸送において陰陽の連絡がいまだ十分でないということであります。これが是正と促進とによりまして、両地方の経済文化の交流はもとより、多くの未開発の林鉱、水産資源の開発となることは論を待たないのであります。これに関連する地方民及び関係者よりの要望のおもなるものは次のようなものでございます。 一、三江線の全通促進 三江線は三次−浜原間五十四・四キロのうち、二十九年度三次−式敷間十四・七キロ開通し、未着手区間三十九・七キロに対し、本年度建設費三千万円工事継続となっており、早期完成をはかられたいとの要望であります。 二、ディーゼル・カー、ディーゼル機関車の配置 山陽、山陰において旅客のサービスの改善のみならず、一面運転経費の節減等、特に支線区の経営成績改善のためにもディーゼル・カーの要望は強く、山陽においては広島市を中心とする可部、芸備、呉及び岩徳の各線に、山陰においては特に観光地が多いが、有数の隧道地帯でもあり、地元及び長距離旅客の要望が強く、山陰線にディーゼル機関車を配置せられたいとのことでありますが、少くともディーゼル・カーについては三江線、山陰線、木次線等に最少限二十七両を来年度に配置せられたいとのことであります。 三、米子−広島間の木次線の快速列車の増発 現在千鳥号を昼間のみ不定期運行となっているが、相当の実績をおさめているので、これが定期化とともに、さらには夜行運転により中国地方の政治経済の中心である広島と山陰との連絡強化を期せられたいとのことであります。 四、伯備因美線の増発 それぞれ時隔が五時間に及び、地方交通の利便をはかるため一往復増発し、輸送力の増加を促進する。特に伯備線はこの地方としては貨物の営業係数百八十で、貨物線としても最も有望な線でもあり、増発を願いたいとのことであります。 五、博多−米子週末快速列車八雲号を常時運転とされたい。 すなわちこれは山陰、九州との関係は特に密接で、産業、観光その他出かせぎ人の交流多く、現在下関−米子間十ないし十二時間を要するので、春秋のみ週末列車とされているが、これは実績もよいので定期化をはかられたいとの趣旨であります。 その他として特別急行かもめ号の尾道駅停車の要望であります。これは尾道が海陸交通の要衝であり、尾道以西では広島、下関に次いで第三の乗降客があり、鉄道連絡船として尾道、今治、多度津、新居浜の三線を有し、瀬戸内海の観光基地として、さらには造船、紡績、化学の工業都市として内外取引関係者の往来が激しく、この停車の有無は連係各地の経済的伸長に大きな影響を及ぼすので、これが停車を願いたいとの要望でありました。 次に、三江北線の補修状況でありますが、三江北線は江川に沿う景勝地でありますとともに、また電源開発の有力な地として脚光をあび、陰陽連絡の重要線であることは前述の通りでありますが、江川の峡谷を縫って、線路は標高二百ないし三百メートルの急峻な山裾の斜面四十五度ないし五十度を切開し、片方は十数メートルの土留で直接江川の河床に臨み、山岳の胴体は花崗岩、石英粗面、粉岩で表土は薄く、全くのがらがら山で樹木の育生悪く、雑木が自然に生育しているようでありまして、このため落石が非常に多いのであります。すなわち戦後より本年八月まで五百二十二件に達し、うち列車支障九回に及び、逐年増加の傾向にありまして、地元及び旅客に対して恐怖の念を抱かしめているが、事実現地において幾多の大岩塊を見てその感を深くしたのであります。 これに対する措置として、一、線路警戒ダイヤを編成し、毎日軌道自転車で早朝三時三十分ごろより夜間二十二時ごろまで巡回、固定の警戒を実施しており、二、脱線または重大事故惹起のおそれある十七カ所に対し列車の速度制限の実行、三、浮石の取り除き及び根固工、構造物及び鉄道林等による防護措置を行なっているのであります。本年度において指定工事三千二百万円、小工事八百六十万の予算が配分され、幸い大きな事故に至っておりませんが、なお増額は必要と思われるのであります。特に警戒ダイヤ編成による警戒要員は七名で行われているが、労働過重となっており、至急に増員手配及び簡易線区の査定定員を昇格線区査定定員に是正すべきであることを痛感いたしました。 次に、自動車関係でありますが、これは全国的傾向であるが、近年自動車の増加は急激でありまして、また広島においてはバスの発達は著しいものがあり、すなわち中国地方四十三業者に対し実に十六業者に達し、これに対し国営バス勢力も強く、陰陽連絡ルートとして五の路線を有し、全国においては民間バスとの比は五%であるが、その実勢は一五%を示している状況であります。トラックによる貨物輸送は、昭和二十九年度は前年度に対し二〇%の増加をみせ、その七〇%は自家用車によって輸送されているが、トラック業者も逐年増加し、また一面小型新規業者による輸送増加が目立っている。これは輸送秩序の強化により、やみ自家用車が合法的な営業者に転向したこと、取引単位が零細化したこと、林産資源等が奥地に移転したこと等によるものと思われるとのことでありました。 自動車行政の問題点として次の点があげられるのであります。第一に、自動車運送事業の秩序の確立と現行制度の運用の適正化を期すること。 第二に、自家用車の違反が多いので、この取締りにさらに検討を加えること。また新規免許業者の中にはデフレの影響で信用状態が不良化しておるので、事前監査を適正ならしめること。 第三に、自動車について地方需給関係、路線、区域の調査等のため人件費特に旅費、車両増加に対する検査官の補充について格段の予算的措置を講ずること。これは他面自動車行政に対する出先機関の業務量の増加と定員のアンバランスを物語るもので、これが再配慮をなすこと等であります。 次に、海運関係であります。中国海運局は瀬戸内海の大半と山陰の日本海面を管轄しておるのであります。 まず旅客定期航路事業についてでありますが、二十九年度において、五総トン以上のもの、航路数百七十八、事業者百十五、旅客延べ一千百万人に及んでおりますが、すでに飽和状態にありまして、弱小航路の整理統合等により健全な経営の発展に努力しておるとのことであります。しかしながら全国の木造客船の平均船令は十五年未満七〇%、十五年以上のものが三〇%となっており、当管内では、逆に十五年以上のものが六五%に及び、これは事業者の現況から自己資金で建造または改造し得る能力がほとんどなく、また融資条件がきわめて不利であるため代船建造ができず、老朽船の運航を余儀なくされている実情でありますが、貴重な人命を預かる公共性の強い旅客定期航路事業の性格からみても、国家資金による有利な金融措置が必要と思われるのであります。 次に、木船運送事業でありますが、ほとんどいわゆる一ぱい船主により経営され、これら機帆船による運送実績は全国の二二%に達しているが、船腹過剰に悩み、多くは荷主に対抗できず、木船回漕業者の乱立と相まって、運賃ダンピングの傾向にあるのであります。これに対して標準運賃の維持をはかるとともに、保険料率が鋼船に比し高額であるので、料率の引下げ、重油の需要量確保、低利の運転資金の確保等適切な措置を講ぜられたいとのことであります。 次に、造船関係であります。大型鋼船建造の造船所として、三菱広島、呉造船、日立因島、同向島、三井玉野、NBCの六工場があり、前二者については現地において視察いたして参りました。一時不況の危険に立った造船所も、いわゆる輸送船ブームに恵まれ、現在の手持工事量は総計四十五隻六十万七千総トン、うち未着手二十三隻四十二万総トンに達し、昨年同期に比し十六倍という飛躍的好転を見、今後の引き合いも明るい見通しでありますが、今後の問題として鋼材入手の問題、ブームに対する反動も予想されるところであり、計画造船に対する基本的対策も今のうち確立されたいとのことであります。三菱広島造船所においては、船舶部門の好況にもかかわらず、鉱山、セメント、パルプ、化学、繊維等各種機械製品の生産をも強力に推進し、不況時に対処しているのはその実績とともに刮目すべきものがありました。 次に、中国海運局の要望のおもなる点を述べますと、 一、造船業と漁業権の調整について 既設の漁業権に対し、毎年造船所は多額の補償料を支払っているが、来年漁業権更改に当り、地方漁業協同組合より三菱広島、呉造船所の前面水域に相当広範囲にわたり漁業権の設定が計画されているが、この漁業権の拡張は造船事業の円滑な運営をはばむもので、この調整についてさらに明確な法規の制定が望ましい。 二、船員保険業務の運輸省への移管 現在厚生省の所管となっているが、船員法、船員職業安定法、船員厚生業務は運輸省の所掌となっており、これが適確な把握と被保険者の利便をはかり、事務の一元化、能率化を期すべきである。 次に、海上保安関係であります。第六管区海上保安本部は、瀬戸内海の大半と豊後水道の東側をその管轄区域とする大小約三千の島々散在し、無数の浅瀬、狭水道、さらには潮流の複雑な変化と通航船舶の輻湊等は他の管区にその例を見ないのであります。このため海難発生は、昨年五月末より本年六月まで平均九・五件、三千四百三十五隻に及び、一方人口稠密で漁業法違反、密航等特異事犯も多く、本年七月まですでにその検挙数が六千五百五十四件に達しているのであります。海上保安本部としてもこれが業務の一そうの遂行のために次の要望がありました。 一、ヘリコプターの配置、巡視船その他の増強であります。特に地形上から見て、ヘリコプター使用の最適管区であるのでこれが配置と、老朽巡視船が大部分であるので、これが新型巡視船とその他港内艇の増強をはかられたい。 二、通信施設の増強、すなわち内海超短波網の新設及び松山通信所は、現在の小規模電話では弱体であるから、中規模程度に増強を必要とする。 次に、米子測候所について申し上げます。この測候所においての特徴は、庁費の基本経費の大半の六七%が上高層観測経費に充てられ、高層気象観測に重点を置いていることであります。すなわちラジオ・ゾンデによる高層気象観測を一日二回、レーラインによる上層気流観測を四回実施しているとのことであります。 次に、当測候所の要望を要約いたしますと、 一、営繕関係として、露場棚の設置、庁舎及び風力塔のペンキ塗替経費等の要望がありました。 二、各種観測器及び通信施設の整備、特に高層気象に使用中の無線測風機は、やや旧型で上層風の高々度観測に不十分とのことであります。 三、職員給与階梯の是正、旅費、庁費の増額、特に旅費、庁費逼迫は業務上の支障となっているとのことであります。 以上概要の報告を申し上げましたが、最後に、海陸輸送調整の問題、陰陽連絡の問題として共同輸送の改善、または調整等、全体輸送の面が大きな問題となってきております。一般にデフレの影響もあって、客貨輸送は停滞の実情にあり、瀬戸内海においては、機帆船、自動車、鉄道と三者の競争は激しさを加えており、これらの問題は根本的な交通政策を検討すべき時期に到達しているとの感を深くいたしたのであります。 次に、各関係出先機関において、限られた予算と人員により、その業務の万全を期しているのでありますが、庁費、旅費は逼迫し、特に出先機関等における業務量の増加に伴う定員との関係は、これが増員は困難としても、この人員の再配置については考慮されたいとの要望は強く、また全く同感の点が多々あったのであります。 以上簡単でありますが、御報告申し上げます。
○委員長(片岡文重君) 質疑は一括して行うことにして、次に東北班の報告を願います。
