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22回国会衆議院1955/04/28

本会議 第14号

発言数
37
登壇者
16
会派数
5
開催日
1955/04/28

会議録

益谷秀次自由党議長

○議長(益谷秀次君) これより会議を開きます。      ————◇—————  一 国務大臣の演説に対する質疑            (前会の続)

益谷秀次自由党議長

○議長(益谷秀次君) 国務大臣の演説に対する質疑を継続いたします。田中伊三次君。     〔田中伊三次君登壇〕

田中伊三次自由党

○田中伊三次君 私は、自由党を代表いたしまして、鳩山内閣総理大臣、重光外務大臣、一萬田大蔵大臣、石橋通産大臣、国家警察担当の大麻国務大臣に対しまして、以下数点について政府の所見をただしたいと存じます。  まず第一に、現内閣の外交の基本方針について伺いたいのであります。  わが国のよって立つ国際的環境をありのままの姿において観察いたしますと、日本は、言うまでもないことでありますが、共産主義陣営と対立するところの自由主義陣営に属する、いわゆる自由諸国の一員であることはもちろんであります。中でも、日米両国間は、講和以来、安保条約、行政協定等によりまして高度の親善、緊密なる協力関係を基調とする共同防衛関係の中に置かれておりますことは申すまでもないところであります。一口に申せば、こういう共同防衛という手段によらなければわが国防がやっていけないという立場にあるわけてあります。この現実を忘れて、自主独立などと言って勝手な外交方針を立てられることは、はなはだ軽率かつ危険であると申さねばならないのであります。(「ノーノー」と呼び、その他発言する者あり)わが国は、このきびしい現実の国際環境に深く思いをいたしまして、自由諸国の一員となって、自由諸国間の団結と強化に努力をして参りますとともに、特に対米関係におきましては、共同防衛という厳然たる事実に顧みましてみずから進んで常に高度の緊密な協力関係を推進し、もって相ともに共存共栄の実をあげ、これによりまして世界の平和に貢献をし、かくしてこの自由諸国間の協力体制の中においてわが国がみずからの地位を発見していく、この行き方よりほかに日本の生きる道はないと私は思うのであります。また、かくすることが日本の安全と再建に最も役立つものと私は深く信ずるものであります。  しかるに、鳩山内閣総理大臣並びに重光外務大臣は、今日までのたびたびの機会をとらえて、ソ連と国交を回復してもわが国はソ連の圏内に入っていくわけでもなし、米英を初め多数の自由諸国はみなソ連と国交を結んでおるではないかと述べられ、さらに、一昨昨日の施政方針演説におきましても、共産国と国交を回復することは共産主義を受け入れることと同じでないと述べ、どうもこの政府の態度はあたかも中立的な第三勢力的立場において二刀流外交をやらんとするがごとき印象を一般に与えるので、鳩山さんに私は聞いておきたいのでありますが、鳩山さんは共同防衛という日米の関係を忘れていらっしゃるのではないか。このきびしい国際環境をお忘れになってはいけません。二刀流というものは、強健な肉体と統一せる精神力を持った宮本武蔵にして初めて使い分けのできるものであります。終戦以来すでに十年を経たにかかわらず、いまだ十分に回復するに至らないわが国力をもってし、加うるに手足は不自由、精神は不統一といわれる現内閣のごときものをもってしては、二刀流はおろか、一刀流でさえ使いこなし得ないのではなかろうかと案ずるのであ。(拍手)しかるに、あえて二刀流外交をやらんとする鳩山さんと重光さんに、一体あなた方の本心はどこにあるのか、果してこれはやれる自信があるのか、自信があると言われるならば、その自信の根拠は一体どこにあるのか、あわせてお示し願いたいのであります。  第二に、ソ連との国交回復交渉を始めるに当って、米英に対して緊密な事前連絡をおとりになった事実があるかどうか、これを伺っておきたいのであります。さきに申し述べました通り、わが国は、自由諸国の一員であるとともに、アメリカとは特に緊密な協力関係を基調とする共同防衛の関係に立っておるのでありますが、周知のごとく、日米間のようなこういう協力関係にない英米の間においてさえ、事いやしくも対ソ外交に関する限り、英米間においては実に緊密な事前連絡がとられておるのであります。鳩山総理は、正規の外交機関として外務省があるにかかわらず、外務当局が受理を拒んだほどのドムニツキーの外交文書を音羽の御殿で軽率に受け取り、中身を読んで驚いて外務省に届けたというのでありますが、それはともかくとしまして、鳩山総理の受け取られたドムニツキーの外交文書なるものは、とにもかくにも日ソ国交回復交渉のきっかけとなっておるのでありますが、鳩山総理並びに重光外務大臣は、このような重大な行動を起すに当って、自由諸国の一員としての立場、特に共同防衛の関係に置かれておる日米の立場にかんがみて、英米に対しておそらく緊密な事前連絡をとつできたものと考えられるのでありますが、果してどのような連絡をおとりになったものか、その詳細を伺っておきたいのであります。この点は、自由諸国の一員として当然とるべき、私は国際信義であると信ずるのであります。日本が現実に置かれておる国際環境を十分に認識もしないで、自主外交、独立外交などという言葉に陶酔して、英米との間の事前連絡をいいかげんにするようなことがあるならば、わが国の将来にとってはなはだしき不利を招くものであり、一体こういう手落ちが何度も何度も繰り返されるというのであるならば、ついにわが国の立場をして危うきものとするがごとき結果を招来するのではなかろうかと、私は深くこれを案じておるものであります。(拍手)  申し上げるまでもなく、自由諸国相互間の緊密なる連絡協調を行うということは、自由諸国の繁栄と世界の平和に貢献をする結果になるのであって、共産主義諸国と対決する立場に立っておる自由諸国相互の間においては、当然進んでとらるべき態度でなければならない。共産国と国交を結ぶことは共産主義を受け入れるということと同じでないとおっしゃった鳩山さんの表現方式をここでかりて申しますと、わが国が自由諸国との間に緊密な連絡協調を遂げるということは、外交の自主性を失うということとは同じでないのであります。連絡協調の結果は、外交の独立ないし自主性が失われたり、主権が狭められたりするなどと考えることは、そのこと自体がひがみ根性以外の何ものでもないと私は思うのである。(拍手)政府は、日ソ国交正常化の交渉に着手をした際に、この意味で英米に対し緊密な事前連絡をとったかどうか。さらに、今後のこともありますからあわせて聞いておきたいことでありますが、対共産圏今後の外交については、常にこの意味における緊密な事前連絡を行なって、自由国家の相互間においては、連絡協調をいやしくも欠くことのないように、慎重な外交をやってもらいたいと念願するのでありますが、果してこの念願は無理であろうか。この点に関する鳩山総理並びに重光外相の御意見を承わっておきたいと思うのでございます。  なお、この際についでに明らかにしておきたいと思うのでありますが、わが国の立場から申すならば、自由諸国間の連絡協調を遺憾なく遂げるという立場から申しましても、台湾政府、大韓国政府とも、この両国に対してもいま一段と親善の外交を行うべく、諸般の懸案につきましても、その解決のために政府は一そうの熱意を傾ける必要があると信じますが、この点についても、あわせて御所見のほどを伺っておきたいと存じます。(拍手)  なお、第三に、日ソ国交回復交渉の目的そのものについて、これを明確にいたしたいのでございます。国交回復の交渉は、その目的は国交回復ではないかということを言われるかもしれませんが、どうも、私は、このたびのこの日ソ交渉は初めから得心のいきかねるものがございます。ドムニツキー氏が鳩山総理に書簡を届けたというのは一月の二十五日といわれますが、それから五日を経ました一月三十日のモスクワ放送は、次のような意外な放送をいたしております。すなわち、日本の新聞は、鳩山・ドムニツキー会談の性格を曲げて報道しておるではないか、ドムニツキーはただ日ソの関係を正常化する可能な措置について単なる意見の交換をすることが目的であっただけであるのに、一部の日本新聞は、日ソ間に現存する戦犯問題、歯舞、色丹問題など各種の具体的問題に関する交渉をやるのだという誤まった報道をいたしておるというのであります。このモスクワ放送が真実なりとするならば、日ソ国交回復の交渉において、一体ソ連の魂胆は、国交正常化に対する単なる意見の交換を行いたいというただけそれだけにとどまり、日ソ間に横たわる幾多の具体的な諸問題については、その懸案解決のために話し合いを進める意図は持たないのではなかろうかと思われるのでございます。政府は、日ソ交渉において、戦犯問題、南樺太、千島、歯舞、色丹問題など、両国間に横たわっておるいろいろな具体的な諸問題について、その解決のために断固たる信念をもって交渉を行われるとともに、単にそれだけにとどまらず、単なる領土問題のみならず、さらに進んで満州、関東州、樺太、千島等に残して参りましたわが日本国民所有の在外私有財産についても、断固たる態度をもってその返還を要求すべきものであると信じます。(拍手)  終戦当時、日ソ両国間には、いやしくも不戦条約が厳として有効であったのであります。しかるに、ソ連は、この日ソの不戦条約をじゅうりんし国境に兵を進め、数万に上るわが非戦闘員や婦女子に対して筆舌に尽しがたき鬼畜の行為をあえてなしたるのみならず、その際、わが国民の在外私有財産は、白昼公然、ソ連正規軍の手によってことごとく略奪し去られたのであります。このソ連の正規軍の行動は、日ソ間の国際信義をじゅうりんしたるのみならず、敵国人の私有財産はいかなる事由をもってするも断じて略奪、没収は許さないという国際法に明らかに違反する行動でありまして、敗れたりといえども、わが国民は断じて許し得ないところであります。(拍手)  政府は、このたびの対ソ交渉に当っては、以上申し上げましたごとくに、単に戦犯問題、領土の問題等に関する交渉を行うだけにとどまらず、断々固として、略奪された在外私有財産の返還についても声を大にして迫るべきものであると信ずるのであります。(拍手)この際わが党の所見をあらためて申しておきたいのでありますが、この領土問題、戦犯問題、わが国民の持つ私有財産の返還問題など、具体的な重要問題について懸案解決の見通しつかざる限り、日ソの国交は断じて回復すべきものにあらずというのがわが党の立場であります。この点につきまして、鳩山総理並びに重光外務大臣の信念を明らかに伺っておきたいのであります。(拍手)  第四に、在米の資産返還問題につきましても、意見をあわせて伺いたいのであります。日米開戦当時は、アメリカにあった日本人の私有財産の総額は、アメリカ側に言わせると六千万ドル程度というのでございますが、私たちの推定によると一億ドルにも及ぶと思われるのであります。元来、法人を除く個人の、自然人の持っておる敵国人の私有財産につきましては、条約その他いかなる事由をもってするを問わず、没収、略奪は許さないということが現代における国際法上の一大原則であります。個人の尊厳を認めるとともに、個人の持つ財産を高度に守ろうとする思想は、自由主義国家間におきましては、国際間に共通する最も崇高な理想と申すべきでありまして、へーグの陸戦法規第四十六条以下におきましても、敵国人個人の私有財産はどんな理由があろうとも没収、略奪は断じて許すべきにあらすと明記をしておるのであります。すでに、アメリカにおきましては、アメリカに在住しております日本人の分だけは、これは国際法上の原則を尊重しまして、この分はすでに国内法を制定してくれまして返還をしてくれた模様でございます。また、いまだに講和条約の締結に至っていないドイツ国民の在米私有財産につきましても、これまた返還の方針を決定し、この旨をドイツ政府に通告している模様であります。ここに述べました、アメリカの立場において国際法上の原則を尊重して返還をいたしました幾多の事例にかんがみまして、わが政府は、個人の持った在来私有財産につきましては、条約その他どんな理由をもってするを問わず、これは没収すべきものにあらずという厳然たる国際法上の大原則に政府は立脚されて、アメリカに対してもさらに一段と強腰の返還交渉を急ぐべきものであると存ずるのであります。鳩山総理大臣の言われるいわゆるごりっぱな友愛精神というものは、こういうときにこそ必ずやアメリカ人の人道主義と一致をいたしまして、その成果は期して待つべきものがあろうかと存じますので、この際、本問題に関する日米両国の交渉の従来の経過はどうなっているか、前内閣時代に苦労をいたしましたその後の経過はいかになっているか、返還の時期、返還の額その他につきましての見通しをこの機会に詳細に承わりおきたいと存じます。(拍手)  第五に、中共貿易について政府の所見を求めておきたいのでございます。  中共貿易につきましては、すでに中共から貿易使節団の入京を見まして、御承知のごとくに、民間団体相互間において、貿易協定の締結につきましてはいろいろな苦心が払われているのでありますが、前内閣時代におきましても、すでに中共貿易につきましては相当の実績をあげて参りましたことは、諸君御承知の通り。これを昨年度について見ると、一月より十二月に至る年間で通産省の取引承認実績の計数を調べますと、輸出は米ドルにいたしまして三千六百三十七万ドルに及び、輸入はこれに見合う三千五百九十九万ドルに及んでいるのであります。この輸出入を政府、与党の言われるようにさらに飛躍的に増進していこうとするためには、現内閣のように、口では促進と言うが、現状はこのままにしておくという態度ではやれない。その前面に横たわる幾多の障害を、政府の努力によって思い切って除去してもらわなければやれないのであります。  中共貿易促進の前面に横たわっていると私が言う第一の障害は、申すまでもなく、三年前かと存じますが、三年前の夏にわが国も参加をいたしました、一名はパり委員会、略称ココムといわれる対共産圏輸出制限委員会の定めているいわゆるココム・リスト、輸出制限のココム・リストの緩和を求める。