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22回国会衆議院1955/05/12

内閣委員会 第5号

発言数
24
登壇者
5
会派数
3
開催日
1955/05/12

会議録

宮澤胤勇日本民主党

○宮澤委員長 これより会議を開きます。  富士山麓演習地問題について審議を進めます。質疑の通告がありますのでこれを許します。内田常雄君

内田常雄自由党

○内田委員 すでにこれは委員の各位におかれましても、また政府の御当局におかれましても、十分知悉せられておることと思いまするし、先般来新聞ラジオでも大きく取り上げられていることでありますけれども、今月の十日に富士山麓のキャンプ・マックネアのいわゆるB地区といわれている地帯におきまして、米軍が突如として百五十五ミリの自走砲二門をもって実弾射撃を開始し、あの国立公園の地帯において終戦後初めてかような砲撃が行われましたために、地元民ばかりでなしに日本国民全体に対して非常に大きな震撼を与えておるということは、十分御承知のところと存じます。このことは実は前々から問題が伏在いたしておったのでありますが、今回の事件の発端といたしまして、私どもが承知しておるところによりますと、あの地帯の演習場B地区の使用につきましては、昭和二十八年の十月のB地区演習場の使用条件についての協定が厳としてあるのでありまして、その協定によりますると、B地区から富士登山道を越えて実弾射撃をすることは原則としてこれを行わない。米軍もそれを了承する。ことにこの七、八、九の登山季節においては絶対にこれを行わないが、特別の事態のもとにおいて七、八、九以外のときにおいて実弾射撃をやる場合においては現地当局と調整を行なった上で十分注意してこれを行うことあるべし、こういう協定の明文があるのであります。私はこれをここに持っておるのであります。五月二日ごろであったと記憶しますが、米軍の司令部から山梨県知事に対して、該協定を引用しながら、実弾射撃を行うが、よろしいかという申し入れが行われたそうであります。その申し入れについては、調達庁の御当局はおそらく入手をされて御承知だと思いますけれども、右次第によって実弾射撃をやりたいから、当局のアプルーヴを求めるということが明記されておるのでありますが、これに対して地元当局は絶対に現況において実弾射撃をすることは困る。終戦後十年間もやったことがなかった事態のもとにおいて、ことにあの地区は御承知の通り国立公園の地帯であり、天然記念物の指定等もある地域でありますがために、今実弾射撃をやることは困るという返事を出したのでありますけれども、米駐留軍はそれにもかかわらず十日から、先ほど申したような砲撃を開始してしまったというので、もんちゃくが地元に起ったわけであります。  私がこの際どうしても政府側の注意を喚起しなければならない問題は、幾つかあるのでありますが、この問題は非常に重大であり、かつ緊急であって、現に本日三日目もおそらく砲撃を続けておると思うのでありますけれども、政府が事の性質を十分認識なされて、早く手を打たないととんだことになります。ひとりこの富士山麓演習場の問題ばかりでなしに、日本国内に幾つかある演習場でもあるいは今後同様な事態を起すおそれがありはしないかということを、私は非常に心配をいたすのであります。ことに新聞、ラジオ等で伝えられるところによりますと、砲撃二日目においては——元来この砲撃は米軍が協定の解釈を誤まったか、あるいは協定を無視したか、無理なところもあるので地元民の要求がもっともであろうと思うのでありますが、これら地元民の要求、反対運動というものが、二日目においてはその運動の性質を変えつつあるように私には見受けられる。これは新聞、ラジオの報道が伝えておるのでございますけれども、現に総評の副議長が陣頭に立たれて、現地民ではなしに総評傘下の各単産労働組合、全逓とか国鉄とか、あるいは電産とかあるいは全労連とかいうような団体のメンバーを動員して、反対運動を巻き起しておる。そのために地元民の生活擁護あるいは国立公園、天然記念物の擁護とかいうような、純粋な要求と反対運動が全然性質を変えて、一種の平和運動あるいは反米、反駐留軍運動のような形になりつつあることが見受けられるのであります。さような見地からも、政府は事態を十分認識して善処しなければならないと思います。私が今日までの経緯を見守って参りますのに、これは調達庁にいたしましても、また外務省にいたしましても、政府全体の考え方が甘過ぎるのではないか。国内に駐留軍というものがおるのは現実の事実だ。また駐留軍はその必要に基いて演習を行うのであり、また演習地の設定もあるのであるから、その限りにおいてやることは、政府としてはどうもやむを得ぬのだという考え方に支配されて、従ってこの問題を一種の局地問題として、急速な処理を行なってきておるような跡が見受けられるのでありまして、私はこの点政府の認識の誤まりと処置の怠慢をまことに遺憾に思うのであります。この通告がなされたのは、先ほども申しましたように、五月初めでありまして、砲撃に先だつ何日か前に地元の県知事から反対の回答をいたし、直ちにそれを持参して日本政府の各要衝、ことに日米合同委員会の委員の方面にも事情を訴えておるはずでありまして、もし政府が事の認識を誤まらず、また誠意があったならば、私は九日の砲撃開始以前において、中央において、十分の措置がなし得る時間的いとまもあったと認められるのであります。政府はどのような認識でこの問題をこれまで処理されてきておるのかということを、私はまずお答えを願いたいのであります。

