文教委員協議会 第1号
- 発言数
- 269 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1955/10/04
会議録
○座長(佐藤觀次郎君) これより文教委員協議会を開きます。 皆さんの御推挙により、私が座長の職務を行います。 本日の協議事項は、去る九月十日の理事会の決定によりまして、教科書問題に関する事項、その他お手元に御通知してある通りであります。質疑は通告順にこれを行います。 なお、文部当局より松村文部大臣、寺本文部政務次官並びに各局長が全部出席されております。辻原弘市君。
○辻原弘市君 この機会に、大臣に重要な問題についてお伺いをいたしておきたいと思います。 それは、昨日文部省で中央教育審議会を招集されて、それに教科書制度の問題について諮問をせられたようでありますが、この教科書問題は、二十二特別国会におきましても、行政監察特別委員会等においても、現在の検定制度の具体的な欠陥という問題を取り上げまして、鋭意この調査に当ってきておるわけであります。ただこの教科書問題を取り上げましたその中に、教科書の制度そのものに対する意見あるいは見解ではなくして、随所に派生的な問題を含んでおります。その中で、私たちが非常にふに落ちない一つの問題として指摘をいたしたいのは、ここに私が持参をいたしておりますが、すでに大臣も、十分内容等を御検討せられたことと思いますが、去る八月に、日本民主党、しかもその発行所在は政調会という形で、全国的に頒布せられました「うれうべき教科書」というこの小冊子についてであります。これが出まして以来、非常に地方で問題にもなっておりますし、これが及ぼしている影響は非常に大きいので、私も内容を熟読翫味いたしました。ところが、この「うれうべき教科書の問題」と書いてある小冊子の冒頭に、民主党の教科書問題特別委員会の名で、はしがきを載せておりますが、それによると、この小冊子は行政監察特別委員会の調査の結果によって作ったものである、こういう見出しをつけておるのであります。不肖私も監察委員の一員でありますが、この日本民主党の名で出ました小冊子の冒頭に言うごとく、いまだ監察委員会においては、これの結論を取りまとめたことはございません。そもそもそういう点から随所にふに落ちない点を発見しがちでありまして、さらに内容に至りまするや、どうも私どもが行政監察委員会で検討いたしました調査の結果でもなし、またわれわれが常識的に判断をいたしましても、ふに落ちがたいような点がるる連ねてあるわけであります。しかし少くとも天下の大政党、しかも与党である日本民主党の名で出ているものでありますから、おそらく事態を知らざる国民一般としては、この小冊子に対して相当の価値評価をいたしていることと思うのであります。 今日教科書問題が教育上の重要な問題として、しかも今後の教育にこの制度の取り方いかんによって及ぼす影響は少しとしないのであって、国民あげてこれに関心を持ち、われわれも何とか今日の欠陥を克服して十分教育に役立ち得るような教科書の内容、質ともに高めていきたいということを念願しておりますが、その過程においてこういう問題が突如として出されましたにつきましては、はなはだ合点がいかないと思うのであります。及ぼしている影響がきわめて大きい点にもかんがみまして、しかもこれだけのものを出すということになれば、相当な波紋を描くであろうということも十分御計算済みであろうかと思います。そうなりますと、当然与党の文部大臣であられる松村大臣も、これに全然関知をしなかったなどということは、おそらくあるまい。私もそう思いますし、一般の国民もそう考えていることと私は推察をしているのでありますが、これについて大臣は、承知をなさっておったのか、相談にあずかったのか、あるいは積極的に大臣の方からかかるものがいいだろうというようなお話をなさったのか、何らかそういうようなこの問題に対する関係をお持ちなさっておったかどうかを、この機会にお伺いしておきたいと思います。
○文部大臣松村謙三君 今のお話にお答えをいたします。私は与党の民主党の一員でございます。別にそれをかれこれ自分の責任をのがれるわけではございませんけれども、私はそのことには関知はいたしておりませんが、私の立場といたしましては、党員としての責任はもちろん持ちますけれども、文部省の長官といたしましては、すべて冷静に政策を立てる面について考慮いたしておるわけでございますから、党との関係につきましては、これは一つ党と党との間の御議論にお願いいたしたいものと思うのでございます。これが間違っておるところがあるとすれば、お互いに論議を尽されたならば、国民はその真相を明確にすることと思いますが、しかし文部省といたしましてはそういうことには関知はいたさない、こういう立場をとっております。
○辻原弘市君 これを発刊するについては関知をしておられなかったというお話であります。党員としては責任は持つが、所管大臣としての責任は持つことはできない。問題は党が出したのであるから、党と党との問題にしてもらいたいという御趣旨であったかと思うのでありますが、話はそうおっしゃられればきわめて簡単であります。しかし事は教育上さまつな問題として見捨てるわけにはいかぬ重要な問題であります。それを所管の与党の大臣にも相談なしに、こういうような相当大部なものを出したというその民主党のお考えも、いささかふに落ちがたいし、しかもそれに対して何ら相談にあずからなかったということも、党内非常に複雑でございますからいろいろなことがあると思いますけれども、しかし事文教行政という重要な問題は、少くとも党の政策を反映して、そうして所管大臣として文部大臣がおやりになる。少くとも政党政治の今日そうあるべきであると私は考えておるわけでございます。その文教行政の中で教科書制度というものはだれが考えたってこれは基本の重要政策であります。それを何ら大臣が関知せられない、党と党との問題だから私は別だ、この御議論は私はいささか納得しがたいのであります。しかし事実関知されなかったということになれば、それ以上これを申し上げたっていたしかたないでありましょう。ただ事後の処置であります。もちろん出したときには、中にはだだっ子もおります。親の知らない間にとんでもないことをする者もいるのですが、しかしそれを感づいたときには、親は親として適宜の処置をなされるはずであります。少くとも文部大臣という立場において、しかも私どもから見れば党内に相当重きをなしていらっしゃる大臣のことでありますから、それが御自身の所管に関する重要政策に、何ら御相談なくして、しかも大臣をバック・アップする重要なものが出されたのならいざ知らず、率直にだれが見ても少し株が下ったようなものを出して、それをそのまま大臣がお見捨てになるということはなかろうと思う。従ってその後に大臣はこれを出された党に対して、いかなる御所見をお述べなさったか、その点をお伺いしておきたいと思います。
○文部大臣松村謙三君 実はあなたの御承知の通り、党のことはいろいろ機関がありまして、必ずしもその通りの連絡ができないことは御承知の通りであります。それから党のそういう論議を、私が文部省をあずかっておりますから、それをどうのこうのというようなことは、政策のことは何をいたしますけれども、論議のことにつきましては、一々そう口の出せるものでないことも御了承願えることと思うのであります。従いましてまた一から二言えば、こういうことをお互いに露骨に、党としてこの議論をし合って、そこにおのずと中正の道も出てくるわけでありますから、これを差しとめてこのような論争はしてくれるなというようなこともこれはなかなか言えるわけではございませんで、おのずからあなた方にそれに不服なり異議がございますならば、それはまたそれでおやりになったならば、自然にこの世論というものが公正なところに帰結点を見出し得るのだ、こういうふうに考えておるような次第でございまして、別段それはいいこととも悪いこととも私は党に対してかれこれ注文はいたさない、こういうふうな態度をとっているわけであります。
○辻原弘市君 政策については党と連絡を保つが、いろいろな議論については逐一それを事文教に関することであってもやることはむずかしい、こうおっしゃる、よく私もわかります。しかし個々のこの「うれうべき教科書」いわゆる現行教科書がうれうべきものである、こう書いてある。そうしてかくかくの方向にやらなければならぬという、これはりっぱな政策です。しかも政策をつかさどる政調会がお作りになったということです。そこで私はそれを重視している。これを単に民主党の一宣伝部がそこらのエロ、グロ赤本と同じような形で全国的に頒布せられたものならば、それは宣伝にやったのだろう、こうわれわれはとりたいのです。しかし政策をつかさどる政策審議会、しかも「うれうべき教科書」と問題を出して、そうして今後の教科書に対する結論を引き出しているりっぱな政策であります。たとえば建築問題一つにいたしましても、施設の立法を一つやるにいたしましても、すべて大臣の意向を、文部省の意向を与党が連絡してでなければ、今日法律の一部改正、修正も行えないというのが現在の姿であります。そこに私たちはその点において与党の御意見、同時に与党と文部省の御意見ということにおいて、野党のわれわれは常にわれわれのやりたいこともやはり与党の、あるいは文部省の意見を十分聞いた上でなければやれないという羽目に追い込まれているということは、これは与党と一文部省とが、というよりも与党と文部大臣が、少くとも政策の具体的な問題、あるいは基本的な問題については、それぞれ相談をなされておやりなさっているという証拠であります。それが教科書に対する政策だけはこれは相談もなかったが、私も知らぬのだ、それは一議論だというてそれで済まされるかどうか、この点についてふに落ちないのであります。再度大臣の御見解を伺います。
○文部大臣松村謙三君 私も関知しなかったことは事実でございます。しかしそれをいかに御批判なさろうともこれはどうもやむを得ませんが私の関知しなかったことは事由夫でございます。
○辻原弘市君 大臣のおっしゃられるように、確かに関知しないものを幾ら申し上げてもむだであろうと思います。しかししないとおっしゃっていただければそれはそれでけっこうです。そこで出したときは関知されなかったが、その後しばしばあるいは直接この中で歪曲されて非常な迷惑をこうむつている学者の方々、あるいは編集、著者ないしはその爼上に上っている日教組等が文部大臣に御意見を申し出た、こういうことを私どもは聞いておりますが、その際にも大臣は十分これについて検討していない。しかしやはり今までは知らなかったが検討してみなければならぬということで、その後相当日にちも経過しておりますので、内容を十分御検討いただいたことと思いますが、その点について、私の内容的な御質問にお答えをいただけるかどうか。内容の御検討をいただいたかどうか。
○文部大臣松村謙三君 お話の通り、日教組の諸君が見えましてお話がありましたから、その際隔意のない御返事を申しておきましたが、実際そのときにはまだ十分見ていませんでしたから何でしたが、その後十分読みました。しかしこれに対する批判を今ここで私が申し上げますことは、一つ避けさせていただきたいと思うのでございます。
○辻原弘市君 大臣のおっしゃることも私にはよくわかるのです。確かに大臣が先ほどおっしゃられたように、知らざるとは申せ、民主党員というお立場においては考慮される向きはあると思いますけれども、私の質問に大臣がお答えなさって御迷惑なさる点より以上に、この小冊子のために、個人的に見れば、その将来に何らかのレッテルを張られて非常な迷惑をしている人々、あるいは実際に教科書問題を追求及していこうと考えておられるそれぞれの研究団体が、これまたあらぬ誹謗、ざんぼうを国民の間にまき散らされて、純粋な教育研究意欲というものを虫ばまれれているその迷惑、これを考えましたならば、どうしてもこれに対する文教府の最高責任者である大臣の御所論を承わって、天下に公正な見解を示す必要があると私は思う。大臣は、そういうことを一々わしの口から言うよりも、やはり正しい世論によってそれは解決されるのだと先ほどおっしゃいました。確かに御道理のあるお言葉です。しかし今日の世論を見てみますと、正しい批判を加えている向きもありますが、また日本民主党というその名に幻惑をされて、あたかもこれがすべて真実なるがごとく受け取っている山間僻地の善良な国民があることを私は知っておるのであります。まことに残念千万でございますので、内容について、私はあえて大臣にお伺いをいたしたいのであります。その根本になっておりますことは、まず最初にこういうことを書いております。冒頭に「いまや、日本の教育が、国民の気のつかないところで、教科書を通じて、くずれ去りつつあることが、あきらかにされた。」これも行政監察特別委員会が、」とこう書いてあります。監察委員会で明らかにされたのか、一般雄にそういうことが明らかにされたのかは、この文章表現もあまりうまくないのでわかりませんけれども、そういうことを大臣がお認めなさるのかどうか。くずれ去りつつある、教科書を通じて今日日本の教育が崩壊しているとすれば、まことにゆゆしい事態であります。大臣としては、知らぬということでは済まされない事態でありますが、いかがお考えなさいますか。
○文部大臣松村謙三君 そのことは先刻も申し上げました通り、党の考えとして——党の考えか筆者の考えか知りませんけれども、申したことでありまして、それを一々私が批判をして、これはいいとか悪いといくようなことは、これは政党の書いた者がそういう考えをもってやっているわけですから、おのずからあなた方の間の御批判に待つより道がないと考えております。たとえて申しますと、これは民主党ばかりではございません、ほかの政党も、あるいは日教組あたりの者にいたしましても、ずっとそういうように一々検討をすれはいろいろ文句をつくべきこともあるであろうと思いますけれども、一々そういうことをやったならば、ただ苛烈な論争をするだけになりまするので、一々いいとか悪いとか、それが教育のどこにどうするとかいうようなふうには見ないで、この大きな教育の大体を把握してやっていくことが文教をつかさどる者の道であろうと思うのでございまして、一々それについてこれは意見がどうのこうのというようなことを今私が言うべきではなかろうと考えておるようなわけでございます。
○辻原弘市君 私は、大臣のお言葉はちょっと受け取りかねるのであります。第三者として、証人としてここにおいでをいただいているということであるなれば、まことに適切なる御答弁かもわかりませんけれども、しかし何党の者であれ、まただれ様が出そうとも、それが国民に非常な影響を与えるこの文教の問題について大臣にその所見を尋ねたときに、あれはああいうのが出したのだからわしは意見を差しはさむべきでななかろうということは、率直に申しますると、所管の大臣とまてはいささか無責任な態度ではないかと私は思う。特に、この。パンフレットは何様が出した。パンフレットでもないのであります。あなたが大臣としてその政策をつかさどる基調となる民主党の政調会がお出しなさったものであります。これについて、所管の大臣であられるあなたが見解の一つも吐露されないでは国民に相済まぬと私は考える。私の質問を社会党辻原委員の質問とお受け取り下さるからそういうような御答弁が出てくるのだろうと思いますが、もしこれを読みこの話を聞き、そうして疑問の生じた善良なる国民が、大臣に、大臣一体これはほんとうでございましょうかといって尋ねられたときにも、それは民主党へ行って聞いてくれというふうに大臣は突っぱねられましょうか。私はそういう問題について多少の疑問を持って、国民の方々にかわって、大臣個人としての御意見、所管大臣としての御所見を大臣に承わりたいのであります。ほんとうに日本の教育が教科書を通じてくずれておる現状であろうかどうか、そこまで大臣はお認めになるのかどうか、この点を承わりたいと思うのであります。
○文部大臣松村謙三君 それは筆者の意見でございまして、教科書によって教育がくずれておるかどうかということは、その人の主観的な考え方であろうと思うのでありまして、今私がそれに対してどうのこうのと言うことは、先刻申しました通り議論になりますので、主管大臣としては申しかねるのでございます。
○辻原弘市君 お答えをいただけないようでありますが、しかし私は、大臣にもまんざらお考えがないことはないと思っております。こういう表現のように、ほんとうに教育がくずれ去っていると、そこまで大臣が考えられておるとは私の常識をもってしても私は思っていない。大臣は一つ率直に、こういう表現はあまりに過激過ぎるというふうな御見解をここにお出しいただいた方が、世論に対しても大臣としての責任の一半をお果しになる道だと私は考えますがいかがでございましょう。
○文部大臣松村謙三君 実際、先刻申し上げました通りでございまして、私として、ひとり民主党の出したものばかりではなく、一々それを批判するというようなことはいかがなものかと存じまして、差し控えたいと存じます。
○辻原弘市君 内容をお尋ねいたしますると、全文にわたって指摘をしなければなりませんが、時間もありませんので、特にこのパンフレットの後半にあげている「教科書にあらわれた偏向教育とその事例」なるものについて、一つ大臣の御見解を承わりたいと思います。 あげられている教科書は、教科書と名がついている限り、今日いわゆる私製の教科書はございません。まず四つの偏向タイプのものをここに取り上げておるのでありまするが、あるいは宮原誠一氏の編にかかる「一般社会」であるとか、あるいは宗像誠也氏の編にかかる中学校の「社会のしくみ」であるとか、こうして四つの教科書が事例として取り上げられて、数多くの編著者がその中に具体的に、その個人の価値評価まで書かれておるのであります。大臣はこれをもって、この教科書が偏向なりとパンフレットが断定しているものについて、肯定をなさいますか、否定をなさいますか、お答えを願いたいと思います。
○文部大臣松村謙三君 そこに書いてありますことは、先刻も申しました通りに、その人の見方だと私は考えておりまして、それに対して文部省としては、全体的の意見を申すとかいうようなことは、よくないと考えております。
○辻原弘市君 私はこの間九州に参りましたときに、やはりこれと内容を同じくするようなパンフレットを、ある個人から手に入れました。これを行政監察委員会にも、私は御披露申し上げた。しかしそういう個人が書いたものでありますれば、大臣のお話の通り、これは個人の主観に基くもので、いかようなものでもそれは出し得るし、またそういうものに対して、今度はそばの者が一々、これがいいとか悪いとかいうように、総括的に判断することはむずかしかろう。しかしこれは大臣個人ではございません。筆者の考えだろう。しかし政党がものを作る場合、あるいは政党のそれぞれの機関が物事を決定する場合には、私が申し上げるまでもなく、個人の意見ではございません。少くとも民主党と名を打って出され、あるいは教科書特別委員会として出され、ないしは政務調査会としてこれが出されるということは、私どもの党でありますると、それは党の最高の機関にかけまして承認を得るわけです。そのときは、何様であれ、党に所属する議員が全部出席をいたしまして、そのことを承認する。従いまして天下の政党がお出しなさる場合においては、これな個人ではございません、個人でないとなりますると、個人の主観などというものはあろうはずはありません。われわれはそういう意味合いにおいて、大臣の御所見を承わっておるのであります。しかしあくまでも大臣が、内容についてはお答えなさらぬということでありますれば、私は次の点について一つ大臣からお考えを承わりたい。 それは先ほど私が申し上げた、このパンフレットの事例に載っているそれぞれの高等学校、中学校の教科書は、検定教科書でございます。今日教科書を発行するには、文部省の検定が必安であります。その仕組みはともあれ、検定の最終責任者は大臣でございましょう——どなたでございますか。お答えを願います。
○文部大臣松村謙三君 それは文部大臣でございますが、教科書の内容等についての批判等がありますことは、これはよくあることでございまして、これに対してはもちろん政党としてやっていることでございますけれども、一々文部省がそれに連帯責任を持って、その通りやるというようなことは、これは文政の上にはいかがなものかと考えておりますので、今これに和して私がかれこれ批判をするということは、これはどういうものかと考えるのであります。いかにも文部大臣がずっと検定をいたしたものであることはその通りであります。しかしながらそれに対する批判は、これまた当然あちこちに起ることもやむを得ないことでございまして、それは一つの見方と申すべきものと考えます。政党であるから、それは重大だとおっしゃれば、それはその通り。しかしながら他の政党もまた同様いろいろ批判の点が出るとしましても、それはやはり政党同士の間の話でございますので、今ここに私が一々批判をして、文部大臣がやったものだから批判はけしからぬと言うわけにも参らぬというふうに考えております。
○辻原弘市君 今大臣から私ははなはだ異なことを承わったのでありますが、検定の最終決定権——検定権といいますか、これは文部大臣にあるが、いろいろ教科書については批判があるし、その内容の逐一についてどうも語尾が聞き取れなかったのですが、何か一々責任を持つようなことでは行政が動かぬような話でございましたが、これは私はちと大臣のお言葉としてはおかしいと思います。そういうような議論であるならば、すべて所管大臣の責任ということは一体どういうことになるのです。事実上においてそういうことが漏れるということはあり得る。しかしその責任の所在というものは明確であります。またその責任の所在を明らかにして、責任をとり得るごとく行政組織というものはなっていると私は思う。教科書の検定制度自体も欠陥があろうとも、形としては一応今日整っていると私は考えております。その間に何か欠陥があるとでもおっしゃるのか、大臣が責任をとれないような仕組みになっているというのか、もう少しその辺を具体的に明確におっしゃっていただきたい。
○文部大臣松村謙三君 それは教科書を批判するのは自由でありまして、検定そのものに欠陥があると認めての話ではございません。これは批判は御自由であり、それから手続といたしましては歴代の大臣が責任を持ってやってきたものでありまして、これはもう間違いのないことであります。しかしこれに対する批判は、これはまた世間の自由でありまして、これをとめるわけにも参らぬ、こういう次第だと存じます。
○辻原弘市君 私は批判のあることをかれこれ申しておるのではございません。この教科書の内容がよりいいとか、あるいは文章がまずいとかいう批判というものは、それはいずれもあるでしょう。完璧なものは森羅万象何一つありません。そういうことを私は言っておるのではないのです。検定というものは最終的には大臣に責任があり、しかも検定教科書というものはそれぞれの手続において今日行われておるものである、すればここに例証として掲げてある教科書は、これはりっぱに文部大臣がよしとして認めた検定教科書でありましょうということを申しておる、この教科書がいろいろいいとか悪いとかいう批判は、それはいかに検定教科書であろうともオールマイティでないことは、こんなことは常識であります。そうでなしに、ここできめつけられておるのは、これは偏向教科書なりと断じておる。それで気になるのは、過般大津さんがおなくなりになりましたが、一生懸命になってお作りになりました教育二法律を私どもが審議をいたした場合にも、こういうことがいろいろ論議せられた。かかる行為は教育二法律にひっかかるなどという見解を出した。そういう点をこれは指摘をいたしておるのであります。この小冊子のことが事実であるとすれば、それを知らずして大臣が最終的にこの検定をお認めなさったのか、あるいは検定に当って小冊子とは異なった見解でもってその検定をおとりになったものか、私はこの点をお尋ねしておるのであります。
