予算委員会 第30号
- 発言数
- 197 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1955/07/14
会議録
○三浦委員長 これより会議を開きます。 昭和三十年度特別会計予算補正(特第1号)を議題といたします。 まず政府より提案理由の説明を聞くことといたします。大蔵大臣一萬田尚登君。
○一萬田国務大臣 昭和三十年度特別会計予算補正特第1号を提出いたし、御審議を願うに当りまして、その内容につき御説明いたしたいと存じます。 六月二十四日国会において承認されました農産物に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結に伴いまして、これに基いて借り入れる外貨資金を財源として、電源の開発、農地の開発その他本邦の経済の発展を促進するために行う資金の貸付に関する経理を明確にするため、余剰農産物資金融通特別会計を設置することといたしましたので、このため、ここに昭和三十年度特別会計予算補正(特第1号)を提出いたした次第であります。 この特別会計の歳入は、右のアメリカ合衆国からの借り入れ資金の借り入れによる収入金三百十四億二千万円、及び貸付金の利子収入一億八千三百万円をもってこれに充て、歳出といたしましては、電源開発事業に百八十二億五千万円、農地開発事業に三十億円、日本生産性本部に一億五千万円を貸し付けることとして、合計二百十四億円の貸付金を計上するほか、事務取扱費及び予備費若干を計上いたしております。 以上、昭和三十年度特別会計予算補正特第1号の大要を御説明いたしましたが、何とぞすみやかに御審議の上御賛成あらんことを特にお願いいたす次第であります。
○三浦委員長 これより質疑に入ります。 きょうは非常にお暑い折柄でございますから、委員各位も政府側も上着をとることに御了承をお願い申し上げます。北澤直吉君。
○北澤委員 私は自由党を代表しまして、外交問題を中心として、総理大臣、外務大臣、大蔵大臣及び通産大臣にお尋ねをしたいと存じます。 第一は日ソの交渉についてであります。六月の初めにロンドンで日ソの交渉が始まりましてから約一ヵ月半でございますが、今日までの交渉の経過を見ますと、日ソ双方の主張が提示されただけでありまして、しかも双方の主張の間には大きな食い違いがありまして、ほとんど歩み寄りの跡が見られないのであります。双方の主張はちょうど平行線の上を走っているような感をいたしておるわけであります。日本側におきましては、各種の懸案を解決して、その上で国交を回復しようという方針をとっているのに対しまして、先方ソ連側におきましては、桑港平和会議の際におきましてソ連のグロムイコ代表が提出いたしまして、しかも日本その他各国から反対を受けました、いわゆるソ連の修正案と大同小異の平和条約案を提出しまして、そうして日本の中立化をはかりますとともに、懸案解決を一応たな上げして、直ちに国交の回復をしよう、こういうソ連側の主張であります。日本側が最も重要視をいたしております抑留日本人あるいは戦犯者の帰還の問題、また領土問題等につきましても、先方は全然わが方の主張に同意を与えないように聞いておるのであります。私どもの見るところでは、この日ソの交渉は行き詰まりの状態にありまして、いわゆるデッド・ロックに乗り上げたものと判断せざるを得ないのでありますが、鳩山総理及び重光外務大臣はこれをいかにお考えでありますか、両大臣の御所見を伺いたいと存じます。
○三浦委員長 すわったままでお答えをお願いしたいと思います。
○鳩山国務大臣 ありがとう。 日ソの交渉は、とにかく戦争を終結して国際関係を正常化しようということにつきましては、ソ連からもそういうような申し入れがあったのでありまして、その点については決して日本と意思の疎通を欠いているということはございません。なお未帰還の抑留者の帰還問題についても、私は意見の正面衝突はないものと考えております。領土問題につきましては、まだとにかく意見の合意がございませんけれども、決してデット・ロックに乗ってしまって正面衝突してしまったという関係にはなっておりません。詳細のことにつきましては外務大臣から答弁します。
○重光国務大臣 日ソ交渉の経過の大要はすでに説明を申し上げておる通りでございます。今お話のように、双方とも立場を十分開陳したわけでございます。そうして未帰還者の送還の問題について日本全権から強く要請しておるということも御承知の通りでございます。この問題について意見はまだまとまってないのでございますが、しかし交渉の順序として、今後の交渉の経過に待たなければならぬと私は思います。そこで今行き詰まりということを申されましたが、これはおそらくマリク全権がロンドンからモスクワに帰ったことにも関係があるのじゃないかと思います。マリク全権が七月二日にロンドンをたって帰りました。つまり交渉が六月一日に始められましたが、最初の数回は儀礼的のことで、実際の交渉は六月の中旬以後に行われたようなわけでございますが、そこで七月の初めにマリク全権がモスクワに帰った。帰った理由はわかりませんが、またロンドンに再び来て交渉を始めるという約束で帰ったのでございますが、約束通りに十四日に帰って、十五日から、すなわち明日から直ちに交渉々再開するということを申して参りましたから、そこで交渉は行き詰まりには事実なっておらないのでございまして、今後の交渉の発展によってこの交渉が目的を達するかどうか、こういうことになる順序になっております。さようなわけでございますから、今後の発展を一つ十分見守る必要がある、こう思っております。
○北澤委員 日本側が日ソ交渉の最も大きな前提条件とも考えておりまする抑留邦人の引き揚げ及び領土問題につきまして、松本全権が相当強くソ連側に主張しておりますことは私どもも聞いておるのでありますが、これに対しまするソ連側の態度は、領土問題についてほとんど日本の主張を受けつけない。それから抑留邦人の引き揚げの問題につきましても、いろいろソ連側の考えを言っておるようでありますが、ソ連におきまする抑留のドイツ人あるいはイタリア人との関係もあって、ソ連におきまする抑留日本人を全部日本に帰すというふうなことは私は望めないと思うのでありますが、そういうふうな抑留邦人引き揚げ、領土問題についての日本の主張に対しまして、ソ連側がどの程度歩み寄ったか、どの程度妥協の色を示したか、その点を伺いたいと思います。
○重光国務大臣 未帰還者帰還の問題がまだ妥結を見ていないということはその通りでございます。しかしながらソ連もこれを帰さない、日本の要求を拒絶したこともないのでございます。抑留日本人は平和条約ができれば当然これは解決しなければならぬ問題だといって、むしろこの問題についてはソ連も日本側の希望に十分耳を傾ける意向は示しておるわけでございます。これは今交渉中でございますから、交渉の結果が十分わが方の希望に沿うようになるように、一そう努力をすることが必要だ、こう考えております。
○北澤委員 それでは少くも抑留日本人引き揚げの問題については、交渉がまとまれば全部日本に送還せしめるというふうに、まあ大体でございますが、原則はソ連の方で同意しそうな形である、こういうように了解してよろしゅうございますかどうか、重ねてお伺いいたします。
○重光国務大臣 さように期待をいたしておる次第でございます。
○北澤委員 鳩山総理は新聞記者会見などにおきまして、ソ連側は歯舞、色丹は返すであろう、そういうふうなことを述べておられるのでありますが、それではいかなる具体的な根拠によってそういうことを言われるのでありますか。日ソの交渉におきましては、領土の問題にポッダム宣言、その他においてすでに解決済みであるという主張をソ連側はしておるようであります。従って日ソの交渉の経過から申しますと、樺太、千島はもちろんのこと、歯舞、色丹の返還についてもソ連は日本の要求に応じようとする意思がないというふうにこれまでの経過では思われるのでありますが、総理はどういうふうな具体的な根拠によって歯舞、色丹は日本に返すであろうという信念をお述べになったのでありますか、具体的な根拠をお伺いしたいと思います。
○鳩山国務大臣 私はソ連の情報によりまして確証を持っているというわけではございません。ただ理論の上から見て、とにかく歯舞、色丹は千島列島のうちに数えなくて北海道の一部のうちに数えてやった約束もあるのでありますから、千島について問題があっても、歯舞、色丹だけは別の取扱いをするだろうと理論的に考えただけであります。
○北澤委員 ただいまの御答弁によりますと、鳩山総理の個人的な一方的な希望的観測というふうにしか思われないのでありますが、ソ連の憲法によりますと、千島はもちろん歯舞、色丹までも憲法によってソ連領に編入している。ソ連におきましては千島と同じように扱っているわけであります。従って日本側だけにおきまして、歯舞、色丹は千島と違うという希望的観測によって、この歯舞、色丹群島が日本に返るであろう、こういうふうにお考えになることはあまりに甘過ぎると思うのでありますが、ただいまの総理の御答弁によりますと、一方的な希望的観測であるようでありますから、これ以上は追究いたしません。 鳩山総理は過般の総選挙当時におきましては――総選挙の以前におきましても、ソ連はドイツに対しますと同様に、日本に対しましても戦争状態終結宣言を出すであろうというようなことを、日比谷の公会堂か何かでお述べになっておるのでありますが、今日から見ますと、総選挙当時の鳩山総理のソ連の対日態度に関する認識というものは、重大な誤まりを犯しておったのではないかと私は思うのであります。日本の重大な外交方針を決定する、その前提であるべき国際情勢の認識において、根本的な欠陥があったのではないかというふうに私どもは考えるわけであります。この重大な誤まりについては総理はいかなる責任を感じておられるか伺いたいと思うのであります。
○鳩山国務大臣 私はソ連の態度については観察を誤まったことはないと思っております。ソ連は今日まではとにかく世界制覇というような考え方で参ったこともあったのでありますけれども、今日においては世界の平和という方に向っているというように考えておるのであります。たとえばジュネーブ会議におきましても、あるいはサンフランシスコのソ連の演説におきましても、それに対応するアメリカ、イギリス、フランス等の考え方を見ましても、とにかく世界の緊張は緩和せられる方に向いてきたと思うのであります。世界の緊張が緩和する方に向いてくれば歯舞、色丹等の小さい鳥をソ連が欲する理由はないと思います。それですから私はソ連に対しての観察は誤まってないと思います。戦争状態が終結しておらなかった両国の関係から、このたびの松本君との会談によりましても、戦争状態を終結して早く正常化したいということはソビエトの代表者が言っておるくらいでありますから、私のソ連に対する観察というものは決して誤まってはいないと私は確信をしております。
○北澤委員 ソ連が平和攻勢をとっておりますことはその通りでありますが、ソ連が近年平和攻勢に出ておりまことは、ソ連の根本的な世界政策には変更はありませんが、その根本的な政策をなしとげるための手段、作戦として一時的の平和攻勢の戦術をとっておると思うのであります。そういうことから、今回の日ソ交渉におきまするソ連の案を見ましても、桑港平和会議当時のソ連の考えと多少変化はありますが、大きな筋においては変化はない。現にこれは今回のソ連の日ソ交渉におきます提案を見てもそうであります。ソ連がどういう底意かわかりませんが、国際緊張を一時緩和しようとする方向に向っておりますことは総理の御答弁の通りでありますが、この前の選挙のときあるいは総選挙の前にも、ソ連が対日戦争状態終結宣言を出すであろう、こういうことを言った当時の総理のソ連に関する君え方とは、今日から見ますとどうも少しソ連の態度は違う。ソ連が日本との平和、国交正常化を希望しておるのは、その通りでありましよう。その農にはいろいろソ連の底意があると思うのでありますが、まず表面の状況から見ますれば、ソ連が日本との国交回復を考えておるということはその通りでありますが、鳩山総理が日ソの交渉を始めた当時のソ連に対する認識、総理が非常に急いで日ソの交渉を始めようとしたということは、比較的簡単に日ソの交渉はまとまるのではないか、こういう考えでお始めになったのではないかと思うのであります。もしそれが相当長期に二年も三年もかかるということならば、もっと十分の準備をして交渉に臨むべきであります。もし日ソの交渉がおくれるとまた情勢の変化によってどういうふうなことになるかわからぬというようなこともあったでありましようが、非常に急いで日ソの父渉を始めた鳩山総理の腹の中には、やはり日ソ交渉はそう長期化しないで比較的簡単にまとまるだろうと、こういう認識があったろうと思うのでありますが、総理は初めからこの交渉が一年も二年も続くというふうなお考えでお始めになったのかどうか、その点を伺いたいと思います。
○鳩山国務大臣 私はどのくらい時がかかってソ連との話し合いがまとまるかということは、予想はしておりませんでした。しかしこにかくソ連は日本との国際関係を正常化するということには持ってくるものと考えたのであります。とにかくお互いに原子爆弾や戦争の競争をするといりような態度を続けていけば世界は破滅するのでありますから、世界の破滅をこいねがう世界の国民はないと思います。それですから戦争々々といって武器の製造を競争していくというばかげたことは、必ずやソ連でもアメリカでも今に考え直すだろうというような考え方をしておりました。
○北澤委員 ソ連の日本に対する態度についての問題はこの程度にしまして、次の問題に移ります。 ソ連は過般西ドイツに対しましても国交の正常化と、それから西独のアデナウアー首相がソ連を訪問するようにという招請を出したわけです。これに対する西ドイツ政府のとったやり方と、鳩山内閣が日ソ交渉開始に当ってとったやり方を比べますと、そこに雲泥の差があるのであります。鳩山総理はソ連のドムニッキ一氏から非公式に文書を受け取って、それで日ソの交渉を始めた。ところが西ドイツの場合におきましては、パリにありますソ連の大使館から四ドイツの大使館に正式に覚書をもって、国交の正常化と、西独首相のソ連訪問を招請する、こういうような態度、正式のルートをとっておる。日本のように裏口外交をやっておらない。のみならず、西独政府はこのソ連の申し出につきましては、まずもってアメリカその他の自由諸国と十分に協議をした上でないと回答できないと申しまして、さっそくアデナウアー首相はアメリカに渡りまして、アメリカの大統領、英米仏の外務大臣と十分な協議をした上で、自由諸国との連携を密接にとった上でソ連に対して回答を出しておる。しかもその回答におきましては、捕虜の釈放、東ドイツの非承認、ドイツの東部国境を認めない、こういうようなはっきりした条件を出した。しかもドイツはどこまでも中立政策に反対である、こういう線をはっきり出してソ連に回答して、ソ連の申し出に応じておる。ところが日本の場合におきましては、ドムニッキー書簡を受けて、そしてそれに対して十分の準備もなく、また自由諸国とも十分の連絡もなく、不用意に無準備にそれに回答しておる。この西ドイツのやり方と日本の鳩山内閣のやった仕方を見ますと、そこに雲泥の差がある。その準備あるいはその慎重さにおきまして、西独政府のやったことははるかに水ぎわ立って堂々たるものでありますが、私どもはこういう点から考えましても、今回の日ソ交渉に入る日本政府のやり方が軽率であった、準備が十分でなかったということを痛感せざるを得ないのであります。今後この日ソ交渉を成功に導くためには、日ソ交渉だけを切り離してもこの成功はおぼつかない、結局どうしても自由、共産両陣営全体としての関係の調整が必要である、これと切り離して日ソの交渉だけをやってもなかなか成功はおぼつかない。そこで結局この十七日からゼネバで開催されます四国巨頭会談とにらみ合せをしてやらなければ、ソ連としても日本としましても踏み切った交渉はできないのじゃないかと私は思うのでありますが、そういう点から考えますと、私どもは、やはり西独のアデナウアー首相がとったように、自由主義陣営と十分な協議をして、その強力な支持のもとにソ連との交渉を始めた方が、日本の主張を貫徹する上において有利でなかったか、こういうふうに考えるわけでありますが、その点についての鳩山総理と外務大臣のお考えを伺いたいと思います。
○鳩山国務大臣 私はソ連との交渉を開始する時期を誤まったとは思っておりません。あなたのおっしゃるように、ジュネーヴの巨頭会議がやはりアジアの方の問題にも影響があるということは、あなたと同点見であります。ジュネーヴの方が世界平和の方に一歩具体的に進めば、ソ連との交渉もいい方に一歩進むものと私は考えております。
○重光国務大臣 総理大臣のお答えによって尽きておるように考えます。お話の通りに、日ソ交渉の両陣営の大きな外交の一部分である、こう見ることは、私は客観的に見て正当だと思います。そこで、一つが他に影響を持つことは当然のことであります。特に大きな、世界政局を左右するようなこのジュネーヴ会議こういうものが世界政局の一部分である日ソ交渉に影響を持つということも、これは見やすい理屈であります。さようでありますから、わが方といたしましては、ジュネーヴ会議に対して、どうしても非常に注意深くこれを観察をしなければならぬのであります。その無味におきまして、また日ソ交渉自身につきましても、これは御承知の通りに、日本が自主的にやっておるわけでございます。日本が日本の立場を持ってやっておるわけでございます。すなわち自由諸国のだれからも制肘を受けるわけでございません。すなわちアメリカから制肘されておるわけでも何でもないのであります。しかしながら、さような世界の大きな動きの一部分であるこの交渉に当っては、自由諸国のおもな国々とは十分に越路をし、また情報の交換もして進めなければならぬ、こういうことはこれまた当然なことでございまして、その方面についていやしくも抜かりがあってはならぬと考えて、努力をいたしておる次第でございます。
○北澤委員 今後日ソの交渉がどういう運びをするか予想はむずかしいのでありますが、鳩山内閣は、今後の日ソ交渉におきましても、あくまで懸案解決に関する日本の要求を貫徹する方針でありますかどうか、この点念のために伺っておきたいと思います。
○重光国務大臣 平和を回復するために必要なる問題の解決はぜひやりたいと思って、今交渉でそれに全力を尽しておるわけでございます。目的を達したい、こう考えております。
○北澤委員 もし日本が懸案解決に関する日本の主張を貫徹しよう、簡単にソ連の主張に同調しないというふうでありますならば、日ソの交渉は相当長期化する、こう覚悟しなければならないと思うのであります。重光外務大臣も、日ソ交渉は相当長くなるだろうというようなことをどこかでお述べになっておるのでありますが、この交渉は相当長期化する、こういうふうに政府は考えておりますか、この点伺っておきたい。
