文教委員会 第8号
- 発言数
- 128 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1955/05/17
会議録
○佐藤委員長 これより会議を開きます。 学校教育に関する件について、先般に引き続き質疑を行います。修学旅行に関して最近ひんぴんと事故が起きておりますので、この際、文部大臣に対する質疑を行います。河野正君。
○河野(正)委員 先日紫雲丸事件が惹起されましたので、その責任の追及につきましては前回の委員会で政府当局に行なったわけでございますが、その後引き続きまして、岩手県下のバス転覆事件、あるいはまた今朝の駐留軍自動貨車と列車との衝突事件、こういった次々と起って参りました交通事故によりまして、とうとい学童の多数の遭難者が出て参っておるわけでございます。規模の大小は別といたしましても、犠牲をこうむりました学童は、それぞれとうとい人命でございますので、私どももこういった問題は断じて軽視するわけには参らぬのでございます。そういった次々と続発して参りましたところの学童の修学旅行に関しまして、現在文部大臣がいかなる所感を持って臨んでおられるのか、一応その点についてお尋ね申し上げたいと思います。
○松村国務大臣 今お話の通り、ひんぴんとして起っております修学旅行の災厄につきましては、実際痛心にたえないのでございます。けさもまた、御承知のようなアメリカのガソリン・カーかなんかとの衝突事件があり、幸い死者は出ませんでしたけれども、相当の負傷者があったことは、まことに痛心にたえぬのでございます。そこで私の方といたしましては、事件が起りましていろいろ協議をいたし、また高松あたりの現地に出張した人の話なども聞いて、このままで捨てておけぬと考えまして、さしあたりの措置といたしましては、修学旅行についての指示を全国の関係方面へ昨日出したような次第でございます。しかし、それは早急にさしあたっての指示を出したのでございまして、近いうちにいろいろの方面の方を集めまして、修学旅行に関する根本的の考えをまとめて、さらに指示をいたしたい、こういうふうに考えております。まだ案を得ているわけではございませんけれども、修学旅行そのものをこういう災害のためにとめてしまうということも、学生、児童の見聞を広くするという意味からいえば、そういうわけにも参りません。ただドイツあたりでやっておりますような、ほんとうの修学という目安だけでやりまして、物見遊山のようなことはやめたらどうかという意見も出ておりますが、各方面のそういう権威の人を集めまして、近いうちにいろいろ意見を聞いて最後の方針をきめたい、こういうふうに今考えておるところでございます。
○河野(正)委員 次々と頻発いたします交通事故によりまして、多数の人命が奪われますことは、私どもといたしましても哀悼の念禁じ得ざるものがあるのでございますが、そういった立場から、今後このような事故を根絶するためにも、さらに御質問を行なってみたいと考えております。そこで今日までたびたび起って参りました根本的な原因を突き詰めて参ることが、とりもなおさず今後の事故防止に対する最も重要なる条件になると思いますが、文部大臣は今日までたびたび起って参りました事故の根本的な原因がどこにあるのか、その点について御所見を伺いたい。
○松村国務大臣 この原因につきましては、不可抗力のものもあるかもしれませんけれども、相当に注意を欠き、放漫なやり方というようなものに基因している災害が多いと思います。従ってこれは文部省だけでなくて、交通運輸を司る方面におきましても、ほんとうにこの災害によってしっかり改めてもらわなくちゃならぬということが第一であろうと考えます。それから私の方の文部関係におきましても、どうも修学旅行というものの意義が確定していない。ほんとうにただ物見というような意味で行く。従って事が非常に放漫になり、注意が足りないというようなことがあると思いますので、こういう面をきっぱりして、そうしてこういう災害の起らない注意を必要とすると思いまして、その方面でさしあたり昨日の指示をいたしたような次第でございます。
○河野(正)委員 ただいま文部大臣は原因が不可抗力にあり、あるいは放漫な指導方針にあったというような幾つかの原因を述べられたわけでございますが、しかしながら不可抗力と申し上げましても、根本的な指導方針というものが確立しておりますならば、私はたとい犠牲者を出すにいたしましても最小限度の犠牲者にとどめ得た、かように確信を持つわけでございます。たとえば紫雲丸事件におきましても、起りました事態は、あるいは学童の立場にとりましては、不可抗力的な事態であったかもしれませんけれども、しかしながら多数の犠牲者を出しました点につきましては、私は指導力の欠如によて非常に大きな犠牲者を出した、このことは現地に派遣されました調査員の報告に基きましても明白に言えることと考えております。そういったいろいろな観点から考えてみましても、次々と起って参ります事故、あるいは犠牲者が、他の一般の乗客に対しまして、学童の被害率が非常に高い率を示しておるという事実、こういった事実も全く今日までの指導力の欠如にあることであって、これはひいて申し上げますならば、文部当局の放漫なる指導方針に起因した、かように申し上げても過言ではなかろうかと考えておりますが、今までの文部当局の指導方針に対しまして欠陥がなかったのかどうか、この点につきましてお尋ねいたしたいと思います。
○松村国務大臣 こういうことに相なりましたにつきましては、決して私どもは文部省といたしまして責任を回避するものではございません。十分の注意をいたしてこういう災害を防ぐのに努力をいたすわけでございますが、しかしながら今日文部省の指導の権限が、ただそういうふうに勧告するだけでございまして、徹底した指導をすることができないという制度上の欠陥というか、うらみがありますことも御了承をお願いいたしたいと思うのであります。しかしながらそれなるがゆえに文部省が責任がない、もしくは責任が軽いと申すのではございませんで、これは十分の努力をいたし、また現地の現在やっている責任者ともよく連絡をとりまして、このようなあやまちをしないように、今後最善の努力をいたしたいと思うのでございます。実はこの災害のみならず、松元事件のようなこともありまするし、これらについてもやはり文部省として十分の責任を持って今後十分やっていくつもりでおります。
○河野(正)委員 ただいま文部大臣が指導上、また制度の上からいろいろ欠陥がある——おそらく文部省は各都道府県の教育委員会に通達を出す程度しかできないというような御趣旨であろうと思うのでございますが、しかしながら現実の問題といたしましては、次々と交通事故が頻発して参りますし、またそういったことに国民の中でも非常に大きな関心を持ちながらも、なお今日一日平均三万程度の学童が修学旅行に出ておるというふうなことも承わっておるわけでございますが、この制度上の欠陥を見のがしてこのまま推移いたしますと、ますますこういった事故が引き続いて続発して参るということも想像にかたからざるところでございます。そこで私がお尋ね申し上げたい点は、先ほど文部大臣が申されました制度上の欠陥があるのでなかなか指導がうまくいかないというふうなお話でございますが、その制度上の欠陥を何らか今後是正する御意思があるのかどうか、その点についてお尋ね申し上げたいと思います。
○松村国務大臣 今のところ何ら成案を持っておるわけではございません。また文部省が極端な指導力を把握するということは、いいこともあれば弊もありますので、その間のかね合い、調整をよくいたしてやっていける方法があればやってみたいとこう思うておりますが、これから一つ研究をいたしてみたいと思うております。
○河野(正)委員 ただいま文部大臣が、制度上の改善はいいこともある、悪いこともある——全くその通りでございます。もし制度上の行き過ぎがございますならば、今日の民主主義教育が破壊されるというようなことも当然のことでございますので、私もその点は了承いたしますが、しかしながら今日のように、事故が起れば文部省が都道府県の教育委員会に一片の通達をするというようなことで終りますというと、やはり依然として今日のような不祥事態を根滅することはなかなか困難であると私どもは考えておるわけであります。なお先般の紫雲丸事件におきましても、洞爺丸事件の責任がそのまま黙殺されておったので、再び今度のような不祥事件が起ったというふうな責任の追及も、それぞれの委員会で行われたようでございますが、私どもは、やはり単に一片の通達でこういった責任が回避されますというと、依然として今日のような不幸な事態が繰り返されるおそれがございますので、単なる一片の通達でなくて、やはり当局そのものが重大なる責任をおとりになることが、今後そういった事故を撲滅する道であり、またたくさんの犠牲者やその遺家族に対しますところの私どもの道である、かように考えて参っておるわけでありますが、文部当局は、いろいろ責任というふうに言葉では申されるわけでございますけれども、具体的にどういった責任をお考えになっておるのか、この点につきまして重ねて御質問を申し上げます。
○松村国務大臣 それは、今後このようなあやまちを繰り返さないようにすることが文部当局としての責めであろうと考えまして、そのために最善の努力をいたしたいと思うのでございます。なお制度上の欠陥につきましては、これから慎重に考えて、制度上の欠陥を補うような方策もあわせてとりたい、こういうふうに考えております。
○辻原委員 修学旅行の問題について、今大臣から、大臣の最後的な御見解と承わったのでありますが、そういう意味のことをお話なさったのでありますが、私はこの問題につきまして、文部当局にお考えをいただきたいのは、こういう相次ぐ生徒児童の人命が軽視される、しかもそれが、不慮とは言いがたいような要素も含んでいる事故の内容によりまして頻発しているということは、非常に残念であることは申すまでもないことでありますが、ただこの問題につきまして、今も河野委員から指摘されておりましたが、事故が頻発するから、修学旅行の計画に対する通牒その他で事故の発生を防止しようという程度のことは、これは当然過ぎるほど当然でありまして、その指導を適切にやっていただくということは、これはわれわれも賛成ではありますけれども、しかし問題は、文部省当局としてまた大臣として、特に制度上の欠陥について是正をする心組みであるというお話であったわけでありますが、それだけではなくして、やはりこれは教育的に取り上げていただきたい。ということは、事故でありますから、これはどういうふうに修学旅行の指導をやりましても、あるいは発生する事故については防ぎきれない場合がある。しかしそういうことをできる限り極限まで防いでいくためには、単に旅行の企画とかあるいは取扱いとかいうことについてのみ頭を煩わすのではなくて、私の言いたいことは、日常の教育の中において安全教育をより徹底させるということが根本ではなかろうか。私はこういうことを申し上げてはどうかと思いますけれども、これらの頻発する事故の問題を取り上げられて、いろいろ非常に痛切な御意見があちこち出ておりますが、もちろんそのことについても当然であると思います。しかしその意見によって修学旅行がいけないというような議論に発展することはいかがなものか。あるいはこういうふうに相次ぐ事故があるから、この種の、たとえば交通機関を利用する旅行がいけないとか、あるいは船を利用するのがいけないとかいろいろ御議論があります。いけない場合もあります。それは計画全般を検討した場合に、その生徒の学年、あるいはからだの状態、地域の状態、いろいろなものからいけない場合がある。しかしまた妥当である場合もある。そういうことはこれは一概に結論づけられない問題である。そういうものではなくして、やはり修学旅行の持っている教育的効果というものも発揮させるし、同時に安全も確保するということ、両面を貫こうとするならば、ここにこういう通牒によりまして修学旅行がある程度規制されるが、しかし一面この規制された修学旅行をもまた最大限に効果あらしめるためには、その修学旅行の中に、引率される先生方、またそれについていく生徒児童も、またそれに関連を持つ父兄の方々も、ともに安全教育という点について完全に三味一体の形で、また指導される教育委員会、あるいは文部当局、全部が、この機会にこの安全教育の問題を大きく取り上げて、教育の上に徹底し、推進していくという心組みがなければ、私はこの問題はただ突発的に起ったことに対する単なる弥縫的措置である、こういうふうに申し上げざるを得ないのです。従って大臣がお持ちなされるこの種の問題に対するきわめて積極的な事故防止の御熱意によって、どうかその制度上の欠陥の改善とともに、今後教育の上に安全教育というもの、いわゆる人命尊重、この教育を一つ徹底的におやりいただきたいということを、私はこの機会に申し上げておきたいと思うのであります。往々にして問題が頻発いたしますと、とかく角をためて牛を殺す議論になりがちである。熱さをおそれるのあまりなますを吹くというような、そういった傾向を持つことは、これはまた教育上私は一考を要する問題であると考えます。いろいろ今日まで行われている修学旅行の計画等について非常に反省するところはあると思いますが、その点についてはこういうことで十分御指導いただいておくと同時に、今申し上げた点については私は繰り返し繰り返し申し上げますけれども、根本的に安全性を確保するということは、これは安全教育の徹底を期することが、教育を主管される文部大臣としての、あるいは文部当局としての責任を果されるゆえんではないかとまで考えておるのでありますから、どうか一つそれらの点についてこの機会に具体化されるようお考えをいただきたいと思います。
○松村国務大臣 今お話のことは私全然同感でございます。ことに角をためて牛を殺すような消極的のやり方は、新しい日本の児童を教養するゆえんではないと考えておりまして、全然お考えそのままに存じておるわけでございます。それからその方法につきましても、今お示し下さったようなことを重点として最善の努力をいたすつもりでございますから、さよう御了承願います。
○辻原委員 もう一点。なおそれに関係いたしまして、これは修学旅行だけではありませんけれども、最近私ずっと新聞の三面記事の下欄の方を見ておりますと、隔日くらいに生徒児童の事故が起っておるのであります。あるいは学校の運動中に衝突して頭を割ったとか、鉄棒から落ちてけがをしたとか、その種の事故が非常に多いように私は考えております。事故が起りますと、これに対する補償の問題については、今度の紫雲丸事件でもそうでありましたし、また洞爺丸事件の際にもどうもそういう印象を持ったのでありますが、また運輸委員会等でもその点が議論になっておりますが、具体的な補償の取扱いなどについては、児童生徒、あるいはひっくるめまして子供に対する補償は、金額の点についてもやや低いような取扱いをなされようとしております。しかし人命のとうとさをいう点に立てば、これは何ら差等をつけるべき問題ではありません。しかしながら社会的に力を持っていない、経済能力を持っていないというようなことから軽視されがちでありますが、けがをしたり、あるいはまたなくなったりというようなことは、すべてそれを保護している父兄の方にかかってくるわけなんでありますから、そういう点についてはこの際考えを改めて——改めるよりはもう一歩進んで、そういう児童生徒に発生する事故を防止する意味からも、ここに何か生徒児童の災害補償というようなものを設ける必要を痛感するわけでありますが、こうした機会に、少くとも児童生徒が教育管理の中に包括されている時間内と申しますか、そのときに発生した災害等については、何かの法律的措置でもって補償するような必要を大臣はお考えになっておらないのですか、この点御所論をお聞かせ願っておきたいと思います。
○松村国務大臣 私その必要を感じておるのでございますが、具体的にどうしていいかはまだなにしませんけれども、関係各省ともよく話合いをいたして善処いたしたいと考えております。
○佐藤委員長 一言申し上げますが、松村文部大臣は約束で一応予算委員会に出られるようになりますので、文部大臣に対する質疑はあとでやることにいたしまして、この際文部大臣の退席をお認め願いたいと思います。
○河野(正)委員 それでは締めくくりにあと一点だけ。結論的に申し上げますと、あるいは要望事項になるかと思いますが、私は今度のいろいろ続発いたしました不祥事件の結論は、大体三点に尽きると思います。第一点はまず責任の所在を明らかにしていただきまして、今後事故を絶対に根絶せしめられることであると思います。第二点は、修学旅行の本義というものを究明されて、先ほども文部大臣の御指摘がありましたが、事故が起ると今後修学旅行が単に機械的にいろいろと制約を受けて、そうして子供たちの伸びる教育がはばまれる、そういったことのないように、いいものはどこまでも生かしていただいて、今後とも子供たちがますます自由に伸びるような措置をやっていただきたいということであります。第三点は、先ほど辻原委員からも御指摘がございましたが、いろいろ事故が起って参りました場合には、今日までの事態を見て参りましても、学童の場合にはその補償がきわめて僅少である。たとえば紫雲丸のごときにおきましてもさようでございますが、そういったものの考え方が、やはり学童の人命を軽視するというようなことになって参る危険性もございますので、そういう、おとなだから、子供だからというふうな機械的な考え方でなくして、一つの人命という立場に立ちましては同等の権利でございますから、そういった立場からも、あまり機械的にものを考えて子供たちの人命が軽視されることがないように、その点は辻原委員からの御指摘がございましたが、そういった三点を総合的に解決していただくことが、今回のような事故を防止し、あるいはまた今日まで犠牲を負われましたそれぞれの被害者に対しまして、私どものこたえる最も重要な道でなかろうか、かように私は考えます。以上は結論であり、要望事項というようなことにもなるかと思いますが、以上申し上げまして、私の質問を終りたいと思います。
