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22回国会衆議院1955/07/25

法務委員会 第40号

発言数
37
登壇者
8
会派数
2
開催日
1955/07/25

会議録

世耕弘一日本民主党

○世耕委員長 これより法務委員会を開会いたします。  本日の日程に入るに先立ち、理事の補欠選挙についてお諮りいたします。すなわち、委員異動に伴い理事が二名欠員となっておりますので、古屋貞雄君、田中幾三郎君を理事に御指名いたしますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

世耕弘一日本民主党

○世耕委員長 御異議なければさように決定いたします。  この際三田村委員より発言を求められております。これを許します。三田村武夫君。

三田村武夫日本民主党

○三田村委員 本委員会の議事を進めまするに当りまして、この際一言委員長に申し上げておきたいと思います。問題は去る十九日、売春等処罰法案採決の際における神近委員の発言に関連してでありますが、この発言は翌日の新聞にも伝えられ、世間にいろいろな疑惑をまいておるようであります。当委員会といたしましても世上注目の焦点になりましたあの法案審議の過程において、とかくの疑惑をもって見られることはまことに心外千万でありますし、神近委員せっかくの御発言でありますから、この際厳粛に一つこの問題についての御処置を委員長にお願いしたいのであります。神近委員はこの発言の中でこう言っておられます。「今日の委員会のあの廊下では、業者の方々が、あの男には二十万だったか、あの男には三十万だったっけというようなうわさをしていて、それにしちゃやり方が手ぬるいというようなこと今もささやいていたということが私どもには報告されたのです。そういうことを考えますと、今いろいろ入りかわり立ちかわりお述べになったところの、この法案反対の御意見というものは、そういうような意図から行われたのであって、そうしてこれは納得できない政治的陰謀によってつぶされるということを私どもは感じます。」、こういう神近委員の御発言であります。これに対して委員長から御注意がありました。その注意に対して、神近委員は、さらに私は「事実のところを申し上げたのでございます。」こう言っておられます。つまりあの採決の際に、法案反対の立場から意見を述べられた当委員会の委員諸君の御意見は、神近委員の御意見によりますと、反対のための政治的陰謀によるがごとき御見解になっておるのであります。これは実に重要な発言でありまして、われわれ少くともあの法案に対し真剣に熱心に審議を続けて参りました立場からいたしますと、どうしてもこのまま看過できないのでございます。私はえりを正して神近委員の発言を聞いたものでありますが、同時に委員会の廊下で、どのような形でどのような人々によってささやかれたうわさであるか知りませんが、その言葉に対して、私は押えがたい屈辱と怒りを感じたのであります。これはひとりわが法務委員会だけの問題ではなく、少くとも国政最高の権威たる国会に対する最大の疑惑であります。少くともこういう疑惑の中に包まれて、われわれは厳粛な意味における法案の審議に当るということはたえがたいことだと思います。どうか一つ委員長、この際神近委員のこの御発言をさらに再確認願いまして、このよってきたる神近委員発言の具体的事実の疎明を委員長の責任においてお願いいたしたいことが一つと、いま一点は、委員長から、この事実を基礎にいたしまして、法務当局にすみやかに厳粛なる捜査権、検察権の発動を御要求願いたいのであります。それが厳粛に当委員会の審議を進める最も重要な前提条件であることをこの際申し上げて、委員長の善処を要望するものであります。

世耕弘一日本民主党

○世耕委員長 三田村君の御趣旨は了承いたしました。本日はその発言をなさった神近市子君が残念ながら出席しておりません。後刻事務当局を通じまして即刻登院をされて、今三田村君から言われた言葉に対してもう一度発言を求めることが例だと思いますから、さような処置をいたしたいと思います。もし本日おいで願わなければ、明日特に出席を求めて、その真意を確かめて、その上で検察当局の手続をとるということでもおそくはない、かように考えております。さよう処置をいたしたい。本件は世論の渦中にあった法案を取り扱っただけに、単に法務委員会の問題ではなしに、国会の権威の上からもむしろ明確にしておく方がいい、かように考えておりますから、そういう処置をとりたいと存じます。

