文教委員会 第12号
- 発言数
- 141 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1955/05/31
会議録
○佐藤委員長 これより会議を開きます。 前会に引き続き質疑を続行いたします。平田ヒデ君。
○平田委員 この前の委員会におきまして、質問を途中で打ち切りましたので、何かしり切れトンボみたいでしたから、初めからまた申し上げたいと思います。 私は文部省の予算について私立学校振興会に対します出資に必要な経費七億五千万円の計上に関連して、文部省の夜間大学に対する御決意のほどを伺わせていただきたいと思うのでございます。 まず第一の質問といたしましては、私立大学の振興についてでございますけれども、私立学校振興会に対しまして出資に必要な経費として七億五千万円が計上され、前年度よりも二億五千万円増額されておりますことは、私学振興政策としてまことに喜ばしいことでございますけれども、私は私学振興の目的の大部分を占めている私立大学の振興について基本的な政府の考え方をお伺いいたしたいのでございます。文部省大学学術局大学課の発表によりますと、昨年、すなわち昭和二十九年五月現在におけるわが国大学の学生数は、国立大学七十二校の学生総数が十七万三百九十六名でございまして、私立大学百二十校の学生総数は二十八万二千四百五十六名となっております。私立大学の学生数は国立大学のそれよりも実に十一万二千名も多いのであります。この国立大学十七万の学生に対して本年度の予算、すなわち国立学校の経費として二百二十九億円を計上されておりますけれども、学生数においてそれよりも十一万も多い私立学校に対しては、七億五千万円の助成金ではあまりに少額過ぎはしないでしょうか。私は国立大学の予算のせめて一割、二十二億円くらいは出してしかるべきだと考えますけれども、文部省は増額の御意思はございませんでしょうか。しかもこの前鳩山総理は少くとも十五億円はぜひとも出したいという公約をされておるのでございます。これに対しまして文部省御当局、それから政務次官のお答えをお願いいたしたいと思います。
○小林(行)政府委員 前会にもお尋ねがございましてお答え申し上げたところでございますが、御指摘の通り私立大学以下の私立学校は、国立、公立の学校と比較いたしますと、学校の数におきましても、また学生の数におきましても相当多い現状でございます。この国民育成と申しますか、国民の教育という立場からいたしますと、私立学校は現在において国公立に負けないような大きな役割を果しておるわけでございまして、そういう意味合いから、国としてやはり私立学校の教育の振興あるいは充実ということに従来以上に力を入れていく必要があるのではないかというふうに政府としても考えておるわけでございます。お尋ねのございました私立学校振興会に対します出資金の問題でございますが、現在私立学校の経営は御承知のように非常に困難な状況でございまして、ことにこの私立学校は戦災を受け、また経済界の変動等によりまして、また新しく戦後実施された六・三制のためのいろいろな新しい設備の充実というようなことにつきまして非常に困難をしておるわけでございます。そういった点から私立学校の施設並びに設備の充実というようなこと、あるいは私立学校の維持費、経営費といった面について非常に無理をして、たとえば金融機関等からあるいはそれに類するようなものから金を借りておるというような実情でございますので、そういった点をある程度緩和するために、この振興会から比較的低金利で学校法人に対して融資するということでできておるわけでございます。全体のバランスといたしまして、国立に対する私立学校への援助の経費が少いではないかというようなお尋ねでございますが、確かに七億五千万という数字は国公立の経費に比べて十分とは申せませんけれども、昨年度の五億に比べまして本年度は七億五千万——二億五千万を苦しい財政のワクの中で増加をいたしておりますようなわけでござまして、文部省といたしましてもでき得る限りの努力はいたして参っておるつもりでございます。もちろんこの七億五千万で十分であるというようなことで満足しておるわけではございません。今後もこの私立学校の振興会に対する出資金の増額については、でき得る限りの努力をいたして参りたいと考えております。
○寺本政府委員 ただいま小林管理局長から申し上げました通りでございまして、私どもとしては私学の振興には本年度予算編成上特に重点を置いて予算獲得に努力をして参ったつもりでございます。先ほどお話の中で国立の学校では十七万の学生の数に対して二百九十億の予算を使っておる、私立の学校は二十八万学生がおるのに七億五千万しか予算を出していない、国立の学校のせめて一割ぐらいまで出す意思はないかというお話でございました。これは国立の学校は御承知の通り国費で支弁することを建前にいたしておりますし、私立の学校は原則としてはやはり国の財源で支弁するという建前ではないと思います。ただ今管理局長から申し上げました通り、戦前から持っておられたそれぞれの学校法人、財団の基金がインフレ経済によって消耗してしまったとか、それから戦災によって校舎が焼けてしまったとかいう特殊の事情がありますため、終戦後それらの事情に対応するため、国から出資して私学の振興に資しておるというのが今の私学振興会へ政府が出資しておる理由である、こういうふうに考えますので、一がいに学生の数でだけの比較では、にわかに均衡のとれる数字まで国費で支弁するわけには参りかねると考えます。そういう意味で私ども昨年政府出資が五億でありましたのに、本年七億五千万というように五割増しになっておりますのは、一兆円予算という窮屈なワクの中でございますので、政府としては公約を実現するために予算編成上非常に努力を払い、公約を実施したつもりでおりますことを御了承いただきたいと考えます。
○平田委員 次に第二の質問といたしまして、もう一つ私学振興についてお尋ねいたしたいのでございますが、ここに夜間大学の資料が提出されておりますけれども、短期大学の方は別にいたしまして、夜間大学の資料をここに提出されておりますけれども、この表を見ただけでも、どんなに私立大学に夜間部が多いかということがわかるわけでございます。これもまた人数になりますけれども、人数が書いてございませんが、私の調べましたところでは、国立の大学では四校で一千五百四名になっております。それから私立大学の夜間部はここに三十四校あげてございますが、この学生数が、少し違いがあるかもしれませんが、七万一千四百七十一名ということになっておりまして、このことはまことに驚くべき数字であると思います。一方が一千五百四名、一方が七万一千四百七十一名という、ほんとうに驚くばかりの数字でございます。しかもこれは昼働いて夜学ぶという勤労青年でございまして、その大学教育がほとんど私立大学にまかせ切りといわなければならないと思います。国家は全く手を染めずに、無関心に近いといっても過言ではないというのが、現在の事実でございます。右の事実を知って私は、勤労青年の大学教育という立場からすれば、私立大学の夜間部の重要性と存在価値を大きく評価するものでございます。国家としても、勤労青年の大学教育の重責を担っている私立の夜間大学の育成充実に、一大関心を傾けられるべきではないかと考える次第でございます。この意味で、この助成金の一部を優先的に夜間大学に振り向けられる意思はございませんでしょうか。
○小林(行)政府委員 振興会からの融資の経費を、特に勤労青年に対する教育を重視して、夜間部の教育に振り向けたらどうだという御趣旨と承わったのでありますが、もちろん勤労青年大衆の教育上、国公私立を通じまして、夜間学校あるいは夜間大学の教育が非常に重要なことは、ただいまお話のあった通りでございます。しかしこの夜間部の教育は、御承知のように特に夜間部だけの施設なり設備が特別に昼間と離れて存在するものは少いのでございまして、昼間の学生が使用したあとを夜間部の学生が大体重ねて使っておるという実情でございます。従って学校当局の方から施設あるいは設備の融資の申請が出て参りますときには、これは夜間も使用しておるというようなこともおそらく出ておりますでしょうし、そういった面も勘案されて、一応融資のワクの配分というようなことが振興会として行われておることと思いますが、特に私立の夜間大学の教育だけにこの融資のワクを与えるというようなことは、一応非常に困難なことではなかろうかと思います。
○平田委員 私は、その助成金というのは、夜間に学ぶ学生は、いろいろ食事の面についても困難があると思うのでございまして、それでその福祉施設として、一例をあげますならば、実費の栄養食堂を設けて、体質の低下を防ぐために、昼一生懸命働いてかけつけるので、つい夕食をとらないでしまうのを防ぐ、こういう考え方から、こういう方面に使われてはどうかという意味でございます。これに対してはいかがでございましょうか。
○小林(行)政府委員 現在の振興会の融資でこの施設、設備を充実いたしまする際に、やはり現状ではこの学校の施設、設備として、最も基本的な普通教室あるいは実験室というものが、まだ現在の基準から申しますときわめて不足な状態でございまして、そういったものの充実ということに第一の主眼点を置いておる状況でございます。学生に対する厚生施設あるいは保健施設というものについても、もちろん今後は考えていかなければならぬと思いまするけれども、現状ではなかなかそういった面について手を回しかねる。学校当局としても、やはり学校の基本でございますそういった教室あるいは実験室、そういった面の充実に現在まだ大わらわな現状でございます。
○平田委員 なかなか困難な実情であるということはわかりましたが、なお私は一千三百万人を数えております全国の勤労青少年の教育施策として、大学教育は現在のように私立大学にまかせっ切りでなく、全国の国立大学全部に一日も早く夜間学部を設置して、勤労青年の燃ゆるがごとき向学心に報いるべきではないかと考えるのでございますが、これに対して稲田局長さんのお答えと、御計画などございましたらお伺いいたしたいと思います。
○稲田政府委員 お話の点まことにごもっともでございまして、文部省といたしましても年々そういう点に留意いたしております。もとより国立大学全般につきましては、充実という面が先でありまして、拡張ということは今までも手控え、手控えで参ってきておりますけれども、夜間の勤労青年の教育の施設という点につきましては、例外的に年々考えてきております。御審議いただいております国立学校設置法にもございますように、もうすでに夜間の短期大学は十九を数えております。また夜間の学部は五つを数えております。本年御審議いただいております予算におきまして、神戸の大学に法学部の夜間の課程を設けるというようなのが、四年制大学にもあるわけであります。今後といえども施設、設備あるいは財政その他を勘案いたしまするとともに、土地の状況等を考えまして、十分そういう点につきましては研究いたしたいと思っております。
○平田委員 この際デモクラシイ先進諸国の大学の実情、特に西ドイツ、それからまたそれらの国々の学生の学費の負担額とか、国のやり方などの資料をいただきたいと思うのでございます。
○稲田政府委員 できます限り調製いたしたいと思っております。
○佐藤委員長 辻原弘市君。
○辻原委員 稲田局長に少しこまかい点をお聞きしたいと思います。今度の国立学校設置法には直接関係がないかと思いますが、京大の問題についてちょっとお伺いいたします。 最近私の聞くところによりますと、京大に新しく航空科学教室を設けられるような心組みが文部省におありになるように聞いておるのですが、この設置の申請を京大が出したのは一体いつなのか、それをちょっとお伺いいたしたい。
○稲田政府委員 本年度予算に計上いたしておりますから、予算の要求といたしましては昨年八月、また関連いたしまして大学設置審議会の審査を要しますので、審査請求いたしましたのは昨年九月でございます。
○辻原委員 大学からこの問題を提示されたのは、その大学設置審議会にかかる当時であったのか、ないしはそれ以前にこの種の問題がいろいろ論議されて、文部省にその再三の要求が行われておったのかどうか。この点をお聞きしたい。
○稲田政府委員 話がありましたのは、東京大学に一昨年航空学科を設置いたしましたその当時でござまして、つまり一昨年の夏あたりから京都大学、東京大学、九州大学及び名古屋大学から、元航空学科であって戦後転換を余儀なくされたものの再転換についていろいろ話し合いが提起されたのであります。
○辻原委員 その大学の設置の要望ないしは文部省がそれを受けて設置を認められるというのは、新しく京大にいわゆる航空工学科というものを設けられるということであるのか、ないしは現在応用物理学科があると思いますが、その応用物理学科を廃止して、それにかわって設けるというのであるか、どちらであるか、伺いたい。
○稲田政府委員 さしあたりは応用物理学科を廃止いたしまして、応用物理学科を構成いたしました四講座を転換いたしまして最初の年を出発いたします。将来はさらに充実いたしまして、学術の進歩に即応いたしまする充実した航空学科にいたしたいと考えております。
○辻原委員 そうすると、従来応用物理学科ということで、学生も、またそれに純然たるそれのみの講座があったように思いますが、これを全廃してしまうということになれば、その主とした問題は学生側にあると思いますけれども、応用物理学科を専攻するために大学院もしくは大学に入学した者の今後の取り扱いというものをどうお考えですか。
○稲田政府委員 応用物理学科と申し、航空学科と申しましても教授組織の問題でありまして、学生が専攻いたします講座なりあるいは単位という点につきましては、現在在学いたしますものが所期の目的を貫徹するように指導もし、教授もして、そうして工学士として卒業せしめる、この点は変りないのであります。
○辻原委員 形式的にいえばそういうことになるのですが、実質的にいいまして、航空工学というものを最初から専攻するという目的でなくて、いわゆる応用物理学科というものを中心にして大学の課程を修了するという者は、応用物理学科が廃止されるということになれば、勢いそのうちのいわゆる専攻講座というものは当然なくならなければならね。そうすると、従来応用物理学科全科の科目を修得するという目的で入ってきた者は、勢い当初の目的から自分の研究題目ないしは修学内容というものが異なってくるように私は考えるのですが、そういう点について全然支障ないか、ないしは今お話のように、完全にその目的は卒業時期まで保証し得るのかどうか、この点を具体的にお聞きしたい。
○稲田政府委員 進駐軍が参りまして航空学の研究を禁止いたしましたものですから、航空学を教えておりました教授たちがその講座を非常に近似いたしました講座に転換いたしたわけであります。つまり流体力学というようなものも、これは航空学としての流体力学も存在いたしますれば、そのまま応用物理としての流体力学講座としても働き得るのでありまして、その間において非常に異質物なものはなかったと思うのであります。従いまして、応用物理学として専攻しております学生に対して今の教授陣容そのものが応用物理学を教えることもできますし、新しく入る学生に対しまして航空工学としての講義をやることも、それぞれの教授におきましては可能なことだと考えております。また大学もそれなればこそ講座の転換ということをもって新しく航空工学を出発した、こう私どもは考えております。
