内閣委員会 第33号
- 発言数
- 72 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1955/07/04
会議録
○宮澤委員長 これより会議を開きます。 恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。 この際、海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員会より本案に対し修正意見の申し入れがありますので、その内容を床次理事より説明いたします。床次君。
○床次委員 まず要望事項を御説明申し上げます。 未帰還公務員については、その特殊性にかんがみ現行恩給法中若年停止の規定の適用を排除するとともに、未帰還公務員が死亡した場合の公務扶助料については、その死亡した日の属する月の翌月から支給することが妥当であると思われるので、これらに関し早急に検討の上修正あらんことを要望する。 というのが要望事項であります。 なお右の理由として二点あるのでありますが、理由の第一は、一、昭和二十八年八月に施行された恩給法の一部を改正する法律(以下単に「改正恩給法」という)附則第三十条第二項但書の規定により、未帰還公務員の留守家族に支給される普通恩給は、恩給法の若年停止に関する規定の適用を受けるために、せっかく改正恩給法により留守家族に与えられた特典も有名無実に終る場合がしばしばあるが、未帰還公務員は外地にあるため現在内地において労働能力を発揮することは全く不可能な状態にあるのであるから、所定の傷痍疾病のために労働能力を失っている者について若年停止を行わない旨の現行規定の趣旨にかんがみ、未帰還公務員の留守家族に支給される普通恩給については、若年停止に関する規定を適用しないよう措置すべきである。二、未帰還公務員の遺族に支給される扶助料は、改正恩給法施行前において、未帰還公務員の死亡のときにさかのぼって支給されていたが、改正恩給法の施行によって、その死亡が判明した日の属する月の翌月から支給されることとなったので、改正恩給法施行前の取扱いに比し、不和益をこうむることとなった。本来死亡の日に遡及して支給されるべきがその本質であるのにかんがみ、未帰還公務員の遺族がこうむるかかる不利益を除去して、その援護の充実をはかる必要がある。以上であります。
○宮澤委員長 この修正意見に対して質疑がありますか。
○床次委員 ただいま申し上げましたような理由で疑問が起っておるのでありますが、これに対する政府の御意見を承わりたいと思う次第であります。
○三橋政府委員 今床次委員からの御発言がありましたことに対しましてお答えいたします。のくらいの金になるかの見通しがついておらない、その点だけを私は懸念するわけであります。 それから第二の点でございますが、第一の点につきましては、先日この委員会におきまして受田委員からも御発言があった際にお答えしたのでございますが、未帰還公務員の遺族に給される扶助料に関しまして、御本人がなくなられましたときが現実にわかったそのときを標準として考えるか、あるいは死亡の確認されたときを押えまして扶助料を給するかという問題でございますが、一概に死亡の判明したとき、その死亡のときを押えまして扶助料を給することは、遺族の方に有利の場合と不利の場合とが出てきて、必ずしも常に遺族の方に、死亡の判明したとき、その死亡のときを押えて扶助料を給する場合が有利とは申し上げかねるということを申し上げたわけでございます。従いまして現在の取扱いといたしましては、死亡が確認されるまでは生存者としての取扱いをして、普通恩給の権利を取得されておる方であれば、生存者としてその留守家族の方々に普通恩給を給する、こういうことにしていいわけでございます。従いまして死亡が確認されましてから初めて遺族の方には扶助料を給する取扱いをします。扶助料の金額と普通恩給の金額とを比較いたしました場合には、普通恩給の方が多いわけでございますから、従いましてそういう場合には死亡の確認されたときを押えまして扶助料を給するような措置をする方が遺族には有利ではないかと思います。ただ問題は、先日もここでお答えいたしましたように、昭和二十八年の八月に旧軍人及び遺族の方に恩給扶助料を給する法律ができたわけでございますが、それまでに死亡されておった方について、間もなく死亡の確認された人たちにつきましては、お話のように、死亡の日を押える方が有利になるということは考えられるのであります。そういう方々についてこまごましい区別をいたしまして取扱いをすることにつきましては、私相当慎重に考えなければいけないのじゃないかということで、先日は受田委員の御発言に対しましては、よく考えて善処するようにいたしますけれども、はっきりと必ず死亡の日を押えまして扶助料を給する措置をするということはまだ申し上げかねることであります、こういうふうに答弁いたしたわけでございます。
○床次委員 ただいまの御答弁大体了承しましたが、その数については相当多数あるかどうか、あるいは調査はお持ちにならぬようでありますが、大体どんなふうに予想されるか、承わりたいと思います。 なおここにあります、先ほど理由として申し上げたのでありますが、内地において労働能力を発揮することが不可能の状態にあります傷痍者等を比較して論じているわけであります。恩給法その他につきまして傷痍者と同じように未帰還者を取り扱うというようなそういう特殊な取扱いをしている例がほかにあるかどうか、この問題だけにこういうケースが起きているのかどうか伺いたい。
○三橋政府委員 今の数の問題につきましてはちょっと私はっきりしたことを申し上げかねるのでありますが、それは大ざっぱのことを申し上げられたら申し上げる方がいいのでありますが、それも急でありまして申しかねるところでございます。 第二の点につきましては、そういう今のお話のような取扱いをしているものはほかにございません。
○受田委員 今の恩給局長の申されましたことに関連してちょっとお尋ね申し上げたいのであります。局長さんの御答弁で、この死亡の日にさかのぼって公務扶助料を支給することになると、普通恩給をもらう場合と比較して、むしろ普通恩給を渡す方が有利なことがあるということでありましたが、御承知のように、公務扶助料と普通恩給と比較して差が生ずるのは佐官級からであって、階級の下の大多数の公務員はどうしてもこの公務扶助料をもらう方が有利である。しかもずっと死亡にさかのぼるということになりますので、有利な場合は公務扶助料として死亡にさかのぼっていただく方が普通恩給をいただくよりも大多数の人が恵まれるという点において有利である、こういうことになると思うのです。従ってこういう場合にはその恩恵を受ける人の多い方に規定をかえておく方が、法案の趣旨からいったならば筋が通るのではないかと思います。 もう一つは実際に死亡した日にさかのぼって扶助料を支給するというのが法案の建前からいっても筋が通るのではないか。死亡確認の日から仮定のもとに扶助料が支給されるということは、この死亡から死亡確認までの空白を生ずるという点においては、これは妥当性を欠くと思うのでありますが、この点について御考慮を願いたいと思います。
○三橋政府委員 今のお話の金額の点でございますが、確かにそういうことはございます。そのような点につきましては、予算上の見通しをつけまして善処をすべきものと思います。この点につきましてはお話のことはよく承わっておきます。 第二の死亡の確認のときを押えるか、現実の死亡の日をもって押えるかという問題であります。これにつきましては、私はできることなら死亡の日をもって処置することにいたしたいと考えております。ところで現実の問題といたしましては、死亡の日と死亡確認の日との間に相当年月がありまして、死亡確認の日までは生存者として、他の関係庁において留守家族の方が処遇されている、こういう事実など考えまして、実は死亡確認で押えるということに法制上なっているのでありますが、実際問題といたしまして考えました場合に、死亡の日にさかのぼるものでございますので、その死亡の日が死亡確認よりも何年も前という場合もございます。その場合におきまして、その間生存者として、すべての問題が処理されているのを全部くつがえしてしまって、そうして数年前に死亡したものとして恩給法上で取り扱うことがいいか悪いかにつきましては、いろいろな点をやはり考えなくちゃいけない問題があるのではないか、こういうふうに私は考えておるのでございまして、今受田委員の仰せられましたことを全面的に私は否定するわけではございません。そういうことはよく考えまして、どういうところまで今受田委員の仰せられるような考え方を受け入れて、そうして処置すべきかということは考えていきたいと思っておるのであります。