ココム・リストの輸出制限におきましては、純戦略物資はもちろんのことでございますが、戦略物資にあらざるものにつきましても、相当広範囲にわたって、不必要だと思えるほどの輸出制限をあえて加えていることが事実であります。輸出禁止となっている具体的な品目は、これは公けにされておらないことでありますが、これをあげてみると、銅塊、アルミニウム材料、鋼板、鋼管、ブリキ板、薄鉄板、ドラム罐用鉄板、建築用鋼材、鉄道器材、各種の大型機械、船舶、発電設備、通信機材などであります。しかしながら、ここに申したいことは、この輸出制限は絶対のものではないのでありまして。パリ委員会の許しを受ける努力を政府がお払いになるならば、品目一般につきましても、個々の輸出につきましても、制限解除を受けることができるのであります。現に、ドイツにおきましては、ブリキ板、薄鉄板、建築用鋼材等につきましては最近すでに制限の解除を受け、われに先んじてどんどん輸出入の契約もしくは中共向けの輸出をすでに行いつつある事実があります。わが国も、前内閣時代においては、諸君御承知の通り、相当の範囲にわたりまして制限解除に成功し、さきに申し述べましたような輸出の成績は、笛と太鼓はたたきませんが、相当なる成績を上げて参りました。(拍手)しかるに、中共貿易を一枚看板とする現内閣にあっては、第一次組閣以来相当なる日子を経ておるにかかわらず、中共向け輸出制限解除のために何らの努力をせられた形跡さえ見受けることができないのは、一体いかなる事情によるものであるか、御答弁を願いたいのであります。(拍手)  ここに私は繰り返して申しますが、中共貿易促進のかぎはココム・リストの輸出制限を解除することにある。これ以外に中共貿易を今日以上促進する道は断じてない。ドイツでやれることが日本でやれないはずはない。自由党内閣でやりたことが現内閣でやれないはずはないのである。(拍手)これは、やれないのではなくて、やらないのではないか。政府にその真相が聞きたいのであります。万一、政府がただいまの態度を改めず、依然として禁輸解除のために何にも努力せず、中共貿易の将来は、このような政府の態度が依然続く限りは、促進などは思いも寄らぬ。困ったことには、輸入ばかりが多くなって、輸出のできない結果となりまして、貿易上の収支の均衡はとうてい保てない結果となるのであります。  大蔵省発表の、最近の日中貿易の通関実績の計数をごらんになりましてもよくわかることでありますが、本年一月は、輸入が六百十五万ドル、これに対して輸出はわずかに百六十二万ドル、二月は、輸入が七百十五万ドルに対して、輸出はわずかに百九十六万ドル、三月は、輸入九百五十五万ドルに対して、その輸出はわずかに二百二十一万ドルにすぎない。このままに放任をして、禁輸解除のために政府がちっとも努力を払わぬという態度を改めてくれないというならば、中共貿易は、促進どころじゃない、逆に行き詰まってしまうのではないかと思うのでありまして、政府はどこまで本気で中共貿易と取り組むつもりなのか。笛と太鼓で宣伝をしながら、選挙が済めば、あとはそしらぬ顔をしておるつもりであるか。政府の心底を私は疑わざるを得ないのであります。(拍手)  中共貿易の促進の前面に横たわる重大なる二つ目の障害は、中共使節団との間にわが民間団体が進めてくれております貿易協定について、政府がみずから進んで保証の責めに任じてやるという努力を払わないと、理屈に合わないと思うのであります。第一は、民間団体相互の間に貿易協定まで結ばせておいて、そうして政府が知らぬ顔をしておるという筋はない。すみやかに貿易促進を今日以上飛躍的にやろうという政府であるならば、できることかできないことか存じませんが、理屈の上では、すみやかに政府の通商代表部を両国相互の間に設置してやることが当然じゃないか。なぜこれをやらないのか。第二は、従来の決済方法はこのままにしておけぬ。貿易の命は決済にある。香港上海銀行を経由してロンドン銀行で決済を行う。こんなことで貿易ができるものじゃありません。貿易上の取引の機密がことごとく第三国に漏れるばかりでなく、時間はかかる、手数はかかる、やり切れるものじゃない。せめてこの決済方式は思い切って簡素化することに、必要ならば関係方面の了解を求め、すみやかに両国は相互に国立銀行をもって決済機関となし、向うが希望しておることなのでありますから、ドルとも無関係、ポンドとも無関係で、日本銀行と中国銀行との間に円建の直接決済を行えるように措置を講じてやる熱意がなければならぬ。こんなことができぬようでは、中共貿易促進などということは思いもよらぬ。大看板を掲げておる政府が、民間だけに協定を結ばせておいて、あとは知らぬ顔、政府の代表機関も設けてやらなければ、大切な貿易決済のために国立銀行も使わせない、こういうことを言うに至っては、恥も外聞も知らないのかと言わなければならないのである。(拍手)  そこで、私は、石橋通産、一萬田大蔵、重光外務の三大臣に伺っておきたいのでありますが、第一に、日中両国の間に相互に通商代表部を交換する意思があるか。第二に、日銀及び中国人民銀行を決済機関として、円建直接決済を行う用意があるかどうか。これは軽はずみの思いつきの答弁では困るのである。これは国際情勢上なかなか容易ならざる難問題であろうと存じますから、政府は、わが国の置かれている国際環境にも深く思いをいたされた上で、この点については、はっきりと御決意のほどを伺いたいのである。  ここで申しますが、昨日のわが党代表の太田正孝君の熱心なこの党に関する質問に対し、政府は何ゆえか一言半句答弁を行わぬ。要らぬことはいろいろしゃべったが、肝心なことは一つも答弁を行わぬという態度は、まことに不謹慎である。両国貿易業者にとりましては、まゆに火のつくような差し迫った重大関心事であるから、この点については、できるのかできぬのか、やる意思があるのかないのか、しっかり答弁をせられんことを、この機会に念を入れて希望しておく。(拍手)  さらに、この際、この中共使節団の入京をめぐりまして、大へん言いにくいことでございますが、ぜひ明らかにしておきたいと思う、いやなできごとが一つあります。それは、政府は、中共使節団の入国を許しておきながら、彼らが入京後、使節団が予定しておりました視察先の工場に対して、国家警察を手先に使って、その視察を拒否さしたというのであります。具体的に申しますと、国家警察が訪問をいたしまして、お前の工場は日本一の工場だが、その工場に一体赤の協調者を入れるつもりなのか、そんなことをして自由縦覧をせしめて、将来政府の関係、軍の関係その他において契約がとれると思っておるのかということを言わした。驚くべきことでございますが、警官の指示を受けて視察を拒否した工場の名前は、関西、関東を通じまして十数工場に及んでおりますが、どの工場も共通しておる事情を申し上げますと、制服ではございませんが、国家警察が訪問をしておるという一事である。視察を拒否した工場の名前は、それぞれ民間事業家のお立場を考えて、ここで私は隠しておきたいのでありますが、一体どこに気がねをなさって、そういうばかげた措置を講じたのか。そんなことをするくらいなら、初めから入国などは許さなければよかったのじゃないか。  政府に伺っておきたいのは、今後のこともあることだ、今後は引き続いて中共貿易関係者の入国を広い範囲でお許しになる考えか、また入国した者については自由に国内各地を視察さすお考えなのかどうか。この点は大事なことでございます。昨日私はテイト・ホテルに中共貿易団代表の数氏を訪問して意見を聞きましたが、この問題は、非常に現内閣の不誠実、不誠意をなじりまして激高しておることが真相でございます。これにかんがみて、重光外務大臣、工場の関係もあることだから石橋通産大臣にもついでにお答えを願いたい。国家警察を担当する大麻国務大臣は、この点について得心のいく答弁をしてもらわないと、国家のために相ならぬ。  中共貿易促進の前面に横たわる第三の障害は、アメリカの態度であります。中共貿易促進を好ましからずとするかに見えるアメリカにおいては、現状のまま放任しておきますと、いろいろな経済的な報復手段をもって対抗するおそれなしとしない事情にある。政府は、中共貿易の金看板を掲げまして以来、特に憂慮すべき実情に置かれておりますので、この点を明らかにいたしたいと存じます。  アメリカ側は、アメリカの国内法である輸出統制法を適用いたしまして適用かどうかわからぬが、それを使いまして、共産圏に往復したことのある、そういう経歴を持った日本の船舶に対しては、アメリカの港においては給油、給水を拒む、油もやらなければ水もやらない、また外国資産管理規則を発動して、中共と取引した商社は、アメリカにおいて持っておる銀行のドルはことごとく凍結する、一切の対米取引は直ちに禁止するというのであります。さらに、マッカラン法によりまして、中共貿易をいたしました商社の人々を、これは赤の同調者だ、こう頭からみなして、あるいは入国を拒み、あるいは旅行さえさせないというのであります。さらにまた、中共に対して輸出禁止の品目を無理に輸出した国に対しましては、バトル法を適用いたしまして、すべてのMSAを初めとする米国の海外援助は、その国に対してはストップをするということで、これらアメリカの立場から申しますると、いろいろな報復手段というものをとり得るのであります。アメリカは、仮定の話でなく、すでに中共貿易を行なった商社のみならず、そのメーカーに対しても在米ドルの凍結を行い、対米取引禁止を行うという意向を文書をもってほのめかしておるという事実があります。中共貿易関係にあるわが国の商社やメーカーの人々は、政府が中共貿易促進という旗を掲げて以来、一々戦々きょうきょう、仕事に手がつかないということが実際の実情でございます。  そこで、政府に聞いておきたいことは、政府は一体何ゆえに、以上申したようなこの前面に横たわる中共貿易の一大障害を、この大事なネックを漸次取りはずすことに全力を尽さないのか。アメリカに了解させる必要があるならば、なぜ一体外交の上手な重光さんはこの了解工作をやらぬのか。この点は私の最も不可解とするところでございます。政府は、口に中共貿易を唱えながら、大看板を掲げておりながら、行く手の前面に横たわる致命的とも見るべきこれらの幾多の障害を除くことには何らの努力もお払いにならないというに至っては、国民を欺くことはなはだしきものであると言わなければなりません。(拍手)  最後に、保守協力による政局安定の問題について言及いたしておきたいと存じます。  鳩山総理は、少数党の総裁とは申しながら、すでに内閣総理大臣の指名を受け、政局担当の大任に当っておられる以上は、政局収拾の責任はあげて鳩山さんの一身にかかっておると思う。一切の私心を去り、党利党略を退けて、おのれをむなしゅうして政局収拾の実をおあげになることは、鳩山総理に課せられた国民に対する最大の責務でなければならないと思うのであります。その重大な責任は、手練手管をやるだけではとうてい果し得ないのであります。自分の党員に突如として保守合同の談話を発表させ、うしろで糸を引きながらその反響をためしてみるなどというような、いなか芝居をするようなことでは、保守勢力の結集はとうてい本物にはならないと私は思うのであります。(拍手)  ここで肝心な問題を突っ込んで申しますと、問題は具体的な手順、方法ということにあるものと思う。きのう本会議場の席において鳩山総理も一言お触れになりましたごとく、政党の生命は政策であります。政策が、国民多数の納得のいく、りっぱな、インチキ性のない、から宣伝でない、実現の可能性のある政策であるとともに、政府がこの政策の実現のために全力を傾けていくという筋のものであるならば、野党の保守勢力のごときは、好むと好まざるとにかかわらず、保守協力の方向に向かわざるを得ないものである。いやしくも政党の命である政策を掲げるに当って、事もあろうに、実現の可能性もなく、実行の意思さえ見えない宣伝本位の欺瞞政策を掲げ、予算の裏づけさえなし得ないような政策を金看板と心得ておるようでは、保守協力のごときはやりようがない。(拍手)国民は、しかしながら、国をあげて保守協力を待望してやまないものであると信じておりますので、鳩山さんに伺うのでありますが、政府、与党の政策は、この際思い切って党利党略にとらわれざる新政策に切りかえ、現に審議中の総予算については、新政策を盛り上げるために、すみやかに政府みずから進んで予算組みかえを断行する意向はないか。(拍手)まず第一にこれを伺いたいのであります。  また、鳩山総理に対して重ねて伺っておきたいことは、かかる政策上の転換をなし得ないものだとするならば、もはや保守協力の道は残すところただ一つしかない。それは、ここでは非常に申しにくいことでございますが、鳩山総理が真に少数内閣の行き詰まりを自覚しておられるのであるならば、一切の行きがかりを捨てて、おのれをむなしゆうして、天下のためにまず総辞職を行うよりほかに道はないのであります。(拍手)鳩山さんは、総理の指名を受けられて、政局収拾の責任を一身にお負いになった。どの道を選んで政局の収拾を行い、政局安定に導くかは、鳩山さんの自由の意思であると同時に、鳩山さん一人が負うべき重大責任である。その鳩山さんは、少数内閣という方法で政局はやっていけるものと考えて、少数単独内閣の方法をお選びになった。その少数内閣は組織せられたが、それが今日日ならずして行き詰まったというのであるならば、理屈の上から申しましても、総辞職をなさる以外に政府打開の道はなかろうじゃないか。総辞職を前提として、ここに二つの保守勢力の協力態勢を新規まき直しで確立する。新たなる保守勢力の上に立って新内閣ができ上って、すみやかに予算の成立を期することが、残されたただ一つの方法ではなかろうかと思うのであります。  これに関して鳩山総理の心境をただしまして、私の質問を終りたいのでありますが、これは現下政局にとってまことに大切な問題であると考えますから、鳩山総理大臣は、どうか、えこじにならずに、明鏡止水の心境に立ってお答えを願いたいと思います。(拍手)     〔国務大臣鳩山一郎君登壇〕