○辻原委員 専門的な立場からお述べになったので、私の常識論が当っているかどうかわりませんけれども、しかし航空工学とそれから応用物理学とは少くとも近代物理学の範疇では非常に違ってくる。だから、応用物理学をやっておったものが航空工学に切りかえられても、それぞれの内容の講座については、従来の勉学の過程では支障が起らないという議論はちょっと承服しがたいのでありますが、それはまた別問題として、それではこれは根本の問題でありますが、応用物理学の必要性というものは、特に最近の物理学が非常に近代的に伸びて、それが諸種の日常生活に取り入れられるというような段階にきている現在の状態からいえば、これを相当強化していくということならわかるのであります。しかしそれを全然廃止してしまって、航空工学に切りかえられるということは、航空工学の最近の要請という面からいえば、それは一つの目的とまた必要性は当然あるわけでありますけれども、しかし応用物理学科を廃止して航空工学科を設けられるということについては、若干応用物理学というものを軽視しているうらみがあるのではないかと思うのですが、その点はどうでしょう。
○稲田政府委員 お話のように、応用物理の領域というものは非常に広いと思います。では具体的の問題として、あそこに四講座をもって形成いたしました応用物理学がどういう内容であったかといえば、これは航空学科の一部応用物理的なものがそのまま存続して生き延びておったというだけのものでなかったかと思うのであります。従いまして、時を得て再びそれが中核となって、さらに燃料工学とかあるいは材料工学とか、その他航空学に必要なものをそれに加えて航空学科として発足しようということをおそらくあの教室においては持っておったんじゃないか。これがほかの意味の応用物理学でありますれば、それを転換することは不当だというお説は成り立ちましょうけれども、もともと航空工学の一部であって、応用物理学としてそのまま小さく存続したものが、今度はまたほかのものを合せて航空工学として大いに羽翼を伸ばそうということは、学術の進歩から見て別にマイナスではないじゃないかと思います。お話のように、応用物理の面も広うございますから、ほかの面の応用物理というものも振興しなければならぬことはもとよりでありますが、当該大学の自治において教育計画を立てました場合に、応用物理を中核として航空工学を伸ばしたいという申請でありましたので、文部省では極力その援助をして今日に至った、こういうわけでございます。
○辻原委員 大体の経緯はわかりましたが、この種の問題が今後いろいろ発生して参ると思うのです。その場合にやはり根本の問題は、当初そういう専攻科目を選んで修学しておる学生あるいは大学院の学生が、その途中において自分の専攻科目というものをゆがめられるというようなことで、いわゆる学問に対する意欲を喪失したり、あるいはそういうような新しい一つの教授スタッフないしは講座の編成等の渦中に巻き込まれていろいろ紛争を起したりするようなことを極力防止するために、その転換、移行、新設等に当っては、その経緯を文部省の方においても十分把握して、そうした点について不安のないように取り扱っていただきたい。 もう一つは、今申した点と関連するのですが、そういう専攻学科を選んだならば、本人が希望する場合は別でありますけれども、大多数の学生が希望しない場合におきましては、従来専攻しておった学問の分野を変更しないで修学でき得るという何らかの保障を、特に大学側なり文部省においても考慮して取り扱っていただきたいということを、この種の問題について一つ要望いたしておきたいと思います。私は京大の問題は単に一例にあげたのでありますが、その他学校の統廃合ないしは教科目の新設、移行という点にからんでこういう問題がどうもいろいろ起りがちであるように記憶いたしますので、この機会にこの問題について文部省の御注意を喚起しておきたいと思います。 運輸大臣がお見えになりましたので、この機会に運輸大臣の所見を一つお伺いしておきたいと思います。それは船員教育についての運輸大臣の基本的な考え方であります。これは運輸省の所管の問題にとどまらず、いろいろ各省にわたってあるわけでありますが、問題は、教育系統を運輸省で現在若干の船員教育の部面について所管していらっしゃる、本来教育の所管は文部省が当っているわけです。ところがそれぞれ各省に関係するある部分の教育については、なおそれぞれの当該省が所管をしていらっしゃるという形で、教育系統は非常に複雑になっております。最近特に種々なる事故が運輸関係で発生しておる現況を見ますときは、これに対処する根本問題は、何といっても船員教育、これは船員の新人教育と、いま一つは時代の要請に即応する、また科学技術の進歩に適合した再教育を特段に注意してやる必要がある、こういう面においては今日ほど世人一般が船員教育というものについて新しく目をみはっているときはないと私は考えるのでありますが、それについて教育の十全の効果をあげ得るためには、最も手近な関係にあり、しかもその責任省である運輸省は、これを直接管理することが望ましいとお考えになるか、ないしは船員教育であろうとも、やはり一般教養その他をも包括している問題であるから、教育本来の所管省である文部省がこれを一元的にやることが望ましいとお考えになるか、一体どちらに大臣のお考えの基本をお持ちであるか、この機会に明瞭に承わっておきたいと思います。
○三木国務大臣 役所はいろいろなわ張りの気持があるのですが、私はそういうものにくみしない。必要があれば運輸省の管轄事項でも適当なものは渡していいと思いますが、また運輸省がもらいたいものもある。海員の教育についていろいろそういう見地から考えてみたのですが、どうも今問題になっている海技専門学院と神戸商船大学の場合を考えてみると、だいぶん教育の対象も違うし、教育の目的と申しますか、そういうものも異なって、これを分けておいた方が教育の目的を達成するのにはいいのではないかという私は結論であります。それはなぜかといえば、一般の教養という点もありますけれども、海技専門学院に入ってくる人たちは少くとも二十五、六歳、五十歳くらいの人もいるわけであります。現在職業についている人の再教育であります。しかも期間も一年という短期間で、また一面からいうと、これはそういう再教育でありますから、雇用問題ともにらみ合せて、やはり雇用の需給調整ということも念頭におくわけであります。そういう点で商船大学の場合は、一般の教養あるいは新しい人たちをこれから教育していく、海技専門学院の目的は船員の再教育であるし、しかも全体としての船員の需要ともにらみ合せて教育の定員もきめていかなければならぬ、そういうことで、期間も短かいし、教育のテンポ、あるいは教育する内容もよほど違ってくるので、やはりこれは別にして、そして短期間に技能的にも優秀な船員を養成して、すぐに間に合うようにする、そういう意味で、商船大学の教育などとは少し教育の目的が違うので、むしろこれは別にしておいた方が教育の目的を達成するのではないか、こう私は考えるのであります。
○辻原委員 すぐさまずばり具体的問題に入って、根本の考えをぼかされているようでありますが、それならばもう少しわきの方の問題についてお伺いいたしたいと思います。今の三木大臣のお話によりますと、まず分けた方がよかろう、その方が教育の効果が上るだろう、こういうお話であります。そのお話に問題を限定いたしまして、運輸省と文部省がそれぞれ所管している船員教育の問題についてだけ考えてみました場合に、すべてそういうふうにお考えなさっていらっしゃるのかどうか、それとも再教育だから分けた方がいい、こういうふうにお考えなさっていらっしゃるのか、どちらであるかお伺いしておきたい。
○三木国務大臣 私は再教育で、その教育を受ける対象も違う、また環境も違う、年齢も違う、教育の実施期間も非常に違う、こういうことで、これは普通の一般教養と船員の一般教養を土台にした商船大学とだいぶ型の違ったものである、そういうことから分けた方がいいということを言ったので、海技専門学院の方は再教育が主たるものであるという点に重点を置いて考えているわけであります。
○辻原委員 再教育を主たる目的としたものと、新人教育を主たる目的としたものと、目的が違いその対象が異なるから分けた方がいいという御見解のように承わりました。現在船員教育で運輸省が所管をしているものは海技専門学院だけではない。一例をあげてみますと、商船大学に付置されている海務学院、これは海技専門学院と目的が違うと思うのでありますけれども、しかしながら一応これも再教育の部類に入ると思います。これは現在東京分校においていわゆる付置の機関として取り扱われている、こういうふうに私は記憶しておりますが、これもやはり今の大臣の御議論から見てみますならば、再教育という目的を持っている。しかも対象はこれは一応大学を出た者でありますがゆえに、少くとも現在の大学の学生とはその年齢、構成、環境において異なると思うが、これはこれでいいのだ、しかしこっちの方は目的、構成、対象が異なるから分けるのだ、こう言われる議論については、私はどうもただ海技専門学院と神戸商船大学の問題に限定してのみそのお考えが置かれているように思う。少くとも運輸大臣としては船員教育のすべてにわたって一つのお考え方を突き通さなければならぬと思うが、その点については一体どうなのか伺います。
○三木国務大臣 私は海務学院のことは詳しく知らぬのですが、大学院的な存在で、目的も性格も違っているというふうに聞いているわけなのですが、神戸の方は、国鉄なんかでいろいろな事故が起りまして、国鉄の船員なんかの再教育も問題になっているので、私の考えでは連絡船なんかの国鉄の職員を委託してここで再教育をしたい。そういうことで普通の商船大学と一緒にしておった方が便利ならそれでいいと思うのです。何も役所がその学校を一括したからどうだこうだということはないが、しかし考えてみると、船員教育審議会などから分けろという答申が出ているということはやはり理由があるのではないか、それで私自身の考えとしては、これは省のなわ張りというものではなくして、いろいろ教育の目的を達成するためには、これを分けておいた方が便利だ、こういう冷静な判断で、そういうふうな結論を持っておるのであります。
○辻原委員 今大臣の言われた問題は、効果の上るようにやればいいのであって、分けた方がいいとか、どこの所管にした方がいいとかいうことは、全然私は今白紙の状態で、全く大臣のお言葉のように、冷静な立場でこの問題を考えておるわけです。私はそういう今までのいきさつを頭から除いて、一体どうしたらいいのかという点で、最初に大臣にお尋ねいたしましたのも、分けた方がより効果が上るのか、一緒にした方が効果が上るのか。一体どっちなんだろうという点についてお伺いした。大臣としては今、分けた方が効果が上るという説を取られたのですけれども、そうするならば、今度分けた場合にどういう結果が起るかということも、これは十分大臣としては検討をしていただかねばならぬと思うが、少くとも分けてやるという限りにおいては、いわゆる再教育というものは、そのままで独立をして、そして他の新人教育が持っている教育内容に比較してごうまつも劣らない、むしろそれよりも抜きん出た、もう一つ時代に即応したいわゆる技術教育というものを高度に付与するという目的を十分果し得る、そういう再教育機関でなければならぬと思う。そこで具体的にこの海技専門学院において、将来必ずそういうような、商船大学に比較して、それよりもはるかに内容の充実した教育が行われるという確信を今お持ちになっていられるかどうか、この点をお伺いしたい。
○三木国務大臣 商船大学よりも内容が充実ということになってくると、それはいろいろ見る角度があろうと思いますが、とにかく船員の人たちも、ああいう機関があって、通信教育もやっておるわけですから、やはり船員の地位が高まっていく、こういうことで、ああいう専門学校が商船大学などと別個にある方がいいということを私は申し上げたのですが、その内容については、今後いろいろ予算等の制約もあって理想的なことはできませんが、しかしどうしたって日本のようなこういう地理的な環境から海運というものは無視できない。あるいは日本の自立経済の最後のつじつまというものは海運が負うのでないかと私は思う。そういう点で、今後各位の御協力も得て、そして予算等も相当に充実して、優秀な海員を作っていくというような点でこの学校を充実していきたい。むろんこれは何もなわ張りをやる必要はないのですから、商船大学と海技専門学校との間に——私の方も運輸省の船員局にも言っておるのですけれども、文部省とよく連絡を取ってお互いに協力し合って、教育の目的を達成すればいいのだから、分離したことからくるいろいろな不便はあるであろうから、そういうことはお互いに補って、自主性を持ちながらも相協力するという態勢を文部省と緊密に取ってもらいたいということを注意しておるわけです。そういうことで教育の目的を達成していきたい、将来に向ってこれを充実していきたいという考えでございます。
○辻原委員 将来に向って教育の内容を充実していくということでありますが、少くとも海技専門学院という一つの再教育機関の持っている目的というものは、それは昭和二十七年度に併設された当時から明確である。その目的の中にはもちろん再教育という目的があるが、一体その再教育の内容は何かというと、それは少くとも現在教育を交流している実際の姿を見ればおわかりのように、専門学院において修得せしめるその教授内容というものは、少くとも大学がいわゆる船員の最高免許状を与える教育をやっていると同じように、少くとも再教育の目的においてそれと同程度のものを修得せしめるということが、実際の海技専門学院の教育の内容において今日まで取り行われてきている。またその目的をはずしては海技専門学院の存立理由というものはない。地方の商船学校を卒業され、あるいは実際の実技の経験からどんどん上級免許状を取得されてくるが、最後ここでいわゆる大学コースを通らないで、船員の方々がこの教育機関によって船員としての最高の知識を修得するということが海技専門学院の目的だと思う。そうするなれば、当然この専門学院の教授内容というものは、少くとも大学と一般教養その他において同程度でなければならぬ、そういうことがいわれる。さらにそれに必要ないわゆる特殊専門教科というものも、これまた大学がやっているものと同程度のものでなければ、いわゆる海技専門学院の存在理由というものはきわめて薄くなってくるわけであります。そういうことを考えた場合に、果して分離してそれだけのことが可能であるかどうかということに一まつの危惧——一まつどころではない、相当の心配をわれわれが持つこともこれまた当然であります。実際の現状を見ましたときに、果してそんなことが、分離したためにより強化されるのかということについて大きな疑いを私は差しはさむわけでありまして、従ってこの点について私が大臣にお伺いした真意はそこにあるわけでありまして、分離をしていわゆる一般教室というものを建てるまで、その一般教室においてやるべき教育が、果して今まで併設の形でやっておった当時よりも何ら遜色なしにやられるかという自信、これがおありになるかどうかということです。少くとも片や大学側においては、分離することは船員教育の建前からいって好ましからぬという意見を持っている。片や学院の方においては、他の事情によって分離した方が望ましいといっている。こういうような形の上においていわゆる分離新設された専門学院と、大学との協力態勢というものは従来よりも強化されるかというと、私はいきさつから考えてみると、なかなかその点については自信が持てません。となれば、一体この点についてのカバーをどうするか。従来各教授の応援態勢は、むしろ大学側が専門学院に対して少くとも一週三十二時間ですか、その程度のものは応援をしている。片や学院からはせいぜい三人程度ですかの応援態勢しかとっておらない。いわゆる応援を仰ぐのは海技専門学校の方です。そうして分離して、近いとはいうものの、一つの校地内にいるのとは違って全然別個のところに行った場合に、果して大学の方のいわゆる学科編成あるいは授業編成というようなものの中に、この離れた海技専門学院に従来通りのものを組んで応援という形を取り得るかどうか、こういう点について私どもとしては非常な心配をするわけです。もちろん大臣としてはそこまでの詳細な点についてはお考えがないと思うので、大臣よりもむしろ船員局長ないしはその他の事務当局にお伺いした方が早いかもしれませんけれども、しかしそういう問題が、いよいよ実施の段階に運ぶと起ってくるということを、十分大臣としても考慮されておやりになる必要があるということを私は申し上げておきたいのでありますが、一体それについてどういうお考えでありますか。
