文教委員会 第31号
- 発言数
- 114 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1955/07/29
会議録
○佐藤委員長 これより会議を開きます。 まず、請願審査小委員長より小委員会の審査の結果の御報告を願います。請願審査小委員長山崎始男君。
○山崎(始)委員 小委員会の審査の結果を御報告いたします。 昨二十八日に小委員会を開会、文部当局よりの意見をも聴取し、各委員は慎重審議の結果、次の通り決定いたしました。 請願日程中、議院の会議に付することを要するものとして採択し、採択の上内閣に送付すべきものと決定したものは、第一から第四、第九から第十三、第十六、第十七、第二十三から第三十三、第三十五から第四十五、第四十八、第五十一、第五十三、第五十六、第五十七、第百十六から第百二十一、第百九十五、第二百八十から第二百八十六、第三百六十七から第三百七一、第四百三十六、第四百七十二、第四百七十五、第四百七十六、第五百五十六から第五百五十八、第五百六十三、第五百八十五から第五百八十七、第五百九十から第五百九十二、第六百八十一、第八百七十五、第九百十六、第九百三十八から第九百四十、第九百四十九、第九百七十五、第九百七十六、第九百七十八。議院の議決を要しないものと決定いたしたものは、次の通りであります。第五、第十八。 その他の請願は、いずれも保留すべきものとし、その審査を延期いたした次第であります。 以上、御報告いたします。
○佐藤委員長 ただいま山崎小委員長より請願の審査の結果の報告を聴取いたしましたが、この際、お諮りいたします。当委員会は、請願について小委員長の報告通りに決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。 なお陳情書は公報で御承知のごとく、当委員会に参考送付されておりますので、御報告いたしておきます。 ―――――――――――――
○佐藤委員長 次に、日本学校給食会法案を議題といたします。質疑を許します。永山忠則君。
○永山委員 評議員は理事と同じような公務員になるわけでありますか。
○小林(行)政府委員 法案の第三章、評議員会十五条以下に規定してございますが、評議員は理事と異なりまして、これは公務員の資格は与えないつもりでございます。
○永山委員 評議員の待遇はどういうようになっておりますか。
○小林(行)政府委員 評議員につきましては、これは役員と違いまして、別に俸給その他は与えないことになっております。
○永山委員 不良品なんかを処分する場合には評議員会にかけるのでございますか。
○小林(行)政府委員 従来学校給食会の輸入いたしました脱脂粉乳につきましては、荷揚げ港で、たとえば横浜で厚生省の公衆衛生局の係官によって検査をされます。その検査の結果不良品であるというふうにきめられましたものにつきましては、農林省の方でいろいろ業会の方とも連絡されまして、業者を指定されて入札をして払い下げるということをいたしております。これは直接給食会の方でタッチしてやっておるということではありません。従ってその問題につきましては、この給食会の評議員会が当然に関与するということにはいたしておりません。
○永山委員 倉庫から配給する場合においてはこれが検査をいたしますが、さらに各所に分散して倉庫に納めますが、その後において不良品であるかどうかという問題が起きましたときにはその検査はだれが立ち会ってどういうようにやるのでございますか。
○小林(行)政府委員 給食会で受けまして府県に配給しましたあとで、地方の倉庫に入ってから不良品になるというような場合には、大体学校給食関係は保健所と連絡を密にしてやるということにいたしておりますので、学校給食会の業務として、たとえば不良品があった場合の廃棄というようなことについて、給食会の方でやるということはございません。従って保健所なりあるいはその監督をしております県の衛生部というものが関与することになるわけでございます。
○永山委員 不良品に対してその横流しの問題等が往々にして耳に入るわけでございますので、特に配給後における不良品の処置に対しては、やはり給食会が指導的立場に立たれまして、県当局あるいは保健所と密接なる連絡をもって十分これが処置をはかられたいと考えておるのでございますが、さらに不良品の払下げは、いわゆる公共団体でありますか、一般業者に払い下げをするということになるのでございますか。
○小林(行)政府委員 学校給食用として購入いたしました脱脂粉乳が横流しをされておるのじゃないかといううわさを、実は文部省としても聞いたことがございまして、いろいろ府県その他を通じまして調査を、いたしたことがございます。ただ文部省としては、現在まではっきり横流しであるということを把握いたしておりません。あるいは先ほど来お尋ねになっておりますいわゆる不良品として廃棄されたものが業界に払い下げになったということを、一応外部の方が横流しというふうに言われておるのではないかと考えておるわけでございます。もちろん文部省といたしましては、いわゆる横流しということにつきましては、厳重に処分をしなければならぬと考えておりまして、たとえば各府県の主管課長会議等がありますごとに、そういったことのないように十分注意してもらいたい、またいやしくもそういった事実を発見したならば報告してもらいたいということで、厳重に連絡いたしております。現在の輸入しました脱脂粉乳は、相当期間保存に耐えられるものでありますので、二月あるいは三月の間に、そう簡単に悪くなるということは私どもとしては考えておりませんが、いろいろな条件から万一悪くなったような場合には、農林省とも連絡して指名入札をする、それも公けの指名入札をする。この指入名札につきましては、農林省の方でいろいろ入札の業者を選定してもらう、こういうことにいたしております。
○永山委員 次は一般入札の関係でありますが、最低入札主義をとっていかれるわけでございますか。農林省もしくは厚生省あるいは文部省で一応認定した資格者の範囲を網羅して入札をされる考えでございますか。これは不良品に限らず、その他配給関係一切の大きな問題でございますので、その入札の方法について御方針を承わりたいと思います。
○小林(行)政府委員 先ほど申しましたように、最近入ってきますものにつきましては非常に品質がよくなっておりますので、従来のようないわゆる不良品というものが非常に少くなっております。ただそれでも、少いパーセンテージではございますが、そういう不良品もございますので、そういうものにつきましては指名入札をいたしております。それは先ほども申しましたように、農林省とも連絡いたしまして、農林省の方に業者を選んでもらいまして指名入札をする、そうして文部省といいますか、学校給食会としては一応予定の価格を立てまして、その予定価格を上回ったものの最高のものからとっていく公けの入札をやります。
○永山委員 不良品の払い下げを受けまして、それが各アイスクリーム屋その他に参りまして、乳価が下るというように、不良品の処置に対しては相当影響のある関係もございますので、万全を期してやっていただきたいと思います。しかしその入札に関しましても、できるだけ多数の指名入札で、文部省の基準に近い線ではなしに、最高の価格で公正な入札制に持っていかれることに一段と御考慮を願いたい。と同時に、その他の配給関係、輸送関係の入札がございますので、これらに対してはどういうような入札方法でおやりになりますか。
○小林(行)政府委員 文部省といたしましても、不良品として廃棄せられたものにつきましては、入札の際に厳重な熱処理として、いわゆる低い温度のまま食料品等に回ることのないように十分約束をし、契約書を取りかわしてやるということで現在入札をいたしております。その入札の方法も、ただいま御説明申し上げましたように最高の値のものに対する最高入札制度でやっておるのでございます。それから配給と申しますか輸送につきましても、輸送の業者の指名につきましては、やはり競争入札でやっておるのでございます。
○永山委員 その競争入札は輸送関係ならば最低の線で行かれておりますか、文部省の一定基準の線を中心として、それに近いものに落す、入札させるというのですか、どちらの方針ですか。
○小林(行)政府委員 最低の値段のものをとることにいたしております。
○永山委員 結局文部省の方の給食関係というようなことが一番問題であるように考えられており、また誤解を受けてかって文部当局も非常に迷惑をいたしたこともございますので、今度はこの入札関係につきまして、あるいは不良品の処置の問題については格段の御考慮を願いたい。と同時に理事の待遇に対しましても、一般の文部省の官吏よりは一割位い高いというくらいに、どうしても待遇をよくしてやる、また評議員等に関しても一定の手当を与えて、この経理内容については給食会の方で弾力性を持たせて、外部からの誘惑を受けることがないように受けてもきぜんとしてやっていけるように一段の御考慮を願うということで、最後に御所見を伺いたいと思います。
○小林(行)政府委員 ただいま御意見のございました入札制度につきましては、従来も文部省としては公明かつ厳正にやるということでやっておったのでございますが、今後も、たとえば不良品の入札にいたしましても、またただいまお話のございました輸送等の入札にいたしましても、御意見に従ってできるだけ厳重に監督をして参りたいというふうに考えております。 それから役員の報酬についてのお尋ねでございますが現在の予算では、これはこの法案が成立した後においてでございますが、理事につきましては四万二千七百円、理事長につきましては五万五千円、これは普通特殊法人といわれるものについて大体のバランスが一応とれておるのでございますけれども、ただいまお話のございましたように、いろいろ大量の物質を扱うというようなことで、外から誘惑が加わるというようなことにつきましては厳重に警戒をいたさなければならぬと思いますし、もしこれが将来なお増給し得るような場合には、文部省といたしましても極力これを増給することに努めたいと考えております。
○永山委員 委員長に質問といいますか、申し入れたいことは、余剰農産物との関係におきまして、給食内容がまだ十分にこの委員会に提示されていないのでございますし将来給食を全面的に拡充しょうという構想のもとにございますので、ここに給食に関する小委員会をお開きいただきまして、絶えず文部当局と互いに協力をいたして、この給食の万全を期したいというように考えておるのでございますが、小委員会をお開きいただくことを申し入れておきたいと思います。
○佐藤委員長 理事会に諮ってあなたの申し入れのように取り計らいますから御了承願います。 本案に対する質疑はありませんか。――質疑がなければ、これにて質疑を打ち切りたいと思いますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって質疑は打ち切りました。 これより本案を討論に付します。本案に対する討論は省略し、直ちに採決したいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって本案を直ちに採決いたします。本案を原案通り可決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔総員起立〕
○佐藤委員長 起立総員。よって本案は原案通り可決いたしました。 なお、委員会報告書の作成、提出等につきましては委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○佐藤委員長 御異議なければさよう取り計らいます。 ―――――――――――――
○佐藤委員長 次に女子教育職員の産前産後の休暇中における学校教育の正常な実施の確保に関する法律案を議題といたします。 この際委員長に永山君より本案に対する修正案が提出されました。本修正案の趣旨説明を求めます。永山君。
○永山委員 女子教育職員の産前産後の休暇中における学校教育の正常な実施の確保に関する法律案に対する修正案を提出いたします。女子教育職員の産前産後の休暇中における学校教育の正常な実施の確保に関する法律案の一部を次のように修正する。第四条第二項中「その任用の期間は、」を削る。右修正動議を提出いたします。
