文教委員会 第11号
- 発言数
- 246 件
- 登壇者
- 19 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1955/05/27
会議録
○佐藤委員長 会議を開きます。学校教育に関する件外二件を一括指議題とし、前会に引き続き質疑を続行いたします。竹尾弌君。
○竹尾委員 私は、神戸商船大学に関連のあります神戸海技専門学院の、芦屋におきまする新営移転の件につきまして先般質疑を行いましたが、それに関連いたしまして、この間お尋ねしない三、四点につきまして、運輸省の船員局長さんにお尋ねを申し上げます。 まず第一に、海技専門学院というものは、戦時中に海員報国団が、海員の訓練所として建てたものでありまして、戦後は、一時海員財団というものがありまして、現在は海員財団というんですか、これに一つの所管が移ったと思いますが、現在は国有となって運輸省がこれを所管しておるというように聞いておりますが、この点につきまして、これは運輸省が所管しておるのかどうか、あるいは海員財団との関係についてまずお尋ねを申し上げたいと思います。
○武田政府委員 ただいまお話のございました、現在芦屋の海技専門学院が使用しております土地、校舎、寄宿舎の施設は、国有財産となっておりまして、大蔵省の所管でございますが、大蔵省から運輸省に対しまして、これらの土地その他の施設の管理につきましては委託を受けております。これをさらに財団法人海員会館に対しまして無償貸付をいたしております。海技専門学院は、さらにその土地その他の施設を無償で海員会館から契約によりまして借りてこれを使用しておる状況でございます。
○竹尾委員 これは海員会館と申すのでございますか、あるいは海員財団、どちらでございますか。
○武田政府委員 海員会館でございます。
○竹尾委員 それでこのいろいろの施設その他というものは、結局将来これは民間に移るような性質のものではないでしょうか。
○武田政府委員 海員会館へ貸付をいたしておりますそれらの施設につきましては、無償で払い下げを受けたいという要望があるようでございますが、この点につきましては、大蔵省の意向もございますし、現在国が使っております土地並びに施設につきましては、将来、一般的な施設、土地につきまして、そういう要望に沿うようなことがかりにあったとしても、芦屋のこれらの施設を除外するかどうか、それらの点については、今のところ政府として方針が決定しておりません。
○竹尾委員 それではその点はその程度にしておきます。これらの芦屋の施設でございますが、これは学生の寮とした場合に——現在学生寮になっておるようですが、学生は三百名くらいは収容力があるというふうに私は聞いております。現に昭和二十八年には、神戸商船大学の施設と整備がおくれましたために、大学の学生が約二百四十名ばかりと、学院の学生が八十名くらい同時にここに収容されて、深江まで通学しておった。こういう例が現にございまするので、この芦屋の施設並びに設備というものは、学生の寮として三百名くらいは優に収容ができる、こういうふうに思われまするが、その点いかがでございましょうか。
○武田政府委員 その通りでございます。
○竹尾委員 そこでこの海技専門学院の学生は定員は三百名かでございますが、今年の春四月に百五十何名か入学いたしまして、そのうちの一部分は、この間もお尋ねいたしましたが、通学を許可されておりますので、現在は百二十名程度が寮に入っております。こういうような実情でありまして、残りの施設を教室と学院長の部屋を初め、その他一切の事務室等々に使用いたしまして、何ら支障がないというのが私、現状だと思っております。そこでこれは先日文部省の大学局長か、船員局長さんか、ちょっと忘れましたが、施設が狭いからという理由で新営をするというような理由にはならないと思うのです。そこで現在の芦屋における施設備で、現在程度の学生は十分収容ができるのだ、こういうふうに考えられるのですけれども、その点一つ伺いたいと思います。
○武田政府委員 ごもっともな御質問と存じます。ただ海技専門学院は学級が非常に多うございまして、特修科で申しますと、甲長科以下乙一科まで十二学級ございます。それから通信教育が八学級ございます。そういう状況でございまして、これに応ずるため必要な教室等の設備を施設しなければならないのでございますが、この特修科の今年度当初の入学志望者は、定員の約八割以上でございましたが、海技免状取得能力を勘案しまして厳選した結果、五割余りが入学を許可されました。船員需給の面から検討しまして、この程度の実数は最低限度と考えております。今後需給状況をにらみ合せまして、対策といたしまして、船主側の積極的な協力、あるいは必要によりましては、学資金の負担軽減その他必要なる措置を考究いたしまして、計画養成を推進して参りたいという考えでございます。
○竹尾委員 今船員局長さんの御説明のような線で進んで参るといたしましたならば、現在の施設、設備では、少し狭隘である、こういうような結論になろうかと思いますけれども、そうでございましょうか。
○武田政府委員 今後の計画養成に照らし合せまして、現在の設備でほぼまかない得るものと考えております。
○竹尾委員 この海技専門学院の職員の定数というのは、七十九名でございましょうか、その程度であると思いますが、そのうちで事務の職員が四十二名、それから教官の定員が三十七名、そこで問題になりますのは、教官の定員の中で、通信の教育に従事している教官が相当多いと思うのです。そこで船員の再教育のための本来の授業というものは、これは神戸の商船大学の教官に相当協力をしてもらわぬとできない。こういう実情にあるわけであって、そのために海技専門学院は、現在深江の大学の施設の七教室というのを使っておるわけでございます。一週間の中で授業の割合は、神戸の方の大学に行く方が六で、芦屋でやっているのが四くらいでないかと思うのです。そういう実情にありますので、芦屋の教室は、むしろどっちかといえば不要だということになると、ちょっと極言かもしれませんが、教室を使う度合いは、深江の商船大学の方が多いのでありまして、これは全部深江に通学をさせれば、授業は深江で支障なくできる。こういうような結論になるんじゃないかと思いますけれども、その点いかがでございましょうか。
○富田説明員 その点につきましては、クラスによりまして深江の方へ行く率が違っておりまして、四分六というのは一番多いクラスでございまして、二〇%くらいしか行かないクラスもございます。これは現在一つの試みとしてやっておるのでありまして、将来ともこういう体制で行くかどうかということは、なお大学と学院との協議によってきめていきたいと思っております。
○竹尾委員 そこで私のお尋ねしたい主要な点は、通信教育を非常に熱心にやつておられるので、その方に学院の教授の人が精力をとられており、実際の本来の再教育というのは、大学の方で現在もやつておるのだし、将来もそういう線で進まざるを得ないのじゃないか、こういうふうに思われるのですが、もう一度その点お伺いいたしたいと思います。
○富田説明員 その点はまだ十分検討されておりませんけれども、いずれにしても特修科、通信教育両方とも、今後ともますます現在以上に振興されなければならない。こう存じております。
○竹尾委員 そこで学生寮の問題なんですけれども、私は、やはり学生の寮は芦屋にまとめて、そして教育を受ける校舎の方は、やはり深江の方にまとめた方がよろしい、こういう気持は今も少しも変っておらないのです。学生寮というものは、これは校舎よりも離れていた方がいいのでありまして、現在、神戸の大学の寮の方も、大学から約十分間程度の距離に設置されておりまするし、芦屋の方も、通学の時間は大学まで約二十分くらいしかかかっておらない。そういう距離にありますので、そういう距離に学生寮があって、そうして大学と一緒の場所で教育を受けるということが、理想的でもあるし、また理想通り一部分実現されておる、こういう実情なんです。それをらさに強化するために、せっかく二千何百万円かの予算を取れるのでありますから、そういう予算を深江において消化をしていただきたい。そうした方がよろしいのじゃないか、こういう考えを、私は今でも強く持っておるんですけれども、その点もう一度御答弁願います。
○武田政府委員 さような考え方もあろうと存じますが、私どもの考えといたしましては、二十四時間教育を実施いたしまするためには、同一構内に校舎、寄宿舎、庁舎を確保することが、教育の徹底が期せられるんじゃないか、かように考えております。今度新営をいたしまする施設の中には、図書閲覧室等も設けてございます。夜もそういうところに行って勉強するというふうに、同一構内にすべての施設を一括確保するということが、教育効果を上げる上において適切であり、必要であると考えておる次第であります。
○竹尾委員 そこでいろいろ御意見でございますけれども、私はやはりいろいろの意味において深江において——二十四時間教育というようなこともありますけれども、理想といたしましては、大学の所在地に海技専門学院の校舎も建てるということが一番よろしいと私は思っております。これは私の意見でございます。そこでその点は見解の相違になりますからあまりお尋ねいたしません。 次に移りますが、この海技専門学院は、昭和二十九年度の予算で、前申し上げました学生寮を解消いたしまして、学院の本部をそこに移したのでありますが、現在でも学院の教官の約半数というものは、御承知のように大学の研究室を使用しておるのです。その理由は、大学の中の学問的な雰囲気の中にあって、大学の教官と共同の研究をするし、また大学の図書館を共用できますので、船員の教育のその内容ができますのでありますが、船員教育というのは今おっしゃられた通り非常に内容が多岐にわたっておりまして、多数の専門の教官を必要としておるにもかかわらず、大学も、学院も、教官の定員が少い。そういうところでは、より一層この協力態勢を強くするという必要があると思うのです。このため学院の本部の建物、教官の研究室が必要であるというのでありますならば、大学の近くにこの新築、新営をいたしますれば、今申し上げましたいろいろの点において非常によろしくなるし、不便があれば、その不便が除かれて最もよい、こういう主張を私重ねてするのでございますが、その点もう一度御答弁をお願いしたいと思います。
○武田政府委員 海技専門学院の教育の方法というものは、大学の教育の方法と性格を異にすると考えております。従いまして研究の項目、題材といったものも、おのずとそこに差別があるわけでございまして、これがために海技専門学院の教官が、同じところにおって、互いに研究を協力し合うということに進んで参りたいと思うのでありますが、これに必要な施設につきましては、このたびの計画でほぼまかない得るのではないかと考えておりますが、しかしお話のように、さらに大学の教官の方と共同に研究すべき問題も、もちろんありますので、それらの点につきましては、今後文部省なり、大学等とよく協議をいたしまして、従来通り緊密な協力態勢を維持し、これをこわさないようにいたしたいと考えております。
○竹尾委員 そういう意味から、やはり同じところで、大学と協力をしてやるということが、これは理想でなくも、現実的にそういうことが一番よろしい、こういう工合に私は重ねて強く主張いたすのでございます。専門学院の方では、再教育の学生と、大学の本来の学生というのは、年令その他環境によって違うから、専門学院の学生は別に教育した方がよろしい、こういうような意見を持っておられるようですが、それはどうもわれわれには納得のいかぬことでございまして、いずれ卒業した者は、同じ船の中で、運命をともにして生活をしなくちゃならぬ、こういうことになるのでございまして、そういう意味から、同一の教官によって教育、指導せられて、在学当時からいろいろ励まし合い、あるいは親しみ合うということが、将来の船の中の融和、船の中の指導、それから船舶の運営、能率の増進というようなために、ぜひこれは必要なことでございまして、そういう観点からも、私は、同じ所で教育を受けるということが最も必要である、こういうふうに思います。御承知のように、昭和二十七年に大学が開催せられて以来きょうまで、学生の間に一つのトラブルも何も起っておらない。しかも教育の効果を上げてきておる。こういう実情なんでございまして、それにもかかわらず運輸当局は、二つの学生、大学の学生と海技専門学院の学生の年令や生活環境が違うから、再教育と大学教育は分離して行わなくちゃならぬ。そういうような説をなしておると見られるのですけれども、そういう点では、私は納得がいきません。これは学生のときから一緒に教育されて、相ともに親しみ、融和していくことが一番必要なので、そういう意味合いからも同じ所でやることが一番よろしい、こういうふうに考えられるのです。今船員局長さんの相協力するということを具体化するということになれば、当然校舎というものは大学に近いところに建てるのが本来である。こういう工合に考えておるのですが、その点もう一度御答弁願います。
○武田政府委員 この海技専門学院の教官の方の研究と申しますのは、再教育という特殊な教育をやるに必要な研究を主眼といたしますわけで、従いまして基礎教育をやるに必要な研究といささかその間に異なる点があると思います。またわれわれといたしましても、そういう再教育というものに特殊な教育方法をどうやったらいいかということに身を打ち込んでやっていただくことを希望しておるわけでございます。ただお話のように大学と海技専門学院と両方で共通に研究してもよいような事柄につきましては、従来通り協力態勢をとる具体的な措置を講じたいと考えております。 なお現在まで同一箇所にあって教育をやってきたので、いろいろ教育の実施管理上支障があったという点につきましては、教育の実施を担当しておりまする学院当局から切実な要望があったのでございますが、なおこの点につきましては、教育課長から補足して御説明申し上げます。
○富田説明員 竹尾先生のお尋ねの点、これは学生の質が違うという点でございますが、それによって生ずるトラブルの実例が今までないという仰せでございますが、現象としては現われておらぬと思いますが、しかし海技専門学院の学生の方は出身が実地出身者、あるいは中等商船の出身者でありますから、心理的には非常に何かひがみを持ちがちでございます。そういう点がだいぶ深刻なように見受けられます。それから今とろうとしておるような策につきまして、今後海技専門学院としての学風が確立される。それによっておのずからここに学ぶ学生の気持も落ちついて、教育効果が十分上ってくる、こういう工合に存じております。
○佐藤委員長 竹尾委員にちょっとお願いしたいのですが、あとで運輸大臣を呼んでおるので来られるそうです。そして辻原君からも質問がありますが、今文部大臣が見えましたから、一応山崎始男君の質問が残っておりますので、それを先にやらさしてもらいたいと思いますが、御了承願えませんか……。
○竹尾委員 いや、これは非常に大事なことなので……
○佐藤委員長 ちょっと速記をやめて。 〔速記中止〕
○佐藤委員長 速記を始めて下さい。
○竹尾委員 そこで、今の教育課長さんのお話よくわかるのですが、そういうようなことでありますと、そういう気持があるからかえってこれは一緒にやった方がいいのじゃないか。お説の通り今再教育の学生は中等程度の商船学校を出た人が多い、しかも学生になってくるという人たちは、非常にまじめな学問の好きな、将来大いに勉強したい、こういう人が多いと思います。中には一等航海士から一等機関士、あるいは船長さんというような方もおるのでございましょうけれども、そういう人の非常にまじめな態度を、新しい商船大学の学生に見させるということは非常に大事なことであるし、またあべこべにひがみというような気持があるからやはり勉強したいのですから、そういうところを相融和して互いにやるというような点に、かえってこれは一緒に——どうせ船底一枚下は地獄の生活をするのですから、融和させるという意味からもこれは一緒の所で、ないところをお互いに見せ合って、教育の実を上げるということが私は一番いいことである。こういうような考え方から、やはり一緒にした方がよろしいだろう、こういう意見なのでございます。その点がどうも皆さんとわれわれの違うところなので、そういう点があるから、私はやはり校舎は大学の方に近い所に建てて、そしてそういう再教育の学生と本来の学生が一緒になって、ともに苦しみ、ともに楽しむということが一番よろしい、こういうふうに思うのです。そしてこれは昨年の五月か六月のころに、この海技専門学院をどうするかということで、伊藤海技専門学院院長さんが会議を開いたことがあるということが記憶にあるのですが、そのときは専門学院の方も深江に建ててよろしいのだというような現地の声が非常に強かったと聞いておる。それでよろしい、深江でけっこうなんだ。ところが本省にやってくると、それじゃ困る。もし深江に校舎を建てるようなことがあれば——これはうそかほんとか知りませんが、お尋ねするんですよ。予算化しない、予算を運輸省はやらない、芦屋に建てればやるのだ。こういうことでやむを得ずに伊藤院長は芦屋説に賛成したのだというようなことを私は聞いております。これは聞いておるのじゃなくて、事実だと思うんだ。あなたの方にお尋ねすれば、そんなことはございませんと答弁するに間違いないからしょうがないのだけれども、そういう説であった。こういうことなのですが、念のためにお尋ねいたしますが、そういうことがございましたか。
○武田政府委員 私の知っております限りでは、むしろ伊藤院長から、この際ぜひこういうような予算措置を講じてもらいたい。こういう実情だからぜひそうしてもらいたいということを私のところへいろいろ実情を説明して申し出があったのであります。そういう意見も参考にし、またこういう現地から要望があったからということで、船員教育審議会を開いたようなわけであります。
○竹尾委員 現地では伊藤院長を初め教授の人たちも学生の気持も、深江に建てて大学と相協力してやっていきたいという声があったんだ、その声をもたらして運輸省に来ましたところが、それでは運輸省で予算化しない、予算を出さない、芦屋に建てれば出すということであったから、芦屋の方にやむを得ず賛成せざるを得なかった。こういうことを聞いておるのです。それでは文部省にそのうちに全部深江に建てる校舎やなんかみんなとられてしまう。そういうことは非常に危険だから、これは芦屋に持っていくんだ、こういう気持であったというんですが、ところが文部省の方では、この施設を絶対に運輸省からとるなんという気持はないはずだし、大学設立の当時も、専門学院は運輸省の所管として残しておくということであったので、そういう心配は一つもないわけなんです。おそらく運輸省がこだわっておるといたしますれば、その点じゃないかと思うんです。そういう疑いは一つもございません。大学当局にもう一度——私は局長にお尋ねしてもいいんですが、運輸省の方では何か深江に持っていくと、そのうちに何とかの理由で全部とられてしまやせぬかという、疑心暗鬼を生じているんじゃないかと思うんですが、そういう心配は一つもないんです。ないから今私が申し上げたように、これはいろいろの観点から考えたけれども、そのまま校舎は深江に持っていって、寮の方は芦屋に全部集める。これが一番理想的なものであると私は主張もいたしまするし、また当然そうあるべきだと思うのです。同じことを何回か尋ねるようですが、もう一度その点を確かめて、あと質問者がたくさんあるようですから、私はこの辺で御遠慮申し上げたいと思います。
○武田政府委員 ただいま申し上げましたように、船員局長といたしましては現地の学院長じきじきに非常に熱心なお話を承わりまして、運輸省独自の独断的な措置ではいかがと考えまして、船員教育審議会の専門家の意見を伺いました。その答申の線に沿って措置を講じたいと思っております。
○佐藤委員長 これに関連して、辻原弘市君。