○松村国務大臣 全くお示しの通りであります。さようでき得るだけ今後善処いたします。
○並木委員 事故防止の次官通達を今見ましたが、私、今適切な措置だと思います。ただこの中で一つ確かめておかないとあとから問題の起る点がございますから、それを聞いておきたいのです。それは、教育委員会と学校との関係であります。第二項に、「学校が修学旅行を実施する場合は必ずその計画について、あらかじめ教育委員会の承認を得せしめ、教育委員会はその際、計画の細部に亘り、日程、行先地、利用する交通機関等が、特に児童、生徒の安全と健康の保持上無理がなく適切であるかにつき十分な検討を行って指導すること。」この条項について、おそらく実際には今までもうまくいっておったとは思いますけれども、今までの通知あるいは通達には承認を得せしめという項目がございませんでした。そこでこれから問題になるであろうと予想されるのは、承認がなかったときにどうするか、教育委員会で学校が立てたプランを承認しなかった場合にはどうなるのか、まずそれをお伺いします。
○緒方政府委員 ただいまお話のございましたように、従来におきましても、前会もお話し申し上げましたように、大体各学校を設置いたしまする教育委員会がおよそ基準をきめまして、学校からは土地の教育委員会に打ち合せて確定をして旅行をきめるというように相なっております。ただここに特にこのことをうたいましたのは、事故の頻発にかんがみまして、教育委員会に、十分に責任を持って、教育内容について無理のないように検討してもらうということの注意を喚起するためにこれを特に書いたわけでございます。ただいまお話しのございましたように、学校教育の直接の計画を樹立し、これに責任を持ちますのはもちろん学校であります。しかしながら権限の関係から申しますと、教育委員会が学校の運営管理をつかさどるわけでございますから、教育委員会がこの承認をするということは、法律的に妥当であると考えるわけであります。おそらくお話がございましたように、両者打ち合せまして、内容をよく検討してきめるということに相なると思いまして、学校と教育委員会とが対立して、許可する、しないという問題はおそらく起らぬのじゃないか、かように考える次第であります。権限から申しますとかような次第であります。
○並木委員 法的根拠をお聞きしたい。文部省がこの通達を出すについて、これは単に勧告的のものであるか、それとも強制力を持つか、持つとすればどれに基いているか、教育委員会が学校に対して承認を求めるように強制する力を持っているその根拠、もし将来学校の計画と教育委員会の考えとがあまり違って、いざこざが起ったような場合に困ると思いますから、この際お聞きしたい。
○緒方政府委員 文部省の教育委員会に対しまする関係でありますが、これは他に別段の法律の定めがなければ、文部省は指揮監督はできないことになっております。ただ文部省といたしましての権限といたしまして、文部省設置法の中に、教育委員会に対しまして指導、助言、勧告をする、こういうことになっているわけでございます。その指導、助言の権限に基きましてこの通達も出したのであります。
○並木委員 するとこれは強制的なものではないのですか。やっぱり単なる指導の一環ですか。
○緒方政府委員 指導、助言の一環でございます。強制的なものじゃございません。教育委員会と学校との関係は、教育委員会法の四十九条に「教育委員会は、第四条に定める権限を行使するために、左に掲げる事務を行う。」その一項に「学校その他の教育機関の設置、管理及び廃止に関すること。」こういうことになっております。
○小林(信)委員 関連してお伺いいたします。さっき大臣は修学旅行に対しまして、もちろん全部とは言わないでしょうが、物見遊山的なものが多い、こういうふうに言われたのですが、これは非常に残念な言い分だと思うのです。物見遊山的に考えているのは文部省じゃないかと思うのです。学校当局におきましては、修学旅行をいたしますような場合には、それは子供の大事な命を預かるのですから、決してそんな簡単な考えでするのでなくて、周囲が物見遊山的に見ていることが多いと思うのです。だからこそきょう文部省通達を見ましてもそういうところが非常に多い。先ほど来のお話を承わっておりましても、文部当局はこの修学旅行をやはり教育的に認めなければならないし、いろいろな措置をして、かえって修学旅行をやめさせるような傾向になっては困るということを大臣も言われたのですが、それほど重大なものであるならば、これに対しまして文部当局としてもっと事故が起きないように、起きた場合にも最小限度に犠牲を少くするように努力しなければならぬのであります。そういう点につきまして、文部当局としてはこの通知を出すからには相当に慎重な考えがあると思うのですが、この際、交通機関に対してはどんな考えを持っているか、あるいは交通取締りに当っております警察に対してどんな考えを持つか、あるいは子供たちが見学をする場所というのは多くきまっているのですが、そういう場所に対してはどんな見解を持っておられるか、そういうふうなものが十分あってこそ、初めてこういう通達も出されると私は思うのでございますが、そういう点につきまして、次官でもけっこうでございますし、局長でもけっこうでございますから、お伺いいたします。
○寺本政府委員 先ほど大臣の御答弁の中に、計画の中に反省しなければならぬものがあるというようなことを答弁されました。できるだけ物見遊山的なことを避ける必要があるということは、確かに言われたように思いますが、現実に非常に物見遊山的になっておるということを大臣が認められた御趣旨ではなかったように思います。文部省といたしましてはそういう弊害に陥らぬように、四月四日の通牒でも十分教育的な効果が上るように、いたずらに遠距離の旅行を避けて、手近なところで経費もかからぬように、なるべく多数の者が参加できて、教育の実効が上るようにという意味で、全国の教育委員会に御通知を申し上げたような状況でございまして、全く小林委員が言われる趣旨に従ってこの修学旅行に関する方針を立てておるわけでございます。 なお昨日出しました通牒は、四月四日の通牒の中で特にこの際厳格に守っていただきたい、特に注意していただきたいという点を強調し、なお四月四日の通牒であいまいであった点をはっきりさしたというとりあえずの通牒でございまして、先日皆さんからもいろいろ御注意がありましたような交通機関の関係者であるとか、やはり事故防止に責任を持つ警察の関係者であるとか、それからこういう旅行計画を現実に手伝われる業者の方々であるとか、地方の教育委員会の方であるとか、そういう方のお知恵を拝借しまして、積極的に今文部省が出しておりますこの通牒をさらに具体的なものにするための措置、懇談会というものは、これからすぐ取りかかりたい、こう思っております。昨日の通牒はとりあえずの通牒でありますことを御了承賜わりたいと思います。
○小林(信)委員 私のお伺いしておるのはその通牒の問題でなくて、この通牒を出すからには、これは教育委員会に対しましても、それを計画をする学校当局につきましても、相当これは文部省としては注意せよというようなきついお達しにもなるわけですが、そういうものを出すからには、この事故を起します原因が単に教師の不注意ばかりでなく、交通機関そのものに、あるいは交通取締りをするところの警察等にも非常に問題があるし、あるいは参観をする場所、そういう所にも十分の注意を払ってもらわなければならぬし、その他幾つも問題があると思うのですが、そういう点について文部当局はいかなる具体的な考えを持っておいでになるか、そういうものはやはり等閑視しておいて、ただ指令を出しておいて、教師と教育委員会だけの問題で解決しようというのは無理なんです。かえってそういうことをすれば、きょうの新聞等からうかがえますものは、修学旅行は一時停止して、そして何らか万全を期した後に修学旅行を実施させるとか、一切今度は教師だけの責任でなくして、教育委員会に一番大きな責任を持たして修学旅行をやるんだというような御印象を与えておるのですが、そうなれば大事な修学旅行というものはだんだん実行しなくなるような傾向になるわけなんです。やはり修学旅行はさすべきであるということを文部大臣がおっしゃっておる以上、事故を起すところのいろいろなものに対して、団体に対して、どういうふうな対策を今お考えになっておるか、それを私はお伺いしようというわけなんです。
○寺本政府委員 けさの一部の新聞に、交通機関を利用する旅行計画を一時中止するようにという通牒を出したような記事が出ておりますが、その点は文部省の意図するところでないということは申し上げておきたいと思います。通牒はただいまお手元へ差し上げてある通りでございまして、旅行計画を再検討してくれということは書いてございますが、交通機関を利用する旅行計画を一時やめてくれということは申していない。先ほども申し上げます通り、従って交通機関の利用ということについて十分御検討はいただくということでありますが、この問題は全国各地でいろいろの事情がございますので、やはり一次的には学校管理者である教育委員会にお願いするというのが適切な措置ではなかろうかということで、とりあえずの通牒の中にその点をうたったわけでございます。
○小林(信)委員 先ほど私は物見遊山というようなことを申し上げたのですが、やはりそういう考えを周囲が持っておるために、修学旅行にあやまちが多いのではないかと思うのです。従って周囲あるいは関係する者に対して厳重な折衝を文部省として行わない限り、これは学校当局やあるいは教育委員会にいかに通達を厳にいたしましても、これは不可能だと思うのであります。私はそういう点で文部省の無責任と文部省の怠慢というようなことを申し上げなければならぬと思うのです。いろいろ私のお話申し上げるのが御納得いかぬように思いますが、私はまず第一番に実例をとって申し上げれば、一昨日日曜に私の郷里から修学旅行の生徒が来たのです。日曜だったので、この子供たちをまず国会に案内して、国会から朝日新聞社に行きたいというので、バスを頼んだけれども、バスが都合つかなかったために徒歩で行くということになったわけです。朝日新聞に行く経路もわからないので、私が案内したのです。ところが日曜であるためか、どこの交叉点に行きましても——日比谷のあの交叉点には信号があったり、警察も立っておりましたけれども、他の交叉点は、農林省と法務省のあの四つ角あたりには全然標示機もなければ警察も立っておらない。国会のすぐ前のあすこにも立っておらない。それで先生たちはなれぬものですから、私が交通巡査の役目をして、自動車を一切とめて、そして三百何十人の生徒を動かして、日比谷公園から日比谷の交叉点を通って朝日新聞社まで連れて行ったのですが、こういうような点もやはり社会が物見遊山的に考えておるから、全然これに対して何らの処置をしない。こういったところからやはり事故が起るのだと私は思うのです。こういう場合、私は思いつきだったのですが、積極的に、指導する先生に交通巡査と同じ権限を与えて、この先生が手を出してとめたらやはり生徒が優先的に動いて、自動車の方はストップしなければならぬというような措置を講じたら事故も防止されるのではないか、またもう一つ多く参観する場所の問題につきましても、御承知のようにこの裏には毎日バスが一ぱいなんです。そしてこの国会参観に生徒が集中しておるわけです。その場合でも、これは大臣もあるいは関係者全部が御承知だと思うのですが、衛視の人たちは委員会が開かれれば、こういうふうにここに来ておらなければならぬ。そうすると参観の案内の人たちは非常に手薄になるわけです。従って最近は大体七、八千から一万ぐらいの生徒が参観するそうですが、これもこの国会の事情でもって、生徒たちに参観させるためにあすこでバスをむざむざ何時間も置いておく。そして二十分か三十分の参観をするために二時間も二時間半も要するというようなことをするわけですが、これもやはり物見遊山的に考えておるからなんです。もし国会がこれは子供たちの一つの勉強だという考えを持つならば、特別にそういう案内をする者を、こういうときにはふやして、そして便宜をはかるということもなされるわけです。こういうところは至るところにあるわけですが、そういうものは全然社会的に考慮されずに、ただ教師あるいは父兄の努力だけでもって修学旅行というものがなされるわけです。こういう点に文部省が目を開いていただかなければ、やはりこれはうまくいかないのではないか。まして交通機関等に対しましては、おそらく文部当局から便宜を与えるよう計ってくれというようなことは何らないと思うのです。従って混雑するダイヤの中で無理をしておりました場合生徒に十分な注意も与えられずに、不幸ああいう危険な状態のときには、被害を最小限度に食いとめることができないということになるのではないかと思うのです。さらに最近は乗合自動車が多くなりまして、現地から乗合自動車でたって東京市内を見学するとか、あるいは至るところを見学してうちまで運び込むというのが多いのですが、これなんかも文部当局はどういうふうに調査なされておるかわかりませんが、最近は非常にブローカーというか、あっせん者が多いのです。中間に立って営利的に行なっている人が多いのです。先日も私はそういう問題にぶつかったのです。東京に出てきた学生は、大体二台分に乗車する人数で来たわけです。だから二台を要望しておったところが、その中間に入ったブローカーが、自動車が一台しかありませんから一台へ詰めて下さいと言って、五十人くらいしか乗れない自動車に百人くらい詰めて、そうして東京市内を歩いた。私はこの問題は非常に危険だと思ったので伺いましたところ、会社の方では、中間に立った人から一台要求されたから一台なんです。私のところは自動車がないわけではない、あるのですが、一台しか要求されておらないから一台提供したと言う。そういうような悪徳の業者も介在してこの修学旅行が行なわれている現状です。そういうものを無視し、等閑視しておって、ただ通達を出して教師の責任において被害を少くせよというふうな考えでは、決して今日父兄が憂慮しておるような問題を除去することはできないと思うのです。そういう点を文部当局はどういうふうに調査されておるか。私はそこを真剣に考えてもらわなければらちがあかないと思うのです。 それから運輸省との問題は、問題が非常に多くなると思いますが、一つの例をあげれば、修学旅行に対しては特別な列車を——実際これは父兄も先生も真剣なんですが、きのうの通達を私たちはここに来て初めて見ましたから安心したのですが、新聞から受ける感じでは、やはり修学旅行にいけないのだ、こういう印象を与えられているのです。しかし私は修学旅行というものはやめさしてはいけないと思うのです。どうしてもやらせなければいけないと思うのです。やるについては、やはり文部当局があらゆる関係する機関に折衝して万全を期していただかなければならない。そうしないと、結局さっき問題になったように、角をためて牛を殺すような結果になって、これができないようになっては困る。だから一つ真剣に考えてほしい。私が質問しますこういうような具体的な事例を文部省は持っていないじゃないか、もう少し真剣に考えてもらいたいと思う。私は先日こういう事例にも突き当っております。関西方面へ修学旅行に行こうとして、この五月二十四日に実施するものを二月四日に運輸省へ申し込んで、一応ダイヤをずっと承諾したのです。承諾をしたのを、ある特別な団体が——宇治山田ですから、あそこは非常に線路が輻湊しておりまして、しかも団体がたくさん繰り込む関係から、先に一ぺん承諾をしておきながら、特別な団体が申し込んだら、これを不許可ということでもって途中で拒否してきた。それで、宿屋等は全部約束してしまったけれども、運輸省の方で途中でもって拒否されたために困って、それから近畿鉄道ですか、あの私鉄の方に交渉をして、まだ結局らちがあかないと思うのです。宿屋の方からはどうするというような催促を受けながら、しかも鉄道の方は運輸省の方から断わられて、近畿鉄道の私鉄の方にせっかく交渉しておるが、どうなるかわからぬというようなことで、私にこの問題を折衝してくれというような話かきておるのですが、そういう内面を文部省ももう少し探ってみたら、もっと文部省の方から運輸省の方や私鉄の方に、便宜をはかるような措置を講じなければうそだと思うのです。きょうの通達の中にも時期を見ろというようなことが書いてございますが、これは結局、学校で幾ら時期を見てもだめなんだ。みなそこへ集中してしまうわけなんですから、これは文部省が運輸省とよく連絡をとって、そういう計画を流さなければならないわけなんです。そういうような点を検討していったら、これは単なる通達によって問題が解決するのでなくて、ほかに文部省の責任としてなされなければならない問題は私はたくさんあると思う。そういう点につきまして文部当局は何ら具体的なものを持っておられずに、一片の通達をもってなさろうとすることを、今私は残念ながら明白にしたわけですが、そういうものを調査しなければならないと思うのです。 そこで今回のこの通達につきまして私は一言申し上げたいが、以上のような見解からしまして、やはりこれは再検討を要する。