○佐藤委員長 次に本案と修正案を一括して討論に付します。 この際お諮りいたします。本案並びに修正案の討論を省略するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○佐藤委員長 御異議がなければ討論を省略することに決します。 これより採決に入ります。まず永山君提出の修正案について採決いたします。永山君提出の修正案に賛成の諸君の御起立を求めます。 〔総員起立〕
○佐藤委員長 起立総員。よって永山君提出の修正案は可決されました。 次にただいま可決の修正部分を除く原案について採決いたします。賛成の諸君の御起立を求めます。 〔総員起立〕
○佐藤委員長 起立総員。よって本案は永山君提出の修正案のごとく修正議決されました。 なお委員会の報告書の提出につきましては、委員長に御一任願いたいと存じます。御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○佐藤委員長 御異議なしと認めます。さよう取り計らうことに決しました。 ―――――――――――――
○佐藤委員長 この際、学校教育に関する件につきまして委員長より一言申します。 昨二十八日、三重県津の海岸、橋北中学校女子生徒遭難事件は、まことにいたましいものがあります。衷心から悲惨なことを悲しむものであります。この際文部大臣より発言を求められております。これを許します。松村文部大臣。
○松村国務大臣 先般紫雲丸のあの悲惨な事件なお新たなるときに当りまして、今また三重県津にあのような惨事が起りましたことを御報告いたしますことは、私にとりましてまことに苦痛の至りでございます。文部省へもいろいろの報告も参りましたし、また昨晩おそく田中三重県知事からも委細の御報告が私の方へ参りまして、いろいろ確かな報道を得るごとに、いろいろの点において遺憾を感ずることが多いのでございまして、残念しごくに思うのでございます。その詳細につきまして緒方局長から御報告をいたさせることにいたします。繰り返して申しますが、このようなことの頻発いたすことは、実に遺憾千万でございまして、とりあえず全国の各府県の教育委員会に向って、三重県のこのような惨害を繰り返さないように特に気をつけろということを、電報で通達をいたしておいたようなわけでございます。 これから局長から御報告をいたさせます。
○緒方政府委員 三重県津市の橋北中学校におきまする水泳中の事故に関しまして、命によりまして私からその内容につきまして御報告を申し上げます。 事故発生を私ども知りましてから、県の教育委員会あるいは市の教育委員会に連絡をいたしまして、その状況の把握に努めておるのでございますが、何しろ電話連絡でございますので、まだ正確なこまかいところの状況につきましては、十分に把握できない点もございます。従いまして、文部省としましてとりあえず昨晩担当係官を現地に派遣いたしまして、その状情につきまして十分に調査をいたしている次第でございます。今日までわかっておりますことにつきまして、これから御報告を申し上げる次第でございます。 三重県の津市橋北中学校でございますが、八月一日から三重県では夏休みに入るのでございますが、夏休みに入ります前に、水泳の訓練をいたしまして、この夏の休み中におきまする水の事故を防ぐために水泳の訓練をいたしたいというわけで、七月の十八日から十日間にわたりましてその訓練を実施しておったわけでございます。その最終日に当ります昨二十八日の午前十一時ちょっと前でございますが、重大な事故が発生したのであります。 ただいままで判明いたしております概況は、これに参加をいたしました生徒の数を申し上げますと、三百八十八名となっております。うち、海に入らなかった子供が一人おります。三百八十八名のうち、二百二名が男の生徒であり、百八十六名が女生徒でございます。これに対しまして引率の教師は、校長を含めまして二十名ついておったようでございます。遭難の生徒は女生徒だけでありまして、四十八名であります。このうち、まことに不幸にして死亡いたしました者が三十六名でございます。なおただいま入院手当中の者が十二名残っているようでございますが、この人たちは大体危険はないようでございます。四十八名以外の女生徒の中にも、相当危険な状態におぼれかけた者もあったようでございますが、これは先生なり、あるいは友だちの生徒の水泳のできる者が助け出して、事なきを得たようであります。 そこでそのときの状況を簡単に申し上げますと、三百八十八名という男女生徒を、これはその日最終日でございますので、水泳のテストをやるという計画になっておったようでございまして、その前に十分間ほど予備運動をするためにひとまず海に入れるということになりまして、三百八十八名の生徒を二列横隊にいたしまして一齊に入れた、そうしてあまり間のたたぬうちにこの事故が発生しております。ちょうど女生徒の入りました場所が、安濃川という川がありまして、その河口の近くに当りまして潮流があった。その潮流にどうも流されたという関係があったようでありまして、女生徒の数名がそのうちにおぼれかかった。これを見た先生が、陸に引き返すようにという指示を急遽与えた。ところが引き返しますところに、海底に急に深くなっております深みがございまして、そこに足を取られて多数の遭難者が出たというのが、その遭難当時の状況のように聞いております。 そのほかの原因につきましてはなお調査中でございますが、ただ非常に遺憾に考えられますことは、この計画の樹立につきてましても、あるいはまたただいま申しましたように、その当時の管理と申しますか、生徒の取扱い方につきましても、いろいろと粗漏な点があったのではないかと思われる節があることでございます。たとえば事前におきまする今の海底の深浅の状況とか、あるいは潮流の状況とか、これらの事前調査が十分であったかどうか、あるいはまた大ぜいの生徒を一齊に海に入れた、しかもそのうちに泳ぎのできる子供もあり、できない子供もある。かようなやり方が果して適当であったかどうか、あるいはまた船やブイといったような、万一の場合に備えます設備もなかったようでざいまして、これらの点につきましては問題があるんじゃないかと考えられますことは、まことに遺憾にたえないと存じます。 ただいま大臣から御発言がございましたように、ただいま実情を十分調査いたしますために係官を現場に派しておりますし、なお今朝電報指示を各県の教育委員会に対しまして発したような次第でございます。 以上簡単でございますが、一通りの御説明を終らせていただきます。
○佐藤委員長 本件の質疑をする前に、委員長からちょっと文部大臣に質問をいたします。 実は、紫雲丸事件が起きて以来、まだわずかしかなりませんのに、再びこういう不祥事件が起きたのですが、こういう問題は一体どこに責任があり、またどういうような方法でこの問題を解決されるかということについて、一言だけ大臣から御説明願いたいと思います。
○松村国務大臣 実際遺憾千万なことでございまして、とりあえず三重県の教育委員会へあてまして、責任の所在を厳格に調査をして、十分に責任を明らかにしてもらいたいという電報をもって勧告をいたしておきました。それから昨日知事から私のところへ連絡がありましたときに、知事には権限はありませんけれども、こういう考え方でやっていただきたい、すなわち気の毒な点もあるけれども、再びこのようなことの起らないために責任をすべて朗らかにするよう御注意を願いたいと申しておいたわけでございまして、私どもはぜひ責任の所在を明らかにして、このようなことの再発を防ぎたい、こういうふうに考えております。
○佐藤委員長 かかる悲惨な事件は再び繰り返さないように一つ文部大臣は十分御注意を願います。 本件に関して質疑を許します。河野正君。
○河野(正)委員 御承知のように、昨日の新聞を見ますと、伊勢湾の岸におきまして非常に重大な事故が発生いたしたわけでございます。私ども文教委員会の一人といたしまして、国政に参加いたしまして幾ばくの時日がたたない今日でございますが、その間におきましてはすでにただいま委員長からも御指摘がありましたように、紫雲丸あるいは相模湖あるいはまた修学旅行におきますところのいろいろな事故が次次と続発して参ったわけであります。もちろんそういった中には不可抗力的な天災と申しますか、そういう事件もあったわけでございますけれども、今回の場合は今までのケースとは非常に趣きを異にいたしまして、たとえば船が沈んだというようなことになりますと、非常にたくさんの犠牲者が出てくるということは当然のことであります。しかしながら今度の場合はそういった不可抗力的な事態ではなくて、いわゆる人災と申しますか、何らか適切な措置が行われておったならば、こういった不幸な事態に惹起しなかったのではないかというふうな考え方が私どもは強くして参るわけでございます。ことに私ども文教の立場で国政に参加いたしております一人といたしましては、こういった問題がたびたび頻発して参りますことは、これは犠牲をこうむりました子供たちのためにも、また父兄の方々に対しましても、まことに相済まぬ気持て一ぱいでございます。そういう点で私どもはやはりこういった問題の核心を追及して参るということが、とりもなおさず犠牲者に対しますところの最も重大な道だと考えておりますし、また天災的な不可抗力的な事件であったか、あるいは適切な処置が行われなかった、いわゆる人災的な事件であったかということにつきまして、おのずから責任の在所というものも異なってくると考えております。先ほどから指摘いたしますように、今度の問題は今までのような不可抗力的な天災的な事件でなくて、どちらかと申しますと人災的な、何らか適切な措置が行われておったならば、こういった不幸な事態というものは惹起しなかったというような考え方が私どもは強くしておりますので、特にこの点につきましての明快なる御答弁をまずお願ひいたしたいと思います。
○松村国務大臣 全くお話通りでございまして、紫雲丸のときは引率している人たちなども不可抗力に近い状態にあったと思うのでありますが、今度はどうもさようではない、落度で、注意すればこのようなことは免れ得たと思われる節もありますので、全く遺憾に存じ、そして責任というものはきわめて重大であると考えておるわけでございます。従いまして十分にその責任の所在を明らかにして、そしてこのようなことの再発を防ぎたいと存じ、昨日直ちに係の者を向うへ派して実情を調査しておるわけでございます。そして先刻申したように電報で責任者の教育委員会の方へ厳重に責任を明らかにするような趣旨の勧告をいたす、こういうことでございまして、全くお話通りに感じておるわけでございます。
○河野(正)委員 ただいま文部大臣は、責任の在所を明らかにして今後事故の発生を防止したいということでございますから、私は大臣の今後の処置に期待をするわけでございますが、私ども今日までいろんな事件が起って参りまして、そういった事件に対処せられます状態を見て参っておりますと、あたかも行き当りばったりな処置が行われておるというような考え方が強くして参るわけでございます。と申しますのは、修学旅行で事故が起りますと、直ちに各地方教育委員会に対しまして通達が発せられたり、あるいはまた次の事故が起りますと、修学旅行に対するいろいろな学識経験者等を集めまして懇談会というようなものを設けられたり、ちょうどこういった姿を見て参りますと、起きてきた現象に対して行き当りばったりな対策が立てられているという考え方を強くして参るわけでございます。 そこで私がお尋ね申し上げたい点は、そういった起ってきた現象に対処するというような消極的な態度でなくて、むしろ積極的に総合的な立場から、たとえば修学旅行に対するいろいろな対策もございましょうし、また夏季あるいは秋季等におきましてはそれぞれハイキングとかあるいは登山とかいうような問題もございましょうし、また冬季におきましてはいろいろと登山等の行事もございましょうし、そういったいろいろな問題に対しまするところの総合的な立場から、こういった問題を処理していく、さようなための特別の機関を設けるとか、あるいはその他そういった問題を解決するために何らかの制度上の改善をはかっていく、そういったお考えを持っておられるかどうか、その点につきましてお尋ねしておきたいと思います。
