P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
22回国会衆議院1955/06/02

農林水産委員会 第20号

発言数
63
登壇者
3
会派数
3
開催日
1955/06/02

会議録

綱島正興自由党

○綱島委員長 これより会議を開きます。  前会に引き続き一般事項に関し、農林大臣に対する質疑を開始いたします。質疑の通告者にこれを許します。芳賀貢君。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員 私は農林大臣にお尋ねいたします。昨日の委員会において、同僚の中村委員から今年度の集荷制度の問題に対しましていろいろ質疑があったわけでありますが、これに対して農林大臣の明快なる御答弁というものは聞くことができなかったのであります。私はさらにこの点に対して確めておきたいのであります。今回政府が意図されておるところのいわゆる予約集荷制度というもの、これは食管制度の一つの改正である、そういうお気持をもってやられるかどうか、その点をまずお尋ねしておきます。

河野一郎日本民主党農林大臣

○河野国務大臣 お尋ねでございますが、御承知の通り、従来の割当供出制度がすでに実情に適さないような事態になっておりますので、これを改善いたしたいという考えで、取り計っておるのでございます。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員 そういたしますと、制度の改正であるというふうにお認めになっておるのですか。

河野一郎日本民主党農林大臣

○河野国務大臣 申し上げますように、制度の改善でございます。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員 改善ということは、今までよりもよくするという意味の改善ですか、制度を改めるというのですか、どちらですか。

河野一郎日本民主党農林大臣

○河野国務大臣 申し上げました通りに、戦争中から占領後の、食糧の非常に窮屈な時代に国家の権力をもってやりましたものを、実情に即するように改善をして参りたいという考えであります。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員 改善なさる場合の根拠ですが、農林大臣は、食管法を現行のままにして置く、法律をそのままにして置いて制度を改善するということは、どこに根拠を持ってやられますか。特に今言われたように、これは戦時中の法律の遺物なんです。総動員法に準ずる法律が現在残っておるのです。ですから、そういうものが現存している中において、どの点を改善するというのですか。

河野一郎日本民主党農林大臣

○河野国務大臣 政府の集荷いたしまする部面において改善をして参りたい。お話の点でございますが、昨日も申し上げました通り、機構の改革をいたしますのに、食糧のような重要なものでありますから、これを抜本的に改革をするというようなことにつきましてはいろいろ危険もございますので、漸を追うていく必要があろうというような考えから、こういう措置をとるわけでございます。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員 どうも明確でないのですが……。そうすると、お答えはこうですか。食管制度は今のままにして置くけれども、やり方を幾分改善したい、こういうことですか。制度はそのままにして置いて、やり方を少し改善したい、そういうお考えですか。

河野一郎日本民主党農林大臣

○河野国務大臣 運用の面において改善して参りたい、こういうことです。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員 そういたしますと、大臣にお尋ねしますが、農林大臣は、現在の集荷制度を知事の公選制度というものと関連して考えられたことがありますか。

河野一郎日本民主党農林大臣

○河野国務大臣 それも考えのうちに入れました。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員 考えのうちではなくて、現在までの食管制度のもとにおける運営と、知事の公選という問題をあわせてお考えになったことがあるか、しかもそれを何らかの機会に外部に表明されたことがありますかということを私は尋ねておる。

河野一郎日本民主党農林大臣

○河野国務大臣 ちょっと記憶がありません。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員 では、私から記憶を喚起さしてあげたいと思います。第十九国会において河野農林大臣は、予算委員会においてこういうことを言っている。これは時の吉田総理大臣に対するあなたの質疑の一節なんです。「総理が先般九州で、知事の民選はよろしくないということをおっしゃった。これには私は大賛成であります。」ですから、知事の公選にはあなたは反対して、官選賛成論者だということをここで表明されている。「現在の食糧管理制度を持続する限りにおいては、知事の公選では絶対にいけません。知事の公選を支持されるならば、食糧管理制度は放擲されなければいけない。この両者択一でなければ運営できません。」と言ってあなたは吉田総理に質問している。明らかにあなたは言っておるのですね。しかも今日農林大臣に就任されて、先般知事の公選が行われておる。知事の公選を認めながら、あなたは現在の食管制度をそのまま認めていくという態度をとっている。だからあなた自身の中に大きな矛盾があるのです。ですからこの点に対してどういうお考えをもって——現在の食管制度をかえないで一部を改善したいという、そういう意見の根拠はどこにあるかということを明らかにしていただきたい。

