予算委員会 第7号
- 発言数
- 276 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1955/05/07
会議録
○牧野委員長 これより会議を開きます。 昭和三十年度一般会計予算外三案を一括して議題といたします。質疑を継続いたします。赤松勇君。
○赤松委員 日本社会党を代表いたしまして、若干の質疑をば行いたいと思います。 まず質疑に入ります前に、鳩山内閣総理大臣の御心境につきまして、一言お伺いをしたいのでございます。これははなはだ失礼な御質問かとも思いますが、われわれといたしましては、ぜひこの一点はお聞きしておきたい、こう思いますので、率直簡明に心境をば披瀝していただきたい。それは、総理はかって田中内閣当時書記官長をおやりになったことがあり、いわゆる対文九ヵ条要求、あるいは東方会議、こういう中国に対する侵略戦争の一つの推進力的な役割を演じておられたわけでございます。また第五十四帝国議会におきましては、治安維持法の改悪法案をお通しになった。犬養、斎藤内閣当時におきましては、滝川教授の追放と、また帝人の疑獄問題に連座をされまして、いわゆる明鏡止水なる名句を残されておるわけであります。その後、いわゆる戦争状態になったのでございますが、この内閣には、満州重工業の総裁の高碕達之助さん、あるいは軍需産業の指導者であった洋信介、こういういわゆる有力なる戦争の責任者がおられるわけでございます。私はこの際、内閣総理大臣の御心境をお伺いしたいのでございますが、このような大きな敗戦のうき目を見まして、国民が非常な迷惑をこうむっておるこのときに当りまして、あなたは内閣総理大臣として内閣を組閣されておるのでございますが、いわゆる戦争及び戦争前におけるあなたの行動について、さぞ強い御反省をなすっておられると思います。この点につきまして、一つ明快なるあなたの御心境をばお伺いしたいと思います。――はなはだ失礼でございますけれども、各派の申し合せもございますし、また適当な機会に私は希望いたしますから、どうぞそこでけっこうですから、立ってやって下さい。
○鳩山国務大臣 お答えをいたします。 自分の歩んで来た政治上の過程において、すべてについて弁明をすることはできませんが、とにかく私は、そのときそのときに応じて、自分の良心に従って行動をとってきたのであります。
○赤松委員 そのときどきの行動については、良心に従ってやってきた、こういう御答弁でございます。私どもはかように嘆け取っておきます。要するに、田中内閣当時内閣書記官長として、対丈九ヵ条要求、あるいは東方会議、治安維持法の改悪、滝川教授の追放、帝人疑獄事件への連座、こう一連の諸問題は、鳩山さんは健心をもっておやりになってきた、こういう御答弁でございまして、全然戦争及び戦前の反動政治に対する御反省がない、かように受け取っておきます。 次に、私はお尋ねしたい。昭和二十六年二月、ニューズ・ウイーク誌のパットナムという記者と、それからフォード自動車のロイ・モルガン、この三民のあっせんで、追放中石橋、石井、野村――これは石橋湛山氏です。それから石井光次郎氏、野村吉三郎氏、この三者とともにひそかにダレスと帝国ホテルにおいて会見をされまして、その際自由党、民主党、社会党三党の連立政権が必ずしも夢でないことを確信し、講和後の日米協力はかくあらねばならぬという提案を膨大な意見書として提出をされた。この意見書は政治、軍事、経済の三編に分れる膨大なものであって、経済編だけをとってみても三千五百語に上るもので、再軍備の実行、憲法の改悪、占領制度の是正、日米共同出資開発会社の創設、こういうものを盛った提案であったということを聞いております。この点はいかがでございましょうか。
○鳩山国務大臣 ダレスに対して意見書を提出したことは事実であります。その意見書は、ダレスの方の希望は、六人くらいの人数の人の意見を聞きたいということでありまして、私は私個人の意見、石橋君は石橋君個人の意見、野村君は野村君個人の意見、みんな個人が各別に出したのであります。
○赤松委員 個人の意見書でございましても、今日内閣総理大臣の地位におられますので、あなたの考え方が内閣の政治の上に大きく生きてきておると思うのでございます。従いまして、この際国民のためにも、また私ども国会議員のためにも、その意見無用の内容をば御発表なさる御意思はないでございましょうか。いかがでございましょうか。
○鳩山国務大臣 公表すべき性質のものとは思っておりません。
○赤松委員 これは政府の外交文書ではもちろんございません。しかしながら鳩山総理は、つとに吉田内閣の秘密外交をば今まで排撃されて参りました。その秘密性を指摘されて参りました。今日巷間に大きな疑惑をば招いておりまするこの意見書の内容につきまして、あなたの信ずるところ、その所信を率直に御批瀝願いたいというところの私どもの希望に対しまして、発表する意思はない、こうおっしゃいましたことは、吉田茂氏以上のいわゆる秘密外交の危険を内包するものである、私はこういうふうに考えております。 小の次にお尋ねいたしますが、一月九日、アリソン大使から書簡が来ております。それにはダレスの伝言がついておりました。あたかも中ソに対する国交調整が問題になっておった当時でございましたが、そのアリソン大使から参りました書簡の内容及びダレスの伝言につきまして、この際明らかにしていただきたい。前の意見書は個人のものであるということでございますから、私は了承できませんが、一応これは聞かずにおきましょう。しかしアリソン大使から出されました書簡なるものは、公式の外交文書でございまして、これを拒否なさるということは、吉田内閣以上の秘密外交をやるということになりまするので、ぜひその内容をば明らかにしていただきたい。
○鳩山国務大臣 アリソン氏の手紙が公文書とは思っておりません。
○赤松委員 しからばいかなる性質のものですか。
○鳩山国務大臣 私文書です。
○赤松委員 アメリカの大使から内閣総理大臣に私文書が参ったというお話でございまするが、私文書とはどういう意味でございますか。
○鳩山国務大臣 私文書という意味はどういう意味かといえば、公文書でないというよりしょうがないと思います。(笑声)
○赤松委員 その内容につきまして御発表なさる意思はございませんか。
○鳩山国務大臣 ございません。
○赤松委員 どういうわけで御発表なさらぬのでございますか。
○鳩山国務大臣 私文書と考えるからであります。
○赤松委員 これは驚き入った御答弁で、吉田前内閣総理大臣以上にあなたは秘密外交がお好きであるようでございます。 それでは続いて次の質問に移ります。二月三日、アメリカ大使館からいわゆるアリソン覚書なるものが参っております。これは私文書でございますか。もし公文書でございましたならば、その内容をば一つ明らかにしていただきたい。
○鳩山国務大臣 お答えをいたします。私はその文書を知りません。
○赤松委員 外務大臣はいかがでございましよう。
○重光国務大臣 二月三日でございますか、それはどういう文書でございますか、私も知りません。そういう文書を記憶いたしません。
○赤松委員 しからばお尋ねいたしまするが、三十年度の防衛庁費は、九百億円を基本額とする。二、防衛庁費が基本額をこえない限り、米側は防衛分担金の削減を認めない。三、もし基本額をこえる場合には、追加額の半額相当を日本側分担金から削減をする。こういう文書が来ておりませんか、いかがでございますか。
○重光国務大臣 そういう文書は来ておりません。
○赤松委員 来ておりませんか。
○重光国務大臣 私は知りません。
○赤松委員 それではアメリカ側からそのような申し入れはございませんでしたか、いかがでございますか。総理大臣及び外務大臣にお尋ねいたします。
○重光国務大臣 それはおそらく、今のお話は、防衛分担金の交渉のことだろうと思います。いろいろ向うの意向も表示がございました。こちらの意向も表示をしまして、その結果発表いたしました通りに、結論に達したわけでございます。
○赤松委員 総理もそうでございますか。
○鳩山国務大臣 私は存じません。
○赤松委員 いよいよ驚き入った内閣だと思います。これは天下公知の事実です。周知の事実なんです。すでに外電におきましても明らかになっておる。日本政府はこのアリソン覚書に基いて、そうして防衛分担金の問題、あるいは防衛庁の予算の問題を考えていった。それを知らぬとあなたたちはおっしゃいますけれども、全くもってこれは秘密外交の最たるものだと思うのです。あなたは良心をもってほんとうに知らないとおっしゃいますか。外務大臣いかがですか。もしあとでそういうものがあなたの方に来ておったという事実が明確になった場合には、外務大臣どうしますか。
○重光国務大臣 今申し上げた通りでございます。そうして必要なものは、共同声明として発表いたしました通りでございます。
○赤松委員 それではこの共同声明に出ておりまするが、この防衛分担金の削減の問題で折衝中、アリソン大使なりあるいは米側から何らかの意向が漏らされておると思います。伝達されておると思います。そのアメリカ側の意向はどうでございますか。
○重光国務大臣 いろいろの意見の交換があったことは否定いたしません。それは当然のことでございました。しかしそれは交渉上の経過でございまして、これは米国側の意向を聞かずしては申し上げるわけには参りません。
○赤松委員 驚き入ったことです。アメリカ側の意向を聞かなければ、この国会におきましてその交渉の経過をば話すわけにはいかぬ。あなたはそれをもう一度確認できますか。もう一度言ってください。
○重光国務大臣 今申し上げた通りでございます。
○赤松委員 これはゆゆしいことだと思うのです。いわゆる独立自主外交をあなたはこの間本会議で答弁されたばかりではありませんか。それであるのに、この重要な防衛分掛金の問題の折衝の過程における、これらのアメリカ側のいろいろな意向について、この予算委員会においてアメリカの了解を得なければこれを発表することができない。それが果して自主独立外交ですか。そうでなかったら、そうでないとはっきり言いなさい。
○重光国務大臣 これは御承知の通りに、国際慣例としてすでにもうそういうことになっておる。交渉の状況を、向うの意向がどうであった、こうであったと、向うの意向を述べる場合には、向うの承諾を得ることは当然のことでございます。これは国際慣例で、交渉の結果を発表する場合においては、当然のことと私は心得えております。
○赤松委員 あなたのような隷属外交をやっておられる方、向米一辺倒の外交をやっておられる方は、そういう国際慣例におもねるかもわかりませんが、われわれは防衛分担金削減の折衝、あるいは防衛庁予算の問題、この問題を通して米側との交渉の経緯を赤裸々にすることは、何も国際慣例に反するものではない、そういうように考えます。 それでは次に移ります。防衛分担金は、日米行政協定第二十五条で、米軍の在駐経費を日米折半で負担することになっている。この駐留軍は、ここ一、二年に次々撤退しておる。三十年度も一個師団の引き揚げが予定されているのであって、米軍支出の分担金は二十八年度は四・三億ドル、二十九年度は二・六億ドルと減っておる。三十年度は一・二億ドルもしくは一・三億ドルになるのではないか、こういうふうに見られておる。当初の三分の一以下になり、日本側負担の方が今だんだん多くなろうとしておる。この日本側の負担額は再軍備の進捗につれて減額される約束である。これはどこで約束されておるか、それは日米行政協定の議事録にちゃんと載っておる。岡崎前外務大臣は、この日米行政協定の交渉の過程で次のような陳述を行なっておる。日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約に示されているように、日本国は漸増的に自国の防衛のためみずから責任を負うことあるべきに応じ、そのような防衛のための経費が増加するということにかんがみて、日本国にある合衆国軍隊のための第二十五条二に規定する経費の減額に考慮が払われるよう要請する。これに対してラスクは次の通り回答しておる。合衆国はそのような考慮を払おう。しかし当方としては、日本国がそのような要請をするに当って、共同及び相互的の防衛の努力のため必要とされる合衆国の経費の増加することについて、妥当な考慮を払われるよう希望する。こういうふうに、いわゆる岡崎・ラスク会談ではちゃんとこれは議事録に載っておる。それで二十七年から二十九年までの間に、防衛庁費は二百五十億円ふえておる。ところが防衛分担金の方は六十五億しか削減をされていない。これに加えて、今言いました――先ほどあなたは知らないとおっしゃいましたけれども、アリソン覚書がなされておる。それによれば、防衛庁の予算の総額が九百億、こういう要求を突きつけておる。防衛庁費は二百五十億円ふえているのだ。一方では防衛分担金は六十五億しか減っていない。これは防衛分担金をもっと減らす交渉をすることが当然ではないか、これについて外務大臣はどういうふうにお考えになりますか。
○重光国務大臣 さようなわけでありますから、防衛分担金の減額を交渉したのでございます。
○赤松委員 防衛分担金の軽減といっても、これはあとで申し上げまするけれども、百二十五億なんです。一方では防衛庁の予算がどれだけふえておるか、あなた知っておるでしょう。一方では防衛庁の予算がふえているのですよ。しかも予算外契約のいわゆる可車偏費というものも計上されている。繰越金も一方ではふえておる。一方では、鳩山政府は防衛分担金を削減したと盛んに宣伝しておるけれども、ちっとも削減になっていない。実質的には防衛庁の予算は、繰越金と予算外契約を加えればふえておる。しかも飛行場の拡張費に八十億円充てよというひもがついておる。これでもってあなたは防衛分担金が削減になった、こういうふうにお考えですか。あるいは防衛庁の予算、これもひもつきでもってアメリカは交渉してきておるのではないか。こんな交渉ばかりしておるでしょう。こんな交渉は日本の国のためになりません。この点についてあなたの見解を伺います。
○重光国務大臣 防衛庁の費用が若干ふえているということはその通りであります。安保条約及び行政協定並びにMSA協定によって条約上負担した義務、すなわち防衛力を漸増するということによって、そうして防衛金の分担の軽減もできる、こういうことは条約上の規定であります。さような規定を日本の国家が義務を負うておる。しかりとすれば、この国家の義務に従ってなるべく国家の利益になるように交渉するのは当然のことであると考えております。私は条約はあくまで尊重いたして参ります。
○赤松委員 その点につきましては、あとで質問いたします。 次にお聞きしたいのでありますが、あなたはそういうことをおっしゃいますけれども、大蔵省は、大蔵大臣はよく御存じだと思う。大蔵省は、防衛庁の予算はあくまで八百億の線で押える、アメリカの要求がどのようにあろうとも一応は八百億の線で押える、この線を強く持っておった。現に四月の十四日の閣議においては、これは決定しておったのではないか。その後いろいろやった結果八百六十八億になっておる。これは条約の問題ではありません。安保条約とどこに関係があるか。これは日本の政府が自主的に交渉できる。大蔵省は八百億の線を堅持すると言っていたが、とうとうアメリカの要求の前に屈服しておるのではないか。これが自主独立の外交ですか。あなたの見解を問う。
○重光国務大臣 むろん防衛庁費はできるだけ緊縮をして、そうして防衛分担金をできるだけ少くしようという意向を持っておったことは事実であります。しかしそれは何百億と限ったことではありません。しかしその結論においてあの程度でまとめることが最も適当だ、こう考えたのであって、これは私は決して日本の利益に反しないと考えておる。反しないのみならず、そうした方がいいと考えてやったわけであります。
○赤松委員 驚くべき答弁です。日本の国のためになっているかなっていないか、安全保障条約及び防衛の問題はしばらくおきまして、これを予算の数字の上で見ればわれわれはすぐわかる。予算の数字の上ではどうなっておるか。すなわち昭和二十九年度においては、この国庫債務負担行為、この予算が八十億円、前年度の繰り越し、これを加えて百七十億一千六百五十万円だ。ところが昭和三十年度におきましてはこれが十億円ふえておる。しかも私の言いたいことは、防衛庁の予算をふやすということは、これは一回きりではないのです。防衛庁の予算は、たとえば二万人の兵隊をふやせば、その兵隊に対する装備も必要なんだ。食糧も必要なんだ。給料も必要なんだ。兵器も必要なんだ。継続的にこれは発展するのだ。毎年々々予算がこれに伴う。アメリカに対する防衛分担金は、これは一回きりなんだ。米軍がどのように使っておるかということは、あとで私は質問いたしますが、とにかくこれを輸送に使うとか、あるいは兵舎の修築に使う。これは一回きりだ。防衛庁の予算がふえるということは、これは継続的に発展するのです。これでもって日本のためになっているとあなたはお考えですか。もっとも再軍備内閣ですからそう言えるでしょうけれども、われわれ日本国民の立場から言うならば、百二十五億のこの防衛分担金の削減によってアメリカの強いひもがついて、そうしてあとで私は防衛庁に聞きますけれども、アメリカは防衛庁の増強のために、いわゆる自衛隊増強のために強いひもをつけて、年々歳々これから自衛隊の予算はふえていく、これが日本の国のためになるとお考えですか。総理、いかがでございますか。
