逓信委員会放送事業の調査に関する小委員会 第4号
- 発言数
- 41 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1955/07/27
会議録
○濱地小委員長 これより放送事業の調査に関する小委員会を開会いたします。 日本文化放送協会の放送事業に関し、調査を進めます。本日はきのうの委員会の決定に基き、右件について日本文化放送協会常務理事岸巖君より、参考人として説明を聴取いたすことになっております。ではこれより日本文化放送協会の放送事業に関し、岸参考人より説明を求めるごとにいたします。岸参考人。
○岸参考人 岸でございます。まず最近の私どもの内部に起りました労働争議の経過を御報告申し上げ、続いて最近の協会の事業の状況を御報告申し上げたいと思います。 最初の問題でありまするが、これはいわゆる経済闘争であります。その内容を一つにいいますならば、夏の手当の支給の要求、続いて身分の保障ということであります。順を追うて申し上げます。夏の手当につきましては、ことしの五月初旬から組合との間に話し合いがございまして、一応七月になりましてからできるだけのワクを出そうという内容の話が固まっておるのであります。金額等につきましては省略いたしまするが、最終の第一段階における妥結の条件の一つとして、支給の日を七月の十一日といたしました。私どももその支払いの諸準備を進めておりましたのでございまするが、不幸にしてその間若干の行き違いがございまして、その支払い日が今からいいますると十日ないし十一日おくれましたのであります。この違約のことからいわゆる紛争の姿に変りまして、その前段の交渉の姿は、組合員としても協会の事情をよくしんしゃくしてくれまして、われわれの可能な方法——金額の方もそうでございますが、その点に大いに同調を見せてくれておったのであります。ストライキになりました動機が、今申した通り支払いの時期から端を発して、金額の方にも若干の犠牲をしいざるを得ないような状態にあるのであります。以上はこの争議の性格と申しますか、表に現われた原因の面であります。結果的には、その間にいわゆる放送を一時間とめたという事実が付随して起ったのでございます。このことは、私ども放送の事業を国家からお預かりいたしております者といたしまして、ことに私はその責任者の一人として、いわゆる国の文化財、大切な文化財であるこの放送事業、いわゆる国宝にもたとえてしかるべきものをお預かりいたしておりますその責任者の一人として、この宝にきずをつけたという点に重大なる責務を感じております。この機会に満天下にこの点を心からおわび申し上げます。 なお続いて同じ争議に関連いたしまして、従業員の身分の保障という問題がございます。この内容は、私どもの現在の組織体は財団法人でございますが、他日株式の組織に変えることもあるということは、関係者としてすでに研究の過程に入っておるのであります。その変換に際して、現在従事しております者が円満にそのまま事業に従事し得るようにというのが、要求の内容を一口に現わしたものであります。これは無理からぬことでございまして、私どももさように努力はする建前でもともとおりましたのですが、これをこの際文書にして妥結をし合うという内容で妥結いたしたのであります。以上が今回のストライキに関する御報告でございます。 続いて最近の協会の事業の内容を申し上げます。ごくかいつまんで申し上げることにして、古いいきさつは省略いたします。昨年の年末における状況を一口に申しますならば、相当な赤字を出しておった。ことしの四月一日現在で放送事業開始以来満三年になる形態でございまするが、その二年有余経過の状況は相当額の赤字である。これを何とか処理をし、経常内容も、日々の内容も、堅実なものに切りかえなければならぬということで、関係者懸命な努力をいたしておる状況でございます。幸いにいたしまして、本年に入りましてから日々の暮しの帳じりもいわゆる黒字でございました。本年はすでに上半期六カ月を終りましたのですが、収入とその利潤との比率を申し上げますならば、一割を相当上回る程度の利潤を残し得たというのが実情でございます。その内容はお役所にもお届けしてあると思います。なおこの程度で満足いたしておるわけではございまん。さらに種々合理化をいたしまして、たとえば設備の内容、事業の保守、維持等に必要な財源も、必要な程度には利潤によって増していくということも当然であります。その意味において、下期はもっといい成績を上げたいという気持で、関係者たちとせっかく努力中の状況でございます。 大要以上をもちまして、私の御報告を終りたいと思います。
○濱地小委員長 ただいまの岸参考人の御説明に対しまして、御質疑があればこれを許します。