河野一郎日本民主党農林大臣

○河野国務大臣 従来知事にその中心を置きまして集荷をして参った点につきまして、知事を公選する制度下におきましては、なるべく割当を少くするというような実情があったように私は考えます。でありますからそういうことを申したと私は思うのであります。従って、現在でもその思想は持っております。でございますから、私としましては、知事に集荷割当の主体を置きませんで……。またそれもむろん一つの理由でございます。先般来申し上げますように、農民の自発的な協力によってやっていくということで行く方がよかろうというふうに考えて改善をしようというのであります。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員 ただいまの御答弁によれは、知事に対して、地方公共団体に対して、集荷面におけるいわゆる行政面の協力、これを遮断するというような考え方の上に立って集荷業者に対して重大な仕事をやらせる、そういう根拠に立っておるわけですか。

河野一郎日本民主党農林大臣

○河野国務大臣 私は、遮断とは考えません。今までのような主体を知事に置いてやることを、農業団体に主体を置いて、知事の方を協力態勢に持っていく、こういうかっこうであります。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員 そうなりますと、現在の集荷業者といっても、それはほとんど農業協同組合をさしていると思うわけです。そういたしますと、今日の農業協同組合は、はたして戦時中の農業会のごとく、政府の行政面の末端協力機関としての性格を持っているかどうかというところに根本的な問題があると思いますが、これに対して農林大臣はどういう考えを持っておりますか。

河野一郎日本民主党農林大臣

○河野国務大臣 協同組合は、申し上げるまでもなく農家の経済について、共同体において十分効果をあげていくことが本来の使命と私は考えますので、米を共同で集荷し、これを共同して販売するということは協同組合の主たる任務であろう、業務であろう、またそうあるように指導することが妥当であると考えます。農民諸君の自発的な意図に基いて、協同組合の十二分な活動によってこの目的が達成されるということが私は当然のことだと思うのであります。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員 大臣、そうではないのです。今まで地方公共団体のいわゆる知事等にやらしておった仕事を、そこから剥奪して、集荷業者に権限を与えたいというのがあなたの考え方の一つなんです。そういう場合に、今日の農業協同組合というものは、行政面の協力機関的な性格というものを備えておらない。もちろん協同組合の組合員であるところの生産者が生産した農産物等を、農民の立場に立って有利に販売するということ、これが協同組合の持っている本来の使命なんです。それと、今日の予約集荷制度を行おうとするところの、これを集荷業者として協同組合等にやらせようとする意図というものとは非常に懸隔がある。そういう点をいかに考えて今後法的な根拠の上に立って行おうとするかということを、もう少し明らかにする必要があると思う。

河野一郎日本民主党農林大臣

○河野国務大臣 地方長官の権利を剥奪するということじゃないのでございまして、この割当をするということは権利でも何でもないと私は思う。また今まで地方長官に協力していただいたものを今度は農民自身の自発的な意図に基いて協力を願う。また協同組合本来の使命は、農作物を共同してこれを処理するということが本来の使命と私は考えますので、この方途でいくことが妥当であると考えておるわけであります。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員 ただいまのお考えを発展させていくと、現在の食管法の第三条第一項を生かしたままにおいて、農民の自主的な意思によってこの問題を処理しようということは非常に困難なことだ、自主的にというのは今後どこで生かそうというのですか。政府以外に米麦を売り渡してはならぬという命令や規定を現存させておいて、農民の自主的意思によってこの予約買付制度をやるというが、一体自主性を今後どこで生かすのです。

河野一郎日本民主党農林大臣

○河野国務大臣 私は今日の時勢から考えまして、農民自身の御自覚によりまして御協力を願うということは、農民自身の御自覚がそこにいくことに——従来の供出割当制度を予約売り渡し制度に変えるということは、私はおそらく農民各位は御異存はなかろう。これは独断が過ぎるかもしれませんが、私はそういうふうに考えるのであります。ただ問題は、たびたびお話のありましたようにその条件が問題になってくる。この条件については、政府においても万全を期してその期待に沿うように努めていかなければならない。この両者の努力によって従来の強権的な供出割当制度は改善できるというふうな考えに立ってこの処置をやりたいと考えたわけでございます。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員 そういたしますと、今度の制度の中においては、両当事者間において契約を行うことになるわけですね。それは政府と生産者の相互の間において事前に契約を結ぶということになる。そういう場合において中に介入するいわゆる集荷業者というものは、どういうような権能を持ってこれにタッチするのか。

