内閣委員会 第43号
- 発言数
- 290 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1955/07/19
会議録
○宮澤委員長 これより会議を開きます。 この際お諮りいたします。本委員会において審議中の国防会議の構成等に関する法律案について、公聴会を開会いたしたいと存じますが、これにつき議長の承認を求めたいと存じます。これに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○宮澤委員長 なければさよう決します。 なお公聴会開会の手続につきましては、委員長に一任願いたいと存じますが、これも御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○宮澤委員長 なければさよう決します。
○宮澤委員長 次に自衛隊法の一部を改正する法律案、防衛庁設置法の一部を改正する法律案、及び防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案を一括議題として質疑を継続いたします。森三樹二君。
○森(三)委員 各委員諸君からもいろいろ質疑が行われましたが、さていよいよこの自衛隊三法案が数目中に上ることになったのでありますが、私どもといたしましては、各委員諸君の質疑を通しまして、非常に遺憾にたえない点が多々あるのでございます。と申しますことは、本年度の防衛計画というものは、法案となって明らかに陸、海、空によって、その人員増加あるいは武器の保有等について明確になっておりますが、しかしそれ以後は全く暗中模索であって、われわれも国民もこれを知ることができないという事態に追い込まれておることは私まことに遺憾であると思うのであります。これは防衛庁長官としても、その責任を十分痛感しておられるであろうと思うのでありますが、各委員から防衛六カ年計画の全貌を明らかにせよ、しかも自由党の諸君は、この防衛六カ年計画が明確にされなければこの審議はできないということもしばしば言った。われわれもそのことについては、防衛六カ年計画の全貌を明確にしなければ、いわゆる昭和三十年度の防衛計画のこの法律案についても審議はできないということを、しばしば当委員会において申し上げたのであります。そこで防衛庁長官としては、できるものならばその防衛六カ年計画というものを発表したいという考えがあったのかどうか、あってもそれをひた隠しにしていると、われわれも各委員諸君も実は考えているのです。すなわち昭和三十年度の防衛計画というものは、六カ年計画の一部として作られているものだ、つまり全体のワクというものは、防衛庁としてはできているものだというように、委員諸君もまた国民もそう考えている。ところが防衛庁長官は、実際には計画は立てているんだけれども、しかしいろいろな関係があるのでこれを発表しないという建前で突っ張ってきたから、その審議の過程においても、あるいはこれを発表しようかと考えたこともあったのかどうかわかりませんが、とにかくここまで事態が追い込まれて参りますと、今さらここでもって、実は最近防衛六カ年計画ができましたから発表いたしますと、こういうことはなかなか言い切れないだろうと思うのです。そこで防衛六カ年計画の全貌を示せといったところで、あなたはお示しにならぬことはわかります。できていると私どもは考えているけれども、これは幾ら聞いてもあなたとは押し問答で、結局審議は進まないことになる。従って私は防衛六カ年計画の全貌は示すことができないにしても、少くとも明年度の防衛計画がまだできておらぬとは私は言わさない。従いまして、防衛庁長官としては、一体この防衛六カ年計画というものをちゃんと作って、そうしてこの委員会に説明すべきだと思うのでありますが、これについて御意見はどうですか。
○杉原国務大臣 お答え申し上げます。私、ありのままを申し上げますが、この六カ年の防衛計画がすでにできておって、それを隠して言わない、そういうことではございません。まだ計画そのものができていないのが事実でございます。その点は私今までたびたび申し上げておりますが、それがほんとうのところでございます。
○森(三)委員 幾らお尋ねしてもその答弁しか得られないと思うのです。しかし私どもは、これはアメリカとの防衛分担金の折衝等において、日本の防衛六カ年計画が大体このような構想を持っているのだということが提案され、そうしてそれによってアメリカの了解を得たものである。このように各委員も主張されたが、そうでなければならないと思うのです。そんな無計画な計画を立てて、防衛分担金の折衝というようなものはできるはずのものではない。しかしとにかくそれはそれにしても、あなたは防衛六カ年計画というものをお立てになって、しかも檜原次長の当委員会における答弁を聞いても、防衛五カ年計画というものは自由党以来だんだん作られつつあったのです。ところがその自由党内閣がかわって民主党内閣になったのだけれども、民主党内閣になって、防衛五カ年計画が、今度は防衛六カ年計画に変りつつあるのです。そこであなた方は昨年以来もう半年以上内閣を担当してこられたのですが、そのあなた方としては、この自衛隊法あるいはまた防衛庁関係の改正法案など三法を提案するに当って、国会において、内閣委員会においてもあるいはその他の委員会においても、関連のある委員会においては防衛六カ年計画というものを策定してそれを発表すべきであったではないかというのです。あなたはそういうふうに思われるか思われないかというのです。防衛六カ年計画というものはできていなかったんだ、その一点張りでいいのか、政治上の責任を私は追及しているわけです。この委員会において防衛六カ年計画というものは明確にこういうふうになっておる、そのうちの昭和三十年度の防衛計画というものは、現在法案として御審議を願っておるものであります。こういう六カ年計画の全貌というものを、委員会を通じ、また国会を通じて明らかにして、全国民に理解と協力を求めるべき態度を政府としてはとるべきではなかったかということを申し上げておるのです。
○杉原国務大臣 今の森委員のおっしゃいます御趣旨は、私もよく理解できるところであります。そして筋合いからいたしましても、何とかしてある程度、政府として国会にかくかくに考えております、こういう案を持っておりますということをお示しして、そうしてそれをもとにして御審議を願うことを、今森委員のおっしゃるような筋合いでは、私どもも実は考えておったわけでございますが、実際に研究を重ねるに従いまして種々の困難がございまして、今日までたびたび申し上げておりますように、まだ政府としては責任なかった点は、しごく残念に思っておる次第でございます。
○森(三)委員 杉原長官は、第二十二特別国会において、防衛三法が審議されるに当って、少くとも防衛六カ年計画を策定して、これを委員会あるいはまた国会を通じて国民の理解と協力を求めるべきではなかったかという私の質問に対して、ただいまの御答弁によりますと、これを全面的に是認されたようでありますが、私も当然そうあるべきだと思う。そうだとするならば防衛庁長官の政治的責任というものは非常に大きいと私は思うのです。あなたがこれを出さなかったということについてのあなたの政治上の責任を追及されても、私はやむを得ないと思うのです。それだけでも、私はこういう言葉を使いたくないけれども、防衛庁長官に対するところの不信任というような問題が取り上げられても仕方がない。これは防衛庁長官としては責任上当然考えなければならぬと思うのです。何となれば、その防衛自体は日本の将来の安危にかかわり、しかも総予算の約四分の一近いところの防衛予算を組み、さらにこれにからんで青少年の将来のいわゆる軍隊的な責任と、そうしてまた憲法改正によってこれを徴兵制まで持っていかれるというような、幾多の問題を含んでおる問題であります。国民の非常に大きな関心を持っておる問題であります。従ってあなたの政治上の責任というものは非常に重大であると考えております。 そこで、さらに進んで私はお尋ねするのでありますが、あなたは防衛六カ年計画はまだできていないんだ、従って発表することはできないが、これは当然策定して、国会に提案して説明すべきであったということを認められておるのです。しからばもはや本国会が終了いたしますと、少くとも八月においては大蔵当局に対して防衛庁の予算の請求もしなければならぬ、こういう段階に入っておるわけであります。つまり昭和三十一年度の予算編成の目途を立てなければならない段階に参っておりますが、新聞等では、すでにもう昭和三十一年度の防衛庁の自衛隊増強、陸海空軍の武器の増強等については、計画ができておるというその内容まで発表されておる。これは私は当然だと思う。防衛庁としても当然昭和三十一年度の防衛計画についてはその成案を得ていなければ、つまり昭和三十一年度の予算編成におけるところの大蔵省との予算折衝等ができないのでありますが、これにつきまして私は、少くとも明年度の防衛計画については当然当委員会において発表すべき段階に到達しておると思うのです。これについて防衛庁長官の明確なる御答弁を願いたいと思います。
○杉原国務大臣 お答え申し上げます。来年度の計画でございますが、これにつきましては、ただ将来の目標的なものではなくして、現実の実施計画ということに性質はなるわけでございますが、本三十年度の増勢計画に伴う法案も、現在こうして御審議をお願い申し上げておるような次第でございます。そういう事情でございまして、防衛庁といたしましては、まだ来年度の計画はこうだという案を立てるまで至っていない実情でございます。そういう点、今申し上げたような事情でございますから、御了承を願いたいと思います。
○森(三)委員 あなたは何でもまだできていないと言われれば、それでもってこの委員会は時間がたっていく。時間がたてば、時間的に解決がつくんだというようにお考えになっていらっしゃるかもしれぬけれども、実際あなたは委員会の権威というものをお考えになっていらっしゃらないのじゃないかと私は思うのですよ。そんな無責任な話はない。先ほどもあなたは防衛六カ年計画というものを策定して、そうしてこの法案の審議に当っては委員会に説明することは当然だということをおっしゃっているのです。そして今年の自衛隊増強は、陸海空でこれだけの人員を増強しなければならぬ、また武器もこうしなければならぬ、予算もこれだけにしなければならぬということをはっきりと打ち出しておきながら、これともう密接不可分の関係にある次年度の予算編成が目睫の間に迫っているにかかわらず、これさえも防衛計画ができておらないとおっしゃるのは、それは児戯にひとしいのですよ。これはわれわれ委員会としても承服できない。これは明らかに職務怠慢と言われてもやむを得ないのじゃないかと私は思うのです。あなたの部下がそこにたくさんおられる。あなたの部下はおそらく防衛計画というものを毎日練って、六カ年計画、そうしてまた明年度の予算編成についてはどれだけの予算を要求しなければならぬかということで、日夜非常に頭を悩ましてやっておられると私は思う。 しからば角度をかえてお尋ねいたします。すなわち昭和三十年度、本年度の防衛庁経費は八百六十八億余になっておりますが、明年度はそれよりか一体増額される見通しなのかどうか、こうした問題についても、ただばく然と、まだ考えていないとおっしゃることはできないと私は思う。少くとも、これより減らそうとあなたは考えているのか、あるいは増額はやむを得ないと考えておられるのか、その点をちょっとお尋ねいたします。
○杉原国務大臣 お答え申し上げます。来年度も若干の増勢は必要だと考えております。従いましてその経費につきましても、本年度より若干増額するであろうという見通しでございます。
○森(三)委員 若干、見通しという言葉をあなたは使用された。それならば、われわれの常識で判断するならば、本年度陸上自衛隊二万増強、それから海上あるいは空の関係においても一万名程度の増強をされておるのであります。これらの人員についても増員を相当されるとわれわれは考えなければならぬが、その大体の予想――あなたは確定したものを持っておらないとおっしゃるのですから、確定したものをあなた方ただいまおっしゃらないから、その予想された数字、それを一つおっしゃっていただきたいと思うのです。
○杉原国務大臣 ただいま申し上げましたように、若干の増勢は必要だと考えておりますが、これを数字的に幾ら幾らというところまでの検討はまだ済ましていないような状態でございます。
○森(三)委員 それでは、大体その予算額において若干増額されるであろうということをあなたは言明されたのですから、その予算額について若干ということは、一割程度増強するというのか、二割というのか、三割というのか、そのめどは大体つくのではないですか。つまり、昨年度の予算は防衛庁の経費としては七百四十二億八千五百二十万、こうなっておりますが、本年はそれより約二割程度増額されておる。明年度はやはりその従来の慣例からいくならば、二割とかあるいは二割五分増額になるのだというようなめどはお考えになっていらっしゃるのではないですか。これがなければあなたは大蔵当局と折衝なさることができないのではないですか。われわれとしては、おそらく全体の、総ワクとしてやはり一兆円という予算をあまりオーバーすることはできないと思うのです、現在の鳩山内閣においても。だから、あまり多くの増額はあなたとしてもとうてい考えられないだろうけれども、若干の増額をするということをあなたは今答えられた。そうだとするならば、その増額というものは、防衛庁の大体の見当として二割程度の予想をしているとか、あるいは陸上、海上、空においても一万なら一万、二万なら二万増強をするのだというような、アウト・ラインぐらいなぜあなたはそこで言えないのか、私はまことに無責任だと思うのです。明年度の陸海空の増強計画、そうして、それに伴う予算等をあなたの頭の中に描いていないとすれば、私は防衛庁長官としての資格がないじゃないかと思うのですが、どうですか。一家の生計にしても、家族が何人であって自分の収入がこれだけである、そうすれば、来年はむすこが大学に行く、来年は娘を嫁にやらなければならぬ、そうした計画を立ててお互い生活しているではないですか。防衛庁の予算も、国家予算から見比べ、例年の関係も見比べ、あなた方の立場からすれば、アメリカとの折衝についても大体のめどというものがもはやできていなければならないのです。もしこれが空々漠々としてできていないとすれば、職務怠慢もはなはだしいと言わざるを得ないのです。これについてあなたが全然数字がわからないとは言わさない。少くともその金額について、あるいはまた人員の増強について、あるいはまた武器、弾薬等についても、大体のめどというものは発表されなければならぬと思うのです。そこにあなたの手控えがなければ、そこにあなたの部下がたくさんいらっしゃるから、部下にお聞きになって、そうして責任ある答弁を願いたい。
○杉原国務大臣 先ほどから申し上げますように、来年度におきましても若干の増勢は必要だと考えておりますが、これをどれくらいにするかというような点につきましては、来年度の財政状態などとも関連して慎重に考えて行かねばならぬことだに思います。御承知の通り、財政の関係、方面におきましても、恩給とかあるいは減税とかいうようなことは、来年度の財政を考えて行く場合重要なことだろうと思います。そういうことは、われわれが来年度の予算、そうしてそれと不可分の関係に立つこの防衛力の増強計画というものを考えていきます場合、当然考慮に入れて考えていかなければならぬことでございます。その辺のところをなお一つせっかく慎重に検討して方針をきめていきたい、こう考えておる次第でございます。
○森(三)委員 杉原さんのお答えを聞いていると、実際国民には目をおおい、耳をふさぎ、口をふさいで、もう政府のやっていることはお前たち考えてもいかぬし、見てもいかぬし、しゃべってもいかぬ、そういう主義をとっておられると言われても仕方がないじゃないかと思うのです。各省といたしましても、毎年予算を大蔵省に要求いたしまして、その要求通り通ったためしがない。大てい削られておるのです。従って私は、あなたの方で今策定されているところの、本年度の防衛計画に接着し、密着し離れることのできないこの予算関係、あるいはその予算関係の内容をなすところの自衛隊の隊員とかあるいは装備とかいうことについては、もうあなたの頭の中に描かれていなければならぬのです。これはあるじゃないですか。碁を打っても、将棋を打っても、次の石をどこへ置くかくらい考えなかったら打てるものではないですよ。いわんや、あなた、この大きな防衛庁の予算と、そうしてまた、あなた方防衛計画を立てている以上、今年の編成や予算だけはわかっているが、来年のことは、ただ若干増額する、あとはわからないというようなことで国民をつんぼさじきに置くような態度はけしからぬと思うのです。少くともあなたとしては――私たちは大蔵当局でどういうふうに、それが認められるか認められないかわかりません。わかりませんけれども、防衛庁自体として、私どもとしては少くともこうした考えを持っております。果してこの金額あるいはこの内容が妥当であるかどうかということは、これはまた将来国会等において審議されなければならぬ問題でありますけれども、大体現在のところではこの程度を考えておるということがなぜ言えないのですか。きのうの生活ときょうの生活とあしたの生活というものは、重大な関連性があるものです。きのうなくして、きょうはない、きょうがなくては、あしたがないじゃありませんか。それをあなたが何ら頭の中にないというようなことは、委員会を侮辱するもはなはだしいものですよ。少くも私は、防衛六カ年計画の全貌は言えないとしても、明年度の編成については、われわれとしてはこれは重大な関係があるのです。明年度の防衛計画について、あなたは全くできておらないというようなことを言っておりますが、私はそういうことは信用できないのです。 そうしますと、あなたは先ほど、予算額については若干増額するであろうということを言われましたが、それではさらに進んで申し上げますが、本年度は陸上自衛隊を二万名増強されることに法案はなっておりますが、明年度はそれ以上に増強されるのかどうか。あなたのさっきの予算関係から言うならば、本年度以上になるように承わることもできるのでありますが、しかしそれは海あるいは空、あるいは装備等の関係においてコネクションがあると思うのですが、陸上については本年度よりも人員を増強するのかどうか。その程度の答弁は私はできるはずだと思う。
○杉原国務大臣 先ほどから申し上げますように、来年度におきましても自衛隊としては若干増勢を必要と考えております。そのうち特に陸についてのお尋ねでございますが、陸につきましては、世間でもいろいろな見方、意見があるように聞いておるのでありますが、来年度におきましても若干の増勢は必要だと考えておる次第でございます。
○森(三)委員 あなたがそういうふうに穏やかに、だんだん増強しようと思っているということをおっしゃってくれれば、だんだん話も通ずるのだけれども、もうシャット・アウトして、お前の言うことは、何を聞いても答えないぞというような態度をされると、こちらもおのずから繰り返し繰り返し申さねばならぬのです。従ってこの自衛隊法などがもっとすらすら審議されるのだけれども、あなたがあまりひた隠しに隠される態度をとるから、委員諸君も審議を進めないようなことになって、協力態勢というものができなくなってしまう。会期ももうあとわずかですから、あなたができるだけ誠意をもって答弁されるならば、この法案もやはり審議が進んできて、会期内に上るというようなことも考えられるのです。やはり誠意をもって御答弁願いたいと思う。 陸上については、あなたはそういうふうにおっしゃったが、しからば海上自衛隊あるいは航空自衛隊については本年度よりさらに増強される御意思であるかどうか。
○杉原国務大臣 海空についても若干の増勢は必要だと考えております。空の方は御承知の通り、今まではまだほとんど練習機の段階だけでございまして、保有航空機から見ましても、今約百九十一機くらいでございますが、実用機はただ輸送機の十機、それから連絡機一機、あとは全部練習機ばかりでございます。そしてそれに伴う要員の養成ということに非常に重点を置いております。今の重点はそこに置いておる次第でありまして、まだ実用機の段階まで行っていない。それを三十年度の計画におきまして若干進めまして、実用機の方の訓練の段階にいよいよ入る。それには今年アメリカからF86約五十四機、これは完成機の供与でありまして、例の国内での組立てとは別でございます、これはずっと先であります。アメリカからF86を約五十四機、それの供与を期待しております。それをもとにいたしまして実は航空団というのを作るわけでございます。これは当初、本年度においてはもちろんのことでございますか、その実用機もむしろ教育訓練がさしあたりは主眼になるわけでございます。そういうふうな段階にあるわけでございまして、来年度におきましても、そういった点まだ操縦士の訓練等整備充実する必要がございますし、それから実用機の方ももう少しこれを増勢していきたい、こう考えておる次第でございます。 それから海の方につきましては、この委員会で私前にも申し上げた機会があったと思いますが、これも御承知の通り、現在の海上自衛隊というものは、その主力をなしておりますものが、アメリカから供与を受けましたフリゲート艦の十八隻というもの、それに割に近い時期においてであったのでありますが、アメリカ側から駆逐艦一隻の受領を了しました。これはもうすでに入っておりまして、さらにもう少し小さい型の駆逐艦DEというのを一隻、これは受領はいたしておりますけれども、まだ日本に回航しておりません。そういうのが主力をなしておるような状況でございます。 それから掃海船の方も、これはたびたび私申し上げたと思いままが、日本では第二次大戦中にB29の日本海岸に敷設した機雷というのは非常におびただしいもので、危険海面がまだ非常にたくさん残っておるわけであります。今まで貧弱な自衛隊の掃海能力をもって掃海をしてきておりますか、かりに現有の掃海能力をもって現在危険海面として残されておるところを全部完了するのにはどれくらいかかるかといいますと、三鷹私計算してみたことがあるのですが、かりに現在の掃海能力をもってすれば、まだ危険海面全部を掃海するのには三十六年くらいかかる計算になるような次第でございます。そういう非常に掃海の方の実力も劣っておるので、そういう点からいたしまして、海上自衛隊の方ももう少しこれを増強していく必要がある、こう考えておる次第でございます。
○森(三)委員 ただいまの防衛庁長官の御答弁によりますと、陸上、海上、航空それで増強される、そのように言われましたが、その増強されると言われますことは、私は本年度と比較して、その数は本年度を上回るものかどうかというようなことも含めてお尋ねしたのですが、その点はどうですか。
○杉原国務大臣 その点はまだはっきりと事実申しかねますが、よく一つ検討したいと思っております。そこまでまだ検討がいっていない次第であります。
○森(三)委員 それも大体私どもは想像されるのでありますが、やはり陸上については今年に二万名、海上については本年度において約四千名ですか、それから航空も四千名、こうなっておりますが、大体本年度程度の増強をされようと思っているのか、あるいはそれ以下にしようと思っているのですか、そこらの点について大体の大まかな数量でよろしいですから三三。
○杉原国務大臣 その点は実際もう少し検討いたしませんと申し上げかねる段階でございます。陸の方などはことし二万名ということをお願いいたしておるのでありますが、果してそういう程度のことができるかどうか、これは相当検討を要することだと思っております。
○森(三)委員 大体明年度防衛計画を、明確には御答弁にならなかったが、アウト・ラインは知ることができたのでありますが、海上の艦艇とか重砲弾とかあるいはその他の武器については、これは従来の防衛庁の行き方からすれば、相当他力本願というか、アメリカの供給されたものによってまかなっておるようでありますが、今後これを日本の自まかないというか、いわゆる国内生産によってやっていかれるという方針をとるのか。その程度は今後日本のいろいろな産業あるいは日本の労働問題等にも非常に密接な関係もあるわけですが、これについてはどういうお考えを持っておられるか、御答弁を願いたいと思います。
