逓信委員会 第3号
- 発言数
- 197 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1955/03/26
会議録
○松前委員長 これより会議を開きます。 放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会の承認を求めるの件を議題として、前会に引き続き質疑を続行いたします。松井政吉君。
○松井委員 議事進行について。ちょっと具体的な内容の質疑に入る前に、昨日に引き続き明らかにしておいていただきたい点がございますので、政府の考え方をただしたいと思います。御承知のように放送法第三十七条の二項は、郵政大臣が意見書を出す場合の手続、内閣を経て意見書を出さなければならないことに相なっております。第三項は協会の提出した予算に対して、それを変更すべき旨の意見書を出すことができる項目をうたっているのでございます。そういう形で出て参りました。今回提出されました郵政大臣の意見書というものは、変更を求める意見書ではないのであります。おおむね協会が考えた事業計画その他は妥当だという意見書が出ておるにもかかわらず、昨日来申し上げておりますたとえば内閣を経て出されたものに対して、国際放送等の交付金の責任が負えないという理由が一体どこにあるのか。これは放送法の提出の手続、審議の手続等について重要な問題でありまするから、昨日十分御考慮を願つて、きょうでよろしいからその点は明らかにしてほしい、こういうことで私は昨日質疑を打ち切っておるのでございますが、その点の見解を一つ明らかにしていただきたいと思います。
○松田国務大臣 昨日松井委員の御質疑に対しまして、私からお答えいたしました言葉が足りませんでしたので、またその言い回しもまことに不十分でありましたので、そこに仰せの通りのことになったのであると思いますが、国際放送交付金について責任が持てないような言い方をいたしましたのは、これは全く今申し上げる通り私の言葉の不十分な点でございまして、国際放送の命令は国の予算が通過後に出しますので、それで見込みとしての額を申し上げたような次第でございます。政府は国際放送につきましては、その重要性にかんがみて今後ますますこれを強化充実していきたいのでございまするので、この程度の交付金については十分責任をもって、その実現をはかりたいと考えておる次第でございます。御了承願います。
○松井委員 大体意向はわかりまして、了解できないことのない程度でございますが、念のために申し上げておきます。たとえばこの意見書は郵政大臣が勝手に出せる方法のものではないのでありまして、内閣を経て出すものでありますから、もし郵政大臣が責任を負えないといえば、われわれはさらに大蔵大臣あるいは内閣の責任者に、額の問題でなくて、扱いの問題として聞かなければならぬので、本日再質問をしたわけであります。大体責任を負うと解釈してよろしゅうございますね。
○松田国務大臣 さようでございます。
○松井委員 それではその点はよろしゅうございます。 もう一点、昨日からの問題でございますが、たとえばこの三十七条に関する事業計画並びに収支予算書は、長谷局長が国会にもあるいは政府には修正権はないと明瞭にお答えになっております。これは前の委員会から議論になっているところでありまして、お答えは間違いだ、これは政府の見解と法制局とが食い違いになりまして、従来の当委員会においては、これを認めるか認めないかの権限が国会にある限り、国会において修正することは国会の意思だということになっておりますから、その点を明らかにしていただかないと、これは審議に入れないのです。そういう点について明瞭にお答えを願いたい。
○松田国務大臣 この点につきましては、そこに多少の意見の食い違があるように思いますが、政府と法制局との間の意見のそごはないと承知いたしております。
○松井委員 概念としては認めるか認めないかということを決定する、あるいは承認を与えるか与えないかということの決定の権限のある国会においては、その内容についての修正ができるというのが、観念の上では正しいと思います。条文の上でこの問題はそういう食い違いの点もありましたが、当委員会においてはその考え方は、条文にないことでありますから、それは当委員会が国会の自主的な立場においてきめる、こうなっているのでございますから、それを政府が認める認めないということでなくて、昨日長谷局長が明瞭に修正権がないと言ったことを一ぺん戻して、修正権があるないということは議論のあるところだということでよろしゅうございますから、一ぺん戻してもらわないと、今度これを認めない、承認しないという結論がもし出た場合にどうするかということの議論に発展していきまするから、それはもとに戻して、国会の自主的な立場を尊重しながら審議を進めていただく、こういう工合に戻していただきたいと思います。
○松田国務大臣 大体松井さんの仰せの通りでけっこうだと思います。私はまだ従来の経緯についてつまびらかにしませんので、御了承願いたいと思います。まだこの点についてはやや疑義のある点はあるのでございますけれども、大体においては仰せの通りでよろしいのではないかと思います。
○松井委員 局長の言葉が昨日の速記録に明瞭に残っておりまするが、それでよろしゅうございますか。
○松田国務大臣 この点は私は従来の経緯をつまびらかにしませんので、説明員の方から説明いたさせます。
○長谷説明員 お答え申し上げます。昨日松井委員からの御質問の際に、政府としては放送法の三十七条の解釈をどう考えているか、こういうようなお話でございましたので、政府としていろいろ問題はございますけれども、一応現在の法文をそのまま読んだところでは、修正権というものは国会にもあることがはっきりしておりませんし、政府にももちろんございませんし、ないと考えざるを得ないのではないかということを申し上げましたが、この点は前に電気通信委員会におきまして、政府側から御答弁を申し上げたときにも申し上げましたように、結局は国会が国の最高機関として御判断があります場合には、それに従うことは当然でございますので、ただいま大臣からも申し上げましたように、松井委員のおっしやるように、この問題はやはり松井委員のおっしゃるように、この問題はやはり本源に戻してよく考えなければいかぬ問題だということは、私どもよく承知いたしております。お話の通りであります。
○松前委員長 質疑の通告があります。森本靖君。
○森本委員 参考人にお尋ねします。きのうの説明で、従業員の待遇改善については今後も十分努力していきたいというお話でございましたが、予算面においては昨年度の通りということでございます。聞くところによりますと、日放労と協会との間において団体交渉がずっとやれているということでございますが、その経過と現在におけるところの内容を詳細に説明願いたい。
○岡部参考人 ただいまご審議いただいております予算におきましては、給与の項については仰せの通りでございます。それと申しますのは、昨年給与の改訂をお願いいたした次第でございますが、そのとき資料といたしまして、全産業のきまって支給する給与、次に世帯主本業定期収入、その他の統計を用いまして、いささかこまかくて恐縮でございますが、二十八年度の給与の実施月であるところの二十八年の四月に対しまして、二十九年度の給与の実施月であるところの二十九年度の給与の実施月となる二十九年四月において、どのくらい上昇するかという計算をいたしました結果、その見込みによって二十九年度予算において一六%のアップをお願いいたした次第なのでございます。その後実際においてはどうかと申しますと、この倍率の改訂率は、実数を下回っておるということが一つでございます。それから二十九年の四月から十一月までのこれらの統計を見ますと、きわめて微小でございまして、横ばいあるいは上昇傾向は鈍化しておるのでございます。そういう事情を考えまして給与の項においての増額はいたさなかったわけでございます。しかしご承知のとおり、われわれといたしましても従業員の待遇改善につきましては、昨日も会長から申し上げました通りの精神でございますので、三十年度におきしても、お手元の議案の総則にございます条項を活用いたしまして、従業員の待遇を改善し、能率を向上していきたい、かように考えておる次第でございます。 なおその一端としまして、社会保険の経営者負担の率を本年度改正することによって、従業員の負担の減少をはかりましたことが一つ。つぎに共済組合に対する協会の補助金と申しますか、交付金を増しまして、その実質的の待遇の改善をはかりましたことが第二番目でございます。それから通勤の乗車賃を増やしまして、いささか待遇の改善の充てた、かような次第なのでございます。 なお、お尋ねの従業員との団体交渉でございますが、組合の待遇改善に対する要求は、結論的に申し上げますと、戦前の給与の回復と申しますか、戦前の給与に対して物価指数の倍率を乗じまして、さらにそれまででなくその八〇%を要求したいというのが、従業員の方の要求でございます。しかし今申し上げたような事情で、予算としてこれを実現することは困難かと思いますので、われわれとしてはこの予算をご承認を願いました暁に起きまして、予算総則その他の実行におきまして誠意ある善処をしたい、かように考えておる次第でございます。
○森本委員 それで具体的に組合側、従業員側の要求がどの金額になっておるか、それから先ほどもらった資料では、ここに平均の基準賃金が出ておりますけれども、それに対して具体的な数字としては、どういうようになっておるかということを御説明願いたい。
○岡部参考人 組合の要求しておりますのは、二万二千円を要求している次第でございます。それで結局われわれの方との差があるわけでございますが、具体的に申し上げますと、本年度は実はまだ中途でございまして、結論的な数字ではございまんが、二十九年度予算を御審議のときに附帯条件をつけて、給与の改善に努力するようにというお話もございましたので、増収節約におきまして約一億五千七百万円ほどの金額を、待遇改善に充てることにいたしておる次第でございます。本年度も先ほど申し上げたような総則の活用によりましてやりまするならば、かりに活用の問題でございまするが、昨年を上回る。先ほど申し上げたいろいろの待遇の改善の要素もございまするから、昨年度を下回るということはむろんなく、上回ることになるだろう。ただ問題は将来の実行のことでございまするので、ここで幾ら幾らになるということまでの、確定したことを申し上げる段階には至っていないのでございまするが、総則の活用等によりまして十分善処していきたい、かように考えております。
○森本委員 この男女別職員数の中で、平均基準賃金月額というのが出ているわけでありますが、内勤というのは一万八千三百八十二円ですが、先ほど参考人の方から説明があった二万二千円という組合側からの要求というものは、この内勤、外勤という問題についてはどういう形になっておるか。それから内勤と外勤とはどういうことによってこの賃金の差があるのか、そういう点についてもう少し詳細に説明が願いたい。