○重光国務大臣 政府といたしまして、まだその観測をはっきりつける段階には至っておらぬと思います。また長期といい短期といい、その期間はちょっとわかりません。しかしながら、すでに一ヵ月以上を要しておることは御存じの通りであります。今後も相当な時間を要するだろう、私はこう観察します。しかし、それは何も交渉が行き着かぬとか、できなくなるとかいうふうに即断することは適当ではないと思います。わが方の方針はきまっておるのでありますから、その方針の貫徹のためにあらゆる努力を尽して先に進んでいくことがいいと考えておる次第でございます。
○北澤委員 鳩山総理は、新聞記者会見などで、憲法改正と日ソの交渉は自分の手でやりたい、こういうふうに育っておられるのでありますが、そうしますと、日ソの交渉がいかに長期化しましても、それが成功するまでは鳩山総理は政権を担当するというお考えでありますかどうか、この点をはっきり伺っておきたいと思います。
○鳩山国務大臣 私は先のことはよくわかりません。
○北澤委員 それでは新聞記者会見で、日ソの交渉はぜひ自分の手でやりたい、こうお述べになったことは間違いでありますか。
○鳩山国務大臣 私は私の希望を述べたのであります。
○北澤委員 それでは総理の個人的希望ということに了解しておきます。 今後の日ソ交渉の運び方につきましては、だれもわからない問題でありますが、日ソの国交回復ということは、鳩山内閣が政治的生命をかけた重大な公約であります。鳩山さんは、日本に民主政治のルールをしくとよくお述べになっておりますが、民主政治の基本は責任政治でありまして、責任政治のないところに民主政治がないことは御存じの通りであります。もしこの交渉が相当長期にわたっても妥結しないというふうなことでありますならば、これは鳩山総理といたしましては、政治的生命をかけた重大な公約であるだけに、これに対しては深甚なる考慮を払わなければならないと思うのでありますが、その点について伺っておきたいと思います。
○鳩山国務大臣 北澤君のおっしゃる通りであります。
○北澤委員 それでは日ソ交渉の問題は以上にします。 次に先ほども外務大臣お述べになりました四巨頭会談につきましてお尋ねをしたいと思います。いよいよ十八日から、十年ぶりで英米仏ソの四巨頭会談が行われるわけでありますが、この十年間におきます国際情勢の変化は大へんなものであるのであります。従来しばしばうわさに上りながら実現しなかった四巨頭会談、西欧側の方からこの巨頭会談を開催したいという申し入れに対しまして、ソ連がこれを受け入れたその背景はどういうようなことであるか。従来行わるべくして行われなかった四巨頭会談が、十年ぶりに行われますその背景につきましては、一体外務大臣はどういうようにお考えになりますか。この会議が行われるその背景のいかんによって、この会議の成果というものが大体予想がつくと思うのでありますが、どういうふうなことでソ連がこの巨頭会談の希望に応じたか、その点を外務大臣にお伺いいたしたいと思います。
○重光国務大臣 巨頭会談がジュネーヴで十八日から行われるようになった背景は何であるかということは、十年間もいわゆる冷たい戦争を熾烈に続けてきた、いつ火花が散るかわからないというところまできておった、火花が散れば原子爆弾の戦争となって、これは世界の破滅まで考えなければならぬ、こういうことになりますと、両陣営のいずれの方面においても、人類のために何とかこれを避けたいという気持が起るのは、私は当然のことと思う。またその気持が高じてきて、人類の生一存のために平和をつなぎとめなければならぬ、こういうことで双方の考え方か平和維持の方向に――まだ平和が来たと断言することは早いと思いますが、少くとも平和を持ち来たすために努力しなければならぬといって、指導の大国がその責任をとって、巨頭会談を開催するというところまで運んできた。こう考えておる次第でございます。
○北澤委員 そういう事情でこの巨頭会談が行われるということになりますれば、現在の国際関係緊張の状態は、この会談によって一そう緩和される、こういうふうに大体予想して間違いないのでありますかどうか。
○重光国務大臣 この会議のいきさつ及び性質、どういうことが議題になるかというようなことについては、私どももずいぶん目を見開いていろいろ情報も集めてみました。各方面から情報が集まっておるわけでございます。しかし結論を申し上げれば、今度の巨頭会談では特別にかような成果をあげるということ、たとえば条約をこしらえるというようなところがねらいでないようでございます。なればそれに越したことはないとみんな考えているようでございますが、それよりも、何よりも両陣営の衝突を避けて、その間に平和維持の空気、世界平和の空気を作っていこう、その方向に進めていきたい、こういう希望によってできておるようでございます。そういうわけでございますから、私はこの会談によって少くとも世界平和をつなぎとめるという方向に空気が動くものだ、こういうふうに考えてしかるべきものだと思います。
○北澤委員 この会談におきましては、ドイツの統一の問題とか、軍縮の問題とか、東西貿易の問題、いろいろな問題が取り上げられると思いますが、われわれとして最も関心を持っておりますのは、極東問題がこの会議の議題になるかどうかという問題であります。アメリカの方では、この会談におきましては極東問題を取り上げたくないという希望のようでありますが、ソ連側におきましては、極東問題、たとえば中共の問題、台湾の問題をこの会議で取り上げたいというふうな意向のようであります。ソ連側の新聞、通信簿を見ましても、台湾問題をどうかしてこの会議に持ち込みたいというような希望が現われているわけであります。もしこの会議に極東問題が取り上げられることになりますれば、日本にとって非常に重大な関係があるのであります。日本の知らないところで極東問題が議せられるというふうなことは、日本としましてはがまんができない問題だと思うのであります。ヤルタ会談のように、日本の知らない間に日本の領土などが処理されるというようなことは、とんでもないことでありまして、従ってもし極東問題がこの会議で取り上げられる場合には、事前に十分に日米の間に連絡をとげて、日本の意向が米国を通じてこの会議に反映されるようにしておく必要があると思うのでありますが、この点について外務大臣のお考えを承わりたいと思います。
○重光国務大臣 私も今の趣旨には全然同感でございます。さような手段をとっておるわけでございます。なお少しくその間の事情を御説明申し上げると、お話の通りに、米国側は極東問題を議題に上せたくないという意向のようでございます。特にアメリカとしては利害関係国の参加なくして、その国の利害に関することを討議し、決定するようなことは絶対に避けたいという意向をはっきり表示いたしております。大体この考え方は自由陣営と申しますか、イギリス側もまたフランス側も、大体同様じゃないかと思います。そこで自由陣営の方は、御承知の通りに、軍縮問題、それからヨーロッパの安全保障問題、それからドイツの統一問題、大きく三つに分けて考えておるようであります。しかしそれは自由陣営の面の話でございます。ソ連側はどう考えておるかということになりますと、これは直接の連絡はわれわれにはないのでございますが、いろいろ意志表示によって判断をいたしますと、極東の問題も議題に上せたいという意向のあるように反映しておることは、お話の通りでございます。さような場合に、それではどうなるかということになりますと、これはアメリカ側としてはソ連がこれを持ち出す場合においては、その議論をしなければならぬのは当然のことでありますが、しかし極東問題の内容にわたって討議をすることは避けたいという意向のようであります。それはどういうことになりますか、ソ連側の希望を達成するということになりますれば、また別に会議を開くというようなことになりましょうか、いずれにしても内容の問題、サブスタンスの問題については討議がないと予期しておることははっきりいたしております。しかしながらさような情勢でありますから、お話の通りに、日本側の利害関係が直接関係を持つことがなくても、この極東問題全般のことについては、日本は重要な利害関係国でありますから、日本側の考え方も十分に特にアメリカ側には頭に入れて、そして十分日本側の利害をも考慮してもらうということは、当然の外交上のやり方だと考えております。さようなことに努力をしておることを申し上げて、私のお答えといたします。
○北澤委員 今回の巨頭会談によって国際緊張関係が一そう緩和され、もしさらに進んで台湾問題等の極東問題が多少なりとも解決の方向に向うということになりますと、これは日本にとって政治的にも、経済的にも非常に重大な関係があるわけであります。特に私が伺いたいのは経済の面でありますが、大蔵大臣も通産大臣もおられますから、両大臣に伺いたいと思います。近年来通貨の交換性の回復、それから貿易自由化の問題、今度日本がガットの協定に参加するというようなことによりまして、さらに貿易自由化の方向が強化されるわけでありますが、こういうことによりまして世界の貿易競争というものがだんだんと激しくなって参っておりますところへ、今度の巨頭会談によって、さらに国際緊張の状態が緩和されることになりますと、世界的に軍需工業から平和産業への移行というようなこともだんだんと行われるわけでありまして、そういうわけで国際貿易上におきます競争はだんだんと激しくなると見なければならぬと思います。それと同時に日本としましては、特需あるいは域外買付というようなものはだんだんと期待することができなくなる、こういう状態でありますので、従って日本にとっては経済的に大きな影響があると思うのであります。まず通産大臣に伺いたいのでありますが、こういうふうに国際の貿易競争が激しくなりますれば、どうしても日本の産業貿易の競争力を培養することが、今日は急務中の急務と思うのでありますが、これに対しまして通産大臣はいかなる対策を持っておられるか伺いたいと思います。
○石橋国務大臣 日本の産業の国際競争力を強化しなければならぬということはむろん今さらの問題でなく、もうかねがねやらなければならぬことで特需の減ることも覚悟しておるわけであります。それについては各種の方法を講じております。今年度の予算においても十分とは言えないとしましても、やはりその方面に相当の努力を払うように御協賛を願った。たとえば昨年まではプラント輸出については、ある種の特別のリンク制みたいなものをやっておりましたが、そういうようなものはこの際全部やめる。しかしながらそれでは日本のプラントの輸出に支障を来たすということに対しましては、海外から見て特別の保護というふうにならない限りにおいて間接的ないろいろな援助を与える、重機室というようなものを設けて、アフター・サービスその他のサービスについての助力をする、あるいは中小企業に対してはその設備の近代化を援助する、あるいは見本市その他によって海外との連絡をよくするとか、かような手段を通産省としては講じておるのであります。そのほか経済外交については言うまでもなく、これは外務省の方に交渉をし、お願いをしまして、その点にも努力をいたしておる、かような各般の方面から総合して全体の日本の輸出産業の強化をはかる方針であります。
○北澤委員 今いろいろ通産大臣からお答えもあったのでありますが、日本がガットに加入しますと、貿易増進のための補助とかなんとか、そういうものはできなくなるのであります。先ほどもリンク制ができないというふうなお話があったわけでありますが、私も、こういうふうな国際経済情勢から日本の産業の競争力を培養するためには、どうしてもやはり産業の合理化、特に最近問題になっております生産性の向上ということか最も大事だと思うのでありますが、こういう生産性向上といり面におきましては、まだ日本はアメリカその他の国に比較して相当遅れておるのであります。今通産大臣は貿易の促進に対する通産省の政策をお述べになったのありますが、国内産業の合理化、特にコストの引き下げについては一体どういうふうな考えを持っておられるか、この点かお伺いしたいと思います。
○石橋国務大臣 生産性を向上させるために、本年度から生産性向上本部なるものを――これは民間団体でありますが、政府もある程度援助しまして、そして生産性の向上の運動を起す、それだけのために海外視察をする、あるいは海外からしかるべきチームを呼んで日本の指導に当らせる、かようなことをいたすことが直接の生産性向上でありますが、そのほかコストの引き下げについては、たとえば現在商工委員会で審議を願っております石炭の合理化でありますとかいうようなものも、基幹産業中の基幹産業である石炭のコストを合理的に下げるということが、すなわち全体の産業のコストを下げる、合理化に寄与するものと考えます。そのほかさような各方面においての処置をできるだけ講じておるわけであります。
○北澤委員 先般通産省から発表されました本年の一月から六月までの貿易の実績によりますと、本年上半期の輸出貿易は非常に好調でありまして、この調子で行けば本年の年間の輸出貿易は十七億から十八億ドルに行くであろう、こういうふうな新聞の発表があるのでありますが、今年の前半は、今申しましたように、非常に好調を続けて参っておりますが、通産大臣のお見通しでは、今年の下半期以降もこういうふうな調子で日本の貿易というものが行くものでありますかどうか、見通しを伺っておきます。
○石橋国務大臣 大体において私はこの上半期の調子が続き得る、こう楽観しておりますが、それにはやはり日本も輸入をしてやらなければならぬ、輸出だけしようとしてもなかなかできませんから、たとえば英国あたりの関係でも大いに輸入を――昨年から英国は自由化しまして、おかげで日本の輸出が英国にはだいぶふえたのであります。しかし日本の方は相当制限をしておる、こういうような矛盾がありまして、やはり日本側もある程度の犠牲を払う――犠牲というかどうか知りませんが、とにかく輸入をふやしてやる、こういう努力をしていかなければなりませんので、ただいまこれもなかなか国内産業との関係がありまして、いろいろ矛盾があり、むずかしい問題ではありますが、できるだけ輸入も各方面からふやして輸出を増進する、かような政策をとっておりますから、私は、今後の日本の輸出はまず上半期の調子を続け得るもの、かように楽観をしております。
○北澤委員 今年上半期の貿易の実績によりますと、オープン・アカウント地域はあまりよくないのでありますが、ドル地域、ポンド地域に対する日本の輸出は相当伸びております。これをさらに伸ばすためには、今通産大臣がお答えになっておりますように、輸出輸入貿易を拡大均衡に持っていって、両方をふやすということが最もよいと思いますので、今行われております日英貿易会談等におきましては、大臣がお答えになりましたように、やはり日本の輸出をふやすために輸入もある程度ふやして拡大均衡に持っていく、こういうふうにぜひお願いしたいと思うのであります。 そこで次に大蔵大臣に伺いたいのは、これまで申し上げましたようなこういう情勢でありまして、国際間の貿易競争というのは激しくなるわけでありますが、それに関連して伺いたいのは、ポンドやマルクの西欧通貨の交換性回復の問題でございますが、昨年あたりはこれが早目に実現するというふうに報道されておったのでありますが、その後の情勢によると少し足踏み状態であるようであります。もしこういうポンドやマルクが交換性回復になりますと、これがやはり貿易の自由化の方向に拍車をかけて、先ほど申しましたような、貿易競争をさらに激化するわけでありますが、この西欧通貨の交換性回復の問題についての最近の動きにつきまして、ちょっと御説明を願いたいと思います。
○一萬田国務大臣 この世界の主要国の通貨の交換性回復につきましては、いろいろと原理が要ることは申すまでもございません。従いまして各国の経済のその後の推移、また世界経済全体としての動き等によりまして、時間的にいろいろとずれが生ずると思います。そういう意味におきましてポンド等の交換性が一時に比べて若干表面的にどうだか、少し遅れつつあるかのような感じを持つのでありますが、しかし私はこれは着々と準備が進んでおる、かように考えて、これに対応して日本としては一層自国の通貨価値を安定維持していく、この大きな線を打ち出していかなくてはなるまい、かように考えております。
○北澤委員 時間も迫っておりますので、次の問題に移りますが、次に中共の問題について簡単にお伺いしたいと思うのであります。鳩山内閣が非常に重点を置かれております中共貿易という問題でありますが、政府が宣伝されるほどに実績は上っておらないようでありまして、昨年は大体中共に対する輸出が二千万ドル程度でありますが、本年はこれが三千万ドル程度いくかどうかというふうなところだと思うのであります。中共貿易を促進するということにつきまして私はもちろん賛成でありますが、中共問題を考える場合におきまして、鳩山内閣は中共貿易を増進するという一面だけを見て、他の一面を見ておらない、こういうふうに私は感ずるのであります。と申しますのは、中共が近年政治的、経済的に東南アジア方面にだんだんと進出をいたしまして、日本のおそるべき貿易上の競争相手になりつつある、こういう事実なのであります。政治的に申しますと、インドシナのホー・チミン政権を抱き込んだり、あるいはインドネシアの共勢産力の伸張をはかったり、あるいは千二百万の南方華僑を通じて、経済的、文化的に東南アジアに勢力の伸張をはかっている、こういうふうなことでありますが、これと相並んで東南アジアに貿易上の進出をはかっている歴然たる事実があるのであります。ことにこの東南アジア市場に対する足場である香港の市場を見ますと、最近中共がダンピングか何かわからぬのでありますが綿製品などを日本の品物より養い値段で香港市場にどんどん出しておる、こういうふうなことで、日本の東南アジア貿易におきましては、中共がおそるべき競争相手になってクローズ・アップしてきているというのが現状であろうと思うのであります。過般の中共の人民大会の報告におきましても、経済五ヵ年計画案によりますと、初年度の一九五二年に比べて、最終年度の一九五七年になると、中共の工業総生産高は九八・三%増加する、大体倍になる、こういうふうなことでありまして、その生産が非常に増強される。しかもこの増強された生産力をもって、共産主義国にあります強制労働あるいは飢餓輸出等によりまして、使い価格でこれが東南アジアのマーケットにどんどん出るということになりますと、これは日本の貿易にとって重大な脅威を与えることは明らかなところであります。これに対しましては日本は早きに及んでこれに対する対策を峰えなければならぬと思うのでありますが、政府は中共との貿易増進という面を考えて、他面の中共が日本の貿易上の競争相手になるという点を少し軽く見ておるのではないかというふうに思うのでありまして、こういうふうな中共が日本の貿易土の競争相手であるという点に対しまして、政府はどういう対策を持ってやっておるか、この点を伺いたいと思うのであります。