○森本小委員 最初にちょっとお断わりをしておきたいと思いますが、当小委員会でこういう問題を取り上げたのは、別に文化放送の争議に関与する、そういうふうな考え方でなくして、少くともいわゆる放送法、電波法の管理をあずかる国会としては、現在相当出力の大きい文化放送が、いつもごたごたが起きて、場合によっては波がとまる、そういうことについては深い関心を私たちは持っておるわけでありまして、そういう意味合いにおいて、できる限り文化放送がよりよい放送設備として、さらに経営内容が順調にいくということを願ってお聞きするわけでありますので、その点を誤解のないようにお願いいたしますと同時に、さらにこういう小委員会でありまして、速記もとっておりますので、特に経営内容に立ち至った質問をする場合もあるかと思いますけれども、その場合におきまして、こういう公開の席では御回答ができないという場合には、御遺憾なくそういうことをおっしゃっていただいてけっこうでありまして、そういう問題については非公開の席ででもまたお聞きして、この事業に貢献をしてみたい、こういうふうに考えております。あらかじめそういうことをお含みおきの上、御回答をお願いしたいと思う次第であります。 それで今参考人の方からお聞きしました今次の争議については一応の解決がついたということについては、私たちも承知をしておりますけれども、その後におきまして、現在の七月分の給料もまた遅配をする、そういうようなことをちらっと聞いたわけでありますが、その点についての内容をごく簡単に要点を御説明を願いたいと思う次第であります。
○岸参考人 おっしゃる通りでございまして、給料は毎月二十五日であります。残念ながら三分の一しか払えなかったのでありますが、残りは三日後の二十八日にお払いするという約束をいたしております。この原因をなしますものは、やはり一つには財政難がそうなんですけれども、夏季手当を予定よりも払い過ぎたということだったと思います。そのしわ寄せということも現実にはあります。遅配をしたことは、これはまことに残念でございますが、今の瞬間におけるわれわれの力というものが、非常に切り詰まった支払い内容のものでございますから、そこにそういう無理が生じた、これが原因でございます。他意はございません。
○森本小委員 そうすると、この十五日に支払う分については、本月の場合は三分の一を二十五日に支払って、二十八日には残りの三分の二を確実に支払う、こういうことで従業員の方は納得をしたわけでございますか。
○岸参考人 今御質問の前段の、三分の一払います期日は、実は二十五日でございます。毎月そうなんでございます。三分の二は三日後の二十八日払うということで妥結いたしております。
○森本小委員 それでその二十五日は支払っておると思うのですが、二十八日には、これはもう間違いがないという今の段階ですか。
○岸参考人 さようでございます。
○森本小委員 そうすると、ことしの八月から以降こういうふうなことが起る懸念はありますか。それとも今次の争議でこれで固まって、経営も大体順調にいく。将来はこういうふうなごたごたはないというふうに経営者としてはお考えになりますか。
○岸参考人 実は私ども就任以来、といいますと昨年の暮れでございますが、財政の立て直しの方法論として銀行から協調融資を仰ぎ、それによって復興したいと思ってさまざまの努力を重ねたのでございますが、不幸にして成功いたしませんでした。その後先月の二十六日に会長がかわられまして、新たに中島久万吉氏を会長に迎えたのであります。中島氏のお力によりまして、われわれが成功を見なかった銀行からの融資によって、立て直しをはかりつつあるのが現状でございます。御就任以来一月になります現在、着々その方向へ進渉を見ておりますので、ただいま御質問の近き将来における不安は、日々に取り除かれておるというのが実情でございます。
○森本小委員 こういう問題で、これだけその影響力の大きい文化放送がいつもごたごたをして、もしも電波がとまるということになると相当大きな問題です。そういう点から特に私たちも関心を持っておるわけであります。この前のこの小委員会におきまして、労働組合側の責任者をお呼びいたしまして、内容を聞いたわけでございますが、そのときに労働組合側の御発言によりますと、あの争議の最中でございましたので、それまでに、本年に入って組合側が立てかえた給料の金額というものが約九百万円程度立てかえておるというふうな話があったわけであります。それからそのときに組合側の方のお話では、今回会長に就任をされた中島氏が、会長に就任をするという条件というのが、約一億円程度の融資を行う、そういう約束のもとに今回来たのだ。ところがその融資というものが、わずかの四百万円程度しか今の段階においてはできておらない。そういうことによって今次の金融難に陥ってこういう争議になった、こういう証言があったわけでございますが、それは事実でございますか。