○岡部参考人 組合の要求といたしましては一緒の、内勤、外勤の差がない要求と存じております。それから内勤、外勤の差がなぜあるかというお尋ねに対しましては、外勤と申しますのは、放送協会の受信料をちょうだいするのに、直接協会でやります集金の地域と、郵政省にお願いしているのとありますが、直接協会の手によって集金をいたす職員を外勤と申しておるわけでございます。この職種に対しましては、固定給として考えられるものと集金手当と考えられるものとあるわけでございます。それで、その点が内勤職員と外勤職員との相違点でございますので、この方のベースとしては内勤と異なっておる、こういう現状でございます。
○森本委員 内勤、外勤の問題についてはまたあとで聞きたいと思います。それで平均基準賃金の内容と、組合側が要求しておる二万二千円の内容についての、本俸並びに家族手当、そういういろいろな賃金の構成があろうと思いますが、それを内外ともに説明願いたい。
○岡部参考人 給与の体系につきまして申しますと、基準賃金と基準外賃金とに分けてあるわけでございます。基準賃金につきましては、本給、家族給、地域給というのが構成内容でございますが、その比率を大体申し上げますと、本給が七一%、家族給が一一%、地域給が一七%というような比率になっているわけでございます。基準外につきましては、予算としましては基準賃金の二五%となっております。それから外勤員には基準外手当はなく、先ほど申し上げた集金手当、それらのものによって支給している、こういうことになっております。
○森本委員 基準外賃金の二五%というのは、その内容は何ですか。
○岡部参考人 それはいろいろ雑多なものがあるのでございまして、他の企業体と大体同様かと存じますが、時間外の手当、休日出勤の手当、深夜手当、当直の手当、危険作業の手当、そういうものでございます。
○森本委員 そうすると外勤員は、本俸と家族手当と地域給と、それ以外に集金一件につき幾ら、こういう支給の構成になるわけですか。
○岡部参考人 仰せのような構成になるわけでございます。
○森本委員 そうするとこの本俸の決定については、当初採用されるときに内勤と外勤とに差があるかどうか。
○岡部参考人 お手元にも資料として差し上げてございますように、初任給というものの差はございませんが、結局外勤、内勤におきまして、それぞれいかなる資格の人が適当であろうかということによって、おのずから給与の額がきまる、こういうような次第でございます。
○森本委員 私が聞いておるのは、その内勤と外勤とに採用の際に差をつけるという給与規程か何か、そういうものがあるかどうか。それで現実にその内勤と外勤が採用になる際に、違っておるかどうかということをお聞きするわけです。
○岡部参考人 今お話のような点についての差異はないのでございます。もう少し平たく申し上げますと、外勤をやる人に大学卒業の人はとらないということですから、結局平均の給与からいったら外勤の人は低いでしょう。そういう結果にはなっておりましょうが、初任給において差別をつけるということはいたしておらないのであります。
○森本委員 そうするとこの外勤の集金一件当り幾らというのは、どういう金額になっておるか。それからそれが一人平均どのくらい受け持っておるのか。
○岡部参考人 集金費といたしましては、一件当り――一件と申しますのは三ヶ月分が通常でございますが、一円九十銭になっております。それから一人の集金がどれだけ持つかというお尋ねに対しましては、六千八百ほどでございます。
○森本委員 ついでにお伺いしておきたいのですが、現在の郵政省の委託の集金料金については、これは三十年度においては二十九年度と同様になっておるかどうか。
○岡部参考人 本年度と同じでございます。
○森本委員 現在は集金の委託をやっておるわけですが、それが二十九年度と同じような料金で、三十年度も大体妥当であるというふうにお考えですか。
○岡部参考人 郵政省にお願いいたしておりますただいまお話の委託の集金でございますが、これは郵政省との打ち合せができておりまして、かりに郵政省におきましてベース・アツプ等がございますと、私どもの方の支払いもそれに応じて上る、こういうことになっておるわけでございます。
○森本委員 そうすると集金は一件について幾ら、このくらいがこのくらいの地域では妥当であるというような考え方ではなくして、郵政省のベースによって放送協会が委託するところの料金が変ってくる、こういうような計算でやっておるわけですか。
○岡部参考人 委託をお願いしておる集金費の原価計算といいますか、集金につきましては、その他いろいろの事務の費用もございますので、それの一つの要素として、今御指摘のようなベース・アツプというようなものも考えておる、こういう次第でございます。
○森本委員 それではこの集金の委託料については、郵政省の言う通りに放送協会の方では出す、こういうことですか。
○岡部参考人 何と申しますか、郵政省との間に取りきめができておりまして、その取りきめが変れば変るという約束になっておるわけです。すなわち、その取りきめが上れば上り、下れば下るという次第でありまして、決して郵政省の言う通りになっておるというわけではないのでございます。契約内容に変更があれば異同があるというわけでございます。
○森本委員 だから、その契約をする際に放送協会側としては、今の実情がこういう実情であるから、現在の状態からして、このくらいが妥当である、そういう一つのデータを出して、その契約に臨むという方向で行っておるのか、それとも郵政省でデータをはじいて、これくらいでやった方がよろしい、そういうような郵政省の意向によって、放送協会がその通り調印するという形になっておるのか、どちらにそういう契約をする際に主導権を持っておるのかということを聞いておるわけであります。
○岡部参考人 両方おのおの立場がございますから、データを持ち寄りまして、そこで協議をしてきめるというのが実情でございまして、郵政省といえども決して放送協会から多額のものを取ろうというふうには、毛頭今まで考えていなかったというように存じております。
○森本委員 そうすると、放送協会側において、こういうふうな集金委託料がほんとうに妥当であるかどうかということを、放送協会の組織をもって詳細に調査をして、一つのデータを出したことがあるかどうか。
○岡部参考人 私の方にも実は直接集金をやっておる区域で不便なところもございますので、データは大体に似通ったデータを持っておるわけであります。ただ一般論としまして、郵政省にお願いしておる区域は、御承知の通り非常な不便な区域が多いのでございます。従いまして、いろいろの経費が多額にかかるということは当然なのでございますが、今申し上げたように私の方にもそれに近いところもございますから、それらの経費ともむろん比較いたしまして、内容を検討させていただいておるわけであります。
○森本委員 そうすると三十年度の予算を組む際には、ただ漫然と昨年度の集金料の通りということでこれを契約されたのであって、具体的にこれを上げるべきか下げるべきかというふうな問題について、各地の集金の内容というものを調査したことがあるかどうかということをお聞きしたい。
○岡部参考人 繰返すようでございますが、郵政省との契約の内容の事項につきまして、具体的に違ったことがあれば今御説の通りやって行く。違った点がないと認めれば改訂しないというわけでございますので、ただいまのところ二十九年度と三十年度とは変ったところがない、かような考えのもとに予算を編成してあるわけであります。
○森本委員 私の言っているのは、その契約の変更云々ということではないのです。要するに集金をしているところの価値は、現在の委託料金で妥当であるかどうか。そういうことについて検討したことがあるかどうかということをお聞きしているわけなのです。
○岡部参考人 実際問題としましては、委託をやつている局の方に毎年お集まりを願って、あるいはこの料金はひどいとかいろいろの実情を承わって、われわれの方としましても参考にして、果してこれでいいのかどうかということは、絶えず検討している次第でございます。
○森本委員 そうすると本年度のこの契約について、郵政省の方から料金を上げてもらいたい、そういうふうな契約の変更の申し入れがあった場合には、協会としてはそれに応ずる用意があるかどうか。
○岡部参考人 ただいままでのところはございませんが、今後お話がございますれば、むろんそのお話を承わる次第でございます。
○森本委員 大臣にお聞きしたいのですが、ただいま問答の中で話がございましたように、この問題については大体郵政省の方がやはり主導権を持って臨んで行かなければならない問題だと思うのですが、この問題について昨年度の通りということでは、これを集金している従業員は、現在私の聞いているところでは大いに不満があって、この集金についてもやめてもらいたいという意見も相当あるような現状でございますが、これについて料金の値上げをするようなことを申し込んでいく用意があるかどうかをお聞きしたいと思います。
○中村説明員 森本委員からの御質問にお答えいたします。御承知のようにこの集金委託費の問題は、先ほどから問答がありましたような内容のものでございますが、郵政省といたしましては御案内の通り従業員組合、いわゆる全逓と、給与の問題でありますので、団体交渉事項になっております。従ってこの問題は今後におけるいろいろな物価であるとか、あるいは賃金、手当、そういった一般の労務情勢いかんによっては、団体交渉という場面に移されることがあるかもしれません。そういう場合にはよく両者話し合いまして、妥当であるという線が出ますれば、もちろんNHKの方にそういう申し入れをして御相談をする、こういう段取りになるかと思います。ただし現在のところ、そういう団体交渉の申し出というようなことは現実にはございません。
○森本委員 そうすると、これについては従業員側の方から当局に対して改訂の交渉を申し入れて、それで話し合いがつけばNHKの方に申し入れをする、こういうことですか。
○中村説明員 結論だけを申し上げればそういうことになりますが、これはやはり国の予算といたしましても、委託収入というものが予算の上できまりますから、一応その予算を今度変更するという問題も、大きな問題となれば起って参ります。しかし少々の変更でありますならば、NHKの方もそれぞれ予備費とかいろいろな項目があって、そういうものに応じる可能性があるようでございますので、そういった面では両者で話し合えば、ある程度のことはできるだろうと思います。
○森本委員 その問題はまたあとの機会にお尋ねすることとして、元に戻りまして、この放送協会の賃金の中で本俸、家族手当、地域給というふうに言われましたが、この地域給については、現在の国家公務員と同じような地域給になっているのか、それとも協会独自の地域給になっているのか、それをお聞きしたい。
○岡部参考人 地域給についてのお尋ねでございますが、ただいま御指摘のありましたような国家公務員の地域給に準拠してやっているわけでございます。ほとんど同じと見てよろしいかと思います。
○森本委員 国家公務員とほとんど同じということですが、ほとんど同じというのは、全部同じというように考えていいのですか。違うところがあるのですか。
○岡部参考人 今お話しの通り、ほとんど同じと考えてよろしゅうございますが、一部の地域が若干高いかと記憶しております。
○森本委員 次に、基準外賃金というものが外勤の方には全然ないということになると、外勤の方には超過勤務手当は全然ないわけでございますか。
○岡部参考人 お話しの通りでございます。
○森本委員 そうすると外勤の勤務時間はどういうふうにきまっているわけですか。