○鳩山国務大臣 日本が自分の国を守るための自衛力を持つということは、私は必要であると考えます。そのために必要費はやむを得ないものと考えております。
○赤松委員 これが日本のために、いわゆる防衛予算として使われることがいいか悪いかという議論はあとでいたしましょう。私はここで指摘をしたいことは、あなたが何と強弁をされましょうとも、たとえば大蔵省が八百億円の予算でもって抑えようとしても、その交渉の過程において八百六十八億までふえているじゃありませんか。これはあなたの総理以前の問題です。安全保障条約なり、あるいは行政協定、その二つの協定と条約を生んだ平和条約にさかのぼるのです。これは平和条約、安保条約、行政協定が生んだ、悲しい日本の隷属的な結果です。ですから、私はあとでもあなたに安保条約の問題でお尋ねしたいと思っておるのでございますけれども、こういう結果、初めの警察予備隊がさらに今ずっと自衛隊に発展してきているのです。そうして、このことが日本の防衛になるかならないかという議論は別といたしましても、アメリカとの折衝の過程において国民の前に明瞭になったことは、日本政府の手で予算が編成できないということだ。外務大臣はうそを言っておるのです。アリソン覚書が来ているということは、国際的な常識なんだ。アリソン大使からの強い意向が表明されておる。なぜうそを言うのですか。そうして、そのアメリカの強い要求に押されて、とうとう大蔵省は負けたじゃありませんか。一萬田大蔵大臣もちゃんと御存じなんだ。四月十四日の閣議においては、防衛庁予算は八百億の線で行こうという閣議決定をやっておる。その後において、ついにアメリカの要求に屈服しておるじゃありませんか。鳩山総理の言われるように、それは防衛のために必要だというならば、なぜ大蔵省あるいは閣議は八百億の決定をしたのですか。そういう意味におきまして、今や予算編成権というものは、日本の政府にあるというよりも、その一半はアメリカ政府にある。あなたがどんなに自生的な外交をやろうと口で強調されましても、予算編成の上にちゃんと現われておるじゃありませんか。それでもって自主独立の外交といえますか。今後あなたは、防衛庁の予算編成に関しましては、アメリカと相談なく、またアメリカのひもがつかない、アメリカの干渉を排除して、日本政府独自の手で、憲法で保障する予算編成権というものをもって予算を編成するお考えがありますかどうか。いかがでございますか。総理にお尋ねいたします。
○鳩山国務大臣 今あなたのおっしゃいました通りに、日米行政協定に基きまして、米軍に交付すべき交付金については、日米間の合意に基く旨が書いてあるものですから、その相談をいたしましたけれども、日本の予算を作るのにアメリカの指示は断じて受けておりません。
○赤松委員 それならば私はお尋ねしたい。あなたは選挙の際に、国民にどういう公約をされたのですか。防衛分担金を二百億削減して、これを住宅の建設やあるいは減税に回すということを、選挙において公約をされておるのです。あなたがおっしゃったように、安保条約のひもでどうにもならないのだというならば、選挙の際になぜそれを明らかにしなかったのか。選挙の際には、日本政府は、アメリカ政府と折衝をして、二百億円防衛分担金を減らして、これを減税や住宅の方に回すと、あなたは現にあなたの口からこれを公約しておるじゃありませんか。あるいは民主党の政策の中にもそれが入っている。公約を裏切ったじゃありませんか。
○鳩山国務大臣 私の頭の中で、防衛庁費は、自衛隊の漸増という意味から二百億くらいはふやさなくてはならないだろう、こういう頭を持っていたのです。防衛庁費が二百億ふえれば、その防衛庁費の二百億を何かであんばいしなくちゃならない。もしも防衛分担金の方で二百億の削減ができれば、やはりそのあんばいをしなくて済むものですから、その盃がいろいろの、社会保障費だとか、あるいは住宅建設の方に回せるという、頭に描いた一つの図面なんです。
○赤松委員 驚くべきことです。あなたは夢を描いている。夢を国民に公約したのですからとん、でもない話だ。全くこれは話になりません。夢を国民に公約しておる。 私は次いでお聞きいたしまするが、日米共同声明によっていよいよ自衛隊の漸増が義務づけられておる。そこで三十一年度だけを見ても、防衛分担金を削減しないことになれば――これは削減できないですよ、日米共同声明でちゃんとうたってある。外務大臣、そうでしょう。削減はできないですよ。削減するように努力いたします。夢を描いて努力しますとおっしゃってもこれはだめです。国民には夢でごまかせるのですけれども、アメリカはごまかされない。日米共同声明にちゃんとうたってある、来年はだめだとうたってある。そこで、三十一年度だけを見ても、防衛分担金を削減しないことになれは、行政協定通り五百五十八億円を計上しなければならない。それに米軍施設費を前年度と同額の八十億円と見れば、それだけで六百三十八億円となる。さらに自己の資力のより大きな部分を防衛目的のために振り向けるという、この日米共同声明の約束に従って、防衛庁費を前年度並みに百二十五億円ふやすとすれば、九百九十三億円となる。この両者を合せると、三十一年度の防衛費は千六百三十一億円となり、三十年度に比べて約三百億円も膨張するという計算になる。その後においても、毎年自己の資力のより大きな部分を防衛目的のために振り向けるということになると、将来の防衛費の負担は非常に大きくなる。この莫大な防衛費のために、日本の財政、国民生活が拘束されてしまう、また動きのとれないことになってしまう。アメリカの防衛計画、戦略に、日本の政治も、経済も、国民生活も、全部隷属してしまうということになるわけだ。大蔵省が当初きめた財政計画の性格、すなわち防衛費を八百億円に食いとめ、民生費をふやすということは全く変ってしまっただではなくて、総合経済六ヵ年計画も根本的に狂ってしまっている。それでは経済自立も完全雇用もできない。自立、独立を強調した鳩山内閣が、皮肉にも最も自主性のない予算を作ってしまった。一見すると、分担金を百二十五億削減さしたように見えるけれども、自主性を回復したように擬装しておるけれども、これは全くの擬装であって、実質的には、日本国民が軍事的にも、また経済的にも、政治的にも、大きな負担を義務づけられておるということになるわけなんです。私は、これは非常に重大な問題であると思うのです。重ねて私は聞きますけれども、このようなひもがつけられましたその交渉の経過をば聞きたい。あなたは、国際慣例上これは言えないとおっしゃいまするけれども、われわれ日本の国会として、また国民として、あなたのおっしゃることを国際慣例だと、一片のそういう慣例をもって――また、そんな慣例は事実上存在しないと私は思っておりますけれども、私どもは、それをもってああそうですかというわけには参りません。ぜひ、その交渉の経緯内容についてこの際明らかにしてもらいたい、これを要求します。
○牧野委員長 赤松君に申し上げます。この点に関して大蔵大臣から発言を求められております。
○赤松委員 私は大蔵大臣に聞いているのではないのです。外務大臣に聞いているのです。
○牧野委員長 それならば外務大臣。
○重光国務大臣 私は交渉の経過を発表しないとは決して申しません。これは交渉のことでございますから、相手もございます。発表するについては向うと打ち合せをして、できるだけ詳細に発表いたしたいと考えております。 それからまた、今申されましたいろいろの御意見は承わりました。御意見は御意見として承わりましたが、私はその御意見に御賛成を表するわけには参りません。
○赤松委員 私は私の意見に何も外務大臣に賛成してくれとは言いません。あなたに賛成してもらうなんてとんでもないことだ。何もあなたに賛成してくれなんということは要求しておりません。そうでなくて、日米共同声明というものが一片の声明として新聞に出ておるだけだ。これは国会は知らないのです。私はあとで山川声明の問題につきまして、この共同声明が日本の予算を拘束し、あるいは条約と同じような性格を持つものであるかどうかというような点につきましても、十分検討してみたいと思う。一片の声明によって、これから予算が拘束され、あるいは日本の自主性が拘束される。日本の自衛隊の増減に関する自主性が拘束をされるということになりまするならば、これはゆゆしい問題です。従って、この点については後ほどお尋ねをいたしますが、この一片の共同声明を新聞で見ただけでは納得できません。ここから昭和三十年度の予算の性格というものが生まれてきている。従って私は重ねて政府の説明を要求します。
○重光国務大臣 予算編成権は少しも拘束をされておりません。日本独自の予算の編成をやったわけであります。しかし防衛分担金の問題は、米国との関係が生ずることは当然のことであります。それは条約土の規定に沿いまして交渉を進めた、こう説明を申し上げたわけであります。
○赤松委員 私は、もうあなたに外交をまかせておくのはおっかなくなって参りました。心細い。私はあなたにそんなことを聞いたのじゃないのですよ。私の質問をよく聞いていなさい。私があなたに聞いたのは、今御答弁なすったことじゃない。日米交渉の経緯について説明をしてもらいたいということを私は要求しておる。だめですよ、そんなピンぼけな答弁をしちゃ。
○重光国務大臣 日米交渉の経緯は、私がここで御説明を申し上げたことを繰り返すよりほかに私の御答弁はございません。
○赤松委員 私はこのままの状態では質問できません。政府の態度、その経緯をば明確にしていただかなければ、自後の質問はできません。(発言する者あり)私が今見ていると、与党の理事が、同じ国会議員の予算審議に当っておる者が、政府に対しましていろいろの書類を持っていって教えている。そういうことは、立法府が行政府の権限を侵すことになるので、一つ改めてもらいたい。実際不謹慎です。委員会の権威に関する。予算委員が政府に教えてやるとは何事ですか。委員長注意して下さい。冗談じゃない。(発言する者あり)委員長、答弁ができなければ暫時休憩をしてもらいたい。
○重光国務大臣 この日米分担金の交渉でございます。これは先ほど申し上げました通りに、安保条約、行政協定、MSA協定、先ほど言われました岡崎・ラスク議事録等によりまして交渉を進めたわけでございます。そうして交渉の過程においては、向うの意見も出ました。こららの意見も出ました。しかし私は最も日本側の利益になるように、防衛分担金の軽減が多額になるように考えまして、その条約の規定によって、これを守るために交渉を進めて、そうして適当な妥結点に達した、こう申し上げておるわけであります。 〔今澄委員「議事について」と呼ぶ〕
○牧野委員長 今澄勇君より議事進行について発言を求められました。これをお許しいたします。
○今澄委員 ただいまの赤松委員の質問に対する政府の答弁は、まことに不誠意であります。われわれは資料としてアリソン覚書の要求もしておるが、少くとも政府は、防衛分担金決定に関するアメリカとの交渉の経過をこの委員会において報告をするか、さなくば閣議の相談を経て、その経過を文書によって当委員会に出すべきものと思います。よってこの委員会は、そういう政府側の交渉経過の報告があるまで休憩をして、そうして防衛分担金に対する政府の一貫した方針を明らかにしてもらいたい。
○牧野委員長 ただいまの今澄勇君の休憩の動議に御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○牧野委員長 御異議なしと認めます。 暫時休憩いたします。 午前十一時十七分休憩 ――――◇――――― 午前十一時二十六分開議
○牧野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 この際政府より発言を求められております。順次これを許します。重光外務大臣。
○重光国務大臣 今、日米の分担金に関する交渉の経緯を話せ、こういうことでございます。私はこれを詳細にお話し申し上げたいのでございますが、相手国の意見は、これを私の方から申すためには必要な手続をとらなければならぬということを申した次第でございます。しかしなお私の今までの説明があまりに概括に過ぎました点もございますので、われわれのとつた大体の方針について、また先方の態度について御説明を申し上げます。 日本政府が交渉に当ってとった態度は、防衛関係の三十年度の経費を昨年度のワク内にとどめるという方針を堅持いたしたのでございます。そのワク内で、先ほど御説明した通りに、条約に規定してあります自衛軍備の増強ということをやることとして、そうしてやはり条約の規定に沿いまして、これに応じて分担金の減額をアメリカ政府に要請したのでございます。これが日米交渉になったわけでございます。日本政府といたましては、現在の財政事情、特に本年度が日本の経済安定の成否を決する年であるということを非常に強調をいたしまして、防衛分担金の減額について米国側の理解と協力とを求めたのでございます。米国側においてもこの事情をよく了解をいたしまして、防衛分担金の減額に応じてくれたわけでございます。そうして今回発表のごとく百七十八億円の減額について合意が成立したわけでございます。交渉は開始以来一ヵ月足らずで成立したものでありまして、特にこれが難航したというふうには考えられないのでございます。根本的に双方の立場に食い違いがあったわけではございません。ただし米国側としては防衛分担金減額は、駐留米軍の経費についての自己の負担をそれだけ増加するわけでございますから、向うもそれについて慎重に考慮しなければならないので一ヵ月足らずの交渉の時日を要した次第でございます。 以上御報告を申し上げます。
○牧野委員長 一萬田大蔵大臣。
○一萬田国務大臣 私は、先ほどの話でいかにも日本の予算審議権がアメリカで干渉を受けたかのような感じがいたしましたので、そういうことは絶対ないということだけを一応申し上げておくことがいいと思います。それともう一つは、防衛庁費八百億ということがしばしば出ましたが、防衛庁費の査定の上において、事務的にいろいろと数字が出たかは存じませんが、八百億ということを閣議決定をしたとか、そういう事実はないのでありますから、そういう基礎の上においての御議論は私は当らないのじゃないか、そういうふうに補足して申し上げます。
○赤松委員 閣議で政府の予算原案、ことにこの防衛関係の予算原案はしばしば変っております。たとえば先ほど私は四月十四日の閣議の例を申し上げましたが、なぜそのように転々として予算原案の内容が変っていったのであるか、その閣議の内容につきまして一通り御説明を願いたいと思います。これは一月の初め鳩山総理の手元にアリソン大使及びダレスの書簡が参って以来、閣議におきましてしばしば問題になっておったと思います。その間の経緯につきまして明らかにしていただきたいと思います。
○一萬田国務大臣 防衛庁費と分担金を含めました防衛支出金金額については、アメリカとの交渉も、分担金についてある関係から、これは最後の決定まで閣議でその内容についていろいろと論議をしたことはございません。これはとりあえず別勘定といいますか、別にしております。
○赤松委員 閣議においてそういうことを決定し、または変更したことはない、こうおっしやるのですか。
○一萬田国務大臣 お答えします。閣議におきましては前年度、いいかえれば千三百二十七億のワク内にとどめる、こういうことを申し合せておったということ以外にはありません。
○赤松委員 その総ワクの問題じゃない。私の聞いているのは内容の問題です。防衛分担金及び防衛庁費予算の両者の関係について聞いたのです。それにつきましては閣議で全然そういうことは変更され、あるいは修正されておりませんか。あなたはそれを責任を持ちますか。
○一萬田国務大臣 それは事務的にもきまっておらないのでありますから、閣議でその話はきまっておりません。
○赤松委員 しからばアメリカ側との折衝の過程におきまして、全然閣議に諮らないでだれがおやりになったのですか。大蔵大臣がおやりになったのですか。
○一萬田国務大臣 それは防衛庁費の全額を前年度のワク内、千三百二十七億の範囲内で押えるということでまかしてもらっておったわけであります。