○杉原国務大臣 実は今の森委員の御質問の点、非常に重要な点だと思います。私らの方としても、そういう点を非常に重要なこととしていろいろ検討しておるわけでございます。御承知の通り、従来陸の使用装備品というもの、ことに火器、特車類はほとんど全部といってもいいくらいにアメリカからの供与に期待しております。それからその他の一般の車輌類とか通信機械とか施設機械とか、そういうものは向うから供与を受けておるものもありますけれども、日本側で調達しておるものもございます。それから飛行機の方は、ほとんど大部分をアメリカ側からの供与に期待しておったわけでございます。それから船の方は、向うから供与をされておるものも、御承知の通り、船舶貸借協定というものによるフリゲート艦とか掃海艇も多少供与を受けてきておるわけでございますが、この艦艇等についても、これからアメリカ側からの供与というものは、なかなか期待しにくいのだと判断いたしております。それから先ほどの御質問の点になるわけでありますが、陸の主要な火器類等の供与でございますが、これについてもだんだん古くなって、これを修理する部品等ももちろんでありますが、そういうものについてアメリカ側の供与を期待することは、非常にむずかしくなっていくと予想しております。すでにアメリカ側の軍で使用しておったものでそれの部品類で今在庫しておるというようなもの、そういうものにはもちろん限りがあります。そしていろいろな供与というものは、日本たけにやっておるわけじゃない。各国にやっておるので、そういうものもだんだん減って参ります。そういう点かりいたしましても、そういうものは日本で補修部品等は作っていかなければならぬということが出てくることだと思います。それからまた命数等ももちろんございますし、そういう点を一挙に日本側で、これを取りかえてやっていくというわけにはまだいきませんけれども、試作品等をまず日本側で試作して、逐次そういうものも作っていく、これには相当年限がかかると思いますが、そういう必要があろうかと考えております。
○森(三)委員 アメリカの供与が主となっておるというようなことを申されますが、そのアメリカから供与されたものは、私どもの感じからいうならば、使い古しのアメリカでもって不要になったものを日本に提供している、こういうように従来から考えておったのです。ところがはからずも、せんだってわれわれ内閣委員会の者が、浜松の飛行隊に見学に行くというので、羽田の飛行場からわれわれの乗りました飛行機、これは新しくペンキが塗ってあったわけなんです。そこで、そのとき田中政務次官もおりましたし、それから門叶官房長もおられたのですが、一体この飛行機は何年くらいたつのだと質問いたしましたところが、これは十年以上たつのだ、こう言われたので、私も実にあぜんとして、なるほどわれわれが考えておったようにアメリカの使い古しの古いものを日本によこしているということはこれだなと私は直感したのです。もっとも日本軍が供与を受けるとしても、使用に耐えないものは受け取らぬだろうけれども、もうアメリカ空軍としてはお払い箱になったようなものを、それにペンキを塗り直して、お前らの方の国で使えというようなことは、私は非常に多かろうという感じを受けたのでありますが、これらにつきましては防衛庁としては、もちろんその性能は十分テストはしているにしても、とにかくアメリカの使い古しの兵器をこちらがいただいて、そうしてやっているような印象を私は受けているのですが、それについては長官としてはどういうお考えを持っておられるか、御答弁願いたいと思います。
○杉原国務大臣 これは相当古いもの、それから性能等においても、旧式に属しているものがあることは事実であります。また一方相当新しいものがあるということも事実でございます。しかしアメリカ側としては、いわゆるMSA援助に基く供与というものは、日本だけではなく、非常に多くの国に対して供与していることは御承知の通りであります。そこでアメリカ側として日本に供与し得るものについても、いろいろ種類があるわけでございますが、その中で、日本側としてはなるべく日本側に適当とする、こういうものがほしいと優先順位をつけて、そしてわれわれの方としては希望を表明いたしている次第でございます。
○森(三)委員 私どもは昔の観念かもしれませんが、飛行機というものは消耗品だ三カ月か四カ月使えば、これは使えなくなるのだというようなことを聞いておったわけです。ところが最近はエンジンその他の設備も非常に進歩したせいか、とにかく十年たった飛行機が日本に来ているので私らは驚いたのです。しかし性能をテストして、使用に耐えるというので使っていると思いますが、実は先日帯広でもって自衛隊の飛行機か墜落して、二名死んでおります。それはここにおられるあなたの部下にもわかっているはずです。そういうような新聞報道を見ますと、なるほどアメリカの使い古しの飛行機じゃ日本の自衛隊もかわいそうなものだ、命がけでやっているのだというような感じを受けたのですが、これについて長官はどういうようにお考えになるか、またここにおられるところの政府委員で、あの飛行機事故の発生した原因などお知りの方があったら、答弁してもらいたいと思います。
○増原政府委員 最近の航空機は、御承知のようにだんだんと性能かよくなりますとともに、定期の検査あるいはオーバー・ホール等を厳格に施行しておりますので、特に輸送機などは、十年以上がいわゆる命数になっております。アメリカの方でも十年以上使っているという状況でありまして、定時の検査及びオーバー・ホールを厳格に施行して、確実に性能として飛行に耐えるというものを使用させているわけでございます。先般の帯広の事故は、まだ事故原因の明細な調査が完了しておりませんので、実はよくわかっておりません。わかり次第御報告したいと思っておりますが、しかし古くて機械等が損傷をしておったというための原因ということでは、おそらくないというふうな見通しをつけておる次第であります。しかしこの原因については明確にはわかっておりません。
○森(三)委員 自衛隊の方としては、使い古しのエンジンだから故障したなどということは、なかなか言わないだろうと思うけれども、とにもかくにも日本の前途ある青年が飛行機事故で墜落するというようなことが、もしもアメリカの使い古しの飛行機のためにエンジンその他に故障が起きてそうしたところの犠牲になったならば、これは防衛庁としてもまことに重大な責任があると思います。あなた方が、昔のように、訓練中でも兵隊の命なんというものは、もう身を鴻毛の軽きに置いて一銭五厘のはがきよりも安いのだというような観念であるならば、これはとんでもない話である。少くとも現在の自衛隊の募集によって志願していく連中は、実際において今日の人口過剰、農村、漁村の不況のために、とにかく自衛隊に行く、ほんとうは行きたくないのだが、まともな将来性のある職につきたくても職がないので、やむを得ず行くのだというような者も相当いるのです。そういうような前途ある青年が自衛隊を志願していって、そうして自分の使用しておるところの武器あるいはその他の故障によって死ぬというようなことは、やはり私は防衛庁のあなた方の責任というものは大きいと思うのです。今後アメリカから供与されるところの飛行機あるいはその他艦船等についても、これは無条件でもって供与されるのだからというような観念を持って入れておったのでは、私は大へんだと思います。これについて長官は一体どういうお考えを持っておりますか、御答弁を願いたい。
○杉原国務大臣 これは森さんにもよくおわかりいただけると思いますが、こういう点を十分考えてやっていくここは当然でありまして、今までもやっておる次第でございます。
○森(三)委員 それからもう一つお尋ねしたいのですが、決算委員会でも大が問題になったのですが、「梨」という駆逐艦がアメリカの空爆にあって沈没したわけです。排水量は千二百三十トンです。そうしてこの駆逐艦を引き揚げる前に潜水夫を使って見ると大した損傷がないので、これならば引き揚げて防衛庁に売り込んだならば一もうけができるというような動きが行われて、これを防衛庁に売り込む話があったのですが、これはその後どうなりましたか、御答弁を願いたい。
○杉原国務大臣 これは、その所属の大蔵省の管財局と、これの払い下げを受けました者との間の権利関係等、その辺のところがはっきりいたしました上は、防衛庁で入手したいと考えておる次第であります。もしこれの払い下げが解除されますならば、国有財産の保管の転換として防衛庁がこれを入手するわけであります。いろいろと世間で何かうわさがあったようでありますけれども、これについて防衛庁としては何らやましいところはないということは確言できますし、またそういうようなことがあってはならない次第でございます。
○森(三)委員 私はまだ防衛庁に何か不正があるというようなことはあなたに質問していないんですよ。あなたの方から先にそういうことを言われるのは何か変だと思いますね。まだ私は防衛庁に嫌疑をかけていないんですよ。そういう一味の連中の不正があったということについて、その駆逐艦をあなたの方で買い入れてあるのかないのかということを私はあなたに質問したのです。これから買い入れるというのですか。
○杉原国務大臣 さようでございます。
○森(三)委員 それならば、私はまだではないのですから、その点は安心してもらいたいが、どうもこの問題は、いろいろな政党人なんかも参加して、われわれの知るところでは、莫大な利益を上げるということになっておるそうです。これは何も防衛庁の人がもうけるというのではないんですよ。つまりそれを引き揚げて、しかも――最初の払い下げそのものも相当不純な問題があるんですね、これを漁業組合と富士製鉄に払い下げたということになっておるが、実際は北星船舶工業株式会社というものが払い下げを受けて、その会社の名前で三百六十万円ですか払って、そうしてこれを引き揚げて修理をし、防衛庁の方に売り込もうというのですが、莫大な利益が上ることになっておる。防衛庁としては今買わないというのは、何かトラブルが起きているから、そのトラブルが全部解消したり買い上げるというのですか、それともそのトラブルのこと自体でなく、何が値段の折衝ができないから買っていはいというのですか。その辺をはっきりしてもらいたい。
○杉原国務大臣 それは先ほど申し上げましたように、この払い下げの当局たる大蔵省の管財局の方と関係者の方とのそういう関係が明らかになった上でと、こう考えておる次第であります。
○森(三)委員 そうすると、何ですか、払い下げを受けた関係者と大蔵省の管財局との間の話し合いがつくとかつかぬとか今あなたはおっしゃったが、それ自体が何かトラブルがあるというようなことなんでしょうか。その辺がはっきりわからないんです。 それと同時に、これを買い上げる金額は、何でも四億円とか六億円で買うというような説もあるというのですが、これから防衛庁が買い上げをする金額についてはよほど慎重にしなければ、これからトラブルが防衛庁に起るおそれがあると私は思う。私がせっかく注意を申し上げるのは、防衛庁長官としては非常にいいことだと思う。ですから、あなたがこの軍艦を買うについては、非常に慎重な態度をとるだろうと思う。もちろん、あなたの部下も慎重な態度をおとりになるだろうが、これについて防衛庁としては大体どの程度の金額ならば買うというお考えを今立てておるのであるか。この問題もお尋ねしておきたいと思う。
○杉原国務大臣 これは、防衛庁でこれを入手しましたら、その上で防衛庁で検討するところに従って改装を加える心要があるわけでございまして、それを入手する前にいろいろそういうものを加えて、そうしてこれを防衛庁が入手する、そういう順序になるものではございません。 なお、この点についていろいろ詳しいことは今政府委員から説明いたさせますから、お聞き取り願いたいと思います。
○増原政府委員 簡単に経過を申し上げます。これは決算委員会でも公けに御論議を願ったわけでございますが、今仰せになりましたように、平郡という漁業組合と富士製鉄とが願人となりまして、当初はくず鉄にする部分と魚巣――そのまま海に沈めて、魚の巣にするということで許可を得たわけでございます。そうして実際に引き揚げます業者が北星、それが金を払ったとかなんとかという関係がまた出てきたわけであります。それで引き揚げてみましたところ、――これは中に沈んでおったときには実はまだよくわかっていなかったんですが、引き揚げてみますと、初めに予想したよりもこわれていないというので、これはそのまま防衛庁あたりで使ってもらった方が国家的にも有用ではあるまいかということで、願いに来たわけであります。 それをどれくらいで買うかということは、私どもの方としての考え方は、引き揚げに要した経費、それをもって買うということを初めから申しておるわけであります。これはそう大きい金額では初めからなかった。申してきている方は、六千万円というようなことを申すのもあったりいたしますが、私どもの方では初めからそういう金額は考えてはいなかった。そうしてだんだん話をし、また実際の船を見ますと、これは改装すれば十分使えるという技術者の判断が出ましたので、それでは適正な価格で買い、また権利関係が明確になれば、これを買って改装をしようということになりました。一応予算として見積ってありますそのものを買い上げる費用は、三千数百万円でございます。これをそういうふうにきちっと買いましたあとで、防衛庁で改装をする経費は三億五千万円くらいの見当でございます。そういう意味で最初から、漁業組合なり富士鉄なり、あるいは北星が関連をしておりますにしても、そういうものから買い上げるのは、サルベージに要した適正な費用、これもどうせ査定をしなければならない。言いなりほうだいではない。三千数百万円というところで買い上げるということが一応の見通しでありまして、その後に三億五千万円ばかりで、防衛庁の方で自分が船会社と契約をしまして改装する。合せると四億近いものになりますが、ただ沈んでおったものをひき揚げて四億に買い上げるというふうに一時喧伝された。初めからそういう話は全然ございません。買うのは適当な引き揚げ値段で買う、そのあと三億五千万円ばかりかけて改装をする。新品を作るとしますと十四、五億かかります。古くなっておりますから、もちろん新品と同じではございませんが、とにかく今船の少い防衛庁として、割合手軽に手に入るものができるということで、これを入手しようということにいたしたわけでございます。
○森(三)委員 お話を聞いておると、防衛庁としては非常に必要な駆逐艦らしいですね。それで決算委員会ではいろいろ問題になったこともある。そこでわれわれこの内閣委員会においても、人からいろいろ聞かれるのです。「梨」というやつはどうなったか、買ったかどうかと非常に疑惑を持たれておる軍艦なんです。今後こうした問題については慎重にあなた方がやらなければ、大きな問題を起すと思うのです。そこで非常にしつこく問うようですが、あなた方の身を思って言っているのかもしれない。前にも警察予備隊か何かの時代にも、保安隊の時代にも、何か物資の購入について汚職事件が起きたことは、あなた方も御存じだと思います。とにかく何千万円とか何億という多額のものを買うのですから、いろいろな問題が起きるだろうと思うのです。そこで防衛庁長官としても、幹部諸君としても、物資の購入等について非常に慎重な態度をとらなければならないと思う。そして軍艦「梨」にしてもいろいろトラブルがある。今増原次長の答弁ですと、三千万円程度で買われる、こういうわけでしたが、三千万円で買ってそれを防衛庁が改装するのに三億幾らかかる。合計すれば四億くらいになるというようなお話でございましたが、それについても私はよほど慎重な態度をもってやらないと、またまた防衛庁の疑獄問題など起きてはそれこそ自衛隊の士気とか訓練にも大きな問題を起すだろうと思うのです。かつては山本権兵衛氏のシーメンス事件なんかもあったのですから、兵器の買い入れ、軍艦の買い入れ等についてやはり慎重な態度をとらなければならぬと思う。軍艦「梨」は何も防衛庁の方々がこの問題に現在まで介入しておらないけれども、何らかあのような疑惑を持たれるだけでも、あなた方は非常に迷惑しているだろうと思うのです。ところが新聞や雑誌等については、何かあなた方もたくさん関係があるように言っている。僕はこの問題を江崎君に言ったら非常に憤慨していたが、何か間違って江崎君の名前も出てきておるんです。そういう問題もありますから、非常に慎重な態度をとらなければならぬ。 そこでさらに私はお伺い申し上げるのですが、防衛庁は年間、軍艦であるとかその他の兵器弾薬等莫大な物資を買い入れるのですから、これについては一々会計検査院の検査を受けておることでありましょうけれども、一々あなた方がタッチするわけではなく、全国にまたがる各管区隊その他自衛隊の個個の会計というものが持たれるのでありますが、これについては自衛隊自体でも、また防衛庁自体としても会計の検査等については、金銭の出納については、相当厳重にしなければならぬと思う。会計検査院の検査を受ける前に、防衛庁においてもやはり重大な金銭の出納ですから慎重な態度をとらなければならぬ。全国にまたがって、食料品の買い入れとか、衣服の買い入れとか、武器弾薬とか非常に莫大なものですから、慎重にしなければならぬと思う。これについてはどういうような監督をなされておるか、御答弁を願いたいと思います。
○石原(周)政府委員 内部の監査の機構のことをお答え申し上げたいと存じますが、内局といたしましては、経理局に監査課というのがございまして、これがこれから申し上げます部隊、機関の監査の取りまとめをやっております。全体の企画をやっております。一番大きいのは陸上幕僚監部の監査隊でありまして、これは相当の人数をもちまして、陸上自衛隊内部におきますところの会計の事前監査を行なっております。次に大きいと申しますか、これかあるいは一番大きいと申してもいいかもしれませんが、ただいまのお尋ねに関連します調達実施本部、これは陸海空三自衛隊を通じます物品の調弁であります。その内部に監査室というのかございます。ここに相当のスタッフを置きまして、物品調達の面につきまして内部監査をやっております。海空は大きい調達関係が――これは陸もそうでありまするが、調達実施本部に参っておりまする関係もございまして、世帯がそう大きくないものでありますから、陸の監査隊のような機構を持っておりません。これは経理、補給部におきましておのおの監査の一班を持ちまして、これが自分で事前の監査をやる、こういう仕組みになっております。
○森(三)委員 私ども地方の自衛隊などいろいろ聞きますと、相当食料品なんかの受注について地元の商人なんかのいろいろ問題を聞くんですよ。やはり商人としては売り込みたいですから、あの手この手といいますか、お願いに行ってやっておるのですが、私の聞くところでは、大体競争入札というような形をとって買い上げておるようですが、すべての物を競争入札というわけにいかぬ場合もあるだろうと思います。食料品、石炭その他の燃料、その他現地で買い上げておる物資、これはどういうような方法でやっておられるか。これにはやはりあなた方が相当厳重な監督をしないと、町に自衛隊がこうやったとか、ああやったとかいう空気がみなぎってくる。ここの隊長はあそこの店と結托しているとか、どこでごちそうになったとか、いろいろ地元でもって話を聞く。そういう間違いのないように――隊長の方では厳然としておっても、商人の方は誘惑といいますか、売り込みたいから、いろいろ策動をやってる。だから物資の購入については、現地でまかなう物については、私の聞くところでは、競争入札というような形をとっておるけれども、原則もあるだろうし、例外もある。もっとも隊員からすればあまり安い物を買っても、かたくて食べられないような肉、腐ってまずい魚を食わされては何にもならない。鮮度の問題、質の問題もありましょう。そういう点についてどういうやり方をやっておられるか、一つ御答弁願いたい。
○増原政府委員 御注意の趣旨はまことにありがたく思います。これは仰せの通りでありまして、部隊発足以来十分気をつけてやらしておりますが、いろいろな風説は立てられるわけです。風説がありますごとに十分にその真相を究明するという態度をとっております。地方の調弁のものは金額が割に大きいのは食糧です。食糧も米麦は御承知のように公定価格はきまっておりまして、買う方も相手方がそれぞれきまっております。これは量目その他を検収するということで割合に問題はないようであります。生鮮食糧になりますと、今御指摘になりましたように競争入札で、これは毎日の分ではなくて、一カ月分とか二カ月分を競争入札ということでやっておるわけであります。これは仰せの通りやはり商人その他では相当の売り込み競争がありまして、いろいろと手を尽して陳情に来るというようなことから、またいろいろのうわさを立てられる場合がございます。この点は時々注意をいたして間違いのないように十分注意をやらしておるところであります。今までそういう方面では間違いがなくて大体参っておる。納入者が斤量を少しごまかしたということがございましたが、大なる間違いなくうまくいっております。将来においては一そう注意したいと思います。昔のようにいわゆる御用商人というふうな形のものは絶対に認めないということで、競争入札でやっております。御用商人を認めてくれというような陳情もずいぶんあるわけでありまして、そういうふうに一つに固まると工合のいい部面も確かにあるのですが、やはり間違いを起すということを考えなければなりませんので、間違いを起さないということに重点を置いております。そうしますと、そんなことで生鮮度がよくて安くてうまいものを適切に買えるかどうかということで、隊員あたりで内々批判をするものが出ることもまたあるのでありますが、やはり間違いのないということを主眼にして競争入札ということでやってきたのであります。
○森(三)委員 まあ一つ物資の購入等については十分注意をしていただきたいと思います。 それから昔の軍隊のようなわけにもいかぬかもしれませんが、隊員が日曜等に出て飲酒をする。そして地方の青年とけんかをする。そして憲兵という制度はないだろうけれども、そこへ来て取り締ったりすると、それならおれはやめてしまうというようなこともしばしば聞いておるのでありますが、結局それは士気の問題にもかかわると思うのであります。せんだってもお話があったが、今日の自由主義、民主主義下において自由と放縦をはき違えて、そして地方民に迷惑をかけるというような自衛隊の隊員も相当あるようです。現在の状況はどのようになっているか。つまり毎年の状況で、昨年よりことしと自衛隊の隊員の風紀あるいは地方民とのけんかとか殺傷とかいうような問題がだんだん少くなってくることをわれわれは期待しているのですが、そういう点について当局としては十分注意をし、そういう事件がだんだんないようにしているか、その趨勢、そしてまたあなた方の取締りについて一言御答弁願いたいと思います。
○増原政府委員 警察予備隊が発足をいたしましたとき、新しい制度であるとともに、いろいろと批判、論議がありましたことは、森委員の御承知のことであると思います。そして発足しました部隊は、最初何と申しましても伝統なく、幹部も、大ざっぱに言いますれば、一ぺんに寄り集まったものだというようなことで、当初は指揮統率の関係等がやはり十分でないといえる状態でございました。そうして外出自由という昔の軍隊になかった制度を基本にとっておるものですから、特に土曜とか日曜日というものは出かけて、町の人々と間違いを起したということも実はございまして、まことにこれは残念に思ったのであります。当初からそういうことは十分に気をつけさせまして、幹部の充実とともに指導訓練を徹底いたして参りまして、その点は逐次よくなっております。しかし一つでも事があると、新聞に大きく報道されてえらく世間に響いたようでありますが、件数を調べてみますと、初めからそう大したことはなかったのでありまして、この点次第に改善されておることは明瞭に申し上げられる状況でございます。なお土曜、日曜等に外出して飲食をするというようなことも、隊員の心構えとしては適当ではない、独身の若い人たちが六千円見当の俸給をもらってこれを全部飲食に費消するなどは隊員としてはむしろ適格とはいえない、そういうことには金を使わないで適切な勉強をするようにという指導をいたしております。それで現在夜学に通っておる者なども非常にたくさんございまして、場所によりましては部隊内に定時制の高校を便宜開設してもらうということもやっております。また貯蓄も一般的には進んでやってくれております。現在自発的な貯蓄が隊員全体では約八億くらいあるという状況でもございます。その点は隊員としての自覚をさらに高め、使命感に徹しまして、町に出て飲食のあげくけんか口論などをすることは絶対にないように、むだなことをしないようにという考え方は十分徹底をして参っております。