鳩山一郎日本民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鳩山一郎君) 田中君の御質疑に対してお答えをいたします。  自由諸国との協力関係を基礎として外交方針の基調を求めておりますのは、世界平和のためでありまして、共産圏諸国といくさをして勝ちたいのを目的としてではございません。(拍手)  第二に、米英との間に事前の連絡がないということでありましたが、米英との間に事前の連絡はありませんでした。もちろん米英との間に誤解のないことを期するのは当然でございますけれども、誤解を防ぐということにはいろいろの手続をしなければならないと思いますけれども、一々事前に連絡をして、その許可を得てから交渉をする意思は毛頭ありません。(拍手)  第三には、目的を明確にせよということでありますが、むろん、ソ連との間の国交を正常化せんとするものは、両国の間にあるいろいろの問題を解決していくのが適当であるということはもとより当然な事柄であります。でありますから、領土問題なり、あるいは未帰還の抑留者、戦犯者などについても、あるいは漁場についても、もとより解決していった方が国際関係を正常化する上によろしいことは、有力であるということは当然でありますから、こういう問題にも交渉をしたいと思っております。  在米資産の返還などについて米国においていろいろな考え方をしておることは、まことにわが国としては歓迎するところであります。現在交渉の具体化の経過を楽しんで見守っておるわけであります。  中共貿易において、ココムのリストを緩和するということはまことに必要であります。私に対しての質問ではなかったようでありますから、政府代表機関を設けることや、あるいは決済の方法については、所管の大臣から答弁をしていただくことにいたします。  保守勢力の結集について最後に御質問がありましたが、保守勢力の結集のあり方については昨日ここで明言しておりまするから、これに対して付加する一言もございません。     〔国務大臣大麻唯男君登壇]

大麻唯男日本民主党国家公安委員会委員長

○国務大臣(大麻唯男君) 田中君にお答えいたします。中共貿易使節団の処遇につきましては、同使節団の入京前に、あの使節団を招聘されましたる日本の民間団体の代表者から、その身辺の警護について特段の注意を払うようにというお申し入れもございました。かたがた、警察といたしましては、当然のことでございますので、間違いのないように、その身辺の警護につきましては万全の注意を払い、ことに懇切丁寧にお取扱いをするように注意をいたしておりました。ただ、警察といたしましては、同使節団が所期の目的を何の支障もなく遂げて帰られることを念願して警護をいたしただけでございます。それ以上のことは何もいたしておりませんし、また指示もいたしておりません。しかるに、昨日ごろになりまして、何かその範囲から飛び出して、警察官がとんでもないことをしたといううわさが立ったようなことを耳にいたしましたので、私は、そんな非常識なことを、また政府がそんなばかなことを、警察官などを使って、何か使節団に便宜を与えることを日本の会社に向って注意すると申しますか、控えさせるような、ばかなことはしないと考えました。また、警察はそんな仕事をするものじゃございません。だけれども、大ぜいの人間がおりまするから、ひょっと間違いでもあってはいけないと思って、昨日来取り調べておりましたが、そんなことは一つもございません。どうぞ田中君におかれましても安心して御納得を願いたいと思います。また、今後もしそういうことがございましたら十分に取り締るつもりでございますが、今日の警察はそんなことは決していたしておらぬということをはっきりと申し上げておきますから、御承知願います。(拍手)     〔国務大臣重光葵君登壇〕

重光葵日本民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) 外交一般につきましては、今鳩山総理大臣からしさいに御答弁に及んだことでございますから、私から申し上げることは差し控えます。私は、二、三の具体的問題について、御質問に対して御答弁をいたします。  中共貿易に対するココムのリストの制限を緩和するということは、今お話の通りに、前内閣時代から努力を続けられておったということでございますが、私もそう承知をいたしております。そうしてその努力をさらに強化して進んでおるわけであります。それで、昨年の対中共貿易の実績は、緩和の処置がとられて、それがために西欧並みに緩和された結果として、非常に貿易は伸張いたしました。その数字を申し上げますと、輸出は……。(発言する者多し)それでは数字はよします。それは非常に伸張いたしまして、非常な増加を示しておる次第で、貿易総額においては戦後の最高のものに今日なっておることを御報告申し上げます。  それから、中共貿易に対するアメリカ側の態度でございます。中共貿易に対するアメリカ側の態度に対して非常に御心配のお話があり、かつまた非難のなにがございました。しかし、中共貿易に対して商社、船舶等に対するアメリカ側の報復措置が許されるということがアメリカ側の法制にあるということは今お話の通りであります。しかし、実際においては、いまださようなことは少しも発動されておらないのでありまして、アメリカ側としては発動いたしておらないということを申し上げておきます。  日ソ交渉につきましても、私から特に申し上げることはございませんが、今わが方において主張すべきはあくまで主張していかなければならぬと思っております。そこで、今ソ連の新聞を御引用になって、ソ連は意見の交換をするので、具体的話し合いをする意向はないのじゃないかという御心配がありましたが、ソ連とわが方との予備交渉においては、明らかに日ソの国交を正常化する交渉を開きたいということでありますから、これは交渉でございます。その交渉をするために、日本側としては、主張すべきは主張し、そして目的を達するようにしていきたい、こう考えております。  以上、御報告を申し上げます。     〔国務大臣石橋湛山君登壇〕

石橋湛山日本民主党通商産業大臣

○国務大臣(石橋湛山君) 中共貿易についてのお尋ねでございますから、お尋ねの点だけを簡単に申し上げます。これは、言うまでもなく、われわれとしては対中共貿易を大いに促進いたしたいと熱望いたしておることはむろんでございますが、ただ、これは、最初から国交を回復しておらないところへ貿易をやろうというのですから、なかなか困難があるということは予期いたしております。従って、現在問題になっております代表部交換、これは何かしたいとは思いますが、しかし、外交上においてはなかなかめんどうな問題があり、いわんや、中央銀行を利用して支払いをお互いにやるということは、これは一そう困難と思います。けれども、今の支払い問題は、現在の状況においても、不便はありますけれども、やれないことじゃない。ですから、この間実は、雷団長に私ちょっと会う機会がありましたから、そのとき申したのですが、お互いにほんとうに貿易をやろうというならば、お互いに、実情に即して、がまん強く、だんだん切り開いていく以外に道はない。お互いに貿易をすることは、向うも非常に熱望しております。われわれも熱望しておるのですが、いろいろな故障がある。しかし、その故障は、がまん強く、お互いに逐次これを打開していくという以外に、現状においては方法はない、かように考えております。何年とか幾年とかいうことは言いません。とにかく、できるだけやる、かようなことでありますから、さように御了承願います。

益谷秀次自由党議長

○議長(益谷秀次君) 成田知巳君。     〔成田知巳君登壇〕

成田知巳日本社会党(左)