○赤松委員 総理にお尋ねいたしまするが、間違いはございませんか。閣議におきましては総ワクだけきめて、その内容につきましては全部大蔵大臣に一任したということでございますね。閣議では全然議論されておりませんね。
○鳩山国務大臣 その通りであります。
○赤松委員 私はこの際外務大臣に要求します。ただいまの答弁はきわめて不満足です。それで外務大臣は、先ほどアメリカの了解が得られるならばその交渉の経緯について国会に報告する、こうおっしゃいました。そこで可及的すみやかに政府の方はこの国会の要求を伝えて、そうしてアメリカ側と相談の上すみやかに日本国会に対してその交渉の経緯を詳細に報告せられるよう希望いたします。これに関する外務大臣の御答弁をお願いしたい。
○重光国務大臣 承わりました。
○赤松委員 承わりましたということは承知しましたという意味でございますか。
○重光国務大臣 御趣旨に沿うように進めます。
○赤松委員 委員長の御見解はいかがでございますか。ただいま御趣旨に沿うように政府の方は努力する、こういうあれでございますが、本委員会に必ず報告されるよう委員長におかれても一つ努力をしていただきたい、こう思います。
○牧野委員長 承知いたしました。さように努力いたします。
○赤松委員 なおこの問題は非常に重要でございますので、日米共同声明及び安保条約の問題につきましては、後ほど御質問をいたします。 それでは、続いて質問をいたします。次は特需の問題でございますが、この問題をもう一歩突つ込んで考えてみると、なぜアメリカ側が日米共同声明にあるような強い防衛努力を日本側に確約さしたかという点を考えてみたいのであります。これは非常に大きな問題が含まれておると思います。それは、四月八日のいわゆるロス言明がございます。ロス米国国防次官補代理は、四月の八日、日本政府に対して本米会計年度が終る来たる六月末までの兵器類の特需発注は、一千万ドル程度しか期待できない旨を明らかにし、同日午後三時から外務省で開かれた日米両政府の特需関係会議に出席して、次のような要旨を文書にして日本側に渡している。その文書は、これまで米軍の特需によって日本の防衛産業は相当育成された。しかし最近米軍の予算節約方針により、日本向けの兵器関係特需の予算としては、来たる六月末までの現米国会計年度分として約一千万ドルしか配付されないことが判明した。この結果日本の防衛産業は全面的に打撃を受けるおそれがあるから、日本政府は何らかの対策を講ずべきである。最近米国政府の高官、これはおそらくヘンゼル国防次官補をさすものと思われますが、この米国政府の高官が日本の防衛負担を増加すべきだと述べたことは、この特需問題についも当てはまるもので、日本政府が自身で兵器発注をふやすとか、適当な金融措置をとるなどの努力を示す場合には、米政府も特需の発注について考慮するかもしれない。こういうようなロス声明があったのでございますが、これは今私が申し上げましたように、外務省におきましては、この会議の席上、ロス米国国防次官補代理がこのような発言をしておるかどうか。もうこの点はすでにきのうの朝日新聞におきましても明らかになっておると思いまするが、この点に関しましては、まさかこれもうそだとはおっしゃらないと思いまするが、この点についてはいかがでございましょうか。外務大臣にお尋ねいたします。
○重光国務大臣 今申されましたロス声明なるものの正確さについては、私は今申し上げることはできません。しかし米国側が日本の防衛力の漸増ということを常に、また多くの機会において要請しておることは事実でございます。それだけを申し上げます。
○赤松委員 あなたは非常にこの問題を簡単にお答えになりましたけれども、これは非常に重要なんです。それはなぜかと申しますならば、このロス言明は、日本の財界、ことに防衛産業を指向する財界に非常に大きな衝撃を与えておるのでございます。米軍の日本における兵器特需の予算は、一昨年の六月まで一年間は六千五百万ドル、昨年六月まで一年間は約四千七百万ドル、それがロス声明で一千万ドルに減る、こういうことになっておる。この声明を聞いて財界の方も、あるいは防衛産業を指向する産業経営者も非常なショックを受けておるわけでございます。従いましてアメリカのいわゆる域外調達としての日本に対する兵器発注に大きな期待をつなぎ、積極的にMSA協定によるところのアメリカの特需発注に非常な大きな期待を持っておった。MSA附属書のAには、アメリカ合衆国政府は、この協定の実施に当り、日本国及び他の国の使用に供すべき需品及び装備を実行可能な場合には日本国内において調達することを、他の条件の許す範囲内においてできるだけ考慮するものとする。こういうふうに書かれておる。それで日本の射界では兵器の生産設備を拡張し、年間約一億ドルの受注能力を持つまでにただいまなっておるのであるが、政府も昭和二十八年度には財政投融資を増加して兵器生産の基礎となる電力、石炭、鉄鋼、造船の設備の積極的拡大に力を入れてきた。こうして日本の経済はMSA援助によるアメリカの兵器発注の受入れ態勢を整える方向に切りかえられつつあったときに、このロス声明が出たわけでございます。こうなりますと、ロス声明の結果として兵器産業には大きな過剰設備が生まれることになると同時に、この損害は莫大なものとなり、政府や民間銀行が融資した巨額の資金は回収困難となる、こうして日本の兵器産業はただいま非常な危機に襲われておるわけでございますが、この点についてただいま外務大臣はただそのロス声明については聞いたことはあるが、その内容については詳しくわからないというようなお話でございましたが、これは非常に大きな問題でございまして、この点につきましては他の関係大臣でもけっこうです。石橋通産大臣でもけっこうでございます。政府の特需に対する見通しなり、あるいはロス声明に対するお考えなりはすでに防衛庁、通産省の両方でもって対策を練っておるはずだと思う。そこでこの点につきまして一つ御答弁をお願いいたしたいと思います。 それからもう一つつけ加えておきますが、このロス声明というものは結局ロス個人の声明ではなくて、アメリカ政府の基本的な方針だと思うのです。アメリカ政府は今までMSA協定によって、あたかも日本の産業をばアメリカ自身の手によって育成する、つまり特需の発注によって育成するというような幻想を与えて参ったわけです。これは全くの幻想であった。何度もアメリカに裏切られて参りました。これは吉田政府のときでもそうだ。鳩山政府に至ってもやはりそうだ。何度も何度もアメリカの特需確約が裏切られてきた。これは閣僚の諸君も十分御承知でしょう。こうなって参りますと、結局このままにしておけば、日本の兵器産業はつぶれてしまう。そこでアメリカ政府としては防衛庁の予算をば増加させて、日本政府の手によって軍需発注をふやしていく、そうして兵器産業をば温存させよう、こういう方針に切りかえたわけです。言いかえますならば、軍事基地やそういう軍事的な問題だけでなくして、日本の経済もアメリカの特需発注によらないで、日本の国民の負担において日本の産業をMSAに結びつけ、その負担においてアメリカのための兵器工場に日本全体をしようというのが、アメリカの新しい方針なんです。これにつきまして政府の方ははたしてどのようにお考えになっておるか、日本の民生費は防衛庁予算の増額によって、――たとえば予算外契約だってそうなんだが、端的に予算に現われておるじゃありませんか。予算外契約の予算がふえたということは、単にあなたたちの言う防衛努力の現われのほかに、アメリカがMSA協定によってあたかも日本に対して特需発注によって日本経済を助けてやろう、そういう幻想を与えておる、その幻想が裏切られてしまった。そのために結局、アメリカ自身の国の負担によらないで、日本国民の負担において日本の兵器産業をば育成していこう、こういう方針に切りかえられた。これによって痛手を受けるのはだれか、日本の独占資本ではありません。これによって痛手を受けるのは、中小企業、勤労者や農民、日本の国民大衆なんだ。こういうところにも日本の隷属ということが露骨に現われてきている。あなたたちは財界を擁護するとかなんとかいう立場ではなくて、この日本の産業をば平和産業に切りかえるということはできないでしょう。できないでしょうけれども、ここまでアメリカに裏切られてきて、なおこれ以上MSAのその協定に基いて、日本の兵器産業をば、日本の国民の負担においてアメリカの兵器廠たらしめようとするか、いかがでございますか。これについての政府の御見解をお伺いしたい。
○石橋国務大臣 赤松君の御議論に対してはお答えすることはできませんが、事実を申し上げます。私は何月何日何という人が何ということを言ったかということは、覚えておりません。しかしながら兵器、――いわゆる弾丸ですね。砲弾及び小銃弾ですが、それに対する注文が六千万ドル程度のものが一挙一千万ドルに減るという、そういう報道がすでに三月の十日ごろに、アメリカ本国からわれわれの方にはありました。従ってその当時からもうそれらの仕事をやっている諸工場は、非常な恐慌を来たしておったのであります。なぜ私が覚えているかというと、その日にちょうどスタッセンが私のところに来まして、そのちょうどスタッセンが来たときにその報道を得ましたから、スタッセンにそのお話をした覚えがあるからです。しかしこれはいたし方がないのです。私はあなたの言うように、これからやはりアメリカの特需に依頼して日本の産業を維持していくという考え方は捨てなければいかぬと思う。そこで日本の防衛力を保つために必要な限度において、日本にどれだけの兵器産業が必要か、こういう計算をいたしまして、その上に立って今やっている防衛産業に一応何らか安定の方法を講じたい、というので、今せっかく研究中であります。もう少し言えば、一部分の設備を何らか――あなたの話の温存といえば温存でありますけれども、設備を国家の力でもって保持して、そうして日本の今後の防衛力に相応する生産をしていく、こういう考え方で今研究中であります。
○赤松委員 さすがに石橋湛山だ。言うことには賛成できないけれども、非常に率直な態度はよろしい。そこで重ねて石橋通産大臣にお尋ねしますが、ロス国防次官補代理が日本にジェット機国産化推進のためにやって参りました。その際に対日兵器の発注が今後一千万ドル前後にすぎなくなるということを警告した上に、国有民営方式で使用設備の温存をはかるか、さもなければメーカーに温存補償料を政府が出すか、どちらかにしろと政府に迫ったということが伝えられておりますが、それは事実でございましょうか。
○石橋国務大臣 そのロスという人には会っておりませんし、ロスがそう言つたということは私は承知しておりません。向うからこうしろああしろという指図を受けた記憶は私自身にはありません。通産省として別個に案を立てていることは事実であります。
○赤松委員 外務大臣はどうですか。――私の今の質問わかっていますか。もう一ぺん言いましょうか。ロス国防次官補代理がジェット機国産化推進のため来日したときに、対日兵器の発注が今後一千万ドル前後にすぎなくなると警告したあげく、国有民営方式をとって使用設備の温存をはかるか、さもなければメーカーに温存補償料を政府が出すか、どちらかにしろということを要求した、こういうことが伝えられているが、いかがでございますか。これも御存じありませんか。
○重光国務大臣 そういうことは私は知らないのみならず、事実ないようでございます。ロス国防次官補代理が日本に来たのは、日本の工業の実情を視察したいということだと終始一貫言われておったところでございます。そうして帰ったのでございます。そして申し入れもなければ何ら申し合せを両方でしたこともございません。そういうことを今調べてみましてもそうなっております。
○赤松委員 知らぬは外相ただ一人です。あなたは、てんでもう対外折衝につきましてはほとんど重要なことは知らない。この無責任な外務大臣にはあきれ果てる。やがてあなたに対するいろいろなことは別にやりますけれども、それでは通産大臣にもう一度お尋ねいたします。このロスの強い日本政府に対する要求によって、通産省及び防衛庁では、米軍発注量の激減によって危機に追い込まれた防衛産業の不況打解策の検討を急いでいたが、十九日両者間で一つ政府は銃砲弾使用生産設備を買い上げ国有とする。二、関係設備に対し、政府は管理費は補助するなどの、アメリカの国有民営方式にならった防衛産業の一部国有化構想の実現について、意見の一致を見た。よって、通産省では近くアメリカ国防生産法に準拠した防衛生産設備管理法案並びに所要財政資金の策定を終り次第、大蔵省、経審など関係各省との意見の調整を開始することになった、こういうことが伝えられておりますが、これは事実でありますか。
○石橋国務大臣 防衛庁と通産省が相談していることは事実であります。それからあなたが読まれたそういうのがどこから出たのか知りませんが、こういう構想は持っております。何しろ砲弾をやっておりますし、それが一度に注文がなくなりますと会社が困るばかりでなく、従業員に非常な失業者を出すことになる。そこでこれを専業にやっている一部分の工場はどうしても建物、土地ぐるみ国家が何とかめんどうを見てやらなければならぬであろう。しかし、そのほかの兼業でやっているところは、それほどに見てやる必要はありませんから、さつき申し上げましたような日本の防衛力として必要な一つの系統の設備だけを国家が買い上げて、これを保存したらどうか、こういう案が、これはまだきまっているわけでありません。そういうことを検討をしているということは事実でありますから、申し上げておきます。
○赤松委員 私は以上の質問を通じまして、日本の財政も産業も非常に今重大な転機に直面している。しかも日米共同声明を通じて、三十年度予算案を通じ、軍事財政の増加、産業経済の軍事化への態勢が一歩前進した、従ってこの三十年度予算は安全保障条約、また日米行政協定、MSA等のひもつきの軍事予算であるばかりでなく、この軍事予算を通じまして、日本の政治、経済あるいは軍事といったものが、全体としてアメリカへの隷属を深めつつある、こういうふうに考えておるのでございます。 そこで、私は次にお尋ねしたいのでございますが、これは吉田内閣以来そうでございますが、今まで、日本経済再建のためにはアメリカからの援助と借款にたよってきたわけでございます。ここで私が申し上げます数字でございまして、しばしば特需の問題等につきましても、日本に幻想を与えて失望させておるアメリカ政府でございます。従いまして、以下申し上げる数字に準拠して、私もこれを正直に、額面通りに受け取って、日本経済あるいは日本産業の対策を立てるわけには参りませんけれども、一応アメリカが対外的に、また日本国民に宣伝しておるところをばちょっとあげてみますと、第一にMSA協定に基く軍事援助が防衛計画によって四千百八十億円、MSA小麦円資金が三十六億円、余剰農産物援助が向う三ヵ年で一千百八十億円、世界銀行借款が約三百穴十億円、アメリカの特需、域外調達が向う三ヵ年で三千六百億円、これをここ三ヵ年にならしてみますと、年平均援助額はざっと三千百億円、特需や域外調達のようないわゆる純商業勘定を引くと二千百億円、こういうふうに宣伝をされ、また政府側におきましてもそういうことが強調されておるのであります。ところがこれに見合って日本が負担するのは、防衛関係費が毎年二千二百億円、禁輸で割高輸入をしなければならぬ損失が約七百万ドル、それからほかに借款事業が、兵器用設備投資が数百億円、また借款に伴ってアメリカの技術導入が必然化するので、現在の外貨導入為替じりが年間数百万ドルの支払い超過になる。さらに防衛道路や基地経費として公共事業や国鉄、電電公社あるいは地方公共団体が支出しておるものが相当多くある。要するにバランスシートはまだ全くの日本経済にとってはマイナスである。アメリカ経済一辺倒は日本経済にとってはマイナスである。ましてMSA再軍備のため日本経済の自主的発展のコースが乱される損失はどのくらいあるかはかり知ることができない。六年後になればあらゆる援助や借款は完全に切れて、余剰農産物援助の七割と世界銀行借款の年賦償還が日米の帳じりに現われてくる。しかもアメリカの援助は、先ほど申し上げましたように当てにならないものである。兵器供与額が予定より縮小されるであろうことは、今や何人も認めるところである。域外調達にしても、一昨年九月池田、ロバートソン会談でMSA小麦円資金のうち八割のアメリカ使用分は、既定の対日ドル発注と肩がわりせず、その上ずみになることが了解されていたにもかかわらず、事実はドル発注分を円資金で買い付けるという結果になってしまった。さらに昨年初頭日本に参りましたスタッセン長官が八千万ドルの兵器発注を約束した。これには日本の財界も政府も非常に大きな期待を持ったわけでございますが、それにもかかわらずこのスタッセンの公約は遂に実現されなかったと聞いております。これは出血輸出の結果でございますけれども、外貨が枯渇して必要原料の輸入に事欠くなれば、これも非常に苦しいやりくりでございますけれども、とにもかくにも、ただいま外貨事情は形の上では若干好転しておるから、ことさらに過酷な条件で援助や借一款をばアメリカに要求したり、これを導入するということは、これは日本国民にとっても、日本経済にとりましても間違った、いわゆるマイナスである、私どもはかように考えるのでございますが、この点につきましては政府の御見解を一つお聞きしておきたいと思うのでございます。