○文部大臣松村謙三君 それは先刻も申し上げました通りに、批判は批判として承わっておく、こういうことでございまして、そういう意味合いからこの問題について私どもは検定は検定、こういうはっきりした立場をとっておるわけでございます。
○辻原弘市君 どうもわかりません。批判は批判として検定は検定だ、こうおっしゃる。そういう批判があったのですか。
○文部大臣松村謙三君 そこに書いてあります。
○辻原弘市君 それはあとで書かれたものです。
○文部大臣松村謙三君 そうだろうと思う。
○辻原弘市君 検定される場合にそういう議論があったのですか。
○文部大臣松村謙三君 それは私の言葉が足らなかったかもしれませんけれども、検定の前にという意味ではございません。今そういう批判は批列としてあることを承わったということだけのことでありまして、その前にどうのこうのという意味でお答えしたのじゃございません。
○辻原弘市君 そこで承わりますが、検定せられる場合にはその準拠がなければならぬと私は思います。単に検定に携われる行政機関の方々あるいはそれによって委嘱される専門的な方々の主観に基いて検定をおやりになるのじゃないと思います。制度の上において少くとも厳正中立な内容のいい教科書を検定するということで努力なさっておると思いますので、それにはそれ相当の基準がなければいかぬ。何に準拠して教科書というものは検定せられておるのでありますか。この点を承わりたいと思います。
○文部大臣松村謙三君 御承知の通りでありまして、これは検定の基準によって検定は行われておるわけでございます。これのやり方につきましても相当の機関を通じてやっておりますことは御承知の通りでございます。
○辻原弘市君 検定の基準というものはいかなる法律に基いておやりなさっておるのでありますか。
○文部大臣松村謙三君 それは大体教育基本法の趣旨精神に基いてやっておることと考えます。
○辻原弘市君 これは事務当局でもけっこうでりあますが、そのほかに準拠すべきものはございませんか。
○初等中等教育局長緒方信一君 検定基準というものは、文部省で教科用図書検定調査審議会で取り上げて決定いたしまして、そうして一般に公示いたしております。その内容といたしましては、今大臣からお答えがありましたように、教育二法律、学校教育法等に定めるその目的と一致するもの、そのほかの基準の条件があります。
○辻原弘市君 大臣は大体とおっしゃいましたが、大体では困るのでありまして、これはそのまま教育基本法、学校教育法——それと事務当局からお聞きしたいと思ったのでありますが、学習指導要領というものを私は最近ずっと読み直してみましたが、これにも準拠するように思われますが、学習指導要領は違いますか。
○初等中等教育局長緒方信一君 この検定基準は各教科ごとに若干異なっておりますけれども、全体に通じまする原則といたしましては、絶対条件と必要条件の二つの条件がございます。絶対条件の方は、今申しましたような大きな項目が三つあります。それから……。
○辻原弘市君 そういう絶対基準はどこから出すんですか。直接法律からすぐ引き出しているんですか。学習指導要領というものはその基本になっておりますか。
○初等中等教育局長緒方信一君 その必要条件の方は、その教科書の内容が学習指導要領の示しまするこういった例に基いているわけであります。でありますので、必要条件は学習指導要領というものに基いていることが必要になっております。
○辻原弘市君 今お話のように、基準というものは、そう大ざっぱなものではなく、りっぱに法律に準拠して、そうして指導要領また相当詳細な検定基準というものが設定せられているのであります。それにのっとって検定せられる。これは私の聞いております範囲では、相当慎重な検定の手続を経て、しかる後決定せられるということであれば、その検定教科書というものにはわれわれは信を置かなければならぬと思う。そういたしますると、ここに書かれているような、はっきりと中正でない、偏向の事例であるものがそれを通ってきたということになれば、これはどういうことか、私はよくわからないのでありますが、どうして潜航艇に乗って通ってきたのか。そういうふうに通れるようになっているのか、ここいらはどうでしょうか。
○初等中等教育局長緒方信一君 ただいまの御質問は、内容についての判断は申し上げる筋ではないと存じますが、その検定のやり方といたしましては、現行制度といたしまして、審議会に調査員がありまして、調査員の調査に基き、さらに審議会にかけまして、審議会の答申に基いて文部大臣が検定するわけであります。かような仕組みになっておるわけであります。
○辻原弘市君 その仕組みの中にそういうものが通れる穴があるんですか。
○初等中等教育局長緒方信一君 その仕組みを通して検定が行われるのであります。私どもといたしましては、現行制度のもとにおける正当な検定を施したものだと考えます。
○辻原弘市君 私のお尋ねしたのは結論が大切であります。仕組みはわかっております。そのあなた方の自信のある仕組みの中をときどきそういうものがひよこっとくぐって出てくるようなこともあるのか。そういうことは絶対ありませんとおっしゃるのか、事務当局は一体どうですか。
○初等中等教育局長緒方信一君 どういう御趣意であるか私ちょっと御趣意をとりかねる点がありますが、ただいま申しましたように、すべての教科書はすべて同じような過程を経て検定が行われております。でありますから、これは総括的に申しまして検定は同じような基準でやっておる、こう申し上げるよりほかありません。
○辻原弘市君 あなたのさっきおっしゃいました検定基準の絶対条件ですか、その中にはたしか特定の政党を支持もしくはこれを応援するがごとき、あるいは特定の思想を鼓吹するようなものは不可である1言葉はそうであったかどうか存じませんが、内容はそれと同一のことが絶対基準の中に書かれておったことを記憶しておりますが、その絶対基準というものは検定の絶対要件ですね。ところがここにあげている四つの事例は、みなこれはまっかだ、こういうふうに偏向した内容を有するものと断定する。すると、これをそのまま受け取れば明らかにその絶対条件である検定基準に違反しているということを言わざるを得ないのです。そういうものが、今日の検定制度の中にぬけぬけと通ってくるのですかということを私はお尋ねしたい。通り得るのかどうか、大臣はそういうような欠陥をお気づきなさっておるのですか。
○文部大臣松村謙三君 それは先刻も申しました通りでございまして、教科書に対しまする批判でございます。これを検定した人は、そんな偏向したものとは認めないでやったのでしょうが、批判としては何とでも批判のできることですから、そういうふうなものと私どもは考えておるわけでございます。
○辻原弘市君 今大臣のお話なさった程度に受け取っていいのでしょうね。この小冊子は一つの批判で、いろんな意見があるのだ。そういう意見もあろう。しかし検定はそういうふうな一部の意見によって左右されるものではなしに、公正に判断されるのだ。現在の検定制度においてそういういろいろな批判、見方もあろう。これはちょっと右に寄りすぎている、こういう見方もあろう。そういうような左によった批判の一例だとおっしゃるのですね。
○文部大臣松村謙三君 これはその政務調査会なり政党なりの今日の教科書に対しての批判であることは、これはそうだと私は考えます。党としてか政務調査会としての一つの考え方を、それによって述べているわけでございます。さよう御承知下さって間違いないと思います。
○辻原弘市君 この問題は巻き返しになりますから、この辺でとめます。ただ最後に私は、これは大臣の率直な見解をお聞かせ願いたいのでありますが、率直に申して、私はこの問題を大臣に御質問申し上げることは大臣にはお気の毒であると思います。それは私が答弁を承わっておりましても、お答え下さらぬでもよくわかります。その非常にお困りなさっていらっしゃる大臣の御見解をよそに、なおかつこれに類似するようなものは続々と出るような気配があるのであります。これに対してやはり、それは党が勝手にやっているのだからけっこうだとおっしゃるのかどうか、この点を一つお答えを願いたい。
○文部大臣松村謙三君 次々にどういうものが出るかは存じませんけれども、今私といたしまして、党にこういうものはこうしろというようなことは、これは党のやり方もありましょうから、文部大臣としてどうのこうのということは私は申してはおりません。党もまた私の所管に対しましては、その職掌はやはり私に大体まかしておるようなわけでありますから、党の活動に対しては私もあまりかれこれ申していないというのがあけすけに申した実情でございます。
○辻原弘市君 そういたしますと今後なおまた「うれうべき教科書」第二集、第三集で、文部省の検定の関門を通ってきた教科書が、大臣のおっしゃるいわゆる批判の形で突き上げられるということが想像されるわけです。そうしますと、何といっても天下の大政党から出されているこのものに、国民の一部は相当に信頼を寄せておる。そうしてその反面どういう問題が起るかというと、文部省の検定というものは当てにならぬ、こういうような世論が起らないとも限らない。この本の中に載った1検定教科書を使っては間違った教育である、こういうようないわゆる即断、推断が行われてくることは、それは単なる一つの批判として捨てておけない。たとえば今日現にこれらの載っておる教科書を使っておる学校が相当あります。この学校の生徒児童あるいは先生方は非常にお困りなさっていらっしゃるだろうと思う。一体この教科書を使っていいのか悪いのか、大臣の御見解を伺いたいと思います。
○文部大臣松村謙三君 お話でございますが、そういう批判が行われることは——影響は別といたしましても、これは民主政治の有様としてはそういうことはありがちのことで、そういう隔意のない意見の交換によって、おのずから定まるところに定まる。それを今検定の権威にも関すると言ってとめるようなことをすれば、やはりまたそれに弊が出て参ります。従ってこういうことは、政党のいかんにかかわらず、論議になることを特に気にして、それが直ちに検定教科書の権威に関するとか何とかいうようなところまで考えなくても、大体民主政治というものは、遠慮のない意見の交換によって、そのうちに定まるところに定まるというのが民主政治の形でございますから、このことだけにつきまして、それだからこうしろ、ああしろというようなことは、実は考えていないのでございます。
○辻原弘市君 いろいろお伺いしたいことだらけでありますが、時間もないようでありますので「うれうべき教科書」については、また次の機会に大臣の御所見を承わることにいたしまして、やはり教科書に関連する問題で、これは全然別個な問題でありますが、一つこの機会にわれわれも内容的にいい教科書を、できるだけ安く、でき得べくんば無償で生徒児童に与えるような方式を、超党派的に考えてみたいというような構想を持っておるのであります。教科書の問題は各界各層からずいぶん意見が出ましたけれども、割合に意見の出ていない教科書の問題で、一つ大臣のお頭にとどめておいていただきたい問題があります。それは盲人が使われる点字の教科書であります。これは大臣も御承知かと思いますが、現在全国的に盲学校がたくさんあります。しかしその使っておる教科書の価格たるや、一般学童の教科書が高いと言われているが、そんな比ではございません。今日一冊が四千円にも及ぶような教科書がある。この悲痛な願いがこの間から盲学生の間からわき起りまして、いろいろな意見が述べられておりますが、私はこうした教科書問題を取り上げる機会に、何とか一つこの盲学生のひそかなる願いをわれわれは相協力してかなえてやりたい。この点について大臣の特別なお考えをこの機会にお願いいたしておきたいと思うのであります。
○文部大臣松村謙三君 今お話を御注意を賜わりまして、これは十分にこの機会に検討をいたすことにいたしたいと思います。
○初等中等教育局長緒方信一君 御指摘の盲学校の諸君、高等部におきまする教科書の問題は最近特に学生自身からも希望が出ておりまして、私どもとしましても十分に研究をいたしたいと存じております。予算要求といたしましていろいろこれからの問題でございますけれども、修学奨励費の幅を広げるというようなことも実は考えまして、これからかようなことも努力をいたしたいと考えておる次第でございます。小中義務制の範囲につきまして、教科書を修学奨励費として出し得ることになっておりますけれども、これは現在まだ非義務制全体に及んでおりません。これらの問題につきましてまず当面の問題といたしましては考えておるような次第でございます。
○座長(佐藤觀次郎君) 野原覺君。
○野原覺君 ただいま同僚の辻原議員から民主党から出されました「うれうべき教科書の問題」という。パンフレットについて詳細な質問が行われまして、大臣から御答弁があったわけでございますが、私は二、三ただいまの御答弁ではどうしても了解することのできない点があるわけでございます。従って以下重複する面があろうかとは存じまするけれども、このパンフレットの与えた影響というものがきわめて大きゅうございまするから、教育の最高責任者である大臣としては虚心に一つ私の質問に対してお答え下さるように私はお願いいたしたいのであります。 質問の第一点でございますが、辻原議員も申しておったことでありますけれども、端書き、初めのところにこう書いてある。「第二十二国会で、衆議院の行政監察特別委員会が、いわゆる教科書関係事件をとりあげ、教科書をめぐる諸問題を、いろいろな方面から調査してきた」。その次に「いまや、日本の教育が、国民の気のつかないところで、教科書を通じて、くずれ去りつつあることが、あきらかにされた。」私どもはこの教科書を通じて国民の気のつかないところで今日の日本の教育がくずれ去りつつあるとすればこれは市大であります。単に文部大臣だけの問題ではない。私どもも微力ですけれども、国会議員の一人として、事文教委員会に出ておる者の一人として、事実今日の教科書というものを通じて国民の知らぬところで日本の民主教育というものが、憲法と教育基本法に定める日本の民主教育というものがくずれ去りつつあるとすればきわめて重大でございます。従ってこの端書きに対して大臣はどのような御見解を持っていらっしゃるのか、今日の日本の教育は教科書を通じてくずれ去りつつあると大臣もお考えでございますか、その点をどういうお考えでございましょうか、お聞かせいただきたいのであります。
○文部大臣松村謙三君 その点につきましては先刻もお答え申しました通りに、政務調査会なりの所見として申し述べたことでありまして、一種の批判としてわれわれは見ておる。従いましてこれに対してかれこれ文部大臣として所見を述べることは、これは差し控えさせていただきたいと存ずる次第でございます。
○野原覺君 私はこの端書きに対する大臣の見解をお尋ねしておるのではございません。大臣は、今日の教科書を通じて日本の教育がくずれ去りつつあるとお考えでございますかどうか、それを聞いておるわけです。民主党がこういう批判をすることはあなたのお説のように自由であると仮定いたしましても、大臣としては一体どうお考えでございますか。今日の教科書は日本の教育をくずしつつあるとお考えであるかどうか、その点について御答弁願いたいのであります。
○文部大臣松村謙三君 その言葉については別でありますけれども、それは、くずれ去るとか去らぬとかいうことは別でござまいますが、教科書の制度としては改正を要するところは多々あると考えて、これはぜひ次の機会には出したいと思っておるのでございます。それを極端な言葉で言うて、批判は、これは私の関するところではございませんけれども、やはり直すべきところはこれを直していくべきだと考えておるわけでございます。しかしその考え方は、昨日も教育審議会において私は一場のあいさつをいたしましたが、もちろん広い範囲において諮問をいたしたのでありますけれども、あいさつの中には、今日の検定制度そのものは、いわゆる進歩の道程にあることは認めるべき事実であって、これを変えるという考えはないということは申していたわけでありますが、大体私どもはこれについては四つばかりの世論の要求があると見ております。その一つは検定制度の内容の問題、もう一つは採択の範囲の問題、それからもう一つは、できるだけ競争等によってかれこれスキャンダルなんかの起る危険をなくしたいという点、それと、教科書を安くしてくれという点、大体世論の帰趨はその四つではないかと考えまして、この四つを、今申したような検定制度の改善のもとにそれだけのものをやっていきたい、こういう意味で諮問をいたしたわけでございます。
○野原覺君 私の質問に対する御答弁ではないようでございます、失礼でございますが。ということは、検定制度についていろいろな意見がある、これは、検討しなければならぬということは、どのような法律、どのような制度でもこれは当然のことであります。従って、大臣が中火教育審議会に出された四つの項目についても、これはいろいろ意見がございましょう、そういうことを出されてけっこうでございましょう、しかし私が尋ねたのはそういうことじゃないのです。今日の教科書を通じて日本の教育がくずれ去りつつあるのだ、こういう考えでこのパンフレットが出ておるわけであります。大重甲もお読みになられたと思うのです。だからほんとうに今日の教科書を通じて、国民の気のつかないところで日本の教育がくずれ去りつつあるとあなたはお考えですかこれは民主党がこういう意見を出したから、これに対する大臣の批判でなしに、文教の最高責任者としての文部大臣は、これは一体どう考えておるのか、国民がお聞きしたいのです。こういうことがあなたの与党から出たのですから、この機会にこの委員会を通じて、あなたの御見解を、教科書を通じてくずれ去りつつあるのかないのか、それを一つお聞かせいただきたい、こういうわけです。
○文部大臣松村謙三君 その点につき「ましては、たとえばスキャンダルのようなことがかれこれ出るとか何とかいうような、そういう言葉も使わるることと思うのでございますが、私もこの教科書制度をよりよく改める余地は十分あるものと考えて、教育の進歩を阻害せざる範囲内において、これを改めたいと考えております。
○野原覺君 くずれ去りつつあるのかないのか。どういうわけか大臣は私の質問に対する御答弁を、故意だ三思いますが、回避なさっていらっしゃるようであります。そこで私は、この「はじめに」という一ころに書きました、ただいまの「くずれ去りつつある」日本の教育は、このパンフレットの第二部の偏向教育の事例にこれは関連しておると思うのでありますこれは何と申しましてもそういうことになっておる。そこで私はお尋ねをいたしますが、今日の教科書が片寄っておると批判することも、大臣の御説のように自由でありますこれは右に片寄っているという意見があってもよろしい、左に片寄っているという意見が出てもよろしい。私は教科書の検定制度があるからといって、これは守壁である、何らの批判も許さぬということは、これこそファシズムの考え方ではなかろうかと思うんです。そこで私は、批判は自由でございますが、教科書検定の最高責任者としての大臣としては、今日の日本の教科書が片寄っておるのかおらぬのか、あなたは最高責任者でございまするから、どういう一体御見解でございますか、お聞かせいただきたいのでございます。
○文部大臣松村謙三君 これは私がすべての教科書の検定をいたしたわけではございません。文部省としてずっとやったことでございますが、今申したように、これを偏向しておるといい、偏向していないといい、これは批判でございまして、今私から、それがしているとかしていないとか、そういうことを申すべき筋合いではない。検定は検定で、それを今使わしておるのでありますから、さよう御了承をお願いいたしたいと思います。
○野原覺君 大臣は、失礼ですが、パンフレットをごらんになりましたか、そしてごらんになって御検討になりましたか、いかがです。
○文部大臣松村謙三君 先刻も申しました通りに、その後読みまして1自分も十分読んでいるつもりでおります。
○野原覺君 そのお読みになられました御感想の一端を、文教委員会でございますから、お聞かせいただきたいのです。これは事、文教に関する重要な。パンフレットであると私どもは考えておりますから、大臣の御見解の一端をお述べいただきたい。
○文部大臣松村謙三君 実はですね、一々の批判に対して文部大臣が、私見でございましょうとも、申しますことは、私どういうものかと思うのであります。たとえて申しますと、民主党のことばかりじゃございませず、日教組などの、あのこの前の大会などでよくきめられることなどもだな、一々これを批判し、なにすれば、これはやはりいろいろな何があって、そういうことはみな一つの批判と見て、おのずから世論の中庸に帰するのを待つのが、これが私民主的のやり方で、それを今一々出たものに対して、文部大臣の私見であろうとも公けの見方であろうとも、一々申し上げるというようなことは、実は私の職分の上からも、一つ遠慮させていただきたいと存じております。
○野原覺君 私は文部大臣の私見を聞いておるのじゃございません。このパンフレットは、実は大臣が検定になりました教科書を根本から批判しておる。そこで教科書の検定の責任者は文部大臣であるから、文部大臣の私見でなしに、公けの見解——批判されておる文部省としては、こういうような批判があるが、一体どう考えるのか、こういう私どもの質問に対して、言を左右にしてお答えにならぬということは、いささか了解しかねるんです。国会でございますよ、失礼ですが。私は松村文部大臣には昔から敬意を表しております。それがどういうものか本日は、あなたの属するこの民主党に関するから、うかつにここで発言をするというと、あとであなたの党で問題になっては困るんじゃなかろうかという危惧が、私はおありじゃなかろうかと思う。そうじゃないんです。今国民のお尋ねしたいことは、特に私は日本民主党の「うれうべき教科書の問題」に対する抗議書というものが、これは日本の官公立の大学の教育の責任者の諸君から、全国にばらまかれておる、こういういう二つのものを出されて国民は困惑しておる。どっちが一体ほんとうなのか、こういうときに——法律にだって有権解釈というものがあるんです。文部省の見解というものを明確に示してやって、何が一体いけないのでございましょうか。だから民主党はそういう批判をしただろう、民主党の批判は自由であるだろう、私はここまではわかるんであります。社会党だって批判をいたします。日教組も見解を立てます。その点はわかりますけれども、しかしこのことに関しては、文部省はこういう考え方を持っておるのだという御見解が、このパンフレットに関して出されていないとすれば、これは大へんなことである。出されていないのかどうか。このパンフレットについては、文部省の見解がないのかあるのか、お伺いいたしたい。
○文部大臣松村謙三君 それは先刻申し上げました通り、一々批判について、文部省として、これに応答をするというのは、私避けた方がよろしいんが、そしておのずから世論の去就を見た方が、これは民主政治の実態だ、こういうふうに考えております。