三田村武夫日本民主党

○三田村委員 ただいまの委員長の御処置、御方針は了承いたします。しかしながら委員長の御処置についてなお納得のいかない場合は、この問題についてさらに発言の機会を留保いたして今日のところは了承いたします。

世耕弘一日本民主党

○世耕委員長 了承いたしました。なお委員長に直接関係のあることなんですが、この機会に御発表申し上げておきますが、読売新聞の記事にこういうことを書いておるのであります。過般委員諸君と一緒に赤線地区を委員長が視察いたしましたときに、「この視察のあと、委員長には変な言動があらわれはじめました。吉原で何か陳情をうけてきたことは、私にはすぐ感じとられました。国会内では、いろいろうわさがとびはじめました。」云々ということと、「七月七日の参考人の召喚には、辻政信氏あたりの猛反対があったのに、委員長は専門員室にいる娘さんの父親の吉原のボスで、全国特殊カフェー組合理事長を召喚者の一人に加えてよび出しました。」云々ということと、「築地の料亭で代議士が十四人業者側と協議をした」云々という記事が出ておるのであります。その中で「辻政信氏あたりの猛反対があった」にもかかわらず云々ということは、私の一向に了承しない事実であります。御承知の通り参考人の人選は、理事会に一応お諮り申し上げて、その名前を明示して御賛成を得て、適当な処置を私がとったのでありまして、特に辻政信氏が現われて反対の意思表示をしたということは、私に関する限り了承いたしておりません。これは何かの間違いだとはっきり申し上げておきます。それから吉原を視察したときの状況は、従来は業者に連絡をして視察をするというその慣例を私は特に破りまして、何らの連絡もなしに突然視察する方がかえって現状がわかりやすいのではないかという委員諸公の意向もありましたし、私もさように考えたので、いわば突然現場に視察に出かけたという実情であります。これも神近君、何かの勘違いをされておるのではないか。ことに視察してから私の言動や態度が急に変ったごとく新聞にお書きになっていることは、少し筆が走り過ぎたのではないかというふうに考えております。なおこれは単なる新聞記者諸君が書いたのでなしに、その記事の紹介の最後に、「提案者の一人神近市子さんに闘い一段落の感想を書いていただきました。」というているのだから、神近さんの原稿がこの記事に現われたということになると、これは新聞記者の責任ということにはならないということにもなるのであります。暑気の折柄、勘が高ぶったり、あるいは御婦人には生理的関係でいろいろなこともありがちのことだと私は思いますから、あえて気にはかけませんけれども、少し行き過ぎた点がありますから、今三田村君からおっしゃったこともあわせて、この際厳重な調査を進めたい、かように考えております。  それでは委員諸君にお諮りしますが、この記事の中に村専門員のことが出ておりますから、一身上の弁明をいたしたいという希望であります。お許ししてよろしゅうございますか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

世耕弘一日本民主党

○世耕委員長 では村君、どうぞ。

村教三専門員

○村専門員 ただいま委員長がお読みになりました読売新聞の中には、林専門員というような名前になって私のことが出ております。委員長さえも御釈明の機会があったのでありますから、まして専門員の私にもその機会をお許ししていただくことをお願いする次第であります。なるほど当日突然奇襲的に不意に赤線地域、青線地域を視察しよう、こういう委員長の御意向でありました。理事を中心にして行こう、こういうお話でありまして、従って理事でなかった神近さんにはお知らせしなかった。しないというのは、これは委員長の指示であったと私は確信しております。なるほど何かどぎまぎしたということは確かでありまして、委員長がそういう御意向でおられたのでありますから、私としましてはそれ以上を語ることを得ず「ボソボソ」しておったことはその通りであります。次に部屋の一部に売春業者の娘さんが入っておったということにつきましては、何か私にも因縁があるように——そのときまで私を信じておって、それ以後はあまり信じなくなった、委員長についておっしゃったその後の言動がおかしいというのと同じような意味におきまして、私にも疑いを持っておられるようであります。私から申しますと、もってのほかでございまして、私は鈴木何がしという女の人が私の部屋に入ってきたことについては、全然タッチしておりません。それはしかるべき機会にお調べ願えばいいのでありまして、私は二年間くらいは何も事情を知らずに過ごしてきたような次第であります。事情がわかってからは、できるだけ部屋のいろいろな事務的な秘密が漏れないように工夫をいたしました。その点多年清廉潔白でやってきたつもりでありまして、どうか委員諸君も御了承願いたいと思います。

