文教委員会 第10号
- 発言数
- 65 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1955/05/24
会議録
○佐藤委員長 これより会議を開きます。 学校教育に関する件、文化財に関する件を議題とし、前会に引き続き、質疑を続行いたします。並木芳雄君。
○並木委員 私は人身売買のことについて、当局にお尋ねしておきたいと思います。 先般人身売買の事件につきまして九州に松元事件というのが起りまして、驚愕をいたしたのであります。その点について当局はどういう調査を進め、どういう対策を持っておられるか、お伺いしたいのであります。 それともう一つ、このたび警察庁が取りまとめました人身売買事件の実態報告書によりますと、昨年度中、仲介人などになって、それを業とした者で検挙されたものが五千五百余人ございます。被害者というものが、実に八千六百余人に上っておるのであります。一昨年に比べて、千四百人も増加しております。この傾向は、ことしに入ってもさらに上昇のカーブを描いておるといっておりますので、表面に現われた数字だけでも、このように大きいものでありますから、その陰に隠れて、実際に数字に現われないものというものは、莫大な数に上るのではないかと推定されます。その内容について、特におそるべきことは、十四才未満の小学校児童クラスが〇・九%ある。一分近くあるということであります。ですから八千六百余人のうちの一分近くと申しますと、八十六人もの十四才未満の児童がいる。それから十四才から十八才までの中学校、高等学校生徒の層になると、全体の二割にも達しておるのでございます。今の数字の二十倍になる。これはまことにゆゆしい問題でございまして、警察当局も、単に警察行政の防犯だけではどうにもならない。文部当局その他関係の政府当局で、強力なる対策を講じてもらわなければ、手の出しようがないと言っておるのであります。この点について、文部当局の調査並びに対策をお伺いしておきたいと思うのであります。
○寺中政府委員 最近人身売買問題、その他おもしろくない問題が各地に起りまして、これは社会の風潮として非常に遺憾な問題であると考えております。鹿児島に起りました事件につきましては、文部省としても一応ある程度の、文部省としてでき得る調査をいたしたのでございまして、これについては、初中教育局の方でこまかい資料を持っておる次第であります。 これに対する対策ということになりますと、私の気持といたしましては、やはり社会全般に、人間の人格のとうとさといいますか、人権といいますか、そういうものに対する考えが非常に浅薄でありまして、弱い者あるいは未成な者に対して、ある程度これをいじめるようなことをすることをあまり歯牙にかけない、何とも思わないという風潮があるのでございますが、そういう意味から、社会教育の手段といたしまして、あるいは成人学校あるいは両親学級というような機会には、あらゆる方面から人権のとうとさというようなものを十分普及徹底いたしております。また一面被害者になります弱い女性、幼い女性というものが、性あるいは貞操というものに関しまして、正しい知識を持っていないために、どたんばにおきまして、軽々しくその力に負けるというようなこともありますので、できるだけ学校の教育の中でも、正しい性の知識あるいは貞操の知識というものを教えて、そしていざという場合に、十分貞操のとうとさという意味から、軽々しくその力に負けないところの判断力を養うということが必要であると思いまして、純潔教育審議会というものを持っておるのであります。性の教育というのは非常にデリケートで困難でありますが、いかにして正しい知識を教えるかという意味の基準を、昭和二十六年以来研究いたしまして、三年間にわたって審議、結論を得ました純潔教育の進め方というコースを最近作りましたので、これを社会教育、学校教育の部面に十分に徹底しまして、弱い女性の立場から、そういう問題に打ちかつ力を養うように措置としては考えておるのでありますが、これとてもその場合によりましては、果して十分な解決策になるかどうかということについてはなお疑問もあると思います。社会一般にそういう問題について正しい認識を持ち、正しい考え方を持つように、あらゆる方法で指導徹底をいたしたいと考えております。
○並木委員 緒方局長が見えましたので——今の私の質問の中で、寺中社会教育局長が、初中教育局長に留保した点があるのです。それは人身売買の件についてでありますが、先般の九州の松元事件といい、今般警察庁から出ました昨年度の被害者の数字八千六百余人のうち、十四才未満が一分近くもある。十四才から十八才までの中等、高等の生徒が二割もあるというこのゆゆしい数字に対して、当局としては当然今まで対策も練っておることと思いますので、その点を明らかにしていただきたい。
○緒方政府委員 鹿児島のいわゆる松元事件でございますが、これにつきまして私どもも調査を進めて参ったのであります。私はこの事件は、根本的には何と申しますか、社会道義の頽廃というようなことが問題にいたされなければならぬと思いますが、この中に、高等学校、中学校の生徒が数名関係があるという事実につきましては、これは学校教育の面におきまして、十分検討すべき、また反省をすべき問題であると考えております。特に高等学校あるいは中学校の高学年におきまする生活指導でございますが、児童生徒の学校内外におきまする、特に学校外におきまする補導につきましても、学校教育としては十分に責任を持ってやらなければならぬと考えております。従来もこれらの点につきまして、特に教科外活動の面についての児童生徒の指導ということにつきましては、文部省といたしましても、地方の教育委員会に対しまして、その指導の徹底方につきましていろいろと連絡し、あるいはこれを指導して参ったわけであります。かような問題が出て参りました今日、さらにこれを契機といたしまして、児童生徒の指導につきまして、さらに徹底した方策をとりたいと考えておる次第であります。ややもいたしますと、いわゆる生徒の自主性を重んずるということを強調いたしますあまり、教師が信念を持ってこれを指導していくという点にやや欠けている面がありはしないかということを感じております。あるいはクラブ活動、あるいは先般来問題になっております修学旅行の問題におきまする生徒の規律といったような点につきましても、十分検討していきたいと考えております。さような心がまえで、さらに教育委員会に対しまして指導助言を進めていきたいと考えております。
○並木委員 この問題は学校の内部の教育だけにとどまらず、生活の困窮からやむなく生じてくる原因も多いように思われます。ですからこの点については、文部次官にお尋ねするのでありますけれども、政府の中で特に強大な対策機関を設けるなり、あるいは今までの機関を何らかの形でさらにフルに活用して、こういうみじめな人身売買の被害者となる、学童生徒というものを救済しなければならないと思います。未就学児童についての問題は前々からも言われておるのでありますけれども、義務教育でございますし、これは何らかの形で国家としてやはり食いとめなければならない重要な案件だと思います。その点について私は社会局長では無理だと思いますから、次官に決意のほどをこの際表明しておいていただきたいと思います。
○寺本政府委員 人身売買問題について非常に憂慮せられた御質問でございますが、鹿児島に起りました松元事件は、必ずしも世間でいわれております人身売買事件に該当しないのではないかと思います。御指摘がありましたように人身売買問題といわれておりますのは、経済的な困窮から、前借をして仲介人の手を通して一定の仕事につく、そのある期間自由が拘束されておるというような、条件のそろったのを人身売買として扱っておると思います。この点では鹿児島の松元事件は、経済的に非常に困っておった、前借しておった、一定の間自由を拘束されておったというような事件ではなかったと思います。ただ正規の学校に行っている学生が、学校の時間にああいう風俗壊乱の事件に関係しておったという点で、この事件は特異な問題であったと思います。これは全くただいま局長からお答えしましたように、道義の頽廃が原因であった事件と考えます。これにつきましては、先ほどから社会教育局長並びに初中教育局長が申し上げましたように、純潔教育の問題として今後も対策を立てて参るし、また青少年の学校外の生活を剛健質実なものたらしめるような社会教育の運動を起していくということで、これが解決に当りたいと考えております。御指摘になりました警察から出ております数多くの人身売買事件は、並木さんからお話がありましたように、非常な経済的な困窮から、学校にも行けない、ないしは学校を卒業したての者が前借をして、いろいろないまわしい仕事に関係している事件でありまして、この問題はなかなか一省一局の力で片づく問題ではないと思っております。経済的に非常に困っておる問題は、最近貧富の懸隔が非常にはなはだしくなっておって、要保護階級に転落していく者が非常に多い。その転落をどうして防ぐかという問題は、政治自身の問題でございますし、また転落した者に対する救済の手は生活保護法の拡充、その他によって救済さるべき問題だと思われるのでございます。しかし現実にこういう非常に生活的な困窮に陥っている者を救済するためには、しばしば従来の古い観念から、子供を自分の財産視する考え方が今日なお残っておるのでありますが、そういう考え方は、児童憲章の趣旨なり教育基本法の趣旨なりをよく一般に徹底させまして、子供を一個の独立の人格として尊重させる考え方を親に普及さしていかなければならぬと考えるわけでございます。こういう事件が起りましたあとの問題は、雇用関係があります場合には、労働基準法の違反としてその方面の保護を求めますし、またもぐり職業紹介が中に入って仲介をしておるというような事件につきましては、職業安定機関の発動を促す。また一定の期間自由を拘束されておるという事態から子供を救済するためには、警察機関の発動も促さなければならぬということで、この問題は厚生省、労働省、法務省、警察が関係し、それに親の子供に対する考え方を変えていき、また子供自体の考え方を道徳的に純化していくという意味で文部省が関係するというように、各方面の行政機関が手をつないで、こういう事態に落ち込まないように防いでいく。また落ち込んだ人間を各段階で救済していくという態勢をとらなければならぬと思うのであります。この点では並木さんから御指摘のあった通りでありまして、一局一省でよくこの事態を解決し得るものではないと考えます。内閣には、御承知の通りこういう事態を解決するために、青少年問題協議会が設けられております。先日この協議会から閣議に対して意見書の提出があったことを、この委員会で松村文部大臣から御披露があったのでございますが、この協議会を全面的に活用し、活気づけていくということによりまして、ただいま御指摘になりましたような事態が、漸次減少していくように私ども努力いたしたいと考える次第でございます。