○大倉精一君 ただいま議題となりました議員派遣の件につきまして、御報告申し上げます。 今回の派遣議員は、川村委員と私でありまして、去る十月十七日から二十二日まで六日間にあたり宮城、山形、秋田、岩手県の東北地方における海陸の運輸事情、仙山線交流電化の実施状況について調査して参りました。以下おもなる点についてその概要を御報告申し上げます。 まず海運関係について申し上げますと、東北海運は一般産業の後進性、あるいは地元資本の貧困性等のため、依然として木船関係を基調とする段階にありまして、運航、造船、造機、港湾運送、倉庫等、海運関係諸事情の大半は中小企業として営まれ、いわゆる一隻船主が主で、弱小中小企業の域を脱し切れない現状にあるかと考えられます。従いまして、船員労働関係についても、これらの中小経営に被傭される小型船船員、漁船船員を対象とするため、労働事情その他においても、すべて後進性から免れ得ない現状にあります。これらの事情を打開するため、いろいろの面において特殊の配慮が要請されております。 そのおもなる点について申し上げますと、一般に東北の港湾整備発達がおくれているのも、その港湾の背後地の経済力の弱さに影響されていることはもちろんでありますが、従来からともすれば西日本偏重の政策がとられ、東北の産業経済が著しく立ちおくれたのではなかろうかと存じます。御承知のように、東北は未開発地域を多く有し、すでに北上川流域を初め阿仁田沢地域等は特定地域に指定せられ、これら各地域の開発に伴って産業発展の基礎が約束されておりますが、この際東北総合開発の促進に伴って西日本偏重政策の是正に特段の考慮を払わなければならんと考えられます。 前にも申し上げましたように東北の運航業者は機帆船を主とした一隻船主が大半を占め、また造船造機事業にしても、木造船の新造修理をもっぱらにしている実情で、しかもほとんど全部が漁船であるため、近年の漁業不振のあおりを受けて売掛金の回収難に悩み抜いている状態であります。 全国的に中小企業の金詰まりその他の悩みは、東北の海運関連中小企業も御多聞に漏れずその苦境にあえいでおり、特に最近の荷動きの不活発に伴って、本造船業のごときは事業を継続し得ない状態にあります。もとより中小企業に対する融資の道が開かれているとはいえ、地方業者の要望するがごとく円滑ではなく、やはり何らかの助成策を講じなければならないかと考えられます。 その他東北に豊富に産する杉、松の資材による木造船の輸出強化、各港湾の整備等、いろいろ海運行政に関する問題もありますが要するに戦後日本経済の転換が必然的に未開発地域の開発にかかってくるものとすれば、東北海運においても従来の東北型後進性脱却の一大転機に立っているものとして今後の方策を十分に検討しなければならんと思います。 次に、仙山線の交流電化試験について申し上げます。仙台管理局区内における交流電化試験は、仙山線の仙台−作並間において試験を行なっていまして、これを実地に見聞いたして参りました。専門的な機械技術については、その道の方にまた別の機会に御説明願うことといたしまして、ここではきわめて常識的に申し上げます。試験の第一期は三十年二月五日から三月末まで通信線の誘導障害の状態の調査、第二期試験は三十年七月末から三十年度末まで国内試作機関車によって実際に運転して行なっております。 ED44型、ED45型交流電気機関車は日本で初めて作られたもので、直流千五百ボルト方式による鉄道電化は、経済的に一応その限界点に達してきておりますので、フランス、ドイツ等で成功をおさめた五十サイクル単相交流による最も安価な電化方式を研究するため、わが国でもこの新技術を取り入れて交流電化の技術並びに経済的な点などについて実地に検討し、早急に結論を見出そうとしているようであります。 交流機関車としての一般的な特徴は、直流電化のように、発電所から送られた交流を変電所で直流に変える必要がなく、また機関車内の変圧器によって電圧を変えることができ、いわば変電所設備を機関車内に搭載したようなものでありまして、また架線についても安全性と経済性について特殊の考慮が払われており、かつ機関車の製作費は直流機関車と同程度であり、その上地上設備費が直流電化の六、七割程度で済むという結果がもたらされております。まことに鉄道動力の革命ともいうべき五十サイクル交流電化は、全体として全く経済的であり、わが国の実情からしても交流電化は有利であり、電化による鉄道の近代化を促進するには大いに役立つものと考えられます。現地におきまして私たち直接にED45型の機関車に乗りまして試運転を行なっていただきましたが、その威力は大いに見るべきものがあると存じます。この単相交流五十サイクルの水銀整流器形交流電気機関車は、昭和三十年九月に作られたもので、そのおもなる特徴をかいつまんで申し上げますと、交流機関車のうちでも引張特性が最もすぐれており、運転時の衝動が少く、任意の経済速度で運転することが可能でありまして、また乗務員の安全をはかって高圧機器を屋根面に取り付けてあることであります。国鉄においては五十サイクルの単相交流による最も安価な電化方式を研究するため、昭和二十八年から交流電化調査委員会を設置して、交流電化の技術及び経済的な点などについて早急に結論を見出すように計画を進めているようであります。 次に、山形市地元において仙山線全線電化の早急実施についての強い要望がありました。 次に、秋田県生保内駅、岩手県雫石駅間の生橋線復旧及び建設促進に関する件について申し上げます。岩手県雫石駅と秋田県生保内駅を結ぶ二十四キロの生橋線は盛岡市と秋田市を結ぶ最短距離の線でありますが、そのうち雫石、橋場駅間七・七キロの線路が戦時重要資材転用のため撤去されまして、また秋田県側の生保内、志戸内間は昭和十二年三月に建設に着工し、十一キロ余の路盤、橋脚を完了したのでありますが、工事が中止となり、未完工区はわずかに十二キロ余となって放置されたままに現在に及んでおります。現地におきまして地元民の熱意のもとに、つぶさに視察をして参ったのでありまするが、路盤、橋脚ともにそのまま放置されていて、これに何らの対策も講じられていないような感じを受けました。本線は太平洋岸と日本海岸を結ぶ最短連絡線でもあり、三陸沿岸地域の産業経済に重要なる役割を持つものと考えられます。現地においてこれが実現に積極的な御支援と御協力を特に参議院の運輸委員の皆さんにお願いするという強い要望が地元の人々からございました。 以上概要について御報告申し上げました。
○委員長(片岡文重君) ただいまの御報告につきまして御質疑はございませんか。——別に御質疑はないようでありまするので、派遣委員の報告はこれをもって終了いたします。 —————————————
○委員長(片岡文重君) 次に、運輸一般事情に関する調査のうち、日本国有鉄道の運営に関する件を議題といたします。 まず、過日行政管理庁が国有鉄道に対して行なった勧告に関し、行政管理庁長官より御説明を願います。
○国務大臣(川島正次郎君) 行政管理庁におきましては、一昨年末から国鉄に対しまして部分的の調査を行なっておったのでありますが、その結果を見まして総合的に国鉄の業務を監査する必要ありと、こういう考えのもとに本年の六月三木運輸大臣とも相談の上に約三カ月間総合調査をいたしました。大体調査が終了いたしました際に、運輸大臣から勧告前に中間的の報告を求められまして、政務次官、次長その他調査に当りました者が行きまして一応の説明をいたしました。その後運輸省の御要求に応じまして国鉄経営調査会におきましても、同様の報告をいたして参りました。最近になりまして文書にしたためまして、運輸省に参りまして国鉄の改善方について勧告書を発したわけであります。 勧告事項は三つに分かれておりまして、一つは、公共企業体制度の運営についてでございます。それから第二は、事業施設の機能維持の問題、第三は、経営の刷新合理化の問題でございます。これらにつきまして監察の結果に基きまして改善を要するという点を十数カ項目に分けまして運輸大臣に書類を交付いたしたわけであります。運輸大臣におきましてはこれに基きまして国鉄等の意見を聴取した上に、適当の結論を得ますれば行管理庁長官に対しまして報告をする、こういうことになっておるわけであります。大体勧告を発しました経過を御報告申し上げておきます。
○内村清次君 ただいま経過についてお話を受けましたが、長官にお尋ねいたしますことは、もちろん行政管理庁の法律に基いた調査と考えますけれども、わずか三カ月間という話しですが、調査の方法はどういうふうな方法でやられたのか、この点を一つお話し願いたい。
○国務大臣(川島正次郎君) 先ほど御説明申し上げました通り二十八年の末から調査を開始いたしております。それを取り上げまして総合的に調査したのは最近の三カ月間、こう申し上げたので、約三年間かかっておるわけであります。行政管理庁には各都道府県に地方監察局を持っております。その監察局を動員いたします。また本庁内の参事官のうちから主任官を命じまして、その主任官を中心として全国の地方監察局を動員して調査する、こういうことになっております。
○内村清次君 そうすると監査の際は、もちろん企業体の各部門にわたりまして一方的な監査で、しかもまたそれに対して地方の企業体の責任者と申しますか、そういう管理者関係に対して監査の結果あたりを総合的に協議をするというようなことはやっておりませんか。
○国務大臣(川島正次郎君) 国鉄の協力を得まして、国鉄の理事者といろいろ話し合いながら監査をするのでございます。私どもといたしましてはあくまでも行政運営の改善に資する資料を集めるのでありまして、決して検察官的な態度で監査をいたしておるのではないのでありまして、またそれが行政監察の目的でありますからして、十分に国鉄の理事者と相談をいたしてやっておりますし、かつ大体資料が集りました際には、国鉄の当事者の意見を聞きましてそれに基いて資料の整理をした、こういうわけでございます。
○内村清次君 この点はあとで項目その他につきまして私たちも質疑をいたしますけれども、総体的に今問題になっておりますのは、国鉄もこれに対して、あなたの方で先ほど言われた第一次発表か中間発表か何かは知りませんけれども、それに対しても相当反駁意見も出ておるし、しかもまた、今回運輸大臣に出されました勧告に対しましてもまた国鉄自体としても相当反駁的な気持もあるようでございますから、こういう点はお互に納得の上で出ておるというようなそういう形態があまり見えておらぬようですが、この点は当然論議としては残るものですか。
○国務大臣(川島正次郎君) これは論議として残るのが当然じゃないかと私は考える。監査自体が国鉄の運営上欠陥がある、こういう観点から監査する。それに対して国鉄側としては自分の立場を主張するのは当りまえでございますから、これは行政管理庁の意見と国鉄側の意見とある程度食い違うのは当然の結果なのであります、監査自体の目的がそうでありますから。しかしそれで政府部内の意見が対立したということは言えないのでありまして、私どもの勧告は運輸大臣にするのでありまして、国鉄に対するのではありません。それで運輸大臣が行政管理庁の勧告に基いて独自の立場でもって国鉄をさらに調べまして、国鉄の意見を聞きまして、調整した上に政府としての意見をきめると、こういうことになるのでありまするから、政府といたしましては意見の対立はございません。しかし国鉄と行政管理庁の間において意見の食い違いがあることは、これは監査の性質から当然だと、こういうふうに私どもは考えております。
○内村清次君 そうすると私は二点聞きたいのですが、一点は、先ほど理事者と——あなたのおっしゃるのは、国鉄の企業体の理事者だと思うのですが、それと了解の上で監査をやったのだ、監査項目に対してはまあこれは現場管掌の人たちもおりましょうから、そういう方々との、監査の成績に対しても意見の交換もやっておるというような点は、これはただいまの御答弁では、まあただそれは監査だけの了解でやったのだ、それに対して協力態勢も企業体の方はやったのだ、こういうようなことだけですか、そうすると意見の保留というものは当然企業体の方にもなされて、これは自由であるというようなことも残してのことでございますか、それが第一です。 第二の点は、これは中間報告の際に運賃値上げの問題とからんだような論説がなされておったのですが、これは管理庁としては運賃値上げには反対だ、こういうような経理内容じゃないかというような処断をされてこの問題に対処せられたのであるかどうか、それと無関係なものであるかどうか、この点を一つ。