世耕弘一日本民主党

○世耕委員長 なお鈴木何がしの事務員は、実は単なるお茶くみ程度、電話の取次程度の女性であります。だがしかし責任を感じて、辞表を私の手元へ提出いたしております。いずれしかるべき処置をとりたいと考えておりますから、御了承願っておきます。     —————————————

世耕弘一日本民主党

○世耕委員長 それでは次に裁判所法の一部を改正する法律案を議題とし、提案者よりその趣旨説明を聴取いたします。猪俣浩三君。     —————————————

猪俣浩三日本社会党(左)

○猪俣委員 裁判所法の一部を改正する法律案の提案理由を説明いたします。これはお手元に印刷物を差し上げておりますから、ごらんいただきたいと思います。    裁判所法の一部を改正する法律案提案理由書   違憲の法令、処分を阻止し、憲法解釈を統一するため、最高裁判所による「違憲法令、処分自体の審査制度」を確立することは、憲法の精神を護持し憲法政治を推進する上に、きわめて重大な意義を持つものと信ずる。   ところで憲法第九十八条には、「この憲法は、国の最高法規であって、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない」との定めがあり、第八十一条には、「最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である」との定めがあるにもかかわらず、最高裁判所の判決によれば、いかに歴然たる違憲法令、違憲処分がなされようとも、具体的争訟事件とならない限り、これを除去し、これを無効ならしめる道はないとされている。ここにおいてか、現実政治の面にあっては、大多数の憲法学者が違憲なりと断定する事態が発生し、次第に既成事実化してゆく傾向を生じている。もし、法令、処分の違憲審査制度を確立することなく、この事態をそのままに放任するときは、やがて、憲法そのものさえ破壊せられるに至るであろうことが憂慮される。   されば、現行裁判所法を改正し、具体的争訟事件を前提としなくとも、最高裁判所が、直接、法令、処分自体の違憲性を審査し得るよう、すなわち、最高裁判所が憲法裁判所的機能をも持つよう、明確にする必要がある。   この機能を果すため、本改正案は、現行裁判所法第三条に新しく第二項を加え最高裁判所には新たに法令、処分自体の違憲審査権も与えられることも明らかにし、同時に、第七条に規定する最高裁判所の裁判権は具体的争訟事件に関する裁判権であることを明かにしようとするものである。   これ、本法律案提出の理由である。   以上であります。すみやかに御審議のほどお願い申し上げる次第であります。     —————————————

世耕弘一日本民主党

○世耕委員長 次に接収不動産に関する借地借家臨時処理法案を議題とし、提案者より提案理由の説明を聴取いたします。古屋貞雄君。

古屋貞雄日本社会党(左)

