内閣委員会地域給に関する小委員会 第6号
- 発言数
- 45 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1955/07/01
会議録
○長井小委員長代理 ただいまより会議を開きます。 それでは参考人東京大学教授田中一郎君の御意見を拝聴いたします。田中一郎君。
○田中参考人 本日参考人として出頭を命ぜられまして伺いましたが、その理由は、私が公務員制度調査会の委員をしておりますこと、特に小委員会の委員をいたしておりますことに基くものと思います。私はもう二十何年来行政法を専門に勉強して参りましたが、正直に申しまして公務員の給与制度そのものを専門に勉強したことはございませんでした。 公務員制度調査会に入りまして、いろいろそこでの調査研究の途上において、若干この問題に理解を持ちまた関心を持っているような状態でありまして、むしろ皆様御専門の方々からいろいろ御意見を伺いたいと思っております。また後ほど皆さんからの御意見を伺って参考にさせていただきたいと思っております。公務員制度調査会では、特に小委員会に移りましてからほとんど毎週のように会合を重ねまして、公務員制度全般にわたって再検討を加えて参りました。給与制度もそのたくさんの問題の中の一つの問題として何回か議論を重ねて参りましたし、そのうちの勤務地手当の問題につきましても各委員からの熱心な御意見もあり、また各幹事の方々からの資料に基く御意見なども伺って参りました。しかしこちらでずいぶん前からいろいろ御検討になっておりながら、その結論がなかなか出ない事情にありますのと同じように、小委員会におきましても、何回か議論を重ねましてもなかなかその結論を得るところまでに至っておりません。特に大久保大臣が給与担当の国務大臣に就任されまして最初に委員会にお出になりましたときから、特に勤務地手当の問題については早急に解決案を出してほしいという御要望がありました。小委員会におきましても、大久保大臣が出席されますとそのたびに、勤務地手当の問題を切り離してでも特別に解決案を考えてもらえないだろうかというような御要望がありまして、私どもとしましては、全体の公務員制度に関係する問題であり、また給与制度全般と緊密な関係にあります問題でありますだけに、その問題だけを切り離して案として取り上げるということも、また結論を出しますことも穏当ではないと考えまして、小委員会におきましては、私の責任におきまして、この問題だけを切り離して結論を出すことをむしろ拒否して参りました。これは給与制度全般と密接に関連してその問題だけを切り離して考えるべきでないと考えたからでございます。そういう事情で何回かこの問題についても議論をいたしましたが、全体についてまだ結論が出る段階に至っておりませんので、この点についてもまとまっておりません。そういう点をお答えしますに当りましては、小委員会になりましてからの、審議の経過を概略でも申し上げておく必要があろうかと思います。 御承知の通り、公務員制度は戦後著しく変りまして、実際に日本の現在の状態に即しないものがたくさん出てきております。それらの問題を全体として取り上げて検討して参りますと、大体毎週相当の時間をかけて議論をいたしましても、一応の案にまとめることもなかなか困難でありまして、最初に要綱試案の第一次案ともいうべきものを私が下書きをいたしまして、それを さらに何回かにわたって検討して参りました。その小委員会における各委員、幹事の意見に基きまして、第二次案というのを私が書きまして、それについてさらに五、六回にわたって検討いたしました。その検討の結果に基いて、私がさらに第三次案ともいうべきものを書かなければならない段階に来ておりますが、実はその第二次案の検討中におきましても、各委員の意見がかなり大きく対立いたしまして、一つのまとまった案にまとめることが非常に困難なような事情にあります。これはあらゆる問題についていろいろ意見が分れております関係から、それを一つの案にまとめることが困難で、多数意見、少数意見というような形にでもまとめるのがいいのか、それとも最大公約数をとってまとめることにした方がいいのか、それをまとめる上に苦慮しているような状態にありまして、まだどの点につきましても結論らしいものを発表するような段階に至っておりません。名方面から私のところにもいろいろ要望される向きがありまして、できるだけ早く小委員会における案だけでもまとめて総合の方に送り込むようにしなければと考えてはおりますが、なかなかたくさんの問題がありまして、第三次案をまとめることさえ非常に難航しているような状態であります。さらに私が書きました上で小委員会でそれを検討する予定になっておりますが、それまでどの程度の回収を必要とするかということも今のところ はっきり見通しがつかないような状態であります。そこで一応案がまとまりました上で総会に送って、総会で御審議を願うことになりますが、総会でもおそらく非常にまた意見が分かれてくるんじゃないか。そうしますと、公務員制度調査会としての答申がいつごろになりますか、私個人の見通しではまず九月以降になるのではないだろうかというような観測もしております。この点に政府の方でどういうお考えでありますかわかりませんが、なかなか問題がたくさんありますので、そう簡単に結論を出すこともむずかしい状態にあるのではないかと思います。しかし答申案がまとまりますころはかなり制度全般について徹底した改革を内容とする案になるんじゃなかろうかと考えております。 そういうような経過をたどっておりますが、今ここで問題になっております勤務地手当の問題につきましても、試案の一つの問題として取り上げております。これも実は各委員各幹事それぞれ意見が違っておりまして、なかなかまとめにくいのでありますが、そこは試案を現実に手をとって書く者の立場で何か書いて議論の材料にしなければというので、一応私なりの考え方で書いたものがございます。その考え方は、多数の委員の方の御意見でもあろうと思いますが、しかしこの点については初めからいろいろ意見が分れておりまして、全員一致というわけでもありませんし、正確に決をとって多数の意見ということになったわけでもありません。大体の考え方としましては、勤務地手当は将来廃止することを目途として現実、具体的な必要に応じた改革を考えていく、こういうのが根本の線でありまして、物価も漸次較差が少くなって参っておりますし、生活費の面ではなおかなりの差があるといたしましても、地域給の制度に伴ういろいろの問題を考えますと、将来においてはこれは廃止する方向に持っていくということが適当ではないか。ただ現在の段階におきまして直ちにこれを廃止してしまうということは、かりに地域給を本俸の中に全部織り込んだ形において廃止するにいたしましても、また最高級の地域給をつけるという形において廃止するにいたしましても、そこに不公平の問題が生じて参りますことも考えなければなりませんので、現実にどういう形で将来廃止の方向に持っていくかということになりますと、なかなか問題が困難でありまして、方針としては将来廃止することを目途としてできるだけ簡素な形にこれを改めていこうという考え方に立ちながら、現実にどういう形で既得権は侵害しない、しかし同時に不公平、不均衡にもならないような措置を講ずるかということになりますと、非常に問題がむずかしいように思われます。外国の例なども若干考慮しながら一つの案としましては、都市手当的なもの、かりにそれを一段階なり二段階なりの形において認めるような方向で簡素化を考える、そうして暫定的な措置としては既得権は侵害しないように本俸の中に組み入れると同時に、あと昇給その他の機会に調整的な措置を講ずるというような方向にでも持っていくほかはないのではなかろうかというような程度に考えておりまして、まだ調査会としての意見はきまっておりませんし、私個人としましてもどうすれば一番合理的にさしあたっての措置をとることができるかということについてはも一つしっかりした結論を見出すことができない状態にあります。そういうような状態でありますので、せっかくこちらでいろいろと御検討になっておりますところを十分にお聞かせいただきまして、なお答申の試案をまとめていきます際の参考にさしていただきたいと存じます。先だって本日出席するようにというお話がありましたときも、実は皆さんの御意見を承わって、これから公務員制度調査会としての案を立てます場合にいろいろ参考にさしていただきたい、皆さんの御意見を伺いますことに主眼を置いて伺ったような次第でございまして、今専門家の意見というお話でありましたが、特にこの問題について前々から研究してきたというわけでもございませんので、私個人としましても、はっきりとまとまった意見を持っているわけではございません。その点おわび申し上げたいと存じます。 〔長井小委員長代理退席、小委員長着席〕