○森(三)委員 非常に大事なことですから、今後十分注意をしてもらわなければならぬと思うのです。自衛隊と地元のチンピラ部隊こが酒を飲んでけんかして、町の人はどっちが勝つかというわけで、まるで黒山のようになって興味をもって見ておる。そういうものを私らが見ますと、何とも言えない気持になるのです。われわれはどっちが勝つも勝たぬもない、早くやめてもらいたいと思うのに、血みどろになって両方五、六名ずつがばりざんぼうして、一方はお前らはルンペンして仕事かないから自衛隊に行ったのだろうと言うと、一方は何を言うかというようなことを言って、実に醜い闘争をやっておる場合もあります。十分一つ注意していただきたいと思う。そこでこのような状況下において国教の財政等とからみまして、今後防衛六カ年計画等がだんだん実施されると思うのでありますが、これは今日の国家財政からいっておのずから私は限界があると思う。しかも自衛隊の志願制度についても、今後自衛隊がどんどん増強されて二十万、三十万というような数になれば、自衛隊の隊員の給料なんかも国のまかないでもってやれないという段階がくるだろうと思うのです。そこで防衛庁としては将来は志願制度というものの限界がくるのじゃないかということで、昔の徴兵制度とかあるいはそれにかわるところのもの、またはそれを補充するための民兵制度とか、そういうようなものを私は考えておられるのじゃないかと思うのです。すなわち今日の自衛隊の予算、あるいはその他いろいろな予算上の関係がありまして、自衛隊員が国家のために自分の肉体やその他を犠牲にするというような問題が当然発生してくるであろうと考えるのですが、これにつきまして防衛庁長官はどういうお考えを持っておりますか。
○杉原国務大臣 今の御質問の点でございますが、徴兵制というようなことは今考えておりませんでございます。そうして志願の方でございますが、これも最近の趨勢を見ますと、今年などは非常によい状況でございます。しかしいずれにいたしましても、今六カ年計画を考えます際に、その中に徴兵制ということを前提として考えておるわけではございません。志願ということをもとにして考えておるわけであります。
○森(三)委員 長官は、今年の志願者が相当あったということを自慢そうというか、誇らしそうに言ったのか、あるいは恐縮しながら言ったのか知りませんが、これはすなわち――国家の政治の方針によって失業者が非常に多くあふれているわけです。しかも大学を出ましても、御承知の通り、ことしの卒業生の三割五分というものが現在まだ就職できていないような状況なんです。そこでやむを得ず自衛隊に出願するというものも相当あるわけです。自衛隊の出願者が多いということをあなた何も喜ぶ必要はない、むしろ政治家としたならば、これに対しては大きな考慮を払わなければならぬと私は思う。防衛庁長官は、単に志願者が多いからということでもって安んじておってはならないと思うのです。と同時に、日本は、昔は徴兵制度だった。徴兵制度をしくためには――これは現行憲法でできないことははっきりわかっている。国民に対するところの徴兵の義務というものは、国民に対して大きな人権の制限になるのでありますから、当然憲法を改正しなければ不可能であることはもちろんである。ところが鳩山さんは、かつては憲法改正によって徴兵制を施行するというようなことをしばしば言っておられた。防衛庁長官は、現在のどころは徴兵制度というものは考えておらないという御答弁でありました。長官としては、現在は徴兵制度というものは考えておらぬかもしらぬ、これはまあ肯定するにしても、将来の問題として、すなわち憲法改正の問題も起きておりますが、憲法改正の大きなねらいとしては、これはあくまでも憲法九条の改正、しかも徴兵制を施行するというところに問題の核心があるということを当然私らとしては考えておるけれどもしかしそれをまあぼやかすといいますか、政府としてはあえて憲法九条ばかりじゃない、その他たくさんの改正点があるのだというようなことを言ってカムフラージュしているけれども、改正の根本のねらいは、やはり憲法九条と徴兵制の問題にあるのだと思っておる。国家の財政からいっても、このように自衛力をだんだん、だんだん漸増していけば、国家の財政が破綻する状況になることは明らかなんです。しかもそのうちの膨大なものというのは、いわゆる自衛隊の隊員に払うところの――今増原次長から言われたように八億円も貯金しているものがある。貯金しているのは私非常に感心だと思うのだが、それに対するところの年間の国家の支払いというものは莫大なものです。それが耐え得られるかどうかということです。あなたは将来ともこの志願兵制度によって日本が財政上耐え得られるというふうに考えておられるのか。防衛六カ年計画の中では、これはもちろん志願兵制度で行こうというふうにお考えになっていることをあなたは答弁されましたが、将来においてもここが問題なんです。将来においてもあくまでこの志願兵制度というものを維持していく考えなのか、それともこれでは国家のいわゆる財政上の負担もできないので、国民が自衛のために、自分の肉体的な犠牲、精神的な犠牲を無償でやるという方向に持っていこうとするのか、それについてあなたの基本的な考え方をお尋ねしてみたいのです。
○杉原国務大臣 今の徴兵制度の問題については、先ほども申し上げた通りでございます。それで一つ御了解願いたいと思います。
○森(三)委員 それでは最後ですが、現在の自衛力、それから防衛六カ年計画のできた後における自衛力をもってして、すなわち、日本のいわゆる国防といいますか、自衛というものが達成できるとあなたは考えられるか。現在仮想敵国はないということをあなたはしばしば言っておられますけれども、万一日本に対する攻撃が開始された場合、現在の自衛隊の勢力をもって一体――もっとも攻撃の程度にもよるでしょうけれども、一体一月間持ちこたえられると思うか、あるいは三カ月間持ちこたえられると思うか、あるいはその程度によっては一カ年間でも自衛権を行使することができると思うか、それらについてどういうような考えを持っているか。もちろん一通りではないでしょう、その相手方の侵略の程度によることでありましょうけれども、相手方がどれだけの勢力を持ってきた場合には一月程度持ちこたえられる、それは自衛隊の隊員あるいは装備、弾薬等についてそれだけの余裕があるのだ、相手方が何十万来た場合は三カ月持ちこたえられるというようなあなた方の自信というか信念というか、それらについて尋ねたいと思う。
○杉原国務大臣 今陸上自衛隊は、御承知の通り、その綜合部隊の単位数で申しまして六管区隊、そうしてそれが、御承知の通り、北海道に二個単位、それから本州、四国に三単位、九州に一単位、こういうものを配置したしておる次第でございます。そうして海及び空の方は、先ほどもちょっと申し上げたような状態にあるわけであります。今侵略があった場合にどれくらい持ちこたえ得るか、これは森委員も御質問の中に織り込んで申しておられますように、その侵略の規模、勢力の大小による、それからどの方面に対してということがあらかじめ予知できて――たとえばどの方面にそういうことが発生するかあらかじめ予知できて、そこにわが方の勢力を集中し得た場合といなとによる、あるいはその集中等が交通破壊などによりできない場合、いろいろのことを考えなくちゃならぬと思います。それで、これがどれくらい耐えられるかということは申し上げかねると思いますが、全般的に見まして、まだ日本の自衛隊のみをもってしてはきわめて不十分な状態である、こういうふうにお答え申し上げます。
○森(三)委員 長官もどれだけ持ちこたえられるかということははっきり答弁できないと言われた。その答弁は防衛六カ年計画はできておっても、発表しないけれども、今の答弁はほんとうの答弁だと思うのです。これは自信がないと思うのです。結局相手方から十万の侵略があった場合に何カ月持ちこたえられるか、二十万の侵略があった場合に何カ月持ちこたえられるかということはあなたとしても自信をもって言えないのです。私は現在の自衛隊というものは、あなた方一生懸命になっておられるけれども、申しては失礼かもしれないけれども、自信がないというのがほんとうだと思うのです。だから私らは、今日の自衛隊の増強などに反対するのです。そういう自信のないものを作ったところで、結局それはおもちゃの軍隊である。私らはあくまでもそう思っている。しかも現在四巨頭会談がジュネーブにおいて開かれている世界の平和を醸成し、戦争の危機を緩和するということに、とにかく非常に大きな努力が傾けられていることは事実であります。そこで私どもは、現住の日本の立場において、アメリカに頼るところの、アメリカだけの平和外文では、とうては日本の自衛はできない。すなわち私どもは、現在の自衛隊の勢力によるところの日本の自衛でなくして、世界の平和情勢にマッチしたところの、いわゆる世界平和の中における、平和共存の立場における自衛でなければならぬという考え方を持っておるのです。あなたは防衛庁長官として、今言われたように、自衛隊を日本の各所に配置して自衛々々と叫ばれておるけれども、逆にこの自衛隊増強によって莫大な軍事費が食われ、国民の経済的な窮乏のために、国内的な思想の悪化とか、あるいはそうしたようなおそろしい一面というものが現われつつあるとわれわれは考える。すなわち日本を守るものは自衛隊の増強でなくして、日本の国民の生活を守ることが自衛なんだというようなこともわれわれは考えさせられるのです。従って、あなたは明年の自衛隊の増強をことしと同じように増強されるといいますけれども、われわれはできるだけ自衛隊の経費を削って、それを社会保障制度の予算に回すという形をとらなければ、日本の経済的な危機――この経済的な危機が、とりもなおさず日本の大きな革命というような問題にまでも勃発しないとも言えない。あなたは閣僚とし、防衛庁長官として、このような自信のないところの防衛増強の予算を、国民の生活を苦しめながら莫大に取っていって、そして一たん事があったら何カ月防げるかといって質問しても答弁ができない。絶対にそれを排撃して、相手方の侵略をたたきつぶすということはあなたとしては言えない。それは言えるはずがない。そのような自信のないおもちゃの軍隊を持つことは、われわれは根本的に反対であると叫んでおる。そこに思いをいたして、明年度以降における防衛六カ年計画というものについても、できる限り予算を削減すべきである。われわれは根本的に反対でありますけれども、あなた方はやろうというのだから、われわれがとめようとしてもなかなかとまるものではない。あなたたちの計画において防衛六カ年計画を今後やろうとする。そこであなたは防衛庁長官として、また内閣の閣僚の連帯責任の一員として、日本の今日の経済的状況を十分に判断して、単に自分が防衛庁長官だからこの自衛隊を増強しなければならぬというような、そんなセクト的な考えを持たないで、明年度以降の自衛隊の予算をできるだけ削減していくべきだ。あなたが明年度以降は自衛隊を増強しないのだといえば大へんかもしれない、現在の内閣の政策と反するからやめなければならないかもしれませんが、とにかくあなたとしては、このような無定見な、つまり外敵の侵略があったとしても、これを断固として排撃するだけの力があると言い切れるはずがないようなものに、しかも原爆、水爆の戦争が今日起らんとするさなかにおいて、このような自衛隊増強に日本の国民の生活を無視した予算を莫大に使うということは、われわれは納得できないと思う。そこで結論としてあなたにお伺いしたいのは、明年度以降における予算の編成に対しては、この八月からあなた方は大蔵省と予算の折衝をしなければならないという重大なる段階に来ているこの際においては、あなたは身をもってできる限りこの予算を削減し、アメリカに対する気がね、アメリカに隷属した軍隊というような観念は捨ててもらわなければならぬ。あなた昨日も福井君のあの質問を聞かれたでしょう、九十九里浜の日米合同の演習のことを聞かれたでありましょう。ああいう状態でなくして、アメリカのきずなをできるだけさえぎって、そうして日本の経済生活、日本の将来の経済というものを十分勘案されたところの計画を立てなければならぬと思う。そこで私どもはいわゆる自衛隊そのものに対し、日本の軍隊保持に対しても反対であると同時に、明年度以降における予算折衝について、この防衛計画についてはできるだけ予算を削減するという確信と態度をあなたはお持ちになっているかどうか、最後に私はこの運用をいたします。
○杉原国務大臣 これはひとり防衛関係のみではないのでありますが、日本にとって独立の態勢を確立するということ、日本の安全保障を確立するということは国家的な問題としてきわめて重要なことだと思います。そうして、そういう見地からでもありますが、私らの立場といたしましては、自衛力のある程度の増強ということは必要だと考えております。しかしその際、日本の国力との関係、国民生活との関係、財政との関係というものは、これこそあくまでも非常に大事な点でありますから、そういう点は十分深く考えて対処していきたいと考えておる次第でございます。
○森(三)委員 私まだ質問したいことはありますけれども、同僚議員の関連質問がありますから、私の質問は留保しておいて、他の委員に譲ります。
○宮澤委員長 午後一時半に再開することにして、これにて暫時休憩いたします。 午後零時十六分休憩 ――――◇――――― 午後二時五分開議
○宮澤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 公務員の給与に関し調査を進めます。国家公務員法第二十八条及び一般職の職員の給与に関する法律第二条第三号の規定に基く人事院の報告及び勧告につき説明を求めます。入江人事官。
○入江政府委員 一般職の職員の給与に関しまして、去る七月十六日報告及び勧告を行いましたが、その概要につきまして御説明申し上げます。 人事院は昨年七月十九日今回と同様に国会及び内閣に対しまして、一般職の職員の給与に関する報告を行なったのでございますが、御承知のように、年年は俸給表改訂の勧告はこれを留保いたしまして、報告のみにとどめた次第でございます。その後人事院といたしましては生計費、民間給与その他公務員の給与に関係のある諸条件等につきまして引き続き調査、研究を行なって参ったのでございますが、今回これらの調査、研究の結果に基きまして、昨年と同様俸給表改訂につきましての勧告はこれを留保することといたしまして、期末手当及び勤勉手当につきましては、これが増加の勧告を行うとともに、さらに昇給原資につきましてその十分な確保について要望いたした次第でございます。 次に報告及び勧告の順に従いまして、以下簡単にその概要の御説明を申し上げます。 第一に報告についての概要を申し上げます。まず公務員給与の実態について申し上げますと、一般職の給与法が適用される公務員の給与は、昭和二十九年一月から平均給与月額一万五千四百八十三円として実施されたのでございますが、その後職員構成に変化等がございましたので、この点を考慮いたしますと、前に述べました平均給与月額は一万五千三百円となります。ところが本年一月においてはこの平均給与月額は一方六千二百円となっておりますので、これと対比いたしますと、この一年間において昇給、昇格等により約五、九%の上昇を見たことになります。なお今年七月における平均給与月額を推定いたしますと、おおむね一方六千五百円になるものと考えられます。 次に民間給与につきまして昨年度中における基準内給与の動きを申し上げますと、本年の調査によりますと、年間三、八%の上昇を示しており、労働省の毎月勤労統計調査における毎月きまって支給する給与では三、五%の上昇となっております。さらにこの上昇率を職務の段階ごとにながめてみますと、昨年と大体同じように、下位の職務から上位の職務になるに従って漸次増加の傾向を示しております。すなわちその増加率は大体中級係員以下一・五%、上級係員三・四%、係長クラス五・五%、課長以上九・七%と相なっております。また現行の公務員給与と民間給与との比較をいたしますために、人事院は常用従業員五十人以上を雇用する全国の事業所のうち約四千の事業所を選定いたしまして、公務員とほぼ同種、同等と認められる従業員約十三万人を抽出いたし、本年三月の民間における基準内給与を調査いたしたのでございますが、その結果によりまして、公務員の職務の級ごとに比較してみますと、三級以下は四・七%、四級から七級までは八・九%、八級以上では一二・四%とそれぞれ公務員の方が低位にあることが認めれれたのでございます。しかしてその本年三月における官民の給与の較差は昨年三月におけるそれと比べてみますと、わずかではございますが縮小されたことと相なっております。 さらに以上述べました民間給与の動きにつきまして、本院の調査に基きましてその内容を検討いたしてみますと、次のような事実が明らかと相なりました。 その第一点は、基準内給与の年間上昇率が、昭和二十八年度においては九・五%であったものが、昨年度においては三・八%と大幅に減少いたしているということであります。 その第二点は、昨年度においては、いわゆるベース・アップによる増額がきわめて僅少であったということであります。すなわち前に述べた三・八%の上昇率のうちには、ベース・アップによる分と昇給等による分とが含まれているわけでございますが、このうちべース・アップによる分は、二十八年度において四九%であったものが、昨年度においてはわずか〇・七%と激減しておりまして、またベース・アップを実施した事業所数も、同じように昭和二十八年度の四一・五%に対しまして、昨年度は六・七%とこれまた激減いたしておるのであります。 第三点は、公務員の期末・勤務手当に相当する民間の特別給の増加が見られるということであります。すなわち、その基準内給与に対する割合は、昭和二十七年度においては二・〇四カ月分、同二十八年度においては二・一九カ月分、それが昨年度におきましては二・二六カ月分となっておりまして、前に述べました基準内給与の上昇に比較いたしまして、その増加が目立っておるのであります。 なお、時間外手当の支給状況をみますと、この一年間において特に減少の傾向が見られておることも、昨年中における一つの特徴と見ることができます。 以上は、民間給与の最近における動向と、民間給与と公務員給与との比較について申し上げたのでございますが、次は標準生計費について申し上げます。標準生計費につきましては、本年三月の独身成年男子の東京におけるものを昨年と同様一人一日当り栄養摂取量二千四百六十カロリーといたしましたが、家計調査による食品の摂取状態等を反映させて算定いたしました結果、月額六千六百円となりました。この金額は、昨年に比べまして二十円の増加となっております。しこうして、この標準生計費に相当する給与を支給することを適当といたします十八歳程度の公務員の平均号俸は、一般俸給表の三級四号でありまして、その手取額は六千五百十九円でありますので、ただいま申し上げました標準生計費とおおむね見合っているものと思われる次第であります。 そこで以上述べましたように、公務員の給与が昨年度中に昇給昇格等によりまして、ある程度改善され、民間給与との較差が多少とも縮小されたことは認められるのでございますが、なお現在における公務員の給与が、民間の給与に比較いたしまして、相当低位にあることも事実でございます。しかしながら一方、最近一年間における民間給与の動きにつきましては、すでに申し述べましたごとく、年間上昇率の大幅な減少、特にベース・アップによる上昇率の減少がまことに顕著であります。他方失業者の増大、賃金支払い状況の悪化等給与決定に関係のある諸条件は、今なお依然として改善をみせていないのでございます。また公務員の現行給与が実施された昨年一月以降の物価について見ましても、全般的におおむね停滞の状態を示しております。 以上を総合勘案いたしますと、単に民間給与との現在における較差をもって俸給表の改訂を行うことは、この際必ずしも当を得た措置とは認められませんので、俸給表の改訂につきましての勧告は、昨年と同様さらにこれを留保することといたしました次第であります。しかしながら、民間における特別給の支給状態につきましては、すでに述べましたように、最近漸騰の傾向にあるのにかんがみまして、公務員の期末手当及び勤勉手当につきましては、これを増額する必要があるものと認めた次第でございます。 以上で一般的な給与の報告の説明は終ったわけでございますが、次に、昇給原資確保の要望事項について御説明申し上げます。 昇給制度の適正な運営を確保いたしますことは、申すまでもなく、公務能率の維持向上をはかるためにも欠くことのできない条件であると考えられますが、国家公務員の職員構成の現状を見ますと、終戦後における新規採用者が全公務員の五割以上も占めております実情でございますので、この現状からいたしますと、昇給昇格に要する原資の確保につきましては、特に考慮を必要といたされるのであります。従って、この点につきまして特段の配慮がなされるよう要望いたしました次第でございます。 最後に勧告の内容につきまして申し上げます。すでに報告のところにおきまして申し上げましたごとく、公務員の期末手当及び勤勉手当に相当する民間の特別給与は、公務員のそれに比べまして相当上回っているとともに、最近漸騰の傾向にもありますので、この際公務員の十二月における現行支給率、すなわち期末手当及び勤勉手当を合せた支給率一・二五カ月分を〇・二五カ月分増額いたしまして、一・五カ月分とすることを妥当と考え、このように改訂することを勧告いたした次第でございます。 何とぞ十分な御審議を賜わりまして、その趣旨が達成せられますようお願い申し上げる次第でございます。
○宮澤委員長 ただいまの説明につき質疑の通告がありますので、順次これを許します。森三樹二君。
○森(三)委員 私は人事院の報告並びに勧告について質疑をいたしたいと思いますが、とにかく十六日に報告並びに勧告が行われたのでありますが、この報告書はただいま配付されたので、私はまだ十分検討してありませんが、しかし新聞等で大体要旨は私も読んだわけでありまして、ただいまの御報告によりますと、結局本法の給与ベース・アップの勧告は本年も昨年同様しない、そうしてわずかに期末手当の増額の勧告をしたにとどまっておるのでございますが、私どもは先般も質疑をいたしましたように、今日の公務員の生計の実態は、とうてい現在支給されているところの給与によっては生活はまかえないのだというふうに私どもは考えまして、ぜひとも本法の給与ベースの引き上げの勧告をされることを要求しておったのでありますが、この勧告書を見まして、私どもは人事院の決定に対しましては不服の意を表するものであります。何となれば、すなわち一昨年の三月の民間給与の実態に比べますならば、昨年の三月においては、その比較の上昇率は大体一三%の上昇率を人事院が認めながら、いわゆる経済上の不確定要素という理由のもとに勧告しなかった。そのことは結局私は人事院が独立府としての性格を非常にぼやかして、そうして政府当局に対して非常に気がねをしたものである。このように考えておるのでありますが、ことしの人事院の報告並びに勧告について、たとえば年末手当の勧告の内容を見ましても、〇・二五カ月分の増加をしてあります。本俸は勧告しなかったのでありますが、従来給与ベースの勧告をする場合あるいは地域給の勧告をする場合は、政府との間においてその予算措置等について了解を求めて、その了解を求めた限度において勧告をしているのだということを述べてあるのでありますが、人事院当局は政府との間に今回の本俸並びに期末手当等の報告あるいは勧告について話し合いをしたのかどうか、私はこれは非常に重大な問題であると思うので、率直なる御答弁を願いたいと思うのです。