○成田知巳君 日本社会党を代表いたしまして、政府の施政方針演説につき若干の質問をいたしたいと存じます。  その前に一言申し上げておきたいことは、去る二十五日の鳩山総理ほか各閣僚の施政方針演説は、これを承わっておりますと、事務官僚の作成した一片の原稿朗読にすぎず、国政を担当する者としての熱意と気をごうも看取することはできなかったということであります。(拍手)     〔議長退席、副議長着席]しかも、鳩山総理が相も変らず古色蒼然たる自由主義精神と小学校社会科程度の友愛精神を説いた以外には、かの吉田内閣の末期時代と比較して、その基本政策において少しの進歩性も少しの新鮮味をも発見することができたかったことを、まことに遺憾とするものであります。(拍手)このことは、政策上の破綻と、与党民主党の弱体ぶりからして、すでに政権担当の意欲と能力を喪失した鳩山斜陽内閣、たそがれ近い午後四時内閣としては当然のことでありましょう。しかしながら、選挙の際の政府公約を一縷の望みとして参りました国民大衆に与えた失望感たるや、まことに深く、かつ大なるものがあったと言わなければなりません。  以下、私は、鳩山総理ほか関係閣僚に順次質疑を展開したいと存じます。  まず第一に承わりたいことは、憲法改正に関する鳩山総理の所信いかんであります。この問題については、昨日淺沼稻次郎氏よりも質疑がありましたが、私は別の角度からお尋ねしたいと存じます。鳩山総理は、在野時代から憲法改正の急先鋒であり、組閣後もしばしば公式あるいは非公式に憲法改正の必要を強調されておりますが、一体総理は何がゆえに憲法改正を必要とするとお考えになっているのか、また憲法のいかなる条章を改正せんとせられておるのか、この機会に国民の前に明らかにしていただきたいのであります。  世上、往々にして、現行憲法は与えられた憲法であり、マッカーサー憲法であるから、日本人は日本人の手で憲法を改正すべきだとの、素朴なる国民感情に訴える憲法改正論が行われておりますが、これ全く取るに足らぬ俗論であることは申すまでもありません。(拍手)現行憲法が、たとい与えられた憲法でありましても、マッカーサー憲法であったとしても、問題は、与えられたかどうかにあるのではなくして、その内容いかんにあることはもちろんであります。すなわち、日本人がみずからの手で作った憲法でも、その内容が前近代的、非民主的憲法、たとえば旧明治憲法のごときものならば、直ちにわれわれは改正すべきであり、反対に、最初は与えられた憲法でありましても、その規定するところが基本的人権と平和と民主主義を守るものであるならば、あくまでも守り抜かなければなりません。大切なことは、形式でなく、その内容であります。首相は、一体現行憲法のどこが不合理であるとして改正されんとするのか、総理は憲法調査会に諮り決定するとお答えになるかもわかりませんが、いやしくも一国の総理が憲法改正を唱えられる以上、ただ漫然と憲法改正の必要を認めておられるというのではないと思う。具体的に条章をあけて、何がゆえに改正を必要とするか、その根拠を明らかにしていただきたいのであります。  以上に関連して憲法第九条二項の解釈について、この際総理の所見をただしてみたいと存じます。第一次吉田内閣から鳩山現内閣に至る過程におきまして保守勢力の手によって、当初の警察予備隊は保安隊に変り、ついに今日では自衛隊にまで、質量ともに強化されて参ったのでありますが、その間、保守党内閣は、憲法第九条との関係において、警察予備隊、保安隊は軍隊にあらずと説明し、さらに自衛隊となるに及んで、戦力なき軍隊なりと強弁し来たったのでありますが、ついに鳩山内閣に至って自衛のための陸海空軍その他戦力の保持は憲法第九条の禁止するところにあらずとの新しい解釈のもとに、今や自衛隊は公然と軍隊として国民の前に現われるに至ったのであります。かくのごとき歴代内閣の態度こそは、憲法の条章に照らして事実を判断するにあらずして、逆に事実を作り上げて、その既成事実に憲法を曲げ、押しつけんとするものでありまして、法治国家においては許すべからざる憲法無視の態度であります。(拍手)  政府は、自衛のための陸海空軍その他の戦力の保持は憲法違反にあらずとの解釈をとっておられますが、第九条第二項には「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。」と規定してあり、しこうして前項の目的として、第一項には「武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」と明文をもって規定してあることは、総理も御承知の通りであります。政府は自衛のための戦力の保持は憲法違反にあらすとの解釈をとられておりますが、自衛のために陸海空軍その他の戦力を行使した場合をここに考えてみまするに、それは主観的には自衛のための武力行使であるとしても、客観的には憲法第九条一項の規定する武力の行使による国際紛争の解決として現われておることは申すまでもありません。これ憲法第九条が明文をもって禁止するところであります。自衛のための陸海空軍その他の戦力の保持も明らかに禁じているのが憲法第九条の精神であると解釈すべきでありまして、もし総理がしからすと言われるならば、何ゆえにそうであるか、その根拠を明らかにしていただきたいと存じます。  次に首相にお尋ねしたいことは、さきに、首相は、外人記者団との会見において、アメリカの要求があれば原水爆を日本の基地に貯蔵することも認めなければならぬだろうとの放言をして、全国民を驚愕のふちに追い落すとともに、世界の人々、特にアジア諸国民の憤激を買ったのでありますが、首相は、そのとき、さらにもう一つ重大な発言をしておられます。すなわち、総理自身よく御記憶と存じますが、総理は、台湾の蒋政権が中国本土を攻撃した場合、アメリカ軍が口日本の基地を使用することもやむを得ぬと言っておられるのであります。これは日本タイムスに明らかに書いてあります。  御承知の通り、米国政府は、台湾海峡問題の進展いかんでは、蒋政権との軍事同盟に基いて中層本土への原子兵器による爆撃もあえて辞せない旨の強硬態度を世界に宣明しておるのであります。従って、首相の言う米軍の日本基地の使用とは、単なる兵站基地としての使用にとどまることなく、日本基地よりの中国本土への爆撃も当然予想しての首相発言と思われますが、首相は一体いかなる考えのもとにかかる重大なる発言をなされたか。ほんとうに首相は中国本土爆撃にアメリカの空軍が日本の基地を使用することを是認されるつもりなのか。もししかりとすれば、その法的根拠を国民の前にぜひとも明らかにしていただきたいと存じます。  ここで特に首相に申し上げておきたいことは、かつて、吉田総理は、このような重大問題に対する答弁の際は、よく、現実の問題でないとか、仮定の問題には答えられぬと申して、答弁を回避されたのでありますが、これは独善と官僚主義の吉田さんのやることであります。自他ともに民主政治家をもって任じておられる鳩山総理は、かかる卑怯な態度に出られることなく、明快かっ率直に国民の前に御答弁を願いたいと存じます。  次にお尋ねいたしたいことは、一月末井口駐米大使を通じてなされた、原子炉建設のための濃縮ウラニウムを日本に配分するとの米国政府の申し出についてであります。原子炉用濃縮ウラニウムの配分を受けるためには、米国原子力法に基きまして、日米双務協定を結び、機密保持の制約を受けることは明らかであり、そのために国内法の制定さえも要求されると伝えられておりますが、このことは、日本学術会議原子核特別委員会が定めた原子力研究に対する基本原則である、研究はあくまで自主的であること、秘密は避けて公開すること、民主的であること、この三原則に違反し、わが国の言論と学問の自由への大きなる制約となり、再び日本人が暗い谷間に突き落される結果となることを私たちは憂うるものであります。政府は、濃縮ウラニウムの機密保持と言論、学問の自由との関係についていかなる考えを持っておられるか、また言論と学問の自由を侵してまで濃縮ウラニウム受け入れのための双務協定を結ぶ考えなのかどうか、明確な答弁をお願いしたいと存じます。  右に関連いたしまして、広島における原子炉建設問題とビキニ水爆補償について関係大臣にお尋ねしたいと存じます。  伝えられるところによりますと、一月二十七日、アメリカ下院のイェーツ議員は、緊急動議として広島原子炉建設法案を提出したとのことであります。広島は世界で最初の原子爆弾の洗礼を受けた土地であります。現地広島では、がぜん反対の世論が巻き起っておりますが、同計画は米国原子力法に準拠するものであり、濃縮ウラニウムの受け入れと不可分の関係にあるものと考えられますが、政府は、本問題に関するこれまでの交渉経過をここに明らかにするとともに、これに対しいかに対処されんとするかを、あわせて承わりたいのであります。  次に、ビキニ水爆被害に対するアメリカの補償金である七億二千万円は、きょう、ようやく、その配分が決定したとのことでありますが、入金して四カ月を経過した今日まで、被害者に配分されずに、日本銀行の金庫に眠っておったということは、政府は怠慢を通り越して国民への侮辱であったと言われてもいたし方がないと存じます。今日きまった配分計画の内容を、ここに詳細に御報告願いたいと思います。なお、参議院水産委員会の決議及び水産庁調査によるも、被害総額は二十億円に上るといわれております。従って、その不足分は政府の責任において補償すべきものと考えますが、政府の所見を承わりたいのであります。  次に、大蔵大臣に質問申し上げます。  政府、与党が弱体であり、党内不統一のときは、その政府の出す予算の性格は勢いあいまいにならざるを得ないのであります。この意味におきまして、三十年度予算案は、鳩山内閣の脆弱性と民主党内の不統一ぶりを遺憾なく反映いたしております。もし本予算案に何らかの特色ありとすれば、それは、防衛分担金についての日米交渉に露骨に現われたごとく、アメリカの干渉下に生まれたひもつき予算であり、日米の混血予算であるということであります。防衛分担金についての日米交渉が難航して、大蔵省原案が出てから閣議決定まで半カ月以上もかかり、その間、地方選挙対策上、各省の復活要求に民主党内の各勢力が便乗した結果として、第一に、本予算案は、政府の当初の方針である重点主義が総花主義となり、山あり谷ありの予算が、山も谷もない平面予算に終っております。また、あらゆる財源があさり尽され、特に予備費が復活財源として五十億削減されたために、全く弾力性なき予算案となっております。一荒れ百億円といわれる風水害が起きた場合、政府は一体いかに対処されんとするか、この点について、まず大蔵大臣に伺いたいと存じます。  私たち左右社会党は、もちろん共同組みかえ案を提出いたしまして、政府原案と堂々対決する方針でありますが、自由党も当然大幅の修正案を提出されるでありましょう。自由党内には、昨日の太田議員の質問にもあられたように、必ずしも一兆円予算のワクを厳守する要なしとの意見もあるようでありますが、もし自由党の修正案が出されたとき、あくまでも大蔵大臣は一兆円のワクを堅持して一歩も譲らない考えであるかどうか、この際大蔵大臣の確固たる所見を承わりたいと思います。(拍手)  なお、昨日、自由党の太田議員は、根本官房長官が一兆円のワクを破ったときは解散すると言ったことはまことに越権である、官房長官輩がと面罵されたのでありますが、私は根本官房長官を輩とは考えません。内閣の大番頭だと考えております。この内閣の大番頭である根本官房長官が言われたことは、すなわち総理の言葉と解釈して差しつかえないと思う。この際、総理は、もし一兆円予算のワクが破られたときは、総辞職するかあるいは解散するかの決意があるかどうか、特に総理に承わりたいのであります。(拍手)  次に石橋通産大臣にお尋ねいたしたいのでありますが、大臣は経審長官代理として演説されましたが、その中で、輸出振興のため経済外交をさらに強化し、国際経済協力の促進をはかるとともに、海外見本市の開催、海外市場の調査、宣伝活動の強化を行うと述べておられます。まことにけっこうなことばかりであります。しかしながら、大臣は、その対象として、東南アジア、中近東地域及び中南米諸国が輸出市場としてきわめて重要であると述べておられますが、まことに不思議なことには、中国には一言半句も触れておらないのであります。御承知の通り、鳩山総理は、その施政演説において、中国に対しては極力貿易関係の改善に努めたい所存であると、中国貿易を強調されております。にもかかわらず、当の担当大臣である石橋通産大臣が、いかに経審長官代理であったとは申せ、中国貿易に一言半句も触れるところがないというに至っては、まことに奇怪しごくと言わなければなりません。不注意で触れるところがなかったのか、それとも、石橋通産大臣は、わが国の貿易振興にとって、中国貿易の重要性は、東南アジア、中近東、中南米よりはるかに下にあるとお考えになっておるのか、大臣のお考えをこの際明らかにしていただきたいと存じます。  現在、中国貿易使節団が来朝いたしまして、日中貿易協定交渉が進められておることは、御承知の通りであります。その成り行きいかんが国民注視の的となっております。本問題につきましてはすでに各議員から質問が行われたのでありますが、ただいまの通産大臣の御答弁も、私たちはまことに納得しがたいのであります。中国貿易の重要性を無視する石橋通産大臣だからこのような答弁をなさるのでありましょう。そこで、私は鳩山総理にお伺いしたい。特に鳩山総理は、昨日この問題について日中貿易議員連盟の代表が総理に会ったときに、善処すると約されたそうでありますが、この中国貿易に熱意のある鳩山総理に、以下諸点について、ぜひとも所信を述べていただきたいのであります。  本協定成立のかぎは、たびたび言われました次の三点、しかも、それは、日本政府の腹一つでできる問題であります。総理は果して日本の貿易振興のためにこれを実行される決意ありやいなや。すなわち、その第一点は、日中貿易協定の実行について、日本政府においてこれを保証すること、その第二点は、支払い協定に関し、日本銀行に取引口座を開くこと、その第三点は、日中双方の公的権限ある通商代表部の相互設置を政府が認めること、以上の三点であります。  さらに、申し上げるまでもなく、中国貿易の改善を根本的にはかるためには、そのネックをなしておるココム・リストの制限排除にあることはもちろんでありますが、政府は、昨日の答弁、本日の答弁でも、ココム・リストの緩和をはかると言われましたが、私は具体的に承わりたいのであります。すなわち、朝鮮動乱、インドシナの戦争の終結した今日、戦略物資とは純然たる兵器に限られるべきであって、今回の日中貿易協定別表に記載された物資のごときは、当然戦略物資外として輸出許可を与えるべきであると考えるが、政府の所見はいかがでありましょうか。もしこれをも禁止せんとするならば、それはアメリカや英国の対中国貿易政策の犠牲に日本の貿易を供する以外の何ものでもないと考えるのでありますが、総理及び関係大臣の考え方を承わりたいと思います。  次に、石橋通産大臣にお伺いいたします。日本産業の自立と繁栄をはかるためには、国民生活水準の向上をはかりつつ貿易規模の拡大をはかることであることは申すまでもない。すなわち、平和産業の振興と貿易の伸張以外には絶対にありません。特需と兵器産業に依存する経済が、いかに不安定であり、永続性なきものであるかは、さきの朝鮮動乱終結による特需の減少が日本経済に与えた摩擦と混乱を思い起せぼ十分であります。しかるに、通産省においては、防衛産業国有化の構想のもとに、防衛生産設備管理法を立案せんとしているやに伝えられておるのであります。これは、特需発注の激減と、日本再軍備の兵器需要がアメリカ製中古兵器で満たされている結果、わが国兵器産業に深刻な危機が訪れたことに対して、これを国民の税負担、血税でもって救わんとするものであります。特に、憲濃改正に先んじて防衛生産産業を国有化するということは、断じて許さるべきことではございません。政府は右に関していかなる構想を持っておられるか、いわゆる石橋構想なるものを承わりたいのであります。  次に、外務大臣及び防衛庁長官に質問いたします。鳩山総理は、その施政方針演説で、政府は国力に応じた自衛力を漸次整備して、米国駐留軍が逐次撤退できるようにするため、経済六カ年計画に見合う長期防衛計画を作成すると言っておられます。しこうして、右に符合するがごとく、防衛分担金問題に関する日米共同声明においては、昭和三十一年及びそれに引き続く年間において自己の資力のより大きな部分を防衛目的のために振り向けることが日本政府の意向であり政策であることが明らかにされたとうたわれております。そこで、政府にお尋ねいたしたいことは、第一に、本年度の予算は経済自立六カ年計画の初年度のものであり、それに見合うものとして、防衛計画も長期計画中の初年度のものが予算中に組まれたものと思うのでありますが、経済六カ年計画が策定された以上、これと不可分である関係にある防衛計画についても、当然六カ年計画ができておるはずであります。日米共同声明の趣旨もここにあると存じます。ついては、昭和三十一年及びそれに引き続く年間において自己の資力のより大きな部分を防衛目的に振り向けるとあるが、具体的にいかなる防衛計画を有しておられるのか。すなわち、陸海空軍の増員計画、また、いかなる兵器をいかにして整備せんとしておるか、予算総額との割合等について、詳細ここに承わりたいのであります。  次に、河野農林大臣にお尋ねいたしたいと存じます。  食糧自給態勢の確立がわが国経済自立の先決要件であることは申すまでもありません。しかるに、本年度予算案において食糧増産対策費は大幅に削減されて、昭和二十九年度予算に比して実に七億八千三百万円の減少となっております。その上、政府は、産米供出制を予約買付制度に切りかえんとしておるのでありますが、本制度が成功するかいなかは、一にかかって、基本米価を幾らにするか、免税点をどこに設定するかにあることは申ますでもありません。しかるに、大蔵省は、現行食管法を改正して、米麦価の引き下げさえも計画しておるとのことでありますが、農林大臣はこれに対していかなる考え方を持っていらっしゃるか承わりたいと思います。しこうして、予約買付制実施に当っては、基本米価は、現在のパリティ計算方式を改めて、再生産費の確保のために限界生産費方式によるとともに、全国平均農家一戸当りの供出量であります七石程度の供米価額までこれを免税とすべきであります。この用意なくして予約買付制度を実施する場合、これが不成功に終ることは明らかであります。もし、政府にして、以上の合理的基本米価の設定と免税措置を講ずることなくして、失敗に終ること明らかな予約制度を強行するというならば、政府の真の意図は、予約買付制度のスムーズな運営が目的ではなくして、むしろそれを理由として米の統制を撤廃し、アメリカの余剰農産物に依存せんとするところにあると言われてもいたし方がないと思います。麦の統制撤廃とアメリカ小麦の輸入の圧迫によりまして、麦の作付反別が大量減少を見たる事実に徴しましても、かくのごとき措置はわが国農業を根本的に破壊するものであります。政府は今後食糧問題の解決を増産によって行わんとするのか、それとも輸入食糧に依存せんとするのであるか、その根本方針を示していただきたい。と同時に、現在牛乳価格が暴落いたしまして、酪農経営は今破局の一歩手前にあります。これをいかにして救済するか。この救済のためには、MSA協定によるところの大量のアメリカの乳製品の輸入制限、すなわち日本の乳製品の約四六%を占めておりますところのアメリカ乳製品の徹底的な輸入制限以外に根本的な解決の方法はないと考えますが、農林大臣の所見を承わりたいのであります。  次に、小作料引き上げについてでありますが、昨日の本会議場におきまして、伊藤議員の質問に対して、大臣は、調査会を開いて諮問すると、まことに無責任な答弁をしておられますが、調査会を開いて諮問するとは、小作料引き上げの意図があることを暗に示すものでありまして、まさに語るに落ちたと言わなければなりません。農林当局は、農地の固定資産税の増額を主たる理由といたしまして、小作料の四倍程度の引き上げを計画中とのことでありますが、小作料の引き上げは地価の上昇をもたらし、地価の上昇はまた固定資産税の増徴となり、悪循環を繰り返すこと必定であります。しかして、このことは、地主の土地取り上げを激化せしめ、旧地主制度の復活に拍車をかける結果になるでありましょう。わが国農業生産の向上発展をはかるためには、全国の未解放地を耕作農民に解放することこそ必要であるにもかかわらず、小作料の引き上げによって旧地主制度の復活を企図するがごときは、まさに時代逆行もはなはだしいものであります。(拍手)農相は、小作料の値上げをやろうと考えていらっしゃるのか、それともやらないつもりなのか、この際はっきり御答弁をお願いいたします。  最後に、労働大臣に承わりたいと存じます。政府は選挙の際に完全雇用を重要政策として国民に公約してきたのでありますが、今回の財政経済演説を拝聴いたしますと、完全雇用は日本経済の回復につれ漸次行わるべきものであって急速に行おうとすればインフレを来たすゆえ、これは避くべきであると言っていらっしゃいますが、これまさに、初めは、脱兎のごとく終りは処女のことしというのが、この政府の態度であります。これによって見ましても、完全雇用の公約が全くの選挙用の宣伝政策にすぎなかったことが明らかであります。同時に、このことは、資本主義経済の矛盾、すなわち、資本主義経済のもとにおいては完全雇用は絶対にあり得ぬということを端的に物語るものであります。(拍手)  政府の発表によっても、昨年度の完全失業者は六十二万となっており、西田労働大臣も、昨日の答弁で、本年度もこの六十二万は同様に存在すると言っていらっしゃいます。潜在失業者、不完全失業者を入れれば、その数一千万をこえるというのが、わが国の常識であります。鳩山総理は友愛精神を強調されましたが、失業者の求めておるものは、まず仕事であり、パンであります。やせたソクラテスでなくて、肥えた豚であるということをお考え願いたいのであります。(拍手)政府にして、この膨大な失業者群の完全雇用について自信ある方策をお持ちならば、具体的に、この席上で明らかにしていただきたいということを特にお願いいたしまして私の質問を終える次第であります。(拍手)     〔国務大臣鳩山一郎君登壇〕

