文教委員会 第2号
- 発言数
- 40 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1955/03/29
会議録
○佐藤委員長 これより会議を開きます。 理事の補欠選挙を行います。理事竹尾弌君が去る二十六日委員を辞任されましたので、理事が一名欠員になっております。理事の選挙は先例によりまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。 (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○佐藤委員長 異議なしと認めます。それでは竹尾弌君を理事に指名いたします。 —————————————
○佐藤委員長 次に文教行政に関する件を議題といたします。まず文教行政に対する基本政策について文部大臣の所見を承わりたいと存じます。松村文部大臣。
○松村国務大臣 この間もごあいさつ申し上げました通り、就任日が浅いわけでございまして、根本的の考え方の取りまとめにはまだ尽していないものが多うございます。どうかそのおつもりで、ただいままで考えておりますことをお聞き取り下さい。そしてまだ熟せないところはいろいろ御示教にあずかりたいと思うのであります。 私の考えておる基本の観念は、文教のことは一大臣がかわり、また政党が変っても、絶えず動くというようなことのない、教育の根本のやり方は動かないという、こういう形を何とかして作り上げたいものだと思うのでございます。長い間の占領行政からようやく離脱をいたしまして、そうしてそのあとどこに教育の根本を落ちつけるかということは、まだ今日までいろいろ動揺があると見ておりますので、どうか一つ、きわめて平凡なことであるかもしれませんけれども、皆さんとともに教育の根本を定めたいと思うのでございます。従いまして私が変りましたところで、そう新しい構想を持っていこうなどという考えは持っておりません。これはきわめて概念的のことでございますけれども、御承知の通り教育基本法というものがあります。この基本法というあの考え方ははなはだりっぱなことであって、ひっきょうあれを忠実に、あれを基本として教育の方針をきめてやっていき、そして世界のどこへ行っても尊敬せらるる教養または良知良能を持つ国民を作る、こういうことに尽きるのでありまして、これを右に左に政治的の動揺を来たすというようなことは絶対に避けなくてはならない、こういうふうに考えておるわけでございまして、はなはだまだ雑駁なまとまらぬ考えでございますけれども、大本はそこに置いて考えたい、こういうふうに思うております。 それからただいまのいろいろ予算化されつつある問題でございますが、これは就任日が浅いものですから、私どもは深い特色を持つことをすることはなかなか困難だとは思いますが、前任大臣のときからすでに予算の要求をいたしておるいろいろのものがございます。すなわち老朽校舎、戦災にかかった校舎の復旧というようなものに対しては、これはぜひ相当に増額をして、できるならばこれらの今非常にくずれかかっておるような校舎は四年くらいの間に一新いたしたいというような考えをもって予算の折衝に努めたい、こういうふうに考えているわけでございます。 また科学の振興ということなんかも、これは一つ重点を置いてできる限りのことをいたしたいつもりで、日がありませんからその構想についても今研究をし、予算の要求もいたすつもりでおります。これがどういう結果になって予算の上に表われるかは、こういう際ですから予期しがたいものはありますけれども、私どもといたしましてはこれに全力を注ぎたいと考えております。 それから私学振興の経費でございますが、これはすでに所属の政党が公約いたしておることでもありまするし、また私学をよくするということは教育の上において非常に顕著な効果がありますので、これにも力を尽している次第であります。なお社会教育等につきましても同様の考えをもって予算の折衝をいたしております。 大体このような方針でただいまやっておる次第でございまして、どうかこれらのことを御了承下さいまして、一つ文政のあり方をきっぱりさしたいものと思います。簡単でございますけれども、ちょっと考えておることだけ申し上げました。
○佐藤委員長 次に質疑を許します。質疑はあらかじめ委員長に通告された順序によってこれを許します。三宅正一君。