○佐藤委員長 平田ヒデ君。
○平田委員 私松元事件に関連いたしまして、お伺いいたしたいと思うのでございます。この問題はただいま政務次官が申されましたように、人身売買の問題とは違っておりますが、私福島県の出身でございますけれども、実際に今まで昭和二十三年、二十四年、二十五年と、この人身売買の問題と直接取っ組んで参りました。その経験から申しまして、アルバイトの問題にちょっと関連して、申し上げてみたいと思うのでございます。 この松元事件は、時間中にちょっと出てこういうことをしたということのただいま報告がございましたけれども、私は軽いアルバイトの気持ではなかったかと思うのでございます。これはまだ調査していただかないとわかりませんけれども、私もこういう事実を知っております。女子高校の生徒でございますけれども、休みの日に喫茶店などにアルバイトに出かける。そういうときに子供たちの教育について関心を持っておる良心的な喫茶店の主人は、なるべく調理場の方で働いてもらおうとしますけれども、子供たちはいわゆるサービスの方、お店の方に出たいと申すそうでございます。これについて私御相談を受けたことがございまして、それは父兄の方ともよくお話し合いをなさる必要があるでしょうということを申しました。それから夏休みが近づいて参っておりますが、これは学校側は知らないんですけれども、観光地帯で、十人あるいは八人が一緒になって、職業安定所に行って、どこか口はないでしょうかと申し込んでおるのでございます。これに対しまして職業安定所の方では、こんなに大勢来るのだし、それにあそこのホテルは大へん堅実で、監督もりっぱな人がいるからと申して、世話をした実例も私存じております。これはいくら監督が厳重でありましても、朝から晩までついているわけではございませんから、夜分八時ごろになったら終るとか、労働基準法の関係もございますので、その間しばりつけておくわけにも参りませんし、特に観光地帯の場合ですと散歩にも出るとか、非常な危険にさらされておると考えるのであります。この問題につきましては、学校側に私さっそく連絡をいたしましたら、学校の方では全然知らなかったと申しておられます。それから緊急に職員会議を開いて、子供たちの実態の調査に乗り出されたという実情があるのであります。私実は今ちょっと初中局長さんの御意見を伺っておったのですけれども、何かしら説教教育的な感じを受けました。こういう子供たちに対して教え込むというような考え方が、どうも文部省の方にあるような感じがいたすのでございます。また中央におられて、地方にあまり出ていらっしゃらないのですから、これは無理もないことだと思いますけれども、徹底的な方策を立てたいというお言葉もございましたけれども、その徹底的な方策に対しては、実情をよく御調査になることが必要だと思います。しかもこの実情の報告が本省の方にいきます場合には、ほんとうにその実情が報告されているかどうか、非常に疑問に思っております。それでアルバイトに関して、これから夏に入るので、その点のお考えも一つお伺いいたしたい。 それからもう一つは、人身売買の問題に関してでございますけれども、これは昭和二十五年から二十九年にかけて調べてみましたが、一応昭和二十三年、二十四年は非常にカーブが高かったのですけれども、その後二十七年になってまたカーブが上りまして、それから二十九年になりましてまたこれが非常に、デフレ政策の影響を受けて生活が困難になりましたので、この数が非常にふえております。この点につきましても、ただ観念的な御指導は私はだめだと思います。たとえばいわゆる純潔教育の審議会があるとか、あるいは性教育の問題はこうしなくちゃならないとか、理論としては一応まことにけっこうでございますけれども、さてこれが末端にいったときに、どういうふうに行われているかということでございます。私は青少年問題協議会にも関係いたしましたし、いろいろそういう方面の厚生関係の仕事に触れておったのでございますが、協議会は協議会でただ終ってしまっております。そしてほんとうにこれを行わなければならないのは、結局私は学童の問題に小さく縮めて申し上げますと、欠席児童の調査ということが一番大切でございます。これをしない限りは、とても早期発見ということはできません。できてしまったあとで、こういうこともしている、ああいうこともしているというような言いわけ的なことは全然問題になりません。学校で欠席している児童がおったら、それの正確な調査をすることなんでございます。この正確な調査をすることによって早期発見をして、人身売買される子供、いわゆる生徒児童を私は完全に防ぐことができるという確信を持っております。これは関係機関との連絡ももちろん必要でございますけれども、何と申しましても、学校の児童生徒に関する限りは、この調査を厳重にするということと、これに関連しまして、学童の数がことしは八十万にもふえておるのに、学校の教員の首切りが行われておる。地方財政が逼迫したために先生の定数が実質的には減っております。児童の数がふえているのに、先生の数が減っているというのが実情でございます。これでは調査は思うようにできないと思います。いろいろな問題が起った場合に、たとえば今度の修学旅行のような問題でも、もちろんスケジュールがあったと思いますけれども、先生方の過労という問題もあると思います。実情の、いわゆる学校の教育の面についても、先生方がもう教えることで手一ぱいで、それから雑務が非常に多い、なかなか家庭の訪問も思うようにできません。そういう点も考えて、これらの対策に当らなければ、ただ審議会がある、それから性教育とか貞操を重んじなければならないというような問題だけでは、この問題は絶対に片づきません。どこまでもこれは実態の調査をするということに重きを置いていただかなければならないと思っております。そういう点につきまして、政府としては強力な施策をしていただくこと、予算を取って、そして教員の定数をふやしていただいて、しかも一つの学校だけに家庭の調査をする専門の人がなくてもよろしいですから、たとえば一つの市に四つ学校がある、そういう場合には欠席児童の調査をするような専門の人も私は置いていただきたい、そんなふうに思っております。 それから、いろんなことに関連してまことに申しわけございませんけれども、お産で、いわゆる産休の補助教員の問題もありますけれども、これなども私はもう一つ先生方の、要するに労働を強制するような形になって無理がいく、こういうところにも手落ちがある。いろんな問題に関連して参りますが、実際の問題に触れて、徹底的な調査をしていただく、そういう点に力を入れていただいて、いわゆるお説教的なことでなく、これがまた実際にどうなっておるかということについても調査をされて、これがほんとうに生かされていくような、子供の命を大切にするという点について、私は御考慮を願いたいと思うのであります。ただいま私の申し上げました点について局長さんに答えをお願いいたしたいと思います。
○緒方政府委員 いろいろ実情に即したお話でございまして、ありがたく拝聴いたしました。アルバイトの問題でございますが、ただいま御指摘がございましたように、学校が知らぬ間にアルバイトの就職を生徒が勝手に探して回るというような事態はまことに憂慮すべき問題だと思います。ただこのたびの、最近起っております事件に、これはあまり具体的に申し上げることは差し控えますが、これはいろいろ場合があると存じます。果して生活の困窮からいたしまして、生活が困って学資を得るためにああいうことに巻き込まれたのであるか、あるいはまたそこにはいろんな複雑な事情が、要素があると思いますけれども、やはり生徒の考え方というものが間違っている場合もあるかと存ずるわけでございます。これにつきましては、先ほどお話し申しましたのは、何も教師がただ上から押えつけて教え込むということをやるようにということではないのでありまして、ただ教師が子供を放任しっ放しにいたしまして、自主性を尊重するということにとらわれて、ほんとうに信念を持って指導をすることがなければ、これはなかなかこういう事態を是正していくことはむずかしいんじゃないかということを申し上げたわけです。要は教師の信念と愛情と申しますか、ほんとうに子供のことを考えて、学校外における行動についてもよく目を届かして指導していくという心がまえが必要であろうということを申し上げたわけでありまして、ただお説教だけで事が済むというふうに考えておる次第ではございません。子供が、学校が知らない間に職安などに申し込むという事態があるといたしますならば、これは一つ十分に学校として注意しなければならないし、私どもといたしましても、それらの点に関しまして十分調査いたし、教育委員会の指導に欠くるところがないようにいたしたいと思います。これから夏にも向うことでもありますし、特に十分に考えていきたいと思います。特に今お話の中にございましたように、長期欠席の児童、生徒がある場合に、これを早く把握することはもちろん必要なことだと思います。これは法律のことを申し上げてどうかと思いますけれども、学校教育法の施行令等におきましても、七日間以上欠席した児童に対しましては校長か出席を督促する。それでまだ出てこないときには教育委員会に報告して、教育委員会の方から保護者の方に話をする、こういう規定もございます。長期欠席の問題はまたいろいろほかの問題もございますけれども、私ども今この対策につきまして研究いたしておるようなわけでございます。いろいろお話がございました点につきましては、今後十分研究しまして、教育委員会に対してさらに指導を進めていきたいと思います。