○床次委員 過般審議中に一度質問いたしたのでありますが、厚生大臣がおらなかったために答弁をあとへ回していただいたのでありますけれども、実は今回の恩給法の改正案がいろいろ検討せられまして、旧軍人に対し、また遺家族に対しまして相当従来の懸案が解決せられんとしつつあることはまことに喜ばしいことと思っておるのでありますが、ただしこの中にわが日本人にあらざるところの旧日本軍人というものがなお日本におったのでございまして、この旧日本軍人、現在外国人てあります者の処遇に関しましては、結局恩給法におきましてもこれは取り扱うべきものではないのであります。ために今回の改正法におきましてももちろん対象の外に置かれておるわけであります。しかし現実においてこれらの者に対しては何らかの措置をしなければまことに気の毒であるという状態については、争われない事実なんであります。この問題に対しましては、結局援護局すなわち厚生当局において御心配をいただかなければならぬ問題であると思うのであります。現在戦犯として相当の数の者がおるのでありますが、これらの者があるいは刑期を終えました後におきまして本国に帰るにいたしましても、本国政府といたしましては、いろいろの外交上の理由からこれに対して受け入れを拒むという状態であり、またこれらの者が日本において生活すること自体に対しましても、全く身寄りの少い立場にありますので、困難を感じておる状態であります。旧軍人という立場から申しますならば、日本人の軍人に対してそれぞれ応急の措置があったのでありますが、それとふさわしいところの処置があってしかるべきものと思うのでありまして、これらの者につきまして政府に対して善処を要望したいと思いますが、政府当局の御意見をこの機会に承わりたいと思う次第であります。
○川崎国務大臣 過ぐる大東亜戦争、太平洋戦争と申しますか、第二次大戦におきまして、日本のために雇用人、軍属として従軍をいたしましたる朝鮮、台湾の同胞が、その後不幸にいたしまして戦争裁判にかかり受刑をするというような悲しいできごとになりましたことは、われわれといたしましても何とかその釈放後の措置あるいは国へ帰りまする際におきまして十分の手当をしなければならぬことは、常々考えておるわけでございます。今日まで政府のいたして参りました第三国人の戦争裁判受刑者に対しましては、次のような援護を行なっております。 第一に、第三国人の戦争裁判受刑者は、旧特別未帰還者給与法におきまして、特別未帰還者とみなされておりましたので、未帰還者留守家族等援護法の附則におきましても、その実績を保障する意味合いにおきまして、これらの者を未帰還者とみなしまして、本人とその留守家族に対し、同法による援護を行うこととなっております。具体的に申し上げれば、本人が拘禁されておる間は、内地に居住するその留守家族に対し二千三百円の留守家族手当を毎月支給いたしております。しかしながらこれは大体例外的なものでありまして、本邦に居住していない留守家族の者が多いわけでありますから、そういう者につきましては、第二に、留守家族手当を支給することができませんので、年に二回六千円ずつ見舞金を支給いたしております。 第三には、釈放された場合には、旧法によりまする未支給の給与を最低一万五千百円、それから帰還手当を一万円、未帰還者留守家族等援護法による帰郷旅費をその距離に応じて千円ないし三千円それぞれ支給をいたしております。また釈放された者が本国に帰る場合には、その運賃を全額国庫で負担をいたしております。しかしながら、これはつけ加えて申し上げますけれども、なかなか今日の情勢におきましては、こういうものはほとんど例外的なものでありまして、事実本国に帰るというようなことは不可能なような情勢にも追い込められておるわけであります。なお出所の際は以上のような政府からの給与のほかに、戦争裁判受刑者世話人会から二万円、日韓善隣協会から一万円をそれぞれ支給いたしております。 それから第四に、内地に定着しようという者に対しましては、一般引揚者に準じて落ちつき先の提供、またはあっせんについてでき得る限りの便宜を取り計らっております。 先般来これらの問題につきましては、当委員会の委員の方々におかれましても、非常に融資的にごあっせんを願い、厚生省といたしましても法務省と連絡をいたしまして、従来のような措置だけではいかぬのではないか。五月の十三日でありましたが、閣議に回ってきました書類の中に台湾人ニ名の釈放ということが、オランダ関係の戦犯釈放というものが決定しながらその要求に十分応ずることができませんので、そのために二名の戦犯者が今なお巣鴨におるというような問題も出ておりまして、これらの解決につきましては、政府といたしましても早急に何らかの手を打たなければならぬというので、官房長官、厚生大臣並びに主管大臣でありまする法務大臣におきまして鋭意努力中でございます。 以上が大体今日の第三国人の戦争受刑者に対して行われておる援護措置並びに最近の状況でございます。
○森(三)委員 今一応の御答弁がありましたが、巣鴨の戦犯第三国人、主として朝鮮並びに台湾本島におられた方方だそうですが、この方々が五十八名かおるそうです。これらの方々が仮釈放になって、仮釈放という形においては完全な釈放でないために本国に帰るわけにもいかない。やはり一般的に日本の領土内にいなければならぬ。そうしますと、帰るわけにはいかないし、こちらにいなければならない、その間やはり生活をしなければならぬ。そうしてまた落ちつく先がなければ結局どこへ行く、安定した居住する家屋とか設備がない。あなたは今若干の配慮をしようとか、あるいはその他のめんどうを見ていくと言われておりますけれども、根本的に生活ができるという対策を立てなければ問題の解決はできないのではないかと思うわけなんです。それにつきましては、やはり所管のあなたの方でも根本的な対策をお立てになっておるかどうか。御答弁を願いたいと思います。
○川崎国務大臣 この問題につきましては、厚生省としても十分配慮をいたしておりまして、たとえば住宅の問題につきましてはただいま二名の戦犯釈放者に対しては大森寮という引揚者の寮がありますが、そのうちの一室を開放いたしまして、これが受け入れ態勢を整えつつあるわけであります。しかしこの間もその受刑者と同じ運動をせられておる方々に会ったのでありますが、どうも大森寮のへいの上にはバリケートがついておる、あるいは外に出ようとするときに当って、営門みたいに門番がついておるというようなことを言っておるのであります。しかし私は一昨日会いまして、大森寮というのは十分に調査をしてみると、バリケードではない、門の上に、いわゆる昔金持ちがどろぼうが入られると困るのでガラスの柱みたいなものを立てた、あれを立てておるだけであって、十分施設もあるのだから、その点はお互いに話し合いで進めてもらいたいということを申し上げたわけであります。お名前を申し上げて恐縮でありますが、社会党の田原さんもその際においでになられまして、そういうことについては今後できるだけあっせんをするから、従って話し合いにはやはり応じてもらいたいということを申しておるような次第でありまして、住宅はもとよりそれから職業のあっせん等も厚生省が主体になってやろうと思っております。これは、戦争の犯罪にかかった者の跡始末につきましては、大体法務省が主管のような形になっておりますが、どこで主管をするというようなそういう窮屈な考え方ではなしに、生活その他の問題につきまして、厚生省がむしろ主体になってやってもいいのじゃないかというふうにさえ、積極的に私は思っておる次第でありますが、今日解決しておらないのはむしろ生業資金の方の問題なのです。これを一人三十万円ずつ出してくれというのでありますが、これをやりますと、またただいま御指摘の通り五十八人もいるわけでありますから、相当な金額に上るわけであります。これを国民金融公庫あたりから多少の融通をしてもらおうと思って、最初にはこういうことも考えたのでありますが、今日これは日本人庶民を相手にしておるものでありますから、これも出ないということになりまして、非常に内閣としても苦慮いたしておるのでありますが、何とか三十万円そのものが出なくとも、政府としてもできるだけのことをいたしたいと思いまして、ただいま厚生大臣である私の方から官房長官に、間に立ってくれて、一つ大蔵大臣との問を取りまとめてくれないかということを、けさ実は申し出たような次第であります。ただいま仰せのことにつきましては、万全の努力をいたすつもりでございますので、一応これをもって答弁といたします。
○森(三)委員 生業資金を貸付してやるようにお骨折り下さっておるのはたいへんけっこうなのですが、私は生業資金を三十万円とか幾らとかの金を出すだけでは危険ではないかと思うのです。やはりその金でもってほんとうに生業につき、仕事そのものが成り立っていくような、そこまでの指導というか、めんどうを厚生省で見てやらなければ、ただ金を貸してやった、これをやってみたところが失敗してしまったというのでは何にもならないと思うのです。だから厚生省としてはそこをあたたかい気持でもって手を差し伸べてあげていただきたい、かように思うわけでありますが、そういうこともお考えになっていらっしゃいますかどうか。