○野原覺君 文部省は赤い本を出しておる。共産党の宣伝本を松村文部大臣は検定しておるんだ。こういうように誹謗されて、あなたは国民に対して黙っておるというあなたの文教方針でございますか。これは重大でございますから、私どもは一体このことが許されていいのかどうか。それでいいんです。あなたのお考えを率直に聞けばですね。国民に私どもは尋ねたいと思う。民主党内閣の松村文相は、自己の責任において出した検定本が赤だ、共産党の宣伝本を出しておるんだとですね。批判をされてもこれは批判でございますから、一切の意見は言わないことにしております、とこういう文部大臣が許されるのか、こういう文教が一体あっていいのかどうか、私どもは今後国民諸君に尋ねたいと思いますので、あなたは一切の文教政策、文教行政、教育の内容、文部省の責任に属する教科内容その他一切のことについて御批判されても、今後一切口をあけないで、黙っておらるる御方針でございますか、お尋ねをいたします。
○文部大臣松村謙三君 今申し上げたような次第でございまして、一々取り合っていくのもどういうものかと考えておるわけであります。それからまた、ただ申し上げることは、私になりましてからそういう赤いなにを検定いたしたというようなことはございません。ですからこれだけは明確に申し上げておきます。
○野原覺君 私は松村文相個人を問題にしておるのじゃないので、これは大臣もおわかりいただきますように、文部大臣という公けの地位を問題にしてお尋ねをしておるんです。従って前に出された検定本でございましょうとも、文教行政の最高の責任の地位にある文部大臣というものが、赤だと天下の政管から非難されるような検定本を出されるわけはない、国民はこう考えておるのですが、その考えは間違いでしょうか。
○文部大臣松村謙三君 先刻も申します通りに、私は一々文部省がそういう世の中に行わるる批判に対してかれこれ言いませんでも、世論はおのずから帰着するところへ帰着する、それが最も正しい道であろうと思うて、このことに限りませず、そういう方針友とっておるわけでございます。
○野原覺君 文部省に対する批判には、一切文部省としては意見を申し上げないことにしておると受け取ってよろしいわけですね。
○文部大臣松村謙三君 大体批判等については、社会党にもいろいろ出ましょうし、自由党にも出ましょう、民主党にも出ます。これはお互いに世論に訴えらるるわけでございますし、その批判というものは主観的なものでございますので、文部省として一々これに対してまたこちらの批判をするということは、私としてはいたしていないわけでございます。
○野原覺君 そうなると、日本の文部旨というものはえらい文部省になったものだと私は驚いております。私は批判は自由だという立場です。だから民主党が何を批判しようと、社会党が何と批判しようといい。しかしながら、横定本が赤なんだ、文部省の松村文政というものは共産党の宣伝文教政策だというような批判がかりになされた場合に、文部省が国民に対して口を緘していらっしゃるというようなそういう行き方、これが一体文部大臣として許されることであるかどうか。私はそういうようには理解していないんでございます。この点は重要でもあります、速記にもとめたいと思いますから——あなたは、どんな批判がな去れても、批判は主観的であるから、一切私はその批判に対する私の見解は言わないことにしておる、こういうように私が受け取りましたが、間違いであるかないか、簡単にお教えいただきたいんです。
○文部大臣松村謙三君 それは私が弁解をいたしませんでも、だれも国民は私が赤のなにを取り持ったというふうには解釈はまないと考えますので、これは世間一の批判にまかしても間違いにない、こういうように考えております。
○野原覺君 民主党がこのパンフレットを出しままて、一体何万出したのか存じませんが、相当な部数が発行されておる。しかもそのために国民に対する不安動揺、特に指摘された四つの偏向タイプの教科書を使っておる子供たち、その子供の親たちは、自分の子供は赤い本を使っておるのだ、なんだ、僕の使ってる本は共産党の本か、こういうことで大きな不安と動揺を来しておるのでございますが、こういうようなことは好ましいことでございましょうか、好ましくないことでございましょうか、大臣、いかがです。
○文部大臣松村謙三君 それは批判の自由を許しますれば、そういう場合も起って参りましょうかなれども、それは地方の人たちにしましても、おのずとみなおのおの考えるところもありますから、そこまで手取ってなにしませんでも、御心配のような結果を来すことはない、こういうように考えております。
○野原覺君 あなたは文部大臣として、しかし好ましいとはお考えじゃなかろうと思うのです。結局においては民主主義の原理で国民が批判をするだろうから、そういうお考えですけれども、これが政党によって1一個人ではない、一学者でもない、一労働組合でもない、天下の政権を担当する、責任のある政党によって、しかもあなたの政党によってこういうことがなされるということは、私が文部大臣であったら、まことに許すことができぬ、いやしくもおれを文部大臣にしておって何だ、こういうことを尋ねもしないで勝手に出すことはまかりならぬと、実は松村さんは腹の中ではお考えじゃなかろうかと思うんですよ。むしろ率直にそういうことを仰せ下さった方が、国民としては、あなたの文教政策、文部行政、文部省というものに信頼感を持つんです。ところが、あなたがそういうふうに、政党内閣であるから政党のことをお立てになるために、どうも私の質問にも答弁を回避していらっしゃるんですが、いかがですかね、この点は。寺本政務次官はあの直後に新聞に談話を発表されて、こういうことはきわめて好ましくないと、勇敢に見解を発表されておる。ところがあなたは好ましいとも好ましくないとすらも言わない。この点について私は重ねて大臣の率直なる御見解を承わりたい。
○文部大臣松村謙三君 それは繰り返して申し上げます通り、こういうことは、お互いに意見が交換せらるることは、一面においてはお話のようなこともありますけれども、民主政治の上から言えば、それで世論の趨勢がきまるのでありますから、これは私は文教のみならず、あまりに一々神経にやんでなにしますよりも、自然に帰趨を見た方が一等いい姿ではなかろうかと思うのでございまして、それで先刻来のようなことを申し上げてお答えいたしておるわけでございます。
○野原覺君 そこで私がもう一点お尋ねしたいことは、私の調査によると、このパンフレットを、あなたの民主党はあなたの所管する教育行政のルートを通じて出しておる形跡がございますが、これはどういうことになりますか。こういうことは大いに社会党もやってよろしいのでございますか、お尋ねいたします。
○文部大臣松村謙三君 その点につきましては、先般日教組の方が来られましたときにそういうお話もございまして、党の方へ聞いたんです。そういうことをやっているかと言いますと、そういうことはやっていません、こういうことでございました。これだけは申し上げます。
○野原覺君 それじゃやっておるという証拠を私が出せば、どういうことになりますか、お尋ねします。
○文部大臣松村謙三君 証拠がありますれば、それは私の方で十分調べもいたしましょうし、取り扱いは十分にいたすつもりでございます。
○野原覺君 政党がおのれの党の見解を教育行政のルートを通じて出していけないということは、直接に抵触しないにしても、教育の中立性を確保しなければならないというこの法律及び教育基本法の精神にかかってくるおそれはないとは実は言えないのであります。きわめて好ましいことではない。あなたには民主党の方がそういうことを言われたそうでございますが、日本民主党という封筒で、これは謄写版で刷った封筒でもない、活版刷りの封筒で、しかも奈良県の県庁にあてて送っておりまして、その中にこのパンフレットが相当部数入っておるのであります。こういう事実がございますが、こういう点については一体どういうことになるのか、大臣としての見解をお述べいただきたい。単にあなたが、自分の民主党の牧野さんかだれかに聞いたか知りませんが、そういうことを聞いて、そしてそういうことはしていないというような簡単な御答弁であなたは自分の政党でございますから御信頼になるか知りませんけれども、われわれはそういう事実を相当握っておるのであります。これは許すことのできない政党の教育支配と申しますか、私は許すことができぬ問題だろうと思うのですが、重ねて、大臣はその事実に対してどう対処されるか、具体的にお述べいただきたい。
○文部大臣松村謙三君 それはよく調べてみませんと、党が出したものか代議士が出したものか、その封筒に民主党と書いてありましてもどうですか、これは調べて十分措置をいたしましょうが、これは従来でもやはり日教組あたりでもやっておりまして、もしもそれを一つ何しますならば、すべてがそういうことを何しないように一つ取り計らいたいものだと思っております。
○野原覺君 日教組が教育行政のルートを通じてやっておったということは事実でございますか。それは何かはっきりした証左でもあればここでお述べいただきたい。あなたからそういうことを言われますから……。
○文部大臣松村謙三君 それは私別に証拠を握っているわけではございませんけれども、そういうような例があれば全面的に取り締る、こう申したのでございます。今ここにあるわけではありませんで、すべてそういうことのないようにしたいと考えております。
○野原覺君 とにかく、私は辻原議員とともにこの問題についてお尋ねをいたしましたら、私どもの期待に反して松村文部大臣がことさらに良心的な御答弁——と私はあえて申し上げますが、文部大臣としてはいかがかと思われるような御答弁に終始されたことをきわめて遺憾に思います。従ってこの問題は、私どもはここで一切を打ち切るのでなしに、来たるべき臨時国会、その次に来たるべき通常国会等において私どもの党でも十分検討を加えて、あらためて問題を提起したいということを最後に申し上げまして、質問を一応終ります。
○座長(佐藤觀次郎君) 小林信一君。
○小林信一君 ただいま教科書の問題で文部大臣からいろいろ御意見を承わったのでございますが、主として民主党が出しております「うれうべき教科書の問題」でのお話が中心だったわけですが、確かに大臣のおっしゃるように、批判することは自由であって、大臣がまたこれに対するところの批判をするということは立場上非常におもしろくない、そういういろいろな意見が出て、その意見の中からまた正しいもの、妥当なものが出てくるのだ、こういう御意見でありますが、どうもこの点で、私たち個人でなくて、これがかもしております教科書をめぐる父兄の声あるいは教師の声、こういうふうなものを聞きますと、これでは非常に残念なように思うのですが、それはそれとしまして、私は今地方に起きておる具体的な事実をもちまして御答弁を願いたいと思うのでございますが、先日私の県で、県出身の代議士がある新聞社の主催によりまして国会報告をしたのでございます。その場合に、これは民主党の代議士でございますが、国会報告の中にこの教科書の問題を取り上げまして説明しておったのでございます。それは「うれうべき教科書の問題」の中に書いてあるような趣旨で述べられたのでございますが、私として非常に問題に思う点がございます。これは行政の責任として文部当局は必ずこれに対しては究明もしなければならぬし、またそういうことについて御承知になっておる点があると思うのでお聞きいたしますが、日教組の講師団が教科書を検定する調査員にたくさんなっておる。これが教科書を赤くする大きな原因である。それから今度は、これは事実でございましょう。私も知っておりますが、日教組の方から採択基準なるものが出されておる。これによりまして各学校の先生方は忠実に日教組の採択基準に沿って採択をする。もしその日教組の採択基準に沿わないような採択をする場合には、日教組の方から非常なおとがめがある。従って各府県とも県の教組は採択した事実を日教組に報告して、日教組の採択基準に沿うようにしておるのだ、こういうふうに教科書採択というものは、検定から採択に至るまで、非常な疑義を持たなければならぬ点がたくさんあるというふうなことを述べられておったのですが、これは別に「うれうべき教科書」の内容というようなことではなくて、そういう事実があるのかないのかということは、これは文部当局としても御存じだと思うのですが、まず第一番にお伺いしたいのは——これは大臣でなくてけっこうですが、講師団というものが入っておって、これが教科書の偏向をかもし出しておるというふうなことが、果して文部省として言われてそのままであるというのか、そういうことは絶対ないというのか、そういう点をお聞きしたいし、それから採択基準を日教組が出しておりますが、これに対しまして地方の先生方が今言うようなほど拘束をされておる事実があるのかないのか、これは局長でけっこうですから、御答弁願いたいと思います。
○初等中等教育局長緒方信一君 第一点のいわゆる日教組講師団の人が調査員になっているという点は、私ども調査員の名前は現在の制度では秘匿されておりますけれども、ないと思います。それは何かの間違いであろうかと思います。 それから第二点につきましては、日教組が採択基準を出したということは聞いておりますけれども、それがどれだけの拘束力を事実示しておるかということは私どもとして存じません。それを報告をしておるとか、あるいはまたそれに違反した場合に日教組本部からおとがめがあるというような点につきましては、私ども存じておりません。
○小林信一君 その一つをお伺いしましても、今この教科書問題をめぐりまして、地方で盛んに問題にされておるものは、非常に根拠のない捏造したものが取り上げられておるということがわかると思いますが、私申しましたことは事実でございまして、私責任を持つわけですが、今当局からお伺いしましても、そういう事実がないと言われるほどのことが盛んに流布されておるわけでございます。こういう事実から見ますと、大臣が先ほどおっしゃっておられますが、批判は自由だといいますけれども、そういうことまで取り上げて教科書問題というものは今問題になっておるわけでございます。これは新聞の社説等にも出ておりますが、今まさに教科書問題は政争の具になっておる。これは教科書そのものの問題でございますが、教育全体がそのために混乱をする情勢にありまして、父兄は教科書を通して先生に対して非常な不安を覚える、教師は自分たちの何ら根も葉もないところに非常な疑惑を持たれて父兄の信頼を失うというふうな状態で、何とかこの際この教科書問題に対してはどこからかはっきりしたものを打ち出してもらいたいという要望にかられておるのじゃないか、こう思うわけでございます。 先日も私県に帰っておりましたら、こういう事実を聞いたのです。民主党では支部長会議を持ちまして、その支部長会議の席上で、教科書問題はこれからますます大きくなっていく、これは中央もそうであるけれども、地方においても取り上げて、県会等でも何か意向を作って各府県に声を大にしよう、そうして夏休みの友とか冬休みの友を通して調べていくならば、必ず教員のスキャンダルをあばくことができるのだ、これは政党が正しい政治を行う、正しい教科書の制度を確立するという根本趣旨を標榜しておるわけでありますから、正面向って問題にしていけば、これはそういう政党の責任としてやるのだということになるわけですが、しかし今地方におきましては、こういう問題を投げかけられて、ほんとうに教科書問題はますます政争の具になって、そのためにかえって教育が崩壊するような情勢にもあるのじゃないかと思うのでございます。この際文部省が態度を明らかにしてそういう不安を一掃するということが、私非常に必要なときだと思うのでございます。もちろん私たちも、行政監察委員会におきまして究明されたようないろいろなスキャンダル、あるいは夏休みの友、冬休みの友等につきましても多少の問題があることは存じておりますが、しかしそれとても必ずしも取り上げる人が言うような根拠に立って生まれておる問題でない場合もあります。ほんとうに先生たちの簡単な考えから出ておる問題がございますが、そのために動揺すること非常にはなはだしいものがあるのでありまして、これこそかえって教育を動揺させるものだと思うのでございます。夏休みの友等につきましては、私もその衝に当ったことがございますが、当時終戦後出されましたまことに情ない非教育的な夏休みの友等を手にしましたときに、われわれはどうしてももっと新しい教育を確立するためからも、われわれがみずから立って編さんをしようというような教育的な良心からああいうものが生まれた過去を私たちが知る以上、そこに多少の問題があると今これを政争の具として取り上げられて、争う者はおもしろいかもしれませんけれども、そのために、地方の教壇に立つ人がおびえ、あるいは父兄が不安を起すことは非常に問題でありまして、やはり大臣としてこの際こういう問題に対しては何らかの態度を父兄あるいは教師に与えるべきだと思うのでございますが、先ほど来御答弁を承わっておりますと、中教審の方に諮問なされまして教科書制度の根本的な対策を講ぜられるようでございますが、それ以外に大臣はやはりこの際は自重されるわけでございますか。もうたびたび御質問なさっておられるようでございますので、それだけお伺いしたいと思います。
○文部大臣松村謙三君 これが政争の具という言葉で尽きるかどうか知りませんけれども、これはとにかく世間の注意が教科書の問題に集中して参ったことは事実でございます。それに対しまして、それはこうである、ああであるといった文部省の意見を発表いたしましても、それで世間がおさまるものではないと考えます。そこでどうしても問題の根本の点は、教科書制度をきわめて明朗に改める、こういうことであろうと思います。今日全力をあげて教科書の先刻申しましたようないろいろの点について再検討を加え、そしてこれを改めるということが根本のやり方であり、文部省としてとるべき道はただそれであると存じますので、政府としては通常国会にぜひ提案いたしたい。その節はぜひ十分御審議を願いたいもの、これが私根本の問題だと考えております。
○小林信一君 取り上げておる政党の立場からすれば、おそらくそれは政争の具でないというふうにもちろん言われるかもしれませんが、今一般の見るところではこれは政争の具である。だが直接の壇上に立つ教師、教えられる学生、その学生を預けておく父足の立場からすれば、非常にこれは不安なものでございまして、何らかここでそれ以外の道を講ぜられて早く不安を除去してやりたいと私は念願するものでございますが、大臣が先ほど来おっしゃっておる中にも、大臣の意中は相当に私たちは聞かされておるように思っております。つまり決して赤い教科書を出しておるというようなことは文部省としては考えておらない、その点は責任を持つという言葉もうなずかれるわけでございまして、あえてこれ以上御質問申し上げませんが、そこで一つ、これは検定基準が今問題でありますが、しかしそれよりも一般的な教育上の常識といたしまして私の考えている点を申し上げ、お考えをお聞きしたいと思うのです。よく大臣が申されますように、民主的な教育というものを作る上からいたしまして、この教科書というものは、たとえそれが小学校の一年、二年でありましても、教科書の内容そのまま子供に押しつけるとか、それをそのまま受け取るというふうなことは、これ私たち教育の根本問題として考えていかなければならぬことで、一年、二年でありましても批判をするという態度というものは私持っていかせるべきだと思うのですが、もしそういうことが教育方法の根本のものだと下るならば、やはり文部省の検定基準に羅列されてある言葉以外に、教科書というものはある程度幅を広くして、そしてその批判的な態度を養成することによって子供たちに正しいものを見つけさしていくのだ、こういう根本的なものが私は教科書の問題にあるんじゃないか、こう考えるのですが、その点文部省ではどういうふうにお考えになっておられますか。
○文部大臣松村謙三君 今のお話は、採択の範囲の問題だと思うのでありますが、これはお話のような点も十分あることは承知いたしております。けれども父兄の要求の、隣に変っても教科書をまた新たに買わなければならないということも事実でございますので、そこをいろいろ検討いたしますれば、おのずから中庸の道が出てくるのではなかろうか、こういうふうに考えております。
○初等中等教育局長緒方信一君 私から検定基準を御説明申し上げます。現在の教科書の教育における地位でありますが、教科書そのままの分量を全部教える、かようなことはないと存じます。しかしながら必然教科書の内容が児童、生徒の知識の内容になり、あるいはまた今おっしゃったような批判力の内容になりますので、それにつきましては相当検定基準を考えなければならぬ、かようなことになるかと存じます。現在の検定基準におきましても、今おっしゃったようにそう窮屈なものではないのでありまして、相当幅のある検定基準が考えられております。しかしながらいろいろな点から申しまして、この検定基準そのものにつきましてもこのままでよいかどうか、これは十分検討しなければならないだろうと考えております。
○小林信一君 私の申し上げたのは、今非常に問題にしているけれども、教科書というものはある程度幅を広くした、そこに教科書の今の教育を成り立たせる根本の問題があるのだ、だからそういう点も問題にしている人たちがしつかりつかむならば、いわゆる政争の具にして、いたずらに教育を混乱させることはないのだ、こう私は考えておるので、その点をお伺いしたわけですが、今はからずも文部大臣から、父兄が転任するような場合に教科書がなくて困る、こういう問題を解決しなければならぬというお話があったのであります。これは私行政監察委員会で業者から承わったのでありますが、これは文部当局すでに御承知になっておられると思っておったのですが、業者の方では転任が幾らありましょうとも、そういう問題は業者の方で——これはほんとうならば文部省の責任でございましょうが、文部省がそういう点が、失礼な言葉でございますが、怠慢なために、文部省にたよっておられない、業者自身で統計をとって、そうして統計上からこういうふうなものは必ず割り出されるので、今後いかに転任されるような父兄がございましても、そのために教科書に不自由するというようなことは絶対にさせませんということを業者が言っております。こういう点は現行の形からいきましても可能だと言っているのですが、私たちも統計というようなものは、正確にとられればこういう煩はなくなるだろうと考えておるのですが、これはまたいずれかの場合に考えを述べることといたします。 それから先ほど辻原委員が、盲学生の教科書の問題で、今後どういうふうに御処置なさるかということをお伺いされたのですが、これと同時にいつか文部大臣が新聞で、教科書の買えない子供たちを対象にして、教科書の無償配付をするというふうなお考えを述べられておりましたが、これは具体的に進んでおるのかどうか、お伺いしたいと思います。
○文部大臣松村謙三君 実はそれは去年、おとどし休止になっておりました一年生の教科書の問題であります。あれをその後研究をいたしまして、前の制度へ復活するよりもずっと各学年、中学校までも含んでおったと思いますが、貧困の家庭の人たちだけに分けた方がよろしくはないか、こういう結論に一応達しまして、せんだっての予算の要求にも大体そういうことで出しておるわけであります。大蔵省あたりではまだ十分の了解を得るようなところになっておりませんので、どういうことになるか知りませんが、原案としてはそういうことで出しておる、こういう次第でございます。
○小林信一君 私は教科書問題は質問を申し上げるつもりはなかったのですが、教科書問題は以上で終らせていただきまして、あと一つだけ質問をお許しを願いたいと思います。というのは二、三日前の新聞に僻地教育の問題で大臣の構想が述べられておったのですが、今計上されております今年度予算分をどこへどういうふうにお使いになっておられるか、さらに来年度の構想として重点を置かれるところはどこかを、少しでもいいですから伺いたいと思います。