○松村国務大臣 このために制度上の改革をいたす、それはそのためにきわめて効果的の方法がございますならば、これはぜひやりたいと思いますけれども、今直ちに制度上の改革をいたして効果をあげ得るということは十分研究してみなくちゃ申し上げかねるのでございます。 もう一つは人心の弛緩と申しますか、こういう点が大きな作用を来たしておることが多いと思います。そういう意味合いも考えまして、責任をきわめて明確にいたしていくことが道であろうと考えておるわけでございます。
○河野(正)委員 時間がございませんそうで、あと一、二点御質問申し上げまして、私の質問を終りたいと思いますが、ただいまもし効果的な面があるならば、制度上の改革というものも考えてみたいというようなお話でございますが、私どもまとまった意見を持ちませんけれども、たとえば具体的な例をもって申し上げますと、今度三十六名という多数の死亡者を出しましたし、なお十二名という多数の人々が入院しておられるということでございますが、こういった問題を生理的あるいは医学的な立場から見て参りましても、そういった事故が起りました直後におきまして適切な処置が行われたといたしますならば、被害者はもっと僅少な程度でとどめ得たのであるというふうに考えるわけであります。たとえば溺死いたしましてもいろいろ病的な変化が起ってくる、心臓麻痺を起すとかあるいは狭心症を起すというような事態が起って参りますと、これは処置なしでございますけれども、普通ならばおぼれるというような場合は、そういった病理的な状態が起ってきて、そういった事態が起って参っておるのでございますけれども、今度の場合は、そういった事態で多数の犠牲者を出したということは、生理的あるいは医学的な立場から考えてみましても、とうてい考えて参るわけには参らぬのでございます。従って私は事件が起りました直後におきまして、適切な処置が行われたといたしますならば、私の立場から見て参りましても、なお相当数の回復者を得たものとしみじみと考えて参るわけでございます。そういった点を考えてみましても、私は教育の一環ともいたしまして今後何らかの改善が行われなければならないということを痛感いたしまするし、その点に対しましては、一つぜひとも御研究下さいまして、今後不幸にしてそういった事故が起りましても犠牲者は――もちろんそういった事故が起るということを私どもは望むわけではございませんが、不幸にして起ったといたしましても、最小限度の犠牲者でとどめるということが必要でございましょうし、また先ほど大臣は人心の弛緩ということを御指摘になったわけでございますが、人心の弛緩という問題を解決するためには、やはり私は責任の在所を明らかにして、具体的に責任をとらなければならないと考えるわけでございます。ところが今日までたくさんの事故が不幸にして起りましたが、起りました当時におきましてはいろいろとこの委員会の席におきまして、あるいは議会のそれぞれの席上におきまして追及されますけれども、のど元過ぐれば熱さを忘れるということわざがございますように、時期が過ぎますと、そういった問題がいつの間にかほうむり去られるというふうな実情で今日まで参っておったわけであります。たとえばワクチン禍の問題にいたしましても、あるいは紫雲丸の事件の問題にいたしましても、当時いろいろの報告はなされますけれども、しさいの原因につきましては調査の上御報告申し上げたいというふうな御答弁でございましたけれども、今日までそういった報告が委員会の席においてなされたという経験はないのでございます。そういったことを考えてみましても、私はやはり、こういった責任の在所というものを徹底的に究明しないところに、なお今日人心の弛緩が存在するということを痛切に感ずるわけであります。そこで今後われわれはこういった不幸の事故を再び繰り返さない、防止しなければならぬという建前からも、そういった責任の在所を明らかにしなければなりませんし、またいろいろの対策につきましても真剣に検討していただかなけば相ならぬと思うのでございます。そういった立場で今までいろいろ起って参りました事故は真相なりあるいは原因なりをどの程度にまとめられたのか、あるいまはたそういった原因に対してどういう措置をとられてきにか、そういう点を最後にお尋ねいたしまして、私の質問を終りたいと思います。
○松村国務大臣 今度の事件をただいままでわかっております程度で申し上げますと、お話の通りでありまして、第一に救助がおくれて行われているという疑い、それから救い上げて専門の医師が来たのがおそくなったということ、案内をしなかったか、どういう手違いであるか知りませぬが、それが大きな犠牲者を出した一つの原因であろうと思うのでございます。こういう不幸な間違いが重なったためにこのような惨害を来たしたのでありまして、十分それらの点に注意をいたしますのと、もう一つは監視が非常に手ぬるかったという点であります。望遠鏡や双眼鏡のごときものを持っていませんとか、あるいはそこに出している舟があったとかなかったとかいうような点等を考えてみますと、はなはだ不注意だったと思うのでございまして、こういう事故を調べて直ちに全国の教育委員会の方に参考に知らせてやりたいと思っているわけでございます。
○佐藤委員長 長井源君。
○長井委員 私はなくなりました三十六のいたいけな悲しい魂を代表いたしまして、この国会を通じて抗議をしたいのでございます。実情についてはお尋ねを申し上げてもおそらくこれ以上はおわかりでないと思いますが、私の調べたところによりますと、警察官が発見したのが、届出によったのではなくて、あまり人が騒ぐから、ジープでかけて行ったところがこの惨事であったというような始末である。現場からわずかに二分の距離に三重大学の付属病院があるのでありまして、非常に大きな病院があるのでございます。それにも一時間後に連絡があったというようなことで、今朝の朝日新聞を見ますと、医者の方でもう少し早く言ってくれたならば、もう少しは助けることができたであろうにと申しておりますのを見ましても、引率者、学校側の人々がいかにうろたえたとはいえ、かくのごとき過失をあえていたしておるのであります。私は実は三重県師範学校の出身でございまして、当時は水泳は正科でございましたので、私はあの海で練習をいたしました。私はただいま観海流の教師の免許状を持っておるのでございます。あの津市の海岸はすみからすみまで泳ぎ得ますところの海上、休みますところの海岸はことごとく存じております。かって阿漕ケ浦、これは今度の中河原と直線距離にいたしましてわずかに一キロか二キロのところでございまして、同じ状況にあるところですが、十年ほど前に京都の小学生徒が水泳に参りまして、ここで今日と同じ事情におきまして二十幾名の死者を出したのでございます。津市の学校はことごとく海のそばにあります学校であり、津市は有名な海水浴場でございますので、教員も校長も学校関係者もことごとく海を知っているといってよろしいのであります。この中河原には、先刻も新聞に書いておりますが、岸と浅瀬との間にときどき穴が掘れるのであります。これは大したものではなくて、おとなであれば首くらいのところまでいくくらいのものでありますが。子供の背は立たない。子供がかけて参りましてじゃぶじゃぶといきますうちに一たびその穴に遭遇いたしますと、足が浮いてしまいますので、こうなったら全然泳ぐ力がなくなりまして、浅い所へ参りましても、もう立ち得ないような状況でございます。この日にはちょうど上げ潮であったということでございますが、そういうときでありますれば、決して強い波の来るおそれはここではないのであります。それゆえにこそこの三十、四十という人たちが河口に押し流されておりません。現地で死んでおりますところを見ますと、大きな波浪のために流されたものではございません。そのポケットで足を浮かされた、それをどこにあるかわかりませんから、その次の者も行く、その次の者もかけて行きまして、遂にたくさんの魂をここで失ってしまったようなことになってしまったのである。私は現地をよく存じておりますし、またことに水泳の教師といたしましては、必ず危険線というものがありまして、これは小学校、中学校、それ以上というふうに岸からの距離を違えておりまして、そこに赤い旗が立っていて、必ずそこの高い所に見張人がおります。そして上級生の泳ぎのできる者はポケット等の危険な場所に先におりまして、そして、中学の一年くらいの子供でありましたならば、ここは危ない、あるいはそこに入りましてもすぐに手を取って浮かせてやって、浅い所に連れて行ってやるということにするわけであります。先生さえ気をつけてもらっておりましたならば、この危険は全然なかったものでありまして、全然不可抗力でもございませんし、それから子供の過失でもございません。これはもう一重に学校側に責任のあることは明らかであります。私も教育者の先輩といたしまして、これらの人々を追及するこちはあまり好みませんけれども、今日まで報道されましたところのの情報では、ことごとく先生、引率者の人々の重過失というよりほかに判断のしようがありません。ことに十九人か二十人の先生がついておったということでございますが、今日に至るまで先生方がいずれにおったかということすら、はっきり示して参っておりませんから、子供の走って行くままにまかせておったのではないかというようにすら私は見ております。すでに最終日であると申しますからには、相当子供も海になれていたはずであります。それにもかかわらずかくのごとき惨事を引き起した。私は相模湖のときの事件の当時におきまして、子供がかわいそうというよりも、先生方のあまりの不注意に腹立たしくて寝られなかったことがございますが、今度はそれ以上に先生方の大きな過失であると私は思っております。私は法律的に見ますと、この先生方の過失はただでは済まないものでありまして、業務上の過失致死であると施じても少しもはばからないと思うのであります。 私ども同士は今日声明書を発しまして、司直に刑事責任を要望することにいたしておりますが、この事件だけは単なる道義上の責任、あるいは行政上の責任ということだけで済まされない事件の本質を持っておると思うのでございます。もとより今後かくのごときことの起らないようにいたしますために、いわゆる他戒的の処分等というようなこともございますけれども、本件は私は朗らかに事件自体が、さような大きな業務上の過失によって生じたものと言うてはばからぬと思うのであります。 これらのことがどうして起ったかということにつきましては、ただいま文部大臣のお話がありましたが、これは一に責任感の弛緩でございますが、なお一歩進めまして、三重県におきましても、相当の多数の変った思想の先生がおりまして、それらの人々が責任に対しましてきわめて無感覚か、しからずんば否定の態度をとっておるような人人もある。現制度下におけるところの教育制度というものには、われわれは責任を持たないというような考えを持って、ただ仕事としてやむを得ないというような考えの人もあるやに聞いております。そういうことが幾たびか重ねられても、なお改まらないところの惨事になったのではないかと私は思っております。文部大臣が直接の監督上の責任はないようでありますから、これは今日まことに遺憾のことでありますけれども、適当な方法で、これは教育委員会なりその他のところに御勧告があってしかるべきだと思います。今後教育制度の上におきまして、以前のように体育の方の正課に水泳を取り入れていただく、そうすれば先生方の水泳の腕前も上りまして、これも一つの水難予防の方法になると考えておりますので、それらも御協力願いたいと思うのでございます。 ただ、私はいかにしても残念でなりませんので、この際に再び日本の国に、こういう無責任を原因として、大きな惨劇の起るようなことがありませんように、文部当局その他の特別なる御配慮を祈ってやみません。大臣の所見を伺っておきます。
○松村国務大臣 今実際の事情に御精通になっておるお話を承わりまして、ますます遺憾の意を強くするものでございます。いま少し注意が行き届きますれば、こういうことなくして済んだものをと遺憾にたえません。お話通り、十分責任をただし、そして今後このようなことの起りませんように、十分の措置をいたすことを申し上げておきます。