○重光国務大臣 今御指摘の点は、私、日本の将来の貿易関係にとって非常な重大な問題だと考えております。私どももいろいろ情報は集めて大体お話しのような状況にあることを結論せざるを得ないのでございます。そこでどういうふうな対策があるか。中共が一生懸命に国内を整備して、そして対外的に貿易等において進出する、こういうことは防ぐ道はないと思います。またそれは勉強の結果だとも甘えるわけでございます。それならばどういう対策があるかというと私はやはり日本も同じような勉強をしていかなければならぬと思います。これに対抗し得るような努力をしなければいかぬ。でありますから、中共が東南アジア諸国との関係を改善することに非常に努力しておる、さようなことは日本としてもぜひやらなければいかぬ。すなわち東南アジア地域の各国との間の平和関係をすみやかに回復し、また樹立をしなければならぬと考えております。これがつまり賠償問題などの解決が急がれるゆえんでございます。さようなことで、これは国内的に生産向上等の努力を大にすることはむろんのことでございますが、私外務当局といたしましては、東南アジア各国との間にますます緊密な関係を結んで、そして貿易促進にこれが役立つように進めていきたい、こういうふうに考えて努力をいたしております。
○北澤委員 次に日韓関係について簡単に伺いたいのでございます。あらゆる見地から見まして、日本と一衣帯水の関係にある韓国との善隣友好関係を樹立することの必要なことは申すまでもないのでありますが、最近韓国におきます排日運動等に見られるように、両国の関係が悪化しているように見られますことは、まことに遺憾しごくであります。その原因についてはいろいろあるでありましょうが、一つは鳩山総理が北朝鮮と経済、文化の交流をはかるというようなことを言明されたこと、またソ連、中共に対する鳩山内閣の政策等が韓国側を刺激したことは争われない事実と思うのであります。いずれにしましても、この韓国との関係を一日も早く打開して国交回復をするということは、最も大事であると思うのでありますが、新聞報道を見ますと、過日在日アメリカ大使のアリソン氏が韓国に参りまして、そうして日韓関係の局面打開について奔走したというふうに伝えられておるのでありますが、一体その結果韓国側の反響はどういうものでありますか。依然として日韓関係については局面打開のめどが立たないものでありますかどうか、この点について外務大臣から御説明願いたいと思います。
○重光国務大臣 日本にとって最も必要な日韓関係がわれわれの希望の通りに参っておらない現状はまことに私は遺憾に存ずる次第でございます。しかし日韓関係を改善して国交の正常化をはかる、こういう方針は少しも変っておらないので、あらゆる努力をしていきたいと考えて、おります。 それから米国大使が朝鮮に行かれたことに言及されましたが、米国が日韓関係の改善に非常に興味を持っておるということは、これは御推察にかたかぬことでございます。単に軍事上の点だけというわけではなくて、これは当然なことでございます。しかしながら米国大使が朝鮮に行かれたことは、何も日本側の依頼とかいうようなことに関係を持って行かれたわけではございません。そして向うに行かれて李承晩大統領等に会った状況をも私はごく内密な話として伺いました。伺いましたけれども、それについて特に日韓関係が従来と変ったような結果をそのためにもたらしたということは何も伺っておりません。従いまして日韓関係は今まで思う通りに参っておらない事態が続くのでございますが、これを何とかして打開するようにいたしたいという方針をもって考案をし、また苦心をしておる次第でございます。
○北澤委員 韓国側が日本に対しましていろいろ誤解を持っていることが一つの原因と思うのでありますが、それについては先ほど申しましたように、今の鳩山内閣が北朝鮮との関係を考えておるとか、あるいは輔国が最もいやがる北朝鮮とか中共あるいはソ連というようなものに対して日本が接近政策をとっているというふうなことが、韓国側に与えている誤解の最も大きなものであると思うのであります。こういう日本の対ソ方針なり対中共方針というものにつきまして、十分韓国側に説明して、誤解を取り除くということも一つの方法じゃないかと思うのでありますが、そういう点について一体政府はどういうような措置をとっておられるか伺いたい。
○重光国務大臣 もとよりそういう措置をとりますことは必要でございます。またそういうことについて誤解のないように十分の説明をいたしておるわけでございます。いずれにいたしましても朝鮮が南北に分れておるような現状は、最も日本としては遺憾しごくでございます。一日も早くこういうような状態がなくなることは希望いたしますが、それは今すぐ実現する模様も見えません。そこで日本としては最も近くの韓国、これは国際連合も承認しておる韓国、日本としても事実上承認をいたしておるこの韓国、これと十分に国交の正常化をはかるために努力をする。こういうことは当然のことでありまして、あらゆる誤解を一つ一掃してその方向に向けていきたい、こう考えております。
○北澤委員 時間もありませんから、次に日比賠償問題をお尋ねしたいのでありますが、これは省略しまして、最後の日米関係につきましてお尋ねしたいと思います。鳩山総理及び重光外務大臣は、あらゆる機会におきまして日米協力関係を強化する、こう言明しておられるのでありますが、私どもの見るところでは、どうも残念ながら両国の関係は、何かしら冷たいものがあるように思われるのであります。政府がせっかく日米関係を強化すると申しながら、実際は、これに沿わないというふうに考えなければならぬでありますが、政府は日本の外交の根本路線とも申すべき日米協力関係を強化するにつきまして、一体どういう具体案を持っておられるのでありますか、これをまず総理大臣、また外務大臣から承わりたいと思います。
○鳩山国務大臣 私は、日米関係は決して親交関係を失っていないと思っております。アメリカは日本の行き方についてよく了解をしておるものと確信をしております。詳しいことは外務大臣からお答え申し上げます。
○重光国務大臣 お話の通りに、今日日本の再建をやっていくためには、日米関係維持、強化が必要であるということは、当然のことであろうと思います。そこで最も必要なことは、日米における協力関係を妨げるような誤解もしくは必要のない故障などは、これは取りのぞかなければならぬと考えております。さような手段を着々とっていって、そして日米の関係、特に経済関係等について協力する余地が非常にあるのでありますから、その方面に積極的に進めていきたい、こう考えております。
○北澤委員 鳩山総理は、日米関係は悪くない、こう御答弁になったのでありますが、アメリカの世論調査などを見ますと、必ずしもそうでないのであります。過般行われました米国のある世論調査によりますと、百人の米国人の中で十二人ないし二十二人は、日本は信頼できる同盟国だ、こういうふうに見ておりますが、七人ないし十人は、日本は敵である、最も多くの三十五人ないし四十人は、日本は友好国ではあるが、全面的には信頼できない、こういうふうな世論調査の結果が出ておるのであります。日本の政府と米国政府との間には、あるいは連絡によって了解ができておるかもわかりませんが、米国の民間、米国の世論から申しますと、私どもはやはりこの世論調査の結果が示しまするように、日本に対して必ずしも信頼しておらないというふうに思うのであります。そこで私どもが考えますことは、どうも政府のやっております対米外交というものは、米国政府だけを見て、あるいは米国政府との交渉に重きを置いて、世論の国である米国の世論、あるいは国会、こういう方面に対する工作が軽視をされている。こういう結果、米国の世論におきます対日感情と申しますか、そういうものが冷たい状態を示している。こういうふうに思うのでありますが、これについて外務大臣はどうお考えでありますか。
○重光国務大臣 もしさような御批評があるならば、これは十分反省していきたいと考えております。そしてさようなことのないように、また一そうそういう方面にも努力をいたしていきたい、こう考えております。
○北澤委員 これは新聞の記事ばかりじゃありませんので、私どもの知っております米国の責任者も、どうも日本の外交政策というものははっきりしない、日本は洞ヶ峠をきめ込んで、米ソ両方から利益を得んとするものである、こういうふうなことを米国の責任者が新聞に言っているのであります。また米国ばかりじゃありませんで、在京のある国の大使のごとき、私は直接に聞いたのでありますが、どうも今の鳩山内閣の外交はダブル・トークで、二枚舌外交である。こういうことから外国の信頼が失われているのである。こういう批評が新聞ばかりでなく、よその国の責任者からも言われているのでありまして、結局鳩山内閣の外交方針が、ふらふらしたいわゆる二面外交で、一体どこを目標にして鳩山内閣の外交が向っているかはっきりしませんために、いろいろな誤解を与えている。こういうことはアメリカの世論にも大きな影響がありますので、一つこういう方面につきましては、日本がはっきりした外交方針を持って、これを米国の世論にはっきり宣明するというふうな措置をとることが最も大事である、こういうふうに思うのであります。そこで伺いたいのでありますが、政府も対米関係をよくしようということでいろいろお増えになっているわけでありまして、あるいはそのために鳩山総理、あるいは外務大臣、あるいは与党の民主党の首脳者がアメリカに渡る、こういうふうな新聞記事が出ているのでありますが、そういうふうな計画があるのでありますかどうか、伺いたいと思います。
○三浦委員長 ちょっと北澤さんに御相談いたしますが、今通産委員会の方で採決したい、それで通産大臣の出席を求めて参りましたが、御退席を御了承下さいますか。
○北澤委員 けっこうです。
○重光国務大臣 現政府の外交方針は、これは繰り返し繰り返し宣明してある通りでありまして、いろいろ今言われるような非難を受ける理由は、私はないと考えております。すなわち、あくまで米国との協力関係を基調とするということを、繰り返して申しているわけであります。しかしながらそれと同時に、世界平和の具現に少しでも貢献をしたいという理想を離れることはできないのでございます。従いまして、わが国と戦争状態にある国々との間の関係は、これは平和を回復したい、こういう方針をとって進んでいるわけであります。これを二枚舌外交と言うならば、これは批評が誤りじゃないか、断じてそういうことはないと私は思います。また日本の国際間における地位として、さようなことは、それは考えても行われることじゃないと思います。これはまっすぐ、誠実に、その宣言をした方針を進んでいくことが最も必要なことである、われわれはさように心得ているわけであります。従いまして、そのことについては今後ともこれについて十分に一つ努力をしていきたい、こう考えておるのであります。
○北澤委員 政府の方では外交方針ははっきりしておる、これを誤解する方が悪いのだ、そういうふうに責任を他に転嫁しておられますが、これは私どもから見ましてもどうも頭が悪いせいか、今の鳩山内閣の外交は二面外交、二また外交、自由主義陣営と共産主義陣営の中間に立ってやろう、こういうふうな方針のように見られるのであります。そうするとこの誤解は私どもから見ますと無理のない誤解と思うのでありまして、これについては、政府の方におきましては今後はっきりした外交方針を立てて一このごろは鳩山内閣の外交方針もだいぶはっきりして参りまして、組閣当時に比べまして改善されてきたようでありますが、これをもっともっと明確な外交方針を打ち出して、世界に誤解のないように今後とも全力を上げてもらいたいと思うのであります。 次に申し上げたいのは、日米関係強化についていろいろな問題があるのであります。これについては日本側でやるべきこと、それから米国側でやるべきこといろいろあるのでありますが、米国側におきましては沖繩の問題とか、小笠原の問題とか、戦犯釈放の問題とか、あるいは日本の経済貿易に関する協力の問題とかいろいろあるのでありますが、日本側としてまずもって考えなければならぬことは、私は日本がはっきり防衛計画を立てて、日本が自衛力の漸増について誠意を示す、これが私は日米協力関係改善の根本だろうと思う。これがきまらぬから、日米外交協力関係がなかなか前進しないのだ、こういうふうに思うのであります。ことに日本側の防衛計画がないために、いかにも米国の指図によって日本の防衛計画が左右される、こういうような印象を国民に与え、そのために国内の反米感情に刺激を与えておるというふうに考えますので、私はこの日米協力関係を打開する、改善する、強化するにまずもって大事なことは、まず日本側がはっきりとした防衛計画を立てて、米国と協議をするということが大事であろうと思うのでありますが、これについて政府はどう考えておりますか、伺いたい。
○重光国務大臣 私は今御指摘の点は非常に重要な意義を持っておるものと考えます。日米関係は、言うまでもなく条約によりまして共同防衛の責任に立っておるわけでありますから、日本としては独自の見解において防衛計画がなくてはならぬわけであります。しかしそれがために政府としては国防会議の創設を急ぎ、防衛計画に努力をいたしておるわけでありますが、そういうことが進んで参りますならば、米国との防衛問題に関する関係は非常に明朗になってくると考えておる次第でございます。
○北澤委員 そういうふうに、政府は防衛計画を立てることが最も大事であるというお考えでありますが、しから、はいつごろこの防衛計画というものは立つのでありますか、念のために伺っておきます。
○鳩山国務大臣 国防会議が成立をいたしましたならば早速にきめたいと思います。
○北澤委員 日米協力のもう一つの点は、結局日米協力をして東南アジアの経済開発に努力するということが、日米協力の最も大きな点だと思うのであります。それにつきましては、昨年吉田前総理がアメリカに参りまして、アイゼンハウアー大統領その他米国首脳者と会談の結果共同声明が出まして、そうして日米両国が協力をして東南アジアの経済開発に協力する基本線が出ておるわけであります。当時米国方面の空気では、米国が東南アジアの経済開発に非常に乗気であったように思うのでありますが、どうもその後鳩山内閣ができましてから、鳩山内閣の外交方針がソ連、中共の方に重きを置いて、東南アジアの方がどうかすると少し軽く見られるというふうなことがあって、米国の東南アジア開発に対する熱意が少しさめておるというふうに私どもは思うのであります。誤解であればけっこうでありますが、私どものいろいろ調査したところによりますと、鳩山内閣成立以来米国の東南アジア開発に対する熱意は冷却をしておるというふうに私は言わざるを得ないのであります。私どもの見るところでは、結局根本的に考えて、日本は海洋国であって、アジア大陸に対する昔のはかない夢はやめて、やはりどうしても日本は目を南に向けて、東南アジア経済開発に全面的に協力をするということが今後の日本の生きる道であり、日本の外交政策の根本でなければならないと思うのでありますが、政府におきましては、この東南アジアの開発について日米が協力する、東南アジアの開発ということは、日本から申しましても、米国から申しましても、また世界全体から申しましても絶対に必要なことでありますので、日米両国が協力をしてこの東南アジアの経済開発に協力するという大きな線を、もっと政府が積極的に押し出すようにすることが必要であろうと思うのでありますが、この点に対する政府のお考えを承わりたいと思います。
○重光国務大臣 御趣旨はごもっともに伺いました。東南アジア開発の問題について日米が協力をしたいということは、むろん日本だけでなく、米国側も十分に同意をし、またその方向に進んでおるわけでございます。それは前内閣後においても少しも変りはございません。今東南アジアに対するアメリカの経済開発の努力が薄らいでおるように思われる、こういうふうに言われましたが、東南アジアの開発といっても、これは開発する方のアメリカなり日本側だけの意向ではできません。開発されると申しますか、受け入れ地域の意向が重要でございます。そこで米国はどういう考えを持つか、受け入れ地域の状況を十分にしんしゃくしなければならぬ、こういう考え方をもって、昨年末でありましたか、スタッセン長官がみずから東南アジアを視察したわけでございます。その結果アメリカ側としては、アメリカが表面に立つよりも、むしろコロンボ計画を通じて東南アジアの開発に進んでいく方が、実際的であるという結論を出した模様でございます。そこでシムラ会議がいつでしたか、数ヵ月前にあったことも御存じの通りであります。しかし東南アジアの各国は、むしろ米国の援助はさような機関を経て一緒にやるという建前よりも、各国別々にやってもらいたいという考え方が圧倒的であったようでございます。しかしこれは各国と米国との関係でございまして、それはそれにいたしておきまして、近くシンガポールで、コロンボ会議を将来どう進めていくかということに対するコロンボ会議関係国の会議がございます。これは日本も参加しておるわけでございますから、これには十分力のある人を派遣して、そうしてコロンボ会議を通じて東南アジアの開発をやるというこの根本方針を進めていきたい、こう考えておるのでございます。そこで東南アジア各国の意向を尊重せずしては、アメリカもなかなか思う通りに計画を進められないのでありまして、そのことはアメリカの計画が非常に進んでいないように映っておる大きな原因だと思います。それは決して日本政府の方針にかかっておるわけではございません。そのことを明らかにしてお答えといたします。
○北澤委員 それでは結論に入りまして、これで私の質問を終ります。 以上いろいろ政府の外交方針につきましてお尋ねしたのでありますが、これを要しまするに、鳩山内閣におきましては、日本の置かれております国際的地位というものをよくきわめないで、外交面において無理に吉田内閣と違った線を出そうとして、日ソ交渉あるいは対中共方針等に見られますがごとく、自由陣営と共産陣営との間に処して、いわゆるどっちつかずの二面外交をやる。鳩山総理は衆議院におきまする答弁におきましても、ソ連、中共と友好関係を結ぶ、単なる国交の正常化よりも、さらに進んで友好関係を結ぶ、こういうふうに言っておられるのであります。これは明らかに国交回復よりさらに一歩前進したことであります。こういうふうなことが、結局日本が両陣営の間に処して洞ヶ峠の外交をやろうというような誤解を与えて両陣営の双方から信頼を失い、八方美人の外交がかえって八方ふさがりの外交になっておる、こういうふうな現実の姿じゃないかと私は思うのであります。こういうことから、日本の外交方針につきまして内外の信頼を失っておるように私どもは見るのでありますので、どうぞ政府におきましては、先ほども申しましたように、日本の明確な外交方針というものを出されて、そして日本内外の誤解を一掃されますように、この上とも努力されんことを要望しまして、私の質問を終ります。(拍手)
○三浦委員長 勝間田清一君。