○文部大臣松村謙三君 私から簡単に申し上げまして、事務の方から詳しく申し上げます。僻地教育は、実際はなかなか大変な問題でありまして、苦心をいたしておりますが、第一に考えられるのは、そこにいい教員が安住してやっていけるというためには、やはり待遇の問題が一つ。それにはその手当の問題と住宅の問題でございます。これには今度相当に予算をとりたいと考えて出しております。それともう一つは通学のバスなどの問題、それから校舎の問題、こういうようなことを考えまして、ことしは少し力を入れてやりたいと考えております。詳しいことは事務から申し上げます。
○初等中等教育局長緒方信一君 予算折衝はこれからでございますので、一応われわれ原案として考えておりますところを申し上げますが、大体ただいま大臣からお話がございましたように、大臣のおっしゃった第一点の手当の問題でありますが、これは昨年は単級、複式手当の増額を予算上実現をいたしました。来年度におきましては僻地手当につきまして増額要求をいたしております。なおそのほか大臣からもお話がありました通学のスクール・バスあるいはスクール・ボートといったようなものを、これはモデル的に少し予算を取ってやってみたいと考えております。そのほかあるいは電燈のない学校に対しまして発電施設を行なって、僻地教育の進展をはかりたい、かような考えをもちまして予算要求をこれから鋭意努力いたしたいと存じております。なお昨年度いろいろやっております点につきましては、さらに力を入れてやりたい、かように考えております。
○座長(佐藤觀次郎君) 教科書問題に関連して島上善五郎君にお願いいたします。
○島上善五郎君 簡単に関連質問を大臣にいたしたいと思います。私は一般論として質問しますので、あまり民主党の出した。パンフレットに拘泥しないで御答弁を願いたいと思います。私の理解しているところによりますれば、政党政治というものは政権をとった際に、その政権を通じて自分の党の政策の実行をする、これが政党政治であろうと思う。党の政策を実行する、このためにこそ政党は政権をとることを欲するわけなんです。こう私理解しておりますが、その点に対する大臣のお考えを承わりたい。
○文部大臣松村謙三君 もちろんさように私も心得ております。
○島上善五郎君 そういたしますと、政府の与党である民主党が、たとえば財政政策をおきめになる、文教政策をおきめになる、それをそれぞれの部署を担当しておる者がその実施の責任を負う、あるいは実施の衝に当る、こういうことになろうと思いますが、そのように理解してよろしゅうございますか。
○文部大臣松村謙三君 それにつきましては私の方でももちろん責任省として政策を立てます。党の方へもそれを持っていって打ち合せをいたして了解を遂げる、こういうことでございます。従って今後政策を立てまするには、そういう手続をもってやりたい、こういうことでございます。
○島上善五郎君 今回民主党が文教政策に関してきわめて重大な。パンフレットを出しておりますが、これは果して民主党の党議として最終決定をしたものであるかどうかということについて、私はよく存じませんが、これは党議として最終決定をいたしますれば、文教の最高の責任者であるあなたがそれを実施する、こういうことに当然なろうかと思いますが、その点はいかがでございましょうか。
○文部大臣松村謙三君 これは私どもの党の一これは私どもの党ばかりではありません。どこの党にもあることと思いますが、政策についてはそうでありますけれども、こういう政治の批判などということにつきましては、これは必ずしもそう緊密な連絡をとらんでやるのがほとんど常例になっておりますので、これが党の機関を経たか、政務調査会だけかはなんですけれども、これは党としておそらくは党の総務会も経ていることと考えておるのでありますけれども、しかしこの批判が出たからそれで文部省の方針がそれだ、こういうのとは違います。これは政策ではございませんから、大体の考え方はこれでわかるかもしれませんけれども、政策というものはこれは別でありまして、党と緊密な協調を保って進む、こういうふうに大体なっておるのでございます。
○島上善五郎君 私は批判の言葉の端々を問題にしているのじゃありません。しかし政策を立てるにはいろいろな批判も必要であり、調査も必要であり、研究も必要である。そういう過程を経て政策というものはできるのだと思うのです。私は今度のパンフレットの言葉の端々を今ここで大臣からお伺いしょうとは思いませんけれども、ああいう批判をしているその考えというものがあるわけです。その批判をしておる考えの基礎あるいは基本というものがある。そこから当然党の文教政策がいずれ具体的に出てくるであろうと思います。その具体的に出てくるであろう政策に対して大臣が無関心であったり、よく知らなかったというようなことでは済まされないと思いますが、その点はいかがでございましょうか。
○文部大臣松村謙三君 それは政策につきましてはもちろん先刻申した通り党とよく話し合って進みたいと思っております。さよう御了承を願います。
○島上善五郎君 その政策を立てます際に、今度出されたあのパンフレットの考え方が基礎になる、私どもから見ればきわめておそるべき思想がひそんでおると思いますが、その考え方が基礎になって具体的な政策というものが打ち出されてくるのではないか、こう思うわけです。そういう点は大臣はどのようにお考えになりますか。
○文部大臣松村謙三君 そのパンフレツトのどの点が基調になるかというようなことはこれは別でございまして、一々なにしませんけれども、政策といたしましては別に委員会もごさいまして、専門に政策を検討いたしておりますし、文部省といたしましては教育審議会にもかけてやっておるごとでございますから、われわれはりっぱな案を出すことができる、こういうふうに考えております。
○島上善五郎君 今文部省が教育審議会に諮問して今後の教育に対するりっぱな政策をお作りになろうとしておる、それと民主党が打ち立てます政策とがちょうど一致いたしますれば問題ありませんけれども、非常に大きな食い違いが生じたというような場合には大臣はどのように進退なさいますか。
○文部大臣松村謙三君 それは十分にその間の調整をはかるつもりでございますから御心配の点は事実としてはなかろうと存じております。
○島上善五郎君 それじゃ私も安心しますが、それでは先ほどお断わりしましたように、一般論として伺いますから。パンフレットに拘泥しないでお答え願いたい。現在文部省が信頼しておる審議会、その下にある調査員が一定の基準に基いて慎重に検定をした結果使用しておりまする教科書が、適当とお考えになるか不適当とお考えになるか、これは私は当然適当とお考えになっているからこそ使っておると思いますが、いかがでございましょう。
○文部大臣松村謙三君 それは先刻も申しました通り検定の制度を経てやってきておりまして、それの採択はさらにたくさんの地方々々で採択いたすことになっておる、こういうことでございますから、先刻も申しました通り批判は批判、実際はそれらの検定せられたもので十分採択をいたしておることと思うのでございます。
○島上善五郎君 採択をいたしておることを御承知願いたい、それは採択しておることは承知しております。ただ、その採択しておる教科書が現在適当なものとお考えになっておるか、国民は適当なものでないのではないかという不安を若干持っていると思うのです。そこで私は適当とお思いになって使用しておるに違いないので、適当であるということをこの際はっきりと大臣から答弁を得られるものと期待しております。
○文部大臣松村謙三君 そのことは先刻来の御質問でお答えをいたしておきましたが、それは検定をいたしたものでありまして、もちろん他の批判は自由なことと考えます。これに一々私がどうだこうだと責任者として言いますことは、先刻申した通りのような状態でございまして、今検定ができたものに対してこれはいかぬから、いいからといって、私が一々批判をするものじゃございません。ただ申し上げておりますことは、検定したものはあくまで検定の効力がありますということを申し上げておきます。
○島上善五郎君 検定したものを政党なり、その他の団体が批判してはいけないということはないし、その批判したものに対して、一々その批判に対する大臣の考えを私がここで聞こうとは思いませんが、検定したものはあくまで検定である、先ほど来こういうような答弁しかしておりません。私は、検定したものは検定したものであり、それは同時に、教科書として使用するに適当なものである、こういう結論に当然なろうかと思いますが、それを聞きたい。適当なものであるかどうか。不適当なものであるというなら、これは問題になる。
○文部大臣松村謙三君 適当であるか、適当でないかという批判は自由であります。しかし、私の方といた、しましては、検定はいたし、検定の効力はある。そして採択する入も、やはり自由に採択するわけでございますから、私のお答えと申しましては、検定したものは十分にその効力もあるし、その検定はやはり適当と認めて検定した、その検定の効力がある、こういうわけだと御了承願います。
○島上善五郎君 そうしますと、その検定は適当と認めて検定した、そしてその効力がある、こういうことは、言葉をかえて申しますと、教科書として使用するに適当である。こういう結論に当然なると私は理解しておりますが、いかがでしょうか。
○文部大臣松村謙三君 それは批判のあるところでして、教科書として適当であるかないかということは世間の批判、それから採択するものの批判によってきまるわけでございます。私として申し上げ得ることは、検定というもののやり方について、今申したようにお答えをした、こういうことと御了承願います。
○島上善五郎君 どうも私にはよくわからない。他のものはどのように批判しようと、これは自由であります。しかし、権威ある検定の機関が検定して、今の大臣か、前の大臣か知りませんが、最終的に判こを押したものであるとすれば、私は、教科書として使用するに適当なり、こう考えて最終的に検定の判を押したものに違いないと思う。大臣が、この教科書を現在の教科書として使用するに適当なものである、こう考えるのは、私は当然だと思う。——適当でないと思えば、適当でないような措置をしなければならぬ、こう思うのですが……。
○文部大臣松村謙三君 だから、そう思うて検定をいたしたのでありますが、それから上の採択で、これが適当であるとか、これはまだどこか不足であるとかいうようなことは、採択をする人の考え方、それからまた一般の批判はまたおのずから出てくるであろう、こういうふうに御承知を願います。
○島上善五郎君 私はその答弁ではあまり満足しませんが、もう一点だけ、ほかのことを聞きます。大臣は就任以来、教育に対して非常に熱意を持って一生懸命におやりになっており、相当の業績を上げていられることと存じます。日本の教育に対しては、松村大臣は、自分としては、就任以来かなりの成績を上げておる、こういう御自信を持っておられると思いますが、その点をちょっと……。
○文部大臣松村謙三君 私、決して業績を上げておるとは思いません。ただ願うところは、政府がかわり、大臣がかわるごとに、教育のやり方がかわるということがあってはならない。やはり中庸の道を——どの政府ができましても、大臣がどうなっても、ずっと落ちついた教育のあり方というものが確立でさましたらば、それが一等いいんだ。そこまでなかなかいかないからいろいろな問題が起るのでありまして、これは一つ超党派的にそういう落ちついた教育の状態ができ得ますように、お互いに努力をいたしたいものだと考えておりまして、私就任してからの業績などは全く何らのことはないと考えております。
○島上善五郎君 大へん御謙遜の御答弁でおそれ入りますが、少くとも大臣が持っておられる御抱負に向って、だんだんと徐々にではあるが進んでいる、こういうふうにお考えになっていられると思いますが、いかがでございましょう。
○文部大臣松村謙三君 なかなかもってさようには参りませんので、苦心をいたしているわけであります。教育の一つのことを取り上げてみても、なかなか容易じゃございませんので、超党派的に考えて運んでいかなくちゃ、教育の大本はほんとうにきまらないということを痛切に感ずるわけであります。
○島上善五郎君 よくわかりますが、ただここで与党である民主党から教科書を通じて教育がくずれ去っている、こういう激しい言葉で今の教育を批判されている。これは取りようによっては、批判じゃなくして、あなたの文教政策に対する大きな不信任であるとも受け取れるわけです。あなたのせっかく御努力なさっております文教政策が、教科書を通じてくずれている、逆行している、大へんな事態になっている、こういうふうに私どもは考えませんが、大臣はいかがでございましょう。
○文部大臣松村謙三君 私はそのパンフレットに対してはそういう意味とは解しておりませんで、善意に読んだわけでございます。
○座長(佐藤觀次郎君) 松村文部大臣に一言お尋ねしたいと思います。教科書問題で民主党からパンフレットが出まして、いろいろ御質問があったのですが、その問題については、大臣としては民主党のパンフレットは大して強く考える必要はない、普通の批判だから、というような軽い意味に解釈してもいい問題ですか、その点を一つお聞かせ願いたいと思います。
○文部大臣松村謙三君 今のお尋ねに対しましては、お話のような意味にも考えられますが、しかしながらこの教科書問題は、ほんとうに何とかよく直さねばならぬということについては、おそらくはどなたも御賛成のことであり、そうでなければならぬと考えていることと思うのであります。おそらくは民主党でこれを出しました根底の考え方も、やはりそういうところにあるのではなかろうかと考えます。ただこれを直すのには、今日の教育の状態に即して最善のものを得たい、こういうふうに考えているわけで、努力をいたしているわけであります。
○座長(佐藤觀次郎君) 教科書問題がやかましくなったのは、これは文教委員会で取り上げるべきですが、たまたま行政監察のような非常に軌道に乗らないところで取り上げて、非常に迷惑したと思うのですが、実は私たちこの教科書問題について今日非常に重要に考えたのは、パンフレットが民主党の正式な政務調査会でなく、特別委員会の名前で出ているわけです。それを支持しておられる党から文部大臣が出ておられるので、このところを非常にみな疑問に思うと言っているのですが、あまり大臣を追及しても、あとで同僚委員からいろいろ意見が出ますから、他日にいたしたいと思いますが、その点は十分に検討をされて、文部大臣検定という名前の教科書も出ておるし、その点でそういう点も十分にお考えになって、党ともよく相談して、なるべく軽率なパンフレットの出ないように私ども御注意願いたいと思います。 なお大学問題について河野正君から質問がありますので、これを許します。
○河野正君 学校設置の問題に関連いたしまして、若干大臣に御質問をいたしたいと思うのであります。 すでに新聞紙上でも取り上げておりますし、あるいはまた地元からもそれぞれ陳情等がありますので、大臣も十分御了承のところと思いますが、九大の分校統合の問題に関しまして、それぞれ現地におきましていろいろと政治的な問題にまで発展をなして参っておるのであります。こういった問題は単に形の上から申し上げますと、現地の福岡の九大と久留米との問題のような感じも受けますけれども、しかしながら純粋な教育を守っていく、健全な教育を守っていくという立場から観じて参りますと、これは基本的にもきわめて重大な問題として取り上げなければならないのでございます。そういった立場から私いろいろと御質問申し上げたいのでございますが、久留米市の立場、たとえば従来のいろいろな経緯、その他経済上あるいは社会上の問題等、あるいはまた九大側の立場から申し上げますならば、学校当局といた果ましては今後いかにまて健全な、完璧なる教育を実施していくか、また学生側の立場といたしましては、学生が今後いかにりっぱな教育を受けていくかというような立場から、それぞれいろいろと旨い分があるとは存ずるのでありますが、私は所管の文部大臣といたしましては、どこまでも教育の発展と申しますか、健全な教育を育成していくというふうな重要な立場をとって参らなければならぬというふうに考えておるわけでありますので、まず第一に所管でございます文部大臣が、このような問題につきましてどのような所信を持っておられ、また将来この問題についてどういうような方針で進んでいかれようとしておるのか、まずその点を御答弁をお願い申し上げたいと思うのでございます。
○文部大臣松村謙三君 今のお話でございますが、この教育問題、ことに今の大学教育の問題につきましては、実際内容の整備ということが何よりも焦眉の急となっておるわけでございまして、今度の三十一年度の予算におきましても、これに主力を置いてやりたいと考えております。そこでそれをやるにつきましては、新しい大学を作りまして間口を広げるというようなことがなかなか困難であって両立しがたい傾向にありますから、さしあたってもう少し整備のできます間学校の新設は見合せたい、こういう方針で現在やっておるわけでございます。 それから短期大学につきましては、これは御承知の通り暫定の法規でございますから、これは暫定のままで、あとからまた何か動かすようなもとに学校を作ることもいかがかと存じまして、これも近いうちに中央教育審議会へ付議いたして、短期大学はいかにあるべきかという恒久法に変えたい、その上に考慮をいたしたい、こういうふうに考えております。
○河野正君 ただいまの大臣の御答弁を承わりますと、まず今日の大学の内容を整備するということが非常に緊急な問題であるというふうな御答弁でございましたが、今日九大側からいろいろと統合の問題につきまして陳情なりあるいは切実な要望がなされておると思うのでございます。こういった要望にはたくさんの意見なり内容があると思いますが、その中の一つといたしまして、やはり内容の整備のために統合してもらいたいというふうな意見が私は多分にあったものと確信いたしておるのでございます。ところが今度八月に入りまして文部省が行いました行政措置といたしましては、大学を統合するんだというようなことは、すでに六千四百万の予算が議決されました実情から見て参りましても、そういう統合問題が議会を通じて認められて参ったということは否定するわけには参らぬのでございます。こういった統合を認めておる、また文部大臣も先ほど御指摘になりましたように、内容を整備するということが緊急であるというような点から見て参りましても、私はすみやかにこの統合が行われるべきだというふうに判断いたすのでございますけれども、不幸にいたしまして——まことに不幸でございまするが、大臣の精神と相反しまして、今日予算の執行が停止されておるというような実情でございます。先ほどから申し上げますように、少くとも予算が議決されましたことは統合を認めるということが前提でございますので、新しく予算執行を停止するというようなことになりますならば、私は重大な新事態というものが発生して初めて予算執行が行われるべきものであるというふうに考えて参るのでございますが、この予算の執行を停止されました根拠につきまして、一つ大臣の御答弁をお願い申し上げたいと思います。
○文部大臣松村謙三君 お答えをいたします。予算の執行をとめましたことは、まことに私も遺憾に存じておるわけでございます。しからばなぜああいう手段をとったかと申しますと、久留米にあります大学を福岡へ移すという、これが地元の了解を得ておりませんので、選出の国会議員の方々も非常にそれらのことを心配されて、それからまた学校の意見というものは、従来の例からいいましても満足な話し合いができませんと非常にいろいろの事柄の発生いたしますことは御承知の通りでありますので、どうか一つ地元において十分話し合いができて、円満な解決ができてやり得ればこれに越したことはない。そのために大学総長などは非常に困っておりましたけれども、地方の円満を期するためにあの非常措置をとったわけでございます。これはまことに遺憾なことでございましたが事情やむを得ぬわけでございます。そこでそれならその点久留米側の考え方も承わりまして、かようなことは何か変った大学を久留米に作りますと、問題は解決するのでございますけれども、先刻申しましたような次第で、今大学を一つ久留米に作るということは実際の問題としてはなかなかできません。一つ作ればずっとまたたくさん全国に作る必要がございますので、これはできません。それでありますから、地方の方でしかるべく話し合いをつけていただきますならば、非常な仕合せだと思いまして、この間知事もほかの用事で見えましたから、知事にも何とか一つあなたがあっせんされて、その間の円満な解決をしていただきたいということをお願いしておいたのでございます。大学は、先刻申したようなわけで、国としてやることは当分はできませんけれども、あの校舎を久留米として他に利用なさるような場合がありますならば、これは文部省といたしまして十分の御便宜をはかりたいと思うから、そういうことで何とか考えていただけないかということを、この間知事にもお願い申し上げておいたわけでございます。どうか一つ大局からごらん下さって、そういう点に妥結点を見出していただきまして、予算の執行が直ちにでき得ますように願いたいものだと思うのでございます。今日までの成り行きをそのままお答え申し上げました。
○河野正君 ただいま大臣が御答弁なさいましたように、現地で話し合いの結果円満に解決するというようなことを私どもも大いに期待し、また私どももそうあっていただきたいというふうにこいねがうところでございますけれども、ただいまのお話を聞いておりますと、何らか政治的な圧力と申しますか、いろいろ現地の代議士から強い要望があったので、予算の執行を停止したのだというふうなお言葉を拝聴したのでございます。こういう言葉を裏返しますと、大臣は今日まで、教育の政治的な中立性を守らなければならぬというようなことを主張されておりますけれども、ただいまのいろいろなお話を聞いておりますと、何らかこういう教育の政治的中立性というものが、政治的圧力によってまげられたというふうに私ども強く印象を受けて参るわけでございますが、その点につきまして大臣はいかがお考えでございますか、一つ御答弁をお願いいたします。
○文部大臣松村謙三君 決して政治的圧力でそういうことをいたしたわけではございませんが、あのときにそういうふうにみんなも心配せられた。あのときの事情を聞きますと、もしもこれを強行しますと、やはり地方に相当いろいろの紛擾も起るような事態でもありますししましたから、一つ知事などのあっせんによってこれらのことが事なく解決ができたならば、これに越したことはないというふうに考えたので、現地の情勢に即してやったつもりでございまして、決して政治的に動かされたということはありません。こういう面において、久留米と福岡との間に何らか知事さんなんかがあっせんされたら妥結点が出るのではないか、そして校舎、敷地等のことは文部省といたしましては十分考えますから、それをよく利用されましたならば、久留米としても決してマイナスではないようにできるのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