この通達そのものに再検討を要するということを申し上げたい。まず第一番の——私は今見ただけで申し上げるのですが、まずこの問題は根本的に誤まっている。それは修学旅行を一つの物見遊山に考えているという見解から生まれる必然的なものだと思うのですが、記の第三から申し上げますが、3の中の「平素のしつけをくずす例が見受けられる。」これは非常に非教育的なんです。というのは、学校におけるしつけというものは、きわめてこれは形式的なものであって、そのしつけを生かすのが修学旅行なんです。これはもちろん汽車の中でも、船の中でも、あるいは道路におきましても、確かにこういう見解は私たちも持たないわけではないのですが、こういうことを文部当局が言っているということは、これは非常に文部省の修学旅行に対する教育的な見解がないことなんです。教室の中で行うしつけというものを、汽車の中で、船の中で、道路でもっていかにこれを実際に訓練するかというのが修学旅行です。公衆道徳も、汽車の中では清潔にしなければいけない、あるいはほかの乗客に迷惑をかけてはいけないということは教室の中でもって一生懸命やっておりますが、それを実際に訓練するところなんです。この見解はもう全然間違っています。さらに先日のような船の中でもって危急の場合に対してはどういうふうな処置をするかということは、やはり日常話をしているでしょう。しかしほんとうに船が転覆する場合というものは、船に乗らなければならないわけです。従ってそういう場合にどういうように措置をするか、だから船に乗った場合には、その船の責任者がまず子供たちに、危険な場合にはこの救命具をどういうように着けるのだ、そうしてどういうふうな場合にどういうふうにするかという具体的な避難訓練をするというようなことが、これが修学旅行の目的なんです。それを国鉄の方もあるいは文部省も物見遊山と考えているから、そういうことを怠っているわけです。それをやるのが修学旅行の重大な目的であると思う。それを単にこういうようなことで、ふだんのしつけがくずれやすいという見解を持つことは、私は大きな責任だと思う。もっとも私の言い方も少し言い過ぎるかもしれませんよ。しかしそういう見解を持ってもらわなければならないわけです。そうしなければ、こういう通牒を出して、何でも先生の責任、先生の責任でやったのでは、修学旅行というものは無意味になることは当然であって、これは物見遊山になるのではないか、それが一つ。これについての見解をお伺いいたしますが、さらに今度は2に参りまして「最近父兄の経済的負担過重や児童生徒の過労等の事例が少くないようである。」これは当然のことのように聞えますけれども、文部省としてこれを言いぱなしでは私はいけないと思うのです。修学旅行はすべきものである、させなければいけないという原則を持っておりながら、なぜこういう問題を、ただ一片の通達でもって阻止しようとするか、修学旅行が必要だと思ったら、父兄に負担をかけないような修学旅行をされる国家の責任というものを私は果さなければいかぬと思うのです。先生たちは最小限度の費用で、しかも最大の成果をあげようという苦心をするからやはり無理があるのですが、たとえばその中に少しでも、生活困窮者に対しては修学旅行の費用は国がみるとかいうような措置まですれば、こんなことは文部省としては言えないわけなんです。児童の過労というようなことも、最小限度の費用でもって最大の成果をあげようというような苦労をするからなんですが、そういう問題についても、政治の面から、修学旅行をもっと楽にするような措置というものが文部当局としてはなされなければならないことなんですが、こういう通牒を出せば、そんなことは全然文部省には責任がないというような形になるわけです。一体修学旅行の子供が宿屋へ泊った場合に、宿料の中から税金を取られなくなったのはいつからですか。つい最近ですよ。それ以前はやはり物見遊山と見ておったから、修学旅行の子供たちが宿屋へ泊れば、やはり同じように遊興飲食税ですか、あれと同じような税金を取られておったのです。そういうようなのが従来の修学旅行観です。これは税金が取られなくなったけれども、しかし宿屋の待遇というものは、税金を引いただけよけいに待遇するかどうか、これは疑問なんです。そういうところまで文部当局が働いてこそ、初めて修学旅行を意義あらしめるのですが、こういう点につきましても、これは非常に受ける印象というものが当然のことのようですが、文部省の無責任というものが考えられるわけなんです。それからさらに、「修学旅行がほとんど同じ時間に、同じ地域に集中するため、宿舎や交通機関に無理を生ずる場合が多いように思われる」これはだれに言うことですか。学校の先生や教育委員会のように、地方の小さな所に閉じこもっておる人たちにこんなことを言いつけたって、これはらちがあかないのです。これはだれに言うことかというと、文部当局に言うことなんです。文部当局がこれを身にしみて感ずれば、運輸省と国鉄とに連絡をとって、そうして全国的な一つの計画を立てて、この地域はこの方に行った方がよろしい、この地域はこの方に行った方がよろしい、この地域ならば混雑するということで、これが初めてわかるわけです。そしてそれを一つの案内として各学校でもって計画を立てるべきだ。これは決して学校に言うことじゃない。文部当局に言うことなんですが、こういうふうなことについてよく慎重に検討していただいて御返答いただきたいのですが、どういう考えをもってこういう軽率なことをやるのですか。
○寺本政府委員 文部省で昨日修学旅行に関するとりあえずの通牒を出しましたが、この通牒で問題を全部片づけるというつもりは毛頭ありません。先ほども申し上げます通り、なお関係の教育委員会や関係の官庁、並びにこういう事業に関係しておられる方々の意見も聞きまして、具体的な詳細な案を作りまして万全を期したい、こう思っております。なおただいま御引用になりました通牒は、昨日出したものでなく、たしか昭和二十八年の七月十日に出した通牒を引用されたのではなかろうかと思いますが、その後も本年の四月四日に詳細な修学旅行に関する通牒を差し出しておりまして、さらに具体的に地方の教育委員会に注意を喚起いたしておりますが、ただいま御指摘になった点がその後どういうふうに変っておるか、細目につきましては初等中等教育局長からお答えいたさせます。
○緒方政府委員 ただいまいろいろ実例を引いての御意見がございましたが、修学旅行を適正にやるために、学校のみならずこれに関係するもの全体が配慮を深くしなければならぬと言われましたことにつきましては、全くその通りだと存じます。そこで今いろいろ具体的にお話がございました第一に、これは前の通牒でありますけれども、しつけの問題であります。これにつきましては、私どもも、しつけと申しますか、児童、生徒の道徳的な心情を高めて行くということは、これは学校教育において平素心がけなければならぬことだと思います。そのために、先ほども辻原委員からお話があったのでございますが、交通機関の利用等に際します安全教育、さらにまた社会道徳の関係につきましては、このたびの社会科改訂等におきましても相当意を用いたつもりでございますし、従来も学校保健の実施要領等におきましても、安全と救急といったような面から指導をしておるわけであります。しかしながらかような修学旅行の問題が最近頻発をいたしております状況にもかんがみまして、さらに学校教育の面におきましてもこれにつきまして検討いたしていきたいと存ずる次第でございます。ただ、ただいまお話のように、平素の教育を徹底することはもとよりでありますし、私どもは修学旅行の機会にさらにこれを深めていくという、その教育の非常ないい機会であると考えておる次第でございます。そこで平素学校におきまして、今お話のような社会道徳等につきまして十分教導をしていかなければならぬということは、お話の通りであると存じます。 それから通牒で、経済負担や、あるいは疲労について言いっぱなしじゃないかというお話、あるいはまたその次に、交通機関の地域的な輻湊の目を調べて、文部省がもう少し統制すべきじゃないかというお話がございましたが、これらにつきましても、私ども従来いろいろ資料を集めまして検討をいたしておるわけでございます。たとえば交通機関の輻湊の状況等につきましても、関係方面とも打ち合せはいたしております。御承知でありましょうが、公益法人で修学旅行協会というものがございまして、私の方もあるいは国鉄も、そういう問題をここにいろいろ検討をさしておるような状況でございます。そこで交通機関の問題につきましても、私どもの通牒は都道府県の教育委員会に対して発してあるわけでございますが、最近におきましてもだいぶんこういう点につきまして都道府県の教育委員会で配慮をいたしまして、県内の学校の旅行の順番をきめまして、なるべく輻湊しない日を選んで順次やるという計画を立てて成績を上げておるところもございます。これはしかし教育委員会が実施したものでございます。従って私どもは、昨年の暮れにも、全国の学校で修学旅行を実施いたしました事例につきまして——これは悪い点ばかりじゃないのでありまして、非常にいい事例もあるのでありますが、その手本になるようないい事例、あるいはまた非常に失敗をした事例等を集めまして、現在集まっておるわけでございますが、これらを一つよく検討いたしまして、将来の対策に備えたいと思うておる次第でございます。要は、通牒は都道府県の教育委員会に出してございますが、計画を立てるのはどうしても各地方の学校であり、それの相談に乗っていく機関は教育委員会であります。都道府県の教育委員会に出しまして、さらに各都道府県内の地教委の方面にこれを指導し、地教委の方面でさらに学校に徹底をしていく、文部省といたしましてはかような行政ルートを通じて指導をしているような状況でございます。もちろん文部省といたしましても、ただいま申しましたようにいろいろな事例にかんがみまして、将来具体的な手引きのようなものを考えていきたいと思っております。
○小林(信)委員 以上のような検討を加えただけでも、今度の不幸な災害のあったことは、文部省にその責任なしと言われないと思うのです。従って文部当局といたしましても、ただ通牒だけでなくて、今申しましたようなことはほんとうの一部の問題ですが、あらゆるところに修学旅行に関してのメスを入れていただいて、万全を期さなければならぬと思うのです。今のような状況では、至るところの学校の様子を伺いましても、父兄の方から修学旅行は中止すべきだというふうな意向が出てきて、おそろしい悪影響を及ぼしつつある感がするのですが、慎重な考慮をしていただきたいと思うのです。そこでさしあたって今現に修学旅行の最盛期なんですが、これに対しましてどういう措置をとられますか。それについてお伺いいたします。
○緒方政府委員 事故の頻発にかんがみまして、昨日とりあえず通牒を出したという意味は、ただいま御指摘のような点を考えたからでありまして、すでに計画をしておられる学校もたくさんあるわけでございます。これは児童生徒の安全あるいは健康という点から特にその計画の内容を再検討してもらいたい。日程、あるいは行き先地、あるいは利用する交通機関等について、児童生徒の安全を守り、健康を保持する土におきまして、果して無理がないかどうか、日程等に非常に盛りだくさんに盛り込んで、先ほどもお話がありましたように、いろいろな交通機関で無理な走り方をするようなことになりますと、それはいけませんので、この際再検討をしてもらうという意味でこの通牒を発したわけであります。その具体的な措置につきましては、先ほどから申し上げますように、その地方地方、学校学校の事情によりまして、教育委員会で再検討をする、そういうような事情でございます。
○小林(信)委員 それは学校の方が無謀な計画、ずさんな計画を立てておる場合に、これは無謀であるからといってやめるのは、これは学校の責任なんですからやむを得ないわけですが、しかしそういうふうなものが今まで許容されておったというような実情から考えてみて、これをただ学校の責任だけでもって一切それを中止せよということも、それがたとい自発的であってもいろいろ支障が起きると思うのです。従ってやはりある程度今の計画を実施されるおそれがあると思うのです。おそれがあるといってはおかしいのですが、計画がなされると思うのです。それに対しまして、先ほど申しましたような点で、文部当局としまして相当考慮を払っていただかなければならぬと思うのです。無謀な計画である場合には、これはやめなさいという指導になるわけですが、だからとって簡単に中止できないのは、先生ばかりの問題でなくて、先徒も非常に失望するわけですから、やはり強行される場合があると思うのですが、これに対して船に乗るようなもの、あるいは輻湊するところに汽車で行くもの、あるいは宿屋に泊るものについて、文部当局はどんな手を打つか。これを私たちは聞いて、そうしてある程度まで計画が実施されるという実情を考えますときに、一般の父兄並びに先生たちを安心させたいと思うので、それを私は聞きたいのです。どうもそういう計画は今のところないようで非常に残念ですが、さしあたっておとといの日曜に私の経験しましたような事実から、学校の先生に交通巡査と同じような権限を与えることは、これは不当である。それからすぐ運輸省との連絡をとって、運輸省の計画とそれから文部省のこの通達を出した考えとを披露して、すぐにこの区域はそういう危険が多いというものを具体的に取り上げて、これに実際の通達をする必要があると思うのですが、そういうふうなことはできないのか。あるいは私は以前からそういうことを考えておったのですが、事前に先生が実地の調査をすることが必要だと思う。それはどういうふうなものが見学の価値があるかということでなく、交通事情というものを調査するために、そういう先生たちに前もって現地視察をさせるということは必要だと思うのですが、残念ながら先生の旅費は非常に少い。従ってやりたいけれどもそういうことができない。こういうことを今のところ文部当局もあらゆる交通機関も無計画で先生にまかしておるのですから、そういう先生たちに実地調査をあらかじめさせ、そのための費用は何らかの措置でもってこれを考慮してほしいというふうなことをすることができないものかどうか、そうしてまた計画されたものがなるべくあやまちのないように実施されることを、私は父兄等の気持から実現したいわけなんです。それからもう一つ委員長に私はお願いするのですけれども、こういう問題が国会に取り上げられておるときに、国会の実情というものもこれにまた関連を持つわけですが、委員長から議長に進言して、まずこの国会が修学旅行は物見遊山でない、りっぱな勉強であるという見地から——こういうふうに委員会を開いておるときには衛視の方たちは非常に手薄になられる。三日か四日前に、私はよくこの問題は検討しておるのですが、一万人を越えたのです。最近においては記録的なものなんです。こういうような実情で非常に多いのですが、これに対して今までの手薄の状態でもってやっておりますと、ここに何百人という生徒が二時間、三時間待たされるのです。それは少し大げさかもしれませんが、自動車なんかも待機する時間を少くするために、そういう時期には特別な案内人を頼んででも何でも、もっとスムーズにこの国会内の見学をさせるように、委員長としても取り計らっていただけるかどうか、これもあわせて御質問申し上げます。
○佐藤委員長 委員長から申し上げます。ただいまの小林さんの発言は非常に重要でありますので、議長に申し入れますから、よろしく御了承願います。
○緒方政府委員 第一点は引率教師の臨機の措置と申しますか、こういうことであろうと思いますが、これにつきましては、私ども今御指摘のようなことを具体的には示してはおりませんけれども、今度出しました通牒でもごらんのように、船車中における生徒児童の安全の保持あるいは異常の場合の措置につきましては、あらかじめ十分心の用意をし、児童生徒に対しましても事前にそれをするようにということをうたってあるのでございます。かような精神から申しましても、先生たちがその児童生徒を守るために臨機の措置をとられることは私は当然であろうと考えますし、多くの先生はさような措置をとっておられるのじゃないか、かように考えております。ただ権限を持たせるということは、これはむずかしい問題だと存じます。 それから運輸省当局に対しまする連絡につきましては、これはさっき出しました通牒につきましては連絡をいたしたいと考えております。ただ御指摘のようにこちらの方面は旅行に適当でないということはなかなかむずかしいと思います。 それから事前調査でございますが、これは私ここにパーセンテージは持っておりませんけれども、だいぶ実施しておる学校も多いようであります。ただ今お話のように旅費等の問題がありますので、十分には行なっておらぬかもしれませんけれども、できるならば事前調査をすることが望ましいと考えまして、私どもそのことは今申しておるわけでございます。多分事実上しておるところも多いように存じております。