○古屋委員 ただいま議題となりました接収不動産に関する借地借家臨時処理法案について提案理由の御説明を申し上げます。  終戦直後旧連合国占領軍の進駐を見るや、占領軍は直ちに不動産の接収を開始したのであります。この不動産接収は戦後の非常処置であったのにもかかわらず、日本国政府は土地工作物使用令のほかは特別の法律を設けませんでした。これがため民法における賃貸借の規定や、借地借家法等では、接収解除後の不動産に関する権利者間の紛争は処理し得られないのであります。  すでに平和条約発効後駐留軍に対する不動産の提供につきましては、行政協定に基く土地使用等の法律による不動産の提供が根拠法となっておるわけであります。  従いまして戦災地との対比からも接収地に対する権利の調整のため、何らかの臨時特例法による解決が必要であるというのが内容から見た本案の提案理由であります。  考えまするに占領軍の接収の跡始末は、政府みずからなすべきものであります。しかるに特別調達庁、法務省、大蔵省、東京都庁等の間に議が合わず、特別調達庁の立案いたしました連合国軍使用不動産に存した賃借権等保護法案も、次官会議におきまして成案を得なかった由を聞きましたので、接収不動産関係者の損害を見るに忍びず、やむを得ず衆議院法務委員会において立案に着手するに至ったものであります。爾来本法案は第十三国会、第十四国会、第十五国会を経て第十八国会まで継続審議となり、第十九回国会においては衆議院を全会一致に通過しましたが、その後の解散により参議院にて廃案となったのであります。接収不動産の問題の解決方法としては、国家補償、賃貸借期間の進行停止等が考えられますが、いずれも政府、裁判所等により早急に実現される可能性が少いのでありまして、解決方法としましては、戦後最も国民に親しまれている罹災地に関する法律に準じて行う方法があります。よって接収不動産の処理を原則的に罹災都市借地借家臨時処理法の規定により解決する方法をとることにいたしました。しかしながら接収地域と罹災地域とは戦争を原因とする被害では同様ではありますが、終戦直後の住宅事情と、接収解除後の建物事情とでは相当の差異がありますので、罹災都市借地借家臨時処理法の若干な規定を接収地域に準用するにとどめました。  次にこの法案のおもなる内容について申し上げますと、第一に、接収当時借地をしていたものは、解除後敷地の優先借り受けができる。接収当時借家していたものは、原則として解除後建物の優先借り受けかできないことになっております。  第二に接収当時の土地や建物の所有者は、解除後自己使用する場合や、すでに権原により自己または第三者が使用している場合には、接収当時の賃借人の優先借り受けを拒否することができることになっております。  第三に、その他の規定の多くは、借地において互いに利害の相反する賃借人と所有者との権利を調整した規定であります。すなわち、賃借人の承諾の擬制や、優先借受権の存続期間や、土地使用の義務や催告による賃借権の消滅などは、いずれもその両者調節の規定であります。  第四に、接収とは何ぞやの問題がありますのでその定義を掲げ、かつ、この法律の目的を条文の冒頭に掲げました。  第五に、強制疎開地にして後に接収せられた地域についてこの法律を適用し、借地の賃借人に救済の手を延ばしております。  最後に本法案施行には予算を必要としません。  以上提案理由の御説明を申し上げました。何とぞ慎重御審議の上御可決あらんことをお願い申し上げます。     —————————————

世耕弘一日本民主党

○世耕委員長 次に人権擁護に関する件を議題とし、調査を進めます。  なお本件について、警視庁養老防犯部長を参考人とするに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

世耕弘一日本民主党

○世耕委員長 御異議なければ、さように決定いたします。  それでは質疑は通告に従って許可いたします。猪俣浩三君。

猪俣浩三日本社会党(左)

○猪俣委員 警視庁からどなたがお見えになっていますか。

世耕弘一日本民主党

○世耕委員長 猪俣君にお答えいたします。防犯部長のほか、中川刑事部長、石井警察庁長官、そのほか花村法務大臣、井本刑事局長、戸田人権擁護局長も出席しておられますから御了承願います。

猪俣浩三日本社会党(左)

○猪俣委員 わかりました。  それでは警視庁の養老防犯部長にお願いします。問題は、先般当法務委員会で私が質問いたしました日本女子大学教授東佐誉子氏に関しますることであります。東佐誉子氏は日本女子大学の料理の教授を数十年やっておった人でありますが、ある日突然暴漢三名に自動車に連れ込まれ運ばれた先が脳病院だった。そこに二ヵ月足らず監禁されており、そうして監禁せられておる間に日本女子大学内の一室にいろいろの研究の原稿材料があったのをすっかりどこかになくされてしまって、部屋の明け渡しを断行せられておる、このような事案に対しまして私は質問いたしたのであります。一体とにもかくにも女子大学の教授、しかもこれは文部省の派遣留学生としてフランスに長く留学してこられましたわが国の料理法の大家であります。その人を突然精神錯乱者なりとして脳病院にぶち込むというがごときことは、実にこれ以上人権じゅうりんはないと考える。聞くところによれば、日本女子大学におきましては、学長の派としからざる派とあって、いろいろ争っておるということであります。その争いの一つの波紋が東教授に及んだかと存じます。かようなことに対しまして、警視庁におかれては十分捜査せられたと思うのでありますが、その捜査の内容についてお聞かせ願いたいと思うのであります。

