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22回国会衆議院1955/07/20

貿易振興に関する調査特別委員会 第14号

発言数
25
登壇者
5
会派数
2
開催日
1955/07/20

会議録

前田榮之助日本社会党(右)

○前田委員長 これより会議を開きます。  貿易の振興に関し調査を進めます。本日は硫安の輸出及び日中貿易支払い協定の問題について質疑の通告がありますから、これを許します。帆足計君。

帆足計日本社会党(左)

○帆足委員 軽工業局長がまだお見えになっていないようですから、先に経済局長にちょっと御質問いたします。  貿易のことを促進しますためには、内外の実情をよく知っておくことが必要なのですが、昨年の共産圏と自由諸国との貿易の総額、アメリカのFOAで発表いたしておるそうですが、お手元に資料をお持ちでありましょうか。大体の概略を御報告願いたいのです。  それから、もう一つは、西ヨーロッパ諸国と東欧共産圏との間の貿易ですが、これが年額九億ドルをこえているように聞いております。私はいつもそれを言うのですが、西ヨーロッパ諸国にとってのいわゆる中共貿易は東欧諸国である、カナダにとっての中共貿易はアメリカである、日本にとっての中共貿易は北アジアである、こういうことだと思うのであります。西ヨーロッパ諸国が西ヨーロッパの中共と九億ドル貿易しているのに、われわれは三千万ドル、二千万ドルの輸出しかしていない。いかに日本の置かれている状況がおくれているかということを御了察願えると思うのであります。経済学というものはこういうことを知るための学問だと思うのであります。あまり数字の開きが大きいものですから、外務省当局にお尋ねして、こういうことをもっとよく一般国民大衆に知っていただく必要があるじゃないかと思うのです。大体日本人というものは昔から神様の国に生まれたという錯覚を持っておりますせいか、日本が島国であり貿易の国であるということをほとんど忘れておりまするし、大体人間に生まれたということをまだよく知らないで、おれは裁判官に生まれたとか、巡査に生まれたとか、役人に生まれたとか、会社員に生まれたとかいう錯覚を持っている人が多い国ですから、それで、わずか三百万トンぐらいの鉄の需給力で一億トンの鉄と戦争して、こういうばかな結果になったのでしょうが、事実を知らない、事実に即した物の考え方をしないということが一大欠陥であると思うのです。二つの世界の問題も、十六世紀か十二、三世紀じゃあるまいし、フイフイ教徒とキリスト教徒との十字軍の争いじゃないだろうと思うのです。これは、近代社会問題の上に咲いた、きわめて平凡な、そして歴史的な進化の過程における対立にすぎないので、この対立を、原子科学のもとで、流血の惨にせずに本格的な進化の道をたどらしたいというのが、理性ある人間のだれしも考えねばならぬ課題だと思います。この点は、現在のアメリカ国務省の考え方などというものは、昔の七、八百年前のおくれた回教徒の考えと同じようなもので、もっと勉強してもらわなければならぬ。ラチモアなどの主義主張は別として、すぐれた学者を赤だと言って魔女裁判にかけるというようなおくれた国の意見などをありがたがっているようではまことに寒心にたえぬと思うのです。もちろん外務省の経済局には何人かのスタッフがおりましょうから、私のお尋ねする数字などは宙で覚えておいでになるだろうと思いますから、一つ、昨年の状況がどういうことになっているか、御説明願いたいと思います。

湯川盛夫外務事務官(経済局長)

○湯川政府委員 FOAの報告によりますと、自由主義諸国とソビエト・ブロックとの貿易は、昨年度におきまして、自由主義諸国からソビエト・ブロックに対して輸出されはものが十七億二千万ドル、ソビエト・ブロックから自由主義諸国に輸入された額が十七億三千八百万ドル、そういうことになっております。

帆足計日本社会党(左)

○帆足委員 東ヨーロッパ諸国と西欧諸国との関係はどうですか。

湯川盛夫外務事務官(経済局長)

○湯川政府委員 そのうちで、これを大体三つにわけて御説明します。ソ連、それからいわゆる東欧ソ連諸国、それから中共、こういうふうに三つに分けますと、自由主義諸国からソ連に対してなされた輸出、それが五億八千五百万ドル、東欧ソ連圏に対してなされた輸出、それが八億五千万ドル、中共に対してなされた輸出、それが二億八千五百万ドル、そういうことになります。

帆足計日本社会党(左)