○岡部参考人 就業規則にきめられている執務時間と申しますか、八時間、その範囲内で徴収できるように能率をきめている次第でございます。
○森本委員 そうすると、その集金の能率のきめ方については、なるほど机上ではそういうふうなはじき方ができるかもわからないけれども、相手がある問題であるから、もしその集金が不可能というふうな、時間外で行ったという場合についてはどういうことになるか。そういうような理由によって、その集金ができないというような場合においては、それに対する措置をどういうふうにするか。
○岡部参考人 今森本委員から御指摘の通り、能率については全国でございますので、いろいろな問題が相当あります。それで従業員の方と能率について詳しく専門的に打ち合せて、意見を聞き、能率もきめていく。そうしてそのほかに今御指摘の事項、あるいはもっと具体的な問題につきましては、ほかの集金の方を応援するということでございますが、それは一つの超過勤務に類するものでございますので、応援の集金手当というものを別にきめて、その労に報いるというような制度にいたしておる次第でございます。
○森本委員 その場合は集金手当を出すようにして、時間外手当は全然出しておらないのかどうか。
○岡部参考人 御説の通り超過勤務手当は出さずに、単価を上げた集金手当を出しておるというわけでございます。
○森本委員 集金手当というものと時間外手当というものは、おのずから性格が違うと思うのです。集金手当というものは一件集金をするについて幾らということであって、時間外手当というものは、就業規則によってきめられた時間外に対する手当であって、時間外に対する場合は、当然その時間外手当を基準法によって支給するのが妥当あるというふうに考えておるわけであります。そういう点については、その場合非常におかしな結果になるわけでありますが、その点どうお考えになりますか。
○岡部参考人 御説の通り時間外は能率の改訂をさせないという原則でございまして、応援のような場合は、自己の能率を実際に発揮し終っておって手薄になっておる。それで応援する。これもやはり時間外にやるということが建前になっております。
○森本委員 私はその建前を聞いておるのではない。実際の内容として、就業規則にあるところの時間外勤務をしておることがあるかどうかということをお聞きするわけであります。そういうことがあるとするならば、時間外手当というものを支給するのは当然である。それを集金手当、一件当り幾らでやるということは、基準法上からしておかしい。こういうことを私はお聞きしておるわけであります。
○岡部参考人 要するにこの外勤の給与、手当というもの、一つの待遇と申しますか、それらについては組合の協議事項になっておるわけでございますので、組合と協議してこれをきめるという次第でございます。それで、なおちょっと言葉が足りなかった点もあると思いますが、応援というような場合には、また他の職種の者も応援するのでございまして、集金ばかりが応援しておるわけではないのでございます。
○森本委員 私がお聞きしておるのは、この外勤に対しては時間外手当というものが、その給与規程の中において全然ないとするならば、この外勤の方々は、時間外は一切やってはいけない。要するに就業規則に定められた時間内の勤務しかできない。現状においてそういうことになっておるとするならば、全然時間外手当というものがない、時間外勤務というものは一切やっておらない。こういうふうに解釈してよろしいかどうかということをお聞きするわけであります。それが建前はそうなっておるけれども、現実の問題としては時間外勤務をやっておる場合もある。しかしその場合の時間外手当というものは、今言つた集金手当一件当り幾らということでやっておるから差しつかえない。そういうふうにあなたの方は解釈するのかどうかということをお聞きしておるわけであります。
○岡部参考人 多少技術的なことになりますが、この能率のきめ方につきまして御承知の通り三カ月分を取りまとめてちょうだいしているのでございますが、要するに三カ月の間に先ほど申し上げました六千八百という能率なのでございまして、そのきめ方が最初の月、次の月、第三月というふうにわけて申しますと、第一、第二の月で四〇%、第三の月二〇%というわけ方でございます。それでなぜ第三の月が少いのかと申し上げますと、第一月、第二月で徴収漏れになっているものもありますので、それをその第三月に取るという考え方でやっているので、能率のきめ方において通過勤務の内容にきめてあるわけでございますから、送り得ないものだと、かように考えているわけでございます。
○森本委員 その能率のきめ方は、どこでもそういう机上計算をはじいてやるわけであります。しかしそれが先ほど言ったように、集金というものは、具体的にあなた方自分自身で集金をされたらよくわかると思いますが、そう机の上ではじくような形で集金はできない。そこでたまたま本日は六時間で済んだ場合もあろうし、明日は九時間かかったという場合もあろう、そういう場合について、机上ではじいたと同じような実際の勤務時間というものはなっておらない。そういう場合に現実の問題として、外勤について時間外勤務というものはないということは、時間外勤務というものは実際やらしておらないという建前をとっている、こういうことですが、それを現実にやらしておらないとあなたの方ははっきり言えるかどうかということをお聞きしているわけです。
○岡部参考人 能率のきめ方が、結局執業規則の時間内でやれるようなきめ方になっているのでございまして、たとえば御指摘の非常に困難になってくる場合には、能率を変えてこれをやるという実情なのでございます。
○森本委員 能率を変えてやるとかいうことではなしに、そういうふうに時間外勤務という制度がないというふうな外勤にするならば、時間外というものは一切やらしておらない、こういうことがはっきり言えるかどうかということをお聞きしているわけです。
○岡部参考人 協会といたしましては、もちろん時間の外勤務はやらせないということで、取扱い件数に応じて能率の範囲内において手数料を出す、こういうきめ方でございます。
○森本委員 そうすると時間外は一切やらない。それで能率によってその取扱い件数をきめている。ところが今言ったように、事情によって取扱い件数が、その時間内において消化することができない、そういうことに立ち至った場合には、それに対する対処はどうしておるのですか。
○岡部参考人 そういう場合におきましては、他の職種の者が応援に出て、その集金をいたす、かような方法をとっている次第でございます。
○森本委員 その他の職種というのは、外勤でなしに内勤の方がやっておる、こういうことですか。
○岡部参考人 さようでございます。
○成田委員 一、二点お尋ねしたいと思いますが、昨日欠席しておりましたので、もし前質問者と重複しておりましたら、答弁は御省略なさってけっこうであります。しかして予算総則の解釈についてお尋ねしたいのであります。 第四条の、「本予算の各項に定めた経費の金額は、予算の執行上やむを得ない場合に限り、経営委員会の議決を経て各項間において、彼此流用することができる。但し、給与については、他の項と彼此流用することができない。」このただし書きを設けられた精神をまず郵政大臣から承わりたい。
○松田国務大臣 これは放送協会の方で設けた規則だと思いますので、私の方ではちょっと答弁を差し控えた方がいいのじゃないかと思います。
○成田委員 この放送協会でお出しになる予算書というものは、郵政大臣の意見を付して出しておるわけですから、これは当然ごらんになって、こういう規定がいいかどうかということはお考えになっておるはずです。
○松田国務大臣 全体といたしましては妥当なものだと思いますので、そういう意見書を付して御協賛を仰いでおる次第です。
○成田委員 そういたしますと、妥当だというふうに御判断になったのですから、このただし書きの精神がどこにあるかということも当然おわかりになっておるはずだと思いますので、その趣旨を一つ伺いたいと思います。
○松田国務大臣 大体わかっておらなければいかぬわけですから、お説の通りです。大体了承して、これは妥当なものであるということになって、そういう意見書を出して御協賛を仰いでおる次第であります。
○成田委員 私が承わっているのは、妥当であるからお出しになったのだと思いますが、それではこのただし書きをつけた精神がどこにあるかということです。こういう精神であるからこれは妥当である、こういうふうに御判断になったのだと思いますが、このただし書きを設けた趣旨なんです。これを承わりたい。
○松田国務大臣 むろん給与の点につきましては、ほかの物件費などから流用すべきものではなくて、やはり給与の項において処分していくべきものである、こういうふうに考えている次第であります。
○成田委員 そういたしますと、給与については物件費を充てるべきじゃないという一方的な建前で、物件費や給与を食ってはいけないという精神はないのですか。
○松田国務大臣 それも明確に禁止しておるわけです。
○成田委員 そういたしますとこのただし書きの精神というのは、物件費が給与を食ってもいけないし、給与が物件費を食ってもいけない、こういう趣旨だと思うのですが……。
○松田国務大臣 その通りでございます。
○成田委員 それならばなぜただし書きにこういうことを書くかと言うのです。予算の執行上やむを得ない場合に限り、しかも経営委員会の議決を経てやるというのですから、両方の建前から、何もこういうただし書きを書く必要はない。むしろ最初大臣が正直に御答弁になったように、給与は物件費を食っちゃいけない、こういう一方的な考え方でこの規定を設けたのじゃないですか。
○松田国務大臣 両方に流用するというようなことはやらないという考えのもとにやっておるのでありまして、給与というものはやはりあくまでも給与として、これを予算に組んで獲得するという建前をとっておるのでありますから、物件費からこれに流用するというようなこともいけないし、また給与を物件費に食うということも、もとよりいけないことであると考えてやっておる次第であります。
○成田委員 そこで次にお伺いしたいのですが、第六条「予備金は、予見しがたい予算の不足に充てる以外にこれを使用することができない。」こうなっておるのですが、たとえば官公労の給与がべース・アップされるとか、あるいは民間給与が上る。特に日放労の場合は、同業種である新聞社の給与が上がって、新聞社の給与と日放労の諸君の給与がアンバランスになる、こういう場合には予見しがたき予算の不足に充てるということで、この予備金を使うことができるか、大臣の御見解を承わりたい。
○松田国務大臣 それは予備金の性質にかんがみて、やむを得ない場合には予備金から支出するという場合があり得ると考えております。
○成田委員 ではこの点はもう一回念を押しておきますが、たとえば官公労の給与のベース・アツプあるいは民間給与のベース・アップ、特に新聞社なんか同業種ですから、このベース・アップがあって、どうしても日放労の給与を引き上げなければならぬ。これは予見しがたき予算の不足であるということで、予備金から使える、これを再確認しておきますが、よろしゅうございますか。
○松田国務大臣 初めからそういうことを予見してやるということはございませんけれども、予見しがたい場合には予備金にたよる場合があると考えます。