○高橋小委員長 次に参考人一橋大学教授田上穰治君の御意見をお伺いいたします。
○田上参考人 ただいま田中教授から、公務員制度調査会の経過につきまして述べられましたが、これにつきましては、私も別にそれ以外に申し上げることはないのであります。ただ、せっかく本日この席にお呼びいただきまして、何か意見を言えというふうなことでございますから、あるいは私の個人的なことになるかと思いますけれども、先ほどの田中参考人のお話につけ加えまして、二、三感じておることを申し上げまして、なおこの席で皆様の御意見を伺わせていただきたいと存じております。 地域給の問題につきまして私の感じております一つは、やはり地域による物価の較差が、終戦後と今日と比べまして、よほど変ってきて、最近はそれほど大きな開きがないようであります。もっともこの点は、統計などもあるいはそのとり方によって簡単に明瞭ではないかと思いますけれども、生計費の方の指数と比較いたしまして、物価の方は地域による較差がよほど少いように聞いております。ただそのほかに、私どもの感じておりますのは、公務員の中で比較的上級の職員、ことに中央と地方と比較的短期間に転職が行われておる、そういう人事の交流が比較的容易にひんぱんに行われるというふうな公務員でありますと、一時的に地方に参りましても、あるいは中央に参りましても、特にそのために給与の差をつけることは、最近ではそれほど必要性が大きくないというふうに考えまして、この点は、上級の職員については、主として物価指数の地域による較差を考慮し、下級の職員につきましては、生計費の方の指数の違いによって地域給を考えるという案もあるようでありますが、私ども、どうも今申しましたような意味で、上級の職員、中央地方を通じて比較的短期間に交流が認められているような職員については、今日特に地域給を必要とするということは、あまり考えなくてもよいのではないか、これは私の個人の感じでありますが、そういうふうに思うのであります。大体申しまして、やはり地域給の問題は、従来の四級、二〇%という幅はよほど狭くして、圧縮してよろしいかと思うのであります。ただしかしこの問題と、他方でやはり公務員の給与が比較的よくない、従来から決して十分でないと思うのでありまして、その意味で地域給の問題は、地域による差というよりは、むしろ本俸の方のベース・アップということで将来は考慮すべきであって、地域給として特別な扱いをすることはむしろ将来はやめてもよいのではないかと考えるのであります。その点でもう一つ申し上げたいことは、その結論に達する過程としまして、あるいは暫定的に地域給にかわるべき手当を考慮する等、大体におきまして現給の保障と申しますか、一種の既得権的なものを考えて、そうして経過的な措置として一方で給与の上るものも出てくるかもしれないし、また多少減るものも出るかもしれないが、そういうあとの方の場合には、これは既得権の侵害だから、そういうことのないように特に考慮しなければいけないということがしばしばいわれるのであります。私はもちろん、公務員の給与が全般的によくありませんから、その意味で、地域給の廃止によって現在以上に手取りの金額が減ることは望ましくない、できるだけそれは避けなければいけないと考えますけれども、立法論といたしましては、既得権という考え方は必ずしも明確でないと思うのであります。個別的に公務員の給与を減らすということは既得権の問題になると思いますけれども、抽象的一般的基準で手当の制度を動かすという、その結果として、たまたま部分的に給与が実質的には減少するような場合におきましても、既得権の侵害というやかましい議論は、政治的には問題でありますが、法理上は特に考えることは疑問があると思うのであります。言いかえますと、その点で、暫定的な措置について特にむずかしい問題は、それほど大きく考えなくてもよいのではないかと思うのであります。 それからもう一つ、これは先ほど田中さんがおっしゃいませんでしたけれども、現在のように給与法の法律の別表で地域の指定があるということ、この制度は、しばしば言われますように、ある意味では議員の方の非常な負担になる。いろいろ各地方からの希望も出ることでありますから、その意味で、制度といたしましては、むしろ中立公平な機関、たとえば現在の人事院、あるいは将来人事院の機構が若干変るかもわかりませんけれども、そのような政治的に比較的中立の機構において地域の指定をいたしまして、そして形式としては法律よりむしろ人事院規則とかあるいは政令とかそういうふうな形式の方が望ましいのではないかというふうに考えております。もっともこの点は別に調査会がそういう結論を現在出しておるという意味ではないのでありまして、私一個の考えでございますから、お含み願いたいと思いますが、そのあたりを先ほどの田中参考人の御意見のほかに考えております。 簡単でございますが、また御意見を伺いましてなお申し上げたいことがありましたら、申し述べたいと思います。一応これでもって終ります。
○高橋小委員長 辻政信君。
○辻小委員 田中教授にちょっとお伺いします。先生のお話の中に都市手当というお言葉がありましたが、これは五大市とか生計指数の高いところに対しての考慮だと思うのです。これも一つの考え方ですが、私はむしろ北海道とかそれから東北地方の僻地、雪の降る、文化に恵まれない、そういうところに勤務する人に、それは物価指数はどうあろうとも、むしろ手当を増加して、東京なんかに住む役人は、あまり上げない方がいいと思う。それが一つ。 もう一つは、これは皆さん反対するかもしれぬが、小学校の先生と下級の警官、この給与をほかの職域の公務員よりも何とか優先的に——教育と治安関係ですが、そういうように感じておりますが、諸外国の例でそういうのはないのでしょうか。
○田中参考人 私諸外国の制度は、その点を研究しておりませんから、よく存じませんが、今お話になりました第一の点でございますが、これは勤務地手当の問題じゃなくて、むしろ給与制度全般あるいは給与ベースを考える際に地方にもいい人を持っていきたい、そういう意味で制度を考える場合の問題じゃないかと思います。勤務地手当という見地からしますと、やはり物価指数とか生活費とかを考慮して、特別の手当を出すという趣旨でしょうから、やはり物価指数とか生活費なりの統計的な計数を基礎にして、高いところに公平にたくさん行きわたるという行き方が本筋じゃないか、こういうふうに考えております。その点で申しますと、たとえば札幌などは東京よりも物価指数が高いというようなことがあります。それでそういうバラエティでもってそれに一々応ずるようにその制度を立てていくということはなかなか困難だと思います。暫定的な措置といたしまして、大都市だけにするか、あるいはまた大都市ともう一つクラスを分けて、中都市以上のところを一段階認めるかというような問題もありますが、やはり物価指数なり、生活費というものを考慮に入れた、勤務地手当というものを暫定的に認めることでいいんじゃないかというふうに私は考えております。今お話の第一の点は、私はベースを考える場合に、あるいはいい人を地方に持っていくための方法を考える場合に、何かそういう点を考えてみる必要があるんじゃないかということじゃないかと思います。
○辻小委員 大都市の人のみ考慮されて、恵まれないところに赴任する公務員に、島流しをされたような気持を与えたくない。北海道のおくれているのはむしろその点じゃないか。北海道に来たばかりで東京からお呼び出しが来ぬかと思って腰がふらふらしておる。それじゃほんとうの開発はできない。逆に文化生活に恵まれない公務員に、何か制度の上にあたたかい手を及ぼしてやるということが一つ。 もう一つは小学校の先生……。
○田中参考人 今の第二の点として、小学校の教員、下級の警察官の方々の待遇の問題ですが、これは私個人の問題になってはなはだ恐縮ですが、地方に話などに参りました機会に、その話のあとで懇談会をやったりすることがあります。そのときについ最近のことではありませんが、給与待遇の問題が話題に上りまして、そして話を聞いてみますと、一般に想像されている以上に待遇はいいですね。実は先日も非常に長年勤めて退職される方の恩給が問題になっておりましたが、二万数千円の恩給をもらう人が相当程度ある。