河野一郎日本民主党農林大臣

○河野国務大臣 法律関係でございますから政府委員をして答弁をさせます。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員 私は政府委員に尋ねているのじゃない。こういう重大な集荷制度を根本的に改正するような意図に基いて行われる事柄を、農林大臣がわからぬでやっているということはないのです。基本的な点を明らかにしなければ——きのうも中村君の質問の一番大事な点に対しては、あなたは何ら答えることができない。法律のことを知らないで何をやるのです。あなたは何に基いてやるのです。思いつきか何かでやるのですか。その点はどうなんです。

河野一郎日本民主党農林大臣

○河野国務大臣 要綱については、むろん私は自分で指図いたします。しかし、法律上の用語でありますとか、あるいは法律上の取扱いとかいうことは、これは便宜正確を期する意味において、政府委員から御答弁申し上げた方が明瞭だろうというので、私にかわって答弁をいたさせていただきたい、こうお願いするのであります。そういうわけでございまして、法律上の取扱い、法制上のことは、これは便宜一つ政府委員でお許しをいただきたいと思います。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員 私の尋ねておるのは、それほど専門的なことではないのです。事前売り渡しの申し込みをする場合においては、その契約というのは、これは政府と生産者の当事者間において、締結される契約なんです。その場合集荷業者が介入するという法律的な根拠をどこに求めておるかということを聞いておるのです。これは大体常識でわかるのじゃないですか。

河野一郎日本民主党農林大臣

○河野国務大臣 法律上どうなるかということは、今申しますように私が申し上げてかえって誤解を招くといけませんから、もし政府委員が答えましたことで、その上で御疑問がありましたり、御質問がありましたら私が答えます。一応明確を期する意味において法律上のことは政府委員からお答えさせたい、こうお願い申し上げておるわけであります。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員 時間がないので、大臣にわからぬ点はわからぬでいいです。次にお尋ねしたい点は、農民の自主性の上に立って今度の事前申し込み制度をやるわけでありますが、そうしますと生産者のになうところの義務、これはあくまでも政府と生産者の間において契約が結ばれた数量、何俵政府に売り渡すという契約は、生産者にとっては政府に対する義務だと思う。ですからその義務を果して出荷を完了した場合においては、あとの拘束は受けないというふうに解釈していいと思う。そうでなければ自立性の尊重というのはあり得ない、ところが食管法の第三条第一項が生きておる限り、そういうことにはならないのです。予約契約した分だけ出して、あとはそれで解放されたということには全然ならない。そういう場合には全く自主性はどこにも生きておらないということを私は繰り返し指摘しておるのです。そういう点を大臣は疑問に思ってないのですか。改善々々と言っておるけれども、どの辺が一体改善になっておるのであるか。

河野一郎日本民主党農林大臣

○河野国務大臣 これはただいまお話のありました通りに、三条の一項によっては抹消しておるわけではございませんので、先般来政府委員からもお答えいたしましたように、一応相互の意思によって契約する。これは割当制度の当時の割当数量と同じようにするわけであります。そういうことでありますから、あと余ったものはどうするか。これはやはり従来で申せば超過供出をしていただいたというような意味で、さらに余分ができれば、それは政府の方へ売っていただくということであります。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員 ただいま農林大臣は、今までの割当制度と同じようなものであると言われたのですが、それはどうなんですか。

河野一郎日本民主党農林大臣

○河野国務大臣 割当制度で今までやっておったようなことが、今度は予約にかわるのでございまして、明確に申しますと、予約によって完了したあとのものはどうするかというと従来で申せば超過供出の形で出たように、今後はそれ以上のものはまた政府に売っていただくということになる、こういうふうにお答えしたわけであります。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員 前の割当制度が予約に変ったということになると、予約数量を割り当てるのですか、予約数量を割り当てて、そうして契約させて、それがいわゆる事前申し込み売り渡しということになるのですか。だれだれが何俵予約せいという指示を与えるのですか。

河野一郎日本民主党農林大臣

○河野国務大臣 割当はいたしません。大体従来の実績がありますから、それによってこの程度の耕作者であり、この程度の家族であればこの程度のものは平年作の場合には政府に売っていただくことができるだろうというようなことで、それで契約願うようにこれは団体に御協力を願う、こういうことです。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員 それは結局事前割当のようなものじゃないですか。もちろん食管法の第一条には食糧の確保ということがうたってある。ですから一定数量の確保は国の責任において考えなければならないのですが、予約の数量を割り当てる。それに自主的に判を押させて契約させるということなのですね。