○国務大臣(川島正次郎君) 第一の点でございますが、これは私の方は運輸省と相談をいたしまして、運輸省からして国鉄に命令をいたしまして、国鉄は運輸省の指示に従って監査を受けておるわけであります。国鉄の当事者と私どもの方の監査員とはお互いに話し合って監査をいたしておるのであります。先ほどもちょっと触れたのですけれども、一方的に検察的の考えを持っての監査ではないのでありまして、これは話し合いながら監査をして、資料の提出を求めた、こういうことであります。 それから第二の点でございますが、行政管理庁といたしましては、監査の結果に基きまして勧告をいたしたのでありまするが、勧告文におきましても、また中間の説明におきましても、国鉄の運賃値上げの必要なしということを言ったことは絶対にございません。私どもはそういうことは今日考えておらぬのでありまして、国鉄の運賃というものは単に国鉄の収支計算だけできまるものじゃないのでありまして、これは一般経済界の情勢にもよりまするし、またデフレ政策をとるか、インフレ政策をとるかという国策の線にも沿わなければならんものでありまするから、軽々に運賃の値上げの必要があるかないかということは触れておりません。また、そういう結論も出しておりません。
○木島虎藏君 ちょっと今内村委員の質問の第一点に関連してでありますが、この行政管理庁の監査報告というのは、内村さんのお話はこういうふうに受け取れたのですが、ある点を指摘されて、で、国鉄の方の理事者側がそのある指摘に対して討論して、そうしていやそれは行政管理庁の言う通りだ、そういうところで納得ずくででき上ったものの報告かどうかということでしょう。その点同じ質問なんですけれども、ちょっとはっきりしなかったのですね、たとえば会計検査院の指摘事項だと、ややそれに近いのでありますが、行政管理庁の今回の調査はそういうものであるかどうか。あるいは、いや、指摘したけれども完全な納得じゃない、見解の対立のまま出ているのか、どっちかということをはっきりしてもらいたい、そういうことでしょう。
○国務大臣(川島正次郎君) ちょっと調査の仕方の御説明を政府委員からいたしますから……。
○説明員(岡松進次郎君) ただいまの御質問に対しまして私から御説明申し上げます。 大体今回の調査はいわゆる国鉄の運営についての改善ということでございますので、従いまして先ほど大臣からも御答弁のありましたように、ある程度一つの評価といいますか、判断という問題でございますので、ある程度意見の相違があるということはやむを得ないと思います。それで今会計検査院のお話がありましたが、私の方でもやっておりますような、たとえば補助金の不適正とかいうような問題につきましては、一つの法律に照らしてといいますか、基礎に基いてこれがいいか悪いかということがはっきりいたしますので、そういう点とこういう運営の改善というような点につきましては別の見地でお考え願いたいと思う点が一つでございます。 それから技術的な面とか、その他細部の面につきましては、各県にございます地方監察局なりまた中央が本省に行きましていろいろと折衝いたします際に、いろいろと理事者と申しますか、技術屋なりその担当者の意見は相当尊重して聞いております。そういう点で決して独断的に意見を出したとは思っておりません。しかし、やはり改善の意見となりますと、相当そこに意見の相違があるということは御了承願いたい、こういうふうなことでございます。
○早川愼一君 先ほどの長官の御答弁でこの勧告の内容は決して運賃に触れていないというお話でありましたが、新聞で伝えるところによると、運賃を上げる必要はない、黒字経営だ、こういう点がありますしね。その点は何か新聞が誤って伝えているのかどうか。私どもの受け取った感じでは、減価償却の問題とか、そういうむずかしい問題は別として一応とにかく黒字経営だ、こういう結論から運賃は上げる必要はないのだというふうに新聞は報じておりますが、それは何かどこに間違いがあるのか、一つ御説明を願いたい。
○国務大臣(川島正次郎君) 国鉄の二十九年度の決算を見ますると約三十四億の赤字を出しております。これはいろいろな面から歳出を検討しますると、相当この赤字に対しては再検討する余地があるのじゃないかということがあるのであります。ことに大きな問題は減価償却の問題でありまして、減価償却につきましては国鉄の見るところと行政管理庁の見るところとは相違をいたしております。私どもの見るところによりますると、減価償却並びにその他の歳出の方面におきまして赤字にはならないのだ、こういうことに考え得るわけであります。こういう点をだんだん見ていくと、私の方が申しませんでも、第三者から見ますというと、国鉄がかねて主張しているのだと伝えられるような、赤字のための運賃値上げは必要なしというふうに自然に解釈ができたのじゃないかと、こうは思うのでありますが、私どもとしては運賃値上げは必要なしということを、公式にもまた非公式にも言ったことはないのであります。ただ運賃値上げという問題が、従来しばしば世間から批判されている際に、こういう勧告が出るなり中間報告がありましたからして、それに結びつけて運賃値上げ必要なしというような判断のもとに、ああいう記事が出たのじゃないかと思います。その間の事情はよくわかりませんけれども、行政管理庁にそういう考えはないということはここではっきり申し上げておきます。
○内村清次君 ちょっとそうお話がありますると、内容の前提にお聞きしておきたいことがございますが、この中間報告と今回正式にこの運輸大臣に御報告になったまあ勧告の内容を見てみますると、少し変っておるような感じがしますが、そういった経費問題に対しては今回はあまり触れていらっしゃらないようですから、この勧告の説明の内容の点にそれは含んでいないか、どうですか、その点は。
○説明員(岡松進次郎君) 勧告前に運輸大臣の要求によりまして、運輸大臣なりまた経営調査会なりに説明したのは、資料を説明したのでありまして、結論的の説明はいたしておりません。行政管理庁に集まった資料の説明をいたしております。内容は変っておりません。
○内村清次君 そうすると資料の中にでも経費の現在、先ほど言われた三十四億の赤字というものに対する行政管理庁からする見方ですね。償却費の内容からしてそういった赤字はないのだというような点は説明としてされますか、あとで。どうですか、この点は。
○説明員(岡松進次郎君) 私からお答え申します。ただいま大臣からお話がありましたように、われわれは運賃の問題については、報告書にもごらんになりますように、前の報告書と申しますか、初めからそういうことを絶対に載せてございません。従いまして運賃を値上げしていいかどうかという問題を……、経営調査会に行って説明した——私も出ましたですから間違いございません。ただわれわれとしまして、国鉄の財政を検討して、まあ帳簿上、これは操作でございますけれども、これは詳しく御説明してもいいと思いますが、操作上いわゆる普通の会計理論に従えば資産増があるから、三十四億をカバーして、ある程度黒字の帳簿面が出るということも考え得るということは申しました。しかしそれによって、つまり帳簿面で赤字であるから、黒字であるからということが即運賃を上げる能力があるか、つまり自力で上げる能力があるかないかということには直ちに反映して参らないのでありますけれども、新聞社としましてはそういう点が非常にニュース・バリューがありますので、いかにもそういうことを言ったことが、運賃を上げる必要がないというふうに取ったのだろうと思います。書きましたのが刺激的な記事になったと申しますか、誤解を生んだもとでございます。
○内村清次君 新聞のことは新聞といたしまして、ただそういったその説明材料はあなたの方でこの委員会に説明できますか。
○説明員(岡松進次郎君) 私の方の、実は相当三百ページばかりの資料になるのでございまして、実は勧告を非常に急ぎました関係上、少数の資料しか印刷に間に合いませんので、ただいま印刷中でございまして、実は本委員会にできれば詳しく御提出したいというように思ったのでございますけれども、間に合いませんので、とりあえずこの勧告事項の簡単な説明の資料で御かんべんを願ったわけでございますが、なるべく早く印刷を完了いたしましてお手元に配りたいと思います。それをごらんになりますと、大体数字の根拠その他載せてございますから、私の方の主張としてはおわかりになるのじゃないか、このように考えております。
○委員長(片岡文重君) ちょっとお諮りしますが、いかがでしょう、総体的な説明を……。
○大和与一君 お尋ねしますが、国鉄が黒字だとか赤字だとかいうことは、管理庁の方で考えているたとえば減価償却費は百七十億か二百億、こういうことであるならば十分だからそれは黒であるとか、こういうふうなことを明らかに言ったことが、黒とか赤とかなったと思う。そうすれば運賃値上げには関係ありますけれどもそれは別として、新聞発表と今度の勧告との関係ははっきりしなければならないでしょう。新聞発表の経緯には少し誤解があったかもしれませんけれども……。勧告には触れていないのですが、そうなるとおたくの方では黒字論の考え方は新聞には発表されたけれどもやめたということになるのですか、その辺をお尋ねしたい。新聞発表の経緯をもう少し明確にお答え願いたいと思います。
○説明員(岡松進次郎君) 勧告は先ほど大臣から御説明ありましたように、運輸省の監督行政に関連して国鉄の内容を調査したのでございまして、こういうふうな点が指摘されるから考えてもらいたいということを運輸省に勧告いたしております。従いまして運輸省に対する勧告内容といたしましては、ここに列挙いたしましたような抽象的な文句になっておりまして、いわゆる勧告文の中には国鉄の財政の状態の分析ということは文書として載らぬのが当然でございます。ただそのよってきたる理由と申しますか、そういうものはここには簡単につけてございますけれども、これは説明の便宜でございまして、運輸省には実はこういうふうな資料をくっつけて、これを内容はこうであるというふうに出してあるわけでございます。従いましてこの勧告の何と申しますか、報告のできた理由は調査書に詳しく記載してあるから、これを参考にして検討していただきたい、こういうふうな形で勧告をしております。常に勧告はそういうふうな形式を私どもはとっております。
○大和与一君 新聞の話、新聞表発の、新聞にはっきり出ていましたね。早川さんからもお話しあったように……。あれに黒字だからいいというふうに書いてあったでしょう。それはどういうわけですか。
○説明員(岡松進次郎君) 新聞がどういうふうに言いましたか、経営調査会では担当の山口監察参事官と私が出て説明したわけでございます。ただ今申しましたように、いわゆる普通の会計理論によって計算すれば、三十四億の赤字というものはある程度プラスになるということは確かに説明いたしました。しかしあとで説明いたしますように、たといそれが黒字であるから運賃は上げないでいい。赤字だから運賃を上げる必要があるということを国鉄側も言っているわけではないのでありまして、いかにも何か黒字なら上げられない、赤字なら上げられるというような印象をとりまして、黒字赤字が非常に何と申しますか喧伝されたと申しますか、されまして、私どもとしては非常に迷惑を感じたわけでありまして、もっとやはりわれわれの分析はそれは言葉の端に触れたのでございまして、もっと何と申しますか、いわゆる減価償却費と申しますか、あるいは施設が非常に荒廃している、われわれの見方はある程度回復している、そういうところに根本の意見の相違があるのではないか、こういうふうに思います。
○大和与一君 そうしますと運賃値上げは別として、赤字ではないと思う。黒字だけれどもそれが運賃値上げに必要であるかどうかということは別問題だ。しかし若干黒字だと思われるという気持はあると言えるのですね。しかし公式的には黒赤ということは必要はないから実際には言っていない、こういうふうに理解していいのですか。
○説明員(岡松進次郎君) まあそういう気持でございますが、これは私も実は専門でございませんので、詳しくはあるいは御納得いかないと思いますが、いわゆる会計上の帳簿の整理ということを、われわれのような考え方でやれば資産増が上ってくるから、いわゆる赤字、黒字と申しますか、そういう一つの建て方が出る、こういうことを言ったのでございまして、そういう意味において、この点も多少これには触れてございます。しかしそれは一般に考えるような、何か黒字、赤字論を重点にしていった、それに運賃をからめていったということではございません。この詳しい調査書類をごらんになりますれば、一つの考え方としてこういうことも言えるということを簡単に述べてございまして、その点あまり重要視されると誤解があるように思います。