○辻小委員 三十年も勤めた校長さんはそのくらいもらっておりますね。
○田中参考人 私が実は大学を出ましてから二十六年になります。ところが正直のところを申しまして手取り月給は三万六、七千円です。地方に参りますと四十何才の私より若い人かみんな校長になっておりますが、そんなに違いません。ですから小学校の先生が非常に悪くて、大学の教授が非常にいいとは私思わない。全体として非常に悪いのですから、もし引き上げるとしますと、やはり全体としての公務員の給与が低過ぎるのじゃないかというところにあると思うのです。
○高橋小委員長 森三樹二君。
○森(三)小委員 先生方の御意見を今拝聴したのですが、先生方と討論する意思はございません。拝聴し、私どもの意見も十分聞いていただきたいと思うのです。私実は選挙制度調査会に今度入ったのですが、入りますとまず鳩山総理大臣が、日本の政党を二大政党にして、明朗な政治をしくには、小選挙区制が一番いいから、皆さんどうか小選挙区制になるように審議してもらいたい、こういうあいさつがあった。この間三回目の委員会のときに、蝋山政道さんが、小選挙区制を一席ぶちましたから、私は学識においては差はあっても、同じ嘱託された委員という立場においては、何ら遠慮するところはないから、蝋山さんの小選挙区制を徹底的に攻撃した。ところで私は今度の公務員制度調査委員会の委員を政府から先生方が嘱託をされておって、政府がこういう意向を持っておるから、こうこうして審議をしてもらいたいというような意向に基いて、審議なさったのかどうか、そういう点からまず私はお尋ねをしていきたいと思うのです。われわれもその席にはべっておって、同等の発言をし、先生方とお互いに意見の交換をし合ってやっていくのならいいのですが、全然議員連中は入っていない。学識経験者の人がやっておる。しかもやっておることは、大久保長官なども発言しておるかもしれないが、おそらくこんな地域給なんかは廃止したいから、廃止するようにやってくれ、こういうようなお話をしておるのじゃないか。先生方の御意見を聞き、先だっての大久保長官のお話を聞いていると、期せずして大久保長官が発言されたことと、今田中さんがここで発言なさっておるところとほとんど同じようなことをおっしゃっておる。もちろん打ち合せをしたわけじゃないのでしょうが、同じ場所に出ておるから、結局そういうことになったのだろうと思いますけれども、まず公務員制度について、いろいろこういう給与問題があるのだが、これについてどういう意見があるのだというようなことでやっておられるのでしょうか。それとも政府としてはこういう意見があるんだが、こういうものに将来とても予算もなかなか出せないしするから、勤務地手当などというものは廃止して、本俸に織り込むような方法で考えていただけないでしょうか、こういう何か前提でもあって先生方が御審議をなさっているような気がするのですが、その点はいかがでございましょうか。
○田中参考人 私からお答えいたしますが、最初公務員制度調査会が開かれまして、総会を十九回にわたって開きました。これはまず政府関係の方々から現在の公務員制度がどういう状態にあるかということの説明を中心としてみなで意見の交換をいたしました。その際に政府側からこういうふうに制度を変えたいという御意見は一度も出たことはございません。それから小委員会に問題か移されまして、そこでいろいろの問題について議論を進めて参りました。各省庁からそれぞれ幹事の方も出ておられまして、いろいろ御意見は出ます。しかし小委員会としましてはそれらの各省庁からの御意見に拘束されて審議をしているとは思っておりません。それから大久保大臣が小委員会にお見えになりまして、先ほども申し上げましたように、口ぐせ、といっては失礼ですが、地域給の問題を何とか早く審議してもらえないかという、審議についての御要望はたびたびありましたが、どういう方向で結論を出してほしいというような結論めいたことは一度も伺ったことはございません。これは全く小委員会として自主的にやっておるつもりであります。もし今私がお話し申し上げたのと大久保大臣の御答弁とが期せずして一致しているとしますと、それは偶然の一致でありますか、あるいは委員会の意見を大久保大臣が代弁されているのかもしれません。
○森(三)小委員 だんだんわかってきました。もちろんそれは学者の先生方にそんなことはあろうはずもないと思いますが、しかし委嘱されてこういうことを研究してもらいたいということになれば、おのずから私は範囲というものも限定してきますし、それからまたこういうような希望があるということが、そににおのずからほのめいてくれば、やはり受ける感じとしては、こういう点を整理してこうしていくというような先生方の調査の対象にはなろうかと私は思うのであります。先ほど田上先生の発言の中に本俸がとにかく安いのだから、やはり既得権というものは認めておかなければならぬのだろうという御発言があったが、まことにしかりでありまして、結局本俸とそれから地域給プラスその他をしていってもまだ生活ができないという現段階にあるのでありますから、私どもはあくまでもいろいろな給与あるいは手当というものがありますが、それはそれとして、やはり辻委員が言われたように、北海道は北海道としての零下二十度、三十度の寒さでありますから、一つの寒冷地手当とか石炭手当があるのであって、理由があるからそういうような手当が生まれてきているのであります。私どもはいろいろな制度というものは、そう廃止してはいけないものだ、かように考えておるのです。先生方ももちろん日本全国の寒さ暑さは御承知でしょうが、北海道の寒さを御承知かどうかわかりません。ほんとうは勤務地手当なんかも寒さ、暑さの地方の実情、それから物価の状態、こういうものを実地に調査しなければ、一がいにはいえないのです。裁判官が釧路に行きますと、釧路の物価が高いのに驚くといっている。バケツ一つ買っても東京で買う倍するといっているのです。そういう実情も十分御勘案願わなければならぬと思うのです。 そこで私が先生方に申すまでもないのですが、昨年は本俸の勧告もありませんでした。一昨年本俸の勧告がありましたが、それも人事院が勧告した一万三千八百円ですか、それよりか下回った一万二千そこそこの給与ベースを一昨年の十一月から実施しておりますが、とにかく昨年は本俸の給与ベースの引き上げの勧告がなかったわけです。それでようやくこの勤務地手当の勧告があったのでございますが、先生方にはやはり法治国家として国会の権威というものを御尊重になっていただかなければならぬと思うのです。憲法の四十一条にももちろん私が申し上げるまでもなく国権の最高機関であると規定されておる。それからこの国家公務員というものが私が申し上げたように、ストライキによって自分の俸給を獲得するとか手当を獲得するとかいうことはできない。この人事院というものによってのみ給与を保障されておるのでございます。そこで私どもはその人事院という独立不覊の機関の性格というものを先生方に十分一つ把握していただきたいと思うのでございます。私は人事院というものはやはり今後あくまでも現存させる、政府とにらみ合ってもやっぱり公務員の生活は守ってやるというところの人事院——読めば長いのですけれども、国家公務員法第一条以下に書いてあるところの国家公務員の生活を保障するという立場に立っておるのでありまして、これが一つの公務員のうしろだてだ、わわれれの考えは今後も人事院というものは廃止してはいけない、これによって公務員の生活を守っていこうと思っておるのでございます。従って人事院が法律に基いて勧告したものはあくまで政府も国会もこれを尊重するという態度をとらなければならぬと思うのでございますが、いかがでございましょうか。両先生どちらでもよろしいです。