○三宅委員 私も教育に関しましてはしろうとであります。しかしながら非常に熱情を持っておりまするので、二、三の点についてお伺いをいたしたいと思います。 第一は、松村文部大臣は新生活運動を御提唱になっておるようでありますから、新生活運動に関しまして、これは文部省の一つの企画としてお考えになっておるのであるか、あるいは内閣全体の企画としてのお考えであるか、そして一体どういう構想でどういうふうにおやりになるのであるか、大まかでけっこうでありますからまずこれを承わりたいと思います。
○松村国務大臣 お答えを申し上げます。この新生活運動というのは一つの世論のようになって参ってきており、必ずしも一党一派の問題ではございませんが、民主党におきましてもかねてその新生活運動について、委員会を設けて研究をいたしてほぼ成案を得るところまでになったのでございます。同時に文部省におきましても私の前任者が社会教育審議会へ諮問をしたのでございますが、それが今から一週間ほど前に答申書が出ております。河原春作君を委員長としてやっておるのでありますが、ついせわしいので、河原さんから詳細の説明を聞こうと思ってまだ聞いておりませんが、具体的の案が出ております。しかしながら別にこの新生活運動が大きく起りますならば、何も文部省で必ずしもやらなければならぬことはない、それと連絡いたしてやっていいことと考えているのでございます。しからば大きくやるといったらどういう形でやるかということが問題でございますが、そのやり方につきまして民主党の方面、政府の方面ともいろいろ協議をいたしましたが、これを政府が直接にやりますと、これは政府の機関のようになりまして、ちょうど翼賛会のような形ができてもなりません。また政党の看板でやりましても、これもまたよろしくないと考えまして、できれば政府なり文部省なりがお世話はいたしますけれども、民間の言論機関とかあらゆる機関の方々の間で新生活運動の組織ができて、それでやっていただいた方がほんとうに国をあげての運動となるのではなかろうかというふうに期待をいたしているのでございます。その方法もまだはっきりきまってはおりませんけれども、私どもはその形が最も好ましい、そうしてまじめな運動が始まりますならば、それらの費用は国の方で支出してやってもいいだろうというふうに考えているのでございます。
○三宅委員 そうしますと、この新生活運動というのはあなたの御発案ということでなしに、もともと文部省で河原君を委員長にして新生活運動の諮問をしておって、その答申が一つ出てきた。それと同時にあなたの民主党でも新生活運動に対する成案ができておる。これらを取り上げて一つ民間の運動として自主的にやらせるように持っていきたい、こういうお考えなんですね。 それでちょっと時間の関係もありましょうからなおお伺いしますが、そうするとこの重点は衣食住を改善するという運動なんですか、それとも何らかの精神運動というわけですか、どういう御構想なんでしょうか。
○松村国務大臣 これは衣食住の改善の問題もありますし、精神運動もあります。そうしてすでにそれらの改善をしようとするいろいろの会なり団体なりが御承知の通りございます。こういうばらばらのものもありますから、これらと結びついて、その効果を十分上げた方がよかろうというふうに考えておりまして、必ずしも一つにまとめてやりませんでも、連絡をとってやって、効果さえ上ればいいんじゃなかろうかという概念を持っております。従来のそういう新生活運動には何々をすべからずという消極的の面が非常に多うございましたが、これからの国民に希望を与えてやっていくのには相当に積極的に、進んでこうすべしという面を出すべきだと考えるのでございます。しかしそれらのことは、そういうできた団体の構想に待つべきものだと考えております。