○平田委員 私一つこの実例を言い残したのでございますけれども、私会津の若松でありますが、若松市内に小学校が五つございます。このうち一つの小学校の校長先生が欠席児童に対して非常に深い関心を持たれて、自分が一々子供たちのお家をお回りになりまして、そのために昭和二十三年、四年の人身売買問題の非常にやかましいときに、その学校からは一人もいわゆる人身売買にひっかかった児童が出なかったという事実がございます。こういう事実がございますので、私はどこまでもこの線を強調してお願いを申し上げる次第でございます。
○寺本政府委員 平田さんのお話の中に、やはり子供を徹底的に保護するのには先生の数がある程度あって、そして先生が父兄をたずねて回る、そういった仕組みでなければ困るというお話がございました。ごもっともだと思います。先ほどから申し上げます通り、こういう学童を保護しますために、労働省の出先とか、警察とか、いろいろありますけれども、やはり現場で一番網の目をつぶさに張っておって子供の世話を徹底的にやれるのは、民生委員と学校の先生だ、こう思います。どうしても学校の先生の数の問題はある程度確保していかなければならぬということで、文部省でも本年度の予算編成で一万二千五百という数の増加に必要な予算を組んでこの国会に提出してございます。予算編成に当って重点的に、優先的に学校の先生の数を確保したいということに努力しました点は一つおくみ取りいただきたいと思います。
○平田委員 私ここに数を書いたのを持ってきませんでしたけれども、それでもまだ数が足りないということをお考え願って、もっとふしていただくように努力していただきたいと思います。
○佐藤委員長 河野正君。
○河野(正)委員 ただいま申し述べられました松元事件その他につきましては、大体子供たちの人権の問題だと思うのであります。そこで私はさらに子供たちの人権の問題につきまして一、二、大臣がおられないので、次官に対しまして御所感を承わりたいと思います。最近著しく起って参りました社会現象の一つでございますが、御承知のように子供たちがたくさん芸能界に進出して参りました。たとえば映画や電波、クイズ、あるいはさらに野球の実況放送、こういった方面に子供たちがたくさん進出して参ったのでございますが、こうした実情を私どもがつぶさに見て参りますと、これは単に子供たちの天才教育というようなことではなくて、むしろ子供たちの世界のかきねを越えた一つの虐待というような方向にも発展して参っておる、私はかように考えておるのでございますが、こういった子供たちの芸能界の進出に対しまして、当局はどういった御所感であられるか、まず第一にお尋ね申し上げたいと思います。
○寺本政府委員 ただいま御指摘がありましたような現象が非常にひどくなって、その弊害も漸次顕著になりつつあるということは、文部省として注目して、ただいま調査研究いたしております。映画、クイズ、野球、その他いろいろの方面で子供の才能を伸ばすという限度を越えて、ややもすれば商業主義の犠牲に子供がなりつつある、その限度までいっておるのではなかろうかと思われる事態が各方面に起りつつあるのでございますが、その態様はいろんな場合でいろいろ事情が違うようでございまして、必ずしも一律に論議し得ないものがございますので、ただいまそういう事態を詳細に調査し、対策を研究しておる段階でございます。
○河野(正)委員 ただいま、事情は一つ一つ具体的には異なるので、画一的にこれを処理することはなかなか困難だというお話でございましたが、今日中等学校や小学校では、スポーツにおきましては、健康あるいは教育、教養、こういった点におきまして子供たちが非常に未熟でございますので、一定の基準を設けまして、そういった方面にあやまりのないようにというふうな指導が設けられたと思いますが、ただいま申し上げましたところの芸能界におきますところのいろいろな進出につきましては、今日何ら対策が行われていない。またただいま次官の御答弁によりますと、目下研究中であるというふうなお話でございますが、しかしながらこういった現象はきのうきょうに始まった問題ではないのでありまして、ただ最近そういった傾向が非常に強くなったというふうな事態でありますので、むしろ当局の今日までのこういった方面につきましての御処置が怠慢でなかったかということを、私どもは非常に憂うるのでございます。と申しますのは、最近問題になりましたいろいろの交通事故、あるいはその他の問題におきましても、たび重なりました後にそういった問題がいろいろ具体的に研究されるというふうな事態になっておるのでございますが、こういった問題もだんだん弊害が積み重なって、そして非常に大きな社会的な問題を巻き起した場合にそういった問題に対する措置を行うというふうな今日までの文部当局の方針というものが、今日まで起りましたいろいろな不祥事件に対しまして非常に大きな悪結果をもたらしておるものと私どもは強く考えておるものでございます。それで私は先ほど御指摘申し上げましたように、スポーツ等におきましてはある程度の規制が行われておるが、こういった芸能方面の問題につきましてもそういった規制を行う意思があるのか、そういった点につきまして一つ次官の御答弁をお願いいたしたいと思います。
○寺本政府委員 お言葉を返すようで恐縮でございますが、修学旅行につきまして、事故が起ってから通牒を出して注意を喚起したというお言葉でございましたが、この点につきましては本年の旅行シーズンが始まります前に、四月の四日でありましたか、詳細に修学旅行計画とその運営についての注意事項を私どもとしては取りまとめて、地方の教育委員会なり学校当局なりの注意を喚起しておるような状況でございます。それにもかかわりませずああいう事態が起りましたことは非常に恐縮に存じますが、あの事態が起りましてからあらためてまた重ねて通牒を差し出し、そのあとさらに関係の方面のお知恵を拝借して対策を考究しているのが今の状況でございます。スポーツ芸能方面におきまする今日の世の中で起っておりますいろいろの事態に対して、私どもの方の打つ手が手おくれになっておるじゃないかというおしかり、ごもっともの点はございます。スポーツにつきましては御指摘の通り小学校、中学校の各段階におきまして、その心身の発育度に応じてそのスポーツから出る弊害が子供を犠牲にしないようにしたいということで、基準を設けて示しておりますことは御承知の通りでございます。芸能界におきまするいろいろのできごとは、そのために義務教育が犠牲にされる、学校に通学できなくなるほど芸能界の弊害がひどくなっておる、そこまできたのは実はそう遠くないことだと思っております。これまではきわめて一、二の、世間からもてはやされる歌手とか、そういうものについて起っておった事例であったと思いますが、最近非常にその傾向が広がり、顕著になっておると思いますので、これに対しましては先ほど申し上げました通り、まだ具体的な対策にまでは至っておりませんが、何らかの手を打つ必要があろうと考えておりますので、いましばらく時をおかし下さるようにお願いを申し上げます。
○河野(正)委員 ただいまの御答弁に言葉を返してまことに恐縮でございますが、私どもが一番心配いたしましたことは、単なる一片の通達で事を済まして参ったので、先ほど申し上げましたようないろいろな交通事故が頻発したのだということを、たびたびこの場におきまして強調したつもりであります。またそういったいろいろな論議がかわされまして、結果的にはそういった通牒だけではそういった弊害を根本的に除去することが困難だということで、文部大臣もこの席上におきまして、何らか制度の問題について慎重に考慮を払わなければならぬという結論になったと思うのでございます。ところがただいまの次官の御答弁では、いろいろ御指摘になるけれども、われわれは修学旅行におきましても、すでに昨年から修学旅行を改善するようにというふうな通達を出しておったのだ、それだから悪い影響がなかったのだというような御答弁であったのでございます。私どもはその点を非常に心配いたしまして、ここでたびたび文部大臣を追及いたしました。それで文部当局といたしましては、そういう通達だけではそういう弊害を除去することができない、結論的にはただいま御指摘のように制度を改善することによってそういった弊害を根本的に解決したいということが結論になったと思いますのに、再び次官が繰り返してそういうことを言われますのは、次官として、全く文部大臣の補佐役として適格でないというふうに私どもは考えておるわけでございます。その点につきましては一つ十分に——私の申し上げた結論が全く文部次官の結論だと思うのです。その点は十分一つ御理解になって、そういう方針で今後進んでいただきたいということでございます。それから引き続きまして先ほどの問題でございますが、今日の事態におきましては、いろいろと天才教育というような言葉だけでは見のがすわけに参らぬような、いわゆる子供の世界のかきねを越えたところの一つの、厳格に申し上げますと、広い意味で申し上げますと、児童の虐待というふうな様相を呈して参っておるわけでございますが、こういった事態と今日施行されておりますところの労働基準法との関連につきまして、次官はどのようなお考えを持っておられますか、これにつきまして御所感を承わりたい。
○寺本政府委員 労働基準法との関係は、私個人としては多少関係したことがございますが、答弁は労働省から申し上げるのが本筋ではなかろうかと思います。ただ、ただいまの扱いでは、義務教育を終らない者が他人に雇われて労働をするというような場合には、その労働の種類も子供の教育に悪影響がない種類に限定されております。その場合また他人に雇われて働くということについては、労働法上の認可許可の制限がついておりまして、その方面からの一応の制限はあるはずでございます。なおその教育上影響があるかないかの認可許可の基準につきましては、文部省が十分関与いたして基準をきめておるはずでございます。