河野一郎日本民主党農林大臣

○河野国務大臣 個人々々にあなたの家では幾ら出しなさいというふうに割り当てたのを、今度は政府としてはこの程度のものを要望いたしますということで、団体の側に御協力願う、こういうことでございまして、これは初めから申し上げますように、理解と納得の上に立ってやっていくのだ。それを団体の力によって協力を願って、そこに国家と一体になってやっていって所期の目的を達成するということでございます。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員 そういう重大な数量の指示をして契約させるという行為を集荷業者にやらすというわけですね。さっき私が指摘したように、農業協同組合というものは農民の立場に立っていることはわかりますけれども、政府の側の立場に立って、農民に対して政府の意図している数量を押しつけたり、契約をしいるという行為は、これは協同組合として絶対にできないのです。それをどういう法的な根拠に基いて、協同組合の自主性を全く失わせるようなことをあえてやらせようとするのですか。

河野一郎日本民主党農林大臣

○河野国務大臣 そういうことは考えておりません。自主的な協同組合の御協力がなければ、この制度はできぬのであります。従いまして、われわれの方から協同組合という組織に対して、これだけのものは集めてきてほしいというような命令的なことをしようとは考えておりません。従いまして、協同組合はそれぞれ中央、地方、単協すべて合議の上で所期の目的を逹成するようにしていただくということであります。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員 その点が一番あいまいなのです。農民の知ろうとするのはその点なのです。しかも集荷業者は何ら明確な基礎の上に立つ行為ができないような状態に今置かれているのです。ですからこれは失敗した場合をあなた方は予測しているのです。これは成功しないだろうということを予見して、その結果をすべて協同組合、いわゆる農民に転嫁させるというのは非常にずるい考え方なのです。ですから知事を官選にしない限り知事にそういう仕事をまかすことはできないという反動的なお考えの上に立って、今この問題が考えられているのです。きのうの食糧庁長官のお答えによると、食管法の一条、三条の範疇の中において命令というものは出すのだ、しかもその命令の定めるところというのは、政府と生産者の間において締結した契約がその義務になるということをはっきり言っているわけです。ですから生産者自身がこれだけ契約しますという自主的に契約者が示した数量というものは、今後政府に売り渡す契約上の義務になるわけでしょう。そういう場合に政府がお考えになっている期待した数量と符号しない場合がままある。そういう場合にはどうなさるのですか、大きなズレがあった場合においては。それでもやむを得ないでしょう。