鳩山一郎日本民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鳩山一郎君) お答えいたします。  成田君御質問の第一は、憲法改正のことについてでありました。とにかく、現在の憲法は、占領治下において作られたものであります。従って、前文からしまいまでの間に、改正した方がよかろうと思うような条項がたくさんあります。それで私は改正の必要を認めておるのであります。(「具体的に」と呼び、その他発言する者あり)条項です。状況じゃないのです。(発言する者あり)前文から……(「問われているのはその具体的なことじゃないか」と呼び、その他発言する者あり)具体的にどの点においてその必要があるかということは、調査会を設けて研究します。(拍手)  第二点に、憲法で自衛隊を置くことができるかというような質問でありましたが、これは、自衛のためならば、必要にして相当な限度において置けるものと思っております。自衛のためならば持てるという根拠は、憲法第九条の二項には、国際紛争を解決する手段としての戦争はいけないと書いてあるのでありまするから、自衛のための兵力を持つということが許されておることは、その半面において判明するわけであります。九条第一項の「国際紛争を解決する手段としては、」というのは、自衛権の行使としての武力行使を含まないことは、このごろは定説になっておると思います。(「吉田内閣と同じじゃないか」と呼ぶ者あり)前内閣と同じでも、正しいことは仕方ありません。(拍手)        それから、濃縮ウラニウムの問題は、慎重に研究しておりまして、いまだ具体的な結論には達しておりません。国際協調の精神によって研究さるべきものと考えております。  他の質問の事項は関係閣僚から答弁をしてもらった方が便利だと思います。私はこれだけ御答弁申し上げておきます。(拍手)     〔国務大臣川崎秀二君登壇〕

川崎秀二日本民主党厚生大臣

○国務大臣(川崎秀二君) 成田議員からお尋ねのありました、ビキニ関係の慰謝料の配分について申し上げます。ビキニ関係の慰謝料の配分につきましては、根本官房長官を委員長といたしまして、各官庁の委員の打合会を十数次にわたり開会いたしました結果、本日次のように配分計画を決定いたしました。  第一、治療費二千五百四十七万四千円、第二、慰謝料及び傷病手当金五千四百二十六万二千円、第三、漁獲物廃棄による損害七千九百二十八万九千円、第四、危険区域設定による漁船の損害五千百十六万三千円、第五、魚価低落によるマグロ生産者の損害四億五千四十二万四千円、これが一番大きくなっております。第六、商船関係損害百二十七万二千円、第七、流通業者等の損害四千百万円、第八、その他千三十三万六千円、この「その他」は、焼津市の家族見舞、旅費の立てかえ金、その他応急の出費でございます。事件処理に要しましたおもな行政費がそのほかに一億二千八百八十四万円ありますが、これはこの中に含まず、一般行政費をもって処理することといたしました。(拍手)     〔国務大臣一萬田尚登君登壇〕

一萬田尚登日本民主党大蔵大臣

○国務大臣(一萬田尚登君) お答えを申し上げます。  今度の三十年度の予算が、重点がぼけてきておるではないか、こういう御質疑であったと思うのであります。私といたしましては、三十年度予算について、できるだけ重点を確保したつもりでありまして、例をもって申しますれば、まず減税をいたしまして、そうして住宅、失業対策その他を含む社会保障、さらに輸出振興、こういうふうな方向にできるだけの資金を回していく、さらに財政投融資につきましては約四百二十億くらい増しまして、しかもこれを基礎的な重要産業に重点的に配付する、かようにいたしておるわけでありまして、重点主義がこわれておるというわけでは決してないのであります。  なお、この予備費が八十億では少いではないかという御質問、これは、予備費が多いのは、多くできればそれはけっこうでありますが、しかし、この八十億の予備費は、昨年度の予算もやはり八十億であったのであります。  今後風水害があったらどうするかということでありますが、これは風水害の規模にもよることでありました、今、私、何とも申と上げかねる。  なお、最後に一兆円の予算についてのお尋ねがあったのでありますが、一兆円の予算は、私といたしましては、これは信念を持って編成をいたしておることを申し上げておきますが、この一兆円がこわれるというようなことは実は考えていないのであります。(拍手)     〔国務大臣石橋湛山君登壇〕

石橋湛山日本民主党通商産業大臣

○国務大臣(石橋湛山君) 私に対するお尋ねの部分は、先般私が経審長官代理としてここで述べました演説の中で、東南アジアあるいは中近東等の貿易については触れておるが、中国貿易については何も言っておらない、それはどういうわけだというお尋ねがありました。これは、中国のみでなく、たとえば日本の今の貿易はアメリカがなかなか大切なのでありますが、アメリカ貿易もされておらない。問題はおのずから違いましてわれわれも、東南アジア、中近東に対しては特に延べ払いをするとか、ある意味において投資をするというようなことを今考えておりますから、あの場合触れましたが、中国貿易の方は問題が違いまして、御承知の通りな事情でありますから、ココムとか何とか、ああいう問題の解決を必要とするというような意味で、あそこにはちょうど入らないということで申し上げなかったわけでありまして、決して中国貿易を閑却したわけではございません。  それから、なおもう一つのお尋ねは防衛産業の問題であります。これは、言うまでもなく、特需というようなものがだんだん減りますし、こういうものに依頼しておる経済が非常に弱体であるということは、これはもう前からきまったことであります。そういうものには、これはできない。しかし、日本が防衛力を持つ限りは、日本の防衛力が必要とする防衛産業だけはやはり作らなければならぬ。これは根本問題であります。現在、当面の問題としては、先ほど御指摘の通り、今まで特需でもってやっておりました防衛産業と申しますか、ごく部分的なものでありますが、砲弾等の産業が非常に注文が減りまして、やっていけないという事情が迫って参りました。しかし、これは日本政府としても、それでは今後全然砲弾や銃弾が要らないかというと、日本の防衛力が使う限りは要るのでありますから、その程度のものはいかなる場合でも保留をしていこうというのが、ただいまの考えであります。具体的には、ただいま研究中でございますから、申し上げかねますが、とにかく必要のものだけは保留をしておかなければならぬという考えを持っておりますことだけをお答え申し上げます。(拍手)     〔国務大臣重光葵君登壇〕

重光葵日本民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) 私にお尋ねの部分に、広島に原子炉を作る提唱があるかどうかということがあったと思います。広島に原子炉を作る提唱がアメリカの議会の一部分にあるということは報告に接しております。お話の通りであります。しかし、いまだ政府にはそのような提案は正式に来ておりません。その後何ら具体的な動きはないものと承知をいたしております。  それからこれに関連して、もうお答えがあったかと思いましたが、ウラニウム輸入のことに対する国際協定があるか。これは、むろん、そういうことがおりますれば、交渉によって協定を結ばなければならぬと思っております。  しかし、まだその内容及び技術的方面の問題が具体的に少しも検討ができておらないので、協定を結ぶとかいうような結論には達しておらないことを御報告申し上げます。  防衛分担金の問題の交渉に私は当りましたが、御承知の通りに、これは安保条約や行政協定及びMSA協定によって自衛力の漸増の責任を日本は持っております。アメリカ側はその自衛力の漸増に従って分担金の軽減をやる意向があるということをその中に表示をいたしております。この条約上の関係によりまして、今回私が分担金の軽減の交渉を担任して、ずっとやってきたのでございます。  なお、それに関連をいたしまして、防衛計画について御質問がありました。これは、私がお答えするよりも、主管閣僚においてお答えすることが適当であろうと思います。(拍手)     〔国務大臣杉原荒太君登壇〕

杉原荒太日本民主党防衛庁長官

○国務大臣(杉原荒太君) 御質問の防衛計画につきましては、ただいま研究中でございまして、まだ政府としての成案を得るに至っておりません。国防会議実現の上は、国防会議の審議を経て決定すべきものと考えております。(拍手)     〔国務大臣河野一郎君登壇〕