○成田委員 もちろん初めからそういうことは予見できないのですが、今度の予算を通しまして、そのあと民間のベース・アップがあった。どうしても均衡上日放労の従業員諸君の給与を引き上げなければいかぬ、そういう場合にはやはり予見できなかったのですから、予見しがたき事情による予算の不足だから、予備金を給与のベース・アップに使う、これは許される、こういうわけでございますね。
○松田国務大臣 四囲の情勢の変化に伴って、やむを得ざるような情勢が出現した場合は、さような場合があり得ると考えております。
○成田委員 さすがに松田さんは、前郵政大臣より素直で正しいことを言われる。 次に第七条でございますが、第七条は「収入が予算額に比し増加したときは、その増加額は予備金に繰り入れ、経営委員会の議決を経て借入金の返還、減価償却費の補てん又は設備の改善に充てることができる。」こうなっておりまして、二項に「前項本文に定めるもののほか、職員の能率向上による企業経営の改善によって収入が予算額に比し増加し、又は経費を予定より節減したときは、その増加額又は節減額は予備金に繰り入れ、経営委員会の議決を経てその一部を職員に対する特別の給与の支給に充てることができる。」念のために伺っておきますが、この二項で、能率が向上して収入が予算に比し増加し、あるいは経費が予定より節減されたら、その差額をまず予備金に繰り入れるわけでありますが、今大臣の御答弁になりました予備金というのは、そういう予備金ももちろん含んでおりますが、今度の予算で予定されております二億五千万円の予備金、その二億五千万円の予備金のことを今御答弁になった、こう解釈して間違いございませんね。
○松田国務大臣 理論的に申せばさようなことになると思います。
○成田委員 理論的に言うとそういうことになるということは、理論的にも実際的にもそうなるということですね。
○松田国務大臣 実際的に仕事が将来ますます発展していくと思いまするし、能率も大いに向上されて、収入の面が予想以上になるような場合もありますし、その場合はお示しのように、ここにもありますように設備の改善その他いろいろの面に充当するとともに、予備金に繰り入れ、やがて将来の発展に資するための用意があってしかるべきものであると考えております。
○成田委員 今度はだいぶ大臣答弁になられたが、私の聞いておるのはそうじゃなしに、職員の能率向上によって浮いた金、これを予備金に繰り入れる。そうすると、当初の二億円の予備金とあと能率向上による五千万円の予備金があるわけです。当初の二億円の予備金も、最初御答弁に触りましたごとく、予見しがたい事情があった場合にはベース・アップその他に使える。だから予備金に二つあるわけですが、当初の予金備もべース・アップに使えるものかということを念のために、最初の御答弁に関連して承わっておるわけです。
○松田国務大臣 仰せの通りになると思いますが、しかし予備金を全部食いつぶしてしまって、そうしてまた予見しがたき事態が発生した場合は、非常な支障を生ずるということも勘案しなければなりませんので、今おっしやる通りに、この二億円の予備金に対しても、予見しがたい事態が発生した場合には、それにたよらなければならぬ場合もあり得ると考えます。
○成田委員 そこで第七条の第一項と第二項との関係なんですが、一項には「収入が予算額に比し増加したときは、その増加額は予備金に繰り入れ、経営委員会の議決を経て借入金の返還、減価償却費の補てん又は設備の改善に充てることができる。」とあり、二項の方の最後にありますように、増加額を予備金に繰り入れ、その一部を職員に対する特別の給与の支給に充てるというような建前から行きまして、一項は、収入が予算額に比し増加したという原因を問わないのですね。どんな原因にしろ、収入が予算額に比して増加したときには、これを予備金に繰り入れて、経営委員会の決議を経て、一部という条件でなしに、これを減価償却の補てんだとか、借入金の返済に充てる。これが二項の従業員の給与の場合ですと、能率増進という前提がありまして、しかも場合によっては一部しか特別の給与に充てられないというのはおかしいじゃないかという考えです。どうしてこういう規定の仕方をされたか、お伺いをいたします。
○松田国務大臣 それはむしろ協会の当事者からお答え願う方が至当かと思いますが、能率増進による増加額でありましても、これを作業上の、あるいは労働状態の改善に資するということもあり得ると思いますから、これを一部と言わざるを得ない立場にあると私は思います。
○成田委員 それならば、逆に能率増進の経費の節減であっても、その一部しか認められないと言われるならば、原因のいかんを問わず増加したものもこれは一部給与に引き当てていいのじゃないか、こういう解釈が当然成り立ってくるのです。従業員の給与の支給に充てる場合は、みずからの企業努力によらなければならぬ、しかもそれは一部だ、こう言うのです。一方原因のいかんを問わず収入が増加した分、あるいは経費の節減されたものは給与に充てることができないで、すべてこれを減価償却だとか借入金の返済に充てる。これは建前からいってもおかしいのです。そういう御解釈なら、当然一項の収入増加、経費の節減も、減価償却費の補てんだとか借入金の返済に充てると同時に、従従業員の給与にも充てるべきではないか。こう思うのですが、いかがでしょうか。
○松田国務大臣 説明員より説明させます。
○長谷説明員 御説明申し上げます。なるほど成田委員から御指摘になったような問題があるのでございますが、この放送協会の予算は、私から申し上げるまでもなく、受信料というものが各聴取者に義務づけられております。その金額もこの予算に基いてきまることになっております。もしも第七条にうたっておりますように、収入が予算額に比して増加した場合、たとえば見込んでおります聴取者が見込みよりももっとふえたり、自然増収があった場合、あるいは予定しておった仕事がふえたものに対して、その収入増がそれに見合っておるものに使うことは、これはこの条文にうたっております。たとえば加入者がふえたために、加入事務あるいは徴収事務というものが当然ふえてきますから、その分に対しての給与その他に回すことは、これは当然やるべきことでありまして、そういうことは第七条のただし書にもうたっておることであります。予算に比して収入が増加した場合は、その年度直ちにでなくとも、将来に向ってできるだけ受信者に対する負担を軽減するということをまずもって考えるべきが、協会の予算体系あるいは受信料をきめるきめ方の上からいって考えるべきではないか。受信者の負担を軽減するということは、具体的に申し上げれば、借入金の返還、減価償却をまずもってやるということを考えるべきではないかと思います。一方第二項はいわゆる弾力条項に相当する条文でございますので、今さら申し上げるまでもございませんが、先ほども申し上げましたように、職員の能率向上その他によって得られた剰余金というものは、全部を給与の改善というか、特別の給与に充てるということまでは考え得ない場合は、あるいは何と申しましょうか、設備改善その他によりまして、職員の従業する状況を改善するということに向けて行くことも、断然考えてしかるべきではないかということから、他の場合と同様にその一部をという表現方をとっておるものと私ども考えまして、政府も協会の予算総則のきめ方は一応妥当と認めたのであります。
○成田委員 今の一項の御説明ですが、受信者の増加という場合をあげられておるのであります。これは自然に増加する場合もありましょうが、従業員の努力によって増加する場合もある。そういう場合は二項の適用があるのでございますか。
○長谷説明員 お答え申し上げます。仮定で申し上げるといろいろ問題がございますが、そういう場合はあり得ると私ども思っております。実際の状況によって第二項を当てはめるべきか、第一項によって処理すべきかという問題は出てくると思いますが、お話のような場合はあり得ると思います。必ずしもいつでも、たとえば一応七十万の増加を見越しておったのが、八十万になったから、これは職員の能率向上あるいは勉強によってやったのだということに一概には申し得ないと思いますが、お話のような場合もあり得ると思っております。
○成田委員 あり得るというので、大体ない方が強いらしい御答弁なのでありますが、受信者が増加するというのは、国民のふところ工合がよくなるということも一つの原因でありましょう。今の政府のやり方からいえば、国民のふところ工合はあまりよくなりそうもないが、そうすると受信者が増加するということは、放送内容がよいということです。NHKの放送を聞きたいという気持の方がたくさん出てきた。そういう結果、受信者が増加する。だからこの受信者が増加した場合は、NHKの放送内容がいいということになる。ということは、従業員が努力したということになるので、受信者の増加による収入増というものはあり得るのではなしに、ほとんどすべてが従業員の企業努力によるものである。こう解釈するのがほんとうではないかと思いますが、いかがでありますか。
○長谷説明員 お答え申し上げます。その辺はなお放送協会の当事者からお答え願った方がはっきりすると思いますが、私どもとしては必ずしも見込んでおった数字を上回ったのは、いついかなる場合でも従業員の能率向上によるときのケースだけではないと思います。
○成田委員 では予定以上に受信者数がふえる場合のケースを、放送当局からでもいいが、一つ並べていただきたい。どういう場合であるか。たとえば国民のふところ工合がよくなって、今まで持たなかった人がラジオを持つ、あるいは放送内容が非常におもしろい、あるいはNHKのサービスが非常にいい、いろいろ条件があると思うのです。最初のふところ工合がよくなるということは、今の政府のもとではとても国民の生活がよくなるということは考えられないのですが、そのケースをあげていただきたい、そうすれば従業員の企業努力によるということがわかりますから、ちょっと述べていただきたい。
○森本委員 関連。その受信者の数がふえるということは、今いろいろ成田委員の方から言われましたが、その中で最も大きな要素は、何といっても従業員が今の無届でやっているものを正式に受信料を納めるという形にするのが、受信者数のふえる一番大きな眼目ではないかと考えますが、その点もあわせて答弁を願いたいと思います。
○長谷説明員 お答え申し上げます。確かにこの一例として、聴取者が予算上予定しておったものよりもふえて、そのために収入が増した場合のことを例として申し上げたいのでありますが、今までの例によりますと、大体例年の増加の状況というものは、一応の成績からわかっております。それを大体基準にして、来年度の予算計画を立てております。その予定以上の増加を見た場合に、それが特別に放送協会の職員の開拓運動と申しましょうか、そういうことによった場合は、確かに第二項の方に相当するのだろうと思いますが、今までの例で見ますと、たとえばその土地に民間放送ができたということによって、今までよりも急激にふえた。――急激といっても程度の問題はございますけれども、そういうようなケースも今までには見受けられのであります。従いまして必ずしも予定の数量以上にふえたものは、放送協会の職員の努力によって増したということのケースばかりではなさそうに思いますので、そういう場合には第一項によって処置せざるを得ないのじゃいか、こういうような気持で申し上げたのであります。