○高村委員 関連して。先般当委員のにおきまして、北海道で登山引率教官が過失致死で処罰を受けた事件は、当委員会において同僚議員から質問があったのでありますが、そのときの質問の要旨は、そうした引率教官が刑事訴追を受けるというようなことは、これは重大問題である、教員が非常に不安を感ずるであろう、従ってそれに対して文部当局の善処を要望したいといったような趣旨の御質問であったのであります。私はその事件の具体的な内容は存じませんが、いやしくも司直が業務上の過失致死として処断しなければならぬということは、これはよくよくのことであったろうと思うのであります。従いまして、そういうふうな事犯が起きたいということは、これは私は教育界の非常な大きい一つの不祥事であると思う。従ってそういう事件につきましては、あのときそうした質問もいたしましたから、文部当局におかれましてはその事件の真相を御調査に相なって、そうしたことに対して全国の関係者の注意を喚起する、こういうふうな御処置をなされるのが適当じゃないかと、私はその当時も考えたのです。またただいまいろいろお話しもございましたように、どうも人心が弛緩している、特にただいま長井委員からお話しがございましたように、教育の衝に当っている方の責任感というものが今日少しゆるんでおるのじゃないか、ということに対して私も同様に感ずるのであります。これは全体がそうとは考えませんけれど、一部にそういった傾向のあることは私はいなむことのできない事実ではないかと思います。従いまして、いやしくも引率教官が業務上の過失致死といったようなことで訴追を受けるというふうなことは実に私は不祥事だと思います。まことに残念なことだと思いますが、ただいま承わりますと、今回の事件にもそうした疑いすらあるということを聞いておりますが、どうか文部当局におかれまして、今申しましたように、こうした不祥事に対しては十分事実を調査いたしまして、そうした関係者の将来のいましめとするように、これを全国的にお知らせしていただくとかなんとか適当な措置をとっていただきたいと思うのでございますが、北海道の事件につきましてそうした御調査等が行われましたかどうか、その点を伺いたいと存じます。
○松村国務大臣 先般この委員会で、北海道のあの判決につきまして御質問がございましたから、あの判決文を取り寄せさせまして、私も一度目を通しました。あの判決だけ見ますと、やはり相当の理由はあるようでございます。たとえて申しますと、非常な断崖絶壁のところをむやみに登らせて、その人が落ちたあとから、登る者をとめないで登らした、こういうような事実があります。こういうことは過失ではあるが、刑法の何に当てはまるということで罰金刑になっております。そのしんしゃくの中には、これは十分わかりませんけれども、本人の素行と申しますか、心意気が悪くて、地方の非常なひんしゅくを買っていたことも事実でございます。その人は現にその土地にはもちろんいたたまりませんで、やめて、そして四国地方へ渡りまして、今現に四国において教師を勤めておる、こういうようなことでありまして、情状のしんしゃくすべきものもない。従ってあのような判決があったんじゃないか。ただ判決文を見てそういうふうに想像をいたしたのでございまして、これに対してただそれ以上の措置をただいまはとっておらないのでございます。今長井さんからのお話しもありますが、これらのことについては十分行政的にも責任の所在を明らかにいたしたいと思います。
○山崎(始)委員 関連して。ただいま高村委員から御質問がございましたが、実は私北海道のただいまお話しの事件がありましたときに御質問を申し上げました、私が質問いたしました手前、簡単に一つ関連してお尋ねしたいと思うのであります。あのときに、私はただ引率の教官を刑事罰にしたということによって、すべての教員に注意を与えるという一つの効果はもとよりございますが、われわれ考えなければならないことは、あの当時ちょっと申し上げましたが、これから暑中休暇に入るのだが、おそらく暑中休暇では全国の各学校においてあらゆる教育計画を組んでおるだろう、あるいは登山、泳、そういうときに、刑事罰になったということによって、よい一つの効果と逆な効果が起ってくる。それは土用休暇に、何も学校の先生とすれば、好んで山へ登ったり、水泳を教えなきゃならないことはないのです。そういう計画を組まなければいい、これが一々刑事罰に問われるようなことになって、業務上の過失致死というのですから。そういうふうなことになりますと、極端に申しますれば、もう山へは一切上げないんだ、水泳は各自の家で畳の上で水泳をすれば心配ないんだというような非常に消極的なものになってくるおそれがあるんじゃないか。この点を私は非常におそれた。でありますからああいうふうな質問を実は当時私はいたしたのでありますが、ただいまも同僚委員から、今回の津の事件も明らかに学校側の管理の上の非常に大きな責任があるんだと言われたが、私もそうであろうと思う。現状を知りませんから断言はよういたしませんが、地元の長井委員からそういう御説明がありましたので、私も一応肯定いたしまするといたしましても、われわれ文教に携わる者として考えなければならないのは、教員の気持を刑事罰によって引き締めるということ、これは私は別個な問題として、われわれはもっともっと高度な点から考えなければならないんじゃないか。高度な点と申しますことは、ただいま文部大臣は、これは民心の弛緩である、あるいは学校教員の責任感の一つの弛緩であると言われた。それもそうかもしれません。しかしわれわれ考えなければならないのは、今日国家がすべての文教政策に対してどこまでの責任と誠意を持っておるか。私は根本はその点にあるんじゃないかと思う。かりに一つ例をとってみましても、義務教育は無償であるという憲法の原則があっても、教科書一つですら国はその責任を明らかにしていない。いわゆるごまかしておると申し上げても私はいいと思うのであります。災害の問題にいたしましても、災害を未然に防ぐという国家的な立場においていろいろ考えるべき施策は具体的にたくさんあると思う。それすら何らしない。私は文部大臣にこの機会に特にあらためての御所見をお聞きいたしまするが、災害を未然に防ぐこと、これが上の上でございまするが、災害があったあとの責任においても、今日国家はその責任の所在を一つも明らかにしておりません。義務教育で学校へ通学をせよという、せなければならない義務を各児童生徒の父兄は負っておる。負っておりながら、その災害のあった場合も、あとの問題ではありまするが、その責任の所在に対して何ら国家としての思いやりが政治の上に出て来ていない。こういうことでは、教員を業務上の過失致死に問うてみたところで、こういう問題の基本的な解決はできない。どうか私はこの機会に特に文部大臣にお願いを申し上げたい。紫雲丸のときにも私は申し上げたのでありますが、未然に防ぐというこの国家の責任体制を確立することは、今後いろいろ御研究願うとしても、せめて災害があったあとの国家の賠償の責任というものさえはっきりしておるならば、いかに国家がこういうふうな災害に対して思いやりがあるか、注意を払ておるか、こういうことを私は国民大衆に示すことができるのではないかと思うのであります。そういう観点から、せめて災害があったあとの国家賠償の責任体制の確立というものは、ぜひ私はこういう機会にもう一度お考え直しになっていただかなければいけないのじゃないか、かように考えるのでありますが、あらためて一つ文部大臣の御所見を承わりたいと思うのであります。
○松村国務大臣 お答え申し上げますが、お話通り義務教育のことでございますから、国家がすべてを負担していきますことは、これは理想としてはけっこうなことでございます。しかし現実の問題といたしまして、今日戦い敗れた後の灰の中から立ち上って参りまして、そうしてこの義務教育の制度を完成しょうと努力中の今日におきまして、どこもここも不自由を忍び、国もできるだけのことをし、地方もまた同様に考え、父兄の方々も同様にお世話をして下さるということで、初めてこの義務教育の重い制度が完成して参りますので、その道程にあります今日に、すべてのことを国がやらないと人心が弛緩するのは当然だという結論は、これは少し飛躍いたしていると思いまして、こういう中でやっていくために、なおなお人心を引き締めてふるい立ってやっていただくよりほかに道がないのだというふうに考えるのでございます。国家のこういう災害に対する補償の問題につきましても、私は全くお話通りに思います。しかし今申すようないろいろの財政の状態等を勘案してやらなければなりませんから、それと見合わしてのことでございますが、考え方といたしましては、そういうことができたならばけっこうだとは考えておりますが、要は今言う実際に即してやっていく、こういうふうに考えざるを得ないのでございます。
○佐藤委員長 並木芳雄君。
○並木委員 私は最初に委員長のお許しを得て、このいたいけな三十六のみたまの前に黙祷をささげさせていただきたいと思います。実は新聞で見、ラジオで聞き、また本日は同僚委員の質問を聞き、これに対する松村文部大臣の答弁を聞き、また私はさっき院内でテレビを見て参ったのでございます。実に悲惨なものでございました。人工呼吸をしておるところの写真、それから不幸にして犠牲になったお嬢ちゃんを担架に乗せて運んでいくところのありまさまをまのあたり見まして、私はどうしても質問をいたします前に、皆さんと一緒に一分間黙祷をささげさせていただきたいと思います。委員長それをお許し願います。
○佐藤委員長 今並木委員より一分間黙祷をささげるという動議が出ておりますが、異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○佐藤委員長 それでは一分間黙祷をいたします。起立。 〔総員起立黙祷〕
○並木委員 ありがとうございました。先ほどの長井委員の三十六の魂を代表して抗議するという言葉も思い出されて、私としては感慨無量でございます。 時間がございませんから端的にお尋ねをいたしますが、そのテレビであの危険区域という言葉が出て参りました。そこで災害の起った所は専門の意味における危険区域でございましょうか。それとも危険が起ったものですから、通常の意味であるいはテレビは危区域とアナウンスしたのかもしれませんけれども、いわゆる専門家から見てあそこは危ない区域であったのかどうか。それはお調べになりましたか。
○緒方政府委員 だれにでもわかる危険な場所であったというふうには報告になっておりませんけれども、しかし先ほど長井委員のお話の中にもございましたように、あの海岸には浅瀬と陸地との間に大きなくぼみがある。それからまた安濃川の河口は潮の上げ潮下げ潮によって潮流の変化もあるし、水面からわからない潮流もある、こういうふうなことは、もちろんその道の人は知っておったはずだ、かように考えられます。危険区域と申しますのは、そういう意味で使われているものであると考えます。
○並木委員 それでは前に事故が起ったことがあるのでしょうか。
○緒方政府委員 前に事故が起ったかどうか、その点については承知いたしておりません。
○並木委員 テレビで見ますと、人工呼吸をしておりました。それで聞いてみましたらば、テレビの支局が名古屋にあるのだそうです。名古屋からかけつけたのですからずいぶん早くかけつけたわけでありますが、それでも二時間ぐらいはかかっておると専門の係の方が言っておったのでございます。二時間たってなお人工呼吸をしておるのですから、専門のお医者さんが来るのがおそかったという先ほどの大臣の答弁と符牒が合うのでございます。 そこでお尋ねするのですが、人口呼吸がうまくいかなかったということでありますけれども、その通りですか。そうだとすれば、文部省から出しておる通達に、必ず万一の場合に備えて人口呼吸に対する応急手当、そういうものがあったと思うのです。あったにもかかわらず、それがうまくいかなかったということになれば大へんなことになると思うのですが、いかがでございましょうか。