○河野正君 ただいま大臣の御答弁を聞いておりますと、なかなかごもっともな話でございますけれども、現実問題におきまして、私は非常に大きな問題があると思うのでございます。と申しますのは、九大の分校が統合いたしまして、そのあとに何らかの施設ができるというふうな文部省当局の確答と申しますか、方針が明らかにされるというようなことになりますならば、これはしごく簡単でございますけれども、その点につきましては、先ほどから大臣からるると御説明がありますように、今後大学新設につきましては明るい見通しではない、なかなか困難であるというふうな御答弁もあったわけでございます。そういう事情でありますから、当局に対しまして、この問題に対する解決の明るい見通しを求めて参るということは、今日では私どもはなかなか困難だろうというふうに拝察するわけでございます。ところがそういった事態の中で、もし県知事が来て、何らかの話し合いの結果、ある程度県知事が一つの妥結点を認めてくれるならば、円満に解決するのではないかというふうな御答弁もございました。ところが、私ども今日まで福岡県政のある程度のことは理解いたして参っておりますが、今日福岡県の県財政から申し上げましても、その点につきましてはなかなか困難な問題があるのではなかろうかというふうに考えております。最近も自治庁が調査課長を派遣いたしまして、福岡県の赤字財政の原因は人件費によるのだというふうな財政診断の結果も発表いたしております。事実を見て参りましても、これはたとい福岡県が無償で施設や土地をもらい受けましても問題は残って参ります。経常費、人件費というふうな問題が県財政に非常に大きな尾を引いて参りますので、福岡県の財政といたしましてはなかなか困難ではなかろうかというふうな一つの判断にも立っているわけでございます。しかしながらこれは県当局の熱意がございますればできることでございます。これは単に私どもの見通し、見解でございますけれども、ところが私どもといたしましては、今日そのような見通しにしか立っておらないわけでございますので、もしそのような事実の上に立って当局が解決の方針を見つけていくというようなことになりまするならば、むしろ文部省当局が事態紛糾の責任を県当局に押しつけているのだというふうな、責任回避だというふうな考え方も私は強く受けて参っているのでございます。私の立場から申し上げまするならば、文部省が事態の紛糾を起したところの原因をまいておきながら、その収拾につきましては何ら責任を感じておらない、むしろ責任を今日は県当局に転嫁しているというふうに私どもは痛切に感じて参っておるのでございますが、その点の見通しにつきまして、もう少し責任ある当局の御答弁をお願い申し上げたいと思うのでございます。
○文部大臣松村謙三君 これは先刻も申し上げましたような次第でございまして、久留米の跡にかわった大学を作ることは今申しましたようなわけでできません。そうしますと、そのあとの問題は、先刻申したようなものでしかるべく解決するよりほかに道がない、こういうことになっておりまするものですから、今私の方で、それを文部省の責任でやれと言われれば、これはやるのは何でもないことですけれども、地方のためから申せば、少しおくれても、地方において、いろいろな有力な方々がおいでになることでありますから、その間に善処をしていただければこれに越したことはないと考えてこのような処置をとったのであります。決して無責任にやったというわけではございませんので、今もなお、そういうことで御解決ができますれば文部省としてもできるだけのことはいたしたいものと考えておるのでございます。
○河野正君 時間的な問題がただいまもいろいろと問題になったわけでございますが、もちろん一年も二年もかかってこの問題を解決してよろしいというようなことになりますればこれはまた別でございますけれども、現地の実情は、すでに学生諸君は、十月十三日の学期試験が終了いたしましたならば実力行使をするのだ、また、すでに御承知だと思いますが、学長は四月の入学式においても、十月統合という問題につきましてはそれぞれ宣言をいたしておるのであります。教育者の立場から、さようなことで学生に一つの信を失うということは、教育者としても全く価値のないことである。一つの自殺行為であるというようなことで、学生自身といたしましても、私どもの聞いております範囲におきましては、非常に重大な決意を行なっておるかのように私どもも承わっておるのであります。そういったように、現地におきましてはこういった問題が、時間的に見て参りましても、非常に緊急を要する問題となっておるのでございますが、そういった事態の中で、なお現地で今日、今からいろいろと話し合いの上で解決してもらいたい、しかも見通しにつきましては、ただいまいろいろと大臣が御答弁は下さいましたけれども、何ら明るい見通しは具体的にはついておらないというような実情でございます。こういった点は何と申し上げましても、現地の実情というものが大臣にそれほど深刻に、言葉をかえて申し上げますならば、現地におきましては非常に重大事態に当面しておるのであるけれども、当局はそれほど事重大に考えておらない。そういった熱意の欠除というものが、むしろ今日の事態の収拾を遷延させておるのだというふうな考え方を私ども受けるわけでございますが、そういった現地の実情を十分御認識の上で、この問題を処理しておられるのかどうか、それについての御答弁をお願い申し上げたいと思います。
○文部大臣松村謙三君 実はその地方の実情をよく存じておいでになる方々から、ほとんど超党派的にお話がありまして、それで何か一つ具体的のお考えでも出てきますならばと思うて、これだけの余裕を持って考えて参りましたが、実は知事さんにしましても、地方のどの方からも何ら具体的のお話を承わっていないのでございまして、これは何とか一つ地方といたしまして、それならばこういうことはどうかというようなお話くらいは、知事さんなんかがあっせんせられてでも、あってしかるべきじゃないか。全く文部省だけに始末せよとおっしゃれば、それをする道はただ一つしかございませんが、それは地方のためにもならぬかと存じまして、今日までこのようにいたしておるわけでございます。その辺のことは御了承を願いたいと思います。
○河野正君 ただいま大臣が御答弁下さいましたように、久留米側は地元といたしまして、久留米側の立場から、九大側は、いろいろと要望されておりますように、九大側の立場から、それぞれ立場もございますし、言い分もあるとは存じます。私どもがこいねがいたいところは、もちろんそれぞれ言い分はございますけれども、しかしながら所管でございます文部大臣といたしましては、どこまでも教育の立場から、今後の教育をいかに発展せしめていくか、あるいは健全な育成をどうしてはかっていくかというふうな純粋の教育の立場から、こういった問題を処理さるべきだというふうに私ども考えて参っておるのでございます。ところが先ほどいろいろ御答弁になっておりましたように、それが民主的だかどうだか知りませんけれども、いわゆる政治的な圧力に巻き込まれると申しますか、政治的な動きに巻き込まれると申しますか、そういったことで教育という問題が非常にゆがめられて考えられておる。またそういったゆがめられた上に立って、この問題が処理されておるところに、非常に大きな問題を残しておるものと私どもは確信して疑わぬのでありますが、一つ正しい教育を守るという立場から、文部大臣は今後の問題につきましてどのように処理されようとしておりますか、その点につきまして明快に、重ねて御答弁をお願いしたいと思うわけでございます。
○文部大臣松村謙三君 正しい教育を守るということは、これはお話の通り私ども熱意を持っているわけでございますが、これは決してゆがめられて考えているわけでも何でもありません。できればやはり地方で円満な解決ができればこれに越したことはないと思ってやったことでございまして、事情は先刻来申した通りでございますけれども、上く注意をいたしまして、その間に文部省といたしましても善処をいたしたいと思います。地元の皆様におかれましても、どうか一つ円満に御解決をお願いいたしたいと思うのであります。
○河野正君 私どもは事態が最悪事態に直面いたしておりますので、できるだけ早く結論を求めたいというふうなことで御質問申し上げるわけでございますが、重ねてお尋ね申し上げたいことは、やはり地元で円満に解決する1具体的に申し上げますならば、久留米に文部省が国立を置きますのが困難ならば、県立の大学を置くということにでもなりますれば、事態は円満に解決するでありましょうけれども、見通しとしてはなかなか困難な見通しであります。さればといって、そうした見通しがつくまでこうした問題を放置しますことは、先ほど来私がいろいろ御説明申し上げましたように、九大側当局としてはいろいろ重大問題を派生して参っているのであります。そこでお尋ねいたしたいのは、県立の大学ができるか、あるいはその他の施設ができるかというふうな具体的な解決をしなければ、予算執行の停止というものが解除されないものかどうか、この点につきまして一つ御答弁を願いたいと思います。
○文部大臣松村謙三君 よく御趣旨はのみ込みましたので、文部省といたしましてもよく相談をいたしまして、善処いたしたいと思います。
○河野正君 もちろん久留米側がおっしゃいますように、従来までのいろいろな経緯あるいは久留米市におきます社会上、経済上の影響、そういった点も私ども十分わかりますし、もちろんこういった問題につきましては大臣の御協力もお願いいたさなければなりませんし、また私どもも御協力申し上げることにつきましてはやぶさかではないのでございます。しかしながらそうであるからといいまして、そういった問題が解決しなければ健全な教育が守られぬのかというようなことにつきましては、私ども非常に大きな問題があると思うのでございます。 そこでお尋ね申し上げたいと思うことは、教育と社会、経済上の問題とはおのずから別個の問題でございますので、こういった問題につきましては一つのきぜんたる態度を堅持することによって解決する。そうしていろいろ社会上、経済上の問題につきましても一緒に考えて解決していこうということになりますと、文部省当局の方針もございましょうし、あるいは県当局の財政の問題等経済上の問題もございましょうし、早急に解決することはなかなか困難な問題であるということは、火を見るよりも明らかな事実でございます。しかしながら事態というものは非常に緊迫せる事態に現地では直面いたしておりますし、やはり教育の問題と、社会経済上の問題というものはおのずから別個の問題でございますので、そういった問題はどこまでも切り離して善処していくべき問題ではなかろうかというふうに感じて参っているのでございますが、その点に対しまする文部大臣の御所見を承わっておきたいと思うのでございます。
○文部大臣松村謙三君 お話の趣きはよく承わりました。十分協議いたして取り計らうようにいたしたいと思います。さよう御了承を願います。
○河野正君 大体趣旨は御了承いただいたと思いますけれども、しかしながら御承知のように現地九大におきましては、学生諸君も数次にわたります大会を開いて、十月十三日には実力行使に入るんだというふうな事態もございますし、また当局側の学長といたしましても、この問題につきましては、学生諸君に対する公約の問題、あるいは宣言の問題等もございまして、いろいろと窮地に立っておられるものと私ども確信いたしております。そこで地元の事情もよく承わって善処いたすというような御答弁でございまするけれども、非常に時間的にも拘束を受けたところの重大な問題でございますので、願わくはこの席上におきまして具体的に最悪の場合には行政措置で別個に久留米の問題は解決するとか、そういった具体的な御答弁なり方針を重ねてお尋ね申し上げたいと思います。
○文部大臣松村謙三君 お話の御趣旨はよく了承いたしますが、今ここでこういう重大な問題につきまして直ちにお答えをいたすだけの用意を持っておりませんので、よく事務の方とも協議をいたして善処いたしたいと思いますから、どうかさよう御了承を願います。
○河野正君 大臣が非常に慎重な態度をとっておられますことは私どもも従来の経過から見て参りましてよく了察できるのでございます。しかしながら先ほど来申し上げますように、九大の事情というものは非常に険悪した状態でございますので、最悪の場合には大臣としてどういう方針で進むのだ、最悪の場合にはその間におきましては円満に解決するようないろいろな措置を講じていかなければならぬと思いますけれども、最悪の場合には大臣としてこういう処置をとることもやむを得ぬだろうというふうなかたい御決意がございますならば、この際この席上におきまして一つ御表明願いたいと思います。
○文部大臣松村謙三君 それはどうか一つお許しを願いまして、これをよくまとめるために、今その結末まで明らかにいたしましては、かえって事がむずかしくなるかもしれませんから、一つ十分考慮をいたしまして善処をいたしたいと思います。私どもはその後両方の事情はよく承わっておりますし、今また重ね重ねに御説明もございまして、よくわかっておりますから、一つ私どもに善処をさしていただきたい、こう思います。
○河野正君 最後に一つ御要望を申し上げまして私の質問を終りたいと思います。いろいろと申し上げました趣旨につきましては、大臣もとくと御了承願ったものと1理解申し上げたいと思うわけでございますが、一点御要望申し上げたいと思いますのは、先ほどからいろいろ申し上げますように、大学側にとりましては、学生はすでに実力行使というふうな宣言もいたしておりますし、また学長自身も非常に教育者といたしまして苦しい立場に追い込まれておるのでございます。そういった実情を十分おくみ取り願いまして、あるいはそういった事情が実現いたしました場合には私ども非常に重大な事態が起って参ると思うのでございますが、そういったことは起るか起らぬかわかりませんが、要するに、そういった実情も十分お含みの上で一つこれを善処するというふうにお考え願いたいと思います。これは要望でございまして、その点は大臣を私ども絶対に信頼いたしますので、その信頼の上に立ちまして一つ御善処あらんことをお願いいたす次第でございます。
○座長(佐藤觀次郎君) 稲富稜人君。
○稲富稜人君 大臣に二、三お尋ねしたいと思います。ただいま河野君から御質問いたしました九大の第二分校移転問題についていささかお尋ねいたしたいと思うのでございますが、できるだけ重複を避けて簡略にお尋ねいたしたいと思います。 ただいま河野君の御質問の中にもありましたごとく、今回政府が六千四百万円の予算の提出をせられたことに対して、いかにも政治的な圧力があったかのような考えを一般に持たせるということは非常におもしろくないと思います。これに対して私ただいま大臣の御答弁を聞いておりまして、大臣の御答弁も非常に不十分ではないかと思うのでございます。そもそも私らが考えますことは、最初にこの予算を編成されるときにさかのぼって、予算編成の当時においていささか事情の不明瞭な点があった結果予算の編成がなされたか、ここに一つのもとが生じているのではなかろうかと思いますので、一応予算編成当時におきましてどのくらいの事情を文部省としてはお考えの上に予算編成をなされたか、その点のことを一応明らかにしていただく必要一があるのではないかと思いますので、その点承わりたいと思います。
○管理局長小林行雄君 九州大学の分校の統合問題につきまして予算を編成いたしましたのはご承知のように、九州大学の一般教養部が久留米と福岡に分かれておりまして、学校の立場から申し上げれば、教育上もまた研究上も非常に不便が多いということが従来あったわけでございます。たまたま先般九州地方に大水害がございまして、そのときにこの九州大学の久留米分校が非常な水害を受け、また学生も一部の者には危険な状態が生じたというようなことがございまして、九州大学としては前々からの一つの統合計画を持っておりましたし、ただいま申しましたような西日本水害の危険な状況もございましたので、強くこの統合問題を文部省の方に御要請になりまして、文部省としてもこの九州大学の御要望を取り上げて、予算を大蔵省の方に要求したということでございます。ただ当時、私どもとしてはうかつであったかもしれませんが、地元の久留米市にそれほど大きな反対運動があるということは実は知っておらなかったのでございます。
○稲富稜人君 ただいまの御説明によりますると、私たちそれをいろいろと責めるわけではございませんが、予算編成当時の実地の事情を文部省が十分知られていなかったのではないかという点はわれわれも十分うかがえるのであります。ことに二十八年度の災害において学校自体が災害をこうむったとかそういうことを私は論議するわけではございませんけれども、その点いささか予算編成当時における実地の検討をするだけの準備が足らなかったのではないかということをわれわれ思うのでございまして、その点からことに今回の予算を提出なされたものだということはうかがえるのであります。 ただ私たちが遺憾に思いますことは、今日そういう予算の提出をやられたことによって、いかにもこれを政治的な圧力によって処置するというふうな感じを抱かせることでありまして、その点文部省の立場をはっきりしていただきたいということを文部大臣に伺うと同時に、これに対する文部大臣の見解をはっきり承わりたいと思います。
○文部大臣松村謙三君 予算編成当時の事情は事務当局から申し上げた通りでございます。その後地方の実情もあのような変化を示してきておりまするし、それから実際学校の移動というものはよく騒ぎになるものでありまして、地方にずっと長いあつれきを残すということはどうかと思いましたものですから、こういう措置をとったわけでございます。先刻もお答え申しました通りに、よく一つ相談いたして、善処をいたしたいと思います。
○稲富稜人君 さらにこの問題に関連して、一応文部省に私お尋ねしたいと思いますことは、御承知のごとく、久留米工業専門学校が以前ありまして、九大と合併をいたしました当時からの経過といいますか、その当時からの事情等は文部省でもよくわかっておると思うのでございますが、その当時の協定と申しまするか、約束と申しまするか、その点文部省では十分御承知になっておるかどうか、この点一つ承わっておきたいと思います。
○大学学術局長稻田清助君 文部省自身には文書がございません。こういうものは大学自体が自主的に計画をきめまして、予算の裏づけその他は文部省でいたすことでありますから、文部省は年来大学の御説明を伺って、そういう経過があったということを承知するにすぎないのであります。
○稲富稜人君 それでは大体その時分そういう経過があったということを認めておるということになりますと、その当時の契約と申しますか、約束と申しますか、それに対しては今後の合併あるいは移転等の問題においては文部省としてもある程度尊重していただかなければいけないと思いますが、これに対する文部省当局のお考えはどうでしょうか。
○大学学術局長稻田清助君 当時の約束が永久にあそこに分校を設置するということであったといたしますれば、こうした計画が大学からも出て参りませんし、文部省からも出すはずがないのであります。そういう点については、はっきりした約束はなかったとわれわれは承知いたしております。ただ地元において、何らか教育施設を存置してもらいたいという御要望は前から継続しておった、そういうように推察するにすぎないわけであります。
○稲富稜人君 そうしますと、従来の合併のときの経過並びに今度の予算編成のときの事情、そういう点は十分おわかりになって、その上で今度の予算の執行に対する中止問題が起っておるのでございますが、先刻から文部大臣のお話を伺っておりますと、地方において何とか解決してもらいたいという御意見でございました。その問題が今日なお解決しないとすれば、ただいま文部省としておとりになっておる方針というものは御変更がないということをはっきり承知していいのでございますか。
○文部大臣松村謙三君 大学に対する政府のただいまとっております方針は、変更はいたさぬ方針であるということを申し上げておきます。
○稲富稜人君 その問題が明らかになりましたので、次に先刻から大臣のお話を承わっておりますと、地元で何とか善処してもらいたいという御意見でございます。ところが地元のものといたしまして、やはり将来の学校の問題に対しては、文部省としての方針をおとり願うことが最も妥当ではないかと思うのでございます。先刻から大臣のお言葉を聞いておりますと、そもそも大学は新しく作るわけにいかない、こういう一点張りのようでございますが、ただいま事情を御承知になっておるような特殊な事情から考えまして、ただ大学はふやさないのだという方針ばかりではなく、かような特殊な事情というものは特に何とか文部省の方として考慮の余地がないかどうか、この点を一つ大臣から承わりたい。
○文部大臣松村謙三君 今内容の整備に急でありまして、今年あたりも大学の講座の費用などというものはひどいものですから、こういうものに全力をあげなければなりませんので、そこに力を尽し、従って大学の新しい設置ということはどうしてもやれない。しかし他日事情がずっと緩和して参りましたときは、また別に考えられることでもあろうと思うわけでございます。従いまして、今特別の事情があるからということもごもっともでありますけれども、全国的に見ますと、そういう前からの何のついておるのがなかなか多いのでございまして、こればかりを先にしんしゃくするということは、非常に困難な実情にあるというふうにお考えを願いたいと思います。従って、大学を新たに作るということと切り離した解決の道をお考え下さいませんと、なかなか急なわけには参りかねる、こういうように御了承を願いたいと思います。
○稲富稜人君 もちろん国としての教育全体の内容の整備という大臣のお考えになっていることも私わかるのであります。ただ私は特殊の事情として申し上げたいと思いますことは、この久留米の従来の第二分校の設備その他でございますが、これは御承知の通り従来工業専門学校があったのでありまして、その充実したる設備等はその学校としては依然としてあるのであります。しかも現在これを生かすことによって専門的な教育がやれるような実態でありますので、国家全体の教育の整備を大局的に考えていらっしゃるということに対しては、われわれも否定するわけではございませんけれども、その大学の内容を整備するというその一部分といたしましても、今日現存いたしまするこの久留米の学校を充実し、そうして別個に設置するということにいたしましても、これは何も内容の整備という大臣のお考えと相反する形にはならないと思うのであります。それほど特殊の設備と特殊な事情があるということを考えられたならば、今大臣の言われたようなことでもまたいささか考慮される余地があるのじゃないかと考えるのでございますが、この点大臣は現在の久留米の分校の実態を十分御承知ないのではないかと思うのです。これは一つ大臣はおひまを作って内容を見ていただけば、これほどの設備のあるものを学校として生かさないことは、これは非常な国家的の損失であるということもおわかりになると思う。それほど十分な設備があります。この点特に特殊の事情から勘案して御考慮になる必要があるのではないかと思うのでございます。はなはだくどいようでございますけれども、この特殊な事情に対して特に考える余地がないかということを承わりたいと思います。
○文部大臣松村謙三君 お話はよく承わりまして研究をいたしますが、ただここで申し上げておきたいと思いますことは、国もそういうことでこれは解決がちょっと急には困難であろうかと思います。他日のこともございますから、やはり県の方でも久留米市の方でも現在の状態を十分ごらん下さいまして、その間可能な方法をお考え下さいますれば、私どもの方としても十分それに御協力は申し上げるつもりでございます。今直ちに大学を作るというようなことをお考え下さいましても、ちょっと今年はさようには参らないのじゃないか。なぜ私こういうこと申すかといいますと、できないことをできるようなことを申しておきますと、皆さんも御迷惑でございましょうから、久留米市の方々もそれらの点をよく御了承下すって、そうして次善の方策をお考え下さることができないものかどうか、こういうふうに考えておるわけでございます。しかしお話もありますから一つよく検討いたしたいと思います。