○岸参考人 組合が大いに協力をして下すった結果、数日の給料の遅配を、本来ならば遅配になるのを未然に防ぎ得たという事実は、過去において数回ございます。それは事実でございます。私どもとしてはさような、つまり遅配になりそうだという場面に当面して、いわゆる無理算段をすればできぬことはない場合でも、あまりむだな経費を伴うような金の融資方法はなるべく避けたい。これは当然の考え方だと思うのです。その際に組合の方の手によって、若干の日取りの埋め合せができるなら、これはいさぎよく私どもとしても組合のお力を受けたいものだという考え方でやってきたわけでございます。これは双方の友情といいますか、言葉は適当でないかもしれませんが、理解ある態度で日々の経営をやっておる、その現われだと私は思うのです。金額が四、五百万円という表現でございますが、なるほど寄せ算をしますと、そういうことになるでしょう。でしょうが、現在なおさような金額を私どもが債務帳じりとして残しておるのではございません。その都度、いわゆる組合幹部が言われました期日がくるごとに、完済しております。第二の御質問の中島氏の金融工作につきましては、なるほど最初の計画あるいは意図といいますか、気持と現実とはある時間的の食い違いがあったということも、それは事実でございますが、これは当分できないのではないかというふうな不安は、一切私どもは持っておりません。そういう食い違いができたことは残念なことでございますが、一種の不可抗力の面も多々ございますので、少くとも私どもにおいては、まことにやむを得なかったものという了解を持っておる次第でありますが、先に申す通り、これは幸いにして着々いい方向に向っております。御質問の点で、これが御質問の中心だと思いますが、先行きいかんということは、これはなかなかいい先行きを期待できるというふうにお答えします。
○森本小委員 もう一点だけお聞きしておきます。この前の争議のときのもう一つの条件は、いわゆる組織の再変更の際における身分の保障という問題が、これが重要な一つの議題でございましたが、現在この会が株式会社の組織に改組する、そういうふうなお話も聞いておりますが、その内容について、もし差しつかえがなければ、簡単に説明を願いたいと思います。もし差しつかえがあるようでございましたら、別の機会にお聞きしてもいいわけでございますが、その点をお聞きしたいと思います。
○岸参考人 先申す通り目下研究中でございまして、その過程において、先般すでに御案内だと思いますが、一つの成案ができたのでございますが、不幸にしてその実現を見なかったという経過はございます。一体株式会社に切りかえますやり方、手段は、さまざまの場合が考えられるのでございますが、その中の両極端を申し上げますならば、一つは私どもがあのような内容のものをでっち上げ得る。つまりわれわれの自主性が百パーセント織り込まれたようなやり方、これがごく理想的な場合であります。それに対照的なものは、われわれの意図が全然入らないといったような場合でありまして、その両極端及びその中間に位するものが、さまざまあると思うのです。その両極端のどの辺に位するかによって、最初の理想案の場合は、これは新しい計画の参画者についてお話し合いをいたします相手の方が、われわれとほんとうに気持が一致した場合だと考えてよろしいかと思うのです。他の場合は必ずしもそうでない。そうするといわゆるあとの場合は、純然たる物の売り買いと同じような性格になってくると思います。そういう場合には、いわゆる売り買いでありますから、話が成功しない場合もあり得るのです。かような性格でありますことが原因をいたしまして、目下の状態では、まだ検討中であるというのが実情でございます。
○森本小委員 あまり時間もないようですから、私いろいろ突っ込んでお聞きしたいこともございますけれども、そういうことについては、またいずれ日を改めてお聞きしたいと思います。場合によっては、非公式においてもお聞きしたいと思います。一応私の質問は本日はこれで打ち切りたいと思いますが、ただ参考人に希望として申し上げておきたいことは、この文化放送に関する争議をずっと振り返ってみると、この争議の中心になったところの、この文化放送の労働組合というものは、かなりこの放送事業というものに対して認識を持って、しかも協会に対して非常に好意的に出ておる。特にこの給与の遅払い問題を、労働金庫から金を借りてやってくるというようなことについては、これは放送というものに非常に重点を置いて、放送事業というものに非常に関心を持ったまじめな労働組合であるということをつくづく感じたわけであります。特に組合の幹部の方々に聞いてみても、この組合の諸君がこの電波をとめるときには、泣いて電波をとめたということもいろいろ聞いたわけであります。