○国務大臣(川島正次郎君) 今監察部長からいろいろ御説明申し上げたのですが、結局国鉄側といたしましては、輸送力の増強なり、サービスの改善なり、いわゆる拡張改良費の調達は運賃値上げによらなければできないのだ、こういう見地に立っているのじゃないかと私は推察するのですが、そういうことになりまして、これは運賃は国会で御審議願うことになるわけですが、運賃値上げの前提として、国鉄自体の経営を合理化するという問題が一つあろうかと思っております。 それからもう一つは、資金をどうして捻出するかということになりますと、これは政府資金を借りるという場合が一つ、それから公社債を発行するという場合もあります。そういうものを、国鉄自体の財政状態と、一般金融、経済界の状態とをいろいろ勘案した結果、なおどうしても資金的措置ができないから値上げするのだ、こういう結論に到達しなければ、予算の御審議もなかなか難航するのじゃないか、私はまあそういうように考えておるわけです。ですから、私どもは、ここで運賃の値上げが必要ありとかないとかという結論を下すことはできないのであります。これはいろいろの問題を考えませんと簡単にいかないのでありますから、ですから、今私なり監察部長なり申し上げたので、それでもう運賃の値上げ必要なしというふうにおとり願っても困るし、またその逆に、運賃の値上げ必要ありと、こういうふうに了解願っても私どもとしては非常に迷惑するのでありまして、今申し上げているのは、国鉄自体の財政状態、一般の経済状態等いろいろ勘案して、運賃値上げ自体に対して議論する、こういうことにならなければいかぬと、こう考えておるわけであります。運賃値上げの前提といたしましては、いろいろな資料がまだ必要だと、こう考えるわけでございます。
○大和与一君 最後に、勧告は文字通り勧告であって、三百ページの膨大な資料が勧告としては出ているということも、運輸大臣としてこれを強制、規制するという意味ではなくて、運輸大臣はこの勧告を見て善処すべきものであると、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
○国務大臣(川島正次郎君) 行政管理庁の勧告自体がそういう性質のものであります。これは単に国鉄だけのものではございません。すべてのものがそういう性質のものであります。
○内村清次君 そうしますと、長官、この運賃論に対しましては私たちは、法的からも、法律的にも、それからまた行政管理庁としての権限からも、これを反対する、あるいは賛成するという性質のものじゃないですね、その点は。 ただ、長官は閣僚の一員でもありますから、閣僚の一員としていずれ政府の基本政策をおきめになられる。それに対する御意見は自由でございましょうが、管理庁として運賃値上げ論に対して、あるいはまたそういった運賃論に対しまして、これに管理庁の官制からしてどうこうするというような権限は多分ないだろうと、こう私たちは考えていいんですか。
○国務大臣(川島正次郎君) お説の通りでありまして、私どもは勧告以外に膨大な資料を作っておる。資料はいずれ御提出する準備をいたしておるそうでありますから、その資料に基きまして運輸大臣が独自な判断をいたしましょうし、あるいは国会の御審議も、その資料を御参考にいたしまして、独自の御判断をなさると思います。
○委員長(片岡文重君) 総括的な質問に対する質疑を一応これで打ち切って、次に勧告の内容別に事項的な御説明を願って、それに対してまた質問を続ける、こういうことにいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(片岡文重君) それではそのように。 ちょっと速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(片岡文重君) 速記を起して下さい。 それでは項目別について御説明を願います。
○説明員(森清君) 御説明申し上げます。 日本国有鉄道の経営調査の結果に基く勧告事項説明。 勧告事項 一、公共企業体制度の運営について 日本国有鉄道には公共企業体として、広範な自主性を与え、能率的経営を期待したのであるが、その運営の実績に徴すれば所期の成果をあげ得たものとはいいがたいので今後能率の向上について格段の努力の払われることが必要と考える。また、一面企業の公共的性格並びにその国民経済の中に占める重要性に鑑み、政府においても指導監督を強化する必要があると考えられるので、調査の結果認められた左記事項を参照し、現在の制度について根本的に再検討されたい。 記 1、経営委員会は現在の組織運営ではこれに主体性ある経営指導を期待しがたい。 2、役員の構成任免について、政府の関与する部面が他の公共企業体、公団等の例に対比しても少く、実効ある監督を期待することは困難であると考えられる。 3、経営管理を適切にするためには内部機構にも再検討すべきものがあると考えられる。 4、人材の登用について人事運営の自主性を認めた効果はほとんど認められない。 5、財務運営上与えられた広範な自主性は、その運営が適切でなく経費の恣意的支出を容認する結果となっている部面が認められる。 次に説明はあとで申します。 勧告事項 二、事業施設の機能維持について運輸事業に不可欠の施設についてはその機能の確保に留意し、特に交通保安に直接関係のあるものに対しては優先的に補修、取替の資金を投入すべきである。施設の状態の回復は顕著なものが認められるが、なお、一部に補修、取替の必要を認められる状況が残存するにもかかわらず、補修、取りかえ用の資金が他に流用せられ、交通保安に直接関係なき部門の投資が不相応に行われる傾向も見られるので実体資産の維持を目的とした減価償却費、取替費と改良拡充費とを明確に区分し、資金投入の配分を誤まらないように調査の結果認められた左評事項を参照して措置されたい。 記 1、毎年度多額の修繕費が業務費等に流用せられ、工事経費においても相対的不急工事と考えられるものが実施されている。 2、資金の現況把握の基礎となるべき台帳がはなはだ不整備である上に、実態調査も完了していない状態であるため的確なる実態の把握ができていない。すみやかに的確なる実態調査を実施すべきである。 3、減価償却費については耐用年数を不当に短縮したものが見受けられるので実体資産維持のため必要限度において適切な耐用年数を算定し恣意にこれを変更せしめない措置が必要と考えられる。 4、車両については大部分が部分的取替によって更新されつつある実状で更新修繕の場合の資本的支出と減価償却費とが競合するおそれがあるのでこれを取替資産とすることを検討する必要がある。 5、隧道、土工のごとき自然的条件に左右され平均耐用年数を求めがたく、かつ一般にきわめて耐久力のあるものについては修繕費によって維持することが実状に即するものと考えられる。 6、取替費と改良拡充費とを適正に区分し、又修繕費による資本的支出を明確に分離経理することが望まれる。 三、経営の刷新合理化について固定資産が膨大であり、かつ顕著な増勢を示していること、人件費の占める割合が多いことはこの企業の重圧となっているので、事業経営に不可欠の資産以外はでき得る限り切り離すこととし、付帯事業等もこの見地から再検討し、業績に寄与しないものの整理をはかるとともに、今後企業の合理化、サービスの改善等のため新規投資の需要が生ずることは当然と考えられるが、将来の投資においても過大資産の造成にならないよう、その必要限度に留意して指導する必要が認められる。業務の能率化、経費の効率的使用をはかるべき余地は少くないと考えられるので、調査の結果認められた左記事項を参照して経営の刷新合理化を推進されたい。 記 1、外郭的団体に対する取扱いはいまだ公正なものと認められない。外郭的団体に対する特権的取扱いは国有鉄道の財政に及ぼす影響が少くないと考えられるので、これが改革は強力に推進さるべきである。 2、請負工事等の積算がずさんで不経済な契約を締結している傾向がみえるので市場実勢の把握、契約事務の内部牽制制度について考究する必要がある。 3、車両の新造を現有設備で自営する場合は多額の車両費を節減し得るものと推算されるので検討すべきものと考えられる。 4、被服工場、製材工場、志免炭鉱等の付帯事業は非経済的なものと考えられる。 5、国鉄共済組合の物資部の業務に専従している国鉄の職員はこれを国鉄より切り離し共済組合の職員とすることが至当と考えられる。 6、鉄道公安官制度はその運営の状況にかんがみ再検討すべきものと考えられる。 以上が私どもの運輸大臣に勧告いたしましたものでございます。 なおただいまお手元にお配り申し上げておりますのは、この私どもの三つに分けましたところの勧告につきまして、そのあとの方に簡単な御説明がしてございます。あとは御質問に応じまして御説明申し上げたいと存じます。
○委員長(片岡文重君) ちょっとお諮りしますが、これは今説明をちょっと聞いたわけですが、資料も今配られたものであるし、皆さんとしては、この説明内容について目を通しておられない方も多かろうと思いますので、一応この際引き続いて、説明項目について一ぺん読むだけでも説明員から読んでもらって、それに対して質問する、こういうことの方がいいのじゃないかと思うのですが、いかがでしょう。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○説明員(森清君) 実はこれ以外に運輸省に差し上げましたのはこういう調査報告書がございます。これも二十五、六日ころまでにはおそらく間に合うと思いますので、でき次第お配り申し上げたいと思います。
○委員長(片岡文重君) それじゃ、その資料はでき次第配付していただくことといたしまして、きょうは取りあえず森政務次官のなされた項目別な説明のほかに、さらにこの配られた資料の中にも項目別にさらに分けて説明してありますから、これをもう一ぺん説明して下さい。
○説明員(岡松進次郎君) それでは私から、今次官がお読みになりました勧告事項の簡単な説明がございますので、御説明申し上げたいと思います。ただお断わりしておきたいのは、詳しく説明いたしますと相当時間もかかりますし、繁雑になりますので、資料をごらんになりましたときにどこが重点であるかということで、一つそういう意味で御説明申し上げまして、足りないところは御質問願えればお答えいたしたいと思います。 そこで第一の公共企業体制度の運営についての項目でございますが、これは、第一は経営委員会でございまして、(1)から(5)までのところは、大体お読みになりますと、大体われわれの言いたいことが尽きておるわけでございまして、これ以上詳しい数字等の根拠のものでございませんので、特別に詳しく申し上げる必要はないかと存じますが、われわれの考え方を一言申し上げておきたいと思いますが、公共企業体になったということは、いわゆる自主性と申しますのは、機構の点において、それから人事の点において、それから財務の点において、この三つの点においていわゆる官庁式な窮屈なところがない。能率的に、自主的に運営するということが公共企業体の特色であるというふうに考えておるわけでございます。従いまして、機構も自由に自主的にきめられ、人事もいわゆる民間人を自由に登用して、官庁のごとく資格等も非常に窮屈でない、あるいは財務等もいわゆる予算の項目的流用を禁じたり、いわゆる金縛りにするようなところがなく、自由にできるということが理想でございます。しかしながら国有鉄道は公的色彩を相当帯びておるいわゆる公共企業体でございまするので、これを手放しにするということは許されないことでございまして、やはり公共企業体の性格に照らし、ある程度の監督いわゆる国のにらみと申しますか、そういうことも加味して、そこに勘案していく必要があるのじゃないか、こういう意味から自主性はあるけれども、いわゆる経営委員会のごとく機構的には自由であるけれども、その機能が十分に発揮できないから、その点を検討する必要があるというようなことになりますし、役員の構成につきましても、これはある程度政府が関与するという面でございますが、いわゆる電電公社あるいは専売公社その他の公団よりも、より公共的な色彩が強い国鉄が、ほかよりも割合にそういう面で薄いという点について考究の余地があるのではないか、こういうような意味。