○三木国務大臣 お話のような点があると思います。しかしあまり遠い地域ではないので、これはやはり文部省との間にいろいろ事務的に話し合いをつけて、双方とも分離した場合からくるいろいろな不便もあるわけですから、そういう点で協力関係というものが維持できるような方法を運輸、文部両省で話し合いをしていきたい。一面から言うと、一方独立しまして自主性を持ってくるということは、学校として学校教育に対して責任を持つわけですから、よほど力を入れて、併設されておったときより、分離をしてこの学校自身が教育に対して非常に自信を持ってくるという形のプラスの面もある。分離からくる今御指摘のようなマイナスの面もある。できるだけそのマイナスを少くするために、運輸、文部両省が緊密に話し合わなければならぬと思います。そういうことにいたしまして、この分離からくるマイナスの面をできるだけ少くして、そうして船員の再教育機関としての海技専門学院の内容をますます充実していきたい。ことに海運の国際競争というものは非常に激しいものですから、技能的にも次第に優秀なものになっていかなければなかなか競争ができないわけです。そういう点でいろいろ御懸念もありましょうが、そういう点につきましては弊害と申しますか、独立することによるマイナス面をできるだけ少くして、皆さんの御期待に沿うような程度の学校教育の目的を達したいということを強く考えておる次第でございます。
○辻原委員 ちょっと大臣に申し上げておきます。分離ということを非常に強調されるわけでありますが、形式的な分離ということは今始まった問題ではなくして、御承知の通り初めからある。ここで分離しようというのは、実際の教育のやり方の中でできる限りこれをひっつけまいというのが今起っている分離なのです。そうするとその間、なるべくひっつけまいとするこの努力に基いて今新設、増設という問題が起ってきている。ところがそれをやってきたところで、依然として大臣が特に今強調されたように協力態勢を持たなければならぬ。いわゆる教授の交流その他これを必要とすることの間に何か矛盾をお感じにならないでしょうか。 もう一つ突っ込んで御質問いたしますが、今取り上げましたのはいわゆる教授陣の問題です。もう一つは、今度芦屋に一般教室を持っていきましても、先ほど言われましたように理想的な再教育機関というものを充実していくことは逐次でなければいかぬ、そう急には参らぬというような大臣のお考えですが、そうすると当然再教育機関としては最も重要ないわゆる実習教科、それに伴うところのいわゆる実習施設、実験設備、こういうものについては一般教室と同様に将来芦屋の方に設けられようとするのか、それともそれらの点についてはどういうふうに取り扱われようとするのか、この点を一つお伺いしておかなければならぬと思います。
○三木国務大臣 程度としては今神戸の大学と同じような教育の程度でなければならぬというお話でありますが、程度はそうでありましょうが、大体対象が違うのです。船員としてやっていくのですから、階級によってクラスが十二にもわけられて、通信教育もすればいろいろ対象が小さくわかれている、そういうのですから、大学と同じような教授の方式を用い、また大学と同じような施設を持たなければならぬ性質のものでもないのです。非常に対象が違うものですから、大学とは施設という面においても違ってもいいわけであります。あるいはまた今申したようにいろいろクラスがあるわけです。だから大学とそのままの施設を持たなければならぬという必要はないと私は思いますが、しかし一般の船員として共通なこれだけの施設は持たなければならぬというものは、当然に海技専門学院が持つべきものであると考えておるのであります。
○辻原委員 今の大臣の御答弁には若干の問題を含んでいるようであります。大学と同じような形態のものでなくていいのだとおっしゃるが、私は形式的な姿を言っているのじゃなしに、教授の内容の面から言っているわけです。そうすると同じようなものでなくていい。たとえば大学で現在機関科であれば十三種類くらいのいわゆる実習——機関科ですから別段大学ではディーゼル・エンジンを教えるが、再教育では焼玉エンジンだなんということはほとんどないと思う。これは全部共通する問題だと思う。また大学では、昨今の時代の要請から紫雲丸事件のようなものを起さないように海岸にいわゆるレーダー施設を設けてその訓練をしている、これは大学だからレーダーの訓練をさせるのであって、再教育の方ではさまでの施設はいらぬ、まさか大臣はそういうとをおっしゃるのではないと思うが、私の言うのはそういう点のいわゆる教育内容を言っておるのです。とすれば、その間大学教育と再教育機関との間には、何ら差等があってしかるべきものではないはずだと私は思います。ところがもちろん海技専門の方は十二種類にわかれてはおりますけれども、それはただ再教育において目的を達成さすための主として免許状の種類等に基いた、いわゆるクラス別編成だと私は考えておる。何も年齢構成等によってわけておるという形の複雑なものではないと思う。従ってそれはいろいろあるけれども、しかし一応この中で修学させる者の教育内容というものは、若干の程度の差こそあれ、それに要する施設とか設備がほぼ同様のものを必要とするということは、これはいわゆる大学設立の当時、少くとも海技専門学院との間で協力、交流して教育を実施すべきだという結論を出して今日に至っておることから見ても当然であります。従って大学にかくかくの施設が現在あるが、そういうものは専門学院の方では要らぬのだということは私は言えない。するなれば、少くとも現在持っておる具体的に言えばレーダーの施設を一体どうするのであるか、あるいは機関科、航海科あるいは運用学、すべての面にわたっての実習、実験器材あるいはその教室等について一体どうするのかということが、われわれの疑問の中に差しはさまってこなければならぬことは当然であります。私はその点を申しておるのであります。今芦屋にやろうとしておるのは何らそういう実験実習の教室なり施設ではなくして、ただ一般教養その他理論面の教授をやるに足るだけの一般教室を建てよう、こういうお考えにとどまっておるわけですから、従って何らそれには船員教育に必要な施設、設備というものは顧慮されていない。その現状のままで分離して完全に教育が行われるなんぞということは、私はいささか矛盾もはなはだしい議論だということを申し上げておるのであって、その点、一体大臣は将来にわたって施設を完備していきたいと今言われたが、そのことは少くとも芦屋に実験、実習に必要なものを作っていこうというお考えであるのか、ないしは別の方法によってその点はカバーしようというのであるか、この点を明確にしておいていただきたい。
○三木国務大臣 私が申したのはやはり共通の施設もあると思います。しかしそのままではない、やはり教育の目的が違うので、スケールも違うし、あるいは施設も大学とそのままのものでなければならぬとは思っていないわけですが、しかしどうしても必要なものは今御指摘のようにあると思う。その施設は海技専門学院が当然に持たなければならぬものである。だから法文系のようにただ講義だけですむものではない。そういう必要最小限度の施設はやはり海技専門学院が持つべきであり、持たなければ海員の再教育にはならない、こう考えております。
○辻原委員 そういう必要な施設は持たなければならぬ、こういうふうに大臣は言い切られたわけでありますが、そうするとこの間まで船員局長その他にお伺いし、ないしは文部省の所管局長にお伺いした範囲によりますると、少くとも従来の実験、実習等のこの施設については、なお専門学院の所管にかかる施設もあればまた大学がその後新規買い入れ、新規増設された施設もあって、一応両者協力の形でいわゆる実習施設というものは成り立っておる。その態勢は今後もくずさずに、いわゆる一般教室は向うに行っても実験実習等については依然としてその施設を使わせていくのだ、そうして協力態勢をしくのだというお話で了解してきたわけであります。それだからこそわれわれはどうもその真意がわからなかった。そういうことで引き離しておいて、また向うにもう一ぺん頼みますといって使うのならば、どうしてもっとそれよりも便利な、近いところで一緒にやらないか。別に一緒にやることは何も文部省の所管だから、運輸省の所管だからということではなくして、船員教育をこの方で一緒にやった方がいいというわれわれの議論から言うのである。ところが大臣の言うようにこれは特殊な教育なんだ、教育目的が明らかに違うのだから、現在は一般教室を切り離すけれども、今後とも再教育という目的に従って必要な施設あるいは設備というものはその専門学院の中にこれをやっていくのだということになれば、これは画然とわけることになる。それにはそれの一つの大臣のお考え方もあり、私はそういう形態ならば、いわゆる再教育機関としての専門学院の存在理由というものもあらためて見直すだけの余地があると思う。少くともそういう意味ならば了解できる。その点について船員局長は一体どう考えているのか、承わりたい。これは私は具体的に聞きますから、ただ将来に向ってどういう施設をやるのだというようなことでは満足できません。一つどういう施設をやるのだという点について具体的に述べてもらいたい。
○武田政府委員 大学実験室あるいは実験工場の、現在大学に持っておる物で共用できる物は従来通り利用させていただくことにしたいと考えておりますが、再教育の特殊性から必要な教材等はこれを充実して参りたい、かように考えております。その内容につきましては専門的に教育課長から……。
○富田説明員 ただいまの船員局長の御説明を補足いたします。それではどういう物が特殊な物で将来海技専門学院特有の物を施設しなければならぬかということは、まだはっきりと計画はしておりませんが、特に最近の大きな海難事故なんかにも徴しまして、再教育のあり方というものが、従来のように免状だけを考えていていいか、免状を離れて従来持っておる技能なり知識なりを再確認させるというような方法もとらなければならぬのではないだろうかということも考えられております。これは特に最近の大きな事件にかんがみて考えておることであります。そういう点も考慮に入れまして、船で使う計器、器具、器材、そういう物を応用的に実務的に扱えるような施設を特に持っていきたい、こう思っております。
○辻原委員 どうも抽象的でわかりません。これは何か私の質問を少しむずかしくお考えなさっておられるように見えるのですが、これは専門家のあなた方にそういうことを何するのはいかがかと思いますけれども、私の常識の範囲では、別段新人教育だからあるいは再教育だからといって——先ほど私は極端な例を言いましたけれども、新人教育では焼玉エンジンだ、再教育ではディゼル・エンジンだ、こういうばかなことはないでしょう。同じ教育なのだから。ただその対象が違うために教育目的が異なってきているだけであって、実際日常の職場、現場でやる仕事というものは、私は別にそう変らぬと思う。だから大学側で必要な実験器具また必要とする設備は、同じ船員教育だから、再教育であろうが新人教育であろうが、やはりこれは再教育の方も大学教育の方もともに必要としてくるのは当然なのです。だからそういう意味で尋ねておるのです。そこで今局長の方から再教育の特殊性に基くものについてはこれを施設していきたいということを言われたのだけれども、これは言葉だけを受け取ると何だかわかったようなことになる。ところが船員教育の実際の姿というものを考えていった場合にそれでは了解できない。課長の言われたのは、教育目的を今後どうしていこうということについての答弁である。今までの専門教育というものは、国家試験を受けさせるためのいわゆる準備試験のようなきらいがあったのではないかということをあなた自身が反省されておられる。それから今度はこういういろいろな時代の要請が生まれてきたからそれに伴ってほんとうの技術教育、ほんとうの再教育に重点を置いてやりたいということを言われているにすぎない。ほんとうの再教育をやるならば、当然技術教育を重視しなければならぬ。実験実習の伴わない技術教育というものはあり得ない。そうだとするならば、今後重視していきたい技術教育の面あるいは船員再教育の面に伴う施設、設備というものをどの程度まで——大臣が言われたように、それは新設していきたい、それは充実していきたい、設備していきたいといわれるが、分離すればあしたから要るのです。これはどういうものを具体的に構想に持っておられるのか。私どもが最も遺憾としておるところのあの紫雲丸事件においてレーダーの施設があった。しかしそれをこなすだけの熟練した船員がいなかったのかどうか。これらの点について専門家の皆さんにもつと突っ込んで聞きたい、私もレーダーをのぞいてみましたけれども、一日や二日や十日や一カ月やってみたところでてんで問題にならぬ。そうするならばこれを恒常的に相当期間かけてこの教育をやらなければ、せっかく金をかけて五百万円、六百万円するレーダーを船に取りつけてみても何ら意味をなさぬ。その教育上立ちどころに必要となってくる施設を新設しておやりになる気が一体あるのか。その他先ほど申しましたように再教育でありましても機関科、航海科の別があるわけです。そうすると機関科の生徒についてはいわゆる機関についての実験実習の場というものをどこに新設されようとするのか。あるいは航海科だってたくさんあると思う。あるいは溶接みたいなことまでも、これは技術の面で、船の中ではその技術を持っている者でないとにわかな故障の際に間に合わぬというような問題から、その溶接教育もやらなければならぬ。いわゆるかじ屋の施設がいる。そういったものをどうするのか、これから一つこれも考えてからぼつぼつやろうというお考えであるのか、もう一度その点について私は専門的な立場からお伺いしたい。