○稲富稜人君 くどいようでございますけれども、大臣としてはあなたの方の立場から、地元の方としても考えてくれとおっしゃるのでございますが、私の方から考えますと逆でございまして、現在あの設備があります。予算上におきましてもそれほどの困難を来たさないと思います。私の聞くところによりますと、昨年度におきましてもやむなき事情によっては、二、三大学の設置を見たところもあるということも聞くのであります。そういうような点から申しますと、従来の特殊な——やむなき事情にもまさるようなやむない事情があると思いますので、この点は特に考えていただきたい。ことに私は何も予算編成上の責任をここで問うわけでございません。しかしながら、問題が今日に至りまして非常に紛糾の焦点になっておりますことは、何と言いましてもやはり予算編成上におきまして六千四百万というこの予算が編成されたということが、合併というものが直ちにできるのだという見通しのもとに、一つの紛糾と申しますか、この問題が表面化してきたと思いますので——私はあえて責めるわけではございませんけれども、そういう点から申し上げましても、何とか早急にこの問題を解決をしていただくことが、事態を収拾する上からもいいのではないかと考えるわけでございます。大臣は文部省の立場から、何とか地元で解決してくれということを申しますけれども、私は地元の立場から、今申し上げましたようなこともありますので、特殊の事例として特にお考えを願いたいという考えを持っておるわけでありますが、これに対して大臣からもう一つ考え直しをしていただきまして、急に処するような方法をとっていただきたいと思うのであります。
○文部大臣松村謙三君 だんだんのお話でございましてよく研究はいたしますけれども、今直ちに御趣旨に沿うようなお答えを、実は御承知のような状態でございますので、ここで申し上げることは遺憾でありますけれども、できかねるわけであります。なおよく事務的にも研究をいたします。
○稲富稜人君 なおまた先刻から話を聞いてみますと、この問題が未解決に終りますと、学生諸君も非常に困るし、実力行使に出るというようなことも話に聞いております。こういうことになりますと、今日紛糾を重ねたこの問題がさらにまた社会的におもしろくない結果になると思いますので、こういう問題に対しましても文部省といたしまして特段の考慮を一つ払われまして、この問題等に処する方針等を一つお考えになる必要があるのじゃないかと思うのでありますが、先刻学校に対する方針は不変だという話があった、それは予算措置に対する問題だと思うのでありますが、その他の問題に対してもやはりそういうようなお考えで処されるつもりであるのか、その点も一つあわせて伺っておきたいと思います。
○文部大臣松村謙三君 これはだんだんのお話もございますので事務とも話し合いをして善処いたしたいと思っております。
○稲富稜人君 それじゃ最後にお願いいたしまして……。この問題に対しましては地元として非常に大きな問題でありまするし、また学生といたしましても、九大側としても非常に重大な問題だと思うのでございます。このすべての問題を解決するということは、これは文部当局がただいま私いろいろ申し上げましたような点を考えて処してもらうということになりますると、一切が解決すると思いますので、特殊の英断をもちましてこれに対する御処理をしていただきますように、ただいま申し上げますあの校舎を生かして、そうして新しく学校の設置等に対しましては特段の考慮と急速なる実現を期していただきますように重ねて私はお願いいたしまして、私の質問をこれで終ることにいたします。
○辻原弘市君 少し変った点から大臣にこの問題に対してお尋ねをいたしたいと思います。だんだん承わりますと、大臣が既定方針を変える意思はない、こういうお話でございまして、そうなりますと地元が要望しております点についての希望はなかなか達せられないということになる。現実の問題といたしまして、早晩九大に第二分校が合併されるということになった場合に、私が一つこれは国の立場から考えましても、あに久留米の問題だけではなくして、他の分校統合あるいは大学の現状から見て一つ考えなければならぬ問題を最近気づいております。事後の処理をどうするかという問題でありますけれども、今のお話により、また地元の要望が具体的に今日ここまでこなかった場合には、少くとも第二分校はすでにこれは統合されてなければならぬということになるのでありますが、私は寡聞にしてその後の取扱いについてどなたからもあまり聞いておらないわけでありまして、先般たまたま私は九州に参りました機会に第二分校の状態を逐一見せていただきまして、それについて相当考える点があったわけでありますが、今も稲富委員の方から相当な施設と、こうおつしゃいました。もちろん相対的なものですから、その施設をもって十分であるという人もあるし、またこの程度のものではこれは大学の研究施設としては不十分であろうという人もありますけれども、しかし従来この施設は分校の用にはあまり立っていなかった。付置されておる研究所に一部供されておりましたけれども、私の見るところでは、いわゆる研究所はあくまでも研究所でありまして、かつての久留米工専当時のその施設がそのまま研究に役立つとは私は考えられない。また現実に大して——こういっては失礼でありますが、いろいろ苦心されて研究所の方々はおやりなさっていらっしゃるようでありますけれども、果して九大の付置研究所がかくのごとき姿であっていいものであるかということにも疑問を差しはさまざるを得なかったし、いま一つは、本来これは研究施設じゃない、久留米工専当時の実習施設がそのまま引き継がれているものであります。従って、研究と実習とではおのずからその用途は異なってくる。研究の場合には、申し上げるまでもなく科学の粋を集めて時代の尖端をリードしていかなくちゃならぬものでありますから、その研究は、相当幅は狭くともより深い、その研究に役立つようなもの、そうした一つの施設がなければならぬ。ところが実習は、これはいわゆる初歩を教えるのでありますから、そういうものに役立ち得る、いわゆる施設が幅広くあればよろしい、従って私の見たところでは、いわゆる実習施設としては相当——これが現代のものに果して従前通り役立つかということは別問題としても、まず旧来のいわゆる工専の実習施設としてはりっぱなものであり、今日これを活用しても大学の工業課程における相当な役割を果す、私はこういうふうに把握をして帰ったのでありますが、そういう認識に立ってこの問題を考えた場合に、一体その施設、設備をどうするかという点であります。具体的なお考えをいまだ聞いておりません。いろいろ部分的に伝え聞くところによれば、研究所としてやっておったらいいのだとか、多少形を改めて研究所というような形で今後も継続して使っていったらいいじゃないかとかいろいろ聞くのでありますが、果してそういう程度にしかお考えなさっていけないのか、先ほど私は国の立場から申し上げましたが、確かに国家的見地からもまた社会的な立場からも、この際こういうような相当な金を注ぎ込んだ施設を、極端にいえば遊ばせておくということはもってのほかだと思います。先般私は、神戸の商船大学の施設をも見まして、これまた相当考えさせられるところがあった。フルにそういうもの力役立たせるということが、それでなくとも研究施設の乏しい、予算の少い文部当局としてはそのくらいの頭を持っていただかぬと困る。ですから、一体その事後の処理についてどうお考えたさっていらっしゃるのか、一つこれは大臣なり次官からお伺いをしたいと思います。私は別に事務的な問題を大臣なり政務次官に意地悪くお尋ねしておるのじゃないのです。これは先ほど大臣の答弁の中でもるる伺いましたけれども、既定の方針があるし、さりとて現地の、学校を作ってまで地方の産業をなにしたいという希望はもだしがたいし、片や大学の統合という大事業も大臣としては一つ遂行したい、こういう板ばさみになって何か一ついい考えはないか、こういうふうにお考えなさっていらっしゃるところだろうと私は思うので、それならば少くとも、実地をごらんなさらないでも事後の処理についての方針等はある程度事務当局とお話合いがなさってなければならぬはずです。それがないならば真剣にこの問題についてお考えをいただいておると私は考えられない。そういう意味で大臣なり政務次官にお伺いをしたい、こういうことなんです。
○文部大臣松村謙三君 それでは私からお答えをいたしますが、今のようなお話につきましては、先刻申した通りによく考えます、研究をいたします際に、そのお考えをあわせて検討をいたすことにいたします。
○辻原弘市君 あとどうするかの問題——大臣のお話は大臣のお話として承わっておきますが、もし何でしたら事務当局の方でもけっこうです。これは固執はしてないんですから。
○大学学術局長稻田清助君 ただいまの御質問は、文部省が当初どういう計画を持っていたかという御質問のように伺ったのでございますけれども、これは大学の意見を伺いますると、地元においてあと教育施設に利用したい、これはわれわれは地元において何か御計画をお持ちになっておやりになることだろうと考えておりましたので、そういうお話を待たないで、こちらだけで処理方法をきめるというようなことを控えておったわけでございます。
○辻原弘市君 ほんとですかな、その話は……。
○大学学術局長稻田清助君 今申し上げた通りでございます。
○辻原弘市君 というと、あとの処理は地元でやってくれるだろう、こういうことでともかく移転をするという方針をその通り実行して、あとについては地元から何らかの話し合いがあるまで、文部省としての見解も方針も立てられなかったということなんですか。
○大学学術局長稻田清助君 大学当局と地元とずっと御折衝はございまして、地元としては教育施設という要望があり、御愛惜があったようでありますので、そうした話を第一前提としておいて、かりにもし地元において何ら御計画がない、御要望もないとすれば、おそらく九州大学としては、あすこに残るべき研究所のためにフルに使いまして、残りは用途廃止して、適当に処分したろうと思います。
○辻原弘市君 そこが私は問題だ、こう申し上げるんです。今局長のお話をもってしましても、地元が何か教育施設に活用するんだろう、その地元がどこをさすのか、私もちょっとわからない。九大であるのか、またその施設がある久留米市をさすのか、一体どっちとも判然しないのです。ともかく文部省としては、九大か地元かどこかで適当にあれするだろう。まさかの場合は、今までも研究所に使っておったんだから、フルに使うだろうとおっしゃるんですが、フルに使えばそれでけっこうです。私はフルに使えないという方を考えておった。だから長ったらしい前提を置いたのはそこなんです。どうフルに使うのですか。現在、たとえば私の見たところでは、ずっと各教室を見ましても——これは分校でない、研究所です。その中で、ある程度活用されておるなあと考えたのは、わずか物理学教室だけです。その他は天びんもあります。かじ屋の実習施設もある。赤さびになってほうってある。その他相当優秀な旋盤機械等もずらっと並んで、これも使ってくれる人を待ち顔である。そういう施設を現在の九大の研究所はどういうふうにしてフルに使うのか、そういう点を相当御研究いただかぬと——単に研究施設として使えるだろう、もちろん使えないことはないと思います。要は効率化、どっちに使った方がいいか、はたして教育の実習施設としてこれを効率的に使った方がいいのか、研究施設としてフルに使う、そういうやり方をやったらいいのか。ここらは私はもちろん九大当局のお考え方を自由に裁量しなければならぬと思いますけれども、やはり文部省自体としての、一つの指導方針というものがなければならぬ、こういう点については、遺憾ながらどうも今の稻田局長のお話を聞きましても、あまりあの施設については、重要視されていないような印象を受けるんですが、いかがなもんでしょう。
○大学学術局長稻田清助君 お述べになりました御意見と同じ意味でお答えしたつもりでございますが、あるいは言葉が足りなかったかもしれません。フルに使うとは申さないのであります。もしほかの要請が何にもないならば、九大自身の財産であり、あそこに研究所があるのでございますから、研究所が使い勝手のいい計画を持って、使用計画を立てて、もし余りがあれば、余りは用途廃止して、何かほかの有効な施設に、地元なりに提供することを考えたであろう、こういう意味で申し上げたのであります。
○辻原弘市君 物事は私はそう簡単には参らないと思うんです。今局長のおっしゃるように、それじゃ九大自体があれを何とか使うということで、現地からはずして持っていくということになれば、やはり久留米市としては、相当これに対する経費を、当初学校設立に当ってはつぎ込んでおるとおっしゃるに違いない。そういう問題もからんでくれば、あるいは必要なものだけは持っていくが、あとは、あまり役に立たないものだけはお前の方で引き受けろ、たとえばこういうお話になってきても、それをそのまま地元に果して受け入れられるか。そこいらにやっぱり話し合いというものが生まれてくる。そうしたときに当然そこに一つの話し合いが生まれてきて、問題がそこにいったとき、やっぱりこじれてくると思う。それを何かふたをかぶせてしまって、どっちへいったかわからないような形で処理してしまうということは、私たちはちょっとこれは困るんじゃないか、こう思う。そういう点は今後に残されている問題です。だからそれならば、今もう一つ足を踏み切って、この際最もスムーズな形で分校を統合する方法は、これは言いかえてみれば、何らかの形で地元と話し合いをして、九大、三者の間に、文部省もその間のあっせんの労を務めて、そうして一応地元の学校設置という問題に対する何らかの方向をまとめ上げるということが、私は最も具体的な解決策だと思う。それはわかっておるけれども、その具体案がないんだとおっしゃるだろうと思います。しかし私は、今までの文部省の何から見ましても、そうこれらの問題について積極的にあっせんの労をとって、何か一つ話し合いをまとめ上げようというような好意的な方向には、まだまだだいぶ距離があるように考えるのです。時間がありませんので、これ以上は申し上げませんが、大臣としてここで答えよとわれわれが申せば、それは既定の方針を変えるわけには参らない、学校の設置は困ります。これは私は承わらなくてもきまり切っておると思うんです。しかしそれはそれとして、何とか施設も活用できるし、教育に対して、かほど関心を示している地方のそういう要望も芽をつまんではいかぬ。同時にまた大学の純真な子供を、こういったような一つの紛争問題の渦中に投ずるというような統合の行き方は極力避けよう、こういった配慮をされて、そして一つ問題を切らずに、よく当該県の当局と、あるいは久留米市なり九大当局もさらに話し合いを継続されるような形で、何とか一ついい線の出るようなごあっせん方を、この機会に私は、大臣にも、また政務次官にも、稲田局長にもお願いを申し上げまして、紋切り型になって開き直らずにお考えを賜わりたいことをお願いしておきたいと思います。
○山崎始男君 時間がありませんので、ごく簡単にお尋ねいたしますが、問題は教育委員会制度の改正の問題であります。もとより法律の改正もあるでしょうが、休会で、私たちあちこち回っておりますると、地方へ行っていの一番に聞かれますことは、やはり教育委員会制度の改正の問題であります。新聞その他で次の通常国会には、文部省の方から、法の改正に関する法律案をお出しになるということが世間に伝わっておりますが、実際地方へ行ってみますると、非常に不安がっておるんです。極端に申しますると、いろいろ甲論乙駁ございますが、教育委員自身の気持の中には、熱意を失ったという者もおるし、あるいは大いに憤慨をしておる者もおるし、種々さまざまです。そこでこの協議会が開かれましたので幸いでございまするが、文部大臣としては、現在こまかいことは私も聞こうと思いませんが、大きな点だけでけっこうですが、どういうふうな見解を持っておるのかということを、どうぞ明らかにしていただきたいと思うのであります。
○文部大臣松村謙三君 これにつきましてはいろいろのことが伝わっておりますが、実際の問題としては、ただいま白紙の上に検討中と申し上げるよりほかに進んだものがないのでございます。それはこのさきの議会でも申しましたが、教科書の改正はぜひ次の議会へ出します、それから教育委員会制度は白紙の上に立って検討をいたして、改むべきものあれば次の議会へ出します、こういうふうに多少差別してお答えを申しておるわけでございまして、そういう方針に従いまして、白紙の上で、この教育委員会制度をこのままでやっていってよろしいか、それともどういうふうに改めた方がいいのかという検討を今いたしておるわけでございます。ただいまのところは、その程度を出ません。それでこれだけの重大な問題でありますから、これをやるときには教育審議会へかけなくちゃならぬ問題でございますけれども、ただいま教育審議会へ提案することに決定をいたし、審議会で了解を得ておりますのは、きのうの教科書の問題と、もう一つ短期大学の問題だけでございまして、教育委員会の制度はまだ教育審議会にかけることも決定をいたしていない、こういう状態でございます。事は非常に重大な問題でありますから、慎重に審議をいたしたい、こういうふうに考えて、今事務の方でもやっておるわけでございますが、世間に伝わっておりますことは多く研究途上にあることが伝わっておるのでございます。いろいろなことが伝わっておりますが、それはすべてなお未定のことであり、研究中のことと御了承をお願いいたしたいと思うのでございます。
○山崎始男君 たしか来年の十一月まで延期しております教育委員の選挙を何とか目鼻をつけなきゃならないというような観点からも、文部大臣とまてはどうしても通常国会には法の改正を出されるんだということが、われわれの一つの常識なのでありますが、これだけの大きな制度の改革、従って法律案も大きな法律案でありますが、これがこの次の通常国会に出なければ、来年のことにはほとんど間に合わないということになるのではないかと私は思いますが、今大臣の言葉を聞きますと、まだ研究中だ、審議会へもまだかけていないのだと言われるのでありますが、研究中の中にもやはり原案の作成者としての大まかな原案というものは、もうすでにお持ちでなければならないのじゃないかと私は思っておるのでありますが、ほんとうに研究中という言葉が当てはまるのか、研究中の中にもいろいろと卵がおありになるのじゃないかと思うのであります。私はいろいろこまかいことをお聞きするのではないので、大まかな点だけでいいのですが、重ねていま少し明らかにしていただきたいと思うのであります。
○文部大臣松村謙三君 お話通り、来年の十一月でしたかには選挙がありますから、それには次の通常国会へぜひ出さなくちゃならない。やらないならきっぱりやらないという政府の方針をきめなくちゃなりませず、何らか改正をするならば、次の国会へ提案せざるを得ないわけでありまして、そういう方針でやっております。この教育委員会制度の問題は、議論はずいぶん前からありますので、大体こういうこと、こういうことという重点は全部論じ尽されておると思うのであります。そこで問題は、その論じ尽されたいろいろの考え方をどう採用して、そして組み合せるかということが重点だと思うのであります。その点がまだ、どの薬とどの薬と、どれと合わせてやるかということがまだきまっていないのでございまして、従いましてこれをほんとうにきめようと思いますれば、そう長くかからずにやっていけると思いますが、今私も実は努めて地方なんかへも出まして、そして教育委員会側、それに反対する側等々からのいろいろの意見を聞いて歩いているという程度で、どういうふうにするかということの決定的の意見を持ち合わせていないというのが実情でございます。さよう御了承を願いたいと思います。
○山崎始男君 教育委員会制度の問題は、大臣のお言葉にありましたように、ほとんど論議は尽されております。過去を考えてみましても、昭和二十四年でありましたか、この制度が起きまして、昭和二十七年でありましたか参議院では地方教育委員会制度というものは当分延ばすべきだという満場の議決ができて、衆議院へ回って、二十七年の八月でありましたかあの抜き打ち解散になって、そのまま地方教育委員会が誕生した。そしてその後地方教育委員会というものが、これは自由党の方に怒られるかもしれませんが、いわゆる教育行政をある程度曲げられたような印象を、この教育委員会制度そのものに国民はみな持っておるのであります。過去数カ年この問題は論議されてきておる。従って出尽されておるという大臣のお言葉は、私も全く同感なんでありますが、そういたしますると、大体そこに文部大臣としてはお考えがあるだろうと思うのでありますが、まあお言葉の通りに、まだ研究中だという言葉を前提として、私はそれじゃ質問をかえまするが、論じ尽されておるその要点というものは、これまたもう万人が考えても同じこと、すなわち公選するか任命制をしくか、この問題、いま一つは行政規模、現在の地教委の、小さな人口四千、五千の町村に至るまで教育委員会というものがあるという、これが果して適当か適当でないかという行政規模の問題、大きくいえば私はこの二つじゃないかと思うのであります。原案がないとおっしゃるものを私が聞くのもおかしいのでありますが、せんじ詰めれば、そのうちでも一番大切なのは、私は任命制か公選かの問題だろうと思うのであります。世間が一番注目しておるのは、私はその点だと思うのであります。時間がありませんから私くどいことは申しませんが、大臣のお気持として、任命制ということと公選ということと、この二つに一つはどちらを大臣としては適当とお考えになりますか、一つこの際御所見をお漏らし願、えれば非常に幸いだと思います。
○文部大臣松村謙三君 そういうところに重点もあろうかと思いますが、それよりもさらに問題は、やはり地方の教育委員会と府県の教育委員会との関係をどうするか、人事などをどういうふうにするかというような点が大きな問題であろうと考えております。それから推薦制度にするか選挙制度にするかというようなことは、これはなかなか重大なことで、ちょっと容易に判断を下せないと考えております。今われわれ衆議院の選挙区よりもまだ大きい選挙区を持っておるような形がいいのか、われわれと同じような形の選挙区がいいのか、まだ小さい方がいいのか。こういう選挙制度をとるとしてもいろいろの問題があるわけでございまして、私といたしまして、また文部省といたしまして、その可否についてまだ決定的の意見には達しておりません。何か推薦制をとるというような記事も出ておりますけれども、そういうようなことは今毛頭決定はいたしていないのでございまして、これらのことは研究中と申し上げる次第でございます。
○山崎始男君 今研究中はわかっておるのでありますが、大臣御自身とすれば任命制が是なのかあるいは公選制が非なのか、いずれが是か非かということのイエスかノーかでけっこうなんです。この点を一点お聞きすれば……。
○文部大臣松村謙三君 それが、私がこれがいいという決定的の意見がありますれば、そう研究などをせぬでもきまるのですけれども、実は私自身においてそういう点についてはまだ何らの確定した意見を持つに至っておりません。従いまして研究中と申し上げ、そして虚心たんかいにいろいろの人の意見を聞く、こういうようなところの道程にあることを御了承を願いたいと思います。