それから人事につきましても、企業体になりましてから、民間人をいわゆる重要ポストに登用したというようなことが見受けられないので、もう少しやはり人事の自主性と、こういう意味においてははっきりして能率的にやってもらいたい、こういうことでございます。 それから財務の運営の自主性ということにつきましては、これはここにいろいろと調査書類にも各所に載せてございますけれども、まあ修繕費を国家予算できめあるいは実行予算できめました、あるいは機能に必要な修繕費を五十億近くあるいは四十債近く、これは年によって違いますが、大体その程度、一年だけでなく毎年これを減額して、そしていわゆる業務費——これは大いに節約をしなければならぬ——業務費に流用しておる。これにはいろ いろ理由があると存じますけれども、毎年同じようにして、そういうような形に現われておるということは、やはり自主的ではあるけれども、しかし言い方によってはほしいままといいますか、恣意的に変えられるというようなことは、相当やはり監督していく必要があるのではないかというようなことでございます。 またその他耐用年数につきましては、あとで償却費のところで申し上げますが、その他あるいは業務費において調査委託手数料というようなものを業務費の中に雑費として計上しておって、その区分が非常に不分明であって、雑費の中にはいろいろな、こまかいことになりますが、いろいろな種類のものを一括して雑費として決算されておるわけでありますが、従って、決算項目を見ただけではそれがどういうふうに有効に使われているかわからない。その中に調査委託手数料というようなものを、一億に上るようなものを雑費として計上されて、いわゆる節約努力と申しますか、運営の跡がそういう決算項目だけではわからない。これもやはりはっきりして、重点使用ということをした方がいいのじゃないかということを加味して申し上げておるのでございます。 それから第二の点につきまして主として申し上げておきたいと思います。その前に、前後いたしますけれども、少し長くなりますので、第三のことを先に申し上げておきたいと思います。 第三は刷新合理化のことでございまして、これには六項目載せてございますが、外郭団体に対する取扱いが公正でないということをいっておりますが、これは先ほども大臣から御説明がありましたように、昭和二十八年に国鉄のいわゆる財産管理と申しますか、いわゆる国鉄用地を貸借したり払い下げたり、そういう管理面におきまして外郭団体を調査した結果も加味されておるわけでございます。その際の調査によりますと、外郭的団体、これは御承知のように、大体三種類に分けられるわけでございまして、一つは公法人と申しますか、いわゆる協会とか組合といったような形で扱われておるのでございます。もう一つは、いわゆる私法人と申しますか、いわゆる会社組織で、いわゆる工事を請け負っておる、国鉄工事を請け負っておるというのであります。もう一つは、やはり協会という名前でございますが、いわゆる業務を分担しておるといったような種類に分けられるのではないかと思うのであります。 第一の、今申し上げましたような業務を請け負ったり、あるいは調査を委託されているというような団体において、国鉄用地を非常に安く借りているとか、そういうような面で他の普通の団体とは違う取扱いをされているというようなことが現われましたので、その際にも国鉄に運輸省を通じて資料を出したことがございますが、そういうような結果をここに載せてあるわけでございます。それからもう一つは、工事経費、修繕工事経費につきまして調べました際に、それを請け負いますいわゆる外郭的団体が工事を一括請け負って、そして下請に非常に出しているというような例が顕著に現われておる。また従いまして、元請から下請に出すためには、最初の請負金額が非常にあまくなっておると、こういうような例をあげて、今後これを努力して、工事経費の節減にも役立たせていただきたいという意味で申したわけでございます。従いまして、何か外郭団体のことが非常にやはり大きく取り扱われておるようでございますが、いわゆる委託費を受けたり、その他業務をある程度請け負っているというようなことは、他の官庁にもあることでございまして、これはやはりわれわれの方としまして、一般的に外郭団体について公正な取扱いをしてほしいということは、各官庁にも先般注意を促しておるのでございまして、主として国鉄としての外郭団体、この問題につきましては、いわゆる工事を請け負う意味における外郭団体の取扱いという点に重点があるように考えられます。 それから第二の請負工事が積算がずさんであるということは、これはわれわれの方が現地のある程度の工事件数を取り上げまして、千件近くの工事件数を取り上げまして検討した結果のことが載っておるわけであります。 なおこまかいことでございますが、内部牽制制度ということで質問を受けますので、説明をいたしておきたいと思いますが、これはいわゆる現場における担当官が、たとえば技術者が一人で工事の設計から、あるいは単価の見積りから、予定価格から、全部をきめてしまう。これは外部に漏れることが非常に危険であるというようなことでやっておられるようですけれども、それがために、また非常に結果においては積算見積りがあまくなってしまう、あるいは計算違いがある、あるいは市場実勢の把握が不十分であるというようなことから、最近防衛庁あるいは調達庁でやっております内部牽制制度によってやって、お互いにチェックしていくと申しますか、牽制していくというような進んだ会計組織にする方がいいんじゃないかという意味のことでございます。 それから第三の車両の新造を現有設備で自営するという場合でございますが、これも何か全部車両を自営しろといったふうにとられる向きもあるように思いますが、そういうことを決して申しているわけではございません。これは調査書類をごらんになっても、同様に一つの試案でございまして、ただ現在の工場設備が、われわれの見方では、近い将来修繕というような仕事が少し減ってくる。従って、その機能を生かして、そうしてある程度の一部の客車両を新造するならば、経費において二割程度安くなるというような計算から、一つの試案として提出したものでございます。 第四の被服工場、製材工場。被服工場は大宮と大崎にあるのでございますが、これも電電公社その他のものが外注しております被服とほとんど同様なものを作っておるわけでございますが、この工費等が非常に割高にできておるということでございますし、これもいわゆる戦時中の被服統制というもののために、国鉄自身が確保しなければならぬという原因で作られたわけでありますので、これは将来、ある程度外注することが経費の節約になるのじゃないか。同様に、製材工場も九州の隼人町にあるのでございますが、たった四十二名の職員で九州だけのことをやっておるのであります。これも木材統制のためできたのでありまして、将来これは製材価格からいいましても、外部から求めた方が安いので、整理したらどうだろうか。志免炭鉱も同様でございますが、毎年赤字を出しておるようないわゆる施設は、なるべく身軽になって国鉄本来の運行だけの施設を守っていく方がいいのじゃないかという意味で載せたのであります。 五、六はお読みになるとわかりますように、大体共済組合の職員を専従しておるということはちょっとおかしいのじゃないか。それから公安官につきましては、詳しく私の方で調査したわけではございませんが、しかしこれは一つの意見としまして、相当ほかの仕事に使っておいでになるようであります。本来の公安官としておられる人の率が非常に少いということは、やはりこれも発生の原因から見て、将来相当検討すべき問題である、こういうふうに申したわけであります。 そこで順序不同になりますが、第二の点につきましてちょっと申し上げておきたいと思います。 一つは、国鉄では今次の大戦による戦災と酷使の結果、施設が非常に老廃してしまった。そこで本年の八月現在緊急取替を要する施設は資産総額の五%、千七億円ぐらいある、こういうことを発表しておるわけでありまして、それは運転保安上非常な危険にさらされておるという理由でございます。これに対してわれわれ監察部におきまして調査いたしました結果は、復旧はおおむね昭和二十四年程度において、すでに戦災その他の復旧はある程度カバーしておって、その後は修繕費の増加というような面から見ましても、相当施設の状況は回復しておる。みながみな全部危険ではないと申しておるわけじゃありませんが、個々に見れば、一部は残っておるけれども、相当施設というものを大量的に観察すると、施設は向上の線をたどっておるというふうな見方をしておるわけであります。従いまして、ここで大きく食い違っておるのでございます。これが今度の監察の報告の一つの重点ではないかというように考えております。 ここでくだらぬようなことでございますが、管理庁には技術者がないので、施設の危険度等はどうしてわかるのだというようなことを巷間言われ、あるいは経営調査会でも質問があったように記憶しておるのでございまして、われわれのところにも技術者がおりますけれども、こういう危険度の測定という点に関しましては、これは国鉄の技術者が日本の第一流の水準でございます。これに対して技術的に反駁する技術陣というものは運輸省にもなければ、どこにもないのじゃないかと思いまして、われわれも技術的にわれわれの独自の判断でそういう結論を出すということは不可能でございまして、その点誤解のないようにしていただきたいと思います。従いまして、どういう根拠でそういうことをいうのかということが一番重点になるわけでございます。こういうふうに考えております。一つはこれは資産の機能維持に必要なのは修繕費と取替費でございます。取替費は減価償却費と言いかえてもいいと思います。従いまして、国鉄は御承知のように、昭和十一年を基準年次としていろいろな資料の比較をいたしておりますので、われわれも昭和十一年を大体基準としてこれに対する資料の比較をいたしておるのでございます。これは十一年は、御承知のように、国鉄としては非常に経理が健康でございまして、健康といいますか、非常にもうかった年でございまして、自己財源で一部の建設事業をも施行していたような、非常に景気のいい年次でございます。従いまして、その年次におきまして、大体修繕費と、その当時は減価償却制度がございませんので、改良費というものがございまして、その中で減価償却的な工事をやっておりました。いわゆる取替費というものに当るものを推定いたしまして、その費用が昭和十一年度としましては、いわゆる機能維持に必要な費用であった。それと、それをいろいろなデータを換算いたしまして、昭和二十九年度を見ますと、ここにありますように、相当二十九年度がいわゆる基準よりも多い修繕費、減価償却費を投入しておるわけでありまして、これが一つの数字の徴表といたしまして、相当戦後の回復をカバーして、そうしてなお改良的な方に進めた財源であるというふうに見ておるわけでございます。しかしこれのみでただ回復しているというようなことは、もちろん早計でございます。 次にわれわれの見ました観点は、国鉄が緊急に取替を要すると称している施設が、果して緊急であるかどうか。あるいはその数量が、あるいはその金額が適正であるかということを、ある程度現地について調査したわけでございます。もちろんこれは非常に膨大な施設でございまして、とてもわれわれの役所で全部に当って見るというようなことはとうていこれは不可能なことでございまして、もちろんパーセンテージとしましては非常に低いものであるかもしれませんけれども、いわゆる無作為に抽出して調査したのであります。その結果は一つの徴表としましては、国鉄が二十七年度に取替を、緊急取替費として発表しましたうちから、二十八年、九年に実際に実施しました額を差し引きますと、二十九年度に緊急取替を要する費用になるわけであります。