○入江政府委員 お答え申し上げます。ただいまのお話の今回の給与べースの報告及び勧告につきまして政府とは全然連絡あるいは交渉ございません。なお御参考までに、御存じのごとく地域給につきましては、従来ともこれは地域給の特別なる情勢によりまして今年以外はある程度予算の裏づけをいたしておるのでありますが給与改訂につきましては、従来も政府とは何ら連絡をいたさない慣例でございます。今回もただいま申し上げた通りであります。
○森(三)委員 そうしますと、地域給については従来は予算措置等のことについて政府との間に話し合いをしたけれども、本俸の勧告についてはやっておらない。従って期末手当についても今回〇・二五の上昇の勧告をしたのでありますが、予算措置について人事院は何ら政府と交渉もない。独自の考えによって予算がどうなろうともそれは、人事院の知ったことではないのだ、とにかく期末手当だけは上昇させたい、こういう考えによって勧告をされたものかどうかその点お聞きいたします。
○入江政府委員 期末手当につきましても全然交渉あるいは了解を遂げておりませんので、人事院といたしましては、勧告の通り国会並びに政府においてお認め下さらんことを特に希望しておる次第であります。
○森(三)委員 あなたの方の報告なり勧告書には、予算の措置は書いてありませんが、私が新聞で見ましたところによりますと、期末手当〇・二五カ月分の増額についてはその必要な財源は国家公務員三十二億円、それから公社が二十七億円、地方公務員五十四億円、合計およそ百十三億円というようなことが記載されてあります。これは人事院の計算であるように報告されておりますが、その点はいかがですか。
○入江政府委員 人事院の給与局におきまして一応計算いたしました結果がおおむねそれに近い数字になるのかと存じます。
○森(三)委員 大体これに近い数字だとおっしゃると百十三億というのですが、もちろん人事院は不覊独立の機関として何ら政府に制肘を加えられない、独自の見解で勧告なさることはもとよりでありますが、あなた方としてその裏づけの見通しが果してついておられるかどうか。これがからの勧告に終ってしまって、勧告をしたけれども、地域給と同じように画餅に終るというようなことではこれは全く公務員をぬか喜びさせかえって欺いたような結果になるのではなかろうかと私は思うのでありまして、少くとも人事院が責任をもって勧告をしておるのであって、これについては人事院当局としても相当責任をもった予算措置がなさるべきことを予期し、またこれについての了解といいますか、そうしたこともなされておるだろうと思うのでありますが、それに対するところの見通し、そうしてまたあなた方の態度等について御答弁を願いたいと思います。
○入江政府委員 人事院といたしましては御存じの通りこういうベースあるいは特別手当につきまして客観的な資料に基きまして勧告いたすわけでございまして、それをいかように御採択になるかということは国会及び政府の御決定にまつわけでございまして、今後われわれといたしましても極力勧告の線において実現せられることを希望いたしますけれども、あらかじめ連絡をいたして了解を得るということは従来もいたしておりませんし、今後もさようにいたす方針になっておりません。
○森(三)委員 もしそうだとするならば、人事院は政府と何ら関係なく独自の観点に立って勧告をするものだ、しかもその予算が裏づけされることは望ましいけれども、されるかされないかということについての責任はもちろんないとおっしゃるので、これはそうだと思うのです。そうだとすれば、すなわち公務員の給与の実態、生計の実態を十分勘案して本俸の給与ベースにしても勧告をすべきものだと考えたならば、当然に生計費が増嵩し、生活の実態が非常に苦しい状態にあるとするならば、私は本俸の給与ベースの勧告も当然しなければならない。しかるに一方本俸の給与ペースの勧告をしないで、何かつけたりといいますか、刺身のつまといいますか、その本来の給与でなくて、期末手当の勧告に持ってきたところに、人事院の大きな政治的な含みがあるような気がして仕方がないのです。私から言うならば、それならばなぜ期末手当の勧告をしないで本俸の勧告をしなかったか、結局本来の筋道を通すべきものを通さないで、そうしてつけたりのところを通したこういうところに――予算額も小さくてよかろう、百億そこそこのもので済む、悪い言葉で言うならば、まあとにかくごまかしておけというような人事院の考え方が露呈されておる、こう言われても私はやむを得ないのではないかと思う。すなわち昨年の人事院の勧告にいたしましても、結局一昨年の三月から昨年三月までの民間給与の実態を調査した結果、大体において一三%の上昇があった。しかも人事院はこれは勧告しなければならぬということを考えながら日本の経済事情あるいは財政上の不確定要素があるからというので、勧告を留保したというのでありますから、本年は昨年勧告しなかった分を合せて、当然勧告がなされなければならぬと私は思っておった。ところがその本筋の勧告をしないで期末手当というような形において勧告をした。ここに私は非常に大きな人事院のトリックといいますか、一つのごまかしがあるというような考え方が出てくるんじゃないかと思うのです。何ゆえに本俸の給与べースの勧告をしないで、期末手当というような形において勧告をされたのか、私はこれは非常に重大な問題だと思うので、この点を一つ御答弁願いたいと思う。
○入江政府委員 申し上げるまでもなくもとより給与の基本は基準内給与でございますが、人事院といたしましては、本俸でございましても、また特別手当でございましても、勧告すべきものは勧告し、勧告することを適当と認めないものにつきましては勧告しないということで、従来からやって参っておるわけでございます。そこでその点につきまして、本俸につきましては、先ほど御説明申し上げましたように、いろいろな要因から、昨年同様ことしも留保することを適当と認めたのでありますが、特別手当につきましては、昨年及び今年と、民間給与におきましても、だんだん増加する傾向がございまして、この特別手当につきましては、やはり勧告することを適当と認めたものでございますから、勧告いたしましたので、その点は本俸と要因を異にするという認定の基礎に立っておるわけであります。
○森(三)委員 人事院としては、その報告の内容を見ますと、公務員の給与額がいわゆる昇給等によって増額している。いわゆる昇給そのものを増加の対象としておりますが、この基本的な給与ベース、これを基本として公務員の給与の実態というものを計算しなければならぬ。自然的にこの俸給表によって、公務員の給与が上昇していった。それはつまりあなた方が給与ベースの勧告をしたから上昇したのではなくて、自然的に勤務年限の増加等によって増額されたものも、この中に合せて計算をして、そして報告書の第一ページにあるところの「その間において、昇給、昇格等により五・九%の上昇をみたことになる。」こういうふうに断定しておりますが、これは本来の給与ベースの改訂でなく、俸給表に基く当然の昇格であって、これを公務員給与の増額の中に入れて計算をし、そうして給与べースの引き上げを勧告しない一つの理由としておるということに対しては、私は納得できないのです。こういう考え方に対してはこれは非常に私は矛盾を感ぜざるを得ないのであります。この点はいかがでございますか。
○入江政府委員 御存じのごとく、民同給与におきましても、非常に給与の増額する要因というものは複雑でございまして、いわばベース・アップもございますし、またベース・ダウンもございます。あるいは昇給等も、あるいはほんのわずかでございますが、給与を下げたところもございます。そういりいろいろな要因によりまして、一年なら一年の間において、民間給与が上って参りますので、そこで公務員につきましても、昇給昇格あるいはべース・アップ、あるいは人員の異動によります若干の減とか、いろいろなものがかりにありまして、一年なら一年における公務員の給与、いわゆる平均賃金と申しますか、平均ベースの移動を追って参りますと、先ほどから申します通りに、いわゆる五・九%というものは何も勧告によって起った問題ではございませんけれども、しかしながら全体の平均ベースにおきまして、それだけの公務員の給与の増額があったということは事実でございまして、この公務員全体の増額と民間全体の増額とを比較いたしまして、一つの資料にいたすわけでございます。そういう全体のいわゆる平均給与の上り方を材料といたしたのでございますから、その点御了承願いたいと思います。
○森(三)委員 しかも報告書の第六の記載事項としまして、「公務員の給与が昨年度中においてある程度改善され、民間給与との較差が多少とも縮小されたことは認められるにせよ、なお現在民間給与に比して相当低位にあることも事実である。」ということをみずから人事院としてはお認めになっていらっしゃる。この点はあなた方どういうようにこれは情勢分析されておるか。
○入江政府委員 民間給与との比較につきましては、御存じの通り、いわゆる毎年人事院がやっております職種別民間給与調査、これを一つの基準にいたしまして、これは同一学歴で同一経験年数と申しますか、同じような職務に従事しておる公務員と民間との階層を比較いたしまして、それによっていわゆる民間給与との差を認めております。ここで民間給与との間に相当の差があると申しましたのは、そういう各個人の大体の同一職務、同一経験年数等を比較いたしました場合には、民間の同様な職務にある者よりも低位にあるということを申しておるわけでございます。ただほかに民間にはいろいろと最近会社の倒産もございますし、失業者もございますし、そういう全般的な要素はございますが、いわゆる職種別民間給与調査をもとにいたしました場合に、それぞれ各階層が民間よりも低位にある、そういう解釈でございます。
○森(三)委員 そうしますと、人事院の考え方としては、その民間給与との比較として相当低位にあることをみずから認められておると同時に、今日の公務員の生活の実態、これについては人事院自体としても、今日の公務員ベースにおいては、公務員の生活が解決されておらない。あなたの方で主張されるものは、昨年の人事院のベース改訂によって一万五千四百八十三円という数字が出ておりますが、そういう事態によっては公務員の生活が大体においてやっていけるというように考えておるのか。あるいはそれをもってしては、公務員の生活はいまだ解決し得ていないんだ、今後もこれに対しては適当なる機会において、現在の公務員の給与を改善しなければならないんだ、こういうようにお考えになっておるのか。この分れ目というもののけじめをつけておられるのかどうか。人事院の態度としては、公務員の今日の生計費あるいはそれらの実態調査によって、公務員の給与ベースをもってしては、公務員の生活というものは補い得ておるのか。これについては人事院としても非常に重大な考えを持っておられるのじゃなかろうかと思うのです。これについての御所見をお尋ねしたい。
○入江政府委員 公務員の給与と、民間給与とを比較いたします場合に、いわゆる民間の大体の同一職務あるいは同一経験年数というふうな立場から、公務員が低いか、高いかという一つの考え方がございます。と同時に職務とかそういう経験年数を離れまして、いわゆる今お話の標準生計と申しますか、極端な表現で申せば、生活ができるかどうかという一つの観点と、両方から比較されるのでございますが、ただこれを一がいに全公務員の平均と、それからあるいは全民間職員との平均といたしますと、たとえば今年の三月、民間職員の平均は一万四千円余、公務員の給与は一万六千円余となると思いますが、しかしながら民間のあらゆる職員、どんな小さい会社でも、どういう学歴でも、すべてのものを平均したものでありまして、そういうふうな一つの標準生計という点は、御存じの通り標準生計費のわれわれの調査によりまして、そこで設定するわけでございます。それ以上につきましては大体民間と公務員との同様な職務あるいは同様な経験年数とによりまして比較しておりますので、その後者によりますと、公務員の方が低いということになるわけでございます。その点は若干一標準生計の問題とは比較の場合にいささか異にするのではないかと思っておる次第でございます。
○森(三)委員 人事院としては十八才程度の公務員の平均号俸は一般俸給表の三級四号に当っておる。この者が東京においての現行給与の手どり額は大体六千五百円そこそこであると言っておりますが、すなわちこの程度によってわれわれは生活ができないというような考えが出てくるのです。ところが人事院においてはこの程度でもってとにかくがまんをして生計をやってもらうのだ、これ以上給与は上げられないのだというようなお考えに立っておると思うのでありますが、実際の今日の生計の実態を見ますと、やみ米においてもあるいはその他の日用品においても、われわれは決して下っておらないと思うのです。そうした状況において衣服の場合をとりましても決して下っておらない。むしろ昨年よりは物価の動きというものは横ばいの感じはあるけれども、しかし生活必需物資の中には漸騰しているものも多数あるのでありまして、ただいまあげました十八才程度の公務員の平均の号俸の六千五百十九円そこそこというものでは、私どもはとうてい生活できないと思うのです。それをしもあえてこれをがまんせよと人事院は考えておるのかどうか、これに対してやはり私は改善してやらなければならぬという考えをあなた方が持っておらなければならないと思うのですが、この点について御答弁を願いたいと思います。
○入江政府委員 もとよりわれわれ公務員各位の給与をお預りしておる立場といたしまして、公務員の給与のよりよくなるということは衷心から希望しておるのでございますが、公務員法の精神から申しましても、大体標準生計につきましては、現在一般国民の消費階級が暮しておると同様な程度の標準生計を公務員にも維持させるという一つの観点がありまして、そこで御指摘のごとく、十八才の成年独身男子が六千五百十何円で暮していけるかどうか、ここにいろいろ問題があると思いますが、しかし現在われわれは国民の消費階級の平均消費状況と申しますか、これをマーケット・、バスケット・マルティプルによりまして、御存じの通りカロリーから計算いたしましてこれを精密に計算いたしますと、これが大体十八才の成年独身男子の一般消費階級の標準生計費となるわけでございます。そこで公務員につきましても、その年令の階層につきましては、この程度の給与にいたしますことが、一般国民の納税によって給与がまかなわれております公務員の立場において、適当ではないかということで、従来も実際における消費水準を基礎にして持って参っておるわけでございます。
○森(三)委員 そうしますと、昨年の公務員と民間給与の比較をした上昇率は約一三%だ、しかもこういう物価指数の上昇率は昨年当時から一年間に九%程度の差がある。また昨年三月から本年三月までのこれらのものを比較したところの報告書によりますと、昨年の三月から本年の三月までは三・一%というような数字が出ておりますが、それを足しますと一昨年から昨年までの一三%を入れると一六形の給与の上昇率が認められなければならないと思うのですが、結局昨年勧告しなかった、ことしもまた勧告しないと、二重に私は勧告というものがストップしてしまう、この問題はどういうようにお考えになっていらっしゃいますか。結局本来ならば昨年は勧告しなければならなかったということを人事院も認められておられるのですね。それを不確定要素があるというので勧告しなかった。ことしも本来ならば勧告をしなければならぬ段階にある。昨年の勧告しなかった分と合せますと、さらに勧告をしなければならない要因というものが非常に増大しておると思うのです。この分の埋め合せというか何というか、これをどういうように解決なさる考えであるか。
○入江政府委員 大体昨年三月の公務員と民間との職種別の差は、大体平均一〇%弱の違いがございました。その後民間におきましては、先ほど申し上げましたごとく、大体平均三・八尾増加いたしております。全体の給与におきまして。それから公務員につきましては、その間大体一年間に五・九%増しておるわけでございまして、その間昨年の勧告以来の全体の給与を平均で比較いたしますと、公務員の方が二%ほど民間よりもよりよく改善されたことになります。しかしながらこれは全体の給与の平均でございまして、各職種別に見ました場合には、去年の約一〇%が若干縮小されてはおりますけれども、やはり約九%強民間と公務員との間に今年の三月現在で開きがございます。そこで三月における、これは御存じの通り、従来人事院といたしましては一つの時期をつかまえまして民間との比較をいたしますので、三月において比較いたしますと約九%平均差がある。それだけを見ますと御指摘のごとく勧告せざるを得ないのでございますけれども、しかしながら、これは現在の調査いたしました事業場についてでございますが、一面民間職員の中には解雇され失業された者も昨年四月現在よりもはるかに増加いたしております。また賃金遅払いでありますとか、不払いも増加いたしております。それから民間の給与の動き方も、さっきのように非常に内容は違って参っておりますので、そういうものを総合して、今年のいわゆる職種別の差は九%あることを認めながら、俸給体系はいましばらく見送るべきものじゃないかというふうに、人事院としては考えた次第でございます。
○森(三)委員 しかも一昨年のあの勧告も、政府の実施いたしましたものは、人事院の勧告をさらに引き下げて実施をしておるということを考えますと、一昨年の勧告の分についても公務員は人事院が勧告した額の給与を受けていない、この事実は人事院としてもお認めにならざるを得ないだろう。それから昨年も勧告をしない、今年も勧告をしない。三年間にわたって公務員の本俸の給与ベースは非常に不利な立場に置かれておる。それは、人事院としては一昨年は勧告したじゃないかとおっしゃるかしらないけれども、その勧告そのものも完全に政府の手によっては実施されなかった。昨年は勧告がない、今年も勧告がない、こうなりますと、来る年も来る年も給与問題については置き去りを食っていっておる。これがつまり公務員の現状であります。私どもはこのような人事院そうしてまた政府の考え方では、公務員の生活の改善、それから公務員の公務員としての職務に対する熱意、こうしたものは非常に期待できないというような考えをこの際非常に痛感しておるのです。私はやはり人事院は独立の機関として、ほんとうに公務員はいわゆる団体交渉権もストライキ権も剥奪をされている、そのかわりに、人事院が公務員のうしろだてとなって、生活の改善、維持、向上をはかってやるという、実に重大な役割をあなた方がなされなければならないことに法律上なっておるわけであります。こうした観点からいうならば、今回の報告や勧告というものは非常に私どもは納得できないのであります。何といっても、あなた方はもっともっときぜんたる態度、そうして政府に対しましてもあなた方の信ずるところの給与ベースの改訂の勧告を私はすべきだったと考えておるのでありますが、とにかく勧告をついに留保してしまった。そこで、私は、今後おそらく公務員としても、政府に対して、あらゆる面から給与の改善等に対して要求があるだろうと思いますし、また人事院に対して今後相当要求が持ち出されると思うのであります。このように来る年も来る年も給与の改善がなされないというならば、私は、公務員の給与改善の役割をなすところの人事院の機能というものに対しまして、非常に懐疑的な気持を公務員が持つのは当然でなかろうかと思うのであります。その点はあなた方としても十分御勘案になったことかと思うのでありますが、人事院制度の根本的な問題にまでこれは立ち入ることと思うのでありますが、人事院はすべからくもっときぜんたる考えを私は持たなければならなかったのではないかと思うのです。浅井人事院総裁が病気でしばらく休んでおるので――私は本日浅井さんが見えられると思ったけれども、浅井さんはとうとう本日も見えませんでしたが、この点については、あなた方はもちろん人事官として浅井総裁とも、病気であったとはいえ相談されて今回の処置をなさったものと思うのでありますけれども、非常に私は遺憾にたえないと思うのであります。人事院は、今後公務員の給与に対しては、一そう精密な調査の上に立って勧告すべきものは勧告するという態度を強く堅持してもらわなければ、今日の公務員の生活の改善も、これに伴って公務員の能率の向上ということも期待できないと思っておるのであります。今回なされたところの報告並びに勧告に対してはまことに遺憾である、かように私は考えるのであります。それにつきまして、最後的に人事官としてはどういうお考えを持っておるか、今回の勧告、それから将来公務員の給与問題に対してどういう態度であるか、これでもうしばらくがまんをしてもらうのだという態度なのか、あるいはまた今後においてはできるだけ給与の改善をしていかなければならぬという考えを持っているのか、その確信を私はお尋ねしたいと思うのです。
○入江政府委員 御指摘のごとく、人事院は公務員のスト権、団体交渉権を停止いたしておりますかわりに、中立機関として勧告すべき義務を負わされておるわけでございますから、もちろんわれわれはどこまでもその点は十分認識いたしまして、この勧告または報告につきましては義務を尽すように、十分肝に銘じておかなければならない次第でございます。そこで、今回の報告につきましていろいろそこに御批判があるわけでございますけれども、今後の問題といたしましても、もちろんわれわれは客観的な事実に基きまして勧告すべきときには勧告するという決意には変りはございません。今回報告いたしました勧告を留保いたしました要因は、先ほど申しましたように、公務員と民間給与の大体の動的内容と申しますか、それと、公務員給与の背景をなす一般経済情勢等で、これらを今後とも引き続き検討いたしまして、善処いたしたいと思います。
○宮澤委員長 受田新吉君。
○受田委員 人事院は今回衆参両院並びに内閣に対しまして、御承知の通りの報告及び勧告をされたわけでありますが、これを拝見しますと、幾多の矛盾を感ずる点を発見するのであります。その一つは、このたびの別紙第一の報告書の中に、昭和二十八年三月当時における情勢に応じてその年の七月十八日に勧告された、その勧告というものと、それに基いて政府が法案を提出し、法案が成立して実施された二十九年一月以後の実施額と混同されている点であります。すなわち人事院勧告か一昨年の七月にされたときは、二十八年三月が基準であった。すべて一昨年三月を調査の対象にしておったのであります。ところがこの報告書を見て著しく矛盾を感ずることは、公務員の現行給与が実施された昨年一月以降の物価がおおむね停滞の状況であるとか、あるいは昨年三月と比較して消費者物価は漸次低下しているとか、あるいは標準生計費においても昨年の三月を基準に調査されており、民間の給与との比較においても昨年の三月を対象としておる、こういうようになっているのであります。人事院の一昨年の勧告は二十八年三月が基準であったのでありますから、この点勧告の内容はすでに満二年間の、その間の物価の上昇とか民間給与の引き上げとかというものを考えた立場でなされなければならぬと思うのでありますが、いかがでございましょうか。