○田上参考人 先ほど私が人事院は将来どうなるかわからないということをちょっと申し上げたかと思うのでありますが、私ただいまの御発言に全く同感でありまして、人事院という名称はとにかくといたしまして、政治的に一応政府から独立な機構があって、そこで国家公務員——ことに国家公務員につきましては労働三法が適用されていない、それの一種の代償というふうな意味で、政府職員の一種の労働組合にかわるべき一つの大きな使命、また労働委員会にかわるべき使命を果すという意味におきまして、そういう人事院のような機構は十分に尊重されなければならないと存じております。先ほどから申し上げておりましたのは、勤務地手当、地域給というものを大体廃止の方向に持っていくということ、小委員会の田中委員長の方からもちょっとそういうお話があったのでありますが、これはわれわれも実は同じ考えなのでありますけれども、もちろんその前提には現在の公務員の給与ベースで十分であるというふうな意味で廃止するのではないのであります。また先ほど辻委員の方からもちょっとお話があったようでありますが、私先ほど申し上げました地方と中央の方と、あるいは級別の方から申しまして、四級あるいはゼロ級というふうなものの違いでありますが、中央から地方に赴任いたしますときに、その四級地から一級地のようなところへ参りまして、急に給与が減額されるということは、もちろん人事の交流から申しまして非常な障害になるのでありまして、その意味で交流できる範囲においては中央と地方と始終出入りできるような、比較的上級かもわかりませんけれども、そういうような公務員につきましては特に地域による格差というものを考える必要はなかろう、これは先ほどの御意見ではむしろ地方へ行くから給与をよくした方がいいというふうにもちょっと私には伺えたのでありますが、私の気持といたしましては少くとも中央と地方と同じように考えてよろしいのではないか。しかしその議論は、たとえば一、二年たってまた東京に帰ってくるとか、あるいは小学校の先生の場合でありますと、学芸大学あたりを出まして、そうして同じ県下のどこの小学校へ行くかこれからきめるというときに、本人が希望すればあるいは同じ県下の都会地の方の学校に行けるかもしれないし、しかしまた場合によっては田舎の方の小学校に行かなければいけないかもしれない。そういう場合でありますと、これはやはり平等に考えないと、いなかへ行ったためにかえって給与が悪いというのでありますと、常識からいっても非常におかしいし、そうして地方の僻地の方に優秀な人を迎えることは全く不可能になるわけでありますから、少くともそういうときに農山漁村に赴任する小学校の先生と、都会地の小学校の先生とあまり給与に差をつけることはおかしいんじゃないか。地方へ行くほど優遇せよという御意につきまして、まだ私そこまで深く考えておりませんけれども、少くとも現在のようにいなかへ行くほど給与が悪くなるということは私はおかしいと思うのであります。しかしそれは同じ人が地方にも行けるし、また中央にとどまることもできる、都会地に赴任することもできるし、またいなかの方に赴任することも考えられるという場合でありまして、それがたとえば一つの県の中で大体生涯を通じて勤務するというふうな場合でありますと、その県の物価あるいは生活費というようなものが給与の基準として一応考えられる、そういう場合には、やはり都会地に終身勤務するものと比べましてどうしても生計費は違って参りますから、そういう意味で、この地域差というものを無視することは必ずしもできないと思いますけれども、少くとも今のような国家公務員でありますと、都会地、中央で勤務する場合、また地方に赴任する場合、比較的交流の容易に行われる範囲におきましては、その限度では地域差というものを給与についてあまり考える必要はあるまいというふうに申し上げたのでございます。
○森(三)委員 私はほかの委員諸君からも発言がございますからこれでやめまして留保して、ほかの諸君にやっていただきますが、終戦直後は食糧事情からいって、都会の食糧事情がはなはだしく悪かったということもございますけれども、現在ではまたやみ米の値段が非常に高くなってきておりますが、それ以外のものは、たとえば衣服であるとか日用雑貨品というものはいなかが非常に高いということは言われると思うのでございまして、現在ではやはりいなかの方も物価の差というものが相当大きいものがあると思うのでございます。もちろん生計費というような面から見れば、これはまた都会が別な意味で多少よけいかかるという点もございますが、それらの点はまたあと回しにいたしまして、私の最も先生方にお考え願いたいのは、とにかく人事院というものが国家公務員の給与を保障しているというか、担当しているというか、実現する重大な機能を持った機関でありますが、この人事院があれだけの機構を持ってそうして権威あるところの勧告をした。過去三回勧告がありましたものがすべてこれを実施し、その予算を裏づけしておるわけです。昨年の五月二十九日の勧告に対してはとうとういまだにその実現を見ないのでありますが、こうした法律に基いてなされた人事院の勧告というものは国会も政府も法律を守って実施をするということが、やはり憲法を守り、法律を守るという大切なことでなければならぬと私は思うのでございまして、これらは公務員に対する一つの大きな保障であり、また国家が当然なさなければならない義務であると私は考えておるのでございます。そのような意味におきましてなされた勧告、しかもその勧告を基礎として、衆議院、参議院の各党が一致して修正をいたしました勤務地手当の実施につきましては、これはやはり先生方も十分御理解をいただきまして、今後それを本法に入れる入れないは別といたしましても、とにかくその予算措置をするということにつきまして特段の御配慮を賜わりたい、かように私は考えるわけでございます。これは御質問やらお願いでございますが、いかがでございましょうか。
○田中参考人 私は前々から人事院というものを人事院という名前でずっと残して参りますかどうかは多少問題があるとしまして、政府から独立性を持った、公正に給与問題その他を考えていく機関として存在しなければならないということは、年来主張しておるところでありますし、またその勧告がありました場合に、政府がそれを尊重することが本来の筋であり、また望ましいということについても、今森さんのお話になった通りだと思う。ただそこで制度としてみまして若干問題のありますのは、人事院は予算的な措置をする、財政上の問題その他を考慮した上で勧告をするという制度の建前にはなっていないのです。もっぱら一方的に給与の面から考慮していくという建前になっていまして、もしその際に人事院がさらに一般政治の方針とかあるいは財政上の問題とかまで考慮して、地域給にしましても給与ベースにしましても、この程度の引き上げをしなければいけないという意見を出すような立場において意見を出すことになっておりますならば、むしろそれが当然ということになりますが、今のような制度の建前になっておりますと、やはり同時に一般政策的な問題あるいは財政上の問題等を配慮してその通りには実行できないという場合が起り得るということは、制度自体としても予想しておるところではないかと思う。そういうふうな制度が妥当であるかどうか、こういう問題になりますと若干問題の余地はありますが、政府から完全に独立したものであるということになりますと、人事関係以外の問題まで考えて勧告をするということは、制度としては不可能である。その調和をはかっていきます見地からしますと、人事院は勧告権を持ち、政府はできるだけそれを尊重するという方針に出ていくということは、確かに必要でもあり、また望ましいことでもありますが、一般財政上の事情からどうしてもそれに応じがたいという場合には、そのことを一般国民にも知らせ、公務員にも伝え、国会でもそれが了承されるということになってしかるべきで、今の勧告の制度の立て方が、制度そのものとして妥当であるかどうかということにも若干問題の余地があるじゃないかというふうに考えております。今までの例もありますし、勧告が出ました場合には、できるだけそれが尊重され、予算の中に盛り込まれるということが望ましいことであるということにおいては今お話の通りだと思います。
○高橋小委員長 田原春次君。