○小林(信)委員 委員長から通達がありましたからやめますが、せっかく運輸政務次官がおいでになっておりますので、運輸政務次官に一言御質問させていただきます。 運輸政務次官に前から来ていただいておれば、私のいろいろ申し上げることがわかっていただけたと思う。それを聞いていただかないと質問しにくいところがあるのですが、ちょっと簡単に申し上げますと、修学旅行を社会全般が勉強だという考えは一応はしておりますけれども、最近の情勢からは、物見遊山的に考えておる。文部省当局なんかでも多少そういうきらいがあるだろうと思う。今それを言っておったのですが、運輸省当局といたしまして、物見遊山的なものではなくて、勉強であるという考えで協力はしていただいておるのですが、たとえば汽車へ子供たちがどっと乗りますと、ほかのものはめちゃめちゃにされて、弁当の皮とか何とかは車中に捨てる。これは公衆道徳としていけないわけなんですが、しかし学校ではそういうことはしていけない、そういうことをすべきでないということを訓練しておって、そうして初めて汽車に乗るわけです。それで汽車の中で初めて経験するわけですから、それを単によごしたから不届きだというのではなくて、それが勉強の場所という考えを持っていただかないと、先日の紫雲丸におきましても、子供たちが乗った場合には、避難訓練はどういうふうにすべきかということは、たとい安全な航路であっても、その機会に訓練させることが必要だと思うのです。そういうことを文部当局が運輸省と折衝を常にしてほしいということを私はお願いしたわけですが、そういう連絡を運輸当局と文部当局はしておるかどうか。それから運輸省としましては、そういうところに従来から考慮を払っておったかどうか。さらに文部省としましては、今回通達を出して修学旅行に対して一つの指導、助言もしておるわけですが、その中に学校の先生あるいは教育委員会が、あそこは非常に混雑するから、ほかのところに目的を置いた方がいいとか、今は非常に混雑する時期であるから、混雑しない時期を選んで計画すべきだとかいうような指示があると思うのですが、これは先生や教育委員会がすることは非常に困難なんです。もちろん考慮すべきなんですが、困難なので、そういうものは運輸省並びに文部当局が過去の記録等を取り上げて、またその時期の実情を考慮して、この時期はここは困る、混雑する、この方面は非常にいいという計画を文部当局と案を立てて、そういうものを一応案内として各学校、教育委員会等に指示することが、やはり万全を期するものだと思うのですが、そういうことについて文部当局と打ち合せるような機会があったかどうか。今後そういうことをする考えがあるかどうか、こういうことを、いい機会ですから、ついでにお伺いしておきます。
○河野(金)政府委員 今突然質問を受けまして、事務当局から聞いておりませんけれども、私はざっくばらんに申し上げまして、役所の欠点というところは、縦の連絡は割合あるけれども、横の連絡が少いということだと思う。従っておそらくあなたの今おっしゃるような、念の入った横の連絡は今までなかったことであろうと存じます。しかしこういう不祥事件がたび重なるのでありまして、今後はもう少し文部当局、運輸当局、その横の連絡というものをもっと積極的に具体的にやって、先ほどお話のあったような、たとえば船に乗ったときの避難の訓練、船員の訓練等も足りなかったくらいでありますから、ましてや乗客に対する訓練も足りなかったと思います。これは運輸当局においてもやらなければなりませんし、文部当局もちろんであります。同時に子供を引率しておられる先生方にも、いかに民主教育とは言いながら、まるで旅行に出ると昔と違って全然列を乱して、先生と友だちになってしまったように命令も聞かないような傾向もあります。これはどの一つだけを責めてもいけないことだと思います。こういうたび重なる不祥事件に顧みて、たとい旅は楽しいものであり、教室の中とか郷土とかいうものを離れて、野放しになって勝手にふるまいたいではあろうけれども、そこを教育者も文部当局も運輸当局も横の連絡をして、こういう事故を今後なからしむるようにしなければならぬ。今まで手落ちのあったことはまだ事務当局に聞いておりませんけれども、おそらく事務当局はいろいろ御弁明をお互いになさるかもしれませんが、私は政治家の一人として考えて、横の連絡のなかったことを率直に認めざるを得ません。今後はそういうことのないように、一つ横との連絡、また学校との連絡もしていきたいと考えております。
○小林(信)委員 運輸次官が非常に率直でまことに私は安心したわけですが、やはりそういうところを文部当局は今まで怠っておったし、私が質問いたしましても、そういう点には欠点がないような御答弁があった。やはり私は運輸次官に言ったような、これはいろいろな事故を起すことになり、修学旅行を意義あらしめなかった大きな原因であると思う。これは単に運輸省だけの連絡だけでなく、警察あるいは旅行協会、あるいはこれらに関係する業者、そういうふうなものに対して十分な連絡をとって、愉快な意義ある修学旅行をさせる、また安心をして父兄も出すことができる態勢をとらなければならぬのでございますが、やはりその中心は文部省だと思うのです。とかく今度の問題等当事者であります運輸省に一切の責任が帰せられる、あるいはこれが計画を立てた先生たちに責任が負わされがちでありますが、先生も十分今次官がおっしゃったような点は注意をしなければならぬと思いますが、やはりイニシアチブをとる中核となるのは文部省であります。文部省当局も今回のたくさんの事故等に対して重大な責任を考えて、万全を期していかなければならぬと思うわけでございます。運輸政務次官が来て初めて一切の問題が明白になったわけですが、文部当局もみずからの責任を自覚して万全を期していただきたいと思う。 ただ今運輸政務次官もおっしゃった先生の問題、これは私も認めます。やはりそれも大きな欠点になるもので、全然山の中に住んでいる先生が六年生を持った、あるいは中学の三年生の担任になる、すぐそこで修学旅行の計画をする、全然東京の事情も知らない、江ノ島、鎌倉の事情も知らない、交通の事情を知らない先生が計画をするのに問題があるので、そういう先生たちに対して、運輸省の船員の訓練と同じように、やはり訓練をするということに対して今まで無責任であったわけです。それには今私が申し上げましたように、旅費でもたくさん出して先生たちに実情調査の機会を与えることも事前においてなされぬことが大きな原因で、そういう点から考えて先生たちの万全を期するようにしなければならないと思うのであります。 以上で私の質問を終りますが、委員長におきまして私のお願いに万全の措置を講じていただくことも感謝をする次第でありますが、この国会において参観する場合に、国会議員の紹介がなければ参観させないというふうな建前らしいですが、学校生徒の参観の場合には、これはそうむずかしいことを言わないで、もっと便宜をはかってこの中を参観させるようになさるようお願いをいたします。
○佐藤委員長 委員長を通じまして申し伝えます。
○寺本政府委員 文部当局に対していろいろ御鞭撻をいただきまして感謝いたします。ただいま運輸次官からお話がありましたように、従来文部省として全国の修学旅行計画について運輸当局に連絡していないということは事実であります。それは修学旅行計画はもっぱら教育委員会並びに学校当局において自主的に計画をつくられて実施されるというような点に重点を置いてあるからであります。どうしても全国の修学旅行計画を、教科書の発行を文部省が統制をしておるようなかっこうでとりまとめ、調整をして、その上で運輸省に連絡するということになると、これは文部省の修学旅行計画に対する相当の統制権を伴わなければやり得ないことであろうと思います。自主的に修学旅行計画を学校と教育委員会が作られて、その責任で実施されるということには、やはりとうとい一面があるんじゃなかろうかと思います。しかし今度のような大きな事故が次々に出て参りまして、とうとい犠牲者を出しておる機会でもありますので、やはり御意見の通り、この機会にこの問題は積極的に再検討してみるべき問題だと思いますので、私ども御意見の趣旨を尊重いたしまして、一歩進めた研究をやっていきたいと考えております。これだけ申し上げておきます。
○佐藤委員長 山崎始男君。
○山崎(始)委員 文部大臣がおられませんので、まず最初文部当局の方にお聞きしますが、大体私がお尋ねする趣旨は、さっき小林委員が実は私の気持をそのまま質問されておるのであります。でありますから、要点だけ少しばかりお聞きいたしますが、昨日出されました文部当局の次官通達、これは私たちの目から見ると、何ら意味がない、ほとんど無意味だと申し上げても私は過言ではないと思う。一々読んでみますと、このくらいなことはもう現地の委員会はもとより、学校当局あるいはPTAはおそらく文部省が心配されている以上に、あの事件が起きた直後からむしろ神経過敏になり過ぎておるくらい実は心配しておるのであります。そこへ持ってきてこういう内容のない無意味なものを出され、むしろ私らの目から見ると、先ほど小林委員が申しましたように、文部省とすれば一体修学旅行というものは学習そのものなのか、それとも物見遊山なのか、先ほどの文部大臣の御答弁の中にもありましたが、何らか気持の中に物見遊山というにおいが非常に強く出ておる。この点は非常に私は重大な問題じゃないかと思っております。そこで緒方局長にお尋ねしますが、昨日の次官通達を出されましたあとで、局長談として、本日の毎日新聞に載っておりますが、最後の方に「この通達により各地方とも計画を再検討することになるので、実際には当分の間交通機関を利用する修学旅行はストップすることになろう。」こういうふうなことを言われておるのでありますが、これは間違いございませんか。
○緒方政府委員 お尋ねの点だけにお答えいたします。最後の点でございますが、そういうことを言った記憶は私ございません。この趣旨は先ほど政務次官からもお答えがありましたし、私も申し上げましたように、現在計画しておる修学旅行計画について、出発する前にこういう事故の頻発にかんがみまして、もう一ぺん一つよく内容に無理がないかを検討してもらいたい、こういう趣旨であります。
○山崎(始)委員 そうすると、この新聞に出ておる最後の方の文句は、これはあなたとすれば、言った覚えがない、こうおっしゃる。当分の間交通機関を利用する修学旅行はストップすることになろう——なるであろうかなろうか、そういう御意見を吐かれたことはありませんか。
○緒方政府委員 記憶ございません。
○山崎(始)委員 この次官通達を出された結果、あなたは御記憶がないとおっしゃるんですが、世間に非常に大きな反響をまいておる。これは新聞記者の聞き違いかどうか知りませんが、問題は私は非常に大切だと思うのです。それならば、別な角度からお尋ねいたしますが、従来文部省は修学旅行を完全な学習の延長というふうに見ておられたかどうか、その点をます。
○緒方政府委員 これはお手元に差し上げたと思いますが、繰り返し出しました通達をごらんになりましても、その意味は明らかにそこに示してあるわけであります。ややもすれば修学旅行が学校教育の延長、学校教育の一環として行わるべき点を逸脱することのないようにということを繰り返し戒めておるわけであります。それからお考えになりましても、私どもの考え方はおわかりだと思います。
○山崎(始)委員 そうすると、学習の延長であるということに変りはない、このように解釈していいわけですね。
○緒方政府委員 それは終始変りございません。
○山崎(始)委員 そういたしますと、学習の延長ならば、もとより修学旅行なるものにブレーキをかける意思もなければ、今後もどしどし修学旅行をやってもらわなければならないという考え方になるのであります。ところが悲しいかな、現実はあの衝突事件をきっかけとして非常に混乱を起しておる。実を言いますと、私も現地調査に参ったのでありますが、ちょうどあの事件がありました翌日、われわれの地元の一県からだけでも、九州旅行をやっておりました出先へ三つの学校から、緊急PTA会を開いて、海路を変更して陸路にせよという電報を打っておる。私たちはこういうことを考えると、実におかしい、あまりにもあわて過ぎる、あまりにも神経質になり過ぎておる、このように考えるのでありますが、現実はそうでない、そういうふうに混乱を起しておるのであります。そこへ持ってきて文部省がきょうらのような一片の、中身のない、内容のない通達を出され、それが幸か不幸かこれを読む者をして、一時文部省は乗りものによる修学旅行は禁止する意図じゃないかという誤解を与えるような通達の内容である。この点は先ほど小林委員が言うておりますから、これ以上私も申しませんが、そういうふうに解釈できるんです。さなきだに神経質になっておるところへ持ってきて、この通達によってますます現実に混乱が起きておるだろうと私は思うのでありますが、文部省はあらためて修学旅行は学習の一環であるということを明示する必要がありはしないか、あるいはいかなる方法でもけっこうでありますが、もう少し含みの違う必要なもんだということを強く打ち出すような通達を出される必要がありはしないかと思うのですが、この点に対してどうお考えでありますか。
○緒方政府委員 文部省があの通達を出しました気持は、先ほど来繰り返して申し上げた通りでございまして、頻発をいたしておる——これはいろいろ原因は違いますけれども、紫雲丸の事件のあとでまた岩手県でバスの転落事件がございますが、文部省といたしましてもこれはこの際に心配をいたしまして、さらに計画の内容に無理がないようにということを御注意を申し上げるのはこれは当然だろうと考えます。それからPTA等が電報を打って計画の変更をするというようなことも、これは親の子を思う心情といたしまして無理もないことだろと私は考えます。文部省が修学旅行に対して持っております見解は、これは先ほども申しております通りで終始変っておりません。昨日出しました通牒の前に出しておる通牒をごらんになりましても、これは四月四日にシーズンの始まる最初に出しておりますが、そのことは明らかに書いておるわけでございまして、このことは私は教育関係者何人もおそらく疑問はないんじゃないかと考えます。その考え方のもとに従来からずっと行なってきておるのでありまするし、ただそのやり方について、計画につきまして、特にこのたびの問題は児童、生徒の安全の問題につきまして注意を喚起しているわけでありまして、根本的な考え方につきましてこれは当然わかっておることと存じます。そういう疑いはないと存じますので御了承いただきたいと思います。
○山崎(始)委員 学習の延長であるということははっきりお認めになったわけでありまして、その点はけっこうでありますが、この修学旅行に対する基準を最近おつくりになるとかいう話があるのでありますが、それは事実ですか、どうですか。
○緒方政府委員 現状につきましては前回の委員会で申し上げましたが、文部省はお示しいたしましたような通牒によりまして、いろいろ計画を立てる上なり、あるいは引率教師の注意事項なりその他につきまして、相当詳細にわたって示しておりまするが、これは考え方を示しておるのでありまして、その計画の内容一々につきまして、たとえば何日くらいがよかろうとか、どういう地方がよかろうとかいった基準というものはきめておりません。それは当然先ほど政務次官からお話がありましたように、現在の教育行政の建前からいたしまして、学校自体なりあるいは教育委員会がこれを立つべきものだと考えております。従いまして従来はさような態度をとりまして教育委員会が基準を一応立てております。問題は先ほど来御意見もいろいろありました通り、かような問題が頻発いたします現状にかんがみまして、文部省としてあるいは何らかきめられる基準があるならば一つ検討してみたい、かような気持は持っておる次第であります。ただこれはやはり現行の制度のもとにおきまして、教育委員会に対する指導助言という形で出すことになる、かりに立てましてもかようになると思います。
○山崎(始)委員 前会ちょうど私も調査に行って、いなかった関係で、その点は論議されたようでありますからお尋ねいたしません。この修学旅行を学習の一環として認めておるのでありましたら、このような一片の通達を出して、ちょうど今議会だから念には念を入れて責任を問われないように出しておかなければならないというぐらいなにおいしかこれを見ると出ていない。この点は先ほども小林委員が突いておりますから、私はくどくどしく申したくはありませんが、ちょうど運輸次官もいらっしゃるのでありますから、学習の一環として文部省が見ておるのならば、いま少し修学旅行をやる児童、生徒の幸福のために、こういう通達を出すこともけっこうでありましょうが、それ以外にすべきことがたくさんある。この点小林委員も突いておりますが、私も一つの例を申し上げますと、ちょうど十二日に宇野の桟橋へ私は参った。十二日の八時五分。ところが徳島県の上分中学校の生徒が、これから京都から奈良、二見の方へ行くということです。あなた方これから何時の汽車に乗るのかと聞いたところが、驚くなかれ宇野の駅で四時間待つと言う。私はその言葉を聞いて考えさせられたのです。一体文部省は小学校が一泊二日であるとかあるいは中学校が二泊三日である云々というような、これからおそらく基準をお立てになるだろうと思うのですが、そういうときに学校の教師とすれば、事前のスケジュールにおいて出先の鉄道の方へも、あらゆる宿屋の方へも、いろいろ連絡をとってきめられたスケジュールだとは思いますが、とにかく現実には四時間あの宇野の駅で待つという、しかも晩は八時五分に連絡船が着いている。この限られた日程の中で一体四時間待つという、こういう現実、この点はたまたま私が調査したときに起った一つの事例にすぎない。あるいはまたちょうど私の女の子供が中学校三年生で、やはり京都、奈良に行って帰ってきた。一体宿はどうかと聞いたところが、一人のふとんでもって二人寝るのだ、しかも三畳の部屋に四人入ったという。私はただそれだけ聞いただけでありますが、おそらく三畳の部屋なんて普通の旅館にありっこはない。おそらくこれは女中部屋か何かに違いないと私は見ておるのですが、大きな中学校の生徒が二人で一枚のふとん、こういう面は私はこういう次官通達で一片の無意味なものをお出しになるよりか、先ほどたびたびお話が出たから私はくどくは言いませんが、それもおそらく鉄道の指定旅館です。あの国鉄の指定旅館なんです。先ほど政務次官がおっしゃったように、悲しいかな官僚組織というものは縦の連絡はあっても横の連絡はない。これは私はまことに名言だと思う。ほんとうに児童、生徒の幸福を思い、修学旅行が教育の一環であるということがほんとうに認識されておるのなら、こういうような次官通達の無意味なものを出して、これはむしろ世間の誤解を招いておる。あなたは首をひねられますけれども、今日の毎日新聞を読まれてどう思っておりますか。おそらく影に脅えておるのに違いない。こういう事件があった直後でありますから、脅えるのも無理はございません。しかし考えてみたら、子供が正月もちを食うて、のどにかけて死ぬこともあるのです。こういう問題があったからこそ非常に影に脅えておるのです。それがゆえに修学旅行は物見遊山であるとかいうにおいをいたずらにさせるような表現をしてみたりされたのではいけない。それよりかもっと現実に、修学旅行がほんとうに教育の延長である、現場の教室にいるのと何ら変りはないのだという考え方なら、その修学旅行をできるだけ幸福に安全にするように、政府においてはあらゆる角度からいま少し横との連絡をとってやっていただかなければいけない。私はかように思うのでありますが、その点について河野政務次官のお気持をもう一度お話し願いたい。