○河野(正)委員 先ほど政府委員の方から、今日いろいろ起ってきた事件というものは道義の頽廃にあるというふうに御答弁になったようでございますので、その点につきまして、関連いたしまして一点御質問いたしたいと思いますが、社会教育上いろいろおもしろくない問題がたくさんございますので、各地域におきましては、それぞれ地方議会で風紀条例という条例を施行しておる都市があるわけでございます。ところが今日日本の全国におきてましては、たくさんな軍事基地が設定されまして、そしていわゆる風習の相違というようなことで、せっかく風教上の問題から風紀条例を条例といたしまして設定いたしましたけれども、いわゆる駐留軍の風習の相違というようなことで、そういった条例が空文に終っておるというふうな事態が各所に起って参っておるのでございますが、この点につきましては、それぞれの地方におきましても風紀条例を設定いたしました以上は、法を守るという立場をとらなければなりません。ところがただいま申し上げましたように、駐留軍におきましてそういった問題が非常に乱されておるというふうな事態が発生いたしておりますが、そういったいわゆる風紀条例の問題は、先ほど御答弁下さいました道義の頽廃という問題と非常に関連が濃厚になって参るわけでございます。そういった風紀条例の問題に対しまして、いかなる所感でおられますか、当局の御答弁をお願いしたい。
○緒方政府委員 基地の問題に関連しての御質問でございますが、基地周辺におきまする学校といたしましては、いろいろと児童、生徒の指導につきましては特別の苦心を払っておるのでございます。現地におきまする関係者が集まりまして、日米地方連絡協議会を結成いたしまして、そこで駐留軍兵士等の行動につきましても、いろいろと注文をいたしまして、学校教育の面に及ぼします影響につきまして十分考慮を払われておるような次第でございます。 風紀条例の問題でありますけれども、これは必ずしも基地だけの問題でないかもしれませんが、こういう条例を作ることがいいかどうかは具体的に各地の実情によることと存じます。しかしながら現状といたしまして、風紀条例の内容を私よく存じませんけれども、たとえば深夜年少の者が一人で歩いちゃいけない、保護者が必ずついて歩かなくてはいけないというのが中にはあるかと存じますが、これはその土地の状況から判断いたしまして、さような処置をとるべしという地方団体としての意見がまとまって、そういうものができたと思うのであります。本来そういうものをつくらなければならぬということは決して望ましいことではない。しかしながら現実の事態からいたしまして、さようなことがきまったということは、これはやむを得ぬじゃないかと思います。学校教育といたしましても、なるべく基地のみならず、一般の風紀上の注意しなければならぬような場所その他につきましては十分注意いたしまして、その悪影響が及ばないように指導していかなければならぬじゃないかと思います。基地につきましても、特別になるべく学校教育を充実いたしまして、そうして特に駐留軍兵士が出歩くような休日等は、かえって学校の中で遊ぶといったような指導も具体的にいたしておるところもございます。いろいろ地方において苦心をいたしております点も一応申し上げておきます。
○河野(正)委員 ただいま御答弁になりましたように、風紀条例を作ることがいいか、作ることが悪いかということは地元の実情にもよって決定される問題でございます。ところが現実におきまして、風紀条例が施行されておりながら、いわゆる駐留軍の慣習によって、そういった風紀条例が破られておるというふうな事実が非常に多いわけでございます。そこで私どももそういった点を心配いたしまして、私は福岡県でございますが、そういった風紀条例を施行しても、駐留軍との問題で非常に問題があるんじゃないかということで論議を戦わしたのでございますが、女子の教育上及ぼす影響が非常に甚大であるという婦人会等の強い要望によりまして、福岡県におきましては、例の風紀条例を設定したわけでございます。ところがただいま申し述べましたように、外国の慣習によってこういった風紀条例が破られておるという事実が現実に起って参っておるわけでありますが、今日言われております言葉は、少くとも日本は独立国であるといたしますならば、やはり外国の人々といえども日本の慣習に従うべきである。従ってやはり駐留軍といえども日本の慣習に従って行動をとるべきだ。私どもはかように考えておるわけでございます。そういった立場に立って、当局がそれぞれ各地域の秩序に応じて、そういった問題に対し善処するような努力を今日までとって参られたかどうかにつきまして、一つお伺いいたしたいと思います。
○緒方政府委員 これはひとり文部省の関係だけじゃないと存じます。これは先ほど申し上げましたように、現地におきまして日米地方連絡協議会というのを作りまして、両方の関係者が集まりまして、ただいまのような問題につきまして協議をし合う仕組みにいたしております。こういう機会におきまして、ただいまお話のような条例の順守等につきましては、もちろん駐留軍におきましても、われわれのように守られるように要望をいたしておることと私は存じております。ただこれは文部省だけの関係じゃございませんので、私から具体的な状況につきましてお答えすることはむずかしいのでございますが、そういうような組織を作っておりますから、それらの面におきまして十分要望をいたし、努力をいたしておることと思います。
○河野(正)委員 もちろん今政府委員が御答弁なさった通りでございます。単に文部省だけでやるべき問題ではございませんけれども、しかし先ほどから御指摘のありましたように、今度松元事件その他いろいろの人権問題が起ってきたが、それは一に道義の頽廃に基因するというお話でございましたので、私は少くともやはりこういった問題につきましても、文部省当局が積極的に地方の日米連絡協議会に何らかの方法を通じて、強力に文部省当局の意見を反映される必要があると思うのであります。ところが私ども今日までそういった問題につきましては、いろいろ指摘して参りましたけれども、文部省当局からそういった努力が払われたということは、不幸にして今日まであまり聞いておりません。それで今後そういった問題につきまして、当局がそれぞれ地方の連絡協議会において強く要望される決意があるかどうか、その点につきまして重ねて御質問いたしたいと思います。
○緒方政府委員 いろいろ御意見を承わりましたが、各種の事態もありますから、それぞれの事態に応じましてさらに検討を進めまして、実情に即した方法をとりたいと存じております。
○河野(正)委員 さらに私一点御質問いたしたいと思います。それは特別調達庁の方でございますが、御承知のように北富士の演習場におきまして第一次実弾射撃が行われました。それから二十五日から第二次実弾射撃が行われるわけでございますが、昨日の新聞を拝見いたしますというと、御承知のように現地の交渉におきまして三十一日から六月三日にわたる第三次実弾射撃におきましてはその規模をさらに拡大して、具体的に申し上げますと、今まで第二次では砲座二ヵ所で大砲七門であったのが、第三次におきましては砲座が三カ所で大砲が九門から十二門、こういった火器を使用して実弾射撃を行うという言明が、現地の交渉において行われたということを、私どもは新聞で拝見いたしております。この問題につきましては、今までの委員会におきましても、文化財保護の立場からいろいろと強硬な質問が行われたと思うのでございます。ところが昨日の新聞を見て参りましても、私どもが文化財保護という立場から強硬に当局に対しまして責任を追及したにかかわらず、第三次におきましてはさらにその演習の規模を拡大するという言明でございますが、この点につきましてどのようなお考えでおられるのか、文化財保護委員会の方に御質問申し上げたいと思います。
○高橋(誠)政府委員 前回私がこの委員会に出席いたしておりました際であります。よもやと思っておったのでございますが、いよいよ射撃を始めたという報道をこの席で聞きまして、私もがく然といたしたのでございます。直ちにその後調達庁長官福島氏に会見を求めましていろいろお話を聞いたのでございますが、射撃のために天然記念物に損傷を与えるようなことはない、こういうことを申されたのであります。なおその日に座間の司令部に参られまして会見をする、こういう都合にしておったのであるが、国会が長引きましたがためについにその機を得なかった、明日はぜひ座間へ行って会ってくる、こういうことでございましたので、どうぞ一つ天然記念物にいささかも損害のないように十分の御交渉を願いたいということを申しまして引き取ったのであります。それからその後におきまして、これも間もなくでございましたが、山梨県の教育委員会の教育長の上京を求めまして、文化財保護委員会で報告を聞いたのでございますが、教育長も射撃によりまして損害が加えられたという事実は全然ないということでございましたので、その点はどうやら安心をいたしたのでありますが、なお文化財保護委員会の事務局の吉川技官を山梨県に派遣いたしまして、山梨県の教育委員会と共同で詳細の調査を行なったのであります。その結果、やはり射撃のために損害を受けたということはない、こういうことであったのであります。これは三日にわたります調査であったと聞いております。ただ物資の輸送のために原始林の一部の木を引き倒しておるという事実が報告されたのであります。これは容易ならぬことと存じまして、いろいろ報告を求めたのでありますが、これは原始林の中の比較的重要でない部分である。まあ潅木林のような場所でありまして、報告によりますと、割合小さな木が多く損傷を受けておる。それでやや大きなものになりますと、およそこれくらいのものが四十一本でありますか、倒されておるということであったのであります。たといこれが潅木林でありましてもなお大きな問題と考えたのでありまして、今後におきましてこういうことが再々起るようなことでありますればまことにゆゆしいことと存じましたので、調達庁を通じまして日米合同委員会に対しまして抗議を申し込みまするとともに、今後の確実の保障を求めることにいたし、それからまた使用条件をさらに一そう的確ならしめまするがために、先方の意思ある旨を通達いたしたのでございます。さようなわけでございまして、今日まで私どもの聞いておりまするところでは、比較的重要性の少いところに若干の被害が輸送のために生じたということを聞いておるのでございまするが、射撃によりまする損傷のないことばかりでなく、こういう点におきましても十分の注意を行わなければならぬと存じまして、ただいま申し上げましたような抗議を申し込むというようなことをいたしておるのでございますが、さらにまた適当な処置を講じたいと考えておる次第でございます。