それほどこの文化放送の放送事業というものに対して愛着を持っておるところの労働組合というものが、今次の電波をとめるストをやったということについては、相当大きな考え方、決意を持ってやったのだろうと思う。ところがその争議が解決した直後において、直ちにまた給料の遅払いができる。そういうことについては、今後のこの文化放送の事業に対して、非常に強く危惧の念を抱くものであります。しかも放送出力からいたしますと、相当の分野を占めるこれは放送事業であります。そういう点からいたしましても、先ほど参考人の方から金融の問題について、逐次好況に向いつつあるということを聞いて、まことに御同慶にたえない次第でございますけれども、しかし一そうこの事業の重要な使命というものをお考え下さいまして、さらに一そう組合側も協調していただきまして、この事業というものを、より一そう発展をさせるように特にお願いをいたしまして、私の質問を終りたいと思います。
○岸参考人 お許しを得まして、ただいまの御注意に対して、十分これにこたえ得るように、今後運営に留意していきたいと思います。なかんずくお話がありました従業員のわれわれの電波を愛するという気持は、実は私も率直にそのことを身にしみて感じております。その気持をある一つの具体的な事情に結びつけて表現いたしますならば、先ほど申した夏季手当のやりとりの際に、実は最初の妥結と最後のものとは相当増額を見ております。まずわれわれがやりとりに負けた。くやしいという俗念を受けるわけです。争議が終ったあと、組合の人たちが各部署で非常に凱歌を上げておる声が手にとるように聞える。われわれもお互いに御苦労だったというていの話し合いをしておったやさきにその声が聞えますと、実はしゃくにさわるという感じが全然ないわけではなかったのです。私自身は、ああそうじゃないのだ。おれのせがれが、一人頭その金額を四千数百円余計もらえて喜んでおるのだ。おれのせがれの喜ぶ声だというふうに私はふと感じました。これはけっこうだ。四千数百円をむだな費用に使ったわけでは決してない、あすのエネルギーがこれによって培養されるのだから、これはけっこうなことだ、いいことをしたということを私は感じたのであります。まことにつまらぬ表現をしてお聞き苦しかったと思いますが、私の気持の一端を表わすために申し上げました。
○濱地小委員長 この際お諮りいたします。原茂君より小委員外の発言の要求がありますが、これを許すに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○濱地小委員長 御異議なきものと認め、さよう決定いたしました。原茂君。
○原茂君 貴重な電波をお使いになっている、特に文化放送再建途上の御苦労はよくわかったわけですが、その経営上、対内的な面ばかりでなくて、何か対外的に今後の経営をお考えになった上に、たとえば当局に対しての何かこういう点を今までの経験から推して考えてもらいたい。あるいは同じ放送事業をやっている同僚間におけるいろいろな摩擦等があって、経営上何かの無理を生ずるといったようなことがおありでしたら、一つ参考までに聞かしていただいて、むしろこの際ですから、こういう場所を利用して、当局あるいは一般業界に対する要望や警告に準ずるようなものでも、御意見がありましたら、貴重なものとして伺わせていただきたい、こう思うわけであります。
○岸参考人 御質問の要点は二つだと思うのであります。一つは今のわれわれの立場において、お役所に何か要望することはないか。二つにはこの民間会社のおつき合いといいますか、競争といいますか、そういう面で何か困っていることはないかというていの御質問だと了解いたしました。その二つとも何ら私どもの方では、気に病むとか、問題にするような事実はございません。相手側から見ればこれはどうだかわかりませんが、少くともわれわれ側においては、何ら問題にし、苦労するような事情はございません。はっきりと御報告を申し上げておきます。 申し落しましたが、将来われわれの運営上、新たな構想を持たないかというていの御質問でもございますれば、それはいろいろ考え方、希望もございます。これはわれわれ一人の力ではできませんので、やはり団体としての行動がこの面には入って参ります。そういう面を通して、効果を生みたいと思っております。かような事実はございます。もともとその性格は希望的なもので、いろいろな条件を調整の上でないと、そういうことは実現困難なものも多々あると思います。