○緒方政府委員 人工呼吸につきまして、まあこういう非常の場合の救助方法につきまして、人工呼吸のみならず、救助方法につきましては、保健体育の体育編の学習指導要領にもこれは相当詳細に書きまして、これが基準になって体育保健の指導をやっているわけでございます。ただしかし、あの現場におきまして告生たちは二十名ほどおったわけでございますが、この先生たちがどれほど人工呼吸の技術に習熟しておったかということにつきましては、実は遺憾でございますけれども、まだよく調査が行き届いておりません。ただこれはここで確定的に申し上げかねますけれども、現地で伝わっております話の中で、先ほど御報告申し上げましたように、一部おぼれておった、それで急に上れという指示を与えた、そこで深いくぼみに落ち込んだ、かようなことがあったようであります。水を飲んでそれが死亡いたしたということと、もう一つは、何かショック死のようなものが現われておるというふうに現地では伝えられておるようでございます。これらの点はもう少し医学的、専門的に調査をする必要があるかと存じますけれども、さようなことになりますと、人工呼吸との関係はどうなりますか。私も専門的にはよくわかりません。実は今御質問の点はまだ具体的にはわかっておりませんので、よろしく御了承を願います。
○佐藤委員長 並木君簡単に願います。
○並木委員 大臣にお尋ねをいたしますが、文部省としては通達を出したことはこの委員会でもずいぶん私どもは聞きました。そうしてまたきょうこういう質問をしなければならないということは、私は悲しむものであります。どうしてことしはあのいたいけな児童に風当りが強いのでしょうか。災害は忘れたころに来るといわれますけれども、児童に対する災害は忘れたころどころか、忘れることのできないそのさなかにも次のものがやってくる、こんな悲惨なことはないと思う。大臣は、通産々々で事足りますか。私どもはほんとうにきょうは何ですか、日ごろ尊敬する松村文部大臣にも先ほどの長井委員の話ではありませんけれども、ほんとうに何か抗議をしたくなった気持なのですが、今後どうなされますか。現実に、文部大臣は注意すると言っておりながら、こういう災害が起るのですから、それの絶無を期するために、大臣は何か思い切ったことをなさる御意思はありませんか。
○松村国務大臣 先刻もお答え申しましたように、紫雲丸の事件と比較してみまして、今度は相当重大な過失と見られることのように思われますので、これに対しては厳重に責任を明らかにいたしたい。そうして全国的に注意を喚起いたしまして、このようなことの起らないようにいたすということ以外に道がないと考えます。そのために通達と申しますけれども、通達ばかりではございません、できるだけの方法をとって、地方の注意を喚起いたすのに万全を期したいと考えておるのであります。
○並木委員 その一つの方法として考えられますのは、先生の再教育であろうと思います。先ほどからもその言葉が出ております。講習会によってもけっこうだと思いますが、何らかの形でもう一度再教育というものをおやりになる御意思はありませんか。今までもこの点についてはいろいろの形、あるいは名前でやってきているはずでございます。しかも実効が上っておらないとすれば、これはやはり当局としてもその責任の一端をになわなければならないと私は思います。そこで抜本的な再教育、そして一種の資格再審査というものをする必要がきておるのではないでしょうか、その点についての大臣のはっきりした御所見を伺いたいと思います。
○松村国務大臣 このことばかりのために再教育をやるということはなんでありますが、これを含めた意味において教師の再教育というようなことの必要は、ある場合においてはあろうかと考えます。従いまして、それらのことは十分検討いたしましてやっていきたいと考えております。
○並木委員 それから文部大臣からの通達が、先生の一人々々、あるいは教育委員の一人々々に十分達しているのでしょうか。私はそれを疑問に思わざるを得ないのであります。一片の通達がほんとうの一片の通達に終っているのではないでしょうか。今度の場合は児童から、いつも行くような場所ではおもしろくないから、こういう静かなよく泳げる場所を選定して、先生のお許しを得ようじゃないかということを言ったと伝えられます。先生はそれに対して調査をせずに許可を与えたと言われております。そうしてそれに対して教育委員会もまた調査をしないで許可を与えたと言われております。そういうようなことは、もし通達が十分に達しておるならばあり得ないと思う。そこで私はお伺いするのですけれども十分達しておったかどうか。またそういう事実がこの場合にあったかどうのか。あったとすれば責任はどこにあるか、学校であるか、先生方であるか、教育委員会であるか、その点もあわせてお尋ねをいたしたいと思います。
○緒方政府委員 ただいまの点私どもも非常に大きな関心を持っておるわけでございますがこのたびの津の状況を、これは詳しくはまだわかっておりませんが、一応調べました点では、県の教育委員会といたしましては、文部省が七月九日に夏休み中のいろいろな行事についての注意事項を通達いたしましたので、それに対応いたしまして――この中には永泳のことも書いてありますが、それに対応いたしまして、全県下の全学校に、水泳についての指導事項も含めまして、注意事項を配付いたしておるという報告でございます。なお教育委員会におきましても各学校に対しまして夏休みについての通牒を出しまして、集団水泳については届け出をさせて、これを認可して行う、かような方法をとっておったようでございます。ただいま御質問がありましたように、それらの認可の際に教育委員会自身としてどれほどの現地調査、現地への認識等があってこれを許可したかという点は、なお調査を要することであろうと考えております。
○並木委員 それでは最後に大臣に伺いますが、今度の新生活運動の一環として、野外活動、ボーイスカウト、あるいは、ガール、スカウトというものを予定されておるということを、大臣はこの前発表されましたけれども、そういうことに対しても、このたびの災害というものを契機としてやはり相当の注意をしていかないと、陸上においても海上においてもどういう災害が起らないとも限らない。これに対しては十分注意されておられると思いますが、念のためお尋ねいたします。なお陸にせよ海にせよこういう災害があって、せっかくの児童に対するレクリェーションあるいは屋外教育の一環としての水泳とか旅行とか訓練とかスポーツというものが妨げられるようなことがあっては、これまた別の意味において一大事と思いますので、そういうことは万々ないように措置されるものと確信はいたしますけれども、この機会に大臣の御所感を伺っておきたいと思うのであります。
○松村国務大臣 お答えを申しますが、今のお尋ねは、新生活運動でやっておるのではございませんで、文部省のやっております社会教育、青少年教育においてボーイ・スカウト、すなわちキャンプ、共同生活を各府県で現に展開をいたしておるわけでございます。それはスポーツで明朗な精神、健全な肉体を養って、そうして共同生活にならしめるという目的において現にもう各府県でやっておるわけでありますが、今の御注意のあった点については十分注意いたしておるわけでございます。
○佐藤委員長 平田ヒデ君。
○平田委員 相模湖事件や紫雲丸事件のあの痛々しい事件の記憶がまだ消えずにおるときに、こういう問題が起ったということを非常に遺憾に存ずる次第でございます。ここに小さな魂と遺族の方々に対して深く哀悼の意をささげる次第でございます。これは私の専門学校時代でございますけれども、淡路島の洲本に水泳の講習に参ったことがございます。 これは希望者で二十名ばかりでございまして、私もそれに参加した一人として、あのときの至れり尽せりの指導を今も深く感謝しております。看護婦を一人連れて参りましたし、それから二十名が順番に十名づつ交代で海に入りました。それから私ども女としてあまり人から見られない所で、しかも安全な所でというので、海の底ののあり方とか場所についてずいぶん土地の人に尋ねました。舟も三そう雇って、これに給仕さんが一人づつ乗って、ここから先は行ってはいけない、そしてその間中舟の上から頭数を見ていてくれたわけでございます。学校の理科教育、科学教育の振興が叫ばれている今日、もしそういう所へ海水浴に行くというのでしたら、学校側では上級生を連れて潮流の調査をしたり、海岸線の調査をしたり、なぜ生きた学問をさせなかったのかということでございます。ただ水におぼれないための練習だ、からだを鍛えるということにのみ持っていかれるところに片手落ちの点があると思うのでございます。 もう一つ、これは市の教育委員会の方だそうでございますけれども、これは危険な個所をちゃんと知っていらっしたということがちゃんと新聞に載っております。私はよくわからないですけれども、学校で何か行事をいたします場合には、教育委員会と学校側とで打合せをするようにでもなっておりませんのでございましょうか、その点局長さんにお尋ねいたします。
○緒方政府委員 お答え申し上げます。学校の行事につきまして一々教育委員会と打合せをするということには。大体いたしてないようでございます。しかし教育委員会の方で重要な事項につきまして、特に教育委員会に打合せをしてあるいは認可を受けてやっていく、こういうふうな規定や規則を作っておるのもあるように考えます。学校の管理、運営につきましては、これは責任あるいは権限は所轄の教育委員会にございます。これは教育委員会としまして十分心を配っていかなければならぬ問題でございます。ただ今度の問題につきましては、先ほども申し上げましたように、集団水泳については教育委員会に届け出て、その承認を受けてやらせるように津市の教育委員会てはいたしておるようでございます。これはあるいは正式に教育委員会規則に定めて、そういうようにしたのか、あるいは実際の学校に対しましてそういう事実上の指導をいたして参りましたか、その点はよくわかりません、この場合はさようになっておるように聞いております。
○平田委員 四百人も連れていきますのに二十人の教師では不足だ、私は自分の体験からそう思っております。しかも看護婦はたった一人、いつどんなあやまちが起るかもわからないという、石橋をたたいて渡るくらいな私は細心な注意が必要だ、そう思うのでざいます。調査の不十分、それから遭難した場合の連絡のすみやかに行われなかった点、場所の選定についても非常にずさんであったということ、こういったことをあげますと、ずいぶんたくさんあるようでございますけれども、私はごく簡単にもう二つばかりお伺いしたいのですけれども、一体文部省の責任だとこれを押しつけるわけにもいくまいと思いますけれども、何か事件が起りますと、文部省の方では通達を出す。それから急遽調査人員を派遣する、これは当然行われるべきことではございますけれども、その前に何かもっと毎年こういう事件で、こんなに大量に子供が死んだという例は少いのでございますけれども、そういう点について、もっと積極的になさるべきじゃないかと私思うのでございますけれども、何か観念的で生ぬるいといった感じを私非常に持つわけでございますが、この点について文部大臣、局長さんからお考えを承わりたいと思います。
○松村国務大臣 今のお話しでございますが、実は私の方では決して消極的にばかりやっておるわけではないのでございまして、今年あたりにしましても、この夏になる前に水泳の注意なども十分いたして全国に出しているわけでございます。あるいは水泳指導の手引なんかという本も出してずっと配付もいたすとか、いろいろのことをやっておるのでございますが、それにもかかわらず効果がありませんで、こういうことが出て参りまして、まことに遺憾に思い、起りますと直ちにまた応急のこともやらなくちゃならない、こういう実情であることを御了承を願います。なお詳しいことは局長から御答弁をいたします。