養老絢雄警視庁防犯部長

○養老参考人 日本女子大の東佐誉子さんの件につきましては、先般本委員会におきまして御指摘のあったことを警察庁から聞いたのであります。それから一部の婦人雑誌あるいは週刊紙等にこうした手記並びに事実につきまして報道されたのでございまして、この点についてきわめて異例な事実ではないかということにつきまして、さっそくに警視庁におきまして捜査に入ったわけであります。ただ関係者全部にわたりまして、一々調査する方のところまで参っておらないのでございますが、現在まで調査ないし捜査いたしました結果からいたしますと、この東佐誉子さんは一種の精神障害があるのではないかというふうな疑いから、入院をさせられたというふうなことになっておるのであります。従いましてこれは精神衛生法の規定によりまして、そうした入院等の手続がとられておるのでございますが、何分にもそうした病気、特に精神病のことでございますので、単純にわれわれ捜査官の事実の認定のみでは簡単にこれを容疑等を立てることもできないのでございまして、何分にも精神衛生法の規定そのものの解釈の問題、特に東さん御本人の精神上の障害があるかないか、精神的な病気があるかないかという医学上の診断の問題が出て参るわけであります。従いましてもし当人が精神的に何ら異常がないということになりますれば、御指摘のあったような事実につきましては、われわれとしても十分これを放置し得ない問題があると思うのでございますけれども、何分そうした診断の結果等につきましては、確定ある判定を得ておらないのでございます。現在専門と思われます医師につきまして鑑定をお願いいたしておりますけれども、最終的な結果を得ておりません。それから精神衛生法に関します患者といいますか、病人を入院をさせます際の手続等につきましても、実際行われたと思われますようなやり方が、果して何らの違法性といいますか、不適当さがないかどうかということにつきましても、主務官庁たる当局に照会いたしております。これにつきましても最終的な解釈をまだ得ておりません。従いましてその後時日は相当いっておりますけれども、われわれといたしまして、これを犯罪の容疑ありというところまで断定する段階に至っておらないのでございます。

猪俣浩三日本社会党(左)

○猪俣委員 はなはだ僕は不満でありますが、私がこの質問をしてから相当の時日が経過している、こんな重大問題に対して何という態度であるか。その精神衛生法の何条であるかちょっと呼んで下さい。

養老絢雄警視庁防犯部長

○養老参考人 東さんは当初実弟である方の……。

猪俣浩三日本社会党(左)

○猪俣委員 その精神衛生法の何条であるか条文を読んで下さい。

養老絢雄警視庁防犯部長

○養老参考人 第三十三条「精神病院の長は、診察の結果精神障害者であると診断した者につき、医療及び保護のため入院の必要があると認める場合において保護義務者の同意があるときは、本人の同意がなくてもその者を入院させることができる。」もう一つ二十九条「都道府県知事は、第二十七条の規定による診察の結果、その診察を受けた者が精神障害者であり、且つ、医療及び保護のために入院させなければその精神障害のために自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがあると認めたときは、本人及び関係者の同意がなくても、その者を国若しくは都道府県の設置した精神病院(精神病院以外の病院に設けられている精神病室を含む。以下同じ。)又は指定病院に入院させることができる。」それだけであります。

猪俣浩三日本社会党(左)