○橋本(登)小委員 政府側にちょっとお聞きしたいことがありますが、その前に、先ほど森本委員から前もってのお話がございましたが、本委員会では特に文化放送を苦しめる考えで、おいで願ったわけではありませんから、従って私の質問が、あるいは公式の席上ではばかる場合は、遠慮してもらってよろしゅうございます。多少経営問題について融れるかと思いますからして、その点は御了承願います。 文化放送の開設当時の場合において、事業内容を、ことに経営方針についてどういう形で出ておって、どういう形でこれを認可されておるか。たとえば一億四千万円の特定の寄付を基礎として財団法人ができていますが、それだけでは放送事業は行われないのであって、運転資金が要るのです。ことにスポンサーの収入を見るわけでありますからして、これだけでも三ヵ年か四ヵ年という多少の期間をおかなければ、その収入は入ってこないはずだと思います。そういうような運転資金の面については、どういう計画申請があり、どういう形においてこれを指導し、あるいは許可したか、同時に許可の事情を、わかっておりましたら一つ……。
○荘説明員 文化放送に対しまして法人設立の許可があり、また無線局開設の免許が出ましたのは、電波監理委員会があった当時でございます。それでただいまその当時の許可に関する書類を持ち合せておりませんので、詳しいことはこの場ではお答え申し上げることができませんが、許可が出ました際には、法人としての設立の条件を調べ、かつ事業として十分やっていけるという説明を聞き、それを確かにやっていけるものと認定をして、委員会として許可をやった、かように考えております。
○橋本(登)小委員 日本文化放送協会の財団法人の設立は、一億四千何百万円というあの建物を中心とした施設だけが、財団法人になっておるのじゃないですか。それ以外に金額として何千万円なりの現金がそれに加えられて、財団法人の認可になっておるのですか。かつまた認可の場合に「その局の免許を受けようとする者が確実にその事業の計画を実施することができること。」あるいは「法人設立後その事業の計画が確実に実施されるものであること。」こういう条件が開設の免許の条件になっておる。従って建物等のいわゆる施設だけの一億四千万円だけでは、事業ができないことは明らかなんです。この点については、今書類がないようでありますからして明らかじゃないのでありますが、大体の見当はつきませんか。
○岸参考人 お許しを得まして、私からお答え申し上げます。建物だけで放送を始めたのではございません。放送の機械も入っております。いわゆる送信機の能力から申しますると、十キロワットでございます。現在は五十キロワットですが、設立当時の機械は、昨年の四月まで使っております。競争上新たな機械を買いかえまして、現在は五十キロで放送しております。前の機械も併置いたしております。累次切りかえるような態勢になっております。
○橋本(登)小委員 私の聞きたいのは、その建物及び放送設備は、財団法人の内容には入っておって、それらができておるけれども、放送を開始したその日から人件費というものも要ってくるし、あるいは雑費も、編集費も要る。しかしスポンサーの金は、あとでなければ入ってこない。でありますからして、そういうような運転資金といいますか、そういうものをやはり同時に申請をしてその許可を得たものか、そういうものは別に契約の中に入れないで、何か一時借入金等で初めからやるという建前で、この事業を始められたのかどうか、こういうことでございます。
○岸参考人 運転資金の金額も計上いたしてあります。運転資金として、しかし、やはり十分ではなかったように思われます。それではそれをどうしたか。それは借入れでなしに、つまり修道会というのがありますが、修道会が立てかえたという事実のようでございます。
○橋本(登)小委員 その点電波監理局に聞きたいのは、建物及び放送設備だけができても、放送できるのじゃないのだ。運転資金というものがある一定額必要なんだ。ことにこういう民間放送の場合は、スポンサー収入を原則としますからして、そのスポンサー収入というものが、一カ月後か二カ月後かという判定が必要だ。そういう点まで考えて、この事業認可をしたのか。それとも放送設備さえできれば認可をしたのか。もし放送設備だけできればそれで放送許可ができるのだという、そういう建前であれば、それは放送法の考え方と違ってはしないか。放送局の開設の根本基準では、先ほど申し上げたように、「確実にその事業の計画を実施することができること。」これはでき上ったばかりではだめなんで、これを実施することが可能かどうかということを書類上、あるいは申請人に対して十分調査の上行なったのかどうか。いずれあとで当時の状況を一つお調べ願いたい。 もう一つは昨年の暮れですか、四月でしたかね、五十キロ放送は。
○岸参考人 さようです。
○橋本(登)小委員 五十キロ放送に施設を増力する場合、もちろん設備の費用が必要である。そうなると普通の民間の株式会社であれば、資金調達のために増資を行うなり、あるいは長期借入金を行なって、そうして施設を拡充するわけです。その場合文化放送では、どういう形でこの資金を調達されたのか、かつまた出力五十キロの申請を認可した方の当局は、その計画を、短期間の借入金をもってこれを認めたのか、それとも長期に返済し得るという状態においてこれを認めたのか、そういう認可においての実情を御承知であればお伺いいたしたい。