○入江政府委員 物価の関係を二十九年一月からの状況を引いておりますことは事実でありますが、これは二十九年一月の給与と物価との関係を一応参考にごらんに入れたのであります。御指摘のごとく公務員の給与は二十八年の三月を現在として計算されたわけでありますが、これがその後自然増がございまして、現在七月で一万六千五百円くらいになっているわけであります。そこで公務員の給与と民間給与の比較につきましては、御存じのごとく、ずっと終戦後、たとえば二十八年の三月で比較いたしますと、民間の給与が一万二千四百円、公務員の給与が一万三千五百八十円ということになっております。これは今の勧告とか昇給とかは別にしてでありますが、これが二十九年三月になりますと、大体民間給与が一万三千五百円になり、公務員の給与が約一万五千二、三百円になっているわけであります。ずっと沿革的に考えました場合には、だんだんべース・アップがややずれております関係上、公務員の給与がずれながら上昇してきたものと存じております。しかしわれわれが公務員の給与と民間給与とを比較いたします場合には、現在において公務員の給与と民間給与とがどういうように違うか、しかもそれが職種別あるいは責任の度合いなんかに大体つり合うように操作した結果、どのくらい違うかということを比較いたすわけでありまして、その間、二十八年三月からの民間給与の動きなり公務員の給与の動きがそこへ出ているので、決して無視されるわけじゃございません。やはり勧告なり報告をいたします場合に、そこに民間給与との一つの平面的な差を見出すわけでございまして、これを今年三月と考えておるわけでございます。従いまして二十八年以来の差をどうするかという問題は別にあると思いますけれども、現在の差は計算されておるわけであります。
○受田委員 二十八年の勧告が二十九年一月から実施の法律によって、または地域給の本俸繰り入れ等によって人事院が意図した方向よりおおむね下った線で実施されましたことは御承知の通りです。それがそのままの形で民間給与との比較が今後されるということになると、現実に人事院が常に基本的に考えた基準を政治的に調整をした基準でやるというふうに転換されるおそれが多分にあると思いますが、二十八年三月現在と人事院の実施を計画した法律を――これは八月でしたか、二十八年の八月から実施するものとされた場合と、それから実際法律が施行された場合とを比較したそういう食い違いというものを十分計算に入れておられますかどうですか。
○入江政府委員 さようでございます。御指摘の二十八年三月現在で勧告されましたものが二十九年一月から実施されたわけでありまして、その間ずれました。そこで、いろいろそこに解釈がございますけれども、結局大体五%程度のずれがあるわけでございまして、二十九年一月は一三・九%の上昇をいたしておりますけれども、実際上はそれを考えますと九・三%くらいの上昇になっておるわけです。そこで二十八年三月とかりにことしの三月との間に公務員の給与がどういうふうに上っているかということを考えました場合に、今御指摘のずれの五%を除きました約九・三%とことしの五・九%とを合計いたしまして一五・二%ぐらい公務員は増したわけであります。これは純増と見られるわけであります。しかしこの問題は二十八年三月にすでに民間給与との間に差があったわけでありますから、二十八年三月から今までを比較いたしますと、公務員の方がよけい上っておりますけれども、二十八年三月における差はやはり持ち越しておる。そこへさらに二十九年の三月に平面的な比較をいたしましたのが一〇%違いがございますので、それをずっとお互いに増しながら現在まで平面的に持ち越しておる。多少縮小しておりますけれども、そういう状況でございます。そうすると民間企業との比較においては、ことしの三月現在で両方を比較をいたしますものですから、そういう従来のずれと申しますか、そういうものはございますけれども、その民間給与との比較というものは別にして考えておる次第であります。
○受田委員 従来のずれをと別にしてそういうものの計算がなされるのでありますか――これは私大へん重大な問題だと思うのです。
○入江政府委員 これは率直に申しまして、御存じの通り公務員法施行以来大体三月なら三月現在で勧告いたしますと、それがかりにそのまま国会、政府にいれられましても若干おくれて実施されます。そこで厳格に申しますればそこにその間のずれの金額があるじゃないかという問題があるわけでありますが、しかしながらこれは、いよいよ実施されます場合に国会並びに政府においてこれを御審議になりました結果、そういった一つの過程の事実を認めながら、かりに二十九年一月なら一月現在においてこれだけが適当と認められたわけであります。もちろんこれが従来のずれを解消したとは限りませんけれども、しかしながらやはり最高の機関である国会でそれを定められたわけでございますから、その定め方のことについてはいかんともしがたいのでありまして、しかしながら、それだからといって現在の差というものはやはり当然平面的に出て参るわけでして、従来のずれはそのときそのときに国会において審議され、きめられている。それから以後の問題は、どうしてもこういう給与問題でございますかれ、若干の期間がかかるのはやむを得ませんけれども、また一つの時期をつかまえて比較する、そういうような建前になっておるわけでございます。
○受田委員 昨年一月実施の俸給表は、当時人事院が勧告した分と比較したならば、五%内外よりはもっと大きな開きがあったと私は思います。それは一昨年の三月を基準にした人事院の勧告でありますので、その後の昇給というようなものは考慮されないで、一万五千円ベースがきめられた。しかしながら事実昨年一月のときには昇給等を計算に入れたならば、人事院勧告の線によっても一万六千円をこえていたように記憶しております。そういうふうな自然昇給などを全然計算度外において政府が案を出した結果、あるいは地域給を本俸に繰り入れたということから五%ずれが起ったというような、そういう差がそのまま今日残っておるのですから、その残ったずれのままで昨年一月人事院案をそのまま基準に、この案が勧告報告されているというような感じがいたすのであります。この点、民間の給与との比較においてもまた物価においても、先に人事院が勧告された二十八年三月現在と今日を比較すべきであって、去年の三月を比較の対象にされたのではその間の上昇率と、それから昨年勧告と実施の間のずれの部分についての考慮が払われないことになるというような問題が起ると思うのですが、この点いかがでしょう。
○入江政府委員 まことにお説のごとく、二十九年の一月に国会において認められましたいわゆるベースの引き上げ率は、人事院の勧告通り一三・何%が認められたわけです。これが三月現在で比較いたしましたのが、先ほど御指摘のごとく、二十九年一月まで延ばされましたわけです。その間の差がありますために、実質上九・何%の増加とも見られるわけです。しかしながらこの勧告を留保いたしまして今年に至っておるわけでございますから、その間におきます民間給与との差額を持ち越していることは事実でございます。しかしながらことしわれわれが勧告あるいは報告の基礎といたしましたのは、これは毎年やっておりますが、ことし三月現在における民間給与との差でいたしましたので、その差というのはもう何ら來雑物のない数字でございまして、従来の借りとか貸しとかいう問題とは無関係のものでございます。
○宮澤委員長 受田委員、今議長から本会議中ちょっと委員会を休憩してくれといって来ましたから簡単に願います。
○受田委員 勧告報告書の四の(1)の「基準内給与の平均月額の年間上昇率は、昭和二十八年度においては九・五%」とありますが、これは上昇率であって、私は今のような給与の比ではないと思うのです。この文面によると上昇率と私は解釈すべきであると思いますが、いかがでしょう。
○入江政府委員 お話のごとく、これは上昇率でございます。いわゆる給与の変動の情勢でございます。ですからこれを民間給与との比較にはとっておりません。民間給与の比較におきましてはどこまでも平面的な、ことし三月現在の民間との差をとりまして、それと同時に民間給与の内容と申しますか、一つの動的な見方からする昨年一カ年内における民間給与の動きというものを参考にごらんに入れるために、これは採用しておるわけであります。ですから民間給与との差というものは違います。差はやはりどこまでも三月現在における民間給与の差であります。しかしその民間給与が過去一カ年にどういうふうに動いているかということを御参考までにここにごらんに入れたわけであります。
○受田委員 本会議とおっしゃられるが、やめてまたここでやれるのですか。
○宮澤委員長 やれますが、次の案件があるから済まして下さい。
○受田委員 民間給与との差と上昇率と二通りに考えたということでありますが、その両面から考えていっても、少くとも民間給与との間においては一〇%以上の差が現実に生じている。これははっきりお認めになっていられるのです。ところが国家公務員法の三十八条による人事院の勧告の内容は、諸般の情勢とやや政治的な言葉が書いてあって、まだ給与改訂の段階でないという判定を下されたということでありますが、少くとも給与はここに掲げてあります墓準内給与というものと、基準外給与というものを分けて考えるときに、実際に民間給与との間に大きな差があるということは、これは社会の実態であるのです。また物価等においても、これは給与の上に敏感に響いてきて民間給与というものが出てきたのです。従って民間給与というものは非常に尊重されなければならない。それが一〇%も開いているということは、給与をもらう対象の比較において、非常に低い線に公務員を置くということに結果的にはなるのです。だから五彩という一応の基準が設けてある以上、その五%の倍以上に開いているこの給与差というものを考えた場合には、民間給与との比較ということは非常に重視しなければならぬと思うのでありますが、人事官はいかがお考えでございますか。
○入江政府委員 もとより御指摘のごとく、大体現在の公務員法は民間給与と公務員給与との均衡をとるという建前でございます。ただ今の規定はお言葉の通り人事院が俸給表の五%以上の上昇、増減する必要があると認められるときには、となっていますけれども、しかしながら民間給与というものを基準にしまして、公務員の給与を考えなければならぬということは、これは事実であります。昨年までずっと参りました民間給与の背景をなす一般経済情勢は、大体ずっと職種別給与だけが考えられて、われわれは公務員の給与というものを考えてもいい背景であったと思いますが、昨年われわれが職種別民間給与調査をいたしました以来の民間の給与の背景をなす経済条件が、非常に悪いということを勘案いたしまして、単に平面的な現在の民間給与の職種別の差だけでは公務員の給与の増減を考えるのは早計ではないか、そういう判断に立っているわけであります。
○受田委員 昨年の実施のときにすでに五%の人事院とのずれがある、しかも昇級等を考えたらまだもっと大きな開きがあったはずですが、その点から考えても百分の五という基準を尊重するならば、すでに昨年勧告しておかなければならぬ。だから人事院は、百分の五という基準、民間給与の実態などをあまり考えないで、社会の情勢、一般国民に与える心理的影響というものを懸念をされてやられたと、私は解釈せざるを得ないのです。そこで一つ問題になるのは、この報告書の五の中にある「標準生計費に相当する給与」のところで、この前の勧告のときには一般俸給表の二級三号というものが対象になっておったと記憶しておりますが、それがここでは三級四号ということに変更されております。この理由は、人事院としてはそのつど融通するという考え方でやられたのでございますか。
○入江政府委員 これは御指摘のごとく、一昨年までは二級三号というところを標準生計費の標準にいたしたのでありますが、昨年からこれを三級四号にいたしました。これは人事院で公務員の生活環境調査を、今までいろいろ経費の関係などかありましてようやりませんでしたが、昨年公務員の生活環境を非常に詳細に調べました結果、いわゆる公務員の俸給の大体のあり方と申しますか、そういうものかはっきりして参りました。それによりますと、大体十八才、成年独身男子の一番多いところが三級四号ぐらいに該当いたしますので、昨年以来三級四号、ことしも三級四号というふうにいたして参ったわけでございます。
○受田委員 その公務員のちょうどそれに相当するところを三級四号にしたということでありますが、その十八才という職員の号俸別分布などはどういうふうに考えられたのですか。
○入江政府委員 昨年の報告で詳細にごらんに入れておきましたので、ことしはここに出しておりませんが、何でございましたら給与局長から御説明申し上げさせます。昨年と全然同様の状態でありますが……。
○瀧本政府委員 ただいまの三級四号の話でございますが、われわれは公務員でありまする者の独身成年男子、十八才というものの分布を、俸給表の分布すなわち級別号別分布、さらに申しますれば通し号俸の分布でこれがどうなっておるかということを、昨年初めて詳しい調査をいたしたのであります。先ほど入江人事官から御説明がございましたように、いわゆる公務員生活環境等調査というものでその関係を昨年明らかにいたしました。それで公務員のおよそ十八才者の一番集まっておりますところが三級四号という辺に該当いたしまするので、昨年これを改めた次第であります。これは実態に基いておるのでありまして、ことしはこれを変えておりません。ただこれを常識的に考えてみましても、新制高等学校を卒業いたしました者が、いわゆる四級職試験によりませんで選考によって採用される、これが多くの場合そういう実態でございます。その場合三級三号でございます。それが六カ月たちますと一号昇給いたしまして三級四号になるという状況でありまして、新制高等学校を卒業しました者が、おおむね半年後に満年令で平均十八・五才になるという事実があります。このこととも非常に符合しており、現に公務員の中のほぼ十八才者の級別号別分布を見てみますと、おおむね三級四号あたりに該当しておりますので、そこに十八才の標準生計費を充てるということに去年変えた次第であります。ことしはそれを変えておらないのであります。
○受田委員 そのおおむね十八・五才というものの三級四号に当る該当人数、その前後における号俸に当る人数の比較をちょっと示していただきたい。
○瀧本政府委員 ただいまその資料を手元に持っておりませんので、後刻これは資料を提出いたします。去年の報告に出してある通りであります。
○受田委員 去年の報告とことしのさらに新しいものとを毎年かえておられるはずだと思うのですが、去年調査したものが当分の間、そのまま用いられるということになっておるのですか。
○瀧本政府委員 生活環境等調査というものは相当大がかりにやる調査でございまして、われわれ理想としましては毎年その調査をやりたいということを衷心希望いたしておるのでありますが、予算等の関係でこれを毎年やることはなかなか許されません。従いましてこれは昨年度に相当大がかりな調査をやりました結果を用いて、それで判断しておるのでありますが、ことしはそれではそれがどういうふうに動いておるであろうかというふうなことは、これは推定を加えざるを得ないのであります。ところが御存じの通り、行政整理もあまりございませんし、従って新規採用者というものも相当制限されておるというような状況でございますならば、これは想像になるのでありますけれども、去年三級四号あたりでおおむね見合っておったということであるならば、ことしはむしろその十八才者の平均号俸というものはもう少し上っておるのではないかという想像さえつくのでございます。しかしそこは想像に基きますので、今回はそういうことでそこをさらに上げるということはいたさなかったのであります。ちなみに、先ほど申し上げましたように、三級四号というのは新制高等学校を卒業いたしまして、そうして選考で公務員に採用され、半年経過いたしました者が何号俸であるという点から考えてみましても、これはやはり変えるべきでないというふうに判断いたしまして、今回はやはり三級四号ということにいたした次第であります。 なお、去年の数字等についてもし御必要でありますならば、これは次回にその部分をお示しいたします。
○受田委員 人事官はこの給与の基本になるものは基準内給与であると思われますか、基準外給与であると思われますか。
○入江政府委員 給与は御存じの通りいろいろ複雑な要素から成り立っておりますが、何と申しましても、やはりその根本と申しますか、基準は、俸給表によって表現されます基準内給与であります。
○受田委員 しからば民間給与の関係等も考慮して、できれば基準内給与というものは、人事院は常に民間給与などリードする形で置かれる必要があると考えますが、いかがですか。
○入江政府委員 これは民間の給与をリードするという一つの意味にもなりますけれども、現在の公務員給与の建前は、御存じの通り民間給与に準ずると申しますか、民間給与を見ながらこれに準ずるようにすると、一般国民に納得していただけるのではないかということで、むしろ民間給与に準ずるという方針でやっておるわけでございます。
○受田委員 基準外給与、すなわち賞与等を今度増額することを勧告されたわけです。この点民間になびいていくという形になるのが妥当だという、今の御意見を了得してよろしゅうございますか。
○入江政府委員 なびいていくと申しますか、いろいろな要素がございますけれども、やはり現在の公務員給与の建前から申せば、大体において民間給与というものを一つの大きな支柱として、これに準じてわれわれは公務員の給与を考えるべきであると考えております。
○受田委員 給与法の第二条第三号に「職員の給与額を研究して、」云々の条文があるわけでありますが、「この法律の実施及びその実際の結果に関するすべての事項について調査するとともに、その調査に基いて調整を命ずること並びに必要に応じ、この法律の目的達成のため適当と認める勧告を附して」云々とあります。このことは、あらゆる事項について調査するということになっておりますが、あなたは民間給与と同時に一般職の公務員以外、特別職の公務員、それについても調査されておりますか、いかがですか。
○入江政府委員 われわれは一般職公務員の給与をおあずかりするわけでございます。しかしながら、やはり一般職公務員の給与と特別職公務員の給与とは非常に関連を持っておる点もございまして、いわゆる管轄には属しませんが、特別職公務員の給与につきましてもできるだけの検討はいたしております。
○受田委員 この法律によるならば、すべての事項について調査すると書いてありますから、勧告のためには当然特別職も調査しなければならぬと私は思うのです。尊重するのではなくして、調査の対象にしなければならぬと思うのですが、いかがですか。
○入江政府委員 もとより特別職給与につきましても、あるいはその他の給与法適用外の三公社五現業につきましても、われわれ十分調査いたしておるのでございます。しかしながら、一般職公務員の給与勧告の際におきましては、標準生計費、民間給与その他の関係を基礎にして報告いたすことになっておりますから、これによって民間給与との差をごらんに入れておるわけであります。しかしながら、今御指摘の給与法の第二条三号と申しますのも、今度の特別給与その他の勧告の基礎になっておりますわけで、われわれは公務員法二十八条と、今御指摘の条文とを基礎にして今回勧告いたしたわけでございます。
○受田委員 この法律によるならば、給与法の具体的な内容を尊重するならば、特別職も当然研究しておかれなければならぬ。従って、特別職の中で不当に高い給与をもらっているものとか、あるいは一般職と比べて給与差のあるとかいうものを研究しておかなければいかぬ。それらを十分尊重した案がこの説明資料の中に出てくるのが妥当ではないかと思うのであります。いかがでありましょうか。
○入江政府委員 もとより特別職の関係もできるだけ研究いたしております。しかしながら、特別職の給与が過当であるかどうかということにつきまして人事院としてここで勧告いたすことは、現在の精神から申して適当ではないので、われわれは一般職公務員につきまして御報告いたしているわけであります。
○受田委員 特別職を勧告せよという意味ではない。特別職も調査の対象にしてその実態をきわめた調査書を出していただきたい。特に特別職の中で非常勤の職員に莫大なものを出しているものがあったり、防衛庁の職員は、標準給与の中へ特別調整額やら超勤などを全部ぶち込んだものを取ったりしていろいろデコボコがあるわけです。そういうものもこの一覧表の中に入れていただくならば、それらとの調整をはかる資料としてわれわれが検討するのに参考になると思うのです。この点いかがですか。
○入江政府委員 これは従来長い間人事院にも上っておりまして、御存じの通り、役所の大体の管轄から申してやはり――特別職もわれわれ調査はもちろんいたしますけれども、しかし、たとえば防衛庁職員につきましては、防衛庁関係の給与法がございます。特別職につきましては内閣が所管いたしておるというような関係で、われわれ一般職のことを申し上げると同時に特別職のことについて批判いたすこともいかがかと思いまして、従来ずっとこういうふうな建前で参っておるわけであります。
○宮澤委員長 それでは午後四時半に再開することといたしまして、暫時休憩いたします 午後三時二十八分休憩 ――――◇――――― 午後四時四十二分開議
○宮澤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 自衛隊法の一部を改正する法律案、防衛庁設置法の一部を改正する法律案及び防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案を一括議題とし、質疑を継続いたします。大橋武夫君。
○大橋(武)委員 私は条約局長、法制局長官に最初にお伺いいたしたいと思います。 このたびの自衛隊の増強計画の基礎になっておりまする日米共同声明は、日米防衛折衝の結果両国の関係によって共同に声明された文書であります。この共同声明のよって来たる法的な基礎というものは、日米行政協定の「第二十五条〔経費の負担〕」、これの第二項の(b)項に「定期的再検討の結果締結される新たな取極の効力発生の日までの間、合衆国が輸送その他の必要な役務及び需品を日本国で調達するのに充てるため、年額一億五千五百万ドルに相当する額の日本国通貨を合衆国に負担をかけないでその使用に供すること。」こうございますが、その定期的再検討の結果締結された、こういうふうに見ることがで書のでございましょうか。
○下田政府委員 仰せの通りでございます。二十五条の二項(b)の定期的再検討の結果、交渉当事者におきまして合意に達した事項と、それに関連して将来の政府の方針という二つの部分を構成要素といたします共同声明ができたわけでございます。
○大橋(武)委員 そういたしますと、この二十五条の第二項の(b)項の「新たな取極」でございますから、この「取極」というのは、本来からいえば条約であると考えられると思いますがいかがでございますか。
○下田政府委員 これも本来から申しますと国家間の条約と申しますか、取りきめであるべきであります。
○大橋(武)委員 国家間の条約でありますならば、憲法の原則によってむろん国会の承認を得なければならぬのでございますが、すでに日米安全保障条約に基いて行政協定というものは条約事態に包含されたものである、従ってこれについては新たに国会の承認を受けないでよろしい、こういうことを締結当時から政府の説明として承わっておるのでございます。従って今回のこの協同声明につきまして、国会の承認を受けないでよいという理由はやはりそういう理由から出ておるのでございましょうか。
○下田政府委員 先ほど「新たな取極」と申しますか、日米共同声明が、ここに申します「新たな取極」であるという意味で申し上げたのではないのでございます。日米共同声明はおそらく新たなる取りきめの基礎をなすことになりますであろうところの両国政府の意思表示でございます。御承知のように、昨年度におきましても日米間に交渉が行われまして、昨年度におきましては大した問題になりませんでしたが、やはり国会の御承認を得まして法案が成立いたしましたあとに、正規の交換公文を行なっております。それがこの二十五条に申します「新たな取極」に該当するわけでございます。本年度におきましても共同声明は、予算が国会の御承認を得ます前に政府限りの合意を記録いたす目的で出しましたもので、予算に関連します立法措置がすべて国会を通過いたしました後において正式の交換公文――おそらくやはり交換公文という形になると思いますが、その交換公文ができましたときに初めて新たな取りきめが成立いたす次第でございまして、その成立いたすであろう取りきめは、ただいま仰せの通りこれはもう法律的にもまた予算の面におきましても、国会の御承認の結果政府に授けられました権限の範囲内で取りきめるということに相なります結果、その交換公文につきましてはあらためて国会の御承認を仰ぐ必要がない、そういうふうに考えておる次第でございます。