○三宅委員 その問題については一つ今まで出ました委員会の答申案だとか、民主党で持っておられる成案だとか、現在方々で、たとえば食生活改善運動などもそういう一環と考えているわけでしょうが、そういうものについての資料を委員長から請求していただきたいと思います。 次にお尋ねいたしますが、文部省のやっております仕事の中におきまして非常に大きく評価しております運動は、学校給食の実施だと思います。一昨年の凶作の機会に、私は予算委員会におきまして、日本の食糧自給の大きな建前というものは、一つは脂肪、蛋白を食い足らなくて、含水炭素を食い過ぎておる偏食を是正することである。増産運動と同じウエートを持たせて、食い過ぎて栄養不良になっておる日本人の食生活を転換することがわが国の食生活、食糧自給の上において非常に大きな問題である、食生活改善運動などを単に精神運動としてやったって問題にならない。それの中核をなすものは何といっても学校給食である、学校給食はそれ自体子供の健康をよくするという意味においても意義があるけれども、それだけでなしに、また教育的な意味も非常にあるから、わが国の食糧自給をほんとうに実現するという見地に立ちまして、学校給食にもっと本格的な力を入れなければいけない。そのためには外米の輸入を減らして、足らない部分は外麦の輸入に切りかえる、そうしてそれによる差額をないものと考えて、学校給食にぶち込んで、学校給食を少くとも農村の中学校の全学童にまで及ぼす。それには脱脂粉乳ということでなしに、わが国の酪農が、生産して乳価の低落で困っておるところのなま乳を飲ませる。そうすればこれによって自然に農村における供出もふえてくるし、米麦に偏重しておる食生活も改善できるし、非常に大きな効果を及ぼすから、これを一つ本格的にやろうではないかという提案をいたしまして、たまたま政変等の事情がありましてこれがだめになったのでありますが、私は農政関係に識見を持たれた松村文部大臣がたまたま文教の府の責任者になられました機会におきまして、この問題だけはわれわれも協力いたしまして本格的なものにいたしたいと考えておるのであります。私もその点で大臣のお考えも承りたいのでありますが、委員長から今日までの学校給食の資料等につきましても請求を願いまして、この問題一つでもって委員会も何日かを費していただきまして、実際の視察等もやりまして、法的にも改める点は改めるが、同時に予算化も本格的にやってもらわなければならぬと思っておるのであります。たとえば私の構想を申し上げますならば、少くとも乳がだぶついておる地帯等におきましては、計画的に脱脂粉乳でなしになま乳を飲ませる、それについて国費でどれだけ負担し、そうして県もしくは町村がどれだけ負担をするかというような技術的な問題はありますけれども、わが国の農業を、こういう面から農業自体としても直すし、食生活も直すし、さらに学童の体位も非常によくするし、その上に食糧自給の態勢もできるという、一石何鳥という大きな政策の推進力として、私は学校給食はすでに相当の量と年月と経験を経まして、その発言権は強いものがあると思います。大臣は気づいておられるかどうか知らぬけれども、こういう問題にこそ本格的に力を入れられますることが新生活運動だと思います。説教をする新生活運動は、から回りして問題にならない。もし学校給食の問題を具体的に予算化しまして、全学童に及ぼし、そして定時制の高等学校の学童などは働きながら学んでおるのでありますから、これなどにもこれを及ぼすという方途がつきまするならば、わが国の乳牛を現在の倍にいたしましても、三倍にしても、私は消費源というものは開拓できると考えるのであります。こういう見地に立ちまして、私はこれだけは松村さんの在任中に本物に仕上げてもらいたいと考えるわけであります。従いまして、この現状だとか、弱点がどこにあるかとか、いろいろの点については、別の機会でもけっこうでありますから、事務当局からも承わりたいのでありますが、大局的には松村さんのお考えを承わっおきたいと存ずるものであります。
○松村国務大臣 大へん有意義なお話しを承わりまして、私も全然同感をいたしておるのでございます。先日も、この給食問題について事務当局から話しを承わりましたときにも、いわゆる食生活の考え方をこれに入れてやることがぜひ必要だと申しますと、事務の方でもやはりそういう考え方でやっておるようでございまして、この給食問題の中に食生活の改善を識り込むということは、お話しの通り大きな意味があろうと思います。牛乳ばかりというわけにはいかないかもしれませんけれども、蛋白質の給源などもよく考えましてやって行くということで、これはぜひやりたいものと思いますから、こちらでいろいろ御研究下さいますならば、非常に仕合せでございます。われわれも十分努力をいたしまして、御趣旨に沿うようにいたしたいと思います。参考資料も出すようにいたします。