○帆足委員 ただいまのFOAの報告書、それから、欧州経済委員会ですか、ECEの西ヨーロッパ諸国と東欧圏の貿易についての報告、それの共産圏との貿易の部分を、英文でもけっこうですし、また日本文になったのがあれば一そうけっこうですが、その抜き書きをいただきたいのです。これはなぜかと申しますと、きょうの貿易振興委員会の理事会で決定いたしましたが、今度の四巨頭会談で、正式の議題として東西貿易の緩和ということが議題になっているわけです。四巨頭会談のそれぞれの大統領の演説を読みますと、確かにアイゼンハワーの演説は私は抜群のものであると思って読みました。ワシントンの子孫だけの気魂は文間にあふれておると思います。それから、ソ連の首相の演説も、私は非常に今度は優秀であったと思います。前の岡崎気違い外交などと違って、人間の言葉が世界の舞台で語られるようになってきましたので、外務省当局の諸君も、どうか、神風時代の爬虫類思想でなしに、人間の頭脳で一段の御勉強をお願いしたいと思うのです。と申しますのは、日本にはルネッサンスがなくて、歴史の書物の示しますように、日本の官僚機構は封建残存物の一環でございまして、そのために、まだ理性とヒューマニズムの点において認識が非常に足らないと思うのです。そういうことでは世界の外交の常識についていけなくなりますから、ぜひとも、この人類の歴史における最も大きな四大国会議の成果の成功をわれわれ期待するとともに、その方向におくれないように日本の外交も進んでもらいたいと思うのです。従いまして、今の二つの資料をぜひともいただきたい。国会としては共産圏に対しての輸出統制の緩和の決議案をいたしますから、相呼応して十分なる資料をいただきたいと思います。いつまでも小銃、機関銃の時代じゃありませんから、万有は流転し、道は次第に開けてくると思うのです。  この前の硫安審議会のあとの硫安審議会の結論は、新聞で拝見いたしまして、輸出が六十万トンくらいになったというふうに拝承しておりますが、その六十万トンの今後の配分計画、輸出計画について、なるべく詳細に要点を御説明願いたいのです。

長尾正通商産業事務官(軽工業局化学肥料部長)

○長尾説明員 お答え申し上げます。先般この委員会で御報告申し上げました案通り、肥料審議会において需給計画は決定に相なりました。来肥料年度の輸出数量は、アンモニア系の肥料につきましては六十一万一千トンであります。ただ、これのどこに幾ら向けるかという仕向け地先配分と申しますか、その点につきましては現在きめておりません。と申し上げますのは、従来の取引の関係、あるいは見返り物資の関係、さらに今後の取引関係の変更等によりまして、あくまでわれわれとしてはこの輸出をコマーシャル・べースのもとにおいて行いたいという考えでありますので、詳細にこの数量についての配分は現在のところきめておりません。

帆足計日本社会党(左)

○帆足委員 昨年に比べて十万トン以上も輸出がふえるようになったのですから、かりに、日本の化学工業の前途、それから電源開発の前途を考えますと、中国への硫安の輸出は非常に期待できるものの一つだと思うのです。その期待し得べき市場に対して今のうちに根を張っておくことは、私は化学工業として非常に重要なことではないかと思うのですが、そうであるとするならば、昨年の実績は、かりに七万トンであったとすれば、今年十万トン出し得るとか、あるいは勉強すれば十五万トン出し得るんじゃないかと思うのですが、それを一括して政府の方で十五万トンぐらいは出すという見通しがあるならば、中国の方に交渉をいたしまして、その十五万トンをどのくらいの値段で出すというようなことをおとりきめするあっせんでもしたらどうであろうかと思いますが、どういうふうにお考えでしょうか。

大堀弘通商産業事務官(通商局次長)

○大堀政府委員 硫安の輸出能力が昨年より増額されておることは事実でございますが、これをどこへどれだけ出すかということにつきましては、やはり売り先の各国との通商関係を考え、日本に最も有利な条件を取得することをきめていくということが必要ではないかと考えております。同時に、商社の商売の立場から申しましても、有利な条件でやはりやっていかなければならない。ただ、その両面を考えまして、私どもといたしましては、この内訳を、どこへどれだけやるということをあらかじめきめることは、むしろ日本側にとって有利じゃない。各国からいろいろ引き合いも来ておりますし、話も出ておりますので、その情勢も勘案して、最も有利な条件のところに持っていく、こういう考え方をとりたいと思っております。

帆足計日本社会党(左)

○帆足委員 そういたしますと、去年の七万トンに対して今年は十万トンぐらいは可能性があるように、しろうと考えで察しますが、中国側から今二十万トンほしいと言ってきておるわけでありますけれども、これに対して台湾、朝鮮以外の硫安輸出市場が非常にふえて参っておる傾向がある。そういう市場があるとすれば、大体どういう状況でございますか、これも硫安増産の参考としてお示し願いたいと思います。