○大橋(武)委員 そういたしますと政府の御解釈といたしましては、予算並びに法律を伴わないところの約束は国会の承認を受ける限りでない、こういうふうに憲法の御解釈として考えられるのでございますね。
○林(修)政府委員 憲法第七十三条で申します条約というものは何を意味するかということでございますが、これは私どもの解釈といたしましては、国家間の、あるいは国と国際機関の間において国際法上の権利義務関係を発生せしめ、あるいは変更し、あるいは消滅するような国際約束、そういうものがここでいう条約だと存じます。従い美して行政府間において、政府の行政権の範囲内において実はいろいろ約束をすることもあるわけでございますが、これは憲法七十三条の外交関係を処理することという範囲においてやり得るものは、そういう範囲でやり得るのだ、いわゆる名前は取りきめとか協定とかいう名前のものでございましても、実質的にはいわゆる行政権の範囲内において、行政権がやり得る範囲のことだけを、実は外国と政府と取りきめるということは、憲法にいう条約、あそこで国会の承認を受くべき条約に入らないのではないか、かように考えております。
○大橋(武)委員 そうすると今回の共同声明は、これは交換公文にした場合においても国会の承認は要らない、そうして要らない理由は、すでにその内容となっておるところの予算的措置を終っておるからである、こういう御解釈ですか。
○林(修)政府委員 行政協定の二十五条の二項のb項に基きますこの協定、これはいろいろなやり方があると存じますが、昨年行われましたのは交換公文という形でやったと思います。本年もおそらく、今条約局長からのお話で交換公文という形になるであろうと存じますけれども、これは先ほど条約局長からお話申し上げました通りに、安保条約及び安保条約に基きまして政府のやり得る範囲内において、行政協定と同じような考え方でやるのだ、こう考えます。しかしその内容から申せば行政権が国会の予算及び法律について御承認を得た範囲内においてやる。内容から申せば行政権の範囲内でのみやり得ることが実は内容になっておるだろうと思います。形から言えば行政協定と同じような形でやり得るものと存じます。
○大橋(武)委員 あなた方の法律的な考え方として、国会に出さぬでもいいという法律的な根拠を私は伺おうとしているわけであります。こういうものを国会に出さないでもいいのだということを言う場合において、私は二つの理屈のつけ方があり得ると思います。一つは、今仰せられたように、この内容となっておるところの事柄がすでに予算的措置並びに立法的措置を終っておる。従ってもはや国会の承認を受けなくとも政府に権限がまかされておるのだ、こういう理由で国会の承認を受けないでよろしい、これが一つの考え方であります。もう一つは、行政協定一般について言われるがごとく、これはすでに安保条約に基いて行政府間限りの権限にまかされた事柄である従って安保条約を承認した国会に対して、その細目を取りきめるところのこの行政協定というものは、あらためて承認を受ける必要はないのではないか、こういう理由。これは日米安全保障条約第三条に基く行政協定、これによってある事柄は行政協定にまかされておる。だからその行政協定の内容に属する事柄であるから、今回の共同声明というものは国会の承認は必要ないんだ、こういうふうな考え方と、二通りの考え方があると思うのです。そこで政府といたしましては、そのどちらの考え方に従って国会に出さないでよろしいという結論を出しておられるのか、それをお伺いしようというのが私の質問の趣旨であります。
○林(修)政府委員 いわゆる国際約束と申しますか、国際取りきめについて、憲法上国会の承認を経なくてもいい範囲についての分類を、今大橋先生がおっしゃいましたが、それはまさにおっしゃいましたような二つのものがあると存じます。普通行われております金融支払い協定的なものは、その前者として考えられておると思いますし、いわゆる安保条約に基きます行政協定は後者として、つまり国会が安保条約を承認されたことによって、そういう事前の承認を受けた条約の内容をなすものである、かような考えで行政村限りで行政協定を結び得る、こういり二つの考え方があると思います。今回題になっております日米共同声明は、先ほど申しましたように、私どもはその前者の部類だと存じます。つまり行政府限りにおいて、行政権のなし得る範囲のことについて合意に到達した、その実現はむろん国会が予算を承認されあるいは立法措置がされるという暁において実施される内容を含んでおりますが、そういうものとしてなされた。それからあとでこれから行われます交換公文、これはやはり安保条約第三条に基きまして、安保条約第三条の内容をなすものとして、行政協定と同じウエートのものとしてなされる一種の取りきめである、かように考えます。
○大橋(武)委員 そうすれば今までの分、といいますと、現在あるところの共同声明ですが、これは前の分である。そうしてこれを今度さらに確定の手続にするところの交換公文は行政協定の内容であるから、従って国会の承認は要らない、こういうことですか。それでは第一の共同声明について伺いたいのですけれども、共同声明については、国会に上って権限を与えられた事項だ、従って行政府限りでやってよろしいといわれますけれども、この共同声明の中には単に今年度予算ばかりではございません。明年度の予算外国庫債務負担行為というものが入っておる。この債務負担行為というものについては、どうしても来年度予算にこれを載せなければならぬという拘束された状態に国会はあるんでしょうか。
○林(修)政府委員 この共同声明は要するに行政権としてやり得る範囲のことのみにおいて合意に到達したわけでございます。この内容から申せば、その共同声明は合意をした部分と将来の方針、意向を表明した部分とございますが、合意をした部分につきましても、内容から申せば合意した部分は大体本年度の予算、広い意味において予算に計上することを日本政府として約一束をした、こういうことだと存じます。その予算の内容は、本年度限りの予算の部分と、国庫債務負担行為として将来にも拘束を及ぼす部分とございます。しかしこれはもちろん国会にそういう国庫債務負担を予算の内容として御提案をいたしまして、そういう承認を得る手続処置をとるということが、広い意味の合意と申しますか、そういう考え方で日本政府はこの共同声明をしたわけでございます。これによって直ちに来年度のその債務負担について国会が拘束されるわけではなく、これに基きまして政府が出しました予算の内容といたしまして国庫債務負担行為が入っておりますが、国庫債務負担行為は国会で御承認になりましたその効果として、来年はその予算を実現することについては、これは国会がその予算に計上すれば、当然一つの義務費になるということはいえると思います。これはあくまで今年度予算承認の効果だ、かように考えられるわけであります。
○大橋(武)委員 そこで伺いたいのは、今年度の予算に来年度の債務負担行為が入っておる。これを国会が承認いたしました以上は、来年度においてその債務負担行為の内容に属する金額を変更、移動する権限は国会にはない、こういう解釈なのでございましょうか。
○林(修)政府委員 これは一般の予算の承認の効果の問題だと存じますが、国庫債務負担行為は、結局予算というものは、御説明するまでもございませんが、大体毎年度の政府の使い得る経費を承認することが内容でございますが、ものによりましては、やはりある事項を政府がやっていきます上においては、その年だけの予算をお願いするだけでは十分に工事とかいろいろな計画が実行できない。そういう意味で来年以降の分も含めて一つの計画なり工事をやっていく必要がある。こういう場合に国庫債務負担行為制度が財政法にあるわけであります。財政法によりまして、その国庫債務負担行為が御承認になれば、その国庫債務負担行為の内容としてきめられている事項については、政府といたしましてはその承認されました上におきまして、債務として払うべき内容の契約をすることができる。従いまして政府といたしましては、本年度におきまして、今の航空機なら航空機関係の発注をして、来年あるいは再来年度においてその支払いを生ずべきような契約をいたす権限を得たわけであります。従いましてそういう国庫債務負担行為によって行った契約によって現実に支払いをするときに、その予算が国会において御承認を得ないということになったのでは、これは国庫債務負担行為を認めた趣旨とは非常に違うことになる。従いましてそれは原則として一種のいわゆる義務費、法律に基いて義務的になっている費用と実は同じような性質のもので、政府としては義務になっておるものでありますから、国会としても当然にこの国庫債務負担行為としてある年度において御承認になったものについては、翌年度においても予算として御承認あるべきものだ、さように考えるわけであります。
○大橋(武)委員 あるべきものだという法的根拠はどこから出ておりますか。
○林(修)政府委員 これは憲法で、国が債務を負担するには国会の議決に基くことを要するということが八十五条に書いてございます。財政法十五条で今申しました国庫債務負担行為の制度をきめまして、予算は原則としては単年度予算でありその年度内の使う金を政府が使うことを認めるというものでございますが、特に翌年度以降にわたってやる必要のある計画とか工事をやるために、継続費と国庫債務負担行為、この二種類のものは財政法で認められておる。この債務負担行為の形によって国会の御承認を得れば、これによって政府は債務を負担する権限を与えられた、その債務を履行するための予算は一種の義務費になる、こういう制度がある以上は、当然義務費として考えられるわけである、かように考えるわけであります。
○大橋(武)委員 そうするとさきの共同声明というものを国会の承認を受けるために提案しなかった理由は、国会の権限に属する事項については別途に予算あるいは――このたびは法律はなかったですが、予算として別途に提案する。従って特に共同声明として提案をしなかった、こういう趣旨ですか。
○林(修)政府委員 さようであるわけでございまして、政府としてアメリカ政府と交渉いたし、ここで合意したことは政府として当然にやり得る範囲のことについてのみ合意したわけであります。当然これは安保条約、行政協定等とにらみ合せて今の国会で予算について御議決を願う点、あるいは立法措置を要する点、これは当然にそういうことを前提として政府間で取りきめたもの、かように考えております。
○大橋(武)委員 そういたしますと、共同声明の内容となっておることは明らかに法律上の一つの政府の義務であるように思う、しかしその義務を履行するについては、国会に対して別途に政府の権限を与えてもらう措置をとる、従って政府としては権限として実行できるようになることを予定して共同声明をしたものである。従って権利義務は発生いたしておる、しかしその権利義務の履行について別途の措置をとって自己の権限にした場合に初めて実行する、こういう意味で国会に出されなかった。こういう意味に解釈してよろしゅうございますか。
○林(修)政府委員 ちょっとその点私の申しようが悪かったかと存じますか、この共同声明の前後の部分はお読みいただくとわかりますけれども、要するにこれこれの防衛庁関係の予算を計上するあるいは飛行場増設関係の予算を計上する、そういうことと関連して防衛分担金を三百八十億円にするということでございまして、そういうことが実はこの合意をした内容でございます。従いましてそういう内容の予算に政府が国会に出してその通過に努力する。成立したあとはもちろんそれに従ってそれを実施する責任は政府が負っておるわけでございますが、ここに書いてある内容としてはそういう予算を作成し国会にお出しする、そうして通過に努力する、こういうことが直接の内容じゃないか、かように考えるわけでございます。
○大橋(武)委員 そうすると、これは明らかに法律上負うておるところの一つの義務ではあるけれども、しかし国会のお世話にならなくても、政府だけの行動について約束したのであるから、従ってこれを国会に出さなかった、こういうわけですか。
○林(修)政府委員 さようでございます。
○大橋(武)委員 そうしますと、従来この共同声明につきましては、総理大臣、外務大臣はこれは単なる政治的の責任を負うたにすぎないのである。法律上の責任、権利義務を負うたものではないからそのために条約として国会に提出すべき性質のものでない、こういう説明で一貫してきておられるわけでございます。ところがただいま法制局長官並びに条約局長の権威ある御説明によりますと、これはやはり一つの法律上の権利義務を内容としたところの、形式的には明らかに条約である、しかしその内容において政府に与えられておる権限の範囲内の事項の取りきめであるから、従って別に国会の承認を受けないでよろしい、こういうふうに伺ったわけですがそうですか。
○林(修)政府委員 ちょっとその点もう少し詳しくお話し申し上げますが、先ほど条約局長からもお答えいたしたと思いますが、この共同声明には大体二つの内容がある、第一は、本年度政府として国会にどういう内容の予算を組んでお出しするかということの部分、それと関連して防衛分担金を三百八十億円としようという合意をした部分と、そういうことに関連いたしまして明年度以降において両国政府の意向、方針を表明した部分と、この二つに分れておるということを、先ほど条約局長からも申し上げました。私もそれを申し上げたはずでございます。先ごろ予算委員会におきましてこの共同声明というものは、それを声明をした内閣だけを拘束するものであって、次の内閣を法的に拘束するものでない、また条約的のものでないということを総理大臣及び外務大臣から申し上げましたのはそのあとの部分でございます。つまりそのときの御質問が――これは速記録を拝見したのでありますが、そのときの御質問が三十一年度以降の後段のことについての御質問であったわけでありますから、従ってそういう部分について実はお答えをしてあるわけでございます。その部分はこれはこの共同声明の内容からも当然わかりますが、要するに、両国政府の、その当時の政府の意向と方針を表明したもの、つまり政策と方針を表明したのであります。その政策と申しますのは、当然そういうことを表明した当時の内閣なら内閣の政策、方針である、これが次の内閣を法的に拘束するものでない、道義的の責任はあるかもしれませんが、法的に拘束するものでない、そういう意味でお答えしたはずであります。それから前段の合意の部分も先ほどお答え申しました通りに、条約という言葉をいかに解するかは別でありますが、国会や憲法第七十三条でいう条約でなくて、いわゆる行政権の範囲においてのみの一つの国際的な取りきめである、そういう意味で申し上げたのであります。
○大橋(武)委員 そうすると政府は行政権の範囲内におけるところの取りきめというものは、条約として国会の承認を要しないという法的解釈をはっきりおとりになるのですか。
○林(修)政府委員 これは先ほどの憲法の七十三条の条約とは何かということに相なりますが、先ほど御説明いたしました通りに、あそこで条約といっておりますのは、国と国との間、あるいは国と国際機関の間において、国際法上の権利義務関係を発生、変更、消滅させるようなものを内容とする国際取りきめだというふうに考えております。従いまして、行政権の範囲内において、行政府のみを拘束するという内容において取りきめるものは、いわゆる外交関係の処理としてやり得る範囲のものである、かように考えておる次第であります。
○大橋(武)委員 これは非常に異なことを承わったのであります。私はアメリカが今年度分担金を負けてくれたというのは、アメリカの国家として負けてくれたんだと思いますが、そうではなく、アメリカ政府が個人的に負けてくれたんですか。アメリカの政府がかわってしまうと、これは日本に対してまた元の一億五千五百万ドルを要求される場合があり得るのでしょうか。
○林(修)政府委員 先ほどから申しましたように、合意をして、日本政府もいわゆる行政府として合意した部分でございます。アメリカ政府も当然そういうことだと思います。これに基きまして、今年度の日本政府として予算措置を行い、その予算が国会の御承認を得ました暁におきましては、先ほど条約局長から御説明いたしましたように、安保条約に基きまして、両国間において本年度の防衛分担金を三百八十億にするということについての交換公文あるいは協定をやることになっているわけであります。そういうものができれば、これは国家間の一つの取りきめとして行政協定と同じような効力のものになると考えるわけであります。共同声明はそれに至る前段階としてやられたものだと実は考えておるわけであります。それでまたこれは今度の交換公文の内容いかんになりますが、これが本年度限りの措置としてやるか、あるいは来年度以降もやるかどうか。これは今度の三百八十億というものの交換公文の内容は、大体この共同声明の線に従ってもちろんやられることだ、かように考えておるわけであります。それによって初めて国と国との一つの約束ができる、かように考えておるわけであります。
○大橋(武)委員 あなたの言われることは前後撞着しております。ということは、交換公文も、この政府の権限でやるのだから、議会に出さぬのだということですが、そうなると、議会に出さぬ理由は、なぜ出さぬのですか。
○林(修)政府委員 この行政協定三十五条の二項のb項に基きまして、行いますものは、これは行政協定と同じような理由に基きまして、安保条約第三条に基いて行われる一つの国際間の取りきめだと思います。先ほどお話申しましたように、行政協定自身は安保条約に基きまして、できておるものでございます。その性質は一種の条約だと思います。国家間を拘束するものだと思います。ただそれが国会の承認を得ないでいいというのは、安保条約三条によって包括的承認を得ておる、そういう意味で交換公文が行われればそれと同じ内容のものだ、かように考えております。
○大橋(武)委員 そうすると交換公文については、安全保障条約第三条に基いて議会の承認を得た、こういう御説明のようですが、この第三条には、「アメリカ合衆国の軍隊の日本国内及びその附近における配備を規律する条件」こう書いてある。従って日本の自衛隊の本年度また再来年度の予算というものは、この安保条約第三条の内容になるとは考えられないじゃありませんか。この点については、どうして議会に出さないでいいという御説明をなさるのですか。
○林(修)政府委員 分担金の点は現在の第二十五条にもございます。
○大橋(武)委員 分担金を開いておるのではない。日本のものです。よけいなことを答えないで、そのことをずばり答えて下さい。
○林(修)政府委員 今の安全保障条約第三条に基きまして、いわゆる行政協定と同じものとしてやられる点は、先ほど申しましたように、これは防衛分担金の点だけでございます。そのほかのいわゆる防衛庁費あるいは飛行場拡張の問題、これは今後あるいは交換公文が行われますかどうか、これは私も実はその交渉の経過は存じません。存しませんが、実は予算が成立しておるわけでありますから、それ以上の交換公文は行われないことも考えられます。かりに行われましても、それは予算の内容をそのまま両方で確認し合うのでありますから、今の安保条約三条とは関係ないものだと思います。
○大橋(武)委員 政府の答弁はどうも誠意がない。さっきから聞いていたのは、交換公文には共同声明と同じ内容のものを盛るのだという前提のもとに開いていた。交換公文の内容に何があるか速記録をごらんなさい。交換公文には入れないんだ、そんなばかなことはありますか。はっきり答えて下さい。ごまかさずに……。
○下田政府委員 共同声明というものは、実は憲法第七十三条にいいますところの条約でも、国際約束でも、取りきめでも何でもないわけでございます。その取りきめになるべきものの主体と申しますか――実は先日の原子力協定、あれはおそらくそのままの形で正式調印いたしますから、そのまま主体と申し上げてもいいでしょうが、共同声明の場合は、実は主体でもないわけであります。交渉の過程におきまして、国民が関心を持っておる事項を政府が単独で発表するかわりに、アメリカと共同で発表するという一種の新聞発表のようなものでありまして、その中の重要な点のみを主体からピック・アップいたしまして掲げたような次第でございます。これは共同声明自体は実は取りきめでも何でもございません。取りきめとして取り上げるべきものは、あくまでもすべての問題が国会の御承認を経ました後に交換せらるべき正式の交換公文、それが取りきめでございます。 そこでただいま御指摘のございました共同声明にうたわれている事項、いろいろな問題が書いてあります。飛行場の拡張も書いてありますし、防衛庁自体の予算上の権限もうたっております。しかしこれを分担金をきめるべき性質の交換公文にそのまま引用するであろうかどうかという点は、実は今後アメリカ側との折衝に相待つ次第でございまして、これはただいまのところ実は何とも申し上げかねる状況でございます。
○大橋(武)委員 一体、何とも申し上げられないことを、それではなぜ今まで麗々しく言っていたのですか。法制局長官、何です。どうも両者の答弁が矛盾しておるじゃありませんか。
○林(修)政府委員 決して矛盾しておるつもりではございません。私はこの共同声明の内容として、ここに三百八十億円とすることについて合意に到達した、こういう共同声明の内容でございます。この内容は、こういう予算を国会に出すについての合意に到達したということを共同声明したわけでございまして、それを安保条約に基きまして約束とするについては、この予算が通ったあとにおいてこの三百八十億円という防衛分担金、これにつきましては、交換公文等によってこれが明示されるであろう、こういうことを申し上げたのであります。その内容として、この防衛庁の経費あるいは飛行場の関係のものがここに引用されるかどうかということについては、実はそこまで申したつもりではなかったわけでありまして、主としてここに書いてあります防衛分担金は、当然に行政協定の内容でございます。それについて主としてお話し申し上げたつもりでございます。
○大橋(武)委員 あなたは主としてなんと言うけれども、私は初めから日米共同声明と言っておるのですよ。日米共同声明の第二項にはっきり「前記の防衛分担金の外、日本政府は飛行場を拡張し、又在日米軍の使用する施設の所有者」云々と書いてある。それから三十一年においてもいろいろな努力をするということがちゃんと書いてあるではありませんか。これ全体がこの日米共同声明でしょう。ですから私はこれ全体をお聞きしたのですが、とにかくあなた方がさっき言ったのと今度言われることが違うなら違ってもよろしゅうございますが、そうすると、これで一応はっきりしたことは、将来交換公文が行われる場合において、防衛分担金の削減に関する部分は、当然安全保障条約第三条の細則として議会に出すべき限りではない。それから残る日本の今年度、来年度、再来年度に対する予算関係のことが内容となった場合においては、これはどうなんですか。当然に議会の承認を受けなければならぬ事柄なんですか。
○林(修)政府委員 これはそういうことが内容となるかならないか、私は実は内容をつまびらかにいたしませんが、かりになるものとして考えた場合においても、政府といたしましては、本年度の予算において政府の権限とされました実行し得る予算あるいは国庫債務負担行為の内容のみの――おそらくそれ以外に出るはずはございません。従いましてそれは政府か行政権の範囲内においてなし得ることについて取りきめであり、約束であれば、これは先ほど申しました、一種の行政府限りにおいて行う取りきめの性質を持つものだ、こう考えております。