そうすると、その理論的の費用と、実際に二十九年度に国鉄が緊急取替費として発表しました数字が非常に食い違っておるということは、結局根拠はいわゆる二十七年度に要緊急取替費、これぐらい要るといった数字が非常に不正確であるということになるわけであります。こういうような根拠は相当実地調査、その他の資料から出ております。詳しいことは調査書に載ってございます。また取替要求と実施要求というのでありますが、いわゆる取替要求は予算要求であります。しかしそれは査定を受けますので、二十橋梁が危ないといって申請いたしましても、予算の関係で十だけを直せということになるわけでございます。そうしますと、あとの十は緊急であればまた来年要求をするというようなこと、あるいはそれが切られれば応急に施設するなり、修繕工事をしていかなければならぬということがあるのであるが、それが非常にマッチしていない。削られたものが数年、その要求も出していないといったようなものは所々に散見される。従いまして、いわゆる基礎数字が非常に不正確である。これは単に予算を要求するというような気分で出しているものも相当中にあるというふうなことも推定できるのでございます。 それからここにございますように、施設台帳が整理があまりよくできておりません。これは膨大な施設を持っておる国鉄が戦災等によって焼却してしまって、散逸しました関係上、いわゆるその施設の経歴というものがはっきりしない。従いまして、帳簿面において獲得したのと、実際にこれを獲得した年月が非常に違う。これは一つの例でございますが、適当なものが四十五年、二十五年、三十年というふうに、帳簿面と実際にかけかえた鉄橋の寿命が違うというような例もあります。 その他、これはやはりわれわれの方の中央機関なり各監理局を調べた結果、資料は非常に不正確である、二十七年度以降についてやや正確になっている。従って、基礎資料が不正確であるから、その数字も、単に耐用年数が帳簿面で低下しておるから危険だというようなことを簡単には言い切れないのでありまして、その間に何度も修繕をして状態がよくなっておるというような、経歴が帳簿面ではわからないような場合が非常にある、こういうことでございます。 それから取替の緊急度というものを国鉄が発表いたしまして、一、二年に非常に運転士あるいは客扱い上危険なものの二百二十億程度の施設は、どうしても一、二年のうちにかけかえなければならないというようなことを発表しておりますが、その点につきまして、橋梁、隧道その他につきまして調査いたしますと、要求漏れのものは何らその他に応急的な処置をしていない。またこれは現場の技術者の意見等を聞いても、まあ安全であるというふうな意見でありまして、その点につきましても多少資料として不十分である。こういうふうなことから、われわれは、投入した投入量、それから修繕費その他の費用の増額、それから今申しましたようなわれわれの資料からいって相当……。それからこれは個々の現地の技術者の意見等も伺いまして、まあ大体回復の線をたどりつつあるというふうに勘案したわけでございます。その点御了承願いたいと思います。 それから、その点につきまして、今は一般的な施設の状況でございますが、その個々の回復状況につきまして、ここに述べましたように、軌道の状況、車両の状況、あるいは隧道の状況、橋梁の状況、宿舎の状況というふうに申し上げまして、これは裏づけ資料が簡単でございますけれども、こういうような面から見て、一応戦後の回復はできておるというふうに勘案したわけでございます。 それから次は減価償却費の問題でございますけれども、これは御承知のように、国鉄は昭和二十三年から減価償却制度を採用したのでございまして、それまでは修繕費と改良費をもって支弁しておったのであります。それ以後は機能維持は修繕費と減価償却費でもってこれを行なっておるわけであります。で、現在国鉄が減価償却費につきまして申しておりますことは、いわゆる第一次評価ベース、一兆二百億円の評価ベースについて減価償却を計算しておるわけでありますが、それでは評価が非常に低い。第三次評価をまだ実施中でございますけれども、完了すれば一兆八千億になる、従いまして、それを基礎にして減価償却費を計上しないと、非常に施設の荒廃がはなはだしいということを言っておるわけでございます。 そこでわれわれの一つの考え方としまして簡単に申し上げますと、減価償却費は総資産額の評価が的確でなければならぬということと、耐用年数の判定が正確でなければならぬ、両方不正確な数字から導き出された減価償却費というものは非常にその数字が不正確であるということが第一点でございます。一兆八千億というような評価につきましては、まだ評価が終っておらないのであります。実態調査を終ってみないと、一兆八千億であるか、あるいは二兆になるか、一兆五千億になるかがはっきりしない。それから耐用年数でございますが、今国鉄の採用しております耐用年数が、法人税法にきめられた耐用年数を国鉄の特殊性を検討しましてきめてあるので、それに準拠して多少長くきめてあるようであります。しかし減価償却費の計算におきまして耐用年数はさらにそれを修正いたしまして、総体的にいって非常に短かい耐用年数で計算しておるわけであります。その結果、いわゆる分母も分子も不確定な状態で算出された減価償却費は、非常にまだ正確な数字でないということが第一点でございます。 それからもう一つは、減価償却費というものは、これはどこまでも取替費でございまして、いわゆる減価を償却する取替でなければならぬということであります。従いまして、減価償却費をもって改良、改造というような資本的支出をするということは、償却費の理論から合わないことであります。ただ、この点、私法人と営造物法人たる国鉄においては考え方を変えてみる必要があるのではないかというのが一つの見方であります。それは、私法人は投下した資本を回収して、もしこれが営業を停止した場合にはそれを回収する必要があるわけであります。しかし国の営造物法人たる国鉄は事業を廃止するということは考えられませんし、もし廃止したといたしましても、その投下資産を国に回収する必要がない。これが公共企業体である国鉄の特色であるということでございます。従いまして、減価償却費はいわゆる俗にいいます汽車を安全に走らすようにその機能を維持していけばいいのじゃないかというような観点に立ちまして、いわゆる資産の、減価償却費の対象となる資産は大体建物とか機械とかいうようなものに限定して、一つの車両というものにつきましては、これは取替資産にした方がいいのじゃないかということを言っておるわけであります。これは車両は、御承知のように、減価償却費の対象になるべきものでございますけれども、また一面から申しますと、非常に小単位の多数のいわゆる資産でありまして、これを取替資産にするという理論的理由ももちろん立つわけでございますが、現在の車両の修繕の状況を見ますと、いわゆる今やっております修繕技術の発達上、大修繕あるいは更新修繕、特別修繕というふうに、非常に大改造をいたしております。従いまして、車両でずっと変らないのはいわゆる下の車体部分だけでありまして、上は十年もたつと、養うほとんど前のおもむきをとどめないで、新品で取り替えるという修繕体系でありまして、従いまして車両の、今二十年としておりますが、理論的には従って車体部分だけを減価償却費の対象にして、それから上は修繕費でやったらいいということが理論的には成り立つわけであります。しかし、成り立つわけでありますが、実際問題として、車体とその上の部分を明確に区分して計算することは不可能でございます。大体まあ車体部分は三〇%くらいの価値があるということだけでありまして、明確に区分できません。従いまして、これを車両、いわゆる車体も取り替え、上も修繕で取り替え得るわけでありますが、これを全部取替資産として減価償却費からはずすということがいいのじゃないかということをいっておるわけであります。その効果はどこにあるかといいますと、いわゆる減価償却費と修繕費と二本立でありまして、いわゆる修繕費で改良いたしました部分が減価償却費と競合することになるわけでございまして、取替費として一本化した方が経理上理論的に経費が節約になる、こういうことがいえるのじゃないかと思います。 それから隧道、土工、線路の盛り土であります。あるいはのりといいますか、切り開きの所であります。ああいうふうなものやプラットホーム等は、これは非常に自然的条件によって左右せられるものでありまして、また現実に見ましても、場所によりまして非常に破壊がはなはだしい所もありますし、また非常に長い期間これが寿命を持つものでありまして、これは土地であれば永久資産でありますが、土地に準ずる永久資産として、これは機能維持ということにしていけばいいのじゃないかということでございます。これをたとえば隧道のごときは四十年というふうに耐用年数をきめて計算いたしますと、ここにもありますように、この隧道、土工等は総資産の三六%を占めておりますから、資産額としては非常に高いわけであります。それを一応耐用年数をきめて計算しますと、実際のいわゆる資産維持に必要な費用よりも莫大な減価償却費が理論上出てくるということになりまして、勢い減価償却費から改造改良費、いわゆる資本的支出をするということになりまして、これはある意味において私企業ならば認められますけれども、公企業たる国鉄においてはこれは明確に区分して、減価償却費を真に資産維持に必要ないわゆる取替資産の準備として明確に区分しておく必要があるというような意味におきまして、これを償却費からはずしていくのが適当じゃないかというふうに考えておるわけであります。もちろん、はずしたことが、即、いわゆる経費の節約にはならないのでありまして、それはもちろん修繕費の方にそれだけの資産維持に必要な費用は組まなきゃなりませんけれども、しかしそれはやはり減価償却費として理論上とるということと、資産維持に必要な費用を修繕費に見込むということでは、運用上非常にそこに節約になる、こういうことをいっておるわけであります。従いまして、先ほども大臣もちょっと言われましたように、いわゆる拡張改良の費用というものにつきましては、これを明確に区分して、そうしてその費用は真に、拡張改良の施設がこういう施設であって、こういう必要があって、こういうふうにするということを明確にして、そうしてその費用配分を考える。いわゆる理論的な減価償却費から、自主的にと申すならばいいのでありますけれども、自由に拡張改良費に使うというようなことは、公企業たる国鉄においては、それはまあ避けるべきであるというふうな見解でございます。 大体、以上申し上げましたような見地から、国鉄の経理を分析いたしまして、その結果に基いて勧告したわけであります。
○委員長(片岡文重君) ただいまの御説明につきまして御質疑のある方は……。
○内村清次君 まず考え方をちょっとお聞きしたいのですが、もちろんこの管理庁の方は調査の起点をまずおとりになるのでしょうが、その起点は、国鉄の方で一応運輸委員会その他に資料を出しているのは、その対比は昭和十一年というような規定がなされているのですが、そこで行政管理庁もこの昭和十一年に一つのポイントを置いて、それと現在の経営状態、それを分析していくと、こういうような、まあ一つのこれを監察する場合のときの起点だけに十一年というものをおとりになったのですかね。あるいはまた、それと現在の状態を十一年に合せていくというようなお考え方でやられたのでしょうか。その点を一つ明確に、まず、してもらいたいと思うのです。
○説明員(岡松進次郎君) ただいまの御質問に答えいたします。大体初めの方の御質問のように、大体十一年、これは国鉄の基準年度、いろいろな資料の比較に使っておる年でございます。従いまして、われわれもそれを比較する場合においてはやはり十一年を根拠にしないと、国鉄との比較がマッチいたしませんので、そういうふうにしております。ただ十一年だけをとるということは非常に、ただ十一年だけの年度になりますので、この資料等をごらんになりますれば、十一年の前後五カ年間とか、十一年の前後三カ年間とかいうふうな平均資料をとっている場合も相当ございます。また十一年だけを資料として、その後の施設増加とか人員の増加とかいうふうなもの、物価の騰貴というものを理論的に勘案しまして、比較しておるというわけでございます。これは国鉄の比較と大体合わす場合には十一年だけをとっております。