○川崎国務大臣 先般もすでに受刑を終えて出てこられた人々が見えましたが、その方々を見ると、やはりかつて兵隊さんでありましたから、今日では三十五、六才から四十四、五才に該当せられる方だと思うので、少し休養期間を与えれば十分にあらゆる職業に耐え得るだけの肉体条件を持っておる、こう私は考えましたので、職業のあっせんにつきましては十分努力をいたすつもりでございます。
○田原委員 厚生大臣が、第三国人の巣鴨出所後における生活の問題について非常に心配しておられることはわれわれも認めるのであります。ただいまの御答弁の中にも、住宅と職業については最大限のめんどうを見るということでありますが、その生業資金の問題でありますけれども、これも厚生省が中に入りまして御協力願えるならば、その道も多々あると思うのであります。たとえば台湾にしても朝鮮にしても、御承知のように、漁業ができますから、これは農林漁業金融公庫からの貸付を受けることができる。生産者組合というものがありまして、実際に魚を取る者が七名以上で漁業に従事するということになれば、漁業資金は一種の連帯保証で貸し付けることができるということになるので、これも一つの方法だろうと思います。 それから内地にとどまって、いまさら本国に帰れないというので出所者だけで何か小さな商売をやろうということになると、中小企業金融公庫並びに商工中金の規定によると、現実に仕事をする四人以上の者が共同して店舗を張って商売をやる場合には、資金を借りることができるようになっておるが、問題は外国人であるかどうかということにあるのでありまして、これも引き続き日本におるという意思があれば、帰化等の点も考慮してやっていただきたい。何しろ戦争期間中十数年にわたって日本に協力した方々でありますし、人間の数も五十八名とか百名という大した数ではありませんので、彼らがほんとうに日本人になるというのなら、その帰化の手続についても積極的に出入国管理庁等にもごあっせんを願う、こういうふうにして足らざるを補う努力をしてくれるならば、私は彼らも満足して働いてくれると思いますので、どうかこの点に対して御努力していただきたいと思いますが、これに対する大臣のお考えを聞かせてもらいたい。
○川崎国務大臣 ただいまは、田原委員から生業資金の問題につきまして、むしろいろいろな借り方についての御教示を願ったと思っております。私の方としましても、もとより十分研究はいたしておりますが、なお足らざる点もあるかと思いますので、ただいま御教示願ったようなことについては十分研究いたしまして善処いたすつもりでございます。
○受田委員 厚生大臣及び大久保国務大臣に、関連して今の問題についてお尋ねいたしますが、台湾人あるいは韓国人の傷病者で独立後外国人となった人々、しかも相当程度の傷害を受けている人、こういう人が、この間も列車の中でお客さんをつかまえて、われわれは韓国人であり、台湾人であるがゆえに、元日本軍人がもらっておるような傷病年金も増加恩給ももらっていないで、ちまたにはうり出されておるのだ、従って日本政府の措置があるまで皆さんの御同情をこいねがうのだというような演説をしておりました。これは対外関係にも重大な影響の及ぶ問題だと思います。そこで国際親善の上からこれらの傷病者を日本政府はいかなる方法をもって遇しておるのか。恩給法上の恩典に浴することのできないこれらの人々に、同等程度の国内措置をしておるのかどうか、この問題について御答弁を願いたいと思います。
○田邊政府委員 お答えいたします。第三国人であって日本国の軍人として採用になって、戦闘によって傷病を受けて、その結果恩給法上の該当者として処遇をうけておった方があることは事実のようでございますが、これらの方々は独立と同時に実は恩給法上の権利を失っておるわけであります。御承知の通り、恩給法は国籍ということが要件になっておりますので、国籍を離脱した場合においては当然恩給法上の権利を失う、こういう結果であろうと思います。援護法におきましても、そういう点は恩給法と一応軌を一にするという建前を取っております関係上、現在のところ恩給法におきましても、援護法におきましても、公務による死亡者あるいは傷病者であっても年金は支給に相なっておらないのであります。
○受田委員 それはたいへん重大な社会問題になるんですけれども、この人たちはちまたにほおり出されて、日本の軍人として働いて負傷して身動きのできない重傷に呻吟しながらも、何ら日本政府が手をつけないということがこのまま放任されてよろしゅうございましょうか。できれば大臣から御答弁願いたい。
○川崎国務大臣 非常に大きな問題でありますので、すでにこの問題につきましては、外務大臣が答弁をいたしておるそうでありまして、もとより国際信義上重大な問題でありますが、恩給権を失権したということでありますれば、措置としては今日それ以上のことはできないのであります。
○宮澤委員長 ほかに御質疑はございませんか。さらに本案に対し、長谷川保君より修正案が提出されております。同修正案の趣旨弁明を求めます。長谷川保君。 ————————————— —————————————
○長谷川(保)委員 ただいまお手元に提出いたしました恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案の修正案の提案の理由を御説明申し上げます。 本修正案は本来さきに政府が提出し、次いで撤回になりましたいわゆる旧軍人恩給法の改正案に対しまして対決する意図をもって、日本社会党の恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する法案といたしまして用意されたものでありましたが、高橋等君ら提出のいわゆる民主、自由両党の改正案と公務死の範囲の拡大その他多くの点において同一改正個所を持っておりますために、これを改正案として提出する場合には、一事不再議の原則によりまして廃案となるおそれがありますので、やむなく高橋君ら御提出の民自改正案の修正案として、民自案と異なる個所を提出したものであります。 本案の修正部分は十カ所あるのでありますが、重要な点は次の二点でありまして、他はこの修正のための法文あるいは表等の整理のためのものであります。すなわち第一点は、准士官以下の恩給を一律平等にして、その恩給額を現行法のほぼ下級将校並みにまで増額引き上げ、大尉以上大将までの恩給は現行にとどめるよう増額をしないこととしようとするものであります。御承知のように現行恩給法の理論は、公務員が公務に服したために失うた経済的取得能力の減損に対して、国の経済力をもってこれを補うということにあります。応召軍人と旧下級軍人らは旧帝国憲法にありまする臣民の義務として、徴兵制度のもとにほとんど無報酬で軍務に服したのであります。このほとんど無報酬ともいうべき徴兵あるいは応召された兵に給せられた、いわばお小使程度のものを仮定俸給の基礎といたしまして、その基礎の上に仮定俸給を作り、さらにまたこれを計算の基礎といたしまして公務扶助料等の恩給額を決定しますために、下士官、兵等と旧高級将校たるいわゆる職業として俸給を給せられておりました者との間に、恩給にはなはだしい階級差を生じておるのであります。徴兵制も軍人も、従ってまた軍人の階級もない今日、これはきわめて不条理のことであります。この時代錯誤的な不条理を是正するために、本修正案は旧軍人恩給の仮定俸給すなわち附則別表第一の改正案を修正して、准士官以下兵に至るまでを一律九万七千百八円とし、これに応じて附則別表第二より第五に至る諸表の改正をなさんとするものであります。この結果公務扶助料においては中尉にいたしまして四万八百九十六円、少尉が四万七百二十四円、准士官以下兵まで一律四万四百二十四円となり、現行法の大尉の公務扶助料額よりやや低いところまでほぼ一律に増額支給されることとなるのでありますが、大尉以上大将までは前述のように現行法通り据え置くことといたしました。 普通恩給においては、准士官以下兵までは現行法少尉よりやや低い程度にまで一律増額支給されることとなりまして、その他の恩給もほぼ同様となるのであります。 第二の修正点は、民自改正案にはないものでありまして、終戦前後の混乱その他の事情のための手続をしなかったために時効にかかって、当然給せらるべき恩給を受けない傷痍旧軍人のために、新たに傷病年金、増加恩給を受け得る道を開かんとするものであります。すなわち昭和三十一年九月三十日までに手続をするこれらの者について時効が完成しなかったものといたしまして恩給を支給せんとするものであります。 以上本修正案のおもな点を申し上げましたが、これがために要する予算の増額分は六億円であります。どうか本修正案を御審議いただきまして幸いにして御可決いただきますならば、生活に苦しみ、涙のうちに戦っておりまする多くの方々、中尉以下、ことに准士官以下の兵及びその遺家族の方の数は百六十三万という大きな数でありまして、これに対して高級旧軍人、大尉以上の軍人は約三万人でありますから、こういう三万人の方々は現在の恩給額でがまんをしてもらい、そうしてただいま申しましたような処置をいたしますれば、この兵あるいは下士、准尉、下級将校というような関係の方々は非常に喜ぶわけであります。おのずからそこに非常な激励をされまして、困難のうちにも子を抱き、年老いた父を抱いて奮闘されております未亡人たちが、非常な努力をもって新しい人生行路を踏んでいけるわけであります。何とぞ民主、自由その他の委員の諸君にも御賛成を賜わりまするように切望する次第であります。