○猪俣委員 そういうふうに精神衛生法第二十九条に明らかになっている。その条件を踏んだかどうかということはすぐにわかる。院長が診察して、これは入院をさせなければならぬと判定した際の話である。本件においては東女史は一ぺんも診察も受けずに突如として自動車に乗っけられて運ばれた。それをあなたが今までかかって調べられないというのはどういうわけだ。その精神衛生法第二十九条に当てはまった行動はしておらない。しかしその近親者として同意した弟は、今警視庁だかどこのあれか知らないが官庁のやり方に対して非常に憤慨している。だましたのだそうだ。二十年も本人に会っておらないその弟を呼び出して、全然本人が知らないうちに同意書か何か取ってしまって大へん欺瞞したそうです。今弟が非常に憤慨して上申書を出している。さようなことをやって入院させておる。精神異常者であるかないか私はわかりません。おそらく東女史は天才的な人物で、こういう著書をたくさん出している。この「世界人はいかに食べつつあるか」の著書は有名なものです。これは昨年の十二月に出しております。ところが本人が精神異常者とされたのはことしの初めだ。こういうりっぱな本をたくさん出して——本日も東女史に教えを受けた女子大の生徒がたくさん来て、実に驚き入った話である——私は東女史を退席せしめて、何か人に不思議と思われる節はありませんでしたかと聞いても、ちっともない、非常に教授に熱心だ、それこそ神様につかれたかと思うくらい熱心な態度だった。天才と狂者というものは紙一重である。世の中に活動している者の中には精神病の専門家が見たらそれぞれ何かの病気を持っているかもしれぬ。われわれ政治家なども相当みんな何かの病気を持っておる。私など確かに何か病気を持っておる。しかし問題はそれじゃない。精神科医が見て何々病という名をつけたことじゃないのだ。それが入院させて監禁して、二月も入院させなければならぬ症状であったかどうかということが問題なんだ。それにはよく審査して、診察した結果でなければならぬ。一ぺんも本人を見もせずして、いきなり暴漢によって脳病院へ運び込むというやり方がどこに書いてあるか。それをあなた方が調査しないでいる道理がないはずだ。今日まで一カ月も調査しないで何を一体調査したのか、そこが問題です。精神病であるかないかの問題じゃないのだ。一体収容して治療しなければならぬ程度のものであるかどうか。しかもこの精神衛生法の二十九条に従った順序を正当に行なったかどうか。一ぺんも診察せず、いきなりさらって行くようなことをやってぶち込んでしまった。二十年も会わなかった弟を呼び出して、それをおどかしたりだましたりして、そうして同意書に印を押さしておる。今弟がみんな暴露しておる。さようなことをさして入院さしておる。そんなことはあなた方が調べたらすぐわかるはずなんだ。それを今日までそんな答弁をしておる。そんな答弁をやっておるのじゃ、これ以上あなたに聞く必要はないから石井警察庁長官にお尋ねします。あなたはこれを調べられたかどうか。

養老絢雄警視庁防犯部長

○養老参考人 非常に捜査に時間を取ったという御批判でございますけれども、ただいま御指摘の点はわれわれも最も最近に調査をする必要を感じまして、最も慎重に捜査を進める点でございまして、病院の方で全然事前の診断なしに本人を直ちに引き連れて行ったというふうに申されたのでございますけれども、現在までわれわれが調査いたしました限りにおきましては、病院の方では何分にも本人にこうした場合に直接に診断ということをいたしましても、精神上の病気の点でもございますし、ないしは本人の応諾が、そうでなくてもいろいろ心配されているのじゃないかと思います。従いまして病院の関係者をそれとなく差し向けまして、この東先生の方に対しまして、たとえば病院の食堂を増設するについて、その青写真について意見を伺ってほしいというような方法でいろいろ会ってみたり、ないしはその言動を聞きましたり、ないしは研究室についての東さんのいろいろな飾りつけ等の様子を見たり、そうした方法はとっているようであります。そうした結果に基いておそらく精神上の病気があるというふうな心配を持った、そういう診断をしたというふうに考えておるわけであります。全然何らの診断、判定も下さずして突如として拉致した、おそらく本人にはそういう感じはしたと思うのでありますが、まあ第三者といいますか、客観的にいろいろ総合しますれば、さような措置はとっていないというふうにわれわれの方では考えておるのであります。