○勝間田委員 私は、日本社会党を代表いたしまして、総理大臣、外務大臣並びに経審長官に対して、四点についての外交問題に関する質問をいたしたいと思います。 まず第一にお尋ねをいたしたいことは、日ソの国交回復交渉に関する問題でありまして、私どもは、日ソの国交回復が、日本の独立のためにも、またアジア、ひいては世界の緊張緩和のためにも、絶対必要な条件として、今日まで最大の注目を払って参ったのでありまして、しかも鳩山内閣は、選挙以来、これがための公約をいたして努力をされて参ったように見受けるのであります。しかし今日の状況を見ますならば、国民とともに、果してこの日ソ国交回復の問題が順調に経過しているのかいないのか、若干の不安をもって今日臨んでいるのが実情ではないかと思うのでありまして、これに対するいろいろの理由もあげることができるのでありますが、しかし私どもは、ある政党とは違って、この問題が不調和に終ればよいというような気持で今日御質問いたすのではないのであります。先ほど来申した通りの態度をもってあくまでも今後臨んで参りたい、その意味から今日御質問をいたすのでありますから、鳩山内閣の責任ある御答弁をわずらわしたいのであります。 御存じの通りに、日ソ国交調整のためロンドン会議が始められて以来、約一ヵ月半も経過いたしているのである。会議も七回に及んで行われてきているのであります。しかし新聞の報道によりますれば、去る十二日の閣議においても、特に重光外相は発言を求めて、相当の時間と忍耐とが必要であるということを述べられた報道があるのであります。そこで私どもは、もとよりこの問題が簡単に推移するものとは考えていない。初めから相当の困難が予測されるがゆえに、十分な準備と努力がされなければならぬということをわれわれは常に主張いたして参った。 そこで重光外務大臣にお尋ねをいたしたいのでございますが、今日までの交渉の経過からかんがみて、何ゆえに相当の時間が要請されるのであるか、何ゆえに忍耐が必要なのであるか、交渉の経過からこの点についての理由を今日示していただきたい、このことをまずお願いいたしたいと思うのであります。
○重光国務大臣 私の説明が新聞に載せられたのが、私が説明した通りであるかないかということは、これは別問題でございますが、私も相当な時間と忍耐を要する、こう考えております。実際、これはもう外交交渉につきものの当然の心がけでなければならぬと私は思っております。しかしながら今御質問の通りに、交渉の経過についてその理由を説明しろ、こういうことでございます。私はそれもできると思います。交渉始まって一月の間、あまり進捗いたしておらないことは、これは御承知の通りであります。しかし進捗はいたしておりませんが、また他の面から見ると、大きな交渉の土台ができていると私は思います。それは、日本側もソ連側も、主張すべきは主張し、立場を十分明らかにしているということでございます。それであれば、その双方の違った立場、違った主張を妥協に導かなければならぬ、これが交渉であります。そこで違った立場が、その差が相当あるのでありますから、これを妥協に導くには、相当な時間と、かつまた忍耐を要することだと私は考えます。そこで、それならば一体この交渉は、ある一部分の人が感ずるように、行き詰まりであるか。私はそうは考えておりません。この交渉は決して行き詰まってはおらぬ。この交渉を、忍耐を持ち、また努力をして進めていくならば、これはなお打開の余地が決してないことはない。妥結に達する道として、困難はありますけれども、もちろん不可能なことじゃないと考えて、それに向ってあらゆる努力をしていきたい、こう繰り返して申し上げておる次第であります。
○勝間田委員 そこでこの際にお尋ねをいたしておきたいことでありますが、これも、外務大臣がみずから発表されたこととどの程度の違いがあるかどうかは、われわれ知る由もないのでありまするが、去る六月十五日であったかと思いますが、当時各新聞一斉に日ソの外交に対するソ連側の提案なるものが発表をせられたのであります。これは聞くところによれば、重光外務大臣がしかるべく発表の方法をとったのではないかというようなことも伝えられておるのであります。しかし私は、その事実を、外交上の問題であるがゆえにここでせんさくせんとするものではありません。まず問題に考えられるのは、その新聞発表になった事柄が対外的に、対内的にいかなる影響を及ぼすかという問題であります。特に重要であると思うのは、ソ連のマリクが提案して参った過去四回における提案というものは、ちょうどサンフランシスコ会議当時におけるグロムイコの提案というものと大同小異である、こういうことが一斉に伝えられた報道であると思うのであります。これはわれわれから申しまするならば、どういう政治的効果をねらったものか、あるいは外交上の効果をねらったものであるかという点について、幾多考えさせられる問題があるのでありまするが、しかし国民の側からいたしまするならば、特にこの交渉が順調に進むことを期待する者からいたしまするならば、そのようにソ連が今日サンフランシスコ当時の、早く言えば、少し難題を持った提案の仕方をしておるかのごとく実は心配をいたしており、もしそれがそういうように伝えられるとするならば、真実なら別といたしまして、それが違うものといたしまするならば、これは世界をミス・リードするものであります。そこで今度の交渉の一つの大きな問題としては、ソ連の態度は果していかなるものであるか、その具体的なものはいずれにいたしましても、そのよって立っておるソ連の態度というものが、サンフランシスコ当時と今日の態度というものが違っておるのか、別な言葉で言えば、修正されておるのか、ここをまず第一に経過の中からやはり説明をいたしていただきたいものと思うのであります。この点を外務大臣の御答弁をわずらわしたい。
○重光国務大臣 サンフランシスコ条約の場合においては、ソ連はサンフランシスコ条約に調印をすることは拒否いたしたわけであります。そこで、他と同様に日本との平和を回復することができませんでした。今回は、ソ連は日本とサンフランシスコ条約と別個に国交の正常化をはかりたいという意向を公然表示したわけでございます。それだけ私は進歩しておると思います。それならば日本側も同様であります。国交の正常化をはかりたいという方針を持っておる、すなわち平和を回復したいという方針を持っておる、その方針に合致したからここに交渉が始まったわけであります。その交渉が始まって、どういうことをそれでは平和を回復する条件としてソ連は主張するのか、こういうことになります。 そして、ソ連がとっておる立場及び主張の一般的のことは、私は日本人として、また日本国においては、これは正当に、正確に知っておく必要があるかと思うのであります。また日本側の立場及び主張をはっきりと国民の前に私は出すべきであると思います。そこで出したわけであります。私は全部出した。しかし日本側の立場、主張だけを出して、そうしてこれに対応するソ連の主張、立場というものがどういうものであるかということは、大よそのことは日本国民は私は知る権利があると思う。もし私がそれをも全然国民に知らさずして、そうして交渉を進めていくということは、私は私の責任を全うするものじゃないと考えます。そういう交渉の内容は、発表するわけにはいきません。これはまだ発表したわけではございません。しかしながら、ソ連の立場及び主張は大よそどういうものであるかということを、私は言わざるを得ない。それは、サンフランシスコ条約のときにソ連が持ち出したことと大同小異であるということは、私は説明をいたしました。その通りでございます。そこで問題がはっきりするのであります。日本側の立場も当時発表しておる。ソ連側の立場も、大体それでもって国民は大よそのことはわかるわけであります。そこで将来の交渉がどうなるかということも、ここで初めて納得のいくようにだんだん進めていくことができるのであります。事実を全然隠しておいて、そうして正当な判断をし、この重大な日本国民の死活の問題について判断をするということはできません。しかし私は、全部についてソ連の主張を発表したわけではございません。もっとも責任者に対しては、私は相当詳しいことは説明はいたしましたが、それは決して発表ではございません。しかしそれは当然の手段かと考えております。そこで、それが交渉のじゃまになるとは、私は少しも考えません。さように正確にものを判断をして、そうして進めていくことが、私は最も効果的に妥結に導く最も必要な手段だと考えております。従いまして、今後はさような正確な材料に基いて、日本国民は十分にこれを判断し、そうして今後の交渉の経過に対処していくべきことが一番よいことだと、こう考えております。
○勝間田委員 外務大臣の答弁を聞いておりますと、ソ連の態度はサンフランシスコ会議当時の態度よりは進歩いたしておる、しかしソ連の提案されてきておるいろいろの要請は、サンフランシスコ当時の態度と大同小異である、こういうように、私は二つに分けてここにあなたの議論を聞くのであります。そこでソ連の基本的な態度における進歩されたというところは、一体どういうところにあなたはそれを発見することができるか、これを一つお尋ねをいたしてみたい。
○重光国務大臣 今御説明を申し上げた通りであります。ソ連は、日ソの国交を正常化したいということを声明をしておる、こういう点でございます。
○勝間田委員 こういう問題は、今日までソ連も相当外交声明その他の方法をもって態度を明らかにいたしておるのでありまするから、われわれは、周知の事実であるが、誤解を避けるために、はっきりさしておきたいと思うのでありますが、モロトフ声明がなされたのは、昨年の十二月の十六日であると思うのであります。これでソ連の態度はほぼ明らかになっておるのでありますが、その際における最も注目すべきものといたしましては、日本政府が相互に受諾できる条件でソ連との正常な関係を再開する用意あることを希望すると述べておるのであります。早く申しますれば、相互に受諾できる条件というものが、これがソ連の基本的な交渉態度であると実は考えるのであります。また同時に、とかくわれわれが誤解しやすい問題はサンフランシスコ条約と今度の日ソの国交調整との関係を、ソ連はどう見ておるかという点に実はあろうかと思うのであります。これについては、これまたわれわれは、ソ連のいろいろな報道を通じてみることができる。たとえばイズヴェスチアの論評等を見ておりますれば、サンフランシスコ条約そのものについては、これは日本を従属せしむるものであるから、われわれはこういうことには賛成はできないけれども、しかしサンフランシスコ条約があるからという理由で、それが日ソ交渉のじゃまにはならない。またアメリカとこういう関係で手を切ってこなければ、日ソ交渉の話はできないのだという宣伝がもしあるとすれば、それは悪意の宣伝である、そんなことは全然考えていないんだ、サンフランシスコ講和条約そのものについては、賛成はできないけれども、しかしそういう事実が日本にあるということと今度の国交調整というものは、相矛盾するものではない、こういう態度も、これはしばしば明らかにしているところだと思うのであります。要は、ソ連は対等な形において日本との国交調整を結んできようとしておる。そういうことで、あのサンフランシスコ条約を全面的に拒否し、またこれを無効であるとし、中国がこれに加わらぬからだめだといってきた当時のグロムイコが、日本に対して要求した態度というものと、今日のモロトフ声明以来における態度というものとは、ここに重大な立場の上の変化がある。これが、今日日本が日ソ交渉を行う上において、真剣に取り組もうとする一つの根本原因ではないだろうか。私は、この立場に疑いを生ぜしむるいうな条件が今日あるとすれば、それはソ連への不信行為といわなければなりません。私は、この立場を一つ重光さんから直接にお聞きしてみたい。確かにその通りであるというならば、その理由を明らかにしていただきたい。
○重光国務大臣 今御指摘のイズヴェスチアの論調等は、当時われわれも十分に検討いたしました。これは、しかしソ連の政府の声明ではございません。新聞の記事論調でございます。しかし、それがソ連において非常に大きな意味を持っておるということも、これは争われぬことでございます。そうであるから交渉が始められたわけであります。サンフランシスコ条約締結当時のように、あくまでサンフランシスコ条約を否認して、そうしてあの当時にとった条約調印を拒否した態度を続けるならば、これはもう交渉を開始する値打ちもないのであります。しかし、日ソの間の国交を調整したいという意思表示があったとわれわれは推測して交渉に入った、これは当然のことであります。またこちらも、それを希望したから意思が合致したわけであります。私は、今日ソ連がロンドンの交渉において、サンフランシスコ条約の場合に提示したような条件をいつまでも固執するものではないということを、それで信じたいのでございます。そして、漸次妥協に導くことができる希望をそこに多分に持つのでございます。そうでありますから、私はこの交渉を、時間もかかるかもしれませんけれども、忍耐強く進めていくならば、必ずよい結果をもたらすものである、こう先ほども説明いたしておるわけでございます。私はさようになることを期待するわけでございます。そうして、少しでも日本との関係において戦争状態ーむろんこれは法律関係でございます。実際はそういうことはないのでございますが、戦争関係というような事態を終結して、平和を回復する、こういうことに向っていって、これがすなわち世界平和に対する一つの貢献であるというふうに持っていきたいのでございます。
○勝間田委員 次に、やはり日ソ交渉についてのお尋ねをいたしたいのでありますが、今日までのソ連の提案の中から、日本の中立化を要請するような、あるいはそれと直接、間接に影響あるような提案がなされたことがあるかどうか、この点をお尋ねいたしてみたい。
○重光国務大臣 交渉の内容について御説明をすることを避けたいと考えます。交渉の内容については、どうか御質問をいただかぬようにお願いしたい、かよう思います。
○勝間田委員 交渉の具体的内容まで、私はここで詳しく聞こうとは思っておりませんから、今のような質問のいたし方をしたのであります。すなわち日本の中立化を要請するような、あるいはこれに直接間接関係のあるような提案がなされたことがあるかどうか、こういうことをお尋ねいたしておるわけであります。この意味でもまだあなたの御答弁はできないでしょうか。
○重光国務大臣 ソ連の提案、すなわち交渉の内容でございますから、これは私は御説明申し上げないことにいたします。
○勝間田委員 総理大臣に一つお尋ねをいたしたいわけでありますが、最近巨頭会談等も開かれて、世界の緊張は急速度に緩和する機運に向いつつあることは、御了承の通りだと思うのであります。その中で特に重要に考えられるのは、たとえば欧州の場合における、両陣営を含むところの集団安全保障形式をとったらどうかという提案等が常に散見するところでありまして、またソ連の態度からいたしますると、あるいはオランダの場合、あるいはユーゴとの会談の際、あるいは最近の東西ドイツに対する態度等において、いわゆる中立化の要望があるように私は見受けるのであります。またわれわれ社会党といたしましても、今日まで日本の安全保障形式については、個別的な不可侵条約を締結をいたして、その上に立つ両陣営を含む集団安全保障形式すなわち新ロカルノ形式等の方式をとって日本の安全保障を求めていくのが、国際的にも国内的にも最も妥当した安全保障形式であることを主張いたして参りました。そこで去る鳩山総理とわが党の委員長との会談の際におきましても、わが党の党の主張といたしまして、あなたに対して、この際中ソの国交調整の際に、ソ連との不可侵条約を締結する意思あることを日本から表明すべきではないだろうかというお話しもいたしてあるのであります。私は、今日の国際情勢の大きな動きの中で、中ソ外交が今日行われておる中で、私はこの問題を提起することは、日本の将来の安全保障のために、きわめて有意義なことであり、またそのチャンスであると思うのでありますが、鳩山総理は、そういう態度をこの際中ソに望む意思があるかどうか、この点を総理にお尋ねをいたしたいと思うのであります。
○鳩山国務大臣 ジュネーヴの四巨頭会談がどういう形式で世界の平和維持の方に進展していくかは、いろいろな評がありますけれども、まだどういうようにいくのかということについては、つまびらかにしておりません。ソ連と日本との関係、これはとにかくお互いに領土を尊重しよう、お互いに主権を尊重しよう。そうしてお互いの国交は、戦争を終結したということを宣言をして、そうして国際関係を正常化したいというような希望ー根本の態度については、すでにソ連も表明をしておりますということを外務大臣は申しましたが、そういう意味のことをさされているのかと、私は聞いておったのであります。それですから、あなたのおっしゃるような、特別の不可侵条約を結ぶというようなことについては、話は出ておらないと思いますけれども、お互いに領土を尊重しよう、お互いに主権を尊重しよう。そうして戦争を終結したということを宣言して、国際関係を正常化したいというような申し込みは、ソ連ですでにやっておりますから、私はあなたのおっしゃるような点については、すでにお互いの間に、意思は疎通しておるものと考えております。
○勝間田委員 総理の御見解は明らかになって参ったわけでありますが、そこで、これも大へん根拠は薄いといえば、それ以上われわれ否定する理由もないのでありますが、新聞報道の中で、きわめて重要な点が報道されておるのであります。それは七月十二日の閣議であったと思いますが、外務大臣と総理とは…。
○鳩山国務大臣 私が内容の話をしたから、ちょっとしかられておるのです。
○勝間田委員 一つ一致した見解を述べていただくように、しかしそう外務大臣に遠慮せられず、総理大臣もお話しになるようにお願いをしたいと思うのであります。 七月十二日の閣議で、四巨頭会談の成り行き、それが日本の外交に及ぼす影響について、特に重光さんが発言をされたように報道されました。その中にどういう文句があるかと申しますならば、重光さんもお読みだと私は思いますが、この会談によって、ロカルノ方式による両体制の不可侵条約的なものが、安全保障の方式として実現される可能性が濃く、結局日本にも大きな影響を与えるであろう、こういうことを言われたと、あなたが閣議の報道として当時載っております。これは、一体果してどの程度の信憑性があるか、われわれこれを確かめる手段もないのでありまするが、もしそうであったとすれば、これは、かなり重光さんにしては進歩せられた一つの見解であると私は思う。そこで、この事実について重光さんはどう考えるか、これをまずお答え願いたいと思います。
○重光国務大臣 事実というのは何ですか。
○勝間田委員 閣議の話です。
○重光国務大臣 閣議で私は説明をいたしました。その説明をいたしましたことは発表いたしませんでしたが、新聞に若干報道せられておることを知っております。そこで、新聞に報道せられておるその字句をとらえて言われれば、私はよく検討をいたさなければなりませんが、今のような意味のことを私は申したことのあることを、否定いたしません。そういうことを申しました。