○宮澤委員長 この際国会法第五十七条の三により、修正案に対し内閣の意見を求めます。大久保国務大臣。
○大久保国務大臣 ただいま提案になりました修正案について、政府の考えを申し述べます。恩給に関する予算はすでに衆議院を通過し、参議院も通過したような次第であります。従ってその予算の内容は決定したと見て差しつかえないと思います。ただいまの修正案について考えてみますと、本年度だけで六億余円の増加である、来年度はもう少しふえて、四、五十億になるんじゃないかという推定ができるのであります。かかる予算を今直ちに同意することは困難であると存じます。そのほかこまかい点がありますが、同様であります。一言私どもの考えを申し述べます。 —————————————
○宮澤委員長 次に駐留軍基地に関し吉田委員より発言を求められておりますので、これを許します。吉田君。
○吉田(賢)委員 私は兵庫県の青野原旧演習場と称せられております土地につきまして、またその付近にありまする鶉野飛行場跡の問題につきまして、質疑をいたしたいと存ずるのであります。 この青野原と申しまするのは兵庫県の小野市、加西郡、加東郡にまたがっておりまして、広ぼう八百余町歩、明治の十四、五年ごろに元来民有の農耕地、あるいは薪炭林あるいは採草地でありましたものを、陸軍の軍馬の調練のために使用する目的で買い上げになったのであります。その買い上げになりました土地の中に、農業の灌漑用水の貯留池、ため池、溝渠などが三十ほどございます。すなわちこの池から水を利用いたしまする農家は千戸に達するのであります。こういうような事情がございましたので、一たんは陸軍の使用地になっておりましたけれども、民間の農業の利用のためにもかなり複雑な関係を持続しまして数十年経過いたしておったのであります。そこでこれは戦時中には陸軍の軍用地として使用され、終戦後はアメリカ占領軍によって管理せられておったようであります。この青野原の旧演習地をめぐりまして、今米軍の新しい飛行場ないしは航空練習場等々の使用目的のために、政府で使用方の申し入れがあった、こういうようなことが伝わりまして、目下その地方は上を下への驚愕の色を見せておるという実情にあるのであります。従ってこれはすみやかにその真相を明らかにいたしまして、これらの多数の民衆の驚きと不安をなくすることに努力したいと考えておるのであります。つきましてまず伺いたいのは、ここの青野原は目下どういうことに使用されておるのでありましょうか。この関係を調達庁の方から御説明願いたいと思います。
○福島政府委員 ただいま御指摘のございました兵庫県青野原は、昭和二十一年二月十九日以来、米国陸軍の演習地として使用せられておるわけであります。これは占領中でございますので、占領下における接収手続によって使用を開始しておったということになります。講和発効に伴いまして、これを正式に行政協定に基ぐ施設として提供するかどうかという手続の問題が、ほかの施設と同様にあったわけでございますが、この青野原につきましては使用条件その他の面でアメリカとの話し合いが完結いたしませんので、正式の提供とはならず——正式の提供でないということはいささか語弊がありますが、いわゆる保留演習区域としてアメリカ側に使用させるということになっておるわけでございます。すべて国有地でございまして、その広さは七百九十二町歩、目下米国陸軍の演習場になっておるということでございます。
○吉田(賢)委員 この青野原を終戦後もしくは平和条約の発効後、現実に今日まで陸上自衛隊が使用しておるようであります。この関係はどういうふうになっておりましょうか。
○福島政府委員 この演習場は米国陸軍のための演習場でありますが、今日まで陸上自衛隊がここで若干演習を行なったという事実は確実でございます。陸上自衛隊と申しますか、自衛隊が米軍の演習場を使用いたします際には、正式には共同使用となっておるものが正規の使い方でございますが、ただ継続的にもしくは恒久的に使用する計画がございませんで、アメリカとの共同の演習計画に基きまして、アメリカの演習計画のうちにはさまって自衛隊の演習が行われるという一時的のものにつきましては、正規の共同使用の手続をいたさないでその時期を経過するものもございます。この青野原につきましては、今日まで百三十八日くらいですか、自衛隊が使用したということになっておるようでありますが、米軍との共同の演習計画に基くという建前になっておりまして、米軍の演習計画に基いて日本の自衛隊も演習に参加したという意味の一時的な演習場の使用をいたしただけでありまして、将来いかようになるか知りませんが、恒久的な使用という目的のための共同演習場ということにはなっておりません。
○吉田(賢)委員 現実にはアメリカの駐留軍が講和条約発効後使用しておるのではなくして、ただ日本の陸上自衛隊のみが使用しておるのが現実のようでありますが、その点いかがでありますか。
○福島政府委員 実質的には御指摘の方が正しいと思います。米軍も使用いたさなかったことはございません、多少使っております。しかしながら日本の自衛隊の方の使用いたしました日数なりあるいは人員の方がはるかに多いことは御指摘の通りでございます。
○吉田(賢)委員 占領中にアメリカ軍が使用いたしておりましたこの施設が、講和条約が発効いたしまして後にはアメリカ軍は引き続いてこれを使用するるでなければ、本来日本の領土でありますから、これは返還を受くべき筋合いのものでないかと思うのですが、その点はいかがですか。
○福島政府委員 御意見の通りであると考えております。占領中も米軍側の使用回数はさほどではなかったわけでございます。従いまして平和条約締結以来、演習地のうち米軍の使用回数の少いものにつきまして、これを指摘して解除の交渉をするとかいう代表的な事例にこれはなっております。従いまして今日も、先般の妙義山の演習場の取りやめという問題などにも関連いたしまして、この青野原も話題に上ったことがあるわけでございます。引き続き米軍側の使用頻度の少い最も代表的な演習場といたしまして、解除の交渉をいたしておるわけでございます。
○吉田(賢)委員 この高原地帯の青野原は、私から冒頭御説明申しましたごとくに、すでに旧幕時代から一部開墾し、ずいぶんとこの付近の農家が努力をいたしまして開墾してきた土地であって、現在は三十ヵ所の池並びに溝渠があり、この水面面積は七十二町歩に達するところであります。これが灌漑をいたしておりまする田畑は二百八十町歩にも達しておりまして、関係農家は千戸に及んでおります。なお農家の開拓団が入植いたしておりまして、これが総計七十八戸に及んでおります。あるいはまた出作と申しまして、付近の農家がこの高原に上りまして農作をしておるものが二百戸に及んでおります。非常に優秀な作物を収穫しておるというような実情にあるのでございます。従ってこのような努力をいたしました土地、現に食糧増産にずいぶんと貢献をいたして参りました土地、多数の農家が生活をこれによって支えておりますような土地でありますので、これは今長官から、返還を受けたい一つの土地であるという御説明でありましたが、まことにごもっともと思いますが、やはりこれはさらに進みまして、政府の方針といたしまして、この土地につき、国民の農業のために積極的に寄与し得るような対策をお立てになる。そうして適当な方法をもってアメリカと御交渉になるという、具体的なそうした方針を進んで立てることが適当なことでないかと思うのですがいかがですか。
○福島政府委員 この青野原演習場七百九十二町歩になります土地と申しますのは、すべて国有であると了解いたしております。そのうち、多少正確を欠いておるのではないかというような気もいたしますけれども、今のお話と若干違うところもございますが、農耕面積は七十六町三反五畝、八十六戸ということになっておるそうであります。さらに三百町歩以上に農耕希望があるそうであります。従いまして調達庁といたしまして、とにもかくにもいかような施設ないしは農耕を認めるという方法が——これは調達庁の所管ではございませんが、とられるにいたしましても、根本はアメリカ側の演習場という建前を払拭することが大事だと考えておりますので、このほかにも多少これに類似した立場の演習場もあるわけでございますので、それらを含めまして相当強硬に、本年に入りましてからも、ほかの演習場についてもさようでありますが、青野原につきましても解除を要求しておる。従いまして占領中に使っておったという建前のまま、今日でも施設区域としての正規提供の形をとりません、で占領時代の保留処分という形になっておるわけでございまして、それらの形式から申しまして政、府といたしましては、これの解除を強く求めようという方針であることを御了承いただけるかと思っております。
○吉田(賢)委員 ところでこの高原青野原につきまして、最近に至ってアメリカ軍が軍用地として使用したい、あるいは伝うるところによれば、小さい規模のものだけれども爆弾を投下する演習場として使用したいという申出があったやに伝わっておるのでありますが、この点につきまして一つ明確に御答弁を願いたい。