○三宅委員 学校給食の問題は、ある意味においては日本の食糧革命の一つの原動力をなす、非常に評価の高い施設であり、運動であると私は思うのであります。そういう意味におきまして、今日学校給食なども、実際問題といたしますと、相当な成績を上げており、相当な熱意を持っておる学校も非常に多いのであります。先生の立場から行きますと、仕事はふえまして大へんですけれども、その意義の大きいことを実践過程において認識せられまして、非常な熱意をささげておられる諸君があるのであります。私はこの機会に言明を得ておきたいのでありますが、ただ賛成だというだけではなしに、ほんとうに具体的に進めなければ問題にならないと思います。現状におきましては、食糧管理特別会計におけるわずかな予算がそれにいっておるだけでありまして、それにしてはよく減らずにやっておると感心しておるようなわけであります。機構についても考えなければいけない。従いましてこの問題は、国の食糧政策、営農のやり方等とも関連し、農村地帯については酪農の振興に関係するし、さらに漁村については、大衆魚の消化についても関係をいたしますので、私は問題は非常に大きいと思うのであります。だから私も思いつきでありますけれども、この委員会でほんとうに研究してもらってけっこうですし、場合によったならば、私どもも志願して出ますから、特別な委員会のようなものを作りまして、これだけはほんとうに松村文政が残します一つの仕事として、これを推進していただきますことを私は希望申し上げておきます。 その次に質問をいたしたいことは、育英会に対しまして松村さんはどの程度の認識を持っておられて、どういうふうに発展をさせられるかということについてお伺いをいたしたいのであります。大日本育英会の創立に関しましては、松村さんも御承知でありましょうが、すでに実施十年の歳月を経まして、相当大きな成果を上げておるのであります。十数年前に、あなたの同僚でありまする永井柳太郎氏を教育振興議員連盟の委員長といたしまして、われわれ若い代議士が寄りまして、実は私自体が、生命保険の原理を取り入れました方策において案を作りまして、議員発案で出しましたものが、これが実を結びまして大日本育英会というものができたのであります。ただその後の模様を見ておりますると、これは国の運命と関係をいたしておるのでありますが、学生が全部アルバイトをしなければ出られないという状況になりましたので、優秀な学徒にして学費のない者に進学の機会を与えるという精神が——その精神は生きておるわけであるけれども、今日では学生全部がアルバイトをしなければならぬというような状態になりまして、二千円、三千円というわずかな金でありますが、ほんとうに貧困な家庭にして優秀な資質を持った者に出すという線からは、実は国全体が貧乏いたしましたのではずれておるのであります。これもこの機会に、松村文政の一つの推進といたしまして、もう十年の経験を経たわけでありまするので、もう一飛躍させる必要があると私は思っておるのであります。国全体として貧乏しておりまするが、現在何十万人に出しておるか、これも一つ事務当局から聞きたいし、それからその後の過程、問題点等の資料もあとからいただきたいと思うのでありますが、育英会につきましても、私の感じといたしますると、二千円や三千円の金を大ぜいの学生にばらまきますることも、現状におきましては非常に必要であります。それはそれでできるだけ拡充いたしまするけれども、ほんとうに貧困な家庭の者に対しまして、たとえば一小学校、一中学校の単位において一人ぐらいずつはほんとうに初めから目星をつけて、これを育英会が全額を出してやって養成するというような、ほんとうの育英的な意味の仕事にももう一幅広げてはどうかと考えるのであります。私どもがこれを給費でなく貸費の形に考えましたのは、国の財政が何といったって貧乏であり、その貧乏なときに大ぜいの学生に国が金を給費するということになっては限度がきまっている。従って大体二十五年の単位において返させる。死んでしまう者もあるでしょうし、よう払わない者もあるけれども、感謝返金というような制度も作っておいて、そうして出たために非常な成功をして何億円の寄付をする者もある、こういう線を生かさなければいかぬ、それから香奠返しなども、単に社会事業に出すということでなしに、育英会などに寄付するという制度を考えなければいかぬということで、実は私みずからも、何十年か前に、自分の家内が死にましたあとで、わずかな金でありますけれども、香奠返しに育英会に寄付したことを記憶しておりまするけれども、そういう線で毎年国が何億円かの金を出す、二十五年でその金が戻ってくる、それらを固めておいて、しまいに数百億の金がその財団で動くようにする。