○河野(金)政府委員 まず最初に山崎さん誤解をしていらっしゃるといけないと思いますので、はっきりしておきたいのでありますが、鉄道の指定旅館は、そこに子供を泊めるとか、そういうことではありません。それは国鉄の職員なんかが地方に行ったときに、べらぼうな金を取られないように、国鉄の人が行ったときに、一定の値段で泊れるように、こちらの方をやっておるだけでありまして、国鉄が指定した者に商売をやらせておる、そういうことではありませんので、国鉄がもうけておりながら、豚箱のようなところに押し込んでいるというふうなぐあいにお考えをなさらないように、一つお願いがしたいと思います。同時にそれは私たちの方といたしましても、余裕があるならば一々連絡をとってやることがいいかもわかりませんが、国鉄としても、それぞれ汽車を動かすなり、バスを動かすなり、船を動かすことで手一ぱいでありまして、旅行案内まで実はこちらの方でやるわけにはいきません。しかしわれわれとして希望したいことは、旅行シーズンと申しますか、四月、五月というような月に、どうしても修学旅行なんかがかたまってくる。しかも、たとえば関東でありますと、日光とか、あるいは関西でありますと京都とか奈良というところに集中されてくるのであります。そうすると、自然旅館にしてみれば、紹介のあったやつはなるべく引き受けて、狭いところへでもほうり込んでもうけたいという、その心理はあろうと思います。従ってこれは運輸省だけに言っていただいても、そこまではうまくいかないのでありまして、これは文部当局なり、あるいは学校当局——特に学校当局も御注意願いたいのは、商売でやっておる旅行案内所は、うまいことを言って学校の先生なんかに一ぱい飲ましたり何かして旅行を取ってしまうことがある。そうしてでも、とにかく連れ出してしまえばあとはどうでもいいといって、その子供たちに非常な不便を与える。また旅館等も先生だけにおいしいものを与えて、子供たちにひどいものを食わしているという傾向もたくさんにあるのでありますから、これはやはり学校当局、PTAなんかもよく協力をしていただいて、旅館なりあるいは乗りものなりとも事前に連絡をとるなり何かしていただくことまでしなければいかぬと思います。これはあまり利用はされておらないようですが、国鉄と運輸省と文部省の修学旅行協会等もありますけれども、こういうものはあまり利用していただく方は少いのでありまして大ていは表向き先生方やPTAの方にサービスのいい旅行案内所を利用される結果も、一つの混乱を来しておるのであります。だから、計画をなさる場合に、なるべく旅行シーズンをはずすというようなことも一つの方法でなかろうか。一つの旅館へ何百人も来るのに、旅館側も一人でもよけい来ればもうかるのですから、断わりません。そして狭いところにみんな無理に押し込む。そしてみそ汁でもお湯で割ったりなんかして飲ませる。こういうことが実際にありますし、私たちも子供たちから聞くことでありますから、旅行というものが学校の教育の一つの延長であるというならば、やはり先生方もそれに真剣に御協力をいただいて、子供たちから、先生だけうまいことをしてござるというような批判を、旅行を通じて受けるようなことのないようにしていただくことも一つの方法であり、それからいろいろな役所とも連絡をとっていただけますならば、これはできるだけのことはいたします。そういう点で役所側においても横の連絡が欠けておったことももちろんありますし、また実際旅行なさる場合のそちら側の方においてもあったと思います。だから、先ほども申しましたと同じように、こういう不祥な事件が起きたのを機会に、一つみんなで反省をして、あなたのおっしゃる目的のように、学童が愉快な旅行ができるように今後していくように、お互いに協力し、連絡し合いたいものと思います。
○山崎(始)委員 私が指定旅館云々ということを出したのは、指定旅館がもうけているとか、もうけていないとかいうことを言っているのではない。指定旅館というのは、これは国鉄職員だけお泊めになるのじゃないだろうと私は思う。やはり指定旅館を指定なさるときには、管理局か何かがサービス、その他設備の点を考えて、看板を上げさせておるのじゃないかと思うのです。そうなんでしょう。
○河野(金)政府委員 国鉄の職員が地方へ行ったときに、宿屋でぼられたり、不愉快な気持をしないように、いわゆる国鉄の職員が安心して泊れるように連絡してある。それで旅館にしてみれば、国鉄の指定を受けると少し格が上り、世間体がいいというようなことで、りっぱな看板は作っておるかもしれませんが、決してそういうふうのものではありません。こちらの職員が行ったときの便宜のためにやっておるだけのものであります。
○山崎(始)委員 私が申し上げたのは、小林委員が大体同趣旨のことを言っておりますから、言葉を省略しておりますが、私が申し上げたいのは、横の連絡をおとりになる上から、国鉄の関係にも——修学旅行の旅館は大がい指定旅館に泊っているのですから、いろいろ日常の関係もあるだろうし、そういうところからも代表が出てもらって、運輸省からも文部省からもその他の人が出て、旅行に対して——先ほど申し上げました四時間も待つようなことは、鉄道の時間の関係その他でむずかしい問題とは思いますが、何とかそこに打開の道はないか。また旅館にしても何とかサービスよく気持よく泊めて、疲れさせぬように寝させる方法はないかというようなことで、具体的な横の機関を作ってもらえば、私はそういうものは相当改善できると思ったから申し上げたわけでございまして、指定旅館が鉄道のあれでもうけるとかもうけないとか、そんな考えは全然私自身も持っておりません。御関係があるだろうから、そういう機関があれば、そういう問題も解決できるんじゃないか、かように私は申し上げているわけであります。あらためてお尋ねいたしますが、この機会に一つ運輸省なり、文部省が中心になられて——主として文部省になりましょうが、そういう横の連絡に対して今後緊密にやっていただきたいと思いますが、この点は先ほどの御答弁で大体了承いたします。再度私からもこの点を強く御要望申し上げておきたい。
○山内政府委員 事務当局としてちょっと御説明を申し上げたいと思います。現在修学旅行の年間の総数は、約三千万人くらいであります。これが大体年間を百といたしまして、五月に二〇%、十月に二〇%というような非常に旅行シーズンに片寄った動き方をしておりまして、国鉄当局といたしましては、なるべくただいま御指摘のように何時間も小さいお子さんに待たせることのないようなダイヤで努力をいたしているわけでございます。しかし各列車ごとに輸送余力というものが、あるいは一車、あるいは二車というように定時に入っております車両に連結をいたします場合には非常に限られております。また同方向に行く何千人というような団体でありますと、臨時列車を出すことがあります。あるいは各方面の学生の方々が集まりまして、一重を構成するだけの単位になりますと、これまた臨時列車を出して運送もいたすわけでございます。これにも制約がありまして、予備の車両の問題があるわけでありますが、しかし先ほど政務次官が申し上げましたように、関西でございますと、集中して参ります地点がきまっておりますので、線路容量の面から制約があるわけでございます。特に小さいお子さん方の旅行につきましては、できるだけ円滑にするような心がけでやっていることはもちろんでございます。しかしさかのぼって考えますと、それは計画自体からそういうふうにいたしませんと、なかなかそういう実績を得られないということもまたただいま御指摘の通りでございまして、この点に対しまして、今まで私どもと文部省との連絡が完全であったということは、先ほど政務次官も申されましたように言えないわけでございまして、この点はおわびを申し上げねばなりませんが、一応われわれが今までやっておりましたのは、修学旅行協会というものを文部省と運輸省で作っておりまして、ここに各団体からの資金ももらいまして、これは純然たる公益団体でございますが、修学旅行は先ほどからのお話のありました学習の延長である。それからまた貴重な学生時代の旅行を最も有意義にしようという場合の指導と申し上げてははなはだおこがましいのでありますが、各方面に行ったらこういうところをごらんなさい、あるいは修学旅行ではこういう訓練が必要であるというパンフレットを作りましたり、冊子を作りましたりいたしまして、各学校に連絡をいたしておる協会でございまして、純然たる公益法人でございまして、これは営利の活動は一つもしておりません。団体を募集するとかいうことはしておりませんで、学校当局から修学旅行の相談相手といいますか、こういうものを作っておりまして、できるだけ修学旅行を意義あらしめたいということで、文部御当局と協力して作っておるわけでございます。ただ二、三年前にできまして、ただいま御指摘のありましたようにまだ十分なる活動をいたしておりませんので、官がこういうものを高圧的にこうしろというよりは、われわれといたしましてはこういう協会がもっと自由に活動できるように、さらに文部当局とも御相談いたしまして、あるいは各地方にもこれにならったような組織を考え、文部当局はもちろん運輸当局も入りますし、そのほか関係の方々によってこういうものを構成いたしまして、地方においてもそういうことを研究いたしまして、こういう面から文部当局、運輸当局も行政官庁としての連絡を十分やりまして、御期待に沿うように努力いたしたい、かように考えております。
○山崎(始)委員 とにかく一つよろしくお願いを申し上げたい。この点に対して私はくどく申し上げませんが、このたび遭難しました愛媛県の庄内小学校のごときは屋島までやってきて、玉野へ上る目的はなかった、船へ乗ることが社会科の勉強だといってあの連絡船に乗っているんですから、いわばあの紫雲丸を教室にしているんです。この点はどうぞ文部当局も運輸当局も十分御認識願いたい。この点に対しては学校自体とすれば、いろいろPTAその他で別の角度から批判も、論点もあるだろうと思いますけれども、私はこの気持だけは十分お考え願いたいと思うんです。学校の先生はあの紫雲丸を教室と考えて——山の中の生徒ですから、船に乗ったことのない生徒が大部分なんです。こういう点をお考え下されば、おのずと今後の対策が発展されるだろうと思います。 なお最後に一つお尋ね申し上げたいことは、このたびの衝突事件は前の洞爺丸の事件とあらゆる角度において趣きが違いまするが、特に義務教育の児童、生徒が非常にたくさん乗っておったということ、同時にその三分の一以上が死んだりあるいは行方不明になっているというこの事態は非常な特異性があると私は見ているんです。これに対して文部当局は各関係当局の方へ、この溺死者あるいは遭難者に対して一般の弔慰金なりあるいは補償金以外に、別の角度から考えてくれという要求なり希望をやられたことがありますかどうですか。
○緒方政府委員 その弔慰金や賠償でございますが、これにつきまして私どもはまだ運輸、国鉄当局の御方針等を明確に存じておらぬわけでありまして、私の方からお願いしたことはまだございません。
○山崎(始)委員 運輸次官はどういうふうにお考えになりますか、私は今回の衝突事件がさきの洞爺丸と違う、従って弔慰金なり補償金においても、少くとも義務教育という以上は、それが教室の一環として学習の途上において起っておる事件なんですが、普通一般のそろばんからはじいてお出しになるのよりは、別の角度から私はお考えになってしかるべきだと思うのでありますが、この点に対してはどういうふうにお考えになりますか。
○河野(金)政府委員 気持としては私も同じでありまするが、これは他に影響するところもいろいろありまするし、今政務次官の私がここではっきりしたお答えをすることはむしろ僣越しごくだ、しかしあなたの質問の趣旨は了承いたしまして相談をいたしまするが、どうするという答弁は差し控えさしていただきたい。
○山崎(始)委員 それはどうするということはあなたには御無理であることはごもっともです。しかしあなた自身も義務教育の一つの延長である、気持においてはよくわかると言われる以上は、何とか努力をするというお気持になっていただけないでしょうか、どうですか。
○河野(金)政府委員 それはおっしゃるまでもないことでありまして、最大の努力をしてこのいたいけななくなった人、あるいはその家族に報いたいという気持においてはあなたと少しも違っておりませんから、努力をいたします。
○山崎(始)委員 これは文部大臣にお聞きするのですが、おらないものですからいけませんが、一つ文部省の方も義務教育の生徒だけは、先ほど私が申し上げましたような趣旨で、特別の補償をしてもらうように強く関係当局へ折衝していただきたい、かように思うのでありますが、どうでございますか。
○寺本政府委員 補償について遺憾のないように努力したいと思います。
○山崎(始)委員 どうも答弁が少し事務的なんで非常に残念なんですが、一つやってみようというお気持を出していただきたいのですが、大臣おられませんので私もこれ以上突っ込むわけにいきませんが、一つお考えになっていただきたい、どうですか、政務次官もう一ぺん……。これは大切な教育の延長だと言われているのです、しかも義務教育なんです。
○寺本政府委員 先日からこの問題についてもたびたび実は申し上げておるつもりだったものですから、非常に簡単にお答えを申し上げまして、その点御了承いただきたいと存じます。私どもは学校の先生の指導のもとに、その膝下にあっては旅行しておった者が、本人に何らの過失なくしてこういう犠牲を受けたのでありまするから、これについては十分父兄並びに関係者の納得の行く補償が行われますように、最善の努力をしたいと思います。
○山崎(始)委員 最後にもう一点だけ……。私おととし法制局の方へ児童災害補償法のことで研究しに参ったことがあるのでありますが、今度のような衝突事件が起きまして、非常に私の痛感いたしますことは、児童災害補償法というものを全額国庫が負担をしてもらえばけっこうでありますが、財政の緊迫の折柄でありますから、あるいは生徒児童が月々に何がしか出すなら出すにいたしましても、私はこれを契機に児童災害補償法というものをぜひ作っていただきたいと思うのでありますが、もし文部当局の方でお作りになる御意思がないならば、実は私おととし法制局へ行って相談したときには、非常に今日こういう災害ばかりじゃございません、家を出て登校して自宅まで帰って来るその途中において、あるいは教室において、あるいは運動場において、あるいは修学旅行の今回のようなときにおいて起ってくる事故に対して、何ら措置がされていない。この点は私は非常に考えなければならぬ問題じゃないかと思うのでありますが、今度の事件を契機として、文部当局はそういうふうなお考えをお持ちになるお気持はありますか、ありませんですか。
○寺本政府委員 学童の災害について国家補償の方法を考えたらどうかというようなことを先日からお尋ねを受けているわけでございます。この問題は災害補償の法律を設ける、そのために災害が防止されるという予防的な効果をねらうということが一つであろうと思います。また一つには、災害の犠牲になった学童の療養、治療に遺憾のないように手を尽してやるということが一つであるし、一つには災害をこうむった場合の父兄の経済的損失を補償するというようなことがねらいであろうと思います。この問題は他の社会保障制度との関連もありますし、また旅行以外、学校の施設なり教育過程自体で起った他の災害との関連もあるだろうと思います。広汎な方面に関連を持ってくる問題でありますので、こういう機会に積極的に研究を進めていきたいとは思いますけれども、今直ちにここで災害補償法の制定に着手したいと思いますと申し上げますところまでは至っておりませんので、御了承いただきたいと思います。
○佐藤委員 長野原君。
○野原(覺)委員 修学旅行の問題についてでありますが、私この前の委員会で文部当局に都道府県教育委員会の修学旅行についての基準についての要求を出しました。直ちにその要求がいれられて、小学校と中学校だけが出されておるのでございますが、高等学校はいかようになりましたか、お尋ねいたします。