○辻原委員 だんだんとこの問題についての運輸省の御意見を承わって、ややわかってきた点もあるんですが、なおわからないこともありますので、一つお伺いをしておきたいと思います。その前にこの船員教育の問題を取り上げまして、そして今度の海技専門学院と商船大学の新築、造営に関する問題に対して、われわれ意見を述べていることは、決して海技専門学院あるいは商船大学という個々の学校のいろんな利害関係の問題で、私たちが考えているんではないということは、一つよく考えてもらいたいと思うのであります。問題は非常な最近の事故頻発にもかんがみて、特に船員の教育という問題、これはまあ従来から重視しなければなりませんが、さらにこの欠陥を是正して、その資質向上に当らなければならぬという立場において、どうした方がより再教育なり、あるいは新人教育について効果を上げることができるかという観点で、私たちはいろいろただす点はただし、意見を申し上げる点は意見を申し上げておりますので、一つ誤解のないようにお聞きを願いたいと思います。 そこで竹尾さんからもいろいろ詳細にわたって御質問があったのでありますが、まだ私がわかりまんのは、一体海技専門学院の教育目的というものをどこにおいておられるのか、この点抽象的にわたるのでありますが、どうも判然といたしません。再教育をやる、その再教育の中でどういうふうな新人教育と違った教育をおやりになろうとしておるのか、その点についての運輸省の考えをこの機会に明らかにしておきたいと思います。
○武田政府委員 海技専門学院を置きました目的とするところは、海員免状にはいろいろの職種がございますが、各職種の各階級に応ずる船員の養成、これを目的とする。御承知のように、船舶内で勉強をしまして、さらに上級の資格をとるということは実際上非常に困難でございまして、これがためには船を上って、一定期間勉強をするということが必要な現状でございまして、これがために必要な再教育の実施をいたしたい。なお御指摘のように、海難事故頻発の状況にございますので、新しい技術、知識を取得せしめることに合せて、従来の知識、技術というものをさらに繰り返してみがきをかけるという点も、教育の目的といたしております。
○辻原委員 再教育の目的とか、これがためにとかいう言葉を言われたのでありますが、平たく言い直してみると、一つは上級免許状を取得するための教育を実施するというのが一つの目的、今一つは、社会的諸情勢に即応するための新しい知識、新しい技術、こういうものを向上させるための目的、そのために再教育をやるというのが、これが海技専門学院の教育目的であると今、私は承わったわけでありまして、当然だと思うのでありますが、その場合にやや掘り下げて、お伺いいたしますが、その上級免状を取得する教育、すなわち国家試験をパスし得るに足る、それだけの素質というものを与えていく。片一方、商船大学の教育を見ると、商船大学はそれ自体の教育の中で、いわゆる国家試験を要しないで、最高の船長免状を獲得しようとする。とすればそこに海技専門学院のいわゆる教育目的というものも、国家試験を受けさせるんだけれども、その国家試験をパスし得るだけの養成の内容を持った教育ということになれば、当然大学でやっておるそれだけのいわゆる資質内容というものを、その再教育の中で完成させていかなくちゃならぬということに、私は落ちついていくんじゃないかと思うのです。同時にいま一つの目的であるいわゆる社会情勢に即応する、あるいは一般教育あるいは技術教育というものをやっていこうとするならば、これまたむしろ商船大学において設備されている現在のその教育内容より以上に高次の、あるいはより以上に海運界の要請に従った必要なものを備えなければならぬということであるわけでありますから、従って私は海技専門学院というものと商船大学の教育内容を考えてみれば、そこにわれわれが当然要請しなければならぬものは、絶対に大学教育に比して劣らない、それだけの教科目ないしは教授内容、こういうものが必然的にそこに行われなければならぬということに帰着すると思うんです。それは間違いございませんね。
○富田説明員 御指摘のように、再教育の目的とするところと、大学の新人教育の目的とするところと通ずる点もございます。しかし現在の商船大学の教育においては、船長免状が無試験でもらえるというような制度になっておりませんで、卒業と同時に甲種二等機関士、航海士の免状は、試験を受けるようになりました。それから順次免状を取ることになりますが、大学の教育は、免状を取ろうという目標を端的に指向しておりません。将来伸び得る素地を作るということが目的のように存じております。
○辻原委員 実態論は別の機会にいたします。再教育の中で、私は二つの教育目的を現実の面から指摘をしたのでありますが、これは決してあなた方も否定なさるまいと思います。そういたしますると、やはり第一に大学教育に比較して劣ってはならない施設内容、教育内容を持っておるということは、これは当然であります。そこで一つお伺いをするわけでありますが、そうした場合に、学院の方は、そういった目的の再教育ということが主眼であります。その再教育の中で、今度は教官を置くことを考えてみた場合に、何を重点に置いていくかといえば、一応一般教養その他についてはある程度の段階はあるが、当然その資格を持った人たちがそこえ入ってきて、再教育を受けるということであります。ここに当然その技術教育を十分に研修し得るに足る一つの施設内容を持っていなければならぬ。これは私は当然だと思う。そうするとここで今一度にこれを設けるということになりました場合に、将来にわたってそうした一つのいわゆる実験、実習というものをどう取り扱っていくかということが、私は少くとも今日考えておかなければならぬ問題だと考えるわけであります。二十七年以来発足して、今日に至るまでの大学教育を見てみますると、それにまた同一の立場で教育をやってきました学院の教育の現状を見てみましても、実験、実習等には少からざる経費を投じて、また相当な施設を持っていることはこれは事実であります。機関科の一つの実習教室にいたしましても、実験器具にしても、私の調べた範囲によると、十三種類のいわゆる実験、実習教室というものを必要としております。航海科もそれに即応いたしましてそういうことになりますると、ここでただ一般理論、一般教養を修得せしめるそうした教室だけを準備いたしましても、それで船員再教育はもって足れりということは、とうてい言えない。従って今一般教室だけを分離して建てるというお考えがある以上、これは将来にわたって、そういう教育を最も効率的ならしめるためには、当然一般教養を与える場所において、それだけの実験、実習施設を完備していくということが、より再教育を高める道であると私は思うのです。しかし目下のところは、その点については今までお聞きした範囲では、依然として深江のそうしたものを使用するんだから、決して分離しても、その施設を持っていくんじやないから、心配は要らないという御説明であるわけであります。それに相違ないとすれば、どうもそこらに私どもとしてはもう一つ納得のいかぬ点がある。強く申し上げるならば、ここにいろんな理由から、新しくそこに動員されるということになれば、同時に将来一般教科目と同じように、実験、実習を伴う施設についてこれを顧慮されていくということが、私は至当ではないかと思うのです。それらについては何らお考えなさっていないのかどうか。この点をこの機会にお尋ねしておきます。
○富田説明員 その点は御説明ごもっともと存じます。ただ現在の段階においては、共用し得るものは、当然今後とも共用していく。ただし大学の方ではいらぬが、海技専門学院の方でどうしてもこういうものがなければ困るというようなものについては、作らなければならぬを思っております。
○辻原委員 最後のところをもう一回。
○富田説明員 大学の方ではいらぬけれども、再教育の方では、どうしてもいるというような施設の要望が出て参りますれば、これは措置しなければならぬ、こう存じております。
○辻原委員 わかりました。それで…。
○佐藤委員長 辻原君にちょっと申し上げますが、まだ首藤君の発言通告もありますし、大臣が来ておられますし、時間もありませんから、最後に一つお願いいたします。
○辻原委員 この問題は断片的にやっておったんでは問題がわからないわけで、この審議の方法を別途にするならばなんですが、ちょっと速記をやめて……。
○佐藤委員長 ちょっと速記をやめて下さい。 〔速記中止〕
○佐藤委員長 速記を始めて下さい。 首藤新八君の質問を許します。
○首藤委員 私はただいま議題になっております商船大学並びに海技専門学院の問題については、格別の関心を持っておるのでありますが、ここに運輸省当局の方に質問いたしたいと考えます。それは今日まで大学と学院の方が、何ら支障のない教育が同一のところにおいて行われておったにもかかわらず、何がゆえに芦屋の方に新設されなければならないか、この理由を了解するのに非常に苦しんでおるのであります。従ってこの問題についていろいろ関係者に質問いたしたのでありまするが、この答弁を聞きますると、運動場が狭く学院の方で使用するのに不便を感じておるへもう一つは暑中休暇が、大学の方は四十日であるのにかかわらず、学院の方は三十日であって、大学生が暑中休暇で帰郷した後になおかつ学院の方は授業を続けなければならぬ、こういう面で精神的にもはなはだおもしろくない影響を与えるということでありまして、かような全くとるに足りない根拠によって、今日の財政困難の場合にわざわざそういう面に多額の経費を消費するということは、一つの国費の乱費ではないかというような気持がいたしておるのであります。今日までの質疑応答によりまして、さらに運輸省の政府委員としては他にいろいろ事情を申し述べたと思いまするが、しかしながら今の大学はその設備も校舎も全部学院が使っておったのであります。そうしてあなた方が考えられて何ら遺憾のない教育が施されておるのであります。この点だけから考えましても、何がために芦屋に持っていかなければならないか、ただいま私が申し上げた運動場あるいは暑中休暇の問題等々以外にさらに理由がありまするなば、それを一つお尋ねいたしたい、かように思うわけであります。
○富田説明員 その点につきましてはいろいろ理由がございますが、第一に大学の学年進行に伴いまする施設の狭隘ということがあげられます。それからこれは本質的な問題になりますが、今まで支障がなかったとおっしゃいますが、実は再教育、新人教育の相違という点がやはり根本的に考えられなければいけない、そのために再教育の効果をより一そう上げる上からも、海技専門学院がここに学ぶ学生のよりどころとなるようなしっかりした学風、基礎というものを打ち立てたいというような、大ざっぱに言いますと二つの理由でこれを使うことにいたしたのであります。
○首藤委員 学院としての学風を打ち立てたいということは一応了承できまするが、学院はすでに二十三年ごろからできておったのであって、大学は二十七年にできたのであります。従って学院の方の気風を作るということでありまするならば、すでに二十三年以来できていなければならぬと私は考える。今さら大学ができたことによって新しく学風を作るというようなことは考えられぬことでありまして、かような理由を皆様方が言われることは、それは一つの論弁だと思います。同時に私たちは大学を設置いたしまする場合に、あるいは学院の方が将来合併されるかもしれないという不安を持つかもしれない点を配慮いたして、当時山口船員局長との間に絶対に合併しない、学院が存在する限りは両方とも並立していくという固い約束をいたしておるのであります。従ってその点は大学の方もよく了解しており、また学院の方も了解しておると私は考えておったのであります。というのは、本質的に申し上げますれば教育の目的は同じであります。あなた方はいろいろな御意見があるかもしれませんけれども、常識的に考えて、この大学と海技専門学院の教育の目的が異なるということは考えられない。むしろその性格からいいますれば、海技専門学院の方は付属的な形式でやった方がいいのじやないかというふうに考えられるほど教育の内容は同じであります。それにもかかわらず将来合併しないというお約束をいたしたということは、海技専門学院の再教育はすでに峠を越しておる。現在の状態を見ますると、三百名の定員に対して現在百五十四人よりほか入っていないではないですか。もう一つは通信教育の方でありますが、それは四百名の定員に対してたった二十人ではありませんか。そうしてその入学者あるいは通信教授を受ける方は最近年々減っておるではありませんか。私たちは減るのが当りまえだと思う。この大学を出た方がだんだんふえるに従って、再教育を受ける方がなくなる時期はおそらくあまり遠くないと思う。そういう点から考えてもここに新しく多額の国費を投じて、そして別個に教育機関を作るという根拠はごうまつもないと私は考えるのですが、それでもなおかつはっきりと説明できる理由がありますか。
○武田政府委員 御意見のような同じ船員教育機関であるから同一個所において教育する方が効果も上り、また財政的にも適切なものではないかという考え方、確かにそういう考え方はもっともと存じます。ただ先ほど教育課長が申しましたように同じ船員教育機関ではあるけれども、その教育の目的、性格を異にするという点から考えまして、再教育機関を付属的機関にすることなく、大学教育と再教育というものが相互に自主性を持ち、おのおの特殊性を理解しながら相協力していくということが必要ではないかと考えておるのでありまして、その自主性を確立するためにこういう措置を講じた方がいいのではないかということは、運輸省の考えのみならず、船員教育審議会の答申にもあるわけであります。そうして現在確かにお話のように定員に対して五割余の実在員でございます。しかし私どもの方では、この実在員は船員自体の面その他海運界の情勢から見まして、今が最低限度であると考えておりまして、今後は船主側の積極的な協力その他必要な措置を講じまして、むしろこれを強化すべきである。船員の質の向上、海難事故の防止、船舶運航能率の増進ということが現在の海運界に課せられた一つの使命でございますので、むしろこれを強化して参りたい、かように考えておるわけでございます。
○首藤委員 教育の向上、内容の強化という御趣旨ははなはだけっこうでありまするが、これは現在のままで十二分に目的を達しておるではありませんか。むしろ私たちは、あなた方が今回要請しておりまする予算をさようなむだのところに使わずして、学校の内容、設備の改善その他にこれを使用して、そうして教育本来の目的を、より以上達せられるような方向に協力されることがほんとうの姿ではないかと考える。それにもかかわらずわざわざこれを別個にするということになれば、やはりこの大学の方も内容が悪化してくる、そうして学院の方も今よりもむしろ内容が悪くなってきはせぬか、これを私は憂えるのであります。むしろさような予算があるならば、これを集中して、よりりつぱな内容のものを作り、よりりつぱな教育の向上をはかるという点にこの国費を使用すべきであって、弱体化するような方向に国費を使うということは、先ほど申し上げたように、これは乱費と申し上げても過言でないと私は思う。結論的に申し上げますれば、どなたから聞いてもほんとうに納得のいく理由がないのであります。それにもかかわらず、なおかつかようなことをおやりになるということは、せんじ詰めればセクショナリズム——先ほど申し上げたように、私たちは将来とも絶対に合併しないというお約束をしておりますが、学院当局は、ともすれば、近い将来合併されやせぬか、あるいはこれが付属的な形になりやせぬか、そういう点をおそれて、それがためにあなたの方にこういう新しい別個の校舎建築を申請した、これがほんとうの真相だと私は考える。なぜならば、あなた方が今まで言われた理由がもし非常に強いものであるならば、大学を設置する場合にそういう意見が出なければならない。ところが大学を設置する場合は、学院の方は一人残らず非常に強くこの設置を要望された。それに動かされて私たちも協力したのです。従ってその後、客観情勢が変った、あるいはまた教育の内容が変ったとかいうならばともかくでありますが、その後客観情勢にも何ら異常がないのであります。教育の内容にも何ら変りはないのであります。しかも大学の現状、内容は、まだまだ国費を投じてりっぱなものにしなければならぬという段階にあるけれども、なかなかその予算が獲得できないということで困難をいたしております現状から考えても、せっかくあなたの方が予算をとったならば、これを集中するという方向に向うのが良心的な対策だと私は考えるのでありますが、なおかつあなた方は別個にしなければならぬという御意見を持ちますかどうか、御所見をお聞きしたい。
○武田政府委員 大学ができた当時は、海技専門学院の方も一緒の場所である方がいいというお考えだったという点につきましては、私存じなかったのでありますが、学院当局がその後教育を実施して参りまして、やはりこれでは困るという要望がございまして、その要望につきましていろいろ検討いたし、各方面の意見を聞いて今度の措置を考えたわけでございます。私の方といたしましては、船員教育審議会の線に沿って措置をいたしたいという考えを持っておる次第でございます。なお、大学側の方が弱体化するというような御心配の点につきましては、私の方としましても、もちろん船員教育校舎の整備に関しては協力すべきものと考えておりまして、文部当局と協議の上、努力をいたしたいと考えております。
○首藤委員 現に大学を設置する場合には、定員は百六十名以上必要といたしております。ところが学院ともで十人を減少して百五十人の定員になっております。従ってその足りない分は兼務の形でされていると思います。従って、もしこの際分離するということになりますれば、当然教授の面においてそれだけの欠陥を生じてくることは議論の余地がないのであります。あなたの方の新しい校舎に属する設計書を拝見いたしますと、本校、教室、実験工場、燃料庫、車庫等々で大よそ七千五百二十三万五千円という計画を立てておるようであります。本年度の二千三百何ぼの予算はその一部でありまして、これがかりに成立いたしましても、さらに継続事業として今後多額の国費をこれに投じなければ完成できないのではないかというふうに考えるのであります。さようなことで、私は二重投資をする必要はないと考える。それも教育の内容が違っておるとか、あるいは目的が違うというならこれは別個の考え方もできますが、全く同じ教育をするのに対して、しかも今日まで同じところでやっておったものを、わずか二キロか三キロのところに別個にやる、私はこれほど国費の乱費はないと思うのであります。しかも大学の方にも、あなたの方の希望される校舎の新築できる場所が十二分にあるのでありますから、やはりここへ建築されて、せっかくの予算はそういう内容の充実等に使用されることが一番好ましい教育方針ではないかと考えるのであります。従って、今日までのところ、遺憾ながら、ほとんど常識的に、よくもこんなことでさような計画をやるというふうにしか考えられないほどあなたの言われることは噴飯ものであります。さようなことで貴重な国費を乱費することはもってのほかだと私は考えます。従って、先ほど来申し上げたように、結局セクショナリズムである。さような小さいことにこだわることはおやめになって、ここで虚心たんかいに教育の内容充実、向上という点に重点を置いた考え方に変えることを私は希望いたしておきます。
○佐藤委員長 山崎始男君から質問を要望されております。今、国鉄の新総裁は来られませんで、運輸省から植田純一監督局長、国鉄営業局長の唐沢勲氏が来ておられます。
○山崎(始)委員 緒方局長に先にお尋ねいたします。過日修学旅行に関する通達をお出しになってから、都道府県教育委員会がそれに基いてどういうふうな措置をしているか、全部お集めになることは時間的に無理だろうと思いますが、どういうふうな措置をやったか御調査になっていらっしやると思いますので、その点一っお伺いしたい。
○緒方政府委員 通達を出しましたあと各県の教育委員会から、今お話のございましたように全部報告がきているわけではありません。しかし報告をよこしているところもあります。これは、あの通達を各学校に急速に徹底さして、あれに書いてありますような事項の徹底を十分はかったということであります。特にこれから出かける修学旅行につきまして、その計画の内容に無理がないようにという点に主眼を置いて、さらに各学校の再検討を促す、そういう指導をしておる、こういう旨の報告でございます。
○山崎(始)委員 都道府県教育委員会が指導したその種類といいますか、どういうふうな指導をしたか、あるいは厳重にこういうふうに通達を出した、あるいはこうしたとかいうその内容はわかりませんか。