○佐藤委員長 河野君にちょっと申し上げますが、調達庁はきょう日米合同委員会があるそうでございまして、 午前中はどうしても出席できない旨の通知がございましたので、高橋委員長、森田事務局長の方に質問を願います。
○河野(正)委員 私先ほど指摘いたしました第三次実弾射撃が非常に拡大した規模で行われるということが報道されておるわけでございますが、この点につきまして文化財保護委員長は御認識あったかどうか、その点についてお尋ねいたします。
○高橋(誠)政府委員 私の聞いておりますところでは、これは二合目から撃つということでございます。それで先ほども申し上げましたように、ますます拡大されるおそれがございますので、従って危険も増加しやしないかという心配がございまするが、ただいまのところこの三十一日から行われまするものと比べますと、小規模のものではありましたが、射撃による損害というものは全然ないということでございますので、まず大丈夫ではないかとは考えまするけれども、十分の注意をいたしたいと考えておる次第でございます。
○森田説明員 委員長の御説明を補足いたします。最初の一部損傷のあったというのは、開拓道路が六メートル道路でありますが、この開拓道路から今まで砲座が置かれておりました場所に行く道は精進の上り口でありまして、二メートルの県道であります。この県道を自走砲が通ったわけでございまして、自走砲は三・三メートル必要なために、二メートルの道路を通った結果そこに損傷が生じたというわけであります。それからただいまあとの御質問に対して委員長が答弁せられました点につきましては、新聞でさようなことを承知いたしましたので、これは現地で調整をいたしつつあることでありますので、山梨県知事に対しましてけさほど電話をもって、今後さらに第一回の場合のような損傷があるような計画に対しては絶対に反対をしてもらいたいという点を申し入れたばかりでありまして、向うの方から二合目という話がありましたのも、非常に不確実な情報であるのでありますので、この点は確実なる情報をわれわれが得ていないというように御了承を願いたいと思います。
○野原(覺)委員 関連して。この富士山麓の原始林の棄損につきまして、先ほど委員長から御答弁があったのでございますが、委員長から述べられました今回の原始林の棄損というものは、日米の富士山麓使用の協定通りにアメリカ軍が行動したことによって棄損をしたのか、それとも協定にそむいた行動によって棄損をしたものであるか。その辺はどのようになっておりますか。お伺いいたします。
○森田説明員 アメリカ軍との間の協定は、戦車、ブルドーザーを原始林の中を通さないという点と、立木に損傷を与えない、この条件でありまして、この立木に損傷を与えないという条件に反しております。その点に関しましてわれわれが抗議を申し込んだわけであります。
○野原(覺)委員 先ほどの委員長のお話によりますと、調達庁を通じてアメリカ軍に補償を要求する、こういうようなお言葉があったのでございますが、天然記念物である原始林の損害補償というものは、私は事金銭賠償によって解決できないものであると思うのであります。これは文化財保護委員会の方の方々も御同感であろうかと思う。従って問題は、第二次、第三次にわたっておそらくアメリカ軍は、ここ当分は富士山麓の演習を強行するでありましょう。今回の山梨県知事との話し合いの結果を私どもが読んでみてもそのように受け取るわけでございます。単に金銭で補償を求めた場合に、あるいはアメリカは、協定違反の行動による立木の損害ということであるならば、これは金銭補償をするかもわかりません。しかしそれでは解決できないのでありまするから、これは単に保護委員会だけでなしに、文部当局としては一体今後の補償をどのようにしてアメリカ軍に要求されるおつもりであるか。こういうことは金銭だけの補償で私どもは承服できないのであります。どういうふうにして一体今後の補償を要求される御決意であるのか、この点を委員会並びに文部当局から承わりたい。
○高橋(誠)政府委員 私どもが保障を求めましたのは、ただいま御質問にございましたように金銭上の補償を求めるという意味ではございませんので、今後損害を与えるようなことはしないという保障でございます。これまで与えられたものに対しましては、われわれはただ抗議を申し込んだだけでございまして、金銭上の補償というようなことを求めたわけではないのであります。
○小林(行)政府委員 文部省といたしましては、文化財保護委員会と共同いたしまして、ただいま委員長から報告されました具体的な数字をあげまして、先般の第一次の射撃の被害状況を調達庁を通じて厳重に合同委員会の方に提出してもらい、そういった被害がないはずになっておるものが、実際に被害がございますので、今後そういった事態の再び起らないようにしてもらいたいという書面を提出しておる次第でございます。
○野原(覺)委員 その抗議に対してはまだ何らの回答も得ておりませんか。
○小林(行)政府委員 本日の日米合同委員会にその書面を提出して、合同委員会でいろいろ検討してもらって、一応回答を得るという予定になっております。
○佐藤委員長 先ほどの問題に関連しまして発言を求められておりますので、小林信一君に許します。
○小林(信)委員 私は前の人身売買の問題に関連して質問を申し上げたい。またただいまの富士山麓の演習地の問題にも関連して少しくお尋ねをいたします。 まず第一番に山麓の問題からお伺いいたしますが、委員長のこの前の本委員会におけるところの答弁の御態度ときょうの御態度はだいぶずれてきておるような感がいたすのでございます。この前の委員会におきましては、確かに文化財保護委員会の委員長としてのりっぱな御決意、御態度を伺いまして、私は非常にうれしく思ったわけですが、きょうのお話によりますと、だいぶ委員長としての責任を忘れておいでになるような感がしてならないのです。その点ではおそらく地元の者はもちろんのこと、国民全体が非常に残念に思うと考えるのです。たよるべきものは文化財保護委員会、ことにその委員長の決意に待つものが多いと私は考えておるわけです。第一番に委員長の立場でございますが、委員長は確かに時の政府あるいはそのときの国民の意向というようなものは、多少は考えなければならぬかもしれませんが、やはり文化財という特別なものを保護する委員長という立場の人は、時の政治の力やあるいは権力、そういうふうなものに左右されることなく、文化財保護委員長としてのお考えでもって進むところに、初めて文化財というものが保護されるのじゃないかと私は思うのであります。そういう重大なる責任をこの際感じて、その上に立って決意をしてもらわない限り、日本の文化財というようなものを守っていくことはできない、こういうことを私は委員長に強く要望するものでございます。そういう見地からいたしまして、損傷をされなければ射撃をしてもよろしいというようなお考えにすでになっておいでになるのかどうか、あらためてお伺いいたします。
○高橋(誠)政府委員 私の言葉がどうでございましたか、私の考えは、前回この委員会に出席いたしましたときと今日とではいささかも変っておらぬつもりでございますが、何と申しましても、これはやはり国家全体の利益から推して問題を処理して参らなければならぬのでありまして、文化財保護のためにむろん全力をあぐべきではありますが、しかしながら今日までいろいろな問題におきまして、御承知のようにあるいは資源開発であるとか、あるいはまた軍事基地の問題であるとかというようなことで、いろいろな点におきまして摩擦を生じておるのでございますが、その場合にいささか大きな見地に立ちまして、いかに処置したらばいいのであるか。われわれは事務局の意見もむろん参考に供しまするし、その上専門審議委員会の答申を待まして、さらにこれらのものを高い見地から判断いたしまして事を決するようにいたして参っておるのでございまして、決して時の政治権力やあるいは金力などによって動かされるということは、今までのところごうまつもございませんでしたし、今後も全くかようなことがないことと信じておるのでございますが、何と申しましても国全体の見地からいたしまして態度を決しなければならぬということのために、いささかこの文化財保護の見地からまっしぐらに行動することができませんので、いろいろな点をいろいろな見地から考慮しなければならぬという必要にかられますことを御了承願いたいと存じます。