○武田政府委員 大学の教養教育は、新人の一般教養と運航の基礎教育でございます。海技専門の教育はある程度の基礎を持っている既成船員に対して、さらにその段階に応じて実務的な知識、技能を修得せしめるということを目的としておるわけであります。従って特殊性を持っておるわけでございますが、この特殊性を持った教育をするに必要な教材等につきましては、大学の教育に支障を来さざる限度におきましては海技専門学院に持っていっております。しかしこれで今後さらに実務的な知識技能を修得せしめるに必要な教材等につきましては、現在持っておる以上に今後充実して参りたい、かように考えております。
○辻原委員 その実務教育という内容がちょっとわからないのです。実務教育とは具体的に一体どういう教育——いわゆる基礎教育を一応終えてきた人たちであるから、従ってそれからどういうふうな教育をおやりなさろうとするのか。具体的に言うと、もう一応経験も経てきて、一応の基礎も持っておる。ただここでやるのは上級免許状を取得するに足る、そういう程度の一般教養と理論面だけ与えればよろしいとするのか、そうならばわかりますけれども、ただ実務教育という限り従来の基礎、経験より以上の高い教育というものを与えていこうとするならば、それは一般教育と同時に実務教育、それに伴う試験実習の教育というものを行わなければならぬ。一体どういうふうな内容をあなたは言われているのか、その点についてどうもはっきりいたしません。
○富田説明員 教育内容についてのお尋ねでございますが、一応これは船舶職員法施行規則というところに定められておりまして、各免状にはこれこれの試験内容を必要とするということにきめられておりますので、それを重点といたしまして、なお肉をつけて、多少一般教養的なものあるいは基礎学的なものもございますが、そういうもので補っております。なおその方法については、今御指摘があったように、新人教育でも再教育でも同じ機械を使うというものが相当多いのでございます。ただ同じ物を使っても使い方が違う。片方は、たとえばただ動かすことを習う、ところが再教育の方では動かすことはもう十分知っておる、あるいは構造についても十分に知っておるが、これをいかに能率的に使うかというような点に問題を集約して教授することになります。ですから同じような物を使うことになりますが、方法が違っておる、そういう点をさしておるわけであります。
○辻原委員 どうも初めの方のお答えでは、基礎面というか、いわゆる基礎学ないしは国家試験を受けるのに必要な一般教育、こういうものを重点的におやりになるようなお話であったが、最後の方の話は、やはり実験実習を伴う実地教育とでもいうか、そういうような教育も必要とする、ただ新人教育と違うのは、大体動かすことは知っているが、より効率的に動かす、そういう教育を再教育でやるのだ、こじつけていえばそういうことになると思いますが、私はそういう基礎学及び一般教養を中心にした教育をもって再教育とするのか、ないしは再教育と名をつけるといえども、あるいは国家試験を通らねばならぬその前提の教育をやるのだけれども、しかしながら教育の内容においては、当然技術教育を充実するのだから、実験実習をうんとやらして、より効率的な機械の運用あるいは技術を体得させる教育をやるのか、一体どっちかということを再三再四にわたって聞いておるのですが、その点をぼかされておるわけです。しかし再教育だからといって、あるいは国家試験を受ける前提の教育だからといって、実験実習はおろそかにはできないでしょう。この点はやはり重点的にやるようにならなければ、私は再教育の実をなさないと思うのです。それは大臣もそうお考えになられるでしょう。どうでしょうか。
○三木国務大臣 それはその通りだと思います。今後海員の教育の重点になるのは、再教育の場合、やはり技術的な面が多いと思います。
○辻原委員 そうなれば話はもとに戻りますけれども、やはりこの海技専門学院というものを分離独立させて、逐次施設を強化していきたいということの内容には、そういう実験実習の機材など一切の施設をこれに充当していくということにならなければ、海技専門学院の教育というものは強化されないではありませんか。あらためて大臣にお伺いしますが、私の申したような内容を含んでこの際分離独立さしていくというお考えであるか、この点を念を押しておきたいと思います。
○三木国務大臣 それは国のこういう財政状態ですから、やはり共通に利用できる物で経費の非常にたくさんかかる物は、学校同士で利用したらいいと思います。そう二重施設のようなことをなるべくしない方がいいと思います。それは非常な経費のかかることで、別々に持たなければならぬというようなことでもない、やはり同じような教育を目的としているのですから、そういう場合があると思います。しかしながらそれには何もかも一緒ということでなしに、やはり学校が独立した以上は、そこで持つべきいろいろな施設も当然あると思います。これは充実していって、将来どうしてもそういう二重施設を持つことが、経費の点で非常にかさむような場合は別として、そうでない場合においては、海技専門学院が相当な施設は持っていくべきであるというふうに考えておるわけであります。
○辻原委員 課長、局長にお伺いしますが、今大臣の言われた、利用でき得る面については今後とも利用していく、しかし再教育として必要な物はどんどん強化していって、独立学校の体制にふさわしい施設内容を与えていくのだということでありますが、そうすると再教育に必要な特殊な実験実習の施設機材、こういう物は一体何であるのか、この点をお聞きいたします。一つ具体的におっしゃっていただきます。
○武田政府委員 現在のところは、実験施設についてはまだ考究中の段階でございますが、再教育に必要な教材につきましては必要な物を持っております。さらに大学に支障のない物は、海技専門学院で持って参るように文部省と話し合いをしたいと思っております。
○辻原委員 今局長の言われた点で二つ疑問が出てきた。再教育に必要な特殊な物については、ただいま考究中である、こういう話である。今起っている問題は、本来の所管を分離しようとか、新しく海技専門学院というものをここへ興そうとかいう問題ではないんですよ。ただ校舎の新築をどうするかという、それだけの問題なんです。再教育について必要な物をどうだこうだと今から考究していくというようなこと、これは一体どういうことですか。もう一つは、大学において必要としない物については、これから文部省とも話し合いをして持っていこうということなんです。ところがこの問題で最初にお伺いしたときに、資材一切は文部、運輸両当局並びに学校、学院、四者の間において協定ができて、一切持っていかないという御答弁をこの席上においてしておるのですよ。一体大学が必要としないというような機材、実験器具はどういう物があるか、これも一つ具体的にお答え願いたい。
○武田政府委員 具体的な品名については専門家の方からお答えをいたしますが、私が申しました再教育に必要な特殊な物というのは、実験工場については今検討中である、その他の教材につきましては、現在必要な物をある程度持っておりますが、さらにこれをプラスするために必要な物は、大学教育に支障のない物は持って参りたい、文部省並びに大学と話し合いの上、大学教育に支障を及ぼさない限度において海技専門学院に必要な物を持ってくる、こういうことでございます。
○辻原委員 再教育に必要な実験工場について再検討しておるという。再教育に必要な、大学教育には支障のない特殊なそういう実験工場とは一体何をさすのか、実験教室というのは一体何をさすのか、その点をお伺いしたい。再教育に必要な実験工場といえば、その言葉の範疇は、少くとも私は船員教育に必要な実験工場というこの言葉の範疇に通ずると考えておる。通ずるならば、大多数の船員教育に必要な実験工場というものを、現在検討を加えて新設するのだということにあなたの結論はなると思う。それならば、先ほど大臣が言われたように、国家経済の効率的な運用から、さようなことは現今非常にむずかしいから、交流でき得るものは交流していくということとの間にどうも限界がはっきりしない。そこでその再教育ということから特殊的に必要な実験実習工場を新設造営されることを検討されておるというお話であるならばわかりますが、悲しいかな私は専門家でございませんので、そういう船員再教育に必要な特殊な実験工場とはどういうものがあるかということはわかりませんので、参考までに一つお聞かせ願いたいと思います。
○富田説明員 その点については、ほとんど辻原先生が御指摘になっている通りでございまして、特殊な物、こういう物はどうしても新しく作らねばいかぬ、置かねばいかぬという物はなかなか出て参りませんで、これはほとんど共用できる物が多いのであります。ただ大学の方の授業時数というようなものに制約を受けて、どうしても共用できないということになれば、あるいは同じ物でも買ってもらったりつけてもらったりしなければならぬ、こう存じておりますが、主として現在大学の教育に必要なくて、うちの方に必要な物は持っていくというようなことを、今船員局長も言われましたが、これは具体的にはどういう物かまだ聞いておりませんが、大きな物ではないようでございますが、ほんとうに大学で、むしろ置いといてもじゃまになるというような物を持っていく程度でございます。そしてなお特殊な物として、将来どうしてもほしいと思うのは、どんどん発達していく航海計器類、これはぜひ近い将来ほしいものと存じます。
○辻原委員 船員局長のお話しではよくわかりませんでしたが、課長のお話でよくわかりました。結局再教育に必要な特殊な実習、実験工場なんというものはないのですよ。また大学で要らない物を専門学校に持っていくということは、いやしくも専門教育において、独立して内容を充実するという学院に間に合いますか。こわれたいすやなんとかいうものならあると思いますが、少くとも実験、実習の器材と称して持っていくならば、これは大学側としてもなくてはならぬものだと私は思う。それから最後に課長の言われた点であれば、これは何も再教育の専門学院だけに必要な設備器材ではないのですね。漸次発達するところの航海器具、それはいろいろあるでしょう、あるいは将来原子力その他によって、天測その他をやれるものが発達してくると思う。しかし同時にこれは新人教育においても必要であると思う。大学教育にはそういうものは必要でないので、再教育には必要なんだということはない。従っていろいろおっしゃいましたけれども、総体の結論としては、結局大学が必要とする実験、実習器材も、学院が必要とされる再教育のための実験工場等も、すべてはこれは現状においては両方とも必要とするのだということなんです。そういうふうに私は受けとったのですが、誤まりございませんか。もう一度船員局長から御答弁を願いたい。
○武田政府委員 私は、再教育に必要な実験というようなものも、これは研究を要する問題じゃないかと考えております。なおその大学に要らない物という意味は、それを持ってきても大学の教育に支障を来さないということで、全然大学で使いものにならぬという意味で課長からお話し申し上げているわけじゃなくて、それを持ってきても大学教育に支障を来さない、しかも再教育に役立つという物を持っていくという意味でお返事を申し上げたわけでございます。
○辻原委員 どうもまだ非常にこだわっていらっしゃるようでありますが、具体的におっしゃっていただければ非常によくわかるのです。そういう物を持っていくんだ、一体その大学で必要としない、しかも役に立つものでどういう物があるのだ、それは向うに持っていって、それで強化してやりたいのだという具体的のお話しであればよくわかるのですが、局長の答弁なされたその抽象的な言葉から、一体どういう具体的な物があるだろうかといろいろ考えてみても、私は思い当らないのです。あるいは私の知識が非常に不足でありますから、いやそうじゃないのだ、こういう物があるのだと御指摘になればそれはわかるのでありますけれども、今の段階ではちょっと私はわかりかねる。まあかりにそういう物があってもきわめて微々たるものでありましょう。そうするならば、結局さらに、私先ほど申しましたように、ほとんど器材、器具一切は動かさないのだという四者の協定をなさっているとすれば、今局長が言われたような物が教育に役立つ資材であるとするならば、協定違反だということになる。そういうことを一体文部省はやるのか、稲田局長に聞きますと、これはちょっと答弁に困られるんじゃないかと思うのですが。しかしまあその問題は大体了解をいたしましたが、結局はそういう物はないということなんですよ。だからまだ局長はそれにこだわっておられますけれども、私はそう了解いたします。私のみならず結局大らかに考えてみますと、やはり再教育に必要な物も新人教育に必要な物も、当然それは相交流するものが大多数なんだということです。そうだとすれば、教育は継続してやっているのですから、それらの実験工場を使い、あるいは実習器材を使ってする教育はどういう形でするかということについて、いまだはっきりした結論が出ないわけです。大臣のお答えによっても特殊なものは逐次やりたい、こういうお話し、特殊なものというのをだんだんお尋ねいたしましたけれども、それが何も出ないわけなのです。そうすると結局大臣の御答弁はただ言葉のあやであって、そういうことは大したことはないのであって、交流するものはほとんど大多数ということになる。そうすると一体再教育の海技専門学院は、直ちに、きょうからあしたからその実験実習をやっていかなきゃならぬ。それでないといわゆる技術教育は成り立たない。このこともるるの御説明でよくわかりましたし、当然そうあるべきものとかねがね考えておりました。そうであるならば、それらの教育については、現在専門学院の芦屋地区にはそういうものはない。あるのは大学の学内に従来協力の形でいっていたその実験教室が相当完備されてある。相当完備されてあります。これを使わざるを得ないということになると思うのです。ほとんど教育の実際においては、依然として大学の中にある施設をやはり再教育の海技専門学院も使っていかなければならぬということに実際の姿はなると思う。この点については私の判断は誤まりはないと考えます。大臣どうですか、その点は。