○緒方政府委員 高等学校についても調べたものがあるのでございますが、ただいま整理中でございますから、追って一つ提出したいと思います。
○野原(覺)委員 そこで都道府県教育委員会の修学旅行の基準を拝見してみますと、小学校におきましては、四つの形に分れております。一つは二泊三日、もう一つは一泊二日、第三番目は日帰りで、四番目はなし、つまり設定基準がない、この四つに分れております。中学校の基準を見ますと四泊五日、これが一つ、その次には三泊四日、第三番目には二泊三日、それから一泊二日、それからなし。小学校においては四つ、中学校においてはこの五つの形が出されておるのでありますが、文部当局としては、これらの点についてどの基準が妥当だ、こういうお考えがあるならばおっしゃっていただきたい。
○緒方政府委員 従来文部当局といたしましての考え方は、前々から申し上げます通りでございまして、一概に全国的な基準はなかなか作りにくい。やはり地方地方の実情がありますから、それぞれの教育委員会で無理のない基準を作ることが適当であろう、かように考えて参っております。従いましてここに差し上げました資料につきましても、このお示しの中のどれが一番適当だということは、まだただいま私どもの方としては申し上げるほどの検討をいたしておりません。今度の事態にかんがみまして、いろいろ御意見もございまするし、前々から申し上げておる通りに、文部省におきましても一つ全国的に考えまして、もし考え得るものならば、一つの基準をこれから検討しようというように考えておる次第でございます。
○野原(覺)委員 失礼ですが、私はあとの答弁はまことに気にくわない。前の答弁は了解できます。全国的な抽象的な妥当の基準があり得るはずがないのです。だからあなたがそういうものはないと思うという、このことは了解できまするが、しかし今これから考えようと思っておるのだということになりますと、これは全くお役人さんのやられる仕事で、これは教育委員会法を設けた趣旨にそむくことはなはだしいと思う。 そこで考えてみますと、文部当局は少くとも各都道府県の教育委員会に対して、修学旅行についての基準を要請し、これらの報告を求める以上、私は一定の文部省の見解というものがあって出されておることだと思う。それではお伺いいたしますが、北海道は二泊三日としておる、秋田県は一泊二日としておる、それから大阪に至りましては三十六時間という時間をもって基準を作っておるし、それから東京は日帰りでございます。従って東京の日帰りは妥当だ、大阪の三十六時間はこれでいいだろう、こういうようなことを私は聞いておる。抽象的なことをお尋ねしておるのではない。だから北海道の二泊三日はあなたは妥当とお考えになりますか、いかがですか。
○緒方政府委員 これはただいま申し上げましたように、私がここで北海道はこうだ、どこはどうだということはちょっと申し上げかねる問題だと存じます。先ほど私申し上げましたのは、全国的に画一的にきまるものかどうかということも、これは検討の上の話でございまして、かりにきまるといたしましても、これは指導助言という形で出されることに相なるのでございまして、先ほどお話のような画一的にそれで縛っていくということは、これは教育委員会法の建前から申しましてもできないことはもとよりでございます。そういう意味で今後各般の事情を考慮して、適正な旅行計画というものができるように一つ検討しよう、そして文部省から教育委員会に対して指導助言をしよう、こういうことでございます。
○野原(覺)委員 一体こういう報告をいつからお求めになられましたか。修学旅行についての基準のこういう報告を求めなければならないという必要を、文部当局がお考えになったのはいつでございますか。
○緒方政府委員 報告を徴しましたのは、ここにありますように二十七年の八月一日現在とありますが、このちょっと前でございます。おそらくこのあとになると思います。私ちょっと正確に記憶しておりません。
○野原(覺)委員 そうすると二十七年の八月以前は全く野放し状態であった、文部当局は何らの報告も徴しようとは思わなかった、こう受け取ってよろしゅうございますか。
○緒方政府委員 その以前におきましても、いろいろとこれは教育計画の一環でございますから、その意味におきまして指導助言はいたしてきたと存じます。しかしこの報告をとったのはそのときであるということでございます。
○野原(覺)委員 指導助言をいたしてきたと存じますというようなあいまいな御答弁であるところをみると、これらの都道府県教育委員会が責任を持っておるところの修学旅行についての基準というものについては、遺憾ながら野放し状態である、あるいはそれに準ずるような全くの放任状態であった、こう解釈せざるを得ない。そうでないとすれば、そうでないというところをお示しになった上で私はただいまの私の考え方を是正したいと思います。そこで重ねて尋ねますが、昭和二十七年の八月からこの報告をあなたの方は求められた、ところが今日この報告を見てみますと、昭和二十八年八月からでございますから、満三年たっておるのでございますが、富山県においてはいまだにその基準すら設けていない。今回この災害にあいました島根県松江においては、小学校、中学校とも基準がない。小学校、中学校とも基準を設けてないのは島根県だけである。そうなると、文部省は三年間こういう報告を取りながら、報告の受けっ放し。あなたは報告をすることはしなさいといって、そういうような全くの野放し状態で都道府県教育委員会の報告に対処されてきたのか、これをお伺いします。
○緒方政府委員 この報告を取りました以前におきましても、お手元にも差し上げてありますように、二十八年の七月には局長の通達を地方に流しておるような状況でございまして、その以前におきましても、修学旅行に対しまして、文部省といたしましては十分関心を持って指導をしてきたと存じます。それからこの基準についてでございますが、特に最近におきましては、最近と申しますか、去年の相模湖事件等の事例にもかんがみまして、私ども修学旅行についての指導、助言は相当強化いたしまして手厚くいたしました。あるいは教育長会議、あるいは主管課長会議等におきましても、あるいは小学校長会議等におきましても、私自身もたびたびこの注意を喚起しまして、適切な実施のお願いを繰り返しております。ただこの基準につきましては、先ほどから申し上げますように、文部省としましてここをこう直したらどうかという勧告まではいたしておりません。それから島根県におきましても、御指摘のように県としてきまった基準はないようであります。形式的な基準はないようでありますが、手引き書等で相当指導はいたしてあるようであります。各地の実情によりまして、その点は区々に相なっておると思うのであります。
○野原(覺)委員 問題はその次官通牒を出したとか、一般的に都道府県教育委員会の代表者を集めて注意を喚起したということでは解決できないのです。私はこれは特殊的な具体的な問題だと思うのです。こういう場合にあなたの方が報告を求めて、その報告もしない都道府県教育委員会ができたのは二、三の教育委員会でございますから、それに対して三年間具体的に措置をしてきたのかどうか。それとも何回具体的に注意を喚起しても報告をしない。腕ずくで報告を取ることができないから、遺憾ながらこうなったということなのかどうか。これは文部行政のあり方、それから都道府県教育委員会のあり方に関する大きな問題であるからお尋ねをしているのです。単に修学旅行のこういう現象だけの問題だけじゃないので、ほかにまだ問題がある。こういうあり方自体を今日教育行政の上で私ども再検討しなければならぬと思っておるのです。だからお尋ねしておるのでありますから、この点については、一つ明確な御答弁をいただきたい。
○緒方政府委員 従来の指導の方法といたしましては、必ずしもこういう形の上の基準を作れ、一泊何日という基準を作れというような、それに限定しての指導ではございません。あるいは手引き書を作って指導してもらいたいというようなことも含んでおりますので、その意味でこの報告も見ておるわけでございます。基準がないから基準を作れ、宿泊日数、日程、期間等につきましてやれというような具体的なことは申しておりません。
○野原(覺)委員 手引き書でやれということだけだということでございますが、それでは、私どうも頭が悪いせいか、あなたの御答弁に納得ができぬのです。くどいようですけれどもお尋ねいたしますが、何のためにこういう報告をお取りになりましたか。手引き書を作れといって出されてきたものがこれだと仮定いたしましても、都道府県教育委員会がこういう基準を設けるという必要をあなたはこの前の委員会でお認めになられたはずです。やはり何らかの基準を持たなければ教育委員会が学校の指導ができないわけですから、これはもうだれが考えましてもこういう基準が必要なんです。全くの野放図は許されないのです。ところがいまだに基準もない、基準もないところは一体三年間ほうっておいたのかといったら、これはほうっておったかほうっていなかったのか明確でございません。それではお尋ねいたしますが、こういう基準についての報告を徴されたお考え、ただどういう基準があるか報告せい、報告だけを集めて黙って文部当局はお受けになられたのかどうか、ただその報告を集積されるだけが文部省の能であるのかどうか、何のためにこういうものを取ったのだということなのです。いかがでしょう。
○緒方政府委員 もとより報告を徴しますからには修学旅行をなるべく適正なものにしていきたいという意図のもとに、その実施状況を検討するために取ったものであります。ただ先ほど申しましたように、一つの基準でかくあるべしというこっちの考え方はなかなか出て参りませんでしたし、基準を作れということも、従来各具体的な県につきまして申したことはないのが実情であります。ただ全般的に先ほど申しましたように、適正な実施をするためにあるいは指導書を送り、文部省としてもいろいろ通達を出しております。その方針に従って教育委員会の実施にある程度まかしておる。これはまかすのは当然でありますが、そこまで立ち入って指導はしていないというのが実情であります。
○野原(覺)委員 適正なものにしたいためには、適正なものとは一体どういう基準だという見解がなければ適正なものにすることはできない、これはお認めいただけることです。そこで私は北海道の二泊三日が適正でございますか、大阪の三十六時間が適正でございますか、こうお尋ねしたのです。蒸し返しますが、これに対する文部省の今日の定見というものはまだ樹立されていないのでございますか、それが今ここで言えないのか、できていないのか、いかがですか。
○緒方政府委員 これは一般的に申しまして形式的にこれが適正である、適正でないと宿泊、日数等につきましてきめることはなかなかむずかしいと思いますが、北海道であればこれは先ほど御引例があったように、東京の日帰りの場合に北海道の場合は二泊三日くらい地理的な関係で要するのじゃないか、こういうところから申しますと、この範囲で妥当ではないかということは言えると思うのです。しかしながら、これは最近の事態にかんがみまして、私どもとしてももう一度ここでよく検討したい、かようなことを申し上げておる次第でございまして、従来はこれを徴しましてこれによって見て参ったわけであります。
○野原(覺)委員 こういう報告があったら報告について何らかの御指導をなさっておるでしょうね。たとえば大阪から三十六時間ときたら、大阪に対して、いただいたあなたの報告の三十六時間については一体こう思うんだがどうだろうかというくらいの注意の喚起、何らかの指導が都道府県教育委員会に具体的になされましたでしょうね、いかがでしょうか。
○緒方政府委員 そこまで一々の県につきましての指導はやっていないのが実情でございます。
○野原(覺)委員 もう私はこれ以上申し上げません。正体がはっきりいたしました。私のこれから言うことが間違いならばあなたの方から逆に私に質問していただきたい。はっきりしたことは、残念ながらあなたの方はこういう報告については全く受けっぱなしです。そうして都道府県教育委員会は文部省から報告をしろと言われて一生懸命に考えたことがあるか、また指導される文部省に対しては、自分の義務とまでは法的にいかなくても、報告すべきであると思ったから報告したけれども、何らの指導もない。いわんや三年間なしで放置せられたところは全くのほったらかしにせられておる。こういうことは私はここで大いに反省をしていただきたい。運輸政務次官についても私は文句があるのです。これは河野さん、よく聞いていただきたいと思うのでございますが、私は最近起されておる大きな事故は、はっきり言って、教員の責任ではないと断言したい。もとより教職員の中にはあるいはいかがわしい者、注意をしなければならぬ者がおりましょう。たくさんの教師でありますから、私はこれは否定しません。しかし運輸省の代表者らしい代表者が初めて出てきたのはこの事件が起ってからなんです。そのときに小林委員と山崎君の質問に対して、運輸政務次官から、運輸当局としてこのような事態を起して、われわれはまことにざんきにたえないというような誠意のある御答弁を私は承わっていないのです。あなたが報告されたのは、学校なり教員はまことにもってけしからぬじゃないかというおしかりのような発言ばかりで、私は非常に遺憾にたえません。これは河野政務次官の真意でなかろうと思いますから、この点について重ねて政務次官の御見解を承わりたい。
○河野(金)政府委員 それはもちろんのことでありまして、運輸委員会あるいは本会議等においては、今度の紫雲丸事件は明らかに当局、こちらの船員その他の間違いであるから、責任の所在を明らかにしなければならぬ、そういうことはたびたび繰り返しておるので、この委員会においては、むしろそういう責任を追及することでなしに、今後修学旅行などをどうしたら愉快にやれるかというお話が中心であったと思うのであります。従って私はこの委員会のそういう性格にかんがみまして、他の委員会、本会議等においておわびするだけでなしに、今後船員の教育その他についても、こちら側としてやらなければならぬことは、あらゆる機会に申しておりますから、この委員会としてはそういうことを申すのはかえって不必要であろうと思ったから申さなかっただけでありまして、あなたのおしかりを受けるまでもなく、今度の事件は当局の責任でありますから、この責任の所在を十分に明らかにし、それぞれ処分もし、今後の対策も考えておることはもちろんであります。
○野原(覺)委員 そこで今後の対策として運輸当局が修学旅行についてお考えになっておられることは、先ほど言われたようなパンフレットなんかの問題じゃないと私は思うのです。ただいま政務次官の御所信を承わりましてもわかるように、運輸当局としては非常な反省をなさっておる。この大きな反省の上に立って、これから先の修学旅行について、運輸当局としてはこう対処して参りたい、こうやっていきたいという具体的なものがあるはずだと思うのです。なかったらどうかしております。だからその点を承わりたい。
○河野(金)政府委員 その修学旅行の問題は、私たちの方は主として足をつかさどるところでありまして、ああいう不幸な事件の起きないように、今度の事件にかんがみまして、汽車なり船なり自動車その他に対していろいろ是正をしなければならぬことはやって参ります。しかしこの修学旅行の問題は、運輸当局の方でこうしてもらいたい、ああしてもらいたいということが主でなしに、私はやはり文部当局なり教育委員会なりあるいは直接この御計画をなさるところなりと連絡しなければならぬのであり、われわれとしては、なるべく旅行シーズンというようなものをはずしていただいて、職員なども十分に注意のできるような時期に、しかも無理な計画をなさらないように、そういう面は今後文部当局あるいは教育委員会等々と協力してやっていくつもりでありますが、とりあえずわれわれは鉄道なり船舶なり自動車なりをいかにして事故なしにやっていくかというところに今重点を置いて対策を立てつつあります。
○野原(覺)委員 教育委員会なり文部当局なりの要請があれば話し合いに応ずる誠意がある、協力するに決してやぶさかであるどころか、むしろそういう意図を持っておるのだ、こういうお話のようでございまして、私はこの点はまことに同感で、そうなければならぬと思うのであります。そこで文部当局にお尋ねをいたしますが、たび重なる今回の遺憾なる災禍事件に関して、文部当局はこの事件が起ってから今日まで、運輸当局に対して注意を喚起し、それから今後の対策について話し合いなりなんなり持ってこられましたか、そういう話し合いの機会が一回でもあったのか、なかったのか、いかがです。
○緒方政府委員 紫雲丸の事件が発生しまして直ちに私の方は係官を国鉄に派しまして、そうして情報の連絡等に遺憾なきを期したわけでありますが、この対策につきましては話し合いをいたしたことはございません。ただ現地に課長以下を派遣いたしました際には、現地におきまして鉄道管理局等に対しまして十分連絡をとっております。