○内村清次君 まあこの比較対照の場合の十一年の現況と、それからまた現在の施設及び人員、あるいはまた少くとも給料、それから物件費全体の関係、こういったただ対象のために見るという考え方だけですか、それを……。その方が非常に、鉄道の最盛期でもあったし、黒字も出ておったから、それに経営自体も合せていったならどうかというような考え方がそこの中に含まれておりますか、あなたの方では。
○説明員(岡松進次郎君) 国鉄も、十一年のような状態に復したいとはいっておらないのであります。とうてい、現在において、自己資金でいわゆる新線建設などということは夢のような話で、国鉄も十一年の経営状態に戻すということは、おそらくいっておられない。従って、今御質問の中にありましたように、十一年はそういうふうに相当、何といいますか、資金が自由でありました。で、新線建設までできたという年でありますから、従って、必要な修繕なり取替費というものを犠牲にして新線建設をやるということは、企業上あり得ない。相当つまり、まあ十分な修繕費なり取替費があったと推定することは、理論上できるのじゃないかと、こういうふうに思います。特に窮屈な年ではなかった。だから、まあ十分な修繕費をとっていたということは、あるいは仮定とおっしゃるかもしれませんが、理論的にはうなずけるのじゃないかとわれわれは考えます。従いまして、十分なものを換算していろいろすれば、一応その基準が現在の資料としては十分じゃないか。しかし、それよりも非常に増額しておればなお楽といいますか、相当広範囲の施設を復旧する費用が出たのじゃないか。こういうふうないわゆる国鉄の財政力という問題の資料としまして使ったわけでございます。
○内村清次君 私がお伺いしたいことは、コーポレーションの現在の機構、あるいはまた経営面の状態、また資金配分の状態、これはまあ施設関係も含めてですが、それに対する資金の運用ですか、こういうようなことがコーポレーション自体に合致したような運用形態として正しいかどうか、そしてまたコーポレーションを維持して、これを能率化していく、あるいは経営の効果的な運営がなされていくのだ、その上に立って国民にサービス、あるいは国民としての鉄道というような公共性が満たされていくのだというような見地から、されたのであるか。まあ実態として、十一年の国営国有程度の時代に合せて、それをこうやったふうに比較対象していく、そういう頭でやられたのか。この点はどうですかね、あなたの着想は。
○説明員(岡松進次郎君) ただいま御質問になりました問題につきましては、大きな重要な問題を含んでおると思います。で、国鉄が独立採算制でやれるかどうかというような問題は、単にこの調査だけできまる問題であるとも考えておりません。もっと基本的な問題がたくさんあると思います。しかし、その問題にわれわれ触れる能力もありませんし、また期間も時期もありません。ただ、われわれは国鉄が特に運賃値上げをする必要がある。言いかえれば、施設が非常に荒廃しているというような点について非常に資金が足りないのじゃないか、自己資金がですね。そのために不測の損害を及ぼしては申しわけないということを強調しているわけであります。その資料として十一年を持ってきて、国鉄も引用しているわけであります。われわれもそれを引用して、現在の状態においてどういうふうに資金の配分等が使用過程にあるかということを検討したにとどまりまして、根本的な公企業のあり方ということにつきましては、なかなかむずかしい問題になりますし、また時日も要します。まあ今後取り組まなきゃならない問題かもしれません。現在においてはこの程度にとどめたわけでございます。
○内村清次君 この点は政務次官にちょっと伺いたいのですが、この勧告の諸条項を見ましても、現在公共企業体としてやっている実態に対して、こう改善したらいいじゃないかというような面がこれは主になっているのか、あるいはまたはどうも非能率的な運営方がなされており、またその資金の配分に対しましてもこれも重複配分をやっているのだ。施設の荒廃の問題に対しましても、一面幾らか償っているが、幾らかまだ不十分な点も残っているのだというような、ただそれを対象として見方をやっておって、その根源には、昭和十一年の形態と比較して、そういうような形に運営はできないかというようなことに持っていこうとする御思想であるか、この点はどうですか。この公社制という問題に対してのお考え方は。
○説明員(森清君) 行政管理庁といたしましては、ただいま内村委員が申されましたように、国鉄を、この公社をいわゆる、何というのですか、昔の形に返すことがいいだとか悪いだとかいうふうなことは、毛頭考えておりません。これはそこまでわれわれが言及すべきでないと考えておるのでありますが、ただ実態を把握するためには、あらゆる角度から調査をいたしましたけれども現在の国鉄のあり方が、機構の点、あるいは能率の点、あるいは経営の点、そういった全般にわたって一体どういう形にあるのだろうかという、ただ実態を調査してみたいという気持から入ったわけでございまして、最後的にこういう結論が出たから、行政管理庁としてはこれをどういう形にしたらよろしいものか、またこういう形にすることがいいから、その形に持っていくためにこういう調査をしたかというふうなことは、全然ございません。 さらにまた昭和十一年度を基準にしたということは、先ほど管理部長からも説明がございました通りに、いろいろの計数をとる場合に、国鉄が昭和十一年度を基準にしておりますので、そこで比較対象するような場合には、昭和十一年度というものをとってきたわけでございまして、重ねて申し上げますけれども、この公社が今の形では確かに、いろいろここに指摘してあります通りに、いろいろな点で私どもは不備だと思われる点はございますけれども、それをどういうふうにしたらよろしいのかという結論は言うべきではないし、またそういうふうなことは考えるべきでもない、こういうふうに考えております。
○大和与一君 関連質問ですが、ちょっとお尋ねしますが、今の御説明聞きましたら、やっぱり大臣に出てもらって、もう一遍基本的な抜本塞源的な御質問をしなければ、だめですよ。あなたのおっしゃっていることは、たとえばゾウを料理するのに、いい意味においてウサギくらいをひねっておって、ゾウを全般をひねったという。しかし国鉄をほんとうに全般をやろうと思っても、そんなの、国鉄の技術があなたはえらいとほめちぎったけれども、それを料理するのだったら、技術がいいなら、よほどあなた方も自信をもって、確信をもっておやりにならないと、国家の代表としてそれをやる場合に、そんなことでは困ると思う。 それから財政問題にしても、独立採算制だというのだが、国鉄はほんとうにそうですがね。われわれ知っている通り、公労法を改正しなければ予算の流用さえできない。大蔵大臣に全部あれする。それをやっと公労法を少し改正して、運輸大臣が大蔵大臣と相談してきめる、これだけやっと変った。何も独立採算制ではない。幾ら養うかっても、国鉄自体が少しもそれを善用することもできない。そういうことも十分御承知だと思うのですよ。そうすると、やはり公共企業体にほんとうになって、なおかつその運用はけしからぬ、悪いところがあると、こうやってお示しをいただいて、これを善用してもらって直していくのならいいけれども、それがちっとも公共企業体として能力を発揮していない。そこが不満なんだ。それがすっかりふだんから腹がきまっていなくて、今のようなことをおっしゃっても、これは各方面から質問すれば幾らでもありますよ、きょうだけではできないけれども。どうもその点、お考えの基礎が——やっぱり国鉄をほんとうにやるなら、小さい企業だったら十分できるでしょう。国鉄をやるのは、一番複雑で一番大きくてややこしいんだから、十分それらの御配慮をいただいて、そこまでお考えいただいて、決心をしてやってもらわぬと、これは困るんだが、その点の御決意はどうですか。
○説明員(森清君) おっしゃることはよくわかるのでありますが、ただ行政管理庁という役所の権限からいいましても、こういうふうに今まででは、たとえば農林省、建設省、そういった関係の調査もし、勧告もいたしましたけれども、実態がこういうふうに悪いところがあるから、こういうふうに改善すべきところがあるから、これを改善しろ、直せということは言えるのでありますけれども、管理庁として、だからこういうふうにしろというところまでは、言うべきでは私はないと思うのでございます。それはやはり勧告を受けた相手の役所でもって、たとえばこの場合ならば、運輸大臣がこの勧告をよく調査をいたしまして、たとえば公社制度ではいけないからこういうふうに直そうというふうな結論をお出しになるだろうと思うのでありまして、私どもがそこまで指摘し、あるいは指示をするというふうなことは、間違いだと私は考えます。
○大和与一君 そこらのおっしゃることもわかるんですが、たとえば人間で、これはやっぱり人間を料理したりなんかする場合に、やっぱり心臓は動かしておかなければならない。それから手と足は、手が五本か四本しかないとか、ひんまがっておるとか、足に少しカサがついているとか、そんなところばっかり見て、かえって心臓の健全な鼓動をとめるとか、ブレーキをかけるとか、こういうことがあっては困るでしょう。それと同じで、今の話はわかるけれども、やっぱり管理庁がやる場合にはもちろん勧告ですから、その通りお受けをしていいと思うんですが、これはわかるんです。それにしても、あっちこっち悪いところがあるにきまっているから、それは直していただいていいのですけれども、やっぱり全体の運営を見た場合に、それがよくなるようにという、そこの一番大事な点をねらって、そこにも十分なる配慮が大臣として当然なければ、これは困ると思うんですが、いかがですか。
○説明員(森清君) たとえば今の公社の問題でございますが、私ども一番最初に、勧告に先ほど御説明しましたようなことをうたってあるのですが、その説明の中に、経営委員会等について論及しておりますが、これなんかも、つまり今の経営委員会は主体性がないんだ、このままではとても、国鉄の経営をこの経営委員会がやっているとは考えられない。だから、これを廃止しろの、あるいはこれをこういうふうに変えろの、というふうなことを私どもの立場では言えないじゃないか。こういう意味でございまして、確かにからだ全般を見てみなければ、小指の先の傷でも判断しにくい場合もあるでございましょうが、私どもは今の国鉄というあの事業体を見て、ここが悪い、あそこが悪いというふうなことは指摘できても、それをさらに一歩進んで、これを手術してなおした方がいいんだとか、あるいはうみ出しだけを張っておけばそれでなおるんだというふうなところまで言及することは、私は間違いだと、そう考えております。
○大和与一君 それでは、非常に失礼な申し方でおそれ入りますけれども、それではいろいろと勧告をされて、それが行われるけれども、国鉄全体の経営がうまくいかないという結果が出たら、どうするんですか。そういうことはあり得ないでしょうか。そういう勧告は、それはいかがですか。
○説明員(森清君) 私どもは、この勧告を出しますと、当然これについて運輸大臣から、こういうふうに直します、ああいうふうに直しますというふうな報告を受けるわけでございまして、私どもは少くとも二カ年かかって調査いたしましたこの調査結果につきましては、絶対の自信を持っておりまして、どの項をさされても、私どもはここは間違ったというふうに考えるところは毛頭ございません。あくまでもこの調査案については責任を感じ、十分なる自信を持っているつもりでございます。