○荘説明員 御質問の第一の、電波監理委員会が文化放送に放送局開設の予備免を与えた際の問題につきましては、当然その当時現在の法律もあり、根本基準もありまして、これに基いて審査をし、それによって予備免をいたしたわけでございます。従いまして委員会としましては、法律規則に十分適合している、かように認めて出したわけでありまして、十分申請者より資料をとって、運転資金の面についても、業務の確実な遂行がでぎるということを見ておるはずでございます。この放送局の開設免許につきましては、私の知っております範囲では、すべてこの法律及び規則に基いて役所はやっておりまして、いかなる場合でも、ものができ、金さえあればよろしいということではなく、事業の確実な実施ができるということを、審査の必然の要件としてやっております。従いまして文化の場合にも、もちろんその点は委員会として見ておった、かように思います。 それから第二の御質問の、五十キロの増力を許可いたしました際のことでございますが、協会当局より五十キロ増力の場合に、いかなる財務計画でその設備費を調達するかということにつきましても、役所は当然資料を求めまして、それを調べて、やっていけるという見通しを立てて許可を出しました。その際に、どのくらいの期間で設備費を償還できるかということも、もちろん調べたわけでございますが、ただいまはっきりした月数あるいは年数というものを覚えておりません。かなり長期のものではなかったか、一年あるいは二年くらいではなかったろうか。これは記憶で申し上げて恐縮でございますが、今のところさように思っております。
○橋本(登)小委員 数字がありませんから、十分のところは了解しにくいのですが、私は全体的に見て、いろいろの内紛——これは考え方の相違もあったろうし、感情上の問題がありましたろうが、やはり一つには、経営問題が大きくからんで、いろいろな問題が起きたのだろうと思います。しかし文化放送協会としては、経営がずさんに行われたり、あるいはむだなところに金が使われたり、そういうことが原因になって、こういうような経営上の困難を来たしたのじゃなかろうと思うのです。ことに教会関係の人でありますから、非常に熱心にまじめにおやりになって参られたことは、われわれも十分にわかるのであります。そこでなぜそれならば現在のような困難がきたか。第三者として私たちが判断し得るところは、先ほど申し上げた放送設備並びにそれに伴う放送事業を遂行するに必要とする運転資金の問題、第二には五十キロに出力を増加した際における財源の問題、私はこれが大きな問題だと思う。ことに第二の五十キロの出力増加に対する財源の問題が、根本的に今日の事態を来たしたのじゃないか。その意味においては、今壮説明員からの話がありましたが、これは私は非常にずさんな説明であって、とうてい理解しにくいのであります。たとえば放送設備というものは、大体当局はどれくらいと考えておるか、私たちが一応ひっくるめて考えましても、いわゆる全施設費の減価償却をやるためには、いかにこれを早く考えても五年ないし七年間かかって行うのが大体の原則だろうと思うのです。これはところにより違いますが、NHKの減価償却の大体の方針も、十ヵ年くらいだろうと思うのです。もちろんものによっては三年間のものもあるし、五年のものもあるが、平均すれば建物一切をひっくるめて、おそらく十年くらいでありましょう。しかし文化放送の場合は、建物等については、財団法人による寄付でありますから、これを除いて放送施設という点から考えて、いかに短かく見ても五年、いろいろの事情から見てこれを七年くらいに見るのが、大体妥当だろうと思うのです。そうなると、今荘説明員からの一年くらいの借入金でもって施設が行われたということ、どれくらい五十キロ増力にかかっておるかわかりませんが、おそらく一億円前後の金がかかったと思うのですが、一ヵ年か一年半で当局が、これは減価償却でぎる目算でお許しになったのか。
○荘説明員 減価償却ということではなくて、機械を設備するために借り入れをする、その借入金の返済の方法を申し上げたわけでございます。