○大橋(武)委員 またあなたの説明が前と変りまして、前は、共同声明の方は、政府の権限でやるのであるからよろしい、それから交換公文の方は、日米安全保障条約第三条の施行のためのものであるからよろしい、こう言っていた。そうすると、文換公文には今度はまた日米安全保障条約の施行のためのもののほかに、政府の権限においてやる事項が新しく加わったわけですか。
○林(修)政府委員 それが入るか入らないか、私断言できませんで、これは今後の日米間の折衝によって具体化する問題だろうと思いますが、先ほど申しましたように、防衛分担金に関する限りにおいては、これは行政協定中に書いてありますことの具体化でありまして、行政協定と同じ性質のものとして行われるものと思います。それから今申しました、日本政府が実行する予算の数字等がかりに内容となるといたしましても、それは同じ交換公文の中にかりに入りましても、性質の違うものである、かように考えるわけであります。
○大橋(武)委員 それじゃこの問題は打ち切ります。 次に伺いたいのは、これは防衛庁長官にお伺いしたいのですが、この共同声明によりまして飛行機の継続的発注が約束されているでありますが、この何十台という飛行機というものは、一体なぜ一括契約しなければならぬでしょうか。
○杉原国務大臣 お答え申し上げます。その数はF86が約七十機、それからT33の方が九十七機ということでございます。これは日本側でもかねてから希望しておったところでございますが、そして話の起りは昨年の九月ごろからの話で、その間だんだん話の変遷はございますけれども、今年に入りましてから、向うから部品等の供与を受けて、そうして日本の国内で組み立て生産する、こういうことに話が相なった次第でありまして、これは完成機の場合と違いまして、日本の国内で組み立て生産するといたしますならば、少くともある一定のまとまったものであるということが必要なわけでございます。また日本側といたしましても、完成機なら一機々々でもよろしゅうございますけれども、日本でこれを組み立て生産する、そうしてその飛行機の生産という方面の具体化、強化、こういう希望もございますので、この程度のものは一括して供与を受けるということが必要であると思いますし、またアメリカ側でもその希望に応じまして、こういうようにいたした次第でございます。
○大橋(武)委員 そうすると、注文する方で一括してある数まとまらないと引き受けられないから、そこで特に一括してやる、そのために予算外契約までしなければならぬ、こういうわけですか。
○杉原国務大臣 これは今申し上げましたように、防衛庁としてぜひF86とT33を相当数持ちたいという希望が一つございますのと、それからこれを日本の国内で組み立て生産していくというためには、少くともこれくらいのまとまった単位というものがぜひ必要だ、こういうふうな考慮からでございます。
○大橋(武)委員 そうすると、一括してまとめて注文するには単位としてどのくらいあればいいのですか。これはこまかく計算してああいう台数がきまったのですか。
○杉原国務大臣 これは大体日本の技術水準とか、あるいは適正なこういうものの企業規模とか、そういう点とにらみ合せまして、少くともこの程度のものは一括してやることが適当であろう、こういうように判断いたした次第でございます。そうしてこれは三十二年の中ごろまでにわたっておりますが、そういうふうにいたしますのも、一度にこれをもっと短かい期間でやるどいたしますれば、設備とか人員とかなども非常に大きくなる、そうしてあとはぽつんと切れてしまう、そういうことは、こういうものの生産事業の性質上とるべきでないことは、経済的に見ても当然でありますし、そういうふうなことを考え合せまして、また日本の技術的の諸準備もありまして、そういうふうにいたした次第であります。
○大橋(武)委員 それからこの前も伺ったのですが、六年計画の内容は伺わないことになっておるが、なぜ六年にしたかというようなことは、まだはっきりした御説明を聞いていないのですが、なぜ防衛計画が六年でなければならないか。あるいはまたなぜ六年という期間がなければ防衛計画が完成できないか。このことについてこの前宿題にして残っておったのですが、それを一つお伺いいたしたい。
○杉原国務大臣 端的に申し上げまして、実は経済の方で六カ年計画ということになっておりますことが、六というので呼んでおる次第でございます。これをある程度長期的の一定の計画のもとにやっていきたい。そうして自由党でもかねて五カ年計画というふうなことで御研究に相なっておったように存じますが、ごく端的に申し上げまして、経済六カ年計画とにらみ合せてやりたい、こういうところで六というふうに申しておる次第であります。
○大橋(武)委員 そうしますと二つ簡単明瞭に伺っておきたいのですが、ある計画があって、それをやるのに六年かかるから六カ年計画というのですか。それとも計画がないので、とにかく毎年々々幾らかずつでもやっていこう。そうすると毎年々々の計画が合わさって、六年たてば六カ年計画ということになるのですか。こういうのであれば、つまり六年たてば六カ年計画になるというので六カ年と言われるのですか。それともこの計画は六年たたなければできないというので六年計画としたのですか、どっちですか。
○杉原国務大臣 大体六年の計画を立ててやっていきたい、こういうことから出ておる次第でございます。
○大橋(武)委員 そうするととにかく六年でやりたいというので六年計画になったわけですか。
○杉原国務大臣 さようでございます。
○大橋(武)委員 さようでございますでは実際困りますね。そうすると伺いますが、経済計画がかわって八年計画になったら、防衛の方も八年計画に当然しなければならぬ。また経済計画が何かの事情で繰り上げて五年でやるのだということになったら、あなたの防衛計画も五年にしなければならぬ、こういうものでしょうか。
○杉原国務大臣 その点は、先ほど私少し率直に申し上げたのでありますが、そういうふうには考えておりません。やはり六カ年くらいの計画でやっていきたい、こう考えておる次第でございます。
○大橋(武)委員 一体六カ年計画くらいの考えでいきたいというのはどういうのでしょう。ある計画があって、これはどうしても一年ずつ分けてみると、六年くらいなければ完成しない。そこでこれを六年でやることにして六カ年計画、こうしたのであるか。それともただこれから六カ年間毎年幾らかずつふやしていこう、六年くらいたったらやめよう、こういうので六年計画にしたのですか、どっちですか。
○杉原国務大臣 それはやはり六年ぐらいの計画でやっていきたい。そうして、申し上げるまでもなく、いわゆる国力、財政力等々とにらみ合せてやっていくのが当然でございます。そういう点からいたしましても、大体経済の方と見合ったものでやっていきたい、こういうことでございます。
○大橋(武)委員 そうしますと、六年くらいでやりたいというのは、とにかく一年じゃなく六年であると思いますが、それが七年でもない、五年でもないという理由がわからないのです。ただ経済計画が一応今六カ年になっておるからそこで六カ年にしよう、こういう程度のことですか。
○杉原国務大臣 その点は、ある程度のいわゆる長期計画を立てていきます場合に、大体六年くらいの計画でやっていくのが適当だろう、こういう考え方であります。
○大橋(武)委員 それでは次の点だけをはっきり伺いましょう。これから大臣はある目標をきめて計画を立てられるわけです。従ってその計画目標というものがきまった場合には、これを六カ年に分けて六年計画にされるわけですね。
○杉原国務大臣 そういうようにいたしたいと思っております。
○大橋(武)委員 別に理由はないけれども、とにかく六年に分ける、たとえば一万人ふやすのでも六年間に分けて一万人をふやす。五万人ふやす場合にも六年間に分けて五万人ふやす、こういうことですか。
○杉原国務大臣 それは全体の防衛力の増強ということを考えます場合に六年の計画でいきたい、こういうふうに考えている次第でございます。
○大橋(武)委員 私は非常に不安に思っているのは、毎年々々アメリカから、ことしはこうやれ、来年はこうやれということを言われて、あなたは六年計画ということになると、あなた自身は目標を持っておらない、従ってアメリカに六年間毎年々々何かをやらされる。結局それがあなたの六年計画というものの内容になってしまうのじゃないかということを心配しているわけです。そこであなたがある目標をきめた場合はこれを六年に分けてやろう、こういうふうにあなたは考えているのですか、それともその目標が三年ででき上るものならば六年計画を三年計画に改訂しよう、こういうふうに考えておられるのですか、この点をはっきりしていただきたい。
○杉原国務大臣 それはある目標はやはり六年かかってやる、こういうことで考えている次第でございます。
○大橋(武)委員 そうすると目標はどういうことに決定しても必ず六年かかってやらなければならない、こういうお考えですね。
○杉原国務大臣 それはそうでございます。そうしてその中には、たとえば陸海空にかりに分けて考えまする場合に、陸の部分などは、たとえばそのうちの大体の目標が必ずしも六年というところまでに行かぬうちにあるいは達成することになるかもしれぬ。しかしその辺のところはなお研究を要することだと思う。
○大橋(武)委員 そうすると六年計画がどうかすらわかっていないということじゃないですか、これは驚くべきことであって、この間うちから六年計画といわれるから、私ども内容を示せとこう言ったのですが、六年計画どころか何年計画になるかも見当がつかないのだというのが正直のところ今の状態ですか。
○杉原国務大臣 私の申し上げ方かあるいは適当じゃなかったかと思いますが、これはその目標と申しますが、単にいわゆる兵力量だけじゃない。内容の実質的の充実整備ということがございますから、これを大体六カ年を目標にしてやっていきたい、こういうふうに考えている次第であります。
○中村(高)委員 ちょっと関連して……。聞いていると六カ年計画がさっぱりわからないのですが、どうもあなたは大橋君の出したのにひっかかったような感じがする。無理に六年なんてあなたが言い出したものだから、大橋君にああいうふうに次から次と出されてくるのでしょうが、あなたは実際世間でいろいろの六カ年計画とか、何年計画とかいうものがあるので、それでそういうふうな案を考えておられるかもしれませんけれども、防衛庁自体としては六カ年計画の具体化したものは、現在ないのがほんとうではないのでしょうか。あなたは何かそういうふうなことをお考えになっておるけれども、具体的なものはないのがほんとうなんでしょう。あるのですか、ないのですか。
○杉原国務大臣 これはまだ成案を得るに至っていないということをたびたび申し上げている通りでございます。そういう希望を持って研究いたしておるところでございます。
○中村(高)委員 だから今大橋君が、今まで長い間かかって言うたように、全く六カ年計画なんていうものは架空なものであって、政治問題としてはまだ答える程度に至っていないというのがほんとうならば、そういうふうに答えられるならば、委員会もこんなあいまいにならぬで済むのでありますけれども、何か六カ年計画というようなものがあるかのごとく答えられるので、次から次に出るのだろうと思う。ほんとうはないのならないと言えば、そこで私ははっきりするのだろうと思う。大橋君の自由党の時代だって、実際われわれが聞いたって答えない。木村長官なんかどっかへ行って新聞で五カ年計画を発表して議会で問題にしたって、何年計画かわからない。自由党でもわからなかった。何べんわれわれが聞いてもやはりわからないと同じような建前で、おそらく立てられないのがほんとうだろうと思うのですけれども、あなたはほんとうに依然として六カ年計画をこれからお立てになりますか。今そういうことを答えられますか。六カ年計画というものを立ててそれでいくんだということについて、全くどうもあいまいで、ないのならない、あるいはこれから立てて六カ年計画ができたらお目にかけるというならわかるのですけれども、そんな不確定なことを言われるということは、委員会の審議の上でまことに困る。これは何べん大橋君がやったってあいまいな形になると思うから、この点お答え願いたい。
○杉原国務大臣 今までたびたび申し上げておる通りでございまして、六カ年計画をやっていきたい、こういう希望を持っております。
○大橋(武)委員 そうすると、六年計画と言われますけれども、六年計画で済むかどうかすらあなたには今わからないというわけでしょう。七年計画になるか八年計画になるかあるいはまた十年計画になるかもわからないのじゃないですか。
○杉原国務大臣 今考えておりますのは、六カ年計画のものを立てていきたい、こういうことを考えて検討いたしておる次第でございます。
○大橋(武)委員 だって目標がないのに六年計画というものは出るはずはないじゃないですか。目標というものがあって、そこでこれなら六年ぐらいかかるだろうというので六年計画ということになるのですが、目標がない、どんな目標が将来きまるか知らぬ、しかしとにかくそれは六年でやらなければならぬということになれば、一体防衛庁はどういう必要があって、六年に完全なる防衛力を持たなければならぬのだということを説明していただかなければならぬ。しかしおそらくそれもあなたに説明していただくことは不可能だと思う。従ってあなたの言い得ることは、六年計画になるか八年計画になるか、とにかく来年度以降のことは一切わからない、こういうことじゃないですか。
○杉原国務大臣 たびたび申し上げておる通りでございまして、非常に困難なことではございますけれども、一定計画のもとにできれば六カ年間に完成したい、こういうことを考えておる次第でございます。
○大橋(武)委員 ただいま大臣はやはり自信をもって六ケ年間に完成したい、こう言われております。従って先ほど来いろいろな角度から検討いたしたように、目標がなくて六カ年ということは言える道理のものではございません。従って私はやはり大臣は議会では言えないけれども、しかし心の中ではある程度の目標というものをおそらくお持ちになっておられるのじゃないかと思うのですが、しかしその目標というものはやはり大臣は議会でお述べになるわけにはいかないのですか。
○杉原国務大臣 まだそれを申し上げ得る段階まで達していないということを御了承願いたいと思います。
○大橋(武)委員 私は先般からも申し上げております通り、むろん今日の日本といたしまして、防衛力漸増の最終の目標というものをはっきりきめて、そうして責任をもってこれを動かさない、いつまでもその目標を守り続けるというようなことはあるいは不可能だと思います。従って目標については、一たん現在ある目標を想定いたしましたところで、今後の国際あるいは国内情勢の変化によってその目標が将来変更されるということも十分あると思うのです。しかしながら、政府がかりにある目標を持っておられるといたしましたならば、それをやはり適当なる機会において議会を通じて国民の前に明らかにしていただく、政府が責任をもっては言えないけれども、おぼろげにいろいろな防衛力増強の基礎になっておるところの目標というものを打ち出す、これに対して国民全体があらゆる角度から批判していく。こういうことは私はこの防衛ということを国民全体の防衛にしていく上からいって、最も適切なことであると思うのでございます。今日のように政府が目標は言えないのであるといいながら、毎年々々ある程度の増強をやっていく、これでは国民に対しましても、どうも防衛というものは政府の官僚機構の中で行われることなのであって、われわれ国民の防衛ではないのだというような感じを与えるのではなかろうか。むしろ政府はできるだけすみやかにこれを発表するがよろしい。そうしていろいろな専門家の専門的な角度からの批判を十分に受けて、これらの国民的な批判を通じて、政府がしっかりした目標にこれを作り上げていくということが、私は今日日本の防衛の現状から申して最も適切ではないかと考えておるのでございますが、大臣はその点についていかにお考えでございましょうか。
○杉原国務大臣 ただいま大橋委員のお述べになりましたことは、その御趣旨は私全然同感に存じております。
○大橋(武)委員 しからば私は大臣がこの目標だけでもできるだけ早くお述べになるような措置をとられることを切に希望する次第でございます。ほんとうはぜひともこれを承わりたいのですけれども、しかし幾ら伺ってもお話がありませんので、これ以上は時間の浪費でありますから、この問題はこの程度にとどめたいと思います。 最後に私は大臣にお伺いしたいと思いますが、少くとも大臣は今年度において陸上において二万、海空を通じて一万何がしという増員の計画をここに御提案になっておられます。これらの増員計画というものは、やはりある目標がなければこういうものが出てくるはずのものではない。また先ほど来大臣は、計画は六年計画でなければならぬ、こう言っておられます。これも目標というものがおぼろげに定められない限りは、これを六年計画にすべきであると自信を持って断定されるはずはないのでございます。そこで私どもは、大臣がはっきり議会に責任をもって言われる数字はまだ固まっていないのかもしれませんが、ある程度の目標というものはあるのではないか。ことに従来から政府は、今年ばかりではありません、昨年も一昨年も自衛隊の増強をいたしておるのでございますが、聞くところによりますと、自衛隊としては、これは政府として分けに取り上げた目標ではないが、現実の年々の増強計画を作るに当って、かりに事務的に目標というものをきめなければその年その年の増強計画の説明ができない、こういう事情で、陸上については十八万、また海上については船にいたしまして十一、二万トンという程度の目標を立てておるやに聞いておるのでございますが、その後大臣は新しく御研究をなさいまして、これらの目標について特に新しいお考え方をお持ちになっておる事実がございますか。
○杉原国務大臣 自由党内閣の時代からの研究につきましては、もとより重要な資料として私どもにおいても研究を重ねておる次第でございます。ただ今日に至るまでまだ責任を持って申し上げるまでに至っておらないわけであります。
○大橋(武)委員 従来から自衛力漸増についての大体の目標としてあった数字、すなわち陸上においては十八万、また海上においては十一、二万トンという、これを重要なる資料として御研究になっておられるそうでございますので、私は大臣のお考えになっておられます大体の目標というものについては、おおよそ想像ができる次第でありますから、これ以上御質問申し上げましてもお答えはございませんから、私はこの質問をこれで打ち切ることにいたします。
○宮澤委員長 受田新吉君。
○受田委員 時間が非常に迫っておりますので、ごく簡単にお尋ねを申し上げます。私はまず防衛庁長官にお尋ね申し上げたいことは、国家行政組織法の立場から大臣と政務次官及び一般職員との関連の問題です。国家行政組織法にはその十七条に「政務次官は、その機関の長たる大臣を助け、政策及び企画に参画し、政務を処理する。」とあります。この政務次官の地位は今申し上げたような点におきましては防衛庁内部のあらゆる面に適合するものであるとお認めになるか。しからばいわゆる秘密保護法に規定するところの諸般の事務のうちで、大臣の知悉すべきものは全部政務次官はこれに参与すべきものであるとお考えになるか、お尋ねしたいのであります。
○杉原国務大臣 私はそれは全部参与すべきものだと存じます。
○受田委員 しからば自衛隊関係、特にMSA協定に基くいわゆる秘密保護法にお約束されてあるところの防衛秘密を取り扱うことを業務とするもの、その長であるのが防衛庁関係においては杉原さんで現在いらっしゃるわけです。ところがその秘密区分の変更とか解除とかいうものもその行政省庁の長官がなさるのでありますから、結局杉原さんがなさる。そのことについてのあらゆる秘密は全部政務次官が参画されますか。
○杉原国務大臣 これは事務の処理の事実上の関係におきまして、これはそれぞれの担当のところで補佐いたしますが、しかし政務次官は、これは事実それに全部参画され得るものでございます。別に秘密だから政務次官にはそれを見せないとか、そういうことはあり得べきことではないのであります。
○受田委員 政務に関する諸般の問題及びすべての企画、運営等に関してのあらゆるものを政務次官に相談される。従って軍部内閣の時代に、政務次官なるものは単なる政務の補佐官として存在しておった哀れな地位であったのであるが、今日の政務次官は、まさに防衛庁の政務次官の場合においては、偉大なる権限を持って大臣を補佐していると判定して、あらゆる点において秘密に関する事項は一切ない、今後もそういうことはないと断言できますか。
○杉原国務大臣 それは断言できます。
○受田委員 防衛庁内の人事に関して政務次官に御相談をされるように閣議で決定されたようでありますが、この点は次長以下の人事は全部大臣が政務次官に相談されて、これをなさっておられますか。
○杉原国務大臣 これはもう重要人事は政務次官には当然御相談してやっていく次第でございます。
○受田委員 その人事はどの線から上ぐらいを大臣はやられておられますか。
○杉原国務大臣 これは長官の人事に関する実際のやり方を、ある部分を幕僚長などに委任しておるのでございます。幕僚長その他に委任しておる部分がございます。そういう点の詳細につきましては政府委員から御説明申し上げさせます。
○加藤政府委員 法律上は任免権は全部長官が持っておる、こういうことであります。しかしながら十七万職員でございますから一々長官が任免なさるということは事実上不可能でございます。そこで、内部的に訓令を置きましてどの階級の者以下はだれに委任するということをきめておられるのでございます。たとえて申しますと、一般の隊員を任免いたしますのは連隊長及びこれに相当する者でございます。それから陸曹、海曹、空曹等の幹部と隊員との中間の層は管区総監がやります。幹部以上になりますと幕僚長、その上級の人事は長官。 これは任免についてでありますが、補職についても大体同様にきめております。 それから一般の、自衛官以外の職員でございますが、これも今と同じような基準をとりまして、八級職以下の者はそれぞれの主管の長、十級職までは幕僚長、それ以上は長官というふうにきめております。
○受田委員 防衛庁長官は現在の防衛の拡充強化に当って志願兵制度を温存していきたいという意思表示をしておられますが、志願兵なるものは今日本の現状においてどの程度までは可能であると認められるか。これは防衛増強計画にも関連し、今陸上十八万という御計画もあるようでありますが、世界各国の実例から徴して、志願兵制度の国民人口分布の上における限度というものが必ず到来すると思うのであります。これを、各国の実例などと比較検討して日本の場合を御回答いただきたいと思います。
○杉原国務大臣 その点は今までの実績等から推定いたしますれば二十万前後じゃないか、大体そういうふうに推定いたしておるのであります。
○受田委員 二十万を越えた場合には徴兵制をしかざるを得ないということになりますか。
○杉原国務大臣 その点は実は今までの過去の実例から推定いたすのでありますが、実情からいたしますと、けさほども申し上げましたが、最近募集の状況は従来に比して非常にふえております。それからよく地方の実情を聞きますと、地方連絡部のあるところとないところとで募集の状況がそれはうんと違うのであります。それで、果して現実にどれくらいであるかということはなお今後いろいろ変化のあることだと私は思っておる次第でございます。
○受田委員 日本の国内の経済情勢等によりまして、失業者がちまたにあふれ、完全失業者だけでも八十万を越えておるというような現状において、その募集に要領のよい宣伝がされることによって志願兵を吸収し得るということが現状ではないか、そういうことも現実にあり得ると思うのです。従って、経済情勢が落ちつき、ほんとうに自衛隊を志願するというような形になって初めて自然の趨勢というものが出てくると思うのであります。現状は異常の状態であると私は認めますが、大臣いかがお考えでございましょうか。