○緒方政府委員 これは書面で各学校に、さらに各学校ないし県の教育委員会から管内の市町村の教育委員会に対して書面を流し、あるいはまたその参集を求めてあの趣旨の徹底をはかる、こういう方法があるわけであります。まあ全体にどういうことかということははっきりまとめては申し上げられませんけれども、実情に即しまして趣旨の徹底をはかっておる、こういうことであろうと考えます。
○山崎(始)委員 非常に抽象的でよくわからないのですが、実はその内容が私は問題だと思うのです。その前に一つ文部大臣にお尋ねいたしますが、紫雲丸事件の直後、修学旅行に関する研究協議会というものを作る、そして新しい基準をお作りになるというお話でございましたが、その後かなり日がたっておりますから、その具体的なものはどのように今でき上っておりますか。一つその様子をお知らせ願いたい。
○松村国務大臣 その後諮問をいたすべき各種の人選等も大体終りまして、来月初旬その会議を開きまして意見を求め根本の検討をいたしたい、こういうふうに段取りをいたしております。
○山崎(始)委員 来月初旬にもうその協議会が開かれる段階になっているということを聞きまして、私は非常にうれしく思うのでありますが、その基準をお作りになる協議会ができましたときに、具体的なことは協議会が結論を出すのでありましょうが、大臣御自身のお気持として、修学旅行に対してどういうふうな——たとえていえば、医学的に見て疲れないようにするというところに重点を置いて、あとは地方の教育委員会なりその他にまかすという非常に自由な立場をとった方がいいとお考えになりますか。それともこの基準は相当引き締めたものにした方がいい、すなわち、もっと率直に言いますと、文部省がこの基準に統制力を持ってやった方がいい、こういうふうに大別すれば二つの考え方があると思うのですが、基本的な御方針としては、どういうふうなお考えを持っていらっしゃいますか。
○松村国務大臣 それはその委員会のきわめて拘束せられざる自由な意見を承わりまして、それから具体的な考え方をきめようと思いますが、私個人の考え方として申しますと、お話しの前段だけではちょっと満足できぬと考えております。すなわち疲れないだけの点を注意いたして、あとは教育委員会にまかす、こういうのでは私どもとしては満足できないと考えておるのであります。すなわち今度のような災害の防止ということも一つの重大な眼目でありますとともに、もう一つは修学旅行の目的そのものがほんとうの見聞を広めるという意味から遠ざかっている点もないではありませんから、そういう点、それからこれは私の最も個人的の考えでありますけれども、日本は今後科学をもって国のもとを立てなくちゃならぬような世の中に、やはりそういうところを学生の間に見聞をするというようなことが主なる目的とならなくちゃならない。ちょうど東京へ来て遊覧ハスに乗って、そのおもむくところを見物して歩くというようなことじゃいけないので、そういう面において修学旅行の目標を明らかにしなくてはいけないだろう。それを取捨いたして適当にやっていきますことは、これは教育委員会の権限でありますから、そういうふうにしていかなくてはなりません。それまでのことを諮問をいたして結果を得たいものと考えておるわけでございます。
○山崎(始)委員 どうも私心配いたしますことは、研究協議会というものができて、それが基準を設けるというときに、ややもすると非常に窮屈なものが結果的にはでき上るのではないかということを私はおそれる。しかし私が今申しました児童生徒の疲労ということ、これは医学的に見たりあらゆる角度から見て、まず疲労ということは十分に保護しなければならないと思います。その他の点にもいろいろ大きなワクをはめるということもそれは必要でありましょうが、結局今までの文部省のやり方を見ておると、ややもすると窮屈過ぎるようなものがこの際結果的にはでき上るのじゃないかというような懸念を、私の気持を率直に申し上げますと持つのであります。大体私の考え方は修学旅行というものはフリーにあるべきだ、また地方々々に特殊の事情があるし、距離の関係あるいはその他で、教育の一環としてやる修学旅行の対象が客観的に違うから、あまり窮屈なものを結果的にきめられますと、私は非常に憂慮すべきことになるじゃないかと思うのです。 そこで一つお尋ねいたしますが、協議会をお作りになるその人選といいますか、人間の名前まで私はお尋ねいたしませんが、どういうふうな団体からピック・アップされておられますか、念のためにもちょっとお尋ねいたします。
○松村国務大臣 それは大体その当事者、すなわち小学、中学の先生方、それから教育委員会の方、それからPTAの方々、それに母と申しますか婦人の方々、それから評論、言論の関係者、それから医学的な立場の人、それから関係各省の代表者というような方面からとって、一つ諮問をいたしたい、こういうような考え方でございます。 そこで今お話の自由にしておけというお考え、これは文部省といたしましても、一つはこのような惨事を繰り返させないためにどんなことがあっても最善の努力をしなければならぬ、この要望を一つ持っております。もう一つは、見学の効果をできるだけ大ならしめるということを持っております。それからもう一つは、あなたのお話の通りに、きわめて窮屈なようにならないだけの、その府県、その町村の事情に即するようにも考えなければならぬという、こういう三つの点をあわせ考えて、妥当なものを得なければならない、こういうふうに考えております。これはむずかしいことですけれども、少くとも惨害を繰り返さないように、手段方法のある限りを尽したいと考えておるのでございます。その他見学の目的を完全にいたしたいということも当然のことと考えまして、そういう意味で考えておるのであります。
○山崎(始)委員 一つできるだけ早く基準を作って発表をしてやっていただきたいのです。と言いますことは、今ちょっと局長にお聞きしましたが、各都道府県において、あの次官通達が出たあとで、かなりの混乱を起したと私は見ているのです。混乱というと言葉が非常に強過ぎるかもしれませんが、ある教育委員会のごときは、小学校の生徒は船に乗る旅行は今後一切やめよという通知が出ているところもある。またあるところは——これは名前を言ってもよければ言いますが、ある県は車中で寝泊りする旅行は今後一切ならぬ、こういう通達が出ているところもある。またこれは山間の学校らしいのですが、名古屋へ出る旅行の計画をしておった。ところが通達が出た。この通達に必要以上におびえているのですね、それで自分の方から名古屋に出ずに——名古屋に出るのは海を見学させるためだったらしいのですが、逆に静岡県の方から児童を呼んで、海に関する座談会を開いておるというふうな計画に変えた。こういう極端な、実にお話にならないところが出ておるのであります。またおのおのの都道府県が地方教育委員会並びに学校へ通達を出されても、その内容たるやかなり影に必要以上におびえている。この面が非常にたくさんあるのであります。私たち考えるのに、今回の紫雲丸の災害から引き続いて、東海道線の事故あるいは岩手県のバスの墜落の問題、こういう問題は、決して文部省の責任じゃないのです。これは明らかに運輸省の責任であるということははっきりしているのです。私は何も文部省の責任を追及しているのではないのです。ところが、さなくともあの紫雲丸で非常におびえている。そこにもつてきてあの通達がいった。私はこの前の委員会でもちょっと申し上げましたが、十一日に紫雲丸が沈んで、十三日に私は現地に行って岡山県を調べたのですが、その日にもうすでに緊急PTA会議を開いたりして、出先へ行っている修学旅行を陸路に変更させたり、取り消しが三つ出ておる。これは通達が出される前です。出されなくても、子弟を持っておる父兄なり教員は、みんなそれは文部省の通達が出される以上に、心配しておるのです。そこへもってきて通達が出された。私に言わせると、ああいう無意味な通達をお出しになる前に、修学旅行は大いにやるべきなんだ、教育の一環なんだから今後もやるべきなんだ、こういうものの考え方からあの通達が書かれておったら、筆の先が違っておったはずです。してみると、文部省が一時修学旅行を中止させるのじゃないか。これは前回もお尋ねしましたが、そんなことを言うた覚えはないとおっしゃる。言うた覚えはないかもしれませんが、それは結局お役人が考えることなんです。ほんとうに修学旅行というものは大切なんだから、混乱を起させないようにさせようというのなら、むしろ修学旅行は大切なんだからあわてるなというような、何とかもう少し書き方があったはずなんです。そのちょっとの味わいで末端は必要以上に、予定を変更したり修学旅行をやめたり、あるいは今も言いましたような、とんでもない見当違いの通達を各教育委員会が末端へ出している。こういう現象が起きていると私は見ている。われわれはくどく言いますが、決して文部省を責めているのじゃない。ところがあの事件後、大切な修学旅行と鉄道事故というものがいつの間にかこんがらかってしまっている。あくまで修学旅行とあの事故というものは別個のもである。それがいつの間にかこんがらかってしまって、事故そのものよりは修学旅行の方へ花が咲いた。それへもっていってああいうふうな通達を出された。さなきだにおびえている上へもってきて、よけいそういうことがあったために混乱が起きていると私には思えてならないのです。 そこで私が文部大臣にお願いいたすことは、どうぞ一刻も早く文部省が基準なら基準をお作りになることです。みな末端ではどういうふうな基準ができるだろうと思って全国の各学校は待っていると見ている。だからその後の基準が出るまでは一つ旅行を中止しょうという学校もたくさんある。どうか一つ一刻も早くこの基準というものは、お作りになるという御声明をされているのですから、協議会を作って早くお示しになって、一つの目安を与えてやっていただきたい。そうすると各都道府県教育委員会、父兄その他もおのずとまた正しい考え方に返ってくるだろう、このように思うのであります。どうか一つ早くお願いいたします。 それから一つお尋ねいたしますが、きのうの新聞によると、例の赤痢の予防ワクチンの注射禍の問題が東京都下で起きておりますが、これに対して現在までわかっております点を簡単でよろしいから御報告願いたい。
○緒方政府委員 赤痢ワクチンの注射によりまして、都下北多摩の小学校二校に事故が起っております。これは実施の主体が厚生省関係でありまして、実は私どももその内容をよく存じなかったのでありまするが、大体の経緯を申し上げますと、五月二十四日の午後一時ごろ注射をその二校におきまして実施したのであります。その結果いわゆる副作用を起しまして、あるいは発熱、頭痛、悪感といったようなものが起った生徒が相当出ております。その状況は、学校が二つありますが、一つの砂川小学校というところでは、二十五日の欠席が百九名、二十六日が八十四名、きようの状況はまだちょっと聞かないで参りましたが、それから村山小学校、これは分校でありますが、ここでは二十五日七十六人、二十六日六十二人の欠席者が出ております。これは厚生省からお話があると存じますが、東京都の衛生部の方からその町当局の方に御連絡があって、そしていろいろ御相談の末、学校長も集りまして実施することをきめまして、保護者の承認を求めると申しますか、希望者をとって実施をしたわけであります。かような経緯になっているようであります。一応概略だけ申し上げます。
○佐藤委員長 今大臣が閣議に出られるそうですが、時間がないのでお許し願いたいというのですがいかがですか。——なお公衆衛生局長山口正義君、薬務局長高田正巳君が来ていられますから続行いたします。
○山崎(始)委員 それじゃこの問題でもう少し聞きたいのですけれども、時間がないようですから遠慮しておきたい、山口局長に聞きたいことがあるのですが……。 緒方局長にお尋ねしますが、たびたびの児童災害に対してまた注射禍の問題が起きた、実に私は子供がかわいそうだと思うのです。そこでいわゆる義務教育の生徒の児童災害補償法というものの必要を私は痛感するものですが、一体義務制教育の児童生徒の過去の災害死亡その他傷害、内科、外科、こういうものの統計がおありだと思うのですが、大ざっぱでよろしいですけれどもお示し願いたい。
○緒方政府委員 今日のお話は学校の中におけるものだろうと思います。実はただいまちょっと資料を持ち合せませんのでちょっと申し上げかねます。何か調べたものがあるだろうと考えますけれども、ちょっとただいま申し上げかねますので、調べまして……。
○山崎(始)委員 次の委員会に資料出ますか。
○緒方政府委員 私帰りまして調べますから……。ちょっと申し上げかねます。
○佐藤委員長 関連して並木君が大臣に質問あるそうですから許します。
○並木委員 大臣閣議だそうでございますから、私ひとつぜひお伺いしておきたいことがございます。それは地方教育委員会と地方財政再建促進特別措置法との関係でございます。ただいま地方財政の検討が行われておりまして、地方財政を緊縮する建前からこの法案を検討していきますと、勢い表面にはたくみに隠されておりますけれども、その裏側を見ますと、だんだんとしわ寄せが地方教育委員会の方に寄せられるのでございます。そうしていつの間にか骨抜きのような地方教育委員会になるおそれが多分にありますので、地方教育委員の方々もたいへんこの点については心配をして、早くも反対ののろしをあげておる向きも出てきておるのでございます。私どもこの前文部大臣に質問いたしましたときに、地方教育委員制度というものをどうするかということについては、来年の選挙のときまでに果してこれがそのまま存続されるかどうかということは断言できない。目下鋭意検討中であるという答弁でございました。しかしそれよりももっと早くこういう問題が出てきますと、おのずからそれとも関連をしてきて、文部大臣としては今非常な岐路に立たれておるのではないかと思うのです。大きな方針として、行く行くどういうふうにきまっていくかということは別問題といたしまして、さしあたりこの問題と大臣はどういうふうに取っ組んでいかれるか。現在あるところの教育委員会というものは、やはり教育のためにフルに活用されなければならないものと私どもは信じますが、ひとつ大臣は、しかも地方財政というまるきり範疇の違う部門のために、地方教育委員会のあり方がゆがめられないようにがんばっていただきたいのでありますが、御所見を承わりたいと思います。
○松村国務大臣 大体お尋ねの通りの気持を持って努力をいたしております。すなわち教育の大本から割り出さるべきものでありまして、この地方財政の整理にはもちろん協力はいたしますが、そのために大本をそこへしわ寄せされるというようなことは避けたいと思いまして努力をいたしておるわけでございます。
○並木委員 それでいかがですか、閣内で調整がとれる見通しがございますか。
○松村国務大臣 どこかの新聞にちょっと出ておりましたが、ああいうひどい対立もいたしておりませんで、よく話し合いをすれば各閣僚も承知をしてくれることと確信を持っております。
○並木委員 それならばけっこうですが、どうかひとつ押されないようにお願いしたいのです。と申しますのは、やはり大臣が根本方針として地教委を育成していくのかどうか、これを諮問機関にするとか、あるいは弱体化するとかいうふうな気配を見せますと、今度はそこへつけ込まれるのではないか思うのです。どうせ行く行くは地教委は廃止の傾向にあるんじゃないか、だからこの地方財政の法案の方からしかたなしに大臣がそれをやめざるを得なかったというふうに追い込まれれば、かえって大臣としては立場がいいじゃないかというふうなろうらくの手に乗るおそれがあると私は思うのです。ですからどうでございましょうか、私前から心配しておるのですが、地教委は、来年選挙がきても現在通り存続していくつもりであるという大臣の個人的な見解でもいいのですけれども、はっきりここで表明していただくわけにいきませんでしょうか。
○松村国務大臣 これはそう簡単にどうだということを申し上げらるる問題ではございません。すでに各党の間にもそれぞれの検討せられた意見もございます。これをよく検討をいたしまして、そうして義務教育を最も能率的に効果を上げる、こういう趣旨から検討をせらるべきものと考えておりますから、どうかさよう御了承をお願いしたいと思います。
○並木委員 そういたしますと、大臣、大体いつごろにその結論を出されますか、そうして結論を出すまでに、文部省あるいは内閣として、どのような機関を経てこの問題についての結論をお出しになるつもりでございますか。
○松村国務大臣 その結論は、研究はすでに各党の間にも行われ、そうして文部省でもそのいろいろの委員会へ諮問をして、その答申も得ております。要はどれをとってやるかという決断だけが残っておると申してもいいわけでございますが、しかし非常な重大な問題でありますから、会期の迫ったこの議会へは容易に出せないだろう、こういうふうに考えております。
○山崎(始)委員 先がた話が途中になりましたが、この児童の災害資料の問題について、非常にあやふやな御答弁だったのですが、一体あるのですかないのですか。
○緒方政府委員 私ここではっきり申し上げかねますので、帰りまして調べてまた次の機会に提出いたしたいと思います。
○山崎(始)委員 あるかないかの返答もできぬというような、そんなばかなことは私はないと思う。これだけ連続的に児童の災害が起きているのだから……。起きなくとも、保健体育課というものは一体何のためにあるのです。今まで何しておったのですか。私はとっていらっしゃらないのじゃないか、調べていらっしゃらないのじゃないかと思う。この点どうです。
○緒方政府委員 私はあると思いますけれども、今ここではっきり申し上げかねますから、こういう御答弁を申し上げておるわけでありまして、確かめてはっきり申し上げたいというために、今こう申し上げておるわけであります。ただ今お話になりましたように、災害と申しますのは、これはいろいろあると思うのです。それを、御要求のようなもの全部を調べておるかどうかということは、私はちょっと自信がないものですから、さように申し上げたのであります。
○山崎(始)委員 各都道府県の教育委員会の事務局の中にも保健体育課というものがあるのですが、学校管理下における災害の統計がないというばかなことはないのです。それを文部省がとっておられるのかおられないのか知りませんが、これだけ問題が起きているのに、はっきりした答弁ができなという、そんなばかなことは私はないと思うのです。ややもすると、次官通達みたいなものをお出しになることだけは得意だけれども、私はこの点は大へん遺憾だと思う。
○緒方政府委員 私が申し上げましたのは、山崎委員の御要求のものにぴったり合うものがあるかどうかわからぬので、念のためにこういうことを申し上げておるわけでございまして、たとえば集団中毒の事件については、報告してもらいたいということで報告をもらっております。それからそのほかの事件についても、大体報告がきておるはずであります。ただ私が今ここで、山崎委員の御要求になりましたそれに、ぴったり当てはまるかどうかという自信がなかったものでございますから、そういう留保したような言い方を申したわけでありますが、今課長に聞きましたのですが、この次の委員会に差し出します。
○山崎(始)委員 私が言うのは、自宅で云々という問題ではなぐ、あくまで学校管理下における死亡あるいは傷害、それが内科、外科その他に分れるだろうと思いますが、大まかでけっこうですから、次会に御提出願いたいと思います。
○佐藤委員長 並木君。
○並木委員 私ワクチンの問題で、ただいまの質問に続いて二、三お尋ねをしたいと思いますが、今度のワクチン注射で非常な被害が出ましたけれども、これは昨年までやっていた注射の方法と違うために起ったのですか。それともやり方は同じであるけれども、何かそこに特別の間違いがあって起ったのですか。まずその原因についてお尋ねいたします。
○山口(正)政府委員 ただいまお尋ねの東京都下北多摩郡の村山、砂川両小学校の児童に、赤痢の予防接種をいたしまして、多数の発熱者を出したということにつきましては、まことに申しわけない事態だというふうに考えて、遺憾に存じておる次第でございます。ただいま並木先生からお尋ねの、今回の注射の方法が以前と違ったかどうかという点でございますが、これは少しさかのぼって御説明申し上げますと、赤痢の予防接種につきましては、昭和二十六、七年ごろから研究室内でいろいろ研究を重ねておったのでございます。その結果大体ある程度の免疫効果を得られる、それから副作用も非常に軽微である、ほとんどないというような見通しを得ましたので、二十八年から希望者に対しまして、相当多数の方に始めたのでございます。今回実施いたしました東京都におきましては、従来は皮内接種の方法によってやっておったのでございますが、今回は皮下接種の方法を用いまして、その点で接種の方法に従来と差があるのでございます。