河野一郎日本民主党農林大臣

○河野国務大臣 従来といえども予定が予定通りになかなかいきにくかったのでございます。だからそこは努力によってこれを実現していくより仕方がない。でございますから、今後は協同組合諸君の一そうの御努力に期待する点が多い。政府といえどもこの御努力に対して十分なる努力をする、こういうことでございます。ただお考えいただきたいと思いますことは、今までの制度に農民が非常に愛着を持っておられて、今度の制度に変ることは非常に因るという御意見があるならば、一部の人がこういう方がよろしいと言っても、そういうことをあえて考えようとは思いません。思いませんけれども、今までの制度は今何とか変えなければいかぬということは、天下の輿論だと思いますから、これを何らかの方法に変えなければいけないというので、各方面で前内閣以来非常に御研究があり、それを引き続き私もまたいろいろ研究いたしました結果、さしあたり当面としてはこれが一番最善の方法であるという結論に達しましたので、実はこの方法を選んでいるのであります。でございますから、今御指摘のようにいろいろの点で御議論もありましょうし、まだ農家の諸君にも御不審の点があるかもしれませんが、これらについては、われわれとしましても最善の努力をいたしまして、所期の目的を達成して参るようにして参らなければならぬと思うのであります。でありますから三条一項によって前の制度と今度の制度ということでいろいろ御議論のあることは、むろんこれだけのふうに改善をして参ろうというのでありますから、当然のことと考えますけれども、結局お互いの努力によってこの目的を十分理解、納得して、所期の目的を達成するようにしていかなければならぬのじゃないか。ただたびたびお話にありますようにこれが初めから失敗することがわかっている、失敗したらばその次に自分で打とうとすることをきめておってやっているのだろう、しかもその責任は自分で負わぬで、顧みて他を言うつもりだろうというようなことは、これは私の不徳のいたすところであえて弁明をいたしませんが、私は決してそういうことを考えておりません。従ってこの制度で絶対に目的を達成するように努力をいたしますとともに、少くとも当分はこの制度でやって参ることが妥当である、こう考えているわけであります。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員 大臣の御議論を聞いていると、ある場合には今までの制度がよくないから改善しなければならぬということをまま言っているわけです。私が明らかにしようとすると、いや制度は改正しない、一部改善をするのだということを言っている。農民の一番重大問題としている点は制度上の問題ではない。もちろん目的は米を作って自分の必要な飯米や種を残したあとは販売することを目的にしてやっているんですよ。ですから納得のいく米価で国が買い上げてくれさえすれば、何も事前割当であろうと供出割当であろうとあるいは予約制度であろうと、とにかく納得のいく値段でそれが処分できれば一番満足な結果になる。今度の制度にしても、去年よりも安い米価をきめてそうして予約制度がいいとか悪いとかいうけれども、制度上の問題じゃない、低米価自体がいけないというところに問題がある。ですから昨年の義務供出の場合よりも米価を引き下げて予約制度が成功するというようなことは絶対に考えられない。それで農民の協力を求めるなんということはできないのです。協同組合の協力を求めると言ったって協同組合それ自身が農民なんです。協同組合協同組合とあなたは言いますけれども、協同組合は農民によって構成されているのですから、農民の利益に反するような行為は協同組合はやれないのです。そういうなれないものに無理な仕事を預けようとするのが今の予約集荷制度のねらいなんです。そういう点はやはり法律の改正等をやるか、食管法と匹敵するような特別措置を何か設けるかということにしなければ、なかなか今政府が考えているような集荷制度というものは実行に移せないというのが一般の意見なんです。それを当局は、食管法はそのままにして、そうして命令というものは法律の範囲内でやるから心配ないということを繰り返して言っているけれども、これはそういうことにはならない。こういう点をもう少し明らかに、もう時期も迫っているので、一般の生産者に明確にする必要があると思う。そういう点はどういうふうに考えているか。

河野一郎日本民主党農林大臣

○河野国務大臣 私も米価の決定については最善の努力をいたさなければいかぬ、またいたす所存でございますということをたびたび申し上げているのであります。ただ今お話のように、協同組合だけ幾ら努力しようと言ったってだめじゃないか、それはその通り私は考えております。でありますから、農民諸君の御自覚と協同組合の協力の上に立って、政府も最善の努力をして、これが所期の目的を達成することになるだろうと考えておりますとたびたび私は申し上げておるのでございまして、しかもこの米価の決定につきましても、昨日も川俣さんからお話がございましたが、前から六月がいいか、九月がいいかということについては議論があります。そこでこの方面の専門家の方、有識者の方々の御意見を拝聴する意味において、米価審議会の懇談会にお集まりを願って、この人たちの御意見も拝聴いたし、そしてこれは早くきめる方がよろしいというのが大体の意見と拝聴いたしましたので、政府といたしましては、大体六月十五日を目途として米価の決定をするつもりでございます。この決定に基いて農民諸君、協同組合の諸君にも御協力を願うということにいたして参りたい、こういうふうに考えておるのでございまして、御指摘のように、昨年よりも安い米価で、そうして制度だけを変えたから目的が逹成されるだろうというようなことは考えていないのでございます。この点は明確にいたしておきます。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員 ただいまの大臣の御答弁によると、六月十五日を目途にして米価を決定なさるのですね。その場合には、予約買付をやる場合に、予約買付の一つの特典といいますか、農民に協力を求める、そういうような諸条件というものを、六月十五日までに同時におきめになるわけですね。今大体お考えになっている点はどういう点なんです。たとえば予約買付の奨励金の問題であるとか、税に対する配慮の問題であるとか、あるいは前渡金の問題、こういう三点というものは、当然付随しておきめにならなければならぬと思うのですが、それらの点はおおよそどのようなことを考えておいでになりますか。