こういう構想が初めの構想でしたけれども、それが大蔵省などの意見でゆがめられておりますが、私はこの機会に、スケールをもう二幅ぐらい広げることのできるように育英会の制度を持っていってもらいたいと考えておるわけであります。これについても、一つこの委員会等で何日かをさきまして、実際の国政調査的な調査もやりまして、さらに必要があったら委員会等を作られて、学校給食の問題と育英会の拡充の問題だけは本格的に取り組んでいただきたいということを、私は初めに希望いたしておきたいと存ずるのであります。これについても大臣の御所見と御決意を承わりたいと存じます。
○松村国務大臣 育英会の最初の発端のことは三宅さんあたりが非常に御尽力のありましたことは、私もそのときにおりまして承知をし、今も育英会については特別の関心を持っておるわけでございます。事務の方から詳しく説明をさせますが、ことしはあまり額が低いものですから、これを一つ上げてもらうということで、前から折衝をしておられるのだそうでございます。何分予算の時期が迫って参ったものだから、新しい工夫はちょっとつきかねますけれども、もしも委員会等で御研究を下さいますならば、これは非常にけっこうなことと私も考えておりまして、できるだけ早い機会にそういう運びになりますれば幸いだと思いますが、役所といたしましてもできるだけ努力いたしますでございます。詳しいことは事務の方から説明いたさせます。
○稲田政府委員 ただいま大臣の説明されたことを多少補足して申し上げたいと存じております。現在育英会の奨学金の貸付を受けております学生の数はおおよそ二十万人でございます。現在の学生の経済状況からいたしまして、毎年育英会に関します費用は、ある年は単価を上げ、ある年は人数を増すというふうに充実して参っておりますけれども、まだ十分でないのでございます。先ほどお話がありましたように、貸付の要件といたしましては、どこまでも優秀な学徒であるということ、同時にまた経済的な必要のあるということでありまして、そのうちにも特に優秀なものに対してよけいこの点を考慮するというような方針を先年来からつけ加えております。すなわち一般の学生に対する分と、そのうち特に優秀なものに対する分と二段階に考えておるわけでございます。明年度の予算につきましても、ただいま大臣からもお話がありましたように、さらに単価の増額その他の点についても御考慮願いたいと今努力いたしております。
○三宅委員 私は大局的なことで大臣に申し上げますが、育英会の予算にいたしましても、国費でとれる限度というものは、大臣が幾らがんばられても、一兆円の予算のワクがございますから、ある限度があると思うのでございます。従いまして、もう十年の実績を経ておりますから、回収率が一体どれくらいであるか、ロスがどれくらいであるかということはわかっておると思うのであります。従いまして、今やっておるやつを予算の許す範囲で拡充いたしますと同時に、生命保険などの金を融資させまして、そうして損失補償を国において考える。そうしますと、私の見当ではかりに二十五年の年賦といたしまして、利子補給をやりますれば、損失補償をやりまして——事務費の関係はもうすでに機構としてできておりますから、それに多くふやす必要はないと考えております。従いまして、たとえば十億の損失補償と利子補給を国が決心をいたしますれば、百億の金を回すことはむずかしいことはないと考えるのであります。その辺は実際に一ぺん数字について当らなければなりませんけれども、今日文部省のやっておる仕事の中で、ほんとうに学生の喜んでおる仕事は私はこういうものだと思いますから、そういう線を一つ入れまして、かりに一年に百億生命保険関係等から回させる、それの利子補給と損失補償だけを国が考える、そうしてさらに新生活運動の一環といたしまして、感謝返金の制度などをほんとうに考える。香奠返しなどについても、変なことに使わずに、こういうところへ集中的に持ってくるというような線を本格的に考えまするならば、これにはたれも反対はない、非常にいい組織だから拡充しようという、それこそ超党派的にみな賛成の組織でありますので、そういう点で少し頭を使われましたならば、今の何倍かに飛躍させることはそうむずかしいことじゃないと考えておるのであります。これは私の考えでございまするけれども、もう一ぺん大臣のこれについての御意見を承わり、御決意を承わっておきたいと存じます。