山内隆一調達庁次長

○山内説明員 本日は大きな問題でありますために、長官が参りましてお答えすべきところでありますが、長官はこの問題に対する折衝を至急にする必要上座間に参りましたために、私次長でありますが、かわってお答え申し上げます。  北富士の問題は、非常に原因も遠く、また複雑な問題がありますが、ただいまのお尋ねの点は、今度の射撃演習について事前に何か政府として当然措置をとるべきでなかったかというお尋ねのように拝聴したのでありますが、この問題は、確かに現地交渉として新聞紙上等では相当早くから問題が提起されまして、それについてのいろいろの報告等は現地から聞いておりましたが、しかし全然調達庁の方には正式の申し入れはありませんで、ずっと最近まで経過いたしておりました。しかし初めのうちはB地区を被弾地区にするということについての現地交渉が相当あったようでありますが、これは初めから私ども政府としては問題にいたしておりませんでした。B地区を今後どうするかということについて目下折衝中でありましたので、その際に、B地区を被弾地区にするということは、軍の一部にあるいはそういうことを考えている者があっても、日本政府としてはもう考えられない問題だ、従って何らかの非公式な話もないので問題にする必要ないじゃないか、その問題についてはこういうような態度をとっておりましたわけでありますが、その後その方針を軍は変えて、B地区を被弾地区にするということは取りやめて、そうしてB地区の適当なところに砲座を据えて、従来の被弾地区であるA地区の方に向って射撃をするということについての地元の折衝といいますか、あるいは軍から山梨県知事に対して要求があった、交渉があったということは聞いたわけであります。それも実は協定の条文からいいまして、その問題ならばほんとうに現地交渉でやれる問題であるから、こちらに何ら正式な言い分がない限りは、あまり差し出がましい態度をとるべきじゃないじゃないかということで、その状態はしばらく経過したのでありますが、四月の上旬に正式に現地軍から知事に今のやり方についての照会があった。そのことを聞き、さらにその間に知事との間に、今は困るということは、選挙を控えてこんな時分にとんでもないというような意味で話が続けられて、軍としてはもっともだとして中止したというところまでは、こちらからは何ら正式な申し入れをしなかったのでありますが、その後今度は選挙も済んだからやりたいという話が出たときに、こちらも聞きましたので、さっそく軍に対して、十分調整のとれないうちに射撃をするということは困るから、その調整をはかってからにしてもらいたいということの申し入れはいたしたわけであります。これは五月の上旬のいつかはちょっと記憶しておりませんが、そういう申し入れを非公式にしたのであります。それに対しては、いや、こういうわけで調整はとれておると自分は思っておるという意味の話がありまして、そのことを山梨県当局にも連絡はいたしたのであります。さらに交渉は続けてもなかなか軍の方針は変える意思がないような情勢で、そこでつい九日の射撃の日になったわけでありますが、十日の日米合同委員会の施設委員会に今度は正式に日本政府側からこの問題を出しまして、このような状態では困る、軍としてのやり方も行き過ぎではないか、なるほど地元山梨県の方も必ずしもすべて正当な行動というわけにもいかぬけれども、とにかく軍としても行き過ぎであるから、この際もっと高所に立ってこの問題の解決についてお互いの話合いをしてもらおうじゃないかという申し入れをしまして、ほんとうはきのう行く予定に話をつけたのでありますが、きのうは国会の関係でどうしても行くことができない。もっともきょうも国会の情勢から見て長官がおって答弁すべき筋合いのものが多いわけでありますが、むしろこの問題を軍と折衝することが必要であるというので、御了解を得て、きょうは長官は出かけて今折衝いたしているような状態であります。

内田常雄自由党

○内田委員 一応の御説明は承わりましたが、今あなたのお言葉の中にもあったのでありますが、日米合同委員会の施設委員会を開いてこの問題を取り上げたのは五月の十日である。すなわち一五五ミリの大砲が火を吹き出してから初めてこの施設委員会でお取り上げになったということは非常に大きな怠慢でありまして、さらに正式な連絡はなかったというお話でありますが、正式な連絡というのは何をおさしになるのか。調達庁の現地機関からの連絡を言われるのであるか。もしそれであるならば調達庁の下部機関というのははなはだ怠慢であると言わざるを得ない。さらにまたそれは地方公共団体である山梨県庁であるとか、あるいは地元町村であるということであるならば、県庁や地元の町村は、砲撃を開始する、それに対して承認を求めるということに対して拒絶の回答をしたにもかかわらず、さらにその文書を持参して、あくまでも今まで使われなかったこのB地区を、しかも登山路を越えて、協定を無視して大砲を撃つということは絶対に困るという申し入れをしたにもかかわらず、駐留軍の意図は非常に強硬であることを知りまして、調達庁にもその他の関係官庁にも地元の公共団体としては十分な申し入れをしているはずでありまして、これはどちらの意味であるか。かりに調達庁の現地機関から、これは怠慢であるにしても何であるにしても、連絡がなかったといたしましても、この演習場に重大な関係を持ち、またこの演習場が所在する地元の町村や府県からそれだけの申入れがありましたならば、これは先ほど私が申しましたように、もしあなた方において認識の誤まりがなければ、これは当然取り上げて、急速に日米合同委員会なり、あるいはその下部の仕組みである施設委員会なりを開いて、よく米軍と中央において調整をとり、また反省を求めるということを、なぜしなかったかということを私は追究しなければならないのであります。この点についてもう一度明確な御答弁を得たいのであります。

山内隆一調達庁次長

○山内説明員 重ねてのお尋ねでございますが、正式の申し入れということは、私は軍の方からと山梨県知事の両方の意味で申し上げたつもりでございます。軍の方からはもとより何らの話もありませんが、山梨県知事から私が聞いたのは、先週の金曜日に山梨県知事代理と堀内代議士、それから地元の町村長等数名一緒に来られまして、そこで具体的に軍が実弾射撃演習をやる通告を受けたが、困るという話を初めて聞いたのであります。そのときにぜひとめるように一つ正式に施設委員会の方に申し出てもらいたいということで、私本来ならば長官に相談すべき重大問題でありますけれども、事柄が事柄でありますのと、長官との連絡が国会関係等ですぐにつきかねた。それで私の責任において承知しましたということを申し上げたわけであります。そうして、さっそく軍と絶えず連絡をしているその方の担当官に話をして、そして交渉してもらうように頼んだところが、実はそのときはすでに——私はその日に初めて聞いたけれども、その方の担当室の方にはすでに話が伝わっておりまして、その前々日に軍の方に申し入れてあるということを聞いたわけであります。その申し入れた結果の軍の言い分はどうかというと、それはもとよりあの調整のことはよく承知しておる、調整をとってやることになっておるから、軍として山梨県知事の方に早く申し入れて、山梨県知事の方では、選挙中は困る、従ってこちらとしてはしばらく変更して時期を待っておったわけであります。すでに選挙もすべて済んだから、もう差しつかえないだろう、その他のいろいろの天然記念物その他の保護なり、あるいは人に対するいろいろの危害予防のための措置等は全部とってあるし、すでにそういう話し合いをずっとした関係上、もう差しつかえないと思うというような意味の話があったと聞いたわけであります。それから土曜日に私国会に参っておりまして労働省の政府委員室におりました際も、やはり知事代理と堀内代議士と来られまして、きのう話をした件はどうなったかという話がありまして、それについては、さっそく私は、了承した関係上、すぐ軍の方にやらせようとしたところが、すでに前々日に申し入れてあって、その内容としてはかくかくのことを軍としては言われておるので、あるいはそれに対して山梨知事としてそういうことがあったかないか私にはわからぬけれども、一応軍としてはそういうふうに言われて、調整はとったつもりだという話であったということだけを申し上げたわけであります。それからなお堀内代議士はそのまま残りましたが、私は急いで役所に帰る必要上、知事代理も一緒に来ていただいたわけであります。それから軍と会ったその担当官のところに紹介して、そして最初なお軍との話の説明をしてもらった。そして帰りに私の部屋に寄りまして、よく話を聞いて事情がわかった、もうこうなるとやはり現地でさらにもう少し話し合う必要があるから、これから大急ぎで帰って話をいたしますと、こういう意味で、土曜日帰りましたわけであります。事前の工作としては以上のような次第であります。