○小林(信)委員 委員長の御心中もわからぬことはないのですが、やはり時の政治というふうなものは、今日のような情勢にあれば多少妥協的にならなければならぬ場合もあるわけです。しかしそういう場合にそれとは別個に保護委員会の使命というものを貫ぬいていくのが委員長の立場じゃないか、この地域が演習地に指定されるときに、文化財保護委員会はももろんでございましょうが、国立公園協会、あらゆる厚生省の関係の団体等が、単に日本政府にだけでなくて、世界の輿論にまで訴えて国連やあるいはアメリカの国立公園協会、こういうものにまで呼びかけて、単なる日本の一文化財の問題ではなくて、こういうふうなものが銃座を置いて射撃をされるとか、あるいは演習場にされるとかということは、一つの文化的な面からこれはまことにおもしろくない問題だ、こういう見地からして相当にこれに対して抗議を申し込んだはずなんです。その点からすれば、文化財保護委員会、並びに委員長としては、その中核になったはずで、やはりこれはあくまでもあらゆる機会を通して貫いていかなければならぬと思うのですが、今の委員長のお立場では、多少国の実情というふうなものに考慮を払っていかなければならぬというふうなことを言われるのですが、それはもう最大の努力を尽して後の問題だと思うのです。そこで私は委員長にお尋ねいたしますが、過日ニューヨーク・タイムスでこの問題を取り上げて、日本で富士山麓が演習地になるということは、これはもしアメリカにたとえるならば、軍人の墓地で射撃をしたり、あるいは平和の女神のあるところでもし大砲を撃ったらアメリカの国民がどんな気持になるか、そういうことを考えてアメリカの兵隊は富士山麓で大砲を撃つべきでない、こういうことを社説で掲げておることを私は新聞で見たのですが、アメリカの国民感情というのか、アメリカのこういう文化財あるいは国立公園に対するところの考えというものは、これはアメリカはアメリカであって、日本ではまた特殊なものがあるというふうに委員長はお考えになりますかどうか。そこら辺の一つアメリカの輿論を取り上げて委員長の決意をお伺いしたい。
○高橋(誠)政府委員 私個人といたしましては、むろん富士山麓を演習地として使用するということに対しましては、何といたしましても阻止いたしたい、取り消してもらいたいと考えておるのでございますが、文化財保護委員会は御承知のごとく国家の施設でございますので、やはりいろいろな点において拘束せられます、その法律の範囲内において行動しなければならぬというような制約を受けておるのでありまして、私はこの問題の発生以来、わが国の秀峰、ほとんど国民的な尊崇の中心となっておりまするところの富士山麓をアメリカ軍の演習地として使われておることは非常に遺憾であるということを、事あるごとに、あるいは会う人ごとに申しておるのでございます。先日横山大観翁、これは富士山を描きまして評判の非常に高い人でございますが、大観翁と手を握り合いまして、実に遺憾なことである、ぜひ一つこれに対して力を添えてもらいたいというような話をいたしたのでございますが、どうもいかんともすることができずに今日に至っておる次第でございますが、文化財保護委員会といたしましては先ほど来申しておりますように、実害の生じませんようにこれを守り抜くということを極力いたしまするにとどめまして、他は私個人といたしましてなおできる限りのことをいたす覚悟でおります。
○小林(信)委員 私は委員長を責めるようですが、委員長に働いてもらわなければ、一地域の問題ではなくて、国民感情とか、今後国民がこの文化面におけるところの考えというものを高めていくというふうな点からしましても、私はあくまでも委員長にお願いをしなければならぬという立場からこういう御無理を申し上げるのですが、一つ委員長もそういう考えで委員長の決意というものを披瀝していただきたいのでございます。 これは次官にもお伺いいたしますが、先日極東軍司令官が帰られるときに鳩山総理と会った。司令官はあくまでも富士山麓の演習地は使用するということを言った。それだけが新聞に出ておったんですが、米軍の方としましてもこれに対しては相当固いものを持っておるようです。しかしそのときに鳩山首相がどういう話し合いをしたのか。そこら辺を内閣といたしましてもし次官が御承知であれば、総理はどういうことを極東軍司令官に帰国に際して要望したのか。どういう考えで政府はおるのかという点をお伺いし、なお極東軍司令官の言葉からして、米軍の今後この地域に対するどれほどまでの考えを持っておるのかを、この際できるならばお伺いしたいと思うのです。さらに委員長におきましてもこうした総理大臣と会って、そして米軍の最高責任者が富士演習地はどうしても使うというような向うの固い腹を聞いて、どういうふうにお考えになられるか、この点御両者からお伺いいたします。
○寺本政府委員 小林さんただいま御指摘になりましたティラー司令官と鳩山総理との演習地問題をめぐる話し合い、私まだ承わっておりませんので、御了承をいただきたいと思います。
○高橋(誠)政府委員 鳩山総理に、非常に御多忙のことと存じますが、お会いいたすことができまするならば、文化財保護の立場から、また私個人といたしましても、私の考えておりますところを申し上げたいと存じておるのでございまするが、いまだ鳩山氏に会見いたします機会も得られずにおるのでございます。
○並木委員 ちょっと関連して——今の問題は、この間先方でこう言ったそうです。私は一部聞いたのですが、今富士山麓を使うことに非常に反対しているけれども、かつて日本の軍が使ったじゃないか、こういうことを言われたそうです。日本の軍が使うとき、当時文化財との関係はどうなっていましたか。今日われわれにこうやってがんばる、ことほどさように、当時日本の軍に対してやはり文化財委員会としてがんばっておられたかどうか。 もう一つは、あすこでこの間北鮮の旗か何かを反対派が振ったという事実があるのですが、それも指摘しておったそうです。まじめな意味で反対するのに、何も北鮮の旗まで振ってデモをやらなくてもいいだろうというようなことがあったということを私は聞いたのです。その点いかがですか
○森田説明員 第一番の御質問ですが、旧陸軍の演習地、いわゆるA地区の方でありますが、ここには天然記念物その他の指定が一つもないのであります。 それから第二番の方は、現場に私どももおりませんし、情報を何も聞いておりません。
○小林(信)委員 この問題は、今も同僚議員から御異議がありまして、こういう形でもって質問をするということはまずい。やはりこれは一つこれだけ取り上げて、全委員が真剣に取り組んで、政府の方もそのつもりで来ていただいて、質問をやった方がいいというふうな御意見ですから、私もそれを尊重してこれ以上御質問申し上げませんが、ただ一つ次官にお話いたします。 国民は、新聞のほんとうにこまかいところにでも、ティラー極東軍司令官がこう言ったというような言葉を見れば、非常に真剣になるのです。しかし政府の当局におられる次官が、しかもこの委員会において再三問題になっておることを、そういうことを聞いたら、その内容等を調査して、そして委員会等ではできるだけ答弁ができるような、そういう真剣な態度を持っていただかなければならない問題だと私は思う。今の並木委員の質問に対しましても、事務局長から御答弁がありましたが、もう少しその点もはっきり認識しなければいけないと思うのです。それは文化財があの地域にあるか、ないかということでなくて、日本の陸軍があすこを使用するときには、国立公園に指定するときに、その中に演習地があるようなことは、日本の国立公園としての面目を失するから、その地域だけは——国立公園の重要な部分なんです。文化財はありませんけれども、山中湖を持ち、しかも籠坂峠のずっと一帯も国立公園の地域内です。だが、ここはどうしても演習地として使用しなければならぬ。しかし国立公園の中にそういうふうなものがあることは、日本の国立公園に対する考えの恥辱になるという点で、その演習地だけを国立公園の地域からはずしたわけなんです。だから日本の軍国はなやかなる時代においても、軍が国立公園に対してもそれだけの考えは持っておったわけなんです。国立公園を作り出したアメリカが、当然こういう点に対しましては、われわれ国民以上に認識の高いものを持っているはずなんです。それに文化財委員会なり、文部省なり、あるいは文化人なりがもっと強く立ち上ったならば、アメリカの認識というものはある程度まで緩和できるのではないか。だが、極東司令官におきましてもこういう決意を持っているという点を考えますときに、今後もっとこの問題を観点を新たにして善処されんことを私は当局に要望するのでございまして、山梨県知事に通告したという事務局長のお話なんですが、とんでもないことだと思うのです。その衝に当る政府当局にやってもらわなければ、地元の人たちが了解すればよいというようなことでは、私はとてもこの問題は解決できないと思うのです。もっと高い見地に立ってこの問題を考えていただきたい。これ以上申し上げずに、今後また御足労でも来ていただきましてこの問題は検討していきたいのですが、現在文化財に決して支障を与えないからといって、今後のことは委員長に保証できないと思う。保証されるなら何をかいわんやですが、決して保証することはできない。現に射撃をしているだけではございません。歩兵部隊が一ヵ大隊入って、そうして小銃、機関銃をもって実弾射撃をやっているのです。そういう事実も地元の人たちが見まして、あの問題をあれほど大きくしているわけですから、そういう点も真剣に御調査願って態度を決していただきたいと思うのです。さらに人身売買に関連しまして御質問を申し上げるのですが、これもたくさん質問者があるようでございますから、私はこの際ほんとうに一点だけお伺いするのですが、これは単に人身売買の問題でなくして、社会教育局長も社会風潮という問題でこのことにつきましては御答弁をなさったし、また次官も、単に人身売買の問題ではない、若い人たちの持っておる性観念とか、道義とかいうようなものがこうした事実を生んだのだというふうな点からの御説明があったのですが、これが今私たちの最も心配するところでありますが、いろいろお伺いすれば、純潔教育審議会において一つの基準を作って、その基準を出すことによってこれを防止するというようなお話だとか、あるいは観念的な道義高揚の問題を叫んでこういうものを防止するのだというようなことをおっしゃっているのですが、決してそんなことでは防止できない。それ以上に、あらゆる婦人団体あるいは青年団体というふうな、当面している方たちはもっとこれを強く取り上げて、世論の上に出そうとしているのですが、なかなかそれが思うように社会運動に展開されないというような実情を見て、これに対して政府の善処を私どもは要望するのです。まず一番問題になるのは性の問題でしょうが、賭博の問題、あるいはヒロポンの問題、こういうようなものにつきまして、文部当局はもちろん責任当局ですから、実情はどうであるか、これに対してどういうふうな処置を取ろうとしているかというふうなことを私はお伺いしたいのですが、残念ながら今時間が与えられておりませんので、いずれこれは機会のあるときにお伺いすることにして、そこで一つお伺いしたいのは、こういう社会事情に対して文部当局で責任を持つ部面が社会教育の部面でありますが、社会教育の面で本年度予算を見まして、どこでそういう社会の実情というものを認識されて、そうして認識された特徴をもってどこでそういう働きをするか、この予算面で御説明を私は願いたいと思うのですが、従来の予算を踏襲するだけで、しかもその予算を私たちが当局にいろいろと質問いたしますときには、残念ながら社会教育はこの力では何にもできないのだということを常に聞いている程度の予算編成でございます。しかしこれでもって、今社会がかくまで道義が頽廃し、いろいろな悪条件がそろっておる中に、どうしてその責任を果そうとしておるか、御説明を願いたい。