大堀弘通商産業事務官(通商局次長)

○大堀政府委員 最近は東南アジアあるいはフィリピンその他につきましても相当活発な引き合いがありますので、これらの地域に対してもかなり有利な条件で輸出することができるとい一見通しもあるわけであります。

帆足計日本社会党(左)

○帆足委員 硫安の輸出がこういうふうにひっぱりダコであるとするならば、貿易振興委員会としても、輸出工業としての硫安増産計画というものを一度検討し、またさらに拍車をかける必要があるとするならば、一段と国家的な産業として拍車をかけなければならぬと思いますが、硫安のただいまの増産計画の中に、最近のこのような輸出の増進というものが十分に織り込んでありますかどうか。

長尾正通商産業事務官(軽工業局化学肥料部長)

○長尾説明員 先ほど通商局の次長からお話がありましたように、最近非常に輸出の引き合いの旺盛なことはわれわれも聞いておるのであります。一方内需もやはりなかなか旺盛であります。それこそ見合いまして、われわれとしましては従来から合理化計画を樹立してやっておるわけでありますが、さらに、最近の実情を織り込んで、必要があれば計画の改訂もいたさなければならないのじゃなかろうかというようなことで、内需の今後の肥料の形態別の需要、あるいは海外における需要の状況というものを、それぞれ関係機関を通じて調査をしておるわけであります。しかし、現在のところ、われわれが持っておりますこの増産計画の達成によりましてまかない得るのではなかろうか、かように考えております。

帆足計日本社会党(左)

○帆足委員 海外からの硫安の注文が来ても応じ切れないでおるということは、この不景気においてまことに残念なことだと思うのです。従来、硫安工業といえば、農民諸君を相手にして、それを中心として考えられる傾向が強かったように思うのですが、この百方行き詰まりの不景気のときにおいて、ひとり硫安だけが輸出に応じ切れないでいる、しかもそれが十万トン以上だということは、ほんとうに残念なことだと思うのです。この問題については、まだ東南アジアでは化学肥料の輸出を増加する見込みもあるし、また石灰窒素のように使いなれないものでも、経済使節を派遣するとか、技術者を派遣するとかすれば、これもまた買ってもらえるような方法もあるのではないかと思うのです。従って、この最も有望な化学肥料の輸出ということについて、これは先般委員長からも話があったのですが、貿易委員会としても、貿易振興という見地から、一度根本的に検討して、そうして硫安の増産に拍車をかけるような措置もとるべきではないか。いずれ、この問題を中心として、この委員会で専門的に一ぺん取り上げて検討してみたいと思っておりますので、これに必要な資料なども一つ御準備のほどをお願いしたいと思います。  それから、きょうの新聞に出ておりました台湾政府との関係ですが、台湾としては、今苦しい立場にありますから、当然のことでしょうが、単に中国との貿易ばかりでなく、共産圏と貿易すること全体に対して大へんいやらしいことを言って参っておるようでありますし、また身がわり会社を作るという問題についても攻撃が来ておるように聞いております。この問題について適切な外交交渉をなさるという通産大臣のお言葉でありましたので、大いに期待しておりましたが、もうあれから二カ月近くにもなっておるわけです。そこで一つ最近の経過だけを御報告願いたいと思います。

湯川盛夫外務事務官(経済局長)

○湯川政府委員 ただいまの中共と貿易する商社には国民政府の信託局は取引の相手として措置しない、こういう問題につきましては、先般来いろいろなレベルで台湾政府に対して折衝をしておるわけでありますが、先方の言い分は、中共との取引を台湾人がするということは通敵行為であって、自分らの国民には禁じられておる、中共と取引する商社と台湾の政府機関が取引するということも、間接ではあるが通敵行為になる、従って、どうしてもこの点は今までの方針を変えるわけに行かないという主張をしておるわけです。こちらは別にそれを認めたわけではありません。日本としては貿易で立っていかなければならぬのだし、戦略物資については輸出禁止、統制、そういったことを相当行なっているのであるから、そういう差別的な取扱いはぜひやめてほしい、こういったとで議論をしております。ずいぶんこれは大臣のレベルでもやり、事務当局はもちろん、台北の大使館も交渉し、各面で交渉しておりますが、遺憾ながら今まで解決に至っておりません。

帆足計日本社会党(左)