○緒方政府委員 ただいま大臣がお答えになりましたので、私からつけ加えることは大してございませんが、こういう事故の起りました直後に申し上げるのは何か弁解がましくなりますので申し上げずにおったわけでございますけれども、ただいま大臣お話しのように、あるいは修学旅行にいたしましても、こういう水泳の問題にいたしましても、夏休み間の注意事項につきましても、正式には通達でございますが、教育委員会に対しまして文部大臣として正式に権限としてやりますことは、これは指導、助言、勧告でございます。その指導、助言といたしまして通達を出したわけでございます。それに基きましてあるいは会議をしばしばやりまして、こういう教育委員会の担当者は指導部あるいは課というのがありまして、これらが指導をいたしております。そういう会議をしばしばやりまして、その内容等について十分打ち合せをやっておるわけであります。夏休みの問題につきましても先般教育長会議がありましたので、これに私自身も参りまして十分に教育長にその趣旨は徹底いたしたつもりでおるわけであります。また大臣からもお話しがありましたように、いろいろと手引書とかあるいはそのほかにいろいろ研究資料を出しておりますので、そういうものにも相当具体的な指導項目を敷衍いたしまして、これは出しております。しかし何と申しましても、これがただいまお話しがありましたように、第一線に十分徹底いたしまして、その実効が上らなければ何ともならないわけでありますので、この点についてさらに私どもは努力をいたしたい、このように考えております。
○平田委員 もう一点だけお尋ねいたしたいと思います。教育者はいわゆる教科書を中心として教室で授業をいたしておるのが建前でありますけれども、さらに人格を陶治してりっぱなよい人間を作るというようなことも、これも当然なのでございますけれども、学科に対する研究は非常に進んでおるように思いますけれども、教育者は一面人の命を預かっておるのだ、そういう観念に乏しいのではないかと私は思います。特にこういう事件がたくさん起って参りましたので教育者に対して人の命を預かっているということに対するところの教育の何か新しい方策をお立てになる必要があるのではないかと私は思うのであります。今までそういうことはなかったように思いますけれども、こうした事件が頻発して参りますと、時代の要求に応じて、やはりその時代々々に応じたところの施策というものは生まれてこなければならないと思います。しかも青春に富んでいる、これからどこまで発展していくか、成長していくかわからないような、私ども非常に望みを托しておりますこうした若い命が次次と失われていくということに対して、私はほんとうに昨晩は眠られないほどの憤りを感じました。特に写真などで見ると、ほとんど母親が子供の頭にとりすがって泣いております。私はどうかこの教育の問題についても、ただ単にいわゆる教科書中心だけでなくて、人の命を預かっているのだ、そしてこれはそこねてはならない。人一人の命は地球よりも重いとさえされているのでございますから、その点についての何か新しい方策をお立てになる御意思はございませんでしょうか。
○緒方政府委員 文部省といたしまして、かような人命を預かります教育者の心構えというものにつきまして、いろいろ指導事項を作りまして、これを先生方に十分徹底していくという努力をしなければならぬこと、これは当然だと存じております。何と申しましても子供を預かる先生方の心構えの問題が非常に大きな問題だと存じます。言葉をかえて申しますと、私はたびたび申しますが、子供に対する十分なる愛情をもって、これを見守っていくという、この真剣さと申しますか、それをつちかっていくことが一番大事なものであろうと考えております。教育者としての責任と子供に対する愛情、こういうものを徹底していく必要があると存じております。これらの点につきましても、従来とも地方の第一線の教育委員会等で直接の指導には当るわけでございますので、私どもそういう点は強調して参っておりますけれども、この点についてはなお御趣旨の存するところを体して努力したいと思います。
○佐藤委員長 辻原弘市君。
○辻原委員 簡単にお伺いいたしますが、私は紫雲丸事件が起きた当時にも申し上げましたし、また夏休みの休暇が始まるその直前にも申し上げました。それは災害は紫雲丸事件に限ったことではない。修学旅行に限ったことではなくて、夏場は特に海に山に起る災害を未然に防止する対策の万全を期しておるかどうかということを、特に大臣、並びに事務当局にお伺いしたことを思い出すのでありますが、そのことが杞憂ではなくて現実の姿になって現われましたことを非常に残念に思います。そこでこの機会に私は二、三の点について特に大臣から明らかにしておいていただきたい点があるのであります。というのは、今度のこの事件は、今まで起った幾つかの事件とは若干違った、実に明白な問題であります。というのは、明らかに学校当局が二百名の生徒を動員して、計画的に海浜学校を開設して、しかもその海浜学校では所要の教育訓練を施すその最終日に起ったできごとであります。従ってこれは十分なる計画と十分なる準備とをもって臨んでいなければならぬはずであります。その間に起った問題だけにこれは先ほど大臣も言われましたがその責任の所在を明確にしなければならぬと思います。これは特に申し上げておきたい。それからその責任の所在というものが、一体どこにあるのか。もちろん管理する当該学校の問題、あるいは監督に当った指導体育教官等々いろいろありますが、これを法律的に考えた場合、一体この種の事件が発生したときに対する――先ほども同僚山崎委員からもお話がありましたが、法律的に一体こういう生徒、児童の死という最悪の事態に至らしめた責任と、起ったそのことに対して、少くとも何らかの慰藉、何らかの補償の方法を講じなければならぬ場合に、その責任の所在というものが一体どこにあるのか。今まで抽象的に言われている責任が一体どこにあるのかということ、これはたびたび追及されたが、そのことはあるいは厳密に推し進めていけば、その責任の所在を朗らかにすることは可能である。 しかしもう一つ伺いたいのは、こういった立場において、自後の責任は法律的にだれが負うのであるか。このことをこうした機会に明らかにする必要があると私は思いますし、これは今後この種の問題が起ったときに、絶えずあいまいにされる問題でありますので、この機会に大臣に明確におっしゃっておいていただきたい。現在の段階では、市の教育委員会は、一応計画認可した責任上、五万円程度の慰藉方法を講じるということでありますが、法律的に市の教育会がその全責任を負うことになるのか。全責任を負って、愛児をなくした父兄の方々に、精神的、物質的にこたえるその責任を持つものであるかどうか、これらの点について一つ明らかにしておいてもらいたい。
○松村国務大臣 ただいままでのところは、そういう慰藉の点については、きわめて不十分であり――不十分というよりそういう例はなかったと申してもいい場合が多かったと思うのでございます。しからばそれでいいかと申しますと、先ほどお答え申しました通りに、これらのことは、その地方なり国なりが責任を持って慰藉すべきものだということは、私どもはあるべきことと考えております。従いましてただいますぐに先刻も申し上げたようなわけで、いろいろ財政その他の都合もありますから、直ちにこれをやるということはお約束は申しかねますけれども、漸次そういう施設をいたすべきものと心得ておるわけでございます。
○辻原委員 地方なり国なりが責任を持つべきものと考えるというお話であります。これは事務当局からお伺いをいたしましても、どこがはっきり責任を持ってその慰藉に当るということは明確に出ないとは考えますが、それはあとで伺いましょう。そこで大臣の今の御答弁において、これは精神的、物質的両面において国も当然その責任を分担すべきもの、こういうお考えがあったことを私は非常にうれしく思うのであります。なぜ私がそういうことを申し上げるかといいますと、今、津市というかなり大きな市の教育委員会が一応責任を持とうということであります。これがたまたま山間僻地の川でこういう災害が起ったという場合、いなかのことであったならば、そういう面においては一体どうかといえば、小さな町村においては、わずか程度の、そういう物質的な慰藉方法も講じられない状況にあると思う。そうすると、同じ生命をなくしながら、時と所を異にすれば、その慰藉の方法がことごとく違う、こういう問題が発生する。義務教育だといって、機会均等の教育を国が義務を課している。にもかかわらず、そこから起る問題については、取扱い不平等ということでは事済まないから、私は事故発生の問題について、その責任の所在を明らかにすると同時に、国もまたその責任を分担する。同時にその後の処理についても国が最終的責任を持つということが至当であろうと思います。そういう意味において、ただいまの大臣の答弁は、われわれとしては今後のこういう問題に対する幾ばくの精神的安堵と社会的不安を除去するという面において役立つということを考えるのであります。ただそれは具体的に、早急に着手しておやりいただかなければ、これもまた悪口を言うようでありますが、事故が起きたりならば通牒を発するというような、通一ぺんなことではないかという危惧を持つのであります。従ってこの点は再度大臣から、私はいかなる形態においてもおやりなさいということは申し上げませんけれども、ともかく究極の目的が果せるような、そういった制度の確立、国の財政的措置というものを早急にやっていただきたいということを切望するわけであります。その他いろいろな事故をどうして防ぐかということについては、これは論じるだけでは事足りないでありましょう。従ってせめてもそういう点に対して、その責任の所在を明らかにできますように、今申しましたような方法を早急におとりなさる御決意があるかどうか、この点を重ねて大臣から伺いたいと思います。
○松村国務大臣 先刻申し上げました通りでありまして、今直ちにということはお約束は申しかねますが、財政の都合等々をよく話し合いをいたしまして、そういう機会を得るために努力いたしたいと思います。
○佐藤委員長 関連して永山忠則君。
○永山委員 事故防止対策を文部省内におとりになる考えがこの問題に関連してございますか。私は特に事故防止対策を文部省内でおとりいただくことを希望するものでございます。ということは、この問題は単に文部省だけの問題ではございません。いわゆる児童の災害事故防止については運輸省関係あるいは厚生省関係等も深い関連を持っているのでありまして、輸送能力の点あるいは衛生設備の点等、いろいろの点におきまして運輸、厚生、文部等関係当局とともに、児童の事故防止対策をとるということで、何らかの計画を立てていただきたいと思うのでありますが、当局の御意見を伺います。
○松村国務大臣 その点につきましてはよく考慮をいたしまして、一日も早く実現するように努力をいたしたいと思います。
○永山委員 関連をいたしましてさらにお伺いいたします。児童災害相互保険のようなものは、今学校でこれを実行いたしておるのが相当あります。文部当局ではその実施しておる学校の状態をよく御調査されまして、たとえて申しますれば、一入当り年十円を学校の生徒が出しまして、市町村がさらに十円を出すというようなことで、相互共済のような災害補償をいたしておるのがわが広島県においても相当ございまして、これが全面的に進んでおるような状態でございますので、これに対しては当局の方も十分御調査の上、先刻から論議されておりまするように、児童の災害補償に関しましては相互共済の思想を取り入れられまして、来年度これが予算に力を入れるということに一段と思いを深くしていただきたいと考えるのであります。 さらに文部省の体育の関係の拡充強化に対しまして、来年度予算には一段と体育の関係を強化されて、そうして文部省内に体育課を設置して、体育一般に関して強い指導をされるという考え方で来年度予算編成に留意を願いたいということを第二点に考えております。 第三点は社会正義といいますか、社会道義高揚という点に対して一段の研修を全面的に進めるべく予算化を来年はされまして、この社会正義、社会連帯の観念の高揚、指導に当って、予算的に努力を続けられたいということを当局に要望いたしたいのでございます。 時間がございませんから、続いて関連しておりますことだけ簡単に特に重要な点を申し上げます。それは先刻来この事件の責任者はあげて先生にあるかのような空気に見えておるのでございますが、本員は、この責任はもちろん先生にございますけれども、市当局の観光課にもあるというように新聞紙上で承わっておるのでございます。ことに津市の観光課の方では安全な津のキャッチ・フレーズとして、京阪神、名古屋方面に宣伝をしておるので、全く無条件の信頼で飛び込んだというようにいわれておるのでございまして、これらの責任はいわゆる市の部門でもまた持たねばならぬのでございます。このことがございますので、私は先刻も申しましたように、運輸関係あるいは厚生関係その他と総合的に事故防止に関して、文部省内で将来検討を続けられるということを特に要望いたしておく次第でございます。この責任はもちろん先生にもございましょうが、市当局並びに教育委員会等におきましても、単に一片の通達ということでなくして、十分これに対してもっと誠意を持って、こういう場所等に対しては調査をいたしておくべきではないかと、考えるのでございます。この点先生だけでなく、市当局あるいは教育委員会あげて十分責任の所在を明らかにされるべきことを、当局の頭に入れておいていたただきたいのでございます。 その次に、新聞紙上で見ますと、人工呼吸をやった方が効果がなくて、酸素吸入をやって病院へ行った八名は助かったということでございますので、将来こういう水泳の溺死をいたした場合においては、人工呼吸主義でやるか、さらに急いで病院へかつぎ込んで酸素吸入に持っていくかということは重大な問題だと考えますので、この点を一つ科学的に厚生当局とも医師側とも御検討されまして、将来の文部省の施策にあやまちなきを期せねばならぬというように考えておるのでございます。