猪俣浩三日本社会党(左)

○猪俣委員 事前に調査に行ったという人は女の人に違いない。これはどういう人物ですか。医者でも何でもないはずなんです。

養老絢雄警視庁防犯部長

○養老参考人 事前に行ったといいますのは、病院の栄養関係をいたしております職員でございます。栄養士であります。これが学校の先生の紹介を得まして東先生に面会を求めてこれに会っているようであります。従いましてわれわれといたしましてもこうした方法による調査といいますか、事前の調査が果して精神衛生法による診断になるかどうか、それについて主務官庁の意見を聞いておるわけであります。

猪俣浩三日本社会党(左)

○猪俣委員 従業婦だ。よく知っている。東もよく知っております。雑役婦みたいなものだ。それを出していって、そうしてそれが事前診察と病院は言うているそうだ。それに警視庁は同調しておる。だから警視庁の態度というものはおかしいのだ。こんな明々白々なことを何を一体やっているか。大体この武蔵野病院の院長というのは日本女子大学のPTAの会長であることはあなたは知っておるのか、知らぬのか。

養老絢雄警視庁防犯部長

○養老参考人 この武蔵野病院は日本女子大のPTAの会長が経営いたしておるという事実を知っております。

猪俣浩三日本社会党(左)

○猪俣委員 そうするとこれは日本女子大内の派閥をもっと調査しないと出てこない。そうしてもし栄養士と称するような雑役婦みたいなものをやって、診察しました——これはあとで法務大臣その他にもお聞きいたしますけれども、重大な問題なんだ。脳病院の院長と結託せられたらわれわれはあすはどうなるかわからないのですよ。猪俣浩三ちょっと変だ、そうしてこれを連れていかれて、六十日間泣けど叫べど監禁せられちゃう。一体そういうばかなこと、これ以上の人権じゅうりんはないと思うのだ。これこそ捜査当局は血道を上げて私は捜査しなければならぬ問題だと思う。しかるに何ぞや、何だかわけのわからぬことをやっておる。もちろん日本女子大学の今の理事者は政治的な活動がなかなか巧妙だそうで、相当運動しておって、ごまかそうといたしておるらしいが、私は警視庁がそんなことでごまかされないで、徹底的にもっと調査してもらわなければならない。栄養士なんというものをやって、そうしてそれが診察したなんということになったら大へんなことである。絵かきでも、音楽家でも、みんなそれをやって、様子をちょっと見て、いや目がつり上っておった、それは大へんだ、そうして院長は入院だ、そういうことをされたらどうなるのですか。その精神衛生法で要求している診察というものは、院長が診察するとなっていやせぬか。そんなばかなやり方でもっていいのですか。警視庁はそういうことを認めるのですか。私はこれは警視総監に聞くが、警視総監が来ないからあなたに今聞いているが、あなたも上の人の指図でやっているのだろうから、しょうがないから石井警察庁長官にお尋ねいたします。  この精神衛生法の二十九条をあなたはどう解釈しましたか。前の斎藤長官のときにこういう質問をしましたが、斎藤さんは私を廊下にまで追ってきて、どうもそういう話はほかの意見は聞くが、これはもっと知らなければならぬ、詳細に知らしてもらいたいということで、これがどうも表に出たのは東さんの事件が婦人公論に発表されたために表に出たのだけれども、どうもこの脳病院の院長なりと、あるいは精神病科の医者なんかと結託してかような行動を前にも相当やっておるのじゃなかろうか、その疑惑が出てくるのです。実は私の知り合いの人で、これは私は実は名前を明かすことはできないのですが、自分のむすこが新興宗教にこっておって何ともかんとも仕方がない。そこで脳病院の院長と相談して精神異常を来たしたということで病院に持ち込んで入院させようと考えた。そうしてある暴力団みたいな人にその男を拉致することを頼んだということを私は聞きました。それは未然に防がれましたが、さような家屋の明け渡しとかいうような場合、じゃまになるようなやつをどかしてやろうというために脳病院の院長が自分の職権を乱用いたしましたならば、大へんな問題に相なると思います。この問題は、私は相手が日本女子大学の教授として三十年も教べんをとっておった、文部省の留学生にまでなって行った相当身分のある人、しかもこういうりっぱな、優秀な本を著述している人であります。その人をいきなり精神錯乱者なりとしてぶち込んでしまう、さようなことが許されるというならこれは大へんな問題であります。被害者も本日傍聴に来ておりますので、あなた方は会ってみればすぐわかるのではないか、これが入院させなければならぬような病人であるかどうか、そんなことは精神病の医者でなくても常識でわかる。先ほど申しましたように、専門的に見たら何らか病名があるかもしれませんが、しかし入院させ、監禁しなければならぬような病気であるかどうか問題だ。しかるに何らの医者の派遣もなく、突如としてこれを入檻せしめる、かようなことに対してはもっと警視庁が義憤を感じて、人権擁護の立場から猛烈に調査しなければならぬと思います。はなはだこれは遺憾であります。遺憾でありますが、次に人権擁護局長にその後の調査の結果をお尋ねいたします。