○成田委員 そこでふえるケースを一つ言ってもらいたいと思うのです。大体どういう場合があるかということを……。
○長谷説明員 お答え申し上げます。受信者の増加というような結果的に現われてくるこの原因は、申すまでもなくいろいろ要素が含まれておりますので、一がいには申し上げられないのでありますが、先ほど申し上げました、また先ほど成田委員からお話もございましたように、一般経済状況がよくなるということは何よりも大きな問題だと思いますが、そのほか放送全体のサービスの向上、その中には番組の問題も入っておると思います。またその年度の、たとえば放送協会の三十年度なら三十年度の事業計画が国民の期待に最も沿うように、あるいは期待以上に、何と申しましょうか、計画が非常にマッチしてできておる場合には、それに応じて聴取者も増してくるだろうと思います。言葉をかえますと、放送事業の経営全体の成績というものが、国民の期待により沿っておるかどうかという問題もそこにあるかと思います。具体的にどんな場合に予想以上ふえるかというようなことを例的に申し上げますと、先ほど申しましたように民間放送ができたということも一つの例でございます。何か予期されていない大きな事件なりエヴェントが起きますと、放送とか、あるいはテレビとか、ラジオとかいうものは非常に聴取が増すものでありまして、そういうケースもございましょうし、御指摘のように予想以上に受信者が開拓されるということは、なるほど放送協会の、あるいは放送協会に関係をされておる――これは先ほど聴取料の委託徴収のところで問題になりましたように、郵政省の職員もこういう点はやっておるわけであります。そういう関係者全般のいわゆる獲得運動といいますか、開拓運動によることは確かに私も多いと思います。非常に多いと思いますが、それだけではないのだという点を先ほど来申し上げておりました。その一、二の例を申し上げたのでありますが、これをもって御了承願いたいと思います。
○成田委員 最初の局長の御答弁では、従業員の努力によることもあり得ると言われたのですが、今は努力によることは非常に多い、ただそれだけではないという。原則と例外が逆になったと思いますが、それはまあそれでけっこうであります。今お言いになりましたたとえば国民経済の向上、サービスの向上、事業計画が非常にいい、民間放送ができた、あるいは予想できない大きなできごとがあった。この五つをあげられたのですが、国民経済の向上ということは、何度も申し上げますようにちょっと望めない。そうしますと、あと四つなんです。四つのうち、予想できない大きなできごとということは、だれが見てもわかると思います。従ってこれは問題にならない。民間放送が、できたために増加する、それはあると思います。しかし御承知のように民間放送も増加しないという御方針だそうでありますから、これ以上民間放送ができたために聴取者がふえるということも考えられない。そうすると、あと二つのサービスの向上と事業計画がいいということ、この二つはどちらも従業員の企業努力ですね。そういたしますと、大部分――というよりもほとんど全部、聴取者の増加というものは、従業員の企業努力によるものである、こういうふうに解釈するのが、当然二項の解釈に持っていくのが筋だと思いますが、いかがでしょう。
○長谷説明員 お答えいたします。政府といたしましては第七条にこういう二つのケースを並べてあることを妥当と見たわけであります。実際問題として聴取者の数が、予算で見込んでおるものより以上にふえた場合において、どの条項を当てはめて実際にやるかということは、協会がおやりになるわけであります。おそらくただいま成田委員からお話のありましたようなケースには、それに最も妥当な判断を下して、協会当事者がおやりになるものと私どもも期待しております。
○成田委員 だから監督官庁として、今の長谷さんの御意見なりあるいは私どもの質問に対する御答弁からいって、大部分がやはり従業員の努力によるのだという結論が出たと思うのです。そこでもし協会当局がそれに反するような御処置があった場合には、監督官庁として重大な決意があってしかるべきだと思います。いかがでございましょうか。
○長谷説明員 お答え申し上げます。その辺のところまでただいま郵政大臣あるいは政府に権限があるかどうか、微妙な点もございますが、この予算総則に定められたものによりまして、適切に協会当局の方々がおやりになることを、私どもとしては期待をしておるわけであります。
○成田委員 こういう大事な問題については権限が非常に少いのであって、たとえば放送番組の編成その他、たとえば日曜娯楽版ですか、ああいう問題については非常に権限を振り回される傾向があるようでありますが、大事な問題には十分権限を御活用願いたいと思います。 最後に、先ほどの御答弁の一つにありましたが、従業員の能率向上による経費節減あるいは収入の増加は、その全部を持っていくわけにはいかない、一部を特別の給与に充てる、他のものについては、作業環境の改善ですか、多分そう言われておりますが、それは特別の給与に充てると同時に、従業員の厚生施設に充てられる、こういうように解釈してよろしゅうございますか。つまりこの二項の解釈として、従業員の能率向上による収入増加、経費の節減額は、特別給与として一部しか持って行けない、他のものは作業環境の改善に使わなければいけない、こういう御答弁があったと思いますが、この作業環境の改善というのは、広い意味の厚生施設に使うのだ、こういうように解釈していいかどうか。
○長谷説明員 お答え申し上げます。先ほど大臣並びに私から御説明を申し上げましたが、作業状況の改善ということも一つであろう、その中には確かに厚生関係も含まれておると私は思います。しかしこれはどこまでも職員の能率向上によって、予定以上の収入なり、あるいは経費の節減によって剰余金が出た場合には、全部を職員の給与に充てるということを期待するのは無理ではなかろうか。やはりそのうちの一部分は、公共事業体である協会の性格から見まして、受信者の負担を軽減するというところを忘れてはならないということは、やはり強く申し上げなければいかぬと思います。
○成田委員 そうしますと、全部を特別の給与には持って行けない、作業設備の改善に充てなければいけない、こう言われたことは、厚生設備というのはちょっとした例なので、他の大部分は原則に返って、第七条一項と同じような取扱いをされるという意味なのですか。それとも大部分はやはり従業員の企業努力の増加によるのだから、その一部は職員の特別給与あるいは厚生施設の改善に使うのだ、全部というわけではないが、大部分は従業員関係の給与の改善とか、あるいは給与でなくとも厚生設備の改善に使う。二項の解釈から行ったら当然そうなるべきだと思いますが、原則と例外と、これをはっきりしていただきたいと思います。
○松田国務大臣 成田委員の御質疑の精神は、われわれは最もこれを尊重したいという気持であります。私はいかなる事業においても、従業員諸君の給与というものは、最も重要なアイテムであるという点においては同感であります。しかしながら従業員の将来のことを考え、長い目で見た場合に、予算以上に収入が増額した場合の金は、これはやはり作業状況の改善とか、あるいは厚生施設とか、その他いろいろ設備の改善、これまた作業の改善にもなることであるし、従業員諸君の福祉の点からも考えられる問題でありますから、これはそうした増額の金は将来を考えて、全般的に勘案して、予備金に繰り入れるということが、私は妥当ではないかと考る。ただしあなたの御質問の精神的な点は全く同感であって、そういう点を重視したいと私は考えております。
○成田委員 非常に下情に通じておられまする松田郵政大臣に善処をお願いいたしまして、私の質疑はこれで終ります。
○秋田委員 ちょっと関連して。第七条の二項の点について、私初めてこの委員になったので、わからないところがありますので、簡単に一点ちょっと関連してお尋ねしておきたいと思います。この条項は、昨年度やはり国会の承認を求める件の際の総則に、全く同じ文言があったということでありますが、この第七条の第二項の「職員の能率向上による企業経営の改善によって」云々、この具体的内容がどうかということが多少問題になったが、それはそれといたしまして、その「改善によって収入が予算額に比し増加し、又は経費を予定より節減したときは、その増加額又は節減額は予備金に繰り入れ、」これは収入がこの予算に掲げてある項目の金額より上になったら、もう機械的にそのままそれを予備金に繰り入れるのか。また節減額というのは、何を基準にして節減額と言われておるのか。事業支出のところに、給与とか放送費とか業務費とかいう項目があがっておりますが、これに各該当しておる金額よりも節減したもの、そのものをもう機械的に持って行くという意思であるか。なおこの項目の下に内訳があって、それを基準に考えておるのか。具体的にはどうなんでしょう。もう機械的にこの費目にあがっておるものよりも少くなった場合、そんなことを考えておるのか。ここが何だかはっきりしないように思う。これだけ見るとわかったような気もしますが、実際にはどういうことになりますか。
○岡部参考人 今お尋ねの点については、なるほどいろいろの問題があると思いますし、こまかく追及すればいろいろの見方もあると思いますが、御承知の通り、たしか公社などでもかような規定があるように記憶しております。具体的な問題で一、二申し上げますと、たとえばわれわれの方として、灯火炭水というものがあるわけでございますが、それらを職員が努力いたしまして節約して使う場合、物品費その他についてもさようでございますが、それらを一応私どもとしては基準を立てておるわけでございます。その基準を下回って、それが職員の努力というようなものにかかったときに、この総則を適用さしていただいて、特別給与に充てる、こういうふうに考えておるわけでございます。はなはだ抽象的で御満足を得ないお答えかもしれませんが、大体さようなふうに考えておるわけでございます。
○秋田委員 そうすると、必ずしもここにこの承認を求める件の内容としてあがつておる項目だけを基準として、収入の増あるいは節減額というものを考えておられない、実際に即して考えておられるという御答弁でありまして、事のよろしきに従い考えておられるという御答弁であろうと思いますので、一応納得いたしますが、実際の問題に当っては、これは将来非常な問題を起す余地もあろうと思います。私もとっさにただいま気がつきましてお尋ねを関連してしたような次第でございますので、なお具体的に詳細に私の意見をとりまとめてここに申し上げるだけの研究はいたしておりませんが、協会並びに政府当局においても、この点、こまかな点ではございますが、将来汚点を残さないような御研究を切に要望いたして、一応私の質問をこれで打ち切っておきます。
○松前委員長 午前中はこの程度にとどめまして、午後一時半まで休憩をいたします。一時半から質疑を継続いたします。 午後零時二十一分休憩 ――――◇――――― 午後二時開議
○松前委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。 放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会の承認を求めるの件を議題として、質疑を続行いたします。質疑の通告がありますのでこれを許します。森本靖君。