○松村国務大臣 お話しの通り体育行政は大きくまとめる時期にきていると思います。それは文部省において一つ大きな機構を持ちたいと考えております。 それから次の社会道義、正義の高揚の指導等、それを十分やれというお話でございます。今日社会の弛緩した状態はまさしくその通りでございます。しかしながらこれをやりますのに単に道義というだけではぴったりきませんので、これはいわゆる生活の改善、新生活運動と結びつけ、あるいは青少年の団体的の訓練、スポーツの明朗な精神、そういうものと裏表にして結びつけていけば、ほんとうに国民に浸透すると考えるのでございまして、そういう形においてお話しの通りの締め直しをいたしたい。それにはことしくらいの予算では足らぬことはもちろんでございますから、十分の予算をとってやりたいと考えますが、それについてことしの実績が将来大きくやれるかやれぬかということになりますので、ことしのこれからやります新生活すなわち文部省においてやります社会教育と申しますか、青少年の訓練、これがことしうんと実績を上げまして、そうして社会もこれなら一つというところで大きく成功をいたしたいと考えまして、事はことしの実績にかかると思いまして、最善の努力をいたしたいと考えております。
○辻原委員 はなはだ恐縮でありますが、若干時間をいただきまして別の問題でこの機会に――非常に重要な問題でありまするし、本国会の場合によれば最後の委員会にもなりまするので、大臣の御意見をお聞きする時間がございませんので、お伺いをいたしておきたいと思います。それは過日の朝日新聞の第一面にも非常に大きく掲載されていた問題でありますが、教科改訂の問題であります。すでに高等学校の教科改訂の問題が答申されて、文部省もそれを採用するような方針を示されておりまするが、朝日新聞の記事によりますと、この高等学校の教科改訂に準拠いたしまして、中学校小学校においても同様な教科改訂を行うような意思を文部省が持っておるやに報道されておりますが、これは事実であるのかどうか、お伺いいたします。
○松村国務大臣 ただいま考えておりますところは、高等学校のあの面だけでありまして、あの答申は中学校等との関連を予期いたしてできておるものではないのでありまして、将来のことは今ここでは何とも申せません。研究もいたしておりませんが高等学校の課程だけを変える、こういうことでやっておることと私は考えておるのでございます。
○辻原委員 高等学校の教科を改訂する今回の案は、従来の高等学校教科目の選択等から、それぞれのコースによって教育を施していくいわゆるコース制を採用しているように私は思うのであります。科目選択制からコース制に切りかえていく、そういう教科改訂を行うということになれば、これは単に教科の改訂という問題ではなくして、ひいては六・三制自体の根本問題にも影響してくる問題であると私は考えるのであります。特に影響する大きな問題といたしまして、一体そのことによって学区制はどうなるのか、それから男女共学は一体どうなるのか、また六・三制の根本であるそれぞれの学制が、上級学校の進学のための予備校でなく、一つの、それ自体の完成教育を目ざしておるという考え方に立つならば、このコース制という考え方は、従来のそういった問題をこわしてしまう結果が生まれてくると私は非常に心配するのであります。そういう点の影響を顧慮されて、なおかつそのコース制を採用する決心を大臣はなされたのかどうか。その次に、これは今高等学校だけやるのであって、その他の学制に影響を及ぼすものではない。そういうことは将来の問題であって、何ら考えずにやったとおっしゃられるが、全然関連性を持たないものであるかどうか。また将来、この種の改訂が中学校等に加えられるということが絶対ないか、この点を明らかにしておいていただきたいと思います。
○松村国務大臣 また昔のような制度に帰るのではないかという御心配も何ですが、そういうような考えでこれをやろうということは私は考えておりません。ただ実際の問題として、御経験も深いあなただからおわかりでしょうが、今は以前と違って、農学校などもありません。そこで農村の必要として見ますと、農業教育をやはり高等学校において相当にやってくれないと困るということは当然の要求でございまして、これを拒むわけにも参りません。商業教育も、また商業学校というものがなくなって、高等学校にあわせられた以上、やはり同様の要望があるわけでございます。そういうような意味から申しますと、実際の必要からいたしまして、これらのことを考えざるを得ません。そろするにつきましては、この選択制などよりも、今度あの考え方の方が実際的にこれらのこととあわせてやるのに都合がよいというようなわけ合いでありまして、そういう実際上の必要から見てあの改正がよいのではないか、こういうふうに考えております。 ほかの大学もしくは中学校、小学校にも関連性を持たぬかというお尋ねでございます。これは関連性を持つことは肯定いたしますけれども、今直ちにこれをどうしようという段階に達しておりませんことは先刻申し上げた通りでございまして、まずそういう必要を要求せらるる高等学校の課程を改正した方がよかろう、こういう考え方でございます。
○辻原委員 多くをここで論ずる時間のないことをはなはだ残念に思うのでありますが、この問題はきわめて重大であって、ここで相当の御見解を承わり、かつまたいろいろな意見の開陳をして論争しなければ問題の所在が明らかにならぬと思うのであります。今大臣のお話なさった、関連はあるが今直ちに中学校その他の教科改訂をやろうとは考えていないということは、これは私から申し上げればきわめて無責任な答弁であります。なぜかなれば、高等学校教科改訂を行おうとすれば、当然その高等学校への前提である中学校制度というものは、高等学校とのつながりにおいてそういった教育を施さなければ、六、三、三、四制の脈絡というものが全然切れてしまう。同時に、大学教育も同じようなことが言える。だからこの六、三制の中においては、同じ思想、同じ考え方でもってその制度と教科内容、教科課程というものが置かれなければ、一貫性がないわけである。極端に言えば、この高等学校の教科改訂を行なって、一つの突破口を開いて、かつてのようなコース制を六、三、三制の上に導入しようという考えのあることは明瞭である。こう簡単に片づけても誤まりでないと私は考えます。従来職業課程にしても、あるいは一般課程にしろ、あるいは全日ないし定時制、何ら差別なくして高等学校教育を行なってきた。その中にこの種の改訂を取り入れるということは、そこに画期的な問題が出てくる。私この機会に具体的に大臣に承わるならば、一体コース制を採用する学校においては、文部省の示しているあの基準を私先ほど読んでみたのでありますが、A、B、C、D、E、こういう段階がある。私の学校は二つを採用する――Aの一般課程、それと今度は家庭科系統のコース、この二つだけをやりましょうということになり、隣りの高等学校では、家庭科のコースは採用しない、そのかわり農業コースを置いた一般コースは採用しなかった、こういうことになりますと、現在の学区制というものはどうなりますか。現在の学区制そのままを堅持してこのコース制を取った教科改訂がスムーズに実施されるとお考えになるかどうか、あるいはいろいろな科目別にわけると、家庭科には男の子供が入れません。そうすると、今まで構成しておったあの男女共学は一体どうなるのか、また一般コースのみ採用する高等学校ということになれば、大学との関係において一体どうなるか、この種高等学校はかつてのいわゆる旧制中学等のように大学の予備校的性格が濃化しはしないか、こういう点についてすでに解決されておるのか、あげれば随所にたくさんの問題をはらんでおります。一体そういう点について解決された上でおやりなさっているのかどうか、この点を大臣にお伺いいたします。
○松村国務大臣 いろいろの御議論はあろうと思いますが、理論の筋を立てることももちろんでございますけれども、現実の必要度、ことにこれも問題はありましょうが、事実上において農業教育とかあるいは商業教育とかいうようなものが、その地方々々の必要に応じて非常に要求されておることも事実でございます。そういう意味合いからいたしまして、できるだけむだのないようにいたすという現実の問題から、ああいう制度をとりましても、これが根本的に今日の教育の傾向を破ると必ずしも言い立てるまでのこともないじゃなかろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。
○辻原委員 私は現在の選択制に欠陥がないとは申しません。これには多大の欠陥を包蔵しておることは事実であります。また大臣のおっしゃられた職業教育に対する高等学校の重要性、地域の要求、この点についても私は十分認めておるわけであります。しかしそのことは、こういう方式の教科改訂の問題で解決がつくのか、またその改訂以外の方法では解決がつかないのか。私に私見を申させれば、職業課程を、あるいは職業教育を重要視せよということであるならば、それ自体の問題として解決する方法があるのであります。現在置かれている高等学校の一般教育、このことの性格を変えるようなやり方でもって職業教育を重視するということではなしに、職業教育それ自体を重視するような方法があるに違いない。そういう点についてなおわれわれは十分なる意見を持っております。またそういう点についての検討すべき点が多々あると思うのであります。そういう点について、私どもとしましてはなお十分なる研究を行なえば、その地域の要求にからまる職業教育の問題は解決の道があると考えます。それ自体の高等学校を創設する考え方を、あるいは国なり地方公共団体が持つということになれば、そこにおのずと道が開けると思う。そういう点について考究をより一そう進めないで、ただ従来の教科を改訂するということによって片をつけようというところに大きな誤謬があるのではないかということを私は指摘したい。しかしこの点については、論争の問題でありますから、御見解を承わるのは別の機会にいたしましょう。 次にいま一つお伺いをいたしておきたい点は、まだ文部省の試案なるものが完成の域には来ていないようであります。あの表を参酌、参考いたしてみましたが、たとえば社会科等においては、まだ新しい科目の設定が決定していないのであります。ところが現実には、すでに六月十日か二十五日ですか、展示会が開かれて、すでに各高等学校においてはこの新教科改訂にのっとって教科書の採択を要求されておる。そして文部省は、昭和三十一年四月一日から実施することになっておる。そうすると、いわゆる教科の科目、教科の方針というものがきまって、その次にはそれぞれその方針に従ってその科目に準拠する教科書を学校が採択するというこの手順が今日行えない、不可能な段階にあるが、そういう問題をほうってしまって、なお明年四月一日からどうしても実施するのだというふうに考えられているのか。そういうことは冒険きわまりないものでありますし、教科書採択、教科と教科書というこの関係から考えてみますれば、文部省としては全く無責任な暴挙と言わなければなりませんが、それをも押して明年四月一日からぜひやらなければならぬものであるか。ないしはいま少し検討して、そういうような新しく創設しようとするすべての教科目が十分審議の上決定されて、それに伴う教科書がそれぞれ検定本として検定の認可を受けて出た後において初めて実施しようとする、この順当なる道を文部省はなぜ歩まれないのであるか、このことを私は大臣からお伺いいたします。