○松村国務大臣 今の損失補償のお考えなどは一つの方法であろうと思いますので、よく研究をいたしますでございます。
○大西委員 大臣に聞いておきたいのですが、まず教科書の問題です。教科書を検定するということは民主党が選挙に際して公約されたことなのでありますが、検定するというだけで、どういう方向へ検定するかということは何も掲げていなかったのであります。ところが選挙最中に民主党の諸君がその内容をやや具体的に発表されております。またその後も民主党の教科書に対する一つの構想なるものが新聞にも発表されたように私は見ておるのでありますが、大臣はこの教科書の検定制度について根本的にどういうように考えておられるか、この点をまずお聞きしたいと思います。
○松村国務大臣 いろいろの意見のあることは私も承知いたしております。ことに今日のように非常に多い教科書が出ておりますると、その間に非常なむだのありますことは御承知の通り、そうしてそのためにいろいろの雑費がかかる、その雑費が教科書の値段に及ぼすというようなこともありましょうししますので、何かこれを改正する、妥当な案があれば改正いたした方がよいと私は考えております。転学しても教科書がまた違う、兄弟でも年々違った教科書を買わなくてはならぬというような不便もあって、もしもいい案があればこれは直した方がよろしい、こういうふうに考えます。ただしかしその直し方でございますが教科書が国編になる、国営になるというような傾向は厳に戒めなくてはなりません。そういうことでなくして、適当にいい教科書を安く供給する方法がありますならば、これは検討をしてよろしきように直した方がいいと考えます。実はこれについては日がまだございませんので、詳しく研究して、こうすればいいという案はまだ持っておりません。事務の方にもまだそれを命じてもおりませんけれども、考え方としては今申すような考えを持っておることを申し上げておきます。
○大西委員 それでは大臣は今の教科書制度に対する検定の問題点は、大体数が多い、そこにむだがある、費用がかさんで父兄の負担が重い、これが一番懸念されておるところだと思いますが、そう解してよろしゅうございますか。
○松村国務大臣 さよう御解釈くださいましてけっこうだと思います。
○大西委員 それにつきまして、そういうふうな父兄の負担を軽減するという抜本的な策といたしまして、ヨーロツパの進んだ国々ではずっと前から採用いたしておりますところの、教科書を義務教育の生徒に対して国の費用で無償で配付する、こういう方法を実施してはどうかと思うのでありますが、大臣はこういう考え方についていかなる考えを持っておられますか。
○松村国務大臣 私も理想としてはさように考えます。しかしながらその問題と教科書編纂の問題とはまた別だと考えるのでございます。教科書を現在のままの形にしておいて、それを国費で支給するということではむだがとれません。国費でもむだをはぶくことはもちろん必要でございます。それとこの教科書の乱立したのをどうするかということとは別に考えるべきことだと思っております。
○大西委員 それでは教科書の数が多いからコストが高くなって父兄の負担が多い、こういう方面に問題をしぼって質問いたしますが、なるほど常識的に考えますと、今九十何社の出版会社がこぞってそれぞれの教科書を出しておる、だからここにむだがある、こういうことは常識的に考えられまするが、そういうこととは別に教科書の値段を下げる方法が私はあると思う。たとえば教科書の値段の三五%を占めるものは紙なのです。従いまして紙の値段を下げる、すなわち政府が教科書に使う紙に対して補給金を出して安く提供する。あるいはまた教科書出版会社は非常に金詰まりで困って、そうして高い金利を払って一般の市中銀行から金を借りる、これが結局教科書の値段を高く引き上げておる。あるいはまた輸送費の問題でありますが、一般の新聞、雑誌に対しては特別な割引制度が実施されております。ところが教科書に対してはそういう措置が講じられておりません。極端な話をすれば、エロ雑誌よりも教科書の輸送費の方が高いというような現状なのです。これを新聞雑誌並みに引き下げるということにおいても教科書の値段は下げることができるのです。