○並木委員 そういたしますと、今度の原因は、大体皮内接種から皮下接種に変えたところにあると見てよいわけでしょうか。聞いてみますと東京都の方の指示では、「一般は例年の通り〇・一CCを皮内注射し、学童は〇・二CCを二度皮下注射することになっていたのであるが、」というのでありますが、ここのところが問題になってくるのじゃないかと思う。それで東京都の衛生局の高橋予防部長は「昨年まで全部皮内注射をしていたが、ことしは〇・四CCを皮下注射するようにと厚生省から指示があった。」こう言っております。この点はその通りであるかどうか。それから「都としては、三十三人のおとなにテストをしての量を注射したところ、そのうちの七人が発熱するなど強い反応を示したので、さらに別の二十人に半分の〇・二CCを接種した結果、何らの副作用もなかったので、大事をとって〇・二CCを注射することをきめたもので、おとなと学童の区別なく皮下注射するよう各保健所に指示した。」と言っておりますが、この皮下注射に変えたことが一つと、最初厚生省から〇・四CCをするようにと言ったことが事実だとすれば、〇・二CCでもこれだけの副作用を起したのですから、もし〇・四CCをやったとしたならば、これは大へんなことになったのではないかと、私しろうとですからそう感ずるのですが、この辺のところはいかがですか。
○山口(正)政府委員 並木先生の最初のお言葉は、今回の原因が皮内から皮下に変えたのが原因じゃないかということでございますが、この点につきましては、皮内接種と皮下接種と比較いたしますと、皮下接種の方が一般に反応が強く出るのでございます。しかしながら、ただ今回のこのように発熱がたくさん出ましたことが、単に皮内から皮下に変えただけで出ましたものか、あるいはそれに用いましたワクチンそのものに何か原因があったのかという点につきましては、まだはっきりしていないのでございまして、この点については先日来、これに携わりました専門家の学者の人たちが集まりまして、そしていろいろ検討をいたしているわけでございますが、まだ結論を得ていないのでございます。続けていろいろ調査をいたしているわけでございます。 それから厚生省が、そういうふうに〇・四というふうに指示したかどうかということでございますが、この予防接種のいきさつは、先ほどちょっと申し上げましたように、厚生省それから地方庁とが一緒になって、そして希望者に対して実施いたしているのでございまして、これを製造いたしている方といたしましては、大体〇・四CC用いるのがいいというふうな結論を出しておりまして、そしてほかでも〇・四CC注射いたしております。そして今まで全体から申しますと大体二、三%の発熱者はございます。しかし今回のような高い熱はございません。これは腸チフスの予防注射なんかでも起ることでございますが、その程度の発熱で済んでおりまして、〇・四CCでいいのじゃないかということで東京都の方にも御連絡申したわけでございます。しかし東京都の方では十分念には念を入れるという意味で、先ほど並木先生がお読みになりました高橋予防部長のお話にもございますように、一応防疫職員等にやってみましたところが、〇・四CCで発熱の率が割合に多うございましたので、〇・二の方をとったということでございます。そういう経過になっておりますので、繰り返して申し上げますが、今回の発熱が単に皮内接種から皮下接種に変えましたためか、あるいはワクチンそのものに何か原因があったのかという点については、現在調査中でございます。
○並木委員 そこが非常に大事な点になってくると思うのです。もしワクチンそのものに何か悪いところがあったのではないかということを局長が言われるのだとすると、これは今後非常に大きな問題になるのではないか。ワクチンはすべて国立衛生研究所で一々試験するのではないですか、それからまたこの製造元は一本なのですか、それともいろいろなところで製造して出てくるのでしょうか、伝研なんかで作るのもございましょうか、私しろうとですからきょうははっきりお尋ねしておきたいのですが、ワクチンそのものに何かあるという答弁をいただくと、みんなほんとうに心配して、夏を控えての予防注射一切、おっかないからやらないということになってしまうのではないでしょうか、そこをはっきりと御答弁願いたいと思います。
○山口(正)政府委員 御指摘の点一々ごもっともでございます。ワクチンの製造はこれに携わっている専門家の人たち、あるいは国研においても製造いたしております。そのほかの場所に対しても監督してその製造をしてもらいまして、それを国立予防衛生研究所で国家検定と同じ方法で安全試験、力価試験、殺菌試験、生物学的試験というものをいたしまして実際接種に移すという方法をとっているのでございます。ワクチンそのものに何か欠陥があるということになりますと、非常に大きな問題でございます。しかし実際問題といたしましてどこに欠陥があったかということは、ワクチンそのものについても調べてみなければなりませんので、この点は徹底的に究明したい、そういうふうに考えているわけでございます。
○並木委員 そうするとやはりワクチンそのものに欠陥がある可能性があるのですか、絶対に大丈夫だということを言い切れないのですか。
○山口(正)政府委員 その調べましたデータが全部ございますので、そのワクチンを一まとめにしてありますロットを使いましたが、そのロットについてどういう成績が出ておったかということを調べておるのでございます。その調査成績がはっきり出て参りますまでは、どこに原因があったかということを——いろいろな可能性が考えられるものでございますから、まだどの点に原因があったかはここではっきりは御答弁できない段階でございますので、いろいろな可能性を考えて、いろいろな面から検討しなければならない、そういうふうに考えているわけであります。
○並木委員 これは私非常にぶっそうな感がじするのですが、どうも皮下注射に変えたということ及び〇・二CC、〇・四CCという分量の問題よりも、今局長の答弁から感じますのは、ワクチンそのものに何か欠陥があったようなふうにとれるのです。この点はいかがなのですか。熊本へ厚生省からだれか部長が出張しておるとか聞いていますけれども。だれか熊本へ出張したというのは、厚生省の赤痢ワクチン研究関係の人が出張していたから、呼びもどして至急調べているというのですか。熊本へ行けば何か調査ができるというのですか。これは新聞で見たのですけども、何か報告がありましたか。
○山口(正)政府委員 私の先ほどからお答え申し上げておりますことで、ワクチンに原因がある可能性が非常に強いというふうな感じをお与えいたしましたとすれば、これは私の表現が悪いのだと思います。決してワクチンそのものにあるということを非常に疑ってやっておるわけではございませんが、いろんな角度から検討しなければならないという点を申し上げているわけでございまして、従来やっておってほとんど高熱者が出なかったのに、今回こういうような事態が起ったということにつきまして、先ほどからたびたび申し上げておりますように、いろんな角度から検討しなければならないということを申し上げているわけでございます。 それからただいま国立予防衛生研究所の福見細菌部長が出張中でございまして、その出張の用務は、これは予防衛生研究所の所員でございますし、詳細には存じておらないのでございますが、この仕事の担当者でございまして、こういう事態が起りましたので、先ほどから申し上げておりますいろんな原因を追及いたしますのに、ぜひ呼び返してその検討に当らせなければならないという意味で、呼び返すことにしているわけでございます。
○並木委員 予防注射をする場合の管理を担当する官庁はどこでしょうか。厚生省でしょうか、それとも都道府県当局でしょうか。文部省はおそらくノータッチだと思うのですけれども、こういう問題が起ったときに管理責任がどこにあるかということは、あとから原因がわかってからでなければ申すことができませんか。たとえばワクチンが悪いということになったときに、その責任がどこへ行くかという場合、官庁関係ではどこなんですか。
○山口(正)政府委員 ただいま並木先生の御指摘のように、その原因がどこにあったかということでそれぞれ責任の処在が変ってくると思うのでございますが、こういう予防接種の実施につきましては、実施主体は東京都でございます。
○並木委員 そうすると、皮下注射に方法を変えたということ、また分量の点、それが原因であったときには東京都ということになるのですか。もしワクチンそのものに欠陥があった場合にはどこになりますか。製造元ですか、それとも試験をやる予防衛生研究所ですか。
○山口(正)政府委員 そのワクチンの欠陥のあり方にもよるかと思うのでございますが、これはごく仮定のことでございますのであまり詳細には申し上げかねるかと思うのでございますけれども、製造元と申しましてもこれは一般の市販のワクチンではございませんので、直接その製造に当った人並びにそれを検定した——これは国立予防衛生研究所の職員がその検査に当っておるわけでございますが、そういうところになるのではないかと思うのでございます。しかしこれはその結果の出方によっていろいろ検討しなければならない、そういうふうに考えております。
○並木委員 管理をするところは都道府県だそうですが、その方法を皮下注射にした方がいいだろう、あるいは分量を〇・四CCまたは〇・二CCにした方がいいだろうということについては、厚生省にもやはり責任があるのじゃないでしょうか。
○山口(正)政府委員 その原則的ないろいろなやり方等につきましては、厚生省の方でもそれに携わってやっておるわけでございまして、もしそこに何か原因があるとすれば、そういうことも考えなければならないというふうに考えます。
○並木委員 その点なぜ私お尋ねしたかと申しますと、地元の砂川町の方では議会を開いて決議をしております。それは今回こうむった一切の損害について補償してもらおう、こういうことなんです。それからまたその小学校に看護婦、医師各四人を常時待機させて、患者の手当に万全を期してもらいたい、一人当り一千円以上見舞金を出してほしい、それから先ほど申し上げました赤痢ワクチンの患者がこの事件で使った一切の費用及び町の費用を都で負担すること、この三つの要求を出すことを決議したのですが、それに対して当局として、やはり当然いずれの原因に落ちつこうとも、補償すべきもののように私は感じますが、いかがでしょうか。
○山口(正)政府委員 この補償の問題になりますと、いろいろな法的な問題も入ってくるかと思うのでございますが、実際問題といたしまして、こういうふうに発病された方に対していろいろ医療を要する、それに対する手当を要するということにつきましては、私東京都の方とも打ち合せたのでございますが、東京都においてそれを実施するというふうに申しておるわけであります。
○佐藤委員長 これにて休憩し、理事会を開きます。 午後一時二分休憩 ————◇————— 午後二時二十三分開議
○佐藤委員長 休憩前に引き続き会議を続行いたします。 質疑を許します。河野正君。
○河野(正)委員 先ほどに引き続きまして、最近起って参りましたワクチン禍の問題につきまして、一、二厚生当局に御質問いたしたいと思います。先ほど御答弁の中に、今回のワクチンは大体二十六年、二十七年がいわゆる研究時代であって、二十八年度より実際化したというふうな御答弁があったわけでございますが、しからば二十八年、二十九年この二カ年間にわたりまして実際にやった結果はどうであったか、その点につきましてまず御答弁願いたいと思います。
○山口(正)政府委員 二十八年に実施いたしました人員が約十万人でございまして、二十九年に実施いたしましたのが約十五万人でございます。それで接種いたしました人たちと接種いたしておりません人たちとの赤痢の発病率の割合でありますが、これは地区によっていろいろでございますが、東京都下におきましては大体三分の一ないし五分の一に減っております。また地区によりましては約二分の一くらいに減少しているというような状況でございます。
○河野(正)委員 先ほど私の表現が悪かったかと思いますが、私お尋ねした趣旨は、二十八年、二十九年に実施して、副作用がどの程度あったのか、そういったことをお尋ねしたつもりです。
○山口(正)政府委員 お尋ねの趣旨を取り違えまして申しわけございませんでしたが、二十八年、二十九年、今まで実施いたしました際に、先ほど申し上げましたような人員を実施いたしまして、大体発熱者が——これはそう高い発熱者はございませんが、二ないし三%という程度でございます。
○河野(正)委員 そういたしますと、今回実施いたしまして、非常に多数の犠牲者を出したわけでございますが、今回やりまして実際に犠牲者を出しましたワクチンそのものと、二十八年、二十九年当時のそのものと相違があったのかなかったのか、その点について御答弁願いたい。
○山口(正)政府委員 用いましたワクチンの製法は、二十八年には別の製法のものも一部使ったことがございますが、大体において二十八年、二十九年、それから今回使用いたしましたワクチンと、製法においては同じものであります。
○河野(正)委員 そういたしますと、二十八年、二十九年、三十年と、製法その他につきましては同一であるといたしますと、原因というものはおのずからしぼられて参ると思います。それは検定試験がそれぞれ実施されまして、効力なりあるいは菌度の状態なり、あるいは安全性というものが一応検定済みであるというふうに私ども考えますが、もしそういった検定に万遺漏がなかったかどうかということにつきまして、まずお尋ねを申し上げたいと思います。
○山口(正)政府委員 検定は先ほど申し上げましたように国家検定と同じ方法で国立予防衛生研究所で実施いたしておったのでございますが、そのやり方につきましては従来と特別に変ったやり方はしていないという報告を受けているのでございますが、ただ今回の発熱者を出しました原因となりましたそのワクチンの、けさほども答弁の中に申し上げましたが、ロットごとに検査をするのでございますが、どのロットであったかということを追究いたしまして、そのときの記録がございますので、それは十分に検討したい、そういうふうに考えております。
○河野(正)委員 新聞によって私どもが承知いたしましたところによりますと、高知県におきましても、あるいはまた岡山県におきましても、こういったワクチン禍が発生したというようなことが報道されておりますが、この点につきまして実際に高知県あるいは岡山県においてもさような被害があったのかどうか、その点につきまして御答弁願いたい。
○山口(正)政府委員 高知県におきましては今月の十七日から今日に至りますまで約一万名接種いたしているのでございますが、その間におきまして発熱いたしました、その発熱の程度の詳細の報告に接しておりませんが、発熱いたしました者が約五百名ございます。これはパーセンテージにいたしますと五%になりますので、先ほど御報告申し上げました二十八年、二十九年の二ないし三%に比べますとやや多いのでございますが、今回東京都下において起りました事態に比べますと非常に低い状態でございます。それから岡山についてのお尋ねでございますが、私どもにはまだそういう報告が参っておりません。
○河野(正)委員 しからば岡山は真偽のほどは別といたしまして、高知県の場合と東京都下でやられましたワクチンが同一ワクチンであったかどうかにつきましてお尋ねいたします。
○山口(正)政府委員 これは先ほど申し上げましたロットを調べてみないとわからないのでありますが、現在までに私どもの承知いたしております報告によりますと、ワクチンはロットが違うということでございます。
○河野(正)委員 そういたしますと、高知、岡山それ以外の府県におきまして実施した事実があるのかないのか、その点をお伺いいたしたい。
○山口(正)政府委員 東京都以外におきましては現在までに山梨、福島、島根などで実施いたしております。失礼いたしました。ただいまのを訂正さしていただきます。山梨県と島根は今回実施の予定でございました。実施いたしましたのは東京、福島、兵庫県で実施いたしております。
○河野(正)委員 しからば福島、兵庫において実際にやってみたが、それに対して副作用があったのかなかったのか、その点につきましてお尋ねいたします。
○山口(正)政府委員 先ほど私答弁をいろいろ混乱させまして申訳ございませんが、山梨、島根を予定と申しましたのはことしの予定でございまして、昨年までは実施いたしておりました。そのほかの地区で、本年も実施いたしましたところにおきましては、今回のような高率の発熱者の報告には接しておりません。
○河野(正)委員 そういたしますと、一部においてはそういった副作用が非常に頻発した、一部におきましては全然起らなかったということになりますと、先ほど質問にもありましたが、これは適量の問題あるいは皮内注射を皮下注射にやったというような問題ではなくて、むしろ検定そのものに問題があった、かように結論をいたしてもよろしゅうございますか。
○山口(正)政府委員 先ほども申し上げましたように、ただいま河野先生の帰納的な御意見によりまして、そういう可能性も考えられるのでございますが、最終的な結論につきましては、先ほど午前中の答弁でも申し上げましたように、ただいま検討いたしておりますので、どのロットのがどういうふうにあったか、そのときの検定の状況がどうであったか、それからそのときの製造の方法はどうであったかということを、現在詳細に、徹底的に調査するということにいたしておりますので、それがわかりました暁に御報告さしていただきたいと思います。
○河野(正)委員 もう結論ははっきりしていると思うのです。というのは、先ほどから申し上げますように、ある一定の地域におきましては非常に高い頻度で副作用が起っておるけれども、福島あるいは兵庫のごときは全然副作用が起っていないということになりますと、適量やあるいは皮内を皮下にやったというようなそういったことによって起って参ったということは当然考えられられないのでありまして、その原因をしぼって参りますと、これはだんだん先ほどから申し上げますように、製造過程におきましてそういった原因が起ってきた、こういったほかには判断する方法はない、私はさように感ずるわけでございますが、その点につきましてどのようにお考えになっているのか、もう一度お尋ねいたします。
○山口(正)政府委員 河野先生の御意見ごもっともでございますが、これはけさほども申し上げましたように、昨日来、その道に携わりました専門家の方々が集まって、いろんなデータを集めて検討いたしておりますので、その結果が出ますまで私からのはっきりした御答弁はお許しを願いたいと思います。
○河野(正)委員 どうも厚生省の御答弁には私は納得いかぬのでございますが、先ほどからたびたび申し上げますように、一定地域におきましては副作用が起っており、一定地域におきましては副作用が全然起っておらないということになますと、これは手技の問題あるいは適量の問題ということには決して参らぬのでございます。そういたしますと原因はどこまでも製造過程にあったのだ、かように考えるほか決して道はないと私は感ずるのでありますが、その点につきましてもう一度御答弁願いたい。
○山口(正)政府委員 たびたび申し上げましてまことに恐縮でございますが、河野先生のお説ごもっともでございますが、せっかくただいま専門家が集まって検討いたしております最中でございますので、それまでお許しを願いたいのであります。
○河野(正)委員 そういたしますと、結局結論的に申し上げますならば、手技の問題あるいは適量の問題ではない。従って原因をしぼって参ると、製造過程に問題があった、かように考えぬわけには参らぬのでございます。しからば厚生省におきましては私指摘いたしました以外にどういった理由が、もしありとするならばあるのか御答弁願いたい。