○福島政府委員 これは、申し上げましたように、陸軍の使用いたしております演習場でございますので、保留という種類には入っておりますけれども、アメリカ陸軍としては使う権利はあるわけでございます。軍用地その他の関係で陸軍が使用いたします仮にはいたし方ないという面もございますが、最近神戸の方からの報道として新聞に出ました件は、陸軍ではなくしてアメリカ空軍がこれを利用したい。御指摘の通り、小型爆弾の演習場にも使いたいというお話があったのだそうであります。私どももこの新聞が出ますまで承知いたしませんので、当時、新聞の出ましたその日あたりは承知いたしておりませんというお答えをしたことも実はあるのでございますが、その後取り調べましたところ、こういう関係を相談いたしております合同委員会の下部機構でありますが、施設委員会において空軍側のそういう希望の文書が六月の初めに出たことがあるそうであります。しかしながら私どもの方の問題になるに至りませんでそのままになっておるわけでありまして、御承知のように、アメリカ側からもいろいろ要求その他もございますけれども、そのうち、その場で断わってしまうのもたまにはあるわけでございますし、またその場で取り上げることにきまってくるものもたまにはあるわけでございますけれども、大体におきまして、取り上げるかどうかということを末端の分科委員会等で研究をいたしまして、だんだんに問題が具体化してくるということになりますので、この問題はまだ、そういうきわめて事務的な面にそういう空軍の注文が出たというだけのことでございまして、これをどう取り扱うかというようなことは、全然きまっておらないのだそうでありまして、従いまして私も本日まで承知をしておらなかったわけであります。これを聞きまして私どもの印象といたしましては、空軍は従来の陸軍の演習場の関係はあまり気にとめずに、陸軍の演習場であれば、陸軍も撤退が近いのだから空軍にというようなことで申請をして参ったのかもしれませんけれども、われわれといたしましては、この演習場につきましては解除の交渉をかなり長きにわたって熱心に続けておるのであります。これの満足な返答もまだ——解除についてはある程度見込みのある話なども陸軍との間に行われたこともありまして、今後を楽しみに交渉をしておるわけであります。今まで関係のなかった空軍から突然こういうふうに言われましても、簡単に受け付けるわけにも参りませず、しばらく分科委員会等で研究してもらってからあらためて考えることがあれば考えるということになるかと思いますが、今のところでは全然問題にならずに、件名だけが手続せられたという程度でありまして、施設委員会でどういうふうにするかという将来の問題になるわけであります。ここで一つ申し上げておきたいのでございますが、アメリカの要求というのも非常にたくさんございまして、こういうような扱い方でそのままに、何と申しますか、たなに上ってしまっておりますものが二百五十以上ある、その中へこれが一つ入っただけでありまして、私どもとしてはさほどあわてておる問題でも何でもない、いずれ表へ出て参りますれば、これらの問題はなかなかむずかしい問題でありまして、さよう簡単に参りますまいと思います。特にまたこの仕事をいたします施設委員会といたしましても、あるいはまた調達庁といたしましても、御承知の通り、飛行場その他のかなり大規模な問題でてんやわんやの状況でございまして、この問題を取り上げるという余裕は今のところ毛頭ございません。御指摘のありましたように、アメリカ側の書類がごく末端の事務的な書類として施設委員会の方に届出があったというところまでは事実でございます。しかしながらその以後、これをどう処置するかというようなことは、まだ全然両方で話し合ったこともございませんし、日本側としても考えておらない。なおそれと同じように押せ押せになってたまっておりますものが二百以上ある世の中でございますので、これが表へ出てくるということも相当遠い先のことであろう、その間に、むしろ陸軍との間に解除の交渉でも続けてみることになるのではないかと思っております。
○吉田(賢)委員 ただいまお述べ下さった、去る六月の初めにアメリカ空軍から突如申し出のありましたその文書は、大体一口で申せばどういう趣旨のものでしょうか。実はこれを伺いますのは、あちらでは何か爆弾を投下するようなそういった使い方であるというようなことが伝わっておりますので、そこで果してそうであれば、これは百姓といたしましても致命的だというふうに考えております。でありますので、その内容は大体どういう趣旨でありましたか、一つ御説明願いたいと思います。
○福島政府委員 その書類そのものを私直接読んでおりませんので、正確なところを申し上げかねますけれども、承知しております限りでは、従来陸軍の演習場であった青野原を空軍が使用したい、その上で——規模のほどのことは書いてありますか、ありませんかわかりませんが、爆撃演習場として使用したいということが書いてあることは事実のようでございます。
○吉田(賢)委員 去る二十七年の何月でありましたかに、日米合同委員会の一行でありましたか、いずれにしましても日米両当事者が立ち会って実地踏査をして、空軍の演習場には適当でないというような判断が出たようにも聞くのですが、そういうことはないのでしょうか。
○福島政府委員 二十七年と申しますと、平和回復の際の全般的な施設区域の調査の際の問題であったと思いますが、その当時は陸軍の演習場となっておりましたから、陸軍の演習場として調査その他もせられたのであろうと思いますが、空軍の爆撃演習場として適当でないという結論が出ましたかどうですか、寡聞にして私それを承知いたしておりませんけれども、しかしながら今日の出て参りました問題といたしましても、これを空軍の爆撃演習場にするということは、私どもの事務上の問題といたしましても容易な問題ではございませんので、さよう簡単に参るとは毛頭考えておりません。
○吉田(賢)委員 当時立ち会ったのではありませんけれども、いろいろと私的に諮問をされたのでありますか、付近の土地の有力者とか代表者とかいう人も説明を求められたそうであります。この人々の説明を総合いたしまして、ここは飛行機の演習のためには適当でないということに即座に判定ができた、こういうことであります。それからなおこれを裏づけるものといたしまして、青野原に国立青野原病院という結核療養所がございます。結核療養所におきまして、同二十七年に合同委員会の調査があったということを聞き及びまして、驚いて公式に外務省の協力局長あてで紹介をしたそうであります。その紹介しましたときの返信を私は現実に見て参りました。これによりますと、貴信の御趣旨は、青野原演習場が米軍使用の航空基地となるやの御懸念でありまするが、右のごとき計画は全くありませんから御安心下さるようお知らせいたします。二十七年の十一月十三日付であり、外務省の伊関国際協力局長の判が押してあります。こういうものも私見て参りました。こういう点から見ますと、やはり先の合同委員会の実地踏査で、それは飛行機の演習場に適当でないという判断ができたこと等々のことと、符節を合わすように考えられますので、やはりそうであったのかと思いますが、その点について何か御説明願うことはございませんでしょうか。
○福島政府委員 二十七年度の当時の調査を調べてみれば、あるいはすぐわかるかもしれませんが、私の問題といたしましては、当時は陸軍の演習場でございましたので、これを飛行場にするとかしないとか、あるいはたとえば伊丹の飛行場などに変えてこれをしたらどうかというような話があったことはあるのではないかと思いますが、そういう意味できわめて常識的な話として出たことはありましょうけれども、飛行場としてのまともな話がその当時あったようには考えられないと思います。しかしながらいずれにいたしましても、この青野原の周辺にございますいろいろな施設なり、あるいは農耕地域なりとの関係で、アメリカ側に対し、使用させる条件を打ち合せたのだろうと思いますが、それらが必ずしも円満に話がつかないという事情はあったのだろうと思います。日本側としては、アメリカ側の言う通りに使用条件を定めるわけにもいかないし、日本側の言う条件ではアメリカ側は困るといったようなことがおそらく原因して、今日これが保留施設の中に入っておるということになっておるのであろうと思います。従いまして御指摘のような、何に適するとか適しないとかいうようなことで、地元でいろいろなお話し合いしたことがあるということは察しはつくのでございますけれども、まともな意味での飛行場としての話はなかったのではないか。それからまた今日問題となっておりますような、爆撃演習ということになりますと、これはどういうところでも爆弾を落せるのではないかと思いますので、これは全然新しい問題としてわき起ってきたのであろう。かつてこの種の話し合いはおそらくなかったであろうと考えております。