○田原委員 私は右派社会党の小委員の一人の田原でございます。きょうは先生方と討論する意図は毛頭ございませんが、実は御承知のように、昨年の人事院の勧告が出まして、それを政府は実行しておらぬわけです。今田中先生のおっしゃるように、できるだけ尊重するというならば、かりに百パーセント実行を約さなくても、昨年の五月ですから十二月、すなわち今年の予算にたとい半分、五〇%入れると思うのです。あるいはゼロ級地を一級地にするとか、一級地を二級地にするとか、あるいは人口何ぼのところはどうするとか、何とか工夫すればいいが、それが無視されておるようなかっこうなのです。今日先生方のお話しを承わって勉強したいと思っておりますのは、当面の策と将来とありますが、当面としましては、昨年以来の懸案を人事院では勧告され、また今年もすぐにも今月しなければならぬが、また無視されるということになりますと、人事院そのものがいや気がさしてやらなくなる。そうすると人事院のできた経過から見ましておかしなものになる。国の予算がいろいろ要ることはよくわかっております。その中でストライキ権のない官公吏に対して人事院が一年間工夫して研究したものを出した。それから政府とは無関係でありましょう、しかしながら先般のここの委員会で人事院総裁かだれかの御答弁の中でも、大体政府の腹をにらみ合せて、あまり行われぬようなことは言わぬらしいのですがYそのことは一般から見ればはなはだしく不満足、不徹底なのです。従って、砕いていいますと、遠慮しいしいこの辺くらいでよかろうというようなことで、統計なんか集めてやつたものを一年間そのままにしておるということになりますと、悪い習慣がつくと思うのです。でありますから、できるだけ尊重するという言葉を具体化すには、実際われわれも閉口しておるわけですが、でありますから、去年と今年とのさしあたっての待遇の関係、遠い将来に向っての基本的な給与体系の確立はあるわけですが、今先生方は遠き将来に対しての調整なり対策を立てられておると思いますので、むろんその中にいろいろな問題などを織り込んでいただくことでありますけれども、先生方から勧告をして、それを政府が聞かぬかしれませんので、ここでは問答に終るだけでございますが、森君の聞こうとしたことは、せっかく各政党全部でやったものを無視されておる。これは引つ込みがつかぬわけです。先ほど田上さんがお話しのように、これが政令ならいいけれども、法律だから一々疑義がある。そこで議員に陳情が来る。自分の選挙区だけよけいにするというような競争になってくるという弊害もあると思いますが、他面議院の委員といたしましても、野党だけでなく与党もありますから、従って決して外で一般に見るように無責任に地域給のどこかの級を上げておるわけじゃないのでございます。これは法律であった方がいいか、政令であっ方がいいかということは、おのおの一長一短があると思います。これも今度の公務員制度の中には御考慮願いたいと思うのですが、今私の申し上げようとするのは、また先生の御意見もぜひいただきたいと思うのは、無視された人事院勧告をどうするかということなのです。これを今年また出すでしょう。これも無視される場合は引つ込みがつきませんから、そうすると、人事院の廃止か、逆に人事院の権限を強化しなければならぬことになります。今度の公務員制度調査に際しまして、去年と今年の問題をどう扱つたらいいものですか教えを拝聴したいと思うのです。
○田中参考人 実は人事院の勧告権の問題につきましては、私個人としましては、制度的にそれが尊重されるように現在よりももう一つ強くするという方向に持っていったらどうかという考えを持っております。しかし昨年度の勧告が行われなかったことについてどうかという問題になりますと、これは全く政策論、政治論になりますので、私から意見を申し述べる筋じゃないと存じます。それから先ほど田上君からお話しがありまして、今御指摘になりました点でありますが、どういうふうに将来やっていくかにかかわらず、暫定的に地域給の制度を全廃してしまうことはできない、何かの形で残るということにするほかはないんじゃないかと思いますが、その場合の地域の指定の方法はどうするかという問題は、まだ委員会ではきまっておりません。いろいろほかの国の例なども勘案しまして、できるだけ客観的にそれをきめるような措置、たとえばロンドンについていいますと、あるところから十キロの半径で円を描いた区域というような定め方をする、そういうような何か客観的な基準で、制度としてそれをさらに広めるかどうかという問題は、やはり国会で問題になりましょうが、何か個々的な市町村が問題にするということのないような客観的な基準をもってそれを定めるようにした方かうまくいくんじゃないだろうか、その場合でももちろんいろいろ問題は残りましょうが、その方が個々の市町村の問題を取り上げて各方面を煩わすということなしにきめられるんじゃないだろうかというようなことを、私個人としては考えております。
○田原小委員 人事院の権限の強化の問題ですね。具体的にはどういうふうにしたらいいですか。たとえば勧告を政府が実行しない場合に罰則をつけるというわけにもいかぬと思う、総理大臣をつかまえるというわけにいかぬから、他の次期予算の編成においては優先して考慮するかどうか。強化の内容をどうしたらいいか、先生の御意見に沿ういうようなことが出ましたから……。
○田中参考人 これは非常にむずかしいと思うのであります。まだこれといった結論を出しているわけではございませんが、私個人としましては今の状態でありますと、意見を出しても出し放しということになっておりますが、もしその勧告をいれることができないという場合には、政府がそのいれることのできない理由を添えてその国会にそれを提出する、場合によっては同時に国民に対してもそれを一般に公表するというような措置を講ずることが、一つの方法じゃないだろうかということを考えておりますが、しかしこれは各委員からは賛成を得られそうにありません。
○高橋小委員長 ちょっとこの際お諮りいたしますが、この問題について小委員以外の熱心な議員諸君が御出席ですが、参考人に対する質疑に関しての発言を許すことに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高橋小委員長 なければ許すことといたします。——辻君。
○辻小委員 地域給の問題は、実は人事院の勧告は昨年の五月に七十五億円の予算で出ておりますね。それを各党の代議士が選挙対策からせり上げまして二百十二億、——私もせり上げた一人ですけれども、決して皆さんのことを言うのじゃない。一年間の国会における陳情を統計しますと、六〇%が地域給の陳情なんです。これに使う陳情者の費用——旅費、宿泊費、これはもう莫大なものですね。どうかこれだけは国会議員みずから妙なことを言って恐縮ですが、国会で審議されたという既定案を、こういうこともお含みの上、公平、客観的に処理していただきたい、こう私は思う。私自身困り抜いておる。一方を上げたらほかから反対してくる、これが選挙とからみ合ってこれだけは公平にできない。
○田中参考人 そういう御意見も大体伺っております。
○高橋小委員長 加賀田進君。
○加賀田進君 実は田中さんにお伺いしたいのですが、今お伺いしますと、大久保給与担当の大臣からも別個に地域給の問題に対して早く結論を出してもらいたいという要望があった。しかし小委員会としては、給与全般にわたって、本俸あるいは諸手当はもちろん、地域給も入っておるでしょうが、これらの問題を総合的に検討し結論を出さなくては、地域給だけ抜粋して改正することは困難だろうというような回答があったわけです。小委員会としては、今各同僚がお話しておった通り、昨年来の改正案に基いてこれを実施しなければならぬわけです。それで小委員会を開いているわけです。小委員会としての公務員の給与全般の結論が出なくては、地域給の問題に対しても結論が出なくなるということになると、相当期間が必要じゃないかと思う。政府はもちろんそれを理由として、公務員制度調査会にゆだねてあるのだから、その結論を待てということで引き延ばしているのかもわかりませんが……。そこでお尋ねいたしたいのですけれども、民間給与あるいは、物価指数等から、現在の給与体系がどうあるべきかというような根本的な決定まで、地域給というのは実は実際問題として待てない状態なんです。そこで、小委員会として特に地域給の問題だけをお伺いすると、お二方とも大体廃止するということに対しての結論は同一らしいのですが、その廃止の手段あるいは方法、それらに対してまだ結論が出ていないようですが、そういう意味で、給与に対して地域給だけを早急に決定するということはできないものでしょうか、どうでございましょう。