○大和与一君 そうしますと、これはやはり前提が大事だけれども、たとえば機構改革といっても、シャク・ノンというばかなやつが来て、それを強引にやったんですよ。これは全国鉄五十万の従業員が反対したけれども、やった。そういう明らかなる事態が前提になっているが、それをだんだん直していかなければならぬのがうまくいかなかった。そういうことは十分お認めになっておるんですか、はっきりして下さい。大きなことです。そういうがむしゃらな無理をさせられているということは、お認めになっておるんですか。
○説明員(森清君) それは何の場合ですか。
○大和与一君 機構の問題、国鉄の機構の問題、シャク・ノンというGHQの輸送課長が、どうしてもいやだというのに、強引にやったんですが、そういう……。
○説明員(森清君) 少くとも国鉄の経営は、今の形においては、私どもが指摘したところだけは、私は直す必要があると考えております。
○大和与一君 いや、そういう質問じゃなくて、今の機構問題は大事だとおっしゃったんですが、機構、人事、財務——機構の問題を一つ取り上げますと、GHQの占領下において、シャク・ノンという輸送課の方が来て、これを強引にやったんです。これはもちろん、あなたの方は政府だから知っておると思うのですが、そういうことがありましたということをはっきり明言してもらいたいんです。
○説明員(森清君) 私どもは仄聞はしております、確かに。しかしその当時の事情は少くとも私自身はよく承知をしておりませんが、いずれにしても、どういう経過を経て来たか知りませんが、現在のこの形は、このわれわれの指摘したところだけは改善する必要があると、こう考えているわけであります。
○大和与一君 どうも次官は上手で、的をはずして困るんですが、それは大臣に聞きましょう。 それからもう一つ、財政問題ですが、独立採算制になったということは一応言われておるわけです。これはさっき私が申し上げましたように、国鉄法予算総則の改正をしなければだめですよ、はっきり言って。そのことはお認めになるんですか。そういう大事なことがちゃんとできていないで、今日あなたがおっしゃった、今度指摘されたことが間違ってなくても、これからの問題ですから、いろいろ質問して教えてもらいたいと思うのですけれども、そういう大きな柱がまるでぐらついていて、きちんとしていない、そういうことを政府が認めてから質問さしてもらわぬと、隔靴掻痒の感があって、何にもならぬと思うのですよ。その点いかがでしょう。財政問題も、幾ら国鉄は黒字になっても、勝手に使えないんですよ。今まではびた一文、大蔵大臣の了解を得なければ、だめだったんですよ。それが今度変ったのは、運輸大臣がようやく大蔵大臣と話をしたらいいということになって、こういうことを僕らがこの国会で変えたんですよ。その点はお認めになりますか。予算の流用ですね、これは法律に載っておりますから間違いないですよ、私の言うことは、言葉が少し違っても。
○説明員(森清君) この問題の御審議をしているうちに、当然そういった問題も出てくると思いますが、率直に申し上げまして、私どもの調査したのは国鉄の実態であって、まあ当然それらにあなたのおっしゃったことは関連してくる問題かもしれませんが、少くとも今私どもはそのことについて、あなたの御質問に対して明確なる答弁をできかねるのでございます。ということは、私どもの調査が国鉄の今のあり方というもの、どういうふうな形になっているか、どういうふうな不備な点があるか、改善すべき点があるかということに主力を置いてやっておりますので、従って、関連的には出てくると思いますが、現在はちょっと私どもの立場でお答えできません。
○内村清次君 実際私が先ほど申し上げましたことも、まあ最後の大和委員の言葉とも関連がありますが、これは政務次官が言われました点で、たとえば経営委員会と申しますか、あの構成の点は、あなた方の方で指摘されておる。私たちはその委員の人数だとか、それからまた、たとえば名誉職的な現在のあり方、それからまた、さらに法規に照しまして、その選定された委員の方々の御職業、それから実際の経営委員会の運用、こういう点に対しましてはまた意見がございますよ、私たちにも、現在の法規に対しまして、日本国有鉄道法の。ありますが、しかし私たちが心配していることは、先ほど私が言いましたように、この指摘されたことは、とにかく運輸大臣の権限を強化していかなくちゃならぬ、まあこの考え方は確かにあるようですね、どの点を見ても。しかしまあコーポレーションとなって、総裁は内閣の任命でしょう。で、国会の方でもこれを承認するというような関係になって、あとの理事の任命だとか、これはまあ総裁の任命になっておりますが、そういうような点も考えておりますが、これはやっぱりコーポレーション機構とては総裁にその権限を持たせてやっていくというような、機構の運営からして見れば、その点はいいのじゃないか。ただそれを、運営全般の指導監督というか、経営委員会というものの実体がどう改善されていくかということは、これは議論の余地があると思うのですがね。そうやってくれば、どうもあなた方の底流というものは、やはり運輸大臣の権限強化、即、引き延ばしていけば国営論につながるようなお考え方で、ものの見方をやっておられないか。あるいはほんとうにコーポレーションを伸ばしていくというようなことであったならば、たとえばそういう全体の機構の改革に対しましても、あるいは財政の点に対して、ただいま大和委員の言われました財政の運用のし方に対しても、また権限の問題も、総裁の権限が十分に責任ある体制において、資金の運用ができ得られるような体制に変えていく。こういうようなことの指摘がここには何ら考えられておらないのですね。あなたのまたお考えでも、先ほどの一体財政自治権とはどういうのかということに対しても、今後の説明によってというぐらいの調子でしょう。私はそういう点の指摘が全体的に行政管理庁は考えられておるのかどうか。結論的に私は、運輸大臣の権限強化をやっていく、あるいは昭和十一年程度の国営論の方に導いていこうではないかというような底流がありはしないかというような点が、心配ですから、先ほど私はそれを聞いたわけです。こういうような底流はございませんか。
○説明員(森清君) 私どもはそれを国営に戻そうというような、そういう意味の底流は確かにございません。ただ、今のたとえば国鉄の場合は、総裁を運輸大臣が指名するとなっておりますが、その程度の監督では非常に手薄ではないかというふうには考えております。たとえば他の、ここにも書いてあります、資料にも書いてございますが、専売公社あるいは電信電話公社というようなものと比較いたしましても、非常に政府の監督権というのは少いのでございますから、その程度までするのがほんとうじゃないかくらいは考えております。
○委員長(片岡文重君) 速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(片岡文重君) 速記を始めて。
○大和与一君 この説明がなければ、こんな要らぬ一般的質問を重複しなくてよかったのですがね。御説明を聞いたら、ますますこれは基本的な考え方がわからなくなったから聞くのですがね。管理庁が今までいろいろ勧告とか、いろいろ出された場合に、具体的な事実、これはよろしいのでございますよ。ちっとも否定いたしませんよ。しかしそれだけをとって、国鉄でも全逓でも、どこでもやった場合に、それじゃもうちょっとよくしてやろうという気持がもちろんあると思うのですよ。一字一句でも、具体的な点に触れていかなくても、こうやればいいということが明らかにわかっておっても、そういうことをやったことが一ぺんでもあったですか。やはり具体的な事実以外でも、国鉄をよくしてやろうと思ってやっておられることはわかっている。それはありがたいぐらいですが、それを私やはり質問した場合には教えてもらわなければ、お答えをいただいて、もちろんあなたの方で差しつかえない程度でいいのですが、それを全然触れないで、そういうことは知らぬというのでは困るのですが、いかがですか。
○説明員(森清君) 今までの監察では、事実きわめて結論の簡単な場合は、たとえばこの間も勧告を発しました例の農林省の零細補助金の問題でも、これはこういうふうに非常に一人頭が補助金によっては二十円くらいしかない補助金がある。それの場合に、あまり少過ぎるから、これとこれとはまとめたらどうかという勧告をしたこともございます。それはきわめて簡単な場合には言い得るのです。それでまた行政管理庁としての権限内でもできる問題があるのですが、国鉄の問題等につきましては、これは事実私どもは、今の実態はこうだという工合には言い得ますけれども、これをどういうふうに、じゃ・やったならば、ほんとうにりっぱな経営ができるようになるかといいますと、これは非常にたくさんの議論が出るところだと思いまして、たとえば今の国鉄の形にいたしましても、いわゆる国営にした方がいいのか、あるいはまた今のままでたとえば経営委員会等を補強するとか、あるいは運輸大臣の監督権をもっと強化すれば、それで事は足りるとか、いろいろ問題はあろうと思います。私どもの役所としては、そういう問題になりますと、結論をどうしたらよろしいのだというふうなことは、非常にこれは言いにくいこともございますし、同時に、ちょっとそこまでいくのはいささか越権ではないかというふうに考えるわけでございます。
○大和与一君 ですからね、国鉄、えらいものに取っ組んでずいぶん勉強をなされて、貴重な資料が出たと思いますが、これはしかし経営委員会というものは、先ほど御発言があったように、これなんかも大賛成だ。むしろ今ごろこんなことに気がつくのはおかしい。一体経営委員会で、労働問題がなくて、国鉄の経営ができるかというと、できないと思います。その経営委員の中に労働問題のあれが入っているかといえば、一人もいませんよ。あなたの方では表現はこうしろ、ああしろということは、字句に出さなくても、こういう勧告を出すときには、あなたの方では心の中では十分わかっていると思います。そこまで検討しないと、こんな経営委員会ではなっておらぬ、問題にならないということがお心の中にまとまって、字句はやさしく、きわめていんぎん丁重に出ていると思うのですよ。その辺のことはおわかりになっているでしょう。あなたの発言をとって私が御質問している。その点どうですか。
○説明員(森清君) 経営委員会については、これはいろいろ議論があったのですけれども、相当はっきり書いてあります。これはお読みになっただけでも、私たちの意図が那辺にあるかということは、おわかりだろうと思いますが、ただ、それ以外のいわゆる機構全般につきまして言い得ることは、今のような状態よりもさらに運輸省の監督、政府の監督を強化しなければならぬのじゃないかというふうには、われわれ強く考えております。
○大和与一君 それじゃ最後に、先ほど、ある事柄によっては管理庁の権限もあるし、また場合によってこうしたらいいというようなことを勧告したこともある。それはまたきわめて善意だし、それがうまくいく場合、そういうことは前例もあるし、あったのだから、国鉄の問題はこれからも、今日までの考えをコンクリートとして、てこでもゆずらぬとか、そういうつまらぬことを言わないで、政府部内で国鉄全体を助けてやろう、よくしてやろうという気持で、これからもなお御勉強いただいて、私らの下手な質問に一つ答えていただく、こういうふうなお考えになってもらって、私はきょうの質問を終りたいと思います。
○委員長(片岡文重君) まだ御質問もたくさんございますようですけれども、きょうは一応本件に関する御質問はこの程度にいたしたいと存じます。
○委員長(片岡文重君) 次に、運輸一般事情に関する調査につきましてお諮りいたします。本件につきましてはまだ調査を完了するに至っておりませんが、本院規則第七十二条の三によりまして、閉会中調査未了の旨の報告書を議長に提出いたすことになっておりますが、その内容及び手続等は委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(片岡文重君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたしました。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時二分散会