河野一郎日本民主党農林大臣

○河野国務大臣 これはただいまお話の通りに、減税はどういうふうな処置をとるか、奨励制度を格差によってどういうふうにしていくか、前渡金をどういうふうにするかということは、価格の決定と同時に決定するつもりでございます。これはただいま申し上げたように、大体十五日、月半ばを目途としてやることにいたし、せっかく今協議中でございます。政府におきましても内閣に経済閣僚懇談会をこの目的のために設置いたしまして、その経済閣僚懇談会の協議の上に決定するということにいたしておりますから、その決定までお答えを留保させていただきます。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員 ただいまの御答弁によって、六月の十五日に基本米価並びに予約買付に対する諸般の付随した奨励事項というものはことごとくきめて、それから予約買付に乗り出す、そういうふうに確認しておきたいと思うわけであります。最後に、そういう基本米価を中心としてさらにいろいろな奨励金であるとか、減税措置、そういうものを講ずる場合には、これは食管特別会計の内部操作だけではできないような事態が生ずると思うわけでありますが、それらの点に対しては、今からどういうようなお考えを持っていますか。一般会計から財源を求めるようにするか先日の凶作加算の支払い等に対しても、食管会計の中では赤字を出さないようにして、しかもあくまで食管会計のわく内においてやるということを言明されておるわけですが、今後そういうような事態が出た場合はどうなさるのですか。

河野一郎日本民主党農林大臣

○河野国務大臣 それらの処置につきましても、全部閣議で決定して政府の方針を明確にいたしまして、申し上げることにいたしたいと思います。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員 私がこの点をあえて大臣に尋ねるのは、大臣は今までの持論というものをだいぶ大きくゆがめられておるわけです。たとえばこの食管会計の中において、先日の凶作加算金の三十三億を払う場合においても、これは多分に輸入外麦等の買付の値下りに一つの財源を求めるということを考えておると私たちは理解しておるわけです。しかし大臣が今まで考えておった持論というものは、そういうことではないのですよ。とにかく外国の食糧が安く入ってきた場合においては、必ず安い値段でそれを消費者に売り渡さなければいけないということを、あなたは今まで主張してきておるわけです。そうすると消費者価格はそのままに据え置きとする。それからことしの買上米価も昨年度よりも決して引き下げはしないというようなことにして、なお外国からの食糧輸入に対してはその安い値段そのままで国内の消費者に売り渡す場合においては、これは当然食管会計のわく内だけにおいては操作ができない問題が次々に出てくるのです。そういうことになる場合に、あなたはどういう筆法でこれを乗り切るかということを明らかにしてもらいたい。

河野一郎日本民主党農林大臣

○河野国務大臣 あらためて申し上げて御了承願っておきたいと思いますことは、消費者米価は引き上げをいたしませんという方針を堅持いたします。それからもう一つ御指摘をいただきましてまことに恐縮いたしておりますが、私は相なるべくは外国から入って参りますものにつきましても、外国の米麦価の値下りに伴いまして下げていきたいと思っておるのでございます。しかし、御承知の通り今日の実情から徴しまして、現在の米の配給価格は決して高くはないと思いますので、この点については外国から入って参ります米、準内地米もしくは外米の値は、この程度でしばらく御猶予を願う。麦価につきましては、できる限り適当な機会に今申し上げたような処置をとらなければならない、とりたい、こう考えております。さらに御指摘になりました今後の買上価格、これは生産者価格につきましては、生産費を基準にして、これを基礎にして計算をいたしまして、そうして農民諸君の、十分というわけにはいかないかもしれませんが、御納得を得て、予約買付制度に御協力を願えるような、所期の目的を達成するように努力をして参りたい。そこでしからば財源はどうするかという問題になるのでありますが、これにつきましては、せっかく大蔵、経審その他の閣僚諸君と十分な談合をいたしまして、所期の目的を達成することに努力をして参りたい、こう考えておる次第でございます。