こういうことは具体的な手近な問題なので、やろうと思えばできることなのです。こういうことをやって教科書の値段を下げるということの方がもっと手っとり早いと思うのです。今のように出版会社が多過ぎる、だからこれを整理するのだ、こう言われると——あなたの方の民主党のある人の意見を聞きますと、一種ないし三種に限定してしまうということを言っておられるのでありますが、もしこういうことを考えておられるといたしますれば、これはあまりにも便宜主義のために、悪くすると検定教科書制度の本質を弱めてしまうものだと私は考える、ここは非常に重大な問題であります。なるほど全国で国定一本にすれば、転校の際にも非常にぐあいがいいでしょう。また兄貴のものを弟が使うということもできるかもしれません。しかしそういう便宜主義のために新教育の骨髄であるところの検定教科書制度——たくさんのいろいろな特色を持った教科書の中から現場の先生が、その地域に合った、その子供の個性に合った、自分の教育方針に沿ったところの教科書を選ぶという、こういう検定制度のよさが、ささたる便宜主義のために曲げられてしまうというおそれがありますから、私はむしろそういうことよりも、私が今申し上げましたような手近にできる処置を講じて、そして教科書の値段を引き下げることにおいて安い教科書を父兄に提供することが最も得策なりと考えますが、いかがでありますか。
○松村国務大臣 お話でございますが、一面国が費用を出して紙を補助するとかなんとかいうことも、安くする一つの方法でございましょうが、それとむだを排除するということとはまた別でございます。そのために今日のような非常なむだのできておる形は、国が補助をしてそれで維持していかなければならぬということは私はないと思う。むだの排除はむだの排除として考うべきことで、また国が補助することは国が考えてよろしいでしょう。ただ問題は、おしまいにお話のありました教科書が非常に窮屈な制約を受けて編纂されるということはよくないことと思いますから、そこでそのむだを排除して、そしてなおそういう窮屈な制約を受けない機構が何かできますればこれに越したことはなかろうとこう私は考えますので、そういう意味において一つ大いに検討をいたしてみたい、こういうふうに申し上げるわけでございます。
○大西委員 大臣に聞きますが、問題が少し小さくなりますが、教科書が高いとおっしやるけれども、教科書の値段はだれがきめるのですか。
○緒方政府委員 教科書の定価は認可制になっておりまして、文部大臣の認可になっております。これは最高価格を押えておりまして、その範囲内において認定をすることにいたしております。
○大西委員 ですから文部省が最高の価格を押えておるのです。そこで雑駁な言葉でありますが、基準を押えてそれ以下だったらいいのですから、文部省が値段をきめておるということも言い得るのです。ですから私がここで大臣に申し上げたいのは、むだが多いから教科書の値段が高いと言われるのであれば、まずこの基準を下げてやることが政治的に打つ手なんです。この基準を高く上げておいて、政府がみずから基準を示しておいて、そして教科書の値段が高いから高いからと言われたってこれは矛盾もはなはだしいのです。そこでもしここで教科書の値段を安くすると言われるなれば、大臣はこの基準を引下げる意思があるのですかどうですか。
○松村国務大臣 先刻申し上げました通り、すべてをこれから研究いたしたい、こういうふうに申し上げるのですから、その研究の中にはそういうこともまた含まれることと思います。
○大西委員 大臣はこの方面にはしろうとだと言うていろいろ言っておられますから、今後研究されることに私は期待をいたします。軽挙妄動されては困るのであります。この点は大臣もたびたび新聞にも発表されておりますので、私は大臣には信頼を持ちます。この文教というようなむしろ教育の中立性ということで貫かれなければならない問題を、政府が変ったからといい、大臣が変ったからといって、これまでの検定制度をすぐに国定にかえるとか、いろいろなことをやられては、もう日本の教育の破壊だと思います。特に新教育の骨髄である教科書の問題、これは単なる子供の教育の問題ではありません。国の思想の根底をつちかう問題でありますから、こういう問題に対しましては一つ特に慎重に願って、ただ父兄の負担が重いとかあるいは不便だとか、そういう便宜的な末梢的なことでもって直ちに今あるところの検定制度を改廃するようなことなく、そういうことについては十分研究をしていただいてからお願いをしたいと私は思うのであります。 