○勝間田委員 ここで重光さんがはっきり申されましたが、こういう意味のことを話したことを否定しない、こういう態度であります。 そこで今後の外交について、一つの転換的な要素がここにあると私は思うのであります。先ほど総理は、その意味のことをすでに了解をいたしておるという、きわめて含みのある言葉を、また理解しやすい言葉を言われておったのでありますが、もしロカルノ方式のようなものが、この四巨頭会談において新しい安全保障の方式として実現されることが濃いということである、それがまた日本に相当の影響をもたらすということでありまするならば、中ソ外交において、やはりこのことを常に念頭に置きながら、従来の再軍備一点張りの方式ではなく、あるいは日米安全保障の形式一点張りではなく、やはりこうした世界の外交の動きがあるということを常に念頭に置いて、中ソ外交に当っていくべきであると思う。今後の日中関係にいたしましても、あるいは東南アジア地域に対しましても、特にこの要請は強いのでありまするから、私は日本の将来における外交の方式とし、安全保障の形式としては、きわめて注目すべき行き方であると思っている。これは特に総理大臣に申し上げておきたい。総理大臣の今日までの答弁を、私は直接ではなかったが、常に注目をいたして参った吉田総理の内閣当時における、日本の安全保障形式を何といった。海の向うから攻めてくるかもしれないから、おれたちはこうせねばならぬ、ちょうど安保条約のように、世界にはとんでもないことを企てるものがあるから、それに対する自衛能力を日本は持たなければならないのだ。この攻めてくるからそれを守るための兵隊という、外交なり政策というものが一貫していた。ところが鳩山さんの外交というものを見ていますと、答弁によって常に言われたことは、外交の中心は緊張緩和にあると私は思うということをあなたは常に言われている。これが鳩山内閣と吉田内閣の違いであると思った。もし、今日真に緊張緩和が日本の安全保障の第一の要諦であるということであるならば、あるいは外交の政策、それに従う内政というものは、この両陣営を含む集団安全保障形式、あるいは不可侵形式、これによる安全保障の道を開いていくということに当然外交は進んでいかなければならぬと私は思っている、これが筋であると思っている。この外交の筋を、中ソ外交の際に力強く踏み出す心がまえを持っていただきたいと思うのでありますが、この際鳩山総理大臣に、今後の日本の安全方式と、この問題について御見解を承わっておきたいと思うのであります。
○鳩山国務大臣 お互いに侵そうという気分を持っておれば、これはいつでも危険が伴ってくるものと思います。この間ある人の書いたものの中に、攻撃をせんがために飛行場を拡張すれば、またこれを攻撃せんとする飛行場の拡張を受ける。自衛のためだけならば、そういような危険が伴わないかもしれないが、攻撃をしようという意思を持っておれば、必ず向うも攻撃せんとするものができてくるのは自然の情である。であるからして、どうしてもわれわれ平和を希求するものは、お互いに誤解のないようにして、そうして真に平和を愛するということに進まなくてはいけないということを見て、私はもっともだと思いましたが、そういうような気分で外交をやっていきたいと思っております。
○勝間田委員 外務大臣にお尋ねいたしたいと思うのでありますが、先ほどの御答弁によりまして、この四巨頭会談が、新ロカルノ方式的の安全保障が形式として実現される可能性が強い、また日本に対する影響が相当あるだろう、こういう意味のことを言ったことを否定しないというのでありまするから、その意味であなたが話をされたとするならば、あなたは、当然このことを重視されておるはずだと私は思う。こういう四巨頭会談の日本に対する相当大きな影響ということに対して、特に安全保障形式に対してどういうことを考えていらっしゃるか、この点を一つお尋ねいたしたい。
○重光国務大臣 東西両陣営の緊張を緩和する目的をもって、ロカルノ方式でやったらよかろうということは、いつでありましたか、去年、おととしでありましたか、イーデン、チャーチルの考え方で発表されたことは御承知の通りであります。アメリカは、当時そこまではいっておりませんでした。そこでこの考え方は、そのままになっておって、伏せられておったわけでございます。しかるにいよいよ今回東西両陣営といいますか、共産、自由両陣営の調整に乗り出さなければならない事態に国際情勢がなってきた、巨頭会議が始められようとしてきた。そこでこの考え方がまた持ち上ってきたのは当然であります。第一回の世界戦争の後に、ロカルノ条約によって初めてドイツの立場が平等に認められ、そしてヨーロッパの平和が確立したということになっている。そのロカルノ体制がこわれて、とうとうまた第二回の世界戦争に相なったというような意味を持っているこのロカルノ方式というのは、旧敵国と申しますか、互いに争っている両陣営間の緊張を緩和するために、また調整するために最もいい方法であるというこれは歴史的の産物でございます。今回の場合においても、同じ考えでやりたいという思想が浮ぶのも当然のことであります。そこで巨頭会議において、アメリカ側が主として主張する軍縮問題、イギリス側の特に主張するドイツ統一問題、これと並んで、フランス側が常に神経質に思っているヨーロッパのロカルノ方式による安全保障問題、これが議題に上るというように大体評論家は見ているようであります。私は、これは大体正しいことだと思う。そして今日ソ連側も、お話しの中立政策を、オーストリア国家条約のときにはっきりと打ち出しておった。その中立条約というソ連の外交政策に、さらにロカルノ方式の安全保障体制というものをソ連が打ち出してきている。これはどういう意味でソ連が打ち出してきているかということを、底の底までせんさくすることは、今の場合において私はむしろせぬ方がいいと思う。そこで、さような方式で緊張緩和をするという意見は、貴重なものであると私は思います。そこで、もしさようなことで、ソ連もさような方向に進み、また西欧陣営側もさような方向へ進んでいくということになれば、これは緊張緩和の方向に具体的に歩を進めるわけでありますから、歓迎さるべきことだと思う。それがまた一両年前からチャーチルあたりもねらった筋だ、私はこう思うのであります。さてそうなりますれば、日本が日ソ交渉においてまず第一に打ち出していることは、互いに双方の立場を認め合って、サンフランシスコ会議はいかぬのだとかなんとかいうような立場はソ連もやめてもらい、日本側も、中ソ同盟条約がどうのこうのということを言い立てることをしばらくやめて、そして双方の立場を認めて、互いに他の主権を尊重して、そして国内のことには干渉をせず、そして互いにその主張を認め合って進むというこの大前提のもとに交渉を進めることがいいということで、これを私は提唱したわけでございます。その提唱は、私は議会の報告においてはっきりと申し上げているわけであります。さような意味におきまして、互いに他の立場を認めるということは何かというと、これは互いに他の立場を認めて、主権を尊重するということにおいて、ここに不可侵の考え方があるわけであります。不可侵の考え方がなければ、主権の尊重ということはできない。また領土の問題の討議は無意味であります。そこでさようなことを前提としなければならぬ、こう考えるものであります。さような考え方を進めていけば、今あなたの言われる、日本も不可侵関係をだんだん個別的に積み上げていき、さらにそれだけではなく、集団的にも積み上げていけば、世界の平和に直ちに貢献するようになるじゃないか、こういうお話、それには私は非常に共鳴をするのであります。そういかなければならぬと思います。しかし、外交は現実に実際問題であります。そこで理想というわけでもございませんが、さような大方針をもって進まなければならぬという考え方を持って、御承知の通り日本はバンドン会議にも臨んだわけであります。バンドン会議において、日本は平和宣言を終始主張し、そうして全面的ではございませんが、骨子においてこれが採用されたわけであります。それは何であるかといえば、紛争は平和的に解決をする、互いに他の立場を認めて主権を侵さない、そういうことが根底になっている。これは、私は最もいいやり方である、それをだんだん進めていかなければならぬ、あらゆる機会にやらなければならぬと思います。しかし私は、さようなりっぱな主義は、一つの策略のために使っちゃならぬと思います。それが、ややもすると共産側のいう平和攻勢ーりっぱなものであるけれども、これが策略に使われているということによって、非常にここに問題が起ってくる。私は、日本の行く道といたしましては、ソ連との問題に対しても、さような大きな主義、互いに他の立場を認め合って、そうして主権を尊重し、内政に干渉しない。かような主義は、策略でも何でもなく、正々堂々と取り組んで、互いに理解を進めていくべきことである、こう考えるのであります。国際連合の規約にも、御承知の通り私の言っているようなことをそのまま書いてある。しかしそれにもかかわらず、われわれが日ソの交渉においても、さような主義を繰り返してとるということを互いに確認し合うということは、これは実際的に外交を進めるという見地に立つからでございます。さような方法によって日本の平和外交を進めていきたいというのが、われわれのとっている態度でございます。
○勝間田委員 以上で、日ソ交渉に対する態度の基本的な問題についてお尋ねいたしたわけでありますが、今お聞きいたしたような、そういう態度で、忍耐と努力を持ってこれを完成されていくということについては、大へん傾聴に値するものだと私は思うのであります。 そこで、ただ最後に私ども不安を持つものは、日本の政治体制であります。その外交を進めていくことに賛成する者にしろ、しない者にいたしましても、これは非常に重要なことをどううまくやっていくかということは、将来のアジアや日本に非常に大きな関係を持つものである。その大きな関係を持つものを行うものの国内の体制、政治力と申しましょうか、政治体制と申しましょうか、それが私はやはり最後の重要なかなめになってくるのではないかと思う。ところが最近の保守合同等の動きを見ておりますると、この体制に疑いと不安を持たせるような条件が散見されるのであります。この散見される状態を払拭することなくして、いかに忍耐と時間とをかけていたしましても、真の成果は得られない、私はそのことを今日痛感いたすのであります。そこで鳩山内閣は、公約をいたされたこの重要な問題について今後どうしていくかということが問題になるのだが、まず私があなたの内閣の勢力に不安を感ずる一つの点は、鳩山総理は、保守合同によって秋か来年の春やめるだろう、こういうことが与党の中から相当叫ばれておる、保守合同の推進派から相当言われておる。この時間と忍耐のかかる大きな問題を右手にひっかけておいて、鳩山さんは秋やめるかもしれない、来年の春やめるかもしれない、こういう状態では、忍耐もなければ時間もないことになる。そういう外交では、責任のない外交ということになると私は思います。そこで鳩山さんは、保守合同のいかんにかかわらず、日ソの国交調整が行われるまではおれは断じてやめないんだというところに、初めて外交的な責任があると私は思うのだが、あなたはそういうことを言い切ってこれに当っていくのか。先ほど聞いておると、末のことはわからないと言われるが、末のことはわからないで、この重大な問題と取り組めるかどうかということを私は疑わざるを得ないので、鳩山総理の心境をここで聞いておきたい。あなたは、保守合同のいかんにかかわらず、これを達成するんだという気がまえでやるのか、鳩山内閣は手をつけただけで、あとはだれかがやるだろう。つばをつけておけば、それでよろしいという考えでやるのか、この点をはっきりさしておきたいから、鳩山さんに、この外交は私の政治的生命をかけてやります、これだけのことははっきり言い切ってほしいと思うのだが、一体それだけの気はくがあるのかどうか。この点を一つ総理にお伺いしておきたいと思います。
○鳩山国務大臣 私は、世界の平和の見通しがつくということは、最もわれわれが関心を持たなければならない重大な事柄だと考えております。それを一歩でも前進させるために微力を尽したい、こう思っております。とにかくそういう希望は持っておるのでありますが、果してその希望が達成できるかどうかは、将来のことでありますから私にはわかりません。
○勝間田委員 希望は持っているが、末のことはわからぬ、将来のことはわからぬという態度か外交的に与える影響と、あくまでもこの希望を持って進みたいという態度が与える影響ー少くとも今度十五日に、聞くところによればロンドン会議が再開されるわけであります。この際に日本の総理大臣が、希望は持っておるけれども、末のことはわからないという態度でいかれるならば、この困難な問題に対する影響もあると私は思う。その影響も考慮してもらわぬと、これはあくまでも希望であって、どうも末のことはわからない、将来のことは確信がないということでは外交にならぬと思う。われわれ社会党も、今日まで鳩山内閣の公約を監視した立場から申しますならば、勢い鳩山内閣には信任が持てないという形になる。あなたのはっきりした答弁をもう一度お聞きしておきたいのであります。
○鳩山国務大臣 私は一身のことを考えてやめるとかやめないとか言っておるのではありません。どんなものでも犠牲にして、やりたいと思うことをやりますが、果してそれができるかどうかは将来のことですから、私には想像がつかぬのであります。
○勝間田委員 あなたは保守合同に対する配慮が主なのか、外交に対する熱意が主なのか、あなたの政治的態度はどっちできめるのですか。
○鳩山国務大臣 私は外交を達成するということが重大だと考えております。保守合同の方は、これは私は行雲流水の態度でいます。できてもできなくても、諸君の意思の動くままになっていこうという気分であります。
○勝間田委員 それならば、保守合同と外交とが矛盾した場合には、外交に主点を置いて政治的態度をきめる、こう見てよろしゅうございますか。
○鳩山国務大臣 ようございます。
○勝間田委員 もう一つあなたの政治に対して不安を持っておりまするのは、保守合同の際に、日ソの国交調整に進むことを好まない勢力と提携せざるを得ない状態があるであろうことが予見される。また保守合同の、中でも特に自由党諸君でありますが、アメリカとの外交を先議する、これをまずスタンド・ポイントにする、そういう態度が強く出ていることは今日まで国会の論議を通じて明らかであります。今総理は、保守合同よりも外交を主点に置いて政治的態度をきめるとおっしゃったのだから、保守合同の際に、日ソの国交調整をするという鳩山内閣の公約は断じて譲るわけにはいかない、これを今日ここで公言することができるか、この点を明らかにしていただきたい。
○鳩山国務大臣 合同ということは、政策が本位でありまするから、政策の重点だと思うことを譲って合同をするわけには私は参りません。
○勝間田委員 次に、濃縮ウランに対する態度を一つお尋ねしてみたいと思います。これは、経審長官が主として御答弁に当っていただきたいところでありますが、しかし外務大臣にいたしましても、昨日の外務委員会において明らかになった通りに、あの仮訳と称してうまく逃げられたが、ずいぶん仮協定の内容がでたらめであったということは、これはまことに遺憾とするところであります。 まず経審長官に一つお尋ねいたしたいことは、今度の条項を見ますると、機密条項が非常に多い。これは早くから原子力の発達しておったアメリカ、イギリス等が、特に兵器生産というものから来まして、非常な機密主義をとってきた。その国と関係する場合に、特に陥りやすい大きな道であるということは、世間一般によく認められておるところであります。この機密条項、かほど機密の多い条項を受け入れていくということになりまするならば、アメリカの原子力法がいろいろな問題を規定しておるように、機密を守る国内法規の制定が引き受けの前提条件になるのではないか、受け入れの前提条件になるのではないか、私はそう思うが、機密保護のための立法措置というものが、当然随伴してくる問題と思うがどうか。
○高碕国務大臣 お答え申します。原子力に関して、米国その他におきましては、機密条項が非常にたくさんあるということは、御承知の通りでございます。それは原子力がおよそ兵器として使用されるということのために、機密条項が多いのだと私は想像いたします。今回日本が濃縮ウランを受け入れましたのは、これはその濃縮ウランを平和に利用するということが前提でありまして、それがためにあの仮調印の第六条におきましては、機密条項に属する資料は、これを提供しないということに相なっておりますから、今回濃縮ウランを受け入れましたにつきましては、機密に属するものはほとんど何らない、こういうわけであります。従いまして日本におきましても、アメリカから機密条項を保有するような兵器を供与されるということは断じてない。従いまして日本におきましては、これは機密条項を保持するような特別立法はいたさない考えでございます。
○勝間田委員 あなたも御存じの通り、第七条であるかと思いますが、これがいうところの機密保持に関して、たとえば政府側がすることに対し、また日本国政府が授権するであろう管轄下の諸団体に対し、機密を保持しなければならない条項が出てきておるわけであります。早く言えば、ある民間団体にあるものを渡した場合に、この条項できめられる機密保持の条件が乱されたり、あるいは侵されたりすることに対して、あるいはまた、例の照射された燃料物質に対して、それを輸送せねばならぬというようなことがあったり、その中の内容、エレメント等々を変更してはならないという条項があったりいたしますが、そういうものを守らなければならないということが、国内法規上の取締りとして、また出てくるのじゃないだろうか、私はそう思う。すなわち、あの受け入れられるウランの中にある秘密が露顕しないために生じてくる法律が、立法上必要になってくるのではないか。このことをあなたにお尋ねしておるのでありまして、これが当然出てくるのではないだろうかと私は思いますが、今長官のお話しを聞いていると、どうもそうでない、楽観論のようなお話しでありますけれども、そうじゃないだろうかどうか、もう二度考え直してお答え願いたい。
○高碕国務大臣 お答え申し上げます。これは賃貸いたします条件として、ある程度のオブリゲーションがあるのは、やむを得ないと存じます。しかしそれは、軍事上の秘密だとか、そういうようなことに関連するのではございませんから、特別の立法をしてまでもこれを守るべき義務はない、こう存じております。
○勝間田委員 それから、これも二条の、同様に照射された燃料物質をアメリカに直接送り返すというような条項がついております。私ども十分な原子力についての知識を持たないのでありますが、世界の多くの議論を聞いておりますと、この物質の処理というものが、そもそも重大な研究対象になる。早く言えば、この処理に対する研究が発展しないならば、原子力全体の研究は、それだけちんばにならざるを得ないということが、よく主張されております。それほど照射された燃料物質に対する研究は、大きな研究上の比重を占めておるものだと専門家は言うのであります。日本でアメリカから濃縮ウランというものの形を受け入れて、この重要な部分に手をつけてはならないという条項をつけたときに、日本の原子力研究はちんばになるのじゃないか。またこれは相当発展を阻害する形になるのではないか。あなたの見解を承わっておきたいと思います。