○寺中政府委員 人身売買の問題から発展いたしまして、社会風潮矯正に関して社会教育としての対策について御質問があった次第でございますが、われわれといたしましても、社会教育の全機能をあげましてそういう問題に当りたいと考えている次第であります。予算面でどう考えるかということでございますが、社会教育につきましては私どもも非常に残念に思っておりますけれども、予算的には十分の配慮がなされていないのであります。昭和三十年度の予算におきましては社会教育特別助成という形で、従来よりは相当の考慮が払われまして、大体新生活運動を含めまして一億二千万円ばかり特別に新しく認められておる次第であります。この社会風潮あるいは社会道義という問題をどこから矯正していくかということになりますと、やはり純真な精神を持ちながらいろいろな面で非常におもしろくない事情にあります青少年の対策、つまり青少年は今の社会の中において非常に気の毒な立場にありますが、ほんとうに青少年自身が立ち上って、純粋な気持で社会風潮改善ということに努力するならば、これはいわば一番たよりになる階層であるというふうに考える次第であります。そういう意味から青少年を対象とする社会教育に重点を置きまして、ヒロポンの対策もございますし、あるいはいろいろ悪映画、悪出版物の追放というような問題も無数にあるわけでありますが、そういうことを含めまして青少年自身が自主的に立ち上る方策を考えなければならない。それには青少年がお互いに共同生活の意義を感じ、相互に戒め合って、日本の再建のために立ち上るという気持を起させる、それには青少年団体を純粋な形で結成をする。現在相当青少年団体ができておりますが、地域によってはそれほど活溌でないところもあります。従来既成の団体として相当に活躍しておるものに対してはますますこれを育成し、未組織のところにつきましては自主的に組織できるような環境を与えてやる、そういうような意味で今度の社会教育特別助成の経費を使って参りたい、これによって社会風潮改善の一つの推進力になるようにいたしたい、かように考えております。
○佐藤委員長 小牧次生君。
○小牧委員 私は一般教職員の恩給、あるいはまた退職年金の問題についてお伺い申し上げたいのであります。この問題は養護教諭の恩給の問題もあるわけでございますが、本日は時間がございませんので、いずれ後日に養護教諭の問題は譲ることにいたしまして、一般教職員の恩給退職年金についてだけお伺い申し上げたいのであります。近年全国的に学力の低下ということがいろいろ言われておりまして、その原因につきましてはあたかも新教育の欠陥にあるがごとく言われておるようであります。もちろんこの新教育につきましてもいろいろ検討を要する面が多々あろうかと思うのでありますが、いわゆる学力とは一体どういうことかということにつきましては、これは簡単に定義づけることができないことはもちろんであろうと思うのであります。しかしながらいずれにいたしましても、戦後教育の地方分権制によりまして大きく民主的な方向に進展いたしましたことは事実でありまするが、それも今やようやく限界に達しまして、いわば教育界は窒息の状態にありまして、生々はつらつとした空気が見受けられないということが世上いわゆる学力云々の問題に大きく影響しておると思われるのであります。すなわちそれは新教育の欠陥に起因すると申しますよりも、むしろ人事の交流が固定化いたしまして円滑に行われないということにあると言わなければならないと思うのであります。ここに教育界の沈滞とその振興をはばむ大きな原因があると私は考えておるのであります。人事の交流が円滑に行われないのは、一面現在の教育委員会制度ということにも原因があると思います。しかしながらそのおもなる隘路と申しますか、おもなる欠陥は、退職年金等の期間通算制度が確立しておらないということ、あるいはまた地域給の不合理に起因いたしておる、こういうことが考えられると思うのであります。戦後教育の問題が大幅に地方自治体に移管されました結果、教職員は御承知の通り教育公務員特例法によりまして、昭和二十四年一月十二日以前より教職にあった者は恩給法が準用されておる。また昭和二十四年一月十二日以前教職にあって、その当時教職をやめていた者で、その後教職に復職した者には通算されておらない。さらに昭和二十四年一月十二日以後教職についた者は、恩給法とは別に退職年金法によって府県または市町村の退職年金等の条例の適用を受けております。そしてこの場合に、府県相互間、県と県の間、また府県と市町村の間、その間には期間の通算がなされておらない。これが今日の規定であります。こういった事情から、各地方におきまして幾多の不合理を生じておりまして、これが教育の進展を大きくはばむ結果となっておると私は考えるのであります。従いまして、この点文部当局におきましては、これらを合理的に是正いたしまして、教職員の退職後における身分を保障し、安んじてその職に精励し、そして教育的効果を一そう上げることができるような対策を考慮しておられるかどうか、この問題に関しましては、昭和二十八年十一月、人事院より退職年金法の制定が勧告されておる。ところがこれが今日まで非常におくれておるわけでございまするが、これは政府の責任にあると言わなければならないと考えるのであります。承わるところによりますと、自治庁におきましては、恩給及び退職年金の通算制につきまして目下法案の研究中でありまして、今次国会にこれに関する法案の提出を準備しておられるようでありまするが、まずその法案の具体的な内容について実は自治庁にお伺い申し上げたいのでありまするが、おいでになるかどうかわかりませんが、もし御出席ならば自治庁の方から御答弁をお願い申し上げたいのであります。 なおこの自治庁の案に対しまして文部当局におかれましてはどういう態度をもって臨んでおられまするか。この点をあわせてお伺い申し上げたいのであります。実は本問題につきましては今月十六日私、党を代表いたしまして、文書をもって松村文部大臣に申し入れをいたしておりまするので、当局の方々におかれましては今日まで十分御研究あったことと考えるのであります。私の聞くところによりますると、自治庁の案によりまするならば、恩給及び退職年金の通算制につきましては、国と府県の間、また府県相互間、さらにまた市町村立の小中学校及び定時制高等学校と府県立高等学校、こういうふうに三つに分れて通算するということを考えておられるようであります。国と府県の間及び府県相互間の通算を法律的に確立するということは、なるほど一歩前進いたしておるわけでございまして、これがためにこの面での人事の交流を円滑にして、教育界の刷新の道を開くことは確かに喜ぶべきことだと考えるのであります。まずこれだけを申し上げまして御答弁をお願い申し上げたいのであります。
○緒方政府委員 御説のように人事交流につきましていろいろ問題はありますが、その一つといたしまして恩給の通算の制度が確立していないということは一つの問題だと思います。ただいまお話がございましたように、教育職員につきましては教育公務員特例法の規定がありまして、教員の身分が異動しました場合に、これが通算の十分な制度が確立しておらないことは事実でございます。従いまして文部省といたしましても、これはただいまお話がございましたように、人事交流の刷新を期するという点から申しましても、私は必要なことだと考えております。ただ現在いろいろと研究いたしておりますが、ただいま自治庁の方のお話もございましたけれども、まだ政府部内といたしましてすっかり固まっていないことでございますので、私の方からこの際にその内容を申し上げることはいかがと存じますので、具体的な内容につきましてはここで申し上げることを差し控えさせていただきたいと存じますけれども、ただいまの御趣旨は十分私ども了承いたしております。一歩でも進めるように一つ努力していきたい、かように考えておる次第であります。自治庁方面ともそのことにつきましては折衝をいたしておるような次第であります。本日の段階におきましては一つこの程度で私の方からの御答弁としては御了承いただきたいと思います。
○佐藤委員長 自治庁から小林政府委員が来ておられますので答弁をお願いします。
○小林(与)政府委員 恩給の通算の問題につきまして、今現在自治庁の方で考えている気持を申し上げたいと思います。これは教員だけの問題でなしに、われわれといたしましては、府県の公務員全般につきまして、国の公務員との間、あるいは府県相互間において相当異動交流がありますので、ぜひその間の恩給を通算いたしたい、これはかねてからのわれわれの強い希望でございまして、そういうことで前々から案を練って、現にできましたらこの国会でもそういうことで案をまとめたいというので、政府部内で意見の調整をやっておるのでございますが、正直に申しましてまだ十分意見の一致に達しておらないのであります。大体人を扱っておられる役所はもちろんみな賛成でございますが、正直に申しまして恩給局関係の方との調整がまだついておりませんので、ぜひ何とかそういう方向に話をまとめたい、そういう希望で一生懸命やっておりますので御了承を願いたいと思います。