ところがまことに遺憾なことは、大臣の所属しておるところの与党の文教の担当者が、一昨日私はラジオにおきまして討論会をやったのでありますが、明らかに内容は国定である、あるいは国定の一歩の段階であるようなことを公然と、これは党の決定だということで放送しておるのです。この点につきましても大臣の追及をいたしたいのでありますが、これ以上はきょうは申しませんが、こういうことは一つ党内におきましても十分検討してから発表していただきたい、こういうことをお願いいたしておきます。 それから簡単に私はこの際お伺いしておきますが、教育委員会の制度でございます。特に地方教育委員会の制度につきまして今非常に問題が各地に起きておるのであります。まず市町村の教育委員会をどうするかというような問題について、これも今後検討するといわれるかもしれませんが、大体その方向ぐらいは大臣の考えを申し述べていただきたい。これは教科書の問題よりももっと大きな問題であるとも考えますので、その点をお尋ねいたします。
○松村国務大臣 お話通りで、教育委員会の問題はきわめて重大だと心得ております。従いまして、これをどうするかということにつきましては、私まだここで申し上げる定見を持っておりません。いましばらくかすに時日をもってしていただきたいと存じます。
○大西委員 年末の異動期に際しまして、市町村の教育委員会が人事権を持っておりまする関係上、人事の交流の面において非常に渋滞している面がございますが、こういう問題は大臣はお聞きになりませんでしたか。あなたのお子さんあるいはお孫さん方が学校にも行っておられるかと思いますが、こういう面について何かお気づきになったことはございませんか。
○松村国務大臣 私の子供や孫からは聞きませんけれども、世間からはやはりそういう弊のあることは承わっております。ただしかし何と申しましても今は異動の決定がほとんどできたころだと思っております。今直ちの間に合いませんので、一つそれらのことも考慮に入れてよく研究をいたしたいと思います。
○大西委員 それでは私からお伺いいたしますが、市町村長並びに市町村議会並びに知事などから、地方教育委員会廃止の猛烈なる陳情が出ておりますが、これに対して大臣並びに大臣の所属しておられる民主党としてはどういうふうにお答えになりましたか。
○松村国務大臣 その陳情等はもちろん承わっておりますが、ただいまお答え申す通りに、こういうことでそれがいいとか悪いとかいうことは、政府として言明はまだいたしておりません。それを御了承願いたいと思います。
○大西委員 それではこの問題はもう少し時間をかして、そうして大臣も一つ研究していただきたい。あまり意地の悪い質問であっても悪いですから、私はきょうはこの辺で一応やめておきます。大臣に期待しておりますから、どうぞよろしくお願いしたいと思っております。以上であります。 —————————————
○佐藤委員長 なお質疑の通告もありますが、松村文部大臣は大蔵委員会に前々から呼ばれておりますので、大臣に対する質疑は次会に譲り、昭和三十年度文部省関係予算について説明を聴取いたします。内藤説明員。 〔「資料がない」と呼ぶ者あり〕
○内藤説明員 ただいま資料の点につきましては大蔵当局と折衝しておりますので、ここに持ち合せておりませんのでたいへん申しわけないのですが、この点はお許しを願いたいと思います。 昭和三十年度の文教予算の大体の骨格について申し上げたいと思います。これもただいま折衝の過程にございますので、大体の見通しを申し上げさせていただきたいと思います。
○野原委員 今内藤課長から御発言中でございますけれども、昭和三十年度の文部省の要求する予算については、当文部委員会としては大きな関心があるわけです。従ってあなた方がこういう立場で要求するというような御説明を聞いただけでは、私どもとしては了解ができません。三十一日に文部委員会を開きますので、ただいま資料が出せないならば三十一日までに十分なる資料をお出し下さって、その上で御説明を承わりたい、このように思います。委員長においてお諮りを願いたい。
○佐藤委員長 ちょっと速記をとめてください。 〔速記中止〕
○佐藤委員長 速記を始めて。 本日はこれにて散会いたします。次会は公報をもってお知らせします。 午後三時三十一分散会