○吉田(賢)委員 私自身しろうとでありますので、質問が非常に幼稚であるかもわかりませんが、伝うるところによりますと、発煙筒というようなものであると、これは目方にいたしまして四百匁か五百匁くらいのものであって、そしてそういうものを使って演習するということがある。そういう場合には、土地のたとえば整地とか設備を作るとかいうものは何も必要ではない。そういうこともやはり空軍の演習としてあり得るのだということも聞くのであります。そういうような場合には、たとえば予算をもって何かを設備しなければならぬという必要もなく荒野であろうと原野であろうと使えるのではないか、ただしろうとなりに考えるのでありますが、こういうことは全国に例でもあるのでしょうか。これは防衛庁の方からお答えを願ったらいいと思いますが、そういうようなものは、現実に米空軍が使用しておるような実例でもあるのでしょうか。日本の航空自衛隊の方でも使っておるようなこともあるのだろうか。単なる憶説にすぎないのだろうかとも思いますので、一応伺っておきたいのであります。
○福島政府委員 それに関連いたしまして、私の方から一応申し上げておきたいと思いますが、それは発煙筒とかそういう簡単な演習計画でありますれば、予算の関係その他もなくできるのであろうかというお話もあるかと思いますけれども、しかしもともとがこれは陸軍の演習場で、飛行機というものを予想しないで使用条件その他も定めてございますので、いかに発煙筒その他簡単なことでございましても、空軍が飛行機による演習場にその目的を変更するということになりますと、やはり日本側とあらためて相談し直して、条件を定めるということになります。簡単だからできる簡単でないからできないということになりません。私も爆撃演習としか聞いておりませんので、あるいは御指摘のありましたような簡単なものであるかもわかりませんけれども、あらためて陸軍を排除して空軍の演習場になりますためには、やはり日本側の同意を必要といたしますので、成規の手続をとることになります。幾ら簡単でありましても、予算の問題を伴わないと申しましても、簡単には参らないと考えております。
○吉田(賢)委員 今伺いまして、多数の同種要求もあって、なお当分の間委員会で取り上げることもないだろう、ところでかりに遠い先にいたしましても、取り上げられて爆撃演習場になるということがあれば、これは時間の問題ということになりますので、やはりこれは受ける側の地元といたしましては絶対的重要性には変りないということになります。この点くどいようでありますけれども、当初御答弁になりましたように、むしろこの解除のために長い問いろいろと御努力になっておりますその要請、交渉といったそういう線でいって下さることを、これは非常に希望もいたしますが、ただいまのところはむしろそういった線に将来の希望をもって、今伝えられる爆撃演習場にいつかはなるといった方面にはそうなるまいというような観測をしておった方がむしろいいのであろうか、これは将来のことを問答するのはいかがかと思いますけれども、大体の方向は前段のように将来も進んでいくものとわれわれは信じていいのでしょうか。その点いかがでしょうか。
○福島政府委員 この問題が事務的には書類として出、件名が載せられてきたというところは事実でございます。そうしてまだ未解決の二百幾十という問題と一緒に今たなに上っておるというところなのでございますが、これを逐次片づけていくという建前ではありますけれども、どうもたまり方の数の方が逐次ふえていく傾向もございまして、必ずしも調達庁も施設委員会もその辺能率が上っていない傾向もございます。従いまして、第一これが適当であるかないかということを検討する時期がいつごろ来るかということもかなり遠い先のことであろうと思います。しかしながら一方に不要不急の演習場の解除という問題は、その一つが妙義山の演習場の取りやめで現われたわけでありまして、あのときにも、当委員会でもちょっと申し上げたことがあると思いますが、妙義山の演習場の解除という一つだけやることは、これはそういう運命にはなったのでありますけれも、どうもはなはだ工合が悪いので、従来から演習場のうち解除の話し合いも相当に進んでいるものもあるので、妙義山以外の演習場数ヵ所も妙義山と一緒に解除の発表がしたいという話し合いをしたことはございます。そのときにこの青野原などは第一候補に入っておった状況でもございます。空軍の要望はございますけれども、過去における交渉のいきさつ等もよく話しまして、多少とも進捗いたしました解除交渉を完結するように陸軍とも交渉し、また空軍の方はそういう状況を知らずに要求していると思いますので、注意を喚起するようにいたしたいと思います。
○吉田(賢)委員 今陸上自衛隊がともかくお使いになっておることは事実でありますが、防衛庁といたしましてはほかにも演習場はおありのことでもあろうし、またあそこの土地は、さらに開墾に努力しさえすれば相当な蔬菜その他畑地といたしまして有望のことはごらんの通りでありますから、これはただいま爆弾的にと申しまするか、問題が起りましたにかかわず、従前から地元多数の希望が長い問続けられておることにかんがみ、防衛庁といたしましても、むしろ農家のため、民業のために解放するということに進んでするように、一つ御努力になってはいかがかと思うのであります。あなたは防衛庁の全責任をもっての御発言は困難でございますから無理かも存じませんけれども、今日調達庁長官のお説によりますと、演習場としてもそんなにお使いになっておらぬような現状でもありまするので、こういうところはむしろ放棄したらいかがかと思われます。そういう点につきまして、積極的に地元民の立場に御協力願うという方向へ持っていってもらいたいとわれわれは考えるのですが、いかにお考えになりましょうか。
○都村政府委員 お答えいたします。防衛庁といたしましては、昨年のニ月以降米軍の了解を得まして、青野原演習場を主として伊丹、姫路にございまする部隊の訓練に使用して参っております。ただいまお話のありました点に関しましては、御趣旨の点は十分研究するようにいたしたいと思いますが、今後とも適当な演習場の少い関係上、できれば関係方面の了承を得まして青野原を使用させてもらいたい、こういうふうに実は思っております。
○吉田(賢)委員 局長、これはお帰りになりまして長官その他とも十分御懇談願いたいのでありますが、それはごらんになればわかるのでありまして、この青野原の東南部に属する個所に国立病院三万数千坪の土地、入院患者が三百数十名、結核専門の療養所がございます。ここには百四十名からの医師等の職員もおり、三十数名のつき添婦もおるのでありまして、あの辺切っての療養所でございます。従ってこの療養成績もかなりよいという評判であるのであります。ところがそのすぐかたわらで実弾演習をやるのだそうです。そういうことでありますので、これは国が国立病院を設置するという大きな文化施設、医療施設の方針と、付近でこのような演習をするというのとは少し食い違い過ぎはしないかということを、この付近の人々もみな言っておるのであります。こういう点から見ましても、いずれにか適当に一本に調整していくべきだと思うのです。ことに病院のかたわらにまた小野市立の中学校がありまして、これまた数百名の生徒を収容いたしておるのであります。でありますから、このような重要な医療施設等々があります付近の演習場使用ということでありますので、これは何とか方法を考えていただくべきだと思います。今あなたの御答弁によりまして、あなたといたしましてはごもっともと思いますけれども、私のこの発言をお取り次ぎ願いまして、この委員会の空気も一つお帰りになりましてお伝え願って、防衛庁といたしまして再検討してもらいたい、ぜひそういうふうにありたいと思うのであります。いかがでしょうか。
○都村政府委員 お答えいたします。ただいまお話のありました点は、さらに研究いたしますようにいたしたいと思うのでありますが、青野原の演習場の使用条件につきましては、実弾射撃をやりましたようなことは実は一回だけでございます。しかしながらその使用に関しましては極度に注意をいたしまして、ただいまのところはもっぱら部隊の訓練ということをやっておるだけでありまして、各般の状況を十分考慮いたしまして使用いたしておる次第でございます。