○森本委員 協会側にお伺いいたします。山間地帯、それからいなかの方の聴取者に対するサービスとしては、年年ラジオ相談所の開設を行なっておりますが、それについての本年度の具体的な計画をお示し願いたい。
○岡部参考人 ただいまお尋ねのラジオ修理に不便な地域におきましては、協会として修理相談業務を行い得る地域が政府から指定されておるわけでございますが、その地域が御承知のように全国で大体四千三百カ所ほどございます。それでそこに対しまして、サービスといいますか、こちらから出向いて、大体九千二百回ほど巡回の修理相談をいたす、かような計画をいたしておるわけでございます。
○森本委員 この山間地帯の九千二百回というのは全部の回教であって、一つの村に対する巡回の回数はどういうことになっておりますか。
○岡部参考人 御承知の通り受信者の密度によって大体回数をきめ、それであらかじめなるべく利用される方の便宜のため、日にちも指定してやるわけでございますが、平均いたしますと、一指定地に対して大体二回半くらいになるかと思います。
○森本委員 地方における協会のサービスというものは、番組とか内容についても非常に重要ですが、山間部は特に文化関係から見ると、ラジオが唯一のものでありますから、それに対するラジオ相談所の開設というようなサービスは、非常に重要になってくると思うのです。それが年二回程度で完全にいけるというふうには考えられぬわけですが、これをさらに不便なところに増加して、さらにサービスを向上さすというような点については、今年度は考えておらないのですか。
○岡部参考人 まことにお説の通りでございまして、協会としてもこの巡回相談をますます強化いたしまして、僻地の方々の便宜をはかりたいという計画でやっておりますが、ただいまそれにつきましてなお足りないようなところにつきましては、若干業者の応援もお願いしている面もございます。それで非常にお困りの地域については、政府の方も今申し上げた巡回相談をする指定地を、毎年現実に不便があるかどうかということを調査されまして、私どもの方でもこういう地域に対しては、直さなければならぬのではなかろうかというようなことも申し上げ、この指定地は従来大体年ごとに若干ずつ増加していく。従ってそれに対して協会が増加の傾向でこの回数をやっていく、こういう実情でございます。
○森本委員 私がお聞きしているのは、そういうことをやる回数というものを、その土地土地の要望によって、随時協会側で多くすることがあるのかどうかということをお聞きしているわけです。またやる意思が協会側にあるかどうかということをお聞きしているわけです。
○岡部参考人 特にお困りの点でもございますれば、私の方としてはできるだけ御要望に沿うように、今後とも努めるつもりでおります。
○森本委員 それはその土地土地の放送局等にそういう申し入れをすれば、極力そういうサービスをはかるということですね。
○岡部参考人 さようでございます。
○森本委員 そのことはそれでいいとしまして、先ほど職員の能率向上の点で若干問題になりまして、聴取者の増加についていろいろの要因を述べられましたが、現有聴取者が増加した場合に、その契約件数一件当り幾らというふうに、手当を出しているかどうか、それをお聞きいたしたい。
○岡部参考人 それぞれ手当の額についてはございますが、申し込みをしていただいた方には幾ら、あるいは変更を取り扱っていただいた方には幾らというように、一件当りの手数料をお払いいたしているわけであります。
○森本委員 その場合に直接その局に出向いて行って契約した場合には、その契約手当というようなものはないわけですね。
○岡部参考人 仰せのような、いわゆる窓口扱いのものには手数料はございません。
○森本委員 昨年度の増加した契約の中で、窓口の契約の場合と、それぞれ従業員が行って契約した場合との比率は、どういう比率になっておりますか。
○岡部参考人 ちょっと期間の点について御期待に沿えないかもしれませんが、今年度の四月から一月末までのを持っておりますが、それでもよろしゅうございますか。
○森本委員 はい。
○岡部参考人 職員が四六・九%、約四七%でございます。その他で多いのが郵政関係の一九・三でございます。あとは電力会社とかラジオ商、その他でございます。
○森本委員 純然たる窓口で受付けたというのは何%でございますか。
○岡部参考人 一・六%でございます。
○森本委員 一・六%が純然たる窓口で受け付けたもの、こういうわけですか。そういうことになりますと、先ほどの答弁の中にもありましたように、明らかに、いかに放送番組の内容をきれいにしても、またいかにサービスの向上をやっても、実際に聴取者を増加さすということについては、職員の努力が足りないどころか、これで見るとほとんど九八%までがそういう結果であるということが言えるわけですね。
○岡部参考人 そうですね。パーセンテージで申せば職員が四六・九でございますから、その他の分は五三%くらいということになるかと思います。
○森本委員 いや、私が言っておるのは、郵政省のものや何もかも一緒にしても、自然増収という形には決してならない。聴取者がみずから進んで聴取料を納めるから契約をしてもらいたい、そういうように言ってくるという形は、いかに放送の内容を強化してもそういう形にはならない。従業員が結局この契約については一生懸命努力して、初めてこういう成績が上る、そういうことであろうということを聞いておるわけです。
○岡部参考人 まことに仰せの通り、過半のものは職員がとっておるわけでございます。もっともその他の分でも、その他の方面で大いに御協力いただきましてとる分もございますし、その他のたとえばラジオ商の窓口に持ってこられるというものもあろうかと思います。しかし仰せの通り四七%ほどは職員がとっておるのが現実でございます。
○森本委員 四七%というのは、これは放送協会の従業員がおとりになった分でしょう。
○岡部参考人 さようでございます。
○森本委員 そういうことになりますと、この聴取料は、ただ漫然といかに放送の内容を強化しても、あるいはまたいかに番組がよくても、あるいは先ほど言われたように民間放送ができたにいたしましても、実際に収入を増加するということについては、ただ内容がよくなったからといって漫然と見ておったのでは、決して収入の増加にならない、従業員が契約をふやすように努力しなければならない、こういうことになるわけでしょう。
○岡部参考人 この点についての考え方はいろいろあると思いますが、専門的にとるという職種については、ないと言えばないと言えますが、協会の職員である限りは一人でも受信者をふやすということは、抽象的にいえば責務だろうと私どもは考えておるわけであります。ですから当然の業務だとも言えば言えるのではないか、さようにも考えておるわけであります。
○森本委員 私の言っておるのは、それが当然の業務でないとは言っていないわけです。ただ先ほど政府の説明員の方が増加する要因をいろいろ説明されて、その中で職員の方が大半であると言われましたが、私の意見としては、大半どころではない。それのほとんど全部がそうであるということが、今示されたパーセンテージによってもはっきりするだろうということを言っておるわけです。これは理論上は別として、事実の問題としてはこの聴取者の増加については、ただすわっておったのでは絶対に入ってこないのですよ。自分から進んで契約するという形で入ってくるというのは、今のパーセンテージを見ても非常に少ないわけです。だから私の言っておるのは、政府の説明員の方から答弁があったけれども、ほとんどが全部従業員の努力のたまものである、こういうふうに言っても決して差しつかえないだろう、こういうことをお聞きしておるわけです。
○岡部参考人 先ほど長谷局長からお話がございましたことは、受信者の増加の要因として幾多あげられておるわけであります。その要因によって増加した受信者というものは、確かに仰せの通り職員の努力というものがあるわけですが、その職員の手を通して成規の契約に入ってくるというふうにも考えられるだろうと思います。もっとも私どもは聴取者の増加につきまして、職員が絶えず非常に努力しておるということは万々承知し、また職員の努力に大いに期待しておるわけであります。さればこそ総則の、ただいま御指摘になりました第七条の第二項を設けておるのでありまして、職員が非常に努力しておるということは、私どもはまさにさように感じ、また今後もそれを期待するわけであります。
○森本委員 先ほど述べられた要因は、それはよくわかるのです。だれしも常識で考えてそれが要因であることはわかりますが、しかしその要因だけでは現実に増収にならないわけですよ。現実の問題として、増収になる点についてはそういう要因があっても、最終的には従業員の今言った努力であろうということは言えるだろう、こういうことです。それがなければ、今の実際問題として増加するについては従業員の努力がなければ、幾ら要因があっても現実に実りは少いということがはっきり言えると思いますが、どうですか。
○岡部参考人 まさにおっしゃる通りだとは思います。そういう見方は妥当な見方と思いますが、私が申し上げましたのは、そういう手を通して入るもととなっているものは、そこにいろいろな要因があるだろうということで、今申し上げたわけでございます。
○森本委員 私の言っているのは、そういう見方じゃないのですよ。それが現実であるということを御承認願いたいということですよ。
○岡部参考人 まさにその計数に上っているのでございますから、取扱っていることは現実である。現実ではないということを言っているわけではありません。
○松前委員長 他に御質疑はございませんか。――それでは私からちょっと質問します。昨日でありましたか、原君からの御質問がありました中波による国際放送の問題です。これは日本がこういうデリケートな立場にありまするときに、隣国に対する日本の影響というもの、あるいはまた日本のあらゆる宣伝というような活動を、隣国において相当に強力になすべきときであると思われるのであります。そういうときに際して、現在のところ中波による国際放送というような政策は、政府には全然ないかのごとくにわれわれは見受けておりまするが、これに対して郵政当局はどういうふうな政策をお持ちであるか、伺いたいと思います。
○松田国務大臣 ただいまの御質問については、これは国際間のとりきめによって大体行なって行く建前になっておりまするので、現在のところでは、これを特に急速に取り上げてやっていくということにはなっておりません。
○橋本(登)委員 関連して。今の委員長の質問は、こういう意味だろうと思うのです。現存の国際放送は、短波以外ではできないという国際規定になっているはずです。従って今の委員長並びに原委員の質問の意味は、たとえば福岡なり――いわゆるかって日本の影響下にあった地域に対して、これは国際親善あるいは国威伸張という意味もありましょうが、そういう意味からして現在の中波を強力なものにして、そうしてたとえば沖縄あるいは台湾あるいは支那沿岸地帯、朝鮮、こういった方面に聞えるような、形式的には国内放送だけれども、結果的には一種の国際放送になるような考え方を持っておらないかどうか、こういう意味だろうと思うのです。今国際放送として中波を使うことはできないはずでありますから、中波でもってやる場合においては、すなわち国内放送ではあるが、それが勢いかっての地域に対して影響を与え得るような設備を考えてないかどうか、こういうことだろうと思います。