○高碕国務大臣 照射されたあとの灰、あれを処分することにつきましては、これは賃貸契約の一条項として、そのまま先方に返すという条件があります。もっともその灰を利用してさらに研究をすることも必要でありましょうが、それは必ずしも賃貸したものによらなくて、日本は独自の立場において、濃縮ウランを手に入れなくても、ウラニウムの原鉱石からウラニウムを採鉱すること、そして、それによって、どういうふうにしてこれを利用するかということは、別途に研究していくわけでありますから、今日濃縮ウランを利用することは、研究の速度を早める上において非常に必要だ。つまり日本において第一の原子炉を作る上におきましての研究をするということにおいては、研究の速度を早める上において必要だ、こう存ずるわけでありますから、これがあるために、また使ったあとのものを利用できないがために、この濃縮ウランの受け入れを拒否する理由はないと存じます。
○勝間田委員 濃縮ウランを受け入れることが世間で過大に評価されて、そのものがいかにも日本の原子力科学の中心であるかのような錯覚を与えていることは、私は高碕長官と同じように憂えるものであります。こうしたアメリカの濃縮ウラン形式からくる原子力の研究コースではなくして、原鉱石からウラニウムをとり云々していくレギュラーの道が、日本の真の原子力科学の研究の道であるということをお互いに知っておかなければならぬと思う。それが発展して初めていいのであって、何かウラニウムを受け入れることが鬼の首でも取ったように、しかもそれを狂信的に考えている向きがあるから、それは非常に間違いである。そこでその本格的な研究に対する日本政府の態度は、どういう研究のプランを持っているのか、どういう方法を考えているのか、本格的なものについてのあなたの計画を聞かしていただきたい。
○高碕国務大臣 ウラニウムの研究につきましては、戦争中日本は相当進んでおったのであります。私どもは当時満洲におりまして、ウラニウムの原鉱石について非常に研究いたしました結果、現在アメリカで使っている原鉱石のおもなものは、カルノタイトという鉱石で、大体ウラニウムと酸素の混合したUO3でありまして、これを二七%含んでおります。私どもが開城付近で採取したものは、ベタファイトという種類でございまして、UO3が一七%含んでおって、含有量は少なかったのでありますけれども、これを取っても日本は利用せにゃならぬというので、五千トンばかりの鉱石を採取して日本に送っておったのであります。日本の研究も、当時は仁科先生を中心にして相当進んでおったのでございます。その内容は、私は存じませんけれども、日本の学者も相当この問題については研究しておったのでありまして、それが戦後アメリカなりソ連なりイギリスから技術を持って行かれたということでおくれておりますけれども、これを取り返していっていただけば、彼らの技術をもってすれば、近いうちに日本は原鉱石からウラニウムを採鉱して、さらにこれを選鉱して、さらにこれを利用するということに――もっともこれは兵器用でなく、平和的に利用することについては、十分進めていき得ると存じます。すでに予算も相当取っておりますし、引き続いて今後は十分予算を持って研究を継続していきたい。これが日本の原子力の研究の根本をなすべきでありまして、お説のごとく、今日濃縮ウランをアメリカから借りるということは、研究の速度を早める上においてのほんの一部分の援助に過ぎない、こういうふうに私は感じております。
○勝間田委員 外務大臣に一つお尋ねいたしておきたいと思います。昨日の外務委員会で発表になられたことから見ますと、相当誤訳も多いわけです。しかもその誤訳は、内容にまで相当の影響があるものと私は思う。そういうものとしてあなたが理解されて仮調印されたということであれば、日本の外交はこんなに権威のないものかということを私は直感しました。仮訳だからいいというものではない。あるいは仮訳だかもしれないが、英文、日文、同文でお互いが処理すべき条約になるわけです。それが英文だけでやったんだ、こういうことになる。それも仮調印だから仕方がないと見るかもしれないが、あなたが内容を知らぬということになるならば、内容を知らずして調印したのかということになります。これは私、日本の外交というものについての権威を非常に失墜したという感じがいたしております。早くいえば、知識がなくして仮調印したということになると私は思う。万一間違ったことがあって今日調印しておるならば、これほどおそるべきことはない。そこで私あなたにお尋ねしておきたいことは、やはりこういう専門的なものを行う場合におきましては、しっかりした権威者の参加を求めて、内容上に間違いのない文章なんかどうでもいい、内容上に間違いない把握をした条約を結んでほしいと思う。そこでこの濃縮ウランの受け入れの問題を考えてみますと、まだ、八月八日には例のジュネーヴにおける国連の原子力会議が開かれるのでありますし、また内容もこういつたまことに重大な誤訳をいたしておるわけでありますから、今後の国連の原子力会議やその他の条件を見て、これは修正なり、あるいは重大な誤りがあるなら中止するなり、そういう余力があってしかるべきと私は思うが、その余力あるものと見てよろしいかどうか、あなたに一つお尋ねしておきたいと思うのであります。
○重光国務大臣 私は、濃縮ウランの専門語について、これはいかに訳文を作るかということは、実は私自身お話の通り知識がございません。私は専門家等のアドヴァイスによって、これが間違いがない、こう思うところによって処理するよりほかにないことを申し上げます。これは非常に無責任なようでございますが、私は、実は良心的に考えてみて、濃縮ウランの正体について私が知識があると申し上げることはどうしてもできません。そこで専門家の最善を尽した結果を私は認めるよりほかにしょうがないと思います。もしそれに誤りがあれば、それは私の責任としてまことに申しわけございません。そこで誤りのないように今後も十分な努力をいたしまして、専門家の知識をば集めてやることに、今お話の通りに、少しも私は異存がありません。そういうふうにやっていきたいと考えます。その上で善処したい、こう思っております。
○勝間田委員 今後もまだ細目の取りきめが行われるわけであります。そうなれば一層専門的な問題について十分な討議を遂げないと、あとで取り返しのつかないあやまちを犯すことになると私は思うから、これは経審長官におかれても、外務大臣とともに日本の政府として間違いのない一つ態度をとっていただきたいと思う。 次に鳩山総理に一つお尋ねをいたしておきたいのでございます。日本と中共との関係については、今まで引揚問題にいたしましても、また貿易の問題にいたしましても、民間同士の話し合いによって相当進められてきた。これはやむを得ざる条件もあったかもしれないが、また当時の政府の見解の間違ったことからそういう結果が現われてきておる。しかし今後日本と中国との諸問題の解決ということは、当然政府が乗り出さなければすべて解決がつかないところに来ておる。引き揚げの問題にいたしましても、また決済の方式にいたしましても、また事務所等を相互に交換する問題にいたしましても、あるいは貿易使節団を交換する等の問題にいたしましても、ここへ政府が乗り出さなければ解決がつかないということは、だれが見ても認めるところでございます。従って、これら日中の今後の懸案解決のために、鳩山総理は政府として一つ乗り出してみようという決意があると私は思うが、総理の見解を一つここで明らかにしていただきたい。 なお、以上申し上げた四つの点、引き揚げの問題、決済の問題、事務所の交換の問題、あるいは通商使節団の問題等々個々について困難な点もあり、あるいは政府がすぐ乗り出してみたいと思っていることがあるかもしれない。また開くところによると、引き揚げの問題等については、スイス等を通じて直接の外交交渉にしてもらいたいという、その話の橋渡しをお願いしておるというようなことも聞いておる。でありますから、それらの問題とも関連いたしまして、私はこの際に総理大臣としての一つの見解、もう一つは、個々の問題に対する状況と、外務大臣の御意見とを開かしていただきたいと思います。
○鳩山国務大臣 中国との関係を、現在の事実だとか過去二、三年間の事実を考えまして、割合に軽視する傾きがあるのです。これは非常に残念なことだと思いますので、政府としてはできるだけの援助をして中共との国交を正常化していきたいと思っております。貿易についても、未帰還の抑留の人々についても、やはり政府はもう少し積極的にやった方がよいというような気分を持っておりますので、できるだけの協力はいたしたいと考えております。
○勝間田委員 外務大臣にちょっともう一点お尋ねしておきます。引き揚げの問題、決済の問題、それから事務所の交換の問題、あるいは使節団の交換の問題等個々の問題について政府はどう乗り出す気持を持っているのか、その点をお尋ねしたい。
○重光国務大臣 この問題については、過去においてたびたび御説明の機会がありました――個々の問題について私は処理したいと考えております。と申します趣旨は、個々の問題について、これは最も実際的に処理することが一番よい、こう考えておるわけであります。これをあまり概括的に申しますと、非常にやりにくい問題になります。そこで、個々の問題について最も実益を主にして処理したい、こういう工合に考えております。すなわち、引き揚げの問題は、引き揚げができるように、できるだけこれは実益を考慮してやりたい、決済の問題については、日本の全局に差しつかえのない範囲内において考えてみたい、それから事務所の問題についても、これは実際的に一つ処理していきたい、こういう工合に考えておるわけであります。それでもってお答えといたします。
○勝間田委員 引き揚げの問題について、スイス等を通じて日本の外交交渉を開始されておると聞いておりますが、この問題についてはどういう状況になっておりますか。
○重光国務大臣 御承知の通りに、中共政府を承認するということが今日政治上その時期でないということは御了承しておられることだと思います。そこで交渉についても、さような政治的の結果を臨むようなことは、これは避けなければなりません。従いまして、そのほかに何か有効な方法はないかということを考えております。そこでスイスにおいて向うの代表者との間に、かような人道上の問題は、これは政治的の承認の問題とは関係がないのでありますから、これを直接に交渉して差しつかえないという結論に達しまして、つまり全局を何にも覆しないということの結論に達しましたから、スイスにおいて先方の代表者に引揚問題について要請を直接いたしたわけでございます。まだその結果は何も入手しておりません。いずれそのうちその反響があることだ、こう考えます。
○勝間田委員 最後に鳩山総理大臣にお尋ねをいたしたいのであります。それは言うまでもないことでありますが、四ヵ国の巨頭会談が来たる十八日からジュネーヴで開催をされるわけでありまして、この会議の重要性については、十分総理大臣も認識せられておることと思うのであります。しかしこれに対する日本の政府、もっとつっ込んで申しますならば、日本の全民族を代表する政府が、この会議に見解を持ってしかるべきだと思うのであります。伝え聞くところによれば、韓国等も非公式ではあるが、使節団を派遣をいたし、この会議の重大性を認識した上で、自己の立場を反映させてみたいという心持を持っておるようであります。私はすでに数日を控えた今日の段階においては、日本政府の鳩山さんが、総理の資格を持って、日本国民の意志をここに明らかにする機会だと思います。鳩山総理はこの際に四巨頭会談に対する日本民族を代表しての考えがあるかどうか、今日それを明らかにする考えがあるか、この点をお尋ねいたしたい。
○鳩山国務大臣 十八日からジュネーヴで開かれる四巨頭会談は、非常に重大な意義があると思います。世界の平和に関してはもとよりでありますけれども、日ソの交渉に関しても、もしも世界の歩調が世界の平和のために一歩前進しますれば、日ソの交渉にも非常にいい影響があると思いますので、先だって、重光外務大臣に、私はこういうような考え方を持っておる。ジュネーヴ会議というものは、世界の平和に一歩前進すれば、日ソの交渉も必ずいい方に一歩前進すると思いますが、あなたの所見はどうですかと聞いたら、自分も同じように考えるというようなことを言っておられるのでありまして、非常に私は重大な意義を持っておると思うのであります。この間ある雑誌にアデナウアーは、ジュネーヴから九十マイル離れておるところのインターラーゲンに出て、そしてジュネーヴ会議を非常に重要視して、そこで聞いているであろうという評が書いてありました。ドイツがインターラーゲンまで行っているというくらいならば、日本も重要視して、だれかどこかの大使を近所にでも行っているようにする手続をとる必要があるかしらんというように、アデナウアーがインターラーゲンに行っているという記事を見て、考えたような次第であります。どうにかしてこのジュネーヴ会議が、世界を平和にする具体的方法について、外務大臣が言われたような方式をとるかどうか別として、一歩前進すれば、非常に世界のためにいいことであります。特に日本としては、日ソの交渉の上に非常にいい影響を及ぼすものと思って、重要視しておるわけであります。
○勝間田委員 外務大臣に一つお尋ねいたしておきますが、この四ヵ国会談の内容等については、先ほど北澤君からも実は話があったのであります。今の総理のお話は、世界の平和のためにもきわめて重要である、また日ソの国交調整のためにも重大であるから、この会議がどうか成功するようにという、総理の総括的な見解であったと私は思う。しかしもう一歩その考え方を進めてみますならば、この会議のやはり一番の中心は、何といっても世界の友好関係の回復という大きな道がこの会議によって開かれる、これがまず第一の一審大きな問題だと私は思う。 またこの会議の最も可能性の深いものといたしますれば、最近ソ連の提案からみても明らかな通りに、かなりソ連が譲歩した、例の軍縮及び原水爆兵器の禁止、この一般的な軍縮と原水爆兵器の禁止という問題については、私はこの会議における可能性はきわめて画問いものだと思う。 またこの会議においては、ドイツ問題が審議せられて、自由投票によるドイツの統一が行われ、またあなたの見解であるところの、同一の見解であるところの、できれば両陣営を含む欧州集団安全保障形式というものが生まれて、欧州の緊張の緩和の道が開かれるということが、これまた第三の大きな目標であると思う。 またこの会議において、極東問題が審議されないかもしれないという不安もあるが、しかし昨日あたりの外国電報によれば、アイゼンハワーは、必ずしもこれを肯定も否定もしていないという慎重な態度をとっておる。また昨日のある新聞によれば、提案されれば、アメリカもこの問題を審議するであろうという報道さえ出ておる。どうしても極東問題が解決され、そして台湾問題、朝鮮、仏印の問題等が解決されるのみならず、アジアの一般的な平和の道、緊張緩和の道が開かれるであろうことを、この会議を通じて強く踏み出してもらうことをわれわれは強く期待したい。われわれこういう具体的な考え方を持っておるのだが、私はこの際に、特に総理の総括的な見解に対して、なお外務大臣は何かの見解を持っておるかどうか。この点を一つ最後にお尋ねいたしたい。
○重光国務大臣 ジュネーヴの巨頭会談に対する私の観察は、私は相当詳細に申し上げておりますからもう再び繰り返しません。私もこの会議が両陣営緊張緩和、すなわち世界平和に貢献することが非常に多いものであることを期存して、その成功を衷心から希望しておるものであります。これは私も、日本政府及び国民の名において言うことがてきる、こう信じております。
○三浦委員長 それでは午後二時から再開することといたしまして、暫時休憩いたします。 午後一時十八分休憩 ――――◇――――― 午後二時二十一分開議
○三浦委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を継続いたします。河野密君。
○河野(密)委員 本年の三月に第二次鳩山内閣が成立いたしましてから約四ヵ月でございます。その間の鳩山内閣の施政を検討してみますと、公約の不履行の点ばかりでございます。公約の履行されたものと申しますならば、ただ憲法改正、再軍備の方向に一歩を進めたという点ではないかと思うのであります。さような意味合いにおきまして、鳩山内閣に対して、打倒しなければならない、こういう態度をきめたのは、おそらく私たちが最初であると存じます。しかし打倒をきめたからといって、直ちに不信任案を提出するというわけでもございませんが、しかし私たちは鳩山内閣に対してさような根本的な考え方をきめたわけであります。 内政の面においてきわめて不満足である私たちも、ただ一つ鳩山内閣に対して期待と申しますか、望みの綱を持っておりますのは、外交の面でございます。ただいま進行中であります日ソ交渉に対する妥結いかん、こういうことについて、鳩山内閣に対して一縷の期待をかけておるような次第でございます。そこで私は、本日はその外交の問題に対しまして、果して鳩山内閣が私たちの期待する方向に進みつつありやいなや。鳩山内閣に期待をかけることができるかどうか。こういう最後のテストを実はいたしたい、かように考えるのであります。 具体的な質問に入ります前に、私はまずごく一般的なことについて鳩山総理にお尋ねをいたしたいと思います。まず第一は、現在の国際情勢が緊張緩和の方向に向いつつあることは御同慶にたえないのでありますが、さて翻って考えてみますに、その国際的な緊張というものは、どういうところから来ておるのであるか、その緊張の原因がどこにあるかということを、お互いに考えてみなければならないわけであります。その緊張の原因を探求し、その緊張の原因に関する認識というものが、それぞれの外交政策なり具体的外交方針なりの基礎となるのであります。そこで私はこの点についてまず鳩山総理大臣にお尋ねをいたしたいのでありますが、鳩山総理大臣は現在の国際緊張の原因は一体どこにあるとお考えになっておるのであるか。今私の見るところによると、世界の緊張の原因として考えられておるものは、三つのものに要約することができると思うであります。一つのグループは、今日の世界の緊張は、ソ連の世界政策に立脚するものである、コミンフォルムを中心とする国産共産主義の政策、運動というものが、世界の緊張の根本的な原因である、従ってこれに対する何らかの施策を講ずるのでなければ、国際緊張は緩和することができないのだ、こういう考え方が第一のグループであります。もう一つは、これとまっこうから反対するものであって、現在の国際緊張は、いわゆる資本主義的な帝国主義と申しましょうか、そういうむしろ自由主義世界の膨張政策というものに原因があるのである。他国に軍事基地を設けたり、あるいは力による対決を迫ったりという資本主義的な帝国主義というもの、これが世界緊張の原因である、こう考えておる。これが第二のグループであります。第三のグループは、原因はともかくとして、世界が二つの陣営に分れておるということ、これが世界の今日の緊張の理由である、二つの陣営に分れることによって、イデオロギーの衝突と戦略上の衝突ということが避け得られなくなっておる、これが国際緊張の一番大きな原因である。世界最強の米ソ二大国を頂点として、東西両陣営に世界が二分されておるという不幸な事態が国際的危機の根本である。こういうふうに人によって多少表現の方法は違いますし、ニュアンスも違うと思うのでありますが、私の見るところによりますと、この三つの考え方が現在国際緊張の原因についての見方として区別されると思うのでありますが、鳩山総理大臣はこの国際緊張の原因に対してどういう見方に立っておられるのであるか、この点をはっきりお答え願いたいと思うのであります。