○橋本(登)小委員 他から借入金の借りかえということを行えば、それでもいいわけです。しかし一応基本的には、そういう設備を行う場合、最低三年とか五年とかいうふうに返していくならば、その収入から返せる。だが、施設をするのには何も一ヵ年も二ヵ年も借りなくとも、施設だけの費用ならば、一月や二月や三月あればできるので、問題は、それを返せるかどうか、一年でもって返すという建前で申請があれば、一年後の処置はどうするのか、そういう点を見きわめなかったところに私は、経営者の方にもいろいろの落度がありましょうけれども、一年後に返す場合において、今度は向うがこれを初めから承諾したものでありませんから、なかなか貸してくれない。もし貸すとすれば、今度は高率でなければならない。こういうことでもっていったのじゃなかろうか。私は実際の実情を聞いておりませんからわかりませんが、結局現在非常に苦しい経営に陥った理由は、第一にはパーセンテージとしては非常に少い率ではありまするが、最初の運転資金の不十分であったということ、第二には昨年の五十キロの出力を増加する際における将来の財源返還の措置というものが、非常に合理的でなかったというと変ですが、少くとも三年か五年くらいで返すような金を借りておれば、こういうような苦しい状態に入らなかったのじゃなかろうか、こう思のですが、経営者の方のお立場からお考えになって、その点どうでしょうか。
○岸参考人 当時の関係者でないものですから、あまり確信をもって答えかねるのでありますが、最近に知りました事実から想像いたしまして申し上げます。当時五十キロの開設の際における所要資金ですが、結果論的には借入金でやっておるわけであります。社債ではございません。御質問のような五年といったような長期のものではなかったようであります。これに反して実は、これは最近知ったのですが、当時すでに株式に切りかえようかという話があったそうであります。それをごく最近知りました。これは経営者側においても真剣にそのことを研究したそうでございます。ところが一方御案内のような感情上のいきさつがごたごたありまして、何もかもそんな事務的な性格がふっ飛んでしまって、いわゆるけんか騒ぎになってしまった、そういうことが真相のようでございます。
○橋本(登)小委員 あるいは申請側としては、一応一時借入金、短期借入金でもって施設を行い、そうして将来株式会社にする、そういうことによって債務を資本金に繰り入れることができる、そういう考え方でやったかと思うのでございますが、当局の方では、その点に対しては指導といいますか、その計画あるいは事業遂行の内容を十分に調査しておらぬのではないか。当時の書類を今度の委員会に持ってきてもらえばわかりますが、おそらく借入金によってこれを立てる、あるいはそれによって施設を拡充する、こういうことでその借り入れ先はもちろん明示されておりましょうが、そういう建前のみで許可したのではなかろうか、こういうように思われる節がある。しかし当時今岸さんが言われたように、政府当局も資金を集めるためには株式会社にした方がいいのではないか、こういうことを非公式に郵政大臣が勧告といいますか、相談をしているような事実をわれわれも聞いておるのでありますが、それは申請内容とは別個でございますから、申請内容については少くとも五年なり七年からなければ施設費は返せないのでありますから、従って一時借入金の道をとるよりは、あるいは社債の方式をとって、十年で返すというような建前をとっておれば、今日のような事態にはならなかったのではないか、こういうように考えられるのであります。いろいろこまかい点でお聞きしたいことがございますが、それ以上聞きますと、利払いの問題等めんどうになりますから、あらためてこれは切り出しません。 そこで一応私は概括的に考えて、そういうところに今の文化放送協会の困難さがあると思う。内部の感情上の問題は別問題といたしまして、経営上の面から見ればそういう問題がある。経営上といいましょうか、賃金遅払いの問題等もからんで、今回のようなストライキができたのでありますからして、何といっても経営上の合理化が考えられなければならぬと思います。合理化といいましょうか、再編成といいましょうか、そういうものが考えられなくてはならぬ。せんだっての非公式の小委員会では、岸さんは株式会社を考えられておる。理事会においてもそういうような話し合いが出て、この方針で一応指導しておられるようなお話でございましたが、これを打開するためには、あるいは長期債の借り入れ、あるいは五年、十年という借り入れも一つの方法でしょう。このままでやっていくとすれば、あるいは返済を必要としない株式会社に直すということも一つの方法でしょうが、そういうような根本的な問題について何か理事会等において大体の御方針がおきまりになっておれば、またお話し願って差しつかえなければお話し願いたいと思います。
○岸参考人 株式論があることは事実でございます。一方希望的な意見としては、われわれに社債を募集することをお許し願えるような方法が見当らぬものかという意見があることは事実であります。社債によりまして得た資金の返済能力いかんという問題でありますが、先ほど申す通り、最近の情勢からすれば、通常の観念の、期間内に返済し得る能力は現在生まれつつあり、また将来も持続できるであろうという予想を事実から持っておりますから、何かそこに方法を新たに考え出せばできるのだということであれば、われわれはむしろ社債の方にたよりたいというのが率直な気持であります。