○帆足委員 この問題は、私は政府としては非常に御苦労だと思うのです。一台湾を相手にしてあまり張り切ってみたところでおとなげないことですし、台湾政府のどうかつに驚くほど日本の政府は意思薄弱でもないことはだれでも知っていることですから、衝に当られる方はほんとうにごめんどうなことだと拝察しております。強い相手に対して交渉するのでしたらまだいいのですけれども、相手の立場が強くありませんから、一そう交渉がしにくい点もあろうと思います。しかし、先ほどのように、自由主義圏が共産圏とすでに十七億ドル以上の貿易をしている。自由主義のチャンピオンである西ヨーロッパ諸国は東欧共産圏に九億七千万ドルの輸出をしている。ですから、台湾がぐちを言うならば、世の不幸を嘆くべきであって、別に日本だけに抗議を申し込むことは筋違いであることは明らかですし、また台湾が新中国と戦時状況にあるにしましても、この中国は、第一、自由主義のチャンピオンの英国によって承認されておりますし、台湾の保護者であるところのアメリカも、気違いではございませんから、モスコーに大使館を置いている。決してロシヤ国民とアメリカ国民とは何ら戦争する理由はなく、友好で行きたいという演説をして、世界に向って声明しているような状況ですから、私は、台湾としては、あまりにも狭量なことを言って、みずからの没落を早めるようなことになるのではないかと思います。それにしてもほうっておくわけにも参りませんから、政府としては断固たる措置が必要だと思うのです。その場合に、台湾は、日本からの輸入をどこか他に切りかえるとか、そういうような傾向なり意見を漏らしておりますでしょうか。また、それでは日本との貿易を制限するぞといって、お得意先を他に取りかえる可能性などというものも多少憂慮されるものでしょうか。

湯川盛夫外務事務官(経済局長)

○湯川政府委員 今までのところは、そういったことは向うは申しておりません。ただ、台湾としては、中共と取引する商社とは自分らは取引できないから、こういうことを言っておるだけであります。

帆足計日本社会党(左)

○帆足委員 きょうの新聞によりますと、中共だけじゃなくて、共産圏と貿易をする商社はみないけないというふうに、さらに主張を拡大しているように出ておりますが、その点はお聞き及びでしょうか。

湯川盛夫外務事務官(経済局長)

○湯川政府委員 最近ただいまお話のような話がありました。前は信託局、これは台湾国民政府の機関でありますが、そこからの話は中共に一応限定されていたわけでありますが、最近台湾省政府の機関でありますサプライ・ビューローというのがございますが、そこは、中共を含んでソ連圏全般と取引をしている商社とはわが方は取引しない、こういう意向を発表して業者に伝えたようであります。

帆足計日本社会党(左)

○帆足委員 この問題は商社にとってはやはり非常にめんどうなことだと思う。だだっこをあやすようなことになるのですが、あやだけでは済みませんので、やはり日本側としては一面強い態度にも出て、そうして落ちつくところに落ちつかせる必要があると思うのです。商社の方では貿易会の方に集まって対策を練っているということが、きょうの新聞に出ておりますが、政府側としてもこれに対して適切な指導を与える必要があると私は思うのですが、その辺の連絡は十分とれておりますでしょうか。

大堀弘通商産業事務官(通商局次長)

○大堀政府委員 最近の事態につきましては、目下事情を的確に調査いたしております。業界の動きについても十分私どもは注意し情報をとっているわけであります。業界の方としては、今回の物資局の要求に対しては相当強い態度に出たいという考え方を持っております。私どももそれが適当ではないかと考えているわけであります。

帆足計日本社会党(左)

○帆足委員 商社として、誓約書を出したり出さなかったり、いろいろになりますと、問題が一そう混乱するだけで、問題の解決にならないと思います。従いまして、商社としては大体一致した行動をとることが望ましいように思いますが、その点は政府当局の御指示とはどういう関係になっておりますでしょうか。

大堀弘通商産業事務官(通商局次長)

○大堀政府委員 目下のところ、政府が指導するとかどうするというところまで考えておりませんし、またそれが適当かどうか研究を要すると思うのでありますが、業界といたしましては、自発的にこの際できるだけ共同の歩調をとって、一致して強力に行きたいということを言っております。それが適当ではないかと考えております。

帆足計日本社会党(左)

○帆足委員 この問題は、いずれ韓国の問題もありますし、事はさほど大きな問題ではありませんけれども、やはり日本の貿易業者としては非常にこれは苦労する問題の一つだと思いますので、政府当局といたしましても、ごめんどうでしょうけれども、事態をよく御調査下さって、適切にして有効な措置をとっていただくことを要望する次第であります。  それから、先ほど外務省にお願いいたしました資料の点は、ぜひとも一つ御準備のほどを願います。  以上で質問を打ち切ります。

前田榮之助日本社会党(右)

○前田委員長 ほかに御質疑はありませんか。  それでは、次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午前十一時二十九分散会

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