○田中参考人 お答えいたします。実は職員の給与というものをどういう性質のものと考えていくかという基本的な問題が、まだほんとうの結論には到達していないのであります。根本的な考え方としましては、職務給的なものとして考えていくという考え方、そういう方向に持っていくべきだということは多くの方が考えておられるのですが、現在の経済情勢のもとでは、生活給的な要素を無視することができない、やはり生活給的な要素をそこに加味して考えていくほかはないだろう、これも現在の経済状態を背景としてそういうふうに考えていってはどうかというようなことでありますが、この点も、まだほんとうの結論らしい結論には達していないのです。今の諸手当の制度というものを考えます場合にも、できるだけこれを整理ないし廃止の方向に持っていこうという考え方は根本においてあるのですが、しかし現在の経済状態から考えてみますと、それを直ちに実行に移すということはとうていできないのです。何とかそれを簡素な形に整理していこうということになるわけですが、具体的にどう処理していくかという問題になりますと、地域給だけを切り離してとおっしゃいますが、同時に寒冷地手当の問題をどうするかというような問題が関連して参ります。ほかの諸手当の制度が同時に関連して参りますので、やはりその根本方針がきまった上で、地域給の問題を暫定的にどう処理するか、またその際に寒冷地手当の問題をどう考えていくかということで議論が進んでくるのであります。それで、俸給を考えますと、さらに恩給の問題も考えなくちゃならない。また俸給制度と関連して、職員の労働権の問題をどう考えていくかというような問題も、当然それに関連して参ります。いろいろな問題が相互にからみ合っているものですから、公務員制度調査会としまして、地域給の問題だけを取り出して答申をし、そのあとの問題がそれとの関連において解決されなくちゃならないということになりますと、非常に困ったことになるのじゃないかと思いまして、前々から大久保大臣の来られますたびに地域給の問題をお話しになるのですが、小委員会ではほとんど全委員が、その問題だけを取り出して結論を出すということは適当でない、現在はその時期ではないということで、全体の関連において問題を考えております。今御要望がありましたが、さしあたっての問題としては政府と国会との関係でおきめいただいて、私の方では公務員制度全体の問題としてこれを取り上げていきたいと思っております。
○加賀田進君 もちろん公務員制度調査会としては、重大な給与の問題に対しては、いわゆる職務給でも量と質によって変るだろうし、生活給においても従来の生活給のウエートと現在の経済状況におけるウエートと変ってくるだろうし、あるいは諸手当においても、手当をつけた当時の状態といろいろ異なってくるだろうと思うのです。だから全般的な給与問題の総合的な意味で地域給の検討をしたいということは正しいと思うのですが、もしそういう形の結論を得るまで地域給に対して結論が出ないというならば、国会としても、大久保大臣としても、調査会の結論を得るまで待てないという結論になるわけです。われわれとしても早くそういう抜本的な改正の中の一環として作ることが望ましいけれども、時期的にそういうことが許されないのです。そうすると、大久保大臣も結論を絶えず要望しているようだが、現在の状態としては望めないのですね。
○田中参考人 これは委員に諮ってはありますけれども、おそらく今までやって参りましたように、この問題だけを切り離して早急に結論を出すというところにはならないじゃないかと思います。全体をまとめてということになりますと、おそらく総会でも相当議論がありましょうし、この数カ月のうちに答申案をまとめるということはちょっと困難じゃないかと、これは私個人の観測であります。
○森(三)小委員 先生方が御熱心にやっていただいたのはありがたいのですが、私らどう考えても、去年の五月二十九日に勧告をしたこの勤務地手当を予算化しなければならないという確信を持ってやっているのです。ところが政府は公務員制度調査会なんといううまいものを作って、先生方がおいでになって、そしてこれは全体として解決しなければならぬとお話しになるものですから、それに便乗して、先生方の御熱心な研究を防波堤として、勤務地手当を実施しなければならぬことを阻止するがごとき態度に出ていることは——これは先生方に申し上げるのではないが、政府の態度はまことに卑劣と欺瞞とに満ちているものです。実際先生方はほんとうに防波堤になっている。そればかり言っているのですよ。今公務員制度調査会が日本の学者を呼んでやっている、そこで全体としてやらなければならぬ問題だと言っている、まことにいい口実を与えているのであって、その点は先生方の御熱心な態度にかかわらず遺憾と思っているのでありまして、これはあくまで人事院の勧告を尊重していただきまして、勧告は勧告として実施をするというあり方と、国会を尊重し人事院を尊重するという態度を先生方がきぜんとしてお出し願いたいと思うのです。
○加賀田進君 田上さんにお伺いしたいのですが、さいぜんのお話の中で、地域給を廃止する場合には必ずしも既得権云々ということは、そう重きを置くものでなくて、個人の既得権を取るのじゃなくて、地域に対しての問題なんだからこれはそうシビヤーに考える必要はないというようなお話があったのですが、これは逆に廃止の場合には切り捨てられる伏線としてわれわれは重大視しているわけです。これはやはり既得権云々ということは、人の公務員の給与は民間給与並びに物価指数等を勘案して決定されるということになっているのです。しかし事実は、昨年の報告も民間給与その他と比較しても公務員の給与は少いということを、人事院は報告している状態でありますから、そういう一般の民間給与、物価指数に比較して悪い公務員の現在の給与体系を、さらに地域給を切り捨てられて既得権を侵害されるということは、民間給与より給与がいいという場合は了解できるといたしましても、悪いにかかわらずなお地域給のために給与が下るということは、われわれは許されない状態だと思いますがどうなんですか。
○田上参考人 全くその点は私は同感なんであります。先ほど申し上げました意味は、どうも法律の議論で、少しピントが合わなかったかと思いまして、はなはだ恐縮でありますが、公務員の場合に、個別的には減給ということは多くの場合一種の制裁、懲戒的な意味を持ってくると思います。しかし一般的に、たとえば給与法を改正することによって、ベース・アップならよろしゅうございますが、べース・ダウンするというふうなこと、これは、もちろん国会がそう簡単には今日の経済情勢でお認めにならないと思いますけれども、経済的ないろいろな条件が変りまして、法律でお変えになるということでありましたら、やはり既得権の侵害ということにはならないのであって、法律が変れば将来は公務員としても安い給料で当然満足しなければいかぬ。ただ問題は、その場合に実質的に申しまして、今日の社会生活を営むのに必要な限度というのがございますから、それを割るような——つまり先ほどの御議論もありましたけれども、生活給ということから考えますと、みだりに給与を下げますと一種の生存権を侵されるようなことになります。その意味で普通の既得権という意味とは少し違いまして、その方で私はやはりむずかしいというか、むしろ憲法上も疑義があると思いますけれども、しかしもしその生活を脅かされない、ある程度職務給的なものを考える余裕があるという状況でありますと、法令によって一般的に給与の基準が変って、あるいは手当を本俸に切りかえるようなときの調整の仕方によって、多少部分的に減給されるような者ができて参りましても、われわれ法律学者として、既得権の侵害として訴訟で争うことができるかどうかというふうに考えると、これはどうも争うことができないと考えておるのであります。 しかし今の御議論は、おそらくそういうところに焦点があるのではなくて、現在の給与は非常によくないから、従ってこれ以上何か経過的にもせよ多少とも減ることがありますと、これはやはり公務員の生活を脅かすことになり、その意味で既得権というよりもむしろ生活権とか生存権とかを脅かすことになるから慎重に考えなければいけないという御意見のように伺うのでございますが、私もその意味においては全く同じ気持でございます。