河野一郎日本民主党農林大臣

○国務大臣(河野一郎君) お答えいたします。  事前売り渡し制度と申しますか、予約買付制度と申しますか、この制度でやって参りますにつきまして、米価の決定ないしは減税の処置等が重要でありますることは、御指摘の通りであります。従いまして、減税の処置につきまして、どの程度までどうするかということにつきましては、目下大蔵当局と打ち合せ中であります。なるべく早くきめて期待に沿うようにいたしたいと考えております。  また、三十年産米の米価をどうするかということにつきましては、御承知の通り、生産費主義によることの方がいいじゃなかろうかというような御意見も有力にございます。しかし、いずれにいたしましても、何分、予約買付制度を実施するに当りまして、最終的な米価をきめることが妥当であるかどうかということにつきましては、これもまたいろいろ議論がございます。いずれにしましても、どの程度のとれ高になるか、出来秋になりませんと最終的な米価の決定をいたす、二とは困難でございますので、さしあたり、私といたしましては、米価審議会の皆様の御意見を十分拝聴いたしまして、契約に当りましては、基本的な米価を決定して、それにプラスするに減税もしくは予約奨励費等を決定いたしまして、この制度の万全を期して参りたい、こう思っておるのでございます。この制度をなおざりにいたしまして、これがうまくいかないからといって、無理に自由販売にいく前提にするのではないかという御指摘の点は、決してそう考えておりません。この点は御了解願いたいと思うのであります。  次に、小作料の問題でございます。これは昨日もお答えいたしました通り、新聞に出ました小作料の四倍云々ということは、これは全然私としては関知しないことでございまして、この小作料を上げるつもりか上げないつもりか、どう考えているかということがお尋ねの趣旨でございましたが、御承知の通り、現在の段階におきまして、現行小作料を固定資産税が上回るようなことになってきておるのでございまして、この矛盾はある程度解決しなければなるまいという現実に迫られております。また、一方におきましては、農産物の価格は昭和二十五、六年より相当に上ってきておりますので、これら諸般の情勢を勘案いたしまして昨日申し上げました通りに、適当なる委員の方々、もしくは学識経験者のお集まりを願って、公正なる御意見を拝聴いたしまして、それに基いて私は判断して参りたい、こう考えております。  次に乳価の下落のことでございますが、これも、御指摘の通り、また私かねて申し上げております通り、アメリカより入って参ります乳製品が一部やみ流れいたしまして、それがわが国の乳価を圧迫しておりますことは、御指摘の通りであります。こういう事態ははなはだ遺憾にたえませんので、なるべくそういうことのないように心がけますると同時に、ただそれだけでは所期の目的は達成できませんから、何とか国内の酪農製品の買い上げ等の処置をとりまして、必ず成果をあげるような方向にいきたい。これにつきましては、一応予算措置等もいたしまして、たとえば高温殺菌の制度をとるというようなことをやって参りたい、こう考えております。  次に、食糧は輸入によるつもりか、食糧の増産費が今年度予算において減っておるが、これは国内の生産をないがしろにして、輸入ないしはアメリカの余剰農産物によるつもりではないかというような御趣旨の御質問がございましたが、決してそういうことは考えておりません。たびたび申し上げます通り、われわれは、今年度の予算におきましても、決して土地改良費その他は減じておらぬのでございます。これは、愛知用水その他の費用を加えますれば、決して少くいたしておりません。最善を示して土地改良その他に尽力いたします。ただ、ここでつけ加えておきますことは、米麦並びに乳製品、酪農製品、水産等を総合的に勘案いたしまして、わが国の食生活を改善すると同時に充実して参りたいという方向でございまして、これらに十全を尽しまして、なおかつ足りない場合には、しかるべき方法のものを輸入して参る。アメリカの余剰農産物につきましては、これが割高であるとか不必要であるとかいう場合におきましては、絶対輸入する意思を持っておりません。この点はつけ加えておきます。(拍手)     〔国務大臣西田隆男君登壇〕

西田隆男自由民主党労働大臣

○国務大臣(西田隆男君) お答えいたします。  完全雇用の問題についてのお尋ねでございましたが、資本主義を順奉する国におきましては、特に英国あたりの社会通念では、総労働力人口の二%ないし三%くらいの完全失業者があっても、これは完全雇用だというふうに考えられているようでございます。しかし、日本は英国とは労働条件なじ産業構造なりが違いますので、私はさようには考えておりません。総合経済六カ年計画によります経済規模の拡大が達成されますならば、年々増加するこれらのわが国の労働人口に対する雇用の機会を与えることは可能であると考えております。三十五年度には完全失業者が四十三万五千人くらいでとどまるであろうと考えております。この程度がわが国でいう完全雇用ではないかと思っております。  それから、失業対策につきましてお答えいたします。御承知のように、三十年度はまだまだ六カ年計画の第一年度でありますので、ふえる労働人口を完全に雇用し得ないという考え方二十万人くらいの失業者がふえるであろう、かように考えております。この二十万人の増加する失業者を吸収いたしますためには、失業対策事業費で昨年度より四十八億六千万円よけいに予算に計上しております。なお、道路事業費で四十一億円、鉱害復旧事業費で四億二千万円、合計九十四億程度の金を二十九年度よりよけいに予算に計上いたしまして、これで失業者を吸収したい、かように考えております。(拍手)

杉山元治郎日本社会党(右)副議長

○副議長(杉山元治郎君) 成田君より再質問の要求があります。成田知巳君。     〔成田知巳君登壇〕

成田知巳日本社会党(左)

○成田知巳君 今、総理ほか各閣僚の御答弁を承わったのですが、大事な点になると全部問題点がはずされておるのです。特に総理に最初お尋ねしたいのです。ただ、再質問でございますし、お疲れのようでもございますので、自席で御答弁いただいてもけっこうであります。  総理は、憲法改正は必要だと言われ、どこを改正するかについては、前文から各条項たくさんあると言われた。たくさんあるということは、その憲法改正の条項、必要事項を知っていらっしゃるはずでございますね。たくさんあるのですから、私は全部言えとは申しません、そのうち総理が特に大切だと考えている二、三の条項について、こういう点があるから改正したいのだ、こういう点を一つ明確に御答弁を願いたいと思うのでございます。(拍手)  次に、総理は、非常に大切な問題を、故意にか、あるいは無意識にお忘れになったのかもしれませんが、私が質問いたしました三月十四日の外人記者団との会見で、総理は原爆保有を日本で認めることもやむを得ないと言われたと同時に、蒋政権が中国本土を攻撃のときには、日本の基地をアメリカ空軍が利用することもこれまたやむを得ない、しかも行政協定にあるからやむを得ないという意味の発言をしていらっしゃる。この行政協定というのは多分安保条約の間違いと思いますが、果して総理はこれをやむを得ないとお認めになるのかどうか。もしそういう発言をしていらっしゃらないということでございましたら、今度の台湾海峡の問題が発展して、もしアメリカ空軍が日本基地を利用して爆撃に出るという場合に、総理は、これを拒否する意思であるか、それとも御容認になる意思であるか、この点、明確に承わりたいと思います。  それから、これは経済審議庁長官にお尋ねした方がいいかとも思いますが、今、防衛庁長官は、六カ年の長期防衛計画というものは研究中だと言われた。しかるに、一方には経済自立六カ年計画というものをちゃんとお作りになっておる。この防衛計画と経済自立六カ年計画というものは不可分の関係である。どれだけの防衛計画を立てるかによって予算そのものも変ってくる。国の計画というものは変るはずである。もし防衛計画がまだ研究中だということになれば、政府が宣伝これ努めております経済自立六カ年計画というものは、全くのインチキの国民だましであると言われても仕方がないと思います。そこで、経済自立六カ年計画に、どのような構想のもとに防衛計画をお組み入れになっておるか、この点、明確に御答弁願いたいと思います。  それから、厚生大臣にお尋ねしたいのでありますが、先ほど、私は、この賠償金の配分計画を承わると同時に、この賠償金は御承知のように七億二千万円、ところが、参議院の水産委員会における決議でも、あるいは水産庁の報告によりましても、被害総額は二十億といわれております。もし政府が七億二千万円しかアメリカから賠償金をもらうことができなかったとすれば、その差額は当然政府の責任において補償すべきであると思うのでありますが、この点について政府はどのようなお考えを持っておるか、これもあわせて承わりたいと思います。  以上でございます。重ねて申しますが、総理は自席でけっこうでございます。

鳩山一郎日本民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鳩山一郎君) 失礼ですが、この席から答弁をさせていただきます。  憲法の改正について、私答弁が不足しておりますので……。     〔「登壇々々」と呼び、その他発言する者あり〕     〔国務大臣鳩山一郎君登壇〕

鳩山一郎日本民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鳩山一郎君) 憲法改正についてはいろいろの点があるということだけきり申しませんでした。詳しく言えば、前文からずいぶん改正すべき点があると思います。もちろん、私が最初に憲法改正を主張いたしましたのは九条でございました。九条では、あれはどうしてできたかと言いますと、先刻は、あの憲法によって自衛隊を持つこともできるという解釈をいたしましたが、あの憲法ができますときには、自衛のためにも兵力は持ってはいけないというような意味で、日本の戦闘力というものを全然なくなしてしまおうというような意思で、日本が再び武力を持つことのできないようにしたいという希望によってできたのでありまして、そういうような希望でできた憲法が完全であるべきはずはないのであります。前文を見ましても、ずいぶんおかしな前文でして、あれは直さなくてはならないと思いますし、国会の権能にしても、ずいぶん直さなくてはならないと思うところが多いのでありまして、それを申したのであります。ただし、再軍備をしたいという意味で、再び軍閥の時代を作りたいというような意思は毛頭持っておりませんから、この点だけは御了承願います。(拍手)  それから、第二の原爆基地を持たしてくれとアメリカが言った場合においての答弁でありますが、これはアメリカがそういうような要求を日本に対してなすということは絶対にないと考えておりますので、絶対にないと考えているのに、アメリカが要求した場合にはどうするということを仮定の問題で答弁する必要はないと思いまして、それで答弁を仮定だからしないということを申したのであります。私は、かつて、外国の記者団がこれを質問いたしましたときに、私の申したのは、今日の世界の平和は力による平和ということが言える、力を持っているために戦争がないということが言えるのだ、原爆の問題についても、もし原爆を持つということが世界の平和というものを導くのならば、持つということを許すような場合があるかもしれない、こういうように答えたのであります。しいて答えを求められる場合、それと同じことを繰り返すよりほかに道がないと考えております。     〔国務大臣高碕達之助君登壇〕

高碕達之助日本民主党経済審議庁長官

○国務大臣(高碕達之助君) 防衛力の六年計画は防衛庁長官の責任においてきめるべきものであります。経済六年計画では、防衛力は、国民の所得だけでなく、国力の増進に応じて年々増加する計画を立てております。(拍手)     〔国務大臣川崎秀二君登壇〕

川崎秀二日本民主党厚生大臣

○国務大臣(川崎秀二君) 先ほどの御質問では、ビキニの被災に対してアメリカから受け取った慰謝料の配分について詳細発表しろということでありましたので、内容を発表いたしたのでありますが、国家として今その不足額と称せられるものをすぐ一般会計から損害を補償するという考えはございません。(拍手)

杉山元治郎日本社会党(右)副議長

○副議長(杉山元治郎君) 成田君よりさらに質問したいとのことでありますが、持ち時間がありませんから……。     〔成田知巳君登壇]

成田知巳日本社会党(左)

○成田知巳君 ごく簡単に総理にもう一回お尋ねいたします。今総理から、原爆の問題と基地使用の問題について、アメリカはそういう要求をしないだろう、だから仮定の問題については答えられないと言われますが、御承知のように、安保条約そのものには、アメリカの駐留軍が東洋の平和と安全の維持に寄与するため出動することができるということをはっきり書いておる。これはアメリカの一方的の意思です。東洋の平和と安全の維持のためには日本の基地を使用して出動することができるとなっておる。だから、それが仮定というならば、安保条約そのものは仮定を前提として作られた条約と言われてもしようがない。決してこれは仮定ではない。従って、仮定でない安保条約がある以上、そういう場合はあり得ると思うのですが、総理はどうお考えになっておりますか。それでもあり得ないと言われるかどうか。安保条約ではっきり規定しておることたのですから、その点についての総理の御答弁を願いたい。(拍手)

鳩山一郎日本民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鳩山一郎君) ここから答弁をさせていただきますから……。     〔「登壇々々」と呼び、その他発言する者あり〕

杉山元治郎日本社会党(右)副議長

○副議長(杉山元治郎君) 聞えませんから、総理にこちらに出ていただきます。     〔国務大臣鳩山一郎君登壇〕

鳩山一郎日本民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鳩山一郎君) お答えをいたします。私が、アメリカが日本に対してかような要求をいたすまいと申しましたのは、原爆を所持するということは、自分の船の上にも自由にこれを所持し得るのでありますから、日本に迷惑をかけるというようなことはないと確信をしておりますので、さように答弁をいたしたのであります。行政協定においてそういうことができるかどうかは別問題であります。そういう必要をアメリカ自身が認めまい、ゆえに要求はしまい、こう言ったのであります。(拍手)

杉山元治郎日本社会党(右)副議長

○副議長(杉山元治郎君) 中崎敏君。     〔中崎敏君登壇〕

中崎敏日本社会党(右)