○吉田(賢)委員 その点はくどいようでありますけれども、実弾の場合は少い、だけれども、大砲の音がどんどんして煙を上げている付近に、結核の病人が数百名寝ておるといったようなことは、何としても不調和きわまる現象と申さねばなりません。これはあなたとしても帰って一つ積極的に御相談をお願いしたいと思います。これは御希望申し上げておきます。 それからなお付近に鶉野という旧飛行場跡がございます。これは二百二十町歩ばかりの土地でありまして、大半農家に払い下げ済み、一部幅五十メートル、長さ千五百メートルの滑走路のみが残っておるというのが実情であります。そこで青野原の問題がその隣りの地域でありまして、これは加西郡加西町に属するのでありますので、この辺の農家といたしましては、これまた大へんな驚き方でございまして、せっかく払い下げを受けてこの辺で有名なスイカができるようになっております。そうしてまた入植し、次男、三男をそこに分家いたしまして、安心をして、今日開拓が四十七、その他の入植五十、出作が百五十戸ということになっておりますので、これはまた大へんな驚き方であります。青野原が、あれほど執拗に何年もかかって民間へ元のように戻していただきたいという趣旨で運動を続けておるにかかわらず、今度は爆弾の演習地になるのであるというならば、これまた鶉野もわれわれは払い下げを受けたけれども、またここも空軍の演習地になるのだろうということで、今ここも上を下へのおののきの状態でありますので、鶉野につきましてはさきに御説明になりました、米空軍よりの使用申し入れの趣旨は載っておらぬように聞くのでありますけれども、鶉野につきましてこの際何らかの御説明が願いたいと思うのですが、いかがでありましょうか。
○福島政府委員 鶉野につきましては何ら承知いたしておりません。従いまして今回の青野原に関連いたしますアメリカ空軍の請求と申しますか、要求と申しますか、それに何ら記載はないはずであると考えております。なお将来、青野原についてそのようなことを考えた状況であれば、鶉野の滑走路などを活用するという問題が起りはせぬかという御質問でありますけれども、これはすでに払い下げをしてある地面でありまして、青野原全体に八百町歩に近い国有地があるわけで、その付近にあります民有地を買い上げるといったような問題は、ちょっと考えられませんし、また具体化するにいたしましても、容易に関係各庁との協議のまとまる筋合いでもないと考えます。国有地が八百町歩もありながら、その付近の民有地を買い上げるといったような処置は、事実上できるはずもないのでございまして、また爆撃演習ということに関連いたしまして、青野原にかりに爆撃演習がしたいと空軍が申しましても、鶉野の滑走路を使ってということにはなるはずはないものと考えております。滑走路の拡張問題は相当頭を悩ましておる始末でございまして、さような小さな滑走路は、今後大体使用しなくなる傾向にあるはずでございますので、鶉野の問題は御懸念の要は全然ないものと考えております。
○吉田(賢)委員 それでは大体これで終ることにいたします。なおここ数日来、地元におきましては、市、町あるいはその他の周辺の村、部落農民の代表、その他公共団体の代表、その他文化団体とか、あるいは文化施設の利害の関係者、病院のごときは、患者のごときも将来を案じて会合するといったような実情になっております。やがてここ一両日のうちには、地元の人が反対の要請の文書を携えて東京に参るものと私は想像いたしております。そういうようなこともあるのでございますから、アメリカ空軍の要求に対しましても、それに同意をしない、進んでやはり従来のように青野原を民間に解除して民業のために使用するという方向に、交渉の御努力を一そう願う、こういうふうにぜひ一つ御依頼を申し上げたいと思うのであります。これだけ希望を申し上げておきまして私の質疑を終ります。
○都村政府委員 一言補足さしていただきます。青野原の演習場につきましては、大砲を使ったことはございません。ただ小銃射撃の訓練を一回実施しただげでございます。
○床次委員長代理 鈴木義男君
○鈴木(義)委員 私も吉田委員と同じような問題について、調達庁長官、防衛庁当局にお尋ねいたしたい。福島県西白河郡西郷村と福島県岩瀬郡湯本村、この二つの村の境、栃木県に近いところですが、そこにずっと前から二千町歩の演習地を防衛庁で求めておりまして、目下交渉中にあるのであります。最近聞くところによると、富士山麓の演習場が問題となっておるために、これを福島県のこのところに移転するという計画があるというふうに巷間伝えられるが、果してそういう事実があるかどうか、調達庁長官にお尋ねいたしたい。
○福島政府委員 ただいまお話しの福島県下に防衛庁が演習場を求めておるというお話しは、私全然承知いたしませんが、あるいは防衛庁の方でそういうことがあるかもしれませんけれども、東冨士、北富士の演習場の最近の問題に関連いたしまして、こちらの方へ引っ越すという話しは、それはどれほどの大きさの地域が福島県下の方にあるのか承知いたしませんけれども、これはとうてい不可能であろうと考えております。富士の演習場と申しますのは、申し上げれば、これがまた問題でありましょうけれども、東富士と申しまして、静岡県側をぐるぐると回りまして、北富士で山梨県側のほとんどま裏まで、富士のすそから五合目付近までぐるぐる取り巻いておる広大な演習場でございまして、これがよその土地にはまるということはちょっと考えられないと思っております。
○都村政府委員 私この問題につきまして実はよく承知いたしておりませんので、調査いたしましてからお答えいたします。
○鈴木(義)委員 あとは防衛庁当局にお尋ねしたいと思ったのですが、おわかりにならないならば、よくお調べになってお答えになってよろしいのでありますが、この湯本村の通称布引山と称する民有地五百町歩ほどはすでに買収済み、それから村有地千五十町歩、農林省の開拓予定地になっておる四百五十町歩、合計して二千町歩ほど防衛庁で買収して演習地にお使いになるという計画が、二年ほど前から交渉が進められておりますが、これはどういう種類の演習にお使いになるのか、まずそれを承わりたい。
○都村政府委員 調べましてから、お答え申し上げます。
○鈴木(義)委員 それから、これはどこでも起る問題でありますが、これらの交渉の過程を見ると、村民は金が欲しいのでなくて、山林が欲しいようです。ことにこの湯本村は離れ島のような山奥にあって、薪炭の生産を主たる産業にしておるところでありまして、年々営林署に納める原木代金が二千五百万円以上にもなると言われております。それが今度演習地に買い上げられてしまうというので、それならばかわりに国有林をくれたらよかろうということで交渉いたしましたところ、どうしてもできない。村のそばに戸倉山という国有林が六千町歩ほどありまして、そのうち二百十六町歩だけ分けてやるという話もあったのでありますが、法律上できないということを理由にしておるようであります。こういう演習地として膨大な面積を取り上げる場合には、少くもできる限り、同じ国家の村有地を国有地とかえるだけなのでありますから、できるならば国有地を代替的に与えるということについて十分な御努力を願いたいと思うし、また御努力願わなければならぬはずだと考えますから、そういう点について一つ御答弁をいただきたいと思うのであります。
○都村政府委員 早速調査いたしましてから、御答えいたしたいと思います。
○受田委員 福島長官に一言だけお伺いしておきたいと思います。それは、すでに長官も御承知のように新聞その他においてもいろいろと書き立てられた問題でありますが、私の郷里である山口県岩国で、去る一月二十七日午後十時ごろ献上一生という日本通運岩国支部の従業員が自転車で外出先から帰る途中に、岩国の二号国道の上で英濠軍の航空中尉ウィリアム・スタンレーという人の運転するジープにはねられて不慮の死を遂げたことがありました。その後残されたきく子さんという奥さんを初め御家族七人が、今は帰らぬ夫の身の上を思いながら日夜憂愁の生活をしておるわけでありますが、この点についてはその後世論の大きな同情もあり、検察側は、この事件は被害者の方にも過失ありということになって、英濠軍のスタンレー中尉は不起訴になったのでありますが、しかし世論はそういう措置を絶対に不当として、大きなセンセーションを起されたのであります。調達庁におかれましても、その後、英軍側が中尉の過失を認められてきたというので、先般遺族に対する補償金として五十二万七千円を確定して、御家族の方にそれをお話しに行った、こういう速達がきょう奥さんの方から来ておるのでありますが、この献上一家は私もよく存じておる家庭でありまして、その悲惨な状況を思うときに、五十二万七千円の補償金をもって、その問題を処理されることについて、私は非常に気の毒だと思うのであります。ことにこの一家が夢にも忘れることのできないのは、中尉がジープで夫をひき殺してそのまま逃げて、その後ずっと時間がおくれてその事実を届け出た、従ってもっと早く措置したならばまだ手当の道もあったのではなかろうかということ、そして英濠軍のスタンレー中尉は何らのおわびをも申し上げないで、さっさと本国に帰って行ったということ、この非人道的な処置への精神的な怒りというか悲しみというものが、悲しき独立国民の声となって現われておると私は思うのです。そこで調達庁としては五十二万七千円の補償金について、検察審査会の方へその不起訴は不当であるという申し立てが現にしてありますので、その結果検察審査会が英軍将校の過失を重く見て、そうして被害者の過失を軽く見、あるいは過失なしと認めたときに、この補償額を増額するという措置に出られる用意があるかないか、そしてこの補償額をもらい受けておった場合に追加支給される措置が取れるのかどうか、それが第一点であります。 第二点は、英濠軍の将校がこうした非人道な措置をして本国に帰ってしまって何らの陳謝もしていない、こういうことに対する悲しき独立国民の家族に、せめて精神的な慰安を与えてあげて、むなしくなくなられた夫の霊に、英濠軍の慰謝あるいは帰った中尉の心からの陳謝の気持を送って、その家族を慰めてあげる、そういうとにかく人道的な高い見地から、この問題の処理に協力してくれる態勢に調達庁としては尽力してもらえるのかどうか、この点をお伺い申し上げたいと思うのであります。