○鳩山国務大臣 国産関係の緊張は、お互いに誤信に基いて兵器製造の競争をやったことに出発をしておると思います。あなたのおっしゃる通りに、共産主義陣営と自由主義陣営とはお互いにその攻略を予想いたしまして、兵器の製造に熱中してこの競争をやったということが、緊張の度を年々加えてきたものと思います。
○河野(密)委員 鳩山総理大臣のお答えはきわめて抽象的でありますが、私が今具体的に申し上げましたように、第一のグループに属するのか、第二のグループに属するのか、それとも第三の考え方に立つのか、これだけを明確にしていただきたい。
○鳩山国務大臣 第一のグループ、第二のグループ、みんなそういうような考え方をしておりますけれども、同時にお互いに攻略をしてくるものと予想をして戦争の武器製造に熱中をしたということが、緊張の度をますます深くしてきたものと思います。
○河野(密)委員 そうすると鳩山総理大臣のお考えは、二つの陣営に世界が分れておるということにすべての国際的な緊張の原因があるんだ、こうお考えになっておると考えてよろしゅうございますか。
○鳩山国務大臣 二つの陣営に分れておっても、互いに攻略してくるものと思って兵器の製造に熱中しなければ、これほどの緊張は来ないと思うのであります。
○河野(密)委員 どうもはっきりいたさないのでありますが、それでは次にお尋ねを申し上げます。先ほど申し上げましたように、世界の緊張の原因がどこにあるかというその原因の認識に従いまして、この国際緊張を緩和する方式と申しますか、政策というものにおのずから区別の生ずることは当然でございます。この認識に応じまして、これも私の分類でありますが、私の分類して見るところによりますと、三つの流れに分けることができると思うのであります。一つは力の均衡を保つことが国際的な危機を緩和する唯一の道である、融和政策、いわゆるアピーズメント・ポリシーというものはあり得ないのである、自由世界の弱勢が共産主義陣営の攻勢を招くのであるから、自由世界の弱勢を強化することが国際平和を維持する唯一の道である、こういうように考えておるのが一つのグループであると思います。もう一つは、これと正反対であって、現在の世界的な不安と動揺は、帝国主義諸国の植民地に対する侵略と搾取にあるのである、だから植民地の解放、帝国主義諸政策の抑圧ということによって、世界的な危機を緩和することができるんだ、帝国主義の国がその侵略をやめさえすれば、直ちに平和というものが来るんだ、平和的共存は可能になるんだ、こういう考え方をするのがもう一つの流れであると思います。第三は、世界が二つの陣営に分れておることによって緊張が生ずるのである、従って緊張緩和をする道というものは、両陣営が素っ裸になって話し合いをすることによって、初めて打開の道を開くことができるのである、国際緊張を緩和する道というものは、両陣営が話し合いをすることによって打開すべきものである、こういうふうに考える考え方、この三つが私は現在国際緊張緩和の方式の中にあると思いますが、鳩山総理大臣はこのいずれをとられるのであるか、承わりたいと思うのであります。
○鳩山国務大臣 私は現在の平和が力のバランスによって保たれているということを否定するわけには参らないと思います。現にそういうことを主張している政治家はずいぶんたくさんあります。チャーチルのごときも、アメリカの力が優越しているからこそ世界大戦がないということを明瞭に明言しております。このごろアメリカの雑誌などによって見ますのに、どうしてソ連が平和に熱心になってきて、緊張の度が薄らいできたかということをしきりに書いておりますが、それによってやはりアメリカが力の優越を持っているからだということを明瞭に言っている人がある。ですから力によって現在の平和が保たれているということを否定するわけには参らないと思います。しかしながら、力によって平和を維持するということは、つまり力の競争になるわけであります。力の競争ということは究極するところ何かといえば、やはり戦争ということになろうと思う。ですからして、現在の平和が力によって維持せられていることは是認せざるを得ませんけれども、この方法にのみ依存しているということになると、結局は戦争になるというようなおそれがありますから、どうしてもこれと同時にお互いに了解をし合って、お互いに戦争の惨禍ということを認識して、そうしてお互いに友好関係を結んでいくということに出発しなければ戦争が来るのでありますから、終局の戦争に持ってくるまで袖手しているわけに参りませんから、そこで友好関係を結ばなくてはならないという空気がほうはいと世界じゅうに起ってきたと私は思います。
○河野(密)委員 鳩山総理大臣の考え方を要約してみますと、現在の平和はやはり力の均衡ということによって保たれているが、しかしその力の均衡にたよってはいけない、話し合いによって今日の国際緊張は緩和の方向に進むべきものである。またそういうふうに進めたい、こういう考え方である。いわゆる鳩山外交というものがありとすればこれが鳩山外交の根本である、こう理解してよろしゅうございますか。
○鳩山国務大臣 そうです。その通りであります。
○河野(密)委員 そこで私は鳩山総理大臣に、今度は具体的の問題をお尋ねするのでありますが、鳩山総理大臣の日ソ交渉は何を目標としてお始めになったのであるか。今の鳩山総理大臣の考え方は、日ソ交渉の面においても、同じような考え方によって力の均衡を求める、一方においては力の均衡に立つ、しかしながら力の均衡の上に立って話し合いを進めるんだ、こういう考え方の上に立って日ソ交渉をおやりになっているのであるが、日ソ交渉の鳩山さんがおやりになるねらいと目標は、どういうところにあるか伺いたい。
○鳩山国務大臣 ソ連と日本とは戦争状態終局の始末がついていないのですからして、戦争状態を終結せしめて、そうして国際関係を正常化することが必要だと思ったのであります。ソ連と日本とが力の均衡を保つというようには、これは考えませんでした。
○河野(密)委員 私のお尋ねしたいことは、鳩山総理大臣は常識的に戦争状態を終結したい、こういうことを言われますが、その根本の、鳩山外交というものの基調として考えていらっしゃる点は、日ソ交渉を通じてどういうことをおやりになりたいと思うのであるか、どういうところをねらっているのであるか、そこを私はお聞きいたしたいのであります。
○鳩山国務大臣 戦争状態を終局して国際関係を正常化する希望は、戦争が起らない前の状態に日ソの関係を持っていきたいというのが基調となるべきものと考えております。
○河野(密)委員 そこで私は鳩山総理大臣に率直にお尋ねしますが、たとえばドイツにおける再軍備が行われるということになりますと、東西両陣営の力の均衡というものがその一角から破れる。日本とソ連との関係というものは、あなたがおっしゃる世界の平和を維持しておる力の均衡というものにどういう影響を及ぼすとお考えになっておるか、日本の将来の立場というものに何らかの考え方を持っていらっしゃるのか、この点を私は承わりたいのであります。
○鳩山国務大臣 ソ連と日本との関係において力のバランスを考えることは先刻も申したようにございません。
○河野(密)委員 私の申し上げることは、もっと具体的に申しますが、ソ連がサンフランシスコの講和条約に反対した理由というものは、おそらく力のバランスということを考えたのだろうと思うのでありますが、もし日ソ交渉を妥結した場合に、その力のバランスというものにどういう影響があるとお考えになっておるか、こういうことなんです。影響なしとお考えになっておるならばそれでもよし、あるいは影響ありと港えるから、将来日本としては世界平和のためには日ソ交渉打開を契機として日本の外交方針をどちらかの方向に切りかえなければならぬというふうな関係があるとお考えになっておるのか、その点を承わりたい。もっと具体的にいえば、日本が中立的になることがあるいはソ連との外交交渉を打開する上において一つの大きなキー・ポイントになるのじゃないか。たとえばドイツ問題を解決する場合に、ドイツがどちらの陣営にも属しないということがドイツ問題解決の一つのかぎになるように、そういうことをお考えになっておらないのか、こういうことを聞いておるのです。
○鳩山国務大臣 あなたの御質問の趣旨がわかりました。日本としてはアメリカとの安保条約を基本としてそれを破らないという気持でありますから、私はアメリカとの安保条約による共同防衛の基礎というものはくつがえす気持はありませんでしたから、ソ連と国交関係を調整するに当って力のバランスということについては考えをめぐらしませんでした。
○河野(密)委員 それでは今度はもう少し具体的にお尋ねいたしますが、先ほど勝間田君の質問に対して電光外務大臣から日ソ交渉の経過につきましてはきわめて抽象的でありますが、しかし率直にお話がございました。日ソ交渉の現在の段階は両方からそれぞれの主張を出し合ったままそれをいかに調整するかとい段階に来ておる、こういう話でありますが、この日ソ交渉を打開する可能性について鳩山総理大臣はどういうお見通しを持っていらっしゃるのか、現在その交渉の経過をお聞きになってどういうふうにこれを進めていきたいとお考えになっているか、その点を一つお伺いいたします。
○鳩山国務大臣 日ソ交渉の成果についての私の気持は楽観もしておりませんが、悲観もしていないという気持であります。日ソ交渉において縦本的にはとにかく戦争状態を終結さして、お互いに主権を尊重し、お互いに領土を尊重して国際関係を正常化しようじゃないか。そのために交渉を始めたいというような申し込みをソ連もしておりますぐらいですから、国際関係を正常化するということについてソ連も誠意あるものと私は考えております。
○河野(密)委員 今度は重光さんにお尋ねを申し上げますが、日ソ交渉に対しましては、私などの見るところによれば、従来の外交交渉とはいささか異例だと思うのでありますが、日本は日本の主張を一切がっさいさらけ出してしまっておる。ソ連側はソ連側で自分たちの立場をみんなさらけ出しておる。その両方がカードを出し合った上でその調整をどうするか、こういうように進めておるように伺っておるのでありますが、その通りでございますか。
○重光国務大臣 大体そういうような形に相なっております。
○河野(密)委員 そこで巷間伝えられるところによりますと、第一に引き揚げの問題、第二に領土の問題、漁業条約の問題も一切がっさいを日本からも提案してあるということでありますが、その通りでございますか。
○重光国務大臣 日本側の主張すべきことは議会に対する報告ですべて申し上げておる通りであります。その日本側の主張すべきことを松本全権が全面的に主張をしたわけでございます。
○河野(密)委員 最近重光外務大臣が閣議に報告されたものとして新聞に伝えられる中に、領土の問題に対しても一部話し合いを進めておる、こういうことを申しておりますが、領土の問題に対しましてはどういうふうに話し合いをお進めになっておるのでありますか。具体的に申しますれば、領土の一部というのは歯舞、色丹をさずのであるか、千島、南樺太をさすのであるか、あるいは歯舞、色丹、千島、南樺太、それらのすべての問題を一応話し合いの具にしておるのでありますか、伺います。
○重光国務大臣 前に申し上げました通りに、交渉の内容については申し上げるのを差し控えたいのでございますが、引揚者の問題については、日本側はまず最初に解決すべき問題であるとして了承しておることは、これは申し上げても少しもさしつかえない問題だと考えます。 領土の問題の一部と申し上げたのは、領土の問題はまだ十分に討議に入らないということを申し上げたのでございます。領土の問題はいずれ十五日以後の今後の交渉にまず取り上げられる順序になろうかと考えられます。ただちょっと領土の問題について話を始めんとしたという意味でございます。一部というのは領土の一部のことを育っておるわけじゃございません。
○河野(密)委員 領土の問題については、これから話し合いをお進めになるということでありますから、そこで私はお尋ねをいたしたいのでありますが、現在領土問題と申しますれば、鳩山総理も選挙の最中には非常にこれを主張されておったのであります。領土の返還を求めるのだ、これがあたかも日ソ交渉の主たる眼目であるかのようにいろいろな機会に言われておったのであります。その領土というのは歯舞、色丹、千島、南樺太、こういうふうに了解してよろしゅうございますか。
○重光国務大臣 領土の問題というのは日ソ間に未定に置かれておる領土のことを意味しておって、それはもう私の報告演説にすべて列挙いたしておりますから、今お話の通りでございます。
○河野(密)委員 私が申し上げるまでもなく、同じ領土と申しましても歯舞、色丹、千島、南樺太といずれもこれは日本がかりに返還を請求するとしても、その理由は異ならなければならないと思うのであります。歯舞、色丹、千島、南樺太、それらの領土の問題を解決するに当っても、これは国際条約上あるいは日本の立場上それぞれ主張する権原は異なるものである、こういうように理解してよろしゅうございますか。
○重光国務大臣 もちろん領土の問題を出す以上は、それぞれそれに対する根拠を示さなければなりません。しかしながらいかようにその根拠を示したか、また示すつもりであるかということは、私は今申し上げないことにいたします。河野(密)委員 これは示さなくとももう大して問題になるべき筋合いのものではないと思うのでありますが、歯舞、色丹二つの島を返してもらいたいというのは、かりに。ポツダム宣言を受諾したとしても、そのポツダム宣言の範囲内においてこれは当然日本の領土に考える、こういう主張によるものだと思うのであります。その通りに解しよろしゅうございますか。
○重光国務大臣 私は領土の問題で日本側の主張を今論議いたさないことにいたします。
○河野(密)委員 千島、南樺太については事情はおのずから違うと思うのでありますが、これは私が申し上げるまでもなく、先般逆にソ連の方から千島、南樺太の領土権を認めろ、こういう、主張があったと新聞に報道されております。これは交渉が始まって、たしか六月十五日ごろだと思いますが、そのときにソ連の側からの対案はこれである、こういう主張の中に千島、南樺太はソ連の領有すべきものである、領土権を認めろ、こういう主張があったやに伺っておりますが、その点はいかがでありますか。
○重光国務大臣 概括的に申し上げて、ソ連は今ソ連の占領しておる領土をソ連領として認めることを主張しておると概括的に申し上げて差しつかえないと思います。
○河野(密)委員 これは私が申し上げるまでもなく、大西洋憲章から始まってカイロ宣言を通してポツダム宣言に至るまでの経過をずっと見ますと、カイロ宣言に至るまでは千島、樺太の問題は何ら触れておりません。それがポツダム宣言になりましてももちろん積極的に千島、樺太の問題には触れておりませんけれども、日本の領土は四つの島及びその湖辺に限られるという消極的な規定をしておるのであります。この千島、樺太というものをソ連が領有するということは、外務大臣御承知のように、どこにも書いてないのであります。そのソ連の領有するということをきめたものはヤルタの協定であります。そのヤルタの協定によって今ソ連は千島、南樺太の領有権を、逆にソ連領たることを認めろ、こういうことを言ってきたのでありますが、それに対しまして外務大臣としてはどういう考え方をお持ちになるのであるか、私はこの日ソ交渉において、鳩山総理大臣は選挙の際にはしきりに日ソ交渉によって日本の旧領土は返ってくるんだというような風味合いのことを、これは大衆相手でありますから決してとがめるわけではありませんけれども、選挙の際には多少行き過ぎの演説をしたからといって別にとがめようとは存じませんが、そういうことをしきりに主張されておる。ところが現在日ソ交渉を開いてみると、逆に国際条約上はむしろペンディングになっているものを、逆にソ連の側からおれの領土であるということを認めろういうことを要求されておる形になっておるのであります。これに対して外務大臣はどういう対策をお持ちになっておるか、どういうふうに交渉をお進めになろうとしておるのか、この点を承わりたいと思うのであります。
○重光国務大臣 お話しの通り、ソ連の概括的、全面的の主張は、日本側としてはそれをそのまま承服することのできない立場に立っております。すなわちお話のポツダム宣言によって、南樺太なり千島の問題が処理されておるとは日本側は考えておりません。その条約上の見解はこれは日本側としては十分確かな見地に立っておるのでございます。そうでありますから、これらの領土の問題は今言われたお言葉の中に、ペンディングという言葉がありましたが、その意味は日ソの間に解決をされておらぬ問題である、こういう意味ならばわれわれはその通りに考えております。そうでありますから、これは解決をしなければならぬ問題だ、こういう考え方で今交渉に臨んでおるのであります。それではこういう島々がどういう理由で日本が要求するのであるかということは、これは理由がみなございます。この理由はおそらく私はここに説明するまでもないと思いますが、しかし交渉の上でどういうふうにこれを理由づけて日本が要求したかということの交渉の内容を、今言えと言われるのじゃなかろうと思うのであります。それは私は御説明しかねると申し上げるのでございます。
○河野(密)委員 領土の問題は今お聞きの通りでございますが、この領土の問題はおそらく日ソ間だけの交渉によって妥結する問題とお考えになっておりますか。それとも日ソ間の交渉でなく、これはもっと大きな世界的な見地において、何らかの一つの東西陣営の妥結点というものがなければこの問題というものの進展はあり得ないんじゃないかというふうにお考えになりますか、この点をお尋ねしたいと思います。
○重光国務大臣 今御指摘の点は、私は交渉上非常に重要な点だと思われます。私がこの席で申し上げられることは、日ソ交渉の中でさような点が世界の一般情勢に最も結びつく問題だ、こう考えております。そこでこの問題が日ソ間だけで妥結し得る問題であるか、そうでなくて、他の関係諸国とも一緒に解決しなければならぬ問題であるか、あるいはまた個々別々に解決しなければならぬ問題であるかということは、私は交渉を進めるに従って自然に明らかになってくる、こう考えておりますが、それに応じて部分的に対処していきたい、こういうふうに考えております。
○河野(密)委員 今重光外務大臣の御答弁で非常に日ソ交渉の重要点が明らかになったと思うのであります。これは日ソ交渉の父渉そのものは、鳩山総理は、きわめて安易と申しては失礼かもしれませんが、非常に簡単にお考えになっておるようでありますが、日ソ交渉そのものがきわめて重大なる問題を含んでおる。そういたしますると、日ソ交渉は日ソ交渉のみによって打開し得るものではないというふうに港えられるのでありますが、鳩山総理大臣に、この日ソ交渉の前途に対して、日ソ交渉妥結に対して、その見通しと決意のほどを承わりたいと思います。