○田中参考人 ちょっと補足さしていただきます。今、田上君の言われましたことは、法律学者がある既得権という概念を立てて議論をしますときに、既得権を侵害するものかどうかということでよくそういう議論をするのです。その意味での既得権の方に入るかどうかということについての意見を田上君は述べられたわけですが、実際問題としまして、また政策的に考えまして、地域給の制度をかりに廃止するという場合を考えましても、それは既得権じゃないから全部切り捨ててしまうという考え方はとることもできませんし、またとるべきでもない、そのことはおそらく公務員制度調査会の小委員会の方々、皆さん同じ御意見だろうと思います。田上君もその点では別に違った意見を持っておられるわけではないと思います。今田上君が特殊の法律論を持ち出されましたから、何かわれわれが地域給を切り捨ててもかまわないのだという考え方をとっておるかのごとくもしお考えになるとしますと、それはそういう意味ではございませんから、ちょっと誤解のないように申し添えておきます。
○高橋小委員長 山本勝市君。
○山本勝市君 私は委員外で、委員の方にちょっと時間をいただいて恐縮でありますが、長い間地域給の問題に悩んでおるものですから、考えを申し述べて御意見を伺いたいと思います。 先ほどから承わっておりますと、人事院の勧告と政府がその勧告を執行する責任といいますか、そういう関係の問題を森さんから質問されましたが、私はきょうは地域給の会をされるということですから、それで実は伺ったようなわけであります。ですから人事院の勧告と政府の執行の責任との関係は、これは関連はありましてもしばらく別にしまして、加賀田さんがしきりにおっしゃったことに私は共鳴するのでありますが、地域給の問題はもう待てない時期になっておる。これは加賀田さんがおっしゃる通りだと思う。ことに最近町村合併というものが政府の方針で進みまして、同じ町村の中で地域給のついていないところとついておるところとある。なお同じ地域給がついておりましても、階級の違うところがある。その場合に、これまで町村が分れておる場合でも問題はありましたけれども、同じ村あるいは同じ町の中に二つの取扱いができて、それもそこに経済的な差別も何もないというような事態になってきたものですから、いよいよ待てない新しい一つの状況が出てきたと思う。このついておるところへついてないところが全部肩を並べるということは、おそらく財政的にいろいろむずかしいでありましょう。しかしこのまま同じ町内の学校なら学校が三つに分れているということはできないことであります。ですから給与が上るとか下るとかいう問題は一つの問題でありますが、そのほかにアンバランスの問題、この不公平ということが陳情請願の起る大きなもとになっておるのでありまして、これをどう扱ったら下るか上るか——ただ上れば問題は起らぬかといいますと、上ってもそのほかのところとの間にアンバランスが生じてきますと、そこの問題は片づいたようですが、すぐ隣へ問題を移すだけであって、問題自体はちっとも消えないのです。上げてもらったところだけがよくて、その隣はまたそこにギャップができますから、問題をずらすだけであります。ですからこのアンバランスをなくすということに集中して——新しい事態を考えることを待つわけにいかないので、ほかの給与制度全般との関連で解決することが、近く解決の見込みがあるのならそれはもうちょっと待って全体的に解決していただくことがいいと思いますけれども、それがなかなかむずかしいということでしたら、地域給の問題は特に私は切迫しておると思う。ことに月給を上げてくれとかなんとかいう陳情などはありません。地域給のアンバランスに対する陳情であります。それで地域給が違ったところから転任をさせるということは今できるのでありましょうが、高いところへ高いところへばかり移すわけにいきませんから、低いところへ移すということが現に許されることならば、月給が下るのと一緒なんです。一級地から二級地に、二級地から三級地にかえられることは、下るのと一緒なんですから、月給を下げることができるかできぬかというような問題は、地域給制度を残しておいて、人事の異動ということを両方考えた場合には、必然的に下るという場合が起ってくるのです。ですからいろいろ考えますと、どんなに考えても私は地域給制度をとっておる限りは、このアンバランスをなくす方法がないという数年来の結論なんです。ことに最近陳情のあるところを——選挙対策と辻さんはおっしゃいましたけれども、赤子がぎゃあぎゃあやかましく泣くから乳を飲ます、これは人情ですから無理もないのですが、そういうことをやってきたためになおさらアンバランスがひどくなる。だから世間からアンバランスがあまり目につかぬようにするには、筋を引いて、この筋の外と中とが差別があるから見えるので、この中には、こっちにも高いのもあり向うにも高いのもある、こっちにも低いのもあり向うにも低いのもあるというように、チャンポンにしてしまえば、これは区別がつかぬから、あまり陳情がなくなる。それで、この線から向うが安いというのではなくて、この線の向うにも、低いのもあり高いのもあるというようにして、何か勤惰というか、名前は何でもいいが、ほかの標準で一定の地域の中に移ることが必ず高くなるとか、一定の地域に移ることが必ず低くなるということが結果において起らぬようにする。特に、高くなる人もあり低くなる人もあるというような制度を考えてもらいたい。そうすると、勤惰なら勤惰ということで、勤勉手当みたいに変えられた場合、果してこれは勤勉か勤勉でないかということは、客観的標準がないから、おれはもっと勤勉なんだといっても、証明はつかぬから、あきらめもしやすいだろう。これは具体的な問題です。何もほかに理由がないのに、この線から外——しかも生活費を考えるならよろしいけれども、勤務地でありますと、生活は別にしておいて、そうして安いところから高いところへ通っておるといえばつく、高い生活費のところから通っておったら安いということは、私が申し上げるまでもありません。それに対して、いやそこの物価ではなくて、周囲の人が自動車に乗れば、自然乗りたいから、それが基準になるのであるということは、あとからつけた説明であって、実際問題として生活費によって差別されておるということはありません。そうすると全くこれは存続する理由がない。ただむずかしいから延ばし延ばししておるのであって、これを解決しなければ、政治家たる資格がないと私は思う。
○受田新吉君 あわせて同じ問題に関連して。きょうは両先生御足労いただいたので、私もここへ参列さしていただいたかいがあったわけなんですが、今までは、皆さんをお迎えできなかった関係上、皆さんに責任が転嫁されておったわけであります。今の政府は、国家公務員に関する基本的な考え方について責任のある人事院が出す法的な拘束力を持った勧告さえも、軽くけ飛ばす政府ですから、いわんや法的拘束力を持たない皆さんの調査会——先生方にははなはだ相済まぬのでありますが、政府は結論が出て、もし予算がむずかしかったら、むしろ人事院より軽くこれをけ飛ばします。その点は、実に政府はあっさりしたものです。あなた方が非常に御努力なさった結果が、実際はかえって簡単に処理される材料になるということも御想定願いたい。従って皆さんが時間をかけて一生懸命やられるということは、結局政府をして逃げ口をそこに設けさした結果になっておるのでありますから、いかに名案ができましても、結果はやはり人事院以上の運命にぶつかることをお考えいただいたときには、早く結論を出される。特に地域給のようなものは、早期に解決しなければならない問題なんでして、長いこと国会で論争の種になっておるのですから、紛争をこれ以上繰り返さないという意味からも、一つ先生たちの方ではこれだけ抜き出して、地域給に関する結論を出していただきたい。これを全部廃止しようというのには、一番高いところで六百億以上の予算がいるというのですから、とても今の政府は全面廃止など賛成できないことはわかっておる。従って具体的にどう解決をしたらいいかという解決の糸口を皆さんがお示しいただくように、何とかごく近いうちに結論を出していただきたい。きのう官房副長官の田中さんにお尋ねしましたら、六月末を目標に結論を出すことになっておったそうですね。幸いそれが一、二カ月おくれるかもしれぬということで、近く結論が出るというような発言をされたわけです。ところがさっきから先生方の御意見を伺っておると、一、二カ月ではとても結論は出そうもないと言う。そこにも政府と先生たちとの大きな意見の食い違いがある。この際こんなややこしい政治問題化しておる地域給を早急に処理するという意味から、一般の公務員の身分給与関係に対する全面的な問題の処理に先んじて、地域給だけを抜き出して処理されたい。