○石橋国務大臣 私から一応お答えいたします。なお不満足でありましたら大蔵大臣からお答えしていただくことにいたします。 今の数字が正しいか正しくないかというようなことは、私はお答えすることはできません。現在数字を持っておりませんから、必要があればそういうバランス・シートを作りますが、お説のようにただむやみにアメリカその他の資本を入れる、なんでもかんでも条件にかかわらず入れるというような態度は、日本としてとるべきものではないと思います。しかしながらそうかといって、あまりむずかしいことを言って、外貨の導入も防げる、外国の技術も入れないという鎖国的な考え方もいかぬと思いますから、入るものは入れたいと思いますけれども、頭を下げて無理に入れるという態度はとるべきものではない、かように考えております。
○一萬田国務大臣 私からも補足してお答えいたします。日本ももう終戦以来十年以上も経過いたしておりまして、日本経済の状況も非常に違って来ておるのでありますから、従来のアメリカと日本の経済的な援助というような関係も当然変化があってしかるべきであると思っております。従いまして、今お話のなんでもかんでも外国、特にアメリカから援助を受けるということは、私はやはりアメリカ側も許されないので、日本もまたそういう態度をとるべきではない、こういうふうに考えて、ほんとうに必要なものについては向うの同意があれば、これは考えてもいいというわけで、なんでもかんでもという考えは持っておりません。しかし人口の多い日本を養っていく上において、やはり大きな構想で、東南アジア全体を入れて、それからアメリカ、欧州も入れた形においての日本を考えていく、そういうような考え方をしておるわけであります。
○牧野委員長 それでは午後一時三十分より再開いたすこととし、暫時休憩いたします。 正午休憩 ――――◇――――― 午後一時四十二分開議
○牧野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を継続いたします。赤松勇君。
○赤松委員 総理はお疲れになっておるようでございますから、どうぞ一つおすわりのまま御答弁いただいてけっこうでございます。 外務大臣がお見えにならぬようでございますから、その前に私は防衛庁長官にお尋ねします。防衛庁はしばしばいわゆる自衛隊の増強に関する六ヵ年計画というものを発表し、その試案がよく出て.参っておるのでございますが、これは民主党の基本的な政策の一つでもございまして、当然政府は日米折衝の過程におきましても、やはりこの問題に触れておられると思うのでございます。従いましてこの際防衛庁長官より自衛隊の増強に関する政府の構想について述べていただきたい、こう思います。
○杉原国務大臣 政府ではすでに総理からもこの国会で政府の方針をはっきり言明しておられますように、防衛の増強につきまして経済六ヵ年計画に見合う長期の計画を立てる、こういう方針をとっておるわけでございます。それでまたこれは決してやさしいことではありませんけれども、やはり大体の計画を、めどを立ててやっていく方が国民の理解を得る上からいってもその方がいい、こういう考え方から出ておるわけでございますが、今せっかく検討中でございます。そうして分担金交渉の際におきましても、政府といたしまして、防衛につきまして長期の計画を立ててやっていく方針だということは、交渉に当っておられました外務大臣からも言明しておられます。しかしただ政府といたしましてはまだ成案を得るに至っていないのが事実でございます。今せっかく検討中でございます。それが事実でございます。
○赤松委員 経済六ヵ年計画に見合うところの自衛隊増強の六ヵ年計画、これを構想しておるということをおっしゃいました。ただしまだ最後的な案をば決定していないというお話でございますが、その構想だけでもけっこうでございますから、一つこの際明らかにしていただきたいと思います。と申しますのは、日米共同声明によりまして、すでに来年度の自衛隊の増強は義務づけられておるわけでございます。従ってこの日米共同声明によって、来年度自衛隊の増強が義務づけられております以上は、政府にその案がないということは日米共同声明に対する違反であると思う。当然私はその構想があると思う。従いましてその構想をばこの際明らかにしていただきたい。
○杉原国務大臣 六ヵ年長期計画の構想そのものが実は非常に大事な研究の対象だろうと思います。一応私の考え方の基本的な点を申し上げますと、まずその目的はやはり日本の独立と平和を守る、そうしてまたそれが現にわが国土を守る、わが国土を自衛するというところにあると思います。言うまでもなくいわゆる外征軍を作る、そういうことを考えているわけではございません。それからさらにこれは言うまでもなく国力にいわゆる相応したものでなくちやならぬ、その点は非常に慎重に考えていかなければならぬ。それからまたいわゆる志願兵とか徴兵とかいう問題につきましては、これはやはり志願―制度で行くのが適当だろう、こういうふうに考えております。
○赤松委員 アメリカ側から示されました防衛庁増強に関するいわゆる九百億の基本ラインといいますか、その増強の基準は何でございますか。一つ長官にお尋ねしたい。
○杉原国務大臣 私はアメリカからそういう資料を事実受け取りません。
○赤松委員 経済六ヵ年計画に見合ういわゆる自衛隊の増強計画、これは六ヵ年でなくてもよろしい、来年度でもよろしい、そこで経済六ヵ年計画と見合うところの自衛隊の増強に関する基本的なものというのは一体何でございますか、つまり経済六ヵ年計画の中のどのアウトラインに合わしていこうとされるのであるか、これを一つ明らかにしていただきたい。
○杉原国務大臣 経済六ヵ年計画に見合うといいますか、その二審主眼は私はやはり国力に見合うということに結局なってくることだと思っております。
○赤松委員 全然問題にならないです。国力に見合う、そういうことを私は質問したのではないのです。経済六ヵ年計画に見合うとおっしゃいますから、六ヵ年計画などのアウトラインは一体何であるか、そこへどう見合わせようとするのであるか、こういうことをお聞きしておるのです。
○杉原国務大臣 日本の今後の生産とか貿易とかあるいは国定所得だとか、そういうものの伸び工合、そういうものなどをよく見て、それに見合ったものでなくちゃならぬ、こういうふうに考えております。
○赤松委員 経済六ヵ年計画は、すでに初年度にくずれまして、経済五ヵ年計画になっているのです。そんなものと見合う防衛増強計画というものは、私は本来ないと思うのです。従いまして、これは好むといなとにかかわらず、自衛隊独自の増強計画になって行くと思うのでございますが、この点につきましてはすでに経済六ヵ年計画は作文でございまして、いわゆる鳩山総理のおっしゃる夢でございますから、この夢を相手に私は議論をしようと思っておりません。この際、国民の前に鳴りもの入りで鳩山政府が宣伝をいたしました経済六ヵ年計画は、しょせんこれは夢であるということが明確になれば、それでよろしゅうございます。 そこで長官にお尋ねしたいのでございますが、ただいま長官は、自衛隊の増強に関しまして志願―制度をとる、こういうことをおっしゃいました。これは民主党が去る総選挙の際に公約いたしました中におきましては、増強に関しまして、その以前は民兵制度をとる、こういうことを言っていたのです。民兵制度をとる、あるいは徴兵制度をしくということも、二月一日でございましたか、鳩山総理は仙台の公会堂でもって演説をされておる。そこでこの志願―制度の問題でありますが、志願―制度をどのようにしこうとなさるのであるか、またその志願―を来年度におきましては、あるいは本年度におきましては、あるいは再来年度におきましてはどの程度募集をされようとするのであるか、その資格要件、員数、年次別、そういうものにつきまして杉原長官の構想を明らかにしていただきたい。
○杉原国務大臣 本年の三十年度におきまして、陸の方を制服自衛官二万人の増強を予算に掲上いたしておりますし、従ってそれを中心にした増強を考えておるわけでございますが、それを満たすに必要な募集をいたしたいと考えております。来年度以降につきましては、まだこの点具体的の計画を持っておりません。
○赤松委員 先ほど長官は志願―制度ということをおっしゃった。われわれは今まで自衛隊そのものを考えまするときに、自衛隊は軍隊でない、こういうことを今までしばしば政府は言って参りました。そこでこれは単なる公務員である、こういうふうに私ども自衛隊の隊員の性格を考えて参ったのでございますが、この公務員的な自衛隊員と、今長官のおっしゃいました志願―になってきておりますが、志願―制度とはどのように違うのでございましょうか、これを明らかにしていただきたい。
○杉原国務大臣 私先ほど徴兵制度というものと対照してこの志願の制度でやって行く、こういう趣旨で申しまして、あるいは現在の用語としまして、私の志願―と言いましたのは、少しその点適当でなかったかと思います。
○赤松委員 取り消されますか。
○杉原国務大臣 はあ。
○赤松委員 それでは、これはうんと議論のあるところでございますが、時間の関係もございますので次に移りたいと思います。 次に総理にお尋ねいたしますが、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約中、いわゆる第二条の一項、それから第三条の一項でございますが、この点につきまして、ここに第十二回国会の平和条約及び日米安全保障条約特別委員会議録の第九号がございます。これを拝見いたしますと、今内閣に列せられておりまする三木武夫君が、当時この安全保障条約特別委員会の委員として吉田前内閣総理大臣に、このように質問されております。「第一点は、この安全保障条約の発動に対する基準であります。この安全保障条約は、国外に発動する場合、また直接の侵略を日本が受けたときに発動する場合、国内の治安のために発動する場合、この三つの場合が、保障条約を発動する場合として予定されておるのであります。第一の国外に発動する場合は、極東の平和と賞金を維持するために、米軍の国外出動を予定しておるのでありますから、その場合日本の基地に対する報復爆撃等の可能性も生じて参りまして、これはきわめて日本に対する重大な問題であります。そこで極東の平和が脅かされたということが、米軍が国外に出動する基準になると思うのでありますが、この極東の平和が脅かされておるという判定は、どういう手続と、いかなる機関によってこれを判定するのであるか、総理の御所信を承わりたいのであります。」これが三木武夫君の御質問であります。これに対しまして吉田内閣総理大臣は、「お答えしますが、しばしば……」しばしばです。「しばしば申す通り、この行政協定……」これはおそらく総理の間違いだと思います。これは優全保障条約の間違いだと思いますが、この安全保障条約は、「今日におきましてはまだ結論に達しておりません。この協定はいかにも重大であるように言われますが、政府の見るところでは、そう重大問題とは考えておりません。しかしそれは見方であります。それでいかなる場合に日本以外に出動するか、これはそのときの状況によるのであって、これは日米の間の話合いの結果出動すべきである。日本政府も同意すれば、そういう事態も起るのでありましょうが、いかなる事態に」ということは今ここではきめられないのでございまして、これは日米双方がその状況に応じて取りきめるべきものである。こういう御答弁がございました。そして私は、この点に関する平和条約及び日米安全保障条約の国会における委員会審議、本会議の審議、こういうものを全部調べてみましたけれども、遺憾ながらこの点に関する明確なる討議が重ねられておりません。また委員の熱心な質問にもかかわらず、三木武夫君のように熱心な御質問にもかかわらず、内閣総理大臣は、後に結ばれる行政協定等にこれをゆだねるのだ、こういうことを言っておられます。結局は日米双方の相談によってきまるのだ、こういう御答弁をあらゆる機会に言っておられますが、おそらくもう今日では、この点につきまして日米双方の政府間におきまして、あるいは日米合同委員会におきまして明確になっておると思うのでありますが、その米軍の出勤する際の基準、またはこれに便益を与えるところの日本政府あるいは日本国家のこれに協力する義務、その義務の基準、こういうものにつきまして確定しておりますならば、お示しを願いたい。むろん私は確定しておると思うのでございますが、これを一つお示しを願いたいと思います。
○鳩山国務大臣 私が答弁しろという要求でしたね。
○赤松委員 そうです。
○鳩山国務大臣 私はよく存じませんが、大体におきまして――海外派兵の問題ですか。――海外派兵の問題は確定していないと考えております。それはアメリカと相談をしなければ、日本の義務とはなっておらないというように考えております。
○赤松委員 この場合、吉田前総理のおっしゃっておりますのは、米軍が極東の平和のために出動する場合に、日本政府の同意を必要とするのだというお考えなんです。そのことについての取りきめはやがてやる、しかしながら今はそれが言えない、その状況においてやるのだということをおっしゃっている。それに関しまして、日本の自衛隊の出動じゃありませんよ。それはむろん憲法によって許されません、海外派兵などもってのほかです。それはだめなんですけれども、アメリカ軍隊が、いわゆる極東の平和のためと称して、日本の基地から海外に出動する場合に、当然日本政府に対しまして相談をし、その同意を求めなければならぬと思うのでございますが、これに関するお取りきめは日米合同委員会等によりましてできておるのかどうか、これをお尋ね申し上げます。
○鳩山国務大臣 私よく存じません。
○赤松委員 私はこういう重大な問題を内閣総理大臣が知らないということは不見識だと思うのです。これは私はあとで質問いたしますけれども、言うまでもなく米軍が国連軍としあるいは米軍としてしばしば朝鮮に出動しております。そうして日本の基地を使っております。また先ほど申しました三木武夫君の御質問にもございましたように、もし台湾海峡を中心とする緊迫せる極東の情勢にかんがみ、中共周辺を爆撃する、あるいは沿海州をば爆撃する、そういう場合には当然内地の基地に対する報復爆撃が行われる。従って安全保障条約をば国会に批准をいたしました当時の政府の考え方といたしましては、その出動の際には日本政府の同意を必要とする、こういうふうに考えておったわけであります。今その取りきめがどうなっておるかという私の質問なんです。これは日本の国民にとりまして非常に重大な問題です。すなわち世界戦争にあるいはアジアの戦争に巻き込まれるか巻き込まれないかという非常に重大な点でございまして、こういう日米両国間において当然取りきめなければならぬところの、また確定して置かなければならぬところの条件について、内閣総理大臣が知らぬということは、はなはだ私は不見識だと思う。もってのほかです。これは許すことはできません。単なる勉強不足ではこれは済まされない、これは非常に重大な問題です。私はこの点につきまして、はなはだ総理大臣の御答弁は遺憾に存じます。日本国民の一人といたしましてはなはだ遺憾に存じます。それではやむを得ません。これから二つしっかり勉強してもらって、そうしてそういうことのないようにしてもらいたいと思うのでございます。しからば外務大臣にお尋ねいたします。
○重光国務大臣 私からお答えします。その問題については今日まではっきりした日米間の話し合いはついておりません。しかしながらそれは当然のこととして、かつまたそういうことは了解済みでありますから、そういう必要な迫った形勢になります場合には、必ず協議を受けることに相なっておるということだけを申し上げます。
○赤松委員 よくわかりました。日米間でまだ話し合いがない。――私はあとで質問いたしまするその質問事項に重大な関係がございますから、御記憶を願います。これは政府の怠慢であると思う。私は何も米軍の出動に対しまして協力せよということを言っておるのではない。第三次世界大戦あるいはアジアの戦争に日本が巻き込まれないために、いわゆる自主独立の立場、自主中立の立場をば堅持するためには、この際アメリカに対しまして、いわゆるアメリカの国防のために血員をされる、またアメリカの侵略のために日本の青年が使われるということは、これは大へんでございますから、従いましてこういう点につきましては、当然明確なる取りきめを行なっておかなければならぬ。これははなはだ政府の怠慢といわなければなりません。この点につきましては、私は質問を留保しておきます。 そこで次にお聞きいたしますが、しからば日米相互間においてこの安全保障条約なり日米行政協定なりで考えられておるところの防衛の区域、範囲の問題につきまして、内閣総理大臣はどうお考えになっておるか、また外務大臣はどうお考えになっておるか、これをお尋ねいたします。