○橋本(登)小委員 現在文化放送協会の収入面といいますか、営業成績は、経営者並びに従業員各位の努力によって、漸次向上しておるように聞いております。おそらく先月中は四千五百万円前後の営業収益を得ておるようでありまして、今の規模からいって、特別な借金の支払い等が考慮できれば、現在の収入で現在の規模においては、収支相償っていけるような状態にまでなってきておる。協会、いわゆる同業者の方も非常にその点心配しておりますが、営業成績としては、あの規模のものとしては決して悪い成績ではない。しかしながら不当支出が相当なパーセンテージを占めているというのは、利払い及び現金の返済ということのために、非常な無理をしなければならぬというようなことで、非常に気の毒だ、だからもっと確たる財源の道を考慮していけば、十分に事業自体としては成り立っていけるように自分たちは見ているという見方が、同業者間の見方のようであります。そこで今申したように、最初の開設の際における措置、第二回目においては、出力増加におけるところの措置に不十分な点があった。これさえ解決できれば、文化放送の問題は感情問題を除いては解決できる。感情上の問題は、あえて電波法、放送法の知るところではありませんから、問題ではありません。たといけんかしておりましょうとも、事業がまじめに円満に行われていればけっこうであります。だからしてこの際当局において、今岸参考人からお話がありましたような、少くとも借金といいましょうか、これを合理的に解決する方法を考えてやらなければだめだ。短期に借りかえ、書きかえ等によってやっておりますれば、必ず雪だるまのような状態になって、収拾すべからざる結果になることは明らかだと思いますから、財団法人としての文化放送協会が債券を発行できるかどうかという問題は、私は今申しませんが、一つの方法だろうと思います。従ってそういうような基礎的な財源を作り、まず現状を打開するという処置について、電波監理当局も十分に協力して、せっかく生まれた五十キロ放送局が健全に発達するように、協力してもらいたいと考えているわけでありまして、その点電波監理局長の御意見を承わりたい。
○濱田政府委員 文化放送の持っております意義につきましては、今さら申し上げる必要もございません。先ほど来いろいろお話を伺いました。今日文化放送が陥っている困難の原因は、当初の財政計画、特に運転資金とか、借入金の操作、そういう点に疎漏の点があったかもしれないということを私初めて伺ったのでありますが、私は文化放送が公共放送として、単に商業放送をやるのではなくて、日本国民の品位を上げるために高尚な放送をやってもらいたいという希望を持っております。それに関しましては、もちろん財政的の基礎を強固にして、そのことを確かめて電波監理局はこれを免許するとかなんとかいうことをすべきでありますし、同時に先ほど申しましたように、ノーブルな放送をやってもらいたいという見地から、いろいろな再建策、今日の現状を打開して何とか再建していただきたいというように私は考えておりまして、ただいまの橋本委員の御意見はまことにごもっともな御意見でありますので、電波監理当局といたしましては、今までの経緯あるいは今日の状況あるいは将来のやり方につきましても、十分研究いたしましてやりたいと考えております。
○橋本(登)小委員 これはつけ足りになりましょうが、実はこの問題についてはきょうで二回目の会合でありますから、委員会全体の空気というわけじゃありませんが、委員会の中には株式会社で出発することは、今局長が言ったように、これはノーブルな放送といいますか、あまり利益追求だけの会社ができてしまっては好ましくない。その意味において最初これが財団法人として出発し、公益法人として出発したことははなはだ好ましかった、こういう見解から、何か道があればできるだけ従来の経営形態といいますか、そういう形で行くことが好ましいという空気があることを一応御了承願いたい。もちろん株式会社絶対反対というわけじゃありませんが、そういう従来の認可当時の気持並びにその後における事業の内容から考えて、できればそういうような状態で行くことが好ましいという考え方を持っておる者があるということを御了承願っておきたい。ぜひとも文化放送の根本的な再建が実現できるようにお骨折を願いたいと思います。
○濱地小委員長 ほかに御質疑はありませんか。——ほかに御質疑がないようでございまするならば、岸参考人よりの説明の聴取はこれにて終了いたします。 岸参考人にはお暑い中をわざわざ長らくごしんぼう下さいまして、まことにありがとうございました。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時二分散会