○鳩山国務大臣 ジュネーヴ会議の四巨頭会談で、どの程度まで世界の平和を維持するために積極的の方法が講ぜられるかということは、非常に重大な問題と考えております。このジュネーヴ会議において、もしも世界平和維持のために何か建設的の方法、かできますれば、それは日ソ交渉については非常なよき影響があるものと考えております。そういう点から考えますと、日ソ交渉というものは世界の平和の見通しということと関係があるものと私は考えるのであります。
○河野(密)委員 今総理大臣がはしなくも言明されたことが、実は私のお尋ねしたい要点であったのでありますが、現在ジュネーヴで開かれようとしております四巨頭会談というものは、これは国際情勢の将来にとってエポック・メーキングなできごとであると思うのであります。私が申し上げるまでもなく、一九四五年以来ほとんど十年ぶりで開かれる四巨頭会談でありまして、この成果というものは私は世界の将来を左右する重大なできごとであると思うのであります。しかも今、日ソ交渉を始めておる、日ソ交渉を現在進行さしておる日本にとって、日ソ交渉を妥結するかぎも、私はこのジュネーヴにおける四巨頭会談の成果いかんにかかっておると思うのであります。その点は先ほど私が外務大臣に質問をし、今総理大臣がおっしゃられたことによっても明確であると思うのであります。それにもかかわらず、数日後に開かれようとしておる四巨頭会談に対して、政府は一体どういう手をお打ちになったのであるか、これに対してどういう関心をお示しになっておるのであるか、外交政策上あるいはこの四巨頭会談に対する態度として、何をおきめになり、何を声明し、何の意志表示をされたか。もし何にもならぬとするならば、これは大へんな怠慢であると思うのでありますが、この点総理大臣の率直なる見解を表明していただきたいと思います。
○鳩山国務大臣 先刻申し述べましたように、ジュネーヴ会議というものは日本にとっても非常に重大な影響のあるものと考えておりますけれども、この会議に人を派する方がいいかどうかということはまだ決定しておりません。
○河野(密)委員 人を派遣するかどうかを決定しないということはまず第二といたしまして、この四巨頭会談に対して、非常な影響をこうむる日本としては何らかの国民的な意思表示を、すべきものである、かように考えるのでありますが、総理大臣はこれに対して御同感であろうと思いますが、いかがですか。
○鳩山国務大臣 ある機会においてはそういうようなことをしなければならぬと考えます。
○河野(密)委員 私たちは、このジュネーヴに開かれる四巨頭会談というものは成功せしめなければならないというばかりでなく、必ず成功すべき国際上の情勢に置かれておると思うのであります。何となれば、今日世界の東西両陣営の対立によって非常な危機にさらされておる世界のあらゆる民族、いかなる民族といえども、その四巨頭会談の成果に期待いたしておるのであります。そこでこの四巨頭会談が何らかの成果をおさめることなしに終るというようなことは、国際情勢上あり得ないと思うのであります。そこでわれわれとしてはその四巨頭会談に対して、日本の国民はこういう考え方を持っておる、アジアの民族はこういう考え方を持っておるということを表明すべき絶好の機会であると私は思うのであります。私たちはそういう意味合いにおいて、できれば本国会において国会の決議をもって日本の国民の意志を表示すべきではないか、これは私たちは各党に呼びかけてそういう態度をとりたいと思っておりますが、われわれが言うまでなく、政府としては率先して、少くとも各政党に呼びかけるなり、何なりの手段をとって、このジュネーヴに開かれようとする国際会議に対して、日本の国民の意思、日本の政府の意思を表明する手段をとるべきはずだと思うのであります。今からでもおそくないのでありますが、総理大臣はその点についてこの際はっきりとした態度をとるということを御言明なさる必要があると思うのでありますが、いかがでありますか。
○鳩山国務大臣 日本国及び日本国民がジュネーヴ会議に期待するところのものが多いということを表明する必要があると思います。ある機会においてそういうことをしたいと思います。
○河野(密)委員 表明したいということでありますから、私は鳩山総理を信頼いたしますが、どうぞ言葉だけでなしに、私はこういう際にこそ具体的にはっきりした態度をお示しが願いたいと思うのであります。 そこで次にお尋ねを申し上げたいのは、先ほど来お尋ねをいたしておりますように、世界の緊張を話合いによって緩和するその方向が、今やジュネーヴの四巨頭会談となって現われようとしておる。こういう際に私は、鳩山内閣の施策というものは、内政の面においてはこの情勢と逆行しておるのではないか、こういう感じを持っておるのであります。そういう意味合いにおいて私は、鳩山総理大臣に防衛の問題について、これはたびたび議論のあった点でありますが、きわめて率直にお尋ねを申し上げたいと思うのであります。今まで防衛の問題で明らかになったことば、私の理解するところによりますと、こういう点であると思います。それは日本国の憲法は自衛のために軍隊を持つことは禁じていない。それから自衛のためということであるならば軍隊に制限はない。憲法を改正するのは、憲法第九条があいまいであるから、以上の趣旨を明らかにするために憲法を改正したいと思う。憲法を改正する発議権は国会にあるけれども、憲法改正のための準備工作をする権限は政府にもあるのだ、こういうお考えであるように理解するのでありまするが、この通りと了解してよろしいでしょうか。
○鳩山国務大臣 大体ただいま御朗読になった通りであります。
○河野(密)委員 そこで自衛のための軍隊の限界というものは、一体どういう点に限界を置かれようとするのであるか、自衛のためであるならば限界はないとお考えになっておるのであり度すか。
○鳩山国務大臣 自衛のためにならばいかなる範囲でも無制限に軍隊を持てるというような意味ではございません。自衛のためにも、これに必要にして最小なる限度、最小の限度というような制限はあるものと思います。ですからして、決して他国に攻撃的の脅威を与えるように見える自衛軍は、自衛のためでも持つことはできないと私は考えます。
○河野(密)委員 その限界を一体どういうところに置いておるのであるか、これは一つ防衛長官からはっきりとお答えを願いたいと思います。
○杉原国務大臣 ただいま総理からお答え申し上げましたように、自衛のためなら無制限に持てるという意味では決してなくして、これには限界がある。そしてそれは自衛のため必要最小限度のものである。そうしてそれは一言いかえますならば、侵略を更けました場合に、これを排除するために必要最小限度のものである。そうしてさらにこれを他の面から同じことを申し上げますらば、他国に攻撃的の脅威を与えるような、そういう大きな防衛力というものは持てない、こういうことに相なるものと存じます。
○河野(密)委員 一つ私の方から助け舟を出して、その根拠として、安保条約に規定しておる攻撃的な脅威となり平和と安全を増進すること以外に用いられ得べき軍備を持つことを常に避けつつ、直接及び間接侵略に対する自国の防衛のために必要なる軍隊、こういうことをおっしゃりたいのだろうと思うのでありますが、この攻撃的な脅威となり、平和と安全を増進すること以外に用いられ得べき軍備を持つことを常に避けつつという、こういう限度は、一体だれがどういうふうに、どうしてきめるのであるか、これを一つ承わりたい。
○杉原国務大臣 それは結局におきましては、まず政府が責任を持ってそれを判断し、それをさらに国会に提案いたしまして、最終的には国会の判断によってきめるよりほかいたし方ないと存じます。
○河野(密)委員 それが攻撃的のものであるか、自衛のためのものであるかということは、国会が判定者である、こういうのでありますが、では具体的に私はお尋ねを申し上げままが、最近ロンドン・エコノミストの論文だとして伝えられるところによりますと、アメリカの地上軍二個師団は、近く完全に日本から撤退するのである、遠くない機会において現在残っておるアメリカ地上軍二個師団は撤退する、そうして地上軍はすべて日本の軍隊によってかわられるのである、こういうのでありますが、地上軍はすべて日本の軍隊によってかわられるという事態は、これは自衛のための限界である、地上軍に関する限りはすべてこれは自衛のものである、こういうふうな見解を政府はおとりになっておるのですか。
○杉原国務大臣 お答え申し上げます。地上軍に限らず、わが国といたしましては、憲法上の建前からいたしましても、さらにまた実際上の能力、いわゆる国力と財政力等からいたしましても、その範囲内においてしかできないことであると存じます。そうして現在の日本の国力から見ますと、憲法上法律上許される範囲といえども、実際にはきわめて限られた範囲内にとどまるものと存じます。
○河野(密)委員 逆にお尋ねいたしますが、アメリカの地上軍がみな撤退してしまって、地上軍は日本軍にかわるのだというエコノミストの論説は、その通りと解釈してよろしいですか。
○杉原国務大臣 お答え申し上げます。私もエコノミストのその報道は見ました。アメリカの地上軍は、かなり早い時期において撤退を期待できるのではないかと私も判断しております。しかしこれはもちろん日本側の自衛隊の整備と関連を持つことだと思います。従いましてこれがいつどれくらい立つかということは不明であります。私らの方で正確に承知しておりますのは、最近約五千名が日本本土から撤退いたしておるのでございます。
○河野(密)委員 そうすると、この地上軍は、日本軍というか、日本の自衛隊にかわるわけでありますが、その自衛隊の装備とか、そういうものは日本の憲法の範囲内においての装備であって、アメリカ軍の装備とか、そういうものとは全然違うものである、こういうように理解すべきものでありましょうか。それともアメリカ軍と同じような装備を持った日本の地上軍が、アメリカ軍のおった穴をすっかり埋めてしまう、そういうように解すべきものであるか、その点を伺います。
○杉原国務大臣 お答え申し上げます。私アメリカの地上軍が具体的にいかなる装備を持っているかということは具体的には不明でありますけれども、憲法の建前からいたしましても、また実際上の能力の点からいたしましても、わが国の陸上自衛隊の装備は、他国に攻撃的な脅威を与えるようなものではないということ、それから私先ほど具体的には不明だと申しましたが、一般的に申しまして、アメリカの地上軍は非常な重装備であるというように判断しておりますので、日本の自衛隊はそれほどのものは持ち得ないものと考えております。
○河野(密)委員 地上軍はアメリカにかわる。そうすると航空兵力と申しますか、航空自衛隊、海上自隊、そういうものも、将来アメリカの現在いるものにかわるという考えのもとに、計画を進められておるのか。航空兵力、海軍兵力についての計画並びにその見通しというものを承わりたい。
○杉原国務大臣 お答え申し上げます。海上自衛隊、航空自衛隊につきまして、今後相当の整備は必要だと思っておりますが、その目標として、アメリカの海空部隊というようなことは全然考えておりません。これはとうてい不可能でもありますし、またそういうことは考えておりません。
○河野(密)委員 そうすると、自衛のための軍隊というものの限界を、大体どの程度に考えておるのか。サンフランシスコの講和条約の際に、たしかソ連側は日本に対して陸上兵力十五万、海軍七万五千ですか、空軍二万五千でしたか、そういうものは許してもよろしい、こういうことも言っておったのでありますが、今防衛庁としては、自衛のための軍隊という限界はどの程度に置いておるのでありますか。これを具体的にお示し願いたい。
○杉原国務大臣 お答え申し上げます。陸海空は総合して考えなければならぬことはもちろんでありますが、これを総合いたしまして、日本側として侵略を受けました場合に、少くともある期間は持ちこたえ得るような力を持ちたい、そしてその前提といたしましては、やはり日米の相互安全保障ということを前提にしなければ、自衛のためといえども、日本一国だけでは、その能力からいたしましても一なかなかできにくいことだと思っております。
○河野(密)委員 断片的になりますが、本委員会におきましても、またその他の委員会においても、原水爆兵器を日本が貯蔵することは憲法違反であって、自衛のための軍隊という限界を越えるものであるということを言っておりますが、その通りに、原水爆兵器というものは日本が貯蔵することも憲法違反になるというふうにお考えになっておりますか。
○杉原国務大臣 日本はその意志はございません。
○河野(密)委員 そこでお尋ねを申しますが、日本の防衛計画、それから防衛生産、防衛出動というようなものは、すべて国防会議でやるということになっておりますけれども、その国防会議法案その他いろいろな法案が、現在国会内の審議が停滞をいたしております。鳩山総理にお尋ねをするのでありますが、一体政府はこれからの国会の運営をどういうふうにしてやっていこうと考えておるのか。たとえば国防会議法案とか憲法調査会法案など、現在出してある重要な法案は、みなお通しになろうとしても、会期は余すところわずかに十五日しかないのでありますが、この際に鳩山内閣としては、この余されたる国会運営において、この法律案の審議促進並びにこの運営をどういうふうにしてなさろうと考えていらっしゃるのか、この点を承わりたい。
○鳩山国務大臣 自由党との話し合いによって、重要法律案は通るようにしたいと期待をしております。
○河野(密)委員 重要法案は通すようにしたいというその重要法案というのは、政府としてはどれとどれというふうに集中的に考えていらっしゃるのかということを承わりたい。
○鳩山国務大臣 国防会議法その他二、三の法律ぜひ通したいと思っております。
○河野(密)委員 そこで、自由党の名前が出ましたが、現在の国会の審議が今日のように停滞をして、国民の間から批判の声が起り得るほどに停滞をしているところの理由が二つあると思うのであります。一つは、政府の法案の提出が非常におくれておって、しかもその法案に対する検討が十分でなかったという政府の責任が一つであります。もう一つは、今鳩山さんがお口に出された自由党との関係において、自由党自身が保守合同の面においてついたり離れたりするという、そのきわめて首鼠両端を持する保守合同の微妙なる関係が、法案審議を停滞せしめているところの一つの大きな理由になっているのでありますが、この保守合同の問題にからんで、国会の運営の将来並びに鳩山内閣の将来というものについて、総理はいかなる決意をもって、どうしてこれから国会を乗り切り、どういうふうにしてこの政局の収拾をなさろうとしているのか、この点をはっきりと伺っておきたいのであります。
○鳩山国務大臣 政府としては、誠意を披瀝して全努力を尽す以外には方法を持っておりません。 先刻申しました重要法案について言い残しましたが、予算を伴う諸法案はぜひ成立をさせたいと考えております。
○河野(密)委員 最後に私はお尋ねを申しますが、それは、最近新聞に現われまして、鳩山総理大臣もよく御存じであると思いますが、原子力に関する科学者の声明でございます。七月九日に有名なイギリスの哲学者のバートランド・ラッセル博士が故アインシュタイン博士の遺書を発表いたしました。アインシュタイン博士は、七名の著名な科学者の署名をした声明書を出したのでありますが、その声明書は米、英仏、ソ、加、中共の六ヵ国の元首にあてられたもので、その元首たちがはっきりした意見を公表するように求めたものであります。私が申し上げるまでもなくお読みになったと存じますが、言々切々として実に胸を打つものがあるのでありますが、この声明書の中にはこういうことが書いてあるのであります。「われわれが人類を死滅させるか、それとも人類が戦争を放棄するかという問題である。」「人々は危険が自分自身に、そして自分の子供や孫にふりかかっており、単に漠然と考えられている人類にふりかかっているのではないということを夢想もしない人々は、個人、個人が、そして愛する人たちが悶絶の危険にさらされているということを殆んど理解し得ないでいる。従って人々は、近代兵器さえ禁ずれば、今後も戦争をしてもいいのではないかという希望を抱く。この希望は空しい。水爆を使用しないといういかなる協定が平和時に結ばれても、戦時になればこの協定は守られないであろうし、戦争が始まれば双方とも直ちに水爆の製造にとりかかるだろう。」また「われわれの大部分は中立的な考え方はしていない。しかし人類の一員として、われわれは東西間の問題が共産主義と反共産主義、アジア人、ヨーロッパ人、米国人という区別、黒人であるか、白人であるかという区別にかかわりなく、すべての人間に満足を与えることができるような方法で決定すべきだとすれば、戦争によって解決してはならないということに留意すべきである。」こういうことを書いておるのであります。そうして将来起る戦争は必ずや核兵器が使用されるから、これは人類の生存に脅威となるのであるから、これを禁止しなければならないということを切々として訴えておるのであります。総理大臣はかつてこの席上において、今日もまたチャーチルの言葉を引いて、原子力兵器の均衡が世界の平和の原因となっている、こういうことを述べておりますが、これは私としてはなはだ残念な発言であると思うのであります。もとよりこのアインシュタイン博士の遺書であり、バートランド・ラッセル博士が公表したこの声明なるものは、米、英、仏、ソ、加、中共の六カ国の元首にあてられたものでありまして、これは日本の総理大臣の意見を求められておるものではございませんが、私はこういう科学者の声明に対して、鳩山総理大臣はこれまた率直に何らかの形において答えらるべきものである。かように私は考えるのであります。現に国会におきましても、原子兵器の禁止の問題については、国会の超党派的な決議によって決定をしておるのでありまして、私が先ほどお尋ねを申し上げましたジュネーヴにおける四巨頭会談とあわせて、原子力に関する科学者の声明に対してでも、いかなる形においてかなりと、鳩山総理大臣が率直なる日本国民の意思を表明していただきたいと思うのでありますが、その考え方を伺い、その表明を伺いまして、私の質問を終りたいと思うのであります。
○鳩山国務大臣 現在では世界のいずれの国民も例外なく戦争を回避する熱望は持っておるものと思います。特に非常に残虐なる兵器が発明せられたる今日においては、戦争回避の熱望はますます盛んであると思います。科学者が考えておるような希望が実現して、いかなる紛争も力によって解決をせずして、話し合いによって解決ができるような世の中が早く出現することを期待いたします。
○三浦委員長 本日はこの程度にいたしまして、次会は明十五日午前十時より開会いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時三十四分散会