○重光国務大臣 その点は日米共同防衛の関係上最も重要な問題と考えております。しかしこの問題は国際情勢一般の判断に関係することでございまして、その国際情勢の緊迫した程度等について、その必要を見るときに一方から他方に協議をして、これはよく考え方を合せる。つまり協議の上でその判断がきまることに相なっております。
○赤松委員 外務大臣は兵隊さんでありませんから、そういうような非常にピントのはずれた御答弁をなさることは私やむを得ないと思います。けれどもやはり一国の外務大臣といたしまして、この点は考えていただかなければならぬ。元来戦争あるいは戦争状態というものはこれは突発的にくるのです。私はあとで申し上げますが、現に日本の国内から台湾海峡の問題につきまして、すでに米軍が出動しておる。幸い戦術的な原爆が投下されなかったけれども、その戦術的な原爆を搭載して出撃した、そういう際に果して日本の政府に同意がありましたか、同意がないでしょう。もしあの場合台湾海峡、いわゆる大陣島の撤退作戦に米軍が出勤いたしまして、あすこで戦術用原爆を落せば、当然日本の内地に対して報復爆撃が加えられる、その際にあなたはこれからぼつぼつアメリカと相談をして同意を得てから許すとか許さないとかきめる、すでにもう飛行機は飛んでおるのです。戦争というものはそんなものではありません。だからこれはもう平生から日本が外国の戦争に巻き込まれないようにちゃんと取りきめておかなければならぬ。問題が起きたならばそのつどアメリカと相談をする。それならば岡崎のそのつど外交とちっとも変りはありません。あなたもそのつど外交になったのですか。私はもっと悪いと思います。この点につきましてはやはりアメリカと十分に取りきめをする、その場合には何もアメリカの海外出動をば許容するような取りきめをしてくれと私は言っておるのではない。日本の国を守るために、日本の青年を守るために、アメリカの侵略的な、あるいはそれが防衛という意味を持ちましょうとも、日本の内地に報復爆撃が加えられる、そういう出動に対してはそれに同意しないように、明確な日本の政府の同意なしには出動できないような取りきめをば、平素から行っておくべきである。光はど申し上げましたように、三木武夫君は、内地に報復爆撃が加えられる、そうなると事はきわめて重大だ、吉田内閣総理大臣はどうだといって、愛国の至情からちゃんと質問をしておる。民主党の現閣僚が吉田内閣総理大臣に質問しておる。それが第十二回国会です。一体何年になりますか、今庄でほうっておくというのは私は怠慢だと思う。外務大臣の重ねての御答弁をお願いいたします。
○重光国務大臣 お考えはごもっともと思いますが、私はさような緊迫した国際情勢になったときには、これは日本としては日本の向うところ、自分の利益に従って独自の見解を持って進むべきだとこう考えております。そうしてその意味をもって米国側の要請がどこまであるか、それが合理的なものであるかないかということは、とくと自分の見解によって判断して進んで差しつかえないと思います。
○赤松委員 外務大臣といたしましては珍しく非常に明快な御答弁だったと思うのです。あくまで独自の判断に基いてアメリカと折衝をする、その意気やまことに壮たるものがありまして、私は賞讃するに惜しむものではありませんけれども、ちょっと待って下さい。あとで私は申し上げますけれども、もうすでに事態は発生しておる。米軍はもうどんどん日本の内地の墓地から出動しておる。現実に幾らあなたが今のようなりっぱな心がけを持って折衝されましても、もう事態は間に合わない。すでにもうどんどん出動しているのです。ですから即刻この点について、あなたが今おっしゃったように、日本の独自の立場から――もし報復爆撃でもあると、日本の国は壊滅する。沿海州から九発も原子爆弾を撃たれると、日本は壊滅するといわれている。原子力潜水艦だってできているじゃありませんか。日本海あるいは太平洋にこの原子力潜水艦を数隻置かれて、それで原子力攻撃を加えられたら、日本はぺちゃんこです。それは杉原長官なんかよく知っている。十二万や十五万の軍隊でもって日本の安全が保障されぬということは、中学生でもそんなことはよくわかっている。わかりながら、アメリカのひもをつけられて、そうしてアメリカのために、アメリカの侵略のために、アメリカ本国の防衛のために日本が使われているのです。今あなたはおっしゃいましたけれども、現実にこういう事態は起きているのであります。この点については、今まで吉田内閣の怠慢であった、同時に鳩山内閣の怠慢です。即刻日本国民のために、日本民族のために、アメリカ政府と折衝して、そうして日本政府の同意なしにはそういうような行動のとれないように交渉なさる御意思があるかどうか、この際明確にしておいていただきたい。
○重光国務大臣 私は、実はその点は明確になっている、こう考えております。必ずこれは協議を受ける、そうしてわれわれの方針としては、日本の独自の見解でもってこれに対応して行く、こういうことになると思います。
○赤松委員 先ほどは明確になっていない、まだそれは話し合いはできていないとあなたはおっしゃった。急にできたのでございますか。数秒間の間に……。
○重光国務大臣 そういう意味で言ったのではない。
○赤松委員 どういう意味ですか。
○重光国務大臣 そういう国際関係の緊張がある場合において、いかなる共同作戦をとるかどうかということについては、必ず協議があるということを私は申し上げたのであります。
○赤松委員 しからは、台湾海峡を中心とする例の中共軍と国府軍、いわゆる蒋介石軍の間に今紛争が起き、またアメリカは第七艦隊が出動しておる。むろん第七艦隊は日本の基地から出動しているとは言わない。しかし、空軍は日本の基地から出ている。あなたに相談がありましたか。 〔委員長退席、中曽根委員長代理着席)
○重光国務大臣 台湾海峡の形勢については、絶えず情勢について連絡をいたしております。
○赤松委員 絶えず情勢について連絡しているというのではないのです。すでに出動している。それについて日本政府に同意を求めてくるものだとあなたは考えている。しからば同意をして、あなたはその間意を与えたのかどうか、私はこれを聞いている。いかがでございましょうか。
○重光国務大臣 それは、日本の基地から台湾に行っているという情報を私は知りません。それはおそらく、台湾に行っているのは琉球から行っておる、こういうふうに報告を受けております。
○赤松委員 あとで私は、飛行機の名前から、ちゃんと何個中隊行ったかということをあなたに教えてあげます。ちゃんと行っている。もし行っているという事実が明らかになりましたならば、あなたは責任をとられますか、外務大臣としていかがでございますか。行っていないとあなたはおっしゃる。行っておったならば、おそらくアメリカは、あなたの同意を得て出勤しているだろうと思う。同意を得ないで出動しているとすれば、これは外務大臣の重大な失態です。そのときは外務大臣として責任をとられますか。この事態が明確になったならば、いかがですか。
○重光国務大臣 事態をよく調べてお答えをいたします。
○赤松委員 事態をよく調べるといっても――それでは私はあとでこの問題につきまして、一つ具体的な事実をあげて、そうしてあなたの答弁を求めましょう。ただし、それはただ聞き捨てるのではなくして、重大な問題ですから米軍側にも問い合せ、私の言ったことが事実であるかないかということを十分御調査なさって、そうしてこの国会に報告をしていただかなければなりません。繰り返して申し上げますが、内閣総理大臣もよく聞いておいて下さい。この問題は、鳩山内閣一個の問題ではありません。あなたたちの一人や二人、日本の国民のために命があろうがなかろうが大した問題ではない。それよりも一番大事なことは、この日本の民族を、われわれが子孫代々まで傷つけないで持って行くということ、祖国を守るということです。私ども左派社会党は、その信念に燃えて、だから今まで安全保障条約に対しても反対してきたのです。 そこで今度は、先ほど防衛分担金に関する質問をいたしましたが、もうちょっと繰り返して申し上げます。去る四月十九日の日米共同声明は、「声明」という標題を付しているけれども、これは日米間の新たなる協定の締結か、安全保障条約の延長としての取りきめの締結か、この点を明らかにしていただきたい。
○重光国務大臣 これは安全保障条約、行政協定、MSA協定等に基いて、双方の意向がこの問題について合致したことをそのまま出して発表したものでございます。
○赤松委員 その通りなんです。その通りなんですけれども、それは、しからば安保条約あるいは日米行政協定、MSA協定の延長としての取りきめかどうか。これを私は聞いておるのです。
○重光国務大臣 さような条約の規定によって双方が合意したものでございます。
○赤松委員 しからばこの安保条約及び行政協定、MSAの協定の延長である、こう考えてよろしゅうございますね。
○重光国務大臣 私は、今申しました通りに、それらの条約の規定によって、双方がそれに準拠して協議した上で合意したものだ、こう申し上げておるのであります。
○赤松委員 そういたしますと、安保条約そのものであり、あるいはMSA協定そのものであり、行政協定そのものの一部分である、こういうように了解してよろしゅうございますね。
○重光国務大臣 さような条約によって双方が交渉して合意をした結果であると申し上げたのであります。
○赤松委員 それではお尋ねいたましすが、安全保障条約においては、日本国が「直接及び間接の侵略に対する自国の防衛のため漸増的に自ら責任を負うことを期待する。」と書いてある。「期待する」と規定している。ところがこの共同声明によれば、「期待」が「義務」ということになっている。しかも明年度予算まで拘束した義務になっている。一体これはどういうことなんです。安全保障条約におきましては「期待する」、今度の日米共同声明によっては「義務」として来年度予算まで拘束しているのです。これが単なる声明であるならばわれわれは拘束される必要はないと思いますが、いかがでございますか。
○重光国務大臣 これは安保条約の基礎として、防衛力の漸増ということを期待されている、その趣旨によってこれは進めているわけであります。
○赤松委員 ですから、安保条約におきましては、「期待する」ということになっておる。今度は義務づけられて、来年度予算まで拘束されておるのです。従って、安保条約の延長として考えてよろしいか、いかがですか。
○重光国務大臣 今申し上げる通りに、その安保条約の趣旨に、精神によってこれは双方が合意したものであります。
○赤松委員 趣旨とかなんとかじゃない。法律的に申しまして、安保条約の延長であるかないか、その一言答弁してもらいます。気分の問題ではありません。法律的に……。
○重光国務大臣 今御説明した通りであります。延長というのはあなたの言葉であります。私はこの趣旨によって、その精神によって合意をした結果である、こう申しておるのであります。
○赤松委員 しからば、あなたはこの協定の批准をなぜ国会に求めなかったのですか。これをなぜ国会に提出しなかったのですか。来年度予算を拘束しているのですよ。しかもこれは、先ほど言ったように、安保条約では「期待する」、今度はもう「義務」だ、来年度予算まで拘束されているのです。これを一片の共同声明とだれが受け取りますか。だから私が先ほどから、共同声明を出したその経緯についてこれを明らかにしてもらいたいと御質問したのはその点なんです。これは単なる共同声明ではありませんよ。もし共同声明によって来年度予算が拘束され、国会の審議権が拘束されるということになりますならば、これはもう声明なんか大へんなものになる。吉田内閣ですらこういうことはやらなかったのです。むろん行政協定でさえも国会にかけないというのでわれわれは騒いだのですけれども、いかがですか。
○重光国務大臣 つまり御趣旨は、なぜこういう新しい約束であるべきものを議会の承認を得ないか、こういうことに帰着するようであります。われわれはこれを新しい約束と見ておりません。また新しい約束では、今説明申し上げる通り、ないと思っております。分担金削減に対してこの共同声明は、両国政府が合意した共同の意思表示であって、しかしそれによってただちに両国間に一定の権利義務が発生して拘束力を持つに至るような性質のものではない。その意味で法律的文書ではないということが適当であると思うのであります。しかしながら政府としては右声明に掲げられた事項を実現する政治的責任を有することはもちろんでございます。さように解釈をいたしております。
○赤松委員 それならば安全保障条約と何も関係ないじゃないですか。政府は先ほど来これは安全保障条約の基礎の中から生まれてきたものである、こういうことを説明されてきた。従って安保条約ならば絶対仕方がないのだという考え方に国民はなってしまう。今聞きますと、何も安保条約とは関係ないのだ。これは政治的責任を負えばいいのだ。従ってあなたの解釈も――やはりこの共同声明に表われました防衛分担金の削減の問題、あるいは防衛庁の予算の額等の問題につきまして、われわれがこれに修正を加えることはむろん自由です。日本政府もまた事情によってはこの取りきめを破棄することも自由でございます。従いましてこの点法律的な責任はない。安保条約とは、心理的には関係があるけれども法律的には何も関係がない。従って政府としては法律的には責任を負わない。単なる政治的責任、道義的責任で済むのだ、あなたはそうおっしゃいましたね。それならばそのように了解しておきます。それでよろしゅうございますね。
○重光国務大臣 私の説明は今申し上げました通りであります。
○赤松委員 今申し上げた通りをもう一度言ってください。
○重光国務大臣 これは安保条約の精神、行政協定、MSA協定の規定に準拠して双方の意思表示をやって、そうして合意した結果を出したものであることを繰り返して申し上げます。
○赤松委員 先ほど官吏諸君が持って来られましたメモをあなたは読まれた。それでいきますと今の答弁と違う。先ほどの答弁によれば、これは法律的に責任を負う必要はないのだ、単なる道義的な政治的な責任を負えばいいのだ、こうおっしゃった。答弁が違っておりますよ。先ほどのと違っていますよ。速記録を見てください。違っています。明らかに違っておる。これは重大な問題ですから、私はあなたの御答弁をむろん求めたいと思いますけれども、先ほどの答弁と食い違いがございますので、一つ十分政府の方で研究して、それでもう一ぺん明確なる答弁を願います。
○重光国務大臣 私の答弁は少しも矛盾はございません。これは安保条約の精神によってできたもので、しかしこれは新たな条約ではない。法律関係を新たに規定したものではない。この条約の精神によって双方の当事者が合意した結果をそのまま出したのであって、その意味において新たな法律関係を生じたわけのものでないということを申し上げておるのでございます。
○赤松委員 新たな法律関係を生じたものでないというならば、法律関係は生じていないのですね。新たなとか古いとかいうのは何ですか。
○重光国務大臣 でございますから、これは新たな条約ではなくして、従来の条約の精神によって、その趣旨をくんでこういうふうな合意が成立したのだ、こういうことであります。それでありますから、これは政治的と私は申し上げたのであります。
○赤松委員 安保条約の精神をくんで日米間において合意の上ででき上ったものである、こうおっしゃるのですね。そうしますと、安保条約の延長でございますか。単なる声明なんですか、安保条約の延長なんですか。それだけでいいのだ、明確にしてください。
○重光国務大臣 私は延長という言葉は使っておりません。これはあなたの言葉でありますから、それがどういう意味であるかということがはっきりしなければわからないのです。私のは今までたびたび申し上げる通り、この安保条約の精神によって、そうしてそれに準拠してつくられた合意である、こう申し上げておるのであります。
○赤松委員 従って単なる合意でございますから、法律的には何も拘束力を持っておりませんね。そういうふうに了解してよろしゅうございますね。――何かまた新しい指令が来たようですけれども、また違うのですか。
○重光国務大臣 今御説明申し上げた通りであります。さように御了解願います。 〔「答弁々々」と呼ぶ者あり〕
○中曽根委員長代理 ただいま答弁いたしました。