○三木国務大臣 私は最初に申し上げたように分離した方がいいと思う。それは全然年齢なども違うし、対象も違うし、それに短期間の間に教育をするのですから、分離した方がいい。ただ分離した場合に、今申したように財政的に余裕があれば、やはりいろいろな点で海技専門学院は充実すべきだ、そういう点が二重投資だといったら、学校なんかの問題はどこでもその面はある。それぞれ学校は——大体商船学校というようなものが幾つも要るかという問題も出てくるわけであります。やはりその程度の投資の二重性は教育の面においてはやむを得ないものであると思います。そうでなければ、大学なんかみな統合してしまった方がいいじゃないか、欧州の大学より日本の大学は多いというのですから。そういう点で教育における投資が二重になっておる面はあると思う。そういうことですから、やはり将来は分離した方がいいと思いますが、今のところでは財政的に大した予算はとれないので、すぐにはそういうことはできない。将来はまた充実をしていくべきだ。しかしながら大きな、何と申しますか実験工場のようなものは、やはりそういう大きな経費がかかるようなものは、将来にわたっても使わしてもらったらいいじゃないか、しかしながら最小限度の船員に対する再教育に必要な施設は、海技専門学院でやるべきだという意見であります。ただしかし財政的な面から一つの過渡的な処置として、今御指摘のようないろいろ共通して使わなければならぬ時期がある。それは過渡的な処置である。将来は充実していった方がいい。あまり大きな施設はお互いに使うように協力し合うことはいいが、将来はそうした方がいい。そうして船員は海運の将来の必要性から見て、海員の再教育は国が相当な経費をかけて力を入れていく一つの値打ちのある課題だ、こういうふうに考えておるのです。ただ今いろいろお話しの中で、今年の過渡的な処置としていろいろな矛盾もありましょう。それは次第にこの矛盾を解決して充実をしていくべき性質のものであろうと思います。この分離した当初における矛盾は、将来に向って解決をすべき課題がいろいろあろうと思うのであります。そこばかりとらえて考えれば、もう分離する必要はないじゃないかという御議論もあろうと思いますが、対象もよほど違うし、教育だってやはり違って、いろいろ実際教育の、たとえば職業教育といいますか、短期な、たとえば一つの普通の事務員の養成でも、大学の商科というのと、三月とか半年とか一年くらいでビジネスの面に向くような人の短期養成をしておる、それは必ずしも大学の中でそういうことをしてない、やはり別にやって目的を達しておるわけですから、これは別にした方がいい。ただしかし過渡的な処置については、いろいろ御質問されれば当初はいろいろ矛盾があるわけです。やはりこれは同じ国内の同じような教育目的によってやっておるのですから、そう対立的になる必要はない、商船大学は商船大学で協力すべきものは協力したらいいじゃないか、お前の方は分離したからけしからぬ、あまり協力してやらぬと考えたり、あるいはまたこちらの海技専門学院はそれを感情的に考える必要はないので、その充実しない過渡的な処置についてはお互いに協力すべきものである、教育の目的は同じじゃないかという点で、この問題を克服していくべきだ、こう私は思うのであります。
○辻原委員 大臣が相当お考えの上決断を下されたようであります。確かに大臣のように完全分離すべきもの、そうして分離を前提にして、これは財政面で直ちにはいかないけれども、将来船員教育に必要なすべての諸施設は海技専門学院に充実せしめるべきもの、こういう判断に基くならば、今私がるる指摘しましたような矛盾は半分程度は氷解されるでありましょう。しかしながらこの問題は商船大学設立当時ないしは海技専門学院として発足して以来、また大学教育の総合的運用ということで今日まで参ったという経緯から、どうも納得できがたいという点がわれわれの質問の骨子であったわけです。ところが今大臣の言われたことは、これは一つの別個の大方針を出されたわけでありまして、いわば商船大学を作られた当時の文部省、運輸省双方が取りかわされた一つの約定、ないしはこれは国会での議員立法でありました関係から、当時国会での質疑において明らかにせられた点等について、それとは違った一つの線が大臣のお考えから出てきていることは事実であります。しかしそれは一つのお考えであって、そのお考えに基いてやられるというならばそれも方法であります。従ってそういうふうにやられるならば、この間には私は矛盾がないと思う。 そこで最後に一つ申し上げたいことは、私が最初に申し上げましたように、ともかく船員教育を充実していただきたいということ、これが私の本問題を取り上げましたねらいであります、弥縫的な策、あるいは各省々々のセクショナリズムにとらわれて重大な船員教育が看過されるようなことがあってはまことに重大な問題であるから、これらの問題については細部に至るまで十分な配慮をもって考えていただきたい。同時にそれぞれ学校当局者の意向というものをじゅうりんするがごとき取扱いがあっては、これまた将来の教育の上において暗影を投げかける。だからそういう問題はすべて取り除いて、いわゆる船員教育についてそれぞれの機関が協力するような態勢へ持っていくことが最も望ましい線であります。従って分離も完全にやらないで、教育はなお協力態勢でやるのだ、しかしそれは単に校舎だけこっちに移るのだという説明で終始されるから、その間に非常に矛盾撞着が出てくる。だから大臣が言われたように、その点を分離されるという大方針でいかれるならば、私は別に賛成するわけではないが、それも一つの方法である。それならばその態勢を進めるべきが至当なのです。しかしそういう方針を文部省が了解されたのかどうか、これはあらためて文部当局に伺っておかなければならぬ。完全に分離するということは、つけ加えますが、施設は海技専門学院にどんどん強化していくということであります。そしていわゆる教授の交流ないしは施設の共同使用、こういうものも将来はなくなるのです。完全に違った学校として、船員教育として二つ存在していく、しかもそれが十五分隔たった芦屋と深江においてその施設をこれから完備しようというのが運輸大臣のお考えであるわけなんです。そういう完全分離ということを文部省は承認せられておるのであるか、この点を文部当局に伺っておきたい。
○稲田政府委員 前にお答え申し上げましたように、当初においてこれを将来とも一緒にするかあるいは分離するかということは未定であったと記憶するのであります。しかしさしあたり両施設を同時に同じ場所で出発せしめよう、こういうことで今日まできた、ところが船員教育審議会が運輸大臣に答申して、将来船員の再教育は芦屋を中心に固めていこうという新しい方針がここで成り立ったと見るべきだと思います。ただ率然としてこの新しい方針に移行いたしますと、大学の形成途上非常に困惑する問題がある、大学教育に支障のある諸点についてはさしあたり運輸省当局で御考慮願いたいということで、この話が成り立ったと思います。将来は将来、経過の期間中は経過の期間中、そういうふうに私は考えまして、この新しい方向に向って発展する場合において従来の大学計画が混乱しないように、こういうふうに念願しておるわけでございます。
○辻原委員 そこで所管の運輸大臣としてのお考えは、先ほど再三申し上げておりますように、そのお考え方にわれわれはいろんな意見もありますけれども、一応筋として私は所管大臣としての意気込みは、そうあるのもこれまたしごく当然のことかと考えます。ただその場合に、今度は国務大臣としての三木大臣のお考えはまたおのずから別なものがあってしかるべきじゃないかと私は思います。というのは、現在の商船大学から一般教室を移し、さらには共同利用しておった実験教室も別個にし、その他の付属施設も全然これを別個に切り離していき、ないしはいわゆる国有地である大学所有地も相当あることでありますが、それも使わずにそのまま置いておく、そして別個に芦屋の私有地を買収されて大学を強化されていく、こういうことになりますと、国家財政の効率的運用という面に一つの問題が発生するのではないかという点が一点であります。しかしそれもわれわれはまた大臣の説を支持するものでありますけれども、教育は投資であって、かりにそれが二重投資であろうと三重投資であろうと、より効果が上るという場合であるならば、それは何らそういうことを顧慮すべき問題ではございません。そういうことを考えました場合にここで考えなければならぬ根本問題は、一体本来再教育の問題といい、新人教育の問題といい、その他にある船員教育の問題というものを大臣のお考えのごとく取り扱っていくのが至当であるのか、あるいはこれを運輸省に一元化するということがより効率的であるのか、ないしは文部省に一元化することが効率的であるのかという点であり、これは私は真剣に検討を加えなければならぬ問題だと思います。その上に立って初めて二重投資も三重投資もあえて顧慮すべきものでないという結論が出されると私は考えるのです。その根本問題の解決を見ない間に大臣のいわゆる二重投資、三重投資もやむを得ないという御議論であるならば、これはいろんな意見が出てくるかと私は思います。また反撥もあることと思います。こういう点について将来にわたって運輸大臣が検討されるお考えがあるかどうか、この点をこの機会に承わっておきたい。 もう一つは、今再教育について海技専門学院と商船大学の問題だけを取り上げてみましたけれども、私どもがいろいろ見ておりますのに、たとえば航海訓練所がある、そうすると大学教育において一応の基礎教育を与え、いよいよ実地教育に乗り出すという場合に、この航海訓練所なるものが少くとも現在は運輸省の所管である、そういうことにおいて大学教育の一つの編成されたプログラムに基いて完全に航海訓練を実施し得るかというと、両者が共同してやりますという一応の答弁は確かに今私がお尋ねすればあるかと思いますけれども、しかし実際問題としては一本の系統でやっておった場合と、二本にわかれておった場合のその便、不便さというものは言わずもがな、よくわかってくると思う。そういう点について一つ稲田局長にこの際その問題についてお考えを承わり、同時に運輸大臣からも一体そういうような実習をやらしむべき教育機関、こういうものをどういうふうに取り扱っていった方が大臣の望まれる船員教育の向上になるのであるか。この点も私が先ほど問題を提起いたしました船員教育というものを一元化すべきか、現状に放置すべきか、ないしは今よりは形態を変えてこれを行わんとするのか、これらの根本問題について触れて当然出てくる問題でありますから、一応この問題、いわゆる再教育、実習訓練の教育、それから新人教育、この三つの系統の中で、こういうばらばらの形が現状なんです。それを大臣は肯定されるかどうか、この点もあわせお伺いをしておきたいと思います。
○三木国務大臣 御承知のように船員は特殊なものであります。船舶海運あるいは船員労働問題も切り離されて労働省から運輸省が持っております。海運に関係するものは一切の行政が運輸省にあるわけですから、現在のような行政機構のもとにおいては、船員の再教育は運輸省がやるのがいいと私は思う。しかしながら私は今の日本の教育というものに対しては、やはりいろいろな点で検討しなければならぬ点があると思います。学校などの問題につきましてもいろんな日本の実情に沿うておるかどうか、いろいろ大学の数とかいろいろな点で問題があろうと思います。そういうような点でいろいろ日本の教育機関というものについては検討すべき余地はあると思うのです。しかし今の段階において船員の再教育を徹底するためには、どこの省がこれをやったらいいかということでは、今のような行政組織のもとにおいては運輸省でやった方がいいと考えております。しかし教育の根本についてはいろいろ考え直さなければならぬ課題が非常に多い。そういう場合にこういう問題にあわせて検討する必要は認めます。しかし現在の行政機構のもとにおいてはやはり運輸省でやる方がいい、こういうことであります。
○稲田政府委員 申すまでもなく航海訓練というものは商船教育の重要な実習過程でございます。しかし今文部省所管の大学あるいは商船高等学校、非常に数が多いのでありまして、それぞれの大学に航海練習用の船を持たせるということも、今の状況から見てこれは非常にむずかしい問題だと思います。かりに文部省所管に置きましても、おそらく航海練習所というようなものをどこかに一ヵ所設けて船を持って、そうして各学校に共有せしめることになるだろうと思います。しからばそういう船を持つ機関をどこの所管にするか。これは見方によっていろいろ論はあろうと思うのです。教育だから文部省という観点もこれは確かに合理的であります。また同時にこれは航海運用の問題でありますから、航海運用について一般の行政権限を持つ官庁が所管する方が便利だということも成り立ち得ると思うのであります。これは沿革的にずっと運輸省が所管してこられて、現在それで別に支障もなくきておりますから、文部省としても現在の航海訓練所を運輸省で所管する点について一向異論を現在持ってないのであります。
○辻原委員 稲田局長に、今の問題について全然支障がないというお説、これは将来にわたってその説は変えられませんか。
○稲田政府委員 教育者当事者において支障を感じて参りますれば、世話をいたしまする文部省としても考えを変えなければならないと思います。
○辻原委員 どうもはなはだその答弁だけでは非常に無責任なように聞えます。当事者が不便を感ずるようなことになったならばということですが、少くとも私の聞く範囲では、その教育実習を一元的にするためには不便があるということはすでに指摘されておる問題であります。だからそういう点について稲田局長は文部省としてはいまだかつて何ら聞いてもおらぬし、考えてもいないように聞えるが、そうですが、どうですか。
○稲田政府委員 それはこういう点であります。さっき申しましたように、各学校とも船を自分で持ちたいのです。そして自分の教育計画の中にそれを入れて運用したい、この希望は非常に強く、またもっともだと思いますけれども、それは財政上非常に困難なので、今は一カ所で所管しておる。一カ所で所管するのが、文部省であるか、運輸省であるかの相違についての不平とか不満というものは、いまだ私は聞いていないのであります。