内田常雄自由党

○内田委員 どうも私にはあなた方がこの問題に対するいかなる認識を持ってこれに処してきたかということがはっきりのみ込めないのでありまして、せっかくお述べになっておるのではありますが、私は過ぎ去ったことをこれ以上追究しても仕方がありませんが、ただ繰り返して申し上げますと、お話のあったように、四月中に駐留軍から相談があった、しかしちょうど地方選挙のまっ最中であるから、さような選挙のまっ最中にそういう相談を持ち込まれても困る。いずれ選挙でも済んでからという話し合いはあったかと思いますが、選挙が済んで駐留軍から、正式に大砲を撃ってもよろしいかという申し入れに対して、これは拒絶したああいう回答を文書で出しましたのは、これは砲撃開始に先だつおそらく数日前、あなたの述べられているように、そのことを地元の知事からあなたのお耳に正式に入れたのが先週の金曜日とすれば今から六日前、砲撃が開始されたのは今から二日前でありまして、その間四日ありますので、政府として何らかのとるべき道があったと思う。私はあなたの御答弁を聞いておりましても、全体を通じて感ぜられることは、なるべくくさいものにはふたをしておけ、うるさいことには政府としてはタッチしないで、地元でしかるべく解決させておけ、どうもあまり駐留軍の活動に触れるのは避けたいというような気持が、全体としてあなたの御答弁の中にもさような気持が支配しておったことは、私ばかりでなしにあなたの御答弁を聞いておる委員の諸君にもおそらくわかるだろうと思います。とにかく手の打ち方がなまぬるかったことは、この問題はこの問題として、最初に申し上げましたように、類似の問題が今後も起る可能性が私はあると思いますので、国内の演習活動その他につきましては、十分敏感な、感覚と正しい認識を持って、調達庁は国民を保護するために、また国内における駐留軍の活動を誤まらずに国民に理解させるために、あなた方の職責においてしっかりとお働きを願わなければならないのであります。  さらにまたこれは委員の皆様方の御理解のためにも、現地の状況をちょっと説明をいたしますと、富士山麓を囲んで三つの集団演習地といいますか、提供地があるのでありますけれども、一つは東富士の演習場、もう一つはキャンプ・マックネアというもの、これは昔の日本の陸軍の演習場を中心としてそれを拡大したものでありますが、その地区と、もう一つが今問題になっておるキャンプ・マックネア演習場、俗にいうB地区といわれておるものでありまして、進駐軍の占領後今日までの十年間、駐留軍がこれを演習場として実弾射撃に使ったのは、もっぱら東富士の演習場と、そしてキャンプ・マックネア、すなわちA地区だけでありまして、B地区から実弾射挙をしたことはなかったのであります。それゆえに現地においてもすでに十年間も使われたことのない演習場であるから、ぜひ地元の生産活動あるいは植林あるいは天然記念物の保護とか、国立公園における国民の休養とか、文化活動のためにあの地区は演習場から解除してほしいということが申し入れられたわけでありますが、それを今回突如として実弾射撃の用地に使われておるところにも、これはアメリカ駐留軍としても考えてもらわなければならないし、また日本側の当局においても私は考えてもらわらければならないところであります。私どもが聞いておりますのには今度の予算における防衛庁費の増大というようなことにも関連いたしまして、米駐留軍というものは漸減しておるんだ。それを日本の自衛体制を確立するために、防衛庁費を増額するんだというようなことで、何百億という防衛庁費を増額しておる。その反面防衛支出金というものは減っておるのでありまして、おそらく私はこの日本国内における駐留軍の数というものは滅っておるはずだと思います。従いまして私ども初め国民全体は、今まで国立公園の地域を演習地として編入されておったというようなことは、これは米駐留軍の減少とともに解除されるか、あるいは解除されないまでも、その使用の態様というものは、ほとんど国民生活や国民の経済活動に差しつかえないように軽減するものであるということを予期し、期待しておったのであります。しかるに突如として今回のように十年後において、これを実弾演習の場所として、地元民や全国民の感情における反対を無視してやるということは、これは米軍として考えてもらわなければならないのみならず、この演習場等について折衝に当られた政府当局において、私が今申し上げたことは十分理解してもらわなければならないと思うのであります。先ほどもあなたのお話に出ましたが、駐留軍の方からA地区からB地区に向って砲弾を落したいという話があったから、それではどうも困るということで話を進めてきた。そのかわりに今度はB地区から富士登山道を越えて、あの巨大なる大砲をA地区に向けて落すということは、いかにも罪が軽い、差しつかえないようなお考えがあなたにはあるように私には聞けるのでありますが、これはとんでもないことでありまして、天然記念物が存在したり、また国立公園の中心であるB地区に、大砲のたまを落すなどということは、とうてい考えられないことであるばかりでなく、この地域、すなわち富士五湖の精進湖と本栖湖の中間に二千町歩も陣を張って、百五十五ミリ砲を据えて大砲を撃つというようなことをやることは、今私が申し述べました進駐軍漸減の事態から見て納得ができないのであります。ぜひ一つ、たとい協定上において何百か何千かのいわゆる基地あるいは演習場等がありましても、それらを使う態様というものは、漸次これを軽からしめるようになられることを国民は期待しておるのでありますから、そういう考えのもとに私は政府においてもやってもらわなければならないと思うのであります。あなたの繰り返しての御説明においても、現地の調整に待つというような態度で参られたことはうかがわれるのでありますが、これでは何か進駐軍にさわるのがこわい、何か米駐留軍に対する劣等感といいますか、あるいは卑劣感というものを、この問題に当られる政府当局が引き続いて持っているような私は気がいたすのでありますが、もっと勇敢に、事態に即してきぜんとした態度をとって、米当局なり駐留軍にぜひ当っていただきたい。これは私の質問ばかりでなしに、全国に基地を持つ全国民の私は考え方であろう、かように考えるものであります。  私がさらに憂慮をいたしますことは——あなたもこれは自分の問題でありますから、この問題には十分の注意を払われておったからお聞きになったと思いますが、砲撃が開始された十日の夜、NHKから現地放送が行われた。いんいんたる大砲の音にまじってその現地住民の声がラジオで伝えられたのであります。十日の夜でありますから、まだ総評等におけるいわゆる反軍活動、反米活動のような不純なる活動が入り込まないその当日の現地住民の声として、こういう声が伝えられておるのであります。これは私はおそるべきことでありまして、この見地からも、お互いに考えなければならぬのであります。それはどういうことを言っておるかというと、今までわれわれは米駐留軍というものは日本の防衛、赤化から日本を守る、共産勢力から日本を共同で守るということのために置かれていると聞かされて、それで駐留軍の存在、活動を是認してきたけれども、これでは駐留軍の目的がどこにあるのかわからなくなったということを、政府が管理するNHKの放送が現地録音として述べてきておるのであります。要すればこの委員会等においても、録音によってお聞きを願いたいのであります。さらにまた、私の耳に直接入りました現地民の有識者の考え方として、これは今の内閣にとって私は致命的なことにもなるのでありますが、こういうことを言っておる。今度の砲撃はなかなか米駐留軍も引きますまい。それは鳩山内閣があのような二元外交をやっておるのでは、米軍としても日本政府に対するつら当て、腹いせがありましょうから、なかなか米軍の方では引けないんでしょうということを言っている。そういうことを何政党に属する人が言っているというのではなしに、現地の有識者が言っておるのでありまして、私はここで鳩山外交につきまして取り立てて批判をしようとするものではありませんけれども、さような言が行われているということは、この問題が単に一つの現地問題として現地調整にまかせて、中央では涼しい顔をして敬遠しておけばいいというものではないと思うのでありまして、現内閣の命取りにもなるし、国民思想にも影響するし、日米協力の基本にも重大なる問題を起すものであります。きょうは調達庁長官はおられませんし、ほかの大臣もおられないようでありますけれども、いやしくも調達庁次長として職を受けられておる以上は、補佐官でありますから、どのような認識をしておられるか、一つ明らかにしていただきたいのであります。