○山口(正)政府委員 先ほど御報告申し上げました兵庫につきましは、ワクチンの製造過程が今回のとやや異なっているのでございます。高知におきましては今回のと製造過程が同じでございます。従いまして推論いたして参りますと、ワクチンそのものという可能性が非常に強くなって参りますけれども、先ほどから申し上げておりますように、いろいろなデータを集めて検討しておりますので、非常にたびたびお言葉を返して恐縮でございますけれども、その結果も近い将来に出ると存じておりますので、何とぞそれまでお答えを御猶予願いたいと思います。
○河野(正)委員 それでは私どもは全くわからぬようになるのです。要するに私どもが医学的にあるいは常識的に判断いたしますと、こういった問題が起ってくる場合には、手技の問題あるいは方法の問題、適量の問題、あるいはまた製造過程での問題、こういった問題以外には原因を考えて参るわけには参らぬのであります。ところが、先ほどは兵庫、福島と言われましたが、今度は高知、兵庫というようなことで、大分答弁の内容も変っておりますが、そういうようなことでは私ども困るのでございます。私どもといたしましては、先ほどから申し上げますように、手技の問題あるいは適量の問題、あるいは製造過程の問題、これ以外には原因を考えて参るわけには参らぬわけであります。もし接種を行いましたそれぞれの学童の方に原因があったといたしますならば、それは兵庫にいたしましても高知にいたしましてもけっこうでございますが、そういった地域におきましても若干の副作用が出て参っておると私は思うのでであります。ところが全然そういった地域におきまして副作用が出て参っておらないということになりますと、私どもは先ほど申し上げました以外の原因を考えて参ることはとうていできないわけであります。そこでいろいろデータを集めて最終的結論を出したいとおっしゃいますけれども、私はおのずから結論は出ておる、かように考えるわけであります。従ってもし製造過程でもない、あるいは手技の問題でもない、あるいは適量の問題でもないということになるといたしますならば、ほかにどういう原因が考えられるのか、その点をお尋ねしておるわけでございます。
○山口(正)政府委員 ただいま最初に申し上げました福島、高知でやや答弁が混乱したという御指摘でございましたが、これは私先ほど申し上げ方が悪かったかと存じますが、山梨、福島、島根は今年の予定でございまして、昨年までは実施いたしておったのでございます。今年実施いたしましたのは、東京のほかは高知と兵庫でございます。もし私先ほど申し上げましたことに、ただいま申し上げたことと間違いがございましたら訂正さしていただきたいと思います。高知におきましては、先ほど申し上げましたように、昨年、一昨年出ました平均の率よりもやや上回わった発熱率が認められたということでございます。そこで今回このようにほかに比べて非常な高率な発熱率を認めたということにつきましては、やはりワクチンそのもの、手技あるいは受ける人の体質、あるいはそのときのそのほかの条件というようなことが考えられるのでございますが、しかしこのように多数に、相当多くの人たちに出たということにつきましては、先ほどから河野先生に御指摘いただいておりますように、ワクチンそのものの製造によるところが非常に強いと思うのでございます。ただ繰り返して申し上げますが、現在実際に製造に当った人、研究に当った人々がそれぞれデータを集めて検討しておる最中でございますので、それまでお待ちを願いたいということを申し上げておるわけでございます。
○河野(正)委員 しからばワクチンの製造過程に原因があったということが非常に濃厚だ、そのように理解してよろしゅうございますか。
○山口(正)政府委員 諸般の情勢から考えまして、そういう可能性が非常に強いということは言えると思うのでございます。
○河野(正)委員 そこでさらに御質問いたしたいと思いますが、御承知のように赤痢という病気は一年中存在しますし、また爆発的に起ってくる病気でもございます。従いまして、私どもこの問題を軽々に論ずるわけに参らぬのでございますが、そのためには、われわれは防疫上非常に慎重な態度で臨むべきだと思います。ところが、ただいま申しましたように私どもが信頼して受けなければならない接種に対しまして、ただいま御答弁のような製造過程において問題があるというようなことでは、私は今後の防疫上非常に悪い影響を与えて参ると思うのでございますが、その点につきまして厚生省当局はどういう御所感でありますか、御答弁をお願いしたい。
○山口(正)政府委員 御指摘の通り、ワクチンそのものに何か原因があるということになりますと、今後予防控種を実施して参りますにつきまして非常な不安が起ってくるわけでございます。従いまして私どもといたしましては、この原因がどこにあったか、そうしてどういう点であったかということを徹底的に究明いたしまして、今後検定の方法なり検査の方法なりを十分検討いたしまして、今後こういうことが起らないようにする。赤痢防疫は、河野先生は御専門でいらっしゃいますから、私から申し上げることもないと思うのでございますが、なかなかいいきめ手がないのでございます。腸チフスにおきましては予防接種がございますので、同じような消化器系伝染病でありながら終戦後だんだん減少してきておりますが、赤痢はなかなか減少いたしませんので、私どももその防疫対策に腐心しているわけでございます。もしも、いい安全なワクチンがあるということになれば、防疫上非常に有力な手段となるというふうに確信いたしておりますので、ぜひ二度とこういうことの起らないように、また防疫に役立つように向けていかなければならない、そういうように考えております。
○河野(正)委員 ただいま御答弁のありましたように、赤痢の防疫ということはなかなか困難な問題でございます。当局から御答弁ありましたように、きめ手がないというのが現実でございます。そこで私ども国民といたしましても、あるいは学童の立場から申しましても、そういったきめ手がない、あるいは効果についていろいろ異論があるというような事態の中で、今回のような不祥事件が起りますと、非常に悪い影響を与えて参ると私どもは考えておるのであります。そこでわれわれは、公衆保健という立場から接種を受けるわけでありますが、今までいろいろ論議いたしましたように、製造過程の中で今回のワクチン禍を惹起した原因があるというふうな一つの見通しに立って参りますと、私どもやられる方の国民といたしましてはまことに不幸といわなければならぬと思うのでございます。そこでお尋ねいたしたいことは、そのようにやられます側、あるいは一般的な予防医学の普及の立場、そういった立場から考えてみまして、私は今度の問題は非常に重大な問題であると思いますので、今後そういった誤まりが起りました場合に、薬事法ですか、そういった法律に基きまして、そういった事故を起しましたものに対しまして、何らかの罰則を設けるとか、あるいは何らかの制肘を加えるというふうな御意思があるのかないのか、その点について御答弁願いたい。
○山口(正)政府委員 ただいま御質問の薬事法の問題は、私の所管ではございませんで、薬務局長の方でございますが、しかしこの問題につきましては、薬事法に基いて製造し、そしてその間に万一のことがあれば、これは薬事法に基いて厳重な処分をしなければならぬ、こういうふうに考えておるわけであります。
○河野(正)委員 今回起りました不祥事件は、決定的ではないけれども、大体においてワクチンの製造過程に問題があったというふうな傾向が強いわけでありますし、またさような答弁があったわけでありますが、もしそうした事態が明白になりました暁におきましては、薬事法に基きまして責任をとられる御意思があるのかないのか、その点について重ねて御答弁を願います。
○山口(正)政府委員 今回使用いたしておりますワクチンは薬事法の検定規則に基いて検定しておるものではありませんが、大体それと同じ形で実施いたしております。また今回のワクチンは一般の市販品として製造させておるのではございませんで、この原因が判明いたしました暁のことでございますから、今ここでどうこうとはっきりしたことは申し上げられないのでありますけれども、薬事法を直ちに適用するということには参らぬのではないか、こういうふうに考えるわけであります。
○河野(正)委員 結局たくさんの不幸な犠牲者が出て参ったわけでありますが、国が責任をもって作ったもので薬事法を直ちに適用できないというふうな御答弁でございますが、そういたしますと、犠牲をこうむりました子供たちに対する責任がそのままで済まされるものかどうか、その点について御答弁が願いたいのであります。
○山口(正)政府委員 先ほどから申し上げておりますように、検討の結果を待ちまして考えなければならぬ問題であるというふうに存じております。
○河野(正)委員 検討の結果を待っておるというお話でございますが、大体現在の私どもの見通しから見ますと、製造過程に問題があったのだろうという見通しは非常に濃厚でございます。従ってそういった仮定に基きまして当局はどういう考えでおられるのかということを私はお尋ねしておるわけでございます。
○山口(正)政府委員 現在仮定でございますし、私薬事法の当事者でもございませんので、はっきりした御答弁を申し上げかねますことをお許し願いたいと存じます。
○河野(正)委員 私はそういう考え方に問題があると思う。というのは、結局少くとも何十万という学童に対しましてそういう接種を行います以上は、やはりそれだけの責任を厚生省当局としては持たなければならぬと思います。それで製造過程の中に原因があったかどうかということは今後結論づけられると思うのでありますが、少くとも製造過程において原因があったということに結論づけられますならば、それに対するところの責任をとるという態度というものはぜひともなされなければならぬと私は思います。それをそういった責任を回避するような態度をとられるということでは、今後ともそういう不祥事件が次々と続発して参るだろうという危惧を持つわけであります。おそらく国民大衆といたしましても私と同じような見解を持っておるだろうと思います。これは今後の社会防疫上非常に重大な問題でございますので、国民が安心をして接種が受けられるためにも、私は少くともその責任の所在というものを明確にしていただきたいと思いますが、その点について重ねて御答弁を願いたいと思います。
○山口(正)政府委員 私の答えの仕方が悪うございましたので、責任回避のようにおとりになったかと存じますが、その結果を待ってどうこうということは、決して責任を回避するという意味ではございません。そのどこに原因があったかということがわかりましたならば、その結果に基いてしかるべき処置をとらなければならない、そういうふうに考えているわけでございまして、御指摘の通り今後防疫対策として予防接種あるいはほかの手段を講じて参りますときに、一般の国民の方々に不安を与えないというだけの措置は十分とっていかなければならない、そういうふうに考える次第でございます。
○河野(正)委員 私はただいまの答弁に納得しかねるわけでございます。と申しますのは、単に製造過程において原因があったということを私は仮定の上に立って申し上げたので、単に製造過程の中で問題があろうがなかろうが、あるいはまた手技の上におきまして皮内を皮下にやったとか、あるいは適量をはき違えたとか、そういった原因のいずれを問わず、少くとも厚生省の指示によって実施し、しかもその上で起って参りました事故につきまして、私は全面的に厚生省が責任をとるべきだ、かように考えるわけでございます。従って結果が出て参ったらどうだというようなことには、私は相ならぬと思うのであります。というのは現実におきまして少くとも今度のような事故が発生したということは事実でございますので、この事実に対しましては少くとも薬事法その他におきまして厚生省当局が責任をとられるということは、私は当然なことだと思う。そういった責任をとられますることが、私は国民が安心して今後公衆防疫のために協力するということになって参ると思うのでございます。そういった立場から重ねて、単に製造過程において問題があろうがなかろうが、あるいはその他の手技、方法あるいは適量、そういった問題に原因があろうがなかろうが、要するに起ってきたことにつきましては現実でございますので、そういった現実に対しまして私は当然厚生省が責任をとられるものと確信いたしておりますので、少くとも今後の防疫思想を普及するという上におきましても、この委員会の席上におきまして明快に一つ御答弁をお願いしたいと思います。
○山口(正)政府委員 結果の決定を待ってと申し上げましたのは、検定の場所に何か手落ちがあったか、あるいは製造の過程にどうこうであったかというような、具体的なこまかい細部の点につきましてわかりましてから、それぞれ当事者がいろいろ考えなければならないということを申し上げたわけでございまして、今回このような防疫対策を実施しておりますという、そのもとでございます厚生省といたしましては、今回こういうふうな事態の起りましたということは深く責任を感じているわけでございます。
○河野(正)委員 ただいま御指摘申し上げましたように、厚生省当局が今度の不幸な事態を契機として全面的に御責任をとられるということが、すなわち今後の防疫対策上非常に重要なことでございます。どうか私が御指摘いたしましたように今後の防疫思想普及の上からも一つ良心的な処置をお願いいたしたい。かように要望いたしまして厚生省に対しまする御質問は終りたいと思います。 引続きまして地方財政再建促進特別措置法の問題に関しまして御質問いたしたいと思います。この問題は自治庁関係にも、また文部省関係にも関連がありますので、併行して一つ御答弁をお願いしたいと思います。 それではさっそく質問に移るわけでありますが、御承知のように今日まで地方におきましては教育委員会法がございまして、その五十六条、七条、八条の規定に基きまして、実質上の教育予算の編成あるいは議会に対しますところの提出の権利、こういったものを保有しておったわけでございますけれども、しかしながら不幸にいたしまして教育委員会に議決権がないということで、今日では、だんだん地方財政が圧迫されて参りますと、勢い教育予算というものが圧迫を受けて参りまして、それぞれ地方議会におきましてはいろいろな問題を惹起して参っておるわけでございます。ところが私どもが仄聞するところによりますと、政府は今度の国会におきまして地方財政再建促進特別措置法を御提出の御意思であるようでございます。しかもその中の八条二項で、再建団体に対しましては、先ほど申し上げました教育予算の編成の権限、あるいは地方議会に対する提出の権利、こういったものを停止するというふうな項目が加えられておるように私ども仄聞いたしておるのでございます。この点に対しまして文部省あるいは自治庁におきましてどのような所感でおられるのか、まずその点を明白に御答弁を願いたいと思います。
○寺本政府委員 この問題につきましては、先ほど並木委員の御質問に対して大臣から答えられました通り、教育委員会制度は六・三制と並んで、終戦後の教育制度に関する大きな柱でありますので、いろいろ問題はございますが、この問題を検討するについては、教育上の観点に重点を置いて検討したいということで、私ども鋭意研究を進めておるところでございます。従いまして今度の地方財政再建整備法関係では、自治庁ともとっくり話し合いまして、ただいまのところ御指摘のありました八条二項、再建団体におきまして教育委員会の持っている予算についての原案を、知事と意見が合わぬ場合に議会まで提出するという権限は、そのまま残る予定になっております。
○小林(与)政府委員 ただいま寺本政府委員からお話しがありましたように、再建整備促進法の立案につきましては、自治庁といたしまして、今日の地方団体の行財政の実情にかんがみまして、必要な措置は、いろいろ講ぜらるべきものは講じなければならない、こういうことは基本的に考えておるのでございます。しかしながら今の教育委員会制度のいわゆる予算の編成権の問題につきましては、文部省当局とも相談いたしまして、再建整備の実施上再建整備促進法案に載せるか載せぬかにつきましては、最終的な段階においては載らないことに相なることだろうと存じております。これは最終的の決定は私まだ存じておりませんが、原案においてはいろいろ意見がありましたが、そういうことになるのじゃないかと今考えております。
○河野(正)委員 ただいまの文部次官、あるいは自治庁の御見解を聞いておりますと、一方におきましては今日の民主的な教育制度を守るために、ぜひともこの権限は残すべきだという御意図でありますにかかわらず、自治庁におきましてはこの権限を停止しょうというような考えが出て参ったわけでございます。結果的には別といたしましても、今日までの審議の過程におきまして出て参ったことは、先ほどの御答弁におきましても明らかでございます。しからばそういった権限を取り除こうというお考えがどのような根拠から出て参ったのか、その点を自治庁の方にお聞きしたい。
○小林(与)政府委員 自治庁といたしましては、教育制度の根本問題は別といたしまして、いわゆる教育委員会制度というものが現在の形であったとかりにいたしましても、予算編成上の権限につきましては、あってはならないということは行き過ぎかもしれませんが、ない方がわれわれの立場からいえば望ましい、こういう見解をかねて持っております。しかしながら事柄は教育委員会の基本的な問題でありますから、文部省の方で最終的にお考え願わなければいかぬ問題でありますが、今度の再運整備法の立案に当りましては、再運整備を実施するために、基本的な制度に直接携わりのある問題は別といたしまして、いやしくも地方財政の再建をやるためにどうしても最小限度なくちゃならない制度上運用上の問題だけは確保する必要がある、こういうことを考えまして、従来の実情を見ますと、二重予算、原案送付をめぐって自治庁においてもいろいろ問題があります。財政再建をやるためには、結局地方団体の財政全般を総合的に見て、赤字の克服のためにあらゆる努力を団体としては尽さなければならぬのでありまして、それがためには財政を全般的総合的な立場から編成し、執行していくということが基本的な要求だろうと思うのであります。それでありますので、その再建計画を実施するためにどうしてもやむを得ない問題だと考えます。いわば再建整備は地方自治団体の財政非常措置ともいうふうな考え方をわれわれは持っておりまして、いろいろな面において経費の合理化、縮減をはからなければならぬとともに、いろいろな面において団体の財政の基礎を樹立する方策をとらなければならぬので、一応再建期間中は原案送付の権限を停止してもらいたい、こういうのがわれわれの要求として提案されたのでございます。
○河野(正)委員 ただいま御答弁のように、もし再建団体に指定を受けまして、知事がそれぞれの都道府県の教育予算を完全に握ってしまうということになりますと、もともと再建団体として指定を受けました都道府県は財政的に非常に困難な状態に当面しているわけでございますので、従ってそういった地方財政の赤字が教育予算の上に非常に大きな圧力をもってしわ寄せされるというふうな結果に陥ってしまうと思うのでございます。ことに御承知のように年々児童数は増加して参りますから、おのずから教育予算というものが増加しなければならない傾向にあるにもかかわらず、ただいまの答弁を聞いておりますと、勢い地方財政の赤字が教育予算にしわ寄せをされまして、子供たちの教育というものがだんだん完璧を欠いていくというような結果に陥って参る、私どもはかように考えるわけでございます。そういった状態に対しまして自治庁はどういうふうな御所見でございましょうか。一つ御答弁願いたいと思います。