○辻原委員 問題をわきに発展させるようでありますから、その問題はよして、従来の疑問に対しては運輸大臣の話しで筋が通ったということだけは私先ほど申し上げました。しかし問題は今後にあるわけです。そこでともかく大臣が述べられた分離すべき理由というものは二つ。一つは教育目的が違う、一つは対象が違う。従ってその主たる問題は年齢構成——片一方は再教育で、一応実地訓練はやってきた、そういう方々を収容しているのだから、一緒にくっつけておいては、教育上悪影響があるということであります。そうして教育目的というのは、これは再教育で、そんなことは最初からわかっておる。しかしこれは私がるる質問いたしましたように、再教育といえども教育内容においては大きな差はないという結論が出たのです。再教育といえども、実習訓練も必要であれば、あるいは実地の航海訓練も必要であり、一般教育あるいは基礎学、こういうものの修得も全部必要です。多少の程度の差こそあれ、その修得せしむべき内容は、再教育、新人教育に変りはない。すると目的が違うということは抽象的な言い分なんです。一体目的が違うので何が困ってくるのかというと、いわゆるその対象が年齢構成その他において、教育環境上好ましからずということなんです。そうだと私は承わった。そうでないとすると若干質問を続けなければなりませんけれども、私はそうだと承わった。とするならば、これは所管の問題でないように考えるのです。運輸省が所管しようが、文部省が所管しようが、そういう問題ではないのですね。私はそう思うのです。そういう問題ではなしに、かりに運輸省が大学と海技訓練専門と両方所管しておっても、当然起る問題なんです。また文部省が所管をしておっても当然起る問題です。だからただ現状は所管が別になっておるから、あたかもその所管の問題になるように考えている人もあるいはあるかもわからぬが、私はそうは思わない。所管の問題ではない。結局その対象が違うので、教育をどういう形態でどうやるべきかという、そういう問題なんです。だから運輸省が所管しておっても、やはりこの問題については依然として解決しなければならぬ。そこで一つの疑問は、現在文部省が所管しておる数々の教育があります。その中には再教育機関も従前あった。一般教員養成の機関などについては、一年ないし二年の短期で、教員養成の例から考えてみると、常に付置的な立場で教育をやってきておる。とするならば、この海員教育、いわゆる船員さんだけにそういうような問題が非常に大きな要素として取り上げられるということは、一体いかがなものか。片や一般教員、いわゆる一般の先生といわれるその再教育の中においてはいわゆる再教育と新人教育というものは累次併置されてやられておる。私どももそういう経験を経ておりますけれども、しかしそれにそう大きな要素をかけて、分離しなければならぬという問題が発生したことの経験は遺憾ながら持ち合せない。それをこの船員教育だけにほんとうに困る実情というものがどうもぴんとこないわけです。それは困るのだといえば困るということになりましょうし、困らないのだということになれば困らないのだということになって、それは主観の問題で、ここらあたりになると結局むずかしくて、そこらあたりまで突っ込んで参りますと、いやおかしい、いやそうじゃない、こうだと言われればそうじゃないということの水かけ論になりまして、それは議論になりません。なりませんが、一般の通念で、片やそういう問題で発生しないのに、なぜそんなところだけ、そういう問題が大きな議論になるかということについてどうお考えになりますか。
○三木国務大臣 ほかの行政部門では、海運関係が運輸省に全部集まっておるごとき省はない。運輸省は船を作ることから全部やるのです。産業行政もやっている、それから労働問題の処理もやっているわけです。海運の行政というものは完全に運輸省のもとにある。どこの省でもそんなに全部が一緒に集まっておるというのはないと私は思う。全部またがっているわけです。そういうことで海員の再教育という、一般教育とは違った特殊な性質を帯びている行政は一元的に運輸省にまとまっている、かように考えております。こういうことでやはり運輸省の所管にした方が教育の目的を達成するのには便利であろうという結論になるわけです。たとえば国鉄にああいう紫雲丸のような事件が起って、私は非常に責任を感じている。連絡船の船員に対しても再教育を徹底したいと思っておるわけです。海技専門学院で再教育をしたいと私は考えております。ああいう事件が起った場合における運輸大臣の責任、その事件から受ける深刻な反省、責任感というものは、ほかの省がそれだけのものを感ずるかというとそうはいかないと思う。そういうことを考えてみると、あの事件などを通じて船員の再教育というものが非常に必要だ。たとえばレーダーなんかでも、私も見ましたが、普通見ない人は、ちょっと見ただけで望遠鏡のように船の進行もわかるように思うかもしれぬが、そうじゃないのです。ちょっと白く光っておるようなもので、レーダーの使用に対して実地に、相当専門的になれてこないとなかなか適宜の処置はとりにくい。あればかりにたよるわけにもいかぬ。そういう科学技術の面も進歩するので、昔の船員だけではこなし得ないものがある。そういうことを技術的にも再教育をする、あるいはまた船員の責任感というようなものの教育も要るでしょう。そういうことからくると、ああいう問題に対して一番責任を感じておるものは運輸省である。船員の再教育の必要を身をもって感じておるのが運輸省である。そういう点で一番責任を痛切に感じておる省が船員の再教育を取り扱うことがやはり効果が上るのではないかということで、これはいろいろ御議論があろうと思います。あるいは教育だから全部一緒に文部省にした方がいいという御議論も一つの理屈だと思いますが、教育の効果を上げるという点から考えなければならぬわけです。職業教育の場合は一般の教育とは違うのですから、ことにそうだと思うのです。現在の場合にはやはり運輸省の所管にしておく方が効果が上るのではないかという結論から、分離して充実して、船員の再教育を徹底していきたいということに結論づけたわけでございます。
○辻原委員 根本の問題は再教育、非常な事故を起したときに責任をお感じになる。これは所管大臣として私は非常にごりっぱな態度だと思いますし、また当然そういう心境に立ち至られるだろうと思います。しかしそれだから再教育だけは運輸省でやらなければならぬということはない。私自身ならばそういう責任観念に立った場合に、再教育もやはり船員教育である、新人教育も船員教育であるというなら、事故を起した場合に、船に乗っている者は全部責任があるのだから、当然これはやる方がいいという感じになってくるのですが、そこの点は再教育だけとこう言われました。しかしその点については、これまた根本的な問題でありますので今後に譲りたいと思います。他にも関連して質問がおありになるようでありますから、一応疑問の点だけを本日はただしたという点にとどめまして、根本問題についてはいずれ文部大臣、運輸大臣の御真意、御見解をさらに承わって、そうして再教育に、あるいは船員教育に十全の措置をとられるよう、われわれは国会において運輸委員会とも十分協力をしてこの問題を解決して参りたいと考えておりますので、私の本日の質問は以上にとどめておきたいと思います。
○佐藤委員長 関連して野原覺君から質問があるそうでありますから……。野原覺君。
○野原委員 まず質問の前に委員長にお尋ねしますが、きょうの委員会は予定としては何時までお続けになりますか。
○佐藤委員長 きょうは午前、午後やるはずでございましたけれども、この委員室は午後一時までしか使えませんので、午後一時までに打ち切りたいと思っております。
○野原委員 実は午後一時までということであれば私の質問時間もきわめて制約されるわけです。そこで私は不足した部分につきましては次の委員会において質問を続けたいと思いますが、運輸大臣せっかく御出席でございますから、まず運輸大臣にお尋ねをいたしたいと思います。 質問の内容は、過日頻発いたしました修学旅行の災禍についてであります。この問題は三木大臣並びに河野政務次官が、修学旅行で災難にあった気の毒な学童、生徒の補償については、当然これは十分に考慮しなければならない、こういう御発言もなされておりまするので、遺族にいたしましてもあるいは国民全体にしても、これは当然のことであると思っておるわけでございますが、その後一体この学童、生徒の補償の問題はどの程度考慮せられて参っておるのか、具体的にその考慮がどういうようになされてきておるか、お伺いいたしたいと思います。
○三木国務大臣 これはああいう場合にホフマン形式とか、いろいろ従来の例があるわけですが、私はこういう考えを持って国鉄当局にも言っておるのです。今度の事故はとにかく国鉄に責任があるのだ。だからそれは生命を失ったとしたら、何にも根拠なしに弔慰をしても償いはできないが、せめてもやはり最高の弔慰の方法を講ずるよりほかに道はない。だから従来の形式からいくと、やはり小さな子供の人たちはあまり金額が多くならない。しかし今回の事故のいろいろな経緯等からかんがみて、でき得べき最高の弔慰の方法は講じてもらいたい。それでいろいろな角度からこの計算をして——計算の根拠もなしにということになってくると、これはやはりなかなかきめがたいですから、従来の基礎になる数字は基礎として、その上へ今度の事故の性質等にかんがみて最高の方法を講じてもらいたい。しかもこれは一カ月以内にやってもらいたい。こういうことを強く国鉄当局に要望してあるわけでございまして、けさの新聞なんかにも弔慰の金額などが出ておりましたが、あれは必ずしも正確なものとは思っておりません。報告も受けてないのですが、私の言う趣旨に沿うてできるだけ早くこれは決定したいということで、今国鉄が作業を急いでおるわけでございます。まだ具体的にどの程度の弔慰の金額になるかということは出ておりませんが、なるべく一カ月以内にという私の強い要望も入れて現在作業中にあると思います。
○野原委員 実は先週の文教委員会におきまして、国鉄の責任者に出席していただいて、私はこの点について質問をしたのであります。ところがその答弁は、大臣から率直に申されたそういう意向が今日の国鉄にはどうも十分反映せられてないのではないか、このように思われるような答弁であったわけであります。これは速記をごらんいただけばわかるのでございますが、たとえば学童生徒というものは仕事を持たない、だから国鉄には一定の規則があるのでございますから、その規則に従ってその補償ということも私どもは考えなければならぬ、こういうことなんです。一体大臣なり政務次官の、本会議あるいは委員会等において十分に補償は考慮しなければならない——しかも今大臣は、今回の事故は全く国鉄の責任でもあるから、最高の弔慰というものを考えるべきだというこのことは、非常に三木大臣の御意見として敬意を表して聞いておるのでございますが、必ずしもあなたの考え方が今日の国鉄に十分反映しておりません。この補償について、一体その後大臣としては再三再四国鉄に対して御要請をなされたかどうか、承わりたい。
○三木国務大臣 再三いたしました。きのうも私はこの問題で国鉄に話をいたしたのであります。国鉄当局がどういう答弁をしたか知りませんが、これは何かの基礎がなければならぬわけですから、用心深くそういうことをこの委員会で言ったんでしょう。しかし私の考え方はこれは十分に徹底をしておる所存であります。昨日も私はこの問題で打ち合せをしたくらいでございますから、はたしてその決定が当委員会の委員の方々がもっともだという数字になるかならぬかは別として、私は可能な最大の弔慰の方法を講じたいということに、せめても今となったならばと、それに対して責任を感じておる次第でございます。
○野原委員 そこで重ねてお尋ねをいたしますが、今回の場合は、私はこれは特殊な事例ではないかと思いますので、学童生徒といえども一般のおとなと同額に措置するお考えはございませんか。
○三木国務大臣 これはやはりちょっとできないですね。そうなってくると今度はおとなの人にいろいろ問題が起ってくる。やはりおとなと子供と一緒の弔慰の方法を講じたということでいろいろ問題が起ってきますし、従来のこういう事故にある一つの今までの経緯と申しますか、今までの先例ということも、全然無視するわけにはいきません。責任の所在が明らかであったような事故も今まであったわけですから、そういう場合の先例を無視するわけにもいかないし、全然年齢の差——やはり扶養家族を持っておる、そういう年齢からくる自然環境上の差もありましょうから、その年齢を無視するということは私はできないと思いますが、今申したように非常に年が若いために非常な少額であるというふうにはしたくない。なるべく学童も最高の弔慰方法を講じたい。しかしおとなの人と金額を同一にしようということは無理であるし、これは差がつくことはやむを得ない。むしろ学童の弔慰の金額をできるだけ引き上げたい、こういうことで国鉄にも話をしておるわけであります。
○野原委員 おとなと差をつける、それから年齢を考慮しなければならない、それから就職、つまり一定の収入があるかどうかということも考えなければいけないというような基準で弔慰の額を算定することになれば、これは一体最高の弔慰額というものがどの辺に置かれるかは私どもにも明らかなんです。つまり従来の学童生徒の弔慰額にある何がしかのプラス・アルファをつける程度だ、そういうふうに受け取ってよろしゅうございますか。
○三木国務大臣 従来の例にプラス・アルファという、従来の例というのがどういう例をおとりになっておるのかわかりませんが、とにかく一つの考え方としては、生命というものは差をつけるべきものでないかもしれませんが、今までのこういう事故に対しての補償というものが、世界各国ともそういうふうな一つの通例になっておるものでありますから、これはやむを得ないのですが、それなら学童の最高というものは一体どの程度かということは、まだ今申しましたように私は、金額としての報告を別に受けてない、抽象的に、今度の場合は国鉄に全責任があるのだから、最高の弔慰の方法を講ずるようにということを指示してあるだけでございまして、金額はどの程度にということで報告を受けてないので、今御指摘のような点に答えるべき準備がまだできていないのであります。
○野原委員 大臣に対してはこの質問はこの程度で終りたいと思いますが、私は今回の紫雲丸にいたしましても、その他最近起りました修学旅行の事故にいたしましても、国民全体が当局に対して非常な憤りを感じております。そういうことに対する配慮という点から考えてみましても、私はその貴重な生命を金銭に換算することはどうかと思いますけれども、国鉄は一つの営業でやっておるわけでございますから、当然最高、可能なる弔慰をしなければならない。そういう意味で、私の意見としては、少くとも今回は特例としておとなと同様の措置を講ずべきではないか。おとなと同様の措置を講ぜられたからといって、おとなの遺族が怒るというようなことはないと私は思うのです。いわゆる学童生徒の災害については、従来の先例というものを、年齢その他一切考慮しないで、思い切った補償をすべきではないかという意見を持っておるのであります。十分一つ大臣から国鉄当局に対する御要請をお願い申し上げたい。なお委員長にお尋ねいたしますが、運輸大臣に対する他の方の御質疑があれば、私は文部当局に対する問題は御遠慮申し上げたいと思います。
○佐藤委員長 運輸大臣に対する質疑がありますか、ほかの方——ないようでありますから。
○野原委員 それでは文部当局に質問いたしますが、けさの朝日新聞を見てみますと、秋田県におきましては、六月十五日に支給される職員の期末手当について、八月五日まで延ばすことができるという条例を昨日可決をした、こういうことでございますが、このことは、地方公務員の給与の面における大きな制約ではないかと思うのでございますが、この辺の事情について文部当局の御説明を承わりたいと思うのであります。
○佐藤委員長 今緒方君を呼びに行っておりますから、ちょっと待って下さい。
○野原委員 それでは政務次官にお伺いいたします。先週の金曜日に開かれた委員会において、国立大学に関する質問がなされた場合に、稲田局長はたまたま出席されていなかった、そのために文教委員会は質問を継続することができなかったのであります。しかも一週二回しかないこの文教委員会において——私は今給与の問題で質問をいたしておりますが、このような重要な、当然文教委員会で取り上げられることの明らかである一般行政に対する質問が行われておるときに、答弁することもできないような今日の文部省の文教委員会に対する態度というものは了解ができない。この文教委員会を一体どういうようにあなたはお考えなのか、答弁することのできないようなそういう構成で文部当局は衆議院の文教委員会を考えておるのかどうか。私は答弁いかんによってはこれは国会における大きな問題であろうとも思う。あなたの御所信を承わりたい。