山内隆一調達庁次長

○山内説明員 ただいまの問題は、現在の実弾射撃を直接問題にしましたために、お答えとしては非常に不満足に聞こえたかと思いますが、その一つとしては少し甘過ぎはせぬかと冒頭におっしゃられておりますが、実はこの直接の射撃問題としては、今のB地区、A地区に共通の使用条件の第四項の後段で、例外でありますけれども、射撃を認めている。ただそれをやる場合に、いろいろ時期とか方法とか、あらゆる方面に注意を払う措置を講ずるという意味で、現地調整をやって、それからやる。こういう意味に書いてありますので、従ってこれは中央の大きな問題でなく、例外ながらも認められている地区におけるやり方の問題で、よく県側に話をすればいいことである。かようにこの条文は解釈いたしておりますので、相当に中央として何とか措置しなければならぬというところにならないうちは、あまり差し出がましいことは控えた方がいいではないか、こういう気持であったために、それがあるいは結果において——もっともっと早く中央として乗り出すべきであったではないかという御批評もあろうと思いますけれども、そんなような考え方から、先ほど来申し上げているような措置をとって参ったわけであります。しかしこれは今いろいろお話のありましたように、あらゆる意味において重要なる問題で、国民感情としてもまたこんな状態で放っておくわけにはいかない。この点私ども全く異存はないのであります。この問題について現地調整がなかなかうまくいかないという理由は一体どこにあるかということをまず考えてみますと、B地区に砲座を据えてただ一回だけやるのでなしに、これは今後たびたび繰返してやられるであろう、そうなっては困るということがあることと、またこれをだんだんと実施して、将来あるいはB地区を被弾地区にされるようなおそれもあるのではないか、前に一ぺんそういうことを言い出したこともあった関係もありまして、そういうことを山梨県、特に地元としては心配されているのが、今度の射撃問題が非常な大きな問題となった原因じゃないか、ただ正面の、提供に伴う使用条件の一般条項第四項の後段の問題だけのことからいえば、先ほど申し上げましたような意味で進められていいわけではありますけれども、その根本に今のような心配があるから非常に問題が大きくなったのではないか、かように思いますことが第一点。もう一つはB地区につきましては、このB地区をどうするかということは、もう長い間、昨年の夏ごろから起りました富士山麓電鉄のバス乗り入れ問題として、よく新聞紙上で伝えられておったのでありますが、これは必ずしもバスの乗り入れ問題だけでないのでありまして、B地区全体の利用というよりは、あれは過去においても長い間、ほとんど使用されていないから、全部解除してもらいたい。B地区におきましても、局部的にはほとんど使ってないものは、これは一つ地元の農民のために、あるいはその他の利用上返してもらいたい、あるいは産業上もっともっと利用できるように、立ち入りをもっと自由にしてもらいたい、いろいろの問題がありまして、それらを総合してあの使用条件の改訂問題として、日本側として検討して向うへ提案してあったわけであります。もっともその前提には、B地区については全面解除を主張しておったわけですが、どうしてもできない場合も、少くともこういうふうに使用条件を変えて、必ずしもバスだけに限ったことはない。船津林道に大型自動車が自由に入れるようにしてもらおうという意味合いで、とにかくあの利用をもっともっと軍の演習に差しつかえない限り大幅に認めてもらいたい、こういう交渉のまだ折衝中にある、そういう問題があるわけであります。従って根本問題がまだ解決していないということも地元として非常に不安というよりは、不満に思っている大きな原因で、それが今度の問題をきっかけとして爆発しておるのではないか、こんなことも考えられます。そこで今度の解決について、長官が座間の司令官に会ってどういうふうに話し合うかそれはわかりませんけれども、今の射撃そのものはもうぐずぐずすると予定の日が来てしまうわけでありますので、これを一刻でも早く、また少しでもわずかな日数にとどめるということも必要でありますが、さらにその根本問題をこの際解決するように折衝する、その糸口を開くということが必要ではないか、少くとも調達庁としてはそんな考え方で各省と話し合って、これを機会に今後根本的の解決にぜひ早く進めていきたい、こんなように考えておる次第でございます。