○松前委員長 私からちょっと敷衍いたします。今橋本委員の御発言の通りであります。同時にまたかってのわが国の文化的な、あるいは言葉の上からの影響などが、アジアには相当残っておるばかりでなく、強力に根をはやしております。そのような地域に対して、日本語による国内放送を向うに相当強力な電波をもって送ってやるということが、非常に必要なときであるというふうに私どもは考えておる。そういうような意味において、政府は政策として何らかの具体的なものをお持ちであるかどうか、こういうことを承わりたいのです。
○松田国務大臣 ただいま委員長並びに橋本委員からお示しの点は、政府としても郵政省といたしましても、その方向に向って努力したいという考えでおります。具体的なことについては説明員よりお答えいたします。
○長谷説明員 ただいまの御質問につきまして、私から補足的に御説明申し上げます。国際放送につきましては、先ほど橋本委員からもお話がございましたように、国際的なとりきめによりまして、短波によって行う。しかもこの短波の使い方は、各国が協定いたしまして、どの電波を何時から何時までどの方向に向けてというところまで、細目にわたって検討の上行うことになっておりますが、ただいま問題になりました中波による国際放送というのは国際間には大体中波による外国向けの放送というのはやらないという不文律になっております。しかし現案に今のお話のように日本においても、隣接の国の放送が聞えて参りますし、また今お話しになった意味において日本の、日本語による放送が、日本語を理解される方々、あるいはかって日本と密接な関係のあった地域に住む人々に聞いていただくようにしたいということは、確かにお話しの通りであります。現在大阪、東京等の大電力放送並びに福岡あるいは札幌、松江等で行なっておりますところの、日本放送協会の十キロワットというような放送は、そういう意味でも何らかのお役に立っておることと存じております。しかし今のお話のような線につきましては、なお一そう格段の整備も必要と思われますので、ただいま御審議を願っております三十年度における日本放送協会の予算におきましても、福岡の増力問題がございますが、これも実はそういう意味も十分考えておる次第でございます。
○橋本(登)委員 今の問題に関連してですが、中波の放送の電力の国際協定は、大体百キロワットまではいいと考えておりますが、現在日本の場合は五十キロワットですが、これはもちろん政府の方からの指示によってこういうものが行われれば――当然政治内的な含みがあるという意味においては、私はこれは政府が指示すべきものではなくして、協会自体がこういう問題についてどう考えるかどいうことに、考え方を置かなければならぬだろうと思うのです。従ってこれは協会当局におけるそうした中波の大電力というものについての大体の方針をお聞きしたいと同時に、国際放送の問題ですが、現内閣は、特に鳩山さんは、御承知のように各国と親善関係を結ばなくちゃならぬ、こういう方針で、あるいは対ソ外交、あるいは対中共外交等を展開せられるようでありますが、その大きな役割としては国際放送というものは、重要な使命を持っておるわけであります。そこで今度の予算の場合においても、昨日の質問のときに、大体において前年度を踏襲するという意味において、五千五百万円程度を計上しておるようでありますが、これは政府の方針はまだきまらぬから、前年度同様な金額を計上しておるのではありますが、なお一そうこういう現内閣の方針でもあるし、かつまた当時議員諸君が南米方面において日本の国際放送を聞いておると、蚊の泣くような声である。とうてい聞き取ることはできない。こういうことではとうてい国際親善とかあるいは各国との親善を増進することは、不可能であるという結論に達して報告がせられておるわけであります。従って政府当局においては、国際放送は政府の命令でありますから、命令事項として行われるのですが、これに対して政府は積極的に大電力による、かつまた方面増加、こういう意味における一大決心をしておられるかどうか。今度は暫定予算の形の上からいって、五千五百万円と昨年度と同様の金額を掲げておりますが、これは暫定予算の関係があってあげたので、将来いわゆる本予算の場合においては、これよりも方向においても幾つかふやし、かつまた大電力についても積極的な考えを持っておられると考えるのでありますが、それについて郵政大臣はどう考えておられるか、御意見を伺いたい。
○松田国務大臣 国際放送を強化して行かなければならぬということは、ひとり国際親善ばかりでなく、わが国の経済外交の見地からもあるいはまた文化的面からも、さらにまたわが国の国情をあらゆる面から外国に知らしめて、外客を誘致するという面からも、あらゆる面からその必要を痛感いたしている次第でございます。従ってただいま橋本委員からお示し下さった方向に極力進めていきたいという郵政当局としての意図をもって本予算も、今年の場合には何分にも一兆円のワクで制限を受けておりますが、大体そういう方向と熱意を持って進めて参りたいという考えでおります。
○橋本(登)委員 非常な熱意を持っていることは大へんけっこうでありまして、心から喜びにたえないのであります。ことに大臣は向うの経験が非常に深いのでありますから、その必要は痛感せられているだろうと思うのです。しかして国際放送の現在五十キロを百キロ放送に直すということで、大体の計算はおそらく一億二、三千万円の政府出資になろうと思うのです。一億二、三千万円の金は、現在に比べれば倍以上になりますけれども、金額としては大した金額ではないのです。ことに鳩山外交は、国際親善を促進するというような一枚看板でおられるのでありますから、わずか七、八千万円の増額は、これはあえて問題ではない。一兆予算などを引き出さなくても、これくらいの金額は当然できなくてはならぬ金額だろうと思うのです。一つ松田郵政大臣の政治力と、かつまた外国における御経験とをもって、ぜひとも国際放送の強化、出力の強化並びに予算の増加ということについては、本予算の場合においてがんばっていただきたい。 なお先ほど申しました協会側の意見でありますが、いわゆる国内の大電力を増加する基準をどこに置いているか。先ほど長谷説明員から福岡の増力等のことが考慮されているということでありますが、原委員あるいは委員長からお話のあったようなことを含めての考え方のもとに、国内放送の出力の増加を考えられているのか。あるいは国内における難聴地区解消のためだけのお考えであるのか。その点を伺いたい。
○古垣参考人 お答えいたします。ただいま放送協会の国内でない対外的な面における放送局の設置、電力関係についての方針の御質問でございまして、その質問に添えて非常に有益な御意見を承わりましたが、私どもも全く御同様な意見を持ちまして、極力中波を利用して、中波が単に国内に放送されて聞かれるというばかりでなくて、対外的の面においてきわめて大切な役割を果すということを有効に実現したい。こういう考えのもとに、現に北海道の北見とか、新潟とか、松江とか、福岡という方面、あるいは大阪、東京というような方面に、中波でありながら、中波としては強力な電力を使用するようにしておりますが、それは現状をもって足りるとするのではなくて、先ほど御指摘もありましたように、百キロまでは中波として使い得るという点を考慮いたしておりまして、できれば福岡の増力がただいま五十キロということでありますが、東京、大阪、福岡の五十キロという点は、いろいろそのほかの条件等によって五十キロというようなことにはなっておりますけれども、私どもの理想とするところは、やはり御指摘の百キロにしたいという希望を持っております。
○松前委員長 私も質問をいたしたいと思っておりましたが、大体私の質問せんとするところは橋本委員によって尽されました。それでこれ以上申し上げませんが、ただ一言放送協会にお伺いしたいと思います。それは国際放送なるものは、政治的な意味もございましょう。あるいは多くの海外の在留者に対して日本の情勢を伝えるとか、あるいはまた日本の文化を異民族に伝えるとか、いろいろな複雑な作用をなすべきものであると思うのであります。これらのほかにもう一つやらなければならない問題は、貿易の先駆者としての役割であります。だから実は東南アジアその他に行ってみれば、非常に貿易に役に立つような、新しい製品の紹介やらあるいは発明の発表やら、いろいろなことを西ドイツ方面よりやって参るような現状でありまして、西ドイツばかりでなく英国でもそうでありますが、そういうような意味においての、いわゆる経済発展の先駆者として国際放送という見地を多分に含んでいるように、私どもは聞いて参ったのであります。この点に対しては現在放送協会の放送の中にはほとんどその時間が、短かいせいでありまするか、欠けているかのごとくにわれわれは聞いているのでありますが、この点に対して現状と、またこれに対する放送協会のお考えをお伺いしたいと思います。
○古垣参考人 まことにごもっともな御意見でございます。実は昨日三十年度の事業計画を申し述べました際にも、三十年度の国際放送においては、日本の経済再建というような点に重点を置いて国際放送の番組を編成し、放送していきたいということを申し述べておきましたが、現在までもその点を非常に苦慮して、与えられたる条件のもとに、この日本の経済発展のためになる番組を組もうと思いまして、いろいろな番組、座談会とかあるいは講演とか、日本全国の産業の紹介等の場合にも、常に新しい産業の紹介、海外紹介といったようなことをしては参りましたが、どうもそれでは足りないので、新年度においては一そうこの点に重点を置きたいというようなことを、番組の編成の上にもはっきり確立してやることになっております。そういう趣旨で昨日も簡単ではございましたが、申し述べた次第でございます。
○松前委員長 もう一つ伺いますが、今のような経済発展の先駆としての役割を果さしめるというような意味におきまして、今の施設をもって十分だとお考えでありますか。
○古垣参考人 実は私どもの希望といたしましては、この三十年度予算に出ましたよりもはるかに大きな構想を持っておりましたけれども、構想を実現化するために予算に組みます間に各方面との折衝もいたし、また日本の置かれておりますいろいろの事情等もよく了解しながら、三十年度においてはこういう案になっておりますが、案そのものは、はなはだ私どもとしてはまだ意に満たない点もございますけれども、一歩一歩やっていく。そうして将来に、たとえば方向等についても、さらに方向を加えていきたい。電力も大きくしたい。これは一年にわたって国際放送の審議委員会――最高の機関で、部外の見識者も集めて審議する機関でございますが、そういうところでもお話が出て、そうしてその実現のため努力をいたしておりますが、ただいまのところではこの程度において運用の面でできるだけ御期待に添うようにしていきたい、そしてさらに将来に向ってこれに満足せず、ますます拡大していきたい、かように考えております。
○松前委員長 現在の施設では満足ではないという結論でございますね。
○古垣参考人 私の申し上げたいのは、決してこれをもって満足しているものではございません。将来ますますこれを拡大して、理想に近ずいていきたいということを申し上げたのでありまして、これを不満とするという意味ではございません。