○赤松委員 予算修正をいたしますことは、私どもの自由なんです。別にアメリカの政府の制約を受ける必要はないのです。日本国会の自由なんです。そこでこの日米共同声明に反するような予算の修正が行われた場合には、政府はどういう責任をとりますか。
○重光国務大臣 それはむろん成立した合意を実現することができなかったのでありますから、それに対する責任を持たなければならぬと私は考えております。
○赤松委員 責任を持たなければならぬということが明確になりました。しからば内閣総理大臣は、どのような責任をおとりになりますか。
○鳩山国務大臣 責任をとるという意味は、外務大臣がどういう意味で言われたか知りませんけれども、実行することについて政治的の責めがあるということを外務大臣は先に申しておりますから、政治的の約束を履行できなかったということについて、ある程度の責任というものをとらなくてはならないと思います。どういう責任かということはただいま具体的には考えておりません。
○赤松委員 その場合いわゆるその折価に当られ、同意の当事者でございまする外務大臣が辞職をされる程度で済むのですか。それとも内閣辞職というようなことになるのでありますか。責任のとり方についてお伺いしたい。いかがでございます。
○鳩山国務大臣 責任の程度については考えておりません。 〔発言する者多し〕
○中曽根委員長代理 私語を禁じます。
○赤松委員 私はなぜこの問題についてしばしば政府に御質問するかと申しますと、予算審議上非常に重大なんです。政府の方は、これは法律的に責任をとらねばならぬものだというお答えと、どちらでもいいのだ、ただ道義的な責任が伴うだけなんだという御答弁とでは、私は予算審議の上に、国全体のいろいろな利益から考えまして、違った面が出てくるのではないか。また委員諸君の考え方にいたしましても、心がまえがやはり違ってくると私は思いますので、予算審議上非常に重大でございますから、この点をあなたにお尋ねをしておるのです。あなたは今責任をとるとおっしゃいました。どのように責任をとるかということにつきましては、明確になっておりませんけれども、とにかく責任をとるということをおっしゃいました。これは私はこういう意味に理解してお入ます。法律的には責任はないけれども、道義的には責任があるのだ。従って政治的には責任があるのだ、従ってその政治的責任はとる、こういうふうに理解いたします。 次に、本年度の防衛支出金は四百五十九億六千四百万円計上されておる。そのうちさきの日米共同声明による行政協定二十五条b項に三百八十億円を支出する、残る七十九億六千四百万円をa項の所要経費と解していいかどうか、これはいかがでございますか、外務大臣。
○重光国務大臣 今のは予算の内訳のよりでございますから、他の閣僚にかわってお願いします。
○一萬田国務大臣 お答えします。七十九億のうちには軍事施設費、軍事顧問団に対する費用、それらが含まれておるわけであります。
○赤松委員 行政協定二十五条のa項の所要経費という御答弁がございました。そうしますと、共同声明に規定している飛行場拡張費の八十億円は、これはa項全額であるかどうか、これをお尋ねいたします。
○一萬田国務大臣 政府委員をもって答弁いたさせます。
○赤松委員 委員長、主計局長ではだめです。 〔「大蔵大臣に要求している」と呼び、離席する者、発言する者多く、議場騒然〕
○一萬田国務大臣 その点については政府委員に答弁いたさせます。
○赤松委員 大蔵大臣の答弁を要求いたします。こんなことがわからぬでどうするか。
○中曽根委員長代理 赤松君に申し上げますが……。 〔「質問者は拒否しておる」「政府委員に聞くわけにはいかぬ」と呼び、離席する者、発言する者多く、議場騒然〕
○中曽根委員長代理 委員席について下さい。不規則発言を禁止いたします。それでは赤松さん、大蔵大臣が答弁いたしますから。
○一萬田国務大臣 お答えいたします。大へん不勉強で相済みません。七十九億六千万円のうちで、二十五条aに当りますのが七十四億円で、これは主として施設関係の費用でございます。それから五億が軍事顧問団。この施設費の先ほど申しました七十四億のうちには、土地建物の借料とか、それからいろいろな補償金、こういうものが入っております。なお飛行場あたりの拡張があればこの中から出る。こういう内訓になっております。
○赤松委員 飛行場などの拡張があればというのですが、日米共同声明の中には、飛行場を拡張しろという義務を課せられているのじゃないか。しかもそれには八十億という数字をあげている。この八十億を、もし今大蔵大臣が言うように、a項の経費をそのように使えば、八十億の経費はa項からは出てこないじゃないか、どうするのですか、それは。
○一萬田国務大臣 お答えいたします。八十億の中には、ただいま申し上げたいろいろなものがすべて入っているわけであります。
○赤松委員 それではこの八十億をどこから出すのですか。a項の中にどこにあるのですか。
○一萬田国務大臣 お答えします。これは、三百八十億に加える七十九億ですか、この中に全部入っております。この中から出るわけであります。八十億とおっしゃるのはどの八十億かはっきりしないのですが、入っておるわけであります。とにかく三百八十億に今言う七十九億、この中からやるようになっております。
○赤松委員 これはまた重大ですね。行政協定二十五条b項に三百八十億円を支出すると言ってある。b項というのは交付金ですよ。交付金を三百八十億出す、残る七十九億六千四百万円をa項の所要経費に充てる。そうすると飛行場の拡張費八十億はどこから出るかという先ほどの質問に対して、b項三百八十億、残る七十九億合わせた中から出す、こんな答弁があるものですか。もう一ぺん。
○中曽根委員長代理 数字にわたりますから、政府委員からこまかく申し上げます。主計局長。
○森永政府委員 共同声明に八十億と言っておりますのは、これは飛行場の……。 〔「これは基本的な問題だ」「大蔵大臣が言えないはずはない」と呼び、その他発言する者多く、議場騒然、聴取不能〕
○中曽根委員長代理 赤松君、大蔵大臣が答弁いたします。
○一萬田国務大臣 御答弁を申し上げます。先ほど八十億というのが幾つも出たものですから、あの八十億についてちょっとお尋ねしたのですが、この八十億は、実は先ほどから申し上げます七十九億六千万円、それをおさしになっているわけですね。施設費はこれから出る。ほかにはないわけです。
○赤松委員 施設費は七十九億六千四百万円、ここから飛行場の経費八十億が出るわけがないじゃないですか。これはどこから出るか。
○一萬田国務大臣 お答えします。それで先ほどから申しておるのですけれども、飛行場の何に八十億というのはないのです。どういうふうなことでありますか。
○赤松委員 あなたは日米共同声明を御存じでしょう。その中には飛行場の拡張費をちゃんと書いてあるではありませんか。
○一萬田国務大臣 お答えします。あの共同声明にも、飛行場その他施設全部をあれでまかなうように共同声明にはなっておるはずであります。飛行場ばかりではない。
○赤松委員 それでは大蔵大臣、私が教えてあげましょうか。こういうことなんでしょう。飛行場の拡張の経費及びa項の経費は一緒のものだ、ただ、今のところ、飛行場をどの程度拡張するかわからないけれども、しかしながら、日米共同声明の中に八十億とうたわれておる。そこで、それをやらなければならぬ義務があるけれども、今その予算というものはここに盛ってないのだ、こうなんでしょう。その予算をここに盛ってないのだ。従って施設費として七十数億をここに計上してあるのだ、こういう意味でしょう。
○中曽根委員長代理 大蔵大臣の答弁を要求しますか。
○赤松委員 この点につきましては、さらに政府の方でもう少し勉強をしていただいて、後日答弁をしていただきます。私は質問を保留しておきます。 そこで日米共同声明によって、行政協定二十五条b項の一億五千五百万ドルは修正されたと解していいかどうか。外務大臣、いかがですか。
○重光国務大臣 この共同声明によって、既存の条約は何ら修正されたわけではございません。
○赤松委員 b項に規定されるいわゆる定期的再検討とは、毎年予算編成前にアメリカ側に交渉し、次年度以降の予算編成まで拘束されるというふうに解していいかどうか。いわゆる定期的というのはどういう意味ですか。
○重光国務大臣 それは、必ずしも予算に関係を持たせる必要はございませんが、実際はやはり予算の編成時期に話し合いになることだと考えます。定期的というのは、さような必要の起るごとに、こういうことに解釈していいと思います。
○赤松委員 必要のごとにと言うけれども、日米共同声明によれば、来年度予算については、防衛庁の予算を増額しなければならぬ、こういうふうに義務づけられておる。従って、この予算編成前においては、当然今度はアメリカ側の意向を聞き、アメリカ側と折衝して、アメリカ側の許可を得て、それから予算編成に取りかからなければならぬ。今まで吉田政府はそこまでやっておらぬと思う。今度は鳩山内閣は、来年度から日米共同声明によって拘束をされて、来年度の予算については、一々編成前にアメリカの同意を得なければ予算の編成ができないということになってきた。この点はどうか。再検討という意味は、毎年予算編成期の前に交渉することなんですか。
○重光国務大臣 分担金の軽減は交渉しなければならぬと思います。そして、予算編成期には必ず分担金軽減の交渉が起ることだ、こう考えております。
○赤松委員 それではあとはまた同僚の質問に譲ります。 これは特調の長官にお伺いしたい。ごく簡単なことです。実は今駐留軍労務者は非常に動揺しております。なぜ動揺しておるかと申しますならば、今までは間接雇用でございましたが、直接雇用になるのではないか。米軍の中にも、一部それを希望する向きがあるようでございますが、政府としては、駐留軍労務者を直接雇用する意思があるかないか。アメリカがそれを要求してきた場合に、これを拒否するか受け入れるか。この点を明確にしていただきたい。
○西田国務大臣 お答えいたします。政府には非公式にも公式にもそういう情報は入っておりません。従って現在のところ、駐留軍の直接雇用は考えておりません。
○赤松委員 将来です。
○西田国務大臣 将来の問題は、先方から申し出てきた場合に態度を決定することになります。
○赤松委員 あなたの考えは。
○西田国務大臣 私は、現在のままで行きたいと考えております。
○赤松委員 わかりました。 そこで続いてお尋ねいたしますが、分担金中のb項、いわゆる交付金の問題でありますが、この点について会計検査院は検査をしておるかどうか。これをお尋ねいたします。
○中曽根委員長代理 だれにお尋ねですか。
○赤松委員 それはだれでもよろしい。主計局長はだめだ。大臣の中から適当にだれか答弁してもらいたい。
○中曽根委員長代理 赤松君、会計検査院の院長は来ておりませんけれども、呼びましょうか。
○赤松委員 大蔵大臣でよろしい。大蔵大臣はわかっておる。
○一萬田国務大臣 たしか、過去に一回くらい検査したことがあるかに記憶しておるのでありますが、なお取り調べまして申し上げます。
○赤松委員 これは、検査してならないというような規定はないように思いますが、それでよろしゅうございますか。大蔵大臣、どうですか。
○一萬田国務大臣 それは、合意の上でできることになっておると思います。
○赤松委員 合意の上でできるとはおかしいじゃないですか。日本の法律に従って、日本の会計検査院が独自の立場でこれを検査することは一向差しつかえないでしょう。もし差しつかえあるとするならば、どこにそういう法的根拠がありますか、それを明らかにしてもらいたい。
○一萬田国務大臣 お答えします。この分担金はそっくり向うに渡しまして、そうして向うの会計にそれを移しまして、向うの持っている自分のドルその他の金と一緒にして使うものですから、同意がないと、調べるのに、なかなか事実上調べることができないのです。
○赤松委員 それは調べてもいいというわけですね。
○一萬田国務大臣 いいと思います。
○赤松委員 わかりました。この国会で初めて、交付金に対しまして日本政府は、日本政府の自主的な立場から交付金の使途等について会計検査ができるというところの明確なる大蔵大臣の御答弁をいただきました。 そこで、このいわゆる防衛支出金は、日米行政協定議事録によって、毎年十一月十日に、米軍から日本政府に対して次年度の所要経費の見積りが指示される。日本政府はこれを予算に計上して、第四・四半期の初め十日以内に米軍が要求した所要額を支出する。この支出額は、日本銀行にある共同支出官勘定に振り込まれるが、当初日本は、共同とは日米共同と思っていたところ、実は、米軍の陸海空三軍の共同であり、アメリカの経理担当官が勘定を管理して、日本側ではどうにもならない。そうして米軍は毎月日本政府に対して、円勘定負担行為明細表と円勘定支払い明細表を送付し、事後通達を受けることになる。この支払い結果については、会計検査院も調査できず、同院の年次報告には、六百億円近い金の支出が適否を確認できないままに現在なっている。このように米軍が日本側の振り込み金を使用するときには、予算費目の補助対称符号間で自由に流用できることになっているのであるが、これについてただいま大蔵大臣は、会計検査院は当然検査ができる、ただし今まで一回しか検査ができなかったとおっしゃっておりますが、私の今申し上げましたこの日米行政協定議事録によりますというと、必ず事後通知がなければならぬということになっております。従いまして、交付金に関する事後通知が必ずあると思いますが、この点につきましては、いかがなっておるでございましょうか。
○一萬田国務大臣 それはあります。 なお先ほどの私の答弁、私はこの三百八十億を渡しまして、そして向うの金と一緒になるから、それを調べる上においても合意がないとなかなかやれないと申しましたが、これは私の答弁があるいは十分でありませんので、これは日本としては、三百八十億の分担金を先方に渡す、それから先は向うの勘定になりますので、従って向うの合意がないとやはりやれない、こういうように解釈して訂正をいたしておきます。合意があった場合にそういうことは二十八年に一回やったようでありまます。これは訂正をいたします。
○赤松委員 事後通知はあるのですか。
○一萬田国務大臣 ありますようでございます。
○赤松委員 それでこの事後通知は政府のどこへ来るのですか。
○一萬田国務大臣 それは大蔵省に回っております。
○赤松委員 二十九年度までのものは大蔵省に全部ありますか。
○一萬田国務大臣 あります。
○赤松委員 あれば本委員会に対しまして資料としてぜひ出していただきたい。 次に、私は防衛支出命の二十八年度、二十九年度の明細、さらに米駐留経費の日米負担区分、こういう点につきまして、多く質問がございますが、時間の関係上、これを省略いたします。
○中曽根委員長代理 赤松君、事後通知の数字を主計局長が報告をしたいそうでありますが、あとで文書でやりますか。
○赤松委員 ちょっと待って下さい。 米軍使用の施設区域の問題でございますが、今まで民公有分、国有分、これはどの程度に達しておるか。また今後減る見込みであるか、ふえる見込みであるか。
○西田国務大臣 ただいま数字的に詳しいことはわかりませんので、後刻調べまして御返事いたします。
○赤松委員 数字が今わからないから後刻報告をする。そこで土地使用の面積は講和発効以来、すなわち昭和二十七年四月二十八日から約一ヵ年は民会存分だけで一億八千万坪、二十九年度の三月の末には一億九千万坪となっておるわけです。それで日米共同声明などによって、この駐留軍基地のための土地使用の面積は、今後ますます増大することが予想されるが、これについて一つ特調の長官の予想される見通しにつきまして、御報告願いたい。なお国有分の米軍使用施設区域は、昭和二十八年八月十日現在二億一千五百六十九万一千坪になっておる。現在はどのくらいになっておるか。来年はまたどのくらいになるか。そういう見通しにつきまして、一つ後に委員会に報告していただきたい。今お手元に資料がなければやむを得ません。 次に営業用不動産の借り上げ料、駐留軍は専用施設を作って順次その方へ移動し、接収住宅などは当初の七〇%から二十九年度中に明け渡されることになっていた。それでもなお日本の民有施設にがんばっておる例が多い。これはデパート、あるいは劇場、その他たくさんあるのでございますが、二十九年度中も、なお三十三件が接収のままになっておるが、この年間補償は五千七百万円を要する。当然かようなものは日本政府が払うべきものではない。これは米軍において払うべき性質のものであると思いますが、この接収解除及びこれに関する費用の負担等は、米軍が行うべきであると思いますが、政府はいかがでございますか。わかりませんか。
○中曽根委員長代理 特調の長官は今呼んでおります。すぐ参るそうです。参りましたらお答えさせます。どうぞお進め下さい。