内田常雄自由党

○内田委員 今のお話の該演習場の使用解除の問題でありますとか、あるいは使用条件変更の問題等は、地元の負担を軽くするという意味でぜひやっていただきたい。あなたの手でけっこうでありますから、ぜひ進行してもらいたいのであります。今度の問題はそれがあるからほったらかしてもよいという問題ではなかったのでありまして、向うは実弾を撃つぞ、地元当局は撃つことは困るということで、現地調整ができ上っていないことは、これは一カ月、二カ月も前からわからなかったにしても、実弾射撃の数日前からわかっておったことであります。従って先ほどから申し述べるような問題の重要性、発展性というものについて認識があらわれるならば、事前になぜ中央で政治的に米軍あるいは米当局との折衝をしなかったかということを、私は追及いたしておるのでありますから、根本の使用解除の問題等は既定の方針でぜひやっていただきたい。ことに今あなたが御引用になられたマックネア演習場の使用条件についての現在の協定の後段からいって、あまり大したことはない、米軍が撃ちたければ撃っていいんだ、しかるべくやればいいんだ、そういうふうにも聞えるのでありますが、今度の問題になっているのは、直接の使用条件の条項が問題になっているのであります。これは簡単で、あなたも十分暗記しておられるように、こう書いてある。使用条件の一般条項の第四項に「在日合衆国軍隊は富士吉田、富士御殿場口及び須走口の登山道を越える実弾射撃を原則として禁止することに同意する、ただし七月、八月及び九月を除いては、現地において調整の上、上述の射撃を行うことができる、その場合は射撃中十分なる注意を払うものとす。」こう書いてある。ここで一番問題になっているのは、原則としては登山道を越えるB地区からする射撃は禁止する、しかし七月、八月、九月はいかなる状態のもとにおいても、いかなる条件のもとにおいても絶対に禁止する、それ以外のときにおいては現地において調整の上、十分な事前調整を行なった上やることができると書いてありますが、この事前の現地における調整の解釈につきましては、一般のわれわれの観念からいえば、調整の上といえば、相談の上、納得の上ということでありますのに、米軍の解釈は通告をもって足りるのだという解釈を今日も押しておるそうでありますけれども、今のあなたの解釈ですと、いかにも米軍の解釈に近いような気がするのです。この第四項の後段によって演習場は使用区域に入っておるのだから、実弾を撃ってもいいことになっているから、ある場合にはやむを得ないというふうにとれる御発言でありましたが、これはそうとるべきではない。ことに先般新聞にも出ておりましたけれども、合同委員会の委員の方々の会合でありますか、あるいはそうではなしに日本の各省の関係官等が法務省かどこかに集まりまして、その調整の解釈をしたところが、その解釈は英文によっても、また今私が読み上げました日本文によっても、どうしても双方納得の上、相談の上と解釈するというふうに一致しております。私は今度の事件について米軍が悪いかあるいは県当局が悪いかどちらが悪いかということをここで洗い立てる必要はなかったのでありまして、政府の認識を問い、政府の処置、方針を問いたかったのでありますが、あなたが言われるから言うのでありまして、私は米軍なり、今あなたの仰せられた解釈はどうも遺憾ながらわれわれの解釈とは一致しないと思います。これは英語で見ますと「アポン・コオーディネーション・ウィズ・ローカル・オーソリティーズ」と書いてある。アポン・コオーディネーションということは、明らかに通知をもってということではないのでありまして相談ずくという意味にきまっている。従って私はどちらに非があるかといえば、かようなことを一片の通告をもってなした米軍のやり方が遺憾ながら悪いと思う。今後十分注意をしてもらわなければならぬ。またそれに対する現地当局の調整ということでなしに、一般問題として、全般の問題として、かくのごときことに対しては中央で十分に米軍に——この条文の将来の修正ということは別であります、もっと正確に修正をする、あるいは使用区域からはずすということは大切でありますけれども、米軍と十分に政治折衝をされて、そのうちに砲撃は終るだろうというようなのんきなことでなしに、ただいまからでも、一日でも、一時間でも早くこの砲撃をやめてもらう。もし米軍がこの解釈を突っぱるならば、日米相互間において合意に達するならば少くともこの協定はやめなければならぬと思います。今日調達庁の福島さんは現地に行かれておりますが、どういう交渉がされておりますか、これは今日の本会議でお答えがあるか、さらにこの委員会に御出席が間に合えばそこで、あるいは今後の委員会にお話があると思いますが、今にしてやるべきことは、この条文の解釈においてどちらが正しいかはともかくとしまして、争いがあるからにおいては、その妥結を見るまではあのすさまじい、しかも十年間一回もやったことのない砲撃をやめてもらわなければならぬと思う。あなたもぜひこの考え方で進んでいただきたいと思います。ことに新聞の伝えるところによると、米軍は立ち入り禁止区域をB地区の砲座のまわりに設けた。それを犯す者は刑事特別法第二条で逮捕するということを、現地の警察当局は申しておりますが、もしかりに法務省その他の解釈においてこの協定違反の責めが米駐留軍側にありとすれば、その立ち入り禁止線を突破した者をこの刑事特別法第二条で逮捕することは、私は非常な問題を将来に残すであろうということを警告せざるを得ないのであります。ある意味からいえば、これは総評のもとにおける現地に関係のないいろいろな労働組合が思想的に、内灘の場合におけると同じように、現地において扇動するということは別として、労働大臣はいかなる見解をとられるか伺いたいのでありますが、そうでなしに現地民が自分の生活を守り、この協定違反の射撃をなじる行為、それが刑事特別法に触れるということは、私はいかなる法律か刑事特別法の内容を知りませんけれども、法理の通念からかようなことは許さるべきことではないと思います。かりに現地の純真なる住民たちがこれをやめさせるために、あるいは現実に運動をしたとしても、それは一種の緊急避難として、刑事特別法においても法理上認めらるべきものではないかとさえ私は思うのであります。しかしこの条文の解釈、どちらがいいか悪いかということは、私の立場として、自分の所属する政党の政治的態度として、この際はあえてこれ以上追及をいたしませんが、この際最も国民の納得のいく処置を、全体の問題のためにもぜひ真剣にとっていただきたいということを、私はここに厳粛に要求いたすものであります。まだいろいろお伺いしたいこともありますけれども、あなた一人しかおいでにならない、労働大臣も外務大臣もおいでにならない、調達庁長官もおいでにならないので、今はこれでやめまして、他の委員の御質問に譲りますが、最後に申し上げた点をぜひ御銘記願いたい。私は一応これで質問を終ります。