世耕弘一日本民主党

○世耕委員長 猪俣君にお諮りいたします。本会議が開会されましたので、一応簡単に人権擁護局長並びに石井警察庁長官から御説明を受けた上で本日はこの程度で散会いたしたいと思いますが、いかがですか。

猪俣浩三日本社会党(左)

○猪俣委員 私も簡単にしますから、結末をつけて下さい。

世耕弘一日本民主党

○世耕委員長 あらためて申し上げます。本件は重大な問題だと思いますから続行いたします。  なお本日は本会議が開会されましたから、簡単に当局の御答弁を得て散会したいと思います。御了承願います。

戸田正直法務事務官(人権擁護局長)

○戸田政府委員 本年の六月七日のサンデー毎日の記事によりまして情報を入手いたしました。同時に同月の九日に猪俣委員から婦人公論の記事によって調査の要求がありまして、自来人権擁護局といたしましても慎重を期しまして、さっそく調査に着手いたしたのであります。ただいまなお調査中でございますので、事案に対する最後の結論はまだ申し上げる段階に至っておりません。ただいままでに調査いたしました者を簡単に申し上げておきます。被害者本人の東佐誉子、同人の秘書の大沢みどり、日本女子大の専任講師松島正儀、都の衛生局の優生課長の広瀬克己、それから被害者東佐誉子の弟の東諦、それから東佐誉子の退院に努力いたしました臼田金太郎、それから精神医学研究所の医師の松井紀和、それから武蔵野病院の栄養士の小野房子、日本女子大の生徒である佐藤栄子、田村百合子、柏木ちか子、日本女子大の事務局長の中原賢次、日本女子大教授の亘理ナミ、同じく小林文子、それから東邦医大医師の新井尚賢、大体その程度を調査いたしまして、あと残っておりますのが、大学側の学長等の首脳部の方と、日本女子大のPTAの会長、その他医師等についてさらに調査をいたしたいと考えております。

猪俣浩三日本社会党(左)

○猪俣委員 法務大臣に一言だけ。本件は人権擁護の問題から相当重大問題だと思うのです。それでやみからやみに葬られている事件が相当あると思います。何しろ相手が医者なもんだから信用しているのですが、相当職権を乱用しているきらいがある。だから東事件は相当慎重にお取調べ願いたいと思います。法務大臣から人権擁護の趣旨に従って徹底的にこれを御調査するという強き意思表示をいただきたいと思います。

花村四郎日本民主党法務大臣

○花村国務大臣 猪俣委員の御趣旨に基いて調査をいたしたいと思います。

世耕弘一日本民主党

○世耕委員長 本日はこれにて散会いたします。次会は公報をもってお知らせいたします。     午後二時五十六分散会

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