○赤松委員 これから私が質問申し上げる中で、われと思わん人は答弁して下さい。みんなお考えが長いようですから……。 次は有料道路の使用料について。今、国内には幹線道路に沿って民営の有料道路が幾つかある。この公用車については、米軍はすべて道路使用料を払わないから、やむを得ず日本側の予算から出しておる。これだけでも年に一千二百万円に上っておる。それは私ここに持っておるけれども、伊豆の十国峠、三浦三崎、日光、富士山、阿蘇山、浅間山とたくさんある。これは富士山だけでも大へんな負担です。こういうものは当然米軍が払うべきです。日本の有料道路にどんどん米軍の車が走っておる。しかもその公用率は十国峠で一〇%、三浦三崎で四〇%、日光において一〇%、冨士山は六〇%、阿蘇山は一〇%、浅間山は一〇%、こういうものがみな国民の税金で払わせられておる。これを切りかえる意思があるかどうか。 次に中間補償費、演習によって林野、田畑の被害は各地でその例が非常に多い。この被害に対する政府の補償費はきわめて少い。立木、立毛関係で二十九年度は八千百万円にすぎない。この対称面積は、総面積に対して被害面積の査定がきわめて少い。これは総面積のうちで被弾地区が五%、非被弾地区で被害を受けておる広さ一%、この査定は非常に問題がある。ぜひこれらの改善をやってもらいたい。そうして補償単価は、一町歩当り用材林の場合は五百石の木材がとれるとして、石当り四百三十一円の補償、二十一万五千五百円、薪炭林の場合は二百五十石とれるとして行当り六十五円として一万六千二百五十円、双方平均して十一万六千円というのが一町歩当りの補償単価である。これは非常に単価が安い。これらの改善とともに単価の引き上げをぜひ政府はやってもらいたい。これを希望しておきます。これは全国の非常に多くの山林を持っておるところの人たちの希望です。 返還財産の補償費。これは二十九年度は前年に比べて増大しておる。前年度繰り越しを含めて五億二千万円の経費で、麦全保障諸費にかわる代替施設がほとんど完成するので、それに移転したあとの前接収施設を原形に補修するために支払われる。これは外務大臣御存じのように、フィリピンなどにおきましては、米軍がこういうものを負担しておる。ところが日本では、過去三ヵ年で二十四億円も支出させられておる。こういう点については、これからはぜひ米軍側においてこれを払わせる、これは日本人に対する財産権の侵害である。同時に返還の見通し、並びに今後日米合同委員会にこういう問題をかけて、米軍側の負担にするように努力するかどうか。これも一つぜひ考えておいていただきたい。 それからひどいのは、旧連合国軍人等住宅公社借入金、これらの償還は二十九年度は七億八千三百万円、これは占領軍の軍人の住宅二千三戸を建てるため 連合国軍人等住宅公社が見返り資金特別会計から年利五・五%、元本均等十五ヵ年年賦で借り入れた金の返済金、こういう経費も当然これは寮全保障諸費で処理するか、あるいは米軍側で処理すべきがほんとうである。これをも日本が出している。これは予算の盲点です。今まであまり世間には明らかになっておらないけれども、こういうような盲点がたくさん予算の中に、いわゆる防衛分担金として一貫されてあるのです。これはぜひ一つ日本国民のために強力に言うべきことは言って、日米合同委員会において善処をしていただきたい。 次に、漁民の非常に大きな要望であるところの漁業補償費、これは一部の陸上演習場に隣接する海面、または港湾施設の一部、あるいは海上演習区域で起った漁業の演習被害に対して割り当てられるものであるが、計上額は二通りにわかれており、地先水面関係では日本全国で十八県、三万九千戸、約十万人の漁民に対して四億六千八百万円が割り当てられておる。これは損害漁業高を一千百五十一万貫と推定して、うち四二%が所得になるものとして、貫当り百五十三円九十銭で計算しておる。こんなばかな計算はない。これを補償対象としてそれぞれの補償率ではじき出している。また海上演習場に対しては四千三百万円が計上されておる。以上見てくると、いかにも綿密な計算を経ておるように見えるけれども、現実の漁民の被害を十分に満たし得ていない。十万人に対しては約四億七千万円、すなわち一人当り年額四千五百円程度の補償にすぎない。どうぞ一つ漁民の保護策、こういう点は米軍側と交渉して、できる限りこういうような演習場を少くして、漁民の生活権を守るように努力してもらいたい。 次に事故補償費であるけれども、これも全国各地においていろいろな被害が生まれている。米軍が公務中に日本国民に与えた事故については被害補償をしていない。けしからぬ話です。これは米軍が日本の国民を自動車でひいたり、その他こういう被害を与えながら被害補償をしていない。これはすべて日本政府が支出しているのであって、二十九年度中に見込まれておる事故発生件数は七千五百五十六件です。こういう加害者が米軍であって、そうして被害者たる日本人は事故補償を受けることができぬ。自分の税金で事故補償をとる、そんなべらぼうな話がありますか。これは日本国民のために、ぜひ一つ鳩山内閣は強く日米合同委員会においてこういうことのないように努力をしてもらいたいと思います。 以上私はこの防衛分担金中あるいは日本政府の予算中盲点となっておりました数点を、はなはだこまかい数字をあげて恐縮ですが、国民にとりましてはこまかい数字ではありません。どうぞこの点につきましてはなお善処をしていただきたいと思います。 次いで私は重光外務大臣にお尋ねをする。それは、あなたは参議院の外務委員会で安保条約と行政協定は不平等条約である、この改訂は国民の意思だ、こういうことを言われておる。また先般野溝勝氏の参議院における質問に対しましても、首相はやはり安保条約改正の必要を参議院において説いておられました。私はまことにけっこうだと思う。しからばその安保条約及び行政協定改訂の手続、方法あるいは改訂せんとするその対象、それはどういうところをば改訂せんとするものであるか、またいつ交渉し、どのようにしていく考えであるか、この際明らかにしていただきたい。総理及び外務大臣の答弁を要求します。
○重光国務大臣 私は安保条約、行政協定等は、日本が敗戦の後に置かれた国際事情からできたものだと、こう判断をいたしておりますので、これはなるべくすみやかに改訂をすべきものだというふうに考えております。しかし今それを――これはこの前の機会に申し上げたと思いますが、今日直ちにこの問題を取り上げるべきことではなかろう。日本の国際情勢がそれを許さない。国際情勢が許す時期が来れば、すみやかにこの問題も取り上げて円満にこれを片づけていきたい、こういうふうに考えておることを申し上げておきます。
○鳩山国務大臣 日本が自衛力を少しも持っておらないときにできた諸条約ですから、これが改訂されるという前提事項となるものは、私は自衛力を日本が持つということだろうと思うのです。日本が自衛力をだんだん持つようになれば、それに従って安全保障条約、行政協定等は改訂せられるものと思っております。
○赤松委員 この点につきましては非常に不満でございますし、なお質問がございますけれども、先を急ぎますので、時間がありませんから、これは同僚議員に譲ります。 次に一点お聞きしておきたいことは、いわゆる国防会議の問題でございますが、この国防会議につきまして、新聞の報道によると、鳩山政府は、民主党及び自由党の協力で本国会に国防会議の法案を提出するということを伝えておりまするが、この点に関しまして首相はどのようにお考えになっておりますか。
○鳩山国務大臣 国防会議を作る必要はもちろんある。そのことは言わなくてもいいですね。国防会議をいかにして作るかということは、目下検討中ですけれども、とにかく国防会議というものを早く作る必要ありとは思っております。
○赤松委員 この国会に御提出になりますか。あるいはまたこれにつきましてはアメリカの強い要請があったと思いますが、いかがでございましょうか。
○鳩山国務大臣 アメリカの要請は、私は聞いておりません。この議会に提出できるかどうか、今のところ御返事ができません。
○赤松委員 それでは次へ移ります。沖繩の問題につきまして一点お伺いしておきたい。沖繩の国内におけるところのいろいろな問題につきましては、すでにこれは新聞でもって明らかになっておる。あるいは新聞記者団が向うに行っていろいろ調査をやってきておる。ただ重大なことは、御承知のように平和条約におきましては、沖繩は信託統治にするということになっておる。ところが昨年十一月十七日発効した米華相互防衛条約第三条及び米華相互防衛条約第五条には、各条約国は西太平洋地域において、いずれかの締約国の領域に対して行われる武力攻撃が自国の平和及び安全を危うくするものと認め、かつ自国の憲法上の手続に従い、共通の危険に対処するため行動することを宣言すると規定し、さらに右の領域を説明して、第六条には、台湾、澎湖島及びアメリカ合衆国についてはその管轄権のもとにある西太平洋の諸島ということが定義されておるわけであります。そうしますと、私どもはヤルタ協定を認めないという立場に立っておりますから、当然沖繩を信託統治にするということには反対です。私どもは平和条約に反対しました。これは日本国の領土でございまして、これをアメリカが信託統治にしたり、あるいはアメリカの基地にするということはもってのほかだと考えておる。この二つの条約の発効によって、沖繩は今や完全にアメリカの領土となってしまって、そうして信託統治としての意義をなくしてしまった。それで鳩山政府は何とか沖繩の返還をば要求したいということを口にしておられますけれども、すでに二つの条約によって縛られておるところの沖繩の返還はまことに困難になってきた。私どもは沖繩の主権は日本にあると思っておる。これを潜在主権と呼んでおりますけれども、私はこの沖繩の主権は当然日本にあるべきである、こう考えておりますが、この沖繩で多くのわれわれの同胞が米軍のあの軍政下に泣いて暮しておるのでございますが、この沖繩に対しまして、鳩山政府としてはどのように沖繩を解放し、一日も早く日本国へ復帰できるようにアメリカとの折衝を行うか、こういう点についての鳩山政府の方針をこの際明らかにしていただきたいと思います。
○鳩山国務大臣 沖繩について日本が持っておる主権といえば、領土権だろうと思います。施政権、統治権、立法権、行政権等は持っておりませんが、とにかく領土権だけは日本にあるということになっておると思っております。沖繩の島民がいろいろの点について不平を持っておる。日本に帰属したいということもよく知っております。こういうような希望はできるだけ早く実現したいと思って、機会あるごとにアメリカには現に交渉中であります。
○赤松委員 これにつきましてもいろいろ聞きたいのでございますが、次に日韓台のいわゆる共同防衛機構、これはダレスが絶えず日本等に要請しておる問題でございますが、日韓台の共同防衛機構につきましては総理はどのようにお考えになっておりますか。日本、台湾、韓国、この三国の共同防衛機構をば作れということをアメリカが強く要請しておりますが、そういうアメリカの要請と離れて、この三つの国の共同防衛機構を作る必要があるとお考えになっておるかどうか。
○鳩山国務大臣 日本には今その能力がないと思っております。日本の国だけを守るためにも能力がないのでありますから、これに韓国を加え、台湾を加えて、そうしてそういうような渦中へ飛び込む必要はないと思っております。
○赤松委員 近く対ソ交渉が行われるようでございますが、これにつきまして特に鳩山政府に私ども注文をつけておきたいことがある。それはほかでもありません。あなたは千島、樺太の返還については今言うことは不利益であるということをしばしばおっしゃって参りました。この不利益であるという意味がどのような意味であるか、私よく存じません。この点につきましてもゆっくり質問したいのでございますが、時間がありませんから、私どもの考え方を申し上げますが、当然今度の対ソ交渉におきましては千島、樺太の返還の問題がやはり話し合いに出てくると思うわけです。ただ問題は、ただいまのように日米安全保障条約という条約が存在する限りにおきましては、アメリカは日本の国内の好むところに自由に基地を設けることができる。許さぬとあなたがおっしゃったって、あなたの知らない間に向うは幾つも自由勝手にいろいろな飛行機を持ってきて、そうして日本は完全なアメリカの前線基地になっているのですから、今かりにソ連と交渉して千島、樺太の返還を要求いたしましても、返還さしたらその瞬間アメリカは北海道からさらに向うへ進駐して、樺太、千島、これをアメリカの基地にしてしまう。このアメリカの基地になるところをば、何を好んでソ連が返還するでございましょう。従って千島、樺太を返還させる条件というものは、日米安全保障条約をば廃棄する、あるいは根本的に骨抜きにする、それが条件だと私は思うのです。これにつきまして総理はどのようにお考えになっておるでございましょうか。
○鳩山国務大臣 大体において赤松君の御心配に同感です。
○赤松委員 次に、日中貿易の問題につきまして、いわゆる日中交換書簡が発表されました。これに対する政府の見解が明らかにされたのでございますが、この点につきましては同僚田中稔男君が私のあとで十分政府の意見をただすことになっておりますので、私ただ一点政府の方にお伺いしたいのでございます。 第一に、新たに締結された日中貿易協定の履行につき、政府はいかなる責任を負うつもりであるか、内閣総理大臣からお答え願いたい。
○鳩山国務大臣 現在まで政府の方針は、政府が直接当事者にならないというような形できたのです。しかし民間の希望することには協力していきたいという態度でございます。
○赤松委員 この点につきましても質問がありますが、次に移ります。 第二に、新協定によれば、両国相互に通商代表の常駐を規定しているが、中国側代表の入国、身辺の安全、活動の自由を外交官に準じて保障する意向があるかどうか、これを外務大臣にお尋ねいたします。
○重光国務大臣 その協定は民間の協定でございます。その協定によって出入国をするのは外交官ではございませんから、外交官の待遇を与えるわけには参りません。
○赤松委員 次に政府は禁輸品目の解除に努力しつつあると言明しながら、鳩山内閣成立以来いまだ何らの成果が上っていないのはどういう理由でございましょうか。ことに鳩山内閣といたしましては、吉田内閣のなし得なかった日中貿易を促進させる、これによって日本経済の新しい進路を開くのだ、こういうことを選挙においても強く公約されて参ったのです。それにつきまして、今まで禁輸品目の解除に努力すると言明しながら何らの成果が上ってない、この点につきまして石橋通産大臣にお尋ねをいたします。
○石橋国務大臣 その点は昨日もここで申し上げたつもりでありますが、解除、つまり今、日本のココムの禁輸リストも西欧並みになっちゃった、つまり解除できるだけは解除してしまったという段階でありますから、その上の解除というものは、国際情勢もありまして非常にむずかしいということが、昨年の夏ごろ以来解除が行われてない理由であります。しかし一つ一つのものについては相当解除されて――解除というか、ケース・バイ・ケースでこのものを輸出するということは、この一月以来でも相当件数に上っております。
○赤松委員 それではこの点につきましては同僚出山隠男君の質問に譲りたいと私は思うのでございます。 次に、御承知のようにアジア・アフリカ会議におきましては、平和十原則なるものをば決定いたしました。これは首相も御存じだと思うのでございますが、ます人権と国連憲章の尊重、第二にあらゆる国家の主権と領土権の尊重、第三に入植的国家的平等の承認、第四に他国の問題に干渉しないこと、第五に国連憲軍のもとに単独あるいは集団的に自国を防衛する権利、第六に集団的防衛協定を一大国の利益のために用いす、他国に圧力をかけないこと、第七にいかなる国にも侵略行為、侵略の脅威、兵力使用を避ける、第八にあらゆる国際紛争を平和的手段により解決すること、第九に相互の利益と協力の促進、第十に正義と国際義務の尊重、以上の平和十原則を採択しておりますか、これにつきましてはむろん総理は御賛成でございましょうね。
○鳩山国務大臣 その通り。
○赤松委員 それでは続いてお尋ねをいたしますが、同じくこのバンドン会議におきまして、各国首席代表が集まって、そして次のような決議をしました。人類と文明の破壊から救うために、軍縮と原水爆兵器の製造と使用の禁止は絶対に必要である。会議は原水爆爆発の結果が人類にどのような弊害を与えるかを検査する一連の原子力試験研をアフリカからアジアにかけて設置し、また原水爆製造の全面的禁止まで本会議は全関係国に対しこのような兵器の実験を中止するよう同意に達することを訴える。本会議は世界の軍縮は平和の保持に絶対必要であることを宣言するとともに、国連がその努力を続けるよう要求し、また全関係国に対し、あらゆる大量破壊兵器の生産、実験、使用の禁止を含む全武装兵力と軍備の調整、制限、管理並びに縮小を急速に実現し、これに対する効果的国際管理を樹立するよう訴える。このバンドン会議の原水爆禁止に関する決議に対しましては総理は御賛成でございますか。