山内隆一調達庁次長

○山内説明員 ただいまの調整の解釈の問題でありますが、私先ほどお答えの中に、別にはっきり同意を要するとか要さぬということは申し上げてなかったわけでありますが、調達庁の解釈といたしましては、今後まだ十分検討することには約束をしてありますけれども、調達庁はやはり十分の注意をして、事前通告をすればそれでいいのだとは毛頭思っておりません。やはり現地の相手方である山梨県知事の同意を要する、少くともまあやむを得ないということでも、否定的なはっきりとした意思のあるのに射撃を始めるということは、これはどうも協定の趣旨からいっていかぬ、こういう考え方をいたしております。この解釈について軍側と山梨県則との間には、確かに解釈の違いがあったように見えます。のみならず、この措置そのものについても、どうも水かけ論のような結果になっておりまして、先ほどもちょっと申しましたが、私どもが中止の申し入れをしたときに、いやかくかくのわけだというのが、今選挙を控えておるから困るということで、山梨県知事側のそういう言い分は、選挙が済めば、十分な注意さえすればいいというふうに軍側の方では考えたらしい。ところが県側の方では、自分の方では選挙という言葉は使った覚えはないのだ。軍の方では、あるいはそういう選挙という言葉を使ったかもしれないが、自分の方では、かりに選挙という言葉を軍が使っても、選挙中はもちろんのことだが、選挙後だからよろしいということは、毛頭考えてもいないし、そんなことを返事をしたはずはない。その点だけについても、事実問題ははたしてどうであったか、どちらが先に選挙問題を言い出したかということでは、互いに相手方が先に言い出したという。そして選挙後ならばいいと暗に言ったといい、いやそんなことはとんでもないというようなわけです。その問題については遺憾ながらどうも水かけ論のようでありまして、事実は何かということを現在のところ調達庁としては明らかにし得ないわけであります。しかし問題は、調整ということについての軍の根本的の考え方が、今もお話のように、必ずしも同意を要しないものだというふうな観念を持っておるから、今のような誤解も起ってきたのではないかと思われます。それで十日の特別施設委員会で話し合ったことは、長官が座間の司令官に会って話をするということのほかに、調整ということについてどうもはっきりしない点があるようだから、この解釈を至急特別施設委員会ではっきりしよう、こういう申し合せをいたしてありますので、これについても明確にしまして、先ほど申しました根本問題はしばらく別として、現在の状態で進む場合でも、今後この条項の解釈をはっきりしなければ、また再びこういうような問題を繰り返すおそれもありますので、早くはっきりいたしたいと思っております。  それからもう一つ、これはついでではありますけれども、かりに同意を要するものとアメリカ側も思っておったとしましても、反対の理由が、調整の問題について、時期をどうするとか、あるいはその他の立ち入りをどうするとか、位置をどうするというような——例外ではありますけれども、射撃を認めるという条項の運用でありますから、そういう問題についてまだ異存があるからということならば、まだまだあるいは折衝の余地が残ったかもしれないけれども、将来永久にやってはいけない、あるいは全部返還してもらいたいという意味における反対と聞こえるような抗議といいますか——回答になってみると、どうも思うように調整を進める道もないのだというようなことを軍としても言われております。また確かに山梨県側の反対の理由は、そういう簡単なものではなくて、非常に根強い反対があるから、今の調整もうまくいかないという事情もあったようであります。

宮澤胤勇日本民主党

○宮澤委員長 森三樹二君。

森三樹二日本社会党(左)

○森(三)委員 私は本日、重大なる富士山の実弾射撃の問題に関しまして、本来ならば日米合同委員会の担当官である外務大臣、あるいはまた調達庁長官、それらの人々の出席を求めまして、根本的な質問をしたいのでありますが、当委員会への出席が不可能だということでありますから、あらためてそれらの人々には質問したいと思います。  先ほど、次長の答弁を聞いておりますと、日米合同委員会あるいは施設委員会等の使用条項等に対する解釈の問題等が出ておりますが、全く泣き言を並べて、どうもアメリカに押えられてやむを得ないのだというような、至って事務的な答弁しかなされておらないのであります。これはやはり根本的な問題としてわれわれは追究しなければならぬのだが、この日本の狭い領土内において、七百三十三カ所の軍事基地が設定せられておる。そうしてまた演習地の問題についても、過般内灘の問題で——そこに辻政信君もおられますが、かつては辻政信君もすわり込みさえやって内灘の演習地の使用拒否を行ったわけです。それからまた近くは妙義山の使用解除の問題なんかも起っておりますが、要するに日米安全保障条約、行政協定に基くところの大きなきずなが、こうした問題を起している。ところがそれに拘束されておるところの調達庁当局は、全く事務的に、アメリカの便宜をはかるというような態度にしか出ていないということを、先般来のあなたの答弁を聞いておってつくづく私は思わされておるのであります。私どもは、この日本の軍事基地に強く反対するとともに、このような富士山の問題も、あるいはかつての内灘の問題も、同様にわれわれは強く根本的に反対しなければならぬものであるし、また、政党を超越しても今日のこの問題等に対しては強くわれわれは反対をする。しかも先ほど来の委員の御質問の中には、各労働組合の反対運動も展開されているというような話もありましたが、現地の人であろうと労働組合の諸君であろうと、日本国民としてこうした問題にあげて反対することに不思議はないのである。しかも先ほど現地住民の声さえも述べられておりましたが、現地住民でありましょうとも、あるいはまた現地にいないわれわれであろうとも、日本の天然資源からも、また日本の産業上からも、山を荒し、洪水の原因を作るようなこういう演習に対して、断固としてわれわれは反対しなければならぬと思うのです。そこで、あなたはいろいろ事務的な問題を取り上げておりましたが、内灘の問題あるいは妙義山の問題を通じましても、こうした問題は、基本的に、将来起るであろうというおそれのある問題でありますから、調達庁当局としても、根本的な対策を立てておったのかおらなかったのか、この問題をまず第一点として私はお尋ねしたいと思うのです。根本的にこういう問題が起る可能性というものは十分あるのだが、そういうような可能性というものをあなたは判断したかしなかったか。判断したとするならば、こうした富士山の演習地の問題に対して調達庁はどういうような考えで手を打ったか、この根本問題を私はお尋ねしたいと思う。

山内隆一調達庁次長

○山内説明員 この富士山の演習場問題は、先ほども申し上げたようにいろいろの問題をはらんでおりますので、決して軽視したわけではありません。いかに使用条件の上においては認められておるとはいいながら、やり方いかんによっては問題の起ることは、私どもも決して無視しておったわけではありません。しかし、使用条項の正しい解釈、正しい運用によってやる限りにおいては、中央としては、あまり差し出がましい口を入れるべきではない、かように思ったために、先ほどから申し上げるように、もっと早く中へ入ってやれば、あるいはもう少し円満に話がついたのじゃないかというように、今から見れば考えられぬことはありませんけれども、当時の事情からいいますと、どこまでも、今の使用条件の第四項のただし書きの解釈なり運用の問題等を考えておりましたために、手の打ち方があるいはおそきに失したという御批評もいただくかと思いますけれども、決して軽視したわけではない。富士の取扱いは非常に慎重にやっていかなければならないということは考えておったわけであります。