○小林(与)政府委員 地方財政再建のためには地方団体は非常な措置をとらなければなりませんが、これにつきましてかりに二重予算云々の問題がありましても、この教育予算にしわが寄せられる、そういうような考えはわれわれ毛頭持っていないのでありまして、しわが寄せられるという言葉は、全般的な調和のとれた予算の編成をわれわれは所期いたしおるのでありまして、特別に教育予算だけどうこうなるということはありようがないと存ずるのであります。特に教育行政は地方における最も重要な行政でありますので、もちろん予算編成上、予算執行上におきまして教育の問題が重視されて秤量されることは当りまえな話でありまして、当然教育だけにしわが寄るということはあり得る道理がないというふうに考えておるのであります。問題は二重予算編成権の問題でありますが、われわれは考え方といたしましても、かりにああした行政委員会制度がありましても、それは結局教育行政プロパーを中立的な独立の立場で執行せられるのは当りまえであり、そうあるべきだと考えておるのでありますが、結局予算の問題になれば、地方団体全体の財政の問題であり、全体の経費負担の問題でありまして、財政というものはあくまでも総合的に一体的に計画され運営されなくてはならない、こういうのが基本的な考え方でございます。それでほかにもいろいろ委員会の制度がありましても同じ委員会であるし、あるいは県会であろうが、監査委員制度であろうが、知事、部局に対しましてそれぞれ批判の権限あるいはある程度の監視の権限を持つようなものにつきましても、いやしくも経費の問題ということになれば財政負担団体である団体全体として総合的に考える、そういうのが当然の筋であろう、こういう考え方でおりまして、元来制度としても、あの制度というものは望ましいものだとは考えられない、しかしながらこの際の問題といたしましては、少くとも再建整備をやる以上は、全体として経費を圧縮しようとすれば、それぞれ均衡のとれた形でそれぞれがまんしていただくという形をとらざるを得ないのでありまして、そういう意味の総合的な調整を可能にすることが絶対的に必要であろう、こういう考え方でおるのでございます。それでございますから特別に教育予算をどうこうということは毛頭あり得るはずもなし、それぞれの団体においてそういうことを考えるはずもない、こういうふうに存じておるのでございます。
○河野(正)委員 ただいまの答弁を聞きましてまことに心外に感じたわけでございますがそういった非常に認識不足な態度でございますので、私は八条の二項という問題が起って参ったと思うのでございます。と申しますのは、今日の教育委員会法のもとにおきましても、実質的には非常に大きな圧迫をこうむっておるわけでございます。というのは、教育予算の編成、あるいは議会に対しまして送付の権利は持っておりますけれども、議決権がないといういうようなことで、議会におきましても教育予算というものが非常に圧迫されて参っておることは私どもが地方議会で審議して参りましても明白な事実でございます。ところがただいま御答弁を聞いて参りますと、地方財政が苦しんで、その苦しみというものは平等に亨受しなければならぬというお話でございますけれども、しかしながら現在の事態の中でも教育予算というものは非常に大きな圧迫をこうむりまして、学童は年々増加いたしますけれども、それに適応いたしますところの人員配置ができないというのが今日の実情でございます。これは私どもが地方議会で戦って参りましてつぶさに体験して参っておりますので、ただいま自治庁の方で御答弁せられましたことはまことに心外である、かように考えるわけでございます。 そこで私がお尋ねしたいことは、しからばそういう御認識のもとでは、ほんとうに現在の民主教育の確立という立場から、今日の地方教育委員会の存在というものにつきましても、私は自治庁当局が非常に大きな疑問を持っておられるのだというふうに感ずるわけでございますが、今日の地方教育委員会のあり方につきまして、どのような所感を持っておられるのか、その点をもう一度お尋ね申し上げます。
○小林(与)政府委員 教育委員会そのものについての根本的な考え方になりますと、これは大臣なりそれぞれの責任者でなければお答えいたしかねるのでございますが、われわれ事務当局と申しますか、私個人と申しますか、そういう考え方だけをそのつもりでお聞き取りを願いたいと存ずるのでございますが、今日の地方財政の現状はまことに不幸な状態でありまして、教育予算だけではなしに、あらゆる面における経費がそれぞれきわめて不十分であるということはもう申し上げるまでもないのであります。いろいろな仕事はやりたい、またやらなくちやならないけれども、この不如意な財政のもとにおいてどうしてそれを合理的に、総合的にやっていくか、そういうところに問題がかかっておるのでございまして、教育経費も十分でないことは、これは万々承知いたしておるのであります。できるだけ教育費も増したい、しかしそれと同様に一般の経費も増したいということになるのでありまして、結局この団体の自主的な財政力と申しますか、負担力と申しますか、そういうものを全般的にどう伸ばすかという問題が基本的にありますとともに、少くとも与えられた財政力の範囲内において行財政というものをどういうふうに合理的に運営していくかという問題と両方あるだろうと思うのでございます。それぞれの団体の内部における運営につきましては、行財政全般を扱っておる団体の責任者である長なり議会なりがそれぞれ総合的に御判断になって御決定になることでありまして、それぞれの部門の立場からいえば不満はありましょうが、これは団体の総合的な自主的な判断に従うよりほかにない、こういうふうに考えておるのでございます。 教育委員会制度につきましては、これは御承知だろうと思いますが、地方制度調査会の答申等もございまして、われわれ自治庁といたしましては、地方制度調査会の答申の線に沿ってものを考えたい、こういう基本的な考え方でおるのでございます。
○河野(正)委員 教育という問題は先ほど文部大臣あるいは次官からもお話願いましたように、文教政策の上から論ずべき問題でございまして、決して地方財政によって教育というものを左右してはならないというふうに確信いたしておるわけでございます。新聞で私どもが仄聞するところによりますと、今度の第八条第二項の問題におきましては、文部省当局と自治庁との間におきまして感情的な問題が起っておるというふうな報道もなされておるわけでございます。そこで私がお尋ねしたいのは、こういった教育の問題は、先ほどから申し上げますように、文教政策の上から論ずべきであって、地方財政の上からいろいろ論ずべき問題ではないのでございますので、当然文教政策が第一義になって参る、かように感じておるわけでございます。そこでお尋ね申し上げたいのは、今度の地方財政再建促進特別措置法でございますか、この法案作成にあたりまして、自治庁が文部省当局と緊密なる連係をとって参られたかどうか、この点につきまして一つ部長から御答弁をお願いしたいと思います。
○小林(与)政府委員 再建整備法の制定立案にあたりましては、文部省だけでなしに各省きわめて密接な関係がありまして、各省との間にそれぞれ話を進めて参ったのであります。文部当局とももちろん常時会合し、意見を交換し、その間いろいろ意見の食い違いが議論の過程においてはありますが、これを調整して、最後にはどうせ政府の意見として確定して出すことになるわけでありますから、その過程におきましてはいろいろ問題がありましても、最後には政府の方針として閣議決定された線できまるわけでございます。感情的とかなんとかいう問題は毛頭ございません。きわめて緊密な関係で問題の調整を扱っておるわけでございます。
○河野(正)委員 そこで学校教育の問題につきましてもその他の問題につきましても、それぞれ横の連係を緊密にやるというお話でございますので、私はさらに一点重ねて御質問申し上げたいと思います。それは御承知の町村合併促進法という法律でございます。これによりまして地方自治体では半ば強制的に町村合併を推進した面もあるわけであります。ところが町村合併いたしまして——もちろん教育上の立場から申し上げるわけでございますから、さような点で問題になりますのは、合併後の学校の統合という問題、ことに中学校の場合だと思いますが、統合の問題が起って参ります。ところが町村合併はした中学校を統合しなければならぬ、しかしながら財政的な裏づけは何ら考慮されておらないというのが今日の町村合併促進法の実情でございます。そこで私がお尋ね申し上げたい点は、こういった問題についても自治庁は文部省と緊密な連係を保ってこういった問題を推進してもらえるものかどうか。その点につきまして御質問申し上げます。
○小林(与)政府委員 町村合併の問題は実は私のところで扱っておるのでございまして、この合併に伴って町村内の施設、団体その他のものをなるべく合理的に整備再編成する。これは合併の趣旨を達成するためにも一番大事な問題でございまして、学校特に中学校の合理化という問題につきましても、われわれとしても非常な関心を寄せておるのでございます。文部省当局におかれましても、今お話のように、それぞれお考えがございまして、われわれといたしまして相協力してその目的を遂げたい、こういう基本的な方向で進んでおるのであります。自治庁といたしましては文部省と協力いたしまして、こちらとして御協力できる財政上の問題といえば起債その他の問題がありますが、そういう面につきましてもできるだけのことをいたしておるのでありまして、われわれとしてはもっと積極的に強くやっていただいてもいいくらいの気持でおるのでありますが、財政上も許す限り協力申し上げまして、ぜひ合併の成果を上げたいということで努力いたしておるのでございます。ただ問題は財政力の限度という問題が常にあるわけでありまして、これは学校だけの問題ではありませんで、合併に伴う道路の整備や庁舎の建設、その他諸般の施設について同じ問題が常にあるわけでありまして、国の財政力の許す限りにおいて、自治庁といたしましては町村合併の成果を上げるよう、合併町村というものをできるだけ健全に育成するように、そこに大きな重点を置いて諸般の施策を進めておるのでございます。
○河野(正)委員 ただいま町村合併法の学校の統合等につきましては、財政的にできるだけ協力をしたいというような御答弁であったわけでございますが、しかしながら今日の実情を見て参りますと、町村合併はしたけれども、学構の統合ができないというようなことで紛糾が起っておる地域がたくさんございます。ところがただいま御答弁を聞いて参りますと、非常に協力的だというふうなお話でございますが、しからば今度そういった町村合併法の学校の統合につきましては、優先的に起債その他につきまして御協力願えるものかどうか、ここで明白に御答弁願っておきたいと思います。
○小林(与)政府委員 これは学校の統合だけでなしに、新市町村の建設計画全般の実施につきましては、自治庁といたしましては実は最も重点を置いておりまして、今度の財政計画上における起債計画の中の単独事業などというものはほとんど大半が合併町村に向けられることに相なっておるのであります。その市町村のそれぞれの建設計画にはそれぞれの市町村でいろいろな具体的な計画あるいは優先順位等がありまして、われわれの立場からも学校の問題などは最も基本的に考えてもらいたい問題の一つでございまして、それが新市町村における建設計画の最も重点的な地位に与えられておれば、そういう実施についてはこちらとしてもできるだけのことを考える、こういうことで臨んでおるのでございます。ただ先ほど申しました通り、起債の限度というものもありますので、絶対額そのものになりますればすべての市町村を一度に直ちに満足できるということにはなかなか参らぬことは御了承願いたいのでありまして、許される限度におてできるだけ優先的に扱うということにつきましては、基本的に協力を惜しまない考えでおるのでございます。
○河野(正)委員 さらに一点お尋ね申し上げたい点は、ただいまいろいろお尋ねいたしましたように、統合の問題につきましては、起債あるいは補助金の問題がありますが、その他問題といたしましては、地方におきましては国有財産というのがございます。こういったものの払い下げにつきまして御協力願い、そして地方財政の基本財政の助成に御協力願える御意思があるのかないのか、その点につきましても一つ御答弁願いたい。
○小林(与)政府委員 この問題につきましても、自治庁といたしましては一番関心を払っておる問題でございまして、町村合併促進法にも御承知の通り国有財産払い下げとか、あるいは国有林の設定等についての措置が規定されておるのであります。われわれといたしましては、町村の希望もありまするし、強力にこれを推し進めたいのでありますが、この問題は実は農林省の所掌しておる林野の払い下げの問題でありまして、われわれが思っておる通り、あるいは希望しておる通りには農林当局の方の百パーセントの御支援と申しますか、御協力を得られないのが実情でありまして、もちろん農林省としてもできるだけのことをしていただきまして、ぼつぼつ払い下げの問題は進んでおりますけれども、われわれの希望から見れば、正直に申しましてほど遠い。できるだけ促進法の趣旨が達成できるように、新町村に差しつかえのない限度で国有林野の払い下げを受けて、団体の財政力を強化する、そういうことだけではなしに、私は林野の管理と申しますか、国土の緑化という見地からも、なかなか国だけでは手の回らない、そうした林野について公共団体の力をも加えて、そうして総動員で緑化造林をはかっていく、こういう基本的な立場からもさらに農林省に考えを広くしてやってもらいたいという強い希望をもって臨んでおるのであります。この点につきましては、皆さん方の格別の御支援もいただいて、そろいう方向に進めたい、こういうふうに存じておるのでございます。
○河野(正)委員 最後に一点文部次官にお尋ねいたしておきます。と申しますのは、ただいま自治庁から非常にけっこうな御答弁いただきました、私どもも非常に欣快に存じておるわけでございますが、文部省当局におきましても、ただいま私が御指摘申し上げました諸点につきまして御協力願える御意思があるかないか、一つお尋ねいたしておきます。
○寺本政府委員 この点につきましても先ほど松村文部大臣から並木委員にお答えを申し上げた通りでありまして、一部の新聞に、今度の再建整備促進法の制定に当って自治庁当局と文部省に非常に感情的な対立があるように伝えられておるが、案作成の過程においてはいろいろ両省間で議論を戦わしたけれども、それほど深刻な対立はなかったのだというようなお話を文部大臣から申し上げた通りでございます。最終的には先ほど申し上げました通り、政府部内の意見を取りまとめることができた、こう信じております。この問題は再建整備促進法の問題だけではありませず、町村合併に当っての学校の統合問題、校舎建設に当っての起債の問題などにつきましても、自治庁の御協力を願って両省間に意見の食い違いがないように促進をはかっていきたい、こう考えております。
○佐藤委員長 野原覺君。
○野原(覺)委員 私は最初に調達庁、それから国鉄の当局、なお自治庁に対してもあとで質問がございます。調達庁は実は三日にわたっておいでを願っておりながら、質問を許してくれぬものですから、今日まで延びておったのであります。従ってまず調達庁にお尋ねいたしたいと思うのであります。 この前二十四日の文教委員会におきまして、高橋文化財保護委員長が私どもの質問に対して御答弁になりました。その答弁によりますと、富士山麓の原始林はアメリカのこのたびの演習によってある程度の毀損を受けておる。従ってこれは明らかに協定違反であるから、調達庁当局に対して二十四日であったかと思いまするが、日米合同委員会の席上において米側に対して厳重に抗議をしてもらいたい、こういう申し出を文化財保護委員会としてはいたしました、こういうことであったのであります。調達庁は合同委員会において抗議をされたかどうか。抗議をされたとすればアメリカ側からこれに対してどういうような回答があったかお伺いしたいと思います。
○山内説明員 あの当時お約束をいたしました通り、五月二十四日の施設特別委員会において調達庁から米軍側に対して厳重な抗議を申し入れたわけであります。それに対して米軍側も今後かかる被害を与えないように周到な注意を払おうというような確約ができたわけであります。ただその際米軍側の話の中に、十分注意を払って今後そういう被害を与えないようにはいたすが、現地において保護区域の明示が不十分であるので、どれが天然記念物であるか、ちょっと確認が困難である。であるから立て札を立てる等の方法を講じてはっきりしてもらいたい、こういう申し入れがあったので、さっそくその点につきましては文部省に連絡をいたしまして御考慮を願うようにいたしてあるわけであります。
○野原(覺)委員 さらにお尋ねしますが、抗議をいたしました場合に、アメリカ側としては、今後はそのようなことはいたしませんからということだけで終るものでございましょうかどうか、お尋ねいたします。
○山内説明員 その会合席では、今のような話し合いで終っておりますけれども、もちろん会合の席でそういうような約束をしてみたところで、それを現地に当てはめて実際上の行動に出なければ役に立たないわけです。そこで将来の問題につきまして、調達庁としてもっと根本にさかのぼった検討もいたしておりますし、すでに去る五月十二日の調達庁長官と米極東陸軍首脳部との間に話し合いのあった際に、現行の使用条件の一部について改訂を行うということも了解ができておりまして、目下調達庁としましても関係各省と連絡をとって、この天然記念物の保護、分化財の保護ということだけでなく、その他の問題につきましても全体的に考慮した改訂案をつくって、至急折衝いたしたいと思っておりますが、しかしこれはそう短時日にでき上るわけにも参りません。一方射撃はやはり次次と行われるような情勢もありますので、一刻も早くその申し合せを現地について実行するという手段をとらなければならぬ。そこで特に天然記念物に指定されておる原始林の区域をはっきりするということが必要でありまして、根本的には適当なところに標識でも立って明確にする必要があるのでありますけれども、これは経費の関係とかあるいは手数の上で相当——かりにこれをやることにきめましても時日を要しますので、とりあえずのところは現地調整の趣旨におきまして、詳細な図面に天然記念物、原始林、そういうものを明確に入れまして、今までとてもある程度そういうものは図示して、また図面を作ってありますけれども、現地に当てはめますと非常に広い関係でなかなか明確を欠く点もありますから、さらに一段とこまかな図面にはっきりとした区画をきめて、それを十分説明をし理解をしてもらって、とりあえず軍としても射撃の場合等には、今までよりも一そう注意をしてもらうということ、それから地元にもいろいろ軍あるいは日本側との何か協議会のような——これは現地調整を円滑にやる目的にもなりますが、そういうものを作りまして、軍の演習のやり方、砲座の位置というような軍側の方の事柄、あるいは日本側の方の希望事項等も十分話し合って、そうしてお互に協力して分化材を保護するというようなこと、これは今度の実際からながめてみますと、必ずしも軍側がこういう分化財を棄損するだけじゃなく、この前の場合のごときはいろいろ紛争が起りましたために、あるいは日本側によって棄損されたものもなきにしもあらずじゃないか、こんなふうに思われる点もありますので、やはり両方よく話し合って、お互いに協力してやっていかなければ目的を達せられない。とりあえずはそういうことにして、将来はもっとこまかな点も相当考えて保護の全きを期したい。もしできるならばそういう演習場区域から全然除外したい、そういうようなことも考えております。
○野原(覺)委員 調達庁次長のお話しを承わっておりますと、いささか私は了解できない面があるのであります。というのは、この前文化財保護委員長の御答弁によれば、明らかに米側の責任である。私どもの調査によりますると数十本の貴重な天然記念物、文化財が棄損せられておる。これは明らかに立木のじゅうりんはできないという協定違反であると、分化財保護委員長としては相当激烈な口調で答弁がなされて、その結果あなたの方を通じて米側に対して抗議を出されたはずであります。ところがただいまあなたの御答弁を聞いておりますと、何だかどうもその責任の所在が明確でないような気がいたして私はしょうがないのです。つまりアメリカ側に今回の原始林の棄損は責任があるのか、それとも分化財である天然記念物を、明らかに天然記念物として指示をしなかったこちらの方にも落度があるのか、どっちなのか、この辺はいかがでございますか。