○山崎始男君 どうも質問のお答えにならないのでありますが、それでは結論といたしまして目下研究中である、具体的なものは何ら現在持ち合わしていない。ただし次の通常国会までには法律を出したい、こういうことは言えると解釈していいのでありますか。
○文部大臣松村謙三君 端的に申しますれば、大体なおざりな改正をするならむしろこれでもいいと思う。それであるから必ずこの次に改正案を出すということをきっぱり申し上げるというところまではなにしませんで、この前の国会で申し上げました通りに、研究をして直すべきものがあれば必ず次の議会へ出す、こういうことをお答え申しておりましたが、今なおその範囲にあることを御承知願いたいと思います。ただ、私としまして人事の停頓などというような点が相当に目立っておりますから、そういうような意味から改正すべきじゃないかというような考え方に傾きつつあると申し上げる程度でお許しを願いたいと思います。
○山崎始男君 それでは最後に御要望だけ一点いたしておきますが、御承知の通りに人事の点なんかに非常に今日の奇形児的な教育委員会制度というものは、あらゆる点に欠点を持っております。特に地教委と県教委との関係、ひいては人事との関連の問題を持っております。だから私は大いに改正すべきものはやっていただきたい。ただし任命制か公選制かというこの点は——私はまさかこれだけ良識のおありになる松村文部大臣の時代に、今の民主教育の基本たるべき教育委員会制度の委員に任命制をしいたという悪例だけは後世にお残しにならないようにしていただきたい。この点だけは私は最後に御要望申し上げて、もうこの問題はしつこく聞きませんが、この点はあなたの名において非常に悲しまなければならないような事態が起きないように、私はお祈りいたしておきます。どうぞ一つよろしくお願いいたします。 時間がありませんので、最後にもう一点だけ教育課程の問題について伺います。来年の四月から高等学校の教育課程をコース制に変更されるということなんでありますが、この点について大まかな点だけでけっこうでありますが、一つ御説明願いたいと思います。
○文部大臣松村謙三君 これは私から簡単に申し上げますが、実は高等学校の制度につきましては、いろいろの批判とか要求とかいうものがありますことは御承知の通りであります。その一つは、昔は農村に農学校があって、相当に実際に即した教育を受け得た。それが今日高等学校になりますればそういう点において遺憾の点が多い、もう少しほんとうに農業の技術をなにしてくれろ、こういう要求のありますことは御承知の通りであります。商業学校にいたしましても、工業の面においてもやはり同様の要請があるわけであります。この要請をある程度取り入れて満たすということはこれはやはり考えていいことじゃないか。教育の機会均等というような原則はこれはもちろん尊重しなければなりませんけれども、それをごく狭く解せなくて、実際農村の要求、商家の要求というようなところも満たした方がどうかというような点から考えまして、そしてああいうふうに組み合せの選択をするというふうなことをやるのは決して悪いことじゃない、また後退したことでもない、こういうふうに考えまして、すでにここまでやってきたものですから、完璧とは申されませんけれども、一つやらしていただきたいものだ、こういうふうに考えております。
○山崎始男君 この問題はお尋ねいたしますと数時間食いますので、他日に譲りまして、教科課程の改変の問題と関連して学区制の問題がある。今全国方々で問題になっております。座長の地元の愛知県では最近大問題を起しております。われわれの方の県でも、愛知県ほどではありませんが、かなり問題を学区制の問題で起しております。大臣御承知とは思いますが、ちょうど占領治下におきまして男女共学の問題といわゆる総合制の問題、それからいま一つ学区制の問題、この三つは非常に当時の文部省が地方教育委員会のしりをたたいてやらしたものでありますが、現在それが大分くずれかかってきている。ところが今日まで高等学校の学区制という問題があって、地方の実情を見てみますると、こういう制度ができたから、やはり地方は地方で、これが地域の学校だという気持から市町村がかなり力を入れ、あるいはその他の民間団体が力を入れて、そうして今日高等学校の学校施設の内容その他が非常に整備されてきたということは、非常に長所の半面だろうと私は思うのでありますが、それが最近非常にくずれてきている。愛知県のごときはもう自由学区になってしまうというので地元で大騒ぎをやっている。こういう例は他府県にもたくさん今日ございます。これに対して私はこの教科課程の変更の問題とやや軌を同一にしている面もあると思うのでありますが、今日文部省は、当時やかましく言われた男女共学、学区制、総合制、この三つの中の学区制の問題に対して、どういうふうな方針といいますか、お考えを持っていらっしゃるのでしょうか、この点一つお聞かせ願いたいと思います
○初等中等教育局長緒方信一君 学区制の問題につきまして、文部省といたしましてはこれを基本的に改める考えは全然ございません。御承知のように、各県の地方教育委員会でとられております方法としましては、これはいろいろございます。いわゆる小学区制と申しまして、一つの高等学校ごとに学区をきめている方法とか、あるいはまた中学区とか大学区とか申しておりますけれども、相当数の高等学校をひっくるめた一つの区域を作って、それをもって学区制としているように、いろいろあると存じます。なおまた教育委員会法によりましても、その間の調整を教育委員会としてできることになっておりますので、いろいろな工夫が行われておるとは存じます。しかしながらあるいはまた職業高等学校、こういう高等学校につきましては、県下一つしかないという場合もございますし、あるいはその存在する場所の関係もございまして、それぞれ各都道府県の事情によりまして、学区制のきめ方は、これは教育委員会規則できめることになっておりますが、相違しておると思います。この原則につきまして、このたびの高等学校の教育課程の改訂と関連させて何か改訂があるようなことは、全然考えていないわけでございます。
○山崎始男君 私はそういう面から言ったのじゃないのです。大臣の時間がありませんので、私散発的に言いっ放しになってしまうのでありますが、もう一点だけ大臣にお伺いいたします。 前国会におきまして、危険校舎の改築促進の臨時措置法、それから不正常授業に対する解消の決議案、この二つの決議案が上ったことは御承知の通りでございます。これに対してちょうど今予算編成期であるわけでありますが、今日文部当局はこの決議案の内容にただの一つでも沿うような御処置が目下とられつつありますかいなや、この点だけお聞かせ願いたい。
○文部大臣松村謙三君 御決議の趣旨もあって、それに沿うような予算措置をいたしておるつもりでございますが、詳しいことは事務の方から……。
○管理局長小林行雄君 危険校舎の点につきましては、年次計画を定めてこれが解消に予算的な措置をしろという趣旨の御決議でございますが、文部省といたしましては、できるだけその線に沿って大蔵省と予算折衝をし、予算を要求中でございます。また不正常授業につきましても、これは国会で予算の基準や不正常の基準をご改訂になりましたので、その御改訂の線に沿って、できるだけ早くこの不正常授業を解消するために相当の金額を大蔵省に要求しておるようでございます。
○山崎始男君 非常に抽象的なんですが、この危険校舎に対して決議の要綱が四つございますが、簡単でけっこうです。この中のどれとどれをやっているとかということだけでよろしい。それから不正常授業に対しても、これは三つあるはずでありますが、この中のどれとどれをやっている、それだけでけっこうです。
○管理局長小林行雄君 危険校舎につきましては、まず衆議院の文教委員会では第一に合理的な年次計画を定めるということでありました。これは文部省としても従来もやってきておったところでございますけれども、予算のワクの関係からなかなかいわゆる合理的な年次計画という確定的な計画にまで至らなかったのでありますが、本年はその点については十分努力いたしたいと思っております。次に鉄筋の校舎の建築の関係でございます。これは木造と鉄筋との構造比率の関係でございまするが、実は本年度の予算の配分に当りましても、この鉄筋建築の御要望が地方から非常に強いので、予算に比べましてかなり引き上げたのでございますけれども、来年度は本年度と変って相当パーセンテージを高めたいと思っております。ただものによって、たとえば中学校整備の場合、あるいは戦災の場合、各予算の費目によって違っておるのであります。それから町村合併に伴う施設費の関係、統合整備の関係でございますが、これは実は従来もほかの条件が同じような場合には合併町村の統合学校を改善さしておったのでありますが、この八月に従来の配分の基準の一部を改めまして、町村合併に伴う学校統合の場合には、従来の学校の保有坪数は一応ゼロとみなして予算を作って差しつかえないという解釈通牒を出したのでございます。ただその場合に、過年度において予算の補助を受け取る場合にはこれは差し引くことになっておりますが、従来の予算配分の基準に比べますとかなり進んだ処置をとったつもりでございます。なお四番目は幼稚園の危険校舎のことでございますが、これは文部省としてもここまでいけるかどうかということは疑問でございますけれども、一応予算の要求としては公立の幼稚園の危険校舎を国庫補助の対象として要求いたしておるのでございます。
○座長(佐藤觀次郎君) 山崎君、野原覺君が一点だけ大臣に聞きたいというのですが、いいですね。
○山崎始男君 いいです。
○座長(佐藤觀次郎君) それでは野原君。
○野原覺君 山崎委員から御質問があったわけですけれども、高等学校の教科課程の改訂は来年の四月からいかなることがあっても実施なさる方針でございますか。
○文部大臣松村謙三君 皆さんの御了解を得てぜひそういうふうに運びたいものと考えております。
○野原覺君 時間がありませんから詳しいことは政務次官なり緒方局長からあとで御答弁いただきたいと思います。大臣もお疲れでしょうし御予定もあるようでございますから、できるだけ協力したいと思うのです。都道府県教育委員会がどうも今度の改訂に対して不満だというので改訂実施に応じない場合には、文部省はどうなさるのですか。
○文部大臣松村謙三君 私地方を少し回ってその話をなにしてきましたが、大体そういうことなくしてやってもらえるものだと思っているけでございまして、それが行われない場合のことはどうするかということは、ただいまのところ考えておりません。
○野原覺君 そこで都道府県教育委員会としては、文部省が方針を出されますと、できるだけその方針にやはり応じようとする努力をしなければならぬし、そうあるべきだろうと考えるのです。ところが今度の改訂は昭和二十七年からいろいろ審議会で審議をしたような経過も私ちょっと聞いておりますけれども、いろいろな経過の中で無理もあるし、準備も十分にできていない。現にその都道府県の実情を聞いてみますと、非常に困っておるようです。これは三十一年度から実施をせよという通知をいただいておるけれども、あまりにも速急のことで来年の四月までに間に合わないから、もう少し時間的な余裕がもらえないものかどうか、こういう要望が相当強いわけでございますが、そういう場合には考慮していただけますかどうか。
○文部大臣松村謙三君 なお詳しいことは事務の方から申し上げますが、私といたしましては地方の了解のもとに、ぜひこれを予定通り実行いたしたい、こういうふうに考えております。
○野原覺君 私はこの質問は継続いたしますか、あとは初中局長と政務次官。大臣は私としては了解いたしました。
○山崎始男君 また題目を変えます。一点だけ、余剰農産物の問題、前国会で幕切れのときまではまだ詳しいことはわかっておりませんでした。その後綿花の問題、学童服の問題、すべて余剰農産物の無償贈与の分の教育に関係のあるもののその後の御様子を一つ御説明願いたい。
○文部大臣松村謙三君 実はそのことを私の方からも申し上げたいと思っておったのですが、事務の方から詳しく申し上げることにいたしまして、その後アメリカ側の方針が変ってきたのであります。従ってそのものが、麦の方も綿の方もこちらの方へ来る見込みも、ただいまのところでは十月になればと思いますけれども、まだきまっていませんで、計画に大きな齟齬を来たしたわけであります。それはずっと毎年々々の年度をきめて、方式を日本と話し合いをする、その話し合いがきまらぬうちは今年度のも決定しない、こういうように変ってきたわけでございまして、ただいまその折衝中でございます。これに対する今後の対策につきましては、いろいろ考慮もし、外務省とも打ち合せをいたしておりますが、さきの議会に申し上げました折衝はほとんど九分九厘までできておりまして、最後のワシントンヘの向うの側の連絡が握りつぶされて、最近に至ってそういう返事を得た、こういうような形でございまして、この成り行きについても詳しいことは係の局長から後ほど御報告いだすことにいたします。さよう御了承をお願いいたします。
○野原覺君 そこで大臣にかわる御答弁は、局長か政務次官にお願いいたしますが、私の聞くところによりますと、中等教育課長の杉江氏が都道府県の指導部課長を集めたその席上で、高等学校の教科課程の改訂は、三十一年度からいかなることがあっても実施をするのであって、延期することは断じてこれを認めない。なおこのような文部省の決定というものは、教育委員会法第四十九条の規定にかかわらず拘束性がある、こういう御発言があったように聞くのでございますが、これは事実でございますか。文部省のこれに対する統一した御見解はどういうことになっておるのか、承わりたいと思います。
○初等中等教育局長緒方信一君 私どもといたしましては、教育課程の改訂につきましては、実は昨年の十二月二十七日に都道府県の教育委員会にその方針を通達いたしまして、着々と準備を進めてきておるわけであります。その間たびたび地方の教育委員会の事務当局を集めまして、打ち合せも十分進めて参っております。その間いろいろと、これは改訂でありますので疑問もあり問題点もあったのでありますけれども、漸次教育委員会におきましても、了解をしておりまして、現在私どもとしましては、これは今おっしゃったような法律の解釈等のことにわたらないで、教育委員会として十分に実施ができるものと考えております。私ども、先ほど大臣もお話がありましたように、教育委員会と協力いたしまして、これを来年度からぜひ実施いたしたい、かように考えております。ただいまの御質問は、打合会の席上中等課長がいろいろと申したということでございますが、これは中等課長がその衝に当っておりますので、いろいろと質疑応答をいたしております。でありますから、その間にそういう話も出たかと存じます。法律解釈といたしまして、これは非常に複雑でございますけれども、教育委員会法に、教育委員会がその教科内容の取扱いに関することというのがございます。しかしながらこれはやはり国全体としてきめられました基準の範囲内において、その地方々々の実情に応ずるために、そのワクの中においての基準をきめると申しますか、その裁量をする、こういう規定だろうと私も考えております。
○野原覺君 そこで中等教育課長が申されたことは事実であるかのような御答弁でございますが、そのことはさておきまして、私はどういう法的根拠で都道府県教育委員会を三十一年度の四月から実施しなければならないように拘束するのか、あなたの方は三十一年の四月から改訂を実施いたしたい、そういう文部省の決定が都道府県教育委員会を拘束できるものであるかどうか、その法的根拠をお示し願いたい。
○初等中等教育局長緒方信一君 これは国全体の高等学校の教育課程をきめる問題でございますので、ある県ではこれをやり、ある県ではやらない、こういうふうなことは、きわめて望ましくない問題であります。ただ各県の実情がありますので、その実情はただいま申しましたように教育課程というものは、そうきちっと細部まできまったものではなくて、それは一つの基準でございまして、その基準には幅があるわけです。その幅の範囲内において、その県あるいはその学校の特殊性に応ずるその適用実施をやるということは、十分可能であると私は考えております。法律の解釈の問題でありますが、これは御承知のように学校教育法に、各高等学校の学科及び教科に関する事項は監督庁がこれを定める。監督庁は文部大臣であります。従いましてこの規定に従ってさらにきめるわけでございます。そしてそれを具体的にいたしますには、学習指導要領によって具体的にいたします。学習指導要領の基準による、こういうことが学校指導規則にございます。その流れからいたしまして、私は法的にも文部省がその教育課程を定めまして、それを地方に実施いたさせるということは法律的根拠があると思います。
○野原覺君 なるほど学校教育法の第四十三条には、お説のように「高等学校の学科及び教科に関する事項は、前二条の規定に従い、監督庁が、これを定める。」こうあります。確かにございますが、しかしこの学校教育法第四十三条の規定というのは、これは初中局長も申されたように、結局は高等学校教育の基準の設定であって、何年何月からこれを実施しなければならないという期日までも含めていないと私は解釈いたしますが、間違いでしょうか。単なる教科の基準設定ではないかと思うのです。
○初等中等教育局長緒方信一君 これはただいま申し上げましたように、一国の教育の一つの制度と申しますか、高等学校の教育課程全般についての改正でありますので、あるところはこれを実施する。あるところは実施しない。これを監督庁として、いわゆる権限を持っている文部省が、四月一日からそれをきめるという基準をきめますれば、これは当然その基準として地方はこれに従う、こういうことになるのであります。
○野原覺君 そこで学習指導要領のお話が出ましたが、学習指導要領というものはできておるのか。それからこれを来年の四月から実施いたしますと、そのあらゆる実施の準備というものは完了しておるかどうか、いかがですか。
○初等中等教育局長緒方信一君 この点は冒頭私が申し上げましたように、これは野原さんも先ほどのお話にございましたように、昭和二十七年の暮れ以来この改訂は進めて参りました。非常に困難な作業でございまして、いろいろ困難な事情も途中にあったのでございます。昨年の十月十四日に教育課程審議会が答申を文部大臣に出しまして、その答申を、若干文部省の意図もこれに加えましたけれども、これを採用いたしまして文部省は決定いたしたわけでございます。そうして地方に対しまして正式に通達としては十二月二十七日に流しております。自来私どもといたしましては、地方の教育委員会と緊密な連絡をとりまして、今日まで準備を進めてきております。ただお話のございました学習指導要領という形のものは、これはいろいろ手続がございますので、その学習指導要領の形ではまだ出しておりません。しかしこの内容につきましては、ただいま申しましたように昨年の十二月二十七日に示しまして、これは今年度中に学習指導の形で地方に出すことを申しまして、それに従って準備を進めてきております。先ほども申し上げましたけれども、これは大きな改正でございますので、地方では準備にいろいろと苦心をいたしておる点はございます。しかしながら私どもとしまして、今日各県との連絡によりまして、十分来年の四月には間に合うことと考えております。なお今日からしてまだ半年ございまして、今後も十分緊密な連絡を取りまして遺憾のないようにしたいと考えております。
○野原覺君 私の調べたところでは、学習指導要領は十分にできていない。それから新しい社会科の教科書、これは御承知のように一般社会とか時事問題とか、あるいはその中に倫理をも含めたものを考えることになっておるはずです。この新しい社会科の教科書というものもできていないし、それの学習指導要領というものもできていない。それから今初中局長もお認めのように、ある府県は実施できて、ある府県は実施できないということでは困るのだ、こういうようなお考えでございますと、実は四十六都道府県の中には、そういうような点で教育委員会が方針をきめて、その細目を各高等学校におろした場合に、高等学校ではまたその学校に即した教科課程でこれを検討するわけです。それがどうしても来年の四月に間に合わぬという府県も起ってこないとも限らぬと思いますのでお尋ねしておるわけですが、そういう府県が起った場合には、文部省はどうなさいますか。
○初等中等教育局長緒方信一君 これは仮定でありますので、私はっきりしたことを申し上げるのはどうかと存じますけれども、私どもといたしましては今教育委員会と十分連絡をとってやっておりますので、十分に来年四月から実施できるものという見通しでおります。ただ先ほど私が申し上げましたのは、ある県では実施でき、ある県では実施ができないということでは困るということは、それは先ほど基準制のお話がございましたので、そういう高等学校全般についての態勢がそういうことではいけないであろう、基準制としては全部包括するものだということを申し上げるために申したわけであります。それからただいま御指摘がございましたように、いろいろとそれは先ほど大臣からもお話がございましたように若干不備の点もございます。しかしながらこれは地方と十分連絡をとりまして、そうしてぜひ来年四月から実施するようにいたしたい、かようなことで地方もすでにその態勢を整えています。ここで何かほかの措置をとってやるというようなことになりますとかえって非常に混乱を起す、私はかよう信じております。
○野原覺君 どうも答弁が循環しているのです。私の質問は、あなたの見通しは見通しとして了解いたしますけれども、その見通しが実現できない府県が起らないとも限らない。これは初中局長甘い見方をしておられると思う。各県では相当この問題で混乱をしている。高等学校の校長は、あるものは文部省の教科課程から賛成だという、しかし高等学校のある学校でいろいろ議論も戦わせますと、今度の教科課程はやはり問題がある、新しい六・三・三・四の新学制の精神にいささか背反する面も考えられるじゃないかという論議にやはり日を費しております。だからあながた監督庁として都道府県の教育委員会に督促なさることはけっこうです。またそうなければならぬと思いますけれども、どうしても来年四月にできないという府県ができた場合には、これはやはりそういう府県は事実上私の見た範囲の教育法規の法的解釈によれば拘束はできないのであるから、そういう府県はこれをお認めになるかどうか。文部省がしゃにむに拘束して、実施に応じない府県が出た場合、そういう府県はお見のがしになるか、それとも何らかの拘束をして罰則は何もないようです。だからやはりその現実の上に立って文部省としては対処されなければならぬと思う。その点いかがですか。
○初等中等教育局長緒方信一君 いやしくも全国的にそういう新しいことを実施しようというのでありますから、全部できるということをあくまで前提として準備を進めております。そういう見通しを私ども立てています。協力をしてもらえればこれは事実時間的にも十分余裕がありますので、今後の、もしもいろいろお話のような疑問が地方になお残っているとすれば、今後も十分その疑問を解明する努力を私どもは惜しむものではございません。これは来年四月から間に合うようにいたしたいと存じております。かりに今のようなお話の、これは仮定でありますが、そのいう仮定を立てておりませんけれども、これは先ほど申しましたように、法律的基準といたしましては全国的に教育委員会はこれに従うべきものだと考えております。