○中崎敏君 私は、日本社会党を代表して、鳩山首相以下関係閣僚に対し若干の質問を試みんとするものであります。     〔副議長退席、議長着席〕  その第一点は、綱紀の粛正に関するものであります。今や青少年の犯罪は凶悪をきわめ、ヒロポン患者はちまたに横行し、人情は紙のごとく、約束は弊履のごとくはき捨てられ、白昼公然と売春行為が行われ、人身売買もまた跡を断たず、住むに家なき無数の浮浪者、職を得られぬ失業者、食べていけない貧困者、一家心中の中小企業者、まさに生き地獄の様相を呈しております。ひとり財界、官界、政界の腐敗は少しも衰えておりません。まことに遺憾のきわみであります。首相は、施政演説の中で、みずからその身を清廉に持して、国会の品位を高めると言われました。その覚悟のほどは多とするものでありますが、元来、あなたの政党に限らず、保守政党は、おそろしく金のかかる政党ではありませんか。みずからその身を清廉に持して、また閣僚や党の幹部がみずからその身を清廉に持して、果して党が維持できるでありましょうか。保守政党のあり方と政治資金の関係について根本的に考え方を改めない限り、政治に汚職はつきものだと思いますが、総理の御所見はいかがでありますか。  第二点は、権力の乱用に関する質問であります。首相は、いたずらに権力をふるって独善に陥ることなく云々と言っておられますが、ほんとうにそれを実行する決意を持っておられますか、あらためて信念のほどをお伺いいたします。  元来、選挙管理内閣のはずであった鳩山内閣が、総選挙となるや、権力をたてにして、首相みずから、あるいは閣僚を総動員して、血のにじむ国費を乱費して、あるいは中京に、あるいは関西に、中国に、九州に、北陸に、東北に、北海道に、選挙資金のかき集めに狂奔する一方、選挙に勝つためには手段を選ばず、いたずらにから宣伝に終始して大衆を欺瞞し、あるいは大臣の視察、調査と称して大げさな選挙運動をなすがごとき、権力の乱用にあらずして何ぞやと言いたくなるのであります。鳩山内閣は、競馬、競輪の平日開催禁止を公約いたしました。政府できめた自粛案はそのまま実行されるとしても、一般地区は三日制で、密集地区は四日制、ともに平日開催にかわりはありません。公約違反に変りないのであります。  第二に、硫安値下げの公約は、どうひいき目に見ましても、無理押しをしたとしか考えられないのであります。申すまでもなく、硫安の価格を変更するには、肥料需給安定法により肥料審議会に諮らなければならぬことになっておるのであります。河野農相は、独断で法律を無視して業者に値下げを強要したものであって、力による政治だと言わなければなりません。しかも、硫安一かます八百二十五円を、わずか五円下げとするというのに、あれほどの大さわぎをするとは合点がいかないのであります。農相は、今後も、肥料審議会にかけることなく、硫安価格の変更を強要されるのでありましょうか。  民主党は、旧軍人恩給を文官恩給並みに引き上げることを公約しました。これに要する予算は約六百五十億円で、財政の現状から見て実現不可能なことは初めからわかっていたはずであります。かわいそうにも、遺族の人々は、その公約を信じて、多数が民主党に投票いたしました。今回の予算を見まするに、兵長以下年額千五百円、伍長は四百七十円の引き上げにすぎません。ほんの申しわけ的な予算措置を講じたにすぎないのであります。残余の額については、いつ、いかなる方法でこの公約を実行されんとするか、厚相の所見を聞くのであります。  公務員のマージャン禁止の公約は、いかに実行されましたか。公務員に清廉であれといっても、政府の要人と政党の人自身が率先垂範して汚職の政治を改めない限り、その実行がおぼつかないと思うが、首相の考えはいかがでありますか。  第三点は、一兆円予算のワクに関する質問であります。政府は、一兆円予算のワクにはめるため、相当無理をした形跡があります。蔵相が言っておるように、専売公社の収益の中から三十億円を地方財源に回し、特に本年度に限り入場税の一割を含めて全部地方に譲与し、地方道路税を創設して地方財源に回し、砂糖など輸入特殊物資の超過利潤七十億円を特別会計に入れ、防衛費のうち百四十億円を予算外支出とすることによって、辛うじて一兆円予算を編成したものであります。果してしからば、一兆円の予算はほんの名目上のものであって、心理上の効果をねらったにすぎないと解釈してよいのでありますか。根本官房長官は、車中談で、自画党の若干の修正には応ずるが、一兆円予算をくずすときは解散となる可能性が強いと言ったようだが、問題はきわめて重大であるから、この点に関して鳩山首相の決意を伺いたいのであります。  第四点は、金融に関する問題であります。一兆円予算と金融引き締め政策によるそのしわ寄せが中小企業者、農民、その他勤労階級に及び、これ以上の苦難に耐え得ない状態に立ち至っておるのであります。大企業に対しては開銀その他を通じ巨額の融資がなされておるに反し、中企業に対しては、ほとんど国家資金融資の道が断たれておりますが、政府はこれに対して特別の金融措置を講ずる用意があるかどうか。また、不動産金融機関を要望するところの声はまことに切なるものがあるが、政府はこの際不動産を扱う特殊金融機関を設置する用意があるかどうか。  次に、蔵相は、金制引き下げの必要を強調して、歩積み、両建などをなくして実質金利の引き下げに進むべきだ、コール・レートの引き下げから手をつけるべきだと言っておるが、この点については全く同感であります。近年、金融機関、ことに銀行は、手厚い国家の恩恵を受けて莫大な利益をあげ、今また預金利子課税免税により反射的な利益を得るに至っております。この際、預金利子の引き下げをも断行し、日銀の貸し出し金利も政府関係金融機関の貸し出し金利も引き下げ、郵便貯金の利子も同時に引き下ぐべきだと考えるが、蔵相の所見いかん。  第五点は、貿易の振興に関する質問であります。石橋経審長官代理は、三十年度施策の重点を特に輸出の振興に置き、なかんずく、東南アジア、中近東諸国、中南米諸国との経済協力を一そう推進することを述べておるが、中共その他共産主義諸国との通商打開については一言も触れていない。政府みずから熱意を失ったといわれても過言でないのであります。目下交渉中の日中新貿易協定のガンはココムにあるが、このココムは、いつ、いかなる機関において協定されたものか、また、その内容、特にココム・リストの発表を要望するものであります。私の見るところではココム協定は憲法違反だと考えられるが、総理の所見はいかがでありますか。憲法第七十三条によれば、条約は事前に、または時宜によっては事後に、国会の承認を要することになっておりますが、ココムはいまだ国会の承認を受けておりません。  ついでだお尋ねいたしますが、昨日、首相は、吉田前総理が蒋介石政権に対し中共は承認しない旨の書簡を送っておること、並びに一国の首相のやったことだからこれを認むる旨の発言がありましたけれども、それは条約の性質を持つものでしょうか。宣言の性質を持つものでしょうか。それは日本の政府及び国民に対しいかなる拘束力を持つものでしょうか。もし国会の承認を必要とするものであるならば、国会の承認がないのであるから無効だと思いますが、総理のお考えはいかがでしょう。もし無効だということになれば、総理は無効宣言をされますか、御意見を承わりたいのであります。  さらに、政府は、将来貿易の自由化を目ざして、外貨の割当を、メーカーでなく、商社に対してなす方針を定めたと聞くが、商社の政治力が加わったためではないかと懸念にたえません。今日、日本の商社が大きな資本力を背景に持ちながら経済的に弱体なのは、朝鮮事変勃発当時における商社の思惑がはずれ、これがために受けた損害がいまだに回復しないためであります。しかるに、今また外貨を商社に割当すれば、同じあやまちを犯すことになるばかりでなく、原価が高くなることは必至でありまして、低物価政策に反する結果となるのであります。商社は為替管理制度のもとにおいてはコミッション・マーチャントであるべきだと思うが、政府の所見いかがでありますか。政府はまた自動承認制の拡張をなしつつあるが、ある強国からの圧力に屈したのではないかと懸念されるのでありまして、その実情を明らかにされたいのであります。また、日本は、合衆国からの輸入は圧倒的に多いにかかわらず、アメリカは日本品の輸入を押えんとする傾向が強く、正常なる輸出に大なる支障を来たしておるが、これに対する対策につき政府はいかなる処置を講ぜられたか、あわせて承わりたいのであります。  第六点は総合的エネルギーに関する問題でありますが、天与の資源に乏しく、狭い国土に過剰の人口をかかえて、いまだ完全なる独立さえ確保できない日本を福祉国家たらしめんとするには、計画経済の必要なことは言うまでもありません。民主党内閣がこの点に気づいたことは、おそきに失するも、とがめ立てすべきではないと思います。日本経済の重点が輸出振興に置かれておる限り、産業の合理化、近代化、エネルギー政策の確立、技術の向上、物価の引ぎ下げ等、一連の総合的施策の必要なことは言うまでもありません。石炭、電力、石油の三大熱源のうち、石炭はカロリー換算単価が比較的高く、炭価の引き下げが急務であります。これがためには、石炭の合理化、石炭の需給の安定化をはかり、低品位炭のガス化、火力発電への利用度の増大をはかるなど、多角的用途の開拓に努むべきであります。政府は、石炭鉱業合理化法案を今国会に提出せんとしておるが、中小炭鉱の整備統合、技術指導、販売方式等に関し適切な指導育成をあわせ行うべきであって、いたずらに大資本偏重の弊に陥らざるよう注意を喚起せんとするものであります。  電力は、開発が進むにつれて条件が悪く、コスト高の傾向をたどり、このまま進めば、三十五年度には電気料金を二割程度引き上げなければならぬと言われておるのであります。政府は、電力設備の近代化計画に関し、いわゆる松永構想をいかに取り入れんとするか、所見を承わりたいのであります。次に、電力再編は世論となってきました。地域差の問題、電気料金の引き上げの問題、各会社経理内容の相違の問題、豊富低廉ならざる水力開発等々、根本的に検討すべき段階に立ち至ったことは争われない事実であります。これに対する政府の所見いかがでありますか、承わりたいのであります。  わが国の石油の消費量は飛躍的に増加し、昭和二十五年度二百万キロが、二十九年度には九百四十万キロに達しました。そのうち、国産原油はその一割にも及ばない状態であります。この際国内資源の開発を強力に推進すべきだと考えます。政府は石油開発のために本年度補助金三億円を予定しておりますが、事ここに至っては、石油の開発を一民間会社にまかすことなく、石油資源開発会社のごとき特殊会社を設立し、財政投融資とともに、民間資金を動員して画期的な開発に乗り出すべきだと思うが、政府の所見はいかがでありますか。次に、石油関税の引き上げ、消費税の引き上げ、重油の消費規正の強化は、低物価政策に反するものであります。すなわち、政府は、今回、重油に対して六・五%、原油に対して二%の関税を引き上げんとし、揮発油に対しては消費税キロ当り二千円を増徴せんとしておるが、これは明らかに大衆課税であって、減税を公約した鳩山内閣の二重性格を露呈するものであり、また低物価政策を強行せんとする内閣の方針と相反するものであります。  この際政府にお尋ねしたいことは、四日市及び徳山旧燃料廠の利用に関する問題であります。終戦すでに十年、国民の血税を投じてでき上ったこれら膨大な国有財産の利用が、いたずらに外国資本の勢力争奪と業者の嫉視反目の犠牲となり、一歩も前進し得ないことは、国家のために遺憾にたえません。政府は、すみやかに、ガラス張りの中でこの問題に取り組み、正々堂々所信に向って断固邁進されんすことを要望する次第であります。(拍手)  第七点は、中小企業に関する問題であります。鳩山内閣は、中小企業に対してはきわめて冷淡であります。ことに、一萬田蔵相の傲慢にしで冷酷な態度と、石橋通産相の人を食った態度は、中小企業者にとっては最も苦手であります。試みに、今年度予算に計上せられた中小企業対策費は総計四億三千万円にすぎません。中小企業金融公庫に対する財政投融資は、本年度百十億円であり、昨年に比し二十億円の減少であります。商工中金に対しては、本年度わずかに十億円にすぎません。国民金融公庫に対しても、本年度百五億で、昨年に比し六億円を減少しております。中小企業者の金融難その極に達し、わらをもつかまんとするときに当り、かかる政府の態度は不可解千万なりと言わなければなりません。政府は、この際、外為特別会計保有外貨を日銀に売却し、円資金百五十億円程度を中小企業金融に回す考えはありませんか。近年、百貨店の発展目ざましく、全国主要都市に百貨店網が張りめぐらされ、その経済力、宣伝力、組織力、動員力にものを言わせて多数の中小企業者を圧迫しつつあるが、このまま放任することは、ゆゆしい社会問題を巻き起す危険があります。よって、政府は、百貨店法を制定して、百貨店の行き過ぎを是正し、小売り業者との公正な競争を確保する用意があるか、お伺いしたいのであります。  これを要するに、多年にわたる保守反動内閣の収奪政策により、農民の収入は減少の一途をたどり、生活物資の価格は低落せず、農地改革前の水飲み百姓に転落しつつあり、デフレ政策のしわ寄せと労働人口の自然増により、失業者ははんらんし、生活困窮者はいよいよ増大しつつあり、中小企業者の倒産跡を断たず、社会不安はいよいよ高まる一方、地方財政はますます窮迫の度を加え、住民の不安漸次高まりつつある。一方において、政府は、資本蓄積と称して預金利子の免税措置を講ぜんとし、金融資本家の鼻息をうかがい、配当課税を軽減して証券資本家に奉仕し、企業合理化と称して石炭、鉄鋼、電力、肥料等の独占資本や犬資本家に巨額な財政投融資、金利の引き下げ、税の減免、補助金の交付等、あまりに国家の恩恵が大なるに一驚を喫する次第であります。かくのごとくにして、富める者はますます富み、貧しき者はますます貧しく、好ましからざるところの社会現象を生じ、極左、極右激突の態勢が漸次醸成されつつあることは大いに考えるべきことでありまして、為政者の責任もまた大なりと言わなければなりません。   [国務大臣鳩山一郎君登壇〕