○山内説明員 私が申し上げましたのは、軍側に責任がないという意味では毛頭ないのでございまして、今被害の起っている範囲については軍側の責任であると私ども思っております。しかし御承知のように、その原始林の区域等が必ずしも明確じゃないために、あるいはその区域に日本側の者も入って多少影響を与えたようなことはないかどうか。ということは今起った被害か、あるいは前に起った被害かということも明確を欠く点があるのであります。そんなような意味合いでああいうふうに申し上げましたけれども、むろん今度起ったと思われることも、調達庁側の調査と、それから分化財保護委員会の方面の調査と両方今調査がまとまって出ておりますので、これを両方突き合せて検討したならば明確になると思っております。 要は私の申し上げたのは、こういう分化財の保護等も軍に対しては厳重に抗議をし、将来被害が起らぬような具体的措置を講ずるとともに、運用に当っても両方力を合せて、お互い説明し合って協力してやることが必要である、そういう意味で申し上げたのであります。
○野原(覺)委員 その場合に米軍側に責任があるということが明確になった場合、その責任に対する補償と申しますか、単に将来そのようなことはもういたしませんという一片の陳謝だけで終るものかどうか。ということは、富士山麓の演習は今後も起る可能性がある、それはやるでしょう、明らかに声明しておるわけであります。私は天然記念物の棄損は今回だけで終らないと見ておる。従って抗議をされるというと陳謝をする、それでまたやる、また終るというようなことで一体この問題は済まされることになっておるのかどうか、その辺いかがでございますか。
○山内説明員 両方から被害調査が出て参って、私の手元にごく最近届いたわけでありますが、これは県庁を中心としてお互いに連絡し合って調査したものと思われますので、その間に大した違いはないと思っております。ただやはり広い範囲でやって全部にわたるわけにも参りません。あるいは見方によって多少その人の判断の入るようなこともないとも言えませんので、従って形の上からいけば多少違っておりますが、根本の被害の状況としてはまず一致いたしております。それによりますと、この演習による全体の被害としますれば、いろいろの項目にわたっておりますが、いわゆる文化財としての被害は幸いに今度の演習ではごく軽微である。従って果してこれを損害補償として持ち出すかどうかということについては、まだそこまで話し合いをいたしておりません。両方の意見としても大して補償の問題には触れてないように思われます。両方から出てきておりますけれども、何としてもあのときの状況から見まして、それを突き合せてちょうど重なる分が絶対的な被害であって、あとないとかどうとか、まだまだ断言できる程度ではないのじゃないか、なおよくこの両方の調査を基礎として調べてみたい、かように思っております。もちろん向うの損害補償の問題まで持ち出す必要のあるような状況ならば、これは持ち出して解決いたしたいと思っております。
○野原(覺)委員 当然損害補償の要求をすべきではないか、私はこのように思うわけであります。 そこで問題を転じてなお調達庁に対してお尋ねをいたしますが、アメリカ軍の軍事基地の拡張が今回なされるということを私どもは聞いておる。五ヵ所でございますか六カ所でございますか、ジェット機の発着するに非常に狭隘を感じておるというので、アメリカ軍の日本にある軍事基地としての飛行場の拡張がなされるということになりますと——現在ありまする米軍の軍事基地が、今社会教育だけでなしに子供の教育に対しても非常な影響を与えておることはあなたも御承知の通りであります。そこでさらにそれが拡張になるということになれば、これは各般の点から問題があるのでございますけれども、当分教委員会としても、これは子供の教育、風紀の問題、いろいろな点で無関心ではあり得ないので、あえてお尋ねをいたすわけでございますが、どの程度の拡張がなされるものか、まずその点から御答弁を願いたい。
○山内説明員 目下のところ確定いたして手続に入っているところ、それからまさに近く入らんとするところは五ヵ所ございます。それは立川、横田、千葉県の木更津、愛知県の小牧、新潟県の新潟飛行場、この五ヵ所であります。そしてこの拡張は大体滑走路の延長ということが骨子であります。見方によるともうそれのみをねらって今度の拡張が行われると申し上げても過言でないと思います。この拡張は各個所ごとにはこれは申し上げることを省きますが、全体に通じて申し上げますと、約二千ないし三千フイートという程度の拡張になるわけであります。
○野原(覺)委員 現在は五カ所でございますけれども、さらにこれが六ヵ所になり十ヵ所になる、だんだん拡大する傾向にあると私は思うのでございますが、いかがでありますか。
○山内説明員 軍側には非常に各方面の飛行場について、その滑走路の延長の意味合いにおける拡張希望はあるわけでございます。それから日本の防衛庁の立場としましても、やはり滑走路の延長の希望は持っておるようであります。しかしながらいろいろこの問題につきましては影響が大きいのと、特に財政的の制約がなかなか強い点もありますので、現在のところはこの五カ所にきめて今着手をいたしております以外は考えておりません。
○野原(覺)委員 大阪で聞いた話でございますけれども、伊丹の飛行場も拡張するというので、伊丹飛行場周辺の農民がかなり騒いでおります。それから九州の板付もこれは行く行くはまた滑走路の延長というような工事がなされるかもわからない。こういうことになってきますと、今日日本にあることごとくの米軍基地の飛行場が拡張されるというように私どもは思うのでございます。これは思い過しであるかどうか。これは相当大きな問題でもありますので、単に当面を糊塗する御答弁ではなしに、明らかに来年、再来年に事実として私どもの前に出てくることでもでございますから、一つ責任のある明確な御答弁を願いたい。
○山内説明員 御提示されました板付については毛頭私ども考えておりません。ただ伊丹飛行場につきましては、非常に軍の要請は強いのであります。従って現在は考えておりませんが、あるいは将来問題になるものと見なければならぬのじやないか、かように思っております。
○野原(覺)委員 そこで次長は先ほど単なる滑走路の延長であるということでしたが、このような飛行場の拡張というものが教育にだんだん影響を与えてくることは明らかなことなんですが、飛行場の滑走路が延長になれば、ジェット機の発着というものは今より一そう激しくなるわけですから、たとえば飛行機の音響のために飛行場周辺の学校においては授業ができないということも、今日まで非常に問題化しておりますから、調達庁ではそれらに対する措置を今日までとられてきておられることは、あなたも御承知の通りです。そこでその辺のことをどういうふうにお考えなのか。今日まで防音装置の要求を調達庁にしてきた学校はどのくらいございますか。まずその辺からお尋ねいたします。
○山内説明員 確たる数字は記憶いたしておりませんが、全国からの防音装置をしてもらいたいという希望の学校はおそらく六、七十に達するものと思われますが、今まで実施いたした数は、二十八年度に三校、二十九年度に十一校、合せて十四校であります。三十年度におきましては、ますますこういう方面に施設の必要を感じまして、極力予算をもらってなるべくたくさんの学校について実施いたしたいと考えております。
○野原(覺)委員 六、七十の要求の中からわずか十四しか実施していないということであれば、今日までにすでに問題があったわけであります。そこで本年度はたくさんの予算を獲得して考えて参りたい、こういうことでございますが、本年度は調達庁の見積りとしてはどの程度の学校に防音装置の実施を考えておるのか承わりたい。
○山内説明員 これは音響の強度といいますか、そういう度合いによりまして、この程度まではやる必要がある、こういう大体今日まで研究したものさしというものがあるわけでありますから、本来ならばそのものさしに合う学校は全部一斉にやれば一番理想的ですけれども、予算の制約からそういうわけに参りません。では三十年度にはどうするかということにつきましては、私どもはできるだけたくさんしたいということを申し上げるより以上、予算関係は一つのワクに入っておりますから、今後いろいろの種類の施設区域提供関係の全体の与えられた額の範囲で各種類をにらみ合せて実施計画を立ててやらなければならぬ。従って今のところ防音装置をやるべき学校は何校というふうにきめておりません。
○野原(覺)委員 しかし大体のことは予算として要求されるのでございますから、そのお見積りくらいは言えないことはなかろうと思う。その前に文部当局にお尋ねしたいのですが、調達庁に対して、飛行場周辺の学校に対する対策として防音装置の必要あるものとして、本年度どれだけ要求しておるか、質問します。
○小林(行)政府委員 お答え申し上げます。飛行場の騒音の関係でいろいろ改築あるいは防音対策をしなければならぬ施設についての学校の要求は、直接調達庁の方に参っております。なおたとえば要求あるいは陳情書等があわせて文部省にくるものもございますけれども、それは必ずしも全部でございませんので、大体地方の調達局を通じて直接調達庁の方に要求されるということになっております。ですから文部省としてはその数を何校というふうに把握しておるわけではございません。
○野原(覺)委員 ただいまの御答弁に対して重ねて質問をいたします。調達庁相互間の問題だ、こういうことを言われておるのでございますけれども、しかし事いやしくも子供の教育に関するこういう大きな問題を、だからといって私の方は知らないのだということでは、私は通らないと思う。もしあなたの方が知らないとすれば、これは職務怠慢と言われてもいたし方がないことじゃないかと思うのですが、いかがですか。全く知らないこととして放置せられてきておるのかどうか。
○小林(行)政府委員 私どもの方で、それは全然関係がないのだという態度でそれをながめておるわけではございません。ただこの防音装置を実施いたします場合に、この予算を持ち実際の配分をされるのは調達庁でございまして、その手続といたしまして、学校あるいは市町村から地方調達局を通じて調達庁の方に申請書類が出され、またそれに対して調達庁の方でそれを決定して下に流されるということになっておりますので、実施の直接の官庁が調達庁ということでございます。もちろん教育上これは非常に重要な問題でございますので、文部省から応援してもらいたいということで文部省にお見えになる場合には、私の方からも調達庁の方に御連絡申し上げて、できるだけその御要望をいれてもらいたいという口添えをし協力をいたしておりますけれども、直接私の方に見えないものもございますので、これは決して文部省はそれに関係がないのだという意味合いではございませんが、現実はそういうようになっておる状況でございます。
○野原(覺)委員 このような予算の配分とか予算の決定というものが調達庁にあることは私は知っております。そういうことを尋ねておるのじゃない。あなたに私が尋ねましたのは、本年度防音装置を必要とする学校はどのくらいあるのか、そのくらいの数字はいやしくも管理局ともあろうものが把握していらっしゃらないはずはないと思う。本年度防音装置を必要とする小学校はこのくらい、中学校はこのくらいだということを私は尋ねております。どのくらいありますか。
○小林(行)政府委員 現在私正確な資料を持っておりませんので、いずれ調べてお答え申し上げたいと思います。
○野原(覺)委員 その点については御答弁がただいまできないということであればきわめて遺憾ですが、私は次の委員会において局長から責任のある御答弁を願いたい。 そこで重ねてこの問題について私が一つ尋ねまするのは、御承知のように愛知県の小牧飛行場においては、飛行場の周辺でもってアメリカの飛行場が数回墜落しておる。そのために相当父兄が動揺いたしまして、こういう状態では安心して子供を学校にやることができぬじゃないかというので、校舎を何としても鉄筋コンクリートにするか、もしくは校舎の移転を政府が責任をもってやってもらいたいと、小牧の市長を中心とした全市民の要求として、実は一昨年来この動きがあったことは御承知だと思うのです。しかしながらそのことは実現をしませんでしたけれども、辛うじて防音装置がやっと完成をした。ところがその近くにある中学校が、また小牧飛行場拡張ということになりますと、これまた問題が起って当ておるこういうことで日本の政府が簡単に滑走路の延長というものをどんどんアメリカとの話合いで進めていく反面、教育に対する配慮が何らなされていない。しかも教育に対して最も責任を感じなければならぬ文部当局が、私の質問に対してただいまその数字すらもここで責任をもって答弁しない、こういうような考え方というものはまことに遺憾にたえなかったのであります。このことは重大でございますから、私はいずれ管理局長から御答弁がありましたら、次の機会において重ねてまた質問したいと思う。 そこで第三点、調達庁にお尋ねいたしたいことは、先日の文教委員会におきまして、大阪市立大学の校舎の返還について私が尋ねましたところ、調達庁次長は六月末になればこの問題の解決は考慮する、こういうように米軍側から答弁があったということでございました。これはしかし甘く解釈いたしますと、七月一日になれば杉本町の大阪市大の校舎は、米軍が返還してくるものとも解釈されるのでありますけれども、しかし考えてみると、あの市大の校舎問題で数年前でございますか、病院施設をアメリカ軍がやっておる。その病院施設が終って返されるものと甘く見ておりましたところが、その何カ月後には無断で日米合同委員会にもはからないでマリーンが進駐している。そしてマリーンが今日おるわけです。従って六月末に解決を考慮するということは、海兵隊が六月末には出ていきますけれども、あとからほかの部隊が入ってきて、この校舎の返還はできないのじゃないか、こういうように今日学校当局、大阪市当局では非常に心配しておる。本日私はこの問題について、ただいま率直に明確なる御答弁があれば今後一切質問いたしません。しかしながら答弁のいかんでは毎日でもいたしますので、これ以上私に質問をさせぬでもよいような御答弁を次長から一つお願いしたい。
○山内説明員 前提として解除ということがきまっても、日は必ずしもなかなか当らぬ場合がございますので、そのことを前もってちょっとお断り申し上げておきます。解除がきまりましても、解除には折衝の場合と、内意は違いますけれども、手順としてはほとんど同じような手順を取りますので、従って事務的の関係で、日が三日やあるいは一週間、時によると相当な日にちがおくれることが、解除でほとんどきまっておりましても動くことが間々ありますので、その点は御了承願ってこの問題に入りたいと思います。 そこで結論から申しますと、六月末前後にはこの問題ははっきりするだろう。しかもわれわれの期待するような方向で進んでいるものと信じておりますから、やはり野原代議士の御期待のような結果になるものと私ども考えております。その理由は、まずこの次善策としての改善方策、これは軍の方からの意見もあり、早急に大蔵省にも頼んで数千万円投ずることにして代替施設をすることになったのが、軍の方はとるべき手続き、基本計画は出さない、いまだに出してこないのみならず、もうすでに次善策の代替施設というものは軍の方もすえているようです。日本側も予算の関係でもう切ってしまっている。従ってもうこの改善策というものの代替施設はできないことになったと申し上げてさしつかえないわけでございます。これが第一点。それからこの前の合同委員会におきましても六月末までに軍の配備計画がきまり、そのときには解除問題について考慮する、こう表現をいたしておりますことと、それからこの問題についての過去のいきさつ等から考えまして、私どもは解除になることを期待し、信じております。ただこれを六月末の、先ほど申しました意味合いにおきまして六月末前後解除になるということは、どうしても私として申されない事情にありますので、この点は御賢察を願いたいと思います。
○野原(覺)委員 日米合同委員会で、この問題でアメリカ軍側に対して返還をするかどうか、こういうことを要求されたことがございましょうね。
○山内説明員 返還という言葉でたびたび交渉はいたしております。しかし返還について考慮するという言葉は、時期的に違いますけれども、そういう言葉を使っておりますが、一回も解除するとはまだ言っておりません。
○野原(覺)委員 京都の洛陽ホテル返還について、今回の堺キャンプでございますが、あれの撤退ということのために軍の編成がえということで解除、返還をするという予約があったけれども、どうも大阪市大に関しては六月末前後にその解決を考慮するということでありまするために、非常にあいまいなものが依然として残されている。しかしながら私の質問の趣旨をよく御了解下さいまして、次長が大体あなたの尋ねようとされているその趣旨に沿うものであると確信をする、これ以上のことは言えないということでございまするから、私はその辺のところは米軍の機密事項にも属するでしょうから、これ以上追及はいたしませんけれども、大阪市並びに市大は六月末までには返還になるものという期待をいたしておりますもので、どうか一つこの期待を裏切ることのないように最善の御努力をお願いいたしたいと思うのであります。 そこで調達庁に対する質問は以上で終りまして、国鉄にお尋ねをいたしたい。私どもの同僚議員の山崎君からこの前の委員会で河野政務次官に対して、このたびの紫雲丸あるいはその他の連絡船なり鉄道事故等についての学童生徒の補償問題について質問をいたしたのであります。その際河野次官は、十分考慮したい、こういうことでございましたが、国鉄当局は、御承知のようにたくさんの死者を出しておるが、このなくなった気の毒な子供たちに対してどの程度の補償を考慮しておるのか、お尋ねしたい。
○鵜沢説明員 今回紫雲丸の事故で多数の中学生、小学生の方々のおなくなりになったことは、何とも申しわけのないことでございます。それにつきまして、国有鉄道としてはいかほどの損害賠償あるいは補償金を出すか、こういうお尋ねでございます。これは十分のことをいたしたい、こういう方針でございますけれども、何分にも多数の方がおなくなりになっておりまして、学童だけでしたら割合に早く計算ができますのですけれども、学童以外の方もおなくなりになっておりますので、今各おなくなりになった方々の戸籍謄本、それから学童以外の方で御収入のある方に対して、御収入先の会社において給与を調べ、その裏づけになる給与票というものを税務所からもらっておる最中でございます。私どもは、今係員を各市町村、それから税務署、会社等に派遣して、今月一ぱいに集めるように、こういうことを督励しておりますので、今月中には集まるのではなかろうか。それからいわゆるホフマン式と申しますか、現在の収入を基礎といたしまして御収入のある方の損害賠償を計算いたし、それから第二次的な計算方法として、御収入のない方、いわゆる学童、幼児、それから御職業のない御婦人、こういう方々のをそれと勘案して計算したい。その計算がいつごろできるかということでございますけれども、私どものもくろみといたしましては、来月の上旬、四、五日ころまでには何とかしたい、こういうふうに考えております。従いまして、学童に幾ら、一般の人に幾ら、こういうことはまだ計算もでき上っておりませんので、もうしばらく御猶予を願いたい、かように考えております。
○野原(覺)委員 頭が悪いせいか、どうもあなたの御答弁を把握するのに非常に困難を感じておりますが、計算をしたいと言いますけれども、一体何を基準にして計算をするのか、損害補償の予算総額というものでもあって、人数がこれだけだから、だからして、というような、そういう考え方で国鉄は今回の事故の補償をなさろうと思っておるのですか。
○鵜沢説明員 一般に、人がおなくなりになって、それが第三者の責めに帰すべき理由で生じた場合におきましては、収入のある方につきましては、そういう現在の収入を基礎といたしましてそれに基く損害賠償、それから民法七百十一条の精神上の慰謝料、それから物件の損害がありますれば物件の損害補償、それと葬祭費と、こういうようなものを足したものを損害賠償と言いまして、現在収入のある方につきましては、一応その御収入を基礎として計算をしなければならない、こういうふうに私どもやっておりますし、裁判所でもそういうふうにやっております。ただ、今お尋ねになりました、学童については収入がないのだからすぐ額が言えるのではないか、これはごもっともなお考えでございますけれども、やはり現在収入のある方でなくなった方が相当おられますので、それを一応計算いたしまして、それから御収入のない方を考えなければならない、こういう考えを持っております。 それからもう一つ、国有鉄道では今回の紫雲丸でおなくなりになった方に対する損害賠償と申しますか、補償の額につきまして一応ワクがあるのではなかろうかというお尋ねでございますが、そういうワクはございません。