○寺本政府委員 文部委員会が開かれます際は、あらかじめ私の方の係から、御質問の御様子が、理事会でどんなことが問題になるか明らかになりますので、問題になる点を各部局長に伝えまして、必ず出るように手配をいたしておるわけでございます。先日の金曜のこの委員会では、平田さんから私学振興会についての御質問が出るということで、管理局長は出ておりましたけれども、私学振興会の問題から大学局の方へ問題が発展いたしましたので、その際大学局長が出席していなかったわけでございまして、この点事前の連絡が不十分であったことを遺憾に存じます。理事会で問題になりそうな点が明らかになりました限りは必ず出るようにいたしておるつもりでございます。なお各局長はそれぞれの行政事務を担当いたしております関係上、当委員会で御用がなければ役所の方で事務をとりながら待機する態勢にいたしたいと存じますが、その点では各委員の方々からできるだけそういう行政事務と両立いたしますように、事前に質問の要点などをお知らせ下されば、行政事務と国会の御用と両立させるようにいたして参りたい、かように考えております。
○野原委員 私は何も緒方局長が出席されるまでの時間の穴埋めにあなたに質問しておるのではない。あなたの今の答弁は私は全く了解できない。何となれば、今文教委員会で行われている質疑は文部行政の一般行政についての質疑であります。これは明らかにそうなんです。理事会がどういうことをきめておるか私は存じませんけれども、たとえば私立大学に関することだ、こうなれば、これは質問の内容によっては国立大学に発展をして参ります。条例に対する質問ということであれば、単に給与の条例が今度は教育委員会制度についての質疑に発展していかなければならぬと思う。一体政務次官はどう考えておるか知りませんが、少くともこういうことは常識なんです。週に二回しか文教委員会は開かれない、それも午前十時から午後一時までなんです。一週間にわずか二回なんだ。こういう文教委員会のあり方についても最近実は意見を持っており、これは理事会等で考えてもらいたいとは思っておりまするが、一週間わずか五時間か六時間しかないその文教委員会に、局長が出ることが不可能であるならば、答弁のできる者くらいは各局を網羅したところの陣容をもって臨まなければならぬと思う。私はそれは当然であると思うが、御所見いかがでございますか。
○寺本政府委員 当委員会で扱われる問題が非常に発展性があって、各部局に関連することが多いから、局長が出られぬ場合にはどなたかかわって出てきて、どの問題についても常に答弁できる態勢を整えておけというのが、当委員会の御趣旨でございますれば、さような方法をとりたいと考えております。
○佐藤委員長 委員長より一言申し上げます。たびたび各委員から発言がありまして、答弁に差しつかえのないように出せということは、私の方からも再三文部省にあてて、今野原君の質問のような話しをいたしておりますが、どうも出席が悪い。今日も実は文部大臣が必ず出るということでお約束いたしましたが、初めは出さないでおいて、そうして十一時半から天皇陛下の御陪食があるということで、とうとう今までおいでになりません。はなはだ遺憾でございます。今後ともこういうことのないように一つ御注意願います。
○野原委員 一体あと何分すれば、秋田県の期末手当の条例についての私の質問に答弁のできるお方は御出席になりますか次官にお尋ねします。
○寺本政府委員 秋田県の問題はけさの新聞で私どもも拝見したわけでございますが、この問題は地方公務員法と条例との関係——事実を確かめた上でございませんと答弁がしにくい問題だと考えます。
○野原委員 本日は大臣もお見えになっておりませんから、次官は大臣に対する質問についてかわって答弁をしなければならない責任のある方であろうと私は思う。同時にその他の局長が答弁できない面についても今ここに出席しておる最高の地位にある者は、文部当局としてはあなたですから、これはあなたが当然答弁の地位にあるものであると私は思いまするので、質問をいたしたいと思うのでございますが、秋田県の条例は、職員の期末手当が約二カ月ずらされることになるわけであります。そうなりますと、今日地方財政が非常な赤字に苦しんでおる、しかもこういうような条例が秋田で可決になるとすれば、次には佐賀、次には京都、こういうように次々とこの条例は可決される傾向にいくことは明らかなんです。そうなってきますと、地方公務員の給与に関しましては御承知のように国家公務員に準ずるとなされておるのでございます。法の建前はそうなっておりまするが、明らかに期末手当が二カ月ずらされる、あるいは金額その他においても、その準ずるというところの法の規定を無視するような条例が次々と出されていくということになれば、これは私はゆゆしい問題ではないかと思うのであります。一体秋田の条例についてはどういう事情のもとにこれが可決になったのか。それとともに今後こういう情勢が次々と広がっていくおそれがあるわけでございますが、一体文部当局としては、六十万に近い教職員を地方公務員としてかかえておる責任の地位にある文教当局は、どういう対策を講じようというお考えであるのか、事は緊急でございまするから、この問題は一つあなたから十分なる御説明なり御答弁をお願いしたいと思います。
○寺本政府委員 秋田県で夏季手当の支給を条例で繰り延べをしたということは、私どももけさの新聞で初めて承知いたしたわけでございまして、どうした事情に基くものか、果してそれが事実であるのかどうか。どういう事情でどういう検討が県会で行われたものか、そこいらのことは影響するところが非常に大きい問題でございますので、さっそく取り調べました上でお答えを申し上げたいと思います。
○野原委員 それではすみやかに事情を御調査になった上で御答弁をお願いしたい。同時に文部当局の今後の対策についての所見も至急にこの委員会にお示し願いたいと思います。そこで私は次に質問をいたしたいと思うのでございますが、文教関係の法案は、この国会に一体どれだけ御用意になっておるのか。次から次と、きょうも何か二、三出ておるようであります。この国会には、一体どれだけの法案を御予定になっておるのか。法案の提出の期限、期日等についてもお示しを願いたいと思います。
○寺本政府委員 今期国会に文部省として提出を予定いたしております法案は、すでに御審議いただいております国立学校設置法の一部改正に関する法律のほか、危険校舎の補助金を高等学校に拡張するための法律、それから不正常授業の解消のために国家から出しております補助金を立法化するための法律、学校給食会を日本学校給食会という特殊法人にするための法律、学校給食法の一部を改正する法律、並びに博物館法の一部を改正する法律、それから私立学校の共済組合の年金の引き上げ、その他この年金関係の法律、以上でございまして、すべて準備を整えておりまして、閣議の決定も済んで、国会に提出をいたしております。
○野原委員 それ以外はもうございませんか。
○寺本政府委員 政府提案として予定いたしておるのは、以上申し上げた法案だけでございます。 なお一言申しおくれましたが、文部省設置法の一部改正がございます。これは文部省で扱います賠償関係、国際協力関係の事項を文部省設置法の中に織り込むための法案でございまして、これもすでに準備を終えておりまして、国会に提出いたしております。
○野原委員 その提出予定ですね。ただいま申しました法案の提出予定はすでに立っておるはずであります。
○寺本政府委員 全部国会に提出いたしております。
○野原委員 この委員会に上程になるのは、一つ一ついつになりますか。
○佐藤委員長 本日上程になっておりますが、文部大臣の出席がありませんので、説明を聞かない関係上、あらためて次の委員会にやりたいと思っております。御了察を願います。
○野原委員 もう一点だけ。これは小さい問題のようで、実はそうでもないので、これも答弁できる人があるのかないのか、顔を見渡したところ、どうもあぶないようでございますが、お尋ねをいたします。 それは学校の小使、いわゆる使丁ですね。使丁、小使の問題なんです。この使丁、小使につきましては、法律上どういう名称に置かれておるのか、私は存じないのでございますが、東京都では、小使というような名前は非常に封建的でいけないというところから、これを用務員と呼んでおるようであります。大阪市においては、校務員と呼んでおる。ところが地方に参りますると、やはり依然として使丁、小使というような名称で、その名前は全国区々ばらばらである。この点について、文部省としてはどういうお考えを持っておられるか、承わりたい。
○稲田政府委員 国立学校につきましては、御指摘のような方々を作業員と称しております。やはりわれわれは、ほかの公立学校等におきましても、同様な称呼が望ましいと考えております。
○野原委員 国立学校の作業員というのは、法的な名称でございますか。
○稲田政府委員 別に法律で明示せられた名称ではございません。
○野原委員 法律では、国立学校はどうなっておりますか。
○稲田政府委員 法律上称呼はございません。
○野原委員 国立学校は作業員ということであるから、そのような名称が望ましいということでありますが、これは文部当局全体のお考えであるのかどうか。単に大学学術局長の個人的な見解では困りますので、文部当局としては、使丁、小使の名称について、こういう封建的なにおいのある名称でなしに、何らかもっと適当な名前のものを全国的に統一するお考えはないかどうか承わりたい。
○稲田政府委員 事務的にそう考えておりまするが、いずれ大臣、政務次官等とも御相談いたしまして、なるべくならそういう称呼に統一いたしたいと、われわれ事務の一員としてただいま考えておるところでございます。
○野原委員 これは一つぜひ名称を変えていただきたい。なお文部次官も——これは田中次官でございますが、そのことの必要があるということを一部の者に漏らしたということも私は聞いておるのであります。作業員とするか、用務員とするか、校務員とするか、学校のいろいろな諸用件を足す人を遇するにふさわしい名前を、区々ばらばらでなしに、統一した名前を至急に文教当局によってきめてもらいたい、このことを要請いたして質問を終ります。
○佐藤委員長 河野正君。
○河野(正)委員 時間がございませんので、簡単に御質問を申し上げたいと思います。 前回の委員会におきまして、私は、東京都初め、福島、高知等に続発いたしましたワクチン禍の問題につきまして御質問いたしたのでございますが、その点につきまして非常に重大な問題が残されましたので、一言厚生省に御質問申し上げたいと思います。 御承知のように、季節的に申し上げましても、防疫という問題につきましては今後非常に重大なる事態に突入して参るのでございますし、またそういう問題をそれぞれ国民に普及徹底せしめるという意味におきましても、厚生省は、国民の非常に大きな協力を受けなければならないと私は考えております。そういう事態の中で、今回非常に多数のワクチン禍に基きますところの犠牲者が出ましたことは全く憂慮にたえないわけでございますが、そういう立場から、私は先回一、二の点につきまして厚生当局に対して御質問申し上げたのでございますけれども、やはりこういった問題の責任の在所を明確にしておくということが、今後国民に対して大きな協力を求め得るところの最も大きな条件にもなるし、また今回不幸にして犠牲をこうむりましたところのそれぞれの学校の子供たちのためにも、ぜひともその責任の在所を明らかにしておかなければならないということで御質問申し上げるわけでございます。ところが、結論的に、この責任の最終的責任というものは、薬事法でそれぞれの罰則の適用を受けられるのではなかろうかということを私は先回申し上げたのでございますが、当局の御答弁は、今度の事故を発生いたしましたところのいわゆるクローム・ワクチンは、民間で精製いたしました場合には薬事法の適用を受けるけれども、今回の場合はさようでないので、実は薬事法の適用を受けるわけには参らぬというような話があったのでございますけれども、私どもが仄聞るところによりますと、そういう厚生省の答弁と異なりまして、実は、武田薬品の山口県光工場で精製したものであるというような報道を行われておるのでございます。もしさようであるといたしますと、非常に大きく責任のあり方が異なって参るわけでございますが、この点につきまして、果して新聞の報道が誤報なのか、あるいは、当委員会においてされました御答弁が誤まりであったのか、重ねて一つこの席上で明確にしていただきたい。
○山口(正)政府委員 先般御答弁申し上げました薬事法に基いて処断云々の点でございますが、これは先般来申し上げておりましたように、昭和二十六年、二十七年に研究室内で十分検討いたしました上、二十八年から一般の希望者に接種しておる。その間万般の注意を払ってやって参ったのでございますが、今日のような発熱者を出しましたことにつきましては、まことに申しわけない事態を起したというふうに考えているわけでございます。この赤痢ワクチンは、現段階におきましては、他のコレラ・ワクチン、ペスト・ワクチンあるいは、発疹チフス・ワクチン、腸チフス・ワクチンと同じように、薬事法の適用を受ける段階にまで立ち至っていないものでございます。そういう意味で薬事法により処断ができないということを申し上げたわけでございます。そこでただいま御質問の製造の場所でございますが、これは赤痢ワクチン班の一人であります伝研の安東博士、そのほかの方々が実際に責任を持って製造に当られたわけでありますが、武田の光工場で場所と人とを借りまして、そこで作って、そうしてそのあと国立予防衛生研究所において、薬事法に基く国家検定、これはまだ薬事法に基く検定というわけには参りませんが、それと同じやり方で検定をいたしまして、安全試験、効力試験を実施いたしました上で、一般の方の接種に移したというわけでございます。
○河野(正)委員 そういたしますと、前回の委員会におきましては、今度のワクチン禍を招来いたしましたクローム・ワクチンは、国の責任において精製したというような意味で御答弁されたように私ども理解しておりますが、その点につきましては、私どもの理解が間違っておるのか、間違っておらなかったか、その点をもう一度明確にしていただきたいと思います。
○山口(正)政府委員 製造いたしまして最終的にそれを安全である、あるいは効力があるということを検定をしますのは、国立予防衛生研究所でございますので、最終的には国立予防衛生研究所、つまり国の機関である予防衛生研究所が責任を持っておるというわけであります。
○河野(正)委員 そういたしますと、最終的には国が検定したということでございますから、最終的責任は国にあるというように断定するわけでございます。ところが先ほどから申されましたように、今日ワクチン、特に赤痢ワクチンは、薬事法の適用、指定を受けておらないということでございます。そういたしますと、やはり私は法の上におきまして、若干問題が残っておるというように考えるわけでございます。今後私どもはこういった責任を明確にしておくということが、とりもなおさず国民大衆の協力を願う上において非常に大きな条件となって参るというように考えますので、薬事法の改正と申しますか、やはり国が責任を負う場合には、どこまでも法的責任を負うというような立場を考えておられるかどうか、その点を一つ御答弁願いたい。