○野原(覺)委員 まだ対策については運輸当局と話し合いを持っていないという。しかしながらこれは早急に持つ必要があると思うのです。これは当然のことなんです。だからむしろその話し合いを持つ場合には、文部当局がイニシアチブをとって運輸当局に呼びかけ、その協力を要請しなければならぬかと思う。政務次官の方は、そういう話があればいつでも考えてみようではないか、こう言っておるのでございますから、あなたの方でもいろいろお忙しいでしょうけれども、これだけ全国の父兄が大きな関心を持って、修学旅行が必要であるということはわかりながら、親としては安心して修学旅行に出すこともできないと言い、しかも文部委員会がこれだけ大問題にいたしておりますのに、一体今日まで何日たったのですか、その間何の話し合いもしていないというのは、私は全く運輸当局並びに文部当局のこれら問題に対する誠意を遺憾ながら疑わざるを得ないのです。従って私はここで二つの点を要望したわけです。あなたの方の教育委員会に対する指導というものは、これは残念ながらなっていない。三年前からこういう報告を受けておりながら、具体的にどの県はどういう基準がいいのだというような定見も立てないで、報告も受けっぽなし、一体そういうようなことで教育委員会がどうして真剣に報告する気になりますか。やったって、やらぬだって一緒だというようなことで、依然として富山県や島根県はなしで、ほったらかしになっておる。私はこれは全く困った現象だと思います。 そこで最後に運輸政務次官に一点だけお尋ねをいたしますが、私どもの考えとしては、小林委員がさっき言ったのでございますが、事前に現地を調査すること、どうしても修学旅行は国鉄を利用することが八〇%、九〇%必要でございますから、どこで乗って、どこでおりて、それからさっき言われたようなパンフレットなんかもいただいて、宿屋もよく下検分をする。そのために現地に教員が一、二名調査に行くということが、修学旅行の教育的効果を上げる上から、災害を防止する上から、きわめて必要なことなんです。これなしに修学旅行が行われたならば大へんなことなんです。ところがこういう点について事前に調査をするということになれば、大阪から日光まで行くということになると莫大な旅費も要るというようなことで、実はその調査が十分できないで、文書の上で問い合せをしたり、旅行協会とか無責任ないろんな周旋者その他に話をするという便宜的な方途をとるために、問題が起っておる実例も私は少くなかろうと思うのです。従って運輸当局としてはそういう場合に、これはごくわずかの料金でございますから、そういうようなことで校長が証明を書き、教育委員会等が証明してきた場合には、国鉄の汽車賃について何らかの考慮を払ってやってはどうか、こうしてやることが私は修学旅行に対する運輸当局の具体的な協力の現われではないかと思う。そういう具体性を欠いて、ただ単に口先だけで協力するなんといっても実は上りません。だからして、今日は政務次官として私どもの最も期待し、尊敬しております河野政務次官でございますから、この点については今ここでは言えぬけれども、事務当局と一ぺん相談して、一つ真剣に考えてみようじゃないか、文部当局とも話し合いをしてみようじゃないかということくらいは、私は御発言できようかと思うのです。この点に対する政務次官の御所見を承わりまして、終ります。
○河野(金)政府委員 おほめかおしかりかわかりませんけれども、御意見は承わりました。御承知の通りに、国鉄も非常に修繕なんかも行き届いておらないで、事故なんかも起りやすい、さればといって、運賃を上げることは、やはり国会の方においてはなかなかお許しを願えないのでありまして、従って今あなたがせっかくおほめ下さいましたけれども、すぐ御期待に沿えるような返事ができないのであります。しかも運輸省は国鉄を監督しておるだけでありまして、そういう割引とかあるいは無賃乗車とかいうようなことはこちらの方で言うわけにはなかなか参りませんから、いずれ国鉄当局とだけじゃなく、文部当局とも相談しなければならぬことでありますが、今すぐどうという御返事を申し上げるわけにはいきません。あなたの御希望として承わっておきます。
○野原(覺)委員 そういうことになれば一体どれだけの金がいるのか。問題が起ると、尊い人命を失うばかりじゃなしに、物質的にも国鉄は大きな損害補償の問題が起きてくる。こういうことを考えますと、いろいろな資料を一つお集めになられて、私は文部当局にも要請をいたしますが、それらの一つ一つの具体的な隘路になっておる問題をやはり運輸の責任者である国鉄、運輸当局と至急に御相談をなさって、そうして修学旅行の教育的効果が十分に実現できるように、私はそういうことをするのが文部省の仕事ではないか、あるいはまた運輸省の当然のなすべきことじゃないかと考えますから、重ねて政務次官にそのことを強く要請申し上げまして、いずれ時をあらためて、適当なしかるべき機会に政務次官に出ていただいて、いい結果の御報告を全国の国民が楽しみにいたしておるということを申し上げて、質問を終ります。
○佐藤委員長 辻原弘市君。
○辻原委員 簡単に文部省と運輸省のそれぞれの責任の立場にある人たちにお伺いをしておきたいと思います。いろいろこの問題について運輸委員会あるいは文部委員会を通じて今日まで議論がなされ、当局の見解をただしてきたのでありますが、本日も文部委員会でこの問題を取り上げられ、しかもそれについて相当具体的な見解が示されておるのであります。ただ最初に私が申し上げたいことは、これは先ほど河野運輸政務次官からお話があり、私も若干意外に感じたのであります。と申しますのは、このたび起った紫雲丸の問題がたまたま義務教育の子供が非常に多く乗っていて、そこから問題の端を発して、修学旅行の計画の問題についてとかくの議論が行われておるわけでありますが、私は紫雲丸問題だけを切り離して考えてみたときに、この問題の責めを修学旅行の計画等に持っていくことは、その本質をぼかすものであるということを最初に申し上げておきたい。というのは、これは当該委員会が違いますから、主としてそういう議論にはなっておるのでありますけれども、しかしこういう事件の発生が部分的にでも修学旅行の計画について遺憾があったなどということになれば、おそらくここで百時間、二百時間をかけて修学旅行の問題を論じたとしても、修学旅行に出す父兄の側に立ってみれば、それによって何らの安心感を持たないだろうと私は思う。だから問題は、これは先ほど最後に河野政務次官が申されたように、あくまで責任の所在は運輸当局の紫雲丸の航行に関するこの問題から発生したという点について明らかにしておかなくちゃならぬと考えます。ただわれわれがここで取り上げておりますものは、単に修学旅行のみならず、いわゆる生徒児童の旅行万般についての安全性をいかにして確保するかという意味において、われわれは委員会の問題としておるのであります。議論が多く修学旅行の問題に集中されておりますのは、数が多いし、そういうことで事故発生の機会が多いから、そこに議論の中心の花が咲いておるわけでありますけれども、しかしよく考えてみれば、生徒児童の旅行の安全性という問題は、単に修学旅行の問題にとどまりません。私が最近いろいろ心配いたしまするのは、たとえば学校が管理することなくして、生徒児童が集団的に団体を組んで長期の旅行をなす機会が相当ある。たとえば近く私の県でもやって参るのでありますが、いわゆる靖国の遺児といわれるこの遺児の靖国神社参拝の問題、これは私の郷里などでございますと、実に長期の旅行でございます。こういうこともあれば、あるいは中学校、高等学校になれば、休暇を利用してのグループ旅行、これはごく最近でありますが、たまたま生命には異常がなかったようでありますけれども、ある高等学校生徒の中で十八名程度一時行方不明を伝えられたこともある。さらにこれからいよいよ夏に入るわけでありますが、海浜学校が開設されます。そうでなくても水泳に先生が引率していく、これは都会地であれば若干の旅行を伴うことであります。こういう問題がいわゆる修学旅行と銘打たなくてもたくさんあるのでありますから、ただ通り一ぺんの修学旅行を中心にした通牒だけで生徒児童の安全性確保のために努力したなどということは、私は非常に心さびしいのでありますし、また心もとないので、そういうことをこの際思いを新たにして一つ考えていただきたい。従って私が先ほどきわめて簡単でありましたが大臣に申し上げました、いわゆる安全性確保という問題は、そういう大きな見地に立って、この際真剣に検討してもらいたいということを言っておるわけであります。その中で修学旅行の計画の安全性を期するなどということは当然しごくのことであります。指導者にその頭があり、監督官庁がほんとうに児童の安全性ということを真剣に考えておれば軽々にそんなことをやるべきでないと思う。また父兄の側といたしまして、われわれも子供を持つ親としてやる場合に、その計画を見て、これはちょっとおかしいという場合には、やはりそれぞれの諸注意をするわけであります。従って私はその計画の中にそう度はずれたものはないと思う。ただたまたまその計画をおとなの頭で見れば大丈夫だと考えられるけれども、子供の心身の発達状況等とにらみ合せてみた場合に適当でない計画のあることも私は指摘いたします。具体的に述べろとおっしゃればずいぶんその例を持っております。はるばる東京に到着したその女の子の顔色は青ざめておる、ところが男の子は比較的健康である。そこで一体なぜ男の子と女の子とその度合いに違いがあるだろうかというような、いわゆる生徒の心身の発達状況をもう少し突き進んで考えてみるならば、このような女の子の疲労から生まれる事故の発生という問題も防げるわけです。細部を見ていくと、幾つもそういうことはあります。しかしこれはいわゆる蜀を望んでさらにまたその上をということになるのでありますから、それらの徹底を期するゆえんのものは、これはこの通牒に十分その意向が盛り込んであると思うが、問題は、ただこれを規制するという意味においてこういう通牒を発するのではなくして、その指導者あるいは企画者、管理者を通じてこの安全性を高めるためにはどうすべきかという大きな内省と反省とそれから今後の適切な研究、この問題を十全にやってもらうための通牒のあり方として受け取るならば、これは首肯するにやぶさかではございません。しかしながらこれもいかぬ、あれもいかぬという規制の通牒であるとするならば、十全の目的を達せられないということをあらかじめ申し上げておきたいのであります。従ってこの機会に、今申し上げましたように、この安全教育を文部省も積極的にやり、都道府県教育委員会も、地方教育委員会も、また学校も、個々の先生方も、父兄も通じて、生徒、児童の安全性をどういうふうにして高めていくかという点の教育的研究を真剣にやっていただきたい。そういう意味合いにおいて運輸当局の協力を十分求めることも私は必要であろうと思います。この点について先ほど大臣は、ただ抽象的にそれはけっこうであるというお話であったと思うが、しかし少くとも文部当局としては、これは従来からお考えなさっていなければならぬ点でもあります。また現在のところでは、交通状況はこの程度ですが、しかしながら都会においてはだんだんと車の数もふえていく、また新線が敷設されていけば、路線も延長されていく、バスもどんどんふえていく。そうすると、きょうの二泊三日は適当であっても、あすはその二泊三日が適当でなくなる。そうすれば、結局計画だけの問題で安全性を保証することはできないのです。そうすれば、往々にして行われるところのいっそやめておけという消極的議論になる。そんなことでは子供は一人立ちはできません。従ってこの安全教育というものをどういうふうに徹底さしていくか、少くともこれはこの機会に大きく取り上げてもらいたい。たまたまこの事故発生が、麗々しく安全週間と銘打ったこの週間の中に続発しておるのですよ。そういうおざなりのお題目だから、問題は解決されない。どうしてこの安全を徹底していくかを、教育は教育として、また運輸省は運輸省として、その技術的な検討を真剣にやるという、その責任の所在を明確にすることが至当だと私は考えております。まずその点について、安全教育の徹底にいかなる構想と具体的推進方法を考えておるやいなや。また修学旅行の問題のみにとどまらず、もうすぐ始まる海浜学校とか、その他安全性を必要とする幾多の行事、企画というものが行われる。あるいは学校が管理しない団体旅行等も随所に行われる。そういうことを総合して、どうして安全性を確保していくつもりなのか、この点を一つ大臣からでも、あるいは当局からでも具体的にお伺いをしておかなければなりません。
○緒方政府委員 安全教育の今後の徹底につきましては、先ほどもちょっと、辻原委員が席をおはずしになったときに私は申し上げたのでございますが、まず、教科活動の中心といたしましては、やはり社会科教育におきまして自他の生命を尊重し、安全を守っていくという習慣、態度、こういうものを養っていくことに重点を置かなければならぬと考えております。このたび行いました社会科の改訂の中の具体目標の中にも、このことは相当重点を置いて盛り込むつもりであります。特に小学校下学年におきましては、身近ないろいろな生活経験を通じて、こういうことを十分に体得する訓練をする機会は相当ございますので、そのことに着目いたしまして、あるいは乗物や道路の利用、そのほか鉄道の駅や、踏み切りの交通の場合、いろいろ具体的に題目を掲げまして、そういうような場合に自他ともに規則を守る、自分のことだけでなくて、ほかの人のことも考えて規律正しくやることが、全体の社会生活をうまくやっていくゆえんだというような点をこの具体目標の中に入れまして、これを中心にして、社会科活動の中で安全教育というものを徹底したい、かように考えております。なお従来もこれは行なっておるのではございますが、小学校、中学校とも、保健教育の中に保健の計画の実施要領というものを出していまして、この中にも、ただいま御指摘のありましたようなことにわたりまして、相当具体的に目標を掲げて指導をいたしておるつもりでございます。たとえば安全と救急といったような目標を掲げまして、交通安全あるいはそのほか、もちろん健康上の注意はもとよりでありますが、これを広く解しまして、このたびの事故のようなことにつきましても相当重大な注意を喚起して、これを実施しているつもりでございますが、さらに今後とも検討いたしまして、安全教育の徹底を期したいと存じます。なお御承知でございましょうが、学校に学校保健委員会というものを指導して作ってもらっております。これは学校当局はもとよりでありますが、その中に学校医あるいはPTA、地域の関係者も含めまして、児童、生徒の健康、安全ということにつきまして、平素から協議をしていく建前になっておりますが、これは四月に出しました修学旅行の通達におきましても、出発以前に計画を立てるときにおきましては、学校保健委員会を開催してそれに検討してもらうというようなことも、具体的に示しておるのでございまして、このことは従来もやっておりますが、今後とも一つ手落ちのないように指導していきたいと考えます。
○松村国務大臣 先刻お答えいたしました通りに、今局長から申しました児童の教養の方からも、また外面的のことにつきましても、十分安全を期するようなことをいたして参りたいと思います。
○辻原委員 私がたびたびこの問題について申し上げるのは、この通達を何回読み返しましても、決して悪いとは申しませんけれども、しかしそういった生徒、児童の事故発生に対する文部省としての本質的な御見解が何ら生まれてこないのです。せめてもこの通達を発表すると同時に、あるいは大臣の御所論なり文部当局の見解として、こういう形においてこの安全教育の問題を推進していきたいというふうにお示しあれば、私も非常にけっこうだと思ったのでありますが、その点が何らないことを非常に遺憾に考えているわけでございます。従って、これはこれといたしまして、こういう一つの不幸なできごとを無にしないためには、事務的にこういうふうに取り扱われることも一つの方法でありましょうけれども、さらに大きくこの問題を取り上げて、今後の根本解決に資していくということの方がより大事かと思いますので、何か安全教育について文部省の意向をこの際内外に明らかにしていただきたいと私は思います。そうして教育委員会その他の、こうした問題に対する一つの意識の喚起と申しますか、そういうものを呼び戻していただきたいことを希望しておきたいと思います。ただ何か安全を確保するための教育をやりたいという程度のものでしょうか。何かこの機会に具体的なお考えが、大臣としてもう一歩進んでおありになりませんか。私が先ほどからだだっ広く申し上げました意味は、よく大臣が言われる新生活運動などというものを、よく考えてみればこういうところにあるのじゃないでしょうか。交通機関がどんどんふくらんでいく、その中で新しい社会生活を営んでいくときに対応できる人に児童を育て、そういう人格を形成していくという教育ならば、こういう問題も必要なことじゃないでしょうか。
○松村国務大臣 お答えをいたしますが、昨日出しましたこの指導の方針は、これは焦眉の急で急いだものですから、今直ちに必要なものを出したわけでありまして、その点は御了承を願いたいと思います。 それから根本の問題につきましては、これは先刻も申しましたが、衆知を集めて研究をいたしたいということが一つと、それから私どもも考えも持っておりますけれどもまだ確定をいたしたものではないのでございますが、たとえて申しますと、小学生と中学生とをほとんど同じように取り扱った旅行などはどういうものか、むしろ小学生などは日帰りくらいの限度にとどめておきませんといかないのじゃないかという考え方、中学生はまたおのずから異なる。それからこれは単に安全の上からばかりではございませんが、やはり修学旅行となりますと、たとえば工場などというようなものが大きな見学の対象になるのですが、そういうことは今日ほとんど行われておりません。こういうような点の指導等も加えて考うべきじゃないかというように考えておりますが、まだ責任のあるお答えをするような研究はいたしておりません。そういう面も考え、それから今お話の社会教育と申しますか、新生活運動の意味の中にもそれを加えてやらなくちゃならない。きょうもどこかの新聞の投書の中に、運転手の過度の疲労、運転手の性格、技量等については何ら考慮されていないということが出ておりましたが、こういう面までも考えなくちゃならぬ。それにはやはり社会運動と申しますか、新生活運動などがこれを規制するという点で働いてもらうというような点も考えられるのでございますが、あらゆる面からその安全を保つために努力をいたしたいと思っております。