鳩山一郎日本民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鳩山一郎君) 中崎君の御質疑に対して答弁いたします。  綱紀粛正の問題については、もとより万難を排して実現したい覚悟でございます。  選挙について、権力の乱用あるいは国費の乱費、そういうことは絶対にありません。  一兆円予算、これは、今回予算を作成するに当って、おもなる一つの基礎となったものであります。この一兆円予算のワクを越えたとは思っておりません。また、越えることについては非常に重大な問題だと思っております。  吉田君の書簡は、もとより条約ではありません。国会の承認ももとより受けておりませんけれども、これはまあ、見方によれば一つの政策の表明でしょう。しかし、吉田君の出した政策の表明というものは、一応は尊重するのが一国として当然なことだと思いまして尊重していきたいと思っておるのでありますが、一応というわけでありまして、特別の情勢の変化があれば、これは変更をしなくてはならないとは考えております。  以上、答弁をいたします。(拍手)     〔国務大臣一萬田尚登君登壇〕

一萬田尚登日本民主党大蔵大臣

○国務大臣(一萬田尚登君) 御質問の一つは、一兆円の予算のワクは破られておりはせぬかという御質問であったと思います。一般会計において九千九百九十六億円でおさまっておることは言うまでもないことであります。おそらく、防衛費の予算外国庫負担行為があるから、これを加えると一兆円をこえるのではないか、こういう御質疑でありますとすれば、そうであるのでありまするが、これは、いつもこういうことはあるのでありまして今回が初めてではないのであります。  なお、専売益金三十億円、それから揮発油税の一部を地方道路税にする、こういうことは一兆円にするために無理にしたのではないか、こういう御質疑であったかと思いますが、そういうことはないのであります。この税は、本来地方税に持っていくつもりのものでありまして、この性格からして地方税であって、一般会計に入れなくてもいい性格を持っておるのであります。そういう意味でありまして、一兆円を組みましたが、たびたび申し上げますように、決して、そういうふうに形にとらわれて、ただ一兆円を組んでおるというのではありません。従いまして、ただ形を整えるためにいろいろの所作をするということもいたすわけではないのでありまして、これは、日本の経済の今後のあるべき姿、ずっと根本的なところから、こういうふうにあるがよろしいということから出ておるのでありまして、ぜひともこれは御了解を得たいと思います。  それから、一兆円予算というようなものと金融政策との関係はどうか。これは、おそらく、一兆円というような予算を組めば、特に三十年度においては前年度の繰越金も少いというような関係から、資金的に経済を圧迫しはせぬかという御配慮であろうと思う。それは十分注意をしなくてはなりませんが、しかし、この一兆円予算も、やはり相当な、少くとも七百億から八百億の散超になる予算ではあるのであります。それに、投融資において昨年度よりも約四百二十億くらいふやしてあります。昨年度に比べれば、なお今後における国際収支の関係、言いかえれば、輸出ということがそれほどうまくいかないのではないか。いわゆる輸出入の関係を見れば、これはとんとんということになっておりますから、二十九年度とはよほど事情を異にいたしております。その点はよく考慮しなくてはならないと思いますが、しかし、今申しましたように、相当やはり財政からも市場に金が出回って、特に今後において一そう好ましい状態が現われますことは、財政が締って、そうして金融の方が、言いかえれば一般民間資金が蓄積ができて、言いかえれば銀行の預貯金もふえてくる。そうすると、金融というものが円滑にいき、金利も下るという情勢を一方馴致してくれる。財政は締ってくる。そうすると、金融としては本来の姿に帰って、そうして弾力性を持って融資をすることができるというので、経済というものが健全な発達をしていく、こういうことになるのが三十年度の特色であると考えます。二十九年度は、大体財政から非常な散超がある、あるいはまた為替がら来たものですから、御承知のように、非常に金融の引き締めをやって、もう金融独走というような非難もあった程度に金融の引き締めをやりました。その結果、日本銀行券が千六百億以上も収縮をした。こういうような形をとらざるを得なかったのですが、そういうような点はよほどよくなった。それから、特に、そういう情勢におきまして、やはりデフレ的な関係から中小企業の方面においていろいろとお困りになる程度が強くなってくる。これも考慮に入れなくてはいけない。そうでありますので、今回の三十年度の予算におきましても、中小企業金融については特に私としては留意をしたっもりでありまして、ちょっと申し上げてみますと、国民公庫におきましては、政府出資を二十億、運用部借り入れを八十五億、それに回収金等三百五十七億を加えると、昨年度の実績を五十七億円上回る、こういうようになっておりまして、四百六十二億円、こういうことになるのであります。中小企業金融公庫におきましても、政府出資の十五億、運用部借入金九十五億を予定しておりますので、これに回収金を加えますと百三十五億を加えることになり、昨年度の実績を三十億円上回る貸付をなし得る。こういうようにして、なお商工組合中央金庫につきましても、特に今回は十億円を政府から出資する。そうして、民間の出資をこれで誘致をしよう。そうして債券発行の限度も大きくなる。こういうふうに、できるだけの、乏しいところではありまするが、できるだけ中小企業にはめんどうを見る、こういう態度でおることを御了承を得たい、こういうように考えます。  なお、先ほども申しましたように、預貯金を非常に増加させるという政策を推進いたすのでありますから、むろんこれは金利は下るべき傾向にある。同時に、そういうふうに国としても資本蓄積に非常な力を注ぐのであるから、この金を預かる金融界においても、できるだけできるだけできるだけでなく、ほんとうに合理化をして、そうしてみずから金利を引き下げる意欲をたくましくせなければならぬということは私から申すまでもないと思いまして、そういう方向に指向をして指導をいたしておるわけであります。  大体御質疑の点に触れたと思います。(拍手)     〔国務大臣石橋湛山君登壇〕

石橋湛山日本民主党通商産業大臣

○国務大臣(石橋湛山君) 中崎君の御質問は非常に広い範囲にわたっておりまして、ちょっと聞き取りにくい点もありましたから、落ちるかもしれませんが、御了承を願います。   一つは、先ほど成田君からのお尋ねと同じように、経審長官代理として私がここで述べました演説の中で対中共貿易のことに触れていないということでありますが、これは、先ほどの成田君にお答えした通り、決してそれを閑却しておるわけではないのであります。問題が違いますから、あそこには触れておらぬのであります。  それから、ココムのお尋ねでありまするが、これは、わが国がこれに加わったのは一九五二年九月からということになっておりますが、一種の国際協議会であります。日本として自由主義国家群と協調を保っていき、経済協力を行なっていくという立場からは、やはりココムに参加しておく必要があるから参加しているのであります。しかし、それが今の世界の状況でありますから、日本が中共貿易を拡大する場合には、あのリストがじゃまをしていることは事実であります。この解除をできるだけ行いたい。特に日本の特殊の立場を了解してもらって解除を行いたいという努力は続けております。しかし、現状でありますから、なかなか国際関係がうまくいきませんので、困難をきわめております。  それから、外貨の商社割当のお尋ねでありましたが、これはものによって違う。かなり複雑でありまして、一々これを覚えておりませんが、一体、外貨の割当とか輸入物資の割当とかいうことが続いている間は、どうせうまくいかないのです。こういうことがなくなって自由貿易にならないといけないと私は考えております。しかし、輸入物資は大体において製造業者に割り当てておる。それから、実際に為替を取り組む場合には商社が取扱いをするものでありますから、為替関係においては一応外貨を商社に割り当てるような形になりますけれども、しかし、それによって実際その物資を使用するところの業者が商社のために首を押えられるというようなことは絶対にございません。ただ、紡績にはちょっと問題がありまして、ことに、中京、名古屋付近の紡績業者は、いろいろ、金融の関係から、商社に対する外貨割当では困る、紡績業者自身に外貨を割り当ててもらいたい、そうするといろいろ金融上の便宜があるということであります。あるいは、特殊事情といいますか、本年はとにかくそういう事情をくみ取りまして商社割当にいたしません。とにかく、半年ばかり、これを今まで通り紡績業者割当にいたしまして、もう少し様子を見る、その間に準備して、だんだんノーマルな状況に持っていきたい、かように考えております。  それから、石炭の合理化を大いにやれというお話のようでありますが、これも大いにやりたいと考えております。同時に、燃料に対する総合対策を考えまして、重油等との関係を調節いたしたいと考えております。  それから、国産石油については、昨年一億円でありましたのを、今年は三億円にふやしまして、国産石油のボーリングを強化するつもりであります。なお、中崎君の御意見のように、これは特殊の開発会社を作ってやれという御意見は私どもとしても十分尊重いたして、ただいま研究もいたしておりますが、なおさような方向に向って御意見を尊重していきたいと考えます。  それから、石油関税は、お話しのように、これはもともと関税があるのを一時の事情によって停止しておりましたが、今年はある程度回復しよう。  それから、ガソリン税のことは、これは道路問題に結びつけたことでありまして、これによって物価が上るというようなことは私としてはないものと考えております。  それから、燃料廠の処分については、御説のように、ずいぶん長い問題でありますから、この際各方面の了解も十分得て、また合理的な解決をいたしたいと存じまして、ただいま努力中でございます。  それから、中小企業対策に対して非常に不熱心だというお話でありますが、決してそんなことはございません。中小企業に対しては非常に熱心にやっておるつもりであります。  それから、財政投融資の、今の中小企業金融公庫などについては今大蔵大臣から答弁された通りでありますが、ことに商工中金に十億円の出資をせいということは、非常にその方面の資金を豊富にすることになります。中小企業金融公庫の方も、現在は中金に二十億ほど融資しております。幸いに、商工中金の増資によりまして債券発行力もふえましたから、従って、現在商工中金に融資しておりますうちの少くとも十億円くらいは中小企業金融公庫の方へ返してもらえますから、あの予算書で見るよりも、さらに十億円程度は中小企業金融金庫の融資額もふえるはずでございます。  それから、百貨店の問題は今研究をいたしております。ただ、さっきも中小企業について申し上げましたように、中小企業というものはぜひとも大いに助長していかなければならぬのですけれども、同時に健全な発達を希望するのでありましてただ、ある一方のものをさいて、あるいは補助をもらって、ようやっと生きているというようなことでは、いつまでたっても中小企業というものはほんとうのものになりませんから、そこで、そういう、単にある一方を押えて中小企業を生かすというようなことでなく、ほんとうに消費者の立場から見まして、百貨店というものの活動も消費者にとって十分できるようにいたしまして、かつ中小商業者に悪影響を与えないようにという考え方で、ただいまやっております。百貨店法を作るか作らないかということは、まだ決定しておりませんが、現在もすでに百貨店に対しては不当な競争というものは禁止しておりますので、そういう方向でなお進んで参るつもりでおります。  以上、お答えいたします。(拍手)     〔国務大臣川崎秀二君登壇〕

川崎秀二日本民主党厚生大臣

○国務大臣(川崎秀二君) 戦没軍人遺族の公務扶助料を一般文官遺族の公務扶助料等の支給水準並みに増額することにつきましては、国家財政その他の事情の許す限り、逐年これを強化したい考えであります。昭和三十年度予算におきましては、国家財政の制約のために十分な措置を講ずることができませんでしたが、まず、現下の経済事情からいたしまして、下に厚くすることが最も妥当であり、急を要することであると考えましたので、下級の下士官、すなわち軍曹、伍長並びに兵等に重点を置きまして、できる限りの措置をいたすことといたしたのであります。なお、兵の公務扶助料の増額等の均衡からいたしまして、軍属等に対する遺族年金につきましても、同様に増額することといたしました。(拍手)      ————◇—————

大石武一日本民主党

○大石武一君 国務大臣の演説に対する残余の質疑は延期し、明後三十日定刻より本会議を開きこれを継続することとし、本日はこれにて散会せられんことを望みます。

益谷秀次自由党議長

○議長(益谷秀次君) 大石君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

益谷秀次自由党議長

○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって動議のごとく決しました。  本日はこれにて散会いたします。     午後五時三分散会

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