綱島正興自由党

○綱島委員長 芳賀委員に申し上げますが、もう三十八分ばかりになりましたので……。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員 ではもう一点。この際農林大臣に私は指摘しておきますが、あなたは在野時代のいろいろ意見の発表と、今日の動きが逆になっておる。こういうことをあなたはかつて言っておるのです。「外国から買って来る麦を輸入値段よりも上げて高く売って、これで米の方をまかなっているじゃないか。それでは粉食の奨励にあらずして、粉の値段、麦の値段を外国から安いものを来るのを高くつり上げて払い下げをして、そして粉食を困難ならしめているじゃないか。これでしかもなおかつ粉食の奨励をするということ」は変だ、ということを指摘しておるのです。さらに「米を上げようとしておりませんとか何とか言うが、これはただそこでつじつまを合わすということをしておるだけである。そして上げないために今のように外麦の安く入って来るものを置きかえをして数字を合せているじゃないか。安いものが入って来るなら、安いものを安く食わしたらいいじゃないか。」ということを、これはあなたが前の自由党政府にきびしく追及しておる。こういう指導的根拠というのは、農林大臣だけではなくして、あるいは今の民主党内閣の農政の底流をなしておるのではないかと私たちは危惧しておる。これに対して、たびたび引用するようでありますが、当時の保利農林大臣は、こういう答えをしております。「同時に考えますのは、内地の農家の——私は今後はやがて米にも及んで来ると思いますが、内地の農家経済を保って参りますためには、農家経済を立てて行く麦の値段、米の値段というものが必要になる。これはどうしても守ってやらなければならぬ。そういう上からおのずからここに消費者に提供する麦の価格というものは内外総合した価格において安定をはかって行くということが私は正しい行き方じゃないか、」だからあなたの考えは、ともかく流通面のことだけを考えておるのです。それとあわせて食糧増産と農家経済の安定ということを考えておらないのです。そこに今の政府の農政の貧困がある。同じ保守党でも自由党の場合には、食糧の価格を考える場合に、あわせて農家経済の安定ということをやや考慮に入れた施策をやってきたのです。そういう点をあなたは、たまに時間の余裕があるときは、大いに反省なさる必要があると思います。そういう考え方というものが、最近、今年度の農業予算等を通じてだんだん表面に現われてくるわけです。そういうことになると、余剰農産物の買付の問題であるとか、それから外麦が及ぼす内地麦に対する圧迫の問題であるとか、今度の予約集荷制の問題であるとか、そういう一連の関連の上に立って、これは農家経済に対して大きな不安を及ぼしておるわけです。ところがあなたはこれに対してこういうことを解明しておるわけです。食糧政策というものは、これはただ農民だけの問題でなくて、八千五百万国民全体の問題である、この食糧問題と農業問題を合せて考えていくことがけしからぬということをあなたは言っておるわけなんです。それはもちろん、食糧問題というものは国民全体の問題ではあるけれども、しかしその基盤となるものは、やはり農家の生産力を高めるという、いわゆる農家経済の安定というものが基礎にならなければ、食糧政策の解決というものはできないと思います。あなたの考えというものは、これを全く切り離してしまって、もし不作の場合には農民の救済政策というものをそこに立てればいいのであって、食糧問題とそれを混同するのはいけないということを主張しておるわけです。現在農林大臣になられて、その点をどういうようにお考えになっておりますか。

河野一郎日本民主党農林大臣

○河野国務大臣 ただいま御朗読いただきましたものにつきましても、私はその前にお答えしたことで尽きていると思いますが、基本的な考え方でございますが、私は今でも、食糧問題は食糧問題であり、農村振興は農村振興だ、こういうふうに割り切って考えた方がいいのじゃないかと思うのであります。農村の振興、農家経済の安定確立というものは、むろんその主たる生産物が米、麦等でありまするから、これを軽視するわけには参りません。軽視するわけには参りませんけれども、さればと申して、米麦だけに重点を置き過ぎては、農家の経済というものを全面的に考えることは無理だ、これは私が今ここで繰り返すまでもなく、わが国の米作農家、供出農家の数から申しましても、私は明瞭に考えられると思うのであります。そこで、今までのことが悪いとは申しません、今までの政策もむろん続けていかなければなりませんけれども、これにつけ加えるに、全農民諸君の経営安定の面に立って、多角経営の方面に重点を置いて考えていく必要があるのじゃなかろうかということに私はとっておるのであります。と同時に、流通過程についても考えなければいかぬのじゃなかろうかというふうに、農業政策を多岐にわたって考えていかなければならぬだろうというふうに私は考えるのであります。繰り返して申し上げておきますが、外国から安いものが入ってきたら、内地の米麦もそれによって一緒に安くしてよろしいのだということを、私は言ったこともなければ、考えたこともないのであります。これはどこまでも農業経営、農家経済の安定の上に立って、そのことをむろん考えなければなりませんけれども、供出農家が一体どのくらいあるかという点等々から考え合せまして、農業政策を全般に敷衍して参ります上におきましては、農林省の政策としても、施策の上におきましても、各階層にわたって、十分これが及ぶようにしていかなければならぬ。そこに農業政策の困難性もありまするし、農林省予算の複雑性も生まれておると私は思うのであります。ということでございますから、たとえば、補助金におきましても三百有余種類の補助金が組まれておりますのも、農家の様相がいろいろ複雑でございますので、これらすべてに手を伸べていかなければならぬ点から考えておるのでありまして、私は、今申し上げますように、食糧問題は、わが国の労働問題とからみ合せ、国民生活の安定とからみ合せて、そういう方面からこれに対して、今年度はまだそのところまで参りませんが、明年度からこの食管会計につきましても抜本的に考え直していかなければならぬ。食管会計を食管会計自体でまかないまして、一般会計からある程度のものを補てんせぬという考え方が間違っておる、これは私はここで明確にしておきます。明年度からは少くとも一般会計から相当のものをこれに補てんいたしまして、そうして全体国民の食糧問題として考えていくようにしていかなければいかぬ。現在のような行き方でいっては——これは従来の惰性から参っておると私は思うのであります。これはインフレ時代に食管が一時財産を持っておった、その惰性で今日まで来ておりますけれども、それがまだ完全に安定の域に達しておりませんからこういうことでございますけれども、ここで今の集荷の制度でありますとか、いろいろの点において考えられました際に、この食管特別会計についても考えていかなければならぬだろう、こういうふうに思っております。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員 今大臣の御高説を聞いておるのではないのです。