○小牧委員 この問題につきましては、先ほど申しました通り人事院の方からすでに勧告がなされており、今日まで非常におくれておるわけでありまするが、ようやく今次国会におきまして、政府の方で法案の準備を進めておられる、こういう事情にあるわけでありまするが、まだ政府の方におきまして最終的に意見の調整が行われておらないというお話でございますが、現在におきまして自治庁当局においてお考えになっておる点、それだけでけっこうでございますから、ここでお知らせを願いたいと思うのであります。
○小林(与)政府委員 自治庁が考えておりますのは、府県の職員及び公立学校の義務教育職員の範囲におきまして、府県相互間並びに国の公務員との交流が行われました場合には、それぞれ通算の措置を講ずる、あとの恩給負担の問題並びに給与が多少県によってでこぼこという問題がありまして、そういう問題の技術的調整をどうするかという問題がございますが、われわれの考えといたしましては、これはむしろきわめてあっさりと扱った方がよかろうというので、それぞれ退職したときの給与負担団体でその適用する法規に基いて払ったらよろしい、国であれば国の恩給法で、府県であれば府県の当該恩給条例に基いてやる、こういう考え方で進んだらどうだろうか、こまかい経費負担関係を調整するということは非常にめんどうになりますし、そういう必要もないじゃないか、現在こういう考え方でおります。給与が多少でこぼこがあるのをどう調整するか、恩給、給与というようなものを考えてやったらどうだという説もあるのでありますが、そうするとかえって計算もめんどうになりますし、そういうことをやめてあっさりと、端的に最終当該団体の法規に基いてやる、こういう措置で進みたいというのがわれわれの考えでございます。
○小牧委員 大体現在の自治庁のお考えがわかったわけでありまするが、もう一つこれに関連いたしましてお伺い申し上げたいのであります。それは市町村立の小学校、中学校及び定時制の高等学校と、それから府県立の高等学校、この間の通算につきましては現在どの府県においても給与を府県の負担で出しております関係上、退職年金等の府県条例におきましても通算するようにすでに措置がなされておるはずだと考えるのであります。ただその現実の姿をこれは法的に確認していくというようなことになるのではないか、こういうことがまず第一点。それからもう一つは、自治庁の案によりますと、市町村立学校職員給与負担法の第一条及び第二条の適用を受けるところの学校の職員、先ほどこういう点についてはお話はなかったようでございますが、すなわち具体的に申し上げますならば、全日制の市町村立高等学校の教職員につきまして、府県立高等学校との間に通算ができなしことになる、これをお伺い申し上げたいのであります。
○小林(与)政府委員 第一点の問題は、今御案内の通り市町村の給与、退職金その他は条例でやることになっておりますので、条例で自主的にやろうと思えばできてないわけではないのであります。一般の職員につきましても、府県、市町村の異動についてやろうと思えばできないわけではないのでありまして、一部やつておるところもありますが、まあそうでもないので、やれば法律で国の関係、府県相互の関係をはっきり義務づけたい、こういう考えでございます。 第二点の範囲の問題でありますが、実はまだ、そもそも根本的に通算の問題につきてまして話がまとまっておらぬのでございまして、われわれといたしましては、とりあえずのところは国庫負担法に書いてあるものにつきまして、これはその他のいろいろな面で特別の扱いができておりますので、そういうものを中心に考えたらどうだろうという考えで進んでおるのが事実でございます。市町村一般の問題をどの程度扱うかというのはいろいろ問題があります。市町村公務員全般について通算関係をどう考えるか、そういう議論がいろいろあるのでありますが、ともかくも地方公務員との通算関係を漸進的に確立したいというわれわれの希望でありまして、まず府県を中心に異動の実態からやる。しかしながら義務教育職員は、いろいろな意味で異動が非常に多いのでありまして、これだけでもどうしても一緒にあわせて考えたい、今日こういうところで進んでおるのでございます。
○小牧委員 全日制の市町村立高等学校と府県立の高等学校との間に通算を許しました場合に、今は段階的に進めていきたいという御答弁でございますが、こういった場合ついて、それが市町村の財政負担を加重するおそれがある、従ってこれを当分見送って、まず段階的に府県間を中心にして法案を整備していきたい、こういうようなお考えではなかろうかと私は臆測をいたしておるのであります。しかしながら今日恩給及び退職年金等の通算ができなしことによりまして、人事交流に最も困難を感じておりますのは、実は市町村立の全日制高等学校だ、私は今日の現状をかように考えておるのである。市町村立の全日制高等学校におきましては、府県立の高等学校から人を得ようとするならば、先ほど申し上げました昭和二十四年一月十二日以降の者については退職年金の通算が不可能でありますために、採用が非常に困難である。それ以前の者であれば、恩給法の準用ができるから採用できそうに思われるのでありますが、そうなりますと、勢い給料の非常に高い者を採用しなければならぬ、こういうことから市町村の財政上これもまたなかなか容易に行われないといった事情にあると思うのであります。といって、大学の新卒者を採用するということにいたしましても、こういう人々はどちらかと申しますと、退職金の通算関係からほとんど府県立の学校または小中学校を希望いたしまして、市町村立の全日制高等学校を希望する者が非常に少いのであります。そのために、りっぱな先生、逸材を得るということはきわめて困難な実情にあると思うのであります。退職年金の通算が必要とされているのは、むしろ今申し上げました市町村立の全日制の高学等校であると私は断ずるのである。政府といたしましては、こういった最も弱い、欠陥が強く現われておる面、こういうところにこそまず第一に救済の手を差し伸べなければならぬ。それも何も国の財政負担を特に大きく加重するということにならないのであります。また市町村の財政負担に、これがために大きな悪影響を与えるということも大してないと私は思うのであります。先ほども話がありましたが、府県と市町村の間におきまして相互に交流するということになりますと、両者の間にその負担が大体相殺される、こういう結果になるわけでございまして、通算制を、この場合に限り市町村立高等学校のみを見送らなければならぬという理由がないと私は考えておるのであります。先ほど来、府県間を中心に段階的に進めていきたい、現在その法案の準備がなされておるというのですが、この機会にこそこの市町村立の問題も同時に解決していただきたい。これについて自治庁の方と、それから文部省の方はどういうふうにお考えになっておるか、あわせてお伺い申し上げたいのであります。
○小林(与)政府委員 市町村の全日制の教員の問題については、しごくごもっともであろうと私も思うのであります。それでこの恩給制度につきましては、どの程度まで通算するかという問題になりますと、まず個々の市町村の恩給制度が確立されるということがどうしても前提になります。現在府県などはどんどん国の恩給法と同様の法規で律しておりますので、この間、通算その他もきわめて技術的にも容易になる。それから個々の市町村になりますと、やはりある町とか村で、そこをやめるとなると、通算すると当該団体にしてみれば非常に負担が大きくなりまして、それがいわばどこでやめるかわかりませんから、むらが出てくるのであります。相当大きな経済団体ならば、そこらは帳消しになるという問題もございます。それと個々の市町村が全部恩給制度をそれほど確立しておるかと申しますと、必ずしもそうもいっておらないのであります。そういう事情も一つはあるのでございます。それで、全般的に、市町村と府県との通算の問題をどう考えるかということは、われわれといたしましてはまだその時期ではないのではないか、こういう考えをいたしておるのであります。それとともに根本的には通算問題をどう解決するかということの方がわれわれとしては焦眉の問題であります。正直に申しまして、何とかして通算について一歩でも二歩でも事を進めたい。そこでその進めること自体にも今見通しがすぐにあるわけではないのでございまして、何とかしてそこは話をつけたいというのが現状でありますので、そこのところも一つ御了承願います。われわれといたしましては、合理的な制度はできるだけ合理的な形で整備したいという一念でございますので、なおその問題につきましてはさらに研究いたしますが、ともかくも何らかの形で事を進めるということで、このときはこのことを考えたいと思っておるのでございます。
○緒方政府委員 御指摘の市町村立の全日制の高等学校につきましては、私どもも実態といたしましてはただいま御指摘のことにつきましては同感であります。ただしかし小林行政部長からもお話がございましたように、これはなるべく実現性のあるところから少しでも進めていきたい、こういうことでございまして、先ほどお話がありましたように、私ども通算制度そのものについてまだ十分の見通しがないわけでありますけれども、一歩でも前進していきたい、かようなことで今後努力していきたいと存じております。ただ市町村の全日制の高等学校の給与負担は御承知のように市町村でございまして、市町村立学校職員給与負担法第一条、第二条による給与は県の負担であります。従いまして県相互間、あるいは県と国相互間ということにつきましては、実現性という点からいいますと割合に薄い、こういうことになるのではないかと考えております。いずれにいたしましても、自治庁とも力を合せまして実現に努めたいと考えております。
○小牧委員 時間がありませんのでこの辺で質問をやめますが、今いろいろ答弁されました通り、法案の準備を進められ、できるだけ急速に提案していただくということをお願い申し上げまして、質問を終ります。
○佐藤委員長 本日はこれにて散会し、次会は公報をもってお知らせいたします。 午後一時一分散会