○松村国務大臣 局長からお答え申し上げます。
○緒方政府委員 ただいまの、最後の御質問の点についてだけお答え申し上げますが、御質問は、特に社会科の新科目について、教科目の内容並びに教科書が三十一年度までに間に合わないじゃないかというような御質問でありますが、ほかの教科におきましても、たとえば数学のごとき、このたびの教育課程の改訂に伴いまして、その内容につきましても変更改訂し改善いたした点はございます。これにつきましては、学習指導要領の骨子も、またそれに伴いまして教科書も、三十一年度に使用するのに差しつかえないようにすでにできております。ただ今御指摘の社会科の新科目につきましては、ただいませっかく教材等調査研究中でありまして、内容を確定する作業を進めております。これは八月中くらいには確定することと私どもは考えて作業を進めておる次第でございます。これは御承知だろうと思いますが、三十一年度から実施すると申しますのは、一学年から学年進行で順次進めて参ります。従いまして、しいて申しますれば、社会科の新科目、これは非常に高度なものでございますから、学校におきまして一年に必ずやらなければならないということはないわけであります。それからこの内容は、従来の一般社会科、政治、経済、社会という内容に若干の倫理的な分野を加えるということであります。従いまして、辻原委員も十分御承知の通り、教科書の教材としての地位でありますが、これは新科目にしましても、従来の一般社会の教科書を用いて十分やれると考えております。このことは、地方の教育委員会に対しましても私ども十分指導を尽しております。なお八月になりましたならば、各県の教育委員会の指導部課長を集めまして、これらの点に若干の誤解があるならば、十分指導して三十一年度からの実施に間違いないようにしたい、こう思ってせっかく現在努力いたしております。かようなことでございますので、御了承を願います。
○辻原委員 まだいろいろあるのでありますが、いずれ別の機会に承わることにいたしまして、最後に大臣に伺いたい。 今私が指摘いたしましたような一、二の点においてもなお千分御検討願わなければならぬ点があるのでありまして、われわれも現在の制度そのものがいいとは考えないのであります。もう少しそういう点についていろいろ研究を重ねられて、準備に万遺憾ない態勢でもっておやりなさるならばやっていただきたいということを申し上げたいのであります。従って、どう考えましても、今の段階では、三十一年度から実施するについては――緒方局長は、社会科だから何も一年にやらないでもいいと言われるが、これは詭弁であります。そういうことは運用の上で、ある。しかしそういうことをすべて許していくというようなことは制度としては許さるべきではありません。制度としては、十分の準備をして取りかかれるのが建前だと私は考える。幾ら学年進行の順があるからといって、当座社会科はにわかに新しいものでやらないでも十分事か足りるということを言われたのでありますけれども、私は、そう急いで今直ちに手をつけなければならぬ問題でもないじゃないかと思う。もう少し研究を重ねられて、なお準備等を完了した後においてやるというふうに大臣として御再考を願えないものかどうか、三十一年四月一日実施というのを若干お延ばしになるというお心組みがないかどうか、また御検討を願う余地がないかどうか、この点をお伺いしたい。
○松村国務大臣 ただいまのところは、来年度から実行いたしたいと考えております。しかし、お話の点等につきましては、十分考慮をいたして考えることにしましょう。
○佐藤委員長 大臣に一言委員長から質問いたしますが、本日社会労働委員会で共同審査をやったのでございますが、例の歯科技工法案のことにつきまして、文教行政についてわれわれ非常に遺憾な点があると思うのであります。現在東京歯科医科大学には、付属の歯科技工士として四十五人の学生がいるそうですが、こういう問題についてどういう処置をされるのか、一言だけ大臣からの御答弁をお願いしたいのであります。
○松村国務大臣 実は、そのことは私非常に遺憾に思うております。先刻あちらの委員会と文教委員会の連合の会議をお開き下さいまして、非常な御配意を得、また厚生文部両当局者の間に意見のそごも一部にははございましたが、私も厚生大臣にも打ち合せをいたして、その点についてやはり原案の通りということで役所間においては話し合いがつきましたけれども、あちらの委員会ではあのような形に参議院の修正を認めるに至ったのでありまして、非常に遺憾に存ずるのでございます。ただいまのところといたしましては、それで本会議を通りますならば、これは私といたしていたし方はございませんけれども、はなはだ不満であるということだけ申し上げておきたいと存じます。
○佐藤委員長 なお歯科技工法案等につきましてはいろいろ論議したい点もありますけれども、最終日にもなってきておりますので、委員会も御承知のように法案の審議などあって十分なこともできなかったのですけれども、文教委員の方々は各氏とも非常に心配しておられまして、ぜひ善処方をお願いしたいと思っております。 ―――――――――――――
○佐藤委員長 国立及び公立の義務教育諸学校の児童生徒の災害補償に関する法律案を議題といたします。 本法案は本日付託されたものでございまして、これから提案理由の説明を簡単にお願いいたします。山崎始男君。
○山崎(始)委員 提案理由を簡単に御説明いたします。 ただいま議題となりました、国立及び公立の義務教育諸学校の児童生徒の災害補償に関する法律案につきまして、その提案理由並びに要旨を御説明申し上げます。 そもそも国家隆昌の共盤を教育に置かなければならないことはもとより贅言を要しないところであります。なかんづく義務教育のおよそ千七百万人の児童、生徒のすこやかな成長こそは、常に留意せねばならぬところであります。さて義務教育に関しては、日本国憲法によれば、「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。」と規定し、さらにまた「すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育はこれを無償とする。」と規定して義務教育について特にその責務をうたって、重視をしているところであります。 しかるに最近、児童生徒の災害が種種報ぜられています。楽しい修学旅行や遠足に不安を抱いて行かなければならないことは遺憾なことであり、義務教育の学校で起きた災害の処置が、父母の負担のままに放置されていることは、忍びないことであります。ここにおいて、児童生徒を災害から守るとともに、不幸にして災害を受けたならば直ちに迅速にして公正な補償を国家によって行い、義務教育の健全な発達をはかるために、学校において生じた児童生徒の災害の補償を行うため本法律案を提出する次第でございます。 次に本法案の要旨を申し上げますと、まず第一に学校の管理下に発生した災害に対して迅速に国家補償を行うこと、第二に補償の種類は療養補償、障害補償葬祭補償、遺族補償、打ち切り補償とすること、第三に、第三者の責任によって災害が起った場合でも、国家が直ちに補償を実施して、その後に国家が第三者に対して求償権を持っようにすること等でございます。 何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決下さるようお願いいたします。 なおこの法律案の補足説明をいたします。 第一に、この法律は、義務教育諸学校の管理下の災害は、義務教育の特殊性に基き国がこれに対する補償を行う責任を有するという立場に立っているのであり、かつこれにより義務教育の完全な遂行に資することを目的としているのであります。 第二に、管理下とは義務教育諸学校の児童生徒が当該学校の教育または監督もしくは保護を受けている場合をいうのでありますが、具体的には政令に譲っているのであります。 第三に、この法律による災害の補償は国家事務であって文部省が最終責任者でありますが、公立の義務教育諸学校については、都道府県の教育委員会が機関委任を受けてその補償を実施するものとしておるのであり、附則第四項の地方財政法の一部改正で、地方公共団体はその経費を負担する義務を負わない旨を規定しておるのであります。 第四に、補償は金銭による補償としております。補償金額は療養補償については原則として完全に治癒するまでの治療費をみる。遺族補償等については中学を卒業して勧めに入った労働者が業務上死亡したとき労働基準法で保障されている金額に準ずることといたしました。 第五に、この法律による補償は災害を受けた児童が社会保険による給付を受けることができる場合には、その補償を受けるべき限度において補償は行わないようにいたしました。 第六に、補償を受ける手続について申し上げますと、公立の義務教育諸学校の管理下で児童または生徒が災害を受けたときは、本人またはその遺族が文部省令で定める補償申請書を学校長及び市町村の教育委員会を経由して、都道府県の教育委員会に提出し、委員会は政令で定める基準に照らして管下における災害かどうか判定を行い、給付金額を決定し補償金額を給付いたすのであります。これに不服の場合は、文部大臣に審査の請求を行うことができ、さらに最後的には裁判所の判断を待つことになるのであります。国立の場合もこれに準じております。
○佐藤委員長 質疑は次会に譲りたいと存じます。 ―――――――――――――
○佐藤委員長 この際お諮りいたします。当委員会は学校給食、教科書、国立大学、学校事務職員、義務教育学校の児童及び生徒の災害防止に関する各委員会を設置して、その審査を進めたいと存じます。なお閉会中審査の承認を得ました場合ただいまの小委員会をして、閉会中審査案件の審査に当らせることにいたしたいと存じます。この五小委員会を設置するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○佐藤委員長 御異議がなければ、以上五っの小委員会を設置し、かつ閉会中審査の承認を得ましたときその案件の審査に当らせることに決しました。 なお小委員及び小委員長の選任については、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○佐藤委員長 御異議がなければ、さように決定いたします。 なお小委員会の名称に関し、字句整理等につきましては、委員長に御一任を願っておきたいと存じます。 ―――――――――――――
○佐藤委員長 次に閉会中審査に関してお諮りいたします。委員会は閉会中も文教行政に関して審査を行いたいと存じますので、議長にその審査申請を、提出しておきたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○佐藤委員長 御異議なしと認めます。さよう決しました。 なお審査すべき案件につきましては、理事と協議の上決したいと存じますので、委員長に御一任願います。 次に、閉会中審査の承認を得ましたならば、委員派遣承認の申請を行いたいと存じますが、委員派遣承認申請書の提出につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じます。 なお派遣地の地名、人選、期日等につきましては、理事と御協議の上決したいと存じますので御了承願います。なお念のために議運の決定した基準に従い、一班二、三名として何班かを設置したいと存じますので御了承を願います。 これにて本日の委員会を終了したいと存じますが。暑いのにもかかわりもせず、長い間委員諸君を初め専門員、調査員の諸君、委員部の諸君、速記者の諸君等もなかなか御苦労であったことと深く感謝いたしまして終りといたします。 これで散会いたします。 午後四時三十九分散会