綱島正興自由党

○綱島委員長 芳賀委員、懇談会もいたさなければなりませんから、それも御考慮になって御質問を願います。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員 もうこれで終ります。食糧政策をやる場合に、あなたは流通面だけのことを考えればいいということを言っておる。これはやはり生産面のこともあわせて、しかもそれを重要視して考えていかなければ、食糧政策はできないのじゃないかということを私は指摘しておるわけです。それからなお、食糧政策と切り離して農村振興というものをやっていくのだと言われたけれども、しからばことしの農林関係の予算の中で、この前の自由党内閣に比べて、どれだけ目立って、あなたの言うところの農業振興とか農村救済というようなそういう費目がどこにあるか、かえってそれは削っておるじゃやありませんか。そういうことをあえてやっておって、御高説だけをあちらこちらに振りまいておられたのでは、非常に迷惑するのは農民であると同時に国民であるということを、私はちょっと御注意申し上げまして、委員長の御注意があったので、これで本日の質疑は終ります。

綱島正興自由党

○綱島委員長 それではこれから、先ほど皆様に御配付してあります……。     〔「配付してないぞ」と呼ぶ者あり〕

綱島正興自由党

○綱島委員長 すでに配付してあり、またはこれから配付いたします、昭和三十年度農林漁業金融公庫貸付計画書及び昭和三十年度農林水産関係予算修正案、この二つについて協議するため懇談会に入ります。      ————◇—————     〔午前十一時五十八分懇談会に入る〕     〔午後二時三十九分懇談会を終る〕     —————————————

綱島正興自由党

○綱島委員長 以上で懇談会を終ります。  この際お諮りいたします。昭和三十年度農林水産関係予算に関する件について先日来協議いたしたところに基きまして委員長において作成いたしました決議の案文を朗読をいたします。   昭和三十年度農林水産関係予算に関する件   わが国自立経済確立のためには、その基盤をなす農林水産は益々拡充振興を期すべきであるにも拘らず、現在提出中の予算を見るに、農林水産関係予算は昨年度のそれに比し、大巾減額となつており、これが今後の農林水産業に及ぼす影響はまことに黙視し得ざるところである。   よつて本委員会は、慎重検討の結果、政府提出予算中農林水産関係につき、別紙の如く増額すべきものと認める。  以上でありますが、ただいまの本文中にありました別紙は、すでに各位のお手元に配布いたしておる通りであります。本件について御意見があれば発言を許します。別に発言もなければ、これより採決いたします。  ただいま委員長より提案いたしました「昭和三十年度農林水産関係予算に関する件」を本委員会の決議として、予算委員会に申し入れることに御賛成の方の起立を求めます。     〔総員起立〕

綱島正興自由党

○綱島委員長 起立総員。よって本件は全会一致をもって可決されました。なお本決議の農林水産関係予算のうちには、米価に関するものは含まない意味に解することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

綱島正興自由党

○綱島委員長 御異議なしと認め、そのように決します。  なお本決議の取扱いについては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

綱島正興自由党

○綱島委員長 御異議なければその通り決定いたします。  本日はこれにて散会いたしまして、明日は定刻より質疑を行うことにいたします。質疑事項については、いずれ公報をもってお知らせをいたします。     午後二時三十六分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