○野原(覺)委員 そういうような計算の仕方はまっこうから承服できませんが、その点は運輸委員会あるいはその他適当な場所で問題にすることにいたしまして、学童の補償は大体どのくらいになるか、あなたの方で見当がつくはずだと思うが、これはいかがでございますか。
○鵜沢説明員 目下のところ何ほどという額の見当はまだついておりません。ただできるだけの慰謝の方法をしたいという考えであります。
○野原(覺)委員 そうなりますと、学童はおとなよりもその補償の額ははるかに下るのですか。学童の補償はおとなと比べますとどういうことになるのでございますか。
○鵜沢説明員 ただいま申し上げましたように、おとなでおなくなりになった方が幾らであるかということで、私どもの方で今権利者を確定するために、そのおなくなりになった方の戸籍謄本、それから現在の収入を調べておりますが、そういう方々の権利者並びに収入というものがまだはっきりわかっておりませんので、その方々が幾らになるかということがわかりません。従いましてそれと比較して学童が幾らということは、今の段階でははなはだ申しわけありませんけれども、ここで御返事いたしかねます。
○野原(覺)委員 補償の問題については、あなたの方で、あの事故がありましてからずっと今日まで協議をされてきていると思うのございますが、その協議の中で、今回の学童の補償については収入の有無とか何とかということを言わないで、おとなと同額の措置をとるべきではないか、こういう意見は国鉄の中には出なかったものかどうか、お尋ねいたします。
○鵜沢説明員 今お尋ねのような意見は出ませんです。
○野原(覺)委員 一体いつになればこの補償は決定しますか。
○鵜沢説明員 先ほど申し上げましたように、一般の御収入のある方の権利者並びにその方々の御収入が今月中には私どものところでわかりますから、それから計算をいたしまして、国有鉄道並びに運輸省と御相談いたし、そうして確定いたしますので、来月上旬、四、五日ごろまでには額がわかるのではなかろうか、こういう考えでございます。
○野原(覺)委員 学童の補償について、この委員会は、この前政務次官の河野君に来ていただいて私ども質問いたしました結果、学童がおとなよりはるかにこの額を下げられるとか、あるいは従来のような損害賠償のやり方で計算をされることは不満だ、こういう意見のついた質問に対して、運輸政務次官は十分考慮しなければならない、こういう答弁をしておるのであります。もとより運輸省と国鉄は別であると言えばそれまででございますが、私はただいま、国鉄のその協議の中において、学童の損害補償の問題について、従来のあり来たりそのままであってよい。当委員会の要望というものが全く反映されていないということを知って、実は驚いているわけであります。従って、この問題は今ここであなたをどうこう追及してもいたし方がございませんから、次の委員会において、運輸政務次官並びに国鉄の責任者、総裁十河氏に来ていただいて、この問題は私の方としてはあらためて問題にしたい、このように考えます。そこでなお一点だけお尋ねをいたしておきますが、紫雲丸で行方不明の学童が何名おりますか。
○鵜沢説明員 学童が一名、それから先生が一名、二名でございます。
○野原(覺)委員 行方不明者につきましては死者と同様に扱うということは考慮しておりませんか。
○鵜沢説明員 同じようにやる考えでおります。
○野原(覺)委員 先ほど申したように答弁いたしました河野政務次官並びに国鉄総裁の出席をこの次要求いたしまして、問題にいたしたいと思います。 そこで次に文部政務次官、自治庁の方にもお尋ねいたしますが、同僚議員の河野正君から地方財政再建促進特別措置法についてお尋ねをしたのでございます。これに対して先ほどの御答弁は私も承わっておりましたが、それによりますと、今回の地方財政再建促進特別措置法の文教政策に関係した問題点は、実は八条二項であるかのような感じを私は先ほどの答弁で持たされておるのであります。そこでまず次官にお尋ねをいたしますが、この自治庁の原案について、文教政策に大きく影響のある問題点は、単に八条二項であるというように考えられているのか、その他に問題点はないものかどうか、文部当局の見解を承わりたいと思います。
○寺本政府委員 先ほど河野さんからのお尋ねは、特に八条二項をあげてのお尋ねでございましたので、その点についてお答えを申し上げたわけでございます。このほかにも予算執行についての教育委員会からの知事への協議の問題とか、それから教育委員会の事務組織の内部機構の問題であるとか、その他市町村立学校の教職員の定数の配分問題とか、いろいろな問題が財政再建整備促進法では考えられております。そういう点がこちらに関係してきた問題であります。
○野原(覺)委員 そこで文部省としては自治庁に対して話合いをしておるという新聞報道を私ども見たのでありますが、これはまた話合いをしなければならぬと思う問題であるわけでありますが、どういう箇所について自治庁と今日話合いを進めておるのか、まずこの点をお伺いいたします。
○緒方政府委員 先ほどお話に出ました八条二項のいわゆる教育委員会の原案編成権の問題、これらにつきまして自治庁とよく話合いをいたしまして大体調整の方向に今向っているわけであります。そのほかの点につきましてもいろいろと話をいたしまして、大体意見の一致を見ているわけであります。ただ政府としまして最後の決定は閣議決定でございますが、ただいまの状況ではまだそこまではいっていないのじゃないかと考えております。ほかにも一、二意見といたしましては技術的な点がございまして、それらの点につきましては十分話合いをいたすつもりであります。先ほどお話のように、私どもの立場としましては教育委員会の建前をくずさないようにということで十分調整して参りたいと考えております。
○野原(覺)委員 私どもは正確な自治庁の原案を入手しておりませんから、いろいろあちこち出されております原案について質問をしておるのでございますが、単に第八条だけでなく、お説のように第九条あるいは第十条、あるいは第十一条、第二十四条等、今回の再建促進特別措置法の目的が地方財政の再建にありますために、教育委員会の行政といろいろな面で非常に交錯している。そういう点で教育行政の民主性と申しますか、独立性と申しますか、そういう面が八条二項だけでなしに非常に制約を受けてきているわけであります。これらのことごとくについて話合いしているのか、そのことごとくについて一体自治庁はどういう見解を持っているのか、ほとんど全部についてあなたには私の言うことはわかってもらえると思うのですが、教育委員会の民主性なり、独立性なり、行政としてのそういうものの全部について自治庁とは話いをしているのかどうか、重ねて局長にお尋ねいたします。
○緒方政府委員 私先ほど申しましたように、八条関係だけでなしに、そのほかの条文にわたりましても、全体につきまして私どもの必要と思います点につきましては十分話合いをいたしております。
○野原(覺)委員 そこで自治庁は八条二項については、先ほど何とか文部省と話合いをして、予算送付権の停止というような結論が出るかのような御答弁があったのでございますが、その他の箇所においても、事教育委員会の独立、教育委員会の民主性という点については、決してこれを侵害することのない原案をあなたの方は出すお考えであるかどうかお尋ねいたします。
○小林(与)政府委員 今文部省の方からお答えがありました通り、教育委員会そのものの制度に触れるような点は、先ほど議論になった問題が中心でありまして、これにつきまして大体話の調節をつけることになっております。あとは直接触れるものはないのでありまして、一般的な予算の執行運営というような問題は全般的にはありますけれども、教育委員会制度の建前に触れる事項はほかには全然ない、こういうふうに考えております。
○野原(覺)委員 私は自治庁の原案として出されております第九条の一項を例にとってお尋ねいたします。第九条の一項によりますと、市町村の教育委員会の意見を聞くとあるわけでございますが、市町村立学校職員給与負担法の第三条によれば、職員の定数に関しては、都道府県教育委員会と市町村教育委員会と協議するとなっている。ところが今回の原案は、意見を聞くということであります。私は市町村教育委員会の意見を聞くというこの文言と協議するというこのことは、内容上に大きな違いがあると思うのです。何となれば意見を聞くということであれば、これは意見を聞くというのでありますから、聞きっぱなしができます。ところが協議するということであれば、これは市町村教育委員会の意見が大きく尊重されるということになるわけでございますが、この辺は自治庁としては、文部当局と話合いをした結果、意見を聞くというようなこういう文言は取り去ることにお考えをきめておりますかどうか、お尋ねいたします。
○小林(与)政府委員 再建整備法の最終的なことは、私は所管が違いますからはっきりしておりませんが、今のお尋ねの点は、原案のままで文部省と話合いが進んでいるように考えております。
○野原(覺)委員 そうならば局長にお尋ねしますが、あなたの方はこういうような原案が政府から出された場合に、今日あなた方が育成強化しようという地方教育委員会というものはどういうことになるのか、まずその辺をお伺いしたい。
○緒方政府委員 これは先ほど申しましたように、最後の決定は私どもよくわかりませんが、ただこの九条第一項の点につきましては、これは先ほどのお話の教育委員会制度の建前の教育委員会法に触れる問題ではなかろうと思います。定数をきめます場合に、先ほどお話のように市町村立学校職員給与負担法におきましてきめてあります原則に対する例外、かようなことに相なるかと存じます。赤字の団体におきまして、財政の再建に努力をするというその過程におきまして、給与の負担の関係と市町村の教育委員会の関係の調整という意味でかような原案に相なっておるわけであります。これらの点につきましては、まだ最後の決定は私存じませんが、大体かような方向に進んでおります。
○野原(覺)委員 それではどうも答弁があいまいなんです。第九条の二項についてもう一つ念のためにお尋ねします。第九条の二項を見てみますと、都道府県教育委員会が市町村教育委員会に命令することができる規定になっておる。ところが御承知のように教育公務員特例法の第二十五条の四の二項によりますると、都道府県教育委員会は、給与及び勤務時間その他の勤務条件等を条例で定めるときには、地教委の意見を聞かなければならないことになっておるのですよ。よろしいですか。意見を聞かなければならないことになっておるのを、今回のこの促進特別法によりますと、命令をしてもよいといっておるわけでございます。この点は実は給与あるいは勤務時間その他勤務条件等の問題に関して、今日地方教育委員会では承服することができないといきまいておる。私はこれは明らかに地教委の民主化というものを大きく阻害する条文だと見ておるのです。こういうように指摘して参りますると、あなたはさっき抽象的に話し合いを進めておって、大体話し合いがつきそうだと申しておりますけれども、今日の教育行政に対する責任のある文部当局が、教育委員会の民主性と独立性をどう把握しておるのか、私は了解に苦しむ個所がたくさんあるわけなんです。この辺はどうなっておるか。この点はまず自治庁にお尋ねしましょう。これは一体文部当局とお話し合いして、あなたは九条の二項の命令をするということを取り去るお考えはございませんか、また取り去ってもらいたいという強硬な申し入れば、文部当局からあなたの方にきていないか、まず自治庁にお尋ねしましまう。
○小林(与)政府委員 命令をするというふうな規定には、私もきまっておらぬと存ずるのでありますが、府県の教育委員会と市町村の教育委員会との間の調整をはかる必要がある、こういうことは私も必要だろうと思っておるのでございます。仰せられました通り、給与の負担団体は府県でありまして、府県が給与を負担し、給与に伴ういろいろな諸条件というものも府県の条例できめることになっておりまして、あとはその負担する経費の個々の支出、任免行為——支出はもちろん府県がやるわけでありますが、人に対する任免発令の権が市町村の教育委員会にあるわけでありますから、府県が負担する経費、府県の条例できまっておるものの執行について、市町村が実施するわけであります。その間の実施上の調整をはかるために必要な指示と申しますか、調整の権能だけは、これを確保することはそれほど教育委員会の根本に触れる問題でもあるまい、むしろ経費の支出者として必要な調整をできるようにすることは無理でもない、こういうふうに考えておるのでございまして、そういう方向で文部省とお話を進めておるのでございます。
○野原(覺)委員 私はこの原案があなたの方からまだ活字になって出てきておりませんので、実ははなはだ質問が苦しいのでございますけれども、私が聞いておる原案はこうあるんですよ。ずっと前文があって、都道府県教育委員会は市町村教育委員会に対して必要な指示または命令をすることができるとある。明らかに命令とある。ところがさっき指摘いたしましたように、教育公務員特例法の二十五条の四の二項では命令をしてはいかぬことになっておるのです。この立法の精神というものは、そうなると市町村教育委員会の権限と申しまするか、いわゆる市町村教育委員会の必要性というものが全く骨抜きになるんではないか、これは一体自治庁当局はさることながら、文部当局が承認をするのかどうか。緒方さん、いかがですか。
○緒方政府委員 私の方でも最後の決定を見まして御審議を願う段階になりませんと、答弁も非常にやりにくいわけでございますが、ただいまのお話の点は、教育委員会の自主性と申しますか、これは守られておると私は考えております。ただ自治庁からお話がありましたように、一項も二項も県の教育委員会と市町村の教育委員会との間の調整の規定であります。その点につきまして、かような特別に財政の再建に努力しなければならぬ団体につきましては、そういう必要があるのではないか、こういう意味の趣旨であろうと考えております。
○小林(与)政府委員 印刷した案がちょっとありませんが、命令するという意味の規定は私はないと存じております。そういう言葉は全然使っておらないはずであります。
○野原(覺)委員 これはまだ原案も出ておりませんので、私はこれ以上この問題については質疑することは避けたいと思いまするけれども、しかし一たん法律案が政府から提案になりますると、法の修正というものはなかなか困難であります。従って私は、今回自治庁が考えている、地方財政の赤字解消のためには地方行政機構の改革が必要であるというこの点は、わからぬわけでもありません。さらに今日の教育の民主化のために、教育制度の問題では教育委員会というものができている。この委員会の存在価値というものを根本からゆるがすがごとき法案を政府から出されようとしているときに、おそらく文部当局は傍観していないと思います。新聞によれば、自治庁に対して相当厳重にねじ込んで話を続けておるということで、私どもは大いに期待をしておるわけでありますけれども、なお一つ最善の努力をしてもらいたいと同時に、自治庁の方も皆さんここにいらっしゃるわけでございますから、あなたの方は地方財政の再建という美名に隠れて、自治庁長官の権限を強力にして、教育に対する中央集権というようなところまで手をお伸ばしになることがないように、一つ考慮してもらいたい。私はいずれ法案が出ましてからお目にかかりまして、ゆっくり御質問なり御意見を申し上げたい。以上で終ります。
○佐藤委員長 平田ヒデ君。
○平田委員 私は文部省の予算、私立学校振興会に対する出資に必要な経費七億五千万円の計上に関連して、文部省の夜間大学に対する熱意を吟味させていただきたいと思うのでございます。 まず第一に私立大学の振興についてでございますけれども、私立大学振興会に対する出資に必要な経費として七億五千万円が計上されまして、前年度よりも二億五千万円増額されておりますことは、私学振興政策としてまことに喜ばしいことでございますけれども、私は私学振興の目的の大部分を占めております、私立大学の振興についての基本的な政府の考え方をお伺いいたしたいのでございます。文部省大学学術局大学課の発表によりますると、昨年すなわち昭和二十九年五月現在におきまして、わが国大学の学生数は、国立大学すなわち七十二校の学生の総数は十七万三百九十六名でございまして、私立大学すなわち百二十校の学生の総数は二十八万二千四百五十六名となっております。私立大学の学生数は、国立大学のそれよりも実に十一万二千名も多いのでございます。この国立大学十七万の学生に対して本年度の予算は、国立学校の経費として二百二十九億円を計上されておりますけれども、学生数においてそれより十一万名も多い私立学校に対して、七億五千万円の助成金ではあまりに少額に過ぎはしないでしょうか。私は国立大学の予算のせめて一割の二十二億円くらいは出してしかるべきだと考えますけれども、文部省は増額の御意思はございませんでしょうか、この点についてお伺いいたしたい。
○小林(行)政府委員 ただいま御指摘のございましたように、学校の数を比較いたしましても、また学生の数を比較いたしましても、国立学校あるいは公立学校に比べて私立学校は実はかなり多い現状でございます。それにもかかわらず、私立学校につきましては、従来国の援助と申しますか、国の応援というものが比較的少かったわけでございます。私立学校もすでに非常にすぐれた伝統もありますし、またすぐれた学風も持っておりまして、国民の育成という立場から申しますと、相当有為な人材を多数出しておりますので、政府といたしましては、やはり私立学校につきまして、今後はさらに従来以上に力を入れていかなければならないのではないかというふうに考えております。ただいま数字をあげて御質問がございましたが、国立学校に比べて確かに国の財政的な援助というものも少いわけでございます。こうした点も含めまして、私立学校の充実あるいは振興という点につきまして、国として方策を立てなければならぬと考えておりまして、文部省といたしましては、現在中央教育審議会でこの私立学校の振興方策というものについていろいろ研究を願っておる次第でございまして、この御答申が出ますれば、その御答申の線に沿って、財政的にもその他の面につきましても、できるだけ私立学校に力を入れて参りたい、こういうふうに考えておる次第であります。
○平田委員 その答申はいつごろ出るのでございますか。
○小林(行)政府委員 すでに三月に私立学校の振興について具体的な方策を求める諮問を中央教育審議会にいたしまして、現在まで三回ばかり総会を開いていろいろ熱心に討議をされております。まだ審議の中途の段階でありますので、いつごろ答申が出るかのお尋ねでございますが、はっきりいつごろということは申せませんが、文部省としては、なるべく早い機会に具体的な答申を出してもらえれば非常に幸いだと思っております。
○平田委員 なるべく早く答申を出していただいて、私どもの方にもその答申をお示し願いたいと思います。 それから次に、大学の夜間部のことでございますが、これは国立と私立とでおのおのどのくらい置いておりますか、また生徒数などお伺いしたいのでございます。
○小林(行)政府委員 お答え申し上げます。夜間部を置いているところは、国立四校、公立二校、私立三十三校、合せて三十九校でございます。これは大学でございまして、短期大学につきましては、夜間のみのものは国立十九校、公立六校、私立二十五校、合せて五十校でございます。それから昼間、夜間両制度を持っておりますものは、国立はなく、公立五校、私立四十二校、合せて四十七校、こういう数字になっております。
○平田委員 その国立大学の名前と、それから公立大学の名前を伺いたいのです。
○小林(行)政府委員 ただいま具体的の大学の名前まで資料を持ちませんので、調べてお答え申し上げます。
○平田委員 稻田局長さんは見えておるのですか。
○佐藤委員長 今呼びに行っております。ちょっと速記をやめて。 〔速記中止〕
○佐藤委員長 それでは速記を始めて下さい。
○平田委員 なかなかお見えになりませんし、時間もたつようでございますから、この次に局長に質問さしていただくことにして終ります。
○佐藤委員長 本日はこれにて散会いたします。次会は公報をもってお知らせします。 午後四時四十一分散会