○松前委員長 郵政大臣に伺いますが、本予算において、先ほど橋本委員が言われましたように、国際放送に対してもっと鳩山さんの理想を実現する意味において、いわゆる公約の実現の意味において、国際放送の拡充に具体的な予算をおとりになるおつもりがありますか、伺いたいと思います。
○松田国務大臣 私は多年わが国の海外宣伝と申しますか、露骨に言えば広告、この面で日本はほとんど力を十分にいたしておらない、こんなことではだめであるという考えのもとに、わが国の海外貿易の先駆者としての働き、地ならし工作をやるということ、並びにわが国のあらゆる面における対外紹介をすることによって、わが国の真実を海外に知らしむるということが、外交、経済、文化、外貨獲得、そういうような意味における最も重要なる問題と考えて、これまでそういう主張をいたして参ったのでありますが、わが国の政府はいまだこういう方面に、われわれの希望してきた一面もやり得ない状態であるのを遺憾といたしている次第でありまして、この三十年度においては、非常に難儀な点がございますけれども、あらゆる機会においてこれを増進していきたいと考えている次第でございます。
○松前委員長 三十年度に実行していただかなければ、再び松田郵政大臣の手腕を発揮される機会はないと思うのであります。その点について三十年度の問題を私は伺いたいと思うのですが、もう一ぺん本予算においてそれをうんと増強なさるおつもりであるかどうか、伺いたいと思います。
○松田国務大臣 郵政省といたしましては、幾多の面におきまして大蔵当局と折衝して、その事業を伸ばしていきたいという問題が多いのでございますが、この海外放送を強化するという面についても、できる限りの努力をしていきたい、かように考えておる次第でございます。
○松前委員長 ほかに御質疑はございませんですか。
○齋藤委員 放送協会にちょっとお伺いしたいのですが、今の海外放送というものはどの程度に聞えておるのですか。聴取率はどういうふうになっておりますか。
○古垣参考人 お答え申し上げます。国際放送の聴取率、聴取状況ということは、国際放送をいたしております英国にしろ、アメリカにしろ、ソ連にしろ、お答えするのに非常に困難な問題であろうかと思います。たとえば英国の場合においても、BBCのイヤー・ブックその他の報告を見ましても、初めはやみ夜に鉄砲のように思った。そのために政府、国会等においても、国際放送を伸ばすのに理解のない向きが多くて、やみ夜に鉄砲のために、お金を使うのはむだではないかという意見があったけれども、だんだんにその必要なことがわかってきた、かような郵政長官の報告などを載せております。他方定期のモニター、向うで各地の人にお願いいたしまして、在外公館の方とか、あるいは定住しておられる方とか、あるいは船で航行しておる船員の人たち、あるいは外国における外国人、そういう人たちを定めまして、定期に報告を受けております。これはNHKもその通りに現に実行いたしまして、各方向に、日本人、外国人、また定住しておる人、旅行しておる人、そういう人たちに御報告を願っております。さらに自発的に向うから、自分はこういう地点でこういう工合に聞いたというような報告があり、また南米方面では、NHKの国際放送を向うで一定の場所、一定の時間に聞いて、それを録音に入れて、またはるばる私どもの手元に送ってもらっております。そういうもの等を検討して、大体の聴取状況がわかるわけでありまして、南米、アメリカ、それから南方、フイリピンとか、ジャワとか、ボルネオとか、タイとか、インド、そういう方面は大体に良好であります。南米等において録音によって聴取しますと、ほとんど日本の国内の放送と同じくらいの録音が入っております。それはきわめていい状態の録音かもしれず、あるいは平均的なのかもしれませんが、いずれにしても非常に良好である。それからまた時期に応じまして、その聴取状況が悪いというような報告がありますと、周波数を変えてみたりなどして、そういうふうにしてやっております。そうして大体月間数百通の報告が自発的に寄せられております。先ほど申しましたこちらから定期的にお願いして、報告してもらっております人のほかに、自発的な反響が月に数百通、平均三百通ぐらいの反響をもらっております。ただしヨーロッパ方面は、これはほかの国の電波の妨害というようなことなどもありまして、ヨーロッパのまん中の辺で、たとえばフランスのパリとか、そういうところで、全然聞えない。ロンドンにおいては不良ながら聞き取れる。状態は悪いがちゃんと聞える。そうしてかえってスカンジナヴィアの国などにおいて、よく聴取されておるというような状態であります。さてこれを現実に、NHKの放送を短波の機械を分けて聞いた人が何人おるかということは、これはNHKの放送を聞いた人を調べることがむずかしいばかりでなくて、各国の国際放送について、各国がそのことは正直にわからない。推定です。その推定は、一つのニュースを国際放送して、それが直ちにはね返って向うの国から来る、その結果であろうと推定するのがあった場合に、やはり非常に有効であったということになろうかと思います。NHKの国際放送も戦後微々としておったのが、今日おかげさまで顕著な拡充を見ておりますが、たとえば最近の国際放送のニュース等において、こちらから解説をいたします。あるいはある国内ニュースを放送いたします。それがすぐモスクワの放送局からキャッチされて流れて来る。あるいはロンドンの放送局からそれが利用されて流れて来るという場合がございます。そういうようなことなども、これは一つの聴取率とは言えないかもしれませんが、反響としてはやはり注目すべきものだと考えております。
○齋藤委員 先ほど橋本委員からの御質問の中にございましたが、聞えないのは南米でしたね。南米で非常に聞えないというのは去年南米に行ってきた同僚議員の報告を聞いて、われわれも国際放送の充実をはからなければいかぬということを大いに主張したのでありますが、その点は……。
○古垣参考人 実は昨年、そういうNHKの国際放送の聴取状況等も、つぶさに現地で調べてもらうことを一つの目的といたしまして、小松副会長を派遣したわけであります。その結果等も聞きましたが、南米といっても非常に広くて、先ほどテープ録音を送って参りましたと申しましたのは、南米の一つの国であります。太平洋岸のチリーであったかと思います。反対にブラジル等においては、よく聞えていないようであります。二十八年から二十九年の十月までは聴取状況が非常に悪くて、周波数を変えるとか、時間を変えて放送するとかいうような、いろいろの工夫をいたしました。最近、昨年の十一月ごろから幾分よくなっております。しかし、ブラジル自身が日本に向って国際放送をずっとして参ったのですが、非常に悪くて全然聞えない。ブラジル大使館でも非常に苦慮して、いろいろの人間や機械を備えて聞いてみましたけれども、よく聞えない。そして、ついにやめているようなふうに聞いております。そんなふうですから、これは電力をもっと増強してやらなければ――南米大陸というのは非常に大きくて、ブラジルだけでも北米合衆国よりも大きな領土でありますし、現状ではとうてい目的を達するのには十分でないと思います。
○齋藤委員 そうすると、百キロに出力を増加すると、国際放送の目的は十分完徹するという技術的な結論は得られておるわけですか。
○長谷説明員 海外放送は御承知のように、ただいまのところでは政府からの命令で、放送協会に実施していただいております。従いまして、その使用する機械の電力等も、現実にそういうものが使用可能であるかどうかということも調べまして、五十キロまでが可能である、また五十キロを使用することが適当である場合には、五十キロの機械を使うことを指定して命令を出しております。しかし御指摘のように、またいろいろ調査いたしました結果、南米あるいは北米におきましても北米西部の方面とか、あるいはヨーロッパの方面とか、北米東部はなおさらのこと、現在の五十キロでは非常に不十分な点がございますので、来年度からはぜひ百キロにしていきたいということで、放送協会当局、あるいはこの機械設備を提供しております国際電信電話会社等とも寄り寄り相談の上で準備を進めております。おそらく四月以降非常に早い機会から技術的には百キロをもって実行ができるようになると思います。世界のレベルと果ま果ては、ほとんど大部分の国が少くとも百キロの電力をもって海外放送をやっておりますが、アメリカその他の国では二百あるいは二百五十キロ・ワットというような、強力な電力の短波放送をやっております。日本の現在の技術において、今直ちに二百キロ・ワットというような大電力の短波放送はちょっとできませんけれども、第一段階と果てまず百キロを実施いたしまして、それに引き続いてなお増力方を研究し、早期実現をはかっていきたい、こういうふうに思っております。 なおこの海外放送につきましては、先ほど古垣日本放送協会会長からもお話がありましたが、単に電力だけではないので、適当な波長の電波を使用することがまず第一でございます。これは御承知のように国際的な関係もありま果て、日本だけ独自の考えで思うようにもいかない点が多分にございますが、この点も先ほど報告がありましたように徐々にではございますが、改善されつつありますことを重ねて御報告申し上げます。
○齋藤委員 大体了解いたしましたが、もう一点伺いますが、南米あたり、短波放送が問えたり聞えなかったりするということです。これは電力だけに関係しないので、ハンドとか、反射の距離か何かがオーバーしてしまった場合には聞えない。うまくそこへ波長が届いたときには聞えるということになりますと、単に電力を幾ら大きくしても、聞えないものはやはり聞えないのではないかと思うのですが、そういう点の技術的説明はどうですか。
○長谷説明員 確かに御指摘のような現象が起ります。短波の放送には、御承知のようにフェーディングといわれますが、放送を受けておる音が絶えず高くなったり低くなったり果て、非常に聞きにくい状態があります。これはある程度情術的に放善できますが、非常に程度がひどくなりますと、ほとんど聞くにたえないような――特に対外放送のようなものは、一般の家庭が一般家庭用の受信機を使用果て聞くものでございますから、精密な機械なら克服できるよう、そういうような現象も、とうてい家庭では思うように改善、できませんから、やはり聞くのを放棄してしまうということになるわけあります。これらに対しましては適当なる時間に、最も安定果して届くであろうというような電波を探して送ることが一つ、これは一日の時間、あるいは春夏秋冬、及びある年によって御承知のように太陽黒点の活動の状況等によって違いますので、その辺を研究した上で最も適当なる波長を選んで送ることをやっております。 もう一つの問題は、一つの電波だけで送りますと、混信を起しましたりあるいはそういうような影響も受けますので、私どもといたしましては、できるだけ同時に二つ以上というような複数で電波を出しまして、どちらか状態のいい方をつかまえて聞いていただくというようにぜひやりたいということで、現にある程度実施いたしておりますが、この方面も力を注いでみたい、こう思っております。
○松前委員長 ほかに御質疑はございませんか。――ほかに御質疑がございませんければ、本日はこの程度にとどめます。 次会は公報をもってお知らせすることといたし、本日はこれにて散会いたします。 午後三時散会