○鳩山国務大臣 賛成です。
○赤松委員 続いてお尋ねいたします。四月十九日このバンドン会議におきまして、そこにおられます高碕日本代表が演説をされている。その演説の一端を私がここで読み上げましょう。現下の国際情勢を見るに、不幸にして依然緊張状態が存続していて、各国の政治的安定及び経済的発展を著しく阻害しておる。もし人類が今にして戦争を放棄しないならば、やがては戦争が人類を壊滅させる羽目となるであろう。ゆえにわれわれは国際緊張の緩和を冷静かつ慎重に検討し、これを除去して緊張を緩和するため、相ともに誠実に努力すべきであると考える。ここにわが日本が国際紛争解決の手段としての戦争を放棄し、武力による威嚇を行わざる平和民主国家であることをこの機会に再び厳粛に宣言する次第である。世界のいかなる領域においても、暴力を排し、国際紛争を交渉によって平和的に処理する習慣を確立することこそ今日の要務であり、アジア・アフリカ諸国が率先範を示すべき点であると確信する、こういう演説を高碕日本代表はなさっておられるのでございます。まことに同感でございます。わが国の平和憲法の精神そのままをあなたは強調されました。首相はこの高碕代表の演説をむろん御支持なさると思いますが、政府を代表しての御見解でございますから、さように受け取ってよろしゅうございますか。
○鳩山国務大臣 もとよりその通りであります。
○赤松委員 しからば一つお尋ねしたいと思うのでございますが、このように高碕代表は、国際紛争は、武力によって解決することはいけないことである、話合いによって行うべきであると言い、またバンドン会議は原水爆の製造を禁止する、そうして話合いによって国際平和を確立していこう、こういう決議になっておるのでございます。ところが今度あなたたちの手で日米間に共同声明が発せられ、それによりますと、自衛隊の増強が行われようとしている。今バンドン会議の決議は軍縮を宣言しておるにもかかわらず、自衛隊の増強をほかろうとすることは、バンドン会議に対する裏切りであり、高碕日本代表のバンドン会議におけるあの発言は、まさに事実無限であって、アジア・アフリカの諸国をだます欺瞞的発言であるといわなければなりませんが、総理はいかがでございますか。
○鳩山国務大臣 私はそうは考えておりません。戦争放棄は、国際紛争を戦争によって解決するということについては放棄したのでありますが、自衛のために軍隊を持つということは放棄しているわけではないのであります。それがゆえに自衛隊法というものが成立しておるわけであります。そういう意味におきまして、今日すべての国が自衛力を持たないで、防衛のための軍隊も持たないで平和が維持できるというような世の中であるならば、これほど仕合せなことはないのですけれども、そういう世の中ではないのであります。現在の平和が力による平和だという論もあるのでありまして、そういうことを信じておる人もあるのです。国際間の平和が力によって維持せられるというのならば、国際連合の憲章のもとにその義務を少しでも分担しようとするならば、日本自体も国際平和のために武力を持たなくてはいけないという結果になるはずであります。それですから、国際紛争の解決のためには軍隊を持ってはいけないけれども、世界を平和にするため、日本の国を守るためには軍隊を持たなくてはならないと私は思っておるのであります。
○赤松委員 それならばなぜこの軍縮の決議に対して留保の態度をとらなかったのでありますか。一方では軍縮に賛成し、そうして帰ってくればいわゆる軍備拡張の予算を立てておる。私はこれはまさに背信行為だと思うのです。それから防衛の問題にいたしましても、これは総理とわれわれの見解が全く違う。私どもは今の十二万や十三万や十五万の自衛隊でもって原水爆と対抗できるというようなばかばかしい考えは持っておりません。先ほど申し上げましたように、原子力潜水艦が十隻あれは日本はやっけられてしまう。沿海州から十の原爆が飛んでくればそれでおしまいなんです。でありますから、そんなことは考えておりません。あなたの国防観とわれわれの国防観とは大きな違いがある。私どもは、そういうようなちゃちな軍隊を作って、国民生活を破綻に陥れ、それで国内を危機に陥れる、そういうことによって日本の平和が守れるとは考えておりません。われわれは平和が守れるというのは、それはアメリカにも、あるいはソ連にも、中国にも、アジア諸国にも、すべて話合いによって仲よく不可侵条約等を締結して、そうして日本の自主猶立を守っていく、中立を守っていく、これが私どもの基本的な平和政策なんです。この点におきましては、何ぼあなたと議論いたしましても不幸これは違います。この議論はだれが審判ずるかといえば、最後には八千万国民が審判するのです。従いまして基本的に考えの違うあなたとそのことにおいて議論しようとは考えておりませんが、ただ私はこの国のために、民族のために、あえて憂える点を一、二指摘しておきたいと思いますが、わが党の成田君が先般本会議におきまして原水爆基地の設置の問題についてあなたに質問をいたしました。あの際あなたはこの演壇に立たれるのが非常に御苦痛のようでございまして、成田君は自席からということで、その際マイクがなかったので十分間き取れませんでしたけれども、後ほど速記録を見ますと、あなたは成田君に対する答弁におきまして、米国は原爆基地の問題で日本に迷惑をかけることはないと確信している、こういうことをおっしゃっている。この考え方は変らないでしょうか。また前に原水爆貯蔵の問題につきましても、アメリカは必ず相談してくるだろう、こういうことをあなたはおっしゃっておるが、安保条約によれば、行政協定によれば、あなたに相談なしにアメリカは自由に国内に基地を設定することができるのです。原水爆を貯蔵することができるのです。そのために今日本の国民はどんなに不安動揺の中にあるか、あなたは御存じですか。これは総理に申し上げますが、音羽の中では国民の声はわかりません。現実に基地の付近の、原水爆の基地になる、こういうことに毎日おそれおののいておるところの多くの国民があるということをあなたは知らなければならぬ。アメリカは日本の国内の基地に原水爆を持ってくるときに、鳩山政府の内閣総理大臣に、外務大臣に相談してくるとあなたは今でもほんとうにまじめに思っておいでになりますか、いかがでございますか。
○鳩山国務大臣 原爆を日本に貯蔵するということは非常に重大な問題でありますから、アメリカがこれを日本に貯蔵したいというときには、日本に相談があるものと今日でも思っております。
○赤松委員 それは根本的に違うのです。あなたは思っておられる、主観的にはそう考えられておりましても、アメリカは国内法によりましてもそういうことを相談することは禁じられておるのです。ですからあなたに御相談しても、それはまたすぐ日本の国民に漏れてしまう。あの秘密保持のやかましいアメリカがそんなことは絶対にいたしません。あなたは、例の台湾海峡の問題を中心といたしまして、三月四日ダレス国務長官が原子兵器を台湾海峡の作戦に使ってもいい、こういう声明をしたことを御記憶でございますか、御存じでございますか。
○鳩山国務大臣 存じております。
○赤松委員 これは四月十三日のワシントン発UK電報でございます。それによりますと、最近鳩山首相がアイゼンハワー大統領に日本政府は中国本土爆撃のため米国が日本国内の基地を使用することを認めない旨の書簡を送った、こういうことがございますが、そんなことがありましょうか。
○鳩山国務大臣 そんなことはありません。
○赤松委員 三月八日、大村前防衛庁長官は原爆応戦も正当であると言明をされておりますが、こういうこともあります。
○鳩山国務大臣 私は存じておりません。
○赤松委員 今内閣におられぬそうですから、それを言っても仕方がない。そこで私はこの際総理に対して申し上げておきますが、これはひとり日本の国民だけの問題ではございません。最近世界中にいろいろな天変地異が起っておるわけです。ちょうどわが国の台風は昨年は六百回以上だ、こう言われております。その原因が何であるかはいろいろ学者の言うところがまちまちでございますけれども、六百回以上来ておる。永久凍結地帯が北方に縮小し、南の方の氷は大西洋、太平洋に流れ出しておる。北氷洋のタラがイギリス南端の沖に現われ、イギリス西部の海にいたニシンが北海に移動しておる。カナダの最北点にあるアクラヴィクの町は、凍土が解け始めたので、町がマッケンジー川の水位と同じ位置に沈下して、政府の手で移動されておる。ノルウェーでも同じような事態が現われておる。ことしになってイギリスのスコットランドでは大雪、東北端では五万人の人が雪に閉じ込められておる。アメリカ、フランス、ドイツ、ここでも河川がはんらんして、テームズ川はウィンザー付近で提防が決壊し、セーヌ、マルヌ、ローヌ、その他のフランスの河川はみな水かさが堤防を越えて、かってない非常な水書に襲われておるということがいわれておる。これはまだまだあげればたくさんあるのでございますが、ある人はこれは水爆の実験の結果であると言い、その他いろいろなことが言われております。しかもこういうように今世界中が非常な危険な状態にあります中で、日本の国内では何が起っているか。私は特調に資料の要求をいたしました。資料の要求をしたところが、私のところにこれだけの回答があったのです。これに何と書いてあるか。これには一、拡張予定の米軍使用飛行場の名称は、小牧、これは調査中、新潟、調査予定、木更津、立川、横田――横田は検討中、こう書いてある。二には、拡張工事の規模、特に滑走路の完成時の長さ、拡張予定の設備坪数、飛行場拡張の規模については明確にいたしがたいが、おそらくは現在の滑走路は二千ないし三千フィート延長するということが考えられておる。私どもが要求したときに、あの予算の防衛分担金の中で飛行場の拡張等が義務づけられておる、その義務づけられておる日本政府がたったこれだけのことしかわからないのです。何という情ないことです。米軍が日本の国内におきまして飛行場の滑走路の拡張をやろうとする、そのキロ数あるいはその規模、またはこれが何のために使われるか、こういうことについてはあなたたちは知らないのですか。知らないとすれば無責任もはなはだしい。 私は一つ総理の前にお見せしたいものがある。これは名古屋タイムスという新聞でございますけれども、この新聞にはこういうことが書いてある。小牧基地が拡張されるという情報が飛んだのは知事選挙たけなわの二月だった。それが鳩山首相の原爆の貯蔵もやむを得ないという談話と相持って、小牧がその原爆基地になりそうなといううわさとなり、現地民初め、日夜この爆音に悩まされる名古屋市民たちは恐怖のせん風を巻き起した。そのやさき去月二十六日名古屋調達局より小牧市西秤口井郡北里村に対し基地拡張のための実地調査を行う旨の通知があり、拡張されては土地も家もなくなってしまう、原水爆の基地となってしまうので、さっそく反対運動を起し、北里村村会は反対決議をし、名古屋調達局長らもこの対策に腐心しておる、こういうことがいわれている。現地におきましてはこういうような事態も起きているわけです。 先ほど私はあなたに、日本の国内から米軍の飛行機が出ているということを申しましたが、具体的に言いましょう。蒋介石の政府に対しましては、昨年の十一月ごろからいろいろな戦線の展開が行われ、十一月三十日アメリカはジェット機約八十機を引き渡して国府空軍の強化を急いだ。続いて十二月二日には、米蒋安全保障条約が調印され、ここに米蒋共同防衛の原則が打ち出された。そうして十二月三十一日にラドフォード提督が蒋総統と会見、一月二十四日にはプライド第七艦隊司令官も国府首脳と重要協議を遂げ、マニラ湾にあったエセックス級空母三隻が急速台湾海峡の第七艦隊に合流すべく出発、一月二十七日、カルフォルニア州のロングビーチ軍港から米空母四隻が台湾に急ぎ、折から太平洋上にあった世界最大の空母ミッドウェーもマニラに向った。一月二十八日には日本の小牧飛行場からF八六戦闘機一個中隊、B二六軽爆撃機一個中隊が韓国へ出動し、F八四戦闘機、爆撃機一個中隊が沖繩へ展開した。そうして米飛行士は国府軍の大陳島撤退に際して、中国機が攻撃してくれば撃墜するよう指令をされた。なおこの爆撃機には戦術用原爆が搭載されたものと思われる。こういうことがいわれておる。これは私はあなたの前に日にちを言いました。これはぜひ一つ米軍に問い合せていただきたい。繰り返して日にちを申しましよう。ぜひこれは日米合同委員会を通じまして米軍に言ってもらいたい。一月二十八日日本の小牧飛行場からF八六戦闘機一個中隊、B二六軽爆撃機一個中隊が韓国へ行っておる。それからF八四戦闘機及び爆撃機一個中隊が沖繩へ、沖繩から台湾に行っておる。こういう事実があるのです。これをあなたはぜひ日米合同委員会を通じましてこういうことのないように――あるいはあったかどうか、もしあるとすればこういうことのないように、ぜひとも国民のために強くアメリカ軍と折衝をしてもらいたいと思う。先ほど外務大臣は何とおっしゃったか。安全保障条約に規定せられている米軍の出動の条件についてはいまだ話し合いはできていない。しかしおそらくは相談するだろうと言った。アメリカは相談なしにすでに沖繩、台湾、韓国にこの作戦を展開して、戦術用原水爆をば積んで行っているじゃないか。今小牧飛行場におきましては飛行場の拡張が現実に行われて、特調の方は知っている。特調はそこに調査に行ってすでに測量は終っている。日米共同声明によれば、この飛行場拡張のために莫大なる費用を投ぜよということを義務づけている。これはゆゆしい問題です。もしあの際に戦術用原爆を台湾海峡に落したならば、たちまち小牧の飛行場は敵の報復爆撃を食らったでありましょう。まことに危険であります。 さらに私はもう一つの事実をあなたに申し上げたい。それは私が分担金交渉の経緯をなぜ重要視したかといいますと、分担金交渉の際、米国側は滑走路の延長を強硬に主張し、政府筋によると、滑走路の延長は原水爆搭載機の発着を可能にするため、立川、板付、伊丹、岩国、千歳、三沢、小牧の七ヵ所を拡張する計画といわれ、その費用は分担金より支出される予定である。別に日本側飛行場五ヵ所の拡張が予定されている模様。四月十九日付東京新聞によると、坂井特派員はワシントンから、防衛分掛金に関する東京会談の妥結に対し、米側では最初から要望していた日本の防衛力の増強が約束された上に、国防省がずっと以前から切に望みながら日本国内の感情を懸念して遠慮していた伊丹、三沢そのほか数ヵ所の飛行場滑走路その他の設備を、B四七及びB五二などの戦略空軍のジェット爆撃機の発着に適するよう拡張することに、日小側の同意を得たことを満足すという電報を打ってきておる。こういう状態でございます。しかもこの間の分担金の折衝の際日本政府は一体何を得たか。日本政府の得たものは、すなわち百七十八億円の防衛分担金の削減、防衛庁費と広義の防衛分担金との合計額を昨年度並みのワクの中で押えた、これだけである。ところが米軍側はどういうものを獲得したか。アメリカ側の獲得したものは、防衛分担金の削減分の内政費流用は絶対にいけない、全額防衛庁費に繰り込め、このことに第一成功しておる。第二には、防衛庁の予算外契約百五十四億を日本側の主張の防衛関係費のワクの外で予算に計上することに成功したのです。第三には、三十年度防衛力増強計画、これは一三万一千二百名を増強する。先ほど防衛庁長官は知らぬと言っておるけれども、三十年度の防衛力増強計画の実施を確約せしめたことが第三の収獲である。第四は、F八六、T三三ジェット機の国産化、第五の収獲はB四七、B五二ジェット戦略爆撃機のための飛行場滑走路七ヵ所の拡張に成功した。第六には、大蔵省の採算ベースに乗らない防衛産業育成には反対の大蔵省の態度を後退して、結局は日本政府は防衛産業育成を確約した。第七は、三十一年度以降の防衛関係費の増額を共同声明に織り込むということをば、日本政府がこれを確約した。この七つの条件をば獲得したアメリカは非常に大きな凱歌をあげたのです。これがはたして自主独立の外交でございますか。今度の日米交渉において日本政府は何を一体とったのか、何を獲得したのだ。国民の前に何とあなたは申しわけが立つか。しかも原水爆の基地が公然とどんどん作られんとしているまことにおそるべき事態であります。私はこの点につきまして、鳩山内閣総理大臣、鳩山政府に強い反省を求めまして、私の質問を終りたいと思います。(拍手)
○中曽根委員長代理 本日はこの程度にいたしまして、次会は明後九日午前十時より開会いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時四十一分散会