○山口(正)政府委員 一般に医薬品はすべてそうでございますが、これは私、薬事法の所管の者でありませんので、もし間違っておりましたらあとで御訂正させていただきたいと思います。私ども今理解いたしておりますところは、一般の医薬品、このワクチンも含めまして、薬事法で指定いたします場合には一定の段階を経て、相当数の例数ができましてから、薬事法に指定するという段階をとるわけでございます。この赤痢ワクチンにつきましても、近い将来に、今回のような事件が起りましたので、その原因につきましては徹底的に究明いたさなければなりませんが、それによりまして、今後こういう事態を起す心配がないということがはっきりいたしましたならば、この赤痢ワクチンも薬事法の指定を受ける。そして今後は薬事法の規定に基いていろいろな処置を講じていくというようにしなければならないと考えております。
○河野(正)委員 ただいまの答弁を聞いておりますと、最も人道に反するものと思います。と申しますのは、今日の現段階におきましては、ワクチンの効力その他について、薬事法に規定するだけの段階に到達しておらない。それで今日の薬事法の中に、この適用を織り込むわけには参らぬというような御答弁でございますが、そういった不確実な、薬事法にも適用されないような事態の中で、何十万、何百万という学校の子供たちに、そういう不適格な予防接種を行うということは、いやしくも人命の上に立って考えた場合、非常に重大な問題があると考えます。まだ確実な段階でないので、薬事法に規定するわけにいかないという考え方で、どうして何十万、何百万の学童に対しまして、そういう不適格な予防接種をやられるのか。私どもは人道上まことに忍びないと思いますので、その点明確に御答弁願いたい。
○山口(正)政府委員 ただいま御指摘の薬事法に指定云々の問題は、私ども現在予防接種法に基いて各種の予防接種をいたしておるわけでございますが、この予防接種法に指定いたしますのと、薬事法に指定いたしますのと併行して参りたいという考えで、現在まで進んで参ったわけでございます。それでこのワクチンが非常に不安定なものであり、また不幸にして今度こういう発熱者があったことは事実でございますが、たびたび申し上げますように、二十六年、二十七年にわたって十分検討いたしまして、その後も多数の人に実施いたしまして、ちっとも事故が起ってなかったわけであります。私ども決して不安定なものをやったわけではございませんので、これは考え方でございますが、もうすでに前の段階において、薬事法に指定しておいてよかったという解釈も成り立つかと思うのでございますが、効力的に見ましても、あるいは副作用の点からいたしましても、心配ないということを確かめた上で、防疫対策の一環といたしまして、一般の方々に、これは単に学童だけではございません。それらの方々に接種を実施いたしておりましたので、決してまだ不確実なものを一般の方々にさせたというわけではないのでございます。その点先ほどの私の申し上げ方で、そういう御印象をお与えしたといたしますれば、御了承願いたいと思います。
○河野(正)委員 ただいまの御答弁を聞きまして、私は結論は一点に集約されたと思います。と申しますのは、二十六年、二十七年あるいは二十八年におきましても、このクローム・ワクチンを実施したが何ら遺憾の点がなかったということでございます。そこで私の不安定なワクチンではなかったかという質問に対しまして、ただいま明確に御答弁なさいましたように、非常に不安定なものでなく、安定したワクチンであった、かようにおっしゃいますと、こういった安定したワクチンであるにもかかわらず、今回の不祥事件が起ったということは、結論的に申し上げますならば、最終的に責任を持つ国の検定に遺憾の点があったと結論づけざるを得ない。厚生省当局はこの問題に対しまして、最終的に責任をとられるのか、その点を一つ明確に御答弁願いたい。
○山口(正)政府委員 先般の御答弁でも申し上げましたが、その検定の技術そのものに何か原因があったのかという点につきまして、先般来関係者が集まって検討いたしておるわけでございます。現在までわかりました点につきましては、この発熱を起しましたワクチンのロットは大体二種類ございます。その二種類のものにつきまして今まで実施いたしまして、何ら反応のなかった、普通の軽い程度でございますが、その軽い程度しか反応のなかったものと比較いたしまして、いろいろな記録を比較検討いたしておりますが、現在までのところその差が認められないのでございまして、さらに昨日の検討では、それではもう少しほかの方法によってその両者を比較してみようということを現在やっているわけでございます。その結果を待ちました上で、ただいま河野さんから御指摘のような点をはっきりさせたいというふうに考えているわけでございます。
○河野(正)委員 言葉を蒸し返して非常に恐縮でございますけれども、しかしながら事人命に関することでございますから、私は責任を明確にする意味におきましてもう一度質問申し上げたいと思います。と申しますのは、ただいまいろいろ御答弁なさいましたように、製造過程におきましてもあるいはまた指導方針におきましても、今日までと何ら異なるところがなかった、かようなお話しでございますし、また今日クローム・ワクチンというものはいろいろな面において安定したワクチンであるということが大前提になっているわけでございますが、そうした前提の上に立って製造過程あるいは指導方針等に何ら今までと異なったところがなかったということであったにかかわらず、やっぱり多数の犠牲者が出て参ったということは、私はしぼっていくと、結局国の検定が悪かったということにならざるを得ないと思うのです。もしそのほかに何か原因があるというふうにお考えになるなら、その原因をここではっきり示していただきたい。それを納得すればこの問題については了承しますけれども、私を納得させるような他の原因がここに明示されない限りは、やっぱり検定に責任があった。その検定は国がやったのでありますから、厚生省当局が当然責任を負うべきである、こういうように考えますので、他に原因がありますならばその原因をここで明示していただきたい。
○山口(正)政府委員 先般来河野先生から御指摘のように、ワクチンそのものに何か原因があったという可能性が非常に強いのでありまして、それが検定の場所において原因があったのか、あるいはその製造に用いますクローム——これは全然私の仮定でございまして、学者がそういうことを議論して、そういう結論があるというわけではございませんから、その点御了承願いたいと思いますが、クローム、明ばんそのものに何かあったのかというようなこと、そういう点をいろいろ検討してもらわなければならぬと思うのでございまして、従来の検定の方法で、どうして今度の原因となりましたワクチンとほかのものとの差が認められなかったかという点を現在突き進んで検討してもらっております。万一検定の場所において原因があったということになりますれば、これはやはり国として責任を感じなければならない、そういうように考えております。
○河野(正)委員 検定に問題があったならば責任をとらなければならぬということでございますが、しかし薬事法の罰則規定なんかは適用されないわけでございますから、おそらく政治的、道義的責任かもしれませんけれども、やはり国民にこういったいろいろな防疫上の問題につきまして協力願うという上におきましても、私はこの点は明確にしておかなければならぬと考えております。そういった意味で、もし検定の上におきまして問題があったというふうな事態が明確になりました暁におきましては、厚生省が具体的にどのような責任をとろうと考えておられるか、その点を明確にいたしたいと思います。そういった責任を明確にしていただくことがやっぱり国民が安心して厚生省の指示に協力するという非常に大きな条件になると私どもは考えておりますので、その点を明確にしていただきたい。
○山口(正)政府委員 具体的にどういうふうに責任を明らかにする考えであるかというお尋ねに関しましては、私ここで即答はお許し願いたいと思うのでございますが、ただいま河野先生から御指摘のように、国民の一般の方々が予防接種というものに対して今後不安を持たないようにするだけの責任ははっきりさせたい、そういうふうに考えております。
○河野(正)委員 最後に一点明確にしていただきたい点は、いろいろ伝染病その他が発生いたしまして、最終的な責任というものは今までなしくずしになっていくというふうな傾向が非常に強かったわけです。たとえば赤痢の集団感染あるいは腸チフスの集団感染というような問題が起りまして、現実に私どもがいろいろそういう問題と取り組みましても、最終的には責任がうやむやに終ってしまうというようなことが今日まで非常に多かった。そこで今後新しい科学的な施策がいろいろの行政の上において行われていくと思うのです。そういった場合に国民が新しいことに対する不安を持つということは、今後衛生行政という問題を強力に推進していく上におきましても非常に大きな障害になろう、かように考えておりますので、原因が明らかになりました暁におきましては、一つ明確に責任を負っていただきたい。その点をもう一度御答弁していただきまして私の質問を終ります。
○山口(正)政府委員 ただいま河野先生の御指摘の点を体して今後対処して参りたいと思います。
○並木委員 大学の入学試験について伺いたい。私けさ新聞を大急ぎで読んできたのですけれども、また来年の大学の入学試験は変るのですか。私が国会に来るまでずいぶん来年大学を受ける人に会いましたが、どんなに変るのでしょうかと心配しております。今度と来年と変る点をはっきり説明していただきたいと思います。
○稲田政府委員 申し上げると長くなるのですが、なるべく簡単に申し上げたいと思っております。従来の入学試験は、御承知のようにいわゆる三者総合判定と申しまして、進学適性検査と学力検査とそれから高等学校長の内申書と、この三つを総合判定することになっておったのであります。ところが進学適性検査につきましては、御承知のように高等学校側におきまして、どうも非常に練習をする、勉強をするというような弊害が認められますので、高等学校長の要請もあり、また大学長側も、そういうことならば全国画一的にこれを実施することをやめようじゃないかという建議がございまして、文部省といたしましても、昨年以来全国画一に実施することをやめたのであります。その結果として、この春ほとんどどの大学で毛進学適性検査を実施したものがなかったのであります。一面高等学校長の内申書につきましては、高等学校側からは、大学においてこれを重視するように常に希望がありまするけれども、大学側としては、非常に見にくく、利用しにくいという点が指摘されたのであります。そこで昨年文部省としては入学試験に関しまする委員会において考究いたしまして、校長のその内申書にはおよそ五つのグループにわけて、そのグループのどの辺に生徒が位置するかということを記入してもらいたいということを高等学校側に求めたのであります。しかしこれに対しましては高等学校側としては、序列、段階をつけることは高等学校教育の本旨に反するということで、相当強い反対がありましたので、その実施を一応停止することで、本年入学試験を実施いたしました。従って本年の入学試験は学力検査に依存するところが非常に大きかったのであります。ところで最近高等学校側におきましても、何とか内申書を重視する点について考慮するという動きが起って参りました。昨日文部省における入学試験の委員会におきましても、そういう点についていろいろ論議があったのでありますけれども、新聞が伝えておりまするが、別に結論に到達したわけではないのであります。この点につきましては、現在初等中等教育局におきまして、高等学校の学習指導要領を改正中でありますので、その改正の点とにらみ合って、さらにこの内申書の問題を次の機会に研究しようということで、別れたのであります。 ただいまの並木委員の御質問でございますが、まだ途中でございまして、決定はいたしておりません。しかし何らかの方法によって、この内申書をもう少し重視するような工夫をしようという方角だけは、委員会におきましてもまたわれわれにおきましても持っておるわけでございます。もう少し研究させていただきたいと思います。
○並木委員 そうすると学科の方はことしよりも来年の方が幾らか幅が狭くなるとか、むずかしさがなくなるとか、そういう点は出て参りませんか。
○稲田政府委員 その点はことし来年とも変りないのであります。御承知のように、高等学校の教育課程が三十一年度入学するものから変って参りますから、このものが卒業する時代には多少変ると思いますけれども、ここ一両年はそう非常な相違はないと思っております。
○並木委員 採点の場合、高校からの内申と学力検査との比率はどのくらいに見るのですか。
○稲田政府委員 三者を総合判定するということでありまして、機械的、算術的に何点ということは指示してないし、これはまた学校ごとにまちまちであろうと思います。
○並木委員 学校ごとにまちまちはいいのですけれども、一つの大学へ方々の高等学校から参ります。そうすると、高等学校によって内申の基準が違うんじゃないですか。ですから、その内申の違うのと、さらにその内申が全体に占める比重というものをはっきりきめておかないと支障は起りませんか。つまり一つの大学、東大なら東大ではその点は支障は起らないと思うのです。しかし東大と一橋大学と違うということになると、受ける方では非常に迷うわけです。今度東大では内申の比率がこうだ、一橋じゃこうだからどっちが得だろう、そういうことで学生、生徒の頭を悩ませるのはほんとうにかわいそうだと私は思うのです。
○稲田政府委員 内申書に関連いたしまする学校差の問題というのは、長い歴史において解決のできない問題なんでございます。結局内申書におきましては、その学校においてどの程度に位置するかということしか表明できないで、甲の学校とBの学校とのいわゆる学校差というものは、これはおよそいいことではありませんけれども、実際あったといたしましても、それは書面その他で表現することがどうも今日までできないのであります。
○並木委員 今問題になっておるのでは五段階ですか、それは何と何ですか。ああいうことが新聞に出ると、学生はずいぶん心配していますよ。
○稲田政府委員 五段階と申しますと、たとえば百人の卒業生がありますれば、その卒業生のAはその百人を五つに分けたどのグループに属するか。A、B、C、D、Eのグループのおよそどこに位置するかという程度くらいは出せるということであったのでございます。
○佐藤委員長 この際委員諸君並びに政府委員に申し上げます。過日の理事会において、委員会は週二回、午前午後を通じて行うことに決定いたしましたが、本日は委員室並びに文部大臣の都合上やむなく散会いたしますことを御了承願います。なお次会は公報をもってお知らせいたします。 午後一時三十七分散会