また今田中先生の御意見の中に、僻地の公務員の地域給にもむしろ心を配るべきじゃないかというようなことで、僻地手当というような言葉もあったのですが、そういうようなこともあわせ考えて、いろいろな手当を総合的に見るということもあります。しかし問題は、今急いでやらなければならぬのは地域給でありますから、地域給だけ抜き出していかなる手を打ったらいいか、しかも政府が実行できることも考慮し、もう一つは人事院の勧告という大事な基本的な問題も考えられて、あわせて国会が党派を越えて、ことしの一月に委員会を通過し、本会議まで持ち込んだ案があるので、こういうものも十分考えられて、国会の権威を失わしめず、かつ人事院の権威を失わしめず、財政的に十分政府に努力せしめるというような観点から早く結論を出していただきたい。しかも将来の給与制度に対して、長い目で見たら先生たちのお打ちになった手が正しかったというような結論を、お出しいただくということをお勧めしたいと思うのです。 ただ最後に、現実に地域給をもらっている人々の既得権を侵さないという点は十分尊重しなければならぬのですが、昭和六年に官吏減俸令が出て、本人の意思に反した総合的な俸給減額の措置がとられたわけですが、そういうものとは別に、減俸しなくても高い線に近づける道は幾らでもあるはずですから、最高の一、二級だけ残すということなら、もう一階級か二階級はずすなら、幾らでも道があるのですから、そういう手をさしあたり打っていただいて、上の方は特別の措置をして、地域給を別の形にして残すというような形で、実績を傷つけないようにして、一齊に下を高くして間隔を縮めるという手があるはずです。この点も十分御勘案いただきまして、ごく最近においてこの問題だけを委員会で審議していただいて、一、二回の審議ですぐ結論を出す。そうしなければ、政府はいつまでも遷延します。この委員会がこれだけ苦労しておるのに、半年以上たっても国会の修正案さえ解決しないというのは、これは日本国の世界に対する大きな不面目にもなりますので、どうぞ良識をもって御活動いただきたいと思います。
○田中参考人 今のお話の中にありました点で、田中副長官が六月一ばいくらいで何か結論が出るという御答弁があったというのは、おそらく小委員会としての一応の案がまとまる時期を考えておられたのだろうと思うのです。最初から六月一ぱいに全体の答申案が出るということは、これはちょっと期待できなかったことだと思います。小委員会として、これについての大体の方針がきまるのを六月一ぱいというふうにおっしゃったんじゃないかと思います。もしそれがそうだとしますと、大体の予定としてはそうだったのですが、ところが私が書きました試案の第二次案というのがまずかったせいもありますが、なかなか回を重ねても結論に達しません。今までのところ意見が、重要な問題について、あるところは対立し、またあるところは留保されたままになっておる、それを第三次案という形でまとめまして、それに対してまた論議を重ねていこうとしております。ですから総会に持ち込みますまでにまだ若干の日時を要しますし、総会ですうっと通るとしますれば少し早くなるかもしれませんが、おそらく総会でも重要な問題については、相当意見が分れはしないかと思います。そうなりますと結論が出ますのは、私の今の見通しでは、八月一ぱいはもちろんむずかしいのじゃないか、九月になりはしないかと思っております。またそのほかに、その委員会には各省の方が必ず関係されているわけじゃありません。各省からもそれぞれ意見を出したいということもあるようですから、また各組合関係からも私などしばしば攻撃を受け、いろいろ陳情を受けたりしております。そういう方々からはそういう私的なことで御意見は伺っておりますけれども、あるいは答申をまとめます前には、そういう方々の御意見を伺うというようなことも今後考えていかなければならないのではないかと思われます。そうなりますと、まとまった形で答申が出ますのは、六月一ぱいということはもう最初から望めなかったことですが、おそらく九月以降のことになりはしないかと思います。そこで今の地域給の問題だけを取り出してという御意見ですが、実は私小委員会の主査のようなことをやっておりますが、その立場からいたしましても、その問題だけ切り離して出しますことは実は非常に困るのです。先ほどお話しましたように給与そのものをどう考えるか、手当制度を全体としてどうするかということで、まだ根本方針を決定しかねる状態にありますから、そのうちの地域給だけについて結論を出せと言われましても、ほかとの関連でちょっと困ることがありますし、また公務員制度の中に現在欠陥があって困るという問題は、地域給の問題だけでなしに、いろいろの面で非常にたくさんあるのであります。それで暫定的にこれだけ結論を出せと言われますとばらばらになってしまいますから、全体のまとまった答申に持っていくことが非常に困難ではないかと思います。ですから非常にお困りの事情はよくわかりますが、それは私の方とは直接関係なしにおきめいただいた方がいいのじゃないかと思います。
○高橋小委員長 田中正巳君。
○田中(正)小委員 ただいまお話を承わったのですが、実は受田さんの考えと私は少し違うのです。大久保国務大臣などは調査会の御意見を承わってという話をしておったのですが、本日先生方に来ていただいて私どもが一番役に立ったと思うのは、この調査会の御意見を待っておったのでは、われわれの使命は政治的に達成できないということが若干わかったような気がしたのです。特にただいまの田中先生のお話では、これは早急には結論が出ないというお話でございました。私どももこれが一カ月ないしは半月の間に結論が出るものなれば、政府の言う通り待ってもよろしいでありましょうが、現在の政治的な状態というものはかような状態ではない。政府はかように申しますけれども、この際調査会の御意向とは別にこれを取り上げて政治的に解決していかなければならないというふうに私どもは考えるのであります。これは委員諸君に対する発言であります。 と同時に、私は先生方に申し上げたいのですが、かくなる上は調査会の本来の使命にのっとって、また先生方の学者的な良心にのっとって、制度の根本的な御検討に終始なされまして、国務大臣が早くこの問題をやってくれと言われるような御要請もあるようでありますが、この問題だけを根本的に取り上げて一つだけやるということは、かえって調査会の使命にももとるでありましょうし、今後のためにも相ならぬと思います。私どもは全般について慎重御審議願うことをお願いいたしておきます。それとは別に、われわれは国会においてこの問題の政治的の解決をはからなければならないということがわかったことが、本日両先生がお見えになったことの最大の収穫だったと思っております。
○田原小委員 私は田中さんの御解釈に全く賛成であります。従って八月末または九月までに結論を急ぐ必要はありません。来年の春くらいまでに根本的なものをやっていただきたい。同時に今度はこういうふうに先生方から政府に勧告してもらいたい。本日参考人に呼ばれてみたら、去年ことしのこの地域給の問題にからんで政府はわれわれを利用しておるということはもってのほかだと思います。そういうようなことでは自分たちはやめる、われわれは公務員制度全般に対して、どの政府にも関係なくほんとうのものを作りたいと思うから、政府はよろしく即時地域給については内閣委員会と協議してやるべし、右勧告するということでやってもらいたいと思います。そうしてぱっと縁を切って下さい。
○加賀田進君 今申された通り、大久保大臣は今までこういうことでこの委員会をほんろうしておったのです。だからもしも再度そういう要求があった場合には、そういうことで給与全般あるいは公務員制度全般にわたって抜本的な改正をしなければならない、地域給の問題だけを先に取り上げることはできないのだから、今国会の状態を聞くと相当急を要する状態だから政府独自でこの問題をやってもらいたいということで、すっぱり拒否していただきたい。これは先生方に熱意のほどを伺いたいと同時に、委員長にもお願いいたしますが、今申し上げたように、もう調査会の結論に基いてはとうていこの問題は解決できない。大久保給与担当大臣もいろいろ言っておりましたけれども、こういう情勢の中では、今度はそういう小委員会の結論を待たずして、独自の立場に立って早急に解決するように、委員長として今後御努力を願いたいと思います。
○高橋小委員長 参考人の方々から御意見を聴取することはこの程度で終了いたしまして、本日はこれにて散会いたします。 午後三時三十八分散会