○杉原国務大臣 それは確かにいろいろの経済情勢というものが非常に影響を持つことはお説の通りであろうと思います。それでこれが落ちついたところでどのくらいあるか、これも推測でございますからはっきりとこうこうこうだということは言い切れないと思いますが、大体従来の実績等から推計いたしまして、先ほど申し上げたような限度のところになると考えておる次第でございます。
○受田委員 将来日本の自衛隊は増強計画の進展に伴いまして、徴兵制をしき得る場合が起るという可能性を一応大臣はお認めになりますね。
○杉原国務大臣 今考えおります計画におきましては、徴兵制ということは考慮に入れないで考えております。
○受田委員 私は防衛庁という特別な役所が国の一角に厳としてそびえ立つ存在となって、国民から遊離する状態になっては絶対いけない、国民に親しめる立場、そういう単位でなければなりない。けさほど森君からいろいろ批判的な言葉がありましたが、少くとも防衛の立場は、われわれとしてもはっきりした批判を持っておることは御承知の通りでありますが、現に存するもりをわれわれはりっぱなものであるように政府が指導なさるのが当りまえであると思うので申し上げるのであります。中堅幹部でありますが、先ほど局長から指摘されたような長官じきじきに人事されるようなそういう職種にある人々は、制服の自衛官から転身できりょうになっておるように伺っておるのであります。たとえば防衛庁の各局沢、これらは自衛官がこれに転身し得るように道が開けたというふうに聞いておるのでございますが、さようでございますか。
○杉原国務大臣 制度上はそういう道が開けておるわけでございます。
○受田委員 自衛官は制服の職員でありまして、制服をもって終身その任にある間はそれに従事させるという基本的なお考えであることは了承します。ところが途中で他の文官にかわりたいというときに、同等の官等、あるいは同等の給与をもらって転身できるような形に道を開いておく場合もあり得なければならぬと思うのでありますが、たとえば防衛庁の職員以外の各省の職員に転身するというようなことも考えられることかどうか、これもお伺いしておきます。
○加藤政府委員 自衛官がほかの省の役人に転ずることは、制度上は何も禁止した規定はないのであります。実際上もはっきりした件数は覚えておりませんけれども、ことしになりましてからも数件あったやに記憶しております。
○受田委員 自衛官のうち高級者に対して文官から転身の道が開けておるかどうか。たとえば佐官級の上位にある者などを一般文官から、たとえば警察の職にあったような者から引き続き採用の道が開けておるかどうか、この点も人事交流の面からぜひお伺いしておきます。
○加藤政府委員 どういうふうな人を高級幹部に採るかどうかということは、長官の政策上の決定によるのでありまして、制度の問題ではないように私は考えております。制度上これを禁止したものはございません。
○受田委員 長官の政策上の問題として、そういう人事の交流がなされることによって、一般の人事の本流がこわされてはならないと思うのです。この点いかがお考えでございますか。
○加藤政府委員 おっしゃることはよくわかるのでございますが、私どもは、きわめて抽象的な事柄になるけれども、いかにして自衛隊を充実し、強化育成していくかという観点から、もっぱら人事はなさるべきものだと思っております。
○受田委員 公務員にはそれぞれの立場からの与えられたる職責があることだし、それに応じたところの給与、待遇を受けておるわけです。また任用資格というものは、すべて一貫した立場において運営されなければならない。ただ長官の政策の思いつきでそういうことが決定されるということになりますと、これは非常に問題が残ると思うのですが、人事院の行うところの人事に関する基準というものが尊重された立場でそれが行われておるかどうかをお尋ねいたします。
○加藤政府委員 私が今申し上げましたことは、どういう人を採るかということについて、長官の政策的な決定に従うのだということを申し上げたのでありまして、どういう場合にどういう格づけでもって採るかということは別でございます。これはおっしゃる通り人事院の一般的な基準というものは私どもは尊重いたしております。ただ御承知と思いますが、自衛官に類する職種というものは、厳密な意味におきましてはなかなか一般職に求めがたいのであります。そういう点から申しまして、特別の基準というか、格づけなり採用の基準を作っております。けれどもその基準を作るに当りましては、人事院の一般職についての採用基準というものを十分参考にして作っております。
○受田委員 自衛隊の職員の昇任、昇給などに当りましては、二階級進級の道も特に功労のあった者にはとられるようになっております。二階級パーンと上る。また給与もそういう措置がとれる。一般の公務員に見ることのできない破格の抜擢がどしどしと防衛庁内において行われておるということになると、他の官庁との均衡を破ることになる。昔の部隊であるならば、それは特別進級ということも考えられると思いますが、現に生きておる人が――死亡の場合は別でありますが、生きておる人が特に功労があり、功績があったからといって、二階級進級するということは、かつての陸海軍でもなかったと思うのですが、戦時中を除いては、こういうことを考えるということは、何だか防衛庁の関係の職員は異常なる飛躍を遂げることのできる職種である、こういう印象を与えると思うのですが、この点はいかがでありましょうか。
○加藤政府委員 死亡の場合は別とおっしゃいましたが、それは私も全く同様に思うのでありますが、非常に功績のありました者は、士気の上から申しましても、私どもは特別にこれを優遇することは必要であると思います。ただ、しかし実際的の問題といたしましては、ある事柄について、たとえば小隊長なら小隊長として非常に功績があった者をいきなり連隊長にしても使えるものではないのでありまして、そこらのところは任用及及び給与、補職等人事管理全般を通じまして行なっていかなければならない問題でありまして、実際上私はそういう点につきましては十分考慮して無理のないような優遇策をとらなければならないと思っておりますし、とってきておるつもりであります。
○宮澤委員長 どうですか、受田君。まだだいぶありますか。
○受田委員 もうちょっと……。重大な問題が残されたのではわれわれ心外ですから、もうちょっと……。防衛庁の職員の人々は、今のように募集にも関係しますから、何とかして優遇の措置をとるように宣伝をしなければならないことは私了承します。しかしそれが異常の待遇であるということになると、国全体のそうしたものを乱すから、そこでその均衡を失わざる限度においてやるという、今仰せになったようなことが実際に行われればいいと思うのです。しかしこういう規定があると、そういう規定をなし得ることになるのですから問題があると思う。昇給期間についても十二カ月でもって千五百円以上の者と七十円の日額の者と同じになっておる。十二カ月たてば昇給できるのですから、待っても待たなくても、期限が来たら昇給ができるのですから、結局規則でそうなっておれば規則通りびしびしやることができるのです。だからそういうことが規定の上にあげてあることになれば非常に問題だと思うので、二階級進級などということよりも、生存者に対しては一階級進級くらいで、ちょっとした希望を与えるくらいの限度にしておいた方が、日本の現状における立場から私は妥当じゃないかと思うのです。こういうものが皆さんの定める政令によって、ほかの委員会などが知らない間にどしどし作られていくということになると、知らぬ間に防衛庁が国の一角に非常に大きな城を築くことになると思うのです。私はそこを心配して今申し上げたのですがいかがでしょうか。
○加藤政府委員 お話の筋はよくわかるのでありまして、私ども十分考えております。実際今までやって参りましたのも、決して御心配になるような筋のことは私はやっていないと思っております。ただ規定といたしまして二階級進級できるということは、あり得べき将来のことを考えますと、こういうことも必要じゃないか。ただ運用に当りまして十分に注意を払うということで、ただいまはやっていきたいと思っております。
○受田委員 昇給あるいは昇任等に関係し、あるいは特別の手当に関係してお尋ねしたいのですが、予算の措置でありますが、この法律の第六条第四項に、予算の範囲内においてということが書いてあります。予算の範囲内においてそういう昇給あるいは特別手当を出すということになると、予算がないときは出さないかということになるのでありますが、現在までに予算上の都合で、そういう昇給とか手当の支給をこめたことがございましょうか。
○加藤政府委員 実際の昇給昇格の場合につきましては、いろいろな事情を考慮してやっておりますから、法律命令で定めております昇給昇格の期間がさましたからといって、すぐ全部上げるということはありませんけれども、予算上の制約によってやらなかったということはございません。
○受田委員 予算の制約でやったということがなかった、今までこの法律の適用を受けたものはなかったということになるわけで、これは非常に恵まれたことになると思います。それに関連して今問題になるのは、航空手当、落下傘手当、こういうのが今度新しく支給率を高めて出たわけです。こういうものは一体どのくらいの人員を予定し、その予算額はどのくらいを考えて政府は改正案をお出しになられたかをお示し願いたいと思います。
○加藤政府委員 航空手当につきましては、現在の人員が三百五十四名でありますが、年間におきまして約千二百名増加いたす予定でございます。航空手当の予算上の金額は一億一千万円あまりでございます。落下傘手当は現在この支給の適用を受けます者が百十五名おるのでありますが、本年度末までにこれを三百七十名に増加するつもりでございます。落下傘降下作業手当といたしましては千百四十五万九千円の予算が計上してございます。
○受田委員 千百四十五万というと、一人約十万円以上ということになりますか。
○加藤政府委員 落下傘降下作業手当について申し上げますと、私どもはジェット機の搭乗者と同額を確保したいと思っておるのでございます。従いまして定額支給いたしますものと一回降下作業ごとに幾らときめますものと合せまして、五〇%というふうに考えております。その額を支給したいと考えております。
○受田委員 もう一つ防衛大学の問題に触れますが、防衛大学校なるものが防衛庁長官の傘下にはせ参じて教育訓練に当っておるわけです。この防衛大学校というものは、学校教育法による大学として認められるような形に希望しておられるのか、あるいは現状のままでいいようにお考えになっておられるのか、お伺いしたいと思います。
○加藤政府委員 防衛大学校につきましては、入学資格は高等学校の卒業者でございますので、新制大学と同様となっております。学科目の内容につきましては、大学の理工学部系統のものを中心に科目を編成して教育をしておりますほかに、軍事学というふうなもの、実技というふうなものも訓練をしておるのでございます。教授の陣容等につきましては、各大学に匹敵いたしまして劣らないような者を努力をして集めております。将来これが大学令による大学として扱われ得るかどうかということになりますと、なかなかいろいろ考えなければならない困難な問題があると思うのでありまして、今ここでただちにどうこういう結論を出すことはできがたい現状ではないかと思います。
○受田委員 防衛大学の職員には教授、助教授、講師及び助手というのが置かれております。こういうものの任用資格は、文部省の中に置かれておる大学の職員の審査会によって審査されるような基準によるものが一応考えられておるかどうか。たとえば文官の場合においては、そういう点で資格を有する該当者と認められるものに相当する者がとられておるかどうか。また助教授、講師、助手と、名称が違っておるのでありますから、それぞれのそういう任用資格に準じた措置がとられておると見てよいのかどうかをお尋ねします。
○加藤政府委員 ただいまお述べになった通りでございまして、文部省の基準によることに努めております。
○受田委員 そうしますと、教官は別として――自衛官をもって充てておる場合は、自衛官はどういうような任用資格に相当するものと認めてやっておられますか。どれから上を、どういうふうに名称を付しておるか、お尋ねします。
○加藤政府委員 自衛官をもって充てておりまするのは、申し上げるまでもなく軍事学の方の教官でございます。これは一等陸佐、一等海佐、一等空佐以上のものを教授ということにしておりまして、それ以下のものを助教授ということにいたしております。
○受田委員 講師、助手というのはないですか。
○加藤政府委員 講師というのはございません。助手はありましたかどうか、ちょっと今記憶いたしません。
○受田委員 そうすると、尉官級あるいは今の三等、二等佐官というものは教授でなくて助教授ですか。
○加藤政府委員 ただいま申し上げましたごとく、教授として発令いたしまするにつきましては、一等陸海空佐で、十分その識見のある者ということで選考いたしております。
○受田委員 助教授は……。
○加藤政府委員 そうです。それ以下の者は教授にはなれないわけです。
○受田委員 教授になれない者は助教授か講師かあるいは助手か――助手というようなものは、下士官をもって助手とするとか、あるいは尉官、佐官の、二等佐官までは助教授とするとか、というような規定はないわけですか、だらだらしておるわけですか。
○加藤政府委員 あの防衛大学に勤務しております幹部以外の者は、陸曹、海曹と思いまするけれども、これは教官じゃないのです。教える者はやはり階級の高い相当の練達者が教えるわけでありまして、助手といいましても、理科や化学や電気の実験の助手等とは若干違うのであります。名前につきましては、どういう名前を用いておりますか、はっきりいたしませんけれども、ほかの学科のものとは若干違うという色彩を持っております。
○受田委員 防衛大学校は高等学校卒業者をもって受験資格としておるのでありますし、四年間の学習課程を経るということになれば、かつての陸海軍の大学と違った意味において、平和的な学科課程も相当たくさんあることだし、学校教育法による大学として学士号を付与することができるぐらいの恩典が付与されるような措置をして、いわゆる武官的な臭いがあまりに濃厚でないような形をお取りになることが私はこうした時代には適当でないかと思うのですが、いかがですか。
○加藤政府委員 お話になりますお心持はよくわかるのでありますけれども、しかし防衛大学校は申し上げるまでもなく幹部自衛官なるものを教育するのであります。一般の新制大学を卒業する程度の学力を持たせるということに主眼を置いて考えるということはやはり私は適当でないのではないか。結果においてそういうふうになることは望ましいかもわかりません。しかし教育の主眼というものはやはりあくまでも幹部自衛官ということだろうと思います。
○受田委員 この法律の中に非常勤職員を一般職の職員の給与法に準じて設けることができるようになっておりますが、現在防衛庁の職員の中で非常勤は何名ぐらい採用されておりますか。
○加藤政府委員 定数として六名でございます。
○受田委員 いわゆる非常勤務職員と称しまして臨時雇用職員などを含めた常勤的性格を有する非常勤と、臨時的採用をしている勤務者と、そういうものを分けてもいいし一括してでもいいのですが……。
○加藤政府委員 予算上非常勤職員として認められております者がただいま申し上げたように六名でございます。そのほかに賃金の支払いによって雇用しております者は四百三十名いるわけです。
○受田委員 法律が十一条にこの給与の支払いが「月の一日から十五日まで及び月の十六日から末日まで」と分けて書いてあり、ただし政令の定めるところによりそれを分けないで一回でまとめて上げることができると書いてありますが、この政令の定めるところで一回に支払い得る場合はいかなる場合でありますか。
○加藤政府委員 ただいま防衛庁におきましては全部一回払いでございます。
○受田委員 そうなれば一般の給与法に規定してあるような形にして一回払いに法律改正をなぜお出しになりませんか。
○加藤政府委員 これは当初二回払いをしておったのでありまして、昨年の七月から一回払いにしたのでございます。
○受田委員 しからば法律を、もう一回払いにして済むようであれば、この際はっきりしておいた方がいいと思う。
○加藤政府委員 一般職の方も法律上は二回払いにして、一回払いもできるようになっておりまして、人事院規則で実際の決定をしているようでございますので、人事院規則に見合う政令できめることが適当かと思っております。
○受田委員 これは政令でなくして法律ではありませんか。防衛庁職員給与法という法律に規定してあるのじゃないか、
○加藤政府委員 法律では「政令の定めるところにより、期間を分けないで、月一回にその金額を支給することができる。」この政令に相当するものが人事院規則であるというふうに見て いるわけであります。
○受田委員 一般職の方は月一回払いであると認めていたが、どうですか。
○加藤政府委員 一般職の職員の給与に関する法律の第九条には、これは受田さんよく御存じと思いますが、「俸給は、月の一日から十五日まで及び月の十六日から末日までの各期間につき、俸給月額の半額を支給する。但し、人事院規則の定めるところにより人事院の承認を得た場合には、期間を分けないで、月一回にその金額を支給することができる。」こうなっているわけでございます。私どもそれに合せて十一条は規定しているつもりでございますが、お尋ねの点と違うかもわかりませんが……。
○受田委員 私がちょっと考え違いしておったのでもう一度お尋ねしますが、これはやはり給与の支払いの規則を全体として改正する要がある問題だろうと思います。 もう一つ最後にお尋ね申し上げたいのは、俸給の調整額の問題です。同じ十一条の二の一項に政令で予定するものがここにあげてあるのですが、これは今度の改正案では該当人員はどのくらいあって予算額はどのくらいになっているのでありましょう。
○加藤政府委員 今度の改正案の十一条の二は一般職の職員の給与に関する法律の十条に合せて作ったものでございます。この十一条の二には一項と二項と書いてありますが、一般職の方におきましても一号につきましては適用されていない。これは特殊勤務手当で支給されていることは御承知の通りでございます。私どもの方といたしましてもさしあたり一般職の方がさような措置をとっております間は、この一項につきましてはこれを発動するつもりはないのであります。もしいつか一般職の方で十条の一号を適用されます場合におきましては、この一項による措置をしたいと思うのでございます。そこでさしあたり問題になりますのは、第二号でございます。第三号につきましては一般職の方では、御承知のごとくに、隔離病棟の勤務職員でありますとか、結核病棟の勤務職員等がこれに該当しているようでございます。私の方でも昨年末から病院の中に結核病棟ができましたので、この結核病棟に勤務していますもの、炊事夫とか掃除夫、そういうような諸君に対しまして第十一条の二の第二項によりまして俸給の特別調整をいたしたいと思っているのでございます。この人数は現在のところ約六十人というように記憶しておりますが、本年の末までには百二、三十人になる予定でございます。
○受田委員 もう一つ、さっきからしばしば触れた問題でありますが、防衛庁の職員に特権的意識を持ってはならぬという問題に関連するのですが、防衛庁の職員だけは特別に衣服の貸与の規定などがある、ある職種に限ってですね。あるいは宿舎等においても管外手当というような便宜がはかられている。こういう点は非常に恵まれた事情にあると思う。自衛隊に入って隊員になれば、さしあたり兵営の中におって衣服も全部支給される、おまけに給与をもらえるということになると、他の公務員に就職するよりもはるかに一応好条件であるわけです。こういう好条件をわれわれ考えていくときに、自衛隊の職員の貸与費あるいは宿舎費というものは、給与の中にどういうような計算をされているのか。これは新らしく入ってそうした営舎にいる人あるいは営外居住する人あるいは上級者にして宿舎費も特にもらっている人というように分けて、自衛隊職員の一般公務員よりも特に考慮されている点をお示し願いたいのであります。
○加藤政府委員 この点につきましては受田委員も御承知と思うのでありますが、俸給を計算いたします際に陸曹、海曹、空曹以下の者につきましてはその基礎計算におきまして食費相当分を除いているのであります。でありますからこういう君たちの営外居住を許可いたします際には、やはりこれには返してやらねばならぬという意味で営外手当というものが出てくるわけでございます。それから被服の貸与につきましては、これは逆なことを言いますと、それを着せるのです、着なければいけないのでありまして、それを個人の全額負担にするということは、国家の立場から見ましてもいかがか。これは警察官についても同様でありまして、衣服は貸与していると思うのでございます。官舎につきましては現在自営隊で約三千八百戸でございます。これは今までのわれわれの方針といたしましては、一応の基準を立てまして、三等陸海空佐以上の者には全部、一等陸海空尉には定数の三分の二、二等三等の陸海空尉の者には三分の一というような基準を立てて着々やって参っておりまして、現在のところそういう基準に対しましては約二〇%でございます。しかしこれは一般職の他官庁の例によって考えてみますと、他官庁では女子職員を除き、また安定した住居を持っておる者を除き、それから自宅のある者を除いた者に対しまする官舎の、――官舎と申しますか、公務員宿舎でございますね。その充足率というものは私どもは三五%くらいと承知しておるのでありまして、まだまだこの域には達しないのであります。御承知の通り、私の方の北海道等には、相当多数の人数が参っております。地元の職員というものは、一割足らず、九割以上の者は本州の方から参っておるのでありまして、住宅は非常に払底いたしております。北海道は最優先に官舎の充足に努めております。本年は陸上自衛隊におきまして五百戸、海上自衛隊におきまして百戸、航空自衛隊におきまして二百五十戸の官舎の建設の予算をいただいておりますので、この範囲内で北海道を優先的に考慮したい。ことに一番困っておりますのは陸曹の諸君であります。これは先ほど申し上げました基準の中に入っておりませんけれども、こういう諸君に対しましても割当の予算の中でできるだけ考慮をして、官舎を充足してあげたい、かように思っております。他の官公庁の職員に比べまして、特に優遇をしておるというふうには考えておりません。
○受田委員 自衛隊の幹部の方々のうちで、自動車を使用していらっしゃる方々は、階級がどの辺から上でありまりか。
○加藤政府委員 正確な資料を持っておりませんので、もし誤りかありましたならば訂正させていただきたいと思いますが、私の記憶によりますと、各連隊本部に乗用車は一台ございます。管区総監部には十台、そこらではないかと思います。幕僚監部は十台くらいかと思うのでございますが、特に専用の乗用車を持っているというのはきわめて限られておるのでございます。あごは共同使用をいたしておるという実情でございます。
○受田委員 杉原さんに最後に。私はきょうビルマの総理を羽田に迎えに行ってみたんですが、これは警察の方から音楽隊が来ておりました。そしてちょっとした警察官が来ておったわけですが、国際儀礼の立場におけるそうした儀式用の部隊というようなものは、すでに自衛隊という形を整えておる以上は、大臣としては当然そういう儀式的な部隊の存立を認むべきではありませんか。この点は私は自衛隊そのものに対するはっきりした批判を持っている政党の所属でありますけれども、一応軍隊に準ずる自衛隊なるものが存立しておる以上は、国際的な関係においてはどういうふうに取り扱うべきであるか、御研究の結果をもう一度御発表していただきまして質問を終りたいと思います。
○杉原国務大臣 いかなる場合に自衛隊のものが出るのが適当かというようなことは、別個に研究しなければならぬと思いますが、今おっしゃいましたように国際的の儀式的なものはやはり持つ必要があるだろうと考えております。
○宮澤委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。 午後六時三十五分散会