○辻原委員 次に大臣にお尋ねしておきたいのは、先ほどお尋ねいたしました児童の安全性の問題から考えました児童災害の補償の問題でありますが、私が先ほど大臣にお尋ねいたしました際は、大臣もこうした問題について相当御関心を持たれて、すぐさま御検討になられるような御意思と承わったのでありますけれども、後刻山崎委員から政務次官にお尋ねいたしました際には、政務次官のお話では、必要は抽象的に認められているけれども、具体的に推進しようとするようなお考えはお持ちなさっていないような御答弁であった、こう承わりましたので、もう一度大臣に御認識を持っていただきたい。と申しますのは、生徒、児童の災害を防止するということはもちろんのことでありますが、先ほどから私が申し上げておりますように、児童に対して発生する事故はいろいろなケースによって生まれます。しかしその場合の損害の補償なんということは、いわゆる子供と子供、生徒と生徒、児童と児童との間に発生した場合、何らその損害の賠償を要求すべき対象がない、あるいは校庭で発生した場合に、それに対してだれが補償していくか、こういうこともありますし、実は私どももいろいろ具体的にぶつかって困った点が多々あるのでありますが、そういう点についてどうしても何かの措置をしなければならぬと思うのであります。一つこの機会に立法措置をお考えいただきたいと思いますが、大臣の御所論は具体的にどうか、一つはっきりお示しを願っておきたいと思います。
○松村国務大臣 これは文部省が主管省じゃないと思うのです。ですから政務次官なり事務の方から申しますと、先刻お答えいたしたようなこと以上には出ることはできないと思う。それで私といたしましては、先刻申し上げました通りに、関係の各省と相談をいたしまして、文部省として省議にあづかっておる責任においてよく打ち合せをいたすつもりでおりまして、それで先刻のようなお答えを申し上げた、こういうわけでございますから、さよう御了承を願いたい。十分の努力をいたすつもりであります。
○辻原委員 その点はよくわかりました。一つ積極的に御研究と提案させるようとりまとめを願いたいと思います。 河野政務次官にちょっとお尋ねいたしますが、先ほど気になるお言葉がありました。というのは、簡単に申し上げますが、営業団体が修学旅行の計画の中に入り込んできて、それによって本来学校教育の中で立てられるべき修学旅行計画がどうもおもしろくない傾向に走っておるというお言葉がありました。あの中で旅行協会の話が出ておりましたが、まことにそれをそのまま受け取ると、あなたのお感じの通り、私もそういう点、旅行協会かどこか知りませんけれども、そうした団体が修学旅行を観光旅行あるいは遊楽旅行に切りかえさしていくような傾向があるのじゃないかということもしばしば感じております。但しこれはそう感じているだけじゃなくて、私はそう感じておっていいかもわかりませんけれども、運輸政務次官がそうお感じになるならば、何らかの方法があってしかるべきだと思います。率直に申しますと、国鉄当局がいろいろあっせんをされる、交通公社がそれに対して手引きをされる、さらにそういう団体が修学旅行のあっせんに乗り出していく、こういうことで、現在観光旅行、修学旅行等が行われておるようでありますが、その中で今お話のような形で旅行協会というようなものがおもしろくない傾向に走っているとするならば、これはそういう方面から引っぱられる学校が悪いのか、そういうことを勘づいておりながら野放しにしていく方が悪いのか、これは運輸省は何もそれに対する指導あるいは監督等の権限も責任もないのでしょうか、その点を一つお聞かせ願っておきたいと思います。
○河野(金)政府委員 まず先ほど今度の事件から修学旅行の問題が論議されておりまして、私はその途中に来まして、責任の問題なんかのところが全然出ておらないで、今後の修学旅行をどういうようにするかという問題が主になっておりましたから、運輸当局が責任を感じておるお話は申し上げませんでしたが、それは運輸委員会なり本会議等において十分申し上げ——今度の問題はだれの責任でもありません。これはもう明らかに国鉄の船同士の衝突であり、レーダーも備えておることであり、船員の操縦の間違いであることはわかり切っておりますから、これに対してはすべての責任はこちらが負わなければなりません。従ってその問題に関しては運輸省の中においても連絡船の改善の特別委員会を設けるとか、あるいは国鉄の総裁はまずとりあえず直接責任をとってやめましたけれども、今後この事態がはっきりするにつれてまだ大幅にこの責任の所在をはっきりしていくと同時に、今後の対策を立てていかなければならぬのであります。交通機関の目標は安全に人なり物を運ぶということ、またそれがのろのろしておっては不愉快でありますから、やなり迅速に快的に、特に人に対しては注意をしていかなければならないことは当然であります。そのために安全性が失われてはなりませんから、運輸当局としては安全性を確保することに今後万全を期していきたいと思っておるのであります。 それからやはり辻原さんのおっしゃる通りに、どうもお互いに言葉の一つの端だけとらえますと、私の申したことにもいろいろ勘にさわることがあったと思います。またあなたが再質問される中にも、私の申した一部分だけをとらえておやりになりますと私の勘にさわるところもあるのでありまするが、この議会の周囲を見ていただいてもわかるように、何十、何百というバス会社がいろいろ来ております。私の申したのは特に悪い例について感じたのを一つ申しただけであります。それが全部であると申したわけではありません。しかし、たとえばああいうバスの業者その他の認可は、これは運輸当局にあります。私が運輸省に行きましてからは非常に注意をいたしておりますが、昨年までは乱発と申しますか、申請があれば何でも許可をしておった。また特にこんな資力のない、こんなむちゃなものに許可してもいいかと思われるようなものに対しても、政治的な立場から、政党のえらい人なんかが立会人とか証明者とかになって、何といいますか、請書のようなものを書いて、そしてこの妙な業者に認可しておったこともあります。私は運輸省へ来ましてから、むしろ同僚諸君から批判されております。ちっとも政治的にやらぬじゃないかと言われておりますが、私は、この人命を預かるものを政治的に許可認可すべきでないと思っております。むしろバスとかトラックは今日すでに多いくらいでありまして、もちろん今後は許可認可の場合にも注意いたしますとともに、今日あるものに対しましても、最近の頻発する事故にかんがみまして、今後監督を厳重にしていきたいと考えます。責任は十分考えておりますが、私の言葉の一つだけをおとり願っての御質問でありましたけれども、どうぞ御了承願います。
○佐藤委員長 実は山崎委員から保留になっておる質問がございまして、大臣は一時から参議院の委員会に呼ばれておるそうでありますから、山崎委員も小林委員も簡単に一つお願いいたします。
○山崎(始)委員 幸い大臣がお見えになったので一点だけお聞きしておきたいと思います。実は先ほどお見えにならないと思ってお尋ねしたことなんでありますが、今回の衝突事件で義務教育の児童生徒が百数十人死んでおり、前の洞爺丸事件とは非常に趣きが違う。特に愛媛県の庄内小学校の生徒のごときは、この紫雲丸を一つの交通機関として、宇野へ渡る目的であれに乗っていない。社会科の勉強だというので——この庄内というところは非常な山間のところだそうでありまして、船へ乗せてその船に関する社会科の勉強をさせるという目的で乗っていた、そういう事実すらある。今度四つの学校が遭難しておりますが、その一つの学校のごときはそういうケースすらあるのであります。決して修学旅行そのものについては物見遊山でも何でもない。ほんとうに教室の延長である、いわば紫雲丸そのものが教室になっている、こういう考え方であのスケジュールは組まれているんです。こういう点は運輸当局においても非常に責任を感じてもらわなければならぬと私は思うのであります。当面の問題として、そういうような児童生徒が百数十人なくなっておりますが、それに対して、国家補償の立場から考えて、一般の遭難者にもできるだけの弔慰金その他の補償をしていただかなければいけませんが、文部大臣として、そういう義務教育の生徒の遭難に対しては、普通の遭難者に対する弔慰金その他の補償金以外に特別に私は考慮する必要がないだろうか、かように考えるのでありますが、文部大臣はどういうふうにお考えになっておられるでしょうか。
○松村国務大臣 お話のような次第もありまして、文部省としてもいろいろ考えてはみましたが、文部省が直接これに弔慰金を出すということは、ちょっといたしかねると思うのであります。それで考えられるのは、先刻もお答え申しましたような方法も考えてやっていかなければならぬということで、関係の各省とも相談いたして万遺憾のないようにいたしたいと思っておるわけでございます。
○山崎(始)委員 大体お気持はわかりましたが、文部大臣は民主党内においても相当な政治力を持っていらっしゃるようでありますので、大蔵省なり運輸省なりにその他の関係当局に持っていっていただいて、これはたまたまあなたの所管の義務教育の生徒であり、しかも先ほどお留守の間でありましたが、文部当局も、修学旅行は物見遊山ではなくて教室の延長なのだということははっきり認めていらっしゃるのでありますから、当然これは特別の御考慮を払っていただかなければならぬ問題であろう。しかも弔慰金その他の問題は、今いろいろと御相談されておる最中だと聞いておりますので、ぜひこの際強力にこの点は御推進を願いたいと思います。一言要望いたしておきます。
○松村国務大臣 よく協議いたします。
○佐藤委員長 小林信一君。
○小林(信)委員 大臣がおいでになりましたら、この通牒の問題につきまして、大臣としての重大な御反省を願いたいと思っておったのですが、今委員長から、ただ一つだけ質問をせよということでありましたのでお伺いいたします。今の山崎委員と関連した問題でございますが、この児童に対する弔慰金の問題で、山崎委員は、義務教育であり、学習の一環としての立場からして重大な考慮をせよというお話ですが、私はこの際、運輸政務次官もおいでになりますので、両者から最も具体的な返答をお願いしたいのですが、子供であるからおとなの半分でよろしいというような考えは私は決して持ってはならないと思うのです。この点も特に両者から念を押してお聞きしたいと思いますが、その点で特に考慮を払っていただきたいのは、学習の一環であるということは私たちが申し上げるまでもなく、父兄全部が被害者であるのでありまして、そういう船に乗りました場合には、必ず必要な訓練を一応いかなる形においてもしなければならぬと思うのでありますが、これについて文部当局といたしましては実際に調査に当っておられるかどうか。もしそれが不幸にして訓練をしていない、どこに救命具があるかというようなことも指示していないというようなことになりますと、ますますこれは運輸省の責任、また当局の責任というものは免れ得られないものがございますが、そういう点を考慮いたしますと、子供であるからどうだとかなんとかいうような特別なことがあっては絶対にならないと思います。少くとも人命として、子供であろうと、おとなであろうと、かわりがないということで、さらに今の山崎委員の考慮をしていただくことは私はお願いするのです。そういうことは、おとなより少いというようなことは絶対にあってはならないと思いますが、その点に対する御見解はどうですか。
○松村国務大臣 お話の点でございますが、今ここできっぱりこうすると申し上げる段階にはなっておりませんが、十分御趣旨の点を体しまして、各省とも話し合いをし善処いたしたいと思います。
○河野(金)政府委員 はっきり申し上げたいのですが、実ははっきり申し上げかねるのでありますが、前に国鉄バスが転覆をして不祥事を起したときは、最低の人が子供であったそうでありますが、三十六万円、最高の人が百万円であったということであります。これは国鉄当局にも一つの基準があるので——ホフマン式とかいう私にはこまかい技術的のことはよくわかりませんが、一つの基準があります。それによって算定をするのでありまするが、今度の事件は明らかにこの国鉄側の全面的な責任でありますがゆえに、もちろん前例、それからそういう一定の形式に従いつつ最大の補償をするように話し合っておるのでありますが、その金額について幾らということはまだできておりませんが、御期待に沿えるように努力をいたしたいと存じます。
○小林(信)委員 河野次官の御説明は当事者でありますために一応了解が得られるようでございますが、これはやはり当面の責任者であるからであって、一応そういう考慮を払うというところでいいのですが、文部大臣におきましては、これは国鉄あるいは運輸省をほんとうに父兄の気持にもなって動かしていただく一番大事なところだと思うのです。従ってここで文部省の態度がきまってないなんということは、非常に父兄としましても、またこれを引率しました先生たちの立場からしましても非常に遺憾なんですが、あくまでもおとなと同等にこれは取り扱っていただくというぐらいの文部当局の意見が一致しなければ私はうそだと思うのです。極力善処いたしますというようなことでなくて、早急にこれに対しては文部当局の意向をまとめていただいて、決して差があるようなことがあってはならない。河野次官の答弁は、国鉄あるいは運輸省におきましては前例があるからというふうな声もおありになると伺っておりますが、私は今回の問題につきましては決してそう差をつくべきではない。運賃は半額であっても人命においては同じものであって、今後災害を防止します意味におきましても、あくまでもこれは差をつけてはならないというぐらいの決意を固めていただいて、文部省が折衝をするくらいに強く働いて下されんことをお願いいたします。私は文部大臣の慎重にとか要望に沿ってとかということでなくて、今後の問題、またその当時の事態からかんがみまして、強力に責任を感じてやっていただきたいことをお願いをするものでございます。残念ながら時間がないようでございますから、要望にとどめて質問を打ち切りたいと思います。
○松村国務大臣 私として今お答えしますことは、先刻申し述べた各省との関係もありますからその程度でございますが、ただ申し上げますことは、幼い生命もこれは決しておとなとは違わない、そういうつもりで一つかけ合うつもりでおります。
○河野(金)政府委員 小林さんの御発言でちょっと気になるのですけども、決して運輸当局は、運賃が割引してあって半額だから補償を少くするというような、そんな考えは毛頭持っておりませんから、どうぞ一つそういうことは念頭に置かないで、なるべくよけい出せるようにわれわれも努力いたしますが、御鞭撻を願いたいと思います。
○小林(信)委員 河野次官がおいでになる以上は私はその点は信頼しております。しかし今の金額などを聞くと、子供であるがゆえに三十何万円であって、最高百万円というような、こういう前例があるとすると非常に不安である。人命の問題も国鉄は商売でありますから、運賃でやられるようなおそれがあるのでありますが、そういうような印象を決して与えてはならない。国が子供の命を義務教育として預かって、しかもその義務教育の指針にのっとって修学旅行をやらせたという、そういう点から考えても、そこにそういう印象を残さないような措置をとっていただきたい。これはやはり文部当局の強力な働きかけを必要とするということをつけ加えて申し上げておきます。
○山崎(始)委員 本日の朝日新聞の夕刊を見ますと、東海道線で修学旅行団の列車と米軍のトレーラーが衝突事故を起しております。いま一つ同じように九州ではバスが燃えましてやはり修学旅行団の三十七人ばかりが重軽傷を負っております。この二つの事件、詳細は今私も新聞を見たばかりでわかりませんが、今回の衝突事件に引き続いてこういうふうな二つの交通事故が頻発いたしまして、本日の閣議でもって文部省、運輸省、労働省、建設省、通産省、国家公安委員会その他でもって交通事故防止対策委員会とかいうものを作るというような閣議決定がなされたということでありますが、この点についてちょっと御説明いただければけっこうだと思います。
○松村国務大臣 実はきわめて頻繁にこのような事故が起るのでございまして、恐縮にたえぬのでございます。東海道の衝突のことはすでに号外も出ておりますので御承知のことと存じますが、新宿区にあります工学院大学の付属の高等学校の生徒の修学旅行であります。三名が重傷を負い、軽傷は八名を出しております。ガソリンを満載したアメリカのトラックと衝突いたして、こういう惨事を来たしたのでございます。また福岡県の大川市の川口小学校の子供たち、六年生百二十名が、今朝午前七時半ごろバス三台に分乗して雲仙に行く途中、柳河市において最も前の車が突然火を吹いて、約三十名の重軽傷者を出した、こういうことが起ったわけでございまして、重々のことで心痛にたえぬわけでございますが、そういうようなこともありますし、今言ったような事故防止に関するものを、関係各省で一つ急速に作ろう、こういうような申し合せをいたしたような次第でございます。
○佐藤委員長 本日はこれにて散会し、次会は公報で御連絡します。 午後一時五十九分散会