森三樹二日本社会党(左)

○森(三)委員 あなたに事務的なことをお尋ねしても事務的な答弁しか得られないと思うのですが、この富士マックネア演習場に関する使用の条件というものがここに記載されておりますがが、あなたも今おっしゃったただし書きの問題もあります。しかし原則としてこの四項には、在日合衆国軍は富士吉田、富士御殿場口、及び須走口の登山道を越える実弾射撃を原則として禁止することに同意するという明文があるわけです。あなたの方としてもこれを禁止しなければならぬということが、どこに禁止するかということも十分お考えになっていると思うのです。根本的にはこれは使用してはならない、する場合はただし書きにこれは規定はあります。なるほど規定はありまするが、この例外というものは、これはもう重大な問題であって、万やむを得ないような場合でなければならない。やはりあくまでも原則を原則として尊重し、例外というものはめったに——こうした問題は先ほども申し上げましたように内灘の問題あり、あるいはまた妙義山の問題もあるのでありますから、この例外の問題を了解さすとすれば大きな問題があるということも、私は十分わかると思うのです。あなたがたにそのくらいの見通しが私はないはずはないと思う。先ほど、選挙が済んだ場合においては現地で調整する云々とかいうお話がありましたけれども、私はあれに対して非常に疑問を持たざるを得ない、それは県当局の者が言ったのかだれが言ったのか知りませんけれども、あなたのお話では米軍の方から言ったようでもあるし、県当局の方から言ったようでもありますが、私から解釈いたしますれば、選挙当時もうすでにやろうというような考えを持っておつたが、選挙のときやればこれが全国に及ぼす影響、これが投票に対する影響が大きなものであるという、そういう考えをもって、この問題を選挙が済むまで待っておった。どうもそれを暗黙のうちに了解しておったというふうにわれわれは解釈せざるを得ないのですが、その点はいかがですか。あなた自身もさっきおっしゃったでしょう。選挙が済んだならばこれは現地でやるのだということも一応考えられるというようなことを、あなたさっきおっしゃったですけれども、そのこと自体が、あなた方自身が、一歩も二歩も三歩も例外条項を認めたような弱い考えを持ったように私は思うのですが、この点いかがでしょうか。

山内隆一調達庁次長

○山内説明員 今の点はお話の通り、根本の考えとしては禁止する、原則は登山道の上を越して射撃をすることはとめるということが原則であるわけでありますから、従ってただし書きの適用に当っては、できるだけ厳格に解釈して、そして十分の用意をした上やるべきである、さように考えたわけで、その意味において調整という言葉についても多少の異論はあるようでありますけれども、調達庁としては山梨県知事の了解がなければやはりやっちゃいかぬものだ。従って今度の場合全然了解がないような状態のままに押し進められたことは、まことにあの協定からいえば違反である、遺憾であるという考え方を持っておるわけでありまして、今後もいろいろの折衝はその線に沿って進めていく必要があると考えております。

森三樹二日本社会党(左)

○森(三)委員 私はあなたの御答弁を聞いておると、この例外規定というものがあるから、この例外規定を適用して、そうして実弾演習をやる場合には山梨県の知事と米軍との間に現地の調整をして、そうしてやればいいのだというように、もう全く実弾射撃をやることを簡単に了解したような解釈の上に立って、あなたが今御発言なさっているように思うのです。私らはそうではなく、過去においてあなたも十分御承知のことでありますが、あの内灘においも、もう過去相当大きな問題を起していろいろな悲惨事で問題まで起しておるわけであります。そういうような問題をだんだんと経過しておる今日におきまして、この富士山の演習が始まった場合に、どういう影響が起るかということを調達庁自身が自主的に考えなければならない。要するにこれは日本の政府の大きな責任問題であると私は思うのです。単にアメリカの言うなりに演習地を提供する。日本の国民全体の福利、あるいは厚生とか産業とかいうことは二の次だというような考えに立った、こうしたところの条項の取りきめこれ自体に対して私どもはもちろん根本的に反対でありますが、あなたが単なる事務官僚としての折衝の経過を報告しておるというならば、それまででありましょうけれども、いやしくも日本の国民の重大な福祉の問題としては、これはもっと根本的に考えなきゃならぬ問題である。もっと進んで言うならば、日米行政協定あるいは安保条約の改訂あるいは廃止というような問題も、これはわれわれとしてはもちろん主張しておる問題でありますが、今あなたにその問題をとやかく、ただちに云々せいったところで答弁はできない問題であり、私はあらためてまた外務大臣等、責任の担当大臣にこの問題については質疑をいたしたいと思いまするけれども、そうしたところの大きな動きというものをあなた方は絶えず研究していなければならない。それに対して私は認識が不十分であると考えておるのです。話は少し横になりますが、たとえば昨日の宇野—高松間の連絡船の問題も、昨年の洞爺丸事件に引き続いでまことに大きな悲惨事であります。運輸委員会その他予算委員会等でも質疑が行われておるけれども、ただまことに遺憾である、国鉄当局が責任があるといったところで、そうした不祥事件は全く取り返しはつかない。それと同じように、こうした条項がある、この条項の例外として現地の調整さえあればやむを得ないんだ、というような事務的な考え方によって事を処理するために、こうしたところの大問題を惹起するんだ。その根本的な考えに立って、あなた方が単にこの条項を基本として、そうして現地の県知事等にこれを一任しておる。そうしてやっていくというような考え方に対しては、全く反対的な考えを持たざるを得ない。そうした甘い見通しが今日のこういう大きな問題を惹起しておると思うのです。これについて根本的に、こうしたところのものは、かりに例外規定があるにしても、これはやらしてはいけないんだ、単に地元の県知事の調整によって行われていいのだというような甘い考えでは私はいかないと思う。もっと端的に言うならば、これでもって実弾射撃をやらしても差しつかえなかったんだというように、あなたは今でもお考えになっておるかどうか、その点一つ御答弁願いたい。