○野原覺君 努力されることはけっこうだというのです。努力をしてもできない府県ができた場合どうするのだといっているのです。あなたは努力するというがどうしてもできない府県があった場合にはいかんともしがたい、それをお認めになりますか。
○初等中等教育局長緒方信一君 それは見通しの判断の違いでございます。私はそう判断をしておりませんので、そういう仮定の場合について申し上げることは差し控えさせていただきます。
○野原覺君 そこで法的解釈が問題になるのです。だからあなたの方では学校教育法の四十三条というものは、来年四月から実施しなければならないのだ、文部省が方針を定めたならば、そういう拘束でいけばこれはその拘束の上に立って努力すればできるかもしれません。しかしながらそういう拘束はないということになれば、努力してもやはりできない教育委員会が出てこないとは保証できないわけです。だから学校教育法の四十三条というものは、都道府県の教育委員会を来年四月から実施するというその期日に関しても拘束できるものかどうか、そこの見解を私どもは聞いておきたいと思う。
○初等中等教育局長緒方信一君 先ほど申し上げましたように、学習指導要領に四月一日から実施するということをうたいますので、これは拘束するものと考えております。
○野原覺君 学習指導要領でうたうとできる、こう仰せになりますけれども、教育委員会法の第四十九条の第三項は、教育委員会が教科内容及びその取扱いに関しては権限を行使するということを書いております。この四十九条の第三項と、学校教育法の四十三条の解釈の関連が、やはり問題になってくると思うのです。そのために、私は文部省の設置法と文部省の組織令その他を調べてみたのでございますが、これを見ると、文部省設置法の第八条の十三号には、「左のような方法によって、学校管理、教育課程、学習指導法、生徒指導その他初等中等教育のあらゆる面について、教育職員その他の関係者に対し、専門的、技術的な指導と助言を与えること。」こうありますし、それから文部省組織令の第八条のロ、並びに第九条の一のロ、特に第九条の一のロなどは「教育課程、編制その他の教育に関する基準を設定し、及びこれらの実施に関し、指導と助言を与えること。」こうあるわけです。だから、学校教育法の四十三条というものは、結局、教育の基準設定に関する一般的なことの規定であって、その実質というものは、結局は教育委員会に対する援助、指導、助言にしかすきない。こうなってくると、都道府県教育委員会は、学校教育法四十三条の拘束を受けない。これは教育委員会というような行政委員会のあり方から見ても、私は当然だろうと思うのです。従って、それを建前にとって、教育委員会が、私の県は拘束されないのだから、文部省の方針はいささか理解できないのだから、こう出た場合に、あなたの方では、いかんともしがたいのではないか。そういう府県が出るおそれが多分にありますから、そこら辺の法的な見解はどうなっておるのか、お尋ねいたしたいと思います。
○初等中等教育局長緒方信一君 私は、そういう府県が多分に出るとは考えておりません。たびたび繰り返しまして恐縮でございますが、私はそう判断をいたしております。それから、教科の内容についてきめるということは、これは学校教育法第四十三条に明定されております。これは文部大臣が教科の内容をきめる。それを来年から実施するということはきめることができるのでありまして、これは地方を拘束する。教育委員会法の規定は、そのきめられた全体の制度の範囲内において、地方々々にいろいろな実情がありますので、それに応ずる内容をきめる、こういうことに私は考えております。
○野原覺君 教科課程の改訂で、相当反対運動が日教組の方からも出されておることはよく承知しておりますが、日教組以外には、どういうような団体から、今度の教科課程の改訂に反対だという意向が表明されておりますか。
○初等中等教育局長緒方信一君 これは、賛成、反対両方の意見がございます。たとえば、これは内容に反対ということじゃないようでありますが、いわゆる全高教という組合があります。これは一年実施の延期ということを申しております。それから、高校学校長協会等は、これは賛成であって、ぜひ来年からやってもらわぬと混乱をする、かような意見が出ております。
○野原覺君 そこで時間もございませんから、終りたいと思いますけれども、私はいろいろ論議があるということを聞いておりますし、全高教から出されておる一年実施延期くらいのところで一応延期して、なお実施上の細目その他について議論の余地もございますので、十分各都道府県の足並みをそろえて、再来年の四月ごろから実施できるような方途をとるべきではないか。あまりにも無理なような感じもいたすのでありますが、それは絶対に考慮の余地はございませんか。
○初等中等教育局長緒方信一君 いろいろな団体からの意見は、いろいろあると思います。ただいま私が申しましたように、高等学校長協会としての意見は、学校の運営上の責任を持っておる校長の協会で、これはぜひ来年の四月から実施してもらいたい、逆にこういう意見があります。でございますので、私どもは当初きめました方針を堅持していきたいと存じますが、なおいろいろとただいま御指摘のような疑問が地方にあるとするならば、私ども今後十分努力いたしまして、さような疑問を解きまして、教育委員会の納得の上に、十分協力を得まして、ぜひ来年度から実施したい、かように考えております。
○野原覺君 私は最後に要望しておきます。あなたの方では相当強硬な御意向のようでございますけれども、これは問題が残りますから、できましたら文部省としては再検討をされて、もうしばらく実施の時期をずらすべきではないか。来年度一年くらいあれば、各学校でも相当間に合うようなところもできてくるし、これを来年の四月からどうしても実施しなければならぬというような早急な考え方をとることは、いろいろな面で——きょうは論議をいたしませんけれども、先ほど申しました新しい科目の内容もきまっていないでしょう。教科書もないでしょう。そういう点で完全無欠な準備はできていないでしょうだから私はもうしばらく実施の時期をずらすことが、むしろ文部省の考えているような教科課程の改訂を円満に、しかもより徹底して行う方策ではないかと考えます。このことを要望いたしますが、あなたの御意見があればお聞きいたしましょう。
○初等中等教育局長緒方信一君 いろいろ御意見を承りましたが、先ほども申し上げましたようにずいぶん長い間かかって完成をいたしたものでありますし、さらにまたこれを地方に示しましたのもすでに昨年の十二月であります。それからいろいろ打ち合せをいたしまして、そんな心配はないものだと考えております。ただ今御指摘の社会科における新科目の内容は、近々決定して発表いたしますが、これも半年近くありますので、十分地方にも徹底ができると私は考えております。そういうことだけをちょっと申し上げておきたいと存じます。
○山崎始男君 先ほどお尋ねいたしました問題で一、二点だけお尋ねいたします。学区制の問題ですが、先ほど局長の答弁は、文部省とすれば学区制というものはくずしていない、こういうふうに承わったのですが、そうでしたか。
○初等中等教育局長緒方信一君 教育委員会法の規定を改正する、現在の教科課程の改正と関連さしてこの機会に変える、そういう考えは全然ないということを申し上げました。
○山崎始男君 それは法律の改正の問題を離れて、現実にくずれていっているという事態なんです。それに対して、学区制を作るときには文部省が非常に強い指導をされた。当時のお方がおられたら知っていられるはずなんでありますが、法律の改正の問題を離れて、現在くずれつつある高等学校の学区制というものに対して、文部省があくまで地方教育委員会の権限内なんだから知らぬ顔してほっとけばいいんだというふうにわれわれには見える。お作りになるときには非常に強い指導をされた。男女共学ぜひやれ、総合制をぜひやれ、学区制をぜひやれ、これが新しい高等学校の三原則であった。これを当時非常に強い指導をされたのであります。ところが、現実には今日くずれていっているというこの実態を知らぬ顔していらっしゃるのかどうかということを私は聞きたい。あなたの方の方針とすれば、学区制というものはあくまで堅持すべきものなんだという建前は持っていらっしゃるのじゃないかと思うのでありますが、その点についていま少し明白にお答えを願いたい。
○初等中等教育局長緒方信一君 御趣旨は、学区制というものはあるけれども、それが事実上乱されておる、こういう御趣旨であろうかと存じます。
○山崎始男君 その通りです。
○初等中等教育局長緒方信一君 これは私どもも内々聞いておる事実もございます。特に有名校に入るために学区外から入ってくるということがあって、各教育委員会でもいろいろと工夫をして、この対策を講じておるようでございますけれども、なかなかむずかしい問題でありまして、こういうことは教育の機会均等あるいは学区制を設定いたしました趣旨等から申しましても好ましくないことと思っておりますが、これに対しましては、やはり各教育委員会のこれに対します対処に待つほかはないと私は存じます。これは制度の問題ではなくて、実際の運用の問題だ、こう考えております。
○山崎始男君 私がお尋ねします要点がちょっとはずれておるのですが、もぐり入学なんかをして、それで学区制がくずれておるということを私は申しておるのじゃないのです。そんなら一番いい適例を申し上げますと、これは座長から御発言された方が一番はっきりした適例になるのじゃないかと私は思うのでありますが、今まで学区制をしいておったものが、今度は元の自由学区制の姿に返ったというこの愛知県の例が一番いい適例だと思います。こういうことが果して許されるのかどうかということです。
○座長(佐藤觀次郎君) ちょっと関連してお尋ねするのですが、愛知県の教育委員会が勝手に、強引に今の小学区制を廃止して大学区制にするということで、今尾張と三河の二つに仕切っているわけですが、これに対して愛知県の教育委員会以外は名古屋も地方のPTAも全部反対をした、それを強引に押し通してしまったという例なんですが、こういう点について文部省はどういうようにお考えになっておるのか。
○初等中等教育局長緒方信一君 これは、その具体的な問題について私初めて伺う話でありますので、はっきりした見解を申し上げることはむずかしいのでありますが、これは教育委員会注の建前から申しましても、都道府県の教育委員会が学区制を設定することになっておりますので、それぞれ各県の実情に応ずる、あるいはまた住民の要望に沿った学区制を立つべきであろうと考えます。今のように小学区制をとっておったのを大学区制に改める、こういうことはやはりいろいろな情勢の変化とかあるいはいろいろな要望を入れるという関係から出てくるかと存じます。また逆に大学区制をとっておったところで小学区制に改める、こういうことも教育委員会の決定があって、教育委員会の規則できめれば法律的にはできるわけであります。要するにそれが適当であるかどうかということはその土地々々の実情、その土地々々の何と申しますか生徒の進路あるいは特性というものがそれに合うかどうかというようなものから判断すべきであろうと考えます。抽象的なお答えしかできませんけれども、御了承願います。
○座長(佐藤觀次郎君) 何か基本法の五十四条でしたかに、こういう問題につきましては、たとえば愛知県なら名古屋の教育委員会とか、その他のいろいろな関連する団体の意見を聞いてやることになっておるそうですが、ところがそれを全然無視して勝手に、名古屋の教育委員会がもうしばらく待ってくれ、もう少し考えようじゃないかといったのを、強引に先月の二十八日にやってしまったのですが、こういうことはやりっぱなしでいいのかどうか、一応文部省の緒方局長から御意見を承わっておきたいと思います。
○初等中等教育局長緒方信一君 今御指摘の協議をして定めるという規定は、私ちょっと記憶してございません。
○座長(佐藤觀次郎君) 十分に意見を聞いて……。
○初等中等教育局長緒方信一君 それは事実上の問題であろうと私は考えます。法律上の規定としてはそういうものはないと思います。私としましてはこれは軸象的にお答えするよりほかはないと思います。
○座長(佐藤觀次郎君) 県の教育委員会は、地元にどんな事情があろうとも勝手にそういう学区制を変えてもいいということですね。そういう権限があるから、文部省は、やられても仕方がない、こういうのですか。
○初等中等教育局長緒方信一君 文部省としてこれを変更させる権限はございません。ただそれが適当であるかどうかということは、やはりその土地々々の事情に照らしてやるべきであると思います。
○座長(佐藤觀次郎君) しかしそれをやればどんどん全国に広がって、おそらく自由学区のようになると思いますが、そういう点についても文部省は知らぬ顔をしている。とにかく愛知県の教育委員会がやったのだから知らぬ、こういうようにおっしゃるのかどうか。 〔政務次官寺本広作君「問題が初めて出されたので、研究不十分ですから……。」と呼ぶ〕
○山崎始男君 今私は驚くのですよ。問題を初めて出されたので、学区制がくずれかかっておるということを初めて文部省は知ったというような表現をされるのですが、私は実にこれは心外なのです。なぜならば、たびたび言うようですが、数ヵ年前に今の新しい高等学校の制度に切りかえて、教育の機会均等というものをやるために、学区制と男女共学と総合制をしいたのですよ。三原則ですよ。それが今日くずれておるという現実の実態を見て、これが今まであなた方のお耳に入らぬというばかなことは、実際を言いましたら私はないと思うのです。それからまた入ったにしても、それは地方教育委員会の権限内のことなんだからそれはおれはどうも強いことを言うことはできない、まことにごもっともです。しかし作られるときには相当強い指導助言をやられたのですから、そういうものがくずれかかっておるのならば行政上強い指導助言をやられても私はいいのじゃないかと思うのです。ちょうど今野原委員から問題を提起しておりました教科課程の問題でも、これは厳密に言えば、教育委員会法と学校教育法との法律上のこういうまざり合ったあいまいもことした点があるから、私は問題が起ると見るのです。都合のいいときには学校教育法をあなた方はお出しになって、これがあるんだから文部省はできるんだ、できる法的の権限があるんだと言われて、教育委員会法を見るとまたそれを逆にぼやかしたようなあいまいもことした点がある。そのときにあなた方の行政上の物の言い方の強い弱いという、ここが非常にデリケートな問題があるのですが、そこで今の愛知県のごとき、今までの学区制というものは、愛知県なら愛知県に五十の高等学校があれば、少くとも五十の学区があったはずなのです。一つの学校を中心にして一つの学区を形成しておったのですから。それがためにこれは地域の学校だというので、市町村も寄付をし、財政上も無理な負担までして今日まで育成してきた。PTAはもとよりです。ところが今日それが今言うように愛知県がまっ二つに割れた。二つの学区ということは、実際を言うたら自由学区なのです。そういうことが見て見ぬ振りをしておられるものかどうかということを私は聞いておる。なぜならば、最初作られるときに非常に強い指導助言をされた実態を私は知っておるのですから。それが数カ年たった今日もとのもくあみにかえっていく実態を見て、あなた方は、それを今聞くのが初めてだとかあるいはそれは教育委員会の方の権限だから、われわれは見ているより仕方がないんだというようなことでは私は承知できない。そうだと思うのですが、どうお考えになりますか。
○初等中等教育局長緒方信一君 私言葉が悪かったかもしれませんが、初めて伺ったというのは、名古屋の例を実は初めて伺いましたので、従って私は一般論を申し上げるよりほかはないとお断わりをして先ほど申し上げたつもりであります。愛知県におきましては、当初小学区制をとられたでありましょう。それを大学区制に改めるというので、その意味で学区制がこわれつつあるということをあなたはおっしゃっておるわけでありますが、しかしながらこれは学区制が始まりました当初におきましても、いろいろな県の事情によりまして大学区制を初めからとっているところもあります。小学区制の方と両方ありますが。むしろ大学区制の方が今日多いのではないかと考えます。従って先ほど私が申しましたのは、県々の事情によって、実情によってそれは教育委員会がきめるべきものである、その当不当はここでは抽象的には申し上げかねる、かように申し上げたわけでございまして、今日具体的にその名古屋の実例が適当であるかどうかという判断をする資料は私は持ちませんし、この程度で御了承願いたいと思います。
○山崎始男君 お説の通り、これは出発当初からいろいろ差がございましたが、曲りなりにも今日まで、その程度の強い弱いは別として、一応学区制というものをしいて、教育の機会均等のために学区制というものをしいてきたのです。それがただ地方の事情によって、それは教育委員会にまかせればいいのだということになって、今のあなたのお説でいけば、とどのつまりは自由学区でもかまわないということになるのです。そうでしょう、そうなりませんか。
○初等中等教育局長緒方信一君 制度の趣旨はあくまで高等学校教育の普及と機会均等をはかるためでありますので、その趣旨のもとにおいて判断をして、どちらの方がいいかということを判断する、これは当然であろうと考えます。果して小学区制がこの趣旨に合うかどうか、あるいは事情の変更によって、大学区制の方がこの趣旨に合うと判断すれば教育委員会がそれを変更することはあり得るだろうと思います。これは抽象論でありますが、一般論でありますが、さようなことを申し上げておるわけであります。今お話の通り、それをきめます基準はあくまでそこにあります。
○座長(佐藤觀次郎君) 関連してもう一つ伺うのですが、愛知県の場合は、PTAからあらゆる関係団体が全部反対なんです。ただ県の教育委員会が政治的圧力に押されて無理にやらされたのですが、そういうような場合にも、県の事情だからやむを得ない、そんなことはほうっておけ、こういうふうに文部省はお考えになっているかどうかということをお聞きしたい。
○初等中等教育局長緒方信一君 それはよく事情を調べてみたいと思いますから、御了承願いたいと思います。
○山崎始男君 私もくどくは聞きませんが、最後に一点だけ申し上げます。愛知県などは最近の非常な適例ですが、われわれの方の県でもあるのです。ある一つの県内で三十数校あるうちで、一番りっぱな学校に何とかして入りたいというので、今までもぐり入学なんかしきりにやっていた。それがそういうふうな圧力に屈して、本年度はたしか定員の一割だけはいわゆる自由志望、学区を超越した自由志望にするというような線を出しておると思うのですが、それがために、たった一割ですら非常な混乱を起しておる。今の愛知県のごときは、二つの学区にわかれた、これは完全な自由学区です。こういうことについて文部省が責任を転嫁しておられますと、いわゆる新しい教育の機会均等なんということはから念仏になってしまって、農村僻地の高等学校というものは、言葉は悪いかもしれませんが、くずの生徒ばかりが行くようになる。都市中心のいい学校にはいい者ばかりが行くようになる。学校の先生も、いい者ばかりが配置されるようになってくる。これでは教育の機会均等も何もないのであって、結局新しい教育理念というものは破壊されてくる。それゆえに、最初作られるときには、学区制というものを非常に強く指導された。いわゆる軍政下の関係があったものですから、その軍政下の関係によって、濃淡はあっても、一応学区制というものをしいてきた。それが今日、あなたのお考え方によると、くずれるという、くずれてもかまわないのだということになるのです。そう解釈して差しつかえありませんか。私は最後の一点だけ聞けばよろしいのですが、あなた方は都合の悪いときには教育委員会の権限内だからというような言葉を使われる。都合のいいときには、文部省の方に権限があるのだからこれは強い指導監督をするのだ、こういうようなことがたびたび今まであった。しかも学区制を作るときには強い指導監督の助言をやられた。それを今日できませんかということを私は言っているのです。おやりになる意思さえあればできるのだと私は思う。そうでしょう。現に愛知県なら愛知県でそういう問題を起しておれば、それは好ましくないとちょっと一言あなた方が言ってごらんなさい、それはもうかなり響くことは明らかである。それだから、行政の運営が都合のいいときには右の手を使い、都合が悪かったら左の手を使うというならば、私らから考えると、あなた方のやり方というものは実に卑劣だと申し上げたい。私はこれ以上聞きませんから、全国の学区制がくずれかかっている実情を調べて、一つよろしく適当の処置をお考え下さる必要があると思う。その点だけ要望いたしておきます。 それから最後に一点だけ、余剰農産物の問題ですが、管理局長にお尋ねいたします。余剰農産物の無償贈与の問題で、先ほど文部大臣から御答弁がありましたが、十一月ごろまでには目鼻がつきやせぬかと思うが、今のところ、前国会の末ごろの事情とは変ってかなり予定が狂ったのだ、こういうお言葉でありましたけれども、私たちが心配しますことは、学童服はともかくとして、いわゆる七千トンのミルク、それから八万トンでしたか、小麦粉の問題、これが入るものなりという仮定のもとにおいて本年度の学校給食の教育計画が組まれている。万一入らなかったならばどうされるかという質問を私がこの前の国会のしまいごろしたところが、文部大臣は、それは御安心なさい、それはわれわれの責任において、単価が安くなったり、給食児童がふえたり、すなわち無償贈与のものが入ってくるのをよしんば織り込んでおっても、それが入らないからというので給食の教育計画は狂わせません、父兄を失望いたさせませんという強い御発言があったのでありますが、これは間違いないでしょうかね。念のために私はもう一ぺん聞きますが、これは間違いないでしょうかね。
○管理局長小林行雄君 余剰農産物の現物贈与分については、ただいまお話しのございましたように、受け入れ条件についての取りきめの交渉を文部省で今までやってきておったのであります。ただ最近になりましてアメリカ側から、新しく受け入れの一つの条件を提案して参りました。そのうち、いわゆる給食用の物資については、長期計画として何年間かのものをあわせて相談したいという。それも私どもは実は従来は、たとえば三年なら三年の間この千二百万ドルの給食用物資というものは減らないものというように一応想像しておったのでありますが、年々何分の一ずつ減らしていくというような一応の提案でございますので、こういうことになりますと、やはり子供の払う給食費と非常な関係がございますので、万一漸減していくにいたしましても、なるべく給食費の増加にならないような措置を講じなければならぬという、その漸減の計画について一応検討しております。しかし本年度におきましては、千二百万ドルの給食用の物資、すなわちただいまお話しのありましたような小麦粉八万トン、ミルク七千トンという線は確保できるものと思っております。 なお綿花の方につきましては、これも今までとは非常に受け入れ条件の重要な点が変って参りまして、アメリカ側としては何とか無償で配付してくれということを言ってきております。ところが無償にするには相当巨額の財源がいるわけでありますが、現在の予算ではそれができませんので、この方につきましては、それでは一部でも無償というような条件で何とかのんでもらえないだろうかというようなことで、財源関係を関係各省との間で実は話し合いをしているような状況でございます。
○座長(佐藤觀次郎君) 本日はこれにて散会いたします。 午後四時一分散会