○福島政府委員 岩国のただいま御指摘になりました献上氏の事件と申しますのは、はなはだ残念な事件であります。私から申しますのもいかがと思いますがいろいろな問題がこれにからみまして、この処置にある程度不手際の点もあるのでありますが、それは事件が起りましてから、検察当局が英軍の将校を取り調べ、これが不起訴になるというようなことで、調達局側がその検察当局の決定を待っておったということで、時日を遷延したということがまずあったわけであります。しかしこれは検察当局が不起訴にしたということは、過失がないから不起訴にしたということにはきまるわけではありませんので、起訴に至らなかったということだけのことでありまして、不起訴だから向うに間違いがないということにはならないはずでありますので、あらためて問題を取り上げまして補償額を算定いたしましたわけであります。こういう場合御承知の通り過失相殺という原則を一応立てざるを得ない。聞くところによりますと、過失の程度を先方英軍の将校を七とし、献上氏の側を三と大体考え、それによって過失相殺が行われて、五十二万七千円という金額が算定されたというふうに聞いております。しかし将来この調達局の過失の程度に対する判定というものは、それに基きまして過失相殺をしたその根拠の見方というものが誤りであるということが確実な証拠をもって立証せられるということになりますれば、金額の判定につきましても考え直さなければならないということになるのではないかと思います。しかしながらただいまの状況では七対三の程度の過失相殺というような処置につきまして、これを不適当であるとしてやり直さなければらないという事情はない模様であると考えております。なおさしあたりましてこの五十二万七千円を受け取った場合に、将来これを是正させる方途がありやなしやということになりますけれども、これはどういうふうにいたしますか、私もそこまで詳しい事務的なことは承知いたしませんけれども、あるいは支払われる場合には、将来異議を申し立てまじくくらいのことをいって、そういうものに判をつかして金を払うということがあるのかもしれませんけれども、しかしながら、事が事でございますので、そういう点で不当な御迷惑のかかるようなことはいたさないというふうに考えております。将来確実な材料に基いて変えられるということになれば、変更することはできるように処置をしたいと考えております。事務上の手続、それをどういうふうにして可能にするかというようなことは確実に存じませんけれども、そういうふうにできないはずはないものと考えております。なお最後に御指摘のございました英軍側の態度につきましては、英軍側の司令官なり参謀長なり責任者ととくと談合いたしまして、適当な処置をとらせるように話し合いをつけたいと考えております。
○受田委員 私は今長官の御答弁で、今後検察側の新しい解釈が出た場合あるいは英豪軍側がさらに重過失を認めたという場合等においては、この補償額の切りかえが可能であるという意味に解釈をしておるのでありますが、同時にその際には現に支払われた補償額はその内入れとしてこれを受けたことに考えてよいか。またいかなる理由があろうともこの補償額よりも追加支給することはないのであるというような、そうした条件を付したような交渉の末においてこの金銭の授受がされるというようなことがあるとするならば、これは将来そうした事情が発生した場合における道をふさぐことになると思うのでありますが、これは条件を付することが間違っておるのじゃないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○福島政府委員 通常の場合におきまして、調達庁の補償金の支払いでございますので、将来金額その他については異議を申し立てないという一札を、おそらく入れさしてあるだろうと思います。また現場におきましてはそういうことで支払うのが通例になっておりまして、そは以外の支払いの方法はないかと思います。しかしながら、将来検察庁なりあるいはその他の確実な証拠に基いて献上氏の過失がなかったとか、あるいは英軍側の過失がはなはだ大きかったというようなことに確実な証明の仕方ができるようになりますれば、またおのずからほかの事情によって追及するというのとも違いますので、追及その他の方法についても非人情な方式は考えたくないと思っております。今日までのところにおきましては、検察庁側もイギリス側を不起訴にしたという、つまり全然イギリス側の過失のみではないという見方をいたしたわけでありまして、一応この線に従わざるを得ない。これを七対三と見ておるということでございまして、今のところはいたし方ないであろうと思います。将来とも事人命に関することでございまして、いたずらなしゃくし定木に陥らないように処置をとりたいと考えております。
○受田委員 こうした問題は国民が黙っておればそのままに葬られておるというようなことは、独立国として非常に残念なことだと思うのです。ことに献上氏一家につきましては世論の同情などがあって、英軍側も過失を認めるに至ったということは、われわれ考えられるのであります。少くとも筋を通してその事件の真相を明らかにするという態度においては、駐留軍であろうとも容赦なくこれを処断しなければならぬので、この際独立国の名において筋を通した検察業務が行われ、同時に調達庁の事務の遂行がされることを期待してやみません。世論が承知しなくなったので考慮するというような措置は、私は絶対に許されないことだと思うのです。調達庁におかれましては、どうか各方面にこういう事件が起ってきて、不当に人命が損傷されるというような事態については、積極的に関係方面との折衝に当られまして、この日本国の立場とそれから被害を受けた人人を守るという立場で御努力を願いたいと思うのです。 いま一つこれに関連して起る問題ですが、調達庁の職員の方が出られて、六月末が英軍の会計年度になっておる、従って早くこれを受けないと非常にややこしい問題になるとかいうような発言をして、急いでこれを受けるようにというような発言もされておるということでありますが、こういうことにつきましても、真相をはっきりその家族に伝えて、英軍の会計年度はこうだ、日本国としての処理をするのであるからまだ考慮の時間はあるんだというような取扱いをするように、事務上の処理について長官としての御訓示でもいただいておいたならば、これら関係者が納得するのではないかと思います。 もう一つ、英軍及び加害者に対する陳謝の方法等については適切な措置をとるということでございましたが、私たちは心からあたたかい気持を持ってこういう問題の処理に当るというところに、人道国家としての立場があると思うのですし、これは国際親善の立場からもむしろ国を異にする国々においては相手の立場を尊重する強い線を出す方が筋が通ると思うのであって、こういう点を考えますと、陳謝を要求するとか、あるいは本人に対して何か懲戒処分をとるとかいうような形よりは、もっと高い立場で、大国民らしい行動をしてもらうような外交措置がとれないものでしょうか。今後の問題もありますし、こういう方面の事務を処理していらっしゃる調達庁として、願わくば繰り返しかかる問題を起さないような、基本的な、あたたかい心づかいをするという点に御努力いただいたらと思うのであります。この点お尋ねを申し上げて、私の質問を終りたいと思います。
○福島政府委員 英豪軍と申しますか、国連軍関係の首脳部との話し合いというようなことを、従来よりは一そうその程度を深めまして、とかく問題が多いものでありますから、英豪軍側の日本人との接触という面を改良させるという点に力をいたさなければならないと考えておりますが、不幸にいたしまして、最高首脳部はすべて呉の方におり、私もときどき参りまして話をいたしておりまして、最高首脳者に関します限りは、そうひどいわからず屋はいないように見ておりますけれども、何分東京におるというわけでもございませんので、接触の回数が少うございまして、思うにまかせないのであります。今後工夫を重ねまして英豪軍との間に意思の疎通をはかり、また英豪軍の日本における態度につき、イギリス人らしい、または豪州人らしい名誉ある態度をとらせるように、われわれとしても忠告もし、指導もして参りたいものと考えております。 —————————————
○床次委員長代理 この際お諮りいたします。去る六月二十九日、田原春次君が委員を辞任せられました結果、理事に欠員が生じましたので、その補欠選任を行いたいと思います。これを委員長より指名するに御異議ありませんか。
○床次委員長代理 御異議なければさよう決します。 田原春次君を理事に指名いたします。 次会は公報をもってお知らせいたしますこととし、本日はこれにて散会いたします。 午後四時二分散会