山内隆一調達庁次長

○山内説明員 今の射撃問題としては、すでにきまっておりますB地区の使用条件、その正しい解釈なり考え方からいえば、先ほど来申し上げる通りだと思っておりますが、しかし非常に大事な国立公園地区であり、いろいろな天然記念物、風致等を保護する、あるいは富士山に対する国民感情の点からいって、この状態のままでいいのかという問題になれば、その気持は、おそらく私といえども今の御意見と何ら変りはないと思います。ただ私どもは現在きまっている条項の施行をいかにしたら正しくやられるかということに実は頭を悩ましておるのであります。今言ったような意味の将来の根本問題、このままでいいのか、将来何かもっと根本的に改める必要があるのではないかということになりますと、先ほどのお尋ねに対するお答えとして申し上げた通り、すでにB地区の全面解除問題——どうしても解除のできないときには、使用条件をいろいろの面において改めてもらいたいという問題を持ち出して折衝中でもありまするので、そういう意味において、今後できるだけこの使用条件を、富士山麓を保護する意味において、最も適当とする案をさらに検討して実現に努力いたしたい、かように考えております。

森三樹二日本社会党(左)

○森(三)委員 そうすると、あなたは現状においてこうした事態が発生していることについては、われわれとしても放任することはできない、この射撃というものは禁止しなければならないという考えを持っておるかどうか、そこを明確にしてもらいたい。あなたは禁止しなければならぬというような意向のように聞えましたが、それを再確認する意味において御答弁願いたい。

山内隆一調達庁次長

○山内説明員 先ほどから申し上げる通り、調整という意味は、やはり相手方である山梨県知事の了解を必要とする、こういう解釈をとっております。ただそれはまだ日本の関係官庁全部話し合った結果ではありませんので、調達庁はそういう考えを持っておるだけでありまして、施設委員会でいずれこの解釈をはっきりするということに申し合せがなっておりますから、その申し合せといいますか、検討の結果を待たなければ、断定的なことばもちろん申し上げられませんけれども、少くとも調達庁としては、山梨県知事の同意がなければならぬ。ところが今までの状態では同意をされてはいないということが明らかになっております以上は、やはり今の射撃を一刻も早く一応とめてもらって、そうして今後の問題を検討するということが必要じゃないかと思います。

森三樹二日本社会党(左)

○森(三)委員 あなたもやはりこの射撃を早くやめてもらいたい。それには山梨県知事の了解というものがなかったことも明確になったというように御答弁された。私らはその今のあなたの答弁を裏返して解釈すれば、やはり現在の富士山麓におけるところの実弾演習というものは、国民総意のもとにおいて反対すべきであるという結論がすでに出たと私は思うのです。そうだとするならば、やはり私はこの条項を、米軍の演習地の一般取りきめの条項第四項のただし書き規定、これもやはり私は許容すべきではなかったのだ、こういうように考える。すなわち、先ほど来申し上げるように、あなた方の富士演習地に対するところの契約条項というものは、非常に甘過ぎた、日本の国民の要求というものを全く無視したところの一般条項が取りかわされておる、私はそう言わざるを得ない。これに対してこの条項の改正を米軍に交渉してこれを改革する、これだけの決意を、私はあなた方が持たなければならぬと思うのです。この点はいかがですか。

山内隆一調達庁次長

○山内説明員 現在適用されておりますこの接収についての使用条項は、当時どういう事情でああいうふうにきまったかということは、私ども末輩にはわかりませんけれども、すでにきまっている以上は、それを適正に執行するということは、調達庁としての任務であると考えております。ただ、先ほどから申し上げますように、その後の情勢といいますか、そういう点からいって、今の条項のままではなかなか地元もおさまりませんし、また日本側の関係官庁としても、今の条項ではまずい点もあるという考え方のもとに、これをどう改めるかということを検討した結果、一案を作って折衝中であります。従ってお言葉に対しては、今の使用条件を改訂するように努力する、こう申し上げることができると思います。

森三樹二日本社会党(左)

○森(三)委員 あなたとしてはそれ以上の答弁はできないと思うので、またあらためて外務大臣あるいは福島長官の出席を要求して、私は質問したいと思うのでありますが、この問題はこれは一刻を争う問題であって、やはり日本政府の重大な責任であると私は思うのです。そこで、きょう福島長官も座間のキャンプから帰られるというような状態になっておりますので、至急閣議を開いて契約条項の改訂、そして実弾射撃の即時中止という方向に持っていってもらいたいということを、私は強く述べまして、一応質問を終ります。

高橋禎一日本民主党

○高橋(禎)委員 私はこの問題にうといのですが、今問題になっている使用条件というものは、一体いつ決定されたものかということが第一。それから第二には、この使用条項の一般条項の四の後段というか、ただし書き、「現地において調整の上」というこの現地とは、これは県知事と米軍当局という意味であるか、あるいはそれ以外の意味を持っているものであるかどうか。第三には、調整の上というのですから、この解釈についてはいろいろ意見があると思うのですが、現地の日本側において、いかなる理由であろうとも同意をしなければ、この調整というものは成立しないという意味であるか、あるいはまた、調整の上というのですから、米軍当局としても、それを使用しようとする場合には、調整を要求する権利とでもいいますか、そういう権利があって、そして調整の申し出をする。しかし日本側の現地においてはそれに同意を与えない。すなわち調整が成り立たないというときには、一体そのまま放置されるものであるか、あるいは現地以外の、調達庁なりあるいはその他政府機関において、あるいはまた日米の委員会等において、その調整の成り立たないことに関してさらに審議して、一定の結論を出すという方法をとるべきであるかどうか、その三点について一つお答え願いたい。

山内隆一調達庁次長

○山内説明員 第一の点は、使用条件の決定はいつかというお尋ねですが、これは昭和二十八年十月十六日の閣議決定に基きまして、同日付で調印が済んでおります。  それから現地の当事者は一体だれか、これは日本側としては、山梨県知事と一応考えております。それから軍の方としては、富士キャンプの司令官、決して上の方じゃなくて、現地の司令官、こんなふうに解釈いたしております。  それから調整の上というのは、先ほど申し上げますように、両者で話し合っていただけばいいのですが、話がつかないときに、一体どういう道かあるかというと、これは特に別に規定はありませんけれども、現地で調整の上云云と書いてあって、現地でうまく調整がつかぬというような問題があって紛糾するようになれば、当然この問題はこれを扱う機関である施設特別委員会に問題がどちらからか出て、そこで論議するということは考えられることであります。

宮澤胤勇日本民主党

○宮澤委員長 それでは本日はこれにて散会いたします。次会は公報をもってお知らせいたします。     午後零時二十一分散会

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